(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】セラノスティックレーザーシステム
(51)【国際特許分類】
A61N 5/067 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
A61N5/067
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507039
(86)(22)【出願日】2022-08-03
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 FI2022050510
(87)【国際公開番号】W WO2023012406
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524046227
【氏名又は名称】モデュライト コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】カイヴォソヤ,ヴィサ
(72)【発明者】
【氏名】オルシラ,ラッセ
(72)【発明者】
【氏名】ウーシマー,ペッテリ
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082RA10
4C082RE17
(57)【要約】
光活性化薬物送達及び監視のためのセラノスティックレーザーシステムが開示される。当該システムは、光源と、光受信機と、第一の光送達ファイバを光源に同時に結合して、光源から第一の光送達ファイバに1つ以上の第一の下流光信号を送信し、第一の光送達ファイバを光受信機に結合して、第一の光送達ファイバから光受信機に1つ以上の第一の上流光信号を送信する結合器とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達を作動及び/又は監視するための下流光信号を提供するための光源、
前記薬物送達を監視するための上流光信号を受信するための光受信機、かつ、
以下の:
前記光源から第一の光送達ファイバに1つ以上の第一の下流光信号を送信するために、前記光源に、かつ、
前記第一の光送達ファイバから前記光受信機に1つ以上の第一の上流光信号を送信するために、前記光受信機に、
前記第一の光送達ファイバを同時に結合するための結合器、
を含む、光活性化薬物送達のためのセラノスティックレーザーシステム。
【請求項2】
前記光源は、前記第一の下流光信号を前記第一の光送達ファイバに送信するための前記結合器に結合され、かつ、専用の第一のレーザーモジュールを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光受信機と前記結合器との間に結合され、前記結合器から送信される前記第一の上流光信号を遮断する専用シャッターを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
ダークスペクトルの測定値を用いて信号対雑音比を改善するために前記上流信号の後続の測定値を調整するために前記専用シャッターが閉じられた状態で前記ダークスペクトルの測定値を取得するように構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記光受信機と前記結合器との間に結合され、2つ以上の前記結合器からの上流光信号を束ねるための受信機結合器を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
受信機結合器は、前記光源によって提供される1つ以上の波長を減衰させるように、及び/又は1つ以上の監視信号の送信を促進するように構成される、フィルタを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
フィルタから前記光受信機に供給される信号を均質化するために、前記光受信機を前記受信機結合器に結合するためのモード混合要素を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
モード混合要素は、正方形ファイバ、六角形ファイバ、正方形ロッド、又は六角形ロッドなどの非円形光ガイドである、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
以下の:
前記光源から第二の光送達ファイバに1つ以上の第二の下流光信号を送信するために、前記光源に、かつ、
前記第二の光送達ファイバから前記光受信機に1つ以上の第二の上流光信号を送信するために、前記光受信機に、
前記第二の光送達ファイバを同時に結合するための結合器、を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
