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特表2024-532622操作された腫瘍溶解性ヘルペスウイルス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】操作された腫瘍溶解性ヘルペスウイルス
(51)【国際特許分類】
   C12N 7/01 20060101AFI20240829BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240829BHJP
   C12N 15/869 20060101ALI20240829BHJP
   A61K 35/763 20150101ALI20240829BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20240829BHJP
   A61K 35/766 20150101ALI20240829BHJP
   A61K 35/768 20150101ALI20240829BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240829BHJP
   A61K 51/04 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240829BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20240829BHJP
【FI】
C12N7/01 ZNA
C12N5/10
C12N15/869 Z
A61K35/763
A61K35/761
A61K35/766
A61K35/768
A61K35/76
A61K51/04 200
A61P35/02
A61P35/00
C12N15/113 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537310
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 US2022075767
(87)【国際公開番号】W WO2023034867
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/238,997
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/278,569
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/301,419
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524076213
【氏名又は名称】ヴィロジェン バイオテック カナダ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フロイド, ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】グレージック, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ, エドワード エム.
(72)【発明者】
【氏名】ファーカリー, テリー
(72)【発明者】
【氏名】ラーナー, ロレーナ
(72)【発明者】
【氏名】フォー, ソニア
(72)【発明者】
【氏名】ストラスディー, クレイグ エー.
(72)【発明者】
【氏名】クエバ, クリストフ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA23
4B065CA44
4B065CA46
4C085HH03
4C085KA30
4C085KB99
4C085LL18
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA24
4C087MA38
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
(57)【要約】
本開示は、神経膠芽腫などのがんの治療及び予防のための組換え腫瘍溶解性ウイルスベクターに関する。腫瘍溶解性ウイルスベクターは、ウイルス複製制限のためのmiRNA標的配列(複数可)、1つ以上のペイロード分子をコードする導入遺伝子(複数可)、再標的化ドメイン、UL30遺伝子及びUL23遺伝子の両方の変異(複数可)、ならびに合胞体変異を有するタンパク質及び合胞体変異を有しない対応タンパク質という特徴のうちの1つ以上を含む。
【選択図】図26A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換えヘルペスウイルスであって、前記組換えヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、
(a)1つ以上の導入遺伝子を含み、任意選択で、前記導入遺伝子(複数可)のオープンリーディングフレーム(複数可)(ORF)が、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、または少なくとも64%のG/C含有量を有する、
(b)1つ以上のmiRNA標的配列を含む、
(c)再標的化ドメインをコードするポリヌクレオチドを含む、
(d)DNAポリメラーゼ触媒サブユニット(DPCS)であって、変異を含む、前記DPCSをコードするUL30ウイルス遺伝子と、チミジンキナーゼ(TK)であって、変異を含む、前記TKをコードするUL23ウイルス遺伝子とを含む、
(e)第1のgBであって、合胞体変異を含む、前記第1のgB、及び/または第2のgBであって、合胞体変異を含まない、前記第2のgBをコードする、
(f)第1のgKであって、合胞体変異を含む、前記第1のgK、及び/または第2のgKであって、合胞体変異を含まない、前記第2のgKをコードする、
(g)第1のgHであって、合胞体変異を含む、前記第1のgH、及び/または第2のgHであって、合胞体変異を含まない、前記第2のgHをコードする、
(h)第1のUL20であって、合胞体変異を含む、前記第1のUL20、及び/または第2のUL20であって、合胞体変異を含まない、前記第2のUL20をコードする、ならびに/あるいは
(i)第1のUL24であって、合胞体変異を含む、前記第1のUL24、及び/または第2のUL24であって、合胞体変異を含まない、前記第2のUL24をコードする、前記組換えヘルペスウイルス。
【請求項2】
前記組換えヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記1つ以上の導入遺伝子を含み、前記1つ以上の導入遺伝子が、15-ヒドロキシプロスタグランジンデヒドロゲナーゼ[NAD(+)](HPGD)、アデノシンデアミナーゼ2(ADA2)、ヒアルロニダーゼ-1(HYAL1)、ヘモタキシス阻害タンパク質(CHP)、C-Cモチーフケモカイン21(CCL21)、インターロイキン-12(IL-12)、CD47アンタゴニスト、形質転換成長因子ベータ(TGFβ)アンタゴニスト、プログラム死-1(PD1)アンタゴニスト、骨髄系細胞に発現するトリガー受容体-2(TREM2)アンタゴニスト、クロロトキシン(CTX)を含む生体分子、またはそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上のペイロードタンパク質をコードする、請求項1に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項3】
前記1つ以上のペイロードタンパク質が、IL-12、PD1アンタゴニスト、及びTREM2アンタゴニストを含むか、またはそれらからなる、請求項2に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項4】
前記1つ以上のペイロードタンパク質がHPGDを含む、請求項3に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項5】
前記1つ以上のペイロードタンパク質がCTXを含む生体分子を含む、請求項3または4に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項6】
前記1つ以上のペイロードタンパク質が、表4~7に列記されるペイロードタンパク質の組み合わせのうちの1つを含むか、またはそれからなる、請求項2に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項7】
前記1つ以上のペイロードタンパク質がHPGDを含む、請求項2~6のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項8】
前記1つ以上のペイロードタンパク質がADA2を含む、請求項2~7のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項9】
前記1つ以上のペイロードタンパク質がHYAL1を含む、請求項2~8のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項10】
前記1つ以上のペイロードタンパク質がCHPを含む、請求項2~9のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項11】
前記1つ以上のペイロードタンパク質がCCL21を含む、請求項2~10のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項12】
前記1つ以上のペイロードタンパク質がIL-12を含む、請求項2~11のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項13】
前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記CD47アンタゴニストを含む、請求項2~12のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項14】
前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記TGFβアンタゴニストを含む、請求項2~13のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項15】
前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記PD1アンタゴニストを含む、請求項2~14のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項16】
前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記TREM2アンタゴニストを含む、請求項2~15のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項17】
前記アンタゴニストが抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項2~16のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項18】
前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記CTXを含む生体分子を含む、請求項2~17のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項19】
前記CTXを含む生体分子が、T細胞の表面に発現するタンパク質に特異的に結合するT細胞エンゲージャー部分を更に含む、請求項5または18に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項20】
前記T細胞の表面に発現するタンパク質がCD3である、請求項19に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項21】
前記T細胞エンゲージャー部分が、配列番号914と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、請求項20に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項22】
前記CTXが、配列番号913と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる、請求項18~21のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項23】
(i)前記HPGDが、配列番号875と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、
(ii)前記ADA2が、配列番号877と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、
(iii)前記HYAL1が、配列番号878と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、
(iv)前記CHPが、配列番号880と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、
(v)前記CCL21が、配列番号881と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、
(vi)前記IL-12が、配列番号883と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むサブユニットアルファ、及び配列番号884と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むサブユニットベータを含む、
(vii)前記CD47アンタゴニストが、配列番号895のVHH CDR1、配列番号896のVHH CDR2、配列番号897のVHH CDR3、及び/または配列番号887もしくは888と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む、
(viii)前記TGFβアンタゴニストが、配列番号898のCDR1、配列番号899のCDR2、及び配列番号900のCDR3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、及び/または配列番号901のCDR1、配列番号902のCDR2、及び配列番号903のCDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、任意選択で、前記TGFβアンタゴニストが、配列番号889または890と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、
(ix)前記PD1アンタゴニストが、配列番号904のVHH CDR1、配列番号905のVHH CDR2、配列番号906のVHH CDR3、及び/または配列番号891もしくは892と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む、ならびに/あるいは
(x)前記CTXを含む生体分子が、配列番号915または916と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、請求項2~22のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項24】
前記導入遺伝子(複数可)のうちの少なくとも1つのORFが、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、または少なくとも64%のG/C含有量を有する、請求項1~23のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項25】
前記導入遺伝子(複数可)の全てのORFが、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、または少なくとも64%のG/C含有量を有する、請求項24に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項26】
IL-12、前記PD1アンタゴニスト、前記TREM2アンタゴニスト、HPGD、及び/または前記CTXを含む生体分子をコードする前記導入遺伝子(複数可)のORFが、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、または少なくとも64%のG/C含有量を有する、請求項24に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項27】
前記導入遺伝子のORFによってコードされるペイロードタンパク質の発現が、対照組換えヘルペスウイルス中に約52%のG/C含有量を有する対照ORFによってコードされる前記ペイロードタンパク質の発現よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、または少なくとも10倍高く、任意選択で、前記対照ORFがホモサピエンスのコドン使用に基づいてコドン最適化される、請求項24~26のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項28】
前記導入遺伝子(複数可)のORF(複数可)が、アナエロミュクソバクテル・デハロゲナンス(Anaeromyxobacter dehalogenans)のコドン使用に基づいてコドン最適化される、請求項24~27のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項29】
前記導入遺伝子(複数可)が抗体またはその抗原結合断片をコードする、請求項24~28のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項30】
前記抗体またはその抗原結合断片が重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、請求項29に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項31】
前記抗体またはその抗原結合断片が単一ドメイン抗体(sdAb)に由来するVHHドメインを含む、請求項29または30に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項32】
前記抗体またはその抗原結合断片がIgG-Fcを含み、任意選択で、前記IgGがIgG1である、請求項30または31に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項33】
前記PD1アンタゴニストをコードする前記導入遺伝子が、配列番号937と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む、請求項23及び29~32のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項34】
前記CTXを含む生体分子をコードする前記導入遺伝子が、配列番号940または941と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む、請求項23及び29~33のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項35】
サイトカイン、ケモカイン、受容体、受容体リガンド、酵素、及び/またはレポータータンパク質をコードする前記導入遺伝子(複数可)を含む、請求項24~34のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項36】
IL-12をコードする前記導入遺伝子が、配列番号936と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む、請求項23または35に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項37】
HPGDをコードする前記導入遺伝子が、配列番号939と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む、請求項23及び35~36のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項38】
miR-34b-5p、miR-34b-3p、miR-34c-5p、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-129-5p、miR-129-2-3p、miR-132-3p、miR-137-3p、miR-145-5p、またはそれらの任意の組み合わせのmiRNA標的配列を含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項39】
miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-129-2-3p、miR-132-3p、miR-137-3p、miR-145-5p、またはそれらの任意の組み合わせのmiRNA標的配列を含む、請求項38に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項40】
miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-129-2-3p、miR-132-3p、miR-137-3p、及びmiR-145-5pのmiRNA標的配列を含む、請求項38に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項41】
(a)miR-122-5pの1つ以上のmiRNA標的配列、
(b)miR-145-5pの1つ以上のmiRNA標的配列、
(c)miR-124-3p、miR-128T、miR-137-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、
(d)miR-34b-5p、miR-34c-5p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、及び
(e)miR-129-2-3p、miR-132-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含む、請求項38~40のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項42】
第1のウイルス遺伝子に挿入された第1のmiR-TSカセットであって、miR-34c-5p、miR-124-3p、miR-129-2-3p、及びmiR-132-3pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、前記第1のmiR-TSカセットを含む、請求項38~41のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項43】
前記第1のmiR-TSカセット内の前記miRNA標的配列が、(34c-5p)-(124-3p)-(132-3p)-(129-2-3p)-(34c-5p)-(124-3p)-(129-2-3p)-(132-3p)-(124-3p)-(129-2-3p)-(132-3p)-(34c-5p)として配置される、請求項42に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項44】
前記第1のmiR-TSカセットが、配列番号859と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一の核酸配列を含む、請求項42または43に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項45】
前記第1のウイルス遺伝子がICP8である、請求項42~44のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項46】
第2のウイルス遺伝子に挿入された第2のmiR-TSカセットであって、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、及びmiR-137-3pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、前記第2のmiR-TSカセットを含む、請求項38~45のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項47】
前記第2のmiR-TSカセット内の前記miRNA標的配列が、(137-3p)-(128T)-(122-5p)-(124-3p)-(122-5p)-(128T)-(137-3p)-(124-3p)-(128T)-(137-3p)-(124-3p)-(122-5p)として配置される、請求項46に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項48】
前記第2のmiR-TSカセットが、配列番号858と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一の核酸配列を含む、請求項46または47に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項49】
前記第2のウイルス遺伝子がICP4である、請求項46~48のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項50】
前記第2のmiR-TSカセットを前記ウイルスゲノムの両方のICP4ウイルス遺伝子内に含む、請求項49に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項51】
1つ以上のmiRNA標的配列を前記ウイルスゲノムの両方のICP4ウイルス遺伝子内に含み、任意選択で、前記miRNA標的配列が両方の前記ICP4ウイルス遺伝子内で同じである、請求項1~50のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項52】
第3のウイルス遺伝子に挿入された第3のmiR-TSカセットであって、miR-34c-5p、miR-124-3p、miR-128T、及びmiR-137-3pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、前記第3のmiR-TSカセットを含む、請求項38~51のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項53】
前記第3のmiR-TSカセット内の前記miRNA標的配列が、(124-3p)-(128T)-(34c-5p)-(137-3p)-(128T)-(34c-5p)-(137-3p)-(124-3p)-(128T)-(137-3p)-(124-3p)-(34c-5p)として配置される、請求項52に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項54】
前記第3のmiR-TSカセットが、配列番号873と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一の核酸配列を含む、請求項52または53に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項55】
第3のウイルス遺伝子に挿入された第3のmiR-TSカセットであって、miR-34b-3p、miR-34c-5p、miR-128T、miR-137-3pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、前記第3のmiR-TSカセットを含む、請求項38~51のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項56】
前記第3のウイルス遺伝子がICP27である、請求項52~55のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項57】
第4のウイルス遺伝子に挿入された第4のmiR-TSカセットであって、
(i)前記第4のmiR-TSカセットが、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-129-5p、及びmiR-145-5pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、
(ii)前記第4のmiR-TSカセットが、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-132-3p、及びmiR-145-5pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、または
(iii)前記第4のmiR-TSカセットが、miR-34b-3p、miR-34c-5p、miR-132-3p、及びmiR-145-5pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、前記第4のmiR-TSカセットを含む、請求項38~56のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項58】
第4のウイルス遺伝子に挿入された第4のmiR-TSカセットであって、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-132-3p、及びmiR-145-5pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、前記第4のmiR-TSカセットを含む、請求項38~56のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項59】
前記第4のmiR-TSカセット内の前記miRNA標的配列が、(145-5p)-(34b-5p)-(132-3p)-(34c-5p)-(145-5p)-(34c-5p)-(34b-5p)-(132-3p)-(34b-5p)-(145-5p)-(132-3p)-(34c-5p)として配置される、請求項58に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項60】
前記第4のmiR-TSカセットが、配列番号874と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一の核酸配列を含む、請求項58または59に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項61】
前記第4のウイルス遺伝子がUL8である、請求項57~60のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項62】
前記miR-TSカセットが各々、前記miRNA標的配列の各々の少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのコピーを含む、請求項42~61のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項63】
前記miR-TSカセットが各々、前記miRNA標的配列の各々の3つのコピーを含む、請求項42~61のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項64】
前記組換えHSVの複製が、がん性細胞における前記組換えHSVの複製と比較して、非がん性細胞において減少し、任意選択で、前記がん性細胞が神経膠芽腫細胞である、請求項38~63のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項65】
前記非がん性細胞が、神経細胞、上衣細胞、乏突起膠細胞、内皮細胞、肝細胞、星状膠細胞、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項64に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項66】
前記非がん性細胞が星状膠細胞である、請求項64に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項67】
(a)前記miR-34b-5pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号867を含むか、もしくはそれらからなる、
(b)前記miR-34b-3pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号868を含むか、もしくはそれらからなる、
(c)前記miR-34c-5pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号869を含むか、もしくはそれらからなる、
(d)前記miR-122-5pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号804を含むか、もしくはそれらからなる、
(e)前記miR-124-3pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号805を含むか、もしくはそれらからなる、
(f)前記miR-128Tの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号870を含むか、もしくはそれらからなる、
(g)前記miR-129-5pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号813を含むか、もしくはそれらからなる、
(h)前記miR-129-2-3pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号871を含むか、もしくはそれらからなる、
(i)前記miR-132-3pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号872を含むか、もしくはそれらからなる、
(j)前記miR-137-3pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号819を含むか、もしくはそれらからなる、及び/または
(k)前記miR-145-5pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号823を含むか、もしくはそれらからなる、請求項38~66のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項68】
前記再標的化ドメインをコードする前記ポリヌクレオチドを含み、前記再標的化ドメインが、標的細胞によって発現される標的タンパク質に特異的に結合する、請求項1~67のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項69】
前記再標的化ドメインをコードする前記ポリヌクレオチドが、糖タンパク質D(gD)をコードするUS6遺伝子のオープンリーディングフレームに挿入される、請求項68に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項70】
前記再標的化ドメインをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号921のアミノ酸6~24に対応するアミノ酸配列をコードするUS6遺伝子領域を置き換える、請求項69に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項71】
前記標的細胞によって発現される前記標的タンパク質が、インテグリンα5β1、インテグリンαvβ1、インテグリンαvβ3、インテグリンαvβ6、またはそれらの組み合わせを含む、請求項68~70のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項72】
前記標的細胞によって発現される前記標的タンパク質が、上皮成長因子受容体(EGFR)を含む、請求項68~71のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項73】
前記再標的化ドメインが、前記標的細胞によって発現される前記標的タンパク質に特異的に結合することができるノッチンペプチドを含む、請求項68~72のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項74】
前記再標的化ドメインが、50個以下、45個以下、40個以下、または35個以下のアミノ酸を含む、請求項73に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項75】
前記再標的化ドメインが、配列番号922と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項73または74に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項76】
前記再標的化ドメインが、前記標的細胞によって発現される前記標的タンパク質に特異的に結合することができる免疫グロブリンドメインを含む、請求項68~75のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項77】
前記再標的化ドメインが、重鎖のみ抗体の可変ドメイン(VHH)または新規抗原受容体免疫グロブリンの可変ドメイン(V-NAR)の結合ドメインまたはそれに由来する結合ドメインを含む、請求項68~76のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項78】
前記再標的化ドメインが、150個以下、140個以下、または130個以下のアミノ酸を含む、請求項76または77に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項79】
前記再標的化ドメインが、配列番号923と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項76~78のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項80】
前記ヘルペスウイルスが、前記標的タンパク質を発現する前記標的細胞に感染することができる、請求項68~79のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項81】
前記ヘルペスウイルスが、ネクチン-1発現を有しない細胞に感染することができ、任意選択で、前記細胞がVero細胞である、請求項68~80のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項82】
前記変異を含む前記DPCSをコードする前記UL30ウイルス遺伝子及び前記変異を含む前記TKをコードする前記UL23ウイルス遺伝子を含む、請求項1~81のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項83】
前記DPCSにおける前記変異が、前記ヘルペスウイルスのDNA複製忠実度を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも3倍、または少なくとも5倍増加させる、請求項82に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項84】
前記DPCSにおける前記変異が、配列番号917のL774に対応するアミノ酸位置にあり、好ましくは、前記変異がアミノ酸置換である、請求項82または83に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項85】
前記DPCSにおける前記変異が、配列番号917のL774Fに対応する前記アミノ酸置換である、請求項84に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項86】
前記DPCSが、前記DPCSにおける前記変異を除いて、配列番号917と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、請求項82~85のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項87】
アシクロビルのIC50が前記ヘルペスウイルスに対して0.5ug/ml未満、1.0ug/ml未満、1.5ug/ml未満、または2.0ug/ml未満である、請求項82~86のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項88】
前記TKにおける前記変異が、前記ヘルペスウイルスに対するアシクロビルのIC50を少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、または少なくとも100倍減少させる、請求項82~87のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項89】
前記TKにおける前記変異が、配列番号918のL159、I160、F161、A168、及び/またはL169に対応する1つ以上のアミノ酸位置にあり、好ましくは、前記変異がアミノ酸置換である、請求項82~88のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項90】
前記TKにおける前記変異が、
(a)L159IもしくはL159L、
(b)I160LもしくはI160F、
(c)F161A、F161V、F161P、もしくはF161L、
(d)A168D、A168Y、A168V、もしくはA168F、及び/または
(e)L169F、L169Y、L169L、L169I、L169M、L169N、もしくはL169Kのうちの1つ以上のアミノ酸置換を含む、請求項89に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項91】
前記TKにおける前記変異が、配列番号918のL159I、I160F、F161L、A168F、及びL169Mに対応するアミノ酸置換を含む、請求項82~90のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項92】
前記TKにおける前記変異が、配列番号918のI160F、F161A、及びA168Fに対応するアミノ酸置換を含む、請求項82~90のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項93】
前記TKにおける前記変異が、配列番号918のI160F、F161L、A168F、及びL169Nに対応するアミノ酸置換を含む、請求項82~90のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項94】
前記TKが、前記TKにおける前記変異を除いて、配列番号918と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、請求項82~93のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項95】
前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、
(i)前記第1のgBであって、前記合胞体変異を含む、前記第1のgB、及び/または前記第2のgBであって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のgBをコードする、
(ii)前記第1のgKであって、前記合胞体変異を含む、前記第1のgK、及び/または前記第2のgKであって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のgKをコードする、
(iii)前記第1のgHであって、前記合胞体変異を含む、前記第1のgH、及び/または前記第2のgHであって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のgHをコードする、
(iv)前記第1のUL20であって、前記合胞体変異を含む、前記第1のUL20、及び/または前記第2のUL20であって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のUL20をコードする、ならびに/あるいは
(v)前記第1のUL24であって、前記合胞体変異を含む、前記第1のUL24、及び/または前記第2のUL24であって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のUL24をコードする、請求項1~94のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項96】
前記第1のgBが内因性gBコード遺伝子座によってコードされ、前記第2のgBが外因性発現カセットによってコードされる、請求項95に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項97】
前記第1のgBが外因性発現カセットによってコードされ、前記第2のgBが内因性gBコード遺伝子座によってコードされる、請求項95に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項98】
前記第1のgKが内因性gKコード遺伝子座によってコードされ、前記第2のgKが外因性発現カセットによってコードされる、請求項95~97のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項99】
前記第1のgKが外因性発現カセットによってコードされ、前記第2のgKが内因性gKコード遺伝子座によってコードされる、請求項95~97のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項100】
前記第1のgHが内因性gHコード遺伝子座によってコードされ、前記第2のgHが外因性発現カセットによってコードされる、請求項95~99のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項101】
前記第1のgHが外因性発現カセットによってコードされ、前記第2のgHが内因性gHコード遺伝子座によってコードされる、請求項95~99のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項102】
前記第1のUL20が内因性UL20遺伝子座によってコードされ、前記第2のUL20が外因性発現カセットによってコードされる、請求項95~101のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項103】
前記第1のUL20が外因性発現カセットによってコードされ、前記第2のUL20が内因性UL20遺伝子座によってコードされる、請求項95~101のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項104】
前記第1のUL24が内因性UL24遺伝子座によってコードされ、前記第2のUL24が外因性発現カセットによってコードされる、請求項95~103のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項105】
前記第1のUL24が外因性発現カセットによってコードされ、前記第2のUL24が内因性UL24遺伝子座によってコードされる、請求項95~103のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項106】
前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のgBをコードするが、前記第2のgBをコードしない、請求項95~105のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項107】
前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のgKをコードするが、前記第2のgKをコードしない、請求項95~106のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項108】
前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のgHをコードするが、前記第2のgHをコードしない、請求項95~107のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項109】
前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のUL20をコードするが、前記第2のUL20をコードしない、請求項95~108のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項110】
前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のUL24をコードするが、前記第2のUL24をコードしない、請求項95~109のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項111】
前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のgB及び前記第1のgKをコードし、任意選択で、前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが前記第1のgH及び前記第1のUL24を更にコードする、請求項95~110のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項112】
前記外因性発現カセットがUL3-UL4遺伝子間領域に位置する、請求項96~111のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項113】
前記外因性発現カセットがUL50-UL51遺伝子間領域に位置する、請求項96~111のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項114】
前記組換えヘルペスウイルスががん細胞において合胞体表現型を呈する、請求項95~113のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項115】
請求項95~114のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルスをコードする組換え核酸を含む、細胞。
【請求項116】
組換えヘルペスウイルスをコードする第1の核酸と、第2の核酸と、を含む細胞であって、
(i)前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第1のgBであって、合胞体変異を含む、前記第1のgBをコードし、前記第2の核酸が、第2のgBであって、合胞体変異を含まない、前記第2のgBをコードするか、または前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第2のgBであって、合胞体変異を含まない、前記第2のgBをコードし、前記第2の核酸が、第1のgBであって、合胞体変異を含む、前記第1のgBをコードする、
(ii)前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第1のgKであって、合胞体変異を含む、前記第1のgKをコードし、前記第2の核酸が、第2のgKであって、合胞体変異を含まない、前記第2のgKをコードするか、または前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第2のgKであって、合胞体変異を含まない、前記第2のgKをコードし、前記第2の核酸が、第1のgKであって、合胞体変異を含む、前記第1のgKをコードする、
(iii)前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第1のgHであって、合胞体変異を含む、前記第1のgHをコードし、前記第2の核酸が、第2のgHであって、合胞体変異を含まない、前記第2のgHをコードするか、または前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第2のgHであって、合胞体変異を含まない、前記第2のgHをコードし、前記第2の核酸が、第1のgHであって、合胞体変異を含む、前記第1のgHをコードする、
(iv)前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第1のUL20であって、合胞体変異を含む、前記第1のUL20をコードし、前記第2の核酸が、第2のUL20であって、合胞体変異を含まない、前記第2のUL20をコードするか、または前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第2のUL20であって、合胞体変異を含まない、前記第2のUL20をコードし、前記第2の核酸が、第1のUL20であって、合胞体変異を含む、前記第1のUL20をコードする、及び/あるいは
(v)前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第1のUL24であって、合胞体変異を含む、前記第1のUL24をコードし、前記第2の核酸が、第2のUL24であって、合胞体変異を含まない、前記第2のUL24をコードするか、または前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第2のUL24であって、合胞体変異を含まない、前記第2のUL24をコードし、前記第2の核酸が、第1のUL24であって、合胞体変異を含む、前記第1のUL24をコードする、前記細胞。
【請求項117】
前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のgBであって、前記合胞体変異を含む、前記第1のgBをコードし、前記第2の核酸が、前記第2のgBであって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のgBをコードする、請求項116に記載の細胞。
【請求項118】
前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第2のgBであって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のgBをコードし、前記第2の核酸が、前記第1のgBであって、前記合胞体変異を含む、前記第1のgBをコードする、請求項116に記載の細胞。
【請求項119】
前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のgKであって、前記合胞体変異を含む、前記第1のgKをコードし、前記第2の核酸が、前記第2のgKであって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のgKをコードする、請求項116~118のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項120】
前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第2のgKであって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のgKをコードし、前記第2の核酸が、前記第1のgKであって、前記合胞体変異を含む、前記第1のgKをコードする、請求項116~118のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項121】
前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のgHであって、前記合胞体変異を含む、前記第1のgHをコードし、前記第2の核酸が、前記第2のgHであって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のgHをコードする、請求項116~120のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項122】
前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第2のgHであって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のgHをコードし、前記第2の核酸が、前記第1のgHであって、前記合胞体変異を含む、前記第1のgHをコードする、請求項116~120のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項123】
前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のUL20であって、前記合胞体変異を含む、前記第1のUL20をコードし、前記第2の核酸が、前記第2のUL20であって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のUL20をコードする、請求項116~122のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項124】
前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第2のUL20であって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のUL20をコードし、前記第2の核酸が、前記第1のUL20であって、前記合胞体変異を含む、前記第1のUL20をコードする、請求項116~122のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項125】
前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のUL24であって、前記合胞体変異を含む、前記第1のUL24をコードし、前記第2の核酸が、前記第2のUL24であって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のUL24をコードする、請求項116~124のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項126】
前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第2のUL24であって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のUL24をコードし、前記第2の核酸が、前記第1のUL24であって、前記合胞体変異を含む、前記第1のUL24をコードする、請求項116~124のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項127】
前記組換えヘルペスウイルスが、gBコードウイルス遺伝子の単一コピー、gKコードウイルス遺伝子の単一コピー、gHコードウイルス遺伝子の単一コピー、UL20ウイルス遺伝子の単一コピー、及び/またはUL24ウイルス遺伝子の単一コピーを含む、請求項116~126のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項128】
前記第1の核酸及び前記第2の核酸が単一のポリヌクレオチド分子内に含まれる、請求項116~127のいずれかに記載の細胞。
【請求項129】
前記第1の核酸及び前記第2の核酸が2つの異なるポリヌクレオチド分子内に含まれる、請求項116~127のいずれかに記載の細胞。
【請求項130】
前記細胞がVero細胞である、請求項115~129のいずれかに記載の細胞。
【請求項131】
前記gB合胞体変異が、配列番号919のR796、R800、T813、L817、S854、A855、R858、もしくはA874に対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異、E816とL817との間への挿入、C末端に対するS869の欠失、C末端に対するT877の欠失、またはそれらの組み合わせを含む、請求項95~114のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~130のいずれかに記載の細胞。
【請求項132】
前記gB合胞体変異が、配列番号919のR796C、R800W、T813I、L817H、L817P、S854F、A855V、R858C、R858H、A874Pに対応する1つ以上の変異、E816とL817との間へのVNもしくはVNVNの挿入、C末端に対するS869の欠失、またはC末端に対するT877の欠失を含む、請求項95~114のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~130のいずれかに記載の細胞。
【請求項133】
前記gB合胞体変異が、配列番号919に従うC末端に対するT877の欠失を含む、請求項95~114のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~130のいずれかに記載の細胞。
【請求項134】
前記第1のgB及び/または前記第2のgBが、配列番号919のD285N及び/またはA549Tに対応する変異を含む、請求項95~114及び131~133のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~133のいずれかに記載の細胞。
【請求項135】
前記gK合胞体変異が、配列番号920のP33、A40、L86、D99、A111、L118、T121、C243、L304、I307、またはR310に対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異を含む、請求項95~114及び131~134のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~134のいずれかに記載の細胞。
【請求項136】
前記gK合胞体変異が、配列番号920のP33S、A40V、A40T、L86P、D99N、A111V、L118Q、T121I、C243Y、L304P、I307N、またはR310Lに対応する1つ以上の変異を含む、請求項95~114及び131~134のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~134のいずれかに記載の細胞。
【請求項137】
前記gK合胞体変異が、配列番号920に従うI307Nを含む、請求項95~114及び131~134のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~134のいずれかに記載の細胞。
【請求項138】
前記gH合胞体変異が、配列番号943のN753またはA778に対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異を含む、請求項95~114及び131~137のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~137のいずれかに記載の細胞。
【請求項139】
前記gH合胞体変異が、配列番号943のN753KまたはA778Vに対応する1つ以上の変異を含む、請求項95~114及び131~137のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~137のいずれかに記載の細胞。
【請求項140】
前記UL20合胞体変異が、配列番号944のY49、S50、R51、R209、T212、R213に対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異、またはN217後のC末端欠失を含む、請求項95~114及び131~139のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~139のいずれかに記載の細胞。
【請求項141】
前記UL20合胞体変異が、配列番号944のY49A、S50A、R51A、R209A、T212A、R213Aに対応する1つ以上の変異、またはN217後のC末端欠失を含む、請求項95~114及び131~139のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~139のいずれかに記載の細胞。
【請求項142】
前記UL24合胞体変異が、配列番号942のT64、R63、またはV64に対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異を含む、請求項95~114及び131~141のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~141のいずれかに記載の細胞。
【請求項143】
前記UL24合胞体変異が、配列番号942のT64G、R63V、またはV64Sに対応する1つ以上の変異を含む、請求項95~114及び131~141のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~141のいずれかに記載の細胞。
【請求項144】
前記第1のgBをコードするオープンリーディングフレームが、CMVプロモーター及び/またはbGHポリAテールに作動可能に連結される、請求項95~114及び131~143のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~143のいずれかに記載の細胞。
【請求項145】
前記第2のgBをコードするオープンリーディングフレームが、CMVプロモーター及び/またはbGHポリAテールに作動可能に連結される、請求項95~114及び131~143のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~143のいずれかに記載の細胞。
【請求項146】
前記第1のgKをコードするオープンリーディングフレームが、CMVプロモーター及び/またはbGHポリAテールに作動可能に連結される、請求項95~114及び131~145のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~145のいずれかに記載の細胞。
【請求項147】
前記第2のgKをコードするオープンリーディングフレームが、CMVプロモーター及び/またはbGHポリAテールに作動可能に連結される、請求項95~114及び131~145のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~145のいずれかに記載の細胞。
【請求項148】
前記組換えヘルペスウイルスの収量が、前記第2のgB、前記第2のgK、前記第2のgH、前記第2のUL20、または前記第2のUL24をコードしない対照ヘルペスウイルスまたは対照細胞の収量よりも少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍高い、請求項95~114及び131~147のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~147のいずれかに記載の細胞。
【請求項149】
前記第1のgBをコードする遺伝子が、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、前記miR-TSカセットを含む、請求項95~114及び131~148のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~148のいずれかに記載の細胞。
【請求項150】
前記第1のgKをコードする遺伝子が、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、前記miR-TSカセットを含む、請求項95~114及び131~149のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~149のいずれかに記載の細胞。
【請求項151】
前記第1のgHをコードする遺伝子が、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、前記miR-TSカセットを含む、請求項95~114及び131~150のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~150のいずれかに記載の細胞。
【請求項152】
前記第1のUL20をコードする遺伝子が、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、前記miR-TSカセットを含む、請求項95~114及び131~151のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~151のいずれかに記載の細胞。
【請求項153】
前記第1のUL24をコードする遺伝子が、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、前記miR-TSカセットを含む、請求項95~114及び131~152のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~152のいずれかに記載の細胞。
【請求項154】
前記1つ以上のmiRNAが、miR-34c-5p、miR-299-5p、及びmiR-582-5pのうちの少なくとも1つを含む、請求項149~153のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項149~153のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項155】
前記1つ以上のmiRNAが、miR-34c-5p、miR-299-5p、及びmiR-582-5pのうちの少なくとも2つを含む、請求項149~153のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項149~153のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項156】
前記1つ以上のmiRNAが、miR-34c-5p、miR-299-5p、及びmiR-582-5pを含む、請求項149~153のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項149~153のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項157】
前記miR-TSカセットが、4bpスペーサーによって分離された前記miRNAの各々の前記標的配列の少なくとも3つのコピーまたは少なくとも4つのコピーを含む、請求項149~156のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルスまたは細胞。
【請求項158】
前記miR-TSカセットが前記遺伝子の3’UTRに位置する、請求項149~157のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルスまたは細胞。
【請求項159】
前記miRNAの前記標的配列が前記miRNAの逆相補配列を含むか、またはそれらからなる、請求項149~158のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルスまたは細胞。
【請求項160】
前記miR-TSカセットが配列番号930のポリヌクレオチド配列を含む、請求項149~159のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルスまたは細胞。
【請求項161】
前記組換えヘルペスウイルスの収量が、前記miR-TSカセットを含まない対照ヘルペスウイルスまたは対照細胞の収量よりも少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍高い、請求項149~160のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルスまたは細胞。
【請求項162】
組換えヘルペスウイルスであって、請求項115~161のいずれかに記載の細胞を培養することと、前記細胞の培養物から前記組換えヘルペスウイルスを回収することとによって産生される、前記組換えヘルペスウイルス。
【請求項163】
組換えヘルペスウイルスであって、前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、配列番号920のI307Nに対応する合胞体変異を含むgKをコードする、前記組換えヘルペスウイルス。
【請求項164】
前記ヘルペスウイルスがアルファヘルペスウイルスである、請求項1~114及び131~163のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~161のいずれかに記載の細胞。
【請求項165】
前記アルファヘルペスウイルスが単純ヘルペスウイルスである、請求項164に記載の組換えヘルペスウイルスまたは細胞。
【請求項166】
前記単純ヘルペスウイルスが単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)である、請求項165に記載の組換えヘルペスウイルスまたは細胞。
【請求項167】
前記組換えヘルペスウイルスが腫瘍溶解性である、請求項1~114及び131~166のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項115~161及び164~166のいずれかに記載の細胞。
【請求項168】
前記組換えヘルペスウイルスが配列番号857に従う脳炎HSV分離株に由来し、任意選択で、前記組換えヘルペスウイルスが、配列番号857と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、請求項164~167のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルスまたは細胞。
【請求項169】
前記組換えヘルペスウイルスは順行性輸送に欠陥がある、請求項164~168のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルスまたは細胞。
【請求項170】
UL37ウイルス遺伝子に変異を含む、請求項1~114及び131~169のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項171】
前記UL37ウイルス遺伝子が、配列番号856のQ403、E452、Q455、Q511、及びR515に対応する少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または5つ全てのアミノ酸位置に変異を含むUL37タンパク質をコードする、請求項170に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項172】
前記UL37ウイルス遺伝子の前記変異が、配列番号856に従うQ403A、E452A、Q455A、Q511A、及びR515Aを含む、請求項171に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項173】
配列番号919のA549T/D285Nに対応する変異を含むgBをコードする、請求項1~114及び131~172のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項174】
前記組換えヘルペスウイルスが、ICP6、ICP34.5、及び/またはICP47の機能を保持する、請求項1~114及び131~173のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項175】
前記1つ以上の導入遺伝子がUL50-UL51遺伝子間領域に挿入される、請求項1~114及び131~174のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項176】
HPGD、ADA2、HYAL1、CHP、CCL21、IL-12、CD47アンタゴニスト、TGFβアンタゴニスト、PD1アンタゴニスト、TREM2アンタゴニスト、クロロトキシン(CTX)を含む生体分子、またはそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上のペイロードタンパク質をコードする1つ以上の導入遺伝子を含む、組換えウイルス。
【請求項177】
前記1つ以上のペイロードタンパク質が、IL-12、PD1アンタゴニスト、及びTREM2アンタゴニストを含むか、またはそれらからなる、請求項176に記載の組換えウイルス。
【請求項178】
前記1つ以上のペイロードタンパク質がHPGDを含む、請求項177に記載の組換えウイルス。
【請求項179】
前記1つ以上のペイロードタンパク質がCTXを含む生体分子を含む、請求項177または178に記載の組換えウイルス。
【請求項180】
前記1つ以上のペイロードタンパク質が、表4~7に列記されるペイロードタンパク質の組み合わせのうちの1つを含むか、またはそれらからなる、請求項176に記載の組換えウイルス。
【請求項181】
前記1つ以上のペイロードタンパク質がHPGDを含む、請求項176~180のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
【請求項182】
前記1つ以上のペイロードタンパク質がADA2を含む、請求項176~181のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
【請求項183】
前記1つ以上のペイロードタンパク質がHYAL1を含む、請求項176~182のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
【請求項184】
前記1つ以上のペイロードタンパク質がCHPを含む、請求項176~183のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
【請求項185】
前記1つ以上のペイロードタンパク質がCCL21を含む、請求項176~184のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
【請求項186】
前記1つ以上のペイロードタンパク質がIL-12を含む、請求項176~185のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
【請求項187】
前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記CD47アンタゴニストを含む、請求項176~186のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
【請求項188】
前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記TGFβアンタゴニストを含む、請求項176~187のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
【請求項189】
前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記PD1アンタゴニストを含む、請求項176~188のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
【請求項190】
前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記TREM2アンタゴニストを含む、請求項176~189のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
【請求項191】
前記アンタゴニストが抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項176~190のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
【請求項192】
前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記CTXを含む生体分子を含む、請求項176~191のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
【請求項193】
前記CTXを含む生体分子が、T細胞の表面に発現するタンパク質に特異的に結合するT細胞エンゲージャー部分を更に含む、請求項179または192に記載の組換えウイルス。
【請求項194】
前記T細胞の表面に発現するタンパク質がCD3である、請求項193に記載の組換えウイルス。
【請求項195】
組換えウイルスであって、
(a)miR-122-5pの1つ以上のmiRNA標的配列、
(b)miR-145-5pの1つ以上のmiRNA標的配列、
(c)miR-124-3p、miR-128T、miR-137-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、
(d)miR-34b-5p、miR-34c-5p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、及び
