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特表2024-532788デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理するシステムおよび方法
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  • 特表-デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理するシステムおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20240903BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508579
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 US2022039891
(87)【国際公開番号】W WO2023018753
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/233,068
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524053225
【氏名又は名称】シバル エンタープライズ インク
【氏名又は名称原語表記】SYBAL ENTERPRISES INC.
【住所又は居所原語表記】5830 E 2nd St Suite 7000 #2017 Casper, Wyoming 82609,US
(74)【代理人】
【識別番号】100226861
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 廣
(72)【発明者】
【氏名】サニー・クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】サニー・イケロワ
【テーマコード(参考)】
5L010
【Fターム(参考)】
5L010AA06
(57)【要約】
【要約】
本発明は、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理するためのシステムに関する。本発明のシステムは、少なくとも企業が使用するポリシー及びプロシージャのライブラリを維持するためのデータリポジトリ並びに少なくとも1つのプロセッサを含む。プロセッサの処理能力は以下の通りである:ライブラリより、デジタルエコシステムに所属する企業が使用するポリシーの文書を受け取る;デジタルエコシステムの参加者の行動についてのデジタルイベントデータを、企業に関連付けられたターゲットサーバより受け取る;ポリシーおよびデジタルイベントデータに基づいて違反の概要を作成する。ここでデジタルイベントデータがポリシーに準拠していない場合、違反が記録される; 違反の概要に基づきポリシーの有効性スコアを決定する;ポリシーの有効性スコアに基づき、コンプライアンススコア(準拠スコア)を決定する;コンプライアンススコアに基づき、デジタルエコシステムにおけるガバナンススコアを決定する;デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを維持または改善するためのアクションを企業が実行できるように、ガバナンススコアをターゲットサーバに伝達する。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルエコシステムにおいて、以下の構成を有するデジタルガバナンスを管理するためのシステム;
(1)企業が使用するポリシーおよびプロシージャを含むライブラリを少なくとも維持するように構成されたデータリポジトリ、および
(2)前記データリポジトリに通信可能に接続された少なくとも1つのプロセッサであって、ここで前記少なくとも1つのプロセッサは以下の処理能力を有する;
(i)ライブラリから少なくとも1つのポリシーの文書を受信する、ここで少なくとも1つのポリシーの文書は、デジタルエコシステムに所属する企業が使用する;
(ii)ターゲットサーバよりデジタルイベントデータを受信する、ここでデジタルイベントデータは、デジタルエコシステムの参加者の行動を示すものであって、ターゲットサーバは、デジタルエコシステムに所属する企業と関連付けられる;
(iii)少なくとも1つのポリシーの文書及びデジタルイベントデータに基づいて、違反の概要を作成する、ここでデジタルイベントデータが少なくとも1つのポリシーの文書に準拠していない場合に、少なくとも1つの違反が、違反の概要に記録される;
(iv)前記違反の概要に基づいて、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定する;
(v)前記少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、少なくとも1つのコンプライアンススコアを決定する;
(vi)前記少なくとも1つのコンプライアンススコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるガバナンススコアを決定する;及び
(vii)デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを維持または改善するための少なくとも1つのアクションを企業が実行できるように、ガバナンススコアをターゲットサーバに伝達する。
【請求項2】
請求項1のシステムにおいて、前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに以下の処理能力を有することを特徴とするシステム;
(1)ガバナンススコアにタイムスタンプする;
(2)ガバナンススコアを企業に関連付く固有のデジタル識別子にマッピングする;
(3)デジタルエコシステムにおけるガバナンスの証拠として、固有のデジタル識別子とともにタイムスタンプされた少なくとも1つのガバナンススコアを変更不可なデジタルデータベースに記録する。
【請求項3】
前記変更不可なデジタルデータベースは、変更不可な分散型台帳またはブロックチェーンである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
請求項2に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに以下の処理能力を有することを特徴とするシステム;
(1)前記データリポジトリより、前記企業において使用される少なくとも1つの新しいポリシーの文書を入手する;
(2)少なくとも1つの新しいポリシーを実行するアクションを強制するためにスマートコントラクトを作成する、ここで前記スマートコントラクトは、企業に関連付けられた固有のデジタル識別子に結び付けられ、スマートコントラクトは、少なくとも1つの新しいポリシーのバージョンと、少なくとも1つの新しいポリシーに関連付けられた固有のポリシー識別子と、アクションを実行するガバナンスの決定と、スマートコントラクトを作成するタイムスタンプを含む;及び
(3)スマートコントラクトを変更不可なデジタルデータベースに記録する。
【請求項5】
前記少なくとも1つのアクションは、ポリシーに関する提案、トレーニングに関する提案の少なくとも1つである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記データリポジトリは、前記企業における先例のリスクケースの記録を保管するようにさらに構成され、前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに以下の処理能力を有することを特徴とするシステム;
(1)データリポジトリより企業の先例のリスクケースの記録を受け取り、少なくとも違反の概要と少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスのリスクレベルを予測する;
(2)リスクレベルに基づいて、デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスを維持または改善するために実施する必要がある少なくとも1つのアクションを決定し、少なくとも1つのアクションをターゲットサーバに伝達する。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、前記データリポジトリは、さらに、前記企業の過去および現在のパフォーマンスデータを格納するように構成され、前記過去および現在のパフォーマンスデータは、前記企業の過去および現在の違反の概要、過去および現在のポリシーの有効性スコア、過去および現在のコンプライアンススコア、過去および現在のガバナンススコアのうちの少なくとも1つを含み、前記デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスのリスクレベルを予測するとき、前記少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの予測モデリング技術を使用して、前記企業の過去および現在のパフォーマンスデータを処理するように構成される、システム。
【請求項8】
請求項6に記載のシステムにおいて、前記データリポジトリは、少なくとも1つの規制当局のサーバに通信可能に接続される、ここで前記データリポジトリは、少なくとも1つの規制当局のサーバより、産業界が企業に対して設定した規約および/または法令を受け取り、前記規約および/または法令を規制当局のライブラリに格納するように構成され、前記規制当局のライブラリは、少なくとも1つの規制当局の文書を含み、前記少なくとも1つの規制当局の文書は、企業がポリシーおよびプロシージャを策定するために使用されることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに以下の処理能力を有する、システム;
(1)デジタルイベントデータを分析して、デジタルエコシステムへの参加者の行動を同定する
(2)少なくとも1つの参加者の行動に基づいて、少なくとも1つの規約および/または法令の提案を作成する、及び
(3)前記の提案を少なくとも1つの規制当局のサーバに伝達する。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、前記少なくとも1つのポリシーの文書は、少なくとも1つの固定ポリシーを含み、前記少なくとも1つの固定ポリシーは、1つ以上のプロシージャに関連付けられ、前記違反の概要を作成するとき、前記少なくとも1つのプロセッサは、以下の処理能力を有する、システム;
(1)デジタルイベントデータからプロシージャデータを抽出する;
(2)前記のプロシージャデータを、少なくとも1つの固定ポリシーの1つまたは複数のプロシージャに関連付けられたプロシージャの参照データと照合する;及び
(3)前記プロシージャデータが、前記プロシージャの参照データと部分的に不一致または完全に不一致の場合に、前記違反の概要に所定の違反を記録し、ここで前記所定の違反はプロシージャの違反である。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、前記少なくとも1つのポリシーの文書は、少なくとも1つの動的ポリシーを含み、前記少なくとも1つの動的ポリシーは、1つ以上のパラメータと関連付けられ、前記違反の概要を作成するとき、前記少なくとも1つのプロセッサは、以下の処理能力を有する、システム;
(1)デジタルイベントデータからパラメータデータを抽出する;
(2)前記パラメータデータを、少なくとも1つの動的ポリシーの1つまたは複数のパラメータに関連付けられたパラメータの参照値およびパラメータの参照の範囲と照合する;
(3)パラメータデータが参照のパラメータ値と部分的に不一致または完全に不一致であるとき、および/またはパラメータデータがパラメータの参照の範囲外にあるとき、違反の概要に所定の違反を記録する、ここで所定の違反はパラメータ違反である。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムであって、前記違反の概要における少なくとも1つの違反は、固定ポリシーの少なくとも1つのプロシージャ違反であり、前記少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定するとき、前記少なくとも1つのプロセッサは、以下の処理能力を有する、システム;
(1)固定ポリシーの有効性スコアを初期の値に初期化する、ここで初期の値は全体の中で最大のスコアである;
(2)前記最大のスコアから前記少なくとも1つのプロシージャ違反に相当するポイントを減点することによって、前記初期の値を2番目の値に減少させる、及び
(3)固定ポリシーの有効性スコアを2番目の値として決定する。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムであって、前記違反の概要における少なくとも1つの違反は、動的ポリシーの少なくとも1つのパラメータ違反であり、前記少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定するとき、前記少なくとも1つのプロセッサは、以下の処理能力を有する、システム;
(1)パラメータデータ内のデジタルイベントの総数を決定する;
(2)デジタルイベントの総数のうち、少なくとも1つのパラメータ違反を引き起こさないデジタルイベントの数を決定する;及び
(3)動的ポリシーの有効性スコアを、少なくとも1つのパラメータ違反を引き起こさないデジタルイベントの数をデジタルイベントの総数で割った値として決定する。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記データリポジトリは、前記企業に関連するターゲットサーバと通信可能に接続され、前記データリポジトリは、前記ターゲットサーバから前記企業が使用するポリシーおよびプロシージャを取得し、前記ポリシーおよびプロシージャを前記ポリシーのライブラリの形式で格納するように構成されることを特徴とする、システム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに以下の処理能力を有することを特徴とする、システム;
(1)前記少なくとも1つのポリシーの文書における各ポリシーを重み付けする、ここで前記の重みは、前記ポリシーの重要度に基づいて決められる;及び
(2)前記少なくとも1つのポリシーの文書の各ポリシーの少なくとも1つの重み付けされたポリシーの有効性スコアを決定する、ここで所定の重み付けされたポリシーの有効性スコアは、前記ポリシーに割り当てられた重みと前記ポリシーの有効性スコアとの積であり、前記デジタルエコシステムの少なくとも1つのコンプライアンススコアは、前記少なくとも1つの重み付けされたポリシーの有効性スコアに基づいて決定される。
【請求項16】
デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスを管理するための方法であって、当該方法は以下を含む;
(1)データリポジトリに保持されるポリシーのライブラリより少なくとも1つのポリシーの文書を入手する、ここで前記ポリシーのライブラリは、企業が使用するポリシーおよびプロシージャを含み、少なくとも1つのポリシーの文書は、デジタルエコシステムに所属する企業が使用する;
(2)ターゲットサーバよりデジタルイベントデータを入手する、ここでデジタルイベントデータは、デジタルエコシステムの参加者の行動を示すものであり、ターゲットサーバは、デジタルエコシステムに所属する企業に関連付けられ、少なくとも1つのポリシー及びデジタルイベントデータに基づいて、違反の概要を作成し、デジタルイベントデータが少なくとも1つのポリシーに準拠していない場合、少なくとも1つの違反が違反の概要に記録される;
(3)違反の概要に基づいて、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定し、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、少なくとも1つのコンプライアンススコアを決定する;
(4)少なくとも1つのコンプライアンススコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるガバナンススコアを決定する;及び
(5)企業がデジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスを維持または改善するための少なくとも1つのアクションを実行することを可能にするために、ガバナンススコアをターゲットサーバに伝達する。
【請求項17】
以下を更に含む、請求項16に記載の方法;
(1)ガバナンススコアにタイムスタンプする
(2)ガバナンススコアを企業に関連する固有のデジタル識別子にマッピングする;
