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特表2024-532675インテリジェント運転判断方法、車両走行制御方法及び装置、並びに車両
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】インテリジェント運転判断方法、車両走行制御方法及び装置、並びに車両
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240903BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240903BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20240903BHJP
   B60W 30/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W60/00
B60W40/04
B60W30/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504975
(86)(22)【出願日】2021-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 CN2021109331
(87)【国際公開番号】W WO2023004698
(87)【国際公開日】2023-02-02
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
2.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ダイ,ジォンチェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジタオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シアオユィ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シンユィ
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241CD29
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE09
3D241DB06Z
3D241DC18Z
3D241DC21Z
3D241DC25Z
3D241DC28Z
3D241DC31Z
3D241DC33Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB20
5H181CC02
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL09
(57)【要約】
この出願は、インテリジェント運転技術に関係し、具体的には、最初に、自車両のゲーム・オブジェクトを取得することと、次いで、自車両とゲーム・オブジェクトの複数の戦略空間から、前記複数の戦略空間の複数回の解放を実行することと、解放された各戦略空間に基づいて、自車両と前記ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域を決定することと、戦略実現可能領域に基づいて、自車両の走行判断結果を決定することと、を含む、インテリジェント運転判断方法を提供する。この判断結果は、自車両の実行可能な挙動行動である。上述したように、複数回にわたって戦略空間を解放することにより、判断精度が確保されつつ、できるだけ少ない戦略空間が解放されたときに判断結果が取得されてもよい。これにより、コンピューティング量を低減し、ハードウェアのコンピューティング能力の要求を低下させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インテリジェント運転判断方法であって、
自車両のゲーム・オブジェクトを取得することと、
前記自車両と前記ゲーム・オブジェクトの複数の戦略空間から、前記複数の戦略空間の複数回の解放を実行し、前記複数回の解放のうちの1回を実行した後に、解放された各戦略空間に基づいて、前記自車両と前記ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域を決定し、前記戦略実現可能領域に基づいて、前記自車両の走行判断結果を決定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記複数の戦略空間の次元は、縦方向サンプリング次元、横方向サンプリング次元、及び時間的サンプリング次元のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の戦略空間の複数回の解放を実行することは、前記縦方向サンプリング次元、前記横方向サンプリング次元、及び前記時間的サンプリング次元の順序で前記解放を実行することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記自車両と前記ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域が決定されるときに、前記戦略実現可能領域における挙動行動ペアの総コスト値は、
前記自車両又は前記ゲーム・オブジェクトの安全性コスト値、進行権コスト値、横方向オフセット・コスト値、通行性コスト値、快適性コスト値、フレーム間関連付けコスト値、及びリスク区域コスト値のうちの1つ以上に基づいて決定される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記挙動行動ペアの前記総コスト値が、2つ以上のコスト値に基づいて決定されるときに、前記コスト値の各々は、異なる重みを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ゲーム・オブジェクトが2つ以上存在するときに、前記自車両の前記走行判断結果は、前記自車両と前記ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記自車両の非ゲーム・オブジェクトを取得することと、
前記自車両と前記非ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域を決定することと、
前記自車両と前記非ゲーム・オブジェクトの前記戦略実現可能領域に少なくとも基づいて前記自車両の前記走行判断結果を決定することと、をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記自車両の前記走行判断結果の戦略実現可能領域は、前記自車両と各ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域の共通部分に基づいて決定されるか、又は
前記自車両の前記走行判断結果の戦略実現可能領域は、前記自車両と各ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域と、前記自車両と各非ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域との共通部分に基づいて決定される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記自車両の前記非ゲーム・オブジェクトを取得することと、
前記非ゲーム・オブジェクトの運動状況に基づいて、前記自車両に対応する縦方向サンプリング戦略空間を制約するか、又は前記自車両に対応する横方向サンプリング戦略空間を制約することと、をさらに含む、請求項2~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記自車両の前記ゲーム・オブジェクトの非ゲーム・オブジェクトを取得することと、
前記非ゲーム・オブジェクトの運動状況に基づいて、前記自車両の前記ゲーム・オブジェクトに対応する縦方向サンプリング戦略空間を制約するか、又は前記自車両の前記ゲーム・オブジェクトに対応する横方向サンプリング戦略空間を制約することと、をさらに含む、請求項2~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記共通部分が空集合であるときに、前記自車両の保守的走行判定が実行され、前記保守的判定は、前記自車両を安全に停止させる行動、又は前記自車両を走行のために安全に減速させる行動を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記ゲーム・オブジェクト又は非ゲーム・オブジェクトは、アテンションにより決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ヒューマン-コンピュータ対話インターフェースを介して、
前記自車両の前記走行判断結果、前記走行判断結果の前記戦略実現可能領域、前記自車両の前記走行判断結果に対応する前記自車両の走行軌跡、又は前記自車両の前記走行判断結果に対応する前記ゲーム・オブジェクトの走行軌跡のうちの少なくとも1つを表示することをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
インテリジェント運転判断装置であって、
自車両のゲーム・オブジェクトを取得するように構成された取得モジュールと、
前記自車両と前記ゲーム・オブジェクトの複数の戦略空間から、前記複数の戦略空間の複数回の解放を実行し、前記複数回の解放のうちの1回を実行した後に、解放された各戦略空間に基づいて、前記自車両と前記ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域を決定し、前記戦略実現可能領域に基づいて、前記自車両の走行判断結果を決定するように構成された処理モジュールと、を含む、装置。
【請求項15】
前記複数の戦略空間の次元は、縦方向サンプリング次元、横方向サンプリング次元、及び時間的サンプリング次元のうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記複数の戦略空間の複数回の解放を実行することは、前記縦方向サンプリング次元、前記横方向サンプリング次元、及び前記時間的サンプリング次元の順序で前記解放を実行することを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記自車両と前記ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域が決定されるときに、前記戦略実現可能領域における挙動行動ペアの総コスト値は、
前記自車両又は前記ゲーム・オブジェクトの安全性コスト値、進行権コスト値、横方向オフセット・コスト値、通行性コスト値、快適性コスト値、フレーム間関連付けコスト値、及びリスク区域コスト値のうちの1つ以上に基づいて決定される、請求項14~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記挙動行動ペアの前記総コスト値が、2つ以上のコスト値に基づいて決定されるときに、前記コスト値の各々は、異なる重みを有する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記ゲーム・オブジェクトが2つ以上存在するときに、前記自車両の前記走行判断結果は、前記自車両と前記ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域に基づいて決定される、請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記取得モジュールは、前記自車両の非ゲーム・オブジェクトを取得するようにさらに構成されており、
前記処理モジュールは、前記自車両と前記非ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域を決定し、前記自車両と前記非ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域に少なくとも基づいて、前記自車両の前記走行判断結果を決定するようにさらに構成されている、請求項14~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記処理モジュールは、
前記自車両の前記走行判断結果の戦略実現可能領域を、前記自車両と各ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域の共通部分に基づいて決定するか、又は
前記自車両の前記走行判断結果の戦略実現可能領域を、前記自車両と各ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域と、前記自車両と各非ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域との共通部分に基づいて決定するようにさらに構成されている、請求項19又は20に記載の装置。
【請求項22】
前記取得モジュールは、前記自車両の前記非ゲーム・オブジェクトを取得するようにさらに構成されており、
前記処理モジュールは、前記非ゲーム・オブジェクトの運動状況に基づいて、前記自車両に対応する縦方向サンプリング戦略空間を制約するか、又は前記自車両に対応する横方向サンプリング戦略空間を制約するようにさらに構成されている、請求項15~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記取得モジュールは、前記自車両の前記ゲーム・オブジェクトの非ゲーム・オブジェクトを取得するようにさらに構成されており、
前記処理モジュールは、前記非ゲーム・オブジェクトの運動状況に基づいて、前記自車両の前記ゲーム・オブジェクトに対応する縦方向サンプリング戦略空間を制約するか、又は前記自車両の前記ゲーム・オブジェクトに対応する横方向サンプリング戦略空間を制約するようにさらに構成されている、請求項15~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記共通部分が空集合であるときに、前記自車両の保守的走行判定が実行され、前記保守的判定は、前記自車両を安全に停止させる行動、又は前記自車両を走行のために安全に減速させる行動を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項25】
前記ゲーム・オブジェクト又は非ゲーム・オブジェクトは、アテンションによって決定される、請求項14に記載の装置。
【請求項26】
前記処理モジュールは、ヒューマンコンピュータ対話インターフェースを介して、
前記自車両の前記走行判断結果、前記判断結果の前記戦略実現可能領域、前記自車両の前記走行判断結果に対応する前記自車両の走行軌跡、又は前記自車両の前記走行判断結果に対応する前記ゲーム・オブジェクトの走行軌跡のうちの少なくとも1つを表示するようにさらに構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項27】
車両走行制御方法であって、
車両の外部にある障害物を取得することと、
前記障害物に対して、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法を使用して、前記車両の走行判断結果を決定することと、
前記判断結果に基づいて、前記車両の走行を制御することと、を含む、方法。
【請求項28】
車両走行制御装置であって、
車両の外部にある障害物を取得するように構成された取得モジュールと、
前記障害物に対して、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法を使用して、前記車両の走行判断結果を決定するように構成された処理モジュールと、を含み、
前記処理モジュールは、前記判断結果に基づいて、前記車両の走行を制御するようにさらに構成されている、装置。
【請求項29】
車両であって、
請求項28に記載の車両走行制御装置と、走行系と、を含み、
前記車両走行制御装置は、前記走行系を制御する、車両。
【請求項30】
コンピューティング・デバイスであって、
プロセッサと、
プログラム命令を記憶するメモリと、を含み、前記プログラム命令が前記プロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサが、請求項1~13のいずれか一項に記載のインテリジェント運転判断方法を実装することが可能となるか、又は前記プログラム命令が前記プロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサが、請求項27に記載の車両走行制御方法を実装することが可能となる、コンピューティング・デバイス。
【請求項31】
プログラム命令を記憶するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラム命令がプロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサが、請求項1~13のいずれか一項に記載のインテリジェント運転判断方法を実装することが可能となるか、又は前記プログラム命令が前記プロセッサによって実行されるときに、前記プログラムが、請求項27に記載の車両走行制御方法を実装することが可能となる、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、インテリジェント運転技術に関係し、特に、インテリジェント運転の判断方法、車両走行制御方法及び装置、並びに車両に関係する。
【背景技術】
【0002】
人工知能技術の発展に伴い、自動運転技術が徐々に広く普及し、それにより、運転者の運転負担が軽減されている。例えば、自動運転に関しては、国際自動車技術者協会(SAE International、又は自動車技術者協会と呼ばれる)が、L1~L5までの5つのレベルを提供している。L1レベルは、運転者支援を示し、運転者がいくつかの運転タスクを完了し、1つの運転動作を完了するのを支援する。L2レベルは、加速、減速、操舵動作を同時に自動で実行するパーシャルオートメーションを示す。L3レベルは、条件付き自動化を示す。車両は、特定の環境において、運転者の動作なしに自動的に加速、減速、及び操舵してもよい。L4レベルは、高度自動化を示す。運転手なしで車両を運転してもよいが、制限が存在する。例えば、車速が特定値を超えることはできず、運転区域は比較的固定されている。L5レベルは、完全自動化及び完全適応走行を示し、これは、すべての走行シナリオに適用可能である。レベルが高いほど、自動運転機能が高度であることを示す。
【0003】
現在、L2レベルを超えたレベルで、かつ人間の運転者が適切に運転することを必要とする自動運転技術は、通常、インテリジェント運転と考えられている。車両がインテリジェント運転を行うときに、車両が、例えば、対向車両、横断車両、停車車両、歩行者などの周囲の障害物を適時かつ正確な方式で認識し、車両の走行挙動及び走行軌跡を判断し、例えば、加速、原則、車線変更などを実行することが可能であることが必要である。
【発明の概要】
【0004】
この出願は、インテリジェント運転判断方法、車両走行制御方法及び装置、車両などを提供する。これにより、車両の走行判断を、判断の精度を確保しつつ実装するために、消費するコンピューティング能力を極力少なくすることができる。
【0005】
この出願の第1の態様は、インテリジェント運転判断方法であって、自車両のゲーム・オブジェクトを取得することと、自車両とゲーム・オブジェクトの複数の戦略空間から、複数の戦略空間の複数回の解放を実行し、複数回の解放のうちの1回を実行した後に、解放された各戦略空間に基づいて、自車両とゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域を決定し、戦略実現可能領域に基づいて、自車両の走行判断結果を決定することと、を含む、方法を提供する。
【0006】
自車両と非ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域は、非ゲーム・オブジェクトに対する自車両の実行可能な挙動行動を含む。上述したように、複数回にわたって複数の戦略空間を解放することにより、判断精度(判断精度は、例えば、判断結果の実行確率であってもよい)を確保しつつ、できるだけ少ない戦略空間を解放したときに戦略実現可能領域が取得される。このように、判断結果として、戦略実現可能領域から挙動行動ペアを選択し、それにより戦略空間を解放する動作及び回数を最小限に抑え、ハードウェアのおコンピューティング能力の要件を低減する。
【0007】
