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特表2024-532811分析的決定のために流体セグメントの流れ特性を決定するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】分析的決定のために流体セグメントの流れ特性を決定するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/28 20060101AFI20240903BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G01N1/28 X
G01N1/00 101G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508794
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 US2022039559
(87)【国際公開番号】W WO2023018615
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/232,901
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516257707
【氏名又は名称】エレメンタル・サイエンティフィック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ELEMENTAL SCIENTIFIC, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】マース,ボー エイ
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA13
2G052AB01
2G052AB26
2G052AC28
2G052AD26
2G052AD46
2G052CA02
2G052CA04
2G052CA38
2G052FD10
2G052GA15
2G052HA02
2G052HC04
2G052HC10
2G052HC27
2G052JA09
2G052JA30
(57)【要約】
走査動作後にウエハ表面上に液体が残っているかどうかを決定するためのシステムおよび方法が記載される。システムの実施形態は、これに限定されないが、ウエハ表面上に流体を分注し、かつウエハ表面から流体を回収するために走査ノズルと結合された移送ラインに隣接して配置されるように構成された第1のシステムであって、流体の気体/液体移行を検出し、分注された液体試料の体積を決定するように構成された、第1のシステムと、走査ノズルの下流にあり、第2のラインに隣接して配置されるように構成された第2のシステムであって、第2のラインを通って流れる流体の気体/液体移行を検出し、ウエハ表面から回収された液体試料の体積を決定するように構成された第2のシステムと、回収された液体試料の体積が分注された液体試料の体積と比較して閾値量内にない場合に警告を生成するように構成されたコントローラとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査動作後にウエハ表面に液体が残っているかどうかを決定するためのシステムであって、
ウエハ表面上に流体を分注し、かつ分析システムへの移送のために前記ウエハ表面から前記流体を回収するように構成された走査ノズルと流体連通する第1の流体移送ラインに隣接して配置されるように構成された第1の液体体積決定システムであって、前記第1の流体移送ラインを通って流れる流体の気体/液体移行を検出し、かつ前記ウエハ表面上に分注された液体試料の体積を決定するように構成された第1の液体体積決定システムと、
前記走査ノズルおよび前記第1の液体体積決定システムの下流の第2の流体移送ラインに隣接して配置されるように構成された第2の液体体積決定システムであって、前記第2の流体移送ラインを通って流れる流体の気体/液体移行を検出し、かつ前記ウエハ表面から回収された液体試料の体積を決定するように構成された第2の液体体積決定システムと、
前記ウエハ表面から回収された液体試料の前記体積を前記ウエハ表面上に分注された液体試料の前記体積と比較し、かつ前記ウエハ表面から回収された液体試料の前記体積が前記ウエハ表面上に分注された液体試料の前記体積と比較して閾値量内にない場合に警告を生成するように構成されたコントローラと
を備える、システム。
【請求項2】
前記第1の液体体積決定システムが、前記第1の流体移送ラインに隣接して配置されるように構成された第1のセンサと、前記第1のセンサからあるギャップだけ下流で、前記第1の流体移送ラインに隣接して配置されるように構成された第2のセンサとを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のセンサおよび前記第2のセンサの少なくとも一方が、光学センサ、圧力センサ、超音波トランスデューサ、および導電率センサのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
流体の前記気体/液体移行が前記第1の流体移送ラインを通って流れて、前記第1のセンサを通過する第1の時間と、流体の前記気体/液体移行が前記第1の流体移送ラインを通って流れて、前記第2のセンサを通過する第2の時間とを測定するように構成されたタイマをさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラが、前記第1の時間、前記第2の時間、および前記ギャップに関連する距離または体積のうちの少なくとも1つに基づいて第1の体積流量を決定するように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記タイマが、流体の第2の気体/液体移行が前記第1の流体移送ラインを通って流れて、前記第1のセンサを通過する第3の時間と、流体の前記第2の気体/液体移行が前記第1の流体移送ラインを通って流れて、前記第2のセンサを通過する第4の時間とを測定するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラが、前記第3の時間、前記第4の時間、および前記ギャップに関連する距離または体積のうちの少なくとも1つに基づいて第2の体積流量を決定するように構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラが、前記第2の体積流量、前記第1の体積流量、および前記第1の時間と前記第3の時間との間の期間の平均に基づいて、前記ウエハ表面上に分注された液体試料の前記体積を決定するように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2の液体体積決定システムが、前記第2の流体移送ラインに隣接して配置されるように構成された第3のセンサと、前記第3のセンサから第2のギャップだけ下流で、前記第2の流体移送ラインに隣接して配置されるように構成された第4のセンサとを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