(e)miR-129-2-3p、miR-132-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含む、前記組換えウイルス。
【請求項196】
miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-129-2-3p、miR-132-3p、miR-137-3p、及びmiR-145-5pのmiRNA標的配列を含む、請求項195に記載の組換えウイルス。
【請求項197】
組換えウイルスであって、前記組換えウイルスのウイルスゲノムが、合胞体変異を含むタンパク質及び前記合胞体変異を含まない対応タンパク質をコードする、前記組換えウイルス。
【請求項198】
前記合胞体変異を含む前記タンパク質と前記合胞体変異を含まない前記対応タンパク質が、前記合胞体変異を除いて、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を共有する、請求項197に記載の組換えウイルス。
【請求項199】
前記合胞体変異を含む前記タンパク質が内因性ウイルス遺伝子によってコードされ、前記合胞体変異を含まない前記対応タンパク質が外因性発現カセットによってコードされる、請求項197または198に記載の組換えウイルス。
【請求項200】
前記合胞体変異を含む前記タンパク質が外因性発現カセットによってコードされ、前記合胞体変異を含まない前記対応タンパク質が内因性ウイルス遺伝子によってコードされる、請求項197または198に記載の組換えウイルス。
【請求項201】
前記合胞体変異を含む前記タンパク質及び前記合胞体変異を含まない前記対応タンパク質の両方が、1つの外因性発現カセットによってコードされるか、または異なる外因性発現カセットによってコードされる、請求項197または198に記載の組換えウイルス。
【請求項202】
請求項197~201のいずれか1項に記載の組換えウイルスをコードする組換え核酸を含む、細胞。
【請求項203】
組換えウイルスをコードする第1の核酸と、第2の核酸と、を含む細胞であって、
前記組換えウイルスのウイルスゲノムが合胞体変異を含むタンパク質をコードし、
前記第2の核酸が前記合胞体変異を含まない対応タンパク質をコードする、前記細胞。
【請求項204】
前記合胞体変異を含む前記タンパク質と前記合胞体変異を含まない前記対応タンパク質が、前記合胞体変異を除いて、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を共有する、請求項203に記載の細胞。
【請求項205】
前記ウイルスの収量が、前記合胞体変異を含まない前記対応タンパク質をコードしない対照ウイルスまたは対照細胞の収量よりも少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍高い、請求項197~201のいずれか1項に記載の組換えウイルス、または請求項202~204のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項206】
前記合胞体変異を含む前記タンパク質をコードする遺伝子が、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、前記miR-TSカセットを含む、請求項197~201及び205のいずれか1項に記載の組換えウイルス、または請求項202~205のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項207】
前記1つ以上のmiRNAが、miR-34c-5p、miR-299-5p、及びmiR-582-5pから選択されるmiRNAのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または全てを含む、請求項206に記載の組換えウイルスまたは細胞。
【請求項208】
前記組換えウイルスの収量が、前記miR-TSカセットを含まない対照ウイルスまたは対照細胞の収量よりも少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍高い、請求項206または207に記載の組換えウイルスまたは細胞。
【請求項209】
組換えウイルスであって、請求項202~208のいずれかに記載の細胞を培養することと、前記細胞の培養物から前記組換えヘルペスウイルスを回収することとによって産生される、前記組換えウイルス。
【請求項210】
前記組換えウイルスが、単純ヘルペスウイルス、アデノウイルス、ポリオウイルス、ワクシニアウイルス、麻疹ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、オルトミクソウイルス、パルボウイルス、マラバウイルス、またはコクサッキーウイルスに由来する、請求項176~201及び205~209のいずれか1項に記載の組換えウイルス、または請求項202~208のいずれかに記載の細胞。
【請求項211】
前記組換えウイルスが腫瘍溶解性である、請求項176~201及び205~210のいずれか1項に記載の組換えウイルス、または請求項202~208のいずれかに記載の細胞。
【請求項212】
請求項1~114及び131~175のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項176~201及び205~211のいずれか1項に記載の組換えウイルスをコードする、核酸分子。
【請求項213】
前記核酸分子がDNAである、請求項212に記載の核酸分子。
【請求項214】
前記核酸分子がRNAである、請求項212に記載の核酸分子。
【請求項215】
請求項1~114及び131~175のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス、または請求項176~201及び205~211のいずれか1項に記載の組換えウイルスを含む、ウイルスストック。
【請求項216】
請求項212~214のいずれか1項に記載の核酸分子を含む、粒子。
【請求項217】
前記粒子が、ナノ粒子、エキソソーム、リポソーム、及びリポプレックスからなる群から選択される、請求項216に記載の粒子。
【請求項218】
前記粒子が脂質ナノ粒子である、請求項216に記載の粒子。
【請求項219】
真核細胞を前記粒子と接触させることにより、前記真核細胞による感染性ウイルス粒子の産生がもたらされる、請求項216~218のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項220】
医薬組成物であって、
(i)請求項1~114及び131~175のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス、請求項176~201及び205~211のいずれか1項に記載の組換えウイルス、請求項212~214のいずれか1項に記載の核酸分子、または請求項216~219のいずれか1項に記載の粒子と、
(ii)薬学的に許容される担体と、を含む、前記医薬組成物。
【請求項221】
がん性細胞を死滅させる方法であって、前記がん性細胞を、請求項1~114及び131~175のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス、請求項176~201及び205~211のいずれか1項に記載の組換えウイルス、請求項216~219のいずれか1項に記載の粒子、または請求項220に記載の医薬組成物に、前記ウイルスまたは前記粒子を前記がん性細胞に感染させ、かつ前記ウイルスを前記がん性細胞内で複製するのに十分な条件下で曝露させることを含み、前記がん性細胞内での前記ウイルスの複製により、細胞死がもたらされる、前記方法。
【請求項222】
前記細胞がインビトロまたはインビボにある、請求項221に記載の方法。
【請求項223】
前記がん性細胞が、非がん性細胞における前記1つ以上のmiRNA標的配列に結合することができるmiRNAの発現と比較して、前記miRNAの発現の低下を有する、請求項221または222に記載の方法。
【請求項224】
前記ウイルスの複製が、前記1つ以上のmiRNA標的配列に結合することができる前記miRの発現の低下を有する前記がん性細胞内で増加するか、または維持される、請求項221~223のいずれか1項に記載の方法。
【請求項225】
前記がん性細胞が、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、精巣癌、大腸癌、結腸癌、膵臓癌、肝臓癌、胃癌、頭頸部癌、甲状腺癌、悪性神経膠腫、神経膠芽腫、黒色腫、非黒色腫皮膚癌、B細胞慢性リンパ球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、または辺縁帯リンパ腫(MZL)の細胞である、請求項221~224のいずれか1項に記載の方法。
【請求項226】
前記がん性細胞が神経膠芽腫細胞である、請求項221~224のいずれか1項に記載の方法。
【請求項227】
がんの治療を必要とする対象におけるがんを治療する方法であって、前記対象に、請求項1~114及び131~175のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス、請求項176~201及び205~211のいずれか1項に記載の組換えウイルス、請求項216~219のいずれか1項に記載の粒子、または請求項220に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項228】
前記ウイルス、前記粒子、または前記組成物が、静脈内、皮下、腫瘍内、筋肉内、または鼻腔内投与される、請求項227に記載の方法。
【請求項229】
前記ウイルス、前記粒子、または前記組成物が腫瘍内投与される、請求項227に記載の方法。
【請求項230】
前記ウイルス、前記粒子、または前記組成物が静脈内投与される、請求項227に記載の方法。
【請求項231】
前記ウイルス、前記粒子、または前記組成物が1回のみ投与される、請求項227~230のいずれか1項に記載の方法。
【請求項232】
前記がんが、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、精巣癌、大腸癌、結腸癌、膵臓癌、肝臓癌、胃癌、頭頸部癌、甲状腺癌、悪性神経膠腫、神経膠芽腫、黒色腫、非黒色腫皮膚癌、B細胞慢性リンパ球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、及び辺縁帯リンパ腫(MZL)からなる群から選択される、請求項227~231のいずれか1項に記載の方法。
【請求項233】
前記がんが神経膠芽腫である、請求項227~231のいずれか1項に記載の方法。
【請求項234】
請求項115~160及び202~208のいずれかに記載の細胞を含む、細胞株。
【請求項235】
組換えヘルペスウイルスを産生する方法であって、請求項115~160及び202~208のいずれかに記載の細胞または請求項234に記載の細胞株を培養することと、前記細胞の培養物から前記組換えヘルペスウイルスを回収することと、を含む、前記方法。
【請求項236】
前記ヘルペスウイルスの感染部位をイメージングするために小分子と組み合わせて使用するための、請求項82~114及び131~175のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルス。
【請求項237】
ヘルペスウイルスの感染部位をインビボでイメージングする方法であって、請求項82~114及び131~175のいずれか1項に記載の組換えヘルペスウイルスと、小分子と、を投与することを含む、前記方法。
【請求項238】
前記小分子が放射性同位体標識アシクロビルであり、任意選択で、前記放射性同位体標識がフッ素-18(18F)標識を含む、請求項236に記載の使用するための組換えウイルス、または請求項237に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月31日に出願された米国仮出願第63/238,997号、2021年11月12日に出願された米国仮出願第63/278,569号、及び2022年1月20日に出願された米国仮出願第63/301,419号の利益を主張するものであり、これらは全て、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子配列表の参照
電子配列表の内容(ONCR_022_02WO_SeqList_ST26.xml、サイズ:1,315,454バイト、作成日:2022年8月30日)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
分野
本開示は、がんの治療及び予防のための組換えウイルスベクターに関する。いくつかの実施形態では、本開示は、神経膠芽腫を治療するための腫瘍溶解性HSVベクターに関する。
【背景技術】
【0004】
背景
腫瘍溶解性単純ヘルペスウイルス(HSV)などの腫瘍溶解性ウイルスは、がん細胞に優先的に感染し、がん治療のための複数の前臨床研究及び臨床研究に使用されている。しかしながら、安全性プロファイルの向上、抗腫瘍活性の長期化、及び免疫抑制性腫瘍微小環境を克服する能力の向上の必要性を含む、多くの障害が依然として存在する。
【0005】
神経膠芽腫(GBM)は、成人における最も一般的な種類の原発性脳腫瘍であり、5年全生存率は6.8%である。GBMの治療的介入は、3つの主要な障害である、血液脳関門によって阻害される薬物送達、各腫瘍内に共存する少なくとも3つの分子サブタイプを有する高度な腫瘍内不均一性、及び強い免疫抑制性腫瘍微小環境を克服しなければならない。
【0006】
改善された腫瘍溶解性ウイルスベクターが当該技術分野で依然として必要とされている。本開示は、かかる改善された腫瘍溶解性ウイルスベクターなどを提供する。
【発明の概要】
【0007】
概要
一態様では、本開示は、組換えヘルペスウイルスであって、本組換えヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、
(a)1つ以上の導入遺伝子を含み、任意選択で、導入遺伝子(複数可)のオープンリーディングフレーム(複数可)(ORF)が、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、または少なくとも64%のG/C含有量を有する、
(b)1つ以上のmiRNA標的配列を含む、
(c)再標的化ドメインをコードするポリヌクレオチドを含む、
(d)DNAポリメラーゼ触媒サブユニット(DPCS)であって、変異を含む、DPCSをコードするUL30ウイルス遺伝子と、チミジンキナーゼ(TK)であって、変異を含む、TKをコードするUL23ウイルス遺伝子とを含む、
(e)第1のgBであって、合胞体変異を含む、第1のgB、及び/または第2のgBであって、合胞体変異を含まない、第2のgBをコードする、
(f)第1のgKであって、合胞体変異を含む、第1のgK、及び/または第2のgKであって、合胞体変異を含まない、第2のgKをコードする、
(g)第1のgHであって、合胞体変異を含む、第1のgH、及び/または第2のgHであって、合胞体変異を含まない、第2のgHをコードする、
(h)第1のUL20であって、合胞体変異を含む、第1のUL20、及び/または第2のUL20であって、合胞体変異を含まない、第2のUL20をコードする、及び/または
(i)第1のUL24であって、合胞体変異を含む、第1のUL24、及び/または第2のUL24であって、合胞体変異を含まない、第2のUL24をコードする、組換えヘルペスウイルスを提供する。
【0008】
いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、15-ヒドロキシプロスタグランジンデヒドロゲナーゼ[NAD(+)](HPGD)、アデノシンデアミナーゼ2(ADA2)、ヒアルロニダーゼ-1(HYAL1)、ヘモタキシス阻害タンパク質(CHP)、C-Cモチーフケモカイン21(CCL21)、インターロイキン-12(IL-12)、CD47アンタゴニスト、形質転換成長因子ベータ(TGFβ)アンタゴニスト、プログラム死-1(PD1)アンタゴニスト、骨髄系細胞に発現するトリガー受容体-2(TREM2)アンタゴニスト、クロロトキシン(CTX)を含む生体分子、またはそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上のペイロードタンパク質をコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、IL-12、PD1アンタゴニスト、及びTREM2アンタゴニストを含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、HPGDを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、CTXを含む生体分子を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、本開示の表4~7に列記されるペイロードタンパク質の組み合わせのうちの1つを含むか、またはそれらからなる。
【0010】
いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、HPGDを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、ADA2を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、HYAL1を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、CHPを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、CCL21を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、IL-12を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、CD47アンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、TGFβアンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、PD1アンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、TREM2アンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、アンタゴニストは、抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、CTXを含む生体分子を含む。いくつかの実施形態では、CTXを含む生体分子は、T細胞の表面に発現するタンパク質に特異的に結合するT細胞エンゲージャー部分を更に含む。いくつかの実施形態では、 T細胞の表面に発現するタンパク質は、CD3である。いくつかの実施形態では、T細胞エンゲージャー部分は、配列番号914と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CTXは、配列番号913と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0011】
いくつかの実施形態では、HPGDは、配列番号875と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ADA2は、配列番号877と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、HYAL1は、配列番号878と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CHPは、配列番号880と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CCL21は、配列番号881と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、IL-12は、配列番号883と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むサブユニットアルファ、及び配列番号884と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むサブユニットベータを含む。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、配列番号895のVHH CDR1、配列番号896のVHH CDR2、配列番号897のVHH CDR3、及び/または配列番号887もしくは888と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、TGFβアンタゴニストは、配列番号898のCDR1、配列番号899のCDR2、及び配列番号900のCDR3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、及び/または配列番号901のCDR1、配列番号902のCDR2、及び配列番号903のCDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態では、TGFβアンタゴニストは、配列番号889または890と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、PD1アンタゴニストは、配列番号904のVHH CDR1、配列番号905のVHH CDR2、配列番号906のVHH CDR3、及び/または配列番号891もしくは892と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、TREM2アンタゴニストは、配列番号907のCDR1、配列番号908のCDR2、配列番号909のCDR3、及び/または配列番号893と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)、及び/または配列番号910のCDR1、配列番号911のCDR2、配列番号912のCDR3、及び/または配列番号894と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態では、CTXを含む生体分子は、配列番号915または916と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子(複数可)のうちの少なくとも1つのORFが、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、または少なくとも64%のG/C含有量を有する。いくつかの実施形態では、導入遺伝子(複数可)の全てのORFが、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、または少なくとも64%のG/C含有量を有する。いくつかの実施形態では、IL-12、PD1アンタゴニスト、TREM2アンタゴニスト、HPGD、及び/またはCTXを含む生体分子をコードする導入遺伝子(複数可)のORFが、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、または少なくとも64%のG/C含有量を有する。いくつかの実施形態では、導入遺伝子のORFによってコードされるペイロードタンパク質の発現は、対照組換えヘルペスウイルス中に約52%のG/C含有量を有する対照ORFによってコードされるペイロードタンパク質の発現よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、または少なくとも10倍高い。いくつかの実施形態では、対照ORFは、ホモサピエンスのコドン使用に基づいてコドン最適化される。いくつかの実施形態では、導入遺伝子(複数可)のORF(複数可)は、アナエロミュクソバクテル・デハロゲナンスのコドン使用に基づいてコドン最適化される。いくつかの実施形態では、導入遺伝子(複数可)は、抗体またはその抗原結合断片をコードする。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態では、TREM2アンタゴニストをコードする導入遺伝子は、配列番号938と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、単一ドメイン抗体(sdAb)に由来するVHHドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、IgG-Fcを含む。いくつかの実施形態では、IgGは、IgG1である。いくつかの実施形態では、PD1アンタゴニストをコードする導入遺伝子は、配列番号937と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、CTXを含む生体分子をコードする導入遺伝子は、配列番号940または941と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、導入遺伝子(複数可)は、サイトカイン、ケモカイン、受容体、受容体リガンド、酵素、及び/またはレポータータンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、IL-12をコードする導入遺伝子は、配列番号936と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、HPGDをコードする導入遺伝子は、配列番号939と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、miR-34b-5p、miR-34b-3p、miR-34c-5p、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-129-5p、miR-129-2-3p、miR-132-3p、miR-137-3p、miR-145-5p、またはそれらの任意の組み合わせのmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-129-2-3p、miR-132-3p、miR-137-3p、miR-145-5p、またはそれらの任意の組み合わせのmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-129-2-3p、miR-132-3p、miR-137-3p、及びmiR-145-5pのmiRNA標的配列を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、
(a)miR-122-5pの1つ以上のmiRNA標的配列、
(b)miR-145-5pの1つ以上のmiRNA標的配列、
(c)miR-124-3p、miR-128T、miR-137-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、
(d)miR-34b-5p、miR-34c-5p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、及び
(e)miR-129-2-3p、miR-132-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、第1のウイルス遺伝子に挿入された第1のmiR-TSカセットであって、miR-34c-5p、miR-124-3p、miR-129-2-3p、及びmiR-132-3pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、第1のmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、第1のmiR-TSカセット内のmiRNA標的配列は、(34c-5p)-(124-3p)-(132-3p)-(129-2-3p)-(34c-5p)-(124-3p)-(129-2-3p)-(132-3p)-(124-3p)-(129-2-3p)-(132-3p)-(34c-5p)として配置される。いくつかの実施形態では、第1のmiR-TSカセットは、配列番号859と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のウイルス遺伝子は、ICP8である。
【0016】
いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、第2のウイルス遺伝子に挿入された第2のmiR-TSカセットであって、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、及びmiR-137-3pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、第2のmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、第2のmiR-TSカセット内のmiRNA標的配列は、(137-3p)-(128T)-(122-5p)-(124-3p)-(122-5p)-(128T)-(137-3p)-(124-3p)-(128T)-(137-3p)-(124-3p)-(122-5p)として配置される。いくつかの実施形態では、第2のmiR-TSカセットは、配列番号858と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第2のウイルス遺伝子は、ICP4である。いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、第2のmiR-TSカセットをウイルスゲノムの両方のICP4ウイルス遺伝子内に含む。
【0017】
一態様では、本開示は、1つ以上のmiRNA標的配列をウイルスゲノムの両方のICP4ウイルス遺伝子内に含む組換えヘルペスウイルスを提供する。いくつかの実施形態では、miRNA標的配列は、両方の当該ICP4ウイルス遺伝子内で同じである。
【0018】
いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、第3のウイルス遺伝子に挿入された第3のmiR-TSカセットであって、miR-34c-5p、miR-124-3p、miR-128T、及びmiR-137-3pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、第3のmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、第3のmiR-TSカセット内のmiRNA標的配列は、(124-3p)-(128T)-(34c-5p)-(137-3p)-(128T)-(34c-5p)-(137-3p)-(124-3p)-(128T)-(137-3p)-(124-3p)-(34c-5p)として配置される。いくつかの実施形態では、第3のmiR-TSカセットは、配列番号873と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、第3のウイルス遺伝子に挿入された第3のmiR-TSカセットであって、miR-34b-3p、miR-34c-5p、miR-128T、miR-137-3pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、第3のmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、第3のウイルス遺伝子は、ICP27である。
【0019】
いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、第4のウイルス遺伝子に挿入された第4のmiR-TSカセットであって、
(i)第4のmiR-TSカセットが、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-129-5p、及びmiR-145-5pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、
(ii)第4のmiR-TSカセットが、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-132-3p、及びmiR-145-5pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、または
(iii)第4のmiR-TSカセットが、miR-34b-3p、miR-34c-5p、miR-132-3p、及びmiR-145-5pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、第4のmiR-TSカセットを含む。
いくつかの実施形態では、第4のmiR-TSカセットは、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-132-3p、及びmiR-145-5pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、第4のmiR-TSカセット内のmiRNA標的配列は、(145-5p)-(34b-5p)-(132-3p)-(34c-5p)-(145-5p)-(34c-5p)-(34b-5p)-(132-3p)-(34b-5p)-(145-5p)-(132-3p)-(34c-5p)として配置される。いくつかの実施形態では、第4のmiR-TSカセットは、配列番号874と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第4のウイルス遺伝子は、UL8である。
【0020】
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは各々、miRNA標的配列の各々の少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは各々、miRNA標的配列の各々の3つのコピーを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本組換えHSVの複製は、がん性細胞における組換えHSVの複製と比較して、非がん性細胞において減少する。いくつかの実施形態では、がん性細胞は、神経膠芽腫細胞である。いくつかの実施形態では、非がん性細胞は、神経細胞、上衣細胞、乏突起膠細胞、内皮細胞、肝細胞、星状膠細胞、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、非がん性細胞は、星状膠細胞である。
【0022】
いくつかの実施形態では、miR-34b-5pの1つ以上のmiRNA標的配列は、配列番号867を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、miR-34b-3pの1つ以上のmiRNA標的配列は、配列番号868を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、miR-34c-5pの1つ以上のmiRNA標的配列は、配列番号869を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、miR-122-5pの1つ以上のmiRNA標的配列は、配列番号804を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、miR-124-3pの1つ以上のmiRNA標的配列は、配列番号805を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、miR-128Tの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号870を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、miR-129-5pの1つ以上のmiRNA標的配列は、配列番号813を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、miR-129-2-3pの1つ以上のmiRNA標的配列は、配列番号871を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、miR-132-3pの1つ以上のmiRNA標的配列は、配列番号872を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、miR-137-3pの1つ以上のmiRNA標的配列は、配列番号819を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、miR-145-5pの1つ以上のmiRNA標的配列は、配列番号823を含むか、またはそれらからなる。
【0023】
いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、再標的化ドメインをコードするポリヌクレオチドを含み、再標的化ドメインは、標的細胞によって発現される標的タンパク質に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインをコードするポリヌクレオチドは、糖タンパク質D(gD)をコードするUS6遺伝子のオープンリーディングフレームに挿入される。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインをコードするポリヌクレオチドは、配列番号921のアミノ酸6~24に対応するアミノ酸配列をコードするUS6遺伝子領域を置き換える。いくつかの実施形態では、標的細胞によって発現される標的タンパク質は、インテグリンα5β1、インテグリンαvβ1、インテグリンαvβ3、インテグリンαvβ6、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、標的細胞によって発現される標的タンパク質は、上皮成長因子受容体(EGFR)を含む。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、標的細胞によって発現される標的タンパク質に特異的に結合することができるノッチンペプチドを含む。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、50個以下、45個以下、40個以下、または35個以下のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、配列番号922と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、標的細胞によって発現される標的タンパク質に特異的に結合することができる免疫グロブリンドメインを含む。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、重鎖のみ抗体の可変ドメイン(VHH)または新規抗原受容体免疫グロブリンの可変ドメイン(V-NAR)の結合ドメインまたはそれに由来する結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、150個以下、140個以下、または130個以下のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、配列番号923と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスは、標的タンパク質を発現する標的細胞に感染することができる。いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスは、ネクチン-1発現を有しない細胞に感染することができる。いくつかの実施形態では、細胞は、Vero細胞である。
【0024】
いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、変異を含むDPCSをコードするUL30ウイルス遺伝子及び変異を含むTKをコードするUL23ウイルス遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、DPCSの変異は、ヘルペスウイルスのDNA複製忠実度を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも3倍、または少なくとも5倍増加させる。いくつかの実施形態では、DPCSの変異は、配列番号917のL774に対応するアミノ酸位置にある。いくつかの実施形態では、変異は、アミノ酸置換である。いくつかの実施形態では、DPCSの変異は、配列番号917のL774Fに対応するアミノ酸置換である。いくつかの実施形態では、DPCSは、DPCSの変異を除いて、配列番号917と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、アシクロビルのIC50は、ヘルペスウイルスに対して0.5ug/ml未満、1.0ug/ml未満、1.5ug/ml未満、または2.0ug/ml未満である。いくつかの実施形態では、TKの変異は、ヘルペスウイルスに対するアシクロビルのIC50を少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、または少なくとも100倍減少させる。いくつかの実施形態では、TKの変異は、配列番号918のL159、I160、F161、A168、及び/またはL169に対応する1つ以上のアミノ酸位置にある。いくつかの実施形態では、変異は、アミノ酸置換である。いくつかの実施形態では、TKの変異は、
(a)L159IもしくはL159L、
(b)I160LもしくはI160F、
(c)F161A、F161V、F161P、もしくはF161L、
(d)A168D、A168Y、A168V、もしくはA168F、及び/または
(e)L169F、L169Y、L169L、L169I、L169M、L169N、もしくはL169Kのうちの1つ以上のアミノ酸置換を含む。
いくつかの実施形態では、TKの変異は、配列番号918のL159I、I160F、F161L、A168F、及びL169Mに対応するアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TKの変異は、配列番号918のI160F、F161A、及びA168Fに対応するアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TKの変異は、配列番号918のI160F、F161L、A168F、及びL169Nに対応するアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TKは、TKの変異を除いて、配列番号918と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスのウイルスゲノムは、
(i)第1のgBであって、合胞体変異を含む、第1のgB、及び/または第2のgBであって、合胞体変異を含まない、第2のgBをコードする、
(ii)第1のgKであって、合胞体変異を含む、第1のgK、及び/または第2のgKであって、合胞体変異を含まない、第2のgKをコードする、
(iii)第1のgHであって、合胞体変異を含む、第1のgH、及び/または第2のgHであって、合胞体変異を含まない、第2のgHをコードする、
(iv)第1のUL20であって、合胞体変異を含む、第1のUL20、及び/または第2のUL20であって、合胞体変異を含まない、第2のUL20をコードする、及び/または
(v)第1のUL24であって、合胞体変異を含む、第1のUL24、及び/または第2のUL24であって、合胞体変異を含まない、第2のUL24をコードする。
いくつかの実施形態では、第1のgBは、内因性gBコード遺伝子座によってコードされ、第2のgBは、外因性発現カセットによってコードされる。いくつかの実施形態では、第1のgBは、外因性発現カセットによってコードされ、第2のgBは、内因性gBコード遺伝子座によってコードされる。いくつかの実施形態では、第1のgKは、内因性gKコード遺伝子座によってコードされ、第2のgKは、外因性発現カセットによってコードされる。いくつかの実施形態では、第1のgKは、外因性発現カセットによってコードされ、第2のgKは、内因性gKコード遺伝子座によってコードされる。いくつかの実施形態では、第1のgHは、内因性gHコード遺伝子座によってコードされ、第2のgHは、外因性発現カセットによってコードされる。いくつかの実施形態では、第1のgHは、外因性発現カセットによってコードされ、第2のgHは、内因性gHコード遺伝子座によってコードされる。いくつかの実施形態では、第1のUL20は、内因性UL20遺伝子座によってコードされ、第2のUL20は、外因性発現カセットによってコードされる。いくつかの実施形態では、第1のUL20は、外因性発現カセットによってコードされ、第2のUL20は、内因性UL20遺伝子座によってコードされる。いくつかの実施形態では、第1のUL24は、内因性UL24遺伝子座によってコードされ、第2のUL24は、外因性発現カセットによってコードされる。いくつかの実施形態では、第1のUL24は、外因性発現カセットによってコードされ、第2のUL24は、内因性UL24遺伝子座によってコードされる。
【0026】
いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスのウイルスゲノムは、第1のgBをコードするが、第2のgBをコードしない。いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスのウイルスゲノムは、第1のgKをコードするが、第2のgKをコードしない。いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスのウイルスゲノムは、第1のgHをコードするが、第2のgHをコードしない。いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスのウイルスゲノムは、第1のUL20をコードするが、第2のUL20をコードしない。いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスのウイルスゲノムは、第1のUL24をコードするが、第2のUL24をコードしない。いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスのウイルスゲノムは、第1のgB及び第1のgKをコードし、任意選択で、ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが第1のgH及び第1のUL24を更にコードする。
【0027】
いくつかの実施形態では、外因性発現カセットは、UL3-UL4遺伝子間領域に位置する。いくつかの実施形態では、外因性発現カセットは、UL50-UL51遺伝子間領域に位置する。
【0028】
いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、がん細胞において合胞体表現型を呈する。
【0029】
一態様では、本開示は、本開示の組換えヘルペスウイルスをコードする組換え核酸を含む細胞を提供する。
【0030】
一態様では、本開示は、組換えヘルペスウイルスをコードする第1の核酸と、第2の核酸と、を含む細胞であって、
(i)ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第1のgBであって、合胞体変異を含む、第1のgBをコードし、第2の核酸が、第2のgBであって、合胞体変異を含まない、第2のgBをコードするか、またはヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第2のgBであって、合胞体変異を含まない、第2のgBをコードし、第2の核酸が、第1のgBであって、合胞体変異を含む、第1のgBをコードする、
(ii)ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第1のgKであって、合胞体変異を含む、第1のgKをコードし、第2の核酸が、第2のgKであって、合胞体変異を含まない、第2のgKをコードするか、またはヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第2のgKであって、合胞体変異を含まない、第2のgKをコードし、第2の核酸が、第1のgKであって、合胞体変異を含む、第1のgKをコードする、
(iii)ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第1のgHであって、合胞体変異を含む、第1のgHをコードし、第2の核酸が、第2のgHであって、合胞体変異を含まない、第2のgHをコードするか、またはヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第2のgHであって、合胞体変異を含まない、第2のgHをコードし、第2の核酸が、第1のgHであって、合胞体変異を含む、第1のgHをコードする、
(iv)ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第1のUL20であって、合胞体変異を含む、第1のUL20をコードし、第2の核酸が、第2のUL20であって、合胞体変異を含まない、第2のUL20をコードするか、またはヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第2のUL20であって、合胞体変異を含まない、第2のUL20をコードし、第2の核酸が、第1のUL20であって、合胞体変異を含む、第1のUL20をコードする、及び/または
(v)ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第1のUL24であって、合胞体変異を含む、第1のUL24をコードし、第2の核酸が、第2のUL24であって、合胞体変異を含まない、第2のUL24をコードするか、またはヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第2のUL24であって、合胞体変異を含まない、第2のUL24をコードし、第2の核酸が、第1のUL24であって、合胞体変異を含む、第1のUL24をコードする、細胞を提供する。
いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスのウイルスゲノムは、第1のgBであって、合胞体変異を含む、第1のgBをコードし、第2の核酸は、第2のgBであって、合胞体変異を含まない、第2のgBをコードする。いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスのウイルスゲノムは、第2のgBであって、合胞体変異を含まない、第2のgBをコードし、第2の核酸は、第1のgBであって、合胞体変異を含む、第1のgBをコードする。いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスのウイルスゲノムは、第1のgKであって、合胞体変異を含む、第1のgKをコードし、第2の核酸は、第2のgKであって、合胞体変異を含まない、第2のgKをコードする。いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスのウイルスゲノムは、第2のgKであって、合胞体変異を含まない、第2のgKをコードし、第2の核酸は、第1のgKであって、合胞体変異を含む、第1のgKをコードする。いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスのウイルスゲノムは、第1のgHであって、合胞体変異を含む、第1のgHをコードし、第2の核酸は、第2のgHであって、合胞体変異を含まない、第2のgHをコードする。いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスのウイルスゲノムは、第2のgHであって、合胞体変異を含まない、第2のgHをコードし、第2の核酸は、第1のgHであって、合胞体変異を含む、第1のgHをコードする。いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスのウイルスゲノムは、第1のUL20であって、合胞体変異を含む、第1のUL20をコードし、第2の核酸は、第2のUL20であって、合胞体変異を含まない、第2のUL20をコードする。いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスのウイルスゲノムは、第2のUL20であって、合胞体変異を含まない、第2のUL20をコードし、第2の核酸は、第1のUL20であって、合胞体変異を含む、第1のUL20をコードする。いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスのウイルスゲノムは、第1のUL24であって、合胞体変異を含む、第1のUL24をコードし、第2の核酸は、第2のUL24であって、合胞体変異を含まない、第2のUL24をコードする。いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスのウイルスゲノムは、第2のUL24であって、合胞体変異を含まない、第2のUL24をコードし、第2の核酸は、第1のUL24であって、合胞体変異を含む、第1のUL24をコードする。いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、gBコードウイルス遺伝子の単一コピー、gKコードウイルス遺伝子の単一コピー、gHコードウイルス遺伝子の単一コピー、UL20ウイルス遺伝子の単一コピー、及び/またはUL24ウイルス遺伝子の単一コピーを含む。いくつかの実施形態では、第1の核酸及び第2の核酸は、単一のポリヌクレオチド分子内に含まれる。いくつかの実施形態では、第1の核酸及び第2の核酸は、2つの異なるポリヌクレオチド分子内に含まれる。いくつかの実施形態では、細胞は、Vero細胞である。
【0031】
いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のR796、R800、T813、L817、S854、A855、R858、もしくはA874に対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異、E816とL817との間への挿入、C末端に対するS869の欠失、C末端に対するT877の欠失、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のR796C、R800W、T813I、L817H、L817P、S854F、A855V、R858C、R858H、A874Pに対応する1つ以上の変異、E816とL817との間へのVNもしくはVNVNの挿入、C末端に対するS869の欠失、またはC末端に対するT877の欠失を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919に従うC末端に対するT877の欠失を含む。いくつかの実施形態では、第1のgB及び/または第2のgBは、配列番号919のD285N及び/またはA549Tに対応する変異を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のP33、A40、L86、D99、A111、L118、T121、C243、L304、I307、またはR310に対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のP33S、A40V、A40T、L86P、D99N、A111V、L118Q、T121I、C243Y、L304P、I307N、またはR310Lに対応する1つ以上の変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920に従うI307Nを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、gH合胞体変異は、配列番号943のN753またはA778に対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gH合胞体変異は、配列番号943のN753KまたはA778Vに対応する1つ以上の変異を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、UL20合胞体変異は、配列番号944のY49、S50、R51、R209、T212、R213に対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異、またはN217後のC末端欠失を含む。いくつかの実施形態では、UL20合胞体変異は、配列番号944のY49A、S50A、R51A、R209A、T212A、R213Aに対応する1つ以上の変異、またはN217後のC末端欠失を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、UL24合胞体変異は、配列番号942のT64、R63、またはV64に対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、UL24合胞体変異は、配列番号942のT64G、R63V、またはV64Sに対応する1つ以上の変異を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1のgBをコードするオープンリーディングフレームは、CMVプロモーター及び/またはbGHポリAテールに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、第2のgBをコードするオープンリーディングフレームは、CMVプロモーター及び/またはbGHポリAテールに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、第1のgKをコードするオープンリーディングフレームは、CMVプロモーター及び/またはbGHポリAテールに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、第2のgKをコードするオープンリーディングフレームは、CMVプロモーター及び/またはbGHポリAテールに作動可能に連結される。
【0037】
いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスの収量は、第2のgB、第2のgK、第2のgH、第2のUL20、または第2のUL24をコードしない対照ヘルペスウイルスまたは対照細胞の収量よりも少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍高い。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1のgBをコードする遺伝子は、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、miR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、第1のgKをコードする遺伝子は、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、miR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、第1のgHをコードする遺伝子は、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、miR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、第1のUL20をコードする遺伝子は、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、miR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、第1のUL24をコードする遺伝子は、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、miR-TSカセットを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、miR-34c-5p、miR-299-5p、及びmiR-582-5pのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、miR-34c-5p、miR-299-5p、及びmiR-582-5pのうちの少なくとも2つを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、miR-34c-5p、miR-299-5p、及びmiR-582-5pを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、4bpスペーサーによって分離されたmiRNAの各々の標的配列の少なくとも3つのコピーまたは少なくとも4つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、遺伝子の3’UTRに位置する。いくつかの実施形態では、miRNAの標的配列は、miRNAの逆相補配列を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、配列番号930のポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスの収量は、miR-TSカセットを含まない対照ヘルペスウイルスまたは対照細胞の収量よりも少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍高い。
【0040】
一態様では、本開示は、組換えヘルペスウイルスであって、本開示の細胞を培養することと、細胞の培養物から本組換えヘルペスウイルスを回収することとによって産生される、組換えヘルペスウイルスを提供する。
【0041】
一態様では、本開示は、組換えヘルペスウイルスであって、ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、配列番号920のI307Nに対応する合胞体変異を含むgKをコードする、組換えヘルペスウイルスを提供する。
【0042】
いくつかの実施形態では、ヘルペスウイルスは、アルファヘルペスウイルスである。いくつかの実施形態では、アルファヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルスである。いくつかの実施形態では、単純ヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)である。
【0043】
いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、腫瘍溶解性である。
【0044】
いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、配列番号857に従う脳炎HSV分離株に由来する。いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、配列番号857と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、順行性輸送に欠陥がある。
【0046】
いくつかの実施形態では、組換えヘルペスウイルスは、UL37ウイルス遺伝子に変異を含む。いくつかの実施形態では、UL37ウイルス遺伝子は、配列番号856のQ403、E452、Q455、Q511、及びR515に対応する少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または5つ全てのアミノ酸位置に変異を含むUL37タンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、UL37ウイルス遺伝子の変異は、配列番号856に従うQ403A/E452A/Q455A/Q511A/R515Aを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、配列番号919のA549T/D285Nに対応する変異を含むgBをコードする。
【0048】
いくつかの実施形態では、本組換えヘルペスウイルスは、ICP6、ICP34.5、及び/またはICP47の機能を保持する。
【0049】
いくつかの実施形態では、1つ以上の導入遺伝子は、UL50-UL51遺伝子間領域に挿入される。
【0050】
一態様では、本開示は、HPGD、ADA2、HYAL1、CHP、CCL21、IL-12、CD47アンタゴニスト、TGFβアンタゴニスト、PD1アンタゴニスト、TREM2アンタゴニスト、クロロトキシン(CTX)を含む生体分子、またはそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上のペイロードタンパク質をコードする1つ以上の導入遺伝子を含む、組換えウイルスを提供する。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、IL-12、PD1アンタゴニスト、及びTREM2アンタゴニストを含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、HPGDを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、CTXを含む生体分子を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、表4~7に列記されるペイロードタンパク質の組み合わせのうちの1つを含むか、またはそれらからなる。
【0051】
いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、HPGDを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、ADA2を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、HYAL1を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、CHPを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、CCL21を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、IL-12を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、CD47アンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、TGFβアンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、PD1アンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、TREM2アンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、アンタゴニストは、抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードタンパク質は、CTXを含む生体分子を含む。いくつかの実施形態では、CTXを含む生体分子は、T細胞の表面に発現するタンパク質に特異的に結合するT細胞エンゲージャー部分を更に含む。いくつかの実施形態では、 T細胞の表面に発現するタンパク質は、CD3である。
【0052】
一態様では、本開示は、組換えウイルスであって、
(a)miR-122-5pの1つ以上のmiRNA標的配列、
(b)miR-145-5pの1つ以上のmiRNA標的配列、
(c)miR-124-3p、miR-128T、miR-137-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、
(d)miR-34b-5p、miR-34c-5p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、及び
(e)miR-129-2-3p、miR-132-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含む、組換えウイルスを提供する。
いくつかの実施形態では、本組換えウイルスは、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-129-2-3p、miR-132-3p、miR-137-3p、及びmiR-145-5pのmiRNA標的配列を含む。
【0053】
一態様では、本開示は、組換えウイルスであって、本組換えウイルスのウイルスゲノムが、合胞体変異を含むタンパク質及び合胞体変異を含まない対応タンパク質をコードする、組換えウイルスを提供する。いくつかの実施形態では、合胞体変異を含むタンパク質と合胞体変異を含まない対応タンパク質は、合胞体変異を除いて、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態では、合胞体変異を含むタンパク質は、内因性ウイルス遺伝子によってコードされ、合胞体変異を含まない対応タンパク質は、外因性発現カセットによってコードされる。いくつかの実施形態では、合胞体変異を含むタンパク質は、外因性発現カセットによってコードされ、合胞体変異を含まない対応タンパク質は、内因性ウイルス遺伝子によってコードされる。いくつかの実施形態では、合胞体変異を含むタンパク質及び合胞体変異を含まない対応タンパク質の両方が、1つの外因性発現カセットによってコードされるか、または異なる外因性発現カセットによってコードされる。
【0054】
一態様では、本開示は、本開示の組換えウイルスをコードする組換え核酸を含む細胞を提供する。
【0055】
一態様では、本開示は、組換えウイルスをコードする第1の核酸と、第2の核酸と、を含む細胞であって、本組換えウイルスのウイルスゲノムが合胞体変異を含むタンパク質をコードし、第2の核酸が合胞体変異を含まない対応タンパク質をコードする、細胞を提供する。いくつかの実施形態では、合胞体変異を含むタンパク質と合胞体変異を含まない対応タンパク質は、合胞体変異を除いて、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を共有する。
【0056】
いくつかの実施形態では、本組換えウイルスの収量は、合胞体変異を含まない対応タンパク質をコードしない対照ウイルスまたは対照細胞の収量よりも少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍高い。
【0057】
いくつかの実施形態では、合胞体変異を含むタンパク質をコードする遺伝子は、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、miR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、miR-34c-5p、miR-299-5p、及びmiR-582-5pから選択されるmiRNAのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または全てを含む。いくつかの実施形態では、本組換えウイルスの収量は、miR-TSカセットを含まない対照ウイルスまたは対照細胞の収量よりも少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍高い。
【0058】
いくつかの実施形態では、本組換えウイルスは、単純ヘルペスウイルス、アデノウイルス、ポリオウイルス、ワクシニアウイルス、麻疹ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、オルトミクソウイルス、パルボウイルス、マラバウイルス、またはコクサッキーウイルスに由来する。いくつかの実施形態では、本組換えウイルスは、腫瘍溶解性である。
【0059】
一態様では、本開示は、組換えウイルスであって、本開示の細胞を培養することと、細胞の培養物から本組換えヘルペスウイルスを回収することとによって産生される、組換えウイルスを提供する。
【0060】
一態様では、本開示は、本開示の組換えヘルペスウイルスまたは本開示の組換えウイルスをコードする核酸分子を提供する。いくつかの実施形態では、核酸分子は、DNAである。いくつかの実施形態では、核酸分子は、RNAである。
【0061】
一態様では、本開示は、本開示の組換えヘルペスウイルスまたは本開示の組換えウイルスを含むウイルスストックを提供する。
【0062】
一態様では、本開示は、本開示の核酸分子を含む粒子を提供する。いくつかの実施形態では、粒子は、ナノ粒子、エキソソーム、リポソーム、及びリポプレックスからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、粒子は、脂質ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、真核細胞を粒子と接触させることにより、真核細胞による感染性ウイルス粒子の産生がもたらされる。
【0063】
一態様では、本開示は、
(i)本開示の組換えヘルペスウイルス、本開示の組換えウイルス、本開示の核酸分子、または本開示の粒子と、
(ii)薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物を提供する。
【0064】
一態様では、本開示は、がん性細胞を死滅させる方法であって、がん性細胞を、本開示の組換えヘルペスウイルス、本開示の組換えウイルス、本開示の核酸分子、もしくは本開示の粒子、または本開示の医薬組成物に、ウイルスまたは粒子を当該がん性細胞に感染させ、かつウイルスを当該がん性細胞内で複製するのに十分な条件下で曝露させることを含み、がん性細胞内でのウイルスの複製により、細胞死がもたらされる、方法を提供する。いくつかの実施形態では、細胞は、インビトロまたはインビボにある。いくつかの実施形態では、がん性細胞が、非がん性細胞における1つ以上のmiRNA標的配列に結合することができるmiRNAの発現と比較して、miRNAの発現の低下を有する。いくつかの実施形態では、ウイルスの複製は、1つ以上のmiRNA標的配列に結合することができるmiRの発現の低下を有するがん性細胞内で増加するか、または維持される。いくつかの実施形態では、がん性細胞は、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、精巣癌、大腸癌、結腸癌、膵臓癌、肝臓癌、胃癌、頭頸部癌、甲状腺癌、悪性神経膠腫、神経膠芽腫、黒色腫、非黒色腫皮膚癌、B細胞慢性リンパ球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、または辺縁帯リンパ腫(MZL)の細胞である。いくつかの実施形態では、がん性細胞は、神経膠芽腫細胞である。
【0065】
一態様では、本開示は、がんの治療を必要とする対象におけるがんを治療する方法であって、対象に、本開示の組換えヘルペスウイルス、本開示の組換えウイルス、本開示の核酸分子、もしくは本開示の粒子、または本開示の医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、ウイルス、粒子、または組成物は、静脈内、皮下、腫瘍内、筋肉内、または鼻腔内投与される。いくつかの実施形態では、ウイルス、粒子、または組成物は、腫瘍内投与される。いくつかの実施形態では、ウイルス、粒子、または組成物は、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、ウイルス、粒子、または組成物は、1回のみ投与される。いくつかの実施形態では、がんは、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、精巣癌、大腸癌、結腸癌、膵臓癌、肝臓癌、胃癌、頭頸部癌、甲状腺癌、悪性神経膠腫、神経膠芽腫、黒色腫、非黒色腫皮膚癌、B細胞慢性リンパ球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、及び辺縁帯リンパ腫(MZL)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、がんは、神経膠芽腫である。
【0066】
一態様では、本開示は、本開示の細胞を含む細胞株を提供する。
【0067】
一態様では、本開示は、組換えヘルペスウイルスを産生する方法であって、本開示の細胞または本開示の細胞株を培養することと、細胞の培養物から本組換えヘルペスウイルスを回収することとを含む、方法を提供する。
【0068】
一態様では、本開示は、ヘルペスウイルスの感染部位をイメージングするために小分子と組み合わせた本開示の組換えヘルペスウイルスの使用を提供する。
【0069】
一態様では、本開示は、ヘルペスウイルスの感染部位をインビボでイメージングする方法であって、本開示の組換えヘルペスウイルスと、小分子と、を投与することを含む、方法を提供する。
【0070】
いくつかの実施形態では、小分子は、放射性同位体標識アシクロビルである。いくつかの実施形態では、放射性同位体標識は、フッ素-18(18F)標識を含む。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】本開示のHSV骨格ベクターの非限定的な例の構成を示す概略図である。CAG:CAGプロモーター、rBG:ウサギベータグロビンポリアデニル化シグナル、BFP:青色蛍光タンパク質、DTA:ジフテリア毒素サブユニットA。
【0072】
図2A】正常脳細胞及び神経膠芽腫細胞における各々の指示したmiRNAの発現レベルを示すプロットである。
図2B】上衣細胞における各々の指示したmiRNAの発現レベルを示すプロットである。
図2C】(a)左上:神経細胞におけるmiR-124-3p miRNA発現レベル、(b)右上:乏突起膠細胞におけるmiR-124-3p miRNA発現レベル、(c)左下:上衣細胞の位置を示すCcdc153発現レベル、(d)右下:上衣細胞におけるmiR-34c-5p miRNA発現レベル。
【0073】
図3A】様々なウイルス遺伝子におけるmiR-TSカセットの例示的な設計、ならびに各々の対応するmiRNAが高度に発現されるCNS細胞型を示す。
図3B】指示したmiRNA模倣物の存在下でのHSVベクター1mL当たりのプラーク形成単位(pfu)の数を示すプロットである。
図3C】様々なウイルス遺伝子におけるmiR-TSカセットの別の例示的な設計、ならびに各々の対応するmiRNAが高度に発現されるCNS細胞型を示す。miR-Tカセットは各々、三連で組み立てられた4つのmiR標的配列を組み込んでおり、最大活性のためにRNA二次構造を最小化するアルゴリズムを使用して設計されている。
【0074】
図4A】y軸上のPFUによって測定した、経時的なVero細胞における指示したHSVベクターの増殖を示すプロットである。
図4B】y軸上のPFUによって測定した、経時的なVero細胞における指示したHSVベクターの増殖を示すプロットである。
【0075】
図5A】指示したHSVベクターの頭蓋内注射(1日目)後のマウスの全生存率(%)を示すプロットである。
図5B】指示したHSVベクターの頭蓋内注射(1日目)後のマウスの体重変化(%)を示すプロットである。
【0076】
図6A】各々のmiRNA標的配列の保護細胞型を示す。
図6B】指示したHSV遺伝子のために設計されたmiR-TSカセットを示す。
図6C】指示したカセット内のmiR標的配列の構成を示す。
図6D】様々なmiRNA模倣物の存在下での指示したmiR-TSカセットの調節制御下のルシフェラーゼの相対発現レベルを示す。
【0077】
図7A】指示したmiRNA模倣物の存在下でのA431細胞におけるONCR-2169のウイルス収量を示す。
図7B】Vero細胞における指示したHSVウイルスの非減弱型増殖を示す。
図7C】指示したHSVウイルスを注射した雌BALB/cマウスの体重変化を示す。
【0078】
図8】指示したHSVウイルス構築物の設計を示す概略図である。KPI:インテグリンに結合するノッチンペプチド、VE:EGFRの細胞外ドメインに結合するVHHナノボディ。UL23 SR39:L159I、I160F、F161L、A168F、及びL169M組み合わせ変異を含むチミジンキナーゼをコードするUL23。gB N/T:D285N/A549T二重変異を含む糖タンパク質B(gB)をコードするUL27。UL30 HiFi:L774F変異を含むDNAポリメラーゼ触媒サブユニットをコードするUL30。UL37 R2:「R2」組み合わせ変異(Q403A/E452A/Q455A/Q511A/R515A)を含むテグメントタンパク質をコードするUL37。HSV構築物は、両方のICP4遺伝子座にmiR-T 3060カセット(配列番号858)、ICP8遺伝子座にmiR-T 9919カセット(配列番号859)、ICP27遺伝子座にmiR-T 3012カセット(配列番号873)、UL8遺伝子座にmiR-T 3096カセット(配列番号874)、ならびにUL50-UL51遺伝子間領域にmCherry-Fluc発現カセットを更に含む。
【0079】
図9A】Vero細胞上での指示したウイルスのプラークアッセイの結果を示す。
図9B】指示したウイルス及び細胞を用いた増殖アッセイの結果を示す。
【0080】
図10】様々な神経膠芽腫細胞株における指示したウイルスを用いた増殖アッセイの結果を示す。
【0081】
図11】代表的なGBMコアの免疫組織化学結果を示す。
【0082】
図12】ONCR-1012ウイルス構築物の概略図である。
【0083】
図13】指示したウイルスを培養したときの複数の継代にわたる配列バリアントの数を示す図である。
【0084】
図14A】指示したウイルスの感染によって生じたプラークを示す画像である。
図14B】指示したウイルス1ml当たりのプラーク形成単位(PFU)の数を示す図である。
【0085】
図15A】指示したウイルスに対するアシクロビルの異なる濃度での相対プラーク力価を示す図である。
図15B】指示したウイルスに対するアシクロビルの異なる濃度での残りのプラークのパーセンテージを示す図である。
【0086】
図16】指示したウイルスに対するアシクロビルの異なる濃度での残りのプラークのパーセンテージ、ならびに計算したIC50値を示す図である。
