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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】筋ジストロフィーの治療
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20240903BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20240903BHJP
   C12N 15/35 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240903BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C12N15/864 100Z
C12N7/01
C12N5/10
C12N5/071
C12N15/35
A61K48/00
A61P21/00
A61K35/76
A61K31/7088
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508324
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 US2022040030
(87)【国際公開番号】W WO2023018854
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/231,720
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】521254373
【氏名又は名称】ソリッド・バイオサイエンシーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,クリスティ・ジーン
(72)【発明者】
【氏名】グリーン,ジェニファー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AA94X
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA13
4C084MA56
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA941
4C084ZA942
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA56
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA94
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA56
4C087MA66
4C087NA05
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZA94
(57)【要約】
本明細書に記載の本発明は、低減されたCpG島を有するマイクロジストロフィンをコードするコドン最適化ポリヌクレオチド、及びDMD/BMDなどの筋ジストロフィーの治療におけるその使用を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2のマイクロジストロフィンをコードするポリヌクレオチドであって、配列番号1のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、もしくは99.9%同一のヌクレオチド配列を含む、前記ポリヌクレオチド。
【請求項2】
各大文字のヌクレオチドで配列番号1と同一であるか、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20個以下の大文字のヌクレオチドだけ異なる、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
CpG島(例えば、EMBOSS Cpgplot分析に基づいて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以下のCpG島)を実質的に欠く、請求項1または2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
配列番号1と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
配列番号1と少なくとも97%同一のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
配列番号1と少なくとも99%同一のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
配列番号1のヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
配列番号1に記載のヌクレオチド配列からなる、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターゲノムであって、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含み、前記AAVベクターゲノムが、AAVカプシド内にパッケージングすることができる、前記AAVベクターゲノム。
【請求項10】
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子であって、AAVカプシドと、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含むAAVベクターゲノムと、を含み、前記AAVベクターゲノムが、前記AAVカプシド内にカプシド形成される、前記rAAV粒子。
【請求項11】
前記ポリヌクレオチドが、転写調節エレメントに作動可能に連結されている、請求項9に記載のAAVベクターゲノムまたは請求項10に記載のrAAVウイルス粒子。
【請求項12】
前記転写調節エレメントが、プロモーターを含む、請求項11に記載のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子。
【請求項13】
前記プロモーターが、筋特異的プロモーターである、請求項12に記載のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子。
【請求項14】
前記筋特異的プロモーターが、CK8プロモーター、心臓トロポニンT(cTnT)プロモーター、CK7プロモーター、CK9プロモーター、切断型MCK(tMCK)、ミオシン重鎖(MHC)プロモーター、ハイブリッドα-ミオシン重鎖エンハンサー/MCKエンハンサー-プロモーター(MHCK7)、筋特異的クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター、ヒト骨格アクチン遺伝子エレメント、心臓アクチン遺伝子エレメント、筋細胞特異的エンハンサー結合因子mef、筋肉クレアチンキナーゼ(MCK)、切断型MCK(tMCK)、ミオシン重鎖(MHC)、C5~12、マウスクレアチンキナーゼエンハンサーエレメント、骨格速収縮トロポニンc遺伝子エレメント、緩徐収縮心臓トロポニンc遺伝子エレメント、緩徐収縮トロポニンi遺伝子エレメント、低酸素誘導性核因子、ステロイド誘導性エレメント、またはグルココルチコイド応答エレメント(gre)である、請求項13に記載のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子。
【請求項15】
前記筋特異的プロモーターが、CK8プロモーターであり、任意選択で、前記CK8プロモーターが、配列番号3または4のヌクレオチド配列を含む、請求項13に記載のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子。
【請求項16】
前記ベクターゲノムが、配列番号8のポリAシグナル配列などのポリアデニル化シグナル配列を更に含む、請求項9~15のいずれか1項に記載のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子。
【請求項17】
前記ポリアデニル化シグナル配列が、SV40ポリアデニル化シグナル配列(例えば、配列番号9)、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル配列(例えば、配列番号10)、またはウサギベータグロビン(rBG)ポリアデニル化シグナル配列(例えば、配列番号11)を含む、請求項16に記載のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子。
【請求項18】
前記ベクターゲノムが、AAV2 3’ITR配列などの3’ITR配列を更に含む、請求項9~17のいずれか1項に記載のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子。
【請求項19】
前記ベクターゲノムが、AAV2 5’ITR配列などの5’ITR配列を更に含む、請求項9~18のいずれか1項に記載のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子。
【請求項20】
前記5’ITR配列及び/または前記3’ITR配列が、(1)それぞれ、配列番号12及び13を含むか、もしくはそれらであるか、または(2)それぞれ、配列番号24及び27を含むか、もしくはそれらである、請求項18または19に記載のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子。
【請求項21】
前記ベクターゲノムが、前記マイクロジストロフィンの発現を増強するイントロン及び/またはエクソン配列を更に含む、請求項9~20のいずれか1項に記載のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子。
【請求項22】
前記イントロンが、配列番号14を含む、請求項21に記載のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子。
【請求項23】
前記ベクターゲノムが、5’UTR配列及び/または3’UTR配列を更に含む、請求項9~20のいずれか1項に記載のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子。
【請求項24】
配列番号15のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%、もしくは99.9%同一のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる、請求項9~23のいずれか1項に記載のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子。
【請求項25】
前記カプシドが、SLB-101、AAV1、AAV2、AAV3A、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAVrh10、AAVrh74、AAVhu32、またはAAVhu37の血清型のものである、請求項10~24のいずれか1項に記載のrAAVウイルス粒子。
【請求項26】
前記カプシドが、SLB-101またはAAV9の血清型のものである、請求項10~24のいずれか1項に記載のrAAVウイルス粒子。
【請求項27】
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ウイルス粒子であって、SLB-101またはAAV9カプシドと、その中にカプシド形成されたベクターゲノムと、を含み、前記ベクターゲノムが、配列番号2のMD5マイクロジストロフィンをコードするポリヌクレオチド配列を含む、前記rAAVウイルス粒子。
【請求項28】
前記ポリヌクレオチド配列が、配列番号1のヌクレオチド配列を含む、請求項27に記載のrAAVウイルス粒子。
【請求項29】
前記ポリヌクレオチド配列が、配列番号1と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%同一のヌクレオチド配列を含み、各大文字のヌクレオチドで配列番号1と同一である、請求項27に記載のrAAVウイルス粒子。
【請求項30】
前記ベクターゲノムが、前記ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結された筋特異的制御エレメントを含む、請求項27~29のいずれか1項に記載のrAAVウイルス粒子。
【請求項31】
前記筋特異的制御エレメントが、配列番号3または4のヌクレオチド配列のCK8プロモーターなどのCK8プロモーターを含む、請求項30に記載のrAAVウイルス粒子。
【請求項32】
前記ベクターゲノムが、配列番号8を含むポリAシグナル配列などのポリアデニル化シグナル配列を更に含む、請求項27~31のいずれか1項に記載のAAVウイルス粒子。
【請求項33】
前記ポリアデニル化シグナル配列が、SV40ポリアデニル化シグナル配列(配列番号9)、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル配列(配列番号10)、またはウサギベータグロビン(rBG)ポリアデニル化シグナル配列(配列番号11)を含む、請求項32に記載のAAVウイルス粒子。
【請求項34】
前記ベクターゲノムが、配列番号3’ITRなどの3’ITR配列と、配列番号5’ITRなどの5’ITR配列と、を更に含む、請求項27~33のいずれか1項に記載のAAVウイルス粒子。
【請求項35】
配列番号15のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%、もしくは99.9%同一のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる、請求項27~34のいずれか1項に記載のAAVウイルス粒子。
【請求項36】
請求項1~8のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドと、請求項9~35のいずれか1項に記載のrAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項37】
静脈内、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、もしくはくも膜下腔内投与に好適であるか、またはそれ用に製剤化される、請求項36に記載の薬学的組成物。
【請求項38】
筋ジストロフィーの治療を必要とするヒトにおいて、それを行う方法であって、前記ヒトに、治療有効量の請求項1~8のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、請求項9~35のいずれか1項に記載のrAAVベクターゲノムもしくはrAAVウイルス粒子、または請求項36もしくは37に記載の薬学的組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項39】
前記筋ジストロフィーが、ジストロフィン遺伝子における変異の機能喪失を特徴とする、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記筋ジストロフィーが、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、またはX連鎖拡張型心筋症である、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
前記rAAVウイルス粒子が、約1×1012~約1×1016ベクターゲノム(vg)/kg、または約1×1013~約1×1015ベクターゲノム(vg)/kgの用量で投与される、請求項38~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
請求項1~8のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または請求項9~35のいずれか1項に記載のrAAVベクターゲノムもしくはrAAVウイルス粒子を含む、宿主細胞。
【請求項43】
HeLa細胞、Cos7細胞、HEK293細胞、A549細胞、BHK細胞、Vero細胞、RD細胞、HT-1080細胞、ARPE-19細胞、またはMRC-5細胞である、請求項42に記載の宿主細胞。
【請求項44】
前記宿主細胞が、HeLa細胞または293/293T細胞である、請求項43に記載の宿主細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月11日に出願された米国仮特許出願第63/231,720号の出願日に対する優先権及びその利益を主張するものであり、任意の図面及び配列表を含むその全体の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
筋ジストロフィー(MD)は、進行性衰弱及び筋肉量の損失を引き起こす疾患群である。筋ジストロフィーでは、異常遺伝子(変異遺伝子)は、健康な筋肉を形成するために必要な機能性の野生型タンパク質を産生しない。
【0003】
筋ジストロフィーは、罹患患者の生活の質を深刻に悪化させる。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、新生男児の5,000人に1人が罹患する最も深刻な筋肉疾患のうちの1つである。これは、ジストロフィン関連タンパク質複合体(DAPC)のメンバーをコードする遺伝子の変異に起因する最もよく特徴付けられた筋ジストロフィーである。これらのMDは、DAPCによる筋鞘-細胞骨格連結の喪失に関連する膜の脆弱性に起因する。
【0004】
具体的には、DMDはDMD遺伝子の変異によって引き起こされ、DMDのmRNAの減少、及びジストロフィン関連タンパク質複合体(DAPC)に関連する427-kDaの筋鞘タンパク質であるジストロフィンまたは機能性ジストロフィンの欠如につながる(Hoffman et al.,Cell 51(6):919-928,1987)。DAPCは、筋肉の筋鞘において、細胞外マトリックス(ECM)と細胞骨格との間に、アクチン結合タンパク質であるジストロフィン、及び、ラミニン結合タンパク質であるアルファ-ジストログリカンを介した構造的関連を形成する複数のタンパク質で構成されている。これらの構造的関連は、収縮時に筋細胞膜を安定させ、収縮による損傷を防ぐように作用する。
【0005】
DMD遺伝子突然変異の結果としてのジストロフィンの損失により、ジストロフィン糖タンパク質複合体が破壊され、筋膜の脆弱性が増加する。筋形質へのカルシウムの流入、プロテアーゼ及び炎症促進性サイトカインの活性化、ならびにミトコンドリア機能不全を含む一連の事象は、進行性の筋変性をもたらす。更に、神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)の転位は、組織虚血、酸化ストレスの増加、及び修復の障害に寄与する。疾患の進行は、筋壊死、線維化、及び脂肪組織置換の増加、ならびにその後の筋生検で見られる線維サイズの変化の程度がより大きいことによって特徴付けられる。
【0006】
現在のところ、DMDの治療法はない。標準治療としては、コルチコステロイド(プレドニゾンまたはデフラザコートなど)を投与して、筋力及び機能を安定させること、独立歩行を延長させること、ならびに脊柱側彎症及び心筋症を遅延させること、ビスホスフォネート、ならびにデノスマブ及び組換え副甲状腺ホルモンが挙げられる。
【0007】
遺伝子治療の出現により、DMD治療の研究及び臨床試験は、ジストロフィン機能を少なくとも部分的に回復させることを目的とした遺伝子置換または他の遺伝子治療に焦点を合わせている。これらには、ジストロフィン遺伝子の機能性コピー、例えば、ジストロフィンミニ遺伝子の供給、またはエクソンスキッピング及びナンセンス変異抑制による欠陥ジストロフィン遺伝子産物の修復が含まれる。
【0008】
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、複製欠損パルボウイルスであり、その一本鎖DNAゲノムは、約4.7kbの長さであり、145ヌクレオチドの末端逆位配列(ITR)を含む。
【0009】
AAVは、例えば、遺伝子治療において、外来DNAを細胞に送達するためのベクターとして魅力的な独自の機能を有する。培養細胞のAAV感染は非細胞変性であり、ヒト及び他の動物の自然感染は無症状及び無症候である。更に、AAVは多くの哺乳類細胞に感染するため、インビボで多くの異なる組織を標的にすることが可能になる。更に、AAVは、分裂が遅い細胞及び非分裂細胞への形質導入を引き起こし、基本的にそれらの細胞の生涯にわたって、転写活性のある核エピソーム(染色体外因子)として存続することができる。AAVのプロウイルスゲノムは、プラスミドにクローン化されたDNAとして感染性であり、これにより、組換えゲノムの構築が可能になる。更に、AAVの複製、ゲノムのカプシド形成、及び組み込みを指示するシグナルはAAVゲノムのITR内に含まれているため、ゲノムの内部約4.3kbの一部または全て(複製及び構造カプシドタンパク質、rep-capをコードする)は、外来DNA、例えば、プロモーター、目的のDNA、及びポリアデニル化シグナルを含む遺伝子カセットと交換され得る。rep及びcapタンパク質は、transで提供され得る。AAVの別の重要な特徴は、これが非常に安定した豊富なウイルスであるということである。アデノウイルスの不活化に使用される条件(56℃~65℃で数時間)に容易に耐えるため、AAVの低温保存はそれほど重要ではない。AAVは、凍結乾燥される場合さえある。最後に、AAVに感染した細胞は、重複感染に対して耐性はない。
【0010】
複数の研究により、筋肉では、長期(>1.5年)の組換えAAV媒介タンパク質発現が実証された。Clark et al.,Hum Gene Ther 8:659-669(1997)、Kessler et al.,Proc Nat.Acad Sc.U.S.A.93:14082-14087(1996)、及びXiao et al.,J Virol 70:8098-8108(1996)を参照されたい。また、Chao et al.,Mol Ther 2:619-623(2000)及びChao et al.,Mol Ther 4:217-222(2001)も参照されたい。更に、筋肉は、高度に血管形成されるため、組換えAAV形質導入は、Herzog et al.,Proc Natl Acad Sci U.S.A.94:5804-5809(1997)及びMurphy et al.,Proc Natl Acad Sci U.S.A.94:13921-13926(1997)に記載されるように、筋肉内注射後、体循環において導入遺伝子産物の出現をもたらした。更に、Lewis et al.,J Virol 76:8769-8775(2002)は、骨格筋線維が、正確な抗体グリコシル化、フォールディング、及び分泌に必要な細胞因子を有することを実証し、筋肉は、分泌タンパク質治療の安定発現が可能であることを実証している。
