(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-09
(54)【発明の名称】気管内チューブ装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 16/04 20060101AFI20240902BHJP
A61J 7/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A61M16/04 Z
A61J7/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525458
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2023-04-25
(86)【国際出願番号】 US2022038932
(87)【国際公開番号】W WO2023009852
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523011314
【氏名又は名称】ウォリアーエヌピー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】WarriorNP LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ハーニシュ、 ジェシカ
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047NN14
(57)【要約】
本開示の一例による気管内チューブ装置は、患者の顔に取り付けるための装具と、前記装具から延び、且つ気管内チューブを受け入れるための溝を含む支持体とを含む。クランプが支持体及び気管内チューブを取り囲む。クランプは高分子材料から成る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気管内チューブ支持装置であって、
患者の顔に取り付けるための装具と、
前記装具から延在し、且つ気管内チューブを受け入れるための溝を含む支持体と、
前記支持体及び前記気管内チューブを取り囲むためのクランプであって、高分子材料を含むクランプと
を備える、装置。
【請求項2】
前記クランプは、プラスチックの本体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記クランプは、略C字型である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記クランプは、開放円周部分を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記支持体は、第2のチューブを受け入れるように構成される第2の溝を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第2のチューブは栄養チューブ又は胃吸引チューブである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記支持体は、第3の溝を含み、第1、第2及び第3の溝は異なるサイズを有し、前記第3の溝は円周方向において前記第1の溝よりも前記第2の溝に近い、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記開放円周部分は、チューブが第1及び第2の溝に固定されるときに、前記支持体の半径方向外側表面上に受け入れられるようにサイズが決められる、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記開放円周部分は、最大の溝の弧長以上の弧長を有し、前記開放円周部分の弧長は、前記支持体の半径方向外側表面の少なくとも1つの弧長より小さい、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記第1及び第2の溝は、前記気管内チューブを調整又は交換するときに、前記クランプが前記第2の溝に前記第2のチューブを固定している間、前記開放円周部分が前記第1の溝と円周方向に整列するように前記クランプを時計回り又は反時計回りに回転させることができるように配置される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1及び第2の溝は、前記気管内チューブを調整又は交換するときに、前記クランプが前記第1の溝に前記気管内チューブを固定している間、前記開放円周部分が前記第2の溝と円周方向に整列するように前記クランプを時計回り又は反時計回りに回転させることができるように配置される、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
患者に挿管する方法であって、
装具を患者の顔に取り付けるステップであって、前記装具は前記患者の顔から離れて延在する支持体を含むステップと、
気管内チューブ及び前記支持体を取り囲むクランプによって前記支持体の溝内に前記気管内チューブを固定するステップであって、前記クランプは高分子材料を含むステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記クランプは、略C字型である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記クランプは、開放円周部分を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記支持体は、第2のチューブを受け入れるように構成される第2の溝を含み、前記第2のチューブは栄養チューブ又は胃吸引チューブであり、前記方法は、前記第2のチューブを前記クランプによって前記第2の溝内に固定するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記開放円周部分は、前記気管内チューブ及び第2のチューブが第1及び第2の溝に固定されるときに、前記支持体の半径方向外側表面上に受けられるようにサイズが決められる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記開放円周部分は、最大の溝の弧長よりも長い弧長を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記開放円周部分の弧長は、前記支持体の半径方向外側表面の少なくとも1つの弧長より短い、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記気管内チューブを調整又は交換するステップを含み、
