(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】双方向作動を伴う接合された波長可変VCSEL
(51)【国際特許分類】
H01S 5/183 20060101AFI20240903BHJP
H01S 5/14 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H01S5/183
H01S5/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508947
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 US2022039911
(87)【国際公開番号】W WO2023022910
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515174168
【氏名又は名称】エクセリタス テクノロジーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツ, ジェイムズ ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ホイットニー, ピーター エス.
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AC02
5F173AC14
5F173AC26
5F173AH07
5F173AH08
5F173AH13
5F173AH14
5F173AH22
5F173AR94
5F173MD35
5F173MF02
5F173MF28
(57)【要約】
MEMS波長可変VCSELは、ミラーを有する膜素子と、ミラーを変位させ、光学空洞のサイズを増加させるための遠位側静電空洞とを含む。VCSEL素子は、光を増幅させるための活性領域を含む。1つ以上の近位側静電空洞は、VCSEL素子と膜素子との間で画定され、ミラーを変位させ、光学空洞のサイズを減少させるために使用される。複数の近位側静電空洞の第1の近位側静電空洞は、膜素子の膜構造とVCSEL素子上の近位側静電空洞電極金属層との間で画定される。複数の近位側静電空洞の第2の近位側静電空洞は、膜素子のミラーとVCSEL素子との間で画定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学空洞を伴う、波長可変垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)であって、前記VCSELは、
光を増幅させるための活性領域を含む、VCSEL素子と、
ミラーを有する、膜素子と、
前記ミラーを変位させ、前記光学空洞のサイズを減少させるための、前記VCSEL素子と前記膜素子との間の複数の近位側静電空洞と
を備える、VCSEL。
【請求項2】
前記複数の近位側静電空洞の第1の近位側静電空洞は、前記膜素子の膜構造と前記VCSEL素子上の近位側静電空洞電極金属層との間で画定される、請求項1に記載のVCSEL。
【請求項3】
前記複数の近位側静電空洞の第2の近位側静電空洞は、前記膜素子の前記ミラーと前記VCSEL素子との間で画定される、請求項1に記載のVCSEL。
【請求項4】
前記ミラーを変位させ、光学空洞のサイズを増加させるための、遠位側静電空洞をさらに備える、請求項1に記載のVCSEL。
【請求項5】
電圧を前記膜素子に印加するための遠位側静電空洞ドライバをさらに備える、請求項4に記載のVCSEL。
【請求項6】
前記複数の近位側静電空洞のうちの少なくとも1つを横断して電圧を印加するための近位側静電空洞ドライバをさらに備える、請求項1に記載のVCSEL。
【請求項7】
前記複数の近位側静電空洞のそれぞれを横断して別個の電圧を印加するための複数の近位側静電空洞ドライバをさらに備える、請求項1に記載のVCSEL。
【請求項8】
前記VCSELは、前記VCSEL素子を前記ミラーのものと同一の電位において設置することによって、前記ミラーの帯電を回避するように構成される、請求項1に記載のVCSEL。
【請求項9】
前記VCSELは、前記複数の近位側静電空洞のうちの少なくとも1つにおける間隙が、絶縁スタンドオフの使用によって0まで進まないように防止されることを確実にすることによって、前記複数の近位側静電空洞の電気的過大応力に起因する損傷から保護される、請求項1に記載のVCSEL。
【請求項10】
前記絶縁スタンドオフは、高反射性誘電体コーティングである、請求項9に記載のVCSEL。
【請求項11】
光学空洞を伴う、垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)を同調させる方法であって、前記方法は、
活性領域を含む、VCSEL素子内の光を増幅させることと、
ミラーを変位させ、前記光学空洞のサイズを減少させるために、前記VCSEL素子と膜素子との間の複数の近位側静電空洞のうちの少なくとも1つを駆動させることと
を含む、方法。
【請求項12】
前記複数の近位側静電空洞の第1の近位側静電空洞は、前記膜素子の膜構造と前記VCSEL素子上の近位側静電空洞電極金属層との間で画定される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の近位側静電空洞の第2の近位側静電空洞は、前記膜素子の前記ミラーと前記VCSEL素子との間で画定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ミラーを変位させ、前記光学空洞のサイズを増加させるために、遠位側静電空洞を駆動させることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記遠位側静電空洞の前記駆動は、電圧を前記膜素子に印加する遠位側静電空洞ドライバによって実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