(3)少なくともタイムスタンプされたガバナンススコアを、固有のデジタル識別子とともに、デジタルエコシステムにおけるガバナンスの証拠として変更不可なデジタルデータベースに記録する。
【請求項18】
以下を更に含む、請求項17に記載の方法;
(1)前記データリポジトリより、前記企業によって実行される少なくとも1つの新しいポリシーを示す文書を受け取る;
(2)前記少なくとも1つの新しいポリシーを実行するアクションを強制するためのスマートコントラクトを作成する、ここで前記スマートコントラクトは、前記企業に関連付けられた固有のデジタル識別子に結び付けられ、前記スマートコントラクトは、前記少なくとも1つの新しいポリシーに関連付けられた固有のポリシー識別子と共に、前記少なくとも1つの新しいポリシーのバージョンと、前記アクションを実施するガバナンス、及び前記スマートコントラクトを作成するタイムスタンプを含む;及び
(3)スマートコントラクトを変更不可なデジタルデータベースに記録する。
【請求項19】
以下を更に含む、請求項16に記載の方法;
(1)企業の先例のリスクケースの記録を受け取る;
(2)少なくとも1つの違反の概要及び少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスのリスクレベルを予測する;
(3)前記のリスクレベルに基づき、前記デジタルエコシステムにおけるガバナンスを維持または改善するために実行することが要求される少なくとも1つのアクションを決定し、前記少なくとも1つのアクションをターゲットサーバに伝達する。
【請求項20】
請求項16に記載の方法において、前記違反の概要の少なくとも1つの違反は、固定ポリシーの少なくとも1つのプロシージャ違反であり、前記少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定する工程は、以下を含むことを特徴とする方法;
(1)前記固定ポリシーの有効性スコアを初期の値に初期化する、ここで前記初期の値は全体の中で最も大きい値である;
(2)最も大きい値から少なくとも1つのプロシージャ違反に相当するポイントを差し引くことによって、初期の値を2番目の値に減少させる;及び
(3)固定ポリシーの有効性スコアを2番目の値として決定する。
【請求項21】
請求項16に記載の方法であって、違反の概要における少なくとも1つの違反は、動的ポリシーの少なくとも1つのパラメータ違反であり、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定する工程は、以下を含む方法;
(1)パラメータデータにおけるデジタルイベントの総数を決定し、デジタルイベントの総数のうち、少なくとも1つのパラメータ違反をもたらさないデジタルイベントの数を決定する;及び
(2)動的ポリシーの有効性スコアを、少なくとも1つのパラメータ違反を引き起こさないデジタルイベントの数をデジタルイベントの総数で割ったものとして決定する。
【請求項22】
プロセッサによって実行されると、プロセッサに以下を行わせるプログラム指令を記憶した非一過性の機械可読データ記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品:
(1)データリポジトリに保持されるポリシーのライブラリより少なくとも1つのポリシーの文書を受け取る、ここでポリシーのライブラリは、企業が使用するポリシーおよびプロシージャを含む;
(2)少なくとも1つのポリシーの文書は、デジタルエコシステムに所属する企業が使用する;
(3)ターゲットサーバからデジタルイベントデータを受け取る、ここでデジタルイベントデータは、デジタルエコシステムの参加者の行動を示し、ターゲットサーバは、デジタルエコシステムに所属する企業に関連付けられ、少なくとも1つのポリシーの文書とデジタルイベントデータに基づいて、違反の概要を作成し、デジタルイベントデータが少なくとも1つのポリシーの文書に準拠していない場合に、少なくとも1つの違反が違反の概要に記録される;
(4)違反の概要に基づいて、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定し、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、少なくとも1つのコンプライアンススコアを決定する;
(5)少なくとも1つのコンプライアンススコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるガバナンススコアを決定する;
(6)デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスを維持または改善するための少なくとも1つのアクションを企業が実行できるように、ガバナンススコアをターゲットサーバに伝達する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルエコシステムにおけるガバナンスに関するものであって、より具体的には、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理するためのシステム、方法及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
ガバナンスとは、システム(またはシステムにおける特定の範囲)を管理及び統制するために、ポリシー及びプロシージャの形式で作成された一連のルール及びスタンダードであって、システムの保守を目的とする測定及び有効性の検証などもこれに含まれる。デジタルエコシステムにガバナンスが導入されることにより、デジタルトランスフォーメーションは急速に拡大しているが、利用者は、その急速な拡大を利用して悪意あるアクションを起こす懸念がある。
【0003】
ポリシーの管理に関して、既存技術にはいくつかの課題がある。例えば、現在の技術は、デジタルエコシステムやデジタルガバナンスによって運用されているポリシーの有効性を測定することも、改善することも行っていない。また、従業員の管理、セキュリティ、プライバシーなどに関連する既存のガバナンスに関する各種のポリシーは、多くの場合に短期間(例えば、3ヶ月から6ヶ月など)で陳腐化する。ガバナンスに関するポリシーは、業務の効果、発生損失及び実現利益、結果の質、消費者の維持及び信頼などを決定する様々な要因に基づいて、アップデートすることが必要である。さらに、有効なガバナンスを維持するためのポリシーが運用されていなければ、企業は多額の罰金に直面し、警告(例えば、罰則など)を受けるリスクがある。デジタルエコシステムは、各種のポリシーを最適化し、デジタルエコシステムを完全なものとして維持し、多くの信頼を獲得するために、動的かつ継続的にポリシーの有効性を測定し、評価しなければならない。現在の技術は、ポリシーは証拠のためのツールとして機能し、リスク評価は利用者の主観的かつ偏ったインプットに依存している。これではポリシーの優先度が低下し、リスク評価にバイアスをもたらし、動的な統制を通じた効果的なガバナンスが十分に行えない。さらに、プロファイル、組織、ノード、ユーザーなど、より多くの参加者がデジタルエコシステムに参入することで、参加者を保護するために、デジタルガバナンスの有効性を検証する必要性が高まっている。現在の技術では、ポリシーの有効性の分析という観点で、ガバナンスを独立して公平に測定することはできない。更には、デジタルガバナンスを変更不可かつ透明なものとすることができないため、顧客、当局及び企業などは、そのポリシー及びポリシーの運用を検証し、レビューすることができない。加えて、ガバナンスの検証より得られたインサイトを用いたプロアクティブな規制の確立も行うことができない。
【0004】
上記の問題及び/又は制限を克服する、デジタルエコシステムにおいてガバナンスを確立するための技術が求められている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、先行技術のすべてのメリットを有し、かつ先行技術に内在する問題を克服する、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理するためのシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品を提供することにある。
【0006】
本発明のある実施態様によれば、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理するためのシステムが提供される。当該システムは、データリポジトリ及び、データリポジトリに通信可能に接続された少なくとも1つのプロセッサを含む。データリポジトリは、企業が使用するポリシーおよびプロシージャを格納するライブラリを有する。少なくとも1つのプロセッサの処理能力は、以下の通りである:ライブラリより少なくとも1つのポリシーの文書を受け取る。ここで、少なくとも1つのポリシーの文書は、デジタルエコシステムに所属する企業が使用する;デジタルエコシステムの参加者の行動を示すデジタルイベントデータを、企業のターゲットサーバより受け取る。ここで、ターゲットサーバは、デジタルエコシステムに所属する企業に関連付けられている; 前記少なくとも1つのポリシーの文書およびデジタルイベントデータに基づいて、違反の概要を作成する。ここでデジタルイベントデータが少なくとも1つのポリシーに準拠していない場合、少なくとも1つの違反が記録される;違反の概要に基づいて、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定する;少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、少なくとも1つのコンプライアンススコアを決定する;少なくとも1つのコンプライアンススコアに基づいて、デジタルエコシステムのガバナンススコアを決定する;デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを維持または改善するための少なくとも1つのアクションを企業が実行できるように、ガバナンススコアをターゲットサーバに伝達する。
【0007】
本発明の別の実施態様によれば、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理するための方法が提供される。当該方法は、データリポジトリに格納されているライブラリより少なくとも1つのポリシーの文書を受け取る。ここで当該ライブラリは、企業が使用するポリシーおよびプロシージャを含み、少なくとも1つのポリシーの文書は、デジタルエコシステムに所属する企業が使用する;デジタルエコシステムの参加者の行動を示すデジタルイベントデータを、企業のターゲットサーバより受け取る。ここで前記ターゲットサーバは、デジタルエコシステムに所属する企業に関連する; 少なくとも1つのポリシーの文書及びデジタルイベントデータに基づいて、違反の概要を作成する。ここでデジタルイベントデータが少なくとも1つのポリシーに準拠していない場合、少なくとも1つの違反が記録される;違反の概要に基づいて、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定する; 少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、少なくとも1つのコンプライアンススコアを決定する;少なくとも1つのコンプライアンススコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるガバナンススコアを決定する;デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを維持または改善するための少なくとも1つのアクションを企業が実行できるように、ガバナンススコアをターゲットサーバに伝達する。
【0008】
本発明の更に別の実施態様によれば、コンピュータプログラム製品が提供される。当該コンピュータプログラム製品は、プログラム指令を記憶した非一過性のコンピュータ可読記憶媒体を含む。プログラム指令は、処理装置がアクセスすると以下の処理を実行する:データリポジトリのライブラリより少なくとも1つのポリシーの文書を受け取る。ここで前記ライブラリは、企業が使用するポリシーおよびプロシージャを格納し、少なくとも1つのポリシーの文書は、デジタルエコシステムに所属する企業が使用する;デジタルエコシステムの参加者の行動を示すデジタルイベントデータを企業のターゲットサーバより受け取る。ここで前記ターゲットサーバは、デジタルエコシステムに所属する企業に関連付けられている;少なくとも1つのポリシーの文書およびデジタルイベントデータに基づいて、違反の概要を作成する。ここで、デジタルイベントデータが少なくとも1つのポリシーに準拠していない場合、少なくとも1つの違反が概要に記録される;違反の概要に基づいて、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定し、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、少なくとも1つのコンプライアンススコアを決定し、少なくとも1つのコンプライアンススコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるガバナンススコアを決定する;企業がデジタルガバナンスを維持又は改善するためのアクションを実行できるように、ガバナンススコアをターゲットサーバに伝達する。
【0009】
本発明の内容は、本明細書及び本明細書に添付された特許請求の範囲に具体的に開示される。また、本発明をさらに理解するために、本発明の例示的な実施態様が図示されている添付図面および発明の詳細な説明の記載を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の利点及び特性は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明および特許請求の範囲を参照することでより理解することができる。
【0011】
図1】は、本発明の一実施態様であるデジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理するシステムの図である。
【0012】
図2A】および
図2B】は、本発明の異なる実施態様におけるシステムのブロック図である。
【0013】
図3】は、本発明の実施態様におけるプロシージャ違反を記録するための処理の流れを示す。
【0014】
図4】は、本発明の実施態様におけるパラメータ違反を記録するための処理の流れを示す。
【0015】
図5】は、本発明の実施態様における少なくとも1つのプロシージャ違反において、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定するための処理の流れを示す図である。
【0016】
図6】は、本発明の実施態様における少なくとも1つのパラメータ違反において、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定するための処理の流れを示す図である。
【0017】
図7】は、本発明の実施態様におけるガバナンスの証拠を記録するための処理の流れを示す図である。
【0018】
図8】は、本発明の実施態様であるデジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを維持または改善するために実行することが要求される少なくとも1つのアクションを決定するための処理の流れを示す。
【0019】
図9】は、本発明の実施態様であるシステムによって実行される大まかな処理の流れを示す図である。
【0020】
図10】は、本発明の実施態様であるデジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理する方法の工程を示すフローチャートである。
【0021】
本明細書及び図面において同じ番号が付与されている構成及び要素は、全体を通じて同じ構成及び要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の内容を十分に理解するために、添付の特許請求の範囲、図面及び以下の詳細な説明を参照されたい。本明細書において、例示的な実施態様について記載されているが、本発明の内容は、それら例示的な実施態様に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示された内容と同等な事項についても本発明の特許請求の範囲から逸脱することなく、これに含まれる。また本明細書において用いられる言葉および用語は、例示的な説明のために使用されているのであって、限定的に解釈されるべきではない。本明細書中、「含む」、「含んでなる」、または「有する」などについては、当該用語以降に列挙される事項および同等物をも包含する。
【0023】
本明細書中、「1つ」という用語は、「1つのみ」を指すものではなく、「少なくとも1つ」を指す。
【0024】
