IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レスメド・リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】バルブアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/20 20060101AFI20240903BHJP
   F16K 15/14 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
A61M16/20 D
F16K15/14 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510490
(86)(22)【出願日】2022-08-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 AU2022050934
(87)【国際公開番号】W WO2023019325
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】2021902613
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2021904191
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2022901329
(32)【優先日】2022-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】セバスティエン・デューベル
(72)【発明者】
【氏名】ソフィー・イヴリン・フォスター
(72)【発明者】
【氏名】リアム・ホリー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ケネス・トラスコット
(72)【発明者】
【氏名】エティエンヌ・ヴェスチャンブル
【テーマコード(参考)】
3H058
【Fターム(参考)】
3H058AA16
3H058EE04
(57)【要約】
呼吸治療システムにおける空気流れを制御するために、組み合わせられた一方向吸気バルブ及び呼気放出バルブアセンブリが提供される。バルブアセンブリは、バルブ入口、バルブ出口、及び少なくとも1つの換気開口部を含むハウジングと、ダイヤフラムの外周でハウジングにシール接続されたダイヤフラムとを含み、ダイヤフラムは、ハウジングをa)バルブ入口と流体連通する上流部分とb)バルブ出口と流体連通する下流部分とに分割する。ダイヤフラムは、円形、卵形、楕円形、又はスタジアムの形状を有する。ダイヤフラムの内側部分は、一方向吸気バルブを画定する。ダイヤフラムの外側部分は、呼気放出バルブを画定する。このようなバルブを含む呼吸治療システム内の換気流れを特徴付ける方法も記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧空気を患者の気道の入口に送達するための呼吸治療システム内の気流を制御するための、組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリであって、前記システムは、呼吸障害の治療に適した範囲内に治療圧力を維持するように構成され、
前記組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリは、
バルブ入口、バルブ出口、及び少なくとも1つの換気開口部を含むハウジングと、
ダイヤフラムであって、前記ダイヤフラムの外周で前記ハウジングにシール接続され、前記ハウジングを、a)前記バルブ入口と流体連通する上流部分と、b)前記バルブ出口と流体連通する下流部分とに分割するダイヤフラムと、を含み、
前記ダイヤフラムは、卵形、楕円形、又はスタジアムの形状を有し、
前記ダイヤフラムの内側部分は、一方向吸気バルブを画定し、
前記一方向吸気バルブは、
前記ハウジングの前記上流部分内の圧力が前記ハウジングの前記下流部分内の圧力を超えるとき、前記バルブ入口から前記バルブ出口への流れを可能にし、
前記下流部分内の圧力が前記上流部分内の圧力よりも高いとき、前記バルブ入口から前記バルブ出口への流れを減少させる、又は阻止するように構成され、
前記ダイヤフラムの外側部分は、前記呼気放出バルブを画定し、
前記呼気放出バルブは、
前記下流部分内の圧力が前記上流部分内の圧力を超えるとき、前記ハウジングの前記下流部分から前記少なくとも1つの換気開口部を介して周囲雰囲気への流れを可能にし、
前記上流部分内の圧力が前記下流部分内の圧力を超えるとき、前記ハウジングの前記下流部分から前記少なくとも1つの換気開口部を介して周囲雰囲気への流れを減少させる、又は阻止するように構成される、組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項2】
前記ダイヤフラムは細長い形状を有し、前記ダイヤフラムの長軸長と前記ダイヤフラムの短軸長との比が少なくとも4:3である、請求項1に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項3】
前記一方向バルブ構造は、カモノハシバルブとして構成され、前記カモノハシバルブの基部は、前記ダイヤフラムの長軸と実質的に平行な長さ寸法と、前記ダイヤフラムの短軸と実質的に平行な幅寸法とを有し、前記長さは前記幅よりも大きい、請求項2に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項4】
前記長さと前記幅の比率は少なくとも1.5:1又は2:1である、請求項3に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項5】
前記ダイヤフラムは、外側保持フランジを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項6】
前記ダイヤフラムは円筒状壁を有し、前記外側保持フランジは前記円筒状壁の一端に設けられている、請求項5に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項7】
前記ダイヤフラムの第1部分は、前記ダイヤフラムの隣接する部分とは異なる少なくとも1つの材料又は物理的特性を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項8】
前記ダイヤフラムの第1部分は、隣接する部分とは異なる材料で作られている、請求項7に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項9】
前記ダイヤフラムは、単一の材料で一体的に作られている、請求項1~6のいずれか1項に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項10】
前記ダイヤフラムは、厚さの異なる領域を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項11】
前記領域のうちの1つは、他の領域の厚さの少なくとも2倍の厚さを有する、請求項10に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項12】
前記領域のうちの1つは、他の領域の厚さの2~8倍の厚さを有する、請求項11に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項13】
前記一方向吸気バルブは、第1厚さを有する第1領域と、前記第1領域に隣接する第2厚さを有する第2領域とを有する、請求項10~12のいずれか1項に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項14】
前記呼気放出バルブは、第1厚さを有する第1領域と、前記第1領域に隣接する第2厚さを有する第2領域とを有する、請求項10~13のいずれか1項に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項15】
前記ダイヤフラムは1本の対称軸しかない、請求項1~14のいずれか1項に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項16】
前記少なくとも1つの換気開口部は、前記ハウジングの下流部分の外周の周りに間隔をおいて配置された複数の換気開口部を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項17】
前記ハウジングの下流部分は前記バルブ出口を含み、前記ダイヤフラムは、前記下流部分内の圧力が前記上流部分内の圧力を超えるとき、患者インターフェースポートへの経路をシールするために互いに向かって押される1対のリップを含み、前記ハウジングの前記上流部分内の圧力が前記下流部分内の圧力を超えるとき、前記1対のリップは、気流を患者インターフェースポート入口に向かって通過させるための開口部を形成する、請求項1~16のいずれか1項に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項18】
前記各換気開口部に流れガイドが設けられ、前記各流れガイドは、前記下流部分内の圧力が前記上流部分内の圧力を超えるとき、前記バルブ出口から対応する前記換気開口部へ流れる呼気ガスのa)鋭いコーナー、b)鋭角、及びc)急激な膨張を回避又は最小化するように構成される、請求項17に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項19】
前記各流れガイドは、呼息気流を前記換気開口部の入口にガイドするランプ部分を含む、請求項18に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項20】
前記各流れガイドは、前記各対応するランプ部分の両側に設けられた側壁部分を含む、請求項19に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリ。
【請求項21】
ブロワによって生成された気流を患者に供給するための患者インターフェースシステムであって、請求項1~20のいずれか1項に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリを含む、患者インターフェースシステム。
【請求項22】
加圧空気を患者の気道の入口に送達するための呼吸治療システムであって、
a.前記加圧空気を生成するブロワと、
b.患者の気道への加圧空気の送達をシールするための患者インターフェースと、
c.前記患者インターフェースへの空気流れを制御するための、請求項1~20のいずれか1項に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリと、を含む、呼吸治療システム。
【請求項23】
前記患者インターフェース内の圧力を測定するように構成された圧力センサをさらに含み、前記システムは、圧力センサからのデータに基づいて前記ブロワを制御する、請求項22に記載の呼吸治療システム。
【請求項24】
前記圧力センサが患者の呼息を検出すると、前記ブロワからの流れを減少させる、請求項23に記載の呼吸治療システム。
【請求項25】
前記システムは、加圧空気を前記患者インターフェースに送達するための導管をさらに含み、前記組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリは前記導管又は前記患者インターフェースに含まれる、請求項22~24のいずれか一項に記載の呼吸治療システム。
【請求項26】
前記システムは、患者の顔又は頭部に装着可能なポータブル統合ブロワ/患者インターフェースシステムを含む、請求項22~25のいずれか1項に記載の呼吸治療システム。
【請求項27】
前記システムは、1つ又は複数の電池によって電力を供給されるように構成される、請求項22~26のいずれか1項に記載の呼吸治療システム。
【請求項28】
加圧空気を患者の気道の入口に送達するための呼吸治療システム内の換気流れを特徴付ける方法であって、前記システムは、請求項1~21のいずれか1項に記載の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブを含み、
前記方法は、少なくとも第1治療圧力に対して、
a)前記呼吸治療システムを用いて少なくとも1つの模擬呼吸サイクルを実行するステップと、
b)前記少なくとも1つの模擬呼吸サイクル中に、バルブ換気部を通る流量、前記バルブ上流の圧力、及び前記バルブ下流の圧力を測定するステップと、
c)前記ダイヤフラムの両側の圧力の比に対して換気流量をプロットするステップと、
d)プロットされたデータを1つ又は複数の連続ゾーンに分割する境界点が存在するか否かを、データの傾向に基づいて識別するステップと、
e)識別された前記各ゾーンのデータについての最適適合曲線のための方程式を導出するステップと、
f)少なくとも第1治療圧力において、各ゾーンの圧力比と換気流れとの間の対応する関数を特徴付ける少なくとも係数及び定数を適合方程式から導出するステップと、を含む、方法。
【請求項29】
前記圧力比は、前記バルブの上流の圧力と前記バルブの下流の圧力との比である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つの第2治療圧力に対して、前記ステップa)~e)を繰り返して、少なくとも1つの第2治療圧力における各ゾーンのそれぞれの関数を特徴付ける係数及び定数をそれぞれの適合方程式から導出するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記導出された係数及び定数を補間して、前記少なくとも第1及び第2治療圧力以外の他の治療圧力に対する更なる係数及び定数を導出するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記導出及び/又は補間された係数及び定数を使用して、前記バルブの上流及び下流の圧力の所定の比率について、1つ又は複数の各治療圧力のそれぞれの換気流れを計算するステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
複数の異なる治療圧力に対する導出及び補間された係数を予め計算してテーブル化するステップと、
様々な圧力下での計算量の少ない換気流れ導出のための参照として、テーブル化の数値を使用するステップと、をさらに含む、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記導出された換気流れを用いて、対応する治療圧力における患者流れを導出するステップをさらに含む、請求項31~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
導出された及び/又はテーブル化された換気流れを用いて、それぞれの治療圧力における患者流れを導出するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
それぞれの治療圧力における患者流れを計算する前記ステップは、前記呼吸治療システムのブロワの流量を測定するステップと、
前記患者インターフェースにおける予期しない漏れを計算するステップと、をさらに含む、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
前記プロットされたデータを複数の連続ゾーンに分割するステップは、前記プロットされたデータを3つの連続ゾーンに分割するステップを含む、請求項28~36のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1 技術分野
1.1技術の分野
本発明は、呼吸関連障害のスクリーニング、診断、監視、治療、予防及び改善のうちの1つ又は複数に関する。本発明はまた、医療デバイス又は装置、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
1.2 背景の技術
1.2.1ヒトの呼吸器系及びその障害
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進する。鼻及び口は、患者の気道への入口を形成する。
【0003】
気道には、肺の奥深くに進むほど狭く、短く、多数になる一連の分岐チューブが含まれている。肺の主要機能は、吸息された空気から酸素を静脈血中へ移動させることと、反対方向に二酸化炭素を移動させることとを可能にするガス交換である。気管は、右左の主気管支に分かれ、右左の主気管支はさらに分割されて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、誘導気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道は、さらに分割されて呼吸細気管支、最終的には肺胞につながる。肺の胞状領域は、ガス交換が発生するところであり、呼吸ゾーンと呼ばれる。John B.West、Lippincott Williams&Wilkinsによる「Respiratory Physiology」(2012年発行の第9版)を参照されたい。
【0004】
呼吸障害としては様々なものが存在している。特定の障害は、特定のイベント(例えば、無呼吸、低呼吸及び過呼吸)を特徴とし得る。
【0005】
呼吸障害の例には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、チェーンストークス呼吸(CSR)、呼吸機能不全、肥満性過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)、及び胸壁障害が含まれる。
【0006】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の一形態であり、睡眠中の上部気道の閉塞又は閉鎖を含むイベントを特徴とする。これは、異常に小さな上気道と、睡眠中の舌、軟口蓋、及び後口咽頭壁の領域における筋緊張の通常損失との組み合わせの結果である。このような状況により、影響を受けた患者は、通常30~120秒、いくつかの場合毎晩200~300回の呼吸停止を余儀なくされる。日中の過度の眠気を引き起こすことが多く、心血管疾患や脳損傷を引き起こす可能性がある。この症候群は一般的な障害であり、特に中年の過体重の男性に多いが、罹患した人は、問題に気付いていない場合がある。米国特許第4,944,310号(Sullivan)を参照されたい。
【0007】
チェーンストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の障害であり、これには、CSRサイクルとして知られている換気の漸増及び漸減がリズミカルに交互する期間がある。CSRは、動脈血の脱酸素及び再曝気の繰り返しを特徴とする。CSRは、低酸素症が繰り返されるため、有害である可能性がある。一部の患者では、CSRが、重症不眠、交感神経活動の増加、及び後負荷の増加の原因となる、睡眠からの目覚めの反復と関連付けられる。米国特許第6,532,959号(Berthon-Jones)を参照されたい。
【0008】
呼吸不全とは、呼吸障害の総称であり、肺が患者のニーズを満たすために十分な酸素吸気を行ったり、CO2を十分に吐き出したりできないことを指す。呼吸不全は、以下の障害のうち一部又は全部を包含し得る。
【0009】
呼吸機能不全(呼吸不全の一種)の患者は、運動中に異常な息切れを発症することがある。
【0010】
肥満低換気症候群(OHS)は深刻な肥満と覚醒性慢性高炭酸血症の結合と定義され、他の既知の低換気原因はない。症状には、呼吸困難、朝の頭痛、日中の過度の眠気が含まれる。
【0011】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の特性を共通して有する下気道疾患群のいずれかを包含する。これらは、空気移動に対する抵抗の増加と、呼吸の呼気相の延長と、肺の正常な弾力性の喪失とを含む。COPDの例としては、肺気腫や慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被曝、空気汚染及び遺伝因子がある。症状は、労作時呼吸困難、慢性咳及び痰の生成を含む。
【0012】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介して又は神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾患及び病気を包含する広範な用語である。一部のNMD患者は、歩行不可能、車椅子での生活、嚥下困難、呼吸筋力低下、そして最終的には呼吸不全による死亡につながる進行性の筋肉障害を特徴とする。神経筋障害は、急速進行性及び緩徐進行性に分けることができる:(i)急速進行性の障害:数か月にわたって悪化し、数年以内に死亡に至る筋肉障害(例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及び10代のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD))を特徴とする;(ii)可変的又は緩徐進行性の障害:数年にわたって悪化するものの、平均余命の短縮は軽度にとどまる筋肉障害(例えば、肢帯型、顔面肩甲上腕型、及び筋強直性の筋ジストロフィー)を特徴とする。NMDにおける呼吸不全の症状は、全身の脱力感の増加、嚥下障害、労作時及び安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、ならびに集中及び気分の変化の困難を含む。
【0013】
胸壁障害は、胸郭変形の一群であり、呼吸筋と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。障害は、通常、拘束性障害を特徴とし、長期間の高炭酸ガス血性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症及び/又は脊柱後側弯症は、重症の呼吸不全の原因になり得る。呼吸不全の症状は、労作時呼吸困難、末梢性浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、及び食欲不振を含む。
【0014】
このような疾病を治療又は改善するために、様々な療法が用いられてきた。さらに、その他の点では健康な個人も、呼吸障害の発生を予防するために、このような療法を利用し得る。しかし、これらにおいては、多数の欠陥がある。
【0015】
1.2.2療法
多様な呼吸療法(例えば、持続的気道陽圧(CPAP)療法、非侵襲的換気(NIV)、侵襲的換気(IV)、及び高流量療法(HFT))が、前述の呼吸障害のうち1つ又は複数の治療のために用いられてきた。
【0016】
1.2.2.1呼吸圧療法
呼吸圧療法とは、(タンクベンチレータ又は陽陰圧体外式ベンチレータ(cuirass)などの陰圧療法とは対照的に)患者の呼吸サイクル全体を通じて雰囲気に対して名目上陽である制御された目標圧力で、気道への入口に空気供給を適用することである。
【0017】
持続的気道陽圧(CPAP)療法は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療に使用されてきた。作用メカニズムは、軟口蓋及び舌を押して後口咽頭壁へ前進させたり、それから後退させたりすることなどにより、持続的気道陽圧が空気圧スプリントとして機能し、上気道の閉鎖を予防し得ることである。CPAP療法によるOSAの治療は、自発的なものであり得るため、患者は、このような療法の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ又は複数に気付いた場合、療法に従わないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、及び低い審美性。
【0018】
