IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アダプティクス リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-電子部品認証システム 図1
  • 特表-電子部品認証システム 図2
  • 特表-電子部品認証システム 図3
  • 特表-電子部品認証システム 図4
  • 特表-電子部品認証システム 図5
  • 特表-電子部品認証システム 図6
  • 特表-電子部品認証システム 図7
  • 特表-電子部品認証システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】電子部品認証システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/044 20180101AFI20240903BHJP
   G01N 23/18 20180101ALI20240903BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G01N23/044
G01N23/18
G01N21/88 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510228
(86)(22)【出願日】2022-08-17
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 GB2022052136
(87)【国際公開番号】W WO2023021290
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】2111847.6
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521400327
【氏名又は名称】アダプティクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ADAPTIX LTD
【住所又は居所原語表記】Begbroke Science Park, Centre for Innovation and Enterprise (CIE), Woodstock Road, Begbroke, Oxford Oxfordshire OX5 1PF (GB)
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス, マーク
(72)【発明者】
【氏名】ボウエン, デヴィッド キース
【テーマコード(参考)】
2G001
2G051
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001AA07
2G001BA11
2G001CA01
2G001CA07
2G001DA09
2G001HA14
2G001KA03
2G001KA04
2G001KA05
2G001LA11
2G051AA61
2G051AA62
2G051AB02
2G051BA05
2G051BA06
2G051BA08
2G051CA04
(57)【要約】
電子部品認証システム
シリコンチップ及び他の電子部品の分析方法は、現在、時間がかかり、多くの場合、多くの人間の介入を必要とする。可視スペクトル及び赤外スペクトルにおいて、認証されるべき電子部品の画像を取得する装置を備える電子部品認証システムを提供し、前記システムは、前記電子部品のX線画像を取得し、前記X線画像の少なくとも一部を処理して前記電子部品の3Dトモシンセシス画像を提供する装置をさらに備え、前記システムは、前記取得された画像を分析して、前記電子部品に関する基準を確認し、前記確認された基準を既知の基準のセットに対して認証するように構成されたプロセッサをさらに備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視スペクトル及び赤外スペクトルにおいて、認証されるべき電子部品の画像を取得する装置を備える電子部品認証システムであって、前記システムは、前記電子部品のX線画像を取得し、前記X線画像の少なくともいくつかを処理して前記電子部品の3Dトモシンセシス画像を提供する装置をさらに備え、前記システムは、前記取得された画像を分析して、前記電子部品に関する基準を確認し、前記確認された基準を既知の基準のセットに対して認証するように構成されたプロセッサをさらに備える、電子部品認証システム。
【請求項2】
紫外スペクトルにおける前記電子部品の画像を取得する装置をさらに備える、請求項1に記載の電子部品認証システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記取得された画像を分析して、前記電子部品の寸法を決定するように構成される、請求項1及び2のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記取得された赤外線画像及び/又は紫外線画像を可視スペクトル画像と比較して、前記電子部品内の電気コネクタ上の酸化物の存在を確認するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記取得された画像の光学文字認識を提供して、前記電子部品上に位置する任意のテキストと同等のデータを提供するように構成され、前記プロセッサは、前記電子部品の真正性を決定するために前記データを使用するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