本発明は、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理するためのシステムを提供する。本発明のシステムは、データリポジトリ及び、データリポジトリに通信可能に接続された少なくとも1つのプロセッサを有する。データリポジトリは、企業が使用するポリシーおよびプロシージャを格納するライブラリを管理する。少なくとも1つのプロセッサの処理能力は、以下の通りである:ライブラリから少なくとも1つのポリシーの文書を受け取る。ここで少なくとも1つのポリシーの文書は、デジタルエコシステムに所属する企業が使用する;デジタルエコシステムの参加者の行動を示すデジタルイベントデータを、企業のターゲットサーバより受け取る。ここで前記ターゲットサーバは、デジタルエコシステムに所属する企業に関連する;少なくとも1つのポリシーの文書及びデジタルイベントデータに基づいて違反の概要を作成し、デジタルイベントデータが少なくとも1つのポリシーに準拠していない場合、少なくとも1つの違反が概要に記録される;違反の概要に基づいて、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定する;少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、少なくとも1つのコンプライアンススコアを決定する;少なくとも1つのコンプライアンススコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるガバナンススコアを決定する;デジタルエコシステムを維持または改善するための少なくとも1つのアクションを企業が実行できるように、ガバナンススコアをターゲットサーバに伝達する。
【0025】
本発明の別の実施態様によれば、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理するための方法が提供される。本発明の方法によれば、データリポジトリに格納されているライブラリより少なくとも1つのポリシーの文書を受け取る。ここで前記ライブラリは、企業が使用するポリシーおよびプロシージャを含み、ここで少なくとも1つのポリシーの文書は、デジタルエコシステムに所属する企業が使用する;デジタルエコシステムの参加者の行動を示すデジタルイベントデータを、企業のターゲットサーバより受け取る。ここで前記ターゲットサーバは、デジタルエコシステムに所属する企業に関連する;少なくとも1つのポリシーの文書及びデジタルイベントデータに基づいて、違反の概要を作成し、デジタルイベントデータが少なくとも1つのポリシーに準拠していない場合、少なくとも1つの違反が記録される;違反の概要に基づいて、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定する;少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、少なくとも1つのコンプライアンススコアを決定する;少なくとも1つのコンプライアンススコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるガバナンススコアを決定する;デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理または改善するための少なくとも1つのアクションを企業が実行できるように、ガバナンススコアをターゲットサーバに伝達する。
【0026】
本発明はさらにコンピュータプログラム製品を提供する。前記コンピュータプログラム製品は、プログラム指令を記憶した非一過性のコンピュータ可読記憶媒体を含む。プログラム指令は、処理装置がアクセスすると以下を実行させる:データリポジトリに格納されているライブラリから少なくとも1つのポリシーの文書を受け取る。ここで前記ライブラリは、企業が使用するポリシーおよびプロシージャを含み、ここで少なくとも1つのポリシーの文書は、デジタルエコシステムに所属する企業が使用する;デジタルエコシステムの参加者の行動を示すデジタルイベントデータを、企業のターゲットサーバより受け取る。ここで前記ターゲットサーバは、デジタルエコシステムに所属する企業に関連付けられている;少なくとも1つのポリシーの文書及びデジタルイベントデータに基づいて、違反の概要を作成し、デジタルイベントデータが少なくとも1つのポリシーに準拠していない場合、少なくとも1つの違反が概要に記録する;違反の概要に基づいて、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定する;少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、少なくとも1つのコンプライアンススコアを決定する、少なくとも1つのコンプライアンススコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるガバナンススコアを決定する;企業がデジタルガバナンスを管理又は改善するためのアクションを実行できるように、ガバナンススコアをターゲットサーバに伝達する。
【0027】
図1は、本発明の一実施態様であるデジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理するシステム100を示す。前記システムは、企業104に関連付けられたターゲットサーバ102を含み、ターゲットサーバ102は、システム100に通信可能に接続される。システム100の少なくとも1つのプロセッサは任意にデジタルエコシステムにおいて、デジタルガバナンスを管理するためのプラットフォームをホストする。システム100は、通信ネットワーク106を介して、例えば、モバイルデバイス108(スマートフォン、ラップトップ、タブレットコンピュータなど)、他の電子デバイス110および112(デスクトップコンピュータ、サーバコンピュータなど)、データベース114、センサ116、アクチュエータなどの1つまたは複数のネットワークエンティティと通信可能に接続される。企業104は、システム100の顧客である。システム100の利用者は、システム100のシステム管理者、エンドユーザ(すなわち、企業の顧客)、監査人、第三者などの1つまたは複数の参加者を含むことができる。企業104および/またはシステム100の利用者は、ウェブベースのソフトウェアアプリケーションまたはブラウザを介してプラットフォームにアクセスすることができる。ウェブベースのソフトウェアアプリケーションには、例えば、ウェブサイト、ウェブアプリケーション、デスクトップアプリケーション、およびシステム100と互換性のあるモバイルアプリケーションが挙げられるが、これらに限定されない。通信ネットワーク106の具体例としては、インターネット、ラジオネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、無線ネットワーク、および有線ネットワークが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
図2Aおよび2Bに、本発明の別の実施態様であるシステム100のブロック図を示す。図2Aは、システム100の簡略化されたブロック図を示し、図2Bは、単独および他の装置と接続されたシステム100の詳細なブロック図を示す。図2Aおよび図2Bに示すように、システム100は、データリポジトリ120及び、データリポジトリ120に通信可能に接続された少なくとも1つのプロセッサ(プロセッサ122)を有する。図2Bに示されるように、システム100は、通信デバイス124を有してもよく、データリポジトリ120および少なくとも1つのプロセッサ122は、通信デバイス124に通信可能に接続され、通信デバイス124を介して他のすべてのデバイスと通信することができる。ここで通信デバイス124は、例えば、企業のターゲットサーバ(3つのターゲットサーバ126、128、130で表される)、および任意に少なくとも1つの規制当局のサーバ132にも通信可能に接続される。少なくとも1つのプロセッサ122及び通信デバイス124は、デジタルエコシステムに所属する企業104のターゲットサーバ126に通信可能に接続される。ターゲットサーバ126は、デジタルエコシステムに所属する企業104がシステム100の顧客であることから、少なくとも1つのプロセッサ122に関するクライアントデバイスである。1つまたは複数の企業が、デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスを管理するためにシステム100を利用することができ、企業のターゲットサーバは、少なくとも1つのプロセッサ122(特に、少なくとも1つの通信デバイス124)に通信可能に接続される。いくつかの実施態様において、通信デバイス124は、少なくとも1つのプロセッサ122と統合されるが、他の実施態様においては、通信デバイス124は、少なくとも1つのプロセッサ122から分離される。
【0029】
システム100は、デジタルエコシステムのガバナンス・ライフサイクルを管理する。本発明におけるガバナンス・ライフサイクルは、ガバナンス・ライフサイクルの証拠としても知られている。ガバナンス・ライフサイクルは、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理し、企業104のデジタルエコシステムと、デジタルエコシステムの参加者との信頼を構築することができる。システム100がデジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理するためには、企業104がデジタルエコシステムに適用される少なくとも1つのポリシーを有することが不可欠である。少なくとも1つのポリシーはデジタル形式でなければならず、その記録およびデジタルプロパティよりメタデータを作成することができる。ポリシーをデジタル化する処理には、ポリシーを単一のデータベース(ライブラリなど)に取り込むこと、ポリシーを読み取り可能にすること、及び測定分析が行えるようにそれらを処理することを含む。測定分析が可能な特徴として、ドメイン、バーチカル、デジタルエコシステム、企業等が挙げられる。デジタルエコシステムに適用されている既存のガバナンスは、デジタルエコシステムにおいて許容される行動のための基本パラメータまたはベースラインを設定する。次にベースラインパラメータは、理由コードとともに、何が許容されるか、または許容されないかについてのバイナリフラグを設定する。
【0030】
用語「ガバナンス」は、例えば、有効性を測定し、アクションし、検証することで企業104のドメインを管理及び支配するポリシー及びプロシージャの書式で作成された一連の規約、ガイドライン、提言、基準などである。用語「デジタルガバナンス」とは、単純にデジタル化されたガバナンスを意味する。用語「ガバナンス」及び、用語「デジタルガバナンス」は、本明細書では同じ意味で用いられ、相互に変換可能である。用語「デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理する」は、デジタルエコシステムにおいてガバナンスのレベルを決定すること、デジタルエコシステムにおいてガバナンスを検証すること、デジタルエコシステムにおいてガバナンスの決定を記録すること、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを維持または改善するためのアクションを提案すること、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理すること、等のうちの少なくとも1つを含む。本明細書におけるデジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理するためのシステム100および方法は、企業104の外部に存在する公平で独立した機関(システム100を有する機関)によって実施される周期的及び連続的な処理を含む。
【0031】
データリポジトリ120には、企業が使用するポリシーおよびプロシージャを格納するライブラリが構成される。用語「データリポジトリ」は、所定の情報が体系化された(つまり構造化された)方法で格納するためのハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組合せを指し、それにより情報の格納、アクセス、検索、更新、および分析を容易に行うことができる。データリポジトリ120は、デバイスのメモリ(少なくとも1つのプロセッサ122など)、着脱式メモリ、クラウドベースのメモリなどとして組み込むことができる。データリポジトリ120は、1つ以上の記憶デバイスを用いて組み込むことができる。
【0032】
データリポジトリ120は、企業のターゲットサーバ(126、128、および130)に通信可能に接続することができる。ここで、データリポジトリ120は、ターゲットサーバ(126、128、および130)から企業が使用するポリシーおよびプロシージャを受け取り、ライブラリにそれらを格納するように構成される。企業104は、ポリシーの文書を定期的または断続的に修正、追加又は削除などすることができる。データリポジトリ120は企業104のターゲットサーバ126によってポリシーの変更に関する情報を自動的に受け取るか、またはデータリポジトリ120は、定期的または断続的に企業104のターゲットサーバ126にポリシーの変更を促す。
【0033】
ライブラリは、1つまたは複数の企業が使用する1つまたは複数のポリシーの文書を格納することができる。ここでライブラリは、任意にデジタルエコシステムに所属する企業104が使用する、1つまたは複数のポリシーの文書を格納する。ライブラリは、1つまたは複数の企業が使用する、1つまたは複数のポリシーの文書を格納するためにデータリポジトリ120によって管理されるデジタルデータベースである。企業は、コンプライアンスを遵守するために、1つまたは複数のポリシーを使用する。ポリシーは、デジタルエコシステムにおける行動ルールおよびガイドラインを設定する1または複数ページの文書である。用語「行動(アクション)」は、デジタルエコシステムにおける企業の行動(アクション)を指す。ポリシーには、独自の方針・指針、検証モデル、実施プログラムなどが含まれる。ポリシーは、参加者とターゲットサーバ126との間の相互作用を管理する。参加者は、サービス、管理、ガバナンスなどのためにターゲットサーバ126を使用することができる。企業104が使用する少なくとも1つのポリシーは、企業のために産業界によって設定された少なくとも1つのポリシーおよび/または少なくとも1つの法令であってもよい。産業界は、企業104と同じ分野であってもよく、企業104と異なる分野であってもよい。
【0034】
用語「ターゲットサーバ」は、デジタルエコシステムに所属する企業のサーバである。デジタル参加者は、デジタルエコシステムにおけるイベントに関わる。用語「デジタル参加者」又は単に「参加者」は、デジタルエコシステムにおいてイベントデータを作成するあらゆる存在である。デジタル参加者は、デジタルエコシステム及び/またはデジタルエコシステム内で相互に通信することができる。デジタル参加者の具体例としては、エンドユーザ、エンドユーザのプロファイル、デジタルエンティティ(デジタル組織)、デジタル取引、IOTデバイス、イベントデータを作成するためにデジタルエンティティを使用する存在、およびノードが挙げられるが、これらに限定されない。デジタル参加者の行動は、正常(すなわち、デジタルガバナンスを準拠している)な場合もあれば、異常(すなわち、デジタルガバナンスを準拠していない)な場合もある。異常なデジタル参加者の行動は正常でなく、任意にデジタルエコシステムにおいてガバナンスの検証を開始する。
【0035】
用語「プロセッサ」は、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理するための特殊な処理タスクを実行するように構成された、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組合せを指す。少なくとも1つのプロセッサ122は、データリポジトリ120及び、少なくともターゲットサーバ126に通信可能に接続される。前記通信可能な接続は、少なくとも1つのプロセッサ122と接続されている/統合されていない通信デバイス124を介して実行される。少なくとも1つのプロセッサ122は、ライブラリから少なくとも1つのポリシーの文書を入手するように構成され、少なくとも1つのポリシーの文書は、デジタルエコシステムに所属する企業104が使用する;ターゲットサーバ126からデジタルイベントデータを受け取る。ここでデジタルイベントデータは、デジタルエコシステムに所属する企業の行動を示し、ターゲットサーバ126は、デジタルエコシステムに所属する企業104に関連付けられる;少なくとも1つのポリシーの文書及びデジタルイベントデータに基づいて、違反の概要を作成する。ここでデジタルイベントデータが少なくとも1つのポリシーに準拠していない場合、少なくとも1つの違反が概要に記録される;違反の概要に基づいて、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定する;少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、少なくとも1つのコンプライアンススコアを決定する;少なくとも1つのコンプライアンススコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるガバナンススコアを決定する;企業104がデジタルエコシステムにおけるガバナンスを維持または改善するための少なくとも1つのアクションを実行するために、ガバナンススコアをターゲットサーバ126に伝達する。これらの処理工程を以下に説明する。