結合器は、受動双方向ファイバ結合器である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記光受信機は、光検出器、及び/又は、分光計、及び/又は、波長逆多重化ユニットと1つ以上の光検出器との組み合わせを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記光源及び前記光受信機は、さらなる使用のためにデータを収集、分析、及び処理するための信号処理ユニットに通信可能に接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
信号処理ユニットは、治療からデータを収集し、前記データを分析し、薬物送達のためのガイダンスを送達する遠隔データ処理ユニットに通信可能に接続される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
信号処理ユニットは、1つ以上の以前の治療からのデータを分析するために機械学習及び/又は人工知能に基づくアルゴリズムを用いるように構成され、薬物送達のためのガイダンスを送達する、請求項12又は13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光活性化薬物送達を容易にするために用いることができるセラノスティックレーザーシステムに関する。特に、本発明は、腫瘍学、光線力学療法、免疫療法、及び/又は生物医学的画像化の分野において利用されてよい。
【背景技術】
【0002】
医療用レーザーは、例えば、手術室及び無菌状態で用いられる。医療用レーザーによって提供される治療用又は硬組織用の照明は、治療監視機能を併用した、セラノスティック医療装置を提供しうる。セラノスティック医療装置を用いて薬物送達プロセスを改善することは有益である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本概要は、以下の詳細な説明においてさらに説明される概念の選択を簡略化された形態で紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を限定するために用いられることも意図していない。
本明細書に開示されるソリューションは、治療用レーザシステムの機能性を診断/監視装置のいくつかの特性と組み合わせる。ソリューションは、ナノ構造体などの光活性化薬物送達構造体と共に用いることができる。これらは、リポソームなどの担体、担体内に封入された薬物及び/又は標的化成分、並びに光活性化成分/光増感剤を含むか、又はそれらからなってよい。薬物送達システムは、薬物送達構造体の構成要素のための蛍光及び/又は他の光学イメージングソリューションを利用して、治療効果の作動を容易にすると同時に、そのような治療中の様々なプロセスを監視するように構成することができる。
【0004】
多相治療用薬物送達効果を誘導するためだけでなく、さらに又はあるいは、光線力学療法(PDT)、光化学療法治療、又は他の光利用治療モダリティの間に起こる複数のプロセスを監視するために用いられてよい、低侵襲性ソリューションが開示される。本ソリューションは、組織におこる機械的応力を最小限にするために、組織にいかなる不要な異物を導入する必要性を排除する間質プロセスを監視するためにも、標準的な光活性化照明ファイバが利用できる。
【0005】
開示されるソリューションは、臨床医が、腫瘍を全体としてより正確に照射し、治療中の進行を監視することができるように、腫瘍学で用いられてよい。本機能性は、具体的には腫瘍環境からリアルタイムでフィードバックを得ることにより、光活性化療法の成功の見込みを著しく高めうる。PDT、光免疫療法(PIT)、又は他の光活性化薬物送達方法のための以前に導入された治療監視解決法は、典型的には、光学監視目的のための別個のプローブ又はカメラの使用に基づく。開示されるソリューションは、治療送達及び監視のための全ファイバ単一多目的プローブとともに利用することができ、異なるモダリティ(具体的には治療及び監視の)間を別個に切り替えずに、リアルタイムで互いに独立して同時治療起動及び監視ができる。本ソリューションは、波長感知検出ユニットを適用することで、監視装置にて、異なる波長によって表されてよい異なる光信号の分離をさらにサポートする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、光活性化薬物送達のためのセラノスティックレーザーシステムが開示される。当該システムは、薬物送達を作動及び/又は監視するための下流光信号を提供するための光源、前記薬物送達を監視するための上流光信号を受信するための光受信機、かつ、以下の:前記光源から前記第一の光送達ファイバに1つ以上の第一の下流光信号を送信するために、前記光源に、かつ、前記第一の光送達ファイバから前記光受信機に1つ以上の第一の上流光信号を送信するために、前記光受信機に、第一の光送達ファイバを同時に結合するための結合器、を含む。
