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特表2024-532854CLYシリーズ化合物及びその調製方法並びにその調製薬物の用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】CLYシリーズ化合物及びその調製方法並びにその調製薬物の用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/12 20060101AFI20240903BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240903BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 9/02 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
C07D401/12
C07D471/04 101
A61K31/437
A61K31/4439
C07D401/14
A61K31/4545
A61P17/00
A61P17/02
A61P17/10
A61P17/06
A61P37/06
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P37/08
A61P11/00
A61P17/14
A61K9/06
A61K9/02
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/12
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/70
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510304
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 CN2022099496
(87)【国際公開番号】W WO2022262854
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】202110668896.0
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】524062526
【氏名又は名称】南京韋爾優衆医薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】NANJING WELLBEST PHARMACEUTICAL CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110003823
【氏名又は名称】弁理士法人柳野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳敏
(72)【発明者】
【氏名】呉永平
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA01
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA12
4C076AA16
4C076AA24
4C076AA36
4C076AA51
4C076AA53
4C076AA71
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB16
4C076BB21
4C076BB22
4C076BB25
4C076BB29
4C076BB30
4C076BB31
4C076CC07
4C076CC09
4C076CC15
4C076CC18
4C076CC19
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC62
4C086CB05
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA27
4C086MA28
4C086MA32
4C086MA34
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA89
4C086ZA92
4C086ZB08
4C086ZB13
4C086ZB15
(57)【要約】
本発明はCLYシリーズ化合物及びその調製方法及び調製薬物の使用を開示し、前記CLYシリーズ化合物は式I構造を有する化合物であり、その互変異性体、その溶媒化物又はその薬学的に許容可能な塩であり、動物モデル実験によれば、化合物CLYシリーズは、すべて肝斑マウスモデルの皮膚と血中のチロシナーゼレベルを明らかに減少させ、皮膚中の肝細胞因子(SCF)、C-kitタンパク質の発現を減少させ、肝斑の色素形成を抑制する、皮膚の創面癒合を明らかに促進し、瘢痕の形成を減少させる;脱毛マウスモデルの毛髪成長を明らかに促進し、毛包の損傷を減少することができる、ウサギ耳にきびモデルの症状を明らかに軽減し、毛穴の詰まりとにきびの形成を減らすことができる;CLYシリーズ化合物は、急性GVHDマウスの生存時間を明らかに高め、臨床症状を軽減し、急性GVHDに対して治療作用があることを示し、肺線維化マウスモデルの肺組織中のMMP-2、MMP-9レベルを明らかに低下させ、TIMP-1とVEGFレベルを増加させることができ、同時に末梢血中のSOD、CAT酵素レベルを高めることができる;CLY系化合物は、末梢血中IL-17レベルの低下とIL-10などの炎症指標の上昇によりリウマチ関節炎マウスの関節炎症状を改善することができる。この化合物は単独で使用してもよく、他の薬物と併用して使用してもよく、以上の疾患の治療に新しい薬物選択を提供した。
【化1】

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iに示す構造を有する化合物、その互変異性体、その溶媒和物または薬学的に許容される塩。
【化1】

(ただし:
R1はN、O、S、の少なくとも1つを含む置換または非置換の5~6員複素環、ベンゾ複素環、少なくとも前記の2つの複素環を有する二環であり、前記置換基は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシまたは(C1-C4)アルキルであり;
R2は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、アミノ、メチルまたはエチルであり;
R3は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、アミノ、(C1-C3)アルキルであり、
【化2】
R4は置換もしくは非置換の5~6員シクロアルキル基、またはNもしくはOから選ばれる1~3個のヘテロ原子を有する4~7員複素環であり、前記置換基は水素、-NH2、-OH、(C1~C4)アルキル、(C1~C4)アルコキシ、アミノ、(C1~C4)アルキルアミノから選ばれ、
ただし;
R6およびR8はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、または(C1-C4)アルキルであり、ただし、R6およびR8は両方同時にハロゲンではなく;
R7はヒドロキシ、(C1-C4)アルコキシ、(C1-C4)アルコキシカルボニルオキシ(C1-C4)アルキル、または(C1-C4)アルキルカルボニルオキシ(Cl-C4)アルキルであり、
Rl0およびR11は、それぞれ独立し、水素、(C1-C4)アルキルまたは(C3-C6)シクロアルキルであり;
R12は水素、ハロゲン、-OH、-NH2または(C1-C3)アルキルから選ばれ;
R13は水素、(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルカルボニルオキシ(C1-C4)アルキルまたは(C1-C4)アルコキシカルボニルオキシ(Cl-C4)アルキルであり;
R14は水素、(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルカルボニルオキシ(C1-C4)アルキルまたは(C1-C4)アルコキシカルボニルオキシ(Cl-C4)アルキルであり、
R15はヒドロキシ、テトラゾリル、(C1-C2)アルキルスルホニルまたはトリフルオロメチルスルホニルであり;
R16は水素、(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルカルボニルオキシ(C1-C4)アルキルまたは(C1-C4)アルコキシカルボニルオキシ(Cl-C4)アルキルである)。
【請求項2】
R3が水素、ハロゲン、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、アミノ、(C1-C3)アルキル、
【化3】
である場合、R4
【化4】
であり;
R3
【化5】
である場合、R4
【化6】
であることを特徴とする、請求項1に記載の式1で示される化合物、その互変異性体、溶剤和物、または薬学的に許容される塩。
【請求項3】
請求項1に記載の式1で表される化合物、その互変異性体、溶媒和物、またはその薬学的に許容される塩であり、R2は水素、ヒドロキシルまたはメチルであることを特徴とする。
【請求項4】
請求項1に記載の式1で示される化合物、その互変異性体、溶剤和物、または薬学的に許容される塩であり、R1は置換または非置換のピリジニル、イソキノリニルまたはピロロピリジニルであり、前記置換基が水素、塩素またはメチルであることを特徴とする。
【請求項5】
式I-aに示す構造を有する化合物その互変異性体、その溶媒和物または薬学的に許容される塩であり、
【化7】
ここで、R3が水素、ハロゲン、ヒドロキシル、メトキシ、アミノ、メチル、または置換もしくは非置換基の
【化8】
から選ばれる場合、R4
【化9】
であり;
R3
【化10】
の場合、R4
【化11】
であり;
ここで、R6、R7、R8、Rl0、R11、R12、R13、R14、R15、R16の限定は請求項1と一致する。
【請求項6】
式I-bに示す構造を有する化合物、その互変異性体、その溶媒和物または薬学的に許容される塩であり、
【化12】
ここで、R3が水素、ハロゲン、ヒドロキシル、メトキシ、アミノ、メチルまたは置換もしくは非置換の
【化13】
である場合、R4
【化14】
であり;
R3が
【化15】
である場合、R4
【化16】
であり;
ここで、R6、R8、Rl0、R11、R12、R13の限定は請求項1と一致する。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物、その互変異性体、その溶媒和物または薬学的に許容される塩であり、R6が水素またはメチルであり、R8が水素であることを特徴とする。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物、その互変異性体、その溶媒和物または薬学的に許容される塩であり、R12が水素、ハロゲン、-OH、-NH2またはメチルから選ばれることを特徴する。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物、その互変異性体、その溶媒和物または薬学的に許容される塩であり、以下の化合物から選ばれることを特徴とする。
【化17-1】
【化17-2】
【化17-3】
【請求項10】
式(I)で示される化合物の調製方法であり:
【化18】
原料
【化19】
から調製する生成
【化20】
、そして、
【化21】

【化22】
が最終製品Iを生成し、
ただし、R1、R2、R3、R4は請求項1~9のいずれか1項に記載の限定と一致する。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物または請求項10の調製により得られる化合物、その互変異性体、その溶媒和物または薬学的に許容される塩を有効成分または主有効成分として含有し、薬学的に許容される担体から成ることを特徴とする薬物組成物。
【請求項12】
疾患の治療および/または予防のための薬物の調製における請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物または請求項10の調製により得られる化合物、その互変異性体、その溶媒和物または薬学的に許容される塩または請求項11記載の組成物の使用。
【請求項13】
肝斑、瘢痕、男性型脱毛症、脂漏性脱毛症、ざ瘡、魚鱗癬、汗孔角化症、毛包周囲角化症、乾癬、湿疹、アトピー性皮膚炎、移植片対宿主病、肺線維症または関節リウマチの治療および/または予防のための薬物の調製における請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物または請求項10の調製により得られる化合物、その互変異性体、その溶媒和物または薬学的に許容される塩または請求項11記載の組成物の使用。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物または請求項10の調製により得られる化合物、その互変異性体、その溶媒和物または薬学的に許容される塩または請求項11記載の組成物から調製した薬学的に許容されるあらゆる剤形および任意の投与方式。
【請求項15】
請求項14に記載の剤形であり、経口、非経口、腹膜内、静脈内、動脈内、皮膚外用、経皮、舌下、筋肉内、直腸、透頬、鼻内、吸入、膣、眼内、局所、皮下、脂肪内、関節内、腹膜内または鞘内のいずれかの投与方式に適した製剤であることを特徴とする。
【請求項16】
請求項14に記載の剤形であり、前記剤形が、軟膏、ゲル、乳剤、塗布剤、ローション、溶液、スプレー、錠剤、パンチ、経口液剤、カプセル剤、滴下剤、浣腸剤、フィルム、または注射剤を含むことことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬化学分野、具体的には、CLYシリーズ化合物及びその調製方法並その調製薬物の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
肝斑は中、青年女性に発症しやすいの後天性色素沈着症である。その病因は極めて複雑であり、多くの影響因子を有しているが、様々な原因による皮膚にメラニンが沈着することが肝斑の直接の原因である。チロシナーゼは一連の酸化反応を経てメラニンを生成する。チロシンはでメラニン小体内でチロシナーゼの作用下でドーパに酸化され、ドーパはドーパ酸化酵素によりさらにドーパキノンに酸化され、ドーパキノンは最終的にチロシナーゼの作用下で酸化されてメラニンを形成する。この過程における一連の酸化および抗酸化反応の障害は、肝斑の発生および発症を引き起こし、促進する可能性があり、チロシンの増加は肝斑発症の主な材料基礎である。一連の酸化反応のバランスが崩れると、体内では酸素フリーラジカルが過剰に生成される一方、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)などの抗酸化酵素の活性が低下し、膜脂質の過酸化が起こり、過酸化脂質が生成される。過酸化脂質は不安定であり、急速に分解してアルデヒドを生成し、それに伴って最終生成物であるマロンジアルデヒド(MDA)が増加し、リン脂質やタンパク質を急速に攻撃するため、色素細胞の酸化損傷が引き起こされ、チロシナーゼの酸化反応を促進し、メラニンを増加させ、皮膚の基底層に沈着させる。したがって、皮膚組織中のMDA量を減少させ、抗酸化酵素 SODの活性を高めることは、肝斑の予防と治療にとって大きな意義がある。肝斑は再発しやすく、治療が難しい。市場では肝斑を根本的に解決できる製品は少なく、色素斑が再発しやすい。ハイドロキノンは、最も早くかつ最も広く使用されている美白剤であるが、皮膚の色素沈着が不均一に分布し、刺激性が高く、発がん性の可能性さえあるため、美白および肝斑治療への応用は規制されている。アルブチンは、臨床で最も広く使用されている美白剤の一つであるが、その効果は限られている。
【0003】