様々なスペクトルにおける前記部品の反射率を決定するための手段をさらに備え、前記プロセッサは、前記電子部品の真正性を決定するために前記反射率データを使用するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、1つの電子部品の様々なスペクトルにおいて取得された画像を、別の電子部品からの様々なスペクトルにおいて取得された画像と比較して、いずれかの電子部品を認証する際に使用するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記取得された画像を分析して、前記電子部品を認証する際に使用するために前記電子部品内に形成されたキャビティを調査するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記電子部品の前記取得されたX線画像を分析し、いずれかの電子部品を認証する際に使用するために、鉛の存在又は存在しないことを決定するように構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記電子部品のX線画像を取得する前記装置が、X線源の制御可能なアレイを含むフラットパネル源を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記電子部品のX線画像を取得するための前記装置が、1つ又は複数のx線源を備え、これは、一連のx線画像を捕捉するために前記源によって放出されるx線の方向に垂直な2次元平面内で移動されるように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
電子部品を認証する方法であって、請求項1~11のいずれかに記載の電子部品認証システムを提供するステップと、電子部品を提供するステップと、可視スペクトル、赤外スペクトル、及び紫外スペクトルにおいて、認証されるべき前記部品の画像を取得するステップと、前記電子部品のX線画像を取得するステップと、前記X線画像のうちの少なくともいくつかを処理して、前記電子部品の3Dトモシンセシス画像を提供するステップと、前記取得された画像を分析して、前記電子部品に関する基準を確認するステップと、前記確認された基準を既知の基準のセットに対して比較し、前記電子部品の真正性に関する情報を提供するステップと、を含む方法。
【請求項13】
前記画像の前記分析が、前記部品を通して1つの高さで撮影されたx線画像を、前記部品を通して別の高さで撮影されたx線画像のものと比較することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記画像の前記分析が、前記部品を通して1つの高さで撮影されたx線画像の第一部分の焦点を前記x線画像の第二部分の焦点と比較することを含む、請求項12及び13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記画像の前記分析が、前記電子部品の寸法を決定する、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記分析が、前記得られた赤外線画像及び/又は紫外線画像を可視スペクトル画像と比較して、前記電子部品内の電気コネクタ上の酸化物の存在を確認する、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記分析が、可視スペクトルにおいて前記取得された画像の光学文字認識を提供して、前記電子部品上に位置する任意のテキストと同等のデータを提供し、前記方法が、前記データを処理し、前記電子部品の真正性を決定するステップをさらに含む、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
1つの電子部品の様々なスペクトルにおいて得られた画像を、別の電子部品からの様々なスペクトルにおいて得られた画像と比較して、いずれかの電子部品を認証する際に使用するステップを含む、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
いずれかの電子部品を認証するために、赤外線及び/又は紫外線などの様々なスペクトルにおける前記部品の反射率を得るステップを含む、請求項12~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記取得された画像を分析して、前記電子部品を認証する際に使用するために前記電子部品内に形成されたキャビティを調査するステップを含む、請求項12~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記電子部品の前記取得された画像を分析し、前記電子部品を認証する際に使用するために鉛の存在、又は存在しないことを決定するステップを含む、請求項12~20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、電子部品認証システム及び電子部品を認証する方法に関し、排他的ではないが、特に、偽造電子部品を識別する際に有用性を見出す。
【背景技術】
【0002】
「シリコンチップ」などの偽造電子部品が、除細動器、空港着陸灯、静脈(IV)点滴機、及び高速列車用のブレーキシステムなどの電子システムに不注意で含まれることがある。したがって、偽造チップの危険性は、不便さ、負傷、又は生命の喪失に及び得る。
【0003】
現在、偽造チップは、ピンセット、物理的測定ツール及び顕微鏡を用いての手作業によって、2D X線撮像、電気試験又は破壊分析によって識別され得る。共焦点走査型音響顕微鏡(Confocal-Scanning Acoustic Microscopy、C-SAM)も、偽造チップを識別する既知の方法である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの方法の全ては時間がかかり、したがって、比較的小さなサンプルに対してのみ行うことができる。そのようなチップを含めることを必要とする製品の製造業者は一度に何千もの買い物をすることになるので、偽造品を淘汰することが非常に困難になる。
