(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】振動センサ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/40 20060101AFI20240903BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H04R1/40 320A
H04R1/02 106
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576215
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2022-12-09
(86)【国際出願番号】 CN2022119759
(87)【国際公開番号】W WO2024031783
(87)【国際公開日】2024-02-15
(31)【優先権主張番号】202222116541.3
(32)【優先日】2022-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511027518
【氏名又は名称】エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd
【住所又は居所原語表記】A-Block, Nanjing University Research Center Shenzhen Branch, No.6 Yuexing 3rd Road, South Hi-Tech Industrial Park, Nanshan District, Shenzhen Guangdong 518057 People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 金宇
【テーマコード(参考)】
5D017
5D018
【Fターム(参考)】
5D017BC18
5D018BB23
5D018BB25
(57)【要約】
【課題】本発明は振動センサを提供する。
【解決手段】振動センサは配線板と、配線板の対向する両側にそれぞれ固定された振動ピックアップ構造及び信号ピックアップアセンブリとを含み、振動ピックアップ構造は2つずつ互いに独立した、第1振動チャンバ内~第3振動チャンバ内にそれぞれ収容された第1振動ピックアップ構造~第3振動ピックアップ構造を含み、信号ピックアップアセンブリは第1~第3MEMSマイクロフォンを含み、第1振動ピックアップ構造は第1軸に沿って振動する第1振動膜を含み、第2振動ピックアップ構造は第2軸に沿って振動する第2振動膜を含み、第3振動ピックアップ構造は第3軸に沿って振動する第3振動膜を含み、第1軸~第3軸は互いに垂直である。振動センサは3つの方向の振動信号を同時にピックアップすることができ、且つ感知された振動信号を電気信号に変換し、振動センサの感度及び帯域幅を効果的に向上させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線板と、前記配線板の対向する両側にそれぞれ固定された振動ピックアップ構造及び信号ピックアップアセンブリとを含む振動センサであって、
前記振動ピックアップ構造は、2つずつ互いに独立した第1振動チャンバ、第2振動チャンバ及び第3振動チャンバを含み、前記振動ピックアップ構造は、前記第1振動チャンバ内に収容された第1振動ピックアップ構造と、前記第2振動チャンバ内に収容された第2振動ピックアップ構造と、前記第3振動チャンバ内に収容された第3振動ピックアップ構造とを更に含み、
前記信号ピックアップアセンブリは、前記第1振動チャンバに対応して設けられた第1MEMSマイクロフォンと、前記第2振動チャンバに対応して設けられた第2MEMSマイクロフォンと、前記第3振動チャンバに対応して設けられた第3MEMSマイクロフォンとを含み、
前記配線板には、前記第1振動チャンバと前記第1MEMSマイクロフォンとを連通する第1スルーホールと、前記第2振動チャンバと前記第2MEMSマイクロフォンとを連通する第2スルーホールと、前記第3振動チャンバと前記第3MEMSマイクロフォンとを連通する第3スルーホールとが設けられ、
