(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】流体試料採取装置から液体試料分析器へ流体試料を移送するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20240903BHJP
G01N 1/10 20060101ALI20240903BHJP
G01N 33/52 20060101ALI20240903BHJP
G01N 33/72 20060101ALI20240903BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G01N1/00 101G
G01N1/10 V
G01N1/10 A
G01N33/52 B
G01N33/72 A
B01D39/16 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508383
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 US2022074582
(87)【国際公開番号】W WO2023019088
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ジャニーヌ・コックス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン・デイヴィス
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン・デシルバ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ヴォーン
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア・ジョーセフ
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
4D019
【Fターム(参考)】
2G045DA51
2G045FB17
2G045JA08
2G052AA30
2G052AB01
2G052AB11
2G052AB16
2G052AD09
2G052AD29
2G052AD46
2G052BA14
2G052BA22
2G052CA03
2G052CA20
2G052CA28
2G052EA03
2G052GA27
2G052GA28
2G052GA29
2G052HA19
2G052JA08
2G052JA11
4D019AA02
4D019BA13
4D019BB08
4D019BC13
4D019CB04
(57)【要約】
流体試料採取装置から液体試料分析器へ流体試料を移送するための装置および方法。装置は、第1の端部、第2の端部、第1の端部と第2の端部との間に延びている側壁、内部チャンバを画成する内面、および内部チャンバと流体連通するクロマトグラフアッセイチャンバの少なくとも一部を画成する外面を有するバレルを備えている。第1の端部は、通路の上流で血栓キャッチャが入口開口部を横切って延びている入口開口部を有し、第2の端部は出口開口部を有する。クロマトグラフアッセイアセンブリは、流体試料中の遊離ヘモグロビンの存在を検出するために、クロマトグラフアッセイチャンバに収容される。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体部分および気体部分を有する流体試料を流体試料採取装置から液体試料分析器に移送するための装置であって:
通路の上流で血栓キャッチャが入口開口部を横切って延びている入口開口部を有する第1の端部、該第1の端部の反対側の、出口開口部を有する第2の端部、該第1の端部と該第2の端部との間に延びている側壁、内部チャンバを画成する内面、およびバレルの外面を通る通路を介して内部チャンバと流体連通するクロマトグラフアッセイチャンバの少なくとも一部を画成する外面を有するバレルと;
クロマトグラフアッセイチャンバに収容され、流体試料中の遊離ヘモグロビンの存在を検出するように構成されたクロマトグラフアッセイアセンブリと
を含み、該クロマトグラフアッセイアセンブリは:
内部チャンバから流体試料を受け取るように構成され、プレ濾過材料からなる第1の層と非対称ポリスルホン材料からなる第2の層とから形成され、血漿および遊離ヘモグロビンに対しては透過性だが、赤血球に対して透過性ではない試料適用パッドと;
該試料適用パッドと流体的に接触しており、遊離ヘモグロビンの存在を検出するように構成されているクロマトグラフ検出パッドと
を含む、前記装置。
【請求項2】
クロマトグラフアッセイチャンバは、バレルの外面の一部およびカバーによって画成され、カバーは、試料適用パッドを通る流体試料の流れを見るための、試料適用パッドと位置合わせされた透明な充填枠と、クロマトグラフ検出パッドの検出部位を見るための、検出部位と位置合わせされた透明な読み取り枠とを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
バレルの第1の端部は、流体試料採取装置の一部と係合可能なバレル連結部を有し、バレルの第2の端部は、液体試料分析器と係合するように構成された管状部を有するため、流体試料採取装置とバレルとの組み合わせは、さらなる支持なしで液体試料分析器に取り付け可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
バレル連結部は、流体試料採取装置の一部と連動係合可能であるようにバレルの側壁から半径方向外側に延びる少なくとも1つのねじラグを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
バレル連結部は、流体試料採取装置と連動係合可能であるようにバレルの側壁から半径方向外側に延びるねじラグの対を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
バレル連結部は、雌型ルアーコネクタである、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
バレルの管状部は、液体試料分析器と係合するように構成された雄型ルアーコネクタである、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
バレルの第2の端部に隣接してバレルに固定された気体透過性液体不透過性膜をさらに含み、気体透過性液体不透過性膜は、試料プローブが気体透過性液体不透過性膜を通って内部チャンバに入るように構成されるように穿孔可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
気体透過性液体不透過性膜は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、およびポリエチレンのうちの少なくとも1つを含む材料から形成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
さらに、内部チャンバの入口側および出口側を画成し、バレルの第1の端部と第2の端部との間に配置可能であるように内部チャンバ内に配置されるフィルタ部材であって、流体試料の液体部分から気体部分の少なくとも一部を分離するために、流体試料の気体部分の少なくとも一部は内部チャンバの入口側から出口側へとフィルタ部材を通過できるようにし、流体試料が入口開口部から内部チャンバ内に入るときには、流体試料の液体部分が入口側から出口側に通過するのを防止するためのフィルタ部材を横切る流体密シールを設けるように構成された少なくとも1つの気体透過性液体不透過性膜を有するフィルタ部材を含み、
プローブはフィルタ部材を通って出口側から入口側まで通され、流体試料の液体部分を内部チャンバの入口側から引き出すように、フィルタ部材は穿孔可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
フィルタ部材はバレルの内部チャンバ内に摺動可能に配置される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置と;
各々が異なる溶血レベルに対応する複数の基準色を含む基準デバイスと
を含むキット。
【請求項13】
液体部分および気体部分を有する流体試料を流体試料採取装置から、試料プローブを有する液体試料分析器に移送する方法であって:
血栓キャッチャが入口開口部を横切って延びている入口開口部を有する第1の端部、出口開口部を有する第2の端部、該第1の端部と該第2の端部との間に延びている側壁、および内部チャンバを画成する内面を有するバレルを有する装置を得る工程と;
流体試料が、流体試料中の固形物を捕捉するために入口開口部で血栓キャッチャを通過するように流体試料採取装置から入口開口部を介してバレルの内部チャンバに流体試料の少なくとも一部を移送する工程と;
バレルの内部チャンバからクロマトグラフアッセイチャンバ、および血栓キャッチャの下流の内部チャンバと流体連通しているクロマトグラフアッセイチャンバに収容されたクロマトグラフアッセイアセンブリに流体試料の一部を通す工程と;
クロマトグラフアッセイアセンブリによって流体試料中の遊離ヘモグロビンの存在を検出する工程と;
試料プローブを用いて内部チャンバから液体試料分析器に流体試料を移送する工程と
を含む、前記方法。
【請求項14】
検出工程は:
流体試料をクロマトグラフアッセイアセンブリの試料適用パッドに適用し、流体試料中に存在する赤血球を試料適用パッドに保持したまま、流体試料中に存在する血漿および遊離ヘモグロビンが試料適用パッドを通ってクロマトグラフ検出パッドに流れるようにする工程と;
毛細管現象により、血漿および遊離ヘモグロビンを、クロマトグラフ検出パッドの試料適用部位からクロマトグラフ検出パッドの検出部位まで流す工程と;
検出部位で色の変化を、各々が異なる溶血レベルに対応する複数の基準色を含む基準デバイスと視覚的に比較する工程と
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
試料適用パッドは第1の層および第2の層を含み、適用工程は、第1の層に流体試料を含浸させることと、流体試料を第1の層から第2の層に通して第2の層に流体試料を含浸させることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
クロマトグラフアッセイチャンバは、バレルの外面の一部と、試料適用パッドと位置合わせされた充填枠、およびクロマトグラフ検出パッドの検出部位と位置合わせされた読み取り枠を有するカバーとによって画成され、適用工程は、試料適用パッドに流体試料が含浸されているかどうかを判定するために、カバーの充填枠を通して試料適用パッドを見ることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
視覚的に比較する工程は、カバーの読み取り枠を通して検出部位を見ることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
流体試料の少なくとも一部を流体試料採取装置から移送する工程は、バレルの第1の端部を流体試料採取装置の一部に係合することをさらに含み、流体試料を内部チャンバから液体試料分析器に移送する工程は、流体試料採取装置とバレルとの組み合わせは、さらなる支持なしで液体試料分析器に取り付けられるように、バレルの第2の端部を液体試料分析器と係合することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
