特表 2024-532696 ブロックチェーン支払いの方法及びシステム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公表特許公報(A)

(11)【公表番号】

(43)【公表日】2024-09-10

(54)【発明の名称】ブロックチェーン支払いの方法及びシステム

(51)【国際特許分類】

   H04L 9/32 20060101AFI20240903BHJP

   G06Q 10/06 20230101ALI20240903BHJP

【ＦＩ】

H04L9/32 200Z

G06Q10/06

【審査請求】有

【予備審査請求】未請求

(21)【出願番号】P 2024506577

(86)(22)【出願日】2022-07-25

(85)【翻訳文提出日】2024-03-14

(86)【国際出願番号】 US2022038139

(87)【国際公開番号】W WO2023014525

(87)【国際公開日】2023-02-09

(31)【優先権主張番号】17/391,490

(32)【優先日】2021-08-02

(33)【優先権主張国・地域又は機関】US

(81)【指定国・地域】

【公序良俗違反の表示】

（特許庁注：以下のものは登録商標）

１．ＢＬＵＥＴＯＯＴＨ

２．ＱＲコード

３．ＨＤＭＩ

４．ＵＮＩＸ

(71)【出願人】

【識別番号】500041363

【氏名又は名称】マスターカード インターナシヨナル インコーポレイテツド

(74)【代理人】

【識別番号】100147485

【弁理士】

【氏名又は名称】杉村 憲司

(74)【代理人】

【識別番号】230118913

【弁護士】

【氏名又は名称】杉村 光嗣

(74)【代理人】

【識別番号】100224683

【弁理士】

【氏名又は名称】齋藤 詩織

(72)【発明者】

【氏名】ソウミャジット ミトラ

(72)【発明者】

【氏名】ジャマル カーン

(72)【発明者】

【氏名】オスカー デュリス

(72)【発明者】

【氏名】サシャスリ ギーディパリ

(72)【発明者】

【氏名】シャシ ラグナンダン

【テーマコード（参考）】

5L010

【Ｆターム（参考）】

5L010AA06

(57)【要約】

トークン及びブロックチェーンの使用を介して給付支払いを容易にするための方法は、第１のコンピューティングシステムから、受給者識別子を含む受給者情報を受信することと、受給者情報に関連付けられた支払トークンと暗号鍵ペアの公開鍵を使用して生成された受取人の値とを含むブロックチェーンデータ項目を格納することと、第２のコンピューティングシステムから、支払トークンと、暗号鍵ペアの秘密鍵を使用して生成されたデジタル署名と、トランザクション口座データと、引き換え額とを含む引き換えメッセージを受信することと、暗号鍵ペアの公開鍵を使用してデジタル署名を検証することと、第１のコンピューティングシステムに、トランザクション口座データと引き換え額とを含む移転メッセージを送信することと、を含む。

【特許請求の範囲】

【請求項1】

トークン及びブロックチェーンの使用を介して給付支払いを容易にするための方法であって、
処理サーバの受信機によって、第１のコンピューティングシステムから受給者情報を受信することであって、前記受給者情報は少なくとも受給者識別子を含む、ことと、
ブロックチェーン内に、ブロックチェーンデータ項目を格納することであって、前記ブロックチェーンデータ項目は、少なくとも、前記受給者情報に関連付けられた支払トークンと、暗号鍵ペアの公開鍵を使用して生成された受取人の値と、を含む、ことと、
前記処理サーバの前記受信機によって、第２のコンピューティングシステムから引き換えメッセージを受信することであって、前記引き換えメッセージは、少なくとも、前記支払トークンと、前記暗号鍵ペアの秘密鍵を使用して生成されたデジタル署名と、トランザクション口座データと、引き換え額と、を含む、ことと、
前記処理サーバのプロセッサによって、前記暗号鍵ペアの前記公開鍵を使用して前記デジタル署名を検証することと、
前記処理サーバの送信機によって、前記第１のコンピューティングシステムに移転メッセージを送信することであって、前記移転メッセージは、少なくとも、前記トランザクション口座データと前記引き換え額とを含む、ことと、
を含む、方法。

【請求項2】

請求項１に記載の方法において、前記受給者情報は、前記支払トークンを含む、方法。

【請求項3】

請求項１に記載の方法において、
前記処理サーバの前記プロセッサによって、少なくとも受信された前記受給者情報に基づいて、前記支払トークンを生成すること、
をさらに含む、方法。

【請求項4】

請求項１に記載の方法において、
前記処理サーバの前記送信機によって、通知メッセージを第３のコンピューティングシステムに送信することをさらに含み、前記第３のコンピューティングシステムは、少なくとも前記受給者識別子に基づいて識別される、方法。

【請求項5】

請求項４に記載の方法において、前記通知メッセージは、前記暗号鍵ペアの前記秘密鍵を含む、方法。

【請求項6】

請求項４に記載の方法において、前記通知メッセージは、前記暗号鍵ペアの前記秘密鍵で符号化された機械可読コードを含む、方法。

【請求項7】

請求項４に記載の方法において、前記通知メッセージは、前記デジタル署名を含む、方法。

【請求項8】

請求項１に記載の方法において、
前記受給者情報は、通貨額をさらに含み、
前記引き換え額は、前記通貨額以下である、方法。

【請求項9】

請求項１に記載の方法において、
前記受給者情報は、前記支払トークンをさらに含み、
前記移転メッセージは、前記支払トークンをさらに含む、方法。

【請求項10】

請求項１に記載の方法において、
第４のコンピューティングシステムの受信機によって、前記第１のコンピューティングシステムから決済指示を受信することであって、前記決済指示は、少なくとも、前記トランザクション口座データと、前記引き換え額と、引出口座データと、を含む、ことと、
前記第４のコンピューティングシステムのプロセッサによって、前記引出口座データに関連付けられた第１のトランザクション口座から前記トランザクション口座データに関連付けられた第２のトランザクション口座への前記引き換え額の決済のために、電子決済トランザクションを開始することと、
をさらに含む、方法。

【請求項11】

トークン及びブロックチェーンの使用を介して給付支払いを容易にするためのシステムであって、
第１のコンピューティングシステムと、
第２のコンピューティングシステムと、
ブロックチェーンと、
処理サーバと、を含み、
前記処理サーバは、前記第１のコンピューティングシステムから受給者情報を受信する受信機を含み、前記受給者情報は少なくとも受給者識別子を含み、
前記ブロックチェーンは、ブロックチェーンデータ項目を格納し、前記ブロックチェーンデータ項目は、少なくとも、前記受給者情報に関連付けられた支払トークンと、暗号鍵ペアの公開鍵を使用して生成された受取人の値と、を含み、
前記処理サーバの前記受信機は、前記第２のコンピューティングシステムから引き換えメッセージをさらに受信し、前記引き換えメッセージは、少なくとも、前記支払トークンと、前記暗号鍵ペアの秘密鍵を使用して生成されたデジタル署名と、トランザクション口座データと、引き換え額と、を含み、
前記処理サーバは、
前記暗号鍵ペアの前記公開鍵を使用して前記デジタル署名を検証するプロセッサと、
前記第１のコンピューティングシステムに移転メッセージを送信する送信機であって、前記移転メッセージは、少なくとも、前記トランザクション口座データと前記引き換え額とを含む、送信機と、
をさらに含む、システム。

【請求項12】

請求項１１に記載のシステムにおいて、前記受給者情報は、前記支払トークンを含む、システム。

【請求項13】

請求項１１に記載のシステムにおいて、前記処理サーバの前記プロセッサは、少なくとも受信された前記受給者情報に基づいて、前記支払トークンをさらに生成する、システム。

【請求項14】

請求項１１に記載のシステムにおいて、
第３のコンピューティングシステムをさらに含み、
前記処理サーバの前記送信機は、通知メッセージを前記第３のコンピューティングシステムに送信し、前記第３のコンピューティングシステムは、少なくとも前記受給者識別子に基づいて識別される、システム。

【請求項15】

請求項１４に記載のシステムにおいて、前記通知メッセージは、前記暗号鍵ペアの前記秘密鍵を含む、システム。

【請求項16】

請求項１４に記載のシステムにおいて、前記通知メッセージは、前記暗号鍵ペアの前記秘密鍵で符号化された機械可読コードを含む、システム。

【請求項17】

請求項１４に記載のシステムにおいて、前記通知メッセージは、前記デジタル署名を含む、システム。

【請求項18】

請求項１１に記載のシステムにおいて、
前記受給者情報は、通貨額をさらに含み、
前記引き換え額は、前記通貨額以下である、システム。

【請求項19】

請求項１１に記載のシステムにおいて、
前記受給者情報は、前記支払トークンをさらに含み、
前記移転メッセージは、前記支払トークンをさらに含む、システム。

【請求項20】

請求項１１に記載のシステムにおいて、
第４のコンピューティングシステムをさらに含み、前記第４のコンピューティングシステムは、
前記第１のコンピューティングシステムから決済指示を受信する受信機であって、前記決済指示は、少なくとも、前記トランザクション口座データと、前記引き換え額と、引出口座データと、を含む、受信機と、
前記引出口座データに関連付けられた第１のトランザクション口座から前記トランザクション口座データに関連付けられた第２のトランザクション口座への前記引き換え額の決済のために、電子決済トランザクションを開始するプロセッサと
を含む、システム。

【発明の詳細な説明】

【関連出願の相互参照】

【0001】

本出願は、2021年8月2日に出願された米国特許出願第17/391,490号の利益及び優先権を主張する。上記出願の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。

【技術分野】

【0002】

本開示は、トークン及びブロックチェーンの使用を介して給付支払いを容易にすることに関する。具体的には、本開示は、提供された援助物資の配布及び使用を管理して、援助物資配布の相互運用性及びスケーリングを高めるためのブロックチェーンの使用に関する。

