(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】液晶化合物
(51)【国際特許分類】
C07C 69/92 20060101AFI20240903BHJP
C08F 120/30 20060101ALI20240903BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240903BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
C07C69/92 CSP
C08F120/30
G02F1/13 500
G02B5/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577392
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2022070602
(87)【国際公開番号】W WO2023006599
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518163910
【氏名又は名称】ロリク・テクノロジーズ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ROLIC TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】シャペレ,サブリナ
(72)【発明者】
【氏名】フォン・アルクス,トビアス
【テーマコード(参考)】
2H149
4H006
4J100
【Fターム(参考)】
2H149AA01
2H149AB23
2H149DA02
2H149FA26Y
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB92
4H006BJ50
4H006BP30
4H006BT30
4H006KA14
4H006KC14
4H006KC30
4H006KE10
4J100AL66P
4J100BA02P
4J100BA15P
4J100BC43P
4J100BC49P
4J100CA01
4J100DA61
4J100DA66
4J100FA03
4J100FA17
4J100FA30
4J100JA32
4J100JA39
(57)【要約】
本発明は、式(I)の新規な重合性液晶化合物、当該液晶化合物を含む液晶混合物、並びに光学及び電気光学デバイスのためのそれらの使用に関する。
[式中
AおよびBは非置換または置換の炭素環式または複素環式芳香族基を表し;
SP
1、SP
2およびSP
3は置換または非置換の直鎖または分岐C
1-C
18アルキレン基を表し、
X
1、X
2、X
3およびX
4は、-O-等からなる群より選択され;
BP
1およびBP
2は、重合性基を表し、
A
1、A
2、A
3およびA
4は、水素等からなる群より選択される]
で示される化合物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化36】
[式中
AおよびBは、それぞれ互いに独立して、5もしくは6個の原子の単環式環、隣接する2つの5もしくは6個の原子の単環式環、8、9もしくは10個の原子の二環式環系、または13もしくは14個の原子の三環式環系から選択される、非置換または置換の炭素環式または複素環式芳香族基を表し;
SP
1、SP
2およびSP
3は、それぞれ互いに独立して、置換または非置換の直鎖または分岐C
1-C
18アルキレン基を表し、ここで、1、2、3または4個以上のCH-
2、CHまたはC基は、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-S-、-NR’CO-、-COO-、-OOC-、-CONR’-、-OCOO-、-OCONR’からなる群より選択される基によって置き換えられていてもよいが、そのスペーサー基は、2個の隣接するヘテロ原子を含有せず;
X
1、X
2、X
3およびX
4は、それぞれ互いに独立して、-O-、-S-、-NR’-、-CO-、-COO-、-OOC-、-CONR’-、-OCOO-、-OCONR’および単結合からなる群より選択され;
R’は、水素、C
1-C
18アルキル基からなる群より選択され;
BP
1およびBP
2は、それぞれ互いに独立して、重合性基を表し、
A
1、A
2、A
3およびA
4は、それぞれ互いに独立して、水素、-OR、-COOR、-OCOR、-CONR、-OCOOR、-OCONRおよびC
1-C
18アルキル基からなる群より選択され、ここで
Rは、水素、5もしくは6個の原子の単環式環、隣接する2つの5もしくは6個の原子の単環式環、8、9もしくは10個の原子の二環式環系、または13もしくは14個の原子の三環式環系から選択される、非置換または置換の炭素環式または複素環式芳香族基;置換または非置換の直鎖または分岐C
1-18アルキル基からなる群より選択され、ここで、1、2、3または4個以上のCH-
2、CHまたはC基は、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-S-、-NR’CO-、-COO-、-OOC-、-CONR’-、-OCOO-、-OCONR’からなる群より選択される基によって置き換えられていてもよいが、そのスペーサー基は、2個の隣接するヘテロ原子を含有せず、ここで、R’’は、水素、C
1-C
18アルキル基からなる群より選択される]
で示される化合物。
【請求項2】
BP
1およびBP
2が、それぞれ互いに独立して、CH
2=C(Ph)-、CH
2=CW-COO-、CH
2=CH-COO-Ph-、CH
2=CW-CO-NH-、CH
2=CH-O-、CH
2=CH-OOC-、Ph-CH=CH-、CH
2=CH-Ph-、CH
2=CH-Ph-O-、R
3-Ph-CH=CH-COO-、R
3-OOC-CH=CH-Ph-O-および2-W-エポキシエチルからなる群より選択され、ここで
Wが、水素、クロリド、フェニルまたはC
1-C
6アルキルを表し、そして
R
3が、C
1-C
6アルキルを表すが、R
3がアリール基に結合している場合には、R
3は水素またはC
1-C
6アルコキシを表してもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
SP
1、SP
2およびSP
3が、それぞれ互いに独立して、置換または非置換の直鎖または分岐C
1-C
12アルキレン基を表し、ここで、1、2、3または4個以上のCH-
2、CHまたはC基は、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-S-、-NR’CO-、-COO-、-OOC-、-CONR’-、-OCOO-、-OCONR’からなる群より選択される基によって置き換えられていてもよいが、そのスペーサー基は、2個の隣接するヘテロ原子を含有しない、請求項1~2のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項4】
基X
1、X
2、X
3およびX
4が、それぞれ互いに独立して、-O-、-COO-、-OOC-、-OCOO-、および単結合からなる群より選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
基A
1およびA
2が、それぞれ互いに独立して、好ましくは、水素、-OR、-COOR、および-OCORからなる群より選択され、ここで、Rが、C
1-C
18アルキルおよび;フラン、ベンゼン、とりわけフェニレン;ピリジン、トリアジン、ピリミジン、ナフタレン、フェナントレン、ビフェニレンまたはテトラリン基からなる群より選択され、これらは置換されていてもよい、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
式(I)の化合物を含むLCP混合物。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物または請求項6に記載の混合物を重合した形態で含む、LCPネットワーク。
【請求項8】
LCPネットワークを形成する方法であって、
請求項1~5のいずれか一項記載の式(I)の化合物または請求項6に記載のLCP混合物を含むLCP層を形成すること、および
前記LCP層を重合することを含む、方法。
【請求項9】
光学または電気光学デバイスの製造における、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物または請求項6に記載の混合物の使用。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、請求項6に記載の混合物または請求項7に記載のネットワークを含む、光学または電気光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い光学異方性を有する置換硬化性液晶(LCP)、およびLCP分子の配向を制御できる実質的に均一なまたはパターン化されたフィルムの作製におけるそのようなLCPの使用に関する。
【0002】
ディスプレイ業界において、光学LCPフィルムは、例えば偏光子のための、光学または電気光学効果の提供または増大に使用されている。ディスプレイは、どんどん薄くなってきている。そのため、この業界から、リタデーションフィルムなどの、所望の光学または電気光学効果を提供するより薄い光学LCPフィルムの要望が高まっている。
【0003】
