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特表2024-532860モータユニット及びモータユニットを有するパーソナルケア装置
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  • 特表-モータユニット及びモータユニットを有するパーソナルケア装置 図1
  • 特表-モータユニット及びモータユニットを有するパーソナルケア装置 図2A
  • 特表-モータユニット及びモータユニットを有するパーソナルケア装置 図2B
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  • 特表-モータユニット及びモータユニットを有するパーソナルケア装置 図3
  • 特表-モータユニット及びモータユニットを有するパーソナルケア装置 図4
  • 特表-モータユニット及びモータユニットを有するパーソナルケア装置 図5
  • 特表-モータユニット及びモータユニットを有するパーソナルケア装置 図6A
  • 特表-モータユニット及びモータユニットを有するパーソナルケア装置 図6B
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  • 特表-モータユニット及びモータユニットを有するパーソナルケア装置 図7A
  • 特表-モータユニット及びモータユニットを有するパーソナルケア装置 図7B
  • 特表-モータユニット及びモータユニットを有するパーソナルケア装置 図8
  • 特表-モータユニット及びモータユニットを有するパーソナルケア装置 図9
  • 特表-モータユニット及びモータユニットを有するパーソナルケア装置 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】モータユニット及びモータユニットを有するパーソナルケア装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/18 20160101AFI20240903BHJP
【FI】
H02P6/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510409
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 IB2022058169
(87)【国際公開番号】W WO2023031820
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】21194424.4
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508117514
【氏名又は名称】ブラウン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ、トゥーノート
(72)【発明者】
【氏名】トルシュテン、クレム
【テーマコード(参考)】
5H560
【Fターム(参考)】
5H560AA10
5H560BB02
5H560BB12
5H560DA13
5H560DC12
5H560EC01
5H560RR04
5H560SS02
5H560TT08
5H560TT11
5H560TT15
5H560UA05
5H560XA02
5H560XA12
(57)【要約】
本出願は、モータユニットであって、ステータ及びアーマチュアを有するモータであって、アーマチュアが、ステータに対して相対的駆動運動するように構成されている、モータと、モータ制御ユニットであって、アーマチュアを駆動して運動させるための設定電力レベルをモータに提供するように、モータに供給電圧を提供する供給回路と、モータを流れる電流を示す物理変数の値を測定するための測定回路と、を有するモータ制御ユニットと、を備え、モータ制御ユニットが、供給回路による供給電圧の提供を中断し、制動時間間隔中にモータを動的に制動し、更に制動時間間隔中に物理変数の値を測定するように構成され、モータ制御ユニットが、物理変数の測定値を、目標値であって、この目標値が、供給された電力レベル及びアーマチュアの意図された運動振幅に依存する、目標値と比較し、比較結果に依存して新たな設定電力レベルを判定し、その後、新たな設定電力レベルをモータに提供するように更に構成される、モータユニットに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータユニットであって、
ステータ及びアーマチュアを有するモータであって、前記アーマチュアが、前記ステータに対して相対的駆動運動するように構成されている、モータと、
モータ制御ユニットであって、
前記アーマチュアを駆動して運動させるための設定電力レベルを前記モータに提供するように、前記モータに供給電圧を提供する供給回路と、
前記モータを流れる電流を示す物理変数の値を測定するための測定回路と、
を有するモータ制御ユニットと、を備え、
前記モータ制御ユニットが、前記供給回路による前記供給電圧の提供を中断し、制動時間間隔中に前記モータを動的に制動し、更に前記制動時間間隔中に前記物理変数の値を測定するように構成され、
前記モータ制御ユニットが、前記物理変数の前記測定値を、目標値であって、この目標値が、前記供給された電力レベル及び前記アーマチュアの意図された運動振幅に依存する、目標値と比較し、比較結果に依存して新たな設定電力レベルを判定し、その後、前記新たな設定電力レベルを前記モータに提供するように更に構成される、モータユニット。
【請求項2】
前記モータ制御ユニットが、前記比較結果が、前記モータの負荷が増加したことを示す場合、前記新たな設定電力レベルを前記設定電力レベルよりも高く設定し、前記比較結果が、前記モータの負荷が減少したことを示す場合、前記新たな設定電力レベルを前記設定電力レベルよりも低く設定するように構成される、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項3】
前記モータ制御ユニットが、増分値だけ、好ましくは固定増分値だけ、前記設定電力レベルに対して前記新たな設定電力レベルを増加又は減少させるように構成される、請求項1又は2に記載のモータユニット。
【請求項4】
前記モータ制御ユニットが、前記モータの前記負荷の変化が閾値未満であることを前記比較結果が示す場合に、前記新たな設定電力レベルを前記設定電力レベルに設定するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項5】
前記モータ制御ユニットが、前記制動時間間隔内の固定時間インスタンスにおいて前記物理変数の値を測定するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項6】
前記モータ制御ユニットが、前記物理変数の値を繰り返し測定し、新たな設定電力レベルを判定するように構成され、以前の新たな設定電力レベルが前記設定電力レベルになる、請求項1から5のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項7】
前記モータ制御ユニットが、前記モータに印加される負荷の変化が少なくとも部分的に補償されるように、かつ前記新たな設定電力レベルから生じる前記アーマチュアの振幅が前記設定電力レベルよりも前記アーマチュアの前記意図された振幅に近くなるように、前記新たな設定電力レベルを設定するように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項8】
前記モータ制御ユニットが、前記供給電圧の供給を周期的に制御するように構成され、好ましくは、前記供給電圧が、周期的に変化する極性で供給される、請求項1から7のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項9】
前記測定回路が、少なくとも1つのプルアップ抵抗器又はプルダウン抵抗器を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項10】
前記モータ制御ユニットが、前記供給電圧の値に依存して前記目標値を修正するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項11】
前記モータ制御ユニットが、前記測定回路を制御して、前記制動時間間隔内の複数の時点で前記モータの電流又は電圧信号をサンプリングし、前記複数のサンプリングされた信号を平均化するか又は別様に組み合わせることによって、前記物理変数の値を判定するように構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項12】
前記モータ制御回路が、パルス幅変調信号によって前記供給電圧が前記モータに提供されるように前記モータ供給回路を制御するように構成され、好ましくは、前記パルス幅変調信号の周波数が、前記供給電圧の周期的な提供の周波数よりも高い、請求項1から11のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のモータユニットを備えるパーソナルケア装置であって、好ましくは、前記パーソナルケア装置が、駆動運動するように構成されたパーソナルケアヘッドを備える、パーソナルケア装置。
【請求項14】
モータユニット、好ましくはパーソナルケア装置のモータユニットを制御する方法であって、
ステータと、前記ステータに対して相対的駆動運動するように構成されているアーマチュアとを有するモータを提供するステップと、
好ましくはパルス幅変調された供給電圧を前記モータに供給することによって、前記アーマチュアを駆動して運動させるように、前記モータに設定電力レベルを供給するステップと、
制動時間間隔中に前記モータを動的に制動するステップと、
前記制動時間間隔内に前記モータを流れる電流を示す物理変数の値を測定するステップと、
前記物理変数の値を、目標値であって、前記目標値が、前記設定電力レベル及び前記アーマチュアの前記運動の意図された振幅に依存する、目標値と比較するステップと、
前記比較結果に応じて新たな設定電力レベルを判定するステップと、
その後、前記新たな設定電力レベルを前記モータに提供するステップと、を含む、方法。
【請求項15】