【0087】
図17A】指示したウイルスの感染によって生じたプラークを示す画像である。
図17B】指示したウイルスの細胞当たりのプラーク形成単位(PFU)の数を示す図である。
【0088】
図18A】内因性遺伝子座由来の野生型gKと、cDNAカセット由来の合胞体gK変異体との共発現を示す概略図である。
図18B】内因性遺伝子座由来の合胞体gB変異体と、cDNAカセット由来の非合胞体gBとの共発現を示す概略図である。
図18C】ONCR-142ウイルス構築物を示す概略図である。
図18D】指示したHSV構築物のウイルス収量及び合胞体表現型を示す表である。
【0089】
図19A】Vero細胞における遺伝子発現を減弱させるためのmiR-T2310カセットを示す概略図である。
図19B】cDNAカセットにおける合胞体gK変異体のmiR-T2310媒介発現制御の設計を示す概略図である。
図19C】内因性遺伝子座における合胞体gB変異体のmiR-T2310媒介発現制御の設計を示す概略図である。
図19D】それぞれ、UL3-UL4またはUL50-UL51のいずれかの遺伝子間遺伝子座における内因性gB及びgK遺伝子座ならびにcDNA発現カセットの相対位置を含む、ONCR-2112及びONCR-2008ウイルス構築物を示す概略図を含む。
図19E】指示したHSV構築物のウイルス収量及び合胞体表現型を示す表である。
【0090】
図20】ORF内の指示したG/C含有量を有するmIL12または抗PD1ペイロードをコードする導入遺伝子のタンパク質発現レベルを示す図表である。導入遺伝子(複数可)を腫瘍溶解性HSV(ONCR-GBM)の骨格に挿入した。
【0091】
図21A】スクリーニング実験におけるペイロード(複数可)を発現するために使用したHSV骨格を示す概略図である。loxP-BACレプリコンは、UL37-UL38遺伝子間領域に位置し、ペイロード(複数可)用のcDNA発現カセットは、UL3-UL4遺伝子間領域に位置する。ICP27遺伝子座は、miR-128、miR-129a、及びmiR-122のmiRNA標的配列を含み、ICP4遺伝子座は、miR-124、miR-1、及びmiR-143のmiRNA標的配列を含み、ICP34.5遺伝子座は、miR-128*、miR-204、及びmiR-219の標的配列を含む。ウイルス骨格は、gBにおけるD285N/A549T変異、gCに挿入されたeGFR、及び変異体US12を更に含む。
図21B】指示した各HSVのペイロード分子(複数可)を示す表である。cDNAペイロードは、ハイブリッドCAGプロモーター及びウサギb-グロビンポリアデニル化シグナルを利用して導入遺伝子発現を制御する、ONCR-142のUL3-UL4遺伝子間遺伝子座に挿入したカセットから発現される。
【0092】
図22A】同所性CT2A細胞株モデルにおける指示したHSVベクターの腫瘍内注射後のマウスの経時的な全生存率(%)を示すプロットである。
図22B】同所性mネクチン1発現GL261細胞株モデルにおける指示したHSVベクターの腫瘍内注射後のマウスの経時的な全生存率(%)を示すプロットである。
図22C】GL261モデルを使用した再負荷研究を示すプロットである。
図22D】CT2Aモデルにおける様々な免疫細胞のパーセンテージを示すプロットである。
図22E】指示した腫瘍溶解性ウイルスの投与後の免疫細胞数を示すプロットを含む。
【0093】
図23】全生存率(%)によって測定した、同所性mネクチン1発現GL261細胞株モデルにおけるIL12及び抗PD1抗体ペイロードをコードするONCR-GBMベクターの用量反応効果を示すプロットである。
【0094】
図24A】様々なペイロード分子をコードする指示したHSV組み合わせを投与したGL261モデルマウスの生存プロットを示す。
図24B】様々なペイロード分子をコードする指示したHSV組み合わせを投与したGL261モデルマウスの生存プロットを示す。
図24C】様々なペイロード分子をコードする指示したHSV組み合わせを投与したGL261モデルマウスの生存プロットを示す。
図24D】様々なペイロード分子をコードする指示したHSV組み合わせを投与したGL261モデルマウスの生存プロットを示す。
図24E】様々なペイロード分子をコードする指示したHSV組み合わせを投与したGL261モデルマウスの生存プロットを示す。
図24F】様々なペイロード分子をコードする指示したHSV組み合わせを投与したGL261モデルマウスの生存プロットを示す。
図24G】様々なペイロード分子をコードする指示したHSV組み合わせを投与したGL261モデルマウスの生存プロットを示す。
図24H】様々なペイロード分子をコードする指示したHSV組み合わせを投与したGL261モデルマウスの生存プロットを示す。
図24I】様々なペイロード分子をコードする指示したHSV組み合わせを投与したGL261モデルマウスの生存プロットを示す。
図24J】様々なペイロード分子をコードする指示したHSV組み合わせを投与したGL261モデルマウスの生存プロットを示す。
【0095】
図25A】gDにインテグリン標的化ノッチンペプチドを含むONCR-2183のHSV構築物設計を示す概略図である。
図25B】ペイロード組み合わせを発現するための発現カセットの概略図を示す。rBG pA:ウサギベータグロビン遺伝子ポリアデニル化シグナル、CAG:CAGプロモーター、CMV:サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、UBC pA:ヒトユビキチンC遺伝子ポリアデニル化シグナル、COXIV pA:ヒトシトクロムオキシダーゼIV遺伝子ポリアデニル化シグナル、GAPDH:ヒトグリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)プロモーター、EF1a:EF-1αプロモーター、EIF4A1 pA:真核生物開始因子4A-IポリA。
図25C】指示したHSVを投与したGL261またはCT2Aモデルにおけるマウスの全生存プロットを示す。
【0096】
図26A】gDにEGFR標的化VHHを含むONCR-2204のHSV構築物設計を示す概略図である。
図26B】ペイロード組み合わせを発現するための発現カセットの概略図を示す。対応するcDNAペイロードをウイルス構築物毎に示す。調節要素の命名は、図25Bの命名に従う。
【発明を実施するための形態】
【0097】
詳細な説明
本開示は、がん細胞に対する改善された特異性/有効性ならびにより低いオフターゲット感染及び毒性を含む、先行技術のものと比較して優れた特性を呈する組換えウイルスベクターを提供する。ウイルスベクターの組換え操作には、
- ウイルスベクター複製をがん細胞に制限するマイクロRNA(miR)標的配列(miR-TS)カセットの挿入、
- ペイロード分子(例えば、抗腫瘍免疫応答を調節するもの)のうちの1つ以上をコードする導入遺伝子の挿入、
- タンパク質発現レベルを増加させるための遺伝子のコドン最適化、
- 特定のタンパク質(複数可)を発現するがん細胞のウイルス感染を可能にする再標的化ドメインの挿入、
- ウイルス融合性を増加させる合胞体変異の導入、及び/または
- 複製忠実度及び/またはアシクロビルに対する感受性を改善する変異の導入が含まれる。
【0098】
ウイルスベクターの組成物、ならびにがん細胞の死滅及びがん治療における使用方法が、本明細書に更に提供される。
【0099】
腫瘍溶解性ウイルスの使用は、健常細胞が非特異的にウイルス感染するリスクを伴い、非がん性細胞及び組織の死をもたらす。しかしながら、ウイルスを遺伝子操作して、正常組織とがん組織との間で差別的に発現される経路、タンパク質、遺伝子、及び/またはmiRNAを利用することにより、腫瘍溶解性ウイルスの特異性を向上させることができる。かかる遺伝子操作の非限定的な例としては、miRNA標的配列(複数可)の挿入及び再標的化ドメインが挙げられる。
【0100】
ウイルスベクターの安全性プロファイルも、ウイルスの複製忠実度及び/またはアシクロビルなどの抗ウイルス薬に対する感受性を改善するための追加の遺伝子操作によって改善することができる。
【0101】
本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍細胞に対する宿主免疫応答を刺激するタンパク質を発現して、腫瘍の免疫抑制性微小環境を修飾し、及び/または腫瘍全体にわたるウイルス拡散を促進し、それにより、それらの治療有効性を向上させることもできる。加えて、導入遺伝子は、タンパク質の発現レベルを増加させる(例えば、G/C含有量を上昇させる)ためにコドン最適化され得る。
【0102】
したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、単回注射(例えば、腫瘍内注射)後にインビボでがん(例えば、神経膠芽腫)に対する生産的かつ持続的な抗腫瘍免疫応答を刺激することができる組換えウイルスベクターを提供する。いくつかの実施形態では、本組換えウイルスベクターは、神経膠芽腫細胞の効率的な腫瘍溶解のために操作される。
【0103】
いくつかの実施形態では、本組換えウイルスベクターは、組換えHSVベクターである。いくつかの実施形態では、本組換えHSVベクターは、CNSで複製する能力が証明されたHSV分離株に由来する。いくつかの実施形態では、本組換えHSVは、神経細胞における順行性輸送及び逆行性輸送に欠陥がある。いくつかの実施形態では、本組換えHSVは、ICP47、ICP34.5、及び/またはICP6遺伝子機能を保持する。
【0104】
例示的な腫瘍溶解性HSVの概略図が、図26A及び図26Bに提供される。
【0105】
本明細書で使用される節の見出しは、単に編成目的のためであり、記載の主題を限定するものとして解釈されるべきではない。特許、特許出願、論文、書籍、及び論説を含むが、これらに限定されない、本明細書で引用される全ての文書または文書の一部は、あらゆる目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に明確に組み込まれる。組み込まれる文書または文書の一部のうちの1つ以上が本出願における用語の定義と矛盾する用語を定義する場合、本出願に記載の定義が優先される。しかしながら、本明細書で引用されるいずれの参考文献、論文、刊行物、特許、特許公報、及び特許出願の言及も、それらが有効な先行技術を構成するか、または世界中のあらゆる国における共通の一般知識の一部を形成するという認識でも、いかなる形態の示唆でもなく、そのように解釈されるべきではない。
【0106】
定義
本明細書において、いずれの濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲も、別段の指示がない限り、列挙される範囲内のあらゆる整数の値を含み、かつ適切な場合にはその分数(例えば、整数の10分の1及び100分の1)も含むと理解されるべきである。本明細書で使用される「a」及び「an」という用語は、別段の指示がない限り、列挙される構成成分のうちの「1つ以上」を指すことを理解されたい。代替物(例えば、「または」)の使用は、代替物の一方、両方、またはそれらの任意の組み合わせのいずれかを意味すると理解されたい。本明細書で使用される場合、「include(含む)」及び「comprise(含む)」という用語は、同義に使用される。本明細書で使用される場合、「複数」とは、1つ以上の構成要素(例えば、1つ以上のmiRNA標的配列)を指し得る。
【0107】
本出願で使用される場合、「約」及び「およそ」という用語は、等価物として使用される。本出願で使用されるいずれの数詞も、約/およその有無にかかわらず、関連技術分野の当業者によって理解される任意の通常の変動を包含するよう意図されている。ある特定の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、別段の記載がない限り、または文脈から明らかでない限り(かかる数が可能な値の100%を超える場合を除いて)、記載の参照値のいずれかの方向の(より大きいまたはより小さい)10%以内にある値の範囲を指す。
【0108】
「減少する」または「低減する」とは、参照値と比較して、少なくとも5%、例えば、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99、または100%の特定の値の減少または低減を指す。特定の値の減少または低減は、参照値と比較したその値の倍数変化、例えば、参照値と比較して少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、500、1000倍以上の減少として表すこともできる。
【0109】
「増加する」とは、参照値と比較した特定の値の少なくとも5%、例えば5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99、100、200、300、400、500%、またはそれ以上の増加を指す。特定の値の増加は、参照値と比較したその値の倍数変化、例えば、参照値のレベルと比較して少なくとも1倍、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、500、1000倍以上の増加として表すこともできる。
【0110】
「配列同一性」という用語は、同じであり、かつ同じ相対位置にある2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列間の塩基またはアミノ酸のパーセンテージを指す。したがって、あるポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、別のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列と比較して、ある特定のパーセンテージの配列同一性を有する。配列比較の場合、典型的には、1つの配列が参照配列として機能し、試験配列が参照配列と比較される。「参照配列」という用語は、試験配列が比較される分子を指す。
【0111】
「相補的」とは、天然に存在するまたは天然に存在しない(例えば、上記のように修飾された)塩基(ヌクレオシド)またはその類似体を含む2つの配列間の塩基スタッキング及び特異的水素結合による対合の能力を指す。例えば、核酸のある位置の塩基が、標的の対応する位置の塩基と水素結合することができる場合、これらの塩基は、その位置で互いに相補的であるとみなされる。核酸は、普遍的塩基、または水素結合に正にも負にも寄与しない不活性脱塩基スペーサーを含むことができる。塩基対合には、標準のワトソン-クリック塩基対合及び非ワトソン-クリック塩基対合(例えば、ゆらぎ塩基対合及びフーグスティーン塩基対合)の両方が含まれ得る。相補的塩基対合の場合、アデノシン型塩基(A)がチミジン型塩基(T)またはウラシル型塩基(U)に相補的であり、シトシン型塩基(C)がグアノシン型塩基(G)に相補的であり、3-ニトロピロールまたは5-ニトロインドールなどの普遍的塩基が、任意のA、C、U、またはTにハイブリダイズし、それらに相補的であると考えられていることが理解される。Nichols et al.,Nature,1994;369:492-493及びLoakes et al.,Nucleic Acids Res.,1994;22:4039-4043。イノシン(I)も、当該技術分野において普遍的塩基であると考えられており、いずれのA、C、U、またはTにも相補的であると考えられている。Watkins and SantaLucia,Nucl.Acids Research,2005;33(19):6258-6267を参照されたい。
【0112】
「作動可能に連結された」とは、そのように記載された構成要素が、それらの意図された様式で機能することを可能にする関係にある並置を指す。例えば、プロモーターがポリヌクレオチド配列の転写または発現に影響を及ぼす場合、プロモーターはポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されている。
【0113】
「対象」という用語は、例えば、哺乳動物などの動物を含む。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、霊長類である。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。いくつかの実施例では、対象は、畜牛、ヒツジ、ヤギ、乳牛、ブタなどの畜産動物、またはイヌ及びネコなどの飼い慣らされた動物である。いくつかの実施形態では(例えば、特に研究の文脈で)、対象は、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター)、ウサギ、霊長類、または近交系ブタのようなブタなどである。「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0114】
「有効量」という用語は、特定の生理学的効果をもたらすのに必要な薬剤または組成物の量(例えば、特定の生理学的効果を増加させる、活性化する、及び/または増強するのに必要な量)を指す。特定の薬剤の有効量は、質量/体積、細胞数/体積、粒子/体積、(薬剤の質量)/(対象の質量)、細胞数/(対象の質量)、または粒子/(対象の質量)などの薬剤の性質に基づいて、様々な方法で表され得る。特定の薬剤の有効量は、参照レベルと最大応答レベルとの間の中間にある特定の生理学的応答の大きさをもたらす薬剤の濃度を指す半最大有効濃度(EC50)として表され得る。
【0115】
「薬学的に許容される」という語句は、本明細書では、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、ヒト及び動物の組織と接触させる際に使用するのに好適であり、妥当なベネフィット/リスク比に見合う、化合物、材料、組成物、及び/または剤形を指すように用いられる。
【0116】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤」には、ヒト及び/または飼い慣らされた動物における使用に許容されるものとして米国食品医薬品局によって承認されている、任意のアジュバント、担体、賦形剤、滑剤、甘味剤、希釈剤、防腐剤、色素/着色剤、風味向上剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒、界面活性剤、及び/または乳化剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0117】
本明細書で使用される場合、「腫瘍溶解性ウイルス」という用語は、がん細胞に優先的に感染するように修飾されているか、またはがん細胞に自然に優先的に感染するウイルスを指す。
【0118】
「マイクロRNA」、「miRNA」、及び「miR」という用語は、本明細書では互換的に使用され、分解または翻訳抑制のためにそれらの標的メッセンジャーRNA(mRNA)を指示することによって遺伝子発現を調節する、主に約21~25ヌクレオチド長の小さい非コード内因性RNAを指す。
【0119】
本明細書で使用される「必須ウイルス遺伝子」とは、ウイルス複製、ウイルスパッケージング、またはウイルス感染性などの1つ以上の必須ウイルス機能に必要なウイルス遺伝子を指す。
【0120】
「ベクター」という用語は、別の核酸分子を輸送または運搬することができる核酸分子を指すために本明細書で使用される。輸送された核酸は、一般に、ベクター核酸分子に連結される、例えば、挿入される。ベクターは、細胞内で自律複製を指示する配列を含み得るか、または宿主細胞DNAへの組み込みを可能にするのに十分な配列を含み得る。
【0121】
分子生化学及び細胞生化学における一般的方法は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Ed.(Sambrook et al.,HaRBor Laboratory Press 2001)、Short Protocols in Molecular Biology,4th Ed.(Ausubel et al.eds.,John Wiley & Sons 1999)、Protein Methods(Bollag et al.,John Wiley & Sons 1996)、Nonviral Vectors for Gene Therapy(Wagner et al.eds.,Academic Press 1999)、Viral Vectors(Kaplift & Loewy eds.,Academic Press 1995)、Immunology Methods Manual(I.Lefkovits ed.,Academic Press 1997)、及びCell and Tissue Culture:Laboratory Procedures in Biotechnology(Doyle & Griffiths,John Wiley & Sons 1998)などの標準の教本で見つけることができ、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0122】
腫瘍溶解性ウイルス
単純ヘルペスウイルス(HSV)、アデノウイルス、ポリオウイルス、ワクシニアウイルス、麻疹ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、オルトミクソウイルス、パルボウイルス、マラバウイルス、またはコクサッキーウイルスを含むが、これらに限定されない、腫瘍溶解性ウイルスの例は、当該技術分野で既知である。いくつかの実施形態では、本開示の腫瘍溶解性ウイルスは、HSVである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスは、組換えウイルスベクターまたは腫瘍溶解性ベクターと称される。
【0123】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスは、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス(例えば、HSV-1もしくはHSV-2))、アデノウイルス、ポリオウイルス、ワクシニアウイルス、麻疹ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、オルトミクソウイルス、パルボウイルス、マラバウイルス、またはコクサッキーウイルスである。特定の実施形態では、本組換えウイルスベクターは、参照により全体が組み込まれる国際PCT公開第WO2015/066042号に記載の腫瘍選択的ベクターを複製することができるHSVである。
【0124】
HSVベースのベクター及びそれらを構築するための方法は、例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,078,029号、同第6,261,552号、同第5,998,174号、同第5,879,934号、同第5,849,572号、同第5,849,571号、同第5,837,532号、同第5,804,413号、及び同第5,658,724号、ならびに国際特許出願第WO91/02788号、同第WO96/04394号、同第WO98/15637号、及び同第WO99/06583号に記載されている。HSVの配列が公開されており(NCBI受入番号NC_001806、McGoech et al.,J.Gen.Virol,69(PT 7),1531-1574(1988)も参照されたい)、これは、本開示のHSVベースのベクターの設計を容易にし得る。いくつかの事例では、本開示の腫瘍溶解性ウイルスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)であり、ICP47遺伝子のプロモーターとともに、二倍体遺伝子ICP0、ICP34.5、LAT、及びICP4の各々1つのコピーを含む内部反復(接合)領域の欠失を含む。いくつかの事例では、本開示の腫瘍溶解性ウイルスは、ICP47遺伝子のプロモーターとともに、二倍体遺伝子ICP0、ICP34.5、LAT、及びICP4の各々1つのコピーを含む内部反復(接合)領域を保持する単純ヘルペスウイルス(HSV)である。
【0125】
ある特定の実施形態では、本開示の組換えウイルスベクターは、直接感染及び/または側方拡散のいずれかによる細胞への侵入の増強を呈するHSVである。一態様では、本開示のHSVベクターは、HSV感染の典型的なメディエーター以外(例えば、ネクチン-1、HVEM、またはヘパラン硫酸/コンドロイチン硫酸プロテオグリカン以外)の細胞タンパク質との相互作用により細胞に直接感染することができる。ある特定の実施形態では、本開示の組換えウイルスベクターは、HSVであり、非標準の受容体を介したベクター侵入を容易にするgBまたはgH遺伝子の変異を更に含む。別の態様では、本開示は、gD受容体を欠く細胞などのHSV側方拡散に典型的に耐性を示す細胞において側方拡散を呈する変異gH糖タンパク質を更に含むHSVベクターを提供する。いくつかの実施形態では、本開示のHSVベクターは、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2013/0096186号に記載の変異gBまたはgHタンパク質のうちの1つ以上を含む。ある特定の態様では、HSVベクター中の変異侵入タンパク質は、gB、gHなどのウイルス侵入に関与する糖タンパク質であり、変異HSVベクターは、両方の変異バージョンを含むことができる。しかしながら、変異侵入タンパク質は、HSVベクターの細胞への侵入に影響を及ぼすあらゆるタンパク質とすることができる。ある特定の実施形態では、変異侵入タンパク質はgD以外であるが、HSVベクターは、変異gD、例えば、リガンドまたは他の所望の変異を含むものを追加で含むことができる。本発明のHSVベクターにおける使用のためのgBまたはgH糖タンパク質の非限定的な変異は、以下の残基、gB:D285、gB:A549、gB:S668、gH:N753、及びgH:A778のうちの1つ以上に生じる。いくつかの実施形態では、本発明のHSVベクターは、gB:D285及びgB:A549の両方、gH:N753及びgH:A778の両方、及び/またはgB:S668、gH:N753、及びgH:A778の各々に変異を含む。ある特定の実施形態では、HSVベクターは、かかる変異のうちの2つ以上(例えば、3つ以上、4つ以上)を含み、HSVベクターは、これらの残基のうちの5つ全てに変異を含むことができる。一実施形態では、HSVベクターは、gB:285、gB;549、gH:753、及びgH:778に変異を有する。これらの変異は、本明細書において、HSV-1株KOS誘導体K26GFPのgD、gB、及びgH遺伝子のコドン(アミノ酸)番号付けに関連して参照される。K26GFPのgB及びgHの配列は、GenBank(#AF311740(参照により本明細書に組み込まれる))に開示されるgB及び以下の表1に示されるgH(GenBank#X03896(参照により本明細書に組み込まれる))の配列とは異なる。
【表1】
【0126】
しかしながら、K26GFPは、GenBank X03896のヌクレオチド2,079~2,102に対応する遺伝子領域に追加の差異を含み得る。したがって、KOS誘導体K26GFPまたはGenBank受入番号AF311740のいずれかの配列が、本明細書で論じられるgB変異の参照配列として機能することができることが理解される。また、KOS誘導体K26GFPまたはGenBank受入番号X03896のいずれかの配列は、本明細書で論じられるgH変異の参照配列として機能することができる。しかしながら、本開示のHSVベクターは、いずれのHSV株のgB及びgHにも相同変異を含み得る。
【0127】
いくつかの態様では、HSVベクターに含めるための侵入タンパク質の変異は、置換変異であるが、変異は、置換変異に限定されない。ある特定の実施形態では、HSVベクターに使用するための変異gBまたはgH糖タンパク質は、gB:D285N、gB:A549T、gB:S668N、gH:N753K、gH:A778Vからなる置換変異の群から選択される。ある特定の態様では、HSVベクターは、これらの置換(かかる置換のうちの2つ以上(例えば、3つ以上、4つ以上、または全て))の組み合わせを含み、gB:D285N/gB:A549T二重変異体、gH:N753K/gH:A778V二重変異体、及びgB:S668N/gH:N753K/gH:A778V三重変異体が、実施形態の例である。一実施形態では、HSVベクターは、gB:D285N/gB:A549T/gH:N753K/gH:A778Vを含む。
【0128】
ある特定の態様では、HSVベクターは、変異gB及び/または変異gH糖タンパク質を含み、糖タンパク質の変異は、少なくとも2つの残基における置換変異であり、ベクターがHSV-1 K26GFPである場合、少なくとも2つの残基は、gB:D285、gB:A549、gB:S668、gH:N753、及びgH:A778からなる群から選択されるか、またはベクターが相同HSVである場合、少なくとも2つの残基は、gB:D285、gB:A549、gB:S668、gH:N753、及びgH:A778と相関するアミノ酸から選択され、ここで、gB:D285残基がVYPYXEFVL(配列番号838)のXと相関し、gB:A549残基がKLNPNXIAS(配列番号839)のXと相関し、gB:S668残基がITTVXTFID(配列番号840)のXと相関し、gH:N753残基がVDTDXTQQQ(配列番号841)のXと相関し、gH:A778残基がVPSTXLLLF(配列番号842)のXと相関し、HSVベクターがHSV-1またはHSV-2ベクターである。
【0129】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の腫瘍溶解性HSVウイルスは、国際PCT公開第WO2016/141320号及びRichard et al.,Plos Pathogens,2017,13(12),e1006741に記載のものなどの神経細胞のHSV感染を減少させるUL37遺伝子の1つ以上の変異を含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、本開示のHSVは、デアミダーゼ活性を有するUL37内部テグメントタンパク質をコードするUL37ウイルス遺伝子の変異を含む。UL37タンパク質の機能には、ウイルス放出中の細胞質二次エンベロープの調節、二次エンベロープが生じる宿主トランスゴルジネットワーク(TGN)への輸送のための大型テグメントタンパク質/LTPを介したカプシドとの相互作用、ウイルスアセンブリ複合体におけるテグメンテーション及びカプシド蓄積の調節、ウイルスdsRNAを感知する機能を抑制する宿主DDX58/RIG-Iの脱アミド化、及び/またはcGAMP合成及び下流先天性免疫活性化を廃止する宿主cGASの脱アミド化が含まれ得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、UL37ウイルス遺伝子は、配列番号856と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するUL37タンパク質をコードする。
【0132】
いくつかの実施形態では、UL37ウイルス遺伝子は、配列番号856のQ403、E452、Q455、Q511、及びR515に対応するアミノ酸位置のうちの1、2、3、4、または5位に変異を含むUL37タンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、変異は、アラニン置換である。いくつかの実施形態では、UL37ウイルス遺伝子は、配列番号856のQ403、E452、Q455、Q511、及びR515に対応するアミノ酸位置のうちの全てに変異を含むUL37タンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、UL37ウイルス遺伝子は、配列番号856に従う変異Q403A/E452A/Q455A/Q511A/R515Aを含むUL37タンパク質をコードする。
【0133】
いくつかの実施形態では、本組換えHSVは、配列番号857(HSV株MacIntyreの完全ゲノム配列、GenBank受入番号MN136523.1、American Type Culture Collection(ATCC)カタログ番号VR-39)に従う脳炎HSV分離株に由来する。いくつかの実施形態では、本組換えHSVは、本開示による組換えHSVに明示的に操作される変異(複数可)(置換、挿入、及び/または欠失)を除いて、配列番号857と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、本組換えHSVは、順行性輸送に欠陥がある。
【0135】
いくつかの実施形態では、本組換えHSVは、ICP6、ICP34.5、ICP47、またはそれらの任意の組み合わせの機能を保持する。いくつかの実施形態では、本組換えHSVは、ICP6の機能を保持する。いくつかの実施形態では、本組換えHSVは、ICP34.5の機能を保持する。いくつかの実施形態では、本組換えHSVは、ICP47の機能を保持する。いくつかの実施形態では、本組換えHSVは、ICP6、ICP34.5、及びICP47遺伝子の機能を保持する。
【0136】
いくつかの実施形態では、本組換えHSVは、UL40-UL41遺伝子間領域に挿入された細菌人工染色体配列を含む。いくつかの実施形態では、本組換えHSVは、UL37-UL38遺伝子間領域に挿入された細菌人工染色体配列を含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、本組換えウイルスは、UL50-UL51遺伝子間領域に挿入された外因性発現カセット(例えば、ペイロード分子発現カセット)を含む。いくつかの実施形態では、本組換えウイルスは、UL3-UL4遺伝子間領域に挿入された外因性発現カセット(例えば、ペイロード分子発現カセット)を含む。いくつかの実施形態では、組換えウイルスは、UL40-UL41遺伝子間領域に挿入された外因性発現カセット(例えば、ペイロード分子発現カセット)を含む。いくつかの実施形態では、組換えウイルスは、UL37-UL38遺伝子間領域に挿入された外因性発現カセット(例えば、ペイロード分子発現カセット)を含む。
【0138】
miRNA減弱型腫瘍溶解性ウイルス
マイクロRNA(miRNAまたはmiR)は、分解または翻訳抑制のためにそれらの標的メッセンジャーRNAを指示することによって遺伝子発現を調節する低分子非コード内因性RNAである。miRは、正常な細胞プロセスと密接に関連しており、それ故に、miRNAの調節解除は、がんを含む幅広い疾患に寄与する。多くのmiR遺伝子が、がん関連ゲノム領域または脆弱部位に位置しており、miRががんに極めて重要な役割を果たすという証拠を更に強化する。miRは、正常組織と比較してがん組織に差次的に発現され、腫瘍発生と因果関係がある可能性がある。多様な腫瘍型におけるこの差次的miR発現を利用することにより、本明細書に記載のがん治療薬が広域スペクトル安全性及び有効性プロファイルを有するようになり、ここで、腫瘍溶解性ウイルス複製が特定のmiRまたはmiR群の発現に基づいて調節される。
【0139】
いくつかの態様では、本開示は、差次的miR発現プロファイルを利用して、miR標的配列をウイルス複製に必要な1つ以上の遺伝子に組み込むことにより、ウイルスベクター複製を腫瘍細胞に効果的に制限する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスベクターは、1つ以上のウイルス遺伝子に組み込まれるmiR標的配列の2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のコピーを含む。
【0140】
特に、本開示は、中枢神経系の複数の細胞型をウイルス溶解から保護するmiR減弱戦略が、神経膠芽腫の治療における腫瘍溶解性ウイルスの治療有効性を増強することを認識する。これは、神経細胞、上衣細胞、乏突起膠細胞、星状膠細胞、肝細胞、及び/または内皮細胞をウイルス溶解から保護すると同時に、腫瘍細胞におけるウイルス複製及びウイルス溶解を可能にするための戦略によって本開示に例示される。したがって、いくつかの実施形態では、本組換えウイルスベクターは、正常なCNS細胞(例えば、神経細胞、上衣細胞、乏突起膠細胞、星状膠細胞)におけるウイルス複製を制限するためのmiR減弱戦略を使用して安全性のために操作される。
【0141】
いくつかの実施形態では、本開示は、腫瘍溶解性ウイルスであって、1つ以上のマイクロRNA(miRNA)標的配列の1つ以上のコピーが1つ以上のウイルス遺伝子の遺伝子座に挿入される、腫瘍溶解性ウイルスを提供する。いくつかの実施形態では、1つ以上のウイルス遺伝子は、ウイルス複製に必要な必須ウイルス遺伝子である。いくつかの実施形態では、miRNA標的配列の挿入は、中枢神経系(CNS)の正常細胞におけるウイルス複製を制限し、それ故に、増強された安全性プロファイルを提供することができる。
【0142】
miRは、複数のがん型を含む広範囲の疾患状態において差次的に発現される。重要なことに、miRNAは、正常組織と比較してがん組織で差次的に発現し、それらを広範囲のがんの標的化メカニズムとして機能することを可能にする。発がん、悪性形質転換、または転移に(正または負のいずれかで)関連するmiRNAは、「oncomiR」として知られている。
【0143】
いくつかの態様では、特定のoncomiRの発現レベルは、特定のがんの発生または維持と正の関連がある。かかるmiRは、本明細書では「発がん性miR」と称される。いくつかの実施形態では、発がん性miRの発現は、がん性細胞もしくは組織において、非がん性対照細胞(すなわち、正常対照もしくは健常対照)で観察される発現レベルと比較して増加するか、または異なるがん型由来のがん性細胞で観察される発現レベルと比較して増加する。いくつかの実施形態では、発がん性miRの発現は、非がん性対照細胞または異なるがん型由来のがん性細胞における発がん性miRの発現と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、300%、400%、500%、1000%、またはそれ以上増加する。いくつかの態様では、がん性細胞または組織は、非がん性対照細胞または組織で発現されない発がん性miRを発現し得る。がん組織で頻繁に過剰発現される発がん性miRNAの例には、miR-21、miR-155、及びmiR-17-92が挙げられるが、これらに限定されない。発がん性miRの追加の例が表13に列記される。
【0144】
いくつかの態様では、特定のoncomiRの発現は、特定のがん及び/または転移の発生または維持と負の関連がある。かかるoncomiRは、それらの発現ががんの発生を予防または抑制するため、本明細書では「腫瘍抑制miR」または「腫瘍抑制性miR」と称される。いくつかの実施形態では、腫瘍抑制miRNAの発現は、がん性細胞もしくは組織において、非がん性対照細胞(すなわち、正常対象もしくは健常対照)で観察される発現レベルと比較して減少するか、または異なるがん型に由来するがん性細胞で観察される腫瘍抑制miRNAの発現レベルと比較して減少する。例えば、がん性細胞における腫瘍抑制miRNAの発現は、非がん性対照細胞または異なるがん種に由来するがん性細胞における腫瘍抑制miRNAの発現と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%減少し得る。いくつかの態様では、非がん性対照細胞は、がん性細胞で発現されない腫瘍抑制miRNAを発現し得る。腫瘍抑制性miRNAの例としては、miR-122、miR-184、miR-34a、let7a、miR-145-5p、miR-199a-5p、miR-451a、miR-125a、miR-125a-5p、miR-126-3p、miR-233-3p、miR-143-3p、miR-1-3p、miR-133a-3p、miR-127a-3p、miR-133b、miR-134-3p、miR-124、miR-101、miR-125b、miR-145、miR-559、miR-213、miR-31-5p、miR-205p、miR-15a、miR-16-1、miR-34、ならびにlet-7ファミリーのmiRNAが挙げられるが、これらに限定されない。腫瘍抑制性miRの追加の例が表12及び表14に列記される。
【0145】
がんの病原は、不均一な多遺伝子性プロセスである。したがって、特定の経路の活性化及び特定の遺伝子の発現は、ある状況ではがん発生をもたらす場合があり、異なる状況では活性化または発現されたときに明確に異なる結果または反対の結果をもたらす場合がある。したがって、特定の遺伝子またはmiRを「がん遺伝子」もしくは「発がん性miR」として、または「腫瘍抑制因子」もしくは「腫瘍抑制性miR」として特徴付けることは、二項区別ではなく、がん型に応じて異なる。例えば、1つのmiRNAの発現が特定のがんで増加し、そのがんの発生に関連し得る一方で、同じmiRNAの発現が別のがんで減少し、そのがんの発生の予防に関連し得る。しかしながら、いくつかのmiRNAは、がん型とは無関係に発がん性miRNAとして機能し得る。例えば、いくつかのmiRNAは、腫瘍抑制遺伝子のmRNA転写物を分解の標的とし、それにより、腫瘍抑制タンパク質の発現を低下させる。例えば、miR-152bは、大多数の血液悪性腫瘍で発がん性miRとして機能するが、多くの固形腫瘍では腫瘍抑制性miRとして機能する。更に、特定のmiRは、がん性細胞及び非がん性細胞の両方で高度に発現される場合がある。例えば、miR-155は、正常細胞で高度に発現され、マクロファージ極性化に重要な役割を果たすが、がん細胞でも高度に発現される。したがって、本明細書に記載のmiR減弱型、ゲノム編集、微小環境リモデリング腫瘍溶解性ウイルスの開発は、ある細胞集団または組織における別の細胞集団または組織と比較した特定のmiRまたはmiR群の差次的発現に基づく。当業者であれば、腫瘍抑制性miRという用語が、概して、がん性細胞または組織と比較して非がん性細胞または組織で高度に発現されるmiRを指すことを理解し、発がん性miRという用語が、概して、非がん性細胞または組織と比較してがん性細胞または組織で高度に発現されるmiRを指すことを理解するであろう。当業者であれば、あるがん型において腫瘍抑制性miRと特徴付けられたmiRが、別のがん型において腫瘍抑制性miRとして機能する場合も機能しない場合もあることを更に理解し、あるがん種において発がん性miRとして特徴付けられたmiRが、別のがん種において発がん性miRとして機能する場合も機能しない場合もあることを更に理解するであろう。
【0146】
表10は、12個の選択oncomiR(9個の腫瘍抑制miRNA及び3個の発がん性miRNA)と多数のがんとの間の関係を示す。3,410のoncomiR-がん関係のリストが表11に示される。miRNAは、細胞増殖及びアポトーシスの制御に関与するタンパク質の多くの転写物を調節する。調節されるタンパク質には、従来のがん原タンパク質、ならびにRas、Myc、Bcl2、PTEN、及びp53などの腫瘍抑制因子が含まれる。したがって、miRNAの異常発現は、多くの場合、がんの発生に関与し、発がん性miRNAを阻害するか、または枯渇した腫瘍抑制miRNAを置き換えるかのいずれかによって、治療的に修正することができる。更に、がん性細胞と非がん性細胞との間の特定のoncomiRの差次的発現は、がん治療薬をがん細胞に特異的に標的化する手段として利用することができる。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスベクターは、ウイルスゲノムへのmiRNA標的配列の挿入を含むことができ、それにより、ウイルスベクター複製をがん細胞または腫瘍細胞に制限する、及び/または1つ以上のポリヌクレオチドがウイルスゲノムに組み込まれ、それらの産物(複数可)が発がん性miRNAの機能を破壊する。
【0147】
本開示の一態様は、1つ以上の必須ウイルス遺伝子の遺伝子座に挿入された1つ以上のmiRNA標的配列の複数のコピーを含む組換え腫瘍溶解性ウイルス(またはウイルスベクター)を含む。ある特定の実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個の必須ウイルス遺伝子の遺伝子座に挿入されたmiRNA標的配列を含み得る。正常(非がん性)細胞で発現されるmiRNAは、かかる標的配列に結合し、miRNA標的配列を含むウイルス遺伝子の発現を抑制し、それにより、健常な非がん性細胞でのウイルス複製を制限することができる。かかる組換え腫瘍溶解性ウイルスは、それらが、miRを発現しないか、またはmiRの発現の低下を有する細胞と比較して、組み込まれたmiR標的配列に結合することができる1つ以上のmiRNAを発現する細胞において減少または減弱したウイルス複製を示すため、本明細書では「miR減弱型」または「複製制限型」と称される。ウイルス複製に必要な重要な遺伝子にmiRNA標的配列を組み込むことにより、ウイルス複製は、miRNAを発現する正常な二倍体細胞において条件付きで抑制され得、miRNAを発現しない細胞において正常に進行することができる。かかる実施形態では、正常な非がん性細胞は、本組換えウイルスベクターによって感染の溶解効果から保護される。
【0148】
ある特定の実施形態では、1つ以上のmiRNA標的配列は、1つ以上の必須ウイルス遺伝子の5’非翻訳領域(UTR)及び/または3’UTRに組み込まれる。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは単純ヘルペスウイルス(HSV)であり、ウイルス複製に必要なウイルス遺伝子には、UL1、UL5、UL6、UL7、UL8、UL9、UL11、UL12、UL14、UL15、UL17、UL18、UL19、UL20、UL22、UL25、UL26、UL26.5、UL27、UL28、UL29、UL30、UL31、UL32、UL33、UL34、UL35、UL36、UL37、UL38、UL39、UL40、UL42、UL48、UL49、UL52、UL53、UL54、ICP0、ICP4、ICP22、ICP27、ICP34.5、ICP47、ガンマ-34.5、US3、US4、US5、US6、US7、US8、US9、US10、US11、及び/またはUS12のうちのいずれかが含まれる。ある特定の実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスはHSVであり、1つ以上の必須ウイルス遺伝子の5’UTRまたは3’UTRに組み込まれる1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスはHSVであり、1つ以上のmiRNA標的配列が、ICP4、ICP27、UL8、UL42、UL19、及びICP34.5のうちの1つ以上に組み込まれる。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスはHSVであり、1つ以上のmiRNA標的配列が、ICP4、ICP27、UL8、UL42、UL19、及びICP34.5のうちの1つ以上の5’UTRまたは3’UTRに組み込まれる。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスはHSVであり、1つ以上のmiRNA標的配列が、ICP4、ICP8、ICP27、及びUL8のうちの1つ以上の5’UTRまたは3’UTRに組み込まれる。
【0149】
miRNA標的配列カセット
動物において、miRNAの遺伝子は、一次miRNA(pri-miRNA)に転写され、その後、クラス2 RNase III酵素であるDroshaによって核内でプロセシングされて、前駆体miRNA(pre-miRNA)ヘアピンを形成する。pre-miRNAヘアピンは細胞質に輸送され、そこで、RNase III酵素であるDicerによって切断される。このエンドリボヌクレアーゼは、ヘアピンの5’末端及び3’末端と相互作用し、3’アームと5’アームを連結するループを切断し、約22ヌクレオチド長の二本鎖RNA分子をもたらす。二本鎖のいずれかの鎖が機能的miRNAとして機能する可能性があり得るが、典型的には、miRNAの一本の鎖が分解され、一本の鎖のみがアルゴノート(Ago)タンパク質にロードされて、miRNAとそのmRNA標的が相互作用するエフェクターRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を産生する(Wahid et al.,1803:11,2010,1231-1243)。
【0150】
本明細書において、特定のmiRNAをコードする遺伝子は、miRNA番号が後に続く「MIR」として言及される。中間体ヘアピンpre-miRNA分子は、miRNA番号が後に続く「mir-」として言及され、成熟一本鎖miRNA分子は、miRNA番号が後に続く「miR-」として言及される。例えば、「MIR122」は、ヘアピンmir-122 pre-miRNA分子をコードする遺伝子を指し、その後、これが成熟miR-122分子にプロセシングされる。pre-miRNAのヘアピン構造により、2つの成熟マイクロRNAが同じpre-miRNAの反対側のアームに由来することが可能である。いくつかの事例では、発現データは、一方の鎖を主に発現されたmiRNAとして、他方の鎖を副産物として明確に識別する。かかる事例では、成熟miRNA配列には、miR-##(主産物)及びmiR-##*(前駆体の反対側のアーム由来の副産物)の形態の名称が割り当てられる。例えば、mir-56の主産物及び副産物は、それぞれ、miR-56及びmiR-56*として表される。既存のデータが、どの配列が優勢な配列であるかを決定するのに十分でない場合、またはそれらがおおよそ同様の量で見出される場合、2つの成熟miRNA産物は、miR-##-5p(pre-miRNAヘアピンの5’アーム由来)及びmiR-##-3p(pre-miRNAヘアピンの3’アーム由来)として表される。例えば、mir-142の2つの成熟miRNA産物は、miR-142-5p及びmiR-142-3pとして表される。それらがpre-miRNAヘアピンの反対側の末端に由来するため、特定のmiRNAの-3p産物及び-5p産物は、異なるRNA配列を含み、それ故に、異なる標的配列を認識する。
【0151】
本明細書において、miRNA標的配列は、「miR標的配列カセット」または「miR-TSカセット」の形態で、1つ以上の必須ウイルス遺伝子の遺伝子座に挿入される。1つ以上のmiRNA標的配列を含み、かつウイルス遺伝子の特定の遺伝子座に挿入することができるポリヌクレオチド配列を指すmiR-TSカセット。転写された場合、miR-TSカセットを含むウイルス遺伝子のmRNA転写物は、1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つのmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、複数のmiRNA標的配列を含む。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、またはそれ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも4つのmiRNAのmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、4つのmiRNAのmiRNA標的配列を含む。
【0152】
miR-TSカセットが2つ以上のmiRNA標的配列を含むいくつかの実施形態では、これらの2つ以上の標的配列は、miR-TSカセットの全長(m)が、miRNA標的配列の平均長さ(n)にカセット内のmiRNA標的配列の総数(y)を乗じた値+リンカー配列の平均長さ(l)にカセット内のmiRNA標的配列の総数+1(y+1)を乗じた値以下になるように配置される。したがって、miR-TSカセットの長さ(m)は、式:m≦(n×y)+(l×(y+1))で表すことができ、式中、nがmiRNA標的配列の平均長さであり、lがリンカー配列の平均長さであり、yがmiR-TSカセット内の標的配列の総数である)。例証的な例として、miR-TSカセットが平均長さ21nt(n)を有する4つのmiRNA標的配列(y)を含み、かつリンカー配列の平均長さが4~25nt(l)である場合、miR-TSカセットの長さ(m)は、約104nt~約205ntである。
【0153】
本明細書で使用される場合、miR-TSカセットの「長さ」は、任意の介在配列を含む、ポリヌクレオチド中の第1のmiR-TSの5’ヌクレオチドから最後のmiR-TSの3’ヌクレオチドまでのヌクレオチドの総数(二本鎖ポリヌクレオチドの塩基対)として定義される。重複しないmiR-TSの場合、miR-TSカセットの最小長さは、miR-TSの長さの合計である。スペーサーは、長さを増加させる。スペーサー長さの選択は、カセット内の追加のヌクレオチドの数を決定する。より長いスペーサーは、より短いスペーサーよりもカセットの長さを増加させる。miR-TSがインターリーブされたときにより短いスペーサー(0、1、2、3、4、5、または6ntの短さ)を使用することができる(互いに隣接する同じmiRNAのmi-TSの数を最小限に抑える)ことを認識することにより(インターリーブされたmiR-TSは他のmiR-TS間の空間を増加させる機能を果たす)、本発明者は、同じmiRNAのmiR-TSがタンデムで配列される、例えば、1つのタイプ4つの後に次のタイプ4つが続くmiR-TSカセットにおいて可能な長さよりも短いmiR-TSカセットを生成することが可能であると決定した。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットの長さは、1000nt未満である。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットの長さは、900nt未満、800nt未満、700nt未満、600nt未満、500nt未満、400nt未満、300nt未満、200nt未満、100nt未満、または50nt未満である。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットの長さは、400nt未満、390nt未満、380nt未満、370nt未満、360nt未満、350nt未満、340nt未満、330nt未満、または320nt未満である。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットの長さは、320nt未満である。
【0154】
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットの長さは、miR-TS部位の数の26、27、28、29、または30nt倍未満、miR-TS部位の数の約30nt倍未満、miR-TS部位の数の約35nt倍未満、またはmiR-TS部位の数の約40nt倍未満である。
【0155】
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、複数のmiRNA標的配列を含み、複数のmiRNA標的配列における各々のmiRNA標的配列は、同じmiRNAの標的配列である。例えば、miR-TSカセットは、同じmiR標的配列の2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のコピーを含み得る。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、同じmiR標的配列の2~6つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、同じmiR標的配列の4つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、同じmiR標的配列の3つのコピーを含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、複数のmiRNA標的配列を含み、複数のmiRNA標的配列は、少なくとも2つの異なるmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の異なるmiRNA標的配列を含む。例えば、いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、第1のmiRNA標的配列の1つ以上のコピー及び第2のmiRNA標的配列の1つ以上のコピーであり得る。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、第1のmiR標的配列の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のコピー、及び第2のmiR標的配列の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、第1のmiR標的配列の3つまたは4つのコピー、及び第2のmiR標的配列の3つまたは4つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、複数のmiRNA標的配列は、少なくとも3つの異なるmiRNA標的配列を含む。例えば、いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、第1のmiR標的配列の1つ以上のコピー、第2のmiR標的配列の1つ以上のコピー、及び第3のmiR標的配列の1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、第1のmiR標的配列の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のコピー、第2のmiR標的配列の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のコピー、及び第3のmiR標的配列の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、第1のmiR標的配列の3つまたは4つのコピー、第2のmiR標的配列の3つまたは4つのコピー、及び第3のmiR標的配列の3つまたは4つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、複数のmiRNA標的配列は、少なくとも4つの異なるmiRNA標的配列を含む。例えば、いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、第1のmiR標的配列の1つ以上のコピー、第2のmiR標的配列の1つ以上のコピー、第3のmiR標的配列の1つ以上のコピー、及び第4のmiR標的配列の1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、第1のmiR標的配列の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のコピー、第2のmiR標的配列の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のコピー、第3のmiR標的配列の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のコピー、及び第4のmiR標的配列の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、第1のmiR標的配列の3つまたは4つのコピー、第2のmiR標的配列の3つまたは4つのコピー、第3のmiR標的配列の3つまたは4つのコピー、及び第4のmiR標的配列の3つまたは4つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、第1のmiR標的配列の3つのコピー、第2のmiR標的配列の3つのコピー、第3のmiR標的配列の3つのコピー、及び第4のmiR標的配列の3つのコピーを含む。
【0157】
miR-TSカセットが複数のmiRNA標的配列を含むいくつかの態様では、複数のmiRNA標的配列は、介在核酸配列なしでタンデムで配置され得る。いくつかの態様では、複数のmiRNA標的配列は、リンカー配列によって分離され得る。いくつかの実施形態では、リンカー配列は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個、またはそれ以上のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカー配列は、約4~約20個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカー配列は約4~約16個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカー配列は、4個のヌクレオチドを含む。例証的な実施形態として、miR-TSカセットは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上の以下のサブユニット:(a)第1のmiRNA標的配列-リンカー-第2のmiRNA標的配列を含み得、ここで、隣接するサブユニットは、追加のリンカー配列によって分離される。いくつかの実施形態では、第1のmiRNA標的配列及び第2のmiRNA標的配列は、同じmiRNAの標的である。いくつかの実施形態では、第1のmiRNA標的配列及び第2のmiRNA標的配列は、異なるmiRNAの標的である。
【0158】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、配列番号1~803及び861~866から選択される配列の逆相補体と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なるmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、配列番号1~803及び861~866から選択される配列の逆相補体を含むか、またはそれからなるmiRNA標的配列を含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、配列番号804~837及び867~872のうちのいずれか1つを含むか、またはそれからなるmiRNA標的配列を含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-122-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-122-5p標的配列は、配列番号804と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-122-5p標的配列は、配列番号804を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP4に1つ以上のmiR-122-5p標的配列を含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-124-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-124-3p標的配列は、配列番号805と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-124-3p標的配列は、配列番号805を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP4に1つ以上のmiR-124-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP8に1つ以上のmiR-124-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP27に1つ以上のmiR-124-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP4及びICP8の両方に1つ以上のmiR-124-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP8及びICP27の両方に1つ以上のmiR-124-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP4及びICP27の両方に1つ以上のmiR-124-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP4、ICP8、及びICP27に1つ以上のmiR-124-3p標的配列を含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-125a-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-125a-5p標的配列は、配列番号806と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-125a-5p標的配列は、配列番号806を含むか、またはそれからなる。
【0163】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-126-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-126-3p標的配列は、配列番号807または配列番号808と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-126-3p標的配列は、配列番号807または配列番号808を含むか、またはそれからなる。
【0164】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-127a-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-127a-3p標的配列は、配列番号809と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-127a-3p標的配列は、配列番号809を含むか、またはそれからなる。
【0165】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-128-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-128-3p標的配列は、配列番号810または配列番号811と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-128-3p標的配列は、配列番号810または配列番号811を含むか、またはそれからなる。
【0166】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-129-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-129-3p標的配列は、配列番号812と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-129-3p標的配列は、配列番号812を含むか、またはそれからなる。
【0167】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-129-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-129-5p標的配列は、配列番号813と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-129-5p標的配列は、配列番号813を含むか、またはそれからなる。
【0168】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-130b-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-130b-3p標的配列は、配列番号814と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-130b-3p標的配列は、配列番号814を含むか、またはそれからなる。
【0169】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-130b-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-130b-5p標的配列は、配列番号815と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-130b-5p標的配列は、配列番号815を含むか、またはそれからなる。
【0170】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-133a-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-133a-3p標的配列は、配列番号816と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-133a-3p標的配列は、配列番号816を含むか、またはそれからなる。
【0171】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-133b-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-133b-3p標的配列は、配列番号817と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-133b-3p標的配列は、配列番号817を含むか、またはそれからなる。
【0172】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-134-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-134-3p標的配列は、配列番号818と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-134-3p標的配列は、配列番号818を含むか、またはそれからなる。
【0173】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-137-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-137-3p標的配列は、配列番号819と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-137-3p標的配列は、配列番号819を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP4に1つ以上のmiR-137-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP27に1つ以上のmiR-137-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP4及びICP27に1つ以上のmiR-137-3p標的配列を含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-1-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-1-3p標的配列は、配列番号820と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-1-3p標的配列は、配列番号820を含むか、またはそれからなる。
【0175】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-143-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-143-3p標的配列は、配列番号821と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-143-3p標的配列は、配列番号821を含むか、またはそれからなる。
【0176】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-145-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-145-3p標的配列は、配列番号822と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-145-3p標的配列は、配列番号822を含むか、またはそれからなる。
【0177】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-145-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-145-5p標的配列は、配列番号823と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-145-5p標的配列は、配列番号823を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、UL8に1つ以上のmiR-145-5p標的配列を含む。
【0178】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-184-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-184-3p標的配列は、配列番号824と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-184-3p標的配列は、配列番号824を含むか、またはそれからなる。
【0179】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-199a-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-199a-3p標的配列は、配列番号825と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-199a-3p標的配列は、配列番号825を含むか、またはそれからなる。
【0180】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-199a-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-199a-5p標的配列は、配列番号826と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-199a-5p標的配列は、配列番号826を含むか、またはそれからなる。
【0181】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-204-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-204-5p標的配列は、配列番号827と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-204-5p標的配列は、配列番号827を含むか、またはそれからなる。
【0182】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-208b-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-208b-3p標的配列は、配列番号828と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-208b-3p標的配列は、配列番号828を含むか、またはそれからなる。
【0183】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-214-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-214-3p標的配列は、配列番号829と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-214-3p標的配列は、配列番号829を含むか、またはそれからなる。
【0184】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-217-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-217-5p標的配列は、配列番号830と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-217-5p標的配列は、配列番号830を含むか、またはそれからなる。
【0185】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-219a-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-219a-5p標的配列は、配列番号831と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-219a-5p標的配列は、配列番号831を含むか、またはそれからなる。
【0186】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-223-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-223-3p標的配列は、配列番号832と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-223-3p標的配列は、配列番号832を含むか、またはそれからなる。
【0187】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-34a-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-34a-5p標的配列は、配列番号833と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-34a-5p標的配列は、配列番号833を含むか、またはそれからなる。
【0188】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-451a標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-451a標的配列は、配列番号834と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-451a標的配列は、配列番号834を含むか、またはそれからなる。
【0189】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-559-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-559-5p標的配列は、配列番号835と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-559-5p標的配列は、配列番号835を含むか、またはそれからなる。
【0190】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-Let-7a-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-Let-7a-5p標的配列は、配列番号836と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-Let-7a-5p標的配列は、配列番号836を含むか、またはそれからなる。
【0191】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-9-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-9-5p標的配列は、配列番号837と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-9-5p標的配列は、配列番号837を含むか、またはそれからなる。
【0192】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-34b-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-34b-5p標的配列は、配列番号867と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-34b-5p標的配列は、配列番号867を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、UL8に1つ以上のmiR-34b-5p標的配列を含む。
【0193】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-34b-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-34b-3p標的配列は、配列番号868と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-34b-3p標的配列は、配列番号868を含むか、またはそれからなる。