前記第1振動ピックアップ構造は、前記第1振動チャンバ内で第1軸に沿って振動可能である第1振動膜を含み、前記第2振動ピックアップ構造は、前記第2振動チャンバ内で第2軸に沿って振動可能である第2振動膜を含み、前記第3振動ピックアップ構造は、前記第3振動チャンバ内で第3軸に沿って振動可能である第3振動膜を含み、前記第1軸、前記第2軸及び前記第3軸は、互いに垂直であることを特徴とする振動センサ。
【請求項2】
前記第1振動ピックアップ構造は、前記第1振動膜に固定された第1振動片を更に含み、前記第1振動片は、前記配線板に固定された固定端と、前記固定端から前記第1振動チャンバ内まで延在する自由端とを含むことを特徴とする請求項1に記載の振動センサ。
【請求項3】
前記第1振動ピックアップ構造は、前記第1振動片の第1振動膜から離れる側に固定された第1質量ブロックを更に含むことを特徴とする請求項2に記載の振動センサ。
【請求項4】
前記振動ピックアップ構造は、前記配線板に固定されたブラケットと、前記ブラケットに蓋設された上カバーとを更に含み、前記第1振動チャンバ、前記第2振動チャンバ及び前記第3振動チャンバは、いずれも前記上カバーと前記ブラケットとで囲設されて形成されることを特徴とする請求項3に記載の振動センサ。
【請求項5】
前記第1振動膜は、前記ブラケットに固定され、且つ前記第1振動チャンバを互いに独立した第1上振動チャンバ及び第1下振動チャンバに仕切り、前記第1スルーホールは、前記第1上振動チャンバと前記第1MEMSマイクロフォンとを接続する第1上連通孔と、前記第1下振動チャンバと前記第1MEMSマイクロフォンとを連通する第1下連通孔とを含むことを特徴とする請求項4に記載の振動センサ。
【請求項6】
前記第1MEMSマイクロフォンは、前記配線板に固定され且つバックチャンバを有するMEMSチップと、前記配線板に固定され且つ前記MEMSチップの上方に蓋設されたハウジングとを含み、前記MEMSチップ、前記配線板及び前記ハウジングは、囲設して内チャンバを形成し、前記第1上連通孔は、前記第1上振動チャンバと前記内チャンバとを連通し、前記第1下連通孔は、前記第1下振動チャンバと前記バックチャンバとを連通することを特徴とする請求項5に記載の振動センサ。
【請求項7】
前記第1スルーホールは、第1方向に沿って前記配線板を貫通し、前記ブラケットは、前記配線板に固定された第1端部と、前記第1方向に沿って第1端部から離れる第2端部とを含み、前記ブラケットの前記第1方向に垂直な断面面積は、前記第1端部から前記第2端部まで徐々に減少することを特徴とする請求項6に記載の振動センサ。
【請求項8】
前記固定端には、前記第1方向に沿ってそれを貫通し、且つ前記第1上連通孔に対応して連通する第1貫通孔が開設され、前記第1貫通孔は、前記第1上振動チャンバと前記第1上連通孔及び前記内チャンバとを連通することを特徴とする請求項7に記載の振動センサ。
【請求項9】
前記ブラケットには、前記第1方向に沿ってそれを貫通し、且つ前記第1下連通孔に対応して連通する第2貫通孔が開設され、前記第2貫通孔は、前記第1下振動チャンバと前記第1下連通孔及び前記バックチャンバとを連通することを特徴とする請求項8に記載の振動センサ。
【請求項10】
前記上カバーは、前記第2端部に固定された上固定部と、前記配線板に固定された下固定部と、前記上固定部と前記下固定部とを接続する中間接続部とを含み、前記中間接続部と前記第1振動膜は、前記第1軸に沿って間隔を隔てて設けられていることを特徴とする請求項9に記載の振動センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサの技術分野に関し、特に振動信号を電気信号に変換する振動センサに関する。
【背景技術】
【0002】
振動センサは、振動信号を電気信号に変換するためのものであり、車載分野に広く応用されている。車載アクティブノイズ低減技術は、振動センサによって車体振動信号をピックアップして回路において逆相を行ってからホーンを介して車室内で再生することにより、外部から車内に伝達されたノイズを相殺する必要があり、運転体験を改善する。
