(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】ランダム修正を用いた機械パラメータ最適化
(51)【国際特許分類】
G05B 13/02 20060101AFI20240903BHJP
B23Q 15/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G05B13/02 J
B23Q15/00 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507846
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 US2022073198
(87)【国際公開番号】W WO2023019045
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】397058666
【氏名又は名称】カーギル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アラウイ、アミナ
(72)【発明者】
【氏名】オートレ、ロワ ジャン-フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】グリュエル、ジェレミー アンソニー フィリップ
【テーマコード(参考)】
5H004
【Fターム(参考)】
5H004GA30
5H004GB01
5H004GB15
5H004HA06
5H004HB06
5H004KC01
5H004KC06
5H004KC31
5H004LA11
(57)【要約】
機械のパラメータを最適化するための方法であって、パラメータのそれぞれの現在値及びステップサイズに基づいて、パラメータの現在値を修正するための修正値をランダムに決定するステップと、機械において、パラメータをその修正値に修正するステップと、修正されたパラメータを使用して実現された機械の出力を評価するステップと、評価された出力に基づいて、パラメータの線形関数モデルをフィッティングするステップと、パラメータが少なくともステップサイズだけ修正される場合に、線形関数モデルを使用して、出力に対する影響を推定するステップと、推定された影響を考慮に入れて、所望の出力に基づいて、パラメータを修正するか否かを決定するステップと、修正する場合、パラメータを少なくともそのステップサイズだけ修正するステップと、を含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産機械(110)の少なくとも1つのパラメータ(301)を最適化するための方法(100)であって、
-前記少なくとも1つのパラメータのそれぞれの現在値を修正するための少なくとも1つの修正値であって、前記少なくとも1つのパラメータの前記それぞれの現在値(303)と、前記少なくとも1つのパラメータに対して事前定義されたそれぞれのステップサイズ(S)と、に基づく少なくとも1つの修正値を、ランダムに決定するステップ(101)と、
-前記生産機械において、前記少なくとも1つのパラメータをそのそれぞれの修正値に修正するステップ(102)と、
-前記生産機械の出力(111、304)であって、前記少なくとも1つの修正されたパラメータを使用して実現される出力を評価するステップ(103)と、
-前記評価された出力に基づいて、前記少なくとも1つのパラメータについて線形関数モデルをフィッティングするステップ(104)と、
-前記それぞれのパラメータが少なくとも前記それぞれの事前定義されたステップサイズだけ修正される場合に、前記少なくとも1つのパラメータについて、前記線形関数モデルを使用して、前記生産機械の前記出力に対する少なくとも1つの影響(308)を推定するステップ(105)と、
-前記生産機械において、前記少なくとも1つの推定された影響を考慮に入れて、前記生産機械の所望の出力に基づいて、少なくともそのそれぞれの事前定義されたステップサイズだけ前記少なくとも1つのパラメータを修正するか否かを決定するステップ(106)と、
-前記少なくとも1つのパラメータを修正することが決定された場合、前記少なくとも1つのパラメータを少なくともそのそれぞれの事前定義されたステップサイズだけ修正するステップ(107)と、を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの修正値は、前記少なくとも1つのパラメータの前記それぞれの現在値よりも少なくとも1つのそれぞれのステップサイズだけ低い値から、前記少なくとも1つのパラメータの前記それぞれの現在値よりも少なくとも1つのそれぞれのステップサイズだけ高い値までの範囲内でランダムに決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法の前記ステップを複数の反復にわたって繰り返すことを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記線形関数モデルは、少なくとも1つの以前に評価された出力と、前記少なくとも1つの以前に評価された出力に対応する前記生産機械の前記少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの以前の設定と、に更に基づいて、前記少なくとも1つのパラメータに対してフィッティングされる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの以前に評価された出