IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スワン・バレー・メディカル・インコーポレーテッドの特許一覧

特表2024-532629光学的にガイドされた恥骨上の膀胱瘻造設術
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-09
(54)【発明の名称】光学的にガイドされた恥骨上の膀胱瘻造設術
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20240902BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240902BHJP
   A61B 1/01 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A61B17/34
A61B1/00 T
A61B1/01 512
A61B1/00 620
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572535
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 IB2022054936
(87)【国際公開番号】W WO2022249114
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/268,781
(32)【優先日】2022-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510066330
【氏名又は名称】スワン・バレー・メディカル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】ズーク,ロナルド・イー
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ティモシー・イー
(72)【発明者】
【氏名】ブレック,ポール
【テーマコード(参考)】
4C160
4C161
【Fターム(参考)】
4C160AA12
4C160MM53
4C160NN01
4C161AA15
4C161CC06
4C161FF46
4C161GG27
4C161HH56
4C161LL02
4C161QQ06
(57)【要約】
光学的ガイドを用いて膀胱瘻造設術を実行するための医療器具および関連する機能が記載されている。膀胱瘻造設術デバイス(10)は、遠位部分(18)および近位部分(20)、フロントハンドル(14)およびリアハンドル(16)を含むゾンデ(12)を含む。内科医または他の使用者は、ハンドル(14および16)を把持してゾンデ(12)の遠位部分(18)を患者の尿道を通して膀胱の中にガイドすることができる。デバイス(10)は、ゾンデ(12)の先端(22)に取り付けられた光学ユニット(32)を含む。光学ユニット(32)は、一般に、レンズ開口部を有する遠位ゾンデ先端キャップ(34)、およびこの開口部に取り付けられた光学レンズ(36)を含む。光学ユニット(32)は、ゾンデ(12)の先端(22)の前方のボリュームを照明するためのLEDなどの1つまたは複数の照明源をさらに含むことができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膀胱瘻造設術に使用するための方法であって、
近位部分および遠位部分を有する器具本体と、前記器具本体上で支持された光学組立体とを含む医療器具を用意するステップであって、前記光学組立体は、前記器具本体の前記遠位部分の前方のボリュームのための画像情報を提供するのに使用するための、前記器具本体の前記遠位部分に関して前方に向けられた光学素子と、前記器具本体の前記遠位部分の前方の前記ボリュームの照明を提供するのに使用するための、前記器具本体の前記遠位部分から前方に向けられた光源とを含む、医療器具を用意するステップと、前記画像情報に基づいて画像を表示するために前記医療器具をディスプレイデバイスに接続するステップと、
膀胱瘻造設術を監視するように前記ディスプレイデバイスを使用するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記医療処置は、前記遠位部分が患者の膀胱の外側にある第1の位置と前記遠位部分が前記膀胱の内側にある第2の位置との間の処置経路上で前記医療器具を移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記使用するステップは、患者の膀胱に対しての前記医療器具とは別個のデバイスの移動を監視するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記医療器具は、切断端部を有するトロカールを備え、前記医療処置は、前記第1の位置から前記第2の位置まで前記切断端部を前進させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記医療器具は、引っ込め可能な切断刃を支持するブームを備え、前記医療処置は、前記第2の位置から前記第1の位置まで前記ブームを前進させるために前記切断刃を用いることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記医療器具は、前記器具本体の前記遠位部分の前方の前記ボリュームに物質を供給するために前記器具本体上で支持された供給配管をさらに備え、水の前記供給配管は、腹部を通って膀胱の中にトロカールが前進中に組織識別が妨げられないように視覚的な鋭さを与えるために血液および/または組織から外科的経路を洗浄するのに使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記物質は、処置経路を洗い流すための水を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記物質は、前記光学素子によるイメージングを改善するためのゲルを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記膀胱瘻造設術は、ガイドワイヤを前記医療器具を通して前記患者の膀胱の中に挿入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記膀胱瘻造設術は、さらなる医療器具を前記患者の膀胱へガイドするように前記ガイドワイヤを使用することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記さらなる医療器具は、カテーテルを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記光学組立体は、前記医療器具によって定められた外科的経路に沿ったさらなるデバイスの挿入をガイドするためのガイドワイヤとして機能する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記さらなるデバイスは、前記外科的経路を広げるためのオブチュレータを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
膀胱瘻造設術に使用するための装置であって、
近位部分および遠位部分を有する器具本体、および前記器具本体上で支持された光学組立体を含む医療器具であって、前記光学組立体は、前記器具本体の前記遠位部分の前方のボリュームのための画像情報を提供するのに使用するための、前記器具本体の前記遠位部分に関して前方に向けられた光学素子と、前記器具本体の前記遠位部分の前方の前記ボリュームの照明を提供するのに使用するための、前記器具本体の前記遠位部分から前方に向けられた光源とを含み、前記医療器具は、前記遠位部分が患者の膀胱の外側にある第1の位置と前記遠位部分が前記膀胱の内側にある第2の位置との間で処置経路上の前記医療器具の移動を含む医療処置を実行するようになされている、医療器具と、
前記画像情報に基づいて画像を表示するためのディスプレイデバイスと
を備える装置。
【請求項15】
