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特表2024-532701電池システム及びそのためのハイブリッド電流センサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】電池システム及びそのためのハイブリッド電流センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/20 20060101AFI20240903BHJP
   G01R 19/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G01R15/20 C
G01R15/20 A
G01R19/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506651
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 CN2022084252
(87)【国際公開番号】W WO2023019958
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】202110960920.8
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111652183.1
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521126966
【氏名又は名称】スージョウ リテルヒューズ オーブイエス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ、ジアンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヘッツマンセダー、エンゲルバート
【テーマコード(参考)】
2G025
2G035
【Fターム(参考)】
2G025AA00
2G025AB01
2G025AB02
2G025AC01
2G035AA17
2G035AB01
2G035AB03
2G035AC02
2G035AD28
2G035AD65
2G035AD66
(57)【要約】
ハイブリッド電流センサは、第1の端及び第2の端を有する主導体、ここで電流フロー方向が前記第1の端及び前記第2の端の間に延在する、及び前記主導体の中央部分の少なくとも部分的に周囲に配置されている磁気コアを含み得る。前記磁気コアは、前記主導体の第1の表面の上方のコア間隙領域を画定し得、ここでチップアセンブリは前記コア間隙領域内に配置されている。そのため、第1の部分において前記コア間隙領域は、横断方向に沿って前記電流フロー方向に対して垂直な第1の間隙を有し、ここで第2の部分において前記コア間隙領域は、前記横断方向に沿った、前記第1の間隙よりも大きな第2の間隙を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端及び第2の端を有する主導体、ここで前記主導体内の主電流の電流フロー方向は、前記第1の端及び前記第2の端の間に延在する;
前記主導体の中央部分の少なくとも部分的に周囲に配置された磁気コア、ここで前記磁気コアは外側表面の少なくとも周囲にC字形状を有し、前記磁気コアはコア間隙領域を画定する;及び
前記コア間隙領域内に配置されたチップアセンブリ、ここで前記チップアセンブリは低電流チップ及び一対の高電流チップを有する、
を備える、ハイブリッド電流センサ。
【請求項2】
前記主導体がノッチ領域を有し、前記チップアセンブリが前記ノッチ領域に隣接して配置されている、請求項1に記載のハイブリッド電流センサ。
【請求項3】
前記低電流チップ及び前記一対の高電流チップは、ホールセンサを含む、請求項1又は2に記載のハイブリッド電流センサ。
【請求項4】
前記一対の高電流チップが前記コア間隙領域内の第1の平面内に配置されており、前記低電流チップが、前記第1の平面とは異なる、前記コア間隙領域内の第2の平面内に配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のハイブリッド電流センサ。
【請求項5】
前記低電流チップが最大500アンペアまでの範囲で前記主電流を測定するように適合されており、前記一対の高電流チップが最大2000Aまでの範囲で前記主電流を測定するように適合されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のハイブリッド電流センサ。
【請求項6】
PCBアセンブリを更に備え、前記チップアセンブリがピンアセンブリのセットを介して前記PCBアセンブリのPCBに機械的に固着されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のハイブリッド電流センサ。
【請求項7】
前記PCBアセンブリは鉛直に配置され、前記PCBアセンブリの長手方向は前記主導体の長手方向に対して垂直に延在する、請求項6に記載のハイブリッド電流センサ。
【請求項8】
前記PCBアセンブリ及び前記磁気コアの少なくとも部分的に周囲に配置されているハウジングを更に備える、請求項7に記載のハイブリッド電流センサ。
【請求項9】
前記チップアセンブリに電気的に結合されているPCBアセンブリ;及び
前記PCBアセンブリ及び前記磁気コアの少なくとも部分的に周囲に配置されているハウジング
を更に備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のハイブリッド電流センサ。
【請求項10】
前記ハウジングは:
前記磁気コアの一部分に隣接して配置されているC字形状を含む外側表面;及び
前記PCBアセンブリに隣接して配置されている背面カバー