力及び前記少なくとも1つの以前の設定のサンプル重要度重みは、時間減衰関数、好ましくは指数関数的減衰関数に従って経時的に減少する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの影響は、前記少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの導関数を近似し、前記それぞれのパラメータが少なくともそのそれぞれの事前定義されたステップサイズだけ修正される場合に、前記少なくとも1つの近似された導関数の少なくとも1つの値を決定することによって推定される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのパラメータは複数のパラメータであり、請求項6に従属する場合、前記少なくとも1つの近似導関数は勾配である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの推定された影響を考慮に入れて、前記所望の出力に近づくための前記少なくとも1つのパラメータの修正の最適な組み合わせを決定するように構成されたヒューリスティックを実行するステップを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのパラメータを修正するか否かを決定することは、損失関数を最小化又は最大化することを含み、前記損失関数は、好ましくは、シグモイド関数及び/又は前記評価された出力と前記所望の出力との間の絶対差若しくは二乗差の和に基づく、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記それぞれの事前定義されたステップサイズが、前記複数の反復のうちの1つの反復にわたって少なくとも1回変化し、好ましくは減少する、請求項3に記載の方法又は請求項3に従属する場合の請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記それぞれの事前定義されたステップサイズは、前記生産機械における前記少なくとも1つのパラメータの最小限に区別可能な離散粒度に基づいて、前記少なくとも1つのパラメータに対して決定される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
コンピュータプロセッサ上で実行されたときに、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成された命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラム製品。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラム製品を含み、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されている、コンピュータ装置。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータ装置に動作可能に結合されている、生産機械(110、200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年8月12日に出願された欧州特許出願第21190945.2号に対する優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、機械パラメータ最適化に関する。特定の態様は、生産機械の少なくとも1つのパラメータを最適化するための方法、そのような方法を実行するためのコンピュータプログラム、そのようなコンピュータプログラムを記憶するコンピュータプログラム製品、そのようなコンピュータプログラム製品を備えるコンピュータ装置、及びそのようなコンピュータ装置に動作可能に結合された生産機械に関する。
【背景技術】
【0003】
生産機械、例えば延伸ブロー機械だけでなく他のタイプの生産機械も、典型的には、生産機械の動作を制御するために、ある設定に設定され得る多くのパラメータを有する。このようにして、機械は、製品出力を生成することができるが、他のタイプの出力をもたらすこともでき、これは、生産機械の出力信号、例えば、ノイズ、熱、電磁放射、ステーションアライメント、機械耐久性又は他の保守関連信号、エネルギー(電気及び/又は燃料)の消費、並びに/あるいは水及び原料などの他の資源の消費として解釈され得る。
【0004】
典型的には、人間のオペレータが、所望の出力を達成するために、これらのパラメータをある設定に設定する。しかし、これは熟練したオペレータのノウハウに依存する。したがって、一方ではパラメータの設定と他方では所望の出力との間の関係に精通していない可能性がある経験の少ないオペレータが生産機械を操作する場合、問題が生じる可能性がある。更に、多くの生産設備において、生産機械は、長時間、例えば、複数のオペレータのシフト時間をまたいで動作する。これにより新しいオペレータ又はオペレータのグループが新しいシフトに責任を負うようになるが、前のシフト中の生産機械の状況をあまり知らず、したがって機械を適切に操作することができないという問題につながる可能性がある。
【0005】