【0003】
関連技術において、一般的に、加速度計で振動信号をピックアップする。加速度計が安定した加速度信号を正確に測定することができるが、アクティブノイズ低減処理は、変化する信号のみに関心し、加速度の絶対数値に関心しない。また、加速度計は、一般的に、高速応答が困難であり、帯域幅が限られ、価格も比較的高価である。加速度計の他に、関連技術では、振動ピックアップ構造も利用して振動信号を変化する圧力に変換してからマイクロフォンでピックアップするが、通常の振動ピックアップ構造は、一方向の振動信号しかピックアップすることができない。それは、振動トリガとして利用可能であるが、アクティブノイズ低減に適用することができない。更に、1つのチャンバの圧力変化しか利用できないため、感度が低く、帯域幅も狭い。
【0004】
したがって、上記技術課題を解決するために、新たな振動センサを提供することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、感度が高く且つより広い帯域幅を有する振動センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、振動センサを提供し、前記振動センサは、配線板と、前記配線板の対向する両側にそれぞれ固定された振動ピックアップ構造及び信号ピックアップアセンブリとを含み、
前記振動ピックアップ構造は、2つずつ互いに独立した第1振動チャンバ、第2振動チャンバ及び第3振動チャンバを含み、前記振動ピックアップ構造は、前記第1振動チャンバ内に収容された第1振動ピックアップ構造と、前記第2振動チャンバ内に収容された第2振動ピックアップ構造と、前記第3振動チャンバ内に収容された第3振動ピックアップ構造とを更に含み、
前記信号ピックアップアセンブリは、前記第1振動チャンバに対応して設けられた第1MEMSマイクロフォンと、前記第2振動チャンバに対応して設けられた第2MEMSマイクロフォンと、前記第3振動チャンバに対応して設けられた第3MEMSマイクロフォンとを含み、
前記配線板には、前記第1振動チャンバと前記第1MEMSマイクロフォンとを連通する第1スルーホールと、前記第2振動チャンバと前記第2MEMSマイクロフォンとを連通する第2スルーホールと、前記第3振動チャンバと前記第3MEMSマイクロフォンとを連通する第3スルーホールとが設けられ、
前記第1振動ピックアップ構造は、前記第1振動チャンバ内で第1軸に沿って振動可能である第1振動膜を含み、前記第2振動ピックアップ構造は、前記第2振動チャンバ内で第2軸に沿って振動可能である第2振動膜を含み、前記第3振動ピックアップ構造は、前記第3振動チャンバ内で第3軸に沿って振動可能である第3振動膜を含み、前記第1軸、前記第2軸及び前記第3軸は、互いに垂直である。
【0007】
好ましくは、前記第1振動ピックアップ構造は、前記第1振動膜に固定された第1振動片を更に含み、前記第1振動片は、前記配線板に固定された固定端と、前記固定端から第1振動チャンバ内まで延在する自由端とを含む。
【0008】
好ましくは、前記第1振動ピックアップ構造は、前記第1振動片の第1振動膜から離れる側に固定された第1質量ブロックを更に含む。
【0009】
好ましくは、前記振動ピックアップ構造は、前記配線板に固定されたブラケットと、前記ブラケットに蓋設された上カバーとを更に含み、前記第1振動チャンバ、前記第2振動チャンバ及び前記第3振動チャンバは、いずれも前記上カバーと前記ブラケットで囲設されて形成される。
【0010】
好ましくは、前記第1振動膜は、前記ブラケットに固定され、且つ前記第1振動チャンバを互いに独立した第1上振動チャンバ及び第1下振動チャンバに仕切り、前記第1スルーホールは、前記第1上振動チャンバと前記第1MEMSマイクロフォンとを接続する第1上連通孔と、前記第1下振動チャンバと前記第1MEMSマイクロフォンとを連通する第1下連通孔とを含む。
【0011】
