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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】眼疾患モデルの構築方法とその使用
(51)【国際特許分類】
   A01K 67/027 20240101AFI20240903BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20240903BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 1/10 20060101ALN20240903BHJP
   C12N 1/14 20060101ALN20240903BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20240903BHJP
   C12N 7/00 20060101ALN20240903BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20240903BHJP
【FI】
A01K67/027
C12N5/071
C12Q1/02
C12N1/10
C12N1/14
C12N1/20 A
C12N7/00
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504252
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 CN2022114537
(87)【国際公開番号】W WO2023035949
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】202111057929.4
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】521198985
【氏名又は名称】珠海岐微生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Smilebiotek Zhuhai Limited
【住所又は居所原語表記】Room 103, Building 1, 36 Doukou Road Traditional Chinese Medicine Science and Technology Industrial Park of Co-operation Between Guangdong and Macao, Hengqin New Area Zhuhai, Guangdong 519000 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100152331
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100213517
【弁理士】
【氏名又は名称】韓 明花
(72)【発明者】
【氏名】魏来
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ02
4B063QQ06
4B063QQ07
4B063QQ08
4B063QQ10
4B063QQ12
4B063QQ13
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR48
4B063QR50
4B063QR72
4B063QR75
4B063QR76
4B063QR77
4B063QR79
4B063QR80
4B063QR90
4B063QS40
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA86X
4B065AA90X
4B065AC20
4B065CA46
4B065CA60
(57)【要約】
微生物をモデルキャリアに感染させることを含む眼疾患モデルの構築方法を提供する。また、この方法で製造された微生物に感染した眼モデルキャリアを提供する。前記眼モデルキャリアは、眼疾患の研究や眼疾患治療薬のスクリーニングに使用することができる。前記眼疾患は網膜変性症であり、前記微生物は腸内細菌または腸内細菌と同一の細菌である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼疾患モデルまたはモデルキャリアに微生物を感染させることを含む眼疾患モデルまたはモデルキャリアを構築する方法。
【請求項2】
前記の感染させることは、微生物と直接的に接触させることまたは微生物と間接的に接触させることを含み、前記の微生物と間接的に接触させることが、眼と微生物との間に網膜関門が存在することであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記微生物は同一個体の腸内細菌に由来するか、またはそれと同一のものであることを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記眼疾患は網膜変性症を含み、好ましくは、前記網膜変性症は進行性網膜変性症であり、より好ましくは、前記網膜変性症は遺伝性網膜変性症であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記眼疾患は眼部の炎症を含み、好ましくは、前記眼部炎症は網膜炎を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記モデルは、非ヒト動物であり、好ましくはサル、イヌ、チンパンジー、ラット、マウスであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記モデルキャリアは細胞、組織または器官から選択され、前記組織または器官は非ヒト動物由来であり、前記細胞はヒトまたは非ヒト動物の初代細胞または細胞株由来であり、前記組織または器官は非ヒト動物由来またはヒト幹細胞の成長により得られた眼組織または器官由来であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記モデルまたはモデルキャリア内の眼部遺伝子に病原性変異が存在し、好ましくは、前記の病原性変異が生じた眼部遺伝子は、以下の1つまたは2つ以上の遺伝子が変異したことを含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法:ABCA4、ABCC6、ABCC9、ACBD5、ACO2、ACO2、ACTG1、ADGRV1、AHI1、AIPL1、ALMS1、AMY2B、APC、ARFGEF1、ARL13B、ARL13B、ARL6、ARMC9、ATOH7、B9D1、BAG3、BBS1、BBS1、BBS2、BBS5、BEST1、C2CD3、CA4、CABP4、CACNA1F、CBS、CC2D2A、CDH23、CDH23、CDHR1、CEMIP2、CEP104、CEP250、CEP290、CEP290、CEP41、CEP78、CERKL、CFAP410、CFAP418、CHM、CLCC1、CLCN7、CLN3、CLN5、CLN8、CLRN1、CLRN1、CNGA1、CNGA1、CNGA3、CNGB1、CNGB3、CNNM4、COL11A1、COL11A2、COL18A1、COL2A1、COL4A1、COL9A1、COL9A2、CP、CP、CPLANE1、CRB1、ERCC4、CSPP1、CTNNA1、CYP4V2、DHDDS、DYNC2H1、DYNC2I1、DYNC2I2、ENPP1、ERCC4、EVC2、EYS、EYS、F5、FAM161A、FBN1、FKRP、FKTN、FLG、FLVCR1、FOXE3、FUZ、GLB1、GMPPB、GNAT1、GRK1、GRM6、GUCA1A、GUCA1B、GUCY2D、HADHA、HGSNAT、HPS3、HPS5、IDH3B、IFT122、IFT140、IFT140、IFT43、IFT52、IFT74、IFT80、IFT80、IFT81、IFT88、IKBKG、IMPDH1、IMPG2、INPP5E、INTU、IQCB1、IQCE、IREB2、KCNJ13、KCNQ1、KCNV2、KIAA0586、KIAA0753、KIF7、KIZ、KIZ-AS1、KLHL7、KRIT1、LBR、LCA5、LOC101927157、LOC111365204、LRP2、LRP5、MAK、MAPKAPK3、MATK、MCOLN1、MERTK、MKS1、MPDZ、MT-ATP6、MT-CO3、MT-TE、MT-TL1、MTHFR、MUTYH、MYO7A、MYO7A、NMNAT1、NPHP1、NR2E3、OCA2、OTX2、PANK2、PAX6、PCARE、PCDH15、PDE6A、PDE6B、PDE6B、PDE6D、PEX1、PEX1、PEX12、PEX26、PEX6、PHF3、PITPNM3、PKD2、PLA2G5、POC5、POMT1、PRCD、PRDM13、PROM1、PRPF3、PRPF31、PRPF8、PRPH2、RAD51C、RBP3、RBP4、RD3、RDH12、RDH5、RGR、RGR、RHO、RIMS1、RLBP1、ROM1、RP1、RP1L1、RP2、RPE65、RPE65、RPGR、RPGRIP1、RPGRIP1L、RS1、SACS、SAG、SCAPER、SDCCAG8、SIX6、SLC19A1、SLC22A5、SLC26A4、SLC2A9、SLTM、SNRNP200、SPAG17、SPATA7、SPG11、TFAP2A、TGFB2、TGFBR2、TMEM107、TMEM237、TMEM67、TOGARAM1、TOPORS、TPP1、TRAF3IP1、TREX1、TRIM59-IFT80、TSPAN12、TTC21B、TTC21B、TTC8、TULP1、USH1C、USH2A、USH2A、USH2A、USH2A、USH2A-AS1、VAC14、VCAN、VCAN、VCAN-AS1、VHL、VPS13B、WDR19、WDR19、WDR35、WDR73、YARS1、ZFYVE26、ZFYVE26、ZNF408の1つまたは2つ以上の組み合わせ。
【請求項9】
前記モデルまたはモデルキャリアのCRB1遺伝子は、以下の1つまたは2つ以上の変異を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法:c.107C>G、c.111delT、c.135C>G、c.257_258dupTG、c.258C>T、c.428_432delGATTC、c.430T>G、c.470G>C、c.481dupG、c.482C>T、c.584G>T、c.613_619del、c.717_718insG、c.750T>G、c.915T>A、c.929G>A、c.936T>G、c.998G>A、c.1084C>T、c.1125C>G、c.1148G>A、c.1208C>G、c.1269C>A、c.1298A>G、c.1313G>A、c.1438T>C、c.1438T>G、c.1576C>T、c.1604T>C、c.1690G>T、c.1733T>A、c.1750G>T、c.1760G>A、c.1834T>C、c.1963delC、c.2025G>T、c.2042G>A、c.2128G>C、c.2129C>T、c.2185_2186insAlu、c.2219C>T、c.2222T>C、c.2234C>T、c.2245_2247del 3bp(TCA)、c.2258T>C、c.2290C>T、およびc.2365_2367del AAT,インフレーム欠失、c.2401A>T、c.2438_2439ins>100A、c.2441_2442del、c.2465G>A、c.2479G>T、c.2506C>A、c.2509G>C、c.2536G>A、c.2548_2551delGGCT、c.2548G>A、c.2555T>C、c.2611_2613insT、c.2671T>G、c.2676delG、c.2681A>G、c.2688T>A、c.2816G>A、c.2843G>A、c.2853dupT、c.2884_2886delTTA、c.2957A>T、c.2966T>C、c.2983G>T、c.3002A>T、c.3008T>C、c.3035T>C、c.3037C>T、c.3074G>A、c.3074G>T、c.3122T>C、c.3212T>C、c.3296C>A、c.3299T>C、c.3299T>G、c.3307G>A/C、c.3320T>C、c.3320T>G、c.3331G>T、c.3343_3352del、c.3347delT、c.3343_3352del、c.3347delT、c.3427delT、c.3482A>G、c.3493T>C、c.3655T>G、c.3541T>C、c.3542dupG、c.3593A>G、c.3613G>A、c.3653G>T、c.3659_3660delinsA、c.3664C>T、c.3668G>C、c.3676G>T、c.3713_3716dup、c.3879G>A、c.3914C>T、c.3949A>C、c.3961T>A、c.3988delG、c.3988G>T、c.3995G>T、c.3996C>A、c.3997G>T、c.4094C>A、c.4121_4130del、c.4142C>T、c.4148G>A、c.2128+2T>G、c.2842+5G>A、c.3878+1G>T、c.4005+1G>A、c.4005+2T>G、c.4006-2A>G、c.4006-1G>T、c.619G>A、c.614T>C、c.1472A>T、c.1903T>C、c.2809G>A、c.3103C>T、c.4082G>A、c.4060G>A、c.866C>T、c.1463T>C、c.2035C>G、c.2306_2307GC>AG、c.2306G>A、c.2714G>A、c.2875G>A、c.3992G>A。
【請求項10】
前記モデルまたはモデルキャリアのCRB1遺伝子はRd8変異を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記変異は、ホモ接合体変異またはヘテロ接合体変異であることを特徴とする、請求項9または10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記モデルまたはモデルキャリアの遺伝子変異は、先天的なものであるか、または、遺伝子組換え操作によって後天的に得られることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記疾患モデルが、結腸上皮バリア機能障害および/または関連する結腸壁の炎症を有することを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記微生物は、細菌、古細菌、原生生物、真菌またはウイルスのうちの1種または2種以上の組み合わせであり、好ましくは、前記微生物は細菌であり、前記細菌は、アナエロスティペス(Anearostipes)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、メガモナス(Megamonas)、ニトロソモナス(Nitrosomonas)、オシリバクター(Oscillibacter)、タツメラ(Tatumella)、チオバチルス属(Thiobacillus sp.)、クロストリジウム属(Clostridium)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、マンヘミア属(Mannheimia)、フィブロバクター属(Fibrobacter)、プレボテーラ属(Prevotella)、カンピロバクター属(Campylobacter)、アクチノマイセス属(Actinomyces)、ヒメノバクター属(Hymenobacter)、エシェリキア属(Escherichia)、ティセレラ属(Tissierella)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ポルフィロモナス属(Porphyromonas)、アゾスピリルム属(Azospira)、アクイマリナ属(Aquimarina)、アクロモバクター属(Achromobacter)、アシドチオバシラス属(Acidithiobacillus)、バークホルデリア属(Burkholderia)、マリノバクター属(Marinobacter)、トレポネーマ属(Treponema)、アクチノスポランギウム属(Actinosporangium)、ビブリオ属(Vibrio)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)、メタノブレビバクター(Methanobrevibacter)、志賀赤痢菌(Shigella)、フランキア属(Frankia)、アネロプラズマ属(Anaeroplasma)、コプロコッカス属(Coprococcus)から選ばれる1つまたは2つ以上であることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記細菌は、アナエロスティペス・ハドラス(Anearostipes hadrus)、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュレイタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、ニトロソモナス属Is79A3(Nitrosomonas sp.Is79A3)、オシリバクター・バレリシゲネス(Oscillibacter valericigenes)、タツメラ属 TA1(Tatumella sp.TA1)、メガモナス・ファニフォーミス(Megamonas funiformis)、チオバシラス・デニトリフィカンス(Thiobacillus