流体試料を内部チャンバから液体試料分析器に移送する前に、視覚的に比較する工程の溶血の検出は溶血の所定の閾値未満であると判定する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第1の端部を係合する工程は、バレルを流体試料採取装置に連動係合するように、バレルの第1の端部を流体試料採取装置の一部に螺合することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
バレルの第1の端部は、雄型ルアーコネクタであるバレル連結部を有し、流体試料採取装置の一部は雌型ルアーコネクタを有し、第1の端部を係合する工程は、バレルの雄型ルアーコネクタを流体試料採取装置の雌型ルアーコネクタに係合することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
バレルの第2の端部は、雄型ルアーコネクタである管状部を有し、第2の端部を係合する工程は、液体試料分析器の試料投入ポート内にバレルの雄型ルアーコネクタを係合することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
第1の端部を係合し、第2の端部を係合する工程は、流体試料採取装置およびバレルを試料プローブと軸方向に位置合わせすることをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
装置は、バレルの第2の端部に隣接してバレルに固定された気体透過性液体不透過性膜をさらに含み、バレルの内部チャンバから流体試料を移送する工程は、試料プローブを気体透過性液体不透過性膜からバレルの内部チャンバに通すことをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
内部チャンバ内に配置され、内部チャンバの入口側および出口側を画成し、気体透過性液体不透過性膜を有するフィルタ部材に、流体試料を接触させる工程と;
流体試料の気体部分の少なくとも一部がフィルタ部材を横切って内部チャンバの入口側から出口側へと通過し、流体試料の液体部分が入口側から出口側に通過するのは防止するように、流体試料を気体透過性液体不透過性膜に接触させることによって、流体試料の気体部分の少なくとも一部を流体試料の液体部分から分離する工程と;
流体試料の液体部分の少なくとも一部を内部チャンバの入口側から採取する工程と
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
バレルの内部チャンバから流体試料を採取する工程は、試料プローブを気体透過性液体不透過性膜からバレルの内部チャンバの入口側に通すことをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2022年7月27日出願の米国仮出願第63/369,522号;2022年6月29日出願の米国仮出願第63/367,239号;2022年6月17日出願の米国仮出願第63/366,558号;2021年9月16日出願の米国仮出願第63/244,987号;および2021年8月12日出願の米国仮出願第63/232,365号の利益を主張するものである。上記で参照した特許出願の全内容は、参照によって明示的に本明細書に組み入れる。
【背景技術】
【0002】
採血は、患者の生理学的および生化学的状態を判断するために、病院および研究所環境で典型的に使用される一般的な健康管理処置である。採血は、多種多様な疾患が疑われる患者の診断および治療に必須である。血液試料は、血液成分、例えば血漿、赤血球、白血球および血小板の臨床的に重要な変動、または血液ガス状態などの他の特性を検出するために、血液分析器などの流体検査デバイスによって分析される。血液ガス状態に関する血液試料の分析は、血液中の酸素および二酸化炭素の量に関する情報を提供し、血液試料のpHを測定するために使用することもできる。血液試料の酸素、二酸化炭素、またはpHレベルの不均衡は、特定の病的状態または疾患の進行段階を示す場合がある。
【0003】
血液試料は典型的には、皮下注射針を有する採血シリンジ、またはニードルアセンブリに連結された真空チューブを用いて採取される。しかしながら、採血シリンジは、シリンジ内に空気または他のガスの気泡を有する傾向がある。シリンジのバレルおよび先端の気泡は、血液試料の分析を妨げることがある。血液ガス分析に関しては、シリンジ内に閉じ込められた気泡が血液分析器に誤った結果をもたらすことがある。正確な結果を得るには、血液試料を十分に混合する必要があるが、空気はすべて混合前に排出しなければならない。気泡は典型的には、シリンジの側面を軽くたたいて空気またはガスをシリンジの上部に押し出すことによって排出される。気泡がシリンジの上部に達したら、ガーゼまたはティッシュを一枚上からかぶせ、気体(およびいくらかの血液)をシリンジから押し出す。この方法では、血液試料がシリンジ上部から自由に流出するため、バイオハザードの危険性があるだけでなく、シリンジの先端が周囲空気に露出したままであるため、暴露の危険性もある。このように採取された血液試料を分析する血液分析器は、誤った結果を出す危険性がある。
【0004】
さらに、血液分析器は、シリンジまたは真空チューブを介した直接の試料投入を許容していないことが多い。この場合、シリンジおよび/または真空チューブは単なる血液試料の中間容器であり、血液試料の少なくとも一部分を取り出して、血液分析器によって収容可能な二次試料容器に移送しなければならない。血液試料の二次試料容器への移送は、それ自体に暴露の危険性があり、誤った結果を得る可能性が高くなる。
【0005】
血液試料中の血栓も、誤った結果を引き起こす可能性があり、これは不適切な治療につながり、また血液分析器内の閉塞を引き起こし、結果の遅れ、分析器の損傷、または消耗品の交換の必要性につながる可能性があり、これらはすべて費用がかり得る。
【0006】
血液試料の溶血は、典型的には検出に時間がかかる。典型的には、使用者は試料を遠心分離し、血漿の色を溶血指数と比較しなければならない。これには、遠心分離器のような高価な機器へのアクセスが必要であり、時間がかかる。一方、溶血を確認せずに検査すると、予想外の高カリウムにより検査結果全体が疑わしくなり得、治療の遅れ、ならびに再度の試料採取および検査を行う間のコスト増につながるため、遅れが長引き得る。
【0007】
二次試料容器はしばしばオープンエンド型(すなわち、雄型継ぎ手がない)であるため、分析器と「ハンズフリー」での使用には適合していない。すなわち、先行技術のシステムでは、分析器で使用する間、使用者はシリンジを保持しなければならない(すなわち、ハンズフリーではない)か、またはシリンジは適合せず、アダプタをハンズフリーで分析器に取り付けて使用することもできない。多くのシリンジアタッチメント(例えば、アダプタ)が存在し、血液ガス分析器と適合性がある。しかし、これらのシリンジアタッチメントは、「ハンズフリー」で血液分析器に連結も取り付けもできず、操作者は分析器の前に留まり、試料の採取中はシリンジを保持しなければならない。先行技術のシステムにおいて、操作者がハンズフリーで血液ガス分析器を使用したい場合、分析器の使用中にシリンジを分析器に(アダプタなしで)直接取り付ける前に、アダプタをシリンジから取り外さなければならない。この対処は、気泡除去アダプタでは十分であるが、血栓キャッチャ(clot catcher)アダプタを使用する場合、アダプタを取り外すとデバイスの利点が失われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
溶血検出、血栓除去、血液採取デバイスの血液ガス分析器へのハンズフリー連結、および流体試料からの気泡除去のうちの1つまたはそれ以上を有効にする装置および方法が必要とされている。本明細書で開示され特許請求される発明概念は、このような装置および方法に係るものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で開示され特許請求される発明概念は、一般に、液体部分および気体部分を有する流体試料を流体試料採取装置から液体試料分析器に移送するための装置に関する。この装置は、バレルとクロマトグラフアッセイアセンブリとを備えている。バレルは、第1の端部、第1の端部の反対側の第2の端部、第1の端部と第2の端部との間に延びている側壁、内部チャンバを画成する内面、およびバレルの外面を通る通路を介して内部チャンバと流体連通するクロマトグラフアッセイチャンバの少なくとも一部を画成する外面を有する。バレルの第1の端部は、通路の上流で血栓キャッチャが入口開口部を横切って延びている入口開口部を有し、第2の端部は出口開口部を有する。
【0010】
クロマトグラフアッセイアセンブリは、クロマトグラフアッセイチャンバに収容され、流体試料中の遊離ヘモグロビンの存在を検出するように構成される。クロマトグラフアッセイアセンブリは、試料適用パッドと、クロマトグラフ検出パッドとを備えている。試料適用パッドは、内部チャンバから流体試料を受け取るように構成される。試料適用パッドは、プレ濾過材料からなる第1の層と非対称ポリスルホン材料からなる第2の層とから形成され、試料適用パッドは、血漿および遊離ヘモグロビンに対しては透過性だが、赤血球に対して透過性ではない。クロマトグラフ検出パッドは試料適用パッドと流体的に接触しており、クロマトグラフ検出パッドは遊離ヘモグロビンの存在を検出するように構成されている。
【0011】
別の態様では、本明細書で開示され特許請求される発明的概念は、一般に、上述した装置と、複数の基準色を含む基準デバイスとを含むキットに関する。各基準色は異なる溶血レベルに対応する。
【0012】
別の態様では、本明細書で開示され特許請求される発明概念は、一般に、液体部分および気体部分を有する流体試料を流体試料採取装置から試料プローブを有する液体試料分析器に移送する方法に関する。この方法は、血栓キャッチャが入口開口部を横切って延びている入口開口部を有する第1の端部、出口開口部を有する第2の端部、第1の端部と第2の端部との間に延びている側壁、および内部チャンバを画成する内面を有するバレルを有する装置を得ることを含む。流体試料の少なくとも一部は、流体試料が、流体試料中の固形物を捕捉するために入口開口部で血栓キャッチャを通過するように流体試料採取装置から入口開口部を介してバレルの内部チャンバに移送される。流体試料の一部は、バレルの内部チャンバからクロマトグラフアッセイチャンバ、およびクロマトグラフアッセイチャンバに収容されたクロマトグラフアッセイアセンブリに移送される。クロマトグラフアッセイチャンバは、血栓キャッチャの下流で内部チャンバと流体連通している。流体試料中の遊離ヘモグロビンの存在は、クロマトグラフアッセイアセンブリによって検出される。流体試料は、試料プローブを用いて内部チャンバから液体試料分析器に移送される。
【0013】
本明細書に開示された発明概念の製造および使用において関連技術分野における通常の当業者を支援するために、添付の図面および図解を参照する。これらの図面は、縮尺通りに描かれることを意図しておらず、一貫性のために、同じ参照数字は同一または類似の要素を指し示すことを意図している。明瞭さのために、すべての図面にすべての構成要素が標識付けされているわけではない。図の特定の構成および特定の視点は、明瞭さおよび簡潔さの点から、誇張して、縮尺通りではなく、または模式的に示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】試料受容アセンブリに連結して示された、本明細書に開示された発明概念による気泡除去用の装置の例示的実施形態の側面斜視図である。
