(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】超音波トランスデューサとスクラビングホーンの動作を使用して部品を密封するシステムと方法
(51)【国際特許分類】
B29C 65/08 20060101AFI20240903BHJP
B23K 20/10 20060101ALI20240903BHJP
B65B 7/16 20060101ALI20240903BHJP
B65B 51/22 20060101ALI20240903BHJP
B65B 7/02 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B29C65/08
B23K20/10
B65B7/16 C
B65B51/22 100
B65B7/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508960
(86)(22)【出願日】2022-08-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 US2022040348
(87)【国際公開番号】W WO2023022988
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519092897
【氏名又は名称】デューケイン アイエーエス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリンステイン レオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァスコ ペトル
(72)【発明者】
【氏名】アルダズ ロバート エドワード
(72)【発明者】
【氏名】リ ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ジャーマイン アンドリュー
【テーマコード(参考)】
3E049
3E094
4E167
4F211
【Fターム(参考)】
3E049AA04
3E049AA06
3E049BA01
3E049BA03
3E049BA04
3E049CA08
3E049DB04
3E049EB02
3E049EC01
3E049EC10
3E049FA06
3E094AA03
3E094AA13
3E094BA01
3E094BA06
3E094BA12
3E094CA22
3E094DA01
3E094DA08
3E094EA01
3E094EA04
3E094FA11
3E094FA14
3E094GA01
3E094GA02
3E094GA30
4E167AA06
4E167AA22
4E167AA29
4E167BE02
4E167BE03
4E167BE04
4E167BE05
4E167BE06
4E167BE09
4E167DA00
4E167DB06
4E167DC02
4F211AA04
4F211AA24
4F211AD03
4F211AD16
4F211AG01
4F211AH54
4F211AH56
4F211AR07
4F211AR20
4F211TA01
4F211TC08
4F211TC17
4F211TD11
4F211TJ11
4F211TN22
4F211TW23
(57)【要約】
システムは、第1のホーン、第1の超音波トランスデューサ、第2のホーン、第2の超音波トランスデューサ、メモリ、及びコントローラを含む。第1のホーンは、第1の部品接合面を含む。第2のホーンは、第2の部品接合面を含み、溶着される部品が第1の部品接合面と第2の部品接合面との間に配置され得るように、第1のホーンに対して配置される。コントローラは、第1の超音波エネルギーを、第1のトランスデューサを介して第1のホーンに通して付与させて、第1の部品接合面を振動させ、第1のホーンを1回目に第1の方向に移動させ、第2の超音波エネルギーを、第2のトランスデューサを介して第2のホーンに通して付与させて、第2の部品接合面を振動させ、第2のホーンを1回目に第2の方向に移動させるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波トランスデューサアセンブリを有する超音波溶着システムであって、
ホーンと前記ホーンの中に超音波エネルギーを与えるように配置された第1のトランスデューサとを含む超音波トランスデューサアセンブリであって、前記ホーンは第1の部品接合面と、前記第1の部品接合面に対向する第2の部品接合面を有する、超音波トランスデューサアセンブリと、
前記超音波トランスデューサアセンブリに動作可能に結合され、前記ホーンの回転を引き起こすように構成されるアクチュエータアセンブリと、
前記超音波トランスデューサアセンブリ及び前記アクチュエータアセンブリに動作可能に結合された1つ以上のコントローラであって、
前記アクチュエータアセンブリに前記ホーンを回転させ、その結果、前記第1の部品接合面が前記超音波エネルギーを、第1の部品に、前記第1の部品接合面の全長に沿って付与する一方で、第1の超音波エネルギーが前記ホーンに前記第1のトランスデューサを介して付与され、前記第1の超音波エネルギーが前記第1のトランスデューサによって前記ホーンに付与される際に、前記第1の部品接合面をその長さに沿って前後に振動させる、
ように構成される1つ以上のコントローラと、
を備える、超音波溶着システム。
【請求項2】
前記ホーンは、パドル形状と、その本体に沿って形成された複数の細長いスロットを有し、前記ホーンへの前記第1の超音波エネルギーの導入に応答して前記部品接合面の動きを容易にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記超音波トランスデューサは、第2の超音波エネルギーを前記ホーンに与えるように配置された第2のトランスデューサを含み、前記1つ以上のコントローラは、前記第2の超音波エネルギーを前記第1の超音波エネルギーと同時に前記ホーンに通して付与させるように構成され、ここで前記第1及び前記第2の超音波エネルギーは周波数と位相が同期される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記前後の振動運動は、前記ホーンの回転軸に平行な横方向である、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記細長いスロットのそれぞれは鍵穴形状を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
溶着又はシールは、外部熱エネルギーを前記溶着又はシールに付与することなく、前記第1の部品接合面に形成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記ホーンの前記第1及び前記第2の部品接合面は、前記第1及び前記第2の超音波エネルギーが前記第1及び第2のトランスデューサによって前記ホーンに付与されると前後に振動し、ここで前記第1及び前記第2の部品接合面の前記振動の前記移動の方向は、前記ホーンの回転の方向に沿っており、前記第1の超音波エネルギーの前記位相は、前記第2の超音波エネルギーの前記位相と180°位相ずれしている、請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2の部品接合面は、前記第1の部品接合面とは前記ホーンの反対側にあり、その結果、それらは前記ホーンの前記回転軸に沿って互いに180°離れる、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2の部品接合面は、前記第1の部品接合面と平行である、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
アンビルに対して、その第1の表面と第2の表面との間に配置されたブレードを更に備え、前記1つ以上のコントローラは、前記ブレードを作動して、前記第1のシール及び前記第2のシールが作成されると同時に、又は前記第1のシール及び前記第2のシールが作成された後に、シール内隙間で前記部品を切断するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ホーンは共振ホーンである、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のシステムを使用して作製された部品であって、単層、バイオプラスチック、生分解性、又はリサイクル可能な層又は材料で構成される、部品。
【請求項13】
超音波トランスデューサを使用して、ホーンを前記ホーンに接触させる部品に対して振動させる方法であって、
ホーンと第1のトランスデューサを含む超音波トランスデューサアセンブリの前記ホーン、第2の部品接合面の反対側の第1の部品接合面に、前記第1のトランスデューサによって第1の超音波エネルギーを付与するステップであって、前記ホーンが第1の部品接合面を有する、ステップ、及び、
前記第1の部品接合面及び前記第2の部品接合面の全長に沿って前記超音波エネルギーを付与する前記ステップと同時に前記ホーンを回転させ、前記第1の超音波エネルギーが前記第1のトランスデューサによって前記ホーンに付与される際に、前記第1の部品接合面をその長さに沿って前後に振動させるステップ、
を含む方法。
【請求項14】
前記超音波トランスデューサアセンブリは、第2の超音波エネルギーを出力する第2のトランスデューサを含み、前記ホーンの前記第1の部品接合面は、前記第1及び前記第2の超音波エネルギーを前記第1及び第2のトランスデューサによって前記ホーンに付与することに応答して前後に振動する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の超音波エネルギーを前記第1の超音波エネルギーと同時に前記ホーンに通して付与させることを更に含み、ここで前記第1及び第2の超音波エネルギーは周波数及び位相が同期される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記前後振動運動は、前記ホーンの回転軸に平行な横方向である、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ホーンの前記回転中に、前記第1の部品接合面を介して第1の部品上に第1のシールを形成するステップ、及び、
前記ホーンの前記回転中に、前記第2の部品接合面を介して第2の部品上に第2のシールを形成するステップ、
を更に含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
溶着又はシールは、外部熱エネルギーを前記溶着又はシールに付与することなく、前記第1の部品接合面に形成される、請求項13~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の部品接合面の前記振動の移動の方向は前記ホーンの前記回転の方向に沿っており、前記第1の超音波エネルギーの前記位相は前記第2の超音波エネルギーの前記位相と180°位相ずれしている、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の部品接合面は前記第2の部品接合面と平行である、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
超音波トランスデューサアセンブリを有する超音波溶着システムであって、
ホーンと前記ホーンの中に超音波エネルギーを与えるように配置された第1のトランスデューサとを含む超音波トランスデューサアセンブリであって、前記ホーンは前記ホーンの長さに沿って延在し、かつ接合される部品と接触するように構成される露出エッジに第1の部品接合面と、前記長さに沿って延在する対向する露出エッジに第2の部品接合面を有し、ここで高さは前記露出エッジと前記対向する露出エッジとの間の距離である、超音波トランスデューサアセンブリと、
前記超音波トランスデューサアセンブリ及び前記アクチュエータアセンブリに動作可能に結合された1つ以上のコントローラと、
を備え、
前記超音波トランスデューサアセンブリにおいて、前記ホーンは、前記付与される超音波エネルギーの1つの波長λの整数倍に対応する高さを有し、少なくとも2つのノードと少なくとも2つのアンチノードを含み、前記少なくとも2つのノードは、前記超音波エネルギーの振幅が最小であり、前記ホーンの機械的ひずみが最大である前記ホーンの領域又は範囲であり、前記少なくとも2つのアンチノードは、最大の振幅と最小の機械的ひずみを有する前記ホーンの領域又は範囲であり、前記少なくとも2つのノードのうちの第1のノードは、前記第1の部品接合面から約λ/4に配置され、前記少なくとも2つのノードのうちの第2のノードは、前記第2の表面から約λ/4に配置され、前記少なくとも2つのアンチノードのうちの第1のアンチノードは、前記第1の部品接合面に近接し、前記少なくとも2つのアンチノードのうちの第2のアンチノードは、前記第2の表面に近接しており、
前記1つ以上のコントローラは、前記第1のトランスデューサに、1つ以上のブースタを介して前記ホーンの中に前記超音波エネルギーを直接的又は間接的に与えさせて、前記第1の部品接合面を、前記長さに沿って、前記高さを横切る方向に前後に振動させる、ように動作可能に構成されている、
システム。
【請求項22】
第2のトランスデューサであって、前記第1のトランスデューサによって与えられる前記超音波エネルギーと同じ又は異なる周波数及び振幅を有する超音波エネルギーを与えるように配置された第2のトランスデューサを更に備える、請求項21に記載の超音波溶着システム。
【請求項23】
前記整数は1であり、前記超音波エネルギーの周波数は約20kHzである、請求項21に記載の超音波溶着システム。
【請求項24】
請求項23に記載の前記システムにより密封された部品であって、単層、バイオプラスチック、生分解性、又はリサイクル可能な層又は材料から構成される、部品。
【請求項25】
第1の部品接合面を含む第1のホーン、
前記第1のホーンの中に超音波エネルギーを与えるように構成された第1の超音波トランスデューサ、
第2の部品接合面を含む第2のホーンであって、溶着される部品が前記第1の部品接合面と前記第2の部品接合面との間に配置され得るように、前記第1のホーンに対して配置される、第2のホーン、
前記第2のホーンの中に超音波エネルギーを与えるように構成された第2の超音波トランスデューサ、
機械可読命令を格納するメモリ、及び、
1つ以上のプロセッサを含むコントローラであって、プロセッサが前記機械可読命令を実行して、
第1の超音波エネルギーを、前記第1のトランスデューサを介して前記第1のホーンに通して付与させて、前記第1の部品接合面をその長さに沿って前後に振動させ、
前記第1のホーンを、溶着される前記部品に対して1回目に第1の方向に移動させ、
第2の超音波エネルギーを、前記第2のトランスデューサを介して前記第2のホーンに通して付与させて、前記第2の部品接合面をその長さに沿って前後に振動させ、そして、
前記第2のホーンを、溶着される前記部品に対して前記1回目に第2の方向に移動させるように構成される、コントローラ、
を備える、システム。
【請求項26】
前記第1のホーンの前記第1の部品接合面は、第1の湾曲部品接触部分と第2の湾曲部品接触部分とを含み、前記第1の湾曲部品接触部分と前記第2の湾曲部品接触部分は、前記第1の部品接合面が溶着される前記部品に係合するのを補助するように構成される、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1のホーンの前記第1の部品接合面は、第1の角度を有する第1の部品接触部分と、第2の角度を有する第2の部品接触部分とを含み、前記第1の部品接触部分及び前記第2の部品接触部分は、前記第1の部品接合面が溶着される前記部品に係合するのを補助するように構成される、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記第1の角度及び前記第2の角度は、約1°~約5°の間である、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記第1の方向は前記第2の方向とは異なる、請求項25~28のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記第1の方向は前記第2の方向と反対である、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記制御システムは更に、前記第1のホーンを前記第2の方向へ、前記1回目に続いて2回目に移動させ、また、前記第2のホーンを前記第1の方向へ前記2回目に移動させるように構成される、請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
前記第1の方向は前記第2の方向と同じである、請求項25~28のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記制御システムは更に、前記第1のホーン及び前記第2のホーンを第3の方向へ、前記1回目に続いて2回目に移動させるように構成される、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記コントローラは、前記第1の超音波エネルギーが第1の周波数及び第1の位相を有し、前記第2の超音波エネルギーが第2の周波数及び第2の位相を有するように構成される、請求項25~28のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記第1の周波数は前記第2の周波数と同じであり、前記第1の位相は前記第2の位相と同じである、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記第1の周波数は前記第2の周波数と同じであり、前記第1の位相は前記第2の位相とは異なる、請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
前記第1の周波数は前記第2の周波数とは異なり、前記第1の位相は前記第2の位相とは異なる、請求項34に記載のシステム。
【請求項38】
前記第1の周波数及び前記第2の周波数は約20kHzであり、前記第1の超音波エネルギーは第1の位相を有し、前記第2の超音波エネルギーは前記第1の位相と一致しない第2の位相を有する、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記第1の周波数は約20kHzであり、前記第2の周波数は約35kHzであり、前記第1の超音波エネルギーは第1の位相を有し、前記第2の超音波エネルギーは前記第1の位相と一致しない第2の位相を有する、請求項37に記載のシステム。
【請求項40】
前記第1のホーンと前記第1の超音波トランスデューサとの間に配置された第1のブースタ、及び、
前記第2のホーンと前記第2の超音波トランスデューサとの間に配置された第2のブースタ、
を更に備える、請求項25~39のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項41】
前記第1のホーンの中に超音波エネルギーを与えるように構成された第3の超音波トランスデューサ、及び、
前記第2のホーンの中に超音波エネルギーを与えるように構成された第4の超音波トランスデューサ、
を更に備える、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記第1のホーンと前記第3の超音波トランスデューサとの間に配置された第3のブースタ、及び、
前記第2のホーンと前記第4の超音波トランスデューサとの間に配置された第4のブースタ、
を更に備える、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記第1のホーンの中に超音波エネルギーを与えるように構成された第3の超音波トランスデューサ、及び、
前記第2のホーンの中に超音波エネルギーを与えるように構成された第4の超音波トランスデューサ、
を更に備える、請求項25~39のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項44】
前記第1のホーンは、前記第1のホーンの主面に沿って形成された複数のスロットを含み、前記第2のホーンは、前記第2のホーンの主面に沿って形成された複数のスロットを含み、前記スロットの少なくともいくつかのそれぞれは、前記長さに対して横方向に延びる長さを有して、それぞれ前記第1のホーン及び前記第2のホーンの前記動きを容易にする、請求項25~43のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項45】