denitrificans)、クロストリジウム・テタニ、クロストリジウム・パーフリンゲンス、クロストリジウム・ボツリヌス、アシネトバクター・カルコアセチカス、アシネトバクター・ルヴォフィイ、アシネトバクター・バウマンニイ、アシネトバクター・ヘモリティカス、アシネトバクター・ジュニイ、アシネトバクター・ジョンソニイ、化膿レンサ球菌、溶連菌、フィブロバクター・サクシノゲネス、フィブロバクター・インテスティナリス、ポルフィロモナス・アサッカロリティカ、ポルフィロモナス・エンドドンタリス、ポルフィロモナス・ジンジビカニス、カンピロバクター・ジェジュニ、カンピロバクター・コリ、カンピロバクター・ラリ、カンピロバクター・ウプサリエンシス、カンピロバクター・コンシサス、カンピロバクター・フェタス、アクチノマイセス・イスラエリイ、アクチノマイセス・ナエスランディイ、アクチノマイセス・オドントリティカス、アクチノマイセス・ビスコーサス、アクチノマイセス・ノウイイ、エシェリキア・コリ、エシェリキア・ブラタエ、エシェリキア・フェルグソニー、エシェリキア・ヘルマンニ、エシェリキア・ブルネリス、ティセレラ・プラエアキュータ、クレブシエラ・ニューモニエ、クレブシエラ・オザエナエ、アゾスピリルム・ブラシレンセ、アクロモバクター、チオバチルス・デニトリフィカンス、チオバチルス・フェロオキシダンス、チオバチルス・チオオキシダンス、チオバチルス・ネアポリタナス、バークホルデリア、マイコバクテリウム・マリナム、梅毒トレポネーマ、トレポネーマ・ヒオディセンテリア、ビブリオ・メチニコフィイ、ルミノコッカス・アルブス、ルミノコッカス・フラベファシエンス、メタノブレビバクター・ルミナンチウム、志賀赤痢菌、フレクスナー赤痢菌、ボイド赤痢菌、ソンネ赤痢菌、フランキア、コプロコッカス・オイタクツス、ストレプトマイセス・アルブス、シュードモナス・メンドシナ、ミクロコッカス・セデンタリウス、アリサイクリフィルス・デニトリフィカンス、アクロモバクター・キシロソキシダンス、スフィンゴモナス、マイコバクテリウム・アブセサス、アルスロバクター・アウレッセンス、プレボテーラ、シノリゾビウム・メディカエ、酸性酵母、スタフィロコッカス・エピデルミディス、シュードモナス・エルギノーサ、黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ヘモリティカス、シュードモナス・プチダ、ステノトロフォモナス・マルトフィリア、バチルス・セレウス、バチルス・メガテリウム、ラクトバチルス・ロイテリ、ガードネレラ・バジナリス、蜂エンテロコッカス・フェシウム、サイトファーガ・ハッチンソニイ、バチルス・リケニフォルミス、キサントモナス・オリザエ、アシネトバクター・バウマンニイ、アシネトバクター・カルコアセチカス、コマモナス・テストステロニ、マイコバクテリウム・カンサシイ、バチルス・チューリンギエンシス、シトロバクター・コセリ、ディアドバクター・フェルメンタンス、セラチア・マルセッセンス、スフィンゴモナス・ウィッティチイ、クレブシエラ・ニューモニアエ、シュードモナス・フルオレッセンス、ラルストニア・ピケッティ、ラクトバチルス・クリスパータス、バークホルデリア、ラクトバチルス・デルブレッキイ、メイオサーマス・シルバヌス(Meiothermus silvanus)(D)、大腸菌、ミクロコッカス・ルテウス、枯草菌、コリネバクテリウム・アウリムコスム、フィネゴルディア・マグナから選ばれる1つまたは2つ以上であることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
眼疾患のモデルキャリアであって、前記眼疾患は、前記モデルキャリアに微生物を感染することによって引き起こされ、好ましくは、前記モデルキャリアは、細胞、組織または器官から選択され、さらに好ましくは、前記細胞は、ヒトまたは非ヒト動物の初代細胞または細胞株由来であり、前記組織または器官は、非ヒト動物に由来するか、またはヒト幹細胞の成長によって得られた眼組織または器官由来である眼疾患のモデルキャリア。
【請求項17】
前記眼疾患は網膜変性症を含み、好ましくは、前記網膜変性症は進行性網膜変性症であり、より好ましくは、前記網膜変性症は遺伝性網膜変性症であることを特徴とする、請求項16に記載の眼疾患モデルキャリア。
【請求項18】
前記眼疾患は眼部炎症を含み、好ましくは、前記眼部炎症は網膜炎を含むことを特徴とする、請求項16または17のいずれか1項に記載の眼疾患モデルキャリア。
【請求項19】
前記微生物は同一個体の腸内細菌に由来するか、またはそれと同一のものであることを特徴とする、請求項16~18のいずれか1項に記載の眼疾患モデルキャリア。
【請求項20】
前記モデルキャリアには、以下の1つまたは2つ以上の遺伝子が変異していることを特徴とする、請求項16~19のいずれか1項に記載の眼疾患モデルキャリア:ABCA4、ABCC6、ABCC9、ACBD5、ACO2、ACO2、ACTG1、ADGRV1、AHI1、AIPL1、ALMS1、AMY2B、APC、ARFGEF1、ARL13B、ARL13B、ARL6、ARMC9、ATOH7、B9D1、BAG3、BBS1、BBS1、BBS2、BBS5、BEST1、C2CD3、CA4、CABP4、CACNA1F、CBS、CC2D2A、CDH23、CDH23、CDHR1、CEMIP2、CEP104、CEP250、CEP290、CEP290、CEP41、CEP78、CERKL、CFAP410、CFAP418、CHM、CLCC1、CLCN7、CLN3、CLN5、CLN8、CLRN1、CLRN1、CNGA1、CNGA1、CNGA3、CNGB1、CNGB3、CNNM4、COL11A1、COL11A2、COL18A1、COL2A1、COL4A1、COL9A1、COL9A2、CP、CP、CPLANE1、CRB1、ERCC4、CSPP1、CTNNA1、CYP4V2、DHDDS、DYNC2H1、DYNC2I1、DYNC2I2、ENPP1、ERCC4、EVC2、EYS、EYS、F5、FAM161A、FBN1、FKRP、FKTN、FLG、FLVCR1、FOXE3、FUZ、GLB1、GMPPB、GNAT1、GRK1、GRM6、GUCA1A、GUCA1B、GUCY2D、HADHA、HGSNAT、HPS3、HPS5、IDH3B、IFT122、IFT140、IFT140、IFT43、IFT52、IFT74、IFT80、IFT80、IFT81、IFT88、IKBKG、IMPDH1、IMPG2、INPP5E、INTU、IQCB1、IQCE、IREB2、KCNJ13、KCNQ1、KCNV2、KIAA0586、KIAA0753、KIF7、KIZ、KIZ-AS1、KLHL7、KRIT1、LBR、LCA5、LOC101927157、LOC111365204、LRP2、LRP5、MAK、MAPKAPK3、MATK、MCOLN1、MERTK、MKS1、MPDZ、MT-ATP6、MT-CO3、MT-TE、MT-TL1、MTHFR、MUTYH、MYO7A、MYO7A、NMNAT1、NPHP1、NR2E3、OCA2、OTX2、PANK2、PAX6、PCARE、PCDH15、PDE6A、PDE6B、PDE6B、PDE6D、PEX1、PEX1、PEX12、PEX26、PEX6、PHF3、PITPNM3、PKD2、PLA2G5、POC5、POMT1、PRCD、PRDM13、PROM1、PRPF3、PRPF31、PRPF8、PRPH2、RAD51C、RBP3、RBP4、RD3、RDH12、RDH5、RGR、RGR、RHO、RIMS1、RLBP1、ROM1、RP1、RP1L1、RP2、RPE65、RPE65、RPGR、RPGRIP1、RPGRIP1L、RS1、SACS、SAG、SCAPER、SDCCAG8、SIX6、SLC19A1、SLC22A5、SLC26A4、SLC2A9、SLTM、SNRNP200、SPAG17、SPATA7、SPG11、TFAP2A、TGFB2、TGFBR2、TMEM107、TMEM237、TMEM67、TOGARAM1、TOPORS、TPP1、TRAF3IP1、TREX1、TRIM59-IFT80、TSPAN12、TTC21B、TTC21B、TTC8、TULP1、USH1C、USH2A、USH2A、USH2A、USH2A、USH2A-AS1、VAC14、VCAN、VCAN、VCAN-AS1、VHL、VPS13B、WDR19、WDR19、WDR35、WDR73、YARS1、ZFYVE26、ZFYVE26、ZNF408の1つまたは2つ以上の組み合わせ。
【請求項21】
前記モデルキャリアのCRB1遺伝子変異は、以下の1つまたは2つ以上の変異を含むことを特徴とする、請求項16~20のいずれか1項に記載の眼疾患モデルキャリア:c.107C>G、c.111delT、c.135C>G、c.257_258dupTG、c.258C>T、c.428_432delGATTC、c.430T>G、c.470G>C、c.481dupG、c.482C>T、c.584G>T、c.613_619del、c.717_718insG、c.750T>G、c.915T>A、c.929G>A、c.936T>G、c.998G>A、c.1084C>T、c.1125C>G、c.1148G>A、c.1208C>G、c.1269C>A、c.1298A>G、c.1313G>A、c.1438T>C、c.1438T>G、c.1576C>T、c.1604T>C、c.1690G>T、c.1733T>A、c.1750G>T、c.1760G>A、c.1834T>C、c.1963delC、c.2025G>T、c.2042G>A、c.2128G>C、c.2129C>T、c.2185_2186insAlu、c.2219C>T、c.2222T>C、c.2234C>T、c.2245_2247del 3bp(TCA)、c.2258T>C、c.2290C>T、c.2365_2367del AAT,インフレーム欠失、c.2401A>T、c.2438_2439ins>100A、c.2441_2442del、c.2465G>A、c.2479G>T、c.2506C>A、c.2509G>C、c.2536G>A、c.2548_2551delGGCT、c.2548G>A、c.2555T>C、c.2611_2613insT、c.2671T>G、c.2676delG、c.2681A>G、c.2688T>A、c.2816G>A、c.2843G>A、c.2853dupT、c.2884_2886delTTA、c.2957A>T、c.2966T>C、c.2983G>T、c.3002A>T、c.3008T>C、c.3035T>C、c.3037C>T、c.3074G>A、c.3074G>T、c.3122T>C、c.3212T>C、c.3296C>A、c.3299T>C、c.3299T>G、c.3307G>A/C、c.3320T>C、c.3320T>G、c.3331G>T、c.3343_3352del、c.3347delT、c.3343_3352del、c.3347delT、c.3427delT、c.3482A>G、c.3493T>C、c.3655T>G、c.3541T>C、c.3542dupG、c.3593A>G、c.3613G>A、c.3653G>T、c.3659_3660delinsA、c.3664C>T、c.3668G>C、c.3676G>T、c.3713_3716dup、c.3879G>A、c.3914C>T、c.3949A>C、c.3961T>A、c.3988delG、c.3988G>T、c.3995G>T、c.3996C>A、c.3997G>T、c.4094C>A、c.4121_4130del、c.4142C>T、c.4148G>A、c.2128+2T>G、c.2842+5G>A、c.3878+1G>T、c.4005+1G>A、c.4005+2T>G、c.4006-2A>G、c.4006-1G>T、c.619G>A、c.614T>C、c.1472A>T、c.1903T>C、c.2809G>A、c.3103C>T、c.4082G>A、c.4060G>A、c.866C>T、c.1463T>C、c.2035C>G、c.2306_2307GC>AG、c.2306G>A、c.2714G>A、c.2875G>A、c.3992G>A。
【請求項22】
前記モデルキャリアのCRB1遺伝子の変異がRd8変異であることを特徴とする、請求項16~21のいずれか1項に記載の眼疾患モデルキャリア。
【請求項23】
前記変異は、ホモ接合体変異またはヘテロ接合体変異であることを特徴とする、請求項16~22のいずれか1項に記載の眼疾患モデルキャリア。
【請求項24】
前記変異が、前記モデルキャリアが先天的なものであるか、または遺伝子組換え操作によって後天的に獲得されたものであることを特徴とする、請求項16~23のいずれか一項に記載の眼疾患モデルキャリア。
【請求項25】
前記非ヒト動物は、結腸上皮バリア機能障害および/または関連する結腸壁の炎症を有することを特徴とする、請求項16~24のいずれか1項に記載の眼疾患モデルキャリア。
【請求項26】
前記微生物は、細菌、古細菌、原生生物、真菌またはウイルスのうちの1種または2種以上の組み合わせであり、好ましくは、前記微生物は細菌であり、前記細菌は、アナエロスティペス(Anearostipes)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、メガモナス(Megamonas)、ニトロソモナス(Nitrosomonas)、オシリバクター(Oscillibacter)、タツメラ(Tatumella)、チオバチルス属(Thiobacillus sp.)、クロストリジウム属(Clostridium)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、マンヘミア属(Mannheimia)、フィブロバクター属(Fibrobacter)、プレボテーラ属(Prevotella)、カンピロバクター属(Campylobacter)、アクチノマイセス属(Actinomyces)、ヒメノバクター属(Hymenobacter)、エシェリキア属(Escherichia)、ティセレラ属(Tissierella)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ポルフィロモナス属(Porphyromonas)、アゾスピラ属(Azospira)、アクイマリナ属(Aquimarina)、アクロモバクター属(Achromobacter)、アシドチオバシラス属(Acidithiobacillus)、バークホルデリア属(Burkholderia)、マリノバクター属(Marinobacter)、トレポネーマ属(Treponema)、アクチノスポランギウム属(Actinosporangium)、ビブリオ属(Vibrio)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)、メタノブレビバクター(Methanobrevibacter)、志賀赤痢菌(Shigella)、フランキア属(Frankia)、アネロプラズマ属(Anaeroplasma)、コプロコッカス属(Coprococcus)から選ばれる1つまたは2つ以上であることを特徴とする、請求項16~25のいずれか1項に記載の眼疾患モデルキャリア。
【請求項27】
前記細菌は、アナエロスティペス・ハドラス(Anearostipes hadrus)、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュレイタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、ニトロソモナス属Is79A3(Nitrosomonas sp.Is79A3)、オシリバクター・バレリシゲネス(Oscillibacter valericigenes)、タツメラ属 TA1(Tatumella sp.TA1)、メガモナス・ファニフォーミス(Megamonas funiformis)、チオバシラス・デニトリフィカンス(Thiobacillus denitrificans)、クロストリジウム・テタニ、クロストリジウム・パーフリンゲンス、クロストリジウム・ボツリヌス、アシネトバクター・カルコアセチカス、アシネトバクター・ルヴォフィイ、アシネトバクター・バウマンニイ、アシネトバクター・ヘモリティカス、アシネトバクター・ジュニイ、アシネトバクター・ジョンソニイ、化膿レンサ球菌、溶連菌、フィブロバクター・サクシノゲネス、フィブロバクター・インテスティナリス、ポルフィロモナス・アサッカロリティカ、ポルフィロモナス・エンドドンタリス、ポルフィロモナス・ジンジビカニス、カンピロバクター・ジェジュニ、カンピロバクター・コリ、カンピロバクター・ラリ、カンピロバクター・ウプサリエンシス、カンピロバクター・コンシサス、カンピロバクター・フェタス、アクチノマイセス・イスラエリイ、アクチノマイセス・ナエスランディイ、アクチノマイセス・オドントリティカス、アクチノマイセス・ビスコーサス、アクチノマイセス・ノウイイ、エシェリキア・コリ、エシェリキア・ブラタエ、エシェリキア・フェルグソニー、エシェリキア・ヘルマンニ、エシェリキア・ブルネリス、ティセレラ・プラエアキュータ、クレブシエラ・ニューモニエ、クレブシエラ・オザエナエ、アゾスピリルム・ブラシレンセ、アクロモバクター、チオバチルス・デニトリフィカンス、チオバチルス・フェロオキシダンス、チオバチルス・チオオキシダンス、チオバチルス・ネアポリタナス、バークホルデリア、マイコバクテリウム・マリナム、梅毒トレポネーマ、トレポネーマ・ヒオディセンテリア、ビブリオ・メチニコフィイ、ルミノコッカス・アルブス、ルミノコッカス・フラベファシエンス、メタノブレビバクター・ルミナンチウム、志賀赤痢菌、フレクスナー赤痢菌、ボイド赤痢菌、ソンネ赤痢菌、フランキア、コプロコッカス・オイタクツス、ストレプトマイセス・アルブス、シュードモナス・メンドシナ、ミクロコッカス・セデンタリウス、アリサイクリフィルス・デニトリフィカンス、アクロモバクター・キシロソキシダンス、スフィンゴモナス、マイコバクテリウム・アブセサス、アルスロバクター・アウレッセンス、プレボテーラ、シノリゾビウム・メディカエ、酸性酵母、スタフィロコッカス・エピデルミディス、シュードモナス・エルギノーサ、黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ヘモリティカス、シュードモナス・プチダ、ステノトロフォモナス・マルトフィリア、バチルス・セレウス、バチルス・メガテリウム、ラクトバチルス・ロイテリ、ガードネレラ・バジナリス、蜂エンテロコッカス・フェシウム、サイトファーガ・ハッチンソニイ、バチルス・リケニフォルミス、キサントモナス・オリザエ、アシネトバクター・バウマンニイ、アシネトバクター・カルコアセチカス、コマモナス・テストステロニ、マイコバクテリウム・カンサシイ、バチルス・チューリンギエンシス、シトロバクター・コセリ、ディアドバクター・フェルメンタンス、セラチア・マルセッセンス、スフィンゴモナス・ウィッティチイ、クレブシエラ・ニューモニアエ、シュードモナス・フルオレッセンス、ラルストニア・ピケッティ、ラクトバチルス・クリスパータス、バークホルデリア、ラクトバチルス・デルブレッキイ、メイオサーマス・シルバヌス(Meiothermus silvanus)(D)、大腸菌、ミクロコッカス・ルテウス、枯草菌、コリネバクテリウム・アウリムコスム、フィネゴルディア・マグナから選ばれる1つまたは2つ以上であることを特徴とする、請求項16~26のいずれか1項に記載の眼疾患モデルキャリア。