前記ディスプレイデバイスは、患者の膀胱に対しての前記医療器具とは別個のデバイスの移動を監視するために動作可能である、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記医療器具は、前記第1の位置から前記第2の位置まで経路を切断するための切断端部を有するトロカールを備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記医療器具は、ブームを備え、前記ブームは、前前記第2の位置から前記第1の位置まで前記ブームを前進させるように動作可能な引っ込め可能な切断刃を支持する、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記医療器具は、前記器具本体の前記遠位部分の前方の前記ボリュームに物質を供給するために前記器具本体上で支持された供給配管をさらに備える、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記物質は、処置経路を洗い流すための水を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記物質は、前記光学素子によるイメージングを改善するためのゲルを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記器具本体は、ガイドワイヤを前記医療器具を通して前記患者の膀胱の中に挿入するように構成される、請求項14に記載の装置。
【請求項22】
前記光学組立体は、前記医療器具によって定められた外科的経路に沿ったさらなるデバイスの挿入をガイドするためのガイドワイヤとして機能する、請求項14に記載の装置。
【請求項23】
前記さらなるデバイスは、前記外科的経路を広げるためのオブチュレータを備える、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
径尿道的医療処置に使用するための装置であって、
ゾンデであって、患者の尿道を通って膀胱の中に延びる遠位部分、近位部分、ならびに前記患者の前記尿道を通して前記膀胱の中に前記ゾンデの前記遠位部分をガイドするために使用者によって把持するための少なくとも1つのハンドルを含み、前記遠位部分は、その端部に先端を有する、ゾンデと、
前記ゾンデの前記先端に取り付けられた光学ユニットであって、前記光学ユニットは、前記ゾンデの前方のボリュームについての画像情報を与えるのに使用するための、前記ゾンデの前記先端から前方に向けられた光学部品と、前記ゾンデの前方に前記ボリュームの照明を与えるのに使用するための、前記ゾンデの前記先端から前方に向けられた光源とを備える、光学ユニットと、
前記画像情報に基づいて前記ゾンデの前方に前記ボリュームの画像を表示するための、前記光学ユニットに関連付けられて動作可能なディスプレイデバイスと、
前記光学ユニットから前記ディスプレイデバイスまで前記画像情報を送信するのに使用するための、前記光学ユニットを前記ディスプレイに接続する通信リンクと
を備える装置。
【請求項25】
前記ゾンデに移動可能に取り付けられた切断端部と、前記ゾンデが前記患者の前記尿道を通して前記膀胱の中に挿入されるときに、前記患者の前記膀胱および腹壁を通した前記切断端部および前記ゾンデの前記先端の貫通を容易にするために、前記ゾンデと位置合わせしているようにおよび前記患者の外側に位置決めされるように前記ゾンデに相互接続された位置合わせガイドとをさらに備える、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記光学ユニットは、画像受信機と、前記ボリュームから前記画像受信機上へ光を向けるためのレンズとを備える、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記通信リンクは、前記画像受信機から前記ディスプレイまで延びる物理的接続組立体を備える、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記物理的接続組立体は、光ファイバ部分を備える、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
径尿道的医療処置のための装置を構築する際に使用するための方法であって、
遠位部分および近位部分を有するゾンデ、ならびに前記ゾンデの前記遠位部分を患者の尿道を通して膀胱の中にガイドするために使用者によって把持するために少なくとも1つのハンドルを含む径尿道的器具組立体を用意するステップであって、前記遠位部分は、その端部に先端を有する、用意するステップと、
前記ゾンデの前記先端上に光学ユニットを取り付けるステップであって、前記光学ユニットは、前記ゾンデの前記先端から前方に向けられた光学部品と、および前記ゾンデの前方に前記ボリュームの照明を与えるのに使用するための、前記ゾンデの前記先端から前方に向けられた光源とを備える、光学ユニットを取り付けるステップと、
前記画像情報に基づいて前記ゾンデの前方に前記ボリュームの画像を表示するためのディスプレイデバイスを用意するステップと、
通信リンクを介して前記光学ユニットおよび前記ディスプレイデバイスを接続するステップであって、前記ディスプレイデバイスは、前記通信リンクを介して送信された前記イメージング情報に基づいて前記ゾンデの前方に前記ボリュームの画像を表示するために動作可能である、接続するステップと
を含む方法。
【請求項30】
切断端部を前記ゾンデに移動可能に取り付けるステップと、前記ゾンデが前記患者の前記尿道を通して前記膀胱の中に挿入されるときに、前記患者の前記膀胱および腹壁を通した前記切断端部および前記ゾンデの前記先端の貫通を容易にするために、前記ゾンデと位置合わせしているように、および前記患者の外側に位置決めされるように、前記ゾンデに相互接続された位置合わせガイドを用意するステップとをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記光学ユニットは、画像受信機と、前記ボリュームから前記画像受信機上へ光を向けるためのレンズとを備える、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記通信リンクは、前記画像受信機から前記ディスプレイまで延びる物理的接続組立体を備える、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記物理的接続組立体は、光ファイバ部分を備える、請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月25日に出願された「OPTICALLY GUIDED TRANSURETHRAL SUPRAPUBIC CYSTOSTOMY」という名称の米国特許仮出願第63/192,936号の利益を主張する。本出願は、また、2022年3月2日に出願された「OPTICALLY GUIDED TROCAR INSERTION FOR SUPRAPUBIC CYSTOSTOMY」という名称の米国特許仮出願第63/268,781号の優先権も主張する。上述した出願(集合的に「親出願」)の内容は、完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれ、これらの出願の優先権は、米国の法律および規制の下で許される十分な範囲まで主張される。
【0002】
本発明は、一般に、経皮的または径尿道的恥骨上膀胱瘻造設術などの膀胱吸引処置に関し、詳細には、そのような処置のための照明付き光学的ガイドおよび生理学的試験を提供することに関する。そのような処置は、経路が膀胱の内側から患者の腹壁の外側に形成されるインサイドアウトアプローチ(「径尿道的恥骨上内部膀胱瘻造設術(Transurethral Suprapubic-endo Cystostomy)」と、例えば、経皮的トロカールパンチ(「恥骨上経皮的膀胱瘻造設術」)による、または切断刃を有するカニューレ/オブチュレータを利用した経皮的切開によるアウトサイドインアプローチとの両方によって、(例えば、カテーテルを挿入するための)患者の膀胱への経路を開くことを含む。光学的にガイドされるアウトサイドイン処置および光学的にガイドされるインサイドアウト処置が、本出願において説明される。
【背景技術】
【0003】
径尿道的処置は、一般に、いくつかの病状を診断および/または治療するために使用される。そのような処置の1つは、尿閉による膀胱機能障害、失禁の治療のために、および入院患者の流体管理のために、恥骨上カテーテルを配置する。恥骨上カテーテルを配置するために、まず、患者の膀胱と患者の腹壁との間に外科的経路が開かれる。この経路は、一般に、狭い切開を形成し、切開経路を広げ、広げられた経路を介してカテーテルを挿入することによって開かれる。最初の経皮的アクセスは、切断刃を用いた切開の形態をとってもよく、または経皮的トロカール(中空針)パンチによるアウトサイドインの形態であってもよい。しかしながら、例えば、カニューレを有する切断刃、針、またはトロカールパンチ方法のいずれかによって外側から内側へのブラインド経皮的アクセスに関して患者の腸を穿孔することに関連する合併症のかなり大きいリスクがある。
