(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】フラットベルトと端子との挿着構造及び自動車
(51)【国際特許分類】
H01R 13/03 20060101AFI20240903BHJP
H01R 4/62 20060101ALI20240903BHJP
C23C 28/02 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H01R13/03 D
H01R4/62 A
C23C28/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509115
(86)(22)【出願日】2022-08-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 CN2022110787
(87)【国際公開番号】W WO2023020313
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】202110944194.0
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522388383
【氏名又は名称】長春捷翼汽車科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Changchun JETTY Automotive Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 957, Shunda Road, High-tech Development Zone, Chaoyang District Changchun City, Jilin Province, 130000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】王 超
【テーマコード(参考)】
4K044
【Fターム(参考)】
4K044AA06
4K044BA06
4K044BA08
4K044BA10
4K044BB03
4K044BC01
4K044CA13
4K044CA14
4K044CA15
4K044CA18
(57)【要約】
本発明は、フラットベルトと端子との挿着構造及び自動車を提供し、電気的接続素子の技術分野に関し、当該フラットベルトと端子との挿着構造は、フラットベルトと、挿着端子と、を含み、前記フラットベルトには、挿着部が設けられ、前記挿着端子は、少なくとも1つの端子積層シートを含み、前記端子積層シートは、挿着端と、ケーブルと接続される接続端とを有し、前記挿着部は、前記挿着端に挿着して係合されるように構成された。本発明によれば、フラットベルトが銅製端子を介して他の端子と接続しなければならないという技術的課題を解決された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットベルトと端子との挿着構造であって、
前記挿着構造は、フラットベルトと、挿着端子と、を含み、
前記フラットベルトには、挿着部が設けられ、
前記挿着端子は、少なくとも1つの端子積層シートを含み、
前記端子積層シートは、挿着端と、ケーブルと接続される接続端とを有し、
前記挿着部は、前記挿着端に挿着して係合されるように構成された、フラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項2】
前記挿着部には、遷移層が設けられた、請求項1に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項3】
前記遷移層は、電解めっき、無電解めっき、マグネトロンスパッタリング、真空めっき、圧力溶接、拡散溶接、摩擦溶接、抵抗溶接、超音波溶接又はレーザ溶接のうちの1つまたは複数によって、前記挿着部の表面に付着された、
請求項2に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項4】
前記遷移層の厚さは、0.3μm~3000μmである、請求項2に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項5】
前記遷移層の厚さは、2.5μm~1000μmである、請求項4に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項6】
前記遷移層の材質は、ニッケル、カドミウム、マンガン、ジルコニウム、コバルト、錫、チタン、クロム、金、銀、亜鉛、錫鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀、銀金ジルコニウム合金のうちの1つまたは複数を含む、請求項2に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項7】
前記挿着端子は、前記端子積層シートを複数含み、
複数の前記端子積層シートは、積層されて設けられた、請求項1に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項8】
前記挿着端には、少なくとも2つの接続アームが設けられ、
隣接する2つの前記接続アームの間には、挿着溝が設けられた、請求項1に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項9】
隣接する2つの前記端子積層シートの前記接続アーム間の隙間が0.2mm未満である、 請求項8に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項10】
前記接続アームの少なくとも一部の材質は、記憶合金である、請求項8に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項11】
前記記憶合金の変態温度は、40℃~70℃であり、
前記接続アームの温度が当該変態温度より低い状態では、複数の前記接続アームが拡張状態にあり、
前記接続アームの温度が当該変態温度より高い状態では、複数の前記接続アームがクランプ状態にある、
請求項10に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項12】
前記接続端には、端子固定部が設けられ、
複数の前記接続アームのそれぞれの一端が前記端子固定部に固着された、請求項8に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項13】
隣接する2つの前記端子固定部は、圧着または溶接または螺着またはかしめ接続または継ぎ接合によって接続された、請求項12に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項14】
隣接する2つの前記端子積層シートの接続アーム同士が接触して係合された、請求項8に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項15】
前記接続アームの内側には、接続アームの延伸方向に間隔を置いて分布している突起部が複数設けられた、請求項8に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項16】
前記接続端は、平面内または非平面内に設けられた折り曲げ延長部を含み、
前記折り曲げ延長部は、折り曲げ角度が0°~180°の範囲内にある、請求項1に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項17】