を有する、請求項9に記載のハイブリッド電流センサ。
【請求項11】
前記磁気コアの側面に隣接して配置され、且つ前記主導体の長手方向に対して垂直に延在しているサイドカバーを更に備える、請求項10に記載のハイブリッド電流センサ。
【請求項12】
前記ハウジングは:
前記磁気コアの連続的な部分に隣接して配置されているフロントカバー;及び
前記PCBアセンブリに隣接して配置されている背面カバー
を有する、請求項9に記載のハイブリッド電流センサ。
【請求項13】
車両内で主電流を出力するための電池;
電流フロー方向に沿った前記主電流を測定するために結合されているハイブリッド電流センサ
を備え、ここで前記ハイブリッド電流センサは:
第1の端及び第2の端を有する母線構造;
前記母線構造の少なくとも部分的に周囲に配置されている磁気コア、ここで前記磁気コアは、コア間隙領域を画定するC字形状を外側表面の少なくとも周囲に有する;及び
前記コア間隙領域内に配置されているチップアセンブリ、ここで前記チップアセンブリは低電流チップ及び一対の高電流チップを含む、
を有する、電池システム。
【請求項14】
前記低電流チップが最大500アンペアまでの範囲で前記主電流を測定するように適合されており、前記一対の高電流チップが最大2000Aまでの範囲で前記主電流を測定するように適合されている、請求項13に記載の電池システム。
【請求項15】
前記チップアセンブリに接続されており且つ鉛直に配置されているPCBアセンブリを更に備え、前記PCBアセンブリの長手方向は主導体の長手方向に対して垂直に延在する、請求項13又は14に記載の電池システム。
【請求項16】
前記PCBアセンブリ及び前記磁気コアの少なくとも部分的に周囲に配置されているハウジングを更に備える、請求項15に記載の電池システム。
【請求項17】
前記ハウジングは:
前記磁気コアの一部分に隣接して配置されているC字形状を含む外側表面;及び
前記PCBアセンブリに隣接して配置されている背面カバー
を有する、請求項16に記載の電池システム。
【請求項18】
前記磁気コアの側面に隣接して配置され、且つ前記母線構造の長手方向に対して垂直に延在しているサイドカバーを更に備える、請求項17に記載の電池システム。
【請求項19】
前記ハウジングは:
前記磁気コアの連続的な部分に隣接して配置されているフロントカバー;及び
前記PCBアセンブリに隣接して配置されている背面カバー
を有する、請求項16に記載の電池システム。
【請求項20】
出力を前記低電流チップ及び前記一対の高電流チップから受信するように電気的に結合されているコントローラ;
前記コントローラに結合されているコントローラエリアネットワーク送受信器;及び
出力を前記コントローラエリアネットワーク送受信器から受信するように結合されている電池管理システム
を更に備える、請求項13から19のいずれか一項に記載の電池システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2021年8月20日を出願日とする中国特許出願第202110960920.8号の優先権を主張し、更に2021年12月30日を出願日とする中国特許出願第202111652183.1号の優先権を主張する。
【0002】
こんにち、電気車両用の電池システムのための電流容量は高まっている。ハイブリッド電気車両(HEV)及び電気車両(EV)は、スマートフォンの電池と類似するがはるかに大規模な固体電池を実装している。電池管理システム(BMS)は、様々な動作モードを満たすために高精度の電流測定を必要とする。車両推進及び電池充電は、高電流範囲で動作する例であり、一方で車両オフ通信は低電流範囲で動作する例である。いくつかの例において、2000A以上ものHEV又はEVにおける電流がサポートされ得る。様々なセンサが電流をモニタリングするために使用され得、例えばホールセンサを含む。電池システムにおける多くの非接触電流センサは、磁場のモニタリングに基づき得、センサは電流導体を囲む磁気コア構造を含む。こんにちのHEV/EV電池システムにおいてモニタリングされ得る電流の大きな範囲を考慮すると、これらの公知のセンサは、特に高電流レジーム又は低電流レジームにおいて、測定誤差に悩まされ得る。例えば、応答の線形性は、磁気コア飽和に起因して、いくつかのセンサ設計に関して高電流レベルにおいて劣化し得、一方で他のセンサ設計に関して、過剰なノイズが低電流レベルにおいて発生し得る。
【0003】
これら及び他の考慮事項に関して、本開示は提供される。
【発明の概要】
【0004】
1つの実施形態において、ハイブリッド電流センサが提供される。ハイブリッド電流センサは、第1の端及び第2の端を有する主導体を含み得、ここで電流フロー方向が前記第1の端及び前記第2の端の間に延在する。前記ハイブリッド電流センサは、前記主導体の中央部分の少なくとも部分的に周囲に配置されている磁気コアを含み得、ここで磁気コアは、前記主導体の第1の表面の上方のコア間隙領域、及び前記コア間隙領域内に配置されているチップアセンブリを画定する。そのため、前記コア間隙領域の第1の部分は、横断方向に沿った、前記電流フロー方向に対して垂直な第1の間隙を含み得、一方で第2の部分において前記コア間隙領域は、前記横断方向に沿った、前記第1の間隙よりも大きな第2の間隙を有する。
【0005】
別の実施形態において、電池システムは、車両内で主電流を出力するための電池を含み得る。前記電池システムは、電流フロー方向に沿った前記主電流を測定するために結合されているハイブリッド電流センサを含み得る。前記ハイブリッド電流センサは、第1の端及び第2の端を有する母線構造;前記母線構造の少なくとも部分的に周囲に配置されている磁気コア、ここで前記磁気コアは、前記母線の第1の表面の上方のコア間隙領域を画定する、を含み得る。前記ハイブリッド電流センサは、前記コア間隙領域内に配置されているチップアセンブリも含み得る。そのため、第1の部分の前記磁気コアは、前記電流フロー方向に対して垂直な、第1の横断平面に沿ったC字形状を画定し得、一方で第2の部分において前記磁気コアは、前記電流フロー方向に対して垂直な、第2の横断平面に沿ったU字形状を画定する。