前記第1及び第2の溝は、前記気管内チューブを調整又は交換するときに、前記調整又は交換することが、前記クランプが前記第2のチューブを前記第2の溝に固定している間に、前記開放円周部分が前記第1の溝と円周方向に整列するように、前記クランプを時計回り又は反時計回りの方向に回転させることを含むように配置される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2のチューブを調整又は交換するステップを含み、
前記第1及び第2の溝は、前記第2のチューブを調整又は交換するときに、前記調整又は交換することが、前記クランプが前記気管内チューブを前記第1の溝に固定している間に、前記開放円周部分が前記第2の溝と円周方向に整列するように、前記クランプを時計回り又は反時計回りの方向に回転させることを含むように配置される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、気管内チューブ、栄養チューブ、及び/又は胃吸引チューブを支持するための装置及び方法に関する。
(関連出願への相互参照)
本出願は、2021年7月29日に出願された米国仮出願第62/227,306号、2021年12月23日に出願された米国仮出願第62/293,485号、及び2022年1月28日に出願された米国仮出願第63/304,253号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
気管内挿管は、患者の呼吸を助けるために柔軟なチューブを口又は鼻から気管(trachea)に入れる医療処置である。場合によっては、気管内挿管は意識不明の患者又は自力で呼吸できない患者に対して行われる緊急処置である。
【0003】
経鼻胃チューブ又は経口胃チューブは、鼻又は口から挿入され、先端が胃又は小腸で終わる小さなチューブである。経鼻胃チューブ又は経口胃チューブは、栄養補給、投薬、又は、吸引、吸い込み若しくは重力ドレナージによる胃からの内容物の除去に使用され得る。
【0004】
胃吸引は、胃の内容物を空にする処置である。胃吸引は、胃の内容物が他の消化管を通過する前に空にするために行われる。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一例による気管内チューブ装置は、患者の顔に取り付けるための装具と、前記装具から延び、且つ気管内チューブを受け入れるための溝を含む支持体とを含む。クランプが支持体及び気管内チューブを取り囲む。前記クランプは高分子材料から成る。
【0006】
上記のさらなる例では、前記クランプは、プラスチックの本体を含む。
【0007】
上記のさらなる例では、前記クランプは、略C字型である。
【0008】
上記のさらなる例では、前記クランプは、開放円周部分を含む。
【0009】
上記のさらなる例では、前記支持体は、第2のチューブを受け入れるように構成される第2の溝を含む。
【0010】
上記のさらなる例では、前記第2のチューブは栄養チューブ又は胃吸引チューブである。
【0011】
上記のさらなる例では、前記支持体は、第3の溝を含む。前記第1、第2、及び第3の溝は異なるサイズを有し、前記第3の溝は円周方向において前記第1の溝よりも前記第2の溝に近い。
【0012】
上記のさらなる例では、前記開放円周部分は、チューブが前記第1及び第2の溝に固定されるときに、前記支持体の半径方向外側表面上に受け入れられるようにサイズが決められる。
【0013】
上記のさらなる例では、前記開放円周部分は、最大の溝の弧長以上の弧長を有し、前記開放円周部分の弧長は、前記支持体の半径方向外側表面の少なくとも1つの弧長より小さい。
【0014】
上記のさらなる例では、前記第1及び第2の溝は、前記気管内チューブを調整又は交換するときに、前記クランプが前記第2の溝に前記第2のチューブを固定している間、前記開放円周部分が前記第1の溝と円周方向に整列するように前記クランプを時計回り又は反時計回りに回転させることができるように配置される。
【0015】
上記のさらなる例では、前記第1及び第2の溝は、前記気管内チューブを調整又は交換するときに、前記クランプが前記第1の溝に前記気管内チューブを固定している間、前記開放円周部分が前記第2の溝と円周方向に整列するように前記クランプを時計回り又は反時計回りに回転させることができるように配置される。
【0016】
本開示の一例による患者に挿管する方法は、装具を患者の顔に取り付けるステップを含む。前記装具は前記患者の顔から離れて延在する支持体を含む。前記気管内チューブ及び前記支持体を取り囲むクランプによって前記支持体の溝内に気管内チューブが固定される。前記クランプは高分子材料から成る。
【0017】
上記のさらなる例では、前記クランプは、略C字型である。
【0018】
上記のさらなる例では、前記クランプは、開放円周部分を含む。
【0019】
上記のさらなる例では、前記支持体は、第2のチューブを受け入れるように構成される第2の溝を含む。前記第2のチューブは栄養チューブ又は胃吸引チューブである、前記方法は、前記クランプによって前記第2の溝内に前記第2のチューブを固定するステップをさらに含む。
【0020】
上記のさらなる例では、前記開放円周部分は、前記気管内チューブ及び第2のチューブが前記第1及び第2の溝に固定されるときに、前記支持体の半径方向外側表面上に受けられるようにサイズが決められる。
【0021】
上記のさらなる例では、前記開放円周部分は、最大の溝の弧長よりも長い弧長を有する。
【0022】
上記のさらなる例では、前記開放円周部分の弧長は、前記支持体の半径方向外側表面の少なくとも1つの弧長より短い。
【0023】
上記のさらなる例では、前記方法は、前記気管内チューブを調整又は交換するステップを含む。前記第1及び第2の溝は、前記気管内チューブを調整又は交換するときに、前記調整又は交換することが、前記クランプが前記第2のチューブを前記第2の溝に固定している間に、前記開放円周部分が前記第1の溝と円周方向に整列するように、前記クランプを時計回り又は反時計回りの方向に回転させることを含むように配置される。
【0024】