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助を、上気道を通じて患者へ提供して、呼吸仕事の一部又は全部を行うことにより患者の呼吸を支援し、及び/又は身体中の十分な酸素レベルを維持する。換気補助は、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、及び胸壁障害などの形態のCSR及び呼吸不全の治療に用いられてきた。いくつかの形態では、これらの療法の快適性及び有効性が向上し得る。
【0019】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態では、これらの治療の快適性及び有効性が向上し得る。
【0020】
1.2.2.2流量療法
すべての呼吸療法が、処方された治療的圧力を送達することを目的としているわけではない。いくつかの呼吸療法は、恐らくは正のベースライン圧力上に重ね合わせられた吸気流量プロファイルを目標継続時間にわたって送達することによって、処方された呼吸量を送達することを目的としている。他の場合において、患者の気道へのインターフェースが「開放」(シール解除)されており、呼吸療法は、患者自身の自発呼吸のみを、調節されたガス又は濃縮ガスの流れで補完し得る。一例において、高流量療法(HFT)とは、連続的な、加熱された、加湿された空気流れを、気道への入口に、シール解除又は開放されている患者インターフェースを通じて、呼吸サイクル全体を通じてほぼ一定に保持され得る「治療流量」で提供することである。治療流量は、名目上、患者のピーク吸気流量を超えるように設定されている。HFTは、OSA、CSR、呼吸不全、COPD及び他の呼吸障害の治療に使用されてきた。1つの作用メカニズムは、患者の解剖学的デッドスペースから呼気されたCO2のフラッシング又は押し流しによって、気道の入口における高流量の空気が、換気効率を改善することである。そのため、HFTは、時にはデッドスペース療法(DST)と呼ばれる。他の便益は、(恐らくは分泌物管理の便益による)暖かさ及び加湿の上昇と、気道圧力の緩やかな上昇の可能性とを含み得る。一定流量の代替として、治療流量は、呼吸サイクルにわたって変動するプロファイルに追随し得る。
【0021】
流量療法の他の形態は、長期酸素療法(LTOT)又は補充酸素療法である。医師は、特定の流れ(例えば、1リットル/分(LPM)、2LPM、3LPMなど)で患者の気道に送達される、特定の酸素濃度(周囲空気中の酸素分率、21%から100%まで)の酸素富化空気の連続流を規定し得る。
【0022】
1.2.3呼吸療法システム
これらの呼吸療法は、呼吸療法システム又はデバイスによって提供され得る。このようなシステム及びデバイスは、疾病を治療することなくスクリーニング、診断、又は監視するためにも用いられ得る。
【0023】
呼吸療法システムは、呼吸圧療法デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、酸素源、及びデータ管理を含み得る。
【0024】
1.2.4患者インターフェース
患者インターフェースを用いて、例えば気道への入口に空気流れを提供することによって呼吸装具へのインターフェースを着用者に提供することができる。空気流れは、鼻、及び/若しくは口へのマスク、口への管、又は患者の気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される療法によっては、患者インターフェースは、例えば患者の顔の一部とシールを形成することによって周囲圧力と十分に異なる圧力、例えば、周囲圧力に対して約10cmHOの陽圧でガス送達を促進し、療法を効果的に実行し得る。酸素送達などの他の療法形態の場合、患者インターフェースは、約10cmHOの陽圧で気道へのガス供給の送達を促進するのに十分なシール性を含まないことがある。鼻HFTなどの流量療法の場合、患者インターフェースは、鼻孔への送気を行うが、特に完全にシールしないように配置される。このような患者インターフェースの一例として、鼻カニューレがある。
【0025】
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳又はダイビングに用いられるマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水侵入から保護するが、周囲よりも高い圧力において内部の空気を維持しないように、構成され得る。
【0026】
例えば、マスクが鼻を介した気流を遮断し、口を介した気流のみを通過させる場合、特定のマスクは、本発明において臨床的に好ましくない場合があり得る。
【0027】
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を口に挿入し、唇を介してシールを作成かつ維持しなければならない場合、本発明において不快であるか又は非実用的である場合がある。
【0028】
特定のマスクは、睡眠時(例えば、横向きにベッドに寝て枕の上に頭を置いた状態で睡眠する場合)における使用においては非実用的である場合がある。
【0029】
呼吸圧療法(RPT)デバイス
呼吸圧療法(RPT)デバイスは、気道へのインターフェースに送達するための空気流れを生成するようにデバイスを動作させることなどによって、前述した多数の療法のうち1つ又は複数を送達するために、個々に、又はシステムの一部として使用され得る。空気流れは、(呼吸圧療法のために)圧力制御されるか、(HFTなどの流量療法のために)流れ制御され得る。そのため、RPTデバイスは、流量療法デバイスとしても機能し得る。RPTデバイスの例を挙げると、CPAPデバイス及びベンチレータがある。
【0030】
空気圧発生器は、様々な用途、例えば工業規模換気システムにおいて知られている。しかし、医療用途のための空気圧発生器は、より一般的な空気圧発生器(例えば、医療用デバイスの信頼性、サイズ及び重量要件)によっては満たされない特定の要件を有する。加えて、医療治療向けに設計されたデバイスであっても、以下のうち1つ又は複数に関連して欠陥を抱えている場合がある:快適性、騒音、使いやすさ、有効性、サイズ、重量、製造可能性、コスト及び信頼性。
【0031】
特定のRPTデバイスの特殊な要件の一例として、音響騒音がある。
【0032】
表1は、従来のRPTデバイスの騒音出力レベルの表(1つの試料のみを、ISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmHOで測定)である。
【0033】
【表1】
【0034】
睡眠呼吸障害の治療に用いられる1つの公知のRPTデバイスは、ResMed Limitedによって製造されたS9睡眠療法システムである。RPTデバイスの別の例は、ベンチレータである。ベンチレータ(例えば、成人及び小児用ベンチレータのResMed Stellar(登録商標)シリーズ)は、様々な患者に侵襲的及び非侵襲的な非依存的換気のための補助を提供して、多数の疾病(例を非限定的に挙げると、NMD、OHS及びCOPD)を治療し得る。
【0035】
ResMed Elisee(登録商標)150ベンチレータ及びResMedVSIII(登録商標)ベンチレータは、成人又は小児患者に適した侵襲的及び非侵襲的な依存的換気のための補助を提供して、多数の疾病を治療し得る。これらのベンチレータにより、単枝型回路又は二重枝型回路を用いた容積測定換気モード及び気圧換気モードが得られる。RPTデバイスは典型的には、圧力発生器(例えば、電動ブロワ又は圧縮ガスリザーバ)を含み、患者の気道へ空気流れを供給するように構成される。場合によっては、空気流れは、患者の気道へ陽圧で供給され得る。RPTデバイスの出口は、空気回路を介して上記したような患者インターフェースに接続される。
【0036】
デバイスの設計者には、無数の選択肢が提示され得る。設計基準同士は対立することが多く、これは、特定の設計の選択肢が慣例からほど遠くなるか、避けられないことを意味する。さらに、特定の側面の快適さと有効性は、1つ又は複数のパラメータの小さく微妙な変化に非常に敏感な場合がある。
【0037】
一般的なRPTデバイスは、最大10Wの電力を消費することがある(加湿器の動作に必要な電力を除く)。消費電力を最小限に抑えるためには、デバイスの効率を上げることが重要である。これは、RPTが主電源から電力を供給されている場合には重要であるが、デバイスが電池で動作している場合はさらに重要である。これは、RPTがポータブルである場合、主電源が使用できない場合(患者がキャンプしている場合)、主電源が切断されている場合など、消費電力が高いとRPTが電池で動作できる時間が短くなる可能性があるからである。
【0038】
ウェアラブルな組み合わせブロア/マスクシステムを含むポータブルPAPデバイスの開発には、より小型のモータ/タービンと電源/電池の使用がさらに求められている。しかし、従来のPAPシステムと比較して、この小型システムは一般的に空気圧性能が少ない。比較的高い空気圧性能を維持する1つの方法は、無駄なエネルギーを最小化に抑え、システムをより効率的にすることによって、このようなシステムの性能を最適化することである。しかし、システムのどの要素の変更も残りのシステム要素と干渉せず、最適化されたシステムが引き続き静かで効率的であり、ユーザに不都合や労力の増加を引き起こさないことを確認することが重要である。
【0039】
1.2.4.1電源
RPTデバイスを動作させるには電源が必要である。特にシステムが主電源ではなく電池で動作する場合、電源は呼吸療法システムの容積と重量を増加させる。電力を小さく維持するには、より高度な最適化が再び必要であり、デバイスの電力管理における非効率と無駄を減らすことが必要である。
【0040】
1.2.4.2空気回路
空気回路は、使用時に空気流れが呼吸療法システムの2つのコンポーネント(例えば、RPTデバイス及び患者インターフェース)間で移動できるように構築及び配置された導管又はチューブである。場合によっては、空気回路に吸息及び呼息用の別々の枝があり得る。他の場合においては、単枝型空気回路が吸息及び呼息の両方のために使用される。
【0041】
1.2.4.3加湿器
空気流れの送達を加湿なしで行った場合には、気道の乾燥に繋がり得る。加湿器をRPTデバイス及び患者インターフェースと共に用いた場合、加湿ガスが生成されるため、鼻粘膜の乾燥を最小限に抑えるとともに患者気道の快適性を高める加湿ガスを生み出す。加えて、より冷涼な気候においては、一般に患者インターフェース内及び患者インターフェース周囲の顔エリアに適用される暖かい空気が、冷たい空気よりも快適である。
【0042】
様々な人工的加湿デバイス及びシステムが公知であるが、これらは医療用加湿器の特別な要件を満たさない場合がある。
【0043】
医療用加湿器は、典型的には患者が就眠中であるか安静にしている可能性がある場所(例えば病院)で、必要な場合に周囲空気に相対して空気流れの湿気及び/又は温度を増加させるように用いられる。枕元に置かれる医療用加湿器は、小型であり得る。医療用加湿器は、患者の周辺環境の加湿及び/又は加熱は行わずに、患者へ送達される空気流れの加湿及び/又は加熱のみを行うように構成され得る。例えば、部屋型システム(例えば、サウナ、エアコン、又は蒸発冷却器)は、患者によって吸い込まれる空気を加湿することもできるが、これらのシステムは、部屋全体も加湿する及び/又は加熱する場合もあり、それにより居住者に対して不快感をもたらす場合がある。さらに、医療用加湿器は、工業用加湿器よりも安全面での制約がより厳しい場合もある。
【0044】
多数の医療用加湿器が知られているが、これらの加湿器は、1つ又は複数の欠点に悩まされる。医療用加湿器には、加湿が不十分なものもあれば、患者にとって使いにくいもの又は不便なものがある。
【0045】
データ管理
臨床的理由により、呼吸療法を処方された患者が「コンプライアンスを遵守している」か(例えば、患者が自身のRPTデバイスを1つ又は複数の「コンプライアンスルール」に従って使用しているか)を判断するためのデータを入手する場合がある。CPAP療法についてのコンプライアンスルールの一例として、患者がコンプライアンスを遵守しているとみなすためには、患者が連続30日間のうち少なくとも21日間にわたってRPTデバイスを一晩あたり少なくとも4時間にわたって使用する必要がある。患者のコンプライアンスを判断するためには、RPTデバイスのプロバイダ(例えば、ヘルスケアプロバイダ)は、RPTデバイスを用いた患者の療法を記述するデータを手作業で入手し、所定期間にわたる使用率を計算し、これをコンプライアンスルールと比較し得る。当該ヘルスケアプロバイダは、患者が自身のRPTデバイスをコンプライアンスルールに則って使用したと判断すると、患者がコンプライアンスを遵守している旨を第三者に通知し得る。
【0046】
患者の療法において、療法データの第三者又は外部システムへの通信から恩恵を受ける他の態様があり得る。
【0047】
このようなデータを通信及び管理するための既存のプロセスの場合、高コスト、時間がかかること、エラーの発生し易さのうち1つ又は複数が発生し得る。
【0048】
1.2.4.4換気技術
いくつかの形態の治療システムは、呼息された二酸化炭素を押し出すための換気部を含み得る。この換気部により、患者インターフェースの内部空間(例えば、プレナムチャンバ)から患者インターフェースの外部(例えば、周囲)へのガスの流れが可能になり得る。
【0049】
この換気部は、オリフィスを含み得、マスク使用時において、ガスがオリフィスを通じて流れ得る。多くの場合、ガスは患者の呼吸サイクルのすべての時点で換気部から連続的に排出される。
【0050】
このような換気部の多くは音がする。他の場合、使用時において閉塞し得るため、押し出しが不十分になる。いくつかの換気部の場合、例えば音又は気流集中に起因して、患者の同床者1100の睡眠を妨げる場合がある。
【0051】
ResMed Limitedは、複数の向上したマスク換気技術を開発している。国際特許出願公開第1998/034,665号、国際特許出願公開第2000/078,381号、米国特許第6,581,594号、米国特許出願公開第2009/0050156号、米国特許出願公開第2009/0044808号を参照のこと。
【0052】
1.2.5スクリーニング、診断、及び監視システム
睡眠ポリグラフィ検査(Polysomnography、PSG)は、心肺疾患の診断、及び監視のための従来のシステムであり、典型的には、システム適用のために専門家臨床スタッフを必要とする。PSGにおいては、脳波検査(EEG)、心電図検査(ECG)、電気眼球図記録(EOG)、筋電図描画法(EMG))などの様々な身体信号を記録するために、典型的には15~20個の接触覚センサを患者上に配置する。睡眠呼吸障害のためのPSGは、患者を診療所において二晩にわたって観察する必要がある。すなわち、1晩目は純粋な診断であり、2晩目は臨床医による治療パラメータのタイトレーションである。そのため、PSGはコストが高く、利便性も低い。睡眠呼吸障害のスクリーニング/診断/監視は家庭に特に不向きである。
【0053】
一般に、スクリーニング及び診断は、疾病の兆候と症状によって疾患を特定することである。通常、スクリーニングは、患者のSDBが更なる調査を求める程、重症であるか否かを示す真/偽結果を与え、診断は、臨床で実行可能な情報をもたらす場合が多い。スクリーニング、及び診断は、一回性手続きになる傾向があることに反して、疾病の経過を監視することは無限に続けることができる。一部のスクリーニング/診断システムは、スクリーニング/診断にのみ適合されているが、一部は監視にも使用することができる。
【0054】
臨床専門家は、患者のスクリーニング、診断又は監視をPSG信号の視覚的観察に基づいて適切に行い得る。しかし、臨床専門家がいない又は臨床専門家への支払いができない状況がある。患者の病状について臨床専門家によって意見が異なる場合がある。加えて、ある臨床専門家は、時期によって異なる基準を適用し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0055】
本発明は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療又は予防に用いられる医療用デバイスの提供に関連し、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さ及び製造可能性のうち1つ又は複数を有する。
【0056】
本発明の第1態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療又は予防に用いられる装置に関連する。
【0057】
本発明の別の態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療又は予防に用いられる方法に関連する。
【0058】
本発明の特定の形態の一態様は、患者の呼吸療法に対するコンプライアンスを改善する方法、及び/又はデバイスを提供することである。
【0059】
本発明の一態様は、バルブアセンブリである。
【0060】
本発明の別の態様は、バルブアセンブリを含む空気回路である。
【0061】
本発明の別の態様は、呼吸治療システム内の換気流れを特徴付ける方法である。
【0062】
本発明の別の態様は、呼気作動弁の存在下で患者インターフェースからの換気流れを推定する方法である。
【0063】
本発明の別の態様は、患者インターフェース、空気回路、及びRPTデバイスを含む呼吸障害を治療するためのシステムであって、空気回路はバルブアセンブリを含むシステムである。
【0064】
本発明の別の態様は、患者インターフェース、空気回路、及びRPTデバイスを含む、患者の呼吸障害を治療するためのシステムであって、RPTデバイスは、患者の呼息が検出されたときに出力を低減するように制御されるシステムである。
【0065】
諸例において、システムは、RPTデバイスと患者との間に、組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブを含み、RPTデバイスは、一方向吸気バルブ、及び呼気放出バルブの患者側の圧力が予め選択された圧力を超えたことを検出すると、出力を減少させる。
【0066】
本発明の一形態の一態様は、例えばヒトの自宅周辺でヒトが持ち運ぶことができる携帯型RPTデバイスである。
【0067】
本発明の別の態様は、加圧空気を患者の気道の入口に送達するための呼吸治療
システム内の空気流れを制御するための、組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリを含み、このシステムは、呼吸障害の治療に適した範囲内に治療圧力を維持するように構成されている、
組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリは、
バルブ入口、バルブ出口、及び少なくとも1つの換気開口部を含むハウジングと、
ダイヤフラムであって、ダイヤフラムの外周でハウジングにシール接続され、ハウジングを、a)バルブ入口と流体連通する上流部分と、b)バルブ出口と流体連通する下流部分とに分割するダイヤフラムと、を含み、
ダイヤフラムは、円形、卵形、楕円形、又はスタジアムの形状を有し、
ダイヤフラムの内側部分は、一方向吸気バルブを画定し、一方向吸気バルブは、
-ハウジングの上流部分内の圧力がハウジングの下流部分内の圧力を超えるとき、バルブ入口からバルブ出口への流れを可能にし、そして、
-下流部分内の圧力が上流部分内の圧力よりも高いとき、バルブ入口からバルブ出口への流れを減少させるか、又は実質的に阻止するように構成され、
-ダイヤフラムの外側部分は、呼気放出バルブを画定し、呼気放出バルブは、
-下流部分内の圧力が上流部分内の圧力を超えるとき、ハウジングの下流部分から少なくとも1つの換気開口部を介して周囲雰囲気への流れを可能にし、そして、
-上流部分内の圧力が下流部分内の圧力を超えるとき、ハウジングの下流部分から少なくとも1つの換気開口部を介して周囲雰囲気への流れを減少させるか、又は実質的に阻止するように構成される。
【0068】
諸例において、
a.a)ダイヤフラムは細長い形状を有し、ダイヤフラムの長軸長とダイヤフラムの短軸長との比が少なくとも4:3であり、b)一方向バルブ構造は、カモノハシバルブとして構成され、カモノハシバルブの基部は、ダイヤフラムの長軸と実質的に平行な長さ寸法と、ダイヤフラムの短軸と実質的に平行な幅寸法とを有し、長さは幅よりも大きく、c)長さと幅の比率は少なくとも1.5:1又は2:1であり、d)ダイヤフラムは、外側保持フランジを含み、e)ダイヤフラムは円筒状壁を有し、保持フランジは円筒状壁の一端に設けられており、f)ダイヤフラムの第1部分は、ダイヤフラムの隣接する部分とは異なる少なくとも1つの材料又は物理的特性を有し、g)ダイヤフラムの第1部分は、隣接する部分とは異なる材料で作られており、h)ダイヤフラムは、単一の材料で一体的に作られており、i)ダイヤフラムは、厚さの異なる領域を有し、領域のうちの1つは、他の領域の厚さの少なくとも2倍の厚さを有し、j)領域のうちの1つは、他の領域の厚さの2~8倍の厚さを有し、k)一方向吸気バルブは、第1厚さを有する第1領域と、第1領域に隣接する第2厚さを有する第2領域とを有し、l)呼気放出バルブは、第1厚さを有する第1領域と、第1領域に隣接する第2厚さを有する第2領域とを有し、m)ダイヤフラムは1本の対称軸しかなく、n)少なくとも1つの換気開口部は、ハウジングの下流部分の外周の周りに間隔をおいて配置された複数の換気開口部を含み、o)ハウジングの下流部分はバルブ出口を含み、ダイヤフラムは、下流部分内の圧力が上流部分内の圧力を超えるとき、患者インターフェースポートへの経路をシールするために互いに向かって押される一対のリップを含み、ハウジングの上流部分内の圧力が下流部分内の圧力を超えるとき、一対のリップは、気流を患者インターフェースポート入口に向かって通過させるための開口部を形成し、p)各換気開口部に流れガイドが設けられ、各流れガイドは、下流部分内の圧力が上流部分内の圧力を超えるとき、バルブ出口から対応する換気開口部へ流れる呼気ガスのi)鋭いコーナー、ii)鋭角、及びiii)急激な膨張を回避又は最小化するように構成され、q)各流れガイドは、呼息気流を換気開口部の入口にガイドするランプ部分を含み、及び/又はr)各流れガイドは、各対応するランプ部分の両側に設けられた側壁部分を含む。
b.本発明の別の態様は、ブロワによって生成された気流を患者に供給するための患者インターフェースシステムであって、上記のいずれかに記載のバルブを含む。
c.本発明の別の態様は、加圧空気を患者の気道の入口に送達するための呼吸治療システムであって、
d.加圧空気を生成するブロワと、
e.患者の気道への加圧空気の送達をシールするための患者インターフェースと、
f.患者インターフェースへの空気流れを制御するための、上記の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリと、を少なくとも含む、患者インターフェースシステムを含む。
【0069】
諸例において、システムは、
a)患者インターフェース内の圧力を測定するように構成された圧力センサをさらに含み、システムは、圧力センサからのデータに基づいてブロワを制御し、b)圧力センサが患者の呼息を検出すると、ブロワからの流れを減少させ、c)加圧空気を患者インターフェースに送達するための導管をさらに含み、組み合わせバルブは導管又は患者インターフェースに含まれ、d)患者の顔又は頭部に装着可能なポータブル統合ブロワ/患者インターフェースシステムを含み、及び/又はf)1つ又は複数の電池によって電力を供給されるように構成される。
【0070】
本発明の別の態様は、加圧空気を患者の気道の入口に送達するための呼吸治療システム内の換気流れを特徴付ける方法であって、システムは、上記の組み合わせ一方向吸気バルブ-呼気放出バルブを含み、方法は、少なくとも第1治療圧力に対して、
a)呼吸治療システムを用いて少なくとも1つの模擬呼吸サイクルを実行するステップと、
b)少なくとも1つの模擬呼吸サイクル中に、バルブ換気部を通る流量、バルブ上流の圧力、及びバルブ下流の圧力を測定するステップと、