【背景技術】

【0003】

援助組織及びその他の非営利団体は、世界中で、必要とする人々に資金、食品、住居、及び他の資源を提供した。壊滅的な国家災害の被害を受けたなどの多くの場所では、強制退去された人々、又は支援を必要としている人々を助けるために、数十の援助団体がすべてその地域で活動する可能性がある。多くの場合、これらの援助団体の各々は、支援を提供される受取人に給付を支払うために、バウチャー又は特別な決済カードを利用するであろう。受取人は、そのようなバウチャー又は特別な決済カードを受け取り、承認された販売業者にそれを提示し、援助組織によって供給される、又は償還される特定の商品又はサービスを受け取ることができる。

【0004】

しかしながら、これらの援助団体はしばしば、互いに独立して働く。結果として、２つ以上の援助団体から給付を受け取る受取人はしばしば、各援助団体に登録し、各援助団体について別個のバウチャー及び／又は決済カードを受け取らなければならず、どの販売業者がどのバウチャー又は決済カードを、引き換えるために使用され得るかを追跡し続けなければならないであろう。同様に、各援助団体は、給付の引き換えに関する独自の条件及び制約を有することができ、したがって、各販売業者はしばしば、各個々の援助団体とオリエンテーション(onboarding)を実行しなければならないであろう、及び、援助組織に代わって、提供された商品又はサービスの結果としての償還を受け取るための異なるデータ及び処理を追跡し続けなければならない。その結果、受取人及び販売業者の両方にとって面倒なシステムとなり得、垂直方向及び水平方向の両方にスケーリングすることも困難になり得、これらの援助組織がしばしば活動する状況では、非常に有害となり得る。

【0005】

したがって、援助給付の支払いの相互運用性を高めることができ、また、必要とする人々のために、より容易でより効果的なスケーリングを提供して、より広く、より容易に支払われて使用される給付を保証するためのシステムが必要とされる。

【発明の概要】

【0006】

本開示は、トークン及びブロックチェーンの使用を介して、給付支払いを容易にするためのシステム及び方法の説明を提供する。援助組織は、伝統的なバウチャー及び決済カードの代わりに、受取人が使用するためのトークンを作成する。トークンは、不換通貨に関連付けられたデジタル値である。トークンは、ブロックチェーン上に格納され、プラットフォームによってブロックチェーンウォレットを介して受取人に配布される。受取人は、伝統的なバウチャー又は決済カードを提示する代わりに、ブロックチェーンウォレットを使用して、トークンを販売業者に提示し、販売業者にトークンの所有を移転する。販売業者は、商品又はサービスを受取人に提供し、所有を証明することによって、プラットフォームを介してトークンを引き換える。プラットフォームは引き換えを援助組織に知らせて、次に、援助組織は、対応する額の不換通貨を販売業者の銀行に移転する。その結果、ブロックチェーンの汎用性により、容易にスケーリングされることができるシステムが得られる。加えて、任意の数の援助組織及び販売業者が、非常にわずかに必要なオリエンテーションに参加し得、著しい相互運用性を可能にし、援助受取人が単一のブロックチェーンウォレットを介して支払いを受け取ることを可能にする。結果として、ブロックチェーン及び支払トークンの使用は、従来の援助支払システムよりも、より良好なスケーリング、相互運用性、及び使用の容易性の増大を提供する。

【0007】

トークン及びブロックチェーンの使用を介して給付支払いを容易にするための方法は、処理サーバの受信機によって、第１のコンピューティングシステムから受給者情報を受信することであって、前記受給者情報は少なくとも受給者識別子を含む、ことと、ブロックチェーン内に、ブロックチェーンデータ項目を格納することであって、前記ブロックチェーンデータ項目は、少なくとも、前記受給者情報に関連付けられた支払トークンと、暗号鍵ペアの公開鍵を使用して生成された受取人の値と、を含む、ことと、前記処理サーバの前記受信機によって、第２のコンピューティングシステムから引き換えメッセージを受信することであって、前記引き換えメッセージは、少なくとも、前記支払トークンと、前記暗号鍵ペアの秘密鍵を使用して生成されたデジタル署名と、トランザクション口座データと、引き換え額と、を含む、ことと、前記処理サーバのプロセッサによって、前記暗号鍵ペアの前記公開鍵を使用して前記デジタル署名を検証することと、前記処理サーバの送信機によって、前記第１のコンピューティングシステムに移転メッセージを送信することであって、前記移転メッセージは、少なくとも、前記トランザクション口座データと前記引き換え額とを含む、ことと、を含む。

【0008】

トークン及びブロックチェーンの使用を介して給付支払いを容易にするためのシステムは、第１のコンピューティングシステムと、第２のコンピューティングシステムと、ブロックチェーンと、処理サーバと、を含み、前記処理サーバは、前記第１のコンピューティングシステムから受給者情報を受信する受信機を含み、前記受給者情報は少なくとも受給者識別子を含み、前記ブロックチェーンは、ブロックチェーンデータ項目を格納し、前記ブロックチェーンデータ項目は、少なくとも、前記受給者情報に関連付けられた支払トークンと、暗号鍵ペアの公開鍵を使用して生成された受取人の値と、を含み、前記処理サーバの前記受信機は、前記第２のコンピューティングシステムから引き換えメッセージをさらに受信し、前記引き換えメッセージは、少なくとも、前記支払トークンと、前記暗号鍵ペアの秘密鍵を使用して生成されたデジタル署名と、トランザクション口座データと、引き換え額と、を含み、前記処理サーバは、前記暗号鍵ペアの前記公開鍵を使用して前記デジタル署名を検証するプロセッサと、前記第１のコンピューティングシステムに移転メッセージを送信する送信機であって、前記移転メッセージは、少なくとも、前記トランザクション口座データと前記引き換え額とを含む、送信機と、をさらに含む。

【0009】

本開示の範囲は、添付の図面と併せて読まれるとき、例示的な実施形態の以下の詳細な説明から最もよく理解される。図面に含まれるのは、以下の図である。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】例示的な実施形態による、トークン及びブロックチェーンの使用を介して給付支払いを容易にするための高位レベルのシステムアーキテクチャを示すブロック図である。

【図2】例示的な実施形態による、給付支払いを容易にするための図１のシステムにおける処理サーバを示すブロック図である。

【図3A】例示的な実施形態による、図１のシステムにおけるトークン及びブロックチェーンの使用を介して給付支払いを容易にするための処理を示すフロー図である。

【図3B】例示的な実施形態による、図１のシステムにおけるトークン及びブロックチェーンの使用を介して給付支払いを容易にするための処理を示すフロー図である。

【図4】例示的な実施形態による、トークン及びブロックチェーンの使用を介して給付支払いを容易にするための例示的な方法を示すフローチャートである。

【図5】例示的な実施形態による、コンピュータシステムアーキテクチャを示すブロック図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

本開示のさらなる適用分野は、以下に提供される詳細な説明から明らかになるであろう。例示的な実施形態の詳細な説明は、例示の目的のみを意図するものであり、したがって、必ずしも本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。

【0012】

給付支払いを容易にするためのシステム
図１は、援助給付の配布及び引き換えを追跡することについて、トークン及びブロックチェーンの使用を介して援助給付の支払いを容易にするためのシステム１００を示す。

【0013】

システム１００は、処理サーバ１０２を含むことができる。以下でより詳細に論じられる処理サーバ１０２は、１つ以上の援助組織又は他のエンティティに代わって援助給付の支払いのためにトークンの配布及び引き換えを使用することを可能にする集中型プラットフォームとして動作するように構成されることができる。システム１００において、支払システム１０４は、１人以上の受取人に援助給付を提供することに関心がある援助組織、非営利組織、又は他のエンティティによって、又はこれらに代わって運営されるコンピューティングシステムとすることができる。給付を受け取るために、受取人は、受取人装置１０６を介して処理サーバ１０２に登録することができる。受取人装置１０６は、携帯電話、スマートフォン、スマートウォッチ、装着型コンピューティング装置などのモバイルコンピューティング装置とすることができる。これは、以下でより詳細に論じられるように、ブロックチェーンウォレットのためのアプリケーションプログラムを実行するように構成される。

【0014】

受取人装置１０６による処理サーバ１０２への登録は、受取人装置１０６に関連付けられた装置識別子を、そのユーザとしての受取人の識別情報とともに、処理サーバ１０２へ送信することを含むことができる。装置識別子は、媒体アクセス制御アドレス、シリアル番号、登録番号、識別番号、ユーザ名、電子メールアドレス、電話番号など、他のコンピューティング装置の中でも受取人装置１０６に固有の任意の値とすることができる。受取人についての識別情報は、援助組織又は他のエンティティを用いて受取人がそこから給付を受け取るために使用することができる任意の値又は値の組み合わせを含むことができる。例えば、識別情報は、運転免許証又はパスポートなどの政府発行の識別カード、社会保障番号、税識別番号、生年月日、正式氏名などからの情報を含むことができる。一例では、受取人装置１０６は、社会保障番号（例えば、識別情報）及び電子メールアドレス（例えば、装置識別子）を提供することによって、援助給付の受領のためのアカウントを処理サーバ１０２に登録することができる。受取人装置１０６及び処理サーバ１０２は、任意の適切な通信ネットワーク及び方法を使用して通信することができる。これは例えば、ウェブページ、アプリケーションプログラム、アプリケーションプログラミングインタフェースなどを介して、行われる。