上記のさらなる例では、前記方法は、前記第2のチューブを調整又は交換するステップを含む。前記第1及び第2の溝は、前記第2のチューブを調整又は交換するときに、前記調整又は交換することが、前記クランプが前記気管内チューブを前記第1の溝に固定している間に、前記開放円周部分が前記第2の溝と円周方向に整列するように、前記クランプを時計回り又は反時計回りの方向に回転させることを含むように配置される。
【0025】
これら及びその他の特徴は、以下の明細書及び面から最もよく理解されてもよく、以下にその簡単な説明を示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【0027】
【
図2】気管内チューブ支持装置の例示的なクランプを示す。
【0028】
【
図3】係合位置にある
図2の例示的なクランプを示す。
【0029】
【0030】
【0031】
【
図6】別の例示的な気管内チューブ支持装置を示す。
【0032】
【
図7】別の例示的な気管内チューブ支持装置を示す。
【0033】
【
図8】
図7の例示的な気管内チューブ支持装置を示す。
【0034】
【
図9】係合位置にある
図7及び8の例示的な気管内チューブ支持装置を示す。
【0035】
【
図10】
図8及び9に示したものとは反対側にある
図7-10の例示的な気管内チューブ支持装置を示す。
【0036】
【
図11】
図8及び9に示したものとは反対側にある
図7-10の例示的な気管内チューブ支持装置を示す。
【0037】
【
図12】
図7-11の例示的な気管内チューブ支持装置の平面図を示す。
【0038】
【
図13】経鼻胃栄養チューブを支持する
図7-12の例示的な気管内チューブ支持装置を示す。
【0039】
【0040】
【
図15】第1の非係合位置にある
図14の例示的なクランプを示す。
【0041】
【
図16】第2の非係合位置にある
図14及び15の例示的なクランプを示す。
【0042】
【
図17】第3の非係合位置にある
図14-16の例示的なクランプを示す。
【0043】
【0044】
【
図19】チューブを受け入れた
図14-18の例示的なクランプを示す。
【0045】
【
図20】チューブを受け入れた
図14-19の例示的なクランプを示す。
【0046】
【
図21】チューブを受け入れた
図14-20の例示的なクランプを示す。
【0047】
【
図22】チューブを受け入れた
図14-21の例示的なクランプを示す。
【0048】
【
図23】バーを取り除いた
図14-22の例示的なクランプを示す。
【0049】
【
図24】係合位置にあり、且つバーを取り除いた
図14-23の例示的なクランプを示す。
【0050】
【
図25】第2の非係合位置にあり、且つバーを取り除いた
図14-24の例示的なクランプを示す。
【0051】
【
図26】第3の非係合位置にあり、且つバーを取り除いた
図14-25の例示的なクランプを示す。
【0052】
【
図27】第3の非係合位置にあり、且つバーを取り除いた
図14-26の例示的なクランプを示す。
【0053】
【
図28】第1の非係合位置にあり、且つバーを取り外した
図14-27の例示的なクランプを示す。
【0054】
【
図29】
図14-28の例示的なクランプの内部スプリングフック係合を示す。
【0055】
【0056】
【0057】
【
図32】
図31に示されたものとは異なる向きで、患者の装具上に受けられている
図30及び31の例を示す。
【0058】
【
図33】別の例示的な気管内チューブ支持装置を示す。
【0059】
【
図34】別の例示的な気管内チューブ支持装置を示す。
【0060】
【
図35】
図34の例示的な気管内チューブ支持装置の支持体及びクランプを示す。
【0061】
【
図36】
図34及び35の例示的な気管内チューブ支持装置の支持体及びクランプを示す。
【0062】
【
図37】
図34-36の例示的な気管内チューブ支持装置の支持体及びクランプの平面図を示す。
【0063】
【
図38】2つの溝にチューブを固定した
図34-37の例示的な気管内チューブ支持装置の支持体及びクランプの平面図を示す。
【0064】
【
図39】
図34-38の例示的な気管内チューブ支持装置のクランプ及び支持体の第1の非係合位置を示す。
【0065】
【
図40】
図34-39の例示的な気管内チューブ支持装置のクランプ及び支持体の第2の非係合位置を示す。
【0066】
【
図41】
図34-40の例示的な気管内チューブ支持装置のクランプ及び支持体の第3の非係合位置を示す。
【0067】
【
図42】別の例示的な気管内チューブ支持装置を示す。
【0068】
【0069】
【
図44】
図42-43の例示的な気管内チューブ支持装置を示す。
【0070】
【
図45】
図42-44の例示的な気管内チューブ支持装置の支持体及びクランプを示す。
【0071】
【
図46】
図42-44の例示的な気管内チューブ支持装置の支持体及びクランプを示す。
【0072】
【
図47】気管内挿管後の患者に使用される
図42-46の例示的な気管内チューブ支持装置を示す。
【0073】
【
図48】気管内挿管後の患者に使用される
図42-47の例示的な気管内チューブ支持装置である。
【0074】
【
図49】気管内挿管後の患者に使用される
図42-48の例示的な気管内チューブ支持装置である。
【0075】
【
図50】別の例示的な気管内チューブ支持装置を示す。
【0076】
【
図51】
図50に示された例示的な気管内チューブ支持装置の湾曲部分及び受けパッドを示す。
【0077】
【0078】
【0079】
【
図54】
図50-52に示された受けパッドのチャネルの突起を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本願は、気管内チューブ、栄養チューブ、及び/又は胃吸引チューブを支持するための装置及び方法に関する。いくつかの先行技術の装置では、気管内チューブ等のチューブを装具に固定するためにテープが使用されている。出願人は、テープを使用することのいくつかの欠点を特定した。乳児が挿管されて未熟児である場合、多くの場合30日間以上湿度にさらされるため、テープの固定効果が低下し、場合によってはチューブが所定位置から外れる可能性がある。テープのもう1つの欠点は、医療専門家がテープを貼り、テープを剥がし、又はテープを調整する前に手袋を外さなければならないことが多く、処置に時間及び困難が加わることである。テープのさらに別の欠点は、挿管された乳児は嘔吐することが多いため、嘔吐物がテープに接触した場合にテープの固定効果が低下し得ることである。これらの先行技術の装置のさらに別の欠点は、これらは多くの場合、2~3人の医療専門家が調整を行う必要があることである。