リタデーションフィルムは、通過した光の偏光状態を変化させる光学素子の一種である。光が位相リターダを通過すると、位相リターダの複屈折および厚みによりその偏光方向が変化する。位相リターダの作製における最大の課題の1つは、わずかな変化で高性能フィルムを作製することである。高い複屈折を有する液晶を使用すると、少量の液晶化合物で必要なリタデーション値を実現可能である。
【0004】
高い複屈折を有する高複屈折LCP材料は、薄い光学フィルム、とりわけ薄いリタデーションフィルムに近づくことができるだろう。
【0005】
したがって、本発明の任務は、高い複屈折を有し、光学フィルムに適用可能な、新たなLCP材料を探索することにあった。
【0006】
本発明の第一の局面は、式(I):
【化1】
AおよびBは、それぞれ互いに独立して、5もしくは6個の原子の単環式環、隣接する2つの5もしくは6個の原子の単環式環、8、9もしくは10個の原子の二環式環系、または13もしくは14個の原子の三環式環系から選択される、非置換または置換の炭素環式または複素環式芳香族基を表し;
SP
1、SP
2およびSP
3は、それぞれ互いに独立して、置換または非置換の直鎖または分岐C
1-C
18アルキレン基を表し、ここで、1、2、3または4個以上のCH-
2、CHまたはC基は、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-S-、-NR’CO-、-COO-、-OOC-、-CONR’-、-OCOO-、-OCONR’からなる群より選択される基によって置き換えられていてもよいが、そのスペーサー基は、2個の隣接するヘテロ原子を含有せず;
X
1、X
2、X
3およびX
4は、それぞれ互いに独立して、-O-、-S-、-NR’-、-CO-、-COO-、-OOC-、-CONR’-、-OCOO-、-OCONR’および単結合からなる群より選択され;
R’は、水素、C
1-C
18アルキル基からなる群より選択され;
BP
1およびBP
2は、それぞれ互いに独立して、重合性基を表し、
A
1、A
2、A
3およびA
4は、それぞれ互いに独立して、水素、-OR、-COOR、-OCOR、-CONR、-OCOOR、-OCONRおよびC
1-C
18アルキル基からなる群より選択され、ここで
Rは、水素;5もしくは6個の原子の単環式環、隣接する2つの5もしくは6個の原子の単環式環、8、9もしくは10個の原子の二環式環系、または13もしくは14個の原子の三環式環系から選択される、非置換または置換の炭素環式または複素環式芳香族基;置換または非置換の直鎖または分岐C
1-18アルキル基からなる群より選択され、ここで、1、2、3または4個以上のCH-
2、CHまたはC基は、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-S-、-NR’CO-、-COO-、-OOC-、-CONR’-、-OCOO-、-OCONR’からなる群より選択される基によって置き換えられていてもよいが、そのスペーサー基は、2個の隣接するヘテロ原子を含有せず、ここで、R’’は、水素、C
1-C
18アルキル基からなる群より選択される]
で示される化合物、好ましくは液晶を提供する。
【0007】
好ましいものは、
AおよびBが、それぞれ互いに独立して、5、6、10または14個の環原子を表し、
好ましくは、AおよびBが、それぞれ互いに独立して、非置換または置換されているフラン、ベンゼン、とりわけフェニレン;ピリジン、トリアジン、ピリミジン、ナフタレン、フェナントレン、ビフェニレンまたはテトラリン基を表し;
より好ましくは、AおよびBが、それぞれ互いに独立して、非置換または置換されているナフタレン、フェナントレン、ビフェニレンまたはフェニレンを表し;
最も好ましくは、AおよびBが、それぞれ互いに独立して、非置換または置換されているナフタレン、ビフェニレンまたはフェニレンを表し、そして
とりわけ最も好ましくは、Aが、フェニレンであり、Bが、ナフタレンであり、これらは、非置換または置換されており;
SP1、SP2およびSP3が、それぞれ互いに独立して、置換または非置換の直鎖または分岐C1-C18アルキレン基、好ましくはC1-C12アルキレン基、より好ましくはC1-C10アルキレン基、最も好ましくはC1-C8アルキレン基、とりわけ最も好ましくはC1-C6アルキレン基、一層とりわけ最も好ましくはC3-C6アルキレン基を表し、ここで、1、2、3または4個以上のCH-2、CHまたはC基は、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-S-、-NR’CO-、-COO-、-OOC-、-CONR’-、-OCOO-、-OCONR’からなる群より選択される基によって置き換えられていてもよいが、
そのスペーサー基は、2個の隣接するヘテロ原子を含有せず;好ましくは、ここで、1、2、3または4個以上のCH-2、CHまたはC基は置き換えられておらず;
X1、X2、X3およびX4が、それぞれ互いに独立して、-O-、-S-、-NR’-、-CO-、-COO-、-OOC-、-CONR’-、-OCOO-、-OCONR’および単結合からなる群より選択され;ここで、R’が、水素、C1-C18アルキル基、好ましくはC1-C6アルキル基、より好ましくはメチルまたはエチルからなる群より選択され;
好ましくは、X1、X2、X3およびX4が、それぞれ互いに独立して、-O-、-CO-、-COO-、-OOC-、-OCOO-、および単結合からなる群より選択され、より好ましくは、X1、X2、X3およびX4が、それぞれ互いに独立して、-O-、-COO-、-OOC-、および単結合からなる群より選択され;
BP1およびBP2が、それぞれ互いに独立して、重合性基を表し;好ましくは、基BP1およびBP2が、それぞれ互いに独立して、CH2=C(Ph)-、CH2=CW-COO-、CH2=CH-COO-Ph-、CH2=CW-CO-NH-、CH2=CH-O-、CH2=CH-OOC-、Ph-CH=CH-、CH2=CH-Ph-、CH2=CH-Ph-O-、R3-Ph-CH=CH-COO-、R3-OOC-CH=CH-Ph-O-および2-W-エポキシエチルからなる群より選択され、ここで
Wが、水素、クロリド、フェニルまたはC1-C6アルキルを表し、
R3が、C1-C6アルキルを表すが、R3がアリール基に結合している場合には、R3は水素またはC1-C6アルコキシを表してもよく;
とりわけ、基BP1およびBP2が、それぞれ互いに独立して、好ましくは、CH2=CW-COO-、CH2=CH-O-、およびCH2=CH-OOC-からなる群より選択され、ここで
Wが、水素、クロリド、アリールまたはC1-C6アルキル、好ましくは水素またはC1-C6アルキル、とりわけメチルまたはエチルを表し;
A1、A2、A3およびA4が、それぞれ互いに独立して、水素、-OR、-COOR、-OCOR、-CONR、-OCOOR、-OCONRおよびC1-C18アルキル基、好ましくはC1-C12アルキル基、より好ましくはC1-C10アルキル基、最も好ましくはC1-C8アルキル基、とりわけ最も好ましくはC1-C6アルキル基、一層とりわけ最も好ましくはC3-C6アルキル基からなる群より選択され、
Rが、水素、置換または非置換の直鎖または分岐C1-18アルキル基、好ましくはC1-C12アルキル基、より好ましくはC1-C10アルキル基、最も好ましくはC1-C8アルキル基、とりわけ最も好ましくはC1-C6アルキル基、一層とりわけ最も好ましくはC3-C6アルキル基からなる群より選択され;好ましくは、ここで、1、2、3または4個以上のCH-2、CHまたはC基は、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-S-、-NR’CO-、-COO-、-OOC-、-CONR’-、-OCOO-、-OCONR’からなる群より選択される基によって置き換えられていてもよいが、
そのスペーサー基は、2個の隣接するヘテロ原子を含有せず、
好ましくは、
Rが、水素、上記選好の範囲内の置換または非置換の直鎖または分岐C1-18アルキル基からなる群より選択され、その1、2個のCH-2、CHまたはC基は置き換えられておらず;
好ましくは、A3およびA4が同一であり、A1およびA2が同一であるかまたは同一でない、式(I)の化合物である。
【0008】
より好ましいものは、
AおよびBが、それぞれ互いに独立して、非置換または置換されているナフタレン、ビフェニレンまたはフェニレンを表し、
とりわけ最も好ましくは、Aが、フェニレンであり、Bが、ナフタレンであり、これらは、非置換または置換されており;
SP1、SP2およびSP3が同一であるか;またはSP1およびSP2が同一であるが、SP3とは異なり;ここで、SP1、SP2およびSP3が、置換または非置換の直鎖または分岐C1-C10アルキレン基、最も好ましくはC1-C8アルキレン基、とりわけ最も好ましくはC1-C6アルキレン基、一層とりわけ最も好ましくはC3-C6アルキレン基を表し、
ここで、1、2、3または4個以上のCH-2、CHまたはC基は、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-S-、-NR’CO-、-COO-、-OOC-、-CONR’-、-OCOO-、-OCONR’からなる群より選択される基によって置き換えられていてもよいが、
そのスペーサー基は、2個の隣接するヘテロ原子を含有せず;好ましくは、ここで、1、2、3または4個以上のCH-2、CHまたはC基は置き換えられておらず;