瘢痕とは、物理的、生物学的、化学的、その他の要因による人間の皮膚や軟部組織の損傷であり、皮膚や軟部組織に深刻な損傷をもたらし、完全に自己修復することはできない。瘢痕は患者に大きな肉体的苦痛と精神的苦痛をもたらし、特に火傷、やけど、重度の外傷の後に残る瘢痕は深刻である。瘢痕に対処するのは難しく、現在のところ、赤みを帯びて硬い瘢痕を柔らかく軽くし、幅の広い瘢痕を狭く、厚い瘢痕を薄くすることしかできないが、瘢痕を完全になくすことはできない。そのため、創傷治癒の初期段階に介入することが重要であり、瘢痕の形成を効果的に抑え、外観を改善し、変形を矯正し、機能を回復させることができる。現在、瘢痕の治療に一般的に用いられている方法は、手術、レーザー治療、凍結療法、薬物療法などである。一般的に使用される薬剤には、グルココルチコイドとレチノイドがあります。グルココルチコステロイドには明らかな抗線維化作用があるが、毒性の副作用が多い。レチノイン酸は体内のビタミンA代謝の中間産物で、局所の炎症を軽減し、上皮細胞の増殖を促進し、コラーゲン合成を抑え、線維芽細胞の DNA 合成を抑え、細胞増殖を抑制する。レチノイドの濃度が高ければ高いほど、増殖抑制効果は顕著になる。しかし、レチノイン酸の効能が乏しくシステム応用毒副作用も少なくない。レチノイン酸の外用は明らかな皮膚刺激を引き起こし、濃度が高くなるにつれて刺激が激しくなる。
【0004】
円形脱毛症(alopecia areata、AA)は、局所の皮膚はほぼ正常である非瘢痕性脱毛症である。通常は突発的な斑点状の脱毛症であり、重症の場合は頭皮全体に及ぶこともあり、その場合は全頭脱毛症(alopecia totalis,AT)と呼ばれ、腋毛や陰毛を含む全身の毛髪に及ぶ場合は汎発性脱毛症(alopecia universalis,AU)と呼ばれ、患者の容貌や心理に深刻な影響をもたらしやすい。現在病因はまだ完全には解明されておらず、自己免疫機能の異常や不安定性、神経心理因子が重要な関連要因と考えられている。円形脱毛症は完治する可能性が高いが、病因によって完治確率に大きな差が生じる。自然に治る患者も一部いれば、数年も続く患者もいる。ミノキシジルは円形脱毛症治療によく使われる外用薬で、皮膚の血管拡張を促進し、局所の血液循環を改善し、発毛を促進する。重度の円形脱毛症によく使われるグルココルチコステロイドで、主にプレドニゾロン、複合型ベタメタゾンなど含まれる、経口、外用、または皮内注射が可能である。グルココルチコイド系薬剤が適さない患者には、免疫抑制剤による治療が可能であり、よく見られる薬物はシクロスポリン、メトトレキサート、グルココルチコステロイド、免疫抑制剤でありが、これらの薬物は副作用が多い。
【0005】
男性型脱毛症(AGA)は、脂漏性脱毛症とも呼ばれ、アンドロゲン依存性の遺伝性脱毛症の一種であり、よく見られて発症しやすい疾患である。20~30歳前後の男性に多く発症する。脱毛は主に頭頂部に起こり、多くは額の両側の生え際から始まるものであるが、頭頂部からも起こる人もいる。脱毛部位は徐々に上方に広がり、毛髪は徐々に少なく細くなっていき、最終的には頭頂部の毛髪はほとんど、あるいは完全に抜けるが、後頭部と両側側頭部の上部の毛髪は残っているため、馬蹄形の外観を呈し、この帯状部分の毛髪は正常なままである。脱毛部位は皮膚が明るく、毛穴が縮小し、あるいは細い軟らかいうぶ毛がわずかに残っている。脱毛の速度、範囲、重症度は、遺伝と個体差に影響される。一般的に30 歳前後の進行が最も早く、重度な全脱毛者はまれである。 女性には頭頂部のびまん性脱毛症が多く、頭頂部の毛髪が薄くなる。中国での疫学調査によると、男性型脱毛症の有病率は男性が21.3%、女性が6.0%である。アンドロゲン性脱毛症の病因と病態はまだまだ完全には解明されておらず、一般的には、アンドロゲンとその受容体がこの病気の発症に重要な役割を果たし、II型5aリダクターゼがその発症の重要な因子であると考えられている。正常な生理条件では、体内のアンドロゲンは毛髪の成長と発育を刺激する一定の役割を果たすが、特定の部位では脱毛を誘発することがある。テストステロンは体内の主なアンドロゲンであり、5a-リダクターゼによってジヒドロテストステロンに変換され、後者は末端毛をうぶ毛に変化させ、最終的に脱毛を引き起こすことができる。現在、理想的な治療法はないことは脱毛類疾患の治療が直面している課題である。ミノキシジルは脱毛症の非特異的治療薬である、脱毛症治療の第一選択薬として FDA に承認されている外用薬であるが、その使用は顔面および四肢の多毛症を引き起こす可能性があり、使用を中止すると治療効果は徐々に消失する。発症にはアンドロゲンが大きく関与しているため、近年の新しい治療法では、抗アンドロゲン効果により毛包の小形化の終結させることが試みられている。フィナステリドはII型5a還元酵素選択的阻害剤であり、近年、AGA治療に有効であることが判明しており、持続的な発毛改善が認められている。しかし、フィナステリドは性機能異常、精子一過性減少、男性乳房発達異常などを引き起こす副作用があり、動物実験では催奇形性も発見されたため、小児科や妊娠適齢期の女性には適用さなかった。シメチジンは5ヵ月以上服用する必要があり、副作用として男性の乳房発育、インポテンス、性欲減退などがある。経口避妊薬:主にソゴノロン、レボノルゲストレル(レボメチルノルエチンドロン)、プロゲステロン、ノルエチンドロン(オキシムノルエチンドロン)、ビスエステルノルエチンドロン、ビンポセチンなどがある。これらは女性のAGA治療によく使われ、6~12ヶ月の治療で毛髪はある程度改善することができる。
【0006】
ざ瘡(通称:ニキビ)は、毛包の皮脂腺に発症しやすい慢性炎症性疾患であり、有病率は約9.4%である。ざ瘡の発生は、思春期における皮膚の生理・病理的変化と密接している。臨床症状としては、主にニキビ、丘疹、膿疱、結節、嚢胞、瘢痕などがあり、これらは患者の容貌や心理に深刻な影響をもたらす。ざ瘡はいくつかの病態と関連しており、毛包開口部の角化異常によるニキビの形成が本症発症の重要な基礎であり、炎症および感染がにきび発症の要因である。ざ瘡患者は皮脂腺が大きく、皮脂腺分泌が亢進し、皮脂中のリノール酸レベルが相対的に低下しているため、脂肪の合成に影響を及ぼし、毛包上皮の脂肪酸が不足し、毛包の角化亢進が誘発され、上皮が正常に剥がれ落ちなくなり、毛包皮脂腺の開口部の過度が小さいため、皮脂がスムーズに排出されず、ニキビが形成される。毛包皮脂腺がふさがれ、毛包皮脂腺に低酸素環境が生じ、嫌気性のアクネ菌大量に増殖し、皮脂を分解し、ケモカインを産生し、白血球が蓄積して丘疹を形成する。毛包の皮脂腺に多数の好中球が集まり、プロピオニバクテリウムアクネスを飲み込んで炎症反応が起こり、その結果、多数の膿細胞が蓄積し、膿疱や嚢胞が形成され、治癒後に陥凹した瘢痕が形成されやすくなる。アンドロゲンレベルの上昇は、ざ瘡の発生を促進する重要な一環であり、皮膚の異常な角化を引き起こし、毛包の皮脂腺の管を塞ぎ、細菌の滞留と繁殖を招き、炎症を引き起こす。ざ瘡と類似している角化異常による疾患は魚鱗癬、毛状角化症(毛苔症とも呼ばれる)、ダリエ病、汗孔角化症などがある。毛状角化症は角栓のある毛包開口部の拡大として見られ、魚鱗癬は汗腺や皮脂腺の減少と毛包内の角栓を呈する。上記の疾患は再発しやすく、治療が困難である。角化異常を治療し、角栓とにきびを除去に使用される主な薬剤はレチノイドである。レチノイドは、角化を抑制し、皮脂分泌を抑制し、角質形成細胞の正常な角化を促進し、免疫調節作用や抗炎症作用を有するため、ニキビ、丘疹、膿疱の形成を抑制することができ、臨床においてざ瘡、魚鱗癬、毛状角化症、ダリエ病、汗孔角化症など角化異常性疾患の治療に広く使用されている。しかし、外用レチノイドは皮膚に刺激を与え、発赤腫脹、痛み、既存の病変の悪化を引き起こす傾向があり、長期にわたってレチノイドを外用する場合、皮膚が薄くなり、光線過敏症、皮膚バリアーの損傷などにつながり、経口レチノイドは肝障害や血中脂質の上昇などの副作用がある。従って、このような疾患を治療するためのより多くの薬剤が臨床的に必要とされている。
【0007】
乾癬は一般的な慢性再発性炎症性皮膚疾患であり、世界的な有病率は自然集団で0.1~3%である。中等症から重症の患者は、メタボリックシンドロームや心血管障害を併発するリスクが高い。従って、乾癬疾患の早期診断、早期治療は症状のコントロールと改善、合併症の予防に重要である。軽中度乾癬は外用治療が第一選択である。グルココルチコイドの外用はより効果的であるが、長期間、連続的に広範な使用に適さない;プラーク型乾癬にビタミンA酸外用治療はより効果的であるが、皮膚刺激に注意する必要がある;カルシポトリオールなどのビタミンD3誘導体もよりよい効能を有するが、顔面や皮膚のひだの使用に適さない;カルシウム調節神経ホスファターゼ阻害薬(タクロリムス、ピメクロリムスなど)は頭皮、皮膚のひだ、性器などに使用できるが、長期にわたる広範囲の使用は、リンパ腫や皮膚がんのリスクを高める可能性がある;様々なケラチン生成促進剤(例えば、タール製剤、アントラリン軟膏、10~15%カンプトテシン軟膏、サリチル酸軟膏)も外用できるが、その効果は限定的である。免疫抑制剤は主に紅皮症、膿疱性乾癬及び関節症性乾癬に使用される。明らかな感染症や汎発性膿疱性乾癬の患者には抗菌薬を使用する必要がある。免疫抑制剤は中重度患者の治療に使用できるが、長期使用による副作用が多く、骨髄抑制、肝機能障害、腎機能障害、感染症リスクの上昇などがよく見られる。
【0008】
湿疹(別名:アトピー性皮膚炎、異位性皮膚炎)は、様々な内的・外的要因によって引き起こされる皮膚の炎症反応で、強いかゆみを伴い、再発しやすい。湿疹の原因は複雑である。軽中度湿疹には、主に外用療法が行われる。皮膚病変に応じて、適切な剤形と薬剤を使用する。亜急性および慢性の湿疹には、適切なグルココルチコイドクリーム、タール系製剤、またはタクロリムス軟膏やピメクロリムス軟膏などの免疫調節薬を使用する。グルココルチコイドや免疫抑制剤は重症患者には全身的に使用できるが、副作用が多く、長期使用は適さない。
【0009】
移植片対宿主病(graft versus host disease,GVHD)は、移植後の同種移植片中のTリンパ球によるもので、レシピエントによって開始される一連の「サイトカインストーム」によって刺激され、レシピエントの抗原に対する免疫応答を著しく増強し、レシピエントの標的細胞に対する細胞傷害性攻撃を開始し、その中で皮膚、肝臓及び腸管は主な標的である。急性移植片対宿主病の発症率は30~45%で、慢性者の発症率は急性より低い。同種造血幹細胞移植は治癒可能な血液系腫瘍および造血機能異常性疾患に対する有効な治療法である。急性移植片対宿主病(GVHD)は、その主要な重大な合併症であり、罹患率、致死率、および障害が高く、悪性血液疾患における非再発性死亡の重要な原因である。テロイドは急性GVHD治療の第一選択薬であるが、患者の約50%にホルモン抵抗性があり、GVHD反応をコントロールできない。T細胞表面抗原(CD3、CD25など)に対するモノクローナル抗体や化学療法剤(モルティメクロリド、タクロリムスなど)のようなGVHD反応に対する他の第二選択治療薬は、GVHDに対する確実な治療効果があるものの、それに続く免疫不全や日和見感染症はこれらの薬剤の利点を著しく低下させ、最終的には患者の生存期間を延長していない。従って、ホルモン抵抗性急性GVHDを効果的にコントロールするための新たな治療手段を見つけることが急務である。
【0010】
肺線維症(pulmonary fibrosis)は、原因不明で複雑な病態を示すびまん性肺疾患であり、現在では、肺損傷後の過剰修復による細胞外マトリックスの過剰沈着の結果であると認識されている。肺線維症の病態は不明であるが、現在では肺胞上皮の繰り返し傷害と過剰修復が発症の鍵であると認識されている。この病態は、長期にわたる慢性肺炎と肺胞の持続的な傷害によって、細胞外マトリックスのメタロプロテアーゼ(MMP)の凝集が起こり、特にMMP-2とMMP-9が異常に増加し、組織メタロプロテアーゼ阻害剤-1(TIMP-1)が減少することでバランスが崩れ、肺の細胞外マトリックスの凝集が大量に起こり、組織球のリモデリングとコラーゲンの過剰沈着が起こることを特徴とされている。同時に、組織における血管内皮増殖因子(VEGF)の発現を阻害し、肺微小血管の透過性を低下させ、血管内皮細胞の分裂・増殖と血管再生を阻害し、肺組織の損傷を悪化させ、最終的にはびまん性間質性肺疾患である肺線維症を引き起こす可能性がある。現在では、有効な抗線維化薬はなく、グルココルチコイド系抗炎症薬が抗線維化プロセスを抑えるために一般的に使用されているが、効果は限定的で副作用も多い。現在の治療法は臨床ニーズを満たすには程遠く、疾患の進行を抑え、再発や合併症を減らし、死亡率を低下させるための有効性が高く副作用の少ない新薬をさらに見つける必要がある。
【0011】
自己免疫疾患は発症率が高い。全世界には少なくとも数億人以上の患者がいて、その中には関節リウマチ、強直性脊椎炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、エリテマトーデス、皮膚筋炎、強皮症、乾燥症候群などが含まれている。これらの疾患が重症になると多臓器を侵し、心臓、肝臓、腎臓、血管、肺、関節、脳などに障害をもたらし、悪性腫瘍に次の高い死亡率を示している。関節リウマチ、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、クローン病には共通の発症経路がある。 これらの疾患の病因と病態は非常に複雑であり、現在では完治ができなく、病気の進行を抑えるために長期間の薬物療法が必要である。臨床で一般的に使用されている治療薬は、主にグルココルチコイドや免疫抑制剤などであるが、これらの薬剤の有効率は50%程度に止まり、骨髄抑制、肝・腎機能障害、骨粗鬆症、感染症や腫瘍の誘発などの副作用があるため、長期使用が制限されている。現在の新しい生物学的製剤にも免疫抑制作用があり、感染症や腫瘍を誘発するリスクがあり、高価であるため、長期的な一般使用が制限されている。
【0012】
上記の疾患については、現在の治療法は臨床ニーズを満たすには程遠く、疾患の進行を抑制し、再発や合併症の発生を抑えるために、有効性が高く、副作用が少なく、安価な新薬をさらに見つける必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は薬効を有するCLYシリーズ化合物またはその薬学的に許容される塩を提供することである。
本発明のさらなる目的は前記化合物の調製方法を提供することである。本発明のさらなる目的は前記化合物の用途を提供することである。
本発明の目的は、以下の手段によって達成することができる:
本発明は式Iに示す構造を有する化合物を提供し、その互変異性体、その溶媒和物または薬学的に許容される塩、
【0014】
【化1】
【0015】
ただし:
R1はN、O、S、の少なくとも1つを含む置換または無置換の5~6員複素環、ベンゾ複素環(例えば、イソキノリニル)、または少なくとも前記の2つの複素環を有する二環であり、ここで並列環は、2つの環構造が隣接する2原子によって形成される二環を指す、例えばピロロピリジン。前記置換基は水素、ハロゲン、または(C1-C4)アルキルであり;
R2は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、アミノ、メチルまたはエチルであり;
R3は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、アミノ、(C1-C3)アルキルまたは以下の基である:
【0016】
【化2】
【0017】
であり;
R4は置換もしくは無置換の5~6員シクロアルキル基、またはNもしくはOから選ばれる1~3個のヘテロ原子を有する4~7員複素環であり、前記置換基は水素、-NH2、-OH、(C1~C4)アルキル、(C1~C4)アルコキシ、アミノ、(C1~C4)アルキルアミノから選ばれ;
好ましくは、R4
【0018】
【化3】
【0019】
である。
【0020】
好ましくは、R3が水素、ハロゲン、ヒドロキシル、メトキシ、アミノ、メチルまたは以下の基である:
【0021】
【化4】
【0022】
である場合、R4
【0023】
【化5】
【0024】
であり、R3
【0025】
【化6】
【0026】
である場合、R4
【0027】
【化7】
【0028】
であり;
ただし:
R6およびR8はそれぞれ独立に、水素、メチル、ハロゲン、または(C1-C4)アルキルであり、ただし、R6およびR8は両方同時にハロゲンではない。好ましくは、R6は水素またはメチルであり、R8は水素である;
R7はヒドロキシ、(C1-C4)アルコキシ、(C1-C4)アルコキシカルボニルオキシ(C1-C4)アルキル、または(C1-C4)アルキルカルボニルオキシ(Cl-C4)アルキルであり、