米国特許第7,933,679(B1)号は、機械プロセスの有限要素解析、機構モデリング及び振動解析(独立してあるいは組み合わせて)からの結果を組み合わせて解析することによる、機械プロセスの解析及び最適化を開示している。分析及び最適化の全体的な目標は、妥当な工具寿命を維持しながら、高い材料除去率を提供する特定のパラメータを決定することである(機械加工は、フライス加工、ドリル加工、旋削加工、及びボーリング加工を含むため)。引用されたシミュレーション方法は、特定のプロセス態様に対する許容限度を確立するために使用される。これらの許容限度内の結果を有する機械加工パラメータは、機械の数値制御(NC)プログラムを更新するために使用される。NCが更新された後、工具寿命又は部品品質に関連する問題を検出するために、機械工場における工場試験によって検証される。
【発明の概要】
【0006】
近年、ますます多くの生産機械がセンサを備え、コンピュータを介してそれらのパラメータを設定するようになっている。
【0007】
本発明者らは、センサ及びコンピュータ設定パラメータの新しい機能を使用して、オペレータがそのような生産機械を動作させる方法をより良く定式化及び体系化する機会を特定した。
【0008】
したがって、本開示の態様の目的は、この機会に対処することである。本開示の態様のさらなる目的は、上述の問題のいずれかを克服することである。本開示の態様の別の目的は、生産機械の動作を全般的に改善することである。更に、本発明の態様の別の目的は、オンラインで、すなわち生産機械の動作中にそれを行うことである。
【0009】
第1の態様では、生産機械の少なくとも1つのパラメータを最適化するための方法であって、
-少なくとも1つのパラメータのそれぞれの現在値を修正するための少なくとも1つの修正値であって、少なくとも1つのパラメータのそれぞれの現在値と、少なくとも1つのパラメータに対して事前定義されたそれぞれのステップサイズと、に基づく少なくとも1つの修正値を、ランダムに決定するステップと、
-生産機械において、少なくとも1つのパラメータをそのそれぞれの修正値に修正するステップと、
-生産機械の出力であって、少なくとも1つの修正されたパラメータを使用して実現される出力を評価するステップと、
-評価された出力に基づいて、少なくとも1つのパラメータについて線形関数モデルをフィッティングするステップと、
-それぞれのパラメータが少なくともそれぞれの事前定義されたステップサイズだけ修正される場合に、少なくとも1つのパラメータについて、線形関数モデルを使用して、生産機械の出力に対する少なくとも1つの影響を推定するステップと、
-生産機械において、少なくとも1つの推定された影響を考慮に入れて、生産機械の所望の出力に基づいて、少なくともそのそれぞれの事前定義されたステップサイズだけ少なくとも1つのパラメータを修正するか否かを決定するステップと、
-少なくとも1つのパラメータを修正することが決定された場合、少なくとも1つのパラメータを少なくともそのそれぞれの事前定義されたステップサイズだけ修正するステップと、を含む方法が提供される。
【0010】
少なくとも1つの修正値をランダムに決定し、それに対して少なくとも1つのパラメータを修正することによって、及び、出力を評価し、少なくとも1つのパラメータの潜在的な修正の推定された影響を考慮することによって、本方法は、ノイズの多い最適化を可能にし、ランダムな変化は、本方法が、安全かつ予測可能な動作を依然として維持しながら、パラメータを変更することの影響について効果的に学習することを可能にする。このノイズの多い最適化に起因して、本方法は、固定的で静的な事前設定された計画に従った場合よりも容易に良好な修正を発見することができる。更に、影響を決定するために線形関数モデルを使用することに起因して、少なくとも1つのパラメータを修正することによる結果は、モデルの比較的単純な性質に起因してより容易に決定され得る。更に、少なくとも1つのパラメータにおける局所的な小さな変化は、出力における局所的な予測可能な小さな変化につながる可能性があり、少なくともパラメータにおけるより大きな変化が出力における予測不可能な変化につながり得る場合であっても、線形関数モデルを使用して効率的にモデル化され得ることが、有用に仮定され得る。
【0011】
更に発展した態様では、少なくとも1つの修正値は、少なくとも1つのパラメータのそれぞれの現在値よりも少なくとも1つのそれぞれのステップサイズだけ低い値から、少なくとも1つのパラメータのそれぞれの現在値よりも少なくとも1つのそれぞれのステップサイズだけ高い値までの範囲内でランダムに決定される。
【0012】
このようにして、本方法は、ランダム値を決定するための効率的な範囲を使用することができる。更に、このようにして、有利なことに、少なくとも1つの修正値は、そのそれぞれの現在値に非常に近いと仮定することができ、したがって、生産機械の動作を妨げる大きなリスクを負うことなく、そのそれぞれの現在値を容易に修正するために使用することができる。
【0013】
更に発展した態様では、本方法は、本方法のステップを複数の反復にわたって繰り返すことを含む。
【0014】
このようにして、本方法は、経時的に最適に到達することができる。
【0015】
更に発展した態様では、線形関数モデルは、少なくとも1つの以前に評価された出力と、少なくとも1つの以前に評価された出力に対応する生産機械の少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの以前の設定と、に更に基づいて、少なくとも1つのパラメータに対してフィッティングされる。
【0016】
このようにして、本方法は、履歴出力を考慮に入れることができる。
【0017】
更に発展した態様では、少なくとも1つの以前に評価された出力及び少なくとも1つの以前の設定のサンプル重要度重みは、時間減衰関数、好ましくは指数関数的減衰関数に従って経時的に減少する。