【0194】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-34c-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-34c-5p標的配列は、配列番号869と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-34c-5p標的配列は、配列番号869を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP8に1つ以上のmiR-34c-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP27に1つ以上のmiR-34c-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、UL8に1つ以上のmiR-34c-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP8及びICP27に1つ以上のmiR-34c-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP27及びUL8に1つ以上のmiR-34c-5p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP8及びUL8に1つ以上のmiR-34c-5p標的配列を含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-128T標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-128T標的配列は、配列番号870と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-128T標的配列は、配列番号870を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP4に1つ以上のmiR-128T標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP27に1つ以上のmiR-128T標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP4及びICP27に1つ以上のmiR-128T標的配列を含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-129-2-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-129-2-3p標的配列は、配列番号871と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-129-2-3p標的配列は、配列番号871を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP8に1つ以上のmiR-129-2-3p標的配列を含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのmiR-132-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-132-3p標的配列は、配列番号872と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-132-3p標的配列は、配列番号872を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP8に1つ以上のmiR-132-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、UL8に1つ以上のmiR-132-3p標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスは、ICP8及びUL8に1つ以上のmiR-132-3p標的配列を含む。
【0198】
以下の表2は、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスにおけるmiRNA標的配列に結合することができる例示的なmiRNAの配列を提供する。追加のmiRNA配列が配列番号33~803に提供される。
【表2-1】
【表2-2】
【0199】
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、カセットがウイルス遺伝子の遺伝子座に挿入されることを可能にする1つ以上の追加のポリヌクレオチド配列を含む。例えば、miR-TSカセットは、ウイルスゲノム内の所望の位置で核酸配列に相補的な5’末端及び3’末端上に短いポリヌクレオチド配列を更に含み得る。かかる配列は、本明細書では「相同性アーム」と称され、ウイルスゲノム内の特定の位置へのmiR-TSカセットの挿入を容易にする。
【0200】
いくつかの実施形態では、開示されるmiR-TSカセットは、異なるmiRNAに各々対応する2つ以上の複数のmiR-TSを含み、miR-TSは、腫瘍溶解性ウイルスから多様な細胞型または臓器を保護するように選択される。いくつかの実施形態では、複数のmiR-TSは、互いにタンデムではなくインターリーブされる。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、短い(例えば、4~15nt長の)スペーサーを有し、よりコンパクトなカセットになる。いくつかの実施形態では、スペーサーは、4nt長である。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-TSの活性を阻害するRNA二次構造を有しない(またはRNA二次構造の減少を有する)。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、発がん、悪性形質転換、または転移に関連するmiRNA(すなわち、「oncomiR」)のシード配列を含まない(またはシード配列の減少を有する)。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、ポリアデニル化部位を含まない(またはポリアデニル化部位の減少を有する)。
【0201】
miR-TSカセットを含む腫瘍溶解性ウイルス
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、1つの必須ウイルス遺伝子の遺伝子座に組み込まれた1つのmiR-TSカセットを含み得、miR-TSカセットは、組換え腫瘍溶解性ウイルスが1つの必須ウイルス遺伝子座に組み込まれた複数のmiRNA標的配列を含むように、複数のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、複数のmiRNA標的配列を含み得、複数のmiRNA標的配列は各々、組換え腫瘍溶解性ウイルスが必須ウイルス遺伝子の遺伝子座に組み込まれた同じmiRNA標的配列の複数の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上の)コピーを含むように、同じmiRNAの標的である。例えば、いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性HSVは、ICP4、ICP27、ICP8、ICP22、ICP34.5、UL5、UL8、UL9、UL30、UL39/40、またはUL42のうちの1つに挿入された2、3、4、5、6、またはそれ以上の標的配列を含むmiR-TSカセットを含み得る。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性HSVは、ICP8、ICP22、ICP34.5、UL5、UL8、UL9、UL30、UL39/40、またはUL42のうちの1つに挿入された2、3、4、またはそれ以上の標的配列を含むmiR-TSカセットを含み得る。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性HSVは、ICP4、ICP27、ICP34.5、UL8、またはUL9のうちの1つに挿入された2、3、4、5、6、またはそれ以上の標的配列を含むmiR-TSカセットを含み得る。
【0202】
いくつかの実施形態では、複数のmiRNA標的配列は、組換え腫瘍溶解性ウイルスが必須ウイルス遺伝子の遺伝子座に組み込まれた少なくとも2、3、または4つの異なるmiRNA標的配列の1つ以上のコピーを含むように、少なくとも2つの異なるmiRNA標的配列、少なくとも3つの異なるmiRNA標的配列、または少なくとも4つの異なるmiRNA標的配列を含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルスゲノムの3’または5’非翻訳領域(UTR)に組み込まれた1つのmiR-TSカセットを含み得る。かかる実施形態では、miR-TSカセットは、組換え腫瘍溶解性ウイルスがウイルスゲノムの3’UTRまたは5’UTRに組み込まれたmiRNA標的配列の1つのコピーを含むように、miRNA標的配列の1つのコピーを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、組換えHSVは、ウイルス遺伝子の3’UTRまたは5’UTRに挿入されたmiR-TSカセットを含み得る。
【0204】
いくつかの態様では、複数のmiRNA標的配列は、組換え腫瘍溶解性ウイルスがウイルス遺伝子の3’UTRまたは5’UTRに組み込まれた少なくとも2、3、または4つの異なるmiRNA標的配列の1つ以上のコピーを含むように、少なくとも2つの異なるmiRNA標的配列、少なくとも3つの異なるmiRNA標的配列、または少なくとも4つの異なるmiRNA標的配列を含む。
【0205】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、2つ以上の必須ウイルス遺伝子の遺伝子座に組み込まれたmiR-TSカセットを含み得る。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスはHSVであり、2つ以上の必須ウイルス遺伝子は、ICP4、ICP27、ICP8、ICP22、ICP34.5、UL5、UL8、UL9、UL30、UL39/40、またはUL42からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスはHSVであり、2つ以上の必須ウイルス遺伝子は、ICP8、ICP22、ICP34.5、UL5、UL8、UL9、UL30、UL39/40、またはUL42からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスはHSVであり、2つ以上の必須ウイルス遺伝子は、ICP4、ICP27、ICP34.5、UL8、またはUL9からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスはHSVであり、2つ以上の必須ウイルス遺伝子は、ICP27、ICP4、ICP34.5、UL8、及びUL42からなる群から選択される。
【0206】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ヘルペスウイルスは、ICP4、ICP8、ICP27、及びUL8から選択される1つ以上のウイルス遺伝子の遺伝子座に組み込まれたmiR-TSカセットを含み得る。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ヘルペスウイルスは、ICP4、ICP8、ICP27、及びUL8から選択される2つ以上のウイルス遺伝子の遺伝子座に組み込まれたmiR-TSカセットを含み得る。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ヘルペスウイルスは、ICP4、ICP8、ICP27、及びUL8から選択される3つ以上のウイルス遺伝子の遺伝子座に組み込まれたmiR-TSカセットを含み得る。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ヘルペスウイルスは、ウイルス遺伝子ICP4、ICP8、ICP27、及びUL8の全ての遺伝子座に組み込まれたmiR-TSカセットを含み得る。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ヘルペスウイルスは、ウイルス遺伝子ICP4及びICP8の各々の遺伝子座に組み込まれたmiR-TSカセットを含み得る。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ヘルペスウイルスは、ICP4の両方のコピーに組み込まれたmiR-TSカセットを含み得る。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ヘルペスウイルスは、組換え単純ヘルペスウイルス(HSV)である。
【0207】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、miR-34b-5p、miR-34b-3p、miR-34c-5p、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-129-5p、miR-129-2-3p、miR-132-3p、miR-137-3p、miR-145-5p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、miR-34b-5p、miR-34b-3p、miR-34c-5p、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-129-5p、miR-129-2-3p、miR-132-3p、miR-137-3p、及びmiR-145-5pの1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-129-2-3p、miR-132-3p、miR-137-3p、miR-145-5p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-129-2-3p、miR-132-3p、miR-137-3p、及びmiR-145-5pの1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-137-3p、miR-34c-5p、miR-129-2-3p、miR-132-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-137-3p、miR-34c-5p、miR-129-2-3p、及びmiR-132-3pの1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、組換え単純ヘルペスウイルス(HSV)である。
【0208】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、脳内の正常細胞よりも神経膠芽腫細胞で低い発現を有するmiRNAの1つ以上のmiRNA標的配列を含む。かかるmiRNAの非限定的な例が以下の表3に列記される。
【表3】
【0209】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、神経細胞よりも神経膠芽腫細胞でより低い発現を有するmiRNAの1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、かかるmiRNAは、miR-124-3p、miR-128T、miR-137-3p、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、かかるmiRNAは、miR-124-3p、miR-128T、及びmiR-137-3pを含む。
【0210】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、上衣細胞よりも神経膠芽腫細胞でより低い発現を有するmiRNAの1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、かかるmiRNAは、miR-34b-5p、miR-34b-3p、miR-34c-5p、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、かかるmiRNAは、miR-34b-5p、miR-34c-5p、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、かかるmiRNAは、miR-34b-5p及びmiR-34c-5pを含む。
【0211】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、乏突起膠細胞よりも神経膠芽腫細胞でより低い発現を有するmiRNAの1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、かかるmiRNAは、miR-129-5p、miR-129-2-3p、miR-132-3p、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、かかるmiRNAは、miR-129-2-3p、miR-132-3p、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、かかるmiRNAは、miR-129-2-3p及びmiR-132-3pを含む。
【0212】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、星状膠細胞よりも神経膠芽腫細胞でより低い発現を有するmiRNAの1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、かかるmiRNAは、miR-34b-5p、miR-34b-3p、miR-145-5p、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0213】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、内皮細胞よりも神経膠芽腫細胞でより低い発現を有するmiRNAの1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、かかるmiRNAは、miR-145-5pを含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、肝細胞よりも神経膠芽腫細胞でより低い発現を有するmiRNAの1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、かかるmiRNAは、miR-122-5pを含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、
(a)miR-122-5pの1つ以上のmiRNA標的配列、
(b)miR-145-5pの1つ以上のmiRNA標的配列、
(c)miR-124-3p、miR-128T、miR-137-3p、もしくはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、
(d)miR-34b-5p、miR-34c-5p、もしくはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、
(e)miR-129-2-3p、miR-132-3p、もしくはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、または
(f)(a)~(e)の任意の組み合わせを含む。
【0216】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、
(a)miR-34c-5pの1つ以上のmiRNA標的配列、
(b)miR-129-5p、miR-129-2-3p、miR-132-3p、もしくはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、
(c)miR-34b-5p、miR-34b-3p、miR-145-5p、もしくはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、
(d)miR-124-3p、miR-128T、miR-137-3p、もしくはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、または
(e)(a)~(d)の任意の組み合わせを含む。
【0217】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、
(a)miR-34b-5p、miR-34b-3p、miR-34c-5p、もしくはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、
(b)miR-129-5p、miR-129-2-3p、miR-132-3p、もしくはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、
(c)miR-124-3p、miR-128T、miR-137-3p、もしくはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、または
(d)(a)~(c)の任意の組み合わせを含む。
【0218】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、
(a)miR-122-5pの1つ以上のmiRNA標的配列、
(b)miR-145-5pの1つ以上のmiRNA標的配列、
(c)miR-124-3p、miR-128T、miR-137-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、
(d)miR-34b-5p、miR-34c-5p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、及び
(e)miR-129-2-3p、miR-132-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、
(a)miR-34c-5pの1つ以上のmiRNA標的配列、
(b)miR-129-5p、miR-129-2-3p、miR-132-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、
(c)miR-34b-5p、miR-34b-3p、miR-145-5p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、及び
(d)miR-124-3p、miR-128T、miR-137-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、
(a)miR-34b-5p、miR-34b-3p、miR-34c-5p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、
(b)miR-129-5p、miR-129-2-3p、miR-132-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、及び
(d)miR-124-3p、miR-128T、miR-137-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含む。
【0221】
いくつかの実施形態では、標的配列は、正常な脳組織で発現されるが、腫瘍組織(例えば、神経膠芽腫)では発現されないmiRNAに対するものである。いくつかの実施形態では、miRNAは、脳内、例えば、神経細胞、乏突起膠細胞、上衣細胞、及び/または内皮細胞で広範に発現される。いくつかの実施形態では、miRNA標的配列は、1つ以上のウイルス遺伝子に挿入される。いくつかの実施形態では、ウイルス遺伝子(複数可)は、RNA干渉に対するそれらの感受性に基づいて選択された。かかるウイルス遺伝子(複数可)をスクリーニング及び選択するための方法の説明は、例えば、米国特許出願公開第2020/0206285号で見つけることができ、その内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、RNA干渉に感受性のある候補ウイルス遺伝子(複数可)から、ウイルス複製に必須のウイルス遺伝子(複数可)を、miRNA標的配列(複数可)を挿入するために選択した。いくつかの実施形態では、ウイルス遺伝子(複数可)は、ウイルスゲノムの複製前に、ウイルスライフサイクルの初期に発現された。いくつかの実施形態では、1つの特定のmiRNAの標的配列を2つ以上のウイルス遺伝子(例えば、2つの異なる必須ウイルス遺伝子)に挿入して、そのmiRNAの高発現を有する対応する正常細胞の保護のためにより深いカバレッジを確実にする。
【0222】
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34c-5p、miR-124-3p、miR-129-2-3p、miR-132-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34c-5pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-124-3pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-129-2-3pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-132-3pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34c-5p、miR-124-3p、miR-129-2-3p、及びmiR-132-3pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、本組換えHSVのICP8ウイルス遺伝子に組み込まれる。いくつかの実施形態では、miR-TSカセット内のmiRNA標的配列は、以下のように配置される:
(34c-5p)-(124-3p)-(132-3p)-(129-2-3p)-(34c-5p)-(124-3p)-(129-2-3p)-(132-3p)-(124-3p)-(129-2-3p)-(132-3p)-(34c-5p)。
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、配列番号859と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、配列番号859のポリヌクレオチド配列を含む。
【0223】
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-137-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-122-5pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-124-3pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-128Tの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-137-3pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、及びmiR-137-3pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、本組換えHSVのICP4ウイルス遺伝子に組み込まれる。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、ウイルスゲノム中のICP4ウイルス遺伝子の両方のコピーに組み込まれる。いくつかの実施形態では、miR-TSカセット内のmiRNA標的配列は、以下のように配置される:
(137-3p)-(128T)-(122-5p)-(124-3p)-(122-5p)-(128T)-(137-3p)-(124-3p)-(128T)-(137-3p)-(124-3p)-(122-5p)。
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、配列番号858と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、配列番号858のポリヌクレオチド配列を含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34c-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-137-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34c-5pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-124-3pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-128Tの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-137-3pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34c-5p、miR-124-3p、miR-128T、及びmiR-137-3pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、本組換えHSVのICP27ウイルス遺伝子に組み込まれる。いくつかの実施形態では、miR-TSカセット内のmiRNA標的配列は、以下のように配置される:
(124-3p)-(128T)-(34c-5p)-(137-3p)-(128T)-(34c-5p)-(137-3p)-(124-3p)-(128T)-(137-3p)-(124-3p)-(34c-5p)。
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、配列番号873と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、配列番号873のポリヌクレオチド配列を含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34b-3p、miR-34c-5p、miR-128T、miR-137-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34b-3pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34c-5pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-128Tの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-137-3pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34b-3p、miR-34c-5p、miR-128T、及びmiR-137-3pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、本組換えHSVのICP27ウイルス遺伝子に組み込まれる。いくつかの実施形態では、miR-TSカセット内のmiRNA標的配列は、以下のように配置される:
(34b-3p)-(128T)-(137-3p)-(34c-5p)-(128T)-(34b-3p)-(137-3p)-(34c-5p)-(137-3p)-(34b-3p)-(128T)-(34c-5p)。
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、配列番号860と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、配列番号860のポリヌクレオチド配列を含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-132-3p、miR-145-5p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34b-5pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34c-5pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-132-3pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-145-5pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-132-3p、及びmiR-145-5pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、本組換えHSVのUL8ウイルス遺伝子に組み込まれる。いくつかの実施形態では、miR-TSカセット内のmiRNA標的配列は、以下のように配置される:
(145-5p)-(34b-5p)-(132-3p)-(34c-5p)-(145-5p)-(34c-5p)-(34b-5p)-(132-3p)-(34b-5p)-(145-5p)-(132-3p)-(34c-5p)。
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、配列番号874と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、配列番号874のポリヌクレオチド配列を含む。
【0227】
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-129-5p、miR-145-5p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34b-5pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34c-5pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-129-5pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-145-5pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-129-5p、及びmiR-145-5pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、本組換えHSVのUL8ウイルス遺伝子に組み込まれる。
【0228】
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-132-3p、miR-145-5p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34b-5pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34c-5pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-132-3pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-145-5pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-132-3p、及びmiR-145-5pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、本組換えHSVのUL8ウイルス遺伝子に組み込まれる。
【0229】
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34b-3p、miR-34c-5p、miR-132-3p、miR-145-5p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34b-3pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34c-5pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-132-3pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-145-5pの標的配列の少なくとも1、2、または3つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34b-3p、miR-34c-5p、miR-132-3p、及びmiR-145-5pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、本組換えHSVのUL8ウイルス遺伝子に組み込まれる。
【0230】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR減弱型腫瘍溶解性ウイルスは、組み込まれたmiR標的配列のうちの1つ以上に結合することができるmiRを発現する細胞におけるウイルス複製の減少をもたらす。「ウイルス複製」とは、所与の時間内に特定の細胞または細胞集団に生じるウイルス複製サイクルの総数を指す。いくつかの実施形態では、ウイルス複製は、所与の時間量にわたって存在する総ウイルス力価を評価することによって、または存在するウイルスゲノムコピーの数を評価することによって(例えば、配列決定することによって)直接測定することができる。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、蛍光レポーターなどの検出可能な標識を追加で含み得る。かかる実施形態では、ウイルス複製は、レポーター遺伝子の蛍光強度またはレポーター遺伝子を発現する細胞の数を測定することによって評価することができる。いくつかの実施形態では、ウイルス複製は、所与の時間にわたって生存細胞の数を評価することによって間接的に測定することができる。例えば、ウイルス複製のレベルは、経時的な生存細胞の数と逆相関すると想定されるであろう。
【0231】
本明細書で使用される「ウイルス複製の減少」とは、第2の細胞または第2の細胞集団と比較して、第1の細胞または第1の細胞集団でより低いウイルス複製のレベルを指す。いくつかの実施形態では、第1の細胞または第1の細胞集団におけるウイルス複製のレベルは、第2の細胞または細胞集団におけるウイルス複製のレベルと比較して、少なくとも5%低下する。いくつかの実施形態では、第1の細胞または第1の細胞集団におけるウイルス複製のレベルは、第2の細胞または細胞集団におけるウイルス複製のレベルと比較して、少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上低下する。いくつかの実施形態では、第1の細胞または第1の細胞集団におけるウイルス複製は、第2の細胞または細胞集団におけるウイルス複製と比較して、完全に阻害される。
【0232】
いくつかの実施形態では、第1の細胞または第1の細胞集団におけるウイルス複製の減少は、複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子に組み込まれた1つ以上のmiR標的配列に結合することができるmiRの発現と相関する。したがって、いくつかの実施形態では、組み込まれたmiR標的配列に対応するmiRの発現は、複製遺伝子の発現を阻害するか、または減少させ、それにより、ウイルス複製を阻害するか、または減少させる。いくつかの実施形態では、第2の細胞または第2の細胞集団は、miRを発現しないか、またはmiRの発現レベルの低下を有する。いくつかの実施形態では、組み込まれたmiR標的配列に対応するmiRの(例えば、がん細胞における)発現の欠如または低下は、ウイルス複製の進行を可能にする。いくつかの実施形態では、第2の細胞または細胞集団におけるmiRの発現レベルは、第1の細胞または集団におけるmiRの発現レベルよりも少なくとも5%低い。いくつかの実施形態では、第2の細胞または細胞集団におけるmiRの発現レベルは、第1の細胞または集団におけるmiRの発現レベルと比較して、少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上減少する。いくつかの実施形態では、第2の細胞は、miRを発現しない。特定の実施形態では、第1の細胞は、非がん性細胞であり、第2の細胞は、がん性細胞である。
【0233】
いくつかの実施形態では、複製制限ウイルスベクター(例えば、miR減弱型ウイルスベクター)は、神経膠芽腫を治療するために使用される。
【0234】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルス複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子の5’UTRまたは3’UTRに挿入された、miR-136-3p、miR-432-5p、miR-1-3p、miR-127-3p、miR-379-5p、miR-493-5p、miR-223-5p、miR-223-5p、miR-136-5p、miR-451a、miR-487b-3p、miR-370-3p、miR-410-3p、miR-431-3p、miR-4485-3p、miR-4485-5p、miR-127-5p、miR-409-3p、miR-338-3p、miR-559、miR-411-5p、miR-133a-5p、miR-143-3p、miR-376b-3p、miR-758-3p、miR-1、miR-101、miR-1180、miR-1236、miR-124-3p、miR-125b、miR-126、miR-1280、miR-133a、miR-133b、miR-141、miR-143、miR-144、miR-145、miR-155、miR-16、miR-18a、miR-192、miR-195、miR-200a、miR-200b、miR-200c、miR-203、miR-205、miR-214、miR-218、miR-23b、miR-26a、miR-29c、miR-320c、miR-34a、miR-370、miR-409-3p、miR-429、miR-451、miR-490-5p、miR-493、miR-576-3p、及び/またはmiR-99aの1つ以上のmiRNA標的配列の複数のコピーを含む。この腫瘍溶解性ウイルスは、膀胱癌を治療するための方法及び組成物に使用され得る。
【0235】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルス複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子の5’UTRまたは3’UTRに挿入された、miR-1251-5p、miR-219a-5p、miR-219a-2-3p、miR-124-3p、miR-448、miR-138-2-3p、miR-490-5p、miR-129-1-3p、miR-1264、miR-3943、miR-490-3p、miR-383-5p、miR-133b、miR-129-2-3p、miR-128-2-5p、miR-133a-3p、miR-129-5p、miR-1-3p、miR-885-3p、miR-124-5p、miR-759、miR-7158-3p、miR-770-5p、miR-135a-5p、miR-885-5p、let-7g-5p、miR-100、miR-101、miR-106a、miR-124、miR-124a、miR-125a、miR-125a-5p、miR-125b、miR-127-3p、miR-128、miR-129、miR-136、miR-137、miR-139-5p、miR-142-3p、miR-143、miR-145、miR-146b-5p、miR-149、miR-152、miR-153、miR-195、miR-21、miR-212-3p、miR-219-5p、miR-222、miR-29b、miR-31、miR-3189-3p、miR-320、miR-320a、miR-326、miR-330、miR-331-3p、miR-340、miR-342、miR-34a、miR-376a、miR-449a、miR-483-5p、miR-503、miR-577、miR-663、miR-7、miR-7-5p、miR-873、let-7a、let-7f、miR-107、miR-122、miR-124-5p、miR-139、miR-146a、miR-146b、miR-15b、miR-16、miR-181a、miR-181a-1、miR-181a-2、miR-181b、miR-181b-1、miR-181b-2、miR-181c、miR-181d、miR-184、miR-185、miR-199a-3p、miR-200a、miR-200b、miR-203、miR-204、miR-205、miR-218、miR-23b、miR-26b、miR-27a、miR-29c、miR-328、miR-34c-3p、miR-34c-5p、miR-375、miR-383、miR-451、miR-452、miR-495、miR-584、miR-622、miR-656、miR-98、miR-124-3p、miR-181b-5p、miR-200b、及び/またはmiR-3189-3pの1つ以上のmiRNA標的配列の複数のコピーを含む。この腫瘍溶解性ウイルスは、脳癌を治療するための方法及び組成物に使用され得る。ある特定の実施形態では、脳癌は、星細胞腫、神経膠芽腫、または神経膠腫である。
【0236】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルス複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子の5’UTRまたは3’UTRに挿入された、miR-10b-5p、miR-126-3p、miR-145-3p、miR-451a、miR-199b-5p、miR-5683、miR-3195、miR-3182、miR-1271-5p、miR-204-5p、miR-409-5p、miR-136-5p、miR-514a-5p、miR-559、miR-483-3p、miR-1-3p、miR-6080、miR-144-3p、miR-10b-3p、miR-6130、miR-6089、miR-203b-5p、miR-4266、miR-4327、miR-5694、miR-193b、let-7a、let-7a-1、let-7a-2、let-7a-3、let-7b、let-7c、let-7d、let-7e、let-7f-1、let-7f-2、let-7g、let-7i、miR-100、miR-107、miR-10a、miR-10b、miR-122、miR-124、miR-1258、miR-125a-5p、miR-125b、miR-126、miR-127、miR-129、miR-130a、miR-132、miR-133a、miR-143、miR-145、miR-146a、miR-146b、miR-147、miR-148a、miR-149、miR-152、miR-153、miR-15a、miR-16、miR-17-5p、miR-181a、miR-1826、miR-183、miR-185、miR-191、miR-193a-3p、miR-195、miR-199b-5p、miR-19a-3p、miR-200a、miR-200b、miR-200c、miR-205、miR-206、miR-211、miR-216b、miR-218、miR-22、miR-26a、miR-26b、miR-300、miR-30a、miR-31、miR-335、miR-339-5p、miR-33b、miR-34a、miR-34b、miR-34c、miR-374a、miR-379、miR-381、miR-383、miR-425、miR-429、miR-450b-3p、miR-494、miR-495、miR-497、miR-502-5p、miR-517a、miR-574-3p、miR-638、miR-7、miR-720、miR-873、miR-874、miR-92a、miR-98、miR-99a、mmu-miR-290-3p、及び/またはmmu-miR-290-5pの1つ以上のmiRNA標的配列の複数のコピーを含む。この腫瘍溶解性ウイルスは、乳癌を治療するための方法及び組成物に使用され得る。
【0237】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルス複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子の5’UTRまたは3’UTRに挿入された、miR-143、miR-145、miR-17-5p、miR-203、miR-214、miR-218、miR-335、miR-342-3p、miR-372、miR-424、miR-491-5p、miR-497、miR-7、miR-99a、miR-99b、miR-100、miR-101、miR-15a、miR-16、miR-34a、miR-886-5p、miR-106a、miR-124、miR-148a、miR-29a、及び/またはmiR-375の1つ以上のmiRNA標的配列の複数のコピーを含む。この腫瘍溶解性ウイルスは、子宮頸癌を治療するための方法及び組成物に使用され得る。
【0238】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルス複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子の5’UTRまたは3’UTRに挿入された、miR-133a-5p、miR-490-5p、miR-124-3p、miR-137、miR-655-3p、miR-376c-3p、miR-369-5p、miR-490-3p、miR-432-5p、miR-487b-3p、miR-342-3p、miR-223-3p、miR-136-3p、miR-136-3p、miR-143-5p、miR-1-3p、miR-214-3p、miR-143-3p、miR-199a-3p、miR-199b-3p、miR-451a、miR-127-3p、miR-133a-3p、miR-145-5p、miR-145-3p、miR-199a-5p、let-7a-1、let-7a-2、let-7a-3、let-7b、let-7c、let-7d、let-7e、let-7f-1、let-7f-2、let-7g、let-7i、miR-100、miR-101、miR-126、miR-142-3p、miR-143、miR-145、miR-192、miR-200c、miR-21、miR-214、miR-215、miR-22、miR-25、miR-302a、miR-320、miR-320a、miR-34a、miR-34c、miR-365、miR-373、miR-424、miR-429、miR-455、miR-484、miR-502、miR-503、miR-93、miR-98、miR-186、miR-30a-5p、miR-627、let-7a、miR-1、miR-124、miR-125a、miR-129、miR-1295b-3p、miR-1307、miR-130b、miR-132、miR-133a、miR-133b、miR-137、miR-138、miR-139、miR-139-5p、miR-140-5p、miR-148a、miR-148b、miR-149、miR-150-5p、miR-154、miR-15a、miR-15b、miR-16、miR-18a、miR-191、miR-193a-5p、miR-194、miR-195、miR-196a、miR-198、miR-199a-5p、miR-203、miR-204-5p、miR-206、miR-212、miR-218、miR-224、miR-24-3p、miR-26b、miR-27a、miR-28-3p、miR-28-5p、miR-29b、miR-30a-3p、miR-30b、miR-328、miR-338-3p、miR-342、miR-345、miR-34a-5p、miR-361-5p、miR-375、miR-378、miR-378a-3p、miR-378a-5p、miR-409-3p、miR-422a、miR-4487、miR-483、miR-497、miR-498、miR-518a-3p、miR-551a、miR-574-5p、miR-625、miR-638、miR-7、miR-96-5p、miR-202-3p、miR-30a、及び/またはmiR-451の1つ以上のmiRNA標的配列の複数コピーを含む。この腫瘍溶解性ウイルスは、結腸癌または大腸癌を治療するための方法及び組成物に使用され得る。
【0239】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルス複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子の5’UTRまたは3’UTRに挿入された、miR-101、miR-130a、miR-130b、miR-134、miR-143、miR-145、miR-152、miR-205、miR-223、miR-301a、miR-301b、miR-30c、miR-34a、miR-34c、miR-424、miR-449a、miR-543、及び/またはmiR-34bの1つ以上のmiRNA標的配列の複数のコピーを含む。この腫瘍溶解性ウイルスは、子宮内膜癌を治療するための方法及び組成物に使用され得る。
【0240】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルス複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子の5’UTRまたは3’UTRに挿入された、miR-125b、miR-138、miR-15a、miR-15b、miR-16、miR-16-1、miR-16-1-3p、miR-16-2、miR-181a、miR-181b、miR-195、miR-223、miR-29b、miR-34b、miR-34c、miR-424、miR-10a、miR-146a、miR-150、miR-151、miR-155、miR-2278、miR-26a、miR-30e、miR-31、miR-326、miR-564、miR-27a、let-7b、miR-124a、miR-142-3p、let-7c、miR-17、miR-20a、miR-29a、miR-30c、miR-720、miR-107、miR-342、miR-34a、miR-202、miR-142-5p、miR-29c、miR-145、miR-193b、miR-199a、miR-214、miR-22、miR-137、及び/またはmiR-197の1つ以上のmiRNA標的配列の複数のコピーを含む。この腫瘍溶解性ウイルスは、血液癌を治療するための方法及び組成物に使用され得る。いくつかの実施形態では、血液癌は、白血病、リンパ腫、または骨髄腫である。
【0241】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルス複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子の5’UTRまたは3’UTRに挿入された、miR-1、miR-145、miR-1826、miR-199a、miR-199a-3p、miR-203、miR-205、miR-497、miR-508-3p、miR-509-3p、let-7a、let-7d、miR-106a*、miR-126、miR-1285、miR-129-3p、miR-1291、miR-133a、miR-135a、miR-138、miR-141、miR-143、miR-182-5p、miR-200a、miR-218、miR-28-5p、miR-30a、miR-30c、miR-30d、miR-34a、miR-378、miR-429、miR-509-5p、miR-646、miR-133b、let-7b、let-7c、miR-200c、miR-204、miR-335、miR-377、及び/またはmiR-506の1つ以上のmiRNA標的配列の複数のコピーを含む。この腫瘍溶解性ウイルスは、腎臓癌を治療するための方法及び組成物に使用され得る。
【0242】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルス複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子の5’UTRまたは3’UTRに挿入された、let-7a-1、let-7a-2、let-7a-3、let-7b、let-7c、let-7d、let-7e、let-7f、let-7f-1、let-7f-2、let-7g、let-7i、miR-1、miR-100、miR-101、miR-105、miR-122、miR-122a、miR-1236、miR-124、miR-125b、miR-126、miR-127、miR-1271、miR-128-3p、miR-129-5p、miR-130a、miR-130b、miR-133a、miR-134、miR-137、miR-138、miR-139、miR-139-5p、miR-140-5p、miR-141、miR-142-3p、miR-143、miR-144、miR-145、miR-146a、miR-148a、miR-148b、miR-150-5p、miR-15b、miR-16、miR-181a-5p、miR-185、miR-188-5p、miR-193b、miR-195、miR-195-5p、miR-197、miR-198、miR-199a、miR-199a-5p、miR-199b、miR-199b-5p、miR-200a、miR-200b、miR-200c、miR-202、miR-203、miR-204-3p、miR-205、miR-206、miR-20a、miR-21、miR-21-3p、miR-211、miR-212、miR-214、miR-217、miR-218、miR-219-5p、miR-22、miR-223、miR-26a、miR-26b、miR-29a、miR-29b-1、miR-29b-2、miR-29c、miR-302b、miR-302c、miR-30a、miR-30a-3p、miR-335、miR-338-3p、miR-33a、miR-34a、miR-34b、miR-365、miR-370、miR-372、miR-375、miR-376a、miR-377、miR-422a、miR-424、miR-424-5p、miR-433、miR-4458、miR-448、miR-450a、miR-451、miR-485-5p、miR-486-5p、miR-497、miR-503、miR-506、miR-519d、miR-520a、miR-520b、miR-520c-3p、miR-582-5p、miR-590-5p、miR-610、miR-612、miR-625、miR-637、miR-675、miR-7、miR-877、miR-940、miR-941、miR-98、miR-99a、miR-132、及び/またはmiR-31の1つ以上のmiRNA標的配列の複数のコピーを含む。この腫瘍溶解性ウイルスは、肝臓癌を治療するための方法及び組成物に使用され得る。いくつかの実施形態では、肝臓癌は、肝細胞癌である。
【0243】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルス複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子の5’UTRまたは3’UTRに挿入された、miR-143-3p、miR-126-3p、miR-126-5p、miR-1266-3p、miR-6130、miR-6080、miR-511-5p、miR-143-5p、miR-223-5p、miR-199b-5p、miR-199a-3p、miR-199b-3p、miR-451a、miR-142-5p、miR-144、miR-150-5p、miR-142-3p、miR-214-3p、miR-214-5p、miR-199a-5p、miR-145-3p、miR-145-5p、miR-1297、miR-141、miR-145、miR-16、miR-200a、miR-200b、miR-200c、miR-29b、miR-381、miR-409-3p、miR-429、miR-451、miR-511、miR-99a、let-7a-1、let-7a-2、let-7a-3、let-7b、let-7c、let-7d、let-7e、let-7f-1、let-7f-2、let-7g、let-7i、miR-1、miR-101、miR-133b、miR-138、miR-142-5p、miR-144、miR-1469、miR-146a、miR-153、miR-15a、miR-15b、miR-16-1、miR-16-2、miR-182、miR-192、miR-193a-3p、miR-194、miR-195、miR-198、miR-203、miR-217、miR-218、miR-22、miR-223、miR-26a、miR-26b、miR-29c、miR-33a、miR-34a、miR-34b、miR-34c、miR-365、miR-449a、miR-449b、miR-486-5p、miR-545、miR-610、miR-614、miR-630、miR-660、miR-7515、miR-9500、miR-98、miR-99b、miR-133a、let-7a、miR-100、miR-106a、miR-107、miR-124、miR-125a-3p、miR-125a-5p、miR-126、miR-126*、miR-129、miR-137、miR-140、miR-143、miR-146b、miR-148a、miR-148b、miR-149、miR-152、miR-154、miR-155、miR-17-5p、miR-181a-1、miR-181a-2、miR-181b、miR-181b-1、miR-181b-2、miR-181c、miR-181d、miR-184、miR-186、miR-193b、miR-199a、miR-204、miR-212、miR-221、miR-224、miR-27a、miR-27b、miR-29a、miR-30a、miR-30b、miR-30c、miR-30d、miR-30d-5p、miR-30e-5p、miR-32、miR-335、miR-338-3p、miR-340、miR-342-3p、miR-361-3p、miR-373、miR-375、miR-4500、miR-4782-3p、miR-497、miR-503、miR-512-3p、miR-520a-3p、miR-526b、miR-625*、及び/またはmiR-96の1つ以上のmiRNA標的配列の複数のコピーを含む。この腫瘍溶解性ウイルスは、肺癌を治療するための方法及び組成物に使用され得る。
【0244】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルス複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子の5’UTRまたは3’UTRに挿入された、let-7b、miR-101、miR-125b、miR-1280、miR-143、miR-146a、miR-146b、miR-155、miR-17、miR-184、miR-185、miR-18b、miR-193b、miR-200c、miR-203、miR-204、miR-205、miR-206、miR-20a、miR-211、miR-218、miR-26a、miR-31、miR-33a、miR-34a、miR-34c、miR-376a、miR-376c、miR-573、miR-7-5p、miR-9、及び/またはmiR-98の1つ以上のmiRNA標的配列の複数のコピーを含む。この腫瘍溶解性ウイルスは、黒色腫を治療するための方法及び組成物に使用され得る。
【0245】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルス複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子の5’UTRまたは3’UTRに挿入された、let-7d、miR-218、miR-34a、miR-375、miR-494、miR-100、miR-124、miR-1250、miR-125b、miR-126、miR-1271、miR-136、miR-138、miR-145、miR-147、miR-148a、miR-181a、miR-206、miR-220a、miR-26a、miR-26b、miR-29a、miR-32、miR-323-5p、miR-329、miR-338、miR-370、miR-410、miR-429、miR-433、miR-499a-5p、miR-503、miR-506、miR-632、miR-646、miR-668、miR-877、及び/またはmiR-9の1つ以上のmiRNA標的配列の複数のコピーを含む。この腫瘍溶解性ウイルスは、口腔癌を治療するための方法及び組成物に使用され得る。
【0246】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルス複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子の5’UTRまたは3’UTRに挿入された、let-7i、miR-100、miR-124、miR-125b、miR-129-5p、miR-130b、miR-133a、miR-137、miR-138、miR-141、miR-145、miR-148a、miR-152、miR-153、miR-155、miR-199a、miR-200a、miR-200b、miR-200c、miR-212、miR-335、miR-34a、miR-34b、miR-34c、miR-409-3p、miR-411、miR-429、miR-432、miR-449a、miR-494、miR-497、miR-498、miR-519d、miR-655、miR-9、miR-98、miR-101、miR-532-5p、miR-124a、miR-192、miR-193a、及び/またはmiR-7の1つ以上のmiRNA標的配列の複数コピーを含む。この腫瘍溶解性ウイルスは、卵巣癌を治療するための方法及び組成物に使用され得る。
【0247】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルス複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子の5’UTRまたは3’UTRに挿入された、miR-216a-5p、miR-802、miR-217、miR-145-3p、miR-143-3p、miR-451a、miR-375、miR-214-3p、miR-216b-3p、miR-432-5p、miR-216a-3p、miR-199b-5p、miR-199a-5p、miR-136-3p、miR-216b-5p、miR-136-5p、miR-145-5p、miR-127-3p、miR-199a-3p、miR-199b-3p、miR-559、miR-129-2-3p、miR-4507、miR-1-3p、miR-148a-3p、miR-101、miR-1181、miR-124、miR-1247、miR-133a、miR-141、miR-145、miR-146a、miR-148a、miR-148b、miR-150*、miR-150-5p、miR-152、miR-15a、miR-198、miR-203、miR-214、miR-216a、miR-29c、miR-335、miR-34a、miR-34b、miR-34c、miR-373、miR-375、miR-410、miR-497、miR-615-5p、miR-630、miR-96、miR-132、let-7a、let-7a-1、let-7a-2、let-7a-3、let-7b、let-7c、let-7d、let-7e、let-7f-1、let-7f-2、let-7g、let-7i、miR-126、miR-135a、miR-143、miR-144、miR-150、miR-16、miR-200a、miR-200b、miR-200c、miR-217、miR-218、miR-337、miR-494、及び/またはmiR-98の1つ以上のmiRNA標的配列の複数のコピーを含む。この腫瘍溶解性ウイルスは、膵臓癌を治療するための方法及び組成物に使用され得る。
【0248】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルス複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子の5’UTRまたは3’UTRに挿入された、let-7a-3p、let-7c、miR-100、miR-101、miR-105、miR-124、miR-128、miR-1296、miR-130b、miR-133a-1、miR-133a-2、miR-133b、miR-135a、miR-143、miR-145、miR-146a、miR-154、miR-15a、miR-187、miR-188-5p、miR-199b、miR-200b、miR-203、miR-205、miR-212、miR-218、miR-221、miR-224、miR-23a、miR-23b、miR-25、miR-26a、miR-26b、miR-29b、miR-302a、miR-30a、miR-30b、miR-30c-1、miR-30c-2、miR-30d、miR-30e、miR-31、miR-330、miR-331-3p、miR-34a、miR-34b、miR-34c、miR-374b、miR-449a、miR-4723-5p、miR-497、miR-628-5p、miR-642a-5p、miR-765、及び/またはmiR-940の1つ以上のmiRNA標的配列の複数のコピーを含む。この腫瘍溶解性ウイルスは、前立腺癌を治療するための方法及び組成物に使用され得る。
【0249】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルス複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子の5’UTRまたは3’UTRに挿入された、miR-101、miR-183、miR-204、miR-34a、miR-365b-3p、miR-486-3p、及び/またはmiR-532-5pの1つ以上のmiRNA標的配列の複数のコピーを含む。この腫瘍溶解性ウイルスは、網膜芽細胞腫を治療するための方法及び組成物に使用され得る。
【0250】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスは単純ヘルペスウイルスであり、ウイルス複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子は、UL1、UL5、UL6、UL7、UL8、UL9、UL11、UL12、UL14、UL15、UL17、UL18、UL19、UL20、UL22、UL25、UL26、UL26.5、UL27、UL28、UL29、UL30、UL31、UL32、UL33、UL34、UL35、UL36、UL37、UL38、UL39、UL40、UL42、UL48、UL49、UL52、UL53、UL54、ICP0、ICP4、ICP22、ICP27、ICP47、ガンマ-34.5、US3、US4、US5、US6、US7、US8、US9、US10、US11、及びUS12からなる群から選択される。
【0251】
ペイロード分子
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスは、ペイロード分子をコードするポリヌクレオチドを含む。本明細書で使用される場合、「ペイロード分子」とは、ウイルスの治療有効性を更に増強することができる分子を指す。本開示における使用に好適なペイロード分子としては、抗原結合分子、例えば、抗体またはその抗原結合断片、サイトカイン、ケモカイン、可溶性受容体、細胞表面受容体リガンド、二分ペプチド、酵素、及び核酸(例えば、shRNA、siRNA、アンチセンスRNA、アンタゴミル、リボザイム、アパタマー、デコイオリゴヌクレオチド、またはアンタゴミル)が挙げられる。ペイロード分子の性質は、疾患の種類及び所望される治療結果によって異なる。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNA標的配列が、ペイロード分子をコードするポリヌクレオチド配列の3’UTRまたは5’UTRに組み込まれる。かかる実施形態では、ペイロードの翻訳及びその後の発現は、対応するmiRNAが発現される細胞では生じないか、または実質的に減少する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNA標的配列が、治療用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の3’UTR及び/または5’ UTRに挿入される。
【0252】
いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、ペイロードタンパク質を含むか、またはそれからなる。
【0253】
いくつかの実施形態では、本開示の腫瘍溶解性ウイルスは、HPGD、ADA2、HYAL1、CHP、CCL21、IL-12、抗CD47、抗TGFβ、抗PD1、抗TREM2、CTX-BiTE、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つ以上のペイロードタンパク質をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、15-ヒドロキシプロスタグランジンデヒドロゲナーゼ[NAD(+)](HPGD)を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、アデノシンデアミナーゼ2(ADA2)を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、ヒアルロニダーゼ-1(HYAL1)を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、走化性阻害タンパク質(CHP)を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、C-Cモチーフケモカイン21(CCL21)を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、インターロイキン-12(IL-12)を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、クロロトキシン二重特異性T細胞エンゲージャー(CTX-BiTE)を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、CD47アンタゴニスト(抗CD47)を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、TGFβアンタゴニスト(抗TGFβ)を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、PD-1アンタゴニスト(抗PD1)を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、TREM2(骨髄系細胞に発現されるトリガー受容体2)アンタゴニスト(抗TREM2)を含む。
【0254】
本明細書で使用される場合、「アンタゴニスト」という用語は、標的タンパク質に結合し、かつ標的タンパク質の活性を部分的または完全に遮断するか、阻害するか、減少させるか、または中和することができる分子を指す。アンタゴニストの非限定的な例としては、抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、ペプチド、及び設計されたアンキリン反復タンパク質(DARPin)が挙げられる。いくつかの実施形態では、アンタゴニストは、標的タンパク質に結合してそれを阻害する抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片には、完全長免疫グロブリン、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ダイアボディ、トリアボディ、ミニボディ、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、ナノボディ、または多重特異性抗体が含まれる。
【0255】
いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、15-ヒドロキシプロスタグランジンデヒドロゲナーゼ[NAD(+)](HPGD)を含む。HPGDの例示的なポリペプチド配列は、Uniprot受入番号P15428(ヒト)及びQ8VCC1(マウス)で見つけることができる。いくつかの実施形態では、HPGDポリペプチドは、配列番号875の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、HPGDポリペプチドは、配列番号875のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、HPGDポリペプチドは、配列番号876の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、HPGDポリペプチドは、配列番号876のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。
【0256】
いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、アデノシンデアミナーゼ2(ADA2)を含む。ADA2の例示的なポリペプチド配列は、Uniprot受入番号Q9NZK5(ヒト)で見つけることができる。いくつかの実施形態では、ADA2ポリペプチドは、配列番号877の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、ADA2ポリペプチドは、配列番号877のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。
【0257】
いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、ヒアルロニダーゼ-1(HYAL1)を含む。HYAL1の例示的なポリペプチド配列は、Uniprot受入番号Q12794(ヒト)及びQ91ZJ9(マウス)で見つけることができる。いくつかの実施形態では、HYAL1ポリペプチドは、配列番号878の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、HYAL1ポリペプチドは、配列番号878のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、HYAL1ポリペプチドは、配列番号879の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、HYAL1ポリペプチドは、配列番号879のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。
【0258】
いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、走化性阻害タンパク質(CHP)を含む。CHPの例示的なポリペプチド配列は、Uniprot受入番号A6QIG7(黄色ブドウ球菌)で見つけることができる。いくつかの実施形態では、CHPポリペプチドは、配列番号880の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、CHPポリペプチドは、配列番号880のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。
【0259】
いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、C-Cモチーフケモカイン21(CCL21)を含む。CCL21の例示的なポリペプチド配列は、Uniprot受入番号O00585(ヒト)及びP84444(マウス)で見つけることができる。いくつかの実施形態では、CCL21ポリペプチドは、配列番号881の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、CCL21ポリペプチドは、配列番号881のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、CCL21ポリペプチドは、配列番号882の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、CCL21ポリペプチドは、配列番号882のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。
【0260】
いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、インターロイキン-12(IL-12)を含む。IL-12は、2つのジスルフィド結合サブユニットであるIL-12サブユニットアルファ(IL-12a)及びIL-12サブユニットベータ(IL-12b)を含む。IL-12aの例示的なポリペプチド配列は、Uniprot受入番号P29459(ヒト)及びP43431(マウス)で見つけることができる。IL-12bの例示的なポリペプチド配列は、Uniprot受入番号P29460(ヒト)及びP43432(マウス)で見つけることができる。いくつかの実施形態では、IL-12aポリペプチドは、配列番号883の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、IL-12aポリペプチドは、配列番号883のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、IL-12bポリペプチドは、配列番号884の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、IL-12bポリペプチドは、配列番号884のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、IL-12aポリペプチドは、配列番号885の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、IL-12aポリペプチドは、配列番号885のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、IL-12bポリペプチドは、配列番号886の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、IL-12bポリペプチドは、配列番号886のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。