好ましくは、前記第1MEMSマイクロフォンは、前記配線板に固定され且つバックチャンバを有するMEMSチップと、前記配線板に固定され且つ前記MEMSチップの上方に蓋設されたハウジングとを含み、前記MEMSチップ、前記配線板及び前記ハウジングは、囲設して内チャンバを形成し、前記第1上連通孔は、前記第1上振動チャンバと前記内チャンバとを連通し、前記第1下連通孔は、前記第1下振動チャンバと前記バックチャンバとを連通する。
【0012】
好ましくは、前記第1スルーホールは、第1方向に沿って前記配線板を貫通し、前記ブラケットは、前記配線板に固定された第1端部と、前記第1方向に沿って第1端部から離れる第2端部とを含み、前記ブラケットの前記第1方向に垂直な断面面積は、前記第1端部から前記第2端部まで徐々に減少する。
【0013】
好ましくは、前記固定端には、前記第1方向に沿ってそれを貫通し、且つ前記第1上連通孔に対応して連通する第1貫通孔が開設され、前記第1貫通孔は、前記第1上振動チャンバと前記第1上連通孔及び前記内チャンバとを連通する。
【0014】
好ましくは、前記ブラケットには、前記第1方向に沿ってそれを貫通し、且つ前記第1下連通孔に対応して連通する第2貫通孔が開設され、前記第2貫通孔は、前記第1下振動チャンバと前記第1下連通孔及び前記バックチャンバとを連通する。
【0015】
好ましくは、前記上カバーは、前記第2端部に固定された上固定部と、前記配線板に固定された下固定部と、前記上固定部と前記下固定部とを接続する中間接続部とを含み、前記中間接続部と前記第1振動膜は、前記第1軸に沿って間隔を隔てて設けられている。
【発明の効果】
【0016】
関連技術に比べて、本発明に係る振動センサは、配線板と、前記配線板の対向する両側にそれぞれ固定された振動ピックアップ構造及び信号ピックアップアセンブリとを含み、前記振動ピックアップ構造は、2つずつ互いに独立した、第1振動チャンバ内に収容された第1振動ピックアップ構造と、第2振動チャンバ内に収容された第2振動ピックアップ構造と、第3振動チャンバ内に収容された第3振動ピックアップ構造とを含む。前記信号ピックアップアセンブリは、前記第1振動チャンバに対応して設けられた第1MEMSマイクロフォンと、前記第2振動チャンバに対応して設けられた第2MEMSマイクロフォンと、前記第3振動チャンバに対応して設けられた第3MEMSマイクロフォンとを含む。前記配線板には、前記第1振動チャンバと前記第1MEMSマイクロフォンとを連通する第1スルーホールと、前記第2振動チャンバと前記第2MEMSマイクロフォンとを連通する第2スルーホールと、前記第3振動チャンバと前記第3MEMSマイクロフォンとを連通する第3スルーホールとが設けられている。前記第1振動ピックアップ構造は、第1軸に沿って振動する第1振動膜を含み、前記第2振動ピックアップ構造は、第2軸に沿って振動する第2振動膜を含み、前記第3振動ピックアップ構造は、第3軸に沿って振動する第3振動膜を含み、前記第1軸、前記第2軸及び前記第3軸は、互いに垂直である。上記構造設計により、振動センサは、3つの方向の振動信号を同時にピックアップすることができ、且つ感知された振動信号を電気信号に変換し、振動センサの感度及び帯域幅を効果的に向上させる。
【0017】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下に実施例の説明に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に説明する図面は、単に本発明のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、更にこれらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】本発明における振動センサの分解斜視図である。
【
図3】本発明における振動センサにおける振動ピックアップ構造の斜視図である。
【
図4】本発明における振動センサにおける振動ピックアップ構造の分解斜視図である。
【
図5】
図1におけるA-A線に沿った断面図である。
