(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置
(51)【国際特許分類】
F27B 17/00 20060101AFI20240903BHJP
C21D 1/74 20060101ALI20240903BHJP
F27D 5/00 20060101ALI20240903BHJP
H01L 21/683 20060101ALN20240903BHJP
【FI】
F27B17/00 B
C21D1/74 P
F27D5/00
H01L21/68 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562623
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 CN2022100785
(87)【国際公開番号】W WO2023245550
(87)【国際公開日】2023-12-28
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519375963
【氏名又は名称】中建材玻璃新材料研究院集▲団▼有限公司
【住所又は居所原語表記】No. 1047 Tushan Road Bengbu, Anhui 233010 China
(71)【出願人】
【識別番号】522044582
【氏名又は名称】凱盛科技集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】TRIUMPH SCIENCE & TECHNOLOGY GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】11/F Block B, Guohai Plaza, No. 17 Fuxing Road,Haidian District Beijing 100036, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パーム イエルク
【テーマコード(参考)】
4K055
5F131
【Fターム(参考)】
4K055AA06
4K055NA04
5F131AA10
5F131BA60
5F131CA02
5F131EA04
5F131EA11
5F131EB32
5F131EB81
(57)【要約】
本発明は腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置を開示する。前記装置は、放射場内に配置されたプロセスフレームと、前記プロセスフレームに挿接されるように構成された基板とを含み、前記プロセスフレームは基板の上面外縁を被覆して、小容積プロセス空間を形成する。上記プロセスフレームは従来のプロセスフレームの構造を変更してなり、基板の外縁を被覆することにより、セレンとの接触から縁部を守るとともに、接触される縁部のカルコゲンを低減させる。チャンバ内にカルコゲンや炭化水素が残ったとしても、基板の縁部が腐食されることはない。プロセス空間が最小化されるため、プロセスチャンバ内のカルコゲンが大幅に低減され、そのため基板底面上のバリア層を大幅に薄くすることもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置であって、
プロセスチャンバと、
プロセス空間に熱源を供給するために前記プロセス空間に設置された放射場と、
少なくとも一つの基板を収容して急速熱処理プロセスを行うように前記プロセス空間内に設置されたプロセスフレームであって、前記基板の外縁上面が前記プロセスフレーム上に被覆されたプロセスフレームと、
前記基板上の空間を前記プロセスチャンバから隔離するように前記プロセスフレーム上を覆うカバーと
を含み、
前記プロセスフレーム、前記基板及び前記カバーにより小プロセス容積が形成され、前記小プロセス容積により、前記プロセスチャンバと交換されるプロセスガスの導入量及び/又は溢出量を極限値に減少させる
ことを特徴とする腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項2】
前記カバーは、
1) 前記放射場内に位置し且つ静止状態を保ち、又は
2) 前記プロセスフレーム上に位置し且つ前記プロセスフレームと一体構造を構成する
ように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項3】
前記基板の下面外縁は、
一) 前記プロセスフレームが前記基板の下面外縁を被覆し、又は
二) 前記放射場の底面が前記基板の下面をカバーするように、前記基板が前記放射場の底面に接触する
ように構成されたことを特徴とする請求項2に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項4】
カバー部が前記基板の二つの外縁の間にあり、前記カバー部のカバー範囲が1mm~50mmであり、前記カバー部が光電不活性な材料から構成された
ことを特徴とする請求項3に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項5】
前記底板を前記基板の下に配置することは、
a) 前記底板が前記基板を支持し且つ前記プロセスフレームの底端に位置し、前記プロセスフレームと一体構造を構成する態様と、
b) 前記底板が前記基板を支持し且つ前記放射場の底面に取り付けられる態様と
の二つの態様を含むことを特徴とする請求項4に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項6】
前記基板外縁の内側には、前記基板外縁の上面及び/又は下面を封止するシールが配置された