前記第1のホーンは、前記第1の部品接合面の反対側の第3の部品接合面を含み、前記第2のホーンは、前記第2の部品接合面の反対側の第4の部品接合面を含み、前記第1の超音波エネルギーは、前記第3の部品接合面をその長さに沿って前後に振動させ、前記第2の超音波エネルギーは、前記第4の部品接合面をその長さに沿って前後に振動させ、前記コントローラは更に前記第1のホーンをその長手方向軸の周りで回転させ、前記第2のホーンをその長手方向軸の周りで回転させて、その結果、溶着される前記部品が、前記第1の部品接合面と前記第2の部品接合面との間、又は前記第3の部品接合面と前記第4の部品接合面との間を通過するように構成される、請求項25~44のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項46】
前記コントローラは、前記第1のホーン及び前記第2のホーンを回転させ、その間に前記第1の超音波エネルギーが前記第1のホーンに付与され、前記第2の超音波エネルギーが前記第2のホーンに付与されるように更に構成される、請求項25~45のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項47】
第1のトランスデューサに、第1の超音波エネルギーを第1のホーンに与えさせて、前記第1のホーンの第1の部品接合面をその長さに沿って前後に振動させること、
第2のトランスデューサに、第2の超音波エネルギーを第2のホーンに与えさせて、前記第2のホーンの第2の部品接合面をその長さに沿って前後に振動させること、
溶着される部品を、前記第1のホーンの前記第1の部品接合面と前記第2のホーンの前記第2の部品接合面との間で移動させること、
前記第1のホーンを、1回目に溶着される前記部品に対して第1の方向に移動させること、及び、
前記第2のホーンを、前記1回目に溶着される部品に対して第2の方向に移動させること、
を含む、方法。
【請求項48】
前記第1の方向は前記第2の方向の反対である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記第1のホーンを前記1回目に続いて2回目に前記第2の方向に移動させることと、前記第2のホーンを前記2回目に前記第1の方向に移動させることとを更に含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記第1の方向は前記第2の方向と同じである、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記第1の超音波エネルギーは第1の周波数及び第1の位相を有し、前記第2の超音波エネルギーは第2の周波数及び第2の位相を有する、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記第1の周波数は前記第2の周波数と同じであり、前記第1の位相は前記第2の位相と同じである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記第1の周波数は前記第2の周波数とは異なる、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記第1の周波数は約20kHzであり、前記第2の周波数は約35kHzである、請求項53に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月16日に、「Systems and Methods Using an Ultrasonic Transducer and Scrubbing Horn Motion to Seal a Part」と題して、出願された米国特許出願第17/403,653号の利益と優先権を主張するものであり、それはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
特定のタイプのパッケージング又は容器は、シール接合面に沿って密封される様々な数の層を備えた複雑なシール接合面を有し得る。一部の用途のシールは、密閉性、気密性である必要があり、又は液体を漏れることなく含有する必要がある。これらの接合面を密封する従来の技術は、非常に扱い易く、費用がかかり、かつシールを完成するために同じ接合面上の複数のパスを必要とする場合があり、各アイテムを密封するのに長い時間を要する。アイテム及び/又はそのシール接合面の一部の準備又は操作は、シールが形成され得る前に実行する必要もある。これらの準備又は操作により、密封プロセスに更なる遅延が生じる。
【0003】
典型的に、これらのアイテムは、プラスチックフィルム又はポリエチレン材料(例えば、液体板紙)で構成され得るか、又は被覆され得る。例えば、ピローパック、フローラップ、及びカートン、又はいわゆるゲーブルトップを有するミルクカートンなどの他の容器である。これらのアイテムを密封するために、従来のアプローチでは、異なる材料を密封するのに異なる機械を必要として、比較的長い時間がかかる場合があり、また漏れ防止シールを作成するのに複数のパスが必要であり、一貫性のないシールに苦労する場合があり、またシール不良を生じる場合があり、それはチャネルリークを生成し、廃棄物を生じ、特定のシール形状、特に狭いシールに対応することができず、またその複雑さと多数の可動部品に部分的に起因する多くのメンテナンスを必要とする。
【0004】
伝統的な超音波溶着(又は溶接)では、1つの超音波スタックが通電され、部品がスタックと固定アンビルとの間に押し付けられる。特定の用途では、このシングルスタック構成は、部品が複数の層又はその他の特殊な形状を有する場合に困難となり、高品質のシール又は溶着を作成するのに同じ部品上の複数のパスを必要とする場合がある。
【0005】
不均一な数の層(密封される接合面の幅にわたる4-2-4-5層など)を有するゲーブルトップ又は別のパッケージングの密封用途は、シングルスタックホーンを使用することの不十分さを例示する。各カートン層は、付与された超音波エネルギー/振幅の約10%を吸収又は減衰するとする。従来の溶着が4~5層を通過するときには、超音波エネルギー/振幅の約50%のみが最後の層で残存し、それは信頼性の高いシールを生成するには不十分である。力、振幅、又は時間を増加して、このエネルギー損失を補う場合、2層セクションが過剰溶着され、外面がバーニング(焼け)して製品に視覚的なアーチファクトが残り得るリスクがある。
【0006】
注ぎ口又はポートのような、丸形又は楕円形の接合面は、従来の超音波溶着技術を使用して密封することが非常に困難である。通常、従来の技術は、多くのホーン(例えば、最大4つ)とホーンの複数の繰り返し動作(例えば、3ステップ以上)を必要として、これらのタイプの部品を密封する。これらの構成は嵩張り、複雑であり、また超音波動作を複数回繰り返して溶着又は密封作業を実行する必要があることによって、製造プロセスに遅延をきたす。したがって、これらの、又は別の問題を解決する解決策が必要である。本開示の態様は、これら及び他の必要性を、超音波エネルギーを1回パス(ワンパス:one-pass)用途で使用して、カートンのゲーブルトップなどの部品にシールを作成することで満たすことを目的とする。
【0007】
金属製の部品は、ダイを使用して変形されて、金属を希望の形状にねじ曲げることができる。例としては、伸線加工、深絞り加工、圧延加工、押し出し加工、及び鍛造加工が挙げられる。一部の従来のプロセスでは、ダイと部品の接合面に外部から塗布された潤滑剤を利用して、ダイを介した金属の変形を促進する。従来のプロセスでは、ダイによって変形された金属の表面にアーチファクトが残る場合があり、成形プロセスの処理能力は、金属がダイを通過させられるときに変形され得る速度と力の関数である。金属成形プロセスに、より良い解決策を提供する必要がある。
【0008】
ピローパウチ又は袋又は同様の容器は、プラスチック又は不織布フィルムなどの可撓性材料、アルミニウムに印刷された後にポリエチレンにラミネートされたポリエステル、アルミニウムを含む金属、金属箔、布、フィルム、ポリエチレン被覆繊維板又は液体容器用板紙などで作製され得る。ロールで提供される場合、隣接するパウチ間のセクションは、密封されてパウチ又は袋の内容物を確実に含有する必要がある。従来のプロセスは、通常、パウチを密封し、後で隣接するパウチ間のセクションを切断して、パウチを単一化(=単体に分離)する。第1に、これらのデュアルシールアンドカット(dual seal-then-cut)動作は、パウチアセンブリ・密封プロセス全体の処理能力に待機時間をもたらす。第2に、隣接するパウチ間でシールを作成するのに十分な時間、ロールを一時停止させる必要があり、処理能力は、どの程度迅速にシールが形成され得るかの直接的な関数となる。この密封プロセスを高速化すると、処理能力は向上する。密封と切断の動作を同時に又はほぼ同時に実行すると、処理能力は更に向上する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様によると、部品の複数の層を一緒に密封するための超音波溶着システムは、第1のホーンを含む第1の超音波溶着スタック及び第2のホーンを含む第2の超音波スタックを含み、第1のホーンは第1の溶着面を有し、第2のホーンは第1の溶着面に対向する第2の溶着面を有して、それらの間に間隙を画定し、ここで間隙は部品のセクションに沿って密封される部品をその中に受けるように構成され、また超音波溶着システムは、第1及び第2の超音波溶接溶着スタックに動作可能に結合され、第1の溶着面を第2の溶着面に対して移動させるように構成されたアクチュエータアセンブリと、第1及び第2の超音波溶着スタックとアクチュエータアセンブリに動作可能に結合される1つ以上のコントローラとを含み、1つ以上のコントローラは、アクチュエータアセンブリに、第1及び第2のホーンの第1及び第2の溶着面を、部品に接触するまで互いに向かって押し付けさせ、それにより、部品に向けて第1の超音波エネルギーを第1のホーンを介して、また第2の超音波エネルギーを第2のホーンを介して付与し、その結果、第1及び第2の超音波エネルギーの周波数と位相は、第1及び第2の超音波エネルギーが部品の両側に同時に付与されるときに同期され、それによりセクションに沿って部品を密封するように動作可能に構成される。
【0010】
周波数は、15kHz~70kHzの間であり得る。部品は、ゲーブルトップであり得て、ゲーブルトップの長手方向にわたって配置される異なる数の層を有する。代替的に、部品は、ゲーブルトップの長手方向を横切る方向にわたって配置された異なる数の層を有する、ゲーブルトップであってもよい。第1の超音波エネルギーの振幅は、第2の超音波エネルギーの振幅と同じ場合があり、又は異なる場合がある。
【0011】
システムは、第1の超音波エネルギーを発生する第1の発生装置と、第2の超音波エネルギーを発生する第2の発生装置を更に含み得て、ここで第1の発生装置はマスター発生装置として指定され、それ自体に位相ロックループを使用して第1の超音波溶着スタックからのフィードバックを自動ロックし、スレーブ発生装置として機能する第2の発生装置に指示して、それ自体の位相及び周波数フィードバックを第1の発生装置によりその発生装置に一致させる。
【0012】
部品は、ポリマフィルム、熱可塑性材料、不織布材料、金属箔、又は金属を含む材料で構成され得る。部品は、端部分を有するピローパックであり得て、端部分の長手方向にわたって配置された異なる数の層を有する。部品は、異なる数の層を含み得て、これは、密封される部品のセクションに沿って、セクションの第1の部分の第1の数の層とセクションの第2の部分の第2の数の層を含み、第1の数は第2の数と異なる。
【0013】
装置は、ピローパック、カートン又はパウチであり得る。部品は、パウチに密封される注ぎ口であり得る。
【0014】
第1のホーンは回転ホーンであり得て、第2のホーンは回転ホーンであり得る。コントローラは更に、第1のホーンと第2のホーンを同じ回転速度で回転させる一方で、同期された第1及び第2の超音波エネルギーを部品に付与するように構成され得る。
【0015】
第1の発生装置は、第1の出力及び第2の出力を含むことができ、第1の出力は、第1のトランスデューサに動作可能に接続され得て、第2の出力は、第2のトランスデューサに動作可能に接続され得る。第1のトランスデューサは、第1のホーンに動作可能に接続され得て、第2のトランスデューサは、第2のホーンに動作可能に接続され得る。
【0016】
ファーフィールド溶着によって接合される部品の領域は、第1のホーンの第1の溶着面から、又は第2のホーンの第2の溶着面から少なくとも1/4インチ又は6mm離間し得る。
【0017】
本開示の別の態様によると、部品の複数の層を一緒に密封するための超音波溶着方法は、第1のホーンの第1の溶着面を第2のホーンの対向する第2の溶着面に向かって移動させ、第1の溶着面と第2の溶着面との間の間隙を、第1及び第2の溶着面がそのセクションに沿って密封される部品に接触するまで閉鎖するステップと、部品の接触に応答して、第1のホーンを介して第1の超音波エネルギーと、第2のホーンを介して第2の超音波エネルギーを部品に付与し、その結果、第1及び第2の超音波エネルギーの周波数及び位相は、第1及び第2の超音波エネルギーが部品の両側に同時に付与される際に同期され、それにより、セクションに沿って部品を密封し、第1及び第2のホーンが互いに向き合うように配置されているステップを含む。
【0018】
この方法は、層を一緒に密封することに応答して、第1のホーンを第2のホーンに対して後退させて部品を解放することを更に含み得る。周波数は15kHz~70kHzの間であり得る。移動は、第2のホーンの回転運動と同じ速度で回転する第1のホーンの回転運動によって引き起こされ得る。
【0019】
第1の超音波エネルギーの振幅は、第2の超音波エネルギーの振幅と同じであっても、又は異なっていてもよい。本明細書に開示される方法によって供給される少なくとも1つのシールを有する装置も企図される。
【0020】
本開示の更なる態様によると、超音波溶着又は金属成形システムが開示される。このシステムは、同期された超音波トランスデューサを含み、また、ホーンとホーンの中に超音波エネルギーを与えるように配置された第1のトランスデューサ及び第2のトランスデューサとを含んで、ホーンが第1の部品接合面を有している超音波トランスデューサアセンブリと、部品をその中に受容して、超音波エネルギーを第1及び第2のトランスデューサからホーンを通して接合面で受け取るように構成された間隙と、超音波トランスデューサアセンブリに動作可能に結合され、間隙に対して部品を移動させるように構成されたアクチュエータアセンブリと、超音波トランスデューサアセンブリ及びアクチュエータアセンブリに動作可能に結合された1つ以上のコントローラとを含み、1つ以上のコントローラは、アクチュエータアセンブリに、部品が第1の部品接合面に押し付けられるまで、部品を間隙に向かって押し付けさせ、それにより、第1の超音波エネルギーを、第1のトランスデューサを介してホーンに通して、かつ第2の超音波エネルギーを、第2のトランスデューサを介して部品に付与させて、その結果、第1及び第2の超音波エネルギーの周波数及び位相は第1及び第2の超音波エネルギーが部品に付与されるときに同期されるように、動作可能に構成されている。
【0021】
ホーンの第1の部品接合面は、第1及び第2の超音波エネルギーが第1及び第2のトランスデューサによってホーンに付与されるときに前後に振動し得る。第1の部品接合面の振動は、部品が間隙に対して移動するときに部品の変形を引き起こし得る。変形は、部品の金属構造の変化であり得て、部品は金属で構成されることができ、又は変形は、部品の複数の層の密封であり得て、シールを形成する。
【0022】
ホーンは、第2の部品接合面を有し得る。システムは、第1の表面及び第2の表面を有するアンビルを更に含み得る。1つ以上のコントローラは、アンビルの第1の表面とホーンの第1の部品接合面を互いに向かって移動させ、アンビルの第2の表面と第2の部品接合面を互いに向かって移動させ、それによって第1のシール及び第2のシールを、第1及び第2の超音波エネルギーが第1及び第2のトランスデューサによってホーンの中に与えられるときに,同時に作成するように構成され得る。
【0023】
システムは、アンビルに対して、その第1の表面と第2の表面との間に配置されるブレードを更に含み得る。1つ以上のコントローラは、ブレードを作動して、第1のシール及び第2のシールが作成されると同時に、又は第1のシール及び第2のシールが作成された後に、第1のシールと第2のシールとの間のセクションに沿って部品を切断するように構成され得る。
【0024】
ホーンの第1及び第2の部品接合面は、第1及び第2の超音波エネルギーが第1及び第2のトランスデューサによってホーンに付与されるときに前後に振動し得る。第1及び第2の部品接合面の振動の移動の方向は、部品の移動の方向に直交し得る。代替的に、ホーンの振動の方向は、間隙に対する部品の移動の方向を横切ることができる。
【0025】
ホーンは、第1の部品接合面と同一平面上にある、又は平行する第2の部品接合面を有し得る。システムは更にアンビルを含み得て、アンビルは第1の表面と、その第1の表面と同一平面上の、又は平行な第2の表面を有する。1つ以上のコントローラは、ホーン及びアンビルを互いに向かって移動させ、それにより、シール内間隙(intra-seal gap)によって分離される第1のシール及び第2のシールを、第1及び第2の超音波エネルギーが第1及び第2のトランスデューサによってホーンの中に与えられるときに同時に作成するように構成され得る。
【0026】
システムは、アンビルに対して、その第1の表面と第2の表面との間に配置されるブレードを更に含み得て、1つ以上のコントローラは、ブレードを作動させて、第1のシールと第2のシールが作成されるときに同時に、又は第1のシールと第2のシールが作成された後に、シール内間隙で部品を切断するように構成される。ホーンは共振ホーンであり得る。部品は、本明細書に開示される超音波トランスデューサシステムを使用してダイを通して引き抜かれるワイヤであり得る。
【0027】
更に別の実施形態によると、同期された超音波トランスデューサを使用して、ホーンに接触する部品に対してホーンを振動させる方法が開示される。この方法は、超音波トランスデューサアセンブリであって、ホーンとホーンの中に超音波エネルギーを与えるようにそれぞれ配置された第1のトランスデューサ及び第2のトランスデューサとを含み、ホーンが第1の部品接合面を有している、超音波トランスデューサアセンブリのホーンによって、少なくとも部分的に画定される間隙に部品を受容し、超音波トランスデューサアセンブリに動作可能に結合されるアクチュエータアセンブリによって、部品が第1の部品接合面に接触するまで、部品を間隙に向けて移動させ、部品が第1の部品接合面に接触することに応答して、第1の超音波エネルギーを、第1のトランスデューサを介してホーンに通して部品に向けて付与し、かつ同時に第2の超音波エネルギーを、第2のトランスデューサを介してホーンに通して部品へ向けて付与して、その結果、第1及び第2の超音波エネルギーの周波数及び位相は第1及び第2の超音波エネルギーが部品に付与されるときに同期されることを含む。
【0028】
ホーンの第1の部品接合面は、第1及び第2の超音波エネルギーが第1及び第2のトランスデューサによってホーンに付与されるときに前後に振動し得る。第1の部品接合面の振動は、それが間隙に対して移動するときに部品の変形を引き起こし得る。
【0029】
変形は、部品の金属構造の変化であり得る。部品は金属で構成され得る。変形は、部品の複数の層の密封であり得て、シールを形成する。
【0030】
ホーンは、第2の部品接合面を有し得る。この方法は更に、アンビルの第1の表面及びホーンの第1の部品接合面を互いに向かって移動させ、同時にアンビルの第2の表面及び第2の部品接合面を互いに向かって移動させ、それによって第1のシール及び第2のシールを、第1及び第2の超音波エネルギーが第1及び第2のトランスデューサによってホーンの中に与えられるときに同時に作成することを含み得る。
【0031】
この方法は、第1のシールと第2のシールを同時に作成することに応答して、アンビルに対してその第1の表面と第2の表面との間に配置されたブレードを作動させ、それによって第1のシールと第2のシールとの間のセクションに沿って部品を切断することを更に含み得る。
【0032】
この方法は、ホーン及びアンビルを互いに向かって移動させ、それにより、第1及び第2の超音波エネルギーが第1及び第2のトランスデューサによってホーンの中に与えられるときに、シール内間隙によって分離される第1のシール及び第2のシールを同時に作成することを更に含み得て、ホーンは、第1の部品接合面と同一平面上にある、又は平行する第2の部品接合面を有している。
【0033】
この方法は、第1及び第2のシールを同時に作成することに応答して、ブレードを作動させてシール内間隙で部品を切断することを更に含み得て、ブレードはアンビルに対してその第1の表面と第2の表面との間に配置されている。
【0034】
ホーンは切断ブレードを含み得る。第1の部品接合面は切断エッジであり得る。切断ブレードは、第1及び第2の超音波エネルギーが第1及び第2のトランスデューサによって切断ブレードに付与されるときに前後に振動するように構成され得る。切断ブレードは、切断ブレードが貫いて切断する部品の厚さよりも低い高さを有し得る。
【0035】