一実施形態では、前記光源は、前記第一の下流光信号を前記第一の光送達ファイバに送信するための前記結合器に結合され、かつ、専用の第一のレーザーモジュールを備える。
一実施形態では、前記光受信機と前記結合器との間に結合され、前記結合器から送信される前記第一の上流光信号を遮断する専用シャッターを備える。
【0007】
一実施形態では、当該システムは、ダークスペクトルの測定値を用いて信号対雑音比を改善するために前記上流信号の後続の測定値を調整するために前記専用シャッターが閉じられた状態で前記ダークスペクトルの測定値を取得するように構成される。
一実施形態では、当該システムは、前記光受信機と前記結合器との間に結合され、2つ以上の結合器からの上流光信号を束ねるための受信機結合器を備える。
一実施形態では、受信機結合器は、前記光源によって提供される1つ以上の波長を減衰させるように、及び/又は1つ以上の監視信号の送信を促進するように構成される、フィルタを含む。
一実施形態では、当該システムは、フィルタから前記光受信機に供給される信号を均質化するために、前記光受信機を前記受信機結合器に結合するためのモード混合要素を備える。
一実施形態では、モード混合要素は、正方形ファイバ、六角形ファイバ、正方形ロッド、又は六角形ロッドなどの非円形光ガイドである。
【0008】
一実施形態では、当該システムは、以下の:前記光源から第二の光送達ファイバに1つ以上の第二の下流光信号を送信するために、前記光源に、かつ、前記第二の光送達ファイバから前記光受信機に1つ以上の第二の上流光信号を送信するために、前記光受信機に、前記第二の光送達ファイバを同時に結合するための結合器、を含む。
一実施形態では、前記光源及び前記光受信機は、さらなる使用のためにデータを収集、分析、及び処理するための信号処理ユニットに通信可能に接続される。
一実施形態では、信号処理ユニットは、治療からデータを収集し、前記データを分析し、薬物送達のためのガイダンスを送達する遠隔データ処理ユニットに通信可能に接続される。
一実施形態では、信号処理ユニットは、1つ以上の以前の治療からのデータを分析するために機械学習及び/又は人工知能に基づくアルゴリズムを用いるように構成され、薬物送達のためのガイダンスを送達する。
【0009】
上記の態様及び実施形態は、互いにいかなる組み合わせで用いられてよいことを理解されたい。ある実施形態は、本発明のさらなる実施形態を形成するためにともに組み合わせることができる。
開示されたシステムにより、照明を用いた同時の多チャネル及び多波長を光学的組織に監視(例えば、蛍光、反射率、及び/又は吸収)しうる。これにより、複数の治療及び/又は監視信号が、単一の光学プローブ/ファイバ等の単一のチャネルを用いて送信されうる。それによって、治療及び/又は監視をカスタマイズし、柔軟性を高めることができる。チャネル間の手動又は逐次測定手順は必要ない。その代わりに、2つ以上のチャネルを自由に組み合わせて同時測定を行うことができる。治療及び/又は監視照明などの照明は、監視測定などの測定と同時に実行することができる。このシステムは、自動多チャンネル測定で操作することができる。
【0010】
さらに、開示されたシステムにより、チャネル固有のフィルタリングをしうる。それは、コンパクトな全ファイバのロバスト設計を備えてよい。測定チャネル間のクロストークは、軽減されるか、又は、完全に除去されうる。例えば蛍光監視のために、複数の波長励起を用いることができる。複数の波長の照明及び/又は測定も用いられてよい。複数の照明及び/又は測定アプリケーションプローブ/ファイバも、依然として用いられてよい。システムはまた、ローカル及び/又はリモートデータ記憶及び/又は分析のために構成されてよい。システムは、これを自動的に実行するように構成されてよい。
【0011】
セラノスティックレーザーシステムは、治療の治療効果を誘発することと、治療中に起こる異なるプロセスを監視することとの両方のために用いられてよい。これを自動的に実行するように構成されてよい。治療及び監視のための光送達は、治療される組織領域の周囲に別個の監視装置を挿入するか、又は、選択された場所において治療プローブと監視プローブとを切り替えずに、両方のプロセス用の光ファイバ等の同一の光学プローブを利用しうる。本システムは、薬物送達構造体が治療を活性化するか、又は光学監視プロセスを励起するための1つ以上の波長がある1つ以上のレーザーを備えてよい。薬物送達構造体の異なる構成要素は、各送達チャネルの異なる機能間で切り替えずに並行して自由に光学的に監視することができる。複数の照明波長は、異なる機能間で物理的又は光学的に切り替えずに、組織に挿入される単一の光ファイバプローブに結合されてよい。これにより、治療と監視を同時に行うことができ、したがって、治療の進行に関するリアルタイムの情報を得ることができる。治療中の異なる間質プロセスに関する本情報は、クラウドなどの遠隔処理システムに収集することができる。それは、治療決定を下すためにローカルに又は遠隔で分析されてよい。組織内に挿入された全く同じプローブを、組織からの光信号(場合によっては異なる波長である)を収集するために用いて、治療薬送達時に異なる薬物送達プロセスをその場監視することもできる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