【0261】
いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、CD47アンタゴニスト(抗CD47)を含む。いくつかの実施形態では、抗CD47は、抗CD47抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、抗CD47は、抗CD47 VHHドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47ポリペプチドは、配列番号887の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、抗CD47ポリペプチドは、配列番号887のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、抗CD47は、抗CD47 VHHドメイン及びIgG1-Fcを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47ポリペプチドは、配列番号888の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、抗CD47ポリペプチドは、配列番号888のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、抗CD47は、配列番号888の相補性決定領域(CDR)を含む抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、以下の重鎖可変ドメインまたはVHHドメインCDRを含む。
CDR1:GIIFKIND(配列番号895)
CDR2:STGGDEA(配列番号896)
CDR3:TAVISTDRDGTE(配列番号897)
いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号895~897に従うCDR1、CDR2、及び/またはCDR3に最大1、最大2、または最大3個のアミノ酸変異を有する重鎖可変ドメインまたはVHHドメインCDRを含む。
【0262】
いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、TGFβアンタゴニスト(抗TGFβ)を含む。いくつかの実施形態では、抗TGFβは、抗TGFβ抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、抗TGFβは、抗TGFβ scFvドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗TGFβポリペプチドは、配列番号889の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、抗TGFβポリペプチドは、配列番号889のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、抗TGFβは、抗TGFβ scFvドメイン及びIgG1-Fcを含む。いくつかの実施形態では、抗TGFβポリペプチドは、配列番号890の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、抗TGFβポリペプチドは、配列番号890のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、抗TGFβは、配列番号890の相補性決定領域(CDR)を含む抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗TGFβ抗体またはその抗原結合断片は、以下の重鎖可変ドメインCDRを含む。
CDR1:GYTFSSNV(配列番号898)
CDR2:MGGVIPIVDIAN(配列番号899)
CDR3:ASTLGLVLDAMDY(配列番号900)
いくつかの実施形態では、抗TGFβ抗体またはその抗原結合断片は、配列番号898~900に従うCDR1、CDR2、及び/またはCDR3に最大1、最大2、または最大3個のアミノ酸変異を有する重鎖可変ドメインCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗TGFβ抗体またはその抗原結合断片は、以下の軽鎖可変ドメインCDRを含む。
CDR1 QSLGSSYLA(配列番号901)
CDR2 GASSRAP(配列番号902)
CDR3 QQYADSPIT(配列番号903)
いくつかの実施形態では、抗TGFβ抗体またはその抗原結合断片は、配列番号901~903に従うCDR1、CDR2、及び/またはCDR3に最大1、最大2、または最大3個のアミノ酸変異を有する軽鎖可変ドメインCDRを含む。
【0263】
いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、PD-1アンタゴニスト(抗PD1)を含む。いくつかの実施形態では、抗PD1は、抗PD1抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、抗PD1は、抗PD1 VHHドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗PD1ポリペプチドは、配列番号891の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、抗PD1ポリペプチドは、配列番号891のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、抗PD1は、抗PD1 VHHドメイン及びIgG1-Fcを含む。いくつかの実施形態では、抗PD1ポリペプチドは、配列番号892の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、抗PD1ポリペプチドは、配列番号892のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、抗PD1は、配列番号892の相補性決定領域(CDR)を含む抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗PD1抗体またはその抗原結合断片は、以下の重鎖可変ドメインまたはVHHドメインCDRを含む。
CDR1:DSIDSLVN(配列番号904)
CDR2:IATYITHY(配列番号905)
CDR3:YARNIIVDY(配列番号906)
いくつかの実施形態では、抗PD1抗体またはその抗原結合断片は、配列番号904~906に従うCDR1、CDR2、及び/またはCDR3に最大1、最大2、または最大3個のアミノ酸変異を有する重鎖可変ドメインまたはVHHドメインCDRを含む。
【0264】
いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、TREM2アンタゴニスト(抗TREM2)を含む。いくつかの実施形態では、抗TREM2は、抗TREM2抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、抗TREM2抗体重鎖ポリペプチドは、配列番号893の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、抗TREM2抗体重鎖ポリペプチドは、配列番号893のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、抗TREM2抗体軽鎖ポリペプチドは、配列番号894の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、抗TREM2抗体軽鎖ポリペプチドは、配列番号894のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、抗TREM2は、配列番号893及び894の相補性決定領域(CDR)を含む抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗TREM2抗体またはその抗原結合断片は、以下の重鎖可変ドメインCDRを含む。
CDR1:GYTFTDYA(配列番号907)
CDR2:ISTYSSNT(配列番号908)
CDR3:ARDDGHYVYAMDY(配列番号909)
いくつかの実施形態では、抗TREM2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号907~909に従うCDR1、CDR2、及び/またはCDR3に最大1、最大2、または最大3個のアミノ酸変異を有する重鎖可変ドメインCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗TREM2抗体またはその抗原結合断片は、以下の軽鎖可変ドメインCDRを含む。
CDR1 KSLLNSDGFTY(配列番号910)
CDR2 LVS(配列番号911)
CDR3 FQSNYLYT(配列番号912)
いくつかの実施形態では、抗TREM2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号910~912に従うCDR1、CDR2、及び/またはCDR3に最大1、最大2、または最大3個のアミノ酸変異を有する軽鎖可変ドメインCDRを含む。
【0265】
いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロード分子は、クロロトキシン(CTX)を含む生体分子を含む。いくつかの実施形態では、CTXは、スコーピオンCTXである。いくつかの実施形態では、CTXポリペプチドは、配列番号913の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、CTXポリペプチドは、配列番号913のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、CTXは、小コンダクタンス塩化物チャネルを遮断し、神経膠腫細胞に優先的に結合する。いくつかの実施形態では、CTXを含む生体分子は、抗体断片も含む。いくつかの実施形態では、CTXを含む生体分子は、Fcドメイン(すなわち、CTX-Fc)も含む。いくつかの実施形態では、CTXを含む生体分子は、T細胞エンゲージャー部分も含む。いくつかの実施形態では、T細胞エンゲージャー部分は、T細胞の表面上に発現されるタンパク質に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、T細胞エンゲージャー部分は、CD3に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、CD3結合T細胞エンゲージャー部分は、配列番号914の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、CD3結合T細胞エンゲージャー部分は、配列番号914のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。CTXが神経膠腫細胞上の塩化物チャネルに結合するため、CTX及びT細胞エンゲージャー部分を含む生体分子は、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)(すなわち、CTX-BiTE)である。いくつかの実施形態では、CTX-BiTEは、配列番号915の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、CTX-BiTEは、配列番号915のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、CTX-BiTEは、配列番号916の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、CTX-BiTEは、配列番号916のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。
【0266】
いくつかの実施形態では、本開示の腫瘍溶解性ウイルスは、以下の表4に列記される組み合わせのうちのいずれかを含む2つ以上のペイロード分子をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む。
【表4】
【0267】
いくつかの実施形態では、本開示の腫瘍溶解性ウイルスは、以下の表5に列記される組み合わせのうちのいずれかを含む3つ以上のペイロード分子をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【0268】
いくつかの実施形態では、本開示の腫瘍溶解性ウイルスは、以下の表6に列記される組み合わせのうちのいずれかを含む4つ以上のペイロード分子をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
【表6-6】
【表6-7】
【0269】
いくつかの実施形態では、本開示の腫瘍溶解性ウイルスは、以下の表7に列記される組み合わせのうちのいずれかを含む5つ以上のペイロード分子をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む。
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【表7-5】
【表7-6】
【表7-7】
【表7-8】
【表7-9】
【表7-10】
【表7-11】
【表7-12】
【表7-13】
【0270】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組換え腫瘍溶解性ウイルスは、内因性miRNA、遺伝子、もしくはメタロプロテイナーゼ組織阻害剤(TIMP)の発現を低下させるか、またはその機能を阻害するペイロード分子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む。かかる組換え腫瘍溶解性ウイルスは、本明細書では「ゲノム編集」または「微小環境リモデリング」ウイルスまたはベクターと称される。コードされたタンパク質またはオリゴヌクレオチドは、タンパク質(例えば、TIMP)を分解の標的とすること(例えば、ユビキチン化及びプロテオソーム分解によって、またはリソソーム分解の標的とすること)、同族受容体との相互作用を遮断すること(例えば、抗体もしくはその抗原結合断片またはペプチド阻害剤を遮断すること)、メッセンジャーRNA転写物(例えば、短干渉RNAもしくは短ヘアピンRNA)を分解すること、及び/または特定のmiRNA、遺伝子、もしくはタンパク質をコードするゲノムDNA配列を改変すること(例えば、エンドヌクレアーゼによって)を含む任意の数の方法で、miRNA、遺伝子、もしくはTIMPの発現を低下させるか、またはその機能を阻害し得る。
【0271】
特定の実施形態では、タンパク質またはオリゴヌクレオチドは、発がんまたは転移に関与するmiRまたは遺伝子(例えば、発がん性miRまたはがん遺伝子)の発現を低下させる。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、発がん性miRNAであるmiRNA(例えば、表13に列記されるmiRNAのうちの1つ以上)の発現または機能を低下させるペイロード分子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、発がん性miRNAの発現または機能を低下させるタンパク質またはオリゴヌクレオチドをコードする少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、複数の発がん性miRNAの発現または機能を低下させる複数のタンパク質またはオリゴヌクレオチドをコードする少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質またはオリゴヌクレオチドは、miR-17-92の発現を低下させ、肺癌(例えば、小細胞肺癌)の治療に使用される。他の実施形態では、タンパク質またはオリゴヌクレオチドは、miR-221及び/またはmiR-21の発現を低下させ、神経膠芽腫を治療するために使用される。ある特定の実施形態では、タンパク質またはオリゴヌクレオチドは、miR-155及び/またはmiR-17-92の発現を低下させ、リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞B細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、または慢性リンパ球性白血病)を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、タンパク質またはオリゴヌクレオチドは、miR-221、miR-222、及び/またはmiR-146の発現を低下させ、甲状腺癌を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、タンパク質またはオリゴヌクレオチドは、miR-372及び/またはmiR-373の発現を低下させ、精巣癌(例えば、精巣胚細胞腫瘍)を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、タンパク質またはオリゴヌクレオチドは、miR-18及び/またはmiR-224の発現を低下させ、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)を治療するために使用される。
【0272】
一部の実施形態では、本明細書に記載の組換えウイルスベクターは、腫瘍細胞外マトリックス(ECM)を分解するペイロード分子をコードするポリヌクレオチドを含み、これにより、いくつかの態様では、ウイルス拡散の増強がもたらされる。マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)は、亜鉛依存性プロテアーゼであり、それらの活性に基づいて、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、ストロムライシン、及びマトリライシンに分類される。これらのプロテアーゼは、一般に、酵素前駆体(チモーゲン)として分泌され、プロペプチドプロドメインのタンパク質分解除去によって活性化される。がんにおいてMMPが果たす主要な役割は、ECMの分解であり、これにより、腫瘍浸潤及び転移が促進される。MMPは、腫瘍進行、上皮間葉転換(EMT)、及び血管新生にも関与する。MMPは、miR、ならびに4つのプロテアーゼ阻害剤(TIMP1、TIMP2、TIMP3、及びTIMP4)のファミリーを含むTIMPによって調節される。本開示の組換えウイルスベクターを用いてMMPファミリーを負に調節するmiRNAまたはTIMPを破壊することによって広範囲の腫瘍微小環境を分解することができる。これらの相互作用の多くは、複数のMMPが単一のmiRNAによって調節されることを示し、例えば、let-7がMMP-2、MMP-9、及びMMP-14を調節し、miR-143がMMP-2、MMP-9、及びMMP-13を調節し、miR-218がMMP-2、MMP-7、及びMMP-9を調節する。更に、大多数のMMPが単一のTIMPマスタースイッチによって調節され得、例えば、TIMP1は、既知のMMPのほぼ全てを阻害することが知られており、広範囲の細胞型において細胞増殖も促進し、TIMP2は、MMP-14及びMMP-2と相互作用する。
【0273】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組換え腫瘍溶解性ウイルスは、特に腫瘍微小環境において、細胞外マトリックスを改変することができるか、または細胞外マトリックスを改変する経路を調節することができるmiRNAの発現または機能を低下させるタンパク質またはオリゴヌクレオチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む。本明細書で使用される微小環境リモデリングmiRは、miRを指す。いくつかの実施形態では、タンパク質またはオリゴヌクレオチドは、1つの微小環境リモデリングmiRの発現または機能を低下させる。いくつかの実施形態では、タンパク質またはオリゴヌクレオチドは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以上の微小環境リモデリングmiRの発現または機能を低下させる。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、複数の微小環境リモデリングmiRの発現または機能を低下させる複数のタンパク質またはオリゴヌクレオチドをコードする複数のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の戦略を本開示の組換えウイルスベクターが利用して、MMPを負に調節するmiRまたはTIMPの発現または機能をノックダウンまたは破壊することができる。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、TIMP1、TIMP2、TIMP3、及びTIMP4から選択されるTIMPの発現を低下させる。
【0274】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組換え腫瘍溶解性ウイルスは、宿主細胞ゲノムにおける遺伝子の発現または機能を低下させるタンパク質またはオリゴヌクレオチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、遺伝子は、発がん性遺伝子である。いくつかの態様では、遺伝子は、発がん性miR(例えば、表13に列記されるmiRNA)、微小環境リモデリングmiR、またはECM分解の負の調節因子(例えば、TIMP)をコードする。遺伝子発現及び/または機能の低下は、転写レベルで(例えば、ゲノムDNA配列を変異させる、欠失させる、もしくはサイレンシングすることによって)または翻訳レベルで(例えば、mRNA分解による遺伝子産物の産生を阻害することによって)達成することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組換え腫瘍溶解性ウイルスは、遺伝子配列の変異、欠失、または転写抑制を可能にすることによって遺伝子の発現または機能を低下させるヌクレアーゼをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、ヌクレアーゼは、クラスター化された規則的な間隔の短いパリンドロームリピート(CRISPR)関連エンドヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、または転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)から選択される。非限定的な例では、CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、SpCas9、SpCas9-HF1、SpCas9-HF2、SpCas9-HF3、SpCas9-HF4、SaCas9、FnCpf、FnCas9、eSpCas9、C2C1、C2C3、Cpf1、Casl、CaslB、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(別名、Csnl及びCsx12)、Cas10、Csyl、Csy2、Csy3、Csel、Cse2、Cscl、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmrl、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csbl、Csb2、Csb3、Csxl7、Csxl4、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csxl、Csxl5、Csfl、Csf2、Csf3、及びCsf4から選択される。
【0275】
本開示の組換えウイルスベクターは、哺乳類ゲノム工学に使用することができる細菌系に基づいて操作されたヌクレアーゼ系であるCRISPR(クラスター化された規則的な間隔の短いパリンドロームリピート)/Cas(CRISPR関連)ヌクレアーゼ系を利用し得る。一般に、この系は、Casヌクレアーゼ及びガイドRNA(gRNA)を含む。gRNAは、標的ゲノムDNA配列に特異的なcrispr-RNA(crRNA)及びCas結合を促進するtracr-RNA(trRNA)の2つの部分からなる。crRNA及びtrRNAは、別個のRNAオリゴヌクレオチドとして存在しても同じRNAオリゴヌクレオチドで存在してもよく、単一ガイドRNA(sgRNA)と称される。本明細書で使用される場合、「ガイドRNA」または「gRNA」という用語は、個々のtrRNAと個々のcrRNAまたはsgRNAのいずれかとの組み合わせを指す。例えば、各々参照により全体が本明細書に組み込まれる、Jinek et al.(2012)Science 337:816-821、Cong et al.(2013)Science 339:819-823、Mali et al.(2013)Science 339:823-826、Qi et al.(2013)Cell 152:1173-1183、Jinek et al.(2013),eLife 2:e00471、David Segal(2013)eLife 2:e00563、Ran et al.(2013)Nature Protocols 8(11):2281-2308、Zetsche et al.(2015)Cell 163(3):759-771、PCT公開第WO2007/025097号、同第WO2008/021207号、同第WO2010/011961号、同第WO2010/054108号、同第WO2010/054154号、同第WO2012/054726号、同第WO2012/149470号、同第WO2012/164565号、同第WO2013/098244号、同第WO2013/126794号、同第WO2013/141680号、及び同第WO2013/142578号、米国特許公開第2010-0093617号、同第2013-0011828号、同第2010-0257638号、同第2010-0076057号、同第2011-0217739号、同第2011-0300538号、同第2013-0288251号、及び同第2012-0277120号、ならびに米国特許第8,546,553号を参照されたい。
【0276】
I型系及びIII型系を含む複数のクラス1 CRISPR-Cas系が特定され、機能的に詳細に特徴付けられており、エフェクター複合体の複雑な構造及び動態を明らかにした(Brouns et al.,2008、Marraffini and Sontheimer,2008、Hale et al.,2009、Sinkunas et al.,2013、Jackson et al.,2014、Mulepati et al.,2014)。加えて、Cas9ファミリーの相同RNAガイドエンドヌクレアーゼをエフェクターとして用いるいくつかのクラス2-II型CRISPR-Cas系も特定され、実験的に特徴付けられている(Barrangou et al.,2007、Garneau et al.,2010、Deltcheva et al.,2011、Sapranauskas et al.,2011、Jinek et al.,2012、Gasiunas et al.,2012)。最近、第2の推定クラス2-V型CRISPR-Cas系がいくつかの細菌ゲノムで特定されている。推定V型CRISPR-Cas系は、Cpf1(Prevotella及びFrancisella由来CRISPR1)と呼ばれる、約1,300個の大きいアミノ酸タンパク質を含む。
【0277】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスは、miRNAまたはTIMPを標的とするtrRNA及びcrRNAをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを更に含む。いくつかの事例では、trRNA及びcrRNAをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドは、ウイルスゲノムの遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、合成インスレーターまたは天然ウイルス(例えば、HSV)インスレーターを含むインスレート配列である。ある特定の実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは単純ヘルペスウイルスであり、RNA結合部位をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドは、内部反復接合領域(二倍体遺伝子ICP0、ICP34.5、LAT、ICP4、及びICP47プロモーターの各々の1つのコピーを含む)、ICP0、LAT、UL1、UL5、UL6、UL7、UL8、UL9、UL11、UL12、UL14、UL15、UL17、UL18、UL19、UL20、UL22、UL25、UL26、UL26.5、UL27、UL28、UL29、UL30、UL31、UL32、UL33、UL34、UL35、UL36、UL37、UL38、UL39、UL40、UL42、UL48、UL49、UL52、UL53、UL54、ICP0、ICP4、ICP22、ICP27、ICP47、ガンマ-34.5、US3、US4、US5、US6、US7、US8、US9、US10、US11、及びUS12を含む1つ以上の遺伝子座に、またはそれらの間に挿入される。一実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは単純ヘルペスウイルス(HSV)であり、RNA結合部位をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドがUL3オープンリーディングフレームとUL4オープンリーディングフレームとの間の遺伝子座に挿入される。
【0278】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、抗腫瘍免疫応答を活性化または増強するペイロード分子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、サイトカイン、ケモカイン、抗体またはその抗原結合断片、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)である。例えば、いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、免疫チェックポイント受容体(例えば、CTLA4、LAG3、PD1、PDL1など)に結合してそれを阻害する抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、抗PD1抗体もしくはその抗原結合断片、抗PDL1抗体もしくはその抗原結合断片、または抗CTLA4抗体もしくはその抗原結合断片である。
【0279】
いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、PD1アンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、PD1アンタゴニストは、抗PD1抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、PD1アンタゴニストは、抗PD1ナノボディである。
【0280】
いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、IL12を含む。
【0281】
いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、細胞表面受容体に結合してそれを活性化するタンパク質である。例えば、いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、41BBLの細胞外ドメイン、CD40Lの細胞外ドメイン、FLT3Lなどの内因性細胞表面リガンドを含む。いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、サイトカイン(例えば、IFNγ、IFNα、IFNβ、TNFα、IL-12、IL-2、IL-6、IL-8、IL-15、GM-CSF、IL-21、IL-35、TGFβなど)、またはケモカイン(例えば、CCL4、CXCL10、CCL5、CXCL13、もしくはXCL1)である。
【0282】
いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、活性化受容体(例えば、FcγRI、FcγIIa、FcγIIIa、共刺激受容体など)に結合してそれを活性化するタンパク質である。特定の実施形態では、このタンパク質は、EpCAM、葉酸、A2A、抗FGF2、抗FGFR/FGFR2b、抗SEMA4D、CD137、CD200、CD38、CD44、CSF-1R、エンドセリンB受容体、ISRE7、LFA-1、NG2(別名、SPEG4)、SMAD、STING、及びVCAM1から選択される。
【0283】
ある特定の実施形態では、miRNA、遺伝子、またはTIMPの発現を低下させることを標的としたタンパク質またはオリゴヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドは、組換え腫瘍溶解性ウイルスのウイルスゲノムの遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、合成インスレーターまたは天然ウイルス(例えば、HSV)インスレーターを含むインスレート配列である。ある特定の実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは単純ヘルペスウイルスであり、RNA結合部位をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドは、内部反復接合領域を含む1つ以上の遺伝子座に、またはそれらの間に挿入される(二倍体遺伝子ICP0、ICP34.5、LAT、ICP4、及びICP47プロモーター)、ICP0、LAT、UL1、UL5、UL6、UL7、UL8、UL9、UL11、UL12、UL14、UL15、UL17、UL18、UL19、UL20、UL22、UL25、UL26、UL26.5、UL27、UL28、UL29、UL30、UL31、UL32、UL33、UL34、UL35、UL36、UL37、UL38、UL39、UL40、UL42、UL48、UL49、UL52、UL53、UL54、ICP0、ICP4、ICP22、ICP27、ICP47、ガンマ-34.5、US3、US4、US5、US6、US7、US8、US9、US10、US11、及びUS12の各々の1つのコピーを含む。一実施形態では、ウイルスは単純ヘルペスウイルス(HSV)であり、少なくとも1つのポリヌクレオチドがUL3オープンリーディングフレームとUL4オープンリーディングフレームとの間の遺伝子座に挿入される。
【0284】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、GBMにおける骨髄系細胞による免疫抑制を阻害するペイロード分子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、CD47アンタゴニスト、TGFβアンタゴニスト、アデノシンデアミナーゼ2(ADA2)、走化性阻害タンパク質(CHP)、15-ヒドロキシプロスタグランジンデヒドロゲナーゼ[NAD(+)](HPGD)、精子接着分子1(SPAM1/HYAL5)、またはクロロトキシン(CTX)を含む生体分子を含む。いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、CD47アンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、CD47アンタゴニストは、抗CD47抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、TGFβアンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、TGFβアンタゴニストは、抗TGFβ抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、アデノシンデアミナーゼ2(ADA2)を含む。いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、走化性阻害タンパク質(CHP/CHIPS)を含む。いくつかの実施形態では、走化性阻害タンパク質は、黄色ブドウ球菌に由来する。いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、15-ヒドロキシプロスタグランジンデヒドロゲナーゼ[NAD(+)](HPGD/PGDH)を含む。いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、精子接着分子1(SPAM1/HYAL5)を含む。いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、クロロトキシン(CTX)を含む生体分子を含む。いくつかの実施形態では、CTXは、スコーピオンCTXである。いくつかの実施形態では、クロロトキシンを含む生体分子は、抗体断片も含む。いくつかの実施形態では、クロロトキシンを含む生体分子は、Fcドメイン(すなわち、CTX-Fc)も含む。いくつかの実施形態では、クロロトキシンを含む生体分子は、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)または二重特異性軽T細胞エンゲージャー(LiTE)(すなわち、CTX-BiTEもしくはCTX-LiTE)も含む。
【0285】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、少なくとも1つのプロテアーゼ活性化抗体を含む。Metz et al.(Protein Eng Des Sel,25(10):571-80,2012)に記載のものなどのプロテアーゼ活性化抗体は、保護キャップのプロテアーゼ切断後に活性化され、標的にのみ結合する。いくつかの事例では、腫瘍微小環境は、周囲の健常組織から十分に分化した一連のプロテアーゼを有する。例えば、プロテアーゼカテプシンBは、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、大腸癌、胃癌、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、及び甲状腺癌を含む多数のがんで過剰発現される。ヒト細胞によって合成されたプロテアーゼの完全なリストからなるヒトデグラドームは、(最大数から最小数の順に)メタロプロテイナーゼ(MMP)、セリン、システイン、トレオニン、及びアスパラギン酸プロテアーゼの大きく分けて5つのクラスに分類される少なくとも569個のプロテアーゼで構成されている(Lopez-Otin et al.,Nat Rev Cancer,7(10):800-8,2007)。特に、MMPによって特異的に切断されるプロテアーゼ抗体は、MMPが細胞外領域及び細胞周囲領域に存在するため、本明細書に記載の組換えウイルスベクターを腫瘍微小環境に標的化する優れた手段として機能することができる。
【0286】
ある特定の実施形態では、プロテアーゼ活性化抗体は、ウイルス糖タンパク質エンベロープに組み込まれる。プロテアーゼ活性化抗体を本開示の組換えウイルスベクター(例えば、HSVベクター)の糖タンパク質エンベロープに組み込んで、治療指数を増加させ、オフターゲット感染を減少させることができる。HSVベクターの場合、いくつかの実施形態では、糖タンパク質は、gCまたはgDであり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組換え腫瘍溶解性ウイルスは、プロテアーゼ活性化抗体をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、プロテアーゼ活性化抗体は、システインカテプシン、アスパラギン酸カテプシン、カリクレイン(hK)、セリンプロテアーゼ、カスパーゼ、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、ならびにディスインテグリン及びメタロプロテアーゼ(ADAM)から選択されるプロテアーゼによって活性化される。いくつかの実施形態では、プロテアーゼは、カテプシンK、カテプシンB、カテプシンL、カテプシンE、カテプシンD、hK1、PSA(hK3)、hK10、hK15、uPA、uPAR、MMP-1、MMP-2、MMP-3、MMP-7、MMP-8、MMP-9、MMP-10、MMP-11、MMP-12、MMP-13、MMP-14、MMP-15、MMP-16、MMP-17、MMP-18、MMP-19、MMP-20、MMP-21、MMP-23A、MMP-23B、MMP-24、MMP-25、MMP-26、MMP-27、またはMMP-28から選択される。
【0287】
いくつかの実施形態では、プロテアーゼ活性化抗体は、非がん細胞または非がん微小環境よりもがん細胞またはがん微小環境で高度に発現されるタンパク質に結合する。ある特定の態様では、プロテアーゼ活性化抗体は、NKG2D、c-met、HGFR、CD8、ヘパラン硫酸、VSPG4(別名、NG2)、EGFR、EGFRvIII、CD133、CXCR4、がん胎児性抗原(CEA)、CLC-3、アネキシンII、ヒトトランスフェリン受容体、またはEpCAMに結合する。ある特定の事例では、複数のプロテアーゼ活性化抗体を単一のウイルスベクター粒子に組み込んで、多様な腫瘍組織型が標的化されることを確実にすることができる。例えば、少なくとも1、2、3、4、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のプロテアーゼ活性化抗体がウイルス糖タンパク質エンベロープに組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のプロテアーゼ活性化抗体をコードする少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、非がん細胞または非がん微小環境よりもがん細胞またはがん微小環境で高度に発現される第1のタンパク質に結合する第1のプロテアーゼ活性化抗体と、非がん細胞または非がん微小環境よりもがん細胞またはがん微小環境で高度に発現される第2のタンパク質に結合する第2のプロテアーゼ活性化抗体とを含む。更なる実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、非がん細胞または非がん微小環境よりもがん細胞またはがん微小環境で高度に発現される複数のタンパク質に結合する複数のプロテアーゼ活性化抗体を含む。腫瘍溶解性ウイルスは、例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体であるプロテアーゼ活性化抗体を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、完全長免疫グロブリン、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ダイアボディ、トリアボディ、ミニボディ、単一ドメイン抗体、または多重特異性抗体である抗体を含む。
【0288】
いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルス複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子の遺伝子座に挿入された1つ以上のマイクロRNA(miR)標的配列、1つ以上のタンパク質またはオリゴヌクレオチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド(ここで、このタンパク質またはオリゴヌクレオチドが、miR、遺伝子、またはTIMPの発現を低下させるか、またはその機能を阻害する)、少なくとも1つのプロテアーゼ活性化抗体、及び/または少なくとも1つのプロテアーゼ活性化抗体をコードするポリヌクレオチドのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、非がん性細胞におけるウイルス複製に必要なウイルス遺伝子の遺伝子座に挿入された1つ以上のmiRNA標的配列の複数のコピー、及び/または発がん性miRNAもしくは発がん性遺伝子の発現を低下させることを標的としたタンパク質もしくはオリゴヌクレオチドをコードする第1のポリヌクレオチド、及び/または微小環境リモデリングmiRNAもしくはTIMPの発現を低下させることを標的としたタンパク質もしくはオリゴヌクレオチドをコードする第2のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、非がん細胞におけるウイルス複製に必要なウイルス遺伝子の遺伝子座に挿入された1つ以上のmiRNA標的配列の複数コピー、及び/または発がん性miRNAもしくは発がん性遺伝子の発現を低下させることを標的としたタンパク質もしくはオリゴヌクレオチドをコードするポリヌクレオチド、及び/または少なくとも1つのプロテアーゼ活性化抗体を含む。更なる実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、非がん細胞におけるウイルス複製に必要なウイルス遺伝子の遺伝子座に挿入された1つ以上のmiRNA標的配列の複数コピー、及び/または微小環境リモデリングmiRNAもしくはTIMPの発現を低下させることを標的としたタンパク質もしくはオリゴヌクレオチドをコードするポリヌクレオチド、及び/または少なくとも1つのプロテアーゼ活性化抗体を含む。一実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、非がん細胞におけるウイルス複製に必要なウイルス遺伝子の遺伝子座に挿入された1つ以上のmiRNA標的配列の複数のコピー、及び/または発がん性miRNAもしくは発がん性遺伝子の発現を低下させることを標的としたタンパク質もしくはオリゴヌクレオチドをコードする第1のポリヌクレオチド、及び/または微小環境リモデリングmiRNAもしくはTIMPの発現を低下させることを標的としたタンパク質もしくはオリゴヌクレオチドをコードする第2のポリヌクレオチド、及び/または少なくとも1つのプロテアーゼ活性化抗体を含む。いくつかの特定の実施形態では、本段落に記載の腫瘍溶解性ウイルスは単純ヘルペスウイルスであり、非がん性細胞におけるウイルス複製に必要なウイルス遺伝子は、UL1、UL5、UL6、UL7、UL8、UL9、UL11、UL12、UL14、UL15、UL17、UL18、UL19、UL20、UL22、UL25、UL26、UL26.5、UL27、UL28、UL29、UL30、UL31、UL32、UL33、UL34、UL35、UL36、UL37、UL38、UL39、UL40、UL42、UL48、UL49、UL52、UL53、UL54、ICP0、ICP4、ICP22、ICP27、ICP47、ガンマ-34.5、US3、US4、US5、US6、US7、US8、US9、US10、US11、及びUS12である。
【0289】
ある特定の態様では、本開示は、発がん性miRNAまたは発がん性遺伝子の発現を低下させることを標的としたタンパク質またはオリゴヌクレオチドをコードする第1のポリヌクレオチドと、微小環境リモデリングmiRNAまたはTIMPの発現を低下させることを標的としたタンパク質またはオリゴヌクレオチドをコードする第2のポリヌクレオチドとを含む組換え腫瘍溶解性ウイルスに関する。他の実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、発がん性miRNAまたは発がん性遺伝子の発現を低下させることを標的としたタンパク質またはオリゴヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドと、少なくとも1つのプロテアーゼ活性化抗体とを含む。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、微小環境リモデリングmiRNAまたはTIMPの発現を低下させることを標的としたタンパク質またはオリゴヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドと、少なくとも1つのプロテアーゼ活性化抗体とを含む。一実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスは、発がん性miRNAもしくは発がん性遺伝子の発現を低下させることを標的としたタンパク質もしくはオリゴヌクレオチドをコードする第1のポリヌクレオチド、及び/または微小環境リモデリングmiRNAもしくはTIMPの発現を低下させることを標的としたタンパク質もしくはオリゴヌクレオチドをコードする第2のポリヌクレオチド、及び/または少なくとも1つのプロテアーゼ活性化抗体を含む。
【0290】
コドン最適化及びORF G/C含有量
いくつかの実施形態では、本開示の腫瘍溶解性ウイルスは、比較的高いG/C含有量を有する1つ以上の導入遺伝子を含む。
【0291】
いずれの特定の理論にも束縛されるものではないが、オープンリーディングフレーム(ORF、別名、コード領域)において比較的高いG/C含有量を有する導入遺伝子(複数可)が、本開示の組換えヘルペスウイルスに組み込まれたときに、ORFにおいてより低いG/C含有量を有する導入遺伝子と比較して、対応するペイロード分子の有意により高い発現を有することが企図される。
【0292】
本明細書で使用される場合、「グアノシン/シトシン含有量」または「G/C含有量」という用語は、グアニン(G)またはシトシン(C)のいずれかであるDNAまたはRNA分子中の窒素含有塩基のパーセンテージを指す。
【0293】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の導入遺伝子のORFのG/C含有量は、対応する野生型(非修飾)コード領域のG/C含有量と比較して増加する。ORFのコードされたアミノ酸配列は、好ましくは、対応する野生型(非修飾)コード領域のコードされたアミノ酸配列と比較して修飾されていない。これは、コドン最適化によって達成することができる。コドン最適化のための方法は、当該技術分野で既知である。
【0294】
本明細書に定義される修飾RNAのコード領域によってコードされるアミノ酸に応じて、野生型ORFのG/C含有量と比較してG/C含有量を増加させるためのORFの修飾の様々な可能性が存在する。
【0295】
いくつかの実施形態では、GまたはCヌクレオチドのみを含むコドンによってコードされるアミノ酸の場合、コドンの修飾は必要ではない。いくつかの実施形態では、Proのコドン(CCCまたはCCG)、Argのコドン(CGCまたはCGG)、Alaのコドン(GCCまたはGCG)、及びGlyのコドン(GGCまたはGGG)は、修飾を必要としない。
【0296】
いくつかの実施形態では、A及び/またはT/Uヌクレオチドを含むコドンは、同じアミノ酸をコードするが、A及び/またはT/Uを含まない他のコドンの置換によって修飾され得る。例えば、
- Proのコドンは、CCTまたはCCAからCCCまたはCCGに修飾され得る。
- Argのコドンは、CGTまたはCGAまたはAGAまたはAGGからCGCまたはCGGに修飾され得る。
- Alaのコドンは、GCTまたはGCAからGCCまたはGCGに修飾され得る。
- Glyのコドンは、GGTまたはGGAからGGCまたはGGGに修飾され得る。
【0297】
いくつかの実施形態では、AまたはT/Uヌクレオチドをコドンから除去することはできないが、より低い含有量のA及び/またはT/Uヌクレオチドを含むコドンを使用することによってA及びT/U含有量を減少させることが可能である。例えば、
- Pheのコドンは、TTTからTTCに修飾され得る。
- Leuのコドンは、TTA、TTG、CTT、またはCTAからCTCまたはCTGに修飾され得る。
- Serのコドンは、TCTまたはTCAまたはAGTからTCC、TCG、またはAGCに修飾され得る。
- Tyrのコドンは、TATからTACに修飾され得る。
- Cysのコドンは、TGTからTGCに修飾され得る。
- Hisのコドンは、CATからCACに修飾され得る。
- Glnのコドンは、CAAからCAGに修飾され得る。
- Ileのコドンは、ATTまたはATAからATCに修飾され得る。
- Thrのコドンは、ACTまたはACAからACCまたはACGに修飾され得る。
- Asnのコドンは、AATからAACに修飾され得る。
- Lysのコドンは、AAAからAAGに修飾され得る。
- Valのコドンは、GTTまたはGTAからGTCまたはGTGに修飾され得る。
- Aspのコドンは、GATからGACに修飾され得る。
- Gluのコドンは、GAAからGAGに修飾され得る。
-終止コドンUAAは、TAGまたはTGAに修飾され得る。
【0298】
いくつかの実施形態では、Metのコドン(ATG)及びTrpのコドン(TGG)は修飾されない。
【0299】
上に列記された置換は、開始配列(例えば、野生型ORF)と比較して、ORFのコード領域のG/C含有量を増加させるために、個別にまたは任意の可能な組み合わせでのいずれかで使用することができる。
【0300】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の導入遺伝子のORFのG/C含有量は、野生型コード領域または開始ORF配列のG/C含有量と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、または少なくとも30%増加する。いくつかの実施形態では、1つ以上の導入遺伝子のORF内の置換可能なコドンの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または更には100%が置換され、それにより、当該ORFのG/C含有量が増加する。
【0301】
いくつかの実施形態では、コドン最適化は、ORF内に存在する「希少コドン」を除去し、それを、細胞内で比較的頻繁に存在し、かつ比較的希少なtRNAと同じアミノ酸を運搬するtRNAをコードするコドンによって置き換えることを更に含む。どのtRNAが細胞内で比較的頻繁に生じるか、かつ対照的にどのtRNAが比較的稀にしか生じないかは、当業者に知られている。例えば、あらゆる目的のために参照によりその全体が組み込まれる、Akashi,Curr.Opin.Genet.Dev.2001,11(6):660-666を参照されたい。
【0302】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスの導入遺伝子(複数可)のうちの少なくとも1つのORFは、少なくとも60%のG/C含有量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスの導入遺伝子(複数可)のうちの少なくとも1つのORFは、少なくとも61%のG/C含有量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスの導入遺伝子(複数可)のうちの少なくとも1つのORFは、少なくとも62%のG/C含有量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスの導入遺伝子(複数可)のうちの少なくとも1つのORFは、少なくとも63%のG/C含有量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスの導入遺伝子(複数可)のうちの少なくとも1つのORFは、少なくとも64%のG/C含有量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスの導入遺伝子(複数可)のうちの少なくとも1つのORFは、少なくとも59%のG/C含有量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスの導入遺伝子(複数可)のうちの少なくとも1つのORFは、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、または少なくとも70%のG/C含有量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスの導入遺伝子(複数可)のうちの少なくとも1つのORFは、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、または約70%のG/C含有量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスの導入遺伝子(複数可)の少なくとも1つのORFは、56%~57%、57%~58%、58%~59%、59%~60%、60%~61%、61%~62%、62%~63%、63%~64%、64%~65%、65%~66%、66%~67%、67%~68%、68%~69%、69%~70%、56%~58%、57%~59%、58%~60%、59%~61%、60%~62%、61%~63%、62%~64%、63%~65%、64%~66%、65%~67%、66%~68%、67%~69%、68%~70%、56%~59%、57%~60%、58%~61%、59%~62%、60%~63%、61%~64%、62%~65%、63%~66%、64%~67%、65%~68%、66%~69%、67%~70%、56%~60%、57%~61%、58%~62%、59%~63%、60%~64%、61%~65%、62%~66%、63%~67%、64%~68%、65%~69%、66%~70%、56%~61%、57%~62%、58%~63%、59%~64%、60%~65%、61%~66%、62%~67%、63%~68%、64%~69%、65%~70%、56%~62%、57%~63%、58%~64%、59%~65%、60%~66%、61%~67%、62%~68%、63%~69%、64%~70%、56%~63%、57%~64%、58%~65%、59%~66%、60%~67%、61%~68%、62%~69%、63%~70%、56%~64%、57%~65%、58%~66%、59%~67%、60%~68%、61%~69%、62%~70%、56%~65%、57%~66%、58%~67%、59%~68%、60%~69%、61%~70%、56%~66%、57%~67%、58%~68%、59%~69%、60%~70%、56%~67%、57%~68%、58%~69%、59%~70%、56%~68%、57%~69%、58%~70%、56%~69%、57%~70%、または56%~70%のG/C含有率を有する。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスの導入遺伝子(複数可)のうちの少なくとも1つは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つの導入遺伝子、少なくとも6つの導入遺伝子である。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスの導入遺伝子(複数可)のうちの少なくとも1つは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11個の導入遺伝子である。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスの導入遺伝子(複数可)のうちの少なくとも1つは、全ての導入遺伝子である。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスの導入遺伝子(複数可)のうちの少なくとも1つは、IL-12をコードする1つ以上の導入遺伝子、PD1アンタゴニスト、TREM2アンタゴニスト、HPGD、及び/またはCTXを含む生体分子を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスの導入遺伝子(複数可)のうちの少なくとも1つは、IL-12をコードする導入遺伝子、PD1アンタゴニスト、及びTREM2アンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスの導入遺伝子(複数可)のうちの少なくとも1つは、IL-12をコードする導入遺伝子、PD1アンタゴニスト、TREM2アンタゴニスト、及びHPGDを含む。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスの導入遺伝子(複数可)のうちの少なくとも1つは、IL-12をコードする導入遺伝子、PD1アンタゴニスト、TREM2アンタゴニスト、及びCTXを含む生体分子を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスの導入遺伝子(複数可)のうちの少なくとも1つは、IL-12をコードする導入遺伝子、PD1アンタゴニスト、TREM2アンタゴニスト、HPGD、及びCTXを含む生体分子を含む。
【0303】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスにおける導入遺伝子のORFによってコードされるペイロード分子の発現は、対照腫瘍溶解性ウイルスにおける同じペイロード分子をコードする対照ORFによってコードされるペイロードタンパク質の発現よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、または少なくとも10倍高い。いくつかの実施形態では、導入遺伝子のORFによってコードされるペイロード分子の発現は、対照ORFによってコードされるペイロードタンパク質の発現よりも少なくとも2倍高い。いくつかの実施形態では、導入遺伝子のORFによってコードされるペイロード分子の発現は、対照ORFによってコードされるペイロードタンパク質の発現よりも少なくとも3倍高い。いくつかの実施形態では、導入遺伝子のORFによってコードされるペイロード分子の発現は、対照ORFによってコードされるペイロードタンパク質の発現よりも少なくとも5倍高い。いくつかの実施形態では、導入遺伝子のORFによってコードされるペイロード分子の発現は、対照ORFによってコードされるペイロードタンパク質の発現よりも少なくとも8倍高い。いくつかの実施形態では、導入遺伝子のORFによってコードされるペイロード分子の発現は、対照ORFによってコードされるペイロードタンパク質の発現よりも少なくとも10倍高い。当業者であれば、適切な対照ORF/対照ウイルスを容易に認識するであろう。いくつかの実施形態では、対照ORFは、ペイロードタンパク質をコードする野生型ポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、対照ORFは、ホモサピエンスのコドン使用に基づいてコドン最適化される。いくつかの実施形態では、対照ORFは、55%以下、54%以下、53%以下、52%以下、51%以下、50%以下、49%以下、48%以下、または47%以下のG/C含有量を有する。いくつかの実施形態では、対照ORFは、約55%、約54%、約53%、約52%、約51%、約50%、約49%、約48%、または約47%のG/C含有量を有する。いくつかの実施形態では、対照ORFは、約50%のG/C含有量を有する。いくつかの実施形態では、対照ORFは、約52%のG/C含有量を有する。
【0304】
いくつかの実施形態では、1つ以上の導入遺伝子(複数可)のORF(複数可)は、アリールハロ呼吸(aryl-halorespiring)通性嫌気性粘液細菌のコドン使用に基づいてコドン最適化される。いくつかの実施形態では、1つ以上の導入遺伝子(複数可)のORF(複数可)は、アナエロミュクソバクテル・デハロゲナンスのコドン使用に基づいてコドン最適化される。
【0305】
いくつかの実施形態では、高G/C含有量ORFのうちの1つ以上は、抗体またはその抗原結合断片をコードする。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、一本鎖可変断片(scFv)を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、単一ドメイン抗体(sdAb)に由来するVHHドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、IgG-Fcを含む。いくつかの実施形態では、IgGは、IgG1である。いくつかの実施形態では、ORFは、TREM2結合抗体またはその抗原結合断片をコードし、配列番号938と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、ORFは、PD1アンタゴニストをコードし、配列番号937と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、ORFは、CTXを含む生体分子をコードし、配列番号940または941と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む。
【0306】
いくつかの実施形態では、高G/C含有量ORFのうちの1つ以上は、サイトカイン、ケモカイン、受容体、受容体リガンド、酵素、及び/またはレポータータンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、ORFは、IL-12をコードし、配列番号936と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、ORFは、HPGDをコードし、配列番号939と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む。
【0307】
再標的化
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組換え腫瘍溶解性ウイルスは、再標的化ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルスタンパク質(例えば、gD)のうちの1つに挿入された再標的化ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組換え腫瘍溶解性ウイルスは、再標的化ドメインをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、標的細胞によって発現される標的タンパク質に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、標的細胞は、がん細胞である。いくつかの実施形態では、標的細胞は、神経膠芽腫細胞である。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、腫瘍溶解性ウイルスが標的細胞に感染することを可能にするか、またはその能力を増強する。
【0308】
いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、腫瘍溶解性ウイルスが再標的化ドメインを有しない対照腫瘍溶解性ウイルスに耐性を示す標的細胞に感染することを可能にする。例えば、ネクチン-1は、単純ヘルペスウイルスの侵入受容体である。ネクチン-1発現を有しない(または最小限しか有しない)細胞は、通常、HSVに耐性を示す。ネクチン-1発現及び単純ヘルペスウイルス感染の更なる考察は、例えば、Guzman et al.,Acta Virol.2006;50(1):59-66、Ishino et al.,Blood(2019)134(Supplement_1):3242、Friedman et al.,Sci.Rep.(2018)8:13930、及びAlayo et al.,Sci Rep.(2020);10:5095で見つけることができ、これらの各々の内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が組み込まれる。
【0309】
いくつかの実施形態では、再標的化ドメインをHSVに組み込むことにより、ウイルスが、標的タンパク質を発現するがネクチン-1は発現しない細胞に感染することが可能になる。
【0310】
いくつかの実施形態では、再標的化ドメインを腫瘍溶解性ウイルスに挿入するために、再標的化ドメインをコードするポリヌクレオチドがウイルスのウイルスゲノムの対応する領域に組み込まれる。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインをコードするポリヌクレオチドは、糖タンパク質D(gD)をコードするUS6遺伝子のオープンリーディングフレームに挿入される。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインをコードするポリヌクレオチドは、配列番号921のアミノ酸6~24に対応するアミノ酸配列をコードするUS6遺伝子領域を置き換える。
【0311】
いくつかの実施形態では、標的細胞によって発現される標的タンパク質は、1つ以上のインテグリンを含む。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、インテグリンα5β1、インテグリンαvβ1、インテグリンαvβ3、インテグリンαvβ6、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、インテグリンα5β1を含む。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、インテグリンαvβ1を含む。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、インテグリンαvβ3を含む。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、インテグリンαvβ6を含む。
【0312】
いくつかの実施形態では、標的細胞によって発現される標的タンパク質は、上皮成長因子受容体(EGFR)またはその変異体を含む。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、EGFRを含む。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、EGFRバリアントIII(EGFRvIII)を含む。EGFRバリアントIIIの説明は、例えば、Padfield et al.,Front Oncol.2015;5:5で見つけることができ、この内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が組み込まれる。
【0313】
いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、標的細胞によって発現される標的タンパク質に特異的に結合することができるノッチンペプチドを含む。ノッチンペプチド、または阻害剤シスチンノット(ICK)は、分子内ノットを形成し、かつそれらに高温、酵素分解、過度のpH及び機械的ストレスに対する構造的及び機能的耐性を付与する、少なくとも3つの織り合わされたジスルフィド架橋の存在を特徴とする超安定ミニタンパク質のファミリーである。典型的には、ノッチンは、約30~50残基長である。ノッチンの説明、及びノッチンの配列、構造、及び機能を格納するデータベース(KNOTTIN)は、例えば、Nucleic Acids Res.2018 Jan 4;46(D1):D454-D458で見つけることができ、その内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が組み込まれる。いくつかの実施形態では、ノッチンを含む再標的化ドメインは、50個以下、45個以下、40個以下、または35個以下のアミノ酸を有する。いくつかの実施形態では、ノッチンドメインは、Ecballium elateriumトリプシン阻害剤II(EETI-IIトリプシン阻害剤)に由来する。いくつかの実施形態では、ノッチンドメインは、配列番号922と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ノッチンドメインは、1つ以上のインテグリン(例えば、インテグリンα5β1、インテグリンαvβ1、インテグリンαvβ3、インテグリンαvβ6、またはそれらの組み合わせ)に結合する。
【0314】
いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、標的細胞によって発現される標的タンパク質に特異的に結合することができる免疫グロブリンドメインを含む。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、重鎖のみ抗体の可変ドメイン(VHH)または新規抗原受容体免疫グロブリンの可変断片(V-NAR)の結合ドメインまたはそれに由来する結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、150個以下、140個以下、または130個以下のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、150個以下のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、110~150個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、配列番号923と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ノッチンドメインは、EGFR及び/またはその変異体(例えば、EGFRvIII)に結合する。
【0315】
いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、50個以下、45個以下、40個以下、または35個以下のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、150個以下、140個以下、または130個以下のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、再標的化ドメインは、110~150個のアミノ酸を含む。
【0316】
いくつかの実施形態では、再標的化ドメイン(及び/または再標的化ドメインをコードするポリヌクレオチド)を含む腫瘍溶解性ウイルス(例えば、HSV)は、標的タンパク質を発現する標的細胞に感染することができる。いくつかの実施形態では、標的細胞は、神経膠芽腫細胞である。いくつかの実施形態では、神経膠芽腫細胞は、ネクチン-1発現を有しない。いくつかの実施形態では、標的細胞は、ネクチン-1発現を有しないVero細胞(例えば、ネクチン-1ノックアウト細胞)である。いくつかの実施形態では、標的細胞は、EGFRを発現する。いくつかの実施形態では、標的細胞は、EGFR変異体(例えば、EGFRvIII)を発現する。いくつかの実施形態では、標的細胞は、1つ以上のインテグリン(例えば、インテグリンα5β1、インテグリンαvβ1、インテグリンαvβ3、インテグリンαvβ6、またはそれらの組み合わせ)を発現する。
【0317】
複製忠実度及びアシクロビル感受性
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組換え腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルスゲノムの複製忠実度を増加させる変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は、DNAポリメラーゼ内に位置する。
【0318】
ヘルペスウイルスのUL30ウイルス遺伝子は、DNAポリメラーゼ触媒サブユニット(DPCS)をコードする。いくつかの実施形態では、コードされたDPCSは、変異を含む。いくつかの実施形態では、DPCSの変異は、ヘルペスウイルスの複製忠実度を増加させる。いくつかの実施形態では、DPCSの変異は、ヘルペスウイルスのDNA複製忠実度を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも3倍、または少なくとも5倍増加させる。いくつかの実施形態では、DPCSの変異は、ヘルペスウイルスのDNA複製忠実度を少なくとも1倍増加させる。いくつかの実施形態では、DPCSの変異は、配列番号917のL774に対応するアミノ酸位置に変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は、アミノ酸置換である。いくつかの実施形態では、変異は、配列番号917のL774Fに対応するアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、コードされたDPCSは、配列番号917のL774に対応するアミノ酸位置の変異を除いて、配列番号917と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。DPCS変異に関する考察は、例えば、Hwang et al.,J Virol.2004 Jan;78(2):650-657で見つけることができ、この内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が組み込まれる。
【0319】
いくつかの実施形態では、DPCSの変異は、複製忠実度を増加させるにもかかわらず、アシクロビル及びその類似体に対するヘルペスウイルスの感受性を望ましくないほど低下させる。アシクロビル及び/またはその類似体は、(例えば、CNSにおける非がん性細胞への)腫瘍溶解性HSV(oHSV)感染の望ましくない播種を制御するための安全対策として使用することができる抗HSV薬である。これらの薬は、インビボでHSV感染部位を見つけるためのイメージングツールとしても使用され得る。アシクロビル及びその類似体の更なる説明は、例えば、Klysik et al.,Curr MedChem.2020;27(24):4118-4137で見つけることができ、この内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が組み込まれる。
【0320】
したがって、いくつかの実施形態では、本開示の組換えヘルペスウイルスは、アシクロビルに対するその感受性を部分的または完全に回復させるまたは更に増強する変異を更に含む。いくつかの実施形態では、変異は、UL23ウイルス遺伝子内に位置し、UL23によってコードされるチミジンキナーゼ(TK)に変異をもたらす。いくつかの実施形態では、TKの変異は、配列番号918のL159、I160、F161、A168、及び/またはL169に対応する1つ以上のアミノ酸位置にある。いくつかの実施形態では、TKの変異は、配列番号918のL159、I160、F161、A168、及び/またはL169に対応するものから選択される2、3、4、または5個のアミノ酸位置にある。いくつかの実施形態では、変異(複数可)は、アミノ酸置換(複数可)である。いくつかの実施形態では、TKの変異(複数可)は、
(a)L159IもしくはL159L、
(b)I160LもしくはI160F、
(c)F161A、F161V、F161P、もしくはF161L、
(d)A168D、A168Y、A168V、もしくはA168F、及び/または
(e)L169F、L169Y、L169L、L169I、L169M、L169N、もしくはL169Kのうちの1つ以上のアミノ酸置換を含む。
いくつかの実施形態では、TKの変異は、配列番号918のL159I、I160F、F161L、A168F、及びL169Mに対応するアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TKの変異は、配列番号918のI160F、F161A、及びA168Fに対応するアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TKの変異は、配列番号918のI160F、F161L、A168F、及びL169Nに対応するアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TKは、本段落に列挙されるTK変異(複数可)を除いて、配列番号918と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。TK変異(複数可)についての更なる考察は、例えば、Black et al.,Cancer Res.2001 Apr 1;61(7):3022-6で見つけることができ、この内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が組み込まれる。
【0321】
アシクロビルの有効性は、アシクロビル(例えば、DPCS L774F変異を含むHSV)に対してより高い耐性を示す(例えば、高いIC90/IC50を有する)ヘルペスウイルスに感染した細胞において有意に低下し得る。この問題は、HSV-MacIntyre株などのアシクロビルに対して本質的に感受性が低い株に由来するHSVにおいてより顕著であり得る。アシクロビルのバイオアベイラビリティは、経口投与された場合、ヒトの中枢神経系において約1.76ug/mlである。したがって、いくつかの実施形態では、本開示の組換えヘルペスウイルスは、0.5ug/ml未満、1.0ug/ml未満、1.5ug/ml未満、または2.0ug/ml未満のアシクロビルIC50を有する。いくつかの実施形態では、本開示の組換えヘルペスウイルスは、0.5ug/ml未満のアシクロビルIC50を有する。いくつかの実施形態では、本開示の組換えヘルペスウイルスは、0.4ug/ml未満のアシクロビルIC50を有する。いくつかの実施形態では、本開示の組換えヘルペスウイルスは、0.3ug/ml未満のアシクロビルIC50を有する。いくつかの実施形態では、本開示の組換えヘルペスウイルスは、0.2ug/ml未満のアシクロビルIC50を有する。いくつかの実施形態では、TKの変異(複数可)は、ヘルペスウイルスに対するアシクロビルのIC50を少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、または少なくとも100倍減少させる。いくつかの実施形態では、TKの変異(複数可)は、ヘルペスウイルスに対するアシクロビルのIC50を少なくとも10倍減少させる。アシクロビルIC90/IC50の決定は当該技術分野で既知であり、以下の実施例6にも記載されている。