本開示の更に別の態様によると、超音波トランスデューサアセンブリを有する超音波溶着システムが開示される。システムは、ホーンとホーンの中に超音波エネルギーを与えるように配置された第1のトランスデューサとを含む超音波トランスデューサアセンブリを含み、ホーンは、ホーンの長さに沿って延び、かつ接合される部品に接触するように構成された露出エッジに第1の部品接合面と、長さに沿って延びる対向する露出エッジに沿った第2の表面とを有し、ここで高さは、露出エッジと対向する露出エッジとの間の距離である。ホーンは、付与される超音波エネルギーの1つの波長λの整数倍に対応する高さを有し、少なくとも2つのノード(節)と少なくとも2つのアンチノード(腹)を含む。少なくとも2つのノードは、超音波エネルギーの振幅が最小であり、ホーンの機械的ひずみが最大であるホーンの領域又は範囲である。少なくとも2つのアンチノードは、最大の振幅と最小の機械的ひずみを有するホーンの領域又は範囲である。少なくとも2つのノードのうちの第1のノードは、第1の部品接合面から約λ/4に配置され、少なくとも2つのノードのうちの第2のノードは、第2の表面から約λ/4に配置される。少なくとも2つのアンチノードのうちの第1のアンチノードは、第1の部品接合面に近接し、少なくとも2つのアンチノードのうちの第2のアンチノードは、第2の表面に近接する。システムは更に、超音波トランスデューサアセンブリ及びアクチュエータアセンブリに動作可能に結合された1つ以上のコントローラを含み、1つ以上のコントローラは、第1のトランスデューサに、1つ以上のブースタを介してホーンの中に超音波エネルギーを直接的又は間接的に与えさせて、第1の部品接合面を、長さに沿って、高さを横切る方向に前後に振動させるように動作可能に構成されている。
【0036】
システムは、第1のトランスデューサによって与えられる超音波エネルギーと同じ又は異なる周波数及び振幅を有する超音波エネルギーを与えるように配置された第2のトランスデューサを更に含み得る。整数は1、2、又は3であり得て、超音波エネルギーの周波数は約20kHzであり得る。本明細書に開示される任意のシステムに従って密封された部品もまた企図されており、その部品は、単層、バイオプラスチック、生分解性、又はリサイクル可能な層又は材料から構成され得る。
【0037】
本開示のいくつかの実装によると、システムは、第1のホーン、第1の超音波トランスデューサ、第2のホーン、第2の超音波トランスデューサ、メモリ、及びコントローラを含む。第1のホーンは、第1の部品接合面を含む。第1の超音波トランスデューサは、第1のホーンの中に超音波エネルギーを与えるように構成される。第2のホーンは、第2の部品接合面を含む。第2のホーンは、溶着される部品が第1の部品接合面と第2の部品接合面との間に配置され得るように、第1のホーンに対して配置される。第2の超音波トランスデューサは、第2のホーンの中に超音波エネルギーを与えるように構成される。メモリは、機械可読命令を格納する。コントローラは、1つ以上のプロセッサを含み、プロセッサが機械可読命令を実行して、第1の超音波エネルギーを、第1のトランスデューサを介して第1のホーンに通して付与させて、第1の部品接合面をその長さに沿って前後に振動させるように構成される。コントローラは更に、第1のホーンを、溶着される部品に対して1回目に第1の方向に移動させるように構成される。コントローラは更に、第2の超音波エネルギーを、第2のトランスデューサを介して第2のホーンに通して付与させて、第2の部品接合面をその長さに沿って前後に振動させるように構成される。コントローラは更に、第2のホーンを、溶着される部品に対して1回目に第2の方向に移動させるように構成される。
【0038】
システムのいくつかの実装では、第1のホーンの第1の部品接合面は、第1の湾曲部品接触部分と第2の湾曲部品接触部分とを含み、第1の湾曲部品接触部分と第2の湾曲部品接触部分は、第1の部品接合面が溶着される部品に係合するのを補助するように構成される。
【0039】
システムのいくつかの実装では、第1のホーンの第1の部品接合面は、第1の角度を有する第1の部品接触部分と、第2の角度を有する第2の部品接触部分とを含み、第1の部品接触部分及び第2の部品接触部分は、第1の部品接合面が溶着される部品に係合するのを補助するように構成される。第1の角度及び第2の角度は、約1°~約5°の間であり得る。
【0040】
システムのいくつかの実装では、第1の方向は第2の方向とは異なる。例えば、第1の方向は第2の方向と反対であってもよい。制御システムは更に、第1のホーンを第2の方向へ、1回目に続いて2回目に移動させ、また、第2のホーンを第1の方向へ2回目に移動させるように構成され得る。
【0041】
システムのいくつかの実装では、第1の方向は第2の方向と同じである。制御システムは更に、第1のホーン及び第2のホーンを第3の方向へ、1回目に続いて2回目に移動させるように構成され得る。
【0042】
システムのいくつかの実装では、コントローラは、第1の超音波エネルギーが第1の周波数及び第1の位相を有し、第2の超音波エネルギーが第2の周波数及び第2の位相を有するように構成される。いくつかの実装では、第1の周波数は第2の周波数と同じであってもよく、第1の位相は第2の位相と同じであってもよい。代替的に、第1の周波数は第2の周波数と同じであってもよく、第1の位相は第2の位相とは異なっていてもよい。
【0043】
いくつかの実装では、第1の周波数は第2の周波数とは異なり、第1の位相は第2の位相とは異なる。第1の周波数及び第2の周波数は約20kHzであり得て、第1の超音波エネルギーは第1の位相を有し、第2の超音波エネルギーは第1の位相と一致しない第2の位相を有する。第1の周波数は約20kHzであり得て、第2の周波数は約35kHzであり得て、第1の超音波エネルギーは第1の位相を有し、第2の超音波エネルギーは第1の位相と一致しない第2の位相を有する。
【0044】
システムのいくつかの実装では、システムは、第1のホーンと第1の超音波トランスデューサとの間に配置された第1のブースタ及び、第2のホーンと第2の超音波トランスデューサとの間に配置された第2のブースタを更に含む。システムはまた、第1のホーンの中に超音波エネルギーを与えるように構成された第3の超音波トランスデューサ、及び第2のホーンの中に超音波エネルギーを与えるように構成された第4の超音波トランスデューサを含み得る。システムは、第1のホーンと第3の超音波トランスデューサとの間に配置された第3のブースタ、及び第2のホーンと第4の超音波トランスデューサとの間に配置された第4のブースタを更に含み得る。
【0045】
システムのいくつかの実装では、システムは、第1のホーンの中に超音波エネルギーを与えるように構成された第3の超音波トランスデューサ、及び第2のホーンの中に超音波エネルギーを与えるように構成された第4の超音波トランスデューサを更に含む。
【0046】
システムのいくつかの実装では、第1のホーンは、第1のホーンの主面に沿って形成された複数のスロットを含み、第2のホーンは、第2のホーンの主面に沿って形成された複数のスロットを含み、スロットの少なくともいくつかのそれぞれは、長さに対して横方向に延びる長さを有して、それぞれ第1のホーン及び第2のホーンの動きを容易にする。
【0047】
システムのいくつかの実装では、第1のホーンは、第1の部品接合面の反対側の第3の部品接合面を含み、第2のホーンは、第2の部品接合面の反対側の第4の部品接合面を含み、ここで、第1の超音波エネルギーは、第3の部品接合面をその長さに沿って前後に振動させ、第2の超音波エネルギーは、第4の部品接合面をその長さに沿って前後に振動させ、コントローラは更に、第1のホーンをその長手方向軸の周りで回転させ、第2のホーンをその長手方向軸の周りで回転させて、その結果、溶着される部品が、第1の部品接合面と第2の部品接合面との間、又は第3の部品接合面と第4の部品接合面との間を通過するように構成される。
【0048】
システムのいくつかの実装では、コントローラは、第1のホーン及び第2のホーンを回転させ、その間に第1の超音波エネルギーが第1のホーンに付与され、第2の超音波エネルギーが第2のホーンに付与されるように更に構成される。
【0049】
本開示のいくつかの実装では、方法は、第1のトランスデューサに、第1の超音波エネルギーを第1のホーンに与えさせて、第1のホーンの第1の部品接合面をその長さに沿って前後に振動させることを含む。方法はまた、第2のトランスデューサに、第2の超音波エネルギーを第2のホーンに与えさせて、第2のホーンの第2の部品接合面をその長さに沿って前後に振動させることを含む。方法はまた、溶着される部品を、第1のホーンの第1の部品接合面と第2のホーンの第2の部品接合面との間で移動させることを含む。方法はまた、第1のホーンを、1回目に溶着される部品に対して第1の方向に移動させることを含む。方法はまた、第2のホーンを、1回目に溶着される部品に対して第2の方向に移動させることを含む。
【0050】
方法のいくつかの実装では、第1の方向は第2の方向の反対である。方法はまた、第1のホーンを1回目に続いて2回目に第2の方向に移動させることと、第2のホーンを2回目に第1の方向に移動させることとを含み得る。
【0051】
方法のいくつかの実装では、第1の方向は第2の方向と同じである。
【0052】
方法のいくつかの実装では、第1の超音波エネルギーは第1の周波数及び第1の位相を有し、第2の超音波エネルギーは第2の周波数及び第2の位相を有する。いくつかの例では、第1の周波数は第2の周波数と同じであり、第1の位相は第2の位相と同じである。別の例では、第1の周波数は第2の周波数とは異なる。いくつかのそのような例では、第1の周波数は約20kHzであり、第2の周波数は約35kHzである。
【0053】
上記の概要は、本開示の各実装又はあらゆる態様を表すことを意図したものではない。本開示の追加の特徴及び利点は、以下に示す詳細な説明及び図から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】部品の複数の層を一緒に密封するための超音波溶着システムの図である。
【
図2】ピローパックと、その両端に沿って密封されて密閉されたパッケージを作成するための異なる層の数を示す模式図である。
【
図3A】カートンのゲーブルトップに複数の層を作成するために必要な折り目の数を示す、様々な構成のカートンを示す模式図である。
【
図3B】ゲーブルトップの幅、高さ、及び深さの寸法に沿って存在する異なる層を示すゲーブルトップの上部の拡大図である。
【
図4A】互いに直接対向して配置されて間隙を画定し、その間に部品が挿入されて、すべての層を一緒に密封するデュアルホーンを有する例示的な超音波溶着スタックを示す模式図である。
【
図4B】
図4Aの超音波溶着スタックをホーンが共に閉じた状態で示す模式図である。ホーンをわかりやすく示すために、密封される部品はホーンの間から取り除かれている。
【
図5A】「スクラビング」溶着動作を、各スタックのそれぞれのホーンを通して付与される同期された超音波エネルギーを使用して実行するように構成されたデュアルスタックセットアップを示す模式図である。
【
図5B】両方のホーンを通して同時に付与される同期された超音波エネルギーを使用してそれらの間に挟まれた部品を密封するための、互いに当接する2つのホーンのそれぞれの側面溶着面を示す断面図である。
【
図5C】対向するホーンに同時に付与される同期された超音波エネルギーを使用してスクラビングタイプの溶着動作を実行するための例示的な構成を示す模式図である。
【
図5D】2つのホーンが間隔をあけて離れて、その間隙に、デュアルホーンに同時に付与される同期された超音波エネルギーを用いて密封されるか、又は一緒に接合される部品の接合面を受容することを除いて、
図5Cに示されるのと同じ構成を示す模式図である。
【
図6A】対向するデュアルホーンに同時に付与される同期された超音波エネルギーを使用して、注ぎ口又は非平坦構造を部品に密封又は接合するための別の例示的な構成を示す模式図である。
【
図6B】ホーンの下部の1つの上部溶着面の上面斜視図であり、対向するデュアルホーンに同時に付与される同期された超音波エネルギーを使用して接合される注ぎ口又は非平坦構造に対応する溝パターンを示す。
【
図6C】
図6Aに示される2つのホーンの正面図であり、2つのホーンが互いに押し付けられるときに、それらの間に存在する開口部の間に注ぎ口などの部品が挿入されている。
【
図7】第1及び第2のホーンに付与される超音波エネルギーの波形例のグラフであり、これらの波形は、本開示の態様により周波数及び位相において同期される。
【
図8A】デュアル回転ホーン構成の正面図の例であり、その周波数、位相、及び角速度が同期され、不織布材料で構成されているような部品の層を一緒に溶着又は密封する。
【
図8B】
図8Aに示されるデュアル回転ホーン構成の背面図である。
【
図9A】複数の同期された超音波トランスデューサを使用する超音波援用金属伸線加工を示す模式図である。
【
図9B】複数の同期された超音波トランスデューサを使用する超音波援用金属深絞り加工を示す模式図である。
【
図9C】複数の同期された超音波トランスデューサを使用する超音波援用金属押出加工を示す模式図である。
【
図9D】複数の同期された超音波トランスデューサを使用する超音波援用金属鍛造加工を示す模式図である。
【
図9E】複数の同期された超音波トランスデューサを使用する超音波援用金属圧延加工を示す模式図である。
【
図10】本明細書に開示される超音波溶着システムのいずれかを組み込み得る、例示的な垂直フォーム・フィル・シール(VFFS)と、水平フォーム・フィル・シール(HFFS)パッケージングシステムを示す模式図である。
【
図11A】「スクラビング」動作を使用することによって同期された超音波エネルギーをホーンに付与して部品の1つ以上の接合面を密封する、デュアル超音波トランスデューサを有している超音波援用「切断及び密封」アセンブリの斜視図である。代替的に、このホーン配置は、単一のトランスデューサと2つのブースタ、又は単一のトランスデューサと片持ち支持を提供する単一のブースタで動作され得る。
【
図11C】部品がホーンとアンビルとの間に配置された状態の、
図11Aに示される超音波援用切断及び密封アセンブリの斜視図である。
【
図11D】部品がホーンとアンビルとの間に押圧されて、部品上に2つの密封接合面を同時に形成する状態の、
図11Cに示される超音波援用切断及び密封アセンブリの斜視図である。
【
図11F】
図11Eに示される超音波援用切断及び密封アセンブリの拡大側面図であり、ホーンとアンビルとの間の2つの密封接合面、及び前進するロールの残りから前方の部品を単一化するために部品を切断するアンビル内部のブレードを示す。
【
図12】超音波エネルギーをホーンの中に注入するように配置されたデュアルトランスデューサ間にホーンを有する
図11A~
図11Fで使用される超音波スタックアセンブリの、有限要素解析(FEA)の図である。代替的に、このホーン配置は、単一のトランスデューサと2つのブースタ、又は単一のトランスデューサと片持ち支持を提供する単一のブースタで動作され得る。
【
図13A】同期された超音波エネルギーを、ホーンとアンビルとの間に複数の層を有するロールを捕捉する共振ホーンに付与するデュアル超音波トランスデューサを有する超音波援用「切断及び密封」アセンブリの斜視図である。
【
図13B】
図13Aに示される超音波援用「切断及び密封」アセンブリの斜視断面図であり、ホーンに当接するアンビル間のブレードを示し、ホーンとアンビルとの間に配置された部品を切断するためにホーンの中に作動されたときに、ブレードを受け入れるための対応する開口部又はスロットをホーンが有している。
【
図13C】
図13A及び
図13Bに示されるホーンのFEA解析の2つの図を示し、超音波エネルギーの異なる位相がデュアルトランスデューサからホーンにその両側面から与えられるときのホーンの屈曲又は動きの誇張された方向を示す。
【
図14A】同期された超音波エネルギーを、ホーンとアンビルとの間に複数の層を有するロールを捕捉する共振ホーンに付与するデュアル超音波トランスデューサを有する超音波援用「切断及び密封」アセンブリの斜視図である。代替的に、このホーン配置は、単一のトランスデューサと2つのブースタ、又は単一のトランスデューサと片持ち支持を提供する単一のブースタで動作され得る。
【
図14B】
図14Aに示されるホーンのFEA解析の2つの図を示し、超音波エネルギーの異なる位相がデュアルトランスデューサからホーンにその両側面から与えられるときのホーンの屈曲又は動きの誇張された方向を示す。
【
図15A】2つの超音波スタックアセンブリの間に挟まれた切断ブレードの上面図又は底面図であり、そのトランスデューサは、同期された超音波エネルギーを切断ブレードに出力する。
【
図15B】
図15Aに示される切断ブレード及び超音波スタックアセンブリの側面図である。
【
図16A】2つの超音波スタックアセンブリの間に挟まれた回転可能な共振切断ブレードの斜視図であり、そのトランスデューサは、共振ホーンのように動作する切断ブレードに同期された超音波エネルギーを出力する。代替的に、このホーン配置は、単一のトランスデューサによって駆動され得る。
【
図17A】食品などの厚い物質の塊を貫いて切断する
図16Aに示される回転可能な切断ブレードアセンブリの斜視図である。
【
図17B】
図17Aに示される回転可能な切断ブレードアセンブリの端面図であり、デュアル超音波スタックアセンブリが可視である。
【
図18A】厚さT1を有する物質を上部又は下部切断ブレード面から切断するように構成される切断ブレードの機能図である。
【
図18B】>>T1の、また切断ブレードの高さよりも大きい厚さT2を有する物質を貫いて切断するように構成された切断ブレードの機能図である。
【
図18C】切断ブレードを回転させて、切断ブレードが1回転するごとに少なくとも2回、物質の塊を切断し得る方法を示す機能図である。
【
図19A】ホーンのスクラビング面に沿って細長いスロットとスケーリング突起を有するパドル形状のスクラビング金属接合ホーンを示す模式図である。
【
図19B】ホーンの各エッジに沿って細長いスロットと単一のスケーリング突起を有する別のパドル形状のスクラビング金属接合ホーンを示す模式図である。
【
図20A】ホーンの長さ(固定点から固定点まで)に比例して異なる数のスロットを有するホーンの誇張されたFEA解析の図である。
【
図20B】ホーンの長さ(固定点から固定点まで)に比例して異なる数のスロットを有するホーンの誇張されたFEA解析の図である。
【
図20C】ホーンの長さ(固定点から固定点まで)に比例して異なる数のスロットを有するホーンの誇張されたFEA解析の図である。
【
図21】横方向の露出エッジ表面に沿ったスクラビング動作を容易にする鍵穴形状のスロットを備えたクロスシール形状のパドル形状ホーンの図である。
【
図22】ホーンの前後運動がホーンの幅に沿ってではなく、ホーンの高さに沿って延長される、従来技術の従来のホーンのFEA解析の図である。
【
図23】水平方向に配向され、その幅寸法に沿って1ラムダ波長を有するように寸法設定された従来技術の従来の金属接合ホーンのFEA解析の図であり、その幅に沿って波状の波状運動パターンを生成し、これは、全幅に沿ったスクラビング動作には適しておらず、黄色で示される突起上の表面の小さな部分においてのみ適している。
【
図24】本開示によるパドル形状ホーンのFEA解析の図であり、ホーンの幅(高さに対して垂直)に沿ったスクラビング動作を生成するためのノード及びアンチノードの配置の設計原理を示している。
【
図25】本開示のいくつかの実装による、超音波溶着システムの斜視図である。
【
図26A】本開示のいくつかの実装による、
図25の超音波溶着システムのホーンの斜視図である。
【
図27】本開示のいくつかの実装による、
図25の超音波溶着システムの第1のホーン及び第2のホーンの上面図である。
【
図28】本開示のいくつかの実装による、部品を超音波溶着する方法のプロセスフロー図である。
【
図29】本開示のいくつかの実装による、ノード及びアンチノードの配置の設計原理を示すホーンのFEA解析の図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本開示は様々な修正及び代替形態が可能であるが、その特定の実装及び実施形態が例として図面に示されており、本明細書で詳細に説明される。しかしながら、本開示を開示された特定の形態に限定することを意図するものではなく、逆に、本開示は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の趣旨及び範囲内にあるすべての修正、等価物、及び代替物を網羅するものであることを理解されたい。
【0056】
