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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】ニコチンインヘイラー
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/10 20200101AFI20240903BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20240903BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20240903BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20240903BHJP
【FI】
A24F40/10
A24F40/46
A24F40/40
A24F40/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568580
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-11-10
(86)【国際出願番号】 KR2022008952
(87)【国際公開番号】W WO2023022353
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0108543
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ヨン ミ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ミ ジェオン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ジュン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオウン、エウン ミ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA06
4B162AA22
4B162AA30
4B162AB14
4B162AC16
4B162AC22
4B162AC27
4B162AC41
(57)【要約】
【要約】
本発明は、ハウジング及び前記ハウジングの内部に備えられたベンチュリ管を含む本体部;ニコチン液相の貯蔵部;前記ニコチン液相を前記ベンチュリ管内部に供給する液相供給チューブ;を含み、前記ベンチュリ管は、ハウジング一端部の空気流入口と連通するインレット管部、管壁に液相注入口が備えられた中央管部、及びハウジング他端部の吸入口と連通するアウトレット管部を含み、前記液相供給チューブは、前記ニコチン液相の貯蔵部と前記中央管部の液相注入口を連通させるように備えられたニコチンインヘイラーを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング及び前記ハウジングの内部に備えられたベンチュリ管とを含む本体部;
ニコチン液相の貯蔵部;
前記ニコチン液相を前記ベンチュリ管の内部に供給する液相供給チューブ;を含み、
前記ベンチュリ管は、ハウジング一端部の空気流入口と連通するインレット管部、管壁に液相注入口が備えられた中央管部、及びハウジング他端部の吸入口と連通するアウトレット管部を含み、
前記液相供給チューブは、前記ニコチン液相の貯蔵部と前記中央管部の液相注入口を連通させるように備えられたニコチンインヘイラー。
【請求項2】
前記アウトレット管部の末端は、ハウジング端部の吸入口まで延びて吸入部を形成し、前記アウトレット管部は、前記中央管部の端部からハウジング端部の吸入口に行きながら管径が徐々に拡大する形態である、請求項1に記載のニコチンインヘイラー。
【請求項3】
前記インレット管部の末端は、ハウジング端部の空気入口まで延びて空気流入部を形成する、請求項2に記載のニコチンインヘイラー。
【請求項4】
前記アウトレット管部は、インレット管部より長い長さを有する、請求項3に記載のニコチンインヘイラー。
【請求項5】
前記ベンチュリ管においてインレット管部は、中央管部に向かってテーパされた第1のテーパ部を含み、前記アウトレット管部は、中央管部に向かってテーパされた第2のテーパ部を含み、
前記第1のテーパ部が前記ベンチュリ管の中心軸となす角度は、第2のテーパ部が前記ベンチュリ管の中心軸となす角度より大きい、請求項4に記載のニコチンインヘイラー。
【請求項6】
前記中央管部は直径は0.5mm~1mmであり、長さが1mm~5mmである、請求項1に記載のニコチンインヘイラー。
【請求項7】
前記ニコチン液相の貯蔵部は、前記ハウジングと、ベンチュリ管を一部または全部で含む本体内壁との間の空間に位置する、請求項1に記載のニコチンインヘイラー。
【請求項8】