【0322】
UL30変異(複数可)によって引き起こされるアシクロビル耐性を回復させるためのこの解決策は、UL23によってコードされるTKの相補的変異(複数可)が、TKのかかる変異(複数可)が天然リガンドチミジンに対するTKの親和性を低下させる可能性が高いにもかかわらず、本明細書に記載のウイルスの適応性を損なわないという驚くべき発見に関連する(それ故に、当業者であれば、TKがノックアウトまたはノックダウンされたときに観察されたものと同様に、代わりにより低いウイルス適応性を観察することを期待するであろう)。いずれの特定の理論にも束縛されるものではないが、TKに導入された相補的変異(複数可)が、チミジン酵素産物の利用能を、変異DPCSを再感作させて低レベルのアシクロビルをもたらすのに十分なレベルまで低下させるが、変異TKが依然として変異DPCSの複製忠実度及び全ウイルス適応性を維持するのに十分な酵素産物を提供すると仮定される。
【0323】
一態様では、本開示の組換えヘルペスウイルス及びアシクロビルなどの小分子は、インビボでヘルペスウイルスの感染部位(例えば、腫瘍部位)をイメージングする方法において一緒に使用することができる。いくつかの実施形態では、本方法は、本開示の組換えヘルペスウイルス及び低分子(例えば、アシクロビル)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、小分子は、放射性同位体標識アシクロビルである。いくつかの実施形態では、放射性同位体標識は、フッ素-18(18F)標識を含む。
【0324】
合胞体変異体及びウイルス産生
一態様では、本開示の腫瘍溶解性ウイルスは、増強された融合性を有する。いくつかの実施形態では、本開示の腫瘍溶解性ウイルスは、標的細胞に感染すると、増強された融合性を有しない対照腫瘍溶解性ウイルスと比較して、より高い程度の合胞体形成を引き起こす。
【0325】
腫瘍溶解性ウイルスの場合、増強された融合性は、合胞体の形成をもたらす細胞間融合を誘導し、腫瘍細胞における腫瘍溶解及びウイルス拡散を改善し、免疫刺激性DAMP(損傷関連分子パターン)を放出することにより免疫原性を増強する。本明細書で使用される場合、「合胞体」という用語は、複数の核を有する大きい無細胞領域、すなわち、細胞質の多核領域として組織生検または組織培養試料中に現れる細胞間融合を指す。
【0326】
「合胞体変異」という用語は、合胞体形成を誘導するポリペプチドの能力を増加させる変異(すなわち、「増強された融合活性」または「増強された融合性」)を指す。いくつかの実施形態では、合胞体変異は、合胞体変異を有しない対照ポリペプチドと比較して、合胞体形成を誘導するポリペプチドの能力を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、または少なくとも100倍増加させる。いくつかの実施形態では、合胞体変異は、合胞体変異を有しない対照ポリペプチドと比較して、合胞体形成を誘導するポリペプチドの能力を少なくとも100%増加させる。合胞体形成の誘導は、合胞体を形成するように誘導される細胞の数に基づいて測定され得る。ポリペプチドの融合性(合胞体形成を誘導する能力)を測定するための方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、Melancon et al.,J Virol.2005 Jan;79(1):299-313を参照されたく、この内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が組み込まれる。
【0327】
HSVの場合、gK、gB、UL20、及び/またはUL24に合胞体変異(複数可)を導入することによる融合性の増強が、例えば、US20210386807及びFan et al.,Sci Rep.2017 Mar 3;7:43712に記載されており、これらの各々の内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が組み込まれる。
【0328】
しかしながら、かかる増強された融合性は、多くの場合、ウイルス産生中にウイルス力価を低下させ、それ故に、それらの臨床応用を妨げる。この問題を克服するために、本開示の一態様は、ウイルス産生中に、融合性タンパク質(増強された融合性を有するタンパク質)の発現を制限し、代わりに増強された融合性を有しない対応タンパク質の発現を好む発現系に関する。いくつかの実施形態では、融合性タンパク質(増強された融合性を有するタンパク質)の発現を制限することは、産生細胞で発現される1つ以上のmiRNAの標的配列を含むmiR-TSカセットを、そのタンパク質をコードする遺伝子座に挿入することによって達成される。
【0329】
いくつかの実施形態では、増強された融合性を有しない対応タンパク質は、腫瘍溶解性ウイルスによってコードされる導入遺伝子によって発現される。いくつかの実施形態では、増強された融合性を有しない対応タンパク質は、ウイルスゲノムから分離された産生細胞で導入遺伝子によって発現される。
【0330】
HSVなどのヘルペスウイルスの場合、いくつかの実施形態では、この戦略は、標的細胞に感染したときに合胞体形成を誘導するHSVの能力を増強する1つ以上の変異(すなわち、合胞体変異(複数可))を含むgB及び/またはgKタンパク質に適用することができる。いずれの特定の理論にも束縛されるものではないが、gB及び/またはgKにおけるこれらの合胞体変異が、gB/gK融合性タンパク質を活性化するのに必要な受容体会合閾値を低下させることによって作用し、これにより、ウイルス産生中に、ウイルス粒子の多くがgB/gKタンパク質を不活性融合後コンフォメーションで含むようになり、それ故に、ウイルス収量を低下させると仮定される。
【0331】
したがって、(例えば、Vero細胞における)ウイルス産生中のHSV合胞体変異体の収量を改善するために、gB及び/またはgKタンパク質の非合胞体バージョンならびに合胞体変異体の共発現を可能にする発現系を確立した。いくつかの実施形態では、この戦略は、活性コンフォメーションでより高い割合のgB及び/またはgKタンパク質を含むウイルスエンベロープの生成を促進する。
【0332】
いくつかの実施形態では、本開示の腫瘍溶解性ウイルスのウイルスゲノムは、第1のgBであって、合胞体変異を含む、第1のgBと、第2のgBであって、合胞体変異を含まない、第2のgBとをコードする。いくつかの実施形態では、第1のgBは、内因性gB遺伝子座によってコードされ、第2のgBは、外因性発現カセットによってコードされる。いくつかの実施形態では、第1のgBは、外因性発現カセットによってコードされ、第2のgBは、内因性gB遺伝子座によってコードされる。いくつかの実施形態では、外因性発現カセットは、UL50-UL51遺伝子間遺伝子座に位置する。いくつかの実施形態では、外因性発現カセットは、UL3-UL4遺伝子間遺伝子座に位置する。
【0333】
いくつかの実施形態では、本開示のヘルペスウイルスのウイルスゲノムは、第1のgKであって、合胞体変異を含む、第1のgKと、第2のgKであって、合胞体変異を含まない、第2のgKとをコードする。いくつかの実施形態では、第1のgKは、内因性gK遺伝子座によってコードされ、第2のgKは、外因性発現カセットによってコードされる。いくつかの実施形態では、第1のgKは、外因性発現カセットによってコードされ、第2のgKは、内因性gK遺伝子座によってコードされる。いくつかの実施形態では、外因性発現カセットは、UL50-UL51遺伝子間遺伝子座に位置する。いくつかの実施形態では、外因性発現カセットは、UL3-UL4遺伝子間遺伝子座に位置する。
【0334】
いくつかの実施形態では、本開示の腫瘍溶解性ウイルスのウイルスゲノムは、第1のUL20であって、合胞体変異を含む、第1のUL20と、第2のUL20であって、合胞体変異を含まない、第2のUL20とをコードする。いくつかの実施形態では、第1のUL20は、内因性UL20遺伝子座によってコードされ、第2のUL20は、外因性発現カセットによってコードされる。いくつかの実施形態では、第1のUL20は、外因性発現カセットによってコードされ、第2のUL20は、内因性UL20遺伝子座によってコードされる。いくつかの実施形態では、外因性発現カセットは、UL50-UL51遺伝子間遺伝子座に位置する。いくつかの実施形態では、外因性発現カセットは、UL3-UL4遺伝子間遺伝子座に位置する。
【0335】
いくつかの実施形態では、本開示の腫瘍溶解性ウイルスのウイルスゲノムは、第1のgHであって、合胞体変異を含む、第1のgHと、第2のgHであって、合胞体変異を含まない、第2のgHとをコードする。いくつかの実施形態では、第1のgHは、内因性gH遺伝子座によってコードされ、第2のgHは、外因性発現カセットによってコードされる。いくつかの実施形態では、第1のgHは、外因性発現カセットによってコードされ、第2のgHは、内因性gH遺伝子座によってコードされる。いくつかの実施形態では、外因性発現カセットは、UL50-UL51遺伝子間遺伝子座に位置する。いくつかの実施形態では、外因性発現カセットは、UL3-UL4遺伝子間遺伝子座に位置する。
【0336】
いくつかの実施形態では、本開示の腫瘍溶解性ウイルスのウイルスゲノムは、第1のUL24であって、合胞体変異を含む、第1のUL24と、第2のUL24であって、合胞体変異を含まない、第2のUL24とをコードする。いくつかの実施形態では、第1のUL24は、内因性UL24遺伝子座によってコードされ、第2のUL24は、外因性発現カセットによってコードされる。いくつかの実施形態では、第1のUL24は、外因性発現カセットによってコードされ、第2のUL24は、内因性UL24遺伝子座によってコードされる。いくつかの実施形態では、外因性発現カセットは、UL50-UL51遺伝子間遺伝子座に位置する。いくつかの実施形態では、外因性発現カセットは、UL3-UL4遺伝子間遺伝子座に位置する。
【0337】
いくつかの実施形態では、本開示の腫瘍溶解性ウイルスは、がん細胞において増強された合胞体表現型を提示する。
【0338】
一態様では、本開示は、本開示の腫瘍溶解性ウイルス(例えば、1つ以上の合胞体変異を含む第1のgB及び/またはgKと、合胞体変異を含まない第2のgB及び/またはgKとをコードするウイルス)をコードする組換え核酸を含む細胞を提供する。
【0339】
一態様では、本開示は、本開示の腫瘍溶解性ウイルスをコードする第1の核酸と、第2の核酸と、を含む細胞であって、腫瘍溶解性ウイルスのウイルスゲノムが1つ以上の合胞体変異を含む第1のgBをコードし、第2の核酸が合胞体変異を含まない第2のgBをコードする、細胞を提供する。いくつかの実施形態では、本開示の腫瘍溶解性ウイルス(例えば、HSV)は、gBコードウイルス遺伝子の単一コピー及び/またはgKコードウイルス遺伝子の単一コピーを含む。
【0340】
一態様では、本開示は、本開示の腫瘍溶解性ウイルスをコードする第1の核酸と、第2の核酸と、を含む細胞であって、腫瘍溶解性ウイルスのウイルスゲノムが合胞体変異を含まない第2のgBをコードし、第2の核酸が1つ以上の合胞体変異を含む第1のgBをコードする、細胞を提供する。いくつかの実施形態では、本開示の腫瘍溶解性ウイルス(例えば、HSV)は、gBコードウイルス遺伝子の単一コピー及び/またはgKコードウイルス遺伝子の単一コピーを含む。
【0341】
一態様では、本開示は、本開示の腫瘍溶解性ウイルスをコードする第1の核酸と、第2の核酸と、を含む細胞であって、本開示の腫瘍溶解性ウイルスのウイルスゲノムが1つ以上の合胞体変異を含む第1のgKをコードし、第2の核酸が合胞体変異を含まない第2のgKをコードする、細胞を提供する。いくつかの実施形態では、本開示の腫瘍溶解性ウイルス(例えば、HSV)は、gBコードウイルス遺伝子の単一コピー及び/またはgKコードウイルス遺伝子の単一コピーを含む。
【0342】
一態様では、本開示は、本開示の腫瘍溶解性ウイルスをコードする第1の核酸と、第2の核酸と、を含む細胞であって、本開示の腫瘍溶解性ウイルスのウイルスゲノムが合胞体変異を含まない第2のgKをコードし、第2の核酸が1つ以上の合胞体変異を含む第1のgKをコードする、細胞を提供する。いくつかの実施形態では、本開示の腫瘍溶解性ウイルス(例えば、HSV)は、gBコードウイルス遺伝子の単一コピー及び/またはgKコードウイルス遺伝子の単一コピーを含む。
【0343】
一態様では、本開示は、本開示の腫瘍溶解性ウイルスをコードする第1の核酸と、第2の核酸と、を含む細胞であって、腫瘍溶解性ウイルスのウイルスゲノムが1つ以上の合胞体変異を含む第1のgHをコードし、第2の核酸が合胞体変異を含まない第2のgHをコードする、細胞を提供する。
【0344】
一態様では、本開示は、本開示の腫瘍溶解性ウイルスをコードする第1の核酸と、第2の核酸と、を含む細胞であって、腫瘍溶解性ウイルスのウイルスゲノムが合胞体変異を含まない第2のgHをコードし、第2の核酸が1つ以上の合胞体変異を含む第1のgHをコードする、細胞を提供する。
【0345】
一態様では、本開示は、本開示の腫瘍溶解性ウイルスをコードする第1の核酸と、第2の核酸と、を含む細胞であって、腫瘍溶解性ウイルスのウイルスゲノムが1つ以上の合胞体変異を含む第1のUL20をコードし、第2の核酸が合胞体変異を含まない第2のUL20をコードする、細胞を提供する。
【0346】
一態様では、本開示は、本開示の腫瘍溶解性ウイルスをコードする第1の核酸と、第2の核酸と、を含む細胞であって、腫瘍溶解性ウイルスのウイルスゲノムが合胞体変異を含まない第2のUL20をコードし、第2の核酸が1つ以上の合胞体変異を含む第1のUL20をコードする、細胞を提供する。
【0347】
一態様では、本開示は、本開示の腫瘍溶解性ウイルスをコードする第1の核酸と、第2の核酸と、を含む細胞であって、腫瘍溶解性ウイルスのウイルスゲノムが1つ以上の合胞体変異を含む第1のUL24をコードし、第2の核酸が合胞体変異を含まない第2のUL24をコードする、細胞を提供する。
【0348】
一態様では、本開示は、本開示の腫瘍溶解性ウイルスをコードする第1の核酸と、第2の核酸と、を含む細胞であって、腫瘍溶解性ウイルスのウイルスゲノムが合胞体変異を含まない第2のUL24をコードし、第2の核酸が1つ以上の合胞体変異を含む第1のUL24をコードする、細胞を提供する。
【0349】
いくつかの実施形態では、第1の核酸及び第2の核酸は、細胞内の単一のポリヌクレオチド分子内に含まれる。いくつかの実施形態では、第1の核酸及び第2の核酸は、細胞内の2つの異なるポリヌクレオチド分子内に含まれる。
【0350】
いくつかの実施形態では、細胞は、Vero細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、インビトロでの腫瘍溶解性ウイルスの産生のためのものである。
【0351】
いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のR796、R800、T813、L817、S854、A855、R858、もしくはA874に対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異、E816とL817との間への挿入、C末端に対するS869の欠失、C末端に対するT877の欠失、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のR796C、R800W、T813I、L817H、L817P、S854F、A855V、R858C、R858H、A874Pに対応する1つ以上の変異、E816とL817との間へのVNもしくはVNVNの挿入、C末端に対するS869の欠失、またはC末端に対するT877の欠失を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のR796C、R800W、T813I、L817H、L817P、S854F、A855V、R858C、R858H、A874Pに対応する変異、E816とL817との間へのVNもしくはVNVNの挿入、C末端に対するS869の欠失、またはC末端に対するT877の欠失を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のR796に対応するアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のR796Cに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のR800に対応するアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のR800Wに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のT813に対応するアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のT813Iに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のL817に対応するアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のL817Hに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のL817Pに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のS854に対応するアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のS854Fに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のA855に対応するアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のA855Vに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のR858に対応するアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のR858Cに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のR858Hに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のA874に対応するアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のA874Pに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のE816及びL817に対応するアミノ酸残基間に挿入を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のE816とL817との間のVNの挿入に対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のE816とL817との間のVNVNの挿入に対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のS869~C末端に対応するアミノ酸残基の欠失を含む。いくつかの実施形態では、gB合胞体変異は、配列番号919のT877~C末端に対応するアミノ酸残基の欠失を含む。
【0352】
いくつかの実施形態では、第1のgB及び第2のgBは、配列番号919のD285N及び/またはA549Tに対応する変異を更に含む。いくつかの実施形態では、第1のgBは、配列番号919のD285N及び/またはA549Tに対応する変異を更に含むが、第2のgBは含まない。いくつかの実施形態では、第2のgBは、配列番号919のD285N及び/またはA549Tに対応する変異を更に含むが、第1のgBは含まない。
【0353】
いくつかの実施形態では、第1のgBをコードするオープンリーディングフレームは、CMVプロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、第1のgBをコードするオープンリーディングフレームは、bGHポリAテールに作動可能に連結される。
【0354】
いくつかの実施形態では、第2のgBをコードするオープンリーディングフレームは、CMVプロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、第2のgBをコードするオープンリーディングフレームは、bGHポリAテールに作動可能に連結される。
【0355】
いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のP33、A40、L86、D99、A111、L118、T121、C243、L304、I307、またはR310に対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のP33S、A40V、A40T、L86P、D99N、A111V、L118Q、T121I、C243Y、L304P、I307N、またはR310Lに対応する1つ以上の変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のP33に対応するアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のP33Sに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のA40に対応するアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のA40Vに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のA40Tに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のL86に対応するアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のL86Pに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のD99に対応するアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のD99Nに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のA111に対応するアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のA111Vに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のL118に対応するアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のL118Qに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のT121に対応するアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のT121Iに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のC243に対応するアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のC243Yに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のL304に対応するアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のL304Pに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のI307に対応するアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のI307Nに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のR310に対応するアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gK合胞体変異は、配列番号920のR310Lに対応する変異を含む。
【0356】
いくつかの実施形態では、第1のgKをコードするオープンリーディングフレームは、CMVプロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、第1のgKをコードするオープンリーディングフレームは、bGHポリAテールに作動可能に連結される。
【0357】
いくつかの実施形態では、第2のgKをコードするオープンリーディングフレームは、CMVプロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、第2のgKをコードするオープンリーディングフレームは、bGHポリAテールに作動可能に連結される。
【0358】
いくつかの実施形態では、gH合胞体変異は、配列番号943のN753またはA778に対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、gH合胞体変異は、配列番号943のN753KまたはA778Vに対応する1つ以上の変異を含む。いくつかの実施形態では、gH合胞体変異は、配列番号943のN753K及びA778Vに対応する変異を含む。gH変異の追加の説明は、例えば、Uchida et al.,J Virol.2013 Feb;87(3):1430-1442で見つけることができ、この内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が組み込まれる。
【0359】
いくつかの実施形態では、UL20合胞体変異は、配列番号944のY49A、S50A、R51A、R209A、T212A、R213Aに対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異、またはN217後のC末端欠失を含む。いくつかの実施形態では、UL20合胞体変異は、配列番号944のY49A、S50A、R51A、R209A、T212A、R213Aに対応する1つ以上の変異、またはN217後のC末端欠失を含む。いくつかの実施形態では、UL20合胞体変異は、配列番号944のY49A、S50A、及びR51Aに対応する変異を含む。いくつかの実施形態では、UL20合胞体変異は、配列番号944のR209A、T212A、及びR213Aに対応する変異を含む。
【0360】
いくつかの実施形態では、UL24合胞体変異は、配列番号942のT64、R63、またはV64に対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異を含む。いくつかの実施形態では、UL24合胞体変異は、配列番号942のT64G、R63V、またはV64Sに対応する1つ以上の変異を含む。いくつかの実施形態では、UL24合胞体変異は、配列番号942のT64G、R63V、及びV64Sに対応する変異を含む。
【0361】
この戦略は、他のウイルスにも当てはめることができる。一般に、組換えウイルスが増強した融合性を有するように組換えウイルスによってコードされるタンパク質に合胞体変異を導入した場合、(ウイルスまたは産生細胞によってコードされる)合胞体変異を有しない対応タンパク質を共発現させることによって、産生細胞における組換えウイルスの産生収量を改善することができる。いずれかのタンパク質が内因性ウイルス遺伝子または外因性発現カセットによってコードされ得る。
【0362】
いくつかの実施形態では、増強された融合性を有しない対応タンパク質(例えば、合胞体変異を含まない第2のgB及び/またはgK)をコードする第2の核酸を含むウイルスまたは細胞に対する組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、増強された融合性を有しない対応タンパク質をコードしない対照腫瘍溶解性ウイルスまたは対照細胞の収量と比較して、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも1倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも2倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも3倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも5倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも8倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも10倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも20倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも50倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも100倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも200倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも500倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも1000倍増加する。
【0363】
いくつかの実施形態では、本開示の腫瘍溶解性ウイルスにおいて、融合性タンパク質(増強された融合性を有するタンパク質)をコードする遺伝子は、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、miR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、インビトロでのウイルス産生のための細胞で高度に発現される。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、標的細胞(例えば、がん細胞)で発現を有しないか、または最小限の発現を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、標的細胞(例えば、がん細胞)と比較して、インビトロでのウイルス産生のための細胞で比較的より高い発現を有する。いくつかの実施形態では、インビトロでのウイルス産生のための細胞は、標的細胞(例えば、がん細胞)のレベルよりも少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍高いレベルで1つ以上のmiRNAを発現する。
【0364】
いくつかの実施形態では、第1のgBをコードする遺伝子は、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、miR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、インビトロでのウイルス産生のための細胞で高度に発現される。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、標的細胞(例えば、がん細胞)で発現を有しないか、または最小限の発現を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、標的細胞(例えば、がん細胞)と比較して、インビトロでのウイルス産生のための細胞で比較的より高い発現を有する。いくつかの実施形態では、インビトロでのウイルス産生のための細胞は、標的細胞(例えば、がん細胞)のレベルよりも少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍高いレベルで1つ以上のmiRNAを発現する。
【0365】
いくつかの実施形態では、第1のgKをコードする遺伝子は、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、miR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、インビトロでのウイルス産生のための細胞で高度に発現される。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、標的細胞(例えば、がん細胞)で発現を有しないか、または最小限の発現を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、標的細胞(例えば、がん細胞)と比較して、インビトロでのウイルス産生のための細胞で比較的より高い発現を有する。いくつかの実施形態では、インビトロでのウイルス産生のための細胞は、標的細胞(例えば、がん細胞)のレベルよりも少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍高いレベルで1つ以上のmiRNAを発現する。
【0366】
いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、miR-34c-5p、miR-299-5p、及びmiR-582-5pのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、miR-34c-5pを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、miR-299-5pを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、miR-582-5pを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、miR-34c-5p、miR-299-5p、及びmiR-582-5pのうちの少なくとも2つを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、miR-34c-5p及びmiR-299-5pを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、miR-299-5p及びmiR-582-5pを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、miR-34c-5p及びmiR-582-5pを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、miR-34c-5p、miR-299-5p、及びmiR-582-5pを含む。いくつかの実施形態では、miRNA標的配列は、miRNAの逆相補配列を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、miR-34c-5p標的配列は、配列番号927と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-34c-5p標的配列は、配列番号927を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、miR-299-5p標的配列は、配列番号928と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-299-5p標的配列は、配列番号928を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、miR-582-5p標的配列は、配列番号929と最大4、最大3、最大2、または最大1ヌクレオチド(複数可)異なる。いくつかの実施形態では、miR-582-5p標的配列は、配列番号929を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、4bpスペーサーによって分離されたmiRNAの各々の標的配列の少なくとも3つのコピーまたは少なくとも4つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、遺伝子(複数可)(例えば、gB及び/またはgKをコードする遺伝子(複数可))の3’UTRに位置する。いくつかの実施形態では、miRNAの標的配列は、miRNAの逆相補配列を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-34c-5pの標的配列の少なくとも1、2、3、または4つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-299-5pの標的配列の少なくとも1、2、3、または4つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-582-5pの標的配列の少なくとも1、2、3、または4つのコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセット内のmiRNA標的配列は、以下のように配置される:
(299-5p)-(34c-5p)-(582-5p)-(34c-5p)-(299-5p)-(582-5p)-(299-5p)-(582-5p)-(34c-5p)-(299-5p)-(582-5p)-(34c-5p)。
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、配列番号930と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、配列番号930のポリヌクレオチド配列を含む。
【0367】
一態様では、本開示は、融合性腫瘍溶解性ウイルス(例えば、HSV)であって、本開示の細胞を培養することと、細胞の培養物から融合性腫瘍溶解性ウイルス(例えば、HSV)を回収することとによって産生される、融合性腫瘍溶解性ウイルスを提供する。
【0368】
一態様では、本開示は、融合性腫瘍溶解性ウイルス(例えば、HSV)であって、ウイルスのウイルスゲノムが、配列番号920のI307Nに対応する合胞体変異を含むgKをコードする、融合性腫瘍溶解性ウイルスを提供する。いくつかの実施形態では、gKは、配列番号920のI307Nに対応する合胞体変異を除いて、配列番号920と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0369】
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットの存在は、ウイルス産生のための細胞において、miR-TSカセットを含まない対照融合性タンパク質コード遺伝子の発現と比較して、融合性タンパク質(例えば、合胞体変異を含む第1のgBまたは第1のgK)の発現を少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍減少させる。いくつかの実施形態では、融合性タンパク質の発現は、少なくとも1倍減少する。いくつかの実施形態では、融合性タンパク質の発現は、少なくとも2倍減少する。いくつかの実施形態では、融合性タンパク質の発現は、少なくとも3倍減少する。いくつかの実施形態では、融合性タンパク質の発現は、少なくとも5倍減少する。いくつかの実施形態では、融合性タンパク質の発現は、少なくとも8倍減少する。いくつかの実施形態では、融合性タンパク質の発現は、少なくとも10倍減少する。いくつかの実施形態では、融合性タンパク質の発現は、少なくとも20倍減少する。いくつかの実施形態では、融合性タンパク質の発現は、少なくとも50倍減少する。いくつかの実施形態では、融合性タンパク質の発現は、少なくとも100倍減少する。いくつかの実施形態では、融合性タンパク質の発現は、少なくとも200倍減少する。いくつかの実施形態では、融合性タンパク質の発現は、少なくとも500倍減少する。いくつかの実施形態では、融合性タンパク質の発現は、少なくとも1000倍減少する。
【0370】
いくつかの実施形態では、融合性タンパク質(例えば、合胞体変異を含む第1のgBまたは第1のgK)をコードする遺伝子におけるmiR-TSカセットを含むウイルスまたは細胞に対する組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、miR-TSカセットを含まない対照腫瘍溶解性ウイルスまたは対照細胞の収量と比較して、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも1倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも2倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも3倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも5倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも8倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも10倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも20倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも50倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも100倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも200倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも500倍増加する。いくつかの実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスの収量は、少なくとも1000倍増加する。
【0371】
粒子及び核酸
一態様では、本開示は、本開示のウイルスをコードする核酸分子を提供する。いくつかの実施形態では、核酸分子は、DNAである。いくつかの実施形態では、核酸分子は、RNAである。いくつかの実施形態では、核酸分子のタイプ(DNA / RNA)は、ウイルスのタイプ(DNAウイルス/ RNAウイルス)と同じである。
【0372】
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、粒子内に含まれる。いくつかの実施形態では、粒子は、非ウイルス粒子(例えば、LNP)である。いくつかの実施形態では、粒子は、リポソーム、リポプレックス、ナノ粒子、ナノカプセル、微粒子、マイクロスフェア、脂質粒子、エキソソーム、小胞などの非組織由来の組成物である。いくつかの実施形態では、粒子は、非タンパク質性及び非免疫原性である。いくつかの実施形態では、粒子は、無機粒子である。いくつかの実施形態では、無機粒子は、金ナノ粒子(GNP)、金ナノロッド(GNR)、磁性ナノ粒子(MNP)、磁性ナノチューブ(MNT)、カーボンナノホーン(CNH)、カーボンフラーレン、カーボンナノチューブ(CNT)、リン酸カルシウムナノ粒子(CPNP)、メソポーラスシリカナノ粒子(MSN)、シリカナノチューブ(SNT)、または星状中空シリカナノ粒子(SHNP)である。
【0373】
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子のカプセル封入により、全身性抗ウイルス免疫応答を誘導することなくウイルスゲノムを送達することが可能になり、抗ウイルス抗体を中和する効果が軽減される。更に、本開示の核酸分子のカプセル封入により、ゲノムが分解から保護され、標的宿主細胞への導入が容易になる。いくつかの実施形態では、粒子は、ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、粒子は、脂質ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、粒子は、エキソソームである。いくつかの実施形態では、粒子は、追加の核酸分子を含まない。いくつかの実施形態では、粒子は、ウイルスタンパク質を含まない。
【0374】
いくつかの実施形態では、本開示の粒子は、溶解性を向上させ、インビボでの凝集によって引き起こされる複雑な事態の可能性を回避し、かつ飲作用を促進するために、ナノスケールのサイズである。いくつかの実施形態では、粒子は、約1000nm未満の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約500nm未満の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約30~約100nm、約50~約100nm、または約75~約100nmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約30~約75nmまたは約30~約50nmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約100~約500nmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約200~約400nmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約350nmの平均サイズを有する。
【0375】
いくつかの実施形態では、粒子は、脂質ナノ粒子(LNP)である。いくつかの実施形態では、LNPは、トリグリセリド(例えば、トリステアリン)、ジグリセリド(例えば、バヘン酸グリセロール)、モノグリセリド(例えば、モノステアリン酸グリセロール)、脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)、及びワックス(例えば、パルミチン酸セチル)などの1つ以上の脂質を含む。いくつかの実施形態では、LNPは、1つ以上のカチオン性脂質及び1つ以上のヘルパー脂質を含む。いくつかの実施形態では、LNPは、1つ以上のカチオン性脂質、コレステロール、及び1つ以上の中性脂質を含む。
【0376】
組成物及び使用方法
本開示のある特定の態様は、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスを含むストック及び組成物に関する。いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスを含むウイルスストックに関する。いくつかの実施形態では、ウイルスストックは、均質なストックである。ウイルスストックの調製及び分析は、当該技術分野で周知である。例えば、ウイルスストックは、ウイルスベクターを形質導入した細胞を含むローラーボトルで製造することができる。その後、ウイルスストックを連続ニコデンツ(nycodenze)勾配で精製し、等分し、必要になるまで保管することができる。ウイルスストックは、主にウイルス遺伝子型ならびにウイルスストックの調製に使用されるプロトコル及び細胞株に応じて、力価にかなりのばらつきがある。
【0377】
特定の実施形態では、本明細書で企図されるウイルスストック(例えば、HSVベースのベクターウイルスストック)の力価は、少なくとも約10プラーク形成単位(pfu)、例えば、少なくとも約10pfuまたは更により好ましくは少なくとも約10pfuである。ある特定の実施形態では、力価は、少なくとも約10pfu、または少なくとも約10pfuとすることができ、少なくとも約1010pfuまたは少なくとも約1011pfuの高力価ストックが最も好ましい。
【0378】
本開示は、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスまたは核酸分子と、薬学的に許容される担体と、を含む組成物を更に企図する。「薬学的に許容される」という語句は、対象(例えば、ヒト)に投与されたときにアレルギー反応または同様の有害反応をもたらさない分子実体及び組成物を指す。本明細書で使用される「組成物」という用語は、対象及び/または細胞に投与または送達することができる、本明細書に記載の1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスまたは核酸分子の製剤を指す。典型的には、製剤は、全ての生理学的に許容される組成物(その誘導体及び/またはプロドラッグ、溶媒和物、立体異性体、ラセミ体、または互変異性体を含む)を、任意の生理学的に許容される担体、希釈剤、及び/または賦形剤とともに含む。「治療用組成物」または「医薬組成物」(本明細書では互換的に使用される)とは、特定の疾患または障害の治療のために患者及び/または対象及び/または細胞に投与または送達することができる1つ以上の薬剤の組成物である。
【0379】
本明細書に開示される組成物は、中性形態または塩形態で製剤化され得る。「薬学的に許容される塩」には、酸付加塩及び塩基付加塩の両方が含まれる。薬学的に許容される塩には、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基と形成されたもの)が含まれ、これらは、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、ならびに酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、樟脳酸、樟脳-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸などであるが、これらに限定されない有機酸と形成される。遊離カルボキシル基と形成された塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムの塩などの無機塩基に由来することもできる。有機塩基に由来する塩には、一級、二級、及び三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピリジン、ポリアミン樹脂などの塩が含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、及びカフェインである。製剤化されると、溶液は、剤形と適合性のある様式で、かつ治療有効量で投与される。製剤は、注射用溶液及び薬物放出カプセル剤などの様々な剤形で容易に投与される。
【0380】
本明細書で使用される場合、「担体」には、ありとあらゆる溶媒、分散媒、ビヒクル、コーティング剤、希釈剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、緩衝剤、担体溶液、懸濁液、コロイドなどが含まれる。医薬活性物質に対するかかる媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性成分と不適合性である場合を除いて、治療用組成物におけるその使用が企図される。補足的活性成分も本組成物に組み込むことができる。
【0381】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」には、ヒト及び/または飼い慣らされた動物における使用に許容されるものとして米国食品医薬品局によって承認されている、薬学的に許容される細胞培養培地及び/または乳化剤を含む、生理学的に適合性のある、任意のアジュバント、担体、賦形剤、滑剤、甘味剤、希釈剤、防腐剤、色素/着色剤、風味向上剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定剤、等張剤、溶媒、界面活性剤、分散媒、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが含まれるが、これらに限定されない。例示的な薬学的に許容される担体には、ラクトース、グルコース、及びスクロースなどの糖、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体、トラガカント、モルト、ゼラチン、タルク、カカオバター、ワックス、動物性及び植物性脂肪、パラフィン、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、酸化亜鉛、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及びダイズ油などの油、プロピレングリコールなどのグリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル、寒天、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張食塩水、リンゲル溶液、エチルアルコール、リン酸緩衝液、ならびに医薬製剤に用いられる任意の他の適合性物質が含まれるが、これらに限定されない。任意の従来の媒体及び/または薬剤が本開示の薬剤と不適合性である場合を除いて、治療組成物におけるその使用が企図される。補足的活性成分も本組成物に組み込むことができる。
【0382】
湿潤剤、乳化剤、及び滑沢剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤及び香料、防腐剤、ならびに抗酸化剤も、本組成物中に存在することができる。
【0383】
薬学的に許容される抗酸化剤の例としては、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤、(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤、及び(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート化剤が挙げられる。
【0384】
一実施形態では、担体を含む組成物は、非経口投与、例えば、血管内(静脈内もしくは動脈内)、腹腔内、または筋肉内投与に好適である。薬学的に許容される担体には、滅菌注射用溶液または分散液の即時調製用の滅菌水溶液または分散液及び滅菌粉末が含まれる。薬学的に活性な物質に対するかかる媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤がウイルスベクターまたは核酸分子と不適合性である場合を除いて、本開示の医薬組成物におけるその使用が企図される。
【0385】
本開示の組成物は、単独でまたは1つ以上の他の治療様式と組み合わせてのいずれかで、細胞または動物に投与するための薬学的に許容される溶液または生理学的に許容される溶液で製剤化された、本明細書に記載の1つ以上のポリペプチド、ポリヌクレオチド、それらを含むベクター、感染細胞などを含み得る。所望の場合、本開示の組成物が、例えば、サイトカイン、成長因子、ホルモン、小分子、または様々な薬学的に活性な薬剤などの他の薬剤と組み合わせて投与されてもよいことも理解される。本組成物中に同様に含まれ得る他の構成成分には、その追加の薬剤が意図された治療を果たす本組成物の能力に悪影響を及ぼさない限り、実質的に制限はない。
【0386】
本開示の医薬組成物において、薬学的に許容される賦形剤及び担体溶液の製剤は、様々な治療レジメンにおける本明細書に記載の特定の組成物の使用に好適な投与レジメン及び治療レジメンの開発と同様に、当業者に周知である。製剤化されると、溶液は、剤形と適合性のある様式で、かつ症状の改善または修復をもたらすのに治療的に有効な量で投与される。製剤は、経口摂取用溶液及び薬物放出カプセル剤などの様々な剤形で容易に投与される。治療される対象の状態に応じて、投薬量にいくらかの変動が生じ得る。いずれにせよ、投与を担当する者が個々の対象に適切な用量を決定することができる。更に、ヒトへの投与の場合、調製物は、FDA生物製剤評価研究センターで定められている、無菌性、一般的安全性、及び純度の基準を満たすものである。投与経路は、必然的に、治療される疾患の位置及び性質によって異なり、例えば、真皮内、経皮(transdermal)、真皮下、非経口、経鼻、静脈内、筋肉内、鼻腔内、皮下、経皮(percutaneous)、気管内、腹腔内、腫瘍内、灌流、洗浄、直接注入、及び経口投与を含み得る。
【0387】
ある特定の事例では、例えば、米国特許第No.5,543,158号、米国特許第5,641,515号、及び米国特許第5,399,363号(各々参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる)に記載されるように、本明細書に開示される組成物、組換えウイルスベクター、及び核酸分子を非経口的、静脈内、筋肉内、または更には腹腔内送達することが望ましいであろう。活性化合物の溶液は、遊離塩基または薬理学的に許容される塩として、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と好適に混合された水中で調製され得る。分散液も、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物中及び油中で調製することができる。通常の保存条件及び使用条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を阻止するための防腐剤を含む。
【0388】
注射使用に好適な医薬形態には、滅菌注射用溶液もしくは分散液の即時調製用の滅菌水溶液または分散液及び滅菌粉末が含まれる(米国特許第5,466,468号(参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる))。全ての事例において、この形態は、滅菌でなければならず、容易な注射可能性が存在する程度に流体でなければならない。これは、製造条件及び保管条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、及び/または植物油を含む溶媒または分散媒とすることができる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤を使用することによって、分散液の場合には必要な粒径を維持することによって、かつ界面活性剤を使用することによって維持され得る。微生物作用の阻止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによって促進することができる。多くの事例では、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の吸収の延長は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを本組成物で使用することによってもたらされ得る。活性成分としてタンパク質を含む水性組成物の調製は、当該技術分野で十分に理解されている。典型的には、かかる組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかの注射物として調製され、注射前の液体中の溶液または懸濁液に好適な固体形態を調製することもできる。調製物を乳化することもできる。
【0389】
水溶液での非経口投与の場合、例えば、溶液を必要に応じて好適に緩衝化しなければならず、最初に十分な生理食塩水またはグルコースで液体希釈剤を等張にしなければならない。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下、及び腹腔内投与に特に好適である。これに関連して、用いることができる無菌水性媒体は、本開示を考慮して、当業者に知られるであろう。例えば、ある投薬量を1mlの等張NaCl溶液に溶解させ、1000mlの皮下注入液に添加するか、または提案された注入部位に注入するかのいずれかが行われ得る(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition.Baltimore,MD:Lippincott Williams & Wilkins,2000を参照されたい)。治療される対象の状態に応じて、投薬量にいくらかの変動が必然的に生じる。いずれにせよ、投与を担当する者が個々の対象に適切な用量を決定する。更に、ヒトへの投与の場合、調製物は、FDA生物製剤オフィスで定められている、無菌性、発熱性、一般的安全性、及び純度の基準を満たさなければならない。
【0390】
滅菌注射用溶液は、活性化合物を必要な量で上に列挙された様々な他の成分とともに適切な溶媒中に組み込み、その後、必要に応じて、濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散液は、様々な滅菌された活性成分を、塩基性分散媒と、上に列挙された成分のうちの必要な他の成分とを含む滅菌ビヒクル中に組み込むことによって調製される。滅菌注射用溶液の調製用の滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥技法であり、これにより、予め滅菌濾過した溶液から活性成分と任意の追加の所望の成分との粉末が得られる。
【0391】
ある特定の実施形態では、本組成物は、鼻腔内スプレー、吸入、及び/または他のエアゾール送達ビヒクルによって送達され得る。鼻腔用エアロゾルスプレーを介してポリヌクレオチド及びペプチド組成物を肺に直接送達するための方法は、例えば、米国特許第5,756,353号及び米国特許第5,804,212号(各々参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる)に記載されている。同様に、鼻腔内微粒子樹脂(Takenaga et al.,1998)及びリソホスファチジルグリセロール化合物(米国特許第5,725,871号(参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる))を使用した薬物の送達も、医薬品分野で周知である。同様に、ポリテトラフルオロエチレン支持マトリックスの形態での経粘膜薬物送達が、米国特許第5,780,045号(参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる)に記載されている。
【0392】
ある特定の実施形態では、送達は、本開示の組成物を好適な宿主細胞に導入するための、リポソーム、ナノカプセル、微粒子、マイクロスフェア、脂質粒子、小胞の使用、任意選択で、CPPポリペプチドとの混合などによって行われ得る。特に、本開示の組成物は、脂質粒子、リポソーム、小胞、ナノ球体、ナノ粒子などのいずれかでカプセル封入された状態で送達用に製剤化され得る。かかる送達ビヒクルの製剤化及び使用は、既知の従来技法を使用して実行することができる。本開示の製剤及び組成物は、単独でまたは1つ以上の他の治療様式と組み合わせて、細胞または動物に投与するための薬学的に許容される溶液または生理学的に許容される溶液(例えば、培養培地)で製剤化された、本明細書に記載の1つ以上のポリペプチド、ポリヌクレオチド、及び小分子を含み得る。所望の場合、本開示の組成物が、例えば、細胞、他のタンパク質もしくはポリペプチド、または様々な薬学的に活性な薬剤などの他の薬剤と組み合わせて投与されてもよいことも理解される。
【0393】
特定の実施形態では、本開示による製剤または組成物は、本明細書に企図される、任意の数のポリヌクレオチドまたはウイルスベクターの組み合わせと接触した細胞を含む。
【0394】
ある特定の態様では、本開示は、ウイルスベクター系の送達に好適な製剤または組成物を提供する。
【0395】
エクスビボ送達用の例示的な製剤は、当該技術分野で既知の様々なトランスフェクション剤、例えば、リン酸カルシウム、エレクトロポレーション、熱ショック、及び様々なリポソーム製剤(すなわち、脂質媒介トランスフェクション)の使用も含み得る。リポソームは、水性流体の一部を閉じ込めた脂質二重層である。DNAは、カチオン性リポソームの外表面と(その電荷によって)自然に会合し、これらのリポソームは、細胞膜と相互作用するようになる。
【0396】
本開示の特定の実施形態は、他の製剤、例えば、医薬技術分野で周知であり、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition.Baltimore,MD:Lippincott Williams & Wilkins,2000に記載される製剤を含み得る。
【0397】
ある特定の態様では、本開示は、1つ以上の薬学的に許容される担体(添加剤)及び/または希釈剤(例えば、薬学的に許容される細胞培養培地)と一緒に製剤化された、治療有効量の本明細書に記載の1つ以上のウイルスベクターまたはポリヌクレオチドを含む薬学的に許容される組成物を提供する。本明細書で使用される場合、「治療有効量」とは、所望の生理学的及び/または生物学的結果を達成するのに必要な本明細書に記載の組成物または組換えウイルスの量を指す。ウイルス、ウイルスストック、または組成物の「治療有効量」は、個体の疾患状態、年齢、性別、及び体重、ならびに個体における所望の応答を誘発する幹細胞及び前駆細胞の能力などの要因により異なり得る。治療有効量は、治療的に有益な効果がウイルスまたは形質導入された治療用細胞の任意の毒性効果または有害効果を上回る量である。「治療有効量」という用語は、対象(例えば、患者)を「治療する」のに有効な量を含む。治療有効量は、プラーク形成単位(pfu)の総数(例えば、少なくとも1e~少なくとも1e20、具体的には約1e~約1e15、より具体的には約1e~約1e12pfu)、またはウイルスゲノムの数(例えば、少なくとも1e~少なくとも1e20、具体的には約1e~約1e15、より具体的には約1e~約1e12ウイルスゲノム)によって定量され得る。当業者であれば、治療有効量が、投与されるウイルスの種類、製剤の性質、投与経路、治療される疾患の性質及び/または重症度、及び/または対象の全身健康状態及び幸福感により異なることを理解する。
【0398】
本開示のいくつかの態様は、がん性細胞を死滅させる方法であって、がん性細胞を、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルスまたはその組成物に、腫瘍溶解性ウイルスを当該がん性細胞に感染させ、かつ腫瘍溶解性ウイルスを当該がん性細胞内で複製するのに十分な条件下で曝露することを含み、がん性細胞内での腫瘍溶解性ウイルスの複製により、細胞死がもたらされる、方法を包含する。ある特定の実施形態では、がん性細胞は、非がん性細胞と比較して、miRの発現の低下を有する。いくつかの実施形態では、本方法によって死滅したがん細胞は、インビボにある。ある特定の実施形態では、本方法によって死滅したがん性細胞は、腫瘍内にある。
【0399】
本開示は、がんの治療を必要とする対象におけるがんを治療する方法であって、対象に、予防有効量または治療有効量の本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルス、ウイルスストック、粒子、または組成物を対象に投与することを含む、方法に関する。本明細書で使用される「対象」には、本明細書に開示される組換えウイルスベクター、組成物、及び方法を用いて治療することができる疾患、障害、または状態の症状を呈する任意の動物が含まれる。好適な対象(例えば、患者)としては、実験動物(マウス、ラット、ウサギ、またはモルモットなど)、家畜(ウマまたはウシなど)、ならびに飼い慣らされた動物またはペット(ネコまたはイヌなど)が挙げられる。非ヒト霊長類、好ましくは、ヒト患者が含まれる。
【0400】
「投与」とは、本明細書では、腫瘍溶解性ウイルス、ウイルスストック、もしくはその組成物を対象に導入すること、または腫瘍溶解性ウイルス、ウイルスストック、もしくはその組成物を細胞及び/または組織と接触させることを指す。投与は、注射、灌注、吸入、摂取、電気浸透、血液透析、イオン泳動、及び当該技術分野で既知の他の方法によって行うことができる。投与経路は、必然的に、治療される疾患の位置及び性質により異なり、例えば、耳介、頬側、結膜、皮膚、歯、子宮頸管内、洞内(endosinusial)、気管内(endotracheal)、腸内、硬膜外、間質、関節内、動脈内、腹部内、耳介内、胆汁内、気管支内、嚢内、空洞内、脳内、大槽内、角膜内、冠状内、冠内、頭蓋内、真皮内、円板内、管内(intraductal)、十二指腸内、十二指腸内、硬膜内、心外膜内、表皮内、食道内、胃内、歯肉内、肝内、回腸内、病巣内、舌内、腔内、リンパ内、乳房内、髄内、髄膜内、筋肉内、鼻腔内、結節内、眼内、網内(intraomentum)、卵巣内、腹膜内、心膜内、胸膜内、前立腺内、肺内、反芻胃内(intraruminal)、洞内(intrasinal)、脊髄内、滑液嚢内、腱内、精巣内、気管内(intratracheal)、くも膜下腔内、胸腔内、管内(intratubular)、腫瘍内、鼓室内、子宮内、腹腔内、血管内、脳室内、膀胱内、前庭内、静脈内、硝子体内、喉頭、経鼻、経鼻胃、口腔、眼、中咽頭、非経口、経皮(percutaneous)、関節周囲、硬膜周囲、神経周囲、歯周、呼吸器、後尿細管(retrotubular)、直腸、脊髄、くも膜下、結膜下、皮下、真皮下、歯肉下、舌下、粘膜下、網膜下、局所、経皮(transdermal)、経心内膜、経粘膜、経胎盤、経気管、経鼓室、尿管、尿道、及び/または膣灌流、洗浄、直接注射、ならびに経口投与を含み得る。
【0401】
本明細書で使用される「治療すること」及び「治療」という用語は、対象が疾患もしくは状態、または疾患もしくは状態の症状の改善を有するように、対象に、治療有効量の本明細書に記載の組換えウイルスまたはその組成物を投与することを指す。改善は、疾患もしくは状態、または疾患もしくは状態の症状のあらゆる改善または修復である。改善は、観察可能または測定可能な改善であるか、または対象の幸福感の全身感覚の改善であり得る。したがって、当業者であれば、治療が疾患状態を改善する可能性があるが、疾患の完全な治癒ではない可能性があることを認識する。「予防有効量」とは、所望の予防結果を達成するのに有効なウイルス、ウイルスストック、または組成物の量を指す。本明細書で使用される場合、「予防」とは、疾患症状の完全な予防、疾患症状の発生の遅延、または後続して発症する疾患症状の重症度の軽減を意味することができる。典型的には、予防用量が疾患の初期段階前または早期段階で対象に使用されるため、予防有効量は治療有効量未満であるが、必ずしもそうではない。
【0402】
本明細書における「がん」とは、典型的には無秩序な細胞増殖を特徴とする哺乳動物の生理学的状態を指すか、またはそれを説明する。がんの例としては、がん腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫(脂肪肉腫、骨原性肉腫、血管肉腫、内皮肉腫、平滑筋肉腫、脊索腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮腫、横紋筋肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、軟骨肉腫を含む)、神経内分泌腫瘍、中皮腫、滑膜腫、シュワン腫、髄膜腫、腺癌、黒色腫、及び白血病またはリンパ系悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。かかるがんのより具体的な例としては、扁平上皮癌(squamous cell cancer)(例えば、扁平上皮癌(epithelial squamous cell cancer)、肺癌、例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌、小細胞肺癌腫、腹膜癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、例えば、胃腸癌、膵臓癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、直腸癌、大腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌または腎癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、精巣癌、食道癌、胆道腫瘍、ユーイング腫瘍、基底細胞癌腫、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌腫、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、精巣腫瘍、肺癌腫、膀胱癌腫、上皮癌腫、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、骨髄異形成疾患、重鎖病、神経内分泌腫瘍、シュワン腫、及び他の癌腫、ならびに頭頸部癌が挙げられる。
【0403】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルス(例えば、HSV)、ウイルスストック、または組成物は、肺癌(例えば、小細胞肺癌または非小細胞肺癌)、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、精巣癌、大腸癌、結腸癌、膵臓癌、肝臓癌(例えば、肝細胞癌(HCC))、胃癌、頭頸部癌、甲状腺癌、悪性神経膠腫、神経膠芽腫、黒色腫、非黒色腫皮膚癌、B細胞慢性リンパ球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、及び辺縁帯リンパ腫(MZL)から選択されるがんを治療するために使用される。いくつかの実施形態では、がんは、神経膠芽腫である。
【0404】
いくつかの実施形態では、がんは、非黒色腫皮膚癌である。非黒色腫皮膚癌は、黒色腫ではない皮膚に生じる全ての種類のがんを指す。いくつかの実施形態では、非黒色腫皮膚癌は、血管肉腫、基底細胞癌腫、皮膚B細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、隆起性皮膚線維肉腫、メルケル細胞癌、皮脂癌、または皮膚扁平上皮癌である。
【0405】
ある特定の態様では、本開示は、本明細書に開示される図または実施形態のうちのいずれか1つに示される腫瘍溶解性ウイルスベクターに関する。
【0406】
更なる番号付けされた実施形態
本開示の更なる番号付けされた実施形態は、以下のように提供される。
【0407】
実施形態1.組換えヘルペスウイルスであって、前記組換えヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、
(a)1つ以上の導入遺伝子を含み、任意選択で、前記導入遺伝子(複数可)のオープンリーディングフレーム(複数可)(ORF)が、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、または少なくとも64%のG/C含有量を有する、
(b)1つ以上のmiRNA標的配列を含む、
(c)再標的化ドメインをコードするポリヌクレオチドを含む、
(d)DNAポリメラーゼ触媒サブユニット(DPCS)であって、変異を含む、前記DPCSをコードするUL30ウイルス遺伝子と、チミジンキナーゼ(TK)であって、変異を含む、前記TKをコードするUL23ウイルス遺伝子とを含む、
(e)第1のgBであって、合胞体変異を含む、前記第1のgB、及び/または第2のgBであって、合胞体変異を含まない、前記第2のgBをコードする、
(f)第1のgKであって、合胞体変異を含む、前記第1のgK、及び/または第2のgKであって、合胞体変異を含まない、前記第2のgKをコードする、
(g)第1のgHであって、合胞体変異を含む、前記第1のgH、及び/または第2のgHであって、合胞体変異を含まない、前記第2のgHをコードする、
(h)第1のUL20であって、合胞体変異を含む、前記第1のUL20、及び/または第2のUL20であって、合胞体変異を含まない、前記第2のUL20をコードする、及び/または
(i)第1のUL24であって、合胞体変異を含む、前記第1のUL24、及び/または第2のUL24であって、合胞体変異を含まない、前記第2のUL24をコードする、前記組換えヘルペスウイルス。
【0408】
実施形態2.前記組換えヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記1つ以上の導入遺伝子を含み、前記1つ以上の導入遺伝子が、15-ヒドロキシプロスタグランジンデヒドロゲナーゼ[NAD(+)](HPGD)、アデノシンデアミナーゼ2(ADA2)、ヒアルロニダーゼ-1(HYAL1)、ヘモタキシス阻害タンパク質(CHP)、C-Cモチーフケモカイン21(CCL21)、インターロイキン-12(IL-12)、CD47アンタゴニスト、形質転換成長因子ベータ(TGFβ)アンタゴニスト、プログラム死-1(PD1)アンタゴニスト、骨髄系細胞に発現するトリガー受容体-2(TREM2)アンタゴニスト、クロロトキシン(CTX)を含む生体分子、またはそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上のペイロードタンパク質をコードする、実施形態1に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0409】
実施形態3.前記1つ以上のペイロードタンパク質が、IL-12、PD1アンタゴニスト、及びTREM2アンタゴニストを含むか、またはそれらからなる、実施形態2に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0410】
実施形態4.前記1つ以上のペイロードタンパク質がHPGDを含む、実施形態3に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0411】
実施形態5.前記1つ以上のペイロードタンパク質がCTXを含む生体分子を含む、実施形態3または4に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0412】
実施形態6.前記1つ以上のペイロードタンパク質が、表4~7に列記されるペイロードタンパク質の組み合わせのうちの1つを含むか、またはそれからなる、実施形態2に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0413】
実施形態7.前記1つ以上のペイロードタンパク質がHPGDを含む、実施形態2~6のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0414】
実施形態8.前記1つ以上のペイロードタンパク質がADA2を含む、実施形態2~7のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0415】
実施形態9.前記1つ以上のペイロードタンパク質がHYAL1を含む、実施形態2~8のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0416】
実施形態10.前記1つ以上のペイロードタンパク質がCHPを含む、実施形態2~9のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0417】
実施形態11.前記1つ以上のペイロードタンパク質がCCL21を含む、実施形態2~10のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0418】
実施形態12.前記1つ以上のペイロードタンパク質がIL-12を含む、実施形態2~11のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0419】
実施形態13.前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記CD47アンタゴニストを含む、実施形態2~12のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0420】
実施形態14.前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記TGFβアンタゴニストを含む、実施形態2~13のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0421】
実施形態15.前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記PD1アンタゴニストを含む、実施形態2~14のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0422】
実施形態16.前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記TREM2アンタゴニストを含む、実施形態2~15のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0423】
実施形態17.前記アンタゴニストが抗体またはその抗原結合断片を含む、実施形態2~16のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0424】
実施形態18.前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記CTXを含む生体分子を含む、実施形態2~17のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0425】
実施形態19.前記CTXを含む生体分子が、T細胞の表面に発現するタンパク質に特異的に結合するT細胞エンゲージャー部分を更に含む、実施形態5または18に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0426】
実施形態20.前記T細胞の表面に発現するタンパク質がCD3である、実施形態19に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0427】
実施形態21.前記T細胞エンゲージャー部分が、配列番号914と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、実施形態20に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0428】
実施形態22.前記CTXが、配列番号913と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる、実施形態18~21のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0429】
実施形態23.