本明細書に開示される本発明の発明者らによって発見された驚くべき結果は、非常に良好な密閉性シール(空気及び液体に対して)が、周波数及び位相が同期される場合の超音波周波数でエネルギーを送達するデュアルホーンを使用して形成され得ることである。本明細書で使用されるように、位相は、2つの波形が0°(「プッシュプッシュ」)又は180°(「プッシュプル」)で一致するときに同期される。その他の角度は非同期と見なされる。有利なことに、1回のみのパスがシールを形成するのに必要であり、シールは、超音波エネルギーの1回の付与を用いてわずか1秒以下(例えば、0.35秒)で形成され得る。シールは漏れを生じず、密封される接合面が一緒に密封される複雑な数の層を有する場合に特に良好に機能する。例えば、ミルクカートンなどのいわゆるゲーブルトップは、接合面の一端に2層、接合面の別のセクションに最大4層、場合によっては接合面の他端に5層を含むシール接合面を、カートンブランクの折り方に応じて有し得る。密封の問題は、異なる層が密封される接合面に沿った領域の異なるセクションに存在する接合面を横切って密封しようとする場合に、特に困難になる。
【0057】
密封されるこれらの複雑な接合面の例は、
図2~
図3及び
図6Cで見ることができる。
【0058】
超音波トランスデューサは、エネルギーを音に、典型的には超音波振動の性質において、人間の聴覚の通常の範囲を超える周波数を有する音波に変換するデバイスである。現代で使用されている最も一般的なタイプの超音波トランスデューサの1つは、圧電超音波トランスデューサであり、電気信号を機械的振動に変換する。圧電材料は、伝統的に結晶構造及びセラミックの材料であり、機械的応力の印加に応答して電圧を生成する。この効果は逆にも適用されるため、サンプルの圧電材料に電圧を印加すると、サンプル内に機械的応力が発生するであろう。したがって、これらの材料から作られた適切に設計された構造は、電流が印加されたときに屈曲、拡張、又は収縮するように作製され得る。
【0059】
多くの超音波トランスデューサは、圧電(「ピエゾ」)セラミックリングを含む調整された構造である。ピエゾセラミックリングは、通常、チタン酸ジルコン酸鉛セラミック(より一般的には「PZT」と呼ばれる)などの材料で作製され、印加電圧とリングの機械的ひずみ(厚さなど)との間に比例関係がある。供給される電気信号は、通常、超音波トランスデューサの共振周波数と一致する周波数で供給される。この電気信号に反応して、ピエゾセラミックリングは拡張及び収縮し、大振幅の振動運動を生成する。例えば、20kHzの超音波トランスデューサは、通常、20ミクロンの振動ピークツーピーク(p-p)振幅を生成する。電気信号は、信号を調整する電源によって正弦波として供給されることが多く、一定の振幅の機械的振動を生成し、機械的構造を過度のひずみ又は振幅もしくは周波数の急激な変化から保護する。
【0060】
典型的に、超音波トランスデューサは、オプションの超音波ブースタ及びソノトロード(超音波溶着産業では一般に「ホーン」とも呼ばれる)に接続され、これらは両方とも、通常、超音波トランスデューサの共振周波数と一致する共振周波数を有するように調整される。オプションの超音波ブースタは、超音波トランスデューサアセンブリ(又は一般に呼ばれる「スタック」)の取り付けを可能にするように構成され、典型的に調整された半波構成要素であり、それはコンバータ(トランスデューサ)とソノトロード(ホーン)との間を通過する振動振幅を増減するように構成される。振幅の増減量は「ゲイン」と呼ばれる。ホーンは、多くの場合、先細りの金属棒であり、超音波トランスデューサによって供給される振動変位振幅を増大させ、それによって超音波振動を増減させ、それを所望の作業領域全体に分散させるように構成される。
【0061】
典型的には、超音波トランスデューサアセンブリで使用されるすべての機械的構成要素は、それらが所望の動作周波数の近くの、又は所望の動作周波数の単一共振周波数で動作するように構造化される必要がある。更に、超音波トランスデューサアセンブリは、多くの場合、アセンブリの主軸(つまり、中心の縦軸)に平行な振動運動で動作する必要がある。スタックの電源は通常、印加電圧と周波数を監視及び調整する閉ループフィードバックシステムの一部として動作する。
【0062】
特定の用途、特に熱可塑性部品を一緒に溶着することを含む用途では、超音波溶着技術は、その一貫性(特にスタックの動きがサーボ駆動モータによって制御される場合)、速度、溶着品質、及び別の利点のために非常に望ましい。本発明者らは、デュアルホーンを活用して、超音波エネルギーを、密封される領域全体に様々な層を有する複雑な接合面に同期的に付与することが、驚くべきことに、両方のホーンを介して送達されるエネルギーの位相と周波数を一致させ、複雑な接合面の両側にエネルギーを付与することによって、1回パスで優れた気密性及び密閉性シールを生成することを発見した。各ホーンへの電力は、超音波発生装置によって制御され、それは一貫した信頼性の高いエネルギーをノイズの多い環境であってもホーンに送達する。本明細書に記載のシステム及び方法に関連して使用するのに適したそのような超音波発生装置の一例は、米国特許第7,475,801号に開示されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれ、適切な超音波発生装置は、Dukaneからブランド名iQ(商標)として市販されている。各ホーンは、iQ(商標)超音波発生装置又は、一貫性のある信頼性の高い超音波エネルギー信号を、ホーンを通して、溶着又は接合される1つの部品又は複数の部品に出力可能な同様の発生装置によって駆動され得る。超音波発生装置の構成要素及び構成は、超音波溶着に詳しい当業者に周知であるため、簡潔にするために、これらの詳細な説明は、本明細書に開示される本発明の理解に必須ではないため省略される。各ホーン(又は技術的にはホーンのトランスデューサ)は、個別の電源によって電力を供給され得て、又は独立して制御され得るデュアル電源出力を備えた単一の電源によって電力を供給され得る。ホーン106、108に力を印加することから超音波エネルギーを除去することまでの全パス又はサイクル時間は、非常に速く、例えば、0.35秒であり、又はより高いエネルギー振幅を用いて更に速くなり得る。
【0063】
密封される部品に与えられる力は、合理的な範囲内、例えば各サイズの機械又は部品の公称値から+/-50%で調整可能であり得る。部品の形状、材料、及び完成品に対する期待は、動作周波数の選択を規定する(例えば、原則として、大きな部品の場合は低周波数と高振幅、小さな部品の場合は高周波数と低振幅)。超音波溶着では、基本的に3つのパラメータがあり、それは特定の部品に対して高品質で一貫性のある溶着を行うために調整する必要があり、a)振幅、b)力、及び、c)溶着時間(超音波エネルギーが部品に付与される時間)である。ほとんどの用途では、歩留まりを最大化するために短い溶着時間が必要とされ、特に数百又は数千のパッケージが毎時に充填及び密封されるパッケージング用途においてそうである。振幅はホーンの応力によって制限されることが多いため、振幅をどれだけ高く設定し得るかについては実際的な制限がある。力が残っており、力は増大されると良好な溶着が迅速に行われるが、力が大きすぎると超音波スタックの動きが制限され、損傷又は破壊される場合がある。又は、スタックは、レンガ壁のように閉じる顎のように、はさまる場合がある。レンガ壁が屈しない場合、スタックの動きを維持するのは困難になる。ゲーブルトップはより多くの力を必要とするが、ピローパックはホーンによって加えられる力がより少なくてすむ。薄膜は、振幅と力の異なる比率を必要とし、これはまた、材料と速度の要件に基づき得る。本明細書に開示されるシステム及び方法は、はるかに高い柔軟性を可能にし、プロセスウィンドウを大幅に開き、これは、プロセスが、従来のアプローチと比較して、より堅牢になり、通常の生産変数に対する感度が低くなることを意味する。
【0064】
図1は、部品110の複数の層を一緒に密封するための超音波溶着システム100である。システム100は、第1のトランスデューサ102及び第2のトランスデューサ104を含む2つの超音波溶着スタック(
図4A及び4Bに示される)を含む。システム100は、第2のホーン108の第2の溶着面108aに対向する第1の溶着面106aを有する第1のホーン106を含み、第1の溶着面106aと第2の溶着面108aとの間に間隙112を画定する。間隙112は、部品110をその中に受け入れるように構成され、部品110はそのセクションに沿って密封される異なる数の層を有する。密封される部品110のセクションは、
図1において、誇張されて拡張され、かつわずかに展開された形態で示され、この例の部品100に存在する異なる数の層を左から右に示すための説明を容易にしている。実際には、これらの層は、間隙112に存在するときに互いに押圧されるであろう。
図1の左から始めると、破線で示すように、密封される部品110の第1のセクションは4つの層を有し、続いて2つの層のみを有する第2のセクション、続いて4つの層を有する第3のセクション、及び最後に5つの層を有する第4の最後のセクションで終わる。このタイプの接合面は、通常、
図3Aに示されるようなゲーブルトップを有するカートンに見られる。
図3Aは、完全に組み立てられた構成、半分に折り畳まれた構成、及び完全に展開されて平らな開始構成にある一例のカートンを示す。後者の構成では、折り目と層の複雑さは、平らにされたカートンの上部で見ることができ、そこには5つのセクション340a~fが存在する。これらが折り畳まれてゲーブルトップ334を形成するとき、それらは、
図1に示されるような、複数の層を備える接合面を生成する。密封される部品に接触するホーン106、108の領域は、本明細書では「溶着面」と呼ばれ、これは、部品と接触してその表面を介して超音波エネルギーを部品の密封される接合面に送達し、接合面を溶着(又は密封)するホーンの接触面であることを意味する。超音波エネルギーは、ホーンを通過して溶着面から離れ、対応するホーンの溶着面に接触する部品に通過する。ホーン106、108の各溶着面106a、108aは、溶着される部品の異なる領域(部品の密封接合面)に、例えば、ゲーブルトップの場合では、すべての層が一緒に密封されるときに形成されるゲーブルトップの両側に物理的に接触する。
【0065】
密封される接合面は、
図3Bに示されるように、その幅にわたってのみでなく、その高さにわたって異なる数の層を有し得る。ここで、凡例が示すように、一緒に密閉して密閉性シールを形成する必要がある少なくとも5つのセクション350a、b、c、d、eが存在する。例えば、
図3Bに示される接合面110、310の細長い幅寸法に沿って、4つのセクションがあり、左から右に向かって4つの層350b、次に2つの層350c、次に再び4つの層350dを有し、5つの層350eで終わる。しかしながら、高さ寸法に沿ってこれらのセクションの上に、2つの層のみを有する細長いセクション350aが存在する。したがって、高さ寸法(ゲーブルトップ310の長手方向を横切る)に沿って切り取られると、接合面310の中央には、密封される領域に2つの層が存在する1つのセクションのみが存在する。その他の場所には、密封される接合面310の対応するセクションの上下には、異なる数の層が存在する。このタイプのゲーブルトップ334は、密封するのが特に困難であり、その幅、高さ、及び深さにわたって層の数が多次元的に変化するため(異なる層の厚さが変化するため)である。従来の接着剤を使用しない方法では、時間がかかり、接合面に沿って複数のパスを必要とするか、又は単にすべての液体が漏れ出るのを防ぎ得る密閉性シールを生成しないかのいずれかである。カートン330は、ゲーブルトップから突き出て、注入を容易にするプラスチックの注ぎ口332を含み得る場合もある。ゲーブルトップ334は、カートン330の液体内容物を注ぐためにミルクカートン風に開口される場合もある。本開示は、3次元すべてにおいて多くの異なる層を有するゲーブルトップを密閉するのに特に適する。
【0066】
密封される同様のタイプの接合面を有する別のタイプの部品は、
図2に示されるピローパック230であり、ゲーブルトップに似た上部又は端部を有する。ピローパックは通常、パックに沿って長さ方向に延びる第1の継ぎ目で最初に接合され、これは、複数の層がある領域を示す。ピローパック230の端部210もまた、凡例によって示されるように、複数の層を有する。この構成は、4-2-4-2-4と呼ばれる場合があり、端部230の第1のセクションに4つの層があり、その後に2つの層があり、次に更に4つの層があり、その後に2つの層があり、最後に4つの層がある。したがって、異なる数の層は、ピローパック230のゲーブルトップ210の長手方向にわたって配置される。この場合も、異なる数の層を有するこのタイプの部品は、密封するのに特定の課題を示す。本開示の同期されたデュアルホーン/スタック構成は、ピローパックを漏れのない気密性であるように密封し得る。
図2に示すピローパック、及び
図3Aに示すカートン330は、ポリマフィルム又は熱可塑性材料から構成され得る。
【0067】
本明細書に開示される本発明を使用して密封し得る接合面を有する別のタイプの部品は、例えばストローによって貫通され得る弁又は貫通可能な密封要素を有する流体充填パウチであり、例えば米国特許出願公開第20040161171A1号に記載される。本明細書に開示される超音波技術を使用して、流体充填タイプのパウチを密封するように構成された例示的なシステムは、
図5A~
図5Dに関連して示され、説明される。普及型のパウチは、CAPRISUN(登録商標)のブランドで米国で販売されている。本明細書に開示される超音波技術を使用して、注ぎ口を有する部品を密封するように構成された例示的なシステムは、
図6A~
図6Cに関連して示され、説明される。
【0068】
パウチが密封される前に液体がパウチ内に既に存在する場合の液体充填パウチでは、デュアルホーンからの同期された超音波エネルギーは接合面で振動を生成し、接合面領域から液体を遠ざけて、密閉性シールの作成に更に寄与する。言い換えると、デュアル同期された超音波エネルギーを液体で充填された部品に付与することの驚くべき利点は、密封される接合面の両側からのエネルギーの付与によって生成される振動が、接合面の周りに存在する液体の液滴を振動させて離す傾向があり、それによって接合面の層が、その間に液体を閉じ込めることなく、また漏れの機会を作り出すことなく、一緒に密封され得ることである。微視的な漏れはまた、衛生とスポリエーション(spoliation)の危険をもたらし、細菌又は他の病原体が密封されたパウチに入り、又はカビがシールの周りに形成されることを可能にする。ここでは液体充填されたパウチの開口部の両側から超音波エネルギーを付与することによって生成される振動が、接合面で液体を振り落とした後に密封するために、デュアルホーンの1回パスで密閉性シールを作成することにより、更なる利点が本明細書に開示される同期されたデュアルホーン構成から見ることができる。
【0069】
図1に戻ると、システムは、アクチュエータアセンブリ116を含み、それは超音波溶着スタック(
図4A及び
図4B)に動作可能に結合され、第1のホーン106の第1の溶着面106aを第2のホーン108の第2の溶着面108aに対して移動させるように構成される。ホーン106、108の連帯の動きは、それぞれのホーン106、108が結合されている対応するフレーム130、132によって支援され得て、フレーム130、132は、ホーン106、108を一緒に、そして互いに離して動かすアクチュエータアセンブリの一部を形成する。密封される部品をクランプし、次に、超音波エネルギーを部品に付与した後に分離する、ホーン106,108の連帯の1つの動きは、単一パス又はサイクルと呼ばれる。アクチュエータアセンブリ116は、サーボモータなどの1つ以上のモータを含み得る。2つの溶着面106a、108aは、互いに直接対向し、ホーン106、108の配向に直交する相互に平行な平面を形成する。2つのホーン106、108は、開閉する顎のように、互いに向かって移動するように見ることができ、その露出される端部溶着面106a、108aが、密封される部品又は部品接合面の対応する反対側の表面に接触する。トランスデューサ102、104からホーン106、108に与えられる対応する超音波エネルギーは、周波数及び位相が同期され、反対方向に同じ寸法に沿って出力される。デュアル超音波溶着スタックのそれぞれは、
図4Aに示されるオプションのブースタ140、142を含み得て、トランスデューサ102、104から放出されたエネルギーを増幅した後に、ホーン106、108に通過させる。更に、ブースタ140、142の存在は任意であり、
図5A及び
図6Aに示される構成にはブースタはない。これらの構成では、トランスデューサ102、104は、ホーン506、508(
図5A)及び606、608(
図6A)に直接取り付けられる。
【0070】
1つ以上のコントローラであり得るコントローラ120は、超音波溶着スタック及びアクチュエータアセンブリ116に動作可能に結合される。コントローラ120は、アクチュエータアセンブリ116に、ホーン106、108の第1及び第2の溶着面106a、108aを、部品110に接触するまで互いに向かって押し付けさせるように構成される。所定の力をホーン106、108に印加して、溶着面106a、108aの間に部品110を本質的にクランプし、折り畳まれた層を一緒に保持し得る。例えば、ホーンによって部品110に与えられる最大力は、4500Nに設定され得るが、接合面の厚さ及び一緒に接合される材料を含んだ用途に依存するであろう。コントローラ120は、部品110に向けて、第1のホーン106の出力を介して第1の超音波エネルギーと、第2のホーン108の出力を介して第2の超音波エネルギーを付与し、その結果、第1及び第2の超音波エネルギーの周波数及び位相は、第1及び第2の超音波エネルギーが部品110の両側に同時に付加されるときに同期され、それによって
図3Bに示される層350a、b、c、d、eなどの層を一緒に密封する。上述のように、トランスデューサを通してホーンに超音波エネルギーを発生するのに適した超音波発生装置の一例は、米国特許第7,475,801号に記載されており、超音波発生装置のiQ(商標)ラインのいずれかでDukaneから市販されている。
【0071】
2つの超音波発生装置の同期は、2つの発生装置間に通信接続を提供することによって達成され得て、その結果、トランスデューサ102、104へのそれらのそれぞれの出力は、周波数及び位相において同期される。代替的に、上記の特許に記載されているような発生装置は、周波数及び位相が同期され、それぞれのトランスデューサ102、104に供給される2つの出力を供給するように変更され得る。発生装置(個別又はデュアル出力と統合されている)は、主従関係で配置され得て、そこでは発生装置の1つがマスターとして割り当てられる。マスター発生装置の位相は、位相ロックループ(PLL)を使用して超音波スタックのフィードバックに自動ロックされ、マスター発生装置は通信接続を介してスレーブに指示し、ゼロ交差(0°又は180°)で同じ位相を模倣させ、スレーブ自体の位相と周波数のフィードバックを無視させる。これにより、スレーブの位相をマスターと同じ方法でドリフトさせることができる。位相ドリフトは、例えば熱効果によって発生し得て、そのためスレーブの位相をマスターにロックすることにより、位相(したがって、結果的に、超音波エネルギー信号の位相のゼロ交差に対応する周波数)を両方のトランスデューサ102、104で同期させることができる。
【0072】
図7は、第1のトランスデューサ102及び第2のトランスデューサ104に付与される同期された超音波エネルギーの、縮尺されていない波形例を示す。ここで、同期された、とは、同じ周波数f1及び位相を有するエネルギーを指す。振幅Aは、両方のホーンで同じでもよく、同じでなくてもよい。用途及びホーン106、108に最も近い部品の厚さに応じて、異なる振幅が、第2のホーン108に対して第1のホーン106を通して加えられ得る。周波数f1が両方のホーン106、108で一致されるのと同様に、両方のエネルギーの位相は時間同期されるため、
図7の破線で示されるように、時間の経過に伴うエネルギーのゼロ交差及びピークは同時に一致する。一方のホーン106(又はトランスデューサ102)で発生されるエネルギーの周波数f1は、他方のホーン108(又はトランスデューサ104)で発生されるエネルギーの3Hz以内であり得る。2つの同期されたホーンを使用すると、単一のホーンセットアップと比較して、ゲーブルトップを密封する場合など、複数の層を通したエネルギー減衰が半分になる。例えば、シングルスタック構成では、超音波エネルギーはゲーブルトップの4~5層を通過する必要があり、超音波エネルギー/振幅の最大約50%の減衰又は損失を生成する。対照的に、本開示による同期されたデュアルホーンを使用する場合、一方のホーンからのエネルギーは2層又は2.5層のみを通過し(他方側からのエネルギーは、同様に、シングルスタック構成と比較して半分の数の層のみを通過する)、したがって、エネルギー/振幅の損失はわずか約20~25%であり、層をバーニングし、又は密封されている接合面の外面に視覚的なアーチファクトを作成することなく、高品質の溶着又はシールを生成する。
【0073】