前記ニコチン液相の貯蔵部は環状の容器を含み、前記環状の容器は本体内壁の外周面を囲む形態で備えられた、請求項7に記載のニコチンインヘイラー。
【請求項9】
前記液相供給チューブには、非吸入時に液相供給チューブをロックし、吸入時に液相供給チューブを開放するクリンピング部が備えられた、請求項1に記載のニコチンインヘイラー。
【請求項10】
前記液相注入口の直径は液相供給チューブの直径より小さい、請求項1に記載のニコチンインヘイラー。
【請求項11】
前記空気流入口とベンチュリ管との間または空気流入口側のベンチュリ管に加熱要素がさらに備えられた、請求項1から10のいずれか一項に記載のニコチンインヘイラー。
【請求項12】
前記空気流入口とベンチュリ管との間または空気流入口側のベンチュリ管に発香要素がさらに備えられた、請求項1から10のいずれか一項に記載のニコチンインヘイラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年8月18日付け韓国特許出願第10-2021-0108543号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含む。
【0002】
本発明は、ニコチンインヘイラー、具体的にニコチン液相をエアロゾル化させて吸入することができるインヘイラーに関する。
【背景技術】
【0003】
インヘイラーを介してニコチンをエアロゾル(aerosol)形態で肺に伝達する方法は、ニコチンを伝達するための魅力的な手段である。このとき、エアロゾルの大きさは喫煙の満足度のために非常に重要なパラメータである。なぜなら、粒子が大きなエアロゾルを吸入する場合、大きな液滴が喉頭や気道を打撃することによって否定的な官能を伝達するからである。すなわち、ニコチンエアロゾルの粒子サイズが小さくなるほどスムーズに吸入され、肺内に深く浸透して喫煙者の満足度を向上させることができる。
【0004】
タバコ煙のD50(質量中央径、または質量の平均粒度)は0.3μm~0.6μmである。しかし、携帯用インヘイラーを使用して生成されるニコチンエアロゾルの粒子サイズは装置の限界により、前記タバコ煙の粒子サイズと大きな差を有する。したがって、インヘイラーを介してニコチンエアロゾルを伝達する方式が喫煙者に愛されるためには、微細粒子のエアロゾル粒子を生成する技術の発展が伴わなければならない。
【0005】
従来のエアロゾル発生装置としては、エアロゾル形成基材を加熱してエアロゾルを生成する方法がよく知られている。しかし、このような装置は加熱装置などの複雑な構成が必要であるという欠点を有する。
【0006】
そのため、前記のように高温に加熱する方式を採用せず、ニコチンエアロゾルを圧力差などを利用して生成する方法が研究されている。しかし、この方法は、インヘイラーが大気中で使用されるので、圧力差を生成することが容易ではないという現実的な限界を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-1734932号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術の前記のような問題を解消するために案出されたもので、使用者の吸入により圧力差を大きく形成することができ、このような圧力差により微細な大きさのニコチンエアロゾルを効率的に形成することができるニコチンインヘイラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、
ハウジング及び前記ハウジングの内部に備えられたベンチュリ管を含む本体部;
ニコチン液相の貯蔵部;
前記ニコチン液相を前記ベンチュリ管の内部に供給する液相供給チューブ;を含み、
前記ベンチュリ管は、ハウジング一端部の空気流入口と連通するインレット管部、管壁に液相注入口が備えられた中央管部、及びハウジング他端部の吸入口と連通するアウトレット管部を含み、
前記液相供給チューブは、前記ニコチン液相の貯蔵部と前記中央管部の液相注入口を連通させるように備えられたニコチンインヘイラーを提供する。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記アウトレット管部の末端は、ハウジング端部の吸入口まで延びて吸入部を形成し、前記アウトレット管部は、前記中央管部の端部からハウジング端部の吸入口に行きながら管径が徐々に拡大する形態であってもよい。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記インレット管部の末端はハウジング端部の空気入口まで延びて空気入口部を形成することができる。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記アウトレット管部はインレット管部より長い長さを有してもよい。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記ベンチュリ管においてインレット管部は、中央管部に向かってテーパされた第1のテーパ部を含み、前記アウトレット管部は、中央管部に向かってテーパされた第2のテーパ部を含み、