【0018】
このようにして、本方法は、最近の出力が履歴出力を上回るという物理的及び商業的現実を考慮に入れることができる。加えて、これは、最適化を改善するよう生産の様々な要因に改善された重みを与えるために、生産機械の最適化の時間の経過を考慮することを可能にする。
【0019】
更に発展した態様では、少なくとも1つの影響は、少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの導関数を近似し、それぞれのパラメータが少なくともそのそれぞれの事前定義されたステップサイズだけ修正される場合に、少なくとも1つの近似された導関数の少なくとも1つの値を決定することによって推定される。
【0020】
更に発展した態様では、少なくとも1つのパラメータは複数のパラメータであり、上述の更に発展した態様に基づく場合、少なくとも1つの近似導関数は勾配である。
【0021】
このようにして、本方法は、勾配を解釈して、それがより良好な出力につながる場所を決定し、したがって、どのパラメータ(単数又は複数)がどの方法で修正されるべきかを決定することを可能にする。
【0022】
更に発展した態様では、本方法は、少なくとも1つの推定された影響を考慮に入れて、所望の出力に近づくための少なくとも1つのパラメータの修正の最適な組み合わせを決定するように構成されたヒューリスティックを実行するステップを含む。
【0023】
このようにして、本方法は、ヒューリスティックが多くのパラメータを有する状況において適切な方向を効率的に選択することができるので、影響が最大であり得るパラメータに焦点を合わせることをもたらし得る。少数のパラメータのみを有する場合、全ての可能なパラメータ組み合わせの総当たり評価は、計算的に扱いやすいままであり、最適な方向をもたらすことができる。
【0024】
更に発展した態様において、少なくとも1つのパラメータを修正するか否かを決定することは、損失関数を最小化又は最大化することを含み、損失関数は、好ましくは、シグモイド関数及び/又は評価された出力と所望の出力との間の差の経時的な和に基づく。
【0025】
このようにして、損失関数は、より良好に説明可能であり得、すなわち、容易に理解可能な数学的関数の使用により、損失関数は、その動作及びその状況が人間に対してより明確にされ得るように設計され得る。更に、シグモイド関数及び経時的な和は、両方の関数が高速計算を可能にするので、本方法のより効率的な動作を可能にし得る。
【0026】
更に発展した態様では、本方法のステップが複数の反復にわたって繰り返される場合、それぞれの事前定義されたステップサイズは、複数の反復のうちの1回の反復にわたって少なくとも1回変化し、好ましくは減少する。
【0027】
このようにして、本方法は、反復プロセスにおける柔軟性の尺度を含むことができる。これは、有利なことに、最小ステップサイズに近づくことによって、最初はより迅速に最適化するが、後にはより正確かつより予測可能に最適化することを可能にし得る。ステップサイズが反復にわたって増加される場合、最適化がより迅速に進行することがあり、かつ/又は最適化が局所的であるが非大域的な最適条件を克服することがあり、これは、例えば、実際には不満足な出力をもたらす最適条件が見出される場合、有利であり得る。
【0028】
更に発展した態様では、それぞれの事前定義されたステップサイズは、生産機械における少なくとも1つのパラメータの最小限に区別可能な離散粒度に基づいて、少なくとも1つのパラメータに対して決定される。
【0029】
このようにして、ステップサイズは、生産機械のパラメータの実際の現実に対応することができ、例えば、任意のアナログ変更に代わって特定の変更のみを可能にすることができる。
【0030】
第2の態様では、コンピュータプロセッサ上で実行されたときに上述の方法を実行するように構成された命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0031】
第3の態様では、上述のコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0032】
第4の態様では、上述のコンピュータプログラム製品を含み、上述の方法を実行するように構成されているコンピュータ装置が提供される。
【0033】
第5の態様では、上述のコンピュータ装置に動作可能に結合されている生産機械が提供される。
【0034】
当業者であれば、上述の方法に当てはまる利点及び考慮事項が、コンピュータプログラム、コンピュータプログラム製品、コンピュータ装置及び生産機械にも同様に必要な変更を加えて当てはまることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本開示の態様は、以下に説明される例の助けを借りて、また添付の図面の助けを借りて、より完全に理解されるであろう。
【
図1】本開示による方法の一態様のフローチャートを概略的に示す図である。
【
図2】本開示による方法の態様を使用して最適化するための複数のパラメータを有する生産機械を概略的に示す図である。
【
図3】最適化されている生産機械のパラメータのグラフを概略的に示す図である。
【
図4】本開示による方法の一態様で使用するための損失関数の一例を4つのグラフ枠で概略的に示す図である。
【
図5】本開示による方法の一態様の動作中の生産機械の6つのパラメータの例を6つのグラフ枠で概略的に示す図である。
【