【0036】
少なくとも1つのプロセッサ122は、リアルタイム又はほぼリアルタイムにライブラリより少なくとも1つのポリシーの文書を受け取ることができる。これにより少なくとも1つのプロセッサ122は、企業104のポリシーを最新のものにアップデートすることが保証される。少なくとも1つのポリシーの文書は、テキスト文書、スプレッドシート、言語コミュニケーションのトランスクリプト、画像、ビデオ、オーディオビデオ、オーディオのうちの少なくとも1つである。少なくとも1つのポリシーの文書は、少なくとも1つのプロセッサ122によって処理されることができる。ある実施態様において、少なくとも1つのポリシーの文書は、物理的な形式で企業104によって作成される。ここで企業104に関連付けられたデバイスは、物理的な形式の少なくとも1つのポリシーをデジタル化し、デジタルの形式の少なくとも1つのポリシーの文書を入手するように構成される。前記デジタル化は、少なくとも1つのポリシーを物理的な形式(文書、ポスターなど)で手入力、物理的な形式でスキャン、画像からの文字認識などを用いて実行される。デジタル形式の少なくとも1つのポリシーの文書は、データリポジトリ120と共有される。別の実施態様において、少なくとも1つのポリシーの文書はデジタルの形式で作成される。ここで、少なくとも1つのポリシーの文書は、企業104に関連するデバイスによって作成される。企業104に関連するデバイスは、例えば、コンピュータ装置(デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、サーバなど)であってもよい。少なくとも1つのポリシーの文書は、企業104が使用する少なくとも1つのポリシーを含み、当該ポリシーは、固定ポリシー、動的ポリシーのいずれかである。固定ポリシー及び動的ポリシーについては詳しく後述する。
【0037】
任意に、少なくとも1つのプロセッサ122は、リアルタイム又はほぼリアルタイムでターゲットサーバ126よりデジタルイベントデータを受け取る。用語「デジタルイベント」は、デジタルエコシステムで発生する取引の結果を指す。取引は、金銭取引であってもよく、金銭取引でない取引であってもよい。さらに、取引は定量化可能な取引であっても定量化可能でない取引であってもよい。また、デジタルイベントデータは、取引データと理解することもできる。デジタルエコシステムで発生するデジタルイベントは、参加者のリアルタイムの行動及び/又は行動履歴を分析し、企業104の少なくとも1つのポリシーとの関係を理解するために、デジタルに記録及び取得されなければならない。デジタルイベントデータは、数値データ、テキストデータ、画像データ、取引ログ、クッキーデータなどのうちの1つ以上であってもよい。あらゆるドメイン、ビジネスの分野においてガバナンスを証拠する場合、デジタルエコシステムまたは企業104が必要なデジタルイベントを取得していない場合がある。この場合、デジタルイベントデータが利用できないため、システム100を使用して、ガバナンスの有効性改善および証拠が必要な乖離および領域を特定することができる。デジタルイベントデータの一部または全部が利用できない場合、少なくとも1つのプロセッサ122は、測定時にそのような乖離にフラグを立て、そのフラグを企業104のターゲットサーバ126に伝達するように構成することができる。
【0038】
少なくとも1つのプロセッサ122は、少なくとも1つのポリシーの文書及びデジタルイベントデータに基づいて、違反の概要を作成する。違反の概要を作成するために、少なくとも1つのプロセッサ122は、少なくとも1つのポリシーの文書について参加者の行動をデジタル的に分析する。参加者の行動が少なくとも1つのポリシーに完全に準拠している場合、違反の概要に記録されることはない。一方、参加者の行動が少なくとも1つのポリシーに部分的に準拠していない、または完全に準拠していない場合、少なくとも1つの違反が概要に記録される。少なくとも1つの違反は、部分的な違反または完全な違反のいずれであってもよい。少なくとも1つの違反の記録については、以下に詳述する。
【0039】
図3に、本発明の実施態様におけるプロシージャ違反を記録するための処理の流れを示す。ある実施態様において、少なくとも1つのポリシーの文書は、少なくとも1つの固定ポリシーを含み、少なくとも1つの固定ポリシーは、少なくとも1つのプロシージャに関連付けられる。ここで、違反の概要を作成するとき、少なくとも1つのプロセッサ122の処理能力は以下の通りである: デジタルイベントデータよりプロシージャのデータを抽出する(302);当該プロシージャのデータを、少なくとも1つの固定ポリシーにおける1つ以上の参照データと照合する(304);プロシージャのデータが参照データと部分的に不一致または完全に不一致である場合に、違反の概要に所定の違反を記録する(306)。
【0040】
用語「固定ポリシー」は、定量化可能なパラメータを含まないポリシーを指す。典型的に、固定ポリシーは、デジタルエコシステム/企業に固有なものであって、最小限の編集、レビュー、および/または測定を含む。固定ポリシーは、多くの場合、デジタルエコシステム/企業104が遵守しなければならない一連のポリシーの枠組みの中で作成される。少なくとも1つの固定ポリシーは、多くの場合、定量化できないイベントをモニタリングするために用いられる。用語「プロシージャ」は、デジタルエコシステム/企業104が、ポリシーに準拠していることを確かめるための、一連の記録可能なプロシージャを指す。デジタルイベントデータにおけるプロシージャのデータは、デジタルエコシステムのためにキャプチャされたものであり、参加者によって行われる工程(複数の連続する工程、所定の数の工程を含む)、プロシージャのアウトカム、プロシージャのためのインプットなどのうちの少なくとも1つを含む。プロシージャの参照データは、所定の手続き工程(連続する所定の手続き工程、所定の数の手続き工程含む)、プロシージャの期待されるアウトカム、プロシージャのための期待されるインプットなどのうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。プロシージャのデータとプロシージャの参照データを照合することにより、少なくとも1つのプロセッサ122は、プロシージャのデータより固定ポリシー及びそのプロシージャをレビュー/評価を行い、完全/部分的な違反を検出する。
【0041】
図4に、本発明の実施態様におけるパラメータの違反を記録するための処理の流れを示す。ある実施態様において、少なくとも1つのポリシーの文書は、少なくとも1つの動的ポリシーを有し、少なくとも1つの動的ポリシーは、1またはそれ以上のパラメータと関連付けられる。ここで、違反の概要を作成するとき、少なくとも1つのプロセッサ122の処理能力は以下の通りである: デジタルイベントデータからパラメータデータを抽出し(402)、当該パラメータデータを、少なくとも1つの動的ポリシーにおける1つまたは複数のパラメータの参照値又は参照の範囲と比較し(404)、パラメータデータが参照値と部分的に不一致または完全に不一致であるとき、および/またはパラメータデータが参照の範囲の外にあるとき、違反の概要に記録する(406)。ここでの違反はパラメータの違反を指す。
【0042】
用語「動的ポリシー」は、測定可能(つまり、定量化可能)なパラメータを含むポリシーを指す。動的ポリシーはまた、所定のしきい値、測定値、主要業績評価指標(KPI)などのうち1つ以上を有する。動的ポリシーは、測定可能なパラメータ、所定のしきい値、および/または測定値を有するように、頻繁に編集及びレビューされてもよい。動的ポリシーは、多くの場合、取引またはKPIなどの定量化可能なイベントのモニタリングを支援するために、デジタルエコシステム/企業自身により作成される。動的ポリシーは、1つ以上のパラメータのセットと関連付けられる。用語「パラメータ」は、デジタルエコシステムの運用条件を示す測定可能な存在/要素を指す。動的ポリシーにおける1つ以上のパラメータのセットは、ポリシー毎に、ドメイン毎に、及びデジタルエコシステム毎に異なる。
【0043】
デジタルイベントデータにおけるパラメータデータは、デジタルエコシステムのためにキャプチャされた実際のデータであり、参加者が採用する実際のパラメータ値、参加者が採用する実際のパラメータの範囲、デジタルエコシステムにおいて採用されているパラメータの実際の数などのうちの少なくとも1つを含む。少なくとも1つの動的ポリシーにおける、1つまたは複数のパラメータに関連するパラメータ参照値および参照の範囲は、参加者が採用するパラメータの期待値、参加者が採用するパラメータの期待値の範囲、およびデジタルエコシステムにおいて採用されるパラメータの期待値などの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。少なくとも1つのプロセッサ122は、パラメータデータをパラメータの参照値および参照の範囲と比較することでパラメータの評価を行い、完全/部分的なパラメータ違反を発見する。パラメータの評価においては、デジタルイベントが少なくとも1つの動的ポリシーによって設定されたパラメータの範囲にあるかどうかが判断される。パラメータデータが参照のパラメータ値と完全に一致する場合、および/またはパラメータデータが参照のパラメータの範囲内にある場合にのみ、パラメータ違反がないと判断される。
【0044】
デジタルイベントは、複数のポリシー(すなわち、複数の固定ポリシー、複数の動的ポリシー、または少なくとも1つの固定ポリシーおよび少なくとも1つの動的ポリシー等)によって引き起こされる。当該デジタルイベントが、企業104が使用する少なくとも1つのポリシーに準拠していない場合、デジタルイベントに複数のフラグが立てられ、複数の違反を引き起こす可能性があると判断される。これら複数の違反は、違反の概要に記録される。
【0045】
少なくとも1つのプロセッサ122は、違反の概要に基づいて、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定する。用語「ポリシーの有効性スコア」は、ポリシーがデジタルエコシステムにおいてどの程度実施されているかを示す測定可能なスコアである。ポリシーの有効性スコアは、違反の概要に記録されたポリシーの違反の数および違反の程度が少ない場合に高くなる。逆に、違反の数および違反の程度が多い場合、ポリシーの有効性スコアは低くなる。ポリシーの有効性スコアが低い場合、対応するデジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスのレベルが低い(すなわち、悪い)ことを意味する。ポリシーの有効性スコアが低いということは、企業104がデジタルエコシステムにポリシーを設けているにもかかわらず、デジタルエコシステムの参加者の行動がポリシーに反していることを意味する。少なくとも1つのポリシーの有効性スコアの決定は、数式、計算アルゴリズムのうちの少なくとも1つを用いることで行われる。参加者の行動が異常の引き金となった場合、システム100のマルチモデルネットワークは、既存のガバナンスのパラメータに対する近接性を分析するために、それらの異常を計算し、そこから学習する。当該分析によって、マルチモデルネットワーク-エシカル人工知能(AI)が任意にポリシーの有効性を測定する。システム100のマルチモデルネットワークは、少なくとも一つのプロセッサ122によって実行される。システム100のマルチモデルネットワークは、イベントデータを分析し、当該分析に基づいて値/スコアを計算(すなわち、測定)するために数式および/または計算アルゴリズムを採用する処理モデル及び、少なくとも1つのポリシーの有効性スコア、少なくとも1つのコンプライアンススコア、およびガバナンススコアから学習し、任意に提案及び/又は予測などを行うAIモデルを含む。処理モデルは、非AIベースの他の処理タスクを行うことも可能である。少なくとも1つのポリシーの有効性スコア、少なくとも1つのコンプライアンススコア、およびガバナンススコアの決定は、少なくとも1つのプロセッサ122によって実行される処理モデルによって行われる。異なるタイプの違反における少なくとも1つのポリシーの有効性スコアの決定は、以下に詳述する。
【0046】
図5に、本発明の実施態様における少なくとも1つのプロシージャ違反に対して、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定するための処理の流れを示す。ある実施態様においては、違反の概要における少なくとも1つの違反は、固定ポリシーの少なくとも1つのプロシージャ違反である。ここで少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定するとき、少なくとも1つのプロセッサ122の処理能力は以下の通りである: 固定ポリシーの有効性スコアをはじめの数値に初期化する(502)、ここで初期の値は全体の中で最も大きい値である;最も大きい値から少なくとも1つのプロシージャ違反に関するスコアを減点する(504)ことで、初期の値を2番目の値に変換する;当該2番目の値を固定ポリシーの有効性スコアとする(506)。
【0047】
本発明において、固定ポリシーの有効性スコアは、任意の適切なスケールへ初期化することができる。例えば、0から1、0から10、0から100、0から1000、0から100%等である。この場合、最も大きい値はそれぞれ、1、10、100、1000、100%等である。任意に、少なくとも1つの固定ポリシーにおいて、各々のプロシージャは、所定のスコアを有し、当該所定のスコアは、少なくとも1つの固定ポリシーのプロシージャの総数を、全体を表す最も大きい値で割ったものに等しい。初期の値を2番目の値に変換する際、最も大きい値から少なくとも1つのプロシージャ違反に対応して差し引かれるスコアは、少なくとも1つのプロシージャ違反の程度に依存する。ここで完全なプロシージャ違反が発生した場合、所定の行動に関わるすべてのスコアが初期の値から差し引かれる。部分的なプロシージャ違反が発生した場合、所定のプロシージャに関わるスコアの半分が初期の値より差し引かれる。このようなシステムおよびゲーミフィケーションにより、システム100(特に、少なくとも1つのプロセッサ122)は、企業104のドメイン内の固定されたポリシーの有効性を正確に評価および測定し、集計することができる。
【0048】
例えば、全体のスコアを100点とし、ある与えられた固定ポリシーにおいて合計10個の手続が設定されているとする。例えば、10個の手続うち、2個の手続において完全なプロシージャ違反が発生した場合、初期の値(100点)より20点減点され(2つの行動について各々10点ずつ減点)、2番目の値は80点となる。この場合、固定ポリシーの有効性スコアは80点となる。また別の例において、10個の手続のうち、2つの完全な違反と1つの部分的な違反が生じた場合、初期の値(100点)より25点(2つの違反について各10点、1つの違反5点)減点され、2番目の値は75点となる。この場合、固定ポリシーの有効性スコアは75点となる。
【0049】
図6に、本発明の実施態様における、少なくとも1つのパラメータ違反における少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定するための処理の流れを示す。一つの実施態様において、違反の概要における少なくとも1つの違反は、動的ポリシーにおける少なくとも1つのパラメータ違反であり、ここで、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定するとき、少なくとも1つのプロセッサ122の処理能力は以下の通りである: パラメータデータにおけるデジタルイベントの総数を決定し(602)、デジタルイベントの総数のうち少なくとも1つのパラメータ違反をもたらさないデジタルイベントの数を決定し(604)、デジタルイベントの総数のうち少なくとも1つのパラメータ違反をもたらさないデジタルイベントの数をデジタルイベントの総数で割って動的ポリシーの有効性スコアを決定する(606)。
【0050】