Rl0およびR11は、それぞれ独立し、水素、(C1-C4)アルキルまたは(C3-C6)シクロアルキルであり;
R12は水素、ハロゲン、-OH、-NH2または(C1-C3)アルキルから選ばれ;
R13は水素、(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルカルボニルオキシ(C1-C4)アルキルまたは(C1-C4)アルコキシカルボニルオキシ(Cl-C4)アルキルであり;
R14は水素、(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルカルボニルオキシ(C1-C4)アルキルまたは(C1-C4)アルコキシカルボニルオキシ(Cl-C4)アルキルであり;
R15はヒドロキシ、テトラゾリル、(C1-C2)アルキルスルホニルまたはトリフルオロメチルスルホニルであり、R16は水素、(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルカルボニルオキシ(C1-C4)アルキルまたは(C1-C4)アルコキシカルボニルオキシ(Cl-C4)アルキルである)。
【0029】
一部の実施例において、Rlはイソキノリン-1-イルであり、Rlは塩素またはメチルで任意選択的に一置換されている。
【0030】
一部の実施例において、R2は水素、ヒドロキシ、またはメチルである。
【0031】
一部の実施例において、Rlは置換または無置換のピリジニルまたはピロロピリジニルであり、前記置換基は、水素、クロロ、またはメチルである。
【0032】
一部の実施例において、Rl2は水素、ハロゲン、-OH、-NH2、またはメチルから選ばれ、一部の実施例において、R12、Hから選ばれる。
【0033】
本発明は、式I-aに示す構造を有する化合物その互変異性体、その溶媒和物または薬学的に許容される塩を提供し、
【0034】
【化8】
【0035】
ただし、R3は、H、ハロゲン、ヒドロキシル、メトキシ、アミノ、メチル、または以下の置換もしくは無置換の基である場合:
【0036】
【化9】
【0037】
から選ばれ、R4
【0038】
【化10】
【0039】
であり;
ただし、R6、R7、R8、Rl0、R11、R12、R13、R14、R15、R16の限定は前記の任意一段の限定と一致する。
好ましくは、R3は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、メトキシ、アミノ、メチルまたは以下の置換もしくは無置換の基である場合:
【0040】
【化11】
【0041】
である場合、R4
【0042】
【化12】
【0043】
であり;
R3
【0044】
【化13】
【0045】
の場合、R4
【0046】
【化14】
【0047】
であり、
ここで、R6およびR8はそれぞれ独立に、水素、メチル、ハロゲン、または(C1-C4)アルキルであり、ただし、R6およびR8は両方同時にハロゲンではない。好ましくは、R6は水素またはメチルであり、R8は水素である;
R7はヒドロキシル、(C1-C4)アルコキシ、(C1-C4)アルコキシカルボニルオキシ(C1-C4)アルコキシ、または(C1-C4)アルキルカルボニルオキシ(Cl-C4)アルコキシであり、
Rl0およびR11は、それぞれ独立し、水素、(C1-C4)アルキルまたは(C3-C6)シクロアルキルであり、
R12は水素、ハロゲン、-OH、-NH2または(C1-C3)アルキルから選ばれ、
R13は水素、(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルカルボニルオキシ(C1-C4)アルキルまたは(C1-C4)アルコキシカルボニルオキシ(Cl-C4)アルキルであり;
R14は水素、(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルカルボニルオキシ(C1-C4)アルキルまたは(C1-C4)アルコキシカルボニルオキシ(Cl-C4)アルキルであり;
R15はヒドロキシ、テトラゾリル、(C1-C2)アルキルスルホニルまたはトリフルオロメチルスルホニルであり、R16は水素、(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルカルボニルオキシ(C1-C4)アルキルまたは(C1-C4)アルコキシカルボニルオキシ(Cl-C4)アルキルである。
【0048】
一部の実施例において、式I-aに示す構造を有する化合物、その互変異性体、その溶媒和物または薬学的に許容される塩は、R6がHであり、R8がHである;
一部の実施例において、式I-aに示す構造を有する化合物、その互変異性体、その溶媒和物または薬学的に許容される塩は、R12が水素、ハロゲン、-OH、-NH2、またはメチルから選ばれ;一部の実施例において、R12が水素から選ばれる。
【0049】
一部の実施例において、式I-aに示す構造を有する化合物その互変異性体、その溶媒和物または薬学的に許容される塩はR11はHであり、R10はHまたはメチルであり、R13
【0050】
【化15】
【0051】
である。
【0052】
本発明は式I-bに示す構造を有する化合物、その互変異性体、その溶媒和物または薬学的に許容される塩を提供し、
【0053】
【化16】
【0054】
ただし、R3は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、メトキシ、アミノ、メチル、または以下の置換もしくは無置換の基である場合:
【0055】
【化17】
【0056】
であり、R4
【0057】
【化18】
【0058】
であり、R6、R8、Rl0、R11、R12、R13の限定は前記の任意一段の限定と一致する。
【0059】
好ましくは、R3は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、メトキシ、アミノ、メチルまたは以下の置換もしくは無置換の基である場合:
【0060】
【化19】
【0061】
である場合、R4
【0062】
【化20】
【0063】
であり;
R3
【0064】
【化21】
【0065】
の場合、R4
【0066】
【化22】
【0067】
である。
【0068】
ここで、R6、R8、Rl0、R11、R12、R13の限定は前記の任意一段の限定と一致する。
【0069】
一部の実施例において、式I-bに示す構造を有する化合物、その互変異性体、その溶媒和物または薬学的に許容される塩は、R12が水素、ハロゲン、-OH、-NH2、またはメチルから選ばれ、一部の実施例において、R12が水素から選ばれる。
【0070】
一部の具体的な実施例において、本発明は以下の化合物、その互変異性体、その溶媒和物、またはその薬学的に許容される塩を提供するが、以下の化合物に限定されない。
【0071】
【化23-1】
【0072】
【化23-2】
【0073】
【化23-3】
【0074】
【化23-4】
【0075】
本発明は、式(I)で示される化合物の調製方法も提供する:
【0076】
【化24】
【0077】
原料
【0078】
【化25】
【0079】
の調製により
【0080】
【化26】
【0081】
が生成され、そして
【0082】
【化27】
【0083】
【0084】
【化28】
【0085】
が最終製品Iを生成し、
ここで、R1、R2、R3、R4は上記の定義に準じる。
【0086】
本発明は本発明に記載される化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分または主有効成分として含有し、薬学的に許容される担体から成る薬物組成物も提供する。
【0087】
本発明は治療および/または予防のための薬物の調製における本発明に記載される化合物の使用も提供する。
【0088】
一部の実施例において、本発明は肝斑、瘢痕、男性型脱毛症、脂漏性脱毛症、円形脱毛症、ざ瘡、肺線維症、乾癬、湿疹、アトピー性皮膚炎などの疾患の治療および/または予防のための医薬における本発明に記載される化合物の使用も提供する。
【0089】
本発明に記載の化合物または組成物は、薬学的に許容される任意の剤形、例えば、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、経頬、経鼻、吸入、膣、眼内、局所、非経口皮膚、皮下、脂肪内、関節内、腹腔内または髄腔内投与のいずれかに適した剤形である。
【0090】
好ましい実施例において、本発明に記載される剤形は、ゲル、乳剤、クリーム、塗布剤、ローション、スプレー、溶液、錠剤、パンチ、内服液剤、カプセル、滴下剤、浣腸剤、フィルムまたは注射剤である。
【0091】
発明内容における定義:
【0092】
「C5~C6一価アルコール」とは、1個のヒドロキシル基で置換された5または6個の炭素原子を含む飽和脂肪族炭化水素基を意味し、直鎖および分岐鎖基を含む。
【0093】
「複素環式」は、4~7個の環原子の飽和環式基を示し、環原子の1個または2個または3個は、N、OまたはS(O)m(式中、mは0~2の整数である)から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子はCであり、C原子の1個または2個は、カルボニル基で任意に置換されている。複素環基の環は、任意に独立して、1個、2個または3個の置換基で置換されていてもよい。
【0094】
「アルキル」は、直鎖および分枝鎖基の両方を含む、炭素原子数1~20の飽和脂肪族炭化水素基を表す(本出願書で言及する数値範囲、例えば「1~4」は、アルキル基であり、炭素原子数1、炭素原子数2、炭素原子数3、または炭素原子数4を含んでもよい基を意味する。アルキル基は、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。)
【0095】
「シクロアルキル」は、1つまたは1つ以上の環が完全に連結したπ電子系を有していない、全炭素の単環式または密に充填された環(「充填された」環とは、系内の各環が、系内の他の環と隣接する一対の炭素原子を共有していることを意味する)基を表し、シクロアルキル基の例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、アダマンタン、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタンおよびシクロヘプタトリエンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
「アルコキシ」は、-O-(無置換アルキル)または-O-(無置換シクロアルキル)を示す。代表例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
「アルキルアミノ」は、-NH-(無置換アルキル)、-NH-(無置換シクロアルキル)、-N-(無置換アルキル)2または-N-(無置換シクロアルキル)2を示し、代表例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、シクロプロピルアミノ、シクロブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、シクロヘキシルアミノ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
「(C1-C4)アルコキシカルボニルオキシ(C1-C4)アルキル」は、(C1-C4)アルキル-O-C(O)-O-(C1-C4)アルキル-を表す。
【0099】
「(C1-C4)アルコキシカルボニルオキシ(C1-C4)アルキル」は、(C1-C4)アルキル-O-C(O)-O-(C1-C4)アルキル-を表す。
【発明の効果】
【0100】
本発明の化合物CLYシリーズまたはその薬学的に許容される塩は、医薬分野に応用することが可能であり、動物実験モデルによれば、化合物CLYシリーズのすべては、肝斑モデルマウスの皮膚および血液中のチロシナーゼのレベルを顕著に低下させ、皮膚における肝サイトカイン(SCF)およびC-kitタンパク質の発現を低下させ、肝斑色素沈着の形成を抑制することができ、皮膚の創傷の治癒を顕著に促進し、瘢痕の形成を減少させることができる。男性型脱毛症マウスモデルにおける毛髪の成長を顕著に促進し、アンドロゲンによる毛包の破壊を減少させることができる。CLYシリーズは、乾癬および湿疹のマウスモデルにおいて炎症反応を有意に抑制することができる。CLYシリーズ化合物は、急性GVHDマウスの生存期間を顕著に改善し、臨床症状を軽減することができ、急性GVHDに対する治療効果を示している。CLYシリーズ化合物は、肺線維症マウスモデルの肺組織において、MMP-2とMMP-9のレベルを有意に低下させ、TIMP-1とVEGFのレベルを上昇させることができ、同時に末梢血中のSODとCAT酵素のレベルを上昇させることができ、肺線維症に対する抑制効果を示している。CLYシリーズ化合物は、末梢血中のIL-17レベルを低下させ、IL-10などの炎症指標を上昇させることにより、関節リウマチマウスの関節炎症状を改善することができる。多くの疾患に共通する発症経路があるため、本化合物の有効性は上記疾患を含むが、これらに限定されない。本化合物は単独で、あるいは他の薬剤と組み合わせて使用することができ、上記疾患を治療するための薬剤の新たな選択肢を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0101】
図1】CLYシリーズ化合物は、脱毛症モデルマウスの発毛を有意に促進することができる。
図2】CLYシリーズ化合物は、マウスにおける乾癬様の炎症反応を顕著に抑制することができる。
図3】CLY-2核磁気検出結果。
図4】CLY-8核磁気検出結果。
【発明を実施するための形態】
【0102】
以下、実施例を用いて、本発明をさらに説明する。ここで記載された具体的な実施例は、本発明を説明するためのものであって、本発明を限定することを意図するものではなく、また、本発明の構想を前提として、本発明の調製方法の単純な改良も、本発明の保護範囲に属することと理解されるべきである。以下の実施例において特定の条件が示されていない実験方法は、通常、当該技術分野での公知の手段に従うものとする。以下の実施例で用いた試験材料は、特記のない限り、通常の生化学試薬の店から購入できるものとする。
【0103】
実施例1 (R)-4-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-N-(3-クロロピリジン-2-イル)-N-(1-メチルピペリジン-3-イル)ベンズアミド(略称:CLY-1)及び(R)-4-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-N-(3-クロロピリジン-2-イル)-N-(1-エチルピペリジン-3-イル)ベンズアミド(略称:CLY-2)の調製方法:
1、合成経路
【0104】
【化29】
【0105】
2、具体実施方法
(1)(R)- 3-((3-クロロピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-ギ酸tertブチルの合成
(R)-1-Boc-3-アミノピペリジン、2-ブロモ-3-クロロピリジン、ナトリウムtert-ブトキシド、ジオキサンを250ml容器瓶に加え、窒素ガスの保護下において、攪拌を開始し、RuPhosPd G3、配位子RuPhosを加え、100度まで加熱し、7時間反応させた後、反応を停止し、水に加え、酢酸エチルで数回に分けて抽出し、酢酸エチル層を合わせた後、3回水洗いし、酢酸エチル層を回収した後、残ったペーストを得て、シリカゲルと混合し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって(R)-3-((3-クロロピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-ぎ酸tert-ブチルを得る。
【0106】
(2)ピペリジンアミドの合成