図6】本開示による方法の一態様の動作中のボトルのプラスチック材料分布の一例を4つのグラフ枠で概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の説明では、生産機械という用語は、生産プロセスに関与する任意の機械を指すことができ、機械は、その出力の一部を形成する製品を生産し、機械は更に、信号出力などの他の出力、例えば、機械が(典型的には副産物として)発生させる熱若しくは雑音、又は例えば、製品を生産するために機械が消費する電力、材料、若しくは生産時間などの資源に影響を及ぼすことができる。本開示による態様は、そのような出力を有する任意の機械に適用可能であり得ると考えられる。実際の例では、パラメータを修正することと生産に対する影響を得ることとの間の生産プロセスにおける待ち時間が比較的短い場合、それが好ましい可能性がある。
【0037】
特定の例では、生産機械の動作、例えば延伸ブロー機械の延伸ブロープロセスは、以下のように表され得る:
【0038】
【数1】
ここで、Sは延伸ブロープロセスを表し、T
top、T
middle、T
bottom、T
baseはそれぞれボトルの上部、中央部、底部及び基部で測定されたプラスチックの厚さである。P
activeは、最適化によって修正可能なプロセスのパラメータ、すなわち、生産機械のオペレータによる修正の影響を受けやすいパラメータ、例えば、オーブン温度、ガス圧、ブロー持続時間などを表す。P
passiveは、プロセスの利用可能な測定値であるパラメータ(例えば、外部温度)を表すが、修正可能なパラメータではなく、すなわち、それらは、生産プロセスの目的のために、オペレータの力の及ばないところにある。最後に、Uは、製造ラインに入るプリフォームの正確な色など、プロセスの未知のパラメータを表す(プリフォームは、延伸及びブローされようとしている「試験管」である)。
【0039】
損失関数
様々な例において、損失関数を使用することが好ましい。以下の損失関数の例を考える:
L(Ttop,Tmiddle,Tbottom,Tbase)=l
Lは、最適化アルゴリズムに所与の命令を伝えるように設計された損失関数を表すことができる。上述で与えられた延伸ブロー機械の延伸ブロープロセスの特定の例において、そのような命令は、「3つの側壁測定の場所でより多くのプラスチックが必要とされ、基部でより少ない」)ことであり得る。損失関数lの結果は、より最適なプロセスを達成するために最小化され得る。もちろん、当業者には理解されるように、より最適なプロセスを達成するために結果が最大化されなければならないように、損失関数の数学的定義は反対であってもよい。
【0040】
以下では、Ttop、Tmiddle、Tbottom、Tbaseは、生産機械の特定の出力の測定値を含むベクトルを指す。例えば、上記で与えられた特定の例において、これは、延伸ブロー機械の状況において、ボトルの集団の厚さ測定であり得る。生産機械の出力を測定又は評価する何らかの方法が利用可能であることは暗黙的であると考えられる。
【0041】
様々な例において、損失関数の値は、そのような厚さ測定値の集合を入力として取るシグモイド関数の和であってもよい。プラスチックの増加を命令するために設計されたシグモイドは、以下の形態であってもよい:
【0042】
【数2】
一方、プラスチックの減少を命令するものは、以下の形態であってもよい:
【0043】
【数3】
ここで、Tは厚さ測定値の集合、sはシグモイドの最大値(その最小値は0である)、kはシグモイド変曲の位置、nはその急峻度である。S
p(T)は、Tが増加するにつれてsから0になり、S
N(T)は、Tが増加するにつれて0からsになる。
【0044】
したがって:
【0045】
【0046】
ここで、TSは、Ttop、Tmiddle、Tbottom、Tbaseのうちの1つである。
【0047】
損失関数使用例1:第1の例では、ボトルを生産する延伸ブロー機械が動作中であり、生産プロセスが稼働中であり、オペレータは、ボトルの側壁上に十分なプラスチックがなく、少なくともある程度まで、底部でいくらかのプラスチックを除去する可能性もあると考える。4つ全ての位置での測定により、生産プロセスで使用されるような例えば5単位の平均厚さが得られる場合、損失関数は、以下のように定義され得る:
L(Ttop,Tmiddle,Tbottom,Tbase)=SP(Ttop(1、5、10))+SP(Tmiddle(1、5、10))+SP(Tbottom(1、5、10))+SP(Ttop(1、5、10))+SP(Tbase(1,2,10))
したがって、側壁の全ての位置にプラスチックを追加し、ある程度まで基部を無視するように最適化アルゴリズムに命令する。全ての他のものが等しい場合、測定読み取り値が基部において2単位に近づく場合、損失関数の値は増加し始め得る。この例示的な損失関数を最小化することは、ボトルの寸法を最適化することになるはずである。
【0048】
損失関数使用例2:第2の例では、延伸ブロー機械が動作中であり、生産プロセスが稼働中であり、オペレータは、プロセスの結果が満足のいくものであり、維持されるべきであると考え、例えば、全ての位置についての測定値が、生産プロセスで使用されるような例えば5単位である。
L(Ttop,Tmiddle,Tbottom,Tbase)=SP(Ttop(1、4、10))+SP(Tmiddle(1、4、10))+SP(Tbottom(1、4、10))+SP(Ttop(1、4、10))+SP(Tbase(1、4、10))+SN(Ttop(1、6、10))+SN(Tmiddle(1、6、10))+SN(Tbottom(1、6、10))+SN(Ttop(1、6、10))+SN(Tbase(1、6、10)))