ことを特徴とする請求項5に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項7】
前記シールは、前記プロセスフレームの材料よりも大きな縦方向膨張係数を有し、前記シール、前記プロセスフレーム及び前記基板により、冷たい状態での隙間が形成される
ことを特徴とする請求項6に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項8】
前記シールは、少なくとも、微結晶ガラスと、酸化ジルコニウムと、酸化マグネシウムとのうちの一つ又は組み合わせを含む
ことを特徴とする請求項7に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項9】
前記金属ワイヤネットは、前記基板の下板面に、前記基板と実質的に平行に配置された
ことを特徴とする請求項8に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項10】
前記底板は少なくとも一つのロッドを含む
ことを特徴とする請求項9に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項11】
前記底板は、
第1の伝達板と、
第2の伝達板と、
前記第1の伝達板と前記第2の伝達板を離間させ、前記第1の伝達板の外周縁部と前記第2の伝達板の外周縁部に設置されたスペーサと、
前記第1の伝達板の底面と前記スペーサとの間に設置された第1のばねと、
前記第2の伝達板の上面と前記スペーサとの間に設置された第2のばねと
を含むことを特徴とする請求項9に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項12】
前記第1のばねは、前記第1の伝達板の外周縁部に隣接する位置に配置され、前記第2のばねは、前記第2の伝達板の外周縁部に隣接する位置に配置された
ことを特徴とする請求項11に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項13】
前記第1のばねと前記第2のばねの各々は、超合金を含む
ことを特徴とする請求項12に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項14】
前記超合金は、コバルトと、クロムと、ニッケルと、モリブデンとを含む
ことを特徴とする請求項13に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項15】
前記第1の伝達板には、ガスを通過させる複数の通気孔が開けられている
ことを特徴とする請求項14に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項16】
前記第1のばねは、前記第1の伝達板の外周縁部に隣接した前記第1の伝達板の底面に接触するコイルばねを含み、前記第2のばねは、前記第2の伝達板の外周縁部に隣接した前記第2の伝達板の上面に接触するコイルばねを含む
ことを特徴とする請求項14に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項17】
前記隙間は、
前記隙間の上面及び/又は底面にあり、金属内壁及びキャビティとして実施される中空体を含み、第1の充填物が前記キャビティと前記隙間との接続口を塞ぐように前記キャビティに配置され、前記第1の充填物は、温度の上昇に伴い収縮し前記接続口を開放する
ことを特徴とする請求項16に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項18】
前記第1の充填物は先端が先細る形状であり、前記第1の充填物の先端は前記接続口に位置している
ことを特徴とする請求項17に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項19】
前記第1の充填物は、セラミック繊維材料を含む
ことを特徴とする請求項18に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項20】
前記カルコゲン濾過部材は、接続口に配置されている
ことを特徴とする請求項19に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項21】
前記キャビティ内には、脱硫ガスを貯蔵する脱硫空間が設けられた
ことを特徴とする請求項20に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項22】
前記脱硫ガスは、塩基性ガスを含む
ことを特徴とする請求項21に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項23】
位置制限部材が前記第1の充填物と前記キャビティとの間に配置されている
ことを特徴とする請求項22に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項24】
脱硫空間内に第2の充填物が配置され、前記第2の充填物が温度上昇に伴って膨張することで、脱硫空間内に、脱硫ガスを押し出すピストン構造を形成する
ことを特徴とする請求項23に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項25】
前記接続口には、入口部、縮径部、喉部及び拡径部が吸気方向に順に設けられ、前記キャビティから前記隙間へのガスの流入を容易にするベンチュリ管式ガス通路を形成している
ことを特徴とする請求項24に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【請求項26】
前記第2の充填物は熱伝導性バルーン及び熱膨張性流体を含む