c)ダイヤフラムの両側の圧力の比に対して換気流量をプロットするステップと、
d)プロットされたデータを1つ又は複数の連続ゾーンに分割する境界点が存在するか否かを、データの傾向に基づいて識別するステップと、
e)識別された各ゾーンのデータについての最適適合曲線のための方程式を導出するステップと、
f)少なくとも第1治療圧力において、各ゾーンの圧力比と換気流れとの間の対応する関数を特徴付ける少なくとも係数及び定数を適合方程式から導出するステップと、を含む。
【0071】
諸例において、 a)圧力比は、バルブの上流の圧力とバルブの下流の圧力との比であり、b)方法は、少なくとも1つの第2治療圧力に対して、ステップa)~e)を繰り返して、それぞれの適合方程式から、少なくとも1つの第2治療圧力における各ゾーンのそれぞれの関数を特徴付ける係数及び定数を導出するステップをさらに含み、c)方法は、導出された係数及び定数を補間して、少なくとも第1及び第2治療圧力以外の他の治療圧力に対する更なる係数及び定数を導出するステップをさらに含み、d)方法は、導出及び/又は補間された係数及び定数を使用して、バルブの上流及び下流の圧力の所定の比率について、1つ又は複数の各治療圧力のそれぞれの換気流れを計算するステップをさらに含み、e)方法は、複数の異なる治療圧力に対する導出及び補間された係数を予め計算してテーブル化するステップと、様々な圧力下での計算量の少ない換気流れ導出のための参照として、テーブル化の数値を使用するステップと、をさらに含み、f)方法は、導出された換気流れを用いて、対応する治療圧力における患者流れを導出するステップをさらに含み、g)方法は、導出された及び/又はテーブル化された換気流れを用いて、それぞれの治療圧力における患者流れを導出するステップをさらに含み、h)方法は、それぞれの治療圧力における患者流れを計算するステップは、呼吸治療システムのブロワの流量を測定するステップと、患者インターフェースにおける予期しない漏れを計算するステップと、をさらに含み、及び/又はi)プロットされたデータを複数の連続ゾーンに分割するステップは、プロットされたデータを3つの連続ゾーンに分割するステップを含む。
【0072】
本発明の一形態の別の態様は、意図する装着者の周囲形状と相補的な周囲形状を有するように成形された、又は構築された患者インターフェースである。
【0073】
本発明の一形態の一態様は、装置の製造方法である。
【0074】
本発明の特定の形態の一態様は、例えば医療トレーニングを受けたことのない人、あまり器用ではない人や洞察力の欠いた人、又はこの種の医療デバイスの使用経験が限られた人にとって使い易い医療デバイスである。
【0075】
本発明の一形態の一態様は、例えばヒトの自宅周辺でヒトが持ち運ぶことができる携帯型RPTデバイスである。
【0076】
本発明の一形態の一態様は、特殊な清浄器具を必要とせずに、患者の自宅において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な患者インターフェースである。本発明の一形態の一態様は、特殊な清浄器具を必要とせずに、患者の自宅において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な加湿器タンクである。
【0077】
上記した方法、システム、デバイス、及び装置は、特定の目的のコンピュータ、呼吸モニタ、及び/又は呼吸療法装置などのプロセッサの機能を改善するように実装され得る。また、上記した方法、システム、デバイス、及び装置は、例えば睡眠呼吸障害を含む呼吸状態の自動管理、監視、及び/又は治療の技術分野における改善を提供することができる。
【0078】
もちろん、上記態様の一部は、本発明の下位態様を形成し得る。また、下位態様及び/又は態様のうち多様なものを多様な方式で組み合わせることができ、本発明のさらなる態様又は下位態様も構成され得る。
【0079】
本発明の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面及び特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
本発明は、添付図面の図式中に非限定的に例として例示され、図面中、類似の参照番号は、以下を含む類似の要素を指す。
3.1呼吸療法システム
図1A】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻枕の形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受ける。RPTデバイス4000からの空気は、加湿器5000内で加湿され、空気回路4170を通過して患者1000に送達される。同床者1100も示される。患者は、仰臥位睡眠姿勢で睡眠中である。
図1B】RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する鼻マスクの形態をとる患者インターフェース3000を着用している患者1000を含むシステムを示す。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000内で加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へ送られる。
図1C】RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容するフルフェイスマスクの形態をとる患者インターフェース3000を着用している患者1000を含むシステムを示す。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000内で加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へ送られる。患者は、側臥位睡眠姿勢で睡眠している。 3.2呼吸器系、及び顔の解剖学的構造
図2A】鼻腔及び口腔、喉頭、声帯ひだ、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓及び横隔膜を含むヒト呼吸器系の概要を示す。 3.3患者インターフェース
図3A】本発明の一形態による鼻マスクの形態の患者インターフェースを示す。 3.4RPTデバイス
図4A】本発明の一形態によるRPTデバイスを示す。
図4B】本発明の一形態によるRPTデバイスの空気圧経路の概略図である。上流、及び下流の方向は、ブロワ、及び患者インターフェースを参照して示される。任意の特定の瞬間における実際の流れ方向に関係なく、ブロワは、患者インターフェースの上流にあるものとして規定され、患者インターフェースは、ブロワの下流にあるものとして規定される。ブロアと患者インターフェースの間の空気圧経路内にあるアイテムは、ブロアの下流及び患者インターフェースの上流にある。
図4C】本発明の一形態によるRPTデバイスの電気コンポーネントの概略図である。
図4D】本発明の一形態によるRPTデバイス内に実装されるアルゴリズムの概略図である。
図4E】本発明の一形態による、図4Dの療法エンジンモジュールによって実施される方法を例示するフローチャートである。 3.5加湿器
図5A】本発明の一形態による加湿器の等角図を示す。
図5B】本発明の一形態による加湿器の等角図を示し、加湿器リザーバドック5130から取り外された加湿器リザーバ5110を示す。 3.6呼吸波形
図6】睡眠中のヒトの典型的な呼吸波形のモデルを示す。 3.7本発明による患者インターフェース
図7】本発明の一形態による、患者インターフェース、空気回路、及びRPTデバイスを含むシステムを示す。
図8】本発明の一形態によるバルブアセンブリの概略断面図を示す。
図9】本発明の一形態によるバルブ部材の斜視図を示す。
図10】閉構造にあるカモノハシバルブを有する図10のバルブ部材の概略断面を示す。
図11】本発明の一形態によるバルブ部材の平面図を示す。
図12図11のバルブ部材の側面図を示す。
図13】開構成にあるカモノハシバルブを有する図10のバルブ部材の概略断面を示す。
図14図8のバルブアセンブリの分解断面図を示す。
図15】上流ハウジング部分が下流ハウジング部分から分離された図8のバルブアセンブリの断面図を示す。
図16】本発明の一形態による、カモノハシバルブが開いており、ダイヤフラムが換気部への流れを阻止するバルブアセンブリの概略断面図を示す。
図17図16のバルブアセンブリのダイヤフラム及び換気部の拡大図を示す。
図18】カモノハシバルブが閉じられており、ダイヤフラムが換気部への流れを可能にする、図8のバルブアセンブリの概略断面図を示す。
図19図18のバルブアセンブリのダイヤフラム及び換気部の拡大図を示す。
図20】本発明の一形態による、ダイヤフラムが換気部への流れを可能にし、カモノハシバルブが小量の流れを可能にする、バルブアセンブリの概略断面図を示す。
図21】本発明の一形態による、膜が換気構成(破線)、及び非換気構成の両方で示されているバルブアセンブリの拡大概略断面図を示す。
図22】本発明のバルブ部材の使用に関する簡略化された呼吸曲線を示す。
図23】本発明のバルブ部材の使用に関する簡略化された換気流れ曲線を示す。
図24】本発明の一形態による、開いたカモノハシバルブと、カモノハシバルブを通るシミュレートされた流れを示す。
図25】異なる厚さの例示的な部分を有する、カモノハシバルブを備えていないバルブ部材の代替形態の一例を示す。
図26】呼吸障害を治療するためのシステムの特性に関するフローチャート及び式である。
図27】模擬呼吸サイクルを実行するための実験セットアップの一部を示す。
図28】1つの治療圧力設定における技術の一形態についての換気流れ対圧力比のプロットである。
図29】治療圧力6cmHOにおける、本発明の一形態による患者インターフェースの推定及び測定された患者流れ対時間を示すグラフである。
図30】治療圧力8cmHOにおける、本発明の一形態による患者インターフェースの推定及び測定された患者流れ対時間を示すグラフである。
図31】治療圧力12cmHOにおける、本発明の一形態による患者インターフェースの推定及び測定された患者流れ対時間を示すグラフである。
図32】本発明の一形態による受動的加湿器の斜視図である。
図33図32の受動的加湿器の分解図である。
図34】本発明の別の形態によるバルブアセンブリの概略断面図を示す。
図35図34のバルブアセンブリの下流ハウジング部分の上面斜視図を示す。
図36図8の代替バルブアセンブリの下流ハウジング部分の上面斜視図を示す。
図37】本発明の一形態によるバルブ部材の斜視図を示す。
図38】本発明の一形態によるバルブ部材の斜視図を示す。
図39】本発明の一形態によるバルブ部材の斜視図を示す。
図40】本発明の一形態によるバルブ部材の側面斜視図を示す。
図41】本発明の一形態による、呼吸治療システム内の換気流れを特徴付ける方法におけるステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0081】
本発明についてさらに詳細に説明する前に、本発明は、本明細書中に記載される特定の例に限定されるのではなく、この例は変化し得ることが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に論じられている特定の例のみを説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0082】
以下の記載は、1つ又は複数の共通の特性及び/又は特徴を共有し得る多様な例に関連して提供される。任意の一例の1つ又は複数の特徴は、別の例又は他の例の1つ又は複数の特徴と組み合わせられ得ることが理解されるべきである。加えて、これらの例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴又は特徴の組み合わせは、さらなる例を配置し得る。
【0083】
4.1療法
一形態では、本発明は、患者1000の気道の入口へ陽圧を印加することを含む、呼吸障害を治療する方法を含む。
【0084】
本発明の特定の例において、陽圧における空気供給が鼻孔の一方又は両方を介して患者の鼻経路へ提供される。
【0085】
本発明の特定の例において、口呼吸が制限、限定又は予防される。
【0086】
4.2呼吸療法システム
一形態では、本発明は、呼吸障害を治療する呼吸療法システムを含む。呼吸療法システムは、空気流れを空気回路4170及び患者インターフェース3000を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る。
【0087】
図7は、このようなシステムの一形態を示す。図7に示す例は、患者の顔又は頭部に装着可能なポータブル統合ブロワ/患者インターフェースシステムである。図7に示す例は、1つ又は複数の電池によって電力を供給される電池であってもよい。
【0088】
患者インターフェース
図3Aに示すように、本発明の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決め及び安定化構造3300、換気部3400、空気回路4170に接続するための一形態の接続ポート3600、及び前額支持部3700を機能的態様として含む。いくつかの形態では、機能的態様は、1つ又は複数の物理コンポーネントによって提供されることができる。いくつかの形態では、1つの物理コンポーネントは、1つ又は複数の機能的態様を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、患者1000の気道への入口において陽圧を維持するように、患者の気道への入口(複数可)を取り囲むように設置される。そのため、シールされた患者インターフェース3000は、陽圧療法の送達に適している。
【0089】
RPTデバイス
本発明の一態様によるRPTデバイス4000は、機械コンポーネント、空気圧式コンポーネント、及び/又は電気コンポーネントを含み、1つ又は複数のアルゴリズム4300(例えば全体的にせよ部分的にせよ本明細書に記載の方法のうちいずれか)を実行するように構成される。RPTデバイス4000は、患者の気道へ送達するための空気流れを生成して、本明細書中の他のところに記載されている呼吸器疾病のうち1つ又は複数を治療したりするように構成され得る。
【0090】
一形態では、RPTデバイス4000は、少なくとも6cmHO、又は少なくとも10cmHO、又は少なくとも20cmHOの陽圧を維持しつつ、空気流れを-20L/分~+150L/分の範囲で送達できるように構築及び配置される。
【0091】
RPTデバイス4000は、上部4012、及び下部4014の2つの部分に形成される外部ハウジング4010を有してもよい。更に、外部ハウジング4010は、1つ又は複数のパネル(複数可)4015を含み得る。RPTデバイス4000は、RPTデバイス4000の1つ又は複数の内部コンポーネントを支持するシャーシ4016を備える。RPTデバイス4000は、ハンドル4018を含んでもよい。
【0092】
RPTデバイス4000の空気圧経路は、入口空気フィルタ4112、入口マフラー4122、陽圧での空気を供給することができる圧力発生器4140(例えばブロワ4142)、出口マフラー4124、及び圧力センサ4272、及び流量センサ4274のような1つ又は複数のトランスデューサ4270などの1つ又は複数の空気経路部材を含むことができる。
【0093】
空気経路アイテムのうち1つ又は複数は、空気圧ブロック4020と呼ばれる、取り外し可能な一体構造内に位置し得る。空気圧ブロック4020は、外部ハウジング4010内に配置されてもよい。一形態では、空気圧ブロック4020は、シャーシ4016によって支持されるか、又はシャーシ4016の一部として形成される。
【0094】
RPTデバイス4000は、電源4210と、1つ又は複数の入力デバイス4220と、中央コントローラ4230と、療法デバイスコントローラ4240と、圧力発生器4140と、1つ又は複数の保護回路4250と、メモリ4260と、トランスデューサ4270と、データ通信インターフェース4280と、1つ又は複数の出力デバイス4290とを有することができる。電気コンポーネント4200は、単一のプリント回路基板アセンブリ(PCBA)4202上に実装され得る。一代替形態では、RPTデバイス4000は、1つよりも多くのPCBA4202を含み得る。
【0095】
RPTデバイスの機械コンポーネント及び空気圧コンポーネント
RPTデバイスは、以下のコンポーネントのうち1つ又は複数を一体型ユニット内に含み得る。一代替形態では、以下のコンポーネントのうち1つ又は複数が、それぞれ、別々のユニットとして位置し得る。
【0096】
空気フィルタ(複数可)
本発明の一形態によるRPTデバイスは、1つの空気フィルタ4110又は複数の空気フィルタ4110を含み得る。
【0097】
一形態では、入口空気フィルタ4112は、空気圧経路の始まり部で圧力発生器4140の上流に位置する。
【0098】
一形態では、出口空気フィルタ4114、例えば抗菌フィルタは、空気圧ブロック4020の出口と患者インターフェース3000との間に位置する。
【0099】
マフラー(複数可) 本発明の一形態によるRPTデバイスは、マフラー4120又は複数のマフラー4120を含み得る。
【0100】
本発明の一形態では、入口マフラー4122は、圧力発生器4140の上流側の空気圧経路内に位置する。
【0101】
本発明の一形態では、出口マフラー4124は、圧力発生器4140と患者インターフェース3800との間の空気圧経路内に位置する。
【0102】
4.2.1.1圧力発生器
本発明の一形態では、陽圧で空気流れ又は供給を生成するための圧力発生器4140は、制御可能なブロワ4142である。例えば、ブロワ4142は、1つ又は複数のインペラを有するブラシレスDCモータ4144を含んでもよい。インペラは、渦巻き状に設置されてもよい。ブロワは、呼吸圧療法を送達するとき、空気の供給を、例えば約120リットル/分までの速度で、約4cmHO~約20cmHOの範囲の陽圧で、又は他の形態では約30cmHOまで送達することができ得る。ブロワは、参照により内容全体が本明細書に組み込まれる米国特許7866944号、米国特許8638014号、米国特許8636479号、及びPCT特許出願公開番号WO2013/020167のいずれか1つに記載されているものであってもよい。
【0103】
圧力発生器4140は、療法デバイスコントローラ4240の制御下にあることができる。
【0104】
他の形態では、圧力発生器4140は、ピストン駆動ポンプ、高圧源(例えば、加圧空気リザーバ)に接続される圧力調整器、又はベローズであってもよい。
【0105】
トランスデューサ(複数可) トランスデューサは、RPTデバイスの内部、又はRPTデバイスの外部にあり得る。外部トランスデューサは、例えば空気回路(例えば、患者インターフェース)上に位置してもよく、又はその一部を形成してもよい。外部トランスデューサは、非接触センサ、例えば、データをRPTデバイスへ送信又は転送するドップラーレーダー移動センサの形態をとり得る。
【0106】
本発明の一形態では、1つ又は複数のトランスデューサ4270は、圧力発生器4140の上流及び/又は下流に位置し得る。1つ又は複数のトランスデューサ4270は、空気圧経路内でその時点での空気流れの特性、例えば流量、圧力又は温度を表す信号を生成するように構築及び配置され得る。
【0107】
本発明の一形態では、1つ又は複数のトランスデューサ4270は、患者インターフェース3000に近接して位置し得る。
【0108】
一形態では、トランスデューサ4270からの信号は、ローパスフィルタリング、ハイパスフィルタリング、又はバンドパスフィルタリングなどによってフィルタリングされ得る。
【0109】
流量センサ 本発明による流量センサ4274は、圧力差トランスデューサ、例えばSENSIRION社のSDP600シリーズの圧力差トランスデューサに基づき得る。
【0110】
一形態では、流量センサ4274によって生成され、流量を表す信号は、中央コントローラ4230によって受信される。
【0111】
4.2.1.1.1圧力センサ
本発明による圧力センサ4272は、空気圧経路と流体連通するように位置している。適切な圧力センサの例としては、HONEYWELL ASDXシリーズからのトランスデューサがある。他の適切な圧力センサは、GENERAL ELECTRICのNPAシリーズのトランスデューサである。
【0112】
一形態では、圧力センサ4272によって生成され、圧力を表す信号は、中央コントローラ4230によって受信される。
【0113】
モータ速度トランスデューサ
本発明の一形態では、モータ速度トランスデューサ4276は、モータ4144及び/又はブロワ4142の回転速度を決定するために用いられる。モータ速度センサ4276からのモータ速度信号は、療法デバイスコントローラ4240に供給されることができる。モータ速度トランスデューサ4276は、例えば、ホール効果センサなどの速度センサであり得る。
【0114】
スピルバック防止バルブ 本発明の一形態では、スピルバック防止バルブ4160は、加湿器5000と空気圧ブロック4020との間に位置し得る。スピルバック防止バルブ4160は、加湿器5000から上流へ、例えばモータ4144へと水が流れる危険性を低減するように構築かつ配置されている。
【0115】
RPTデバイスの電気コンポーネント 電源
電源4210は、RPTデバイス4000の外部ハウジング4010の内部又は外部に位置し得る。
【0116】
本発明の一形態では、電源4210は、RPTデバイス4000にのみ電力を供給する。本発明の別の形態では、電源4210は、RPTデバイス4000及び加湿器5000の両方へ電力を供給する。
【0117】
入力デバイス
本発明の一形態では、RPTデバイス4000は、人がデバイスとやりとりできるように、ボタン、スイッチ又はダイヤルの形態をとる1つ又は複数の入力デバイス4220を含む。ボタン、スイッチ又はダイヤルは、タッチスクリーンを介してアクセスすることが可能な物理的デバイス又はソフトウェアデバイスであり得る。一形態では、ボタン、スイッチ、又はダイヤルは、外部ハウジング4010に物理的に接続されていてもよく、別の形態では、中央コントローラ4230に電気的に接続された受信機と無線通信していてもよい。
【0118】
一形態では、入力デバイス4220は、人が値及び/又はメニューオプションを選択できるように構築及び配置され得る。
【0119】
中央コントローラ
本発明の一形態では、中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000の制御に適した1つ又は複数のプロセッサである。
【0120】
適切なプロセッサは、x86 INTELプロセッサ、ARM Holdings社のARM(登録商標)Cortex(登録商標)-Mプロセッサに基づいたプロセッサ(例えば、ST MICROELECTRONIC社のSTM32シリーズのマイクロコントローラ)含み得る。本発明の特定の代替形態では、TEXAS INSTRUMENTSによって製造されたST MICROELECTRONICS社のSTR9シリーズのマイクロコントローラなどの32ビットRISC CPU、又はMSP430ファミリーのマイクロコントローラからのプロセッサなどの16ビットRISC CPUも適切であり得る。
【0121】
本発明の一形態では、中央コントローラ4230は、専用電子回路である。
【0122】
一形態では、中央コントローラ4230は、特定用途向け集積回路である。別の形態では、中央コントローラ4230は、離散的な電子部品を含む。
【0123】
中央コントローラ4230は、1つ又は複数のトランスデューサ4270、1つ又は複数の入力デバイス4220、及び加湿器5000から、入力信号(複数可)を受信するように構成され得る。
【0124】
中央コントローラ4230は、出力信号(複数可)を出力デバイス4290、療法デバイスコントローラ4240、データ通信インターフェース4280、及び加湿器5000のうちの1つ又は複数に提供するように配置され得る。