【0014】
前記第1のテーパ部が前記ベンチュリ管の中心軸となす角度は、第2のテーパ部が前記ベンチュリ管の中心軸となす角度より大きくてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記中央管部は直径が0.5mm~1mmであり、長さが1mm~5mmであってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記ニコチン液相の貯蔵部は、前記ハウジングと、ベンチュリ管を一部または全部で含む本体内壁との間の空間に位置してもよい。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記ニコチン液相の貯蔵部は環状の容器を含み、前記環状の容器は本体内壁の外周面を囲むように備えられてもよい。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記液相供給チューブには、非吸入時に液相供給チューブをロックし、吸入時に液相供給チューブを開放するクリンピング部が備えられてもよい。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記液相注入口の直径は液相供給管の直径より小さくてもよい。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記空気入口とベンチュリ管との間または空気入口側のベンチュリ管に加熱要素がさらに備えられてもよい。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記空気入口とベンチュリ管との間または空気入口側のベンチュリ管に発香要素がさらに備えられてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のニコチンインヘイラーは、インヘイラー内部にベンチュリ管構造を備え、ニコチン液相を前記ベンチュリ管の中で陰圧を形成する部分に供給することによって、微細な大きさのニコチンエアロゾルを効率的に生成する効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のニコチンインヘイラーの一実施形態を示す切断斜視図である。
図2】本発明のニコチンインヘイラーの一実施形態を示す断面図である。
図3】本発明のニコチンインヘイラーの他の実施形態を示す切断斜視図である。
図4】本発明のニコチンインヘイラーの他の実施形態を示す断面図である。
図5】本発明のニコチンインヘイラーに係るエアロゾル生成メカニズムを模式的に示す図である。
図6】本発明のニコチンインヘイラーに含まれるベンチュリ管の構造を示す図である。
図7】本発明のニコチンインヘイラーに含まれるベンチュリ管の中央管部の直径及び長さによる吸入部流量を示すグラフである。
図8】本発明のニコチンインヘイラーに含まれるベンチュリ管の中央管部の直径及び長さによる吸入圧を示すグラフである。
図9】本発明のニコチンインヘイラーの作動時に各構成要素に発生する圧力を示すグラフである。
図10】本発明のニコチンインヘイラーの他の実施形態を示す断面図である。
図11図11のニコチンインヘイラーに含まれたクリンピング部を拡大して示す断面図である。
図12】本発明のニコチンインヘイラーの作動時0.4秒後に測定したエアロゾル粒子サイズを測定した結果を示す図である。
図13】本発明のニコチンインヘイラーの作動時時間によるエアロゾル粒子サイズの分布を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0025】
本明細書及び特許請求の範囲に使用された用語や単語は通常的かつ辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるとの原則に即して、本発明の技術的思想に適合する意味と概念に解釈されなければならない。
【0026】
本発明において使用された用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに別の方法で意味ない限り、複数の表現を含む。本発明において、「含む」又は「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとすることで、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないと理解されなければならない。
【0027】
本発明において使用された用語「前方」及び「後方」は、エアロゾルの流れを基準として定義する。
【0028】
以下では、添付の図面を参照して、本発明の実施例について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0029】