光学空洞を伴う、波長可変垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)であって、前記VCSELは、
光を増幅させるための活性領域を含む、VCSEL素子と、
前記光学空洞のサイズを減少させるための変位可能ミラーを有する、膜素子と、
前記変位可能ミラーの領域において、前記VCSEL素子と前記膜素子との間の電位を制御するための、前記VCSEL素子に対する電気接触と
を備える、VCSEL。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
光学コヒーレンス分析は、距離および厚さを測定し、サンプルの屈折率を計算するために、基準波と実験波との間、または実験波の2つの部分の間の干渉現象の使用に依拠する。光学コヒーレンス断層撮影(OCT)は、高分解能断面結像を実施するために使用される、技術の一実施例である。これは、多くの場合、リアルタイムに、例えば、微細なスケールの生体組織構造を結像することに適用される。光波が、物体またはサンプルから反射され、コンピュータが、反射に応じて、どのように光波が変化されるかに関する情報を使用することによって、サンプルの断面または3次元体積レンダリングの画像を生産する。
【0002】
OCTのいくつかの異なる分類が、存在するが、フーリエドメインOCTは、現在のところ、多くの用途に関して最適な性能を提供する。さらに、フーリエドメインアプローチのうち、掃引源OCTは、それが、平衡および偏光の多様性検出と互換性があるため、スペクトルエンコードOCT等の技法に優る明確に異なる利点を有する。これはまた、典型的には、スペクトルエンコードOCTに対して要求される、安価かつ高速な検出器アレイが、利用不可能である、波長領域における結像に関しても利点を有する。
【0003】
掃引源OCTでは、スペクトル成分は、空間分離によってエンコードされないが、それらは、時間内にエンコードされる。スペクトルは、連続光周波数サンプリング間隔においてフィルタリングされるか、または発生されるかのいずれかであり、フーリエ変換の前に再構築される。周波数走査掃引源を使用すると、光学構成は、あまり複雑ではない状態となるが、重要な性能特性、特に、その周波数掃引レートおよび同調正確度が、ここでは、源内に存在する。
【0004】
OCT掃引源の高速周波数同調または高掃引レートは、特に、生体内結像に関連し、高速結像が、運動誘発性アーチファクトを低減させ、患者の医療手当の長さを低減させる。これはまた、分解能を改良するためにも使用されることもできる。
【0005】
歴史的に見て、微小電気機械システム(MEMS)波長可変垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)が、電気通信用途において使用されてきた。それらの波長可変性は、単一のレーザが、ITU波長分割多重化グリッドの複数のチャネルを網羅することを有効にした。
【0006】
さらに最近では、これらのMEMS波長可変VCSELは、掃引源OCTシステム内の掃引源として提案されている。ここでは、それらは、いくつかの利点を有する。それらの偏向可能MEMS膜ミラーの低質量と組み合わせられる、それらの短い光学空洞長は、高い掃引速度を有効にする。さらに、それらは、単一の縦方向モード動作が可能であり、必ずしも、モードホッピングノイズの影響を被るとは限らない。これらの特性はまた、深部結像に関する長いコヒーレンス長にも寄与する。
【0007】
一実施例では、MEMS波長可変VCSELは、ヒ化ガリウム(GaAs)ベースの酸化ミラーを伴う、リン化インジウム(InP)ベースの量子井戸活性領域を伴う、VCSELチップまたは素子を使用する。静電作動型誘電体ミラーが、活性領域にわたって懸架され、誘電体ミラーのための静電空洞の一部を形成する、空隙によって分離される。本静電作動型ミラーは、VCSEL素子の上部にモノリシックに加工される。MEMS VCSELは、次いで、例えば、980ナノメートル(nm)のレーザによって光学的に励起される。
【0008】
しかしながら、VCSEL上にMEMS誘電体ミラーをモノリシックに形成することは、いくつかの不利点を生成する。最初に、MEMSミラーを形成するために要求されるいかなるプロセスも、VCSELの化学的性質と互換性がなければならない。さらに、複雑な加工シーケンスは、製造量に影響を与える。
【0009】
MEMS波長可変VCSELの別の分類は、MEMSミラー素子をVCSEL素子に接合することに依拠する。これは、レーザの光学共鳴空洞の外側にある、別個の静電空洞を可能にする。さらに、本空洞構成の使用は、MEMSミラーが、ミラーを活性領域およびVCSEL素子の表面から離れるように引動されることによって同調されることを可能にする。これは、スナップダウンのリスクを低減させる。さらに、MEMSミラー素子が、ここで、VCSEL素子に接合されるため、はるかに幅広のラチチュードが、MEMSミラー素子を加工するために使用される技術において利用可能である。例えば、Dale C. Flanders、Mark E. Kuznetsov、Walid A. Atia、およびBartley C. Johnsonの米国特許第10,109,979 B2号(特許文献1)を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第10,109,979号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(要約)