前記フラットベルトは、折り曲げ部を含み、
前記フラットベルトの本体と前記挿着部は、前記折り曲げ部を介して接続された、請求項1に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項18】
前記挿着部には、面取りが設けられた、請求項1に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項19】
前記端子積層シートの材質は、テルル銅合金である、請求項1に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項20】
前記端子積層シートの材質におけるテルルの含有量が、0.1%~5%である、請求項19に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項21】
前記端子積層シートの材質は、ベリリウム銅合金である、請求項1に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項22】
前記端子積層シートの材質におけるベリリウムの含有量が、0.05%~5%である、請求項21に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項23】
前記端子積層シートの材質におけるベリリウムの含有量が、0.1%~3.5%である、請求項22に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項24】
少なくとも前記挿着端には、めっき層が備えられた、請求項1に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項25】
前記めっき層の材質は、金、銀、ニッケル、錫、亜鉛、錫鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀、銀金ジルコニウム合金のうちの1つまたは複数を含む、請求項24に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項26】
前記めっき層は、下地層と表層を含む、請求項24に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項27】
前記めっき層は、電解めっき、無電解めっき、マグネトロンスパッタリング、又は、真空めっきの方式によって設けられた、請求項24に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項28】
前記下地層の材質は、金、銀、ニッケル、錫、錫鉛合金、および亜鉛のうちの1つまたは複数を含み、
前記表層の材質は、金、銀、ニッケル、錫、錫鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀、銀金ジルコニウム合金のうちの1つまたは複数を含む、
請求項26に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項29】
前記下地層の厚さは、0.01μm~12μmである、請求項26に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項30】
前記下地層の厚さは、0.1μm~9μmである、請求項26に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項31】
前記表層の厚さは、0.5μm~50μmである、請求項26に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項32】
前記表層の厚さは、1μm~35μmである、請求項26に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項33】
前記端子積層シートの接続端には、めっき層が備えられた、請求項24に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項34】
前記挿着端におけるめっき層と前記接続端におけるめっき層は、材質が異なる、請求項33に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項35】
前記挿着端におけるめっき層と前記接続端におけるめっき層は、厚さが異なる、請求項33に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項36】
前記フラットベルトと前記挿着端子の間の挿着力は、3N~150Nの範囲内にある、請求項1に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項37】
前記フラットベルトと前記挿着端子の間の挿着力は、10N~95Nの範囲内にある、請求項36に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項38】
前記フラットベルトと前記挿着端子の間の接触抵抗は、9mΩ未満である、請求項1に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項39】
前記フラットベルトの材質は、アルミニウムを含む、請求項1に記載のフラットベルトと端子との挿着構造。
【請求項40】
請求項1~38のいずれか1項に記載のフラットベルトと端子との挿着構造を備えた、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、特許出願番号が202110944194.0であり、出願日が2021年8月17日であり、発明名称が「フラットベルトと端子との挿着構造および自動車」である中国特許出願の優先権を主張している。
【0002】
本発明は、電気的接続素子の技術分野に関し、特に、フラットベルトと端子との挿着構造及び自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
電気的接続分野において、銅線による接続のコストがますます高くなるので、銅の代わりとして、コストがより低く、導電性能が優れている材質が望まれる。アルミニウムは、良好な導電性を有する金属として、銅材料の代替材料とされて、電気的接続分野でより多く応用されることができる。
【0004】
ケーブルの柔軟性に対する要求が厳しくない使用環境において、多芯ケーブルの代わりに、中実のフラットベルトが用いられてもよく、取り付けを容易にすることができる。しかしながら、アルミニウムは、活性金属であり、表面には、緻密な酸化膜が形成されているため、一般的には、金属アルミニウムで対向挿着プラグを製造することではなく、アルミニウム製フラットベルトの端部に銅製端子を接続し、他の端子と挿抜接続しなければならない。
【0005】
また、銅とアルミニウムの間の電位差が大きいため、ガルバニック腐食が発生しやすい。よって、アルミニウム製フラットベルトと銅製端子の間には、一般的に、摩擦溶接、超音波溶接などによって接続され、工程が複雑で、加工コストが高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、フラットベルトが銅製端子を介して他の端子または電力装置と接続されしなければならないという技術的課題を解決するために、フラットベルトと端子との挿着構造及び自動車を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、以下の技術案によって実現されてもよい。
【0008】