ことを特徴とする請求項24又は請求項25に記載の腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属基材の急速熱処理の技術分野に関し、具体的には、腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロセスボックスは、グラファイト、又は炭素繊維強化炭素(炭素繊維強化炭素=CFRC、強化炭素=RCC、又は炭素繊維-炭素複合材料=CFC)などの複合材料フレームで構成されている。ガラスセラミックスタイルは、高温に強く、温度勾配に敏感でなく、セレンや硫黄の腐食に敏感でなく、膨張係数が非常に低く、且つ高い機械的安定性を有することが証明されている。それぞれ厚さ4mmの板を個別に使用すると、板の質量はもはや基板の4倍になる。面積が約1m2の(厚さが2mmである場合、5kgに相当する)基板の場合、箱の総重量は約40kgとなる。このような「非生産的」物質は最終的にプロセス温度まで加熱され、そしてプロセス中に再び冷却されなければならない。
【0003】
例えば、EP1258043(選択ボックス)、EP1277238(選択プラントのチャンバ構造)には、減容反応容器構想の実際の設計と改良、及びそれに基づく生産設備の構造について記載されている。EP1258043では、グラファイトフィルムがエネルギー伝送体として記載されているが、独立請求項は常に透明体、特にガラスセラミックスを想定している。したがって、エネルギー伝送体は、ボックスの蓋や底板として機能することのできない追加の層又はフィルムである。
【0004】
ボックス無しRTPの主題に関するJ.Palm、M.Pfrfanger、J.Baumbach及びF.Kargの特許出願「処理室内の物体を焼戻しするための装置及び方法(Device and method for tempering objects in a treatment chamber)、発明目録EM2008 0002、(EP2291868B1に付与された特許)」の中で、移動式Pボックスを使用する必要のない代替RTPプロシージャが提案されている(プロセスヘッド)。この方法により、連続運転中にプロセスシューが冷却されなくなれば、エネルギーを節約することができる。その場合に限って、1回目の加熱が完成したときに、実際の基板よりもはるかに大きな質量の加熱になる。キャリアと基板だけが冷却されるため、必要とされる冷却性能も低くなる。
【0005】
例えば、EP1258043(選択ボックス)、EP1277238(選択プラントのチャンバ構造)には、減容反応容器構想の実際の設計と改良、及びそれに基づく生産設備の構造について記載されている。EP1258043では、グラファイトフィルムがエネルギー伝送体として記載されているが、独立請求項は常に透明体、特にガラスセラミックスを想定している。したがって、エネルギー伝送体は、ボックスの蓋や底板として機能することのできない追加の層又はフィルムである。
【0006】
プロセスボックスによるプロセスの代替となるのは、ロール上又はプロセスチャンバ内(チャンバー又は連続チャネル)で基板を移動させる、競合他社が現在又は既に従ったシステム及びプロセスである。この場合、必要なセレン蒸気圧を発生させるためには、比較的大きなチャンバ(搬送ローラ付き)にセレンをガス状で注入する必要がある。しかし、これらの方法に基づいて、同様の効率を有するCIGS/CIGSSE薄膜半導体や薄膜モジュールを大量生産や実験室で製造することは、まだできていないのが現状である。また、カルコゲンは基本的に少ないプロセス量に限定されないため、カルコゲンの消費量は通常非常に高い。これにより、堆積物や腐食の問題も増加している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の一つは、上述の従来技術の不足を克服するために、腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置を提供することであり、その核心となる構想は、既存のAVANCISプロシージャをさらに発展させ、加工中に基板の縁部が腐食せず、効率が高く、エネルギー消費が低いという利点を修正後のプロセスフレームに持たせることであり、現在のIG又は半導体スタックが金属基板上で生産できない状況を有効に根絶することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明が採用した腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置は、プロセスチャンバと、
前記プロセス空間に熱源を供給するために前記プロセス空間に設置された放射場と、
少なくとも一つの基板を収容して急速熱処理プロセスを行うように前記プロセス空間内に設置されたプロセスフレームであって、前記基板の外縁上面が前記プロセスフレーム上に被覆されたプロセスフレームと、
前記基板上の空間を前記プロセスチャンバから隔離するように前記プロセスフレーム上を覆うカバーと
を含み、
前記プロセスフレーム、前記基板及び前記カバーにより小プロセス容積が形成され、前記小プロセス容積により、前記プロセスチャンバと交換されるプロセスガスの導入量及び/又は溢出量を極限値に減少させる。
【0009】
上記プロセスフレームは従来のプロセスフレームの構造を変更してなり、基板の外縁を被覆することにより、セレンとの接触から縁部を守るとともに、接触される縁部のカルコゲンを低減させる。チャンバ内にカルコゲンや炭化水素が残ったとしても、基板の縁部が腐食されることはない。プロセス空間が最小化されるため、プロセスチャンバ内のカルコゲンが大幅に低減され、そのため基板底面上のバリア層を大幅に薄くすることもできる。
【0010】