【0004】
経皮的トロカールパンチ処置などの他の外側から内側への器具を用いて実行される恥骨上膀胱瘻造設術に関連する損傷および死を含むリスクを劇的に低減するための世界で唯一の内側から外側への恥骨上配置デバイスであるSwan Valley Medical Incorporatedによって開発された径尿道的恥骨上内部膀胱瘻造設術(T-SPeC(登録商標))処置は、臨床的承認を得ている。T-SPeC(登録商標)処置は、径尿道的に開始され、T-SPeC(登録商標)デバイスの設計の助けを借りて実行され、腹部を通じて膀胱の内側から外側へ切断刃を展開する前に、恥骨結合に隣接した膀胱のドームにおいて膀胱内でT-SPeC(登録商標)ゾンデの適切な位置決めを可能にする身体解剖学的フィードバックを提供する。これは、膀胱から出るための唯一安全な位置であり、現在、T-SPeC(登録商標)器具からの解剖学的触覚フィードバックによって位置が特定される。膀胱の内側に位置する器具の内側から膀胱および腹壁の外側までT-SPeC(登録商標)切断刃の展開が延ばされると、切断刃は取り外され、尿道カテーテルが取り付けられ、膀胱の中に引き戻される。深刻な合併症は報告されていないが、器具が尿道を通過せず、正しい位置に正確に配置されない場合、尿道穿孔または腸損傷による患者への深刻な損傷の可能性があり、または死の可能性さえもある。そのような合併症は、一般に、以下に述べられるようなT-SPeC(登録商標)器具を用いて回避されているが、多くの処置において技量の劣る診療医を携わらせる活動の場合、安全な操作の確実性の改善および使用し易さの必要がある。
【0005】
市場で使用されている現在主流の方法である経皮的トロカールパンチデバイスが高い死亡率および罹患率(4.4%の死亡率、45%の合併症率)を有するとともに、オープン膀胱瘻造設術が(1.8%の死亡率、および30%合併症率)であるので、T-SPeC(登録商標)デバイスは、既存の経皮的な(外側から内側への)恥骨上カテーテル法配置技法に取って代わるように設計された。T-SPeC(登録商標)デバイスは、処置を実行する熟練した泌尿器科医の手の中で極めて安全であることが分かっている。2013年における米国、EU、カナダ、およびメキシコでの市場導入以来、報告可能な有害な結果は存在しておらず、数千の処置が実行されたが、器具の故障はない。
【0006】
現在、入院患者の環境において、救命救急診療(CCU)患者人口の70%超が尿道カテーテル法を歴史的に受けるCCU患者人口に主な初期焦点を合わせて、尿道カテーテル法を恥骨上カテーテル法に置き換えることに努力が注ぎ込まれている。一般的に認められる入院させられた入院患者人口の25%超は、尿道カテーテルを受ける。尿道穿孔、前立腺および膀胱括約筋の損傷、高い感染率などを含む尿道カテーテル法の配置による一般的な深刻な合併症の排除を含む恥骨上カテーテル法の証明された臨床的利益を理由として、尿道カテーテル法に関連するこれらの深刻な感染および合併症を回避するために、現在、唯一の内側から外側への処置であるT-SPeC(登録商標)器具の導入により、安全に配置される恥骨上カテーテル法が利用可能である。しかしながら、このデバイスは、小児科の患者と、狭窄症(留置尿道カテーテル法の長期使用に主による尿道瘢痕化、または前立腺肥大症(BPH)による尿道閉塞を伴う患者とに対しては禁忌が示される。
【0007】
T-SPeC(登録商標)処置は、尿道カテーテル法を恥骨上カテーテル法に置き換えることを可能にする技術になっており、臨床診療におけるこの変更を用いて、尿道カテーテル法に関する深刻な合併症、およびその結果として起きる滞在日数の延長を避けることによって、毎年数百万ドルの病院費用を節約する。T-SPeC(登録商標)処置は、道への「ブラインド」進入で始まり、尿道を通ってナビゲートし、前立腺(男性)を通り越し、膀胱括約筋を通って、膀胱に入る。膀胱瘻造設術を開始する前に、内視鏡/膀胱鏡を使用して尿路の健康状態を検査し、処置は膀胱鏡検査と呼ばれる。泌尿器科医は、これらの処置にとても精通している。また、泌尿器科医は、膀胱瘻造設術処置についての禁忌である膀胱がんの存在について膀胱を試験するために膀胱鏡検査を実行することができる。
【0008】
泌尿器科医の切実な不足により、および関連した診療が主に内科医診療室の診療であるので、泌尿器科医は、入院患者に恥骨上カテーテルを配置するためのイニシアティブをサポートすることができない。全ての救命救急診療患者の70%超は、救急科(E.D.:emergency department)から移送され、残りの術後の患者は、内科/外科治療から来る。CCUに移送されている患者に恥骨上カテーテルを配置するために、T-SPeC(登録商標)処置の訓練を救急医ならびにPAおよび正看護師の診療医などの中級臨床家に提供する必要がある。
【0009】
T-SPeC(登録商標)処置は、典型的な泌尿器科医の診療およびそれらの典型的な泌尿器科患者からこれらの処置を実行する泌尿器科医以外の医療専門性および臨床家にアクセスする必要がある入院させられた内科/外科患者、緊急/外傷患者、および救命救急診療患者の方へ進化している。訓練されていない臨床家または尿路を日常的に作業していない臨床家による尿道内のデバイスの操作は、T-SPeC(登録商標)デバイスなどの泌尿器科デバイスを用いて尿路を操作するときに特化された訓練および監督を必要とする。さらに、狭窄症(以前の尿道外傷または疾患に起因する瘢痕組織の形成に起因して尿道が狭くなること)を有する患者は、高度に訓練された泌尿器外科医によってさえも、尿道を通してゾンデを通過させるときにさらなるケアを必要とし、狭窄疾患の重症度に応じて、T-SPeC(登録商標)処理が禁忌されてもよく、トロカールパンチ処置などの経皮的処置を必要とし得る。したがって、内側から外側へおよび外側から内側への膀胱瘻造設術について容易さおよび安全性の改善を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、経皮的(腹部の皮膚を通しての)膀胱瘻造設術処置、および経尿道的膀胱瘻造設術(T-SPeC(登録商標))処置を実行するために、結合照明を用いた光学的ガイドを提供するためのシステムおよび関連する機能に向けられている。具体的には、そのような処置中に、診療医が、器具の進捗および動作を監視することを可能にするための照明およびビジョンが提供され、それによって、関与する診療医の処置およびタイプにかかわらず、患者の安全性を向上させる。光学的にガイドされた経皮的刃付きトロカールパンチ処置、および光学的にガイドされたT-SPeC(登録商標)処置、ならびに関連する器具は、以下に説明される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、T-SPeC(登録商標)処置などの経尿道的処置を実行するために、結合照明を用いて光学的ガイドを提供するためのシステムおよび関連する機能を含む。具体的には、そのような処置中に、診療医が、器具の進捗および動作を監視することを可能にするための照明およびビジョンが提供され、それによって、関与する診療医のタイプにかかわらず、患者の安全性を向上させる。上述したように、T-SPeC(登録商標)診療は、泌尿器科医だけから、特に病院環境におけるより広範囲の診療医に向かって進化している。これらの医療専門家が膀胱瘻造設術処置のための事前経験も訓練も有し得ない場合、T-SPeC(登録商標)器具に照明およびビジョンを追加することにより、泌尿器科医の特定の訓練を受けていない他の臨床家の手の中における処置をより安全にさせる。したがって、唯一の解剖学的フィードバックを用いる「ブラインド」T-SPeC(登録商標)処置を照明およびビジョンを有するものに変えることによって、T-SPeC(登録商標)処置に安全性の追加を可能にする。加えて、損傷を防ぎ、通過の容易性を増加させ、処置時間を減少させるために、フィジシャンアシスタント(PA)、看護師(NP)、救急医、集中治療医、または入院医は、患者に恥骨上カテーテルを配置するために、T-SPeC(登録商標)処理のための特別な訓練を受けることが必要とされ得る。T-SPeC(登録商標)を用いた恥骨上カテーテル配置中のビジョンの使用は、必要とされる訓練を劇的に減少させ、膀胱瘻造設術処置の認証を満たすのを助け、処置の安全性を高める。また、尿道狭窄症を有する患者に対してのT-SPeC(登録商標)の使用は、前立腺および膀胱括約筋の通過を含む器具のゾンデの配置中に、ビジョンを有することを加えることで単純化され、より安全であり得る。効果的には、ビジョンを有するT-SPeC(登録商標)は、膀胱瘻造設術処置と膀胱鏡検査処置との両方を1つに組み合わせる。T-SPeC(登録商標)とビジョンとの組合せは、手術路の開始前に膀胱鏡検査が実行されることを可能にし、膀胱がんについての膀胱の解剖学的試験、T-SPeC(登録商標)を用いた膀胱瘻造設術についての禁忌を可能にする。