ここで動的ポリシーの有効性スコアは、動的ポリシーに準拠するデジタルイベントの割合及びデジタルイベントの総数で決定される。動的ポリシーに完全に準拠するデジタルイベントのみが、パラメータ違反とならない。デジタルイベントは、当該デジタルイベントのパラメータデータが参照のパラメータ値と完全に一致するとき、および/または当該デジタルイベントのパラメータデータが動的ポリシーの参照パラメータの範囲内にあるとき、動的ポリシーに完全に準拠する(すなわち、少なくとも1つのパラメータ違反とならない)。デジタルイベントは複数のパラメータを含むため、パラメータの数は必ずしもデジタルイベントの数と等しくなる必要はない。このパラメータデータの分析により、システム100(特に、少なくとも1つのプロセッサ122、より詳細には、少なくとも1つのプロセッサ122によって実行されるマルチモデルネットワークの処理モデル)は、参加者の行動と特定のパラメータ内で意図されたまたは事前に承認された行動を、指示および制御するように設計された動的ポリシーとの間の変化を測定し、関連データを理解することができる。
【0051】
例えば、ある動的ポリシーが15個のパラメータに関連付けられ、パラメータデータのデジタルイベントの総数が20個とする。この20個のデジタルイベントのうち、14個のイベントは少なくとも1つのパラメータ違反にならない。その時の動的ポリシーの有効性スコアは0.7(すなわち、14÷20)となる。
【0052】
動的ポリシーの有効性スコアは、固定ポリシーの有効性スコアに従って変更されてもよい。ここで、固定ポリシーの有効性を測定するために使用される適切な測定スケールは、システム100においてポリシーの有効性を測定するための共通スケールとして使用される。これにより少なくとも1つのプロセッサ122は、必要に応じて異なるタイプのポリシーおよび/または企業104について、ポリシーの有効性スコアの合計および/また平均のスコアを正確に決定することができる。ここで、少なくとも1つのプロセッサ122は、数式および/または計算アルゴリズムを採用する処理モデルを実行することで、前記の決定を行う。
【0053】
別の具体例として、企業104が5つの固定ポリシーと2つの動的ポリシーを持っている場合を示す。5つの固定ポリシーの有効性スコアは80、88、70、65および90である。さらに、2つの動的ポリシーの有効性スコアは0.82及び0.7である。ここで、2つの動的ポリシーの有効性スコアは、5つの固定ポリシーの有効性スコアのスケールに従って、それぞれ82および70と変更することができる。少なくとも1つのプロセッサ122(特に、数式および/または計算アルゴリズムを用いる処理モデル)は、5つの固定ポリシーおよび2つの動的ポリシーの合計のポリシーの有効性スコアをそれぞれ393および152として測定することができる。少なくとも1つのプロセッサ122はまた、5つの固定ポリシーおよび2つの動的ポリシーの平均ポリシーの有効性スコアを、それぞれ78.6および76とすることができる。また、少なくとも1つのプロセッサ122は、企業104のポリシーの有効性スコアの合計および平均スコアをそれぞれ545および77.857とすることができる。
【0054】
少なくとも1つのプロセッサ122(特に、数式および/または計算アルゴリズムを用いる処理モデル)は、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、デジタルエコシステムの少なくとも1つのコンプライアンススコアを決定する。企業104は、それに関連する1つまたは複数のドメインを有する。ここで、少なくとも1つのコンプライアンススコアは、ドメインごとに決定される。つまり、コンプライアンススコアは、当該ドメインに関連するポリシーの有効性スコアに基づき、ドメインごとに決定される。ドメインは、事業分野、あるいは事業部門として周知のものであり、また、それらをグループ化することもできる。ポリシーのドメインへの分類は、ポリシーのタイプというよりも、あくまでドメインに関するものである。ドメインの具体例としては、財務、人事、営業などが挙げられるが、これらに限定されない。所定のドメインのコンプライアンススコアは、所定のドメインに関連するポリシーの有効性スコアの合計とすることができる。又は、所定のドメインのコンプライアンススコアは、所定のドメインに関連するポリシーの有効性スコアの平均とすることができる。或いは、所定のドメインのコンプライアンススコアは、所定のドメインに関連するポリシーの有効性スコアの加重平均とすることができる。企業104に関連するドメインが1つしかない場合、1つのコンプライアンススコアは、1つのドメインに関連するポリシーの有効性スコアの合計/平均/加重平均として計算される。少なくとも1つのコンプライアンススコアは、ドメイン毎のポリシーの有効性の合計スコアであり、参加者の行動が少なくとも1つのポリシーに準拠していることを示す。例えば、企業104は、2つのドメインD1およびD2を有し、6つのポリシーP1、P2、P3、P4、P5、およびP6を有し、ここでポリシーP1およびP2はドメインD1に関連し、ポリシーP3、P4、P5、およびP6はドメインD2に関連する。ポリシーP1及びP2のポリシーの有効性スコアはコンプライアンススコアC1を決定するために用いられ、ポリシーP3、P4、P5、およびP6のポリシーの有効性スコアはコンプライアンススコアC2を決定するために用いられる。コンプライアンススコアC1はドメインD1に関係し、コンプライアンススコアC2はドメインD2に関係する。
【0055】
少なくとも1つのプロセッサ122は、さらに以下のような処理能力を有していてもよい:少なくとも1つのポリシーの文書における各ポリシーに対して重み付けをする。ここで前記の重み付けは、ポリシーの重要性に基づいて行われる;少なくとも1つのポリシーの文書における各ポリシーの少なくとも1つの重み付けされたポリシーの有効性スコアを決定する。ここで所定の重み付けされたポリシーの有効性スコアは、前記ポリシーに付けられた重みと前記ポリシーの有効性スコアの積であり、ここでデジタルエコシステムの少なくとも1つのコンプライアンススコアは、少なくとも1つの重み付けされたポリシーの有効性スコアに基づき決定される。少なくとも1つのポリシーの文書のすべてのポリシーが等しく重要であるとは限らない。いくつかのポリシーは、デジタルエコシステムの動作に重要であって、他のポリシーよりも重要であることもある。重み付けは、適切な範囲であってよく、その範囲は、例えば以下のうちの1つである: 例えば、-1?1、0?1、0?10、0?100などの範囲である。一つの例として、デジタルエコシステムは、75、80、65及び90のポリシーの有効性スコアを持つ4つのポリシーP1、P2、P3、P4を有することができる。これらの4つのポリシーP1、P2、P3、およびP4の重み付けは、それぞれ0.8、0.6、0.8および1となり得る。この場合の4つのポリシーP1、P2、P3、P4の重み付けされたポリシーの有効性スコアは、それぞれ60、48、52、90である。
【0056】
少なくとも1つのプロセッサ122(特に、数式および/または計算アルゴリズムを用いる処理モデル)は、少なくとも1つのコンプライアンススコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるガバナンススコアを決定する。用語「ガバナンススコア」は、企業のガバナンス(すなわち、デジタルガバナンス)の有効性のレベルを示す測定可能な量である。デジタルエコシステムに所属する企業104は、デジタルガバナンスを実行するために少なくとも1つのポリシーを用いるが、実際には、デジタルエコシステムの利用に伴って、デジタルガバナンスの有効性が失われる可能性もある。少なくとも1つのポリシーの有効性スコアと少なくとも1つのコンプライアンススコアは、企業104のガバナンス有効性を理解するためのビルディングブロックである。少なくとも1つのプロセッサ122による(特に、数式および/または計算アルゴリズムを用いる処理モデルによる)ガバナンススコアの正確な自動決定は、企業104がリスク、トレーニングの機会、およびポリシーのギャップなどを理解するために従来の監視スケジュールに依存する必要がないことを意味する。さらにガバナンススコアは、個々の企業のガバナンスの健全性と産業界のガバナンスの健全性の双方を示す。複数の企業のこのようなガバナンススコアを集計し、匿名化することで、複数の企業が属する産業界のガバナンスの健全性を一定期間、過去から現在まで示すことができる。これは、企業104にとっても、エンドクライアント(すなわち消費者)にとっても、規制当局にとっても有用であり、最終的には、プルーフオブガバナンスと総称される予測的かつ動的にコントロールされるデジタルガバナンスを通じて、社会の進歩を究極的にサポートすることができる。ガバナンススコアは、デジタルガバナンスがデジタルエコシステムのために実施されていることを示すものであり、また、そのようなデジタルガバナンスが実際にどの程度効果的であるかを示すものであるため、いわゆるガバナンスの証拠/証明と理解することができる。
【0057】
デジタルエコシステムにおけるガバナンススコアは、少なくとも1つのコンプライアンススコアの合計であってもよい。又は、デジタルエコシステムにおけるガバナンススコアは、少なくとも1つのコンプライアンススコアの平均であってもよい。さらにデジタルエコシステムにおけるガバナンススコアは、少なくとも1つのコンプライアンススコアの関数であってもよい。当該関数は、加重関数、線形関数、非線形関数などを指す。
【0058】
少なくとも1つのプロセッサ122(特に、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に接続された通信デバイス124)は、企業104がデジタルエコシステムにおけるガバナンスを維持または改善するための少なくとも1つのアクションを可能にするために、ガバナンススコアをターゲットサーバ126に伝達する。当該伝達は、少なくとも1つのプロセッサ122によって、通信デバイス124を介してターゲットサーバ126に伝達される。ガバナンススコアは、リアルタイムに又はほぼリアルタイムに伝達することができる。企業104(具体的には、企業104に関連する人々)は、ガバナンススコアを受け取ると、マニュアルで、またはシステム100の助けを借りて、実行すべき少なくとも1つのアクションを決定することができる。
【0059】
少なくとも1つの行動は、ポリシーに関する提案、トレーニングに関する提案の少なくとも1つであってもよい。少なくとも1つのアクションの目的は、ポリシーを通じてデジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスを強化、提案、および/または動的にコントロールすることにある。用語「ポリシーに関する提案」は、企業104が使用する少なくとも1つのポリシーに関してなされるあらゆる提案を含む。これは、ポリシーに関する提案が、ポリシーを削除する提案、ポリシーを修正する提案、ポリシーを修正する方法の提案、新しいポリシーを追加する提案などうちの1つまたは複数であってもよい。ポリシーに関する提案は、企業104のデジタルエコシステムと同様のデジタルエコシステムを有しており、企業104のガバナンススコアよりも優れたガバナンススコアを有する他の企業のポリシーに基づき実行される。他の企業は、企業104と同じドメイン/分野であってもよく、異なるドメイン/分野であってもよい。用語「トレーニングに関する提案」は、デジタルエコシステムの参加者のアクションが、デジタルエコシステムに所属する企業104の少なくとも1つのポリシーに準拠するように、参加者を訓練することに関してなされるあらゆる提案を含む。トレーニングに関する提案は、参加者に対するポリシーに関する提案、参加者がプロシージャを実行しているときのトレーニングを提供するための提案、参加者がポリシーのプロシージャから逸脱したときに促すための提案、参加者が誤ったパラメータを入力したときに修正を促すための提案、参加者が入力したパラメータ値が参照のパラメータ範囲から外れたときに修正を促すための提案などの内の1つまたは複数であってもよい。
【0060】
一つの具体例として、ポリシーに関する提案は、パラメータをトリガーにすることによって動的ポリシーを修正する提案であってもよい。パラメータのトリガーは自動化され、プログラムにより閾値パラメータを変更することができる。これにより人間の介入やマニュアルによる分析なしに、事前に設定され承認されたガバナンスによって動的ポリシーがコントロールされる。プログラムは、ポリシーおよび/またはプロシージャのパラメータ及び、デジタルイベントの双方を理解する。デジタルイベントは、パラメータとしきい値に近いかどうか分析される。プログラムは、分析に基づいて自動で修正変更する。
【0061】
図7に、本発明の実施態様による、ガバナンスの証拠を記録するための処理の流れを示す。ある実施態様において、少なくとも1つのプロセッサ122は、以下の処理能力を有する:ガバナンススコアにタイムスタンプする(702);ガバナンススコアを企業104に関連付けられた固有のデジタル識別子にマッピングする(704);少なくともタイムスタンプされたガバナンススコアを、固有のデジタル識別子とともに、デジタルエコシステムにおけるガバナンスの証拠として変更不可なデジタルデータベースに記録する(706)。当該処理工程は、少なくとも1つのプロセッサ122の処理モデルにより実行することができる。ガバナンススコアにタイムスタンプすることによって、少なくとも1つのプロセッサ122は、ガバナンススコアに、ガバナンススコアが計算された日時をタグ付けする。タイムスタンプすることは、一定期間におけるガバナンススコアの傾向を分析する上で非常に有用である。固有のデジタル識別子は、アルファベット識別子、数字識別子、英数字識別子、クイックレスポンスコード、シンボル、バーコードなどのうちの1つ以上であってもよい。企業104に関連付けられた固有のデジタル識別子へのガバナンススコアのマッピングは、少なくとも1つのプロセッサ122のIDマッピングモジュールにより実行することができる。IDマッピングモジュールは、個人識別情報(PII)を必要とせずにガバナンスの証拠を確定できるように、参加者を匿名化させる。少なくとも1つのプロセッサ122は、企業104のターゲットサーバ126をシステム100に接続する際に、企業104に関連付けられる固有のデジタル識別子を作成し、固有のデジタル識別子を企業104に関連付けるように構成される。このような接続において、システム100(具体的には、少なくとも1つのプロセッサ122のIDマッピングモジュール)は、最初に、企業104に関連付けられる固有のデジタル識別子を作成し、次に、固有のデジタル識別子を企業104に関連付けるために、ターゲットサーバ126の既存のメタデータを固有のデジタル識別子にマッピングすることができる。
少なくとも1つのプロセッサ122(特に、IDマッピングモジュール)は、企業の固有のデジタル識別子のマッピングをデータリポジトリ120に格納するように構成されてもよい。さらに少なくとも1つのプロセッサ122は、企業の固有のデジタル識別子のマッピングを、変更不可なデジタルデータベースに変更不可なレコードとして格納するように構成されていてもよい。固有のデジタル識別子は、企業104の個人識別情報(PII)の使用を避けるために、少なくともガバナンススコアを変更不可なデジタルデータベースに記録する際に用いられる。変更不可なデジタルデータベースへの記録は、PIIを必要とせずに実行される。これにより、企業104のプライバシーが保護される。企業104のデジタルエコシステムにおけるガバナンスの証拠は、タイムスタンプされ、固有のデジタル識別子に関連付けられた、少なくとも記録されたガバナンススコアとして確定する。ガバナンスの証拠は、ガバナンスがデジタルエコシステムに存在し、デジタルエコシステムの参加者及び利用者を保護するために行動されることの変更不可な証拠として機能する。ガバナンスの証拠は、閲覧、監査などのために変更不可なデジタルデータベースからアクセス可能および/または検索可能である。変更不可なデジタルデータベース上のガバナンスの記録は、変更不可なデジタルデータベース上のガバナンスの決定であるGovbit(z)を確定する。Govbit(z)は、変更不可なデジタルデータベース上に保存されたデータ/情報の変更不可な記録である。Govbit(z)は、監査およびガバナンスの証拠のために、変更不可なデジタルデータベースから取り出すことができる。Govbit(z)は、デジタル参加者のための変更不可なデジタルガバナンスの証拠であってもよく、少なくとも1つのプロセッサ122は、変更不可なデジタルデータベース上にGovbit(z)を格納するように構成されてもよい。さらに、Govbit(z)は、デジタル参加者、当局(規制当局など)、企業などにより、変更不可なデジタルデータベースを通じてアクセスされ、検証される。ガバナンスの決定が公平な独立した測定と分析に基づいていることを証明することが重要である。このため、ガバナンスの証拠は、システム100などの外部エンティティによって促進され、支援され、実施された場合にのみ確定することができる。一旦ガバナンスの証拠が確定すると、企業104は、消費者(すなわち、エンドユーザ)および規制当局との商取引においてより多くの信頼を構築するために、そのガバナンス実績の証拠を利用することができる。