添付の図面は、さらなる理解を提供するために含まれ、本明細書の一部を構成し、例を示し、説明とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面において、同等の、又は少なくとも機能的に同等の部分を示すために、同様の参照符号が用いられる。以下、詳細に説明する。
添付の図面に関して以下に提供される詳細な説明は、例の説明として意図されており、例が構築又は利用されてよい唯一の形態を表すことは意図されていない。しかし、同一又は同等の機能及び構造が、異なる例によって達成されてよい。
図1は、多相薬物送達のための薬物送達構造体100の例を示す。薬物送達構造体は、ナノ構築物であってよい。それは、担体110、担体内の1つ以上の薬物及び/又は標的化成分120、並びに光増感剤等の1つ以上の光活性化成分を含むか、又はそれらからなってよい。担体は、ナノリポソームなどのリポソームを含むか、又はそれからなってよい。それは、1つ以上の薬物及び/又は標的化成分をカプセル化できる。1つ以上の薬物は、例えば、イリノテカンなどの1つ以上の化学療法薬を含むか、又はそれらからなってよい。1つ以上の要素130は、多相薬物送達のために担体に連結されてよい。これらの要素は、抗体及び/又は光増感剤を含んでよい。抗体は、例えば、セツキシマブなどのEGFR標的化抗体であり得る。光増感剤は、例えば、ベンゾポルフィリン誘導体(BPD)であってよい。光増感剤は、例えば抗体の表面上で抗体に結合されてよい。1つ以上の要素は、それによって、抗体結合光増感剤、例えば、BPD+セツキシマブを含んでよい。薬物送達は、レーザー光、例えば近赤外レーザー光などの光10によって作動されてよい。薬物送達の作動は、言及される場合は常に、例えば光力学的反応による、光活性薬物などの薬物及び/又は光増感剤の活性化を含んでよい。さらに又はあるいは、それは、薬物の効能を増強することを含んでよい。薬物送達の監視は、言及される場合は常に、例えば、色素、蛍光標識、及び/又は光増感剤などの1つ以上の標的からの応答を作動させること、及び/又は、いかなるそのような応答を受信することを含んでよい。あるいは又はさらに、監視は、組織自体からの蛍光、反射率、又はラマン散乱信号等のような特徴的な光学応答を活性化すること、及び/又は、いかなるそのような応答を受信することを含んでよい。
上記の作動及び監視の代替案の全ては、光ファイバ等の光学プローブを通して組織に光を送達することによって促進されてよい。具体的には、同じ光学プローブが、代替案のいかなる組み合わせに対して用いられ得る。2つ以上の代替案は、それらが薬物送達を作動させることを含むか、又は監視することを含むかにかかわらず、同じプローブを利用して同時に実施されてよい。
【0014】
図2は、システム200の一例を示す。システムは、特に光活性化薬物送達を容易にするための、医学的治療及び/又は監視に用いられうる、セラノスティックレーザーシステムなどのレーザーシステムである。薬物送達は、2つ以上の治療及び/又は監視段階を含む多段階薬物送達であってよい。例えば、薬物送達は、患者などの対象に上記の薬物送達構造体100を提供することを含むことができる。当該システムは、それによって、例えば光活性化によって作動し、対象への薬物送達構造体の送達を監視するように構成されてよい。システムは、腫瘍学、光線力学療法、光免疫療法、及び/又は生物医学的撮像のために構成されてよい。
【0015】
システム200は、薬物送達を作動させる及び/又は監視するための下流光信号22を提供するように構成されてよい光源210を備えてよい。光源は、下流光信号を提供するための、赤外線レーザーモジュールなどの1つ以上のレーザーモジュール212を備えることができる。下流光信号は、光パルスとして、及び/又は連続波として提供されてよい。当該システムはまた、光受信機220を備えることができ、光受信機210は、薬物送達を監視するために上流光信号24を受信するように構成することができる。光受信機は、このために、分光計及び/又は光検出器などの1つ以上の受信機ユニット222を備えることができる。受信機ユニットは、波長逆多重化ユニットと1つ以上の光検出器との組み合わせであってよい。光受信機、又は受信機ユニットは、受信された光信号をそれらの波長に基づいて区別するための波長感知検出ユニットを備えてよい。波長感知検出ユニットは、薬物送達を監視するために、光送達プローブから受信される2つ以上の異なる波長を同時に監視するように構成されてよい。
【0016】