本発明は、フラットベルトと端子との挿着構造であって、フラットベルトと、挿着端子と、を含み、
前記フラットベルトには、挿着部が設けられ、
前記挿着端子は、少なくとも1つの端子積層シートを含み、前記端子積層シートは、挿着端と、ケーブルと接続される接続端とを有し、前記挿着部は、前記挿着端に挿着して係合されるように構成された、フラットベルトと端子との挿着構造を提供する。
【0009】
本発明は、上記フラットベルトと端子との挿着構造を備えた自動車を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以下のような特徴及び利点を有する。
【0011】
1、当該挿着構造では、遷移層が設けられたことで、フラットベルトと挿着端子の間における電気化学反応の発生を低減することができ、フラットベルトが銅製端子を介して他の端子または電力装置と接続しなければならないという技術的課題を解決した。
【0012】
2、複数の端子積層シートは、積層されて配置されている。端子積層シートが変形されやすいので、フラットベルトとの挿着が可能である。フラットベルトと端子積層シートの挿着端とが接触して電気的接続を実現させることによって、挿着端子とフラットベルトとの接続の安定性を確保することができる。
【0013】
3、当該挿着構造では、フラットベルトそのものが端子の機能を発揮し、フラットベルトが挿着端子と直接に接続されたことで、フラットベルトと銅製端子との接続によるコストが高く、効率が低いという課題を解決し、安全的かつ迅速的な挿抜が可能となる。
【0014】
4、本発明における挿着端子は、テルル銅合金が用いられたことで、端子は、優れている導電性および快削性を有するようになり、電気学上の性能が確保されるとともに、加工性も向上させることができる。また、テルル銅合金は、弾性が優れている。
【0015】
5、本発明における挿着端子には、めっき層が設けられたことで、防食性能をより良く向上させることができる。好ましくは、複合めっき層が用いられたことで、めっき層の堅牢性をより良く向上させることができ、多数回の挿抜が行われた後でも、依然として、めっき層が脱落しないように確保され、耐食性も確保されることができる。
【0016】
6、本発明における挿着端子におけるめっき層は、異なる材質及び厚さを有するように設定され、挿着端子における異なる位置でのめっき層の材質及び厚さを設定することによって、めっき層材料の節約を図り、端子のコストを低減することができる。
【0017】
7、本発明におけるオーバハングアーム同士の間には、隙間が設けられ、その隙間によって放熱が可能となり、フラットベルトと挿着端子の間における温度上昇の課題を解決された。
【0018】
以下の添付図面は、本発明に対する概略的な説明や解釈するために用いられ、本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】本発明が提供するフラットベルトと端子との挿着構造の構造模式図
【
図1B】本発明が提供するフラットベルトと端子との挿着構造の構造模式図
【
図2】
図1Aに示された挿着構造におけるフラットベルトの構造模式図
【
図3】本発明が提供する挿着構造における挿着端子の一実施形態の構造模式図
【
図4】本発明が提供する挿着構造における挿着端子の一実施形態の構造模式図
【
図5】本発明が提供する挿着構造における挿着端子の一実施形態の構造模式図
【
図6】本発明が提供する挿着構造における挿着端子の一実施形態の構造模式図。
【
図7】本発明が提供する挿着構造における挿着端子の一実施形態の構造模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の技術的特徴、目的、および、効果をより明瞭に理解してもらうために、以下は、添付図面を参照しながら、本発明の具体的な実施形態を説明する。本発明の記載では、別途で説明する場合を除き、「複数」は、2つまたは2つ以上のことを意味している。
【0021】
方案一
本発明はフラットベルトと端子との挿着構造を提供し、挿着構造は
図1A~
図3Aに示されるように、フラットベルト1と、挿着端子2と、を含み、フラットベルト1には、挿着部12が設けられ、挿着端子2は、少なくとも1つの端子積層シート3を含み、端子積層シート3は、挿着端31と、ケーブルと接続される接続端32とを有し、挿着部12は、挿着端31と挿着して係合することができる。
【0022】
好適な実施例では、挿着端子2は、複数の端子積層シートを含み、複数の端子積層シートは、積層されて設けられた。
【0023】
一実施形態では、挿着部12には、遷移層11が設けられた。
【0024】
該挿着構造では、遷移層11により、フラットベルト1と挿着端子2の間における電気化学反応の発生を低減することができ、複数の端子積層シート3は、積層されて分布している。端子積層シート3が変形されやすいので、フラットベルト1との挿着が可能である。フラットベルト1と端子積層シート3の挿着端31とが接触して電気的接続を実現させることによって、挿着端子2とフラットベルト1との接続の安定性を確保することができる。当該挿着構造では、フラットベルト1そのものが端子の機能を発揮し、挿着端子2と直接に接続されたことで、フラットベルト1と銅製端子との接続においてコストが高く、効率が低いという課題を解決し、安全的かつ迅速的な挿抜が可能となる。
【0025】
一実施形態では、遷移層11は、電解めっき、無電解めっき、マグネトロンスパッタリング、真空めっき、圧力溶接、拡散溶接、摩擦溶接、抵抗溶接、超音波溶接又はレーザ溶接の方式のうちの1つまたは複数によって、挿着部12の表面に付着された。
【0026】
電解めっき方式とは、電解原理を利用して、金属の表面に、他の金属又は合金をめっきし薄いめっき層を1層形成するプロセスである。無電解めっき方式とは、金属による触媒作用下で、制御可能な酸化還元反応により、金属を堆積させるプロセスである。マグネトロンスパッタリング方式とは、磁界と電界の交互作用により、電子をターゲット表面近傍で螺旋状に運動させることにより、電子がアルゴンガスに衝突してイオンを発生させる確率を増大させ、発生されたイオンが、電界による作用で、ターゲット面に衝突してターゲットからスパッタリングされる方式である。真空めっき方式とは、真空条件下で、蒸留又はスパッタリングなどの方式により、金型の表面に各種の金属及び非金属の薄膜を堆積させることである。圧力溶接とは、溶接の対象に対して圧力を印加することによって、接合面を緊密に接触させてある程度の塑性変形を発生させて溶接を完成する方法である。摩擦溶接方式とは、ワークの接触面上の摩擦によって生じた熱量を熱源として、ワークを圧力による作用で塑性変形させて溶接する方法である。抵抗溶接方式とは、強い電流が電極とワークの間の接触点を流れることにより、接触抵抗が熱量を発して溶接を実現させる方法である。超音波溶接方式とは、高周波振動波を2つの溶接対象となる物体の表面へ伝達させ、加圧された場合、2つの物体の表面を互いに摩擦させて分子層間の融合を形成することである。レーザー溶接方式とは、エネルギー密度が高いレーザビームを熱源とする高効率な精密溶接方法である。拡散溶接方式とは、ワークを高温で加圧するが、目で見える変形や相対的移動がないようにする固体溶接方法である。上記複数の溶接方式のうちの何れか1つまたはそれらの組合せによって、遷移層11を挿着部12の表面に安定的に設置することができる。
【0027】
一実施形態では、遷移層11の厚さは、0.3μm~3000μmであり、好ましくは、遷移層11の厚さは、2.5μm~1000μmである。
【0028】
