(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】可動ライン保持デバイス、エネルギーチェーンなどを支持するシステム
(51)【国際特許分類】
H02G 11/00 20060101AFI20240903BHJP
F16G 13/16 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H02G11/00
F16G13/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506824
(86)(22)【出願日】2022-08-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2022072265
(87)【国際公開番号】W WO2023012373
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】202021104228.1
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク バルテン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヘルマイ
(72)【発明者】
【氏名】チロアレクサンダー ジャイケル
【テーマコード(参考)】
5G371
【Fターム(参考)】
5G371AA05
5G371BA01
5G371CA02
(57)【要約】
本発明は、可動ライン保持デバイス(2)、より具体的にはエネルギーチェーンの上側ラン(1)を支持するシステム(100)を記載し、動作時に、上側ランは下側ラン(4)の上方を走行する。システム(100)は、上側ラン(1)を支持するための支持要素(7)を備える少なくとも1つの支持装置(6)を備える。支持要素(7)は、支持要素が下方からの上側ランの支持部として作用できる支持位置と、支持要素が支持部として作用できない退避位置との間で移行される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライン受容装置(2)、特にエネルギーガイドチェーン(3)の上側ラン(1)を支持するシステム(100)であって、
前記ライン受容装置(2)は、例えばケーブル、ホースなどのような、少なくとも1本のラインを、固定点における第1の接続点と、それに対して可動な移動端における第2の接続点との間でガイドするために使用され、前記ライン受容装置(2)は上側ラン(1)及び前記第1の接続点に接続可能な下側ラン(4)を有し、前記上側ラン(1)は前記第2の接続点に接続可能であり、前記上側ラン(1)及び前記下側ラン(4)は変位可能な偏向アーク(5)を介して相互に接続され、前記ライン受容装置(2)は移動経路に沿って変位可能であり、変位に際して前記上側ラン(1)は前記下側ラン(4)の上方を走行し、
前記システムは前記上側ラン(1)を下方から支持するための支持要素(7)を備える少なくとも1つの支持デバイス(6)を有し、前記支持要素(7)は摺動面を有する支持体及び/又は走行面(9)を有する支持ローラー(8)を有し、前記支持要素(7)は、該支持要素(7)が前記上側ラン(1)の下方からの支持部として作用することができる支持位置(P1)と、前記支持要素(7)が前記上側ラン(1)の下方からの支持部として作用することができない格納位置(P2)との間で変位可能であり、
前記支持デバイス(6)は、前記支持要素(7)を前記支持位置(P1)から前記格納位置(P2)に及び/又はその逆に変位させるための少なくとも1つの制御可能なアクチュエータ(11)並びに前記アクチュエータ(11)を前記支持要素(7)に結合する結合装置(29)を有する能動変位デバイス(10)を備え、前記システムは前記ライン受容装置(2)と非接触で相互作用する少なくとも1つのセンサデバイス(13、14)を有し、前記システムは非接触で作用する前記少なくとも1つのセンサデバイス(13、14)からのセンサ信号に応じて前記アクチュエータ(11)を制御するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記センサデバイス(13、14)は、例えば光学近接スイッチ、光スキャナ、容量型近接スイッチ、リード切換接点、ホール効果センサなどのような、少なくとも1つの近接スイッチを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記センサ信号に応じて前記アクチュエータ(11)を制御するための少なくとも1つの制御ユニット(16)を備え、
各アクチュエータ(11)は、特に、それ自体の制御ユニット(16)に関連付けられている、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムは、特に上位のプラント又はマシンコントローラからのセンサ信号及び/又は制御信号から独立して、自己完結となるように又は自己完結的に動作するように構成され、前記制御ユニット(16)はセンサ信号を受信するように構成され、センサデバイス(13、14)に接続可能であり又は接続されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも2つのセンサデバイス(13、14)を備え、
前記制御ユニット(16)はいずれも、前記支持要素(7)の変位方向(V)が位置する少なくとも略鉛直な平面(37)の異なる側に配置された2つのセンサデバイス(13、14)と相互作用する、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
少なくとも1つのセンサデバイス(13、14)に加えて、特に同一に構成された、他のセンサデバイス(13、14)が、前記支持要素(7)の変位方向(V)が位置する少なくとも略鉛直な平面(37)の同じ側に配置され、前記ライン受容装置(2)の前記移動経路によって相互から空間的に分離された当該2つのセンサデバイス(13、14)が、相互に対向して位置する、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
制御ユニット(16)と、2つのセンサデバイス(13、14)と、アクチュエータ(11)を有する支持デバイス(6)とを備えるアセンブリ(17)が設けられ、前記制御ユニット(16)が、前記2つのセンサデバイス(13、14)からの信号に応じて排他的に前記アクチュエータ(11)を制御するように構成された、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記アクチュエータ(11)は、電動ドライブ、特に回転モータ(33)、好ましくはステッピングモータを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記支持デバイス(6)は、前記摺動面及び/又は前記走行面(9)に対して、特に前記上側ラン(1)によって上方から鉛直下向きに付与される力を吸収するための耐荷重構造物(12)を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記支持デバイス(6)、特に前記耐荷重構造物(12)は、鉛直固定ガイド壁(38)及び該ガイド壁(38)とともにU字形状水平断面(47)を形成する2つの支持壁(40)を有し、前記アクチュエータ(11)は、当該U字形状水平断面(47)の内部に配置され、特に「側部から外部に」アクセス可能である、請求項1から9のいずれか一項、特に請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記支持デバイス(6)は枢動軸受(25)によって旋回可能に取り付けられた少なくとも1本の旋回アーム(18)を備え、該旋回アームに前記支持要素(7)が配置され、前記旋回アーム(18)は旋回動作の作動のための前記アクチュエータに動作可能に接続され、前記旋回アーム(18)は、特に前記枢動軸受(25)によって、前記耐荷重構造物に旋回可能に取り付けられる、請求項1から10のいずれか一項、特に請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
前記枢動軸受(25)はボール軸受(26)からなる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記能動変位デバイス(10)は、前記アクチュエータに加えて、該アクチュエータによってもたらされる移動の方向とは逆に作用するバネ要素(19)を備え、該バネ要素は、好ましくは、前記支持デバイス(6)のバネ軸受(23)と、前記旋回アーム(18)又は該旋回アーム(18)に強固に接続された他の旋回アーム(24)との間で作用する巻きバネ(20)を備える、請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ライン受容装置(2)の前記移動経路内に移動可能なスイッチ体(22)の形態の切換デバイスを備える受動変位デバイス(21)がさらに設けられ、前記スイッチ体(22)は、前記支持要素(7)を前記支持位置(P1)から前記格納位置(P2)に変位させるように前記偏向アークと機械的に相互作用可能となるように構成されている、請求項1から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記スイッチ体(22)はいずれも、特に前記能動変位デバイス(10)の故障の場合に、前記スイッチ体(22)を前記ライン受容装置(2)の前記移動経路外に移動させるために、前記偏向アーク(5)と相互作用可能な2つの対向する乗り上げ面、特に乗り上げ斜面(32)を有し、前記スイッチ体(22)は、前記支持要素(7)がその支持位置(P1)から前記格納位置(P2)に移動可能となるように前記支持要素(7)に結合され、前記スイッチ体(22)は重力の効果の下で及び/又はバネ力によって前記ライン受容装置(2)の前記移動経路内に移動可能である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
厳密には2つの対向する支持デバイス(6)を有する少なくとも1つの支持ユニット(30)を備える請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
少なくとも2つの支持ユニット(30)が設けられ、前記システムは、2つの対向する側部ガイド部品(28)を備え、該2つの対向する側部ガイド部品(28)の間に前記ラン(1、4)の少なくとも一方が受容可能であり、前記2つの対向する側部ガイド部品(28)が一方の支持ユニット(30)から他方の支持ユニット(30)に延在する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載のシステム(100)、及び、ライン受容装置(2)を有する構成(200)であって、
前記ライン受容装置(2)は、2本の平行なプレート列によって、例えばケーブル又はホースのようなラインをガイドするためのエネルギーガイドチェーン(3)を備え、各プレート列は、相互に接続されて柔軟なジョイントコネクタによって相互に対して屈曲可能なサイドプレートを備え、又は前記ライン受容装置(2)は、リンク若しくは領域が柔軟なバンドを介して相互に接続されるバンドチェーンを備える、構成(200)。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか一項に記載のシステム(100)又は請求項18に記載の構成(200)の使用であって、
