(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】燃料消費装置が排出する排気ガスを処理するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
B01D 53/92 20060101AFI20240903BHJP
B01D 53/96 20060101ALI20240903BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20240903BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20240903BHJP
C01B 32/55 20170101ALI20240903BHJP
B63H 21/32 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B01D53/92 240
B01D53/96 ZAB
B01D53/14 220
B01D53/92 331
C01B32/50
C01B32/55
B63H21/32 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504020
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 FR2022051443
(87)【国際公開番号】W WO2023002124
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】パーベル、ボリシェヴィキ
(72)【発明者】
【氏名】ジャウアド、アメイシャン
(72)【発明者】
【氏名】シャルベル、オムシー
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
4G146
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC10
4D002BA02
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4D020DA01
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4D020DB04
4G146JA02
4G146JB09
4G146JC10
4G146JC11
4G146JC28
4G146JC29
4G146LA00
(57)【要約】
少なくとも1つの燃料消費装置(100)によって排出された排気ガスの少なくとも一部分を処理するためのデバイス(300)であって、燃料消費装置(101)によって排出された排気ガス(FE1)の少なくとも一部分の圧力を上昇させるように設計された少なくとも1つの圧縮部材(320)と、排気ガス(FE)中に存在する二酸化炭素を捕捉するための少なくとも1つのユニット(310)とを備え、圧縮部材(320)および二酸化炭素を捕捉するためのユニット(310)は、燃料消費装置(101)とターボチャージャ(120)との間に配置され、ターボチャージャのタービン(122)は、排気ガス(FE2、FE3)によって動力供給されるように設計され、ターボチャージャの圧縮機(121)は、燃料消費装置(101)に酸化剤を供給するように設計されている、処理デバイス(300)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの燃料消費装置(101)によって排出された排気ガスの少なくとも一部分を処理するためのデバイス(300)であって、前記処理デバイス(300)が、前記燃料消費装置(101)によって排出された前記排気ガスの少なくとも一部分(FE1)の圧力を上昇させるように設計された少なくとも1つの圧縮部材(320)と、前記排気ガス(FE1)中に存在する二酸化炭素を捕捉するための少なくとも1つのユニット(310)とを備え、前記圧縮部材(320)および二酸化炭素(CO
2)を捕捉するための前記ユニット(310)が、前記燃料消費装置(101)とターボチャージャ(120)との間に配置され、前記ターボチャージャのタービン(122)が排気ガス(FE2、FE3)によって動力供給されるように設計され、前記ターボチャージャの圧縮機(121)が、前記燃料消費装置(101)に酸化剤を供給するように設計される、処理デバイス(300)。
【請求項2】
二酸化炭素を捕捉するための前記ユニット(310)の上流で、前記燃料消費装置(101)によって排出された前記排気ガス(FE1)を冷却するように設計された少なくとも1つの冷却手段(301)と、前記捕捉ユニット(310)の下流で前記排気ガス(FE1)を加熱するように設計された少なくとも1つの加熱手段(302)とを備える、請求項1に記載の処理デバイス(300)。
【請求項3】
前記燃料消費装置(101)によって排出される前記排気ガス(FE)中の二酸化炭素(CO
2)の濃度を最大80%減少させるように設計されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の処理デバイス(300)。
【請求項4】
前記二酸化炭素(CO
2)を捕捉するための前記ユニット(310)が、前記圧縮部材(320)を通過して出ていく前記排気ガス(FE1)の前記少なくとも一部分に適した吸収デバイス(331)であって、この吸収デバイス(331)が、前記排気ガス(FE1)中に存在する前記二酸化炭素(CO
2)を捕捉するように設計された溶媒(S
+CO2、S
-CO2)が循環する溶媒回路(330)上に配置される、吸収デバイス(331)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の処理デバイス(300)。
【請求項5】
前記溶媒回路(330)が、少なくとも前記吸収デバイス(331)と、前記溶媒を循環させるための部材(333)と、捕捉された二酸化炭素(CO
2)を前記溶媒が取り除くことを可能にするように設計された前記溶媒を再生するための少なくとも1つの部材(332)と、二酸化炭素が充填された前記溶媒(S
+CO2)とこの二酸化炭素が取り除かれた前記溶媒(S
-CO2)との間で熱を交換するように設計された少なくとも第1の熱交換器(334)と、前記溶媒回路(330)内の前記溶媒の循環方向に対して前記吸収デバイス(331)の上流で前記溶媒(S
-CO2)を冷却するように設計された少なくとも第2の熱交換器(335)とを備える、請求項4に記載の処理デバイス(300)。
【請求項6】
二酸化炭素(CO