これにより、全てのセンサに対する5単位の平均厚さが大域的最小値である損失関数が定義され得る。最適化が実行されているとき、アルゴリズムは、Uが時間とともに変化しても、5単位の現在の厚さを維持しようと試行し得る。
【0049】
オペレータの操作を容易にするために、安定させる又は増加させるなどの有用なショートカットコマンドが提供されることが好ましく、これでどのシナリオが実行されるべきかを自動的に決定することができる。
【0050】
最適化
生産機械を最適化する問題は物理的な問題であり、所与のパラメータの組について損失関数の値を評価することは、ボトルが製造され測定されなければならないことを伴う。以前の状態によって境界付けられた反復パラメータ修正を伴う最適化方法を利用することによって、生産されたボトルが最終的に2つ以上の穴を有することになり、望ましくない可能性がある破壊的評価を回避することができる。
【0051】
本開示による方法の一態様の一例では、最適化は、ボトルをもたらすパラメータのセットから開始することができ、損失関数は、これらのボトルに対して行う改善に基づいて設計することができる。
【0052】
各Pactiveについて、境界のセット、すなわち、最小値、最大値、及び方法がパラメータを修正するために許容されるステップサイズが定義され得る。
【0053】
本方法の態様の例は、以下のように進むことができる。
1.Pactiveパラメータの値を所与の回数だけランダムに修正する(現在の形態では、パラメータがそのステップの開始時に値Pを有し、その最大ステップサイズがsである場合、どれほど多くのランダム修正が発生しても、パラメータ値は[P-k*s,P+k*s]内に留まることになり、ここでkは自然数、好ましくは1である)。
2.Pactive、Ppassive、Ttop、Tmiddle、Tbottom、Tbaseを過去から現在までのある点から収集する。
3.その出力として厚さ測定値を、その入力としてPactiveとPpassiveの同時値を用いて、各厚さ測定値に対して線形関数モデル(他の適切な線形関数モデルも使用され得るが、例えばリッジ回帰)をフィッティングする。線形関数モデルをフィッティングするために使用されるトレーニングセット内のサンプル重みは、好ましくは、時間とともに指数関数的に減少し得る。
4.フィッティングされたモデルのパラメータに基づいて、また局所的に線形であるSを仮定して、それぞれPactiveをそのステップサイズだけ増加又は減少させることによる、様々なボトル厚さへの寄与を計算する。
5.損失関数を最小化するために、すなわち、最大の損失関数低減を達成するために、Pactive修正の最良の組み合わせを決定するためにヒューリスティックを実行する。
6.Pactiveを更新する、すなわち、生産機械のパラメータを修正する。
【0054】
任意選択的に、このプロセスは、複数の反復にわたって繰り返され得る。
【0055】
ステップ1の注記:ランダムパラメータ修正は、ステップ3においてフィッティングされたモデルが、ボトル厚さに対する個々のPactiveパラメータの寄与を捕捉することを可能にし得る。パラメータの修正のためにランダムに決定された修正値を使用することによって、最適化プロセスは、言わば、ノイズがより多くなり、これは有利にも、最適化がより効果的に学習することを可能にする。更に、修正値がランダムに決定され得る範囲をいくらか制限することによって、安全かつ予測可能な動作が依然として維持され得るが、これは物理的生産プロセスにおいて重要である。
【0056】
ステップ3の注記:フィッティングされたモデルの最終的な目標は、必ずしも非常に正確な予測を行うことではなく、したがって、古典的な訓練/試験プロトコルの必要がない場合もある。このモデルは、パラメータの現在のセットの位置におけるSの(おそらく多次元の)導関数を近似するために使用され得るものであり、フィッティングされたモデルを記述する方程式の係数は、問題へのPactiveの寄与を抽出することを可能にし得る。最適化が実行されているとき、Pactive、Ppassive及びUの全てが発散することが予想され得る。データポイントが古いほど、Sの導関数を局所的に近似するために関連性が低くなり得る。この態様は、モデルフィッティング段階においてサンプル重みを時間減衰させることによって有利に処理され得る。
【0057】
図1は、本開示による方法100の一態様のフローチャートを概略的に示す。方法100は、生産機械110の少なくとも1つのパラメータを最適化するためのものであり、ステップ101~107から構成される。
【0058】
ステップ101は、少なくとも1つのパラメータのそれぞれの現在の値を修正するための少なくとも1つの修正値をランダムに決定することを含み、少なくとも1つの修正値は、少なくとも1つのパラメータのそれぞれの現在の値と、少なくとも1つのパラメータに対して事前定義されたそれぞれのステップサイズとに基づく。
【0059】
それぞれの現在値は、直接読み取られてもよく、あるいは現在値108のリポジトリから引き出されてもよい。それぞれの事前定義されたステップサイズは、そのようなステップサイズ109のリポジトリから引き出されてもよい。
【0060】
ステップ102は、生産機械110において、少なくとも1つのパラメータをそのそれぞれの修正値に修正することを含む。
【0061】