本発明のシナリオでは、「放射場」という用語は、RTPプロセスにおけるエネルギー源の加熱放射により形成される加熱空間を指す。例えば、ランプのような放射源は透明な壁を放射し、処理対象物をチャンバ内に配置し、放射源からの放射で照射することで、対象物を加熱する。なお、システムが処理中に物体の配置される雰囲気を制御さえすれば、透明な壁を有するチャンバは必ずしも必要ではない。
【0011】
「プロセス空間」という用語は、基板がRTPプロセス加工を行われる空間を意味する。具体的には、上記空間は、プロセスフレームの、放射場において基板を被覆する空間である。
【0012】
上記案のさらなる改良として、上記カバーは、
1) 放射場内に位置し且つ静止状態を保ち、又は
2) プロセスフレーム上に位置し且つ前記プロセスフレームと一体構造を構成する
ように構成される。
【0013】
一つ目のカバーの使用方法において、カバーと放射場とが一体構造である。この構造では、カバーは再利用可能であり、一つのカバーを複数のプロセスフレームに対応させることができ、利用率が高く、加工コストを下げることができる。
【0014】
二つ目のカバーの使用方法において、カバーとプロセスフレームとが一体構造である。この構造では、カバーとプロセスフレームとの協働効果はより良く、各カバーは別々のプロセスフレームに対応し、プロセス加工の効果がより良い。
【0015】
上記案のさらなる改良として、上記基板(2)の下面外縁は、
一) 上記プロセスフレームが基板の下面外縁を被覆し、又は
二) 放射場の底面が基板の下面をカバーするように、上記基板が放射場の底面に接触する
ように構成される。
【0016】
下面外縁のこれら二つの被覆方法は、プロセスフレーム自体による被覆と、基板と放射場の底面との接触により実現される放射場の底面による被覆に対応している。一つ目の被覆方式では、基板とプロセスフレームとの固定をより強固なものとするために、基板とプロセスフレームとの嵌合は挿接による嵌合であり、基板縁部とプロセスフレームとの接触面積が比較的大きい。二つ目の被覆方式では、上記プロセスフレームは底板を備えていないので、上記プロセスフレームの全体構造がより簡潔になる。
【0017】
上記案のさらなる改良として、カバー部が上記基板の二つの外縁の間にあり、該カバー部のカバー範囲が1mm~50mmであり、上記カバー部が光電不活性な材料から構成される。縁部から内側へ、カバーエリアは1mm以上且つ50mm以下でなければならない。スペースの無駄が少なくて済む一方、縁部の良い密閉性を確保するには、5mm~10mmが最適な選択であると考えられる。また、後の工程では、このエリアをバスバーの接触エリアとして使用してもよく、後で分離してもよい。
【0018】
上記案のさらなる改良として、底板を基板の下に配置することは、
a) 上記底板が基板を支持し且つプロセスフレームの底端に位置し、プロセスフレームと一体構造を構成する態様と、
b) 上記底板が基板を支持し且つ放射場の底面に取り付けられる態様と
の二つの態様を含む。
【0019】
一つ目の態様において、底板とプロセスフレームとが一体構造である。この構造では、底板とプロセスフレームとの協働効果はより良く、各カバーは別々のプロセスフレームに対応し、プロセス加工の効果がより良い。
【0020】
二つ目の態様において、底板と放射場とが一体構造である。この構造では、底板は再利用可能であり、一つの底板を複数のプロセスフレームに対応させることができ、利用率が高く、加工コストを下げることができる。
【0021】
上記案のさらなる改良として、基板の外縁を封止するために、上記基板外縁の内側には、基板外縁の上面及び/又は下面を封止するシールが配置される。
【0022】
上記案のさらなる改良として、上記シールは、プロセスフレームの材料よりも大きな縦方向膨張係数を有し、上記シール、プロセスフレーム及び基板により、冷たい状態での隙間が形成される。具体的には、加熱時に、シールがプロセスフレームよりも膨張し、上記の隙間を閉じるため、残留の水蒸気及び酸素の排出に寄与する。
【0023】
上記案のさらなる改良として、上記シールは、少なくとも、微結晶ガラスと、酸化ジルコニウムと、酸化マグネシウムとのうちの一つ又は組み合わせを含む。
【0024】
上記案のさらなる改良として、金属ワイヤネットを基板の下板面に、基板と実質的に平行に配置する。上記金属ワイヤネットは断面が円形又は矩形の棒材で構成され、金属ワイヤネットの最小エリアが箔材と平行であり、機械的挟持により基板を支持することで、高温下での弾性変形による基板の永久的な曲がりの発生を低減させる。
【0025】
上記案のさらなる改良として、底板は、不透明な材料、部分的に透明な材料、又は透明な材料で構成できる少なくとも一つの支持棒を含む。
【0026】
上記案のさらなる改良として、底板は、
第1の伝達板と、
第2の伝達板と、
第1の伝達板と第2の伝達板を離間させ、第1の伝達板の外周縁部と第2の伝達板の外周縁部に設置されたスペーサと、
第1の伝達板の底面とスペーサとの間に設置された第1のばねと、
第2の伝達板の上面とスペーサとの間に設置された第2のばねと
を含み、
第1のばねと第2のばねを用いて、第1の伝達板とスペーサ、第2の伝達板とスペーサとの間に膨張空間を形成することで、熱膨張後の第1の伝達板又は第2の伝達板が狭い空間で圧されて割れるのを回避する。
【0027】
上記案のさらなる改良として、前記第1のばねは、前記第1の伝達板の外周縁部に隣接する位置に配置され、前記第2のばねは、前記第2の伝達板の外周縁部に隣接する位置に配置される。
【0028】