2)を捕捉するための前記ユニット(310)が、冷媒(FR)と液体状態のタンク(200)から取り出されたガスとの間で熱を交換するのに適した少なくとも第1の熱交換器(311)と、前記第1の熱交換器(311)を通るその通路によって冷却された前記冷媒(FR)と前記排気ガス(FE1)の前記少なくとも一部分との間で熱を交換するのに適した少なくとも第2の熱交換器(312)とが配置された少なくとも1つの冷媒回路(FR)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の処理デバイス(300)。
【請求項7】
少なくとも1つの燃料消費装置にガスを供給するためのシステム(100)であって、前記供給システム(100)が、液体状態および気体状態のガスを収容する少なくとも1つのタンク(200)と、前記燃料消費装置(101)にガスを供給するための少なくとも1つのライン(110)と、前記燃料消費装置(101)に酸化剤を供給するように設計された少なくとも1つのターボチャージャ(120)と、請求項1から6のいずれか一項に記載のガスを処理するための少なくとも1つのデバイス(300)とを備え、前記ガス供給ライン(110)が、液体状態の前記タンク(200)から取り出された前記ガスを蒸発させるように設計された少なくとも1つの熱交換器(111)と、前記ガスの圧力を前記燃料消費装置(101)の必要性に適合する圧力まで上昇させるのに適した少なくとも1つの圧縮デバイス(112)とを備える、システム(100)。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の排気ガスを処理するための少なくとも1つのデバイス(300)を使用する燃料消費装置(101)によって排出された排気ガス(FE)を処理するための方法であって、少なくとも
前記燃料消費装置(101)によって排出された排気ガス(FE)を、排気ガスの第1の部分(FE1)と前記排気ガスの第2の部分(FE2)とに分離するステップと、
前記排気ガスの前記第1の部分(FE1)を圧縮部材(320)に供給するステップと、
前記圧縮部材(320)によって前記排気ガスの前記第1の部分(FE1)を圧縮するステップと、
二酸化炭素(CO
2)を捕捉するためのユニット(310)に前記圧縮された排気ガスの前記第1の部分(FE1)を供給するステップと、
二酸化炭素(CO
2)を捕捉するための前記ユニット(310)によって、前記排気ガスの前記第1の部分(FE1)内に存在する二酸化炭素(CO
2)を回収するステップと、
二酸化炭素を捕捉するための前記ユニット(310)を出る前記排気ガスの前記第1の部分(FE1)を前記排気ガスの前記第2の部分(FE2)と混合して、混合ガス(FE3)を形成するステップと、
ターボチャージャ(120)に前記混合ガス(FE3)を供給するステップと、
前記ターボチャージャ(120)を出る前記混合ガス(FE3)を冷却するステップと、
前記冷却された混合ガス(FE3)を大気に排出するステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記排気ガスの前記第1の部分(FE1)と前記排気ガスの前記第2の部分(FE2)とが互いに異なる、請求項8に記載の排気ガスを処理するための方法。
【請求項10】
前記排気ガスの前記第1の部分(FE1)が、これらの排気ガス(FE)のすべての10%~90%を表し、前記排気ガスの前記第2の部分(FE2)が、これらの排気ガス(FE)のすべての90%~10%を表す、請求項8または請求項9のいずれかに記載の排気ガスを処理するための方法。
【請求項11】
液化ガスを輸送するための船舶(70)であって、少なくとも1つの燃料消費装置(101)と、請求項1から6のいずれか一項に記載の前記燃料消費装置(101)によって排出された前記排気ガス(FE)の少なくとも一部分を処理するための少なくとも1つのデバイス(300)とを備える、船舶(70)。
【請求項12】
液体ガスを積み込みまたは積み下ろしするためのシステム(100)であって、少なくとも1つの陸上施設(77)と、請求項11に記載の液体ガスを輸送するための少なくとも1つの船舶(70)とを組み合わせたシステム(100)。
【請求項13】
請求項11に記載のガス輸送船(70)から液体ガスを積み込みまたは積み下ろしするための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然ガスによって動力供給されるエンジン、特に液化天然ガスを収容および/または輸送することができる船舶に設けられた付属品を推進または駆動するためのエンジン、またはガスターミナルに設けられたエンジンの分野に関する。
【0002】
したがって、そのような船は、従来、液体状態の天然ガスを収容するタンクを備える。天然ガスは、大気圧において-160℃未満の温度で液体である。これらのタンクは、天然ガスが少なくとも部分的に中で蒸発するように完全に断熱されることはない。したがって、これらのタンクは、液体形態の天然ガスおよび気体形態の天然ガスの両方を含む。気体形態のこの天然ガスはタンクの上部を形成し、タンクを損傷しないようにタンクのこの上部の圧力を制御しなければならない。したがって、既知の方法では、気体形態でタンク内に存在する天然ガスの少なくとも一部分は、とりわけ船舶の推進エンジンに動力を供給するために使用される。
【0003】
これらのエンジンは、天然ガスを消費し、排気ガスを排出する。例えば、これらの排気ガスは、それ自体がターボチャージャの圧縮機に回転可能に接続されたこのターボチャージャのシャフトを駆動するために、ターボチャージャのタービンに送ることができる。次いで、この圧縮機は、空気を圧縮し、圧縮された空気をエンジンに供給するように設計される。
【0004】
これらのエンジンによって排出された排気ガスは、その後大気中に放出される。エンジンに供給される天然ガスの燃焼に起因するこれらの排気ガスは、高濃度の二酸化炭素を含む。次いで、この二酸化炭素は、残りの排気ガスと共に大気に排出される。
【発明の概要】
【0005】
現在、二酸化炭素が主要な大気汚染物質の1つであることが知られており、船舶所有者にこれらの二酸化炭素排出量を大幅に削減することを強制する新しい基準が徐々に導入されている。本発明は、上記で定義したように船舶に設置するのに適しており、これらの排気ガス中の二酸化炭素のレベルを低下することを可能にする排気ガスを処理するためのデバイスを提供することによって、この文脈に含まれる。
【0006】
