(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】織物を処理するためのシリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーエマルジョン配合物
(51)【国際特許分類】
D06M 15/263 20060101AFI20240903BHJP
D06M 13/395 20060101ALI20240903BHJP
D06M 15/53 20060101ALI20240903BHJP
C08F 220/12 20060101ALI20240903BHJP
C08F 2/16 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
D06M15/263
D06M13/395
D06M15/53
C08F220/12
C08F2/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024506632
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 US2022073008
(87)【国際公開番号】W WO2023019044
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217663
【氏名又は名称】末広 尚也
(72)【発明者】
【氏名】ジェレティック、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ハッソ、ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】メッカ、ジョディ
(72)【発明者】
【氏名】ドンブロウスキー、ゲイリー
【テーマコード(参考)】
4J011
4J100
4L033
【Fターム(参考)】
4J011KA08
4J011KA10
4J011KA14
4J011KB14
4J011KB22
4J011KB29
4J100AL05P
4J100AL08Q
4J100AL08R
4J100AL09R
4J100BA03R
4J100BA05R
4J100BA08R
4J100BA14R
4J100BA15R
4J100BA28R
4J100BA35R
4J100BA80Q
4J100CA05
4J100FA03
4J100FA20
4J100JA11
4L033AB04
4L033AC03
4L033BA69
4L033CA18
4L033CA48
(57)【要約】
織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物は、シロキサン-(メタ)アクリレートコポリマー、非イオン性界面活性剤、水、及び水分散性架橋剤を含む。エマルジョン配合物及びコポリマーの調製方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物であって、
(I)単位式:
【化1】
(式中、
各R
1は、独立して選択される16~24個の炭素原子のアルキル基であり、
各R
2は、独立して、H及びメチルからなる群から選択され、
各D
2は、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、
各R
3は、独立して、R
4及び式-OSi(R
4)
3の基からなる群から選択され、
各R
4は、独立して選択される1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、
各R
7は、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、
D
3は、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、
各D
4は、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価アルキルアリーレン基であり、
下付き文字vは、下付き文字yを有する単位中の式(OD
4)の単位数を表し、
下付き文字vは、0~12の値を有し、
各R
8は、架橋性基であり、
各R
5は、酸素原子であり、
Dは、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、
各D
1は、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価アルキルアリーレン基であり、
下付き文字v2は、下付き文字y2を有する単位中の式(OD
1)の単位数を表し、
下付き文字v2は、0~20の値を有し、
各R
6は、アルコキシ基又はヒドロキシ基であり、
各R
9は、1~14個の炭素原子の一価炭化水素基であり、
各R
10は、独立して、ハロゲン、アセテート基、又は1~14個の炭素原子の一価炭化水素基からなる群から選択され、
下付き文字w、x、y、y2、z1、及びz2は、コポリマー中の各単位の相対重量を表し、
量(w+x+y+y2+z1+z2)=100であり、
80≦w<98であり、
1≦x≦5であり、
1≦y≦5であり、
0≦y2≦5であり、
0≦z1≦18であり、
0≦z2≦18である)
を有するシリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーと、
(II)式:
【化2】
(式中、R
19は、8~15個の炭素原子を有する分岐又は直鎖アルキル基であり、下付き文字nは、少なくとも23であり、各D
5は、独立して選択される2個以上の炭素原子のアルキレンオキシド基である)のアルコールアルコキシレートを含む非イオン性界面活性剤と、
(III)水と、
(IV)水分散性架橋剤と、
を含むが、
ただし、カチオン性界面活性剤を含まない、エマルジョン配合物。
【請求項2】
R
1は、ステアリル基であり、83≦w≦93であり、R
3は、-CH
3及び-OSi(CH
3)
3からなる群から選択され、R
4は、メチルであり、D
2は、-(CH
2)
2-であり、5≦x≦15であり、R
7はOであり、下付き文字v=0であり、R
8は、-OHであり、下付き文字y=2であり、下付き文字z1=0であり、下付き文字z2=0である、請求項1に記載のエマルジョン配合物。
【請求項3】
ワックス、殺生物剤、難燃剤、しわ低減剤、帯電防止剤、浸透剤、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の出発原料を更に含む、請求項1又は請求項2に記載のエマルジョン配合物。
【請求項4】
(II)前記非イオン界面活性剤が、
C
11~15第二級アルキルアルコールエトキシレート、2-エチルヘキシル第一級アルコールアルコキシレート、C
12~40第一級アルコールエトキシレート、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1又は請求項2に記載のエマルジョン配合物。
【請求項5】
(IV)前記水分散性架橋剤が、ブロック化イソシアネートを含む、請求項1又は請求項2に記載のエマルジョン配合物。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載のエマルジョン配合物を調製する方法であって、
(1)
80重量%~98重量%の(A)式:
【化3】
(式中、R
1及びR
2は、上記の通りである)の結晶性モノマーと、
1重量%~15重量%の(B)式:
【化4】
(式中、R
2、R
3、及びR
4は、上記の通りである)のシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマーと、
1重量%~5重量%の(C)式:
【化5】
(式中、R
2、R
7、D
3、D
4、R
8、及び下付き文字vは、上記の通りである)の架橋性(メタ)アクリレートモノマーと、
を含む出発原料を共重合させることであって、
出発原料(A)、(B)及び(C)の量が、出発原料(A)、(B)及び(C)の合計量に基づいて合計100重量%であり、出発原料(A)、(B)及び(C)を、
(D)界面活性剤と、
(III)水と、
(J)開始剤と、
を更に含むエマルジョン中で共重合させ、
それによって、(I)前記シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、(D)前記界面活性剤、及び(E)前記水、を含む水性エマルジョンを形成する、共重合させることと、
(2)前記水性エマルジョンを(IV)前記水分散性架橋剤を含む追加の出発原料と合わせることと、
を含む、方法。
【請求項7】
(D)前記界面活性剤が非イオン性ではなく、前記方法が、(3)(D)前記界面活性剤を除去し、(II)前記非イオン性界面活性剤で置き換えることを更に含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
出発原料(A)が、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、ベヘニルアクリレート、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項6又は請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
出発原料(B)が、3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート、3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
出発原料(C)が、2-ヒドロキシエチルメタクリレートである、請求項6~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
工程(1)において追加の出発原料を添加することを更に含み、前記追加の出発原料が、(G)連鎖移動剤、(H)出発原料(A)、(B)及び(C)とは異なる追加のモノマー、(J)阻害剤、(K)出発原料(D)とは異なる反応性界面活性剤、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項6~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記反応性界面活性剤が存在し、前記反応性界面活性剤が、式:
【化6】
(式中、R
2、R
5、D、D
1、及びR
6は、上記の通りであり、下付き文字v1は、前記反応性界面活性剤に300~950g/モルの数平均分子量を与えるのに十分な値を有する)を有する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
工程(1)の後に更なる追加の出発原料を添加することを更に含み、前記更なる追加の出発原料が、ワックス、殺生物剤、難燃剤、しわ低減剤、帯電防止剤、浸透剤、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項6~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
織物を処理するためのプロセスであって、
I)前記織物を、請求項1~5のいずれか一項に記載のエマルジョン配合物でコーティングすることと、
II)前記織物を加熱することと、を含む、プロセス。
【請求項15】
単位式:
【化7】
(式中、
各R
1は、独立して選択される16~24個の炭素原子のアルキル基であり、
各R
2は、独立して、H及びメチルからなる群から選択され、
各D
2は、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、
各R
3は、式-OSi(R
4)
3の基であり、
各R
4は、独立して選択される1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、
各R
7は、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、
D
3は、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、
各D
4は、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価アルキルアリーレン基であり、
下付き文字vは、下付き文字yを有する単位中の式(OD
4)の単位数を表し、
下付き文字vは、0~12の値を有し、
各R
8は、架橋性基であり、
各R
5は、酸素原子であり、
Dは、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、
各D
1は、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価アルキルアリーレン基であり、
下付き文字v2は、下付き文字y2を有する単位中の式(OD
1)の単位数を表し、
下付き文字v2は、0~12の値を有し、
各R
6は、アルコキシ又はヒドロキシ基であり、
各R
9は、1~14個の炭素原子の一価炭化水素基であり、
各R
10は、独立して、ハロゲン、アセテート基、又は1~14個の炭素原子の一価炭化水素基からなる群から選択され、
下付き文字w、x、y、y2、z1、及びz2は、前記コポリマー中の各単位の相対重量を表し、
量(w+x+y+y2+z1+z2)=100であり、
80≦w<100であり、
1≦x≦5であり、
1≦y≦5であり、
0<y2≦5であり、
0≦z1≦18であり、
0≦z2≦18である)
を有するシリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国特許法第119条(e)の下、2021年8月10日に出願された米国仮特許出願63/231280号の利益を主張するものである。米国仮特許出願第63/231,280号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーを含有するエマルジョン配合物及び当該エマルジョン配合物を調製する方法が提供される。エマルジョン配合物は、織物を処理して耐久性のある撥水性を織物に付与するのに有用である。
【背景技術】
【0003】
撥水性織物処理用途において、フルオロカーボン材料は、優れた耐久撥水性を提供するそれらの能力のために市場を支配してきた。しかしながら、規制及び顧客の圧力が、非フルオロカーボン系織物処理剤に対する産業上の必要性に寄与している。以前に開示されたフルオロカーボンを含まない織物処理剤は、それで処理された織物の撥水性が複数回の洗浄後に著しく低下する、乏しい耐久性を提供するという欠点を有する。
【発明の概要】
【0004】
エマルジョン配合物及びそれを調製するプロセスが開示される。エマルジョン配合物は、(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーと、(II)非イオン性界面活性剤と、(III)水と、(IV)水分散性架橋剤と、を含む。エマルジョン配合物は、織物を処理するのに好適である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
上記で紹介したように、エマルジョン配合物中の出発原料(I)は、シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー(コポリマー)である。コポリマーは、単位式:
【0006】
【化1】
(式中、各R
1は、独立して選択される16~24個の炭素原子のアルキル基であり、各R
2は、独立して、H及びメチルからなる群から選択され、各D
2は、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各R
3は、独立して、R
4及び式-OSi(R
4)
3の基からなる群から選択され、各R
4は、独立して選択される1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各R
7は、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、D
3は、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、D
4は、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価のアルキルアリーレン基であり、下付き文字vは、下付き文字yを有する単位中の式(OD
4)の単位の数を表し、下付き文字vは、0~12の値を有し、各R
8は、架橋性基であり、各R
5は、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、Dは、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各D
1は、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価アルキルアリーレン基であり、下付き文字v2は、下付き文字y2を有する単位中の式(OD
1)の単位数を表し、下付き文字v2は、0~20の値を有し、各R
6は、独立して、ヒドロキシル基及びアルコキシ基(例えば、メトキシ)からなる群から選択され、各R
9は、1~14個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各R
10は、独立して、ハロゲン(例えば、塩素)、アセテート基、又は1~14個の炭素原子の一価炭化水素基からなる群から選択され、下付き文字w、x、y、y2、z1、及びz2は、コポリマー中の各単位の相対重量を表し、下付き文字wは、80~98の値を有し、下付き文字xは、1~15の値を有し、下付き文字yは、1~5の値を有し、下付き文字y2は、0~5の値を有し、下付き文字z1は、0~18の値を有し、下付き文字z2は、0~18の値を有し、量(w+x+y+y2+z1+z2)=100である)を含む。コポリマーは、末端部分を更に含む。
【0007】
上記の単位式において、R1は、16~24個の炭素原子を有する。あるいは、R1は、少なくとも16個、あるいは少なくとも17個、あるいは少なくとも18個の炭素原子を有していてよく、同時にR1は、最大24個、あるいは最大23個、あるいは最大22個の炭素原子を有していてよい。あるいは、R1は、17~23個の炭素原子、あるいは16~22個の炭素原子、あるいは17~24個の炭素原子、あるいは18~22個の炭素原子を有していてもよい。R1は、ステアリル、アイコシル、及びベヘニルからなる群から選択され得る。あるいは、R1は、ステアリルであり得る。
【0008】
上記の単位式中、下付き文字xを有する単位は、シリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー単位である。シリコーン-メタクリレートマクロモノマー単位中、各R3は、独立して、R4及び式-OSi(R4)3(式中、各R4は、独立して選択される1~12個の炭素原子の一価炭化水素基である)の基からなる群から選択される。シリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー単位中、R4の一価炭化水素基は、アルキル基、例えば1~6個の炭素原子のアルキル基であってよい。あるいは、アルキル基は、1~3個の炭素原子、あるいは1~2個の炭素原子を有し得る。あるいは、各R4は、メチルであってもよい。
【0009】
上記単位式中、各D2は、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基である。あるいは、D2は、2~10個、あるいは3~5個、あるいは3個の炭素原子を有し得る。各D3及び各Dは、独立して、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基である。あるいは、各D3及び各Dは、アルキレン基、あるいはエチレンであり得る。D4及びD1は、それぞれ独立して、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価アルキルアリーレン基である。
【0010】
D4及びD1の二価炭化水素基は、エチレン、プロピレン、又はブチレン等のアルキレン基、フェニレンなどのアリーレン基、又は
【0011】
【0012】
【化3】
(式中、各下付き文字uは、独立して1~6、あるいは1~2である)などのアルキルアリーレン基を例示することができる。あるいは、二価炭化水素基は、アルキレンであってもよく、あるいは二価炭化水素基はエチレンであってもよい。D、D
2、及びD
3の二価炭化水素基は、上記の通りであってもよく、あるいはメチレンであってもよい。あるいは、D
2は、メチレン、エチレン、又はプロピレンであってもよく、あるいは、プロピレンである。あるいは、D
2は、直鎖状、例えば、-(CH
2)
2-又は-(CH
2)
3-であってもよい。
【0013】
上記の単位式中、各R7は、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択される。あるいは、各R7は、酸素であってもよい。
【0014】
上記の単位式において、各R8は、架橋性基である。各R8は、独立して、ヒドロキシ、アミノ、エポキシ、ウレイド、及びアセトキシからなる群から選択され得る。あるいは、各R8は、独立して、ヒドロキシ及びウレイドからなる群から選択されてもよく、あるいは各R8はヒドロキシであってもよい。
【0015】
上記の単位式中、各R5は、酸素原子である。各R6は、-OH及びアルコキシからなる群から選択される。あるいは、R6のアルコキシ基は、-OCH3であってもよい。
【0016】
上記の単位式において、各R9は、一価炭化水素基であり、脂肪族不飽和を含まず、直鎖、分岐状、若しくは環状(すなわち、単環式若しくは多環式)、又はこれらの組み合わせであってもよい。R9は、アルキル基又はアリール基であってもよく、単環式であっても多環式であってもよく、任意選択で、直鎖状又は分岐状の基を有していてもよい。R9に好適なアルキル基の例としては、メチル、t-アミル、ブチル(t-ブチルを含む)、シクロヘキシル、イソデシル、イソボルニル、及び2-エチルヘキシルを挙げることができる。好適なアリール基の例としては、フェニル、ナフチル、アントラシル、及びベンジルが挙げられる。
【0017】
上記の単位式において、R10は、R9について上述したように、ハロゲン化物、アセテート、又は一価炭化水素基であってもよい。ハロゲン化物は、臭化物(Br)、塩化物(Cl)、フッ化物(F)又はヨウ化物(I)であってもよく、あるいはBr、Cl又はFであり、あるいはCl又はBrであり、あるいはClであってもよい。
【0018】
上記の単位式中、下付き文字w、x、y、y2、z1、及びz2は、各単位の相対重量であり、量(w+x+y+y2+z1+z2)は合計100であり得る。下付き文字wは、80~98の値を有する。あるいは、下付き文字wは、少なくとも80、あるいは少なくとも81、あるいは少なくとも82、あるいは少なくとも83、あるいは少なくとも84、あるいは少なくとも85、あるいは少なくとも86、あるいは少なくとも87、あるいは少なくとも88であってもよく、同時に、下付き文字wは、最大98、あるいは最大97、あるいは最大96、あるいは最大95、あるいは最大94、あるいは最大93、あるいは最大92、あるいは最大91、あるいは最大90、あるいは最大89、あるいは最大88であってもよい。あるいは、下付き文字xは、84~92、あるいは85~91、あるいは86~90、あるいは87~89、あるいは88であってもよい。
【0019】
下付き文字xは、1~15、あるいは5~15の値を有する。あるいは、下付き文字xは、少なくとも1、あるいは少なくとも5、あるいは少なくとも6、あるいは少なくとも7、あるいは少なくとも8、あるいは少なくとも9、あるいは少なくとも10であってもよく、同時に、下付き文字xは、最大15、あるいは最大14、あるいは最大13、あるいは最大12、あるいは最大11、あるいは最大で10であってもよい。あるいは、下付き文字xは、1~14、あるいは2~13、あるいは3~12、あるいは4~11、あるいは5~10、あるいは7~13、あるいは10であってもよい。
【0020】
下付き文字yは、1~5の値を有する。あるいは、下付き文字yは、少なくとも1、あるいは少なくとも1.25、あるいは少なくとも1.5、あるいは少なくとも1.75、あるいは少なくとも2であってもよく、同時に、下付き文字yは、最大5、あるいは最大4、あるいは最大3、あるいは最大2.75、あるいは最大2.5、あるいは最大2.25であってもよい。あるいは、下付き文字yは、1~3、あるいは1~2、あるいは1.5~2.5、あるいは1.75~2.25、あるいは2であってもよい。
【0021】
下付き文字y2は、0~5の値を有する。あるいは、下付き文字y2は、少なくとも1、あるいは少なくとも1.25、あるいは少なくとも1.5、あるいは少なくとも1.75、あるいは少なくとも2であってもよく、同時に、下付き文字y2は、最大5、あるいは最大4、あるいは最大3、あるいは最大2.75、あるいは最大2.5、あるいは最大2.25であってもよい。あるいは、下付き文字y2は、0~3、あるいは1~2、あるいは1.5~2.5、あるいは1.75~2.25、あるいは2であってもよい。
【0022】
下付き文字z1は、0であってもよい。あるいは、下付き文字z1は、少なくとも0.5、あるいは少なくとも1、あるいは少なくとも2であってもよく、同時に、下付き文字z1は、最大18、あるいは最大15、あるいは最大10、あるいは最大8、あるいは最大5であってもよい。あるいは、下付き文字z1は、0~18、あるいは0超~18、あるいは0.5~7、あるいは1~6、あるいは2~5であってもよい。
【0023】
下付き文字z2は、0であってもよい。あるいは、下付き文字z2は、少なくとも0.5、あるいは少なくとも1、あるいは少なくとも2であってもよく、同時に、下付き文字z2は、最大8、あるいは最大7、あるいは最大6、あるいは最大5、あるいは最大4であってもよい。あるいは、下付き文字z2は、0~8、あるいは0超~8、あるいは0.5~7、あるいは1~6、あるいは2~5であってもよい。
【0024】
コポリマーの1分子当たりの単位の総数は特に制限されない。しかし、コポリマーは、100,000g/mol~4,000,000g/mol、あるいは200,000g/mol~3,000,000g/mol、あるいは100,000g/mol~1,000,000g/molの数平均分子量を有し得るが、これは、各モノマー及び連鎖移動剤の選択に基づく従来の方法によるものである。上に示した単位は任意の順序であってよく、例えば、コポリマーはランダムコポリマー又はブロックコポリマーであってもよい。