X1、X2、X3およびX4が同一であるか;またはX1およびX2が同一であるが、X3およびX4とは異なり;ここで、X1、X2、X3およびX4が、-O-、-S-、-NR’-、-CO-、-COO-、-OOC-、-CONR’-、-OCOO-、-OCONR’および単結合からなる群より選択され;ここで、R’が、水素、C1-C18アルキル基、好ましくはC1-C6アルキル基、より好ましくはメチルまたはエチルからなる群より選択され;
好ましくは、X1、X2、X3およびX4が、それぞれ互いに独立して、-O-,-CO-、-COO-、-OOC-、-OCOO-、および単結合からなる群より選択され、より好ましくは、X1、X2、X3およびX4が、それぞれ互いに独立して、-O-、-COO-、-OOC-、および単結合からなる群より選択され;
BP1およびBP2が、それぞれ互いに独立して、好ましくは、CH2=CW-COO-、CH2=CH-O-、およびCH2=CH-OOC-からなる群より選択され、
ここで
Wが、水素、クロリド、アリールまたはC1-C6アルキル、好ましくは水素またはC1-C6アルキル、とりわけメチルまたはエチルを表し;
A1、A2、A3およびA4が、それぞれ互いに独立して、水素、-OR、-COOR、-OCOR、およびC1-C18アルキル基、好ましくはC1-C12アルキル基、より好ましくはC1-C10アルキル基、最も好ましくはC1-C8アルキル基、とりわけ最も好ましくはC1-C6アルキル基、一層とりわけ最も好ましくはC3-C6アルキル基からなる群より選択され、
Rが、水素、置換または非置換の直鎖または分岐C1-18アルキル基、好ましくはC1-C12アルキル基、より好ましくはC1-C10アルキル基、最も好ましくはC1-C8アルキル基、とりわけ最も好ましくはC1-C6アルキル基、一層とりわけ最も好ましくはC3-C6アルキル基からなる群より選択され;好ましくは、ここで、1、2、3または4個以上のCH-2、CHまたはC基は、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-S-、-NR’CO-、-COO-、-OOC-、-CONR’-、-OCOO-、-OCONR’からなる群より選択される基によって置き換えられていてもよいが、
そのスペーサー基は、2個の隣接するヘテロ原子を含有せず、
好ましくは、
Rが、水素、上記選好の範囲内の置換または非置換の直鎖または分岐C1-18アルキル基からなる群より選択され、その1、2個のCH-2、CHまたはC基は置き換えられておらず;
好ましくは、A3およびA4が同一であり、A1およびA2が同一であるかまたは同一でない、式(I)の化合物である。
【0009】
本発明との関連で、「炭素環式または複素環式芳香族基」という表現は、好ましくは、5、6、10または14個の環原子、例えば、フラン、ベンゼン、ピリジン、トリアジン、ピリミジン、ナフタレン、フェナントレン、ビフェニレンまたはテトラリンの諸単位、好ましくはナフタレン、フェナントレン、ビフェニレンまたはフェニレン、より好ましくはナフタレン、ビフェニレンまたはフェニレン、最も好ましくはフェニレンとの意味を有する。
【0010】
本発明との関連で、「置換の炭素環式または複素環式芳香族基」という表現は、例えば、非置換であるかまたは単置換もしくは多置換されているという意味を有する。炭素環式または複素環式芳香族基の好ましい置換基は、少なくとも1つのハロゲン、ヒドロキシル、極性基、アクリロイルオキシ、アルキルアクリロイルオキシ、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アルキルオキソカルボニルオキシ、メタクリロイルオキシ、ビニル、ビニルオキシおよび/またはアリルオキシ基であり、ここで、アルキル残基は、好ましくは、1~20個の炭素原子を有し、より好ましくは、1~10個の炭素原子を有する。好ましい極性基は、ニトロ、シアノもしくはカルボキシ基、および/または、非置換、単置換もしくは多置換の環式、直鎖もしくは分岐C1-C18アルキルである。C1-C18アルキルの好ましい置換基は、メチル、フッ素および/または塩素であり、ここで、1つまたは複数の、好ましくは隣接していない、CH2基は、互いに独立して、連結基によって置き換えられていてよい。好ましくは、連結基は、-O-、-CO-、-COO-および/または-OCO-から選択される。
【0011】
本発明との関連で、「5もしくは6個の原子の単環式環」という表現は、例えば、フラン、ベンゼン、好ましくはフェニレン、ピリジン、ピリミジンの意味を有する。
【0012】
8、9もしくは10個の原子の二環式環系は、例えば、ナフタレン、ビフェニレンまたはテトラリンである。
【0013】
13もしくは14個の原子の三環式環系は、例えば、フェナントレンである。
【0014】
「フェニレン」という用語は、本発明との関連で使用される場合、好ましくは、1,2-、1,3-または1,4-フェニレン基を示し、それは、場合により置換されている。フェニレン基が1,3-フェニレン基または1,4-フェニレン基のいずれかであることが好ましい。1,4-フェニレン基がとりわけ好ましい。
【0015】
「ハロゲン」という用語は、クロロ、フルオロ、ブロモまたはヨード置換基、好ましくは、クロロまたはフルオロ置換基を示す。
【0016】
アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アクリロイルオキシアルコキシ、アクリロイルオキシアルキル、アクリロイルオキシアルケン、アルキルオキシカルボニルオキシ、アルキルアクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシアルコキシ、メタクリロイルオキシアルキル、メタクリロイルオキシアルケン、アルキルメタクリロイルオキシ、アルキルメタクリロイルオキシ、アルキルビニル、アルキルビニルオキシおよびアルキルアリルオキシならびにアルキレンでは、本発明との関連で使用される場合、それらのアルキル残基、それぞれそれらのアルキレン残基は、環式、直鎖または分岐の置換または非置換アルキル、それぞれアルキレンを示し、ここで、1つまたは複数の、好ましくは隣接していない、-CH
2-基は、連結基によって置き換えられていてよい;ここで、「連結基」という用語は、本発明との関連で使用される場合、好ましくは、
【化2】
から選択され、ここで:
R
1は、水素原子またはC
1-C
6アルキルを表し;
但し、連結基の酸素原子は、互いに直接連結していないものとする。
【0017】
さらに、アルキル残基は、例えば、C1-C18アルキル、とりわけC1-C12アルキル、好ましくはC1-C10アルキル、より好ましくはC1-C8アルキル、最も好ましくはC1-C6アルキルである。したがって、アリレンは、例えば、C1-C18アルキレン、とりわけC1-C12アルキレン、好ましくはC1-C10アルキレン、より好ましくはC1-C8アルキレン、最も好ましくはC1-C6アルキレンである。
【0018】
本発明との関連で、下に与えられるアルキルの定義は、アルキレンにも同様に適用可能である。
【0019】
C1-C6アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec.-ブチル、tert.-ブチル、ペンチルまたはヘキシルである。
【0020】
C1-C8アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec.-ブチル、tert.-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルである。
【0021】
C1-C10アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec.-ブチル、tert.-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルである。
【0022】
C1-C12アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec.-ブチル、tert.-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルである。
【0023】
C1-C18アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec.-ブチル、tert.-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルである。
【0024】
アルキル、アルキレンの置換基は、好ましくは、ヒドロキシ、エーテル基、エステル基、フッ素および/または塩素などのハロゲンである。
【0025】
好ましくは、本発明は、式(II):
【化3】
[式中
BP
1、BP
2、SP
1、SP
2、SP
3、X
1、X
2、X
3、X
4、A
1およびA
2は、上に与えられたものと同じ意味および選好を有する]
で示される化合物、好ましくは液晶を提供する。
【0026】
本発明の好ましい実施態様は、
A1およびA2が同一であり、好ましくは、-OR、-COOR、-OCOR、およびC1-C18アルキル基、好ましくはC1-C12アルキル基、より好ましくはC1-C10アルキル基、最も好ましくはC1-C8アルキル基、とりわけ最も好ましくはC1-C6アルキル基、一層とりわけ最も好ましくはC3-C6アルキル基からなる群より選択されるか、