【0011】
AAV送達マイクロジストロフィン構築物の発現レベルを最適化するために、マイクロジストロフィンコード配列は、筋細胞などの標的細胞における最適な発現のために最適化され得る。しかしながら、多くの従来のコドン最適化プロセスは、不注意にコドン最適化コード配列にCpGモチーフを導入する。メチル化CpGモチーフまたはCpG島は、遺伝子発現を抑制する傾向がある一方、非メチル化CpGモチーフは、ウイルス構築物に対する高い免疫原性を誘発する傾向がある。
【発明の概要】
【0012】
本発明の一態様は、配列番号2のマイクロジストロフィンをコードするポリヌクレオチドであって、配列番号1のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、もしくは99.9%同一のヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチドを提供する。
【0013】
ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは、各大文字のヌクレオチドで配列番号1と同一であるか、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20個以下の大文字のヌクレオチドだけ異なる。
【0014】
ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは、CpG島(例えば、EMBOSS Cpgplot分析に基づいて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以下のCpG島)を実質的に欠く。
【0015】
ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号1と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0016】
ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号1と少なくとも97%同一のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0017】
ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号1と少なくとも99%同一のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0018】
ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド配列を含む。
【0019】
ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド配列からなる。
【0020】
本発明の別の態様は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターゲノムであって、本発明のポリヌクレオチドを含み、AAVベクターゲノムが、AAVカプシド内にパッケージングすることができる、AAVベクターゲノムを提供する。
【0021】
本発明の別の態様は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子であって、AAVカプシドと、本発明のポリヌクレオチドを含むAAVベクターゲノムと、を含み、AAVベクターゲノムが、AAVカプシド内にカプシド形成される、rAAV粒子を提供する。
【0022】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子において、ポリヌクレオチドは、転写調節エレメントに作動可能に連結されている。
【0023】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子において、転写調節エレメントは、プロモーターを含む。
【0024】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子において、プロモーターは、筋特異的プロモーターである。
【0025】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子において、筋特異的プロモーターは、CK8プロモーター、心臓トロポニンT(cTnT)プロモーター、CK7プロモーター、CK9プロモーター、切断型MCK(tMCK)、ミオシン重鎖(MHC)プロモーター、ハイブリッドα-ミオシン重鎖エンハンサー/MCKエンハンサー-プロモーター(MHCK7)、筋特異的クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター、ヒト骨格アクチン遺伝子エレメント、心臓アクチン遺伝子エレメント、筋細胞特異的エンハンサー結合因子mef、筋肉クレアチンキナーゼ(MCK)、切断型MCK(tMCK)、ミオシン重鎖(MHC)、C5~12、マウスクレアチンキナーゼエンハンサーエレメント、骨格速収縮トロポニンc遺伝子エレメント、緩徐収縮心臓トロポニンc遺伝子エレメント、緩徐収縮トロポニンi遺伝子エレメント、低酸素誘導性核因子、ステロイド誘導性エレメント、またはグルココルチコイド応答エレメント(gre)である。
【0026】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子において、筋特異的プロモーターは、CK8プロモーターであり、任意選択で、該CK8プロモーターは、配列番号3または4のヌクレオチド配列を含む。
【0027】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子において、ベクターゲノムは、ポリアデニル化シグナル配列、例えば、配列番号8のポリAシグナル配列を更に含む。
【0028】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子において、ポリアデニル化シグナル配列は、SV40ポリアデニル化シグナル配列(例えば、配列番号9)、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル配列(例えば、配列番号10)、またはウサギベータグロビン(rBG)ポリアデニル化シグナル配列(例えば、配列番号11)を含む。
【0029】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子において、ベクターゲノムは、3’ITR配列、例えば、AAV2 3’ITR配列を更に含む。
【0030】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子において、ベクターゲノムは、5’ITR配列、例えば、AAV2 5’ITR配列を更に含む。
【0031】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子において、5’ITR配列及び/または3’ITR配列は、それぞれ、配列番号12及び13を含むか、またはそれらである。
【0032】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子において、ベクターゲノムは、マイクロジストロフィンの発現を増強するイントロン及び/またはエクソン配列を更に含む。
【0033】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子において、イントロンは、配列番号14を含む。
【0034】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子において、ベクターゲノムは、5’UTR配列及び/または3’UTR配列を更に含む。
【0035】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子は、配列番号15のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%、もしくは99.9%同一のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0036】
ある特定の実施形態において、ウイルス粒子のカプシドは、SLB-101、AAV1、AAV2、AAV3A、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAVrh10、AAVrh74、AAVhu32、またはAAVhu37の血清型のものである。
【0037】
ある特定の実施形態において、カプシドは、SLB-101またはAAV9の血清型のものである。
【0038】
本発明の別の態様は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ウイルス粒子であって、SLB-101またはAAV9カプシドと、その中にカプシド形成されたベクターゲノムと、を含み、該ベクターゲノムが、配列番号2のMD5マイクロジストロフィンをコードするポリヌクレオチド配列を含む、rAAVウイルス粒子を提供する。
【0039】
ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド配列を含む。
【0040】
ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、配列番号1と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%同一のヌクレオチド配列を含み、各大文字のヌクレオチドで配列番号1と同一である。
【0041】
ある特定の実施形態において、ベクターゲノムは、ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結された筋特異的制御エレメントを含む。
【0042】
ある特定の実施形態において、筋特異的制御エレメントは、配列番号3または4のヌクレオチド配列のCK8プロモーターなどのCK8プロモーターを含む。
【0043】
ある特定の実施形態において、ベクターゲノムは、配列番号8を含むポリAシグナル配列などのポリアデニル化シグナル配列を更に含む。
【0044】
ある特定の実施形態において、ポリアデニル化シグナル配列は、SV40ポリアデニル化シグナル配列(配列番号9)、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル配列(配列番号10)、またはウサギベータグロビン(rBG)ポリアデニル化シグナル配列(配列番号11)を含む。
【0045】
ある特定の実施形態において、ベクターゲノムは、配列番号3’ITRなどの3’ITR配列と、配列番号5’ITRなどの5’ITR配列と、を更に含む。
【0046】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVウイルス粒子は、配列番号15のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%、もしくは99.9%同一のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0047】
本発明の別の態様は、本発明のポリヌクレオチドと、本発明のrAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。
【0048】
ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、静脈内、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、もしくはくも膜下腔内投与に好適であるか、またはそれ用に製剤化される。
【0049】
本発明の別の態様は、筋ジストロフィーの治療を必要とするヒトにおいて、それを行う方法であって、ヒトに、治療有効量の本発明のポリヌクレオチド、本発明のrAAVベクターゲノムもしくはrAAVウイルス粒子、または本発明の薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0050】
ある特定の実施形態において、筋ジストロフィーは、ジストロフィン遺伝子における変異の機能喪失を特徴とする。
【0051】
ある特定の実施形態において、筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、またはX連鎖拡張型心筋症である。
【0052】
ある特定の実施形態において、rAAVウイルス粒子は、約1×1012~約1×1016ベクターゲノム(vg)/kg、または約1×1013~約1×1015ベクターゲノム(vg)/kgの用量で投与される。
【0053】
本発明の別の態様は、本発明のポリヌクレオチド、または本発明のrAAVベクターゲノムもしくはrAAVウイルス粒子を含む宿主細胞を提供する。
【0054】
ある特定の実施形態において、宿主細胞は、HeLa細胞、Cos7細胞、HEK293細胞、A549細胞、BHK細胞、Vero細胞、RD細胞、HT-1080細胞、ARPE-19細胞、またはMRC-5細胞である。
【0055】
ある特定の実施形態において、宿主細胞は、HeLa細胞または293/293T細胞である。
【0056】
本明細書に記載の本発明の任意の一実施形態は、例にのみ記載されるか、または上記もしくは以下のセクションのうちの1つにのみ記載されるそれらの実施形態を含む本発明の任意の1つ以上の追加の実施形態、あるいは本発明の一態様と組み合わせることができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】配列番号2をコードする天然(コドン最適化されていない)ヒトマイクロジストロフィンコード配列について、EMBOSS Cpgplotオンラインツールから出力された結果を示す。オンラインツールによって1つのCpG島が特定された。選択されたパラメータ:ウィンドウサイズ=100、最小長=100、最小観測値=0.6、最小パーセンテージ=50。
図2】配列番号2をコードする第1のコドン最適化ヒトマイクロジストロフィンコード配列について、EMBOSS Cpgplotオンラインツールから出力された結果を示す。オンラインツールによって9つのCpG島が特定された。コドン最適化を、Gene Artを使用して行った。選択されたパラメータ:ウィンドウサイズ=100、最小長=100、最小観測値=0.6、最小パーセンテージ=50。
図3】配列番号2をコードする第1のコドン最適化ヒトマイクロジストロフィンコード配列において9つの特定されたCpG島を除去することから生じる、配列番号1についてのEMBOSS Cpgplotオンラインツールから出力された結果を示す。オンラインツールによってCpG島は特定されなかった。選択されたパラメータ:ウィンドウサイズ=100、最小長=100、最小観測値=0.6、最小パーセンテージ=50。
図4】配列番号2をコードする第2のコドン最適化ヒトマイクロジストロフィンコード配列について、EMBOSS Cpgplotオンラインツールから出力された結果を示す。オンラインツールによって4つのCpG島が特定された。コドン最適化は、GenScriptを使用して行った。選択されたパラメータ:ウィンドウサイズ=100、最小長=100、最小観測値=0.6、最小パーセンテージ=50。
図5】配列番号2をコードする第3のコドン最適化ヒトマイクロジストロフィンコード配列について、EMBOSS Cpgplotオンラインツールから出力された結果を示す。オンラインツールによって11のCpG島が特定された。コドン最適化は、DNA2.0を使用して行った。選択されたパラメータ:ウィンドウサイズ=100、最小長=100、最小観測値=0.6、最小パーセンテージ=50。
図6】配列番号2をコードする第4のコドン最適化ヒトマイクロジストロフィンコード配列について、EMBOSS Cpgplotオンラインツールから出力された結果を示す。オンラインツールによって10のCpG島が特定された。コドン最適化は、第1のコドン最適化ヒトマイクロジストロフィンコード配列(Gene Artによって最適化されたコドン)を入力として使用して、DNA2.0を使用して行った。選択されたパラメータ:ウィンドウサイズ=100、最小長=100、最小観測値=0.6、最小パーセンテージ=50。したがって、異なる方法を使用した連続コドン最適化ラウンドは、CpG島を排除しなかった。
図7】実施例2に記載したTLR9アッセイの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
1.概要
本明細書に記載の本発明は、ある特定のコドン最適化マイクロジストロフィンコード配列のCpG島が低減された、または実質的に排除されたバージョン、ならびに望ましくない宿主免疫及び/または発現サイレンシングを誘発するリスクを最小限に抑えたその使用を提供する。
【0059】
本発明は、哺乳類細胞における最適な発現のために最適化されたある特定のコドン最適化配列が、不注意にCpGモチーフまたはCpG島を導入し、そのようなCpGモチーフが、コドン最適化に起因する増強された発現を実質的に維持しながら、望ましくない宿主免疫応答を誘発することを回避するために実質的に低減または排除され得るという発見に部分的に基づいている。
【0060】
CpGモチーフは、シトシン三リン酸デオキシヌクレオチド(「C」)、続いてグアニン三リン酸デオキシヌクレオチド(「G」)を含む。間の「p」は、連続したヌクレオチド間のホスホジエステル結合を指す。これらのCpGモチーフがメチル化される場合、それらは、メチル化されたCpGモチーフを含むかまたはそれに隣接するコード配列からの発現を抑制し得る。他方では、CpGモチーフが非メチル化されている場合、それらは、望ましくない宿主免疫応答を誘導し得る免疫刺激剤として作用し得る。
【0061】
CpGモチーフは、微生物ゲノム中に存在するが、脊椎動物ゲノム中では希少であるため、病原体関連分子パターン(PAMP)とみなされる。CpG PAMPは、ヒト及び他の高等霊長類のB細胞及び形質細胞様樹状細胞(pDC)においてのみ構成的に発現されるパターン認識受容体(PRR)Toll様受容体9(TLR9)によって認識される。非メチル化CpGモチーフによるTLR9の結合及び活性化は、非臨床モデルにおけるAAVベクターに対するCTL応答を促進する。非メチル化CpGを含むポリヌクレオチドは、強い細胞免疫応答を刺激するためにワクチン開発におけるアジュバントとして使用されている。一方、異なるコドン修飾戦略を使用する多くの遺伝子療法試験は、それぞれのオープンリーディングフレーム(ORF)において広範囲のCpG含有量(野生型の0~5倍)をもたらし、低いCpG含有量と長期発現との間に強い相関が見出されている。
【0062】
CpG二量体の数及び位置の変動を伴う多数の配列、ならびにCpG二量体に隣接する正確な塩基配列がTLR 9を刺激することが示されている。その結果、CpGモチーフは、その配列、二次構造、及びヒト末梢血単核細胞(PBMC)への影響に基づいて、およそ5つのクラスまたはカテゴリーに分類することができる。
【0063】
例えば、合成オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)を使用して、ODNを含むクラスAのCpGモチーフは、(1)5’末端、3’末端、またはその両方におけるポリG配列の存在、(2)内部回文配列、(3)内部回文内に含まれるGCジヌクレオチド、及び(4)部分的にPS修飾された骨格、の構造的特徴を有する。このクラスのODNは大量のI型インターフェロン(最も重要なものはIFNαである)の産生を刺激し、形質細胞様樹状細胞の成熟を誘導する。クラスAのODNはまた、間接サイトカインシグナル伝達を介したNK細胞の強力な活性化因子である。
【0064】
対照的に、ODNを含むクラスB CpGモチーフは、以下の構造的特徴:(1)1つ以上の6量体CpGモチーフ5’-Pu Py C G Py Pu-3’、(2)完全にホスホロチオエート化された(PS修飾された)骨格、及び(3)一般的に18~28ヌクレオチド長、を有する。クラスBのODN(すなわち、ODN 2007)は、ヒトB細胞及び単球成熟の強力な刺激物質である。これらはまた、pDCの成熟を刺激するが、クラスAのODN及び非常に少量のIFNαよりも程度が低い。
【0065】
宿主に様々な免疫応答を引き起こす可能性のある異なるクラスのCpGモチーフの存在を予測するための、当業者に既知のソフトウェアまたはオンラインツールがある。例えば、EMBOSS Cpgplotは、入力ヌクレオチド配列を必要とするURL ebi.ac.uk/Tools/seqstats/emboss_cpgplotのオンラインツールである。典型的なパラメータは、約100ntのウィンドウサイズ、約200ntの最小長(いくつかの実施形態では、例えば100に調整することができる)、約0.6の最小観測値、及び約50の最小パーセンテージ(%)を含む。リターンには、推定されるCpG島またはその欠如を含むいくつかの結果が含まれる。
【0066】
配列番号2のマイクロジストロフィンをコードするコドン最適化ポリヌクレオチドを検査することによって、配列番号2をコードする結果として生じる配列の能力を維持しながら、多数の潜在的なCpGモチーフを特定し、手動で排除した。
【0067】
本発明の1つの例示的なポリヌクレオチドは、以下のセクションに記載されるように、多数のそのようなヌクレオチド配列の変化を、以下に記載するように「大文字のヌクレオチド」として含む。そのような大文字のヌクレオチドの収集は、任意のCpGモチーフの影響を低減するために、配列番号1におけるヌクレオチド配列変化のシグネチャーを構成する。同じシグネチャー変化を含む本発明の他のポリヌクレオチドは、それらが多数の他のヌクレオチドにおいて配列番号1と異なる、例えば、約70%の配列同一性まで異なるにもかかわらず、依然として、コドン縮重により、配列番号2をコードすることができる。