【0125】
本発明のいくつかの形態では、中央コントローラ4230は、本明細書に記載された1つ又は複数の方法、例えば、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(例えば、メモリ4260)に記憶されたコンピュータプログラムとして表されるプロセッサ制御命令によって実装されることができる1つ又は複数のアルゴリズム4300を実装するように構成される。本発明のいくつかの形態では、中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000に統合され得る。しかし、本発明のいくつかの形態では、いくつかの方法論が、遠隔位置にあるデバイスによって行われ得る。例えば、遠隔位置にあるデバイスは、記憶したデータ(例えば、本明細書中に記載のセンサのうちいずれかからのもの)の分析により、ベンチレータの制御設定を決定するか、呼吸関連イベントを検出し得る。
【0126】
クロック
RPTデバイス4000は、中央コントローラ4230へ接続されたクロック4232を含み得る。
【0127】
療法デバイスコントローラ
本発明の一形態では、療法デバイスコントローラ4240は、中央コントローラ4230によって実行されるアルゴリズム4300の一部を形成する療法制御モジュール4330である。
【0128】
本発明の一形態では、療法デバイスコントローラ4240は、専用モータ制御集積回路である。例えば、一形態では、ONSEMIによって製造されたMC33035ブラシレスDCモータコントローラが使用される。
【0129】
保護回路
本発明による1つ又は複数の保護回路4250は、電気的保護回路、温度及び/又は圧力安全回路を含み得る。
【0130】
メモリ
本発明の一形態によれば、RPTデバイス4000は、メモリ4260、例えば不揮発性メモリを含む。いくつかの形態では、メモリ4260は、電池駆動式スタティックRAMを含み得る。いくつかの形態では、メモリ4260は、揮発性RAMを含み得る。
【0131】
メモリ4260は、PCBA4202上に位置し得る。メモリ4260は、EEPROM、又はNANDフラッシュの形態とし得る。
【0132】
追加的に又はあるいは、RPTデバイス4000は、セキュアデジタル(SD)規格に従って製造されたメモリカードのような取り外し可能なメモリ4260の形態を含む。
【0133】
本発明の一形態では、メモリ4260は、1つ又は複数のアルゴリズム4300など、本明細書に記載される1つ又は複数の方法論を表すコンピュータプログラム命令が記憶される非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体として機能する。
【0134】
データ通信システム
本発明の一形態では、データ通信インターフェース4280が提供され、中央コントローラ4230へ接続される。データ通信インターフェース4280は、リモート外部通信ネットワーク4282及び/又はローカル外部通信ネットワーク4284へ接続可能であり得る。リモート外部通信ネットワーク4282は、リモート外部デバイス4286へ接続可能であり得る。ローカル外部通信ネットワーク4284は、ローカル外部デバイス4288に接続することができる。
【0135】
一形態では、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230の一部である。別の形態では、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230から分離され、集積回路又はプロセッサを含むことができる。
【0136】
一形態では、リモート外部通信ネットワーク4282はインターネットである。データ通信インターフェース4280は、インターネットへ接続するために、有線通信(例えば、イーサネット又は光ファイバーを介して)又は無線プロトコル(例えば、CDMA、GSM、LTE)を用いてもよい。
【0137】
一形態では、ローカル外部通信ネットワーク4284は、1つ又は複数の通信規格(例えば、Bluetooth又は消費者赤外線プロトコル)を利用する。
【0138】
一形態では、リモート外部デバイス4286は、1つ又は複数のコンピュータ、例えば、ネットワーク接続されたコンピュータのクラスタである。一形態では、リモート外部デバイス4286は、物理的コンピュータではなく仮想コンピュータであり得る。いずれの場合も、このような遠隔外部装置4286は、適切に許可された者(たとえば、臨床医)によってアクセスされることができる。
【0139】
ローカル外部デバイス4288は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレット又はリモコンであり得る。
【0140】
任意選択のディスプレイ、アラームを含む出力デバイス
本発明による出力デバイス4290は、視覚、聴覚及び触覚ユニットのうち1つ又は複数の形態をとり得る。視覚ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)又は発光ダイオード(LED)ディスプレイであり得る。
【0141】
ディスプレイドライバ
ディスプレイドライバ4292は、ディスプレイ4294上に表示されるべき文字、記号又は画像を入力として受信し、ディスプレイ4294にこれらの文字、記号又は画像を表示させるコマンドへ変換する。
【0142】
ディスプレイ
ディスプレイ4294は、ディスプレイドライバ4292から受信されたコマンドに応答して、文字、記号又は画像を視覚的に表示するように構成される。例えば、ディスプレイ4294は、8セグメントディスプレイであり得、その場合、ディスプレイドライバ4292は、各文字又は記号(例えば、数字「0」)を、特定の文字又は記号を表示するために8個のセグメントそれぞれを起動させるべきかどうかを示す8個の論理信号へ変換する。
【0143】
RPTデバイスアルゴリズム
前述したように、本発明のいくつかの形態では、中央コントローラ4230は、メモリ4260などの非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムとして表現された1つ又は複数のアルゴリズム4300を実装するように構成され得る。アルゴリズム4300は、一般にモジュールと呼ばれるグループにグループ化される。
【0144】
本発明の他の形態では、アルゴリズム4300の一部又は全体が、外部デバイス(例えば、ローカル外部デバイス4288又はリモート外部デバイス4286)のコントローラによって実装され得る。このような形態では、入力信号を表すデータ、及び/又は外部デバイスで実行されるアルゴリズム4300の一部に必要な中間アルゴリズム出力は、ローカル外部通信ネットワーク4284又はリモート外部通信ネットワーク4282を介して外部デバイスへ伝達され得る。このような形態では、外部デバイスで実行されるアルゴリズム4300の一部は、1つ又は複数のプロセッサ(複数可)によって実行されるプロセッサ制御命令などを伴う、外部デバイスのコントローラにアクセスすることが可能な非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムとして表現され得る。このようなプログラムにより、外部デバイスのコントローラは、アルゴリズム4300の一部を実行するように構成される。
【0145】
このような形態では、療法エンジンモジュール4320を介して外部デバイスによって生成された療法パラメータ(このような形態では、外部デバイスによって実行されるアルゴリズム4300の一部である)は、療法制御モジュール4330に伝達されるように中央コントローラ4230に通信され得る。
【0146】
前処理モジュール
本発明の1つの形態による前処理モジュール4310は、トランスデューサ4270、例えば、流量センサ4274又は圧力センサ4272からの信号を入力として受信し、1つ又は複数のプロセスステップを行って、別のモジュール、例えば、療法エンジンモジュール4320への入力として使用される1つ又は複数の出力値を計算する。
【0147】
本発明の一形態では、出力値は、インターフェース圧力Pm、換気流量Qv、呼吸流量Qr、及び漏れ流量Qを含む。
【0148】
本発明の様々な形態では、前処理モジュール4310は、インターフェース圧力推定アルゴリズム4312、換気流量推定アルゴリズム4314、漏れ流量推定アルゴリズム4316、及び呼吸流量推定アルゴリズム4318のうち1つ又は複数のアルゴリズムを含む。
【0149】
インターフェース圧力推定
本発明の一形態では、インターフェース圧力推定アルゴリズム4312は、空気圧ブロック出口付近の空気圧経路内の圧力(デバイス圧力Pd)を示す圧力センサ4272からの信号と、RPTデバイス4000から出る気流の流量(デバイス流量Qd)を表す流量センサ4274からの信号とを入力として受け取る。デバイス流量Qdは、補充ガス4180が存在しない場合の総流量Qtとして用いることができる。インターフェース圧力アルゴリズム4312は、空気回路4170を通る圧力降下△Pを推定する。総流量Qtに対する圧力降下△Pの依存性は、圧力降下特性△P(Q)によって特定の空気回路4170についてモデル化し得る。次いで、インターフェース圧力推定アルゴリズム4312は、推定された圧力Pmを出力として患者インターフェース3000に提供する。患者インターフェース3000内の圧力Pmは、デバイス圧力Pdから空気回路圧力降下△Pを差し引いたものとして推定され得る。
【0150】
換気流量推定 本発明の一形態では、換気流量推定アルゴリズム4314は、インターフェース圧力推定アルゴリズム4312から患者インターフェース3000における推定圧力Pmを入力として受け取り、患者インターフェース3000における換気部3400から空気の換気流量Qvを推定する。使用中の特定の換気部3400におけるインターフェース圧力Pmに対する換気流量Qvの依存性は、換気特性Qv(Pm)によってモデル化し得る。
【0151】
本発明の別の形態では、換気流れQvは、以下でさらに説明するように、バルブのダイヤフラム6060の両面の圧力(すなわち、ブロワ圧力側面の圧力(Bp)と患者インターフェースの圧力(Pp)との間の1つ又は複数の比に基づいて推定される。
【0152】
漏れ流量推定 本発明の一形態では、漏れ流量推定アルゴリズム4316は、総流量Qt、及び換気流量Qvを入力として受け取り、漏れ流量Qの推定値を出力として提供する。一形態では、漏れ流量推定アルゴリズムは、いくつかの呼吸サイクルを含むのに十分な長さの時間(例えば10s)にわたる総流量Qtと換気流量Qvとの差の平均値を計算することによって漏れ流量Qを推定する。
【0153】
一形態では、漏れ流量推定アルゴリズム4316は、漏れコンダクタンスを計算して、漏れ流量Qを漏れコンダクタンス、及び圧力Pmの関数として決定することによって、患者インターフェース3000における総流量Qt、換気流量Qv、及び推定圧力Pmを入力として受け取り、漏れ流量Qを出力として供給する。漏れコンダクタンスは、総流量Qtと換気流量Qvとの差に等しい低通過フィルタリングされた非換気流量の商、及び圧力Pmの低通過フィルタリング平方根として計算され、低通過フィルタ時定数は、例えば約10秒の数回の呼吸サイクルを含むのに十分な長さの値を有する。漏れ流量Qは、漏れコンダクタンスと圧力Pmの積の関数として推定することができる。
【0154】
呼吸流量推定
本発明の一形態では、呼吸流量推定アルゴリズム4318は、総流量Qt、換気流量Qv、及び漏れ流量Qを入力として受け取り、換気流量Qv、及び漏れ流量Qを総流量Qtから差し引くことによって、患者に対する空気呼吸流量Qrを推定する。
【0155】
療法エンジンモジュール
本発明の一形態では、療法エンジンモジュール4320は、患者インターフェース3000内の圧力Pm、及び患者への空気呼吸流量Qrのうちの1つ又は複数を入力として受信し、かつ1つ又は複数の療法パラメータを出力として提供する。
【0156】
本発明の一形態では、療法パラメータは、治療圧力Ptである。
【0157】
本発明の一形態では、療法パラメータは、圧力変動の振幅、ベース圧力、及び目標換気のうちの1つ又は複数である。
【0158】
様々な形態では、療法エンジンモジュール4320は、位相決定アルゴリズム4321、波形決定アルゴリズム4322、換気決定アルゴリズム4323、吸気流れ制限決定アルゴリズム4324、無呼吸/低呼吸決定アルゴリズム4325、いびき決定アルゴリズム4326、気道開存性決定アルゴリズム4327、目標換気決定アルゴリズム4328、及び療法パラメータ決定アルゴリズム4329のうち1つ又は複数のアルゴリズムを含む。
【0159】
位相決定
本発明の一形態では、RPTデバイス4000は、位相を決定しない。
【0160】
本発明の一形態では、位相決定アルゴリズム4321は、呼吸流量Qrを示す信号を入力として受け取り、患者1000の現在の呼吸サイクルの位相Φを出力として提供する。
【0161】
いくつかの形態では、離散位相決定と呼ばれ、位相出力Φは離散変数である。離散位相決定の一実装形態は、自発的な吸息及び呼息の開始をそれぞれ検出すると、吸息又は呼息の値、たとえばそれぞれ0及び0.5回転で表される値を有する2値位相出力Φを提供する。「トリガー」及び「ループ」のRPTデバイス4000は、トリガー及びループポイントがそれぞれ呼息から吸息へ、吸息から呼息へと位相が変化する瞬間であるため、離散位相決定を効率的に行うことができる。2値位相決定の一実装形態では、位相出力Φは、呼吸流量Qrが正の閾値を超える値を有する場合には、0の離散値に決定され(したがって、RPTデバイス4000を「トリガー」する)、呼吸流量Qrが負の閾値よりも負の値を有する場合には、0.5回転の離散値に決定される(したがって、RPTデバイス4000を「サイクル」する)。吸息時間Ti、及び呼息時間Teは、それぞれ0(吸気を表す)、及び0.5(呼気を表す)に等しい段階Φに費やされた時間の多くの呼吸サイクルの典型的な値として見積もることができる。
【0162】
離散位相決定の別の実装形態は、吸息、吸息中休止、呼息のうちの1つの値を有する3値位相出力Φを提供する。
【0163】
連続位相決定と呼ばれる他の形態では、位相出力Φは、0から1回転又は0から2πラジアン変化のような連続変数である。連続位相決定を行うRPTデバイス4000は、連続位相がそれぞれ0回転と0.5回転になったときにトリガーしてループさせることができる。連続位相決定の一実装形態では、呼吸流量Qrのファジィ論理解析を用いて位相Φの連続値を決定する。この実装形態で決定される連続位相値は、一般に「ファジィ位相」と呼ばれる。ファジィ位相決定アルゴリズム4321の一実装形態では、呼吸流量Qrに以下の規則が適用される。
1.Qrがゼロで急激に増加した場合、Φは0回転とする。
2.Qrが大きく正で安定していれば、Φは0.25回転とする。
3.Qrがゼロで急速に低下していれば、Φは0.5回転とする。
4.Qrが大きく負で安定していれば、Φは0.75回転とする。
5.Qrがゼロで安定しており、呼吸流量の5秒ローパスフィルタリングされたQr絶対値が大きい場合、Φは0.9回転とする。
6.Qrが正であり、位相が呼気である場合、Φは0回転とする。
7.Qrが負であり、位相が吸気である場合、Φは0.5回転とする。
8.呼吸流量の5秒ローパスフィルタリングされたQr絶対値が大きい場合、Φは患者の呼吸速度に等しい定常速度で増加し、20秒の時定数でローパスフィルタリングされる。
【0164】
各規則の出力は、その規則の結果である位相と、その規則が真であることの曖昧さの程度である大きさとを有するベクトルとして表現することができる。呼吸流量は、「大」、「安定」等の曖昧具合である。適切なメンバーシップ関数によって決定される。規則の結果はベクトルとして表され、図心などのいくつかの関数によって結合される。この組み合わせでは、ルールの重みは等しくてもよく、異なっていてもよい。
【0165】
連続位相決定の別の実装形態では、位相Φは、先ず、前述したように、吸息時間Ti、及び呼息時間Teから、呼吸流量Qrに基づいて離散的に推定される。いずれの時刻の連続位相Φも、前回のトリガー時刻から経過した吸息時間Tiの割合の半分、又は前回のサイクル時刻から経過した呼息時間Teの割合の半分を0.5回転加算したものとすることができる(近い方の時刻)。
【0166】
波形決定
本発明の一形態では、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、患者の呼吸サイクル全体にわたってほぼ一定の治療圧力を提供する。
【0167】
本発明の他の形態では、療法制御モジュール4330は、圧力発生器4140を制御して、波形テンプレートΠ(Φ)に従って、患者の呼吸サイクルの位相Φの関数として変化する治療圧力Ptを提供する。
【0168】
本発明の一形態では、波形決定アルゴリズム4322は、療法パラメータ決定アルゴリズム4329によって使用される位相値Φのドメイン上の範囲[0,1]の値を有する波形テンプレートΠ(Φ)を提供する。
【0169】
一形態では、離散又は連続値の位相に適用され、波形テンプレートΠ(Φ)は、0.5回転未満の位相値に対して値が1であり、0.5回転以上の位相値に対して値が0である方形波テンプレートである。連続値位相に適した形態では、波形テンプレートΠ(Φ)は、2つの滑らかに湾曲した部分、すなわち、滑らかに湾曲した部分(例えば、立上りコサイン)の0から1への位相値は0.5回転まで上昇し、滑らかに湾曲した部分(たとえば0.5回転を超える位相値の場合は指数的に)は1から0へ減衰する。連続値位相に適した形態では、波形テンプレートΠ(Φ)は方形波に基づくが、位相値は0から0.5回転未満の「立ち上がり時間」まで滑らかに立ち上がり、0.5回転後の「立ち下がり時間」の間、位相値は1から0まで滑らかに立ち下がり、「立ち下がり時間」は0.5回転未満である。
【0170】
本発明のいくつかの形態では、波形決定アルゴリズム4322は、RPTデバイスの設定に従って、波形テンプレートライブラリから波形テンプレートΠ(Φ)を選択する。ライブラリ内の各波形テンプレートΠ(Φ)は、位相値Φに対する値Πのルックアップテーブルとして提供することができる。他の形態では、波形決定アルゴリズム4322は、波形テンプレートΠ(Φ)を「動的に」計算するために、所定の関数形式(1つ又は複数のパラメータ(例えば、指数曲線部分の時定数)によってパラメータ化されることがある)を使用する。機能的形態のパラメータは、予め定められたものであってもよいし、患者1000の現在の状態に依存していてもよい。
【0171】
本発明のいくつかの形態では、吸息(Φ=0回転)又は呼息(Φ=0.5回転)の離散的2値位相に適用され、波形決定アルゴリズム4322は、波形テンプレートΠ「動的」を、直近のトリガーの瞬間以降に測定された離散位相Φ、及び時間tの関数として計算する。このような形態の1つでは、波形決定アルゴリズム4322は、波形テンプレートΠ(Φ,t)を、次のように2つの部分(吸気及び呼気)として計算する。
【数1】
【0172】
ここで、Π(t)、及びΠ(t)は、波形テンプレートΠ(Φ,t)の呼気・吸気部である。一形態では、波形テンプレートの吸気部Π(t)は、立ち上がり時間によってパラメータ化された0から1への滑らかな立ち上がりであり、波形テンプレートの呼気部Π(t)は、立ち下がり時間によってパラメータ化された1から0への滑らかな立ち下がりである。
【0173】
4.2.1.1.2換気決定
本発明の一形態では、換気決定アルゴリズム4323は、呼吸流量Qrを入力として受け取り、現在の患者換気ventを示す測定値を決定する。
【0174】
いくつかの実装形態では、換気決定アルゴリズム4323は、実際の患者の換気量ventの推定値である換気量の測定値を決定する。そのような一実装形態では、呼吸流量Qrの絶対値の半分を取り、あるいは、0.11Hzのコーナー周波数を有する2次ベッセルローパスフィルタなどのローパスフィルタを介してフィルタリングする。
【0175】
他の実装形態では、換気決定アルゴリズム4323は、実際の患者換気に実質的に比例する換気ventの測定値を決定する。そのような一実装形態では、推定サイクル吸気区間のピーク呼吸流量Qpeakを実現する。このプログラム及び呼吸流量Qrのサンプリングを含む他の多くのプログラムは、流量波形の形状があまり変化しないことを前提として、換気量にほぼ比例した測定値を生成する(ここでは、時間的及び振幅的に正規化された呼吸の流量波形が類似している場合、両呼吸の形状は類似しているとみなされる)。単純な例としては、正の呼吸流量の中央値、呼吸流量の絶対値の中央値、流量の標準偏差がある。正の係数を用いた呼吸流量絶対値の任意の次数統計の任意の線形結合、さらには正の係数と負の係数の両方を用いたいくつかの結合も、換気量に近似的に比例する。他の例としては、吸気部の中間のK割合(時間)における呼吸流量の平均値であり、ここで、0<K<1である。流量形状が変化しない場合には、換気の完全さに比例する測定値が任意に複数存在する。
【0176】
4.2.1.1.3吸気流れ制限決定
本発明の一形態では、中央コントローラ4230は、吸気流れ制限の程度を決定するために吸気流れ制限決定アルゴリズム4324を実行する。
【0177】
一形態では、吸気流れ制限決定アルゴリズム4324は、入力として呼吸流量信号Qrを受け取り、出力として呼吸の吸気部分が吸気流れ制限を示す程度の尺度を提供する。
【0178】
本発明の一形態では、各呼吸の吸気部分はゼロクロス検出器によって識別される。各呼吸の吸気流量-時間曲線に沿って、各時点を代表する複数の等間隔の点(例えば65個)を補間器で補間する。次に、点で記述された曲線は、呼吸数や深さの変化の影響を排除するために、均一な長さ(持続時間/サイクル)と均一な面積になるようにスカラーでスケーリングされる。次に、スケーリングされた呼吸は、図6Aに示す呼吸の吸気部分と同様に、比較器において、正常な開呼吸を表す予め記憶されたテンプレートと比較される。このテンプレートからの吸気中にいつでも所定の閾値(通常は1スケーリング単位)を超えて逸脱した呼吸、例えば、咳、ため息、嚥下、げっぷに起因する(試験要素によって決定されたもの)呼吸は拒否される。拒否されていないデータについては、最初のいくつかの吸気イベントの最初のこのようなスケーリング点の移動平均値が中央コントローラ4230によって計算される。このような2番目の点では、これが同じ吸気イベントで繰り返され、以下のように続く。したがって、例えば、65個のスケーリングされたデータ点が中央コントローラ4230によって生成され、最初のいくつかの吸気イベント(例えば、3つのイベント)の移動平均を表す。連続的に更新される(例えば65個)点の値の移動平均値を以下「スケーリング流量」と呼び、Qs(t)と特定する。あるいは、移動平均値の代わりに単一の吸気イベントを用いてもよい。
【0179】
スケーリング流量から、部分閉塞の判定に関連する2つの形状因子を算出することができる。
【0180】
形状係数1は、全体(例えば65個)のスケーリング流量点の平均に対する、中間(例えば32個)のスケーリング流量点の平均の比率である。この比率が1を超えると呼吸は正常とみなされる。比率が1以下の場合、呼吸閉塞とみなされる。約1.17の比率は、部分的閉塞と無閉塞呼吸との間の閾値として用いられ、典型的な患者において十分な酸素化を維持することを可能にする閉塞の程度と等価である。
【0181】
形状係数2は、単位スケーリング流量からの2乗平均偏差として計算され、中間値(たとえば32)点を超えるものとする。約0.2単位の2乗平均偏差は正常とされている。2乗平均偏差がゼロであることは、完全に流量が制限された呼吸であると考えられる。2乗平均偏差がゼロに近づくほど、呼吸はより多くの流れ制限を受ける。
【0182】
形状係数1と2は、代替として使用することも、組み合わせて使用することもできる。本発明の他の形態では、サンプリング点、呼吸点、及び中間点の数は、上記と異なることができる。また、閾値は、説明された閾値とは異なるものであってもよい。
【0183】
無呼吸と低呼吸の決定