本開示は、MEMS波長可変VCSELに関する。ある場合には、ミラーは、VCSEL素子の方向に引動される、または随意に、その素子から離れるように引動されることができる。さらに、いくつかの実施形態および/または動作モードでは、ミラーは、動的方式において、いずれかの方向に引動されることができる。他の場合では、これは、初期位置まで引動され、次いで、その方向にさらに引動される、または他の方向に引動され得る。
【0012】
さらに、ある場合には、複数の近位側静電空洞が、提供される。これらは、素子のミラーの静電帯電を回避するために使用されることができる。加えて、または代替として、2つの空洞は、素子の同調性能を改良するために駆動されることができる。
【0013】
一般に、一側面によると、光学空洞を伴う、波長可変垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)は、光を増幅させるための活性領域を含む、VCSEL素子と、ミラーを有する、膜素子と、ミラーを変位させ、光学空洞のサイズを減少させるための、VCSEL素子と膜素子との間の複数の近位側静電空洞とを備える。
【0014】
実施形態では、第1の近位側静電空洞が、膜素子の膜構造とVCSEL素子上の近位側静電空洞電極金属層との間で画定される。次いで、第2の近位側静電空洞が、膜素子のミラーとVCSEL素子との間で画定され得る。
【0015】
ある場合には、遠位側静電空洞がまた、ミラーを変位させ、光学空洞のサイズを増加させるために使用される。遠位側静電空洞ドライバが、電圧を膜素子に印加するために有用である。
【0016】
好ましくは、第1の近位側静電空洞ドライバが、2つの近位側静電空洞のうちの少なくとも1つを横断して電圧を印加するために使用される。第2のドライバがまた、採用されることもできる。
【0017】
他の場合では、ミラー帯電は、VCSEL素子をミラーと同一の電位において設置することによって回避される。
【0018】
一般に、別の側面によると、垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)を同調させる方法が、説明される。本方法は、活性領域を含む、VCSEL素子内の光を増幅させることと、ミラーを変位させ、光学空洞のサイズを減少させるために、VCSEL素子と膜素子との間の複数の近位側静電空洞のうちの少なくとも1つを駆動させることとを含む。
【0019】
部品の構築および組み合わせの種々の新規詳細と、他の利点とを含む、上記および他の特徴が、ここで、添付の図面を参照してより具体的に説明され、請求項において指摘されるであろう。特定の方法および素子が、本発明の限定としてではなく、例証として示されることが理解されるであろう。本明細書に説明される原理および特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、種々および多数の実施形態において採用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
付随の図面では、参照記号は、異なる図の全体を通して同一の部分を指す。図面は、必ずしも、縮尺通りではなく、代わりに、本開示の原理を例証することに重点が置かれている。
【0021】
【
図1】
図1は、いくつかの実施形態による、MEMS波長可変VCSELの分解斜視図である。
【0022】
【
図2】
図2は、透視状態で示されるVCSEL素子を伴う、MEMS波長可変VCSELを示す、上部平面図である。
【0023】
【
図3】
図3は、透視状態で示されるMEMSミラー素子の光学ポートを伴う、MEMS波長可変VCSELを示す、側方平面図である。
【0024】
【
図4】
図4は、MEMS波長可変VCSELを示す、上部平面図である。
【0025】
【
図5】
図5は、
図4の線A-Aに沿って得られた断面図である。
【0026】
【
図6】
図6は、
図4の線B-Bに沿って得られた詳細断面図である。
【0027】
【
図7】
図7は、VCSEL素子を示す、平面図である。
【0028】
【
図8】
図8は、線A-Aに沿って得られた断面図であり、VCSELの別の実施形態を概略的に示す。
【0029】
【
図9】
図9は、線A-Aに沿って得られた断面図であり、VCSELのさらなる別の実施形態を概略的に示す。
【0030】
【
図10】
図10は、線A-Aに沿って得られた断面図であり、VCSELのさらなる別の実施形態を概略的に示す。
【0031】
【
図11】
図11は、利得埋込型DBR VCSELを含む、光学的に励起された波長可変VCSEL掃引源モジュールの上部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(詳細な説明)
実施形態が、ここで、以降、その中に例証的実施形態が示される、付随の図面を参照してより完全に説明されるであろう。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態において具現化され得、本明細書に述べられる実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0033】