【0006】
更なる実施形態において、ハイブリッド電流センサは、電流フロー方向に沿った主電流を伝導するように適合されている母線構造を含んで、提供される。前記ハイブリッド電流センサは、前記母線構造の少なくとも部分的に周囲に配置されている磁気コアも含み得、前記磁気コアは前記電流フロー方向に対して垂直に延在する平面内でU字形状構造を有し、ここで前記U字形状構造は、前記母線構造の第1の表面の上方のコア間隙領域を画定する。前記ハイブリッド電流センサは、前記コア間隙領域内に配置されているチップアセンブリも含み得、磁極片はコア間隙領域内の前記第1の部分内に配置されており、磁極片は前記コア間隙領域の第2の部分内に配置されていない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】例示的な実施形態に係る、電池システムの代表図である。
【0008】
図2】センサ配置の1つの実施形態の詳細の図である。
【0009】
図3A】本開示の実施形態に係る、ハイブリッド電流センサの上面斜視図である。
【0010】
図3B図3Aのハイブリッド電流センサの側面図である。
【0011】
図3C図3Aのハイブリッド電流センサの第1の端からの図である。
【0012】
図3D図3Aのハイブリッド電流センサの第2の端からの図である。
【0013】
図3E図3Aのハイブリッド電流センサの上面図である。
【0014】
図4A】本開示の実施形態に係る、チップアセンブリの構成要素に関する主導体電流の関数としての電流磁場の図である。
【0015】
図4B】公知のセンサ配置に関する主導体電流の関数としての電流磁場の図である。
【0016】
図5】本開示の実施形態に係る、別のハイブリッド電流センサの上面斜視図である。
【0017】
図6】本開示の実施形態に係る、更なるハイブリッド電流センサの上面斜視図である。
【0018】
図7】外部磁場内の、本実施形態のハイブリッドセンサに関する側面形状の図である。
【0019】
図8】本実施形態に係る、ハイブリッド電流センサに対する浮遊磁場によって生じる信号偏差の図である。
【0020】
図9A】いくつかの実施形態に係る、C字形状磁気コア部の1つの実施形態の上面斜視図である。
図9B】いくつかの実施形態に係る、C字形状磁気コア部の1つの実施形態の側断面図である。
【0021】
図9C】更なる実施形態に係る、C字形状磁気コア部の別の実施形態の上面斜視図である。
図9D】更なる実施形態に係る、C字形状磁気コア部の別の実施形態の側断面図である。
【0022】
図9E】追加の実施形態に係る、C字形状磁気コア部の更なる実施形態の上面斜視図である。
図9F】追加の実施形態に係る、C字形状磁気コア部の更なる実施形態の側断面図である。
【0023】
図10図9A図9C、及び図9Eの異なるC字コア設計に関する主電流の関数としての、結果として得られる磁場測定値(破線)及び非線形性量の図である。
【0024】
図11A】本開示の更なる実施形態に係る、追加のハイブリッド電流センサの上面斜視図である。
図11B】本開示の更なる実施形態に係る、追加のハイブリッド電流センサの上面斜視図である。
図12A】本開示の更なる実施形態に係る、追加のハイブリッド電流センサの上面斜視図である。
図12B】本開示の更なる実施形態に係る、追加のハイブリッド電流センサの上面斜視図である。
図12C】本開示の更なる実施形態に係る、追加のハイブリッド電流センサの上面斜視図である。
図12D】本開示の更なる実施形態に係る、追加のハイブリッド電流センサの上面斜視図である。
【0025】
図13A】本開示の更なる実施形態に係る、追加の電流センサの上面斜視図である。
図13B】本開示の更なる実施形態に係る、追加の電流センサの上面斜視図である。
【0026】
図14A】更なる実施形態に係る、センサ配置と併せて使用され得る様々なハウジング構成の分解組立図である。
図14B】更なる実施形態に係る、センサ配置と併せて使用され得る様々なハウジング構成の分解組立図である。
図14C】更なる実施形態に係る、センサ配置と併せて使用され得る様々なハウジング構成の分解組立図である。
【0027】
図15】例示的な回路配置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ハイブリッドセンサコア構造に基づく改善された電流センサ、及び当該電流センサに基づく電池システムが本明細書で開示される。改善された電流センサは、ハイブリッド電流センサと本明細書で称され得、当該電流センサが様々なタイプの電流センサからの構造上の要素を新規な様式で組み合わせることを意味する。
【0029】
図1は、本開示の実施形態に係る、電池システム100の代表図である。電池システム100は概して、電池から電流を受け取る構成要素を有する任意のシステムであり得る。例えば、電池システム100は、異なる実施形態に係るEV又はHEVと併せての実装にとって好適であり得る。電池102は、図1中で示されるように、車両内部電気システム108に結合され得、ここで当該車両内部電気システム108は、当該技術分野で公知のように、インバータ、モータ等を含む複数の構成要素を含み得る。電池102は、本開示の様々な非限定的実施形態に係り、個別の電池のアレイを表し得、最大2000Aまでの範囲で電流を発生することが可能であり得る。
【0030】