容器瓶に4-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)安息香酸を加え、あらかじめ乾燥したトルエン、N,N-ジメチルホルムアミド、塩化チオニルを清澄化するまで30℃で加熱撹拌し、減圧下で溶媒を回収して残留固体を得る。あらかじめ乾燥したテトラヒドロフラン50mlを、(R)-tert-ブチル 3-((3-クロロピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレートを加え、清澄化するまで撹拌し、氷浴に入れ、リチウムビス(トリメチルシリル)アミン基を加え、1時間撹拌し、氷浴を引き上げた後、2時間撹拌し、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を洗浄し、溶媒を回収し、減圧下でペーストを得る。
【0107】
(3)ピペリジンアミドの合成
ピペリジンアミド、ジクロロメタン、トリフルオロ酢酸を室温状態で一晩撹拌する。水に注ぎ、炭酸水素ナトリウムを加えてpH=10~11に調整し、ジクロロメタンで抽出し、洗浄した後、溶媒を減圧下で回収してペースト状の残留物を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによってピペリジンアミンを得る。
【0108】
(4)CLY-1の合成
ピペロニルアミンをジクロロメタンに溶解させ、ヨードメタンおよび炭酸銀を加え、光を避けて室温状態で48時間撹拌し、反応液を直接シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、CLY-1を得る。
【0109】
CLY-1の化学式はC23H22ClN7Oである。
水素スペクトルd4-MeOH:8.83 (1H), 8.60 (1H), 8.54 (1H), 8.29 (2H), 7.82(1H), 7.61(3H), 7.42 (1H), 5.06(1H), 3.82(1H), 3.63(1H), 3.39 (1H), 2.95 (1H), 2.40-1.87(6H), 1.55-1.41 (1H)。
【0110】
(5)CLY-2の合成
ピペロニルアミンをジクロロメタンに溶解させ、ヨードエタンおよび炭酸銀を加え、光を避けて室温状態で48時間撹拌し、反応液を直接シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、CLY-2を得る。CLY-2のマススペクトルを図3に示す。
【0111】
実施例2 (R)-4-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-N-(3-クロロピリジン-2-イル)-N-(ピロリジン-3-イル)ベンズアミド(略称:CLY-8)の調製方法:
2、合成経路
【0112】
【化30】
【0113】
2、具体な合成ステップ
(1)ETH-1の合成
(R)-1-Boc-3-アミノピロリジン11.8g、2-ブロモ-3-クロロピリジン11.0g、ナトリウムtert-ブトキシド10.0g、トルエン70mlを250mlの三口フラスコに加え、窒素ガスの保護下において撹拌を開始し、酢酸パラジウム0.1g、1,1'-ビアン-2-ナフトール、トリス(ジメチルアミノ)ホスフィンを加える、100℃まで加熱する。7時間反応させた後、反応を停止して、水500 mlに注ぎ、酢酸エチル1000 mlで数回に分けて抽出し、酢酸エチル層を合わせ、水200 * 3回で洗し、酢酸エチル層を回収して残留ペースト状の残留物を得、シリカゲルと混合し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって約7gのETH-1を得る。
【0114】
(2)ピロリジンアミドの合成
溶媒に4-(3H-[1,2,3]トリアゾール[4,5-b]ピリジン-3-イル)安息香酸を溶解させ、塩化オキサリルと触媒N,N-ジメチルホルムアミドを加え、25~55℃で清澄化するまで反応させ、溶媒を減圧下で回収し、残留物を溶媒に加え、tert-ブチル(R)-3-((3-クロロピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボキシレートを加え、氷浴にかけて5℃まで冷却し、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドを加え、ピロリジンアミドを得、すなわち、(R)-3-(4-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-N-(3-クロロピリジン-2-イル)ベンズアミド)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル。
【0115】
(3)化合物CLY-8の合成
ピロリジンアミド10g、ジクロロメタン50ml、4mol/L塩酸メタノール溶液10mlを室温で一晩撹拌する。水100 mlに注ぎ、炭酸水素ナトリウムを加えてpH=10~11に調整し、ジクロロメタン100mlで抽出し、洗浄後、溶媒を減圧下で回収してペースト状の残留物を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、化合物(R)-4-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-N-(3-クロロピリジン-2-イル)-N-(ピロリジン-3-基質)ベンズアミド(略称:CLY-8)3.2gを得る。M+H=420.1(マススペクトルの分析結果は図4を参照)。
上記と同様の方法を参考にして以下表1の化合物も合成することができる。
【0116】
【表1-1】
【0117】
【表1-2】
【0118】
【表1-3】
【0119】
実施例3:(R)-N-(3-クロロピリジン-2-イル)-N-(ピロリジン-3-イル)-3-(1H-テトラゾール-5-イル)ベンゼンメタンアミン(略称:CLY-14)の合成
【0120】
【化31】
【0121】
ステップ1、実施例3と同様にして、(R)-3-(N-(3-クロロピリジン-2-イル)-3-シアノベンズアミド)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルを得ることができる。
【0122】
【化32】
【0123】
ステップ2、tert-ブチル(R)-3-(N-(3-クロロピリジン-2-イル)-3-シアノベンズアミド)ピロリジン-1-カルボキシレート4.2g、アジ化ナトリウム1g、トリエチルアミン塩酸塩2gをN,N-ジメチルホルムアミド50mlに加え、100℃で20時間攪拌して反応させた後冷却し、水200mlに注ぎ、pH値が2~3になるまでに濃塩酸を滴下し、ろ過して固体を得、水洗し、乾燥する。ジクロロメタン50ml、メタノールmlを溶解させ、4mol/Lの塩化水素ジオキサン溶液10mlを加え、室温で一晩攪拌し、減圧下で濃縮して得た固体をシリカゲルクロマトグラフィーによって(R)-N-(3-クロロピリジン-2-イル)-N-(ピロリジン-3-イル)-3-(1H-テトラゾール-5-イル)ベンズアミド2.7gを得る。MS(ES+):370(M+H)。
化学式: C17H16ClN7O
分子量: 369.81
水素スペクトルCDCl3におけるデータ:0.77(1H),2.29(2H),2.59(2H),3.29(2H),4.53(1H),6.92(1H),7.24(1H),7.43(1H),7.63(1H),7.83(1H),8.21(1H),8.64(1H),8.72(1H)。
【0124】
同様の方法を参考にして以下表2の化合物も合成することができる。
【0125】
【表2-1】
【0126】
【表2-2】
【0127】
【表2-3】
【0128】
【表2-4】
【0129】
【表2-5】
【0130】
【表2-6】
【0131】
【表2-7】
【0132】
実施例4:(R)-4-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-N-(3-クロロピリジン-2-イル)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)ベンズアミド(略称:CLY-42)の合成。
【0133】
ステップ1:(R)-3-クロロ-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)ピリジン-2-アミンの合成。
【0134】
【化33】
【0135】
(R)-テトラヒドロ-2H-ピラン-3-アミン10.1g、2-ブロモ-3-クロロピリジン14.0g、ナトリウムtert-ブトキシド12.0g、テトラヒドロフラン100mlを250mlの三口フラスコに加え、窒素ガスの保護下において、撹拌を開始し、酢酸パラジウム0.1g、1,1'-ビアン-2-ナフトール、トリス(ジメチルアミノ)ホスフィンを加え、65℃までに加熱し、12時間反応させてから反応を停止し、水500mlに注ぎ、酢酸エチル1000mlでぐ数回に分けて抽出し、酢酸エチル層と合わせ、水200 * 3回で洗し、酢酸エチル層を回収してペースト状の残留物を得、シリカゲルと混合し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって(R)-3-クロロ-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)ピリジン-2-アミン約8gを得る。
【0136】
ステップ2:
【0137】
【化34】
【0138】
4-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)安息香酸5gをジクロロメタン50mlに溶解し、塩化オキサリル2.5ml、触媒N,N-ジメチルホルムアミド0.2mlを加え、室温で清澄化まで反応させ、溶媒を減圧下で回収し、残留物をテトラヒドロフランの溶媒50mlに加え、前工程の生成物(R)-3-クロロ-N-(テトラヒドロ 2H-ピラン-3-イル)ピリジン-2-アミン4gのテトラヒドロフラン溶液を加え、氷浴にかけて5℃以下に冷却し、ビス(トリメチルシリル)アミノリチウム1M溶液20mlを加え、室温で一晩攪拌し反応させた後、水に注ぎ、酢酸エチル100ml*3で抽出し、水洗し、酢酸エチルを減圧下で回収した残留物をカラムクロマトグラフィーによって(R)-4-(3H-[1,2,3 トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-N-(3-クロロピリジン-2-イル)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)ベンズアミド約6gを得る。MS (ES+) :435 (M+H)。
【0139】
同様の方法を参考にして
【0140】
【化35】
【0141】
(CLY-43)を合成することもできる。
【0142】
実施例5:エチル1-(5-(4-(4-(3-クロロピリジン-2-イル)((R)-ピロリジン-3-イル)カルバモイル)フェニル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)イソブチレート(略称:CLY-44)の合成。
【0143】
ステップ1:
【0144】
【化36】
【0145】
(1) (R)-3-(((3-クロロピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルの合成。
(R)-1-tert-ブトキシカルボニル-3-アミノピロリジン11.8g、2-ブロモ-3-クロロピリジン11.0g、tert-ブトキシドナトリウム10.0g、トルエン70mlを250mlの三口フラスコに加え、窒素ガスの保護下において、攪拌を開始し、酢酸パラジウム0.1g、1,1'-ビ-ナフタレン-2-フェノール、トリス(ジメチルアミノ)ホスフィンを加え、100℃までに加熱し、7時間反応させてから反応を停止し、500mlの水に注ぎ、酢酸エチル1000mlで数回に分けて抽出し、酢酸エチル層と合わせ、水200*3回で洗し、酢酸エチル層を回収してペースト状の残留物を得、シリカゲルと混合し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによってtert-ブチル(R)-3-(((3-クロロピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボキシレート約7gを得る。
【0146】
ステップ2:
【0147】
【化37】
【0148】
0℃の状態で、テトラヒドロフラン溶液100ml中のtert-ブチル(R)-3-((3-クロロピリジン-2--2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボキシレート5gおよび4-ブロモベンゾイルクロリド4gに、1Mリチウムビス(トリメチルシリル)アミドイル溶液20mlを滴下して加え、室温で一晩撹拌した後、酢酸エチル300mlで希釈し、水200ml*3回で洗し、酢酸エチル層を減圧下で濃縮した残留物をカラムクロマトグラフィーによって、tert-ブチル(R)- 3-(4-ブロモ-N-(3-クロロピリジン-2--2-イル)ベンズアミド)ピロリジン-1-カルボキシレート約4gを得る。
【0149】
ステップ3:(R)-3-(N-(3-クロロピリジン-2-イル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンズアミド)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルの調製
【0150】
【化38】
【0151】
tert-ブチル(R)-3-(4-ブロモ-N-(3-クロロピリジン-2--2-イル)ベンズアミド)ピロリジン-1-カルボキシレート3g、ビス(ピナコラト)ジボロン3g、酢酸カリウム2gを1,4-ジオキサン30mlに加えて撹拌し、窒素ガスの保護下において、塩化パラジウムを0.6g加え、100℃までに加熱し5時間撹拌し、減圧下で濃縮した残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、tert-ブチル(R)-3-(N-(3-クロロピリジン-2-イル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンズアミド)ピロリジン-1-カルボキシレート3.1gを得る。
【0152】
ステップ4:エチル1-(5-(4-(4-((3-クロロピリジン-2-イル)((R)-ピロリジン-3-イル)カルバモイル)フェニル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)イソブチレートの合成
【0153】
【化39】
【0154】
tert-ブチル(R)-3-(N-(3-クロロピリジン-2-イル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンズアミド)ピロリジン-1-カルボキシレート3g、1-(5-(4-ヨード-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)イソブタン酸エチル2.5g、リン酸トリスカリウム5g、メタンスルホン酸( 2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジメトキシ-1,1'-ビフェニル)(2'-アミノ-1,1'-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)0.1gを1,4-ジオキサン50%水溶液に加え、窒素ガスの保護下において、100℃で5時間反応させる。反応液が室温に戻った後、酢酸エチル200mlで希釈し、酢酸エチル層を分配し、100ml*3で水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で酢酸エチルを回収して残留物を得る。残留物をジクロロメタン30mlに溶解させ、4mol/L・1,4-ジオキサン塩化水素水溶液4mlを加え、2時間撹拌し、乾固になるまで溶媒を減圧下で回収し、シリカゲルクロマトグラフィーによって分離し、1-(5-(4-(3-クロロ-ピリジン-2-イル)(((R)-ピロリジン-3-イル)カルバモイル)フェニル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-2H -テトラゾール-2-イル)イソ酪酸エチルエステル約0.5gを得る。MS (ES+) :565 (M+H).