【
図2A】流体試料から気泡を除去する前のフィルタ部材およびプランジャアセンブリの位置を示す、採取シリンジに連結された
図1の装置の長手方向断面図である。
【
図2B】流体試料から気泡を除去した後のフィルタ部材およびプランジャアセンブリの位置を示す、採取シリンジに連結された
図1の装置の長手方向断面図である。
【
図2C】採取シリンジに連結された
図1の装置の長手方向断面図であり、流体試料から気泡を除去した後の装置内へのプローブの挿入を示す。
【
図3A】流体試料から気泡を除去する前のフィルタ部材の位置を示す、
図1の装置の長手方向断面図である。
【
図3B】流体試料から気泡を除去した後のフィルタ部材の位置を示す、
図1の装置の長手方向断面図である。
【
図3C】
図1の装置の長手方向断面図であり、流体試料から気泡を除去した後の装置内へのプローブの挿入を示す。
【
図4B】
図4Aの線4B-4Bに沿ってとられた断面図である。
【
図6A】本明細書に開示される発明概念によるフィルタ部材の例示的実施形態の斜視図である。
【
図6B】
図6Aの線6B-6Bに沿ってとられた断面図である。
【
図7】本明細書に開示される発明概念によるフィルタ部材の別の実施形態の斜視図である。
【
図8A】本明細書に開示される発明概念によるフィルタ部材の別の実施形態の斜視図である。
【
図8B】
図8Aの線8B-8Bに沿ってとられた断面図である。
【
図9】本明細書に開示される発明概念による装置の別の例示的実施形態の斜視図である。
【
図10A】
図9の線10A-10Aに沿ってとられた断面図である。
【
図10B】
図9の線10B-10Bに沿ってとられた断面図である。
【
図10C】
図9の線10C-10Cに沿ってとられた断面図である。
【
図10D】
図9の線10D-10Dに沿ってとられた断面図である。
【
図11】採取シリンジに連結して示されている
図9の装置の一部の長手方向断面図である。
【
図12】クロマトグラフアッセイアセンブリを取り外した状態で示す、
図9の装置の部分分解斜視図である。
【
図13A】本明細書に開示される発明概念に従って構成されるクロマトグラフアッセイアセンブリの非限定的実施形態の斜視図である。
【
図13B】
図13Aのクロマトグラフアッセイアセンブリを使用するためのワークフローを示す斜視図である。
【
図14】
図9の線14-14に沿ってとられた断面図である。
【
図15】本開示に従って構成されるクロマトグラフアッセイアセンブリと共に利用される基準デバイスのある非限定的な一実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
例示的な図面、実験、結果、および実験手順によって本発明概念の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明概念は、以下の説明に記載されるか、または図面、実験、および/もしくは結果に示される構成の詳細および構成要素の配置にその適用が限定されないことを理解されたい。本発明概念は、他の実施形態、または様々な方法で実践もしくは実施することが可能である。本明細書で使用される文言には、可能な限り広い範囲および意味が与えられることが意図され;実施形態は例示的で、網羅的なものではないことが意図される。また、本明細書で使用される言い回しおよび用語は、説明のためのものであり、限定的なものとみなされるべきではないことを理解されたい。
【0016】
別途定義しない限り、現在開示され特許請求されている発明概念に関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上特に必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。前述の技術および手順は、一般に、本明細書を通じて引用され、議論される様々な一般的な文献およびより具体的な文献に記載されるように、当技術分野で周知の従来の方法に従って実行される。本明細書に記載される分析化学、有機合成化学、および医薬化学に関連して利用される命名法、ならびにそれらの検査室の手順および技術は、当技術分野において周知であり、一般的に使用されるものである。標準的な技術が化学合成および化学分析に使用される。
【0017】
本明細書において開示され、特許請求されるすべての物品、組成物および/または方法は、本開示を考慮すれば、過度の実験を行うことなく作成および実行することができる。本発明概念の物品、組成物および方法は、好ましい実施形態の観点から記載されているが、当業者には、本発明概念の概念、趣旨および範囲から逸脱することなく、それらの物品、組成物および/または方法、ならびに本明細書に記載される方法の工程または工程のシーケンスに変形を加えることができることが明らかであろう。当業者に明らかなそのような類似の代替物および改変はすべて、添付の特許請求の範囲により画成される本発明概念の趣旨、範囲および概念の範囲内であるとみなされる。
【0018】
本開示の下で利用される場合、以下の用語は、別途明記されない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする:
【0019】
特許請求の範囲および/または明細書において用語「~を含む」と併せて使用される場合、単語「a」または「an」の使用は、「1つ」を意味することができるが、「1つまたはそれ以上」、「少なくとも1つ」、および「1つまたは複数」の意味とも一致する。
【0020】
特許請求の範囲における用語「または」の使用は、代替物のみを指すように明示的に示されない限り、または代替物が相互に排他的でない限り、「および/または」を意味するように使用されるが、本開示は、代替物のみおよび「および/または」を指す定義を支持する。
【0021】
本出願を通じて、用語「約」を用いて、値が、デバイス、値を決定するために採用される方法、または試験対象間に存在する誤差の固有の変動を含むことを示す。
【0022】
用語「少なくとも1つ」の使用は、1つだけでなく、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100などを含むがこれらに限定されない、複数の任意の量を含むと理解されるであろう。用語「少なくとも1つ」は、それが付加される用語に応じて、100もしくは1000まで、またはそれ以上まで拡張することができ;さらに、100/1000の量は、より高い限界値も満足のいく結果をもたらし得るため、限定的とみなされるものではない。加えて、「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」という用語の使用は、Xのみ、Yのみ、およびZのみ、ならびにX、YおよびZの任意の組み合わせを含むと理解されるであろう。
【0023】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「含む(comprising)」(ならびに「comprise」および「comprises」などの含む(comprising)の任意の形態)、「有する(having)」(ならびに「have」および「has」などの有する(having)の任意の形態)、「含む、備える(including)」(ならびに「includes」および「include」などの含む、備える(including)の任意の形態)、または「含有する、含む(containing)」(ならびに「contains」および「contain」などの含有する、含む(containing)の任意の形態)という語は、包括的またはオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素または方法工程を除外するものではない。
【0024】
本明細書で使用される場合、「またはそれらの組み合わせ」という用語は、その用語の前に列挙された項目のすべての順列および組み合わせを指す。例えば、「A、B、C、またはそれらの組み合わせ」は:A、B、C、AB、AC、BC、またはABC、また特定の文脈において順序が重要である場合はBA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、またはCABのうちの少なくとも1つを含むことが意図されている。この例を続けると、BB、AAA、MB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなど、1つまたはそれ以上の項目または用語の繰り返しを含む組み合わせが明示的に含まれる。当業者であれば、特に文脈から明らかな場合を除き、典型的には、どのような組み合わせにおいても項目または用語の数に制限はないことを理解するであろう。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「試料」およびその変形は、例えば、生物学的組織、生物学的流体、化学流体、化学物質、懸濁液、溶液、スラリー、混合物、凝集物、チンキ、スライド、粉末、または生物学的組織もしくは流体の他の調製物、生物学的組織もしくは流体の合成類似物、細菌細胞(原核細胞または真核細胞)、ウイルス、単細胞生物、溶解した生体細胞、固定した生物学的細胞、固定した生物学的組織、細胞培養物、組織培養物、遺伝子組み換えされた細胞および組織、遺伝子組み換えされた生物、ならびにそれらの組み合わせを含むことが意図される。
【0026】
以下の本発明概念の実施形態の詳細な説明では、本発明概念をより完全に理解するために、いくつかの具体的な詳細が記載される。しかしながら、本開示内の発明概念は、これらの具体的な詳細がなくても実践されることは、当業者には明らかであろう。他の場合には、周知の機能は、本開示を不必要に複雑にすることを避けるために詳細には記載されていない。
【0027】
最後に、本明細書で使用する場合、「一実施形態」または「ある実施形態」への任意の言及は、実施形態に関連して記述される特定の要素、構成、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の種々の箇所における「一実施形態では」という表現の登場は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0028】
本明細書に記載され、添付の図面に示されるのは、液体試料分析器による分析のために流体試料から空気または他の気体の泡を除去するために、採取シリンジおよび液体試料分析器と関連して使用される、ここで特許請求され、開示された発明概念の装置のいくつかの非限定的実施形態である。流体試料は一般に生物学的供給源由来のものである。「流体」とは、一定の形状を持たず、外圧に対して容易に降伏するあらゆる物質を指す。
【0029】
ここで図面、より詳細には
図1~
図5を参照すると、本明細書で開示され特許請求される発明概念に従って構成された、液体試料採取装置から液体試料分析器へ流体試料を移送し、流体試料から気泡を除去するための装置10の例示的実施形態が示されている。装置10は、バレル12と、ノズルキャップ14と、フィルタ部材16とを備えている。
【0030】