電池システム100はハイブリッド電流センサ104及びコントローラ106を更に含む。ハイブリッド電流センサ104の様々な変形例が、後続の図に関してより詳細に説明される。簡潔に述べると、ハイブリッド電流センサ104は、改善された電流検知能力を提供する様々な形状を有する少なくとも2つの全体的なコア部又は領域を含む新規な磁気コア構造を有し得る。ハイブリッド電流センサ104は、電池システム100内に伝播する電流を検知するのに適した任意の位置に配置され得る。
【0031】
電池システム100は、下記で詳述されるように、より正確な電流測定を提供するために、ハイブリッド電流センサ104に結合されているコントローラ106、例えば、マイクロコントローラを更に含む。いくつかの例において、ハイブリッド電流センサ104は、複数のセンサ素子、例えば、集積回路チップを含み得、ここで異なるセンサ素子が異なる電流範囲にわたり電流を測定するために好適である。コントローラ106は、より正確な電流検知を提供するために、異なる電流範囲にわたってハイブリッド電流センサ104のセンサ素子を最も良くインテロゲートするための論理又は関連回路を含み得る。
【0032】
図2は、センサ配置110の1つの実施形態の詳細を提示する。この例において、ハイブリッド電流センサ104は、マイクロコントローラとして示されているコントローラ106に結合されている。ハイブリッド電流センサ104は、新規なハイブリッド構造を有する磁気コア部(具体的に図示せず)、並びに低電流集積回路(IC)チップ114及び高電流ICチップ116を含み得る。これらの異なるチップは、ホールセンサ素子又はxMR(極限磁気抵抗)素子を含み得、下記で詳述されるように、様々な電流条件にわたる改善された電流検知能力を提供するために、磁気コア部の異なる領域に配置され得る。コントローラ106は、出力信号を低電流ICチップ114及び高電流ICチップ116から受信し得、受信した信号を処理して、それに応じて電池システムに関する電流情報を抽出し得る。
【0033】
図3A図3Eは、本開示の実施形態に係る、ハイブリッド電流センサ204の様々な図を示す。ハイブリッド電流センサ204は、上記で議論されたハイブリッド電流センサ104の変形例を表し得る。ハイブリッド電流センサ204は、電池システム、例えば、上記で説明された電池システム100内の電流を測定するために結合されている。そのため、ハイブリッド電流センサ204は、電気車両の主電流経路内に配置されている主導体206を含み得、ここで電流フローの方向は、この場合は示されている直交座標系のX軸に平行な、矢印によって示されている。主導体206は、例えば母線、又は類似の導電性素子を表し得、当該素子は、例えば電池に直接的又は間接的に結合されていてよい。
【0034】
図3A中に示されるように、主導体206は、第1の端220及び第2の端222を有し、ここで電流フロー方向は第1の端220及び第2の端222の間に延在し、そうして、電流フローは、上記で述べられたようにX軸に略平行である。ハイブリッド電流センサ204は、主導体206の中央部分224の少なくとも部分的に周囲に配置されている磁気コア208を含む。中央部分224は概して、第1の端220及び第2の端222の間の主導体206の任意の位置であり得、必ずしも第1の端220及び第2の端222の間の中間である位置ではない。
【0035】
磁気コア208は、幾分複雑な形状を有し、その様々な特徴も、図3B図3Eに関して詳述される。簡潔に述べると、特に図3B図3Dを参照して、磁気コア208は、磁気コア208の第1の鉛直表面に沿って電流フロー方向に対して垂直に延在している第1の平面内のC字形状を画定する第1の部分210を含む。換言すれば、図3B中に示されるように、第1の平面P1(YZ平面に平行で、且つX軸に対して垂直)は、磁気コア208の右手鉛直表面上に示されている。P1内の磁気コアの形状は、図3C中の表示によって示されるように、YZ平面に平行なC字形状である。更に、磁気コア208は、磁気コアの第2の鉛直表面に沿って第1の平面に平行に延在している第2の平面内のU字形状を画定する第2の部分212を含む。換言すれば、図3B中に示されるように、第2の平面P2(YZ平面に平行で、且つX軸に対して垂直)は、磁気コア208の左手鉛直表面上に示されている。この第2の平面P2内の磁気コアの形状は、図3D中の表示によって示されるように、YZ平面に平行なU字形状である。
【0036】
図3C図3Eにおいて、第1の部分210のC字形状及び第2の部分212のU字形状から結果として得られるハイブリッド電流センサ204の更なる特徴が示されている。そのため、磁気コア208は主導体206の第1の表面228の上方のコア間隙領域226を形成し、ここでコア間隙領域226は異なる領域内に異なる間隙:横断方向(Y軸)に沿い電流フロー方向(X軸)に対して垂直な第1の間隙G1、及び横断方向に沿った第2の間隙G2を画定し、ここで第2の間隙G2は第1の間隙G1よりも大きい。換言すれば、C字形状領域(第1の部分210)の上側部の「屈曲アーム」は、U字形状領域(第2の部分212)の「直線アーム」によって形成される間隙G2よりも小さい間隙G1を形成する。
【0037】
図3C図3E中で更に示されるように、チップアセンブリ218は、コア間隙領域226内に配置されている。この実施形態において、チップアセンブリ218は、第1の間隙G1内に配置されている低電流チップ214(低電流ICチップ114に類似し得る)を含み、更に第2の間隙G2内に配置されている高電流チップ216(高電流ICチップ116に類似し得る)を備える。図3Eの上面図において、コア間隙領域226は、主導体206の第1の表面228の上方に、磁気コア208の上側表面230に沿ったT字形状を画定する。このT字形状のコア間隙領域は、第2の間隙G2によって形成されている相対的により大きな空間よりも相対的に小さい、第1の間隙G1によって画定される空間内に低電流チップ214を収容し、当該相対的により大きな空間内に高電流チップ216が配置されている。