前記支持要素(7)は、該支持要素(7)が前記上側ラン(1)の下方からの支持部として作用することができる支持位置(P1)と、前記偏向アーク(5)がこの目的のために機械的に接触されずに前記支持要素(7)が前記上側ラン(1)の下方からの支持部として作用することができない格納位置(P2)との間で変位される、使用。
【請求項20】
センサデバイス(14)が前記支持要素(7)の前記第1の接続点とは逆を向く側に配置され、他のセンサデバイス(13)が前記支持要素(7)の前記第1の接続点を向く側に配置され、
2つの前記センサデバイス(13、14)からの信号がいずれも、関連する前記センサデバイス(13、14)が前記下側ラン(4)の存否のいずれを示すかについて評価され、
前記2つのセンサデバイス(13、14)の一方が前記下側ラン(4)の存在を示しかつ前記2つのセンサデバイス(13、14)の他方が前記下側ラン(4)の不在を示す場合に、前記支持要素(7)はその支持位置(P1)からその格納位置(P2)に変位され、
両センサデバイス(13、14)とも前記下側ラン(4)の存在又は不在を示す場合に、前記支持要素(7)はその格納位置(P2)からその支持位置(P1)に変位される、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記システム(100)又は前記構成(200)は、特に上位のプラント又はマシンコントローラからのセンサ信号及び/又は制御信号から独立して自己完結的に変位を実行する、請求項19又は20に記載の使用。
【請求項22】
例えばケーブル、ホースなどのような、少なくとも1本のラインを、固定点における第1の接続点と、それに対して可動な移動端における第2の接続点との間でガイドするためのライン受容装置(2)の、特にエネルギーガイドチェーン(3)の、上側ラン(1)を支持するための、例えば請求項1から17のいずれか一項に記載のシステム(100)又は請求項18に記載の構成のための、バネ支持デバイス(45)であって、
前記ライン受容装置(2)は前記上側ラン(1)及び前記第1の接続点に接続可能な下側ラン(4)を有し、前記上側ラン(1)は前記第2の接続点に接続可能であり、前記上側ラン(1)及び前記下側ラン(4)は変位可能な偏向アーク(5)を介して相互に接続され、前記ライン受容装置(2)は移動経路に沿って変位可能であり、変位に際して前記上側ラン(1)は前記下側ラン(4)の上方を走行し、前記バネ支持デバイス(45)は、前記上側ラン(1)を下方から支持するための支持要素(7)及び前記支持要素(7)が配置された少なくとも1本の旋回アーム(18)を備え、前記支持要素(7)は摺動面を有する支持体及び/又は走行面(9)を有する支持ローラー(8)を有し、前記支持要素(7)は、該支持要素(7)が前記上側ラン(1)の下方からの支持部として作用することができる支持位置(P1)と、前記支持要素(7)が前記上側ラン(1)の下方からの支持部として作用することができない格納位置(P2)との間で変位可能であり、前記バネ支持デバイス(45)は、バネ力によって前記ライン受容装置(2)の前記移動経路内に移動可能なスイッチ体(22)の形態で切換デバイスを備える受動変位デバイス(21)を有し、
前記バネ力は、前記バネ支持デバイス(45)のバネ軸受(23)と、前記旋回アーム(18)又は該旋回アーム(18)に強固に接続された他の旋回アーム(24)との間で作用する巻きバネ(20)の形態のバネ要素(19)によって与えられる、バネ支持デバイス(45)。
【請求項23】
前記バネ要素(19)は、前記バネ支持デバイス(45)のバネ軸受(23)と、前記旋回アーム(18)に強固に接続された他の旋回アーム(24)との間で作用し、
前記他の旋回アーム(24)は、レバー突起を備えて前記バネ要素(19)に対する梃効果を生成し、前記旋回アーム(18)及び前記他の旋回アーム(24)はともにアングルレバーを構成する、請求項22に記載のバネ支持デバイス(45)。
【請求項24】
前記バネ要素(19)は、前記バネ軸受(23)内に引掛けられる、請求項22又は23に記載のバネ支持デバイス(45)。
【請求項25】
2本の旋回アーム(18)及び2つのバネ要素(19)を有する請求項22から24のいずれか一項に記載のバネ支持デバイス(45)。
【請求項26】
前記バネ要素(19)は、側部から外部にアクセス可能な、前記バネ支持デバイス(45)の開口部内に配置される、請求項22から25のいずれか一項に記載のバネ支持デバイス(45)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略として動的ラインガイド装置、特にエネルギーガイドチェーンの分野に関する。本発明は、特に可動ライン受容装置、特にエネルギーガイドチェーンの上側ランを支持するシステムに関する。
【0002】
対象となるタイプのライン受容装置、特にエネルギーガイドチェーンは、通常は、例えば、ケーブル、ホースなどのような少なくとも1本のラインを、固定点における第1の接続点とそれに対して可動な移動端における第2の接続点との間で動的にガイドするのに使用される。ライン受容装置は通常、上側ラン及び第1の接続点に接続可能な下側ランを有し、上側ランは通常は第2の接続点に接続可能である。上側ラン及び下側ランは、通常は変位可能な偏向アークを介して相互に接続され、ライン受容装置は移動経路に沿って変位可能である。変位に際して、上側ランは、通常は下側ランの上方を走行する。システムは、上側ランを下方から支持するための支持要素を備える少なくとも1つの支持デバイスを有する。支持要素は、摺動面を有する支持体及び/又は走行面を有する支持ローラーを有する。支持要素は、支持要素が下方からの上側ランの支持部として作用できる支持位置と、支持要素が下方からの上側ランの支持部としては作用できない格納位置との間で変位可能である。
【0003】
本発明は、請求項18に記載の構成及び請求項19に記載のシステム又は構成の使用にも関する。
【0004】
最後に、更なる独立した態様において、本発明は、請求項22に記載のバネ支持デバイスにも関する。
【背景技術】
【0005】
このようなシステムは、既に周知である。これらのシステムの1つの課題は、ライン受容装置が前後に移動する場合に、下方からの上側ランの支持部が可能な限り偏向アークの通路と干渉しないように設計されるべきであることである。
【0006】
対象となるタイプの1つの周知のシステムは、例えば、特許文献1に開示される。特に簡素なシステムを構成するとともにライン受容装置の自己支持範囲を増大させるため、開示されるデバイスは1本の長脚部及び1本の短脚部を有するL字形状支持部を有し、その1本の長脚部及び1本の短脚部は、その2本の脚部間の移行領域においてライン受容装置の長手方向を横断する軸周りに旋回可能に配置される。長脚部の自由端において、各短脚部に向く側には、ライン受容装置の上側ランを支持するための走行面を有するローラーが取り付けられ、長脚部に向く側には、上側ランの側方案内のためのフランジ部品が取り付けられる。支持部は、L字形状支持部の相互間でのライン受容装置の移動を阻害しない外向きに傾斜した位置から、相互に対して向く短脚部に対抗する下側ランによって上向きとされ、ローラーが上側ランを支持及びガイドするように動作可能な位置となる。
【0007】
特許文献2も同様に、対象となるタイプのシステムを開示する。特許文献2は、バネ支持デバイスも開示する。この文献では、傾斜した接触面を有するスイッチ体が、ローラーが偏向アークの内部又は外部領域と当接すると、復帰変位がバネ力及び荷重力によって与えられつつ、ローラーがライン受容装置の移動経路及びその偏向アークから変位して外れることを確実にする。このシステム及びこのバネ支持デバイスは、特に摩耗環境において非常に有効であることが分かっている。例えば、ランが相互に対して摺動することを防止することによって、ランの間にチップが溜まらないことが確実となる。このシステム及びこのバネ支持デバイスの欠点は、それらは特定の環境及び用途には望まれるほどには適さないことである。
【0008】
特許文献3は、エネルギーガイドチェーンをガイドする他のシステムを記載する。特許文献3は、静止ランがその自己支持長に沿ってチェーン把持器によって支持されるシステムを記載する。チェーン把持器は、エネルギーガイドチェーン自体によって制御又は作動される。チェーン把持器の支持位置と格納位置の間の切換は、特に、エネルギーガイドチェーンに接触することによって機械的に作動される押しボタン及び/又はスイッチによって制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4129277号明細書
【特許文献2】欧州特許第2419981号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第2362463号明細書
【発明の概要】
【0010】
本発明の第1の課題は、上記欠点のうちの少なくとも1つに関して改善されたシステム、システム及びライン受容装置を有する構成並びにシステム若しくは構成の使用のための解決手段又はより広範な用途を提案することである。
【0011】
この課題は、請求項1に記載されるシステム、請求項18に記載される構成及び請求項19に記載される使用によって達成される。
【0012】
請求項1の前段部に記載のシステムにおいて、課題は、本発明によると、単に少なくとも1つの又は厳密には1つの制御可能なアクチュエータを有する能動変位デバイスを備える支持デバイスによって達成される。変位デバイス、特にアクチュエータは、支持要素を、2方向の少なくとも一方において支持位置から格納位置に及び/又はその逆に変位させるのに使用される。さらに、特に、アクチュエータを支持要素に、特に機械的に結合する結合装置が、作動又は変位の目的ために設けられる。さらに、本発明に係るシステムは、特に、特に偏向アーク及び/又は下側ランの存否を識別するためにライン受容装置と非接触で相互作用する少なくとも1つのセンサデバイスを有し得る。システムは、さらに、少なくとも1つの非接触作動センサデバイスからのセンサ信号に応じてアクチュエータを制御するように構成可能であり、その目的のために種々の実用的な実装物が考えられる。
【0013】
結果として、システムはまた、とりわけ、特に清浄な環境において、特にクリーンルームにおいて、又はシステムによって引き起こされる摩耗を回避することが特に重要な用途において利用可能である。支持要素の能動的作動又は変位と非接触センサシステムとの組合せは、特に有利である。これは、各支持デバイスにおいてライン受容装置又はエネルギーガイドチェーンとの物理的接触によって支持要素が調整される必要がないことを確実とする。したがって、上記の従来技術により公知の種々の解決手段とは対照的に、調整及び/又は作動時の摩擦に起因するいずれの摩耗も回避される。
【0014】
システムは、好ましくは、相互に対して摺動する表面を有さない。
【0015】
機能中の能動変位デバイスによって意図するように動作させる場合、システムは、好ましくは、ライン受容装置又は特に偏向アークが、相互に対して摺動する面によって支持要素の変位をもたらすことを防止する。さらに、本発明に係るシステムは、ライン受容装置を意図的に非常に速く、例えば、5m/s、10m/s又は15m/sよりも速く移動させる用途での使用に特に適することが分かった。
【0016】
用語「変位させる」は、ここでは、特にある位置から他の位置への移動を意味し、移動の種類は重要ではない。変位は、例えば、旋回若しくは回転動作、並進動作又は実際には並進-回転を組み合わせた動作の形態をとり得る。したがって、「変位可能」という特性は、この場合では、特に、一般に移動可能、調整可能又は位置決め可能なことを意味するものと解釈される。