以下では、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0030】
本発明のニコチンインヘイラーは、図1及び図2に示すように、ハウジング110及び前記ハウジング内部に備えられたベンチュリ管120を含む本体部100;ニコチン液相の貯蔵部200;前記ニコチン液相を前記ベンチュリ管120の内部に供給する液体供給チューブ300;を含み、
前記ベンチュリ管120は、前記ハウジング一端部の空気流入口400と連通するインレット管部121、管壁に液相注入口124が備えられた中央管部122、及び前記ハウジング他端部の吸入口500と連通するアウトレット管部123を含み;
前記液相供給チューブ300は、前記ニコチン液相の貯蔵部200と前記中央管部の液相注入口124を連通させるように備えられる。
【0031】
一般的に、ニコチンインヘイラーにおいて、ニコチン液相を人体に吸入しようとするとき、ニコチン液相の肺吸入が容易になるように微細エアロゾル化することが重要である。特に推進体がニコチン液相と共に貯蔵部200に含まれる場合、ニコチン液相が吐出される速度が非常に速いので、吸入して直ちに口部に入り、大きな液滴が喉頭及び気道を打撃することによって否定的な官能特性を示す。したがって、ニコチン液相をより速く、より微細にエアロゾル化することが必要である。
【0032】
本発明のニコチンインヘイラーは、前記のような特別な構造によりニコチン液相が吐出直後より微細にエアロゾル化される。
【0033】
本発明のニコチンインヘイラーの液相エアロゾル化メカニズムを説明すると、次の通りである。使用者が図1に示したニコチンインヘイラーの吸入部600を介して空気を吸入する場合、ベンチュリ管120の中央管部122の圧力がベルヌーイの原理により低くなる。したがって、このような圧力差によってニコチン液相の貯蔵部200に収容されたニコチン液相220が、液相供給チューブ300を介して前記中央管部122の液相注入口124に液相状態で吐出され(図5の(a))、同時に前記圧力差によって推進体が気化しながら気泡を生成する(図5の(b))。その後、前記気泡が成長して気泡と気泡との間の液膜が切れながら(図5の(c))、ニコチン液相がエアロゾル化される(図5の(d))。このとき、前記圧力差が大きいほど気泡の成長が速くなり、液膜が切れる速度も速くなってエアロゾル生成効率が向上する。
【0034】
本発明の一実施形態において、図1に示すように、前記アウトレット管部123の端部はハウジング110端部の吸入口500まで延びて吸入部600を形成し、前記アウトレット管部は前記中央管部122の端部からハウジング端部の吸入口に行きながら管径が徐々に拡大する形態であってもよい。
【0035】
また、このとき、前記インレット管部121の端部は、ハウジング110端部の空気流入口400まで延びて空気流入部を形成することができる。
【0036】
前記に説明した形態のニコチンインヘイラーにおいて、図2に示すように、アウトレット管部123の長さL2は、インレット管部121の長さL1よりも長く形成されることが好ましい。なぜなら、エアロゾルが飛行しながらさらに微粒化するため、アウトレット管部123の長さを長く形成することが微粒化に効果的であるからである。
【0037】
また、前記に説明した形態のニコチンインヘイラーにおいて、前記ベンチュリ管120でインレット管部121は、中央管部122に向かってテーパされた第1のテーパ部を含み、前記アウトレット管部123は中央管部(122)に向かってテーパされた第2のテーパ部を含み、図6に示すように、第1のテーパ部が前記ベンチュリ管120の中心軸となす角度(図6、a)は第2のテーパ部が前記ベンチュリ管の中心軸となす角度(図6、b)より大きいことが好ましい。なぜなら、前述のように、アウトレット管部123の長さがインレット管部121の長さよりも長く形成され、空気流入口400の大きさを大きく形成することが有利であるため、このような条件下で前記第1のテーパ部の角度は、第2のテーパ部の角度よりも大きくなるしかないからである。また、ベルヌーイの原理によりベンチュリ管の中央管部122の圧力を低く形成するためには、インレット管部121の直径が大きい方が有利であるからである。
【0038】
本発明の一実施形態において、前記中央管部122は、直径が0.5mm~1mm、より好ましくは0.6~0.8mmであり、長さは1mm~5mmに形成されてもよい。
【0039】
前記中央管部122は、適切な陰圧を形成することができる直径及び長さを有しなければならず、直径が狭すぎて長さが長い場合、壁面摩擦抵抗によりむしろ流量が減少し、圧力損失が起こり陰圧が十分に形成されないので好ましくない。そのため、前述した範囲で直径と長さが形成されることが好ましい。
【0040】