本明細書で使用されるように、用語「and/or(および/または)」は、関連付けられる列挙される物品のうちの1つ以上のあらゆる組み合わせを含む。さらに、単数形および冠詞「a」、「an」、および「the」は、明示的に別様に記載されない限り、同様に、複数の形態を含むことを意図する。さらに、用語「includes(~を含む)」、「comprises(~備える)」、「including(~を含む)」、および/または「comprising(~を備える)」が、本明細書において使用されるとき、記載される特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を規定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を除外するものではないことを理解されたい。さらに、構成要素またはサブシステムを含め、要素が、別の要素に接続または結合されているものとして言及および/または示されるとき、これが、他の要素に直接接続または結合され得ること、または介在要素が、存在し得ることを理解されたい。
【0034】
別様に定義されない限り、本明細書において使用される(技術的用語および科学的用語を含む)全ての用語は、本発明が属する分野における当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。一般的に使用される辞書において定義されるもの等の用語が、関連分野の文脈においてそれらの意味に一貫する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書に明示的にそのように定義されない限り、理想化された、または過度に形式的な意味で解釈されることはないであろうことをさらに理解されたい。
【0035】
図1は、VCSELチップまたは素子112に接合される、MEMS膜(ミラー)素子110を備える、MEMS波長可変VCSEL100を示す。
【0036】
図示される設計では、MEMSミラー素子110をVCSEL素子112から分離する、別個のスペーサ素子が、存在しない。一般的な目標は、波長可変VCSEL100の光学空洞を可能な限り小さくすることである。したがって、光学空洞の自由空間部分のサイズを制御するためには、種々の材料層が、間隙を制御するために、MEMSミラー素子110および/またはVCSEL素子112上に堆積される。本間隙は、VCSEL素子の表面とMEMSミラー素子の表面との間に延在する自由空間部分を画定する。加えて、いくつかの実施形態によると、少なくとも1つの近位側静電空洞もまた、MEMSミラー素子110とVCSEL素子112との間に延在する。
【0037】
MEMSミラー素子110は、支持体として機能する、取っ手ウエハ材料210を備える。取っ手ウエハは、電気接触を促進するために、抵抗率<0.1オーム-cm、キャリア濃度>1×17cm-3を伴う、ドープ化されたシリコンから作製されてもよい。しかしながら、取っ手ウエハは、ドープされたシリコンから作製されることに、または特定の抵抗率またはキャリア濃度を有することに限定されない。
【0038】
光学膜または素子層212が、取っ手ウエハ材料210に追加されてもよい。膜構造214が、光学膜層212内に形成されてもよい。膜層212は、透過光の自由キャリア吸収を最小限にするために、抵抗率>1オーム-cm、キャリア濃度<5×1015cm-3を伴う、低ドープ化されたシリコンであってもよい。しかしながら、膜層は、材料としてのシリコンに、または特定の抵抗率またはキャリア濃度を有することに限定されない。電気接触のために、膜層表面が、加えて、イオン埋込を用いてドープ化され、高度にドープ化された表層を生成し得る。本方法は、層全体が高度にドープ化された場合に生じるであろう、膜層自体の中の光学吸収を最小限にする。
【0039】
絶縁層216は、光学膜層212を取っ手ウエハ材料210から分離する。絶縁層216は、埋設二酸化ケイ素または別の材料であってもよい。
【0040】
絶縁器上のシリコン(SOI)ウエハが、取っ手ウエハ材料210、絶縁層216、および素子層212の組み合わせを提供するために使用されてもよい。
【0041】
製造の間、絶縁層216は、取っ手ウエハ材料210から膜構造214を解放するために部分的に除去される、犠牲/剥離層として機能し得る。次いで、動作の間、絶縁層216の残りの部分が、パターン化された素子層212と取っ手ウエハ材料210との間に電気絶縁を提供する。
【0042】
いくつかの実施形態では、膜構造214は、本体部分218を備える。VCSEL100の光軸は、本本体部分218を通して同心円状に通過し、膜層212によって画定される、平面に対して直交する。本本体部分218の直径は、好ましくは、300~600マイクロメートルであり、ある場合には、これは、約500マイクロメートルであってもよい。
【0043】
繋留体220(図示される実施例では、4つの繋留体)が、素子層212の中に加工された弧状のスロット225によって画定される。繋留体220は、本体部分218から、繋留体220が終端するリングを備える、外側部分222まで半径方向に延在する。本実施形態では、渦巻状の繋留体パターンが、使用される。
【0044】
膜ミラードット250が、膜構造214の本体部分218上に配置される。いくつかの実施形態では、膜ミラー250は、光学的に湾曲し、光学的に凹面形光学要素を形成し、それによって、湾曲したミラーレーザ空洞を形成する。他の場合では、膜ミラー250は、平坦ミラーまたは凸面形である。
【0045】