(i)前記HPGDが、配列番号875と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、
(ii)前記ADA2が、配列番号877と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、
(iii)前記HYAL1が、配列番号878と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、
(iv)前記CHPが、配列番号880と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、
(v)前記CCL21が、配列番号881と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、
(vi)前記IL-12が、配列番号883と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むサブユニットアルファ、及び配列番号884と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むサブユニットベータを含む、
(vii)前記CD47アンタゴニストが、配列番号895のVHH CDR1、配列番号896のVHH CDR2、配列番号897のVHH CDR3、及び/または配列番号887もしくは888と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む、
(viii)前記TGFβアンタゴニストが、配列番号898のCDR1、配列番号899のCDR2、及び配列番号900のCDR3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、及び/または配列番号901のCDR1、配列番号902のCDR2、及び配列番号903のCDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、任意選択で、前記TGFβアンタゴニストが、配列番号889または890と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、
(ix)前記PD1アンタゴニストが、配列番号904のVHH CDR1、配列番号905のVHH CDR2、配列番号906のVHH CDR3、及び/または配列番号891もしくは892と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む、
(x)前記CTXを含む生体分子が、配列番号915または916と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、
及び/または、
(xi)前記TREM2アンタゴニストが、配列番号907のCDR1、配列番号908のCDR2、配列番号909のCDR3、及び/または配列番号893と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)、及び/または配列番号910のCDR1、配列番号911のCDR2、配列番号912のCDR3、及び/または配列番号894と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、実施形態2~22のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0430】
実施形態24.前記導入遺伝子(複数可)のうちの少なくとも1つのORFが、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、または少なくとも64%のG/C含有量を有する、実施形態1~23のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0431】
実施形態25.前記導入遺伝子(複数可)の全てのORFが、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、または少なくとも64%のG/C含有量を有する、実施形態24に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0432】
実施形態26.IL-12、前記PD1アンタゴニスト、前記TREM2アンタゴニスト、HPGD、及び/または前記CTXを含む生体分子をコードする前記導入遺伝子(複数可)のORFが、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、または少なくとも64%のG/C含有量を有する、実施形態24に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0433】
実施形態27.前記導入遺伝子のORFによってコードされるペイロードタンパク質の発現が、対照組換えヘルペスウイルス中に約52%のG/C含有量を有する対照ORFによってコードされる前記ペイロードタンパク質の発現よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、または少なくとも10倍高く、任意選択で、前記対照ORFがホモサピエンスのコドン使用に基づいてコドン最適化される、実施形態24~26のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0434】
実施形態28.前記導入遺伝子(複数可)のORF(複数可)が、アナエロミュクソバクテル・デハロゲナンスのコドン使用に基づいてコドン最適化される、実施形態24~27のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0435】
実施形態29.前記導入遺伝子(複数可)が抗体またはその抗原結合断片をコードする、実施形態24~28のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0436】
実施形態30.前記抗体またはその抗原結合断片が重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、実施形態29に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0437】
実施形態30.1 前記TREM2アンタゴニストをコードする前記導入遺伝子が、配列番号938と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態23、29、及び30のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0438】
実施形態31.前記抗体またはその抗原結合断片が単一ドメイン抗体(sdAb)に由来するVHHドメインを含む、実施形態29または30に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0439】
実施形態32.前記抗体またはその抗原結合断片がIgG-Fcを含み、任意選択で、前記IgGがIgG1である、実施形態30または31に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0440】
実施形態33.前記PD1アンタゴニストをコードする前記導入遺伝子が、配列番号937と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態23及び29~32のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0441】
実施形態34.前記CTXを含む生体分子をコードする前記導入遺伝子が、配列番号940または941と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態23及び29~33のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0442】
実施形態35.サイトカイン、ケモカイン、受容体、受容体リガンド、酵素、及び/またはレポータータンパク質をコードする前記導入遺伝子(複数可)を含む、実施形態24~34のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0443】
実施形態36.IL-12をコードする前記導入遺伝子が、配列番号936と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態23または35に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0444】
実施形態37.HPGDをコードする前記導入遺伝子が、配列番号939と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態23及び35~36のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0445】
実施形態38.miR-34b-5p、miR-34b-3p、miR-34c-5p、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-129-5p、miR-129-2-3p、miR-132-3p、miR-137-3p、miR-145-5p、またはそれらの任意の組み合わせのmiRNA標的配列を含む、実施形態1~37のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0446】
実施形態39.miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-129-2-3p、miR-132-3p、miR-137-3p、miR-145-5p、またはそれらの任意の組み合わせのmiRNA標的配列を含む、実施形態38に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0447】
実施形態40.miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-129-2-3p、miR-132-3p、miR-137-3p、及びmiR-145-5pのmiRNA標的配列を含む、実施形態38に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0448】
実施形態41.
(a)miR-122-5pの1つ以上のmiRNA標的配列、
(b)miR-145-5pの1つ以上のmiRNA標的配列、
(c)miR-124-3p、miR-128T、miR-137-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、
(d)miR-34b-5p、miR-34c-5p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、及び
(e)miR-129-2-3p、miR-132-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含む、実施形態38~40のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0449】
実施形態42.第1のウイルス遺伝子に挿入された第1のmiR-TSカセットであって、miR-34c-5p、miR-124-3p、miR-129-2-3p、及びmiR-132-3pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、前記第1のmiR-TSカセットを含む、実施形態38~41のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0450】
実施形態43.前記第1のmiR-TSカセット内の前記miRNA標的配列が、(34c-5p)-(124-3p)-(132-3p)-(129-2-3p)-(34c-5p)-(124-3p)-(129-2-3p)-(132-3p)-(124-3p)-(129-2-3p)-(132-3p)-(34c-5p)として配置される、実施形態42に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0451】
実施形態44.前記第1のmiR-TSカセットが、配列番号859と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一の核酸配列を含む、実施形態42または43に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0452】
実施形態45.前記第1のウイルス遺伝子がICP8である、実施形態42~44のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0453】
実施形態46.第2のウイルス遺伝子に挿入された第2のmiR-TSカセットであって、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、及びmiR-137-3pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、前記第2のmiR-TSカセットを含む、実施形態38~45のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0454】
実施形態47.前記第2のmiR-TSカセット内の前記miRNA標的配列が、(137-3p)-(128T)-(122-5p)-(124-3p)-(122-5p)-(128T)-(137-3p)-(124-3p)-(128T)-(137-3p)-(124-3p)-(122-5p)として配置される、実施形態46に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0455】
実施形態48.前記第2のmiR-TSカセットが、配列番号858と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一の核酸配列を含む、実施形態46または47に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0456】
実施形態49.前記第2のウイルス遺伝子がICP4である、実施形態46~48のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0457】
実施形態50.前記第2のmiR-TSカセットをウイルスゲノムの両方のICP4ウイルス遺伝子内に含む、実施形態49に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0458】
実施形態51.1つ以上のmiRNA標的配列をウイルスゲノムの両方のICP4ウイルス遺伝子内に含み、任意選択で、前記miRNA標的配列が両方の前記ICP4ウイルス遺伝子内で同じである、実施形態1~50のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0459】
実施形態52.第3のウイルス遺伝子に挿入された第3のmiR-TSカセットであって、miR-34c-5p、miR-124-3p、miR-128T、及びmiR-137-3pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、前記第3のmiR-TSカセットを含む、実施形態38~51のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0460】
実施形態53.前記第3のmiR-TSカセット内の前記miRNA標的配列が、(124-3p)-(128T)-(34c-5p)-(137-3p)-(128T)-(34c-5p)-(137-3p)-(124-3p)-(128T)-(137-3p)-(124-3p)-(34c-5p)として配置される、実施形態52に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0461】
実施形態54.前記第3のmiR-TSカセットが、配列番号873と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一の核酸配列を含む、実施形態52または53に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0462】
実施形態55.第3のウイルス遺伝子に挿入された第3のmiR-TSカセットであって、miR-34b-3p、miR-34c-5p、miR-128T、miR-137-3pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、前記第3のmiR-TSカセットを含む、実施形態38~51のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0463】
実施形態56.前記第3のウイルス遺伝子がICP27である、実施形態52~55のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0464】
実施形態57.第4のウイルス遺伝子に挿入された第4のmiR-TSカセットであって、
(i)前記第4のmiR-TSカセットが、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-129-5p、及びmiR-145-5pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、
(ii)前記第4のmiR-TSカセットが、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-132-3p、及びmiR-145-5pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、または
(iii)前記第4のmiR-TSカセットが、miR-34b-3p、miR-34c-5p、miR-132-3p、及びmiR-145-5pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、前記第4のmiR-TSカセットを含む、実施形態38~56のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0465】
実施形態58.第4のウイルス遺伝子に挿入された第4のmiR-TSカセットであって、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-132-3p、及びmiR-145-5pの各々の1つ以上のmiRNA標的配列を含む、前記第4のmiR-TSカセットを含む、実施形態38~56のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0466】
実施形態59.前記第4のmiR-TSカセット内の前記miRNA標的配列が、(145-5p)-(34b-5p)-(132-3p)-(34c-5p)-(145-5p)-(34c-5p)-(34b-5p)-(132-3p)-(34b-5p)-(145-5p)-(132-3p)-(34c-5p)として配置される、実施形態58に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0467】
実施形態60.前記第4のmiR-TSカセットが、配列番号874と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一の核酸配列を含む、実施形態58または59に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0468】
実施形態61.前記第4のウイルス遺伝子がUL8である、実施形態57~60のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0469】
実施形態62.前記miR-TSカセットが各々、前記miRNA標的配列の各々の少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのコピーを含む、実施形態42~61のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0470】
実施形態63.前記miR-TSカセットが各々、前記miRNA標的配列の各々の3つのコピーを含む、実施形態42~61のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0471】
実施形態64.前記組換えHSVの複製が、がん性細胞における前記組換えHSVの複製と比較して、非がん性細胞において減少し、任意選択で、前記がん性細胞が神経膠芽腫細胞である、実施形態38~63のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0472】
実施形態65.前記非がん性細胞が、神経細胞、上衣細胞、乏突起膠細胞、内皮細胞、肝細胞、星状膠細胞、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施形態64に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0473】
実施形態66.前記非がん性細胞が星状膠細胞である、実施形態64に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0474】
実施形態67.
(a)前記miR-34b-5pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号867を含むか、もしくはそれらからなる、
(b)前記miR-34b-3pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号868を含むか、もしくはそれらからなる、
(c)前記miR-34c-5pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号869を含むか、もしくはそれらからなる、
(d)前記miR-122-5pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号804を含むか、もしくはそれらからなる、
(e)前記miR-124-3pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号805を含むか、もしくはそれらからなる、
(f)前記miR-128Tの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号870を含むか、もしくはそれらからなる、
(g)前記miR-129-5pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号813を含むか、もしくはそれらからなる、
(h)前記miR-129-2-3pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号871を含むか、もしくはそれらからなる、
(i)前記miR-132-3pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号872を含むか、もしくはそれらからなる、
(j)前記miR-137-3pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号819を含むか、もしくはそれらからなる、及び/または
(k)前記miR-145-5pの1つ以上のmiRNA標的配列が、配列番号823を含むか、もしくはそれらからなる、実施形態38~66のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0475】
実施形態68.前記再標的化ドメインをコードする前記ポリヌクレオチドを含み、前記再標的化ドメインが、標的細胞によって発現される標的タンパク質に特異的に結合する、実施形態1~67のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0476】
実施形態69.前記再標的化ドメインをコードする前記ポリヌクレオチドが、糖タンパク質D(gD)をコードするUS6遺伝子のオープンリーディングフレームに挿入される、実施形態68に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0477】
実施形態70.前記再標的化ドメインをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号921のアミノ酸6~24に対応するアミノ酸配列をコードする前記US6遺伝子領域を置き換える、実施形態69に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0478】
実施形態71.前記標的細胞によって発現される前記標的タンパク質が、インテグリンα5β1、インテグリンαvβ1、インテグリンαvβ3、インテグリンαvβ6、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態68~70のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0479】
実施形態72.前記標的細胞によって発現される前記標的タンパク質が、上皮成長因子受容体(EGFR)を含む、実施形態68~71のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0480】
実施形態73.前記再標的化ドメインが、前記標的細胞によって発現される前記標的タンパク質に特異的に結合することができるノッチンペプチドを含む、実施形態68~72のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0481】
実施形態74.前記再標的化ドメインが、50個以下、45個以下、40個以下、または35個以下のアミノ酸を含む、実施形態73に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0482】
実施形態75.前記再標的化ドメインが、配列番号922と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態73または74に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0483】
実施形態76.前記再標的化ドメインが、前記標的細胞によって発現される前記標的タンパク質に特異的に結合することができる免疫グロブリンドメインを含む、実施形態68~75のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0484】
実施形態77.前記再標的化ドメインが、重鎖のみ抗体の可変ドメイン(VHH)または新規抗原受容体免疫グロブリンの可変ドメイン(V-NAR)の結合ドメインまたはそれに由来する結合ドメインを含む、実施形態68~76のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0485】
実施形態78.前記再標的化ドメインが、150個以下、140個以下、または130個以下のアミノ酸を含む、実施形態76または77に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0486】
実施形態79.前記再標的化ドメインが、配列番号923と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態76~78のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0487】
実施形態80.前記ヘルペスウイルスが、前記標的タンパク質を発現する前記標的細胞に感染することができる、実施形態68~79のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0488】
実施形態81.前記ヘルペスウイルスが、ネクチン-1発現を有しない細胞に感染することができ、任意選択で、前記細胞がVero細胞である、実施形態68~80のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0489】
実施形態82.前記変異を含む前記DPCSをコードする前記UL30ウイルス遺伝子及び前記変異を含む前記TKをコードする前記UL23ウイルス遺伝子を含む、実施形態1~81のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0490】
実施形態83.前記DPCSにおける前記変異が、前記ヘルペスウイルスのDNA複製忠実度を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも3倍、または少なくとも5倍増加させる、実施形態82に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0491】
実施形態84.前記DPCSにおける前記変異が、配列番号917のL774に対応するアミノ酸位置にあり、好ましくは、前記変異がアミノ酸置換である、実施形態82または83に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0492】
実施形態85.前記DPCSにおける前記変異が、配列番号917のL774Fに対応する前記アミノ酸置換である、実施形態84に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0493】
実施形態86.前記DPCSが、前記DPCSにおける前記変異を除いて、配列番号917と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、実施形態82~85のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0494】
実施形態87.アシクロビルのIC50が前記ヘルペスウイルスに対して0.5ug/ml未満、1.0ug/ml未満、1.5ug/ml未満、または2.0ug/ml未満である、実施形態82~86のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0495】
実施形態88.前記TKにおける前記変異が、前記ヘルペスウイルスに対するアシクロビルのIC50を少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、または少なくとも100倍減少させる、実施形態82~87のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0496】
実施形態89.前記TKにおける前記変異が、配列番号918のL159、I160、F161、A168、及び/またはL169に対応する1つ以上のアミノ酸位置にあり、好ましくは、前記変異がアミノ酸置換である、実施形態82~88のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0497】
実施形態90.前記TKにおける前記変異が、
(a)L159IもしくはL159L、
(b)I160LもしくはI160F、
(c)F161A、F161V、F161P、もしくはF161L、
(d)A168D、A168Y、A168V、もしくはA168F、及び/または
(e)L169F、L169Y、L169L、L169I、L169M、L169N、もしくはL169Kのうちの1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態89に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0498】
実施形態91.前記TKにおける前記変異が、配列番号918のL159I、I160F、F161L、A168F、及びL169Mに対応するアミノ酸置換を含む、実施形態82~90のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0499】
実施形態92.前記TKにおける前記変異が、配列番号918のI160F、F161A、及びA168Fに対応するアミノ酸置換を含む、実施形態82~90のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0500】
実施形態93.前記TKにおける前記変異が、配列番号918のI160F、F161L、A168F、及びL169Nに対応するアミノ酸置換を含む、実施形態82~90のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0501】
実施形態94.前記TKが、前記TKにおける前記変異を除いて、配列番号918と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む、実施形態82~93のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0502】
実施形態95.前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、
(i)前記第1のgBであって、前記合胞体変異を含む、前記第1のgB、及び/または前記第2のgBであって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のgBをコードする、
(ii)前記第1のgKであって、前記合胞体変異を含む、前記第1のgK、及び/または前記第2のgKであって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のgKをコードする、
(iii)前記第1のgHであって、前記合胞体変異を含む、前記第1のgH、及び/または前記第2のgHであって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のgHをコードする、
(iv)前記第1のUL20であって、前記合胞体変異を含む、前記第1のUL20、及び/または前記第2のUL20であって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のUL20をコードする、及び/または
(v)前記第1のUL24であって、前記合胞体変異を含む、前記第1のUL24、及び/または前記第2のUL24であって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のUL24をコードする、実施形態1~94のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0503】
実施形態96.前記第1のgBが内因性gBコード遺伝子座によってコードされ、前記第2のgBが外因性発現カセットによってコードされる、実施形態95に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0504】
実施形態97.前記第1のgBが外因性発現カセットによってコードされ、前記第2のgBが内因性gBコード遺伝子座によってコードされる、実施形態95に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0505】
実施形態98.前記第1のgKが内因性gKコード遺伝子座によってコードされ、前記第2のgKが外因性発現カセットによってコードされる、実施形態95~97のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0506】
実施形態99.前記第1のgKが外因性発現カセットによってコードされ、前記第2のgKが内因性gKコード遺伝子座によってコードされる、実施形態95~97のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0507】
実施形態100.前記第1のgHが内因性gHコード遺伝子座によってコードされ、前記第2のgHが外因性発現カセットによってコードされる、実施形態95~99のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0508】
実施形態101.前記第1のgHが外因性発現カセットによってコードされ、前記第2のgHが内因性gHコード遺伝子座によってコードされる、実施形態95~99のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0509】
実施形態102.前記第1のUL20が内因性UL20遺伝子座によってコードされ、前記第2のUL20が外因性発現カセットによってコードされる、実施形態95~101のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0510】
実施形態103.前記第1のUL20が外因性発現カセットによってコードされ、前記第2のUL20が内因性UL20遺伝子座によってコードされる、実施形態95~101のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0511】
実施形態104.前記第1のUL24が内因性UL24遺伝子座によってコードされ、前記第2のUL24が外因性発現カセットによってコードされる、実施形態95~103のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0512】
実施形態105.前記第1のUL24が外因性発現カセットによってコードされ、前記第2のUL24が内因性UL24遺伝子座によってコードされる、実施形態95~103のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0513】
実施形態106.前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のgBをコードするが、前記第2のgBをコードしない、実施形態95~105のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0514】
実施形態107.前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のgKをコードするが、前記第2のgKをコードしない、実施形態95~106のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0515】
実施形態108.前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のgHをコードするが、前記第2のgHをコードしない、実施形態95~107のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0516】
実施形態109.前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のUL20をコードするが、前記第2のUL20をコードしない、実施形態95~108のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0517】
実施形態110.前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のUL24をコードするが、前記第2のUL24をコードしない、実施形態95~109のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0518】
実施形態111.前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のgB及び前記第1のgKをコードし、任意選択で、前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが前記第1のgH及び前記第1のUL24を更にコードする、実施形態95~110のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0519】
実施形態112.前記外因性発現カセットがUL3-UL4遺伝子間領域に位置する、実施形態96~111のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0520】
実施形態113.前記外因性発現カセットがUL50-UL51遺伝子間領域に位置する、実施形態96~111のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0521】
実施形態114.前記組換えヘルペスウイルスががん細胞において合胞体表現型を呈する、実施形態95~113のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0522】
実施形態115.実施形態95~114のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルスをコードする組換え核酸を含む、細胞。
【0523】
実施形態116.組換えヘルペスウイルスをコードする第1の核酸と、第2の核酸と、を含む細胞であって、
(i)前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第1のgBであって、合胞体変異を含む、前記第1のgBをコードし、前記第2の核酸が、第2のgBであって、合胞体変異を含まない、前記第2のgBをコードするか、または前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第2のgBであって、合胞体変異を含まない、前記第2のgBをコードし、前記第2の核酸が、第1のgBであって、合胞体変異を含む、前記第1のgBをコードする、
(ii)前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第1のgKであって、合胞体変異を含む、前記第1のgKをコードし、前記第2の核酸が、第2のgKであって、合胞体変異を含まない、前記第2のgKをコードするか、または前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第2のgKであって、合胞体変異を含まない、前記第2のgKをコードし、前記第2の核酸が、第1のgKであって、合胞体変異を含む、前記第1のgKをコードする、
(iii)前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第1のgHであって、合胞体変異を含む、前記第1のgHをコードし、前記第2の核酸が、第2のgHであって、合胞体変異を含まない、前記第2のgHをコードするか、または前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第2のgHであって、合胞体変異を含まない、前記第2のgHをコードし、前記第2の核酸が、第1のgHであって、合胞体変異を含む、前記第1のgHをコードする、
(iv)前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第1のUL20であって、合胞体変異を含む、前記第1のUL20をコードし、前記第2の核酸が、第2のUL20であって、合胞体変異を含まない、前記第2のUL20をコードするか、または前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第2のUL20であって、合胞体変異を含まない、前記第2のUL20をコードし、前記第2の核酸が、第1のUL20であって、合胞体変異を含む、前記第1のUL20をコードする、及び/または
(v)前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第1のUL24であって、合胞体変異を含む、前記第1のUL24をコードし、前記第2の核酸が、第2のUL24であって、合胞体変異を含まない、前記第2のUL24をコードするか、または前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、第2のUL24であって、合胞体変異を含まない、前記第2のUL24をコードし、前記第2の核酸が、第1のUL24であって、合胞体変異を含む、前記第1のUL24をコードする、前記細胞。
【0524】
実施形態117.前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のgBであって、前記合胞体変異を含む、前記第1のgBをコードし、前記第2の核酸が、前記第2のgBであって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のgBをコードする、実施形態116に記載の細胞。
【0525】
実施形態118.前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第2のgBであって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のgBをコードし、前記第2の核酸が、前記第1のgBであって、前記合胞体変異を含む、前記第1のgBをコードする、実施形態116に記載の細胞。
【0526】
実施形態119.前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のgKであって、前記合胞体変異を含む、前記第1のgKをコードし、前記第2の核酸が、前記第2のgKであって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のgKをコードする、実施形態116~118のいずれか1つに記載の細胞。
【0527】
実施形態120.前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第2のgKであって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のgKをコードし、前記第2の核酸が、前記第1のgKであって、前記合胞体変異を含む、前記第1のgKをコードする、実施形態116~118のいずれか1つに記載の細胞。
【0528】
実施形態121.前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のgHであって、前記合胞体変異を含む、前記第1のgHをコードし、前記第2の核酸が、前記第2のgHであって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のgHをコードする、実施形態116~120のいずれか1つに記載の細胞。
【0529】
実施形態122.前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第2のgHであって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のgHをコードし、前記第2の核酸が、前記第1のgHであって、前記合胞体変異を含む、前記第1のgHをコードする、実施形態116~120のいずれか1つに記載の細胞。
【0530】
実施形態123.前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のUL20であって、前記合胞体変異を含む、前記第1のUL20をコードし、前記第2の核酸が、前記第2のUL20であって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のUL20をコードする、実施形態116~122のいずれか1つに記載の細胞。
【0531】
実施形態124.前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第2のUL20であって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のUL20をコードし、前記第2の核酸が、前記第1のUL20であって、前記合胞体変異を含む、前記第1のUL20をコードする、実施形態116~122のいずれか1つに記載の細胞。
【0532】
実施形態125.前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第1のUL24であって、前記合胞体変異を含む、前記第1のUL24をコードし、前記第2の核酸が、前記第2のUL24であって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のUL24をコードする、実施形態116~124のいずれか1つに記載の細胞。
【0533】
実施形態126.前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、前記第2のUL24であって、前記合胞体変異を含まない、前記第2のUL24をコードし、前記第2の核酸が、前記第1のUL24であって、前記合胞体変異を含む、前記第1のUL24をコードする、実施形態116~124のいずれか1つに記載の細胞。
【0534】
実施形態127.前記組換えヘルペスウイルスが、gBコードウイルス遺伝子の単一コピー、gKコードウイルス遺伝子の単一コピー、gHコードウイルス遺伝子の単一コピー、UL20ウイルス遺伝子の単一コピー、及び/またはUL24ウイルス遺伝子の単一コピーを含む、実施形態116~126のいずれかに記載の細胞。
【0535】
実施形態128.前記第1の核酸及び前記第2の核酸が単一のポリヌクレオチド分子内に含まれる、実施形態116~127のいずれかに記載の細胞。
【0536】
実施形態129.前記第1の核酸及び前記第2の核酸が2つの異なるポリヌクレオチド分子内に含まれる、実施形態116~127のいずれかに記載の細胞。
【0537】
実施形態130.前記細胞がVero細胞である、実施形態115~129のいずれかに記載の細胞。
【0538】
実施形態131.前記gB合胞体変異が、配列番号919のR796、R800、T813、L817、S854、A855、R858、もしくはA874に対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異、E816とL817との間への挿入、C末端に対するS869の欠失、C末端に対するT877の欠失、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態95~114のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~130のいずれかに記載の細胞。
【0539】
実施形態132.前記gB合胞体変異が、配列番号919のR796C、R800W、T813I、L817H、L817P、S854F、A855V、R858C、R858H、A874Pに対応する1つ以上の変異、E816とL817との間へのVNもしくはVNVNの挿入、C末端に対するS869の欠失、またはC末端に対するT877の欠失を含む、実施形態95~114のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~130のいずれかに記載の細胞。
【0540】
実施形態133.前記gB合胞体変異が、配列番号919に従うC末端に対するT877の欠失を含む、実施形態95~114のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~130のいずれかに記載の細胞。
【0541】
実施形態134.前記第1のgB及び/または前記第2のgBが、配列番号919のD285N及び/またはA549Tに対応する変異を含む、実施形態95~114及び131~133のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~133のいずれかに記載の細胞。
【0542】
実施形態135.前記gK合胞体変異が、配列番号920のP33、A40、L86、D99、A111、L118、T121、C243、L304、I307、またはR310に対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異を含む、実施形態95~114及び131~134のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~134のいずれかに記載の細胞。
【0543】
実施形態136.前記gK合胞体変異が、配列番号920のP33S、A40V、A40T、L86P、D99N、A111V、L118Q、T121I、C243Y、L304P、I307N、またはR310Lに対応する1つ以上の変異を含む、実施形態95~114及び131~134のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~134のいずれかに記載の細胞。
【0544】
実施形態137.前記gK合胞体変異が、配列番号920に従うI307Nを含む、実施形態95~114及び131~134のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~134のいずれかに記載の細胞。
【0545】
実施形態138.前記gH合胞体変異が、配列番号943のN753またはA778に対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異を含む、実施形態95~114及び131~137のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~137のいずれかに記載の細胞。
【0546】
実施形態139.前記gH合胞体変異が、配列番号943のN753KまたはA778Vに対応する1つ以上の変異を含む、実施形態95~114及び131~137のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~137のいずれかに記載の細胞。
【0547】
実施形態140.前記UL20合胞体変異が、配列番号944のY49、S50、R51、R209、T212、R213に対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異、またはN217後のC末端欠失を含む、実施形態95~114及び131~139のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~139のいずれかに記載の細胞。
【0548】
実施形態141.前記UL20合胞体変異が、配列番号944のY49A、S50A、R51A、R209A、T212A、R213Aに対応する1つ以上の変異、またはN217後のC末端欠失を含む、実施形態95~114及び131~139のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~139のいずれかに記載の細胞。
【0549】
実施形態142.前記UL24合胞体変異が、配列番号942のT64、R63、またはV64に対応する1つ以上のアミノ酸残基での変異を含む、実施形態95~114及び131~141のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~141のいずれかに記載の細胞。
【0550】
実施形態143.前記UL24合胞体変異が、配列番号942のT64G、R63V、またはV64Sに対応する1つ以上の変異を含む、実施形態95~114及び131~141のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~141のいずれかに記載の細胞。
【0551】
実施形態144.前記第1のgBをコードするオープンリーディングフレームが、CMVプロモーター及び/またはbGHポリAテールに作動可能に連結される、実施形態95~114及び131~143のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~143のいずれかに記載の細胞。
【0552】
実施形態145.前記第2のgBをコードするオープンリーディングフレームが、CMVプロモーター及び/またはbGHポリAテールに作動可能に連結される、実施形態95~114及び131~143のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~143のいずれかに記載の細胞。
【0553】
実施形態146.前記第1のgKをコードするオープンリーディングフレームが、CMVプロモーター及び/またはbGHポリAテールに作動可能に連結される、実施形態95~114及び131~145のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~145のいずれかに記載の細胞。
【0554】
実施形態147.前記第2のgKをコードするオープンリーディングフレームが、CMVプロモーター及び/またはbGHポリAテールに作動可能に連結される、実施形態95~114及び131~145のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~145のいずれかに記載の細胞。
【0555】
実施形態148.前記組換えヘルペスウイルスの収量が、前記第2のgB、前記第2のgK、前記第2のgH、前記第2のUL20、または前記第2のUL24をコードしない対照ヘルペスウイルスまたは対照細胞の収量よりも少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍高い、実施形態95~114及び131~147のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~147のいずれかに記載の細胞。
【0556】
実施形態149.前記第1のgBをコードする遺伝子が、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、前記miR-TSカセットを含む、実施形態95~114及び131~148のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~148のいずれかに記載の細胞。
【0557】
実施形態150.前記第1のgKをコードする遺伝子が、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、前記miR-TSカセットを含む、実施形態95~114及び131~149のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~149のいずれかに記載の細胞。
【0558】
実施形態151.前記第1のgHをコードする遺伝子が、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、前記miR-TSカセットを含む、実施形態95~114及び131~150のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~150のいずれかに記載の細胞。
【0559】
実施形態152.前記第1のUL20をコードする遺伝子が、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、前記miR-TSカセットを含む、実施形態95~114及び131~151のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~151のいずれかに記載の細胞。
【0560】
実施形態153.前記第1のUL24をコードする遺伝子が、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、前記miR-TSカセットを含む、実施形態95~114及び131~152のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~152のいずれかに記載の細胞。
【0561】
実施形態154.前記1つ以上のmiRNAが、miR-34c-5p、miR-299-5p、及びmiR-582-5pのうちの少なくとも1つを含む、実施形態149~153のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態149~153のいずれか1つに記載の細胞。
【0562】