したがって、本発明の目的は、少なくとも1つの燃料消費装置、例えば船舶によって排出された排気ガスの少なくとも一部分を処理するためのデバイスに関し、処理デバイスは、燃料消費装置によって排出された排気ガスの少なくとも一部分の圧力を上昇させるように設計された少なくとも1つの圧縮部材と、排気ガス中に存在する二酸化炭素を捕捉するための少なくとも1つのユニットとを備え、圧縮部材および二酸化炭素を捕捉するためのユニットは、燃料消費装置とターボチャージャとの間に配置され、ターボチャージャのタービンは、排気ガスによって動力供給されるように設計され、ターボチャージャの圧縮機は、燃料消費装置に酸化剤を供給するように設計される。
【0007】
言い換えれば、本発明による排気ガスを処理するためのデバイスは、燃料消費装置によって排出されたガスの少なくとも一部分を、ターボチャージャを回転させ、したがって燃料消費装置に酸化剤を供給するために再使用される前に処理することを可能にすることが理解される。したがって、有利には、このようなデバイスは、前述のガスが最高濃度の二酸化炭素を有するときに排気ガスから二酸化炭素を捕捉することを可能にする。結果として、使用される機器、特に二酸化炭素を捕捉するためのユニットは、可能な限り小さい寸法、したがって限られた容積を有する。
【0008】
燃料は、液化石油ガス、重質燃料油、超低硫黄燃料油、ディーゼル、メタノール、有鉛もしくは無鉛ガソリン、またはタンク、例えば、本明細書に記載の煙を処理するためのデバイスおよび燃料消費装置を備えた船舶に貯蔵された、液化天然ガスもしくは液化石油ガスなどの極低温流体であってもよい。
【0009】
本発明の特徴によれば、排気ガスを処理するためのデバイスは、二酸化炭素を捕捉するためのユニットの上流で、燃料消費装置によって排出された排気ガスを冷却するように設計された少なくとも1つの冷却手段と、捕捉ユニットの下流で排気ガスを加熱するように設計された少なくとも1つの加熱手段とを備える。「上流」および「下流」という用語は、ここでは排気ガスの移動方向に関して理解される。言い換えれば、冷却手段は、二酸化炭素が充填されたガスを冷却するように設計され、加熱手段は、二酸化炭素が取り除かれたガスを加熱するように設計される。有利には、冷却手段および加熱手段は、一緒に動作することができ、すなわち、二酸化炭素が充填された排気ガスに存在する熱は、この二酸化炭素が取り除かれた排気ガスを加熱するために使用され、これにより、二酸化炭素が充填されたガスを同時に冷却することが可能になる。
【0010】
有利には、本発明による排気ガスを処理するためのデバイスは、排気ガス中のCO2の濃度を最大80%、有利には40%のレベルまで低減するように設計される。言い換えれば、本発明による処理デバイスは、大気中に排出される排気ガスが、燃料消費装置を出る排気ガス中の二酸化炭素濃度よりも40%低い二酸化炭素濃度を有するように設計される。
【0011】
本発明の第1の実施形態によれば、二酸化炭素を捕捉するためのユニットは、圧縮部材を通過させる排気ガスの少なくとも一部分に適した吸収デバイスを備え、この吸収デバイスは、前述の排気ガス中に存在する二酸化炭素を捕捉するように設計された溶媒が循環する溶媒回路上に配置される。この第1の実施形態の特徴によれば、溶媒回路は、少なくとも吸収デバイスと、溶媒を循環させるための部材と、溶媒が捕捉された二酸化炭素を取り除くことを可能にするように設計された溶媒を再生するための少なくとも1つの部材と、二酸化炭素が充填された溶媒とこの二酸化炭素が取り除かれた溶媒との間で熱を交換するように設計された少なくとも第1の熱交換器と、溶媒回路内の溶媒の循環方向に対して吸収デバイスの上流で溶媒を冷却するように設計された少なくとも第2の熱交換器とを備えてもよい。
【0012】
例えば、溶媒は、アミン、アミン塩、水酸化ナトリウム溶液、重炭酸塩溶液またはアルカリ溶液を含むことができる。例として、この溶媒は、モノエタノールアミン(MEA)、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)、水酸化ナトリウム(NaOH)、亜硫酸水素塩(H2SO3)、ジエタノールアミン(DEA)、ジエチレントリアミン(DETA)、アミノメチルプロパノール(TEA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)およびピペラジン(PZ)の成分の1つまたはそれらの混合物を含み得る。有利には、再生部材は、その中に取り除かれた二酸化炭素が液体形態で回収され得るように設計される。次いで、二酸化炭素を液体状態および高圧で貯蔵する。
【0013】
第2の実施形態によれば、二酸化炭素を捕捉するためのユニットは、冷媒と液体状態の、例えば船舶のタンクから取り出されたガスとの間で熱を交換するのに適した少なくとも第1の熱交換器と、第1の熱交換器を通る冷媒の通路によって冷却された冷媒と排気ガスの少なくとも一部分との間で熱を交換するのに適した少なくとも第2の熱交換器とが配置される少なくとも1つの冷媒回路を備える。
【0014】
第2の熱交換器内で行われる熱交換の結果は、第2の熱交換器内の二酸化炭素の氷結である。二酸化炭素を回収するために、熱交換器は、その温度が少なくとも二酸化炭素の液化温度まで上昇するように閉じられる。次いで、第1の実施形態を参照して上述したものと同様に、二酸化炭素を液体状態および高圧で貯蔵することができる。
【0015】
本発明はまた、少なくとも1つの燃料消費装置、例えばガス輸送船にガスを供給するためのシステムに関し、供給システムは、液体状態および気体状態のガスを収容する少なくとも1つのタンクと、燃料消費装置にガスを供給するための少なくとも1つのラインと、燃料消費装置に酸化剤を供給するように設計された少なくとも1つのターボチャージャと、上述のガスを処理するための少なくとも1つのデバイスとを備え、ガス供給ラインは、液体状態のタンクから取り出されたガスを蒸発させるように設計された少なくとも1つの熱交換器と、ガスの圧力を燃料消費装置の必要性に適合する圧力に上昇させるのに適した少なくとも1つの圧縮デバイスとを備える。
【0016】
本発明はまた、上述の排気ガスを処理するための少なくとも1つのデバイスを使用する燃料消費装置によって排出される排気ガスを処理するための方法であって、少なくとも、
燃料消費装置によって排出された排気ガスを、排気ガスの第1の部分と排気ガスの第2の部分とに分離するステップと、
排気ガスの第1の部分を圧縮部材に供給するステップと、
圧縮部材によって排気ガスの第1の部分を圧縮するステップと、
二酸化炭素を捕捉するためのユニットに圧縮された排気ガスの第1の部分を供給するステップと、
二酸化炭素を捕捉するためのユニットによって排気ガスの第1の部分に存在する二酸化炭素を回収するステップと、