【0068】
したがって、一態様において、本発明は、配列番号2のマイクロジストロフィンをコードするポリヌクレオチドであって、配列番号1のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、もしくは99.9%同一のヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチドを提供する。
【0069】
ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、各大文字のヌクレオチドで配列番号1と同一であるか、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20個以下の大文字のヌクレオチドだけ異なる。
【0070】
ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、CpG島、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以下のCpG島を実質的に欠く。CpGモチーフまたは島の有無は、EMBOSS Cpgplotオンラインツールなどの当該技術分野で認識されているソフトウェアを使用して、ポリヌクレオチド配列に基づいて予測することができる。
【0071】
ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0072】
ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1と少なくとも97%同一のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0073】
ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1と少なくとも99%同一のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0074】
ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0075】
本発明の別の態様は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターゲノムであって、本発明のポリヌクレオチドを含み、AAVベクターゲノムが、AAVカプシド内にパッケージングすることができる、AAVベクターゲノムを提供する。
【0076】
本発明の別の態様は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子であって、AAVカプシドと、本発明のポリヌクレオチドを含むAAVベクターゲノムと、を含み、AAVベクターゲノムが、AAVカプシド内にカプシド形成される、rAAV粒子を提供する。
【0077】
ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは、転写調節エレメントに作動可能に連結されている。ある特定の実施形態において、転写調節エレメントは、プロモーター、例えば、構成的プロモーター、または筋特異的プロモーターを含む。
【0078】
CK8プロモーター、心臓トロポニンT(cTnT)プロモーター、CK7プロモーター、CK9プロモーター、切断型MCK(tMCK)、ミオシン重鎖(MHC)プロモーター、ハイブリッドα-ミオシン重鎖エンハンサー/MCKエンハンサー-プロモーター(MHCK7)、筋特異的クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター、ヒト骨格アクチン遺伝子エレメント、心臓アクチン遺伝子エレメント、筋細胞特異的エンハンサー結合因子mef、筋肉クレアチンキナーゼ(MCK)、切断型MCK(tMCK)、ミオシン重鎖(MHC)、C5~12、マウスクレアチンキナーゼエンハンサーエレメント、骨格速収縮トロポニンc遺伝子エレメント、緩徐収縮心臓トロポニンc遺伝子エレメント、緩徐収縮トロポニンi遺伝子エレメント、低酸素誘導性核因子、ステロイド誘導性エレメント、またはグルココルチコイド応答エレメント(gre)を含むがこれらに限定されない、多数の筋特異的プロモーターを使用して、本発明のCpG低減コドン最適化ポリヌクレオチドを発現させることができる。
【0079】
ある特定の実施形態において、筋特異的プロモーターは、CK8プロモーターである。
【0080】
ある特定の実施形態において、CK8プロモーターは、配列番号3のヌクレオチド配列を含む。
【0081】
ある特定の実施形態において、CK8プロモーターは、追加のエンハンサーエレメントを含む修飾されたCK8プロモーターである。ある特定の実施形態において、修飾されたCK8プロモーターは、配列番号6(基底CK8プロモーター、配列番号3のCK8プロモーターの269bp断片)、ならびに5’末端に130bpエンハンサー(配列番号5)の1つの追加のコピーを含む。ある特定の実施形態において、修飾されたCK8プロモーターは、配列番号4のヌクレオチド配列を含むCK8eプロモーターである。
【0082】
ある特定の実施形態において、ベクターゲノムは、ポリアデニル化シグナル配列を更に含む。
【0083】
ある特定の実施形態において、ポリAシグナル配列は、配列番号8を含む。
【0084】
ある特定の実施形態において、ポリAシグナル配列は、SV40ポリアデニル化シグナル配列(例えば、配列番号9)を含む。
【0085】
ある特定の実施形態において、ポリAシグナル配列は、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル配列(例えば、配列番号10)を含む。
【0086】
ある特定の実施形態において、ポリAシグナル配列は、ウサギベータグロビン(rBG)ポリアデニル化シグナル配列(例えば、配列番号11)を含む。
【0087】
ある特定の実施形態において、ベクターゲノムは、3’ITR配列を更に含む。ITR配列は、AAV2 3’ITR配列などの任意のAAVからであり得る。
【0088】
ある特定の実施形態において、ベクターゲノムは、5’ITR配列を更に含む。ITR配列は、AAV2 5’ITR配列などの任意のAAVからであり得る。
【0089】
ある特定の実施形態において、ベクターゲノムは、5’ITR配列及び3’ITR配列を更に含む。ITR配列は、AAV2 5’及び3’ITR配列などの任意のAAVからであり得る。
【0090】
逆位末端反復(ITR)配列は、ウイルスDNA複製の開始及びアデノ随伴ウイルスゲノムの環化に重要である。ITR配列内では、二次構造(例えば、回文配列によって形成されるステム及びループ)は、ウイルス複製及び/またはパッケージングにおいて重要な1つ以上のITR機能である。そのような配列エレメントとしては、RBE配列(Rep結合エレメント)、RBE’配列、及びTRS(末端分解配列)が挙げられる。
【0091】
ある特定の実施形態において、5’及び/または3’ITR配列は、野生型配列である。
【0092】
ある特定の実施形態において、5’及び/または3’ITR配列は、修飾されたITR配列である。例えば、野生型ITR配列の最も5’末端または最も3’末端は欠失し得る。欠失は、最大18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1ヌクレオチドであり得る。
【0093】
ある特定の実施形態において、野生型AAV2 ITR配列の最も5’末端のヌクレオチドの最大15(例えば、正確に15)ヌクレオチド、及び/または最も3’末端のヌクレオチドの最大15(例えば、正確に15)ヌクレオチドが欠失してもよい。
【0094】
したがって、5’及び/または3’修飾されたITR(複数可)は、145ntの野生型AAV ITR配列の最大144、143、142、141、140、139、138、137、136、135、134、133、132、131、130、129、128、または127nt(130ヌクレオチドなど)を含み得る。
【0095】
ある特定の実施形態において、修飾されたITR配列は、RBE配列、RBE’配列、及び/またはwt ITR配列のTRSを含む。
【0096】
ある特定の実施形態において、修飾されたITR配列は、RBE配列及びRBE’配列の両方を含む。
【0097】
ある特定の実施形態において、修飾されたITR配列は、プラスミド産生中の安定性など、細菌中のAAVベクターゲノム(以下を参照されたい)を含む本発明のプラスミドの安定性を付与する。
【0098】
ある特定の実施形態において、修飾されたITRは、AAVベクターゲノムを含む本発明のプラスミドの配列決定の検証を妨げない。
【0099】
ある特定の実施形態において、修飾された5’ITR配列は、野生型AAV5’ITR配列の一部ではない5’異種配列を含む。ある特定の実施形態において、修飾された3’ITR配列は、野生型AAV3’ITR配列の一部ではない3’異種配列を含む。
【0100】
ある特定の実施形態において、修飾された5’ITR配列は、野生型AAV(例えば、wt AAV2)5’ITR配列の一部ではない5’異種配列を含み、修飾された3’ITR配列は、野生型AAV(例えば、wt AAV2)3’ITR配列の一部ではない3’異種配列を含み、5’異種配列及び3’異種配列は、互いに相補的である。
【0101】
ある特定の実施形態において、5’異種配列及び3’異種配列はそれぞれ、Sse8387Iの認識配列(CCTGCAGG)、またはPacIの認識配列(TTAATTAA)などのII型制限エンドヌクレアーゼ認識配列を含む。
【0102】
ある特定の実施形態において、5’異種配列は、CCTGCAGGCAG(配列番号19)を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、3’異種配列は、配列番号19の逆相補体を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0103】
ある特定の実施形態において、5’異種配列は、TTAATTAAGG(配列番号22)を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、3’異種配列は、配列番号22の逆相補体を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0104】
ある特定の実施形態において、5’ITR及び3’ITRは、両方ともフリップITRである。
【0105】
ある特定の実施形態において、5’ITR及び3’ITRは、両方ともフロップITRである。
【0106】
ある特定の実施形態において、5’ITR及び3’ITRは、独立して、フリップまたはフロップITRである。
【0107】
ある特定の実施形態において、5’ITRはフリップITRであり、3’ITRはフロップITRである。
【0108】
ある特定の実施形態において、5’ITRはフロップITRであり、3’ITRはフリップITRである。
【0109】
ある特定の実施形態において、5’ITRはフリップITRであり、3’ITRはフリップITRである。
【0110】
ある特定の実施形態において、5’ITRは、フロップITRであり、3’ITRはフロップITRである。
【0111】
本明細書で使用される場合、5’フリップITRは、B:B’セグメントがC:C’セグメントよりも5’末端に近い。3’フリップITRは、B:B’セグメントがC:C’セグメントよりも3’末端に近い。5’フロップITRは、C:C’セグメントがB:B’セグメントよりも5’末端に近い。3’フロップITRは、C:C’セグメントがB:B’セグメントよりも3’末端に近い。
【0112】
ある特定の実施形態において、修飾された5’ITR及び修飾された3’ITRは両方ともフロップITRであり、修飾された5’ITRは、野生型AAV2 5’ITR配列(配列番号19または22など)の一部ではない5’異種配列を含み、修飾された3’ITR配列は、野生型AAV2 3’ITR配列の一部ではない3’異種配列を含み、5’異種配列及び3’異種配列は互いに相補的であり、各々が、Sse8387IまたはPacIの認識配列などのII型制限エンドヌクレアーゼ認識配列を含み、任意選択で、該修飾された5’ITR配列は、11nt欠失AAAGCCCGGGC(配列番号23)などのC:C’セグメントにおいて欠失を更に含む。
【0113】
ある特定の実施形態において、5’ITRは、配列番号12を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
CTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCAAAGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCT(配列番号12)
【0114】
ある特定の実施形態において、5’ITRは、配列番号24を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
CCTGCAGGCAGCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCAAAGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCT(配列番号24)
【0115】
ある特定の実施形態において、5’ITRは、配列番号25を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
CCTGCAGGCAGCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCT(配列番号25)
【0116】
ある特定の実施形態において、5’ITRは、配列番号26を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
TTAATTAAGGCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCAAAGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCT(配列番号26)
【0117】
ある特定の実施形態において、3’ITRは、配列番号13を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
AGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAG(配列番号13)
【0118】
ある特定の実施形態において、3’ITRは、配列番号27を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
AGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGCTGCCTGCAGG(配列番号27)
【0119】
ある特定の実施形態において、3’ITRは、配列番号28を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
AGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGCCTTAATTAA(配列番号28)
【0120】
ある特定の実施形態において、5’ITR配列は、配列番号12であるか、または配列番号12を含み、3’ITR配列は、配列番号13であるか、または配列番号13を含む。
【0121】
ある特定の実施形態において、5’ITR配列は、配列番号24であるか、または配列番号24を含み、3’ITR配列は、配列番号27であるか、または配列番号27を含む。
【0122】
ある特定の実施形態において、5’ITRは、145ntのwt AAV2 5’ITRの最も3’ヌクレオチドの最大141nt(例えば、145ntのwt AAV2 5’ITRの最も5 ’末端の4個以上の欠失)を含む。
【0123】
ある特定の実施形態において、5’ITRは、145ntのwt AAV2 5’ITRの最も3’ヌクレオチドの最大130nt(例えば、145ntのwt AAV2 5’ITRの最も5’末端の15個以上の欠失)を含む。
【0124】
ある特定の実施形態において、3’ITRは、145ntのwt AAV2 3’ITRの最も5’ヌクレオチドの最大141nt(例えば、145ntのwt AAV2 3’ITRの最も3’末端の4個以上の欠失)を含む。
【0125】
ある特定の実施形態において、3’ITRは、145ntのwt AAV2 3’ITRの最も5’ヌクレオチドの最大130nt(例えば、145ntのwt AAV2 3’ITRの最も3’末端の15個以上の欠失)を含む。
【0126】
ある特定の実施形態において、5’及び3’ITR配列は、トリプルトランスフェクションに基づく哺乳類細胞におけるAAV産生に適合する。
【0127】
ある特定の実施形態において、5’及び3’ITR配列は、バキュロウイルスベクターに基づく昆虫細胞(例えば、Sf9)におけるAAV産生に適合する(以下を参照されたい)。
【0128】
ある特定の実施形態において、5’及び3’ITR配列は、HSVベクターに基づく哺乳類細胞におけるAAV産生に適合する(以下を参照されたい)。
【0129】
ある特定の実施形態において、ベクターゲノムは、マイクロジストロフィンの発現を増強するイントロン及び/またはエクソン配列を更に含む。ある特定の実施形態において、イントロン/エクソンは、マイクロジストロフィンの発現を最大2~10倍増加させる。
【0130】
ある特定の実施形態において、イントロンは、β-グロビンスプライスドナー/IgGスプライスアクセプターキメライントロンの配列を含む(例えば、Promega pCMVTnTベクター(カタログ番号L5620)におけるキメライントロンを参照されたい)。
【0131】
ある特定の実施形態において、イントロンは、配列番号14を含む。
gtatcaaggttacaagacaggtttaaggagaccaatagaaactgggcttgtcgagacagagaagactcttgcgtttctgataggcacctattggtcttactgacatccactttgcctttctctccacag(配列番号14)
【0132】
ある特定の実施形態において、プロモーターは、発現を増強する48bp(配列番号7)または50bp(配列番号8)のMCK UTRエクソン配列を含むCK8eプロモーター(以下)である。
【0133】
ある特定の実施形態において、ベクターゲノムは、マイクロジストロフィンの発現を潜在的に増強するイントロン及び/またはエクソン配列を含まない。イントロン/エクソン配列を排除することは、パッケージング効率を改善し、他の配列エレメントのパッケージング容量を増加させ得る。
【0134】
ある特定の実施形態において、ベクターゲノムは、5’UTR配列及び/または3’UTR配列を更に含む。
【0135】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子は、5’から3’まで、以下の配列エレメント:(1)5’ITR(野生型または修飾されたAAV2 5’ITRなど、例えば、145ntの野生型AAV2 5’ITR、または141ntの修飾されたAAV2 5’ITR(配列番号12など))、(2)筋特異的プロモーター(CK8プロモーター(例えば、配列番号3)または本明細書に記載されるCK8eなどの修飾されたCK8タンパク質(配列番号4)など)、(3)本発明のCpG低減/排除されたコドン最適化ポリヌクレオチドのうちのいずれか1つ(配列番号1またはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、または99.9%と同一であるヌクレオチド配列など)、(4)ポリAシグナル配列(配列番号8~11のうちのいずれか1つなど)、及び(5)3’ITR(野生型または修飾されたAAV2 3’ITRなど、例えば、145ntの野生型AAV2 3’ITR、または141ntの修飾されたAAV2 3’ITR(配列番号13など))、またはAAVベクターゲノムと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%、もしくは99.9%同一であるヌクレオチド配列、を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。任意選択で、(3)の直前に、ATG開始コドンのすぐ5’にACCを含むKOZAK配列が存在する。
【0136】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子は、5’から3’まで、以下の配列エレメント:(1)5’ITR(配列番号12など)、(2)CK8プロモーター(例えば、配列番号3)、(3)本発明のCpG低減/排除されたコドン最適化ポリヌクレオチドのうちのいずれか1つ(配列番号1など)、(4)ポリAシグナル配列(配列番号8など)、及び(5)3’ITR(配列番号13など)、またはAAVベクターゲノムと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%、もしくは99.9%同一のヌクレオチド配列、を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。任意選択で、(3)の直前に、ATG開始コドンのすぐ5’にACCを含むKOZAK配列が存在する。
【0137】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子は、配列番号15のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%、もしくは99.9%同一のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0138】
ある特定の実施形態において、本発明のrAAVウイルス粒子は、SLB-101、AAV1、AAV2、AAV3A、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAVrh10、AAVrh74、AAVhu32、またはAAVhu37の血清型のカプシドを含む。
【0139】
ある特定の実施形態において、血清型は、SLB-101(例えば、VP1カプシド配列は配列番号21である)またはAAV9(例えば、VP1カプシド配列は配列番号20である)である。
【0140】