上記案のさらなる改良として、前記第1のばねと前記第2のばねの各々は、超合金を含む。超合金とする理由は、超合金が非磁性であり、高い強度を示し、優れた成形可能性、優れた耐食性と高い疲労強度を持つため、膨張空間内でカルコゲンガスが上記2つのばねを腐食することを避ける一方、その長い使用寿命により、上記底板の実際の使用寿命を伸ばすためである。
【0029】
さらに、上記超合金は、コバルトと、クロムと、ニッケルと、モリブデンとを含む。
【0030】
上記案のさらなる改良として、前記第1の伝達板には、ガス貯蔵空間内にガスを通過させる複数の通気孔が開けられている。
【0031】
上記案のさらなる改良として、前記第1のばねは、前記第1の伝達板の外周縁部に隣接した前記第1の伝達板の底面に接触するコイルばねを含み、前記第2のばねは、前記第2の伝達板の外周縁部に隣接した前記第2の伝達板の上面に接触するコイルばねを含む。
【0032】
上記案のさらなる改良として、上記隙間は、
前記隙間の上面及び/又は底面にあり、金属内壁及びキャビティとして実施される中空体を含み、第1の充填物が前記キャビティと前記隙間との接続口を塞ぐように前記キャビティに配置され、前記第1の充填物は、温度の上昇に伴い収縮し前記接続口を開放する。加熱状態では間隙とキャビティとが連通し、この状態では、前記中空体が吸盤構造を構成して基板の固定をより強固にするとともに、シールを組み合わせることで間隙内のカルコゲンを含むガスを低減させる。
【0033】
さらに、上記案のさらなる改良として、前記第1の充填物は先端が先細る形状であり、前記第1の充填物の先端は前記接続口に位置している。収縮過程では、第1の充填物の先端の径方向収縮と横方向収縮のいずれも、ガス通路をより速く連通させることができる。
【0034】
上記案のさらなる改良として、高温条件で第1の充填物の急速な縮小を実現するために、第1の充填物は、極めて優れた熱収縮特性を有するセラミック繊維材料を含む。
【0035】
上記案のさらなる改良として、カルコゲン濾過部材は、接続口に配置されている。これにより、キャビティ内に進入するガス内のカルコゲンを濾過除去する目的を達成し、カルコゲンの一次濾過除去を実現する。
【0036】
上記案のさらなる改良として、前記キャビティ内に脱硫ガスを貯蔵する脱硫空間が設けられ、ガスを吸入した後、脱硫空間を介して脱硫を行うことにより、隙間及び脱硫空間内のガスのカルコゲンを低減させる。
【0037】
上記案のさらなる改良として、前記脱硫ガスが塩基性ガスであり、好ましくはアンモニアガスであってもよい。
【0038】
上記案のさらなる改良として、位置制限部材は第1の充填物とキャビティとの間に配置される。この実施例では、脱硫空間は加熱後にガス放出状態となり、脱硫ガスを隙間内に進入させる。ガス通路が連通すると、両側の脱硫空間は金属内壁及び第2の充填物の作用下でシリンジに似た構造を形成し、脱硫ガスの押し出し作用を実現する。この過程で、脱硫ガスを隙間に注入することにより、隙間のガス脱硫動作を最大限に達成する。
【0039】
上記案のさらなる改良として、2つの金属内コールの間に、第1の充填物の直線移動用の位置制限空間が形成され、脱硫空間が金属内壁の他方側に位置し、該金属内壁は熱伝導性の良い部材であり、加熱過程において第1の充填物へ熱をより良く伝導させる一方で、第1の充填物及び第2の充填物が直線方向に徐々に収縮するように制限することで、第1の充填物を接続口からより良く離脱させる。
【0040】
上記方案のさらなる改良として、前記接続口には、入口部、縮径部、喉部及び拡径部が吸気方向に順に設けられ、キャビティから隙間への気体の流入を容易にするベンチュリ管式ガス通路を形成し、ベンチュリ管構造の流体に対する抵抗が小さい利点を利用して、隙間への気体の流入を容易にすると同時に、長期間使用しても閉塞が発生しにくく、前記プロセスフレームの寿命が長くなる。
【0041】
上記方案のさらなる改良として、前記第2の充填物は熱伝導性バルーン及び熱膨張性流体を含み、前記流体は熱伝導性バルーンと組み合わされて、温度によって膨張収縮しやすい熱変形構造を構成する。上記熱変形構造がより長い寿命を有する一方で、熱変形過程において第2の充填物の損傷はより発生しにくくなる。
【0042】
以下の説明及び図面を参照して、本発明の特定の実施形態を詳細に開示し、本発明の原理を適用できる方法を示している。本発明の実施形態は、それにより範囲が限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の精神及び条項の範囲内で、多くの変更、修正及び均等物を含むことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明におけるカバーが左側からプロセスフレームに挿入される構造模式図である。
【
図2】本発明における底板が備えられ、カバーが左側からプロセスフレームに挿入される構造模式図である。
【
図3】本発明における底板なし状態でのカバーが垂直に平行移動する変数を示す構造模式図である。
【
図4】本発明における底板あり状態でのカバーが垂直に平行移動する変数を示す構造模式図である。
【
図5】本発明におけるプロセスフレームの分離状態の第1の設計の構造模式図である。
【
図6】本発明におけるプロセスフレームの分離状態の第2の設計の構造模式図である。
【
図9】本発明における底板が支持棒である構造模式図である。
【
図10】本発明の外部金属ネットの構造模式図である。
【
図11】腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置の等角投影構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の目的、技術案及び利点をより明らかにするために、以下では、添付図面及び実施形態を用いて本発明をさらに詳しく説明する。しかしながら、ここで説明する具体的な実施形態は本発明を解釈するためだけに使われるのであって、本発明の範囲を限定するために使われるものではないと理解すべきである。