バレル12は、第1の端部18、第2の端部20、側壁22、および内面24を備えている。バレル12は、任意の好適なサイズおよび形状であり、任意の好適な材料、例えば、限定されないが、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレート、およびポリウレタンなどのプラスチック、または医療グレードのポリマーで形成される。バレル12の側壁22は、バレル12の第1の端部18と第2の端部20との間に延びている。バレル12の内面24は、内部チャンバ26を画成する。第1の端部18は入口開口部28を有し、第2の端部20は出口開口部30を有する。
【0031】
内部チャンバ26は、流体試料32を収容する任意の好適なサイズおよび形状であってよい。流体試料32は、液体生物学的試料、例えば、血液、血清、血漿、または他の体液であってもよい。流体試料32は、気体部分と液体部分とを含むことができる。流体試料32の気体部分は、例えば、空気または他の気体であってよい。気体部分の一部は、流体試料中に気泡を形成することがある。
【0032】
入口開口部28および出口開口部30は、円形、楕円形、方形、または矩形を含むがこれらに限定されない、任意の好適な幾何形状の断面を有することができる。入口開口部28および出口開口部30は、バレル12に成形または切削加工されるか、さもなければ前もって作製される。入口開口部28は、流体試料32が入口開口部28を介して内部チャンバ26内に入るときに血栓を捕捉するように形成される。バレル12は、流体が内部チャンバ26内に入ることを許容するが、所定のサイズより大きい固形物(すなわち、血栓)を捕捉するか、または内部チャンバ26内に入るのを防止するようにサイズ決めおよび形成された複数のアパーチャ35を画成するように、入口開口部28を横切って配置される血栓キャッチャ33(
図5)を備えることができる。血栓キャッチャ33によって捕捉され、内部チャンバ26への流入を防止される固形物としては、例えば、少なくとも直径約0.17±0.05mmまたはそれ以上の所定のサイズを有する、流体試料32中に存在する血栓および他の固形物が挙げられる。非限定的な一実施形態では、血栓キャッチャ33は、入口開口部28と協働して、流体が内部チャンバ26内に入る5つのアパーチャ35(
図5ではそのうちの1つのみに番号が付されている)を画成するように星形(例えば、
図10Cおよび
図10Dに血栓キャッチャ133として図示されている)である。この非限定的実施形態において、5つのアパーチャ35は、星形の血栓キャッチャ33の5つのアームの間に形成され、アームのサイズおよび形状は、血栓を捕捉し、内部チャンバ26内に入るのを防止する捕捉要素として(例えば、アパーチャ135を有する血栓キャッチャ133として
図10Cに示されるように)機能し得る。
【0033】
出口開口部30にはノズルキャップ14を備えることができる。ノズルキャップ14は、環状壁36と、それを貫通して延びるボア40を有する管状部38とを備えている。管状部38は、流体分析器68(
図1)の一部と摩擦係合するための雄型ルアーの形態であってもよい。液体試料分析器68は、管状部38および試料プローブ72(
図2Cおよび
図3C)を摩擦によって受け入れるための試料投入ポート70を備えている。試料プローブ72は、試料投入ポート70に対して軸方向に摺動可能であってもよい。ボア40は、円形、楕円形、方形、または矩形を含むがこれらに限定されない、任意の好適な幾何形状の断面を有することができる。ボア40は、試料プローブを軸方向に摺動可能に受けるように適用された直径を有するようにサイズ決めされる。管状部38の基部は外側に広がり、リム42で環状壁36と合流し、環状壁36は下方にテーパして逆円錐台形断面を形成する。ノズルキャップ14は、ボア40が出口開口部30と位置合わせされて内部チャンバ26との流体連通を可能にするように、出口開口部30に解放可能に連結される。
【0034】
フィルタ部材16は、フィルタ部材16が内部チャンバ26の入口側44および出口側46を画成するように内部チャンバ26内に配置される。フィルタ部材16は、バレル12の第1の端部18と第2の端部20との間に位置し得る。フィルタ部材16は、少なくとも1つの気体透過性液体不透過性膜48を備えている。フィルタ部材16は、バレル12の内面24に封止可能に係合する任意の好適な形状およびサイズであってよい。フィルタ部材16は、限定されないが、ゴム、エラストマー、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、またはポリエステル系樹脂などの任意の好適な材料で形成される。エラストマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、またはそれらの混合物を挙げることができる。
【0035】
次に
図6Aおよび
図6Bを参照すると、フィルタ部材16の例示的実施形態の斜視図および断面図がそれぞれ示されている。フィルタ部材16は、第1の端部52と、第2の端部54と、第1の端部52から第2の端部54まで延びる側壁56とを有する本体50を含む。本体50の側壁56は、本体50の第1の端部52から第2の端部54まで通って延びる通路58を画成する。本体50の側壁56は、バレル12の内面24と摺動可能に封止接触して半径方向外側に延びる少なくとも2つの環状突出部60を有することができる。
図6Aおよび
図6Bに示すように、本体50は、互いから離間された2つの環状突出部60を有することができる。環状突出部60は、凸状または凹状の構成を備えることができる。
【0036】
フィルタ部材16は、通路58全体にわたって延びる気体透過性液体不透過性膜48をさらに備える。一実施形態では、気体透過性液体不透過性膜48は、
図6Bに示すように、本体50の第2の端部54に隣接して本体50に固定されている。
【0037】
次に
図7を参照すると、本明細書に開示され特許請求される発明概念に従って構成されたフィルタ部材16aの別の実施形態の斜視図が示されている。前述の実施形態と同様に、フィルタ部材16aは、第1の端部52aと、第2の端部54aと、第1の端部52aから第2の端部54aまで延びる側壁56aとを有する本体50aを含む。本体50aの側壁56aは、本体50aの第1の端部52aから第2の端部54aまで通って延びる通路58a(図示せず)を画成する。前述の実施形態の
図6Aおよび
図6Bのように、本体50aは、バレル12の内面24と摺動可能に封止接触して半径方向外側に延びる少なくとも2つの環状突出部60bを有することができる。
図7に示すように、本体50aは、互いから離間された3つの環状突出部60aを有することができる。フィルタ部材16aは、通路58a全体にわたって延びる気体透過性液体不透過性膜48をさらに備える。この実施形態では、気体透過性液体不透過性膜48は、本体の第2の端部54aに隣接して本体50aに固定されている。
【0038】
次に
図8Aおよび
図8Bを参照すると、フィルタ部材16bの別の実施形態の斜視図および断面図がそれぞれ示されている。フィルタ部材16bは、第1の端部52bと、第2の端部54bと、第1の端部52bから第2の端部54bまで延びる側壁56bとを有する本体50bを含む。前述の実施形態と同様に、本体50bは、バレル12の内面24と摺動可能に封止接触して半径方向外側に延びる少なくとも2つの環状突出部60bを有することができる。本体50bの側壁56bは、本体50bの第1の端部52bから第2の端部54bまで通って延びる複数の通路58bを画成する。その実施形態では、複数の通路58bは、
図8Bに示されるように、互いに平行な関係にあってもよい。さらに、フィルタ部材16bは、複数の気体透過性液体不透過性膜48bを備えることができ、気体透過性液体不透過性膜48bのうちの少なくとも1つは、本体50bの複数の通路58bの各々を横切って延びている。フィルタ部材16bは、
図8Bに示すように、固体微粒子が複数の気体透過性液体不透過性膜48bに接触するのを防止するために、本体50bの第1の端部52bと複数の気体透過性液体不透過性膜48bの各々との間に位置する複数の多孔性フィルタ材料62をさらに備えることができる。
【0039】
少なくとも1つの気体透過性液体不透過性膜48は、限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、およびこれらのいずれかを含む組み合わせなどの任意の好適な材料から形成される。一実施形態では、気体透過性液体不透過性膜48は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、およびポリエチレンのうちの少なくとも1つを含む材料から形成される。少なくとも1つの気体透過性液体不透過性膜48は、機械的な力が印加されたときに穿刺を可能にするのに適した厚さを有することができる。少なくとも1つの気体透過性液体不透過性膜48は、気泡を形成する流体試料32の気体部分の少なくとも一部が、フィルタ部材16を通って内部チャンバ26の入口側44から出口側46まで通過することを可能にすることができる。少なくとも1つの気体透過性液体不透過性膜48はさらに、流体試料32の液体部分から気体部分の少なくとも一部を分離するために、流体試料32が入口開口部28を通って内部チャンバ26に入るときに、流体試料32の液体部分が入口側44から出口側46に通過するのを防止するために、フィルタ部材16を横切る流体密シールを設ける。試料プローブ72はフィルタ部材16を出口側46から入口側44まで通され、流体試料32の液体部分を内部チャンバ26の入口側44から引き出すように、フィルタ部材16は穿孔可能である。
【0040】
図1に示すように、装置10は、採取シリンジ66から液体試料分析器68に流体試料を移送し、液体部分および気体部分を有する流体試料32から気泡を除去するために、採取シリンジ66および液体試料分析器68のような流体試料採取装置と併せて使用することができる。
図1は、採取シリンジ66および液体試料分析器68を伴う装置10が示されているが、当業者であれば、装置10が、例えば真空チューブなどの採取シリンジ66以外の採取デバイス、および液体試料分析器68以外の医療デバイスに独立して関連することを理解し、認識するであろう。液体試料分析器68は、限定しないが、マイクロ流体デバイス、血液ガス分析器、血液分析器、尿化学分析器などの任意の好適な流体検査デバイスであってよい。
【0041】
液体試料分析器68は、試料投入ポート70および試料プローブ72(
図2Cおよび
図3C)を備えている。試料投入ポート70は、
図1に示すように、ノズルキャップ14の少なくとも一部を摩擦受容して取り外し可能に固定し、使用者が装置10を保持することなく、装置10内の流体試料が試料プローブ72を介して液体試料分析器68に引き出されるように、液体試料分析器68の「ハンズフリー」操作を可能にするようにサイズ決めされる(例えば、雌型ルアー)。
【0042】
試料プローブ72は、
図2Cおよび
図3Cに示すように、内部チャンバ26の出口側46から入口側44までフィルタ部材16を通過するように延びて、内部チャンバ26の入口側44から液体試料分析器68内に流体試料32の少なくとも一部を引き出すことができる。試料プローブ72は、内部チャンバ26の入口側44からの試料採取に適合する長さであってもよい。
【0043】