または、A1が、水素、-OR、-COOR、-OCOR、およびC1-C18アルキル基、好ましくはC1-C12アルキル基、より好ましくはC1-C10アルキル基、最も好ましくはC1-C8アルキル基、とりわけ最も好ましくはC1-C6アルキル基、一層とりわけ最も好ましくはC3-C6アルキル基からなる群より選択され、そして
A2が水素である、式(II)で示される化合物、好ましくは液晶に関する。
【0027】
出発物質は、市販されているか、または容易に調製でき、当業者に周知である。
【0028】
本出願との関連の範囲内で使用されるようなLCP材料は、液晶モノマーおよび/または液晶オリゴマーおよび/または液晶ポリマーおよび/または架橋液晶を含む、液晶材料を意味するものとする。液晶材料が液晶モノマーを含む場合、そのようなモノマーは、典型的には、LCP材料において例えば配列層との接触により異方性が創出された後に、重合され得る。重合は、熱処理によってまたは化学線(好ましくはUV光を含む)への曝露によって開始され得る。LCP材料は、一種類の液晶化合物のみを含んでよいが、さらなる重合性および/または非重合性化合物を含んでもよく、これらの化合物のすべてが液晶化合物である必要はない。さらに、LCP材料は、限定されないが、酸化防止剤、開始剤、例えば光開始剤、促進剤、色素、阻害剤、活性化剤、充填剤、連鎖移動阻害剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、増稠剤、チキソトロープ剤、界面活性剤、粘度調整剤、伸展油、可塑剤、粘着付与剤、触媒、増感剤、安定剤、例えば、フェノール誘導体、例えば4-エトキシフェノールまたは2,6-ジ-tert-ブチル--4-メチル-フェノール(BHT)など、平滑剤;分散剤;ポリマー結合剤および/または重合によってポリマー結合剤に変換できるモノマー化合物、または、エマルション塗料および印刷用インクの場合、米国特許第5,798,147号に開示されているような分散助剤;疎水化剤、接着剤、流動性向上剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、補助剤、着色剤、色素および顔料、硬化阻害剤、例えばヒドロキノン、p-tert.-ブチルカテコール;2,6-ジ tert.-ブチル-p-メチルフェノール;フェノチアジン;N-フェニル-2-ナフチルアミン;またはEP 1 090 325 Bに記載されているような光配向性モノマーもしくはオリゴマーもしくはポリマー、キラル添加剤、等方性または異方性の蛍光および/または非蛍光色素、特に二色性色素を含む添加剤を含有してよい。
【0029】
本発明の化合物は、LCP混合物の調製において使用してよいことが理解されよう。そのような混合物は、式(I)の化合物と1つまたは複数の追加成分とを混合することによって調製され得る。有機溶剤をこれらの混合物の調製において使用してもよい。
【0030】
したがって、本発明の第二の局面は、式(I)の化合物と1つまたは複数の追加成分とを含むLCP混合物を提供する。
【0031】
LCP混合物はまた、適切な有機溶剤を含んでもよい。
【0032】
そのような液晶混合物の調製において使用してよい溶剤の例には、アセトン、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン(CH)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、N-エチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド(AN)、テトラヒドロフラン(THF)、1,3-ジオキソラン(DXG)、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセタート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル(EA)、1-メトキシ-2-プロパノールアセタート(MPA)、ガンマ-ブチロラクトン(BL)、プロピレングリコールモノアセタート、プロピレングリコールジアセタート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド(DMSO)が含まれるが、それらに限定されない。
【0033】
最も好ましいものは、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン(CH)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル(EA)、1-メトキシ-2-プロパノールアセタート(MPA)、1,3-ジオキソラン(DXG)、ジメチルスルホキシド(DMSO)である。
【0034】
二色性色素は、分子の長軸方向と短軸方向との間で吸光度が変動する色素のことを指す。二色性色素は、好ましくは、可視光を吸収する。二色性色素の例には、アゾ色素、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素およびアントラキノン色素が含まれる。これらの二色性色素は、個別にまたは組み合わせて使用することができる。液晶混合物の100質量部に対して使用される二色性色素の量は、0.01質量部~40質量部、好ましくは0.05質量部~15質量部である。
【0035】
本発明の化合物はまた、本発明の第一の局面に係るLCP化合物または本発明の第二の局面に係るLCP混合物を基板上にキャスティングすることにより、LCP層の形成において使用してもよい。
【0036】
したがって、本発明の第三の局面は、LCPネットワーク、好ましくはLCPフィルムを形成する方法であって、
式(I)の化合物または好ましくは式(I)の化合物を含むLCP混合物を含むLCP層を形成すること、および
LCP層を重合することを含む、方法を提供する。
【0037】
本発明はまた、本発明の第四の局面において、式(I)の化合物またはLCP混合物を架橋および/または重合された形態で含む、架橋および/または重合されたLCPネットワーク、好ましくはLCPフィルムも含む。
【0038】
LCPネットワーク、好ましくは、LCPフィルムは、好ましくは0.28~0.45(±0.01~0.02)の範囲の、より好ましくは0.30~0.40(±0.01)の範囲の、最も好ましくは0.31~0.40(±0.01)の範囲の、とりわけ最も好ましくは0.33~0.40(±0.01)の範囲の複屈折を有する。複屈折(Δn)は、エリプソメーターを用いた測定により、求められたリタデーション(ここでは550nmでの)および厚み値から、式(Δn=リタデーション/厚み)に従って得た。試料の厚みは、触針式段差計によって測定される。
【0039】
本発明の第五の局面は、光学または電気光学デバイスの作製における式(I)の化合物の使用を提供する。
【0040】
本発明の第三の局面に係る液晶混合物の光学または電気光学デバイスの作製における使用も、本発明のこの局面に含まれる。
【0041】
本発明の第六の局面は、式(I)の化合物を架橋された状態で含む光学または電気光学デバイスを提供する。
【0042】
本発明の第三の局面に係るLCP液晶混合物を架橋された状態で含む光学または電気光学デバイスも、本発明のこの局面に含まれる。
【0043】
LCP混合物は、支持体上に適用することができる。支持体は、剛性であっても可撓性であってもよく、任意の形態または形状を有することができる。例えば、支持体は、複雑な表面を備えた物体であり得る。原則として、支持体は、任意の材料から構成され得る。好ましくは、支持体は、プラスチック、ガラスもしくは金属を含むか、またはシリコンウェーハである。支持体が可撓性である場合、支持体は、プラスチックまたは金属箔であることが好ましい。好ましくは、支持体の表面は平坦である。いくつかの用途では、支持体は、マイクロレンズもしくはマイクロプリズムのような微細構造、または矩形構造などの形状の急激な変化を示す構造などの局所的表面構造を含み得る。好ましくは、支持体は、透明である。
【0044】
支持体は、LCP混合物の堆積の間、移動し得る。例えば、LCP混合物の層は、好ましくはプラスチックまたは金属製である移動している可撓性の箔上に材料組成物を堆積させることによって、連続式ロールツーロールプロセスで生産され得る。次いで、得られたフィルムを支持体箔と一緒にロール上に巻き取ってもよく、またはフィルムを支持体から剥離してもよく、フィルムは、その後、支持体なしで自立型フィルムとして巻き取られる。
【0045】
支持体は、有機層、誘電体層または金属層などの追加の層を有し得る。層は、様々な機能を有することができ、例えば、有機層は、コーティングされる材料の支持体との適合性を高めるプライマー層としてコーティングすることができる。金属層は、例えばディスプレイなどの電気光学デバイスにおいて使用されるときに電極として使用されてもよく、または反射体としての機能を有することもできる。また、支持体は、例えば薄膜トランジスタ、電極またはカラーフィルターを含み得るLCD用の基板など、特定の機能を有する光学素子またはデバイスであってもよい。別の例では、支持体は、OLED層構造を含むデバイスである。また、支持体は、リターダフィルム、偏光子、例えば偏光フィルムまたはシート偏光子、反射偏光子、例えば市販のVikuity(商標)DBEFフィルムとすることもできる。
【0046】