【0025】
当業者は、コポリマーが以下に記載されるようなプロセスを介してラジカル重合によって調製され得ること、及びこのプロセスがコポリマーのための末端部分を形成することを認識する。コポリマーは、例えば、Odian,George(2004).Principles of Polymerization(4th ed.).New York:Wiley-Interscience.ISBN 978-0-471-27400-1に記載の通り、開始剤、連鎖移動剤、又はその両方に由来し得る末端部分を更に含む。
【0026】
コポリマーは、
(1)
80重量%~98重量%の(A)式:
【0027】
【化4】
(式中、R
1及びR
2は、上記の通りである)の結晶性モノマーと、
1重量%~15重量%の(B)式:
【0028】
【化5】
(式中、R
2、R
3、及びR
4は、上記の通りである)のシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマーと、
1重量%~5重量%の(C)式:
【0029】
【化6】
(式中、R
2、R
7、D
3、D
4、R
8、及び下付き文字vは、上記の通りである)の架橋性(メタ)アクリレートモノマーと、
を含む出発原料を共重合させることを含むプロセスであって、
出発原料(A)、(B)及び(C)の量が、出発原料(A)、(B)及び(C)の合計量に基づいて合計100重量%であり、出発原料(A)、(B)及び(C)を、
(D)界面活性剤と、
(E)水と、
(F)開始剤と、
を更に含むエマルジョン中で共重合させ、
それによって、(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、(D)界面活性剤、及び(E)水を含む水性エマルジョンを形成する、プロセス、を介して調製され得る。プロセスは、任意選択で、工程(1)において追加の出発原料を添加することを更に含んでいてもよく、当該追加の出発原料は、(G)連鎖移動剤、(H)出発原料(A)、(B)及び(C)とは異なる追加のモノマー、(J)阻害剤、(K)反応性界面活性剤、並びに(G)、(H)、(J)、及び(K)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0030】
上記のプロセスの工程(1)は、出発原料(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び(F)(並びに任意選択で(G)、(H)、(J)、及び/又は(K))を含むエマルジョンを形成することを含んでいてもよい。出発原料(A)が室温で固体である場合、出発原料は、出発原料(A)を融解するのに十分な温度及び時間、例えば、5分間~15分間にわたって、30℃~50℃で加熱され得る。得られた出発原料を剪断下で混合して、水性エマルジョンを形成することができる。剪断下での混合は、水性エマルジョンを形成するための任意の好都合な手段(例えば、超音波処理及びその後のマイクロ流動化)によって行われ得る。剪断下で混合するための装置(例えば、超音波処理器、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、及びスピードミキサー)は、当該分野で公知であり、市販されている。理論に束縛されるものではないが、剪断下での混合を使用して、エマルジョン中でサブミクロンの粒径を得ることができると考えられる。工程(1)では、(A)、(B)、(C)、及び(F)(並びに存在する場合には(G)、(H)、及び(K))を含む出発原料が共重合して、出発原料(D)及び(E)(並びに存在する場合には(J)阻害剤)と共に水性エマルジョン中で(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーを形成する。
【0031】
あるいは、上記のコポリマーは、出発原料のうちの1つ以上を有機溶媒(例えば、一価アルコール)に溶解させ、出発原料(A)、(B)、(C)、(F)、並びに存在する場合には(G)連鎖移動剤及び/又は(H)追加のモノマーを、適切な出発原料及びその量を変化させることによるIimuraらの米国特許第10,047,199号に開示されているもの等のプロセスにおいて共重合させることを含む方法によって調製されてもよい。得られるコポリマーは溶媒性であってもよい。溶媒の全部又は一部は、ストリッピング又は熱及び任意選択で減圧を用いた蒸留などの任意の好都合な手段によって除去することができる。コポリマーは、(D)界面活性剤及び(E)水、並びに上記の方法の工程(2)からの他の出発原料を使用して乳化され得る。コポリマーを製造するための出発原料、及びコポリマーを含むエマルジョン配合物を以下に更に記載する。
【0032】
(A)結晶性モノマー
出発原料(A)は、式(A-1):
【0033】
【化7】
(式中、R
1及びR
2は、上記の通りである)の結晶性モノマーである。出発原料(A)のための結晶性モノマーの例としては、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。あるいは、R
2が水素である場合、出発原料(A)は、ステアリルアクリレート、エイコシルアクリレート、ベヘニルアクリレート、及びこれらの組み合わせから選択されるアクリレートであってもよい。あるいは、出発原料(A)は、ステアリルアクリレートであってもよい。出発原料(A)に好適な結晶性モノマーは、例えば、Millipore Sigma(St.Louis,Missouri,USA)及びBASF SE(Ludwigshafen,Germany)から市販されている。結晶化可能とは、出発モノマーが25℃以上±5℃の融点)を有することを意味する。
【0034】
出発原料(A)は、出発原料(A)結晶性モノマー、(B)シリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー、及び(C)架橋性(メタ)アクリレートモノマー、並びに存在する場合は(H)追加のモノマー及び/又は(K)反応性界面活性剤の合計重量に基づいて、80%~98%の量で使用される。出発原料(A)の量は、同じ基準で、少なくとも80%、少なくとも81%、あるいは少なくとも82%、あるいは少なくとも83%、あるいは少なくとも84%、あるいは少なくとも85%、あるいは少なくとも86%、あるいは少なくとも87%、あるいは少なくとも88%の量であってよい。同時に、出発原料(A)の量は、同じ基準で、最大93%、あるいは最大92%、あるいは最大91%、あるいは最大90%、あるいは最大89%、あるいは最大88%であってもよい。あるいは、出発原料(A)の量は、同じ基準で、84%~92%、あるいは85%~91%、あるいは86%~90%、あるいは87%~89%、あるいは88%であってもよい。
【0035】
(B)シリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー
出発原料(B)は、式:
【0036】
【化8】
(式中、R
2、R
3、R
4、及びD
2は、上記の通りである)のシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマーである。あるいは、出発原料(B)は、
【0037】
【化9】
(式中、R
2、D
2、及びR
4は、上記の通りである)からなる群から選択される式を有し得る。
【0038】
あるいは、出発原料(B)は、式:
【0039】
【化10】
(式中、R
2、R
3及びR
4は、上記の通りである)を有し得る。あるいは、出発原料(B)は、
【0040】
【化11】
3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート、及び
【0041】
【化12】
3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレートからなる群から選択される式を有し得る。
【0042】
出発原料(B)は、国際公開第2020/142388号及び米国特許第6,420,504号に開示されているものなどの公知の方法によって調製され得る。
【0043】
出発原料(B)は、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には(H)追加のモノマー及び/又は(K)反応性界面活性剤の合計重量に基づいて1%~15%の量で使用される。あるいは、出発原料(B)は、同じ基準で、少なくとも5%、あるいは少なくとも6%、あるいは少なくとも7%、あるいは少なくとも8%、あるいは少なくとも9%、あるいは少なくとも10%の量で使用されてもよい。同時に、出発原料(B)は、同じ基準で、最大15%、あるいは最大14%、あるいは最大13%、あるいは最大12%、あるいは最大11%、あるいは最大10%の量で存在し得る。あるいは、出発原料(B)の量は、上記と同じ基準で、6%~14%、あるいは7%~13%、あるいは8%~12%、あるいは9%~11%、あるいは5%~10%であってもよい。
【0044】
(C)架橋性(メタ)アクリレートモノマー
出発原料(C)は、式(C-1):
【0045】
【化13】
(式中、R
2、R
7、D
3、R
8、及び下付き文字vは、上記の通りである)の架橋性(メタ)アクリレートモノマーである。出発原料(C)に好適な架橋性(メタ)アクリレートの例としては、(2-アセトアセトキシ)エチルメタクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルカプロラクトン(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ウレイド(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート(GMA)、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート(PEGMA)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ウレイド(メタ)アクリレートモノマーは、式:
【0046】
【化14】
(式中、R
11は、酸素原子又はNH部分である)を有し得る。ウレイドモノマーの例は、当該技術分野において既知であり、例えば、Pressleyらの米国特許第9,212,292号に開示されている。他の架橋性(メタ)アクリレートモノマーは、当該技術分野において既知であり、例えば、BASF SEから市販されている。他の架橋性(メタ)アクリレートは、Sipomer WAM1及び2として市販されている。
【0047】
出発原料(C)は、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には(H)及び/又は(K)の合計重量に基づいて、1%~5%の量で使用される。出発原料(C)の量は、同じ基準で、少なくとも1%、あるいは少なくとも1.25%、あるいは少なくとも1.5%、あるいは少なくとも1.75%、あるいは少なくとも2%であってもよい。同時に、出発原料(C)の量は、同じ基準で、最大5%、あるいは最大4%、あるいは最大3%、あるいは最大2.75%、あるいは最大2.5%、あるいは最大2.25%であってもよい。あるいは、出発原料(C)の量は、同じ基準で、1%~3%、あるいは1%~2%、あるいは1.5%~2.5%、あるいは1.75%~2.25%、あるいは2%であってもよい。
【0048】
出発原料(D)界面活性剤
出発原料(D)は界面活性剤である。水性エマルジョンを作製するプロセスの工程(1)における共重合に使用される界面活性剤は、特に限定されず、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0049】
アニオン性界面活性剤としては、(i)スルホン酸及びそれらの塩誘導体(例えばアルキル、アラルキル、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸)、並びにアルキル置換基に少なくとも6個の炭素原子を有するそれらの塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸、並びにそのナトリウム塩又はアミン塩)、(ii)アルキル置換基に少なくとも6個の炭素原子を有するアルキルサルフェート、(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、(iii)ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルの硫酸エステル、(iv)長鎖カルボン酸(例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸)界面活性剤及びそれらのアルカリ金属及びアミン塩が挙げられる。アニオン性界面活性剤のいくつかの他の例は、アルカリ金属スルホサクシネート;脂肪酸のスルホン化グリセリルエステル(例えばヤシ油酸のスルホン化モノグリセリド);一価のスルホン化アルコールエステル塩(例えばナトリウムオレイルイソシアネート);アミノスルホン酸のアミド(例えばオレイルメチルタウリドのナトリウム塩);脂肪酸ニトリルのスルホン化生成物(例えばパルミトニトリルスルホネート);スルホン化芳香族炭化水素(例えば、ナトリウムα-ナフタレンモノスルホネート);ナフタレンスルホン酸のホルムアルデヒドとの縮合生成物;ナトリウムオクタヒドロアントラセンスルホネート;アルカリ金属アルキルサルフェート;8個以上の炭素原子のアルキル基を有するエーテルサルフェート(例えばラウリルエーテル硫酸ナトリウム);並びに、8個以上の炭素原子の1個以上のアルキル基を有するアルキルアリールスルホネート(例えば、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸及びC20アルキルベンゼンスルホン酸の中性塩)である。
【0050】
使用可能な商用のアニオン性界面活性剤としては、Alcolac Inc.(Baltimore,Maryland)によってSIPONATE(商標)DS-10の商品名で販売されているドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩;The Dow Chemical Company(Midland,Michigan,USA)によってDOWFAX(商標)AS-801の商品名で販売されているアルキルアルコキシレートサルフェートのナトリウム塩;The Dow Chemical Company(Midland,Michigan)によりDOWFAX(商標)8390の商品名で販売されている、ナトリウムn-ヘキサデシルジフェニルオキシドジスルホネート;Clariant Corporation(Charlotte,North Carolina)によりHOSTAPUR(商標)SAS 60の商品名で販売されている、第二級アルカンスルホネートのナトリウム塩;Nikko Chemicals Company,Ltd.(Tokyo,Japan)によりNIKKOL LMT(登標)の商品名で販売されている、ナトリウムN-ラウロイルメチルタウレート等のN-アシルタウレート;及びStepan Company(Northfield,Illinois)によりBIO-SOFT(商標)S-100の商品名で販売されている、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸が挙げられる。後者のタイプの組成物、例えばドデシルベンゼンスルホン酸は、上述した触媒であるが、中和された場合、アニオン性界面活性剤としても機能することができる。他の好適な界面活性剤としては、HOSTAPUR(商標)SAS-30等のアルキルスルホン酸ナトリウム及びBIO-SOFT(商標)N 300等のドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンが挙げられる。
【0051】
好適な両性界面活性剤としては、アミノ酸界面活性剤、ベタイン(例えば、ラウリルベタイン、ビス-(2-ヒドロキシエチル)タローベタイン、コカミドプロピルベタイン、N-アルキルアミドベタイン、及びこれらの誘導体)、タンパク質及びその誘導体、グリシネート(コカンホグリシネート、コカンホカルボキシ-グリシネート、及びコカンホジプロピオネート等のグリシン誘導体)、スルタイン(例えば、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン及びラウリルスルタイン)、アルキルアミノプロピオネート、アルキルポリアミノカルボキシレート及びアルキルアンホアセテート、レシチン及び水素添加レシチン、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。これらの界面活性剤は、様々な供給元から様々な商品名で市販されている。例えば、REWOTERIC(商標)AM TEGは、Evonik(Essen,Germany)によって生産されている。AMPHOSOL(商標)CGは、Stepan Company(Northfield,Illinois,USA)から入手可能である。
【0052】
あるいは、工程(1)における共重合に使用される(D)界面活性剤は、(D-1)上記のようなアニオン性界面活性剤、(D-2)カチオン性界面活性剤、(D-3)非イオン性界面活性剤、(D-4)上記のような両性界面活性剤、及び(D-5)(D-1)~(D-4)のうちの2つ以上の組み合わせ、からなる群から選択され得る。本明細書で有用なカチオン性界面活性剤としては、正に帯電した第四級アンモニウム親水性部分を分子内に含有する化合物、例えば、式(D-2-1):R12R13R14R15N+X’-(式中、R12~R15は、1~30個の炭素原子を含有するアルキル基、又はタロー、ヤシ油、若しくは大豆由来のアルキル基であり、X’は、ハロゲン、例えば、塩素又は臭素である)によって表され得る第四級アンモニウム塩が挙げられる。あるいは、第四級アンモニウム化合物は、各アルキル置換基に少なくとも8個の炭素原子を有する、アルキルトリメチルアンモニウム及びジアルキルジメチルアンモニウムハライド、又はアセテートであってよい。ジアルキルジメチルアンモニウム塩を使用することもでき、それは、式(D-2-2):R16R17N+(CH3)2X’-(式中、R16及びR17は、12~30個の炭素原子を含有するアルキル基、又はタロー、ヤシ油、若しくは大豆由来のアルキル基であり、X’は、ハロゲンである)によって表される。モノアルキルトリメチルアンモニウム塩を使用することもでき、それは、式(D-1-3):R18N+(CH3)3X”-(式中、R18は、12~30個の炭素原子を含有するアルキル基、又はタロー、ヤシ油、若しくは大豆由来のアルキル基であり、X”は、ハロゲン又はアセテートである)によって表される。
【0053】
例示的な第四級アンモニウムハライド塩は、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム/塩化ラウリルトリメチルアンモニウム(LTAC)、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、塩化ヘキサデクリルトリメチルアンモニウム、臭化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、臭化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化ジエイコシルジメチルアンモニウム、及び塩化ジドコシルジメチルアンモニウムである。これらの第四級アンモニウム塩は、ADOGEN(商標)、ARQUAD(商標)、TOMAH(商標)、及びVARIQUAT(商標)などの商標で市販されている。
【0054】
使用可能な他の好適なカチオン性界面活性剤としては、脂肪酸アミン及びアミド、並びにそれらの塩及び誘導体、例えば脂肪族脂肪アミン及びそれらの誘導体が挙げられる。市販されているこのようなカチオン性界面活性剤としては、Akzo Nobel Chemicals Inc.(Chicago,Illinois)により、商品名ARQUAD(商標)T27 W、ARQUAD(商標)16-29で販売されている組成物、及びStepan Company(Northfield,Illinois,USA)により商品名Ammonyx Cetac-30で販売されている組成物が挙げられる。
【0055】
(D-2)カチオン性界面活性剤の量は、水性エマルジョン中の(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0.1%~5%であってよい。あるいは、カチオン性界面活性剤の量は、少なくとも0.1%、あるいは少なくとも0.2%、あるいは少なくとも0.3%、あるいは少なくとも0.4%、あるいは少なくとも0.5%であってもよく、同時に、カチオン性界面活性剤の量は、同じ基準で、最大5%、あるいは最大4%、あるいは最大3%、あるいは最大2%、あるいは最大1%であってもよい。あるいは、カチオン性界面活性剤の量は、同じ基準で、0.2%~4%、あるいは0.3%~3%、あるいは0.4%~2.5%、あるいは0.5%~2%であってもよい。
【0056】
あるいは、工程(1)における共重合に用いられる(D)界面活性剤は、(D-3)非イオン性界面活性剤であってもよい。使用することができるいくつかの好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンコポリマー(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、アルキルグリコシド(例えば、アルキルグルコシド)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリエチレングリコール(例えば、23個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコール)、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、エトキシ化トリメチルノナノール、トリスチリルフェノールエーテル(TSP)、ジスチリルフェノールエーテル(DSP)、及びポリオキシアルキレングリコール変性ポリシロキサン界面活性剤)が挙げられる。市販されている非イオン性界面活性剤としては、(i)TERGITOL(商標)TMN-6及びTERGITOL(商標)TMN-10の商品名で販売されている2,6,8-トリメチル-4-ノニルポリオキシエチレンエーテル、(ii)Dow Chemical Company(Midland,Michigan,USA)により商品名TERGITOL(商標)15-S-7、TERGITOL(商標)15-S-9、TERGITOL(商標)15-S-12、TERGITOL(商標)15-S-15、TERGITOL(商標)15-S-20、TERGITOL(商標)15-S-30、及びTERGITOL(商標)15-S-40で販売されているもの等のC11~15第二級アルコールエトキシレート、Dow Chemical CompanyによりTRITON(商標)X405の商品名で販売されているオクチルフェニルポリオキシエチレン(40)エーテル、(iii)Stepan CompanyによりMAKON(商標)10の商品名で販売されているノニルフェニルポリオキシエチレン(10)エーテル、(iv)Henkel Corp./Emery Group(Cincinnati,Ohio,USA)によりTrycol 5953の商品名で販売されているエトキシ化アルコール、(v)Croda Inc.(Edison,New Jersey,USA)によりBRIJ(商標)L23(ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル又はラウレス-23)及びBRIJ(商標)L4の商品名で販売されているエトキシ化アルコール、(vi)アルキルオキソアルコールポリグリコールエーテル(例えば、GENAPOL(商標)UD050及びGENAPOL(商標)UD110)、(vii)C10ゲルベアルコール及びエチレンオキシドベースのアルキルポリエチレングリコールエーテル(例えばLUTENSOL(商標)XP79)、(viii)他のアルコールエトキシレート、例えば、TDCC製のECOSURF(商標)EHの商品名を有するC11~15アルキルアルコールエトキシレート(例えば、ECOSURF(商標)EH-40)等の組成物が挙げられる。TSP及びDSPは、Stepanから市販されている。
【0057】
好適な非イオン性界面活性剤はまた、ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)トリ-ブロックコポリマーを含む。ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)トリ-ブロックコポリマーは、一般にポロキサマーとしても知られている。これは、中央部の、ポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))である疎水性鎖と、その両側の、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))である2つの親水性鎖とからなる非イオン性トリブロックコポリマーである。ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)トリ-ブロックコポリマーは、BASF(Florham Park,New Jersey,USA)から市販されており、PLURONIC(商標)L61、L62、L64、L81、P84等のPLURONIC(商標)の商標名で販売されている。
【0058】