前記タイマまたは第2のタイマの少なくとも一方が、流体の第3の気体/液体移行が前記第2の流体移送ラインを通って流れて、前記第3のセンサを通過する第3の時間と、流体の第4の気体/液体移行が前記第2の流体移送ラインを通って流れて、前記第4のセンサを通過する第4の時間とを測定するように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラまたは第2のコントローラの少なくとも一方が、前記第3の時間、前記第4の時間、および前記第2のギャップに関連する距離または体積のうちの少なくとも1つに基づいて第2の体積流量を決定するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記閾値量が、体積単位で少なくとも約70%である、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
走査動作後にウエハ表面に液体が残っているかどうかを決定するための方法であって、
流体源からウエハ処理システムの走査ノズルへ、流体移送ラインを介して流体試料を移送するステップと、
前記走査ノズルを用いて前記流体試料をウエハ表面上に分注するステップと、
前記流体源の下流かつ前記走査ノズルの上流に配置された第1の液体体積決定システムを介して、前記ウエハ表面上に分注された液体試料の体積を決定するステップと、
前記走査ノズルを用いて前記ウエハ表面から前記流体試料を回収するステップと、
前記走査ノズルの下流に配置された第2の液体体積決定システムを介して、前記ウエハ表面から回収された液体試料の体積を決定するステップと、
前記第1の液体体積決定システムおよび前記第2の液体体積決定システムと通信可能に結合されたコントローラを介して、前記ウエハ表面から回収された液体試料の前記体積を前記ウエハ表面上に分注された液体試料の前記体積と比較するステップと、
前記ウエハ表面から回収された液体試料の前記体積が、前記ウエハ表面上に分注された液体試料の前記体積よりも有意に少ない場合に警告を生成するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
前記ウエハ表面から回収された液体試料の前記体積が、前記ウエハ表面上に分注された液体試料の前記体積の約70%未満である場合、前記ウエハ表面から回収された液体試料の前記体積が、前記ウエハ表面上に分注された液体試料の前記体積よりも有意に小さい、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ウエハ表面から回収された液体試料の前記体積が、前記ウエハ表面上に分注された液体試料の前記体積の約90%未満である場合、前記ウエハ表面から回収された液体試料の前記体積が、前記ウエハ表面上に分注された液体試料の前記体積よりも有意に小さい、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ウエハ表面から回収された液体試料の前記体積が、前記ウエハ表面上に分注された液体試料の前記体積の約95%未満である場合、前記ウエハ表面から回収された液体試料の前記体積が、前記ウエハ表面上に分注された液体試料の前記体積よりも有意に小さい、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記ノズルによって前記ウエハ表面から回収された前記流体試料を、前記流体試料中の一定量の1つ以上の化学種を決定するように構成された分析システムに移送するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記ノズルによって前記ウエハ表面から回収された前記流体試料を、前記ウエハ表面から回収された液体試料の前記体積が前記ウエハ表面上に分注された液体試料の前記体積よりも有意に小さくはないと決定された場合に、前記流体試料中の一定量の1つ以上の化学種を決定するように構成された分析システムに自動的に移送するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の液体体積決定システムが、気体/液体移行が前記第1のセンサを通過する時間を検出するために前記流体移送ラインに隣接して配置されるように構成された第1のセンサと、気体/液体移行が前記第2のセンサを通過する時間を検出するために、前記第1のセンサからあるギャップだけ下流で前記流体移送ラインに隣接して配置されるように構成された第2のセンサとを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
気体/液体移行が前記第1のセンサを通過する前記時間、気体/液体移行が前記第2のセンサを通過する時間、および前記ギャップに関連する距離または体積のうちの少なくとも1つに基づいて、前記流体試料の体積流量を決定するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
誘導結合プラズマ(ICP)分光法は、液体試料中の微量元素濃度および同位体比の決定に一般的に使用される分析技術である。ICP 分光法は、約7000Kの温度に達する、電磁的に生成されて部分的にイオン化されたアルゴンプラズマを使用する。試料がプラズマに導入されると、高温により試料原子がイオン化または発光する。各化学元素は特徴的な質量または発光スペクトルを生成するので、放出された質量または光のスペクトルを測定することにより、元の試料の元素組成を決定することができる。
【0002】
試料導入システムを使用して、分析のために液体試料をICP分光機器(例えば、誘導結合プラズマ質量分光器(ICP/ICP-MS)、誘導結合プラズマ原子発光分光器(ICP-AES)など)に導入することができる。例えば、試料導入システムは、試料のアリコートをネブライザに搬送することができ、ネブライザは、アリコートを、ICP分光法によるプラズマ中のイオン化に適した多分散エアロゾルに変換する。次いで、ネブライザによって生成されたエアロゾルは、スプレーチャンバ内で選別されて、より大きなエアロゾル粒子が除去される。スプレーチャンバを出ると、分析のためにICP-MSまたはICP-AES機器のプラズマトーチアセンブリによってエアロゾルがプラズマに導入される。
【発明の概要】
【0003】
流体移送ラインを通って流れる流体セグメントの流れ特性を決定するためのシステムおよび方法が記載される。システムの実施形態は、これに限定されないが、ウエハ表面上に流体を分注し、分析システムへの移送のためにウエハ表面から流体を回収するように構成された走査ノズルと流体連通する第1の流体移送ラインに隣接して配置されるように構成された第1の液体体積決定システムであって、第1の流体移送ラインを通って流れる流体の気体/液体移行を検出し、かつウエハ表面上に分注された液体試料の体積を決定するように構成された第1の液体体積決定システムと、走査ノズルおよび第1の液体体積決定システムの下流の第2の流体移送ラインに隣接して配置されるように構成された第2の液体体積決定システムであって、第2の流体移送ラインを通って流れる流体の気体/液体移行を検出し、かつウエハ表面から回収された液体試料の体積を決定するように構成された第2の液体体積決定システムと、ウエハ表面から回収された液体試料の体積をウエハ表面上に分注された液体試料の体積と比較し、かつウエハ表面から回収された液体試料の体積がウエハ表面上に分注された液体試料の体積と比較して閾値量内にない場合に警告を生成するように構成されたコントローラとを含む。