採取シリンジ66は、前端部76、後端部78およびプランジャ80を有するシリンジ本体74を備えている。シリンジ本体74は、流体試料32が中に含まれ、シリンジ本体74の前端部76に位置する投薬開口部84を介して後に排出されるリザーバ82を画成する。シリンジ本体74の後端部78は、流体試料32の採取および排出を容易にするために、開口しており、本体フランジ85を備えることができる。シリンジ本体74は、例えば円筒形など、流体試料の採取に適した任意のサイズまたは形状であることができる。シリンジ本体74は、投薬開口部84を取り囲むように円筒形内に投薬開口部84と同心円状に形成されたカラー77も備えることができる。カラー77は、ねじ係合部79が装置10に係合するために形成された内周面を備えることができる。シリンジ本体74は、ガラスまたはプラスチックなどの任意の好適な材料で構成することができる。シリンジ本体74は、装置10の第1の端部18内を同軸で摺動するように適用された外径を有することができる。
【0044】
プランジャ80は、流体試料32の採取および排出を容易にするために、一端がプランジャフランジ88で終端しているシャフト86を備えることができる。シャフト86は、例えば、円筒形または円柱形を有することができ、方形、五角形、六角形、または十字形などの多角形の断面を有することができる。プランジャ80は、プランジャフランジ88の反対側でシャフト86に固定されたプランジャシール90をさらに備えることができる。プランジャ80は、シリンジ本体74内に取り外し可能に配置され、リザーバ82内で選択的に可動であってもよい。プランジャシール90は、液体試料32がプランジャシール90を越えて移動しないように、リザーバ82内に位置しているときにプランジャシール90が流体密シールを作成できる直径を有する。さらに、プランジャシール90は、周囲空気がシリンジ本体74の後端部78からプランジャシール90を通過する方向に移動するのを防止する。プランジャ80は、シリンジ本体74に対して軸方向に変位することができる。シリンジ本体74の後端部78から前端部76へのプランジャ80の動きにより、流体試料32の少なくとも一部がリザーバ82から排出され、投薬開口部84を介して装置10の入口開口部28に導かれる。プランジャ80は、当技術分野で公知の任意の好適な高分子材料で構成することができる。
【0045】
液体部分から流体試料32の気体部分(すなわち、気泡)を除去するために、
図2Aに示すように、リザーバ82内の流体試料32の体積を収容する採取シリンジ66が、バレル12の第1の端部18に解放可能に取り付けられている。
図2A~
図2Cに示すように、シリンジ本体74の前端部76は、ねじ係合部79を介して装置10に連動係合される。
【0046】
図4Aおよび
図4Bに示すように、バレル12は、バレル連結部94を備えることができる。一実施形態では、シリンジ本体74のねじ係合部79は雄型ルアー連結であり、バレル連結部94は、例示的な一実施形態では、バレル12の外側から半径方向に延び、シリンジ本体74のねじ係合部79に対応するねじピッチ、サイズおよび幾何形状を有するねじラグの対95を備えた雌型ルアーコネクタである。
図2A~
図2Cに示すように、ねじ係合部79は、採取シリンジ66と装置10との間の有意な相対的な動きが防止されるようにバレル連結部94に連動係合して、使用者が採取シリンジ66または装置10を保持することなく、採取シリンジ66内からの流体試料が装置10を介して液体試料分析器に引き出されるように液体試料分析器の「ハンズフリー」操作を可能にすることができる。装置10と採取シリンジ66との間には、ルアースリップ連結のような他の適切なコネクタを利用してもよいことが理解されよう。バレル12の第1の端部18は、雌型ルアー96を備えることができる(
図3Aおよび
図5)。
【0047】
使用時、採取シリンジ66および装置10は、装置10が採取シリンジ66の上方にある直立姿勢で配置され、流体試料中の気泡は流体試料の上部に上昇する。採取シリンジ66のプランジャ80は、
図2Aに示すように、シリンジ本体74の後端部78から前端部76に向かってリザーバ82に沿ってある距離だけ軸方向に変位する。リザーバ82内でのプランジャ80の動きにより、流体試料32の気体部分(すなわち、気泡)の少なくとも一部がリザーバ82から排出され、フィルタ部材16を通過して、入口開口部28および血栓キャッチャ33を介して装置10の内部チャンバ26内に入る。流体試料32の気体部分は、フィルタ部材16を通過し、その後、最終的に装置10の内部チャンバ26から排出される。ひとたび流体試料32の気体部分の少なくとも一部がリザーバ82から変位すると、プランジャ80は初期抵抗力を受ける。
【0048】
初期抵抗力に打ち勝つのに十分な力が印加されたとき、プランジャ80は、
図2Bに示すようにシリンジ本体74の前端部76に向かってリザーバ82内をさらに前進し、それによってリザーバ82の内圧が上昇する。リザーバ82の内圧が上昇すると、流体試料32の液体部分の少なくとも一部がリザーバ82から排出され、入口開口部28および血栓キャッチャ33を介してバレル12の内部チャンバ26に入るのに十分な力が生じる。内部チャンバ26に入る流体試料32は、
図2Bおよび
図3Bに示すように、フィルタ部材16を内部チャンバ26に沿ってバレル12の第2の端部20に向かって軸方向に変位させることができる。フィルタ部材16は、出口開口部30に隣接して配置されるように変位することができる。この配置により、周囲空気が内部チャンバ26に入るのを防止し、流体試料32が出口開口部30を通って内部チャンバ26から出るのを防止する。いくつかの実施形態では、流体試料32の全部よりも少ない量がリザーバ82から内部チャンバ26内に移送されるように、プランジャ80は部分的にリザーバ82内に延びる。
【0049】
流体試料32の液体部分がリザーバ82から排出され、装置10の内部チャンバ26内に収容されると、液体試料分析器68の試料プローブ72は、
図2Cおよび
図3Cに示すように、試料投入ポート70から延び、フィルタ部材16を通り、内部チャンバ26の入口側44から流体試料32の液体部分を引き出すことができる。一実施形態では、試料プローブ72は、フィルタ部材16の気体透過性液体不透過性膜48を穿孔して、内部チャンバ26の入口側44への流体アクセスを得る。
【0050】
使用者が装置10を試料投入ポート70に最初に挿入した後、流体試料が液体試料分析器68に引き込まれるとき、さらなる支援は必要とされない。連結された要素を適切なアライメントで一緒に保持するための追加の支持構造なしで、ハンズフリー操作を行うことができるように、採取シリンジ66、装置10および液体試料分析器68間の連結は、重力によって下に傾いたり、または連結された要素の組み合わせに過度の応力が加わったりしないように十分な剛性を有する。非限定的な一実施形態では、
図1および
図2Cに示すように、採取シリンジ66、装置10および液体試料分析器68間の連結は、採取シリンジ66および装置10を液体試料分析器68の試料プローブ72と軸方向に位置合わせした関係で支持するのに十分な剛性を有する。そのため、使用者は液体試料分析器68の前に留まる必要がなく、また装置10内の流体試料が試料プローブ72により液体試料分析器68に引き込まれる間、装置10および/または採取シリンジ66を保持する必要がない。
【0051】
ここで
図9~
図11を参照すると、本明細書で開示され特許請求される発明概念に従って構成された装置100の別の例示的実施形態が示されている。装置100は、後述すること以外は、上述した装置10と同様である。装置100は、バレル112と、ノズルキャップ114とを備えている。装置100は、フィルタ部材16なしで示されているが、これは任意である。
【0052】
バレル112は、第1の端部118と、第2の端部120と、側壁122と、内面124とを備えている。バレル112は、任意の好適なサイズおよび形状であり、任意の好適な材料、例えば、限定されないが、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレート、およびポリウレタンなどのプラスチック、または医療グレードのポリマーで形成される。バレル112の側壁122は、バレル112の第1の端部118と第2の端部120との間に延びている。バレル112の内面124は、内部チャンバ126を画成する。第1の端部118は入口開口部128を有し、第2の端部120は出口開口部130を有する。
【0053】
内部チャンバ126は、流体試料32(例えば、
図2A~
図2Cに示す流体試料)を収容する任意の好適なサイズおよび形状であってよい。流体試料は、例えば、血液、血清、血漿、または他の体液であってもよい。流体試料は、気体部分と液体部分とを含むことができる。流体試料の気体部分は、例えば、空気または他の気体であってよい。気体部分の一部は、流体試料中に気泡を形成することがある。
【0054】
入口開口部128および出口開口部130は、円形、楕円形、方形、または矩形を含むがこれらに限定されない、任意の好適な幾何形状の断面を有することができる。入口開口部128および出口開口部130は、バレル112に成形または切削加工されるか、さもなければ前もって作製される。入口開口部128は、流体試料32が入口開口部128を介して内部チャンバ126へと通されるときに血栓を捕捉するように形成される。バレル112は、流体が内部チャンバ126に入ることを許容するが、所定のサイズより大きい固形物(すなわち、血栓)は捕捉し、内部チャンバ126へと通るのを防止するようにサイズ決めおよび形成された複数のアパーチャ135を画成するように、入口開口部128を横切って配置された血栓キャッチャ133を備えることができる。血栓キャッチャ133によって捕捉され、内部チャンバ126への流入を防止される固形物としては、例えば、少なくとも直径約0.17±0.05mmまたはそれ以上の所定のサイズを有する、流体試料32中に存在する血栓および他の固形物が挙げられる。非限定的な一実施形態では、血栓キャッチャ133は、入口開口部128と協働して、流体が内部チャンバ126内に入る5つのアパーチャ135(
図10Cおよび
図10Dではそのうちの1つのみに番号が付されている)を画成するように星形(例えば、
図10Cおよび
図10Dに血栓キャッチャ133として図示されている)である。この非限定的実施形態において、5つのアパーチャ135は、星形の血栓キャッチャ133の5つのアームの間に形成され、アームのサイズおよび形状は、血栓を捕捉し、内部チャンバ126内に入るのを防止する捕捉要素として(例えば、アパーチャ135を有する血栓キャッチャ133として
図10Cに示されるように)機能し得る。
【0055】
出口開口部130はノズルキャップ114を備えることができる。ノズルキャップ114は、キャップ部分136と、それを貫通して延びるボア140を有する管状部138とを備えている。管状部138は、使用者が装置100を保持することなく、装置100内の流体試料が液体試料分析器68に引き込まれるように、液体試料分析器68の「ハンズフリー」操作を可能にするように、液体試料分析器68の試料投入ポート70(
図1)と摩擦係合する雄型ルアーの形態であることができる。
【0056】
ボア140は、円形、楕円形、方形、または矩形を含むがこれらに限定されない、任意の好適な幾何形状の断面を有することができる。ボア140は、試料プローブ72を軸方向に摺動可能に受けるように適用された直径を有するようにサイズ決めされる。管状部138の基部は外側に広がり、キャップ部分136と合流する。ノズルキャップ114は、ボア140が出口開口部130と位置合わせされて内部チャンバ126との流体連通を可能にするように、適切にバレル112の第2の端部に連結される。