前記アーマチュアの一定振幅における前記設定電力レベルと前記物理変数の前記測定値との線形関係を仮定することによって前記目標値を較正するステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、設定電力レベルをモータに供給することによって駆動されるモータを備えるモータユニットであって、モータ制御ユニットが、物理変数の測定値に基づいてモータの後続の電力供給を制御するように構成されるモータユニットに関する。本出願はまた、パーソナルケア装置及びモータユニットを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一定の振動振幅又は速度を達成するために振動モータによって必要とされる電力は、モータに加えられる負荷によって変化することが知られている。モータに供給される電力レベルの適切な制御がなければ、振動モータの振幅又は速度は、負荷の増加とともに低下する。モータの振幅又は速度を測定する1つの方法は、モータコイルにおけるいわゆる逆電磁力(逆EMF)、すなわち、モータコイル(例えば、モータのステータに設けられる)と永久磁石(例えば、モータの可動部分に設けられる)との間の相対運動によってモータコイルにおいて誘導される電圧を直接判定することである。振幅が低下すると、モータの速度が低下し、したがって逆EMFが減少する。モータコイルにおける逆EMFの直接測定を可能にするために、モータコイルを流れる駆動電流は、典型的には、逆EMFの測定を妨害する他の電圧を回避するために0に低減される。これは、モータへの供給電圧の供給が停止されると、モータコイルを流れる駆動電流は、逆EMFが測定され得る前に最初に放散されなければならないことを意味する。逆EMFの低下が判定された場合、一定のモータ振幅を維持するために、より多くのエネルギーが、その後、周期毎にモータに印加される(すなわち、より高い電力レベルが提供される必要がある)。文献、欧州特許第1 063 760(B1)号は、そのような制御方法を一般的に論じている。この解決策は、モータの駆動に長い中断を必要とし、その間にモータ内のエネルギーが放散されなければならず、したがってモータ効率の低下を引き起こす。
【0003】
モータコイル自体における逆EMFを判定する代わりに、振動モータの移動永久磁石の速度を判定するために二次測定コイルを使用することが提案されてきたが、そのような解決策は追加の部品を必要とし、したがってモータのコストを増加させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1 063 760(B1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、モータ、好ましくはブラシレスモータを、一定のモータ振幅又は速度を維持することを主に可能にし、既知のモータユニットよりも改善されるか、又は少なくとも異なるモータ制御を提供する方法で制御するように構成されたモータユニットを提供することである。また、本開示の目的は、一定のモータ振幅が主に維持され得るようにモータユニットを制御する方法を提供することであり、この方法は、既知の方法よりも改善されるか、又は少なくとも異なる方法を表す。好ましくは、モータユニット及び関連する制御方法は、既知のモータユニット/制御方法よりも高いモータ効率を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、モータユニットであって、ステータ及びアーマチュアを有するモータであって、アーマチュアが、ステータに対して相対的駆動運動するように構成されている、モータと、モータ制御ユニットであって、アーマチュアを駆動して運動させるための設定電力レベルをモータに提供するように、モータに供給電圧を提供する供給回路と、モータを流れる電流を示す物理変数の値を測定するための測定回路と、を有するモータ制御ユニットと、を備え、モータ制御ユニットが、供給回路による供給電圧の提供を中断し、制動時間間隔中にモータを動的に制動し、更に制動時間間隔中に物理変数の値を測定するように構成され、モータ制御ユニットが、物理変数の測定値を、目標値であって、この目標値が、供給された電力レベル及びアーマチュアの意図された運動振幅に依存する、目標値と比較し、比較結果に依存して新たな設定電力レベルを判定し、その後、新たな設定電力レベルをモータに提供するように更に構成される、モータユニットが提供される。
【0007】
一態様によると、上述のモータユニットを備えるパーソナルケア装置が提供される。
【0008】
一態様によれば、モータユニット、好ましくはパーソナルケア装置のモータユニットを制御する方法であって、
-ステータと、ステータに対して相対的駆動運動するように構成されているアーマチュアとを有するモータを提供するステップと、
-好ましくはパルス幅変調された供給電圧をモータに供給することによって、アーマチュアを駆動して運動させるように、モータに設定電力レベルを供給するステップと、
-制動時間間隔中にモータを動的に制動するステップと、
-制動時間間隔内にモータを流れる電流を示す物理変数の値を測定するステップと、
-物理変数の値を、目標値であって、目標値が、設定電力レベル及びアーマチュアの運動の意図された振幅に依存する、目標値と比較するステップと、
-比較結果に応じて新たな設定電力レベルを判定するステップと、
-その後、新たな設定電力レベルをモータに提供するステップと、を含む、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示は、例示的実施形態の詳細な説明及び図面の参照により、更に明瞭にされる。
図1】モータと、整流されたDC電圧をモータに印加するためのHブリッジと、Hブリッジを制御するためのモータ制御ユニットとを備える例示的なモータユニットの要素を示す図である。
図2A】第1の整流フェーズ中の図1に示されたモータユニットの関連要素の図である。
図2B】動的な制動時間間隔中の図1に示されたモータユニットの関連要素の図である。
図2C】第2の整流フェーズ中の図1に示されたモータユニットの関連要素の図である。
図3】供給電力レベルに依存してモータを流れる電流を示す物理変数として測定される電圧信号の図であり、3つの異なる一定の逆EMF値について3つの曲線が示されている。
図4】中程度の大きさの制動時間間隔を有する例についての時間に対する電圧信号及び電流信号の図であり、モータを通る意図された正弦波電流の流れの関連する外乱が、時間電流挙動において見られる。
図5】小程度の大きさの制動時間間隔を有する例についての時間に対する電圧信号及び電流信号の図であり、モータを通る意図された正弦波電流の流れの関連する外乱が、時間電流挙動において見られる。
図6A】第1のレベルの逆電磁力に対する動的制動時間間隔の前、間、及び後のシミュレートされた電圧信号の拡大の図である。
図6B】第1のレベルよりも高い第2のレベルの逆電磁力に対する動的制動時間間隔の前、間、及び後のシミュレートされた電圧信号の拡大の図である。
図6C】第1のレベルよりも低い第3のレベルの逆電磁力に対する動的制動時間間隔の前、間、及び後のシミュレートされた電圧信号の拡大の図である。
図7A】いくつかの例について、モータに供給される設定電力レベルと測定信号との間の関係を示す概略図である。
図7B】時間シークエンスにおける、いくつかの例について、モータに供給される設定電力レベルと測定信号との間の関係、及び、結果としての設定電力レベルの反復した印加を示す概略図である。
図8】本明細書で説明されるようなモータユニットにおいて使用され得るステータ及びロータを備えるモータの概略図である。
図9】開示されたモータユニットが使用されるパーソナルケア装置の図である。
図10】本開示による、モータユニットを制御する方法に関するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書の文脈において、「パーソナルケア」とは、皮膚及びその付属器(すなわち、毛及び爪)並びに、歯及び口腔(舌、歯茎などを含む)の育成(又はケア)を意味するものとし、一方では、疾病の予防並びに健康の維持及び増強を目指し、他方では、皮膚及びその付属器の美容的処置及び外観の改善を目指すものである。これは、ウェルビーイングの維持及び強化を含む。これは、スキンケア、ヘアケア、口腔ケア、及びネイルケアを含む。これは、顎ひげケア、シェービング、及び脱毛など整容動作を更に含む。したがって、「パーソナルケアデバイス」とは、このような育成又は整容動作を実行するための任意のデバイス、例えば、皮膚マッサージデバイス又は皮膚ブラシなどの(美容)皮膚処置デバイス;湿式かみそり;電気シェーバー又はトリマー;電動脱毛器;及び手動又は電動の歯ブラシ、(電気)フロッサー、(電気)洗浄器、(電気)舌クリーナ、又は(電気)歯肉マッサージ器などの口腔ケアデバイスを意味する。これは、本提案のパーソナルケアデバイスが、これらの育成又はデバイス領域のうちの1つ又は複数において、これらの領域のうちの1つ又は複数の他の領域においてよりも、より顕著な利点を有し得ることを除外するものでない。本説明では、提案されるパーソナルケア装置の詳細を示すために、電動歯ブラシが選定されている。詳細が電動歯ブラシに特有でない限り、提案される技術は、任意の他のパーソナルケアデバイスにおいて使用することができる。
【0011】
本明細書で使用される「動的制動」という用語は、モータの端子が、例えば、Hブリッジの2つのスイッチを介して互いに接続され、モータ内の電流がモータを通って再循環し、再循環回路内に存在する任意の抵抗(例えば、モータコイルの抵抗及びHブリッジのスイッチの抵抗)において消散する、モータの制御状態を指す。動的制動区間では、モータは発電機として使用され、アーマチュアを駆動し続ける。本明細書で説明する実施形態では、非回生制動は回生制動よりも高いエネルギー効率を有するので、動的制動間隔は回生態様を含まない、すなわち、モータに蓄積されたエネルギーはエネルギー源に供給されない。これは、本明細書で論じられる概念が回生制動と組み合わせられ得ることを除外するものではない。
【0012】