【0005】
したがって、より多くの数の電子部品、例えばシリコンチップを、より迅速に、より少ない労力で集中的に分析し得ることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本発明は、可視スペクトル及び赤外スペクトルにおいて、認証されるべき
電子部品の画像を取得する装置を備える電子部品認証システムを提供し、システムは電子部品のX線画像を取得し、それらのX線画像の少なくともいくつかを処理して電子部品の3Dトモシンセシス画像を提供する装置をさらに備え、システムは取得された画像を分析して、電子部品に関する基準を確認(ascertain)し、確認された基準を既知の基準のセットに対して認証(又は、真正性を与える/authenticate)するように構成されたプロセッサをさらに備える。
【0007】
撮像(又は、イメージング/imaging)は、マルチスペクトルと見なされ得る。
【0008】
いくつかの例では、電子部品認証システムが、紫外スペクトルにおける電子部品の画像を取得するための装置をさらに備える。
【0009】
可視画像、赤外画像、及び紫外画像のそれぞれを取得するための装置は、単一の構成要素(又は、コンポーネント/component)によって提供されてもよい。あるいは可視、赤外及び紫外画像の各々を得るための装置は、各々が可視、赤外及び紫外スペクトルのうちの1つ又は複数において動作するように構成された1つ又は複数の別個の構成要素によって提供されてもよい。
【0010】
いくつかの例では、画像を取得するための装置が1つ又は複数のカメラであり得る。例えば、画像を取得するための装置は、紫外光、可視光、及び赤外光の1つ又は複数の波長範囲を受信し、画像内の前記波長を区別するように構成された1つ又は複数の撮像センサーを有するカメラを含み得る。代替的に、又は追加的に、画像を取得するための装置は、各々が紫外光、可視光、及び赤外光の波長範囲のうちの少なくとも1つを受信し、区別し、前記少なくとも1つの波長範囲を画像に変換するように構成された複数のカメラを備えてもよい。
【0011】
X線画像を得るための装置は、「FPS」-フラットパネル源(flat panel source)を含み得る。FPSは、X線源の制御可能なアレイ、統合された高電圧源(又は、高電圧供給/high voltage supply)、制御電子機器及びファームウェア、デバイスのための外部制御ソフトウェア、必須較正システム、及びデバイスで収集されたX線画像をオペレータ及び/又はコンピュータプロセッサのための使用可能な画像に変換するためのソフトウェアを提供し得る、ハードウェア及びソフトウェア構成要素のセットを含み得る。
【0012】
FPSは、X線源の制御可能なアレイであるX線発生器を含み得る。使用時に、X線は部品(又は、コンポーネント/component)を通過し、検出器上に画像を形成し得る。検出器は線源によって生成されたエネルギーのX線に応答することができ、予想される細部に対して適切な空間分解能を有し得る。検出器は、一連の画像を迅速に連続して収集することが可能であり得る。迅速な動的検出器は、正確にタイミングを合わせた制御(precisely timed control)と、収集されたデータを適切な速度でオフロード(offload)する能力とを必要とし得る。
【0013】
いくつかの例では、x線画像を取得するための装置が、x線源の制御可能なアレイを用いてフラットパネル源をエミュレートするように構成された1つ又は複数の個々のx線源を備え得る。例えば、1つ又は複数のx線源が設けられ、これらのx線源によって放出されたx線の方向に垂直な2次元平面内で移動して一連のx線画像を捕捉するように構成されてもよい。装置で収集されたx線画像は、3次元画像を提供するためにソフトウェアを使用して変換及び/又は結合され得る。より具体的には、1つ又は複数のx線源がラスタ、スネーク、又はスパイラル走査パターンで提供され、移動され得る。
【0014】
他の例では、x線画像を取得するための装置が、一連のx線画像を捕捉するために、1つ又は複数のx線源がx線を放出する方向に垂直な2次元平面内で移動されるように構成された1つ又は複数のx線検出器を備え得る。装置で収集されたx線画像は、3次元画像を提供するためにソフトウェアを使用して変換及び/又は結合され得る。X線発生器及び検出器は、アームによって整列して保持されてもよい。これらは、認証されるべき電子部品の質量を支持すること、位置合わせ及び特定の線源-画像距離を達成するための位置決めを提供すること、及びX線源と認証されるべき電子部品との間の分離を提供することを含む、多くの目的に役立つ。
【0015】
x線画像を取得するための装置は、上側アームと、下側アームと、上側アームと下側アームとの位置を互いに対して維持するための接続部材とを備えてもよい。上側アーム及び下側アームの一方は少なくとも1つのX線源を含むことができ、一方、上側アーム及び下側アームの他方は、X線検出器を含み得る。x線画像を取得するための装置は、認証されるべき電子部品に対して装置を移動させるための移動手段をさらに含み得る。
【0016】
低電圧電源は、X線発生器、その電子機器に電力を供給するために提供され、個々のX線源(X線発生ターゲットと電子吸収材料との間で電子ビームを方向転換するためのソレノイドなど)の制御を動作させ、及び統合された高電圧源に電力を供給してX線源を動作させ(電子を発生させる)得る。
【0017】
使用時には、X線発生器は、定義されたシーケンスにて、既知の位置から、既知の強度及び持続時間の、いくつかのX線パルスを生成し得る。検出器による検出の後、部品を通るスライスを表す画像のセットが、プロセッサによって生成され得る。
【0018】