【0015】

処理サーバ１０２は、受取人装置１０６から登録データを受信し、受取人についての新しいプロファイルをデータベース内に登録することができる、又は、それによって、以下でより詳細に論じられるように、アクセス可能にすることができる。ある実施形態では、受取人装置１０６は、登録処理の一部として、以下でより詳細に論じられる、ブロックチェーンウォレットを備えることができる。そのような実施形態では、処理サーバ１０２は、受取人装置１０６からのデータの受信後にブロックチェーンウォレットとして使用される暗号鍵ペアを生成することができ、暗号鍵ペアを受取人装置１０６に電子的に送信することができる。受取人装置１０６は、暗号鍵ペアを構成する秘密鍵と公開鍵とを格納することができ、したがって、ブロックチェーンウォレットを管理することができる。ある実施形態では、受取人装置１０６は、ブロックチェーンウォレットを既に有することができる。登録処理中、受取人装置１０６は、ブロックチェーンウォレットについての公開鍵を処理サーバ１０２に提供することができる。ある場合では、処理サーバ１０２は、登録処理の一部として受取人装置１０６についてのブロックチェーンウォレットとして機能する暗号鍵ペアを生成することができる。しかしながら、処理サーバ１０２は、暗号鍵ペアを受取人のプロファイル内に保持することができるものの、その秘密鍵を受取人装置１０６に直接提供することはできない。

【0016】

受取人が登録されると、受取人は、援助組織又は他のエンティティに連絡して、給付を要求することができる。受取人及び援助組織は、伝統的な方法及びシステムを使用して相互に作用することができる。相互作用の一部として、受取人は、少なくとも、処理サーバ１０２への登録中に使用される識別情報を援助組織に提供することができる。これは例えば、給付を要求するときに援助組織に政府発行の識別カードを提示することである。

【0017】

援助組織が受取人に給付を提供することに関心がある場合（例えば、受取人が援助組織によって運営されるプログラムの下で給付を受け取る資格を有する場合）、援助組織又は他のエンティティの支払システム１０４は、１つ以上のトークンを生成することができる。トークンは、不換通貨の１つ以上の単位に対応するデジタルデータオブジェクトとすることができ、販売業者から援助給付を受け取るために従来の決済手段の代わりに受取人によって使用されることができる。トークンは、処理サーバのプラットフォームを利用する援助組織又は他のエンティティによって生成され、配布されるすべてのトークンの中でそのトークンに一意である一意の識別値を含むことができる。ある場合では、各支払システム１０４は、新しいトークンについての一意の識別値を生成する、又は識別することができる。他の場合では、処理サーバ１０２は、新しいトークンを生成する際の使用のために、支払システム１０４に割り当てられることができる一意の識別値を生成する、又は識別することができる。トークンはまた、トークンについての又はトークンの引き換えにおいて有用な情報を識別する際に使用され得る値を含むことができるヘッダ又は他のデータフィールドを含むことができる。例えば、トークンは、トークンが関連付けられる不換通貨を示す値、トークンが表す関連付けられた不換通貨の額を示す値、トークンを引き換えることができる商品又はサービスを示す１つ以上の値、トークンを引き換えることができる販売業者を識別する１つ以上の値などを含むことができる。ある実施形態では、各トークンは、対応する不換通貨の単一の単位に関連付けられることができる。そのような実施形態では、支払システム１０４は、援助給付の単一の配布のために、複数の支払トークンを生成することができる。例えば、単一のトークンは、１ドルに相当するとすることができ、支払システム１０４は、単一の受取人への配布のために１００トークンを生成し、受取人に商品又はサービスにおいて１００ドルを配布することを表すことができる。

【0018】

支払システム１０４は、援助給付を受取人に配布するために必要なトークンを生成することができ、適切な通信ネットワーク及び方法を使用して、生成されたトークンを処理サーバ１０２に電子的に送信することができる。支払トークンが、関連付けられた通貨と、値と、支払トークンの使用に関する任意の制約とに関する情報を含むことができる実施形態では、支払システム１０４は、トークンに加えてそのようなデータを伴わずに、支払トークンを処理サーバ１０２に電子的に送信することができる。他の実施形態では、支払システム１０４は、支払トークンに関連付けられた不換通貨、支払トークンのその不換通貨における対応する値、支払トークンが使用され得る任意の販売業者についての識別子、支払トークンを引き換えることができる商品又はサービスに関する製品情報などのそのような情報を電子的に送信することができる。

【0019】

支払システム１０４はまた、受取人についての識別情報を処理サーバ１０２に電子的に送信することができる。処理サーバ１０２は、識別情報と支払トークンとを受信することができ、識別情報を使用して受取人についてのプロファイルを識別することができる。処理サーバ１０２は、識別されたプロファイルにおいて受取人の受取人装置１０６についての装置識別子を識別することができ、次に、受取人装置１０６への支払トークンの配布に進むことができる。例示的な実施形態では、支払トークンは、ブロックチェーン内に格納されることができ、受取人装置１０６へのその配布は、支払トークンの所有を、受取人装置１０６によって実行される又は受取人装置１０６に帰属するブロックチェーンウォレットに移転することを介して実行される。

【0020】

ブロックチェーンの使用を容易にするために、システム１００はブロックチェーンネットワーク１１０を含むことができる。ブロックチェーンネットワーク１１０は、それぞれ、複数のブロックチェーンノード１１２を含んで構成されることができる。各ブロックチェーンノード１１２は、図５に示され、以下でより詳細に論じられるようなコンピューティングシステムとすることができる。これは、ブロックチェーンデータ値の生成と、提案されたブロックチェーントランザクションの検証と、デジタル署名の検証と、新しいブロックの生成と、新しいブロックの検証と、ブロックチェーンの複製の維持とを含む、ブロックチェーンの処理及び管理に関連した機能を実行するように構成される。

【0021】

ブロックチェーンは、少なくとも複数のブロックを含んで構成される分散台帳とすることができる。各ブロックは、少なくとも、ブロックヘッダと１つ以上のデータ値とを含むことができる。各ブロックヘッダは、少なくとも、タイムスタンプと、ブロック参照値と、データ参照値とを含むことができる。タイムスタンプは、ブロックヘッダが生成された時間とすることができ、任意の適切な方法（例えば、ＵＮＩＸタイムスタンプ、日時型(DateTime)など）を使用して表されることができる。ブロック参照値は、ブロックチェーン内のより前のブロックを（例えば、タイムスタンプに基づいて）参照する値とすることができる。ある実施形態では、ブロックヘッダ内のブロック参照値は、それぞれのブロックの前にごく最近追加されたブロックのブロックヘッダへの参照とすることができる。例示的な実施形態では、ブロック参照値は、ごく最近追加されたブロックのブロックヘッダのハッシュ化を介して生成されたハッシュ値とすることができる。データ参照値は同様に、ブロックヘッダを含むブロック内に格納された１つ以上のデータ値への参照とすることができる。例示的な実施形態では、データ参照値は、１つ以上のデータ値のハッシュ化を介して生成されたハッシュ値とすることができる。例えば、ブロック参照値は、１つ以上のデータ値を使用して生成されたマークルツリーのルートとすることができる。

【0022】

各ブロックヘッダ内のブロック参照値及びデータ参照値の使用は、ブロックチェーンが不変であることをもたらすことができる。何らかのデータ値への修正を試みると、そのブロックについて新しいデータ参照値の生成が必要になり、それによって、後続のブロックのブロック参照値が新たに生成されることが必要になり、さらに、すべての後続のブロック内に新しいブロック参照値を生成することが必要になる。これは、変更を永続的にするために、新しいブロックを生成して新しいブロックをブロックチェーンに追加する前に、ブロックチェーンネットワーク１１０内のすべての単一のブロックチェーンノード１１２において実行され、更新されなければならない。不可能ではないにしても、計算上及び通信上の制限は、そのような修正を非常に困難にし、したがって、ブロックチェーンを不変にすることができる。

【0023】

ある実施形態では、ブロックチェーンは、２つの異なるブロックチェーンウォレット間で行われるブロックチェーントランザクションに関する情報を格納するために使用されることができる。ブロックチェーンウォレットは、暗号鍵ペアのうちの秘密鍵を含むことができる。これは、ブロックチェーントランザクションの支払人による承認として機能するデジタル署名を生成するために使用される。デジタル署名は、暗号鍵ペアのうちの公開鍵を使用して、ブロックチェーンネットワーク１１０によって検証されることができる。ある場合では、用語「ブロックチェーンウォレット」は、特に秘密鍵を指すことができる。他の場合では、用語「ブロックチェーンウォレット」は、ブロックチェーントランザクションにおいて使用するための秘密鍵を格納するコンピューティング装置（例えば、受取人装置１０６など）を指すことができる。例えば、各コンピューティング装置は、それぞれの暗号鍵ペアについて独自の秘密鍵を各々有することができ、それぞれ、ブロックチェーンネットワークに関連付けられたブロックチェーンとのトランザクションの際に使用するためのブロックチェーンウォレットとすることができる。コンピューティング装置は、ブロックチェーンウォレットを格納して利用するのに適した任意の種類の装置とすることができ、例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、スマートウォッチ、スマートテレビ、装着型コンピューティング装置、埋め込み型コンピューティング装置などである。