本発明の別の態様は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ウイルス粒子であって、SLB-101またはAAV9カプシドと、その中にカプシド形成されたベクターゲノムと、を含み、該ベクターゲノムが、配列番号2のMD5マイクロジストロフィンをコードするポリヌクレオチド配列を含む、rAAVウイルス粒子を提供する。
【0141】
ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、もしくは99.9%同一のヌクレオチド配列を含む。
【0142】
ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、配列番号1と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%同一のヌクレオチド配列を含み、各大文字のヌクレオチドで配列番号1と同一であるか、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20個以下の大文字のヌクレオチドだけ異なる。
【0143】
ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、CpG島(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以下のCpG島)を実質的に欠く。
【0144】
ある特定の実施形態において、ベクターゲノムは、ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結された筋特異的制御エレメントを含む。
【0145】
ある特定の実施形態において、筋特異的制御エレメントは、配列番号3または4のヌクレオチド配列のCK8プロモーターなどのCK8プロモーターを含む。
【0146】
ある特定の実施形態において、ベクターゲノムは、配列番号8~11のうちのいずか1つなどのポリアデニル化シグナル配列を更に含む。
【0147】
ある特定の実施形態において、ベクターゲノムは、配列番号13などの3’ITR配列と、配列番号12などの5’ITR配列と、を更に含む。
【0148】
本発明の別の態様は、本発明のポリヌクレオチドと、本発明のrAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。
【0149】
ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、静脈内、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、もしくはくも膜下腔内投与に好適であるか、またはそれ用に製剤化される。
【0150】
本発明の別の態様は、筋ジストロフィーの治療を必要とするヒトにおいて、それを行う方法であって、ヒトに、治療有効量の本発明のポリヌクレオチド、本発明のrAAVベクターゲノムもしくはrAAVウイルス粒子、または本発明の薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0151】
ある特定の実施形態において、筋ジストロフィーは、ジストロフィン遺伝子における変異の機能喪失を特徴とする。
【0152】
ある特定の実施形態において、筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、またはX連鎖拡張型心筋症である。
【0153】
ある特定の実施形態において、rAAVウイルス粒子は、約1×1012~約1×1016ベクターゲノム(vg)/kg、または約1×1013~約1×1015ベクターゲノム(vg)/kgの用量で投与される。
【0154】
本発明の別の態様は、本発明のポリヌクレオチド、または本発明のrAAVベクターゲノムもしくはrAAVウイルス粒子を含む宿主細胞を提供する。
【0155】
ある特定の実施形態において、宿主細胞は、HeLa細胞、Cos7細胞、HEK293細胞、A549細胞、BHK細胞、Vero細胞、RD細胞、HT-1080細胞、ARPE-19細胞、またはMRC-5細胞である。
【0156】
ある特定の実施形態において、宿主細胞は、HeLa細胞または293/293T細胞である。
【0157】
本発明を上で一般的に説明したが、以下のセクションは、本発明の特定の態様についてより詳細な説明を提供する。したがって、実施例または特許請求の範囲にのみ記載されるものを含む、本明細書に記載の任意の一実施形態は、明示的に否認されるか、または不適切でない限り、本発明の任意の1つ以上の追加の実施形態と組み合わせることができる。
【0158】
2.CpGコンドン最適化ポリヌクレオチドコードマイクロジストロフィンAAVベクターゲノム
一態様において、本明細書に記載の本発明は、配列番号2のマイクロジストロフィンタンパク質をコードし、CpG部位/島の数が低減しているか、またはCpG島を実質的に排除している、配列番号1などのコドン最適化ポリヌクレオチド配列を提供する。配列番号1のポリヌクレオチド配列及び配列番号2のタンパク質配列を以下に提供する。
atgctgtggtgggaggaagtggaagattgctacgagcgcgaggacgtgcagaagaaaaccttcaccaaatgggtcaacgcccagttcagcaagttcggcaagcagcacatcgagaacctgttcagcgacctgcaggacggcagacggctgctggatctgctggaaggcctgaccggacagaagctgcccaaagagaagggcagcaccagagtgcacgccctgaacaacgtgaacaaggccctgcgggtgctgcagaacaacaaTgtggacctGgtgaacatTggcagcacAgacatTgtggaTggcaaccacaagctgaccctgggcctgatctggaacatcatcctgcactggcaagtgaagaacgtgatgaagaacatcatggccggcctgcagcagaccaacagcgagaagatcctgctgagctgggtgcgccagagcaccagaaactacccccaagtgaacgtgatcaacttcaccacctcttggagcgacggcctggccctgaatgccctgatccacagccacagacccgacctgttTgactggaacagTgtGgtgtgtcagcagagcgccacccagaggctggaacacgccttcaatatcgccagataccagctgggcatTgagaagctgctggaccccgaggatgtggacaccacctaccccgacaagaaatccatcctgatgtatatcaccagcctgttccaggtgctgcctcagcaggtgtccatcgaggccatccaggaagtggaaatgctgcccagaccccccaaagtgaccaaagaggaacacttccagctgcaccaccagatgcactactctcagcagatcaccgtgtccctggcccagggctacgagagaaccagcagccccaagccccggttcaagagctacgcctatacccaggccgcctacgtgaccaccagcgaccctaccagaagcccattccccagccagcatctggaagcccccgaggacaagagcttcggcagcagcctgatggaaagcgaagtgaacctggatagataccagaccgccctggaagaggtgctgtcctggctgctgagcgccgaggatacactgcaggctcagggcgagatcagcaaTgaTgtggaagtGgtgaaggaccagttccacacccacgagggctacatgatggacctgacagcccaccagggcagagtgggcaacattctgcagctgggctccaagctgatcggcaccggcaagctgagcgaggacgaagagacagaggtgcaggaacagatgaacctgctgaacagcagatgggagtgcctgagagtggccagcatggaaaagcagagcaacctgcacagctacgtgcccagcacctacctgaccgagatcacccatgtgtcccaggccctgctggaagtggaacagctgctgaacgcccccgatctgtgcgccaaggacttcgaggatctgttcaagcaggaagagagcctgaagaatatcaaggactctctgcagcagtccagcggcagaatcgacatcatccacagcaagaaaacagccgccctgcagtccgccacccccgtggaaagagtgaagctgcaggaagccctgtcccagctggacttccagtgggagaaagtgaacaagatgtacaaggaccggcagggcagattTgaccgcagTgtggaaaagtggAggAggttccactacgacatcaagatcttcaaccagtggctgacAgaggccgagcagttcctgagaaagacccagatccccgagaactgggagcacgccaagtacaagtggtatctgaaagaactgcaggatggcatTggccagagacagacAgtGgtgcggacactgaatgccaccggcgaggaaatcatccagcagagcagcaagaccgacgccagtattctgcaggaaaagctgggcagcctgaacctgagatggcaggaagtgtgcaagcagctgtccgaccggaagaagagactggaagaacagagTgaccagtggaagcggctgcatctgtcactgcaggaactgctGgtgtggctgcagctgaaggaTgaTgagctgagcagacaggcccctatTggcggcgattttcccgcAgtgcagaaacagaacgaTgtgcaccgggccttcaagagagagctgaaaacaaaagaaccAgtgatcatgagcaccctggaaacAgtgcggatctttctgaccgagcagcccctggaaggactggaaaaactgtaccaggaacccagagagctgccccctgaagaacgggcccagaacgtgaccagactgctgAggaagcaggccgaggaagtgaacacAgaatgggagaagctgaacctgcactcTgcTgactggcagAggaagatTgaTgagacactggaacggctgcaggaactgcaggaggccacAgacgagctggacctgaaactgagacaggccgaagtgatcaagggcagctggcagccagtgggcgacctgctgatcgacagcctgcaggatcacctggaaaaagtgaaagccctgagaggcgagatTgcccccctgaaagaaaaTgtgtcccaTgtgaacgacctggcccggcagctgacaacactgggcatccagctgagcccctacaacctgtccacactggaagatctgaacacccggtggaaactgctgcaggtggccgtggaagatagagtgcggcagctgcacgaggcccacagagattttggccctgcctcccagcacttcctgagcacatctgtgcagggcccctgggagagagccatctcccccaacaaggtgccctactacatcaaccacgagacacagaccacctgttgggaccaccccaagatgacAgagctgtaccagagcctggccgacctgaacaatgtgAggttcagTgcctacAggaccgccatgaagctgcggagactgcagaaagctctgtgcctggacctgctgtccctgtccgccgcttgtgatgccctggaccagcacaacctgaagcagaacgaccagcccatggatatcctgcagatcatcaactgcctgaccaccatctacgaccgcctggaacaggaacacaacaacctGgtgaatgtgcccctgtgTgtggacatgtgcctgaattggctgctgaatgtgtacgacaccggccggacaggccggatcagagtgctgagcttcaagaccggcatcatcagcctgtgcaaggcccacctggaagataagtaccgctacctgttcaaacaggtggccagctccaccggcttttgcgaccagagaaggctgggcctgctgctgcacgacagcatccagatccctagacagctgggcgaggtggcctctttTggcggcagcaatatTgagcctagTgtgcggagctgcttccagttTgccaacaacaagcccgagatTgaggccgccctgttcctggactggatgcggctggaaccccagagcatggtgtggctgcctgtgctgcatagagtggccgctgccgagacagccaagcaccaggccaagtgcaacatctgcaaagagtgccccatcatcggcttccggtacagaagcctgaagcacttcaactacgatatctgccagagctgctttttcagcggacgggtggccaagggccacaaaatgcactaccccatggtggaatactgcacccccaccacctccggggaggatgtgcgggattttgccaaggtgctgaaaaacaagttccggaccaagcgctacttTgccaaacacccccggatgggctatctgcccgtgcagacagtgctggaaggcgacaacatggaaaccgacaccatgtag(配列番号1)
MLWWEEVEDCYEREDVQKKTFTKWVNAQFSKFGKQHIENLFSDLQDGRRLLDLLEGLTGQKLPKEKGSTRVHALNNVNKALRVLQNNNVDLVNIGSTDIVDGNHKLTLGLIWNIILHWQVKNVMKNIMAGLQQTNSEKILLSWVRQSTRNYPQVNVINFTTSWSDGLALNALIHSHRPDLFDWNSVVCQQSATQRLEHAFNIARYQLGIEKLLDPEDVDTTYPDKKSILMYITSLFQVLPQQVSIEAIQEVEMLPRPPKVTKEEHFQLHHQMHYSQQITVSLAQGYERTSSPKPRFKSYAYTQAAYVTTSDPTRSPFPSQHLEAPEDKSFGSSLMESEVNLDRYQTALEEVLSWLLSAEDTLQAQGEISNDVEVVKDQFHTHEGYMMDLTAHQGRVGNILQLGSKLIGTGKLSEDEETEVQEQMNLLNSRWECLRVASMEKQSNLHSYVPSTYLTEITHVSQALLEVEQLLNAPDLCAKDFEDLFKQEESLKNIKDSLQQSSGRIDIIHSKKTAALQSATPVERVKLQEALSQLDFQWEKVNKMYKDRQGRFDRSVEKWRRFHYDIKIFNQWLTEAEQFLRKTQIPENWEHAKYKWYLKELQDGIGQRQTVVRTLNATGEEIIQQSSKTDASILQEKLGSLNLRWQEVCKQLSDRKKRLEEQSDQWKRLHLSLQELLVWLQLKDDELSRQAPIGGDFPAVQKQNDVHRAFKRELKTKEPVIMSTLETVRIFLTEQPLEGLEKLYQEPRELPPEERAQNVTRLLRKQAEEVNTEWEKLNLHSADWQRKIDETLERLQELQEATDELDLKLRQAEVIKGSWQPVGDLLIDSLQDHLEKVKALRGEIAPLKENVSHVNDLARQLTTLGIQLSPYNLSTLEDLNTRWKLLQVAVEDRVRQLHEAHRDFGPASQHFLSTSVQGPWERAISPNKVPYYINHETQTTCWDHPKMTELYQSLADLNNVRFSAYRTAMKLRRLQKALCLDLLSLSAACDALDQHNLKQNDQPMDILQIINCLTTIYDRLEQEHNNLVNVPLCVDMCLNWLLNVYDTGRTGRIRVLSFKTGIISLCKAHLEDKYRYLFKQVASSTGFCDQRRLGLLLHDSIQIPRQLGEVASFGGSNIEPSVRSCFQFANNKPEIEAALFLDWMRLEPQSMVWLPVLHRVAAAETAKHQAKCNICKECPIIGFRYRSLKHFNYDICQSCFFSGRVAKGHKMHYPMVEYCTPTTSGEDVRDFAKVLKNKFRTKRYFAKHPRMGYLPVQTVLEGDNMETDTM(配列番号2)
【0159】
本明細書で使用される場合、「コドン最適化」ポリヌクレオチドコード配列は、結果として生じるコドンが、特定の細胞、宿主、またはシステム、例えば、特定の哺乳類(ヒト)細胞型、例えば、筋細胞における発現に最適であるように、いくつかの点で変更された/変化したポリヌクレオチド配列を指す。コドン最適化は、コードされたタンパク質のアミノ酸配列、すなわち、コドン最適化ポリヌクレオチドコード配列を変更せず、コドン最適化が行われた天然配列は、同じアミノ酸配列をコードする。
【0160】
配列番号1などの本発明のポリヌクレオチドは、「マイクロD5」、「MD5」、または「μD5」として知られるマイクロジストロフィンタンパク質をコードする(配列番号2を参照されたい)。マイクロジストロフィンタンパク質は、筋収縮時の筋膜を安定させる。例えば、マイクロジストロフィンは、筋収縮時に衝撃吸収材として機能する。MD5は、N末端からC末端まで、N末端アクチン結合ドメイン、ヒンジ領域1(H1)、スペクトリン様反復R1、R16、R17、R23、及びR24、ヒンジ領域4(H4)、ならびにヒト完全長ジストロフィンタンパク質のC末端ジストログリカン結合ドメインを含む、特異的に操作された5反復マイクロジストロフィンタンパク質である。この5反復マイクロジストロフィン及び関連するジストロフィンミニ遺伝子のタンパク質配列は、US10,479,821及びWO2016/115543(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0161】
上に示される配列番号1において、ある特定のヌクレオチドは、大文字として印を付けられ、これらのヌクレオチドは、本明細書において「配列番号1の大文字のヌクレオチド」と総称される。具体的には、配列番号1の大文字のヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド264、273、282、291、297、303、543、555、558、627、1110、1113、1122、1656、1665、1678、1681、1722、1815、1830、1833、1989、2031、2052、2055、2079、2097、2115、2157、2181、2290、2316、2343、2346、2356、2364、2367、2406、2532、2550、2559、2844、2881、2889、2896、3081、3099、3339、3354、3363、3384、3405、及び3735を含む。
【0162】
ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、同じタンパク質(すなわち、配列番号2)をコードするだけでなく、配列番号1の大文字のヌクレオチドの同じセットを共有するが、それらは、配列番号1の大文字のヌクレオチド以外のヌクレオチド位置で配列番号1とは異なる。
【0163】
ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、大文字のヌクレオチド以外の配列番号1の位置において、追加の配列変化(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、または99.9%の全体的な配列同一性をもたらす)にもかかわらず、配列番号1の大文字のヌクレオチドで同じタンパク質(すなわち、配列番号2)をコードするだけでなく、配列番号1と実質的に同一である。ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、各大文字のヌクレオチドで配列番号1と同一であるか、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20個以下の大文字のヌクレオチドだけ異なる。
【0164】
ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。すなわち、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号2のマイクロジストロフィンをコードし、更に、本発明のポリヌクレオチドは、(1)各大文字のヌクレオチドで配列番号1と同一であるか、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20個以下の大文字のヌクレオチドだけ異なり、及び/または(2)CpG島(例えば、EMBOSS Cpgplot分析に基づいて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以下のCpG島)を実質的に欠く。
【0165】
ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1と少なくとも97%同一のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。すなわち、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号2のマイクロジストロフィンをコードし、更に、本発明のポリヌクレオチドは、(1)各大文字のヌクレオチドで配列番号1と同一であるか、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20個以下の大文字のヌクレオチドだけ異なり、及び/または(2)CpG島(例えば、EMBOSS Cpgplot分析に基づいて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以下のCpG島)を実質的に欠く。
【0166】
ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1と少なくとも99%同一のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。すなわち、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号2のマイクロジストロフィンをコードし、更に、本発明のポリヌクレオチドは、(1)各大文字のヌクレオチドで配列番号1と同一であるか、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個以下の大文字のヌクレオチドだけ異なり、及び/または(2)CpG島(例えば、EMBOSS Cpgplot分析に基づいて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以下のCpG島)を実質的に欠く。
【0167】
任意の2つ以上の関連もしくは無関係のポリヌクレオチド間、または任意の2つ以上の関連もしくは無関係のタンパク質配列間の配列パーセンテージ同一性をアラインメントすることができ、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基間の一致のパーセンテージを、それぞれ、NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403-10,1990)などの任意の当該技術分野に認識されている方法を使用して計算することができ、これは、クエリ及びデータベースの種類に応じて、配列分析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn、及びtblastxに関連して使用するために、National Center for Biological Information(NCBI)ウェブサイトなどのオンラインソースから入手可能である。同様のウェブベースのツールは、EMBL-EBIウェブサイトに見出すことができる。
【0168】
ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、CpG島(例えば、EMBOSS Cpgplot分析に基づいて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以下のCpG島)を実質的に欠く。
【0169】
ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、実施例2に記載されるインビトロアッセイにおけるような、TLR9の活性化を実質的に誘導することができない。
【0170】
ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0171】
本発明の別の態様は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターゲノムであって、本発明の任意のポリヌクレオチドを含み、AAVベクターゲノムが、AAVカプシド内にパッケージングすることができる、AAVベクターゲノムを提供する。
【0172】
典型的なAAVのパッケージング容量は、一般的に、約0.2~0.3kbの5’及び3’ITR配列を含む約4.7kbであり、そのうちの少なくとも1つ(おそらく両方)は、AAVベクターゲノムをカプシドにパッケージングするために必要な構造エレメントである。
【0173】
ある特定の実施形態において、AAVベクターゲノムは、Rep結合エレメント(RBE)、TR内の内部ヘアピン(RBE’)、及び末端分解部位(TRS)などのある特定のITR構造エレメントを含む。
【0174】
本発明の別の態様は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子であって、AAVカプシドと、本発明の任意のポリヌクレオチドを含むAAVベクターゲノムと、を含み、AAVベクターゲノムが、AAVカプシド内にカプシド形成される、rAAV粒子を提供する。
【0175】
ある特定の実施形態において、(CpGコドン最適化)ポリヌクレオチドは、転写調節エレメントに作動可能に連結されている。ある特定の実施形態において、転写調節エレメントは、プロモーター、例えば、構成的プロモーター、または組織特異的プロモーター(例えば、筋特異的プロモーター)(以下)を含む。例示的なプロモーターは、CK8またはその変異体(以下)である。
【0176】
ある特定の実施形態において、ベクターゲノムは、ポリアデニル化シグナル配列、例えば、配列番号8~11のうちのいずか1つのなどのポリAシグナル配列(以下)を更に含む。
【0177】
ある特定の実施形態において、ベクターゲノムは、3’ITR配列、例えば、AAV2 3’ITR配列を更に含む。ある特定の実施形態において、ベクターゲノムは、5’ITR配列、例えば、AAV2 5’ITR配列を更に含む。ある特定の実施形態において、5’ITR配列及び/または3’ITR配列は、それぞれ、配列番号12及び13を含むか、またはそれらである。
【0178】
ある特定の実施形態において、ベクターゲノムは、マイクロジストロフィンの発現を増強するイントロン及び/またはエクソン配列を更に含む。ある特定の実施形態において、ベクターゲノムは、マイクロジストロフィンの発現をさもなければ増強するイントロン及び/またはエクソン配列を含まない。
【0179】
ある特定の実施形態において、ベクターゲノムは、5’UTR配列及び/または3’UTR配列を更に含む。
【0180】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子は、5’から3’まで、以下の配列エレメント:(1)5’ITR(野生型または修飾されたAAV2 5’ITRなど、例えば、145ntの野生型AAV2 5’ITR、または141ntの修飾されたAAV2 5’ITR)、(2)筋特異的プロモーター(CK8プロモーターまたは本明細書に記載されるCK8eなどの修飾されたCK8タンパク質など)、(3)本発明のCpG低減/排除されたコドン最適化ポリヌクレオチドのうちのいずれか1つ(配列番号1またはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、または99.9%と同一であるヌクレオチド配列など)、(4)ポリAシグナル配列(配列番号8~11のうちのいずれか1つなど)、及び(5)3’ITR(野生型または修飾されたAAV2 3’ITRなど、例えば、145ntの野生型AAV2 3’ITR、または141ntの修飾されたAAV2 3’ITR)、を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。
【0181】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターゲノムまたはrAAVウイルス粒子は、配列番号15のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%、もしくは99.9%同一のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
CCTGCAGGCAGCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCAAAGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCTGCGGCCGGCGCGCCACTTTAGACTAGCATGCTGCCCATGTAAGGAGGCAAGGCCTGGGGACACCCGAGATGCCTGGTTATAATTAACCCAGACATGTGGCTGCCCCCCCCCCCCCAACACCTGCTGCCTCTAAAAATAACCCTGCATGCCATGTTCCCGGCGAAGGGCCAGCTGTCCCCCGCCAGCTAGACTCAGCACTTAGTTTAGGAACCAGTGAGCAAGTCAGCCCTTGGGGCAGCCCATACAAGGCCATGGGGCTGGGCAAGCTGCACGCCTGGGTCCGGGGTGGGCACGGTGCCCGGGCAACGAGCTGAAAGCTCATCTGCTCTCAGGGGCCCCTCCCTGGGGACAGCCCCTCCTGGCTAGTCACACCCTGTAGGCTCCTCTATATAACCCAGGGGCACAGGGGCTGCCCTCATTCTACCACCACCTCCACAGCACAGACAGACACTCAGGAGCCAGCCAAAACTAGAACCATGCTGTGGTGGGAGGAAGTGGAAGATTGCTACGAGCGCGAGGACGTGCAGAAGAAAACCTTCACCAAATGGGTCAACGCCCAGTTCAGCAAGTTCGGCAAGCAGCACATCGAGAACCTGTTCAGCGACCTGCAGGACGGCAGACGGCTGCTGGATCTGCTGGAAGGCCTGACCGGACAGAAGCTGCCCAAAGAGAAGGGCAGCACCAGAGTGCACGCCCTGAACAACGTGAACAAGGCCCTGCGGGTGCTGCAGAACAACAATGTGGACCTGGTGAACATTGGCAGCACAGACATTGTGGATGGCAACCACAAGCTGACCCTGGGCCTGATCTGGAACATCATCCTGCACTGGCAAGTGAAGAACGTGATGAAGAACATCATGGCCGGCCTGCAGCAGACCAACAGCGAGAAGATCCTGCTGAGCTGGGTGCGCCAGAGCACCAGAAACTACCCCCAAGTGAACGTGATCAACTTCACCACCTCTTGGAGCGACGGCCTGGCCCTGAATGCCCTGATCCACAGCCACAGACCCGACCTGTTTGACTGGAACAGTGTGGTGTGTCAGCAGAGCGCCACCCAGAGGCTGGAACACGCCTTCAATATCGCCAGATACCAGCTGGGCATTGAGAAGCTGCTGGACCCCGAGGATGTGGACACCACCTACCCCGACAAGAAATCCATCCTGATGTATATCACCAGCCTGTTCCAGGTGCTGCCTCAGCAGGTGTCCATCGAGGCCATCCAGGAAGTGGAAATGCTGCCCAGACCCCCCAAAGTGACCAAAGAGGAACACTTCCAGCTGCACCACCAGATGCACTACTCTCAGCAGATCACCGTGTCCCTGGCCCAGGGCTACGAGAGAACCAGCAGCCCCAAGCCCCGGTTCAAGAGCTACGCCTATACCCAGGCCGCCTACGTGACCACCAGCGACCCTACCAGAAGCCCATTCCCCAGCCAGCATCTGGAAGCCCCCGAGGACAAGAGCTTCGGCAGCAGCCTGATGGAAAGCGAAGTGAACCTGGATAGATACCAGACCGCCCTGGAAGAGGTGCTGTCCTGGCTGCTGAGCGCCGAGGATACACTGCAGGCTCAGGGCGAGATCAGCAATGATGTGGAAGTGGTGAAGGACCAGTTCCACACCCACGAGGGCTACATGATGGACCTGACAGCCCACCAGGGCAGAGTGGGCAACATTCTGCAGCTGGGCTCCAAGCTGATCGGCACCGGCAAGCTGAGCGAGGACGAAGAGACAGAGGTGCAGGAACAGATGAACCTGCTGAACAGCAGATGGGAGTGCCTGAGAGTGGCCAGCATGGAAAAGCAGAGCAACCTGCACAGCTACGTGCCCAGCACCTACCTGACCGAGATCACCCATGTGTCCCAGGCCCTGCTGGAAGTGGAACAGCTGCTGAACGCCCCCGATCTGTGCGCCAAGGACTTCGAGGATCTGTTCAAGCAGGAAGAGAGCCTGAAGAATATCAAGGACTCTCTGCAGCAGTCCAGCGGCAGAATCGACATCATCCACAGCAAGAAAACAGCCGCCCTGCAGTCCGCCACCCCCGTGGAAAGAGTGAAGCTGCAGGAAGCCCTGTCCCAGCTGGACTTCCAGTGGGAGAAAGTGAACAAGATGTACAAGGACCGGCAGGGCAGATTTGACCGCAGTGTGGAAAAGTGGAGGAGGTTCCACTACGACATCAAGATCTTCAACCAGTGGCTGACAGAGGCCGAGCAGTTCCTGAGAAAGACCCAGATCCCCGAGAACTGGGAGCACGCCAAGTACAAGTGGTATCTGAAAGAACTGCAGGATGGCATTGGCCAGAGACAGACAGTGGTGCGGACACTGAATGCCACCGGCGAGGAAATCATCCAGCAGAGCAGCAAGACCGACGCCAGTATTCTGCAGGAAAAGCTGGGCAGCCTGAACCTGAGATGGCAGGAAGTGTGCAAGCAGCTGTCCGACCGGAAGAAGAGACTGGAAGAACAGAGTGACCAGTGGAAGCGGCTGCATCTGTCACTGCAGGAACTGCTGGTGTGGCTGCAGCTGAAGGATGATGAGCTGAGCAGACAGGCCCCTATTGGCGGCGATTTTCCCGCAGTGCAGAAACAGAACGATGTGCACCGGGCCTTCAAGAGAGAGCTGAAAACAAAAGAACCAGTGATCATGAGCACCCTGGAAACAGTGCGGATCTTTCTGACCGAGCAGCCCCTGGAAGGACTGGAAAAACTGTACCAGGAACCCAGAGAGCTGCCCCCTGAAGAACGGGCCCAGAACGTGACCAGACTGCTGAGGAAGCAGGCCGAGGAAGTGAACACAGAATGGGAGAAGCTGAACCTGCACTCTGCTGACTGGCAGAGGAAGATTGATGAGACACTGGAACGGCTGCAGGAACTGCAGGAGGCCACAGACGAGCTGGACCTGAAACTGAGACAGGCCGAAGTGATCAAGGGCAGCTGGCAGCCAGTGGGCGACCTGCTGATCGACAGCCTGCAGGATCACCTGGAAAAAGTGAAAGCCCTGAGAGGCGAGATTGCCCCCCTGAAAGAAAATGTGTCCCATGTGAACGACCTGGCCCGGCAGCTGACAACACTGGGCATCCAGCTGAGCCCCTACAACCTGTCCACACTGGAAGATCTGAACACCCGGTGGAAACTGCTGCAGGTGGCCGTGGAAGATAGAGTGCGGCAGCTGCACGAGGCCCACAGAGATTTTGGCCCTGCCTCCCAGCACTTCCTGAGCACATCTGTGCAGGGCCCCTGGGAGAGAGCCATCTCCCCCAACAAGGTGCCCTACTACATCAACCACGAGACACAGACCACCTGTTGGGACCACCCCAAGATGACAGAGCTGTACCAGAGCCTGGCCGACCTGAACAATGTGAGGTTCAGTGCCTACAGGACCGCCATGAAGCTGCGGAGACTGCAGAAAGCTCTGTGCCTGGACCTGCTGTCCCTGTCCGCCGCTTGTGATGCCCTGGACCAGCACAACCTGAAGCAGAACGACCAGCCCATGGATATCCTGCAGATCATCAACTGCCTGACCACCATCTACGACCGCCTGGAACAGGAACACAACAACCTGGTGAATGTGCCCCTGTGTGTGGACATGTGCCTGAATTGGCTGCTGAATGTGTACGACACCGGCCGGACAGGCCGGATCAGAGTGCTGAGCTTCAAGACCGGCATCATCAGCCTGTGCAAGGCCCACCTGGAAGATAAGTACCGCTACCTGTTCAAACAGGTGGCCAGCTCCACCGGCTTTTGCGACCAGAGAAGGCTGGGCCTGCTGCTGCACGACAGCATCCAGATCCCTAGACAGCTGGGCGAGGTGGCCTCTTTTGGCGGCAGCAATATTGAGCCTAGTGTGCGGAGCTGCTTCCAGTTTGCCAACAACAAGCCCGAGATTGAGGCCGCCCTGTTCCTGGACTGGATGCGGCTGGAACCCCAGAGCATGGTGTGGCTGCCTGTGCTGCATAGAGTGGCCGCTGCCGAGACAGCCAAGCACCAGGCCAAGTGCAACATCTGCAAAGAGTGCCCCATCATCGGCTTCCGGTACAGAAGCCTGAAGCACTTCAACTACGATATCTGCCAGAGCTGCTTTTTCAGCGGACGGGTGGCCAAGGGCCACAAAATGCACTACCCCATGGTGGAATACTGCACCCCCACCACCTCCGGGGAGGATGTGCGGGATTTTGCCAAGGTGCTGAAAAACAAGTTCCGGACCAAGCGCTACTTTGCCAAACACCCCCGGATGGGCTATCTGCCCGTGCAGACAGTGCTGGAAGGCGACAACATGGAAACCGACACCATGTAGGAAGTCTTTTAATAAAAGATCCTTATTTTCATTGGATCTGTGTGTTGGTTTTTTGTGTCAGCGGCCGCAGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGCTGCCTGCAGG(配列番号15)
【0182】
3.プロモーター
ある特定の実施形態において、コドン最適化マイクロジストロフィンコード配列は、本発明のマイクロジストロフィンコード配列に作動可能に連結されており、その転写を駆動することができるプロモーターを含む転写調節エレメントに作動可能に連結されている。転写調節エレメントは、本発明のCpG低減されたポリヌクレオチドによってコードされるマイクロジストロフィンの発現を増強する1つ以上のイントロンまたはエクソンを更に含み得る。
【0183】
ある特定の実施形態において、転写調節エレメントは、構成的プロモーター、例えば、CMVプロモーター、CAGプロモーター、EF-1αプロモーター、CBプロモーター、またはそれらの誘導体を含む。
【0184】
ある特定の実施形態において、転写調節エレメントは、筋特異的制御エレメントを含む。
【0185】
例えば、筋特異的制御エレメントは、CK8プロモーター、心臓トロポニンT(cTnT)プロモーター、CK7プロモーター、CK9プロモーター、切断型MCK(tMCK)、ミオシン重鎖(MHC)プロモーター、ハイブリッドα-ミオシン重鎖エンハンサー/MCKエンハンサー-プロモーター(MHCK7)、筋特異的クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター、ヒト骨格アクチン遺伝子エレメント、心臓アクチン遺伝子エレメント、筋細胞特異的エンハンサー結合因子mef、筋肉クレアチンキナーゼ(MCK)、切断型MCK(tMCK)、ミオシン重鎖(MHC)、C5~12、マウスクレアチンキナーゼエンハンサーエレメント、骨格速収縮トロポニンc遺伝子エレメント、緩徐収縮心臓トロポニンc遺伝子エレメント、緩徐収縮トロポニンi遺伝子エレメント、低酸素誘導性核因子、ステロイド誘導性エレメント、またはグルココルチコイド応答エレメント(gre)であり得る。
【0186】
ある特定の実施形態において、筋特異的制御エレメントは、本発明のマイクロジストロフィンコード配列の5’である異種イントロン配列(マイクロジストロフィン発現を増強した)の5’であり、これは、翻訳停止コドン(TAGなど)、ポリAアデニル化シグナルAATAAAなど)、及びmRNA切断部位(CAなど)を含む任意選択の3’-UTR領域の5’である。
【0187】
ある特定の実施形態において、筋特異的制御エレメントは、CK8プロモーター、例えば、以下の配列を有するものなどを含む。
TAGACTAGCATGCTGCCCATGTAAGGAGGCAAGGCCTGGGGACACCCGAGATGCCTGGTTATAATTAACCCAGACATGTGGCTGCCCCCCCCCCCCCAACACCTGCTGCCTCTAAAAATAACCCTGCATGCCATGTTCCCGGCGAAGGGCCAGCTGTCCCCCGCCAGCTAGACTCAGCACTTAGTTTAGGAACCAGTGAGCAAGTCAGCCCTTGGGGCAGCCCATACAAGGCCATGGGGCTGGGCAAGCTGCACGCCTGGGTCCGGGGTGGGCACGGTGCCCGGGCAACGAGCTGAAAGCTCATCTGCTCTCAGGGGCCCCTCCCTGGGGACAGCCCCTCCTGGCTAGTCACACCCTGTAGGCTCCTCTATATAACCCAGGGGCACAGGGGCTGCCCTCATTCTACCACCACCTCCACAGCACAGACAGACACTCAGGAGCCAGCCA(CK8プロモーター、配列番号3)
【0188】
ある特定の実施形態において、CK8プロモーターは、5’末端に追加のC、及び/または3’末端に追加のジヌクレオチドGCを含み得る。CK8プロモーターは、5’末端130bpエンハンサーエレメント、続いて269bpの基底CK8プロモーター、続いてCK8プロモーターの最も3’末端に48 bpまたは50bpのMCKエクソン1 UTR配列を含む。5’末端130bpエンハンサーエレメントは、更なるエンハンサー転写のために複製することができる(例えば、CK8における1つのコピーと比較して2つのタンデムコピーを有する)。
【0189】
したがって、ある特定の実施形態において、CK8プロモーターは、配列番号5の130bpエンハンサーの2つのコピー、配列番号3の基底CK8プロモーターの269bp断片(配列番号6)、及び48bpまたは50bpのMCKエクソン1 UTR領域配列(配列番号7または16)を含むCK8eプロモーター(配列番号4)として修飾される。
TAGACTAGCATGCTGCCCATGTAAGGAGGCAAGGCCTGGGGACACCCGAGATGCCTGGTTATAATTAACCCAGACATGTGGCTGCCCCCCCCCCCCCAACACCTGCTGCCTCTAAAAATAACCCTGCATGTAGACTAGCATGCTGCCCATGTAAGGAGGCAAGGCCTGGGGACACCCGAGATGCCTGGTTATAATTAACCCAGACATGTGGCTGCCCCCCCCCCCCCAACACCTGCTGCCTCTAAAAATAACCCTGCATGCCATGTTCCCGGCGAAGGGCCAGCTGTCCCCCGCCAGCTAGACTCAGCACTTAGTTTAGGAACCAGTGAGCAAGTCAGCCCTTGGGGCAGCCCATACAAGGCCATGGGGCTGGGCAAGCTGCACGCCTGGGTCCGGGGTGGGCACGGTGCCCGGGCAACGAGCTGAAAGCTCATCTGCTCTCAGGGGCCCCTCCCTGGGGACAGCCCCTCCTGGCTAGTCACACCCTGTAGGCTCCTCTATATAACCCAGGGGCACAGGGGCTGCCCTCATTCTACCACCACCTCCACAGCACAGACAGACACTCAGGAGCCAGCCA(配列番号4)