遷移層11の厚さの異なりによる電圧低下への影響を測定するために、発明者は、同じ材質及び同じ構造を有する挿着端子を用いて、フラットベルトに厚さがそれぞれ異なる遷移層11を設置し、挿着後の電圧の低下を測定した。
【0029】
本実施例では、フラットベルトと端子との挿着構造における電圧低下が4mV未満である状況を不合格とする。
【0030】
表1 遷移層の厚さの異なりによる電圧低下(mV)への影響
【0031】
【0032】
表1におけるデータから分かるように、遷移層11の厚さが3000μmより大きくまたは0.3μm未満である場合、フラットベルトと端子との挿着構造における電圧低下が4mV未満であり、要求値を満たさない。その場合、挿着構造の力学上の性能及び電気学上の性能が低下する。そのため、発明者は、遷移層11の厚さを0.3μm~3mmに設定した。ここで、遷移層11の厚さが2.5μm~1000μmの範囲内にある場合、フラットベルトと端子との挿着構造における電圧低下は最適な値になる。そのため、好ましくは、発明者は、遷移層11の厚さを2.5μm~1000μmに設定した。
【0033】
一実施形態では、遷移層11の材質は、ニッケル、カドミウム、マンガン、ジルコニウム、コバルト、錫、チタン、亜鉛、クロム、金、銀、錫鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀、銀金ジルコニウム合金のうちの1つまたは複数を含む。
【0034】
遷移層11の材質の異なりによるフラットベルト1の全体的性能への影響を検証するために、発明者は、同じ仕様と同じ材質を有するが、遷移層11の材料が異なる挿着端子2の試料に対して、同じ仕様のフラットベルト1を用いて、挿抜回数及び耐腐食性時間に関する一連の測定を行った。選定された材料および他の汎用的な遷移層11の材料のそれぞれのメリット及びデメリットを検証するために、発明者は、同様に、錫、ニッケル、亜鉛を実験用の遷移層11の材質として選択した。実験結果を表2に示す。
【0035】
表2における挿抜回数の測定は以下のように行われる。フラットベルト1をそれぞれ、実験台に固定して、機械装置により、挿着端子2に挿抜の操作を模擬させ、且つ、100回の挿抜操作が行われたたびに、一旦、停止して、フラットベルト1の表面における遷移層11の破壊状況を観察する。フラットベルト1における遷移層11に擦過傷が現われてフラットベルト1そのものの材質が露出すると、実験を終了させて、そのときの挿抜回数を記録する。本実施例では、挿抜回数が8000回よりも小さい状況を不合格とする。
【0036】
表2における耐腐食性時間の測定は以下のように行われる。フラットベルト1を塩水噴霧試験箱内に置いて、フラットベルト1における各位置に対して塩水噴霧を行い、20時間おきにフラットベルト1を取り出して表面の腐食状況を観察する。そのような一連の操作を1サイクルとする。そして、フラットベルト1の表面における腐食面積が総面積の10%超過となったときに、測定を終了させて、そのときのサイクル数を記録する。本実施例では、サイクル数が80回よりも小さい状況を不合格とする。
【0037】
表2 遷移層の材質の異なりによるフラットベルトの挿抜回数及び耐食性への影響
【0038】
【0039】
表2からも分かるように、遷移層11の材質は、汎用的な金属錫、ニッケル、亜鉛を含む場合、その実験の結果が選定された他の金属の場合と比べて、多少差がある。これに対して、選定された他の金属の実験結果は、標準値よりも大きく超えたので、性能が比較的安定したことが明らかになった。そのため、発明者は、遷移層11の材質が、ニッケル、カドミウム、マンガン、ジルコニウム、コバルト、錫、チタン、クロム、金、銀、亜鉛、錫鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀、銀金ジルコニウム合金のうちの1つまたは複数を含むように設定した。より好ましくは、遷移層11の材質は、カドミウム、マンガン、ジルコニウム、コバルト、チタン、クロム、金、銀、錫鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀、銀金ジルコニウム合金のうちの1つまたは複数を含むように設定した。
【0040】
一実施形態では、端子積層シート3の挿着端31には、少なくとも2つの接続アーム33が設けられ、接続アーム33の各々が固着され、隣接する2つの接続アーム33の間には、挿着溝34が設けられ、挿着部12は、挿着溝34内に挿着されて、接続アーム33と電気的に接続されることが可能である。接続アーム33によって、フラットベルト1の挿着部12をクランプして、フラットベルト1と挿着端子2とを固定し、両者間の接触面積を大きくすることで、電気的接続の信頼性を確保する。接続アーム33の幅または端子積層シート3の数を調整することにより、クランプ力の大きさを制御し、フラットベルト1との係合を容易にして、挿着に対する異なる要求に適合できる。
図3~
図4に示されるように、端子積層シート3は、2つの接続アーム33を含み、2つの接続アーム33の間には、1つの挿着溝34が形成され、フラットベルト1が当該挿着溝34に挿着されてもよい。端子積層シート3における接続アーム33の数は、3つ以上であってもよい。端子積層シート3は、複数の挿着溝34を含み、複数のフラットベルト1が同時に、挿着端子2に挿着され係合された。
【0041】
幾つかの実施形態では、隣接する2つの端子積層シート3の接続アーム間の隙間が0.2mm未満である。接続アーム33同士の間には、隙間が設けられた。隙間が設けられる目的の一つは、隣接する接続アームの間には、空気が流れて、フラットベルト1と挿着端子2の間の温度上昇を低下させて、挿着構造における遷移層11とめっき層を保護して、挿着構造の使用寿命を長くことであり、もう1つの目的は、接続アーム33そのものの弾性力を解放させることができ、対向する接続アーム33同士の間の挟持力を確保することで、フラットベルト1と挿着端子2の間の挿着力を確保することである。しかし、隣接する接続アーム33の間における隙間は、大きいほど良いものではない。隣接する2つの端子積層シート3の接続アーム33の間における隙間が0.2mm超過である場合、その放熱機能が補強されることがなく、それどころか、同じ接触面積を有する接続アーム33が占めている幅が大きくなり、使用空間が無駄になってしまうこととなる。また、端子固定部が密着して接続されたので、その場合、同じ接触面積を有する接続アームは、より大きな体積の端子固定部を必要とし、端子の使用量が多くなり、挿着構造のコストが増加した。
【0042】
幾つかの実施形態では、接続アーム33の少なくとも一部の材質は、記憶合金である。記憶合金は、記憶力を有するスマート金属であり、その微細構造には、2つの相対的に安定した状態がある。そのような合金は、高温では、所望の任意の形状に変化されることができ、低温では、引っ張られることができるが、改めて加熱されると、元の形状を覚えて戻る。記憶合金は、その変態温度以上と変態温度以下における結晶構造が異なるが、温度が変態温度よりも高温に変化しまたは変態温度よりも低温に変化すると、記憶合金が収縮したり、膨張したりするようにして、その形態が変化するようになる。
【0043】
幾つかの実施形態では、記憶合金の変態温度は、40℃~70℃であり、接続アーム33の温度が当該変態温度よりも低い状態では、複数の接続アーム33が拡張状態になり、接続アーム33の温度が当該変態温度よりも高い状態では、複数の接続アーム33がクランプ状態にある。
【0044】