【0062】
少なくとも1つのプロセッサ122は、タイムスタンプを行い、企業104に関連付けられた固有のデジタル識別子にマッピングし、少なくとも1つのポリシーの有効性スコア、少なくとも1つのコンプライアンススコア、違反の概要、イベントデータ、少なくとも1つのポリシーのうちの少なくとも1つを変更不可なデジタルデータベースに記録するように構成されてもよい。ここで、少なくとも1つのポリシーの有効性スコア、少なくとも1つのコンプライアンススコア、違反の概要、イベントデータ、少なくとも1つのポリシーのうちの少なくとも1つは、ガバナンススコアに加えてガバナンスの証拠を構成する。前記のスコア/データの少なくとも1つは、デジタルエコシステムにおけるガバナンスの健全性を示し、ガバナンススコアの測定された証拠を構成するためのインサイトを提供する。当該処理は、少なくとも1つのプロセッサ122の処理モデルによって実行される。
【0063】
変更不可なデジタルデータベースは、変更不可な分散型台帳またはブロックチェーンであってもよい。変更不可なデジタルデータベースは、変更不可なデジタルキャプチャとして実行されてもよい。変更不可なデジタルデータベースに記録されたものは変更することができない。これは、変更不可なデジタルデータベース上に確定したガバナンスの証拠が、現在および将来の参照のために変更不可に記録されることを意味する。変更不可な分散型台帳は、プライベート集中型サーバによってホストされてもよく、少なくとも1つのプロセッサ122は、プライベート集中型サーバに通信可能に接続される。ブロックチェーンは、プライベートブロックチェーンであってもよい。
【0064】
少なくとも1つのプロセッサ122はさらに以下の処理能力を有していてもよい: データリポジトリ120より、企業104が使用する少なくとも1つの新しいポリシーを示す少なくとも1つの新しいポリシーの文書を受け取る;少なくとも1つの新しいポリシーを実行するためのスマートコントラクトを作成する。ここでスマートコントラクトは、企業104に関連付けられる固有のデジタル識別子に結び付けられ、スマートコントラクトが、少なくとも1つの新しいポリシーに関連付けられる固有のポリシー識別子とともに、少なくとも1つの新しいポリシーのバージョンと、行動を実施するガバナンスを決定し、スマートコントラクトを作成するタイムスタンプを行い、スマートコントラクトを変更不可なデジタルデータベースに記録する。
このように、変更不可なデジタルデータベースは行動を記録し、少なくとも1つの新しいポリシーの実行を可能とする。所定の新しいポリシーは、完全に新しいポリシー、既存のポリシーの修正版等であってもよい。固有のポリシー識別子(ID)は、アルファベット識別子、数字識別子、英数字識別子、クイックレスポンスコード、シンボル、バーコードなどのうちの1つ以上として表される。ここで、Govbit(z)が変更不可なデジタルデータベース上に作成される。少なくとも1つの新しいポリシーの実行は、少なくとも1つのプロセッサ122により提案されてもよい。企業104により実行される少なくとも1つの新しいポリシーを示す少なくとも1つの新しいポリシーの文書は、企業104のターゲットサーバ126によりデータリポジトリ120に伝達されてもよい。スマートコントラクトは、それ自身で実行できる安全なデジタルコントラクトである。本発明のスマートコントラクトは、企業104およびデジタルエコシステムの参加者に適用可能である。スマートコントラクトは、事務的な処理を削減し、迅速に作成されて変更不可なデジタルデータベースに記録されるため、改ざんすることができない。
【0065】
データリポジトリ120は、少なくとも1つの規制当局のサーバ132に通信可能に接続することができる。ここでデータリポジトリ120は、少なくとも1つの規制当局のサーバより、企業のために産業界によって作成されたポリシーおよび/または法令を取得し、ポリシーおよび/または法令を規制当局のライブラリに格納するように構成される。ここで規制当局のライブラリは、少なくとも1つの規制当局の文書を格納し、少なくとも1つの規制当局の文書は、企業がポリシーおよびプロシージャを決定するために使用される。
【0066】
少なくとも1つの規制当局は、既存のポリシーおよび/または法令を定期的または断続的に改訂したり、新しいポリシーおよび/または法令を追加したり、既存のポリシーおよび/または法令の1つまたは複数を削除するなどできる。データリポジトリ120は、少なくとも1つの規制当局のサーバ132より、当該ポリシーおよび/または法令の変更に関する情報を自動的に受け取る、またはデータリポジトリ120は、少なくとも1つの規制当局のサーバ132に対して、当該ポリシーおよび/または法令の変更に関するアップデートを定期的または断続的に促す。
【0067】
規制当局のライブラリは、少なくとも1つの規制当局によって作成された1つまたは複数のポリシーの文書を格納することができる。ここで規制当局のライブラリは、デジタルエコシステムに所属する企業104が使用する少なくともすべての規制当局の文書を格納することができる。規制当局のライブラリは、1つ以上の規制当局の文書を格納するために、データリポジトリ120により管理されているデジタルデータベースである。企業は、コンプライアンスを遵守するために、1つ以上のポリシーおよび/または法令を準拠する(すなわち、適合する)必要がある。規制当局の文書は、デジタルエコシステムにおける行動のためのポリシーおよび/または法令を設定する単一のページまたは複数のページの文書である。企業のために産業界によって作成された少なくとも1つのポリシーおよび/または少なくとも1つの法令は、企業104が使用する少なくとも1つのポリシーの参照の文書として機能する。したがって、少なくとも1つの規制当局の文書は、少なくとも1つのポリシーに関連し、少なくとも1つのポリシーの文書は少なくとも1つの規制当局の文書に基づいて作成される。少なくとも1つの規制当局の文書は、ポリシーに関する提案及び/又はポリシー及び/又は法令の提案を作成するための参照文書として使用することができる。ここで少なくとも1つの規制当局は、独立した規制当局、産業界の規制当局、政府の規制当局などを指す。
【0068】
少なくとも1つのプロセッサ122は、規制当局のライブラリより少なくとも1つの規制当局の文書をリアルタイムまたはほぼリアルタイムで受け取ることができる。これにより、少なくとも1つのプロセッサ122は、企業104が(特に、デジタルエコシステムで)使用するポリシー及び/又は法令を常に最新の状態に保つことができる。少なくとも1つの規制当局の文書は、テキスト文書、スプレッドシートの少なくとも1つの形式であってもよい。また少なくとも1つの規制当局の文書は、少なくとも1つのプロセッサ122により処理することが可能な形態であってもよい。
【0069】
図8に、本発明の実施態様におけるデジタルエコシステムにおいて、デジタルガバナンスを維持または改善するための少なくとも1つのアクションを決定するための処理の流れを示す。一つの実施態様において、データリポジトリ120は、企業の先例のリスクケースの記録を格納するように構成される。ここで少なくとも1つのプロセッサ122は、以下のように構成される: データリポジトリから企業の先例のリスクケースの記録を受け取る(802)。違反の概要、および少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスのリスクレベルを予測する(804)。当該リスクレベルに基づいて、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを維持または改善するための少なくとも1つのアクションを決定する(806)。少なくとも1つのアクションをターゲットサーバ126に伝達する(808)。少なくとも1つのプロセッサ122は、少なくとも1つのポリシーの文書におけるポリシーの重み付けを更新するような処理能力を有する(810)。
【0070】
ここで少なくとも1つのプロセッサ122(特に、少なくとも1つのプロセッサ122によって実行されるAIモデル)は、企業104に少なくとも1つのアクションを提案する。これにより、デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスの指標を分析し、デジタルガバナンスを維持または改善するアクションを提案するという点で、企業104の労力が軽減される。さらに、少なくとも1つのプロセッサ122は、デジタルイベントデータ、企業104が使用するポリシー、企業の先例のリスクケース、違反の概要、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを詳細に正確に分析するため、少なくとも1つのプロセッサ122によって提案される少なくとも1つのアクションは、デジタルエコシステムにおけるガバナンスを管理、制御、または強化するために非常に有用である。
【0071】
少なくとも1つのプロセッサ122は、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスのリスクレベルを予測するためのモデルを実行することができる。少なくとも、企業の先例のリスクケースの記録、違反の概要、および少なくとも1つのポリシーの有効性スコアは、予測モデルのインプットとして機能する。予測モデルは、少なくとも1つのプロセッサ122によって経時的に作成される(パフォーマンスを示す)一連のスコアの合計に従い、デジタルエコシステム/企業104のリスクを予測するツールとして機能する。そのようなスコアには、少なくとも1つのポリシーの有効性スコア、ガバナンススコア及び少なくとも1つのコンプライアンススコアなどが含まれる。予測モデルは、少なくとも1つのプロセッサ122によって実行されるAIモデルである。違反の概要は、先ず、デジタルエコシステムにおける同様の違反に関連した先例のリスクケースについて分析され、次いで、前記先例のリスクケースに関連するパフォーマンスデータが、企業のパフォーマンスデータ(少なくとも1つのポリシーの有効性スコアなど)と比較され、リスクレベルが正確に決定される。予測モデルは機械学習ベースのモデルであってもよい。ここで予測モデルは、予測モデルの必要な精度が達成されるまで、少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを用いてトレーニングすることができる。このような機械学習アルゴリズムは本技術分野において周知のものである。予測モデルは、企業の先例のリスクケース、およびデジタルエコシステムの違反の概要およびポリシーの有効性スコアを考慮して、デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスが、少なくとも1つの規制当局の文書の規制および/または法令を満たしていないリスクを予測する。少なくとも1つのプロセッサ122は、少なくとも1つのコンプライアンススコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスのリスクレベルを予測するような処理能力を有していてもよい。リスクレベルは、罰金のリスクレベル(すなわち、罰金または罰則を受けるリスクのレベル)であってもよい。あるいは、リスクレベルは警告のリスクレベル(すなわち、警告を受けるリスクのレベル)であってもよい。さらには、リスクレベルは一般的なリスクのレベルであってもよい。
【0072】
データリポジトリ120は、企業104の過去および現在のパフォーマンスデータを記憶するようにさらに構成される。ここで、過去および現在のパフォーマンスデータは以下を含む:企業104の過去および現在の違反の概要、過去および現在のポリシーの有効性スコア、過去および現在のコンプライアンススコア、過去および現在のガバナンススコアのうちの少なくとも1つを含む。ここで、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスのリスクレベルを予測する際、少なくとも1つのプロセッサ122は、少なくとも1つの予測モデリングを用いて、企業104の過去および現在のパフォーマンスデータを処理するような処理能力を有する。パフォーマンスデータは、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスに関連する、少なくとも1つのプロセッサ122によって(特に、少なくとも1つのプロセッサ122の処理モデルによって)作成される出力である。企業104の先例のパフォーマンスデータおよび現在のパフォーマンスデータは、デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスの先例及び、リアルタイムの評価の両方を表し、予測分析を実行するために用いられる。過去のデータは、ターゲットサーバ126がシステム100より集めた過去における内部データ、および/またはターゲットサーバ126が外部ソースより集めた過去における外部データである。少なくとも1つのプロセッサ122は、現在のパフォーマンスデータを先例のパフォーマンスデータ(これは、先例のリスク/違反に値するイベント/ケースの証拠となる先例)と比較して、その類似性を判定する。現在のパフォーマンスデータと、先例のリスク/違反に値するイベント/ケースにつながる先例のパフォーマンスデータとの類似度が高いほど、デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスのリスクレベルは高い。少なくとも1つのプロセッサ122は、予測されたリスクレベルに基づいて、デジタルエコシステムにおけるガバナンスのスコアが、リスクが高すぎる、または違反を起こすポイントまで低下しないような措置を講じる。少なくとも1つのアクションは、ガバナンススコアが高く、リスクレベルが低い場合には、企業104がデジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを維持することを可能にし、ガバナンススコアが低く、リスクレベルが高い場合には、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを改善することを可能にするように決定される。
【0073】
本開示はさらに、デジタルイベントの前処理および後処理について説明する。企業104は、ガバナンスポリシーの実行者として存在する。システム100は、2つの方法でガバナンスの証拠を確定することができる。一つ目の方法は、取引受信者が、参加者のデジタル取引イベントを決済する前に顧客からメタデータを受け取り、取引受信者が静的ポリシーを実施し、その後、上述のようにガバナンスの証拠を確定する方法である。もう一つの方法は、デジタル取引イベントが決済された後に、取引受信者が顧客からメタデータを受け取り、その後、上述のようにガバナンスの証拠を確定することである。
【0074】
さらに、本発明はトランザクションレシーバを採用する。さらに、システム100は、システム100が企業104のアプリケーションの後ろで、その参加者の経験を中断することなく動作するように、トランザクションレシーバを利用することができる。トランザクションレシーバは、APIを介して企業104の取引メタデータ(すなわち、デジタルイベントデータ)を入手することができる。トランザクションレシーバは、ソフトウェアおよび/またはファームウェアであってもよい。システム100は、企業104のネットワークにおいて、ガバナンスのエージェントとしてAPIを活用することができる。システム100はまた、企業104に代わってガバナンスの証拠を確定するためのメタデータを入手するためにAPIを利用することができる。APIは、少なくとも1つのプロセッサ122と相互に作用する。
【0075】
一例として、変更不可なデジタルデータベースはハイパーレッジャーファブリックのブロックチェーンであってもよい。この例では、Govbit(z)は、3つの工程でハイパーレッジャーファブリックのブロックチェーンにコミットすることができる。最初に、システム100は、ガバナンススコア、企業104の固有識別子、トレーニングに関する提案、ポリシーに関する提案、違反の概要、または、アクション(ガバナンスの決定と同義)としての任意の追加情報をスマートコントラクトに伝達することができる。次に、スマートコントラクトは、ガバナンスの決定を変更不可にキャプチャするため、取引上で実行された結果生じるGovbit(z)は、システム100に伝達される。最後に、Govbit(z)はブロックにパッケージされ、その台帳にコミットするためにノード上のプライベートチャネルに伝達される。ブロックチェーンは、システム100によって、リアルタイム、ニアタイム、またはスケジュールされた時間に記録および受け取るために使用され、ブロックチェーンへのアクセスが許可される。新しいポリシーがリポジトリに追加された場合、またはポリシーが新しいバージョンに更新された場合、システム100は、スマートコントラクトを介してアクションを促し、その新しいポリシーの固有のポリシーIDをブロックチェーンに変更不可に記録することができる。