本発明の一形態では、中央コントローラ4230は、無呼吸/低呼吸決定アルゴリズム4325を実行し、無呼吸、及び/又は低呼吸の存在を決定する。
【0184】
一形態では、無呼吸/低呼吸決定アルゴリズム4325は、呼吸流量信号Qrを入力として受け取り、無呼吸又は低呼吸が検出されたことを示すフラグを出力として提供する。
【0185】
一形態では、呼吸流量Qrの関数が、所定の時間にわたって流量閾値を下回った場合に、無呼吸が検出されたといえる。この関数は、ピーク流量、相対的短期平均流量、又は相対的短期平均とピーク流量の中間値流量、例えば、RMS流量を求めることができる。流量閾値は、流量の比較的長期の尺度である場合がある。
【0186】
一態様では、呼吸流量Qrの関数が、所定の時間にわたって第2流量閾値を下回った場合、低呼吸が検出されたといえる。この関数は、ピーク流量、相対的短期平均流量、又は相対的短期平均とピーク流量の中間値流量、例えばRMS流量を決定することができる。第2流量閾値は、流量の比較的長期的な尺度であってもよい。第2流量閾値は、無呼吸を検出するための流量閾値よりも大きい
【0187】
4.2.1.1.4いびき決定
本発明の一形態では、中央コントローラ4230は、いびきの程度を決定するために1つ又は複数のいびき決定アルゴリズム4326を実行する。
【0188】
一形態では、いびき決定アルゴリズム4326は、呼吸流量信号Qrを入力として受け取り、いびきの存在の程度の尺度を出力として提供する。
【0189】
いびき決定アルゴリズム4326は、30~300Hzの範囲における流量信号の強度を決定するステップを含むことができる。さらに、いびき決定アルゴリズム4326は、呼吸流量信号Qrをフィルタリングして、背景雑音、例えば、ブロワからのシステム内の気流の音を低減するステップを含み得る。
【0190】
4.2.1.1.5気道開存性決定
本発明の一形態では、中央コントローラ4230は、気道開存の程度を決定するために、1つ又は複数の気道開存決定アルゴリズム4327を実行する。
【0191】
一形態では、気道開存性決定アルゴリズム4327は、呼吸流量信号Qrを入力として受け取り、約0.75Hz、及び約3Hzの周波数範囲における信号の電力を決定する。この周波数範囲内にピークが出現すると気道が開いていることを示す。ピークの欠損は気道閉鎖を示すものと考えられる。
【0192】
一形態では、ピークを求める周波数範囲は、治療圧力Ptにおける小さな強制振動の周波数である。一実施形態では、強制発振の周波数は2Hzであり、振幅は約1cmHOである。
【0193】
一形態では、気道開存性決定アルゴリズム4327は、呼吸流量信号Qrを入力として受け取り、心原性信号の有無を判定する。心原性信号の欠損は気道閉鎖の兆候と考えられる。
【0194】
目標換気決定
本発明の一形態では、中央コントローラ4230は、現在の換気の測定値ventを入力とし、換気測定の目標値Vtgtを決定するための1つ又は複数の目標換気決定アルゴリズム4328を実行する。
【0195】
本発明のいくつかの形態では、目標換気決定アルゴリズム4328は存在せず、目標値Vtgtは、例えば、RPTデバイス4000の構成中にハードコードすることによって、又は入力デバイス4220を介して手動入力することによって予め定められる。
【0196】
適応サーボ換気(ASV)のような本発明の他の形態では、目標換気決定アルゴリズム4328は、患者の典型的な最近の換気を示す値Vtypから目標値Vtgtを計算する。
【0197】
いくつかの形態の適応サーボ換気において、目標換気Vtgtは、典型的な最近の換気Vtypの高い割合として計算されるが、それよりも小さい。この形態の高い割合は、(80%、100%)又は(85%、95%)又は(87%、92%)の範囲内であってもよい。
【0198】
他の形態の適応サーボ換気では、目標換気Vtgtは、典型的な最近の換気Vtypよりもわずかに大きい単位倍数として計算される。
【0199】
典型的な最近の換気Vtypは、ある所定の時間スケールにおける複数の時間的瞬間における現在の換気ventの分布が集合する傾向にある値、すなわち、最近の過去における現在の換気の集中傾向の尺度である。目標換気決定アルゴリズム4328の実装形態では、最近の履歴は数分のオーダーであるが、いずれの場合もCheyne-Stokesの上弦と下弦のサイクルの時間スケールよりも長くなければならない。目標換気決定アルゴリズム4328は、現在の換気の測定ventから典型的な最近の換気Vtypを決定するために、様々な公知の集中傾向測定のいずれかを使用することができる。このような測定の1つは、現在の換気vent測定に対するローパスフィルタの出力であり、時定数は100秒に等しい。
【0200】
療法パラメータの決定
本発明のいくつかの形態では、中央コントローラ4230は、1つ又は複数の療法パラメータ決定アルゴリズム4329を実行して、療法エンジンモジュール4320内の1つ又は複数の他のアルゴリズムによって返された値を用いて1つ又は複数の療法パラメータを決定する。
【0201】
本発明の一形態では、療法パラメータは、瞬間的な治療圧力Ptである。この形態の一実装形態では、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、式を用いて治療圧力Ptを決定する。
【数2】
【0202】
ここで、Aは振幅であり、Π(Φ,t)は、位相の現在値Φ、及び時刻tにおける波形テンプレート値(0~1の範囲)であり、Pは、ベース圧力である。
【0203】
波形決定アルゴリズム4322が、位相Φによってインデックスされた値Φのルックアップテーブルとして波形テンプレートΠ(Φ,t)を提供する場合、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、位相決定アルゴリズム4321によって返された位相の現在の値Φに最も近いルックアップテーブルエントリを位置付けるか、位相の現在の値Φを横切る2つのエントリ間を補間することによって式(1)を適用する。
【0204】
選択された呼吸圧療法モードに応じて、療法パラメータ決定アルゴリズム4329により、振幅A、及びベース圧力Pの値を以下のように設定することができる。
【0205】
療法制御モジュール
本発明の一態様による療法制御モジュール4330は、療法エンジンモジュール4320の療法パラメータ決定アルゴリズム4329から療法パラメータを入力として受信し、療法パラメータに従って空気流れを送達するように圧力発生器4140を制御する。
【0206】
本発明の一形態では、療法パラメータは、治療圧力Ptであり、療法制御モジュール4330は、患者インターフェース3000におけるインターフェース圧力Pmが治療圧力Ptと等しい空気流れを送達するように圧力発生器4140を制御する。
【0207】
障害状態検出
本発明の一形態では、中央コントローラ4230は、障害状態を検出するための1つ又は複数の方法4340を実行する。1つ又は複数の方法4340によって検出された障害状態は、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・電源オフ(電源オフ又は電源オフが不十分)
・センサ故障検出
・部品の存在を検出できないこと
・作業パラメータが推奨範囲を超えていること(例えば、圧力、流量、温度、PaO
・テストアラームは検出可能なアラーム信号を生成できないこと
【0208】
障害状態が検出されると、対応するアルゴリズム4340は、以下の1つ又は複数の信号によって障害の存在を通知する。
・音声、視覚、及び/又は動的(振動など)アラームの開始
・外部デバイスへのメッセージの送信
・イベントロギング
【0209】
空気回路
本発明の一態様による空気回路4170は、使用時において空気流れが2つのコンポーネント(例えば、RPTデバイス4000、及び患者インターフェース3000)間に移動することを可能にするように、構築かつ配置された導管又はチューブである。
【0210】
特に、空気回路4170は、空気圧ブロック4020の出口、及び患者インターフェースと流体連通し得る。空気回路は、空気送達チューブと呼ばれ得る。場合によっては、回路に吸息及び呼息用の別々の枝があり得る。他の場合においては、単一の枝が用いられる。
【0211】
いくつかの形態では、空気回路4170は、空気回路内の空気を加熱するように、例えば空気の温度を維持するか上昇させるように構成された1つ又は複数の加熱要素を含み得る。加熱要素は、加熱式ワイヤ回路の形態をとり得、1つ又は複数のトランスデューサ、例えば温度センサを含み得る。一形態では、加熱式ワイヤ回路は、空気回路4170の軸の周りに螺旋状に巻かれてもよい。加熱要素は、コントローラ、例えば中央コントローラ4230と通信し得る。加熱ワイヤ回路を含む空気回路4170の一例は、米国特許出願第8,733,349号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0212】
4.2.2バルブアセンブリ
本発明の一形態では、空気陽圧(PAP)療法システムの空気回路4170(図1A~1C)又は患者インターフェース3000(図1A~1C)は、バルブアセンブリ6000(図8)を含んでもよい。バルブアセンブリ6000は、組み合わせられた一方向吸気バルブ-呼気放出バルブアセンブリとして構成されてもよい。
【0213】
バルブアセンブリ6000は、通常、患者インターフェース3000の可能な限り近くに配置されるべきである。バルブアセンブリ6000が患者インターフェース3000から遠すぎる場合、より大きなデッドスペースが生じ、マスク空間内に許容できないレベルのCO2が蓄積されることを引き起こす可能性がある。したがって、バルブアセンブリ6000は、患者インターフェース3000内若しくはその上に、あるいは空気回路4170内/上に配置されてもよいが、患者インターフェース3000の近くに配置されてもよい。バルブアセンブリ6000は、ハウジング6010と圧力作動バルブ部材6020とを含んでもよい。
【0214】
バルブアセンブリ6000は、
・入口6030(RPTポートとも呼ばれる)と、
・出口6040(いくつかの実施形態では、患者インターフェース上に位置することができ、したがって、患者インターフェースポートとも呼ばれる)と、
・換気部6050(周囲ポートとも呼ばれる)と、を含む。
【0215】
一形態では、圧力作動バルブ部材6020は、患者の気道に加圧された気流(吸気中のみ又は主に吸気中)を提供することができる一方向吸気バルブ又は吸気バルブと、周囲雰囲気への換気流れ(排気中のみ又は主に呼気中)を制御する呼気放出バルブとを組み合わせた二重の機能を有する。これにより、組み合わせバルブは、RPTデバイス4000からマスク3000の患者側への気流と、マスク3000の内部から周囲雰囲気への気流とを効果的に制御することができる。特に、組み合わせバルブ6000は、2つの主要な状態で動作するように構築及び配置されてもよい。
i.第1状態では、RPTポート6030と患者インターフェースポート6040との間を空気が通過するとともに、周囲への流路(例えば、換気部6050)が閉じられている。そして、
ii.第2状態では、RPTポートが閉じられている(例えば、RPTポート6030への空気の流れが遮断されている)一方、患者インターフェースポート6040から周囲ポート6050に空気が流れ、そこから周囲ポート6050に空気が流れる。
【0216】
一形態では、バルブアセンブリ6000は、例えば図9及び図10に示すように、シリコーン樹脂材料から作られ、実質的に円形の輪郭を有するダイヤフラム6060のようなバルブ部材を含む。他の例において、ダイヤフラム6060は、例えば図11及び図12に示されるように、卵形、楕円形、又はスタジアムの形状の輪郭のような細長い形状を有してもよい。いくつかの例において、患者インターフェースポート6040(又は少なくともそのポートへの入口)の断面形状は、ダイヤフラム6060の形状と実質的に同じであってもよく、例えば、実質的に円形のダイヤフラム6060を有する例において、患者インターフェースポート6040への入口は実質的に円形であってもよく、実質的に楕円形のダイヤフラム6060を有する例において、患者インターフェースポート6040への入口は実質的に楕円形であってもよい。
【0217】
次に図11及び図12を参照すると、ダイヤフラム6060の外周6070には、ダイヤフラム6060をハウジング6010内に位置決めして保持するように構成された保持フランジ機構6080がある。ダイヤフラム6060の中心には、カモノハシバルブとして構成された一方向バルブ6090が設けられている。図16を参照すると、バルブ6090は、ダイヤフラム6060を介してRPTポート6030から患者インターフェースポート6040までの一方向のみに空気を通過させる。
【0218】
図10を参照すると、ダイヤフラム6060は、保持フランジ6080とカモノハシバルブ6090との間に膜部分6100を有する。保持フランジ6080は、アセンブリに固定されるダイヤフラム6060の唯一の部分であってもよく、膜部分6100がいずれかの側に作用する圧力差に応答して移動することを可能にする。これらは一部として形成されてもよいが、カモノハシバルブ6090と膜部分6100とは互いに独立して動作してもよい。カモノハシバルブ6090は、RPTデバイス4000(又はブロワ、図8の入口6030を参照)から患者インターフェース3000(又はマスク、図8の出口6040を参照)への気流を制御し、膜部分6100は、患者インターフェース3000(又はマスク)から換気部6050を通る空気流れを制御する。ダイヤフラム6060は動的コンポーネントであり、ユーザの呼吸を含むあらゆるかなりの圧力変化に反応する。
【0219】
ダイヤフラム6060の例示的な特性としては、材料の好みには、シリコーンが、ショア硬度には、30~60ショア(A)が、製造プロセスには、LSR又はCMSRが挙げられる。
【0220】
4.2.2.1カモノハシバルブ
一形態では、ダイヤフラム6060は、膜部分6100の中央にカモノハシバルブ6090を有する。カモノハシバルブは、空気がダイヤフラム6060を一方向にのみ通過することを可能にする一方向バルブである。カモノハシバルブ6090の両側の圧力差によって、バルブが開いているか閉じているかが決まる。カモノハシバルブ6090の材料、寸法、及び形状は、膜を通る流量、及びインピーダンスに影響を与える。
【0221】
図9図12は、閉構成にあるカモノハシバルブ6090の例を示す。
【0222】
図13及び図24は、開構成にあるカモノハシバルブ6090の例を示す。
【0223】
バルブアセンブリ
次に図8図14、及び図15を参照すると、保持フランジ6080は、2つのハウジング部分6012、6014の間にダイヤフラム6060を位置決めする。保持フランジ6080は、ハウジング6010の上流部分6012と下流部分6014との間、例えば、RPTデバイス(又はブロア)とマスク空気経路との間、及びRPTデバイスと周囲ポートとの間のシールとしても機能してもよい。一体化されると、保持フランジ6080は、アセンブリに固定されるダイヤフラム6060の唯一の部分であってもよく、これにより、膜部分6100が上流側と下流側の圧力差に応答して移動することを可能にする。
【0224】
一形態では、本発明は、患者インターフェース3000に直接又は間接的に(すなわち、導管4170への接続を介して)接続された圧力センサ6110(図16参照)を含む。コントローラ(例えば、療法デバイスコントローラ4240)は、患者インターフェース3000内の圧力を監視し(圧力センサ6110によって測定される)、圧力発生器4140を制御して、発生した空気供給の流量を調整する。
【0225】
ダイヤフラム6060の保持フランジ6080は、1つのハウジング部分(例えば、第1プラスチックコンポーネント)に設けられた凹部6120内に位置してもよい。この特徴により、ダイヤフラム6060がハウジング6010内に正確に配置され、望ましくない横方向の動きを確実に止めることができる。
【0226】
組み立てられると、ダイヤフラム6060の保持フランジ6080は、図8に示すように、2つのハウジング部分6012、6014の間に締まりシールを形成することができる。
【0227】
次に図15~17を参照すると、ダイヤフラム膜6100の中間部分6102は、内側カモノハシバルブ部分6090よりもわずかに外側及び/又は周囲にあり、(例えば上流方向に内側に延在することができる)環状リブ6130と(例えば、上流-下流方向に実質的に垂直に)相互作用すること(例えば、患者インターフェースポート6040から換気部へのアクセス)によって、患者インターフェースポート6040から換気部へのアクセスを効果的に制御する。ダイヤフラム膜6100の部分6102と環状リブ6130との間の接触は、ハウジングの下流(マスク側)空間から周囲への出口流路を制御する。
【0228】
次に図18及び図19を参照すると、ダイヤフラム膜6100とリブ6130(出口流路入口)との間のギャップは、患者インターフェース3000から換気部6050への流路の一部を画定し、それによって換気流れを制御する。いくつかの構成では、換気部6050は、1つの換気開口部を含み、他の構成では、複数の換気開口部6052を含む。換気開口部(複数可)6052は、ダイヤフラム膜6100とリブ6130との間の予想される最大クリアランスギャップによって画定される面積よりも大きく、かつ開放された結合面積を有してもよい。このため、外側換気開口部6052は、クリアランスギャップのサイズよりも換気部6050を通る流量に与える影響が小さい可能性がある。諸例において、換気部を通る流量は、常に、ダイヤフラム膜6100とリブ6130との間のクリアランスギャップのサイズの関数のみである。
【0229】
4.2.2.2バルブアセンブリ-吸気
次に、図16及び図17を参照すると、本発明の特定の形態では、患者インターフェースの圧力は、吸気時に、ユーザの横隔膜の収縮(下方への移動)によって生じる体積の増加によって低下する。圧力センサ6110は、この変化を記録し、所定の圧力を達成するために、及び/又は、設定された圧力を維持するために、より多くの気流を提供するように、RPTデバイスに信号を送ってもよい。RPTデバイスの気流により、バルブアセンブリ6000のRPTデバイスの圧力(P1)が増加する。この圧力(P1)は、患者インターフェース圧力(P2)よりも高く、膜の抵抗(膜の弾性的性質により引き起こされ、膜の構造的構成、及び膜材料の弾性的性質により規定される)が克服され、患者インターフェースポートリブ6130に接触するまで、ダイヤフラム膜6100を患者インターフェースポートリブ6130に向かって移動させる。これにより、呼気バルブが少なくとも部分的に閉じられ、バルブ換気部を通って周囲雰囲気への流れが減少又は阻止される。特定の膜の設計及び/又は材料は、特定の目標(所定の)圧力差の下でバルブを閉じることがある。膜の抵抗力が無視できる場合、上流の圧力が下流の圧力よりも高くなると、バルブは閉弁すると言える。後でより詳細に説明するように、圧力差は、カモノハシバルブ6090を開いて、患者インターフェース3000への空気流れを可能にすることもある。この気流は、所望の治療圧力に達するまで患者インターフェース圧力(P2)を増加させる。
【0230】
吸気中にダイヤフラム膜6100が、この閉じた(又は少なくとも部分的に閉じた)位置に保持されることは、換気部6050を通る空気流れ及び潜在的に関連する圧力降下の両方を減少させる。その結果、必要なマスク圧力P2を維持するためにRPTデバイスはそれほどハードに動作する必要がなくなる。したがって、吸気中の気流/圧力損失のこのような減少は、ブロワ及びRPTデバイスの全体的な効率を向上させる。
【0231】
4.2.2.2.1カモノハシバルブ-吸気
前述したように、吸気時のRPTデバイス圧力は患者インターフェース圧力よりも高く、カモノハシバルブ6090は開き、患者インターフェース3000への空気流れを可能にする。この気流は、所望のCPAP圧力に達するまで患者インターフェース圧力を増加させる。
【0232】
カモノハシバルブ6090は、RPTデバイス圧力(バルブの上流)が患者インターフェース圧力(バルブの下流)を超えるたびに開くことができる。場合によっては、上流圧力が下流圧力を所定量以上上回った場合にのみバルブが開くように構成することができ、所定量がゼロに非常に近くなり得る場合もあるので、RPTデバイス圧力が患者インターフェース圧力よりも高い場合には、カモノハシバルブ6090がほぼ直ちに再び開くように構成されてもよい。カモノハシバルブが所定の圧力差で開くように設計されている場合、バルブが開く所定の圧力差は、2つのリップ6150を分離するために克服しなければならない抵抗力と関連付けることができる。この抵抗力は、バルブの機械的設計、寸法、及び製造材料に関係している可能性がある。これらを変更すると、特定の目標(所定)圧力差でバルブが開く可能性がある。これらの抵抗力が無視できる場合、上流圧力が下流圧力より高くなり始めるとバルブが開くと言える。
【0233】
4.2.2.3バルブアセンブリ-呼気
次に図18及び図19を参照すると、本発明のいくつかの形態では、呼気時にユーザの横隔膜が緩んでいる(上に移動している)ことによって生じる容積が減少し、患者インターフェース圧力が増加する。圧力センサ6110は、この変化を記録し、気流を減少又は停止させるようにRPTデバイス4000に信号を送ってもよい。その結果、患者インターフェース圧力は、バルブアセンブリ6000のRPTデバイスの圧力よりも高くなり、特に図19に示すように、ダイヤフラム膜6100が患者インターフェースポートリブ6130から離れて大気中に(すなわち、換気部6050を介して)空気流路に導入される。また、カモノハシバルブ6090が閉じ、RPTデバイスに逆流が戻らないことを確認する。患者インターフェース3000内の圧力は、ユーザの呼気の進行に伴って低下し、気流が大気中に放出される。圧力センサ6110は、この圧力降下を監視し、いくつかの例において、患者インターフェース圧力が所定の圧力又は設定されたCPAP圧力以下に低下するまで、RPTデバイスの気流は遮断されたままである。
【0234】
いくつかの例において、RPTデバイス4000は、患者インターフェース圧力が所定の圧力又は設定されたCPAP圧力よりも高いときであっても、呼気段階でいくつかの流れを提供する。この流れは、比較的低い流量であってもよく、停滞しているCO2の同伴を助けることができ、したがって、患者インターフェース3000からのCO2洗い流しを改善することができる。
【0235】
諸例において、患者インターフェースポートリブ6130からバルブ膜を遠ざける(例えば、換気を開始する)ために必要な圧力差はゼロに近く、それにより、患者インターフェース圧力がRPTデバイス圧力よりも高くなるとほぼ直ちに換気が開始される。
【0236】
換気開口部6052自体は、典型的には、換気流量がダイヤフラム膜6100とリブ6130の間のクリアランスキャップによって制御されるため、換気部6050を通る流量にほとんど又は全く影響を及ぼさないようなサイズである(換気開口部6052の総面積は、流量にほとんど又は全く影響を及ぼさないように、ダイヤフラム膜6100とリブ6130との間の流れの面積よりも十分に大きい)。換気開口部6052を取り囲む構造は、ダイヤフラム6060を保護し、ダイヤフラム6060を異物から保護するために設けられている。
【0237】
4.2.2.3.1カモノハシバルブ-呼気
本発明の特定の形態では、患者インターフェース圧力がRPTデバイス圧力よりも高い場合、カモノハシバルブ6090が閉じられる。したがって、諸例において、呼気中にRPTデバイスに到達するユーザ気流は存在しない。
【0238】
場合によっては、図20に示す例のように、バルブ(すなわち、カモノハシバルブ6090)は、呼気の段階であっても一部のRPT流れが患者インターフェース3000に到達することを可能にするために、閉じたときに完全なシールを回避するように構成されてもよい。この流れは比較的低い流量であってもよく、停滞しているCO2の同伴を助けることができ、したがって、患者インターフェース3000からのCO2の洗い流しを改善することができる。