【0012】
恥骨上経皮的刃付きトロカールパンチ器具への追加の光学部品およびライティングの照明の適用は、尿閉による膀胱機能障害、失禁、または流体管理の治療のために、恥骨上カテーテルの技法および配置を実行するためにビジョンを提供する。このシステムは、本明細書ではSPCビジョン(商標)システム(ビジョンを有する恥骨上経皮的膀胱瘻造設術)と呼ばれる。
【0013】
SPCビジョンの前は、外側から内側へのトロカールパンチ恥骨上カテーテル配置処置は、「ブラインド」処置と考えられており、この処置では、トロカールはカテーテルトラックの配置のために、恥骨結合から頭方に2本の指の幅内で位置決めされ、皮膚から膀胱ドームまで腹部を通過して外側から内側へ膀胱の中に手術路を配置し、膀胱ドレナージのためのカテーテルの最適な位置として、腹膜腔および介在する腸に穿孔するのを避けることを可能にする。この処置は、小児患者の尿道内径が限られているので小集団については禁忌され、本明細書にさらに記載される経尿道的な内側から外側への処置であるT-SPeC(登録商標)処置の使用を禁忌する。
【0014】
小児患者を含む深刻な狭窄症または他の合併症による無感覚な尿道に関して、外側から内側への経皮的膀胱瘻造設術(腹部から膀胱内への切開または穿孔による膀胱の中への開口部の外科的生成)は、膀胱から尿を排出させる目的のために恥骨上カテーテルを配置するために使用される処置である。経皮的トロカールパンチ膀胱瘻造設術が禁忌される場合、通常、病的肥満患者および神経因性膀胱などの腹部サイズに起因して、安全な通路を位置特定することが困難であるために、開放膀胱瘻造設術(メスを用いた外科的処置)が使用される。
【0015】
SPCビジョンは、高い死亡率および罹患率を有する、市場に存在する既存のブラインド経皮的トロカール「パンチ」恥骨上カテーテル配置技法に取って代わるように設計された。ブラインド経皮的トロカールパンチデバイスは、米国で年間平均4.4%の死亡率および45%の合併症率を有し、開放膀胱瘻造設術は、1.8%の死亡率および30%の合併症率を有すると報告されている。
【0016】
経皮的刃付きトロカールパンチ処置におけるビジョンの組み込みは、腹膜および介在する腸の穿刺を避けることによって、深刻な傷害を防ぐことができる。患者への深刻な傷害および死はビジョンガイドを用いて回避され得る。さらに、膀胱にアクセスするときに視覚的確認を有することは、トロカール針を膀胱の後側をうっかり通過させて結腸、子宮または他の器官に当たり、医学的介入を必要とする合併症および潜在的な死をもたらすことによる他の器官の任意の「完全な」穿孔を回避する。
【0017】
SPCビジョンは、皮膚を通過し、皮下組織をナビゲートし、腹膜腔および腸を視覚的に避け、筋膜層を通過し、膀胱壁に入ることを可能にするビジョンを有する恥骨上経皮的膀胱瘻造設術器具(トロカール(中空針)アクセスデバイス)である。ビジョンの下で、臨床家は、トロカールを前進させる前に、光学系の正面の組織のタイプを可視化することが可能であり得、したがって、臨床家は、腸を穿刺することを避けるようにトロカールを後退させ、位置を変えることを可能にする。腸の不注意な穿孔の場合には、内科医は、腸の穿孔を直ちに外科的に修復し、抗生物質を投与して、深刻な敗血症感染を防ぎ、死亡を潜在的に避けるポジションにある。現在の経皮的トロカールパンチデバイス/処置に関しては、内科医は、最初は腸穿刺に気付かず、したがって、深刻な敗血性感染の原因は、非常に遅くまで検出されず、その結果、死亡する(この処置についての米国平均年間死亡率は4.4%)。ブラインド経皮トロカール法は、容易な穿刺を可能にするために膀胱が膨張させられる(水で満たされる)ことを必要とする。膀胱の膨張は、患者の疼痛管理のために全身麻酔が必要とされるほど極めて痛みを伴い、過剰な膨張は、急性腎損傷(AKI)をもたらし得る。膀胱内に入ると、刃付きトロカールは、カニューレを所定位置に残して除去され、所定のポジションのカメラは、膀胱内にガイドワイヤまたは小径カテーテルの配置を可能にする。次いで、カニューレは除去され、ガイドワイヤまたはカテーテルをその場に残す。
【0018】
SPCビジョンは、泌尿器科の診療で使用され、および病院の救命救急診療患者の膀胱および流体管理のために使用される既存のブラインドトロカール「パンチ」恥骨上配置技法に取って代わるように設計された。刃付きトロカールパンチデバイスへのビジョンを追加により、恥骨上膀胱管理のための唯一の他の安全な配置オプションである、経尿道的恥骨上内部膀胱瘻造設術(T-SPeC(登録商標))器具の内側から外側への膀胱瘻造設術を介した恥骨上の配置に対して尿道の通過が禁忌されるとき、処置を実行する訓練された臨床家の手の中でより安全な技法を可能にする。加えて、この新しいデバイスは、小児患者の尿道サイズのためにT-SPeC(登録商標)処置に関して禁忌される小児科にも利用可能である。
【0019】
現在、臨床的な焦点は、入院患者において尿道カテーテル法を恥骨上カテーテル法に置き換えることに向いており、主な焦点は、70%の割合で尿道カテーテル法を歴史的に受ける救命救急診療ユニット(CCU)患者人口に当てられている。一般的に認められる入院させられた入院患者人口の25%超が、尿道カテーテルを受ける。尿道カテーテルは、世界中で院内感染の唯一最大の源である。恥骨上カテーテル法に関する証明済みの臨床的利益のために、これは、尿道穿孔、前立腺、および膀胱括約筋の損傷、および結果として生じる高い感染率を含む尿道カテーテル配置による一般的な深刻な合併症をなくすことを含む。尿道カテーテル法に関連するこれらの深刻な感染および合併症を避けるために、現在、恥骨上カテーテル法は、安全に配置されるように利用可能である。さらに、多くのブラインド恥骨上トロカールパンチカテーテルは、緊急の吸引が要求されるときに通過不能な尿道による深刻な貯留を伴う患者に救急科において配置される。深刻な長期の貯留は、腎不全をもたらし、死をもたらし得る。
【0020】
本発明の一態様によれば、患者の膀胱の貫通を含む膀胱瘻造設術のリアルタイム視覚化を可能にするための医療器具および関連する機能(「システム」)が提供される。この医療器具は、器具本体と、光学素子を含むイメージングユニットと、光源とを備える。器具本体は、近位部分および遠位部分を有し、光学素子は、器具本体の遠位部分の前方のボリュームに関する画像情報を提供するために、器具本体の遠位部分から前方に向けられる。光源は、ボリュームのイメージングを支援するために照明を提供する。医療器具は、画像情報に基づいて画像を表示するためのディスプレイデバイスに接続される。診療医は、ディスプレイデバイスを使用して、膀胱瘻造設術をリアルタイムで監視し、手術路のための適切な経路を見分けることができる。
【0021】
例えば、膀胱瘻造設術は、遠位部分が患者の膀胱の外側(腹部から膀胱へ横断するときに組織の内側)にある第1の位置と、遠位部分が膀胱の内側にある第2の位置との間の処置経路上で医療器具を移動させることを含み得る。外側から内側への処置に関連して、医療器具は、患者の腹壁から患者の膀胱の中への外科的経路を形成するように用いられる刃付きトロカール(カニューレと共に使用される中空針または鋭く尖った外科的器具)を含むことができる。内側から外側への処置のために、引っ込め可能な切断ツールを含む医療デバイスが、膀胱の中に径尿道的に導入され得る。次いで、切断ツールは、患者の膀胱の内側から患者の腹壁へ外科的経路を形成するために用いられ得る。いずれの場合にも、外科的経路上の器具の前進は、例えば、医療器具の位置決めを確認し、危険をもたらし得る患者の腸または他の組織を避けるためにリアルタイムで監視されてもよい。さらなる代替として、医療器具は、分離デバイスを監視するために用いられてもよい。例えば、医療器具は、患者の膀胱内に(例えば、径尿道的にまたは恥骨上に)位置決めされてもよい。次いで、医療器具が、腹部から膀胱の中に外科的経路を形成するために使用される経皮的刃付きトロカール、拡張ツール、またはカニューレなどの分離デバイスを監視するために用いられ得る。このようにして、医療器具は、刃付きトロカール、拡張器、カテーテル、またはカニューレが患者の膀胱内に適切に位置決めされていることを確認することができる。