ステップ103は、生産機械110の出力111を評価することを含み、出力は、少なくとも1つの修正されたパラメータを使用して達成される。
【0062】
ステップ104は、評価された出力に基づいて、少なくとも1つのパラメータについて線形関数モデルをフィッティングすることを含む。
【0063】
ステップ105は、それぞれのパラメータが少なくともそれぞれの事前定義されたステップサイズだけ修正される場合に、少なくとも1つのパラメータについて、線形関数モデルを使用して、生産機械110の出力に対する少なくとも1つの影響を推定することを含む。
【0064】
ステップ106は、生産機械110において、少なくとも1つの推定された影響を考慮に入れて、生産機械110の所望の出力に基づいて、少なくともそのそれぞれの事前定義されたステップサイズだけ少なくとも1つのパラメータを修正するか否かを決定することを含む。
【0065】
ステップ107は、少なくとも1つのパラメータを修正することが決定された場合、少なくとも1つのパラメータを少なくともそのそれぞれの事前定義されたステップサイズだけ修正することを含む。
【0066】
本開示によるいくつかの態様では、生産機械が、生産機械の動作を制御するための、例えば、設定温度値を達成するために加熱要素への電力送達を制御するためのそのような内蔵制御機能を有する場合、生産機械の内蔵制御機能を無効にするか、あるいは少なくともその周辺を設計することが有利であり得る。この理由は、そのような内蔵制御機能が、さもなければ本開示によるそれらの態様の動作によって妨げられる可能性があること、及び/又は、さもなければ本開示によるそれらの態様の動作を妨げる可能性があることである。この無効化又はこの周辺設計をどのように実施するかの詳細は、当業者に委ねられる。
【0067】
本開示による方法の実際的な態様では、方法は、例えば、コンピュータプロセッサ上で実行されたときに方法を実行するように構成されたプログラミング言語の命令を含むコンピュータプログラムとして実装されてもよい。プログラミング言語は、任意の好適なプログラミング言語であってもよく、C、C++、Java(登録商標)、C#、Python、若しくはClojure、又はそれらの組み合わせ等の高レベルプログラミング言語であってもよく、あるいは機械プログラミング言語であってもよい。
【0068】
そのようなコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品を含むコンピュータ装置が提供され得ること、並びに、そのようなコンピュータ装置が、例えばデータ及び制御信号を通信するためのチャネルによって、生産機械に動作可能に結合され得ることは、当業者には明らかであろう。コンピュータ装置がコンピュータプロセッサを含むことは暗黙的であると考えられる。
【0069】
更に発展した態様では、本方法のステップは、複数の反復にわたって繰り返されてもよい。
図1を参照すると、この更に発展した態様は、ステップ107の後に方法の実行を停止せず、むしろステップ101に戻ることによって得ることができる。方法フローの後続の反復において、現在値108は、前の反復によって更新されている可能性がある。同様に、生産機械110は、前の反復と比較して異なる状態にあり、したがって、出力111もまた、前の反復と比較して異なっている可能性が最も高い。
【0070】
好ましくは、本方法は、事前定義された停止基準に達したとき、例えば、上述の損失関数の値が事前定義された閾値を下回ったときに停止される。好ましくは、本方法は、事前定義された開始基準に達したとき、例えば、上述の損失関数の値が事前定義された閾値を超えたときに、開始又は再開されてもよい。
【0071】
図2は、本開示による方法の一態様、例えば
図1と同じ方法100を使用して最適化するための複数のパラメータ201~203を有する生産機械200を概略的に示しており、この場合、生産機械200は
図1の生産機械110として機能する。
【0072】
本図は、生産機械200が、生産機械200のいくつかのパラメータを使用して、出力207を導くことを示し、そのうちの3つが、参照符号201で示されるパラメータ1、参照符号202で示されるパラメータ2、及び参照符号203で示されるパラメータNである。当然ながら、記号Nは、生産機械200の任意の数のパラメータが存在し得ることを示し、パラメータ2とパラメータNとの間の省略記号で示される。
【0073】
明確にするために、いくつかの特徴がパラメータNに対してのみ示されているが、類似の特徴が他のパラメータに対して存在してもよく、それについても類似の考察が適用される。
【0074】
パラメータNは、参照符号204で示される事前定義されたステップサイズNと結合される。ステップサイズNは、例えば、パラメータNに対する最小の又は好都合な粒度のステップサイズであってもよい。特定の例では、例えば、パラメータNがオーブン温度を表す場合、ステップサイズNは、生産機械200によって許容される最小ステップサイズであれば0.1℃であってもよく、あるいは、オペレータにとって、又は本開示による方法の態様による最適化にとって都合のよいステップサイズであれば0.5℃又は1℃であってもよい。更に発展した態様において、ステップサイズNは、最適化に有用であると考えられる場合、最適化の過程にわたって増加又は減少されてもよい。例えば、最適化中の早い段階では、好都合な粒度として比較的大きいステップサイズ、例えば5℃を使用することが有利であり得るが、最適化中の後の段階では、好都合な粒度として比較的小さいステップサイズ、例えば0.5℃を使用することが有利であり得る。