【0017】
原則として、支持デバイスが複数の支持要素を備えることが考えられる。ただし、好ましくは、支持デバイスは、厳密には1つの支持要素を備える。
【0018】
摺動面及び/又は走行面は、好ましくは上向きであり、特に上方から自由にアクセス可能である。
【0019】
ライン受容装置は、特に、ライン、ホースなどを動的にガイドするための意図的に移動可能な装置である。
【0020】
ライン受容装置は、特に、ただし必ずしもではなく、ライン、ホースなどを受容するための、隣接リンクが関節状に相互接続されたエネルギーガイドチェーンであり得る。ライン受容装置は、例えば、リンクが柔軟なバンドで相互接続されたバンドチェーン、又はラインを受容するための、少なくとも1つの平面において屈曲可能な他の装置であってもよい。他の非リンク型の、例えば、国際公開第2016/042134号に係る設計のライン受容装置も考えられる。
【0021】
この場合における用語「格納位置」は、特に、偏向アークが支持要素を通過できる支持要素の位置を意味する。格納位置では、支持要素は、好ましくは、ライン受容装置及びその偏向アークの移動経路に突出しない。
【0022】
支持要素は、好ましくは、上側ランを永久的にではなく断続的にのみ支持する。
【0023】
ライン受容装置は、好ましくは、静止した1本のラン及び可動な1本のランを有し、下側ランが好ましくは静止側のランであり、上側ランが好ましくは可動側のランである。
【0024】
支持要素は、好ましくは、摩擦を軽減するための支持ローラーを備え又はその支持ローラーであり、支持ローラーは、好ましくは水平回転軸周りに回転可能である。
【0025】
支持要素が摺動面を有する支持体を有する場合、その摺動面は水平に延在する平坦化部分を有し、又はそれによって形成され得る。ライン受容装置が摺動面上を摺動する際に摺動面上に引っ掛かるのを防止するために、摺動面に対して水平軸周りに屈曲され得る乗り上げ斜面が摺動面に配置されてもよい。
【0026】
各支持要素は、好ましくは、それ自体のアクチュエータに関連付けられる。
【0027】
一実施形態では、アクチュエータは、例えば、移動端の位置に関する情報に基づいて、システムよりも上位のプラント又はマシンコントローラ、例えば、PLC(「プログラマブルロジックコントローラ」)を用いて制御可能である。プラント又はマシンコントローラは、ここでは、例えば、移動端の移動を制御することによって間接的に可動ライン受容装置の移動を制御し、したがって、内在的に瞬時空間位置又はその現在位置に関する情報を有するコントローラを示す。これは、システムがそれ自体の制御ユニット及び/又はそれ自体のセンサなしに動作することができるように条件の1つを設定する。
【0028】
一方で、好適な実施形態では、システム自体が、少なくとも1つのセンサデバイスからのセンサ信号に応じてアクチュエータを制御するための少なくとも1つの制御ユニットを備える。これは、システムが、好適には、自己完結型となり、すなわち、上位のマシンコントローラからのセンサ信号及び/又は制御信号に依存しないように条件の1つを設定する。
【0029】
システムが厳密には1つの制御ユニットを有することが考えられる。
【0030】
システムが上位の共通の制御ユニットを有することも考えられる。
【0031】
制御ユニットは、例えば、バスを介して共通の制御ユニットにシグナリングするために接続された複数のアクチュエータと相互作用可能である。
【0032】
一方で、各支持ユニットは、好ましくは、それ自体の制御ユニットに関連付けられる。したがって、厳密には1つの制御ユニットが、好ましくは厳密には1つの支持ユニットと相互作用する。各アクチュエータは、特に好ましくは、それ自体の制御ユニットに関連付けられる。したがって、厳密には1つの制御ユニットが、好ましくは厳密には1つのアクチュエータと相互作用する。
【0033】
アクチュエータは、好ましくは、制御信号を受信するための入力部を有し、この入力部は制御ユニットに接続可能であり、又は接続されている。
【0034】
好ましくは、システムは、好ましくは動作時に可動ライン受容装置の瞬時位置を検出するための少なくとも1つのセンサデバイスを有する。システムが少なくとも1つのセンサデバイスを有する場合、これは、システムが、好適には、自己完結型となり、すなわち、上位のマシンコントローラからのセンサ信号及び/又は制御信号に依存しないように条件の1つを設定する。したがって、システムは、好ましくは自律設計のものであってもよく、これは既存のアプリケーションにおける後付けを容易化する。
【0035】
センサデバイスは、好ましくは、偏向アーク及び/又は下側ランの位置を確立するのに使用される。システムは、少なくとも2以上のセンサデバイスを備え得る。
【0036】
好ましくは、制御ユニットは、好ましくは少なくとも1つのセンサ又は複数のセンサから受信した信号を評価するように構成された評価ユニットを備える。
【0037】
システムは、好ましくは、自律的であり、又は自己完結型であり若しくは特に上位のプラント若しくはマシンコントローラからのセンサ信号及び/若しくは制御信号から独立して自己完結的に動作されるように構成される。システムの構成要素、例えば、アクチュエータの各データ又は信号入力は、好ましくは、システムの構成要素、例えば、システムの制御ユニットに接続されており、又は接続可能である。
【0038】
制御ユニット又はその評価ユニットは、好ましくは、少なくとも1つのセンサデバイスのうちの少なくとも1つに動作可能に接続された少なくとも1つの入力部を有する。用語「動作可能に接続され」は、特に、送電線、例えば、信号ラインを用いる接続及び/又は無線による接続を意味する。
【0039】
制御ユニットは、好ましくは、少なくとも1つの制御可能なアクチュエータのうちの少なくとも1つに動作可能に接続された少なくとも1つの出力部を有する。
【0040】
複数のセンサの場合、特に、中央又は共通の制御ユニットを有する実施形態では、センサの各々は、バス、例えば、フィールドバスを介して、好ましくは、例えば、ASIバス又はCANバスなどの直線状(シリアル)トポロジー、特に2線技術を用いて、評価ユニット又は1以上の介在バスインターフェースモジュール、バスカプラなどとの通信のために配線され得る。例えば、Interbus又はProfibusなどのIEC61158標準に従う他のバスタイプも、検討され得る。特にシリアル2線技術の場合、配線引回しの労力が、限りなく少なく維持され得る。センサには、好ましくはバスを介してエネルギーが電気的に供給される。それを介してセンサが評価ユニットと通信するWiFiなどの無線インターフェースも考えられる。無線の変形例は、システムの現場設置を特に簡素化することができる。センサは、ライン受容装置の片側に、又は代替的には両側に沿って、例えば、対で又は交互に分散され得る。
【0041】
特に、各アクチュエータがそれ自体の制御ユニットに関連付けられる実施形態では、制御ユニットは、好ましくはいずれも2つのセンサデバイスと相互作用する。これは、簡素であるが高い信頼性のシステムのための条件の1つを設定可能とし、バスが省略可能となる。これにより、設置、特に既存のアプリケーションにおける後付けが容易となる。
【0042】
制御ユニットは、好ましくはいずれも、少なくとも略鉛直平面の異なる側に配置された厳密には2つのセンサデバイスと相互作用する。この鉛直平面は、好ましくは、制御ユニットに関連付けられたアクチュエータによって変位される支持要素の変位方向が当該平面内に位置するように配置される。本文書の背景において、文言「支持要素の変位方向」は、特に、その支持位置とその格納位置の間におけるこの要素の移動の方向を意味する。支持要素が支持ローラーを備える実施形態では、この鉛直平面は、好ましくは、制御ユニットに関連付けられたアクチュエータによって変位される支持要素の支持ローラーの回転軸が当該平面内に位置するように配置される。
【0043】
支持要素からのセンサデバイスの距離は、好ましくは、ライン受容装置の移動速度に応じて選択される。支持要素からのセンサデバイスの距離は、非常に速く移動することが意図されないライン受容装置を有するアプリケーションよりも、非常に速く、例えば、5m/s、10m/s又は15m/sよりも速く移動することが意図されるライン受容装置を有するアプリケーションにおいて、長くなるように選択される。
【0044】
支持要素からのセンサデバイスの距離は、好ましくは、2つの隣接する支持ユニット間の距離の半分未満である。
【0045】
制御ユニットはいずれも、各支持要素に対して、少なくとも2つのセンサデバイス、特に厳密には2つのセンサデバイスと相互作用可能である。制御ユニットはいずれも、支持要素の第1の接続点とは逆を向く側に配置された厳密には1つのセンサデバイスと相互作用し、かつ支持要素の第1の接続点を向く側に配置された厳密には1つのセンサデバイスと相互作用することができる。
【0046】
センサデバイスは、好ましくはセンサを備え、そのセンサは検出範囲を有する。センサは、好ましくは、その検出範囲内で特に下側ランのライン受容装置の存否を検出する。センサデバイスは、好ましくは、単一のセンサ又は検出器などを備える。検出器に加えて、センサデバイスは、放射器及び/又は反射器を備え得る。あるいは、それは、厳密には1つのセンサから構成されていてもよい。センサデバイスは、ライン受容装置の長手方向における移動経路に関するライン受容装置の少なくとも1つの部分の位置を検出するように構成され得る。センサデバイスが移動経路に沿って検出ゾーンを形成することも考えられる。少なくとも1つのセンサデバイスは、例えば、偏向アークの位置を検出し、又はその検出についてのデータ及び/若しくは信号を提供することができる。あるいは、センサデバイスは、ライン受容装置の可動端の位置を検出することができる。センサデバイスは、特に、ライン受容装置の可動端の移動方向の変化を検出することができる。
【0047】
当該又は各センサデバイスは、好ましくは、非接触で、特に結果としてライン受容装置との物理的接触なく作用する。センサデバイスは、例えば、近接スイッチを備え、又は近接スイッチによって構成され得る。センサデバイスは、光学近接スイッチ、好ましくは光スキャナ、すなわち、放射器及び検出器が1ユニットに統合され、好ましくは検出対象物に対する反射器が不要となる光学センサを備え得る。放射器から独立した検出器を有する透過型光電センサ又は追加の反射器を有する回帰反射型光電センサも、光学近接スイッチとして検討され得る。これらの1つの考えられる代替例は、ライン受容装置と非接触で相互作用可能な容量型近接スイッチである。例えば、誘導型近接スイッチ、リード切換接点又はホール効果センサなどのような他の非接触近接スイッチも、本発明の範囲内である。
【0048】
一実施形態では、センサデバイスは、直接又は間接的物理接点によって作用し得る。そのデバイスは、例えば、ここでは、ライン受容装置の荷重力を検出するための圧力センサを備える。センサデバイスは、好ましくは、排他的に下側ランと相互作用する。
【0049】
制御ユニット及び2つのセンサデバイス並びに支持要素及びアクチュエータを有する支持デバイスを備えるアセンブリが設けられ、制御ユニットが排他的に2つのセンサデバイスからの信号に応じてアクチュエータを制御するように構成される場合、これは、特に簡素なモジュール式システムが様々な長さのライン受容装置に適合するための条件の1つを設定し、故障の場合にアセンブリを交換することによって単純に修理可能となる。さらに、これは、ここでも、システムが好適には自己完結型となり、すなわち、上位のマシンコントローラからのセンサ信号及び/又は制御信号に依存しないようにするための条件の1つを設定する。アセンブリのセンサデバイスは、好ましくは、少なくとも略鉛直平面に対して相互に対向して配置される。鉛直平面は、好ましくは、アセンブリの支持要素の変位方向及び/又はアセンブリの支持要素の支持ローラーの回転軸がそこに位置するように配置される。