【0022】
本発明のシステムは、前記器具本体の前記遠位部分に物質を供給するために器具本体上で支持された供給配管をさらに含むことができる。例えば、物質は、処置経路を洗い流すための水などの流体を含むことができる。この点について、供給配管は、器具本体の遠位端の前方に水の流れを方向付けるために、器具本体を通って遠位部分まで延びる内腔を含み得る。内腔は、シリンジ、水バッグ、IVポールから供給される重力、タンク、またはバルブを介した給水栓などの水の供給源に接続されてもよい。このようにして、水の供給は、光学素子から組織を一掃し、そうでなければイメージングを向上させるために提供され得る。代替として、物質は、イメージングを向上させるために光学素子の近傍に送達されるゲルを含んでもよい。例えば、ゲルは、外科的経路内の生理学的流体に実質的に一致する屈折率を有してもよい。
【0023】
医療器具は、様々な膀胱瘻造設術処置に関連して用いられ得る。そのような処置は、イメージング処置、外科的処置、治療処置、および膀胱の中へのカテーテルの配置を含み得る。最後に、光学的にガイドされた経皮的膀胱瘻造設術に関連して、医療器具は、全てリアルタイムの光学的ガイド下で、患者の腹壁から介在する組織を通って患者の膀胱の中に挿入され得る。次いで、再びリアルタイムイメージングの支援を受けて、カニューレを通して膀胱の中へガイドワイヤを挿入することを可能にするように、カニューレが外科的経路に沿って所定の位置に留まりつつ、刃付きトロカールが取り出されてもよい。次いで、ガイドワイヤが、カテーテルを患者の膀胱の中に挿入するために使用されてもよく、ガイドワイヤは、その後、除去されてもよい。代替として、カテーテルは、患者の膀胱からカニューレを取り出す前に、カニューレを通してねじ込まれてもよい。いずれの場合も、カテーテルが患者の膀胱内に配置されると、カテーテルからバルーンが膨張させられてもよく、それによって、患者の膀胱からのカテーテルの意図されない取り出しを防ぐ。この構成は、尿道閉塞を伴う成人患者、ならびにT-SPeC(登録商標)デバイスが禁忌される小児患者の治療を可能にする。
【0024】
本発明の別の態様によれば、経尿道的医療処置に使用するための装置が提供される。この装置は、ゾンデと光学ユニットとを含み、照明は、T-SPeC(登録商標)ゾンデの先端に組み込まれる。具体的には、ゾンデは、遠位部分と、近位部分と、このゾンデの遠位部分を患者の尿道を通して膀胱の中にガイドするために使用者によって把持するための少なくとも1つのハンドルとを備える。先端は、遠位部分の端部にある。光学ユニットは、ゾンデの前方のボリュームについての画像情報を提供するのに使用するための、ゾンデの先端から前方に向けられた照明を有する光学部品と、ゾンデの前方のボリュームをライティングするのに使用するための、ゾンデの先端から前方に向けられた1つまたは複数の光源とを含む。照明を組み込んだビジョン装置は、画像情報に基づいてゾンデの前方のボリュームの画像を表示するための、光学ユニットに動作可能に関連付けられたディスプレイデバイスと、光学ユニットからディスプレイデバイスに画像情報を送信するのに使用するために光学ユニットをディスプレイに接続する通信リンクとを含み、それらに接続される。加えて、画像およびまたは映像は、さらなる評価およびまたは患者の記録における文書化のために保持され得る。ビジョンのための光学部品/照明を一体化したT-SPeC(登録商標)器具は、処置室の外側の他の人が訓練目的のために、または診断におけるさらなる鑑定のために、処置を監視することができるように、直接の有線または無線接続のいずれかによって、処置中に連続的に見るためのディスプレイに有線または無線で接続される。
【0025】
装置は、ゾンデに移動可能に取り付けられた切断端部と、位置合わせガイド(鋭利物容器を備えた位置合わせアーム)とをさらに含むことができる。整合ガイドは、ゾンデが患者の尿道を通して膀胱の中に挿入されるときに、ゾンデと位置合わせになり、患者の外部に位置決めされるようにゾンデに相互接続される。位置合わせガイドは、患者の膀胱および腹壁を通る切断端部およびゾンデの先端の貫通を容易にする。このようにして、ゾンデの遠位部分は、尿カテーテルがゾンデの先端に取り付けられて腹壁を通って膀胱の中に引き戻され得るように、膀胱および腹壁を通って延びることができる。
【0026】
光学ユニットは、画像受信機と、ゾンデの前方のボリュームからの光を画像受信機上へ向けるためのレンズとを含むことができる。例えば、画像受信機は、光ファイバユニットなどの光ガイドの端部であってもよく、または光を受信し、光を示す電気出力信号を与えるための検出器を含んでもよい。通信リンクは、画像受信機からディスプレイまで延びる物理的接続組立体を含んでもよく、および/または無線部分を含んでもよい。
【0027】
本発明のさらなる態様によれば、経尿道的医療処置のための装置を構築する際に使用するための方法が提供される。この方法は、遠位部分および近位部分を有するゾンデと、ゾンデの遠位部分を患者の尿道を通して膀胱の中にガイドするために使用者によって把持するための少なくとも1つのハンドルとを含む経尿道的器具組立体を用意することを含み、遠位部分はその端部に先端を有する。光学ユニットは、ゾンデの先端に取り付けられる。光学ユニットは、ゾンデの先端から前方に向けられたレンズと、ゾンデの前方のボリュームの照明を行うための光源とを含む。この方法は、ディスプレイデバイスを用意することと、通信リンクを介して光学ユニットをディスプレイデバイスに接続することとをさらに含み、ディスプレイデバイスは、通信リンクを介して光学ユニットからディスプレイデバイスに送信されるイメージング情報に基づいてゾンデの前方のボリュームの画像を表示するために動作可能である。
【0028】
一実施では、光学部品およびライティングの適用は、T-SPeC(登録商標)デバイスの遠位ゾンデ先端に光学レンズおよび光源を配置することを含み、光学部品および光ケーブルは、器具ゾンデ、本体、およびリアハンドルを通って延び、器具の後端から出て、コネクタプラグで終端する。後部接続は、画像をライブ画像でディスプレイパネル、モニタ、またはスクリーンへ送信するために、取り外し可能な電源とインターフェース接続する。このようにして、診療医は患者の尿道を通って膀胱に入るゾンデの通過、切断を開始するためのゾンデの配置、膀胱を通って腹壁までの切断の進行、および任意選択で、腹壁から膀胱の中への通路を通る尿道カテーテルの引き込みならびに通路を通って患者から尿カテーテルの取り出しを含む、処置をリアルタイムで監視することができる。別の実施形態は、リアルタイムで見るためにディスプレイに接続された受信機に画像データを無線で送信するように、T-SPeC(登録商標)デバイスの後部ハンドルに組み込まれたバッテリパックおよびプロセッサを含むことができる。取り込まれた画像および映像は、患者の処置を実践する前に他の臨床家を訓練するために保持され、内科医および臨床家の訓練をさらに強化することができる。
【0029】
本発明およびそのさらなる利点をより完全に理解するために、次に、図面と併せて以下の詳細な説明の参照がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明による光学ユニットを有するT-SPeC(登録商標)デバイスの側断面図である。
図2】本発明による光学ユニットをディスプレイに接続するためのケーブルを示す図である。
図3】本発明によるT-SPeC(登録商標)処置をガイドするためのリアルタイム画像を表示するためのディスプレイを示す図である。
図4図1のT-SPeC(登録商標)デバイスのゾンデ上に取り付けるための光学ユニットを示す図である。
図5】本発明による代替ディスプレイデバイスおよび接続を示す図である。
図6】本発明によるカニューレ組立体、散大筋セット、および刃付きトロカール組立体を含む、光学的にガイドされた医療器具を示す図である。
図7】本発明によるカニューレ組立体、散大筋セット、および刃付きトロカール組立体を含む、光学的にガイドされた医療器具を示す図である。
図8】本発明による光学的にガイドされた膀胱瘻造設術を実行するための一連のステップを示す図である。
図9】本発明による光学的にガイドされた膀胱瘻造設術を実行するための一連のステップを示す図である。
図10】本発明による光学的にガイドされた膀胱瘻造設術を実行するための一連のステップを示す図である。
図11】本発明による光学的にガイドされた膀胱瘻造設術を実行するための一連のステップを示す図である。
図12】本発明による光学的にガイドされた膀胱瘻造設術を実行するための一連のステップを示す図である。