【0081】
本明細書に開示された例示的なクランプ及び関連する装置及び方法は、テープを使用するものを含む先行技術の装置で出願人が特定した欠点を克服するものである。例えば、チューブを装具に固定するための高分子及び/又はエラストマー材料を用いたクランプは、湿度及び嘔吐物の影響を比較的受けない。さらに、高分子及び/又はエラストマー材料を用いたクランプは、迅速に調整することが容易である。いくつかの例では、患者が挿管されたままで磁気共鳴画像法等の処置を受けることができるように、クランプに金属が欠けていてもよい。いくつかの例では、本明細書に開示されている装具、クランプ、及び/又は支持体はプラスチックであってもよい。いくつかの例では、本明細書に開示されている装具、クランプ、及び/又は支持体は、医療グレードのポリプロピレンから作られてもよい。さらに、本明細書に開図示の例では、1人の医療専門家によって調整を行うことを可能にする。図示の例では、チューブの深さを測定及び調整するために、紙又はプラスチックのテープメジャーを患者の唇に当てる必要がさらになくなる。
【0082】
さらに、本明細書に開図示の例では、一度に1つのクランプで複数のチューブを固定することが可能であり、さらに、他のチューブが固定されたままで、それらのチューブの1つを選択的に取り外し又は調整すること、すなわち、患者のチューブの深さを制御するために縦方向に所定の位置に保持することが可能になる。本明細書に記載されている利点は、挿管処置に限定されず、栄養補給又は胃吸引チューブ処置を含む他の処置によっても達成され得る。さらに、いくつかの例の実施形態では乳児に関する処置が記載されているが、様々な年齢の他の患者に対する処置も、本開示から利益を受け得る。
【0083】
図1は、患者の顔に取り付けるための装具22を含む例示的な気管内チューブ支持装置20を示す。装具22は、図示のように患者の顔から離れて延びる支持体24を含んでもよい。例示的な支持体24は、患者の顔を補完するような外形を有し、且つその端で患者の顔に固定された湾曲部分25から延びている。気管内チューブ26が支持体24に受け入れられ、患者の口を通すように配置される。チューブ26を支持体24に固定するためにクランプ28が設けられ、これはチューブ26及び支持体24の両方を囲んでいる。例示的なクランプ28は、1つ以上の高分子材料から作られる。本明細書で使用される高分子という用語は、一般的にプラスチック、エラストマー、熱可塑性エラストマー、又は反復分子サブユニットを含むその他の天然又は合成材料を指す。いくつかの例では、クランプ28はプラスチックである。
【0084】
図示の例では、患者は新生児であるが、様々な年齢の他の患者の挿管も、本開示から利益を受け得る。新生児のサイズが小さいため、チューブの位置の僅かな調整が、乳児が酸素を受ける場合と受けない場合との違いを意味し得る。したがって、本明細書に開示された例は、気管内チューブの改善された固定をもたらす。さらに、経鼻胃チューブ、経口胃チューブ、及び胃吸引に関する処置も、本開示から利益を受け得る。
【0085】
いくつかの先行技術の装置では、テープを使用して気管内チューブを装具に固定している。出願人は、テープを使用することの所定の欠点を特定した。乳児が挿管されるとき、湿度にさらされることが多いため、テープの固定効果が低下し、場合によってはチューブが所定の位置から外れる可能性がある。テープのもう1つの欠点は、医療専門家がテープを貼り、テープを剥がし、又はテープを調整する前に手袋を外さなければならないことが多く、処置に時間及び困難が加わることである。テープのさらに別の欠点は、挿管された乳児は嘔吐することが多いため、嘔吐物がテープに接触した場合にテープの固定効果が低下し得ることである。
【0086】
図2は、クランプ28の一例を示す。クランプ28は、対向する指部30を含んでもよく、各指部30は、他方の指部30のラチェット面32と係合するためのそれぞれのラチェット面32を提供してもよい。ラチェット面32は、クランプ28の調節可能な締め付け及び固定を達成するために利用されてもよい。いくつかの例では、図示のように、クランプ28は、外径にプラスチックの外側部分34を含み、内径にエラストマー製の内側部分36を含む。エラストマー製の内側部分36は、確実な固定のために、気管内チューブ26及び支持体24(
図1を参照)の少なくとも一方に対して確実に受けられるように、圧縮性であってもよく、且つ/又はプラスチックよりも高い摩擦係数を有してもよい。
【0087】
図3は、係合位置にある
図2の例示的なクランプ28を示しており、それぞれのラチェット面32が係合している。支持体24及びチューブ26(
図1参照)を収容するために、実質的に円筒形の開口部38が内径に設けられてもよい。
【0088】
別の例では、
図1を参照すると共に、
図4に示すように、クランプ128の内径は、支持体124を受けるための溝140等を設けることによって、チューブ26及び支持体24の形状を補完するような外形を有する。同様の参照番号によって、いくつかの図面を通して対応又は類似する要素が識別されることを理解すべきである。
【0089】
図5は、別の例示的なクランプ228を示しており、チューブ26及び支持体24(
図1)を囲み得る移動する対向指部244を開閉するためにつまみ可能な背面タブ242を含んでいる。
【0090】
図2及び3に示された例と同様に、
図4及び5の例示的なクランプ128/228は、高分子材料及び/又はエラストマー材料を含んでもよい。例示的なクランプ設計が
図2-5に示されているが、同様の材料を有するものを含む、及び後述の追加例を含む他のクランプ設計も考えられる。例示的なクランプは一例の装具22を使用するように開示されているが、ここで開示されたクランプは他の装具を利用してもよい。
【0091】
図6は、別の例の気管内チューブ支持装置420を示す。湾曲部分425は、患者の顔に取り付けるためにパッド447上のブラケット446で受けられ得るラチェット表面444を含む。ブラケット446は、表面444と係合するための対向するラチェット表面448を含む。したがって、例示的な装置420は、様々な大きさ及び形状の患者の顔に対応できるように調整可能である。