一般的には、変態温度は、40℃~70℃の範囲から選択される。その理由は以下の通りである。変態温度が40℃未満すると、電流がまだ導通していない場合、挿着端子2の環境温度が40℃近く達する可能性がある。その場合、複数の接続アーム33がクランプ状態になり、挿着端子2の挿着溝34が小さくなるので、フラットベルト1が挿着溝34に挿入されることができなくなる。そうすると、フラットベルト1と挿着端子2との挿着構造の挿着ができなくなり、作業もできなくなる。
【0045】
幾つかの実施例では、記憶合金はニッケルチタン合金である。
【0046】
室温では、フラットベルト1と挿着端子2とが挿着された後、電流が導通できるようになる。挿着された直後、複数の接続アーム33が拡張状態にあるため、フラットベルト1と挿着端子2との接触面積が小さく、電流が大きいので、挿着された後の接続アーム33の温度が上昇していく。変態温度が70℃超過となると、端子の温度上昇の時間が長くなり、フラットベルト1と挿着端子2との挿着構造が長時間にわたって大電流の状態にあるので、電気的に老化してしまうことがある。ひどい場合に、フラットベルト1と挿着端子2との挿着構造は過負荷となって損害を受けて、不要な損失が生じてしまうこともある。
【0047】
そのため、一般的には、記憶合金の変態温度は、40℃~70℃の範囲内にあるように設定される。
【0048】
一実施形態では、接続端32には、端子固定部37が設けられ、各接続アーム33の一端が端子固定部37に固着され、接続アーム33は、端子固定部37によってケーブルと接続されたことによって、電気的接続の安定性が確保された。端子固定部37とケーブルの導電部分は、圧着、溶接、螺着、かしめ接続、又は、継ぎ接合の方式によって接続された。
【0049】
端子固定部37の構造態様は、1つの態様のみに限定されるものではない。第1態様では、端子固定部37は、一体成形された構造であり、各接続アーム33の一端がそれぞれ、端子固定部37に固着されてもよい。第2態様では、端子固定部37は、接続アーム33の一部であり、各端子積層シート3において、端子固定部37と接続アーム33が一体化された構造であり、そして、挿着端子2における複数の端子固定部37が積層されて設けられてもよい。
【0050】
上記第2態様を基にして、発明者は、隣接する2つの端子積層シート3の端子固定部37が、圧着、溶接、螺着、かしめ接続、又は、継ぎ接合の方式によって接続されたようにさらに改良して、電気的接続の安定性を確保した。
【0051】
圧着接続とは、端子固定部37とケーブルとを組み立てた後、又は、隣接する2つの端子積層シート3の端子固定部37同士を組み立てた後、圧着機を用いて、その両者を一体化してプレスする生産工程である。圧着接続は、量産性というメリットがあり、自動圧着機が用いられたことで、安定的な品質を有する製品を迅速で大量に製造することができる。
【0052】
溶接接続は、摩擦溶接方式、抵抗溶接方式、超音波溶接方式、アーク溶接方式、圧力溶接方式、レーザー溶接方式、または爆発溶接方式により、端子固定部37とケーブルとを、又は、隣接する2つの端子積層シート3の端子固定部37同士を、金属溶接点によって、1つのまとまったものとして溶接することであり、強固な接続と少ない接点抵抗が実現される。
【0053】
ねじ接続は、端子固定部37とケーブル、又は、隣接する2つの端子積層シート3の端子固定部37同士がそれぞれ、ねじ構造を有して、互いに螺着されることができ、または、単一のスタッドとナットを螺着し接続することである。ねじ接続は、着脱可能であり、組立や取外しを繰り返して実行することができるというメリットがあり、常に取外しが必要である場合に適する。
【0054】
かしめ接続は、リベットを用いて、端子固定部37とケーブル、又は、隣接する2つの端子積層シート3の端子固定部37同士をかしめることであり、かしめ接続は、強固な接続が実現されでき、加工方法が簡単で、操作しやすいというメリットがある。
【0055】
継ぎ接合は、端子固定部37に係止溝を設置し、ケーブルの部分に係止爪を設置し、又は、隣接する2つの端子積層シート3に係止溝と係止爪をそれぞれ、設置し、係止溝と係止爪とを繋ぎで、接続させることである。継ぎ接合方式は、迅速な接続が可能であり、取り外し可能であるという利点を有する。
【0056】
一実施形態では、隣接する2つの端子積層シート3の接続アーム33同士が接触して係合され、各端子積層シート3の接続アーム33同士が相対的にスライドし、各端子積層シート3が自己のクランプ力を保持できるようになり、挿着端子2の表面に凹凸があるという特徴を活用することで、接続の強固さも向上した。
【0057】
一実施形態では、接続アーム33の内側には、突起部35が複数設けられ、
図4に示されるように、複数の突起部35は、接続アーム33の延伸方向に間隔を置いて配置しており、フラットベルト1が接続アーム33に挿着されて係合された場合、突起部35の上面がフラットベルト1と当接されて、接続アーム33とフラットベルト1とがさらに緊密的に接続されるようになり、フラットベルト1と挿着端子2との機械的接続及び電気的接続の信頼性が向上した。
【0058】
さらに、端子積層シート3は、平面内または非平面内に設けられた折り曲げ延長部36を含み、異なる接線方向の要求に容易に適合できるように、折り曲げ延長部36の折り曲げ角度が0°~180°の範囲内に設定されている。
図5~
図7に示されるように、接続アーム33と折り曲げ延長部36との挟角が折り曲げ角度として記され、端子積層シート3は、プレス方式によって、接続アーム33と折り曲げ延長部36とが複数の角度をなすことが可能である。
図5に示されるように、折り曲げ延長部36と接続アーム33は、同一の平面内にあり、好ましくは、両者の延伸方向の間における折り曲げ角度が90°である。
図6および
図7に示されるように、折り曲げ延長部36と端子積層シート3の固定本体部の接続アーム33は、同一の平面内にあるものではなく、折り曲げ延長部36が非平面内に折り曲げて延長しており、好ましくは、両者の延伸方向の間における折り曲げ角度が90°である。
【0059】
フラットベルト1の本体は、中実のフラットコアおよびその外周を被覆した絶縁層15を含み、挿着部12は、フラットベルト1の端部に位置し、挿着部12の表面には、絶縁層15がない。一実施形態では、
図1Aおよび
図2に示されるように、フラットベルト1は、折り曲げ部14を含み、折り曲げ部14には、遷移層11が設けられ、折り曲げ部14によってフラットベルト1の延伸方向を調整できるように、フラットベルト1の本体と挿着部12が折り曲げ部14を介して接続される。これにより、フラットベルト1は取り付け環境に容易に適合できる。
【0060】
幾つかの実施形態では、
図2に示されるように、挿着部12の先端には、面取り13が設けられ、別の幾つかの実施例では、面取り13の代わりに、丸み付けが用いられてもよい。当該面取り13または丸み付けは、接続アーム33とフラットベルト1との挿抜を案内する役割を果たしている。
【0061】
幾つかの実施形態では、端子積層シート3の材質は、テルルが含まれ、端子積層シート3の材質はテルル銅合金である。それにより、端子は、優れている導電性および快削性を有するようになり、電気学上の性能が確保されるとともに、加工性も向上させることができる。
【0062】
さらに、好ましくは、端子積層シート3の材質におけるテルルの含有量は0.1%~5%であり、導電性を確保し、テルル銅合金は弾性にも優れている。好ましくは、テルル銅合金中のテルルの含有量は0.2%~1.2%である。
【0063】