【0155】
同様の方法を参考にして
【0156】
【化40】
【0157】
(CLY-45)を合成することもできる。
【0158】
実施例6ラットを用いた薬物特性の研究
1.実験方法:
雄性SDラットを購入し、無作為に割り付け、上記の各試験化合物に用いた12匹のラットをさらに無作為に2群に分け、うち6匹は静脈内投与(1mg/kg)し、投与してから0.0833、0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間後にそれぞれ採血し、血漿を分離した。他の6匹は経口胃内投与(5mg/kg)し、投与してから0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間後にそれぞれ採血し血漿を分離した。各化合物の血漿中濃度をLC/MS/MS法により測定し、関連する薬物動態パラメータをPhocnix WinNonlin 6.2.1ソフトウェアにより計算し、ラットにおけるバイオアベイラビリティを算出し、各化合物の薬物動態特性を評価した。
【0159】
2.実験結果
上記のすべての化合物において、化合物CLY-1、CLY-2、CLY-3、CLY-4、CLY-5、CLY-8、CLY-11、CLY-14、CLY-17、CLY-18、CLY-19、CLY-21、CLY-26、CLY-28、CLY-30、CLY-32、CLY-35、CLY-36、CLY-37、CLY-44は雄性SDラットで良好なバイオアベイラビリティを示し、それぞれ69.8%、72.6%、69.5%、59.5%、53.8%、78.2%、63.5%、52.3%、52.5%、46.9%、66.3%、49.6%、48.5%、42.6%、46.2%、58.6%、62.2%、68.6%、56.5%、50.6%となった。よって、上記の化合物が良好な薬物動態学の特性を有することを示している。
【0160】
実施例7モルモットの肝斑モデルに対する化合物CLYの影響
1.実験方法
1.1実験材料
1.1.1試薬:プロゲステロン(20 mg/ml)はShanghai General Pharmaceutical Co. Ltd.より、アルブチン軟膏はShanghai Asia Pioneer Pharmaceutical Co. Ltd.より、チロシン、マロンジアルデヒド(MDA)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)のキットはNanjing Jiancheng Bioengineering Instituteより購入した。
【0161】
1.1.2設備:DY89-II電動ガラスホモジナイザーはNingbo Xinlan Biotechnology Co., Ltd.より、系統生物顕微鏡(Image-Pro Plus 6.0)は米国Media Cyberneticsより購入した。
【0162】
1.1.3実験動物:SPFグレードの健康な純系雌モルモット、体重(230±30)g、Shanghai Slac Laboratory Animal Co. Ltd.より入手した。
【0163】
1.1.4治療用クリームの調製方法:賦形剤基質組成物は、メチルシリコーンオイル(15%)、ステアリン酸(6%)、白色ワセリン(5%)、流動パラフィン(5%)、オクタデカノール(5%)、グリセロール(20%)、アルキルアリールポリエタノールエーテル(1%)、脂肪アルコールポリオキシエチレンエーテル(1%)、Tween-807(1%)、p-ヒドロキシ安息香酸エチル(0.1%)、蒸留水(約31-55%)であり、適量のCLYシリーズ化合物と混合し、0.25%の混合エマルジョンを形成した。本実施例で使用するクリーム基質とは、有効成分を除去したクリームの基質組成物である。
【0164】
1.2動物の群分けとモデリング
体重によって番号をつけ、無作為表法でモデル対照群(クリーム基質塗布)、ブランク対照群(クリーム基質塗布)、CLY-1治療群(0.25%CLY-1クリームを皮膚に塗布)、CLY-2治療群(0.25%CLY-2クリームを皮膚に塗布)、CLY-3治療群(0.25%CLY-3クリームを皮膚に塗布)、CLY-4治療群(0.25%CLY-4クリームを皮膚に塗布)、CLY-5治療群(0.25%CLY-5クリームを皮膚に塗布)、CLY-14治療群(0.25%CLY-14クリームを皮膚に塗布。)、CLY-19治療群(0.25%CLY-19クリームを皮膚に塗布)、CLY-36治療群(0.25%CLY-36クリームを皮膚に塗布)、陽性治療群(0.25%アルブチンクリームを皮膚に塗布)、各群6匹とグループを分けた。ブランク対照群を除き、すべてのモルモットに20mg/mlのプロゲステロン注射液(7.5mg/kg)を1日1回、30日間連続で後脚の付け根に注射し、肝斑モデルを確立した。モルモットの背部のモデルエリアにおける皮膚が、接合部が明瞭かつ均一で安定した暗褐色の斑点が認められたと、モデル再現にの成功とした。モデリング後、モデル対照群、ブランク対照群、CLYシリーズ治療群、陽性治療群のモルモットに、該当するクリームを1日1回、30日間連続で背部に塗布した。
【0165】
1.3観察指標
(1)チロシン、MDA含量およびSOD活性の測定
すべてのモルモットから、予備皮膚組織1片を採取し、あらかじめ冷却した生理食塩水で洗浄し、皮下脂肪およびその他の結合組織を除去して拭き取り乾燥させた後、各皮膚組織片を0.5gに切断し、あらかじめ冷却した生理食塩水2.0mlを入れた小型試験管5本に入れ、高速分散機で10r/minの速度で10秒間ホモジナイズし、1回繰り返した後、また3500r/mの速度で15分間遠心分離し、上清を採取した。チロシン測定を高速液体クロマトグラフィーにより、MDAをチオバルビツール酸法により、SODをキサンチンオキシダーゼ法によりそれぞれ測定し、キットの説明書に従い、チロシン、MDA含量およびSOD活性を測定した。
【0166】
(2)皮膚黒色素胞の病理学的および形態学的観察
すべてのモルモットから約2cm×1cmの予備皮膚組織1片を採取し、10%パラホルムアルデヒドで固定し、病理組織を測定し、免疫組織に対し化学染色を行い、黒色素胞の染色と数量の観察、文献に従い陽性細胞の判定を行った:なし:0点、15%未満:0.5点、30%未満:1点、30%以上:2点。各切片を5視野で観察し、褐色反応を示した皮膚の表皮細胞および付属上皮細胞の細胞質内に陽性標的を見つけた後、BX50F4北航病理画像解析システムを用いて定量的に解析し、各モルモットから5視野のメラニン陽性標的の平均面積、統計視野の面積に対する標的の割合(表面密度)、統計視野の面積に対する標的の数の割合(計計数密度)、平均グレースケール、平均光学濃度、積分光学濃度を求めた。
【0167】
1.4統計方法
統計にはSPSS16.0ソフトウェアを用い、測定値は平均値±標準偏差(x±s)で表し、多群間の比較には一要因分散分析を行い、群間の比較にはt検定を行い、P<0.05であれば、有意差ありとする。
【0168】
2.実験結果
(1)各群のモルモットにおけるチロシン、MDA含量およびSOD活性
各群のモルモットにおけるチロシン、MDA含量およびSOD活性の結果を表3に示す。モデル群のモルモットの皮膚のチロシンおよびMDA含量はブランク群より高く、SOD活性はブランク群より低く、肝斑モデルの確立に成功したことを示した。CLYシリーズ治療群および陽性治療群の皮膚のチロシンおよびMDA含量はモデル群よりも低く、SOD活性は増加し、統計的に有意差があった(P<0.05).
【0169】
【表3】
【0170】
(2)各群のモルモットにおける黒色素胞の面積、数量および色の濃淡度
各群のモルモットにおける黒色素胞の面積、数および色味を表4および5に示す。ブランク群と比較して、モデル群のモルモットは、メラニン沈着面積の増加、メラノサイト数の増加、光学濃度の増加および色味の増加を示し、モデル群と比較して、CLYシリーズ治療群および陽性治療群のモルモットは、メラニン沈着面積の減少、黒色素胞数量の減少、光学濃度の減少および色味の減少を示した。
【0171】
【表4】
【0172】
【表5】
【0173】
3.実験結論
CLY-1、CLY-2、CLY-3、CLY-4、CLY-5、CLY-14、CLY-19、CLY-36は、皮膚組織中のSOD酵素の活性を高め、チロシンやMDAの含量を減少させ、黒色素胞やメラノーマ細胞のチロシナーゼ活性を阻害し、皮膚細胞の酸化還元反応を高め、フリーラジカルの産生を減少させ、メラニンの生成を抑制することにより、肝斑を治療することができる。
【0174】
実施例8ラット瘢痕モデルに対する化合物CLYシリーズの影響
1.実験方法
1.1治療用クリームの調製方法:賦形剤基質組成物は、メチルシリコーンオイル(15%)、ステアリン酸(6%)、白色ワセリン(5%)、流動パラフィン(5%)、オクタデカノール(5%)、グリセロール(20%)、アルキルアリールポリエタノールエーテル(1%)、脂肪アルコールポリオキシエチレンエーテル(1%)、Tween-807(1%)、p-ヒドロキシ安息香酸エチル(0.1%)、蒸留水(約31-55%)であり、適量のCLYシリーズ化合物と混合し、混合エマルジョンを形成した。本実施例で使用するエマルジョン基質とは、有効成分を除去したエマルジョンの基質組成物である。
【0175】
1.2実験動物の群分けとモデリング:SPFグレードの雄ラット、体重(210±28)g、南京医科大学動物センターから入手した。体重によって番号をつけ、無作為表法でモデル対照群(クリーム基質塗布)、CLY-1治療群(0.5%CLY-1クリームを皮膚に塗布)、CLY-2治療群(0.5%CLY-2クリームを皮膚に塗布)、CLY-3治療群(0.5%CLY-3クリームを皮膚に塗布)、CLY-4治療群(0.5%CLY-4クリームを皮膚に塗布)、CLY-8治療群(0.5%CLY-8クリームを皮膚に塗布)、 CLY-14治療群(0.5%CLY-14クリームを皮膚に塗布)、CLY-19治療群(0.5%CLY-19クリームを皮膚に塗布)、CLY-36治療群(0.5%CLY-36クリームを皮膚に塗布)、各群6匹とグループを分けた。各群のラットを腹腔内注射により2%ペントバルビタールナトリウム(120mg/kg)で麻酔し、手術台に固定した後、背部中央部の左側から4×5cmの無傷の皮膚片を選択し、8%硫化ナトリウムで脱毛した後、各脱毛部位を組織はさみで深度が筋膜までの直径2.4cmの円形の切り込みを入れ、表面の筋膜の一部を破壊した。ラットが噛んだり舐めたりすることを防ぐため、動物は別々のケージで飼育した。創傷は毎日2%ヨードチンキで消毒し、ラットの創傷治癒を観察した。
【0176】
2.実験結果
2.1 ラット創傷の観察結果
創傷は毎日定期的に消毒し、1日目、3日目、5日目、7日目、12日目、20日目にラットの創傷を観察した。5日目以降、各CLYシリーズ治療群の創傷回復速度はモデル群より顕著に速いことが見られ、創傷面積は徐々に小さくなった。12日目には、各治療群の創傷は大方に回復したが、モデル群の創傷はまだ約0.5cm2であった。20日目にはすべてのグループの創傷が回復したが、モデルグループには明らかな瘢痕が残り、治療グループには数量不同の色素沈着のみが残った。
【0177】
3.実験結論
CLY-1、CLY-2、CLY-3、CLY-4、CLY-8、CLY-14、CLY-19、CLY-36はいずれも、皮膚の傷の治癒を著しく促進し、創痕(瘢痕)の形成を抑制する。
【0178】
実施例9ラット脱毛モデルに対するCLYシリーズの影響
1.実験方法
1.1材料
(1)化合物CLY-1、CLY-2、CLY-3、CLY-4、CLY-8、CLY-14、CLY-19、CLY-36 チンキ剤の調製方法:75%エタノールにそれぞれ適量の上記化合物を混合し、濃度の異なるチンキ剤を調製する。
(2)陽性治療薬:ミノキシジル5%チンキ(商品名:蔓迪、浙江万馬薬業有限公司)
(3)実験動物:SPFグレードのWistar系ラット、雄性、Shanghai Slac Laboratory Animal Co. Ltd.より入手した。
【0179】
1.2動物の群分けとモデリング
Wistar系ラットを体重にって陰性対照群(75%エタノール外用)、モデル群(75%エタノール外用)、陽性対照群(5%ミノキシジルチンキ外用)、CLY-1外用群(5%CLY-1チンキ外用)、CLY-2外用群(5%CLY-2チンキ外用)、CLY-3外用群(5%CLY-3チンキ外用)、 CLY-4外用群(5%CLY-4チンキ外用)、CLY-5外用群(5%CLY-5チンキ外用)、CLY-14外用群(5%CLY-14チンキ外用)、CLY-19外用群(5%CLY-19チンキ外用)、CLY-36外用群(5%CLY-36チンキ外用)、CLY-1静脈注射群(2mg/kg.d)、CLY-2静脈注射群(2mg/kg.d)、CLY-3静脈注射群(2mg/kg.d)、CLY-4静脈注射群(2mg/kg.d)、CLY-5静脈注射群(2mg/kg.d)、CLY-14静脈注射群(2mg/kg.d)、CLY-19静脈注射群( 2mg/kg.d)、CLY-36静脈注射(2mg/kg.d)、各群10匹とに無作為に群分けした。実験の前に、各ラットの背部4cmx5cmの面積を選択し、脱毛し観察部位とした。陰性対照群を除き、ラットにプロピオン酸テストステロン注射液[5 ml/(kg-d)]を1日1回、60日間連続で首の後ろに皮下注射し、SAモデルを確立した。プロピオン酸テストステロンの皮下注射を4週間続けた後、ラットは徐々に脱毛を示した。 残った毛は細くもろくなり、脱毛症モデルの確立に成功したことが証明された。同時に皮膚塗布投与し、対応する薬物群のラットの背部観察部位にテストステロンを2mL/(匹・回)の投与量で1日2回、8時間の間隔をおいて塗布した。陰性対照群およびモデル群には75%エタノール水溶液を2mL/(匹・回)の投与量で1日2回、60日間投与した。