【0239】
4.2.2.4ダイヤフラム膜
次に、図10及び図17を参照すると、一形態では、ダイヤフラム6060は、カモノハシバルブ6090に接続された膜部分6100を有する。カモノハシバルブ6090の基部又はその近傍には、患者インターフェースポートリブ6130と干渉するセクション、例えば、膜6100の小さな平坦なセクション(部分とも呼ばれる)6102が存在する。一形態では、膜部分6100は、両側に作用する圧力差に応答して上方又は下方に移動してもよい。リブ6130に向かう、又はリブ6130から遠ざかる膜の動きは、外径又はカモノハシバルブ6090の形状又は性能に重大な影響を及ぼさない。
【0240】
諸例において、ダイヤフラム6060は、保持フランジ6080から膜部分6100の外周に延びる第1壁6140を有してもよい。円形のダイヤフラムを有する例において、第1壁6140は、実質的に円筒形又は円錐形(傾斜)であってもよい。ダイヤフラムが実質的に楕円形である例において、第1壁は楕円柱であってもよい。
【0241】
諸例において、第1壁6140は、第1壁6140から延びる膜部分6100の縁が、保持フランジ6080又は患者インタフェースポート(例えば、リブ6130)の入口から下流方向にオフセットするように、保持フランジ6080から下流方向に延びている。これは必ずしもそうである必要はなく、膜部分6100は、保持フランジ6080又はリブ6130のいずれかと同一平面上にあるか、又はいずれか一方から上流に延びていてもよい。
【0242】
ダイヤフラム6060を図示のように形成することにより、圧力変化に応答して移動するダイヤフラム6060の能力が増加する。図18図21に示すように、下流圧力が上流圧力よりも高い場合、ダイヤフラム6060がリブ6130から離れて移動すると、第1壁6140は保持フランジ6080を中心として6140a(図21)に示す位置に枢動される。このような移動は、ダイヤフラム6060が実質的に平面である場合のように、ダイヤフラム材料が伸びることを必要とせずに、ダイヤフラム6060を患者インターフェースポート6040から遠ざけることを可能にする。加えて、カモノハシバルブ6090の基部は、患者の呼息中に、閉じるか、又は少なくとも実質的に幅を減少させることができ、それによって、部分6102と患者インターフェースポートの環状リブ6130との間のギャップを増加させ、増加させた空気が換気部6050に流れることを可能にし、したがって、呼気に必要な労力を減少させる。
【0243】
図示された構造のもう1つの利点は、膜がその2つの機能を実質的に独立して果たす能力に関連する可能性がある。特に、これら2つの機能の分離は、保持フランジ6080及び/又は部分6102の周りを部分的に枢動する膜の能力によって容易にすることができる。この枢動は、カモノハシの形をした膜の中央の部分の動作を、膜の外側のより周辺部分(6102、6140)のバルブのような機能から実質的に分離した、RPTデバイスによって生成される気流の逆方向バルブとして実質的に機能させることができる。
【0244】
諸例において、第1壁6140は、ダイヤフラム6060の残りの部分(保持フランジ6080を除く)の厚さと実質的に同じであってもよい。諸例において、ダイヤフラムは、できるだけ薄くて軽いように構成されている。あるいは、膜の一部(例えば、6140及び/又は6102)を、膜の残りの部分よりも薄くすることができ、例えば、膜の様々な部分の間の潜在的な分離を改善することができる。
【0245】
バルブアセンブリ-呼吸サイクル
本発明の特定の形態では、ダイヤフラムは、上記の段落で説明された圧力差によって駆動されて、ユーザの呼吸サイクル中に吸気位置と呼気位置との間で動的に移動する(図22の簡略化された呼吸曲線図を参照)。その機能は周囲雰囲気への空気流路を促進することであるので、上記バルブアセンブリは呼気作動弁(EAV)と呼ばれることができる。しかし、前述したように、このアセンブリの機能のもう1つの重要な部分は、RPTデバイスによって生成された気流が吸気中のみ(又はほとんど)マスクに到達し、呼気中は制限又は完全に停止することを可能にする一方向バルブとして機能することである。したがって、アセンブリの機能は呼吸サイクルのすべての段階に常に反応するので、呼気段階に限定されるものではなく、本明細書の簡略化された例示的な図は、極端な状況のみ/主に極端な状況を説明している。
【0246】
4.2.2.5バルブアセンブリ-換気流れ
本明細書の前のセクションで強調されているように、本発明の特定の形態では、バルブアセンブリ6000は、呼気時にのみ大気中に放出される。そのため、換気流れ曲線は、従来のシステムの一定流量特性に従わず、「オン-オフ」曲線の形状に従ったものになる可能性がある。図23は、従来のシステムと比較した場合に、バルブアセンブリ6000の換気流れがどのように見えるかの例を示す。このような例において、バルブアセンブリ6000システム内で発生する可能性のある換気流れのほとんど又は全部は、ユーザの努力によって動力が供給される。換気部への流路は、一部の時間だけ開放されるので、圧力/流量の全体的な損失と、流量の損失に伴う湿気の損失が減少する。これにより、従来のCPAPと比較して、ブロワ及び加湿システムに対する全体的な需要が低減され、電気効率及びブロワの効率が向上する。このような効率の向上により、加湿器に使用されるより小型のブロワ及び/又はヒータプレートを使用することができる。これは、特に電池を用いて動作するポータブルデバイスに特に有益である。
【0247】
あるいは、バルブ部材6020は、空気流れの循環及び安全なCO2レベルを維持するために、吸気中に周囲雰囲気への限られた換気流れを維持するように構成されてもよい。
【0248】
上述のバルブアセンブリがPAPシステムにうまく実装されるためには、満たさなければならない特定の要件がある。本発明のいくつかの形態によれば、バルブアセンブリ6000は、呼息中に空気回路4170へのアクセスを閉じる。空気回路のこの内部容積へのアクセスがない場合、本構成における呼気気流のほとんど又はすべては、バルブアセンブリ6000を通って換気部6050を介して大気中に排出されなければならない。呼気時などの圧力上昇(変動)のリスクを低減するために、バルブアセンブリ6000の換気部6050及び換気開口部6052は、大気中に放出される空気流れのインピーダンスを低減するために、高流量を許容するように構成される必要がある場合がある。
【0249】
例えば図19に示す本発明の例において、呼気段階の間、換気部6050への流路が開放されている。これは、膜6100と患者インターフェースポートリブ6130との間にギャップを生じさせる呼気圧力によって促進される。この構成は、患者インターフェース圧力の増加に伴ってギャップを増加させる可能性があるため、少なくとも部分的に自己調整され、それによって、患者インターフェース圧力の増加に伴って流動インピーダンスを徐々に減少させることができる。リブ6130から離れた膜によって生じる開口部のサイズは、平衡状態から離れる膜の撓みに抵抗する膜の弾性特性によって生じる抵抗力によって制限される。この調整メカニズムにより、患者は呼息中にインピーダンスの低下に直面し、一般に呼吸努力が大きくなるほど、呼吸インピーダンスの低下も大きくなる。これにより、呼息中の換気流路の開放により、患者が呼息を吐きやすくなり、呼息中の圧力変動(患者インタフェース圧力の変化)が低減される。対照的に、固定された換気エリアを有する従来技術の患者インターフェースは、ピーク呼気流量の間に増加した患者インターフェース圧力を受ける可能性がある。したがって、このバルブアセンブリは、PAPシステムと共に使用された場合に、いくつかの実質的な利益をもたらすことができる。このようなシステムのユーザは眠っていることが多く、突然の圧力変動によってユーザが目を覚ます可能性があるという事実を考慮すると、これはさらに重要である。環境雰囲気への空気流路のサイズを動的に調整することにより、これらの圧力変動を低減する自己調整システムは、そのようなエピソードを回避するのに役立つ可能性があり、これによりユーザの快適性が向上し、処方された治療のコンプライアンスが向上する可能性がある。
【0250】
本発明の例において、患者インターフェース3000(及び/又はバルブ)は、例えば、膜が患者インターフェースポートリブ6130に対して閉じられているときなど、吸気段階の間に、わずかな換気流れ(例えば0.1L/s)を許容するように構成されてもよい。この換気流れは、従来技術の患者インターフェースの換気流れよりもはるかに小さくてもよい(例えば約10%)。このように換気流れが少ないと、ブロワと加湿システムへの電力要件を削減しながら、CO2の排出を支援する可能性がある。
【0251】
バルブの構造及び機能は図24に最もよく示されており、本発明の一形態によるカモノハシバルブ6090を通る流れのシミュレーションも示されている。図24からわかるように、2つのリップ6150の端部6160は互いに接続されており、カモノハシバルブ6090が開いたときにリップ6150は平行ではなく、むしろ、魚嚢型又はレンズ型の形状の開口部6170を形成する。
【0252】
次に図34及び35を参照すると、いくつかの例において、下流ハウジング部分6014は、呼気中に、患者インターフェースポート6040(例えば、リブ6130)の入口から1つ又は複数の対応する周囲ポート/出口6050へ呼息流れを導く1つ又は複数の流れガイド部分6180を備えてもよい。
【0253】
諸例において、複数の流れガイド部分が存在し、各流れガイド部分はランプ部分6190を含む。諸例において、各ランプ部分6190は、(呼息中に)マスクポート6040から気流が離れてそれぞれのポート6050の開口部の下縁に向かうように、縁部6130のレベルからわずかに下方に傾斜している。
【0254】
流れガイド部分6180は、チャネルを形成するように、ランプ部分6190のいずれかの側に側壁部分6200を含んでもよい。いくつかの例において、各側壁部分6200の上縁6210は、水平であってもよく、又はそれぞれの周囲ポート6050の上面のレベルからリブ6130のほぼレベルまで水平に傾斜していてもよい。傾斜は上向きでも下向きでもよい。この配置は、側壁部分6200がダイヤフラム6060の閉鎖を妨げないようなものである。
【0255】
流れガイド部分6180は、呼気ガスの突然の膨張を回避する、又は少なくともその大きさを低減することによって、周囲ポート6050への流れの乱流(例えば、呼気中)を低減するのに役立ち得る。逆に、ガスは、流れガイド表面の近傍を伝播してもよい。
【0256】
対照的に、図17図21及び図1に示した例の下流ハウジング部分6014の配置は、以下の通りである。呼気中に、リブ6130と膜部分6102との間の比較的狭いギャップを通過した気流は、鋭利なエッジの周りを流れ、急に方向転換し、突然比較的大きなチャンバー6220に急激に膨張する必要がある場合があり(図36参照)、したがって乱流になる可能性がある。
【0257】
リブ6130と周囲ポート6050との間の乱流により、膜6100に振動を生じさせ、リブ6130と膜セクション6102との間のクリアランスの変動が生じ、ひいてはベント流の変動が引き起こされる可能性がある。振動は可聴効果を伴う場合もあり、ユーザにとって不快な場合がある。対照的に、図34及び図35の実施形態の流れガイド6180を有する配置によって生成されるより滑らかな換気流れは、より滑らかで、より安定し、より静かであり得る。この流れは層流にも近く、本明細書で説明したモデル及び方法に基づいて層流をより正確に推定することができる。
【0258】
4.2.4騒音の低減
ユーザの呼吸サイクル中に上記のバルブの構成が常に動的に再調整されるため、膜は膜弁によく見られるフラップ状(又は衝撃のような)騒音を発生する可能性がある。この騒音はユーザにとって不快であり、処方療法中のユーザの睡眠を妨げる可能性がある。
【0259】
諸例において、バルブ部材6020がシリコーン樹脂又はシリコーンゴムのような比較的柔らかい材料で作られている場合、このような騒音を低減することができる。代替の軟質材料を使用することもできる。従って、バルブ部材6020をシリコーン樹脂又はシリコーンゴムで製造することにより、他の利点の中でも特に、バルブのカモノハシ部分6090が閉じるときに生じる騒音を低減することができる。バルブ部材6020が他の材料(特に硬い材料)から製造されると、バルブが閉じているときにカモノハシバルブ6090の2つの対向する部分が接触するたびに、また部分6102がリブ6130に接触するたびに、パタパタ(ドスンという)騒音が発生する可能性がある。
【0260】
楕円形又はスタジアムの形状のバルブ(例えば図11及び図12に示す)及び対応する形状のカモノハシバルブ6090のような細長い形のバルブ部材6020を使用することにより、円形又は円盤形のバルブと比較して、騒音の発生を低減することもできる。細長い形状のため、カモノハシバルブ6090の対向する2つのリップ6150が「カモノハシ」の長さを横切る方向に少し動くだけでも、全体として大きな開口部が形成される。これにより、開位置と閉位置との間を移動する際に、所定の流れエリアを生成するために部品6150が移動する必要がある距離が減少する。部品6150がその移動中に達成する最大速度も低下する。距離及び速度を短縮することにより、移動に伴う全体的な騒音が減少する可能性がある。
【0261】
図11及び図12で最もよく分かるように、諸例において、カモノハシバルブ6090の基部は、ダイヤフラム6060の長軸に実質的に平行な長さ寸法Lと、ダイヤフラム6090の短軸に実質的に平行な幅寸法Wとを有してもよい(短軸及び長軸は互いに直交する)。バルブの長さを大きくすることによる騒音低減効果を実現するために、長さLを幅Wよりも大きくてもよい。諸例において、L:Wの比は少なくとも1.5:1、例えば約2:1であってもよい。諸例において、ダイヤフラム6090の長軸の長さとダイヤフラム6090の短軸の長さとの比は、少なくとも4:3である。
【0262】
振動板の共振を低減するために取られる対策(たとえば、以下に説明するような)によっても、ノイズが低減される可能性がある。
【0263】
4.2.5共振低減
諸例において、前段落で論じたように、バルブ膜6100を通過する圧力差の周期的な変化(例えば、ブロア流量の調整による変化を含む)は、バルブ膜6100を、その構造及び構成に関連する主要な共振周波数で振動させることができる。これにより、望ましくない騒音が発生したり、ダイヤフラムの動作に影響を与えたりする可能性がある。
【0264】
デバイスの通常の動作中に共振が発生する可能性を減らすために、バルブ部材6020は、1つ又は複数の他の部分又は領域とは異なる厚さを有する1つ又は複数の部分又は領域で形成されてもよい。これにより、各部分は異なる共振周波数を有する可能性があり、膜全体に対して単一の主要な共振周波数は存在しない。諸例において、共振応答がシステムの予想される動作条件から外れた条件下でのみ発生する可能性がある配置がターゲットになっている(例えば最大圧力20cmHOまでの使用を目的としたシステムでは、システムが24cmHOの圧力で使用された場合に共振応答が予想されるようにシステムを構成できる)。
【0265】
場合によっては、共振応答の変化は、膜6100の形状又は構造(例えば、厚さの異なるエリア)を、対称軸を持たない、単一の対称軸しか持たない、又は2つの対称軸を超えないような配置に変更することによって変化させ得る。上記のいずれの構成も、膜の共振挙動を変化させ、膜の共振に関連する全体的な雑音を低減することができる。
【0266】
一例において、膜6100は、1つ又は複数の異なる材料特性又は特性によって特徴付けられる1つ又は複数のエリア又はセクションを含んでもよい。一例は、膜の他のエリア(複数可)よりも速く加速、及び減速する(従って開閉する)ことができる、可変(例えば減少した)厚さであってもよい。膜6100の共振応答を変化させる手段として、厚さが低減された2次元の(例えば比較的広い)エリアを提供する代わりに、膜6100は、1つ又は複数の物理的特徴(例えば、溝及び/又は切り込みとも呼ばれる、厚さを薄くした1つ又は複数の実質的に一次元の線と言う)を有してもよい。異なる厚さの異なるこのようなエリア若しくは1つ又は複数の溝は、他の部分に対して少なくとも部分的に独立して移動可能な膜の1つ又は複数の部分を画定し得る。これらの部分の一部は、他の部分よりも容易に開閉したり、他の部分に比べてフラップの開閉に早い段階や遅い段階で関与したりすることができる。これはまた、これらの部分のうちの1つ又は複数が、他の部分と比較して異なる時間又は異なる周波数で共振し、膜6100が単一の本体ではなく単一の周波数で共振するより複雑な共振挙動をもたらすことを意味し得る。これにより、膜の共振運動に伴う全体的な騒音を低減することができる。別の配置では、溝の代わりに、1つ又は複数の補強リブを膜の表面上又は膜の本体内に導入することができる。また、リブは膜を分割し、非対称構造を作成し、膜の共振動作を変更して、全体的なノイズを低減する可能性がある。
【0267】
実例として、図25は、カモノハシバルブを備えていないが、異なる厚さの例示的な部分を有する他の形態のバルブ部材の例を示しており、この場合、膜6100の本体と比較して、厚さは減少しているが、増加することもできるエリア6490を示している。図25には示されていないが、2つ以上の異なる厚さの組み合わせも可能であり、例えば、1つ又は複数の領域の厚さが減少したり、1つ又は複数の領域が増加したりすることも可能である。同様に、異なる厚さのエリアがカモノハシ配置に関連して導入されてもよい。
【0268】
次に図37を参照すると、一例において、ダイヤフラム6060の外周部分(例えば、膜6100)の共振応答は、1つ又は複数の増厚部分6500を追加することによって変化させることができる。図示の例において、増厚部分6500は、カモノハシバルブ6090の外周近傍に設けられた略C字状の増厚部分6510の形態である。
【0269】
次に図38を参照すると、別の例において、ここで目標とする応答と結果として生じる振動が発生する場合、カモノハシバルブ6090の2つの対向するリップ6150に厚さを増したエリアを設けることができる。図示の例において、厚さが増加したエリアは、各リップの基部から、例えばそれぞれのリップ6150の端部まで延びる材料6520の細い線として提供される。図37に示す例のように、増厚部分6510、6520は、バルブ部材6020の残りの部分と一体に形成されていてもよいし、バルブ部材6020に接続された別個に形成されたコンポーネントを含んでいてもよい。取り付けられるコンポーネントの質量に影響を与えるだけでなく、厚さが増加又は減少したエリアはコンポーネントの剛性を変化させたり、対称な部品に非対称な応答をもたらしたりする可能性がある。
【0270】
図38は、膜6100上の増厚部分6510が、カモノハシバルブ6090のリップ6150上の増厚部分6520と組み合わされる例を示しているが、他の例において、ターゲットの共振及び振動の位置に依存して、カモノハシバルブ6090が増厚部分を有していてもよく、膜6100が厚肉化されていなくてもよい。
【0271】
図39は、図37に示すC字状の増厚部分6510と、膜6100を横切って半径方向に延びる直線状の増厚部分6530とを有する技術の他の例を示している。図示の例において、半径方向に延びる増厚部分6530が4つあるが、他の例において、より多くの又はより少ない数が設けられてもよい。他の例において、C字形部分6510は省略されてもよい。
【0272】
図40は、カモノハシバルブ6020の側面に設けられた増厚部分6540を有する別の例を示す。この例において、リップ6150自体に増厚部分6540は設けられていない。増厚部分6540の厚さは、リップ6150の厚さの2倍であってもよい。
【0273】
上記の増厚部分のそれぞれは、バルブ部材6020の残りの部分と一体に形成されてもよく、又は、バルブ部材6020に接続される(取り外し可能であるか、又はそうでない)別個に形成されたコンポーネントを含んでいてもよい。別個に形成されたコンポーネントは、膜6100又はカモノハシバルブ6090と同じ材料で形成されてもよいし、異なる材料で形成されてもよい。異なる材料が使用される場合、個別の要素を形成する材料の密度及び/又は剛性は、バルブ部材6020の隣接又は下方にある部分を形成する材料の密度及び/又は剛性と異なっていてもよい。
【0274】
諸例において、バルブ部材6020の隣接する部分に対する増厚部分6490、6500~6540間の厚さの差は、約1.5:1の比から、4:1又は8:1又は10:1の比のように、より大きな比まで変化し得る。例えば、膜6100の大部分が約0.5mmの厚さであれば、増厚部分6500は約2mmの厚さであってもよい。同様に、膜6100の大部分が約4mmの厚さであれば、厚さ約3mmの薄肉部分6490を設けてもよい。
【0275】
上述のように、他の例において、バルブ部材6020の上に追加の要素を重ねて、その共振特性を変更することができる。このような要素は、その全長にわたってバルブ部材6020に接続されなくてもよい。一例において、そのような要素は、バルブ部材6020の外周でバルブ部材6020のそれぞれの部分(膜6100又はそれぞれのリップ6150)にのみ固定されているか、又は全く固定されていないが、バルブ部材6020の少なくともいくつかの動きがフレームと干渉するように取り付けられているフレームを含んでもよい。
【0276】
他の例において、バルブ部材6020は、異なる材料特性を有する材料で作られた部分を有してもよい。例えば、バルブ部材6020の一部は、バルブ部材6020の他の部分と比較して異なる密度及び/又は剛性を有してもよい。いくつかの例において、異なる部分は異なる材料で作られてもよい。諸例において、ダイヤフラム6060は、異なる材料特性を有する複数の部分を有してもよい。
【0277】
膜6100の様々な部分の厚さに変化を与えることは、膜の共振応答を改善するのに役立つ比較的低コストのプロセスである。膜の様々な部分に異なる特性を有する材料を使用したり、そのような様々な部分に追加のコンポーネントを接続/取り付けたりすると、コストが増加し、製造が困難になる可能性がある。しかし、これらの方法は状況によっては引き続き適用できる場合がある。例えば、C字形インサート6510を追加することは、膜の蛇腹チャネルに比較的容易に後付けできるため、膜6100(図37)などの既存の膜の共振応答を緩和するための好ましい選択肢となり得る。
スタジアム形状のバルブ部材6020の例を参照して、様々な共振低減方法を上述したが、円形バルブ部材のような他の形状のバルブ部材にも同じ方法を適用することができる。同様に、様々な線及びエリアは、異なる厚さ及び/又は剛性を有するエリアの例として説明されてきたが、他の形状及び形態も使用されてもよい。
【0278】
4.3換気流れ推定
上述したように、諸例において、RPTデバイス4000は、無呼吸検出アルゴリズムを含んでもよい。
【0279】
無呼吸を検出するためには、RPTデバイス4000は、吸気中及び呼気中の患者の呼吸流量を測定又は推定できなければならない。
【0280】
患者の呼吸流れを直接測定することは困難又は不可能である場合がある。したがって、(ほとんどの従来技術のシステムと同様に)システムは、ブロワによって生成される流量(Q)の測定に依存して患者流れを導出することができる。
【0281】
患者に供給される流量(Q)を推定するために、図26に示すように、患者流量(Q)を計算するためには、患者流れを導出する際に換気(意図的な漏れQv)と意図的ではない漏れ(QL)による損失を考慮する必要がある。
【0282】
一定の換気面積を有する従来技術のシステムでは、換気流れQvは、患者インターフェース3000内の圧力に基づいて比較的簡単に推定され、ブロワ4142の出口の圧力から正確に推定され得る。しかし、このような従来技術のアルゴリズムは、ダイヤフラム6060にわたる圧力差に応じて換気流れ開口部を動的に変更するバルブ6000の能力のため、本発明のバルブアセンブリ6000からの換気流れQvを正確に推定できない可能性がある。この圧力差は、部分的には患者の呼吸によって引き起こされる。