システム200は、1つ以上の結合器230を備えてよく、当該結合器は、受動双方向ファイバ結合器などのファイバ結合器であってよい。1つ以上の結合器は各々、光送達ファイバなどの光送達プローブ20を光源210に同時に結合して、光源から光送達プローブに1つ以上の第一の下流光信号を送信し、光送達プローブから光受信機に1つ以上の第一の上流光信号を送信するように構成されてよい。従って、結合器は、各結合器がそれ自身のプローブ専用となるように分離されてよい。各結合器及び各プローブは、当該システムに対して別個の測定チャネルを提供することができる。当該システムは、光送達プローブを含んでよく、又はそれらは別個に提供されてよい。
【0017】
光源210のレーザーモジュール212は、下流光信号22をそれらの対応する光送達プローブ20に送信するための結合器に結合され、かつ、それ専用であってよい。したがって、レーザーモジュールは各々、単一の結合器に専用であり、それを通して単一のプローブに専用であってよい。レーザーモジュールの各々は、固定波長がある光を提供するように、又は複数の異なる波長の光を提供するように構成されてよい。
【0018】
システム200は、結合器230各々に対する、したがって光送達プローブ20の各々に対する、専用のシャッター240を備えることができる。シャッターは光受信機110と対応する結合器との間に間接的又は直接的に結合されてよく、結合器から送信される上流光信号24を遮断する。これにより、各プローブからの光の受光を個別に制御することができる。当該システムは、例えば、シャッターの各々に結合されることができるコントローラ250を備えてよく。それにより、少なくとも開位置と閉位置との間でシャッターを制御することができる。当該コントローラは、シャッターの状態を自動で変更するように構成されてよい。
システム200はまた、光源210に結合する、例えば、下流光信号の供給を制御するためのレーザーモジュール212の各々に結合する、上記のようなコントローラであってよい、コントローラ250も備えてよい。これは、下流光信号のタイミング、振幅、波長、及びパルス長のいずれかを、単独で、又はいかなる組合せで制御することを含むことができる。当該コントローラは、下流光信号の提供を変更するように構成されてよい。
【0019】
システム200は、コンピュータ、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)などの信号処理ユニット260を備えてよい。それは、単独で又はいかなる組み合わせで、薬物送達に関する測定データ及び/又は命令等のデータ及び/又は命令を記憶、提供、及び分析することのいずれかのために構成されてよい。コントローラ250は、例えば動作命令を受信するために、信号処理ユニットを含むか、又は信号処理ユニットに結合されてよい。信号処理ユニットは、ローカル又はリモート信号処理ユニット、あるいはその2つの組合せであってよい。それは、データ及び/又は命令を記憶、提供、及び分析するために、クラウド処理ユニット等の遠隔データ処理ユニット262に結合されてよい。信号処理ユニットは、したがって、遠隔データ処理ユニットに通信可能に接続されてよく、遠隔データ処理ユニットは、薬物送達からのデータ、例えば、治療からのデータを収集するように構成されてよい。接続は、電子通信の当業者に利用可能ないかなる手段によって、例えば、イーサネット(登録商標)、無線ローカルエリアネットワーク、及び/又はセルラーネットワーク接続を通じて行われてよい。信号処理ユニットは、データを分析し、及び/又は、例えばコントローラ250への薬物送達のための、及び/又は光源210及び/又は光受信機220のための、動作命令などのガイダンスを送達するように構成されてよい。光源及び/又は光受信機は、例えば、さらなる使用のためにデータを収集、分析、及び処理することのいずれかのために、例えば、直接的に及び/又はコントローラを介して、信号処理ユニットに通信可能に接続されてよい。信号処理ユニットは、1つ以上の以前の治療からのデータを分析するために機械学習及び/又は人工知能に基づくアルゴリズムを用いるように構成され、薬物送達のためのガイダンスを送達されてよい。これはまた、システムの動作中に、1つ以上の薬物、例えば、薬物送達構造体100を患者などの対象に連続的に又は繰り返し送達するように構成され得る薬物送達ユニットのためのガイダンスも含み得る。薬物送達ユニットは、システムの部分として、又は別個に提供されてよい。薬物送達ユニットは、例えばIV(静脈内)及び/又はIP(腹腔内)を介して、薬物を対象に送達するように構成されてよい。薬物送達ユニットは、例えばコントローラ250及び/又は信号処理ユニット260によって提供される命令に基づいて、例えば自動的に、薬剤の投与量を調整するように構成されてよい。
【0020】