【0024】

ブロックチェーン内に格納された各ブロックチェーンデータ値は、適用可能な場合、ブロックチェーントランザクション又は他のデータ記憶に対応することができる。ブロックチェーントランザクションは、少なくとも、送信者の秘密鍵を使用して生成される、通貨の送信者（例えば、受取人装置１０６）のデジタル署名と、受信者の公開鍵を使用して生成される、通貨の受取人（例えば、販売業者システム１１４）のブロックチェーンアドレスと、転送されるブロックチェーン通貨額と、又は格納されている他のデータから構成されることができる。あるブロックチェーントランザクションでは、トランザクションはまた、ブロックチェーン通貨が現在格納されている（例えば、デジタル署名がそのような通貨へのアクセスを証明する）、送信者の１つ以上のブロックチェーンアドレスと、送信者によって保持される任意の変更のために送信者の公開鍵を使用して生成されるアドレスとを含むことができる。将来のトランザクションにおいて使用され得る、暗号通貨が送信されたアドレスは「出力」アドレスと呼ばれ、これは、各アドレスが前のブロックチェーントランザクションの出力を捕捉するために以前に使用されたものであり、「未使用トランザクション」とも呼ばれる。これは、その通貨が依然として未使用である前のトランザクションにおいてアドレスに送信された通貨があることに起因する。また、ある場合では、ブロックチェーントランザクションは、トランザクションを検証する際のエンティティによる使用のために、送信者の公開鍵を含むことができる。ブロックチェーントランザクションの従来の処理のために、そのようなデータは、送信者又は受信者のいずれかによって、ブロックチェーンネットワーク１１０内のブロックチェーンノード１１２に提供されることができる。ノードは、送信者のウォレットの暗号鍵ペア内の公開鍵を使用してデジタル署名を検証することができる。また、ノードは、（例えば、未使用トランザクションがまだ使用されておらず、送信者のウォレットに関連付けられたアドレスに送信された）送信者の資金へのアクセス、トランザクションの「確認」として知られる処理、を検証し、次に、ブロックチェーントランザクションを新しいブロック内に含むことができる。新しいブロックは、従来のブロックチェーン実装では、ブロックチェーンに追加され、ブロックチェーンネットワーク１１０内のブロックチェーンノード１１２のすべてにそれぞれ分散される前に、ブロックチェーンネットワーク１１０内の他のノードによって検証されることができる。ブロックチェーンデータ値がブロックチェーントランザクションに関連されないが、代わりに他の種類のデータの記憶に関連され得る場合、ブロックチェーンデータ値は、依然として、デジタル署名の検証を含む、又は、デジタル署名の検証を伴うことができる。

【0025】

システム１００では、ブロックチェーントランザクションをブロックチェーン内で使用して、支払トークンの所有を移転することができる。処理サーバ１０２は、支払システム１０４から受取人の支払トークンを受信することができ、受取人装置のブロックチェーンウォレットの公開鍵を使用して生成された宛先アドレスを有する新しいブロックチェーンデータ項目内に含めるために、支払トークンをブロックチェーンネットワーク１１０内のブロックチェーンノード１１２に提出することができる。その結果、受取人装置１０６のブロックチェーンウォレットは、新しいブロックチェーントランザクションがブロックに追加され、確認され、ブロックチェーンに追加されると、支払トークンの所有を有することができる。ある実施形態では、処理サーバ１０２自体が、ブロックチェーンネットワーク１１０内のブロックチェーンノード１１２とすることができ、支払トークンと受取人装置１０６の宛先アドレスとを含む新しいブロックチェーンデータ値を生成し、確認されてブロックチェーンに追加される新たに生成されたブロック内に新しいブロックチェーンデータ値を含むことができる。

【0026】

支払トークンがブロックチェーンに追加されることに成功すると、処理サーバ１０２は、支払トークンが援助給付を受け取る際の使用のために配布されたことを受取人に通知するために、通知メッセージを受取人装置１０６に提供することができる。ある実施形態では、通知メッセージは、検証のためにブロックチェーン上のブロックチェーンデータ値を識別する際の受取人装置１０６による使用のために、支払トークンを含む、ブロックチェーンデータ値に一意のトランザクション識別子又は他の値を含むことができる。受取人は、トークンの使用に関するいかなる制限及び制約のある条件下でも、援助給付を受けるために支払トークンを自由に使用することができる。

【0027】

受取人は、受取人が、例えば、販売業者の店頭で直接、販売業者のアプリケーションプログラムを介して、ウェブページを介して、電話を介してなど、支払トークンを使用することを望む販売業者を訪問する、又は販売業者と相互作用することができる。受取人は、１つ以上の支払トークンを支払として使用することができる１つ以上の商品又はサービスを選択することができる。一例では、援助組織は、承認された販売業者から食品を購入するために使用されることができる５０ドルに相当するトークンを受取人に与えることができ、受取人は、食料雑貨店を訪問し、トークンを使用して２０ドルの価値の牛乳及び米を購入することができる。そのような支払を容易にするために、受取人は、１ドルの価値がある２０個のトークンの販売業者への移転を開始する、２０ドルの価値がある単一のトークンの販売業者への移転を開始する、又は２０ドルを超える価値がある単一のトークンの販売業者への移転を開始することができる。受取人装置１０６は、移転されたトークンが販売業者によって引き換えられた後、残高のために１つ以上の新しいトークンを発行されることができる。

【0028】

支払トークンを販売業者に移転するために、受取人装置１０６は、支払トークンと、支払トークンについて受取人装置の所有を示すデジタル署名とを、販売業者に関連付けられた販売業者システム１１４に（例えば、そのブロックチェーンウォレットに）提供することができる。受取人装置１０６がブロックチェーンウォレット（例えば、又はデジタルウォレットアプリケーションプログラムなど、ブロックチェーンウォレットにアクセスするために使用されるアプリケーションプログラム）をローカルに格納する実施形態では、受取人装置１０６は、適切な署名生成アルゴリズムを使用して、ブロックチェーンウォレットの暗号鍵ペアの秘密鍵を使用してデジタル署名を生成することができる。他の実施形態では、処理サーバ１０２は、配布処理中に支払トークンについてのデジタル署名を生成することができる。デジタル署名は、上述した通知メッセージの一部として受取人装置１０６に電子的に送信されることができる。受取人装置１０６は適用可能な場合、デジタル署名を生成又は識別することができ、デジタル署名を販売業者システム１１４に電子的に送信することができる。デジタル署名は、任意の適切な通信ネットワーク及び方法を使用して、販売業者システム１１４に電子的に送信されることができる。この通信ネットワーク及び方法は、例えば、無線周波数、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ、無線ネットワーク、構内通信網などを介して行われる。

【0029】

一例では、デジタル署名は、バーコード又はクイックレスポンス（ＱＲ）コードなどの機械可読コードを使用して送信されることができる。例えば、受取人装置１０６はデジタル署名を生成又は識別し、次に、デジタル署名を有する符号化された機械可読コードを生成することができる。別の例では、処理サーバ１０２は、配布処理中に、デジタル署名を有する符号化された機械可読コードを生成することができる。機械可読コードは、通知メッセージにおいて受取人装置１０６に電子的に送信される。例えば、受取人装置１０６は、ショートメッセージングサービス（ＳＭＳ）メッセージ又は電子メール内のＱＲコード又はＱＲコードの画像を処理サーバ１０２から受信することができる。次に、受取人装置１０６は、受取人の援助給付を引き換えるときに、ＱＲコード又はその画像を販売業者システム１１４に提示することができる。販売業者システム１１４は、光学撮像装置を使用して、機械可読コードを読み取り、次に、そこからデジタル署名を復号することができる。そのような実施形態では、ＳＭＳメッセージ又は電子メールを受信することが可能な従来の携帯電話が依然として、スマートフォンの代わりに、支払トークンの受信及び使用のために使用されることができる。

【0030】

支払トークンが、関連付けられた不換通貨と、値と、承認された使用とを示すデータを含む実施形態では、販売業者システム１１４は、支払トークンが適切であることを検証するために、支払トークン自体の内のそのようなデータ値を識別することができる。例えば、販売業者システム１１４は、支払トークンが、受取人によって購入される商品又はサービスを賄うのに適した値であるかを検証することができる。別の例では、トークンを使用できる販売業者、又は支払トークンを使用できる商品若しくはサービス、について支払トークンが制限される場合、販売業者システム１１４は、支払トークン内のそのようなデータを識別して、支払いが、販売業者において使用されることができるか、及び受取人によって要求される商品又はサービスのために使用されることができるかを判定することができる。そのようなデータが支払トークン自体に含まれない実施形態では、販売業者システム１１４は、支払トークンを処理サーバ１０２に電子的に送信することができる。処理サーバ１０２は、トークンの最初の配布中に支払システム１０４によって提供された、支払トークンに関連付けられたプロファイルを識別し、それに関連付けられたデータを識別することができる。次に、処理サーバ１０２は、トランザクションが適切であることを検証する際に販売業者が使用するために、そのようなデータ（例えば、不換通貨、通貨額、販売業者制約、製品制約など）を販売業者システム１１４に提供することができる。ある場合では、販売業者システム１１４は、支払トークンを、所望の購入に関する情報（例えば、トランザクション額、販売業者識別子、製品識別子）とともに処理サーバ１０２に提供することができる。そのような場合、処理サーバ１０２は、トークンについてのプロファイルを識別し、その内のデータを使用して、トランザクションが適切であることを判定し、判定の結果を販売業者システム１１４に提供することができる。トランザクションが適切である場合、販売業者システム１１４は、支払トークンのデジタル署名を受取人装置１０６から受信することによって、トランザクションを進めることができる。

【0031】

販売業者システム１１４が支払トークンについてのデジタル署名を受信すると、販売業者は、受取人装置１０６に関連付けられた受取人に給付についての取引を提供することができる。次に、受取人は、支払トークンを介して援助組織から給付を受け取ることができ、デジタル署名を販売業者に転送して、トークンを使用して給付の商品又はサービスを受け取ることができるので、システム１００に参加することができる。