本開示におけるモータは、可動モータ部として、ステータとロータ又はアーマチュアとを備え、可動モータ部が振動回転を行う場合には、典型的にはロータという用語が用いられ、可動モータ部が往復直線運動を行う場合には、典型的にはアーマチュアという用語が用いられ得る。簡単にするために、「アーマチュア」という用語のみが以下で使用される。したがって、本開示におけるモータは、典型的には振動モータである。振動モータは、入力エネルギー(供給電力レベルによって表される)が最も効率的にモータ振幅に変換される共振周波数を有し、したがって、そのようなモータは、その共振周波数又はその共振周波数に近い典型的に固定された駆動周波数で規則的に駆動される。モータに負荷を加えると、減衰が加わり、共振周波数がシフトするので、負荷が加えられたときにモータ振幅が低下する。ここで、「モータ振幅」は、直線的に往復運動するアーマチュアによって提供されるピーク振幅、又は振動回転するロータのピーク角偏向のいずれかを意味する(以下のより詳細な説明を参照)。ユーザは、被駆動部(例えば、パーソナルケア装置の可動ヘッド部)の変動する振幅をもたらすモータの変動する振幅を認識しない場合があるので、改善された消費者体験のために、印加される負荷が変動するにもかかわらずモータ振幅を維持するか又は少なくともほぼ維持することが望ましい場合がある。したがって、瞬間的なモータ振幅を測定するか、又はモータ振幅を示す物理変数の値を判定して、例えば、供給電力レベルを調整して、モータ振幅が一定のままになるか、又は少なくとも調整なしよりも一定振幅レベルに近く保たれるようにすることが望ましい場合がある。これは、印加された負荷の変動が調整ループよりも速い場合があること、又は調整プロセスが意図的に、モータ振幅のジッタ又は一般に不安定な挙動を回避するために、設定電力レベルの増分的又は部分的な適応のみで負荷変化に応答する場合があることを意味する。したがって、モータ振幅の定常性は、近似的にのみ、又はいくらかの遅延を伴って達成され得る。
【0013】
動作中に固定駆動周波数で互いに対して移動する少なくとも1つの永久磁石及びコイルを備える振動モータの構造に起因して、逆電磁力(又は逆EMFもしくはBEMF)としても知られる、永久磁石によってコイル内に誘導される電圧は、モータ振幅(又はモータ線形もしくは回転速度)を示す信号を提供する。したがって、信号から逆電磁力を推測すること、又は信号からBEMFとの間接相関を確立することを可能にするために、逆電磁力を示す信号を判定することは、現在のモータ振幅の測定を提供し、したがって、モータ振幅を制御するための基礎を提供する。したがって、モータ制御ユニットは、そのような信号を判定するための測定回路を備え、その信号は、動的制動間隔内にモータを通って流れる電流を示す物理変数の値である。モータを流れる電流を示す物理変数の値の測定が、逆電磁力についての洞察を導出することをどのように可能にするかについては、以下で更に詳細に説明する。
【0014】
モータ振幅は、典型的には、モータシャフトの直線往復運動のピークツーピーク値によって、又はモータシャフトの振動回転のピークツーピーク偏向角によって与えられる。ピークツーピーク振幅の代わりに、半振幅、すなわちピークツーピーク振幅の半分であると理解されるピーク振幅を参照してもよい。ピークツーピーク振幅を維持することは、本開示においてピーク振幅を維持することを意味する。振動モータに負荷がかかると、既に述べたように、モータ振幅が減少する。モータの振動運動の周波数は、モータ制御によって利用される駆動周波数によって固定されるので、振幅の減少は、アーマチュア速度の減少を意味する。上述したように、アーマチュアの速度は、逆EMF(すなわち、アーマチュアに取り付けられた可動永久磁石(複数可)によるモータのステータコイル内の誘導電圧)を測定することによって直接判定することができるが、逆EMFは、モータ抵抗によるモータにおける電圧U=R・I(t)が0であり、モータ電流の変化によるモータにおける自己誘導電圧U=L・(dI(t)/dt)も0になるように、モータを通して駆動される電流がある期間にわたって0に低減される場合にのみ直接測定することができる。モータ制御が、モータ電流が0になる十分に長い時間間隔を本質的に提供しない場合、逆EMFが直接測定され得る状況を作り出すために、モータの電力供給が中断される必要があり、モータコイルに蓄積されたエネルギーが散逸されるか、又はバッテリに戻すように供給される必要がある。これにより、現在のモータ振幅を判定し、一定のモータ振幅を維持するためにモータに提供される設定電力レベルを増加させるべきか減少させるべきかを定義することができる。これはエネルギー的に非効率的であるため、本明細書では、エネルギー的により効率的なモータ制御方法及びそれぞれのモータユニット、すなわち、逆EMF/モータ振幅を判定するためにモータ電流を0に低減する必要がない方法又はモータユニットが提案される。
【0015】
モータ振幅を判定するための1つのモータ制御方法が、米国特許出願公開第2005/0146296(A1)号において論じられており、電圧がモータに印加され、電流がモータを通して駆動されるモータ制御フェーズにおいて、少なくとも2つの電流値が測定され、モータ速度(したがってモータ振幅)を判定することを可能にする。米国特許出願公開第2005/0146296(A1)号では、モータの周期的駆動の半周期毎に単一の長い電圧パルスが印加され、モータを通して駆動される電流は、正弦波形状をかなり粗く近似するだけであった。対照的に、本明細書で提案されるモータ制御概念は、モータを通して駆動される電流が成形される実施形態を含み、例えば、電流は、半周期毎に複数の電圧パルスの形態で設定電力レベルを印加することによって、近似正弦波形態に成形されてもよく、個々の電圧パルスの長さは、パルス幅変調(PWM)によって制御されてもよい。
【0016】
本開示のいくつかの態様によれば、モータユニットは、モータと、供給回路及び測定回路を有するモータ制御ユニットとを備える。モータは、モータ制御ユニットの一部である供給回路によって、電気的に整流された供給電圧(例えば、DC電圧)をモータに印加することによって駆動される。モータにDC電圧を印加するために、供給回路は、当技術分野で一般に知られているように、Hブリッジを備えることができる。Hブリッジは、フルHブリッジであってもよいが、これは、例えば、ハーフブリッジ回路が同様に使用されてもよいことを排除するものではない。モータ制御ユニットは、バッテリ又は充電式バッテリによって供給され得るDC電圧を電子的に整流するように供給回路を制御するために使用される。モータ制御は周期的であってもよく、すなわち、モータ制御は、駆動周波数又は駆動周期の時間長によって特徴付けることができ、例えば、駆動周波数は100Hzであってもよく、その場合、駆動周期の長さは0.01秒である。その極性を周期的に変化させるDC電圧をモータに印加することによって、その方向を周期的に変化させる電流がモータを通して駆動される。
【0017】
モータ制御ユニットは、パルス幅変調(PWM)を使用して、供給電圧をパルスで提供するように供給回路を制御することができ、これらの電圧パルスの変化するデューティサイクルは、モータを通して駆動される電流を成形することを可能にし、例えば、PWMは、モータを通してほぼ正弦波電流を駆動するために使用され得る。PWM信号は、駆動周波数よりも高い、好ましくは駆動周波数よりもかなり高いPWM周波数を有することができ、複数の電圧パルスが半駆動周期毎にモータに印加される。単なる例として、駆動周波数は、約145Hzであってもよく、PWM周波数は、約37kHzであってもよく、すなわち、256個の電圧パルスが、次いで、駆動周期毎に印加されることができ(又は、128個のパルスが、次いで、半駆動周期毎に印加されることができ)、電圧パルスの各々のデューティサイクルは、電流フローを成形するように制御されることができる。米国特許出願公開第2005/0146296(A1)号に記載されているように、半駆動周期当たり1つのPWM制御電圧パルスを印加するためには、PWM周波数は駆動周波数の2倍でなければならない。
【0018】
一般に、駆動周波数は、10Hz~1.000Hzの範囲内、好ましくは30Hz~500Hzの範囲内、より好ましくは50Hz~300Hzの範囲内の値を有するように選択され得るが、これらに限定されない。PWM周波数は、駆動周波数と同一であってもよく、又は駆動周波数の2倍であってもよいが、駆動周波数よりもはるかに高いPWM周波数は、モータを通る電流の流れのより詳細な整形などの特定の利益を提供し得る。スイッチング損失が考慮される必要があり得るが、高すぎる周波数は、より高い精度と効率とのバランスを保たない可能性がある。したがって、PWM周波数は、4~10.000の範囲内、好ましくは10~5.000の範囲内、より好ましくは20~1.000の範囲内の係数だけ駆動周波数より高くてもよいが、これに限定されない。単一のPWM制御された電圧パルスは、それぞれのPWM周期の完全な長さの0%と100%との間のオン長を有することができ、この相対的なオン長は、典型的にはデューティサイクルと呼ばれる。デューティサイクルは、アナログ方式で制御されてもよいが、デジタル方式で制御されてもよく、デジタル解像度は、限定ではないが、2ビットから64ビットの範囲、好ましくは4ビットから16ビットの範囲にあるように選択されてもよい。8ビット分解能では、電圧パルスのデューティサイクルは、0%デューティサイクルから100%デューティサイクルまでの256レベルのうちの1つをとり得る。次いで、各PWM制御電圧パルスのオン長及びオフ長は、256レベルのデューティサイクルを可能にするためにそれぞれの高周波数を有する基礎クロック信号によって制御されてもよく、駆動周期毎の各PWM制御電圧パルスの個々のオン長は、モータ制御ユニットのメモリユニット内のルックアップテーブルに記憶されてもよい。モータに印加される電圧パルスのデューティサイクルを制御することは、駆動されるモータ電流を近似的な正弦波形状に整形することを可能にするが、これは、もちろん、モータ電流が、任意の他の意図された形態、例えば、三角形形状、台形形状などを近似的にとるように整形され得ることを意味する。このため、複数のルックアップテーブルが、異なる電流形状を可能にするように、言及されるメモリユニットに提供され得る。
【0019】
モータ制御ユニット、具体的にはモータ制御ユニットの測定回路は、モータを流れる電流を示す物理変数の値が判定されるように構成される。次いで、この値を表す信号が生成され、モータ制御ユニットの処理ユニットに供給される。物理変数は、以下でより詳細に説明するように電圧であってもよいが、電流であってもよい。値(値を表す信号)は、制動時間間隔内の少なくとも測定部分の間に判定され、すなわち、値は、制動時間間隔の開始と一致しない制動時間間隔内の瞬間に判定されてもよく、又は値は、制動時間間隔より短く、制動時間間隔の開始で開始しなくてもよく、及び/又は制動時間間隔の終了で終了しなくてもよい制動時間間隔内の期間の間に判定されてもよい。いくつかの実施形態では、物理変数の値は、制動時間間隔中に物理変数を複数回サンプリングし、サンプル値を平均化するか、又は他の方法で組み合わせることによって判定される。本開示では、「制動時間間隔中」という語句は、制動時間間隔が開始もしくは終了する瞬間、又はその間の任意の瞬間もしくは期間のいずれかを意味する。
【0020】