【0050】
アクチュエータは、好ましくは移動をもたらし、より好ましくは電動回転モータを備える。電動回転モータは、ステッピングモータ又はサーボモータからなり得る。あるいは、アクチュエータは、電子ソレノイド又は電動リニアモータを備え得る。空圧式昇降ドライブなども考えられる。
【0051】
支持デバイスは、好ましくは、摺動面及び/又は走行面に対して、特に上側ランによって上方から鉛直下方に付与される力を吸収するための耐荷重構造物を有する。これらの力は、好ましくは上側ランの荷重力である。
【0052】
支持デバイス、特に、耐荷重構造物は、ライン受容装置を側方にガイドして側壁の形態をとり得るガイド壁を有し得る。ガイド壁は、ライン受容装置の移動方向に平行に延在し得る。ガイド壁は、好ましくは、鉛直に固定される構成のものである。少なくとも支持要素の支持位置では、関連する支持ローラーの回転軸は、好ましくはガイド壁に対して垂直に延在する。少なくとも支持要素の格納位置では、関連する支持ローラーの回転軸は、好ましくはガイド壁に対して斜めに延在する。
【0053】
ガイド壁は、ライン受容装置の特に上側ランの側方案内のために上側ラン及び/又は下側ランの側方領域に対抗するためのガイド面を有し得る。ガイド面は、側面の形態をとり得る。ガイド壁は、プレート状構成のものであり得る。ガイド壁は、支持要素のための開口部を含み得る。
【0054】
ガイド壁に対して屈曲した2つの好ましくはプレート状の支持壁が、ガイド壁に配置され得る。支持壁は、開口部の側に配置され、ライン受容装置の移動方向に横断して延在し得る。ガイド壁は、支持壁間に延在し得る。ガイド壁は、傾斜又は湾曲領域を介して支持壁に合体し得る。
【0055】
ガイド壁は支持壁とともに略U字形状水平断面を形成し、制御ユニット及び/又はアクチュエータはこのU字形状断面内に配置され得る。U字形状断面としての構成によって支持デバイスの安定性を高めることができ、アクチュエータ及び/又は制御ユニットをこの断面の内部に配置することによって、即座のアクセスを与えつつも、それ/それらを外的影響から効果的に保護することができる。
【0056】
支持デバイスは、好ましくは、枢動軸受によって旋回可能に取り付けられた少なくとも1本の旋回アームを備える。支持要素は、さらに好ましくは、旋回アームに配置される。支持要素は、例えば、ホルダによって直接又は間接的に旋回アームに配置され得る。ホルダは、プレート状領域を有し得る。
【0057】
旋回アームは、耐荷重構造物の一部であってもよく、すなわち、摺動面及び/又は走行面に対して、特に上側ランによって上方から鉛直下方に付与される力を吸収し得る。
【0058】
旋回アームは、支持要素の下部に取り付けられてもよい。旋回アームは、結合装置の一部であり、又は結合装置を構成し得る。枢動軸受は、支持壁に配置され得る。
【0059】
各支持デバイスは、好ましくは2本の旋回アームを有し、支持要素は2本の旋回アームに対して、好ましくは2本の旋回アームの間に配置される。
【0060】
枢動軸受が転動軸受からなる場合、システムによって引き起こされる摩耗を回避することが特に重要な特に清浄な周囲環境に対するシステムの適性がさらに高まり得る。転動軸受は、ボール軸受の形態をとり得る。
【0061】
支持位置にある場合、支持要素及び/又はそれによって支持要素が旋回アームに配置されるホルダは、支持デバイスのガイド壁の開口部を通じて延在し得る。
【0062】
開口部の縦枠部(jamb)は、支持要素、ホルダ及び/又は少なくとも1本の旋回アームのためのリミットストップを与えることができ、それは支持要素の支持位置を規定する。リミットストップは、少なくとも1本の旋回アームの旋回角を制限可能である。
【0063】
能動変位デバイスは、好ましくは、アクチュエータによってもたらされる移動の方向とは逆に作用するバネ要素を備える。
【0064】
このように、エネルギーを厳密には1つの直線方向又は厳密には1つの回転方向に変換するアクチュエータは、特に確実に利用可能となる。アクチュエータの制御が、さらに簡素化可能となる。
【0065】
バネ要素は、好ましくは引張りバネからなり、又は引張りバネによって構成される。
【0066】
バネ要素は、好ましくは巻きバネからなり、又は巻きバネによって構成される。
【0067】
支持デバイスのバネ要素を、例えば、欧州特許第2419981号にあるような壁に沿って摺動的に支持される棒曲げバネではなく、引張りバネ又は巻きバネとして構成することは、特に、摩耗を回避又は防止する効果を有する。
【0068】
バネ要素は、好ましくは、支持デバイスのバネ軸受と、旋回アーム又は旋回アームに強固に接続された他の旋回アームとの間で作用する。旋回アーム及び他の旋回アームは、ともにアングルレバーを構成し得る。バネ軸受は、支持デバイスの支持壁、ガイド壁又は底部に配置され得る。他の旋回アームは、好ましくは、レバー突起を設けてバネ要素のための梃効果を生成する。バネ軸受は、突起を備え、又はそれによって構成され得る。バネ軸受は、例えば、耐荷重構造物における孔を備え、又はそれによって構成され得る。バネ要素は、バネ軸受内に引掛けられ得る。バネ力を伝達するためのバネ接触面は、好ましくは、バネ軸受及び旋回アーム又は他の旋回アーム上に設けられる。バネ接触面は、好ましくは、静摩擦面及び/又は転動摩擦面の形態をとる。摩耗は、摺動摩擦ではなく静摩擦及び/又は転動摩擦によって低減され、好ましくはバネ接触面上に発生し得る。支持デバイスは、好ましくは2本の旋回アームを有する。支持デバイスが2本の旋回アームを備える実施形態では、それは2つのバネ要素又は1つのみのバネ要素を有し得る。能動変位デバイスに加えて受動変位デバイスが設けられる場合には、特定のシステム信頼性が達成され得る。支持デバイスは、好ましくは受動変位デバイスを備える。受動変位デバイスは、能動変位デバイスの構成要素を活用することができる。受動変位デバイスは、好ましくは、例えば、センサ故障に起因して、能動変位デバイスの少なくとも部分的な故障の場合にも、支持位置と格納位置の間の支持要素の移動を確保する。
【0069】
好ましくは、受動変位デバイスは、好ましくはライン受容装置の移動経路内に移動可能なスイッチ体の形態の切換デバイスを備える。スイッチ体は、特に能動変位デバイスの故障の場合に、スイッチ体をライン受容装置の移動経路外に移動させるために、乗り上げ面、特に乗り上げ斜面を有し、好ましくは、偏向アークの内側及び外側領域との接触によって偏向アークと好ましくは相互作用可能な2つの対向する面を有し得る。スイッチ体は、好ましくは、スイッチ体がライン受容装置の移動経路外に移動される時に支持要素がその支持位置から格納位置に変位されるように支持要素に結合される。好適な実施形態では、スイッチ体は、重力の効果の下で及び/又はバネ力によってライン受容装置の移動経路内に移動可能であり、好ましくは、支持要素がその格納位置から支持位置へと変位されるように支持要素に結合される。支持要素は、好ましくは切換デバイスに配置される。これにより、スイッチと支持要素の間の結合を形成する設計が簡素となる。スイッチ体は、ある程度が支持ローラー周縁の周囲に配置されたハウジングの形態をとり得る。ハウジングは、ローラーの前面の領域において開口し、この前面を越えて突出し得る。
【0070】
スイッチ体は、好ましくは旋回軸周りに旋回可能に、好ましくは対象となるガイド壁の内側面の外側に、かつより好ましくは支持要素と同じ単数の旋回アーム又は複数の旋回アームに取り付けられる。
【0071】
スイッチ体の重心は、特に支持要素がその格納位置にある場合にスイッチ体が占有する位置において、好ましくは、スイッチ体がライン受容装置によって接触されていない場合にスイッチ体が自重下で及び/又は任意選択的なバネ力の補助によって旋回軸に対してライン受容装置の移動経路内に枢動されるように位置する。
【0072】
バネ力は、好ましくは、巻きバネの形態をとり得る引張りバネからなり得るバネ要素によって付与される。
【0073】
バネ力は、アクチュエータによって生成される移動の方向及び/又は支持要素の変位の方向に対して逆に作用する同じバネ要素によって付与され得る。
【0074】
原則としてシステムが1つのみの支持デバイスを備えることが考えられる。システムは、好ましくは複数の支持デバイスを備える。
【0075】
システムは、好ましくは少なくとも1つの支持ユニットを備える。支持ユニットは、好ましくは厳密には2つの対向する支持デバイスを備える。支持ユニットの支持デバイスは、好ましくは、格納位置から支持位置への変位の際に、その支持要素が相互に向かって移動するように相互に対向して配置される。好ましくは、支持ユニットの支持デバイスは、好ましくは底部横材によって相互に接続される。支持ユニットは、好ましくは鉛直断面においてU字形状である。支持ユニットは、2本のランの側方領域に対抗するための内側面を有する側壁の形態の、2つの対向する鉛直固定ガイド壁を有し得る。旋回アームは、対象となるガイド壁の内側面の外側に旋回可能に取り付けられ得る。支持位置では、支持要素は、好ましくは、側面に対向する支持ユニットの内部に突出する。格納位置では、支持要素は、好ましくは、対象となるガイド壁の内側面を大きく越えては突出しない。底部横材は、その上側に、ライン受容装置の下側ランに対する対抗面を有し得る。
【0076】
原則として、システムが厳密には1つのみの支持ユニットを備えることが考えられる。好ましくは少なくとも2つの支持ユニットが設けられる。支持ユニットは、好ましくは、システムの長手方向において相互に対して離隔される。システムの長手方向は、好ましくは、ライン受容装置の長手方向に対応する。
【0077】
好適な実施形態では、システムは、好ましくはライン受容装置の下側ランが載置され得る領域において、2つの対向する側部ガイド部品を備え、それらの間にランの少なくとも一方が受容され得る。2つの対向する側部ガイド部品は、好ましくは一方の支持ユニットから他方の支持ユニットまで延在する。2つの対向する側部ガイド部品は、好ましくは、少なくとも2つの支持ユニットを相互に接続する。
【0078】
側部ガイド部品は、好ましくはいずれも、L字形状に配置された脚部を備える。一方の脚部は、側壁の内側に沿って延在し得る。他方の脚部は、側壁に対して垂直に支持ユニットの内部へと延在し、ライン受容装置の下側ランに対する側方ガイド又は対抗面を形成し得る。
【0079】
2つの対向する側部ガイド部品は、ともに「ガイドチャネル」として指定され得る。2つの対向する側部ガイド部品を相互に、例えば、一体に接続する底部領域が設けられてもよい。
【0080】
システムが少なくとも1つのセンサデバイスを備える実施形態では、センサデバイスは、好ましくは少なくとも一方の側部ガイド部品に配置される。これにより、別個のセンサ位置決め手段を省略することが可能となり、制御ユニット及びアクチュエータに支持要素を移動させる充分な時間を与えるために、センサデバイスと関連する制御ユニット又は関連する支持要素との間の距離が特に簡単に確立可能となる。
【0081】
側部ガイド部品の長手範囲は、好ましくはシステムの長手方向に延在する。
【0082】