非イオン性界面活性剤はまたシリコーンポリエーテル(SPE)であってもよい。乳化剤としてのシリコーンポリエーテルは、ポリオキシエチレン又はポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー単位がシロキサン主鎖にグラフトされる熊手型構造を有し得、又はSPEは、Aがポリエーテル部分を表し、BがABA構造のシロキサン部分を表すABAブロックコポリマー構造を有し得る。好適なSPEとしては、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)製のDOWSIL(商標)OFX-5329 Fluidが挙げられる。あるいは、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレン置換シリコーン、シリコーンアルカノールアミド、シリコーンエステル、及びシリコーングリコシドから選択されてもよい。このようなシリコーンベースの界面活性剤を使用してこのような水性エマルジョンを形成することができ、これらは当該技術分野において既知であり、例えばGeeらの米国特許第4,122,029号、Rentschの同第5,387,417号、及びSchulzらの同第5,811,487号に記載されている。
【0059】
出発原料(D-3)非イオン性界面活性剤は、希釈物で供給されてもよく、使用される量は、水性エマルジョン中の(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて0.1%~10%の界面活性剤を提供するのに十分であってもよい。あるいは、非イオン性界面活性剤の量は、少なくとも0.1%、あるいは少なくとも0.2%、あるいは少なくとも0.3%、あるいは少なくとも0.4%、あるいは少なくとも0.5%、あるいは少なくとも1%であってもよく、同時に、非イオン性界面活性剤の量は、同じ基準で、最大10%、あるいは最大5%、あるいは最大4%、あるいは最大3%、あるいは最大2%、あるいは最大1%であってもよい。あるいは、非イオン性界面活性剤の量は、同じ基準で、0.2%~4%、あるいは0.3%~3%、あるいは0.4~2.5%、あるいは1%~2%であってもよい。あるいは、出発原料(D-1)アニオン性界面活性剤、(D-2)カチオン性界面活性剤、及び(D-3)非イオン性界面活性剤は、水性エマルジョン中の(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて10%以下の合計量で存在し得る。
【0060】
出発原料(E)水
出発原料(E)は、水である。水は、一般的に限定されず、例えば、水は、処理されていても処理されていなくてもよい。水を精製するために使用され得るプロセスの例としては、蒸留、濾過、脱イオン化、及びそれらのうちの2つ以上の組み合わせが挙げられ、これによって、水に対して脱イオン化、蒸留、及び/又は濾過を行ってもよい。代替的に、水は、未処理であり得る(例えば、水道水、すなわち、都市水系の水、又は更なる精製なしで使用される井戸水であってもよい)。水の量は、上記のプロセスの工程(1)における共重合のための水性エマルジョンを形成するのに十分である。工程(1)で使用される水の量は、出発原料(A)、(B)、及び(C)の種類及び量、並びに(H)追加のモノマーが存在するかどうかを含む様々な要因に応じて変化する。しかし、水は、工程(1)の全ての出発原料の合計重量に基づいて、20%~97%、あるいは30%~90%、あるいは40%~80%、あるいは50%~97%、あるいは50%~90%、あるいは60%~80%の量で添加され得る。あるいは、水は、少なくとも20%、あるいは少なくとも30%、あるいは少なくとも40%、あるいは少なくとも50%、及びあるいは少なくとも60%の量で添加されてもよく、同時に、この量は、同じ基準で、最大97%、あるいは最大96%、あるいは最大95%、あるいは最大80%であってもよい。
【0061】
理論に束縛されるものではないが、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には(H)及び/又は(K)が共重合して、織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物における出発原料(I)として上に記載した(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーを形成すると考えられる。更に、出発原料(D)界面活性剤及び(E)水は共重合反応に関与しないと考えられるが、出発原料(D)及び(E)の一方又は両方を含むコポリマーは本明細書の範囲から除外されない。
【0062】
工程(1)の後に追加の水を添加してもよい。例えば、上記のように調製された水性エマルジョンは、エマルジョン配合物を調製する前に及び/又はエマルジョン配合物で織物を処理する前に所望の量の出発原料を得るために追加の水で希釈されてもよい。織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物における出発原料(III)水は、上記の(E)水と同じであってもよく、工程(1)において水性エマルジョンを調製するために上記のエマルジョン共重合プロセスが使用される場合に導入されてよい。
【0063】
(F)開始剤
上記の工程(1)において共重合を促進するために、出発原料(F)開始剤も添加される。好適な開始剤としては、アゾ化合物及び過酸化物化合物が挙げられる。例えば、アゾ化合物は、脂肪族アゾ化合物、例えば1-t-アミルアゾ-l-シアノシクロヘキサン、アゾ-ビス-イソブチロニトリル、及び1-t-ブチルアゾ-シアノシクロヘキサン、2,2’-アゾビス-(2-メチル)ブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(シアノ吉草酸)、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであってよい。アゾ化合物は、当該技術分野において既知であり、例えば、The Chemours Company(Wilmington,Delaware,USA)からVAZO(商標)WSPの商品名で市販されている。過酸化物化合物は、過酸化物又はヒドロペルオキシド、例えば、t-ブチルペルオクトエート、t-ブチルペルベンゾエート、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせであってよい。加えて、ジ-ペルオキシド開始剤は、単独で、又は他の開始剤と組み合わせて使用され得る。このようなジ-ペルオキシド開始剤としては、1,4-ビス-(t-ブチルペルオキシカルボ)シクロヘキサン、1,2-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、及び2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシンが挙げられるが、これらに限定されない。好適なペルオキシド化合物は、当技術分野において既知であり、Sigma-Aldrich,Inc.などの様々な供給業者から市販されている。あるいは、開始剤はイソアスコルビン酸を含んでもよい。
【0064】
開始剤は、出発原料(F)として単独で使用されてもよい。あるいは、出発原料(F)は、酸化成分としての開始剤と還元成分とを含むレドックス対であってもよい。あるいは、イソアスコルビン酸とt-アミルヒドロペルオキシド又はt-ブチルヒドロペルオキシド等の疎水性有機ヒドロペルオキシドとを含むレドックス対を、出発原料(F)として使用してもよい。出発原料(F)に好適な開始剤及び/又はレドックス対の例は、Bardmanらの米国特許第6,576,051号(第11欄、第16行から始まる)に開示されている。開始剤がどのように添加されるかは、開始剤が水溶性であるかどうか、及び開始剤のタイプ(例えば、熱開始剤又はレドックス対が使用されるかどうか)を含む様々な要因に依存する。典型的には、熱開始剤が使用される場合、全ての開始剤が工程(1)の開始時に一度に添加される。あるいは、レドックス対が使用される場合、それは経時的に計量供給され得る。開始剤(F)は、(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0.01%~3%、あるいは0.1%~1.5%を提供するのに十分な量で使用され得る。
【0065】
(G)連鎖移動剤
上記プロセスの工程(1)において共重合を促進するために添加され得る追加の出発原料は、(G)連鎖移動剤を含む。好適な連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン、例えば、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン(ドデカンチオール)、及び/又は2,2-ジメチルデシルメルカプタンなどのメルカプタンが挙げられる。あるいは、連鎖移動剤は、メルカプト酢酸及び/又は2-メルカプトエタノールなどの水溶性であってもよい。好適な連鎖移動剤は当該技術分野において既知であり、例えば、Peter Nesvadbaによる「Radical Polymerization in Industry」,Performance Chemical Research,GASF Schweiz AG,Basel,Switzerland,Encyclopedia of Radicals in Chemistry,Biology and Materials,Online(著作権)2012 John Wiley&Sons,Ltdに開示されている。
【0066】
出発原料(G)連鎖移動剤は任意選択であり、出発原料(A)、(B)、及び(C)(並びに存在する場合には(H)及び/又は(K))の合計重量に基づいて、0~10%の量で添加され得る。あるいは、(G)連鎖移動剤は、同じ基準で5%~10%の量で使用されてもよい。
【0067】
(H)追加のモノマー
出発原料(H)は、工程(1)における共重合のために添加され得る任意選択の追加のモノマーである。出発原料(H)は、上記の出発原料(A)、(B)及び(C)とは異なる非結晶性モノマーであってよい。追加のモノマーは、存在する場合には、(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0超~18重量%の量で使用され得る。好適なモノマーとしては、(メタ)アクリレートモノマー、例えばメチルメタクリレート、t-アミルメタクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、例えばt-ブチルメタクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ナフチルアクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。あるいは、追加のモノマーは、スチレン又は塩化ビニルであってもよい。出発原料(H)に好適なモノマーは、当該技術分野において既知であり、例えば、Polysciences,Inc.から市販されている。あるいは、追加のモノマー(H)は、イソボルニルメタクリレート(IBMA)、イソボルニルアクリレート(IBA)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。追加のモノマーは任意選択であり、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には(H)及び(K)の合計重量に基づいて、0~18%の量で存在し得る。あるいは、(H)追加のモノマーは、少なくとも0.5%、あるいは少なくとも1%、あるいは少なくとも2%の量で存在してもよく、同時に、追加のモノマーは、同じ基準で、最大18%、あるいは最大15%、あるいは最大10%、あるいは最大8%、あるいは最大5%の量で存在してよい。あるいは、(H)追加のモノマーの量は、同じ基準で、0超~18%、あるいは0.5%~7%、あるいは1%~6%、あるいは2%~5%であってもよい。
【0068】
(J)阻害剤
出発原料(J)は、上記のプロセスの工程(1)において任意選択で添加してよい阻害剤である。存在する場合には、出発原料(J)阻害剤は、(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0超から0.01%未満まで、あるいは同じ基準で0超から2,000ppm未満まで、あるいは1ppm~1818ppm、あるいは10ppm~500ppmの量で使用され得る。出発原料(J)に好適な阻害剤は市販されており、例えば、ニトロベンゼン、ブチル化ヒドロキシルトルエン、ジフェニルピクリルヒドラジル(DPPH)、p-メトキシフェノール、2,4-ジ-t-ブチルカテコール、フェノチアジン、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンの塩、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシダニル(TEMPO)、及び4-ヒドロキシ-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシダニル(4-ヒドロキシTEMPO)が挙げられる。
【0069】
(K)反応性界面活性剤
出発原料(K)は、乳化共重合を促進するために使用することができ、かつ反応してコポリマーの一部を形成することができる任意選択の反応性界面活性剤である。反応性界面活性剤は、式:
【0070】
【化15】
(式中、R
2、R
5、D、D
1、及びR
6は上記の通りであり、下付き文字v1は、反応性界面活性剤に300~950g/モル、あるいは350g/モル~900g/モルの数平均分子量を与えるのに十分な値を有する)を有し得る。例えば、式:
【0071】
【化16】
(式中、下付き文字v1は、反応性界面活性剤に300g/mol~950g/molの数平均分子量を与えるのに十分な値を有する)の反応性界面活性剤は、Sigma-Aldrich,Inc.(St.Louis,Missouri,USA)から市販されている。反応性界面活性剤は任意選択であり、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には(H)及び(K)の合計重量に基づいて、0~5重量%の量で添加され得る。反応性界面活性剤は、例えば、Ethoxから市販されている。あるいは、反応性界面活性剤は、同じ基準で0超~2重量%の量で添加されてもよい。
【0072】
織物の処理に好適なエマルジョン配合物を調製する方法
上記のように調製されたコポリマー及び/又は上記の工程(1)を含むプロセスによって調製された水性エマルジョンを使用して、上記の織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物を調製することができる。例えば、エマルジョン配合物の調製は、(I)コポリマー、(II)非イオン性界面活性剤、(III)水(出発原料(E)について上記した通りであってよい)、及び(IV)水分散性架橋剤を含む出発原料を剪断下で混合することを含むプロセスによって行われ得る(例えば、コポリマーが上記の代替方法によって、例えば、出発原料のうちの1つ以上を有機溶媒に溶解させ、出発原料(A)結晶性モノマー、(B)シリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー、(C)架橋性モノマー、(F)開始剤、並びに存在する場合には(G)連鎖移動剤及び/又は(H)追加のモノマーを共重合させ、続いて溶媒を除去することを含む方法によって形成される場合)。剪断下での混合は、水性エマルジョン配合物を形成するための任意の好都合な手段(例えば、超音波処理及びその後のマイクロ流動化)によって行われ得る。剪断下で混合するための装置(例えば、超音波処理器、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、及びスピードミキサー)は、当該分野で公知であり、市販されている。
【0073】
エマルジョン配合物中、(II)非イオン性界面活性剤は、式(II-1):
【0074】
【化17】
(式中、R
19は、8~15個の炭素原子を有する分岐又は直鎖アルキル基であり、下付き文字nは、少なくとも23であり、各D
5は、独立して選択される2個以上の炭素原子のアルキレンオキシド基である)のアルコールアルコキシレートを含む。あるいは、R
19は、例えば、2-エチルヘキシル、ラウリル、又は8~15個の炭素原子の他のアルキル基であってもよい。あるいは、下付き文字nは、23~40、あるいは23~30であってもよい。あるいは、各D
5は、独立して、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドからなる群から選択されてもよい。あるいは、各D
5は、エチレンオキシドであってもよい。上記式の好適なアルコールエトキシレートとしては、C
11~15第二級アルキルアルコールエトキシレート(例えば、上記のようなTERGITOL(商標)15-S-30又は15-S-40)、2-エチルヘキシル第一級アルコールアルコキシレート(例えば、上記のようなECOSURF EH-30及びECOSURF EH-40の商品名で販売されている2-エチルヘキシルエチレンオキシド/プロピレンオキシド等)、C
12~40第一級アルコールエトキシレート(例えば、上記のようなBRIJ(商標)L23の商品名で販売されているラウレス-23等)、又はこれらの組み合わせであり得る。エマルジョン配合物は、任意選択で、追加の非イオン性共界面活性剤を更に含んでいてもよく、これは、上記の式(II-1)とは異なる出発原料(D-3)として上に記載された非イオン性界面活性剤のいずれかであってよい。
【0075】
織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物を調製するためのこのプロセスは、任意選択で、更なる追加の出発原料を添加することを更に含んでいてもよい。更なる追加の出発原料は、(V)ワックス、(VI)殺生物剤、(VII)追加の水(出発原料(E)と同じであってもよい)、(VIII)難燃剤、(IX)しわ低減剤、(X)帯電防止剤、(XI)浸透剤、及び(V)~(XI)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0076】
あるいは、上記の工程(1)を含むプロセスで調製された水性エマルジョンを使用して、織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物を調製することができる。エマルジョン配合物を調製するために、工程(1)を含む上記のプロセスは、出発原料(IV)水分散性架橋剤を水性エマルジョンに添加する工程(2)を更に含む。織物を処理するのに好適なエマルション配合物を調製するためのこのプロセスは、任意選択で、工程(1)の後に、更なる追加の出発原料を添加することを更に含んでいてもよい。更なる追加の出発原料は、(V)ワックス、(VI)殺生物剤、(VII)追加の水(出発原料(D)と同じであってもよい)、(VIII)難燃剤、(IX)しわ低減剤、(X)帯電防止剤、(XI)浸透剤、及び(V)~(XI)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0077】
このプロセスの工程(2)は、撹拌機を備えるジャケット付き容器内で使用する、混合する等の任意の好都合な手段によって実行され得る。工程(1)及び工程(2)は、同じ容器中で連続して実行してよい。あるいは、工程(1)及び工程(2)は、異なる設備内で実行してもよい。工程(1)及び/又は工程(2)は、室温又は高温、例えば、最高100℃、あるいは40℃~80℃で実行され得る。あるいは、工程(1)では加熱を実行してよく、工程(2)は室温で実行してもよい。あるいは、工程(1)及び工程(2)の一方又は両方は、より低温及び高圧、例えば最高5気圧で実行されてもよい。
【0078】
織物を処理するのに好適なエマルション配合物を調製するためのプロセスは、任意選択で、追加の界面活性剤を添加することを更に含んでいてもよい。あるいは、コポリマーを調製するためのプロセスが、非イオン性ではない界面活性剤(例えば、上記の(D-1)アニオン性界面活性剤、(D-4)両性界面活性剤、及び/又は(D-2)カチオン性界面活性剤)を含む場合、エマルジョン配合物を調製するためのプロセスは、(3)(D)界面活性剤(コポリマーを含む水性エマルジョンを作製するためのプロセスにおいて使用される)を除去し、(D)界面活性剤を(II)非イオン性界面活性剤(D-3について上に記載した通りであってよい)で置き換えることを更に含んでいてもよい。出発原料(D-1)アニオン性界面活性剤、(D-2)カチオン性界面活性剤、及び(D-4)両性界面活性剤は、吸着、イオン交換樹脂との接触、並びに/又は透析及び/若しくは限外濾過等の濾過等の任意の好都合な手段によって除去することができる。あるいは、コポリマーを調製するためのプロセスが、出発原料(D-3)として上記式(II-1)の非イオン性界面活性剤以外の非イオン性界面活性剤を使用する場合、このプロセスは、出発原料(D-3)の全て又は一部を除去し、上記のような手段によって式(II-1)の非イオン性界面活性剤で置き換えることを更に含んでいてもよい。
【0079】
エマルジョン配合物を調製するためのプロセスが完了した後、織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物は、カチオン性界面活性剤を含まない。あるいは、エマルジョン配合物は、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びカチオン性界面活性剤を含んでいなくてもよい。「アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びカチオン性界面活性剤を含まない」とは、エマルジョン配合物中の界面活性剤が非イオン性界面活性剤のみであるか、又はエマルジョン配合物が、検出不可能な量の別の界面活性剤若しくはエマルジョン配合物で処理された織物の耐久性のある撥水性に悪影響を及ぼすには不十分な量の別の界面活性剤のいずれかしか含有しないことを意味する。
【0080】
(I)コポリマーに加えて、織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物は、出発原料(D-3)について上記したような(II)非イオン性界面活性剤及び出発原料(E)について上記したような(III)水を含む。出発原料(IV)水分散性架橋剤、及び(V)ワックス、(VI)殺生物剤、(VII)追加の水(出発原料(D)と同じであってもよい)、(VIII)難燃剤、(IX)しわ低減剤、(X)帯電防止剤、(XI)浸透剤からなる群から選択され得る更なる追加の出発原料については以下に記載する。
【0081】
出発原料(IV)水分散性架橋剤
出発原料(IV)は、織物を処理するためにエマルジョン配合物に添加され得る水分散性架橋剤(架橋剤)である。好適な架橋剤としては、ブロック化イソシアネート、ポリカルボジイミド、ポリエポキシ化合物、ポリカルボキシ化合物、ポリアミン、及びジオールが挙げられる。「ブロック化イソシアネート」という用語は、イソシアネート基がブロッキング剤と反応しており、加熱時にイソシアネート及びブロッキング剤を放出するモノ-、ジ-及びポリイソシアネートを包含する。好適なブロッキング剤は、アミン、アミド、活性水素原子を有する化合物、アルコール、又はオキシムなど、当技術分野で既知である。ブロック化イソシアネートは市販されており、例えば、Archroma(Reinach,Switzerland)製のARKOPHOB(商標)DAN及びARKOPHOB(商標)SR、Rudolf GmbH(Geretsreid,Bayern,Germany)製のRUCO-GUARD(商標)WEB、及びHuntsman Corporation(Woodlands,Texas,USA)製のPHOBOL(商標)XANがある。ジオールとしては、例えば、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-エチルヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、2,2,4-トリメチルペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールが挙げられる。好適な架橋剤の例は、当該技術分野において既知であり、例えば、Knaupの米国特許出願公開第2017/0204558号、Hamajimaらの米国特許第9,777,105号(第11欄第54行から始まる)に開示されており、これらは、好適な架橋剤を記載する目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。架橋剤(IV)の正確な量は、(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー及び処理される織物の種類及び量を含む様々な要因に依存するが、架橋剤(IV)の重量は、同じ基準で、布地重量の0.25%~3.75%、あるいは0.25%~1%、あるいは0.25%~0.5%であってよい。
【0082】
出発原料(V)ワックス
出発原料(V)はワックスであり、これはエマルジョン配合物が適用される織物に改善された撥水性又は柔軟性を提供するために任意選択で添加されてもよい。ワックスの量は、選択されたワックスのタイプ、所望の利益、及びエマルジョン配合物で処理される布地を含む要因に応じて変化する。しかしながら、ワックスの量は、(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0~75%、あるいは0~50%、あるいは25%~50%であってよい。あるいは、使用される場合、ワックスの量は、0超%、あるいは少なくとも10%、あるいは少なくとも25%であってもよく、同時に、ワックスの量は、同じ基準で最大75%、あるいは最大50%であってもよい。好適なワックスの例としては、パラフィンワックス(例えば、n-パラフィン、イソパラフィン、及び/又はシクロパラフィン)、シリコーンワックス、例えば、長鎖アルキル基を有するシリコーンワックス(例えば、アルキルメチルシリコーンワックス)及び/又はアミノ-シリコーンワックス、並びにこれらのうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。好適なワックスは、例えば、Knaupの米国特許出願公開第2017/0204558号及びProbstらの米国特許第10,844,151号に開示されている。例えば、Michelman(Cincinnati,Ohio,U.S.A.)製のMichelman wax 743及び他のものなどのワックスは、水系分散液として供給されてもよい。他のワックスも、例えば、Sasol Wax(Hamburg,Germany)から市販されており、DOWSIL(商標)AMS-C30などのシリコーンワックスは、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,U.S.A.)から入手可能である。
