IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェノフォーカス インコーポレイテッドの特許一覧 ▶ バイオムロジック インコーポレイテッドの特許一覧 ▶ ベックスパート カンパニー リミテッドの特許一覧

特表2024-532667スーパーオキシドジスムターゼおよび/またはバチルス菌株胞子を含む組成物およびこの口腔健康改善用用途
<>
  • 特表-スーパーオキシドジスムターゼおよび/またはバチルス菌株胞子を含む組成物およびこの口腔健康改善用用途 図1
  • 特表-スーパーオキシドジスムターゼおよび/またはバチルス菌株胞子を含む組成物およびこの口腔健康改善用用途 図2
  • 特表-スーパーオキシドジスムターゼおよび/またはバチルス菌株胞子を含む組成物およびこの口腔健康改善用用途 図3
  • 特表-スーパーオキシドジスムターゼおよび/またはバチルス菌株胞子を含む組成物およびこの口腔健康改善用用途 図4
  • 特表-スーパーオキシドジスムターゼおよび/またはバチルス菌株胞子を含む組成物およびこの口腔健康改善用用途 図5
  • 特表-スーパーオキシドジスムターゼおよび/またはバチルス菌株胞子を含む組成物およびこの口腔健康改善用用途 図6
  • 特表-スーパーオキシドジスムターゼおよび/またはバチルス菌株胞子を含む組成物およびこの口腔健康改善用用途 図7
  • 特表-スーパーオキシドジスムターゼおよび/またはバチルス菌株胞子を含む組成物およびこの口腔健康改善用用途 図8
  • 特表-スーパーオキシドジスムターゼおよび/またはバチルス菌株胞子を含む組成物およびこの口腔健康改善用用途 図9
  • 特表-スーパーオキシドジスムターゼおよび/またはバチルス菌株胞子を含む組成物およびこの口腔健康改善用用途 図10
  • 特表-スーパーオキシドジスムターゼおよび/またはバチルス菌株胞子を含む組成物およびこの口腔健康改善用用途 図11
  • 特表-スーパーオキシドジスムターゼおよび/またはバチルス菌株胞子を含む組成物およびこの口腔健康改善用用途 図12
  • 特表-スーパーオキシドジスムターゼおよび/またはバチルス菌株胞子を含む組成物およびこの口腔健康改善用用途 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】スーパーオキシドジスムターゼおよび/またはバチルス菌株胞子を含む組成物およびこの口腔健康改善用用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/44 20060101AFI20240903BHJP
   A61K 8/66 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 8/99 20170101ALI20240903BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 35/742 20150101ALI20240903BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240903BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240903BHJP
   A23K 50/00 20160101ALI20240903BHJP
   A23K 10/16 20160101ALI20240903BHJP
   A23K 50/40 20160101ALN20240903BHJP
【FI】
A61K38/44
A61K8/66
A61K8/99
A61Q11/00
A61P1/02
A61K35/742
A61P43/00 121
A23L33/10
A23K50/00
A23K10/16
A23K50/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503899
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 KR2022010623
(87)【国際公開番号】W WO2023003357
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0095682
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519166224
【氏名又は名称】ジェノフォーカス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GENOFOCUS, INC.
(71)【出願人】
【識別番号】524026333
【氏名又は名称】バイオムロジック インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】524026344
【氏名又は名称】ベックスパート カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ジェ グ パン
(72)【発明者】
【氏名】ウイ ジューン キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヒュン キム
(72)【発明者】
【氏名】イン イク チャン
(72)【発明者】
【氏名】ユン チャン パク
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
4B018
4C083
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
2B005AA00
2B150AA01
2B150AA06
2B150AB03
2B150AB10
2B150AC02
2B150DD12
4B018LB01
4B018LE04
4B018MD85
4B018MD90
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF13
4C083AA031
4C083AD471
4C083BB55
4C083CC41
4C083DD08
4C083DD12
4C083DD17
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE32
4C083EE33
4C083EE34
4C083EE36
4C083EE37
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084DC24
4C084MA02
4C084MA13
4C084MA17
4C084MA27
4C084MA28
4C084MA32
4C084MA43
4C084MA47
4C084MA57
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA671
4C084ZC751
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC64
4C087CA08
4C087MA02
4C087MA13
4C087MA17
4C087MA27
4C087MA28
4C087MA32
4C087MA43
4C087MA47
4C087MA57
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA67
4C087ZC75
(57)【要約】
本発明はスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)酵素および/またはバチルススピーシーズ菌株胞子を含む口腔用組成物およびこの口腔健康の増進または口腔衛生管理のための用途に関する。このような組成物は口腔で副作用を起こすことなく口腔の痛み、口臭、歯石、歯垢、歯肉炎および歯周炎のような口腔疾患を予防または治療するのに便利に使われ得る。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)およびバチルススピーシーズ菌株胞子からなる群から選択された一つ以上を有効成分として含む、口腔用組成物。
【請求項2】