LCP混合物は、押出成形、キャスティング、成型、2Dもしくは3D印刷またはコーティングのような任意の適切な方法によって支持体に適用され得る。適切なコーティング法は、例えば、スピンコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、キスロールコーティング、ダイコーティング、ディッピング、ブラッシング、バーによるキャスティング、ローラコーティング、フローコーティング、ワイヤコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、カーテンコーティング、エアナイフコーティング、リバースロールコーティング、グラビアコーティング、メータリング・ロッド(Meyerバー)コーティング、スロットダイ(押出)コーティング、ローラコーティング、フレキソコーティングである。適切な印刷法には、シルクスクリーン印刷、レリーフ印刷、例えばフレキソグラフ印刷、ジェット印刷、凹版印刷、例えば直接グラビア印刷もしくはオフセットグラビア印刷、リソグラフ印刷、例えばオフセット印刷、またはステンシル印刷、例えばスクリーン印刷が含まれる。
【0047】
LCP混合物の層は、支持体の表面全体を覆う必要はない。むしろ、層は、例えば印刷によってパターンの形態で適用されてもよく、または、堆積後に、例えばフォトリソグラフィー法によってパターンの形態を有するように処理されてもよい。
【0048】
LCPの配列は、液晶を配列するための任意の公知の手段によって達成することができる。例えば、支持体は、配列表面を有していてよく、これは、該表面が液晶を配列する能力を有することを意味するものとする。支持体は、さらに処理することなく、予め配列を与えることができる。例えば、プラスチック基板を支持体として使用する場合、支持体は、製造方法、例えば基板の押出成形または延伸に起因して、表面上に配列を与えることができる。また、配列能を生じさせるために、支持体をブラシで擦るか、または方向性微細構造をインプリントすることも可能である。あるいは、とりわけ配列性能に関して設計された支持体上に、材料の薄層をコーティングしてもよい。層は、さらにブラシで擦るか、または例えばインプリンティングによって表面上に方向性微細構造を有するように処理されてもよい。薄層が光配向性物質を含む場合、配列光に曝露することによって配列を生じさせることができる。
【0049】
LCP層中の液晶の配向パターンを規定するために、基板の配列表面は、配列方向のパターンを示し得る。好ましくは、光配向性物質を含む配列層がこの目的のために使用され、そして、異なる偏光面の配列光に選択的に曝露することにより配列パターンが生じる。
【0050】
本発明では、本発明の式Iで示される高い複屈折を有する新たな化合物が見いだされた。さらに、式Iで示される化合物は、配列層により、好ましくは光配列材料を用いて低エネルギーで配列することができ、このことは、少ないエネルギー消費でより経済的なプロセスへの道を提供する。
【0051】
加えて、驚くべきことに、式Iで示される化合物は、結晶化なしに非常に良好な配列品質を示すことが見いだされた。
【0052】
本発明はこれから、以下の非限定的な例を参照して説明する。これらの例は、例証を目的として提供されるにすぎない。本発明の範囲内に含まれるこれらの例に対する変形は、当業者に明白であろう。
【実施例】
【0053】
例において使用される定義:
1H NMR:1H核磁気共鳴分光法
DMSO-d6:重水素化ジメチルスルホキシド
300MHz:300メガヘルツ
m:マルチプレット、d:ダブレット、dd:ダブレットダブレット、t:トリプレット、s:シングレット
DMF:ジメチルホルムアミド
HCl:塩酸
CH2Cl2:ジクロロメタン
THF:テトラヒドロフラン
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
CuI:ヨウ化銅
MgSO4:硫酸マグネシウム
【0054】
以下の例では、サーモトロピック相は、次のように略記される:
T(Cr-N):結晶相からネマチック相への転移温度
T(N-I):ネマチック相から等方性相への転移温度
【0055】
例1:プロピル 5-[2-[6-(3-プロパ-2-エノイルオキシプロポキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-[6-[4-[2-[6-(3-プロパ-2-エノイルオキシプロポキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-プロポキシカルボニル-フェノキシ]ヘキソキシ]ベンゾアート、化合物1の調製
【化4】
【0056】
3-[(6-エチニル-2-ナフチル)オキシ]プロパン-1-オール、化合物2の調製
【化5】
50mlのNMP中の20g(85.81mmol)の6-ブロモ-2-ナフトール、15.41g(111.55mmol)の炭酸カリウム、1.7g(10.29mmol)のヨウ化カリウムおよび12.16g(128.7mmol)の3-クロロプロパノールの混合物を80℃で18時間加熱する。次いで、溶液を冷却し、400mlの水/HCl溶液に注ぐ。得られた沈殿物を濾別し、200mlの水で2回洗浄する。残留物を、ヘキサン/酢酸エチルの1:1混合物を使用したシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによってさらに精製して、22.47gを与えた。ヘプタン/酢酸エチル(10:1)から再結晶化した後、18.6gの化合物2をオフホワイトの固体として得た。
【0057】
3-[[6-(2-トリメチルシリルエチニル)-2-ナフチル]オキシ]プロパン-1-オール、化合物3の調製
【化6】
ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(2.1g、2.99mmol)、CuI(799mg、4.195mmol)および化合物2を、83.4mlのトリエチルアミン中に投入する。混合物を25℃で15分間撹拌し、(トリメチルシリル)アセチレン(11.77g、119.8mmol)を加える。懸濁液を80℃で2時間撹拌した後、HClの溶液を滴下する。混合物を30分間撹拌し、次いで、hyfloシリカに通して濾別し、100mlの酢酸エチルで3回洗浄する。溶液を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を5mlの水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させる。溶媒を真空下で濃縮した後、残留物を、ヘキサン/酢酸エチルの1:1混合物を使用したシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、13.41gの化合物3を与える。
【0058】
3-[(6-エチニル-2-ナフチル)オキシ]プロパン-1-オール、化合物4の調製
【化7】
12.4g(89.79mmol)の炭酸カリウムを、135mlのメタノール中の化合物3の溶液に数回に分けて加える。室温で1時間撹拌した後、反応混合物をHyflo/シリカで濾別し、次いで、25mlのメタノールで3回洗浄する。次いで、溶液をHCl水溶液に注ぎ、次いで、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層をMgSO
4で乾燥させる。真空下で濃縮した後、10.84gの化合物4が黄色を帯びた固体として得られる。
【0059】
プロピル 5-ヨード-2-[6-(4-ヨード-2-プロポキシカルボニル-フェノキシ)ヘキソキシ]ベンゾアート、化合物5の調製
【化8】
35mlのDMF中の9.24g(30.18mmol)のプロピル 2-ヒドロキシ-5-ヨード-ベンゾアート、5.42g(39.24mmol)の炭酸カリウム、601mg(3.62mmol)のヨウ化カリウムおよび3.68g(15.09mmol)の1,6-ジブロモブタンの混合物を80℃で5時間加熱する。次いで、溶液を冷却し、400mlの水/HCl溶液に注ぐ。得られた沈殿物を濾別し、50mlの水で2回洗浄する。アセトニトリル中での再結晶化による精製は、9.44gの化合物5をオフホワイトの固体として与える。
【0060】
プロピル 5-[2-[6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-[6-[4-[2-[6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-プロポキシカルボニル-フェノキシ]ヘキソキシ]ベンゾアート、化合物6の調製
【化9】
ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(202mg、0.288mmol)、CuI(109mg、0.576mmol)、およびプロピル 5-ヨード-2-[6-(4-ヨード-2-プロポキシカルボニル-フェノキシ)ヘキソキシ]ベンゾアート(4g、5.765mmol)、8.02mlのトリエチルアミン(57.65mmol)を40mlのDMF中に投入する。混合物を25℃で15分間撹拌し、3-[(6-エチニル-2-ナフチル)オキシ]プロパン-1-オール(2.87g、12.68mmol)を加える。懸濁液を室温で8時間撹拌した後、HClの溶液を加え、混合物を30分間撹拌する。次いで、反応混合物をHyflo/シリカに通して濾別し、100mlの酢酸エチルで3回洗浄する。溶液を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させる。溶媒を真空下で濃縮した後、残留物を、ヘキサン/酢酸エチルの1:1混合物を使用したシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、4.33gの化合物6を与える。