第1の態様の可能な実装では、複数の戦略空間の次元は、縦方向サンプリング次元、横方向サンプリング次元、及び時間的サンプリング次元のうちの少なくとも1つを含む。
【0008】
上述したように、縦方向サンプリング次元、横方向サンプリング次元、又は時間的サンプリング次元に基づいて複数の戦略空間が広がる。複数の戦略空間は、自車両及び/又はゲーム・オブジェクトの縦方向サンプリング次元で広がる縦方向サンプリング戦略空間、自車両及び/又はゲーム・オブジェクトの横方向サンプリング次元で広がる横方向サンプリング戦略空間、時間的サンプリング次元における自車両及び/又はゲーム・オブジェクトで広がる時間的次元戦略空間、又は縦方向サンプリング次元、横方向サンプリング次元、若しくは時間的サンプリング次元の2つ若しくは3つの任意の組み合わせによって形成される戦略空間を含む。時間的次元戦略空間は、1ステップの判断に含まれる複数の単一フレーム導出においてそれぞれ広がる戦略空間に対応する。各単一フレーム導出では、この広がる戦略空間は、縦方向サンプリング戦略空間及び/又は横方向サンプリング戦略空間を含んでもよい。
【0009】
上述したように、対応する戦略空間は、交通シナリオに基づいて少なくとも1つのサンプリング次元において広がってもよく、戦略空間は、解放されてもよい。
【0010】
第1の態様の可能な実装では、複数の戦略空間の複数回の解放を実行することは、縦方向サンプリング次元、横方向サンプリング次元、及び時間的サンプリング次元の順序で解放を実行することを含む。
【0011】
上述したように、縦方向サンプリング次元の解放、横方向サンプリング次元の解放、及び時間的サンプリング次元の解放の順序で複数回にわたって解放される戦略空間は、以下の戦略空間、すなわち、自車両の縦方向サンプリング次元の値のグループで広がる縦方向サンプリング戦略空間、自車両の縦方向サンプリング次元の値の別のグループで広がる縦方向サンプリング戦略空間、自車両の縦方向サンプリング次元の値のグループとゲーム・オブジェクトの縦方向サンプリング次元の値のグループの両方で広がる縦方向サンプリング戦略空間、自車両の縦方向サンプリング次元の値の別のグループとゲーム・オブジェクトの縦方向サンプリング次元の値のグループの両方で広がる縦方向サンプリング戦略空間、自車両の縦方向サンプリング次元の値の別のグループとゲーム・オブジェクトの縦方向サンプリング次元の値の別のグループの両方で広がる縦方向サンプリング戦略空間、自車両の横方向サンプリング次元の値のグループで広がる横方向サンプリング戦略空間と、自車両の縦方向サンプリング次元及び/又はゲーム・オブジェクトの縦方向サンプリング次元で広がる縦方向サンプリング戦略空間との両方で広がる戦略空間、自車両の横方向サンプリング次元の値の別のグループで広がる横方向サンプリング戦略空間と、自車両の縦方向サンプリング次元及び/又はゲーム・オブジェクトの縦方向サンプリング次元で広がる縦方向サンプリング戦略空間との両方で広がる戦略空間、自車両の横方向サンプリング次元の値のグループとゲーム・オブジェクトの横方向サンプリング次元の値のグループで広がる横方向サンプリング戦略空間と、自車両の縦方向サンプリング次元及び/又はゲーム・オブジェクトの縦方向サンプリング次元で広がる縦方向サンプリング戦略空間との両方で広がる戦略空間、自車両の横方向サンプリング次元の値の別のグループとゲーム・オブジェクトの横方向サンプリング次元の値のグループとの両方で広がる横方向サンプリング戦略空間と、自車両の縦方向サンプリング次元及び/又はゲーム・オブジェクトの縦方向サンプリング次元で広がる縦方向サンプリング戦略空間との両方で広がる戦略空間、及び自車両の横方向サンプリング次元の値の別のグループとゲーム・オブジェクトの横方向サンプリング次元の値の別のグループとの両方で広がる横方向サンプリング戦略空間と、自車両の縦方向サンプリング次元及び/又はゲーム・オブジェクトの縦方向サンプリング次元で広がる縦方向ンプリング戦略空間との両方で広がる戦略空間を含む。追加的に、解放された各戦略空間に基づいて、自車両とゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域が決定され、かつ戦略実現可能領域に基づいて、自車両の走行判断結果が決定された後に、解放された時間的次元戦略空間は、1ステップ判断に含まれる複数の単一フレーム導出においてそれぞれ広がる戦略空間を含む。各単一フレーム導出において、広がる戦略空間は、縦方向サンプリング戦略空間、横方向サンプリング戦略空間、及び縦方向サンプリング戦略空間と横方向サンプリング戦略空間の両方で広がる戦略空間を含んでもよい。
【0012】
このように、複数の戦略空間は、順次解放される。すなわち、最初に、車両の加速度を縦方向に変化させ、次いで、車両のオフセットを横方向に調整する。これにより、車両の運転習慣により良好に適合し、運転安全性要件をより良好に満たす。最後に、より良好な時間的一貫性を有する判断結果は、時間的次元で解放された複数のフレームの導出に基づいて、複数の実現可能領域からさらに決定されてもよい。
【0013】
第1の態様の可能な実装では、自車両とゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域が決定されるときに、自車両又はゲーム・オブジェクトの安全性コスト値、進行権コスト値、横方向オフセット・コスト値、通行性コスト値、快適性コスト値、フレーム間関連付けコスト値、及びリスク区域コスト値のうちの1つ以上に基づいて、戦略実現可能領域における挙動行動ペアの総コスト値が決定される。
【0014】
上述したように、総コスト値を計算するために必要に応じて1つ以上のコスト値を選択してもよく、総コスト値は実現可能領域を決定するために使用される。
【0015】
可能な実装では、挙動行動ペアの総コスト値が、2つ以上のコスト値に基づいて決定されるときに、コスト値の各々は、異なる重みを有する。
【0016】
上述したように、異なる重量値は、走行安全性、進行権、通行性、快適性、危険性などに焦点を当ててもよい。各重み値は柔軟にセットされて、インテリジェント運転の判断の柔軟性を高める。いくつかの可能な実装では、重み値は、安全性重み>進行権重み>横方向オフセット重み>通行性重み>快適性重み>リスク区域重み>フレーム間関連付け重みの順序で割り当てられてもよい。
【0017】
第1の態様の可能な実装では、ゲーム・オブジェクトが2つ以上存在するときに、自車両の走行判断結果は、自車両と各ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域に基づいて決定される。
【0018】
上述したように、ゲーム・オブジェクトが複数存在するときに、各戦略実現可能領域は別途取得され、各戦略実現可能領域の共通部分に基づいて最終的な戦略実現可能領域が決定される。本明細書における共通部分は、自車両の同じ行動を含む挙動行動を意味する。
【0019】
第1の態様の可能な実装では、本方法は、自車両の非ゲーム・オブジェクトを取得することと、自車両と非ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域を決定することであって、自車両と非ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域は、非ゲーム・オブジェクトに対する自車両の実行可能な挙動行動を含む、ことと、自車両と非ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域に少なくとも基づいて、自車両の走行判断結果を決定することと、をさらに含む。
【0020】
上述したように、非ゲーム・オブジェクトが存在するときに、最終的に取得される判断結果は、非ゲーム・オブジェクトに関係する。
【0021】
第1の態様の可能な実装では、自車両の走行判断結果の戦略実現可能領域は、自車両と各ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域の共通部分に基づいて決定されるか、又は自車両の走行判断結果の戦略実現可能領域は、自車両と各ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域と、自車両と各非ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域との共通部分に基づいて決定される。
【0022】
上述したように、複数のゲーム・オブジェクト及び自車両が存在するときに、自車両と複数のゲーム・オブジェクトの各戦略実施可能領域の共通部分に基づいて、自車両の走行判断結果と最終的な戦略実現可能領域とが取得されてもよい。複数のゲーム・オブジェクト、複数の非ゲーム・オブジェクト、及び自車両が存在するときに、自車両、複数のゲーム・オブジェクト、及び複数の非ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域の共通部分に基づいて、自車両の走行判断結果と最終的な戦略実現可能領域とが取得されてもよい。
【0023】
第1の態様の可能な実装では、本方法は、自車両の非ゲーム・オブジェクトを取得することと、非ゲーム・オブジェクトの運動状況に基づいて、自車両に対応する縦方向サンプリング戦略空間を制約するか、又は自車両に対応する横方向サンプリング戦略空間を制約することと、をさらに含む。
【0024】
上述したように、自車両に対応する縦方向サンプリング戦略空間は制約される。すなわち、縦方向サンプリング戦略空間が広がるときに使用される自車両の縦方向サンプリング次元の値域が制約される。自車両に対応する縦方向サンプリング戦略空間は制約される。すなわち、横方向サンプリング戦略空間が広がるときに使用される自車両の横方向サンプリング次元の値域が制約される。
【0025】
上述したように、位置、速度などの非ゲーム・オブジェクトの運動状況に基づいて、広がる戦略空間における自車両の縦方向加速度の値域又は横方向オフセットの値域が制約されてもよい。これにより、戦略空間における挙動行動の数が低減され、さらに動作量が低減される。
【0026】
第1の態様の可能な実装では、本方法は、自車両のゲーム・オブジェクトの非ゲーム・オブジェクトを取得することと、非ゲーム・オブジェクトの運動状況に基づいて、自車両のゲーム・オブジェクトに対応する縦方向サンプリング戦略空間を制約するか、又は自車両のゲーム・オブジェクトに対応する横方向サンプリング戦略空間を制約することと、をさらに含む。
【0027】
上述したように、自車両のゲーム・オブジェクトに対応する縦方向サンプリング戦略空間は制約される。すなわち、縦方向サンプリング戦略空間が広がるときに使用される自車両のゲーム・オブジェクトに対応する縦方向サンプリング次元の値域が制約される。自車両のゲーム・オブジェクトに対応する横方向サンプリング戦略空間は制約される。すなわち、横方向サンプリング戦略空間が広がるときに使用される自車両のゲーム・オブジェクトの横方向サンプリング次元の値域が制約される。
【0028】
上述したように、位置、速度などの非ゲーム・オブジェクトの運動状況に基づいて、広がる戦略空間における自車両のゲーム・オブジェクトの縦方向加速度の値域又は横方向オフセットの値域が制約されてもよい。これにより、戦略空間における挙動行動の数が低減され、さらに動作量が低減される。
【0029】
第1の態様の可能な実装では、共通部分が空集合であるときに、自車両の保守的走行判定が実行される。この保守的判定は、自車両を安全に停止させる動作、又は自車両を走行のために安全に減速させる動作を含む。
【0030】
上述したように、自車両の戦略実現可能領域がヌルである場合には、自車両は安全に走行してもよい。
【0031】
第1の態様の可能な実装では、ゲーム・オブジェクト又は非ゲーム・オブジェクトは、アテンションによって決定される。
【0032】
上述したように、ゲーム・オブジェクトと非ゲーム・オブジェクトは、各障害物により自車両に割り当られるアテンションに基づいて決定されてもよい。アテンションは、アルゴリズムに従って実装されてもよいし、ニューラル・ネットワークの推論を介して実装されてもよい。
【0033】
第1の態様の可能な実装では、本方法は、ヒューマン-コンピュータ対話インターフェースを介して、自車両の走行判断結果、判断結果の戦略実現可能領域、自車両の走行判断結果に対応する自車両の走行軌跡、又は自車両の走行判断結果に対応するゲーム・オブジェクトの走行軌跡のうちの少なくとも1つを表示することをさらに含む。
【0034】
このように、ヒューマン-コンピュータ対話インターフェース上に、自車両又はゲームに対応した走行判断結果がリッチコンテンツで表示されてもよく、ユーザとの対話がよりフレンドリーになる。
【0035】
この出願の第2の態様は、自車両のゲーム・オブジェクトを取得するように構成された取得モジュールと、自車両とゲーム・オブジェクトの複数の戦略空間から、複数の戦略空間の複数回の解放を実行し、複数回の解放のうちの1回を実行した後に、解放された各戦略空間に基づいて、自車両とゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域を決定し、戦略実現可能領域に基づいて、自車両の走行判断結果を決定するように構成された処理モジュールと、を含む、インテリジェント運転判断装置を提供する。
【0036】
第2の態様の可能な実装では、複数の戦略空間の次元は、縦方向サンプリング次元、横方向サンプリング次元、及び時間的サンプリング次元のうちの少なくとも1つを含む。
【0037】
第2の態様の可能な実装では、複数の戦略空間の複数回の解放を実行することは、縦方向サンプリング次元、横方向サンプリング次元、及び時間的サンプリング次元の順序で解放を実行することを含む。
【0038】
第2の態様の可能な実装では、自車両とゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域が決定されるときに、自車両又はゲーム・オブジェクトの安全性コスト値、進行権コスト値、横方向オフセット・コスト値、通行性コスト値、快適性コスト値、フレーム間関連付けコスト値、及びリスク区域コスト値のうちの1つ以上に基づいて、戦略実現可能領域における挙動行動ペアの総コスト値が決定される。
【0039】
可能な実装では、挙動行動ペアの総コスト値が、2つ以上のコスト値に基づいて決定されるときに、コスト値の各々は、異なる重みを有する。
【0040】
第2の態様の可能な実装では、ゲーム・オブジェクトが2つ以上存在するときに、自車両の走行判断結果は、自車両と各ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域に基づいて決定される。
【0041】
第2の態様の可能な実装では、取得モジュールは、自車両の非ゲーム・オブジェクトを取得するようにさらに構成されている。処理モジュールは、自車両と非ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域を決定することであって、自車両と非ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域は、非ゲーム・オブジェクトに対する自車両の実行可能な挙動行動を含む、ことと、自車両と非ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域に少なくとも基づいて、自車両の走行判断結果を決定することと、を行うようにさらに構成されている。
【0042】
第2の態様の可能な実装では、処理モジュールは、自車両の走行判断結果の戦略実現可能領域を、自車両と各ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域の共通部分に基づいて決定するか、又は自車両の走行判断結果の戦略実現可能領域を、自車両と各ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域と、自車両と各非ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域との共通部分に基づいて決定するようにさらに構成されている。
【0043】
第2の態様の可能な実装では、取得モジュールは、自車両の非ゲーム・オブジェクトを取得するようにさらに構成されており、処理モジュールは、非ゲーム・オブジェクトの運動状況に基づいて、車両に対応する縦方向サンプリング戦略空間を制約するか、又は自車両に対応する横方向サンプリング戦略空間を制約するようにさらに構成されている。
【0044】
第2の態様の可能な実装では、取得モジュールは、自車両のゲーム・オブジェクトの非ゲーム・オブジェクトを取得するようにさらに構成されており、処理モジュールは、非ゲーム・オブジェクトの運動状況に基づいて、自車両のゲーム・オブジェクトに対応する縦方向サンプリング戦略空間を制約するか、又は自車両のゲーム・オブジェクトに対応する横方向サンプリング戦略空間を制約するようにさらに構成されている。
【0045】
第2の態様の可能な実装では、共通部分が空集合であるときに、自車両の保守的走行判定が実行される。この保守的判定は、自車両を安全に停止させる動作、又は自車両を走行のために安全に減速させる動作を含む。
【0046】
第2の態様の可能な実装では、ゲーム・オブジェクト又は非ゲーム・オブジェクトは、アテンションによって決定される。
【0047】
第2の態様の可能な実装では、処理モジュールは、ヒューマン-コンピュータ対話インターフェースを介して、自車両の走行判断結果、判断結果の戦略実現可能領域、自車両の走行判断結果に対応する自車両の走行軌跡、又は自車両の走行判断結果に対応するゲーム・オブジェクトの走行軌跡のうちの少なくとも1つを表示するようにさらに構成されている。
【0048】
この出願の第3の態様は、車両の外部にある障害物を取得することと、障害物に対して、第1の態様におけるいずれかの方法に従って車両の走行判断結果を判定することと、判断結果に基づいて、車両の走行を制御することと、を含む、車両走行制御方法を提供する。
【0049】
この出願の第4の態様は、車両の外部にある障害物を取得するように構成された取得モジュールと、障害物に対して、第1の態様におけるいずれかの方法に従って、車両の走行判断結果を決定するように構成された処理モジュールと、を含む、車両走行制御装置を提供し、この処理モジュールは、判断結果に基づいて、車両の走行を制御するようにさらに構成されている。
【0050】
この出願の第5の態様は、第4の態様における車両走行制御装置と、走行系と、を含む車両を提供する。車両走行制御装置は、走行系を制御する。
【0051】
本出願の第6の態様は、プロセッサ及びメモリを含むコンピューティング・デバイスを提供する。メモリは、プログラム命令を記憶する。プログラム命令がプロセッサによって実行されるときに、プロセッサが、第1の態様における任意のインテリジェント運転判断方法を実装することが可能となるか、又はプログラム命令がプロセッサによって実行されるときに、プロセッサが、第3の態様における車両走行制御方法を実装することが可能となる。
【0052】
この出願の第7の態様は、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。コンピュータ可読記憶媒体は、プログラム命令を記憶する。プログラム命令がプロセッサによって実行されるときに、プロセッサが、第1の態様における任意のインテリジェント運転判断方法を実装することが可能となるか、又はプログラム命令がプロセッサによって実行されるときに、プロセッサが、第3の態様における車両走行制御方法を実装することが可能となる。
【0053】
この出願のこれらの態様又は別の態様は、以下の(複数の)実施形態の説明においてより明確であり、かつ理解がより容易である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
以下、添付の図面を参照して、この出願の特徴及び特徴間の関係をさらに説明する。添付の図面はすべて例であり、いくつかの特徴は実際の比率で示されていない。追加的に、いくつかの添付図面において、この出願の分野においてこの出願に必須でない共通の特徴が省略されてもよい。代替的には、この出願に必須ではない追加の機能が示されている。添付の図面に示される特徴の組み合わせは、この出願を限定することを意図しない。追加的に、この明細書では、同じ符号は同じ内容を表す。具体的には、添付図面が以下に説明される。
【0055】
図1】この出願の一実施形態による、車両が路面上で走行する交通シナリオの概略図である。
【0056】
図2】この出願の一実施形態が適用される車両の概略図である。
【0057】
図3A】この出願の実施形態による、異なる交通シナリオにおけるゲーム・オブジェクト及び非ゲーム・オブジェクトの概略図である。