既知の基準のセットは、オリジナルの部品の(OEM)製造業者によって提供されてもよい。代替的に、又は追加的に、既知の基準は、オリジナルの部品を撮像及び分析することによって確認されてもよい。そのような比較に使用するために、基準のデータベースを作成又は取得し得る。システムは、データベース内に取得されたすべての画像を記憶するように構成され得る。
【0019】
本発明の目的は、より多くの部品をより少ない人間の関与で分析することができ、それによってコストを低減するような自動化システムを提供することである。したがって、コンピュータ処理は、画像処理のそのような既知の技法を使用して、取得された画像を分析するために使用され得る。画像は、反射率(reflectivity)について分析されてもよい。本明細書で説明するように、様々な基準を分析し得る。
【0020】
3Dデジタルトモシンセシス画像処理は、部品を自動的にサイズ設定するために、再構成プロセス(対象のすべての寸法を保存する)の一部として重要なジオメトリを使用する。プロセッサは、取得された画像を分析して、電子部品の寸法を決定するように構成され得る。これは、コントラスト又は色(周波数)の変化によって定義される境界を有する画像内のオブジェクトなどの特徴を識別し、次いで、この境界の両側間の距離を決定する画像処理ソフトウェアの使用によって達成され得る。そのような画像処理及びその後の測定決定は自動化され得る。代替的に、又は追加的に、特徴のそのような識別及びその測定を支援するために、人間の関与が生じてもよい。
【0021】
代替的に、又は追加的に、光学顕微鏡が提供され、部品の寸法を決定するために使用され得る。
【0022】
さらに、システムは、X線源から部品までの距離、X線源からX線検出器までの距離、X線検出器のピクセル寸法、及び部品の高さのうちの1つ又は複数などの測定可能な、又は既知のパラメータによって定義される、画像再構成を形成するように構成される。これらの距離及び寸法は使用時に、特定の精度で定義され、したがって、画像再構成が、歪みを伴わずに3次元で正確であることを可能にする。したがって、それは、正確な寸法測定、部品の間隔又は破断の計測、及び内部構造が基準部品又はデータと一致する程度のために使用され得る。
【0023】
また、偽造部品の寸法決定及び/又は識別のために、X線不透過性目盛り(opaque graticule)が設けられてもよい。
【0024】
システムは、隣接するコネクタ間のギャップの寸法、隣接するコネクタの直線長さ間の角度、及びコネクタの連続性を決定するように構成されてもよい。これは、部品の寸法の決定に関して本明細書に記載されているものと同様の方法によって行うことができる。
【0025】
システムは、シリコンチップが設けられたリードフレームを分析するように構成されてもよい。分析は、隣接する接続点とリードとの間のギャップの寸法、隣接する接続点間の角度、及び接続点の連続性を決定し得る。これは、本明細書に記載のものと同様の方法によって行うことができる。
【0026】
プロセッサは、得られた赤外線及び/又は紫外線画像を可視スペクトル画像と比較して、偽造を示す1つ又は複数の特徴を決定するように構成され得る。例えば、偽造を示す特徴は、コネクタなどの電子部品中の酸化物及び/又は鉛の存在を確認することを含む。例えば、酸化スズは可視スペクトルでは透明であるが、赤外及び紫外スペクトルでは光を吸収する。したがって、様々なスペクトルで得られた画像の比較を使用して、例えば電気コネクタ上の酸化スズの存在又は存在しないこと(presence, or otherwise)を識別し得る。代替的に又は追加的に、そのような比較は、画像の部分の相対反射率(relative reflectivity)の比較を含み得る。例えば、酸化スズの比較的厚い(およそ20ミクロン)コーティングは、約14マイクロメートル超、好ましくは17マイクロメートルの波長を有する赤外線イメージング、又は約300nmの波長を有する紫外線イメージングを使用して可視であり得る。このような酸化スズの厚さは、異なる反射特性を有するであろう約10nmに過ぎない酸化スズの「ネイティブ(native)」(すなわち、自然に獲得された)層とは区別され得る。
【0027】
1マイクロメートル以上の厚さを示す反射率は非ネイティブ(non-native)であり、したがって、製造プロセスによって塗布された(又は、適用された/applied)ものと考えることができる。
【0028】
同様に、鉛の存在及び/又は位置を決定し得る。
【0029】
プロセッサは、様々なスペクトルにおいて得られた画像の光学文字認識を提供して、電子部品上に位置する任意のテキストと同等のデータを提供するように構成されてもよく、プロセッサは電子部品の真正性(authenticity)を決定するためにそのデータを使用するように構成される。例えば、部品上の任意の位置のテキストを、正当な部品からのテキストと比較するか、又は、類似部品のバッチにおいて、他の部品から得られたテキストと比較して、それがバッチ内の他の部品のものと異なるかどうかを識別し、そうして部品の真正性を決定し得る。
【0030】
いくつかの偽造電気部品はしばしば、いわゆる「ブラックトッピング(black-topping)」を受け、それによって、材料の薄い層が部品上の表面に塗布され、オリジナルの部品(パーツ)番号及び詳細を覆う。次いで、これは、部品(パーツ)を意図的に他のものとして提示するために、偽のマーキングで再印刷される。あるいは、部品の表面がその上に印刷されたテキストを除去するために研磨される。新しいテキストを適所に印刷し得る。新しいテキストは画像化され、既知のOEM供給者基準と比較されて、偽造品を識別するか、又は、類似部品のバッチにおいて、他の部品から得られたテキストと比較して、それがバッチ内の他の部品のものと異なるかどうかを識別し、そうして部品の真正性を決定し得る。
【0031】