【0004】
方法の実施形態は、これに限定されないが、流体源からウエハ処理システムの走査ノズルへ、流体移送ラインを介して流体試料を移送するステップと、走査ノズルを用いて流体試料をウエハ表面上に分注するステップと、流体源の下流かつ走査ノズルの上流に配置された第1の液体体積決定システムを介して、ウエハ表面上に分注された液体試料の体積を決定するステップと、走査ノズルを用いてウエハ表面から流体試料を回収するステップと、走査ノズルの下流に配置された第2の液体体積決定システムを介して、ウエハ表面から回収された液体試料の体積を決定するステップと、第1の液体体積決定システムおよび第2の液体体積決定システムと通信可能に結合されたコントローラを介して、ウエハ表面から回収された液体試料の体積をウエハ表面上に分注された液体試料の体積と比較するステップと、ウエハ表面から回収された液体試料の体積が、ウエハ表面上に分注された液体試料の体積よりも有意に少ない場合に警告を生成するステップとを含む。
【0005】
この概要は、以下の詳細な説明でさらに説明される概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定するのを助けるために使用されることを意図するものでもない。
【0006】
詳細な説明は、添付の図面を参照して説明される。説明および図面の異なる例における同じ参照番号の使用は、類似または同一の項目を示す場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の実施形態による、流体移送ラインを通って流れる液体試料の体積を決定するためのシステムの概略図である。
図2A】第1の液体センサが第1の時間に流体移送ラインを通って流れる液体セグメントの存在を検出する、本開示の実施形態による液体体積決定システムの概略図である。
図2B】第2の液体センサが第2の時間に流体移送ラインを通って流れる液体セグメントの存在を検出する、図2Aの液体体積決定システムの概略図である。
図2C】第1の液体センサが第3の時間に流体移送ラインを通って流れる液体セグメントの後端の存在を検出する、図2Aの液体体積決定システムの概略図である。
図2D】第2の液体センサが第4の時間に流体移送ラインを通って流れる液体セグメントの後端の存在を検出する、図2Aの液体体積決定システムの概略図である。
図3】本開示の実施形態による、半導体ウエハの完全な分解および走査のためのシステムの等角図である。
図4】チャンバ内に配置された半導体ウエハを有する図3のシステムの等角図である。
図5】走査アームが半導体ウエハの表面上にノズルを配置している、図3のシステムの等角図である。
図6】本開示の実施形態による、ウエハ走査分析システム内の液体試料の体積を決定するためのシステムの概略図である。
図7】本開示の実施形態による、走査ノズルによる回収後に流体がウエハ表面上に残っているかどうかを決定するための動作のフローチャートである。
図8】液体セグメントおよび気体セグメントの体積が個別に決定される、本開示の実施形態による液体体積決定システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
概要
試料中の微量元素濃度または量の決定は、試料の純度、または試薬、反応性成分などとして使用するための試料の受容性の指標を提供することができる。例えば、特定の生産または製造プロセス(例えば、採鉱、冶金、半導体製造、医薬品加工など)では、不純物の許容範囲は、例えば10億分の1のオーダーで非常に厳しくなり得る。半導体ウエハ処理のために、ウエハは、ウエハの能力を低下させるか、またはキャリア寿命の減少、ウエハ構成要素の絶縁破壊などのためにウエハを動作不能にする可能性がある金属不純物などの不純物について試験される。
【0009】
ウエハの気相分解(VPD)およびその後の走査は、金属不純物が存在するかどうかを決定するためにウエハの組成を分析する技術である。従来のVPDおよび走査技術は、不純物分析のためのシリコンウエハの処理および走査を容易にするためのスループットが限られている。例えば、システムは、多くの場合、VPD手順および走査手順のために別々のチャンバを利用する。VPDチャンバでは、表面に存在する二酸化ケイ素および他の金属不純物が蒸気(例えば、フッ化水素酸(HF)、過酸化水素(H)、それらの組み合わせ)と接触し、蒸気として(例えば、四フッ化ケイ素(SiF)として)表面から除去される。処理されたウエハは、走査のために別のチャンバに搬送され、そこで液滴が処理されたウエハ表面に導入されて、分解蒸気とウエハとの反応後の残留物を収集する。走査手順は、走査ヘッドを移動させるかまたは走査ヘッドを静止させて液滴を表面上で移動させながら、走査ヘッドを用いてウエハの表面上に液滴を保持し、ウエハを回転させることを含むことができる。ウエハを複数回回転させた後、液滴はウエハの所望の表面領域と相互作用して、分解後に接触した表面から残留物を引き出す。しかしながら、従来のウエハ処理技術は、処理中に分解チャンバから走査チャンバへ、すすぎチャンバへとウエハを移動させること、走査中にウエハ表面との液滴相互作用が限られている走査ノズルを利用することなどによって、ウエハを処理するためにかなりの時間および設備を必要とする(すなわち、液滴を全表面領域またはその一部と相互作用させるためにウエハの複数回の回転を必要とする)。さらに、ウエハのそのような取り扱いは、技術者または他の個人を有毒なフッ化水素酸に潜在的にさらす可能性があるか、または様々なプロセスチャンバ間のウエハの移送中にウエハに対する環境汚染のリスクを増加させる可能性があり、これはまた、装置および装置間の移送機構を容易にするために実質的な物理的プロセス用のフロアフットプリントを必要とする。
【0010】
ウエハおよび他の構造の分析に使用される走査システムは、典型的には、分析される材料の表面に導入される流体の量に依存して、表面から除去される試料の内容物の組成を計算する。表面に導入されたと推定される流体の量が実際の導入量と異なる場合、表面から除去された材料の計算(例えば、濃度分析による)に誤差が導入される可能性がある。さらに、走査後に表面から除去される流体の量が、走査を実行するために表面に導入される流体の量と異なる場合、表面は、表面から除去されていない残留流体を含む可能性がある、追加の洗浄および廃棄動作を必要とする可能性がある、流体を介して表面から除去された材料の内容物の分析的決定中にエラーを引き起こす可能性がある、などである。単一の液体検出器を使用するシステムは、液体検出器が流体を検出する期間を測定することによって、流体ラインを通って流れる液体セグメントの体積を推定することができる。推定値が正確であるためには、推定値は、流量が既知で一定であることに依存するが、実際の流体移送シナリオでは、流量が一定であることは稀であり、これらに限定されないが、異なる液体粘度、移送ライン内の不純物、ポンプの不正確さ、環境温度などを含む様々な理由に基づいて試料間で大きく変化する可能性がある。