図3B】この出願の実施形態による、異なる交通シナリオにおけるゲーム・オブジェクト及び非ゲーム・オブジェクトの概略図である。
図3C】この出願の実施形態による、異なる交通シナリオにおけるゲーム・オブジェクト及び非ゲーム・オブジェクトの概略図である。
図3D】この出願の実施形態による、異なる交通シナリオにおけるゲーム・オブジェクト及び非ゲーム・オブジェクトの概略図である。
図3E】この出願の実施形態による、異なる交通シナリオにおけるゲーム・オブジェクト及び非ゲーム・オブジェクトの概略図である。
【0058】
図4】この出願の一実施形態によるインテリジェント運転判断方法のフローチャートである。
【0059】
図5図4のゲーム・オブジェクトを取得するフローチャートである。
【0060】
図6図4の判断結果を取得するフローチャートである。
【0061】
図7】この出願の一実施形態による複数フレーム導出の概略図である。
【0062】
図8A】この出願の一実施形態によるコスト関数の概略図である。
図8B】この出願の一実施形態によるコスト関数の概略図である。
図8C】この出願の一実施形態によるコスト関数の概略図である。
図8D】この出願の一実施形態によるコスト関数の概略図である。
図8E】この出願の一実施形態によるコスト関数の概略図である。
図8F】この出願の一実施形態によるコスト関数の概略図である。
【0063】
図9】この出願の別の実施形態による、走行制御のフローチャートである。
【0064】
図10】この出願の一実装による、投影シナリオの概略図である。
【0065】
図11】この出願の特定の実装による、走行制御のフローチャートである。
【0066】
図12】この出願の一実施形態による、インテリジェント運転判断装置の概略図である。
【0067】
図13】この出願の一実施形態による、車両走行制御方法のフローチャートである。
【0068】
図14】この出願の一実施形態による、車両走行制御装置の概略図である。
【0069】
図15】この出願の一実施形態による、車両の概略図である。
【0070】
図16】この出願の一実施形態による、コンピューティング・デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下、添付の図面及び実施形態を参照して、この出願で提供される技術的解決策を説明する。この出願の実施形態におけるシステム・アーキテクチャ及びサービス・シナリオは、主に、この出願の技術的解決策の可能な実装を説明することを意図しており、この出願の技術的解決策に対する独自の制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。当業者は、この出願の実施形態で提供される技術的解決策が、システム構造が進化し、新しいサービス・シナリオが出現するにつれて、同様の技術的課題にも適用可能であることを知ってもよい。
【0072】
この出願の実施形態で提供されるインテリジェント運転判断解決策は、インテリジェント運転判断方法及び装置、車両走行制御方法及び装置、車両、電子装置、コンピューティング・デバイス、コンピュータ可読記憶媒体、及びコンピュータ・プログラム製品を含むことを理解されたい。技術的解決策の問題解決原理は同じか又は類似であるため、以下の特定の実施形態の説明では、いくつかの繰り返される部分は、本明細書では説明されないことがあるが、特定の実施形態は、相互に参照され、互いに組み合わされ得ることを考慮されたい。
【0073】
特に定義しない限り、この明細書において使用されるすべての技術的及び科学的用語は、この出願の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。任意の矛盾がある場合に、この明細書に説明された意味又はこの出願に記録された内容により得られた意味が優先するものとする。追加的に、この明細書において使用される用語は、この出願の実施形態の目的を説明することを意図しているが、この出願を限定することを意図していない。
【0074】
図1は、車両が路面を走行する交通シナリオを示す。図1に示すように、交通シナリオでは、南北道路と東西道路とが交差点Aを形成している。第1の車両901は、交差点Aの南側に位置し、南から北に走行する。第2の車両902は、交差点Aの北側に位置し、北から南に走行する。第3の車両903は、交差点Aの東側に位置し、東から南に走行する。すなわち、第3の車両903は、交差点Aで左折して南北道路に進入する。第1の車両901の後方には第4の車両904が存在し、第4の車両904も南から北に走行する。第5の車両905は、交差点Aの南東角付近の南北道路側に駐車している。すなわち、第5の車両905は、第1の車両901の前方の路側に位置している。このとき、第1の車両901に対しては、インテリジェント運転機能が有効になっていると仮定する。この場合、第1の車両901は、現在の交通シナリオを検出し、現在の交通シナリオにおける走行戦略に対して判断し、判断結果に基づいて車両の走行を制御してもよい。例えば、決定された割り込み、譲り、回避のポリシーに基づいて、車両が加速、減速、走行車線を変更するように制御する。インテリジェント運転判断解決策は、ゲーム方式に基づいて走行戦略に関して判断することである。例えば、第1の車両901は、対向する第2の車両902が走行する交通シナリオにおける自車両の走行戦略をゲーム方式で判断する。複雑な交通シナリオでは、ゲーム方式で走行戦略を判断することは困難である。例えば、図1に示す交通シナリオでは、第1の車両901に対して、対向する第2の車両902、一方の側の交差点Aを横断する第3の車両903、及び第1の車両901の前方の路側に駐車している第5車両905が存在する。走行戦略の判断がゲーム方式でされるときに、第1の車両901のゲーム・オブジェクトは、第2の車両902と第3の車両903の両方である。したがって、ゲーム判断には、多次元ゲーム空間、例えば、第1の車両901、第2の車両902、第3の車両903の各々の横方向走行次元と縦方向走行次元で広がる多次元のゲーム空間を使用する必要がある。多次元ゲーム空間の使用は、ゲーム判断に対する解の数の爆発的な増加につながり、その結果、コンピューティング負荷が幾何学的に増加し、既存のハードウェアコンピューティング能力に大きな課題をもたらす。したがって、現在のところ、ハードウェアのコンピューティング能力が限られているため、ゲーム判断に多次元ゲーム空間を使用して、インテリジェント運転シナリオでの製品化を実装することは困難である。
【0075】
この出願の一実施形態は、改善されたインテリジェント運転判断解決策を提供する。この解決策をインテリジェント車両運転に適用するときに、解決策の基本原理は、自車両に対する現在の交通シナリオにおける障害物を識別することを含む。障害物は、自車両のゲーム・オブジェクトと自車両の非ゲーム・オブジェクトとを含んでもよい。自車両の単一ゲーム・オブジェクトに対して、自車両と単一ゲーム・オブジェクトの多次元ゲーム空間から、単一のサンプリング次元又は複数のサンプリング次元で広がる戦略空間を複数回にわたって解放する。追加的に、戦略空間が解放される毎に、戦略空間における自車両と自車両の単一のゲーム・オブジェクトの解が探索される。解が存在するとき、すなわち、ゲーム結果がある場合、すなわち、自車両と自車両の単一のゲーム・オブジェクトとが戦略空間内に戦略実現可能領域を有するときに、ゲーム結果に基づいて自車両の走行判断結果を決定し、さらにその判断結果に基づいて自車両の走行を制御してもよい。この場合、未解放の戦略空間は多次元ゲーム空間からもはや解放されなくてもよい。上述したように、自車両の複数のゲーム・オブジェクトに対して、各ゲーム・オブジェクトに対する自車両の戦略実現可能領域を別個に決定してもよい。追加的に、自車両の行動を指標として、自車両の戦略実現可能領域と自車両の各ゲーム・オブジェクトとの共通部分(共通部分は、自車両の同じ行動が含まれることを意味する)から自車両の走行戦略を取得する。本方法では、判断精度(判断制度は、例えば、判断結果の実行確率であってもよい)を確保しつつ、多次元ゲーム空間において最小の探索回数で最適な走行判断を取得してもよく、戦略空間の使用を可能な限り最小限に抑えてもよい。したがって、ハードウェアのコンピューティング・パワーに対する要求が低くなり、車両上での製品化が容易になる。
【0076】
この出願のこの実施形態におけるインテリジェント運転判断解決策を実装するための主体は、動力を与えられ、自律的に移動可能なインテリジェント・エージェントであってもよい。インテリジェント・エージェントは、本発明の実施形態で提供されるインテリジェント運転判断解決策に基づいて、交通シナリオにおいて他のオブジェクトとのゲーム判断をして、意味レベルの判断ラベル及びインテリジェント・エージェントの予想走行経路を生成し、そのため、インテリジェント・エージェントが好適な横方向及び縦方向の運動計画を実行してもよい。例えば、インテリジェント・デバイスは、自律運転機能を有する車両、自律移動可能なロボットなどであってもよい。本明細書における車両とは、例えば、セダン、スポーツ・ユーティリティ・ビークル(Sport Utility Vehicle、SUV)、多目的車(sport utility vehicle、MPV)、無人搬送車(Automated Guided Vehicle、AGV)、バス、トラック、及び別の貨物又は乗用車を含む陸上輸送装置、様々な船舶及びボートを含む水上輸送装置、航空機などの一般的なモータ車両を含む。モータ車両は、さらに、ハイブリッド車、電動車、燃料車、プラグイン・ハイブリッド電動車、燃料電池車、及び別の代替燃料車を含む。ハイブリッド車は、2つ以上の電源を有する車両であり、電動車は、バッテリー電気車、ロングレンジ電動車などを含む。また、自律移動可能なロボットは、車両の1つであってもよい。
【0077】
以下、この出願のこの実施形態で提供されるインテリジェント運転判断解決策が車両に提供される一例を説明する。図2に示すように、車両にインテリジェント運転判断解決策を適用する場合、車両10は、環境情報取得装置11、制御装置12、走行系13を含んでもよく、さらに、いくつかの実施形態では、通信装置14、ナビゲーション装置15、又はディスプレイ装置16を含んでもよい。
【0078】
この実施形態では、環境情報取得装置11は、車両の外部環境情報を取得するように構成されてもよい。環境情報取得装置11は、カメラ、レーザ・レーダ、ミリ波レーダ、超音波レーダ、全地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System、GNSS)などのうちの1つ以上を含んでもよい。カメラは、従来のRGB(Red Green Blue)カメラ・センサ、赤外線カメラ・センサなどを含んでもよい。取得される車両の外部環境情報は、路面情報と路面上のオブジェクトとを含む。路面上のオブジェクトは、周囲の車両、歩行者などを含み、具体的には、車両の運動状況情報が含んでもよい。運動状況情報は、車速、加速度、舵角情報、軌跡情報などを含んでもよい。いくつかの実施形態では、車両10の通信装置14を介して、周囲の車両の運動状況情報を取得するようにしてもよい。環境情報取得装置11によって取得された車両の外部環境情報を使用して、道路(路面情報に対応する)、障害物(路面上のオブジェクトに対応する)などを含む世界モデルを形成してもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、環境情報取得装置11は、カメラ・センサ、赤外線暗視カメラ・センサ、レーザ・レーダ、ミリ波レーダ、超音波レーダなどから送信された車両の外部環境情報を受信する電子デバイス、例えばデータ伝送チップであってもよい。データ伝送チップは、例えば、バス・データ・トランシーバ・チップ、ネットワーク・インターフェース・チップなどであってもよい。代替的には、データ伝送チップは、例えば、ブルートゥース(Blue-tooth)チップ、Wi-Fiチップなどの無線伝送チップであってもよい。いくつかの他の実施形態では、環境情報取得装置11は、代替的には、制御装置12に統合され、プロセッサに統合されたインターフェース回路、データ伝送モジュールなどとして機能してもよい。
【0080】
この実施形態では、制御装置12は、取得された車両の外部環境情報(構築した世界モデルを含む)に基づいて、インテリジェント走行戦略に関する判断をし、判断結果を生成するように構成されてもよい。例えば、判断結果は、加速、制動、操舵(車線変更、又は操舵を含む)を含んでもよいし、短時間(例えば、数秒以内)の車両の予想走行軌跡を含んでもよい。いくつかの実施形態では、制御装置12は、判断結果に基づいて対応する指令を生成して走行系13を制御し、走行系13を介して車両の走行制御を実行し、判断結果に基づいて予想走行軌跡で運転するように車両を制御してもよい。この出願の実施形態では、制御装置12は、電子デバイスであってもよく、例えば、ヘッドユニット、ドメイン・コントローラ、モバイル・データ・センタ(Mobile Data Center、MDC)、車載コンピュータなどの車載処理装置のプロセッサであってもよいし、中央処理ユニット(Central Processing Unit、CPU)、マイクロプロセッサ(Micro Control Unit、MCU)などの従来のチップであってもよい。
【0081】
この実施形態では、走行系13は、以下に説明される動力システム131、操舵システム132、及び制動システム133を含んでいてもよい。
【0082】
動力システム131は、駆動電気制御ユニット(Electrical Control Unit、ECU)及び駆動源を含んでもよい。駆動ECUは、駆動源を制御することにより、車両10の駆動力(例えば、トルク)を制御する。例えば、駆動源は、エンジン、駆動モータなどであってもよい。駆動ECUは、運転者によって実行されるアクセルペダルの動作に基づいて駆動源を制御するか、又は制御装置12から送信された指令に従って駆動源を制御して、駆動力を制御してもよい。この駆動源の駆動力は、変速機などを介して車輪に伝達されて、車両10が走行するように駆動する。
【0083】
操舵システム132は、操舵電気制御ユニット(ECU)と、電動パワー操舵(Electric Power Steering、EPS)とを含んでもよい。操舵ECUは、運転者によって実行されるハンドルの動作に基づいてEPSのモータを制御するか、又は制御装置12から送信された指令に従ってEPSのモータを制御して、車輪(具体的には、操舵ホイール)の向きを制御してもよい。追加的に、操舵動作を実行するために左右車輪のトルク配分や制動力配分を変化させる。
【0084】
動力システム133は、制動電気制御ユニット(ECU)及び制動機構を含んでもよい。制動機構は、ブレーキ・モータや油圧機構などを介して制動部を作動させる。駆動ECUは、運転者によって実行されるブレーキペダルの動作に基づいて駆動源を制御するか、又は制御装置12から送信された指令に従って駆動源を制御して、駆動力を制御してもよい。車両10が電動車又はハイブリッド車であるときに、制動システム133は、エネルギー回収制動機構をさらに含んでもよい。
【0085】
本実施形態では、通信装置14がさらに含まれてもよい。通信装置14は、無線通信方式で外部のオブジェクトとデータを交換して、車両10によってインテリジェント運転判断を行うために必要なデータを取得してもよい。いくつかの実施形態では、通信可能な外部オブジェクトとしては、クラウド・サーバ、モバイル端末(携帯電話、ポータブル・コンピュータ、タブレットなど)、路側デバイス、周囲の車両などを含んでもよい。いくつかの実施形態では、判断に必要なデータは、車両10の周りの車両(すなわち、別の車両)のユーザ・プロファイルを含む。ユーザ・プロファイルは、別の車両の運転者の運転習慣を反映しており、別の車両の位置、別の車両の運動状況情報などをさらに含んでもよい。
【0086】
この実施形態では、通信装置15がさらに含まれてもよい。ナビゲーション装置15は、全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System、GNSS)受信機と地図データベースとを含んでもよい。ナビゲーション装置15は、GNSS受信機によって受信された衛星信号を使用して車両10の場所を決定し、地図データベース内の地図情報に基づいて目的地までの経路を生成し、その経路の情報(車両10の場所を含む)を制御装置12に提供してもよい。さらに、ナビゲーション装置15は、慣性計測装置(Inertial Measurement Unit、IMU)をさらに含み、GNSS受信機の情報とIMUの情報の両方に基づいて、車両10のより正確な測位を実行してもよい。
【0087】
この実施形態では、通信装置16がさらに含まれてもよい。例えば、ディスプレイ装置16は、車両のコックピットの中央制御位置に設置されたディスプレイ画面であってもよいし、ヘッドアップ・ディスプレイ(Head-Up Display、HUD)装置であってもよい。いくつかの実施形態では、制御装置12は、車両のコックピット内のディスプレイ装置16における判断結果を、例えば、予想走行軌跡、矢印、テキストなどの形態で、ユーザが理解可能な方式で表示してもよい。いくつかの実施形態では、予想走行軌跡が表示されるときに、車両のコックピット内のディスプレイ装置に、車両の現在の交通シナリオ(例えば、グラフィカル交通シナリオ)を参照して、予想走行軌跡を部分拡大図の形態でさらに表示してもよい。また、制御装置12は、ナビゲーション装置15によって提供される目的地までの経路に関する情報を表示してもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、音声再生システムがさらに含まれてもよい。音声再生方式では、ユーザには、現在の交通シナリオで決定された判断結果が促される。
【0089】
以下、この出願の一実施形態で提供されるインテリジェント運転判断方法を記載する。説明の便宜上、この出願のこの実施形態では、交通シナリオの中にあり、かつこの出願のこの実施形態で提供するインテリジェント運転判断方法を実行するインテリジェント運転車両を自車両と呼ぶ。自車両から見て、交通シナリオにおいて自車両の走行に影響を与える、又は影響を与える可能性のある他のオブジェクトを自車両の障害物と呼ぶ。
【0090】
この出願のこの実施形態では、自車両は、特定の挙動判断能力を有し、走行戦略を生成して、自車両の運動状況を変化させてもよい。走行戦略は、加速、制動、及び操舵(車線変更又は操舵を含む)を含む。自車両は、さらに、走行戦略を実行すること、及び決定された予想走行軌跡に基づいて走行することを含む走行挙動実行能力を有する。
【0091】
いくつかの実施形態では、自車両の障害物も、挙動判断能力を有し、障害物運動状況を変化させてもよい。例えば、障害物は、自律移動可能な車両、歩行者などであってもよい。代替的には、自車両の障害物は、挙動判断能力を有さなくてもよいし、障害物運動状況を変化させなくてもよい。例えば、障害物は、路側に停車している車両(発進していない車両)、道路の幅員制限された桟橋などであってもよい。つまり、自車両の障害物は、歩行者、自転車、自動車(オートバイ、乗用車、貨物トラック、大型トラック、バスなど)などを含む。自動車は、インテリジェント運転判断方法を実行することができるインテリジェント運転車両を含んでもよい。
【0092】
自車両とのゲーム対話関係が確立しているかどうかに基づいて、自車両の障害物は、自車両のゲーム・オブジェクト、自車両の非ゲーム・オブジェクト、又は自車両の無関係障害物にさらに分類されてもよい。具体的には、ゲーム・オブジェクト、非ゲーム・オブジェクト、及び無関係障害物と自車両との相互作用の強度は、強い相互作用から相互作用なしに徐々に弱くなる。異なる判断の瞬間に対応する複数の交通シナリオにおいて、ゲーム・オブジェクト、非ゲーム・オブジェクト、及び無関係障害物は、相互に変化し得ると理解されたい。自車両の無関係障害物の位置又は運動状況により、無関係障害物は、自車両の将来の挙動に全く無関係になる。自車両と無関係障害物との間に軌跡競合、又は意図競合は将来的にない。したがって、特に明記しない限り、この出願の実施形態における障害物は、自車両のゲーム・オブジェクトと自車両の非ゲーム・オブジェクトである。
【0093】
自車両の非ゲーム・オブジェクトは、自車両との間で軌跡競合又は意図競合を将来的に有する。したがって、自車両の非ゲーム・オブジェクトは、自車両の将来の挙動に対して制約を課すが、自車両の非ゲーム・オブジェクトは、自車両の非ゲーム・オブジェクトと自車両との間に将来的に存在し得る軌跡競合又は意図競合に対して応答しない。その代わりに、自車両は、自車両と非ゲーム・オブジェクトとの間に将来的に存在し得る軌跡競合又は意図競合を解決するために、自車両の運動状況を一方的に調整する必要がある。すなわち、自車両の非ゲーム・オブジェクトと自車両との間には、ゲーム対話関係が確立されない。言い換えれば、自車両の非ゲーム・オブジェクトは、自車両の走行挙動の影響を受けず、非ゲーム・オブジェクトの所定の運動状況のままであり、非ゲーム・オブジェクトと自車両との間に将来的に存在し得る軌跡競合又は意図競合を解消するために非ゲーム・オブジェクトの運動状況を調整しない。