システム200は、専用シャッター240のいずれか又はすべてが閉じた状態で暗スペクトルの測定値を得るように構成されてよい。当該システムは、ダークスペクトルの測定値を用いて信号対雑音比を改善するために前記上流信号の後続の測定値を調整するために前記専用シャッターが閉じられた状態で前記ダークスペクトルの測定値を取得するように構成されてよい。当該システムは、測定を実行するように、及び/又は後続の測定を自動的に調整するように構成されてよい。コントローラ250及び/又は信号処理ユニット260は、上記目的のいずれかのために構成されてよい。
【0021】
システム200は、2つ以上の結合器からの上流光信号24を束ねるために、光受信機220と結合器230との間に結合された受信機結合器270を備えてよい。これに対応して、束ねられた上流光信号は、束ねられた信号として光受信機に、又はその1つ以上の受信機ユニット222に供給されることができる。受光器結合器は、受光器とシャッターとの間に結合されてよく、又はシャッターのいずれか若しくは全てが、受光器結合器の部分として配置されてよい。当該受信機結合器は、1つ以上のフィルタを備えてよい。これらは、光源によって提供される1つ以上の波長を減衰させ、及び/又は、例えば、1つ以上の蛍光波長に対応する1つ以上の監視信号の送信を促進するように構成されてよい。単一のフィルタが、1つ以上の結合器230に結合され、それによって1つ以上の光送達プローブ20に結合されてよい。システムは、光受信機を受信機結合器に結合するための1つ以上のモード混合要素280を備えることができる。これらは、フィルタ272から光受信機に提供される信号を均質化するように構成されてよい。1つ以上のモード混合要素は、正方形ファイバ、六角形ファイバ、正方形ロッド及び/又は六角形ロッド等の1つ以上の非円形光ガイドを含むか又はそれからなってよい。
【0022】
特定のソリューションには、クラウド接続された接続PC260、レーザー及びシャッターコントローラ250、分光計/光検出器220、レーザーモジュール212、ファイバ結合器230、ファイバシャッター240、及びフィルタ272を備えるシステム200がある。
個々のレーザーモジュール212がある1つ以上のチャネルは、レンズ結合器等の結合器を介して、アプリケーションファイバなどの光送達プローブに結合されてよい。プローブから戻ってくる光は、ファイバ結合器などの結合器を通して収集することができる。ここで、レンズ結合器及びファイバ結合器は、単一の二方向結合器230として統合されてよく、第一の経路は、光源210から光送達プローブ20への下流光信号22用であり、第二の経路は、光送達プローブから光受信機220への上流光信号24用である。プローブ/ファイバから集められた光は、個別に制御可能なシャッター240を通して案内され、インラインフィルタ272を通して分光計に束ねられることができる。フィルタは、全てのチャネル間で共有されてよく、又は、1つ以上のチャネルと結合された2つ以上のフィルタが存在してよい。フィルタは、例えば、レーザ発光波長を減衰させ、蛍光波長を通過させるように構成されてよい。分光計/光検出器の前のモード混合ファイバを用いて、信号を均質化することができる。
【0023】
ファイバ及びファイバ束のようなプローブを介した光ガイドにより、カスタマイズ設計をロバスト且つ柔軟にすることができる。暗スペクトルは、例えば、全てのシャッターを閉じたままにすることによって測定することができる。この測定値は、より良好な信号対雑音比を達成するために、他の測定値から除去され得る。測定データは、PC上でローカルに記憶及び分析され、及び/又は記憶及び分析のためにクラウドに送信され得る。生のデータ又は処理されたデータは、装置ディスプレイ上でローカルに、又はクラウドサービスを介して視覚化されてよい。クラウド系データ収集システムでは、治療セッション最適化のためのハイスループット遠隔処理及び分析並びに既存の他の現場データと比較することができる。
【0024】
システム200により、(処方された間隔とは対照的に)薬物送達のリアルタイム監視、及び/又は(例えば、複数の波長を用いた)複数の色素若しくは光増感剤で監視しうる。それは、マルチフェーズ治療に適用可能であり、スイッチ及び/又はシャッターを用いずに、又は検出チャネル用のファイバを分離しなくてよい。単一のレーザー源は、治療ビームとして、及び、例えば蛍光光などの励起光を検出及び/又は活性化監視するための監視のために、用いてよい。当該システムは、光線量測定に用いることができる。組織の原位置監視用に用いられてよい。また、組織の複数の位置でスペクトル点情報を同時に収集することもできる。監視は、複数の分光計を用いるのとは対照的に、単一の分光計を用いて実行されてよい。監視は、スペクトル情報に基づいてよい。ソリューションは、マルチチャネル及び/又は多波長ソリューションとして実装されてよい。
【0025】