【請求項28】
前記眼疾患モデルキャリアが、請求項1~15の方法に従って得られることを特徴とする、請求項16~27のいずれか1項に記載の眼疾患モデルキャリア。
【請求項29】
前記眼疾患モデルキャリアが、請求項1~15の方法によって構築された眼疾患モデルに由来することを特徴とする、請求項16~28に記載の眼疾患モデルキャリア。
【請求項30】
請求項1~15のいずれか1項に記載の方法、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法によって調製した眼疾患モデル、請求項16~29のいずれか1項に記載の眼疾患モデルキャリアの眼疾患の標的治療薬におけるスクリーニングへの使用。
【請求項31】
前記標的治療が眼疾患に関連する遺伝子を標的とすることを特徴とする、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
前記の眼疾患に関連する遺伝子が、以下の1つの遺伝子または2つ以上の遺伝子の組み合わせであることを特徴とする、請求項30または31のいずれか1項に記載の使用:ABCA4、ABCC6、ABCC9、ACBD5、ACO2、ACO2、ACTG1、ADGRV1、AHI1、AIPL1、ALMS1、AMY2B、APC、ARFGEF1、ARL13B、ARL13B、ARL6、ARMC9、ATOH7、B9D1、BAG3、BBS1、BBS1、BBS2、BBS5、BEST1、C2CD3、CA4、CABP4、CACNA1F、CBS、CC2D2A、CDH23、CDH23、CDHR1、CEMIP2、CEP104、CEP250、CEP290、CEP290、CEP41、CEP78、CERKL、CFAP410、CFAP418、CHM、CLCC1、CLCN7、CLN3、CLN5、CLN8、CLRN1、CLRN1、CNGA1、CNGA1、CNGA3、CNGB1、CNGB3、CNNM4、COL11A1、COL11A2、COL18A1、COL2A1、COL4A1、COL9A1、COL9A2、CP、CP、CPLANE1、CRB1、ERCC4、CSPP1、CTNNA1、CYP4V2、DHDDS、DYNC2H1、DYNC2I1、DYNC2I2、ENPP1、ERCC4、EVC2、EYS、EYS、F5、FAM161A、FBN1、FKRP、FKTN、FLG、FLVCR1、FOXE3、FUZ、GLB1、GMPPB、GNAT1、GRK1、GRM6、GUCA1A、GUCA1B、GUCY2D、HADHA、HGSNAT、HPS3、HPS5、IDH3B、IFT122、IFT140、IFT140、IFT43、IFT52、IFT74、IFT80、IFT80、IFT81、IFT88、IKBKG、IMPDH1、IMPG2、INPP5E、INTU、IQCB1、IQCE、IREB2、KCNJ13、KCNQ1、KCNV2、KIAA0586、KIAA0753、KIF7、KIZ、KIZ-AS1、KLHL7、KRIT1、LBR、LCA5、LOC101927157、LOC111365204、LRP2、LRP5、MAK、MAPKAPK3、MATK、MCOLN1、MERTK、MKS1、MPDZ、MT-ATP6、MT-CO3、MT-TE、MT-TL1、MTHFR、MUTYH、MYO7A、MYO7A、NMNAT1、NPHP1、NR2E3、OCA2、OTX2、PANK2、PAX6、PCARE、PCDH15、PDE6A、PDE6B、PDE6B、PDE6D、PEX1、PEX1、PEX12、PEX26、PEX6、PHF3、PITPNM3、PKD2、PLA2G5、POC5、POMT1、PRCD、PRDM13、PROM1、PRPF3、PRPF31、PRPF8、PRPH2、RAD51C、RBP3、RBP4、RD3、RDH12、RDH5、RGR、RGR、RHO、RIMS1、RLBP1、ROM1、RP1、RP1L1、RP2、RPE65、RPE65、RPGR、RPGRIP1、RPGRIP1L、RS1、SACS、SAG、SCAPER、SDCCAG8、SIX6、SLC19A1、SLC22A5、SLC26A4、SLC2A9、SLTM、SNRNP200、SPAG17、SPATA7、SPG11、TFAP2A、TGFB2、TGFBR2、TMEM107、TMEM237、TMEM67、TOGARAM1、TOPORS、TPP1、TRAF3IP1、TREX1、TRIM59-IFT80、TSPAN12、TTC21B、TTC21B、TTC8、TULP1、USH1C、USH2A、USH2A、USH2A、USH2A、USH2A-AS1、VAC14、VCAN、VCAN、VCAN-AS1、VHL、VPS13B、WDR19、WDR19、WDR35、WDR73、YARS1、ZFYVE26、ZFYVE26、ZNF408。
【請求項33】
前記標的療法が、CRB1遺伝子における以下の1つまたは2つ以上の変異を標的とすることを特徴とする、請求項30~32のいずれか1項に記載の使用:c.257_258dupTG、c.258C>T、c.428_432delGATTC、c.430T>G、c.470G>C、c.481dupG、c.482C>T、c.584G>T、c.613_619del、c.717_718insG、c.750T>G、c.915T>A、c.929G>A、c.936T>G、c.998G>A、c.1084C>T、c.1125C>G、c.1148G>A、c.1208C>G、c.1269C>A、c.1298A>G、c.1313G>A、c.1438T>C、c.1438T>G、c.1576C>T、c.1604T>C、c.1690G>T、c.1733T>A、c.1750G>T、c.1760G>A、c.1834T>C、c.1963delC、c.2025G>T、c.2042G>A、c.2128G>C、c.2129C>T、c.2185_2186insAlu、c.2219C>T、c.2222T>C、c.2234C>T、c.2245_2247del 3bp(TCA)、c.2258T>C、c.2290C>T、c.2365_2367del AAT,インフレーム欠失、c.2401A>T、c.2438_2439ins>100A、c.2441_2442del、c.2465G>A、c.2479G>T、c.2506C>A、c.2509G>C、c.2536G>A、c.2548_2551delGGCT、c.2548G>A、c.2555T>C、c.2611_2613insT、c.2671T>G、c.2676delG、c.2681A>G、c.2688T>A、c.2816G>A、c.2843G>A、c.2853dupT、c.2884_2886delTTA、c.2957A>T、c.2966T>C、c.2983G>T、c.3002A>T、c.3008T>C、c.3035T>C、c.3037C>T、c.3074G>A、c.3074G>T、c.3122T>C、c.3212T>C、c.3296C>A、c.3299T>C、c.3299T>G、c.3307G>A/C、c.3320T>C、c.3320T>G、c.3331G>T、c.3343_3352del、c.3347delT、c.3343_3352del、c.3347delT、c.3427delT、c.3482A>G、c.3493T>C、c.3655T>G、c.3541T>C、c.3542dupG、c.3593A>G、c.3613G>A、c.3653G>T、c.3659_3660delinsA、c.3664C>T、c.3668G>C、c.3676G>T、c.3713_3716dup、c.3879G>A、c.3914C>T、c.3949A>C、c.3961T>A、c.3988delG、c.3988G>T、c.3995G>T、c.3996C>A、c.3997G>T、c.4094C>A、c.4121_4130del、c.4142C>T、c.4148G>A、c.2128+2T>G、c.2842+5G>A、c.3878+1G>T、c.4005+1G>A、c.4005+2T>G、c.4006-2A>G、c.4006-1G>T、c.619G>A、c.614T>C、c.1472A>T、c.1903T>C、c.2809G>A、c.3103C>T、c.4082G>A、c.4060G>A、c.866C>T、c.1463T>C、c.2035C>G、c.2306_2307GC>AG、c.2306G>A、c.2714G>A、c.2875G>A、c.3992G>A。
【請求項34】
前記標的治療薬が、修飾された細胞、タンパク質、請求項32に記載の遺伝子を標的とするかまたは請求項33に記載の変異部位を標的とするRNA、および/または請求項32に記載の遺伝子を標的とするかまたは請求項33に記載の変異部位を標的とするRNA DNAを含むことを特徴とする、請求項30~32のいずれか1項に記載の使用。
【請求項35】
請求項1~15のいずれか1項に記載の方法、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法によって調製した眼疾患モデル、請求項16~29のいずれか1項に記載の眼疾患モデルキャリアの眼疾患に関する研究への使用。
【請求項36】
請求項1~15のいずれか1項に記載の方法、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法によって調製した眼疾患モデル、請求項16~29のいずれか1項に記載の眼疾患モデルキャリアの眼疾患に関連する薬物のスクリーニングへの使用であって、前記薬物は、低分子薬、化学薬物、高分子薬、生物学的薬物または天然薬物(例えば、漢方薬または漢方薬抽出物)、細胞薬物、RNA薬物、DNA薬物の1つまたは2つ以上の組み合わせを含む使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼疾患の診断および治療の技術分野に属し、具体的には、眼疾患モデルの構築方法、および該方法により得られる眼疾患モデルおよびモデルキャリアの眼疾患の研究および治療薬におけるスクリーニングへの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝性網膜変性症(IRD)は、先進工業国の労働人口における視力低下の最も一般的な原因である遺伝性疾患である。遺伝性網膜変性症(IRD)は、視細胞の進行性喪失を特徴とする遺伝性疾患であり、先天性黒内障(LCA)、網膜色素変性症(RP)、早期発症型桿体-錐体ジストロフィー、桿体-桿体ジストロフィー、先天性停在性夜盲および色覚異常、スターガルト病などが含まれる(Broadgate et al.,2017年)。これは先進工業国の労働人口における視力低下の最も一般的な原因であり、推定発症率は1:2000である(Kutluer et al.,2020年)。遺伝的および臨床的異質性により、IRDsの治療には高度に個別化された治療策が必要である。神経保護、遺伝子治療、細胞置換療法は、様々な段階のIRDの治療法として提案されているが、現在までに、LCAの治療法としてFDAから承認されたのは、RPE65遺伝子の変異を補正する遺伝子治療(Luxturna)のみである(Botto et al.,2021;Ikelle et al.,2020年;Kutluer et al.,2020年)。
【0003】
IRDには200以上の遺伝子が関連している。このうち、CRB1遺伝子は、その変異がLCAやRPを含む様々な眼科的表現型をもたらす重要な遺伝子として長期間にわたって認識されてきた(Ehrenberg et al.,2013)。CRB1は、接着分子結合の重要な制御因子であり、細胞の極性確立と眼関門の完全性の維持に重要な役割を果たしている。IRDによって誘発されるCRB1変異の頻度は、世界的に見るとかなり差異がある。例えば、LCA症例に見られるCRB1変異対立遺伝子の頻度は、米国で6.7%、カナダで1.7%、オランダで0%、スペインで16.7%、中国で11.5%であり(Li et al.,2011;Vallespin et al.,2007年;Zernant et al.,2005)、CRB1は、LCA、早期発症RP、非早期発症RPの全てのスペイン人患者に見られる変異頻度が最も高い遺伝子である(Vallespin et al.,2007)。一般的に、CRB1遺伝子変異は、世界的にはRPが4%、LCAが10~15%であると説明できる(Richard et al.,2006)。したがって、CRB1による視力喪失を救済する治療アプローチが急務である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、眼疾患モデルまたは眼疾患モデルキャリアの構築方法、特に網膜変性モデルまたはモデルキャリアの構築方法、および当該方法によって構築されたモデルまたはモデルキャリア、ならびに当該方法、疾患モデルおよび/または疾患モデルキャリアの眼疾患研究および関連医薬品におけるスクリーニングへの使用を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、以下の技術的解決策によって達成される。
【0006】
本発明は、眼疾患モデルを構築する方法を提供し、前記方法は、眼疾患モデルに微生物を感染させることを含む。
【0007】
好ましくは、前記感染は、微生物と直接的に接触させることまたは微生物と間接的に接触させることを含む。1つの具体的な実施形態では、眼球が微生物に感染している眼疾患モデルは、非ヒト動物をSPF環境で飼育することによって得られる。
【0008】
好ましくは、前記微生物は同一個体の腸内細菌に由来するか、またはそれと同一のものである。
【0009】
好ましくは、前記眼疾患は網膜変性症を含み、より好ましくは、前記網膜変性症は進行性網膜変性症である。
【0010】
好ましくは、前記網膜変性症は遺伝性網膜変性症(IRD)である。
【0011】
好ましくは、前記眼疾患は、LCA、RP、arRP、EORD、EORP、PPRPE、毛細血管拡張症(rettelangiectasia)および/または眼底コロイデレミア(choroideremia like fundus)を含む。
【0012】
好ましくは、前記眼疾患は、例えばぶどう膜炎、緑内障、加齢黄斑変性症(AMD)、硝子体炎、脈絡膜炎、網膜炎、網膜血管炎、視神経炎といった眼部炎症性疾患、さらにはぶどう膜炎、ベーチェット病、フォークト・小柳・原田病、ぶどう膜炎、網膜症、交感神経性眼炎、白内障、結膜炎、緑内障などを含む。
【0013】
好ましくは、前記モデルは、非ヒト動物であり、好ましくはサル、イヌ、チンパンジー、ラット、マウスである。
【0014】
好ましくは、前記モデルキャリアは、細胞、組織または器官であり、前記細胞、組織または器官は、ヒトまたは非ヒト動物に由来する。
【0015】
好ましくは、前記細胞は、初代細胞または細胞株である。
【0016】
好ましくは、前記組織は、眼部組織であり、前記器官は、眼部器官である。
【0017】
好ましくは、前記組織または器官は、再生組織または器官である。
【0018】
好ましくは、前記モデルは、遺伝子の病原性変異を有する。
【0019】
好ましくは、病原性変異を有する前記遺伝子は、網膜関門の構造の維持に関連する遺伝子であり、前記網膜関門は、外側血管網膜関門および/または内側血管網膜関門である。
【0020】