【0094】
自車両と自車両のゲーム・オブジェクトとの間に、ゲーム対話関係が確立される。自車両のゲーム・オブジェクトは、自車両のゲーム・オブジェクトと自車両との間に将来的に存在し得る軌跡競合又は意図競合に対して応答する。ゲーム判断を開始する瞬間において、自車両のゲーム・オブジェクトと自車両との間に軌跡競合又は意図競合が存在する。ゲームプロセスでは、自車両及び自車両のゲーム・オブジェクトは、各々、運動状況を調整して、両者の間に存在し得る軌跡競合又は意図競合を、安全性を確保しつつ徐々に解消する。自車両のゲーム・オブジェクトとして使用される車両が、その車両の運動状況を調整するときに、車両のインテリジェント運転機能を使用して自動調整が実行されてもよいし、手動の運転調整が車両の運転手によって実行されてもよい。
【0095】
以下、ゲーム・オブジェクトと非ゲーム・オブジェクトをさらに理解するために、図3A図3Eのいくつかの交通シナリオの概略図を参照して、自車両のゲーム・オブジェクトと非ゲーム・オブジェクトについて、例を使用して説明する。
【0096】
図3Aに示すように、自車両101は、無防備な交差点を直進する。(自車両101の左前方の)対向車両102は左折して、無防備な交差点を横断する。この場合、対向車両102と自車両101との間には、軌跡競合又は意図競合が存在し、対向車両102は、自車両101のゲーム・オブジェクトである。
【0097】
図3Bに示すように、自車両101は、直進する。左側接近車両102は、自車両101の車線を横断して通過する。この場合、左側接近車両102と自車両101との間には、軌跡競合又は意図競合が存在し、左側接近車両102は、自車両101のゲーム・オブジェクトである。
【0098】
図3Cに示すように、自車両101は、直進する。(自車両101の右前方の)同方向接近車両102は、自車両の車線又は自車両の隣接車線に進入する。この場合、同方向接近車両102と自車両101との間には、軌跡競合又は意図競合が存在し、自車両101との間にゲーム対話関係が確立され、同方向接近車両102が自車両101のゲーム・オブジェクトである。
【0099】
図3Dに示すように、自車両101は直進し、対向車両103が自車両101の左側隣接車線において直進し、自車両101の右側隣接車線において(自車両101の右前方の)静止車両102が存在する。この場合、対向車両103と自車両101との間には、軌跡競合又は意図競合が存在し、自車両101との間にゲーム対話関係が確立され、対向車両103が自車両101のゲーム・オブジェクトである。静止車両102の位置は、自車両101の軌跡と将来的に競合する。しかし、取得された外部環境情報に基づいて、対話型ゲーム判断プロセスにおいて、静止車両102は移動状態に遷移しないか、又は移動状態に遷移することさえないが、より高い通行権を有し、自車両101との間でゲーム対話関係を確立しないと決定されてもよい。したがって、静止車両102は、自車両の非ゲーム・オブジェクトとなる。両者間のこの軌跡競合を解消するために、自車両101の走行挙動及び運動状況が別個に調整される。
【0100】
図3Eに示すように、自車両101は、現在車線から右に車線変更し、右側隣接車線に進入する。右側隣接車線には、(自車両101の右前方の)第1の直進車両103と(自車両101の右後方の)第2の直進車両102が存在する。第1の直進車両103は、自車両101と比較して、より高い進行権を有し、自車両101とゲーム対話関係を確立せず、自車両101の非ゲーム・オブジェクトである。自車両101の右後方の第2の直進車両102は、自車両101と軌跡競合を将来的に有し、自車両101とゲーム対話関係を確立し、第2の直進車両102は、自車両101のゲーム・オブジェクトである。
【0101】
図1及び図2を参照し、図4に示すフローチャートを参照する。以下、この出願の一実施形態で提供されるインテリジェント運転判断方法を記載する。本方法は、以下のステップを含む。
【0102】
S10:自車両は、自車両のゲーム・オブジェクトを取得する。
【0103】
いくつかの実施形態では、図5に示すフローチャートでは、このステップは、以下のサブステップを含んでもよい。
【0104】
S11:自車両は、車両の外部環境情報を取得し、取得された外部環境情報は、道路シナリオにおける自車両と障害物との運動状況、相対位置情報などを含む。
【0105】
この実施形態では、自車両は、カメラ・センサ、赤外線暗視カメラ・センサ、レーザ・レーダ、ミリ波レーダ、超音波レーダ、GNSSなどの自車両の環境情報取得装置を介して、車両の外部環境情報を取得してもよい。いくつかの実施形態では、自車両は、路側装置との通信、又は自車両の通信装置を介したクラウド・サーバとの通信により、車両の外部環境情報を取得してもよい。路側装置は、カメラ又は通信装置を有してもよく、路側装置の周りの車両の情報を取得してもよい。クラウド・サーバは、各路側装置から報告された情報を受信して記憶してもよい。いくつかの実施形態では、前述の2つの方式の組み合わせで車両の外部環境情報が取得されてもよい。
【0106】
S12:自車両は、取得した障害物の運動状況、若しくはある期間における障害物の運動状況、又は形成された障害物の走行軌跡、及び障害物の相対位置情報に基づいて、障害物から自車両のゲーム・オブジェクトを識別する。
【0107】
この実施形態では、ステップS12において、障害物から自車両の非ゲーム・オブジェクトが識別されてもよいし、障害物から自車両のゲーム・オブジェクトの非ゲーム・オブジェクトが識別されてもよい。
【0108】
いくつかの実施形態では、プリセットされた判定ルールに従って、ゲーム・オブジェクト又は非ゲーム・オブジェクトが識別されてもよい。この決定ルールによれば、例えば、障害物の走行軌跡又は走行意図が自車両の走行軌跡又は走行意図と競合し、かつ障害物が挙動判断能力を有し、障害物の運動状況を変化させることがある場合、その障害物は、自車両のゲーム・オブジェクトである。障害物の走行軌跡又は走行意図が自車両の走行軌跡又は走行意図と競合し、かつ障害物の運動状況が競合を能動的に回避するために能動的に変化しない場合、その障害物は、自車両の非ゲーム・オブジェクトである。いくつかの実施形態では、障害物の走行軌跡又は走行意図は、障害物が走行する車線(直線車線や右左折車線)、ウィンカーの点灯の有無、車両ヘッド向きなどに基づいて決定されてもよい。
【0109】
例えば、図3A図3Cでは、横断障害物と車線進入障害物は両方とも自車両の軌跡との大きな角度の共通部分を有し、したがって、走行軌跡競合を有し、さらにゲーム車両として分類される。図3Dの狭い車線を通過する対向車両103と、図3Eの自車両が進入する隣接車線における後方車両104とは、意図競合を有し、さらにゲーム車両として分類される。図3Dの狭い車線を通過する右前方の静止車両102と、図3Eの自車両が進入する隣接車線における前方車両103とは、軌跡競合又は意図競合を有する。しかし、自車両は別の車両よりも低い進行権を有するため、別の車両は競合を解決するための行動をとらない。追加的に、自車両の挙動は、別の車両の挙動を変化させることができない。この場合、別の車両は、非ゲーム車両である。
【0110】
いくつかの実施形態では、自車両は、いくつかの既知のアルゴリズムに従って、自車両によって知覚又は取得された車両の外部環境情報から障害物情報を取得し、障害物から、自車両のゲーム・オブジェクト、非ゲーム・オブジェクト、又はゲーム・オブジェクトの非ゲーム・オブジェクトを識別する。
【0111】
いくつかの実施形態では、前述のアルゴリズムは、例えば、深層学習に基づく分類ニューラル・ネットワークであってもよい。障害物のタイプを識別することは分類と等価であるので、分類ニューラル・ネットワークを使用して推論が実行された後に、判断結果が決定されてもよい。分類ニューラル・ネットワークは、畳み込みニューラル・ネットワーク(Convolutional Neural Network、CNN)、再帰型ニューラル・ネットワーク(Recurrent Neural Network、RNN)、トランスフォーマーからの双方向エンコーダ表現(Bidirectional Encoder Representations from Transformers、BERT)などを使用してもよい。分類ニューラル・ネットワークが訓練されるときに、サンプル・データを使用してニューラル・ネットワークを訓練してもよい。サンプル・データは、分類ラベルが付された車両走行シナリオの画像又はビデオ・クリップであってもよい。分類ラベルは、ゲーム・オブジェクト、非ゲーム・オブジェクト、及びゲーム・オブジェクトの非ゲーム・オブジェクトを含んでもよい。
【0112】
いくつかの実施形態では、前述のアルゴリズムはまた、モデル化されたアテンション・モデルなどのアテンション関係のアルゴリズムを使用してもよい。アテンション・モデルは、各障害物によって割り当てられたアテンション値を自車両に出力するために使用される。アテンション値は、障害物と自車両との間に存在する意図競合や軌跡競合の程度に関係する。例えば、自車両と意図競合又は軌跡競合を有する障害物は、自車両により多くのアテンションを割り当てる。自車両と意図競合又は軌跡競合を有さない障害物は、自車両に少ないアテンションを割り当てるか、又はアテンションを割り当てない。自車両よりも高い進行権を有する障害物も、自車両に少ないアテンションを割り当てるか、又はアテンションを割り当てない。障害物が自車両に十分なアテンション(例えば、閾値よりも高い)を割り当てる場合、その障害物は、自車両のゲーム・オブジェクトとして識別されてもよい。障害物が自車両にはるかに少ないアテンション(例えば、閾値よりも低い)を割り当てる場合、その障害物は、自車両の非ゲーム・オブジェクトとして識別されてもよい。
【0113】
いくつかの実施形態では、アテンション・モデルは、y=softmax(a1x1+a2x2+a3x3,...)などの数学モデルを使用して構築されてもよく、softmaxは、正規化を表し、a1,a2,a3,...は、重み係数であり、x1,x2,x3,…は、障害物と自車両との関係パラメータであり、例えば、縦方向車間距離、横方向車間距離、車速差、車両加速度差、車両位置関係(前方、公報、左方、右方など)である。追加的に、x1,x2,x3,...は、はまた、正規化された値、すなわち、0~1の値であってもよい。いくつかの実施形態では、アテンション・モデルは、ニューラル・ネットワークを使用して実装されてもよい。この場合、ニューラル・ネットワークの出力は、対応する識別された障害物によって自車両に割り当てられたアテンション値である。
【0114】
S20:自車両とゲーム・オブジェクトとの間の対話型ゲームタスクに対して、自車両とゲーム・オブジェクトの複数の戦略空間から、複数の戦略空間の複数回の解放を実行し、複数回の解放のうちの1回を実行した後に、解放された各戦略空間に基づいて、自車両とゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域を決定し、戦略実現可能領域に基づいて、自車両の走行判断結果を決定する。
【0115】
いくつかの実施形態では、判断結果は、戦略実現可能領域における自車両とゲーム・オブジェクトとの実行可能な挙動行動ペアを意味する。この場合、ステップS20では、自車両と任意のゲーム・オブジェクトとの間での単一の車両対話型ゲームの判断プロセスが完了し、自車両とゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域が決定される。いくつかの実施形態では、複数の戦略空間の複数回の解放を実行することは、戦略空間の各々の順次解放を実行することを含む。すなわち、解放が実行される度に1つの戦略空間のみが解放され、順次解放が実行された後に複数の戦略空間が累積的に解放される。この場合、各戦略空間は、少なくとも1つのサンプリング次元で広がる。
【0116】
いくつかの実施形態では、一般的な車両制御の安全性又は走行習慣に基づいて、自車両が現在の車線で最初に加速及び減速する方式が、通常、車線変更の方式よりも優先される。したがって、複数の戦略空間が解放されるときに、任意選択で、複数の戦略空間を解放するプロセスにおいて、縦方向サンプリング次元、横方向サンプリング次元、及び時間的サンプリング次元の順序で、順次解放が実行されてもよい。異なる次元が、異なる戦略空間を広げてもよい。例えば、縦方向サンプリング次元が解放されるときに、縦方向サンプリング戦略空間が広がるか、横方向サンプリング次元が解放されるときに、横方向サンプリング戦略空間が広がるか、戦略空間が、横方向サンプリング戦略空間と、縦方向サンプリング次元で広がる縦方向サンプリング戦略空間の両方で広がるか、又は時間的サンプリング次元が解放されるときに、複数フレーム導出によって形成された複数の戦略空間が広がる。
【0117】
いくつかの実施形態では、異なる戦略空間の各部分における空間の組み合わせも、順次解放されてもよい。例えば、第1の解放中に、縦方向サンプリング戦略空間の局所空間と横方向サンプリング戦略空間の局所空間とが最初に順次解放される。第2の解放中に、縦方向サンプリング戦略空間の残りの空間と横方向サンプリング戦略空間の残りの局所空間とが順次解放される。
【0118】
いくつかの実施形態では、累積的に解放される複数の戦略空間は、縦方向サンプリング戦略空間、横方向サンプリング戦略空間、縦方向サンプリング戦略空間と横方向サンプリング戦略空間とを組み合わせることで広がる戦略空間、縦方向サンプリング戦略空間と横方向サンプリング戦略空間とを各々時間的サンプリング次元と組み合わせることで広がる戦略空間、並びに縦方向サンプリング次元、横方向サンプリング次元、及び時間的サンプリング次元を組み合わせることで広がる戦略空間を含んでもよい。
【0119】
いくつかの実施形態では、上述したように、戦略空間を形成する次元は、縦方向サンプリング次元、横方向サンプリング次元、又は時間的サンプリング次元を含んでもよい。車両走行シナリオに参照して、すなわち、次元は、1ステップの判断に含まれる複数の単一フレーム導出に対応する縦方向加速度次元、横方向オフセット次元、及び導出深度である。これに対応して、縦方向サンプリング戦略空間が広がるときに使用される縦方向サンプリング次元は、自車両の縦方向加速度及びゲーム・オブジェクトの縦方向加速度のうちの少なくとも1つを含む。横方向サンプリング戦略空間が広がるときに使用される横方向サンプリング次元は、自車両の横方向オフセット及びゲーム・オブジェクトの横方向オフセットのうちの少なくとも1つを含む。時間的サンプリング次元は、対応する連続する時点における連続する複数フレーム導出によって形成される(すなわち、導出深度を順次増加させる)複数の戦略空間を含む。3次元の組み合わせは、複数の戦略空間を形成してもよい。
【0120】
この場合、各横方向又は縦方向サンプリング次元において各々広がった戦略空間の値は、自車両又はゲーム・オブジェクトのサンプリング行動、すなわち挙動-動作に対応する。
【0121】
いくつかの実施形態では、図6に示すフローチャートでは、このステップS20は、以下のサブステップS21~S26を含んでもよい。
【0122】
S21:1回目の戦略空間の解放を行い、自車両とゲーム・オブジェクトの戦略空間を解放し、開放された戦略空間に基づいて、自車両の少なくとも1つのサンプリング次元の複数の値とゲーム・オブジェクトの少なくとも1つのサンプリング次元の複数の値によって形成された挙動行動ペアを1つずつ取得する。
【0123】
いくつかの実施形態では、1回目の戦略空間の解放が行われるときに、自車両の縦方向加速度及びゲーム・オブジェクトの縦方向加速度を含む縦方向サンプリング次元が解放され、縦方向サンプリング次元で広がる解放された戦略空間は、縦方向サンプリング戦略空間である。説明の便宜上、戦略空間は、1回目に開放される縦方向サンプリング戦略空間と呼ばれてもよい。この場合、戦略空間は、評価対象となる自車両の縦方向加速度と、自車両のゲーム・オブジェクト(すなわち、別の車両)の縦方向加速度とによって形成される挙動行動ペアである。この場合、各サンプリング次元には、複数のサンプリング値がセットされてもよい。これらのサンプリング値のうち、サンプリング間隔が一様で連続する複数のサンプリング値がサンプリング範囲を形成してもよい。これらのサンプリング値のうち、サンプリング次元に散在する複数のサンプリング値は離散的なサンプリング点である。例えば、自車両の縦方向加速度次元では、所定のサンプリング間隔で均一のサンプリングが実行されて、自車両の縦方向加速度次元における複数のサンプリング値を取得する。複数のサンプリング値の数が、M1と示される。すなわち、自車両のM1個の縦方向加速度サンプリング行動が存在する。ゲーム・オブジェクトの縦方向加速度次元では、所定のサンプリング間隔で均一のサンプリングが実行されて、ゲーム・オブジェクトの縦方向加速度次元における複数のサンプリング値を取得する。複数のサンプリング値の数が、N1と示される。すなわち、ゲーム・オブジェクトのN1個の縦方向加速度サンプリング行動が存在する。したがって、1回目に解放される縦方向サンプリング戦略空間は、自車両の縦方向加速度サンプリング行動とゲーム・オブジェクトの縦方向加速度サンプリング行動とを組み合わせることによって取得される、自車両とゲーム・オブジェクトのM1*N1個の挙動行動ペアを含む。戦略空間の特定の例については、以下の表1又は表2を参照のこと。表1又は表2の第1行目及び第1列目は、それぞれ自車両とゲーム・オブジェクト(すなわち、表中の別の車両O)の縦方向加速度サンプリング値である。表1では、ゲーム・オブジェクトは、横断ゲーム車両である。表2では、ゲーム・オブジェクトは、対向ゲーム車両である。
【0124】
S22:解放された戦略空間における各挙動行動ペアを、自車両とゲーム・オブジェクトによって現在構築されている交通サブシナリオに導出し、各挙動行動ペアに対応するコスト値を決定する。
【0125】
この場合、自車両と各ゲーム・オブジェクトは、さらに、各交通サブシナリオを別個に構築し、各交通サブシナリオは、自車両が位置する道路シナリオのサブセットである。
【0126】
いくつかの実施形態では、戦略空間における各挙動-動作ペアに対応するコスト値は、自車両及びゲーム・オブジェクトによって実行される挙動-動作ペアに対応する、安全性コスト値、快適コスト値、横方向オフセット・コスト値、通行可能性コスト値、進行権コスト値、リスク区域コスト値、及びフレーム間関連付けコスト値のうちの少なくとも1つに基づいて決定される。
【0127】
いくつかの実施形態では、前述のコスト値の重み付け和が使用されてもよい。この場合、各コスト値を区別するために、計算された重み付け和を総コスト値と呼んでもよい。総コスト値が小さいほど、自車両とゲーム・オブジェクトによって実行される挙動行動ペアに対応する判断ゲインが大きく、挙動行動ペアが判断結果として使用される確率が高いことを示す。前述のコスト値は、以下でさらに説明される。
【0128】
S23:コスト値がコスト閾値以下である挙動行動ペアを自車両とゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域に追加し、戦略実現可能領域は、1回目の戦略空間の解放が行われるときの自車両とゲーム・オブジェクトのゲーム結果である。
【0129】
戦略実現可能領域とは、実行可能な挙動行動ペアのセットを意味する。例えば、以下の表1において、テーブルコンテンツがCy又はCgであるテーブル・エントリは、戦略実現可能領域を形成する。
【0130】
S24:現在の戦略空間における戦略実現可能領域(すなわち、ゲーム結果)がヌルでないときに、戦略実現可能領域における自車両とゲーム・オブジェクトの少なくとも1つの実行可能な挙動行動ペアを、自車両とゲーム・オブジェクトの判断結果として使用し、現在の戦略空間の解放を終了する。
【0131】
戦略実現可能領域がヌルであるときに、現在の戦略空間に解がないことを示す。この場合、2回目の戦略空間の解放が行われる。すなわち、複数の戦略空間のうちの次の戦略空間が解放される。この実施形態では、2回目に横方向サンプリング次元が解放され、横方向オフセットで横方向サンプリング戦略空間が広がり、今回解放された横方向サンプリング戦略空間と、1回目に解放された縦方向サンプリング戦略空間との両方が、現在の戦略空間として使用される。この場合、自車両とゲーム・オブジェクトとの対話型ゲームに現在使用されている戦略空間は、縦サンプリング戦略空間と横方向サンプリング戦略空間とを組み合わせることで広がる戦略空間である。