【0075】
パラメータNはまた、生産機械200において設定されたパラメータNの現在値を表す、参照符号205で示される現在値XNと結合される。パラメータNは、更に、参照符号206で示される修正値MNとも結合され、修正値Mは、ランダムに決定され、パラメータNの現在値XNを修正する働きをする。好ましくは、修正値MNは、kを自然数、好ましくは1として、[XN-kSN,XN+kSN]、すなわち、パラメータNの現在値XNより少なくとも1つのそれぞれのステップサイズSNだけ低い値から、パラメータNの現在値XNより少なくとも1つのそれぞれのステップサイズSNだけ高い値までの間でランダムに決定される。
【0076】
図3は、本開示による方法の一態様、例えば
図1と同じ方法100の動作中に最適化されている、生産機械、例えば
図2と同じ生産機械200のパラメータのグラフ300を概略的に示す。
【0077】
グラフ300は、その水平軸上に生産機械のパラメータx 301を示し、その垂直軸上に、生産機械の出力に対するパラメータx 301の(部分的な)影響を表す、パラメータx 301の302の関数fを示す。グラフ300は、出力影響f(X)304をもたらすパラメータx 301の現在値X 303を更に示す。
【0078】
本開示による方法の態様の動作中、修正値M 307は、X-kS 306からX+kS 305、すなわち、パラメータxの現在値Xより少なくとも1つのそれぞれのステップサイズSだけ低い値から、パラメータxの現在値Xより少なくとも1つのそれぞれのステップサイズSだけ高い値までの範囲内でランダムに決定される。次に、生産機械のパラメータxをこの修正値に設定することができる。結果として生じる出力影響f(M)308を評価することができ、パラメータxの導関数の近似を表す線形勾配Lを、f(X)304及びf(M)308に基づいて決定することができる。線形勾配Lに基づいて、推定出力影響f(X-kS)311及びf(X+kS)310の推定が行われてもよい(×印で示される)。これらの出力影響のうちのどれが、生産機械の出力に対して全体的な改善された影響をもたらす可能性が最も高いかに基づいて、パラメータxは、その後、少なくともそのステップサイズSだけ修正され得る。
【0079】
図4は、本開示による方法、例えば
図1と同じ方法の一態様で使用される損失関数の一例を4つのグラフ枠で概略的に示す。
【0080】
例示的な損失関数は、上述した延伸ブロー機械の特定の例に適用され、ここで示されるように、複数のボトルの基部、底部、中央部、及び上部の材料厚さを考慮する。
【0081】
各ドットはボトルを表す(ボトルの数が多いため、図中の隣接するドットは曲線の太い部分のように塗りつぶされて見える)。図から、シグモイド形式が例示的な損失関数に使用されることが分かるが、他の形式も使用され得る。
【0082】
各枠において、水平線も示されており、それらの水平線の高さの合計が複数のボトルについての損失関数の値であるという意味で、損失関数が最適化されている値を示す。図から分かるように、この特定の例の損失関数は、ボトルの他の部分をより良好に最適化するために、ボトルの基部部分に関して比較的高い柔軟性を有する最適化プロセスを提供する。なぜなら、ボトルの基部部分において、損失関数の結果に対するわずかな変化のみで、厚さが低減され得る(すなわち、ドットが水平軸上で左方移動し得る)からである。
【0083】
図5は、本開示による方法の一態様、例えば
図1と同じ方法の動作中の、生産機械、例えば
図2と同じ生産機械200の6つのパラメータの例を6つのグラフ枠で概略的に示す。
【0084】
図において、上の3つの枠は、パッシブパラメータ、すなわち最適化方法によって修正可能でないパラメータを示し、下の3つの枠は、アクティブパラメータ、すなわち最適化方法によって修正可能なパラメータを示す。
【0085】
図示された実験の最初の数分間は、アクティブパラメータはまだ変更されておらず、これは時点12:36付近まで水平線として見えることに留意されたい。
【0086】
図から分かるように、最適化方法は、アクティブパラメータをそれぞれのステップサイズだけ修正することによって、アクティブパラメータを繰り返し修正し、最適な状況を探索する。この特定の実験では、各修正はステップサイズで行われたが、他の例では、好都合であれば、修正の一部又は全部がステップサイズの倍数で行われてもよい。
【0087】
図6は、本開示による方法の一態様、例えばこの場合は
図5と同じ方法の動作中のボトルのプラスチック材料分布の一例を4つのグラフ枠で概略的に示す。
【0088】
再び、上述した延伸ブロー機械の特定の例の状況において、図の上から1番目の枠はボトルの基部部分の材料厚さを表し、2番目の枠はボトルの中央部分を表し、3番目の枠はボトルの底部部分を表し、4番目の枠(すなわち、一番下の枠)はボトルの上部部分を表す。
【0089】
各枠は、実際に測定された厚さを、生産機械の出力を評価することの一部として、それぞれ曲線601、604、606、及び608として示すとともに、厚さ測定の利用可能なトレーニングデータに当てはめられた厚さのそれぞれの線形関数モデルを、それぞれ曲線602、603、605、及び607として示す。
【0090】
実際に測定された厚さが時折、非常に激しく変動する場合であっても、サンプル重みの時間減衰関数を使用することにより、時間にわたる線形関数モデルは、小さな離散的修正を通して、実際に測定された厚さを非常に厳密に近似するようになることが分かる。
【国際調査報告】