二酸化炭素を捕捉するためのユニットを出る排気ガスの第1の部分を排気ガスの第2の部分と混合して、混合ガスを形成するステップと、
混合されたガスをターボチャージャに供給するステップと、
ターボチャージャを出る混合ガスを冷却するステップと、
冷却された混合ガスを大気に排出するステップと、を含む方法。
【0017】
本発明によるガスを処理するための方法の特徴によれば、排気ガスの第2の部分と排気ガスの第1の部分とは互いに異なる。
【0018】
例えば、排気ガスの第1の部分は、これらの排気ガスのすべての10%~90%、例えばこれらの排気ガスの50%を表し、排気ガスの第2の部分は、これらの排気ガスのすべての90~10%、例えばこれらの排気ガスの50%を表す。
【0019】
排気ガスの第1の部分および排気ガスの第2の部分は、燃料消費装置によって排出される排気ガスを形成するために一緒に添加することができる。
【0020】
本発明はさらに、上述したように、少なくとも1つの燃料消費装置と、燃料消費装置によって排出された排気ガスの少なくとも一部分を処理するための少なくとも1つのデバイスとを備える、液化ガスを輸送するための船舶に関する。
【0021】
最後に、本発明は、液体ガスを積み込みまたは積み下ろしするためのシステムに関し、このシステムは、上述したように、少なくとも1つの陸上施設と、液体ガスを輸送するための少なくとも1つの船舶とを組み合わせる。
【0022】
本発明はまた、上述のように船舶から液体ガスを積み込みまたは積み下ろしするための方法に関する。
【0023】
本発明の他の特徴、詳細、および利点は、以下の本明細書を読むこと、および例示目的で与えられた実施形態から、添付の図面を参照して限定することなく、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明による少なくとも1つの燃料消費装置にガスを供給するための、本発明による排気ガスを処理するための少なくとも1つのデバイスを備えるシステムを概略的に示す。
【
図2】本発明の代替的な実施形態による
図1に示すガス供給システムを概略的に示す。
【
図3】
図1に示す排気ガスを処理するためのデバイスの第1の実施形態を概略的に示す。
【
図4】
図1に示す排気ガスを処理するためのデバイスの第2の実施形態を概略的に示す。
【
図5】LNG船のタンク、ならびにこのタンクに積み込みおよび/または積み下ろしするためのターミナルの切り取り概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書の残りの部分では、「上流」および「下流」という用語は、問題の要素を通る液体、気体または二相状態の流体の循環の方向に従って理解される。
【0026】
図1は、少なくとも1つの燃料消費装置101にガスを供給するためのシステム100を概略的に示し、システムは、少なくとも1つの燃料消費装置101によって排出される排気ガスを処理するためのデバイス300を備え、
図3および
図4は、本発明の第1の実施形態および本発明の第2の実施形態による排気ガスを処理するためのデバイス300をそれぞれ概略的に示す。図示のように、供給システム100は、燃料、例えば少なくとも1つの燃料消費装置101に供給されるように意図されたガスを収容する少なくとも1つのタンク200を備え、ガスは、液体状態および気体状態でこのタンク200内に収容される。以下の説明は、タンク200が液化天然ガス、液化石油ガス、重質燃料油、超低硫黄燃料油、ディーゼル、メタノール、または有鉛もしくは無鉛ガソリンを含む本発明の用途の特定の例を示す。これは用途の一例にすぎず、本発明による燃料供給システム100は、異なる種類の液体または気体燃料、例えば炭化水素または水素ガスと共に使用することができることが理解される。同様に、図は、1つの燃料消費装置に燃料を供給するためのシステムを示しているが、本発明の文脈から逸脱することなく、このシステムは2つ以上のガス消費装置に供給するのに適し得ることが理解される。
【0027】
したがって、本文献に記載の燃料供給システムは、ガス供給システムとすることができる。本文献を通して、燃料消費装置は、ガス消費装置と考えることができる。
【0028】
本明細書の残りの部分では、特に明記しない限り、「燃料消費装置」という用語は、1つまたは複数のガス消費機器(複数可)を指す。さらに、「システム100」および「燃料システム100」という用語は、「燃料消費装置によって排出される排気ガス」、「排気ガス」および「ガス」という用語、ならびに「燃料消費装置101」および「装置101」という用語と同様に、交換可能に使用される。図中、破線はタンクから引き出されたガスまたは冷媒が循環する回路部分を示し、実線は燃料消費装置によって排出された排気ガスが循環する回路部分を示す。
【0029】
したがって、
図1は、本発明による供給システム100であって、液体状態および気体状態のガスを収容する少なくともタンク200と、燃料消費装置101の少なくとも1つのガス供給ライン110と、少なくとも1つのターボチャージャ120と、二酸化炭素(以下、二酸化炭素は記号「CO
2」によって示される)を捕捉するための少なくとも1つのユニット310と、少なくとも1つの冷却手段301と、少なくとも1つの加熱手段302と、少なくとも1つの圧縮部材320とを備えるガスを処理するための少なくとも1つのデバイス300とを備える、供給システム100を示す。図示の例によれば、圧縮部材320は、CO
2を捕捉するためのユニット310の上流に配置される。言い換えれば、これらの例によれば、排気ガスは、この捕捉ユニット310に到達する前にそれらの圧力の増加を受ける。代替で、圧縮部材320は、CO
2を捕捉するためのこのユニットの下流に位置付けられることができる。いずれにせよ、この圧縮部材320は、処理デバイス300によるCO
2の捕捉に関連する圧力降下を補償することを可能にする。
【0030】
冷却手段301は、排気ガスが捕捉ユニット310に到達する前に排気ガスの温度を低下させることを可能にする。図示の例によれば、この冷却手段301は、圧縮部材320と捕捉ユニット310との間に配置されているが、これは本発明の例示的な実施態様にすぎず、これらの構成要素の位置は、例えば本発明の文脈から逸脱することなく反転させることができることが理解される。加熱手段302は、
図1に示す例によれば、捕捉ユニット310の下流に配置され、その機能は、以下でより完全に説明される。
図2は、特にCO
2を捕捉するためのユニット310に対する冷却手段301、圧縮部材320および加熱手段302の配置のために、以下に説明するものとは異なるシステム100の代替的な実施形態を示す。
【0031】