【0076】
少なくとも1つのプロセッサ122は、デジタルイベントデータを分析して、デジタルエコシステムの参加者の行動を同定し、少なくとも参加者の行動に基づいて、少なくとも1つのポリシーおよび/またはプロシージャの提案を作成し、前記提案を少なくとも1つの規制当局のサーバ132に送達するような処理能力を有する。前記の処理は、少なくとも1つのプロセッサ122によって実行されるモデルによって実行される。ここで、少なくとも1つのプロセッサ122は、プロアクティブにポリシーを確定するための提案をする。デジタルイベントデータの分析は、デジタルエコシステムの参加者の(リアルタイムの)行動に対するインサイトを提供する、ここで前記インサイトは、提案を作成するために用いられる。また、前記の分析が、ポリシーに違反する参加者の行動の望ましくない傾向またはパターンを明らかにする場合、少なくとも1つのプロセッサ122は、そのような望ましくない傾向またはパターンを防ぐための提案を行う。少なくとも1つのプロセッサ122は、少なくとも1つの規制当局の文書に基づいて、少なくとも1つのポリシーおよび/または法規の提案行う。ここで、ポリシーに違反するデジタル参加者の行動を特定すると、少なくとも1つのプロセッサ122は、どの行動がどのポリシーに違反し、ひいてはどのプロシージャに違反したかを特定する。これにより、少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの規則および/または法令の正確かつ有用な提案を作成することができる。少なくとも1つのプロセッサ122は、プロアクティブなポリシーの確定を可能にする方法として、検討のために前記の提案をサーバ132に伝達する。少なくとも1つの規制当局は、提案を実施することも拒否することもできる。
【0077】
システム100は、業界全体にわたる参加者の行動を匿名化することができる。様々なデジタルエコシステムは、様々な企業に関連する可能性がある。匿名化された参加者の行動は、様々な通信デバイスを用いてデータリポジトリ120に集計することができる。少なくとも1つのプロセッサ122は、参加者の集計された匿名化された行動にアクセスし、それに基づいて提案を作成する。ここで、システム100の異なるプロセッサは、異なるエコシステムにおけるガバナンスの管理に関連する処理タスクを実行することができる。個人/存在は、提案を行うためにシステム100にアクセスすることはできない。少なくとも1つのプロセッサ122だけが、提案を行うために、業界全体の参加者の匿名化された行動にアクセスすることができる。
【0078】
少なくとも1つのプロセッサ122は、少なくとも1つのポリシーの文書における各々のポリシーに、割り当てられた重み付けをアップデート(810)ような処理能力を有する。ターゲットサーバ126がシステム100に接続するとき、少なくとも1つのプロセッサ122は、ポリシーとデジタルエコシステムおよび/または企業104の評価に基づいて、各ポリシーに重み付けの初期の値を割り当てる。その後、当該初期の値は、デジタルエコシステムおよび/または企業104のガバナンス、パフォーマンスデータ、罰則データ、デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスのリスクレベルのうちの少なくとも1つに基づいて、少なくとも1つのプロセッサ122によってアップデートされる。
【0079】
図9に、本発明の実施態様システム100により実行されるおおまかな処理フローを示す。少なくとも1つのプロセッサ122のIDマッピングモジュール902は、クライアントデータベース904に接続される。クライアントデータベース904は、企業104のターゲットサーバ126により管理されるデータベースである。クライアントデータベース904内の少なくとも1つのポリシーの文書を用いて、システム100のデータリポジトリ120にライブラリ906を作成する。ライブラリ906は、少なくとも1つの固定ポリシー908および/または少なくとも1つの動的ポリシー910を格納することができる。少なくとも1つの固定ポリシー908は、1つ以上のプロシージャ912に関連付けられる。少なくとも1つの動的ポリシー910は、1つ以上のパラメータ914に関連付けられる。プロシージャ評価916は、プロシージャ違反が発生しているかどうかを決定するために行われる。パラメータ評価918は、パラメータ違反が発生しているかどうかを決定するために行われる。プロシージャ評価916及びパラメータ評価918に基づいて、違反の概要920が作成される。違反の概要920は、少なくとも1つのポリシーの有効性スコア922を決定するために用いられる。少なくとも1つのポリシーの有効性スコア922は、デジタルエコシステムにおける少なくとも1つのコンプライアンススコア924を決定するために使用され、少なくとも1つのコンプライアンススコアは、デジタルエコシステムにおけるガバナンススコア926を決定するために用いられる。ガバナンススコアは、企業104がデジタルエコシステム内のデジタルガバナンスを維持または改善するための少なくとも1つのアクションを実行することを可能にする。928で、変更不可なデジタルデータベースへのガバナンスの証拠記録が行われる。この結果、Govbit(z)が変更不可な台帳にコミットされ、ガバナンスの証拠が確定する。企業104にリスクを警告することで、優れたガバナンス行動をさらに促進するように設計されたサポート機能を以下に説明する。規制当局のデータベース930が、少なくとも1つの規制当局のサーバ132に管理される。規制当局のデータベース128の少なくとも1つの規制当局の文書を用いて、システム100のデータリポジトリ120に規制当局のライブラリ932を作成する。リスクレベルの予測934は、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスのリスクレベルを(AIモデルを用いて)予測するために実行することができ、当該リスクレベル936に基づき、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを維持または改善するための少なくとも1つのアクションを提案することができる。少なくとも1つのアクションは、ポリシーに関する提案938、トレーニングに関する提案940のうちの少なくとも1つである。少なくとも1つの規制当局の文書は、ポリシーに関する提案938を作成するために用いることができる。
【0080】
図10に、本発明の実施態様であるデジタルエコシステムにおいて、デジタルガバナンスを管理するための方法1000の工程を示すフローチャートを示す。工程1002において、少なくとも1つのポリシーの文書をデータリポジトリ120において管理される規制当局のライブラリより受け取る。ここで当該規制当局のライブラリは、企業が使用するポリシーおよびプロシージャの文書を格納し、少なくとも1つのポリシーの文書は、デジタルエコシステムに所属する企業104が使用する。工程1004において、デジタルイベントデータをターゲットサーバ126より受け取る。ここでデジタルイベントデータは、デジタルエコシステムの参加者の行動を示し、ターゲットサーバ126がデジタルエコシステムに所属する企業104に関連付けられる。工程1006において、少なくとも1つのポリシーの文書及びデジタルイベントデータに基づいて違反の概要が作成され、デジタルイベントデータが少なくとも1つのポリシーに準拠していない場合、少なくとも1つの違反が違反の概要に記録される。工程1008において、違反の概要に基づいて、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定する。工程1010において、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、少なくとも1つのコンプライアンススコアを決定する。工程1012において、少なくとも1つのコンプライアンススコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるガバナンススコアを決定する。工程1014において、ガバナンススコアはターゲットサーバ126接続され、企業104がデジタルエコシステム内のデジタルガバナンスを維持または改善するための少なくとも1つのアクションを実行する。方法1000は、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスの効率的かつ正確な管理を可能にする。方法1000は、簡単、迅速かつ信頼できる方法である。
【0081】
方法1000はさらに以下を有していてもよい:ガバナンススコアにタイムスタンプする;ガバナンススコアを企業104に関連付けられた固有のデジタル識別子にマッピングする;デジタルエコシステムにおけるガバナンスの証拠として、固有のデジタル識別子とともに、タイムスタンプされた少なくともガバナンススコアを変更不可なデジタルデータベースに記録する。当該処理の流れは、図7と併せて上述の通りである。
【0082】
方法1000はさらに以下を有していてもよい: データリポジトリ120より、企業104によって実行される少なくとも1つの新しいポリシーを受信する;少なくとも1つの新しいポリシーの実行を強制するためのスマートコントラクトを作成する。ここでスマートコントラクトは、企業104に関連付けられる固有のデジタル識別子に結び付けられ、スマートコントラクトが、少なくとも1つの新しいポリシーに関連付けられる固有のポリシー識別子とともに、少なくとも1つの新しいポリシーのバージョンと、行動を実施するガバナンスを決定し、スマートコントラクトを作成するタイムスタンプを行う;スマートコントラクトを変更不可なデジタルデータベースに記録する。これらの処理については上述の通りである。
【0083】
方法1000はさらに以下を有していてもよい:企業の先例のリスクケースの記録を受け取る;少なくとも1つの違反の概要および少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスのリスクレベルを予測する;当該リスクレベルに基づいて、デジタルエコシステムにおけるガバナンスを維持または改善するための少なくとも1つのアクションを決定する;少なくとも1つのアクションをターゲットサーバ126に伝達する。これらの処理の流れは、図8と併せて上述の通りである。
【0084】
方法1000において、違反の概要における少なくとも1つの違反は、固定ポリシーの少なくとも1つのプロシージャに関する違反であり、ここで少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定する工程は以下を含む:固定ポリシーの有効性スコアを初期の値に初期化する、ここで初期の値は全体の中で最も大きい値である;最も大きい値から少なくとも1つのプロシージャ違反に相当するポイントを減点することによって、初期の値を2番目の値に変更する;固定ポリシーの有効性スコアを2番目の値として決定する。これらの処理の流れは、図5と併せて上述の通りである。
【0085】
方法1000において、違反の概要における少なくとも1つの違反は、動的ポリシーの少なくとも1つのパラメータ違反であり、ここで少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定する工程は以下を含む: パラメータデータにおけるデジタルイベントの総数を決定する;デジタルイベントの総数のうち、少なくとも1つのパラメータ違反をもたらさないデジタルイベントの数を決定する;デジタルイベントの総数のうち、少なくとも1つのパラメータ違反をもたらさないデジタルイベントの数をデジタルイベントの総数で割って、動的ポリシーの有効性スコアを決定する。これらの処理の流れは、図6と併せて上述の通りである。
【0086】
本発明はまた、コンピュータプログラム製品を提供する。前述のシステム100および方法1000に関して上記に開示された様々な実施態様および具体例は、コンピュータプログラム製品にも準用される。コンピュータプログラム製品において、非一過性の機械可読記憶媒体の例としては、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリが挙げられるが、これらに限定されない、 ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0087】
上記システム100、方法1000、およびコンピュータプログラム製品は、デジタルエコシステムにおいてデジタルガバナンスを管理するための革新的かつ効率的なソリューションを提供する。システム100、方法1000、およびコンピュータプログラム製品は、ポリシーを通じてガバナンスを強化、提案、および動的に制御するための効率的かつ効果的なソリューションを提供する。
このようなガバナンスの強化、提案、および動的な制御は、PIIなしに実行される。システム100、方法1000、およびコンピュータプログラム製品は、前述の目的のために、倫理的AIを活用して、デジタルエコシステムの参加者の行動異常を計算する。さらに、システム100は、デジタルエコシステムにおいて悪意あるイベントを行う参加者を検出することができる。システム100、方法1000、およびコンピュータプログラム製品は、例えば、監視目的のために、またデジタルエコシステムとそのエンドユーザとの間の信頼を確立するために、変更不可なデジタルデータベース上のガバナンスの証拠を確定することができる。
また、システム100は、デジタルエコシステムとそのエンドユーザに関し公平な第三者としての役割を果たす。より多くの利用者が参加者としてデジタルエコシステムを利用するにつれて、利用者を保護するためのデジタルガバナンス及びその有効性の証拠の必要性が高まる。システム100、方法1000、およびコンピュータプログラム製品は、変更不可なデジタルデータベース上にガバナンスの決定を記録することを可能にし、また、参加者の行動をリアルタイムで洞察してプロアクティブなポリシーを確立することを可能にする。さらにシステム100は、参加者を保護するためのポリシーを動的に強化、発見、および提案することができる。多くの産業界では、毎年、または好ましくは6ヶ月ごとにポリシーを見直すことが提案されている。ポリシーの起案から承認、実施、そして評価まで、エコシステムは本質的に動的であるため、ポリシーはその有効性を失い、いつしか所望の能力を失う可能性がある。本明細書における方法1000は、既存のガバナンスの上に、またデジタルエコシステム内で、リアルタイムで効果的にガバナンスを管理し、ポリシーの望ましい目的を達成することができる。
【0088】
本発明の特定の実施態様に関する前述の説明は、例示および説明の目的で提示されたものである。これらは、網羅的であること、または本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではなく、上記の教示に照らして多くの修正および変形が可能であることは明らかである。実施態様は、本発明の原理およびその実際的な適用を最もよく説明するために選択され、記載されたものであり、それにより、当業者が、企図された特定の用途に適するように様々な変更を伴って本発明および様々な実施態様を最もよく利用できるようにするためである。状況が示唆し得るかまたは好都合であるように、等価物の様々な省略および置換が企図されるが、それらは、本発明の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、適用または実施をカバーすることが意図される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルエコシステムにおいて、以下の構成を有するデジタルガバナンスを管理するシステム;
(1)企業が使用するポリシーおよびプロシージャを含む少なくとも一つのポリシーのライブラリを維持するデータリポジトリ;
(2)前記データリポジトリに通信可能に接続された少なくとも1つのプロセッサ、ここで少なくとも1つのプロセッサは以下の処理能力を有する:
(i)ポリシーのライブラリより少なくとも1つのポリシーの文書を入手する、ここで少なくとも1つのポリシーの文書は、デジタルエコシステムに所属する企業が使用する;
(ii)ターゲットサーバよりデジタルイベントデータを入手する、ここで前記デジタルイベントデータは、デジタルエコシステムにおける参加者の行動を示し、前記ターゲットサーバは、デジタルエコシステムに所属する企業に関連付けられる;
(iii)少なくとも1つのポリシーの文書及びデジタルイベントデータに基づいて、違反の概要を作成す、ここで前記デジタルイベントデータが少なくとも1つのポリシーの文書に準拠していない場合、少なくとも1つの違反が、違反の概要に記録される;