好ましくは、前記モデルまたはモデルキャリアは、病原性の眼疾患関連遺伝子変異を有し、病原性の眼部遺伝子変異を有する前記遺伝子は、以下の1つまたは2つ以上の遺伝子の組み合わせから選ばれる:ABCA4、ABCC6、ABCC9、ACBD5、ACO2、ACO2、ACTG1、ADGRV1、AHI1、AIPL1、ALMS1、AMY2B、APC、ARFGEF1、ARL13B、ARL13B、ARL6、ARMC9、ATOH7、B9D1、BAG3、BBS1、BBS1、BBS2、BBS5、BEST1、C2CD3、CA4、CABP4、CACNA1F、CBS、CC2D2A、CDH23、CDH23、CDHR1、CEMIP2、CEP104、CEP250、CEP290、CEP290、CEP41、CEP78、CERKL、CFAP410、CFAP418、CHM、CLCC1、CLCN7、CLN3、CLN5、CLN8、CLRN1、CLRN1、CNGA1、CNGA1、CNGA3、CNGB1、CNGB3、CNNM4、COL11A1、COL11A2、COL18A1、COL2A1、COL4A1、COL9A1、COL9A2、CP、CP、CPLANE1、CRB1、ERCC4、CSPP1、CTNNA1、CYP4V2、DHDDS、DYNC2H1、DYNC2I1、DYNC2I2、ENPP1、ERCC4、EVC2、EYS、EYS、F5、FAM161A、FBN1、FKRP、FKTN、FLG、FLVCR1、FOXE3、FUZ、GLB1、GMPPB、GNAT1、GRK1、GRM6、GUCA1A、GUCA1B、GUCY2D、HADHA、HGSNAT、HPS3、HPS5、IDH3B、IFT122、IFT140、IFT140、IFT43、IFT52、IFT74、IFT80、IFT80、IFT81、IFT88、IKBKG、IMPDH1、IMPG2、INPP5E、INTU、IQCB1、IQCE、IREB2、KCNJ13、KCNQ1、KCNV2、KIAA0586、KIAA0753、KIF7、KIZ、KIZ-AS1、KLHL7、KRIT1、LBR、LCA5、LOC101927157、LOC111365204、LRP2、LRP5、MAK、MAPKAPK3、MATK、MCOLN1、MERTK、MKS1、MPDZ、MT-ATP6、MT-CO3、MT-TE、MT-TL1、MTHFR、MUTYH、MYO7A、MYO7A、NMNAT1、NPHP1、NR2E3、OCA2、OTX2、PANK2、PAX6、PCARE、PCDH15、PDE6A、PDE6B、PDE6B、PDE6D、PEX1、PEX1、PEX12、PEX26、PEX6、PHF3、PITPNM3、PKD2、PLA2G5、POC5、POMT1、PRCD、PRDM13、PROM1、PRPF3、PRPF31、PRPF8、PRPH2、RAD51C、RBP3、RBP4、RD3、RDH12、RDH5、RGR、RGR、RHO、RIMS1、RLBP1、ROM1、RP1、RP1L1、RP2、RPE65、RPE65、RPGR、RPGRIP1、RPGRIP1L、RS1、SACS、SAG、SCAPER、SDCCAG8、SIX6、SLC19A1、SLC22A5、SLC26A4、SLC2A9、SLTM、SNRNP200、SPAG17、SPATA7、SPG11、TFAP2A、TGFB2、TGFBR2、TMEM107、TMEM237、TMEM67、TOGARAM1、TOPORS、TPP1、TRAF3IP1、TREX1、TRIM59-IFT80、TSPAN12、TTC21B、TTC21B、TTC8、TULP1、USH1C、USH2A、USH2A、USH2A、USH2A、USH2A-AS1、VAC14、VCAN、VCAN、VCAN-AS1、VHL、VPS13B、WDR19、WDR19、WDR35、WDR73、YARS1、ZFYVE26、ZFYVE26、ZNF408。
【0021】
1つの具体的な実施形態において、前記モデルまたはモデルキャリアは、病原性変異を有する眼疾患関連遺伝子にCRB1遺伝子を含む。
【0022】
好ましくは、前記モデルまたはモデルキャリアのCRB1遺伝子における変異は、以下の1つまたは2つ以上の変異を含む:c.107C>G、c.111delT、c.135C>G、c.257_258dupTG、c.258C>T、c.428_432delGATTC、c.430T>G、c.470G>C、c.481dupG、c.482C>T、c.584G>T、c.613_619del、c.717_718insG、c.750T>G、c.915T>A、c.929G>A、c.936T>G、c.998G>A、c.1084C>T、c.1125C>G、c.1148G>A、c.1208C>G、c.1269C>A、c.1298A>G、c.1313G>A、c.1438T>C、c.1438T>G、c.1576C>T、c.1604T>C、c.1690G>T、c.1733T>A、c.1750G>T、c.1760G>A、c.1834T>C、c.1963delC、c.2025G>T、c.2042G>A、c.2128G>C、c.2129C>T、c.2185_2186insAlu、c.2219C>T、c.2222T>C、c.2234C>T、c.2245_2247del 3bp(TCA)、c.2258T>C、c.2290C>T、c.2365_2367del AAT,インフレーム欠失、c.2401A>T、c.2438_2439ins>100A、c.2441_2442del、c.2465G>A、c.2479G>T、c.2506C>A、c.2509G>C、c.2536G>A、c.2548_2551delGGCT、c.2548G>A、c.2555T>C、c.2611_2613insT、c.2671T>G、c.2676delG、c.2681A>G、c.2688T>A、c.2816G>A、c.2843G>A、c.2853dupT、c.2884_2886delTTA、c.2957A>T、c.2966T>C、c.2983G>T、c.3002A>T、c.3008T>C、c.3035T>C、c.3037C>T、c.3074G>A、c.3074G>T、c.3122T>C、c.3212T>C、c.3296C>A、c.3299T>C、c.3299T>G、c.3307G>A/C、c.3320T>C、c.3320T>G、c.3331G>T、c.3343_3352del、c.3347delT、c.3343_3352del、c.3347delT、c.3427delT、c.3482A>G、c.3493T>C、c.3655T>G、c.3541T>C、c.3542dupG、c.3593A>G、c.3613G>A、c.3653G>T、c.3659_3660delinsA、c.3664C>T、c.3668G>C、c.3676G>T、c.3713_3716dup、c.3879G>A、c.3914C>T、c.3949A>C、c.3961T>A、c.3988delG、c.3988G>T、c.3995G>T、c.3996C>A、c.3997G>T、c.4094C>A、c.4121_4130del、c.4142C>T、c.4148G>A、c.2128+2T>G、c.2842+5G>A、c.3878+1G>T、c.4005+1G>A、c.4005+2T>G、c.4006-2A>G、c.4006-1G>T、c.619G>A、c.614T>C、c.1472A>T、c.1903T>C、c.2809G>A、c.3103C>T、c.4082G>A、c.4060G>A、c.866C>T、c.1463T>C、c.2035C>G、c.2306_2307GC>AG、c.2306G>A、c.2714G>A、c.2875G>A、c.3992G>A。
【0023】
より好ましくは、前記モデルまたはモデルキャリアのCRB1遺伝子における変異は、以下の1つまたは2つ以上の変異を含む:c.4006-1G>T、c.3686G>C、(p.Cys1229Ser)、c.2842+1delinsAA、c.4060G>A、(p.Ala1354Thr)、c.3991C>T、(p.Arg1331Cys)、c.3014A>T、(p.Asp1005Val)、c.4005+1G>A、c.2680_2684del、(p.Asn894fs)、c.1733T>A、(p.Val578Glu)、c.455G>A、(p.Cys152Tyr)、c.3462_3463del、(p.Cys1154_Glu1155delinsTer)、c.3037C>T、(p.Gln1013Ter)、c.2673C>A、(p.Cys891Ter)、c.2230C>T、(p.Arg744Ter)、c.3676G>T、(p.Gly1226Ter)、c.2842+5G>A、c.2842T>C、(p.Cys948Arg)、c.3988del、(p.Glu1330fs)、c.2506C>A、(p.Pro836Thr)、c.2291G>A、(p.Arg764His)、c.1576C>T、(p.Arg526Ter)、c.613_619del、(p.Ile205fs)、c.3320T>C、(p.Leu1107Pro)、c.2688T>A、(p.Cys896Ter)、c.2555T>C、(p.Ile852Thr)、c.2222T>C、(p.Met741Thr)、c.1148G>A、(p.Cys383Tyr)、c.2843G>A、(p.Cys948Tyr)、c.4121_4130del、(p.Ala1374fs)、c.3307G>A、(p.Gly1103Arg)、c.484G>A、(p.Val162Met)、c.2401A>T、(p.Lys801Ter)、c.2234C>T、(p.Thr745Met)、c.2290C>T、(p.Arg764Cys)、c.3122T>C、(p.Met1041Thr)。
【0024】
好ましくは、前記モデルまたはモデルキャリアのCRB1遺伝子における変異は、Rd8変異である。
【0025】
好ましくは、前記変異は、ホモ接合体変異またはヘテロ接合体変異である。
【0026】
好ましくは、前記モデルまたはモデルキャリアは、前記の遺伝子変異をインビボで先天的に有するか、または組換え遺伝子操作の結果として変異を獲得したものである。
【0027】
好ましくは、前記モデルまたはモデルキャリアは、内因性CRB1遺伝子が欠失または発現していないヒト化CRB1遺伝子またはヒトCRB1遺伝子をインビボで有する。
【0028】
好ましくは、前記非ヒト動物は、結腸上皮バリア機能障害および/または関連する結腸壁の炎症を有する。
【0029】
1つの具体的な実施例では、前記モデルにおいてオクルディンタンパク質が有意に欠失し、1つの具体的な実施例では、前記モデルにおいてオクルディンタンパク質が有意に欠失し、クローディン1の発現が明らかではない。
【0030】
前記微生物は、細菌、古細菌、原生生物、真菌またはウイルスのうちの1種または2種以上の組み合わせであり、好ましくは、前記微生物は細菌であり、前記細菌は、アナエロスティペス(Anearostipes)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、メガモナス(Megamonas)、ニトロソモナス(Nitrosomonas)、オシリバクター(Oscillibacter)、タツメラ(Tatumella)、チオバチルス属(Thiobacillus sp.)、クロストリジウム属(Clostridium)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、マンヘミア属(Mannheimia)、フィブロバクター属(Fibrobacter)、プレボテーラ属(Prevotella)、カンピロバクター属(Campylobacter)、アクチノマイセス属(Actinomyces)、ヒメノバクター属(Hymenobacter)、エシェリキア属(Escherichia)、ティセレラ属(Tissierella)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ポルフィロモナス属(Porphyromonas)、アゾスピリルム属(Azospira)、アクイマリナ属(Aquimarina)、アクロモバクター属(Achromobacter)、アシドチオバシラス属(Acidithiobacillus)、バークホルデリア属(Burkholderia)、マリノバクター属(Marinobacter)、トレポネーマ属(Treponema)、アクチノスポランギウム属(Actinosporangium)、ビブリオ属(Vibrio)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)、メタノブレビバクター(Methanobrevibacter)、志賀赤痢菌(Shigella)、フランキア属(Frankia)、アネロプラズマ属(Anaeroplasma)、コプロコッカス属(Coprococcus)から選ばれる1つまたは2つ以上である。
【0031】
具体的には、前記細菌は、アナエロスティペス・ハドラス(Anearostipes hadrus)、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュレイタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、ニトロソモナス属Is79A3(Nitrosomonas sp.Is79A3)、オシリバクター・バレリシゲネス(Oscillibacter valericigenes)、タツメラ属 TA1(Tatumella sp.TA1)、メガモナス・ファニフォーミス(Megamonas funiformis)、チオバシラス・デニトリフィカンス(Thiobacillus denitrificans)、クロストリジウム・テタニ、クロストリジウム・パーフリンゲンス、クロストリジウム・ボツリヌス、アシネトバクター・カルコアセチカス、アシネトバクター・ルヴォフィイ、アシネトバクター・バウマンニイ、アシネトバクター・ヘモリティカス、アシネトバクター・ジュニイ、アシネトバクター・ジョンソニイ、化膿レンサ球菌、溶連菌、フィブロバクター・サクシノゲネス、フィブロバクター・インテスティナリス、ポルフィロモナス・アサッカロリティカ、ポルフィロモナス・エンドドンタリス、ポルフィロモナス・ジンジビカニス、カンピロバクター・ジェジュニ、カンピロバクター・コリ、カンピロバクター・ラリ、カンピロバクター・ウプサリエンシス、カンピロバクター・コンシサス、カンピロバクター・フェタス、アクチノマイセス・イスラエリイ、アクチノマイセス・ナエスランディイ、アクチノマイセス・オドントリティカス、アクチノマイセス・ビスコーサス、アクチノマイセス・ノウイイ、エシェリキア・コリ、エシェリキア・ブラタエ、エシェリキア・フェルグソニー、エシェリキア・ヘルマンニ、エシェリキア・ブルネリス、ティセレラ・プラエアキュータ、クレブシエラ・ニューモニエ、クレブシエラ・オザエナエ、アゾスピリルム・ブラシレンセ、アクロモバクター、チオバチルス・デニトリフィカンス、チオバチルス・フェロオキシダンス、チオバチルス・チオオキシダンス、チオバチルス・ネアポリタナス、バークホルデリア、マイコバクテリウム・マリナム、梅毒トレポネーマ、トレポネーマ・ヒオディセンテリア、ビブリオ・メチニコフィイ、ルミノコッカス・アルブス、ルミノコッカス・フラベファシエンス、メタノブレビバクター・ルミナンチウム、シゲラ、フレクスナー赤痢菌、ボイド赤痢菌、ソンネ赤痢菌、フランキア、コプロコッカス・オイタクツス、ストレプトマイセス・アルブス、シュードモナス・メンドシナ、ミクロコッカス・セデンタリウス、アリサイクリフィルス・デニトリフィカンス、アクロモバクター・キシロソキシダンス、スフィンゴモナス、マイコバクテリウム・アブセサス、アルスロバクター・アウレッセンス、プレボテーラ、シノリゾビウム・メディカエ、酸性酵母、スタフィロコッカス・エピデルミディス、シュードモナス・エルギノーサ、黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ヘモリティカス、シュードモナス・プチダ、ステノトロフォモナス・マルトフィリア、バチルス・セレウス、バチルス・メガテリウム、ラクトバチルス・ロイテリ、ガードネレラ・バジナリス、蜂エンテロコッカス・フェシウム、サイトファーガ・ハッチンソニイ、バチルス・リケニフォルミス、キサントモナス・オリザエ、アシネトバクター・バウマンニイ、アシネトバクター・カルコアセチカス、コマモナス・テストステロニ、マイコバクテリウム・カンサシイ、バチルス・チューリンギエンシス、シトロバクター・コセリ、ディアドバクター・フェルメンタンス、セラチア・マルセッセンス、スフィンゴモナス・ウィッティチイ、クレブシエラ・ニューモニアエ、シュードモナス・フルオレッセンス、ラルストニア・ピケッティ、ラクトバチルス・クリスパータス、バークホルデリア、ラクトバチルス・デルブレッキイ、メイオサーマス・シルバヌス(Meiothermus silvanus)(Meiothermus silvanus)(D)、大腸菌、ミクロコッカス・ルテウス、枯草菌、コリネバクテリウム・アウリムコスム、フィネゴルディア・マグナから選ばれる1つまたは2つ以上である。
【0032】
好ましくは、前記感染方法は、微生物をモデルキャリアの感染対象部位と直接的に接触させることまたは間接的に接触させることを含み、前記間接的に接触させることは、前記微生物と感染対象部位との間に血液網膜関門、好ましくは、外側血管網膜関門または内側血管網膜関門が存在することである。
【0033】
1つの具体的な実施形態では、前記感染方法は、末梢血を介して眼部に腸内細菌を感染させることを含む。具体的には、非ヒト動物モデルの腸管上皮バリアは顕著な損傷を受けて、腸内細菌が末梢血に入る。1つのモデル体内で、網膜関門も顕著な損傷を受けて、末梢血に入っている腸内細菌が網膜に感染する。1つの具体的な実施形態では、前記非ヒト動物モデルはCRB1遺伝子の変異を有し、1つの具体的な実施形態では、前記CRB1遺伝子の変異はRd8変異である。
【0034】
さらに、本発明は眼部炎症モデルを調製する方法を提供し、前記方法は微生物に感染した非ヒト動物をモデル化する。
【0035】
好ましくは、前記の眼部炎症は、腸内細菌叢または腸内細菌叢と同一の細菌叢によって引き起こされる。
【0036】
前記非ヒト動物は、上述したような動物である。
【0037】
前記微生物は、上述したような微生物である。
【0038】
さらに、本発明は、網膜変性疾患モデルを調製する方法を提供し、前記方法は、網膜変性に罹患している非ヒト動物に微生物を感染させることを含む。
【0039】
好ましくは、前記眼部炎症性網膜変性疾患は、上述したような網膜疾患である。
【0040】
前記非ヒト動物は、上述したような動物である。
【0041】
前記微生物は、上述したような微生物である。
【0042】
さらに、本発明は、眼部炎症を有するモデルキャリアを提供し、前記眼部炎症は微生物感染によって引き起こされる。
【0043】
好ましくは、前記微生物は同一個体の腸内細菌に由来するか、またはそれと同一のものである。
【0044】
好ましくは、前記眼疾患は網膜変性症を含み、より好ましくは、前記網膜変性症は進行性網膜変性症である。
【0045】
好ましくは、前記網膜変性症は遺伝性網膜変性症(IRD)である。
【0046】
好ましくは、前記網膜変性症は、モデル動物自体の疾患であるか、または遺伝子操作によってモデル動物に網膜変性症を発症させたものである。
【0047】
好ましくは、前記眼疾患は、LCA、RP、arRP、EORD、EORP、PPRPE、毛細血管拡張症(rettelangiectasia)および/または眼底コロイデレミア(choroideremia like fundus)を含む。
【0048】
好ましくは、前記眼疾患は、例えばぶどう膜炎、緑内障、加齢黄斑変性症(AMD)、硝子体炎、脈絡膜炎、網膜炎、網膜血管炎、視神経炎といった眼部炎症性疾患、さらにはぶどう膜炎、ベーチェット病、フォークト・小柳・原田病、ぶどう膜炎、網膜症、交感神経性眼炎、白内障、結膜炎、緑内障などを含む。