【0083】
出発原料(VI)殺生物剤
出発原料(VI)は、殺生物剤である。殺生物剤の量は、選択される殺生物剤のタイプ及び所望される効果などの要因に応じて変化する。しかしながら、使用される場合、殺生物剤の量は、エマルジョン配合物中の全ての出発原料の合計重量に基づいて、0超%~5%であり得る。出発原料(VI)は、(VI-1)殺真菌剤、(VI-2)除草剤、(VI-3)殺虫剤、(VI-4)抗菌剤、又はそれらの組み合わせによって例示される。好適な殺生物剤は、例えば、米国特許第9,480,977号に開示されている。
【0084】
出発原料(XI)浸透剤
出発原料(XI)は、浸透剤である。好適な浸透剤は、The Dow Chemical Companyから市販されているグリコールエーテルによって例示され、DOWANOL(商標)DPM、TPM、PPh、EPh、Methyl CARBITOL(商標)、及びButyl CARBITOL(商標)が挙げられる。
【0085】
工程(1)で上記した水性エマルジョン及び上記の通り形成されるエマルジョン配合物に添加する出発原料を選択する場合、本明細書に記載される特定の出発原料は1つを超える機能を有する場合があるので、出発原料の種類間で重複が存在する場合がある。水性エマルジョン及び/又はエマルジョン配合物に使用される出発原料は、互いに異なっていてもよい。
【0086】
織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物は、フルオロカーボンを含まない出発原料を用いて処方され得る。例えば、エマルジョン配合物は、炭素原子に共有結合したフッ素原子を含有する出発原料を一切含まなくてもよい。
【0087】
織物の処理プロセス
上記のように調製されたエマルジョン配合物は、織物を処理するために使用することができる。例えば、織物を処理するための方法は、I)上記のエマルジョン配合物で織物をコーティングすることと、II)織物を加熱することと、を含む。ステップI)は、織物にエマルジョン配合物をパディング、浸漬、又は噴霧するなどの任意の好都合な方法によって実行されてもよい。しかし、方法は、いずれも織物の重量に基づいて、布地の重量の0.25重量%~10重量%の(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、及び布地の重量の0.1重量%~3.75重量%、あるいは0.25重量%~1重量%の(IV)水分散性架橋剤を送達するのに十分でなければならない。
【0088】
ステップII)は、オーブン中に織物を配置するといった任意の好都合な方法により実行されてもよい。織物の加熱は、水の全て又は一部を除去するため、及び/又はエマルジョン配合物を硬化させるために実行されてもよい。正確な温度は、選択された織物のタイプの温度感受性及び所望の乾燥時間を含む様々な要因に依存する。しかしながら、加熱は、水を除去するために100℃超の温度で実行されてもよい。あるいは、温度は、水の全て又は一部を除去し、ブロック化イソシアネート架橋剤を脱ブロック化し、及び/又は(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーを硬化するのに十分な時間にわたって、100℃超~200℃であってもよい。
【0089】
処理される織物は、特に限定されない。好適な織物としては、綿、絹、リネン、及び/又は羊毛の布地などの天然由来の織物、レーヨン、アセテート、ポリエステル、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリアクリロニトリル、並びにポリエチレン及び/又はポリプロピレンなどのポリオレフィンなどの合成源に由来する織物、及びそれらのうちの2つ以上の組み合わせ(例えば、ポリエステル/綿ブレンドなどのブレンド)が挙げられる。織物の形態も特に限定されない。本明細書に記載されるエマルジョン配合物は、任意の形態の織物、例えば、織布、編布、又は不織布に使用するのに好適である。
【実施例】
【0090】
以下の実施例は、当業者に本発明を例示するために提供されるものであり、請求項に記載の本発明を制限するものとして解釈すべきではない。ここで使用した出発原料は以下の通りであった。処理される織物は、ナイロン(スタイル#01194)であり、これは、Burlingtonから購入され、98.61%のナイロン及び1.39%のスパンデックスを含有していた。重量は6.84 Oz/Lin Ydであり、平織りであった。処理される別の織物は、やはりBurlington製の、スタイル4774 075、坪量220g/m2のポリエステル又はPES織布(縮緬)であった。水分散性架橋剤は、Huntsmanから購入したPhobolXan(商標)増量剤(オキシムブロック化イソシアネートエマルジョン)であり、受け取ったまま使用した。結晶性モノマー(A-1)は、ステアリルアクリレートであり、架橋性(メタ)アクリレートモノマー(C-1)は、2-ヒドロキシルエチルメタクリレート(HEMA)であり、非イオン性界面活性剤BRIJ(商標)L23-69(69%活性物質)、カチオン性界面活性剤ARQUAD(商標)16-29(ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、29%活性物質)、非イオン性界面活性剤ECOSURF(商標)EH40(75%活性物質)、非イオン性界面活性剤ECOSURF(商標)EH9(100%活性物質)、アニオン性界面活性剤DOWFAX 8390(40%活性物質)、非イオン性界面活性剤TERGITOL(商標)15-S-40(70%活性物質)、カチオン性界面活性剤n-ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(DTAB、100%活性物質)、鎖延長剤ドデカンチオール、開始剤イソアスコルビン酸、開始剤t-ヒドロペルオキシド(70%活性物質)、3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート(MDM-ALMA)、及び3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート(3MT-ALMA)は市販されており、商業的供給源から購入した。Fisherbrand(商標)Model 705音波ディスメンブレーターを音波処理に使用した。マイクロフルイダイザーは、Microfluidics Microfluidizer Model 110Yホモジナイザーであった。
【0091】
開始剤溶液Aを以下のように調製した。0.702gの70%t-ブチルヒドロペルオキシドを45mLのDI水で希釈して原液を形成した。5gのこの原液を取り、5gのDI水と混合することによって、最終溶液を作製した。
【0092】
開始剤溶液Bを以下のように調製した。45mLのDI水中の0.96gのイソアスコルビン酸で原液を形成した。5gのこの原液を取り、5gのDI水と混合することによって、最終溶液を作製した。
【0093】
この参考例1では、エマルジョン配合物のサンプルを以下のように調製した。ステアリルアクリレート(44g)、MDM-ALMA又は3MT-ALMAのいずれか(5、10、又は15g)(以下の表1に示す)、HEMA(1g)、1つ以上の界面活性剤(以下の表1に示す)、及び脱イオン水(200g)を400mLのジャーに入れた。いくつかのサンプルでは、0.05gのドデカンチオールを添加した(以下の表1に示すように)。混合物を40℃の水浴中で10分間加熱して、ステアリルアクリレートを溶融させた。材料を、超音波処理器を用いて50の振幅で2分間超音波処理して、粗エマルジョンを作製した。次いで、粗エマルジョンを、40℃及び10~15kPSIで作動するマイクロフルイダイザーに通した。次いで、得られたエマルジョンを、還流冷却器、窒素注入口、オーバーヘッドスターラー(IKA RW20)、及び熱電対プローブを備えた1000mLの4つ口フラスコに移した。エマルジョンをテフロンブレードを用いて250RPMで撹拌し、60℃に加熱した。温度に達した後、レドックス開始剤を0.25mL/分で溶液に供給し(別々の供給物中の開始剤溶液A及び開始剤溶液B)、60℃で1時間後、次いで、得られたエマルジョン配合物をゆっくり撹拌しながら30~40℃に冷却した後、注ぎ出した。
【0094】
【0095】
表1において、*は、サンプルが式:
【0096】
【化18】
(式中、下付き文字v1は、反応性界面活性剤に360g/molの平均Mn(数平均分子量)を与えるのに十分な値を有し、Sigma-Aldrich,Inc.から購入した(製品409537))の反応性界面活性剤0.5gも含有していたことを示す。
【0097】
この参考例2では、37gの上記の通り調製したコポリマーエマルジョン、6.16gのPhobolXan(商標)増量剤、及び163gの水をプラスチックボトル内で合わせ、布地上の重量%が約2%になるように手で振盪して混合し、上記のナイロン布地を処理するためのエマルジョン配合物を調製した。
【0098】
この参考例3では、22gのコポリマーエマルジョン、4.12gのPhobolXan(商標)増量剤、及び174gの水をプラスチックボトル内で合わせ、布地上の重量%が約2%になるように手で振盪して混合することにより、上記のPES布地を処理するためのエマルジョン配合物を調製した。
【0099】
この参考例4では、参考例2及び3に記載の通り調製したエマルジョン配合物で織物をコーティングした。Mathis HVFパダー(60psiで2メートル/分のロール速度)を使用してサンプルをコーティングした。ナイロン(吸水率53.5%)及びPES(吸水率90%)上の目標重量は、2%のシリコーン-アクリレートコポリマー及び0.5%のPhobolXan(商標)増量剤であった。各エマルジョン配合物をコーティングのためにパダーに添加し、160℃の強制空気オーブンに3分間通した。
【0100】
この参考例5では、撥水性及び洗浄耐久性を以下のように評価した。参考例4に従って調製したコーティングされたシートを、90°F洗浄/冷すすぎサイクルを使用して洗濯し、約150°Fで乾燥させた。この方法を20回繰り返した。6ポンドのコーティングされたシートごとに37gのTide洗剤(無臭)を使用した。ISO-9865(ブンデスマン試験)を使用して、0、1、5、10、及び20回洗浄した後の外観採点データを収集した。3つの値を記録した。外観評価は主観的であり、試験中の水滴の外観又はその欠如に基づいた。外観は、3以上であれば合格であり、3未満である場合は不合格とみなした。更に、布地は、10分間試験した後にその質量の25%以下を取り込まなければならない。要約すると、試験した全ての洗浄サイクルにおいて吸水率(%)が25%以下であり、外観評点が3以上である耐久性のある耐水性コーティングが望まれていた。結果を以下の表2及び表3に示す。
【0101】
【0102】
表2のデータは、非イオン性界面活性剤を含有する実施例が、少なくとも1つの織物について試験した全ての洗浄回数の下で3を超えるブンデスマン外観評点を有することを示す。対照的に、実施例17、18、19、及び22は、それぞれカチオン性界面活性剤を含有しており、いずれも外観試験に不合格であった。実施例20及び21は、それぞれアニオン性界面活性剤を含有しており、いずれも外観試験に不合格であった。
【0103】
【0104】
解決されるべき課題
耐久性のある撥水性を提供する非フルオロカーボン系織物処理剤が産業上必要とされている。更に、上記のブンデスマン試験によって測定したときに高い耐久性を有するフルオロカーボンを含まない織物処理剤に対する産業上の必要性が存在する。
【0105】
産業上の利用可能性
上記の実施例は、本明細書に記載のエマルジョン配合物を使用して、織物を処理し、ブンデスマン試験によって測定したときに耐久性のある撥水性を付与することができることを示す。より具体的には、織物は、最初の処理(洗浄0回)後及び1~10回洗浄した後のブンデスマン外観評点3以上と、最初の処理後及び1~10回洗浄した後のブンデスマン吸水率25%以下とを両方有することができる。この特性の組み合わせは、少なくとも1つのタイプの織物、及び一部のエマルジョン配合物については1つを超えるタイプの織物で達成することができる。
【0106】
用語の定義及び使用
全ての量、比率、及び百分率は、別途指定がない限り、重量に基づく。「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。明細書の文脈により別途指定がない限り、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、それぞれ1つ以上を指す。「~を含む(comprising)」、「~から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「~からなる(consisting of)」の移行句はManual of Patent Examining Procedure Ninth Edition,Revision 08.2017,Last Revised January 2018のセクション§2111.03 I.、II.、及びIIIに記載されているように使用される。実例を列記する「例えば(for example)」「例えば(e.g.,)」、「例えば(such as,)」及び「が挙げられる(including)」の使用は、列記されている例のみに限定しない。したがって、「例えば(for example)」又は「例えば/など(such as)」は、「例えば、それらに限定されないが(for example,but not limited to)」又は「例えば、それらに限定されないが(such as,but not limited to)」を意味し、他の類似した又は同等の例を包含する。本明細書で使用される略語は、表5中の定義を有する。
【0107】
【0108】
本発明は例示的な様式で記載されており、使用されている用語は、限定というよりむしろ説明の用語の性質であることが意図されることを理解されたい。本明細書で個々の特徴又は態様の記述が依拠している任意のマーカッシュ群に関して、異なる、特殊な及び/又は不測の結果が、全ての他のマーカッシュ群の要素から独立して、それぞれのマーカッシュ群の各要素から得られる場合がある。マーカッシュ群の各要素は、添付の特許請求の範囲の範囲内で、特定の実施形態に、個々に及び又は組み合わされて依拠され得、十分なサポートを提供する。
【0109】
更に、本発明を説明する際に依拠される任意の範囲及び部分範囲は、独立して及び包括的に、添付の特許請求の範囲の範囲内に入り、本明細書にその中の全部及び/又は部分の値が明記されていなくても、その中の全部及び/又は部分の値を包含する全範囲を説明及び想到するものと理解される。当業者であれば、列挙された範囲及び部分範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、可能にし、そのような範囲及び部分範囲は、更に関連性がある2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、及び範囲内に含まれる任意の他の部分範囲に更に線引きされ得ることを容易に認識する。単なる一例として、範囲「16~24」は、下位3分の1(すなわち、16~18)、中位3分の1(すなわち、19~21)、及び上位3分の1(すなわち、22~24)と更に区切ることができるか、あるいは範囲「16~24」は、サブ範囲「18~22」を含み、これらは個別的及び集合的に添付の特許請求の範囲の範囲内であり、添付の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施形態に個別的及び/又は集合的に依拠する場合があり、それらに適切な根拠を提供し得る。加えて、範囲を定義する、又は修飾する言葉、例えば「少なくとも」、「超」、「未満」、「以下」などに関して、このような言葉は、部分範囲及び/又は上限若しくは下限を含むと理解されるべきである。
【0110】
本発明の実施形態
第1の実施形態では、織物に耐久性のある撥水性を付与するためのプロセスは、
I)エマルジョン配合物で当該織物をコーティングすることと、
II)当該織物を加熱することと、を含み、
当該エマルジョン配合物は、
(I)単位式:
【0111】
【化19】
(式中、
各R
1は、独立して選択される16~24個の炭素原子のアルキル基であり、
各R
2は、独立して、H及びメチルからなる群から選択され、
各D
2は、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、
各R
3は、独立して、R
4及び式-OSi(R
4)
3の基からなる群から選択され、
各R
4は、独立して選択される1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、
各R
7は、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、
D
3は、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、
各D
4は、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価アルキルアリーレン基であり、
下付き文字vは、下付き文字yを有する単位中の式(OD
4)の単位数を表し、
下付き文字vは、0~12の値を有し、
各R
8は、架橋性基であり、
各R
5は、酸素原子であり、
Dは、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、
各D
1は、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価アルキルアリーレン基であり、
下付き文字v2は、下付き文字y2を有する単位中の式(OD
1)の単位数を表し、
下付き文字v2は、0~20の値を有し、
各R
6は、アルコキシ基又はヒドロキシ基であり、
各R
9は、1~14個の炭素原子の一価炭化水素基であり、
各R
10は、独立して、ハロゲン、アセテート基、又は1~14個の炭素原子の一価炭化水素基からなる群から選択され、
下付き文字w、x、y、y2、z1、及びz2は、コポリマー中の各単位の相対重量を表し、
量(w+x+y+y2+z1+z2)=100であり、
80≦w<98であり、
1≦x≦5であり、
1≦y≦5であり、
0≦y2≦5であり、
0≦z1≦18であり、
0≦z2≦18である)
を有するシリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーと、
(II)式(II-1):
【0112】
【化20】
(式中、R
19は、8~15個の炭素原子を有する分岐又は直鎖アルキル基であり、下付き文字nは、少なくとも23であり、各D
5は、独立して選択される2個以上の炭素原子のアルキレンオキシド基である)のアルコールアルコキシレートを含む非イオン性界面活性剤と、
(III)水と、
(IV)水分散性架橋剤と、
を含むが、
ただし、当該エマルジョン配合物は、カチオン性界面活性剤を含まない。
【0113】
第2の実施形態では、第1の実施形態のプロセスにおいて、R1は、ステアリル基であり、83≦w≦93であり、R3は、-CH3及び-OSi(CH3)3からなる群から選択され、R4は、メチルであり、D2は、-(CH2)2-であり、5≦x≦15であり、R7はOであり、下付き文字v=0であり、R8は、-OHであり、下付き文字y=2であり、下付き文字z1=0であり、下付き文字z2=0である。
【0114】
第3の実施形態では、第1の実施形態又は第2の実施形態のプロセスは、ワックス、殺生物剤、難燃剤、しわ低減剤、帯電防止剤、浸透剤、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の出発原料を添加することを更に含む。
【0115】
第4の実施形態では、第1~第3の実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、(II)非イオン性界面活性剤は、
C11~15第二級アルキルアルコールエトキシレート、2-エチルヘキシル第一級アルコールアルコキシレート、C12~40第一級アルコールエトキシレート、又はこれらの組み合わせを含む。
【0116】
第5の実施形態では、第1~第4の実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、エマルジョン配合物は、式(II-1)とは異なる非イオン性共界面活性剤を更に含む。
【0117】
第6の実施形態では、第1~第5の実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、(IV)水分散性架橋剤は、ブロック化イソシアネートを含む。
【0118】
第7の実施形態では、プロセスは、工程I)の前に、
(1)
80重量%~98重量%の(A)式:
【0119】
【化21】
(式中、R
1及びR
2は、上記の通りである)の結晶性モノマーと、
1重量%~15重量%の(B):式
【0120】
【化22】
(式中、R
2、R
3、及びR
4は、上記の通りである)のシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマーと、
1重量%~5重量%の(C)式:
【0121】
【化23】
(式中、R
2、R
7、D
3、D
4、R
8、及び下付き文字vは、上記の通りである)の架橋性(メタ)アクリレートモノマーと、
を含む出発原料を共重合させることであって、
出発原料(A)、(B)及び(C)の量が、出発原料(A)、(B)及び(C)の合計量に基づいて合計100重量%であり、出発原料(A)、(B)及び(C)を、
(D)界面活性剤と、
(III)水と、
(J)開始剤と、
を更に含むエマルジョン中で共重合させ、
それによって、(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、(D)界面活性剤、及び(E)水、を含む水性エマルジョンを形成する、共重合させることと、
(2)当該水性エマルジョンを(IV)当該水分散性架橋剤を含む追加の出発原料と合わせることと、
を含む方法によって、エマルジョン配合物を調製することを更に含む。
【0122】
第8の実施形態では、第7の実施形態のプロセスにおいて、(D)界面活性剤は非イオン性ではなく、方法は、(3)(D)界面活性剤を除去し、(II)非イオン性界面活性剤で置き換えることを更に含む。
【0123】
第9の実施形態では、第7の実施形態又は第8の実施形態のプロセスにおいて、出発原料(A)は、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、ベヘニルアクリレート、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0124】
第10の実施形態では、第7~第9の実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、出発原料(B)は、3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート、3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0125】
第11の実施形態では、第7~10の実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、出発原料(C)は、2-ヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0126】
第12の実施形態では、第7~第11の実施形態のいずれか1つのプロセスは、工程(1)において追加の出発原料を添加することを更に含み、当該追加の出発原料は、(G)連鎖移動剤、(H)出発原料(A)、(B)及び(C)とは異なる追加のモノマー、(J)阻害剤、(K)出発原料(D)とは異なる反応性界面活性剤、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0127】
第13の実施形態では、第12の実施形態のプロセスにおいて、反応性界面活性剤が存在し、当該反応性界面活性剤は、式:
【0128】
【化24】
(式中、R
2、R
5、D、D
1、及びR
6は上記の通りであり、下付き文字v1は、反応性界面活性剤に300~950g/モルの数平均分子量を与えるのに十分な値を有する)を有する。
【0129】
第14の実施形態では、第1~第13の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、織物は、ポリエステル及びポリアミドからなる群から選択される。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物であって、
(I)単位式:
【化1】
(式中、
各R
1は、独立して選択される16~24個の炭素原子のアルキル基であり、
各R
2は、独立して、H及びメチルからなる群から選択され、
各D
2は、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、
各R
3は、独立して、R
4及び式-OSi(R
4)
3の基からなる群から選択され、
各R
4は、独立して選択される1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、
各R
7は、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、
D
3は、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、
各D
4は、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価アルキルアリーレン基であり、
下付き文字vは、下付き文字yを有する単位中の式(OD
4)の単位数を表し、
下付き文字vは、0~12の値を有し、
各R
8は、架橋性基であり、
各R
5は、酸素原子であり、
Dは、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、
各D