【0038】
図3B中に更に示されるように、低電流チップ214は、第1の表面228の上方に第1の距離(h1として示される)で配置されており、高電流チップ216は、第1の表面228の上方に第1の距離未満の第2の距離(h2として示される)で配置されている。特に、低電流チップ214は、低電流チップ214を間隙G1によって画定されるコア間隙領域226の狭窄部内に位置付ける、第1の表面228の上方の高さに配置されており、第1の部分210の「屈曲アーム」の間に位置付けられる。そうして、磁気コア208の屈曲アームからの低電流チップ214の分離は、磁気コア208の直線アームからの高電流チップ216の分離よりも小さい。
【0039】
動作中、ハイブリッド電流センサ204は、主導体206を通って伝導される電流を測定し、その電流はEV内の電流を表してよい。特に、前に議論されたように、車両推進のための電流範囲は、最大2000Aまでの範囲であり得、一方で車両オフ通信は、はるかに低い電流、例えば、100A未満の範囲内を伴い得る。
【0040】
実際には、チップアセンブリ218は、磁場を検出するためのセンサ素子を含み、ここで磁場強度は主導体206、例えば母線上の負荷電流に比例する。本開示の様々な実施形態に係り、低電流チップ214及び高電流チップ216は、同じ回路を有し得るが、ハイブリッド電流センサ204の校正中に低電流チップ214のためにセットアップされるゲイン値は、高電流チップ216のためのゲイン値とは異なることに留意されたい。
【0041】
ハイブリッド電流センサ204によって提供される利点は、低電流範囲及び高電流範囲の両方において電流をより良く測定する能力である。より具体的には、C字形状を有する第1の部分210は、電流が低い、例えば±100Aのとき、磁場を集中させるように機能する。低電流チップ214(例えば、ホールセンサベースの集積回路チップ)を間隙G1によって画定されるコア間隙領域226の部分の中に位置付けることによって、電流検知はより正確であり、電流測定ノイズレベルは低くなり、つまり、磁場測定ノイズレベルは低くなる。他方で、間隙G2が相対的により大きいU字形状を有する第2の部分212は、高電流レベル、例えば1500A以上の測定により好適であり、ここで相対的により大きい間隙は、相対的により小さい間隙を使用するとそのような高電流レベルにおいて本来であれば生じるであろう磁気コア飽和を回避し得る。
【0042】
センサ応答を最適化し、より良い外部浮遊磁場抑制を得るため、いくつかの実施形態において、図3E中で示されるように、低電流チップ214及び高電流チップ216は、第1の部分210及び第2の部分212のそれぞれよりも短く、X軸に沿って延在している。そうして、低電流チップ214の長さL1は、第1の部分210の長さL3未満であり、一方で高電流チップ216の長さL2は、第2の部分212の長さL4未満である。
【0043】
有利には、コントローラ106は低電流チップ214及び高電流チップ216の両方をインテロゲートし得るので、最も良い電流測定は、測定されている電流のレベルに従って決定され得る。この点を更に示すために、図4は、本開示の実施形態に係り、チップアセンブリの構成要素に関する主導体電流の関数としての電流磁場を示す。この例において、2つの異なる曲線が示され、ここでIC1曲線は低電流チップ214に関する磁場(磁束密度)曲線を表し、一方でIC2曲線は高電流チップ216に関する磁場曲線を表す。示されるように、磁場は、IC1曲線に関して、主導体電流が高まると、はるかに急激に増加する。そうして、検出された磁場は、実際の主導体電流のより正確な測定値となり、この要因が、相対的により低い電流レベル、例えば、特に最大およそ500アンペアまでの電流レベルを正確に測定するために低電流チップ214を使用することを適切にする。
【0044】
磁場は、IC2曲線に関して、主導体電流が高まると、はるかにゆっくりと増加するが、この特性は、相対的により高い、例えば1000Aを超える電流を測定するのに有用である。換言すれば、高電流値に対して相対的により低いレベルで相対束密度を維持することによって、本来であれば測定誤差をもたらすであろう飽和が回避され得る。この点を更に示すために、図4Bは、公知のセンサ配置に関する主導体電流の関数としての電流磁場を示す。この場合、曲線は、コア全体が公知の設計のようにC字形状を有するC字形状のみの構造を使用する磁気コア設計に関する束密度を表す。示されるように、電流の増加の関数としての磁束における強い非線形性が、C字形状を有する磁気コアの飽和に起因して、1200Aを超える電流レベルで発生する。
【0045】
換言すれば、ハイブリッド電流センサのU字形状部が高電流測定のために使用され得るので、C字形状設計によって高電流レベルで呈される固有の非線形性が回避され得る。そうして、高電流レベルでの電流測定がU字形状部を使用して実行されるので、ハイブリッド電流センサのC字形状部のための様々な設計が本実施形態において使用され得る。この点を示すために、図9A図9Fは、本開示の実施形態に係り、第1の部分210に好適であり得るC字形状設計の更なる例を提供する。これらの例において、C字形状部の材料は、高い透磁率、例えば2000を超える範囲の、例えば2500を超える比透磁率を有する、シリコン鋼であると仮定され得る。しかしながら他の非限定的実施形態は、好適な透磁率、例えば1000~数千以上の範囲の透磁率を有する他の材料を使用し得る。
【0046】
図9A及び図9Bは、いくつかの実施形態に係る、C字形状磁気コア部の1つの実施形態の上面斜視図及び側断面図を示す。図9C及び図9Dは、更なる実施形態に係る、C字形状磁気コア部の別の実施形態の上面斜視図及び側断面図を示す。図9E及び図9Fは、追加の実施形態に係る、C字形状磁気コア部の更なる実施形態の上面斜視図及び側断面図を示す。これらの非限定的実施形態の各々において、間隙のサイズ及び当該間隙のコア部の互いに対向する面の高さ及び長さは、ミリメートル単位で示されている。