【0049】
好ましくは、前記モデルは、非ヒト動物であり、好ましくはサル、イヌ、チンパンジー、ラット、マウスである。
【0050】
好ましくは、前記モデルキャリアは、細胞、組織または器官であり、前記細胞、組織または器官は、ヒトまたは非ヒト動物に由来する。
【0051】
好ましくは、前記細胞は、初代細胞または細胞株である。
【0052】
好ましくは、前記組織は、眼部組織であり、前記器官は、眼部器官である。
【0053】
好ましくは、前記組織または器官は、再生組織または器官である。
【0054】
好ましくは、前記モデルは、遺伝子の病原性変異を有する。
【0055】
好ましくは、病原性変異を有する前記遺伝子は、網膜関門の構造の維持に関連する遺伝子であり、前記網膜関門は、外側血管網膜関門および/または内側血管網膜関門である。
【0056】
好ましくは、前記モデルキャリアには、以下の1つまたは2つ以上の遺伝子が変異している:ABCA4、ABCC6、ABCC9、ACBD5、ACO2、ACO2、ACTG1、ADGRV1、AHI1、AIPL1、ALMS1、AMY2B、APC、ARFGEF1、ARL13B、ARL13B、ARL6、ARMC9、ATOH7、B9D1、BAG3、BBS1、BBS1、BBS2、BBS5、BEST1、C2CD3、CA4、CABP4、CACNA1F、CBS、CC2D2A、CDH23、CDH23、CDHR1、CEMIP2、CEP104、CEP250、CEP290、CEP290、CEP41、CEP78、CERKL、CFAP410、CFAP418、CHM、CLCC1、CLCN7、CLN3、CLN5、CLN8、CLRN1、CLRN1、CNGA1、CNGA1、CNGA3、CNGB1、CNGB3、CNNM4、COL11A1、COL11A2、COL18A1、COL2A1、COL4A1、COL9A1、COL9A2、CP、CP、CPLANE1、CRB1、ERCC4、CSPP1、CTNNA1、CYP4V2、DHDDS、DYNC2H1、DYNC2I1、DYNC2I2、ENPP1、ERCC4、EVC2、EYS、EYS、F5、FAM161A、FBN1、FKRP、FKTN、FLG、FLVCR1、FOXE3、FUZ、GLB1、GMPPB、GNAT1、GRK1、GRM6、GUCA1A、GUCA1B、GUCY2D、HADHA、HGSNAT、HPS3、HPS5、IDH3B、IFT122、IFT140、IFT140、IFT43、IFT52、IFT74、IFT80、IFT80、IFT81、IFT88、IKBKG、IMPDH1、IMPG2、INPP5E、INTU、IQCB1、IQCE、IREB2、KCNJ13、KCNQ1、KCNV2、KIAA0586、KIAA0753、KIF7、KIZ、KIZ-AS1、KLHL7、KRIT1、LBR、LCA5、LOC101927157、LOC111365204、LRP2、LRP5、MAK、MAPKAPK3、MATK、MCOLN1、MERTK、MKS1、MPDZ、MT-ATP6、MT-CO3、MT-TE、MT-TL1、MTHFR、MUTYH、MYO7A、MYO7A、NMNAT1、NPHP1、NR2E3、OCA2、OTX2、PANK2、PAX6、PCARE、PCDH15、PDE6A、PDE6B、PDE6B、PDE6D、PEX1、PEX1、PEX12、PEX26、PEX6、PHF3、PITPNM3、PKD2、PLA2G5、POC5、POMT1、PRCD、PRDM13、PROM1、PRPF3、PRPF31、PRPF8、PRPH2、RAD51C、RBP3、RBP4、RD3、RDH12、RDH5、RGR、RGR、RHO、RIMS1、RLBP1、ROM1、RP1、RP1L1、RP2、RPE65、RPE65、RPGR、RPGRIP1、RPGRIP1L、RS1、SACS、SAG、SCAPER、SDCCAG8、SIX6、SLC19A1、SLC22A5、SLC26A4、SLC2A9、SLTM、SNRNP200、SPAG17、SPATA7、SPG11、TFAP2A、TGFB2、TGFBR2、TMEM107、TMEM237、TMEM67、TOGARAM1、TOPORS、TPP1、TRAF3IP1、TREX1、TRIM59-IFT80、TSPAN12、TTC21B、TTC21B、TTC8、TULP1、USH1C、USH2A、USH2A、USH2A、USH2A、USH2A-AS1、VAC14、VCAN、VCAN、VCAN-AS1、VHL、VPS13B、WDR19、WDR19、WDR35、WDR73、YARS1、ZFYVE26、ZFYVE26、ZNF408の1つまたは2つ以上の組み合わせである。
【0057】
1つの具体的な実施形態において、前記モデルキャリアは、病原性変異を有する眼疾患関連遺伝子にCRB1遺伝子を含む。
【0058】
好ましくは、前記モデルキャリアのCRB1遺伝子における変異は、以下の1つまたは2つ以上の変異を含む:c.107C>G、c.111delT、c.135C>G、c.257_258dupTG、c.258C>T、c.428_432delGATTC、c.430T>G、c.470G>C、c.481dupG、c.482C>T、c.584G>T、c.613_619del、c.717_718insG、c.750T>G、c.915T>A、c.929G>A、c.936T>G、c.998G>A、c.1084C>T、c.1125C>G、c.1148G>A、c.1208C>G、c.1269C>A、c.1298A>G、c.1313G>A、c.1438T>C、c.1438T>G、c.1576C>T、c.1604T>C、c.1690G>T、c.1733T>A、c.1750G>T、c.1760G>A、c.1834T>C、c.1963delC、c.2025G>T、c.2042G>A、c.2128G>C、c.2129C>T、c.2185_2186insAlu、c.2219C>T、c.2222T>C、c.2234C>T、c.2245_2247del 3bp(TCA)、c.2258T>C、c.2290C>T、c.2365_2367del AAT,インフレーム欠失、c.2401A>T、c.2438_2439ins>100A、c.2441_2442del、c.2465G>A、c.2479G>T、c.2506C>A、c.2509G>C、c.2536G>A、c.2548_2551delGGCT、c.2548G>A、c.2555T>C、c.2611_2613insT、c.2671T>G、c.2676delG、c.2681A>G、c.2688T>A、c.2816G>A、c.2843G>A、c.2853dupT、c.2884_2886delTTA、c.2957A>T、c.2966T>C、c.2983G>T、c.3002A>T、c.3008T>C、c.3035T>C、c.3037C>T、c.3074G>A、c.3074G>T、c.3122T>C、c.3212T>C、c.3296C>A、c.3299T>C、c.3299T>G、c.3307G>A/C、c.3320T>C、c.3320T>G、c.3331G>T、c.3343_3352del、c.3347delT、c.3343_3352del、c.3347delT、c.3427delT、c.3482A>G、c.3493T>C、c.3655T>G、c.3541T>C、c.3542dupG、c.3593A>G、c.3613G>A、c.3653G>T、c.3659_3660delinsA、c.3664C>T、c.3668G>C、c.3676G>T、c.3713_3716dup、c.3879G>A、c.3914C>T、c.3949A>C、c.3961T>A、c.3988delG、c.3988G>T、c.3995G>T、c.3996C>A、c.3997G>T、c.4094C>A、c.4121_4130del、c.4142C>T、c.4148G>A、c.2128+2T>G、c.2842+5G>A、c.3878+1G>T、c.4005+1G>A、c.4005+2T>G、c.4006-2A>G、c.4006-1G>T、c.619G>A、c.614T>C、c.1472A>T、c.1903T>C、c.2809G>A、c.3103C>T、c.4082G>A、c.4060G>A、c.866C>T、c.1463T>C、c.2035C>G、c.2306_2307GC>AG、c.2306G>A、c.2714G>A、c.2875G>A、c.3992G>A。
【0059】
より好ましくは、前記モデルまたはモデルキャリアのCRB1遺伝子における変異は、以下の1つまたは2つ以上の変異を含む:c.4006-1G>T、c.3686G>C、(p.Cys1229Ser)、c.2842+1delinsAA、c.4060G>A、(p.Ala1354Thr)、c.3991C>T、(p.Arg1331Cys)、c.3014A>T、(p.Asp1005Val)、c.4005+1G>A、c.2680_2684del、(p.Asn894fs)、c.1733T>A、(p.Val578Glu)、c.455G>A、(p.Cys152Tyr)、c.3462_3463del、(p.Cys1154_Glu1155delinsTer)、c.3037C>T、(p.Gln1013Ter)、c.2673C>A、(p.Cys891Ter)、c.2230C>T、(p.Arg744Ter)、c.3676G>T、(p.Gly1226Ter)、c.2842+5G>A、c.2842T>C、(p.Cys948Arg)、c.3988del、(p.Glu1330fs)、c.2506C>A、(p.Pro836Thr)、c.2291G>A、(p.Arg764His)、c.1576C>T、(p.Arg526Ter)、c.613_619del、(p.Ile205fs)、c.3320T>C、(p.Leu1107Pro)、c.2688T>A、(p.Cys896Ter)、c.2555T>C、(p.Ile852Thr)、c.2222T>C、(p.Met741Thr)、c.1148G>A、(p.Cys383Tyr)、c.2843G>A、(p.Cys948Tyr)、c.4121_4130del、(p.Ala1374fs)、c.3307G>A、(p.Gly1103Arg)、c.484G>A、(p.Val162Met)、c.2401A>T、(p.Lys801Ter)、c.2234C>T、(p.Thr745Met)、c.2290C>T、(p.Arg764Cys)、c.3122T>C、(p.Met1041Thr)。
【0060】
好ましくは、前記モデルキャリアのCRB1遺伝子における変異は、Rd8変異である。
【0061】
好ましくは、前記変異は、ホモ接合体変異またはヘテロ接合体変異である。
【0062】
好ましくは、前記モデルキャリアは、前記の遺伝子変異をインビボで先天的に有するか、または組換え遺伝子操作の結果として変異を獲得したものである。
【0063】
好ましくは、前記モデルキャリアは、内因性CRB1遺伝子が欠失または発現していないヒト化CRB1遺伝子またはヒトCRB1遺伝子をインビボで有する。
【0064】
好ましくは、前記非ヒト動物は、結腸上皮バリア機能障害および/または関連する結腸壁の炎症を有する。
【0065】
1つの具体的な実施例では、前記モデルにおいてオクルディンタンパク質が有意に欠失し、1つの具体的な実施例では、前記モデルにおいてオクルディンタンパク質が有意に欠失し、クローディン1の発現が明らかではない。
【0066】
前記微生物は、細菌、古細菌、原生生物、真菌またはウイルスのうちの1種または2種以上の組み合わせであり、好ましくは、前記微生物は細菌であり、前記細菌は、アナエロスティペス(Anearostipes)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、メガモナス(Megamonas)、ニトロソモナス(Nitrosomonas)、オシリバクター(Oscillibacter)、タツメラ(Tatumella)、チオバチルス属(Thiobacillus sp.)、クロストリジウム属(Clostridium)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、マンヘミア属(Mannheimia)、フィブロバクター属(Fibrobacter)、プレボテーラ属(Prevotella)、カンピロバクター属(Campylobacter)、アクチノマイセス属(Actinomyces)、ヒメノバクター属(Hymenobacter)、エシェリキア属(Escherichia)、ティセレラ属(Tissierella)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ポルフィロモナス属(Porphyromonas)、アゾスピリルム属(Azospira)、アクイマリナ属(Aquimarina)、アクロモバクター属(Achromobacter)、アシドチオバシラス属(Acidithiobacillus)、バークホルデリア属(Burkholderia)、マリノバクター属(Marinobacter)、トレポネーマ属(Treponema)、アクチノスポランギウム属(Actinosporangium)、ビブリオ属(Vibrio)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)、メタノブレビバクター(Methanobrevibacter)、志賀赤痢菌(Shigella)、フランキア属(Frankia)、アネロプラズマ属(Anaeroplasma)、コプロコッカス属(Coprococcus)から選ばれる1つまたは2つ以上である。
【0067】
具体的には、前記細菌は、アナエロスティペス・ハドラス(Anearostipes hadrus)、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュレイタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、ニトロソモナス属Is79A3(Nitrosomonas sp.Is79A3)、オシリバクター・バレリシゲネス(Oscillibacter valericigenes)、タツメラ属 TA1(Tatumella sp.TA1)、メガモナス・ファニフォーミス(Megamonas funiformis)、チオバシラス・デニトリフィカンス(Thiobacillus denitrificans)、クロストリジウム・テタニ、クロストリジウム・パーフリンゲンス、クロストリジウム・ボツリヌス、アシネトバクター・カルコアセチカス、アシネトバクター・ルヴォフィイ、アシネトバクター・バウマンニイ、アシネトバクター・ヘモリティカス、アシネトバクター・ジュニイ、アシネトバクター・ジョンソニイ、化膿レンサ球菌、溶連菌、フィブロバクター・サクシノゲネス、フィブロバクター・インテスティナリス、ポルフィロモナス・アサッカロリティカ、ポルフィロモナス・エンドドンタリス、ポルフィロモナス・ジンジビカニス、カンピロバクター・ジェジュニ、カンピロバクター・コリ、カンピロバクター・ラリ、カンピロバクター・ウプサリエンシス、カンピロバクター・コンシサス、カンピロバクター・フェタス、アクチノマイセス・イスラエリイ、アクチノマイセス・ナエスランディイ、アクチノマイセス・オドントリティカス、アクチノマイセス・ビスコーサス、アクチノマイセス・ノウイイ、エシェリキア・コリ、エシェリキア・ブラタエ、エシェリキア・フェルグソニー、エシェリキア・ヘルマンニ、エシェリキア・ブルネリス、ティセレラ・プラエアキュータ、クレブシエラ・ニューモニエ、クレブシエラ・オザエナエ、アゾスピリルム・ブラシレンセ、アクロモバクター、チオバチルス・デニトリフィカンス、チオバチルス・フェロオキシダンス、チオバチルス・チオオキシダンス、チオバチルス・ネアポリタナス、バークホルデリア、マイコバクテリウム・マリナム、梅毒トレポネーマ、トレポネーマ・ヒオディセンテリア、ビブリオ・メチニコフィイ、ルミノコッカス・アルブス、ルミノコッカス・フラベファシエンス、メタノブレビバクター・ルミナンチウム、志賀赤痢菌、フレクスナー赤痢菌、ボイド赤痢菌、ソンネ赤痢菌、フランキア、コプロコッカス・オイタクツス、ストレプトマイセス・アルブス、シュードモナス・メンドシナ、ミクロコッカス・セデンタリウス、アリサイクリフィルス・デニトリフィカンス、アクロモバクター・キシロソキシダンス、スフィンゴモナス、マイコバクテリウム・アブセサス、アルスロバクター・アウレッセンス、プレボテーラ、シノリゾビウム・メディカエ、酸性酵母、スタフィロコッカス・エピデルミディス、シュードモナス・エルギノーサ、黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ヘモリティカス、シュードモナス・プチダ、ステノトロフォモナス・マルトフィリア、バチルス・セレウス、バチルス・メガテリウム、ラクトバチルス・ロイテリ、ガードネレラ・バジナリス、蜂エンテロコッカス・フェシウム、サイトファーガ・ハッチンソニイ、バチルス・リケニフォルミス、キサントモナス・オリザエ、アシネトバクター・バウマンニイ、アシネトバクター・カルコアセチカス、コマモナス・テストステロニ、マイコバクテリウム・カンサシイ、バチルス・チューリンギエンシス、シトロバクター・コセリ、ディアドバクター・フェルメンタンス、セラチア・マルセッセンス、スフィンゴモナス・ウィッティチイ、クレブシエラ・ニューモニアエ、シュードモナス・フルオレッセンス、ラルストニア・ピケッティ、ラクトバチルス・クリスパータス、バークホルデリア、ラクトバチルス・デルブレッキイ、メイオサーマス・シルバヌス(Meiothermus silvanus)(D)、大腸菌、ミクロコッカス・ルテウス、枯草菌、コリネバクテリウム・アウリムコスム、フィネゴルディア・マグナから選ばれる1つまたは2つ以上である。
【0068】
好ましくは、前記感染方法は、微生物をモデルキャリアの感染対象部位と直接的に接触させることまたは間接的に接触させることを含み、前記間接的に接触させることは、前記微生物と感染対象部位との間に血液網膜関門、好ましくは、外側血管網膜関門または内側血管網膜関門が存在することである。