図13】本発明による光学的にガイドされた膀胱瘻造設術を実行するための一連のステップを示す図である。
図14】本発明による光学的にガイドされた膀胱瘻造設術を実行するための一連のステップを示す図である。
図15】本発明による光学的にガイドされた膀胱瘻造設術を実行するための一連のステップを示す図である。
図16】本発明による光学的にガイドされた膀胱瘻造設術を実行するための一連のステップを示す図である。
図17】本発明による光学的にガイドされた膀胱瘻造設術を実行するための一連のステップを示す図である。
図18】本発明による光学的にガイドされた膀胱瘻造設術を実行するための一連のステップを示す図である。
図19】本発明による光学的にガイドされた膀胱瘻造設術を実行するための一連のステップを示す図である。
図20】本発明による光学的にガイドされた膀胱瘻造設術を実行するための一連のステップを示す図である。
図21】本発明による光学的にガイドされた膀胱瘻造設術を実行するための一連のステップを示す図である。
図22】本発明による光学的にガイドされた膀胱瘻造設術を実行するための一連のステップを示す図である。
図23】本発明による光学的にガイドされた膀胱瘻造設術を実行するための一連のステップを示す図である。
図24】本発明による光学的にガイドされた膀胱瘻造設術を実行するための一連のステップを示す図である。
図25】本発明による光学的にガイドされた膀胱瘻造設術を実行するための一連のステップを示す図である。
図26】光学チューブをガイドワイヤとして利用して外科的経路を広げるかまたは拡張する一連のステップを示す図である。
図27】光学チューブをガイドワイヤとして利用して外科的経路を広げるかまたは拡張する一連のステップを示す図である。
図28】光学チューブをガイドワイヤとして利用して外科的経路を広げるかまたは拡張する一連のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、光学的ガイドを用いて膀胱瘻造設術を実行するための医療器具、および関連する機能に関する。そのような光学的ガイドは、患者の膀胱を貫通するための内側から外側へまたは外側から内側への処置に関連して提供され得る。内側から外側への処置を実行するシステムが、まず以下に記載され、それに続いて、外側から内側への処置を実行するための例示的なシステムが記載されている。これらのシステムは膀胱瘻造設術の2つの重要なカテゴリを示すが、本発明によれば、光学的ガイドを用いる他の膀胱瘻造設術に関連した処置が可能であることが理解されよう。そのような処置は、とりわけ、イメージング、診断、治療、訓練、カテーテル配置、および結石摘出のための処置を含む。したがって、本明細書に記載された器具および機能は、例示的として理解されるべきであり、限定によるものではないと理解されよう。
【0032】
図1を参照すると、光学ユニットを有するT-SPeC(登録商標)デバイス10が示されている。デバイス10の詳細、およびその動作は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,574,256号に概して記載されている。概して、デバイス10は、遠位部分18および近位部分20を含むゾンデ12と、フロントハンドル14と、リアハンドル16とを含む。内科医または他の使用者は、ハンドル14および16を把持して、ゾンデ12の遠位部分18を、患者の尿道を通して膀胱の中にガイドすることができる。より具体的には、使用者は、患者の膀胱および腹壁を通る経路を切断するための用意において、ゾンデ12の先端22を、恥骨結合に隣接する膀胱のドームに案内する。従来、ゾンデ12の先端22の適切な位置決めは、触覚フィードバックを用いるユーザの技能と共に、デバイス10の幾何学的形状および特徴によって達成されてきた。しかしながら、以下の説明から理解されるように、図示されたデバイス10は、光学的ガイドが適切な位置決めを視覚的に監視することを可能にする。
【0033】
図示されたデバイス10は、位置合わせガイド24をさらに含む。位置合わせガイド24は、位置合わせガイドアーム26に取り付けられた位置合わせハウジング30を含む。位置合わせガイドアーム26は、フロントハンドル14から延びるマスト28にスライド可能に取り付けられている。上記の米国特許第8,574,256号に詳細に説明されるように、デバイス10は、遠位部分が患者の尿道を通して膀胱の中に挿入され、患者の腹壁に対して患者の外部に位置決めされるときに、ハウジング30がゾンデ12の遠位部分18と軸方向に位置合わせされるように構成される。ゾンデ12の遠位部分18が患者の膀胱のドームに対して位置決めされるとき、患者の膀胱および腹壁を通る経路を切断するために、切断端部はゾンデ12から展開され得る。この点について、ハウジング30は、患者の腹壁に対して背圧を与え、切断プロセスを容易にする。
【0034】
ゾンデ12の先端22が患者の腹壁を通過すると、位置合わせガイド24は、デバイス10から除去されることが可能である。次いで、尿カテーテルは、ゾンデ12の先端22に取り付けられ得、使用者は、ゾンデ12を操作して、先端22を尿カテーテルの端部と共に患者の膀胱内に引き込むことができる。上述したように、このプロセスの様々な段階で、ゾンデ12の適切な位置決めが必要とされる。例えば、ゾンデ12が患者の尿道を通過するとき、先端22が患者の膀胱のドームに対して位置決めされるとき、切断端部が患者の膀胱および腹壁を貫通するために使用されるとき、尿道カテーテルが腹壁を通して膀胱の中に引き込まれるとき、およびゾンデ12が患者から取り出されるときに、適切な位置決めが必要とされる。本発明によれば、このプロセス全体を通しての適切な位置決めは、光学的ガイドによって容易にされる。
【0035】
図示されたデバイス10は、ゾンデ12の先端22に取り付けられた光学ユニット32を含む。光学ユニット32は、概して、レンズ開口部を有する遠位ゾンデ先端キャップ34と、開口部に取り付けられた光学レンズ36とを含む。図1には示されていないが、光学ユニット32は、ゾンデ12の先端22の前方のボリューム、すなわち、図1に示されるように、先端22から離れてハウジング30に向かって軸38に沿って延びるボリュームを照明するためのLEDなどの1つまたは複数の照明源をさらに含み得る。レンズ36は、照明されたボリュームからの光を光ケーブル16の端部へ向けるように動作可能である。この点について、ケーブル16の遠位端は、レンズ36からの光がケーブル16の受光角内で受け取られるように、レンズ36に対して位置合わせされてもよい。したがって、図示された実施形態では、ケーブル16は、光ファイバケーブルなどの光ガイドであってもよい。代替として、検出器が、光を検出し、検出された光を表す電気信号を与えるようにレンズ36とケーブル16との間に配設されてもよい。
【0036】
図示された実施形態において、光コネクタ40が、デバイス10の近位端に設けられる。コネクタ40は、ケーブル16を通して送られる光を検出し、それを表す電気信号を与えるための光検出器を含むことができる。加えて、コネクタ40は、ケーブル16を介して光学ユニット32の照明源に電力を供給することができる。以下に説明されるように、デバイス10のコネクタ40をディスプレイおよび/または別の電源に接続するために、電気ケーブルおよび/または無線接続が使用され得る。
【0037】
図3は、経尿道医療処置をガイドするために光学ユニットによって取り込まれる画像を表示するために使用され得るディスプレイデバイス60を示す。図示されたディスプレイデバイス60は、基部62と、基部62に枢動可能に取り付けられたディスプレイ64とを含む。ディスプレイ64は、光学ユニットから送信された情報に基づいて、ゾンデの前方のボリュームのリアルタイム映像画像を提供する。ディスプレイ64は、経尿道処置中にユーザがゾンデをガイドしているときにユーザが見るのに最適な視野角に枢動されることが可能である。図示された装置60は、ディスプレイデバイス60をT-SPeC(登録商標)デバイスに接続するためのケーブルポート66をさらに含む。図2に示されるように、ケーブル50は、ディスプレイデバイスにおけるポート66に差し込まれることが可能であり、光ケーブルに関連するT-SPeC(登録商標)デバイスのコネクタに差し込まれることも可能である。この点について、ケーブル50は、光デバイスからディスプレイデバイス300にイメージング情報を伝達することができ、ディスプレイデバイス60から光学ユニットに電力および制御信号を供給して、例えば、光学ユニットをオンおよびオフにすることもできる。図5は、代替のディスプレイデバイスおよび接続を示す。