【0045】
なお、部品が別の部品に「設置される」、「設けられる」と説明される場合、それは、直接該別の部品に位置してもよく、中間の部品が存在してもよい。一つの部品が別の部品と「接続されている」、「互いに接続されている」とみなされる場合、それが該別の部品に直接接続されてもよく、或いは中間の部品が同時に存在してもよい。「固接」とは固定接続を意味し、固定接続には様々な方法が含まれ、本明細書の保護範囲として考えられない。本明細書で使用される用語「垂直」、「水平」、「左」、「右」、及びそれらに似た表現は、説明のためにのみ使用されるものであり、唯一の実施形態であることを意味するものではない。
【0046】
別途定義されていない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明の技術分野に属する技術者が一般に理解する意味と同じである。本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明する目的のためにのみ使用され、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、挙げられる一つ又は複数の関連項目のあらゆる全ての組み合せを含む。
【0047】
本発明では、明細書の添付図面について詳細に説明し、腐食性ガス内の金属基材の省エネルギー型熱処理装置の一実施形態は
図1及び
図2に示されている。従来のプロセスボックスのフレーム構造を元に、縁部を保護する付加機能を実現するために、基板2(すなわち鋼板又は箔材)をプロセスフレーム1に挿入することで、縁部をセレンから保護する。したがって、プロセスフレーム1の部分によりその表面及び基板2の下面をカバーしなければならない。そのため、前記プロセスフレーム1には、蒸発したカルコゲナイド元素又は余分なH
2Sに影響される開口領域が形成される。縁部に沿ったカバーエリアでは、微量のカルコゲン(Se、S)又は炭化水素(H
2Se、H
2S)のみが作用する。似た方法で下方から縁部を遮蔽することにより、チャンバ内にカルコゲンや炭化水素が残ったとしても、縁部が腐食されることはない。一方、基板2の背面側の外部エリアをプロセスフレーム1にカバーし返すことにより、底部からのカルコゲンの基板2の縁部への進入を保証することができる。プロセス空間が最小化されることにより、プロセスチャンバ内のカルコゲン濃度が大幅に低減するため、基板2の底面のバリア層を大幅に薄くすることができる。
【0048】
上記構造における基板2の下面外縁は、
一) プロセスフレーム1が基板の下面外縁を被覆し、又は
二) 放射場の底面が基板2の下面をカバーするように、基板2が放射場の底面に接触するように構成される。
【0049】
以上の構造から、最小の基板2加工プロセス空間は、プロセスフレーム1と、カバー3と、基板2とにより形成され、前記カバー3は、プロセスフレーム1上に配置され、プロセスフレーム1及び基板2と組み合わされて、放射場内のガスを隔離するガス遮断空間を形成する。
【0050】
移動式プロセスフレームの場合、カバーはプロセスフレームの蓋として使用され、該蓋はプロセスフレーム内に挿入されるか、又はプロセスフレーム上に配置される(
図3及び
図4参照)。固定式のプロセスヘッドの場合、蓋はプロセスフレーム上に残り、プロセスフレームと蓋は垂直な平行移動により、容積が減少したプロセス空間に変換される。ここで、
図3は底板なしの場合のこの変数を示し、
図4は底板ありの場合のこの変数を示している。例えば、
図4は、プロセスフレームが底板上に配置された場合を示すこともできる。
【0051】
より具体には、上記カバー3は、
1) 放射場内に位置し且つ静止状態を保ち、又は
2) プロセスフレーム1上に位置し且つプロセスフレーム1と一体構造を構成するように構成され、前記カバー3はプロセスフレーム1に挿入できる。あるいは、プロセスフレーム1の縁部から内側へ、カバーエリアは1mm以上且つ50mm以下でなければならない。スペースの無駄が少なくて済む一方、縁部の良い密閉性を確保するには、5mm~10mmが最適な選択であると考えられる。また、前記エリアは光電不活性である。例えば、後の工程では、前記エリアをバスバーの接触エリアとしてもよく、後で分離してもよい。
【0052】
基板2の下方には、基板2を支持し、腐食性ガスによる基板2の侵食を防止する底板4が配置されている。
【0053】
底板4については、プロセスフレーム1の構造に基づいてさらに改善し、上記の基板2とカバー3とを備えたプロセスフレーム1自体により、最小のプロセス空間を形成することができるようになり、すなわち、カルコゲン抑制に関しては、底板4がもはや不要である。底板4を無くすことで、熱質量を大幅に減少させるという利点もある。加えて、熱供給の非対称性が低減する。しかしながら、プロセスフレーム1の先行技術は、放射(ヒートシンクの放射とヒートシンクにより間接的に加熱されるカバー)のみにより上方からの熱供給を達成し、下方からの熱伝達は、一部が底板4と基板2との間の物理的接触による熱伝導により、一部が放熱により行われる。さらに複雑な時間的動的変化をもたらし、上部と下部で異なる電流放射性能により部分的にしか補うことができない。
【0054】
底板4に関して、本発明では、上記の方法とは異なる他の2つの設計も可能である。すなわち、前記プロセスフレーム1と底板4とを分離型配置構造であり、具体的には、以下のa)、b)の2つの態様を含む。
【0055】
a)