【0061】
プロピル 5-[2-[6-(3-プロパ-2-エノイルオキシプロポキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-[6-[4-[2-[6-(3-プロパ-2-エノイルオキシプロポキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-プロポキシカルボニル-フェノキシ]ヘキソキシ]ベンゾアート、化合物1の調製
45mLのTHFおよび2.65g(26.24mmol)のトリエチルアミン中の4.33g(4.859mmol)の化合物6に、4-ジメチルアミノピリジン(118.7mg、0.97mmol)を加える。この溶液を0℃まで冷却し、アクリロイルジクロリド(2.2g、24.29mmol)を滴下する。次いで、溶液を室温まで温め、それを18時間撹拌させる。残留物を、ヘキサン/酢酸エチルの1:1混合物を使用したシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、1.2gのオフホワイトの固体の化合物1を与える。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.08 (s, 2H), 7.82 (m, 6H), 7.80 (dd, 2H), 7.55 (dd, 2H), 7.37 (d, 2H), 7.19 (m, 4H), 6.35 (dd, 2H), 6.19 (m, 2H), 5.95 (dd, 2H), 4.32 (t, 4H), 4.20 (q, 8H), 4.10 (t, 4H), 2.16 (qt, 4H), 1.70 (m, 8H), 1.52 (m, 4H), 0.96 (t, 6H)
【0062】
液晶相転移:偏光顕微鏡を用いて交差偏光子下で化合物1を観察し、その相転移温度を判定した。結果として、温度が上昇すると、結晶相は105.8℃(T(Cr-N))でネマチック相に変化し、等方性相は、125.7℃(T(N-I))で出現した。
【0063】
例2:プロピル 5-[2-[6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-[6-[4-[2-[6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)-2-ナフチル]エチニル]フェノキシ]ヘキソキシ]ベンゾアート、化合物7の調製
【化10】
【0064】
6-[(6-ブロモ-2-ナフチル)オキシ]ヘキサン-1-オール、化合物8aの調製
【化11】
化合物8aは、例1に記載される化合物2についてのプロセスに従って調製されるが、但し、3-クロロプロパノールを3-ブロモヘキサノールに置き換えるものとする。
【0065】
6-[[6-(2-トリメチルシリルエチニル)-2-ナフチル]オキシ]ヘキサン-1-オール、化合物8bの調製
【化12】
化合物8bは、例1に記載される化合物3についてのプロセスに従って調製されるが、但し、化合物2を化合物8aに置き換えるものとする。
【0066】
6-[(6-エチニル-2-ナフチル)オキシ]ヘキサン-1-オール、化合物9の調製
【化13】
化合物9は、例1に記載される化合物4についてのプロセスに従って調製されるが、但し、化合物3を化合物8bに置き換えるものとする。
【0067】
1-(6-クロロヘキソキシ)-4-ヨード-ベンゼン、化合物10の調製
【化14】
250mlのTHF中の4-ヨードフェノール(25g、113.6mmol)の溶液に、6-クロロヘキサノール(19.4g、142mmol)およびトリフェニルホスフィン(37.25g、142mmol)を加える。混合物を0℃まで冷却し、250mlのTHF中のジイソプロピルアゾジカルボキシラート(28.72g、142mmol)を滴下する。添加後、反応物を室温まで冷まし、18時間撹拌する。次いで、溶液を真空下で濃縮し、残留物を、ヘキサン/酢酸エチルの1:4混合物を使用したシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、35.4gのオフホワイトの固体の化合物10を与える。
【0068】
プロピル 5-ヨード-2-[6-(4-ヨードフェノキシ)ヘキソキシ]ベンゾアート、化合物11の調製
【化15】
40mlのDMF中の12.05g(39.37mmol)のプロピル 2-ヒドロキシ-5-ヨード-ベンゾアート、7.07g(51.18mmol)の炭酸カリウム、784mg(4.73mmol)のヨウ化カリウムの混合物に、50mlのDMF中の20g(50.06mmol)の1-(6-クロロヘキソキシ)-4-ヨード-ベンゼンを滴下する。80℃で18時間加熱した後、次いで、溶液を冷却し、400mLの水/HCl溶液に注ぐ。得られた沈殿物を濾別し、ヘキサン/酢酸エチルの9:1混合物を使用したシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、23.3gの黄色を帯びた固体の化合物11を与える。
【0069】
プロピル 5-[2-[6-(6-ヒドロキシヘキソキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-[6-[4-[2-[6-(6-ヒドロキシヘキソキシ)-2-ナフチル]エチニル]フェノキシ]ヘキソキシ]ベンゾアート、化合物12の調製
【化16】
化合物12は、例1に記載される化合物6についてのプロセスに従って調製されるが、但し、化合物5を化合物11に置き換えるものとする。
【0070】
プロピル 5-[2-[6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-[6-[4-[2-[6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)-2-ナフチル]エチニル]フェノキシ]ヘキソキシ]ベンゾアート、化合物7の調製
化合物7は、例1に記載される化合物1についてのプロセスに従って調製されるが、但し、化合物6を化合物12に置き換えるものとする。
1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ: 7.91 (dd, 3H), 7.70 (m, 4H), 7.60 (dd, 1H), 7.55-7.40 (m, 4H), 7.20 (m, 1H), 7.16-7.08 (m, 4H), 6.91 (d, 1H), 6.33 (dd, 2H), 6.11 (dd, 2H), 5.77 (dd, 2H), 4.22 (t, 2H), 4.11 (m, 10H), 4.02 (t, 2H), 1.9-1.4 (m, 26H), 1.03 (t, 3H)
液晶相転移:T(Cr-N):83.3℃、T(N-I):146.3℃
【0071】
例3:メチル 2-[6-[2-メトキシカルボニル-4-[2-[6-(11-プロパ-2-エノイルオキシウンデコキシ)-2-ナフチル]エチニル]フェノキシ]ヘキソキシ]-5-[2-[6-(11-プロパ-2-エノイルオキシウンデコキシ)-2-ナフチル]エチニル]ベンゾアート、化合物14の調製
【化17】
【0072】
11-[(6-ブロモ-2-ナフチル)オキシ]ウンデカン-1-オール、化合物15の調製
【化18】
化合物15は、例1に記載される化合物2についてのプロセスに従って調製されるが、但し、3-クロロプロパノールを11-ブロモウンデカノールに置き換えるものとする。
【0073】
11-[[6-(2-トリメチルシリルエチニル)-2-ナフチル]オキシ]ウンデカン-1-オール、化合物16の調製
【化19】
化合物16は、例1に記載される化合物3についてのプロセスに従って調製されるが、但し、化合物2を化合物15に置き換えるものとする。
【0074】
11-[(6-エチニル-2-ナフチル)オキシ]ウンデカン-1-オール、化合物17の調製
【化20】
化合物17は、例1に記載される化合物4についてのプロセスに従って調製されるが、但し、化合物3を化合物16に置き換えるものとする。
【0075】
メチル 5-ヨード-2-[6-(4-ヨード-2-メトキシカルボニル-フェノキシ)ヘキソキシ]ベンゾアート、化合物18の調製
【化21】
化合物18は、例1に記載される化合物5についてのプロセスに従って調製されるが、但し、プロピル 2-ヒドロキシ-5-ヨード-ベンゾアートをメチル 2-ヒドロキシ-5-ヨード-ベンゾアートに置き換えるものとする。
【0076】
メチル 5-[2-[6-(11-ヒドロキシウンデコキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-[6-[4-[2-[6-(11-ヒドロキシウンデコキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-メトキシカルボニル-フェノキシ]ヘキソキシ]ベンゾアート、化合物19の調製
【化22】
化合物19は、例1に記載される化合物6についてのプロセスに従って調製されるが、但し、化合物5を化合物18に置き換えるものとする。
【0077】
メチル 2-[6-[2-メトキシカルボニル-4-[2-[6-(11-プロパ-2-エノイルオキシウンデコキシ)-2-ナフチル]エチニル]フェノキシ]ヘキソキシ]-5-[2-[6-(11-プロパ-2-エノイルオキシウンデコキシ)-2-ナフチル]エチニル]ベンゾアート、化合物14の調製