1は、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価アルキルアリーレン基であり、
下付き文字v2は、下付き文字y2を有する単位中の式(OD
1)の単位数を表し、
下付き文字v2は、0~20の値を有し、
各R
6は、アルコキシ基又はヒドロキシ基であり、
各R
9は、1~14個の炭素原子の一価炭化水素基であり、
各R
10は、独立して、ハロゲン、アセテート基、又は1~14個の炭素原子の一価炭化水素基からなる群から選択され、
下付き文字w、x、y、y2、z1、及びz2は、コポリマー中の各単位の相対重量を表し、
量(w+x+y+y2+z1+z2)=100であり、
80≦w<98であり、
1≦x≦15であり、
1≦y≦5であり、
0≦y2≦5であり、
0≦z1≦18であり、
0≦z2≦18である)
を有するシリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーと、
(II)式:
【化2】
(式中、R
19は、8~15個の炭素原子を有する分岐又は直鎖アルキル基であり、下付き文字nは、少なくとも23であり、各D
5は、独立して選択される2個以上の炭素原子のアルキレンオキシド基である)のアルコールアルコキシレートを含む非イオン性界面活性剤と、
(III)水と、
(IV)水分散性架橋剤と、
を含むが、
ただし、カチオン性界面活性剤を含まない、エマルジョン配合物。
【請求項2】
R
1は、ステアリル基であり、83≦w≦93であり、R
3は、-CH
3及び-OSi(CH
3)
3からなる群から選択され、R
4は、メチルであり、D
2は、-(CH
2)
2-であり、5≦x≦15であり、R
7はOであり、下付き文字v=0であり、R
8は、-OHであり、下付き文字y=2であり、下付き文字z1=0であり、下付き文字z2=0である、請求項1に記載のエマルジョン配合物。
【請求項3】
ワックス、殺生物剤、難燃剤、しわ低減剤、帯電防止剤、浸透剤、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の出発原料を更に含む、請求項1又は請求項2に記載のエマルジョン配合物。
【請求項4】
(II)前記非イオン界面活性剤が、C
11~15第二級アルキルアルコールエトキシレート、2-エチルヘキシル第一級アルコールアルコキシレート、C
12~40第一級アルコールエトキシレート、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1又は請求項2に記載のエマルジョン配合物。
【請求項5】
(IV)前記水分散性架橋剤が、ブロック化イソシアネートを含む、請求項1又は請求項2に記載のエマルジョン配合物。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載のエマルジョン配合物を調製する方法であって、
(1)
80重量%~98重量%の(A)式:
【化3】
(式中、R
1及びR
2は、上記の通りである)の結晶性モノマーと、
1重量%~15重量%の(B)式:
【化4】
(式中、R
2、R
3、及びR
4は、上記の通りである)のシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマーと、
1重量%~5重量%の(C)式:
【化5】
(式中、R
2、R
7、D
3、D
4、R
8、及び下付き文字vは、上記の通りである)の架橋性(メタ)アクリレートモノマーと、
を含む出発原料を共重合させることであって、
出発原料(A)、(B)及び(C)の量が、出発原料(A)、(B)及び(C)の合計量に基づいて合計100重量%であり、出発原料(A)、(B)及び(C)を、
(D)界面活性剤と、
(III)水と、
(J)開始剤と、
を更に含むエマルジョン中で共重合させ、
それによって、(I)前記シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、(D)前記界面活性剤、及び(E)前記水を含む水性エマルジョンを形成する、共重合させることと、
(2)前記水性エマルジョンを(IV)前記水分散性架橋剤を含む追加の出発原料と合わせることと、
を含む、方法。
【請求項7】
(D)前記界面活性剤が非イオン性ではなく、前記方法が、(3)(D)前記界面活性剤を除去し、(II)前記非イオン性界面活性剤で置き換えることを更に含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
出発原料(A)が、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、ベヘニルアクリレート、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項6又は請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
出発原料(B)が、3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート、3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
出発原料(C)が、2-ヒドロキシエチルメタクリレートである、請求項6~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
工程(1)において追加の出発原料を添加することを更に含み、前記追加の出発原料が、(G)連鎖移動剤、(H)出発原料(A)、(B)及び(C)とは異なる追加のモノマー、(J)阻害剤、(K)出発原料(D)とは異なる反応性界面活性剤、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項6~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記反応性界面活性剤が存在し、前記反応性界面活性剤が、式:
【化6】
(式中、R
2、R
5、D、D
1、及びR
6は、上記の通りであり、下付き文字v1は、前記反応性界面活性剤に300~950g/モルの数平均分子量を与えるのに十分な値を有する)を有する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
工程(1)の後に更なる追加の出発原料を添加することを更に含み、前記更なる追加の出発原料が、ワックス、殺生物剤、難燃剤、しわ低減剤、帯電防止剤、浸透剤、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項6~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
織物を処理するためのプロセスであって、
I)前記織物を、請求項1~5のいずれか一項に記載のエマルジョン配合物でコーティングすることと、
II)前記織物を加熱することと、を含む、プロセス。
【請求項15】
(削除)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国特許法第119条(e)の下、2021年8月10日に出願された米国仮特許出願63/231280号の利益を主張するものである。米国仮特許出願第63/231,280号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーを含有するエマルジョン配合物及び当該エマルジョン配合物を調製する方法が提供される。エマルジョン配合物は、織物を処理して耐久性のある撥水性を織物に付与するのに有用である。
【背景技術】
【0003】
撥水性織物処理用途において、フルオロカーボン材料は、優れた耐久撥水性を提供するそれらの能力のために市場を支配してきた。しかしながら、規制及び顧客の圧力が、非フルオロカーボン系織物処理剤に対する産業上の必要性に寄与している。以前に開示されたフルオロカーボンを含まない織物処理剤は、それで処理された織物の撥水性が複数回の洗浄後に著しく低下する、乏しい耐久性を提供するという欠点を有する。
【発明の概要】
【0004】
エマルジョン配合物及びそれを調製するプロセスが開示される。エマルジョン配合物は、(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーと、(II)非イオン性界面活性剤と、(III)水と、(IV)水分散性架橋剤と、を含む。エマルジョン配合物は、織物を処理するのに好適である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
上記で紹介したように、エマルジョン配合物中の出発原料(I)は、シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー(コポリマー)である。コポリマーは、単位式:
【0006】
【化1】
(式中、各R
1は、独立して選択される16~24個の炭素原子のアルキル基であり、各R
2は、独立して、H及びメチルからなる群から選択され、各D
2は、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各R
3は、独立して、R
4及び式-OSi(R
4)
3の基からなる群から選択され、各R
4は、独立して選択される1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各R
7は、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、D
3は、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、D
4は、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価のアルキルアリーレン基であり、下付き文字vは、下付き文字yを有する単位中の式(OD
4)の単位の数を表し、下付き文字vは、0~12の値を有し、各R
8は、架橋性基であり、各R
5は、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、Dは、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各D
1は、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価アルキルアリーレン基であり、下付き文字v2は、下付き文字y2を有する単位中の式(OD
1)の単位数を表し、下付き文字v2は、0~20の値を有し、各R
6は、独立して、ヒドロキシル基及びアルコキシ基(例えば、メトキシ)からなる群から選択され、各R
9は、1~14個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各R
10は、独立して、ハロゲン(例えば、塩素)、アセテート基、又は1~14個の炭素原子の一価炭化水素基からなる群から選択され、下付き文字w、x、y、y2、z1、及びz2は、コポリマー中の各単位の相対重量を表し、下付き文字wは、80~98の値を有し、下付き文字xは、1~15の値を有し、下付き文字yは、1~5の値を有し、下付き文字y2は、0~5の値を有し、下付き文字z1は、0~18の値を有し、下付き文字z2は、0~18の値を有し、量(w+x+y+y2+z1+z2)=100である)を含む。コポリマーは、末端部分を更に含む。
【0007】
上記の単位式において、R1は、16~24個の炭素原子を有する。あるいは、R1は、少なくとも16個、あるいは少なくとも17個、あるいは少なくとも18個の炭素原子を有していてよく、同時にR1は、最大24個、あるいは最大23個、あるいは最大22個の炭素原子を有していてよい。あるいは、R1は、17~23個の炭素原子、あるいは16~22個の炭素原子、あるいは17~24個の炭素原子、あるいは18~22個の炭素原子を有していてもよい。R1は、ステアリル、アイコシル、及びベヘニルからなる群から選択され得る。あるいは、R1は、ステアリルであり得る。
【0008】
上記の単位式中、下付き文字xを有する単位は、シリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー単位である。シリコーン-メタクリレートマクロモノマー単位中、各R3は、独立して、R4及び式-OSi(R4)3(式中、各R4は、独立して選択される1~12個の炭素原子の一価炭化水素基である)の基からなる群から選択される。シリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー単位中、R4の一価炭化水素基は、アルキル基、例えば1~6個の炭素原子のアルキル基であってよい。あるいは、アルキル基は、1~3個の炭素原子、あるいは1~2個の炭素原子を有し得る。あるいは、各R4は、メチルであってもよい。
【0009】
上記単位式中、各D2は、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基である。あるいは、D2は、2~10個、あるいは3~5個、あるいは3個の炭素原子を有し得る。各D3及び各Dは、独立して、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基である。あるいは、各D3及び各Dは、アルキレン基、あるいはエチレンであり得る。D4及びD1は、それぞれ独立して、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価アルキルアリーレン基である。
【0010】
D4及びD1の二価炭化水素基は、エチレン、プロピレン、又はブチレン等のアルキレン基、フェニレンなどのアリーレン基、又は
【0011】
【0012】
【化3】
(式中、各下付き文字uは、独立して1~6、あるいは1~2である)などのアルキルアリーレン基を例示することができる。あるいは、二価炭化水素基は、アルキレンであってもよく、あるいは二価炭化水素基はエチレンであってもよい。D、D
2、及びD
3の二価炭化水素基は、上記の通りであってもよく、あるいはメチレンであってもよい。あるいは、D
2は、メチレン、エチレン、又はプロピレンであってもよく、あるいは、プロピレンである。あるいは、D
2は、直鎖状、例えば、-(CH
2)
2-又は-(CH
2)
3-であってもよい。
【0013】
上記の単位式中、各R7は、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択される。あるいは、各R7は、酸素であってもよい。
【0014】
上記の単位式において、各R8は、架橋性基である。各R8は、独立して、ヒドロキシ、アミノ、エポキシ、ウレイド、及びアセトキシからなる群から選択され得る。あるいは、各R8は、独立して、ヒドロキシ及びウレイドからなる群から選択されてもよく、あるいは各R8はヒドロキシであってもよい。
【0015】
上記の単位式中、各R5は、酸素原子である。各R6は、-OH及びアルコキシからなる群から選択される。あるいは、R6のアルコキシ基は、-OCH3であってもよい。
【0016】
上記の単位式において、各R9は、一価炭化水素基であり、脂肪族不飽和を含まず、直鎖、分岐状、若しくは環状(すなわち、単環式若しくは多環式)、又はこれらの組み合わせであってもよい。R9は、アルキル基又はアリール基であってもよく、単環式であっても多環式であってもよく、任意選択で、直鎖状又は分岐状の基を有していてもよい。R9に好適なアルキル基の例としては、メチル、t-アミル、ブチル(t-ブチルを含む)、シクロヘキシル、イソデシル、イソボルニル、及び2-エチルヘキシルを挙げることができる。好適なアリール基の例としては、フェニル、ナフチル、アントラシル、及びベンジルが挙げられる。
【0017】
上記の単位式において、R10は、R9について上述したように、ハロゲン化物、アセテート、又は一価炭化水素基であってもよい。ハロゲン化物は、臭化物(Br)、塩化物(Cl)、フッ化物(F)又はヨウ化物(I)であってもよく、あるいはBr、Cl又はFであり、あるいはCl又はBrであり、あるいはClであってもよい。
【0018】
上記の単位式中、下付き文字w、x、y、y2、z1、及びz2は、各単位の相対重量であり、量(w+x+y+y2+z1+z2)は合計100であり得る。下付き文字wは、80~98の値を有する。あるいは、下付き文字wは、少なくとも80、あるいは少なくとも81、あるいは少なくとも82、あるいは少なくとも83、あるいは少なくとも84、あるいは少なくとも85、あるいは少なくとも86、あるいは少なくとも87、あるいは少なくとも88であってもよく、同時に、下付き文字wは、最大98、あるいは最大97、あるいは最大96、あるいは最大95、あるいは最大94、あるいは最大93、あるいは最大92、あるいは最大91、あるいは最大90、あるいは最大89、あるいは最大88であってもよい。あるいは、下付き文字xは、84~92、あるいは85~91、あるいは86~90、あるいは87~89、あるいは88であってもよい。
【0019】
下付き文字xは、1~15、あるいは5~15の値を有する。あるいは、下付き文字xは、少なくとも1、あるいは少なくとも5、あるいは少なくとも6、あるいは少なくとも7、あるいは少なくとも8、あるいは少なくとも9、あるいは少なくとも10であってもよく、同時に、下付き文字xは、最大15、あるいは最大14、あるいは最大13、あるいは最大12、あるいは最大11、あるいは最大で10であってもよい。あるいは、下付き文字xは、1~14、あるいは2~13、あるいは3~12、あるいは4~11、あるいは5~10、あるいは7~13、あるいは10であってもよい。
【0020】
下付き文字yは、1~5の値を有する。あるいは、下付き文字yは、少なくとも1、あるいは少なくとも1.25、あるいは少なくとも1.5、あるいは少なくとも1.75、あるいは少なくとも2であってもよく、同時に、下付き文字yは、最大5、あるいは最大4、あるいは最大3、あるいは最大2.75、あるいは最大2.5、あるいは最大2.25であってもよい。あるいは、下付き文字yは、1~3、あるいは1~2、あるいは1.5~2.5、あるいは1.75~2.25、あるいは2であってもよい。
【0021】
下付き文字y2は、0~5の値を有する。あるいは、下付き文字y2は、少なくとも1、あるいは少なくとも1.25、あるいは少なくとも1.5、あるいは少なくとも1.75、あるいは少なくとも2であってもよく、同時に、下付き文字y2は、最大5、あるいは最大4、あるいは最大3、あるいは最大2.75、あるいは最大2.5、あるいは最大2.25であってもよい。あるいは、下付き文字y2は、0~3、あるいは1~2、あるいは1.5~2.5、あるいは1.75~2.25、あるいは2であってもよい。
【0022】
下付き文字z1は、0であってもよい。あるいは、下付き文字z1は、少なくとも0.5、あるいは少なくとも1、あるいは少なくとも2であってもよく、同時に、下付き文字z1は、最大18、あるいは最大15、あるいは最大10、あるいは最大8、あるいは最大5であってもよい。あるいは、下付き文字z1は、0~18、あるいは0超~18、あるいは0.5~7、あるいは1~6、あるいは2~5であってもよい。
【0023】
下付き文字z2は、0であってもよい。あるいは、下付き文字z2は、少なくとも0.5、あるいは少なくとも1、あるいは少なくとも2であってもよく、同時に、下付き文字z2は、最大8、あるいは最大7、あるいは最大6、あるいは最大5、あるいは最大4であってもよい。あるいは、下付き文字z2は、0~8、あるいは0超~8、あるいは0.5~7、あるいは1~6、あるいは2~5であってもよい。
【0024】
コポリマーの1分子当たりの単位の総数は特に制限されない。しかし、コポリマーは、100,000g/mol~4,000,000g/mol、あるいは200,000g/mol~3,000,000g/mol、あるいは100,000g/mol~1,000,000g/molの数平均分子量を有し得るが、これは、各モノマー及び連鎖移動剤の選択に基づく従来の方法によるものである。上に示した単位は任意の順序であってよく、例えば、コポリマーはランダムコポリマー又はブロックコポリマーであってもよい。
【0025】
当業者は、コポリマーが以下に記載されるようなプロセスを介してラジカル重合によって調製され得ること、及びこのプロセスがコポリマーのための末端部分を形成することを認識する。コポリマーは、例えば、Odian,George(2004).Principles of Polymerization(4th ed.).New York:Wiley-Interscience.ISBN 978-0-471-27400-1に記載の通り、開始剤、連鎖移動剤、又はその両方に由来し得る末端部分を更に含む。
【0026】
コポリマーは、
(1)
80重量%~98重量%の(A)式:
【0027】
【化4】
(式中、R
1及びR
2は、上記の通りである)の結晶性モノマーと、
1重量%~15重量%の(B)式:
【0028】
【化5】
(式中、R
2、R
3、及びR
4は、上記の通りである)のシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマーと、
1重量%~5重量%の(C)式:
【0029】
【化6】
(式中、R
2、R
7、D
3、D
4、R
8、及び下付き文字vは、上記の通りである)の架橋性(メタ)アクリレートモノマーと、
を含む出発原料を共重合させることを含むプロセスであって、
出発原料(A)、(B)及び(C)の量が、出発原料(A)、(B)及び(C)の合計量に基づいて合計100重量%であり、出発原料(A)、(B)及び(C)を、
(D)界面活性剤と、
(E)水と、
(F)開始剤と、
を更に含むエマルジョン中で共重合させ、
それによって、(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、(D)界面活性剤、及び(E)水を含む水性エマルジョンを形成する、プロセス、を介して調製され得る。プロセスは、任意選択で、工程(1)において追加の出発原料を添加することを更に含んでいてもよく、当該追加の出発原料は、(G)連鎖移動剤、(H)出発原料(A)、(B)及び(C)とは異なる追加のモノマー、(J)阻害剤、(K)反応性界面活性剤、並びに(G)、(H)、(J)、及び(K)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0030】
上記のプロセスの工程(1)は、出発原料(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び(F)(並びに任意選択で(G)、(H)、(J)、及び/又は(K))を含むエマルジョンを形成することを含んでいてもよい。出発原料(A)が室温で固体である場合、出発原料は、出発原料(A)を融解するのに十分な温度及び時間、例えば、5分間~15分間にわたって、30℃~50℃で加熱され得る。得られた出発原料を剪断下で混合して、水性エマルジョンを形成することができる。剪断下での混合は、水性エマルジョンを形成するための任意の好都合な手段(例えば、超音波処理及びその後のマイクロ流動化)によって行われ得る。剪断下で混合するための装置(例えば、超音波処理器、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、及びスピードミキサー)は、当該分野で公知であり、市販されている。理論に束縛されるものではないが、剪断下での混合を使用して、エマルジョン中でサブミクロンの粒径を得ることができると考えられる。工程(1)では、(A)、(B)、(C)、及び(F)(並びに存在する場合には(G)、(H)、及び(K))を含む出発原料が共重合して、出発原料(D)及び(E)(並びに存在する場合には(J)阻害剤)と共に水性エマルジョン中で(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーを形成する。
【0031】
あるいは、上記のコポリマーは、出発原料のうちの1つ以上を有機溶媒(例えば、一価アルコール)に溶解させ、出発原料(A)、(B)、(C)、(F)、並びに存在する場合には(G)連鎖移動剤及び/又は(H)追加のモノマーを、適切な出発原料及びその量を変化させることによるIimuraらの米国特許第10,047,199号に開示されているもの等のプロセスにおいて共重合させることを含む方法によって調製されてもよい。得られるコポリマーは溶媒性であってもよい。溶媒の全部又は一部は、ストリッピング又は熱及び任意選択で減圧を用いた蒸留などの任意の好都合な手段によって除去することができる。コポリマーは、(D)界面活性剤及び(E)水、並びに上記の方法の工程(2)からの他の出発原料を使用して乳化され得る。コポリマーを製造するための出発原料、及びコポリマーを含むエマルジョン配合物を以下に更に記載する。
【0032】
(A)結晶性モノマー
出発原料(A)は、式(A-1):
【0033】
【化7】
(式中、R
1及びR
2は、上記の通りである)の結晶性モノマーである。出発原料(A)のための結晶性モノマーの例としては、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。あるいは、R
2が水素である場合、出発原料(A)は、ステアリルアクリレート、エイコシルアクリレート、ベヘニルアクリレート、及びこれらの組み合わせから選択されるアクリレートであってもよい。あるいは、出発原料(A)は、ステアリルアクリレートであってもよい。出発原料(A)に好適な結晶性モノマーは、例えば、Millipore Sigma(St.Louis,Missouri,USA)及びBASF SE(Ludwigshafen,Germany)から市販されている。結晶化可能とは、出発モノマーが25℃以上±5℃の融点)を有することを意味する。
【0034】
出発原料(A)は、出発原料(A)結晶性モノマー、(B)シリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー、及び(C)架橋性(メタ)アクリレートモノマー、並びに存在する場合は(H)追加のモノマー及び/又は(K)反応性界面活性剤の合計重量に基づいて、80%~98%の量で使用される。出発原料(A)の量は、同じ基準で、少なくとも80%、少なくとも81%、あるいは少なくとも82%、あるいは少なくとも83%、あるいは少なくとも84%、あるいは少なくとも85%、あるいは少なくとも86%、あるいは少なくとも87%、あるいは少なくとも88%の量であってよい。同時に、出発原料(A)の量は、同じ基準で、最大93%、あるいは最大92%、あるいは最大91%、あるいは最大90%、あるいは最大89%、あるいは最大88%であってもよい。あるいは、出発原料(A)の量は、同じ基準で、84%~92%、あるいは85%~91%、あるいは86%~90%、あるいは87%~89%、あるいは88%であってもよい。