【0032】

販売業者システム１１４がデジタル署名を受信した後、販売業者は、対応する支払トークンを自由に引き換えて、それに関連付けられた不換通貨を援助組織から受け取ることができる。支払トークンを引き換えるために、販売業者システム１１４は、適切な通信ネットワーク及び方法を使用して、販売業者が決済を行うことを望むトランザクション口座に関連付けられた口座情報とともに、支払トークンとデジタル署名とを処理サーバ１０２に電子的に送信することができる。口座情報は、口座番号、ルーティングナンバー、及び／又は決済トランザクション、電信送金、若しくは１つのトランザクション口座から別のトランザクション口座への他の適切な種類の決済を容易にするのに適した任意の他のデータ、を含むことができる。処理サーバ１０２は、販売業者システム１１４から支払トークンと、デジタル署名と、口座情報とを受信して、デジタル署名を検証することができる。デジタル署名を検証するために、処理サーバ１０２は、支払トークンが配布されたブロックチェーンウォレットに関連付けられた暗号鍵ペアの公開鍵を識別し、公開鍵を使用して、適切な署名生成アルゴリズムを使用してデジタル署名を検証することができる。デジタル署名の検証が成功すると、処理サーバ１０２は、承認された受取人装置１０６が、支払トークンの所有を正常に解放して、それによって、販売業者との間で支払トークンを使ったと決定することができる。処理サーバ１０２は、直接、又はブロックチェーンノード１１２を介して、処理サーバ１０２又は支払システム１０４に関連付けられるような新しいブロックチェーンウォレットに支払トークンの所有を移転して、支払トークンと、デジタル署名と、新しいブロックチェーンウォレットを使用して生成された宛先アドレスとを含む、ブロックチェーンに追加された新しいブロックチェーンデータ値を有することなどによって、支払トークンの繰り返しの使用を防止することができる。

【0033】

デジタル署名が検証された後、処理サーバ１０２は、適切な通信ネットワーク及び方法を使用して、支払システム１０４にメッセージを電子的に送信し、支払システム１０４に、販売業者への支払トークンに関する決済を開始するように指示することができる。メッセージは、支払トークン、及び／又は不換通貨及びそれに関連付けられた通貨額、ならびに販売業者システム１１４によって提供される口座情報を含むことができる。支払システム１０４は、処理サーバ１０２から情報を受信し、支払銀行１０８に、販売業者に関連付けられた販売業者銀行１１６に資金を移転するように指示することができる。支払銀行１０８は、銀行、又は電子決済トランザクションに資金を提供する際に使用するために、援助組織又は他のエンティティにトランザクション口座を発行した他の金融機関若しくはエンティティとすることができる。販売業者銀行１１６は、銀行、又は電子決済トランザクションにおいて資金を受け取る際に使用するために、口座情報に関連付けられたトランザクション口座を販売業者に発行した他の金融機関若しくはエンティティとすることができる。支払銀行１０８は、支払システム１０４から通貨額と口座情報とを受信することができ、販売業者銀行１１６によって発行された、示されたトランザクション口座への通貨額の電子決済トランザクション（例えば、又は電信送金若しくは他の適切な機構）を開始することができる。販売業者銀行１１６は、支払銀行１０８から不換通貨の額を受け取り、それに応じて販売業者のトランザクション口座に入れることができる。したがって、販売業者は、処理サーバ１０２を用いて支払トークンを引き換えた後に、支払トークンに相当する不換通貨を受け取ることができる。

【0034】

ある実施形態では、受取人は、複数の支払システム１０４及び／又は販売業者システム１１４について、単一のブロックチェーンウォレットを使用することができる。そのような実施形態では、受信された各支払トークンについての新しい宛先アドレスは、ブロックチェーンウォレットによって生成されることができる。宛先アドレスは、デジタル署名の生成に使用されることができる、又はデジタル署名とともに送信されることができる。他の実施形態では、受取人装置１０６が支払トークンを受信する支払システム１０４毎に新しいブロックチェーンウォレットが使用されることができる。各ブロックチェーンウォレットは、受取人装置１０６上の単一のアプリケーションプログラム又は一意のアプリケーションプログラムを介して管理されることができる。受取人装置１０６が、デジタル署名を有するＱＲコードを処理サーバ１０２から直接受信する実施形態では、処理サーバ１０２は、必要に応じて受取人毎に１つ以上のブロックチェーンウォレットを使用することができる。

【0035】

ある実施形態では、処理サーバ１０２は、複数の不換通貨に関連付けられる支払トークンの配布のためにプラットフォームを利用することができる。そのような実施形態では、各支払トークンは、登録される不換通貨を（例えば、トークン内に直接又は処理サーバ１０２によって格納されたトークンプロファイル内に）示すことができる。販売業者システム１１４が支払トークンの引き換えを開始すると、販売業者システム１１４は、支払トークンの関連付けられた不換通貨において、又は異なる通貨を介して、通貨を受け取ることを望むことを示すことができる。異なる通貨が示される場合、支払トークンの通貨額は、販売業者システム１１４によって選択される関連付けられた不換通貨から異なる通貨に換算されることができる。通貨換算を実行するために、任意の適切な方法を使用することができる。ある実施形態では、（例えば、トークン内のデータ値内に直接、又は処理サーバ１０２内の支払トークンについてのトークンプロファイル内に格納される）支払トークン自体が、関連付けられた不換通貨から１つ以上の他の不換通貨への換算のための換算率を示すことができる。

【0036】

本明細書で論じられる方法及びシステムは、ブロックチェーン内に格納される支払トークンの使用を介して、１つ以上の援助組織又は他のエンティティによる、受取人への援助給付の配布の容易化を提供する。これにより、従来のシステムよりも大幅にスケーラブルであり、複数の援助組織、非営利組織、及び他のグループにわたって、さらに複数の販売業者にわたって相互運用性を提供することができるシステムが得られる。その結果、受取人は、複数の決済手段を必要とすることなく、単一の受取人装置１０６を使用して、多数の組織から給付を受けとることができる。また、支払トークンの使用は、販売業者が、標準的な電子決済トランザクションを使用して、不換通貨について迅速に引き換えられることができる、任意の数の援助組織にわたる給付の引き換えのための決済を容易に受け入れることができる。その結果、組織、受取人、及び販売業者の利便性向上のための、従来のシステムよりも大幅に改善されたシステムが得られる。

【0037】

処理サーバ
図２は、システム１００内の処理サーバ１０２の一実施形態を示す。図２に示される処理サーバ１０２の実施形態は、例示としてのみ提供され、本明細書で論じられるような機能を実行するのに適した処理サーバ１０２のすべての可能な構成を網羅し得るものではないことが、当業者には明らかであろう。例えば、図５に示され、以下でより詳細に論じられるコンピュータシステム５００は、処理サーバ１０２の適切な構成とすることができる。支払システム１０４、受取人装置１０６、支払銀行１０８、ブロックチェーンノード１１２、及び販売業者システム１１４などのシステム１００内の追加の構成要素は、図２に示され、以下で論じられる構成要素を含むことができる。

【0038】

処理サーバ１０２は、受信装置２０２を含むことができる。受信装置２０２は、１つ以上のネットワークプロトコルを介して１つ以上のネットワークにわたってデータを受信するように構成されることができる。ある事例では、受信装置２０２は、１つ以上の通信方法を介して、支払システム１０４と、受取人装置１０６と、ブロックチェーンノード１１２と、販売業者システム１１４と、他のシステム及びエンティティと、からデータを受信するように構成されることができる。この通信方法は、無線周波数、構内通信網、無線エリアネットワーク、セルラー通信ネットワーク、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ、インターネットなどである。ある実施形態では、受信装置２０２は、複数の装置を含んで構成されることができる。これは、例えば、異なるネットワークを介してデータを受信するための異なる受信装置であり、構内通信網を介してデータを受信するための第１の受信装置及びインターネットを介してデータを受信するための第２の受信装置などである。受信装置２０２は、電子的に送信されたデータ信号を受信することができる。データは、データ信号に重ねられる、又は符号化されることができ、受信装置２０２によるデータ信号の受信を介して、復号される、構文解析される、読み込まれる、又は取得されることができる。ある事例では、受信装置２０２は、受信されたデータ信号を構文解析して、そこに重ねられたデータを取得するために、構文解析モジュールを含むことができる。例えば、受信装置２０２は、構文解析プログラムを含むことができる。構文解析プログラムは、データ信号を受信して、受信されたデータ信号を、本明細書で説明される方法及びシステムを実行するために処理装置によって実行される機能のための使用可能な入力に変換するように構成される。

【0039】

受信装置２０２は、支払システム１０４によって電子的に送信されるデータ信号を受信するように構成されることができる。このデータ信号は、支払トークンと、通貨額、販売業者識別子、製品識別子などのような、それに関連付けられたデータと、に重ねられる、又は符号化される。受信装置２０２はまた、受取人装置１０６によって電子的に送信されるデータ信号を受信するように構成されることができる。このデータ信号は、登録データ（例えば、装置識別子、識別情報、公開鍵など）に重ねられる、又は符号化されることができる。受信装置２０２はまた、ブロックチェーンノード１１２によって電子的に送信されるデータ信号を受信するように構成されることができる。このデータ信号は、ブロックチェーンデータ値、ブロック、確認メッセージなどに重ねられる、又は符号化されることができる。受信装置２０２はまた、販売業者システム１１４によって電子的に送信されるデータ信号を受信するように構成されることができる。このデータ信号は、支払トークンと、デジタル署名と、口座情報と、に重ねられる、又は符号化されることができる。