【0180】
1.3 観察指標及び試験方法
薬物投与15日ごとに各ラットの背部の観察部位から10本の毛を抜き取り、毛の長さをノギスで測定した。薬物投与60日後、実験観察部位の皮膚を採取し、通常の組織脱水、パラフィン包埋、HE染色および光学顕微鏡検査を行い、ラット皮膚の毛包および皮脂腺の病理組織学的変化を観察した。各群の病変の半定量的分析を行った。グレード判定基準は以下の通り:正常な皮膚真皮組織細胞および皮下の毛包、皮脂腺の構造は「一」として記録する。皮膚真皮は過形成、毛包、皮脂腺の病変は限定的であることが見られず、皮下の炎症が見られない場合、「±」として記録する。皮膚真皮組織は明らかな過形成を有すること、毛包、皮脂腺は明らかに嚢胞変性である。毛包には明らかな嚢胞性変化が認められる。皮脂腺に明らかな過形成や皮下の炎症が見なられない場合、「+」として記録する。皮膚真皮組織には分節性の過形成がみられ、明らかではなく、毛包のごく一部に毛包病変がみられ、皮脂腺には軽度の過形成と肥大がみられる。皮下には明らかな炎症はなく、「++」と記録されている:真皮の皮膚組織細胞には異なる程度の分節性過形成があり、一部の毛包には嚢胞性変化があり、毛包の性能は大きさが均一でなく、末梢部は無細胞である。皮脂腺には過形成があり、過形成腺には核が少なく、個々のラットの皮下には軽度の炎症性過形成があり、「+++」と記録された。
【0181】
2.実験結果
2.1 ラットの毛髪成長に対するCLYの効果影響
薬剤投与15日目、30日目、45日目、60日目の各治療群のラットの毛の長さは、モデル群よりも長く、その差は統計的に有意差(P<0.01)があり、陽性治療群よりも、その差は計的に有意差(P<0.05)があった。表6を参照にする。
【0182】
【表6】
【0183】
2.2 ラットの観察部位における皮膚組織表層真皮の毛包形態に対するCLYの影響
モデル群のラットの一部の皮膚の真皮組織細胞は異なる程度の分節性肥厚があり、ラットの皮下には軽度のリンパ球増生が見られた。ラットの皮下の毛包の一部には明らかな嚢胞変性が見られ、毛包の大きさが異なり、肥大した毛包の内腔には角質化した物質の脱落が見られた。周辺部には軽度の線維化が見られ、毛包周囲の細胞は消失するか細胞レベルが明らかに低下し、内腔内の一部の石灰化物質が青く染まっているように見え、皮脂腺の数は増加し、一部の皮脂腺は肥大し、肥大した皮脂腺の核は明らかに減少し、正常な毛包の数は減少していた。すべての治療群のラットの皮膚真皮組織細胞および皮下の毛包と皮脂腺の病変は、モデル群と比較して程度不同の軽減が見られた。各治療群のラットの皮膚における損傷毛包の数は、モデル対照群と比較して顕著に減少し、その差は統計的な有意差があった(P<0.01)。モデル対照群と比較すると、すべての治療群のラットの皮膚真皮組織細胞、皮下毛包、皮脂腺病変は顕著なに減少し、その差は統計的な有意差がった(P<0.01)。陽性治療群と比較すると、その差は統計的な有意差があった(P<0.05)。表7を参照にする。
【0184】
【表7】
【0185】
3.実験結論
CLY-1、CLY-2、CLY-3、CLY-4、CLY-5、CLY-14、CLY-19、およびCLY-36は、ラット脱毛症モデルにおいて、局所的な塗布および全身的な使用のいずれにおいても顕著に発毛を促進し、皮下毛包と皮脂腺へのダメージを軽減し、著しい副作用を示さなかった。
【0186】
実施例10マウス脱毛症モデルに対するCLYシリーズの影響
1.実験方法
1.1材料
(1)化合物CLY-1、CLY-2、CLY-3、CLY-4、CLY-8、CLY-11、CLY-19、CLY-36チンキ剤の調製方法:60%エタノールと上記化合物を混合し、濃度2%のチンキ剤を調製した。
(2)陽性治療薬:2%ミノキシジルチンキ(中国医学科学院皮膚病研究所製)
(3)実験動物:SPFグレードの健康なC57BL/6雄性マウス、雌雄半々、6-8週齢、体重20-25g、をGemPharmatech (Chengdu) Co., Ltd.より提供された。
【0187】
1.2動物の群分けとモデリング
畜舎は12時間-12時間の昼夜交代制で、動物は自由に飲み食いでき、温度は23-25℃であり、実験動物は畜舎に1週間馴化飼養した後、実験に入った。実験マウスを11群に分け,陰性対照群(60%エタノール外用)、モデル群(60%エタノール外用)、陽性対照群(2%ミノキシジルチンキ外用)、CLY-1外用群(2%CLY-1チンキ外用)、CLY-2外用群(2%CLY-2チンキ外用)、CLY-3外用群(2%CLY-3チンキ外用)、CLY-4 外用群(2%CLY-4チンキ)、CLY-8外用群(2%CLY-8チンキ)、CLY-14外用群(2%CLY-11チンキ)、CLY-19外用群(2%CLY-19チンキ)、CLY-36外用群(2%CLY-36チンキ)。各群は雄雌半々のマウス6匹で構成された。実験マウスの背部4cm×5cmの範囲を選択し、脱毛を行い、脱毛実験の観察範囲として3%ピクリン酸溶液で脱毛部を黄色に塗りつぶした。陰性対照群を除き、その他群のマウスの首の後ろに、プロピオン酸テストステロン注射液[8ml/(kg・d)]を1日1回、60日間連続で皮下注射し、SAモデルを確立した。モデリングと同時に、薬物の投与を行った。1日2回、1回1ml/(匹・回)の量で、2時間の間隔をおいて、該当薬物群のラットの背部観察部位に塗布した。正常対照群及びモデル対象群には、賦形剤(60%エタノール溶液)を1日2回、1回1ml/(匹・回)の量で、2時間の間隔をおいて、60日間連続塗布した。
【0188】
1.3 観察指標および試験方法
薬物投与後15日ごとにマウス背部の観察部位から毛髪を10本ずつ抜き取り、ノギスで毛の長さを測定した。薬物投与60日後、実験観察部位の皮膚を採取し、通常の組織脱水、パラフィン包埋、HE染色および光学顕微鏡検査を行い、マウスの皮膚の毛包および皮脂腺の病理組織学的変化を観察した。各群の病変を半定量的に分析した。グレード判定基準は以下の通りである。正常な皮膚真皮組織球、皮下の毛包および皮脂腺構造を「一」と記録する。真皮の過形成がなく、毛包と皮脂腺の病変が限定的で、皮下に炎症がないものを「±」と記録する。真皮の明らかな過形成がなく、毛包には明らかな嚢胞変性が認められる、皮脂腺の明らかな過形成がなく、および皮下炎症がないものを「+」と記録する。真皮組織の分節性過形成があるが明らかではなく、少数の毛包に毛包性変化が見られ、皮脂腺には軽度の過形成と肥大が見られ、皮下には明らかな炎症はないものを「++」と記録する。皮膚の真皮組織細胞には程度の異なる分節性過形成が見られ、一部の毛包には嚢胞性変化が見られ、毛包の大きさは不均一で、毛包周辺部には細胞がなく、皮脂腺は過形成で、過形成腺では核が少なく、一部の皮下では軽度の炎症性過形成が見られる物を「+++」と記録する。
【0189】
2.実験結果
2.1マウス毛髪成長に対するCLYシリーズの影響
投与15日目、30日目、45日目、60日目のマウスの毛髪の長さについて、すべての群はモデル対照群より長く、その差は統計的に有意差(P<0.01)があり、陽性治療群よりも、その差は計的に有意差(P<0.05)があった。表8を参照にする。薬剤投与30日目の各群のマウスの毛髪の成長を図1に示す。
【0190】
【表8】
【0191】
2.2マウスの観察部位における皮膚組織の表皮層における毛包の形態に対するCLYの影響
モデル群では、マウスの皮膚の一部で真皮組織細胞いに程度が異なる分節性肥厚が見られ、皮下皮膚では軽度のリンパ球過形成が見られた。マウスの皮下の毛包の一部には明らかな嚢胞変性が見られ、毛包の大きさが異なり、肥大した毛包の内腔には角質化した物質の脱落が見られた。周辺部には軽度の線維化が見られ、毛包周囲の細胞は消失するか細胞レベルが明らかに低下し、内腔内の一部の石灰化物質が青く染まっているように見え、皮脂腺の数は増加し、一部の皮脂腺は肥大し、肥大した皮脂腺の核は明らかに減少し、正常な毛包の数は減少していた。すべての治療群のマウスの皮膚真皮組織細胞および皮下の毛包と皮脂腺の病変は、モデル群と比較して程度不同の軽減が見られた。各治療群のマウスの皮膚における損傷毛包の数は、モデル対照群と比較して顕著に減少し、その差は統計的な有意差があった(P<0.01)。モデル対照群と比較すると、治療群のマウスの皮膚真皮組織細胞、皮下毛包、皮脂腺病変は顕著なに減少し、その差は統計的な有意差があった(P<0.01)。表9を参照にする。
【0192】
【表9】
【0193】
3.実験結論
CLY-1、CLY-2、CLY-3、CLY-4、CLY-8、CLY-11、CLY-19、およびCLY-36は、マウス脱毛症モデルの発毛を顕著に促進し、皮下の毛包と皮脂腺へのダメージを抑制した。
【0194】
実施例11ウサギの耳ざ瘡モデルに対するCLYシリーズの影響
1.実験方法
1.1材料
(1)治療用クリームの調製方法:賦形剤基質組成物は、メチルシリコーンオイル(15%)、ステアリン酸(6%)、白色ワセリン(5%)、流動パラフィン(5%)、オクタデカノール(5%)、グリセロール(20%)、アルキルアリールポリエタノールエーテル(1%)、脂肪アルコールポリオキシエチレンエーテル(1%)、Tween-807(1%)、p-ヒドロキシ安息香酸エチル(0.1%)、蒸留水(約31-55%)であり、適量のCLYシリーズ化合物と混合し、混合エマルジョンを形成した。本実施例で使用するエマルジョン基質とは、有効成分を除去したエマルジョンの基質組成物である。
(2)陽性治療薬:0.1%アダパレンゲル(商品名:ダフネ、フランスガルデルマ社製)
(3)実験動物:一般グレードニュージーランドウサギ、1.8~ 2.1 kg、雄性Shanghai Slac Laboratory Animal Co. Ltd.より入手した。
【0195】
1.2動物の群分けとモデリング
ニュージーランドウサギを体重により番号を付け、無作為表法により、モデル対応群(クリーム塗布)、ブランク対応群(クリーム塗布)、陽性治療群(ダフネを皮膚に塗布)、CLY-1外用治療群(0.25%CLY-1クリームを皮膚に塗布)、CLY-2外用治療群(0.25%CLY-2クリームを皮膚に塗布)、CLY-3外用治療群(0.25%CLY-3クリームを皮膚に塗布)、CLY-4外用治療群(0.25%CLY-4クリームを皮膚に塗布)、CLY-8外用治療群(0.25%CLY-4クリームを皮膚に塗布)、CLY-8外用治療群(0.25%CLY-2クリームを皮膚に塗布)、0.25%CLY-3クリームを皮膚に塗布)、CLY-4外用療法群(0.25%CLY-4クリームを皮膚に塗布)、CLY-8外用療法群(0.25%CLY-8クリームを皮膚に塗布)、CLY-9外用療法群(0.25%CLY-9クリームを皮膚に塗布)、CLY-14外用療法群(0.25%CLY-14クリームを皮膚に塗布)CLY-19外用群(0.25%CLY-19クリームを皮膚に塗布)、CLY-36外用群(0.25%CLY-36クリームを皮膚に塗布);CLY-1静脈注射群(1mg/kg.d)、CLY-2静脈注射(1mg/kg.d)、CLY-3静脈注射(1mg/kg.d)、CLY-4静脈注射(1mg/kg.d)、CLY-8静脈注射群(1mg/kg.d)、CLY-9静脈注射群(1mg/kg.d)、CLY-14静脈注射群(1mg/kg.d)、CLY-19 静脈注射群(1mg/kg.d)、CLY-36静脈注射群(1mg/kg.d)、各群は10匹で構成された。脱毛処理したウサギの右耳内側を観察部位とし、全てのウサギの左耳内側に95%アルコールを塗布し、自己陰性対照とし、モデル群、治療群ともに右耳内側に2%コールタールを均一に塗布し(Alfa Aesar China社製、95%アルコールで調製した2%コールタール溶液)、滅菌綿棒で約2cm×2cmの範囲でウサギの内耳側外耳道開口部に1日1回、1回0.5mLずつ均一に塗布し、前回の塗布部位をぬるま湯で拭き取り、14日間連続で塗布し、ざ瘡マイクロニキビモデルを確立した。耳の厚さ、硬さ、ざらつき、毛包口の黒い角栓の有無などを含む局所的な皮膚の変化は肉眼で観察した。最後の一回を塗布してから18時間後、実験体を死亡させ、塗布部に5mmの穴あけパンチで穴を開け、皮膚組織を採取し、10%ホルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋して切片化し、HE染色した後、病理組織学の観察および分析を行った。