湾曲した膜ミラー250が、所望されるとき、本湾曲は、本体部分218内にくぼみを形成し、次いで、そのくぼみにわたってミラー250を形成する、材料層または複数の層を堆積させることによって、生成されることができる。他の実施例では、膜ミラー250は、大量の圧縮性または引張材料応力を伴って堆積されることができる、または背面側ARコーティング119は、その湾曲を結果としてもたらすであろう、大量の圧縮性または引張材料を伴って堆積されることができる。
【0046】
膜ミラードット250は、好ましくは、反射誘電体ミラースタックである。いくつかの実施例では、これは、レーザ100内に発生されたレーザ光の波長に、1~10%等の定義された反射率を提供する、ダイクロイックミラーフィルタである一方、光学ドット250は、VCSEL素子112内の活性領域を光学的に励起するために使用される、光の波長に対して透過性である。さらなる他の実施例では、膜ミラードット250は、アルミニウムまたは金等の反射性金属層である。
【0047】
図示される実施形態では、3つの金属接合パッド234T、234R、234Lが、膜素子110の近位側に堆積される。これらは、例えば、VCSEL素子112を膜素子110の近位面の上にはんだ付けまたは熱圧着接合するために使用される。上部パッド234Tはまた、VCSEL素子112への電気接続を提供する。
【0048】
また、提供されるものは、3つのワイヤ接合パッド334A、334B、および334Cである。左側VCSEL電極ワイヤ接合パッド334Aは、金属パッド234Tへの電気接続を提供するために使用される。他方、右側膜ワイヤ接合パッド334Bは、膜層212、したがって、膜構造214への電気接続を提供するために使用される。最終的に、取っ手ワイヤ接合パッド334Cは、取っ手ウエハ材料210への電気接続を提供するために使用される。
【0049】
VCSEL素子112は、概して、随意である、反射防止コーティング114と、好ましくは、単一または複数の量子井戸構造を有する、活性領域118とを備える。キャップ層は、反射防止コーティング114と、存在する場合、活性領域118との間で使用されることができる。キャップ層は、ARコーティングおよび/または空気に対する界面における表面/界面効果から活性領域を保護する。レーザ空洞の背面ミラー116は、分散ブラッグ反射器(DBR)ミラーによって画定される。最終的に、GaAS等のVCSELスペーサ115が、基板および機械的支持体として機能する。
【0050】
VCSEL素子112の活性領域118の材料系は、所望のスペクトル動作範囲に基づいて選択される。一般的材料系は、GaN、GaAs、InP、GaSb、InAs等の二元材料、ならびにInGaN、InAlGaN、InGaP、AlGaAs、InGaAs、GaInNAs、GaInNAsSb、AlInGaAs、InGaAsP、AlGaAsSb、AlGaInAsSb、AlAsSb、InGaSb、InAsSb、およびInGaAsSb等の三元、四元、および五元合金を含む、III-V族半導体材料に基づく。集合的に、これらの材料系は、複数マイクロメートル波長まで延在する、より長い波長範囲を含む、約400ナノメートル(nm)~2,000nmの動作波長を支援する。半導体量子井戸および量子ドット利得領域は、典型的には、特に、幅広の利得およびスペクトル放射帯域幅を取得するために使用される。
【0051】
好ましい実施形態では、MEMS波長可変VCSEL100によって発生される光の偏光は、好ましくは、制御される、または少なくとも安定化される。一般に、本分類の素子は、線形偏光された光を発光する、円筒形共振器を有する。典型的には、光は、それらの方向のうちの一方が、典型的には、他方よりも強い、結晶の方向に沿って偏光される。同時に、偏光の方向は、レーザ電流または励起レベルとともに変化し得、その挙動は、多くの場合、ヒステリシスを呈する。
【0052】
異なるアプローチが、偏光を制御するためにとられ得る。一実施形態では、偏光選択的ミラーが、使用される。別の実施例では、非円筒形共振器が、使用される。なおもさらなる実施形態では、非対称電流注入が、電気励起が採用されるときに使用される。さらなる他の実施例では、活性領域基板は、非対称応力、歪み、熱流束、または光エネルギー分散を結果としてもたらす、溝または材料層を含み、規定の安定的な偏光軸に沿って偏光を安定化させるために使用される。なおもさらなる実施例では、非対称機械的応力が、2019年5月10日に出願された、Bartley C. Johnson, et al.の米国特許出願第16/409,295号(現在、米国特許第10,951,009号であり、これは、参照することによって本明細書に組み込まれる、以降、Johnson)による「Tunable VCSEL polarization control through dissimilar die bonding」において説明されるように、VCSEL素子112に印加される。
【0053】
レーザ空洞の他端を画定するものは、VCSEL素子112内に形成される、後部ミラー116である。一実施例では、これは、1~10%等、空洞の中に戻るように反射されることになる光の一部を提供する、屈折率の不連続点を生成する、活性領域116に隣接する層である。他の実施例では、後部ミラー116は、レーザ空洞の中に戻るように、光の90%を超えて反射する、高反射層である。
【0054】
さらなる他の実施例では、後部VCSEL分散ブラッグ反射器(DBR)ミラー116は、VCSEL100内で発生されるレーザ光の波長に対して、1~100%等の定義済みの反射率を提供する、ダイクロイックミラーフィルタであるのに対し、後部ミラー116は、VCSEL素子112内の活性領域を光学的に励起するために使用される、光の波長に対して透過性であり、したがって、VCSEL素子112が、励起光の入力ポートとして機能することを可能にする。