【0047】
図10は、図9A図9C、及び図9Eの異なるC字コア設計に関する主電流の関数としての、結果として得られる磁場測定値(破線)及び非線形性量(実線)の図を示す。図9Eの設計において、非線形性は、およそ1100Aの主電流レベルに達するまで現れず、一方で図9Aの設計において、非線形性は、およそ550Aの主電流レベルで現れる。他方で、低電流値での磁場は、図9Aの設計において主電流と共により急激に増加する。そうして、図9A図9Fの全設計が、ハイブリッド電流センサの第1の部分210としての使用に好適であり得、ここで第2の部分212は、およそ500Aの値を超える主電流を測定するために設計され得る。換言すれば、図9A図9Fの設計は、ハイブリッド電流センサの第1の部分210としての使用に好適であり得、ここで第1の部分210は、500アンペアを下回るレベルでの、いくつかの場合、100アンペア以下の電流を測定するために設計されている。
【0048】
図3A図3Eの実施形態において、主導体206は、より強い磁場を発生させるために互いにより近接して磁気コア208の互いに対向するアームを位置付けるために、磁気コア208を収容するノッチ設計を有する母線を有することに留意されたい。他の実施形態において、主導体206内のノッチ部は、例えばICチップが相対的により高い磁場を必要としない用途において、省略され得る。
【0049】
図5は、本開示の実施形態に係る、別のハイブリッド電流センサ304の上面斜視図を示す。この実施形態において、ハイブリッド電流センサ304は、より簡単な設計のために、ノッチが付けられていない主導体306を含み得る。ハイブリッド電流センサ304は、C字形状である第1の部分310及びU字形状である第2の部分312を含む、上記で説明された磁気コア208と同じ全体構造を有する磁気コア308を含む。ハイブリッド電流センサ304において、磁気コア308のこれらの異なる部分の機能は、磁気コア208の第1の部分210及び第2の部分212のそれぞれに対し説明された機能と類似である。主導体306の母線構造におけるノッチの不在は、Y軸に沿って相対的により幅広の磁気コア308をもたらす。この相対的により幅広の寸法は、磁気コア308の第2の部分312内に、磁気コア208の第2の間隙G2と比較して、相対的により幅広の第2の間隙G3をもたらす。そうして、高電流チップ216に対する磁束密度は、相対的により低くなり、この状況は、高電流チップ216が相対的により低い磁場の存在下での測定に適合している用途に十分であり得る。
【0050】
本開示の他の実施形態において、磁気コアは、磁極片を設けられて、第1の部分内に有効なより小さい第1の間隙を生成し得る。
【0051】
図6は、本開示の追加の実施形態に係る、ハイブリッド電流センサ404として示される、更なるハイブリッド電流センサの上面斜視図を示す。この実施形態において、ハイブリッド電流センサ404は、主導体206の場合のようにノッチ付き母線構造である主導体406を含み得る。ハイブリッド電流センサ404は、略U字形状を有する磁気コア408の主部416を有する、磁気コア408を含む。U字形状主部である主部416内の間隙領域426において、磁極片418は、図6の視点において、X軸に沿って、磁気コア408の正面に向かって位置付けられている。この領域内に磁極片418を位置付けることは、磁気コア408の第1の部分410及び磁気コア408の第2の部分412を有効に生成する。磁極片が存在しない第2の部分412は、磁気コア208の第2の部分212に類似であり得、類似の間隙G2を画定する。磁極片がU字形状アームの間に位置付けられていることにより、第1の部分410は、有効により小さい間隙を有し得、従って磁場を集中させて、低電流チップ214の付近により高い磁束密度を生成する。このようにして磁気コア408は、磁気コア208のように、且つ図4A中に全体的に示されるように、低電流チップ214及び高電流チップ216に関して類似の磁気応答特徴をもたらし得る。
【0052】
まとめると、磁気コアのためのハイブリッド構造を提供することによって、本実施形態は、著しく改善された検知分解能で小さい電流範囲を測定すること及び高電流範囲に対する低減された出力誤差に特に好適な、追加の電流検知チャネルを提供する。本実施形態によって提供される利点の更なる実証は、図7及び図8に関して示される。特に、図7は、外部磁場内の、本実施形態のハイブリッドセンサに関する側面形状を示し、図8は本実施形態に係るハイブリッド電流センサに対して浮遊磁場によって生じる信号偏差を示す。
【0053】
図8中に示されるように、2mTの外部浮遊磁場が想定され得る。図8において、X軸はアンペア単位で電流をプロットし、一方でY軸はパーセント単位で相対信号強度をプロットする。ゼロ電流において、低電流チップ(IC1)及び高電流チップ(IC2)の両方の信号強度が、相対的により高い。電流を高めると、相対信号強度はちょうど0.03%~0.04%程度、両方のチップに関して低下する。そうして、両方のチップに関する浮遊磁場抑制は非常に優れている。
【0054】
本開示の追加の実施形態において、複数のセンサチップ(チップ)が、磁気コアのコア間隙領域の所与の部分内に位置付けられ得る。図11A図12Dは、本開示の更なる実施形態に係る、追加のハイブリッド電流センサの上面斜視図を示す。図11A及び図11Bの実施形態において、2つのチップが、それぞれの磁気コアの第1の部分の位置で、磁気コア間隙領域内に配置されており、ここで間隙はより小さい。図12A図12Dの実施形態において、合計3つのチップがコア間隙領域内に分布しており、ここで少なくとも1つのチップが磁気コアの第1の部分及び第2の部分内に分布している。