本システムは様々なスペクトルにおける部品の反射率を決定するための手段をさらに備えることができ、プロセッサは、電子部品の真正性を決定するために反射率データを使用するように構成される。これは、部品が研磨されているか、及び/又は「ブラックトップ」されているかどうかを識別し、したがって、偽造品である可能性があるかどうかを識別するために、部品の上面(top)の反射率の決定を含む。これはまた、例えば部品内のコネクタ上に存在する酸化物の存在及び/又は厚さの決定を含み得る。
【0032】
反射率(又はリフレクタンス)は、反射率分光計によって決定し得る。代替的に又は追加的に、センサーを使用してカラー写真(赤外線のみ)を得ることが可能であり得る。
【0033】
反射率又は色は偽造品を識別するために既知のOEM供給業者基準と比較されてもよく、又は、類似部品のバッチにおいて、他の部品から得られたリフレクタンス又は色データと比較されて、バッチ内の他の部品と異なるかどうかを識別し、そうして、部品の真正性を決定してもよい。
【0034】
この撮像は、部品のケーシング内に含まれ得る任意のテキストを明らかにするために使用されてもよい。画像処理を使用することによって、このテキストは、プロセッサによって識別され、偽造品を識別するために既知のOEM供給者基準と比較され得る。また、そのような内部テキストは、画像化された外部テキストと相互参照されて、そのような部品が、識別されるような内部テキスト及び外部テキストを有すると想定されるかどうかを確認し得る。
【0035】
プロセッサは、1つの電子部品の様々なスペクトルにおいて取得された画像を、別の電子部品から様々なスペクトルにおいて取得された画像と比較して、いずれかの電子部品を認証する際に使用するように構成され得る。
【0036】
これは、フォント、商標/ロゴを含むテキスト、構成材料、表面テクスチャ、部品の配列、部品の数、部品の色、部品のサイズ、部品の形状などの識別及び比較に関連し得る。
【0037】
プロセッサは取得された画像を分析して、電子部品を認証する際に使用するために電気部品内に形成されたキャビティ(又は、空洞)を調査するように構成されてもよい。
【0038】
例えば、シリコンチップの表面に設けられたキャビティはしばしば、ピン1(pin one)の位置の表示を提供するために含まれる。チップの表面がテキストを除去するために研磨されている場合、キャビティの形状及び/又はサイズは、基準キャビティの形状及び/又はサイズと異なり得る。代替的に、又は追加的に、偽造チップ上のキャビティは劣った製造方法のために、クリーン(又は、清浄)でなく、規則的でなく、又は滑らかでない可能性がある。画像処理ソフトウェアを使用して、そのようなキャビティの形状、サイズ、又はクリーンさ(又は、清浄度/cleanliness)を識別し得る。代替的に、又は追加的に、部品内のキャビティの画像は、真正な(bona fide)部品からのキャビティの画像、及び/又はバッチ内の他の部品に重ね合わされ得るか、又はそれらと比較され得、偽造製品を識別する目的でそれらの間の差異を識別するために、画像処理ソフトウェアが使用される。
【0039】
プロセッサは取得された電子部品(又は、電気部品)のX線画像を分析し、いずれかの電子部品を認証する際に使用するために、鉛又は他の金属の存在又は存在しないことを決定するように構成されてもよい。この決定は、分光解析によって提供し得る。例えば、吸収特性は金属ごとに異なり、したがって、どの金属が存在するかを決定することが可能であり得る。特定の金属の存在、又は存在しないことを、試験される部品についての既知の基準に対してチェックされ、偽造部品の決定を助けることができる。
【0040】
プロセッサは、得られた電気部品のX線画像を分析し、コネクタ及びワイヤボンドの連続性を決定し、それらのレイアウト、ならびにコネクタ間の角度及び/又はギャップの任意の変化(場合によってはそれらがリサイクルされたことを示す)などを決定するように構成され得る。例えば、ワイヤボンドがシリコンダイをフレーム上の関連する脚部にリンクしない場合、デバイスは、正しく機能しないことがある。また、半田ボールは、画像内で識別可能であり得る。ボールの位置、及び/又はサイズ、及び/又は密度を基準と比較して、偽造品の判定を助けることができる。
【0041】
さらに、X線撮像はデュアルエナジー(dual-energy)画像取得として行うことができ、プラスチックケーシング内の亀裂、層間剥離、又はボイドを検出するために、比較的低いエネルギー(~30kVなど)でプラスチックの適切な3D X線画像を取得し、また、部品に含まれる金属の検査画像を取得するために、比較的高いエネルギー(~70kVなど)で部品を撮像する。これらの2つの画像出力を組み合わせて、プラスチックケーシングと金属製品の両方の明確な検査を行い、部品をさらに評価する。
【0042】
いくつかの例では、電子部品のX線画像を取得するための装置が、X線源の制御可能なアレイを含むフラットパネル源を備える。
【0043】
いくつかの例では、電子部品のx線画像を取得するための装置が、1つ又は複数のx線源を備え、これは、一連のx線画像を捕捉するために、前記源によって放出されるx線の方向に垂直な2次元平面内で移動されるように配置される。
【0044】
第二態様では、本発明は、第一態様による電子部品認証システムを提供するステップと、電子部品を提供するステップと、可視スペクトル、赤外スペクトル、及び紫外スペクトルにおいて、認証されるべき電子部品の画像を取得するステップと、電子部品のX線画像を取得するステップと、それらのX線画像の少なくともいくつかを処理して、電子部品の3Dトモシンセシス画像を提供するステップと、取得された画像を分析して、電子部品に関する基準を確認するステップと、確認された基準を既知の基準のセットに対して比較し、電子部品の真正性に関する情報を提供するステップと、を含む、電子部品を認証する方法を提供する。