【0055】
図2は、透視状態で示されるVCSEL素子112を伴う、MEMS波長可変VCSEL100を示す、正面図である。
【0056】
とりわけ、本図は、それが、光学膜素子110の接合パッド234T、234R、234Lに接合されることを有効にするように、VCSEL素子112の近位側に弧を描くように配列される、VCSEL素子接合パッド120A-120Eの配列を示す。
【0057】
図3は、側方断面図において、MEMS波長可変VCSEL100を示す。
【0058】
光学ポート240が、提供され、これは、ミラー250が出力反射器として、または監視を提供するために使用される場合では、取っ手ウエハ材料210の遠位側から膜構造まで延在する。反射器250が、背面反射器として使用される場合、ポート240は、ある場合には、必要ではない。
【0059】
さらに、本光学ポート240が、要求されるかどうかはまた、それにわたってMEMS波長可変VCSEL100が動作する光波長における取っ手ウエハ材料210の透過性にも依存する。典型的には、ポートを伴わない場合、光軸に沿った取っ手ウエハ材料210は、背面側を通した透過が、実施される場合、反射防止(AR)コーティングされる。
【0060】
図4は、MEMS波長可変VCSEL100を示す、正面図であり、断面線A-AおよびB-Bを示す。
【0061】
図5は、近位側静電空洞および遠位側静電空洞224を示すために、A-Aに沿った断面図において、MEMS波長可変VCSEL100を図式的に示す。
【0062】
光学ポート240は、ポート開口部246内で終了する、略内方向に傾斜する側壁244を有する。結果として、取っ手ウエハ210の遠位側を通して見ると、膜構造214の本体部分218が、観察される。ポートは、好ましくは、膜ミラードット250と同心円を成す。さらに、本体部分218の背面側は、いくつかの実施例では、膜背面側ARコーティング119でコーティングされる。本ARコーティング119は、レーザ空洞の中への励起光の結合および/または空洞から外へのレーザ光の結合を促進するために使用される。さらなる他の実施例では、これは、反射性であり、光を励起し、励起光をレーザ空洞の中に戻るように返す。
【0063】
絶縁層216の厚さは、遠位側静電空洞224の静電空洞長を画定する。ある場合には、絶縁層216は、1.5~6.0μm厚である。静電素子が、静電空洞の3分の1以下の距離にわたって同調され得ることは、一般的な経験則である。結果として、本体部分218、したがって、ミラー光学コーティング230は、一実施形態では、遠位方向において(すなわち、VCSEL素子112から離れるように)1~3μm偏向されることができる。
【0064】
また、VCSEL素子112が、膜素子110に接合され得る方法に関する詳細もまた、示される。MEMS素子接合パッド234T、234R、234Lは、VCSEL近位側静電空洞電極金属122に接合する。これらの金属層は、電気的に絶縁される。具体的には、MEMS素子接合パッド234は、MEMS素子接合パッド絶縁酸化物層236によって、膜層212から分離され、VCSEL近位側静電空洞電極金属122は、VCSEL絶縁酸化物層128によって、VCSEL素子の残りの部分から絶縁される。VCSEL近位側静電空洞電極金属122またはVCSEL絶縁酸化物層128のいずれも、それらが、レーザの光学空洞の自由空間部分252の領域の中に延在しないため、光学動作と干渉しない。
【0065】
遠位側静電空洞224および近位側静電空洞226は、膜構造214の両側に位置する。具体的には、遠位側静電空洞224は、取っ手ウエハ材料210と膜構造214との間に生成され、これは、膜層212の懸架された部分である。取っ手ウエハ材料210と膜層212との間の電圧電位が、層間に静電引力を発生させ、膜構造214を取っ手ウエハ材料210に向かって引動させるであろう。他方、1つ以上の近位側静電空洞226が、概して、膜構造214とVCSEL近位側静電空洞電極金属122とVCSEL素子112との間に生成される。膜層212とVCSEL近位側静電空洞電極金属122とVCSEL素子112との間の可能性として異なる電圧電位が、層間に静電引力を発生させ、膜構造214をVCSEL素子112に向かって引動させるであろう。
【0066】
一般に、素子の光軸に沿って測定される近位側静電空洞226の少なくとも1つのサイズは、結合金属の厚さ、VCSEL絶縁酸化物層128およびMEMS素子接合パッド絶縁酸化物236の厚さに沿った、VCSEL近位側静電空洞電極金属122とMEMS素子接合パッド234の厚さによって画定される。
【0067】
最小酸化物厚は、要求される電圧絶縁によって判定される。酸化物の分解は、公称上、1,000V/ミクロンである。したがって、2,000Aであるであろう、200Vの絶縁に関して、これは、好ましくは、余白のために2倍にされる。したがって、VCSEL絶縁酸化物層128およびMEMS素子接合パッド絶縁酸化物236の層の厚さは、4,000Aよりも厚い。
【0068】
現在の金属接合厚は、6,000A(各層)であり、接合の間、約3,000Aの圧縮を伴う。これに基づいて、近位側静電空洞226の最小サイズは、0.85ミクロンである。
【0069】
本最小静電間隙点において、膜ミラードット250が、1.7ミクロン厚であるとき、ゼロ光学間隙が、結果として生じる。
【0070】
光学間隙を増加させるために、VCSEL絶縁酸化物層128の厚さは、空洞の動作に影響を及ぼすことなく増加されることができる。
【0071】