【
図7】
図6におけるB-B線に沿った断面図である。
【
図8】
図6におけるC-C線に沿った断面図である。
【
図9】本発明における振動センサにおける第1MEMSマイクロフォンの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術案を明確で、完全に説明する。
【0020】
図1~
図9に示すように、本発明は、振動センサ100を提供し、当該振動センサ100は、配線板1と、前記配線板1の対向する両側にそれぞれ固定された振動ピックアップ構造2及び信号ピックアップアセンブリ3とを含む。
【0021】
前記振動ピックアップ構造2は、前記配線板1に固定されたブラケット21と、前記ブラケット21に蓋設された上カバー22と、振動信号をピックアップするための第1振動ピックアップ構造23、第2振動ピックアップ構造24及び第3振動ピックアップ構造25とを含み、具体的には、前記ブラケット21と前記上カバー22は、囲んで2つずつ独立した第1振動チャンバ26、第2振動チャンバ27及び第3振動チャンバ28を形成し、ここで、前記第1振動ピックアップ構造23は、前記第1振動チャンバ26に収容され、前記第2振動ピックアップ構造24は、前記第2振動チャンバ27に収容され、前記第3振動ピックアップ構造28は、前記第3振動チャンバ26に収容されている。
【0022】
前記信号ピックアップアセンブリ3は、前記第1振動チャンバ26に対応して設けられた第1MEMSマイクロフォン31と、前記第2振動チャンバ27に対応して設けられた第2MEMSマイクロフォン32と、前記第3振動チャンバ28に対応して設けられた第3MEMSマイクロフォン33とを含み、理解されるように、前記第1MEMSマイクロフォン31、前記第2MEMSマイクロフォン32及び前記第3MEMSマイクロフォン33の具体的な構造は、同じであってもよく、異なってもよく、ピックアップ信号の作用を果たすことができればよく、本実施例において、前記第1MEMSマイクロフォン31、前記第2MEMSマイクロフォン32及び前記第3MEMSマイクロフォン33の具体的な構造は、同じであり、以下に前記第1MEMSマイクロフォン31の構造について説明し、前記第1MEMSマイクロフォン31は、前記配線板1に固定され且つバックチャンバ311を有するMEMSチップ312と、前記配線板1に固定され且つ前記MEMSチップ312の上方に蓋設されたハウジング313とを含み、前記MEMSチップ312、前記配線板1及び前記ハウジング313は、囲設して内チャンバ314を形成し、前記MEMSチップ312は、静電容量式MEMSチップである。理解されるように、前記第1MEMSマイクロフォン31にはそれぞれ、前記バックチャンバ311及び前記内チャンバ314に対応する音孔が開設されることにより、前記振動ピックアップ構造2の圧力信号が前記信号ピックアップアセンブリ3に伝達される。
【0023】
前記振動ピックアップ構造2がピックアップした振動信号を前記信号ピックアップアセンブリ3に伝達するために、前記配線板1には、前記第1振動チャンバ26と前記第1MEMSマイクロフォン31とを連通する第1スルーホール11と、前記第2振動チャンバ27と前記第2MEMSマイクロフォン32とを連通する第2スルーホール12と、前記第3振動チャンバ28と前記第3MEMSマイクロフォン33とを連通する第3スルーホール13とが設けられている。前記第1スルーホール11、前記第2スルーホール12及び前記第3スルーホール13は、いずれも第1方向Dに沿って前記配線板1を貫通する。
【0024】