前記組成物はSODおよびバチルススピーシーズ菌株胞子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記SODはバチルススピーシーズ菌株から由来したものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記バチルススピーシーズ菌株はバチルスアミロリクエファシエンスGF423菌株(KCTC 13222 BP)またはバチルスアミロリクエファシエンスGF424菌株(KCTC 13227 BP)を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記SODはMn-SODまたは脱アミド化されたMn-SODを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記SODは配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記バチルススピーシーズ菌株胞子はバチルスアミロリクエファシエンスGF423菌株(KCTC 13222 BP)の胞子またはバチルスアミロリクエファシエンスGF424菌株(KCTC 13227 BP)の胞子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物は口腔健康の増進または口腔衛生管理のために使われる、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物は口腔の痛み、口臭、歯石、歯垢、虫歯または歯周疾患の予防または改善のために使われる、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物はゲルまたはペースト形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれか一項に記載された組成物を含む、口腔用製品。
【請求項12】
前記製品は歯磨き粉、口腔洗浄剤、口腔清浄剤、ガム、キャンディ、口腔スプレー、口腔ゲル、口腔軟膏剤、口腔パッチ、および口腔うがい薬から選択されたいずれか一つを含む、請求項11に記載の製品。
【請求項13】
請求項1~請求項10のいずれか一項に記載された組成物を含む、口腔疾患の予防または治療のための薬学組成物。
【請求項14】
請求項1~請求項10のいずれか一項に記載された組成物を含む、獣医学的組成物。
【請求項15】
請求項1~請求項10のいずれか一項に記載された組成物を含む、食品組成物。
【請求項16】
請求項1~請求項10のいずれか一項に記載された組成物を含む、飼料組成物。
【請求項17】
スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)およびバチルススピーシーズ菌株胞子からなる群から選択された一つ以上を個体に投与する段階を含む、口腔疾患を予防または治療する方法。
【請求項18】
スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)およびバチルススピーシーズ菌株胞子からなる群から選択された一つ以上を個体に投与する段階を含む、口腔衛生を増進する方法。
【請求項19】
SODおよびバチルススピーシーズ菌株胞子を個体に投与する段階を含む、請求項17または請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記SODおよびバチルススピーシーズ菌株胞子は一つの組成物で、または、それぞれを含有する別個の組成物で、投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記SODおよびバチルススピーシーズ菌株胞子は同時に、順次または逆順で投与される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスーパーオキシドジスムターゼ酵素および/またはバチルススピーシーズ菌株胞子を含む組成物、およびこの口腔健康の増進、口腔衛生管理または口腔疾患の予防または治療のための用途に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔疾患は大抵口腔衛生不良から始まって歯石、虫歯、歯肉炎などにつながることになり、ひどい口臭が伴われ得る。口臭と呼ばれる口の臭いの主な原因は、歯肉炎および歯周炎のような歯周疾患、臭いを誘発する舌のバクテリア、特定食品とアルコール性飲料、喫煙などがある。口の中の飲食物の除去がよくなされないと歯垢と呼ばれる歯の上面の軟性付着物が発生し、歯垢は時間が経過すると歯石となる。歯石は歯垢内で唾液と歯肉溝滲出液(gingival crevicular fluid)の無機質が石灰化されて歯の上面に頑丈にくっついているものであって、歯石は歯磨きでは除去されず、歯石除去術(scaling)でのみ除去することができる。歯石を除去しないと、歯石により歯茎に歯肉炎という炎症が発生しやすくなる。歯肉炎の状態が悪くなると歯茎はもちろん、靭帯や歯槽骨にまで炎症が発生することになる。この炎症がまさに歯周炎であるが、これによって口の臭いが誘発されたりもする。歯周炎は深刻な苦痛を与えるだけでなく、心臓や腎臓にまで細菌が感染され得るため格別の注意を要する。
【0003】
歯垢内に棲息しながら各種口腔疾患を誘発する口腔病原菌の増殖を抑制する物質としては、抗生剤を含んだ抗菌剤がある。しかし、抗生剤は体に対する全身的な副作用と共に、口腔内耐性菌の出現を誘発し得るため長期的な使用が困難であり、短期間の間治療剤として利用しなければならない短所がある。また、口腔清浄剤に使われている抗菌剤としては、サンギナリン(Sanguinarine)、リステリン(Listerine)、クロルヘキシジン(Chlorhexidine)等があるが、このうちサンギナリンは口腔内で細菌に対する効果が不明なだけでなく価格も高価であるという短所があり、リステリンはアルコールが主成分であって若干の静菌作用があるが、実際に口腔内では一時的な効果を示すだけであり、長期間使用時、組織に対して有害な作用を示し得る短所がある。
【0004】
歯石を除去する効果的な方法は歯石除去術である。しかし、スケーリングは歯茎が腫れたり、冷たいか熱い飲食に敏感となり得、不適切なスケーリングは歯茎の損傷を誘発し得る。
【0005】
したがって、歯または歯茎で不利な副作用を起こすことなく口腔衛生管理および口腔健康の増進に使われ得るだけでなく、口腔疾患を予防または治療できる物質および方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前述した従来技術の問題点を解決することをその目的とする。
【0007】
本発明はスーパーオキシドジスムターゼおよび/またはバチルススピーシーズ菌株胞子を利用して口腔健康を増進したり口腔衛生を管理することを他の目的とする。
【0008】
本発明はスーパーオキシドジスムターゼおよび/またはバチルススピーシーズ菌株胞子を利用して口腔疾患を予防または治療することをさらに他の目的とする。
【0009】
本発明の目的は以上で言及した目的に制限されない。本発明の目的は以下の説明でより明らかになり、特許請求の範囲に記載された手段およびその組み合わせで実現されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するための本発明の代表的な構成は次の通りである。
【0011】
本発明の一態様によると、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)およびバチルススピーシーズ菌株胞子からなる群から選択される一つ以上を含む口腔用組成物が提供される。
【0012】
本発明の他の態様によると、前記組成物を含む口腔用製品が提供される。
【0013】
本発明のさらに他の態様によると、前記組成物を含む口腔疾患の予防または治療のための薬学組成物が提供される。
【0014】
本発明のさらに他の態様によると、前記組成物を含む獣医学的組成物が提供される。
【0015】
本発明のさらに他の態様によると、前記組成物を含む食品組成物が提供される。
【0016】
本発明のさらに他の態様によると、前記組成物を含む飼料組成物が提供される。
【0017】