トランスデューサ102、104の両方を通してホーン106、108に送達される超音波エネルギーの周波数は、約15~70kHz(例えば、±10%)の間であることが見出されている。特に効果的な結果は、15kHz、20kHz、及び30kHzで見られる。両方のトランスデューサ102、104を通してホーン106、108に送達され、部品を密封する超音波エネルギーの周波数及び位相は、時間的に同期され、その結果、超音波エネルギーのピーク振幅は密封される部品の両側に同時に送達される。超音波エネルギーの振幅は、両方のトランスデューサ102、104で独立して制御され得る。20~35kHzの周波数は、より小さい又は薄いパッケージの密封に特に適している。
【0074】
例示的な「スクラビング」(ゴシゴシと擦る)構成は、
図5A~
図5Dに示される。この構成では、前の構成と同様に周波数及び位相が同期された2つのトランスデューサ102、104が存在するが、ホーン506、508は、それらの側面が接触して、部品の密封される接合面、例えば10~20um又は100umを超える範囲の厚さを有する薄膜、又は厚さが接合面の長さに沿って変化し得る薄い不織布フィルムを押圧するように配置される。厚さの変動は、接合面の長さに沿った予測できない場所で±2umになり得る。したがって、エネルギーの付与は均一であってもよいが、接合面の厚さ(例えば、一緒に密封されている2つの層のみで構成され得る)は、一緒に密封されている接合面の長さに沿って変化し得て、小さな漏れ又は不均一な溶着の機会を作り出す。いわゆるスクラビング動作は、周波数同期され、また位相同期された超音波エネルギーがトランスデューサ102、104を通してホーン506、508に与えられるときに、互いに対して振動する2つのホーン506、508によって生成される小さな機械的Y軸運動を利用する。これらの振動は、スクラビング運動に似たホーン506、508での非常に短く迅速な前後運動を生成し、これは、接合面が薄膜又は不織布フィルムである場合など、接合面の厚さが不均一な場合に非常に高品質の密閉性シールを生成することが見出されている。
図5A~
図5Dに示される構成はまた、薄い接合面に加えられる振幅と力のより穏やかな制御、及びより広いプロセスウィンドウを可能にする。
【0075】
図5Aでは、2つの超音波スタックは、それぞれがトランスデューサ102、104及びホーン506、508を含む。ホーン506、508は、互いに隣接して配置され、その結果、それらのそれぞれの側面溶着面506a、508aは互いに向かって移動する。これらの溶着面506a、508aは、Y-Z平面に平行であり、Z軸に沿った長さに沿って延在する。超音波エネルギーは、Y軸方向に沿ってトランスデューサ102を通して付与され、第2のトランスデューサ104を通した超音波エネルギーは、Y軸方向に沿って反対方向に付与される。側面506a、508aは、部品がそれらの間に配置されるときに互いに振動し、周波数及び位相同期された超音波エネルギーは、ホーン506、508を通して同時に付与される。薄膜又は薄い不織布材料は、ホーン506、508を通る超音波エネルギーの1回のみのパスで密閉性シールを形成する。2つのホーン506、508及び単一パスのみが、一貫した密閉性シールを、バーン、視覚的なアーチファクト、又は微視的漏れなしに生成するのに必要とされる。薄膜又は不織布材料がこれらの例では説明されているが、本明細書に開示されるスクラビングの態様はまた、金属フィルム、金属箔又は薄い金属、あるいは薄膜、不織布材料、又は金属の任意の組み合わせの溶着で機能を発揮する。例えば、スクラビングは、金属を一緒に密封するのに特に効果的であるが、異種材料、例えば、不織布材料を金属フィルム又は箔に一緒に密封するのにも効果的である。
【0076】
図5Bでは、2つの側面溶着面506a、508aの拡大図が、ホーン506、508について見ることができる。溶着面506aは、離れるように延びて、平らな側面溶着面508aに比較して、より小さな露出される表面積を形成する。このように、側面溶着面506aは、部品110が2つのホーン506、508の間に配置されると、超音波の影響下でY軸方向に沿って迅速に前後に移動するので、「スクラバ」として機能する。例示的な構成は
図5Cで見ることができ、ホーン506、508が互いに接触している。部品110は、例えば、密封される必要のある開放端部を有するパウチであり得て、その開放端部は、ホーン506、508の間に配置され、これは接合面の2つの層を、超音波エネルギーが接合面の反対側から付与されるときに、一緒に「スクラブ」し得る。超音波エネルギーによって生成される熱と結合される機械的動作は、協力して、アーチファクト又は微視的な漏れのない密閉性シールを生成する。
図5Dは、離間されたホーン506、508を示す。部品の接合面110は、2つの側面溶着面506a、508aの間の間隙に配置され、これらは、それらの側面溶着面506a、508aが接合面110の対向する側面と接触するまで、X軸方向に沿って互いに向かって押圧される。力はホーン506、508に加えられ、その間、超音波エネルギーがトランスデューサ102、104を介してホーン506、508に付与され、接合面110の溶融に沿ってスクラビング動作と呼ばれる小さな機械的振動を生成し、溶着面506a、508aがそれを押圧する。ホーン506、508が後退されると、密閉性シールが部品の接合面110にあり、それはホーン506、508の1回のみのパス又は移動、及び同期された超音波エネルギーの1回付与を必要とする。
【0077】
別の同期されたデュアルホーン構成は、
図6A~
図6Cに示され、それは複雑な形状、例えば、液体パウチ、ピロー、又は容器用のプラスチック又は金属の注ぎ口を有する部品を密封するのに適する。ここで、2つのトランスデューサ102、104は、第1の輪郭付きホーン606及び第2の輪郭付きホーン608に対して配置され、それらは開口612(
図6Cに最もよく見られる)を有して、その中に密封される部品332を受け入れる。ホーン606、608の端部は、ギザギザ状表面608b(
図6Bに最もよく見られる)を有して、部品332(例えば、丸い注ぎ口であり得る)の周りをクランプし、これは、丸形(又は楕円形)の部品332を受け入れるリブ付き溶着面608aに移行する。他方のホーン608は同じ溶着面を有し、それらが互いに押圧され、部品332は所定の位置に保持され、エネルギーの均一な付与が部品の周りに均等に分配されて一貫した溶着を生成する。輪郭付きホーン606、608は、丸形、楕円形、又は任意の不規則な形状を含む、任意の部品の形状の輪郭に一致するように成形され得る。
【0078】
更なるデュアルホーン構成は、
図8A及び
図8Bに概略的に示される。2つのホーン806、808は回転式であり、超音波溶着の当業者は、回転ホーンと、それらがどのように駆動されるかを理解するであろうが、その詳細はこの構成の理解には関係しない。回転ホーン及び固定アンビルを含む構成の一例は、2019年11月19日に付与された「Apparatus for fabricating an elastic nonwoven material」と題する米国特許第10,479,025号に示され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に開示された概念によると、2つの回転ホーン806、808は、
図8Aに示されるように提案され、そこでは両方のホーン806、808は、複数の層840a、840b(ただし、3つ以上が企図される)を有する部品810の両側に接触し、例えば、一緒に接合又は密封される複数の層を有する不織布材料は、2つのホーン806、808の間を、ホーンが同じ角速度ω1で回転しているときに通過する。ホーン806、808に与えられるそれぞれの超音波エネルギーの周波数及び位相は、本明細書に開示されるように同期され、部品810の層840a、840bの高品質のシール又は接合を、ホーン806、808の1回パスにおいて生成する。力は、ホーン806、808の間の部品810の層840a、840bに、部品810がそれらの間を通過するときに印加され得る。説明を容易にするために、層840a、840bの間の物理的分離は、
図8A及び
図8Bにおいて誇張され、それらが、それぞれのトランスデューサ102、104によって駆動されるデュアル回転ホーン806、808によってどのように一緒に接合されるかを示す。トランスデューサ102、104のそれぞれは、上記のような両方のトランスデューサ102、104へ超音波エネルギー出力を生成する1つ以上の超音波発生装置の対応する出力によって電力を供給され、周波数及び位相の両方で同期される。したがって、この構成では、ホーンの角速度ω1と、各ホーンに付与される超音波エネルギーの周波数と位相は同期して一致される。
【0079】
部品810の層840a、840bは、2つのホーン806、808の間に引き込まれ、2つのホーンは、同じ周波数及び位相を有する超音波エネルギーが両方のホーン806、808に同時に与えられる際に同じ角速度で回転している。周波数と位相が一致された超音波エネルギーを両方のホーン806、808に同時に付与することにより、エネルギーを与えられたスタックが1つしかない構成と比較して、エネルギーの振幅を減じることができ、これにより、プロセスウィンドウを拡大しながら、より高い処理能力(例えば、毎分2000フィートを超える)を生じる。
【0080】
部品の複数の層を一緒に密封する(密封される接合面を形成する)ための超音波溶着方法も開示される。この方法は、第1のホーンの第1の溶着面を対向する第2のホーンの第2の溶着面に向けて移動させて、第1の溶着面と第2の溶着面との間の間隙を、第1及び第2の溶着面が部品、例えば密封される部品のセクションに沿って異なる複数の層を有する部品に接触するまで閉じることを含む。部品の接触に応答して、この方法は、2つのホーンの間の部品のセクションに向けて、第1のホーンの出力を介した第1の超音波エネルギー及び第2のホーンの出力を介した第2の超音波エネルギーを付与し、その結果、第1及び第2の超音波エネルギーの周波数及び位相は、第1及び第2の超音波エネルギーが部品の両側に同時に適用されるときに同期され、それによって層を一緒に密封する。第1及び第2のホーンのそれぞれの出力先端は、互いに向き合うように配置される。重要なことに、ホーンの閉鎖と後退は、接合面を密封するために1回のみ発生し、焼付き(バーン)、視覚的なアーチファクトを引き起こすことなく、接合面に沿って空気又は液体の漏れを残さない。対照的に、従来のアプローチでは、シールを作成するために複数のホーンの動き(例えば、3回以上)を要し、これは時間がかかり、接合面の部分を焦がし(バーニングし)、特に接合面の薄い領域に望ましくない視覚的なアーチファクトを作る(例えば、ゲーブルトップをシールする場合)危険性が増す。
【0081】
本開示の態様は、いわゆるy溶着にも適用可能であり、そこでは溶着される領域が、超音波エネルギーが固体基板からホーンの外側の領域に移行するホーン出力又は表面から物理的に離れた位置にある。多くの用途では、ホーンの接触領域に関して接合の位置が重要になる場合があり、これは超音波エネルギーが材料を通過して所望する溶融領域に到達する必要があるためである。ニアフィールド及びファーフィールド溶着とは、超音波エネルギーがホーンの接触点から接合面まで伝達される距離を指す。例えば、ホーン出力又は表面と溶着される接合面との間の距離が1/4インチ(6mm)以下の場合、ニアフィールドと見なし得る。対照的に、距離が1/4インチ(6mm)より大きい場合、溶着はファーフィールドと見なし得る。可能な限り、ニアフィールドで溶着するのが常に最善である。これは、ファーフィールド溶着では、通常よりも高い振幅、より長い溶着時間、及びより高い力を、ニアフィールド溶着と同等に実現するのに要するためである。一般的に、ファーフィールド溶着は、非結晶性樹脂にのみ推奨され、非結晶性樹脂は半結晶性樹脂よりもエネルギーをより良く伝達する。しかしながら、本明細書に開示される2ホーン構成では、ファーフィールド溶着の用途は拡大され得て、それはエネルギーが接合面の2つの側面から同時に付与されるためである。
【0082】
本明細書に開示されるデュアルホーンの態様は、超音波援用金属伸線プロセス又は超音波援用金属成形プロセスにも適用可能である。従来の金属伸線又は成形プロセスは、硬鋼ダイなどに、ワイヤ又は金属がダイを通して引っ張られる際に超音波エネルギーを付与する1つの源を使用することを企図している。引っ張り力は非常に高く、最終的にはダイが鈍くなり、交換を必要とする。本開示は、周波数及び位相が同期された超音波エネルギーを、ワイヤ又は金属が外部の引っ張り力によってダイを通して引き抜かれるときに、ダイの両側に同時に付与することを企図している。エネルギーはダイに振動を生成させ、ダイを潤滑剤として機能させ、それによってダイを通してワイヤを引き抜くのに必要な力を減じる。ダイはより長い時間間隔での交換を要し、金属伸線又は金属成形を含むプロセスの処理能力を向上させるであろう。
【0083】
図9A~
図9Eに示されるような同期された超音波エネルギーを使用する超音波援用金属成形プロセスの例である。便宜上、本明細書で使用される「超音波溶着システム」は、
図9A~
図9Eに示されるような超音波援用金属成形プロセスを包含する。これらのプロセスは、伝統的又は従来の意味で部品を一緒に溶着しないが、本明細書に開示される同期された周波数原理を使用して動作し、超音波溶着システム下に含まれる。
図9Aは、伸線システム900の例示的な構成を示し、周波数及び位相が同期された超音波エネルギーをダイ902の様々な部分に付与する、複数の超音波スタック(トランスデューサ及びホーンを含む)904a、904b、904c、904dを備えたダイ902を有する。ダイ902は、この例ではホーンとして動作し、トランスデューサ904a、904b、904c、904dによってそれに与えられた超音波エネルギーに従い、振動運動で機械的に前後に振動する。伸線及び金属成形システムは当技術分野でよく知られており、それらの構成も当業者にはよく知られており、説明を容易にするためにここでは再現されない。基本構成は、ある種のダイ902を含み、
図9Aに示される例では、初期ゲージ又は厚さを有するワイヤが、ダイの間隙915を、典型的には引っ張ることによって通って引き抜かれるとき、ダイ902の間隙915が、終了直径よりも大きい開始直径を有することで、ワイヤ910の直径が、ダイ902を通して引っ張られるにつれて、所望のゲージ又は厚さ(912)に減少するように成形される。ワイヤ910は、ダイ902の間隙915を通って引き抜かれるときに、ダイ902の第1の部品接合面915及び第2の部品接合面917に押圧される。ここでの本発明の概念は、同期された(周波数と、更に位相において)超音波スタックの対を使用することであり、超音波スタックの対は、ダイ902(この超音波の実施形態では非共振部分になる)に、ダイ902の部分を機械的に振動させる方法でエネルギーを付与し、周波数同期された超音波エネルギーを使用しない従来の伸線技術に比べて多くの利点を生じる。非共振部分に超音波振動を付与するための例は、「Adapter for Ultrasonic Transducer Assembly」と題された米国特許第9,993,843号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
図9Aに示されるアセンブリ900では、トランスデューサ904a、904b、904c、904dを含む4つの超音波スタックがダイ902の周りに配置されて、ダイ902にトランスデューサ位置でエネルギーを付与する。実際の用途では、これらのスタックは対で展開され得る(例えば、904aと904d、又は904bと904c)。言い換えると、4つの超音波スタックが
図9Aに示されていても、スタックの単一の対、例えば、904aと904dが代わりに使用され得ることが企図される。この場合も、エネルギーは、1つの実施形態において図の波形例に示されるように、周波数及び位相が完全に同期される。別の実施形態では、周波数のみを同期させるが、4つの超音波スタック904a、904b、904c、904dの間で更に別の2つの位相を有することが有利であり得る。図に示される代表的な波形は、互いに同じ周波数と位相を有するように示されるが、任意のトランスデューサ間の位相は異なっているか、又は非同期であり得ることが理解される。トランスデューサ904a、904b、904c、904dを介してダイ(非共振部分として動作する)902を通して付与される同期されたエネルギーは、ダイ902を機械的に急速に(超音波エネルギーの周波数又はその周辺で)振動させ、ワイヤがダイ902の間隙915を通って引き抜かれる際に、ワイヤへの一種の潤滑剤として機能する。また従来の技術と比較して、より少ない引っ張り力ですみ、これは急速に振動する「潤滑」ダイ902が、より少ない力で、液体又は湿潤潤滑剤を使用せずに、ワイヤ910をより迅速にダイを通して引っ張ることを可能にするためである。この種の伸線は、乾式伸線と呼ばれ、潤滑剤や液体が伸線加工を容易にするためにワイヤとダイの接合面で使用されないためである。このプロセスによって引き抜かれるワイヤ910は、有用なことに、傷がほとんどないか全くない優れた、滑らかな表面仕上げを有し、より速い引き抜き速度、より低い引き抜き力をもたらし、ワイヤ-ダイ接合面で外部潤滑剤を使用する必要性を低減又は回避する。ワイヤ910は、銅、アルミニウム、又は別の任意の導電性金属若しくは金属合金から構成され得て、中実又は撚り線であり得る。
【0085】
図9Aに戻って、伸線の方向は、図を見ると左から右であり、ワイヤ910のより厚い部分は、ダイ902の間隙915の入力セクションを通って引かれ、ワイヤ912のより薄い部分をダイ902の出力セクションの右側に生成する。4つの超音波スタック904a、904b、904c、904dは、ダイ902の周りに配置され、超音波エネルギーがこれらのトランスデューサによってダイ902を通して付与されるときに、機械的に振動するホーンとして機能する。上部トランスデューサ904aは、ダイ902の上面に当接するように配置され、下部トランスデューサ904dは、ダイ902の底面に当接して配置される。上部トランスデューサと下部トランスデューサ904a、904dは、それぞれの超音波エネルギーを互いに向け、かつダイ902を通して引か抜かれているワイヤ910に向けるように配置される。これらのエネルギーは、周波数が同期され、必要に応じて位相も同期され得る。加えて、2つの別のトランスデューサ904b、904cは、ダイ902の出力セクションの上下でダイ902の端面に配置される。これらのトランスデューサ904b、904cは、それらのそれぞれの超音波エネルギーを互いに平行に、かつダイ902を通るワイヤ910の移動方向と反対の方向に向ける。これは、すべて同じ周波数で振動するダイ902内の調和された超音波エネルギーのランドスケープを生成し、これにより、ダイ902とワイヤ910との間の表面接合面は、複数の方向に迅速かつ均一に機械的に振動される。同期された周波数がないと、ダイ内の振動は均一ではなく、これはワイヤがダイを通して引き抜かれるときに望ましくない表面アーチファクトを生じさせ、及び/又はダイを通して引っ張られるときに、その直径に沿って異なる機械的応力又はひずみ、あるいは不均一な変形を生じさせ、ワイヤの一方の側がワイヤの他方の側とは異なる速度で引き抜かれることが起きる。
【0086】
別の超音波援用金属成形プロセス920が
図9Bに示され、そこでは、金属部品930は、ダイ922及びパンチ926によって支援される深絞り加工を受けている。3つの超音波トランスデューサ924a、924b、924cは、ダイ922及びパンチ926上に配置され、部品930の深絞り加工を容易にする。この例では、超音波スタック924cは、パンチ926に当接するように配置され、その超音波エネルギーをパンチが移動するのと同じ方向に向けて、部品930の深絞り加工を仕上げる。別の2つの超音波スタック924a、924bは、ダイ922の反対側の表面に当接するように配置され、その結果、それらのそれぞれのエネルギーは、互いに向けられ、かつパンチ-ダイ接合面を通して打たれる部品930に向けられる。トランスデューサ924a、924b、924cの超音波周波数は同期され、必要に応じて位相もまた同期され得る。代替的に、トランスデューサ924cによってパンチ926を通して付与される超音波エネルギーの位相は、トランスデューサ924a、924bによってダイ922の反対側に付与されるエネルギーの同期された位相に対して位相がずれ得る。部品930は、ダイ922の間隙925に受け入れられ、
図9Aに示されるダイ902と同様に、スタック924a、924bに対して非共振部分として動作する。ダイ922は、第1の部品接合面935及び第2の部品接合面937を有し、それらは深絞り加工を受けているときに部品930に接触する。ダイ922の同期された振動により、部品は、第1及び第2の部品接合面935、937(及びダイと接触する別の部品接合面)で、ダイに対して前後に振動され、主にこれらの表面は、深絞り加工中に変形又は曲げに関与する。
【0087】
押出タイプの超音波援用金属成形プロセス940は
図9Cに示され、そこでは金属部品950は、ダイ942の間隙945を通って押し出されるときに、金属部品950に対して押し付け力を付加するラム946によってダイ942を通して押し出される。