【0040】

処理サーバ１０２はまた、通信モジュール２０４を含むことができる。通信モジュール２０４は、本明細書で論じられる機能を実行する際に使用するために、モジュールと、エンジンと、データベースと、記憶部と、処理サーバ１０２の他の構成要素との間でデータを送信するように構成されることができる。通信モジュール２０４は、１つ以上の通信種別を含んで構成されることができ、コンピューティング装置内の通信のための様々な通信方法を利用することができる。例えば、通信モジュール２０４は、バス、コンタクトピンコネクタ、電線などを含んで構成されることができる。また、ある実施形態では、通信モジュール２０４は、処理サーバ１０２の内部構成要素と、外部接続データベース、表示装置、入力装置などの処理サーバ１０２の外部構成要素との間で通信するように構成されることができる。処理サーバ１０２はまた、処理装置を含むことができる。処理装置は、当業者には明らかであるように、本明細書で論じられる処理サーバ１０２の機能を実行するように構成されることができる。ある実施形態では、処理装置は、クエリモジュール２１６、生成モジュール２１８、検証モジュール２２０などのような、処理装置の１つ以上の機能を実行するように特別に構成された複数のエンジン及び／又はモジュールを含む、及び／又はそれらから構成されることができる。本明細書で使用される場合、用語「モジュール」は、入力を受信し、入力を使用して１つ以上の処理を実行し、出力を提供するように特にプログラムされた、ソフトウェア又はハードウェアとすることができる。様々なモジュールによって実行される入力、出力、及び処理は、本開示に基づいて当業者には明らかであろう。

【0041】

処理サーバ１０２は、受取人データベース２０６を含むことができる。受取人データベース２０６は、適切なデータ記憶フォーマット及びスキーマを使用して、複数の受取人プロファイル２０８を格納するように構成されることができる。受取人データベース２０６は、その内に格納された構造化データ集合の記憶、識別、修正、更新、アクセスなどのために構造化クエリ言語を利用する関係データベースとすることができる。各受取人プロファイル２０８は、１以上の受取人及び／又は受取人装置１０６に関連したデータを格納するように構成された構造化データ集合とすることができ、例えば、装置識別子、識別情報、支払トークン、デジタル署名、公開鍵、秘密鍵などを含むことができる。

【0042】

処理サーバ１０２は、トークンデータベース２１０を含むことができる。トークンデータベース２１０は、適切なデータ記憶フォーマット及びスキーマを使用して、複数のトークンプロファイル２１２を格納するように構成されることができる。トークンデータベース２１０は、その内に格納された構造化データ集合の記憶、識別、修正、更新、アクセスなどのために構造化クエリ言語を利用する関係データベースとすることができる。各トークンプロファイル２１２は、１つ以上の支払トークンに関連したデータを格納するように構成された構造化データ集合とすることができ、例えば、支払トークン、関連付けられたデータ値（例えば、不換通貨、通貨額、販売者識別子、製品識別子など）、ブロックチェーントランザクション識別子、支払トークンが配布されたブロックチェーンウォレットの公開鍵などを含むことができる。

【0043】

処理サーバ１０２はまた、記憶部２１４を含むことができる。記憶部２１４は、公開鍵及び秘密鍵、対称鍵などの、本明細書で論じられる機能を実行する際に処理サーバ１０２によって使用されるためのデータを格納するように構成されることができる。記憶部２１４は、適切なデータフォーマット方法及びスキーマを使用してデータを格納するように構成されることができ、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリなどの任意の適切な種類のメモリとすることができる。記憶部２１４は例えば、暗号鍵及びアルゴリズムと、通信プロトコル及び規格と、データフォーマット規格及びプロトコルと、処理装置のモジュール及びアプリケーションプログラムについてのプログラムコードと、当業者には明らかであるような、本明細書で開示される機能の実行の際に処理サーバ１０２によって使用されるのに適し得る他のデータと、を含むことができる。ある実施形態では、記憶部２１４は、関係データベースから構成されるか、又はそれを含むことができる。関係データベースは、その内に格納された構造化データ集合の記憶、識別、修正、更新、アクセスなどのために構造化クエリ言語を利用する。記憶部２１４は例えば、暗号鍵、通信情報、データフォーマット規則、配布トークン値、ブロックチェーンデータ、署名生成アルゴリズム、通貨換算データ、口座情報などを格納するように構成されることができる。

【0044】

処理サーバ１０２は、クエリモジュール２１６を含むことができる。クエリモジュール２１６は、データベース上でクエリを実行して情報を識別するように構成されることができる。クエリモジュール２１６は、１つ以上のデータ値又はクエリ文字列を受信することができ、処理サーバ１０２の記憶部２１４などの、示されたデータベース上で、それに基づくクエリ文字列を実行して、そこに格納された情報を識別することができる。次に、クエリモジュール２１６は、必要に応じて、識別された情報を処理サーバ１０２の適切なエンジン又はモジュールに出力することができる。クエリモジュール２１６は例えば、受取人データベース２０６上でクエリを実行して、受取人プロファイル２０８を識別することができる。受取人プロファイル２０８は、支払トークンが配布される受取人装置１０６を識別するために支払システム１０４から受信された識別情報を含む。

【0045】

処理サーバ１０２はまた、生成モジュール２１８を含むことができる。生成モジュール２１８は、本明細書で論じられる機能を実行する際に処理サーバ１０２によって使用されるためのデータを生成するように構成されることができる。生成モジュール２１８は、入力として命令を受信することができ、命令に基づいてデータを生成することができ、生成されたデータを処理サーバ１０２の１つ以上のモジュールに出力することができる。例えば、生成モジュール２１８は、通知メッセージ、確認メッセージ、ブロックチェーンデータ値、ブロック、デジタル署名、機械可読コード、配布トークン、一意の識別値などを生成するように構成されることができる。

【0046】

処理サーバ１０２はまた、検証モジュール２２０を含むことができる。検証モジュール２２０は、本明細書で論じられる機能の一部として、処理サーバ１０２についての検証を実行するように構成されることができる。検証モジュール２２０は、入力として命令を受信することができ（これは、検証を実行する際に使用されるデータも含み得る）、要求に応じて検証を実行することができ、検証の結果を処理サーバ１０２の別のモジュール又はエンジンに出力することができる。検証モジュール２２０は例えば、適切な署名生成アルゴリズム及び鍵を使用してデジタル署名及び暗号署名を検証して、支払トークン及びその使用などを検証するように構成されることができる。

【0047】

処理サーバ１０２はまた、送信装置２２２を含むことができる。送信装置２２２は、１つ以上のネットワークプロトコルを介して１つ以上のネットワークにわたってデータを送信するように構成されることができる。ある事例では、送信装置２２２は、１つ以上の通信方法を介して、支払システム１０４と、受取人装置１０６と、ブロックチェーンノード１１２と、販売業者システム１１４と、他のエンティティとにデータを送信するように構成されることができる。この通信方法は、構内通信網、無線エリアネットワーク、セルラー通信、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ、無線周波数、インターネットなどである。ある実施形態では、送信装置２２２は、複数の装置、例えば、異なるネットワークを介してデータを送信するための異なる送信装置であって、構内通信網を介してデータを送信するための第１の送信装置及びインターネットを介してデータを送信するための第２の送信装置などを含んで構成されることができる。送信装置２２２は、受信するコンピューティング装置によって構文解析され得る、データが重ねられたデータ信号を電子的に送信することができる。ある事例では、送信装置２２２は、データを、送信に適したデータ信号に重ねる、符号化する、又はフォーマットするための１つ以上のモジュールを含むことができる。

【0048】

送信装置２２２は、データ信号を支払システム１０４に電子的に送信するように構成されることができる。このデータ信号は、支払トークンと口座情報とに重ねられる、又は符号化されることができる。送信装置２２２はまた、データ信号を受取人装置１０６に電子的に送信するように構成されることができる。このデータ信号は、支払トークン、デジタル署名、機械可読コード、通知メッセージなどに重ねられる、又は符号化されることができる。送信装置２２２はまた、ブロックチェーンノード１１２にデータ信号を電子的に送信するように構成されることができる。このデータ信号は、支払トークン、宛先アドレス、ブロックチェーンデータ値、ブロック、確認メッセージなどに重ねられる、又は符号化されることができる。送信装置２２２はまた、販売業者システム１１４にデータ信号を電子的に送信するように構成されることができる。このデータ信号は、支払トークン、支払トークンに関連付けられたデータ値などに関する決定と重ねられる、又は符号化される。

【0049】

支払トークンの配布及び引き換えを容易にするための処理
図３Ａ及び図３Ｂは、システム１００における援助給付の配布及び引き換えのための、ブロックチェーンを介した支払トークンの配布及びその引き換えを容易にするための処理を示す。

【0050】

ステップ３０２において、援助組織又は他のエンティティから援助給付を受け取ることに関心がある受取人は、受取人装置１０６を使用して、支払トークンを介した給付の受け取りを処理サーバ１０２に登録することができる。受取人装置１０６は、適切な通信ネットワーク及び方法を使用して、少なくとも、受取人装置１０６に関連付けられた装置識別子と、受取人に関連付けられた識別情報とを処理サーバ１０２に電子的に送信することができる。ステップ３０４において、処理サーバ１０２の受信装置２０２は、受取人装置１０６からデータを受信することができる。ステップ３０６において、処理サーバ１０２のクエリモジュール２１６は、処理サーバ１０２の受取人データベース２０６上でクエリを実行して、少なくとも、装置識別子と識別情報とを含む受取人の新しい受取人プロファイル２０８をそこに挿入することができる。

【0051】

ステップ３０８において、受取人に給付を配布することを望む援助組織又は他のエンティティに関連付けられた支払システム１０４は、受取人を対象とする１つ以上の支払トークンを処理サーバ１０２に発行することができる。各支払トークンは、トークン識別値と、支払トークンが表す不換通貨及びその額を示す追加データ値と、支払トークンの使用及び引き換えの制約に関する任意の値と、を含むデータオブジェクトとすることができる。ステップ３１０において、処理サーバ１０２の受信装置２０２は、支払システム１０４から支払トークンを受信することができる。これは、支払トークンが発行されている受取人に関連付けられた識別情報を含む、ステップ３０６において作成された新しい受取人プロファイル２０８を伴うことができる。