本発明のさらに他の態様によると、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)およびバチルススピーシーズ菌株胞子からなる群から選択される一つ以上を個体に投与する段階または前記組成物を個体に投与する段階を含む、口腔衛生を増進したり口腔疾患を予防または治療する方法が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る組成物は、副作用を起こすことなく口臭、歯石、歯垢、虫歯、歯肉炎または歯周炎のような口腔疾患を予防または治療するのに便利に使われ得るだけでなく、そのような口腔疾患による痛みを減少させるのに便利に使われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】歯石指数を点数で換算するための基準を示す図である。
図2】歯肉炎指数を点数で換算するための基準を示す図である。
図3】実験例1.4に係る試験物質の投与後に観察された口臭指数に関する結果を示したグラフである。
図4】実験例1.4に係る試験物質の投与後に観察された歯石指数に関する結果を示したグラフである。*は0週目対比P<0.05を示す。
図5】実験例1.4に係る試験物質の投与後に観察された歯垢指数に関する結果を示したグラフである。
図6】実験例1.4に係る試験物質の投与後に観察された歯肉炎指数に関する結果を示したグラフである。**は0週目対比P<0.01を示す。
図7】実験例2.4に係る試験物質の投与後に観察された触診性痛み指数に関する結果を示したグラフである。*は0週目対比P<0.05を示す。
図8】実験例2.4に係る試験物質の投与後に観察された口臭指数に関する結果を示したグラフである。
図9】実験例2.4に係る試験物質の投与後に観察された歯垢指数に関する結果を示したグラフである。*は0週目対比P<0.05を示し、**は0週目対比P<0.01を示す。
図10】実験例2.4に係る試験物質の投与後に観察された歯石指数に関する結果を示したグラフである。*は0週目対比P<0.05を示す。
図11】実験例2.4に係る試験物質の投与後に観察された歯肉炎指数に関する結果を示したグラフである。**は0週目対比P<0.01を示す。
図12】SodA2を発現する組換え生産菌株(BSBA310)を製造するための全体の手続きを示す図である。
図13】sodA2遺伝子の過発現のための発現ベクターを示す図である。ここで、rrnBT1T2は転写終結因子を示し;rep(pBR322)はE.coliで作動するpBR322からのレプリコンを示し;rep(pUB110)はB.subtilisで作動するpUB110からのレプリコンであり;KanRはカナマイシン耐性遺伝子(アミノグリコシドO-ヌクレオチジルトランスフェラーゼ)を示し;BJ27 promoterはB.subtilisに対する強力なプロモーターを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
後述する本発明に対する詳細な説明は、本発明が実施され得る特定の具現例に関して特定図面を参照して記述されるであろうが、本発明はこれに限定されず、適切に説明されるのであれば、その請求項が主張するものと均等なすべての範囲とともに、添付された請求項によってのみ限定される。本発明の多様な具現例/実施例は互いに異なるが互いに排他的である必要はないということが理解されるべきである。例えば、本明細書に記載されている特定形状、構造および特性は、本発明の技術的思想と範囲を逸脱することなく一具現例/実施例から他の具現例/実施例に変更されたり具現例/実施例が組み合わせられて具現され得る。本明細書に使われた技術および学術用語は、特に定義されない限り、本発明が属する分野で一般的に使われるものと同じ意味を有する。本明細書を解釈する目的で下記の定義が適用され、単数で使われた用語は適切な場合には複数型も含み、その反対も同様である。
【0021】
定義
本明細書で使われる「個体」は「患者」と相互交換的に使われ、口腔衛生または口腔疾患の予防または治療を必要とする哺乳動物、例えば霊長類(例えば、人間、猿、チンパンジーなど)、伴侶動物(例えば、犬、猫など)、家畜動物(例えば、牛、豚、馬、羊、ヤギなど)または実験室動物(例えばラット、マウス、ギニアピッグなど)であり得る。
【0022】
用語「治療」は、一般的に目的とする薬理学的効果および/または生理学的効果を収得することを意味する。このような効果は疾患および/または他の所望しないか好ましくない状態(例えば、口臭、歯石、歯垢、虫歯、歯肉炎、歯周炎、痛みなど)を部分的にまたは完全に治癒する点で治療的効果を有する。好ましい治療的効果は疾患の発生または再発防止、症状の好転、疾患の任意の直接または間接的な病理学的結果の縮小、転移の防止、疾患進行速度の減少、疾患状態の好転または緩和および快方または改善された予後を含むがこれに制限されない。好ましくは、「治療」はすでに現れた疾患または障害の医療的介入を意味し得る。
【0023】
用語「予防」は疾病またはこの症状を部分的にまたは完全に予防するという観点で、目的とする予防的な薬理学的効果および/または生理学的効果を収得することを意味する。
【0024】
用語「投与」は、個体に予防的または治療的目的を達成するための有効成分を提供することを意味する。
【0025】
口腔組成物
本発明は部分的にスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)またはバチルススピーシーズ菌株胞子を単独で適用したり、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)およびバチルススピーシーズ菌株胞子を組み合わせて個体の口腔に適用する場合に口腔衛生の増進または口腔疾患の予防または治療に効果的であるという発見に基づく。したがって、本発明の一態様によると、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、バチルススピーシーズ菌株胞子、またはSODおよびバチルススピーシーズ菌株胞子を含む口腔用組成物が提供される。好ましくは、前記組成物はスーパーオキシドジスムターゼ酵素およびバチルススピーシーズ菌株胞子を含む。
【0026】
スーパーオキシドジスムターゼ(Superoxide dismutase;SOD)はスーパーオキシド(O ・-)ラジカルの一般分子酸素(O)と過酸化水素(H)へのディスミューテイション(dismutation)を交互に触媒する酵素であって、SODは活性酸素種を除去して酸化ストレスを減らすのに重要な役割をする。SODは原核細胞と真核細胞に広く分布しており、多様な類型の金属中心(銅/亜鉛、ニッケル、マンガンおよび鉄)により4つの部類に分類される。マンガン含有SOD[Mn-SOD]が多い細菌または真核細胞の葉緑体、ミトコンドリアおよび細胞質に広範囲に存在する。本発明で、用語「SOD」はスーパーオキシドジスムターゼ活性を有する(ポリ)ペプチドと相互交換的に使われ得る。また、SODはスーパーオキシドジスムターゼ活性を有するポリペプチドまたはこのフラグメント、またはこれを含む融合体を含むことができる。
【0027】
一部の具現例で、SODはマンガンに結合するもの(Mn-SOD)であり得る。好ましくは、SODは脱アミド化されたMn-SODであり得る。また、SODは配列番号2で表示されるアミノ酸配列を含むかこれからなるものであり得る(SodA)。好ましくは、SODは配列番号2を基準として74番および137番アミノ酸残基がAspで置換されたものであり得る。より好ましくは、SODは配列番号4で表示されるアミノ酸配列を含むかこれからなり得る(SodA2)。
【0028】
本発明のSODまたはSOD活性を有するポリペプチドは前記アミノ酸配列に対して実質的な同一性を示すアミノ酸配列も含まれるものと解釈される。前記実質的な同一性は当業界で通常的に利用されるアルゴリズムを利用して整列された配列を分析する場合、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を意味する。
【0029】
一部の具現例で、SODはSOD酵素活性を有する改質された(modifiedまたはengineered)ポリペプチドであって、多様な側面(生体内、試験管内または生体外安定性、均一性、および/または形態的変更)に影響を及ぼすか及ぼさない一つ以上の変異、例えば、一つ以上のアミノ酸の欠失、挿入または置換を含むことができる。また、前記ポリペプチドは精製、検出、生体内伝達または安定性増加のための異種性物質(例えば、HIS tag、HA tag、myc tagを含んだ当業界で公知のtag、GFCおよび/または抗体のFcドメイン)を追加で含むことができる。