図9Aに示されるアセンブリと同様に、4つの超音波スタック944a、944b、944c、944dは、ダイ942の出力セクションの周りに配置され、それらの超音波エネルギー出力は、周波数と必要に応じて位相が同期される。このアセンブリ940における超音波スタック944a、944b、944c、944dの物理的配置は、
図9Aに示されるスタック904a、904b、904c、904dの配置と同様である。矢印は、スタック944a、944b、944c、944dのトランスデューサからのそれぞれの超音波エネルギー出力の方向を示し、これらは、部品950がダイ942を通してラム946の衝撃力によって押し出されるときに、ダイ942を通して供給される。ダイ942の少なくとも4つの部品接合面955a、955b、957a、957bがあり、部品が金属成形プロセスを受けるときに、部品950の対応する表面と接触する。
【0088】
鍛造型超音波援用金属成形プロセス960は
図9Dに示され、そこでは金属部品970はダイ962によって圧縮力を受ける。トランスデューサ964a、964b、964c、964dを含む4つの超音波スタックは、ダイ962のセクションに当接するように配置され、それらの超音波エネルギーは、周波数が同期され、必要に応じて位相も同期される。上部トランスデューサ964aは、ダイ962の上部セクションの上面に当接し、そのエネルギーを部品970に向かって下方に向けるように配置される。下部トランスデューサ964cは、ダイ962の下部セクションの底面に当接し、そのエネルギーを部品970及び上部トランスデューサ964aに向かって上方に向けるように配置される。
図9Dに示されるように、第1の側面トランスデューサ964dは、ダイ962の底部セクションの左側に当接し、そのエネルギーを、図に見られるように左から右にダイ962に向けるように配置される。第2の側面トランスデューサ964bは、ダイ962の上部セクションの右側に当接し、そのエネルギーを、第1の側面トランスデューサ964dのエネルギーと反対の方向に、右から左にダイ962に向けるように配置される。部品970は、間隙965に供給され、少なくともダイ962の第1の部品接合面975と、ダイ962の第2の部品接合面977とに接触し、この場合も、超音波エネルギーがホーン又はダイ962に付与されるときに、超音波非共振部分/ホーンのように動作する。この構成により、ダイ-部品接合面に一貫した均一な振動プロファイルが作成され、従来の金属鍛造加工と比較して、より高速で均一な圧縮が可能となる。
【0089】
圧延型超音波援用金属成形プロセス980は、
図9Eに示され、そこでは部品990は2つのロール982a、982bによって圧延力を受ける。部品990は、ロール982a、982bとの間の間隙985を通って矢印Aの方向に引き抜かれ、その結果、その断面積が減少される。部品992は、上部ロール982aの第1の部品接合面995と、下部ロール982bの第2の部品接合面997に接触する。第1の超音波スタック984aは、上部ロール982aに当接するように構成され、第2の超音波スタック984bは、下部ロール982bに当接するように構成される。超音波スタック984a、984bは、それぞれの超音波エネルギーを、矢印Aの方向に対して横方向又は直交する方向Bに出力するように配置される。このプロセス980は、外部潤滑剤を使用することなく、かつロール982a、982bを通して引き抜かれている部品990の表面にアーチファクトを作成することがなく、はるかに滑らかな圧延動作を生成する。
【0090】
図10は、本明細書に開示される超音波溶着システムのいずれかを組み込み得る2つのパッケージングシステムの2つの例示的な構成を示す。パッケージングの当業者は、機械が指向され得ることで、物質(食品、液体、粉末など)で充満されたパッケージ、パウチ、袋、又は他の容器が水平方向又は垂直方向に沿って形成されることを容易に理解するであろう。水平方向に配置されたパッケージングシステムは、水平フォーム・フィル・シール(HFFS)パッケージングシステムと呼ばれ、垂直方向に配置されたパッケージングシステムは、垂直フォーム・フィル・シール(VFFS)パッケージングシステムと呼ばれる。本明細書に開示される実装及び実施形態は、水平方向又は垂直方向に指向され得て、HFFS及びVFFSパッケージングシステムの両方に等しく適用される。
図10の左の図では、VFFSパッケージングシステム1000aの一例が示される。また、右の図では、HFFSパッケージングシステム1000bの一例が示される。繰り返しになるが、これは多くの構成の一例を示しており、パッケージングの当業者は、別の構成が
図10に示されているものとは異なることを理解するであろう。これらの例は、本明細書の超音波溶着システムをパッケージングシステムプロセスに導入して、部品を密封し、必要に応じて、物質で充填された単一化された部品に切断され得ることを説明する説明を容易にするためのものである。
【0091】
例示的なVFFSパッケージングシステム1000aは、フィルムのロール1002を含み、それはローラのシステムを通って成形チューブ1006に向かい垂直方向に運ばれ、その中の製品1004又は別の任意の物質がフィルムによって形成されたパウチ、ポケット、袋、又は容器に充填された後に密封ユニット1012に入り、必要に応じてフィルムを切断して部品を単一化し、それによってそれをフィルムのロール1002から分離し得る。本明細書に開示される超音波溶着システムのいずれかは、特に後続の図で説明されるものに限定されないが、
図10に示されるVFFSパッケージングシステムに示される密封ユニット1012として組み込み得る。
【0092】
例示的なHFFSパッケージングシステム1000bは、一連のローラ1022を通過して成形ボックス1030に向かうフィルムのロール1020を含み、そこでフィルムは折り畳まれて、パウチ又は別の容器を作製し、ベルトコンベヤ1024によって成形ボックス1030に向かって運ばれる製品又は物質1026を収容する。製品又は物質1026は、成形ボックス1030に入り、その上部がフィンシールローラ1034で密封されるまで、その中に緩く収容される。成形されるパウチ1048又はパッケージは、エンドシーラ及びカッタアセンブリ1040に入り、そこでパウチの側面が密封され、切断されて、パッケージ又はパウチ1050を単一化した後に、排出コンベヤ1042に渡される。成形されるパッケージ1048を2つの開口側面で単一化するために、シーラ及びカッタアセンブリ1040は、成形されるパッケージ1048がアセンブリ1040を通過する際に2パス(2回の処理)を行う必要がある。アセンブリ1040は、例えば、回転し得て、これは、本明細書に開示される任意の超音波溶着システムで置換され得るセクションである。本明細書の超音波溶着システムは、従来のシーラ及びカッタアセンブリに存在する多くの欠点を克服し、1パスのみで済み、より高品質の密閉性シールをもたらし、パッケージ1050の単一化の処理能力が向上する。従来のヒートシール技術と比較した追加の利点には、低減された機械のダウンタイムを含み、加熱又は冷却が必要なく、超音波エネルギーが直ぐに溶着に利用でき、溶着パラメータは即座に応答して動作中(on-the-fly)に変更され得て、超音波溶接(溶着)は製品とパッケージング材料に優しく、密封接合面に視覚的又はその他の望ましくないアーチファクトを生成せず、機械の停止位置でパッケージング又は材料がバーニングすることなく、フィルムの収縮がなく、パウチ又は容器内にパックされている製品に熱衝撃を与えない。熱シールは、パッケージ上部の幅が平均13mm(1/2インチ)になる傾向があるが、本開示による超音波密封は、幅1~2mm程度の狭いシールを生成し得る。また、幅の狭い高品質シールにより必要なヘッドスペースが小さくなり、過剰な酸素透過又は製品(袋)が幅広のシールに入り込むことがないため、袋又は容器をより小さくすることもできる。したがって、最大25%の材料削減は、より小さい袋のサイズと、全体的に小さいシールの占有面積によって達成され得る。
【0093】
図11Aは、同期された超音波エネルギーをホーン1110(
図12に示される)に付与するデュアル超音波トランスデューサを有する超音波援用「切断及び密封」アセンブリ1100の斜視図を示し、ホーン1110とアンビル1114a、1114bとの間に複数の層を有するロール1102を捕捉する。代替的に、ホーン1110は、より低い電力を溶着に必要とするが、依然としてホーンのスクラビング動作からの恩恵を受ける用途において、単一の超音波トランスデューサによって駆動され得る。この構成は、本明細書に記載される「スクラビング」動作を活用し、ロール1102内の2つ以上のフィルムを一緒に密封するのに特に効果的である。
図11A、11B、11C、11D、11E、11F、及び
図12を参照すると、ホーン1110、トランスデューサ1112a、1112b、及びアンビル1114a、1114bがどのように協力して、超音波エネルギーがロール1102にスクラビング動作を付加する一方で、ロール1102の2つの隣接するセクション1104の間のセクションにおいてロールを2つの場所で同時に密封し、同時に、必要に応じて切断動作を実行して、2つの密封されたセクションの間の領域を切断するかを示す。この場合も、これらの構成例はHFFSパッケージングシステムに適した水平方向で示されるが、これらの例はVFFSパッケージングシステムにも同様に適用され、垂直方向に向けることができる。フィルムパッケージングシステムの当業者は、本明細書の新規な発明概念を実施するために配向が重要ではないことを容易に理解するであろう。
【0094】
この例では、多数のパウチ又はポケット1104d、1104e、1104fは、ロール1102から作られ、それらはフィルム又は別の材料の2つの層1104a、1104bの間に形成され、また内容物(例えば、液体、食品、粉末など)で充填された後などに密封する必要がある。いわゆるピローパウチ又は袋はパッケージング産業でよく知られており、伝統的に、それらは連続ロールに沿って形成され、次に熱を使用して従来通りに密封され、その後、切断してパウチをロールから個別のアイテムに単一化される。請求された発明の実施に関連する構造及びデバイスのみが本明細書に記載されており、それはパッケージング技術、特にピローパウチパッケージングの当業者は、ロールを充填、密封、及び個々のパウチに切断するために使用される機械に非常に精通していると想定されるためである。
【0095】
本開示は、ピローパウチパッケージングの技術を、周波数及び位相が同期された超音波エネルギーをホーン1110に付与する少なくとも2つの超音波トランスデューサ1112a、1112bを導入することによって進歩させる。この構成の例は、
図11Aで見ることができる。トランスデューサ1112a、1112bは、ホーン1110に対して配置され、その結果、それらは、それぞれの超音波エネルギーを、互いに向かってホーンの中へ、ロール1102の移動方向を横切る方向に(例えば、矢印Xによって示される左から右へ)向ける。ロール1102がアンビル1114a、1114bとホーン1110との間をX方向に移動すると、アンビル1114a、1114b又はホーン1110、あるいはその両方が互いに向かって移動され、ロールのセクション1102aをそれらの間にクランプする。
図11Cは、ホーン1110とアンビル1114a、1114bとの間にクランプされる準備がほぼ整っているロールのセクション1102aを示す。
図11Dでは、ロールのセクション1102aは、ホーン1110とアンビル1114a、1114bとの間でU字型にクランプされて見ることができる。アンビル1114a、1114bは、
図11Dに示されるように、矢印A及びBの方向にそれらを動かすことによって一緒にクランプされ、同時にホーン1110は矢印Cによって示される双方向に上下に急速に振動される。ホーン(
図12のFEA分析を参照)のこの急速な上下の機械的動きは、トランスデューサ1112a、1112bによって付与される同期された超音波エネルギーによって引き起こされ、第1のホーン接合面11120a及び第2のホーン接合面1120b(
図11Eに最もよく見られる)に、接合面1120a、1120bとそれぞれのアンビル1114a、1114bとの間に閉じ込められたロール1110の部分に対して「スクラビング」動作を実行させて、単一パスで2つのシールを同時に作成する(例えば、前方パウチ1104dの後方とロール1102上の次のパウチ1102cの前方)。前進するロール1102は、超音波エネルギーが付与され得る間のみ一時停止する必要があり、その後、再開して次の前進するパウチ1104cを密封し得る。この急速な動きは、ロール1102の層の間に、ロール1102のセクション1102aに沿って同時に2つの場所で均一なシールを作成する。
図11Eに示されるように、ホーン1110の端部1122に形成された間隙又は谷1130bは、鋭い先端1124を有するオプションのブレード1116を受け入れることができ、これは、2つのシールがホーン接合面又は部品接合面1120a、1120bで形成されているのと同時に、ロール1102のセクション1140を切断することができ、これは
図11Fで最もよく見ることができる。このデュアル動作は、「切断及び密封」と呼ばれ、これは、これら2つの動作が同時に実行され、ロールの処理能力と、パウチ又は袋の単一化又は個別化を増すためである。2つのシールの間のセクションは、シール内間隙1102aと呼ばれる。アンビル1114aは、表面1123を有し、それはホーン1110の第1の部品接合面1120aに隣接するロール1102の部分1104を圧迫する。アンビル1114bはまた、表面1125を有し、それはホーン1110の第2の部品接合面1120bに隣接するロール1102の部分1104を圧迫する。
【0096】
図12は、同期された超音波エネルギーがデュアルトランスデューサ1112a、1112bによってホーン1110に伝達されているときのホーン1110の有限要素解析(FEA)の図である。ホーン1110の金属の応力及びひずみにより、ホーンは急速に拡張及び収縮され、それがスクラビング動作を生じ、接合面1120a、1120bが急速に前後に移動することを可能にする。この摩擦は均一な熱エネルギーを生成し、それは接合面1120a、1120bで同時に2つの場所においてロール上に密閉性シールを急速に作成する。金属の歪みは、このモデルでは、説明を簡単にするために誇張される。
【0097】
図13Aは、超音波援用「切断及び密封」アセンブリ1300の斜視図であり、同期された超音波エネルギーを共振ホーン1310に付与するデュアル超音波トランスデューサ1312a、1312bを有し、ホーン1310とアンビル1314との間に複数の層を有するロール、例えば1102を捕捉する。
図14Aは、超音波援用「切断及び密封」アセンブリ1400の斜視図であり、同期された超音波エネルギーを共振ホーン1410に付与するデュアル超音波トランスデューサ1412a、1412bを有し、ホーン1410とアンビル1414との間に複数の層を有するロール、例えば1102を捕捉する。代替的に、ホーン1310は、より低い電力を溶接に必要とするが、依然としてホーンのスクラビング動作からの恩恵を受ける用途において、単一の超音波トランスデューサによって駆動され得る。
図13A及び
図14Aを比較することによって分かるように、
図13Aの共振ホーン1310は、ホーン1310の端縁に沿って形成された短いスロット1311、1313を有する。
図13Cに示すように、出力面の近くに短いスロットを備えた共振ホーンは、スロットの内側の近くにノード(動きが最小の領域)を有し、ホーンの外側にアンチノード(活動が最大の領域)を有する。この動きは、
図13Cに示されるように前後にスクラビング動作を生み出す。
図14Aの共振ホーン1410は、ホーン1410の本体に沿って形成された長いスロット1411を有するが、それ以外の点では、アセンブリ1300、1400は同じである。オプションのブレード1316はアンビル1315に示され、これを用いて、
図13Bに示されるように、ホーン1310の指状部とアンビル1314との間の間隙1322によって画定される隣接する密封接合面の間の空間で切断動作を実行し得る。
図13Cは、位相のずれた超音波エネルギーがデュアルトランスデューサ1312a、1312bによってホーン1310の本体に付与されるときのホーン1310の2つのFEA画像を示す。ホーン1310の歪み又は変位は、説明を容易にするために誇張されているが、画像は、ホーン1310が矢印A及びBの方向に急速に前後に移動して、その端面にスクラビング動作を生み出す方法を示す。アンビル1314に圧迫されるとき、超音波エネルギーによってもたらされる熱を生成するスクラビング動作と、ホーン1310とアンビル1314との間のフィルムに圧迫される機械的力との組み合わせは、スクラビングが行われるフィルムの接合面に密閉性シールを生成する。このシールは、ホーンを内外に作動させることによって、又はホーンを連続的に回転させることによって、1回転につき2回フィルムに接触させることで生成され得る。
【0098】
図14Bは、
図14Aに示される共振ホーン1410の2つのFEA画像を示す。更に、歪みは、位相のずれた超音波エネルギーがデュアルトランスデューサ1412a、1412bによってホーン1410の本体を通過するときの、ホーン1410の移動の方向又は歪みを示すために誇張され、デュアルトランスデューサ1412a、1412bは、同期された周波数を有する超音波エネルギーを互いに向かってホーン1410に進める。スロット1411はわずかに歪んで、ホーン1410の機械的移動を可能にし、これは、スクラビングとして本明細書で呼ばれる迅速な前後動作を、アンビル1414に圧迫されるホーン1410の端面上に生み出す。ホーン1410は、連続的に内外に作動又は回転させることができ、その結果、1回転につき2回フィルムに接触する。
図14Bの長い方は、スロットの通過及びノード(活動が最小限の領域)を生ずる。アンチノード(最大動きの領域)はホーンの出力面で発生し、
図14Bに示すように前後にスクラビング動作を生み出す。
【0099】
図15Aは、2つの超音波スタックアセンブリ1512a、1512bの間に挟まれた従来技術の切断ブレード1502の上面図又は底面図である。
図15Bは、
図15Aに示される切断ブレード1502及び超音波スタックアセンブリ1512a、1512bの側面図である。切断ブレード1502は、食品の塊などの物質を貫いて切断するように構成された鋭さを有している、2つの切断エッジ1524a、1524bを有する。物質の種類は、本開示にとって重要ではない。この従来技術のアプローチの欠点は、切断ブレード1502が、このブレード1502の軸(及び切断エッジ)に沿った複数の節点(最小の運動活動の領域)に悩まされることである。その結果、これらの節点及びその近くでの切断は劣悪になるであろう。次に
図16~
図18に示される実施形態は、切断エッジに沿ったこれらの望ましくない節点を排除し、切断ブレードの切断エッジに沿って一定の振幅を確実にする。更に、
図15A及び15Bに示される切断ブレード1502は、切断ブレード1502の高さ以上の厚さを有する材料を貫いて切断するのには不十分である。
【0100】
図16Aは、同期された切断アセンブリ1600の回転可能な共振切断ブレード1602の斜視図であり、2つの超音波スタックアセンブリ1612a、1612bの間に挟まれ、超音波スタックアセンブリそれぞれのトランスデューサは同期された超音波エネルギー(周波数及び位相において)を切断ブレード1602に出力し、切断ブレードは共振ホーンのように動作する。代替的に、
図16Aに示されるホーンは、より低い電力を必要とする用途において単一の超音波トランスデューサによって駆動され得る。
図16Bは、
図16Aに示される切断ブレードアセンブリ1600の側面図である。
図16Cは、
図16Aに示される切断ブレードアセンブリ1600の端面図である。この例では、切断ブレード1602は、
図11Aのホーン1110に示されるものと同様の長いスロットを有し、スタック1612a、1612b及び切断ブレード1602を通る軸を中心に回転するように構成され得る。この回転の例は、
図17A~
図17Cに示される。切断ブレード1602が物質を貫いて切断しているとき、両方のスタックアセンブリ1612a、1612bは、同期された超音波エネルギーを切断ブレード1602に同時に導入し、ブレード1602を一方のスタック1612aに向かって、他方のスタック1612bから離れるように、及びその逆に、プッシュプル方式で振動させる。切断ブレード1602の切断エッジ1624a、1624bに沿って一貫した均一な振幅を生成することに加えて、ブレード1602は、ブレード1602の高さを超える厚さを有する材料を貫いて切断することができるという別の利点を有する。この実施形態の例は
図17に示される。
【0101】
図17Aは、
図16Aに示される回転可能な切断ブレードアセンブリ1600の斜視図であり、食品などの物質1700の厚い塊を貫いて切断する。
図17Bは、
図17Aに示される回転可能な切断ブレードアセンブリ1600の端面図であり、デュアル超音波スタックアセンブリ1612a、1612bが見られる。