一実施形態では、VCSEL反射防止コーティング114、VCSEL近位側静電空洞電極金属122、MEMS素子接合パッド234、およびMEMS素子接合パッド絶縁酸化物236の層厚は、HRコーティング(250)に関して、したがって、偏向可能膜構造(214)が、VCSEL素子(112)に向かって引動されるような電気的過大応力の条件下で、膜ミラードット250の表面は、膜構造214が、VCSEL近位側電極金属122と接触した状態になり得る前に、VCSEL素子112の表面に触れるであろう。高伝導性VCSEL電極金属に対する膜の接触は、素子に対して永続的な電気的損傷を引き起こし得るのに対し、膜ミラードット250は、絶縁体である。本特徴は、そのような電気的過大応力からの損傷に対して、素子を保護する。
【0072】
他方、絶縁酸化物層128は、必要とされない。実際、VCSEL素子が、絶縁されない場合、活性面積もまた、金属電極と同一に帯電される。HRコーティング250スタックが、誘電体であるため、膜からVCSELまでの空隙と同面積であるものは、あまりない。これは、膜およびHRスタックが、中に引動されるにつれて、静電力における有意なキックを与えると考えられる。
【0073】
図6は、B-Bに沿った断面図であり、取っ手ワイヤ接合パッド334Cの領域における膜素子110の一部を示す。
【0074】
取っ手ワイヤ接合パッド334Cは、膜層112を通した孔345および埋設酸化物絶縁層216を通した別の孔342を形成することによって加工される。これは、取っ手ウエハ材料210を露出させ、その上に取っ手ワイヤ接合パッド334Cが、堆積される。
【0075】
図7は、VCSEL素子112の近位側の金属パターンを示す。
【0076】
しかしながら、いくつかの実施例では、4つのパッドのみが、使用される。上部パッド120Cは、Johnsonにおいて説明されるように、偏光制御のための優先的な応力方向を提供するために排除される。
【0077】
VCSEL近位側静電空洞電極金属122は、VCSEL素子112の近位側の中心部分を被覆するが、ちょうど中心に関しては、VCSEL反射防止コーティング114が、露出されたままである。
【0078】
VCSEL近位側静電空洞電極金属122は、個別のVCSEL接合パッド-電極ブリッジ124B-124Dによって、VCSEL素子接合パッド120B-120Dに電気的に接続される。
【0079】
組み立てられるとき、VCSEL近位側静電空洞電極金属122は、VCSEL素子接合パッド120B、120C、120DとMEMS素子接合パッド234L、234T、234Rとの間の金属接合によって、VCSEL電極ワイヤ接合パッド334Aに電気的に接続される(
図2も参照)。MEMS素子接合パッド234は、ひいては、VCSELブリッジ金属340によって、VCSEL電極ワイヤ接合パッド334Aに電気的に接続される。
【0080】
したがって、
図2を参照すると、遠位側静電空洞ドライバ424は、取っ手ワイヤ接合パッド334Cを介した取っ手ウエハ材料210と膜ワイヤ接合パッド334Bを介した膜層212との間に電圧を印加する。近位側静電空洞ドライバ426は、膜ワイヤ接合パッド334Bを介した膜層212と左側VCSEL電極ワイヤ接合パッド334Aを介したVCSEL 112、すなわち、具体的には、VCSEL近位側静電空洞電極金属122との間に電圧を印加する。このように、コントローラ400は、膜層212の膜構造214をVCSEL素子112に向かって平行移動させるために、近位側静電空洞ドライバ426を制御することによって、近位側静電空洞226を制御し、コントローラ400は、膜層212の膜構造214を取っ手材料210に向かって平行移動させるために、遠位側静電ドライバ424を制御することによって、遠位側静電空洞224を制御する。
【0081】
図8は、A-Aに沿った断面におけるMEMS波長可変VCSEL100の別の実施形態を示し、これは、中心光軸に対して、外側の近位側静電空洞226Aと、内側の近位側静電空洞226Bとを有する。本実施形態では、金属接触130が、VCSELスペーサ115の背面側に追加される。
【0082】
外側の近位側静電空洞ドライバ426Aは、先に説明されるように接続され、膜ワイヤ接合パッド334Bを介した膜層212と左側VCSEL電極ワイヤ接合パッド334Aを介したVCSEL近位側静電空洞電極金属122との間に電圧を印加する。このように、コントローラ400は、電位または電圧を確立し、膜層212の膜構造214をVCSEL素子112に向かって静電的に平行移動させるために、外側の近位側静電空洞ドライバ426Aを制御することによって、外側の近位側静電空洞226Aを制御する。
【0083】
しかしながら、コントローラ400はまた、静電力を発生させ、膜層212の膜構造214をVCSEL素子112に向かってさらに平行移動させるために、内側の近位側静電ドライバ426Bを制御することによって、内側の近位側静電空洞226Bも制御する。具体的には、内側の近位側静電空洞ドライバ426Bは、コントローラ400の制御の下、VCSEL素子112と膜層212との間に電位または電圧を印加するために、膜ワイヤ接合パッド334Bおよび金属VCSELスペーサ接触130の両方に接続される。これは、事実上、近位側の静電空洞の面積を増加させることによって、引込力を増加させる。加えて、内側の近位側静電空洞内の間隙は、多くの場合、光軸の方向において、絶対的にはより小さく、製造変動性の観点において、より高い寸法精度を有する傾向がある。さらに、膜ミラー250の存在は、電場強度を増加させ、ミラーの電気誘電率は、事実上、間隙を低減させる。