具体的には、前記第1振動ピックアップ構造23は、前記第1振動チャンバ26内で第1軸Xに沿って振動可能である第1振動膜231と、前記第1振動膜231に固定された第1振動片232とを含み、前記第2振動ピックアップ構造24は、前記第2振動チャンバ27内で第2軸Yに沿って振動可能である第2振動膜241と、前記第2振動膜241に固定された第2振動片242とを含み、前記第3振動ピックアップ構造25は、前記第3振動チャンバ28内で第3軸Zに沿って振動可能である第3振動膜251と、前記第2振動膜251に固定された第3振動片253とを含み、前記第1軸X、前記第2軸Y及び前記第3軸Zは、互いに垂直であり、すなわち、3つの異なる振動ピックアップ構造内の振動膜は、3つの直交する方向に沿って振動し、3つの方向の振動信号を圧力変化信号に変換し、且つ対応するMEMSマイクロフォンマイクロフォンを介してピックアップし、本実施例において、前記第1振動ピックアップ構造23、前記第2振動ピックアップ構造24及び前記第3振動ピックアップ構造25は、構造が同じであり、重複な説明を回避するために、以下に前記第1振動ピックアップ構造23と前記第1MEMSマイクロフォン31とを結合して本発明に係る前記振動センサ100の動作原理を更に説明する。
【0025】
図7~
図9に示すように、前記第1振動膜231は、前記ブラケット21に固定され、且つ前記第1振動チャンバ26を互いに独立した第1上振動チャンバ261と第1下振動チャンバ262に仕切り、ここで、前記第1スルーホール11は、前記第1上振動チャンバ261と前記第1MEMSマイクロフォン31とを接続する第1上連通孔111と、前記第1下振動チャンバ262と前記第1MEMSマイクロフォン31とを連通する第1下連通孔112とを含み、具体的には、前記第1上連通孔111は、前記第1上振動チャンバ261と前記内チャンバ314とを連通し、前記第1下連通孔112は、前記第1下振動チャンバ262と前記バックチャンバ311とを連通する。更に、前記第1振動片232は、前記配線板1に固定された固定端2321と、前記固定端2321から前記第1振動チャンバ26まで延在する自由端2322とを含み、前記固定端2321には、第1方向Dに沿ってそれを貫通し、且つ前記第1上連通孔111に対応して連通する第1貫通孔2323が開設され、前記第1貫通孔2323は、前記第1上振動チャンバ261と前記第1上連通孔111及び前記内チャンバ314とを連通する。前記第1振動ピックアップ構造23が外部のノイズによる振動を感じて前記第1振動膜231が前記第1軸Xに沿って振動する時に、前記第1振動片232の自由端2322が共に振動するように駆動するため、前記第1振動片232に周期的な変形が発生し、前記第1上振動チャンバ261内の圧力が増大し、前記第1貫通孔2323及び前記第1上連通孔111によって正圧力を前記第1MEMSマイクロフォン31の内チャンバ314に印加し、即ち前記MEMSチップ312の下面に印加し、それとともに前記第1下振動チャンバ262内の圧力が減少し、前記第1下連通孔112によって負圧力を前記MEMSチップ312の上面に印加し、次に前記MEMSチップ312は、変化した圧力信号を電気信号に変換して出力する。前記第1振動膜231の面積は、前記MEMSチップ312内の振動膜の面積よりもはるかに大きいため、前記第1振動膜231は、非常に小さい振幅(典型的には振幅が0.00002ナノメートル~2ナノメートルである)だけで、前記MEMSチップ312の動作を駆動することができる。理解されるように、前記第2振動ピックアップ構造24及び前記第3振動ピックアップ構造25の動作原理は、前記第1振動ピックアップ構造23と同じであり、且つ前記第1振動ピックアップ構造23における前記第1振動膜231、前記第2振動ピックアップ構造24における前記第2振動膜241及び前記第3振動ピックアップ構造25における前記第3振動膜251は、互いに直交する前記第1軸X、前記第2軸Y及び前記第3軸Zのそれぞれに沿って振動し、3つの方向の振動信号を同時にピックアップすることができ、それにより前記第1振動チャンバ26、前記第2振動チャンバ27及び前記第3振動チャンバ28の3つのチャンバ内の圧力変化をそれぞれ利用し、振動センサ100の感度及び帯域幅を効果的に向上させる。また、本発明に係る前記振動センサ100を車載シーンに適用するときに、低コストで三軸振動信号をピックアップするPDM出力を実現するだけでなく、外部のオーディオ処理チップとの良好な互換性を有し、ノイズ低減機能を効果的に実現する。且つ従来のMEMSマイクロフォンチップの供給能力が十分であり、プロセスが成熟し、技術の制約を受けない。