化合物14は、例1に記載される化合物1についてのプロセスに従って調製されるが、但し、化合物6を化合物19に置き換えるものとする。
1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ: 7.94 (d, 2H), 7.90 (d, 2H), 7.70 (dd, 4H), 7.60 (dd, 2H), 7.47 (dd, 2H), 7.13 (m, 6H), 6.32 (dd, 2H), 6.10 (dd, 2H), 5.78 (dd, 2H), 4.10 (m, 12H), 3.82 (s, 6H), 1.9-1.75 (m, 8H), 1.75-1.35 (m, 18H)
液晶相転移:T(Cr-N):110.6℃、T(N-I):120.8℃
【0078】
例4:プロピル 5-[2-[6-(5-プロパ-2-エノイルオキシペントキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-[6-[4-[2-[6-(5-プロパ-2-エノイルオキシペントキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-プロポキシカルボニル-フェノキシ]ヘキソキシ]ベンゾアート、化合物20の調製
【化23】
【0079】
5-[(6-ブロモ-2-ナフチル)オキシ]ペンタン-1-オール、化合物21の調製
【化24】
化合物21は、例1に記載される化合物2についてのプロセスに従って調製されるが、但し、3-クロロプロパノールを5-ブロモペンタノールに置き換えるものとする。
【0080】
5-[[6-(2-トリメチルシリルエチニル)-2-ナフチル]オキシ]ペンタン-1-オール、化合物22の調製
【化25】
化合物22は、例1に記載される化合物3についてのプロセスに従って調製されるが、但し、化合物2を化合物21に置き換えるものとする。
【0081】
5-[(6-エチニル-2-ナフチル)オキシ]ペンタン-1-オール、化合物23の調製
【化26】
化合物23は、例1に記載される化合物4についてのプロセスに従って調製されるが、但し、化合物3を化合物22に置き換えるものとする。
【0082】
プロピル 5-[2-[6-(5-ヒドロキシペントキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-[6-[4-[2-[6-(5-ヒドロキシペントキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-プロポキシカルボニル-フェノキシ]ヘキソキシ]ベンゾアート、化合物24の調製
【化27】
化合物24は、例1に記載される化合物6についてのプロセスに従って調製されるが、但し、化合物4を化合物23に置き換えるものとする。
【0083】
プロピル 5-[2-[6-(5-プロパ-2-エノイルオキシペントキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-[6-[4-[2-[6-(5-プロパ-2-エノイルオキシペントキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-プロポキシカルボニル-フェノキシ]ヘキソキシ]ベンゾアート、化合物20の調製
化合物20は、例1に記載される化合物1についてのプロセスに従って調製されるが、但し、化合物6を化合物24に置き換えるものとする。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.07 (s, 2H), 7.80 (m, 6H), 7.71 (dd, 2H), 7.53 (dd, 2H), 7.34 (d, 2H), 7.20 (m, 4H), 6.32 (dd, 2H), 6.18 (m, 2H), 5.93 (dd, 2H), 4.14 (m, 16H), 1.73 (m, 16H), 1.52 (m, 8H), 0.96 (t, 6H)
液晶相転移:T(Cr-N):123℃、T(N-I):126.9℃
【0084】
例5:プロピル 5-[2-[6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-[6-[4-[2-[5-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-プロポキシカルボニル-フェノキシ]ヘキソキシ]ベンゾアート、化合物25の調製
【化28】
【0085】
プロピル 5-[2-[6-(6-ヒドロキシヘキソキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-[6-[4-[2-[6-(6-ヒドロキシヘキソキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-プロポキシカルボニル-フェノキシ]ヘキソキシ]ベンゾアート、化合物26の調製
【化29】
化合物26は、例1に記載される化合物6についてのプロセスに従って調製されるが、但し、化合物4を化合物9に置き換えるものとする。
【0086】
プロピル 5-[2-[6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-[6-[4-[2-[5-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-プロポキシカルボニル-フェノキシ]ヘキソキシ]ベンゾアート、化合物25の調製
化合物25は、例1に記載される化合物1についてのプロセスに従って調製されるが、但し、化合物6を化合物26に置き換えるものとする。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.07 (s, 2H), 7.80 (m, 6H), 7.71 (dd, 2H), 7.53 (dd, 2H), 7.34 (d, 2H), 7.20 (m, 4H), 6.32 (dd, 2H), 6.18 (m, 2H), 5.93 (dd, 2H), 4.13 (m, 16H), 1.73 (m, 16H), 1.50 (m, 12H), 0.96 (t, 6H)
液晶相転移:T(Cr-N):103.5℃、T(N-I):117℃
【0087】
例6:プロピル 5-[2-[6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-[4-[4-[2-[6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)-2-ナフチル]エチニル]フェノキシ]ブトキシ]ベンゾアート、化合物30の調製
【化30】
【0088】
プロピル 5-ヨード-2-[4-(4-ヨードフェノキシ)ブトキシ]ベンゾアート、化合物31の調製
【化31】
化合物31は、例2に記載される化合物11についてのプロセスに従って調製されるが、但し、1-(6-クロロヘキソキシ)-4-ヨード-ベンゼンを1-(6-クロロブトキシ)-4-ヨード-ベンゼンに置き換えるものとする。
【0089】
プロピル 5-[2-[6-(6-ヒドロキシヘキソキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-[4-[4-[2-[6-(6-ヒドロキシヘキソキシ)-2-ナフチル]エチニル]フェノキシ]ブトキシ]ベンゾアート、化合物32の調製
【化32】
化合物32は、例2に記載される化合物12についてのプロセスに従って調製されるが、但し、化合物11を化合物31に置き換えるものとする。
【0090】
プロピル 5-[2-[6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)-2-ナフチル]エチニル]-2-[4-[4-[2-[6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)-2-ナフチル]エチニル]フェノキシ]ブトキシ]ベンゾアート、化合物30の調製
化合物30は、例1に記載される化合物1についてのプロセスに従って調製されるが、但し、化合物6を化合物31に置き換えるものとする。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.05 (s, 2H), 7.82 (m, 4H), 7.72 (dd, 2H), 7.52 (m, 4H), 7.34 (s, 2H), 7.21 (m, 3H), 7.00 (d, 2H), 6.32 (dd, 2H), 6.17 (m, 2H), 5.92 (dd, 2H), 4.14 (m, 14H), 1.92 (m, 4H), 1.79-1.60 (m, 10H), 1.44 (m, 5H), 0.96 (t, 6H)
液晶相転移:T(Cr-N):85.1℃、T(N-I):158.3℃
【0091】
例7:エチル 2-[6-[2-エトキシカルボニル-4-[2-[6-(3-プロパ-2-エノイルオキシプロポキシ)-2-ナフチル]エチニル]フェノキシ]ヘキソキシ]-5-[2-[6-(3-プロパ-2-エノイルオキシプロポキシ)-2-ナフチル]エチニル]ベンゾアート、化合物33の調製
【化33】
【0092】
エチル 2-[6-(2-エトキシカルボニル-4-ヨード-フェノキシ)ヘキソキシ]-5-ヨード-ベンゾアート、化合物34の調製
【化34】
化合物34は、例1に記載される化合物5についてのプロセスに従って調製されるが、但し、プロピル 2-ヒドロキシ-5-ヨード-ベンゾアートをエチル 2-ヒドロキシ-5-ヨード-ベンゾアートに置き換えるものとする。