【0030】
一部の具現例で、本発明のSODは天然、変異体または組換え微生物をはじめとする多様な供給源から由来したものであり得る。例えば、SODはバクテリアから由来し得る。好ましくは、SODは薬物または食品に使うのに一般的に安全なものと見なされる(generally regarded as safe、GRAS)バクテリア、例えばバチルススピーシーズ(Bacillus sp.)菌株またはその変異体から由来し得る。より好ましくは、SODはバチルスアミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquesfaciens)菌株(例えば、GF423菌株またはGF424菌株)またはこれらの培養上澄み液から得られ得る。前記GF423菌株およびGF424菌株は韓国生命工学研究院にそれぞれ2017年3月6日付および2017年3月13日付で寄託されたものである(それぞれ受託番号KCTC 13222 BPおよび受託番号KCTC 13227 BP)。前記バチルスアミロリクエファシエンスGF424菌株は、sod遺伝子の発現を改善するためにバチルスアミロリクエファシエンスGF423菌株をUV照射によって突然変異させることによって得た菌株である。バチルスアミロリクエファシエンスGF423またはGF424菌株から由来したSOD酵素(SodA)はMn-SODであり、配列番号2のアミノ酸配列を有する(そのヌクレオチド配列は配列番号1で表示される)。また、SODは組換えポリペプチドであり得る。例えば、配列番号2を基準として74番および137番アミノ酸残基がAspで置換された脱アミド化されたSODであり得(SodA2)、これは配列番号4のアミノ酸配列を有する(そのヌクレオチド配列は配列番号3で表示される)。配列番号1~4の配列は表1に示した通りである。
【0031】
【表1】
【0032】
また、SODは前記バチルスアミロリクエファシエンス菌株のSOD発現遺伝子を利用した他の組換え菌株(例えば、バチルスサブチリス(Bacillus Subtilis)種菌株)から由来し得る。前記組換え菌株は当業界で知られている通常の蛋白質生産菌株を利用して組換え技術によって製造され得る。例えば、前記(組換え菌株の母菌株である)バチルスサブチリス菌株はKCTC 3135であり得、前記KCTC 3135菌株は韓国生命工学研究院生物資源センター(KCTC)から分譲を受けることができる。また、前記組換え菌株は後工程を有利にするために下記の表2に示した遺伝子のうち一つ以上が除去され得る。
【0033】
【表2】
【0034】
例えば、前記組換え菌株は図12に図示された過程を経て製造され得る。また、前記組換え菌株は図13に図示された発現ベクターを含むことができる。前記図面でsodAおよびsodA2はSODをコーディングする遺伝子を示す。
【0035】
前記菌株由来のSODは細胞の外部に分泌される酵素であるので、前記菌株を利用してSODを製造する場合、高価な精製過程(例えば、カラム精製)を経ずに個体に安全性が確保されたSODを大量で生産できるので効率的な生産が可能である。
【0036】
一部の具現例で、本発明のSODは前記天然、変異体または組換え微生物を多様な培養培地で培養して収得され得る。例えば、口腔組成物に含まれるSODは、バチルスアミロリクエファシエンスGF423菌株またはGF424菌株の培養上澄み液から分離され得る。具体的には、まずバチルスアミロリクエファシエンス菌株を多様な類型の培地で培養して培養液を得ることができる。例えば、複合培地(pH 6.0~7.0)を使って前記菌株を約25℃~約42℃で約1日から約4日の間増殖させる。前記バチルスアミロリクエファシエンス菌株を培養するための他の適合した培地としては、LB(Luria-Bertani)培地、ISP(International Streptomyces Project)培地、NA(nutrient agar)培地、BHI(brain heart infusion agar)培地、SDA(sabouraud dextrose agar)培地、PDA(potato dextrose agar)培地、NB(nutrient broth)培地などが含まれる。好ましい具現例で、LB培地、ISP培地、BHI培地、SDA培地、またはNB培地が使われ得る。また、SODはPubMedまたはBRENDA(ワールドワイドウェブのbrenda-enzymes.org)のようなデータベースに提供された情報を使って他の天然、変異体または組換え宿主から供給され得る。
【0037】
一部の具現例で、本発明のSODは天然、変異体または組換え菌株の培養物から単離または精製されたものであり得る。この時、単離または精製されたSODまたはその生物学的活性部分には、それが由来した細胞または組織供給源からの細胞物質またはその他汚染蛋白質が実質的に含まれない。例えば、精製物は菌株培養物から限外ろ過(Ultrafiltration)、硫酸アンモニウム処理、カラム精製、濃縮等を通じて純粋分離されたものであるか、限外ろ過、濃縮等を通じて得られた培養濃縮液であり得る。「細胞物質が実質的にない」という文面は、蛋白質が単離または組換え的に生産される細胞の細胞成分からそのような蛋白質が分離された蛋白質の製造物を含む。一部の具現例で、「細胞物質が実質的にない」という文面は所望しない蛋白質が乾燥重量を基準として約30%未満、好ましくは約20%未満、さらに好ましくは約10%未満、そして最も好ましくは約5%未満である蛋白質の製造物を含む。
【0038】
前記SODは次のような精製方法で精製することが好ましいが、これに限定されはしない。例えば、前記にてバチルスアミロリクエファシエンス菌株を培養して得た培養液を遠心分離して培養上澄み液を収集する。上澄み液分画を固相抽出で前処理し、引き続きクロマトグラフィーで単離し精製する。多様な方式のクロマトグラフィーを使ってSODを精製することができる。好ましくは、疏水性相互作用クロマトグラフィーが使われる。
【0039】
一部の具現例で、前記SODは菌株溶解物(lysate)、菌株培養物、菌株培養濃縮液、菌株培養抽出物、またはその乾燥形態で含まれ得る。この時、「菌株溶解物」は菌株を培養して機械的または化学的に破砕して得たものを意味し、これから抽出、希釈、濃縮、精製などの追加工程を経たものをすべて含むことができる。「菌株培養物」は菌株を培養して得た培養液そのものまたはその上澄み液を意味し得る。「菌株培養濃縮液」は菌株培養物から限外ろ過、硫酸アンモニウム処理、カラム精製、濃縮等を通じて純粋分離されたものであるか、限外ろ過、濃縮等を通じて得られた培養濃縮液を指称する。「菌株培養抽出物」は前記培養液またはその濃縮液から抽出したものを意味し、抽出液、抽出液の希釈液または濃縮液、抽出液を乾燥して得られる乾燥物、またはこの粗精製物または精製物、これを分画した分画物を含むことができる。前記乾燥形態は凍結乾燥形態を含むことができる。
【0040】
一部の具現例で、前記SODはそれが由来した細胞または組織供給源からの細胞物質、例えば細胞外小胞体(Extracellular vesicle)を含むことができる。この場合、SODを含む細胞物質は前述した通り、当業界で知られている通常の技術を使って天然、変異体または組換え宿主をはじめとする多様な供給源を培養してその培養液から濾過、濃縮などの方法で分離され得る。
【0041】