【0057】
気体透過性液体不透過性膜149(
図10A)は、バレル112の第2の端部120に隣接してバレル112に固定され、出口開口部130を横切る流体密シールを設け、流体試料の液体部分が内部チャンバ126から出口開口部130に通過するのを防止する。試料プローブ72は気体透過性液体不透過性膜149を通り、内部チャンバ126から流体試料の液体部分を引き出すことができるように、気体透過性液体不透過性膜149は穿孔可能である。
【0058】
気体透過性液体不透過性膜149は、限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、およびこれらのいずれかを含む組み合わせなどの任意の好適な材料から形成される。一実施形態では、気体透過性液体不透過性膜149は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、およびポリエチレンのうちの少なくとも1つを含む材料から形成される。気体透過性液体不透過性膜149は、機械的な力が印加されたときに穿刺を可能にするのに適した厚さを有することができる。
【0059】
装置10と同様に、装置100は、採取シリンジ66および液体試料分析器68と併せて使用することができる。
【0060】
採取シリンジ66と装置100との間の流体連通を確立するために、リザーバ82内の流体試料の体積を含む採取シリンジ66は、バレル112の第1の端部118と連動係合することができる。
図11に示すように、シリンジ本体74の前端部76は、ねじ係合部79を介して装置100と連動係合される。
図9および
図10Bに示すように、バレル112は、バレル連結部194を備えることができる。一実施形態では、シリンジ本体74のねじ係合部79は雄型ルアーコネクタであり、バレル連結部194は、例示的な一実施形態では、バレル112の外側から半径方向に延び、シリンジ本体74のねじ係合部79に対応するねじピッチ、サイズおよび幾何形状を有するねじラグの対195を備えた雌型ルアーコネクタである。
図11に示すように、ねじ係合部79は、採取シリンジ66と装置100との間の有意な相対的な動きが防止されるようにバレル連結部194に連動係合して、使用者が採取シリンジ66または装置100を保持することなく、採取シリンジ66内からの流体試料が装置100を介して液体試料分析器68に引き込まれるように液体試料分析器68の「ハンズフリー」操作を可能にすることができる。装置100と採取シリンジ66との間には、ルアースリップ連結のような他の適切なコネクタを利用してもよいことが理解されるであろう。バレル112の第1の端部118は、雌型ルアー196を備えることができる(
図10A)。
【0061】
ここで
図12~
図15を参照すると、装置100は、流体試料32などの流体試料中の遊離ヘモグロビンを検出するためのクロマトグラフアッセイアセンブリ200をさらに備えることができる。クロマトグラフアッセイアセンブリ200は、バレル112のクロマトグラフアッセイチャンバ211(
図12および
図14)内に収容される。非限定的な一実施形態では、クロマトグラフアッセイチャンバ211は、バレル112の側壁122の外面の一部およびカバー212によって部分的に形成される。チャンバ211は、
図14に示すように、血栓キャッチャ133の下流かつ膜149の上流にある通路210を介してバレル112の内部チャンバ126と流体連通している。クロマトグラフアッセイチャンバ211は、バレル112の内部チャンバ126内の流体試料の少なくとも一部がクロマトグラフアッセイチャンバ211内に入ってクロマトグラフアッセイアセンブリ200と接触するように、クロマトグラフアッセイセンブリ200を保持するように構成されている。
【0062】
カバー212は、全体が、または部分的に、バレル112を形成する材料と同じ材料で形成される。例えば、カバー212は、任意の好適な材料、例えば、限定されないが、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレート、およびポリウレタンなどのプラスチック、または医療グレードのポリマーで形成される。カバー212は、透明であっても、またはクロマトグラフアッセイアセンブリ200を見るための透明な窓を有して形成することもできる。後述するように、カバー212は、
図12および
図14に示すように、十分な量の流体試料32がチャンバ211に入るのを観察するための充填枠212aと、溶血レベルを評価するための読み取り枠212bとを備えることができる。非限定的な一実施形態では、充填枠212aおよび読み取り枠212bは、充填枠212aおよび読み取り枠212bを画成するようにカバー212の厚さを小さくすることによって、カバー212の残りの部分から輪郭が形成される。別の実施形態では、充填枠212aおよび読み取り枠212bは、ガラスなど、カバー212を形成するために使用される材料とは異なる透明な材料で形成される。別の実施形態では、充填枠212aおよび読み取り枠212bは、カバー212を貫通する空隙または開口部であり得る。
【0063】
図13A、
図13Bおよび
図14に示すように、クロマトグラフアッセイアセンブリ200は、クロマトグラフ検出パッド216と流体的に接触する試料適用パッド214を備えている。試料適用パッド214は、流体試料32の一部をクロマトグラフアッセイアセンブリ200に適用するように構成されている。試料適用パッド214は、流体試料32(の一部)を受けて吸収し、その後、通路210を介した内部チャンバ126からの流体試料32は、試料適用パッド214からクロマトグラフ検出パッド216に吸収される。
【0064】
図13Aを参照すると、試料適用パッド214は、異なるサイズおよび寸法を有する2つの層から形成され、互いに完全には重ならない。試料適用パッド214は、ガラス繊維材料などのプレ濾過材料から形成される第1の層230と、非対称ポリスルホン材料などの異なる濾過材料からなる第2の層232とを備えている。第1の層230は、第1の端部240と、第2の端部242と、上面244と、下面246とを有する。第2の層232は、第1の端部247と、第2の端部249と、上面252と、下面254とを有する。第1の層230の少なくとも、第2の端部242に隣接する部分は、第2の層232の、第1の端部247と第2の端部249との間の部分と重なる。第1の層230と第2の層232の重なり部分は、互いに取り付けられ、または第1の層230の重なり部分は、第1の層230の下面246の一部が第2の層232の上面252の一部と接触するように、第2の層232の上に単純に重ねることができる。
【0065】
第1の層230の下面246は、通路210と位置合わせされて流体連通し、バレル112の内部チャンバ126から流体試料32を受けるように位置している。
【0066】
したがって、試料適用パッド214の第1の層230および第2の層232は、互いに部分的に重なり合って、重なり部分および重ならない部分を形成することができる。クロマトグラフアッセイアセンブリ200の
図13Bに示すワークフローを参照すると、第1の層230の(下面246における)重ならない部分は、通路210(
図13Bの第2のパネルに示される)を介して内部チャンバ126から流体試料32の一部を受け、吸収することができる。次いで、流体試料32は、試料適用パッド214の重なり部分からクロマトグラフ検出パッド216に吸収される(
図13Bの第3のパネルおよび第4のパネルに示される)。特に、流体試料32が第1の層230(
図12に示す充填枠212aを通して見えることがある)全体に吸収されるか、または含浸すると、流体試料32は、
図13Bの第3のパネルに示すように、濾過されるか、または第1の層230の(下面246における)重なり部分から第2の層232の(上面252における)重なり部分に通される。流体試料32が第2の層232全体に吸収されるか、または含浸すると、流体試料32は、
図13Bの第3のパネルおよび第4のパネルに示すように、濾過され、または第2の層232(下面254)からクロマトグラフ検出パッド216の試料適用部位248(第2の層232の下面254と重なるその上面の一部)に通される。クロマトグラフ検出パッド216によって吸収された流体試料32の成分(すなわち、もしあれば血漿および遊離ヘモグロビン)は、次いで、溶血を示す遊離ヘモグロビンを検出するために、毛細管現象により試料適用部位248からクロマトグラフ検出パッド216の検出部位250に流れる(第4のパネルに示す)。
【0067】
試料適用パッド214は、流体試料32中に存在する血漿および遊離ヘモグロビンに対しては透過性であるが、赤血球に対しては透過性ではないため、流体試料32中に存在する赤血球は、試料適用パッド214の2つの層230および232内に保持され、それによってそこを通ってクロマトグラフ検出パッド216に流れることが防止される。したがって、試料適用パッド214は、(通路210を介して内部チャンバ126から受ける)流体試料32中に存在する赤血球が濾過して除去され、2つの層230および232内に保持されるが、流体試料32中に存在する血漿および遊離ヘモグロビンは試料適用パッド214の細孔を通ってクロマトグラフ検出パッド216に受け取られ、クロマトグラフ検出パッド216に吸収されるように、通路210を通して受け取られる流体試料32を濾過するフィルタとして機能する。
【0068】
多層または二層の試料適用パッド214は、有利には、赤血球の改善された除去または濾過、および(クロマトグラフ検出パッド216での遊離ヘモグロビンの存在の検出による)溶血の検出を提供するが、これは、試料適用パッド214の第1の層230が、流体試料32中の赤血球および他の大きな細胞成分の少なくとも一部を(細胞を溶解することなく)保持することができ、それによって、第2の層232で行われる濾過に過度の負担をかけないように、試料適用パッド214の第2の層232に流入する赤血球および他の大きな細胞成分の量を減少させることができるためである。特に、限定するものではないが、第1の層230および/または第2の層232は、第1の層230から第2の層232の下面254に移動するとき(すなわち、クロマトグラフ検出パッドに向かう方向に移動するとき)、サイズが小さくなる様々な孔径を有する。
【0069】
クロマトグラフ検出パッド216は、毛細管流体の流れのための経路を画成する。試料適用パッド214を通って流れることが可能な流体試料32の成分は、次いで、毛細管現象によってクロマトグラフ検出パッド216を通って流れる(これは毛細管流とも呼ばれる)。クロマトグラフ検出パッド216は、第1の端部および第2の端部を有する。クロマトグラフ検出パッド216は、流体試料32からの血漿および遊離ヘモグロビンが毛細管現象によってそこを自由に流れることを可能にする任意の好適な材料から作られる。非限定的な一例として、クロマトグラフ検出パッド216はニトロセルロース膜であってもよい。クロマトグラフ検出パッド216は、毛細管現象によって流体試料32の特定の成分が通って移動する細孔を有することができる。クロマトグラフ検出パッド216の細孔の大部分は、すべて実質的に同じサイズであっても、または値の範囲内に収まっていてもよい。
【0070】