【0045】
プロセッサは、取得された画像を分析するなど、分析を提供するように構成され得る。
【0046】
画像の分析は、部品を通して1つの高さで撮影されたx線画像を、部品を通して別の高さで撮影されたx線画像のものと比較することを含み得る。例えば、1つの画像の部分の、異なる画像の同じ部分の焦点に対する相対的な焦点である。
【0047】
画像の分析は、部品を通して1つの高さで撮影されたx線画像の第一部分の焦点をx線画像の第二部分の焦点と比較することを含み得る。いくつかの例では、部品を通して1つの高さで撮影されたx線画像の第一部分の焦点をx線画像の第二部分の焦点と比較して、単一のx線画像を使用して集積回路又はチップの接点が互いに対して水平であるかどうかを決定し得る。集積回路又はチップの接点は導電性であり、ピン、脚部、ボール、パッド、ワイヤボンド、ワイヤボンド終端、又はコネクタの一部を形成するワイヤを備え得る。
【0048】
画像の分析は、電子部品の寸法を決定し得る。分析は、得られた赤外線及び/又は紫外線画像を可視スペクトル画像と比較して、電子部品内の電気コネクタ上の酸化物の存在を確認し得る。分析は、可視スペクトルにおいて得られた画像の光学文字認識を提供することができ、したがって、電子部品上に位置する任意のテキストと同等のデータを提供することができ、上記方法は、データを処理し、電子部品の真正性を決定するステップをさらに含み得る。
【0049】
本方法は、1つの電子部品の様々なスペクトルで得られた画像を、別の電子部品からの様々なスペクトルで得られた画像と比較して、いずれかの電子部品を認証するステップを含み得る。本方法は、いずれかの電子部品を認証するために、赤外線及び/又は紫外線などの様々なスペクトルにおける部品の反射率を取得するステップを含み得る。
【0050】
本方法は、取得された画像を分析して、電子部品を認証する際に使用するために電子部品内に形成されたキャビティを調査するステップを含み得る。
【0051】
本方法は、得られた電子部品の画像を分析し、電子部品を認証する際に使用するために、鉛の存在、又は存在しないことを決定するステップを含み得る。
【0052】
全てではないが、少なくともいくつかの方法が自動化され、それによって、部品の分析の速度を高めることが期待される。
【0053】
別の態様では、可視スペクトル、赤外スペクトル、及び紫外スペクトルにおいて、認証されるべき電子部品の画像を取得するための装置を備える電子部品認証システムが提供され、本システムは、電子部品のX線画像を取得するため、及びそれらのX線画像のうちの少なくともいくつかを処理して電子部品の3Dトモシンセシス画像を提供するための装置をさらに備え、本システムは、取得された画像を分析して、電子部品に関する基準を確認し、既知の基準のセットに対してそれを認証する際に使用するように構成されたプロセッサをさらに備える。
【0054】
別の態様では、本明細書に記載の電子部品認証システムを提供するステップと、電子部品を提供するステップと、可視スペクトル、赤外スペクトル、及び紫外スペクトルにおいて、認証されるべき部品の画像を取得するステップと、それらのX線画像の少なくともいくつかを処理して、電子部品の3Dトモシンセシス画像を提供するステップと、取得された画像を分析して、電子部品に関する基準を確認するステップと、確認された基準を既知の基準のセットに対して比較し、電子部品の真正性に関する情報を提供するステップと、を含む、電子部品を認証する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本発明の上記及び他の特性、特徴及び利点は、例として本発明の原理を示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。この説明は、本発明の範囲を限定することなく、例としてのみ与えられる。以下に引用される参照図は、添付の図面を参照する。
【0056】
図1図1はシリコンチップのX線画像である。
【0057】
図2図2は、シリコンチップのクローズアップX線画像である。
【0058】
図3図3は、別のシリコンチップのX線画像である。
【0059】
図4図4図3のチップのX線画像である。
図5図5図3のチップのX線画像である。
【0060】
図6図6は、さらなるシリコンチップの一連のX線画像である。
図7図7は、さらなるシリコンチップの一連のX線画像である。
図8図8は、さらなるシリコンチップの一連のX線画像である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明は特定の図面に関して説明されるが、本発明はそれらに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。説明される図面は、概略的なものに過ぎず、非限定的なものである。各図面は本発明の特徴の全てを含まない場合があり、したがって、必ずしも本発明の実施形態であるとみなされるべきではない。図面において、いくつかの要素のサイズは、説明のために誇張され、縮尺通りに描かれていない場合がある。寸法及び相対寸法は、本発明の実施に対する実際の縮小に対応しない。
【0062】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲における第一、第二、第三などの用語は類似の要素を区別するために使用され、時間的に、空間的に、ランキングにおいて、又は任意の他の方法で、シーケンスを説明するために必ずしも使用されない。そのように使用される用語は適切な状況下で交換可能であり、動作は、本明細書に記載又は例示される以外の他の順序で可能であることを理解されたい。同様に、特定のシーケンスで説明又は特許請求される方法ステップは、異なるシーケンスで動作すると理解され得る。