【0038】
図4は、ゾンデの先端に取り付けられ得る光学ユニット70を示す。光学ユニットは、概して、ハウジング74の近位端に取り付けられたその遠位端を有するケーブル72を含む。レンズ76は、レンズ76からの光がケーブル72内に受け入れられるように、ケーブル72の遠位端と位置合わせされてハウジング74の遠位端に取り付けられる。したがって、ハウジング74は、レンズ76とケーブル72の遠位端との間の位置合わせおよび間隔を維持することが理解されよう。レンズ76の前のボリュームについてのイメージング情報を取り込む。例えば、クリアな画像は、レンズの前の約5~100mmの間のボリュームのディスプレイであって、ゾンデの直径に少なくともに等しい直径を有するディスプレイ上に与えられ得る。光学ユニット70は、イメージングされるボリュームを照明するためにレンズ78の周りに配設された光源78および80をさらに含むことができる。例えば、源78および80は、LEDを備えてもよく、同一または異なる照明パラメータ、例えば、電力、波長などを有してもよい。任意選択で、源78および80は、所望のライティングを与えるように個々に動作可能であり得る。光学ユニット70は、例えば、接着剤または音波溶接などの任意の適切なやり方でゾンデ上に取り付けられてもよい。この点について、適切な取付けの位置決めおよび位置合わせを確実にするために、相補的な取付け構造がゾンデ上に設けられてもよい。光学ユニット70の寸法は、T-SPeC(登録商標)デバイスの切断端部および他の構成要素の動作を妨げることなく、ゾンデ上に取り付けることを可能にすることが理解されよう。
【0039】
図6図7は、本発明による光学的にガイドされた膀胱瘻造設術医療器具100を示す。図示された器具は、刃付きトロカール組立体102と、カニューレ組立体104とを含む。図7は、分離された組立体102および104を示し、図6は、組み立てられた組立体102および104を示す。器具100は、以下に説明するように、器具102をディスプレイ装置に接続するための通信ケーブル106と、器具100をシリンジ、タンク、水バッグ、IVポールから供給される重力、または給水栓などの水の供給源に接続するための水弁116とをさらに含む。
【0040】
カニューレ組立体104は、カニューレ本体112と、光学ユニット120と、通信ケーブル106とを含む。カニューレハウジング112は、ケーブル106に隣接した近位部分と、光学ユニット120に隣接した遠位部分とを有する。本体112は、刃付きトロカール組立体102を受け入れるための中空内部通路を定める。例えばカニューレ本体の中空中心内または本体112の壁内で、光学ユニット120からケーブル106へ光学情報を伝送するために、適切なコネクタが、光学ユニット120とケーブル106との間に延在する。光学ユニット120は、器具100の遠位端の前方のボリュームのリアルタイム画像を取り込む。これらの画像は、器具が患者の腹壁から膀胱までの外科的経路を形成するために使用されるときに、器具の進行を監視するために使用され得る。患者記録の保管を準備する間に、同時に、映像および写真が取り込まれ、さらなるレビューのために保存されてもよい。この点について、光学ユニット120は、照明およびイメージング機器を提供するために1つまたは複数のLEDを含んでもよい。例えば、イメージング機器は、小型化カメラユニット、例えば、カメラ先端または他の光学素子、例えば、遠隔に位置するセンサまたはカメラへ光学情報を送信するのに使用される1つまたは複数のレンズおよび光ファイバを含み得る。図示された実施形態では、光学ユニット120は、LEDと、1.6mmカメラ先端とを含む。より小さい寸法を含むカメラ先端の他のサイズが可能であり、潜在的に望ましいことが理解されよう。
【0041】
刃付きトロカール組立体102は、トロカール刃先端122と、トロカールオブチュレータ本体114と、オブチュレータハンドル108とを含む。トロカール刃先端122は、組織を貫通するための鋭く尖った端部を有し、水ポート124と同様に光学ユニット120を取り囲むように構成される。トロカールオブチュレータ本体114は、トロカール刃先端122とオブチュレータハンドル108との間に延在し、溝118が、カニューレ本体112の内部に光学ユニット122のハウジングを収容する。代替として、光学ユニット122(その光ファイバケーブルを含む)は、図6に示されるのと同じ位置に遠位端を有するオブチュレータ本体/トロカール組立体(近位端)の中に直接位置決めされ得る。そのような場合には、内科医がオブチュレータ/トロカールを取り外して、以下に説明されるようにカテーテルを位置決めし、次いで、操作者は、光ファイバケーブルを滑らせることができ、オブチュレータから取り外されてもよく、そしてきれいにされたカニューレ本体が滑り落とされ得る。本体114は、略円筒形の構成を有し、弁116から水ポート124に水を送達するための内部水内腔を含む。弁116は、水ポート124から流れる水が外科的経路を洗い流し、イメージングを改善することを可能にするように開放されてもよく、または水流を終了させるように閉じられてもよいことを理解されよう。オブチュレータハンドル108は、本体114上で自由に回転し、カニューレ組立体104に対して本体114およびトロカール刃先端122を前進または後退させるように診療医によって把持されてもよい。図示されたトロカール組立体102は、ハンドル108が完全に押し下げられたときにカニューレ組立体104の近位端で水または他の流体の流れを防ぐためにカニューレ組立体104のフィンガープル107に対してシールを形成する流体シール110をさらに含む。
【0042】
器具100の様々な構成要素の寸法は、本発明に従って変更し得ることが理解されよう。図示された実施形態では、ハンドル108は、約4cmの幅または直径を有する。器具100は、トロカール組立体102が完全に挿入されたときに、トロカール組立体102の遠位端からカニューレ組立体104のカラー領域まで約17cmの長さを有し得る。カニューレは、患者のサイズおよび必要性に応じて、4.67mm~9.33mm(14~28フレンチ)の範囲の外径を有するサイズの範囲を有し得る。また、図1に示され、以下により詳細に説明されるように、カニューレは、カニューレの長手方向軸に沿って分離するように2つの部品に形成されてもよい。これは、例えば、カニューレを介してカテーテルが設置された後にカニューレの除去を可能にするために望ましいものであり得る。この点について、カニューレ組立体104は、カニューレ組立体の対向する両半分を引っ張ることによって、または2つの半分を解放するようにスライダもしくはクリップを操作することによって、分離するように構成されてもよい。
【0043】
図8図25は、本発明による、患者の膀胱への外科的経路を形成し、全て光学的ガイドの下でカテーテルまたは拡張カニューレを挿入するための例示的なプロセスを示す。概要として、SPCビジョン(商標)を用いた経皮的恥骨上膀胱瘻造設術の処置ステップは、以下を含む。
1)SPCビジョン,デバイスをビジョンディスプレイモニタに接続する。
2)視覚化を改善するために、SPCビジョン,デバイスに給水源を接続する。
3)局部消毒剤で恥骨結合上の皮膚表面を準備する。
4)恥骨結合の位置を特定するために患者の腹部を触診する。
5)恥骨結合の上の指2本の幅のところでトロカールと共にカニューレを皮膚を通して膀胱の中に前進させ、通路を可視化する。
6)膀胱内にカニューレおよびトロカールの位置を特定した後、カニューレからトロカールを除去し、カニューレをその場に残す。
7)オプション1。ガイドワイヤはカニューレを通して配置される。次いで、カニューレを除去し、ガイドワイヤ上にカテーテルを配置する、またはバルーン拡張を利用して、さらなる管拡張を必要とするより大きいカテーテルのために、手術路を「サイズアップ」する。次いで、ガイドワイヤ上にカテーテルを配置し、処置を完了する。
a.配置を確認するために、フォーリーカテーテルを通して尿を吸引する。
b.膀胱のドームにカテーテルをセットする。
c.部位を着装する。
8)オプション2。カニューレを通して膀胱の中に小口径カテーテルを前進させる
a.配置を確認するために、フォーリーカテーテルを介して尿を吸引する。
b.フォーリーカテーテルバルーンを膨張させる。
c.カニューレを取り外し、患者から取り出す。
d.その場所を手当てする。
9)オプション3(図26図28)。所望の用途のために外科的経路をサイズアップするために、「ガイドワイヤ」として光学チューブ上で拡張カニューレを前進させる。