各支持ユニットは、好ましくは2つの支持要素を備える。各支持ユニットは、好ましくは2つのアクチュエータを備え、その各々は、より好ましくは厳密には1つの制御ユニットに関連付けられる。厳密には2つのセンサデバイスが支持ユニットのこれら2つの制御ユニットの各々に動作可能に接続可能であり、これら2つのセンサデバイスは厳密には1つの制御ユニット又はこれら2つの制御ユニットの各々に動作可能に接続可能である。あるいは、対として相互に対向して配置され得る4個のセンサデバイスが、これら2つの制御ユニットの各々に動作可能に接続されることも考えられる。対向するセンサデバイスからの信号は同一となるべきであるので、それらは妥当性確認のために又はセンサデバイス故障の場合の冗長手段として、制御ユニットによって使用可能である。さらに、支持ユニットの2つのアクチュエータを共通の制御ユニットに関連付けることが考えられる。例えば、厳密には2個の又は厳密には4個のセンサデバイスが、この共通の制御ユニットに動作可能に接続され得る。
【0083】
請求項18に記載の本発明に係る構成は、請求項1から17のいずれか一項に記載のシステム及びライン受容装置を備える。
【0084】
その構成のライン受容装置は、好ましくは、例えば、ケーブル又はホースなどのラインをガイドするためのエネルギーガイドチェーンを備える。エネルギーガイドチェーンは、好ましくは2本の平行なプレート列を有し、好ましくは、各プレート列は、特に好ましくは相互に接続されて柔軟なジョイントコネクタによって相互に対して相対的に屈曲可能なサイドプレートを備える。あるいは、ライン受容装置は、リンク又は領域が柔軟なバンドによって相互に接続されるバンドチェーンを備える。
【0085】
エネルギーガイドチェーン又はバンドチェーンは、好ましくはクリーンルーム用途に対して、好ましくは本文書の出願日において有効なバージョンの好ましくはDIN EN ISO14644-1 ISOに対して、非常に特に好ましくはISOクラス1~ISOクラス5に対して認定される。柔軟なジョイントコネクタは、好ましくはサイドプレートの曲げ方向において弾性変形可能である。
【0086】
その構成は、清浄な周囲環境、例えば、クリーンルームでの使用に特に適する。その構成は、特に静穏性を要する周囲環境での使用、又はライン受容装置の変位に関連して低いレベルの摩擦損失しか許容可能でない場合にも特に適する。
【0087】
その構成のシステムの支持要素が支持ローラーの形態をとる実施形態では、構成は、好ましくは相互に対して摺動する面を有さない。
【0088】
ライン受容装置は、好ましくは、5m/s、10m/s又は15m/sよりも高い速度で移動する。
【0089】
本発明は、請求項19に記載のシステム又は構成の使用にも関する。
【0090】
この使用では、一方のセンサデバイスは、好ましくは、支持要素の第1の接続点とは逆を向く側に配置され、他方のセンサデバイスは支持要素の第1の接続点に向く側に配置される。
【0091】
2つのセンサデバイスからの信号の各々は、好ましくは、関連するセンサデバイスが下側ランの存否のいずれを示すかについて評価される。
【0092】
好ましくは、2つのセンサデバイスの一方が下側ランの存在を示し、かつ2つのセンサデバイスの他方が下側ランの不在を示し、したがって2つのセンサデバイスからの信号が不一致である場合、支持要素はその支持位置からその格納位置に変位される。
【0093】
好ましくは、両センサデバイスが下側ランの在又は不在を示し、したがって2つのセンサデバイスからの信号が一致する場合、支持要素はその格納位置からその支持位置に変位される。使用は単一信号の比較に基づき得るので、実施に際して特に簡素かつ高い信頼性となり得る。
【0094】
支持要素は、関連するアクチュエータを駆動することによって、その支持位置からその格納位置に及び/又はその逆に移動可能となる。支持要素は、バネ力によって、その支持位置からその格納位置又はその逆に移動可能となる。
【0095】
支持要素をその支持位置からその格納位置に移動させるために、関連するアクチュエータは、好ましくは、電気的なエネルギーが供給されることによって制御ユニットによって駆動可能である。あるいは、この目的のために、関連するアクチュエータが、関連するアクチュエータへの、好ましくは電気的なエネルギーの供給が中断されることによって制御ユニットによって駆動され、それにより、アクチュエータが荷重力及び/又はバネ力によって支持要素をその支持位置からその格納位置に変位させることが考えられる。
【0096】
支持要素をその格納位置からその支持位置に移動させるために、アクチュエータが荷重力及び/又はバネ力によって支持要素をその格納位置からその支持位置に変位させるように、関連するアクチュエータが、関連するアクチュエータへの電気的なエネルギーの供給が中断されることによって制御ユニットによって駆動されてもよい。あるいは、この目的のために、関連するアクチュエータが制御ユニットによって、好ましくは電気的なエネルギーが供給されることによって駆動されることも考えられる。
【0097】
本発明の有利な効果は、ライン受容装置がクリーンルームの認定を受けたものであり、又は5m/s、10m/s若しくは15m/sよりも高い速度で変位される場合に、特に顕著となる。
【0098】
その構成は、好ましくは自己完結的に、すなわち、上位のマシンコントローラからのセンサ信号及び/又は制御信号から独立して動作させられる。
【0099】
本発明の第2の課題は、上記欠点のうちの少なくとも1つに関して改善されたバネ支持デバイスのための解決手段又はより広範な用途を提案することである。
【0100】
この課題は、請求項22に記載されるバネ支持デバイスによって達成される。本発明に係るバネ支持デバイスは、ライン受容装置、特にエネルギーガイドチェーンの上側ランを支持するのに使用される。バネ支持デバイスは、上側ランを下方から支持するための支持要素及びその支持要素が間接的又は直接に配置される少なくとも1本の旋回アームを備える。支持要素は、支持要素が上側ランのための下方からの支持部として作用できる支持位置と、支持要素が上側ランのための下方からの支持部としては作用できない格納位置との間で変位可能である。バネ支持デバイスは、バネ力によってライン受容装置の移動経路内へ移動可能なスイッチ体の形態の切換デバイスを備える受動変位デバイスを有する。バネ力は巻きバネの形態のバネ要素によって付与され、それはバネ支持デバイスのバネ軸受と、旋回アーム又は当該旋回アームに強固に接続された他の旋回アームとの間で作用する。他の旋回アームは、好ましくはレバー突起を設けてバネ要素のための梃効果を生成する。バネ軸受は、バネ支持デバイスの支持壁、ガイド壁又は底部に配置され得る。バネ軸受は、突起を備え、又はそれによって構成され得る。バネ軸受は、例えば、耐荷重構造物における孔を備え、又はそれによって構成され得る。バネ要素は、バネ軸受内に引掛けられ得る。バネ力を伝達するためのバネ接触面は、好ましくは、バネ軸受及び旋回アーム又は他の旋回アームに設けられる。バネ接触面は、好ましくは、静摩擦面及び/又は転動摩擦面の形態をとる。摩耗は、摺動摩擦ではなく静摩擦及び/又は転動摩擦によって低減され、好ましくはバネ接触面に発生し得る。
【0101】
バネ支持デバイスは、上述した支持デバイスと同じ態様で設計され得る。バネ支持デバイスは、能動変位デバイスとともに設けられてもよいし、能動変位デバイスなしで設けられてもよい。旋回アーム及び他の旋回アームは、ともにアングルレバーを構成し得る。
【0102】
バネ支持デバイスのバネ要素を、例えば、欧州特許第2419981号にあるような壁に沿って摺動的する棒曲げバネではなく巻きバネとして構成することは、特に、摩耗を回避又は防止する効果を有する。
【0103】
バネ支持デバイスは、好ましくは一時的にライン受容装置の上側ランを支持するために使用される。
【0104】
バネ支持デバイスが使用されて支持する上側ランを有するライン受容装置は、例えば、ケーブル、ホースなどのような少なくとも1本のラインを、好ましくは固定点における第1の接続点と、それに対して可動な移動端における第2の接続点との間でガイドするのに適する。ライン受容装置は、上側ラン、及び第1の接続点に接続可能な下側ランを有し得る。上側ランは、第2の接続点に接続可能であってもよい。上側ラン及び下側ランは、変位可能な偏向アークを介して相互に接続され得る。ライン受容装置は、移動経路に沿って変位可能である。変位に際して、上側ランは、下側ランの上方を走行し得る。支持要素は、摺動面を有する支持体及び/又は走行面を有する支持ローラーを有する。
【0105】
バネ支持デバイスは、特に上側ランによって摺動面及び/又は走行面に対して上方から鉛直下方に付与される力を吸収するための耐荷重構造物を有し得る。
【0106】
バネ要素は、欠陥があった場合の簡素な交換性の目的のために、バネ支持デバイス又は耐荷重構造物の、側部から外部にアクセス可能な開口部内に配置され得る。
【0107】
バネ支持デバイスの耐荷重構造物は、ガイド壁及びこのガイド壁とともに水平断面においてU字形状を形成する支持壁を備え得る。バネ要素は、このU字形状断面内に配置され得る。
【0108】
バネ支持デバイスは、好ましくは、2本の旋回アームを有する。バネ支持デバイスが2本の旋回アームを備える実施形態では、それは2つのバネ要素又は1つのみのバネ要素を有し得る。
【0109】
切換デバイスのスイッチ体はいずれも、ライン受容装置の移動経路外にスイッチ体を移動させるために偏向アークと相互作用可能な2つの対向する乗り上げ面、特に乗り上げ斜面を有し得る。切換デバイスのスイッチ体は、支持要素がその支持位置から格納位置に移動可能となるようにバネ支持デバイスの支持要素に結合され得る。
【0110】
スイッチ体は、好ましくは、スイッチ体がライン受容装置の移動経路外に移動された場合、上側ランの側方領域に対抗するための鉛直摺動面を有する。スイッチ体がライン受容装置の移動経路外に移動された場合、鉛直摺動面は、好ましくは、少なくとも略鉛直に配置される。スイッチ体は、好ましくは、鉛直摺動面に配置された摺動ブラケットを有する。摺動ブラケットは、一方の乗り上げ斜面から対向する乗り上げ斜面に延在し得る。それは、支持ローラーの下側周縁の周囲に延在し得る。
【0111】
バネ支持デバイスでは、支持要素は、好ましくは、支持要素を格納位置から支持位置に枢動させる切換デバイス上に構成される。これにより、スイッチ要素と支持要素の間の結合を形成する設計が簡素となる。
【0112】
2つの対向するバネ支持デバイスは、例えば、底部横材によって接続されてバネ支持ユニットを構成し得る。
【0113】
全ての態様の特徴、すなわち、特に、システム、構成、使用及びバネ支持デバイスの特徴が、本発明の目的ために最初に開示されて独立して特許請求されるが、明らかであるように、相互に組み合わせられてもよい。したがって、システムの特徴は、適用可能である限り、バネ支持デバイスにも有利であり、その逆も然りである。さらに上述したそれぞれの例示的実施形態又はそれぞれの態様及び実施形態の全ての特徴は、いずれも単独で、又は相互に組み合わせて、さらに他の態様、例示的実施形態又は実施形態の特徴と組み合わせて、本発明の特徴として相互に独立して一般的に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【
図1】3個の可能な変位位置におけるエネルギーガイドチェーンの形態のライン受容装置を有するシステム100及び構成200の側面図を示す。
【
図2】
図1において右側から第2のものとして図示する支持ユニットの長手方向における図を示し、支持要素は、
図1の左右に図示するライン受容装置の変位位置に対応する支持位置にある。
【
図3】
図1における切断線D-Dに沿う断面図を示し、