【0011】
したがって、本開示は、少なくとも部分的に、流体移送ラインを通って流れる流体セグメントの流れ特性を決定して、流体セグメント内に存在する液体の体積流量および体積を測定または他の方法で計算するためのシステムおよび方法に関する。システムは、流体移送ライン内の気液界面を検出し、異なる気液界面間の期間を監視することによって、流体移送ラインを通る流体の流れを測定するように構成された少なくとも2つの流体センサを有する流体移送ラインを含むことができる。例えば、流体センサは、液体または気体の有無を測定して、流体移送ライン内の液体と気体とを区別することができる。流体センサの例には、これらに限定されないが、光学センサ、圧力センサ、超音波トランスデューサ、導電率センサなど、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0012】
流体センサは、既知の体積、距離、またはそれらの組み合わせを有するギャップを流体センサ間に有するように配置される。移動する流体セグメントが2つの流体センサ間を通過するとき、セグメント内の液体の流量は、第1の流体センサから第2の流体センサへの液体の移動中に経過した期間を測定し、2つの流体センサ間のギャップの体積を期間で割ることによって決定される。システムは、流体セグメントの平均流量を提供するなどのために、所与の流体セグメントの複数の流量を決定することができる。例えば、流体セグメントの開始流量は、試料の液体部分の前端が第2の流体センサによって検出されるまで第1の流体センサから移動するときに、前端を測定することに基づいて決定することができ、流体セグメントの終了流量は、試料の液体部分の後端が第2の流体センサによって検出されるまで第1の流体センサから移動するときに、後端を測定することに基づいて決定することができる。液体部分の体積は、流体センサが試料セグメントを感知した総時間をシステムによって測定された流量(例えば、平均流量)で割ることによって決定することができる。実装形態では、システムは、流体セグメントの液体部分の不在を監視し、液体部分の体積を計算するのと同じ方法でエアギャップの体積を計算することによって、移送ライン内のエアギャップの体積を決定する。エアギャップの体積を流体試料の体積から減算して、液体体積の決定を提供するか、またはその精度を高めることができる。
【0013】
例示的な実装形態
図1図8は、本開示の様々な実施形態による、流体移送ラインを通って流れる液体試料の体積を決定するためのシステム(「システム100」)の態様を示す。システム100は、一般に、流体センサシステム102と、タイマ104と、体積決定のための試料分析システムのために流体移送ライン108を通って流れる流体の流れを監視するように構成されたコントローラ106とを含む。例えば、システム100は、分析システムに移送された、または分析システムを介して移送された液体試料の体積を決定することができ、分析システムは、これらに限定されないが、蒸着およびウエハ走査システム(例えば、その例は図3図5を参照して説明する)、内容物分析のために試料流体に1つ以上の流体(例えば、希釈剤、標準、反応物、または他の流体)を導入するように構成された分析試料調製システム、遠隔サンプリングステーションから分析システムに液体試料を(例えば、インターリーブされた気体セグメントを用いて)移送するように構成された試料移送システムなどを含む。
【0014】
流体センサシステム102は、流体移送ライン108を通って流れる流体中に存在する液体の有無を検出し、それに応じて1つ以上の感知信号を生成するように構成された複数のセンサを含む。代替的または追加的に、流体センサシステム102の複数のセンサは、流体移送ライン108を通って流れる流体中に存在する気体、例えば、流体移送ライン108内の液体試料セグメントの前もしくは後に存在する気体セグメントまたは流体移送ライン108内に存在する気泡の有無を検出し、それに応じて1つ以上の感知信号を生成することができる。流体センサシステム102(例えば、液体または気体の有無に応じた信号を感知する)からの出力は、(例えば、1つ以上のメモリデバイスを介した)処理のためにコントローラ106に送信するか、または他の方法でコントローラ106に利用可能とすることができる。システム100は、タイマ104を介して流体センサシステム102の活動のタイミングを監視することができ、タイマ104からの出力は、処理のためにコントローラ106に送信するか、または他の方法でコントローラ106に利用可能とすることができる。例えば、コントローラ106は、流体センサシステム102およびタイマ104からの出力にアクセスして、流体移送ライン108を通って流れる流体の体積流量および体積に関連する計算を実行することができる。コントローラ106は、システム100の専用コントローラとすることができ、システム100の1つ以上の構成要素と統合もしくは関連付けることができるか、システムから離れたデバイスと関連付けることができるか、またはシステムおよび/もしくはデバイスの組み合わせと関連付けるもしくは統合することができる。
【0015】
図1を参照すると、流体移送ライン108を通って流れる流体中に存在する液体の有無を検出するための第1の液体センサ110および第2の液体センサ112を含む流体センサシステム102が示されている。第1の液体センサ110および第2の液体センサ112の例示的な動作は、図2A図2Dを参照して本明細書でさらに説明される。図1は2つの液体センサ(第1の液体センサ110、第2の液体液センサ112)を示しているが、流体センサシステム102は、2つのセンサまたは2つの液体センサに限定されず、3つ以上のセンサ、3つ以上の液体センサ、2つの気体センサ、3つ以上の気体センサ、少なくとも1つの気体センサおよび少なくとも1つの液体センサなど、またはそれらの組み合わせを含むことができる。実装形態では、第1の液体センサ110および第2の液体センサ112のうちの1つ以上は、流体移送ライン108を通って流れる流体中に存在する液体の有無を検出するために、光学センサ、圧力センサ、超音波トランスデューサ、導電率センサなど、およびそれらの組み合わせを含む。
【0016】