本明細書で説明する基本的な洞察は、制動時間間隔中に測定されたモータを流れる電流を示す物理変数の値が逆EMFによって影響を受け、したがって、そのような測定値から逆EMFを導出すること、又は逆EMFを推定することを可能にするという理解にある。しかし、測定値は、他のパラメータ、具体的には、動的制動が開始するときにモータに蓄積されたエネルギーから生じる非0電流によっても影響を受け、したがって(既に述べたように)逆EMFの直接測定は不可能である。本開示によれば、モータを流れる電流を示す物理変数の測定値は、現在印加されている電力レベル、すなわち設定電力レベルと、意図されたモータ振幅とに依存する所定の目標値と比較される。この比較は、少なくとも、モータに現在提供されている設定電力レベルが、意図されたモータ振幅を維持するために、又は少なくとも、結果として生じるモータ振幅をそのような制御がない場合よりも意図された振幅により近く保つために、増加される必要があるか、又は減少される必要があるかを判定することを可能にする。基礎となる洞察及び制御ステップは、以下でより詳細に説明される。
【0021】
特にほぼ正弦波であってもよい(ここでは正弦波形が仮定されている)モータ電流Iは、次式によって与えられるそのピークにある。
M,p=(VBATT-VBEMF)/√(R+R
ここで、IM,pはピークモータ電流であり、VBATTは供給電圧すなわちバッテリ電圧であり、VBEMFは逆電磁力であり、Rは全てのオーム抵抗の和であり、Rはモータコイルのリアクタンスである。モータを流れる電流が正弦波であり、0から1の範囲の相対PWM信号によって駆動される場合、モータ電流は、以下の式によって近似することができる。
=PWMW・IM,p・sin(ω・t+φ
ここで、PWMWは、PWMの重みを表す0と1との間の数であってもよく、φは、供給電圧とモータ電流との間の位相シフトである。(本開示の評価で使用される例示的なモータ回路のX値及びR値に基づいて、φが約19.7度であることが分かった)sin関数が1である時点で動的制動時間間隔が開始するという仮定の下で、動的制動時間間隔のまさに開始時にモータ回路と並列に測定された電圧VMeasureは、次のように与えられる。
Measure=-R・PWMW・(VBATT-VBEMF)/√(R+R
ここで、Rは、電圧が測定される抵抗器のオーム抵抗である。PWM重み係数PWMWは、モータに供給される設定電力レベルを反映する。前述のPWMルックアップテーブルは、1の正規化されたピークを有する正弦関数を表すデューティサイクル値を提供し得るが、PWMW係数は、電力レベルを判定し、全てのPWM値に適用されるグローバル重み係数である。PWMW=1では、最大電力レベルが設定されてモータに提供され、PWMW=0では、最低電力レベルが設定されて、モータにエネルギーが提供されない。PWMW係数は、モータに提供される電力レベルを設定するために、0から1までの任意の値をとることができる。説明のために、PWMWは、無負荷環境下の1つの意図されたモータ振幅に対して0.35であり、無負荷環境下の別の意図されたモータ振幅に対して0.6であり得る。
【0022】
このようにして導出された式は、モータに提供される設定電力レベルを表すPWMW値と、所与の逆電磁力VBEMFにおける測定電圧VMeasureとの間の線形関係を示す。言い換えれば、PWMWと測定電圧との間の関係は、任意の意図された振幅に対して線形である。線形公式は、次のように書き換えられる。
Measure=-A・PWMW 又は VMeasure=-A・PWMW+B
ここで、Aはちょうど、逆EMF値に依存する所与のモータ振幅に対する定数であり、追加の定数値Bを有する第2の変形例は、実際には、VMeasureが、測定回路の全体構造に起因する(例えば、測定回路が実際には負電圧を測定できないので必要とされ得る、測定回路内のプルアップ又はプルダウン抵抗器に起因する)絶対シフトを含み得ることのみを示すものとする。以下で更に説明する図3は、3つの異なる一定の逆EMF値に対するPWMWの関数としての測定電圧の図である。
【0023】
この線形関係は近似であり、この理由は、例えば、ここでは、一定のモータ振幅において、逆電磁力はモータ電流に対して顕著な位相シフトを経験しないと仮定したためである。実際には、いくらかの位相シフトが発生するが、本考察の目的のために、それは無視することができる。ほとんどの場合、線形関係を仮定すれば十分であることが分かった。線形関係は較正が容易であり、例えば、上記の式において、PWMW=0における電圧は既知の定数であるので、曲線上の1つの追加の点のみを測定する必要があり、例えば、モータに追加の外部負荷がない場合に意図されたモータ振幅に必要なPWMW設定を、線形関係を判定するために使用することができる。
【0024】
しかし、線形関係近似が十分でない場合、例えば、PWMWと測定電圧との間の関係を較正するために、電力レベル(PWMW値)が2つ、3つ、又は4つなどの異なる負荷状況(0.5Nの負荷、1Nの負荷、1.5Nの負荷、2Nの負荷、及び/又は2.5Nの負荷など)などの様々な負荷状況で測定され得る場合、より複雑な較正スキームを適用することも当然可能である。
【0025】
外部負荷が変化すると、逆EMFが変化し、これは、測定された電圧VMeasureが、設定電力レベル/PWMWに対する上記の線形曲線から逸脱することを意味し、すなわち、測定電圧は、負荷が減少する場合に高くなり(モータ振幅が増加するにつれて逆EMFが増加する)、又は負荷が増加する場合に低くなる(モータ振幅が減少するにつれて逆EMFが減少する)。したがって、測定された電圧が、意図された振幅に対する線形曲線を上回る場合、設定電力レベル、すなわち、上記の式におけるPWMW値は、測定電圧が、意図されたモータ振幅に対する線形曲線上に戻るように、減少される必要がある。対照的に、測定された電圧が、意図された振幅に対する線形曲線を下回る場合、設定電力レベル、すなわち、上記の式におけるPWMは、測定電圧が、意図されたモータ振幅に対する線形曲線上に戻るように、増加される必要がある。
【0026】
これは更に、モータの動作中の設定電力レベル(所与のPWMW値)に対して、意図されたモータ振幅に対する線形曲線から逸脱する測定電圧が、変化した負荷状況の指標であり、設定電力レベルが、意図されたモータ振幅と本質的に同一であるか、又は少なくともそれに近いモータ振幅をもたらす新しい設定電力レベル、すなわち異なるPWMW値に変更されるべきであることを意味する。電力レベルの増分適応は、一方では、短時間内に意図されたモータ振幅を達成するのに十分であり、他方では、モータ振幅におけるジャンプ又は顕著なジッタを回避することが分かった。更に、測定された電圧と較正された線形曲線との間に閾値を適用することは、閾値を下回る小さな偏差が新しい設定電力レベルをもたらさないことを回避するのに賢明であることが分かった。「閾値」とは、測定値と較正された線形曲線との間の絶対差を意味する。制御システムでは、これは一般にヒステリシスとしても知られている。これは、モータ振幅を安定させ、顕著なジッタを回避するのに役立つ。このコンセプトは、図7A及び図7Bを参照して以下で更に説明される。基本的に、複数の意図された振幅値及び単一のPWMW値(すなわち、無負荷条件で)に対して、線形関係に対して、又は非線形関係の場合に振幅毎の複数のPWMW値に対して較正を実行することができ、その結果、任意の後の測定値に対して、測定値がどの振幅(したがって、負荷状況)に関係するかを(例えば、補間又は外挿によって)導出することができ、次いで、振幅を意図された振幅に(すなわち、目標曲線上に)シフトして戻すために必要なPWMWの変化を計算することができる。
【0027】
モータ電流の位相シフトに関して、計算における任意の誤差を補償するために、測定回路によって位相シフトを測定又は追跡することも可能である。測定回路は、例えば、電圧ピーク(正弦波に対して2つ)の位置、及び表にされたPWM値に対するそれらの相対位置を追跡することができる。次に、測定回路が常にBEMF正弦波に対してほぼ同じ位置で再循環電流を測定するように、追跡された電圧ピークが移動した量だけ動的制動間隔をシフトすることが可能である。
【0028】
上述したように、1駆動サイクル中に印加されるPWM制御電圧パルスのデューティサイクルは、コイルを通る正弦波駆動電流が生成されるように選択されてもよい。駆動サイクル中のデューティサイクル値は、モータ制御ユニットのメモリユニットに記憶されてもよく、例えば、PWM周波数が駆動周波数の256倍である場合、256のデューティサイクル値が記憶される。デューティサイクル値は、0~1又は0%~100%の値を有してもよい。明確にするために、デューティサイクル値は、以下の段落で述べるように、デジタル方式で記憶されてもよい。
【0029】
動作において、電圧パルスに適用されるデューティサイクルは、記憶されたデューティサイクルにPMWM係数を掛けたものである。既に述べたように、デューティサイクルは、デジタル化されてもよく、例えば、0~255のデューティサイクル値が使用され得るように8ビット分解能を有してもよく、又は0~127のデューティサイクル値が使用され得るように7ビット分解能を有してもよい。
【0030】
更に上記では、PWMW値が0と1との間であってもよいと述べた。以下では、説明を容易にするために、PWMWも7ビットデジタルスキームにマッピングされると仮定し、ここで、0は0であり、1は127である。これは非限定的な仮定であることを理解されたい。
【0031】
一例として、PWMW値は、モータシャフトの意図されたピークツーピーク振幅、例えば0.8mmを達成するために63に設定され得る。より詳細に説明されるように、測定電圧、すなわち、0.8mmのピークツーピーク振幅に対して無負荷状態において予想される物理変数の値は、事前較正による上述の線形公式から知られる。動作中、設定電力レベルは、変化する負荷条件下で変化してもよく、すなわち、重み係数PWMWが適合され、新しい電力レベルがモータ振幅を維持するように設定される。モータユニットが、無負荷状態で0.8mmのピークツーピーク振幅をもたらす63の重み係数PWMWで開始すると仮定する。ここで、例えば、パーソナルケア装置が使用され、可動ヘッド部が処置される身体部分に対して押されるときに、加えられる負荷が変化する場合、負荷はモータ振幅の低下をもたらし、これは、判定される物理変数、ここでは測定電圧の値の変化をもたらす。次に、モータ振幅の低下が逆EMFの低下につながるので、測定電圧は無負荷状態の目標値よりも低下する。動作中、印加された負荷は、ある点において、以前に印加された負荷よりも低くなり得、次いで、モータ振幅が上昇し、その結果、逆EMFが上昇し、したがって、測定された電圧が、測定電圧の期待値よりも高くなり得る。制御スキームの例示的な説明は、特に図7A及び図7Bを参照して以下で更に与えられる。