【0055】
ここで特に図11Aを参照すると、本開示のいくつかの実施形態に係るハイブリッド電流センサ504が示されている。この例において、ハイブリッド電流センサ504の全体構造はハイブリッド電流センサ304の構造に類似し得、同様の部材は同じ符号が当てられている。違いは、低電流チップ214及び高電流チップ216の両方がハイブリッド電流センサ504内の間隙G1内に配置されているチップアセンブリ518が提供されていることである。1つの非限定的な例において、低電流チップ214は、低電流範囲、例えば、+/-100Aを処理するよう構成され得、一方で高電流チップ216は、高電流範囲、例えば、+/-1500Aを処理するよう構成される。異なる実施形態において、低電流チップ214及び高電流チップ216の両方が、+/-1500Aの電流範囲を処理するよう構成され得る。
【0056】
ここで特に図11Bを参照すると、本開示のいくつかの実施形態に係るハイブリッド電流センサ554が示されている。この例において、ハイブリッド電流センサ554の全体構造はハイブリッド電流センサ204の構造に類似し得、同様の部材は同じ符号が当てられている。違いは、低電流チップ214及び高電流チップ216の両方がハイブリッド電流センサ504内の間隙G1内に配置されているチップアセンブリ518が提供されていることである。1つの非限定的な例において、低電流チップ214は、低電流範囲、例えば、+/-100Aを処理するよう構成され得、一方で高電流チップ216は、高電流範囲、例えば、+/-1500Aを処理するよう構成される。異なる実施形態において、低電流チップ214及び高電流チップ216の両方が、+/-1500Aの電流範囲を処理するよう構成され得る。
【0057】
ここで特に図12Aを参照すると、本開示のいくつかの実施形態に係るハイブリッド電流センサ604が示されている。この例において、ハイブリッド電流センサ604の全体構造はハイブリッド電流センサ304の構造に類似し得、同様の部材は同じ符号が当てられている。違いは、この実施形態においては低電流チップ214及び高電流チップ216の両方がハイブリッド電流センサ604内の間隙G1内に配置されているチップアセンブリ618が提供されていることである。別の違いは、この実施形態におけるチップアセンブリ618が、第2の部分312の間隙G2内に配置されている第3のチップ217を含むことである。いくつかの非限定的実施形態に係り、低電流チップ214は、例えば+/-100Aの範囲の低電流測定を処理し得、一方で間隙G1内に配置されている高電流チップ216、及び追加の高電流チップとみなされ得る間隙G2内の第3のチップ217の両方が、冗長信号における機能的安全性の目的で、例えば+/-1500Aの高電流測定範囲を処理し得る。
【0058】
ここで特に図12Bを参照すると、本開示のいくつかの実施形態に係るハイブリッド電流センサ624が示されている。この例において、ハイブリッド電流センサ624の全体構造はハイブリッド電流センサ604の構造に類似し得、同様の部材は同じ符号が当てられている。違いは、高電流チップ216及び第3のチップ217の両方が第2の部分312の間隙G2内に配置されているチップアセンブリ628が提供されていることである。いくつかの非限定的実施形態に係り、低電流チップ214は、例えば+/-100Aの範囲の低電流測定を処理し得、一方で間隙G1内に配置されている高電流チップ216、及び間隙G2内の第3のチップ217の両方が、冗長信号における機能的安全性の目的で、例えば+/-1500Aの高電流測定範囲を処理し得る。
【0059】
ここで特に図12Cを参照すると、本開示のいくつかの実施形態に係るハイブリッド電流センサ644が示されている。この例において、ハイブリッド電流センサ644の全体構造はハイブリッド電流センサ204の構造に類似し得、同様の部材は同じ符号が当てられている。違いは、低電流チップ214及び高電流チップ216の両方がハイブリッド電流センサ644内の間隙G1内に配置されているチップアセンブリ618が提供されていることである。別の違いは、チップアセンブリ618は第2の部分212の間隙G2内に配置されている第3のチップ217を含むことである。いくつかの非限定的実施形態に係り、低電流チップ214は、例えば+/-100Aの範囲の低電流測定を処理し得、一方で間隙G1内に配置されている高電流チップ216、及び間隙G2内の第3のチップ217の両方は、冗長信号における機能的安全性の目的で、例えば+/-1500Aの高電流測定範囲を処理し得る。
【0060】
ここで特に図12Dを参照すると、本開示のいくつかの実施形態に係るハイブリッド電流センサ664が示されている。この例において、ハイブリッド電流センサ664の全体構造はハイブリッド電流センサ644の構造に類似し得、同様の部材は同じ符号が当てられている。違いは、高電流チップ216及び第3のチップ217の両方が第2の部分312の間隙G2内に配置されているチップアセンブリ628が提供されていることである。いくつかの非限定的実施形態に係り、低電流チップ214は、例えば+/-100Aの範囲の低電流測定を処理し得、一方で間隙G1内に配置されている高電流チップ216、及び間隙G2内の第3のチップ217の両方は、冗長信号における機能的安全性の目的で、例えば+/-1500Aの高電流測定範囲を処理し得る。
【0061】
本開示の追加の実施形態において、複数のセンサチップ(チップ)は、単一のC字形状部から作製された磁気コアのコア間隙領域の所与の部分内に位置付けられ得る。下記の実施形態において、3つの別個のセンサチップがC字形状コアによって形成される間隙内に設けられている。
【0062】