図5を参照すると、前記底板4は完全性を保ち、底板4は基板2をさらに支持する。例えば、前記底板4は、微結晶ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、CFK、グラファイトのうちの一つ又は複数からなり、底板4自体が腐食性ガスからの保護を提供している。この場合、封止が必要でなくなり、底板4がプロセスフレーム1内に嵌められるか、又はプロセスフレーム1が底板4上に取り付けられる。もちろん、底板4は、プロセスフレーム1内に追加されるか、又は支持部品により補強されるカーブフィルムであってもよい。
【0056】
b)
図6を参照すると、前記底板4は完全性を保ち、且つ放射場内に位置する。この構造では、底板4は再利用可能であり、一つの底板4を複数のプロセスフレーム1に対応させることができ、利用率が高く、加工コストを下げることができる。
【0057】
プロセスフレーム1に関しては、従来技術のプロセスボックスにおいて基板2が常にボックスフレームよりも小さい状況とは異なり、本発明には、基板2をプロセスフレーム1に挿入する以下の方法が可能である。
【0058】
いくつかの例において、
図5及び
図6を参照して、プロセスフレーム1の2つの可能な設計が示され、前記プロセスフレーム1は少なくとも2つの分離可能な部品により構成される。この場合、プロセスフレーム1は、少なくとも2つの分離可能な部品により構成され、基板2は下フレームに挿入又は載置され、上フレームが基板2の上面の縁部エリアを保護してカバーする。もちろん、側面から挿入するなどの他の構造を採用してもよい。
【0059】
いくつかの例において、プロセスフレーム1は一つの底板4を備え、基板2は底板4上に舗設され、プロセスフレーム1は底板4に取り付けられ、底板4とプロセスフレーム1により、基板2の縁部エリアを包括的に保護してカバーする。
【0060】
図8から
図10を参照し、プロセスフレーム1の機械的強度と加熱中の基板2の円滑な貯蔵が一つの重要な面であり、ガラス素材の基板2は高温では弾性変形により永久的に曲げられ、金属の場合、熱応力や機械的応力(自重など)により塑性変形(ここでは転位と結晶境界)する可能性もある。上記場合について、いくつかの例において、底板4に以下に示す改良が可能である。
【0061】
ロードフレーム上の外部ロッドにより支持し、前記外部ロッドについて次のような可能性について説明する。
【0062】
該外部ロッドは断面が円形又は矩形のロッドであって、その最小のエリアが箔材と平行である。
【0063】
前記外部ロッドが不透明、部分的に透明又は完全に透明である。
【0064】
グラファイト又は炭素繊維強化炭素が金属制金属棒を被覆する。
【0065】
石英、ホウケイ酸塩ガラス又は微結晶ガラス製のガラス棒である。
【0066】
接着剤又は低導電率材料の接着剤(セラミック接着剤など)を介して接続する。
【0067】
もちろん、フィルムをプロセスフレームの底板として機械的に挟持して、基板を刺激して支持することも可能である。
【0068】
外部の金属ワイヤネットにより刺激することも可能である(底板あり又は底板無し)。
【0069】
この構造において、底板4は複数の支持棒により構成される。
【0070】
図7を参照し、プロセスフレーム1が機械的に変形又は熱膨張した場合でも、ガス遮断空間が良好なシール性を有することを保証するために、そしてシール5のサイズは、ガス遮断空間が冷たい状態に保たれることを保証すべきであり、これは、残った水蒸気又は酸素ガスを取り出しやすくする。加熱時に、シール5はプロセスフレーム1よりも大きく膨張し、基板2とプロセスフレーム1との間の隙間6を閉じる。
【0071】
さらに、上記の構造の材料の組み合わせの例を以下に示す。グラファイトボックスフレーム(伸長係数2x10-6 K-1)又はCFK(繊維に垂直な0.5x10-6 K-1)。シール5:膨張係数が9×10-6 K-1の微結晶ガラス、10-13x10-6 K-1の酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム。シールの厚さは5mm、温度差は400K、長さの差は約0.1mmである。鋼基材も11-13x10-6 K-1の膨張係数で膨張することを考慮して、冷たい状態での隙間6の幅をやや大きくすることができる。
【0072】
前記隙間を実際に使用する場合、隙間6内にカルコゲンガスの一部が残留し、隙間6内に残留するカルコゲンガスの除去作業が非常に困難である。この場合、従来の構造を改良することで、カルコゲンガスの自動除去を実現することができる。
【0073】
いくつかの例において、
図11及び
図12を参照し、前記隙間6の上方又は下方に中空体7が開けられ、前記中空体7は金属内壁71とキャビティ72とから構成される。前記金属内壁71は、放射場及びプロセスフレーム1の温度を第1の充填物73に伝達するとともに、脱硫空間76として機能するように構成されている。金属内壁71の温度上昇を吸収するにつれて収縮する第1の充填物73は、キャビティ72と隙間6との接続口に配置される。第1の充填物73の収縮に伴い、隙間6とキャビティ72とを連通するガス通路74が形成される。
【0074】
本発明によれば、前記第1の充填物73は先端が先細る形状であり、前記第1の充填物73の先端は前記接続口に位置している。収縮過程では、第1の充填物73の先端の径方向収縮と横方向収縮のいずれも、ガス通路74をより速く連通させることができる。
【0075】
さらに、高温条件でガス通路74の急速な開放を実現するために、前記第1の充填物73は、極めて優れた熱収縮特性を有するセラミック繊維材料を含む。
【0076】