【0035】
(B)シリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー
出発原料(B)は、式:
【0036】
【化8】
(式中、R
2、R
3、R
4、及びD
2は、上記の通りである)のシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマーである。あるいは、出発原料(B)は、
【0037】
【化9】
(式中、R
2、D
2、及びR
4は、上記の通りである)からなる群から選択される式を有し得る。
【0038】
あるいは、出発原料(B)は、式:
【0039】
【化10】
(式中、R
2、R
3及びR
4は、上記の通りである)を有し得る。あるいは、出発原料(B)は、
【0040】
【化11】
3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート、及び
【0041】
【化12】
3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレートからなる群から選択される式を有し得る。
【0042】
出発原料(B)は、国際公開第2020/142388号及び米国特許第6,420,504号に開示されているものなどの公知の方法によって調製され得る。
【0043】
出発原料(B)は、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には(H)追加のモノマー及び/又は(K)反応性界面活性剤の合計重量に基づいて1%~15%の量で使用される。あるいは、出発原料(B)は、同じ基準で、少なくとも5%、あるいは少なくとも6%、あるいは少なくとも7%、あるいは少なくとも8%、あるいは少なくとも9%、あるいは少なくとも10%の量で使用されてもよい。同時に、出発原料(B)は、同じ基準で、最大15%、あるいは最大14%、あるいは最大13%、あるいは最大12%、あるいは最大11%、あるいは最大10%の量で存在し得る。あるいは、出発原料(B)の量は、上記と同じ基準で、6%~14%、あるいは7%~13%、あるいは8%~12%、あるいは9%~11%、あるいは5%~10%であってもよい。
【0044】
(C)架橋性(メタ)アクリレートモノマー
出発原料(C)は、式(C-1):
【0045】
【化13】
(式中、R
2、R
7、D
3、R
8、及び下付き文字vは、上記の通りである)の架橋性(メタ)アクリレートモノマーである。出発原料(C)に好適な架橋性(メタ)アクリレートの例としては、(2-アセトアセトキシ)エチルメタクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルカプロラクトン(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ウレイド(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート(GMA)、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート(PEGMA)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ウレイド(メタ)アクリレートモノマーは、式:
【0046】
【化14】
(式中、R
11は、酸素原子又はNH部分である)を有し得る。ウレイドモノマーの例は、当該技術分野において既知であり、例えば、Pressleyらの米国特許第9,212,292号に開示されている。他の架橋性(メタ)アクリレートモノマーは、当該技術分野において既知であり、例えば、BASF SEから市販されている。他の架橋性(メタ)アクリレートは、Sipomer WAM1及び2として市販されている。
【0047】
出発原料(C)は、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には(H)及び/又は(K)の合計重量に基づいて、1%~5%の量で使用される。出発原料(C)の量は、同じ基準で、少なくとも1%、あるいは少なくとも1.25%、あるいは少なくとも1.5%、あるいは少なくとも1.75%、あるいは少なくとも2%であってもよい。同時に、出発原料(C)の量は、同じ基準で、最大5%、あるいは最大4%、あるいは最大3%、あるいは最大2.75%、あるいは最大2.5%、あるいは最大2.25%であってもよい。あるいは、出発原料(C)の量は、同じ基準で、1%~3%、あるいは1%~2%、あるいは1.5%~2.5%、あるいは1.75%~2.25%、あるいは2%であってもよい。
【0048】
出発原料(D)界面活性剤
出発原料(D)は界面活性剤である。水性エマルジョンを作製するプロセスの工程(1)における共重合に使用される界面活性剤は、特に限定されず、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0049】
アニオン性界面活性剤としては、(i)スルホン酸及びそれらの塩誘導体(例えばアルキル、アラルキル、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸)、並びにアルキル置換基に少なくとも6個の炭素原子を有するそれらの塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸、並びにそのナトリウム塩又はアミン塩)、(ii)アルキル置換基に少なくとも6個の炭素原子を有するアルキルサルフェート、(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、(iii)ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルの硫酸エステル、(iv)長鎖カルボン酸(例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸)界面活性剤及びそれらのアルカリ金属及びアミン塩が挙げられる。アニオン性界面活性剤のいくつかの他の例は、アルカリ金属スルホサクシネート;脂肪酸のスルホン化グリセリルエステル(例えばヤシ油酸のスルホン化モノグリセリド);一価のスルホン化アルコールエステル塩(例えばナトリウムオレイルイソシアネート);アミノスルホン酸のアミド(例えばオレイルメチルタウリドのナトリウム塩);脂肪酸ニトリルのスルホン化生成物(例えばパルミトニトリルスルホネート);スルホン化芳香族炭化水素(例えば、ナトリウムα-ナフタレンモノスルホネート);ナフタレンスルホン酸のホルムアルデヒドとの縮合生成物;ナトリウムオクタヒドロアントラセンスルホネート;アルカリ金属アルキルサルフェート;8個以上の炭素原子のアルキル基を有するエーテルサルフェート(例えばラウリルエーテル硫酸ナトリウム);並びに、8個以上の炭素原子の1個以上のアルキル基を有するアルキルアリールスルホネート(例えば、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸及びC20アルキルベンゼンスルホン酸の中性塩)である。
【0050】
使用可能な商用のアニオン性界面活性剤としては、Alcolac Inc.(Baltimore,Maryland)によってSIPONATE(商標)DS-10の商品名で販売されているドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩;The Dow Chemical Company(Midland,Michigan,USA)によってDOWFAX(商標)AS-801の商品名で販売されているアルキルアルコキシレートサルフェートのナトリウム塩;The Dow Chemical Company(Midland,Michigan)によりDOWFAX(商標)8390の商品名で販売されている、ナトリウムn-ヘキサデシルジフェニルオキシドジスルホネート;Clariant Corporation(Charlotte,North Carolina)によりHOSTAPUR(商標)SAS 60の商品名で販売されている、第二級アルカンスルホネートのナトリウム塩;Nikko Chemicals Company,Ltd.(Tokyo,Japan)によりNIKKOL LMT(登標)の商品名で販売されている、ナトリウムN-ラウロイルメチルタウレート等のN-アシルタウレート;及びStepan Company(Northfield,Illinois)によりBIO-SOFT(商標)S-100の商品名で販売されている、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸が挙げられる。後者のタイプの組成物、例えばドデシルベンゼンスルホン酸は、上述した触媒であるが、中和された場合、アニオン性界面活性剤としても機能することができる。他の好適な界面活性剤としては、HOSTAPUR(商標)SAS-30等のアルキルスルホン酸ナトリウム及びBIO-SOFT(商標)N 300等のドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンが挙げられる。
【0051】
好適な両性界面活性剤としては、アミノ酸界面活性剤、ベタイン(例えば、ラウリルベタイン、ビス-(2-ヒドロキシエチル)タローベタイン、コカミドプロピルベタイン、N-アルキルアミドベタイン、及びこれらの誘導体)、タンパク質及びその誘導体、グリシネート(コカンホグリシネート、コカンホカルボキシ-グリシネート、及びコカンホジプロピオネート等のグリシン誘導体)、スルタイン(例えば、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン及びラウリルスルタイン)、アルキルアミノプロピオネート、アルキルポリアミノカルボキシレート及びアルキルアンホアセテート、レシチン及び水素添加レシチン、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。これらの界面活性剤は、様々な供給元から様々な商品名で市販されている。例えば、REWOTERIC(商標)AM TEGは、Evonik(Essen,Germany)によって生産されている。AMPHOSOL(商標)CGは、Stepan Company(Northfield,Illinois,USA)から入手可能である。
【0052】
あるいは、工程(1)における共重合に使用される(D)界面活性剤は、(D-1)上記のようなアニオン性界面活性剤、(D-2)カチオン性界面活性剤、(D-3)非イオン性界面活性剤、(D-4)上記のような両性界面活性剤、及び(D-5)(D-1)~(D-4)のうちの2つ以上の組み合わせ、からなる群から選択され得る。本明細書で有用なカチオン性界面活性剤としては、正に帯電した第四級アンモニウム親水性部分を分子内に含有する化合物、例えば、式(D-2-1):R12R13R14R15N+X’-(式中、R12~R15は、1~30個の炭素原子を含有するアルキル基、又はタロー、ヤシ油、若しくは大豆由来のアルキル基であり、X’は、ハロゲン、例えば、塩素又は臭素である)によって表され得る第四級アンモニウム塩が挙げられる。あるいは、第四級アンモニウム化合物は、各アルキル置換基に少なくとも8個の炭素原子を有する、アルキルトリメチルアンモニウム及びジアルキルジメチルアンモニウムハライド、又はアセテートであってよい。ジアルキルジメチルアンモニウム塩を使用することもでき、それは、式(D-2-2):R16R17N+(CH3)2X’-(式中、R16及びR17は、12~30個の炭素原子を含有するアルキル基、又はタロー、ヤシ油、若しくは大豆由来のアルキル基であり、X’は、ハロゲンである)によって表される。モノアルキルトリメチルアンモニウム塩を使用することもでき、それは、式(D-1-3):R18N+(CH3)3X”-(式中、R18は、12~30個の炭素原子を含有するアルキル基、又はタロー、ヤシ油、若しくは大豆由来のアルキル基であり、X”は、ハロゲン又はアセテートである)によって表される。
【0053】
例示的な第四級アンモニウムハライド塩は、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム/塩化ラウリルトリメチルアンモニウム(LTAC)、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、塩化ヘキサデクリルトリメチルアンモニウム、臭化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、臭化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化ジエイコシルジメチルアンモニウム、及び塩化ジドコシルジメチルアンモニウムである。これらの第四級アンモニウム塩は、ADOGEN(商標)、ARQUAD(商標)、TOMAH(商標)、及びVARIQUAT(商標)などの商標で市販されている。
【0054】
使用可能な他の好適なカチオン性界面活性剤としては、脂肪酸アミン及びアミド、並びにそれらの塩及び誘導体、例えば脂肪族脂肪アミン及びそれらの誘導体が挙げられる。市販されているこのようなカチオン性界面活性剤としては、Akzo Nobel Chemicals Inc.(Chicago,Illinois)により、商品名ARQUAD(商標)T27 W、ARQUAD(商標)16-29で販売されている組成物、及びStepan Company(Northfield,Illinois,USA)により商品名Ammonyx Cetac-30で販売されている組成物が挙げられる。
【0055】
(D-2)カチオン性界面活性剤の量は、水性エマルジョン中の(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0.1%~5%であってよい。あるいは、カチオン性界面活性剤の量は、少なくとも0.1%、あるいは少なくとも0.2%、あるいは少なくとも0.3%、あるいは少なくとも0.4%、あるいは少なくとも0.5%であってもよく、同時に、カチオン性界面活性剤の量は、同じ基準で、最大5%、あるいは最大4%、あるいは最大3%、あるいは最大2%、あるいは最大1%であってもよい。あるいは、カチオン性界面活性剤の量は、同じ基準で、0.2%~4%、あるいは0.3%~3%、あるいは0.4%~2.5%、あるいは0.5%~2%であってもよい。
【0056】
あるいは、工程(1)における共重合に用いられる(D)界面活性剤は、(D-3)非イオン性界面活性剤であってもよい。使用することができるいくつかの好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンコポリマー(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、アルキルグリコシド(例えば、アルキルグルコシド)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリエチレングリコール(例えば、23個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコール)、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、エトキシ化トリメチルノナノール、トリスチリルフェノールエーテル(TSP)、ジスチリルフェノールエーテル(DSP)、及びポリオキシアルキレングリコール変性ポリシロキサン界面活性剤)が挙げられる。市販されている非イオン性界面活性剤としては、(i)TERGITOL(商標)TMN-6及びTERGITOL(商標)TMN-10の商品名で販売されている2,6,8-トリメチル-4-ノニルポリオキシエチレンエーテル、(ii)Dow Chemical Company(Midland,Michigan,USA)により商品名TERGITOL(商標)15-S-7、TERGITOL(商標)15-S-9、TERGITOL(商標)15-S-12、TERGITOL(商標)15-S-15、TERGITOL(商標)15-S-20、TERGITOL(商標)15-S-30、及びTERGITOL(商標)15-S-40で販売されているもの等のC11~15第二級アルコールエトキシレート、Dow Chemical CompanyによりTRITON(商標)X405の商品名で販売されているオクチルフェニルポリオキシエチレン(40)エーテル、(iii)Stepan CompanyによりMAKON(商標)10の商品名で販売されているノニルフェニルポリオキシエチレン(10)エーテル、(iv)Henkel Corp./Emery Group(Cincinnati,Ohio,USA)によりTrycol 5953の商品名で販売されているエトキシ化アルコール、(v)Croda Inc.(Edison,New Jersey,USA)によりBRIJ(商標)L23(ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル又はラウレス-23)及びBRIJ(商標)L4の商品名で販売されているエトキシ化アルコール、(vi)アルキルオキソアルコールポリグリコールエーテル(例えば、GENAPOL(商標)UD050及びGENAPOL(商標)UD110)、(vii)C10ゲルベアルコール及びエチレンオキシドベースのアルキルポリエチレングリコールエーテル(例えばLUTENSOL(商標)XP79)、(viii)他のアルコールエトキシレート、例えば、TDCC製のECOSURF(商標)EHの商品名を有するC11~15アルキルアルコールエトキシレート(例えば、ECOSURF(商標)EH-40)等の組成物が挙げられる。TSP及びDSPは、Stepanから市販されている。
【0057】
好適な非イオン性界面活性剤はまた、ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)トリ-ブロックコポリマーを含む。ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)トリ-ブロックコポリマーは、一般にポロキサマーとしても知られている。これは、中央部の、ポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))である疎水性鎖と、その両側の、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))である2つの親水性鎖とからなる非イオン性トリブロックコポリマーである。ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)トリ-ブロックコポリマーは、BASF(Florham Park,New Jersey,USA)から市販されており、PLURONIC(商標)L61、L62、L64、L81、P84等のPLURONIC(商標)の商標名で販売されている。
【0058】
非イオン性界面活性剤はまたシリコーンポリエーテル(SPE)であってもよい。乳化剤としてのシリコーンポリエーテルは、ポリオキシエチレン又はポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー単位がシロキサン主鎖にグラフトされる熊手型構造を有し得、又はSPEは、Aがポリエーテル部分を表し、BがABA構造のシロキサン部分を表すABAブロックコポリマー構造を有し得る。好適なSPEとしては、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)製のDOWSIL(商標)OFX-5329 Fluidが挙げられる。あるいは、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレン置換シリコーン、シリコーンアルカノールアミド、シリコーンエステル、及びシリコーングリコシドから選択されてもよい。このようなシリコーンベースの界面活性剤を使用してこのような水性エマルジョンを形成することができ、これらは当該技術分野において既知であり、例えばGeeらの米国特許第4,122,029号、Rentschの同第5,387,417号、及びSchulzらの同第5,811,487号に記載されている。
【0059】
出発原料(D-3)非イオン性界面活性剤は、希釈物で供給されてもよく、使用される量は、水性エマルジョン中の(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて0.1%~10%の界面活性剤を提供するのに十分であってもよい。あるいは、非イオン性界面活性剤の量は、少なくとも0.1%、あるいは少なくとも0.2%、あるいは少なくとも0.3%、あるいは少なくとも0.4%、あるいは少なくとも0.5%、あるいは少なくとも1%であってもよく、同時に、非イオン性界面活性剤の量は、同じ基準で、最大10%、あるいは最大5%、あるいは最大4%、あるいは最大3%、あるいは最大2%、あるいは最大1%であってもよい。あるいは、非イオン性界面活性剤の量は、同じ基準で、0.2%~4%、あるいは0.3%~3%、あるいは0.4~2.5%、あるいは1%~2%であってもよい。あるいは、出発原料(D-1)アニオン性界面活性剤、(D-2)カチオン性界面活性剤、及び(D-3)非イオン性界面活性剤は、水性エマルジョン中の(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて10%以下の合計量で存在し得る。
【0060】
出発原料(E)水
出発原料(E)は、水である。水は、一般的に限定されず、例えば、水は、処理されていても処理されていなくてもよい。水を精製するために使用され得るプロセスの例としては、蒸留、濾過、脱イオン化、及びそれらのうちの2つ以上の組み合わせが挙げられ、これによって、水に対して脱イオン化、蒸留、及び/又は濾過を行ってもよい。代替的に、水は、未処理であり得る(例えば、水道水、すなわち、都市水系の水、又は更なる精製なしで使用される井戸水であってもよい)。水の量は、上記のプロセスの工程(1)における共重合のための水性エマルジョンを形成するのに十分である。工程(1)で使用される水の量は、出発原料(A)、(B)、及び(C)の種類及び量、並びに(H)追加のモノマーが存在するかどうかを含む様々な要因に応じて変化する。しかし、水は、工程(1)の全ての出発原料の合計重量に基づいて、20%~97%、あるいは30%~90%、あるいは40%~80%、あるいは50%~97%、あるいは50%~90%、あるいは60%~80%の量で添加され得る。あるいは、水は、少なくとも20%、あるいは少なくとも30%、あるいは少なくとも40%、あるいは少なくとも50%、及びあるいは少なくとも60%の量で添加されてもよく、同時に、この量は、同じ基準で、最大97%、あるいは最大96%、あるいは最大95%、あるいは最大80%であってもよい。
【0061】
理論に束縛されるものではないが、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には(H)及び/又は(K)が共重合して、織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物における出発原料(I)として上に記載した(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーを形成すると考えられる。更に、出発原料(D)界面活性剤及び(E)水は共重合反応に関与しないと考えられるが、出発原料(D)及び(E)の一方又は両方を含むコポリマーは本明細書の範囲から除外されない。
【0062】
工程(1)の後に追加の水を添加してもよい。例えば、上記のように調製された水性エマルジョンは、エマルジョン配合物を調製する前に及び/又はエマルジョン配合物で織物を処理する前に所望の量の出発原料を得るために追加の水で希釈されてもよい。織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物における出発原料(III)水は、上記の(E)水と同じであってもよく、工程(1)において水性エマルジョンを調製するために上記のエマルジョン共重合プロセスが使用される場合に導入されてよい。
【0063】
(F)開始剤
上記の工程(1)において共重合を促進するために、出発原料(F)開始剤も添加される。好適な開始剤としては、アゾ化合物及び過酸化物化合物が挙げられる。例えば、アゾ化合物は、脂肪族アゾ化合物、例えば1-t-アミルアゾ-l-シアノシクロヘキサン、アゾ-ビス-イソブチロニトリル、及び1-t-ブチルアゾ-シアノシクロヘキサン、2,2’-アゾビス-(2-メチル)ブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(シアノ吉草酸)、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであってよい。アゾ化合物は、当該技術分野において既知であり、例えば、The Chemours Company(Wilmington,Delaware,USA)からVAZO(商標)WSPの商品名で市販されている。過酸化物化合物は、過酸化物又はヒドロペルオキシド、例えば、t-ブチルペルオクトエート、t-ブチルペルベンゾエート、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせであってよい。加えて、ジ-ペルオキシド開始剤は、単独で、又は他の開始剤と組み合わせて使用され得る。このようなジ-ペルオキシド開始剤としては、1,4-ビス-(t-ブチルペルオキシカルボ)シクロヘキサン、1,2-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、及び2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシンが挙げられるが、これらに限定されない。好適なペルオキシド化合物は、当技術分野において既知であり、Sigma-Aldrich,Inc.などの様々な供給業者から市販されている。あるいは、開始剤はイソアスコルビン酸を含んでもよい。