【0132】
横方向サンプリング戦略空間は、自車両の横方向オフセット次元とゲーム・オブジェクトの横方向オフセット次元において広がる。例えば、自車両の横方向加速度次元では、所定のサンプリング間隔で均一のサンプリングが実行されて、自車両の横方向加速度次元における複数のサンプリング値を取得する。複数のサンプリング値の数が、Qと示される。すなわち、自車両のQ個の横方向加速度サンプリング行動が存在する。ゲーム・オブジェクトの横方向オフセット次元では、所定のサンプリング間隔で均一なサンプリングが実行されて、ゲーム・オブジェクトの横方向オフセット次元における複数のサンプリング値を取得する。複数のサンプリング値の数が、Rと示される。すなわち、ゲーム・オブジェクトのR個の横方向オフセット・サンプリング行動が存在する。
【0133】
この場合、自車両とゲーム・オブジェクトとの対話型ゲームに現在使用されている戦略空間では、自車両とゲーム・オブジェクトとの各挙動行動ペアは、自車両の横方向オフセット・サンプリング行動、ゲーム・オブジェクトの横方向オフセット・サンプリング行動、自車両の縦方向加速度サンプリング行動、及びゲーム・オブジェクトの縦方向加速度サンプリング行動によって形成される。
【0134】
現在の戦略空間は、自車両の横方向オフセットのQ個の値、ゲーム・オブジェクトの横方向オフセットのR個の値、自車両の縦方向加速度のM2個の値、ゲーム・オブジェクトの縦方向加速度のN2個の値によって形成されると仮定する。自車両とゲーム・オブジェクトの2回目に解放される戦略空間は、M2*N2*Q*R個の挙動行動ペアを含む。特定の例については、以下の表3を参照のこと。表3の上部の横方向サンプリング戦略空間の各テーブル・エントリは、表3の下部の縦方向サンプリング戦略空間のテーブル・エントリに関連付けられる。表3の上部の横方向サンプリング戦略空間の表では、ゲーム・オブジェクト(すなわち、表中の別の車両O)は、対向車である。
【0135】
S25:2回目の戦略空間の解放が行われた後に、解放された各挙動行動ペアを、現在の戦略空間に基づいて自車両とゲーム・オブジェクトによって構築されている交通サブシナリオに導出し、各挙動行動ペアに対応するコスト値を決定し、戦略実現可能領域を決定して、ゲーム結果を決定する。このステップについては、ステップS22及びS23を参照のこと。
【0136】
S26:ステップS25の戦略実現可能領域(すなわち、ゲーム結果)がヌルでないときに、戦略実現可能領域から挙動行動ペアを判断結果として選択して、現在の戦略空間の解放を終了する。
【0137】
戦略実現可能領域がヌルであるときに、現在の戦略空間に解がないことを示す。この場合、3回目の戦略空間の解放が行われる。すなわち、複数の戦略空間のうちの次の戦略空間が解放される。このように、前述の方式によれば、他の戦略空間が順次解放し続けられてもよく、ゲーム結果及び判断結果を決定し続けることができる。
【0138】
いくつかの実施形態では、複数回にわたって解放される戦略空間について、自車両及び/又はゲーム・オブジェクトの縦方向加速度次元におけるi番目の値のグループと、自車両及び/又はゲーム・オブジェクトの横方向オフセット次元におけるi番目の値のグループで広がる戦略空間が、最初に解放されてもよい。追加的に、戦略空間に戦略実現可能領域が存在しないときに、自車両及び/又はゲーム・オブジェクトの縦方向加速度次元のi+1番目の値のグループと、自車両及び/又はゲーム・オブジェクトの横方向オフセット次元のi+1番目の値のグループで広がる戦略空間が、次いで解放される。すなわち、複数回にわたって解放される戦略空間は、自車両及び/又はゲーム・オブジェクトの縦方向加速度次元におけるすべての値と、自車両及び/又はゲーム・オブジェクトの横方向オフセット次元におけるすべての値で広がるゲーム空間(iは、正の整数)において、自車両及びゲーム・オブジェクトの局所位置を別個に変化させる。前述は、i番目の値のグループを一例として使用し、各サンプリング次元におけるいくつかの値が順次解放されて、ゲーム空間における異なる局所戦略空間において戦略実現可能領域を順次探索し、判断結果を決定することを示す。このように、異なる局所空間に対応する戦略空間が順次解放され、多次元ゲーム空間において、最小数の探索回数で最適な判断結果が取得され得、戦略空間の使用が可能な限り最小限に抑えられて、それにより、ハードウェアのコンピューティング能力の要求を低減し得る。
【0139】
例えば、まず、表3における、対向車両の横方向オフセット値0、自車両の横方向オフセット値1、及び自車両と対向車両のすべての縦方向加速度値で広がる戦略空間が最初に解放される。追加的に、戦略空間に戦略実現可能領域が存在しないときに、次いで、対向ゲーム車両の横方向オフセット値0、自車両の横方向オフセット値2又は3、及び自車両と対向ゲーム車両のすべての縦方向加速度値で広がる戦略空間が解放される。
【0140】
いくつかの実施形態では、前述のステップの後に、複数回にわたって戦略空間が解放された後でも自車両とゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域がヌルのままである場合、解がないままであることを示す。この場合、自車両の保守的走行判定が実行されてもよい。この保守判的判定は、自車両を安全に制動させるための挙動行動、自車両を走行のために安全に減速させるための挙動、又は運転者が車両の制御を引き継ぐように提供されるプロンプト又は警告を含む。
【0141】
上述したように、ステップS10~S20が実行された後に、1つの単一フレーム導出が完了する。いくつかの実施形態では、ステップS10~S20が実行された後に、戦略実現可能領域がヌルでない場合、本方法は、時間的サンプリング次元において複数回の解放を実行することと、導出時間の展開に基づいて複数フレーム導出を実行する(すなわち、複数の連続する瞬間である導出深度を順次増加させる)ことをさらに含んでもよい。この場合、複数回の解放における導出の瞬間(又は時点と呼ぶ)に1回の解放が実行された後に、1つの単一フレーム導出が完了して、自車両とゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域を決定する。追加的に、単一フレーム導出において決定された自車両及びゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域がヌルでないときに、時間的サンプリング次元における複数回の解放が終了するまでか、又は連続した複数フレーム導出が終了するまで、次の時間における単一フレーム導出に対して、次の時間において、導出された解放が実行される。
【0142】
この場合、1ステップの判断における複数の単一フレーム導出が実装される。図7に示すように、T1は、自車両とゲーム・オブジェクトの初期運動状況を示す。T2は、第1のフレームが導出された後の自車両及びゲーム・オブジェクトの運動状況、すなわち第1のフレームの導出結果を示す。Tnは、第n-1のフレームが導出された後の自車両及びゲーム・オブジェクトの運動状況を示す。
【0143】
いくつかの実施形態では、時間的サンプリング次元が解放されるたびに、導出時間は、予め設定された時間間隔(例えば、2秒又は5秒)で後方に移動される、すなわち、次の瞬間(又は時点と呼ばれる)に移動される。これに対応して、現在のフレームの導出結果は、次のフレームの初期導出条件として使用されて、次の瞬間における自車両とゲーム・オブジェクトの運動状況を導出する。このように、この方式によれば、時間的サンプリング次元は、次の瞬間に解放され続けて、連続する複数のフレームを導出し続け、ゲーム結果及び判断結果を決定し続けてもよい。
【0144】
上述したように、時間的サンプリング次元の解放中に、隣接する2つの単一フレームの導出によって決定される、自車両とゲーム・オブジェクトの挙動判断に関する判断結果を評価し、フレーム間関連付けコスト値を決定する必要があるが、これについては後述する。時間的サンプリング次元の解放は、車両の挙動一貫性を改善するのに役立つ。例えば、連続する複数のフレームにおいて導出された自車両とゲーム・オブジェクトの運動状況又は判断結果に対応する意図判定が同じか、又は類似であるときに、インテリジェント運転判断方法を実行するインテリジェント走行車両の走行挙動は、時間領域においてより安定し、走行軌跡の変動がより小さく、車両走行がより快適である。
【0145】
解放された時間的サンプリング次元、すなわち、連続する複数の判断瞬間において、解放された複数の戦略空間は、自車両とゲーム・オブジェクトに対応する戦略実現可能領域を取得し、これらの戦略実現可能領域に対応する実行可能な時系列に基づいて、自車両とゲーム・オブジェクトが順次実行した後に取得された運動状況を導出するために別個に使用される。自車両とゲーム・オブジェクトの運動状況及び/又は予想走行軌跡に対して長期導出が実行され、そのため、判断結果の時間的整合性が確保されてもよい。
【0146】
複数フレーム導出が終了した後に、複数フレーム導出の全体的なゲインが判断要件を満たす場合、各フレームのゲーム結果が徐々にナッシュ均衡(Nash equilibrium)状態に収束していると決定されてもよい。この場合、複数フレーム導出における最初のフレームの判断結果が自車両の走行判断結果として使用されてもよい。
【0147】
いくつかの実施形態では、複数フレーム導出の全体的なゲインが判断要件を満たさない場合、最初のフレームの判断結果が再選択されてもよい。最初のフレームの判断結果は、単一フレーム導出の判断結果に対応する。最初のフレームの判断結果を再選択することは、最初のフレームの判断結果の戦略実現可能領域から別の挙動行動ペアを判断結果として選択することである。再選択された判断結果に対して、再度、複数フレーム導出が実行されて、再選択された判断結果が最終的な判断結果として使用され得るかどうかを決定してもよい。
【0148】
いくつかの実施形態では、最初のフレームの判断結果が1回目に選択されて再選択されるときに、又は複数回にわたって再選択されるときに、各挙動行動ペアに対応するコスト値のソート結果に基づいて選択が実行されてもよく、より小さい総コスト値を有する挙動行動ペアに対応する判断結果が優先的に選択される。
【0149】
いくつかの実施形態では、異なるコスト値は、異なる重みを有してもよく、対応して、安全性重み、快適性重み、横方向オフセット重み、通行性重み、進行権重み、リスク区域重み、及びフレーム間関連付け重みと呼ばれてもよい。追加的に、いくつかの実施形態では、重み値は、安全性重み>進行権重み>横方向オフセット重み>通行性重み>快適性重み>リスク区域重み>フレーム間関連付け重みの順序で割り当てられてもよい。いくつかの実施形態では、コスト値に対して正規化処理が別個に実行されてもよく、値域は、[0,1]である。
【0150】
いくつかの実施形態では、コスト値は、安全性コスト関数、快適性コスト関数、通行性コスト関数、横方向オフセット・コスト関数、及び進行権コスト関数と対応して呼ばれ得る異なるコスト関数に基づく計算を介して取得されてもよい。
【0151】
いくつかの実施形態では、安全性コスト値は、自車両と別の車両(すなわち、ゲーム・オブジェクト)とが互いに対話するときの相対距離を独立変数として使用する安全コスト関数に基づく計算を介して取得され、安全性コスト値は、相対距離と負の相関関係にある。例えば、2つの車両間の相対距離が大きいほど、安全性コスト値が小さいことを示す。図8Aに示すように、正規化処理後に取得される安全性コスト関数は、以下のようにピースワイズ関数であり、式中、Cdistは、安全性コスト値であり、distは、自車両とゲーム・オブジェクトとの間の相対距離である。例えば、最小距離は、自車両とゲーム・オブジェクトとの最小ポリゴン距離として定義される。
【数1】
【0152】
threLowは、下限距離閾値であり、これは、図8Aでは0.2であり、threHighは、上限距離閾値であり、これは、図8Aでは1.2である。任意選択で、下限距離閾値threLow及び上限距離閾値threHighは、自車両と別の車両との間の対話の状況に基づいて動的に調整されてもよく、例えば、自車両と別の車両との相対速度、相対距離、相対角度などに基づいて動的に調整されてもよい。
【0153】
いくつかの実施形態では、安全コスト関数によって定義される安全性コスト値は、相対速度又は相対角度と正の相関関係にある。例えば、2台の車両が逆方向又は横方向(横方向とは、自車両に対して別の車両が横断する方向)に遭遇する場合、2台の車両間の相対速度又は相対相互作用角度が大きいほど、それに対応して、安全性コスト値が大きいことを示す。
【0154】
いくつかの実施形態では、車両(自車両又はゲーム・オブジェクト)の快適性コスト値は、加速度変化量(すなわち、ジャーク、jerk)の絶対値を独立変数として使用する快適性コスト関数に基づく計算を介して取得されてもよい。図8Bに示すように、正規化処理後に取得される快適性関数は、以下のようにピースワイズ関数であり、式中、Ccomfは、快適性コスト値であり、jerkは、自車両又はゲーム・オブジェクトの加速度変化量である。
【数2】
【0155】
threMiddleは、ジャーク中点閾値であり、これは、図8Bの例では2であり、threHighは、上限ジャーク閾値であり、これは、図8Bでは4である。Cmiddleは、「ジャーク」のコスト勾配である。すなわち、車両の加速度変化量が大きいほど、快適性が悪く、快適性コスト値が大きいことを示す。追加的に、車両の加速度変化量が中点閾値よりも大きくなった後は、快適性コスト値がより速く増加する。
【0156】
いくつかの実施形態では、車両の加速度変化量は、縦方向加速度変化量、横方向加速度変化量、又はその両方の重み付け和であってもよい。いくつかの実施形態では、快適性コスト値は、自車両の快適性コスト値、ゲーム・オブジェクトの快適性コスト値、又は両方の快適性コスト値の重み付け和であってもよい。
【0157】
いくつかの実施形態では、通行性コスト値は、自車両又はゲーム・オブジェクトの速度変化量を独立変数として使用する通行性コスト関数に基づく計算を介して取得されてもよい。例えば、車両が比較的大きな減速度で譲ると、比較的大きな速度損失(現在の速度と将来の速度との差、すなわち、加速度)、又は比較的長い待ち時間をもたらす。この場合、車両の通行性コスト値が大きくなる。例えば、車両が比較的大きな加速度で割り込むと、比較的大きな速度増加(現在の速度と将来の速度との差、すなわち、加速度)、又は比較的短い待ち時間をもたらす。この場合、車両の通行性コスト値が小さくなる。
【0158】
いくつかの実施形態では、通行性コスト値はまた、自車両とゲーム・オブジェクトの相対速度の割合を独立変数として使用する通行性コスト関数に基づく計算を介して取得されてもよい。例えば、行動ペアが実行される前に、自車両とゲーム・オブジェクトの速度の絶対値の和のうち自車両の速度の絶対値の占める割合が相対的に大きく、自車両とゲーム・オブジェクトの速度の絶対値の和のうちゲーム・オブジェクトの速度の絶対値の占める割合が相対的に小さい。挙動動作ペアが実行された後に、自車両が比較的大きな減速度で譲る場合、自車両の速度損失が大きくなり、速度割合が小さくなる。この場合、自車両によって実行される挙動行動ペアに対応する通行性コスト値は、比較的大きい。しかし、挙動行動ペアが実行された後に、ゲーム・オブジェクトが比較的大きな加速度で割り込む場合、ゲーム・オブジェクトの速度が増加し、速度割合が増加する。この場合、ゲーム・オブジェクトによって実行される挙動行動に対応する通行性コスト値は、比較的小さい。
【0159】
いくつかの実施形態では、通行性コスト値は、自車両によって実行される挙動行動ペアに対応する自車両の通行性コスト値、又はゲーム・オブジェクトによって実行される挙動行動ペアに対応するゲーム・オブジェクトの通行性コスト値、又はその両方の通行性コスト値の重み付け和である。
【0160】
いくつかの実施形態では、図8Cに示すように、正規化処理後に取得される通行性コスト関数は、以下のようにピースワイズ関数であり、式中、Cpassは、通行性コスト値であり、speedは、車両の速度の絶対値である。
【数3】
【0161】
車両の中点における速度の絶対値は、speed0であり、車両の速度の絶対の最大値は、speed1であり、Cmiddleは、速度のコスト勾配である。すなわち、車両の速度の絶対値が大きいほど、通行性が良好であり、通行性コスト値が小さいことを示す。追加的に、車両の速度の絶対値が中点閾値よりも大きくなった後に、通行性コスト値がより速く減少する。
【0162】
いくつかの実施形態では、自車両又はゲーム・オブジェクトの取得されたユーザ・プロファイルに基づいて、自車両に対応する進行権情報が決定されてもよい。例えば、ゲーム・オブジェクトの運転挙動が過激なスタイルであり、割り込み判定を行う可能性がより高い場合、進行権が高い。ゲーム・オブジェクトの運転挙動が保守的なスタイルであり、譲りポリシーを採用する可能性がより高い場合、進行権は低い。高い進行権は、指定された運動状況又は指定された走行挙動を維持する傾向があり、低い進行権は、指定された運動状況又は指定された走行挙動を変化させる傾向がある。
【0163】
いくつかの実施形態では、ユーザ・プロファイルは、性別、年齢、又はユーザの履歴挙動行動完了状況に基づいて決定されてもよい。いくつかの実施形態では、クラウド・サーバは、ユーザ・プロファイルを決定するために必要なデータを取得し、ユーザ・プロファイルを決定してもよい。自車両及び/又はゲーム・オブジェクトによって実行される挙動行動ペアが、高い進行権を有する車両が運動状況を変化させることを可能にする場合、その挙動行動ペアに対応する進行権コスト値は相対的に大きく、ゲインは相対的に小さくなる。
【0164】
いくつかの実施形態では、高い進行権を有する車両の運動状況の変化を引き起こす挙動判定に基づいて、より大きな進行権コスト値が決定されて、ペナルティを増加させる。言い換えれば、このフィードバック機構により、高い進行権を有する車両が現在の運動状況を維持する挙動行動ペアは、より多くの進行権ゲイン、すなわち、比較的小さな進行権コスト値を有する。
【0165】
いくつかの実施形態では、図8Dに示すように、正規化処理後に取得される進行権コスト関数は、以下のようにピースワイズ関数であり、式中、CroadRightは、進行権コスト値であり、accは、車両の加速度の絶対値である。
【数4】
【0166】
threHighは、加速度上限閾値であり、これは、図8Dでは1である。すなわち、車両の加速度が大きいほど、進行権コスト値が高いことを示す。
【0167】
言い換えれば、この進行権コスト関数は、高い進行権を有する車両が現在の運動状況を維持する挙動行動が、相対的に小さい進行権コスト値を有することを可能にし、高い進行権を有する車両が現在の移動状況を変化させる行動行動ペアを判断結果とすることを回避する。
【0168】
いくつかの実施形態では、車両の加速度は、縦方向加速度又は横方向加速度であってもよい。すなわち、横方向オフセット次元では、大きな横方向変化も、大きな進行権コスト値をもたらす。いくつかの実施形態では、進行権コスト値は、自車両によって実行される挙動行動ペアに対応する進行権コスト値、ゲーム・オブジェクトによって実行される挙動行動ペアに対応する進行権コスト値、又はその両方の進行権コスト値の重み付け和であってもよい。
【0169】
いくつかの実施形態では、例えば、車両が道路上のリスク区域にいる場合(その区域では、車両は比較的高い走行リスクを有し、できるだけ早くリスク区域を離れる必要がある)、比較的大きなリスク区域コスト値を車両譲り戦略に適用してペナルティを増加させる必要がある。車両譲り挙動を選択する代わりに、車両割り込み挙動が判断結果として選択され、そのため、車両ができるだけ早くリスク区域を離れるようにする。すなわち、車両ができるだけ早くリスク区域を離れるという判定が行われる。これにより、車両ができるだけ早くリスク区域を離れ、交通に深刻な影響を及ぼさないことが確保される。
【0170】
言い換えれば、リスク領域コスト値が大きいほど戦略ゲインが小さいフィードバック・メカニズムにより、道路上のリスク区域にある車両は、譲り挙動をとらず、すなわち、道路上のリスク区域にある車両が譲り挙動をとらせる挙動判定(挙動判定は、相対的に大きいリスク区域コスト値を有する)を放棄し、道路上のリスク区域にある車両が、できるだけ早くリスク区域を離れるために、割り込み挙動をとることを可能にする判断結果(相対的に小さいリスク区域コスト値を有する)を選択する。これにより、道路上のリスク区域にある車両が立ち往生し、交通に深刻な影響を及ぼすことを防止する。
【0171】