一方、前記バチルススピーシーズ菌株胞子は、バチルススピーシーズ菌株を適合した培地で培養して胞子形成を誘導した後に生成された胞子を分離して得られ得る。一具現例で、バチルススピーシーズ菌株胞子は薬物または食品に使うのに一般的に安全なものと見なされるGRAS細菌から供給され得る。バチルススピーシーズ菌株胞子はプロテアーゼおよび低いpHに耐性があると知られている(Cutting SM.Bacillus probiotics.Food Microbiol.2011;28:214-220.doi:10.1016/j.fm.2010.03.007;およびWang Y、et al.、In vitro assessment of probiotic properties of Bacillus isolated from naturally fermented congee from inner Mongolia of China.World J.Microb.Biot.2010;26:1369-1377.doi:10.1007/s11274-010-0309-7)。また、バチルススピーシーズ菌株胞子は多くの国で承認されたGRASプロバイオティクス(probiotics)である。具体的には、前記バチルススピーシーズ菌株胞子はバチルスアミロリクエファシエンス菌株(例えば、GF423またはGF424菌株)から由来し得る。胞子形成は当業界で知られている通常の技術を使って誘導され得る。例えば、菌株を前培養後本培養時にDSM、NB、SYP、LB2等の培地で胞子形成を誘導して得られる菌株の胞子であって、天然、変異体、または組換え宿主をはじめとする多様な供給源を培養して、栄養細胞除去後、濾過、濃縮、あるいは遠心分離を通じて分離することができる。
【0042】
一部の具現例で、前記口腔用組成物はSODおよびバチルススピーシーズ菌株胞子を含むことができる。本発明の一実施例によると、SODおよびバチルススピーシーズ菌株胞子が組み合わせられた混合物を口腔に適用する場合、口臭、歯石、歯垢、虫歯または歯周疾患(例えば、歯肉炎または歯周炎)等の予防、改善または治療に優秀な効果を示して口腔健康の増進、口腔衛生管理、または口腔疾患の予防または治療に有効であることを確認した。また、前記混合物は口腔疾患による痛みを減少させるのにも有効であることを確認した。
【0043】
一部の具現例で、前記SODとバチルススピーシーズ菌株胞子は前記効果を発揮するのに適当な割合で混合され得る。例えば、SODとバチルススピーシーズ菌株胞子は、SOD力価が乾燥重量g当たり5,000~20,000Uになり、胞子が乾燥重量g当たり0.1×10^10~1×10^11 cfuになるようにする割合で混合され得る。
【0044】
一部の具現例で、前記組成物は口腔健康の増進または口腔衛生管理のために使われ得る。
【0045】
一部の具現例で、前記組成物は口腔疾患の予防または治療のために使われ得る。
【0046】
一部の具現例で、前記組成物は口臭、歯石、歯垢、虫歯および歯周疾患から選択された一つ以上の疾患を予防、改善、または治療するために使われ得る。
【0047】
一部の具現例で、前記組成物は口腔の痛みを減少させるために使われ得る。
【0048】
他の具現例で、前記組成物は液体形態、固体形態、ゲル形態、粉末形態、ペースト形態、または担体に含浸または塗布された形態などを含んで、当業界で知られている口腔に適用される多様な形態を有することができる。
【0049】
口腔用製品
本発明の他の態様によると、前記口腔用組成物を含む口腔用製品が提供される。換言すると、前記口腔用製品は前述したようなSODおよびバチルススピーシーズ菌株胞子からなる群から選択される一つ以上を含む。
【0050】
前記製品は歯磨き粉、口腔洗浄剤、口腔清浄剤、ガム、キャンディ、口腔スプレー、口腔ゲル、口腔軟膏剤、口腔パッチおよび口腔うがい薬からなる群から選択された一つ以上であり得るが、これに制限されない。
【0051】
本発明の口腔用製品は、有効成分としてSODおよび/またはバチルススピーシーズ菌株胞子を含む以外に、その剤形化に必要な当業界で公知の追加成分を含むことができる。例えば、口腔用製品が歯磨き粉である場合に、研磨剤、保湿剤、発泡剤、甘味料、美白剤または香味剤などを追加で含むことができる。また、口腔用製品が口腔ゲルである場合に、ゲルの粘性または粘着のための中鎖脂肪酸などの増粘剤などを追加で含むことができる。また、口腔用製品が口腔洗浄剤である場合に、非毒性アルコールのような担体を追加で含むことができる。
【0052】
薬学または獣医学的組成物
本発明の他の態様によると、前述したようなスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)酵素およびバチルススピーシーズ菌株胞子からなる群から選択された一つ以上を含む組成物を含む薬学組成物または獣医学的組成物が提供される。本発明の薬学組成物は人間を除いた動物に適用される場合に獣医学的組成物という用語と相互交換的に使われ得る。
【0053】
一部の具現例で、前記組成物は、口腔疾患の予防または治療のために使われ得る。具体的には、前記口腔疾患は口臭、歯石、歯垢、虫歯、歯周疾患および慢性口内炎から選択された一つ以上の疾患であり得るがこれに制限されない。
【0054】
一部の具現例で、前記組成物は口腔の痛みの予防または治療のためのものであり得る。前記口腔の痛みは多様な口腔内疾患または好ましくない状態によるものであり得る。例えば、口腔の痛みは歯石、歯垢、虫歯、歯周疾患または慢性口内炎によるものであり得る。
【0055】
本発明の薬学または獣医学的組成物は薬学的に許容される担体、賦形剤および希釈剤からなる群から選択される一つ以上を追加で含むことができる。前記薬学的に許容される担体、賦形剤および/または希釈剤は当業界で通常的に使われるものであり得る。担体、賦形剤または希釈剤としては、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート、二酸化ケイ素および鉱物油などが挙げられるが、これに制限されない。
【0056】
製剤化する場合には充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの添加剤を使って調剤され得る。前記製剤化のための添加剤は薬剤分野で通常的に使うものの中から適合したものを選択することができる。
【0057】
また、本発明の薬学または獣医学的組成物は使用方法により好ましい形態で剤形化され得、特に哺乳動物に投与された後、活性成分の迅速、持続または遅延放出を提供できるように当業界で公知の方法を採択して剤形化され得る。そのような剤形の具体的な例としては、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、液剤、カプセル剤、懸濁剤、油剤、注射溶液、硬膏剤(Plasters)、ローション剤、リニメント剤、リモナーデ剤、エアゾール剤、エキス剤(Extracts)、エリキシル剤、軟膏剤、流エキス剤、浸剤、クリーム剤、軟質または硬質ゼラチンカプセル、パッチ剤などがある。
【0058】
ひいては、本発明の薬学または獣医学的組成物は当該技術分野の公知の適切な方法を使って、または、レミントンの文献(Remington’s Pharmaceutical Science(最新版)、Mack Publishing Company、Easton PA)に開示されている方法を利用して好ましく剤形化され得る。
【0059】
本発明の薬学または獣医学的組成物は、目的とする方法により経口投与または非経口投与され得、非経口投与時、鼻腔噴霧、皮膚外用または腹腔内注射、直腸内注射、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射または胸部内注射注入方式を選択することが好ましい。また、本発明の薬学または獣医学的組成物は口腔噴霧、口腔塗布、口腔内注射などの口腔内注入方式を通じて適用されることが好ましいと言える。
【0060】
この時、経口投与のための固形製剤には錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は組成物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、炭酸カルシウム、スクロース、ラクトース、ゼラチンなどを混ぜて調剤され得る。また、単純な賦形剤の他に、マグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤も使われ得る。経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内服液剤、油剤、シロップ剤などが含まれ、よく使われる単純希釈剤である水、流動パラフィンの他に種々の賦形剤、例えば、湿潤剤、甘美剤、芳香剤、保存剤などが使われ得る。経口投与の場合、SODはシェラック(shellac)、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ゼイン(zein)、オイドラギット(Eudragit)およびこれらの組み合わせのようなコーティング剤でコーティングされ得るが、コーティング剤はこれに限定されない。