tagactagcatgctgcccatgtaaggaggcaaggcctggggacacccgagatgcctggttataattaacccagacatgtggctgcccccccccccccaacacctgctgcctctaaaaataaccctgcatg(配列番号5、130bpのエンハンサー)
ccatgttcccggcgaagggccagctgtcccccgccagctagactcagcacttagtttaggaaccagtgagcaagtcagcccttggggcagcccatacaaggccatggggctgggcaagctgcacgcctgggtccggggtgggcacggtgcccgggcaacgagctgaaagctcatctgctctcaggggcccctccctggggacagcccctcctggctagtcacaccctgtaggctcctctatataacccaggggcacaggggctgccctc(配列番号6、269bpの基底CK8プロモーター)
attctaccaccacctccacagcacagacagacactcaggagccagcca(UTR 48bpのMCKエクソン1、配列番号7)。
attctaccaccacctccacagcacagacagacactcaggagccagccagc(UTR 50bpのMCKエクソン1、配列番号16)
【0190】
ある特定の実施形態において、筋特異的制御エレメントは、WO2017/181015の配列番号10または配列番号11のヌクレオチド配列を含む。
【0191】
WO2017/181015(配列番号17)の配列番号10:

【化1】
【0192】
WO2017/181015(配列番号18)の配列番号11:
【化2】
【0193】
ある特定の実施形態において、本発明のrAAVベクターは、MCKエンハンサーのヌクレオチド配列(参照により本明細書に組み込まれるWO2017/181015の配列番号10を参照されたい)及び/またはMCKプロモーター配列(参照により本明細書に組み込まれるWO2017/181015の配列番号11を参照されたい)を含む筋特異的制御エレメントに作動可能に連結され得る。
【0194】
4.ポリAシグナル配列、イントロン、エクソン、UTR
ある特定の実施形態において、rAAVは、転写mRNAにポリアデニル化(ポリA)配列を挿入するためのポリAシグナル配列を更に含む。
【0195】
ある特定の実施形態において、ポリAシグナル配列は、配列番号8であり、AATAAA配列は、大文字で二重下線が引かれている。
【化3】
【0196】
ある特定の実施形態において、ポリA配列は、197bpのSV40ポリAシグナル配列である。
【化4】
【0197】
ある特定の実施形態において、ポリA配列は、230bpのbGHポリAシグナル配列である。
【化5】
【0198】
ある特定の実施形態において、ポリA配列は、127bpのrBGポリAシグナル配列である。
【化6】
【0199】
5.AAV及びカプシド
本明細書で使用される、「AAV」という用語は、アデノ随伴ウイルスの標準的な省略形である。アデノ随伴ウイルスは、共感染ヘルパーウイルスによってある特定の機能が提供される細胞でのみ成長する一本鎖DNAパルボウイルスである。
【0200】
ウイルスDNA複製(rep)、カプシド形成/パッケージング、及び宿主細胞染色体組み込みを指示するシス作用性配列は、ITR内に含まれる。3つのAAVプロモーター(それらの相対的なマップ位置からp5、p19、及びp40と名付けられる)は、rep及びcap遺伝子をコードする2つのAAV内部オープンリーディングフレームの発現を駆動する。
【0201】
これら2つのrepプロモーター(p5及びp19)は、単一のAAVイントロン(例えば、AAV2ヌクレオチド2107及び2227における)の選択的スプライシングを伴って、該rep遺伝子由来の4つのrepタンパク質(rep78、rep68、rep52、及びrep40)の産生をもたらす。repタンパク質は、最終的にウイルスゲノムの複製に関与する複数の酵素特性を有する。
【0202】
cap遺伝子は、p40プロモーターから発現され、3つのインフレーム翻訳カプシドタンパク質VP1、VP2、及びVP3をコードする。代替的スプライシング及び非コンセンサス翻訳開始部位は、3つの関連するカプシドタンパク質の産生に関与する。
【0203】
単一のコンセンサスポリアデニル化部位は、該AAVゲノムのマップ位置95に位置する。AAVのライフサイクル及び遺伝学は、Muzyczka,Current Topics in Microbiology and Immunology 158:97-129(1992)に概説されている。
【0204】
特徴付けられているAAVには少なくとも13の血清型が存在する。AAVの一般的な情報及び概説は、例えば、Carter,1989,Handbook of Parvoviruses,Vol.1,pp.169-228、及びBerns,1990,Virology,pp.1743-1764,Raven Press,(New York)(参照により本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。しかしながら、様々な血清型は、遺伝子レベルでも構造的及び機能的の両方に非常に密接に関連していることがよく知られているため、これらの同じ原則が更なるAAVの血清型に適用されることが十分に予想される。例えば、Blacklowe,1988,pp.165-174 of Parvoviruses and Human Disease,J.R.Pattison,ed.及びRose,Comprehensive Virology 3:1-61(1974)を参照されたい。例えば、全てのAAVの血清型は、相同rep遺伝子によって媒介される非常に類似した複製特性を明らかに示し、全てが、AAV2で発現されるような3つの関連するカプシドタンパク質を有する。近縁性の程度は、ゲノムの長さに沿った血清型間の広範なクロスハイブリダイゼーションを明らかにするヘテロ二本鎖分析、及び「逆位末端反復配列」(ITR)に対応する末端での類似の自己アニーリングセグメントの存在によって更に示唆される。類似の感染性パターンもまた、各血清型の複製機能が類似の調整制御下にあることを示唆する。
【0205】
「AAVベクター」または「(AAV)ベクターゲノム」は、本明細書で同義的に使用される場合、AAV末端反復配列(ITR)が隣接する1つ以上の目的のポリヌクレオチド(または導入遺伝子)を含むベクターを指す。そのようなAAVベクターは、rep及びcap遺伝子産物をコード及び発現するベクターでトランスフェクトされた宿主細胞に存在する場合、複製され、感染性AAVウイルス粒子にパッケージングされ得る。
【0206】
本発明の組換えAAVベクターゲノムは、本発明の核酸分子と、本発明の核酸分子に隣接する1つ以上のAAV ITRと、を含む。
【0207】
「AAVビリオン」または「AAVウイルス粒子」または「組換えAAV(rAAV)ウイルス粒子」は、少なくとも1つのAAVカプシドタンパク質及びカプシド形成ポリヌクレオチドAAVベクターから構成されるウイルス粒子を指す。粒子が異種ポリヌクレオチド(すなわち、哺乳類(筋肉)細胞に送達するための、主題のCpG低減コドン最適化マイクロジストロフィンコード配列などの野生型AAVゲノム以外のポリヌクレオチド)を含む場合、それは、典型には、「AAVベクター/ウイルス粒子」と称される。したがって、そのようなベクターはAAVウイルス粒子内に含まれるため、AAVウイルス粒子の産生はAAVベクターの産生を必ず含む。
【0208】
AAVには複数の血清型があり、該AAVの血清型のゲノムのヌクレオチド配列は既知である。例えば、AAV血清型2(AAV2)ゲノムのヌクレオチド配列は、Srivastava et al.,J Virol 45:555-564(1983)に示され、Ruffing et al.,J Gen Virol 75:3385-3392(1994)によって修正された。ともに参照により本明細書に組み込まれる。他の例として、AAV-1の全ゲノムは、GenBank受託番号NC_002077(参照により本明細書に組み込まれる)に提供され、AAV-3の全ゲノムは、GenBank受託番号NC_001829(参照により本明細書に組み込まれる)に提供され、AAV-4の全ゲノムは、GenBank受託番号NC_001829(参照により本明細書に組み込まれる)に提供され、AAV-5のゲノムは、GenBank受託番号AF085716(参照により本明細書に組み込まれる)に提供され、AAV-6の全ゲノムは、GenBank受託番号NC_001862(参照により本明細書に組み込まれる)に提供され、AAV-7及びAAV-8のゲノムの少なくとも一部は、GenBank受託番号AX753246(参照により本明細書に組み込まれる)及びAX753249(参照により本明細書に組み込まれる)にそれぞれ提供され(AAV-8に関しては米国特許第7,282,199号及び第7,790,449号も参照されたい)、AAV-9のゲノムは、参照により本明細書に組み込まれるGao et al.,J.Virol 78:6381-6388(2004)に提供され、AAV-10のゲノムは、参照により本明細書に組み込まれるMol.Ther.13(1):67-76(2006)に提供され、AAV-11のゲノムは、参照により本明細書に組み込まれるVirology 330(2):375-383(2004)に提供される。AAVrh74血清型は、参照により本明細書に組み込まれるRodino-Klapac et al.,J.Trans.Med.5:45(2007)に記載されている。
【0209】
rAAVゲノム中のAAV DNAは、AAV血清型AAV1、AAV2、AAV3A、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAVrh10、AAVrh74、AAVrh32、AAVrh34、及びAAV-2i8を含むがこれらに限定されない、組換えウイルスが由来し得る任意のAAV血清型からのものであり得る。
【0210】
ある特定の実施形態では、骨格筋特異的発現を促進するために、AAV1、AAV6、AAV8、またはAAVrh.74が使用され得る。
【0211】
ある特定の実施形態において、AAVは、AAV9血清型を有するか、またはカプシドは、配列番号20のポリペプチド(AAV9 VP1)を有する。
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWALKPGAPQPKANQQHQDNARGLVLPGYKYLGPGNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLKAGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRLLEPLGLVEEAAKTAPGKKRPVEQSPQEPDSSAGIGKSGAQPAKKRLNFGQTGDTESVPDPQPIGEPPAAPSGVGSLTMASGGGAPVADNNEGADGVGSSSGNWHCDSQWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISNSTSGGSSNDNAYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTDNNGVKTIANNLTSTVQVFTDSDYQLPYVLGSAHEGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNDGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFQFSYEFENVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSKTINGSGQNQQTLKFSVAGPSNMAVQGRNYIPGPSYRQQRVSTTVTQNNNSEFAWPGASSWALNGRNSLMNPGPAMASHKEGEDRFFPLSGSLIFGKQGTGRDNVDADKVMITNEEEIKTTNPVATESYGQVATNHQSAQAQAQTGWVQNQGILPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGNFHPSPLMGGFGMKHPPPQILIKNTPVPADPPTAFNKDKLNSFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYYKSNNVEFAVNTEGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号20)
【0212】
疑型rAAV及びその産生もまた、本発明に好適であり、例えば、WO01/83692号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示される。
【0213】
他の型のrAAVバリアント、例えば、カプシドの突然変異を有するrAAVも企図される。例えば、Marsic et al.,Molecular Therapy,22(11):1900-1909(2014)を参照されたい。様々なAAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列は、当技術分野で既知である。
【0214】
ある特定の実施形態において、カプシドは、SLB-101カプシドであり、VP1カプシドは、配列番号21の配列を有する。
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWALKPGAPQPKANQQHQDNARGLVLPGYKYLGPGNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLKAGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRLLEPLGLVEEAAKTAPGKKRPVEQSPQEPDSSAGIGKSGAQPAKKRLNFGQTGDTESVPDPQPIGEPPAAPSGVGSLTMASGGGAPVADNNEGADGVGSSSGNWHCDSQWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISNSTSGGSSNDNAYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTDNNGVKTIANNLTSTVQVFTDSDYQLPYVLGSAHEGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNDGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFQFSYEFENVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSKTINGSGQNQQTLKFSVAGPSNMAVQGRNYIPGPSYRQQRVSTTVTQNNNSEFAWPGASSWALNGRNSLMNPGPAMASHKEGEDRFFPLSGSLIFGKQGTGRDNVDADKVMITNEEEIKTTNPVATESYGQVATNHQSAQRGDLGLSAQAQTGWVQNQGILPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGNFHPSPLMGGFGMKHPPPQILIKNTPVPADPPTAFNKDKLNSFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYYKSNNVEFAVNTEGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号21)
【0215】
6.rAAV及び宿主細胞の産生
主題のCpG枯渇コドン最適化マイクロジストロフィンコード配列を含むrAAVウイルス粒子及びベクターゲノムは、典型的には産生細胞株を使用して、任意の標準的なrAAV産生方法によって産生され得る。
【0216】
rAAV産生の一般的な原理は、例えば、Carter,Current Opinions in Biotechnology 1533-1539,1992及びMuzyczka,Curr.Topics in Microbial.and Immunol.158:97-129,1992))に概説されている。様々なアプローチが、Ratschin et al.,Mol.Cell.Biol.4:2072,1984、Hermonat et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.81:6466,1984、Tratschin et al.,Mol.Cell.Biol.5:3251,1985、McLaughlin et al.,J.Virol.62:1963,1988、及びLebkowski et al.,Mol.Cell.Biol.7:349,1988、Samulski et al.,J.Virol.63:3822-3828,1989、米国特許第5,173,414号、WO95/13365及び対応する米国特許第5,658,776号、WO95/13392、WO96/17947、PCT/US98/18600、WO97/09441(PCT/US96/14423)、WO97/08298(PCT/US96/13872)、WO97/21825(PCT/US96/20777)、WO97/06243(PCT/FR96/01064)、WO99/11764、Perrin et al.,Vaccine 13:1244-1250,1995、Paul et al.,Human Gene Therapy 4:609-615,1993、Clark et al.,Gene Therapy 3:1124-1132,1996、米国特許第5,786,211号、米国特許第5,871,982号、及び米国特許第6,258,595号に記載されている。前述の文書は、rAAV産生に関連する文書のセクションに特に重点を置いて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0217】
全体として、原理が異なるいくつかの戦略がrAAV産生に使用されており、その全てを使用して、主題のrAAVを産生することができる。
【0218】
ある特定の実施形態において、主題のrAAVは、293細胞などの好適な宿主細胞中の全てのシス及びトランス成分(アデノウイルスから単離されたヘルパー遺伝子とともに、ベクタープラスミド及びパッケージングプラスミド)を用いた、ヘルパーウイルスを含まない一過性トランスフェクション法に基づいて産生される。一過性トランスフェクション法は、ベクタープラスミド構築が簡単であり、アデノウイルスを含まない高力価AAVベクターを生成する。VP1カプシドタンパク質は、産生細胞株の一過性トランスフェクションに使用されるプラスミドのうちの1つによってコードされ得る。
【0219】
したがって、ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、本発明のrAAVベクターゲノムを含むDNAプラスミドを含む。そのようなDNAプラスミドを標準的なトリプルトランスフェクション法で使用して、rAAVを産生することができる。具体的には、本発明のDNAプラスミドは、rAAVベクターゲノムを感染性ウイルス粒子に組み立てるために、AAVのヘルパーウイルス(例えば、アデノウイルス、El欠失アデノウイルス、またはヘルペスウイルス)での感染が許容される細胞に移される。パッケージングされるAAVゲノム、rep及びcap遺伝子、ならびにヘルパーウイルス機能が細胞に提供されるrAAV粒子を産生する技法は、当該技術分野において標準である。rAAVの産生は、以下の成分:rAAVゲノム、rAAVゲノムから分離された(すなわち、rAAVゲノムに含まれない)AAV rep遺伝子及びcap遺伝子、ならびにヘルパーウイルス機能が単一の細胞(本明細書においてパッケージング細胞として示される)内に存在することを必要とする。AAV rep及びcap遺伝子は、組換えウイルスが由来し得る任意のAAV血清型からであり得、AAV血清型AAV1、AAV2、AAV3A、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAVrh10、AAVrh.32、AAVrh34、またはAAVrh.74を含むがこれらに限定されない、rAAVゲノムITRとは異なるAAV血清型からであり得る。ある特定の実施形態において、カプシドは、SLB-101などの修飾されたカプシドである。
【0220】
パッケージング細胞株(HEK293)の一過性トランスフェクション
特に、ある特定の実施形態では、該AAVベクターは、パッケージング細胞株、例えば、HEK293細胞の一過性トランスフェクションを使用して産生される。これは、ヒト胚性HEK293細胞へのプラスミドトランスフェクションを含む、最も確立されたAAV産生方法である。典型的には、HEK293細胞は、ベクタープラスミド(目的の遺伝子、例えば、ジストロフィンミニ遺伝子及び1つ以上の更なるコード配列の両方をコードする主題のポリヌクレオチドを含む)、及び1つまたは2つのヘルパープラスミドによって、リン酸カルシウムまたはカチオン性ポリマーであるポリエチレンイミン(PEI)を使用して同時にトランスフェクトされる。
【0221】
該ヘルパープラスミド(複数可)は、4つのRepタンパク質、AAVの3つの構造タンパク質VP1、VP2、及びVP3、AAP、及びアデノウイルス補助機能E2A、E4、及びVARNAの発現を可能にする。rAAV複製に必要な更なるアデノウイルスE1A/E1B補因子は、HEK293産生細胞で発現される。Rep-cap及びアデノウイルスヘルパー配列は、2つの別個のプラスミドにクローニングされるか、または1つのプラスミドに結合されるかのいずれかのため、トランスフェクションのための3つのプラスミド系及び2つのプラスミド系の両方が可能である。3つのプラスミドのプロトコルは、ある血清型から別の血清型に容易に切り替えることができるcap遺伝子を備えた汎用性を提供する。