図17Cは、
図17Aに示される回転可能な切断ブレードアセンブリ1600の側面図である。スタック1612a、1612bと共に切断ブレードアセンブリ1600全体は、スタック1612a、1612b及びブレード1602を通る軸を中心に回転するように構成され得て、これにより、厚い物質を、ブレード1602の高さを超える厚さであっても貫いて切断することが容易になる。ブレード1602がスタック1612a、1612bによって同時に付与される同期されたエネルギーによりプッシュプル振動を受け、物質1700をスライス又は貫いて切断するとき、ブレード1602はわずかに回転され得て、切断が真っ直ぐであることを確実にし、ブレード1602の非平坦な輪郭に対応する。
【0102】
図18Aは、切断ブレード1602の機能図であり、厚さT1を有する物質1800を通して、上部又は下部切断ブレード面1624a、1624bから切断するように構成される。この例では、T1はブレード1602の高さよりも小さく、切断ブレード1602のいずれかの切断面1624a、1624bは、物質1800を切断し得て、部品1850a、1850b、1850cなどに単一化する。
【0103】
図18Bは、切断ブレード1602の機能図であり、>>T1の、かつ切断ブレード1602の高さよりも大きい厚さT2を有する物質1802を貫いて切断するように構成される。この実施形態は、本明細書の同期された超音波スタックを活用して、同期された超音波エネルギーを、切断されている物質の厚さよりも低い高さを有する切断ブレードに付与し、単一化された物質の塊1852a、1852b、1852cなどを生成し得ることを実証する。
【0104】
図18Cは、切断ブレード1602を回転させて、物質の塊1804を切断ブレード1602の1回転ごとに少なくとも2回切断し、単一化された物質の塊1804a、1804b、1804cを生成する方法を示す機能図である。回転の前半の間、一方の切断ブレードエッジ1624aは、物質1804を切断し、1回転の後半の間、他方の切断ブレードエッジ1624bは、物質1804を貫いて切断する。物質1804の厚さは、切断ブレード1602の高さの半分未満であり、ブレード1602の回転が、ブレード1602に対して移動する通過する物質1804と干渉しないことを確実にする。
【0105】
図19A~
図19C、
図20A~
図20C、及び
図21は、
図12、
図13A~13C、及び
図14A~14Bに示されるものと同様のパドルホーンの異なるタイプを示す。パドルホーンは、上記の「スクラビング」動作を実行し、接合される部品(複数可)と接触する表面全体が横方向に沿って急速に前後に動くので(
図13C及び
図14Bの矢印A及びBを参照)、ホーンの両側の露出エッジ又は端面全体が、接合される部品(複数可)の中に超音波エネルギーを与えるために利用可能である。
図12、
図13A~
図13C、及び
図14A~
図14Bに示すホーンもまたこの利点を共有し、すなわち、ホーンの一端から他端までのエッジ表面全体が、接合される部品(複数可)の上又は中に超音波エネルギーを与えるために利用可能である。その結果、はるかに広い溶着領域が、パドルホーンによって覆われ得て、容器の上部に貼り付けられたフィルムなど、より長い、又はより大きな部品を接合できるようになり、パドルが回転すると、2つの溶着サイクルがホーンの単一360°回転において実行され得る。従来の密封用途と比較して、溶着接合面に熱は必要なく、又は熱を加えることなく、これは、超音波エネルギーが、部品を一緒に、例えばフィルムを容器に、又は2つのフィルムを接合するのに十分であり、熱エネルギーの付与がないためである。ここでのパドル形状ホーンは、ホーンがその横方向の寸法(回転軸に直角)に沿って拡張及び収縮することを可能にし、溶着接合面全体に沿って「スクラビング」運動を生じ、従来の用途で見られ得る場合がある「スエリング(swelling:膨張)」運動とは異なる。このようなスエリング運動は、はるかに小さく、かつ信頼性の低い溶着領域を生じる。
【0106】
本明細書に開示されるパドルホーンは、不均一なフィルム層を密封するのに特に効果的であり、例えば接合されるフィルムの総厚が溶着の長さに沿って変化する場合である。通常、従来の用途を使用すると、このような不均一な厚さにより不均一な溶着が生じるが、本明細書に開示される超音波駆動されるパドルホーンでは、溶着接合部は均一で密閉性である。
【0107】
ホーンは金属製であり得て、固定フレーム又は構造物に確実に取り付けられ得て、そのため、ホーンの回転は均一でぐらつき難く、パッケージング及び不織布用途を含む多くの用途で、無数の溶着において、より高速で一貫した、再現性の高い高品質の溶着が可能になる。
【0108】
図19A及び
図19Bは、2つの異なるパドル「クロスシール」形状のホーン1910を示し、ホーン1910はパドルの回転軸に対して横方向に形成された2つの細長いスロット1911を有する。
図19Aのホーン1910は、複数のスケーリング突起1936を有するが、
図19Bのホーン1910は、ホーン1910のエッジ表面に沿って単一のスケーリング突起1934を有する。スケーリング突起1934は、複数の異なるタイプの製品を同じホーン1910を使用して溶着することを可能にし、溶着領域が従来のスクラビングタイプのホーンと比較してはるかに大きくなるように設計され得る。超音波エネルギーは、回転軸に沿ってホーンの全長1924にわたって利用可能であり、大きい領域溶着を可能にする。デュアル超音波ブースタ1912a、1912bは、対応する超音波トランスデューサ(例えば、
図21に示すトランスデューサ2112a、2112bのような)に接続されており、上述したように、同期した超音波エネルギーをホーン1910に付与し、それは回転軸と平行なパドルの両側のホーン1910の端面又はエッジ面全体に到達する。
図19Cは、ホーン1910の誇張されたFEA解析の図であり、スロット1911によってホーン1910がその回転軸に沿って横方向にどのように拡張及び収縮して、ホーン1910の面のエッジ全体に沿って前後のスクラビング運動を生み出すかを示している。任意選択のスケーリング突起1934、1936は、超音波エネルギーがホーン1910全体に与えられるにつれて、ホーン1910が溶着表面全体に沿って急速に前後に移動するときに、溶着表面をスケーリングする。
【0109】
図20A、
図20B、及び
図20Cは、異なる数のスロット2011を有するホーン2010の(議論を容易にするための)誇張されたFEA解析の図である。スロット2011の数はホーン2010の長さに比例し、その結果、ホーンが長いほど、より多くのスロット2011が図示のようにその長さに沿って形成される。いずれの場合も、溶着は、ホーン2010の露出面のエッジの全長2024に沿って達成される。デュアル超音波ブースタ2012a、2012bは、対応する超音波トランスデューサ(例えば、
図21に示すトランスデューサ2112a、2112bのような)に接続され、上述したように、同期した超音波エネルギーをホーン2010に付与し、それは回転軸と平行なパドルの両側のホーン2010の端面又はエッジ面全体に到達する。
【0110】
図21は、熱を使用することなくクロスシール溶着動作を実行可能な別の形状のパドルホーン2110を示し、拡大部分2113を有する3つの鍵穴形状スロット2111を用いて溶接を作製し、ホーン2110の露出エッジ表面2130a、2130bに沿った(矢印Hの方向に沿った)動きの横方向の移動を容易にする。対応する超音波ブースタ2112a、2112bに結合されたデュアル超音波トランスデューサは、上述したように、同期された超音波エネルギーをホーン2110に付与し、これは、回転軸と平行なパドルの両側のホーン2110の端面又はエッジ面全体に達し、均一な溶着シールを、ホーン2110の両側の端面又はエッジ面の全長に沿って接合される部品上に形成することを可能にする。代替的に、片側のみが密封に使用される場合は、他方の側は、最初の側が摩耗したときに使用され得る。この例では、ホーンを180°反転させることで、未使用の側を使用して密封を継続し、ホーンの動作寿命を、保守又は機械加工が必要になるまで、効果的に2倍にし得る。
【0111】
上述の
図13C、
図14B、
図16A、
図19A~
図19C、
図20A~
図20C、及び
図21に示したホーンは、次に説明する設計原理によりスクラビング動作を生成する。超音波ホーンは、動作中に励起される自然な共振が得られるように設計される。多くの共振がこのサイズの構造に存在する。コンピュータシミュレーションを使用して、ホーン構造を調整し、望ましい動作方向と均一性を備えた共振を得るのと同時に、他の望ましくない共振を周波数の点から遠ざけることができる。
【0112】
これらの共振は、それに取り付けられたブースタ及びトランスデューサとは独立してホーン構造内に存在することに留意する必要がある。ブースタの目的は、機械的なサポートを提供し、トランスデューサとともに入力振動を提供して前述の自然共振を励起することである。ブースタ及びトランスデューサは、共振の動作方向には実質的な影響を与えず、共振の振幅のみに影響を与える。
【0113】
図22及び
図23は、従来の伸び共振を使用する2つのタイプの従来技術のホーンを示し、構造の移動の方向はホーンを伸長するように設計される。簡潔な伸びタイプの超音波ホーンは、長年産業界で活用されている。
図22に示される従来技術の垂直方向に向けられたホーン2210のFEAの例では、垂直方向に向けられたホーン2210は、付与される超音波周波数の半波長(λ/2)に対応する高さを有し、ホーン2210のほぼ中央領域(λ/4)に示されるノード2252を有する。ここでのノードとは、最小限の、又は最小の振幅と、最大限の、又は最大のひずみの領域を指す。2つのアンチノード2250、2254が、細長いホーンの上部領域と下部領域に出現する。アンチノードとは、最大限の振幅と最小限のひずみの領域である。ホーン2210の中央部のノードと両端部のアンチノードの位置の結果として、ホーン2210は、その長さに沿って伸び、超音波トランスデューサ(図示せず)によって付与される周波数に応じて、
図22に示すように上下方向に移動する。
【0114】
同様に、
図23は、付与される超音波周波数の1波長(1λ)に対応する長さを有する、従来技術の水平方向に向けられた金属接合ホーン2310を示す。ここで、2つのノード2352、2354は、ホーン2310の長さに沿って約λ/4及び3λ/4に現れ、2つのアンチノード2356、2358はホーン2310の端部にあり、ホーン2310は、通常、ブースタ又はその他の固定構造物に固定される。振動はセクション2362に沿って生じ、ホーン2310のその長さに沿った伸び運動を生成する。
図22及び
図23に示される従来技術のホーンによって生成される伸び運動は、本明細書に開示されるようなホーンの全幅(例えば、最長寸法)にわたるスクラビング動作を生成するのではなく、はるかに小さい、限定された領域においてのみ生じるであろう。
【0115】
伸長ホーンを使用するが、側面に接触するスクラブタイプのホーンは、
図13A~
図14B及び
図19A~
図21に示すホーンのように、スクラビング効果を生じる。
図24は、前後のスクラビング動作を生成する、上に示したものと同様のホーン2400のFEA解析を示す。このホーン2400は、チタンを含む金属で構成され得て、付与される超音波周波数(例えば20kHz)の1波長(1λ)に対応する高さを有する垂直方向に向けられたホーンである。高さ寸法の例には、ホーンの全体構成に応じて、半波長(λ/2)につき4.6インチ+/-0.25インチを含む。これらの寸法は単なる例示であり、当業者は、付与される超音波エネルギーの波長及び周波数に基づいて本開示の教示を使用して寸法をどのように適合させるかを理解し得ることを強調する必要がある。スクラビング効果を生成するために、2組のノード2450、2452(最小限の、又は最小の振幅と最大限の、又は最大のひずみの領域)が、ホーン2400の高さ(1λ)に沿った各λ/4セクションに配置される。対照的に、2つのアンチノード2454、2456は、ホーン2400の両端部2430a、2430bに配置される。ホーン2400は、例えばそれぞれのブースタ(図示せず)によって点2440、2442の間に固定される。単一の超音波トランスデューサ(図示せず)は、ホーン2400を駆動して、ノード2450、2452及びアンチノード2454、2456の位置により、端部2430a、2430bに沿ってスクラビング動作を生じることができ、それらが連携して、単一の超音波トランスデューサであってもスクラビング動作を生成する。
【0116】
複数のスロット2411は、ホーン2400の長さに沿って形成され得て、スロットの数は、上述のようにホーン2400の長さに関連付けられ得る。
【0117】
二重サポートのパドル形状ホーンの場合、トランスデューサを1つにするか2つにするかの選択は、必要な入力電力レベルに基づく。2つのトランスデューサを使用する場合、プッシュ/プッシュ又はプッシュ/プルの選択は、ホーンに設計された動作によって決定されるが、2つのホーンの用途では、プッシュ/プッシュ又はプッシュ/プルは、ホーンの設計とは独立して選択され得る。2つのホーンの実施形態は、上記の
図2~
図3に示す固有の利点を有する。
【0118】
いくつかの材料は、本明細書に開示される同期されたデュアルホーン超音波エネルギー付与を用いる密封又は溶着に適していると本明細書に記載され、プラスチック及び不織布フィルムが挙げられるが、本開示は、別の種類の同じ又は異なる材料を一緒に密封又は溶溶着することを企図し、ポリエステルをアルミニウムに印刷し、次にポリエチレンにラミネートして作製されたパウチ、アルミニウムを含む金属、金属箔、布、フィルム、ポリエチレン被覆ファイバボード又は液体板紙などが挙げられる。本明細書のスクラビング動作又はクロスシール及び他のすべての態様は、単層プラスチックフィルム、PLA、バイオプラスチック、バイオポリマ、生分解性ポリマ、又はリサイクル可能な材料に特によく適しており、これらはヒートシールには特に適していないが、超音波エネルギーがシール接合面に付与されるときに非常によく密封する。より薄い層は、本明細書に開示される態様により、一貫して、更に密閉性に密封され得る。対照的に、従来のヒートシール技術は、特定の幅と厚さを有する数種類のフィルムにのみ使用され得て、最小限の幅は、本明細書に開示される超音波技術で可能であるよりもはるかに大きい。
【0119】
本明細書に開示されるシステム及び方法の利点は、以下を含む。
【0120】
プロセス速度の向上。超音波エネルギーの複数のサイクルと付与を必要とする従来の超音波溶着技術と比較して、本明細書のシステム及び方法は、様々なパッケージング、形状、及び材料の密閉性シールを作成するために1サイクルのみを要する。
【0121】
同じ又は異なる材料を介したシール。密閉性シールは、2つの対向するホーンを通して与えられる同期された超音波エネルギーの1回付与によって、材料又はその厚さの均一性に関わらず形成される。
【0122】
より広いプロセスウィンドウパラメータを用いる溶着結果の一貫性、再現性。2つのホーンが同じ超音波エネルギー(同じ周波数と位相)を同時に付与するため、エネルギーの振幅が効果的に2倍になり、従来技術と比較してより広いプロセスウィンドウパラメータが可能になる。
【0123】
生産領域におけるハウスキーピング(維持管理)、より環境に優しいプロセス(超音波溶着はヒートシール技術よりもはるかに少ないエネルギーで済む)。シールを作成するために熱エネルギーの付与を必要とするヒートシール技術と比較して、比較による超音波エネルギーは、より少ないエネルギーを使用し、1秒の何分の1、例えば0.35秒又はそれより速くシールを作成する。
【0124】
バイオプラスチック及び溶着適合性の低い材料を含む新しい材料を使用可能。周波数と位相に同期され、かつ必要に応じてホーンの振動によって生成されるスクラビング動作と結合されるデュアルホーンのセットアップは、一貫して高品質な密閉性シール又は溶着を作成するために利用できる材料、接合面、及び形状の利用可能な組み合わせを大幅に拡張する。
【0125】
廃棄物と遅延の削減、歩留まりの改善。従来技術では、一貫性のないシールが、時には小さな漏れを伴い生成され、或いはバーン又は別の視覚的なアーチファクト(偽像)が生じ、一部の部品を廃棄する必要があり、全体的な歩留まりが低下する場合がある。
【0126】
より狭いシール生成による材料の節約。密封される接合面又は領域は、従来技術と比較して非常に小さくなり得て、使用される全体的な材料を少なくできる。何百万もの部品が密封又は溶着されている場合、1部品あたりの材料のわずかな減少が、全体の材料の大幅な減少を生じ得る。
【0127】
チャネル漏れの排除。従来技術は、空気、病原体、及び/又はカビが存在する機会を生み出す可能性のある小さな漏れを生成する場合があるが、本開示のシステム及び方法は、視覚的なアーチファクトを作成することなく、かつシールの接合面でバーン(焼け)を引き起こすことなく、漏れを排除する。これにより、パッケージ/容器内の製品の保存期間が延長され得て、製品をより長距離に輸送可能にする。熱シールと比較して、本明細書の超音波技術は漏れ率を1.5%から、約0.87~0.50%に低減し、年間数百万個のパッケージを節約し、埋め立て廃棄物を削減する。
【0128】
注ぎ口をパウチに溶着するような製造プロセスの複雑さを減じることが、この技術を用いた1回パス又はサイクルにおいて実行され得る。比較により、同じ注ぎ口とパウチの溶着は、現在、従来の超音波溶着技術を使用して3回パス又はサイクルで実行されている。
【0129】
接合領域での液体又は製品汚染を、超音波スタックからの超音波エネルギー(振動)により排除する。更に、液体が望ましくない(例えば、ブリックパック組立ラインにおいて)、垂直又は水平のパッケージング機械の2つの接合間の液体含有を排除することができる。
【0130】
ヒートシールとは異なり、超音波密封はシール内部のみに熱を生成し、シールの外には熱を生成しない。例えば、プロテインを含む含水食品及びパウチ入り甘飲料、又はサラダ、若しくは粉末製品などの用途では、熱エネルギーを密封過程中に内容物に中に導入しないことが重要である。本明細書に開示される態様を使用する超音波エネルギーは、製品内容物の中への熱衝突を防止する。超音波密封では、望ましくない熱伝導がパッケージの内容物又は材料の中に広がる前に、密封層は分子層で結合する。本明細書の超音波技術を使用すると、パッケージングは、パッケージング及び供給材料の種類にとって、より「穏やかに」閉鎖され得る。収縮と漏れは、最小限に抑えられるか、ほぼ完全に排除される。本明細書の超音波技術の振動運動はまた、潜在的な汚染物質を振動させてシール領域から遠ざけることができるという利点がある。これは従来の熱印加では不可能である。
【0131】
更に、より多くの高精度のデジタルパラメータ制御オプションが、本明細書に開示される超音波技術を使用して利用可能である。一方、ヒートシール付与では、温度、圧力、及び時間の設定を調整することができ、本明細書で開示される超音波印加は、デジタル制御を使用して非常に正確に調整され得る次のパラメータを有する。動作周波数、ツール振幅、溶着モード(時間、エネルギー、又はコラプス距離による)、速度、トリガ力、シール力、保持時間、不合格品制限と、品質保証、トレサビリティ、及び規制要件のためのデータ取得である。
【0132】
上述のように、本明細書に開示される超音波の実施形態は、より小さいパッケージサイズと、より小さいシール幅を生じ、したがって各パッケージの材料が節約される。次の表1は、そのような節約の一例を示す。
【表1】
【0133】
以下の表2は、本明細書に開示される超音波の実施形態を使用してカーボンインパクトを低減する総電力節約を示す。
【表2】
【0134】
本明細書に開示される超音波の実施形態は、単一材料、又は多層ではなく単層を有する材料に特によく適する。しかし、単一材料は、支持層が機械的及び熱的に安定していないため、フィルム収縮の影響を多く受ける。密封継ぎ目の外観は、結果として損なわれる場合がある。超音波密封は、冷たいツールによりこれを抑制し、これは、ダウンタイムと、一部の従来の用途で使用される高温テフロンテープなどの摩耗材料の必要性にプラスの効果を与える。超音波エネルギーは密封時のみ必要となるため、従来の熱シールプロセスのように高い待機電力を消費する必要がない。超音波印加のツールは、最初に加熱する必要がなく、すぐに使用できる状態である。
【0135】
図25を参照すると、本開示のいくつかの実装による超音波溶着システム2500が示される。システム2500は、第1のホーン2510、第2のホーン2530、複数のトランスデューサ2550A~2530D、複数のブースタ2560A~2560D、コントローラ2570、及びメモリ2580を含む。本明細書に記載されるように、システム2500を使用して、1つ以上の部品(例えば、本明細書に記載される例示的な部品のいずれか)を超音波溶着し得る。
【0136】