【0061】
非経口投与のための形態としては、歯磨き粉、口腔洗浄剤、局所投与剤(例えば、ゲル、クリーム、軟膏、ドレッシング溶液、噴霧剤、その他塗布剤)等が挙げられる。前記局所投与剤の剤形の一例としては、本発明の有効成分を天然繊維または合成繊維で作ったガーゼなどの担体に含浸させたものであり得る。前記ゲル、クリームまたは軟膏の場合、歯および歯茎を含んだ患部または虫歯部位やその周囲に直接塗布するのに適合し得る。前記噴霧剤の場合、通常の噴霧剤製造方法で製造され得、圧縮容器やその他噴霧容器に充填包装して口腔疾患部位に随時に噴霧塗布して口腔疾患を予防したり治療することができる。前記ドレッシング溶液の場合、通常のドレッシング溶液の製造方法で製造され得、口腔疾患部位にドレッシングしたりその他細菌感染部位にドレッシングして口腔疾患を予防したり治療することができる。
【0062】
本発明の薬学または獣医学的組成物は薬学的にまたは獣医学的に有効な量で投与される。用語「薬学的に有効な量」または「獣医学的に有効な量」は、医学的または獣医学的治療に適用可能な合理的なベネフィット/リスク比で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効容量水準は患者または動物の体重、性別、年齢、健康状態、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路および排出比率、治療期間、同時使われる薬物を含んだ要素およびその他医学分野に広く知られている要素により決定され得る。
【0063】
本発明の薬学または獣医学的組成物は個別治療剤で投与するか他の治療剤と併用して投与され得、順次または同時に投与され得る。また、前記薬学組成物は必要に応じて単一または多重投与され得る。前記要素をすべて考慮して副作用なしに最小限の量で最大の効果が得られる量を投与することが重要であり、このような量は通常の技術者によって容易に決定され得る。
【0064】
食品または飼料組成物
本発明の他の態様によると、前述したようなスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)酵素およびバチルススピーシーズ菌株胞子からなる群から選択された一つ以上を含む組成物を含む食品組成物が提供される。このような食品組成物は医療用またはニュートラシューティカル(nutraceutical)食品組成物を含む。
【0065】
用語「医療用食品」または「ニュートラシューティカル食品」は人体に有益な機能をする可能性がある原料または成分で製造された食品であって、正常な機能を維持したり人体の生理的機能を活性化することによって健康を維持させるか改善させる食品を指称し、食品医薬品安全処によって規定されるがこれに限定されず、任意の通常の健康食品をその意味から排除しない。
【0066】
また、前記食品には各種食品類、食品添加剤、飲料(例えば、機能性飲料、天然果物ジュースおよび野菜飲料)、ガム、茶、ビタミン複合剤、健康機能食品、その他機能性食品などが含まれるがこれに限定されない。
【0067】
前記食品は当業界で知られている常法で製造され得る。例えば、前記医療用食品、ニュートラシューティカル食品または健康機能食品は、口腔衛生を増進したり口腔疾患を予防したり改善させる目的で前記SODに加えて、担体、希釈剤、賦形剤および添加剤のうち一つ以上を追加で含んで錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、粉末剤、カプセル剤および液剤剤形からなる群から選択された一つで剤形化され得る。前記担体、賦形剤、希釈剤および添加剤の具体的な例は当業界で広く知られており、通常の技術者はその剤形により適切な成分を組み合わせて製造することができる。
【0068】
前記にて詳述した剤形内有効成分としての本発明に係るスーパーオキシドジスムターゼ酵素および/またはバチルススピーシーズ菌株胞子の含有量は、使用形態および目的、患者の状態、症状の種類および軽重などによって適切に調節することができ、固形分重量基準として0.001~99.9重量%、好ましくは0.01~50重量%であり得るが、これに限定されない。
【0069】
本発明の食品の投与容量は患者の年齢、体重、性別、投与形態、健康状態および疾患程度により変わり得、医師または薬剤師の判断により一定時間間隔で1日1回~数回に分割投与してもよい。例えば、有効成分の含有量を基準として1日投与量が10~1,000mg/kgであり得る。前記投与量は平均的な場合を例示したものであり、個人的な差によりその投与量が高いか低くてもよい。本発明の健康機能食品の1日投与量が前記投与容量未満であれば有意義な効果を得ることができないこともあり、それ以上を超過する場合、非経済的であるだけでなく常用量の範囲を逸脱するので好ましくない副作用が現れ得る。
【0070】
本発明のさらに他の態様によると、前述したようなスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)酵素およびバチルススピーシーズ菌株胞子からなる群から選択された一つ以上を含む組成物を含む飼料組成物が提供される。また、本発明の飼料組成物は当業界で通常的に利用されるいかなる剤形でも製造され得る。例えば、本発明の飼料組成物はアミノ酸、無機塩類、ビタミン、抗生物質、抗菌物質、抗酸化、抗カビ酵素、他の生菌形態の微生物製剤などのような補助剤成分;穀物、例えば粉砕または破砕された小麦、燕麦、大麦、トウモロコシおよび米;植物性蛋白質飼料、例えばアブラナ、豆およびひまわりを主成分とするもの;動物性蛋白質飼料、例えば血粉、肉粉、骨粉および魚粉;糖分および乳製品、例えば各種粉ミルクおよび乳清粉からなる乾燥成分;脂質、例えば加熱によって任意に液化させた動物性脂肪および植物性脂肪など;栄養補充剤、消化および吸収向上剤、成長促進剤、疾病予防剤のような添加剤を追加で含むことができる。
【0071】
本発明の飼料組成物は粉末または液体状態の製剤形態であり得、飼料添加用賦形剤(炭酸カルシウム、末粉、ゼオライト、玉粉または米糠等)を含むことができる。
【0072】
口腔衛生の増進または口腔疾患の予防または治療のための方法
本発明のさらに他の態様によると、前述したようなスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)酵素およびバチルススピーシーズ菌株胞子からなる群から選択された一つ以上を個体に投与する段階を含む口腔衛生の増進のための方法が提供される。また、前述したようなスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)酵素およびバチルススピーシーズ菌株胞子からなる群から選択された一つ以上を個体に投与する段階を含む口腔疾患を予防したり治療する方法が提供される。
【0073】
一部の具現例で、前記方法はSODおよびバチルススピーシーズ菌株胞子を組み合わせて個体に投与する段階を含むことができる。
【0074】
一部の具現例で、前記口腔疾患は口腔の痛み、口臭、歯垢、歯石、虫歯および歯周疾患からなる群から選択される一つ以上であり得る。
【0075】
一具現例で、前記SODおよびバチルススピーシーズ菌株胞子は、組み合わせて投与される場合に、単一組成物またはそれぞれを含有した別個の組成物として同時に投与され得る。また、前記SODおよびバチルススピーシーズ菌株胞子はそれぞれを含有した別個の組成物であって、順次または逆順で投与され得る。同時投与または別個投与の場合に、SODおよびバチルススピーシーズ菌株胞子はその投薬形態により同じ経路または異なる経路で投与され得る。前記組成物、投薬形態、投与経路などに関しては組成物について前述した通りである。
【実施例
【0076】
以下、本発明の理解を助けるために実施例を挙げて詳細に説明することにする。ただし、下記の実施例は本発明の内容を例示するものに過ぎず、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。
【0077】
実施例
実施例1.バチルスアミロリクエファシエンス菌株からスーパーオキシドジスムターゼの分離および精製