【0222】
プラスミドは通常、従来の技術により、E.coliにおいて、細菌起源の抗生物質耐性遺伝子を使用して、またはミニサークル技術によって産生される。
【0223】
接着性のHEK293細胞における一過性トランスフェクションは、rAAVベクターの大規模製造に使用されている。最近では、HEK293細胞はまた、長期にわたり経済的に実行可能な浮遊条件にも適応している。
【0224】
HEK293株は、無血清浮遊F17、Expi293、または他の製造元の特殊培地で維持される浮遊HEK293細胞を除き、通常、L-グルタミン、5%~10%のウシ胎仔血清(FBS)、及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンで完成されるDMEMで増殖させる。接着細胞の場合、動物由来成分による汚染を制限するため、AAV産生中にFBSのパーセンテージを低減することができる。
【0225】
一般的に、rAAVベクターは、血清型に応じて、プラスミドのトランスフェクションの48~72時間後に細胞ペレット及び/または上清から回収される。
【0226】
rHSVベクターによる哺乳類細胞の感染
HSVは、許容細胞でのAAVの複製用のヘルパーウイルスである。したがって、HSVは、ヘルパーとして、及びAAVゲノムの複製及び産生細胞へのパッケージングを支援する必須のAAV機能を送達するためのシャトルとしての両方の役割を果たし得る。
【0227】
rHSVとの共感染に基づくAAV産生では、大量のrAAVを効率的に生成することができる。高い総収量(最大1.5×10vg/細胞)に加えて、方法は、ウイルス力価の改善によって測定される明らかに品質が向上したrAAVストックを創出する点で更に有利である。
【0228】
本方法では、細胞、通常はハムスターBHK21細胞株またはHEK293及び派生体に、1つはAAVのITRで囲まれた目的の遺伝子を搭載し(rHSV-AAV)、2つ目は所望の血清型のAAVのrep及びcapのORFを有する(rHSVrepcap)2つのrHSVを感染させる。2~3日後、細胞及び/または培地を収集し、rAAVを複数の精製ステップで精製して、細胞不純物、HSV由来の混入物、及びパッケージングされていないAAVのDNAを除去する。
【0229】
したがって、いくつかの実施形態では、HSVは、AAV感染のヘルパーウイルスとしての役割を果たす。いくつかの実施形態において、AAVの成長は、ICP27が欠失したHSVの非複製変異体を使用して達成される。
【0230】
哺乳類細胞で組換えAAVウイルス粒子を産生するある特定の方法は、当技術分野で知られており、過去10年間で改善されてきた。例えば、米国出願公開第20070202587号は、2つ以上の複製欠損組換えHSVベクターによる細胞の共感染に基づく、哺乳類細胞における組換えAAV産生について記載している。米国出願公開第20110229971号及びThomas et al.(Hum.Gene Ther.20(8):861-870,2009)は、浮遊適応哺乳類細胞の組換えHSV1型共感染を使用する拡張可能な組換えAAV産生方法を記載している。Adamson-Small et al.(Hum.Gene Ther.Methods 28(1):1-14,2017)は、該HSV系を用いた無血清浮遊製造プラットフォームでのAAV産生方法の改良を記載している。
【0231】
ある特定の他の実施形態において、主題のrAAVは、組換え単純ヘルペスウイルス(rHSV)ベクターベースのAAV産生系を使用して産生され、これは、AAVベクターならびにRep及びCap遺伝子(すなわち、本発明の修飾されたVP1カプシド遺伝子)を産生細胞にもたらすrHSVベクターを利用する。修飾されたcap遺伝子は、rAAVゲノムを有し得るrHSVベクター内に存在し得る。
【0232】
ある特定の実施形態において、本発明のAAVベクターは、HSVプラットフォームを使用した高力価及び高品質のアデノ関連9型ベクターの産生のための拡張可能な方法である、Adamson-Small et al.(Molecular Therapy-Methods & Clinical Development(2016)3,16031;doi:10.1038/mtm.2016.31、参照により本明細書に組み込まれる)に記載の方法により産生される。これは、完全単純ヘルペスウイルス(HSV)ベースの産生及び精製プロセスであり、10層のCellSTACKのHEK293産生細胞当たり1×1014を超えるrAAV9ベクターゲノム、または最終的な完全に精製された産物中、細胞当たり1×10を超えるベクターゲノムを生成することが可能である。これは、トランスフェクションベースの方法に比べて5~10倍の増加を表す。更に、この方法によって産生されたrAAVベクターは、トランスフェクションベースの産生と比較して、高い形質導入単位対ベクターゲノム比及び低い空対充実比によって示される総カプシドタンパク質量の減少によって示される感染性の増加を含む、改善された生物学的特徴を実証した。この方法は、前臨床及び臨床研究を可能にし、後期段階及び商業的生産に向けて構築するためのプラットフォームを提供するために、rAAV9ベクターの大規模な適正検査基準(GLP)及び適正製造基準(GMP)生産に容易に適合させることもできる。
【0233】
組換えバキュロウイルスによる昆虫細胞の感染
ある特定の更なる実施形態において、主題のrAAVは、AAVベクターカセットならびにRep及びCap遺伝子(すなわち、本発明の修飾されたVP1カプシド遺伝子)を送達するために、いくつかのバキュロウイルスベクターを用いた昆虫細胞の同時感染を必要とするバキュロウイルス系を使用して産生される。
【0234】
バキュロウイルスSf9のプラットフォームは、哺乳類細胞におけるGMP準拠の拡張可能な代替AAV産生方法として確立されている。これは、粗製収穫物で細胞当たり最大2×10ベクターゲノム(vg)を生成することができる。
【0235】
現在のプロトコルは、2つの組換えバキュロウイルス、すなわち、Rep78/52及びCapの合成を可能にするバキュロウイルス発現ベクター(BEV)、及びAAVのITRに隣接する目的の遺伝子を運ぶ組換えバキュロウイルスによるSf9昆虫細胞の感染を伴う。いくつかの無血清培地を、浮遊でのSf9細胞の成長に適応させる。
【0236】
デュアルバキュロウイルスSf9産生系は、これらの安全性の問題に関して、他の産生プラットフォームよりも多くの利点を有する:(1)無血清培地の使用、(2)Sf細胞株での外来ウイルス転写産物の発見にもかかわらず、昆虫に感染するウイルスのほとんどは、哺乳類細胞では能動的に複製しない、及び(3)バキュロウイルス以外に、昆虫細胞でのrAAV産生にヘルパーウイルスは必要ない。
【0237】
ある特定の実施形態では、Rep及びCapタンパク質を発現する安定なSf9昆虫細胞株が使用されるため、感染性rAAVベクターを高収率で産生するためには1つのみの組換えバキュロウイルスの感染が必要とされる。
【0238】
哺乳類安定細胞株。
rAAVベクターはまた、rep及びcap遺伝子を安定的に発現する安定した哺乳類産生細胞を使用して、効率的かつ拡張可能に産生され得る。そのような細胞は、野生型のAd5ヘルパーウイルス(これは遺伝的に安定しており、高力価で容易に産生することができる)に感染し、高レベルのrep及びcapの発現を誘導することができる。感染性rAAVベクターは、これらのパッケージング細胞株に野生型Ad5型を感染させ、プラスミドのトランスフェクションによって、または組換えAd/AAVハイブリッドウイルスによる感染後のいずれかでrAAVゲノムを提供することで生成され得る。
【0239】
別の方法として、Adを、ヘルパーウイルスとしてのHSV-1で置き換えることもできる。
【0240】
好適な安定した哺乳類産生細胞としては、HeLa由来の産生細胞株、A549細胞、またはHEK293細胞が挙げられ得る。好ましいHeLa細胞株は、HeLaS3細胞、すなわち、浮遊に適応させたHeLaサブクローンである。
【0241】
本明細書に記載の方法を使用して、動物成分を含まない培地中で、好ましくは250-L規模、または2,000-Lの商業規模で、本主題のAAVベクターを製造することができる。
【0242】
本発明のrAAVウイルス粒子がどのように産生されるかにかかわらず、結果として生じるrAAVは、カラムクロマトグラフィーまたは塩化セシウム勾配によるものなどの当該技術分野において標準的な方法によって精製され得る。ヘルパーウイルスからrAAVベクターを精製するための方法は当該技術分野で既知であり、例えば、Clark et al.,Hum.Gene Ther.10(6):1031-1039,1999、Schenpp and Clark,Methods Mol.Med.69:427-443,2002、米国特許第6,566,118号及びWO98/09657に開示される方法を含む。
【0243】
したがって、本発明は、感染性rAAVを産生するパッケージング/産生細胞を提供する。一実施形態において、パッケージング細胞は、安定的に形質転換されたがん細胞、例えば、HeLa細胞、293細胞、及びPerC.6細胞(同族293株)であり得る。別の実施形態において、パッケージング細胞は、形質転換されたがん細胞ではない細胞、例えば、低継代293細胞(アデノウイルスのElで形質転換されたヒト胎児腎細胞)、MRC-5細胞(ヒト胎児線維芽細胞)、WI-38細胞(ヒト胎児線維芽細胞)、Vero細胞(サル腎細胞)、及びFRhL-2細胞(アカゲザル胎仔肺細胞)である。
【0244】
ある特定の実施形態において、主題のrAAVは、安定的にAAV Rep/cap遺伝子を有する、例えば、HeLaまたはA549またはHEK293細胞に由来するある特定のAAV産生細胞株に基づいて産生される。AAVベクターカセットは、宿主ゲノムに安定的に組み込まれ得るか、またはカセットを含むアデノウイルスによって導入され得るかのいずれかである。
【0245】
ある特定の実施形態において、rAAV産生のためのそのような産生細胞株は、AAV ITR配列に隣接するマイクロジストロフィンをコードするrAAVプロウイルスを含み、rAAVプロウイルスは、rAAV産生のための産生細胞株のゲノムに組み込まれる。
【0246】
パッケージング細胞を生成する方法は、AAV粒子産生に必要な全ての成分を安定的に発現する細胞株を創出することである。例えば、AAV rep及びcap遺伝子を欠くrAAVベクターゲノム、rAAVゲノムから分離されたAAV rep及びcap遺伝子、ならびにネオマイシン耐性遺伝子などの選択可能なマーカーを含むプラスミド(または複数のプラスミド)は、細胞のゲノムに組み込まれる。AAVゲノムは、GCテーリング(Samulski et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.79:2077-2081,1982)、制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む合成リンカーの付加(Laughlin et al.,Gene 23:65-73,1983)、または直接的な平滑断端ライゲーション(Senapathy & Carter,J.Biol.Chem.259:4661-4666,1984)などの手順によって細菌プラスミドに導入されている。次いで、パッケージング細胞株をアデノウイルスなどのヘルパーウイルスに感染させる。この方法の利点は、細胞が選択可能であること、及びrAAVの大規模生産に好適であることである。
【0247】
好適な方法の他の例では、プラスミドではなくアデノウイルスまたはバキュロウイルスを用いて、rAAVゲノム及び/またはrep及びcap遺伝子をパッケージング細胞に導入する。
【0248】
したがって、パッケージング細胞のいずれも、ポリヌクレオチド、AAVベクターゲノム、または本発明のAAVウイルス粒子を含む本発明の宿主細胞の範囲内である。
【0249】
7.rAAVを使用した筋ジストロフィーの治療
本発明の別の態様は、筋ジストロフィーの治療を必要とするヒトにおいて、それを行う方法であって、ヒトに、治療有効量の本発明のポリヌクレオチド、本発明のrAAVベクターゲノムもしくはrAAVウイルス粒子、または本発明の薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0250】
ある特定の実施形態において、筋ジストロフィーは、ジストロフィン遺伝子における変異の機能喪失を特徴とする。
【0251】
ある特定の実施形態において、筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、またはX連鎖拡張型心筋症である。
【0252】
したがって、本発明の関連する態様は、筋ジストロフィー(DMD及びBMDなど)の治療を必要とする対象においてそれを行う方法であって、マイクロジストロフィン遺伝子などの筋ジストロフィーに欠損する遺伝子の機能的バージョンをコードする治療有効量の組換えAAV(rAAV)ベクター(AAV9またはSLB-101カプシドにカプシド形成されるものなど)を対象に投与することを含み、rAAVベクターゲノムは、本発明のCpG低減コドン最適化ポリヌクレオチド(配列番号1など)のいずれかを含む、方法を提供する。
【0253】
ある特定の実施形態において、マイクロジストロフィン遺伝子は、全長ジストロフィンタンパク質のR1、R16、R17、R23、及びR24スペクトリン様反復(PCT/US2016/013733に記載されるものなど)のコード配列を含む。
【0254】
ある特定の実施形態において、マイクロジストロフィン遺伝子は、配列番号2のマイクロジストロフィンタンパク質のコード配列を含み、コード配列は、配列番号1のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、または99.9%同一のヌクレオチド配列を含む。任意選択で、コード配列は、各大文字のヌクレオチドで配列番号1と同一であるか、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個以下の大文字のヌクレオチドだけ異なり、更に任意選択で、コード配列は、CpG島(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以下のCpG島)を実質的に欠く。
【0255】
ある特定の実施形態において、方法は、そのように産生されたrAAVを対象に投与する前に、主題のrAAVを産生することを更に含む。
【0256】
本発明の方法のいずれかでは、該rAAVベクターは、筋肉注射または静脈内注射によって投与することができる。
【0257】
本発明の方法のいずれかでは、rAAVベクターまたは組成物は、全身投与され得る。例えば、rAAVベクターまたは組成物は、注射、注入、または移植による非経口投与である。
【0258】
8.薬学的組成物及びその使用
本発明の別の態様は、本発明のCpG低減コドン最適化マイクロジストロフィンコード配列を含むrAAVベクター、ウイルス粒子、及びベクターゲノムのいずれかを含む、薬学的組成物などの組成物を提供する。
【0259】
ある特定の実施形態において、組成物は、治療適合性担体、賦形剤、希釈剤、及び/またはアジュバントを更に含み得る薬学的組成物である。許容される担体、希釈剤、及びアジュバントは、レシピエントに無毒であり、好ましくは、用いられる用量及び濃度で不活性であり、緩衝液、例えば、リン酸、クエン酸、もしくは他の有機酸、抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、低分子量ポリペプチド、タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン、親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリジン、単糖、二糖、及び他の炭水化物(グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む)、キレート剤、例えば、EDTA、糖アルコール、例えば、マンニトールもしくはソルビトール、塩形成性対イオン、例えば、ナトリウム、及び/または非イオン性界面活性剤、例えば、Tween、pluronic、もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0260】
別の実施形態において、本発明は、ジストロフィン異常症、または筋ジストロフィー、例えば、DMDもしくはベッカー型筋ジストロフィーに罹患している対象の治療に使用するための、本発明のCpG低減コドン最適化マイクロジストロフィンコード配列を含む、rAAVベクター、ウイルス粒子、及びベクターゲノムのいずれかを含む組成物を提供する。
【0261】
本発明の組成物(例えば、医薬組成物)は、筋肉注射または静脈内注射用に製剤化することができる。本発明の組成物はまた、全身投与、例えば、注射、注入、または移植による非経口投与用に製剤化され得る。更に、組成物のいずれかは、ジストロフィン異常症または筋ジストロフィー、例えば、DMD、ベッカー型筋ジストロフィー、または任意の他のジストロフィン関連筋ジストロフィーに罹患している対象に投与するために製剤化される。
【0262】
更なる実施形態において、本発明は、ジストロフィン異常症または筋ジストロフィー、例えば、DMD、ベッカー型筋ジストロフィー、または任意の他のジストロフィン関連筋ジストロフィーに罹患している対象を低減するための薬剤の調製のための、本発明のCpG低減コドン最適化マイクロジストロフィンコード配列を含むrAAVベクター、ウイルス粒子、及びベクターゲノムのいずれかの使用を提供する。
【0263】
本発明は、DMDと診断された患者に投与するための薬剤の調製のための、本発明のCpG低減コドン最適化マイクロジストロフィンコード配列を含むrAAVベクター、ウイルス粒子、及びベクターゲノムのいずれかの使用を企図する。
【0264】
また、本発明は、本発明のCpG低減コドン最適化マイクロジストロフィンコード配列を含むrAAV、ウイルス粒子、及びベクターゲノムのいずれかを、筋ジストロフィーに罹患している対象に投与するための薬剤の調製のために、本発明のCpG低減コドン最適化マイクロジストロフィンコード配列を含むrAAVベクター、ウイルス粒子、及びベクターゲノムのいずれかを使用することを企図する。
【0265】
本発明の使用のいずれかでは、該薬剤は、筋肉注射用に製剤化することができる。更に、薬剤のいずれかは、筋ジストロフィー、例えば、DMDまたは任意の他のジストロフィン関連筋ジストロフィーに罹患している対象に投与するため調製され得る。
【0266】
9.投薬及び投与
本発明の方法で投与されるrAAVの力価は、例えば、特定のrAAV、投与方法、治療目標、個体、及び標的とされる細胞型(複数可)に応じて変化し、当技術分野で標準的な方法で決定され得る。rAAVの力価は、1mL当たり約1×10、約1×10、約1×10、約1×10、約1×1010、約1×1011、約1×1012、約1×1013、約1×1014以上のDNase耐性粒子(DRP)の範囲であり得る。用量は、ウイルスゲノムの単位(vg)で表される場合もある。
【0267】
標的細胞にインビボまたはインビトロでrAAVを形質導入する方法は、本発明によって企図される。インビボ法は、本発明のrAAVを含む組成物の有効用量または有効複数回用量を、それを必要とする動物(ヒトを含む)に投与するステップを含む。用量が障害/疾患の発症前に投与される場合、投与は予防的である。用量が障害/疾患の発症後に投与される場合、投与は治療的である。本発明の実施形態において、有効用量は、治療される障害/疾患状態に関連する少なくとも1つの症状を緩和する(排除するか、または低減する)、障害/疾患状態への進行を遅延させるか、もしくは予防する、障害/疾患状態の進行を遅延させるか、もしくは予防する、疾患の程度を減少させる、疾患の寛解(部分的または完全)をもたらす、及び/または生存期間を延長する用量である。
【0268】
投与に関して、有効量及び治療有効量(本明細書では用量とも呼ばれる)は、最初は、インビトロアッセイ及び/または動物モデルでの試験の結果に基づいて推定され得る。例えば、用量は、細胞培養で決定されるIC50を含む循環濃度範囲を達成するために、動物モデルにおいて製剤化され得る。そのような情報は、目的の対象での有用な用量をより正確に決定するために使用され得る。
【0269】
組成物の有効用量の投与は、筋肉内、非経口、静脈内、経口、頬、鼻、肺、頭蓋内、骨内、眼内、直腸、または膣を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で標準的な経路によるものであり得る。本発明のrAAVのAAV成分(特に、AAV ITR及びカプシドタンパク質)の投与経路(複数可)及び血清型(複数可)は、治療される感染症及び/または疾患状態、ならびに1つ以上のコード配列及び/またはマイクロジストロフィンを発現する標的細胞/組織(複数可)を考慮して、当業者によって選択する、及び/または一致させることができる。
【0270】
具体的には、本明細書に記載の製剤は、限定されないが、注射、注入、灌流、吸入、洗浄、及び/または摂取によって投与され得る。投与経路としては、静脈内、皮内、動脈内、腹腔内、病変内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、気管内、鼻腔内、硝子体内、膣内、直腸内、局所、腫瘍内、筋肉内、小胞内、心膜内、臍内、眼内、粘膜、経口、皮下、及び/または結膜下を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0271】
本発明は、本発明の併用療法を含む本発明のrAAV及び組成物の有効用量の局所投与または全身投与を提供する。例えば、全身投与は循環系への投与であり、そのため全身が影響を受ける。全身投与には、経腸投与、例えば、消化管からの吸収、及び注射、注入、または移植による非経口投与が含まれる。
【0272】
特に、本発明のrAAVの実際の投与は、動物の標的組織、例えば、骨格筋に該rAAV組換えベクターを輸送する任意の物理的方法を使用することによって達成され得る。本発明による投与には、筋肉、血流、及び/または直接肝臓への注射が含まれるが、これに限定されない。リン酸緩衝生理食塩水にrAAVを再懸濁するだけで、筋組織での発現に有用なビヒクルを提供するのに十分であることが実証されており、rAAVと共投与することができる担体または他の成分に対する制限は知られていない(ただし、DNAを分解する組成物は、rAAVでは普通に回避するべきである)。rAAVのカプシドタンパク質は、rAAVが目的の特定の標的組織、例えば、筋肉を標的とするように修飾され得る。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれるWO02/053703を参照されたい。