【0069】
1つの具体的な実施形態では、前記感染方法は、末梢血を介して眼部に腸内細菌を感染させることを含む。具体的には、非ヒト動物モデルの腸管上皮バリアは顕著な損傷を受けて、腸内細菌が末梢血に入る。1つのモデル体内で、網膜関門も顕著な損傷を受けて、末梢血に入っている腸内細菌が網膜に感染する。1つの具体的な実施形態では、前記非ヒト動物モデルはCRB1遺伝子の変異を有し、1つの具体的な実施形態では、前記CRB1遺伝子の変異はRd8変異である。
【0070】
前記炎症を有するモデルキャリアは、前記の方法によって調製した疾患モデルに由来するか、または、前記の非ヒト動物由来の眼部細胞、組織、または臓器に微生物を感染させることによって得られる。
【0071】
本発明は、眼疾患に対する標的療法の有効性の評価における上記方法の使用を提供し、前記眼疾患は、前述したような眼疾患を含む。
【0072】
1つの具体的な実施形態では、上述したモデルまたはモデルキャリアに、上述した遺伝子変異に対する標的療法を施し、標的療法を施したモデルまたはモデルキャリアと施さないモデルまたはモデルキャリアを2つのグループに分け、それぞれ上述した方法により眼疾患モデルを構築し、比較すると、標的療法を施したグループが眼疾患のモデル化に成功しなかった場合、標的療法が有益な効果を達成したことを示す。
【0073】
1つの具体的な実施形態では、前記標的療法は、以下の1つの遺伝子または2つ以上の遺伝子の組み合わせを標的とする:ABCA4、ABCC6、ABCC9、ACBD5、ACO2、ACO2、ACTG1、ADGRV1、AHI1、AIPL1、ALMS1、AMY2B、APC、ARFGEF1、ARL13B、ARL13B、ARL6、ARMC9、ATOH7、B9D1、BAG3、BBS1、BBS1、BBS2、BBS5、BEST1、C2CD3、CA4、CABP4、CACNA1F、CBS、CC2D2A、CDH23、CDH23、CDHR1、CEMIP2、CEP104、CEP250、CEP290、CEP290、CEP41、CEP78、CERKL、CFAP410、CFAP418、CHM、CLCC1、CLCN7、CLN3、CLN5、CLN8、CLRN1、CLRN1、CNGA1、CNGA1、CNGA3、CNGB1、CNGB3、CNNM4、COL11A1、COL11A2、COL18A1、COL2A1、COL4A1、COL9A1、COL9A2、CP、CP、CPLANE1、CRB1、ERCC4、CSPP1、CTNNA1、CYP4V2、DHDDS、DYNC2H1、DYNC2I1、DYNC2I2、ENPP1、ERCC4、EVC2、EYS、EYS、F5、FAM161A、FBN1、FKRP、FKTN、FLG、FLVCR1、FOXE3、FUZ、GLB1、GMPPB、GNAT1、GRK1、GRM6、GUCA1A、GUCA1B、GUCY2D、HADHA、HGSNAT、HPS3、HPS5、IDH3B、IFT122、IFT140、IFT140、IFT43、IFT52、IFT74、IFT80、IFT80、IFT81、IFT88、IKBKG、IMPDH1、IMPG2、INPP5E、INTU、IQCB1、IQCE、IREB2、KCNJ13、KCNQ1、KCNV2、KIAA0586、KIAA0753、KIF7、KIZ、KIZ-AS1、KLHL7、KRIT1、LBR、LCA5、LOC101927157、LOC111365204、LRP2、LRP5、MAK、MAPKAPK3、MATK、MCOLN1、MERTK、MKS1、MPDZ、MT-ATP6、MT-CO3、MT-TE、MT-TL1、MTHFR、MUTYH、MYO7A、MYO7A、NMNAT1、NPHP1、NR2E3、OCA2、OTX2、PANK2、PAX6、PCARE、PCDH15、PDE6A、PDE6B、PDE6B、PDE6D、PEX1、PEX1、PEX12、PEX26、PEX6、PHF3、PITPNM3、PKD2、PLA2G5、POC5、POMT1、PRCD、PRDM13、PROM1、PRPF3、PRPF31、PRPF8、PRPH2、RAD51C、RBP3、RBP4、RD3、RDH12、RDH5、RGR、RGR、RHO、RIMS1、RLBP1、ROM1、RP1、RP1L1、RP2、RPE65、RPE65、RPGR、RPGRIP1、RPGRIP1L、RS1、SACS、SAG、SCAPER、SDCCAG8、SIX6、SLC19A1、SLC22A5、SLC26A4、SLC2A9、SLTM、SNRNP200、SPAG17、SPATA7、SPG11、TFAP2A、TGFB2、TGFBR2、TMEM107、TMEM237、TMEM67、TOGARAM1、TOPORS、TPP1、TRAF3IP1、TREX1、TRIM59-IFT80、TSPAN12、TTC21B、TTC21B、TTC8、TULP1、USH1C、USH2A、USH2A、USH2A、USH2A、USH2A-AS1、VAC14、VCAN、VCAN、VCAN-AS1、VHL、VPS13B、WDR19、WDR19、WDR35、WDR73、YARS1、ZFYVE26、ZFYVE26、ZNF408。
【0074】
1つの具体的な実施形態では、前記標的療法は、CRB1遺伝子における以下の1つまたは2つ以上の変異を標的とする:c.257_258dupTG、c.258C>T、c.428_432delGATTC、c.430T>G、c.470G>C、c.481dupG、c.482C>T、c.584G>T、c.613_619del、c.717_718insG、c.750T>G、c.915T>A、c.929G>A、c.936T>G、c.998G>A、c.1084C>T、c.1125C>G、c.1148G>A、c.1208C>G、c.1269C>A、c.1298A>G、c.1313G>A、c.1438T>C、c.1438T>G、c.1576C>T、c.1604T>C、c.1690G>T、c.1733T>A、c.1750G>T、c.1760G>A、c.1834T>C、c.1963delC、c.2025G>T、c.2042G>A、c.2128G>C、c.2129C>T、c.2185_2186insAlu、c.2219C>T、c.2222T>C、c.2234C>T、c.2245_2247del 3bp(TCA)、c.2258T>C、c.2290C>T、c.2365_2367del AAT,インフレーム欠失、c.2401A>T、c.2438_2439ins>100A、c.2441_2442del、c.2465G>A、c.2479G>T、c.2506C>A、c.2509G>C、c.2536G>A、c.2548_2551delGGCT、c.2548G>A、c.2555T>C、c.2611_2613insT、c.2671T>G、c.2676delG、c.2681A>G、c.2688T>A、c.2816G>A、c.2843G>A、c.2853dupT、c.2884_2886delTTA、c.2957A>T、c.2966T>C、c.2983G>T、c.3002A>T、c.3008T>C、c.3035T>C、c.3037C>T、c.3074G>A、c.3074G>T、c.3122T>C、c.3212T>C、c.3296C>A、c.3299T>C、c.3299T>G、c.3307G>A/C、c.3320T>C、c.3320T>G、c.3331G>T、c.3343_3352del、c.3347delT、c.3343_3352del、c.3347delT、c.3427delT、c.3482A>G、c.3493T>C、c.3655T>G、c.3541T>C、c.3542dupG、c.3593A>G、c.3613G>A、c.3653G>T、c.3659_3660delinsA、c.3664C>T、c.3668G>C、c.3676G>T、c.3713_3716dup、c.3879G>A、c.3914C>T、c.3949A>C、c.3961T>A、c.3988delG、c.3988G>T、c.3995G>T、c.3996C>A、c.3997G>T、c.4094C>A、c.4121_4130del、c.4142C>T、c.4148G>A、c.2128+2T>G、c.2842+5G>A、c.3878+1G>T、c.4005+1G>A、c.4005+2T>G、c.4006-2A>G、c.4006-1G>T、c.619G>A、c.614T>C、c.1472A>T、c.1903T>C、c.2809G>A、c.3103C>T、c.4082G>A、c.4060G>A、c.866C>T、c.1463T>C、c.2035C>G、c.2306_2307GC>AG、c.2306G>A、c.2714G>A、c.2875G>A、c.3992G>A。
【0075】
1つの具体的な実施形態において、前記標的治療薬は、修飾された細胞、修飾されたタンパク質、上述したような遺伝子または上述したような変異部位を標的とするRNA、および/または上述したような遺伝子または上述したような変異部位を標的とするDNAを含む。
【0076】
本発明は、眼疾患に関連する研究において、上述したような方法によって製造した疾患モデルの使用を提供する。前記眼疾患は、上述したような眼疾患を含む。前記研究には、遺伝性網膜変性症に関連する疾患と腸内細菌叢との相互応答などが含まれる。
【0077】
1つの具体的な実施形態において、前記疾患モデルは1つの腸内細菌を感染しており、それが有する病原性変異が細胞によって治療される場合、薬物の投与および非投与の有効性が観察され、前記薬物は低分子薬であり、好ましくは広域抗生物質または感染細菌を標的とする抗生物質である。1つの具体的な実施形態において、前記疾患モデルは1つの腸内細菌を感染しており、それが有する病原性変異がRNAによって治療される場合、薬物の投与および非投与の有効性が観察され、前記薬物は低分子薬であり、好ましくは広域抗生物質または感染細菌を標的とする抗生物質である。1つの具体的な実施形態において、前記疾患モデルは、2つ以上の腸内細菌を感染しており、それが有する病原性変異が細胞によって治療される場合、薬物の投与および非投与の有効性が観察され、前記薬物は、低分子薬であり、好ましくは広域抗生物質または感染細菌を標的とする抗生物質である。1つの具体的な実施形態において、前記疾患モデルは2つの腸内細菌を感染しており、それが有する病原性変異がRNAによって治療される場合、薬物の投与および非投与の有効性が観察され、前記薬物は低分子薬であり、好ましくは広域抗生物質または感染細菌を標的とする抗生物質である。
【0078】
好ましくは、前記病原性変異は、上述したような遺伝子に発生するか、または、前記病原性変異は、上述したようなCRB遺伝子の変異である。
【0079】
本発明は、眼疾患に関連する研究において、上述した方法によって製造した疾患モデルキャリアの使用を提供する。前記眼疾患は、上述したような眼疾患を含む。前記研究には、遺伝性網膜変性症に関連する疾患と腸内細菌叢との相乗効果などが含まれる。
【0080】
1つの具体的な実施形態において、前記疾患モデルキャリアは1つの腸内細菌を感染しており、それが有する病原性変異が細胞によって治療される場合、薬物の投与および非投与の有効性が観察され、前記薬物は低分子薬であり、好ましくは広域抗生物質または感染細菌を標的とする抗生物質である。1つの具体的な実施形態において、前記疾患モデルキャリアは1つの腸内細菌を感染しており、それが有する病原性変異がRNAによって治療される場合、薬物の投与および非投与の有効性が観察され、前記薬物は低分子薬であり、好ましくは広域抗生物質または感染細菌を標的とする抗生物質である。1つの具体的な実施形態において、前記疾患モデルキャリアは、2つ以上の腸内細菌を感染しており、それが有する病原性変異が細胞によって治療される場合、薬物の投与および非投与の有効性が観察され、前記薬物は、低分子薬であり、好ましくは広域抗生物質または感染細菌を標的とする抗生物質である。1つの具体的な実施形態において、前記疾患モデルキャリアは2つの腸内細菌を感染しており、それが有する病原性変異がRNAによって治療される場合、薬物の投与および非投与の有効性が観察され、前記薬物は低分子薬であり、好ましくは広域抗生物質または感染細菌を標的とする抗生物質である。
【0081】
好ましくは、前記病原性変異は、上述したような遺伝子に発生するか、または、前記病原性変異は、上述したようなCRB遺伝子の変異である。
【0082】
本発明は、眼疾患に関連する薬物のスクリーニングにおいて、上述したような疾患モデルまたは疾患モデルキャリアの使用を提供する。前記薬物は、低分子薬、化学薬物、高分子薬、生物学的薬物または天然薬物(例えば、漢方薬または漢方薬抽出物)、細胞薬物、RNA薬物、DNA薬物のうちの1つまたは2つ以上の組み合わせを含む。
【0083】
前記眼疾患は、上述したような眼疾患を含む。
【0084】
好ましくは、低分子化合物は抗生物質であり、前記抗生物質は当業者に一般的に知られている広域抗生物質である。
【0085】
好ましくは、前記低分子化合物は、特定の細菌を標的とする非広域抗生物質である。
【0086】
好ましくは、前記細胞は修飾された免疫細胞、例えばT細胞、B細胞または幹細胞の1つまたは2つ以上の組み合わせを含む。
【0087】
好ましくは、前記RNAは、mRNA、siRNA、sgRNA、miRNA、ASOおよび/またはレプリコンRNAを含む。
【0088】
1つの具体的な実施形態において、前記疾患モデルまたは疾患モデルキャリアに標的治療を施すとともに、標的治療を施した疾患モデルまたは疾患モデルキャリアと標的治療を施していない疾患モデルまたは疾患モデルキャリアに上述したような薬物を投与または非投与とし、複数の群における炎症の進行を観察し、標的治療薬の有効性を評価する。
【0089】
1つの具体的な実施形態において、前記疾患モデルまたは疾患モデルキャリアに標的治療を施すとともに、標的治療を施した疾患モデルまたは疾患モデルキャリアと標的治療を施していない疾患モデルまたは疾患モデルキャリアに上述したような薬物を投与または非投与とし、複数の群における炎症の進行を観察し、低分子薬の有効性を評価する。
【0090】
本発明に係わる化学薬物は、β-ラクタム系抗生物質(ペニシリン類、セファロスポリン類、チエナマイシン類、モノバクタム類、β-ラクタマーゼ阻害剤、メトキシペニシリン類などを含む)、アミノグリコシド系抗生物質(ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネオマイシン、リボスタマイシン、ミクロノマイシン、アストロマイシンなどを含む)、テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリンおよびドキシサイクリンなどを含む)、クロラムフェニコール系抗生物質(クロラムフェニコール、チアンフェニコールなどを含む)、マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン、ロイコマイシン、エリスロマイシンエストレート、アセチルスピラマイシン、ミデカマイシン、ジョサマイシン、アジスロマイシン等を含む)、グリコペプチド系抗生物質(バンコマイシン、ノルバンコマイシン、テイコプラニン等を含む)、キノロン系抗生物質(ノルフロキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、ペフロキサシン、ガチフロキサシンを含む)、ニトロイミダゾール系抗生物質(メトロニダゾール、チニダゾール、オルニダゾール等を含む)、リファマイシン系抗生物質(リファンピシンなどを含む)、エキノカンジン系抗生物質、ポリエン系抗生物質、ピリミジン系抗生物質、アリルアミン系抗生物質、アゾール系抗生物質、他の抗生物質(ホスホマイシン、カプレオマイシン、サイクロセリン、リンコマイシン、クリンダマイシン、マイトマイシン、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、アドリアマイシン、イソニアジド、ピラジナミド、シクロスポリンなど)から選ばれる1つまたは2つ以上である。
【0091】
本発明に係わる生物学的薬物は抗菌性ペプチドであり、前記抗菌性ペプチドは、昆虫抗菌性ペプチド、例えば、鱗翅目抗菌性ペプチド、双翅目抗菌性ペプチド、鞘翅目抗菌性ペプチド、蜻蛉目抗菌性ペプチド、膜翅目抗菌性ペプチド、カイコ抗菌性ペプチドなど;哺乳類抗菌性ペプチド、例えば、ブタ抗菌性ペプチド、ヒツジ抗菌性ペプチド、ウシ抗菌性ペプチド、ヒト抗菌性ペプチドなど;両生類抗菌性ペプチド:マガイニンなど;魚類、軟体動物、甲殻類動物由来の抗菌性ペプチド:ミナミウシノシタ抗菌性ペプチド、ナマズ抗菌性ペプチド、イガイ抗菌性ペプチド、エビ抗菌性ペプチドなど;植物抗菌性ペプチド:チオニンなど;細菌抗菌性ペプチド:バシトラシン、グラミシジン、ポリミキシン、およびナイシンなどから選ばれる1つまたは2つ以上である。
【0092】
本発明に係わる天然薬物は、オウギ、オウセイ、トウキ、サンシチ、ハクボウコン、ダイオウタン、ウコン、バイモ、ヨクイニン、ホウハンゲ、ウタンコボク(Calcinedancient ink)、タンジン、ムラサキ、バンランコン、ギョセイソウ、キンギンカ、オウレン、オウゴン、ホコウエイ、バシケン、サンザシ、タイセイヨウ、レンギョウ、インチン、センシンレン、サイコ、ニシキソウ、ビャクブ、タイサン、オウバク、トチュウ、シンピ、ジャショウシ、オウレン、ゴバイシ、シカジチョウ、ウバイ、カンゾウ、セキリュウヒ、ゴミシ、ソウカクシ、カシ、クジン、ドキンピ、インヨウカク、セイコウ、またはこれらの抽出物から選ばれる1つまたは2つ以上である。
【0093】
本発明に係わる薬物は、経口薬、注射薬または外用薬であってよく、前記外用薬は、粘膜投与薬物を含み、好ましくは点眼投与薬物である。
【0094】