いくつかの実施形態では、リスク区域コスト値は、道路上のリスク区域にある自車両によって実行される挙動行動ペアに対応するリスク区域コスト値、又は道路上のリスク区域にいるゲーム・オブジェクトによって実行される挙動行動ペアに対応するリスク区域コスト値、又はその両方のリスク区域コスト値の重み付け和であってもよい。いくつかの実施形態では、横方向オフセット・コスト値は、自車両又はゲーム・オブジェクトの横方向オフセット量に基づく計算を介して取得されてもよい。図8Eに示すように、正規化処理後に取得される右半分空間における横方向オフセット・コスト関数は、以下のようにピースワイズ関数であり、式中、Coffsetは、横方向オフセット・コスト値であり、offsetは、メートル単位の車両の横方向オフセット量であり、この場合、座標平面の右半分空間の数式を否定することによって、左半分空間の数式が取得されてもよい。
【数5】
【0172】
threMiddleは、例えば道路のソフト境界などの横方向オフセット中間値であり、Cmiddleは、第1の横方向オフセット・コスト勾配であり、threHighは、上限横方向オフセット閾値であり、例えば、道路ハード境界である。言い換えれば、車両の横方向オフセットが大きいほど、横方向オフセット・ゲインが小さく、横方向オフセット・コスト値が大きいことを示す。追加的に、車両の横方向オフセット量が横方向オフセット中間値よりも大きくなった後に、横方向オフセット・コスト値がより早く増加して、ペナルティを増加させる。例えば、車両の横方向オフセット量が上限横方向オフセット閾値よりも大きくなった後に、横方向オフセット・コスト値は、固定値1.2にして、ペナルティを増加させる。
【0173】
いくつかの実施形態では、横方向オフセット・コスト値は、自車両によって実行される挙動行動ペアに対応する横方向オフセット・コスト値、又はゲーム・オブジェクトによって実行される挙動行動ペアに対応する横方向オフセット・コスト値、又はその両方の横方向オフセット・コスト値の重み付け和であってもよい。
【0174】
前述の複数フレーム導出ステップでは、隣接する2つの単一フレームの導出によって決定される自車両とゲーム・オブジェクトの挙動判断について、その判断結果を評価する必要があり、フレーム間関連付けコスト値を決定する必要がある。
【0175】
いくつかの実施形態では、図8Fに示すように、自車両の先のフレームKの意図判定は、ゲーム・オブジェクトに割り込むことである。自車両の現在のフレームK+1の意図判定がゲーム・オブジェクトに割り込むことであるときに、対応するフレーム間関連付けコスト値は比較的小さく、例えば0.3となる。しかし、デフォルト値は0.5であるため、これは、報酬である。しかし、自車両の現在のフレームK+1の意図判定がゲーム・オブジェクトを譲ることであるときに、対応するフレーム間関連付けコスト値は比較的大きく、例えば0.8である。しかし、デフォルト値は0.5であるため、これは、ペナルティである。この場合、自車両の現在のフレームの意図判定がゲーム・オブジェクトに割り込む戦略が、現在のフレームに対する実現可能な解として選択される。フレーム間関連付けコスト値に対するペナルティ又は報酬に基づいて、自車両の現在のフレームの意図判定と先のフレームの意図判定とが一致することが確保され得、そのため、現在のフレームにおける自車両の運動状況と先のフレームにおける運動状況とが一致し、自車両の挙動判断が時間領域で安定化される。
【0176】
いくつかの実施形態では、フレーム間関連付けコスト値は、先のフレームの自車両の意図判定と現在のフレームの自車両の意図判定に基づく計算を介して取得されてもよいし、先のフレームのゲーム・オブジェクトの意図判定と現在のフレームのゲーム・オブジェクトの意図判定に基づく計算を介して取得されてもよいし、自車両とゲーム・オブジェクトに基づいて重み付けが実行された後に取得されてもよい。
【0177】
いくつかの実施形態では、図4に示すように、ステップS20において判断結果が決定された後に、以下のステップS30及び/又はS40がさらに含まれてもよい。
【0178】
S30:自車両は、その判断結果に基づいて縦方向/横方向制御量を生成し、そのため、自車両の走行系がその縦方向/横方向制御量を実行して、自車両の予想走行軌跡を実装する。
【0179】
いくつかの実施形態では、自車両の制御装置が、その判断結果に基づいて縦方向/横方向制御量を生成し、縦方向/横方向制御量を走行系13に送信し、そのため、走行系13が車両に対する、動力制御、操舵制御、及び制動制御を含む走行制御を実行する。このように、車両は、その判断結果に基づいて自車両の予想走行軌跡を実装する。
【0180】
S40:判断結果をユーザが理解できる方式でディスプレイ装置に表示する。
【0181】
自車両の走行判断結果は、自車両の挙動行動を含む。自車両の挙動行動と、現在のフレーム導出における判断開始瞬間において取得される自車両の運動状況とに基づいて、自車両の意図判定、例えば、割り込み、譲り、又は回避が予測され、自車両の予想走行軌跡がさらに予測されてもよい。いくつかの実施形態では、判断結果は、車両のコックピット内のディスプレイ装置に、例えば、予想走行軌跡、意図判定を示す矢印、意思判定を示すテキストなどの形態で、ユーザが理解可能な方式で表示される。いくつかの実施形態では、予想走行軌跡が表示されるときに、車両のコックピット内のディスプレイ装置に、車両の現在の交通シナリオ(例えば、グラフィカル交通シナリオ)を参照して、予想走行軌跡を部分拡大図の形態で表示してもよい。いくつかの実施形態では、音声再生システムがさらに含まれてもよい。音声再生方式では、ユーザに対して、意図判定又は判定された戦略ラベルを促してもよい。
【0182】
いくつかの実施形態では、自車両と自車両の非ゲーム・オブジェクトとの間の一方向対話判断、又は自車両のゲーム・オブジェクトと自車両のゲーム・オブジェクトの非ゲーム・オブジェクトとの間の一方向対話判断を考慮して、図9に示す別の実施形態では、ステップS10~ステップS20までの間に、以下のステップが更に含まれてもよい。
【0183】
S15:非ゲーム・オブジェクトの運動状況に基づいて、自車両又はゲーム・オブジェクトの戦略空間を制約する。
【0184】
いくつかの実施形態では、自車両の各サンプリング次元における値域は、自車両の非ゲーム・オブジェクトの運動状況に基づいて制約されてもよい。
【0185】
いくつかの実施形態では、自車両のゲーム・オブジェクトの各サンプリング次元における値域は、自車両のゲーム・オブジェクトの非ゲーム・オブジェクトの運動状況に基づいて制約されてもよい。
【0186】
いくつかの実施形態では、値域は、サンプリング次元における1つ以上のサンプリング範囲であってもよいし、複数の離散的なサンプリング点であってもよい。制約後の値域は、部分的な値域であってもよい。
【0187】
いくつかの実施形態では、ステップS15は 自車両と自車両の非ゲーム・オブジェクトとの間の一方向対話のプロセスにおいて、非ゲーム・オブジェクトの運動状況の制約の下で、自車両の各サンプリング次元における値域を決定することか、又は、自車両のゲーム・オブジェクトと自車両のゲーム・オブジェクトの非ゲーム・オブジェクトとの間の一方向対話のプロセスにおいて、自車両のゲーム・オブジェクトの非ゲーム・オブジェクトの運動状況の制約の下で、自車両のゲーム・オブジェクトの各サンプリング次元における値域を決定することを含む。
【0188】
非ゲーム・オブジェクトは、対話型ゲームに参加せず、非ゲーム・オブジェクトの運動状況は変化しないままである。したがって、自車両のゲーム・オブジェクトの運動状況に基づいて自車両の各サンプリング次元における値域が制約され、自車両のゲーム・オブジェクトの非ゲーム・オブジェクトの運動状況に基づいて自車両のゲーム・オブジェクトの各サンプリング次元における値域が制約された後に、再度ステップS20が実行される。これにより、自車両と自車両のゲーム・オブジェクトとの間の1台の車両対話型ゲームの判断プロセスにおけるゲーム空間及び戦略空間を縮小し、対話型ゲームの判断プロセスで使用されるコンピューティング能力を低減することに役立つ。
【0189】
いくつかの実施形態では、自車両に対する制約に基づいて、ステップS15は、最初に、自車両の非ゲーム・オブジェクトの運動状況を受信し、非ゲーム・オブジェクトの特徴量を観察することと、次いで、自車両と非ゲーム・オブジェクトとの間の競合区域を計算し、自車両の特徴量、すなわちクリティカル行動を決定する。上述したように、非ゲーム・オブジェクトの位置、速度、加速度、及び/又は走行軌跡に基づいて、回避、割り込み、又は譲りなどの自車両の意図判定に対応するクリティカル行動が計算され、自車両の各サンプリング次元における非ゲーム・オブジェクトに対する実現可能区間、すなわち、非ゲーム・オブジェクトに対する自車両の各サンプリング次元における制約された値域が生成される。
【0190】
いくつかの実施形態では、自車両のゲーム・オブジェクトに対する制約に基づいて、自車両に対する前述の制約と比較して、自車両が自車両のゲーム・オブジェクトに変更されて、非ゲーム・オブジェクトに対する自車両のゲーム・オブジェクトの各サンプリング次元における制約された値域を生成するようにしてもよい。
【0191】
いくつかの実施形態では、自車両が非ゲーム・オブジェクトCを有するときに、最初に、自車両Aと自車両のゲーム・オブジェクトBとの間の対話型ゲームの判断が実行されて、対応する戦略実現可能領域ABを決定し、自車両と非ゲーム・オブジェクトCの非ゲーム実現可能領域ACが導入され、戦略実現可能領域AB及び非ゲーム実現可能領域ACの共通部分が取得されて、最終の戦略実現可能領域ABCを取得し、最終の戦略実現可能領域に基づいて、自車両の走行判断結果が決定される。
【0192】
いくつかの実施形態では、自車両のゲーム・オブジェクトBが非ゲーム・オブジェクトDを有するときに、最初に、自車両Aと自車両のゲーム・オブジェクトBとの間の対話型ゲームの判断が実行されて、対応する戦略実現可能領域ABを決定し、自車両のゲーム・オブジェクトBの非ゲーム実現可能領域BDと自車両のゲーム・オブジェクトBの非ゲーム・オブジェクトDとが導入され、戦略実現可能領域AB及び非ゲーム実現可能領域BDの共通部分が取得されて、最終の実現可能領域ABDを取得し、最終の戦略実現可能領域に基づいて、自車両の走行判断結果が決定される。
【0193】
いくつかの実施形態では、自車両が非ゲーム・オブジェクトCを有し、自車両のゲーム・オブジェクトBが非ゲーム・オブジェクトDを有するときに、最初に、自車両Aと自車両のゲーム・オブジェクトBとの間の対話型ゲームの判断が実行されて、対応する戦略実現可能領域ABを決定し、自車両Aと非ゲーム・オブジェクトCの非ゲーム実現可能領域ACと、自車両のゲーム・オブジェクトBと自車両のゲーム・オブジェクトBの非ゲーム・オブジェクトDの非ゲーム実現可能領域BDとが導入され、戦略実現可能領域AB、非ゲーム実現可能領域AC、及び非ゲーム実現可能領域BDの共通部分が取得されて、最終の実現可能領域ABCDを取得し、最終の戦略実現可能領域に基づいて、自車両の走行判断結果が決定される。
【0194】
前述は、具体的には、自車両と単一ゲーム・オブジェクトの複数の戦略空間を順次解放することにより、自車両とゲーム・オブジェクトの実行可能な挙動行動ペアを決定するステップを説明した。いくつかの実施形態では、自車両が2つ以上のゲーム・オブジェクト、例えば、第1のゲーム・オブジェクトと第2のゲーム・オブジェクトとを含む2つのゲーム・オブジェクトを有するときに、この出願のこの実施形態で提供されるインテリジェント運転判断方法は、以下のステップを含む。
【0195】
ステップ1:自車両と第1のゲーム・オブジェクトの複数の戦略空間から、戦略空間の順次解放を実行し、第1のゲーム・オブジェクトに対する自車両の走行の戦略実現可能領域を決定する。第1のゲーム・オブジェクトに対する自車両の走行の戦略実現可能領域を決定することは、ステップS20と同様である。詳細は、ここでは再度説明されない。
【0196】
ステップ2:自車両と第2のゲーム・オブジェクトの複数の戦略空間から、戦略空間の順次解放を実行し、第2のゲーム・オブジェクトに対する自車両の走行の戦略実現可能領域を決定する。第2のゲーム・オブジェクトに対する自車両の走行の戦略実現可能領域を決定することは、ステップS20と同様である。詳細は、ここでは再度説明されない。
【0197】
ステップ3:自車両と各ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域に基づいて、自車両の走行判断結果を決定する。いくつかの実施形態では、各戦略実現可能領域に基づいて共通部分が取得されて、最終戦略実現可能領域を取得し、次いで、判断結果が、戦略実現可能領域に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、判断結果は、戦略実現可能領域において最小コスト値を有する挙動行動ペアであってもよい。
【0198】
以下、この出願の一実施形態で提供されるインテリジェント運転判断方法の特定の実装を説明する。この特定の実装は、依然として、車両が路面を走行する交通シナリオを一例として使用して説明される。図10に示すように、この特定の実施のシナリオは以下の通りである。すなわち、自車両101は、道路上で走行し、道路は、双方向の単車線であり、自車両103は、反対方向に走行し、すなわち、これは、対向ゲーム車両である。自車両の前方にあり、かつ道路を横断しようとする車両102が存在し、すなわち、これは、横断ゲーム車両である。図11に示すフローチャートを参照する。以下、この出願の特定の実装で提供される走行制御方法を詳細に説明する。本方法は、以下のステップを含む。
【0199】
S110:自車両は、環境情報取得装置11を介して、自車両の外部環境情報を取得する。
【0200】
このステップについては、ステップS11を参照のこと。詳細は、ここでは再度説明しない。
【0201】
S120:自車両は、ゲーム・オブジェクトと非ゲーム・オブジェクトを決定する。
【0202】
このステップについては、ステップS12を参照のこと。詳細は、ここでは再度説明しない。このステップでは、自車両のゲーム・オブジェクトが横断ゲーム車両であり、かつゲーム・オブジェクトが対向ゲーム車両であると決定される。
【0203】
S130:自車両と横断ゲーム車両の複数の戦略空間から、戦略空間の順次解放を実行し、自車両と横断ゲーム車両のゲーム結果を決定する。具体的には、以下のステップS131及びS132が含まれてもよい。
【0204】
S131:縦方向サンプリング次元を最初に解放し、次いで横方向サンプリング次元を解放するという原理に従って、自車両と横断ゲーム車両の縦方向加速度次元を解放する。
【0205】
自車両と横断ゲーム車両の多次元ゲーム空間から、自車両と横断ゲーム車両の縦方向加速度次元が解放され、自車両と横断ゲーム車両の第1の縦方向サンプリング戦略空間が広がる。自車両と横断ゲーム車両の車両縦方向/横方向動力学、運動学制約、自車両と横断ゲーム車両の相対位置関係及び相対速度関係を考慮し、かつ2台の車両が同じモビリティ能力を有することを考慮して、自車両と横断ゲーム車両の縦方向加速度の値域が両方とも[-4,3]と決定される。単位は、m/sであり、mは、メートルを表し、sは、秒を表す。自車両のコンピューティング能力と予め設定された判断精度とに基づいて、自車両と横断ゲーム車両のサンプリング間隔を、両方とも1m/sと決定する。
【表1】
【0206】
2次元の表で表示されたときに広がる戦略空間を表1に示す。表1では、第1の行は、自車両の縦方向加速度のすべての値Aeをリストし、第1の列は、横断ゲーム車両の縦方向加速度のすべての値Ao1をリストする。言い換えれば、今回解放される自車両と横断ゲーム車両の縦方向サンプリング戦略空間は、自車両と横断ゲーム車両の8×8、すなわち、64個の縦方向加速度挙動-動作ペアを含む。
【0207】
S132:各コスト関数などの各コスト値を決定するための予め定義された方法に従って、自車両と横断ゲーム車両の縦方向サンプリング戦略空間における各挙動行動ペアに対応するコスト値を計算し、戦略実現可能領域を決定する。
【0208】
表1の解放された64個の挙動行動ペアでは、自車両と横断ゲーム車両が9個のサンプリング行動を実行した後に、自車両と横断ゲーム車両によって構築された交通サブシナリオでは、通行性が非常に悪く(例えば、制動及び停止)、その行動は実現不可能な解である。表1では、これらの行動ペアは、ラベル「0」を使用して識別される。
【0209】
解放された64個の挙動行動ペアでは、自車両と横断ゲーム車両が39個のサンプリング行動を実行した後に、自車両と横断ゲーム車両によって構築された交通サブシナリオでは、安全性が非常に悪く(例えば、衝突)、行動は実現不可能な解である。表1では、これらの行動ペアは、ラベル「-1」を使用して識別される。
【0210】
解放された64個の挙動行動ペアにおいて、自車両と横断ゲーム車両が3+13、すなわち、16個のサンプリング行動を実行した後に、自車両と横断ゲーム車両によって構築された交通サブシナリオでは、安全性コスト値、快適性コスト値、通行性コスト値、横方向オフセット・コスト値、進行権コスト値、リスク区域コスト値、及びフレーム間関連付けコスト値の重み付け和が、予め設定されたコスト閾値よりも大きい。これは戦略空間における実現可能な解であり、自車両と横断ゲーム車両の戦略実現可能領域が形成される。
【0211】
縦方向サンプリング戦略空間は解放され、横方向オフセットは関与しない。したがって、横方向オフセット・コスト値は0である。現在のフレームに対して判定が行われ、先のフレームの判断結果は関与しない。したがって、フレーム間オフセット・コスト値は0である。
【0212】
この場合、自車両と横断ゲーム車両との間の対話型ゲームでは、縦方向サンプリング戦略空間において十分な実現可能な解が見つかり、横方向サンプリング次元において解を見つけ続ける必要はない。この場合、探索された挙動行動ペアの数は64であり、このラウンドのゲームは、より少ないコンピューティング能力とより少ないコンピューティング時間を消費する。
【0213】
追加的に、戦略実現可能領域内の各挙動行動ペアに対応するコスト値に基づいて、各挙動行動ペアに判断ラベルがさらに追加されてもよい。
【0214】
自車両と横断ゲーム車両が3つのサンプリング行動を実行した後に、自車両と横断ゲーム車両の挙動判断は、自車両が走行のために加速し、横断ゲーム車が走行のために減速することである。現在のフレーム導出における判断開始瞬間において取得された自車両と横断ゲーム車両の運動状況に基づいて、自車両と横断ゲーム車両が3つのサンプリング行動のうちのいずれか1つを実行した後に、自車両が横断ゲーム車両の前の競合区域を通過することが導出されてもよい。したがって、これらの挙動行動ペアに対応する意図判定は、自車両が横断ゲーム車両に割り込むことであると決定される。これに対応して、3つの挙動行動ペアに対して、自車両の割り込み判断ラベル、すなわち表1の「Cg」が設定される。
【0215】
自車両と横断ゲーム車両が13個のサンプリング行動を実行した後に、自車両と横断ゲーム車両の挙動判断は、横断ゲーム車両が走行のために加速し、自車両が走行のために減速することである。現在のフレーム導出における判断開始瞬間において取得された自車両と横断ゲーム車両の運動状況に基づいて、自車両と横断ゲーム車両が13個のサンプリング行動のうちのいずれか1つを実行した後に、横断ゲーム車両が自車両の前の競合区域を通過することが導出されてもよい。したがって、これらの挙動行動ペアに対応する意図判定は、横断ゲーム車両が自車両に割り込むことであると決定される。これに対応して、13個の挙動行動ペアに対して、横断ゲーム車両の割り込み判断ラベル、すなわち表1の「Cg」が設定される。
【0216】
S140:自車両と対向ゲーム車両の複数の戦略空間から、戦略空間の順次解放を実行し、自車両と対応ゲーム車両のゲーム結果を決定する。具体的には、以下のステップS141~S144が含まれてもよい。
【0217】
S141:最初に縦方向サンプリング次元を解放し、次いで、横方向サンプリング次元を解放するという原理に従い、自車両と対向ゲーム車両の縦方向サンプリング次元を解放し、自車両と対向ゲーム車両の第1の縦方向サンプリング戦略空間を広げる。
【0218】
自車両と対向ゲーム車両の多次元ゲーム空間から、自車両と対向ゲーム車両の縦方向加速度次元が解放され、自車両と対向ゲーム車両の第1の縦方向サンプリング戦略空間が広がる。自車両と対向車両の縦方向/横方向動力学、運動学制約、自車両と対向ゲーム車両の相対位置関係及び相対速度関係を考慮して、自車両と対向車両の縦方向加速度の値域が両方とも[-4,3]と決定される。単位は、m/sである。自車両と対向ゲーム車両のサンプリング間隔は、両方とも1m/sと決定される。