【0032】
上述の較正は、理想的には、パーソナルケア装置又は、更には製造業者からの所与のタイプの全てのパーソナルケア装置に対するグローバル較正であってもよいが、パーソナルケア装置は、異なる交換可能な可動ヘッド部を備えてもよく、これらのヘッド部の各々は、それ自体の較正された目標関数を有してもよく、又はパーソナルケア装置の様々な部品の公差は、各パーソナルケア装置がそれ自体の目標曲線を有することを要求してもよい。
【0033】
意図されたモータ振幅を維持するために、PWMW係数は変更されてもよく、例えば、無負荷条件で63のPWMWを有する上記の例に従って、PWMWは、負荷が印加されるときにより高くなる必要がある。例えば、PWMWは、追加の負荷を補償するために85に増加される必要があり、ここで、所与の値は、説明のためだけであり、非限定的であることに留意されたい。必要な変更は単一のステップで行うことができるが、PMWMを増分的にのみ変更することも企図され、例えば、モータを流れる電流を示す物理変数の値、例えば測定電圧が期待値と一致するまで、すなわち上述の較正済み線形関係の値と一致するまで、PWMWを63から64に増加させて新しい電力レベルを設定し、次の測定後にPWMWを64から65などに増加させることができる。印加される負荷が減少する場合、好ましくは増分のステップと同様に、PWMWも減少されてもよい。
【0034】
このような増分調整は、駆動の周期毎に大きな調整が生じること、及び調整が正方向及び負方向に急速にジャンプすることを回避することができる。例えば、信号の比較は、電力レベルの増加が、増加した負荷に起因して63の重み係数から79へ行われるべきであることを示し得るが、今説明した増分制御スキームでは、これは、続いて(すなわち、次の駆動サイクルにおいて)適用される新しい設定電力レベルではない。対照的に、64への増分的増加のみが適用される。例えば、145Hzの駆動周波数で、各周期においてモータを流れる電流を示す物理変数の値を判定することによって、最高デューティサイクル(127)から最低デューティサイクル(0)への調整は依然として、1秒未満(すなわち、約0.9秒)で、63から79までは0.11秒で行われる。これは、もちろん、調整が非増分的に行われること、例えば、印加されるべき新しい設定電力レベルが、印加された負荷の差を直ちに補償するように判定された各期間において行われることを排除するものではない。
【0035】
更に、判定された信号と目標信号との間の比較が絶対閾値の差の値未満の差をもたらす場合、後続の電力レベルの調整は適用されなくてもよく、これは、調整のジッタを効果的に回避し、及び/又は既に述べたようなより安定した挙動をもたらし得る。これはひいては、何も変更されないので、新しい設定電力レベルが設定電力レベルのままであることを意味する。
【0036】
増分変化ではなく、電力レベルの1ステップでの変化が使用されてもよいことは既に述べた。測定電圧が、意図された振幅に対する目標曲線上にない場合、PWMWは、以下で説明されるように変更され得る。測定値が、目標曲線と同じ原点を有する線形曲線上にあることは明らかであり、したがって、未知の振幅に対する現在測定された電圧に関する傾きは、既知の現在設定されている電力レベル/PWMW及び対応する測定値、並びにPWMW=0における目標曲線の既知の値(上述の式における値B)に基づいて容易に判定することができる。この曲線の勾配は、A’として示され得る。90度回転された線、すなわち、A’’=-1/A’の傾きを有する線に沿ったPWMWグラフ上の測定電圧における現在測定された電圧値の目標曲線上への垂直投影によって、回転された線と目標曲線との間の交点が新しい設定電力レベルを定義する。
【0037】
本開示は、線形振動又は発振モータ(又は共振モータ)に焦点を当てているが、本明細書で提案されるモータ制御は、具体的なモータタイプとは無関係であり、電気的に整流されたDC電圧をモータに印加することによって駆動され得る全てのタイプのモータ、例えば、全てのタイプのブラシレスDCモータ又は永久磁石同期モータとともに動作し得る。
【0038】
図1は、本開示による例示的なモータユニット100のいくつかの要素を示す概略図である。図1に示されるいくつかの要素は、説明されるように任意選択である。モータユニット100は、モータ101と、Hブリッジを含む供給回路120を備えるモータ制御ユニット110と、測定回路130とを備える。モータ101は、ここでは、抵抗、インダクタンス、及び電圧源によって表されるものとして示されている。電子整流の技術分野において一般的に知られているように、モータ101は、ここでは、4つの制御可能なスイッチ121、122、123、及び124を有するHブリッジのブリッジセクションに配置される。Hブリッジは、モータ101においてDC電圧Vddを印加するように制御することができ、印加されるDC電圧の極性は、制御可能スイッチのうちのどれが閉じているかに依存する。スイッチ121及び124が閉じられて電流経路を提供し、スイッチ122及び123が開いているとき、DC電圧はモータ101において正極性で印加され、スイッチ122及び123が閉じられ、スイッチ121及び124が開いているとき、DC電圧は負極性で印加される。スイッチ121、122、123、124は、当技術分野で一般的であるようなMOSFETによって実現され得る。このため、図1に示すように、各MOSFETに並列にダイオードを配置してもよい。スイッチ121、122、123、124は、コントローラ140によって出力され得る4つの制御信号S1、S2、S3、S4によって示されるようにコントローラ140によって制御され、4つの制御信号S1、S2、S3、S4は、それぞれスイッチ121、122、123、及び124を制御するために、すなわち、スイッチが閉じられてそれぞれのスイッチの抵抗を介して電流が流れることを可能にし、スイッチが開かれた際にそれぞれのスイッチの抵抗を介して電流が遮断される時点を制御するために使用される。
【0039】
図1に示される例示的な測定回路130は、コンデンサ1311及び抵抗器1312を有するRCローパスフィルタ131と、プルアップ抵抗器132と、アナログデジタル変換器(ADC)133とを備え、これらは共に、モータ101の逆電磁力を示す物理パラメータの値を判定するように構成され、この物理パラメータはここでは電圧である。RCローパスフィルタ131は、モータ101の正極端子に接続されている。プルアップ抵抗器132は、一端が基準電圧に接続され、基準電圧は、ここでは、バッテリ又はアキュムレータによって提供され得るDC電圧Vddであり、RCローパスフィルタ131によって提供される電圧を安定させ、それをADC 133に供給するために最適化される値に引き上げるように機能する。ADC 133は、ここではアナログ電圧信号をデジタル信号に変換するために使用され、以下で更に詳細に説明されるように、モータ101が動的に制動される制動時間間隔中に少なくとも測定部分内で電圧値をサンプリングするように構成され得る。完全性のために、ADC 133は、プロセッサ140を実現するハードウェア構成要素の一部であってもよく、例えば、ADC 133及びプロセッサ140は、マイクロプロセッサによって一緒に実現されてもよいことが述べられる。RCローパスフィルタ131及びプルアップ抵抗器132は、任意選択の構成要素であり、スイッチ123にわたる電圧は、測定回路130に直接供給されてもよく、例えば、ADC 133又は電圧信号を変換及び/もしくは電圧信号を比較し得る任意の他の構成要素に直接供給されてもよい。
【0040】
動的制動は、例えば、スイッチ123及び124を閉じ、スイッチ121及び122を開いたままにして、スイッチ123及び124の抵抗を介してモータ101を効果的に短絡されることによって達成される。このような動的制動段階の間、モータ101の運動エネルギーは電気エネルギーに変換される。制動時間間隔の開始時にモータ101を通って流れる電流は、スイッチ123及び124によって提供される電流経路を介してモータ101を通って再循環され、電流は、スイッチ123及び124の抵抗並びにモータ抵抗において消散される。モータ電流がバッテリに戻るように供給される回生ブレーキとは対照的に、電流降下は動的制動においてより遅く、動的制動を回生制動よりもエネルギー的により効率的にする。
【0041】
図2A図2Cは、図1に示したモータユニット100の実効的な回路構成を、図2Aに示す電圧パルス印加時のモータ駆動の正の半サイクル、図2Bに示す制動時間間隔、図2Cに示す電圧パルス印加時のモータ駆動の負の半サイクルに分けて示したものである。簡略化のために、コントローラ140は、図2A及び図2Cに示されていないが、コントローラ140は、もちろん、示されるような効果的な回路構造が生成されるようにHブリッジを制御するために存在することが理解されるべきである。
【0042】
図2Aでは、スイッチ121及び124は閉じられ、本質的に抵抗器として機能するが、スイッチ122及び123は開かれ、有効な回路構造に寄与せず、したがって図示されていない。このフェーズでは、DC電圧Vddがモータ101の正端子に提供される。既に説明したように、DC電圧Vddは、駆動周波数よりも高いPWM周波数でモータに印加されてもよく、図2Aは、当然、電圧パルス印加のオン期間のみに適用される。正極性を有するDC電圧Vddの提供は、動的制動時間間隔によって中断され得る第1の期間にわたって維持され得る。図2Cは、DC電圧が反対の極性(すなわち、負極性)でモータに提供され、スイッチ122及び123が閉じられ、スイッチ121及び124が開いているときの回路構造を示す。負極性を有するDC電圧Vddの提供は、第2の期間にわたって維持されてもよく(この場合も、DC電圧Vddはパルスで印加されてもよい)、この第2の期間は、好ましくは第1の期間と同じ長さである。正極性及び負極性のDC電圧の提供は、周期的に(駆動周波数で)繰り返されてもよい。この周期関数の周期は、第1の期間と第2の期間との和によって与えられる。例えば、周期は6.8966msであってもよく、換言すれば、モータはこのため、145Hzの駆動周波数で駆動される。これは単なる例であり、一般に、例えば、0.5Hz、2Hz、7Hz、13.4Hz、29Hz、52Hz、84Hz、112Hz、140Hz、141Hz、142Hz、143Hz、144Hz、146Hz、147Hz、148Hz、149Hz、150Hz、184Hz、250Hz、400Hzなどの任意の他の駆動周波数が使用され得ることが理解されるべきである。