実施形態155.前記1つ以上のmiRNAが、miR-34c-5p、miR-299-5p、及びmiR-582-5pのうちの少なくとも2つを含む、実施形態149~153のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態149~153のいずれか1つに記載の細胞。
【0563】
実施形態156.前記1つ以上のmiRNAが、miR-34c-5p、miR-299-5p、及びmiR-582-5pを含む、実施形態149~153のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態149~153のいずれか1つに記載の細胞。
【0564】
実施形態157.前記miR-TSカセットが、4bpスペーサーによって分離された前記miRNAの各々の前記標的配列の少なくとも3つのコピーまたは少なくとも4つのコピーを含む、実施形態149~156のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルスまたは細胞。
【0565】
実施形態158.前記miR-TSカセットが前記遺伝子の3’UTRに位置する、実施形態149~157のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルスまたは細胞。
【0566】
実施形態159.前記miRNAの前記標的配列が前記miRNAの逆相補配列を含むか、またはそれらからなる、実施形態149~158のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルスまたは細胞。
【0567】
実施形態160.前記miR-TSカセットが配列番号930のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態149~159のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルスまたは細胞。
【0568】
実施形態161.前記組換えヘルペスウイルスの収量が、前記miR-TSカセットを含まない対照ヘルペスウイルスまたは対照細胞の収量よりも少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍高い、実施形態149~160のいずれかに記載の組換えヘルペスウイルスまたは細胞。
【0569】
実施形態162.組換えヘルペスウイルスであって、実施形態115~161のいずれかに記載の細胞を培養することと、前記細胞の培養物から前記組換えヘルペスウイルスを回収することとによって産生される、前記組換えヘルペスウイルス。
【0570】
実施形態163.組換えヘルペスウイルスであって、前記ヘルペスウイルスのウイルスゲノムが、配列番号920のI307Nに対応する合胞体変異を含むgKをコードする、前記組換えヘルペスウイルス。
【0571】
実施形態164.前記ヘルペスウイルスがアルファヘルペスウイルスである、実施形態1~114及び131~163のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~161のいずれかに記載の細胞。
【0572】
実施形態165.前記アルファヘルペスウイルスが単純ヘルペスウイルスである、実施形態164に記載の組換えヘルペスウイルスまたは細胞。
【0573】
実施形態166.前記単純ヘルペスウイルスが単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)である、実施形態165に記載の組換えヘルペスウイルスまたは細胞。
【0574】
実施形態167.前記組換えヘルペスウイルスが腫瘍溶解性である、実施形態1~114及び131~166のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態115~161及び164~166のいずれかに記載の細胞。
【0575】
実施形態168.前記組換えヘルペスウイルスが配列番号857に従う脳炎HSV分離株に由来し、任意選択で、前記組換えヘルペスウイルスが、配列番号857と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、実施形態164~167のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルスまたは細胞。
【0576】
実施形態169.前記組換えヘルペスウイルスは順行性輸送に欠陥がある、実施形態164~168のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルスまたは細胞。
【0577】
実施形態170.UL37ウイルス遺伝子に変異を含む、実施形態1~114及び131~169のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0578】
実施形態171.前記UL37ウイルス遺伝子が、配列番号856のQ403、E452、Q455、Q511、及びR515に対応する少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または5つ全てのアミノ酸位置に変異を含むUL37タンパク質をコードする、実施形態170に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0579】
実施形態172.前記UL37ウイルス遺伝子の前記変異が、配列番号856に従うQ403A、E452A、Q455A、Q511A、及びR515Aを含む、実施形態171に記載の組換えヘルペスウイルス。
【0580】
実施形態173.配列番号919のA549T/D285Nに対応する変異を含むgBをコードする、実施形態1~114及び131~172のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0581】
実施形態174.前記組換えヘルペスウイルスが、ICP6、ICP34.5、及び/またはICP47の機能を保持する、実施形態1~114及び131~173のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0582】
実施形態175.前記1つ以上の導入遺伝子がUL50-UL51遺伝子間領域に挿入される、実施形態1~114及び131~174のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0583】
実施形態176.HPGD、ADA2、HYAL1、CHP、CCL21、IL-12、CD47アンタゴニスト、TGFβアンタゴニスト、PD1アンタゴニスト、TREM2アンタゴニスト、クロロトキシン(CTX)を含む生体分子、またはそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上のペイロードタンパク質をコードする1つ以上の導入遺伝子を含む、組換えウイルス。
【0584】
実施形態177.前記1つ以上のペイロードタンパク質が、IL-12、PD1アンタゴニスト、及びTREM2アンタゴニストを含むか、またはそれらからなる、実施形態176に記載の組換えウイルス。
【0585】
実施形態178.前記1つ以上のペイロードタンパク質がHPGDを含む、実施形態177に記載の組換えウイルス。
【0586】
実施形態179.前記1つ以上のペイロードタンパク質がCTXを含む生体分子を含む、実施形態177または178に記載の組換えウイルス。
【0587】
実施形態180.前記1つ以上のペイロードタンパク質が、表4~7に列記されるペイロードタンパク質の組み合わせのうちの1つを含むか、またはそれらからなる、実施形態176に記載の組換えウイルス。
【0588】
実施形態181.前記1つ以上のペイロードタンパク質がHPGDを含む、実施形態176~180のいずれか1つに記載の組換えウイルス。
【0589】
実施形態182.前記1つ以上のペイロードタンパク質がADA2を含む、実施形態176~181のいずれか1つに記載の組換えウイルス。
【0590】
実施形態183.前記1つ以上のペイロードタンパク質がHYAL1を含む、実施形態176~182のいずれか1つに記載の組換えウイルス。
【0591】
実施形態184.前記1つ以上のペイロードタンパク質がCHPを含む、実施形態176~183のいずれか1つに記載の組換えウイルス。
【0592】
実施形態185.前記1つ以上のペイロードタンパク質がCCL21を含む、実施形態176~184のいずれか1つに記載の組換えウイルス。
【0593】
実施形態186.前記1つ以上のペイロードタンパク質がIL-12を含む、実施形態176~185のいずれか1つに記載の組換えウイルス。
【0594】
実施形態187.前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記CD47アンタゴニストを含む、実施形態176~186のいずれか1つに記載の組換えウイルス。
【0595】
実施形態188.前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記TGFβアンタゴニストを含む、実施形態176~187のいずれか1つに記載の組換えウイルス。
【0596】
実施形態189.前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記PD1アンタゴニストを含む、実施形態176~188のいずれか1つに記載の組換えウイルス。
【0597】
実施形態190.前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記TREM2アンタゴニストを含む、実施形態176~189のいずれか1つに記載の組換えウイルス。
【0598】
実施形態191.前記アンタゴニストが抗体またはその抗原結合断片を含む、実施形態176~190のいずれか1つに記載の組換えウイルス。
【0599】
実施形態192.前記1つ以上のペイロードタンパク質が前記CTXを含む生体分子を含む、実施形態176~191のいずれか1つに記載の組換えウイルス。
【0600】
実施形態193.前記CTXを含む生体分子が、T細胞の表面に発現するタンパク質に特異的に結合するT細胞エンゲージャー部分を更に含む、実施形態179または192に記載の組換えウイルス。
【0601】
実施形態194.前記T細胞の表面に発現するタンパク質がCD3である、実施形態193に記載の組換えウイルス。
【0602】
実施形態195.組換えウイルスであって、
(a)miR-122-5pの1つ以上のmiRNA標的配列、
(b)miR-145-5pの1つ以上のmiRNA標的配列、
(c)miR-124-3p、miR-128T、miR-137-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、
(d)miR-34b-5p、miR-34c-5p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列、及び
(e)miR-129-2-3p、miR-132-3p、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上のmiRNA標的配列を含む、前記組換えウイルス。
【0603】
実施形態196.miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、miR-129-2-3p、miR-132-3p、miR-137-3p、及びmiR-145-5pのmiRNA標的配列を含む、実施形態195に記載の組換えウイルス。
【0604】
実施形態197.組換えウイルスであって、前記組換えウイルスのウイルスゲノムが、合胞体変異を含むタンパク質及び前記合胞体変異を含まない対応タンパク質をコードする、前記組換えウイルス。
【0605】
実施形態198.前記合胞体変異を含む前記タンパク質と前記合胞体変異を含まない前記対応タンパク質が、前記合胞体変異を除いて、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を共有する、実施形態197に記載の組換えウイルス。
【0606】
実施形態199.前記合胞体変異を含む前記タンパク質が内因性ウイルス遺伝子によってコードされ、前記合胞体変異を含まない前記対応タンパク質が外因性発現カセットによってコードされる、実施形態197または198に記載の組換えウイルス。
【0607】
実施形態200.前記合胞体変異を含む前記タンパク質が外因性発現カセットによってコードされ、前記合胞体変異を含まない前記対応タンパク質が内因性ウイルス遺伝子によってコードされる、実施形態197または198に記載の組換えウイルス。
【0608】
実施形態201.前記合胞体変異を含む前記タンパク質及び前記合胞体変異を含まない前記対応タンパク質の両方が、1つの外因性発現カセットによってコードされるか、または異なる外因性発現カセットによってコードされる、実施形態197または198に記載の組換えウイルス。
【0609】
実施形態202.実施形態197~201のいずれか1つに記載の組換えウイルスをコードする組換え核酸を含む、細胞。
【0610】
実施形態203.組換えウイルスをコードする第1の核酸と、第2の核酸と、を含む細胞であって、前記組換えウイルスのウイルスゲノムが合胞体変異を含むタンパク質をコードし、前記第2の核酸が前記合胞体変異を含まない対応タンパク質をコードする、前記細胞。
【0611】
実施形態204.前記合胞体変異を含む前記タンパク質と前記合胞体変異を含まない前記対応タンパク質が、前記合胞体変異を除いて、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を共有する、実施形態203に記載の細胞。
【0612】
実施形態205.前記ウイルスの収量が、前記合胞体変異を含まない前記対応タンパク質をコードしない対照ウイルスまたは対照細胞の収量よりも少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍高い、実施形態197~201のいずれか1つに記載の組換えウイルス、または実施形態202~204のいずれか1つに記載の細胞。
【0613】
実施形態206.前記合胞体変異を含む前記タンパク質をコードする遺伝子が、miRNA標的配列(miR-TS)カセットであって、1つ以上のmiRNAの1つ以上の標的配列を含む、前記miR-TSカセットを含む、実施形態197~201及び205のいずれか1つに記載の組換えウイルス、または実施形態202~205のいずれか1つに記載の細胞。
【0614】
実施形態207.前記1つ以上のmiRNAが、miR-34c-5p、miR-299-5p、及びmiR-582-5pから選択されるmiRNAのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または全てを含む、実施形態206に記載の組換えウイルスまたは細胞。
【0615】
実施形態208.前記組換えウイルスの収量が、前記miR-TSカセットを含まない対照ウイルスまたは対照細胞の収量よりも少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍高い、実施形態206または207に記載の組換えウイルスまたは細胞。
【0616】
実施形態209.組換えウイルスであって、実施形態202~208のいずれかに記載の細胞を培養することと、前記細胞の培養物から前記組換えヘルペスウイルスを回収することとによって産生される、前記組換えウイルス。
【0617】
実施形態210.前記組換えウイルスが、単純ヘルペスウイルス、アデノウイルス、ポリオウイルス、ワクシニアウイルス、麻疹ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、オルトミクソウイルス、パルボウイルス、マラバウイルス、またはコクサッキーウイルスに由来する、実施形態176~201及び205~209のいずれか1つに記載の組換えウイルス、または実施形態202~208のいずれかに記載の細胞。
【0618】
実施形態211.前記組換えウイルスが腫瘍溶解性である、実施形態176~201及び205~210のいずれか1つに記載の組換えウイルス、または実施形態202~208のいずれかに記載の細胞。
【0619】
実施形態212.実施形態1~114及び131~175のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態176~201及び205~211のいずれか1つに記載の組換えウイルスをコードする、核酸分子。
【0620】
実施形態213.前記核酸分子がDNAである、実施形態212に記載の核酸分子。
【0621】
実施形態214.前記核酸分子がRNAである、実施形態212に記載の核酸分子。
【0622】
実施形態215.実施形態1~114及び131~175のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス、または実施形態176~201及び205~211のいずれか1つに記載の組換えウイルスを含む、ウイルスストック。
【0623】
実施形態216.実施形態212~214のいずれか1つに記載の核酸分子を含む、粒子。
【0624】
実施形態217.前記粒子が、ナノ粒子、エキソソーム、リポソーム、及びリポプレックスからなる群から選択される、実施形態216に記載の粒子。
【0625】
実施形態218.前記粒子が脂質ナノ粒子である、実施形態216に記載の粒子。
【0626】
実施形態219.真核細胞を前記粒子と接触させることにより、前記真核細胞による感染性ウイルス粒子の産生がもたらされる、実施形態216~218のいずれか1つに記載の粒子。
【0627】
実施形態220.医薬組成物であって、
(i)実施形態1~114及び131~175のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス、実施形態176~201及び205~211のいずれか1つに記載の組換えウイルス、実施形態212~214のいずれか1つに記載の核酸分子、または実施形態216~219のいずれか1つに記載の粒子と、
(ii)薬学的に許容される担体と、を含む、前記医薬組成物。
【0628】
実施形態221.がん性細胞を死滅させる方法であって、前記がん性細胞を、実施形態1~114及び131~175のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス、実施形態176~201及び205~211のいずれか1つに記載の組換えウイルス、実施形態216~219のいずれか1つに記載の粒子、または実施形態220に記載の医薬組成物に、前記ウイルスまたは粒子を前記がん性細胞に感染させ、かつ前記ウイルスを前記がん性細胞内で複製するのに十分な条件下で曝露させることを含み、前記がん性細胞内での前記ウイルスの複製により、細胞死がもたらされる、前記方法。
【0629】
実施形態222.前記細胞がインビトロまたはインビボにある、実施形態221に記載の方法。
【0630】
実施形態223.前記がん性細胞が、非がん性細胞における前記1つ以上のmiRNA標的配列に結合することができるmiRNAの発現と比較して、前記miRNAの発現の低下を有する、実施形態221または222に記載の方法。
【0631】
実施形態224.前記ウイルスの複製が、前記1つ以上のmiRNA標的配列に結合することができる前記miRの発現の低下を有する前記がん性細胞内で増加するか、または維持される、実施形態221~223のいずれか1つに記載の方法。
【0632】
実施形態225.前記がん性細胞が、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、精巣癌、大腸癌、結腸癌、膵臓癌、肝臓癌、胃癌、頭頸部癌、甲状腺癌、悪性神経膠腫、神経膠芽腫、黒色腫、非黒色腫皮膚癌、B細胞慢性リンパ球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、または辺縁帯リンパ腫(MZL)の細胞である、実施形態221~224のいずれか1つに記載の方法。
【0633】
実施形態226.前記がん性細胞が神経膠芽腫細胞である、実施形態221~224のいずれか1つに記載の方法。
【0634】
実施形態227.がんの治療を必要とする対象におけるがんを治療する方法であって、前記対象に、実施形態1~114及び131~175のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス、実施形態176~201及び205~211のいずれか1つに記載の組換えウイルス、実施形態216~219のいずれか1つに記載の粒子、または実施形態220に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【0635】
実施形態228.前記ウイルス、前記粒子、または前記組成物が、静脈内、皮下、腫瘍内、筋肉内、または鼻腔内投与される、実施形態227に記載の方法。
【0636】
実施形態229.前記ウイルス、前記粒子、または前記組成物が腫瘍内投与される、実施形態227に記載の方法。
【0637】
実施形態230.前記ウイルス、前記粒子、または前記組成物が静脈内投与される、実施形態227に記載の方法。
【0638】
実施形態231.前記ウイルス、前記粒子、または前記組成物が1回のみ投与される、実施形態227~230のいずれか1つに記載の方法。
【0639】
実施形態232.前記がんが、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、精巣癌、大腸癌、結腸癌、膵臓癌、肝臓癌、胃癌、頭頸部癌、甲状腺癌、悪性神経膠腫、神経膠芽腫、黒色腫、非黒色腫皮膚癌、B細胞慢性リンパ球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、及び辺縁帯リンパ腫(MZL)からなる群から選択される、実施形態227~231のいずれか1つに記載の方法。
【0640】
実施形態233.前記がんが神経膠芽腫である、実施形態227~231のいずれか1つに記載の方法。
【0641】
実施形態234.実施形態115~160及び202~208のいずれかに記載の細胞を含む、細胞株。
【0642】
実施形態235.組換えヘルペスウイルスを産生する方法であって、実施形態115~160及び202~208のいずれかに記載の細胞または実施形態234に記載の細胞株を培養することと、前記細胞の培養物から前記組換えヘルペスウイルスを回収することと、を含む、前記方法。
【0643】
実施形態236.前記ヘルペスウイルスの感染部位をイメージングするために小分子と組み合わせて使用するための、実施形態82~114及び131~175のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルス。
【0644】
実施形態237.ヘルペスウイルスの感染部位をインビボでイメージングする方法であって、実施形態82~114及び131~175のいずれか1つに記載の組換えヘルペスウイルスと、小分子と、を投与することを含む、前記方法。
【0645】
実施形態238.前記小分子が放射性同位体標識アシクロビルであり、任意選択で、前記放射性同位体標識がフッ素-18(18F)標識を含む、実施形態236に記載の使用するための組換えウイルス、または実施形態237に記載の方法。
【実施例
【0646】
以下の実施例は、本開示の様々な実施形態を例証することを目的とし、いかなる様式によっても本開示を限定するようには意図されていない。本実施例は、本明細書に記載の方法と併せて、例示的なものであり、本開示の範囲を限定するものとして意図されていない。特許請求の範囲によって定義される本開示の趣旨に包含される記載の実施形態に対する改正、修正、及び他の変更が具体的に企図される。
【0647】
実施例1-神経膠芽腫治療のためのHSV骨格の構築
HSV骨格ベクター(「ONCR-GBM」と称する)を、順行性輸送に欠陥のある脳炎HSV分離株(配列番号857)に基づいて操作した。図1で解説するように、修飾には、UL40-UL41ウイルス遺伝子間の遺伝子間領域に挿入した細菌人工染色体(BAC)配列、細胞への侵入を増強するためのgBをコードするUL27ウイルス遺伝子に導入したD285N/A549T二重変異(「NT」変異)、逆行性輸送を破壊するためのUL37ウイルス遺伝子に導入したQ403A/E452A/Q455A/Q511A/R515A組み合わせ変異(「R2」変異)が含まれた。ICP47遺伝子、ICP34.5遺伝子、及びICP6遺伝子は改変しなかった。ペイロード分子(複数可)をコードするcDNAをUL50-UL51ウイルス遺伝子間の遺伝子間領域に挿入してもよい。このHSV骨格に基づいて、いくつかのmiR減弱型組換えHSVベクターを生成し、「ONCR-GBM ICP4-miRT」HSVベクターは、ICP4に挿入した配列番号858のmiR-TSカセットを含み、「ONCR-GBM ICP4-miRT ICP8-miRT」HSVベクターは、ICP4に挿入した配列番号858のmiR-TSカセット及びICP8に挿入した配列番号859の追加のmiR-TSカセットを含む。
【0648】
実施例2-miRNA標的配列カセットの操作
正常な脳細胞と比較して神経膠芽腫細胞における発現の低減を有するいくつかのmiRNAを、精製した細胞集団を使用して特定した。図2Aに示すように、かかるmiRNAには、miR-128-3p、miR-129-2-3p、miR-124-3p、miR-137-3p、及びmiR-132-3pが含まれる。図2Bは、miR-34c-5p及びmiR-34b-3pが上衣細胞において高度に発現したため、対応するmiR標的配列を使用して、上衣細胞における腫瘍溶解性ウイルスの複製を阻害することができたことを示す。次いで、かかる所見を、インサイチュハイブリダイゼーション及び/または抗体染色を使用して検証して、miRNA発現を特定の細胞型に局在化させた。例えば、図2Cの上列は、miR-124-3pが神経細胞で高度に発現したが、乏突起膠細胞では高度に発現しなかったことを示し、図2Cの下列は、miR-34c-5pが上衣細胞で高度に発現した(バイオマーカーCcdc153の高発現を特徴とした)ことを示す。
【0649】
インビトロ細胞実験を使用して、「ONCR-GBM ICP4-miRT ICP8-miRT」HSVベクターの複製を対応するmiRNAによって減弱させることができるかを試験した。このHSVベクターは、ICP4にmiR-122-5p、miR-124-3p、miR-128T、及びmiR-137-3pのmiRNA標的配列を含み、ICP27にmiR-34c-5p、miR-124-3p、miR-129-2-3p、miR-132-3pのmiRNA標的配列を含む。miRNA媒介減弱を評価するために、対応するmiRNA模倣物を各々、HSVベクターに感染した細胞の上清に添加し、各条件下でのHSVの複製能力をプラーク形成単位の最終カウントに基づいて分析した。図3Bに示すように、ICP4またはICP8へのmiRNA標的配列の挿入により、対応するmiRNAの各々の存在下でのHSVベクターのウイルス複製が効果的に抑制された。
【0650】
次に、上記の実施例1に記載されるように、操作したHSVベクター「ONCR-GBM ICP4-miRT」及び「ONCR-GBM ICP4-miRT ICP8-miRT」の増殖に対するmiR-TSカセットの影響を試験するために成長速度研究を行った。これらのベクターを、Vero細胞及びGBM細胞における増殖について試験した。結果は、miR-TSカセット(複数可)の挿入が、Vero細胞(図4A及び図4B)ならびにGBM腫瘍細胞株(データ示さず)における増殖中の成長速度に最小限の影響しか及ぼさなかったことを示す。
【0651】
実施例3-miR減弱型HSVのインビボ研究は優れた安全性プロファイルを実証する
miR減弱型HSV腫瘍溶解性ウイルスの安全性プロファイルを試験するためにインビボ実験を行った。実施例2のONCR-GBMベースのウイルスを成体C57BL/6マウスに頭蓋内注射し、全生存率(図5A)及び体重変化(図5B)を監視した。結果は、ICP4及びICP8に挿入したCNS特異的miR標的配列を有するONCR-GBMウイルスが5×10pfuの用量で良好な耐容性を示すことを示した。比較として、約20pfuの非減弱型ONCR-GBMの頭蓋内注射は致死的であった(データ示さず)。したがって、ICP4遺伝子座及びICP8遺伝子座の両方へのmiR-TSカセットの挿入により、著しく低下した神経毒性及び10,000倍超の安全性/耐容性の増加がもたらされた。
【0652】
実施例4-miR-TSカセットの操作
miR-TSカセットの設計:所望の細胞型(肝細胞、内皮細胞、神経細胞、上衣細胞、及び乏突起膠細胞)を保護するためのマイクロRNAを、蛍光ハイブリダイゼーションアッセイ(nCounter miRNA発現キット、nanoString Inc)を使用して直接定量することによって特定した(図6A)。各々のmiRNAに対応するmiRNA標的配列を、miR-T 3060(配列番号858)、miR-T 9919(配列番号859)、miR-T 3012(配列番号873)、及びmiR-T 3096(配列番号874)の4つの個別のmiR-TSカセットに構築した。各々のmiR-TSカセットは、4つの異なるmiRNAのmiRNA標的配列の3つのコピーを含み(図6B)、隣接するmiRNA標的配列を4bpスペーサーによって分離した。各々のカセット内のmiR-TS構成を図6Cに示す。
【0653】
miR-TSカセットの特徴付け:各々のmiR-TSカセットを、psiCheck2デュアルホタル/ウミシイタケルシフェラーゼレポーターベクター(Promega Inc.,Madison WI)にサブクローニングして、ウミシイタケルシフェラーゼの発現を制御するが、ホタルルシフェラーゼの発現は制御しないようにした。各々の構築物を、指示したmiRNA模倣物(mirVana模倣物、ThermoFisher Inc,Waltham MA)とともにHEK293細胞に共トランスフェクトし、2日間インキュベートし、その後、各々のレポーター遺伝子の活性を、均一アッセイ(Dual-Gloルシフェラーゼアッセイ系、Promega,Madison WI)を使用してアッセイした。各々のmiR-TSカセットによって付与される減弱をウミシイタケルシフェラーゼ活性のホタルルシフェラーゼ活性に対する比率として計算し、陰性miRNA模倣物対照の減弱に対して正規化した。図6Dに示すように、ウミシイタケルシフェラーゼの発現は、指示したmiR-TSカセットの各々の対応するマイクロRNAの存在によって抑制された。
【0654】
miR-TS減弱型HSVのインビトロでの特徴付け:以下の表8及び図6Bに示すように、4つ全てのmiR-TSカセットを対応するHSVウイルス遺伝子に挿入して、HSVウイルスONCR-2169を生成した。A431細胞に、7nMの提示したmiRNA模倣物(mirVana模倣物、ThermoFisher,Waltham MA)をトランスフェクトし、0.03の感染多重度でONCR-2169を接種し、その後、5日間インキュベートして、ウイルスを増殖させた。細胞を採取し、その後、3つの急速凍結融解サイクルにより溶解して、ウイルスを放出した。溶解物を、Vero細胞単層上での段階希釈のプラークアッセイによってウイルス収量について分析した。図7Aに示すように、ONCR-2169におけるmiR-TSカセットのうちの少なくとも1つを標的とすることにより、指示したmiRNA模倣物は各々、ウイルス収量を有意に減少させ(主に100倍超)、miRNA薬剤付加増殖減弱の成功を示した。
【表8】
【0655】
ウイルス増殖をマイクロRNA模倣物の不在下でも分析した。2つのHSV構築物を分析した。ONCR-2149は、ICP4の両方のコピーにmiR-T3060カセットを有し、ICP8にmiR-T9919カセットを有する。ONCR-2169は、ICP27のmiR-T3012にカセットを有し、UL8にmiR-T3096カセットを有するが、それ以外の点ではONCR-2149と同一である。Vero細胞単層を0.03の感染多重度でウイルスに感染させ、その後、3日間インキュベートして、ウイルスを増殖させた。細胞を採取し、その後、3つの急速凍結融解サイクルにより溶解して、ウイルスを放出した。溶解物を、Vero細胞単層上での段階希釈のプラークアッセイによってウイルス収量について分析した。結果は、両方のウイルスが対応するマイクロRNA模倣物の不在下で同様の収量を有したことを示す(図7B)。
【0656】
miR-TS減弱型HSVのインビボでの特徴付け:10週齢の雌BALB/cマウスに、2ulの指示したウイルス(ONCR-2149またはONCR-2169)を頭蓋内注射し、その後、神経毒性の徴候及びマウスの全体重の変化について毎日監視した。図7Cに示すように、いずれの処理群間にも統計的に有意な差は検出されず、miR-TSカセットが対応するHSV構築物の毒性から脳内の正常細胞を保護することを実証した。以前の報告によると、HSV MacIntyre株の致死量は、いくつかのマウス株で約20PFUであった。したがって、ここでの結果は、miR-TSカセットを含むこれらの操作したHSVを元のHSV株よりも少なくとも5桁高い用量で投与することができることを示唆する。マウスの星状膠細胞及び乏突起膠細胞がHSVに対してヒトの星状膠細胞及び乏突起膠細胞よりも高い耐性を示すことも注目に値し、それ故に、追加の安全域がヒト対象の治療に使用される腫瘍溶解性HSVに有益であり得る。したがって、更に高い用量(例えば、5e6 PFU)のONCR-2149ウイルス及びONCR-2169ウイルスが、ONCR-2169のICP27及びUL8にmiR-TSカセットを含めることによって提供される追加の保護を試験するために使用されるであろう。
【0657】
実施例5-再標的化HSVの操作
図8に示すように、2つのHSV構築物を、HSVを代替の細胞受容体に再標的化するように操作した。ウイルス骨格は、ICP4、ICP8、IP27、及びUL8にmiR-TSカセットを含み、かつUL23、UL30、UL37、及びgBの指示した変異を含むHSV MacIntyre株のクローニング誘導体であるONCR-2169に基づいた。この図の右側に示すように、gDのアミノ酸残基6~24のコード領域、HVEM、及び3-O-S-ヘパラン硫酸結合ドメインを、i)インテグリンに結合するノッチンペプチド(KPI)またはii)EGFRの細胞外ドメインに結合するVHHナノボディ(VE)のいずれかをコードする配列で置き換えることによって、再標的化変異をUS6/gD遺伝子に組み込んだ。
【0658】
操作した再標的化HSVを、異なるVero細胞:通常のVero細胞、及びネクチン-1ノックアウト(KO)を有するVero細胞におけるそれらの増殖特性について試験した。細胞単層を1.0の感染多重度で指示したウイルスに感染させた。48時間インキュベートした後、単層を固定し、クリスタルバイオレットで染色して、ウイルス増殖に関連するプラークを可視化した。図9Aに示すように、ONCR-2181-KPI変異体が、親HSVと同様に、Vero-ネクチン-1ノックアウト細胞においてその感染力を失った一方で、ONCR-2181-VE変異体は、Vero-ネクチン-1ノックアウト細胞においても感染力を保持した。別の増殖アッセイでは、Vero細胞単層及びVero-ネクチン-1ノックアウト細胞単層を、0.1の感染多重度で指示したウイルスに感染させた。これらのウイルスの増殖を、自動倒立顕微鏡(IncuCyte S3、Sartorius Inc)を使用して約48時間にわたってmCherryレポーター遺伝子発現を定量することによってアッセイした。図9Bに示すように、gD-KPI変異及びgD-VE変異はいずれもVero細胞に改善された成長速度を付与したが、gD-VE変異体のみがVero-ネクチン-1ノックアウト細胞株の増殖を促進した。したがって、gD-VE変異体は、ネクチン-1発現を有しない細胞に感染して増殖する能力を獲得した。
【0659】
次いで、操作した再標的化HSVを、神経膠芽腫細胞株におけるそれらの増殖特性について分析した。指示した神経膠芽腫がん細胞株の単層を、0.1の感染多重度で指示したウイルスに感染させた。これらのウイルスの増殖を、自動倒立顕微鏡(IncuCyte S3、Sartorius Inc)を使用して約48時間にわたってmCherryレポーター遺伝子発現を定量することによってアッセイした。図10に示すように、gD-KPI変異及びgD-VE変異は、ほとんどのアッセイした細胞株に改善された成長速度を付与した。
【0660】
原発性ヒト神経膠芽腫(GBM)腫瘍におけるネクチン-1及び上皮成長因子受容体(EGFR)の発現をマイクロアレイによって分析した。以下の表9に示すように、高いネクチン-1発現を有するGBMコアの有病率は、高いEGFR発現を有するGBMコアの有病率よりもはるかに低い。代表的なネクチン-1+GBMコアを図11に示す。発現データに基づいて、EGFR再標的化HSVは、より広範囲のGBM腫瘍により高い適用性を有する。
【表9】
【0661】
実施例6-HSVの複製忠実度及びアシクロビル感受性の改善
L774F変異をONCR-1010ウイルス構築物のUL30遺伝子に導入して、ONCR-1012ウイルス構築物を生成した(図12)。両方のウイルスは、ペイロードカセット内で、UL44/gCプロモーターからGFPレポーター遺伝子を発現し、CMVプロモーターからのmCherryレポーター遺伝子及びFLucレポーター遺伝子を発現した。ONCR-1010ウイルス(UL30-WT)及びONCR-1012ウイルス(UL30-L774F)を三重プラーク精製し、その後、3~5日毎にVero細胞上で連続して増殖させた。ウイルスDNAを継代数1、5、10、15、及び20で精製して、次世代シーケンシング(NGS)によって分析した。シーケンシングデータを、その位置で1000個未満の総リードを有し、かつデータセット内で1%未満で生じた全てのバリアントを除去し、その後、継代数1ですでに存在した全てのバリアントコールを除去することによって分析した。
【0662】
図13に示すように、UL30-L774F変異は、ウイルスの変異頻度を、ONCR-1010対照における平均1.63変異/継代から、ONCR-1012構築物における平均0.56変異/継代に、有意に低下させた。ONCR-1010群では、37個の変異のうちの23個がコード領域に存在し、ONCR-1012群では、16個の変異のうちの9個がコード領域に存在した。また、図14A及び図14Bに示すように、UL30-L774F変異は、ウイルス産生にほとんど影響を及ぼさなかった。
【0663】
しかしながら、UL30-L774F変異は、HSV構築物のアシクロビル感受性を低下させ、それ故に、その治療有効性を損なう可能性がある。アシクロビルは、HSVチミジンキナーゼ(TK)によるそのリン酸化を必要とするがんのHSV-TK媒介自殺遺伝子療法におけるプロドラッグとして使用することができる。アシクロビルに対するウイルス感受性を、増加濃度の薬物を無傷のVero細胞単層に添加し、その後、標準用量のウイルスに感染させることによってアッセイした。Vero細胞単層を4日間インキュベートしてウイルスを増殖させ、その後、ウイルスを採取し、対応する溶解物をプラークアッセイによってウイルスについてアッセイした。IC90を、未処理対照と比較してプラーク力価の90%減少をもたらしたアシクロビルの量として計算した。図15Aに示すように、ONCR-1010に導入すると、UL30-L774F変異により、アシクロビルのIC90が0.43ug/mlから1.84ug/mlに増加し、より低いアシクロビル感受性を示した。アシクロビルのバイオアベイラビリティが、経口投与した場合、CNSにおいて約1.76ug/mlであったため、アシクロビルの有効性は、UL30-L774F変異を含むHSVに感染した細胞において有意に低下する可能性がある。この問題は、HSV-MacIntyre株などのアシクロビルに対して本質的に感受性が低いHSV株においてより顕著であり得る。図15Bに示すように、HSV-MacIntyreに由来するONCR-2107に導入すると、UL30-L774F変異により、結果として得られたONCR-2123構築物がアシクロビル耐性になった。
【0664】
UL30-L774F変異を有するHSVバリアントのアシクロビル感受性を改善するために、ONCR-02123のHSVチミジンキナーゼ(HSV-TK)をコードするUL23ウイルス遺伝子に追加の変異を導入し、配列番号918のL159I、I160F、F161L、A168F、及びL169Mに対応するアミノ酸置換をもたらした。図16に示すように、これらのUL23変異は、UL30-L774F変異を有するHSV-MacIntyre由来のONCR-2140ウイルスのアシクロビル感受性を回復させた。図17A及び図17Bに示すように、これらのHSV-TK変異は、ウイルス産生に有意に影響を及ぼさなかった。したがって、UL30-L774FとこれらのUL23変異を組み合わせることにより、アシクロビル感受性を損なうことなく、複製忠実度の改善がもたらされる。
【0665】
実施例7-ウイルス産生中のHSV合胞体変異体の力価の改善
HSV合胞体変異は、腫瘍細胞における腫瘍溶解及びウイルス拡散を改善し、免疫刺激性DAMPを放出することにより免疫原性を増強する。しかしながら、これらの合胞体変異は、多くの場合、ウイルス産生中にウイルス力価を低下させ、それ故に、それらの臨床応用を妨げる。
【0666】
したがって、(例えば、Vero細胞における)ウイルス産生中のHSV合胞体変異体の収量を改善するために、活性コンフォメーションでより高い割合のgBまたはgKを含むウイルスエンベロープの生成を促進する、gBまたはgKタンパク質のいずれかの非合胞体バージョン及び合胞体変異体の共発現を可能にする発現系を確立した。
【0667】
図18A~18Cは、ウイルス産生中のgBまたはgKのいずれかの非合胞体バリアント及び合胞体バリアントの両方の共発現を可能にした複数のウイルスベクター設計を示す。図18Aのウイルスベクター設計は、その内因性遺伝子座由来の野生型gKと、cDNA発現カセット由来の哺乳類コドン最適化合胞体gK-L118Q変異体との共発現を可能にした。この構成で生成された他の対には、「内因性野生型gK+cDNAカセット内の哺乳類コドン最適化合胞体gK-I307N変異体」及び「内因性非合胞体gB+cDNAカセット内の哺乳類コドン最適化合胞体gB-d877c変異体」が含まれた(ここで、合胞体gB-d877c変異は、アミノ酸T877から始まる全てのC末端残基の欠失を含むgBタンパク質を指す)。その一方で、図18Bのウイルスベクター設計は、ウイルスゲノム内のその内因性遺伝子座由来の合胞体gB-d877c変異体と、cDNA発現カセット由来の哺乳類コドン最適化gBとの共発現を可能にした。この構成で生成された他の対には、「内因性遺伝子座内の合胞体gB-R858H変異体+cDNAカセット内の哺乳類コドン最適化非合胞体gB」が含まれる。これらの全ての設計では、コードされたgBタンパク質は、gBタンパク質が追加の合胞体変異(R858Hまたはd877c)を含むかにかかわらず、D285N変異及びA549T変異を含んだ。ONCR-142 HSV骨格を使用して、これらの全てのウイルスベクター設計の性能を評価した。図18Cは、内因性gB及びgK遺伝子座、ならびにUL3-UL4遺伝子間遺伝子座に挿入されるcDNAカセットの相対的位置を示す。
【0668】
各々のHSV構築物の産生収量を試験するために、Vero細胞に指示したウイルスを0.03の感染多重度で接種し、その後、5日間インキュベートして、ウイルスを増殖させた。細胞を採取し、その後、3つの急速凍結融解サイクルにより溶解して、ウイルスを放出した。溶解物を、Vero細胞単層上での段階希釈のプラークアッセイによってウイルス収量及び合胞体形成について分析した。図18Dに示すように、ウイルス増殖中の野生型変異体及び合胞体変異体の同時発現により、ONCR-283、ONCR-285、及びONCR-287を含む複数のベクターの産生収量が増加した。比較して、gBまたはgKの対応する非合胞体コピーを含まない、gB-d877cまたはgK-L118Qのいずれかの合胞体変異を含むHSVは、はるかに低いウイルス収量を有した(データ示さず)。加えて、ONCR-285以外、他の4つのHSV構築体は全て、合胞体表現型を提示した。
【0669】
ウイルス産生収量を更に改善するために、miRNA標的配列カセット(miR-TSカセット)をgBまたはgK合胞体変異体をコードする遺伝子座に挿入して、ウイルス産生中のgBまたはgK合胞体変異体の発現を調節した。miR-TSカセットは、Vero産生細胞株で高度に発現するが、腫瘍細胞では高度に発現しない、3つのmiRNA(miR-34c-5p、miR-299-5p、及びmiR-582-5p)の標的配列を含んだ。これらの3つのマイクロRNAを、蛍光ハイブリダイゼーションアッセイ(nCounter miRNA発現キット、NanoString Inc)を使用してVero細胞のRNA試料調製物を直接定量することによって特定した。結果として、Vero産生細胞では非合胞体gBまたはgKの発現が好まれたが、腫瘍細胞では合胞体変異体の発現が好まれた。
【0670】
図19Aに示すように、miR-T2310と称されるこのmiR-TSカセットは、4bpスペーサーによって分離された各々のmiRNA標的配列(配列番号930)の4つのコピーからなった。対応するmiRNA標的配列(配列番号927~929)は、それぞれ、miR-34c-5p(配列番号924)、miR-299-5p(配列番号925)、及びmiR-582-5p(配列番号926)の逆相補体である。図19B及び図19Cに示すように、miR-T2310カセットを、cDNAカセットまたは内因性HSV遺伝子座のいずれかに位置する、gKまたはgB合成変異体をコードする遺伝子座の3’UTRに挿入した。図19Bの構成では、HSVは、その内因性遺伝子座に修飾されていないgKを含み、cDNA発現カセット内にmiR-T2310減弱型哺乳類コドン最適化合胞体gK-I307N変異体を含んだ。この構成で生成された他のgK変異体には、miR-T2310減弱を有しない哺乳類コドン最適化gK-I307N、miR-T2310減弱を有するまたは有しない哺乳類コドン最適化gK-A40V、及びmiR-T2310減弱を有するまたは有しない哺乳類コドン最適化gK-L118Qが含まれた。図19Cの構成では、HSVは、その内因性遺伝子座にmiR-T2310減弱型合胞体gB-d877c変異体を含み、cDNA発現カセット内に哺乳類コドン最適化非合胞体gBを含んだ。同様に、その内因性遺伝子座に合胞体gB-d877c変異体を含むが、miR-T2310減弱を有しない別のHSV構築物も、この構成で生成された。
【0671】
miR-TSカセット研究に使用したHSV骨格は、cDNAカセット位置及びloxPの位置が異なるが、それ以外の点では同一であるONCR-2112及びONCR-2008であった(図19D)。ONCR-2112 HSV骨格を使用してgB合胞体変異体構築物の性能を評価し、ONCR-2008 HSV骨格を使用してgK合胞体変異体構築物の性能を評価した。
【0672】
各々のHSV構築物の産生収量を試験するために、Vero細胞に指示したウイルスを0.03の感染多重度で接種し、その後、5日間インキュベートして、ウイルスを増殖させた。細胞を採取し、その後、3つの急速凍結融解サイクルにより溶解して、ウイルスを放出した。溶解物を、Vero細胞単層上での段階希釈のプラークアッセイによってウイルス収量及び合胞体形成について分析した。図19Eに示すように、試験した全てのHSV構築物について、ウイルス増殖中の合胞体変異体のmiR-T減弱により、ウイルス産生収量が有意に増加し、それらは全て合胞体表現型を提示した。
【0673】
実施例8-導入遺伝子のコドン最適化
HSV構築物中のコドン最適化導入遺伝子のタンパク質発現レベルに対するG/C含有量の影響を試験するために実験を行った。マウスIL-12(mIL12)及び抗PD1抗体をコードするいくつかのORFを試験した。これらのORFは、52%~64%の範囲の異なるG/C含有量を有する:
-配列番号931:G/C含有量:64%、
-配列番号932:G/C含有量:63%、
-配列番号933:G/C含有量:60%、
-配列番号934:G/C含有量:52%、
-配列番号935:G/C含有量:52%(T2A)。
【0674】
これらのORF内で、mIL12及び抗PD1抗体のコード配列を、フリン-T2A切断ペプチドコード配列によって分離し、mIL12の2つのサブユニットを、mIL12の2つのサブユニットをフリン-T2A切断ペプチドによって連結した52%GC(T2A)構築物(配列番号935)を除いて、15mer GSリンカーペプチドによって連結した。
【0675】
各々のORFを、UL50-UL51遺伝子間領域でHSVウイルス構築物にクローニングし、タンパク質発現について試験した。図20に示すように、導入遺伝子ORF内のより高いG/C含有量がペイロード発現を増強し、IL-12及び抗PD1抗体のタンパク質発現レベルが、哺乳類コドン最適化バージョンでの約52%G/C含有量からA.デハロゲナンスコドン最適化バージョンでの約63%G/C含有量に切り替えることによって、10倍超増加した。より高いG/C含有量及び増加したタンパク質発現レベルの同様の相関が、2つのレポータータンパク質をコードするコドン最適化ORFでも観察された。したがって、より高いORF G/C含有量(例えば、A.デハロゲナンスのコドン使用に基づいて最適化したもの)は、HSV構築物中の導入遺伝子(複数可)の発現レベルを増加させる。
【0676】
実施例9-神経膠芽腫を治療するためのペイロードを有する腫瘍溶解性HSVウイルス
神経膠芽腫に対する異なるペイロード分子をコードするHSV腫瘍溶解性ウイルスの有効性を試験するためにインビボ実験を行った。2つの同所性マウスモデルを使用した。一方の同所性モデルは、移植後のイメージングを可能にするFLucを発現するように修飾したCT2A細胞を使用した。他方の同所性モデルは、HSV感染を可能にするmネクチン1を発現するように修飾し、かつ移植後のイメージングを可能にするFLucを発現するようにも修飾したGL261細胞を使用した。細胞を定位注射により12週齢のC57Bl6に頭蓋内移植し、1週間後、腫瘍に指示したウイルスを注射した。移植のためのプロトコルの簡単な説明は、Takenaka et al.Nat Neurosci 22,729-740(2019)に提供されている。
【0677】
ペイロード分子(複数可)をコードするHSV腫瘍溶解性ウイルスを、ペイロード発現カセットをUL3-UL4遺伝子間領域に挿入し、かつBAC配列をUL37-UL38遺伝子間領域に挿入することによって構築した。ウイルス骨格(対照ウイルス)は、(i)ICP4、ICP27、及びICP34.5にmiR-T減弱カセットを有し、(ii)全内部反復領域欠失(DJoint)を有し、かつ(iii)US12、gB、及びgCに指示した変異を含むHSV KOS株のクローニング誘導体であるONCR-142である。対照ウイルスは、BAC配列のみを含み、ペイロード配列を含まなかった。図21Aを参照されたい。様々なHSV構築物中のペイロード分子(複数可)を図21Bに示す。第1の組の実験では、マウスIL-12(mIL-12)及び/または抗PD-1抗体をコードするウイルスならびに対照ウイルスを各々、図22A及び図22Bに従って指示した時間及び投薬量で腫瘍内注射した。結果は、いずれかのペイロード単独と比較して、mIL12及び抗PD1抗体の両方を発現するHSV腫瘍溶解性ウイルスが、動物モデルの生存期間を延長させる相乗効果を提示したことを示す。mIL12を発現するHSV腫瘍溶解性ウイルスも動物の生存期間を有意に延長させたが、mIL12及び抗PD1抗体の両方を発現するウイルスよりも効果が低かった。図22Cに示すように、これらの動物は、GL261モデルにおける腫瘍細胞再負荷研究からも守られた。図22Dは、CT2Aモデルにおける様々な免疫細胞のパーセンテージを示す。図22Eは、mIL12ペイロード及び抗PD1ペイロードの両方を有するONCR-GBMが、CD8 T細胞の動員及び活性化を刺激したことを示す。
【0678】
次いで、GL261同所性マウスモデルにおいてmIL12及び抗PD1抗体の両方を発現するHSV腫瘍溶解性ウイルス(ONCR-278)の用量反応関係を分析するために追加の実験を行った。図23に示すように、結果は、mIL12及び抗PD1抗体の両方を発現するHSV腫瘍溶解性ウイルスの明確な用量反応を実証した。高用量は低用量よりも有効性が高かった。GBMの免疫抑制性腫瘍微小環境を調節する可能性に基づいて、代替のペイロード(例えば、抗体、サイトカイン、及び/または酵素)をコードするウイルスとの同時投与により、1×10pfuの中間の準最適用量を組み合わせスクリーニングでの使用に選択した。その後、ペイロードの組み合わせを同じHSV腫瘍溶解性ウイルスに組み込むことができた。
【0679】
組み合わせスクリーニングについて、GL261-luc-N1細胞を12週齢のC57Bl6マウスに頭蓋内移植し、1週間後、腫瘍に様々な候補ペイロードをコードするウイルスの組み合わせを注射した。結果を図24A~24Jに示す。抗TREM2-DLEペイロード、PGDHペイロード、及びCTX-mBiTEペイロードは各々、mIL12ペイロード及び抗PD1ペイロードと共発現したときに改善された有効性を提供することが特定された。
【0680】
ペイロード組み合わせの有効性を、以下を含むHSV MacIntyre株のクローニング誘導体であるONCR-2183 HSV骨格(図25A)でも試験した:
- それぞれ、ICP4(両方の遺伝子座)、ICP8、ICP27、及びUL8における、miR-T減弱カセットmiR-T 3060(配列番号858)、miR-T 9919(配列番号859)、miR-T 3012(配列番号873)、及びmiR-T 3096(配列番号874)、
- L159I、I160F、F161L、A168F、及びL169M組み合わせ変異を含むチミジンキナーゼをコードするUL23、
- D285N/A549T変異を含む糖タンパク質B(gB)をコードするUL27、
- L774F変異を含むDNAポリメラーゼ触媒サブユニット(DPCS)をコードするUL30、
- 「R2」組み合わせ変異(Q403A/E452A/Q455A/Q511A/R515A)を含むテグメントタンパク質をコードするUL37、
- 配列番号921の天然アミノ酸残基6~24をインテグリンに結合するノッチンペプチド(配列番号922)で置き換えた変異体gDをコードするUS6、
- UL40-UL41遺伝子間領域に位置するloxP-BACレプリコン、ならびに
- UL50-UL51遺伝子間領域に位置するcDNA発現カセット。
【0681】
HSV構築物は、gH及びUL24をコードするウイルス遺伝子に合胞体変異を更に含む。例示的なcDNA発現カセットを図25Bに提供し、各々、ONCR-2183のUL50-UL51遺伝子間遺伝子座に挿入して、i) IL-12、抗PD1、PGDH、及び抗TREM2(ONCR-2205)、またはii)IL-12、抗PD1、PGDH、CTX-BiTE、及び抗TREM2(ONCR-2206)の対応するペイロード組み合わせを発現するための組換えHSVを作製することができる。これらのHSV構築物を各々、GL261モデル系及びCT2Aモデル系を使用して腫瘍阻害有効性について試験した。GL261-luc-N1またはCT2A-luc-N1細胞を12週齢のC57Bl6マウスに頭蓋内移植し、1週間後、腫瘍に指示したウイルスを注射した。図25Cに示すように、ONCR-2205またはONCR-2206のいずれかにおけるペイロード組み合わせは、GL261モデル及びCT2Aモデルにおけるペイロードなし対照ONCR-2183と比較して優れた腫瘍阻害有効性を提供する。
【0682】
上記の実施例に基づいて、HSV MacIntyre株に由来するHSV骨格であるONCR-2204を、以下を含む様々な設計特徴を組み込むように構築した(図26A):
- それぞれ、ICP4(両方の遺伝子座)、ICP8、ICP27、及びUL8における、miR-T減弱カセットmiR-T 3060(配列番号858)、miR-T 9919(配列番号859)、miR-T 3012(配列番号873)、及びmiR-T 3096(配列番号874)、
- L159I、I160F、F161L、A168F、及びL169M組み合わせ変異を含むチミジンキナーゼをコードするUL23、
- D285N/A549T変異を含む糖タンパク質B(gB)をコードするUL27、
- L774F変異を含むDNAポリメラーゼ触媒サブユニット(DPCS)をコードするUL30、
- 「R2」組み合わせ変異(Q403A/E452A/Q455A/Q511A/R515A)を含むテグメントタンパク質をコードするUL37、
- 配列番号921の天然アミノ酸残基6~24をEGFRの細胞外ドメインに結合するVHHナノボディ(配列番号923)で置き換えた変異体gDをコードするUS6、
- UL40-UL41遺伝子間領域に位置するloxP-BACレプリコン、ならびに
- UL50-UL51遺伝子間領域に位置するcDNA発現カセット。
【0683】
HSV構築物は、gH及びUL24をコードするウイルス遺伝子に合胞体変異を更に含む。例示的なcDNA発現カセットを図26Bに提供し、各々、ONCR-2204のUL50-UL51遺伝子間遺伝子座に挿入して、i) IL-12、抗PD1、PGDH、及び抗TREM2(ONCR-2218)、ii)IL-12、抗PD1、PGDH、CTX-BiTE、及び抗TREM2(ONCR-2219)、またはiii)IL-12、抗PD1、CTX-BiTE、及び抗TREM2(ONCR-2233)の対応するペイロード組み合わせを発現するための組換えHSVを作製することができる。これらのHSV構築物を各々、GL261-luc-N1及びCT2A-luc-N1頭蓋内同系GBMモデル系を使用して腫瘍阻害有効性について試験する。GL261-luc-N1またはCT2A-luc-N1細胞を12週齢のC57Bl6マウスに頭蓋内移植し、約7日後、腫瘍に指示したウイルスを注射し、ONCR-2183骨格ベースのHSV構築物について行った分析と同様に、これらのHSV構築物の生存利益を比較する。
【0684】
本開示の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されているが、かかる実施形態がほんの一例として提供されていることは当業者には明白であろう。本開示から逸脱することなく、多数の変形、変更、及び置き換えを当業者が行うことができる。本明細書に記載の本開示の実施形態に対する様々な代替案が本開示を実施する際に用いられても良いことを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本開示の範囲を定義し、かつこれらの特許請求の範囲内の方法及び構造ならびにそれらの等価物が特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
【0685】
参照による組み込み
本明細書に引用される全ての参考文献、論文、刊行物、特許、特許公報、及び特許出願は、あらゆる目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。しかしながら、本明細書で引用されるいずれの参考文献、論文、刊行物、特許、特許公報、及び特許出願の言及も、それらが有効な先行技術を構成するか、または世界中のあらゆる国における共通の一般知識の一部を形成するという認識でも、いかなる形態の示唆でもなく、そのように解釈されるべきではない。
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【表11-1】
【表11-2】
【表11-3】
【表11-4】
【表11-5】
【表11-6】
【表11-7】
【表11-8】
【表11-9】
【表11-10】
【表11-11】
【表11-12】
【表11-13】
【表11-14】
【表11-15】
【表12-1】
【表12-2】
【表12-3】
【表12-4】
【表12-5】
【表12-6】
【表12-7】
【表12-8】
【表12-9】
【表13-1】
【表13-2】
【表13-3】
【表13-4】
【表13-5】
【表14-1】
【表14-2】
【表14-3】
【表14-4】
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図18D
図19A
図19B
図19C
図19D
図19E
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図22C
図22D
図22E
図23
図24A
図24B
図24C
図24D
図24E
図24F
図24G
図24H
図24I
図24J
図25A
図25B
図25C
図26A
図26B
【配列表】
2024532622000001.xml
【国際調査報告】