図1において中心に図示されるライン受容装置の変位位置に対応する。
【
図4】
図1の左側に図示するライン受容装置の変位位置について
図1と同様の図を示す。
【
図5】
図1の中央に図示するライン受容装置の変位位置について
図1と同様の図を示す。
【
図6】
図1の右側に図示するライン受容装置の変位位置について
図1と同様の図を示す。
【
図7】
図4における切断線A-Aに沿う断面図を示す。
【
図8】
図5における切断線B-Bに沿う断面図を示す。
【
図9】
図6における切断線C-Cに沿う断面図を示す。
【
図15】システム100及び構成200の使用のフローチャートを示す。
【
図16】
図4における詳細部Eに示すバネ支持デバイスを、独立して特許請求される更なる態様の例示的実施形態として、より拡大した図示において示す。
【発明を実施するための形態】
【0115】
本発明の更なる詳細、有利な効果及び特徴は、上記説明の一般的性質を限定することなく、説明の以降の部分から推測され得るものであり、少なくとも1つの例示的実施形態が、添付図面を参照して、より詳細に説明される。
【0116】
図面に示す本発明に係るシステムの例示的実施形態を全体的に100として指定する。
【0117】
システム100は、例えば、ケーブル、ホースなどのような少なくとも1本のラインを、固定点における第1の接続点と、それに対して可動な移動端における第2の接続点との間でガイドするためのライン受容装置2の上側ラン1を支持するのに使用される。ライン受容装置2は、上側ラン1及び第1の接続点に接続可能な下側ラン4を有し、上側ラン1は第2の接続点に接続可能である。上側ラン1及び下側ラン4は、例えば、
図1において明らかなように、変位可能な偏向アーク5を介して相互に接続される。本図は、ライン受容装置2が移動経路に沿って変位可能であり、変位に際して、上側ラン1が下側ラン4の上方を走行することも示す。上側ラン1及び下側ラン4は、実質的に水平に移動する。
【0118】
図示する例示的実施形態では、システム100は、複数の、例えば、4個の支持デバイス6を有する。各支持デバイス6は上側ラン1を下方から一時的に支持するための支持要素7を備え、その支持要素は、下方からの上側ラン1の支持部として作用できる支持位置P1と、下方からの上側ラン1の支持部としては作用できない格納位置P2との間で変位可能である。
【0119】
例えば、
図7及び8の比較が示すように、格納位置P2では、支持要素7はライン受容装置2の移動経路及びその偏向アーク内に突出しない。偏向アーク5は、支持要素7が格納位置P2にある場合、支持要素7に接触することなく支持要素7を通過することができる。
【0120】
2つの支持デバイス6は、いずれも対とされ、具体的には格納位置P2から支持位置P1への変位の際に、それらの支持要素7が相互に向かって移動するように相互に対向して配置される(
図3及び
図2参照)。一対の2つの支持デバイス6は、いずれも底部横材31によって相互に接続されて支持ユニット30を構成する。システム100の長手方向Lにおいて相互から離隔された2つの対応する支持ユニット30が、
図1の右側に示されている。
【0121】
図12において最も容易に分かるように、図示する例示的実施形態では、支持要素7は、回転軸36周りに回転可能な支持ローラー8を有し、走行面9を有する。走行面9は、上方を向き、上方から自由にアクセス可能である。
【0122】
例えば、
図10及び12は、支持デバイス6が、支持要素7を支持位置P1から格納位置P2に変位させるために、この場合には厳密には1つの制御可能なアクチュエータ11を備える能動変位デバイス10を有することを示す。アクチュエータ11を支持要素7に結合する結合装置29も、例えば、
図10に示されている。図示する例示的実施形態では、アクチュエータ11は、電動回転モータ33、具体的にはステッピングモータの形態をとる。
【0123】
図示する例示的実施形態では、ライン受容装置2は、ライン、ホースなどを受容するためのエネルギーガイドチェーン3である。不図示であるが、エネルギーガイドチェーンの隣接するリンクは、関節状に相互接続され、結果として可動ライン受容装置2又は動的ラインガイドを構成する。システム100の長手方向Lは、ライン受容装置2の長手方向に対応する。
【0124】
システム100は、アクチュエータ11を制御するための制御ユニット16を有する。例示において、各アクチュエータ11は、それ自体の制御ユニット16に関連付けられる。システム100は、さらに、偏向アーク5の位置を特定するための少なくとも1つのセンサデバイス13、14を有する。例示では、厳密には2つのセンサデバイス13、14が、各制御ユニット16に動作可能に接続される。
図1において右側に示す支持デバイス6の制御ユニット16に動作可能に接続されたセンサデバイスは、図示をより容易とするために不図示である。
【0125】
制御ユニット16はいずれも評価ユニットを備え、その入力部は、図示する例示的実施形態では信号ライン51を介して、厳密には2つのセンサデバイス13、14に動作可能に接続される。図示をより容易とするために、信号ライン51を、
図1及び3~12のみに示す。
図13及び14は、信号ライン51を破線として示す。各制御ユニット16の出力部は、いずれも厳密には1つのアクチュエータ11に動作可能に接続される。
【0126】
図12及び14が最も明確に示すように、制御ユニット16はいずれも、支持ローラー8の回転軸36を含む鉛直平面37に関して相互に対向して位置する厳密には2つのセンサデバイス13、14と相互作用する。
【0127】
各センサデバイス13、14は、検出範囲15を有するセンサ38を備える(
図10及び11)。センサ38は、その検出範囲15内の下側ラン4の存否を検出する。
【0128】
センサデバイス13、14、特にセンサ38は、非接触で作用し、図示する例示的実施形態では、光スキャナを備える。
【0129】
図13及び14は、厳密には1つの制御ユニット16と、厳密には2つのセンサデバイス13、14と、厳密には1つの支持要素7及び厳密には1つのアクチュエータ11を有する厳密には1つの支持デバイス6とを備えるアセンブリ17が設けられることを示す。
図14から明らかなように、制御ユニット16は、2つのセンサデバイス13、14からの信号に応じて排他的にアクチュエータ11を制御できるように構成される。故障のシナリオでは、アセンブリ17は、結果として容易に交換され又はさらには容易に後付け可能となる。
【0130】
図6及び12は、例えば、支持デバイス6が、走行面9に対して上側ラン1によって上方から鉛直下向きに付与される力を吸収するための耐荷重構造物12を有することを示す。
【0131】
支持要素7は、2本の旋回アーム18上のプレート状ホルダ35によって配置される(
図12)。支持デバイス6は、開口部39を有する鉛直固定ガイド壁38を有する。支持位置P1では、支持ローラー8は、開口部39を通じて延在する。開口部39の縦枠部は、ホルダ35及び/又は少なくとも1本の旋回アーム18のためのリミットストップを与え、それは2本の旋回アーム18の旋回角を制限することによって支持ローラー8の支持位置P1を規定する。
【0132】
ガイド壁38に対して屈曲される2つのプレート状支持壁40は、ガイド壁38に配置され、例えば、ガイド壁38とともに成形シートメタル部品として一体に製造される。
【0133】
図12及び14はまた、ガイド壁38が支持壁40とともに略U字形状の水平断面を形成し、制御ユニット16及びアクチュエータ11がこのU字形状断面内に配置されることを示す。
【0134】
旋回アーム18は、耐荷重構造物12の一部であり、したがって走行面9に対して上側ラン1によって上方から鉛直下向きに付与される力を吸収するように作用する。旋回アーム18は、いずれもボール軸受26の形態をとり、旋回アームの旋回軸46を規定する枢動軸受25によって取り付けられる。
【0135】
支持ローラー8及び枢動軸受25によって、システム100は、相互に摺動する面を可能な限り回避する。
【0136】
図10及び12でも示すように、能動変位デバイス10は、アクチュエータ11によって生成される回転移動の方向とは逆に作用する巻き引張りバネの形態のバネ要素19をさらに備える。バネ要素19は、この目的のために、バネ軸受23(
図10)と、旋回アーム18に強固に接続されてアングルレバーを構成する他の旋回アーム24との間で作用する。例えば、
図10及び16について明らかなように、バネ軸受は、支持デバイス6の支持壁40に配置され得る。それは、支持デバイス6のガイド壁38又は支持デバイスの底部48に配置されてもよい。説明を容易とするために、バネ要素は、バネ軸受内に引掛けられていない状態で図示されている。
【0137】
したがって、システム100は、上記の能動変位デバイス10に加えて、能動変位デバイスの構成要素を用いる受動変位デバイス21を有する。受動変位デバイス21は、例えば、センサ故障又は停電に起因して能動変位デバイス10が故障した場合でも、支持位置P1と格納位置P2の間での支持要素7の移動を確保する。
【0138】
受動変位デバイスは、ライン受容装置2の移動経路内に移動可能なスイッチ体22の形態の切換デバイスを備える。スイッチ体22は、2つの相互に対向する乗り上げ斜面32を有し、それは、偏向アークの内部及び外部領域との接触による能動変位デバイス10の故障の場合に、スイッチ体22をライン受容装置2の移動経路外に移動させるために偏向アーク5と相互作用することができる。スイッチ体22は、スイッチ体がライン受容装置の移動経路外に移動される場合に支持要素7がその支持位置P1から格納位置P2に変位されるように支持要素7に結合される。スイッチ体22は、支持要素7がその格納位置P2から支持位置P1に変位されるように、重力の効果の下で及びバネ力によってライン受容装置2の移動経路内に移動可能であり、支持要素7に結合される。
【0139】
スイッチ体22は、スイッチ体22がライン受容装置2の移動経路外に移動された場合、上側ラン1の側方領域に対抗するための鉛直摺動面49を有する。スイッチ体22がライン受容装置の移動経路外に移動された場合、鉛直摺動面49は鉛直に配置され、一方の乗り上げ斜面32から対向する乗り上げ斜面32に延在する摺動ブラケット50に配置される。摺動ブラケット50は、支持ローラー8の下側周縁の周囲に延在する(
図2、12及び16)。
【0140】
スイッチ体は、走行面9を例外として支持ローラー8の周縁の周囲に配置されたハウジングの形態をとる。ハウジングは、支持ローラー8の前面の領域内で開口する。
【0141】
格納位置P2から支持位置P1への受動的復帰又は変位のためのバネ力は、アクチュエータ11によってもたらされる移動の方向と反対に作用する同じバネ要素19によって与えられる。
【0142】
例えば、
図1及び12に示すように、側部ガイド部品28は、設置運用状態において、ライン受容装置2の長手方向に対応する長手方向Lに延在する。
【0143】
全体的に200として指定される構成の例示的実施形態も同様に、例えば、
図1に示される。構成200のライン受容装置2は、例えば、ケーブル又はホースなどのラインをガイドするためのエネルギーガイドチェーン3を備える。図には詳細を示さないエネルギーガイドチェーン3は、2本の平行なプレート列を有し、各プレート列はサイドプレートを備え、サイドプレートは、特に好ましくは相互に接続され、柔軟なジョイントコネクタによって相互に対して屈曲可能である。柔軟なジョイントコネクタは、サイドプレートの屈曲方向に弾性変形可能である。
【0144】