本発明に係わる薬物の剤形は、溶液、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射液、粉末、注射用粉末、パッチ剤、コーティング剤または粘膜投与製剤であってよく、前記粘膜投与製剤は、好ましくは点眼液、眼軟膏または眼用スプレー剤等である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1】Crb1rd8/rd8(rd8)-SPFマウスの遺伝子型と表現型である。そのうち、図1Aは、Crb1rd8/rd8(rd8)マウスとCrb1wt/wt(C57BL/J,「wt」と略称する。)マウスの遺伝子型ゲル電気泳動図である。図1Bは、Rd8-SPFマウスとWT-SPFマウスの代表的な眼底写真であり、Rd8-SPFマウスの網膜鼻下側に典型的な白斑が認められた。図1Cは、Rd8-SPFマウスのE18における両眼の病理学的変化を検出するためのH&E染色である。
図2】Rd8-SPFマウスにおける網膜異常と網膜症の潜在的メカニズムである。そのうち、図2Aは、Rd8-SPFマウスとWT-SPFマウスのE18、P12(開眼前)、P15(開眼後)、8週(8W)における両眼の病理学的変化を検出するためのH&E染色である。Rd8マウスは、進行性の網膜形成不全(シワや花輪)や変性を含む典型的な網膜異常を示したが、WTマウスは、正常な網膜構造を示した。図2Bは、Rd8-SPFマウスとWT-SPFマウスのE18、P12、P15、8Wにおける眼球の損傷の有無の統計データである。典型的な病変は、P12、P15、8WにおけるRd8マウスの全ての網膜に見られたが、WT-SPFマウスには1つも見られなかった。WT-SPFは、E18、P12、P15、8Wで各群n=6であり、Rd8-SPFは、E18でn=32、P12でn=6、P15でn=8であった。図2Cは、Rd8マウスの網膜の上部(病変なし)領域と下部(病変あり)領域におけるDEGsのボルケーノプロット解析である。Slamf1(シグナル伝達リンパ球活性化分子ファミリーメンバー1)とNcf4(好中球細胞質因子)は、Rd8-SPFマウスの網膜症で増殖の倍率が最も高い2つの遺伝子である。図2Dは、DEGsのIPA機能解析である。図2Eは、免疫蛍光染色でRd8マウスの網膜病変部にIBA1+ミクログリア(赤色)が多数認められたことを示している。
図3】Rd8-SPFマウスの網膜の上部領域および下部領域における遺伝子発現プロファイルを比較したRNA配列解析である。そのうち、図3Aは、Rd8-SPFマウスの上部(病変なし)領域と下部(病変あり)領域を示したグラフである。図3Bは、RNA-seq解析の結果として、Rd8-SPFマウスの発現には、網膜の上部領域と下部領域で少なくとも2倍の差があったことを示している(P<0.05)。図3Cは、Rd8-SPFマウスとWT-SPFマウスの網膜の上部領域と下部領域における179 DEGsの発現パターンを示している。
図4】Rd8-SPFマウスの網膜病変内の細菌の同定である。そのうち、図4Aは、主座標分析(PCoA)であり、Rd8マウスの網膜組織内の細菌組成がWTマウスと有意に異なることを示している。図4Bは、メタゲノムシーケンス解析によるRd8マウスの網膜の上部(S)および下部(I)組織の微生物種組成の同定(n=4)である。図4Cは、Rd8-SPFマウスおよびWT-SPFマウス(4週齢)の網膜細菌16srDNAとvanco-bodipyの蛍光in situハイブリダイゼーション検出である。図4Dは、透過型電子顕微鏡(TEM)によるRd8マウスの網膜病変内の細菌分布(陽性対照は大腸菌群である。)である。
図5】Rd8-SPFマウスにおける網膜接着結合の破壊である。そのうち、図5Aは、Rd8-SPFマウスおよびWT-SPFマウスの網膜におけるCRB1(赤色)の免疫蛍光染色を示し、BMはブルッフ膜、CCは絨毛毛細血管、BLは基底膜である。図5Bは、Rd8-SPFマウスおよびWT-SPFマウスの網膜の外膜の接着結合の透過型電子顕微鏡観察を示し、赤い矢印は接着結合、AJは接着結合、OLMは外膜、ONLは外核層、ISは内膜を意味する。図5Cは、Rd8-SPFマウスの網膜色素上皮(RPE)における基底層の接着溶解、絨毛毛細血管基底層の歪み、コラーゲン層の乱れを透過型電子顕微鏡で観察した結果であり、CCは絨毛毛細血管、CHは脈絡膜、BLは基底膜を意味する。図5Dは、Rd8-SPFマウスとWT-SPFマウスにおけるブルッフ膜の厚さを統計解析した結果であり、****P<0.0001であった。
図6A】透過型電子顕微鏡(TEM)で示したRd8-SPFマウスの外膜(OLM)における接着結合切断(AJ)と外核層(ONL)である。
図6B】透過型電子顕微鏡(TEM)で示したRd8-SPFマウスとWT-SPFマウスのブルッフ膜の厚さである。
図7】Rd8-SPFマウスにおける結腸上皮バリア機能障害およびそれに伴う炎症である。そのうち、図7Aは、Rd8およびWTマウスの胃腸の異なる部位におけるRd8網内細菌の相対的な存在量を示す(n=5)。図7B~Dは、Rd8-SPFマウスおよびWT-SPFマウスの結腸細胞におけるCRB1タンパク質(B)、ファロイジン(C)およびオクルディン(D)の免疫蛍光染色を示す。図7Eは、Rd8-SPFマウスおよびWT-SPFマウスにおけるオクルディンの相対強度の統計解析である。図7Fは、Rd8-SPFマウスおよびWT-SPFマウスの結腸上皮細胞におけるクローディン1発現のウェスタンブロット検出である。図7Gは、Rd8-SPFマウスおよびWT-SPFマウスにおけるクローディン1の相対強度の統計解析である。図7Hは、透過型電子顕微鏡で観察したRd8-SPFマウスおよびWT-SPFマウスの結腸上皮間の接着結合および密着結合である。図7I~Lは、Rd8-SPFマウスおよびWT-SPFマウスにおける上皮微絨毛の数(I)、微絨毛の長さ(J)、微絨毛の幅(K)、および完全な接着結合の総数(L)の統計解析である。図7M~Nは、Rd8-SPFマウスおよびWT-SPFマウスにおけるTnfa、Il1b、Il12a、(M)、およびムチン2(N)のmRNA発現レベルの比較である。
図8】Rd8-SPFマウスの胃腸の異なる部位における細菌叢の微生物種組成である。そのうち、図8A~Fは、Bray-Curtis距離に基づくWTマウス(n=5)およびRd8マウス(n=5)の胃(図8A)、空腸(図8B)、回腸(図8C)、盲腸(図8D)、結腸(図8E)および直腸(図8F)を含む消化管サンプルの微生物種組成の主座標分析(PCoA)である。図8Gは、PCoAによってRd8マウスとWT-SPFマウスの下部消化管(盲腸、結腸、直腸)の微生物組成(H~J)を組分けしてRd8マウスとWTマウスの盲腸(H)、結腸(I)、直腸(J)におけるアッカーマンシア・ムシニフィラの相対的存在量を比較する。データは平均値±SEMで示し、*P<0.05である。
図9】Rd8マウスの盲腸における密着結合と接着結合である。そのうち、図9Aは、Rd8-SPFマウスとWT-SPFマウスの盲腸腸管細胞におけるCRB1タンパク質(緑)の免疫蛍光染色である。図9Bは、Rd8-SPFマウスとWT-SPFマウスの盲腸腸管細胞におけるオクルディン(赤)の免疫蛍光染色である。図9Cは、Rd8-SPFマウスとWT-SPFマウスのオクルディンの相対強度の統計解析であり、*P<0.05である。図9Dは、Rd8-SPFマウスとWT-SPFマウスの盲腸におけるクローディン1発現のウェスタンブロット検出である。図9Eは、Rd8-SPFマウスとWT-SPFマウスにおけるクローディン1の相対強度の統計解析であり、NSは有意ではないことを表す。図9Fは、透過型電子顕微鏡検査により、盲腸の上皮バリアに正常な密着結合と接着結合が観察され、MVはマイクロバブル、MCはミトコンドリアである。
図10図10Aは、Rd8-SPFマウスおよびWT-SPFマウスにおける結腸上皮と密着結合(TJ)との間の接着結合(AJ)の透過型電子顕微鏡観察結果を示し、MVはマイクロバブル、MCはミトコンドリアである。図10Bは、フローサイトメトリーによるRd8マウスおよびWTマウスの末梢血中の蛍光+細菌/細胞の頻度を示す。
図11】Rd8-SPFマウスにおける腸管上皮バリア機能の破壊である。そのうち、図11Aは、腸管FICT-デキストラン透過性アッセイにより、血清蛍光強度がRd8マウスでWTマウスより有意に高かったことを示し、***P<0.001である。図11Bは、vanco-bodipy標識による糞便微生物叢移植法を用いて、Rd8マウスとWTマウスの末梢血中の蛍光+細菌/細胞の割合を比較し、*P<0.05である。図11C~Dは、蛍光顕微鏡(C)および免疫蛍光染色(D)の両方においてRd8マウスの網膜症でvanco-bodipy+細菌が検出された。図11F~Gは、DSS投与13日後のRd8マウスとWTマウスの結腸長、血清細菌16srrna(F)および細菌LPS(G)レベルの比較であり、****P<0.0001である。図11Hは、2.5%DSSで処置したRd8(n=20)マウスおよびWT(n=19)マウスの体重の毎日のモニタリングである。図11Iは、2.5%DSSで処置したRd8(n=20)マウスおよびWT(n=19)マウスのカプランマイヤー曲線である。
図12】Rd8 GFマウスおよびRd8 GF SPFマウスの網膜表現型である。そのうち、図12Aは、4週、8週、12週、16週におけるRd8-SPFマウスおよびRd8 GFマウスの代表的な眼底画像を示す。図12Bは、E18、P12、P15、および8WにおけるRd8-GFマウスの両眼の網膜の組織学的観察を示す。図12Cは、Rd8-GFマウスの網膜の細菌16srDNAおよびvanco-bodipyの蛍光in situハイブリダイゼーション染色である。図12Dは、Rd8-SPFマウス、Rd8 GFマウス、およびWT-SPFマウスの網膜におけるIBA1(赤)の免疫蛍光染色である。図12Eは、Rd8-SPFマウス、Rd8 GFマウス、およびWT-SPFマウスのONLにおけるIBA1+ミクログリアのパーセンテージを示し、***P<0.001であり、NSは有意ではないことを表す。図12Fは、Rd8-SPFマウス、Rd8-GFマウスおよびWT-SPFマウスの網膜ZO-1(赤)およびファロイジン(緑)タンパク質の免疫蛍光染色である。図12Gは、H&E染色により、生後SPF環境で飼育したRd8-GFマウス(Rd8-GF-SPFマウス)におけるP15および8W網膜症を検出した。
【発明を実施するための形態】
【0096】
以下、本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。以下に記載される実施例では、Crb1遺伝子変異マウスをSPF環境下で飼育するモデル化方法のみを用い、網膜における局所的な炎症反応の存在および病変部位における細菌の存在を検証することにより、前記網膜モデルが細菌を感染していることを判定した。さらに次の実験により、前記細菌が腸からのものであることが検証された。この具体的な実施例は、他のモデル化方法、例えば、より複雑な微生物学的条件を有する環境での飼育、あるいは、腸内由来の微生物または腸内微生物と同じ微生物を眼組織に投与することで、眼組織を直接的または間接的に上述したような微生物と接触させること等を排除するものではない。
【0097】
説明した実施例は、本発明の実施例の一部に過ぎず、全てでないことは明らかである。本発明における実施例に基づき、当業者によって創造的な労力を要することなく得られる他の全ての実施例は、本発明の保護範囲に含まれる。
【0098】
1.マウス
Rd8変異を有するC57BL/6Nマウス(Crb1rd8/Rd8、「Rd8マウス」と名付ける。)およびC57BL/6Jマウス(Crb1wt/wt、「wtマウス」と名付ける。)は、北京維通利華実験動物技術有限公司から購入し、中山眼科センターの動物施設で特定病原体フリー(SPF)条件下で処置した。無菌(GF)RD8マウスは、孫中山大学第一附属病院の動物施設において、雌のRD8マウスの胚から作製した。GFマウスは無菌状態で維持され、GFユニットの無菌性を保証するために、施設のスタッフにより糞便サンプルについて微生物および寄生虫を毎週検査された。マウスの遺伝子型は上述したように判定された(Mattapallil et al.,2012)。2系統のマウスのCrb1遺伝子型が確認された(図4A)。全ての動物実験は、中山眼科センターの動物実験委員会の承認を得ており、かつ、「眼科および視覚研究における動物の使用に関するARVO声明」に準じる。
【0099】
2.方法
2.1 グループ分け
マウスは頸椎脱臼により死なせ、眼球を摘出し、4℃のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に4%パラホルムアルデヒド(PFA)で、24時間固定した。サンプルをPBSで3回洗浄し、一連のアルコールで脱水し、キシレンで2回脱水した後、パラフィンワックス内に包埋し、ミクロトーム(RM 223; Leica,Wetzlar,Hesse-Darmstadt,Germany)を用いて10μmで連続スライスした。切片はヘマトキシリンとエオシン(H&E)で染色した。H&E画像はImager.Z2(Zeiss)で得た。
【0100】
眼球を摘出し、4%PFAに室温で5分間放置した後、眼杯を剥離して45分間固定し、結腸組織を摘出し、4%PFAに室温で4時間固定した後、PBSで洗浄し、分離した眼杯と結腸を30%ショ糖で一晩浸潤させて凍結保護し、OCT化合物(Cat. 4583; SAKURA,USA)に包埋し、スライスする前まで-80℃で保存した。全ての免疫染色の目的で切片を12μmで切断した。
【0101】
組織切片を10%ロバ血清/PBST(0.1% tritonx-100/PBS)で30分間ブロックし、その後、一次抗体とともに4℃で一晩インキュベートした。PBSTで洗浄後、蛍光染料標識二次抗体により、切片をインキュベートし、Fluoromount-G(Southern Biotech,Birmingham,AL,USA)で固定した。ファロイジン(A12379;Thermo-Fisher)染色は、二次抗体を省略した以外、同じ免疫組織化学的方法で行われた。ApoTome(Zeiss)にZeiss共焦点顕微鏡(Zeiss LSM880; Zeiss,Oberkochen,Germany)とImager.Z2を装着した。この研究で使用した主な抗体は、抗Crb1(PA5-66373、ThermoFisher;1:50)、抗Iba1(ab178846、Abcam;1:500)、抗-ZO-1(61-7300、ThermoFisher;1:500)、抗Occludin(OC-3F10、Invitrogen;1:200)、AlexaFluor 488ファロイジン(A12379、ThermoFisher;1:500)である。
【0102】
2.2 眼底撮影
マウスは麻酔をかけられ、瞳孔が拡張した。ヒドロキシプロピルメチルセルロース点眼液を定期的に点眼し、角膜の湿潤を保った。マウス眼底写真はMicron IVマウス眼底カメラ(Phoenix Research Laboratories,Inc.,Pleasanton,CA,USA)により得られた。
【0103】
2.3 網膜上下部のRNA-seq解析
総RNAは、MasterPureTM全DNA・RNA精製キット(epicentre)を用いて網膜の上部および下部から抽出された。RNA濃度は、Qbit-RNA-HS Analysis Kitを用いて測定した。VAHTSTM Total RNA seq (H/M/R) Library Preparation Kit (Vazyme,China)を用いて、メーカー提供の標準プロトコールに従ってシーケンスライブラリーを調製し、MGISEQ 2000RSプラットフォームでシーケンスした。
【0104】
オリジナルの測定値は、まずFastQC(v0.11.8)とcutadapt(v1.15)によって品質管理のために評価された。クリーンな測定値は、HISAT2(v2.1.0)を用いてマウスゲノム(mm10)とアライメントした。遺伝子発現データをRソフトウェア(v3.6.1)のDESeq2パッケージにインポートし、差分発現解析を行った。差分発現遺伝子(DEGs)をIntelligent Pathway Analysis (IPA)にインポートし、機能濃縮解析を行った。
【0105】
2.4 メタゲノムシーケンス解析
網膜サンプルを収集し、MasterPureTM Intact DNA and RNA Purification Kit (epicentre)を用いてDNAを抽出した。胃、空腸、回腸、盲腸、結腸、直腸の内容物を収集し、QIAamp PowerFecal DNA kit (QIAGEN)を用いてDNAを抽出した。濃度を測定した後、メーカー提供の標準化されたプロトコールに従って、VAHTSTM MGI Universal DNA Library Preparation Kit(Vazyme、中国)を用いて、DNAシーケンスライブラリーを調製した。メタゲノムシーケンス解析は、MGISEQ-2000RSを用いて行った。オリジナルの測定値は、Trimmomatic(v0.36)およびPRINSEQ(v0.20.4)によって品質管理のためにフィルタリングした。マウスリードはKneadData(v0.6.1)(https://bitbucket.org/biobakery/kneaddata)を用いて除去した。Kraken2(v2.0.9)を使用して、マウス以外のクリアリードを事前に構築したMiniKrakenデータベースにマッピングする。分類結果は信頼度0.20でスクリーニングした。ネガティブブランクコントロールをサンプルと一緒に処理した。ネガティブブランクコントロールグループに存在する全ての生物種が除去された。
【0106】
2.5 FITC-デキストランin vivo腸管透過性アッセイ
バリア機能を評価するために、FITC標識デキストラン法を用いてin vivo透過性アッセイを行った。餌と水を一晩除去し、8週齢のマウスに100g(体重)あたり50mgのFITC標識デキストラン(FD-70;Sigma-Aldrich)を経口投与した。投与5時間後に血清を採取し、各サンプルの蛍光強度(励起、492nm;発光、525nm)を測定した。
【0107】
2.6 フローサイトメトリー