【0064】
開始剤は、出発原料(F)として単独で使用されてもよい。あるいは、出発原料(F)は、酸化成分としての開始剤と還元成分とを含むレドックス対であってもよい。あるいは、イソアスコルビン酸とt-アミルヒドロペルオキシド又はt-ブチルヒドロペルオキシド等の疎水性有機ヒドロペルオキシドとを含むレドックス対を、出発原料(F)として使用してもよい。出発原料(F)に好適な開始剤及び/又はレドックス対の例は、Bardmanらの米国特許第6,576,051号(第11欄、第16行から始まる)に開示されている。開始剤がどのように添加されるかは、開始剤が水溶性であるかどうか、及び開始剤のタイプ(例えば、熱開始剤又はレドックス対が使用されるかどうか)を含む様々な要因に依存する。典型的には、熱開始剤が使用される場合、全ての開始剤が工程(1)の開始時に一度に添加される。あるいは、レドックス対が使用される場合、それは経時的に計量供給され得る。開始剤(F)は、(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0.01%~3%、あるいは0.1%~1.5%を提供するのに十分な量で使用され得る。
【0065】
(G)連鎖移動剤
上記プロセスの工程(1)において共重合を促進するために添加され得る追加の出発原料は、(G)連鎖移動剤を含む。好適な連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン、例えば、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン(ドデカンチオール)、及び/又は2,2-ジメチルデシルメルカプタンなどのメルカプタンが挙げられる。あるいは、連鎖移動剤は、メルカプト酢酸及び/又は2-メルカプトエタノールなどの水溶性であってもよい。好適な連鎖移動剤は当該技術分野において既知であり、例えば、Peter Nesvadbaによる「Radical Polymerization in Industry」,Performance Chemical Research,GASF Schweiz AG,Basel,Switzerland,Encyclopedia of Radicals in Chemistry,Biology and Materials,Online(著作権)2012 John Wiley&Sons,Ltdに開示されている。
【0066】
出発原料(G)連鎖移動剤は任意選択であり、出発原料(A)、(B)、及び(C)(並びに存在する場合には(H)及び/又は(K))の合計重量に基づいて、0~10%の量で添加され得る。あるいは、(G)連鎖移動剤は、同じ基準で5%~10%の量で使用されてもよい。
【0067】
(H)追加のモノマー
出発原料(H)は、工程(1)における共重合のために添加され得る任意選択の追加のモノマーである。出発原料(H)は、上記の出発原料(A)、(B)及び(C)とは異なる非結晶性モノマーであってよい。追加のモノマーは、存在する場合には、(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0超~18重量%の量で使用され得る。好適なモノマーとしては、(メタ)アクリレートモノマー、例えばメチルメタクリレート、t-アミルメタクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、例えばt-ブチルメタクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ナフチルアクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。あるいは、追加のモノマーは、スチレン又は塩化ビニルであってもよい。出発原料(H)に好適なモノマーは、当該技術分野において既知であり、例えば、Polysciences,Inc.から市販されている。あるいは、追加のモノマー(H)は、イソボルニルメタクリレート(IBMA)、イソボルニルアクリレート(IBA)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。追加のモノマーは任意選択であり、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には(H)及び(K)の合計重量に基づいて、0~18%の量で存在し得る。あるいは、(H)追加のモノマーは、少なくとも0.5%、あるいは少なくとも1%、あるいは少なくとも2%の量で存在してもよく、同時に、追加のモノマーは、同じ基準で、最大18%、あるいは最大15%、あるいは最大10%、あるいは最大8%、あるいは最大5%の量で存在してよい。あるいは、(H)追加のモノマーの量は、同じ基準で、0超~18%、あるいは0.5%~7%、あるいは1%~6%、あるいは2%~5%であってもよい。
【0068】
(J)阻害剤
出発原料(J)は、上記のプロセスの工程(1)において任意選択で添加してよい阻害剤である。存在する場合には、出発原料(J)阻害剤は、(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0超から0.01%未満まで、あるいは同じ基準で0超から2,000ppm未満まで、あるいは1ppm~1818ppm、あるいは10ppm~500ppmの量で使用され得る。出発原料(J)に好適な阻害剤は市販されており、例えば、ニトロベンゼン、ブチル化ヒドロキシルトルエン、ジフェニルピクリルヒドラジル(DPPH)、p-メトキシフェノール、2,4-ジ-t-ブチルカテコール、フェノチアジン、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンの塩、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシダニル(TEMPO)、及び4-ヒドロキシ-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシダニル(4-ヒドロキシTEMPO)が挙げられる。
【0069】
(K)反応性界面活性剤
出発原料(K)は、乳化共重合を促進するために使用することができ、かつ反応してコポリマーの一部を形成することができる任意選択の反応性界面活性剤である。反応性界面活性剤は、式:
【0070】
【化15】
(式中、R
2、R
5、D、D
1、及びR
6は上記の通りであり、下付き文字v1は、反応性界面活性剤に300~950g/モル、あるいは350g/モル~900g/モルの数平均分子量を与えるのに十分な値を有する)を有し得る。例えば、式:
【0071】
【化16】
(式中、下付き文字v1は、反応性界面活性剤に300g/mol~950g/molの数平均分子量を与えるのに十分な値を有する)の反応性界面活性剤は、Sigma-Aldrich,Inc.(St.Louis,Missouri,USA)から市販されている。反応性界面活性剤は任意選択であり、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には(H)及び(K)の合計重量に基づいて、0~5重量%の量で添加され得る。反応性界面活性剤は、例えば、Ethoxから市販されている。あるいは、反応性界面活性剤は、同じ基準で0超~2重量%の量で添加されてもよい。
【0072】
織物の処理に好適なエマルジョン配合物を調製する方法
上記のように調製されたコポリマー及び/又は上記の工程(1)を含むプロセスによって調製された水性エマルジョンを使用して、上記の織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物を調製することができる。例えば、エマルジョン配合物の調製は、(I)コポリマー、(II)非イオン性界面活性剤、(III)水(出発原料(E)について上記した通りであってよい)、及び(IV)水分散性架橋剤を含む出発原料を剪断下で混合することを含むプロセスによって行われ得る(例えば、コポリマーが上記の代替方法によって、例えば、出発原料のうちの1つ以上を有機溶媒に溶解させ、出発原料(A)結晶性モノマー、(B)シリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー、(C)架橋性モノマー、(F)開始剤、並びに存在する場合には(G)連鎖移動剤及び/又は(H)追加のモノマーを共重合させ、続いて溶媒を除去することを含む方法によって形成される場合)。剪断下での混合は、水性エマルジョン配合物を形成するための任意の好都合な手段(例えば、超音波処理及びその後のマイクロ流動化)によって行われ得る。剪断下で混合するための装置(例えば、超音波処理器、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、及びスピードミキサー)は、当該分野で公知であり、市販されている。
【0073】
エマルジョン配合物中、(II)非イオン性界面活性剤は、式(II-1):
【0074】
【化17】
(式中、R
19は、8~15個の炭素原子を有する分岐又は直鎖アルキル基であり、下付き文字nは、少なくとも23であり、各D
5は、独立して選択される2個以上の炭素原子のアルキレンオキシド基である)のアルコールアルコキシレートを含む。あるいは、R
19は、例えば、2-エチルヘキシル、ラウリル、又は8~15個の炭素原子の他のアルキル基であってもよい。あるいは、下付き文字nは、23~40、あるいは23~30であってもよい。あるいは、各D
5は、独立して、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドからなる群から選択されてもよい。あるいは、各D
5は、エチレンオキシドであってもよい。上記式の好適なアルコールエトキシレートとしては、C
11~15第二級アルキルアルコールエトキシレート(例えば、上記のようなTERGITOL(商標)15-S-30又は15-S-40)、2-エチルヘキシル第一級アルコールアルコキシレート(例えば、上記のようなECOSURF EH-30及びECOSURF EH-40の商品名で販売されている2-エチルヘキシルエチレンオキシド/プロピレンオキシド等)、C
12~40第一級アルコールエトキシレート(例えば、上記のようなBRIJ(商標)L23の商品名で販売されているラウレス-23等)、又はこれらの組み合わせであり得る。エマルジョン配合物は、任意選択で、追加の非イオン性共界面活性剤を更に含んでいてもよく、これは、上記の式(II-1)とは異なる出発原料(D-3)として上に記載された非イオン性界面活性剤のいずれかであってよい。
【0075】
織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物を調製するためのこのプロセスは、任意選択で、更なる追加の出発原料を添加することを更に含んでいてもよい。更なる追加の出発原料は、(V)ワックス、(VI)殺生物剤、(VII)追加の水(出発原料(E)と同じであってもよい)、(VIII)難燃剤、(IX)しわ低減剤、(X)帯電防止剤、(XI)浸透剤、及び(V)~(XI)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0076】
あるいは、上記の工程(1)を含むプロセスで調製された水性エマルジョンを使用して、織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物を調製することができる。エマルジョン配合物を調製するために、工程(1)を含む上記のプロセスは、出発原料(IV)水分散性架橋剤を水性エマルジョンに添加する工程(2)を更に含む。織物を処理するのに好適なエマルション配合物を調製するためのこのプロセスは、任意選択で、工程(1)の後に、更なる追加の出発原料を添加することを更に含んでいてもよい。更なる追加の出発原料は、(V)ワックス、(VI)殺生物剤、(VII)追加の水(出発原料(D)と同じであってもよい)、(VIII)難燃剤、(IX)しわ低減剤、(X)帯電防止剤、(XI)浸透剤、及び(V)~(XI)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0077】
このプロセスの工程(2)は、撹拌機を備えるジャケット付き容器内で使用する、混合する等の任意の好都合な手段によって実行され得る。工程(1)及び工程(2)は、同じ容器中で連続して実行してよい。あるいは、工程(1)及び工程(2)は、異なる設備内で実行してもよい。工程(1)及び/又は工程(2)は、室温又は高温、例えば、最高100℃、あるいは40℃~80℃で実行され得る。あるいは、工程(1)では加熱を実行してよく、工程(2)は室温で実行してもよい。あるいは、工程(1)及び工程(2)の一方又は両方は、より低温及び高圧、例えば最高5気圧で実行されてもよい。
【0078】
織物を処理するのに好適なエマルション配合物を調製するためのプロセスは、任意選択で、追加の界面活性剤を添加することを更に含んでいてもよい。あるいは、コポリマーを調製するためのプロセスが、非イオン性ではない界面活性剤(例えば、上記の(D-1)アニオン性界面活性剤、(D-4)両性界面活性剤、及び/又は(D-2)カチオン性界面活性剤)を含む場合、エマルジョン配合物を調製するためのプロセスは、(3)(D)界面活性剤(コポリマーを含む水性エマルジョンを作製するためのプロセスにおいて使用される)を除去し、(D)界面活性剤を(II)非イオン性界面活性剤(D-3について上に記載した通りであってよい)で置き換えることを更に含んでいてもよい。出発原料(D-1)アニオン性界面活性剤、(D-2)カチオン性界面活性剤、及び(D-4)両性界面活性剤は、吸着、イオン交換樹脂との接触、並びに/又は透析及び/若しくは限外濾過等の濾過等の任意の好都合な手段によって除去することができる。あるいは、コポリマーを調製するためのプロセスが、出発原料(D-3)として上記式(II-1)の非イオン性界面活性剤以外の非イオン性界面活性剤を使用する場合、このプロセスは、出発原料(D-3)の全て又は一部を除去し、上記のような手段によって式(II-1)の非イオン性界面活性剤で置き換えることを更に含んでいてもよい。
【0079】
エマルジョン配合物を調製するためのプロセスが完了した後、織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物は、カチオン性界面活性剤を含まない。あるいは、エマルジョン配合物は、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びカチオン性界面活性剤を含んでいなくてもよい。「アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びカチオン性界面活性剤を含まない」とは、エマルジョン配合物中の界面活性剤が非イオン性界面活性剤のみであるか、又はエマルジョン配合物が、検出不可能な量の別の界面活性剤若しくはエマルジョン配合物で処理された織物の耐久性のある撥水性に悪影響を及ぼすには不十分な量の別の界面活性剤のいずれかしか含有しないことを意味する。
【0080】
(I)コポリマーに加えて、織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物は、出発原料(D-3)について上記したような(II)非イオン性界面活性剤及び出発原料(E)について上記したような(III)水を含む。出発原料(IV)水分散性架橋剤、及び(V)ワックス、(VI)殺生物剤、(VII)追加の水(出発原料(D)と同じであってもよい)、(VIII)難燃剤、(IX)しわ低減剤、(X)帯電防止剤、(XI)浸透剤からなる群から選択され得る更なる追加の出発原料については以下に記載する。
【0081】
出発原料(IV)水分散性架橋剤
出発原料(IV)は、織物を処理するためにエマルジョン配合物に添加され得る水分散性架橋剤(架橋剤)である。好適な架橋剤としては、ブロック化イソシアネート、ポリカルボジイミド、ポリエポキシ化合物、ポリカルボキシ化合物、ポリアミン、及びジオールが挙げられる。「ブロック化イソシアネート」という用語は、イソシアネート基がブロッキング剤と反応しており、加熱時にイソシアネート及びブロッキング剤を放出するモノ-、ジ-及びポリイソシアネートを包含する。好適なブロッキング剤は、アミン、アミド、活性水素原子を有する化合物、アルコール、又はオキシムなど、当技術分野で既知である。ブロック化イソシアネートは市販されており、例えば、Archroma(Reinach,Switzerland)製のARKOPHOB(商標)DAN及びARKOPHOB(商標)SR、Rudolf GmbH(Geretsreid,Bayern,Germany)製のRUCO-GUARD(商標)WEB、及びHuntsman Corporation(Woodlands,Texas,USA)製のPHOBOL(商標)XANがある。ジオールとしては、例えば、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-エチルヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、2,2,4-トリメチルペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールが挙げられる。好適な架橋剤の例は、当該技術分野において既知であり、例えば、Knaupの米国特許出願公開第2017/0204558号、Hamajimaらの米国特許第9,777,105号(第11欄第54行から始まる)に開示されており、これらは、好適な架橋剤を記載する目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。架橋剤(IV)の正確な量は、(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー及び処理される織物の種類及び量を含む様々な要因に依存するが、架橋剤(IV)の重量は、同じ基準で、布地重量の0.25%~3.75%、あるいは0.25%~1%、あるいは0.25%~0.5%であってよい。
【0082】
出発原料(V)ワックス
出発原料(V)はワックスであり、これはエマルジョン配合物が適用される織物に改善された撥水性又は柔軟性を提供するために任意選択で添加されてもよい。ワックスの量は、選択されたワックスのタイプ、所望の利益、及びエマルジョン配合物で処理される布地を含む要因に応じて変化する。しかしながら、ワックスの量は、(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0~75%、あるいは0~50%、あるいは25%~50%であってよい。あるいは、使用される場合、ワックスの量は、0超%、あるいは少なくとも10%、あるいは少なくとも25%であってもよく、同時に、ワックスの量は、同じ基準で最大75%、あるいは最大50%であってもよい。好適なワックスの例としては、パラフィンワックス(例えば、n-パラフィン、イソパラフィン、及び/又はシクロパラフィン)、シリコーンワックス、例えば、長鎖アルキル基を有するシリコーンワックス(例えば、アルキルメチルシリコーンワックス)及び/又はアミノ-シリコーンワックス、並びにこれらのうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。好適なワックスは、例えば、Knaupの米国特許出願公開第2017/0204558号及びProbstらの米国特許第10,844,151号に開示されている。例えば、Michelman(Cincinnati,Ohio,U.S.A.)製のMichelman wax 743及び他のものなどのワックスは、水系分散液として供給されてもよい。他のワックスも、例えば、Sasol Wax(Hamburg,Germany)から市販されており、DOWSIL(商標)AMS-C30などのシリコーンワックスは、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,U.S.A.)から入手可能である。
【0083】
出発原料(VI)殺生物剤
出発原料(VI)は、殺生物剤である。殺生物剤の量は、選択される殺生物剤のタイプ及び所望される効果などの要因に応じて変化する。しかしながら、使用される場合、殺生物剤の量は、エマルジョン配合物中の全ての出発原料の合計重量に基づいて、0超%~5%であり得る。出発原料(VI)は、(VI-1)殺真菌剤、(VI-2)除草剤、(VI-3)殺虫剤、(VI-4)抗菌剤、又はそれらの組み合わせによって例示される。好適な殺生物剤は、例えば、米国特許第9,480,977号に開示されている。
【0084】
出発原料(XI)浸透剤
出発原料(XI)は、浸透剤である。好適な浸透剤は、The Dow Chemical Companyから市販されているグリコールエーテルによって例示され、DOWANOL(商標)DPM、TPM、PPh、EPh、Methyl CARBITOL(商標)、及びButyl CARBITOL(商標)が挙げられる。
【0085】
工程(1)で上記した水性エマルジョン及び上記の通り形成されるエマルジョン配合物に添加する出発原料を選択する場合、本明細書に記載される特定の出発原料は1つを超える機能を有する場合があるので、出発原料の種類間で重複が存在する場合がある。水性エマルジョン及び/又はエマルジョン配合物に使用される出発原料は、互いに異なっていてもよい。
【0086】
織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物は、フルオロカーボンを含まない出発原料を用いて処方され得る。例えば、エマルジョン配合物は、炭素原子に共有結合したフッ素原子を含有する出発原料を一切含まなくてもよい。
【0087】
織物の処理プロセス
上記のように調製されたエマルジョン配合物は、織物を処理するために使用することができる。例えば、織物を処理するための方法は、I)上記のエマルジョン配合物で織物をコーティングすることと、II)織物を加熱することと、を含む。ステップI)は、織物にエマルジョン配合物をパディング、浸漬、又は噴霧するなどの任意の好都合な方法によって実行されてもよい。しかし、方法は、いずれも織物の重量に基づいて、布地の重量の0.25重量%~10重量%の(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、及び布地の重量の0.1重量%~3.75重量%、あるいは0.25重量%~1重量%の(IV)水分散性架橋剤を送達するのに十分でなければならない。
【0088】
ステップII)は、オーブン中に織物を配置するといった任意の好都合な方法により実行されてもよい。織物の加熱は、水の全て又は一部を除去するため、及び/又はエマルジョン配合物を硬化させるために実行されてもよい。正確な温度は、選択された織物のタイプの温度感受性及び所望の乾燥時間を含む様々な要因に依存する。しかしながら、加熱は、水を除去するために100℃超の温度で実行されてもよい。あるいは、温度は、水の全て又は一部を除去し、ブロック化イソシアネート架橋剤を脱ブロック化し、及び/又は(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーを硬化するのに十分な時間にわたって、100℃超~200℃であってもよい。
【0089】
処理される織物は、特に限定されない。好適な織物としては、綿、絹、リネン、及び/又は羊毛の布地などの天然由来の織物、レーヨン、アセテート、ポリエステル、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリアクリロニトリル、並びにポリエチレン及び/又はポリプロピレンなどのポリオレフィンなどの合成源に由来する織物、及びそれらのうちの2つ以上の組み合わせ(例えば、ポリエステル/綿ブレンドなどのブレンド)が挙げられる。織物の形態も特に限定されない。本明細書に記載されるエマルジョン配合物は、任意の形態の織物、例えば、織布、編布、又は不織布に使用するのに好適である。
【実施例】
【0090】
以下の実施例は、当業者に本発明を例示するために提供されるものであり、請求項に記載の本発明を制限するものとして解釈すべきではない。ここで使用した出発原料は以下の通りであった。処理される織物は、ナイロン(スタイル#01194)であり、これは、Burlingtonから購入され、98.61%のナイロン及び1.39%のスパンデックスを含有していた。重量は6.84 Oz/Lin Ydであり、平織りであった。処理される別の織物は、やはりBurlington製の、スタイル4774 075、坪量220g/m2のポリエステル又はPES織布(縮緬)であった。水分散性架橋剤は、Huntsmanから購入したPhobolXan(商標)増量剤(オキシムブロック化イソシアネートエマルジョン)であり、受け取ったまま使用した。結晶性モノマー(A-1)は、ステアリルアクリレートであり、架橋性(メタ)アクリレートモノマー(C-1)は、2-ヒドロキシルエチルメタクリレート(HEMA)であり、非イオン性界面活性剤BRIJ(商標)L23-69(69%活性物質)、カチオン性界面活性剤ARQUAD(商標)16-29(ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、29%活性物質)、非イオン性界面活性剤ECOSURF(商標)EH40(75%活性物質)、非イオン性界面活性剤ECOSURF(商標)EH9(100%活性物質)、アニオン性界面活性剤DOWFAX 8390(40%活性物質)、非イオン性界面活性剤TERGITOL(商標)15-S-40(70%活性物質)、カチオン性界面活性剤n-ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(DTAB、100%活性物質)、鎖延長剤ドデカンチオール、開始剤イソアスコルビン酸、開始剤t-ヒドロペルオキシド(70%活性物質)、3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート(MDM-ALMA)、及び3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート(3MT-ALMA)は市販されており、商業的供給源から購入した。Fisherbrand(商標)Model 705音波ディスメンブレーターを音波処理に使用した。マイクロフルイダイザーは、Microfluidics Microfluidizer Model 110Yホモジナイザーであった。