本実施例に使われたバチルスアミロリクエファシエンス菌株は、バチルスアミロリクエファシエンスGF423菌株およびバチルスアミロリクエファシエンスGF424菌株であり、これら菌株は韓国生命工学研究院にそれぞれ2017年3月6日付および2017年3月13日付で受託番号KCTC 13222 BPおよび受託番号KCTC 13227BPで寄託されたものである。
【0078】
前記バチルスアミロリクエファシエンスGF424菌株は、sodA遺伝子の発現を改善するためにバチルスアミロリクエファシエンスGF423菌株にUVを照射して突然変異を誘発させて得た菌株である。
【0079】
実施例1.1.バチルスアミロリクエファシエンスGF423またはGF424菌株の培養
【0080】
バチルスアミロリクエファシエンスGF423またはGF424菌株の培養のために、LB寒天培地(LB(Luria-Bertani)寒天;トリプトファン10g/L、酵母抽出物5g/L、NaCl 10g/L、寒天15g/L)で形成された単一コロニーをLB培地30mlに接種し、37℃で12時間の間培養した。この種培養液(seed culture)を再び1mM硫酸マンガン(MnSO)が含まれたLB培地3Lに接種し、37℃で20時間の間培養した。
【0081】
実施例1.2.スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の分離および精製
実施例1.1で得た細胞培養液を4℃、3,578×gで20分間遠心分離して上澄み液を取った後、超微細濾過(Ultrafiltration、以下UF、MWCO 10,000)を利用して10倍濃縮した。濃縮液を除菌フィルタで濾過した後、凍結乾燥した。SODの活性はSOD分析キット(Cayman Chemical、Michigan、USA)を利用して分析した。SOD活性1単位(unit)はスーパーオキシドラジカルを50%抑制する酵素の量と定義される。乾燥されたSOD酵素の活性は30±6U/mgであった。
【0082】
実施例2.バチルスアミロリクエファシエンス菌株胞子の準備
実施例2.1.培地組成
本実施例に使われた培地はSYPまたはDSMであった。SYP培地は1.5%ソイトーン(soy tone)、0.5%酵母抽出物、0.5%KHPO、0.1%MnSO、0.1%MgSO、10mM FeSO、0.04%(NHSO、0.04%(NHPO、0.1%CaClおよび2%ブドウ糖を含有する。DSM培地はバクトニュートリエントブロス8g/L、KCl 1g/L、MgSO 0.25g/L、Ca(NO 0.16415g/L、MnCl 0.9521mg/LおよびFeSO 0.152mgを含有する。MnSO、MgSO、FeSO、(NHSO、(NHPOおよびCaClは使用前にddHOに溶解させて添加した。
【0083】
実施例2.2.胞子形成誘導
バチルスアミロリクエファシエンス菌株GF423またはGF424の単一コロニーを14mLチューブに入っているLB1mLに接種し、37℃および200rpmで12時間の間培養した。培養液1mLを500mLフラスコ内のLB培地50mLに移し、37℃および200rpmで12時間の間培養した。以後、20mLの培養培地を2.5Lバッフルフラスコ内のSYPまたはDSM 1Lに移した。接種された培養液を37℃および200rpmで24時間~120時間の間培養した。
【0084】
実施例2.3.胞子洗浄
培養後、リゾチーム(0.5g/L)を培養ブロスに添加し、37℃および200rpmで1時間の間培養して残っている栄養細胞を除去した。6000rpmで10分の間遠心分離して未精製胞子を回収した。回収された未精製胞子を水で2回洗浄し、0.02%SDSで洗浄し、再び水で2回洗浄し、引き続きPBS溶液に懸濁させることによって精製した。胞子懸濁液を-20℃で保管した。希釈された胞子溶液をLB寒天プレートに塗抹した後、コロニーを計数することによって胞子数を決定した。
【0085】
実験例1.動物試験:ドッグ
実施例1で精製されたスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)と実施例2で準備されたバチルスアミロリクエファシエンス菌株胞子の混合物が口腔健康の増進および口腔衛生管理効果を示すかを確認するために、ビーグル犬(beagle dog)を利用した試験を遂行した。本試験は動物保護法に基づいた(株)チャオンの動物実験倫理委員会によって承認された(IACUC承認番号:CE21115)。
【0086】
実験例1.1.試験物質
使った試験物質は実施例1でバチルスアミロリクエファシエンスGF424から精製されたスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)と実施例2で製造されたバチルスアミロリクエファシエンスGF423菌株胞子を混合して製造した(2.5%混合物、SOD 10,000U/g)。
【0087】
具体的には、前記混合物は、常温で口腔ゲルの粘性/粘着維持のためのラウリン酸のような中鎖脂肪酸などを溶解して所望の粘度に合わせ、ベタイン、オリゴ糖、卵黄などの嗜好性成分を混合した後、最終的に前記SODと胞子2.5%(SOD力価:12,510U/g、胞子:1.2×10^10CFU/g)を均質混合することによって得た。このような混合物(SOD+胞子)をゲルタイプである口腔ゲル形態でチューブに入れて使った(20g/チューブ、250U/gゲル)。
【0088】
実験例1.2.試験動物および飼育環境
(株)オリエントバイオから、3年齢以上であり口腔臨床症状がない9~13kgの雄ビーグル犬(non-naive)16匹を購入し、1ヶ月以上の休薬期間を持った。
【0089】
温度23±3℃、相対湿度30±10%、換気回数10~15回/時間、照明12時間、照度150~200Luxの環境条件を備えた飼育室を利用し、順応および試験期間の間ステンレスで製作されたケージにケージ当たり1匹ずつ個別飼育した。飼料と飲用水は自律給餌した。
【0090】
試験動物としてビーグル犬を選択した理由は、ビーグル犬が歯肉炎など口腔関連効能評価試験に広く使われており、豊富な基礎試験資料が蓄積されているので試験結果の解釈および評価が容易であるためであった。
【0091】
実験例1.3.試験群構成
下記のように試験群G1(「G1_Vehicle」)およびG2(「G2_BASOD」)を構成した。
【0092】
【表3】
【0093】
実験例1.4.試験物質の投与
実験例1.1の試験物質を4週間毎日歯茎(両側上顎大臼歯外側歯肉部位)に塗布して投与した。投与量は1回0.25g(SOD 62.5U)/headで1日2回投与した。
【0094】
実験例1.5.試験評価項目
(1)口臭指数(Halitosis index)
0週目(投与開始前)、2週目、および4週目に口臭を官能検査によって評価した(下記の表参照)。
【0095】
【表4】
【0096】
(2)歯石指数(Calculus index)
0週目(投与開始前)、2週目、および4週目に歯石指数を歯面が露出されるように口を開いた後、歯面の写真を撮影して肉眼で観察して歯石指数を算出した(下記の表および図1参照)。
【0097】
【表5】
【0098】
(3)歯垢指数(Plaque index)
0週目(投与開始前)、2週目、および4週目に歯垢着色剤を利用して歯垢を染色した後、歯面を写真撮影し、歯垢着色剤が歯の表面を覆っている部位を全体歯の表面の%比率で換算して歯垢指数を算出した(下記の表参照)。
【0099】
【表6】
【0100】
(4)歯肉炎指数(Gingival index)
0週目(投与開始前)、2週目、および4週目に歯面および歯の周囲の歯茎が露出されるように口を開いた後、写真を撮影して肉眼で観察して歯肉炎指数を算出した(下記の表および図2参照)。
【0101】
【表7】
【0102】
(5)その他異常反応
試験物質の投与期間の間その他異常反応が観察される場合、該当症状を記録した。
【0103】
実験例1.6.統計学的方法
試験群内で試験物質処理前後の比較のために、paired sample t-testを使って統計学的有意性を検定し、統計処理方法としては商用に広く使われる統計パッケージであるGraphpad prism 5.01プログラムを利用した。
【0104】
実験例1.7.試験結果および考察
(1)口臭指数
混合物を投与したすべての動物の場合、投与後4週目まで統計的に有意義な観察はできなかったが、口臭指数が減少する傾向が現れることを確認することができた(表8および図3)。
【0105】