WTマウスとRd8マウスを一晩絶食させ、大腸菌(RFPを安定して発現するように設計した。)を1x109Eで胃内投与した。胃内投与6時間後に、マウスを安楽死させ、末梢血400μLをACK溶解バッファー(Gibco、USA)4mLの入ったチューブに静かにピペッティングし、RTで3~5分間培養した。300xgで5分間遠心した後、細胞を固定・透過処理し(Cytofix/perm solution,BD Biosciences,USA)、フローサイトメトリー(MACSQuant Analyzer 10,Miltenyi Biotec,Germany)で分析した。
【0108】
2.7 電子顕微鏡組織作製
安楽死直後、結腸と眼球を収集し、リン酸緩衝グルタルアルデヒド・ホルムアルデヒド溶液に室温で1時間固定した。結腸は2mmのブロックに切断した。前眼部を切除し、後眼部を2mm×2mmのブロックに切断した。摘出した組織は新鮮な固定液に12時間放置した後、1%四酸化オスミウムで固定し、脱水後、エポン・レジンに包埋した。光学顕微鏡下でトルイジンブルーで染色し、マイクロメートル厚の切片上で関心領域を事前にスクリーニングした。次に80nmの超音波画像を収集し、酢酸ウラニルとクエン酸鉛で再染色した。超音波処理した切片を透過型電子顕微鏡で観察した。
【0109】
2.8 蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)
この研究では以下のオリゴヌクレオチドプローブを用いた:EUB338,5’-GCTGCCTCCGTAG-GAGT-3’(Amann et al.,1990)。プローブの5’末端には1つの一級アミノ基があり、これにテトラメチルローダミンイソチオシアネートが共有結合する。染料オリゴヌクレオチド結合体(100μM)を-20℃で保存した。
【0110】
仮固定した網膜切片をDEPC処理PBSで3回リンスした。0.2% Triton X-100/DEPC処理PBSで処理した後、切片をプローブ(500nM)に37℃で一晩ハイブリダイズさせ、Fluoromount-Gでマウントした。
【0111】
2.9 リアルタイム定量PCRによる結腸組織における遺伝子発現レベルの検出
新鮮なマウスの結腸組織(~1cm)を液体窒素内で急速凍結し、粉砕後、RNA抽出溶解バッファーで溶解した。その後、Qiagen RNeasy Plusキットを用いて総RNAを精製し、Takara PrimeScript RTキットとgDNAイレーザーを用いてcDNAに逆転写した。対応する遺伝子の発現レベルをqPCRにより検出した。データはβ-アクチンで正規化した。
【0112】
2.10 QPCRによる血漿中の16srrna遺伝子レベルの定量測定
2.5%DSSで13日間処理した後、WTマウスとRd8マウスの全血から血漿を単離した。約50μLの血漿を取り、MasterPureTM Complete DNA and RNA Purification Kit(epicentre、米国)を用いて総核酸を分離した。沈殿した核酸を20μLのヌクレアーゼを含まない水に溶解した。qPCR分析(ChamQ-SYBR-Color-qPCR-Master-Mix、Vazyme、中国)は、LightCycler 96システム(Roche、米国)を用いて行った。全てのサンプルのDNA濃度が極めて低かったため、各サンプルを同じ体積でテンプレートとして使用した(20μL中4μL)。全細菌量は、以下のユニバーサル16S rRNA遺伝子プライマーを用いて測定した:27F 5’-AGAGTTTGATCCTGGCTCAG-3’,534R 5’-GCATTACCGCGGCTGCTGG-3’。
【0113】
2.11 酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)
各サンプルは100μLの血漿で直接測定した。血漿中のLPS濃度は、酵素結合免疫吸着キット(SEB526Ge;Cloud-Clone Corp.,USA)により測定した。
【0114】
2.12 Rd8マウス体内における蛍光vanco-bodipy標識腸内細菌のコロニー形成
新鮮な糞便サンプルを、滅菌1xPBSが入った50mlコニカルチューブに収集し、ホモジナイズするまで回転させた。内容物を0.22μmフィルター(ミリポア)でろ過して糞便残渣を除去し、腸内微生物叢を遠心分離した後、RTでvanco-bodipyとともに30分間インキュベートした。vanco-bodipyで標識した腸内細菌をPBS中にて1x10cfu/マウスで胃内投与した。胃内投与24時間後、マウスの網膜切片を採取し観察した。
【0115】
2.13 デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)による結腸炎の実験的研究
マウスに2.5%DSS(MW 36000-50000d、Yeasen、中国)を飲用水経由で長期経口投与することにより、腸炎を誘発した。体重は0日目から13日目まで毎日モニターし、13日目にマウスを殺し、結腸長を測定した。生存解析のために、マウスに2.5%DSSを飲用水で43日間自由摂取させ、43日間24時間ごとにマウスの死亡状況をモニターした。
【0116】
2.14 腸内共生生物の枯渇
アンピシリンの広域抗生物質混合物(A;1g/L;Sigma)、メトロニダゾール(M;1g/L;Sigma)、ネオマイシン(N;1g/L;Sigma)、バンコマイシン(V;500mg/L;Sigma(AMNV))を、妊娠中の雌マウスに飲料水として投与し、離乳後の仔マウスにも継続投与した。対照群のマウスは、同じラック上の従来の装置に入れられた。
【実施例
【0117】
実施例1 モデル構築
Crb1rd8/rd8(rd8)マウスとCrb1wt/wt(C57BL/J、「wt」と名付ける。)マウスの網膜の微小環境特性を観察した(図1A)。特定の病原体(Rd8-SPF)を含まない環境で飼育したRd8マウスの表現型を観察したところ、眼底検査で下眼部鼻下側に白斑が認められ(図1B)、進行性の網膜形成不全(シワや花輪)、網膜の組織学的変性(H&E染色)(図2A)などを含む全ての典型的な網膜症状が認められた。その結果から、Rd8マウス32匹中7匹が出生前に軽度の網膜形成不全(E18)を発症した(図2Aおよび図2B)。また、E18での異常は全て片側性に発生した(図2Aおよび図1C)。一方、網膜シワや花輪などの典型的な病変は、P12(開眼前)、P15(開眼後)および8週齢(8W)のRd8マウスの全ての網膜で確認できたが、WT-SPFマウスでは一匹もなかった(図2Aおよび図2B)。このデータから、Rd8マウスの網膜異常は胎児期E18で既に発生しており、Crb1変異の遺伝的影響下で眼内環境が網膜の表現型を左右することが示された。
【0118】
実施例2 モデル構築したマウス(Rd8-SPF)の網膜における病変内病原体の存在とそれに関連する局所免疫応答の検出
Rd8-SPFマウスの上領域(病変なし)と下領域(病変あり)における遺伝子発現プロファイルを比較するため、RNA-seq技術を用いてトランスクリプトーム解析を行った(図3A)。WT-SPFマウスの網膜上領域と下領域との間で発現パターンに差(2倍変化、P<0.05)がある遺伝子を取り除いた後、Rd8-SPFマウスの網膜上領域と下領域との間で発現に少なくとも2倍の差(P<0.05)がある遺伝子(DEG)が179個見つかったことが示された(図3Bおよび図2C)。Rd8-SPFマウスでは、これら179個のDEGのほとんどが欠損した下半区域で高発現していた(図3C)。Ingenuity Pathway analysis (IPA)ツールを用いたこれらのDEGの機能解析から、Rd8-SPFマウスの網膜症で高発現した全てのDEGにおいて、細菌およびウイルスの認識に関与する遺伝子が有意に濃縮されていることが示された(図2D)。重要なことは、病変において最も高い乗数的増加を示した上位2つの遺伝子、Ncf4とSlamf1は、ともに食細胞の抗菌応答の制御因子であったことである。このデータにより、Rd8網膜における病変内病原体とそれに関連する局所免疫応答の存在を示唆しており、これらの結果は、炎症促進機能を持つ遺伝子の濃縮発現(図2D)およびIBA1+ミクログリアの網膜病変領域への浸潤(図2E)と組み合わされた。
【0119】
実施例3 モデルを構築したマウスの網膜病変部位における細菌の存在の検出
WT-SPFマウス(n=5、4週齢)およびRd8-SPFマウス(n=4、4週齢)の網膜組織について、メタゲノム解析を行った。分析の結果、WTマウスとRd8マウスの網膜には細菌DNAの含有量が極めて低く、品質管理と除染の全工程後にウイルスや真菌のDNAは検出されなかった。しかし、図4Aに示すように、主座標分析(PCoA)では、WT-SPFマウスとRd8-SPFマウスの網膜の細菌組成に有意差があることが示された。重要なことは、Rd8-SPF(n=4、4週齢)マウスの網膜の上部領域および下部領域のメタゲノム解析をさらに進めたところ、網膜の下部領域では、アナエロスティペス・ハドラス(Anaerostipes hadrus)、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュレイタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、メガモナス・ファニフォーミス(Megamonas funiformis)、ニトロソモナス Is79A3、オシリバクター属細菌(Oscillibacter)、タツメラ属 TA1(Tatumella sp.TA1)、チオバチルス・デニトリフィカンスを含む7つの細菌が有意に濃縮されていたことである(図4B)。網膜病変における細菌の存在を直接観察するために、Rd8-SPFマウス(4週齢)を蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)およびvanco-bodipy染色により、特にグラム陽性細菌の細胞壁を染色した。図4Cに示すように、細菌は病変部位でのみ検出されたが、正常な網膜領域では検出されなかった。病変部内の細菌の存在は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてさらに確認された(図4D)。このデータにより、Rd8-SPFマウスの網膜病変部に細菌が発見されることが分かった。
【0120】
実施例5 Rd8-SPFマウスの網膜の主な欠陥は外側血液網膜関門であることの証明
免疫蛍光染色のデータから、Rd8網膜の外膜ではCRB1タンパク質の発現が減少または消失していることが確認された(図5A)。また、データから、ブルッフ膜ではCRB1タンパク質の弱い発現が確認された(図5A)。透過型電子顕微鏡を用いると、Rd8-SPFマウスの網膜病変部位では、外膜における接着結合の破壊が認められ、これは外核層の外側への移動と関連していた(図5Bおよび図6A)。また、透過型電子顕微鏡では、Rd8-SPF網膜の網膜色素上皮(RPE)基底膜の接着結合の溶解と絨毛毛細血管基底膜の歪み、それらの間のコラーゲン層の乱れが観察されたが、いずれもWT-SPFマウスでは見られなかった(図5Cおよび図6B)。これはRd8-SPFマウスにおけるブルッフ膜の破裂とブルッフ膜の厚さの著しい減少と相関していた(図5C図6B図5D)。一方、透過型電子顕微鏡では、網膜毛細血管内皮細胞と網膜色素上皮細胞の間の密着結合に変化は見られなかった。したがって、Rd8-SPFマウスの網膜における主な欠陥は、内側血管網膜関門ではなく、外側血管網膜関門であることが示唆された。
【0121】
実施例6 腸閉塞部位の微生物叢のメタゲノム解析
Rd8網膜で見つかった7つの細菌(図4B)は全て、以前はみな消化管(GI)細菌であった。そこで、WT-SPFマウス(n=5)とRd8-SPFマウス(n=5)の消化管の異なる部位(胃、空腸、回腸、盲腸、結腸、直腸を含む)の微生物叢をメタゲノム解析した(図8A~F)。Rd8-SPFマウスの下部消化管における微生物組成は、WT-SPFマウスのそれとは著しく異なっていた(図8G)。Akkermansia mucinphilaは、盲腸(図8H)、結腸(図8I)、直腸(図8J)のWTおよびRd8腸内細菌叢で最も異なる細菌種として同定されたが、Rd8網膜では追跡されなかった(図4B)。実際、Rd8網膜の7つの細菌は全てWTマウスとRd8マウスの下部消化管で検出され、盲腸の細菌数が最も多かった(図7A)。しかし、Rd8マウスの上部消化管ではそれらはほとんど検出されなかった。これらのデータにより、これらの網膜細菌がRd8-SPFマウスの消化管細菌叢には存在するが、WT-SPFマウスには存在しないことを示唆している。
【0122】
免疫蛍光染色により野生型マウスの盲腸腸管細胞におけるCRB1タンパク質の発現が確認されたが、Rd8マウスではその発現が有意に低下していた(図9A)。ここで、Rd8マウスの盲腸では、オクルディン(図9B~C)の発現が有意に消失しており、クローディン1(図9D~E)の発現は明らかではなかった。さらに透過型電子顕微鏡では、盲腸の上皮バリアにおける正常な密着結合と接着結合は観察された(図9F)。
【0123】
実施例7 Rd8マウスの結腸におけるバリア欠損の存在を調べる
盲腸での結果と同様に、CRB1タンパク質は結腸上皮細胞の先端面と基底面で有意に発現していた(図7B)。CRB1タンパク質の欠損は、ファロイジン(図7C)とオクルディン(図7D図4E)の発現の有意な低下と関連していたが、クローディン1(図7F図4G)タンパク質の発現と関連していなかった。重要なことは、透過型電子顕微鏡を用いると、Rd8マウスでは密着結合が正常のようであったのに対し、ほとんどの細胞で結腸上皮間の接着結合が局在していないことが観察されたことである(図7Hおよび図S6A)。変化した結合に加えて、Rd8マウスの結腸上皮ではミトコンドリア空胞化が観察された。上皮微絨毛の数は不変であったが(図7I)、Rd8マウスの微絨毛はより長く(図7J)、より細く(図7K)なり、完全な接着結合の総数はWTマウスと比較して有意に減少した(図7L)。結合と微絨毛の超微細構造の変化は、結腸壁におけるIl12aの発現の有意な増加も伴っていた(図7M)が、Tnfa、Il1bおよびムチン2の発現に変化はなかった(図7N)。これらのデータを総合すると、Rd8マウスは結腸上皮バリア機能障害とそれに伴う結腸壁の炎症を起こしていることが示唆される。
【0124】
実施例8 Rd8マウスにおいて、腸管上皮バリア機能障害が、腸管透過性の変化や末梢血流や網膜組織への微生物移行につながるかどうかを調べた。
WTマウスとRd8マウスで腸管FICT-デキストラン透過性を測定した。図11Aに示すように、Rd8マウスの末梢血中の蛍光は、FICT-デキストラン投与5時間後に、WTマウスの血中蛍光強度と比較して有意に増加した。さらに、Vancompy標識糞便微生物叢移植アッセイを用いると、糞便移植24時間後のRd8マウスの末梢血において、WTマウスと比較して蛍光+細菌/細胞の有意な増加が認められた(図10Bおよび図11B)。重要なのは、Vancomopy+細菌の存在がRd8マウスの網膜病変で検出可能であったが(図11C)、WT網膜病変では検出されず(データを示さず)、Rd8マウスの網膜組織の免疫蛍光染色によってさらに確認された(図11D)ことである。これらのデータにより、多糖分子や細菌細胞に対する腸管透過性の亢進が、腸管内腔から血流や網膜病変への細菌の移行につながることを示唆している。
【0125】
実施例9 腸管透過性が高まった場合のRd8の腸管ストレスに対する応答実験
WTマウスとRd8マウスを1.5%のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を含む飲用水に晒したところ、WTマウスでは軽度の大腸炎を起こした。DSS治療13日後、Rd8マウスの結腸長は野生型マウスよりも有意に短くなっていた(図11E)。Rd8マウスの血液中の細菌は野生型マウスの血液中の細菌よりも多く、血清中の細菌16S rRNA(図11F)および細菌LPS(図11G)レベルによって示された。
【0126】
実施例10 Rd8マウスの網膜表現型に対する細菌の逆転効果
Rd8マウスの網膜では、外側血管網膜関門や腸上皮関門の破壊によって生じた病変内の細菌が検出されたが、これらの細菌がRd8マウスの網膜変性の原因なのか結果なのかは明らかではない。そこで、Rd8マウスを無菌(GF)条件下で再分離し、網膜変性表現型の変化について試験した。図12Aに示すように、Rd8-SPFマウスで見られた網膜症(白斑)は、無菌Rd8(Rd8 GF)マウスではほとんど観察されなかった。Rd8-GFマウスの網膜組織学では、Rd8-SPFマウスで見られた典型的な病変(図2Aおよび図1C)がなく、正常に発達している網膜組織(図12B)が観察され、Rd8-GFマウスに網膜変性がないことを実証した。Rd8GFマウスで網膜細菌が検出されなかったこと(図12C)は、Rd8GFマウスでは網膜外核層(ONL)(図12Dおよび図12E)のミクログリアが劇的に減少したことと相関しているが、ZO-1およびファロイジン染色では、Rd8-SPFマウスとRd8 GFマウスの両方で見られたように、外膜の破壊が見られた(図12F)。さらに、出生後にSPF環境でRd8 GFマウスを飼育する(Rd8 GF SPFマウス)と、網膜症が再発した(図12G)。これらのデータにより、Rd8マウスの網膜変性が細菌依存性であることを裏付けている。
【0127】
上述の各実施例は、本発明の技術的解決策を説明するために使用されているに過ぎず、それらを限定するものではない。本発明は、上述の実施例を参照して詳細に説明されているが、当業者であれば、上述の実施例に記録された技術的解決策に修正を加えること、またはその中の技術的特徴の一部または全部に等価な置換を行うことが依然として可能であることを理解すべきであり、そのような修正または置換は、対応する技術的解決策を本発明の実施例の技術的解決策の範囲から逸脱させるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】