【0196】
1.3観察指標
ざ瘡モデルの組織学による判定基準が3つのグレードがある。グレード0「一」は、漏斗部に緩い角化細胞があるが、ニキビが生成されていない。グレード「1」「+」は、ウサギの耳の表面の皮膚が赤くなっているか、毛包の漏斗部に少量の角化した物質が密集し、漏斗部の拡張は見られない;グレード2「2+」は、毛包の漏斗部に中程度の量の高密度の角化した物質があり、皮脂腺に向かって伸びており、皮脂腺管の過形成を伴う、漏斗部の拡張があります;グレード3「3+」は、毛包内に広範な角質化した物質が見られ、毛包内の高密度のケラチン塞栓症による毛包の重度な拡張があり、皮脂腺管上皮の顕著な過形成、盛り上がり、瘢痕化した皮膚がある、また皮脂腺に退行性変化を起こしている。
【0197】
病理組織学的変化を顕微鏡で観察し、1切片の5箇所の表皮の厚さを画像解析システムBiomias99で測定して平均値を算出し、同じ位置で最も構造が保たれている4切片の2つの毛包の面積と4つの皮脂腺の直径を測定し、それぞれの平均値を算出し、各群のウサギの左右の外耳道のデータを差し引いて、各群のウサギの左右の耳の表皮の厚さ、毛包の面積、皮脂腺の直径の差を求めた。
【0198】
1.4統計方法
統計にはSPSS16.0ソフトウェアを用い、自体左右の対照にはペアt検定、群間の比較にはt検定をそれぞれ行い、P<0.05であれば、有意差ありとする。
【0199】
2.実験結果
目視観察:コールタール塗布14日後、全群のウサギの左耳の皮膚は柔らかく、外耳道の毛包開口部は整然としており、ニキビ、吹き出物、膿疱は見られなかった。モデル対照群のウサギの右耳は、コールタール塗布後、厚みが増し、皮膚が硬くなり、表面がざらざらし、毛包開口部のほとんどに黒ずみや吹き出物が見られ、触ると硬く、一部が癒合して一片になっていた。各外用治療群の右耳は、軽度の皮膚の荒れと肥厚が見られ、少量の黒ずみが見られた。全ての静脈注射群では、ウサギの右耳の毛包性丘疹のほとんどがおさまり、皮膚は薄く柔らかくなり、ニキビは顕著に減少し、毛穴は顕著に縮小し、落屑はみられず、基本的には正常なウサギの耳に近い状態であった。陽性治療群のウサギの右耳は、左耳と比較して皮膚の赤みが軽度で、少し剥がれと少量のニキビが見られた。
【0200】
組織切片観察:モデル群の左耳は表皮が薄く、毛包が確認でき、真皮と表皮の接合部が明瞭であった。モデル群の右耳は、モデル確立後、表皮の肥厚、過角化、顆粒層と有棘層の肥厚が見られ、ケラチン栓が毛包の口をふさぎ、毛包が肥大して皮脂腺まで伸びており、毛包漏斗部はケラチン化した物質でいっぱいで、毛包漏斗部が壺状に肥大していた;真皮の表層は毛細血管が拡張し、毛包の周囲に炎症細胞が散在して浸潤し、好中球が少量みられた;皮脂腺の数が増加し、皮脂腺の容積が拡大していた。
【0201】
各群における顕微鏡下での実験的ニキビの組織学的判定(表10参照):モデル群のウサギの右耳(実験対照)とその左耳(ブランク対照)の差は統計的な有意差があり(P<0.05)、ウサギの耳ざ瘡モデルのモデリングが成功したことを示している;各治療群のウサギの右耳とモデル群のウサギの右耳を比較した結果、その差は統計的に有意差であり(いずれもP<0.05)、陽性対照群と各治療群がニキビざ瘡皮膚損傷を改善できたことを示している。
【0202】
表10各群におけるざ瘡の組織学的グレード
表11に示すように、モデル群(実験対照)のウサギの右耳の表皮厚さ、毛包描出面積及
【0203】
【表10】
【0204】
び皮脂腺径は、左耳(ブランク対照)のものと比較すると統計的な有意差があり(P<0.05)、ウサギの耳のニキビモデルの再現が成功したことを示した;各治療群のウサギの右耳の表皮厚さ、毛包描出面積及び皮脂腺径は、モデル群のウサギの右耳のものと比較すると全て減少し、統計的に有意差があり(P<0.05)、陽性対照群及び各治療群がざ瘡皮膚の病理的な損傷を改善できたことを示唆した。
【0205】
【表11】
【0206】
3.実験結論
化合物CLY-1、CLY-2、CLY-3、CLY-4、CLY-8、CLY-9、CLY-14、CLY-19およびCLY-36はいずれも、ウサギの耳ざ瘡モデルにおいてざ瘡の症状を顕著に軽減し、毛穴の詰まりおよびニキビの形成を抑制し、ざ瘡に対する顕著な治療効果を示した。
【0207】
実施例12 化合物CLYシリーズによるマウスの乾癬様炎症反応の抑制
【0208】
1、材料:
陽性薬(グルココルチコイド薬):モメタゾンフロエートクリーム(エロゾン)、Schering-Plough Ltd(Shanghai)製品。
動物:SPFグレードの健康な純系マウス(C57BL/6);8週齢。
CLYクリームの調製:基質組成は、メチルシリコーンオイル(15%)、ステアリン酸(6%)、白色ワセリン(5%)、流動パラフィン(5%)、オクタデカノール(5%)、グリセロール(20%)、アルキルアリールポリエタノールエーテル(1%)、脂肪アルコールポリオキシエチレンエーテル(1%)、Tween-807(1%)、p-ヒドロキシ安息香酸エチル(0.1%)、蒸留水(約31-55%)であり、および混合エマルジョンを形成するための適量のCLYシリーズ化合物液を含む。 )、適量のCLYシリーズ化合物と混合し、混合エマルジョンを形成した。
【0209】
本実施例で使用するクリーム基質とは、有効成分を除去したクリームの基質組成物である。
【0210】
2、実験方法:
(1)8週齢のSPFグレードの雌性C57BL/6マウスを購入し、無作為にブランク対照群、モデル群、陽性対照群(エロゾンクリーム外用)、CLY-1治療群(0.5%CLY-1クリーム外用)、CLY-2治療群(0.5%CLY-2クリーム外用)、CLY-8治療群(0.5%CLY-8クリーム外用)、CLY-14 治療群(0.5%CLY-14クリーム外用)、CLY-19治療群(0.5%CLY-19クリーム外用)、およびCLY-36治療群(0.5%CLY-36クリーム外用)を分け、各群は5匹に構成された。ペントバルビタールナトリウム80mg/kgを腹腔内注射麻酔し、背部を約2cm×3cmの範囲に剃毛し、独立ケージで1日飼育した。
(2)ブランク対照群にはワセリンを、モデル群、陽性対照群、CLY治療群の背部には5%イミキモドクリーム62.5mgを6日間連続で毎日決まった時間に塗布し、毎日写真を撮影し、PASIスコアリングを行った。
(3)モデリング1日目に、ブランク対照群とモデル群にはクリーム基質を1日2回外用し、治療群には0.5%CLYシリーズクリームを1日2回外用した。
【0211】
3、実験結果:
(1)図2に示すように、5%イミキモドクリームを6日間連続塗布した後、モデル群のマウスの背部塗布部位はいずれも明らかな紅斑、鱗屑、浸潤を示したが、CLYの各治療群のマウスの背部塗布部位の紅斑、鱗屑、浸潤はモデル群より顕著な軽度であり、治療群の紅斑、鱗屑、浸潤は陽性薬物治療群に近いものであった。よって、CLYシリーズ化合物が乾癬様モデルマウスにおける炎症反応を顕著に抑制することができることを示している。
【0212】
実施例13 CLYシリーズ化合物によるマウスの湿疹モデルの炎症反応の抑制
1、実験材料:
オバルブミン(OVA):PBSで20g/Lに調製し、-20℃で保存。
カルシポトリオール塗布液(商品名:Darex塗布液):Leo Pharmaceutical Products社製品。
陽性薬(グルココルチコイド薬):モメタゾンフロエートクリーム(エロゾン)、Schering-Plough Ltd(Shanghai)製品。
CLYクリームの調製:基質組成は、メチルシリコーンオイル(15%)、ステアリン酸(6%)、白色ワセリン(5%)、流動パラフィン(5%)、オクタデカノール(5%)、グリセロール(20%)、アルキルアリールポリエタノールエーテル(1%)、脂肪アルコールポリオキシエチレンエーテル(1%)、Tween-807(1%)、p-ヒドロキシ安息香酸エチル(0.1%)、蒸留水(約31-55%)であり、および混合エマルジョンを形成するための適量のCLYシリーズ化合物液を含む。 )、適量のCLYシリーズ化合物と混合し、混合エマルジョンを形成した。本実施例で使用するクリーム基質とは、有効成分を除去したクリームの基質組成物である。
動物:SPFグレードの健康な純系マウス(C57BL/6);8週齢。
【0213】
2、実験方法:
8週齢(0.02kg)のSPFグレードの雌性C57BL/6マウスを購入し、ブランク対照群、モデル群、陽性薬物群、CLY-1治療群(0.1%CLY-1クリーム外用)、CLY-2治療群(0.1%CLY-2クリーム外用)、CLY-3治療群(0.1%CLY-3クリーム外用)、CLY-4治療群(0.1%CLY-4クリーム外用)、CLY-8治療群(0.1%CLY-8クリーム外用)、CLY-14治療群(0.1%CLY-8クリーム外用)、CLY-14治療群(0.1%CLY-3クリーム外用)、CLY-19治療群(外用0.1%CLY-19クリーム)およびCLY-36治療群(外用0.1%CLY-36クリーム)を無作為に分け、各群は6匹に構成された。
【0214】
モデリング:正常対照群のマウスには75%エタノール14.3ulを両耳に塗布し、モデル群、陽性薬物群および各治療群には1nmoI/Lカルシポトリオール14.3ulを毎日決まった時間に両耳に塗布した後、風乾し、20g/L OVA 25ulを1日1回塗布し、12日間連続モデリングを行った。
【0215】
モデリング開始4日後から、ブランク対照群およびモデル群のマウスの耳の皮膚にクリーム基質を塗布し、陽性薬物群のマウスの耳の皮膚にエロキソンを塗布し、各治療群のマウスの耳の皮膚に治療用クリームを朝晩2回、10日間連続塗布し、毎日写真を撮影してスコアリングを行った。
【0216】
マウスの耳の厚さは、モデリング前と14日目にそれぞれ耳厚計で測定し、マウスの外耳の厚みを記録した。測定後14日目にマウスを頸部から死亡させ、採血と血清の分離を行った。
【0217】
ウサギ抗マウスインターロイキン(IL)-4抗体を酵素標識プレートに封入し、4℃で一晩放置し、ELISAキットの指示に従って染色し、反応を終了させ、血清IL-4レベルを検出した。ELISAキットは全て米国Raybiotech社から購入したものである。
【0218】
3、実験結果:
(1)マウス耳厚さの比較:モデリング前、各群間の耳の厚さの差は統計的な有意差はなかった(P>0.05)。モデリング後、各群のマウスの耳の厚さを表12に示す。モデル群は各治療群、陽性薬物群およびブランク対照群よりも顕著に高く(いずれもP<0.01)、陽性薬物群と各治療群との差は統計的な有意差はなかった(いずれもP>0.05)。
【0219】
【表12】
【0220】
(2)血清IL-4濃度:モデリング前、各群間の血清IL-4濃度の差は統計的な有意差はなかった(P>0.05)。モデリング後の各群のマウスの末梢血中血清IL-4濃度を表13に示す。モデル群は他の各群より顕著であり(いずれもP<0.01)、陽性薬物群と各治療群との差は統計的な有意差はなかった(P>0.05)。
【0221】
【表13】
【0222】
4、実験結論:
CLY-1、CLY-2、CLY-3、CLY-4、CLY-8、CLY-14、CLY-19、およびCLY-36の化合物はすべて、血清IL-4レベルを低下させることにより、湿疹のマウスモデルにおける炎症反応を抑制した。
【0223】
実施例14 マウス移植片対宿主病モデルに対するCLYシリーズ化合物の影響
1.実験方法
1.1 実験動物:6-8週齢のSPFグレード雄性C57BL/6マウス(H-2b)と雌性BALB/cマウス(H-2d)、体重16~21g、すべての実験用マウスはSPFグレードの隔離ケージに飼育され、滅菌された飼料と敷材が用意され、1週間飼育されてから実験に使用された。
【0224】
1.2動物の群分けとモデリング
骨髄細胞の調製:ドナーマウスの首を折って死亡させ、体積比75%のエタノールに5分間浸した後、超清浄台で無菌条件下でマウスの大腿骨2本と脛骨を取り出し、体積比2%のウシ胎児血清を含むRPMI1640培地に入れた。骨髄腔をRPMI1640培地で洗浄し、骨髄細胞を取り出し、滅菌ウォッシャーチューブで骨髄懸濁液を吹き込み、200メッシュのフィルターでろ過し、1,500r/minで10分間遠心して細胞沈殿を回収し、生理食塩水を加えて再懸濁した。さらに、細胞懸濁液を少量採取し、赤血球溶解液で赤血球を除去した後、有核細胞量をカウントした。そして、骨髄懸濁液中の有核細胞濃度を5×1010 L-1に調整した。
【0225】
脾臓単核球の調製:滅菌鋏で脾臓包皮を切断し、200メッシュフィルターに載せ、体積比2%のウシ胎児血清を含むRPMI1640培地に浸し、滅菌注射器の柄先で脾臓を軽くすり潰し、フィルターを培地で数回すすぎ、ろ過した脾臓細胞懸濁液を回収し、1 500 r/分で10分間遠心し、脾臓細胞沈殿を回収した。PBSで再懸濁後、単細胞懸濁液にブローし、マウス脾臓リンパ球分離液の上層に軽く入れ、1800r/分で20分間遠心し、白血球層の細胞を回収し、PBSで2回洗浄し、細胞カウントを行い、細胞密度を5×1010 L-1に調整し、4℃の冷蔵庫に入れて予備した。