【0092】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、湾曲部分425は、同様の調整可能性のために互いに対して調整する複数のラチェット部分(図示せず)を含んでもよい。追加的又は代替的に、いくつかの例では、パッド447はフックアンドループ係合等によって第2のパッド(図示せず)に取り付けられ、第2のパッドは患者の顔に取り付けられる。図面には1つのパッド447が示されているが、湾曲部分425の各端に1つ以上のパッドがあってもよい。
【0093】
患者に挿管する例示的な方法には、患者の顔に装具を取り付けるステップを含むことが挙げられる。装具には、患者の顔から離れて延びる支持体が含まれてもよい。例示的な方法は、気管内チューブ及び支持体を囲むクランプによって気管内チューブを支持体に固定するステップを含み、クランプは高分子材料を含んでもよい。
【0094】
図7は、患者の顔に取り付けるための装具部分522を含む例示的な気管内チューブ支持装置520を示す。支持体524は、図示のように装具部分522から及び患者の顔から離れるように延びている。例示的な支持体524は、患者の顔を補完するような外形を有し、いくつかの例では粘着パッド等によってその両端が患者の顔に固定された湾曲部分525から延びている。気管内チューブ526は支持体524に対して受け入れられ、挿管過程で患者の口から挿入されてもよい。
【0095】
クランプ528が、支持体524に対する動きに対してチューブ526を固定するために提供される。いくつかの例では、気管内チューブ支持装置520は、積層造形を使用して製造されてもよい。いくつかの例では、例示的なクランプ528を含む気管内チューブ支持装置520は、1つ以上の高分子材料から作られる。本明細書で使用される高分子という用語は、一般的にプラスチック、エラストマー、熱可塑性エラストマー、又は反復分子サブユニットを含むその他の天然又は合成材料を指す。いくつかの例では、気管内チューブ支持装置520のクランプ、又は例示的なクランプ528を含む少なくともその一部はプラスチックである。いくつかの例では、気管内チューブ支持装置520、又は例示的なクランプ528を含む少なくともその一部は、アクリロニトリルブタジエンスチレンから作られる。
【0096】
図示の例では、患者は新生児であるが、様々な年齢の他の患者の気管内挿管が、本開示から利益を受け得る。新生児のサイズが小さいため、気管内チューブの位置の僅かな調整が、乳児が酸素を受ける場合と受けない場合との違いを意味し得る。したがって、本明細書に開示された例は、気管内チューブの改善された固定をもたらす。
【0097】
図8は、
図7の例示的な気管内チューブ支持装置520を示す。支持装置524は、チューブ(見やすくするために図示せず)を受けるために支持装置524の第1の表面541に設けられた溝540を含む。いくつかの例では、チューブは気管内チューブであり、例えば、
図7に示す気管内チューブ526である。例示的なクランプ528は、チューブを溝540内に固定するためのバー550を含む。例示的なバー550はピボットジョイント552を中心に回転し、非係合位置で示されている。いくつかの例では、ピボットジョイント552は回転を提供するために1つ以上の締結具を含んでもよい。例示的なピボットジョイント552は、支持体524からピボットジョイント552まで延びる1つ以上の延長アーム554等によって、支持体524から間隔を空けて配置されてもよい。
【0098】
図9は、係合位置にある例示的なクランプ528を示す。図示の例では、バー550は、支持体524からの延長部556によって提供されるノッチに固定されるように枢動されている。1つ以上の高分子材料から作られるバー550は、今度は、溝540内の動きに対してチューブ(図示せず)を固定する。いくつかの例では、図示のように、バー550は、バー550を係合位置と非係合位置との間で動かすためのハンドル558を含んでもよい。
【0099】
図10は、
図8及び9に示したものとは反対側にある例示的な気管内チューブ支持装置520を示す。反対側は、実質的に
図8及び9に示されている側と同様であるが、1つの違いは、支持体524の第2の表面563に2つの溝560及び562が設けられており、第2の表面563は、表面541から支持体524の反対側にあることである(
図8参照)。いくつかの例では、図示のように、溝560,562は互いに異なる幅を有する。いくつかの例では、溝560,562は、いくつかの例において経口胃チューブ及び経鼻胃チューブを含む、異なる直径の栄養チューブ及び/又は胃吸引チューブを収容するようにサイズが決められる。第2のバー550がピボットジョイント552の周りに設けられて旋回可能であり、1つ以上のチューブ(見やすくするために図示せず)をそれぞれの溝560,562に固定する。
【0100】
図11は、
図10に示されている側にある例示的な気管内チューブ支持装置520を示しており、いずれかの溝560,562内の動きに対してもチューブ(図示せず)を固定するために第2のバー550が係合位置にある。
【0101】
図示の例では、チューブはそれぞれの溝540,560,562に選択的に固定及び固定解除されてもよい。例えば、溝540のチューブは調整のために固定されていないが、溝560のチューブは固定されたままであってもよい。例えば、医療専門家は気管内チューブを固定したまま、患者の経口胃チューブを調整又は除去することができる。別の例として、医療専門家は、経口胃チューブを固定したまま、患者の気管内チューブを調整又は除去することができる。
【0102】
図12は、例示的な気管内チューブ支持装置520の上面図である。溝540は、溝560,562から支持装置524の反対側にある。
【0103】
図7に戻ると、図示の例では、経口胃栄養チューブ564が溝560内に固定され(
図10参照)、気管内チューブ526が溝540内に固定されている(
図8参照)。図示のように、装置520は、表面541が
図7に示されている向きに対して上向きになるように配置される。
【0104】
図13は、経鼻胃栄養チューブ566を支持する例示的な気管内チューブ支持装置520を示す。ここで、表面563は、
図13に示されている向きに対して上向きである。つまり、