【表8】
【0106】
(2)歯石指数
SODと胞子の混合物を投与したすべての動物の場合、投与後4週目まで歯石が次第に除去される傾向が現れ、特に4週目には0週目に比べて統計的に歯石指数が統計的に有意義に減少した(p<0.05)(表9および図4)。表9および図4で、統計的有意性はpaired sample t-testで検証された。
【0107】
【表9】
【0108】
(3)歯垢指数
SODと胞子の混合物を投与したすべての動物の場合、投与後4週目まで統計的に有意義なものと観察されてはいないが、歯垢指数が減少する傾向を確認することができた(表10および図5)。
【0109】
【表10】
【0110】
(4)歯肉炎指数
SODと胞子の混合物を投与したすべての動物の場合、投与後4週目まで歯茎の出血がなくなり、むくみおよび発赤が改善される効能が観察され、特に4週目には0週目に比べて歯肉炎指数が統計的に有意義に減少した(p<0.01)(表11および図6)。表11および図6で、統計的有意性はpaired sample t-testで検証された。
【0111】
【表11】
【0112】
(5)考察
試験物質であるSODと胞子の混合物を1回0.25g(SOD 62.5U)/headの容量で毎日2回ビーグル犬の歯茎に塗布した結果、投与後2週目から4週目まで0週目に比べて口臭指数、歯石指数、歯垢指数、および歯肉炎指数のすべてが減少する傾向を確認することができた。特に歯石および歯肉炎は0週目に比べて統計的に有意義に症状が改善された。また、試験の全過程において特別な異常反応は現れなかったので試験物質は有害性がないことを確認した。
【0113】
前記のような結果に基づいて判断した時、試験物質であるSODと胞子の混合物は口臭、歯石、歯垢および歯肉炎のような口腔疾患を改善するのに有用であることを確認することができた。
【0114】
実験例2.動物試験:猫
実施例1で精製されたスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)が口腔健康の増進および口腔衛生管理効果を示すかを確認するために、伴侶猫を利用した試験を遂行した。
【0115】
実験例2.1.試験物質
使った試験物質はバチルスアミロリクエファシエンスGF423菌株胞子を除いて実験例1.1と同一に製造した。
【0116】
実験例2.2.試験動物
性別や品種にかかわらず、生後六つ月齢以上であり、体重1kg以上10kg以内である伴侶猫のうち、口臭および痛みによる気力低下、咀嚼困難、食欲低下、よだれ、歯茎発赤(びらんおよび増殖性潰瘍の)等の口腔症状を示す患猫を被験猫として無作為で選別した。
【0117】
実験例2.3.試験群構成
それぞれの被験猫保護者から自分の意志で臨床試験に参加するという同意を得た後、被験猫に対して無作為割り当てを実施した。
【0118】
【表12】
【0119】
試験群G1の場合、品種はミックス種(mixed)、KSH(Korean short hair)、Exotic、またはSiameseであり、性別は中性化された雄(NM)または中性化された雌(SF)であり、年齢は2歳~10歳であった。
【0120】
試験群G2の場合、品種はT.A.(Turkish Angora)またはKSH(Korean short hair)であり、性別は中性化された雄(NM)または中性化された雌(SF)であり、年齢は1歳~11歳であった。
【0121】
実験例2.4.試験物質の投与
実験例2.1の試験物質を4週間毎日、右側上顎大臼歯歯肉部位に塗布して投与した。投与量は1回0.3g(SOD 75U)/headで1日2回投与した。
【0122】
実験例2.5.試験評価項目
臨床試験の開始前に被験猫の血液検査(ALT(アラニンアミノ転移酵素)等)および基本身体検査(体重など)を進行した。
【0123】
(1)飼料摂取
0週目(投与開始前)、2週目、および4週目に被験猫の飼料摂取量を評価した(下記の表参照)。
【0124】
【表13】
【0125】
(2)活動性(気分)
0週目(投与開始前)、2週目、および4週目に被験猫の活動性(気分)を観察して評価した(下記の表参照)。
【0126】
【表14】
【0127】
(3)触診性痛み指数
0週目(投与開始前)、2週目、および4週目に被験猫の疾患部位を手で触った時、現れる反応を観察して触診性痛みを評価した(下記の表参照)。
【0128】
【表15】
【0129】
(4)口臭指数
0週目(投与開始前)、2週目、および4週目に口臭を官能検査によって評価した(下記の表参照)。
【0130】
【表16】
【0131】
(5)歯垢指数
0週目(投与開始前)、2週目、および4週目に歯垢着色剤を利用して右側大臼歯を染色した後、歯垢着色剤が歯の表面を覆っている部位を全体歯の表面の%比率で換算して歯垢指数を算出し(下記の表参照)、写真を撮影した。
【0132】
【表17】
【0133】
(6)歯石指数
0週目(投与開始前)、2週目、および4週目に歯石を右側上顎大臼歯で肉眼で観察して歯石指数を算出し(下記の表および図1参照)、写真を撮影した。
【0134】
【表18】
【0135】
(7)歯肉炎指数
0週目(投与開始前)、2週目、および4週目に右側上顎大臼歯の歯肉部位を肉眼で観察し、下記の表の基準で点数を測定した後、合計点数を計算して歯肉炎指数を算出し、写真を撮影した。
【0136】
【表19】
【0137】
(8)その他異常反応
有効性確認のための試験物質の投与期間の間現れるすべての異常反応(食欲喪失、嘔吐、下痢、血便、吐血、無気力、胃腸管障害など)を保護者または試験管理者が観察して記録した。
【0138】
実験例2.6.統計学的方法
試験群内で試験物質処理前後の比較のためにpaired sample t-testを使って統計学的有意性を検定し、統計処理方法としては商用に広く使われる統計パッケージであるGraphpad prism 5.01プログラムを利用した。
【0139】
実験例2.7.試験結果および考察
(1) 飼料摂取量および体重
飼料摂取量および体重は試験期間の間すべての群で有意義な差が観察されなかった(データは提示されない)。
【0140】
(2)活動性
vehicle対照群で活動性が2週目から有意義に改善され、SOD群では活動性が少しずつ増加する傾向を示したが統計的有意性はなかった(データは提示されない)。
【0141】
(3)触診性痛み指数
vehicle対照群では触診性痛みが試験終了時までほとんど変化がなかったが、SOD群では触診性痛みが2週目から減少して4週目に統計的に有意義に改善された(図7)。
【0142】
(4)口臭指数
vehicle対照群では口臭指数が試験終了時まで変化がなかったが、SOD群では口臭指数が持続的に減少する傾向を確認することができた(図8)。
【0143】
(5)歯垢指数
vehicle対照群では歯垢指数が試験期間の間明確に増加した反面、SOD群では歯垢指数が2週目から試験終了時まで統計的有意性を見せながら減少した(図9)。
【0144】
(6)歯石指数
vehicle対照群では歯石指数が次第に増加した反面、SOD群では歯石指数が4週目に統計的有意性を見せながら減少した(図10)。
【0145】
(7)歯肉炎指数
vehicle対照群では歯肉炎指数に特別な変化がなかったが、SOD群では2週目から歯肉炎指数が減少して4週目に統計的に有意義な減少が確認された(図11)。
【0146】
(8)考察
試験物質であるSODを1回0.3g(SOD 62.5U)/headの容量で毎日2回伴侶猫の歯茎に塗布した結果、投与後2週目から4週目まで0週目に比べて口臭指数、触診性痛み指数、歯垢指数、歯石指数、および歯肉炎指数すべてが減少する傾向を確認することができた。特に、触診性痛み、歯垢、歯石、および歯肉炎は0週目に比べて統計的に有意義に症状が改善された。また、試験の全過程において特別な異常反応は現れなかったので試験物質は有害性がないことを確認した。
【0147】
以上のような結果に基づいて判断した時、試験物質であるSOD単独投与の場合にも口臭、歯垢、歯石および歯肉炎のような口腔疾患を改善するのに有用であるだけでなく、そのような口腔疾患による痛みを減少させるのにも有用であることを確認することができた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【配列表】
2024532667000001.xml
【国際調査報告】