【0026】
更に、前記ブラケット21は、前記配線板1に固定された第1端部211と、前記第1方向Dに沿って第1端部211から離れる第2端部212とを含み、前記ブラケット21の前記第1方向Dに垂直な断面面積は、前記第1端部211から前記第2端部212まで徐々に減少する。
【0027】
更に、前記ブラケット21には、前記第1方向Dに沿ってそれを貫通し且つ前記第1下連通孔112に対応して連通する第2貫通孔213が開設され、前記第2貫通孔213は、前記第1下振動チャンバ262と前記第1下連通孔112及び前記バックチャンバ311とを連通する。即ち、前記第1下振動チャンバ262内の圧力変化は、順に前記第2貫通孔213及び前記第1下連通孔112を介して前記MEMSチップ312に伝達される。
【0028】
理解されるように、前記上カバー22は、前記第2端部212に固定された上固定部221と、前記配線板1に固定された下固定部222と、前記上固定部221と前記下固定部222とを接続する中間接続部223とを含み、分かるように、前記中間接続部223と前記第3振動膜251は、前記第3軸Xに沿って間隔を隔てて設けられている。同様に理解されるように、前記中間接続部223と前記第1振動膜231は、前記第1軸Xに沿って間隔を隔てて設けられ、前記中間接続部223と前記第2振動膜241は、前記第2軸Yに沿って間隔を隔てて設けられ、前記第1振動片232の前記固定端2321は、前記配線板1と前記下固定部222との間に固定されている。前記振動センサ100の感度を更に向上させるために、前記第1振動ピックアップ構造23は、前記第1振動膜231に固定された第1質量ブロック233を更に含む。
【0029】
説明すべきことは、前記第2振動ピックアップ構造24と前記第2MEMSマイクロフォン32、前記第3振動ピックアップ構造25と前記第3MEMSマイクロフォン33の具体的な構造及び動作原理は、前記第1振動ピックアップ構造23と前記第1MEMSマイクロフォン31と同じであり、且つ前記第2スルーホール12と前記第3スルーホール13は、前記第1スルーホール11との構造及び役割が同じであり、ここでそれを繰り返して説明しない。
【0030】
関連技術に比べて、本発明に係る振動センサは、配線板と、前記配線板の対向する両側にそれぞれ固定された振動ピックアップ構造及び信号ピックアップアセンブリとを含み、前記振動ピックアップ構造は、2つずつ互いに独立した、第1振動チャンバ内に収容された第1振動ピックアップ構造と、第2振動チャンバ内に収容された第2振動ピックアップ構造と、第3振動チャンバ内に収容された第3振動ピックアップ構造とを含み、前記信号ピックアップアセンブリは、前記第1振動チャンバに対応して設けられた第1MEMSマイクロフォンと、前記第2振動チャンバに対応して設けられた第2MEMSマイクロフォンと、前記第3振動チャンバに対応して設けられた第3MEMSマイクロフォンとを含み、前記配線板には、前記第1振動チャンバと前記第1MEMSマイクロフォンとを連通する第1スルーホールと、前記第2振動チャンバと前記第2MEMSマイクロフォンとを連通する第2スルーホールと、前記第3振動チャンバと前記第3MEMSマイクロフォンとを連通する第3スルーホールとが設けられ、前記第1振動ピックアップ構造は、第1軸に沿って振動する第1振動膜を含み、前記第2振動ピックアップ構造は、第2軸に沿って振動する第2振動膜を含み、前記第3振動ピックアップ構造は、第3軸に沿って振動する第3振動膜を含み、前記第1軸、前記第2軸及び前記第3軸は、互いに垂直である。上記構造設計により、振動センサは、3つの方向の振動信号を同時にピックアップすることができ、且つ感知された振動信号を電気信号に変換し、振動センサの感度及び帯域幅を効果的に向上させる。
【0031】
上述したのは、本発明の実施形態だけであり、本発明が属する技術分野の当業者にとって、本発明の創造的構想から逸脱しない範囲において種々変更可能であるが、これらはいずれも本発明の保護範囲内に属するものと理解されるべきである。
【国際調査報告】