図7に戻ると、装置は、経口胃栄養チューブを使用するか又は経鼻胃栄養チューブを使用するかに応じて、表面541又は表面563のいずれかが上向きになるように配置され得る。
【0105】
例示的なチューブは、例えば、患者が人工呼吸器を使用しているとき等に、それぞれの溝540,560,562内でチューブが縦方向に移動することを防ぐように固定される。
【0106】
いくつかの例では、バー550は、いくつかの構成における別のクランプのような非ピボット配置を含む他の構成要素によって提供され得ると考えられる。
【0107】
図14は、NeoTechのNeoBar(R)装具等、既存の装具で利用され得る別の例示的なクランプ628を示す。例示的なクランプ628は、例示的な装置520に関して上記の材料のいずれかを含んでもよい。例示的なクランプ628は、気管内及び栄養チューブ又は胃吸引チューブを受け入れるための溝670,672を含む。ここに示すように、いくつかの例では、気管内チューブが溝672に受け入れられ、栄養チューブが溝670に受け入れられてもよい。溝670,672の間には、NeoTechのNeoBar(R)装具等の装具の支持体を受けるためのスロット674が設けられている。スロット674内の内部スプリングフック699は、
図29に示すように、装具のT字型の端と係合してもよい。さらに、他のタイプの装具では他の例が利用され得ることも考えられる。1つ以上のチューブが溝670,672内で自由にスライド可能な複数の非係合位置と、チューブが溝670,672内の動きに対して固定された係合位置との間で、クランプ628を選択的に移動させるためのノブ676が設けられている。
図8は、係合位置にある例示的なクランプ628を示す。
【0108】
図15は、第1の非係合位置にある例示的なクランプ628を示す。溝670に受け入れたチューブを溝670内で自由にスライド可能にするように、ノブ676を溝670の方に回して第1のバー部分654Aを溝670から遠ざける。いくつかの例では、図示のように、ノブ676には矢印等の指標678があり、ユーザーが所望の溝の所望のチューブを外すのに役立つ。図示のように、第1の非係合位置では、矢印678は溝670の方向を向いている。
【0109】
図16は、第2の非係合位置にある例示的なクランプ628を示す。溝672に受け入れたチューブを溝672内で自由にスライドできるように、ノブ676を溝672の方に回して、第2のバー部分654Bを溝672から遠ざける。図示のように、第2の非係合位置では、矢印678は溝672の方を向いている。バー654A及び654Bを動かすための例示的な内部構成は、以下でさらに説明される。
【0110】
図17は、矢印678がクランプ628の上面680を指し、両方の溝670,672に受け入れられたチューブが溝670,672内で自由にスライド可能である第3の非係合位置にある例示的なクランプ628を示す。例示的な上面680は、スロット674の開口部を含む下面の反対側である。
【0111】
【0112】
図19-22は、チューブを受け入れている例示的なクランプ628を示す。図示のいくつかの例では、例示的なクランプは、その溝670,672内に栄養チューブ、胃吸引チューブ、及び/又は気管内チューブを固定することができる。
【0113】
図23は、バー654A及び654Bを取り外した例示的なクランプ628を示す。ノブ676は、第1のカム面684、及び軸682の回転軸に対して第1のカム面684に軸方向に隣接し円周方向にオフセットした及び第2のカム面686を含む軸682と共に回転する。いくつかの例では、他のカム面構成を含むバー654A及び654Bを移動させるための他の構成が利用されてもよい。
【0114】
図24は、例示的なクランプ628を示しており、バー654A及び654Bが本体から取り外され、クランプ628が係合位置にあり、バー654A及び654Bが参照のために本体629の横に配置されている。いくつかの例では、バー654A及び654Bは、スナップフィット又は他の固定配置によって本体に固定可能である図示の分離したU字型の構成要素の一部であってもよい。バー654A及び654Bは、U字型の構成要素を形成するように、横部材の端部から自由端部まで略平行に延びている。バー654A及び654B及び横部材は、U字型の構成要素を形成するように、適切なプラスチックで一体成形されている。
【0115】
バー654Bの内面は突起688を含み、バー654Aの内面は突起690を含む。係合位置では、カム面684は突起690と係合せず、カム面686は突起688と係合しない。バー654A、654Bは係合位置に向けて付勢されており、それによって、それぞれのカム面684,686が突起688,690に当接しない場合、バー654A、654Bはそれぞれの溝670,672内にチューブを固定する。
【0116】
図25は、第2の非係合位置にある例示的なクランプ628を示す。チューブが溝672内で自由にスライドできるように、カム面686は突起688に当接してバー654Bを溝672から押し離す。カム面684は突起690に当接しない。
【0117】
図26及び27は、第3の解除位置にある例示的なクランプ628を示す。チューブが溝672内で自由にスライドできるように、カム面686は突起688に当接してバー654Bを溝672から押し離す。チューブが溝670内で自由にスライドできるように、カム面684は突起690に当接してバー654Aを溝670から押し離す。非係合位置では、カム面684,686は、バー654,654Bの外端をそれぞれの溝670,672から離れて外側に選択的に弾力的に変形させる。
【0118】
図28は、第1の非係合位置にある例示的なクランプ628を示す。チューブが溝670内で自由にスライドできるように、カム面684は突起690に当接してバー654Aを溝670から押し離す。カム面686は突起688に当接しない。
【0119】
図示のように、軸682の一部は、いくつかの位置で突起688,690に選択的に当接しないように、カム面がない。
【0120】
図30は、3つの溝770,772,773が設けられていることを除いて、クランプ628と実質的に同様の例示的なクランプ728を示す。いくつかの例では、溝770,773は、いくつかの例では経口胃チューブ及び経鼻胃チューブのような異なる直径の栄養チューブ及び/又は胃吸引チューブを収容するために、互いに異なるサイズになっている。いくつかの例では、溝772は気管内チューブを収容するようにサイズ決めされてもよい。図示の例では、3つの溝770,772,773が示されているが、いくつかの例では、より多い又はより少ない溝が使用されてもよい。