上記システムは、ソフトウェア、ハードウェア、アプリケーションロジック、又はソフトウェア、ハードウェア、及びアプリケーションロジックの組み合わせで実装されてよい。アプリケーションロジック、ソフトウェア、又は命令セットは、様々な従来のコンピュータ可読媒体のうちのいずれか1つに格納されてよい。「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータなどの命令実行システム、装置、又は装置によって、又はそれらに関連して用いるための命令を含み、記憶し、通信し、伝搬し、又は移送することができるいかなる媒体又は手段であってよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータなどの命令実行システム、装置、又は装置によって、又はそれらと関連して用いるための命令を含むか、又は記憶することができるいかなる媒体又は手段であり得るコンピュータ可読記憶媒体を備え得る。例は、本明細書に記載される様々なプロセスに関する情報を記憶することができる。本情報は、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、RAMなどの1つ以上のメモリに記憶することができる。1つ以上のデータベースは、実施形態を実装するために用いられる情報を記憶することができる。データベースは、本明細書に列挙される1つ以上のメモリ又は記憶装置に含まれるデータ構造(例えば、レコード、テーブル、アレイ、フィールド、グラフ、ツリー、リスト等)を用いて編成されてよい。データベースは、サーバなどのローカル及び/又はリモート装置を含む1つ以上の装置上に配置されてよい。実施形態に関して説明されるプロセスは、実施形態の装置及びサブシステムのプロセスによって収集及び/又は生成されたデータを1つ以上のデータベースに記憶するための適当なデータ構造を含んでよい。
【0026】
実施形態の全て又は一部は、コンピュータ及び/又はソフトウェア技術の当業者には理解されるように、実施形態の教示に従ってプログラムされた1つ以上の汎用プロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ等を使用して実施することができる。ソフトウェア技術の当業者には理解されるように、実施形態の教示に基づいて、通常の技能を有するプログラマは、適当なソフトウェアを容易に準備することができる。さらに、実施形態は、電気技術分野の当業者によって理解されるように、特定用途向け集積回路の準備によって、又は従来のコンポーネント回路の適当なネットワークを相互接続することによって実施されてよい。したがって、実施形態は、ハードウェア及び/又はソフトウェアのいかなる特定の組み合わせに限定されない。
【0027】
本明細書で説明される異なる機能は、異なる順序で、及び/又は互いに同時に実行されてよい。
本明細書に記載されるいかなる範囲又は値は、別段の指示がない限り、求められる効果を失わずに拡張又は変更されてよい。また、明示されない限り、いかなる例を別の例と組み合わせてよい。
主題は、構造的特徴及び/又は動作に特有の言語で説明されているが、添付の特許請求の範囲において定義される主題は、必ずしも上記の特定の特徴又は動作に限定されないことを理解されたい。むしろ、上述した特定の特徴及び動作は、特許請求の範囲を実施する例として開示されており、他の同等の特徴及び動作は、特許請求の範囲内にあることが意図されている。
上述の利益及び利点は、1つの実施形態に関連してよく、又はある実施形態に関連してよいことが理解されるであろう。実施形態は、記載された問題のいずれか又はすべてを解決するもの、又は記載された利益及び利点のいずれか又はすべてを有するものに限定されない。さらに、「1つの(an)」項目への言及は、それらの項目のうちの1つ以上を指すことがあることを理解されよう。
用語「含む(comprising)」は、本明細書では、識別された方法、ブロック、又は要素を含むが、そのようなブロック又は要素が排他的なリストを備えず、方法又は装置がさらなるブロック又は要素を含んでよいことを意味するために用いられる。
「第一の」、「第二の」などの数値記述子は、本明細書において、単に、そうでなければ同様の名称がある部分を区別する方法として用いられる。数値記述子は、いかなる特定の構造における選好、製造、又は発生の順序等のいかなる特定の順序を示すものとして解釈されるべきではない。
本発明は、特定のタイプの装置及び/又は方法と関連して説明されたが、本発明は、いかなる特定のタイプの装置及び/又は方法に限定されないことを理解されたい。本発明は、多くの例、実施形態及び実装に関連して説明されてきたが、本発明は、そのように限定されるものではなく、むしろ、特許請求の範囲内に入る様々な修正及び等価な構成を包含する。様々な例が、ある程度の特殊性を伴って、又は1つ若しくは複数の個々の実施形態を参照して上で説明されたが、当業者は、本明細書の範囲から逸脱することなく、開示された例に対して多数の変更を行うことができる。
【国際調査報告】