【0283】
出願人は、本発明の1つ又は複数の例において、膜の両側の圧力(すなわち、ブロワ圧力(Bp)と患者インターフェース圧力(Pp))との間の1つ又は複数の比に基づいて、有用な圧力範囲内で換気流れQvを正確に推定できることを発見した。
【0284】
4.3.1.1換気流れを特徴付けるための方法
換気流れQvを推定するためには、換気部への流れを数学的にモデル化する必要がある。
【0285】
図27には、図34及び35に示す構造を有する下流ハウジングを有する、図8~24に関して説明されたEAVなどのEAVを含むシステムの一例が示されている。
【0286】
図27のバルブアセンブリ6000を静的に(すなわち、様々な一定の圧力/流れ動作点で)特性評価しようとする試みは、EAVが何らかのヒステリシスを示すことを示した。そのため、さまざまな治療圧でさまざまな模擬呼吸パターンを使用して、動的なデータ収集と分析を追求することが決定された。バルブアセンブリ6000システムに関連する様々なパラメータは、1つ又は複数の模擬的な動的呼吸サイクルの間に測定/推定される。測定/推定されたパラメータは、少なくともブロワ圧力(Bp)、患者インターフェース圧力(Pp)及び換気流量(Qv)を含む。呼吸サイクル中に特性評価を実行する目的は、さまざまな条件にさらされたときのバルブの特性を捕捉することである。したがって、シミュレートされた呼吸サイクルパラメーターは、広範囲の呼吸数、ピーク呼気流量、及び1回換気量を提供するように選択される。選択されたさまざまな模擬呼吸特性により、次の少なくとも1つについてのバルブ動作の分析が容易になる。a)1つ又は複数の流量、b)1つ又は複数の流れの加速及び/又は減速、c)1つ又は複数のピーク呼気流れ、d)1つ又は複数の1回換気量など。
【0287】
複数の異なるマスク圧力、例えば4cmHO、6cmHO、8cmHOについてテストを繰り返す。
【0288】
出願人は、上記のすべての場合において、換気流れQvが膜の両側の圧力間の圧力比(例えば、Bp/Pp)の関数として確実に特徴付けられることを発見した。各治療圧力の換気流れ対圧力比(Bp/Pp)をプロットする。より良い特徴付けを行うために、グラフ全体のデータが示す傾向に基づいて、各プロットを複数の領域又はゾーン(例えば3つのゾーン)に分割する。一例において(図28参照)、ゾーン1は、Bp/Ppが1.2未満の場所であり、ゾーン2は、Bp/Ppが1.2と1.5の間の場所であり、そして、ゾーン3は、Bp/Ppが1.5よりも大きい場所である。
【0289】
次に、標準的な数値手法を使用して、各ゾーンの最適な曲線の方程式が導出される。出願人は、異なる次数の方程式が1つ以上の異なる領域に対して好ましい場合があることを発見した。各ゾーンについて、データへの適合性の改善が停止するまで、ますます高次の方程式が試行される。
【0290】
本発明の一形態では、ゾーン1のデータに最もよく適合するのは、Bp/Pp比に関する3次の多項式であることがわかった。ゾーン2のデータに最もよく適合するのは、2次の多項式であることがわかった。ゾーン3のデータに最もよく適合するのは線形方程式であることがわかった。
したがって、ここで説明するバルブの特定の構成(図27を参照)、使用される空気回路及び患者インターフェースを特徴とする技術の一形式では、マスク換気流れは次の式を使用して推定できる。
ゾーン1:換気流れ=a*(Bp/Pp)^3+b*(Bp/Pp)^2+c*(Bp/Pp)+d
ゾーン2:換気流れ=a*(Bp/Pp)^2+b*(Bp/Pp)+c
ゾーン3:換気流れ=a*(Bp/Pp)
【0291】
また、各ゾーンを画定する境界は、治療圧力に応じて異なることができることを発見した。
【0292】
試験が行われたゾーンではなく、適切な多項式係数と治療圧力ゾーンとの境界を決定するために、線形補間が使用される。
【0293】
1つの形式の技術のために、以下の表2及び表3は、測定された2つの治療圧力(4cmHOと6cmHO)の適合方程式係数とゾーン境界、及び2つの圧力(4cmHOと6cmHO)の間の様々な治療圧力の補間方程式係数とゾーン境界を示している。
【0294】
表2及び表3-多項式係数とゾーン境界
【表2】

【表3】
【0295】
導き出された式、係数、及びゾーン境界は、マスクの空間と構成、及び導管の空間と構成だけでなく、特定の膜とバルブシステム全体の構成に依存する可能性がある。しかし、マスク、導管、及びバルブシステムの特定の組み合わせに対してそれらが導出されると、広範囲の圧力と流れをカバーできる可能性がある。係数を事前に計算して、上記の表2及び表3と同様の表に含めることもできる。したがって、プロセッサは、RPTデバイスの動作中に、これらの係数を常に計算するのではなく、テーブル化した数値を参照することができる。これにより、計算効率が大幅に向上し、プロセッサへの要件が軽減される。
【0296】
換気流れを特徴付ける方法の概要が図41に示されており、これには次のステップが含まれる。
a.呼吸治療システムを用いて、少なくとも1つの模擬呼吸サイクルを実行する(ステップ8000)。
b.少なくとも1つの模擬呼吸サイクル中に、バルブ換気部を通る流量、バルブ上流の圧力、及びバルブ下流の圧力を測定する(ステップ8010)。
c.ダイヤフラムの両側の圧力の比に対して換気流量をプロットする(ステップ8020)。
d.プロットされたデータを1つ又は複数の連続ゾーンに分割する境界点が存在するか否かを、データの傾向に基づいて識別する(ステップ8030)。
e.識別された各ゾーンのデータについての最適適合曲線のための方程式を導出する(ステップ8040)。 f.少なくとも第1治療圧力において、各ゾーンの圧力比と換気流れとの間のそれぞれの関数を特徴付ける少なくとも係数及び定数を適合方程式から導出する(ステップ8050)。
【0297】
次のようなオプションのステップも示されている。
・少なくとも1つの第2治療圧力について、ステップa)~e)を繰り返して、少なくとも1つの第2治療圧力における各ゾーンのそれぞれの関数を特徴付ける係数及び定数を、それぞれの適合方程式から導出する(ステップ8060)。
・導出された係数及び定数を補間して、少なくとも第1、及び第2治療圧力以外の治療圧力の係数、及び定数を導出する(ステップ8070)。
・導出された及び/又は補間された係数及び定数を使用して、バルブの上流及び下流の圧力の所定の比について、1つ又は複数のそれぞれの治療圧力のそれぞれの換気流れを計算する(ステップ8080)。
【0298】
換気流れQvを計算する上記の方法と、ブロワ流れQ及び予期しない漏れ流れQを測定及び/又は計算する既存の方法とを用いて、図26の式を用いて患者流れQpを計算することができる。
【0299】
図29図30、及び図31は、3つの異なる治療圧力(6cmHO(図29)、8cmHO(図30)、12cmHO(図31))で動的に変化する患者流量Qpに対して実験的に測定された流量(実線)と推定流量(破線)を示している。これらの図は、上記の方法により患者流れを正確に推定できることを示している。動的に変化する流量への参照は、グラフが一定の圧力及び/又は流量を用いているのではなく、RPTデバイスの使用中に患者の呼吸サイクルに一般的に関連する圧力及び流量の範囲をカバーする動的システムを反映しているという事実を示すことを意図している。
【0300】
上記のバルブアセンブリ6000をPAPデバイスに適用することは、PAPシステムに使いやすさの向上、効率及び性能の向上という特有の利点をもたらす。効率の向上により、ポータブルでエネルギーとスペースの効率がより高いシステムの設計が可能になる可能性がある。バルブの少なくとも一部の機能の自己調整特性は、ユーザの気道の圧力を目標圧力又は目標圧力範囲内に維持する閉制御ループに基づいて動作するシステムでも役立つ。しかし、弁アセンブリ6000の構造及び機能が異なるため、システムを特徴付ける既知の方法はもはや適切ではない、又は適用できない可能性さえある。バルブアセンブリの換気流れを確実に導出する能力は、ユーザ流れを計算できるため、トリガー、サイクリング、自動設定アルゴリズム、流れ制限検出などのすべての関連する治療機能を実行できる。これにより、そのような二重機能バルブアセンブリを使用するPAPシステムの実際の実装が容易になり、小型のポータブルシステムを含む、新しく改良されたシステムの開発が可能になる。
【0301】
いくつかの明白な代替案も上記開示の範囲内に含まれることに留意されたい。例えば、上記の説明では、複数の治療圧力に対する換気流れ対圧力比(Bp/Pp)をプロットすることが記載されているが、逆の圧力比(Pp/Bp)に対してもプロットすることもできる。このようなプロットでは、説明したものと同様のその後の分析と式/パラメータの導出が可能になる。
【0302】
4.3.2加湿器
4.3.3加湿器の概要
本発明の一形態では、周囲空気に対して患者に送達するための空気又はガスの絶対湿気を変更するための加湿器5000(例えば、図5Aに示すように)が提供される。典型的には、加湿器5000は、患者の気道に送られる前に、絶対湿気を上昇させ、空気流れの温度を(周囲空気と比較して)上昇させるために使用される。
【0303】
加湿器5000は、ドック5130、加湿器リザーバ5110、空気流れを受け取るための加湿器入口5002、及び加湿された空気流れを送達するための加湿器出口5004を備え得る。図5A及び図5Bに示すようないくつかの形態では、加湿器リザーバ5110の入口及び出口はそれぞれ、加湿器入口5002及び加湿器出口5004であり得る。加湿器5000は、加湿器ベース5006をさらに含み得る。加湿器5000は、加湿器リザーバ5110を収容するように適合され、加熱要素5240を備え得る加湿器ベース5006をさらに備え得る。
【0304】
諸例において、加湿器は、導電部分5120と、ロックレバー5135と、水位インジケータ5150とをさらに備える。
【0305】
本発明の一形態では、スピルバック防止バルブ4160は、加湿器5000と空気圧ブロック4020との間に配置される。
【0306】
本発明による加湿器の別の形態は、熱湿気交換器(HMX)7000と呼ばれることもある受動的加湿器又は凝縮加湿器である。受動的加湿器の一形態を図32及び図33に示す。受動的加湿器7000は、2つのフレーム部材7020の間の所定の位置に保持された吸湿材7010を含んでもよい。使用時には、受動的加湿器7000は、患者インターフェース3000とバルブアセンブリ6000との間の空気回路4170に配置されて、患者から吐き出された湿気を収集し得る。
【0307】
本発明の諸例において、従来技術のいくつかの患者インターフェースと比較して、吸気段階での換気流れを減少させる結果の1つは、システムからの水分/湿気損失を減少させることである。これらの従来技術のシステムでは、吸気中に換気アセンブリが大気中に換気するため、以前に吐出された空気はシステムから離れ、潜在的にかなりの量の気流(したがって圧力)及び湿気が大気中に失われる可能性がある。対照的に、上述の換気配置は、吸気中は周囲に対して遮断されており、呼気中に含まれ加湿器5000によって生成される水分/湿気の大部分は患者の肺に送られる。これにより、図5A及び図5Bに示すような加湿器によって供給されるべき湿気の量を減少させることができ、したがって、このような加湿器によって消費される水及びエネルギーの量を減少させることができる。吸気中に減少した換気流れは、図32及び図33に示すような受動的加湿器7000も、図5A又は図5Bに示すような加湿器からの追加の水分がない場合でも、患者に十分な湿気を供給するのに役立つことができる。
4.4呼吸波形
【0308】
図6は、睡眠中のヒトの典型的な呼吸波形のモデルを示す。横軸は時間とし、縦軸は呼吸流量とする。パラメータ値は異なる場合があるが、典型的な呼吸は、1回換気量Vt0.5L、吸息時間Ti1.6秒、ピーク吸気流量Qpeak0.4L/秒、呼息時間Te2.4秒、ピーク呼気流量Qpeak-0.5L/秒の近似値を有し得る。呼吸の総時間Ttotは約4秒である。典型的には、人は毎分約15回の速率(BPM)で呼吸し、換気ventが約7.5L/分である。典型的なデューティサイクルであるTiとTtotの比率は約40%である。
【0309】
4.5呼吸療法モード
様々な呼吸療法モードは、開示された呼吸療法システムによって実施され得る。
【0310】
CPAP療法
呼吸圧療法のいくつかの実装形態では、中央コントローラ4230は、療法パラメータ決定アルゴリズム4329の一部として、治療圧力方程式(1)に従って治療圧Ptを設定する。1つのこのような実装形態では、振幅Aは同じようにゼロであり、したがって、治療圧力Pt(現時点でインターフェース圧力Pmが達成すべき目標値を表す)は、呼吸サイクル全体にわたってベース圧力Pと同じである。この実装形態では、CPAP療法の見出しの下に分類されることが多い。このような実装形態では、療法エンジンモジュール4320は、位相Φ又は波形テンプレートΠ(Φ)を決定する必要はない。
【0311】
CPAP療法において、ベース圧力Pは、ハードコードされた一定値であってもよく、又はRPTデバイス4000に手動入力された一定値であってもよい。あるいは、中央コントローラ4230は、療法エンジンモジュール4320内の対応するアルゴリズムによって返される、流れ制限、無呼吸、低呼吸、開存性、いびきのうちの1つ又は複数のような睡眠呼吸障害の指標又は測定の関数として、ベース圧力Pを繰り返し計算することができる。この代替療法はAPAP療法と呼ばれることがある。
【0312】
図4Eは、圧力補助Aが同じようにゼロである場合に、療法パラメータ決定アルゴリズム4329のAPAP療法実装の一部としてベース圧力Pを連続的に計算する中央コントローラ4230によって実行される方法4500を示すフローチャートである。
【0313】
方法4500は、中央コントローラ4230が、無呼吸/低呼吸の有無の測定値を第1閾値と比較し、無呼吸/低呼吸の有無の測定値が、無呼吸/低呼吸が発生していることを示す第1閾値を所定の時間にわたって超えたか否かを判定するステップ4520で開始する。そうである場合、方法4500はステップ4540に進み、それ以外の場合、方法4500はステップ4530に進む。ステップ4540では、中央コントローラ4230は、気道開存性の測定値を第2閾値と比較する。気道開存性の測定値が気道開存を示す第2閾値を超えた場合、検出された無呼吸/低換気は中枢性であるとみなされ、方法4500はステップ4560に進み、それ以外の場合、無呼吸/低呼吸は閉塞性であるとみなされ、方法4500はステップ4550に進む。
【0314】
ステップ4530では、中央コントローラ4230は、流れ制限の測定値を第3閾値と比較する。流れ制限の測定値が第3閾値を超え、吸気流量が制限されていることを示す場合、方法4500はステップ4550に進み、それ以外の場合、方法4500はステップ4560に進む。
【0315】
ステップ4550では、中央コントローラ4230は、得られた治療圧力Ptが最大治療圧力Pmaxを超えないことを条件として、ベース圧力Pを所定の圧力増分△Pだけ増加させる。一実装形態では、所定の圧力増分△P、及び最大処理圧Pmaxは、それぞれ1cmHO、及び25cmHOである。他の実装形態では、圧力増分△Pは、最低0.1cmHO、最高3cmHO、又は最低0.5cmHO、最高2cmHOにすることがでる。他の実装形態では、最大治療圧力Pmaxは、最低15cmHO、最高35cmHO、又は最低20cmHO、最高30cmHOにすることができる。次いで、方法4500は、ステップ4520に戻る。
【0316】
ステップ4560では、中央コントローラ4230は、低下したベース圧力Pが最小治療圧力Pminを下回らないことを条件として、ベース圧力Pを減分だけ低下させる。次いで、方法4500は、ステップ4520に戻る。一実装形態では、減分は、P-Pminの値に比例するため、Pの最小治療圧力Pminへの低下は、検出されたイベントが無い場合、指数関数的である。一実装形態では、Pの指数低下の時定数τが60分であり、最小治療圧力Pminが4cmHOであるように比例定数が設定される。他の実装形態では、時定数τは、最低1分、最高300分、又は最低5分、最高180分にすることができる。他の実装形態では、最小治療圧力Pminは、最低0cmHO、最高8cmHO、又は最低2cmHO、最高6cmHOにすることができる。あるいは、Pの減分は、検出されたイベントなしに、Pを最小治療圧力Pminに減少させることが線形であるように予め決定することができる。
【0317】
バイレベル療法
本発明のこのような形態の他の実装形態では、式(1)における振幅Aの値は正であってもよい。このような実装形態は、バイレベル療法として公知である。なぜならば、治療圧力Ptを正の振幅Aの方程式(1)を用いて決定する場合、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、患者1000の自発呼吸努力と同期して治療圧力Ptを2つの値又はレベル間で振動させるからである。すなわち、上記の典型的な波形テンプレートΠ(Φ,t)に基づいて、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、吸気開始時、吸気中に治療圧力Pt~P+A(IPAPと呼ぶ)に上昇させ、治療圧力Ptをベース圧力P(EPAPと呼ぶ)に低下させる。
【0318】
バイレベル療法のいくつかの形態では、IPAPは、CPAP療法モードにおける治療圧力と同じ目的の治療圧力であり、EPAPは、IPAPから振幅Aを減算した値であり、呼気圧力解放(EPR)とも呼ばれる「小さな」値(数cmHO)を有する。この形式はEPR付きCPAP療法と呼ばれることもあり、直接CPAP療法より快適とされることが多い。EPRを有するCPAP療法では、IPAP、及びEPAPの一方又は両方は、RPTデバイス4000にハードコードされた定数値であってもよく、又は手動で入力された定数値であってもよい。あるいは、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、EPRを有するCPAPの間にIPAP、及び/又はEPAPを繰り返し計算することができる。この代替例において、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、療法エンジンモジュール4320中の各アルゴリズムから返送された睡眠呼吸障害の指標又は測定の関数としてEPAP及び/又はIPAPを繰り返して計算する。これは、上記したAPAP療法におけるベース圧力Pの計算と同様に行われる。
【0319】
バイレベル療法の他の形態では、振幅Aは、RPTデバイス4000が患者1000の呼吸動作の一部又は全部を完了するように十分に大きい。圧力補助換気療法と呼ばれるこの形態では、振幅Aは圧力補助又はスイングと呼ばれる。圧力補助換気療法において、IPAPは、ベース圧力P+圧力補助Aであり、EPAPはベース圧力Pである。
【0320】
一定圧力補助換気療法として公知の圧力補助換気療法のいくつかの形態では、圧力補助Aは、所定の値(例えば、10cmHO)に固定される。所定の圧力補助値は、RPTデバイス4000による設定であり、例えば、RPTデバイス4000の構成中にハードコードにより、又は入力デバイス4220による手動入力により設定することができる。
【0321】
サーボ換気として広範に知られる圧力補助換気療法の他の形態では、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、呼吸器サイクル(例えば、換気の現在測定vent)の一定の現在測定されている又は推定されているパラメータと、当該呼吸器パラメータの目標値(例えば、換気の目標値Vtgt)とを入力としてとり、式(1)のパラメータを連続的に調節して、呼吸器パラメータの現在の測定を目標値に接近させる。CSRを治療するために使用されている適応サーボ換気(ASV)と呼ばれるサーボ換気形態では、呼吸パラメータは換気であり、目標換気値Vtgtは、上述したように、典型的な最近の換気Vtypから目標換気決定アルゴリズム4328によって計算される。
【0322】
いくつかの形態のサーボ換気において、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、呼吸パラメータの現在の測定値を目標値に近づけるために、圧力補助Aを繰り返し計算する制御方法を適用する。このような制御方法の1つが比例積分(PI)制御である。目標換気Vtgtが、最近の典型的な換気Vtypよりもわずかに小さく設定されるASVモードに適用されるPI制御の一実装形態では、圧力補助Aは、次のように繰り返し計算される。
【数3】
【0323】
ここで、GはPI制御のゲインである。ゲインGのより大きな値は、療法エンジンモジュール4320における正のフィードバックをもたらすことができる。ゲイン値Gを小さくすると、未治療のCSRや中枢性睡眠無呼吸が残存することがある。いくつかの実装形態において、ゲインGは、所定の値(例えば、-0.4cmHO/(L/分)/秒)に固定される。あるいは、ゲインGは、CSRを実質的に除いた値に到達するまで、療法セッション間において変更され得る(最初は低い値から開始し、セッション間において増加させる)。療法セッション中のCSRの重症度を評価するために療法セッションのパラメータを遡及的に分析するための従来の手段が、そのような実装形態において使用され得る。他の実装形態では、ゲインGは、換気の現在の測定値ventと目標換気Vtgtとの差に応じて変化し得る。
【0324】
療法パラメータ決定アルゴリズム4329によって適用可能な他のサーボ換気制御方法は、比例(P)、比例微分(PD)、及び比例積分微分(PID)を含む。
【0325】
式(2)により算出される圧力補助Aの値は、[Amin,Amax]と定義される範囲内で切り出すことができる。この実装形態では、デフォルトでは、現在の換気ventが目標換気Vtgtを下回るまでは、圧力補助Aが最小圧力補助Aminに位置し、この時点でAが増加を開始し、ventが再びVtgtを超えた場合にのみAminに戻る。
【0326】
圧力補助制限Amin及びAmaxは、RPTデバイス4000の設定であり、例えばRPTデバイス4000の構成時にハードコードされるか又は入力デバイス4220を通じた手動入力によって設定される。
【0327】
圧力補助換気療法モードでは、EPAPはベース圧力Pである。CPAP療法におけるベース圧力Pと同様に、EPAPは一定の値であり得、タイトレーション時に規定又は決定される。このような定数EPAPは、例えば、RPTデバイス4000の構成中にハードコードするか、入力デバイス4220を介して手動入力することにより設定することができる。この代替療法は、固定EPAP圧力補助換気療法と呼ばれることがある。所与の患者についてのEPAPのタイトレーションは、閉塞性無呼吸を予防する目的のために、PSGを用いたタイトレーションセッション時に臨床医によって行われ得、これにより、一定CPAP療法におけるベース圧力Pのタイトレーションと同様の様態で、圧力補助換気療法のために気道確保が維持される。
【0328】
あるいは、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、圧力補助換気療法時のベース圧力Pを繰り返して計算し得る。このような実装形態では、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、療法エンジンモジュール4320内の対応するアルゴリズムによって返される睡眠呼吸障害の指標又は測定値、例えば、流れ制限、無呼吸、低呼吸、開存、及びいびきのうちの1つ又は複数の関数としてEPAPを繰り返し計算する。EPAPの連続的な計算は、EPAPの滴定中に臨床医がEPAPを手動で調節することに類似しているので、このプロセスは、EPAPの自動滴定とも呼ばれることがあり、療法モードは、自動滴定EPAP圧力補助換気療法、又は自動EPAP圧力補助換気療法と呼ばれる。