発明者は、同じ形状を有する端子積層シート3を10個選択して測定を行い、各端子積層シート3の寸法が同じであり、挿着端子2における端子積層シート3の数が等しく、端子積層シート3の材質として、いずれも、テルル銅合金が用いられ、その中のテルルの含有量は、それぞれ、0.05%、0.1%、0.2%、0.5%、0.8%、1.2%、2%、3%、5%、6%、7%である。フラットベルト1と挿着端子2とが挿着された後、当該挿着構造には、電流が導通するようになり、対応する対向して挿着された位置での導電率を検出する。その測定の結果を表3に示す。本実施例では、導電率の理想値は、99%超過である。
【0064】
表3から分かるように、テルルの含有量は0.1%未満又は5%超過である場合、導電率が明らかに低下し、導電率の理想値に対する要求を満たすことができない。テルルの含有量が0.2%以上であって1.2%以下である場合、導電性能が最も良いものとなり、テルルの含有量が0.1%超過であって0.2%未満である場合、又は、1.2%超過であって5%未満である場合、導電率が理想値の要求を満たしたが、徐々に低下していく傾向があり、導電性能も低下していくものである。そのため、発明者は、テルルの含有量が0.1%~5%であるテルル銅合金を選択した。テルルの含有量が0.2%~1.2%であるテルル銅合金を選択することは、最も理想的である。
【0065】
表3 テルルの含有量が異なるテルル銅合金による導電率への影響
【0066】
【0067】
幾つかの実施例では、端子積層シート3の材質は、ベリリウム銅合金である。
【0068】
幾つかの実施例では、端子積層シート3の材質におけるベリリウムの含有量が0.05%~5%である。
【0069】
さらに、端子積層シート3の材質におけるベリリウムの含有量が0.1%~3.5%である。
【0070】
端子積層シート3は、ベリリウムを含有することで、端子積層シート3の硬度、弾性限界、疲労限界及び耐摩耗性を向上することができるとともに、良好な耐食性、熱伝導性及び導電性を有するようになり、衝撃を受けた場合にもスパークを発生させることがなくなる。
【0071】
ベリリウムの含有量による端子積層シート3への影響を測定するために、発明者は、同じ形状および同じ膨脹収縮隙間幅を有する端子積層シート3を10個選択して測定を行い、各端子積層シート3はいずれも、ベリリウムを含み、その中のベリリウムの含有量がそれぞれ、0.03%、0.05%、0.1%、0.2%、1%、1.8%、3%、3.5%、5%、6%である。測定の結果を表4に示す。
【0072】
表4 ベリリウムの含有量の異なりによる導電率への影響
【0073】
【0074】
表4から分かるように、ベリリウムの含有量は0.05%未満又は5%超過である場合、導電率が明らかに低下し、実際な要求を満たすことができない。ベリリウムの含有量は0.1%以上であって3.5%以下である場合、導電性能が最も良いので、発明者は、ベリリウムの含有量が0.1%~5%である端子積層シート3を選択した。ベリリウムの含有量が0.1%~3.5%である端子積層シート3を選択することは、最も理想的である。
【0075】
幾つかの実施形態では、端子積層シート3における少なくとも挿着端31には、めっき層が備えられたことで、耐食性の向上および導電性能の向上に寄与し、挿着可能な回数が増加して、当該挿着構造の使用寿命をより長くことができる。
【0076】
幾つかの実施形態では、めっき層の材質は、金、銀、ニッケル、錫、亜鉛、錫鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀、および、銀金ジルコニウム合金のうちの1つまたは複数を含む。銅は、活性金属であり、使用中に酸素や水との酸化反応を起こしてしまうため、めっき層として、1つまたは複数の不活性金属が用いられる必要があり、それで、挿着端子2の使用寿命を長くことができる。また、挿抜がよく行われる金属接点も、同様に、耐摩耗性が優れた金属をめっき層とする必要がある。そうすると、接点の使用寿命を大幅に長くことができる。そして、接点は、良好な導電性能も求められるため、上述した金属の導電性も安定性も、銅または銅合金よりも優れているので、挿着端子2に更に良好な電気的性能をもたらさせるとともに、使用寿命も更に長くことができる。
【0077】
めっき層の材質の異なりによる端子の全体的性能への影響を検証するために、発明者は、同じ仕様や材質を有するが、異なるめっき層材料が用いられた挿着端子2の試料に対して、同じ仕様を有するフラットベルト1を用いて一連の挿抜回数及び耐食性時間の測定を行った。選択された材料および他の汎用的な電気めっき材料のメリットとデメリットを検証するために、発明者は、同様に、錫、ニッケル、亜鉛を実験対象のめっき層材質として選択した。実験結果を表5に示す。
【0078】
表5における挿抜回数に関する測定は以下のように行われる。充電端子2をそれぞれ、実験台に固定して、機械装置により、フラットベルト1に挿抜動作を模擬させ、且つ、100回の挿抜が行われたたびに、一旦停止し、挿着端子2の表面におけるめっき層の破壊状況を観察し、端子の表面におけるめっき層に擦過傷が現われて端子そのものの材質が露出すると、実験を終了させて、そのときの挿抜回数を記録した。本実施例では、挿抜回数が8000回よりも小さい状況を不合格とする。
【0079】
表5における耐食性時間に関する測定は以下のように行われる。挿着端子2を塩水噴霧試験箱内に置いて、挿着端子2における各位置に対して塩水噴霧を行い、20時間おきに挿着端子2を取り出して表面の腐食状況を観察する。そのような一連の操作を1サイクルとする。そして、挿着端子2の表面における腐食面積が総面積の10%超過となったと、測定を終了させて、そのときのサイクル数を記録する。本実施例では、サイクル数が80回よりも小さい状況を不合格とする。
【0080】
表5 めっき層材質の異なりによる端子の挿抜回数及び耐食性への影響
【0081】
【0082】
表5から分かるように、めっき層材質は、金、銀、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀、または銀金ジルコニウム合金である場合、実験結果は、標準値よりも大きく超えたので、性能が比較的安定したことが明らかになった。また、めっき層材質は、ニッケル、錫、錫鉛合金、または亜鉛である場合、実験結果は、同様に、要求を満たしたものである。そのため、発明者は、めっき層材質として、金、銀、ニッケル、錫、錫鉛合金、亜鉛、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀、および、銀金ジルコニウム合金のうちの1つまたは複数の組み合わせを選択した。
【0083】
幾つかの実施形態では、めっき層は、下地層と表層を含み、めっき層は、複層めっき法が用いられる。端子積層シート3は、加工された後、実にその表面に微視的にも多くの隙間や穴が存在している。それらの隙間や穴は、使用中の端子積層シート3が摩損されたり、腐食されたりするを招く最大な原因である。本実施形態では、端子積層シート3の表面に、まず、下地層を1層めっきして、表面における隙間や穴を充填することで、端子積層シート3の表面を平坦化して穴をなくし、その後、さらに表層をめっきすることによって、結合をより強固にすることができるとともに、更に平坦化することが可能である。めっき層の表面には、隙間や穴がないので、挿着端子2の耐摩耗性能、耐食性能、電気性能がさらに優れるようになり、挿着端子2の使用寿命を最大限に長くことができる。
【0084】
幾つかの実施形態では、めっき層は、電気めっき、無電解めっき、マグネトロンスパッタリング又は真空めっきなどの方法によって形成されてもよい。
【0085】
電気めっき方式とは、電解原理を利用して、金属の表面に、他の金属又は合金をめっきして薄いめっき層を1層形成するプロセスである。