【0063】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲における上部、下部、上側、下側などの用語は、説明の目的のために使用され、必ずしも相対的な位置を説明するために使用されるわけではない。そのように使用される用語は適切な状況下で交換可能であり、動作は、本明細書で説明又は図示される以外の他の配向で可能であることを理解されたい。
【0064】
特許請求の範囲で使用される「含む(comprising)」という語は、その後に列挙される手段に限定されるものと解釈されるべきではなく、他の要素又はステップを排除するものではないことに留意されたい。したがって、言及された特徴、整数、ステップ、又は構成要素の存在を特定するものとして解釈されるべきであるが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、又は構成要素、又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではない。したがって、「手段A及びBを含むデバイス」という表現の範囲は構成要素A及びBのみからなるデバイスに限定されるべきではない。本考案に関して、デバイスの唯一の関連する構成要素はA及びBであることを意味する。
【0065】
同様に、本明細書で使用される「接続された」という用語は、直接接続のみに限定されると解釈されるべきではないことに留意されたい。したがって、「装置Aが装置Bに接続されている」という表現の範囲は装置Aの出力が装置Bの入力に直接的に接続されている装置又はシステムに限定されるべきではない。他の装置又は手段を含む経路であり得る、Aの出力とBの入力との間に経路が存在することを意味する。「接続された」とは2つ以上の要素が直接物理的又は電気的に接触していること、又は2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、依然として互いに協働又は相互作用していることを意味し得る。例えば、無線接続が考えられる。
【0066】
「実施形態」又は「態様」への本明細書を通しての言及は、実施形態又は態様に関連して記載された特定の特徴、構成又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態又は態様に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所で「一実施形態では」、「一実施形態では」、又は「態様では」という語句が出現することは、必ずしもすべてが同じ実施形態又は態様を指すわけではなく、異なる実施形態又は態様を指し得る。さらに、本発明の任意の1つの実施形態又は態様の特定の特徴、構造又は特性は本開示から当業者に明らかであるように、1つ又は複数の実施形態又は態様において、任意の適切な様式で、本発明の別の実施形態又は態様の任意の他の特定の特徴、構造又は特性と組み合わせることができる。
【0067】
同様に、本明細書において、本発明の様々な特徴は、開示を簡素化し、様々な発明の態様のうちの1つ又は複数の理解を助ける目的で、単一の実施形態、図、又はそれらの説明にまとめられることがあることを理解されたい。しかしながら、この開示方法は、請求される発明が各請求項に明示的に列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。さらに、任意の個々の図面又は態様の説明は、必ずしも本発明の実施形態であるとみなされるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、単一の前述の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴にある。したがって、詳細な説明に続く特許請求の範囲はこの詳細な説明に明示的に組み込まれ、各請求項は本発明の別個の実施形態として独立している。
【0068】
さらに、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は他の実施形態に含まれるいくつかの特徴を含むが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは当業者によって理解されるように、本発明の範囲内であり、なおさらなる実施形態を形成することを意味する。例えば、以下の特許請求の範囲において、特許請求される実施形態のいずれも、任意の組み合わせで使用し得る。
【0069】
本明細書で提供される説明では、多数の具体的な詳細が説明される。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることが理解される。他の例では、この説明の理解を不明瞭にしないために、周知の方法、構造、及び技法は詳細に示されていない。
【0070】
本発明の議論において、反対のことが述べられない限り、パラメータの許容範囲の上限又は下限の代替値の開示は、前記値のうちの1つが他よりも非常に好ましいという表示と組み合わせて、前記代替のより好ましい値とあまり好ましくない値との間にある前記パラメータの各中間値がそれ自体、前記あまり好ましくない値よりも好ましく、前記あまり好ましくない値と前記中間値との間にある各値よりも好ましいことを暗示する記述として解釈されるべきである。
【0071】
用語「少なくとも1つ」の使用は、特定の状況において1つのみを意味し得る。用語「任意の」の使用は、特定の状況において「全て」及び/又は「各々」を意味し得る。
【0072】
次に、本発明の原理を、例示的な特徴に関する少なくとも1つの図面の詳細な説明によって説明する。基本的な概念又は技術的教示から逸脱することなく、当業者の知識に従って他の配置を構成することができ、本発明は、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されることは明らかである。