図15は、システム100及び構成200の使用又は動作モードのフローチャートを示す。この使用又は好適な動作モードでは、センサデバイス14は支持要素7の第1の接続点とは逆を向く側に配置され、他方のセンサデバイス13は支持要素7の第1の接続点を向く側に配置される。
【0145】
2つのセンサデバイス13、14からの信号はいずれも、関連するセンサデバイス13、14が下側ラン4の存否のいずれを示すのかについて評価される。2つのセンサデバイス13、14の一方が下側ラン4の存在を示し、かつ2つのセンサデバイス13、14の他方が下側ラン4の不在を示し、したがって2つのセンサデバイス13、14からの信号が不一致である場合、支持要素7はその支持位置P1からその格納位置P2に移動される。これを、
図15におけるフローチャートの上半分に示す。
図15の上半分の左側に図示するピクトグラムは、
図5において右から2番目として図示する支持ユニット30に対する
図5に示す偏向アーク5の位置を示す。関連する
図8が示すように、両支持要素7は、それらの支持位置P1からそれらの格納位置P2に変位されている。
図15の上半分の右側に図示するピクトグラムは、
図5及び6に示す位置間に位置する位置における
図5及び6の右側2番目として図示する支持ユニット30に対する偏向アーク5の位置を示す。
【0146】
少なくとも両センサデバイス13、14が下側ラン4の存在を示す場合、又は任意選択的に両センサデバイス13、14が下側ラン4の不在を示す場合であっても、2つのセンサデバイス13、14からの信号が結果として一致する場合、支持要素7はその格納位置P2からその支持位置P1に移動される。これを、
図15におけるフローチャートの下半分に示す。
図15の下半分の左側に図示するピクトグラムは、
図6において右から2番目として示す支持ユニット30に対する
図6に示す偏向アーク5の位置を示す。関連する
図9が示すように、両支持要素7は、それらの格納位置P2からそれらの支持位置P1に変位されている。支持位置P1では、支持要素7が下方からの上側ラン1の支持部として作用できる。
図9に示す上側ラン1と走行面9との間の距離はエネルギーガイドチェーン3のプリテンショニング又は内部応力に依存し、これは、偏向アーク5と支持ユニット30の間の距離が増加するので上側ラン1がこの支持ユニット30の支持要素7に載置されるにすぎないことを意味する。
【0147】
図15の下半分の右側に図示するピクトグラムは、
図4において右から2番目として図示する支持ユニット30に対する
図4に示す偏向アーク5の位置を示す。関連する
図7が示すように、両支持要素7は、それらの格納位置P2からそれらの支持位置P1に変位されている。支持位置P1では、上側ラン1が存在する場合又は存在していたとした場合に、支持要素7は下からの上側ラン1の支持部として作用できる。
【0148】
システム100のこの使用又は動作モードは、特に簡素かつ確実に実行可能である。これは、スイッチオフ処理41によって終了可能である。
【0149】
支持要素をその支持位置からその格納位置に移動させるために、関連するアクチュエータ11は、電気エネルギーの供給を受けることによって制御ユニット16によって駆動される。
【0150】
支持要素をその格納位置P2からその支持位置P1に移動させるために、関連するアクチュエータ11は、関連するアクチュエータ11への電気エネルギーの供給が中断されることによって制御ユニット16によって駆動され、それにより、アクチュエータ11は支持要素7をその格納位置P2からその支持位置P1に、好ましくは荷重力及び/又はバネ力によって自動的に変位させる。
【0151】
ライン受容装置2は、クリーンルーム用途のために認定可能であり、及び/又は5m/s、10m/s若しくは15m/sよりも高い速度で変位される。
【0152】
図16~
図18は、特に、独立請求項に記載されるバネ支持デバイス45の例示的実施形態を示す。
【0153】
バネ支持デバイス45は、上記の支持デバイス6と概ね同様に構成されるが、この場合、アクチュエータがなく、センサデバイス又は制御ユニットとの相互作用もない。2つの対向するバネ支持デバイス45は、底部横材31によって接続されてバネ支持ユニット52を構成する。バネ支持デバイス45は、ライン受容装置2、例えば、エネルギーガイドチェーン3の上側ラン1を下方から一時的に支持するために使用される。バネ支持デバイス45は、支持要素7及びその支持要素7が配置される2本の旋回アーム18を備える。支持要素7は支持位置P1と格納位置P2(
図16~18では不図示)の間で変位可能であり、バネ支持デバイス45は、バネ力によってライン受容装置2の移動経路内に移動可能なスイッチ体22の形態の切換デバイスを備える受動変位デバイス21を有する。スイッチ体22は、システム100の受動変位デバイス21に関連して上述したように構成され得る。
【0154】
バネ支持デバイス45の受動変位デバイスのバネ力は、巻きバネ20の形態のバネ要素19によって与えられ、それはバネ支持デバイス45のバネ軸受23と、旋回アーム18に強固に接続された他の旋回アーム24との間で作用する。
図16及び18では、図示の容易化のため、バネ要素19は、バネ軸受23に吊設されずに示されている。
【0155】
旋回アーム18及び他の旋回アーム24は、ともにアングルレバーを構成する。バネ支持デバイス45の支持要素7は、走行面9を有する支持ローラー8の形態をとる。
【0156】
バネ支持デバイス45は、走行面9に対して上側ラン1によって上方から鉛直下向きに付与される力を吸収するための耐荷重構造物12を有する。
【0157】
図1、4~6及び13は、偏向アーク5が到達できない領域に配置されたバネ支持デバイス45、例えば、
図4の左側に示す3個のバネ支持デバイス45を示す。
【0158】
これらのバネ支持デバイス45の代わりに、変位不能な支持要素を有する支持部が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0159】
100 システム
200 構成
1 上側ラン
2 ライン受容装置
3 エネルギーガイドチェーン
4 下側ラン
5 偏向アーク
6 支持デバイス
7 支持要素
8 支持ローラー
9 走行面
10 能動変位デバイス
11 アクチュエータ
12 耐荷重構造物
13 センサデバイス
14 センサデバイス
15 検出範囲
16 制御ユニット
17 アセンブリ
18 旋回アーム
19 バネ要素
20 巻きバネ
21 受動変位デバイス
22 スイッチ体
23 バネ軸受
24 他の旋回アーム
25 枢動軸受
26 ボール軸受
28 側部ガイド部品
29 結合装置
30 支持ユニット
31 底部横材
32 乗り上げ斜面
33 回転モータ
34 信号経路
35 ホルダ
36 支持ローラーの回転軸
37 平面
38 ガイド壁
39 開口部
40 支持壁
41 スイッチオフ処理
42 制御信号を受信するためのアクチュエータ入力部
43 センサ信号を受信するための制御ユニット入力部
44 ガイド面
45 バネ支持デバイス
46 旋回アームの旋回軸
47 U字形状断面
48 支持デバイスの底部
49 鉛直摺動面
50 摺動ブラケット
51 信号ライン
52 バネ支持ユニット
L システム又はライン受容装置の長手方向
V 支持要素の変位方向
P1 支持位置
P2 格納位置
【手続補正書】
【提出日】2024-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライン受容装置(2)、特にエネルギーガイドチェーン(3)の上側ラン(1)を支持するシステム(100)であって、
前記ライン受容装置(2)は、例えばケーブル、ホースなどのような、少なくとも1本のラインを、固定点における第1の接続点と、それに対して可動な移動端における第2の接続点との間でガイドするために使用され、前記ライン受容装置(2)は上側ラン(1)及び前記第1の接続点に接続可能な下側ラン(4)を有し、前記上側ラン(1)は前記第2の接続点に接続可能であり、前記上側ラン(1)及び前記下側ラン(4)は変位可能な偏向アーク(5)を介して相互に接続され、前記ライン受容装置(2)は移動経路に沿って変位可能であり、変位に際して前記上側ラン(1)は前記下側ラン(4)の上方を走行し、
前記システムは前記上側ラン(1)を下方から支持するための支持要素(7)を備える少なくとも1つの支持デバイス(6)を有し、前記支持要素(7)は摺動面を有する支持体及び/又は走行面(9)を有する支持ローラー(8)を有し、前記支持要素(7)は、該支持要素(7)が前記上側ラン(1)の下方からの支持部として作用することができる支持位置(P1)と、前記支持要素(7)が前記上側ラン(1)の下方からの支持部として作用することができない格納位置(P2)との間で変位可能であり、
前記支持デバイス(6)は、前記支持要素(7)を前記支持位置(P1)から前記格納位置(P2)に及び/又はその逆に変位させるための少なくとも1つの制御可能なアクチュエータ(11)並びに前記アクチュエータ(11)を前記支持要素(7)に結合する結合装置(29)を有する能動変位デバイス(10)を備え、前記システムは前記ライン受容装置(2)と非接触で相互作用する少なくとも1つのセンサデバイス(13、14)を有し、前記システムは非接触で作用する前記少なくとも1つのセンサデバイス(13、14)からのセンサ信号に応じて前記アクチュエータ(11)を制御するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記センサデバイス(13、14)は、例えば光学近接スイッチ、光スキャナ、容量型近接スイッチ、リード切換接点、ホール効果センサなどのような、少なくとも1つの近接スイッチを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記センサ信号に応じて前記アクチュエータ(11)を制御するための少なくとも1つの制御ユニット(16)を備え、
各アクチュエータ(11)は、特に、それ自体の制御ユニット(16)に関連付けられている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムは、特に上位のプラント又はマシンコントローラからのセンサ信号及び/又は制御信号から独立して、自己完結となるように又は自己完結的に動作するように構成され、前記制御ユニット(16)はセンサ信号を受信するように構成され、センサデバイス(13、14)に接続可能であり又は接続されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも2つのセンサデバイス(13、14)を備え、
前記制御ユニット(16)はいずれも、前記支持要素(7)の変位方向(V)が位置する少なくとも略鉛直な平面(37)の異なる側に配置された2つのセンサデバイス(13、14)と相互作用する、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
少なくとも1つのセンサデバイス(13、14)に加えて、特に同一に構成された、他のセンサデバイス(13、14)が、前記支持要素(7)の変位方向(V)が位置する少なくとも略鉛直な平面(37)の同じ側に配置され、前記ライン受容装置(2)の前記移動経路によって相互から空間的に分離された当該2つのセンサデバイス(13、14)が、相互に対向して位置する、請求項
1に記載のシステム。
【請求項7】
制御ユニット(16)と、2つのセンサデバイス(13、14)と、アクチュエータ(11)を有する支持デバイス(6)とを備えるアセンブリ(17)が設けられ、前記制御ユニット(16)が、前記2つのセンサデバイス(13、14)からの信号に応じて排他的に前記アクチュエータ(11)を制御するように構成された、請求項