供給ライン110は、液体状態のタンク200から取り出されたガスを蒸発させるように設計された少なくとも1つの熱交換器111と、熱交換器111を出るガスの圧力を燃料消費装置101の必要性に適合する圧力まで上昇させるように設計された少なくとも1つの圧縮デバイス112とを備える。言い換えれば、供給ライン110を出るガスは、気体状態であり、燃料消費装置101の必要性に適合する圧力を有する。
【0032】
図示の例は、液体状態のタンク200からガスが取り出される状況を示している。この目的のために、少なくとも1つのポンプ113がタンク200の底部に配置され、すなわち、ポンプ113は、このタンク200内に液体状態で存在するガスに浸漬される。熱交換器111は、少なくとも第1のパス114および少なくとも第2のパス115を備え、この熱交換器111は、その第1のパス114で循環する流体とその第2のパス115で循環する流体との間で熱を交換するように設計される。
【0033】
図示のように、液体状態のタンク200から取り出されたガスは、熱交換器111の第1のパス114に供給される。次いで、この熱交換器111の第2のパス115内で循環する流体は、この流体と液体状態のガスとの間の熱交換が液体状態のこのガスの蒸発をもたらすように選択される。例えば、第2のパス115内を循環する流体は、本発明によるシステム100を備えた船舶の近くから取られた海水であり得る。これにより、第1のパス114内を循環するガスは、このガスが蒸発し、第1のパス114を気体状態で離れるように第2のパス115内を循環する海水から熱を捕捉する。次いで、気体状態のガスは、圧縮、すなわち燃料消費装置101の必要性に適合する圧力に到達するため圧力の増加を受ける圧縮デバイス112に到達する。
【0034】
ここに示されていない例によれば、ガスは、気体状態でタンクから取り出すことができ、その場合、熱交換器は、前述のガスの変化する状態なしでこのガスの温度を上昇させるように設計される。次いで、加熱されたガスは、図示の例を参照して上述したように圧縮デバイスに到達する。
【0035】
図示の例によれば、燃料消費装置101は空気供給を必要とする。この燃料消費装置101は、例えば本発明によるシステム100を備えた船舶の推進エンジンとすることができる。燃料消費装置101に酸化剤を供給することを可能にするために、システム100は、ターボチャージャ120を備える。このターボチャージャ120は、装置101に供給される空気流を送る前に、空気流FAを引き込んで圧縮する、すなわちその圧力を増加させ、その一部が圧縮機121に回転可能に接続されたシャフト123を回転するように設計されている少なくとも1つのタービン122に動力を供給するように設計された少なくとも1つの圧縮機121を備える。有利には、タービン122は、燃料消費装置101によって排出される排気ガスによって動力供給される。言い換えれば、燃料消費装置101は、タンク200から取り出されたガスを消費し、出口で、その後タービン122に動力を供給するために使用される排気ガスを排出し、こうして燃料消費装置101に供給される空気を圧縮することができる圧縮機121を回転するシャフト123をこのタービン122は動かす。次いで、ターボチャージャ120を出る排気ガスは、大気中に放出される。
【0036】
図に示す実施形態によれば、燃料消費装置101によって排出される排気ガスは、約3バールの圧力を有する。例えば、これらのガスは、3.5バールの圧力で装置101から逃避することができる。これは一例にすぎず、これらの排気ガスは、本発明の文脈から逸脱することなく、3バールを超えるまたは3バール未満の圧力を有することができることが理解される。
【0037】
環境に対するシステム100の影響を制限するために、該システムは、排気ガスを処理するためのデバイス300をさらに備える。上述したように、この処理デバイス300は、冷却手段301と、加熱手段302と、圧縮部材320と、CO2を捕捉するためのユニット310とを備える。捕捉ユニット310の構成要素は、以下で詳細に説明され、実装される実施形態に応じて異なる。
【0038】
本発明によるシステム100を実装する、より具体的には本発明によるガスを処理するためのデバイス300を実装する、ガスを処理するための方法をここで説明する。
【0039】
供給ライン110の動作は上述したので、ここでは詳細に繰り返さない。燃料消費装置101によって排出される排気ガスFEは、燃料消費装置101と少なくとも第2のダクト104および第3のダクト105がそこから延在する接続点103との間に延在する第1のダクト102をとり、第3のダクト105は、少なくとも1つの流れ制御部材106を担持する。ここで、「流れ制御部材」という用語は、前述の流れを運ぶダクト内のガスの流れを制御することができる任意の部材を意味する。
【0040】
第2のダクト104は、接続点103とターボチャージャ120との間、より具体的には、接続点103とこのターボチャージャ120のタービン122の入口124との間に延在する。第3のダクト105は、接続点103と処理デバイス300との間に延在する。図示の例によれば、この第3のダクト105は、より具体的には接続点103と圧縮部材320との間に延在する。この圧縮部材320は、この圧縮部材320から捕捉ユニット310まで延在する第4のダクト107によって、CO2を捕捉するためのユニット310に接続され、この第4のダクト107は冷却手段301を担持する。加熱手段302は、捕捉ユニット310と接続点103との間に延在する第5のダクト108上に配置される。
【0041】
第6のダクト109は、最終的に、タービン122の出口125とシステム100の外部の環境との間に延在し、この第6のダクト109は、排気ガスを冷却するため少なくとも1つの部材126を担持する。したがって、この冷却部材126は、排気ガスを大気中に放出する前に冷却するように設計される。
【0042】
接続点103に到達した燃料消費装置101が排出する排気ガスFEは、流れ制御部材106によって二分割される。したがって、この流れ制御部材106は、排気ガスFEの第1の部分FE1が第3のダクト105をとることができるようにすると同時に、排気ガスの第2の部分FE2は第2のダクト104をとるようにされる。本発明によれば、ガスFEの第2の部分FE2は、これらの排気ガスFEの第1の部分FE1とは異なる。例えば、第2の部分FE2は、すべての排気ガスFEの90%~10%、特に50%を表し、第1の部分FE1は、すべての排気ガスFEの10%~90%、例えば50%を表し、第1の部分FE1および第2の部分FE2を合計して、100%の排気ガスを表すことが可能である。