図13A図13Bは、本開示の更なる実施形態に係る、追加の電流センサの上面斜視図を示す。図13A及び図13Bの実施形態において、3つのチップは、C字形状磁気コアの間隙内に形成された磁気コア間隙領域内に配置されている。図13Aを参照すると、C字形状磁気コア及び母線706を含むセンサ配置700が示されており、当該母線は、示されるように間隙領域内に単一のノッチを有し得る。この実施形態及び下記の他の実施形態において、C字形状コアは、母線706を意味する主導体の中央部分の少なくとも部分的に周囲に配置され、ここで磁気コアは外側表面の少なくとも周囲にあるC字形状によって特徴づけられる。
【0063】
コア間隙領域内に配置されているチップアセンブリ702は、低電流チップ214、高電流チップ216、及び更に高電流チップであり得る第3のチップ217を含む。高電流チップ216及び第3のチップ217は、図示されるように、互いと同一平面上にあるように配置され得、一方で低電流チップ214は高電流チップ216及び第3のチップ217の平面の下方に配置され得る。例えば、これらのチップ全ては、低電流チップ214が例えば+/-100Aの範囲の低電流高精度測定のために配置され、一方で高電流チップ216及び第3のチップ217が例えば+/-1500Aの高電流範囲における検出のために配置され、冗長信号を発生させることによって機能的安全性を提供する、ホールICチップとして機能し得る。図13A中で更に示されるように、チップアセンブリ702の各チップ214、216、217は、プリント回路基板アセンブリ(PCBA)708に、ピンアセンブリ214A、216A、及び217Aのそれぞれのセットを介して結合し得る。この例において母線706は、示されるようにノッチ領域を有し、ここでチップアセンブリ702はノッチ領域に隣接して配置されている。チップアセンブリはPCBアセンブリ708のPCBに、ピンアセンブリ214A、216A、及び217Aのセットであるピンアセンブリのセットを介して機械的に固着されていることに留意されたい。この実施形態及び他の実施形態において、PCBアセンブリ708は鉛直に配置されており、ここでPCBアセンブリ708の長手方向は主導体、つまり母線706の長手方向に対して垂直に延在している。
【0064】
図13Bを参照すると、リアカバー714を含むハウジング712内に配置される場合の、センサ配置700の構成要素を含むアセンブリ710の部分的分解組立図が示されている。鉛直PCBAレイアウトは、小さいセンササイズを用いてPCBAエリアを増やすために有用であり得ることに留意されたい。この実施形態及び下記の他の実施形態において、ハウジング712は、PCBアセンブリ708及び磁気コアの少なくとも部分的に周囲に配置されている。この実施形態において示されるように、ハウジングは、磁気コアの一部分に隣接して配置されているC字形状、及びPCBアセンブリ708に隣接して配置されているリアカバー714を有する外側表面を有し得る。
【0065】
図14A図14Cを参照すると、図13Aのセンサ配置700と類似するセンサ配置と併せて使用され得る様々なハウジング構成の分解組立図が示されている。図14Aは、ハウジング724の上方にコネクタ722を有する、コア704を囲うために幾分C字形状を有して設けられた当該ハウジング、及びPCBA708を覆いハウジング724に結合するためのリアカバー726を含む配置720を図示している。
【0066】
図14Bを参照すると、磁気コアの連続的な部分に隣接して配置されているフロントカバー736、及びPCBアセンブリ708に隣接して配置されているリアカバー726の両方によって密閉されるハウジング734を含む、配置730が示されている。
【0067】
図14Cを参照すると、ハウジング744、リアカバー726、及び示されるように磁気コアの側面に隣接して配置され母線706の長手方向に対して垂直に延在しているサイドカバー748を含む、配置740が示されている。
【0068】
ここで図15を参照すると、例示的な回路配置800が示されている。例示的な回路配置800は、前に議論されたセンサ実施形態、例えば図12A図13Bの実施形態のうちのいくつかに対する全体回路配置を図示している。電池管理システム(BMS)806及び電源は、低電流チップ214(ASIL QMとして分類され得る)、高電流チップ216及び第3のチップ217(ASIL B/C定格であり得る)に結合されている。これらの3つのチップは、コントローラ802へそれぞれのアナログ/デジタル(A/D)インターフェースを介して伝導される出力を提供する。コントローラ802は、コントローラエリアネットワーク(CAN)送受信器に結合されており、当該コントローラエリアネットワーク(CAN)送受信器は更にBMS806に接続されている。
【0069】
本明細書で使用される場合、単数形で記載され、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という単語で始まる要素又は段階は、そのような除外が明示的に記載されていない限り、複数の要素又は段階を除外しないものとして理解されるべきである。更に、本開示の「1つの実施形態」への言及は、記載された特徴を同様に組み込む追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図するものではない。
【0070】
本開示は、特定の実施形態に言及している一方で、添付の特許請求の範囲で定義されるような本開示の領域及び範囲から逸脱することなく、説明された実施形態に対する多くの修正、改変、及び変更を行うことが可能である。従って、本開示は、説明された実施形態に限定されるものではなく、本開示は下記の特許請求の範囲の文言及びその均等物により定義される完全な範囲を有することが意図されている。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A-13B】
図14A
図14B
図14C
図15
【国際調査報告】