図2A図2Dを参照して、流体移送ライン108を通って流れる流体中に存在する液体試料セグメント200の体積流量および体積を決定するためのデータを提供するための、第1の液体センサ110および第2の液体センサ112の例示的な動作を説明する。図2Aに示す第1の時間(t)において、液体試料セグメント200の前端202が第1の液体センサ110によって検出されるまで、液体試料セグメント200は流体移送ライン108を通って移送される。前端202は、液体試料セグメント200が流れ始める気体(例えば、流体移送ライン108内の気体の空隙または気泡)から液体への移行を表す。次いで、第1の液体センサ110は、検出を示す出力(例えば、センス信号)をコントローラ106に提供し、これはコントローラ106が(例えば、記憶、送信などを介して)利用可能である。タイマ104は、前端202が第1の液体センサ110によって検出された時間をコントローラ106に提供し、その時間をコントローラ106が(例えば、記憶、送信などを介して)利用可能とすることができる。液体試料セグメント200の前端202の検出は、液体セグメントがそのとき第1の液体センサ110を通過して流れており、流体移送ライン108を介して第1の液体センサ100の下流に配置された第2の液体センサ112に接近しているという指標を提供する。
【0017】
図2Bに示す第2の時間(t)において、液体試料セグメント200の前端202が第2の液体センサ112によって検出されるまで、液体試料セグメント200が流体移送ライン108を通って移送される。液体試料セグメント200の前端202は、第1の時間から第2の時間までの期間にかけて、第1の液体センサ110と第2の液体センサ112との間のギャップ204の距離を移動した。ギャップ204は、液体試料セグメント200の流量の第1の測定値を提供するために、ギャップ204の距離にわたった流体移送ライン108内の既知の距離とすることができるか、または既知の体積を有することができる。例えば、既知の距離では、ギャップ204用の流体移送ライン108の正確な体積を提供しながら、様々なサイズの流体移送ライン108を利用することができるが、設定された流体移送ライン108では、ギャップ204用の流体移送ライン108の体積は一定のままであり得る。次いで、第2の液体センサ112は、検出を示す出力(例えば、センス信号)をコントローラ106に提供し、これはコントローラ106が(例えば、記憶、送信などを介して)利用可能である。タイマ104は、前端202が第2の液体センサ112によって検出された時間を提供し、その時間をコントローラ106が(例えば、記憶、送信などを介して)利用可能とすることができる。次いで、コントローラ106またはシステム100の別の部分は、式(1)を介して液体試料セグメント200の第1の体積流量を決定することができる。


式中、固定体積は、ギャップ204の流体移送ライン108の体積であり、tは、第2の液体センサ112が液体試料セグメント200の前端202を検出したときにタイマ104によって提供される時間であり、tは、第1の液体センサ110が液体試料セグメント200の前端202を検出したときにタイマ104によって提供される時間である。
【0018】
図2Cに示す第3の時間(t)において、液体試料セグメント200は、液体試料セグメント200の後端206が第1の液体センサ110によって検出されるまで、流体移送ライン108を通って移送される。後端206は、液体試料セグメント200の液体から気体(例えば、流体移送ライン108内の気体の空隙または気泡)への移行を表し、流体移送ライン108内の液体試料セグメント200の端部、または液体試料セグメント200を複数の流体試料部分に分割する気泡を示す。次いで、第1の液体センサ110は、検出を示す出力(例えば、センス信号)をコントローラ106に提供し、これはコントローラ106が(例えば、記憶、送信などを介して)利用可能である。タイマ104は、後端206が第1の液体センサ110によって検出された時間をコントローラ106に提供し、その時間をコントローラ106が(例えば、記憶、送信などを介して)利用可能とすることができる。液体試料セグメント200の後端206の検出は、液体試料セグメント200の端部がそのとき第1の液体センサ110を通過して流れており、第2の液体センサ112に接近しているという指標を提供する。
【0019】
図2Dに示す第4の時間(t)において、液体試料セグメント200は、液体試料セグメント200の後端206がギャップ204の横断に続いて第2の液体センサ112によって検出されるまで、流体移送ライン108を通って移送される。次いで、第2の液体センサ112は、検出を示す出力(例えば、センス信号)をコントローラ106に提供し、これはコントローラ106が(例えば、記憶、送信などを介して)利用可能である。タイマ104は、後端206が第2の液体センサ112によって検出された時間をコントローラ106に提供し、その時間をコントローラ106が(例えば、記憶、送信などを介して)利用可能とすることができる。次いで、コントローラ106またはシステム100の別の部分は、式(2)を介して液体試料セグメント200の第2の体積流量を決定することができる。


式中、固定体積は、ギャップ204の流体移送ライン108の体積であり、tは、第2の液体センサ112が液体試料セグメント200の後端206を検出したときにタイマ104によって提供される時間であり、tは、第1の液体センサ110が液体試料セグメント200の後端206を検出したときにタイマ104によって提供される時間である。
【0020】
液体試料セグメント200の平均体積流量は、式(3)によって計算することができる。


平均体積流量は、流体移送ライン108を通る液体試料セグメント200の実際の流体流れ条件を考慮し、システムを通って移送された異なる試料間の体積流量の差を検出することができる。実装形態では、液体試料セグメント200が流体移送ライン108を通って移動する追加の事例を測定して体積流量の追加の測定値を提供するために、追加の液体センサを含めることができる。
【0021】
液体試料セグメント200の体積は、式(4)によって計算することができる。

【0022】
本明細書に記載されるように、システム100は、走査ノズルを介してウエハの表面上に導入された液体の体積を決定し、走査ノズルを介してウエハの表面から除去された液体の体積を決定し、導入された液体の体積を除去された液体の体積と比較して、残留流体がウエハ上に残っているかどうか、ウエハ上で流体の実質的な蒸発が発生したかどうかなど、またはそれらの組み合わせを決定するために、半導体ウエハ処理システムと共に利用することができる。チャンバ302と、流体ハンドリングシステムおよびモータシステムを支持する走査アームアセンブリ304とを含む例示的なウエハ処理システム300が図3から図5に示されており、ウエハへの分解液の導入、ならびにウエハ308の1つ以上の表面への走査流体の導入およびそこからの走査流体の除去を通じて、半導体ウエハ308(本明細書では「ウエハ」と呼ばれることもある)の少なくとも分解および走査手順を容易にする。チャンバ302は、単一チャンバのフットプリントでウエハ分解およびウエハ走査の各々のための環境を提供し、ウエハ308を保持するためのウエハ支持体310と、分解および走査手順のために、またはシステム100の他の手順(例えば、すすぎなど)中にウエハ308を配置するために、チャンバ302に対するウエハ支持体310の垂直位置(例えば、チャンバ302内、チャンバ302の上方など)を制御するためのモータシステムとを含む。モータシステムは、さらに、システム300の様々な手順中にウエハ308を回転させるためのウエハ支持体310の回転制御を提供し、また、走査アームアセンブリ304のノズル404を走査手順中(例えば、図5に示す)にウエハ308上の位置に動かし、ノズル洗浄のためにすすぎステーション314の位置に動かすための走査アームアセンブリ304の回転および垂直制御を提供する。実装形態では、ウエハ支持体310は、ウエハ支持体310の移動中などに、ウエハ308をウエハ支持体310に対して固定して保持するための真空テーブルを含む。