前記中央管部122の直径は、吸入部で適切な吸入流量が確保されなければならないので、少なくとも0.5mmでなければならない。なぜなら、前記直径が5mmの場合、最も少ない呼吸でも2秒間20mlの空気とニコチン液相エアロゾルの混合物を吸入できるからである。また、1mmを超える場合、中央管部に十分な陰圧が形成されないため、エアロゾル化に不利である。
【0041】
図7は、前記のような中央管部122の直径及び長さによる吸入部流量を示す。
【0042】
また、中央管部122の長さは、液相注入口124の配置と大きさを考慮して1mmより大きくなければならず、適切な陰圧が形成されなければならないので5mmより小さくなければならない。図8は、前記のような中央管部122の直径及び長さによる吸入圧を示す。図9は、本発明のニコチンインヘイラーの作動時に各構成要素に発生する圧力を示すグラフである。
【0043】
本発明の一実施形態において、前記ニコチン液相の貯蔵部200は、図1又は図3に示すように、前記ハウジング110と、ベンチュリ管120を一部又は全部で含む本体内壁130間の空間に位置することができる。
【0044】
具体的に、前記ニコチン液相の貯蔵部200は環状の容器210を含み、前記環状の容器は本体内壁130の外周面を囲む形態で備えられてもよい。
【0045】
このようなニコチン液相の貯蔵部200の配置は、ニコチンインヘイラーをコンパクトな構造で製造することを可能とする。
【0046】
本発明の一実施形態において、前記液相供給チューブ300には、非吸入時に液相供給チューブをロックし、吸入時に液相供給チューブを開放するクリンピング部310が備えられてもよい。前記クリンピング部は、使用者がインヘイラーを吸引したときにベンチュリ管の中央管部の圧力が低くなるため、この圧力差によってオープンされることがある。
【0047】
前記クリンピング部は、例えば、インヘイラの吸入時に吸入圧力をセンシングするセンサと、前記センサが吸入状態をセンシングした場合、前記センシング結果に応じて液相供給チューブをオープンするソレノイドバルブで構成されてもよい。この場合、前記ソレノイドバルブは、非吸入時に液相供給チューブをクローズした状態を維持する。
【0048】
また、クリンピング部は、図10及び図11に示すように、手動で動作する形態であってもよい。すなわち、使用者がインヘイラーを吸引する前に、スプリング312によって支持されて液相供給チューブをクリンピングしているクリンピングロッド311(図11)を押圧して液相供給チューブをオープンさせ(図11の(b) ))、吸引が終了した後、クリンピングロッドに加えた圧力を解除して再び液相供給チューブをクローズされた状態(図11の(a))に戻す形態であってもよい。
【0049】
一方、前記クリンピング部は公知の形態で形成されてもよい。例えば、韓国登録特許第10-1734932号に記載されたクリンピング部材を適用することも可能である。この場合、前記クリンピング部材の適用のために、本発明のニコチンインヘイラーの構造は追加の構成要素を含むことができる。例えば、吸入部600には、ハウジング110と本体内壁130との間の空間と連通する吸入口がもう1つ形成されてもよく、前記クリンピング部(310)には前記吸入口を介した吸入時に作動してクリンピング部によって液体供給チューブに加えられている圧力を解放する手段をさらに備えられてもよい。
【0050】
具体的に例示すると、前記韓国登録特許第10-1734932号のクリンピング部材21が適用される場合、本発明のハウジング110と本体内壁130との間の空間に韓国登録特許第10-1734932号に前記された形態のベーン15(vane)と構造が同一または類似するベーンが備えられてもよい。前記ベーンは、インヘイラーの吸入部600の吸入によりハウジング110と本体内壁130との間の空間の圧力が低くなる場合、この圧力によりハウジング110内壁側に移動することができるサイズのメンブレインを含み、前記メンブレインの空気流入口400側の一端部にピボット(pivot)が備えられてもよい。したがって、インヘイラーの吸入時に前記メンブレンとハウジング内壁との間の圧力が低くなる場合、前記ピボットを中心に前記メンブレンが回転しながらハウジングの内壁側に移動することになる。前記メンブレンの下端部には、液体供給チューブ300を加圧することができるジョー(jaw)が備えられてもよい。前記メンブレンは、インヘイラーの非吸入時にスプリングのような弾性部材によって下方に力を受ける構造で形成されることができ、この力により前記ジョー(jaw)が液体供給チューブを圧迫してニコチン液相の流通を遮断することができる。一方、インヘイラーの吸入時、前記メンブレンとハウジング内壁との間の低くなった圧力によって前記メンブレンが上昇しながら、前記ジョーを持ち上げ、これにより液体供給チューブへの圧迫が解除されながらニコチン液相の供給が可能となる。前記液体供給チューブは、このようなクリンピング手段の作動を可能となるようにフレキシブルな素材で製造することができる。
【0051】