【0043】
図2Bは、動的制動時間間隔中の回路構造を示し、スイッチ123及び124は閉じられ、スイッチ121及び122は開かれている。同じ回路構造は、典型的には、PWM電圧パルス印加の「オフ」段階においても有効であるが、短時間だけであり、動的制動間隔は、典型的には、単一の電圧パルスを印加する期間よりも長く、例えば、少なくとも2つ以上のDC電圧パルスを印加するための時間間隔にわたってもよい。以下で更に詳細に説明するように、モータ101を流れる電流の形状に対する影響が最小になるので、可能な限り短い制動時間間隔を適用することが好ましい。モータ101はスイッチ123及び124を介して短絡され、モータ電流Iはモータ101並びにスイッチ123及び124の抵抗を通って再循環し、モータ101の運動エネルギーは電気エネルギーに変換される。測定回路130は、動的制動時間間隔中にのみ、好ましくは制動時間間隔自体よりも短い制動時間間隔の測定部分内にのみ、モータ101を流れる電流を示す物理変数の値を測定するように構成される。すなわち、測定部分は、制動時間間隔が開始する瞬間に開始しなくてもよいが、より遅く開始してもよく、及び/又は制動時間間隔が終了するときに終了せず、より早く終了してもよい。測定は、単一の瞬間に行われてもよく、又は測定部分内でいくつかの測定が行われてもよい。図1及び2Bに示されるような設定に従って測定される信号は、スイッチ123の抵抗にわたる電圧降下Vであり、それは、モータ101及びスイッチ124の抵抗にわたって測定され得る同じ電圧であり、したがって、その電圧は、永久磁石の運動に起因してモータコイル内に誘導される逆電磁力を示す。本例は、逆電磁力を示す信号がモータ101の正端子と負端子との間で測定され得る電圧であること、又は実際にモータ101を流れる電流が物理変数として測定されることを除外するものではない。
【0044】
DC電圧Vddは、既に示されたように、パルス幅変調(PWM)によってモータ101に提供されてもよく、すなわち、Hブリッジは、駆動周波数よりも高いPWM周波数で断続的に第1及び第2の期間中にDC電圧Vddを提供するように制御されてもよい。例えば、駆動周波数が約145Hzである場合、PWM制御パルスによってDC電圧Vddが提供される周波数は約37.12kHzであってもよく、これは、256個のDC電圧パルスが周期毎に印加され、128個の電圧パルスが半周期毎に、すなわち、正又は負の半周期中に印加されることを意味する(周期及びサイクルという用語は、本明細書では相互交換可能に使用される)。本開示によれば、制動時間間隔が提案されるので、半周期毎に印加されるパルスの数は、当然ながら(所与の例では)128未満であってもよい。PWMによって印加される電圧信号は、パルス毎に変動する長さを有してもよく、例えば、電圧信号は、モータを通して駆動される電流の形状が制御されることができるように、半周期の開始時及び終了時に低オン時間を有し、半周期の中心に高オン時間を有してもよい(各印加パルスのオン期間及びオフ期間の合計は、典型的には、一定であり、当然ながら、PWM周波数、例えば、本実施例では、37.12kHzによって判定される)。いくつかの例では、PWMは、正弦波電流がほぼ達成されるように電圧パルスを印加することができる。各オン時間に続くオフ時間において、Hブリッジは、モータの動的制動のために、すなわち、既に示されたように、図2Bに示されるような回路構造に切り替わるように制御され得る。明確にするために、正弦波形状以外の任意の他の電流形状、例えば、台形形状、三角形形状、矩形形状等が同様に意図されてもよく、ここで、電流は駆動周波数に従った周期関数であることが理解される。
【0045】
図3は、PWM重みPWMWに対する異なる一定逆EMF値に対してモータを流れる電流を示す物理変数の値としての測定電圧VMeasureの図である。前の段落で導出されたように、測定電圧は、VMeasure=-R・PWMW・(VBATT-VBEMF)/√(R+R )として、又はより一般的には、論じられた仮定の下でVMeasure=-A・PWMW+Bとして表すことができる。図3では、オフセット値は、B=0であると仮定されたが、使用され得るプルアップ抵抗器に起因して、又は他の回路仕様に起因して、オフセットBは、非0値を有し得ることを理解されたい。曲線200は、中程度の逆EMF値(例えば、VBEMF=0.5ボルト)に対する測定電圧を示し、曲線201は、より低い逆EMF値(例えば、VBEMF<0.5ボルト)に対する測定電圧を示し、曲線202は、より高い逆EMF値(例えば、VBEMF>0.5ボルト)に対する測定電圧を示す。既に説明したように、所与の逆EFM値は所与の振幅に関連する。したがって、曲線200は、例えば0.8mmの所与の直線往復運動モータのピーク振幅値に関連することができ、目標曲線を表すことができる。測定された電圧が目標曲線200上にない場合(PWMWがシステムによって知られており、設定電力レベルを表す)、モータ制御ユニットは、理想的には次の測定において測定された電圧が少なくとも目標曲線により近くなるように、PWMWを変更するための措置を講じる。曲線201と202との間の空間は、各々が1つの逆EMF値、したがって1つのモータ振幅に関連する曲線で満たされていることが明らかである。したがって、これらの曲線間の全ての点は、逆EMF値、したがってモータの振幅に割り当てられ得ることが理解され得る。無負荷状態で意図された振幅を生成するために、特定の電力レベルがモータにおいて提供される必要があり、この電力レベルは、電圧V1が測定され、目標ライン200上のそれぞれの点203が示されるように、P1として示される。ここで負荷が増加する場合、測定電圧は低下し、例えば、所与の負荷値において、測定電圧はV2に低下し、PWMWが依然としてP1であるので、図中のそれぞれの点は204である。ここで、概念は、PWMWを別の明らかにより高い値に増加させて、測定電圧が再び目標ライン200上にあるようにすることである。例示的な適応プロセスステップのより詳細な説明は、図7A及び図7Bに関連して以下で更に提供される。しかし、ここでは、種々の振幅値及び負荷値に対するP及びV値を判定して、例えば2次元補間によって、現在判定されたP/V組合せがどの振幅及び負荷値に関連するか、及び現在の負荷状況において意図された目標ラインに到達するためにどのP値が必要とされるかの判定を可能にすることであると述べることができる。
【0046】
図4は、モータを流れる電流信号210と、図1に示す測定回路130によって約1.5周期の時間間隔にわたって測定することができる電圧信号211とを示す。これらの信号は実際の測定値を表し、測定回路は図1に示すようなRCフィルタ回路を含むが、既に述べたように、RCフィルタは任意選択の回路要素であることに留意されたい。RCフィルタは、電圧パルスを0に降下させず、Vddに上昇させない。モータが動的に制動される制動時間間隔TB1が示されている。負電圧は、測定回路130によって測定することができず、したがって、負極性フェーズ中に見える負電圧はない。電圧信号211が本質的にパルスを示し、電流信号210が電圧パルスの印加に関連するリップルを示すので、信号210及び211は、PWMによるDC電圧の印加を反映することが分かる。電流信号210は、制動時間間隔TB1の間に著しく低下し、これは、モータを流れる電流の形状の正弦波形からの顕著な偏差につながることが分かる。再活性化するフェーズが制動期間TB1の後に続き、その間、電流信号210がほぼ正弦波曲線上に戻るまで、エネルギーがシステムに提供される。制動時間間隔TB1が長いほど、電流信号210は正弦波曲線からより強く逸脱する。電圧信号211も、制動時間間隔TB1の開始後に低下する。モータを流れる電流を示す物理パラメータの値、すなわち、ここで説明する例では測定電圧は、制動時間間隔TB1の測定部分TM1中に測定されてもよく、測定部分TM1は制動時間間隔TB1より小さくてもよい。測定電圧は、制動時間間隔TB1内の任意の所与の瞬間に判定されてもよく、又は測定電圧は、測定部分TM1中にサンプリングされたいくつかの電圧値を平均化するか、又は他の方法で組み合わせることによって判定されてもよい。
【0047】
図5は、図4と同様に、約3周期の長さを有する時間間隔に対する電流信号220及び電圧信号221を示す。正極性半周期の各々には、長さTB2の制動時間間隔が示されている。この制動時間間隔TB2は、図4に示す制動時間間隔TB1よりも小さい。より短い制動時間間隔に起因して、電流信号211の歪みは、図4に示される電流信号201の歪みよりも顕著ではない。短い制動時間間隔は、制動時間間隔中により少ないエネルギーが消散されるので、むしろエネルギー効率の良いモータ制御をもたらす。更に、意図された電流形状はあまり歪められない。正弦波電流は、高調波があまり目立たないので、かなり静かな全体的なモータ設計につながる可能性がある。歪みが大きいほど、高調波が強くなり、モータのノイズが大きくなる可能性がある。全体として、制動時間間隔の短縮は賢明であるが、モータを流れる電流を示す物理的パラメータの値の測定の正確さとバランスをとらなければならない。図5に示す制動時間間隔の長さは、駆動期間の長さの約5%である。一般に、制動時間間隔の長さは限定されるべきではないが、制動時間間隔は、周期の約20%以下、好ましくは約15%以下、更に好ましくは約10%以下、更に好ましくは約5%以下、例えば3%未満の長さを有してもよい。制動時間間隔の長さを期間毎に変えることができることを排除するものではない。制動時間間隔はまた、モータ制御の他の態様をサポートするために使用されてもよい。例えば、モータ制御ユニットは、信号が閾値を上回るモータへの高負荷を示す場合、制動時間間隔を増加させるように構成されてもよい。このような高負荷はひいては、PWM電圧パルスのオン時間を最終的に大きく増加させて、より多くのエネルギーをモータに印加して高負荷を克服し、一定の振幅を維持することになる。しかし、負荷の突然の解放は、次に、負荷が加えられていないモータの突然の過剰通電につながる可能性があり、これは、モータに関する問題を引き起こす可能性がある。したがって、モータ制御ユニットは、実際にモータを制動するために、閾値負荷を上回るより高い負荷において制動時間間隔を増加させるように構成されてもよい。別の解決策は、特定の電力レベル閾値を超える電力レベルを提供しないことであり得る。
【0048】