【0023】
チャンバ302は、処理のためにウエハ308を受け入れる内部領域318を画定するチャンバ本体316を含む。図3に示す例示的な動作中、システム300は、自動アーム50が前端統合ポッド(FOUP)または他の位置からウエハ308を選択し、選択されたウエハ308をウエハ支持体310上に導入する(例えば、ウエハ支持体310上にセンタリングする)動作などによって、半導体ウエハ308または別の材料をウエハ支持体310上に受け取ることができる。モータシステムは、ウエハ308をウエハ支持体310上にセットするために自動アーム50によるウエハ支持体310へのアクセスを可能にするために、ウエハ支持体310をチャンバ本体316の上部に、上部の上方に、または上部に隣接して配置することができる。例えば、ウエハ支持体310は、ウエハ308のローディング中にチャンバ302の上部の開口部326に隣接して配置することができる。
【0024】
システム300は、外部領域332への分解液の曝露を制限しながらウエハの分解を容易にするために、内部領域318を外部領域332から隔離するための蓋330を含むことができる。例えば、蓋330は、開口部326の上に配置されたときに開口部326を覆うサイズおよび形状を有することができる。蓋330は、開位置(例えば、図3に示す)と閉位置(例えば、図4に示す)との間で配置可能であることができる。開位置は、ウエハローディング中、走査手順中、ウエハアンローディング手順中などに自動アーム50へのアクセスを提供するために利用することができる。実装形態では、ウエハ支持体310が開口部326に隣接する第1の位置にあるとき、蓋330は開位置にあり、走査アームアセンブリ304のノズルによるウエハ308へのアクセスを提供する。閉位置は、分解液が開口部326を通ってチャンバ302から出るのを防止するために、ウエハ分解手順中に利用することができる。実装形態では、蓋330の少なくとも一部がチャンバ本体316に接触して内部領域318を外部領域332から隔離する。ウエハ308は、モータシステムによるウエハ支持体310の垂直位置の第2の位置への制御およびモータシステムによる回転制御を通じて、内部領域318内を移動する。
【0025】
ウエハ308をウエハ支持体310に導入した後、システム300は、ウエハ308の1つ以上の表面または縁部の分解を容易にするために分解構成に移行することができる。実装形態では、チャンバ302は、ウエハ支持体310が第2の位置(例えば、図4に示す)にあるときにウエハ308の表面上に分解液を噴霧するために、チャンバ本体316内に配置されたネブライザまたは他の出口を含む。分解液は、ネブライザによってチャンバ302内に直接噴霧することができる。
【0026】
ウエハ308の分解に続いて、システム300は、走査構成に移行して、ウエハ308を別個の走査システムに移送することなく、走査アームアセンブリ304によるウエハ308の1つ以上の表面へのアクセスを可能にすることができる。走査構成に移行するために、モータシステムは、開口部326に隣接して、またはさもなければチャンバ本体316の上部のより近くにウエハ支持体310を配置して、走査アームアセンブリ304によるウエハ308の表面へのアクセスを可能にすることができる。走査アームアセンブリ304は、一般に、走査流体をウエハ308の表面に導入し、ウエハ308の表面から走査流体を回収するように構成されたノズル404を支持するノズルハウジング402に結合された回転式アーム支持体400を含む。例えば、走査流体は、これらに限定されないが、分解後にウエハ108の表面上に存在する不純物を溶解または他の方法で運ぶように構成された1つ以上の酸(例えば、フッ化水素酸、リン酸、硝酸など)を含むことができる。
【0027】
モータシステムは、回転式アーム支持体400の回転、回転式アーム支持体400の垂直配置、またはそれらの組み合わせを制御して、ノズルハウジング402およびノズル404をすすぎステーション314における1つ以上の位置から、ウエハ308に隣接するまたはウエハ308の上方の1つ以上の位置に配置することができる(例えば、図5に示す)。実装形態では、回転式アーム支持体400は、ノズル404を回転させるか、または他の方法で移動させて、ウエハ支持体310がチャンバ302の上部に配置されたときにノズル404をウエハ308に隣接して配置し、ウエハ支持体310がチャンバ302の内部に配置されたとき(例えば、分解中)にノズル404を蓋330の開位置から閉位置までの経路の外側に配置する。ノズル404がウエハ308に隣接した、またはウエハ308の上方の位置にある(例えば、図5に示す)場合、流体ハンドリングシステムは、ノズル404への、およびノズル404からの走査流体の導入を制御して、ウエハ308の表面の走査手順を容易にすることができる。
【0028】
その一例が図6に示されている実装形態では、システム100は、ノズル404と、ノズル404を介してウエハ308に導入された流体の体積を決定するために、ノズル404を介してウエハ308に流体(例えば、分解液、リンス液など)を供給するための流体源600との間に含まれる。代替的または追加的に、システム100は、ノズル404を介してウエハ308から除去された流体の体積を決定するために、ノズル404と試料分析システム602(例えば、ICP分析システムなど)との間に含まれ得る。実装形態では、システム100は、ノズル404を介してウエハ308に導入された流体の体積を、ノズル404を介してウエハ308から除去された流体の体積と比較して、ウエハ308上に残っている残留液体の量、ウエハ308上への分注とウエハ308からの回収との間に蒸発した液体の量など、またはそれらの組み合わせを決定する。
【0029】
分解またはすすぎ手順中の流体回収後に、流体がウエハ308上に残っているかどうか、またはどのくらいの流体がウエハ308上に残っているかを決定するためのシステム100の例示的な動作700が図7に示されている。動作700は、ブロック702において、流体を流体源からウエハ処理システムのノズルに移送することを含む。例えば、流体源600からの流体は、ポンプ、真空源などを介して流体源600からノズル404に移送することができる。流体は、例えば、ウエハ表面の分解(例えば、気相分解)後にウエハ108の表面上に存在する不純物を溶解または他の方法で運ぶように構成された走査流体を含むことができる。動作700はまた、ブロック704において、ノズルに移送される流体の体積を決定することを含む。例えば、第1の液体体積決定システム100は、流体源600とノズル404との間の流体移送ラインに隣接して配置された第1の流体センサ110および第2の流体センサ112を使用して、流体源600とノズル404との間の流体の流れ(例えば、図6に示す)を検出することができ、体積は本明細書に記載されるように計算することができる。