a.必要に応じて拡張カニューレ2402(図28に示す5.33mm、7.33mm、11.33mm(16、22、および34フレンチ))の直径の増加を繰り返す。
b.拡張カニューレを通して外科的処置またはカテーテル配置を行う。
c.フォーリーカテーテルバルーンを膨張させる。
d.拡張カニューレを除去し、患者から取り出す。
e.その場所を手当てする。
【0044】
図8は、図6図7に関連して実質的に説明されたようなものであり得る、処置において使用するための医療器具を示す。図9に示されるように、このプロセスは、通信コード106をモニタ132を含むディスプレイデバイス130に接続することによって開始することができる。ディスプレイデバイス130は、例えば、ラップトップコンピュータ、システム専用のディスプレイデバイス、または処置環境において利用可能な別のディスプレイデバイスを含み得る。
【0045】
次に、給水源134が弁116に接続され得る(図10)。図示されていないが、給水源134は、水タンクまたは給水栓などの水源に接続されてもよいことが理解されよう。弁116は、手術経路を洗い流すまたは他の方法で撮像を改善する必要があるときに、器具100の遠位端に水を供給するように動作され得ることが理解されよう。
【0046】
上述したように、患者の腹壁上の適切な位置で患者の膀胱にアクセスするように切開を開始することが重要である。この点について、一般に、膀胱のドームにアクセスするために腹膜腔および腸を避けながら恥骨結合の上方に外科的経路を形成することが望ましい。図11図12に示されるように、診療医144は、触診によって恥骨結合の位置を特定し、次いで、器具100を使用して、恥骨結合の頭側の約2本の指の幅のところで皮膚/腹壁の切開を開始することができる。
【0047】
次いで、診療医144は、撮像デバイス130を見て、皮膚および脂肪組織を通して(図13)、皮下組織および筋膜層を通して、および膀胱壁を通して、膀胱の内部の中への器具100の遠位端を前進させることを監視することができる(図14図15)。
【0048】
器具100の遠位端が膀胱内に適切に位置決めされ、そのような位置決めがモニタ132上で確認されると、診療医144は、図16図18に示されるように、トロカール組立体102を除去するために、器具100のカニューレを所定の位置に保持しつつ、トロカールハンドル108を持ち上げることができる。
【0049】
トロカール組立体102が器具100から取り外されると、カテーテルの挿入を進めるためのいくつかのオプションがある。第1のオプションでは、図19図21に示されるように、ガイドワイヤ150が、最初に、器具100のカニューレ組立体を通して膀胱142の中に挿入される。図19に示されるように、膀胱142内のガイドワイヤ150の適切な位置決めは、モニタ132上で確認することができる。次いで、器具100は、ガイドワイヤ150を所定の位置に残しつつ取り出され得る(図20)。図21に示されるように、カテーテル160は、次いで、ガイドワイヤ150上に、および器具100によって形成される外科的経路を通してねじ込まれ、カテーテル160の遠位端は、膀胱142内で位置決めされる。次いで、ガイドワイヤ150をカテーテル160を通して取り出すことができる。
【0050】
代替として、図22に示されるように、カテーテル160は、カテーテル160の遠位端が、ディスプレイデバイス130を介して確認されるように、膀胱142内に配設されるように、器具100を通してねじ込まれてもよい。次いで、カテーテル160の遠位端付近のバルーン162は、膀胱142からのカテーテル160の意図しない取り出しを防ぐように膨張させられてもよい(図18)。図19に示されるように、器具100は、その後、患者から取り出され、カテーテル160から器具100を除去するために長手方向に半分に分離されてもよい。最後に、診療医144は、バルーン162が膀胱142の壁に対して固定されるまで、カテーテル160を取り出してもよい。診療医144は、次いで、切開を手当てし、処置を完了することができる。
【0051】
SPCビジョンデバイスおよび技法は、尿道閉塞を伴う入院患者において、内側から外側への恥骨上カテーテル法(SPC)ではT-SPeC(登録商標)器具が禁忌である場合に、尿道カテーテル法を恥骨上カテーテル法に置き替えることを可能にする技術であり、これらの患者がSPCにアクセスすることを可能にするとともに、さらに臨床転帰を改善し、同時に、入院期間の短縮により病院費を節約し、全ては臨床診療におけるこの変化で実現される。選択された患者における尿道カテーテル法の使用に代わるSPCの利用は、長期の入院、再入院、および留置尿道カテーテルに関連する合併症を減少させる。照明および視覚的ガイドをSPCビジョンデバイスと統合する根拠は、T-SPeC(登録商標)デバイスを用いた内側から外側へ径尿道的恥骨上膀胱瘻造設術が尿道閉塞のために禁忌される場合に、膀胱への「ブラインド」進入を置き換えることである。T-SPeC(登録商標)デバイスを用いた内側から外側への径尿道的恥骨上膀胱瘻造設術は、尿道を遮断する深刻な狭窄症(尿道瘢痕組織)があるときには禁忌される。膀胱瘻造設術を開始する前に、膀胱がんの可能性を検出するために、内視鏡/膀胱鏡を利用して、尿道通路および膀胱の健康状態を検査することができる(膀胱鏡検査と呼ばれる処置)。泌尿器科医は、これらの処置に非常に精通している。尿道口が利用できない場合、代替的な外側から内側へのトロカールパンチ技法または高度に侵襲的な開放膀胱瘻造設術が必要とされる。深刻な貯留状態にある患者の膀胱を空にすることができないと、急性腎損傷、腎不全、および死亡に至る。
【0052】
泌尿器科医の深刻な不足、およびSPCを用いた病院ベースの患者カテーテル法をサポートするための限られた利用可能性のために、PA、RNP、および救急医等の中級臨床家が、恥骨上カテーテルを配置するために利用されるであろう。これらの臨床家は、SPC配置、特に患者の安全性が懸念され得る「ブラインド」SPC配置技法に関してあまり経験を積んでいない。したがって、SPC配置技法にビジョンを追加することにより、処置の安全性を改善することができる。全救命救急診療患者の70%超が救急科(E.D.)から移送され、残りは内科/外科領域から来る。CCUに移送される患者に恥骨上カテーテルを配置するために、PAおよび看護師および救急医などの中級臨床家にT-SPeC(登録商標)およびSPCビジョン処置訓練を提供することが必要である。さらに、良性前立腺肥大(BPH)、感染および炎症の問題、または他の陰茎外傷、骨折もしくは裂傷に起因する急性のまたは深刻な尿閉および無感覚な尿道をE.D.に示す米国の40~83歳の男性は、年間1,000人あたりほぼ7人の全発生率である。損傷を防ぎ、通過の容易さを高め、処置時間を減少させるために、フィジシャンアシスタント(PA)、正看護師(RNP)、救急医、集中治療医、または病院医は、尿道通過が損なわれ、閉塞した患者に恥骨上カテーテルを配置するために、SPCビジョン処置およびデバイスの使用において特別な訓練を必要とする。SPCビジョンを用いた恥骨上カテーテル配置中のビジョンの使用は、必要とされる訓練を劇的に減少させ、T-SPeC(登録商標)器具を用いた尿道SPC配置に禁忌を示す患者における膀胱切開の全体的な安全性を改善する。
【0053】
光学部品およびライティングの適用は、SPCビジョンの遠位ゾンデ先端内の光学カメラレンズおよび光源、器具ゾンデを通って延在するカメラおよび光ケーブルを有するカニューレ、本体、ならびにコネクタプラグで終端する器具の後端から出るハンドルの配置を含む。後部接続は、取り外し可能な電源とインターフェース接続して、ライブ画像と共に画像をディスプレイパネル、モニタ、またはスクリーンに送信し、検索のために映像および静止画像を記憶し、患者の医療記録に含める追加の能力を有する。
【0054】
本発明の前述の記載は、例示および説明のために提示されてきた。さらに、この記載は、本発明を、本明細書に開示された形態に限定することは意図されていない。したがって、上記の教示、ならびに関連技術の技術および知識に相応する変形および修正は、本発明の範囲内である。上述した実施形態は、本発明を実施する知られている最良の形態を説明し、当業者が、本発明を、そのようなまたは他の実施形態において、および本発明の特定の応用または用途によって必要とされる様々な修正を伴って利用することを可能にすることがさらに意図されている。添付の特許請求の範囲は、従来技術によって許容される範囲まで代替実施形態を含むと解釈されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
【国際調査報告】