【0121】
図示の例では、溝770及び773は、溝772からスロット774の反対側にある。この例では、溝772からスロット774の反対側にある溝770及び773を有することによって、経口胃チューブ及び経鼻胃チューブのどちらを使用するかによってクランプ728の向きが変更され得る。例えば、
図31に示されるように、経鼻胃チューブ(見やすくするために除去されている)が溝773で使用される場合、溝773が患者の鼻に近づくようにクランプ728を配向することができる。
図32に示されるように、その代わりに溝770が経口胃チューブ(見やすくするために除去されている)のために利用される場合、溝770が患者の口に近づくように、クランプ728の向きを約180°回転させることができる。
【0122】
図33は、気管内チューブ支持装置820の一例を示しており、これは患者の顔を補完するような外形を有し、接着パッド847によってその端部で患者の顔に固定された湾曲部分825から延びる支持体824を含む。一方のパッド847は図示の視点に示されているが、患者の顔の反対側には、同様に形成及び配向された別のパッドが使用されてもよい。パッド847は、防水発泡体の上層を持つ親水コロイド基材を含んでもよく、パッド847が患者の耳から患者の口の方向に概ね延びるにつれて幅が減少するような先細りの形状になっている。パッド847は抗菌性であってもよい。出願人は、長方形又は正方形の布パッドが利用され、患者の口に最も近いそのようなパッドの角が接着性を失い、最終的にパッド全体の接着性が失われて交換パッドが必要性になるという従来技術の取り付け方法の問題を特定した。出願人が提案したパッドの材料及び形状は、そのような欠点を克服している。
【0123】
図34は、気管内チューブと同様に、いくつかの例では経口胃チューブ及び経鼻胃チューブのような異なる直径の栄養及び/又は胃吸引チューブを含む、チューブ(説明のために除去されている)を受け入れるための溝970,972,973を提供する支持体924を含む別の例示的な気管内支持装置920を示す。いくつかの例では、例示的なクランプ928(
図35を参照)を含む気管内チューブ支持装置920は、1つ以上の高分子材料から作られる。いくつかの例では、例示的なクランプ928(
図35を参照)を含む気管内チューブ支持装置920は、プラスチックから作られる。いくつかの例では、例示的なクランプ928(
図35を参照)を含む気管内チューブ支持装置920は、医療グレードのポリプロピレンから作られる。
【0124】
図35は、支持体924及びクランプ928を含む、
図25の例示的な気管内支持装置920の一部を示す。いくつかの例では、支持体924は、既存の気管内支持装置の支持体、例えば、
図33の実施形態の支持体824、又はNeoTech(R)NeoBar(R)の同等の支持体と置換してもよい。いくつかの例では、
図36の実施形態に示されるように、支持体1024は、既存の支持体を受け入れるために支持体1024の半径方向中心に開口部Oを提供すること等によって、そのような既存の支持体の上に配置されてもよい。
【0125】
図35を再び参照すると、クランプ928は、開放円周部分929を含む略C字形である。開放円周部分929は、例えば、クランプ928を支持体924の長軸に対して略垂直な方向に動かすことによって、チューブを溝に固定する場合に、支持体924の半径方向外側表面931上で受けられるようにサイズ決めされる。1本のチューブを調整、交換等する場合、開放部分929がチューブが受け入れられる溝と円周方向に整列するように、クランプ928を時計回り又は反時計回りに回転させてもよい。したがって、1つ以上の他のチューブがそれぞれの溝に固定されたまま、1本のチューブを調整、交換等することができる。この例では、開放部分929は、最大の溝の弧長以上の弧長を有する。開放部分929の弧長は、
図37に示すように、クランプ928を全ての溝が覆われる位置まで動かすことができるように、支持体924の半径方向外側表面の少なくとも1つの弧長以下であってもよい。
【0126】
図37は、チューブを3つの溝970、972、973全てに固定することができる例示的なクランプ928及び支持体924の係合位置を示す。
【0127】
図38は、チューブが溝970及び972に固定される例示的なクランプ928及び支持体924の係合位置を示す。図示のように、患者内のチューブの深さを制御するためにチューブを縦方向に所定の位置に保持するために、チューブを僅かに圧縮し及び/又はクランプ928を僅かに拡張させることができる。
【0128】
図39は、例示的なクランプ928及び支持体924の第1の非係合位置を示し、この位置では、開放部分929が溝973と円周方向に整列され、したがって、溝972及び970の一方又は両方のチューブ(図示せず)が固定されたままである間に、溝973内のチューブを取り外し、調整等することができるように、クランプ928が溝973に対して係合解除される。
【0129】
図40は、例示的なクランプ928及び支持体924の第2の非係合位置を示し、この位置では、開放部分929が溝972と円周方向に整列され、したがって、溝970及び973の一方又は両方のチューブが固定されたままである間に、溝972内のチューブを取り外し、調整等することができるように、クランプ928が溝972に対して係合解除される。
【0130】
図41は、例示的なクランプ928及び支持体924の第3の非係合位置を示し、この位置では、開放部分929が溝970と円周方向に整列され、したがって、溝973及び972の一方又は両方のチューブが固定されたままである間に、溝970内のチューブを取り外し、調整等することができるように、クランプ928が溝970に対して係合解除される。
【0131】
例では3つの溝970、972、及び973が示されているが、いくつかの例ではより多くの又はより少ない溝が利用されてもよい。いくつかの例では、支持体924と共に他のクランプを使用することができる。いくつかの例では、図示のように、溝970、972、及び973は、異なるサイズのチューブを収容するために異なるサイズを有する。
【0132】
再び