図13Aを参照すると、クロマトグラフ検出パッド216の第1の端部は、試料適用パッド214の第2の層232の下面254と流体的に接触し、クロマトグラフ検出パッド216に試料適用部位248を形成する。
図13A~
図13Bに示すように、クロマトグラフ検出パッド216はまた、第1の端部部分/試料適用部位248から離間された(ある特定の非限定的実施形態では、その下流の)検出部位250を有し、この検出部位250は、第1の端部部分と第2の端部部分との間に配置されるか、または第1の端部部分よりも第2の端部部分に実質的に隣接しているか、もしくは第2の端部部分に近い。
【0071】
試料適用パッド214は、クロマトグラフ検出パッド216の、第1の端部部分およびその試料適用部位248に隣接する部分のみを覆うが、その検出部位250は覆わない;このようにして、クロマトグラフ検出パッド216を通ってその検出部位250に入る試料の流れは、(
図12および
図14に示すように)カバー212の読み取り枠212bから見える。
【0072】
図13Aを参照すると、クロマトグラフアッセイアセンブリ200は、クロマトグラフ検出パッド216の下面が取り付けられるか、または別様に(例えば、限定されないが、ダブルスティック接着剤によって)関連付けられるバッキング材料218をさらに含むことができる。
【0073】
流体試料32(全血試料、尿、または他の赤血球含有液体試料などであるが、これらに限定されない)がクロマトグラフアッセイアセンブリ200に適用されると、遊離ヘモグロビンが試料適用パッド214を通ってクロマトグラフ検出パッド216に流入し、次いでクロマトグラフ検出パッド216の試料適用部位248からその検出部位250に流入する。このようにして、遊離ヘモグロビン(溶血を示す)は、遊離ヘモグロビンの赤色による色の変化によって検出部位250で検出可能である。クロマトグラフ検出パッド216は、白色の材料で形成され、したがって、カバー212の読み取り枠212bを介して、検出部位250におけるクロマトグラフ検出パッド216の色変化による溶血の視覚的読み取りまたは検出を可能にする。
【0074】
クロマトグラフアッセイアセンブリ200の特定の非限定的な一実施形態が
図13Aおよび
図13Bに示されているが、図示されているクロマトグラフアッセイアセンブリ200の設計および構成は、例示のみを目的としていることが理解されるであろう。本開示の範囲は、クロマトグラフアッセイアセンブリが本開示に従って機能可能なままである限り、本開示のクロマトグラフアッセイアセンブリの設計および構成を適合させることを含む。
【0075】
例えば(限定するものではないが)、試料適用パッド214の(プレ濾過材料からなる)第1の層230および(非対称ポリスルホン材料からなる)第2の層232は、互いに対称である必要はない(すなわち、それらは、サイズ、長さ、幅および/または厚さが互いに異なり得る)ことが理解されるであろう。加えて、試料適用パッド214の第1の層230および第2の層232は、互いに一致する必要はなく、したがって、各層は、他方の層と重ならない領域を有することができる。唯一の要件は、試料が第1の層230を通って第2の層232に流入し、次いで第2の層232からクロマトグラフ検出パッド216の試料適用部位248に流入するように、第1の層230の少なくとも一部が第2の層232の十分な部分と重なり合わなければならないということである。
【0076】
使用時、採取シリンジ66は、装置100と連動係合し、両者は、装置100が採取シリンジ66の上方にある直立配向で配置される。装置100がフィルタ部材16を備えていない場合、使用者は、上述した従来の方法で流体試料から気泡を除去してもよい。採取シリンジ66のプランジャ80は、シリンジ本体74の後端部78から前端部76に向かってリザーバ82に沿ってある距離だけ軸方向に変位する。リザーバ82内でのプランジャ80の動きにより、流体試料の少なくとも一部がリザーバ82から排出され、入口開口部128および血栓キャッチャ133を通って装置100の内部チャンバ126内に入る。流体試料の気体部分はすべて気体透過性液体不透過性膜149を通過する。
【0077】
流体試料の一部は、通路210を通ってクロマトグラフアッセイチャンバ211に入り、試料適用パッド214に接触する。
図13Bは、クロマトグラフアッセイアセンブリ200のワークフローを示す。流体試料32(例えば、血液試料)は、
図13Bの第2のパネルに示すように、試料適用パッド214の第1の層230の下面246に適用され、第1の層230に入る。流体試料32は、第1の層230に含浸し、重なり部分を通って第2の層232(第3のパネル)へと流れる。第1の層230の含浸は、試料適用パッド214の少なくとも一部と位置合わせされたカバー212の充填枠212aを通して第1の層230を見ることによって判断される。
【0078】
第1の層230が含浸されると、血液試料32からの血漿および遊離ヘモグロビン(もしあれば)は、次いで第2の層232を通過し、クロマトグラフ検出パッド216に入り、存在する溶血を検出するために試料適用部位248からその検出部位250に流れる(第4のパネル)。検出部位250または検出部位250近傍のクロマトグラフ検出パッド216に対照ラインが存在してもよい。非限定的な一実施形態では、検出部位250に到達した血漿は対照ラインを黄色から青色に変え、クロマトグラフアッセイアセンブリ200が検出部位250と位置合わせされた読み取り枠212bを通して読み取られる準備ができていることを示す。
【0079】
図15は、流体試料32中の溶血レベルを視覚的に判定するためにクロマトグラフアッセイアセンブリ200と共に利用することができる基準デバイス260の非限定的な一実施形態を示す。基準デバイス260は、複数の基準色(基準色262、264、266、268、および270などであるが、これらに限定されず、色262は、クロマトグラフ検出パッド16の白色/デフォルト色を有し、陰性対照として機能し、色264、266、268、および270は、強さ/色相が増加する様々な色合いのピンク/赤色であり、強さ/色相が暗くなればなるほど溶血の量/程度の高さに相関する;5つの基準色が例示のためにのみ示されている)を含む。さらに、基準デバイス260は、基準色262、264、266、268、および270の各々を遊離ヘモグロビンの特定の濃度に関連付けるキー272も含む。すなわち(例示のみを目的として)、キー272の色262は陰性対照であるが、色264は遊離ヘモグロビンが0mg/dL存在することを示し、色266は遊離ヘモグロビンが100mg/dL存在することを示し、色268は遊離ヘモグロビンが250mg/dL存在することを示し、色270は遊離ヘモグロビンが500mg/dL存在することを示す。このようにして、検出部位250の色を基準デバイス260の基準色264~270と比較することによって、任意の環境(簡易迅速検査または家庭内環境を含むが、これらに限定されない)において、個人が液体生物学的試料中の溶血レベルを判定することができる。
【0080】
図15の基準デバイス260の設計および構成は、例示のみを目的として示されており;基準デバイス260は、5色未満の基準色または5色を超える基準色(2色、3色、4色、5色、6色、7色、8色、9色、10色、またはそれ以上の基準色などだが、これらに限定されない)を有していてもよいことが理解されるであろう。加えて、基準色の形状および配置は異なっていてもよい。また、キー272は、
図15に示すのとは異なる形状/配置で設けることができる。基準デバイス260の各構成要素(基準色およびキー272などであるが、これらに限定されない)の設計および構成は、基準デバイス260が本開示に従って機能することを可能にする任意の設計および構成を有するように、当業者によって容易に適合される。あるいは、医療診断デバイスは、読み取り枠212bを通じて溶血レベルを光学的に検出するなど、流体試料中の溶血レベルを光学的に検出するために利用することができ、この場合、医療診断デバイスは、光センサ、プロセッサ、および検出部位250に向けられた光源を備えている。医療診断デバイスは、液体試料分析器68または別のデバイスであってもよい。
【0081】
溶血について流体試料を光学的に検査する方法は、液体試料32の一部が試料適用パッド214に適用され、遊離ヘモグロビンが試料適用パッド214を通ってクロマトグラフ検出パッド216の試料適用部位248から検出部位250に流入した後に、上述したように、クロマトグラフアッセイアセンブリ200の検出部位250によって反射された光の特性を測定することを含み得る。次いで、例えば赤色光、橙色光、緑色光、および/または青色光の測定量は、例えば1つまたはそれ以上の基準値に対して測定量を比較することによって、遊離ヘモグロビンのレベルを決定する際に使用することができる。例示的実施形態では、溶血について流体試料を検査する方法は、医療診断デバイス(図示せず)によって光学的に、または医療提供者によって視覚的に実行される。医療提供者は、例えば、液体試料32の溶血を視覚的に判定するために、完成したクロマトグラフアッセイアセンブリ200を基準デバイス(
図15に示す基準デバイス260などであるが、これに限定されない)と視覚的に比較することができ、基準デバイスは、異なる溶血レベルにそれぞれ対応する複数の基準色を含む。
【0082】
この方法は、所定の干渉値(例えば、製造業者の干渉レベル)を超えるヘモグロビンのレベルを検出することができる。試料が干渉値を超えている場合、その試料は、エンドユーザ(すなわち、関連する医療提供者)に、試料が溶血しているため損なわれており、さらなる検査に使用すべきではないことを通知するようにフラグが立てられる。
【0083】
(上述の遊離ヘモグロビンレベルの視覚的および/または光学的検出によって)試料中の判定済み溶血レベルが所定の閾値未満である場合、試料は損なわれておらず、さらなる検査の対象となり得る。損なわれていない試料をさらに検査するために、装置100は、採取シリンジ66が装置100に係合した状態で、液体試料分析器68などの検査機器に係合される。次に、液体試料分析器68の試料プローブ72(
図3C)を試料投入ポート70から延ばし、気体透過性液体不透過性膜149を通過させて、使用者が採取シリンジ66または装置100を保持することなく、「ハンズフリー」で内部チャンバ126から流体試料の液体部分を引き出すことができる。
【0084】
使用者が装置100を試料投入ポート70に最初に挿入した後、流体試料が液体試料分析器68に引き込まれるとき、さらなる支援は必要とされない。連結された要素を適切なアライメントで一緒に保持するための追加の支持構造なしで、ハンズフリー操作を行うことができるように、採取シリンジ66、装置100および液体試料分析器68間の連結は、重力によって下に傾いたり、または連結された要素の組み合わせに過度の応力が加わったりしないように十分な剛性を有する。装置10に関連する
図2Cに示すものと同様に、採取シリンジ66、装置100および液体試料分析器68間の連結は、採取シリンジ66および装置100を液体試料分析器68の試料プローブ72と軸方向に位置合わせした関係で支持するのに十分な剛性を有する。そのため、使用者は液体試料分析器68の前に留まる必要がなく、装置100内の液体試料が試料プローブ72により液体試料分析器68に引き込まれる間、装置100および/または採取シリンジ66を保持する必要がない。
【0085】