【0073】
シリコンチップの3DトモシンセシスX線撮像を使用して、一連の画像が、チップを通して、それぞれ異なるレベル又は高さで生成される。1つのそのような「スライス」画像の例が図1に示されている。一連の画像の各x線画像はチップ又は集積回路内への特定の深さ(そうでなければチップを通るレベル又は高さと呼ばれる)で取られた画像であることが理解され得る。一連の画像は、基準のフレームを有し得る。いくつかの例では、基準のフレームがチップ又は集積回路の表面又は接点によって画定され得る。各画像は、基準のフレームに平行な平面を描くことができる。チップを通るレベル又は高さは、チップ内への深さと称されてもよい。
【0074】
チップ10は、画像の中心に脚部20によって囲まれたダイ30(トランジスタを含む)を含み、脚部20は、チップの周辺上の「ピン」40として知られる、ダイから離れて接続点に至ることが分かる。
【0075】
脚部20はダイ30からピン40まで明らかに連続しており、したがって、良好な接続性を保証する。
【0076】
画像処理ソフトウェアは、チップ10上の様々なオブジェクト間の距離、例えば、点Cと点Dとの間のダイ30の幅、点Aと点Bとの間のダイ30のコーナーから配置された脚部20の外側コーナーまでの対角線長さ、及び点Eと点Fとの間のピン40の幅などを決定し得る。他の寸法が決定可能であることが理解されよう。
【0077】
X線画像は図2に示すようにワイヤボンド55の詳細が見えるように、より微細な焦点で調べることができる。それらの形状及び長さは、連続性及び任意の他の見かけ上の欠陥について視覚的にチェックし得る。同様に、ダイの形状を決定して、これを偽造部品の識別のために使用することもできる。
【0078】
対照的に、偽造チップ100のX線画像が図3に示されている。ピン110のいくつかは、他のピン105に対して位置がずれており、不適当な位置にあることがはっきりと見られる。さらに、脚部120のいくつかは、ダイ130とピン105との間で明らかに切り詰められており(truncated)、不連続である。
【0079】
図4図3に示されているのと同じチップを通して撮影された3DトモシンセシスX線画像の1つのスライスを示すが、チップの裏面などの基準データと比較して異なる高さである。チップの左側のピン130は焦点が合っているが、右側のピン140は焦点が合っていない。
【0080】
次のスライス図(図4に示すスライスのすぐ隣にあってもよいし、数スライス離れていてもよい)が図5に示されている。この図では、チップの左側のピン130は焦点が合っておらず、右側のピン140は焦点が合っている。
【0081】
これら2つの図は、全てのピンが基準データに対して互いに水平になるようにピンが形成されていないことを示している。言い換えれば、使用時にPCBなどの基板上にはんだ付けされるピン130、140の端部は、すべて同じ平面内にあるわけではない。したがって、使用中の全てのピンを接続することは、不可能ではないにしても、困難である。さらに、それは、偽造製品、又は少なくとも不良チップを示す。
【0082】
システムは、様々な画像スライスの画像分析及び比較を通してピンの位置を決定するように構成され得る。
【0083】
図6図8はチップ200を通る一連のスライスを示し、各スライスは、チップ200の背面などの基準データと比較して異なる高さを有する。
【0084】
図6は脚部210、220(右上隅及び左下隅)は焦点が合っているのに対し、脚部230、240(左上隅及び右下隅)は焦点が合っていないことを示す。
【0085】
次のスライスビュー(図6に示すスライスのすぐ隣にあってもよいし、数スライス離れていてもよい)が図7に示されている。この図では、チップの4つの隅すべてが等しく焦点が合っている。
【0086】
しかしながら、次のスライスビューが図8で見られるとき、今度は脚部210、220(右上隅及び左下隅)が焦点から外れているのに対し、脚部230、240(左上隅及び右下隅)は焦点が合っていることが分かる。このビューは図7に示すスライスのすぐ隣にあってもよいし、数スライス離れていてもよい。
【0087】
全体のシーケンスは、チップ200がわずかにねじれているか、又は曲がっていることを示す。ねじれていない、又は曲げられていない場合、コネクタはすべて、同じスライスビュー上で焦点が合って示され、コネクタはすべて、異なるスライスビュー上で焦点が合っていない状態で示される。脚部の一部のみが焦点が合っており、他の脚部は焦点が合っていない、いかなるビューも存在しない。
【0088】
「焦点が合っていない(又は、焦点から外れた/out of focus)」という用語の使用に関して、X線撮像方法は、有限数の個々のスライスをもたらし得ることを説明すべきである。しかしながら、各スライスは関連するスライス内にはないが、関連するスライスの前及び/又は後ろにある(すなわち、実際のスライスとは別のz値を有する)画像化されたオブジェクトの部分を含み得る。焦点から外れて見えるのは、これらの部分である。「焦点が合っている」ように見えるのは、スライスの平面内に実際にある物体の部分のみである。これが、画像の「焦点外」部分が同じスライス画像の「焦点内」部分と比較されて、「焦点外」部分が基準データと比較して「焦点内」部分のものとは異なる高さにある(又は異なるz値を有する)ことを決定し、したがって、ねじれているか、曲がっているか、又は他の不正に形成された部品を示し得る理由である。
【0089】
画像処理ソフトウェアを用いて、チップの様々な領域又は部品の焦点を決定し得る。代替的に、又は追加的に、人間のオペレータが偽造チップ又は単に製造不良チップを決定するために、画像を検討するために使用されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】