【0219】
2次元の表で表示されたときに広がる戦略空間を表2に示す。表2では、第1の行は、自車両の縦方向加速度のすべての値Aeをリストし、第1の列は、対向ゲーム車両の縦方向加速度のすべての値Ao2をリストする。言い換えれば、今回解放される自車両と対向ゲーム車両の縦方向サンプリング戦略空間は、自車両と対向ゲーム車両の8×8、すなわち、総64個の縦方向加速度挙動動作ペアを含む。
【表2】
【0220】
S142:各コスト関数などの各コスト値を決定するための予め定義された方法に従って、自車両と対向ゲーム車両の縦方向サンプリング戦略空間における各挙動行動ペアに対応するコスト値を計算し、戦略実現可能領域を決定する。
【0221】
解放された64個の挙動行動ペアでは、自車両と対向ゲーム車両が9個のサンプリング行動を実行した後に、自車両と対向ゲーム車両によって構築された交通サブシナリオでは、通行性が非常に悪く(例えば、制動及び停止)、その行動は実現不可能な解である。表2では、これらの行動ペアは、ラベル「0」を使用して識別される。
【0222】
解放された64個の挙動行動ペアでは、自車両と対向ゲーム車両が55個のサンプリング行動を実行した後に、自車両と対向ゲーム車両によって構築された交通サブシナリオでは、安全性が非常に悪く(例えば、衝突)、行動は実現不可能な解である。表2では、これらの行動ペアは、ラベル「-1」を使用して識別される。
【0223】
言い換えれば、自車両と対向車両とが、解放された64個の挙動行動ペアを実行した後に、自車両と対向車両とによって構築される交通サブシナリオでは、安全性コスト値又は通行性コスト値が、予め設定されたコスト閾値よりも大きくなる。1回目に解放された戦略空間には実現可能な解がなく、自車両と対向車の戦略実現可能領域はヌルである。
【0224】
S143:自車両の横方向オフセット次元を解放し、自車両と対向ゲーム車両の第2の戦略空間を、自車両と対向ゲーム車両の縦方向加速度次元で広げる。
【0225】
具体的には、自車両の横方向オフセット次元のいくつかの値と、自車両と対向車両の縦方向方向加速度次元のいくつかの値とが解放され、自車両と対向車両の第2の戦略空間が広がる。
【0226】
最初に、自車両と対向車両の多次元ゲーム空間から、自車両と対向車両の横方向オフセット次元で広がる最大横方向サンプリング戦略空間が決定される。図10は、横方向オフセット・サンプリングのために2台の車両の各々に対して決定される横方向サンプリング動作の概略図である。言い換えれば、複数の横方向オフセット挙動行動は、車両によって実行され得る複数の平行な横方向オフセット軌跡に対応する。
【0227】
自車両と対向車両の縦方向/横方向動力学、運動学制約、自車両と対向ゲーム車両の相対位置関係及び相対速度関係を考慮して、自車両と対向車両の縦方向オフセット値域が両方とも[-3,3]と決定される。単位は、mであり、mは、メートルを表す。サンプリング中に、自車両のコンピューティング能力と予め設定された判定精度とに基づいて、自車両と対向ゲーム車両のサンプリング間隔を、両方とも1 mと決定する。この場合、自車両と対向車両の解放された横方向サンプリング戦略空間は、表3の上部のサブテーブルに示すように、2次元のテーブルで表示される。表3の上部のサブテーブルでは、第1の行は、自車両の横方向オフセットのすべての値Oeをリストし、第1の列は、対向車の横方向オフセットのすべての値Oo2をリストする。したがって、自車両と対向ゲーム車両の横方向オフセット次元で広がる横方向サンプリング戦略空間は、最大7×7、すなわち、自車両と対向ゲーム車両の49個の横方向オフセット挙動行動ペアを含む。
【0228】
車両が走行するときに、車両は、縦方向挙動行動を取らなければ、独立して横方向オフセットを行うことができない。したがって、自車両と対向車両の横方向サンプリング戦略空間を解放しつつ、自車両と対向車両の複数の挙動行動ペアを縦方向加速度次元で解放する必要がある。
【0229】
コンピューティング能力を低減し、コンピューティング・リソースを低減するために、今回の解放中に、自車両の横方向オフセット次元のいくつかの値のみが解放される。追加的に、自車両の横方向オフセット次元のいくつかの値と、自車両と対向ゲーム車両の縦方向サンプリング次元及び縦方向加速度次元のいくつかの値は、2回目に解放された戦略空間に広がる。この場合、対向車両の横方向オフセット値は、0である。表3の上部のサブテーブルに示すように、横方向サンプリング戦略空間から、対向車の横方向オフセット値が、0であり、自車両の横方向オフセット値が、-3、-2、-1、0、1、2又は3であり、それぞれ7つの横方向オフセット挙動行動ペアを形成する。7つの横方向オフセット挙動行動ペアは、先行して解放された自車両と対向車両の64個の縦方向加速度挙動行動ペア(表2に示すように)と別個に組み合わされて、7×64、すなわち、448個の挙動行動ペアを取得する。この場合、各挙動行動ペアでは、対向ゲーム車両の横方向オフセット値は、0である。自車両と対向ゲーム車両の縦方向加速度サンプリングに対応する戦略空間では、最大64個の挙動行動ペアがリリースされてもよい。これと比較して、この場合に解放される挙動行動ペアの数は6倍増加し、1回目に解放された数の7倍になる。
【0230】
S144:各コスト関数などの各コスト値を決定するための方法に従って、自車両の横方向オフセット次元におけるいくつかの値と自車両と対向ゲーム車両の縦方向加速度次元におけるいくつかの値で広がる2回目に解放される戦略空間における各挙動行動ペアに対応するコスト値を別個に計算して、戦略実現可能領域を決定する。
【0231】
表3の下部のサブテーブルに示すように、自車両の横方向オフセット値が1であるときに、自車両と対向ゲーム車両の解放された64個の縦方向加速度挙動動作ペアにおいて、自車両と対向ゲーム車両が16個のサンプリング行動を実行した後に、自車両と対向ゲーム車両によって構築された交通サブシナリオでは、通行性が悪すぎ(例えば、制動及び停止)、行動は、実現不能な解である。表3では、これらの行動は、ラベル「0」を使用して識別される。
【0232】
自車両の横方向オフセット値が1であるときに、自車両と対向ゲーム車両の解放された64個の縦方向加速度挙動動作ペアにおいて、自車両と対向ゲーム車両が48個のサンプリング行動を実行した後に、自車両と対向ゲーム車両によって構築された交通サブシナリオにおいて、安全性、快適性、通行性、横方向オフセット・コスト値、進行権コスト値、リスク区域コスト値、及びフレーム間関連付けコスト値の重み付け和が、予め設定されたコスト閾値よりも大きくなる。これは戦略空間における実現可能な解であり、自車両と対向ゲーム車両の戦略実現可能領域が形成される。表3では、48個の行動ペアは、ラベル「1」を使用して識別される。この場合、対話型ゲームは現在のフレームにあり、先のフレームの判断結果は関与しない。したがって、フレーム間関連付けコスト値は0である。
【0233】
このとき、自車両と対向車両との間の対話型ゲームでは48個の実現可能な解が見つかっており、自車両と対向車両との間のゲーム空間で解を探し続ける必要はない。探索された挙動行動ペアの総数は64であり、このラウンドのゲームは、より少ないコンピューティング能力とより少ないコンピューティング時間を消費する。
【0234】
すなわち、対向車両の横方向オフセット値が0であり、自車両の横方向オフセット値が1である横方向オフセット挙動動作ペアが、先に解放された自車両と対向車両の64個の縦方向加速度挙動動作ペアと別個に組み合わされて、64個の挙動行動ペアを取得し、そのうち、48個の実行可能な解(実行可能解は、影及びシェーディング付きで表3に示されている)が存在する。これらの実現可能な解は、自車両と対向ゲーム車両の戦略実現可能領域に追加される。
【0235】
これは、自車両が1mだけ右に横方向にオフセットした後(自車両が基準ととして使用され、右への横方向オフセットが正、左への横方向オフセットが負)に、自車両と対向車が既に横方向にぐらついているため、自車両と対向車の縦方向サンプリング戦略空間では、戦略実現可能領域は、両車両が制動され停止する場合を除く全ての場合をカバーする(行動ペアは、シェーディング付きで表3に示されている)。
【0236】
また、表2と比較して、表3の下段のサブテーブルにおける自車両と対向車の縦方向加速度がすべて-1であるときに、対応する挙動行動ペアのラベルは、「-1」から「0」に調整される。これは、自車両が1m右に横方向にオフセットするときに、自車両と対向ゲーム車両とが衝突リスクをもはや有さなくなるためである。これらの挙動行動ペアがマッピングされた、対向ゲーム車両と自車両によって構築された交通シナリオでは、通行性が悪く(制動及び停止)、行動は、依然として実現不能な解である。しかし、ラベルは、「-1」から「0」に調整される。
【0237】
追加的に、この場合、自車両と対向車についても意図判定が決定され、戦略ラベルが設定されてもよい。詳細は、ステップS132を参照のこと。詳細は、ここでは再度説明されない。
【表3】
【0238】
自車両と対向車両の戦略空間を解放するために、自車両の横方向オフセット次元から複数のサンプリング値が選択されてもよい。例えば、自車両の横方向オフセット値は、それぞれ2又は3であり、自車両と対向ゲーム車両の縦方向加速度サンプリング戦略空間と共に、より多くの戦略空間が広がる。
【0239】
本実施形態では、対向ゲーム車両の横方向オフセット値が0であり、自車両の横方向オフセット値が1である横方向オフセット挙動行動ペアと、先に解放された自車両と対向ゲーム車両の64個の縦方向加速度挙動行動ペアとが、2回目に解放される戦略空間を広げるために使用される。追加的に、48個の実現可能な解が戦略空間において見つかる。したがって、他の戦略空間を解放する必要はない。このように、対話型ゲームが、より少ないコンピューティング能力及びより少ないコンピューティング時間を消費する。
【表4】
【0240】
S150:自車両と対向ゲーム車両の戦略実現可能領域と、自車両と横断ゲーム車両の戦略実現可能領域との共通部分を取得し、自車両のゲーム結果を決定する。
【0241】
自車両と横断ゲーム車両の戦略実現可能領域と、自車両と対向ゲーム車両の戦略実現可能領域との決定された共通部分に基づいて、両方の共通実現可能領域が見つかり、その共通実現可能領域から最小のコスト値(すなわち、最良のゲイン)を有する実現可能な解が見つかる。
【0242】
表4は、表3の自車両と対向車両の戦略実現可能領域と、表1の自車両と横断ゲーム車両の戦略実現可能領域との共通実現可能領域から見つかる、最小のコスト値(すなわち、最良のゲイン)を有する実現可能な解を示す。実現可能な解は、自車両、対向車両、及び横断ゲーム車両のゲーム判断行動ペアであり、自車両の縦方向加速度、対向車両の縦方向加速度、自車両の横方向オフセット、及び横断ゲーム車両の縦方向加速度によって組み合わされた多次元挙動行動ペアである。
【0243】
言い換えれば、自車両は、譲りのために-2m/sの縦方向加速度で減速し、1mだけ右に横方向にオフセットして、対向ゲーム車両を回避する。通行性を確保するために、横断ゲーム車両は、1m/sの縦方向加速度で加速して、競合区域を通過し、対向ゲーム車両は、1m/sの縦方向加速度で加速して、競合区域を通過する。
【0244】
自車両、対向車両、横断ゲーム車両によって挙動行動が実行された後に、意図判定は、以下のように別個である。すなわち、横断ゲーム車両は、自車両に割り込み、対向ゲーム車両は、自車両に割り込み、自車両は、右側に向かって横方向に走行して対向ゲーム車両を回避し、自車両は、横断ゲーム車両に譲る。
【0245】
S160:自車両のゲーム結果から判断結果を選択し、最小コスト値に対応する行動ペアを選択し、その行動ペアに基づいて、自車両の実行可能な行動を決定し、自車両の実行可能な行動は、行動を実行するように自車両を制御するために使用されてもよい。
【0246】
いくつかの実施形態では、ゲーム結果における複数の戦略実現可能領域に対して、コスト値に基づいて、行動ペアが判断結果として選択されてもよい。
【0247】
いくつかの実施形態では、ゲーム結果における戦略実現可能領域の複数の解(すなわち、挙動行動ペア)に対して、各解に対して連続的な複数フレーム導出がさらに実行されてもよく、すなわち、時間的サンプリング次元が解放されて、時間的一貫性が比較的良い挙動行動ペアを自車両の走行判断結果として選択する。詳細については、図7の説明を参照のこと。
【0248】
図12に示すように、この出願は、インテリジェント運転判断装置の対応する実施形態をさらに提供する。装置の有利な効果又は装置によって解決されるべき技術的課題については、各装置に対応する方法における説明を参照するか、又は概要の説明を参照のこと。詳細は、ここでは再度説明されない。
【0249】
インテリジェント運転判断装置の一実施形態では、インテリジェント運転判断装置100は、自車両のゲーム・オブジェクトを取得するように構成された取得モジュール110を含む。具体的には、取得モジュール110は、ステップS10、若しくはステップS110及びステップS120、又はこのステップに対応する各任意選択の実施形態を実行するように構成されている。
【0250】
インテリジェント運転判断装置100は、自車両とゲーム・オブジェクトの複数の戦略空間から、複数の戦略空間の複数回の解放を実行し、複数回の解放のうちの1回を実行した後に、解放された各戦略空間に基づいて、自車両とゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域を決定し、戦略実現可能領域に基づいて、自車両の走行判断結果を決定するように構成された処理モジュール120を含む。具体的には、処理モジュール120は、ステップS20~S40、又はステップS20~S40に対応する各任意選択の実施形態を実行するように構成されている。
【0251】
いくつかの実施形態では、複数の戦略空間の次元は、縦方向サンプリング次元、横方向サンプリング次元、又は時間的サンプリング次元のうちの少なくとも1つを含む。
【0252】
いくつかの実施形態では、複数の戦略空間の複数回の解放を実行することは、縦方向サンプリング次元、横方向サンプリング次元、及び時間的サンプリング次元の順序で解放を実行することを含む。
【0253】
いくつかの実施形態では、自車両とゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域が決定されるときに、自車両又はゲーム・オブジェクトの安全性コスト値、進行権コスト値、横方向オフセット・コスト値、通行性コスト値、快適性コスト値、フレーム間関連付けコスト値、及びリスク区域コスト値のうちの1つ以上に基づいて、戦略実現可能領域における挙動行動ペアの総コスト値が決定される。
【0254】
いくつかの実施形態では、挙動行動ペアの総コスト値が、2つ以上のコスト値に基づいて決定されるときに、コスト値の各々は、異なる重みを有する。
【0255】
いくつかの実施形態では、ゲーム・オブジェクトが2つ以上存在するときに、自車両の走行判断結果は、自車両と各ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域に基づいて決定される。
【0256】
いくつかの実施形態では、取得モジュール110は、自車両の非ゲーム・オブジェクトを取得するようにさらに構成されている。処理モジュール120は、自車両と非ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域を決定することであって、自車両と非ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域は、非ゲーム・オブジェクトに対する自車両の実行可能な挙動行動を含む、ことと、自車両と非ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域に少なくとも基づいて、自車両の走行判断結果を決定することと、を行うようにさらに構成されている。
【0257】
いくつかの実施形態では、処理モジュール120は、自車両の走行判断結果の戦略実現可能領域を、自車両と各ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域の共通部分に基づいて決定するか、又は自車両の走行判断結果の戦略実現可能領域を、自車両と各ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域と、自車両と各非ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域との共通部分に基づいて決定するようにさらに構成されている。
【0258】
いくつかの実施形態では、取得モジュール110は、自車両の非ゲーム・オブジェクトを取得するようにさらに構成されている。処理モジュール120は、非ゲーム・オブジェクトの運動状況に基づいて、自車両に対応する縦方向サンプリング戦略空間を制約するか、又は自車両に対応する横方向サンプリング戦略空間を制約するようにさらに構成されている。
【0259】
いくつかの実施形態では、取得モジュール110は、自車両のゲーム・オブジェクトのの非ゲーム・オブジェクトを取得するようにさらに構成されている。処理モジュール120は、非ゲーム・オブジェクトの運動状況に基づいて、自車両のゲーム・オブジェクトに対応する縦方向サンプリング戦略空間を制約するか、又は自車両のゲーム・オブジェクトに対応する横方向サンプリング戦略空間を制約するようにさらに構成されている。
【0260】
いくつかの実施形態では、共通部分が空集合であるときに、自車両の保守的走行判定が実行される。この保守的判定は、自車両を安全に停止させる動作、又は自車両を走行のために安全に減速させる動作を含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、ゲーム・オブジェクト又は非ゲーム・オブジェクトは、アテンションによって決定される。
【0262】
いくつかの実施形態では、処理モジュール120は、ヒューマン-コンピュータ対話インターフェースを介して、自車両の走行判断結果、判断結果の戦略実現可能領域、自車両の走行判断結果に対応する自車両の走行軌跡、又は自車両の走行判断結果に対応するゲーム・オブジェクトの走行軌跡のうちの少なくとも1つを表示するようにさらに構成されている。
【0263】
自車両の走行判断結果は、現在の単一フレーム導出の判断結果であってもよいし、実行された複数の単一フレーム導出のそれぞれに対応する判断結果であってもよい。この判断結果は、自車両によって実行される挙動行動であってもよいし、ゲーム・オブジェクトによって実行される挙動行動であってもよいし、自車両によって実行される挙動行動に対応する意図判定、例えば、割り込み、譲り、回避などの表1のCg、又はCyであってもよい。
【0264】
判断結果の戦略実現可能領域は、現在の単一フレーム導出の戦略実現可能領域であってもよいし、実行された複数の単一フレーム導出のそれぞれに対応する戦略実現可能領域であってもよい。
【0265】
自車両の走行判断結果に対応する自車両の走行軌跡は、1ステップの判断における最初の単一フレーム導出に対応する自車両の走行軌跡、例えば図7のT1であってもよいし、1ステップの判断における実行された複数の単一フレーム導出を順次接続することによって得られる自車両の走行軌跡、例えば図7のT1、T2及びTnであってもよい。
【0266】
自車両の走行判断結果に対応するゲーム・オブジェクトの走行軌跡は、1ステップの判断における最初の単一フレーム導出に対応するゲーム・オブジェクトの走行軌跡、例えば図7のT1であってもよいし、1ステップの判断における実行された複数の単一フレーム導出を順次接続することによって得られるゲーム・オブジェクトの走行軌跡、例えば図7のT1、T2及びTnであってもよい。
【0267】
図13に示すように、本発明の一実施形態は、以下のステップを含む車両走行制御方法をさらに提供する。
【0268】
S210:車両の外部にある障害物の情報を取得する。
【0269】
S220:障害物情報に基づいて、上述したインテリジェント運転判断方法のいずれか1つに従って、車両の走行判断結果を判定する。
【0270】
S230:判断結果に基づいて、車両の走行を制御する。
【0271】
図14に示すように、この出願の一実施形態は、車両の外部にある障害物を取得するように構成された取得モジュール210と、障害物に対して、前述のインテリジェント運転判断方法のいずれか1つに従って、車両の走行判断結果を決定するように構成された処理モジュール220と、を含む、車両走行制御装置200をさらに提供し、この処理モジュールは、判断結果に基づいて、車両の走行を制御するようにさらに構成されている。
【0272】