上記の説明から、本明細書に開示される発明概念は、本明細書に開示される発明概念に固有のものと同様に、本明細書に記載される目的を実施し、その利点を達成するために十分に適合されることが明らかである。本明細書に開示された発明概念の例示的実施形態が、本開示の目的のために記載されたが、当業者に容易に示唆され、本明細書に開示され、添付の特許請求の範囲によって定義される発明概念の範囲から逸脱することなく達成される多数の変更がなされることが理解されるであろう。
【0086】
以下は、本明細書に開示された発明概念の非限定的な例示的実施形態のリストである。
【0087】
例示的実施形態1。液体部分および気体部分を有する流体試料を流体試料採取装置から液体試料分析器に移送するための例示的装置であって:
通路の上流で血栓キャッチャが入口開口部を横切って延びている入口開口部を有する第1の端部、第1の端部の反対側の、出口開口部を有する第2の端部、第1の端部と第2の端部との間に延びている側壁、内部チャンバを画成する内面、およびバレルの外面を通る通路を介して内部チャンバと流体連通するクロマトグラフアッセイチャンバの少なくとも一部を画成する外面を有するバレルと;
クロマトグラフアッセイチャンバに収容され、流体試料中の遊離ヘモグロビンの存在を検出するように構成されたクロマトグラフアッセイアセンブリと
を含み、クロマトグラフアッセイアセンブリは:
内部チャンバから流体試料を受け取るように構成され、プレ濾過材料からなる第1の層と非対称ポリスルホン材料からなる第2の層とから形成され、血漿および遊離ヘモグロビンに対しては透過性だが、赤血球に対して透過性ではない試料適用パッドと;
試料適用パッドと流体的に接触しており、遊離ヘモグロビンの存在を検出するように構成されているクロマトグラフ検出パッドと
を含む、装置。
【0088】
例示的実施形態2。クロマトグラフアッセイチャンバは、バレルの外面の一部およびカバーによって画成され、カバーは、試料適用パッドを通る流体試料の流れを見るための、試料適用パッドと位置合わせされた透明な充填枠と、クロマトグラフ検出パッドの検出部位を見るための、検出部位と位置合わせされた透明な読み取り枠とを有する、例示的実施形態1に記載の例示的装置。
【0089】
例示的実施形態3。バレルの第1の端部は、流体試料採取装置の一部と係合可能なバレル連結部を有し、バレルの第2の端部は、液体試料分析器と係合するように構成された管状部を有するため、流体試料採取装置とバレルとの組み合わせは、さらなる支持なしで液体試料分析器に取り付け可能である、例示的実施形態1または2に記載の例示的装置。
【0090】
例示的実施形態4。バレル連結部は、流体試料採取装置の一部と連動係合可能であるようにバレルの側壁から半径方向外側に延びる少なくとも1つのねじラグを含む、例示的実施形態1~3のいずれか1つに記載の例示的装置。
【0091】
例示的実施形態5。バレル連結部は、流体試料採取装置と連動係合可能であるようにバレルの側壁から半径方向外側に延びるねじラグの対を含む、例示的実施形態1~4のいずれか1つに記載の例示的装置。
【0092】
例示的実施形態6。バレル連結部は、雌型ルアーコネクタである、例示的実施形態1~5のいずれか1つに記載の例示的装置。
【0093】
例示的実施形態7。バレルの管状部は、液体試料分析器と係合するように構成された雄型ルアーコネクタである、例示的実施形態1~6のいずれか1つに記載の例示的装置。
【0094】
例示的実施形態8。バレルの第2の端部に隣接してバレルに固定された気体透過性液体不透過性膜をさらに含み、気体透過性液体不透過性膜は、試料プローブが気体透過性液体不透過性膜を通って内部チャンバに入るように構成されるように穿孔可能である、例示的実施形態1~7のいずれか1つに記載の例示的装置。
【0095】
例示的実施形態9。気体透過性液体不透過性膜は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、およびポリエチレンのうちの少なくとも1つを含む材料から形成される、例示的実施形態1~8のいずれか1つに記載の例示的装置。
【0096】
例示的実施形態10。内部チャンバの入口側および出口側を画成し、バレルの第1の端部と第2の端部との間に配置可能であるように内部チャンバ内に配置されるフィルタ部材であって、流体試料の液体部分から気体部分の少なくとも一部を分離するために、流体試料の気体部分の少なくとも一部は内部チャンバの入口側から出口側へとフィルタ部材を通過できるようにし、流体試料が入口開口部から内部チャンバ内に入るときには、流体試料の液体部分が入口側から出口側に通過するのを防止するためのフィルタ部材を横切る流体密シールを設けるように構成された少なくとも1つの気体透過性液体不透過性膜を有するフィルタ部材をさらに含み、
プローブはフィルタ部材を通って出口側から入口側まで通され、流体試料の液体部分を内部チャンバの入口側から引き出すように、フィルタ部材は穿孔可能である、例示的実施形態1~9のいずれか1つに記載の例示的装置。
【0097】
例示的実施形態11。フィルタ部材はバレルの内部チャンバ内に摺動可能に配置される、例示的実施形態1~10のいずれか1つに記載の例示的組み合わせ。
【0098】
例示的実施形態12。例示的実施形態1~11のいずれか1つに記載の装置と;
各々が異なる溶血レベルに対応する複数の基準色を含む基準デバイスと
を含む、例示的キット。
【0099】
例示的実施形態13。液体部分および気体部分を有する流体試料を流体試料採取装置から、試料プローブを有する液体試料分析器に移送する例示的方法であって:
血栓キャッチャが入口開口部を横切って延びている入口開口部を有する第1の端部、出口開口部を有する第2の端部、第1の端部と第2の端部との間に延びている側壁、および内部チャンバを画成する内面を有するバレルを有する装置を得る工程と;
流体試料が、流体試料中の固形物を捕捉するために入口開口部で血栓キャッチャを通過するように流体試料採取装置から入口開口部を介してバレルの内部チャンバに流体試料の少なくとも一部を移送する工程と;
バレルの内部チャンバからクロマトグラフアッセイチャンバ、および血栓キャッチャの下流の内部チャンバと流体連通しているクロマトグラフアッセイチャンバに収容されたクロマトグラフアッセイアセンブリに流体試料の一部を通す工程と;
クロマトグラフアッセイアセンブリによって流体試料中の遊離ヘモグロビンの存在を検出する工程と;
試料プローブを用いて内部チャンバから液体試料分析器に流体試料を移送する工程と
を含む、例示的方法。
【0100】
例示的実施形態14。検出工程は:
流体試料をクロマトグラフアッセイアセンブリの試料適用パッドに適用し、流体試料中に存在する赤血球を試料適用パッドに保持したまま、流体試料中に存在する血漿および遊離ヘモグロビンが試料適用パッドを通ってクロマトグラフ検出パッドに流れるようにする工程と;
毛細管現象により、血漿および遊離ヘモグロビンを、クロマトグラフ検出パッドの試料適用部位からクロマトグラフ検出パッドの検出部位まで流す工程と;
検出部位で色の変化を、各々が異なる溶血レベルに対応する複数の基準色を含む基準デバイスと視覚的に比較する工程と
を含む、例示的方法。
【0101】
例示的実施形態15。試料適用パッドは第1の層および第2の層を含み、適用工程は、第1の層に流体試料を含浸させることと、流体試料を第1の層から第2の層に通して第2の層に流体試料を含浸させることをさらに含む、例示的実施形態1~14のいずれか1つに記載の例示的方法。
【0102】
例示的実施形態16。クロマトグラフアッセイチャンバは、バレルの外面の一部と、試料適用パッドと位置合わせされた充填枠、およびクロマトグラフ検出パッドの検出部位と位置合わせされた読み取り枠を有するカバーとによって画成され、適用工程は、試料適用パッドに流体試料が含浸されているかどうかを判定するために、カバーの充填枠を通して試料適用パッドを見ることをさらに含む、例示的実施形態1~15のいずれか1つに記載の例示的方法。
【0103】
例示的実施形態17。視覚的に比較する工程は、カバーの読み取り枠を通して検出部位を見ることを含む、例示的実施形態1~16のいずれか1つに記載の例示的方法。
【0104】
例示的実施形態18。流体試料の少なくとも一部を流体試料採取装置から移送する工程は、バレルの第1の端部を流体試料採取装置の一部に係合することをさらに含み、流体試料を内部チャンバから液体試料分析器に移送する工程は、流体試料採取装置とバレルとの組み合わせは、さらなる支持なしで液体試料分析器に取り付けられるように、バレルの第2の端部を液体試料分析器と係合することをさらに含む、例示的実施形態1~17のいずれか1つに記載の例示的方法。
【0105】
例示的実施形態19。流体試料を内部チャンバから液体試料分析器に移送する前に、視覚的に比較する工程の溶血の検出は溶血の所定の閾値未満であると判定する、例示的実施形態1~18のいずれか1つに記載の例示的方法。
【0106】
例示的実施形態20。第1の端部を係合する工程は、バレルを流体試料採取装置に連動係合するように、バレルの第1の端部を流体試料採取装置の一部に螺合することをさらに含む、例示的実施形態1~19のいずれか1つに記載の例示的方法。
【0107】
例示的実施形態21。バレルの第1の端部は、雄型ルアーコネクタであるバレル連結部を有し、流体試料採取装置の一部は雌型ルアーコネクタを有し、第1の端部を係合する工程は、バレルの雄型ルアーコネクタを流体試料採取装置の雌型ルアーコネクタに係合することをさらに含む、例示的実施形態1~20のいずれか1つに記載の例示的方法。
【0108】
例示的実施形態22。バレルの第2の端部は、雄型ルアーコネクタである管状部を有し、第2の端部を係合する工程は、液体試料分析器の試料投入ポート内にバレルの雄型ルアーコネクタを係合することを含む、例示的実施形態1~21のいずれか1つに記載の例示的方法。
【0109】
例示的実施形態23。第1の端部を係合し、第2の端部を係合する工程は、流体試料採取装置およびバレルを試料プローブと軸方向に位置合わせすることをさらに含む、例示的実施形態1~22のいずれか1つに記載の例示的方法。
【0110】
例示的実施形態24。装置は、バレルの第2の端部に隣接してバレルに固定された気体透過性液体不透過性膜をさらに含み、バレルの内部チャンバから流体試料を移送する工程は、試料プローブを気体透過性液体不透過性膜からバレルの内部チャンバに通すことをさらに含む、例示的実施形態1~23のいずれか1つに記載の例示的方法。
【0111】
例示的実施形態25。内部チャンバ内に配置され、内部チャンバの入口側および出口側を画成し、気体透過性液体不透過性膜を有するフィルタ部材に、流体試料を接触させる工程と;
流体試料の気体部分の少なくとも一部がフィルタ部材を横切って内部チャンバの入口側から出口側へと通過し、流体試料の液体部分が入口側から出口側に通過するのは防止するように、流体試料を気体透過性液体不透過性膜に接触させることによって、流体試料の気体部分の少なくとも一部を流体試料の液体部分から分離する工程と;
流体試料の液体部分の少なくとも一部を内部チャンバの入口側から採取する工程と
をさらに含む、例示的実施形態1~24のいずれか1つに記載の例示的方法。
【0112】
例示的実施形態26。バレルの内部チャンバから流体試料を採取する工程は、試料プローブを気体透過性液体不透過性膜からバレルの内部チャンバの入口側に通すことをさらに含む、例示的実施形態1~25のいずれか1つに記載の例示的方法。
【国際調査報告】