【0043】
したがって、燃料消費装置101によって排出されたガスFEの半分は、タービン122の入口124に直接向けられる一方で、他の半分は、ガスを処理するためデバイス300に向けられる。言い換えれば、排気ガスの半分のみが、ガスを処理するためデバイス300によって処理される。有利には、これにより、ガスを処理するためデバイス300を構成する要素のサイズ、したがってガスを処理するためのこのデバイス300の全体的な寸法を縮小することが可能になる。
【0044】
排気ガスの第1の部分FE1は、第3のダクト105をとり、圧縮部材320および冷却手段301に到達し、これらのガスは、それらの圧力の増加およびそれらの温度の低下を受ける。上述したように、ガスFEは、約3.5バールの圧力で燃料消費装置101から逃避する。図示の例によれば、圧縮部材320は、次いで、ガスの第1の部分FE1の圧力を約4.5バールの圧力まで増加するように設計される。次いで、高圧および低温のガスの第1の部分FE1は、これらのガスが含有するCO2の少なくとも一部分が前述のガスから取り除かれる、CO2を捕捉するためユニット310に到達する。例えば、CO2を捕捉するためのこのユニット310は、ガスのこの第1の部分FE1に存在するCO2の80%を保持するように設計される。CO2の大部分が取り除かれたこれらのガスは、次いで、捕捉ユニット310と接続点103との間に延在する第5のダクト108をとる。この第5のダクト108に沿って、ガスの第1の部分FE1は、加熱手段302を通過し、その温度は上昇する。次いで、ガスの第1の部分FE1は接続点103に到達し、そこで、CO2が取り除かれたガスのこの第1の部分FE1は、燃料消費装置101によって排出されたガスの第2の部分FE2に到達してこれと混合する。このようにして生成されたガスの第2の部分FE2とCO2が取り除かれたガスの第1の部分FE1との混合物は、次いで、ターボチャージャ121のタービン112に動力を供給するために使用され、すなわち、この混合物は、第2のダクト104をとってタービン112の入口124に進む。したがって、本明細書の残りの部分では、この第2のダクト104内を循環するガスは、「混合ガスFE3」と呼ばれる。
【0045】
以上から、第2のダクト104内を循環する混合ガスFE3は、燃料消費装置によって排出された排気ガスFE、すなわち第1のダクト102内を循環する排気ガスFE内に存在するCO2レベルよりも低いCO2レベルを有することが理解される。図示の例によれば、混合ガスFE3は、装置101によって排出され、第1のダクト102内を循環するガスFE内に存在するCO2レベルよりも40%低いCO2レベルを有する。
【0046】
次いで、二酸化炭素が枯渇したこれらの混合ガスFE3は、冷却され、次いで大気中に放出されるために、冷却部材126に向けられ得る。
【0047】
図2は、冷却手段301の動作と加熱手段302の動作とが互いに依存する、
図1に示すシステム100の代替的な実施形態を示す。図面の理解を容易にするために、ガスを処理するためのデバイス300のみがこの図(
図2)内に詳細に示される。
【0048】
図示のように、この代替的な実施形態による処理デバイス300は、少なくとも第1の熱交換手段303と、少なくとも第2の熱交換手段304と、少なくともCO2を捕捉するためのユニット310と、少なくとも圧縮部材320とを備える。
【0049】
したがって、ガスの第1の部分FE1は、CO2を捕捉するためのユニット310に到達する前に、最初に第1の熱交換手段303に到達し、次に第2の熱交換手段304に到達する。CO2が取り除かれたガスの第1の部分FE1は、次いで圧縮部材320に到達した後、第1の熱交換手段303を再び通過し、その後上述したように第2のダクト104に到達する。
【0050】
具体的には、第1の熱交換手段303は、ここでは、CO2が充填されたガスが循環する少なくとも第1のパス307と、CO2が取り除かれたガスが循環する少なくとも第2のパス308とを備える熱交換器の形態をとる。したがって、第1の熱交換手段303は、CO2が充填されたガスとCO2が取り除かれたガスとの間で熱を交換することを可能にし、その結果、CO2が取り除かれたガスの温度が上昇し、CO2が充填されたガスの温度が低下する。したがって、加熱されたガスは、第2のダクト104内で、燃料消費装置101によって排出され、ガスを処理するためのデバイス300によって処理されないガスと再混合され得る。CO2が充填されたガスは、その一部が部分的に冷却され、ガスをさらに冷却し、それにより、捕捉ユニット310による処理を可能にするために、これらの部分的に冷却されたガスと海水との間で熱を交換するように設計される第2の熱交換手段304に到達する。例えば、ガスは、約35℃の温度でCO2を捕捉するためのユニット310に到達することが可能であると同時に、ガスは、約350℃の温度で第1の熱交換手段303の入口に到達する。
【0051】
前述のように、CO2を捕捉するためのユニット310を通る通路は、CO2が取り除かれたガスが第2のダクト104に戻される前に補償される必要がある圧力降下を引き起こす。したがって、この代替形態によれば、圧縮部材320は、処理デバイス300内のガスの循環方向に対してCO2を捕捉するためのユニット310の下流に配置される。
【0052】
したがって、冷却手段301は、
図2に示す代替形態によれば、第1の熱交換手段303および第2の熱交換手段304によって設けられ、加熱手段302は、第1の熱交換手段303によって設けられることが理解される。圧縮部材320はまた、ガスの圧力を上昇させることによってCO
2が排出されたガスの温度を上昇させることに関与する。したがって、このような配置は、ガスを処理するためのデバイス300に外部エネルギーを供給する必要なく、ガスによって運ばれる熱を直接使用することを可能にする。
【0053】
任意選択的に、フローセパレータ305は、CO2が充填されたガスの循環方向に関して第1の熱交換手段303の上流に配置することができ、フローミキサ306は、CO2が取り除かれたガスの循環方向に対してこの第1の熱交換手段303の下流に配置することができる。
【0054】
ここで、
図3が、第1の実施形態による処理デバイス100を示し、
図4は、第2の実施形態による処理デバイス100を示す、
図3および
図4を参照して、ガスを処理するためのデバイス300の2つの実施形態を説明する。
【0055】