【0052】

ステップ３１２において、処理サーバ１０２のクエリモジュール２１６は、処理サーバ１０２のトークンデータベース２１０上でクエリを実行して、少なくとも、支払トークンと、受取人に関連付けられた識別情報とを含む新しいトークンプロファイル２１２をそこに格納することができる。ステップ３１４において、処理サーバ１０２は、支払トークンを登録することができる。支払トークンの登録は、受取人への支払トークンの配布及びその使用に必要な機能を実行することを含むことができる。登録の一部として、処理サーバ１０２の生成モジュール２１８は、秘密鍵と公開鍵とを含んでなる暗号鍵ペアを生成して、支払トークンのブロックチェーンウォレットとして機能することができる。生成モジュール２１８はまた、秘密鍵と署名生成アルゴリズムとを使用してデジタル署名を生成し、公開鍵を使用して宛先アドレスを生成することができる。処理サーバ１０２の送信装置２２２は、生成されてブロックチェーンに追加される新しいブロック内に含まれる新しいブロックチェーンデータ値内に包含するために、支払トークンと宛先アドレスとをブロックチェーンネットワーク１１０内のブロックチェーンノード１１２に電子的に送信することができる。処理サーバ１０２の生成モジュール２１８はまた、少なくとも、生成されたデジタル署名及び支払トークンを有する符号化されたＱＲコードを生成することができる。ある実施形態では、処理サーバ１０２のクエリモジュール２１６は、処理サーバ１０２のトークンデータベース２１０上でクエリを実行して、支払トークンに関連付けられたトークンプロファイル２１２を更新し、暗号鍵ペアをそれに追加することができる。

【0053】

ステップ３１６において、処理サーバ１０２の送信装置２２２は、適切な通信ネットワーク及び方法を使用して、通知メッセージを受取人装置１０６に電子的に送信することができる。これは例えば、ＳＭＳメッセージ、電子メール、アプリケーションプログラムなどを介して、行われる。通知メッセージは、少なくともＱＲコードを含むことができる。ステップ３１８において、受取人装置１０６は通知メッセージを受信することができる。受取人は、受取人装置１０６を販売業者に持ち込み、支払トークンを使用して購入するために、１つ以上の商品又はサービスを選択することができる。ステップ３２０において、受取人装置１０６は、販売業者システム１１４によって読み取るために、その表示装置上にＱＲコードを表示することができる。ステップ３２２において、販売業者システム１１４は、カメラなどの光学撮像装置を使用して、ＱＲコードを読み取ることができる。ステップ３２４において、販売業者システム１１４は、従来の方法を使用して、ＱＲコードから支払トークンとデジタル署名とを復号することができる。支払トークンが使用に関する１つ以上の制約を受け得る場合、販売業者システム１１４は、販売業者、製品種類、額などの任意の適用可能な制約に従って支払トークンが使用されていることを最初に（例えば、直接又は処理サーバ１０２を使用して）検証することができる。ステップ３２６において、販売業者システム１１４は、適切な通信ネットワーク及び方法を使用して、処理サーバ１０２に引き換えメッセージを電子的に送信することができる。引き換えメッセージは、少なくとも、支払トークンと、デジタル署名と、販売業者が、支払トークンに相当する不換通貨を受け取ることを望むトランザクション口座に関連付けられた口座情報と、を含むことができる。

【0054】

ステップ３２８において、処理サーバ１０２の受信装置２０２は、販売業者システム１１４から引き換えメッセージを受信することができる。ステップ３３０において、処理サーバ１０２は、デジタル署名を検証することができる。処理サーバ１０２のクエリモジュール２１６は、処理サーバ１０２のトークンデータベース２１０上でクエリを実行して、支払トークンを含むトークンプロファイル２１２を識別し、そこに格納された公開鍵を識別することができる。処理サーバ１０２の検証モジュール２２０は、公開鍵及び署名生成アルゴリズムを使用してデジタル署名を検証することができる。検証に成功すると、ステップ３３２において、処理サーバ１０２の送信装置２２２は、適切な通信ネットワーク及び方法を使用して、決済指示メッセージを支払システム１０４に電子的に送信することができる。決済指示メッセージは、少なくとも、支払トークンと、引き換えメッセージにおいて受信された口座情報とを含むことができる。

【0055】

ステップ３３４において、支払システム１０４は、処理サーバ１０２から決済指示メッセージを受信することができる。ステップ３３６において、支払システム１０４は、決済指示メッセージにおいて受信された口座情報に関連付けられたトランザクション口座に対する、支払トークンに対応する不換通貨の通貨額の決済のために、電子決済トランザクションを開始することができる。電子決済トランザクションの開始は、支払銀行１０８に通貨額と口座情報とを提供することを含むことができる。支払銀行１０８は、不換通貨の適切な額を販売業者銀行１１６に移転することができ、販売業者銀行は、適切な額を、口座情報内に示されたトランザクション口座に入れることができる。ステップ３３８において、販売業者は、それに応じて、援助組織又は他のエンティティによって提供される援助給付のために受取人によって取引される商品又はサービスの決済として受け入れられた支払トークンの引き換え後に、不換通貨の適切な額の決済を受け取ることができる。

【0056】

給付支払いを容易にするための例示的な方法
図４は、トークン及びブロックチェーンの使用を介して、給付支払いを容易にするための方法４００を示す。

【0057】

ステップ４０２において、給付情報は、処理サーバ（例えば、処理サーバ１０２）の受信機（例えば、受信装置２０２）によって第１のコンピューティングシステム（例えば、支払システム１０４）から受信されることができる。給付情報は、少なくとも受給者識別子（例えば、識別情報）を含む。ステップ４０４において、ブロックチェーンデータ項目(blockchain data entry)が、ブロックチェーン内に格納されることができる。ブロックチェーンデータ項目は、少なくとも、受給者情報に関連付けられた支払トークンと、暗号鍵ペアの公開鍵を使用して生成された受取人の値とを含む。

【0058】

ステップ４０６において、引き換えメッセージが、第２のコンピューティングシステム（例えば、販売業者システム１１４）から処理サーバの受信機によって受信されることができる。引き換えメッセージは、少なくとも、支払トークンと、暗号鍵ペアの秘密鍵を使用して生成されたデジタル署名と、トランザクション口座データと、引き換え額と、を含む。ステップ４０８において、デジタル署名は、暗号鍵ペアの公開鍵を使用して、処理サーバのプロセッサ（例えば、検証モジュール２２０）によって検証されることができる。ステップ４１０において、移転メッセージは、処理サーバの送信機（例えば、送信装置２２２）によって、第１のコンピューティングシステムに送信されることができる。移転メッセージは、少なくとも、トランザクション口座データと引き換え額とを含む。

【0059】

一実施形態では、受給者情報は、支払トークンを含むことができる。ある実施形態では、方法４００は、処理サーバのプロセッサ（例えば、生成モジュール２１８）によって、少なくとも受信された受給者情報に基づいて支払トークンを生成することをさらに含むことができる。一実施形態では、受給者情報は、通貨額をさらに含むことができ、引き換え額は通貨額以下とすることができる。ある実施形態では、受給者情報は、支払トークンをさらに含むことができ、移転メッセージは、支払トークンをさらに含むことができる。一実施形態では、方法４００は、第４のコンピューティングシステム（例えば、支払銀行１０８）の受信機によって、第１のコンピューティングシステムから決済指示を受信することであって、決済指示は、少なくとも、トランザクション口座データと、引き換え額と、引出口座データ(source account data)とを含む、ことと、第４のコンピューティングシステムのプロセッサによって、引出口座データに関連付けられた第１のトランザクション口座から、トランザクション口座データに関連付けられた第２のトランザクション口座への引き換え額の決済について、電子決済トランザクションを開始することと、をさらに含むことができる。

【0060】

ある実施形態では、方法４００はまた、処理サーバの送信機によって、通知メッセージを第３のコンピューティングシステム（例えば、受取人装置１０６）に送信することを含むことができる。第３のコンピューティングシステムは、少なくとも受給者識別子に基づいて識別される。さらなる実施形態では、通知メッセージは、暗号鍵ペアの秘密鍵を含むことができる。別のさらなる実施形態では、通知メッセージは、暗号鍵ペアの秘密鍵で符号化された機械可読コードを含むことができる。さらに別のさらなる実施形態では、通知メッセージは、デジタル署名を含むことができる。

【0061】

コンピュータシステムアーキテクチャ
図５は、本開示の実施形態又はその一部がコンピュータ可読コードとして実装されることができるコンピュータシステム５００を示す。例えば、図１及び図２の処理サーバ１０２と、図１の支払システム１０４、受取人装置１０６、支払銀行１０８、ブロックチェーンノード１１２、及び販売業者システム１１４とは、そこに格納された命令を有するハードウェア、非一時的コンピュータ可読媒体、又はそれらの組み合わせを使用して、コンピュータシステム５００において実装されることができ、１つ以上のコンピュータシステム又は他の処理システムにおいて実装されることができる。ハードウェアは、図３Ａ、図３Ｂ、及び図４の方法を実施するために使用されるモジュール及び構成要素を具体化することができる。

【0062】

プログラマブルロジックが使用される場合、そのようなロジックは、実行可能ソフトウェアコードによって構成された市販の処理プラットフォーム上で実行して、特定の目的のコンピュータ又は特別の目的の装置（例えば、プログラマブルロジックアレイ、特定用途向け集積回路など）になることができる。当業者は、開示された主題の実施形態が様々なコンピュータシステム構成を用いて実施され得ることを理解することができる。このコンピュータシステム構成は、マルチコアマルチプロセッサシステム、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、分散機能を用いてリンク又はクラスタ化されたコンピュータ、ならびに仮想的に任意の装置に埋め込まれ得るパーペイシブ又は小型コンピュータを含む。例えば、少なくとも１つのプロセッサ装置と記憶部とが、上述の実施形態を実装するために使用されることができる。