【0086】
無電解めっき方式とは、金属による触媒作用下で、制御可能な酸化還元反応により、金属を堆積させるプロセスである。
【0087】
マグネトロンスパッタリング方式とは、磁界と電界の交互作用により、電子をターゲット表面近傍で螺旋状に運動させることにより、電子がアルゴンガスに衝突してイオンを発生させる確率を増大させ、発生されたイオンが、電界による作用で、ターゲット面に衝突してターゲットからスパッタリングされる方式である。
【0088】
真空めっき方式とは、真空条件下で、蒸留又はスパッタリングなどの方式により、部品表面において、各種の金属及び非金属薄膜を堆積させることである。
【0089】
幾つかの実施形態では、下地層の材質は、金、銀、ニッケル、錫、錫鉛合金、および、亜鉛のうちの1つまたは複数を含み、表面の材質は、金、銀、ニッケル、錫、錫鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀、および、銀金ジルコニウム合金のうちの1つまたは複数を含む。
【0090】
別の実施形態では、下地層の厚さは、0.01μm~12μmである。好ましくは、下地層の厚さは、0.1μm~9μmである。
【0091】
別の実施形態では、表層の厚さは、0.5μm~50μmである。好ましくは、表層の厚さは、1μm~35μmである。
【0092】
下地層におけるめっき層の厚さの変化による挿着端子2の全体的性能への影響を検証するために、発明者は、同じ仕様や材質を有するが、下地層のニッケルめっき層の厚さが異なり、表層の銀めっき層の厚さが同じである挿着端子2の試料に対して、同じ仕様を有するフラットベルト1を用いて一連の温度上昇及び耐食性時間に関する測定を行った。実験結果を表6に示す。
【0093】
表6における温度上昇に関する測定は以下のように行われる。当該挿着構造に対して、同じ電流を導通させて、閉じた環境において、端子積層シート3における同じ位置での通電前の温度と、温度が安定した後の温度を検出して、両者の差を取得して絶対値を取る。本実施例では、温度上昇が50Kよりも大きい状況を不合格とする。
【0094】
表6における耐食性時間に関する測定は以下のように行われる。当該挿着端子2を塩水噴霧試験箱内に置いて、挿着端子2における各位置に対して塩水噴霧を行い、20時間おきに挿着端子を取り出して表面の腐食状況を観察する。そのような一連の操作を1サイクルとする。そして、端子の表面における腐食面積が総面積の10%超過となったと、測定を終了させて、そのときのサイクル数を記録する。本実施例では、サイクル数が80回よりも小さい状況を不合格とする。
【0095】
表6 下地層におけるめっき層の厚さの異なりによる温度上昇および耐食性への影響
【0096】
【0097】
表6から分かるように、下地層のニッケルめっき層の厚さが0.01μm未満である場合、当該挿着構造の温度上昇は合格になるが、めっき層が薄すぎるため、挿着端子2の耐食性テストのサイクル数が80未満となり、挿着端子2に対する性能の要求を満たしていない。よって、当該挿着構造の全体的性能及び寿命は大きく影響され、ひどい場合に、製品の寿命が激減し、ひいては、燃焼事故が発生してしまう場合もある。下地層のニッケルめっき層の厚さが12μm超過である場合、下地層におけるめっき層が厚いので、当該挿着構造で発生させられた熱量が放射されることができず、当該挿着構造の温度上昇が不合格となる。しかも、めっき層が厚いので、端子積層シート3の表面から脱落しやすくなり、耐食性テストのサイクル数も低減された。そのため、発明者は、下地層におけるめっき層の厚さを0.01μm~12μmに設定した。好ましくは、発明者は、下地層におけるめっき層の厚さが0.1μm~9μmである場合、当該挿着構造の温度上昇および耐食性の総合的な効果が更に良いことを発見した。そのため、製品自体の安全性、信頼性及び実用性をさらに向上させるために、好ましくは、下地層におけるめっき層の厚さが0.1μm~9μmであるとしている。
【0098】
表層におけるめっき層の厚さの変化による当該挿着端子の全体的性能への影響を検証するために、発明者は、同じ仕様や材質を有するが、下地層のニッケルめっき層の厚さが同じであり、表層の銀めっき層の厚さが異なる挿着端子2の試料に対して、同じ仕様を有するフラットベルトを用いて一連の温度上昇及び耐腐食性時間に関する測定を行った。実験方法は、上記実験方法と同じであり、実験結果を表7に示す。
【0099】
表7から分かるように、表層の銀めっき層の厚さが0.5μm未満である場合、当該挿着構造の温度上昇は合格になるが、めっき層が薄すぎるため、挿着端子の耐食性テストのサイクル数が80未満となり、挿着端子に対する性能の要求を満たしていない。そうすると、当該挿着構造の全体的性能及び寿命は大きく影響され、ひどい場合に、製品の寿命が激減し、ひいては、燃焼事故が発生してしまう場合もある。表層の銀めっき層の厚さが50μm超過である場合、表層におけるめっき層が厚いので、端子で発生させられた熱量が放射されることができず、温度上昇が不合格となる。しかも、めっき層が厚いので、端子の表面から脱落しやすくなり、耐食性テストのサイクル数も低減された。また、表層におけるめっき層に用いられた金属の価格が高いので、厚いめっき層が用いられても性能が向上しない場合、使用価値がない。そのため、発明者は、表層の銀めっき層の厚さを0.1μm~50μmに設定した。好ましくは、発明者は、表層におけるめっき層の厚さが1μm~35μmである場合、端子の温度上昇および耐食性の総合的な効果が更に良いことを発見した。そのため、製品自体の安全性、信頼性及び実用性をさらに向上させるために、好ましくは、表層におけるめっき層の厚さが1μm~35μmであるとしている。
【0100】
表7 表層におけるめっき層の厚さの異なりによる温度上昇および耐食性への影響
【0101】
【0102】
幾つかの実施形態では、挿着構造における接続端32には、めっき層が備えられた。
【0103】
幾つかの実施形態では、挿着端31におけるめっき層と接続端32におけるめっき層は、材質が異なる。以上の説明から分かるように、異なる金属材質のめっき層によって、異なる導電効果及び耐食性状況が得られる。価格が高い金属材質のめっき層は、良好な導電効果及び耐食性状況が相応に得られ、回数が更に多い挿抜操作が可能となり、更に複雑な環境に使用されることもでき、使用寿命もさらに長くなる。一方では、価格が高いので、それらの金属材質のめっき層の使用も制限される。そのため、発明者は、挿着端31のような挿抜回数が多く、使用環境に曝された部件に、金、銀、銀アンチモン合金、グラファイト銀、グラフェン銀、パラジウムニッケル合金、錫鉛合金、および、銀金ジルコニウム合金のような、性能が優れているが、価格が高い金属材質をめっき層材料としている。そして、接続端32は、リードが接続された個所であるため、リードとの接続後、相対的に変位することがほとんどなく、且つ、一般的には、接続端32がプラスチック製ハウジングの内部に保護されるものであり、使用環境に曝されることがないので、発明者は、汎用的な金属錫、ニッケル、亜鉛を接続端32のめっき層材質とし、接続構造のコストを削減する。
【0104】
幾つかの実施形態では、挿着端31におけるめっき層と接続端32におけるめっき層は、厚さが異なる。以上の説明から分かるように、挿着端31の挿抜回数が多くて、使用環境に曝されるので、めっき層は、削られたり、外界環境によって腐食されたりすることがある。めっき層の厚さが薄い場合、使用中に削られて傷つけられたり、腐食されたりすることが容易となる。そのため、発明者は、挿着端31に、厚さがより大きいめっき層を設置することで、挿着端31の耐擦性及び耐食性を向上する。また、接続端32の一側には、掻き取りが発生することがなく、使用環境に曝されることもないので、厚さが小さいめっき層を使用することで、接続構造のコストを削減することができる。