【0030】
動作700はまた、ブロック706において、流体源から受け取った流体をウエハ上に分注することを含む。例えば、システム100は、ポンプ、真空源などの作用によって、流体源600から受け取った流体をノズル404を介してウエハ308上に導入することができる。実装形態では、流体は、ウエハ308の回転中にノズル404を介してウエハ308上に導入されてウエハ308の表面を走査し、ノズル404は、流体を表面との制御された接触状態に維持して、走査動作中にウエハ108の表面上に存在する不純物を溶解または他の方法で運ぶ。実装形態では、第1の液体体積決定システム100によって検出される流体の体積がウエハ308に導入された流体の体積である流体源600から受け取った流体の体積のすべてまたは実質的にすべてがノズル404を介してウエハ308に導入される。動作700はまた、ブロック708において、ウエハから流体を回収することを含む。例えば、ウエハ308の表面上の流体は、ポンプ、真空源などの作用によってノズル404内に引き戻すことができる。実装形態では、ノズル404は、表面からの流体の移動を制御して流体の流れを破砕することを回避し、有意の流体がウエハ308の表面に保持されるのを防止する。しかしながら、ウエハ308上の条件(例えば、一貫性のない疎水性、温度勾配、表面欠陥など)が、流体の一部が表面上に残るか、表面から蒸発するか、表面からこぼれるか、さもなければノズル404の表面から引き出されないことをもたらす可能性がある。そのような場合、十分な量の流体がノズル404によって回収されたかどうかを決定することは、かなりの量の流体が表面に残っているか、さもなければ失われたかどうかについての指標を提供することができる。
【0031】
動作700はまた、ブロック710において、ノズルから回収された流体の体積を決定することを含む。例えば、第2の液体体積決定システム100は、ノズル404と試料分析システム602との間の流体移送ラインに隣接して配置された第1の流体センサ110および第2の流体センサ112を使用して、ノズル404と試料分析システム602との間の流体の流れ(例えば、図6に示す)を検出することができ、体積は本明細書に記載のように計算することができる。
【0032】
動作700は、ブロック712において、ノズルを介してウエハから回収された流体が閾値量内にあるかどうかを決定することをさらに含む。例えば、コントローラ106および/またはシステム100の他の部分は、ノズル404を介してウエハ308から回収された流体の体積(例えば、第2の液体体積決定システム100によって測定される)を、ノズル404を介してウエハ308に導入された流体の体積(例えば、第1の液体体積決定システム100によって測定される)と比較することができる。回収された体積が導入された体積と有意に異なる場合、システム100は、誤ったサンプリング動作が発生したと決定することができる。例えば、過剰な流体がウエハ308上に保持されている場合がある、過剰な流体がウエハ308から蒸発した場合がある、流体がウエハ表面からこぼれた可能性がある、などである。実装形態では、回収された体積が導入された体積の約70%未満である場合、体積の差を有意差とみなすことができる。例えば、体積の差は、回収された体積が導入された体積の約80%未満である場合に有意差とみなすことができ、体積の差は、回収された体積が導入された体積の約85%未満である場合に有意差とみなすことができ、体積の差は、回収された体積が導入された体積の約90%未満である場合に有意差とみなすことができ、体積の差は、回収された体積が導入された体積の約95%未満である場合に有意差とみなすことができ、体積の差は、回収された体積が導入された体積の約99%未満である場合に有意差とみなすことができる、などである。閾値量は、分注された体積と回収された体積との間の体積比較によって説明されているが、システム100はそのような閾値に限定されない。例えば、実装形態では、システム100は、特定の体積または最小体積に基づく代替的なまたは追加の閾値を含むことができる。例えば、システム100は、回収された体積が特定の体積から特定の範囲内(例えば、500μLの±5%以内)にあるか、または最小体積(例えば、少なくとも500μL)を満たすもしくは超えるかを決定することができる。本開示の範囲から逸脱することなく、異なる閾値、値、またはその両方を利用することができる。
【0033】
ブロック712においてノズルを介してウエハから回収された流体が閾値量内にある場合、動作700はブロック714に進み、そこで流体が分析システムに移送される。例えば、ウエハ308から回収されたノズル404からの流体が、ウエハ308に最初に導入された流体の体積の少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、99%などである場合、システム100は、ICP分光機器による流体の分析などによって、流体中に存在する1つ以上の化学種を定量的に決定するために、流体を試料分析システム602に移送することができる。実装形態では、ウエハ308から回収された流体は、回収量が閾値内であるとシステム100が決定するまで、移送ライン、保持ループなどに保持される。次いで、システム100は、存在する流体が十分な量であると決定すると、ポンプシステムを自動的に係合させるか、バルブを自動的に切り替えるか、またはそれらの組み合わせを行って流体を試料分析システム602に導くことができる。実装形態では、ノズルを介してウエハから回収された流体が閾値量内にある場合、システム100は、走査動作の成功に関連する出力信号を生成することなどによって、ノズル404がウエハ308から試料を首尾よく除去したという指標を提供することができる。
【0034】
ブロック712においてノズルを介してウエハから回収された流体が閾値量内にない場合、動作700はブロック716に進み、そこでシステムは警告を生成する。例えば、ウエハ308から回収されたノズル404からの流体が、ウエハ308に最初に導入された流体の体積の少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、99%などでない場合、システム100は、不十分な量の流体がウエハ308の表面から回収されたと決定し、十分な量の流体を回収することができなかったことを示す信号、通信、またはその両方を生成する。実装形態では、システム100は、不十分な量の流体の試料分析システム602への移送を進めるために、または流体を廃棄物に送るために、ユーザインターフェースを介してユーザ入力を受け取ることができる。代替的に、システム100は、試料分析システム602で試料を処理し、分析結果が不十分な量の流体、または流体回収の失敗などに関連するという指標を提供することができる。実装形態では、ウエハ308から回収された流体は、回収量が閾値外であるとシステム100が決定するまで、移送ライン、保持ループなどに保持される。次いで、システム100は、ポンプシステムを自動的に係合させるか、バルブを自動的に切り替えるか、またはそれらの組み合わせを行って、流体を廃棄するように指示するか、さもなければ不十分な流体量に関連する警告と共に試料分析システム602に指示することができる。