【0063】

本明細書で論じられるプロセッサユニット又は装置は、単一のプロセッサ、複数のプロセッサ、又はそれらの組み合わせとすることができる。プロセッサ装置は、１つ以上のプロセッサ「コア」を有することができる。本明細書で論じられるような用語「コンピュータプログラム媒体」、「非一時的コンピュータ可読媒体」、及び「コンピュータ使用可能媒体」は、概して、取り外し可能記憶ユニット５１８、取り外し可能記憶ユニット５２２、及びハードディスクドライブ５１２にインストールされたハードディスクなどの有形媒体を指すために使用される。

【0064】

本開示の様々な実施形態は、この例示的なコンピュータシステム５００に関して説明される。この説明を読んだ後、他のコンピュータシステム及び／又はコンピュータアーキテクチャを使用して、どのように本開示を実施するかが当業者には明らかになるであろう。動作は連続的な処理として説明されることができるが、動作の一部は、実際には、並列に、同時に、及び／又は分散環境において、単一又はマルチプロセッサ機械によるアクセスのためにローカルに又は遠隔に格納されたプログラムコードを用いて、実行されることができる。追加的に、ある実施形態では、動作の順序が、開示される主題の趣旨から逸脱することなく、再構成されることができる。

【0065】

プロセッサ装置５０４は、本明細書で論じられる機能を実行するように特に構成された専用又は汎用プロセッサ装置とすることができる。プロセッサ装置５０４は、例えば、バス、メッセージキュー、ネットワーク、マルチコアメッセージパッシング方式などの通信インフラストラクチャ５０６に接続されることができる。ネットワークは、本明細書で開示されるような機能を実行するのに適した任意のネットワークとすることができ、構内通信網（ＬＡＮ）、広域通信網（ＷＡＮ）、無線ネットワーク（例えば、ＷｉＦｉ）、移動体通信網、衛星ネットワーク、インターネット、光ファイバ、同軸ケーブル、赤外線、無線周波数（ＲＦ）、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。他の適切なネットワークの種類及び構成は、当業者には明らかであろう。また、コンピュータシステム５００は、主記憶部５０８（例えば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリなど）を含むことができ、補助記憶部５１０も含むことができる。補助記憶部５１０は、ハードディスクドライブ５１２と取り外し可能記憶ドライブ５１４とを含むことができる。これは、例えば、フロッピーディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、フラッシュメモリなどである。

【0066】

取り外し可能記憶ドライブ５１４は、周知の方法で、取り外し可能記憶ユニット５１８から読み取り、及び／又はそれに書き込むことができる。取り外し可能記憶ユニット５１８は、取り外し可能記憶ドライブ５１４によって読み書きされ得る取り外し可能記憶媒体を含むことができる。例えば、取り外し可能記憶ドライブ５１４がフロッピーディスクドライブ又はユニバーサルシリアルバスポートである場合、取り外し可能記憶ユニット５１８は、それぞれ、フロッピーディスク又はポータブルフラッシュドライブとすることができる。一実施形態では、取り外し可能記憶ユニット５１８は、非一時的コンピュータ可読記録媒体とすることができる。

【0067】

ある実施形態では、補助記憶部５１０は、コンピュータプログラム又は他の命令をコンピュータシステム５００内に読み込むことを可能にするための代替手段、例えば、取り外し可能記憶ユニット５２２及びインタフェース５２０を含むことができる。そのような手段の例は、プログラムカートリッジ及びカートリッジインタフェース（例えば、ビデオゲームシステムに見られるようなもの）と、取り外し可能メモリチップ（例えば、ＥＥＰＲＯＭ、ＰＲＯＭなど）及び関連付けられたソケットと、当業者には明らかであるような他の取り外し可能記憶ユニット５２２及びインタフェース５２０とを含むことができる。

【0068】

コンピュータシステム５００（例えば、主記憶部５０８及び／又は補助記憶部５１０）内に格納されたデータは、任意の種類の適切なコンピュータ可読媒体上に格納されることができる。これは例えば、光学記憶装置（例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、ブルーレイディスクなど）又は磁気テープ記憶装置（例えば、ハードディスクドライブ）である。データは、任意の種類の適切なデータベース構成において構成されることができる。これは、例えば、関係データベース、構造化クエリ言語（ＳＱＬ）データベース、分散データベース、オブジェクトデータベースなどである。適切な構成及び記憶装置の種類は、当業者には明らかであろう。

【0069】

コンピュータシステム５００はまた、通信インタフェース５２４を含むことができる。通信インタフェース５２４は、ソフトウェア及びデータを、コンピュータシステム５００と外部装置との間で転送することを可能にするように構成されることができる。例示的な通信インタフェース５２４は、モデム、ネットワークインタフェース（例えば、イーサネットカード）、通信ポート、ＰＣＭＣＩＡスロット及びカードなどを含むことができる。通信インタフェース５２４を介して転送されたソフトウェア及びデータは、信号の形態とすることができ、これは、電子信号、電磁信号、光信号、又は当業者には明らかであるような他の信号とすることができる。信号は、通信経路５２６を介して伝わることができる。これは、信号を搬送するように構成されることができ、電線、ケーブル、光ファイバ、電話回線、携帯電話リンク、無線周波数リンクなどを使用して実装されることができる。

【0070】

コンピュータシステム５００は、表示インタフェース５０２をさらに含むことができる。表示インタフェース５０２は、データを、コンピュータシステム５００と外部表示装置５３０との間で転送することを可能にするように構成されることができる。例示的な表示インタフェース５０２は、高解像度マルチメディアインタフェース（ＨＤＭＩ）、デジタルビジュアルインタフェース（ＤＶＩ）、ビデオグラフィックスアレイ（ＶＧＡ）などを含むことができる。表示装置５３０は、コンピュータシステム５００の表示インタフェース５０２を介して送信されるデータを表示するための任意の適切な種類の表示装置とすることができる。この表示装置は、陰極線管（ＣＲＴ）表示装置、液晶表示装置（ＬＣＤ）、発光ダイオード（ＬＥＤ）表示装置、静電タッチ表示装置、薄膜トランジスタ（ＴＦＴ）表示装置などを含む。

【0071】

コンピュータプログラム媒体及びコンピュータ使用可能媒体は、主記憶部５０８及び補助記憶部５１０などの記憶部を指すことができ、これは、メモリ半導体（例えば、ＤＲＡＭなど）とすることができる。これらのコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステム５００にソフトウェアを提供するための手段とすることができる。コンピュータプログラム（例えば、コンピュータ制御ロジック）は、主記憶部５０８及び／又は補助記憶部５１０内に格納されることができる。また、コンピュータプログラムは、通信インタフェース５２４を介して受信されることができる。そのようなコンピュータプログラムは、実行されると、コンピュータシステム５００が本明細書で論じられるような本方法を実施することを可能にすることができる。特に、コンピュータプログラムは、実行されると、プロセッサ装置５０４が、本明細書で論じられるような、図３Ａと、図３Ｂと、図４とによって示された方法を実施することを可能にすることができる。したがって、そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータシステム５００の制御装置を表すことができる。本開示がソフトウェアを使用して実装される場合、ソフトウェアは、コンピュータプログラム製品内に格納され、取り外し可能記憶ドライブ５１４、インタフェース５２０、及びハードディスクドライブ５１２、又は通信インタフェース５２４を使用してコンピュータシステム５００内に読み込まれることができる。

【0072】

プロセッサ装置５０４は、コンピュータシステム５００の機能を実行するように構成された１つ以上のモジュール又はエンジンを含むことができる。モジュール又はエンジンの各々は、ハードウェアを使用して実装されることができ、ある事例では、主記憶部５０８又は補助記憶部５１０内に格納されたプログラムコード及び／又はプログラムに対応するようなソフトウェアも利用することができる。そのような事例では、プログラムコードは、コンピュータシステム５００のハードウェアによる実行の前に、プロセッサ装置５０４によって、（例えば、コンパイルするモジュール又はエンジンによって）コンパイルされることができる。例えば、プログラムコードは、プロセッサ装置５０４及び／又はコンピュータシステム５００の任意の追加のハードウェア構成要素による実行のために、アセンブリ言語又は機械コードなどの低水準言語に翻訳されるプログラミング言語で書かれたソースコードとすることができる。コンパイルする処理は、字句解析と、前処理と、構文解析と、意味解析と、構文指向翻訳と、コード生成と、コード最適化と、コンピュータシステム５００を制御して本明細書で開示される機能を実行するのに適した低水準言語へのプログラムコードの翻訳に適し得る任意の他の技術と、の使用を含むことができる。そのような処理の結果、コンピュータシステム５００は、上述の機能を実行するように一意にプログラムされた、特別に構成されたコンピュータシステム５００となることが当業者には明らかであろう。

【0073】

本開示と一致する技術は、他の特徴の中でも、トークン及びブロックチェーンの使用を介して、給付支払いを容易にするためのシステム及び方法を提供する。開示されたシステム及び方法の様々な例示的な実施形態が上記説明されたが、それらは、限定ではなく、例示のみを目的として提示されたことを理解されたい。それは、網羅的ではなく、開示された厳密な形態に本開示を限定しない。上記の教示に照らして、修正及び変形が可能であり、又は、修正及び変形は、広さ若しくは範囲から逸脱することなく、本開示の実施から得られることができる。

【図1】

【図2】

【図3A】

【図3B】

【図4】

【図5】

【国際調査報告】