(iv)違反の概要に基づいて、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定する、
ここで前記違反の概要における少なくとも1つの違反は、固定ポリシーにおける少なくとも1つのプロシージャ違反であり、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定するとき、少なくとも1つのプロセッサは、以下の処理能力を有する:
(a)固定ポリシーの有効性スコアを初期化する、ここで初期の値は、全体の中で最も大きい値である;
(b)前記最も大きい値(初期の値)より少なくとも1つのプロシージャ違反に相当するスコアを減ずることで、2番目の値を求める;
(c)当該2番目の値を固定ポリシーの有効性スコアとして決定する;
(v)前記少なくとも1つのポリシーの有効性スコアより、少なくとも1つのコンプライアンススコアを決定する;
(vi)前記少なくとも1つのコンプライアンススコアより、デジタルエコシステムにおけるガバナンススコアを決定する;
(vii)前記ガバナンススコアにタイムスタンプする;
(viii)前記ガバナンススコアを、企業に関連する固有のデジタル識別子にマッピングする;
(ix)デジタルエコシステムにおけるガバナンスの証拠として、固有のデジタル識別子とともに、タイムスタンプされた少なくとも1つのガバナンススコアを変更不可のデジタルデータベースに記録し、タイムスタンプされた少なくとも1つのガバナンススコアを、固有のデジタル識別子とともに記録する;
(x)デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスを維持または改善するための少なくとも1つのアクションを企業が実行できるように、ガバナンススコアをターゲットサーバに伝達する。
【請求項2】
前記の変更不可なデジタルデータベースは、変更不可な分散型台帳またはブロックチェーンである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのプロセッサが以下の処理能力を有することを特徴とするシステム;
(1)データリポジトリから、企業が実行する少なくとも1つの新しいポリシーの文書を受信する
(2)少なくとも1つの新しいポリシーを実行するアクションを強制するスマートコントラクトを作成する、ここでスマートコントラクトは、企業に関連付けられた固有のデジタル識別子に結び付けられ、スマートコントラクトは、少なくとも1つの新しいポリシーのバージョン、少なくとも1つの新しいポリシーに関連付けられた固有のポリシー識別子、アクションを実施するガバナンスの決定、及びスマートコントラクトを作成するタイムスタンプを含み、スマートコントラクトを変更不可なデジタルデータベースに記録する。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアクションは、ポリシーに関する提案、トレーニングに関する提案の少なくとも1つである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記データリポジトリは、前記企業の先例のリスクケースの記録を保管するようにさらに構成され、前記少なくとも1つのプロセッサは、以下の処理能力を有することを特徴とするシステム;
(1)前記データリポジトリより企業の先例のリスクケースの記録を入手する;
(2)少なくとも違反の概要及び少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスのリスクレベルを予測する;
(3)リスクレベルに基づいて、デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスを維持または改善するために実行すべき少なくとも1つのアクションを決定する;
(4)少なくとも1つのアクションをターゲットサーバに伝達する。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムであって、前記データリポジトリは、企業の過去および現在のパフォーマンスデータを格納するようにさらに構成され、前記過去および現在のパフォーマンスデータは、企業の過去および現在の違反の概要、過去および現在のポリシーの有効性スコア、過去および現在のコンプライアンススコア、過去および現在のガバナンススコアのうちの少なくとも1つを含み、前記デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスのリスクレベルを予測するとき、少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの予測モデリング技術を使用して、企業の過去および現在のパフォーマンスデータを処理する、システム。
【請求項7】
請求項5に記載のシステムにおいて、前記データリポジトリは、少なくとも1つの規制当局のサーバに通信可能に接続され、前記データリポジトリは、少なくとも1つの規制当局のサーバより、産業界が企業に対して設定した規約および/または法令を受け取り、前記規約および/または法令を規制当局のライブラリの形態で格納するように構成され、前記規制当局のライブラリは、少なくとも1つの規制当局の文書を含み、前記少なくとも1つの規制当局の文書は、企業がポリシーおよびプロシージャを作成するために使用されることを特徴とする、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに以下の処理能力を有することを特徴とする、システム:
(1)デジタルイベントデータを分析して、デジタルエコシステムの参加者の行動を同定する ;
(2)少なくとも参加者の行動に基づいて、少なくとも1つの規約および/または法令の提案を作成する;
(3)前記提案を少なくとも1つの規制当局のサーバに伝達する。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのポリシーの文書は、少なくとも1つの固定ポリシーを含み、前記少なくとも1つの固定ポリシーは、1つ以上のプロシージャに関連付けられ、前記違反の概要を作成するとき、前記少なくとも1つのプロセッサは、以下の処理能力を有する、システム;
(1)デジタルイベントデータよりプロシージャデータを抽出する;
(2)プロシージャデータを、少なくとも1つの固定ポリシーの1つまたは複数のプロシージャに関連付けられたプロシージャの参照データと照合する;
(3)前記プロシージャのデータがプロシージャの参照データと部分的に不一致または完全に不一致の場合、違反の概要に所定の違反を記録する、ここで前記所定の違反はプロシージャ違反である。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのポリシーの文書は、少なくとも1つの動的ポリシーを含み、前記少なくとも1つの動的ポリシーは、1つ以上のパラメータと関連付けられ、前記違反の概要を作成するとき、前記少なくとも1つのプロセッサは、以下の処理能力を有する、システム;
(1)デジタルイベントデータよりパラメータデータを抽出する;
(2)パラメータデータを、少なくとも1つの動的ポリシーの1つまたは複数のパラメータに関連付けられたパラメータの参照値およびパラメータの参照の範囲と比較する;
(3)パラメータデータが参照のパラメータ値と部分的に不一致または完全に不一致であるとき、および/またはパラメータデータが参照のパラメータの範囲外であるとき、違反の概要に所定の違反を記録する、ここで所定の違反はパラメータ違反である。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記違反の概要における少なくとも1つの違反は、動的ポリシーの少なくとも1つのパラメータ違反であり、前記少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定するとき、前記少なくとも1つのプロセッサは、以下の処理能力を有する、システ;
(1)データ中のデジタルイベントの総数を決定する;
(2)デジタルイベントの総数のうち、少なくとも1つのパラメータ違反をもたらさないデジタルイベントの数を決定する;
(3)動的ポリシーの有効性スコアを、少なくとも1つのパラメータ違反を引き起こさないデジタルイベントの数をデジタルイベントの総数で割った値として決定する。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記データリポジトリは、前記企業に関連するターゲットサーバと通信可能に接続され、前記データリポジトリは、前記ターゲットサーバから前記企業が使用するポリシーおよびプロシージャを受け取り、前記ポリシーおよびプロシージャを前記ライブラリの形式で格納するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに以下の処理能力を有することを特徴とするシステム;
(1)前記少なくとも1つのポリシーの文書における各ポリシーを重み付けする、ここで前記の重みは前記ポリシーの重要度に基づいて決められる;
(2)前記少なくとも1つのポリシーの文書の各ポリシーの少なくとも1つの重み付けされたポリシーの有効性スコアを決定する、ここで所定の重み付けされたポリシーの有効性スコアは、前記ポリシーに割り当てられた重みと前記ポリシーの有効性スコアとの積であり、前記デジタルエコシステムの少なくとも1つのコンプライアンススコアは、前記少なくとも1つの重み付けされたポリシーの有効性スコアに基づいて決定される。
【請求項14】
デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスを管理する方法であって、該方法は以下を含む:
(1)データリポジトリに保持されるポリシーのライブラリより少なくとも1つのポリシーの文書を入手する、ここでポリシーのライブラリは、企業が使用するポリシーおよびプロシージャを含み、少なくとも1つのポリシーの文書は、デジタルエコシステムが属する企業が使用する;
(2)ターゲットサーバからデジタルイベントデータを入手する、ここでデジタルイベントデータは、デジタルエコシステムの参加者の行動を示すものであり、ターゲットサーバは、デジタルエコシステムに所属する企業に関連付けられる;
(3)少なくとも1つのポリシーの文書およびデジタルイベントデータに基づいて、違反の概要を作成する、ここでデジタルイベントデータが少なくとも1つのポリシーの文書に準拠していない場合、少なくとも1つの違反が違反の概要に記録される;
(4)違反の概要に基づいて少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定する、ここで違反概要の少なくとも1つの違反は、固定ポリシーの少なくとも1つのプロシージャ違反であり、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定する工程は、以下を含む:
(i)前記固定ポリシーの有効性スコアを初期の値に初期化する、ここで前記初期の値は、全体の中で最も大きい値である;
(ii)最も大きい値から少なくとも1つのプロシージャ違反に相当するポイントを減点することにより、初期の値を2番目の値に減少させ、固定ポリシーの有効性スコアを2番目の値として決定する;
(5)少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、少なくとも1つのコンプライアンススコアを決定し、少なくとも1つのコンプライアンススコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるガバナンススコアを決定し、ガバナンススコアをタイムスタンプし、ガバナンススコアを、企業に関連する固有のデジタル識別子にマッピングする;
(6)固有のデジタル識別子とともにタイムスタンプされた少なくとも1つのガバナンススコアを、デジタルエコシステムにおけるガバナンスの証拠として変更不可なデジタルデータベースに記録する;及び
(7)デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスを維持または改善するための少なくとも1つのアクションを企業が行動できるようにするために、ガバナンススコアをターゲットサーバに伝達する。
【請求項15】
以下をさらに含む、請求項14に記載の方法:
(1)前記データリポジトリより、前記企業によって実行される少なくとも1つの新しいポリシーの文書を受け取る;
(2)前記少なくとも1つの新しいポリシーを実行するアクションを促すためのスマートコントラクトを作成する、ここで前記スマートコントラクトは、前記企業に関連付けられた固有のデジタル識別子に関連付けられ、前記スマートコントラクトは、前記少なくとも1つの新しいポリシーに関連付けられた固有のポリシー識別子とともに、前記少なくとも1つの新しいポリシーのバージョン、前記アクションを実施するガバナンスの決定、及び前記スマートコントラクトを作成するタイムスタンプを含む;
(3)スマートコントラクトを変更不可なデジタルデータベースに記録する。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、さらに以下を含む方法:
(1)企業の先例のリスクケースの記録を受け取る;
(2)少なくとも1つの違反の概要及び少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるデジタルガバナンスのリスクレベルを予測する;
(3)前記のリスクレベルに基づいて、前記のデジタルエコシステムにおけるガバナンスを維持または改善するために実施することが要求される少なくとも1つのアクションを決定し、前記少なくとも1つのアクションをターゲットサーバに伝達する。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、前記違反の概要における少なくとも1つの違反は、動的ポリシーにおける少なくとも1つのパラメータ違反であり、前記少なくとも1つのポリシーの有効性スコアは以下により決定される、方法;
(1)パラメータデータ中のデジタルイベントの総数を決定する;
(2)デジタルイベントの総数のうち、少なくとも1つのパラメータ違反をもたらさないデジタルイベントの数を決定する;
(3)動的ポリシーの有効性スコアを、少なくとも1つのパラメータ違反を引き起こさないデジタルイベントの数をデジタルイベントの総数で割ったものとして決定する。
【請求項18】
プロセッサによって実行されると、プロセッサに以下を行わせるプログラム指令を記憶した非一過性の機械可読データ記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品;
(1)データリポジトリに保管されているポリシーのライブラリより少なくとも1つのポリシーの文書を受信する、ここでポリシーのライブラリは、企業が使用するポリシーおよびプロシージャを含み、少なくとも1つのポリシーの文書は、デジタルエコシステムに所属する企業が使用する;
(2)ターゲットサーバからデジタルイベントデータを受け取る、ここでデジタルイベントデータは、デジタルエコシステムの参加者の行動を示すものであり、ターゲットサーバは、デジタルエコシステムに所属する企業に関連付けられる;
(3)少なくとも1つのポリシーの文書およびデジタルイベントデータに基づいて、違反の概要を作成し、デジタルイベントデータが少なくとも1つのポリシーの文書に準拠していない場合、少なくとも1つの違反が違反の概要に記録される;
(4)違反の概要に基づいて、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定する、ここで違反概要の少なくとも1つの違反は、固定ポリシーの少なくとも1つのプロシージャ違反であり、少なくとも1つのポリシーの有効性スコアを決定するとき、少なくとも1つのプロセッサは、以下の処理能力を有する:
(i)固定ポリシーの有効性スコアを第一の値に初期化する、ここで第一の値は全体の中で最も大きい値である;
(ii)最も大きい値から少なくとも1つのプロシージャ違反に相当するポイントを差し引くことによって、初期の値を2番目の値に減少させ、固定ポリシーの有効性スコアを2番目の値として決定する;
(5)前記少なくとも1つのポリシーの有効性スコアに基づいて、少なくとも1つのコンプライアンススコアを決定する;
(6)前記少なくとも1つのコンプライアンススコアに基づいて、デジタルエコシステムにおけるガバナンススコアを決定する;
(7)前記ガバナンススコアにタイムスタンプする;
(8)前記ガバナンススコアを企業に関連する固有のデジタル識別子にマッピングする;
タイムスタンプされた少なくとも1つのガバナンススコアを、固有のデジタル識別子とともに、デジタルエコシステムにおけるガバナンスの証拠として変更不可なデジタルデータベースに記録する;及び
(9)企業がデジタルガバナンスを維持または改善するための少なくとも1つのアクションを実施することを可能にするために、ガバナンススコアをターゲットサーバに伝達する。
【国際調査報告】