本発明の一実施形態において、前記液相注入口の直径を液相供給チューブの直径より小さく形成することが、陰圧によるクリンピングの要素開放のために好ましい。前記液相注入口の直径は0.1mm~0.5mmの範囲内であってもよい。前記液相注入口124の数は1つまたは2つ以上であってもよい。
【0052】
本発明の一実施形態において、前記ニコチンインヘイラーは、空気流入口400とベンチュリ管120との間または空気流入口側のベンチュリ管120に、図3及び図4に示すように、加熱要素700をさらに備えることができる。前記加熱要素としては、化学反応による熱源、熱電素子、コイルヒーター、セラミックヒーター等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
推進体を含むニコチン液相がエアロゾル化される場合、突然の膨張によって温度が一時的に急激に落ちるため、性質は非常に冷たい。前記加熱要素はこれを補完するためのものであって、加熱要素を適用して流入する空気を温めて吸引するためのものである。前記加熱要素は、空気の流れを大きく妨げない形態で設置することが好ましく、多孔性素材で形成することができる。
【0054】
本発明の一実施形態において、前記ニコチンインヘイラーは、空気流入口400とベンチュリ管120との間または空気流入口側のベンチュリ管120に、図3及び図4に示すように、発香要素700をさらに備えることができる。発香要素は、流入する空気を通じて香を添加して吸引するように助けることができる。前記発香要素としては、固体香、多孔性基材に含まれた香、加香シート、香カプセルなどが挙げられる。
【0055】
本発明の一実施形態において、前記ニコチン液相は、ニコチン液と共に推進体をさらに含むものであってもよく、前記推進体としては、この分野において公知のものを用いることができ、例えば、HFA-134a、CFCなどを用いることができる。前記推進体は、ニコチン液相貯蔵容器の内部に圧力を形成してニコチン液相が容易に供給されるようにする役割を果たし、ニコチン液相がベンチュリ管に吐出される場合、気泡を生成する役割を果たす。
【0056】
以下、本発明のニコチンインヘイラーの作動を図1を参照して説明する。
【0057】
まず、本発明のニコチンインヘイラー吸入部600で吸入が起こると、空気流入口400で圧力の損失なく空気が流入する。前記流入した空気は、ベンチュリ管120のインレット管部121を介して直径が狭い中央管部122を通過しながらベルヌーイの原理により速度が増加し、これにより中央管部122の内部圧力が低りなって陰圧が形成される。このとき形成された陰圧によりクリンピング部310が開放され、このような圧力差と推進体自体の圧力によりニコチン液相の貯蔵部200に貯蔵されたニコチン液相が液相供給チューブ300を経て液相注入口124を介して中央管部122の内部に供給される。このように供給された液相は速い空気流動に乗せられてアウトレット管部123を経て吸入口500に移動する。このとき、陰圧によりニコチン液相に気泡形成が迅速かつ急激に行われ、液膜が徐々に薄くなり、急速に液膜が壊れながらエアロゾルが形成される。前記ニコチンエアロゾルは吸入口500の方向に飛行しながら、空気と液相の高い速度差により、空気と液相の摩擦と、液相の表面張力の特性により微粒化され、数μmのより微細なエアロゾルを形成することになる。
【0058】
本発明のニコチンインヘイラーは、大気圧で開放される従来のニコチンインヘイラーと比較してより低い陰圧で開放されるので、液相内に気泡がより多く形成され、より速く成長し、これにより、より速く液膜が切れる。したがって、このようなメカニズムによってニコチン液相がより微細に微粒化される。
【0059】
本発明のニコチンインヘイラーの作動時に口部に吸入されるエアロゾルの粒子サイズ及び粒子サイズの分布を粒子サイズ測定装置(製品名:Spraytech、製造社名:Malvern)で測定し、その結果を図12及び図13に示した。前記図から確認されるように、本発明のニコチンインヘイラーは優れたエアロゾル化特性を示す。
【0060】
たとえ本発明は前記述べた好ましい実施例に関連して説明したが、発明の要旨と範囲から逸脱することなく様々な修正または変形を行うことが可能である。したがって、添付の特許請求の範囲は本発明の要旨に属する限り、このような修正または変形を含むであろう。
【符号の説明】
【0061】
100:本体部
110:ハウジング
120:ベンチュリ管
121:インレット管部
122:中央管部
123:アウトレット管部
124:液相注入口
130:本体内壁
200:ニコチン液相の貯蔵部
210:環状の容器
220:ニコチン液相
300:液相供給チューブ
310:クリンピング部
311:クリンピングロッド
312:スプリング
400:空気流入口
500:吸入口
600:吸入部
700:加熱要素または発香要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11(a)】
図11(b)】
図12
図13
【国際調査報告】