【0035】
実装形態では、流体センサシステム102を使用して、ギャップ204において流体移送ラインの第1の液体部分の後端と次の液体部分の前端との間の時間を監視することによって、流体移送ライン108の液体試料セグメント200に存在するエアギャップの進行を追跡することができる。次いで、システム100は、エアギャップの体積流量に基づいてエアギャップの体積を決定し、液体試料セグメント200の体積からエアギャップの体積を減算することができる。例えば、図8を参照すると、流体移送ライン108は、空気ギャップ812、814、816、818、および820が介在する個々の流体セグメント800、802、804、806、808、および810に分割された液体試料セグメント200と共に示されている。システム100は、個々の流体セグメントおよび介在するエアギャップの有無を検出するために第1の流体センサ110および第2の流体センサ112を利用し、個々の流体セグメントおよび介在するエアギャップの体積は、本明細書に記載のように計算することができる。システム100は、これらに限定されないが、存在/非存在、体積、流量などの検出のタイミング、およびこれらの組み合わせを含む、個々の流体セグメントおよび介在するエアギャップに関するデータを(例えば、コンピュータメモリ、リモートサーバなどにおいて)記憶することができる。
【0036】
次いで、システム100は、個々の流体セグメント800、802、804、806、808および810の体積を加算することによって液体試料セグメント200の体積を決定することができる。対応する体積を含めると試料分析システム602からの濃度計算が誤ったものになる可能性があるため、介在するエアギャップ812、814、816、818、および820の体積に関連するデータは除外することができる。例えば、エアギャップが含まれている場合、濃度計算は、試料の体積が実際よりも大きいと仮定する可能性がある。実装形態では、システムは、流体セグメント800の前端または前面および流体セグメント810の後端または後面の体積計算に基づいて、介在するエアギャップ812、814、816、818、および820の計算された体積を減算して、液体試料セグメント200の体積を決定することができる。
【0037】
電気機械デバイス(例えば、電気モータ、サーボ、アクチュエータなど)は、システム内に組み込まれた、またはシステムを外部から駆動する制御論理を介して自動化された動作を容易にするために、システム(例えば、システム100および/またはシステム300)の構成要素と結合される、またはシステムの構成要素内に組み込まれてもよい。電気機械デバイスは、本明細書に記載の手順などの様々な手順に従ってデバイスおよび流体の移動を引き起こすように構成することができる。システムは、非一時的なキャリア媒体(例えば、フラッシュドライブ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートディスクドライブ、SDカード、光ディスクなどの記憶媒体)からのコンピュータ可読プログラム命令(すなわち、制御論理)を実行するように構成されたプロセッサまたは他のコントローラを有するコンピューティングシステムを含むか、またはコンピューティングシステムによって制御されてもよい。コンピューティングシステムは、直接接続によって、または1つ以上のネットワーク接続(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線エリアネットワーク(WANまたはWLAN)、1つ以上のハブ接続(例えば、USBハブ)など)を介して、システムの様々な構成要素に接続することができる。例えば、コンピューティングシステムは、流体センサ、タイマ、チャンバ、モータシステム、本明細書に記載のバルブ、本明細書に記載のポンプ、本明細書に記載の他の構成要素、それらの制御を指示する構成要素、またはそれらの組み合わせに通信可能に結合することができる。プログラム命令は、プロセッサまたは他のコントローラによって実行されると、本明細書で説明するように、コンピューティングシステムに、1つ以上の動作モードに従ってシステム(例えば、制御ポンプ、選択バルブ、アクチュエータ、噴霧ノズル、配置デバイスなど)を制御させることができる。
【0038】
本開示を通して説明される様々な機能、制御動作、処理ブロック、またはステップは、ハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェアの任意の組み合わせによって実施され得ることを認識されたい。いくつかの実施形態では、様々なステップまたは機能が、電子回路、論理ゲート、マルチプレクサ、プログラマブル論理デバイス、特定用途向け集積回路(ASIC)、コントローラ/マイクロコントローラ、またはコンピューティングシステムのうちの1つ以上によって実施される。コンピューティングシステムは、これらに限定されないが、パーソナルコンピューティングシステム、モバイルコンピューティングデバイス、メインフレームコンピューティングシステム、ワークステーション、画像コンピュータ、並列プロセッサ、または当技術分野で公知の任意の他のデバイスを含むことができる。一般に、「コンピューティングシステム」という用語は、キャリア媒体からの命令を実行する1つ以上のプロセッサまたは他のコントローラを有する任意のデバイスを包含するように広く定義される。
【0039】
機能、制御動作、処理ブロック、またはステップを実装するプログラム命令、例えば、本明細書に記載の実施形態によって示されるものは、キャリア媒体を介して送信されてもよく、またはキャリア媒体に記憶されてもよい。キャリア媒体は、これらに限定されないが、ワイヤ、ケーブル、または無線伝送リンクなどの伝送媒体であってもよい。キャリア媒体はまた、これらに限定されないが、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気もしくは光ディスク、ソリッドステートもしくはフラッシュメモリデバイス、または磁気テープなどの非一時的信号保持媒体または記憶媒体を含むことができる。
【0040】
さらに、本発明は添付の特許請求の範囲によって定義されることを理解されたい。本発明の実施形態を例示してきたが、本開示の範囲および精神から逸脱することなく、当業者によって様々な修正がなされ得ることは明らかである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】