図34を参照すると、図示の例では、湾曲部分925を含む装置920は実質的に平面上にあり、溝970、973は平面の片側に面し、溝972は平面の反対側に面している(
図37も参照)。図示の向きでは、溝970、973の1つが経口胃チューブを受け入れることができ、溝972は気管内チューブを受け入れることができる。しかしながら、経口胃チューブの代わりに鼻胃チューブが溝970,973の一方で支持される例では、溝970,973が鼻に近い平面の側を向くように装置920の向きを約180°反転することができる。以下で説明する例示的な装置1020も同様の能力を有し、さらに
図48A及び48Bに図示されている。いくつかの例では、図示のように、溝973は、円周方向において溝972よりも溝970に近い。
【0133】
図42-49は別の例示的な気管内支持装置1020を示しており、これは実質的に気管内支持装置と同様であるが、医療専門家等による握りやすさのために、クランプ1028の半径方向外側表面に外側溝1029がある点が異なる。
図47~49は、挿管中に患者に配置された例示的な気管内支持装置1020を示す。いくつかの例では、図示のように、パッド1047は、
図33のパッド847のように先細りになっていてもよい。
図48Aは、経鼻胃チューブが支持されている例示的な装置1020の向きを示す。
図48Bは、経口胃チューブが支持されている
図48Aに示されている向きから180度反転された例示的な装置1020の向きを示す。
【0134】
図50は、湾曲部分1125の端部がパッドアセンブリ1147内、より具体的には、患者の耳の近位の皮膚に接着された接着パッド1196に接着された受けパッド1194内に受けられる別の例示的な気管内支持装置1120を示す。乳児のようないくつかの例では、この領域が接着のための最大の表面積を提供する。いくつかの例では、パッドアセンブリ1147は、患者の口よりも患者の耳に近い位置に接着される。図面では、湾曲部分の一端が一方のパッドアセンブリ1147に示されているが、同様の構成が患者の他方の耳の近位でも利用される。いくつかの例では、図示のように、受けパッド1194及び接着パッド1196の両方が先細りであり、本開示で前述した先細りパッドのように、患者の耳から口への方向に延びるにつれて狭くなる。いくつかの例では、受けパッド1194はシリコンを含む。いくつかの例では、接着パッド1196は親水コロイドパッドである。例示的な接着パッド1196は、説明のために例示的な受けパッド1194よりも大きく見えるが、いくつかの例では、接着パッド1196及び受けパッド1194は同じサイズ及び形状である。
【0135】
図51及び52に示されるように、湾曲部分1125の端部は受けパッド1194のチャネル1197内に受け入れられる。湾曲部分1125の端部は、例示的な気管内支持装置1120を最適な位置に配置できるように、チャネル1197内で調節可能である。
【0136】
図53に示すように、湾曲部分1125は、チャネル1197(
図51及び52)内に湾曲部分1125を固定するために、いくつかの例ではリブ等の突起1198を含んでもよい。いくつかの例では、
図54に概略的に図示されるように、チャネル1197は、湾曲部1125上の突起1198と係合し、最適な位置が得られた後に湾曲部1125を所定の位置に固定するために、いくつかの例ではその上面等に1つ以上の類似した突起1198Bを含んでもよい。医療専門家が湾曲部1125をチャネル1197から完全に引き抜くのを防ぐために、調整プロセス中に湾曲部1125をチャネル1197から引き抜くのをいつ停止するかを医療専門家に知らせるために、湾曲部1125に指標1199が含まれてもよい。
【0137】
例示的な気管内支持装置1120又はパッド1147を使用する他の装置に関して、緊急時には、装具を単に引き上げてパッド1147から外すことができる。パッド1147は、緊急事態が解決されるまで患者の顔に留まり得る。次に、装具をパッド1147に交換して再利用することができる。これは、装置をハサミで切って患者の顔から引き離すことを示唆するいくつかの従来技術の装置に対する改善である。さらに、例示的なパッド1147は、ベビーワイプ又はアルコールパッドで洗浄することができる。従来技術のパッドは、綿で覆われており、装置全体を交換しなければならないため、嘔吐物及び/又は唾液で汚れる可能性があった。
【0138】
図50~53を参照すると、例示的な方法は、患者に挿管するステップと、患者の耳に近位の患者の頬にパッドアセンブリ1147を配置するステップと、患者の他方の耳に近位の患者の頬に第2のパッドアセンブリ1147を配置するステップと、各パッドアセンブリ1147のチャネル1197内に湾曲部分1125の端を位置決めするステップと、各パッドアセンブリ1147のチャネル1197内の湾曲部分1125の端を最適な装具位置に調整するステップと、気管内チューブを例示的な気管内支持装置1120内に固定するステップとのうちの1つ以上を含んでもよい。例示的な気管内支持装置1120が示されているが、本開示の他の例示を含む他の装置がパッドアセンブリ1147と共に利用されてもよい。いくつかの例では、受けパッド1194の上部に追加の接着剤を配置する必要はない。
【0139】
いくつかの例では、チューブを受け入れる溝は、チューブの調整及び位置決めのためにチューブに対して参照するために、いくつかの例ではノッチ又は隆起部分等の指標を有してもよい。いくつかの例では、指標は等間隔で離間されてもよい。いくつかの例では、間隔は0.25cmであってもよい。いくつかの例では、
図45に示すように、クランプ928/1028の周方向外側表面の一方又は両方が、調整精度のために同じ又は異なる間隔で離間したノッチNを有してもよい。
【0140】
異なる例が特定の構成要素を有するものとして示されているが、本開示の例はそれらの特定の組み合わせに限定されない。実施形態のいずれかからの構成要素又は特徴のいくつかを、他の実施形態のいずれかからの特徴又は構成要素と組み合わせて使用することが可能である。
【0141】
前述の説明は、例示として解釈されるべきであり、いかなる限定的な意味においても解釈されるべきではない。当業者であれば、特定の修正が本開示の範囲内に入る可能性があることを理解するであろう。これらの理由から、本開示の真の範囲及び内容を決定するために、以下の特許請求の範囲を検討する必要がある。
【国際調査報告】