図6A図6Cは、3つの異なる逆EMF値に対する制動時間間隔内及び制動時間間隔周辺のシミュレートされた電圧信号の拡大を示す。シミュレーションは、図1に示されるRCフィルタなしで行われた。RCフィルタなしでは、電圧信号は制動時間間隔の開始時に直ちに低下する。図6Aは、所与の逆EMF値、例えば1.5ボルトに関する電圧曲線231を示し、図6Bは、より高い逆EMF値、例えば2.5ボルトに関する電圧曲線241を示し、図6Cは、より低い逆EMF値、例えば0.5ボルトに関する電圧曲線251を示す。3つの図6A~6Cの全てにおいて、3つの測定点232、233、234及び232、243、244及び252、253、254が示されており、これらの測定点は、いずれの場合も、制動時間間隔の開始後の3つの同一の瞬間t、t、及びtに生じる。測定時点は一定である、すなわち、tが測定時点として選択された場合、電圧信号は常にtで測定されると仮定される。再び、図6Aが、目標振幅が達成されたときの電圧曲線を示すと仮定する。次いで、図6Bはより低い負荷状況を示し、図6Cはより高い負荷状況を示す。図6B及び図6Cには、図6Aに示された目標電圧曲線のそれぞれの電圧値が示されている。図6A図6Cは、制動時間間隔のどこで電圧が測定されるかは、一定時間毎に電圧値が同様に挙動するが異なるオフセットを有するので、実際に無関係であることを示している。
【0049】
図7Aは、現在送達されている電力レベルPに依存する測定電圧信号Sの目標ライン401の描写である。目標ライン401は、PWMWに依存する1つの所与の逆EMF値又はモータ振幅についてのライン、すなわち、負荷を増加させると振幅を維持するために設定電力レベルを増加させる必要があるとの理由から異なる負荷条件についてのラインを表す。例えば、ドットD01は、モータ振幅を達成するために電力レベルP01がモータに供給される外部負荷がない状況で測定される電圧信号S01を表す。負荷が増加する場合、同じモータ振幅を依然として達成するために、より高い電力レベルがモータに提供される必要がある。例えば、第1の非0外部負荷に関連する第1の負荷状況では、電力レベルP02がモータに供給され、信号S02が測定され、一方、増加した第2の負荷レベルでは、意図されたモータ振幅を達成するために電力レベルP03が供給される必要があり、信号S03が測定される。説明したように、目標曲線は線形であると仮定することができ、単に絶対値及び勾配を記憶することによって、それぞれの曲線を利用可能にすることができる。
【0050】
図3を参照して既に説明したように、測定電圧信号は、負荷が変化すると変化する。現在の負荷が0である場合、負荷変化は負荷の増加のみを意味することができ、PWMWは同じままであるので、測定された電圧信号は、増加した負荷が振幅を減少させ、したがってBEMFを減少させるにつれて低下する。次いで、PWMWは、振幅が維持され、測定された電圧値が再び目標ライン上にあるように、振幅の低下を補償するために増加される必要がある。動作中、負荷が印加されると、印加された負荷は減少又は増加する可能性があり、したがって、測定された電圧信号も増加又は減少する可能性がある。その結果、負荷が減少した場合にはPWMWを減少させる必要があり、又は負荷が増加した場合にはPWMWを増加させる必要がある。モータ制御ユニットは、変化した負荷を完全に補償する新しい電力レベルを設定するように構成されてもよく、その結果、次の測定値は理想的には目標曲線上に位置する。
【0051】
意図されたモータ振幅が次の周期において理論的に達成されるように設定電力レベルを直接調整する代わりに(これは実際のモータシステムの慣性のために、どのようにしても達成可能ではない場合がある)、既に述べたように増分アプローチが選択されてもよく、この増分アプローチは図7Bを参照して説明される。図7Bでは、現在印加されている電力レベルPが再び水平軸上にプロットされ、測定された電圧信号Sが垂直軸上にプロットされている。目標曲線411は、意図されたモータ振幅に対する目標ラインを表す。ドットDn1は、既知であるP値(現在設定されている電力レベルPn1)及び判定されたS値(測定された電圧信号Sn1)をそれぞれ概略的に表す。説明したように、現在印加されている電力レベルPn1は、69の正規化された電圧パルスデューティサイクルの重み係数に関連し得る(これは、もちろん、説明のためだけに使用される単なる例である)。目標ライン411より上の任意のドットは、高すぎるモータ振幅に関連すること、すなわち、現在提供されている電力レベルPn1が高すぎることが知られている。現在印加されている電力レベルを大きく低減して次の周期の目標ライン411に当たるようにする代わりに、新しい設定電力レベルが増分方式で増加され、例えば、このため、新しい設定電力レベルは、後の周期において68の重み係数に関連してもよく、これはひいては、次の周期において電力レベルPn2及び信号Sn2に関連するドットDn2をもたらしてもよい。もちろん、負荷状況は周期毎に変化してもよいが、ここでは負荷状況が一定であるものとして説明する。予想されるように、ドットDn2は目標曲線のより近くにあるが、新しい設定電力レベルPn2が依然として高すぎることを示している。次の期間において、67の重み係数に関連する後続の電力レベルPn3がこのように適用され、電力レベルPn3及び信号Sn3に関連するドットDn3をもたらし、それは依然として高すぎるので、新しい設定電力レベルは、66の重み係数に関連するPn4に再び下げられ、それはひいてはドットD04につながる。この例における最終的な増分調整は、次に、目標ライン411に非常に近いドットD05をもたらす。図7Bでは、2つの公差又はヒステリシス線412及び413が破線として示されている。調整のジッタを回避するために、P値及びS値のドットがこれらの公差線412及び413によって示される帯域内にある場合、調整手順は、任意の更なる調整の適用を停止してもよい。この例では、Dn1からDn5までの完全な調整手順は、4つの調整ステップを必要とした。もちろん、これは単なる概略的な例であるが、150Hzの駆動周波数における4つの調整ステップは3ms未満を必要とする。
【0052】
上述したように、ユーザは負荷状況をかなり迅速に変更することができ、ドットDn1の判定後に行われた調整の結果として、予想されるDn2の代わりにドットDn6を判定することができる。しかし、調整手順については、これは問題ではない。ドットDn6は、明らかに、所与の負荷状況において、信号値Sn6によって暗示されるような低すぎるモータ振幅につながる設定電力レベルPn2(重み係数68)に関連し、すなわち、現在達成されているモータ振幅は、意図されたモータ振幅を下回り、調整手順は、続いて印加される電力レベルを(再び重み係数69に)増加させ、ドットDn7(信号Sn7の判定による)は、次の周期において判定されてもよく、ここで、ドットDn7はこのため、示された例では、公差又は閾値又はヒステリシス線412及び413によって定義される帯域内にあり、(重み係数69に関連する現在の電力レベルPn1における)S値の次の判定が線412及び413によって与えられる公差帯域の外側に再びあるまで、更なる調整は行われない。
【0053】
本明細書で提案されるシステム及び方法の目的は、モータを流れる電流を示す物理変数の値の測定に基づいて、意図されたモータ振幅を維持すること、又は少なくとも意図されたモータ振幅の近くにとどまることを可能にすることである。先に説明したように、信号は、制動時間間隔のまさに最初に、又は制動時間間隔の測定部分内でサンプリングされてもよい。サンプリングが制動時間間隔において行われる場合はいつでも、それは、関連するモータ振幅情報、すなわち、抽出される必要がある関連する逆電磁力情報を含むことが分かった。
【0054】
ここで、意図された電流形状(すなわち、正弦波形状)に対する個々のデューティサイクル値は、モータ制御ユニットのメモリユニットに記憶されてもよく、したがって、説明されるような増加又は減少は、重み係数PWMWを調整することによって、全てのデューティサイクル値に同様に影響を及ぼすことに留意されたい。これは、50%のデューティサイクルにおける0.5%の絶対的な増加/減少が、全ての表にされたデューティサイクル値の相対的な1%の増加/減少に変換されることを意味する。言い換えれば、表にされたデューティサイクル値は、現在定義されている増加値又は減少値に応じてスケーリングされる。
【0055】
図8は、本出願において提案されるようなモータユニットにおいて使用され得る例示的なモータ500の図である。モータ500は、コイル511を有するステータ510と、少なくとも1つの永久磁石521を備えるアーマチュア520とを備え、図示の例では、2つの永久磁石521が使用され、コイル511は、E字形ステータコアの周りに巻かれている。アーマチュア520には駆動軸530が固定されている。ステータ510は、モータキャリア540に固定して取り付けられ、アーマチュア520は、アーマチュア取り付けばね528によってモータキャリア540に取り付けられる。
【0056】
動作中、電流がコイル511を通って駆動されるように、電子的に整流されたDC電流がコイル511に印加される。本開示では、示された例におけるコイル511を通る電流は、モータ電流と呼ばれる。電流の流れにより、永久磁石521と相互作用する電磁場が生成される。電流がコイル511を通って第1の方向に駆動されると、永久磁石521に作用する電磁力がアーマチュア520を一方の方向に偏向させ、電流の流れの方向が逆になると、アーマチュア520は、二重矢印Mによって示されるように反対方向に偏向される。DC電圧の極性が周期的に変化するようにコイル511にDC電圧が印加されると、アーマチュア520は周期的な直線往復運動に駆動される。ばね搭載アーマチュア520、528はばね質量系を形成するので、ばね搭載アーマチュア520、528の励振が最大偏向振幅をもたらす共振周波数によって特徴付けることができる。図7に示されるようなモータ500は、典型的には、共振周波数又はそれに近い周期DC電圧の駆動周波数で駆動され得る。
【0057】
図示の実施形態では、いわゆる動吸振器550がモータキャリア540に取り付けられており、アーマチュア520の周期的な駆動によって生じるモータキャリア540の振動を補償する。ニュートンの第3法則(作用は、閉じたシステムにおける反作用又はインパルスの保存に等しい)に従って、被駆動アーマチュア520のインパルスは、モータキャリア/ステータユニットの逆インパルスによって補償されなければならない。モータキャリア/ステータユニットの逆インパルスは、モータがハンドルから完全に機械的に切り離されていない限り、モータが配置されている装置のハンドルの振動をもたらす。ハンドルの振動は、デバイスの動作中の肯定的なユーザ体験にとって有害であり、したがって、そのような振動を少なくとも低減するために、動吸振器の形態をとり得る対策がとられる。動吸振器550は、質量体551と取り付けばね558とを備えている。モータキャリア540の振動を最適に補償するために、動吸振器の共振周波数が駆動周波数に同調される(又は、駆動周波数が動吸振器の共振周波数にできるだけ近くなるように設定される)。動吸振器550は任意選択の特徴であることが理解される。