1に記載のシステム。
【請求項8】
前記アクチュエータ(11)は、電動ドライブ、特に回転モータ(33)、好ましくはステッピングモータを備える、請求項
1に記載のシステム。
【請求項9】
前記支持デバイス(6)は、前記摺動面及び/又は前記走行面(9)に対して、特に前記上側ラン(1)によって上方から鉛直下向きに付与される力を吸収するための耐荷重構造物(12)を有する、請求項
1に記載のシステム。
【請求項10】
前記支持デバイス(6)、特に前記耐荷重構造物(12)は、鉛直固定ガイド壁(38)及び該ガイド壁(38)とともにU字形状水平断面(47)を形成する2つの支持壁(40)を有し、前記アクチュエータ(11)は、当該U字形状水平断面(47)の内部に配置され、特に「側部から外部に」アクセス可能である、請求
項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記支持デバイス(6)は枢動軸受(25)によって旋回可能に取り付けられた少なくとも1本の旋回アーム(18)を備え、該旋回アームに前記支持要素(7)が配置され、前記旋回アーム(18)は旋回動作の作動のための前記アクチュエータに動作可能に接続され、前記旋回アーム(18)は、特に前記枢動軸受(25)によって、前記耐荷重構造物に旋回可能に取り付けられる
、請求項
9に記載のシステム。
【請求項12】
前記枢動軸受(25)はボール軸受(26)からなる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記能動変位デバイス(10)は、前記アクチュエータに加えて、該アクチュエータによってもたらされる移動の方向とは逆に作用するバネ要素(19)を備え、該バネ要素は、好ましくは、前記支持デバイス(6)のバネ軸受(23)と、前記旋回アーム(18)又は該旋回アーム(18)に強固に接続された他の旋回アーム(24)との間で作用する巻きバネ(20)を備える、請求項1
1に記載のシステム。
【請求項14】
前記ライン受容装置(2)の前記移動経路内に移動可能なスイッチ体(22)の形態の切換デバイスを備える受動変位デバイス(21)がさらに設けられ、前記スイッチ体(22)は、前記支持要素(7)を前記支持位置(P1)から前記格納位置(P2)に変位させるように前記偏向アークと機械的に相互作用可能となるように構成されている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項15】
前記スイッチ体(22)はいずれも、特に前記能動変位デバイス(10)の故障の場合に、前記スイッチ体(22)を前記ライン受容装置(2)の前記移動経路外に移動させるために、前記偏向アーク(5)と相互作用可能な2つの対向する乗り上げ面、特に乗り上げ斜面(32)を有し、前記スイッチ体(22)は、前記支持要素(7)がその支持位置(P1)から前記格納位置(P2)に移動可能となるように前記支持要素(7)に結合され、前記スイッチ体(22)は重力の効果の下で及び/又はバネ力によって前記ライン受容装置(2)の前記移動経路内に移動可能である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
厳密には2つの対向する支持デバイス(6)を有する少なくとも1つの支持ユニット(30)を備える請求項
1に記載のシステム。
【請求項17】
少なくとも2つの支持ユニット(30)が設けられ、前記システムは、2つの対向する側部ガイド部品(28)を備え、該2つの対向する側部ガイド部品(28)の間に前記ラン(1、4)の少なくとも一方が受容可能であり、前記2つの対向する側部ガイド部品(28)が一方の支持ユニット(30)から他方の支持ユニット(30)に延在する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
請求項
1に記載のシステム(100)、及び、ライン受容装置(2)を有する構成(200)であって、
前記ライン受容装置(2)は、2本の平行なプレート列によって、例えばケーブル又はホースのようなラインをガイドするためのエネルギーガイドチェーン(3)を備え、各プレート列は、相互に接続されて柔軟なジョイントコネクタによって相互に対して屈曲可能なサイドプレートを備え、又は前記ライン受容装置(2)は、リンク若しくは領域が柔軟なバンドを介して相互に接続されるバンドチェーンを備える、構成(200)。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか一項に記載のシステム(100)又は請求項18に記載の構成(200)の使用であって、
前記支持要素(7)は、該支持要素(7)が前記上側ラン(1)の下方からの支持部として作用することができる支持位置(P1)と、前記偏向アーク(5)がこの目的のために機械的に接触されずに前記支持要素(7)が前記上側ラン(1)の下方からの支持部として作用することができない格納位置(P2)との間で変位される、使用。
【請求項20】
センサデバイス(14)が前記支持要素(7)の前記第1の接続点とは逆を向く側に配置され、他のセンサデバイス(13)が前記支持要素(7)の前記第1の接続点を向く側に配置され、
2つの前記センサデバイス(13、14)からの信号がいずれも、関連する前記センサデバイス(13、14)が前記下側ラン(4)の存否のいずれを示すかについて評価され、
前記2つのセンサデバイス(13、14)の一方が前記下側ラン(4)の存在を示しかつ前記2つのセンサデバイス(13、14)の他方が前記下側ラン(4)の不在を示す場合に、前記支持要素(7)はその支持位置(P1)からその格納位置(P2)に変位され、
両センサデバイス(13、14)とも前記下側ラン(4)の存在又は不在を示す場合に、前記支持要素(7)はその格納位置(P2)からその支持位置(P1)に変位される、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記システム(100)又は前記構成(200)は、特に上位のプラント又はマシンコントローラからのセンサ信号及び/又は制御信号から独立して自己完結的に変位を実行する、請求項1
9に記載の使用。
【請求項22】
例えばケーブル、ホースなどのような、少なくとも1本のラインを、固定点における第1の接続点と、それに対して可動な移動端における第2の接続点との間でガイドするためのライン受容装置(2)の、特にエネルギーガイドチェーン(3)の、上側ラン(1)を支持するための
、バネ支持デバイス(45)であって、
前記ライン受容装置(2)は前記上側ラン(1)及び前記第1の接続点に接続可能な下側ラン(4)を有し、前記上側ラン(1)は前記第2の接続点に接続可能であり、前記上側ラン(1)及び前記下側ラン(4)は変位可能な偏向アーク(5)を介して相互に接続され、前記ライン受容装置(2)は移動経路に沿って変位可能であり、変位に際して前記上側ラン(1)は前記下側ラン(4)の上方を走行し、前記バネ支持デバイス(45)は、前記上側ラン(1)を下方から支持するための支持要素(7)及び前記支持要素(7)が配置された少なくとも1本の旋回アーム(18)を備え、前記支持要素(7)は摺動面を有する支持体及び/又は走行面(9)を有する支持ローラー(8)を有し、前記支持要素(7)は、該支持要素(7)が前記上側ラン(1)の下方からの支持部として作用することができる支持位置(P1)と、前記支持要素(7)が前記上側ラン(1)の下方からの支持部として作用することができない格納位置(P2)との間で変位可能であり、前記バネ支持デバイス(45)は、バネ力によって前記ライン受容装置(2)の前記移動経路内に移動可能なスイッチ体(22)の形態で切換デバイスを備える受動変位デバイス(21)を有し、
前記バネ力は、前記バネ支持デバイス(45)のバネ軸受(23)と、前記旋回アーム(18)又は該旋回アーム(18)に強固に接続された他の旋回アーム(24)との間で作用する巻きバネ(20)の形態のバネ要素(19)によって与えられる、バネ支持デバイス(45)。
【請求項23】
前記バネ要素(19)は、前記バネ支持デバイス(45)のバネ軸受(23)と、前記旋回アーム(18)に強固に接続された他の旋回アーム(24)との間で作用し、
前記他の旋回アーム(24)は、レバー突起を備えて前記バネ要素(19)に対する梃効果を生成し、前記旋回アーム(18)及び前記他の旋回アーム(24)はともにアングルレバーを構成する、請求項22に記載のバネ支持デバイス(45)。
【請求項24】
前記バネ要素(19)は、前記バネ軸受(23)内に引掛けられる、請求項2
2に記載のバネ支持デバイス(45)。
【請求項25】
2本の旋回アーム(18)及び2つのバネ要素(19)を有する請求項2
2に記載のバネ支持デバイス(45)。
【請求項26】
前記バネ要素(19)は、側部から外部にアクセス可能な、前記バネ支持デバイス(45)の開口部内に配置される、請求項22から25のいずれか一項に記載のバネ支持デバイス(45)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0127
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0127】
各センサデバイス13、14は、検出範囲15を有するセンサ
27を備える(
図10及び11)。センサ
27は、その検出範囲15内の下側ラン4の存否を検出する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0128
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0128】
センサデバイス13、14、特にセンサ27は、非接触で作用し、図示する例示的実施形態では、光スキャナを備える。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0159
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0159】
100 システム
200 構成
1 上側ラン
2 ライン受容装置
3 エネルギーガイドチェーン
4 下側ラン
5 偏向アーク
6 支持デバイス
7 支持要素
8 支持ローラー
9 走行面
10 能動変位デバイス
11 アクチュエータ
12 耐荷重構造物
13 センサデバイス
14 センサデバイス
15 検出範囲
16 制御ユニット
17 アセンブリ
18 旋回アーム
19 バネ要素
20 巻きバネ
21 受動変位デバイス
22 スイッチ体
23 バネ軸受
24 他の旋回アーム
25 枢動軸受
26 ボール軸受
27 センサ
28 側部ガイド部品
29 結合装置
30 支持ユニット
31 底部横材
32 乗り上げ斜面
33 回転モータ
35 ホルダ
36 支持ローラーの回転軸
37 平面
38 ガイド壁
39 開口部
40 支持壁
41 スイッチオフ処理
42 制御信号を受信するためのアクチュエータ入力部
43 センサ信号を受信するための制御ユニット入力部
44 ガイド面
45 バネ支持デバイス
46 旋回アームの旋回軸
47 U字形状断面
48 支持デバイスの底部
49 鉛直摺動面
50 摺動ブラケット
51 信号ライン
52 バネ支持ユニット
L システム又はライン受容装置の長手方向
V 支持要素の変位方向
P1 支持位置
P2 格納位置
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】