図15に示すように、この出願の実施形態は、前述の車両走行制御装置200と走行系250とを含む車両300をさらに提供する。車両走行制御装置200は、走行系250を制御する。いくつかの実施形態では、走行系250は、図2の走行系13を含んでもよい。
【0273】
図16は、この出願の一実施形態によるコンピューティング・デバイス400の構造の概略図である。コンピューティング・デバイス400は、プロセッサ410とメモリ420とを含み、さらに通信インターフェース430を含んでもよい。
【0274】
図16に示すコンピューティング・デバイス400内の通信インターフェース430は、別のデバイスと通信するように構成されてもよいことを理解されたい。
【0275】
プロセッサ410は、メモリ420に接続されてもよい。メモリ420は、プログラム・コード及びデータを記憶するように構成されてもよい。したがって、メモリ420は、プロセッサ410内の記憶ユニットであってもよいし、プロセッサ410とは独立した外部記憶ユニットであってもよいし、プロセッサ410内の記憶ユニットとプロセッサ410とは独立した外部記憶ユニットとを含む構成要素であってもよい。
【0276】
任意選択で、コンピューティング・デバイス400は、バスをさらに含んでもよい。メモリ420及び通信インターフェース430は、バスを介してプロセッサ410に接続されてもよい。バスは、周辺構成要素相互接続(Peripheral Component Interconnect、PCI)標準バス、拡張産業標準アーキテクチャ(Extended Industry Standard Architecture、EISA)バスなどであってもよい。バスは、アドレス・バス、データ・バス、制御バスなどに分類されてもよい。
【0277】
この出願のこの実施形態では、プロセッサ410は、中央処理ユニット(central processing unit、CPU)であってもよいことを理解されたい。プロセッサは代替的に、別の汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、特定用途向け集積回路(Application-specific integrated circuit、ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・マトリックス(field-programmable gate array、FPGA)、又は別のプログラマブル論理デバイス、ディスクリート・ゲート若しくはトランジスタ論理デバイス、ディスクリート・ハードウェア・コンポーネントなどであってもよい。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいし、プロセッサは、任意の従来のプロセッサなどであってもよい。代替的には、プロセッサ410は、1つ以上の集積回路を使用することによって関連するプログラムを実行して、この出願の実施形態において提供される技術的解決策を実装するように構成されている。
【0278】
メモリ420は、読み出し専用メモリ及びランダム・アクセス・メモリを含み、命令及びデータをプロセッサ410に提供してもよい。プロセッサ410の一部は、不揮発性ランダム・アクセス・メモリをさらに含んでもよい。例えば、プロセッサ410は、デバイス・タイプ情報をさらに記憶してもよい。
【0279】
コンピューティング・デバイス400が実行されると、プロセッサ410は、メモリ420内のコンピュータ実行可能命令を実行して、前述の方法の動作ステップを実行する。
【0280】
この出願のこの実施形態によるコンピューティング・デバイス400は、この実施形態による方法の実行主体に対応してもよく、コンピューティング・デバイス400内のモジュールの前述及び他の動作及び/又は機能は、この実施形態における方法の対応する手順を実装するために別個に実装されることが意図される。簡単にするために、詳細は、ここでは再度説明されない。
【0281】
当業者であれば、本明細書に開示された実施形態を参照して、説明された例におけるユニット及びアルゴリズム・ステップが、電子ハードウェア又はコンピュータ・ソフトウェアと電子ハードウェアの組み合わせによって実装され得ると認識するであろう。機能がハードウェアによって実行されるのか、ソフトウェアによって実行されるのかは、特定の用途と技術的解決策の設計上の制約に依存する。当業者であれば、特定のアプリケーションごとに、説明された機能を実装するために異なる方法を使用してもよいが、その実装がこの出願の範囲を超えると考えられるべきでない。
【0282】
便利で簡単な説明のために、前述のシステム、装置、及びユニットの詳細な作業プロセスについては、前述の方法の実施形態の対応するプロセスが参照されてもよく、詳細は、ここでは再度説明されないことが当業者によって明らかに理解されよう。
【0283】
この出願で提供されるいくつかの実施形態では、開示されたシステム、装置、及び方法は、他の方式で実装され得ると理解されたい。例えば、説明された装置の実施形態は、例にすぎない。例えば、ユニットへの分割は、単に論理機能分割であり、実際の実装においては他の分割であってもよい。例えば、複数のユニット又はコンポーネントが別のシステムに組み合わされたり、統合されたりしてもよいし、いくつかの特徴が無視されるか、又は実行されなくてもよい。追加的に、表示又は議論された相互結合、直接結合、又は通信接続は、いくつかのインターフェースを介して実装されてもよい。装置又はユニット間の間接結合又は通信接続は、電子的、機械的、又は他の形態において実装されてもよい。
【0284】
別個の部分として説明されたユニットは、物理的に別個であってもなくてもよいし、ユニットとして表示されている部分が、物理的ユニットであってもなくてもよいし、1つの位置に位置していてもよいし、複数のネットワーク・ユニットに分散されてもよい。ユニットの一部又は全部は、実施形態の解決策の目的を達成するために、実際の要件に基づいて選択されてもよい。
【0285】
追加的に、本出願の実施形態における機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合されてもよく、ユニットの各々は、物理的に単独で存在してもよく、又は2つ以上のユニットが1つのユニットに統合される。
【0286】
機能がソフトウェア機能ユニットの形態で実装され、独立した製品として販売又は使用されるときに、機能は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解に基づいて、本出願の技術的解決策が、本質的にソフトウェア製品の形式で実装されてもよいし、従来技術に寄与する部分が、ソフトウェア製品の形式で実装されてもよいし、技術的解決策の一部が、ソフトウェア製品の形式で実装されてもよい。コンピュータ・ソフトウェア製品は、記憶媒体に記憶され、コンピュータ・デバイス(パーソナル・コンピュータ、サーバ、又はネットワーク・デバイスなどであってもよい)に、この出願の実施形態で説明された方法のステップの全部又は一部を実行させるように指示するための複数の命令を含む。記憶媒体は、USBフラッシュ・ドライブ、リムーバブル・ハード・ディスク、読み出し専用メモリ(Read-Only Memory、ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(Random-Access Memory、RAM)、磁気ディスク、又は光ディスクなど、プログラム・コードを記憶し得る任意の媒体を含む。
【0287】
この出願の一実施形態は、コンピュータ可読記憶媒体をさらに提供する。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ・プログラムを記憶する。プログラムは、プロセッサによって実行されるときに、前述の方法を実行するために使用される。その方法は、前述の実施形態に説明された解決策のうちの少なくとも1つを含む。
【0288】
この出願のこの実施形態によるコンピュータ記憶媒体は、1つ以上のコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせであってもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。コンピュータ可読媒体は、電気、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体システム、装置、若しくはデバイス、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより詳細な例(非排他的なリスト)は、1つ以上のワイヤを有する電気接続、ポータブル・コンピュータ・ディスク、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブル・コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、又はそれらの任意の好適な組み合わせを含む。この明細書では、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置又はデバイスによってか、又はそれらと組み合わせて使用するためのプログラムを含むか、又は記憶する任意の有形媒体であってもよい。
【0289】
コンピュータ可読信号媒体は、ベースバンドで伝搬されるか、又は搬送波の一部として伝搬されるデータ信号を含んでもよく、その中でコンピュータ可読プログラム・コードが搬送される。このような伝搬データ信号は、限定されるものではないが、電磁信号、光信号、又はそれらの任意の好適な組み合わせを含む、様々な形態であってもよい。コンピュータ可読信号媒体は、代替的には、コンピュータ可読信号媒体以外の任意のコンピュータ可読媒体であってもよい。コンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって使用されるか、又は命令実行システム、装置、又はデバイスと組み合わせて使用されるプログラムを送信、伝播、又は伝送してもよい。
【0290】
コンピュータ可読媒体に含まれるプログラム・コードは、Wi-Fi、ワイヤ、光ケーブル、RFなど、又はそれらの任意の好適な組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の好適な媒体を使用することによって伝送されてもよい。
【0291】
この出願における動作を実行するためのコンピュータ・プログラム・コードは、1つ以上のプログラミング言語、又はそれらの組み合わせで書かれてもよい。プログラミング言語は、Java、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語を含み、また、「C」言語、同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む。プログラム・コードは、ユーザ・コンピュータ上で完全に実行されてもよいし、いくつかは、ユーザ・コンピュータ上で実行されてもよいし、別個のソフトウェア・パッケージとして実行されてもよいし、いくつかは、ユーザ・コンピュータ上で実行されつつ、いくつかは、リモート・コンピュータ上で実行されてもよいし、又はコードは、リモート・コンピュータ又はサーバ上で完全に実行されてもよい。リモート・コンピュータが関与するときに、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)又はワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザ・コンピュータに接続されてもよいし、外部コンピュータに接続されてもよい(例えば、インターネットを介してインターネット・サービス・プロバイダを使用することによって接続される)。
【0292】
この明細書及び特許請求の範囲では、「第1、第2、第3など」という用語、又はモジュールA、モジュールB、及びモジュールCなどの同様の用語は、同様のオブジェクトを区別するために使用されるにすぎず、オブジェクトの特定の順序を表すものではない。特定の順序又はシーケンスは、本明細書に説明されるこの出願の実施形態が、本明細書に例示されるか、又は説明される順序以外の順序で実装され得るように、可能であれば、交換され得ることが理解されよう。
【0293】
なお、上記の説明では、S116、S124などのステップ番号は、ステップがシーケンスに従って実行されることを必ずしも示さない。可能であれば、ステップのシーケンスが交換されてもよいし、ステップが同時に実行されてもよい。
【0294】
この明細書及び特許請求の範囲において使用される「含む」及び「備える」という用語は、以下に列挙される内容に限定されると解釈されるべきではなく、他の要素又はステップを排除しない。言及された特徴、全体、ステップ、又は部分の存在を指定するものとして解釈されるべきであるが、1つ以上の他の特徴、全体、ステップ、又は部分、及びそれらの組み合わせの存在又は追加を排除しない。したがって、「装置Aと装置Bとを含むデバイス」という表現は、構成要素Aと構成要素Bのみを含むデバイスに限定されるべきではない。
【0295】
この明細書において言及される「1つの実施形態」又は「ある実施形態」は、実施形態に関して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、この出願の少なくとも1つの実施形態に含まれることを示す。したがって、この明細書に現れる「一実施形態における」又は「ある実施形態における」という用語は、必ずしも同じ実施形態を示すものではないが、同じ実施形態を示してもよい。さらに、1つ以上の実施形態では、特定の特徴、構造、又は特性は、この開示から当業者に明らかなように、任意の好適な方式で組み合わされてもよい。上記は、この出願の例示的な実施形態及び技術的原則にすぎないことに留意されたい。当業者は、この出願がこの明細書に説明された特定の実施形態に限定されないことを理解してもよく、当業者は、この出願の保護範囲から逸脱することなく、様々な自明の変更、再調整、及び置換を行ってもよい。したがって、この出願は、上記の実施形態を参照して詳細に説明されるが、この出願は、上記の実施形態に限定されない。この出願の概念から逸脱することなく、より多くの他の同などの実施形態が含められてもよく、すべてがこの出願の保護範囲内に入る。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2024-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インテリジェント運転判断方法であって、
自車両のゲーム・オブジェクトを取得することと、
前記自車両と前記ゲーム・オブジェクトの複数の戦略空間から、前記複数の戦略空間の複数回の解放を実行し、前記複数回の解放のうちの1回を実行した後に、解放された各戦略空間に基づいて、前記自車両と前記ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域を決定し、前記戦略実現可能領域に基づいて、前記自車両の走行判断結果を決定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記複数の戦略空間の次元は、縦方向サンプリング次元、横方向サンプリング次元、及び時間的サンプリング次元のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の戦略空間の複数回の解放を実行することは、前記縦方向サンプリング次元、前記横方向サンプリング次元、及び前記時間的サンプリング次元の順序で前記解放を実行することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記自車両と前記ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域が決定されるときに、前記戦略実現可能領域における挙動行動ペアの総コスト値は、
前記自車両又は前記ゲーム・オブジェクトの安全性コスト値、進行権コスト値、横方向オフセット・コスト値、通行性コスト値、快適性コスト値、フレーム間関連付けコスト値、及びリスク区域コスト値のうちの1つ以上に基づいて決定される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記挙動行動ペアの前記総コスト値が、2つ以上のコスト値に基づいて決定されるときに、前記コスト値の各々は、異なる重みを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ゲーム・オブジェクトが2つ以上存在するときに、前記自車両の前記走行判断結果は、前記自車両と前記ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記自車両の非ゲーム・オブジェクトを取得することと、
前記自車両と前記非ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域を決定することと、
前記自車両と前記非ゲーム・オブジェクトの前記戦略実現可能領域に少なくとも基づいて前記自車両の前記走行判断結果を決定することと、をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記自車両の前記走行判断結果の戦略実現可能領域は、前記自車両と各ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域の共通部分に基づいて決定されるか、又は
前記自車両の前記走行判断結果の戦略実現可能領域は、前記自車両と各ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域と、前記自車両と各非ゲーム・オブジェクトの各戦略実現可能領域との共通部分に基づいて決定される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記自車両の非ゲーム・オブジェクトを取得することと、
前記非ゲーム・オブジェクトの運動状況に基づいて、前記自車両に対応する縦方向サンプリング戦略空間を制約するか、又は前記自車両に対応する横方向サンプリング戦略空間を制約することと、をさらに含む、請求項2~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記自車両の前記ゲーム・オブジェクトの非ゲーム・オブジェクトを取得することと、
前記非ゲーム・オブジェクトの運動状況に基づいて、前記自車両の前記ゲーム・オブジェクトに対応する縦方向サンプリング戦略空間を制約するか、又は前記自車両の前記ゲーム・オブジェクトに対応する横方向サンプリング戦略空間を制約することと、をさらに含む、請求項2~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記共通部分が空集合であるときに、前記自車両の保守的走行判定が実行され、前記保守的走行判定は、前記自車両を安全に停止させる行動、又は前記自車両を走行のために安全に減速させる行動を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記ゲーム・オブジェクト又は非ゲーム・オブジェクトは、アテンションにより決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ヒューマン-コンピュータ対話インターフェースを介して、
前記自車両の前記走行判断結果、前記走行判断結果の前記戦略実現可能領域、前記自車両の前記走行判断結果に対応する前記自車両の走行軌跡、又は前記自車両の前記走行判断結果に対応する前記ゲーム・オブジェクトの走行軌跡のうちの少なくとも1つを表示することをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
インテリジェント運転判断装置であって、
自車両のゲーム・オブジェクトを取得するように構成された取得モジュールと、
前記自車両と前記ゲーム・オブジェクトの複数の戦略空間から、前記複数の戦略空間の複数回の解放を実行し、前記複数回の解放のうちの1回を実行した後に、解放された各戦略空間に基づいて、前記自車両と前記ゲーム・オブジェクトの戦略実現可能領域を決定し、前記戦略実現可能領域に基づいて、前記自車両の走行判断結果を決定するように構成された処理モジュールと、を含む、装置。
【請求項15】
車両走行制御方法であって、
車両の外部にある障害物を取得することと、
前記障害物に対して、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法を使用して、前記車両の走行判断結果を決定することと、
前記走行判断結果に基づいて、前記車両の走行を制御することと、を含む、方法。
【国際調査報告】