【0084】
動作の一モードでは、ドライバのうちの1つ、すなわち、外側の近位側静電空洞ドライバ426Aまたは内側の近位側静電ドライバ426Bは、膜構造をVCSEL100の所望の開始発光波長と関連付けられる初期位置まで引動するために使用され、次いで、2つのドライバ426A、426Bのうちの他方は、所望のスペクトル走査帯域を通して発光波長を掃引するために、コントローラによって使用される。
【0085】
図9は、外側の近位側静電空洞226Aと、内側の近位側静電空洞226Bとを有する、A-Aに沿った断面におけるMEMS波長可変VCSEL100の別の実施形態を示す。本実施形態では、金属接触130は、再び、VCSELスペーサ115の背面側に追加される。
【0086】
外側の近位側静電空洞ドライバ426Aは、膜ワイヤ接合パッド334Bを介した膜層212と左側VCSEL電極ワイヤ接合パッド334Aを介したVCSEL近位側静電空洞電極金属122との間に電圧を印加するために接続される。このように、コントローラ400は、膜層212の膜構造214をVCSEL素子112に向かって平行移動させるために、外側の近位側静電空洞ドライバ426Aを制御することによって、外側の近位側静電空洞226Aを制御する。
【0087】
しかしながら、コントローラ400はまた、膜層212の膜構造214をVCSEL素子112に向かってさらに平行移動させるために、内側の近位側静電ドライバ426Bを制御することによって、内側の近位側静電空洞226Bも制御する。本実施例では、内側の近位側静電空洞ドライバ426Bは、VCSEL素子112と膜層212との間で別個に制御される電圧を印加するために、左側VCSEL電極ワイヤ接合パッド334Aを介したVCSEL近位側静電空洞電極金属122および金属VCSELスペーサ接触130の両方に接続され、再び、事実上、近位側の静電空洞の面積を増加させることによって、引込力を増加させる。
【0088】
本実施形態では、遠位側静電空洞ドライバ424はまた、取っ手ワイヤ接合パッド334Cを介した取っ手ウエハ材料210と膜ワイヤ接合パッド334Bを介した膜層212との間に電圧を印加し、加えて、膜構造214を取っ手ウエハ210に向かって引動するために使用されることもできる。
【0089】
図10は、ミラー250の誘電体層の帯電を回避するように構成される、A-Aに沿った断面におけるMEMS波長可変VCSEL100の別の実施形態を示す。
【0090】
ここで、近位側静電空洞ドライバ426は、左側VCSEL電極ワイヤ接合パッド334Aを介したVCSEL近位側静電空洞電極金属122とVCSELスペーサ115および膜ワイヤ接合パッド334Bの両方の金属接触130との間に電圧を印加する。このように、VCSEL112および膜層212は、動作の間、同一の電位にあり、内側の近位側静電空洞226Bは、基本的には、駆動モダリティとして非アクティブ化される。したがって、外側の近位側静電空洞226Aのみが、膜構造214をVCSELに向かって偏向させるために使用される。遠位側静電空洞ドライバ424は、取っ手ワイヤ接合パッド334Cを介した取っ手ウエハ材料210と膜ワイヤ接合パッド334Bを介した膜層212との間に電圧を印加し、加えて、コントローラ400の動作の下、膜構造214を取っ手ウエハ210に向かって引動するために使用される。
【0091】
図11はまた、VCSEL100を採用する、光学的に励起された波長可変VCSEL掃引源システム101の実施例を示し、このシステムは、単一のモジュールの中に統合されている。
【0092】
励起チップ760からの光が、励起光ファイバ742を介してベンチ740に結合される。光ファイバ742からの励起光712が、ベンチ740に添着される、第1のレンズLensAによってコリメートされる。励起光712は、次いで、ダイクロイックミラー732を通して透過され、次いで、第2のレンズLensBによって、VCSEL100の半VCSEL112の上に集束される。
【0093】
好ましくは、ベンチ740は、ひいては、密封パッケージ744内に配設され、光ファイバが、パッケージ744のファイバフィードスルー746、748を通して通過する。
【0094】
ダイクロイックミラー732は、VCSEL100によって発光される、VCSEL光734のより長い波長に対して反射性であるが、図示される実施例では、励起光712、724に対して透過性である。具体的には、図示される実施例では、VCSEL100からの波長可変信号が、ベンチ740に添着される、ダイクロイックミラー732によって反射され、また、ベンチ740に添着される、折曲ミラー750に、次いで、ベンチ740に添着される、第3のレンズ752に指向される。第3のレンズ752は、光を出力光ファイバ754の入射開口の中に集束させる。
【0095】
本具体的設計のさらなる詳細が、米国特許出願公開第US 2019/0348813 A1号(本参照によってその全体として本明細書に組み込まれる)に見出されることができる。
【0096】
動作の間、コントローラ400は、励起760を付勢し、VCSEL素子112の活性領域118を光学的に励起させる。同時に、コントローラ400は、近位側静電空洞226を制御し、コントローラ400は、遠位側静電ドライバ424を制御することによって、遠位側静電空洞224を制御する。
【0097】
本発明は、特に、その好ましい実施形態を参照して示され、説明されているが、形態および詳細の種々の変更が、添付の請求項によって包含される発明の範囲から逸脱することなく、その中で行われ得ることが、当業者によって理解されるであろう。
【国際調査報告】