第1の実施形態によれば、CO2は溶媒を使用して捕捉されるが、第2の実施形態によれば、捕捉ユニットは、「極低温」捕捉として知られるものを実行することを可能にする。言い換えれば、捕捉ユニット310を構成する要素のため、第1の実施形態は、第2の実施形態と異なる。他の実施形態(図示せず)によれば、CO2は、膜プロセスによって、非化学的吸収によって、すなわち溶媒なしで、または吸着によって捕捉される。
【0056】
したがって、
図3に示される第1の実施形態によれば、CO
2を捕捉するためのユニット310は、溶媒回路330、すなわち溶媒が循環する回路330と、圧縮部材320と、冷却手段301と、加熱手段302とを備える。
図3は、
図1に示す例に従って冷却手段301、加熱手段302、および圧縮部材320が設けられた実施形態を示すが、本発明の文脈から逸脱することなく、
図2に示す代替形態で説明および図示されるように配置され得ることが理解される。
【0057】
溶媒回路330は、排気ガスからCO2を抽出するように設計された少なくとも1つの吸収デバイス331と、溶媒からCO2を抽出するように設計された少なくとも1つの再生部材332と、溶媒を循環させるための少なくとも1つの部材333と、二酸化炭素が充填された溶媒S+CO2とこの二酸化炭素が取り除かれた溶媒S-CO2との間で熱を交換するように設計された少なくとも第1の熱交換器334と、吸収デバイス331の上流の溶媒、すなわちCO2が取り除かれた溶媒を冷却するように設計された少なくとも第2の熱交換器335とを備える。
【0058】
したがって、排気ガスの第1の部分FE1は、溶媒回路330内を循環する溶媒と接触する吸収デバイス331に最初に到達する。溶媒は、これらのガスからこのCO2を抽出するために、ガス中に存在する二酸化炭素と反応する能力に対して選択される。したがって、排気ガスの第1の部分FE1は、そのCO2の一部が取り除かれた状態で吸収デバイス331を出る。本発明によれば、ガスを処理するためのデバイス300は、より具体的には、ガスの第1の部分FE1が、保持するCO2の約80%が取り除かれた状態で吸収デバイスを出るように設計される。例えば、溶媒は、アミン、アミン塩、水酸化ナトリウム溶液、重炭酸塩溶液またはアルカリ溶液を含むことができる。例として、この溶媒は、モノエタノールアミン(MEA)、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)、水酸化ナトリウム(NaOH)、亜硫酸水素塩(H2SO3)、ジエタノールアミン(DEA)、ジエチレントリアミン(DETA)、アミノメチルプロパノール(TEA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)およびピペラジン(PZ)の成分の1つまたはそれらの混合物を含み得る。
【0059】
CO2が充填された溶媒S+CO2は、吸収デバイス331を出て第1の熱交換器334に到達する。次いで、この溶媒S+CO2は再生部材332に到達し、そこで再生部材332は、吸収デバイス331に捕捉されたCO2を取り除く。この二酸化炭素が取り除かれた溶媒S-CO2は、再生部材332を出て、再び第1の熱交換器334に到達し、そこで第1の熱交換器は、CO2が充填された溶媒S+CO2と熱を交換する。この熱交換の結果、CO2が充填された溶媒S+CO2が加熱されると同時に、CO2が取り除かれた溶媒S-CO2は冷却される。再生部材332は、その一部が、貯蔵を可能にするためにCO2を液体状態で回収するのに適している。より具体的には、CO2は液体形態で回収され、次いで圧縮されて高圧で貯蔵される。
【0060】
次いで、冷却された、CO2の取り除かれた溶媒S-CO2は、第2の熱交換器335に到達し、そこで再び冷却される。例えば、この第2の熱交換器335は、第1の熱交換器334を通過することによって冷却された、CO2の取り除かれた溶媒S-CO2と海水との間で熱を交換するように設計することができる。これは一実施形態にすぎず、海水は、本発明の文脈から逸脱することなく、本発明に適合する任意の既知の冷媒で置き換えることができることが理解される。いずれの場合でも、溶媒回路330、より一般的にはガスを処理するためのデバイス300は、ガスおよびCO2の取り除かれた溶媒S-CO2が同等の温度で吸収デバイス331に到達するように設計される。例えば、ガスおよびCO2の取り除かれた溶媒S-CO2は、吸収デバイス331の入口で約35℃の温度を有することができる。
【0061】
次いで、CO2が取り除かれ、冷却された溶媒S-CO2は、再び吸収デバイス331に到達し、溶媒回路330上でサイクルを再開することができる。
【0062】
最後に、
図4は本発明の第2の実施形態によるガスを処理するためのデバイス300を示す。前述のように、第2の実施形態によるCO
2の捕捉は、CO
2を凍結することによって行われる。言い換えれば、この第2の実施形態は、排気ガスの少なくとも一部分を、CO
2が固体になる温度まで冷却することにある。関与する圧力では、この温度は約-125℃である。
【0063】
この目的のために、CO2を捕捉するためのユニット310は、液体状態のタンク200から取り出されたガスと冷媒FRとの間で熱を交換するように設計された少なくとも第1の熱交換器311と、排気ガスの第1の部分FE1と冷媒FRとの間で熱を交換するように設計された少なくとも第2の熱交換器312とを備える。図示のように、第1の熱交換器311および第2の熱交換器312は、冷媒回路FR上に配置され、冷媒回路FRは、冷媒FRの圧力を上昇させるように設計された少なくとも1つの圧縮手段313と、この冷媒FRの圧力を低下させるように設計された少なくとも1つの膨張手段314とをさらに備える。したがって、第1の熱交換器311は、燃料消費装置101の供給ライン110の形成に関与する少なくとも第1のパス315と、冷媒FRが通過する少なくとも第2のパス316とを備える。
【0064】
以上より、第1の熱交換器311は、
図1を参照して上述した供給ラインの熱交換器と同様の機能、すなわち、燃料消費装置101に供給するために、液体状態のタンク200から取り出されたガスを蒸発させる機能を有することが理解される。したがって、第1の熱交換器311は、タンク200から取り出されたガスと海水との間ではなく、冷媒FRとタンク200から取り出されたガスとの間で熱を交換するように設計されている点で、前述の熱交換器とは異なる。
【0065】
この第2の実施形態による処理デバイス300はまた、冷却手段301および加熱手段302を備える。
図4に示す例は、
図1を参照して説明した配置を繰り返すが、冷却手段301および加熱手段302は、本発明の文脈から逸脱することなく、
図2を参照して示し説明した例に従って配置することができることが理解される。
【0066】