いくつかの実施例において、上記ガス内のカルコゲンをより良くろ過除去するために、カルコゲン濾過構造が設計される。好ましくは、一時濾過構造はカルコゲン濾過部材を使用し、該カルコゲン濾過部材はガス通路74上のカルコゲンを濾過除去するように構成され、ガス流路74に配置されている。これにより、キャビティ72内に進入するガス内のカルコゲンを濾過除去する目的を達成し、カルコゲンの一次濾過除去を実現する。二次濾過構造は、脱硫ガスを貯蔵し且つキャビティ72と金属内壁71との間に配置される脱硫空間76であり、ガスを吸入した後、脱硫空間76内の脱硫ガスを用いて脱硫することにより、隙間6及び脱硫空間76内のガスのカルコゲンを低減させる。例えば、前記脱硫ガスが塩基性ガスであり、好ましくはアンモニアガスであってもよい。
【0077】
脱硫空間76内のガスを隙間6内により良く押し込むために、温度上昇に伴って膨張する第2の充填物77を配置することで、脱硫空間76内に、脱硫ガスを押し出すピストン構造を形成する。この実施例では、脱硫空間76は加熱後にガス放出状態となり、脱硫ガスを隙間6内に進入させる。ガス通路74が連通すると、両側の脱硫空間76は金属内壁71及び第2の充填物77の作用下でシリンジに似た構造を形成し、脱硫ガスの押し出し作用を実現する。この過程で、脱硫ガスを隙間6に注入することにより、隙間6のガス脱硫動作を最大限に達成する。例えば、前記第2の充填物77は熱伝導性バルーン及び熱膨張性流体を含み、熱膨張性流体が一般的であるため、本発明では上記熱膨張流体材料についての説明を省く。前記熱伝導性バルーンには耐熱材料が使用される。前記流体は熱伝導性バルーンと組み合わされて、温度によって膨張収縮しやすい熱変形構造を構成する。上記熱変形構造がより長い寿命を有する一方で、熱変形過程において第2の充填物77の損傷はより発生しにくくなる。もちろん、第2の充填物として、熱膨張する固体構造を用いてもよいが、熱膨張する固体材料が一般的であるため、本発明ではそれについての説明を省く。
【0078】
さらに、金属内壁71の一方側とキャビティ72の内壁との間に、第1の充填物73の直線移動用の位置制限空間が形成され、脱硫空間76が金属内壁71の他方側に位置し、該金属内壁71は熱伝導性の良い部材であり、加熱過程において第1の充填物73へ熱をより良く伝導させる一方で、第1の充填物73及び第2の充填物77が直線方向に徐々に収縮するように制限することで、第1の充填物73を接続口からより良く離脱させる。
【0079】
さらに、前記ガス通路74には、入口部、縮径部、喉部及び拡径部が吸気方向に順に設けられ、キャビティ72から隙間6への気体の流入を容易にするベンチュリ管式ガス通路74を形成し、ベンチュリ管構造の流体に対する抵抗が小さい利点を利用して、隙間6への気体の流入を容易にすると同時に、長期間使用しても閉塞が発生しにくく、前記プロセスフレーム1の寿命が長くなる。
【0080】
本発明の実際の応用において、底板4の機械的強度を保証するために、底板4としては、圧されて割れにくい構造を採用する。本発明では、前記底板4について以下のような改良を施している。
【0081】
図13を参照し、底板4は、第1の伝達板41と、第2の伝達板42と、スペーサ43と、第1のばね44と、第2のばね45とを含み、具体的な応用において、スペシャル43はプロセスフレーム1の一部であってもよい。前記スペーサ43は、第1の伝達板41と第2の伝達板42を離間させ、第1の伝達板41の外周縁部と前記第2の伝達板42の外周縁部に設置されるように構成されている。第1のばね44が第1の伝達板41の底面とスペーサ43との間に配置されて第1の膨張空間を形成し、第2のばね45が第2の伝達板42の上面とスペーサ43との間に配置されて第2の膨張空間を形成する。具体的に、前記第1のばね44は、前記第1の伝達板41の外周縁部に隣接する位置に配置され、前記第2のばね45は、前記第2の伝達板42の外周縁部に隣接する位置に配置される。
【0082】
第1のばね44と第2のばね45を用いて、第1の伝達板41とスペーサ43、第2の伝達板42とスペーサ43との間に膨張空間を形成することで、熱膨張後の第1の伝達板41又は第2の伝達板42が狭い空間で圧されて割れるのを回避する。
【0083】
本開示の具体的な実施例において、前記第1のばね44と前記第2のばね45の各々は、超合金を含む。例えば、前記超合金は、コバルトと、クロムと、ニッケルと、モリブデンとを含む。超合金とする理由は、超合金が非磁性であり、高い強度を示し、優れた成形可能性、優れた耐食性と高い疲労強度を持つため、膨張空間内でカルコゲンガスが上記2つのばねを腐食することを避ける一方、その長い使用寿命により、前記底板4の実際の使用寿命を伸ばすためである。
【0084】
いくつかの実施例において、前記第1のばね44は、前記第1の伝達板41の外周縁部に隣接した前記第1の伝達板41の底面に接触するコイルばねを含み、前記第2のばね45は、前記第2の伝達板42の外周縁部に隣接した前記第2の伝達板42の上面に接触するコイルばねを含む。
【0085】
さらに、前記第1の伝達板41及び第2の伝達板42のいずれにも、ガス貯蔵空間内にガスを通過させる複数の通気孔411が開けられている。
【0086】
述べたのは本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するためのものではない。本願の要旨と原則の範囲内で行われる任意の修正、均等物による置換、又は改良等は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0087】
1 プロセスフレーム
2 基板
3 カバー
4 底板
5 シール
6 隙間
7 中空体
11 収容空間
41 第1の伝達板
42 第2の伝達板
43 スペーサ
44 第1のばね
45 第2のばね
46 ガス貯蔵空間
71 金属内壁
72 キャビティ
73 第1の充填物
74 ガス通路
75 カルコゲン濾過部材
76 脱硫空間
77 第2の充填物
411 通気孔
【国際調査報告】