第1のホーン2510及び第2のホーン2530は、本明細書に記載の他のホーン(例えば、ホーン1410)と同一又は同様である。第1のホーン2510及び第2のホーン2530は、それぞれの長手方向軸の周りを360°回転させ得て(例えば、1つ以上のモータ又はアクチュエータを介して)、その結果、溶着される部品が第1のホーン2510と第2のホーン2530との間を通過し得て、第1のホーン2510と第2のホーン2530のそれぞれの部品接合面に接触又は係合する。トランスデューサ2550A~2550Dは、第1のホーン2510及び第2のホーン2530に超音波エネルギーを与え、その結果、それぞれの部品接合面がスクラビング動作で前後に振動して、部品が第1のホーン2510と第2のホーン2530のそれぞれの部品接合面の間を通過するときに溶着を形成する。この超音波エネルギーは、第1のホーン2510及び第2のホーン2530の回転中に与えられ得る。
【0137】
複数のスロット2516A~2516Bは、第1のホーン2510の主面に沿って形成され、上述したスロット1411(
図14A~
図14B)と同一又は同様である。複数の開口2518A~2518Dはまた、第1のホーン2510の同じ主面に沿って形成される。溶着動作中、複数のスロット2516A~2516B及び複数の開口2518A~2518Dはわずかに歪み、ホーン2510の機械的な動きを可能にし、これにより、本明細書では第1のホーン2510の第1の部品接合面2512及び第2の部品接合面2514上でスクラビングとして説明される急速な往復動作を生じる。
【0138】
図26A~
図26Bを参照すると、第1のホーン2510は、第1の部品接合面2512、第2の部品接合面2514、複数のスロット2516A~2516B、及び複数の開口2518A~2518Dを含む。本明細書に記載されるように、第1の部品接合面2512及び第2の部品接合面2514は、(例えば、第1のトランスデューサ2550A、第2のトランスデューサ2550B、又は両方を介して)第1のホーン2510に与えられる超音波エネルギーに応じて、それらの長さに沿って前後に振動する。第1の部品接合面2512及び第2の部品接合面2514はまた、第1のホーン2510の長手方向軸の周りを、第1のホーン2510が回転されるときに回転する。例えば、第1の部品接合面2512及び第2の部品接合面2514の両方は、第1のホーン2510の1回転(長手方向軸の周りに360°)中に部品又は材料(例えば、フィルム)と接触し得る。
【0139】
図26Bに示すように、第1のホーン2510の第1の部品接合面2512は、第1の部品接触部分2520A及び第2の部品接触部分2520Bを含み、第1のホーン2510が溶着される部品に係合するのを補助する。第1のホーン2510が回転すると、第1の部品接触部分2520A及び第2の部品接触部分2520Bは溶着される部品に接触し、その部品を、概して第1のホーン2510が回転する方向に引っ張るか又は付勢する。第1の部品接触部分2520A及び第2の部品接触部分2520Bはそれぞれ、溶着される部品との係合を補助するために(例えば、直線ではなく、又は直角ではなく)湾曲するか、又は角度が付けられる。換言すれば、湾曲した、又は角度を付けた輪郭は、これらの部分が直角に形成されている場合よりも、より緩やかに溶着される部分を係合する(例えば、締め付ける)のを補助する。これは、第1のホーン2510と接触するときに潜在的に変形、引き裂き、又は断裂する可能性がある比較的薄い材料を溶着する場合に特に有利である。第1の部品接触部分2520Aと第2の部品接触部分2520Bの角度は、例えば、約1°~約5°の間であり得る。
【0140】
第2のホーン2530は、本明細書で説明される第1のホーン2510と同じ又は同様である。
図27に示すように、第2のホーン2530は、第1の部品接合面2532及び第2の部品接合面2534を含み、これらは、第1のホーン2510の第1の部品接合面2512及び第2の部品接合面2514と同一又は同様である。第2のホーン2530の第1の部品接合面2532及び第2の部品接合面2534は、第1のホーン2510について上述したものと同じ又は同様の湾曲した、又は角度を付けた部品接触部品を有し得る。
【0141】
図25に戻って参照すると、複数のトランスデューサ2550A~2530Bは、本明細書に記載される他のトランスデューサと同一又は同様であり、第1のホーン2510及び第2のホーン2530に超音波エネルギーを与える。特に、
図25に示す例では、第1のトランスデューサ2550A及び第3のトランスデューサ2550Cは、第1のホーン2510に超音波エネルギーを与え、第2のトランスデューサ2550B及び第4のトランスデューサ2550Dは、第2のホーン2530に超音波エネルギーを与える。第1のトランスデューサ2550Aは、第1のホーン2510の第1の端部上に、又はそれに隣接して配置され、第3のトランスデューサ2550Cは、第1のホーン2510の第2の反対側の端部上に、又はそれに隣接して配置される。同様に、第2のトランスデューサ2550Bは、第2のホーン2530の第1の端部上に、又はそれに隣接して配置され、第4のトランスデューサ2550Dは、第2のホーン2530の第2の反対側の端部上に、又はそれに隣接して配置される。
【0142】
複数のブースタ2560A~2560Dは、本明細書に記載の他のブースタと同一又は同様であり、複数のトランスデューサ2550A~2550Dによって与えられる超音波エネルギーを増幅する。
図25に示す例では、第1のブースタ2560Aは、第1のトランスデューサ2550Aと第1のホーン2510との間に配置され、第2のブースタ2560Bは、第2のトランスデューサ2550Bと第2のホーン2530との間に配置され、第3のブースタ2560Cは、第3のトランスデューサ2550Cと第1のホーン2510との間に配置され、第4のブースタ2560Dは、第4のトランスデューサ2550Dと第2のホーン2530との間に配置される。
【0143】
システム2500は
図25において、第1のトランスデューサ2550A、第2のトランスデューサ2550B、第3のトランスデューサ2550C、第4のトランスデューサ2550D、第1のブースタ2560A、第2のブースタ2560B、第3のブースタ2560C、及び第4のブースタ2560Dのそれぞれを含むものとして示されるが、一方で、4つ未満のトランスデューサ及び/又は4つ未満のブースタを含む1つ以上の代替システムが形成され得る。例えば、第1の代替システムは、第1のトランスデューサ2550A及び第2のトランスデューサ2550Bを含み得るが、第3のトランスデューサ2550C、第4のトランスデューサ2550D、第1のブースタ2560A、第2のブースタ2560B、第3のブースタ2560C、又は第4のブースタ2560Dを含まない。この第1の代替システムでは、第1のホーン2510は第1のトランスデューサ2550Aに直接結合され、第2のホーン2530は第2のトランスデューサ2550Bに直接結合される。別の例として、第2の代替システムは、第1のトランスデューサ2550A、第2のトランスデューサ2250B、第1のブースタ2560A、及び第2のブースタ2560Bを含み得るが、第3のトランスデューサ2550C、第4のトランスデューサ2550D、第3のブースタ2560C、又は第4のブースタ2560Dを含まない。別の例として、第3の代替システムは、第1のトランスデューサ、第2のトランスデューサ、第3のトランスデューサ、及び第4のトランスデューサを含み得るが、第1のブースタ、第2のブースタ、第3のブースタ、及び第4のブースタを含まない。
【0144】
コントローラ2570は、1つ以上のプロセッサ2572を含む。コントローラ2570は、一般に、システム2500の様々な構成要素(例えば、トランスデューサ2550A~2550D)を制御し(例えば、作動させ)、並びに/あるいはシステム2500の構成要素によって取得及び/又は生成されるデータを分析するために使用される。プロセッサ2572は、汎用又は専用のプロセッサ又はマイクロプロセッサであり得る。コントローラ2570は、単一のハウジング内であり得るか、又は互いに離れて配置され得る任意の数のプロセッサ(例えば、1つのプロセッサ、2つのプロセッサ、5つのプロセッサ、10個のプロセッサなど)を含み得る。コントローラ2570(又は任意の他の制御システム)、あるいはコントローラ2570の一部分、例えばプロセッサ2572(又は任意の他のプロセッサ(複数可)又は任意の他の制御システムの部分(複数可))などを使用して、本明細書に記載及び/又は特許請求される方法のいずれかの1つ以上のステップを実行し得る。コントローラ2570は、集中化(1つのそのようなハウジング内)又は分散化(物理的に別個である、2つ以上のそのようなハウジング内)され得る。コントローラ2570を含んでいる2つ以上のハウジングを含むそのような実装では、そのようなハウジングは、互いに近接して及び/又は離れて配置され得る。
【0145】
メモリ2580は、コントローラ2570のプロセッサ2572によって実行可能な機械可読命令を格納する。メモリ2580は、任意の適切なコンピュータ可読記憶デバイス又は媒体であり得て、例えばランダム又はシリアルアクセスメモリデバイス、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリデバイスなどである。システム2500は、任意の適切な数のメモリデバイス(例えば、1つのメモリデバイス、2つのメモリデバイス、5つのメモリデバイス、10個のメモリデバイスなど)を含み得る。コントローラ2570と同様に、メモリ2580は、集中化(1つのそのようなハウジング内)又は分散化(物理的に別個の2つ以上のそのようなハウジング内)され得る。
【0146】
本明細書に記載されるように、コントローラ2570は、とりわけ、複数のトランスデューサ2550A~2550Dに超音波エネルギーを第1のホーン2510及び第2のホーン2530に対して与えさせ、それぞれの部品接合面を同じ方向又は異なる方向に前後に振動させ得る。
図27を参照すると、コントローラ2570は、第1のホーン2510及び第2のホーン2530を、例えば、矢印Aの方向、矢印Bの方向、又はその両方に移動させ得る。いくつかの実装では、コントローラ2570は、第1のホーン2510を矢印Aの方向に移動させ、同時に(例えば、両方とも1回目に)第2のホーン2530を矢印Bの方向に移動させる。図示のように、矢印Aの方向は矢印Bの方向と反対である。次に、コントローラ2570は、第1のホーン2510を矢印Bの方向に移動させ、同時に(例えば、両方とも1回目に続く2回目に)、第2のホーン2530を矢印Aの方向に移動させ得る。第1のホーン2510と第2のホーン2530によるこの一連の動きは、1回以上繰り返され得る。このような実装では、第1のホーン2510と第2のホーン2530の動きは位相がずれていると考えられ得る。
【0147】
別の実施形態では、コントローラ2570は、第1のホーン2510と第2のホーン2530の両方を矢印Aの方向に同時に(例えば、1回目に)移動させる。換言すれば、そのような実装では、第1のホーン2510と第2のホーン2530は同じ方向に移動する。このような実装では、コントローラ2570は、第1のホーン2510と第2のホーン2530の両方を矢印Bの方向に同時に(例えば、1回目に続く2回目に)移動させ、その後、この一連の動きを1回以上、繰り返し得る。このような実装における第1のホーン2510及び第2のホーン2530の動きは、同位相であると考えられ得る。
【0148】
いくつかの実装では、コントローラ2570は、第1のホーン2510に与えられる第1の超音波エネルギーの周波数、第1のホーン2510に与えられる第1の超音波エネルギーの位相、第2のホーン2530に与えられる第2の超音波エネルギーの周波数、第2のホーン2530に与えられる第2の超音波エネルギーの位相、又はそれらの任意の組み合わせを制御する。
【0149】
第1の例示的な実装では、コントローラ2570は、第1のホーン2510に付与される第1の超音波エネルギーの周波数を、第2のホーン2530に付与される第2の超音波エネルギーの周波数と一致させるが、それぞれの超音波は位相が異なる。この例では、一致する、又は同期された周波数は同じであるか(例えば、両方の周波数が約20kHzである)、あるいは実質的に同じである(例えば、両方の周波数が互いに約±2Hz以内である)。第1のホーン2510に与えられる第1の超音波エネルギーの位相は、第2のホーン2530に与えられる第2の超音波エネルギーの位相とは180°位相ずれしている。付与される超音波エネルギーの位相が異なる場合、第1のホーン2510と第2のホーン2530は反対方向に移動する(例えば、第1のホーン2510は第1の方向に移動し、一方、第2のホーン2530は第1の方向とは反対の第2の方向に移動する)。2つのホーン(例えば、第1のホーン2510と第2のホーン2530)を使用することは、1つのホーンとアンビルを使用することと比較して有利であり、なぜならば、例えば、第1のホーン2510と第2のホーン2530の位相が異なる場合、溶着される部品に付与される超音波パワーの振幅が、ホーンを1つのみ使用した場合と比べて2倍になるためである。
【0150】
第2の例示的な実装では、コントローラ2570は、第1のホーン2510に付与される第1の超音波エネルギーの周波数及び位相を、第2のホーン2530に付与される第2の超音波エネルギーの周波数及び位相と一致させる。整合周波数は同じであるか(例えば、両方の周波数が約20kHzである)、又は実質的に同じである(例えば、両方の周波数が約±2Hz以内である)。付与された超音波エネルギーの位相が一致すると、第1のホーン2510と第2のホーン2530の動きが同期される(例えば、第1のホーン2510と第2のホーン2530が同時に同じ方向に移動する)。
【0151】
第3の例示的な実装では、コントローラ2570は、第1のホーン2510に付与される第1の超音波エネルギーの周波数及び位相を制御し、それとは無関係に、第2のホーン2530に付与される第2の超音波エネルギーの周波数及び位相を制御する。例えば、コントローラ2570は、両方のホーンの超音波周波数を実質的に同一又は同様にさせ得る(例えば、両方の周波数が±500Hz以内である)。一例では、両方の周波数は約20kHzに維持される。位相は互いに無関係であるが(例えば、位相が一致されることなく、又は位相が180°ずらされることはない)、溶着される部品に付与される有効振幅は、単一の超音波ホーンのみが溶着動作で使用された場合の振幅よりも大きくなる(例えば、振幅は、第1のホーン2510と第2のホーンの一方のみがアンビルとともに使用された場合の振幅よりも約1.4倍大きくなる)。
【0152】
第4の例示的な実装では、コントローラ2570は、第1のホーン2510に付与される第1の超音波エネルギーの周波数及び位相が、第2のホーン2530に付与される第2の超音波エネルギーの周波数及び位相と実質的に異なるようにする。非限定的な一例では、第1のホーン2510のための第1の超音波エネルギーの周波数は約20kHzであり、第2のホーン2530のための第2の超音波エネルギーの周波数は約35kHzである。
【0153】
上記の第1、第2、第3、及び第4の例示的な実装のそれぞれは、コントローラ2570を使用するものとして説明されているが、コントローラ2570と同一又は同様である複数のコントローラが、このような実装では使用され得ることを理解されたい。例えば、第3及び第4の例示的な実装では、第1のコントローラを第1のホーンに使用し、第2のコントローラを第2のホーンに使用し得る。
【0154】
図28を参照すると、本開示のいくつかの実装による部品を溶着するための方法2800が示される。方法2800の1つ以上のステップ又は態様は、本明細書に記載されるシステム2500の任意の要素又は態様を使用して実装され得る。
【0155】
ステップ2801は、第1のトランスデューサに、第1の超音波エネルギーを第1のホーンに対して与えさせて、第1のホーンの第1の部品接合面をその長さに沿って前後に振動させることを含む。例えば、コントローラ2570は、第1のトランスデューサ2550A、第3のトランスデューサ2550C、又は両方に、第1の超音波エネルギーを第1のホーン2510に対して与えさせ得る。第1の超音波エネルギーは、コントローラ2570によって制御される第1の周波数を有し得る。
【0156】
ステップ2802は、第2のトランスデューサに、第2の超音波エネルギーを第2のホーンに対して与えさせて、第2のホーンの第2の部品接合面をその長さに沿って前後に振動させることを含む。例えば、コントローラ2570は、第2のトランスデューサ2550B、第4のトランスデューサ2550D、又は両方に、第2の超音波エネルギーを第2のホーン2530に対して与えさせ得る。第2の超音波エネルギーは、コントローラ2570によって制御される第2の周波数を有し得る。
【0157】
ステップ2803は、溶着される部品を、第1のホーンの第1の部品接合面と第2のホーンの第2の部品接合面との間で移動させることを含む。例えば、コントローラ2570は、溶着される部品(例えば、フィルム)を、第1のホーン2510の第1の部品接合面2512と第2のホーン2530の第2の部品接合面2532との間に通過させ得る。代替的に、コントローラ2570は、溶着される部品を、第1のホーン2510の第2の部品接合面2514と第2のホーン2530の第2の部品接合面2534との間に通過させ得る。ステップ2803は、ステップ2801とステップ2802の一方又は両方の前、後、又は同時に実行し得る。
【0158】
ステップ2804は、第1のホーンを、1回目に溶着される部品に対して第1の方向に移動させることを含む。例えば、コントローラ2570は、第1のホーン2510を、溶着される部品に対して第1の方向に移動させ得る。ステップ2804は、ステップ2801の前、後、又は同時に実行し得る。
【0159】
ステップ2805は、第2のホーンを、1回目に溶着される部品に対して第2の方向に移動させることを含む。本明細書に記載されるように、第2の方向は、例えば、(1)第1の方向と異なるか(例えば反対方向)(位相はずれている)、又は(2)第1の方向と同じ(同じ位相)のいずれかであり得る。ステップ2805は、ステップ2804及びステップ2802の一方又は両方の前、後、又は同時に実行し得る。
【0160】
方法2800はまた、第1のホーン及び第2のホーンをそれぞれの長手方向軸の周りに回転させることを含み得る。例えば、コントローラ2570は、(例えば、1つ以上のモータ又はアクチュエータを介して)第1のホーンを第1の回転速度で回転させ、第2のホーンを第2の回転速度で回転させ得る。第1の回転速度と第2の回転速度は同じであっても異なっていてもよい。
【0161】
方法2800の1つ以上のステップを1回以上繰り返して、複数の溶着を実行し得る。例えば、方法2800は、フィルムが第1のホーンと第2のホーンの間を通過するときに、各ホーンのそれぞれの部品接合面が、第1のホーンと第2のホーンの回転ごとに2回フィルムに接触するように繰り返すことができる。
【0162】
図29を参照すると、前後のスクラビング動作を生成する、上記と同様のホーン2910のFEA解析を示す。この例では、ホーン2910は、ホーン2910の第1の端部(例えば、超音波エネルギーがホーン2910に与えられる場所)に配置された第1のアンチノード2920A、ホーン2910の反対側の第2の端部に第2のアンチノード2920B、ホーン2910の第1の部品接合面上の第3のアンチノード2920C、第1の部品接合面の反対側であるホーン2910の第2の部品接合面上の第4のアンチノード2920D、及びアンチノード2920E~2920Iを含む。更に、ノード2930A~2930Jは、ホーン2910に沿った様々な位置に配置される。特に、ノード2930A~2930Eは、第1の部品接合面とホーン2910の中心長手軸との間に配置され、一方、ノード2930F~2930Jは、第2の部品接合面とホーン2910の中心長手軸との間に配置される。本明細書に記載されるように、アンチノードは、超音波エネルギーの振幅が、動作中にホーン2910内で最大又はそれに近い位置である。対照的に、ノードは、超音波エネルギーの振幅が、動作中にホーン2910内で最小又は近い位置である。
【0163】
以下の請求項1~54のいずれか1つ以上からの、1つ以上の要素、態様、若しくはステップ、又はそれらの任意の部分(複数可)は、請求項1~54の別のいずれか1つ以上からの1つ以上の要素、態様、若しくはステップ、又はそれらの任意の部分(複数可)と組み合わせられて、本開示の1つ以上の追加の実装及び/又は請求項を形成し得る。
【0164】
本開示は、1つ以上の特定の実施形態又は実装を参照して説明されてきたが、当業者は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの変更を加えることができることを認識するであろう。これらの実装及びその明白な変形のそれぞれは、本開示の趣旨及び範囲内に入ることが企図される。本開示の態様による追加の実装は、本明細書に記載される実装のいずれかからの任意の数の特徴を組み合わせ得ることも考えられる。
【国際調査報告】