「冷媒」という用語は、ここでは、状態を変えることによって熱を捕捉し、交換し、運ぶように設計された任意の流体を意味すると理解される。したがって、冷媒FRは、気体状態および低圧で圧縮手段313に到達し、気体状態および高圧でそこから出る。次いで、冷媒FRは、この第1の熱交換器311、より具体的にはこの第1の熱交換器311の第2のパス316に到達し、そこで特に第1のパス315内を循環するガスに熱を与え、それにより、この冷媒が凝縮する。次いで、冷媒FRは、冷媒FRの圧力が低下する膨張手段314に到達する。したがって、冷媒は、液体または二相状態で低圧の第2の熱交換器312、より具体的にはこの第2の熱交換器312の第1のパス317に到達する。この第2の熱交換器312内で、冷媒は熱を捕捉して、その結果蒸発し、この第2の熱交換器312を気体状態および低圧で出て、再び圧縮手段313に到達し、新しいサイクルを開始する。有利には、冷媒FRは、
図4に示すように、圧縮手段313に到達する前に、第1の熱交換器311、より具体的にはこの第1の熱交換器311の第3のパス318を通って戻ることができる。したがって、この第1の熱交換器311の第2のパス315および第3のパス318は、膨張手段315の上流の冷媒、すなわち第2のパス316内を循環する冷媒を予冷し、圧縮手段313の上流の冷媒、すなわちこの第1の熱交換器311の第3のパス318内を循環する冷媒を予熱することを可能にする内部熱交換器を形成する。
【0067】
「低圧」および「高圧」という用語は、ここでは互いに対して理解され、すなわち、「低圧」という用語は「高圧よりも低い圧力」を意味する。「上流」および「下流」という用語は、冷媒回路内の冷媒FRの循環方向に関して理解される。
【0068】
排気ガスの第1の部分FE1は、最初に、その一部が、第2の熱交換器312、より具体的には、この第2の熱交換器312の第2のパス319に到達し、そこで熱を冷媒FRに伝達してこの冷媒を蒸発させ、ガスFE1を冷却する。排気ガスを処理するためのデバイス300は、この第2の熱交換器312内で実行される冷却が、ガスの第1の部分FE1に存在するCO2の凝固を引き起こすのに十分であるように設計される。特に、この第2の熱交換器を出るガスが、この同じガスが第2の熱交換器312の上流で有した割合よりも40%低いCO2レベルを有するように、CO2は第2の熱交換器312内で氷結する。CO2が取り除かれたガスは、その後、第1の熱交換器311、より具体的には、この第1の熱交換器311の第4のパス410に到達し、第4のパスでは、このガスを加熱して冷媒FRを凝縮させるように冷媒FRによって排出される熱を捕捉する。次いで、CO2が取り除かれたガスは、加熱手段302によって加熱され、次いで、排気ガスの第2の部分と再混合されることができ、その一部は、上述のようにターボチャージャに直接送られる。
【0069】
最後に、第2の熱交換器312は、その温度が上昇し、したがって、この第2の熱交換器312内の氷結状態で存在するCO2を回収し、次いで液体状態および高圧で貯蔵されるために融解することができるようにオフにすることができる。
【0070】
最後に、
図5は、液体状態および気体状態のガスを含むタンク200を示す船舶70の切り取り図であり、このタンク200は、略角柱形状であり、船舶の二重船殻72内に取り付けられる。このタンク200は、LNG船の一部とすることができるが、ガスが燃料消費装置の燃料として使用される場合にはリザーバとすることもできる。
【0071】
タンク200の壁は、タンク内に収容された液体状態のガスと接触するように意図された一次密閉膜と、一次密閉膜と船舶70の二重船殻72との間に配置された二次密閉膜と、一次密閉膜と二次密閉膜との間、および二次密閉膜と二重船殻72との間にそれぞれ配置された2つの断熱障壁とを有する。
【0072】
船舶の上部デッキ上に配置された積み込みおよび/または積み下ろし管73は、液体状態のガスの貨物をタンク200からまたはタンクに移送するために、適切なコネクタによって海上または港湾ターミナルに接続することができ、このガスは、例えば、液化天然ガス、液化石油ガス、重質燃料油、超低硫黄燃料油、ディーゼル、メタノール、または有鉛もしくは無鉛ガソリンである。
【0073】
図5はまた、積み込みおよび/または積み下ろしステーション75、水中ダクト76、および陸上施設77を有する海上ターミナルの一例を示す。積み込みおよび/または積み下ろしステーション75は、移動アーム74と、移動アーム74を支持するタワー78とを有する固定された洋上施設である。移動アーム74は、積み込みおよび/または積み下ろし管73に接続することができる断熱管79の束を担持する。調整可能な移動アーム74は、すべての船舶のサイズに適合する。積み込みおよび積み下ろしステーション75は、陸上施設77からの、または陸上施設への船舶70の積み込みおよび/または積み下ろしを可能にする。前述の施設は、液化ガス貯蔵タンク80と、水中ダクト76によって積み込みまたは積み下ろしステーション75に接続された接続ダクト81とを有する。水中ダクト76は、長距離、例えば5kmにわたって積み込みまたは積み下ろしステーション75と陸上施設77との間の液化ガスの移送を可能にし、これにより、積み込みおよび/または積み下ろし作業中に船舶70を海岸から長距離に保つことが可能になる。
【0074】
液化ガスの移送に必要な圧力を発生させるために、タンク200を積み込みおよび/または積み下ろしするためにタワーによって担持される1つまたは複数のアンロードポンプ、および/または陸上施設77に設けられるポンプ、および/または積み込みおよび積み下ろしステーション75に設けられるポンプが使用される。
【0075】
当然のことながら、本発明は、今説明した例に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの例に多くの変更を加えることができる。
【0076】
したがって、本発明は、燃料消費装置、特に船舶の推進エンジンなどの船舶のガス消費装置によって排出される排気ガスを処理するためのデバイスを提供し、このデバイスは、これらの排気ガスを大気中に放出する前に、これらの排気ガス中に存在する二酸化炭素の濃度を大幅に低減することを可能にする。
【0077】
しかしながら、本発明は、本明細書に記載および図示された手段および構成に限定されなくてもよく、任意の同等の手段または構成、ならびにそのような手段を技術的に使用する任意の組み合わせにも及ぶ。特に、冷却手段、加熱手段、および圧縮部材の形状および配置は、本文献に記載の機能を果たす限り、本発明を損なうことなく変更することができる。
【国際調査報告】