【0226】
C57BL/6マウスを骨髄移植ドナーマウスとし、BABL/cマウスをレシピエントマウスとした。BABL/cマウスに体重によって番号をつけ、無作為表法により対照群、モデル群、CLYシリーズ治療群(各群に該当のCLY化合物5 mg/kg.dを静脈注射する)に分け、各群が6匹に構成された。BALB/cマウスには、移植1週間前に200mg/Lのゲンタマイシンを含む滅菌酸性水を与え、移植前24時間以内に8.5Gyの全身照射(セシウム源)を与えた。 急性GVHDモデルマウスを構築するため、モデル群および各CLYシリーズ治療群には、C57BL/6マウス骨髄有核細胞(細胞1×107個含有)と脾臓単核細胞(細胞5×106個含有)の混合液0.5mLを尾静脈に注射し、対照群のBABL/cマウスには生理食塩水0.5mLを尾静脈に注射した。同時にCLYシリーズ治療群にはCLYシリーズ化合物溶液をそれぞれ5mg/kg.d静脈注射し、それ以外の群には生理食塩水を5mg/kg.d静脈注射した。
【0227】
1.3 観察指標及び試験方法
1.3.1 マウスGVHD症状評点:マウスの急性GVHD発症の有無を判定するため、移植後毎日、体格、皮毛、姿勢、運動性、下痢、精神状態などの一般状態を観察した。臨床GVHD症状スコアリング基準に従い、移植後11日目に各群のマウスの臨床GVHD症状をスコアリングした。
【0228】
【表14】
【0229】
1.3.2 マウスの生存時間分析:移植後3週間の各群マウスの生存データを収集し、kaplan-meier法により生存曲線をプロットし、Log-rank分析により各群マウスの生存率の差を比較する。
【0230】
1.3.3 病理組織学的検査:移植2週間後、各群からGVHDが発生したマウス3匹を採取し、背部皮膚組織、肝臓および小腸組織を採取し、40g/Lパラホルムアルデヒドで固定後、パラフィンに包埋し、ヘマトキシリン-エオジンで染色し、組織の病理学的変化を光学顕微鏡で観察した。
【0231】
2.実験結果
2.1急性GVHDマウスの臨床症状および生存期間に対するCLYシリーズ化合物の影響
【0232】
2.1.1 臨床症状:放射線照射を受けた対照群のマウスは、体重の減少、活動性の低下が見られたが、GVHD症状は発症しなかった。急性GVHD群では、移植後6日目からマウスに反り腰、体重の著しい減少、活動性の低下、震え、下痢などの症状が現れ始めたが、CLYシリーズ治療群でもGVHD症状は発症したが、症状は顕著に軽減した。移植後11日目の臨床症状スコアリングの結果は、急性GVHD群が7.48±0.77、CLY-1、CLY-2、CLY-5、CLY-8、CLY-11、CLY-36群がそれぞれ5.28±0.53、4.68±0.42、4.91±0.46、4.56±0.39、5.06±0.41、 4.93±0.39であり、CLYシリーズ治療群の臨床症状スコアリングは急性GVHD群よりも低かった(P<0.01)。
【0233】
2.1.2マウスの生存状況:Kaplan-Meier法により生存曲線をプロットし、Log-rank解析法により各群のマウスの生存率の差を比較した結果、急性GVHD群、CLY-1群、CLY-2群、CLY-5群、CLY-8群、CLY-11群、CLY-36群のマウスの生存率は、それぞれ12.13%、 61.26%、68.36%、58.79%、63.13%、62.60%、67.75%であった。 急性GVHD群と比較して、すべてのCLYシリーズ群ではマウスの生存期間の延長が見られた(P < 0.01)。
【0234】
2.1.3皮膚、肝臓および小腸組織の病理学的変化:移植2週間後、GVHD症状を発症したマウスの皮膚、肝臓および小腸組織を採取し、ヘマトキシリン-エオジン染色して病理組織学的変化を観察したところ、各群のマウスの皮膚組織は薄くなり、明らかな炎症性細胞の浸潤は認められなかった;肝臓の病理切片を観察したところ、急性GVHD群のマウスの肝臓には複数の壊死巣と多数の炎症性細胞が浸潤していましたが、CLYシリーズ化合物群のマウスの肝臓には小さな壊死巣が見られるのみであり、少数の炎症性細胞の浸潤または肝管領域への炎症性因子の浸潤が認められたが、急性GVHD群のマウスに比較して顕著に減少した。
【0235】
3.実験結論
CLYシリーズ化合物CLY-1、CLY-2、CLY-5、CLY-8、CLY-11、CLY-36はいずれも、急性GVHDマウスの生存期間を顕著に延長し、臨床症状を軽減し、急性GVHDに対する治療効果を示した。
【0236】
実施例15 ラット肺線維症モデルに対するCLYシリーズ化合物の効果影響
1.実験方法
1.1 材料:
(1)試薬:ブレオマイシン(4mg/カプセル、Tianjin Taihe Pharmaceutical Co., Ltd)、マウス抗マウスMMPモノクローナル抗体(NEO Mark-ers社)、マウス抗マウスTIMP-1ポリクローナル抗体(Wuhan Boster Biological Technology.,LTD)、酵素結合免疫吸着測定(ELISA)キット(米国R & D社)、Quantscript RT Kit逆転写キット(Dalian TaKaRa社 )。
(2)実験動物:SPFグレードWistarラット、雌雄半々、生後51-55日、体重(180±21)g、南京医科大学動物センターから入手した。
【0237】
1.2動物の群分けとモデリング
ラットを体重によって番号を付け、無作為配置表法を用いて、ブランク対照群、モデル群、CLYシリーズ治療群に分け、各群を12匹に雌雄半々とした。各群のラットは腹腔内注射により2%ペントバルビタールナトリウム(120mg/kg)で麻酔した後、手術台に固定し、頸部気管切開注射を行った。ブランク対照群には生理食塩水(1.25 ml/kg)を注射し、モデル群とCLY治療群にはそれぞれ5 U/mLブレオマイシン溶液(5 mg/kg)を1日1回、14日間連続で注射した。モデリング後の1週間後から、各治療群には該当するCLY化合物溶液(3 mg/kg.d)を尾静脈より注射し、ブランク対照群とモデル群には同量の生理食塩水を1日1回、14日間連続で尾静脈より注射した。
【0238】
1.3 観察指標及び試験方法
各群とも、モデリング後および治療後14日目に尾静脈より末梢静脈血を採取し、末梢血におけるスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)およびカタラーゼ(CAT)の濃度を測定した。各群で採血後、ラットを2回(モデリング後と治療14日後)処刑し、右肺組織はVEGF測定のために採取して-4℃の冷蔵庫で保存し、左肺組織はルーチンにパラフィン包埋してスライスし、ラットの肺組織で免疫組織化学染色によりMMPアイソフォームとTIMP-1の発現を測定した。右肺組織を採取して研磨し、組織ホモジナイズし、3000 r/minの高速遠心分離後に上清を採取し、ELISA法により 肺組織のVEGF蛋白を測定し、逆転写ポリメラーゼ連鎖アッセイによりVEGF-mRNA発現を測定した。
【0239】
2.実験結果
2.1ラット肺組織におけるMMPに対するCLYシリーズ化合物の影響
TIMP-1およびMMPアイソフォームは、いずれもブランク対照群のラットの肺組織で少量発現していた。モデル群のラットのMMP-2およびMMP-9の発現はモデリング後に上昇し、TIMP-1の発現は低下し、その差はブランク対応群と比較して統計的有意差があり(P<0.05)、モデリングが成功したことを示した。CLYシリーズ化合物群では、MMP-2およびMMP-9の発現は低下し、TIMP-1の発現は上昇し、その差はモデル群と比較してすべて統計的有意差があった(いずれもP<0.05)。表15参照。
【0240】
【表15】
【0241】
2.2肺組織のVEGFに対するCLYシリーズ化合物群の影響
各群のラット肺組織におけるVEGFタンパク質およびVEGF-mRNA発現量を表16に示す。モデル群のVEGFタンパク質およびVEGF-mRNA発現量は顕著に減少し、その差はブランク対応群と比較して統計的な有意差があり(P<0.05)、肺線維症モデルのモデリングが成功したことを示した。CLYシリーズ化合物群におけるVEGFタンパク質およびVEGF-mRNA発現量はモデル群と比較して全ては統計的な有意差があった(P<0.05)。
【0242】
【表16】
【0243】
2.3末梢血におけるSODおよびCAT酵素活性に対するCLYシリーズ化合物の影響
各群のラットの末梢血におけるSODおよびCAT酵素量を表17に示す。モデル群のラットの末梢血中のSODおよびCAT酵素活性は低下し、その差はp-brassの対照群と比較して統計的な有意差があった;CLYシリーズ化合物群のラットの末梢血におけるSODおよびCAT酵素活性は亢進し、その差はモデル群と比較して統計的な有意差があった(P<0.05)
【0244】
【表17】
【0245】
3.実験結論
化合物CLY-1、CLY-2、CLY-8、CLY-14およびCLY-36はいずれも、肺線維症モデルマウスの肺組織において、MMP-2およびMMP-9のレベルを顕著に低下させ、TIMP-1およびVEGFのレベルを上昇させ、末梢血におけるSODおよびCAT酵素のレベルも上昇させ、肺線維症抑制効果を示した。
【0246】
実施例16 CLYシリーズ化合物による関節リウマチマウスの関節症状と炎症指標の改善
【0247】
1、実験材料及び方法
(1)実験材料
フロイントアジュバントコンプリート(Freund’s Adjuvant Complete、FCA、米国Sigmaから購入);IL-10 ELISAキット(Multisciences (Lianke) Biotech, Co., Ltd );IL-17 ELISAキット(米国Raybiotech社)。
【0248】
(2)実験動物の群分け及び処理
5週齢の雌性Wistarラット18匹を無作為に対照群、RAモデル群、CLYシリーズ化合物治療群に分け、各群を6匹とした。 対照群では、ラットの右足趾を75%アルコールで消毒し、生理食塩水0.15mLをラットの右足中足骨に皮下注射した。RAモデル群では、実験初日に各ラットを通常の消毒を行い、FCA0.15mLをラットの右足中足骨に皮下注射した。CLYシリーズ化合物治療群では、実験開始の初日より、ラットの右足足底に0.15mL皮下注射し、7日後からCLYシリーズ化合物を10mg/kgの用量で1日1回毎日経口胃内投与し、RAモデル群および対照群には生理食塩水経口胃内投与(10mg/kg.d)を21日間連続に投与した。CLYシリーズ化合物介入後21日目にラットの心臓から3mL採血し、血清を分離し、ELISA法によりラットの血清中のIL-10およびIL-17レベルを測定した。
【0249】
(3)観察指標
介入21日後、各群のラットの関節炎に対する評点、また各群のラットの右足趾的関節腫脹度の測定を行った。RAラットの炎症反応により足首の重症度は0から4のレベルの評点を行った。足首の重症度は0から4のレベルによって評点を行った。正常である場合、0点とする;足首に軽度の発赤と軽度の腫脹が見られる場合、1点とする;足首から中足趾節関節または中手指節関節に紅斑と軽度の腫脹が見られる場合、2点とする;足首から中手指節関節または中足指節関節に紅斑と中等度の腫脹が見られる場合、3点とする;足首から指節関節に重度の発赤と腫脹が見られる場合、4点とする。 各ラットの四肢の評点を合計して関節炎評点とし、最高点数は16点であった。
【0250】
2、実験結果
(1)ラットの一般的表現
対照群と比較して、RAモデル群のラットは、食欲不振、抑うつ、活動性の制限、左右の足趾の緩やかな腫脹を示した。CLYシリーズ化合物による介入が行われ、21日後に他の群と比較して改善した。
【0251】
(2)ラットの体重、関節腫脹および関節炎評点
薬物介入21日後、対照群の体重は他の各群より高く、その差は統計的な有意差があった(いずれもP<0.05);RAモデル群の右足指関節の腫脹度、関節炎評点は対照群より高く、その差は統計的な有意差があった(P<0.05);CLYシリーズ化合物治療群の関節の腫脹度、関節炎評点はRAモデル群より低く、その差は統計的な有意差があった(表18参照)。
【0252】
【表18】
【0253】
(3)各群ラットの血清におけるIL-17およびIL-10濃度の比較
対照群およびCLYシリーズ化合物治療群ラットの血清中におけるIL-10濃度はRAモデル群より高く(いずれもP<0.05)、対照群およびCLYシリーズ化合物治療群ラットの血清中におけるIL-17濃度はRAモデル群より低く、その差は統計的な有意差があった(いずれもP<0.05)(表19参照)。
【0254】
【表19】
【0255】
3、実験結論
CLYシリーズ化合物は、末梢血中のIL-17レベルを低下させ、IL-10などの炎症指標を上昇させることにより、関節リウマチマウスの関節炎症状を改善することができる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】