【0058】
示される共振振動モータ500は、本明細書で説明されるモータユニットにおいて使用され得るモータの単なる一例であり、例えば、任意のブラシレスDCモータが同様に使用され得ることに留意されたい。
【0059】
上述したように、図8を参照して説明したモータ500では、駆動周波数は、動吸振器の共振周波数によって支配され、ばね搭載アーマチュア520、528の共振周波数によっては支配されない。ばね搭載アーマチュア520、528の共振周波数は、一連のモータ500において、ばね搭載アーマチュアの駆動周波数及び共振周波数の変動する広がりが存在することを意味し得、そのような差は、アーマチュアの運動、したがって逆電磁力の運動と励起力、すなわち駆動機能の運動との間の位相差に影響を及ぼすことが知られている。いくつかの条件下では、現在印加されている電力レベルと判定された信号との間の目標曲線の本明細書で説明される線形較正は、もはやシステムを十分に記述しない場合があることが分かった。そのような場合、非線形目標曲線(例えば、二次目標曲線)が適用されてもよく、及び/又はそれぞれの半周期内の制動時間間隔の位置が、逆電磁力の最大値に近づくように調整されてもよい。この位置は、システムのシミュレーション又は実験によって判定することができる。同様に、モータがパーソナルケア装置の異なる交換可能なヘッド部分を駆動するために使用され、駆動可能なヘッド部分の慣性が変化する場合、目標曲線の較正は、全てのそのような交換可能なヘッド部分に対して有効であり得、個々の目標曲線は、異なる駆動可能なヘッド部分に対して使用される必要があることが分かった。
【0060】
図9は、ここでは電動歯ブラシとして実現される例示的なパーソナルケア装置600の図である。パーソナルケア装置600は、ハンドピース610と、歯磨きなどのケア手順を適用するためのヘッド620とを備える。ハンドピース610内に収容されたモータユニットは、可動ヘッド部621を駆動して動かすように構成されている。動作中、可動ヘッド部621は身体部分に対して押され、したがってモータユニットのモータに負荷が加えられる。既に説明したように、そのような負荷は、可動ヘッド部621のたわみ振幅の減少につながる可能性があり、説明したように、モータユニットは、印加された負荷を測定することができ、一定のたわみ振幅を本質的に維持するために、適合された量のエネルギーをモータに印加することができる。完全なヘッド620が可動ヘッド部621を実現することを排除するものではない。
【0061】
図10は、複数のステップを有する、パーソナルケア装置のモータユニット等のモータユニットを制御する方法に関する図である。
【0062】
ステップ700において、ステータと、ステータに対する相対的駆動運動するように構成されたアーマチュアとを有するモータが提供される。ステップ701において、設定電力レベルがモータに供給され、アーマチュアを駆動して運動させる。パルス幅変調を使用して、モータに供給電圧を供給することができる。ステップ702において、モータは、制動時間間隔中に動的に制動される。ステップ703において、モータを流れる電流を示す物理変数の値が制動時間間隔内に測定される。ステップ704において、物理変数の値が目標値と比較され、この目標値は、設定電力レベル及びアーマチュアの運動の意図された振幅に依存する。ステップ705において、比較結果に応じた新しい設定電力レベルが判定される。そして、ステップ706において、動的制動期間の終了後に、新しい設定電力レベルがモータに供給される。次に、本方法は、ループが中断されるまで、例えば本方法が使用される装置がオフに切り替えられるまで、ステップ702から開始して繰り返す。
【0063】
本方法は、アーマチュアの一定振幅における設定電力レベルと物理変数の測定値との線形関係を仮定することによって目標値を較正するステップを含むことができる。
【0064】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示されない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-02-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータユニットであって、
ステータ及びアーマチュアを有するモータであって、前記アーマチュアが、前記ステータに対して相対的駆動運動するように構成されている、モータと、
モータ制御ユニットであって、
前記アーマチュアを駆動して運動させるための設定電力レベルを前記モータに提供するように、前記モータに供給電圧を提供する供給回路と、
前記モータを流れる電流を示す物理変数の値を測定するための測定回路と、
を有するモータ制御ユニットと、を備え、
前記モータ制御ユニットが、前記供給回路による前記供給電圧の提供を中断し、制動時間間隔中に前記モータを動的に制動し、更に前記制動時間間隔中に前記物理変数の値を測定するように構成され、
前記モータ制御ユニットが、前記物理変数の前記測定値を、目標値であって、この目標値が、前記供給された電力レベル及び前記アーマチュアの意図された運動振幅に依存する、目標値と比較し、比較結果に依存して新たな設定電力レベルを判定し、その後、前記新たな設定電力レベルを前記モータに提供するように更に構成される、モータユニット。
【請求項2】
前記モータ制御ユニットが、前記比較結果が、前記モータの負荷が増加したことを示す場合、前記新たな設定電力レベルを前記設定電力レベルよりも高く設定し、前記比較結果が、前記モータの負荷が減少したことを示す場合、前記新たな設定電力レベルを前記設定電力レベルよりも低く設定するように構成される、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項3】
前記モータ制御ユニットが、増分値だけ、好ましくは固定増分値だけ、前記設定電力レベルに対して前記新たな設定電力レベルを増加又は減少させるように構成される、請求項1又は2に記載のモータユニット。
【請求項4】
前記モータ制御ユニットが、前記モータの前記負荷の変化が閾値未満であることを前記比較結果が示す場合に、前記新たな設定電力レベルを前記設定電力レベルに設定するように構成される、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項5】
前記モータ制御ユニットが、前記制動時間間隔内の固定時間インスタンスにおいて前記物理変数の値を測定するように構成される、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項6】
前記モータ制御ユニットが、前記物理変数の値を繰り返し測定し、新たな設定電力レベルを判定するように構成され、以前の新たな設定電力レベルが前記設定電力レベルになる、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項7】
前記モータ制御ユニットが、前記モータに印加される負荷の変化が少なくとも部分的に補償されるように、かつ前記新たな設定電力レベルから生じる前記アーマチュアの振幅が前記設定電力レベルよりも前記アーマチュアの前記意図された振幅に近くなるように、前記新たな設定電力レベルを設定するように構成される、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項8】
前記モータ制御ユニットが、前記供給電圧の供給を周期的に制御するように構成され、好ましくは、前記供給電圧が、周期的に変化する極性で供給される、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項9】
前記測定回路が、少なくとも1つのプルアップ抵抗器又はプルダウン抵抗器を備える、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項10】
前記モータ制御ユニットが、前記供給電圧の値に依存して前記目標値を修正するように構成される、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項11】
前記モータ制御ユニットが、前記測定回路を制御して、前記制動時間間隔内の複数の時点で前記モータの電流又は電圧信号をサンプリングし、前記複数のサンプリングされた信号を平均化するか又は別様に組み合わせることによって、前記物理変数の値を判定するように構成される、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項12】
前記モータ制御回路が、パルス幅変調信号によって前記供給電圧が前記モータに提供されるように前記モータ供給回路を制御するように構成され、好ましくは、前記パルス幅変調信号の周波数が、前記供給電圧の周期的な提供の周波数よりも高い、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項13】
請求項1に記載のモータユニットを備えるパーソナルケア装置であって、好ましくは、前記パーソナルケア装置が、駆動運動するように構成されたパーソナルケアヘッドを備える、パーソナルケア装置。
【請求項14】
モータユニット、好ましくはパーソナルケア装置のモータユニットを制御する方法であって、
ステータと、前記ステータに対して相対的駆動運動するように構成されているアーマチュアとを有するモータを提供するステップと、
好ましくはパルス幅変調された供給電圧を前記モータに供給することによって、前記アーマチュアを駆動して運動させるように、前記モータに設定電力レベルを供給するステップと、
制動時間間隔中に前記モータを動的に制動するステップと、
前記制動時間間隔内に前記モータを流れる電流を示す物理変数の値を測定するステップと、
前記物理変数の値を、目標値であって、前記目標値が、前記設定電力レベル及び前記アーマチュアの前記運動の意図された振幅に依存する、目標値と比較するステップと、
前記比較結果に応じて新たな設定電力レベルを判定するステップと、
その後、前記新たな設定電力レベルを前記モータに提供するステップと、を含む、方法。
【請求項15】
前記アーマチュアの一定振幅における前記設定電力レベルと前記物理変数の前記測定値との線形関係を仮定することによって前記目標値を較正するステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】