【0273】
医薬組成物は、注射製剤または経皮輸送によって筋肉に送達される局所製剤として調製され得る。筋肉内注射及び経皮輸送の両方のための多数の製剤が以前に開発されており、本発明の実施において使用することができる。rAAVは、投与及び取り扱いを容易にするための任意の薬学的に許容される担体とともに使用することができる。
【0274】
本明細書に開示する方法で投与されるrAAVの用量は、例えば、特定のrAAV、投与方法、治療目標、個体、及び標的とされる細胞型(複数可)に応じて変化し、当技術分野で標準的な方法で決定され得る。
【0275】
特定の対象に投与される実際の投与量は、医師、獣医、または研究者によって、体重、状態の重症度、疾患の型、以前のまたは併用される治療的介入、該対象の特発性疾患、及び/または投与経路を含めた物理的及び生理的因子等であるが、これらに限定されないパラメータを考慮して決定される場合もある。
【0276】
投与される各rAAVの力価は、1mL当たり約1×10、約1×10、約1×10、約1×10、約1×1010、約1×1011、約1×1012、約1×1013、約1×1014、または約1×1015以上のDNase耐性粒子(DRP)の範囲であり得る。投薬量はまた、ウイルスゲノム(vg)(すなわち、それぞれ1×10vg、1×10vg、1×10vg、1×1010vg、1×1011vg、1×1012vg、1×1013vg、1×1014vg、1×1015vg)の単位で表されてもよい。投薬量はまた、体重1キログラム(kg)当たりのウイルスゲノム(vg)の単位(すなわち、それぞれ1×1010vg/kg、1×1011vg/kg、1×1012vg/kg、1×1013vg/kg、1×1014vg/kg、1×1015vg/kg)で表されてもよい。AAVを滴定するための方法は、Clark et al.,Hum.Gene Ther.10:1031-1039,1999に記載されている。
【0277】
例示的な用量は、約1×1010~約1×1015ベクターゲノム(vg)/キログラム体重に及び得る。いくつかの実施形態において、用量は、1×1010vg/kg体重、1×1011vg/kg体重、1×1012vg/kg体重、1×1013vg/kg体重、1×1014vg/kg体重、または1×1015vg/kg体重を含み得る。用量は、1×1010vg/kg/日、1×1011vg/kg/日、1×1012vg/kg/日、1×1013vg/kg/日、1×1014vg/kg/日、または1×1015vg/kg/日を含み得る。用量は、0.1mg/kg/日~5mg/kg/日または0.5mg/kg/日~1mg/kg/日または0.1mg/kg/日~5μg/kg/日または0.5mg/kg/日~1μg/kg/日の範囲であり得る。他の非限定的な例において、用量は、1μg/kg/日、5μg/kg/日、10μg/kg/日、50μg/kg/日、100μg/kg/日、200μg/kg/日、350μg/kg/日、500μg/kg/日、1mg/kg/日、5mg/kg/日、10mg/kg/日、50mg/kg/日、100mg/kg/日、200mg/kg/日、350mg/kg/日、500mg/kg/日、または1000mg/kg/日を含み得る。治療有効量は、治療計画の過程(すなわち、数日、数週間、数ヶ月等)において、単回投与または複数回投与により達成され得る。
【0278】
いくつかの実施形態では、該医薬組成物は、少なくとも1.6×1013のベクターゲノムを有する水溶液10mLの剤形である。いくつかの実施形態において、投薬量は、1ミリリットル当たり少なくとも2×1012のベクターゲノムの効力を有する。いくつかの実施形態において、投薬量は、10mMのpH6.0のL-ヒスチジン、150mMの塩化ナトリウム、及び1mMの塩化マグネシウムを含む無菌水溶液を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、10mMのpH6.0のL-ヒスチジン、150mMの塩化ナトリウム、及び1mMの塩化マグネシウムを含む10mLの無菌水溶液の剤形に含まれ、少なくとも1.6×1013のベクターゲノムを有する。
【0279】
いくつかの実施形態では、該医薬組成物は、1×1010~1×1015のベクターゲノムを含む10mLの水溶液、1×1011~1×1014のベクターゲノムを含む10mLの水溶液、1×1012~2×1013のベクターゲノムを含む10mLの水溶液、または約1.6×1013以上のベクターゲノムを含む10mLの水溶液を含む剤形であり得る。いくつかの実施形態において、水溶液は、10mMのpH6.0のL-ヒスチジン、150mMの塩化ナトリウム、及び1mMの塩化マグネシウムを含む無菌水溶液である。いくつかの実施形態において、投薬量は、1ミリリットル当たり約1×1011超のベクターゲノム(vg/mL)、約1×1012vg/mL超、約2×1012vg/mL超、約3×1012vg/mL超、または約4×1012vg/mL超の効力を有する。
【0280】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのAAVベクターは、医薬組成物の一部として提供される。薬学的組成物は、例えば、少なくとも0.1%w/vのAAVベクターを含み得る。いくつかの他の実施形態において、薬学的組成物は、薬学的組成物の重量当たり2%~75%の化合物、または薬学的組成物の重量当たり25%~60%の化合物を含み得る。
【0281】
いくつかの実施形態では、該剤形はキットに含まれる。キットは更に、投薬量の使用説明書を含んでもよい。
【0282】
筋肉注射の目的のため、無菌水溶液だけでなく、ゴマ油もしくは落花生油等のアジュバント溶液または水性プロピレングリコール溶液も使用することができる。そのような水溶液は、必要に応じて緩衝することができ、希釈液は最初に生理食塩水またはグルコースで等張にされる。遊離酸(DNAは酸性リン酸基を含む)または薬理学的に許容される塩としてのrAAVの溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合した水中で調製され得る。rAAVの分散体もまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの混合物中及び油中で調製され得る。通常の保存条件及び使用条件下で、これらの調製物は、微生物の成長を防止するための防腐剤を含む。これに関連して、用いられる無菌水性媒体は全て、当業者に周知の標準的な技法で容易に得られる。
【0283】
いくつかの実施形態では、注射用に、製剤は水溶液として、例えば、限定されないが、ハンクス液、リンゲル液、及び/または生理食塩水を含む緩衝液として作製され得る。溶液は、懸濁剤、安定剤、及び/または分散剤などの配合剤を含んでもよい。代替的に、製剤は、使用前に好適なビヒクル対照(例えば、パイロジェンフリーの無菌水)で構成するために、凍結乾燥状態及び/または粉末形態であってもよい。
【0284】
本明細書に開示する任意の製剤は、有利には、研究、予防、及び/または治療処置用であるかどうかにかかわらず、投与の利益を上回る可能性のある重大な副反応、アレルギー反応、または他の有害反応を生じさせないものを含む、任意の他の医薬的に許容される担体(複数可)を含み得る。例示的な薬学的に許容される担体及び製剤は、それに関連する教示に関して、参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Mack Printing Company,1990に開示されている。更に、製剤は、米国FDAのDivision of Biological Standards and Quality Control及び/または他の関連する米国及び外国の規制機関によって要求される、無菌性、発熱性、一般的安全性、及び純度の基準を満たすように調製され得る。
【0285】
例示的な一般的に使用される医薬的に許容される担体は、増量剤もしくは充填剤、溶媒もしくは共溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メチオニン、及びビタミンE)、防腐剤、等張剤、吸収遅延剤、塩、安定剤、緩衝剤、キレート剤(例えば、EDTA)、ゲル、結合剤、崩壊剤、及び/または滑沢剤を含み得るが、これらに限定されない。
【0286】
例示的な緩衝剤は、クエン酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、酒石酸緩衝剤、フマル酸緩衝剤、グルコン酸緩衝剤、シュウ酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤、及び/またはトリメチルアミン塩を含み得るが、これらに限定されない。
【0287】
例示的な防腐剤は、フェノール、ベンジルアルコール、メタ-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、ハロゲン化ベンザルコニウム、塩化ヘキサメトニウム、アルキルパラベン(メチルまたはプロピルパラベン等)、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、及び/または3-ペンタノールを含み得るが、これらに限定されない。
【0288】
例示的な等張剤は、三価以上の糖アルコール(例えば、グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、及び/またはマンニトール)を含むがこれらに限定されない多価糖アルコールを含み得る。
【0289】
例示的な安定剤は、有機糖、多価糖アルコール、ポリエチレングリコール、硫黄含有還元剤、アミノ酸、低分子量ポリペプチド、タンパク質、免疫グロブリン、親水性ポリマー、及び/または多糖類を含み得るが、これらに限定されない。
【0290】
製剤はまた、デポー製剤でもよい。いくつかの実施形態において、そのような長時間作用型製剤は、限定されないが、移植(例えば、皮下もしくは筋肉内)または筋肉注射によって投与され得る。したがって、例えば、化合物は、好適なポリマー及び/または疎水性材料(例えば、許容される油中エマルションとして)もしくはイオン交換樹脂を用いて、または難溶性誘導体として(例えば、難溶性塩として)製剤化され得る。
【0291】
更に、様々な実施形態では、該AAVベクターは、持続放出システム、例えば、該AAVベクターを含む固体ポリマーの半透性マトリックスを使用して送達され得る。様々な徐放性材料が確立されており、当業者には周知である。持続放出性カプセルは、その化学的性質に応じて、投与後数週間から最大100日以上にわたってベクターを放出し得る。
【0292】
注射用途に好適な医薬担体、希釈剤、または賦形剤としては、無菌注射剤溶液または分散体の即時調製用の無菌水溶液または分散体及び無菌粉末が挙げられる。全ての場合で、形態は、無菌でなければならず、容易にシリンジを通過する程度に流動性でなければならない。これは、製造及び保存条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、溶媒または分散媒であってもよく、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、及び植物油を含む。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散体の場合は必要とされる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の抑制は、様々な抗細菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射剤組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの使用によってもたらされ得る。
【0293】
無菌注射剤溶液は、必要量のrAAVを、必要に応じて上記に列挙した様々な他の成分とともに適切な溶媒に組み込み、その後、濾過滅菌することによって調製される。一般的に、分散体は、無菌の活性成分を、基本的な分散媒及び上記に列挙したものからの必要な他の成分を含む無菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。無菌注射剤溶液の調製用の無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥技法であり、これにより、活性成分に加えて任意の更なる所望の成分の粉末が、予め滅菌濾過されたその溶液から得られる。
【0294】
rAAVによる形質導入は、インビトロで行われる場合もある。一実施形態において、所望の標的筋細胞は、対象から取り出され、rAAVで形質導入され、対象に再導入される。代替的に、同系または異種筋細胞を使用することができ、これらの細胞は、対象において不適切な免疫応答を生じない。
【0295】
形質導入された細胞の対象への形質導入及び再導入のための好適な方法は、当該技術分野で既知である。一実施形態において、細胞は、rAAVを筋細胞と、例えば、適切な培地中で組み合わせることによって、ならびにサザンブロット及び/またはPCRなどの従来の技法を使用して、または選択可能なマーカーを使用して目的のDNAを保有するそれらの細胞をスクリーニングすることによって、インビトロで形質導入することができる。次いで、形質導入細胞は、薬学的組成物に製剤化することができ、組成物は、様々な技法、例えば、筋肉内、静脈内、皮下、及び腹腔内注射、または例えば、カテーテルを使用した平滑筋及び心筋への注射により、対象に導入され得る。
【0296】
本発明のrAAVによる細胞の形質導入は、該1つ以上の更なるコード配列及びマイクロジストロフィンの持続的な共発現をもたらす。本発明は、したがって、該1つ以上の更なるコード配列及びマイクロジストロフィンを共発現するrAAVを動物、好ましくはヒトに投与/送達する方法を提供する。これらの方法には、組織(筋肉などの組織、肝臓及び脳などの器官、ならびに唾液腺などの腺を含むが、これらに限定されない)を本発明の1つ以上のrAAVで形質導入することが含まれる。形質導入は、組織特異的制御エレメントを含む遺伝子カセットを用いて行われ得る。例えば、本発明の一実施形態は、筋特異的制御エレメントによって指示される筋細胞及び筋組織を形質導入する方法を提供し、制御エレメントとしては、限定されないが、アクチン及びミオシン遺伝子ファミリーに由来するもの、例えば、myoD遺伝子ファミリー由来のもの(Weintraub et al.,Science 251:761-766,1991参照)、筋細胞特異的エンハンサー結合因子MEF-2(Cserjesi and Olson,Mol Cell Biol 11:4854-4862,1991)、ヒト骨格アクチン遺伝子(Muscat et al.,Mol Cell Biol 7:4089-4099,1987)、心筋型アクチン遺伝子、筋クレアチンキナーゼ配列エレメント(Johnson et al.,Mol Cell Biol 9:3393-3399,1989)、及びマウスクレアチンキナーゼエンハンサー(mCK)エレメントに由来する制御エレメント、骨格速収縮トロポニンC遺伝子、緩徐収縮心臓トロポニンC遺伝子、及び緩徐収縮トロポニンI遺伝子に由来する制御エレメント、低酸素誘導性核因子(Semenza et al.,Proc Natl Acad Sci U.S.A.88:5680-5684,1991)、ステロイド誘導性エレメント及びグルココルチコイド応答エレメント(GRE)を含むプロモーター(Mader and White,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:5603-5607,1993を参照されたい)、ならびに他の制御エレメントが挙げられる。
【0297】
筋肉組織は、それが重要器官ではなく、かつ近づきやすいため、インビボでのDNA送達の魅力的な標的である。本発明は、形質導入された筋線維からのmiRNA及びマイクロジストロフィンの持続的な共発現を企図する。
【0298】
本明細書で使用される、「筋細胞」または「筋組織」は、あらゆる種類の筋肉に由来する細胞または細胞群を意味する(例えば、骨格筋及び平滑筋、例えば、消化管、膀胱、血管または心臓組織)。そのような筋細胞は、分化していても未分化でもよく、例えば、筋芽細胞、筋細胞、筋管、心筋細胞、及び心筋芽細胞であり得る。
【0299】
「形質導入」という用語は、該1つ以上の更なるコード配列及び該マイクロジストロフィンのコード領域を、インビボまたはインビトロのいずれかで、レシピエント細胞による該1つ以上の更なるコード配列及びマイクロジストロフィンの共発現をもたらす本発明の複製欠損性のrAAVを介して、該レシピエント細胞に投与/送達することを指すために使用される。
【0300】
したがって、本発明は、該1つ以上の更なるコード配列及びマイクロジストロフィンをコードするrAAVの有効用量(または複数回用量、本質的に同時に投与されるか、または間隔を置いて投与される)を、それを必要とする患者に投与する方法を提供する。
【実施例
【0301】
実施例1 従来のコドン最適化導入CpG島
様々な従来のコドン最適化アプローチがあり、全て、特定の宿主細胞においてコドン最適化されるコード配列の発現レベルを改善することを目的としている。しかしながら、これらのアプローチは、プロセス中にCpG島を導入する。
【0302】
EBIウェブサイト、EMBOSS Cpgplotのオンラインツールを使用して、特定の入力ヌクレオチド配列におけるCpG島の数及び位置を予測することが可能である。この分析の結果は、全ての一般的に使用されるコドン最適化アプローチが、それらのそれぞれの出力配列(すなわち、コドン最適化ポリヌクレオチド)に多くのCpG島を導入したことを示したが、CpG島を除去するためにコドン最適化ポリヌクレオチドの1つに基づいて編集された配列番号1は、もはやオンラインツールによってCpG島を予測していない。
【0303】
具体的には、配列番号2のマイクロジストロフィンをコードする天然の、コドン最適化されていないマイクロジストロフィンコード配列を、EMBOSS Cpgplotを使用して、ウィンドウサイズ=100、最小長=100、最小観測値=0.6、最小パーセンテージ=50のパラメータを使用して分析した。この分析の出力を図1に示した。天然ヒト配列が、ヌクレオチド2400~2500の間に1つのCpG島のみを有することは明らかである。
【0304】
次いで、この天然ヒトMD5コード配列を、Gene Artを使用してコドン最適化して、配列番号2の同じマイクロジストロフィンタンパク質についての第1のコドン最適化コード配列を生成した。EMBOSS Cpgplotは、このコドン最適化配列において9つのCpG島を特定した。図2を参照されたい。
【0305】
この最初のコドン最適化コード配列は、配列番号1の大文字のヌクレオチドで出願人によって修飾され、配列番号1に到達した。EMBOSS Cpgplotは、このコドン最適化配列においてCpG島を特定しなかった。図3を参照されたい。
【0306】
次に、GenScriptを使用して同じ天然のヒトMD5をコドン最適化し、配列番号2の第2のコドン最適化コード配列を生成した。EMBOSS Cpgplotは、このコドン最適化配列において4つのCpG島を特定した。図4を参照されたい。
【0307】
同じプロセスを更に別のコドン最適化アプローチDNA2.0に対して繰り返した。EMBOSS Cpgplotは、このコドン最適化配列において11のCpG島を特定した。図5
【0308】
興味深いことに、図2のGene Artコドン最適化コード配列(9つのCpG島を有する)を、DNA2.0を使用したコドン最適化の第2ラウンドの入力として使用して、他のDNA2.0産生コドン最適化配列と同様に、10のCpG島を有するコード配列を得た。図6を参照されたい。
【0309】
これらのデータは、従来のコドン最適化アプローチが全て、結果として生じるコドン最適化コード配列においてCpG島を創出する傾向があることを示した。異なるアプローチを使用した複数ラウンドのコドン最適化は、CpG島を排除しなかった。
【0310】
実施例2 TLR9活性化アッセイ
CpG PAMPは、ヒト及び他の高等霊長類のB細胞及び形質細胞様樹状細胞(pDC)においてのみ構成的に発現されるパターン認識受容体(PRR)Toll様受容体9(TLR9)によって認識される。非メチル化CpGモチーフによるTLR9の結合及び活性化は、非臨床モデルにおけるAAVベクターに対するCTL応答を促進する。
【0311】
このアッセイ(概略図を図7に提供する)を使用して、所与のポリヌクレオチドコード配列の可能性及び程度を評価し、CpG島の存在に起因する所望されない宿主の免疫反応を誘発することができる。
【0312】
簡潔に述べると、潜在的なCpG島を有する試験ポリヌクレオチドを受けるようにスケジュールされた、健康なドナーの血液試料から単離されたヒト形質細胞様樹状細胞(pDC)を、STEMCELL Technologiesから購入した。96ウェル組織培養プレートに、細胞を5×10(5E4)細胞/ウェル/100μL細胞培養培地で播種した。抗AAVカプシド(例えば、抗AAV9)IgG3抗体を添加し、続いて、試験品またはビヒクル対照を添加した。組織培養プレートを37℃で約22時間インキュベートした。次いで、細胞培養上清を収集し、TLR9活性化の読み出しとしてのIFN-αの存在及び量をELISAで測定した。
【0313】
このアッセイを使用して、緑色蛍光タンパク質(GFP)を含むベクターゲノムをカプシド形成するAAV9ウイルス粒子が、TLR9依存性IFN-α産生を増加させることが示された(データ図示せず)。更に、カプシド形成ベクターゲノムなしの空のAAV9カプシドは、TLR9活性化を誘発しなかった。したがって、このアッセイを利用して、修飾されたCpG島を含むベクターゲノムをカプシド形成するAAV9ウイルス粒子に対する自然免疫応答を調べることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
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【国際調査報告】