【0093】
エチル 2-[6-[2-エトキシカルボニル-4-[2-[6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-2-ナフチル]エチニル]フェノキシ]ヘキソキシ]-5-[2-[6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-2-ナフチル]エチニル]ベンゾアート、化合物35の調製
【化35】
化合物35は、例1に記載される化合物6についてのプロセスに従って調製されるが、但し、化合物5を化合物34に置き換えるものとする。
【0094】
エチル 2-[6-[2-エトキシカルボニル-4-[2-[6-(3-プロパ-2-エノイルオキシプロポキシ)-2-ナフチル]エチニル]フェノキシ]ヘキソキシ]-5-[2-[6-(3-プロパ-2-エノイルオキシプロポキシ)-2-ナフチル]エチニル]ベンゾアート、化合物33の調製
化合物33は、例1に記載される化合物1についてのプロセスに従って調製されるが、但し、化合物6を化合物35に置き換えるものとする。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.07 (s, 2H), 7.82 (m, 6H), 7.70 (dd, 2H), 7.54 (dd, 2H), 7.37 (d, 2H), 7.20 (m, 4H), 6.36 (dd, 2H), 6.19 (m, 2H), 5.95 (dd, 2H), 4.25 (m, 12H), 4.09 (t, 4H), 2.16 (qt, 4H), 1.76 (m, 4H), 1.53 (m, 4H), 1.30 (t, 6H)
液晶相転移:T(Cr-N):123.5℃、T(N-I):143℃
【0095】
例8:光配列材料を使用した配向層の作製
ガラス基板に、光配列組成物(特許公報WO2012/085048に記載されているようなシクロペンタノン中3%固形分の光配列材料:光活性ポリマー材料を液晶の配向層として使用する)をスピンコーティングする。フィルムを180℃で10分間乾燥させ、生じたフィルム厚は約100nmである。次いで、フィルムを、平行な直線偏光されたUV(LPUV)光(280~320nm)である配列光に250mJ/cm2で曝露する。偏光面は、基板上の基準縁に対して0°である。
【0096】
例9:化合物1フィルムの作製
13.552重量%の化合物1、0.140重量%の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.280重量%のIrgacure(登録商標)369(Irgacure(登録商標)369は、化学構造2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1を有する)、0.028重量%のBYK(登録商標)378(無溶剤シリコーンレベリング剤)をシクロペンタノン中で混合することによって14.0重量%の溶液を調製し、固形物が完全に溶解するまで室温で十分撹拌する。上記ポリマー溶液を、例8の配向層を備えたガラスプレートにスピンコーティングし、液晶フィルムを形成した。このフィルムを温度制御ホットプレート上にて108℃で1分30秒乾燥させる。試料を室温まで冷まし、次いで、水銀ランプを使用して、N2雰囲気下、室温20~25℃でおよそ2分間UV光を照射することにより光重合させ、液晶の配向状態を固定する。
【0097】
得られた例9のフィルムは、室温で非常に良好に配向されたネマチック中間相を示した。
【0098】
例10:化合物25フィルムの作製
14.775重量%の化合物25、0.075重量%の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.150重量%のIrgacure(登録商標)369をシクロヘキサノン中で混合することによって15.0重量%の溶液を調製し、固形物が完全に溶解するまで室温で十分撹拌する。上記ポリマー溶液を、例8の配向層を備えたガラスプレートにスピンコーティングし、液晶フィルムを形成した。このフィルムを温度制御ホットプレート上にて110℃で5分間乾燥させる。試料を室温20~25℃まで冷まし、次いで、水銀ランプを使用して、N2雰囲気下、室温でおよそ2分間UV光を照射することにより光重合させ、液晶の配向状態を固定する。
【0099】
得られた例10のフィルムは、室温で非常に良好に配向されたネマチック中間相を示した。
【0100】
例11:化合物4フィルムの作製
7.3875重量%の化合物4、0.0375重量%の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.075重量%のIrgacure(登録商標)369をシクロヘキサノン中で混合することによって7.5重量%の溶液を調製し、固形物が完全に溶解するまで室温で十分撹拌する。上記ポリマー溶液を、例8の配向層を備えたガラスプレートにスピンコーティングし、液晶フィルムを形成した。このフィルムを温度制御ホットプレート上にて120℃で5分間乾燥させる。試料を室温まで冷まし、次いで、水銀ランプを使用して、N2雰囲気下、室温でおよそ2分間UV光を照射することにより光重合させ、液晶の配向状態を固定する。
【0101】
得られた例11のフィルムは、室温で中程度の配列品質で配向されたネマチック中間相を示した。
【0102】
例12:化合物7フィルムの作製
14.370重量%の化合物7、0.300重量%の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.300重量%のIrgacure(登録商標)369をシクロペンタノン/3-ジオキソラン60/40中で混合することによって15重量%の溶液を調製し、固形物が完全に溶解するまで室温で十分撹拌する。上記ポリマー溶液を、例8の配向層を備えたガラスプレートにスピンコーティングし、液晶フィルムを形成した。このフィルムを温度制御ホットプレート上にて130℃で5分間乾燥させる。試料を室温まで冷まし、次いで、水銀ランプを使用して、N2雰囲気下、室温20~25℃でおよそ2分間UV光を照射することにより光重合させ、液晶の配向状態を固定する。
【0103】
得られた例12のフィルムは、室温で非常に良好に配向されたネマチック中間相を示した。
【0104】
例13:化合物20フィルムの作製
14.520重量%の化合物20、0.150重量%の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.300重量%のIrgacure(登録商標)369および0.030重量%のBYK(登録商標)378をシクロペンタノン中で混合することによって15重量%の溶液を調製し、固形物が完全に溶解するまで室温で十分撹拌する。上記ポリマー溶液を、例8の配向層を備えたガラスプレートにスピンコーティングし、液晶フィルムを形成した。このフィルムを温度制御ホットプレート上にて108℃で1分30秒乾燥させる。試料を室温まで冷まし、次いで、水銀ランプを使用して、N2雰囲気下、室温20~25℃でおよそ2分間UV光を照射することにより光重合させ、液晶の配向状態を固定する。
【0105】
得られた例13のフィルムは、室温で非常に良好に配向されたネマチック中間相を示した。
【0106】
例14:化合物30フィルムの作製
14.520重量%の化合物30、0.150重量%の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.300重量%のIrgacure(登録商標)369および0.030重量%のTego Flow 0.300をシクロペンタノン中で混合することによって15重量%の溶液を調製し、固形物が完全に溶解するまで室温で十分撹拌する。上記ポリマー溶液を、例8の配向層を備えたガラスプレートにスピンコーティングし、液晶フィルムを形成した。このフィルムを温度制御ホットプレート上にて148℃で5分間乾燥させる。試料を室温まで冷まし、次いで、水銀ランプを使用して、N2雰囲気下、室温20~25℃でおよそ2分間UV光を照射することにより光重合させ、液晶の配向状態を固定する。
【0107】
得られた例14のフィルムは、室温で非常に良好に配向されたネマチック中間相を示した。
【0108】
例15:
例9、例10、例11、例12、例14に記載される試料の550nmでのリタデーションをエリプソメーターで測定する。試料の厚みを触針式段差計によって測定する。複屈折(Δn)を、決定されたリタデーションおよび厚み値から、式(Δn=リタデーション/厚み)に従って得た。値を表1に列記する。
【0109】
【0110】
例9、10、11、12、14のフィルムは、0.31~0.39の範囲の高い複屈折を有する。これらの新たなLCPは、1/4波長板(QWP)および1/2波長板(HWP)として位相リターダ光学フィルムを作製するために使用できる。リターダは、光を透過して、その偏光状態を変更し、様々なディスプレイ用途またはセキュリティ素子において広く使用される。これらの新たなLCPの特に高い複屈折は、リターダフィルムの顕著な厚み低減をもたらす。
【0111】
例として、表2は、化合物1、25、14、7、30をそれぞれ使用した例9、10、11、12および14での、550nmで1/4波長板(λ/4)リターダ(QWP)および1/2波長板(λ/2)リターダ(HWP)を得るために必要とされる厚みを示している。
【0112】
【国際調査報告】