【0091】
開始剤溶液Aを以下のように調製した。0.702gの70%t-ブチルヒドロペルオキシドを45mLのDI水で希釈して原液を形成した。5gのこの原液を取り、5gのDI水と混合することによって、最終溶液を作製した。
【0092】
開始剤溶液Bを以下のように調製した。45mLのDI水中の0.96gのイソアスコルビン酸で原液を形成した。5gのこの原液を取り、5gのDI水と混合することによって、最終溶液を作製した。
【0093】
この参考例1では、エマルジョン配合物のサンプルを以下のように調製した。ステアリルアクリレート(44g)、MDM-ALMA又は3MT-ALMAのいずれか(5、10、又は15g)(以下の表1に示す)、HEMA(1g)、1つ以上の界面活性剤(以下の表1に示す)、及び脱イオン水(200g)を400mLのジャーに入れた。いくつかのサンプルでは、0.05gのドデカンチオールを添加した(以下の表1に示すように)。混合物を40℃の水浴中で10分間加熱して、ステアリルアクリレートを溶融させた。材料を、超音波処理器を用いて50の振幅で2分間超音波処理して、粗エマルジョンを作製した。次いで、粗エマルジョンを、40℃及び10~15kPSIで作動するマイクロフルイダイザーに通した。次いで、得られたエマルジョンを、還流冷却器、窒素注入口、オーバーヘッドスターラー(IKA RW20)、及び熱電対プローブを備えた1000mLの4つ口フラスコに移した。エマルジョンをテフロンブレードを用いて250RPMで撹拌し、60℃に加熱した。温度に達した後、レドックス開始剤を0.25mL/分で溶液に供給し(別々の供給物中の開始剤溶液A及び開始剤溶液B)、60℃で1時間後、次いで、得られたエマルジョン配合物をゆっくり撹拌しながら30~40℃に冷却した後、注ぎ出した。
【0094】
【0095】
表1において、*は、サンプルが式:
【0096】
【化18】
(式中、下付き文字v1は、反応性界面活性剤に360g/molの平均Mn(数平均分子量)を与えるのに十分な値を有し、Sigma-Aldrich,Inc.から購入した(製品409537))の反応性界面活性剤0.5gも含有していたことを示す。
【0097】
この参考例2では、37gの上記の通り調製したコポリマーエマルジョン、6.16gのPhobolXan(商標)増量剤、及び163gの水をプラスチックボトル内で合わせ、布地上の重量%が約2%になるように手で振盪して混合し、上記のナイロン布地を処理するためのエマルジョン配合物を調製した。
【0098】
この参考例3では、22gのコポリマーエマルジョン、4.12gのPhobolXan(商標)増量剤、及び174gの水をプラスチックボトル内で合わせ、布地上の重量%が約2%になるように手で振盪して混合することにより、上記のPES布地を処理するためのエマルジョン配合物を調製した。
【0099】
この参考例4では、参考例2及び3に記載の通り調製したエマルジョン配合物で織物をコーティングした。Mathis HVFパダー(60psiで2メートル/分のロール速度)を使用してサンプルをコーティングした。ナイロン(吸水率53.5%)及びPES(吸水率90%)上の目標重量は、2%のシリコーン-アクリレートコポリマー及び0.5%のPhobolXan(商標)増量剤であった。各エマルジョン配合物をコーティングのためにパダーに添加し、160℃の強制空気オーブンに3分間通した。
【0100】
この参考例5では、撥水性及び洗浄耐久性を以下のように評価した。参考例4に従って調製したコーティングされたシートを、90°F洗浄/冷すすぎサイクルを使用して洗濯し、約150°Fで乾燥させた。この方法を20回繰り返した。6ポンドのコーティングされたシートごとに37gのTide洗剤(無臭)を使用した。ISO-9865(ブンデスマン試験)を使用して、0、1、5、10、及び20回洗浄した後の外観採点データを収集した。3つの値を記録した。外観評価は主観的であり、試験中の水滴の外観又はその欠如に基づいた。外観は、3以上であれば合格であり、3未満である場合は不合格とみなした。更に、布地は、10分間試験した後にその質量の25%以下を取り込まなければならない。要約すると、試験した全ての洗浄サイクルにおいて吸水率(%)が25%以下であり、外観評点が3以上である耐久性のある耐水性コーティングが望まれていた。結果を以下の表2及び表3に示す。
【0101】
【0102】
表2のデータは、非イオン性界面活性剤を含有する実施例が、少なくとも1つの織物について試験した全ての洗浄回数の下で3を超えるブンデスマン外観評点を有することを示す。対照的に、実施例17、18、19、及び22は、それぞれカチオン性界面活性剤を含有しており、いずれも外観試験に不合格であった。実施例20及び21は、それぞれアニオン性界面活性剤を含有しており、いずれも外観試験に不合格であった。
【0103】
【0104】
解決されるべき課題
耐久性のある撥水性を提供する非フルオロカーボン系織物処理剤が産業上必要とされている。更に、上記のブンデスマン試験によって測定したときに高い耐久性を有するフルオロカーボンを含まない織物処理剤に対する産業上の必要性が存在する。
【0105】
産業上の利用可能性
上記の実施例は、本明細書に記載のエマルジョン配合物を使用して、織物を処理し、ブンデスマン試験によって測定したときに耐久性のある撥水性を付与することができることを示す。より具体的には、織物は、最初の処理(洗浄0回)後及び1~10回洗浄した後のブンデスマン外観評点3以上と、最初の処理後及び1~10回洗浄した後のブンデスマン吸水率25%以下とを両方有することができる。この特性の組み合わせは、少なくとも1つのタイプの織物、及び一部のエマルジョン配合物については1つを超えるタイプの織物で達成することができる。
【0106】
用語の定義及び使用
全ての量、比率、及び百分率は、別途指定がない限り、重量に基づく。「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。明細書の文脈により別途指定がない限り、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、それぞれ1つ以上を指す。「~を含む(comprising)」、「~から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「~からなる(consisting of)」の移行句はManual of Patent Examining Procedure Ninth Edition,Revision 08.2017,Last Revised January 2018のセクション§2111.03 I.、II.、及びIIIに記載されているように使用される。実例を列記する「例えば(for example)」「例えば(e.g.,)」、「例えば(such as,)」及び「が挙げられる(including)」の使用は、列記されている例のみに限定しない。したがって、「例えば(for example)」又は「例えば/など(such as)」は、「例えば、それらに限定されないが(for example,but not limited to)」又は「例えば、それらに限定されないが(such as,but not limited to)」を意味し、他の類似した又は同等の例を包含する。本明細書で使用される略語は、表5中の定義を有する。
【0107】
【0108】
本発明は例示的な様式で記載されており、使用されている用語は、限定というよりむしろ説明の用語の性質であることが意図されることを理解されたい。本明細書で個々の特徴又は態様の記述が依拠している任意のマーカッシュ群に関して、異なる、特殊な及び/又は不測の結果が、全ての他のマーカッシュ群の要素から独立して、それぞれのマーカッシュ群の各要素から得られる場合がある。マーカッシュ群の各要素は、添付の特許請求の範囲の範囲内で、特定の実施形態に、個々に及び又は組み合わされて依拠され得、十分なサポートを提供する。
【0109】
更に、本発明を説明する際に依拠される任意の範囲及び部分範囲は、独立して及び包括的に、添付の特許請求の範囲の範囲内に入り、本明細書にその中の全部及び/又は部分の値が明記されていなくても、その中の全部及び/又は部分の値を包含する全範囲を説明及び想到するものと理解される。当業者であれば、列挙された範囲及び部分範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、可能にし、そのような範囲及び部分範囲は、更に関連性がある2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、及び範囲内に含まれる任意の他の部分範囲に更に線引きされ得ることを容易に認識する。単なる一例として、範囲「16~24」は、下位3分の1(すなわち、16~18)、中位3分の1(すなわち、19~21)、及び上位3分の1(すなわち、22~24)と更に区切ることができるか、あるいは範囲「16~24」は、サブ範囲「18~22」を含み、これらは個別的及び集合的に添付の特許請求の範囲の範囲内であり、添付の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施形態に個別的及び/又は集合的に依拠する場合があり、それらに適切な根拠を提供し得る。加えて、範囲を定義する、又は修飾する言葉、例えば「少なくとも」、「超」、「未満」、「以下」などに関して、このような言葉は、部分範囲及び/又は上限若しくは下限を含むと理解されるべきである。
【0110】
本発明の実施形態
第1の実施形態では、織物に耐久性のある撥水性を付与するためのプロセスは、
I)エマルジョン配合物で当該織物をコーティングすることと、
II)当該織物を加熱することと、を含み、
当該エマルジョン配合物は、
(I)単位式:
【0111】
【化19】
(式中、
各R
1は、独立して選択される16~24個の炭素原子のアルキル基であり、
各R
2は、独立して、H及びメチルからなる群から選択され、
各D
2は、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、
各R
3は、独立して、R
4及び式-OSi(R
4)
3の基からなる群から選択され、
各R
4は、独立して選択される1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、
各R
7は、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、
D
3は、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、
各D
4は、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価アルキルアリーレン基であり、
下付き文字vは、下付き文字yを有する単位中の式(OD
4)の単位数を表し、
下付き文字vは、0~12の値を有し、
各R
8は、架橋性基であり、
各R
5は、酸素原子であり、
Dは、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、
各D
1は、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価アルキルアリーレン基であり、
下付き文字v2は、下付き文字y2を有する単位中の式(OD
1)の単位数を表し、
下付き文字v2は、0~20の値を有し、
各R
6は、アルコキシ基又はヒドロキシ基であり、
各R
9は、1~14個の炭素原子の一価炭化水素基であり、
各R
10は、独立して、ハロゲン、アセテート基、又は1~14個の炭素原子の一価炭化水素基からなる群から選択され、
下付き文字w、x、y、y2、z1、及びz2は、コポリマー中の各単位の相対重量を表し、
量(w+x+y+y2+z1+z2)=100であり、
80≦w<98であり、
1≦x≦5であり、
1≦y≦5であり、
0≦y2≦5であり、
0≦z1≦18であり、
0≦z2≦18である)
を有するシリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーと、
(II)式(II-1):
【0112】
【化20】
(式中、R
19は、8~15個の炭素原子を有する分岐又は直鎖アルキル基であり、下付き文字nは、少なくとも23であり、各D
5は、独立して選択される2個以上の炭素原子のアルキレンオキシド基である)のアルコールアルコキシレートを含む非イオン性界面活性剤と、
(III)水と、
(IV)水分散性架橋剤と、
を含むが、
ただし、当該エマルジョン配合物は、カチオン性界面活性剤を含まない。
【0113】
第2の実施形態では、第1の実施形態のプロセスにおいて、R1は、ステアリル基であり、83≦w≦93であり、R3は、-CH3及び-OSi(CH3)3からなる群から選択され、R4は、メチルであり、D2は、-(CH2)2-であり、5≦x≦15であり、R7はOであり、下付き文字v=0であり、R8は、-OHであり、下付き文字y=2であり、下付き文字z1=0であり、下付き文字z2=0である。
【0114】
第3の実施形態では、第1の実施形態又は第2の実施形態のプロセスは、ワックス、殺生物剤、難燃剤、しわ低減剤、帯電防止剤、浸透剤、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の出発原料を添加することを更に含む。
【0115】
第4の実施形態では、第1~第3の実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、(II)非イオン性界面活性剤は、
C11~15第二級アルキルアルコールエトキシレート、2-エチルヘキシル第一級アルコールアルコキシレート、C12~40第一級アルコールエトキシレート、又はこれらの組み合わせを含む。
【0116】
第5の実施形態では、第1~第4の実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、エマルジョン配合物は、式(II-1)とは異なる非イオン性共界面活性剤を更に含む。
【0117】
第6の実施形態では、第1~第5の実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、(IV)水分散性架橋剤は、ブロック化イソシアネートを含む。
【0118】
第7の実施形態では、プロセスは、工程I)の前に、
(1)
80重量%~98重量%の(A)式:
【0119】
【化21】
(式中、R
1及びR
2は、上記の通りである)の結晶性モノマーと、
1重量%~15重量%の(B):式
【0120】
【化22】
(式中、R
2、R
3、及びR
4は、上記の通りである)のシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマーと、
1重量%~5重量%の(C)式:
【0121】
【化23】
(式中、R
2、R
7、D
3、D
4、R
8、及び下付き文字vは、上記の通りである)の架橋性(メタ)アクリレートモノマーと、
を含む出発原料を共重合させることであって、
出発原料(A)、(B)及び(C)の量が、出発原料(A)、(B)及び(C)の合計量に基づいて合計100重量%であり、出発原料(A)、(B)及び(C)を、
(D)界面活性剤と、
(III)水と、
(J)開始剤と、
を更に含むエマルジョン中で共重合させ、
それによって、(I)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、(D)界面活性剤、及び(E)水、を含む水性エマルジョンを形成する、共重合させることと、
(2)当該水性エマルジョンを(IV)当該水分散性架橋剤を含む追加の出発原料と合わせることと、
を含む方法によって、エマルジョン配合物を調製することを更に含む。
【0122】
第8の実施形態では、第7の実施形態のプロセスにおいて、(D)界面活性剤は非イオン性ではなく、方法は、(3)(D)界面活性剤を除去し、(II)非イオン性界面活性剤で置き換えることを更に含む。
【0123】
第9の実施形態では、第7の実施形態又は第8の実施形態のプロセスにおいて、出発原料(A)は、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、ベヘニルアクリレート、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0124】
第10の実施形態では、第7~第9の実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、出発原料(B)は、3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート、3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0125】
第11の実施形態では、第7~10の実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、出発原料(C)は、2-ヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0126】
第12の実施形態では、第7~第11の実施形態のいずれか1つのプロセスは、工程(1)において追加の出発原料を添加することを更に含み、当該追加の出発原料は、(G)連鎖移動剤、(H)出発原料(A)、(B)及び(C)とは異なる追加のモノマー、(J)阻害剤、(K)出発原料(D)とは異なる反応性界面活性剤、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0127】
第13の実施形態では、第12の実施形態のプロセスにおいて、反応性界面活性剤が存在し、当該反応性界面活性剤は、式:
【0128】
【化24】
(式中、R
2、R
5、D、D
1、及びR
6は上記の通りであり、下付き文字v1は、反応性界面活性剤に300~950g/モルの数平均分子量を与えるのに十分な値を有する)を有する。
【0129】
第14の実施形態では、第1~第13の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、織物は、ポリエステル及びポリアミドからなる群から選択される。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物であって、
(I)単位式:
【化1】
(式中、
各R
1は、独立して選択される16~24個の炭素原子のアルキル基であり、
各R
2は、独立して、H及びメチルからなる群から選択され、
各D
2は、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、
各R
3は、独立して、R
4及び式-OSi(R
4)
3の基からなる群から選択され、
各R
4は、独立して選択される1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、
各R
7は、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、
D
3は、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、
各D
4は、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価アルキルアリーレン基であり、
下付き文字vは、下付き文字yを有する単位中の式(OD
4)の単位数を表し、
下付き文字vは、0~12の値を有し、
各R
8は、架橋性基であり、
各R
5は、酸素原子であり、
Dは、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、
各D
1は、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価アルキルアリーレン基であり、
下付き文字v2は、下付き文字y2を有する単位中の式(OD
1)の単位数を表し、
下付き文字v2は、0~20の値を有し、
各R
6は、アルコキシ基又はヒドロキシ基であり、
各R
9は、1~14個の炭素原子の一価炭化水素基であり、
各R
10は、独立して、ハロゲン、アセテート基、又は1~14個の炭素原子の一価炭化水素基からなる群から選択され、
下付き文字w、x、y、y2、z1、及びz2は、コポリマー中の各単位の相対重量を表し、
量(w+x+y+y2+z1+z2)=100であり、
80≦w<98であり、
1≦x≦15であり、
1≦y≦5であり、
0≦y2≦5であり、
0≦z1≦18であり、
0≦z2≦18である)
を有するシリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーと、
(II)式:
【化2】
(式中、R
19は、8~15個の炭素原子を有する分岐又は直鎖アルキル基であり、下付き文字nは、少なくとも23であり、各D
5は、独立して選択される2個以上の炭素原子のアルキレンオキシド基である)のアルコールアルコキシレートを含む非イオン性界面活性剤と、
(III)水と、
(IV)水分散性架橋剤と、
を含むが、
ただし、カチオン性界面活性剤を含まない、エマルジョン配合物。
【請求項2】
R
1は、ステアリル基であり、83≦w≦93であり、R
3は、-CH
3及び-OSi(CH
3)
3からなる群から選択され、R
4は、メチルであり、D
2は、-(CH
2)
2-であり、5≦x≦15であり、R
7はOであり、下付き文字v=0であり、R
8は、-OHであり、下付き文字y=2であり、下付き文字z1=0であり、下付き文字z2=0である、請求項1に記載のエマルジョン配合物。
【請求項3】
ワックス、殺生物剤、難燃剤、しわ低減剤、帯電防止剤、浸透剤、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の出発原料を更に含む、請求項1又は請求項2に記載のエマルジョン配合物。
【請求項4】
(II)前記非イオン界面活性剤が、
C
11~15第二級アルキルアルコールエトキシレート、2-エチルヘキシル第一級アルコールアルコキシレート、C
12~40第一級アルコールエトキシレート、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1又は請求項2に記載のエマルジョン配合物。
【請求項5】
(IV)前記水分散性架橋剤が、ブロック化イソシアネートを含む、請求項1又は請求項2に記載のエマルジョン配合物。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載のエマルジョン配合物を調製する方法であって、
(1)
80重量%~98重量%の(A)式:
【化3】
(式中、R
1及びR
2は、上記の通りである)の結晶性モノマーと、
1重量%~15重量%の(B)式:
【化4】
(式中、R
2、R
3、及びR
4は、上記の通りである)のシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマーと、
1重量%~5重量%の(C)式:
【化5】
(式中、R
2、R
7、D
3、D
4、R
8、及び下付き文字vは、上記の通りである)の架橋性(メタ)アクリレートモノマーと、
を含む出発原料を共重合させることであって、
出発原料(A)、(B)及び(C)の量が、出発原料(A)、(B)及び(C)の合計量に基づいて合計100重量%であり、出発原料(A)、(B)及び(C)を、
(D)界面活性剤と、
(III)水と、
(J)開始剤と、
を更に含むエマルジョン中で共重合させ、
それによって、(I)前記シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、(D)前記界面活性剤、及び(E)前記水を含む水性エマルジョンを形成する、共重合させることと、
(2)前記水性エマルジョンを(IV)前記水分散性架橋剤を含む追加の出発原料と合わせることと、
を含む、方法。
【請求項7】
(D)前記界面活性剤が、非イオン性ではなく、前記方法が、(3)(D)前記界面活性剤を除去し、(II)前記非イオン性界面活性剤で置き換えることを更に含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
出発原料(A)が、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、ベヘニルアクリレート、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載のプロセス。
【請求項9】
出発原料(B)が、3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート、3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載のプロセス。
【請求項10】
出発原料(C)が、2-ヒドロキシエチルメタクリレートである、請求項6に記載のプロセス。
【請求項11】
工程(1)において追加の出発原料を添加することを更に含み、前記追加の出発原料が、(G)連鎖移動剤、(H)出発原料(A)、(B)及び(C)とは異なる追加のモノマー、(J)阻害剤、(K)出発原料(D)とは異なる反応性界面活性剤、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載のプロセス。
【請求項12】
前記反応性界面活性剤が存在し、前記反応性界面活性剤が、式:
【化6】
(式中、R
2、R
5、D、D
1、及びR
6は、上記の通りであり、下付き文字v1は、前記反応性界面活性剤に300~950g/モルの数平均分子量を与えるのに十分な値を有する)を有する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
工程(1)の後に更なる追加の出発原料を添加することを更に含み、前記更なる追加の出発原料が、ワックス、殺生物剤、難燃剤、しわ低減剤、帯電防止剤、浸透剤、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載のプロセス。
【請求項14】
織物を処理するためのプロセスであって、
I)前記織物を、請求項1に記載のエマルジョン配合物でコーティングすることと、
II)前記織物を加熱することと、を含む、プロセス。
【国際調査報告】