【0105】
幾つかの実施形態では、フラットベルト1と挿着端子2の間の挿着力は、3N~150Nの範囲内にあり、好ましくは、フラットベルトと挿着端子の間の挿着力は、10N~95Nの範囲内にある。フラットベルト1と挿着端子2の間の挿着力によるフラットベルトと挿着端子2との接触抵抗及び挿着状況への影響を検証するために、発明者は、形状および寸法が同じであるフラットベルト1と挿着端子2を採用し、フラットベルトと挿着端子2との間の挿着力を、異なる挿着力に設定して、フラットベルトと挿着端子2との間の接触抵抗および複数回の挿着後の状況を観察した。
【0106】
接触抵抗の検出方式は以下の通りである。精密抵抗測定器を用いて、フラットベルトと挿着端子との接触位置において、抵抗の測定を行い、精密抵抗測定器に表示された値を読み取って、フラットベルトと挿着端子との間の接触抵抗とする。本実施例では、接触抵抗が50μΩ未満であることは理想的である。
【0107】
フラットベルト1と挿着端子2との挿着状況に対する測定方式は以下の通りである。フラットベルト1と挿着端子2との挿着を50回も行い、挿抜後の落下と挿抜不能回数を観察し、挿抜後の落下回数が3回未満であることが求められ、挿抜不能回数が5回未満であることが求められる。
【0108】
表8 フラットベルトと挿着端子の間の異なる挿着力による接触抵抗及び挿着状況への影響
【0109】
【0110】
表8から分かるように、フラットベルト1と挿着端子2の間の挿着力が3N未満である場合、フラットベルト1と挿着端子2との間の結合力が非常に小さいので、両者間の接触抵抗が理想値よりも高く、同時に、挿抜後の落下回数も3回超過となるので、不合格の状態となる。フラットベルト1と挿着端子2の間の挿着力が150N超過である場合、フラットベルト1と挿着端子2との挿抜不能回数が5回超過となるので、同様に、不合格の状態となる。そのため、発明者は、フラットベルト1と挿着端子2の間の挿着力を、3N~150Nの範囲内に設定している。
【0111】
表8から分かるように、フラットベルト1と挿着端子2の間の挿着力が10N~95Nである場合、挿着後の落下現象もなく、挿抜不能状況もなく、接触抵抗値も理想値の範囲にあるので、好ましく、発明者は、フラットベルト1と挿着端子2の間の挿着力を、10N~95Nの範囲内に設定している。
【0112】
幾つかの実施形態では、フラットベルト1と挿着端子2の間の接触抵抗は、9mΩ未満である。一般的には、フラットベルト1と挿着端子2の間には、大きな電流の導通が必要である。フラットベルト1と挿着端子2との間の接触抵抗が9mΩ超過である場合、接触位置では、温度が大きく上昇するようになり、時間の経過に伴い、温度がますます高くなる。フラットベルト1と挿着端子2の間の温度が高すぎると、一方では、遷移層とフラットベルトの間、挿着端子とめっき層の間には、材質が異なり、熱膨張率が異なることによって、機械的変形が同期化できず、遷移層11とフラットベルト1の間、挿着端子2とめっき層の間には、内部応力が発生してしまい、ひどい場合に、遷移層11とめっき層が脱落してしまい、保護機能を発揮できなくなる。他方では、フラットベルト1と挿着端子2の間における高い温度は、フラットベルト1の絶縁層および挿着端子に接続されたリードの絶縁層に伝達されることによって、対応する絶縁層が溶けてしまい、絶縁保護機能を発揮できなくなり、ひどい場合に、回路が短絡されて接続構造に損傷を与え、ひいては、燃焼などの安全上の事故が発生してしまう。そのため、発明者は、フラットベルト1と挿着端子2の間の接触抵抗を、9mΩ未満に設定している。
【0113】
フラットベルト1と挿着端子2との接触抵抗による挿着構造の温度上昇および導電率への影響を検証するために、発明者は、同じフラットベルト1、および、接触抵抗が異なる挿着端子2を選択して、導電率及び温度上昇の測定を行った。
【0114】
導電率に関する測定は以下のように行われる。フラットベルト1と挿着端子2とが挿着された後、当該挿着構造において電流を導通させ、対応する挿着された位置での導電率を検出する。本実施例では、導電率の理想値は、99%超過である。
【0115】
温度上昇に関する測定は以下のように行われる。閉じた環境において、挿着端子2における同じ位置での通電前の温度と、温度が安定した後の温度を検出して、両者の差を取得して絶対値を取る。本実施例では、温度上昇が50Kよりも大きい状況を不合格とする。
【0116】
表9 フラットベルトと挿着端子との異なる接触抵抗による導電率及び温度上昇への影響
【0117】
【0118】
表9から分かるように、フラットベルト1と挿着端子2との間の接触抵抗が9mΩ超過である場合、挿着端子2の温度上昇が50Kを超え、同時に、挿着構造の導電率も99%未満となり、標準に対する要求を満たしていない。そのため、発明者は、フラットベルト1と挿着端子2との接触抵抗を、9mΩ未満に設定している。
【0119】
幾つかの実施例では、フラットベルト1の材質は、アルミニウムを含む。電気的接続分野では、電流を伝導するために、導電率が高く、延性が良好である銅製導線が用いられることが一般的である。しかし、銅価格が日増しに高くなるにつれて、導線の材料として、銅材が用いられると、コストも高くなるに決まっている。そのため、コスト削減のために、金属銅の代替品に対する探索が始まる。地殻における金属アルミニウムの含有量は約7.73%である。精製技術の最適化により、金属アルミニウムの価格は比較的に低くなる。しかも、アルミニウムは、重量が銅よりも軽く、導電率が銅に次ぐものであるため、電気的接続分野では、一部の銅の代替品として用いられてもよい。そのため、自動車電気的接続分野において、銅の代わりに、アルミニウムが用いられるという発展の傾向がある。
【0120】
しかし、銅とアルミニウムの間の電位差が大きいので、銅製導線とアルミニウム製導線とが直接に接続された後、銅製導線とアルミニウム製導線の間には、ガルバニック腐食が生じてしまい、アルミニウムが腐食されやすいので、接続領域の抵抗が大きくなり、電気的接続において、機能の喪失や火災などのひどい結果につながる。そのため、銅とアルミニウムの間には、遷移層を追加する必要がある。そうすると、銅とアルミニウムの間の電位差を小さくして、銅とアルミニウムの間の電気的性能を向上させることができるとともに、フラットベルトと端子との挿着構造の使用寿命を最大限に長くことができる。
【0121】
方案二
本発明は、上述したフラットベルトと端子との挿着構造を含む、自動車を提供する。一般的には、電気的接続分野において、2本のケーブル同士の挿着は、相応な端子をケーブルに圧着したり、溶接したりした後、対応する端子によって挿着が行われて、電気的に着脱可能な接続を実現させる必要があるが、端子とケーブルとの接続により、電気的回路における抵抗が大きくなり、電圧低下が大きくなり、電気的接続の性能が低下するに決まっている。フラットベルトが端子とを直接挿着することにより、フラットベルトに圧着される端子が省かれ、電気的回路における電圧低下を小さくすることができ、電気的接続の性能を向上させて、挿着構造の使用寿命を長くことができる。
【0122】
以上は、本発明の例示的な具体的な実施形態に過ぎず、本発明の範囲を限定するためのものではない。当業者であれば、本発明の思想や原則を逸らさないことを前提にして実施できる同等な変化や補正が、いずれも本発明の保護範囲に入っているはずである。
【国際調査報告】