【0329】
4.6用語集
本発明の開示のために、本発明の特定の形態では、以下の定義のうち1つ又は複数が適用され得る。本発明の他の形態では、代替の定義が適用され得る。
【0330】
4.6.1概要
空気:本発明の特定の形態では、空気は大気を意味すると見なされ得、本発明の他の形態では、空気は、例えば酸素富化空気など、呼吸可能なガスの一部の他の組み合わせを意味すると見なされ得る。
【0331】
周囲:本発明の特定の形態では、周囲という用語は、(i)治療システム又は患者の外部、及び(ii)治療システム又は患者を直接囲むことを意味すると見なされる。
【0332】
例えば、加湿器に対する周囲湿気は、例えば、加湿器に隣接する空気の湿気、例えば患者が寝ている部屋の湿気であってもよい。このような周囲湿気は、患者が睡眠をとっている部屋の外の湿気とは異なる場合がある
【0333】
別の例において、周囲圧力は、身体を直接取り囲む圧力、又は体外の圧力であり得る。
【0334】
特定の形態では、周囲(例えば、音響)騒音は、例えばRPTデバイスによって生成されたりマスク又は患者インターフェースから発したりする騒音ではなく、患者が位置している部屋内のバックグラウンド騒音レベルとみなされ得る。周囲騒音は、部屋の外の発生源から生成され得る。
【0335】
自動気道陽圧(APAP)療法:SDBイベントの兆候の存在又は不在に応じて、例えば呼吸するごとに、最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調整可能なCPAP療法。
【0336】
持続的気道陽圧(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクル全体を通じてほぼ一定である呼吸圧療法。いくつかの形態では、気道への入口における圧力は、呼息中に若干高く、吸息中に若干低い。いくつかの形態では、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間で変化し、例えば、部分的な上部気道閉塞の兆候の検出に応答して増加し、部分的な上部気道閉塞の兆候がない場合に減少する。
【0337】
流量:単位時間あたりに送られる空気の量(又は質量)。流量は、瞬間的な量を指し得る。一部の場合において、流量への参照は、スカラー量、すなわち、大きさのみを有する量への参照となる。他の場合において、流量への参照は、ベクトル量、すなわち、大きさ、及び方向の両方を有する量への参照となる。流量には、記号Qが付与され得る。「流量」は、単に「流れ」又は「気流」と記すことがある。
【0338】
患者呼吸の例において、流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対してノミナルポジティブであり得るので、患者の呼吸サイクルの呼気部分に対してネガティブであり得る。デバイス流量Qdは、RPTデバイスから離れる空気の流量である。総流量Qtは、空気回路を介して患者インターフェースに到達する空気、及び任意の補充ガスの流量である。換気流量Qvは、吐き出されるガスの押し出しを可能にするために換気部から離れる空気の流量である。漏れ流量Qは、患者インターフェースシステム又は他の場所からの漏れの流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系に受け入れる空気の流量である。
【0339】
流量療法:患者の呼吸サイクル全体にわたって典型的にポジティブである治療流量と呼ばれる制御された流量で気道の入口へ空気流れを送達することを含む呼吸療法である。
【0340】
加湿器:加湿器という単語は、患者のメディカル呼吸状態を改善するために空気流に治療上有益な量の水(HO)蒸気を提供することができるように配置され、設置される、又は物理的構造を有する加湿装置を意味すると見なされる。
【0341】
漏れ:漏れという単語は、意図しない空気流と見なされる。一例において、マスクと患者の顔との間の不完全なシールの結果として、漏れが発生し得る。別の例において、周囲へのスイベルエルボーに漏れが発生し得る。
【0342】
伝導(音響)騒音:本明細書における伝導騒音とは、空気回路や患者インターフェースなどの空気圧経路とその中の空気によって患者に運ばれる騒音を指す。一形態では、伝導騒音は、空気回路の端部における音圧レベルを測定することによって定量化され得る。
【0343】
放射(音響)騒音:本明細書における放射騒音とは、周囲空気によって患者に運ばれる騒音を指す。一形態では、放射騒音は、ISO3744に従って問題のオブジェクトの音量/圧力レベルを測定することによって定量化され得る。
【0344】
換気(音響)騒音:本明細書における換気騒音とは、患者インターフェースの換気孔などの任意の換気部を通る空気流によって生成される騒音を指す。
【0345】
酸素富化空気:少なくとも約50%の酸素、少なくとも約60%の酸素、少なくとも約70%の酸素、少なくとも約80%の酸素、少なくとも約90%の酸素、少なくとも約95%の酸素、少なくとも約98%の酸素、又は少なくとも約99%の酸素など、酸素濃度が大気濃度(21%)より高い空気。「酸素富化空気」は略して「酸素」と呼ばれることがある。
【0346】
医療用酸素:医療用酸素は、酸素濃度が80%以上の酸素富化空気と定義される。患者:呼吸状態に苦しむか否かにかかわらず、人である。
【0347】
圧力:単位面積当たりの力。圧力は、cmHO、g-f/cm、及びヘクトパスカルを含む、多様な単位で表現され得る。1cmHOは、1g-f/cmに等しく、およそ0.98ヘクトパスカル(1ヘクトパスカル=100Pa=100N/m=1ミリバール~0.001atm)である。本明細書において、別段の記載がない限り、圧力はcmHOの単位で与えられる。
【0348】
患者インターフェース内の圧力には記号Pmが付与され、現在の瞬間にインターフェース圧力Pmによって達成される目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
【0349】
呼吸圧療法:大気に対して典型的に陽圧である処理圧力において気道の入口へ空気を供給することの適用である。
【0350】
ベンチレータ:患者に圧力補助を提供して呼吸の一部又は全部の作業を行う機械的なデバイスである。
【0351】
4.6.1.1材料
シリコーン又はシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンへの参照は、液体シリコーンゴム(LSR)又は圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)への参照である。市販のLSRの一形態は、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この商標で販売されている製品の範囲内に含まれる)である。別のLSR製造業者は、Wackerである。別段の定めがない限り、例示的形態のLSRは、ASTM D2240によって測定する場合、約35~約45の範囲内のショアA(又はタイプA)押込み硬さを有する。
【0352】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの熱可塑性ポリマーである。
【0353】
4.6.1.2機械的特性
弾力:弾性変形したときにエネルギーを吸収し、負荷を除いたときにエネルギーを放出する、材料の能力。
【0354】
弾力性:無負荷時に、実質的に全てのエネルギーが放出される。例えば、特定のシリコーン及び熱可塑性エラストマーを含む。
【0355】
硬度:材料自体が変形に抵抗する能力(例えば、ヤング率、又は標準化されたサンプルサイズで測定された押込み硬さスケールによって表される)。
・「軟質」材料は、シリコーン又は熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下で容易に変形し得る。
・「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼又はアルミニウムを含み得、例えば指圧力下で容易に変形し得ない。
【0356】
構造又はコンポーネントのスティフネス(又は剛性):加えられた負荷に応じた変形に抵抗する構造又はコンポーネントの能力。負荷は、力又はモーメント(例えば、圧縮、張力、曲げ又はねじれ)であり得る。構造又はコンポーネントは、異なる方向に異なる抵抗を提供し得る。剛性の逆は、可撓性である。
【0357】
フロッピー構造又はコンポーネント:その自重を支持するようになったとき、比較的短期間(例えば、1秒)内に形状が変化する(例えば、曲がる)構造又はコンポーネント。
【0358】
剛性の構造又はコンポーネント:使用時に典型的に遭遇する荷重を受けたとき、形状が実質的に変化しない構造又はコンポーネント。このような用途の例としは、例えばおよそ20~30cmHOの圧力の負荷で、患者インターフェースを患者の気道への入口とのシール関係で設定、及び維持することが挙げられる。
【0359】
一例として、I型鋼は、第2直交方向と比較して、第1方向に異なる曲げスティフネス(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の例において、構造又はコンポーネントは、第1の方向においてはフロッピーであり得、第2の方向においては剛性であり得る。
【0360】
4.6.2呼吸サイクル
無呼吸:一部の定義によれば、流量が一定期間、例えば10秒間にわたって所定の閾値を下回ると、無呼吸が発生したと言われる。患者の労力にもかかわらず、気道の一部の閉塞が空気流れを妨げると、閉塞性無呼吸が発生したと言われる。気道の開存にもかかわらず、呼吸労力の減少又は呼吸労力の欠如による無呼吸が検出されると、中枢性無呼吸が発生したと言われる。混合無呼吸は、呼吸労力の減少又は欠如が閉塞された気道と一致するときに発生する。
【0361】
呼吸数:患者の自発呼吸のレートであり、通常は1分あたりの呼吸数で測定される。
【0362】
デューティサイクル:吸息時間Tiが合計呼吸時間Ttotに対する比である。
【0363】
労力(呼吸):自発的に呼吸する人が呼吸をしようとする作業である。
【0364】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流れの開始から吸気流れの開始までの期間。
【0365】
流れ制限:流れ制限は、患者の労力の増加が対応する流れの増加をもたらさない患者の呼吸における事態と見なされる。呼吸サイクルの吸気部分において流れ制限が発生する場合、吸気流れ制限と表現され得る。呼吸サイクルの呼気部分において流れ制限が発生する場合、呼気流れ制限と表現され得る。
流れ制限吸気波形の種類:
(i)フラット化:上昇が続き、比較的平坦な部分が続き、その後に下降が続く。
(ii)M字型:前縁に一つ、後縁に一つ、合計2つのローカルピークを有し、この2つのピークの間に比較的平坦な部分を有する。
(iii)チェア形状:単一のローカルピークを有し、このピークは前縁にあり、その後に比較的平坦な部分が続く。
(iv)リバースチェア形状:比較的平坦な部分に続いて単一のローカルピークを有し、このピークは後縁にある。
【0366】
呼吸低下:一部の定義によれば、呼吸低下は、流量の減少であるが、流れの停止ではないと見なされる。一形態では、流量が減少して一定期間にわたって閾値レートを下回ると、呼吸低下が発生したと言われ得る。呼吸労力の減少による呼吸低下が検出されると、中枢性呼吸低下が発生したと言われる。成人の一形態では以下のうちいずれかが発生した場合、呼吸低下と見なされ得る。
(i)少なくとも10秒間の患者呼吸の30%の減少、及び関連付けられた4%の不飽和化;あるいは
(ii)少なくとも10秒間の患者呼吸の減少(ただし50%未満)、及び関連付けられた少なくとも3%の不飽和化又は興奮。
【0367】
過呼吸:通常よりも高いレベルへの流量の増加である。
【0368】
呼吸サイクルの吸気部分:吸気流れの開始から呼気流れの開始までの期間が、呼吸サイクルの吸気部分としてとられる。
【0369】
開存性(気道):気道が開いている程度、又は気道が開いている範囲である。開存気道は開いている。気道開存は、例えば、開存状態であると、ワン(1)の値に定量化され、閉じている(閉塞)状態であると、ゼロ(0)の値に定量化され得る。
【0370】
呼気終末陽圧(PEEP):呼気の終末に存在する肺における大気以上の圧力である。
【0371】
ピーク流量(Qピーク):呼吸流量波形の吸気部分中の流量の最大値である。
【0372】
呼吸流量、患者気流量、呼吸気流量(Qr):これらの用語は、「真の呼吸流量」又は「真の呼吸流量」とは異なり、RPTデバイスによる呼吸流量の推定値を指すと理解され得る。「真の呼吸流量」又は「真の呼吸流量」は、患者が経験した実際の呼吸流量であり、通常は1分あたりのリットルで表される。
【0373】
1回換気量(Vt):余分な労力が加えられていない場合に、通常の呼吸中に吸息され、又は吐き出される空気の体積である。原則として、吸気体積Vi(吸息される空気の体積)は、呼気体積Ve(吐き出される空気の体積)に等しいので、単一の1回換気量Vtは、いずれかの量に等しいと定義され得る。実際には、1回換気量Vtは、何らかの組み合わせ(例えば、吸気量Viと呼気量Ve.の平均)として推定される。
【0374】
(吸息)時間(Ti):呼吸流量波形の吸気部分の継続期間。
【0375】
(呼息)時間(Te):呼吸流量波形の呼気部分の継続期間。
【0376】
総)時間(Ttot):呼吸流量波形の一つの吸気部分の開始と呼吸流量波形の次の吸気部分の開始との間の合計継続期間。
【0377】
典型的な最近の換気:所定の時間スケールにわたる換気Ventの直近値が密集する傾向となる換気値(すなわち、換気の直近値の中心の傾向の度合い)。
【0378】
上気道閉塞(UAO):部分的な上気道閉塞、及び合計上気道閉塞両方を含む。これは、流量が、上気道を横切る圧力差が増加する(スターリング抵抗の挙動)につれてわずかに増加するか、又は更に減少する可能性もある流れ制限の状態に関連付けられ得る。
【0379】
換気(Vent):患者の呼吸器系によって行われるガス交換率の測定。換気の尺度は、単位時間あたりの吸気、及び呼気流量の一方又は両方を含み得る。1分あたりの体積で表されると、この量は「分間換気」と呼ばれることが多い。分間換気量は、単に体積として与えられることがあり、1分あたりの体積と理解される。
【0380】
4.6.3換気
アダプティブサーボベンチレータ(ASV):固定ではなく、変更可能な目標換気を有するサーボベンチレータである。変更可能な目標換気は、患者の一部の特性、例えば、患者の呼吸特性から学ぶことができる。
【0381】
バックアップレート:自発呼吸労力によってトリガーされないと、ベンチレータが患者に提供する最小呼吸数(典型的には1分あたりの呼吸数)を設定する、ベンチレータのパラメータである。
【0382】
サイクルされる:ベンチレータの吸気期の終了である。ベンチレータが、自発的に呼吸する患者に呼吸を送達する場合、呼吸サイクルの吸気部分の終末に、ベンチレータは、呼吸を送達するのを止めるためにサイクルされると言われる。
【0383】
呼気気道陽圧(EPAP):呼吸内で変化する圧力が加えられて、ベンチレータが所定の時間に達成しようとする所望のインターフェース圧力を生成するベース圧力である。
【0384】
呼気末圧力(EEP):ベンチレータが呼気の呼気部分の終末に達成しようとする所望のインターフェース圧力である。Π=1の場合に、呼気の終末に圧力波形テンプレートΠ(Φ)がゼロとされると、すなわち、Π(Φ)=0と、EEPはEPAPに等しい。
【0385】
吸気気道陽圧(IPAP):ベンチレータが呼吸の吸気部分において達成しようとする最大の所望のインターフェース圧力である。
【0386】
圧力補助:ベンチレータの吸気中の圧力がベンチレータの呼気中の圧力よりも上昇したことを示す数値であり、一般に吸気中の最大値とベース圧力との間の圧力の差を意味する(例えば、PS=IPAP-EPAP)。一部の状況で、圧力補助は、ベンチレータが実際に達成する差ではなく、それが達成しようとする差を意味する。
【0387】
サーボベンチレータ:患者換気を測定し、目標換気を有し、患者換気を目標換気に向かわせるために圧力補助のレベルを調整するベンチレータである。
【0388】
自発/時限式(S/T):自発的に呼吸する患者の呼吸の開始を検出しようとするベンチレータ又は他の装置のモードである。もしデバイスが所定の期間内に呼吸を検出できない場合、デバイスは自動的に呼吸の送達を開始する。
【0389】
スイング:圧力支持に相当する用語である。
【0390】
トリガー:ベンチレータ又は他の呼吸治療デバイス(RPTデバイスや携帯型酸素濃縮デバイスなど)が、自発呼吸患者に呼吸可能なガスの一定量を送り込むとき、これをトリガーと呼ぶ。患者の努力により、トリガーは通常、呼吸サイクルの呼吸部分の開始時又は開始の近くに発生する。
【0391】
4.6.3.1呼吸器系の構造
横隔膜:胸腔の底部にまたがる筋肉のシート。横隔膜は、心臓、肺、肋骨を収容する胸腔を腹腔から分離する。横隔膜が収縮すると、胸腔の容積が増大して、空気が肺内へ引き込まれる。
【0392】
喉頭:喉頭又は発声器は、声帯を収容すると共に、咽頭の下部(下咽頭)を気管と接続する。
【0393】
肺:人間の呼吸器。肺の伝導ゾーンは、気管、気管支、細気管支及び終末細気管支を含む。呼吸ゾーンは呼吸細気管支、肺胞導管及び肺胞を含む。
【0394】
鼻腔:鼻腔(nasal cavity)(又は鼻腔(nasal fossa))は、顔面の中央の鼻の上後にある大きい空気充填空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直ひれによって2つに分けられる。鼻腔の両側には、鼻甲介(conchae)(単数形「concha」)又は鼻甲介(turbinate)と呼ばれる3つの水平な延出部がある。鼻腔の前方には、背部が後鼻孔を介して鼻咽頭へと一体化する鼻がある。
【0395】
咽頭:鼻腔の直下、食道と喉頭の上に位置する喉の一部。咽頭は通常、上咽頭(epipharynx)(咽頭の鼻の部分)、中咽頭(mesopharynx)(咽頭の口の部分)、下咽頭(hypopharynx)の3つの部分に分けられる。
【0396】
4.6.4患者インターフェース
窒息防止バルブ(AAV):フェールセーフな方法で大気中に開放することにより、患者が二酸化炭素CO2を再呼吸するリスクを軽減するマスクシステムのコンポーネント又はサブアセンブリ。
【0397】
エルボー:エルボーは、空気流れ軸を角度によって方向転換するように案内する構造の一例である。一形態では、角度はおよそ90度であり得る。別の形態では、角度は、90度超又はそれ未満であり得る。エルボーは、ほぼ円形の断面を有し得る。別の形態では、エルボーは、楕円又は長方形の断面を有し得る。特定の形態では、エルボーは、噛み合いコンポーネントに対して例えば約360度で回転可能であり得る。特定の形態では、エルボーは、噛み合いコンポーネントから例えばスナップ接続を介して取り外すことが可能であり得る。特定の形態では、エルボーは、製造時にワンタイムスナップを介して噛み合いコンポーネントへ組み付けることが可能である一方、患者が取り外すことはできない。
【0398】
フレーム:フレームは、ヘッドギアを接続する2つ以上の点間の引張荷重を支持するマスク構造を意味するものとしてとられる。マスクフレームは、マスク中の非気密負荷支持構造であり得る。しかし、いくつかの形態のマスクフレームは、気密であってもよい。
【0399】
ヘッドギア:ヘッドギアは、ヘッド用に設計される位置付け及び安定化構造である。例えば、ヘッドギアは、患者の顔面上の呼吸療法のための位置に患者インターフェースを配置して保持するように構成された1つ又は複数の支柱、タイ及び補強材のセットを含んでもよい。いくつかのタイは、発泡体と織物との積層複合体のような、柔軟で可撓性かつ弾力性のある材料で形成される。
【0400】
膜:膜は、典型的には肉薄の要素を意味するものとしてとられ、好適には屈曲に対して実質的に抵抗せずかつ伸縮に対しては抵抗する。
【0401】
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、空間の容積を少なくとも部分的に封入する壁を有する患者インターフェースの一部を意味するものとしてとられ、容積中の空気は、加圧されて使用時において気圧を超える。シェルは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。
【0402】
シール:名詞(「シール」)として用いられる場合は構造を指し得、動詞(「シール(する)」)として用いられる場合はその効果を指し得る。2つの要素は、「シール」又はそれらの間に「シール」を達成するが、別個の「シール」要素自体を必要としないように構築、及び/又は配置され得る。
【0403】
シェル:シェルは、屈曲、引っ張り、及び圧縮剛性を有する曲線状の比較的肉薄構造を意味するものとしてとられる。例えば、マスクの曲線状構造壁は、シェルであり得る。いくつかの形態では、シェルはファセットされ得る。いくつかの形態では、シェルは気密であり得る。いくつかの形態では、シェルは気密でない場合もある。
【0404】
補剛材:補剛材は、別のコンポーネントの曲げ耐性を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造コンポーネントを意味するものとしてとられる。
【0405】
支柱:支柱は、別のコンポーネントの圧縮耐性を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造コンポーネントを意味するものとしてとられる。
【0406】
スイベル(名詞):コンポーネントのサブアセンブリであり、共通軸の周囲において好ましくは独立して、好ましくは低トルク下において回転するように構成される。一形態では、スイベルは、少なくとも360度の角度で回転するように構成され得る。別の形態では、スイベルは、360度未満の角度で回転するように構成され得る。空気送達導管に関連して用いられる場合、コンポーネントのサブアセンブリは好ましくは、一対組み合わせの円筒導管を含む。使用時において、スイベルからの空気の流れの漏れはほとんど又はまったくない可能性がある。
【0407】
タイ(名詞):張力に抵抗するように設計された構造。
【0408】
換気部:(名詞):空気流れがマスクの内部又は導管から周囲空気に流れることを可能にする構造で、呼息ガスを臨床的に効果的に洗い流す。例えば、臨床的に有効な押し出しにおいては、約10リットル/分~約100リットル/分の流量がマスク設計、及び治療圧力に応じて用いられ得る。
【0409】
4.7他の注意事項
本特許明細書の開示の一部には、著作権保護の対象となる資料が含まれている。著作権所有者は、誰かが本特許明細書又は本特許開示を複製しても、それが特許庁の特許ファイル又は記録に載っていれば、異議を唱えることはないが、そうでなければ、何であれ全ての著作権を留保する。
【0410】
文脈上明確に別段の指示がなく、値の範囲が提供されている場合、下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限との間に介在する値それぞれ、及び記載したその範囲における任意の他の記載の値又は介在する値は、本発明内に包含されることが理解される。介在する範囲内に独立して含まれ得る、これらの介在する範囲の上限及び下限も、記載した範囲内で任意の具体的に除外されている限度を条件として、本発明内に包含される。記載した範囲が限度のうち一方又は両方を含む場合、それらの含まれている制限のうち一方又は両方を除外する範囲も、本発明に含まれる。
【0411】
さらに、値(複数可)が本発明の一部として実装されるものとして本明細書に記載されている場合、別段の記載がない限り、このような値は近似値であり得、このような値は、実際的な技術的実装形態では許容又は要求され得る程度まで、任意の適切な有効桁に利用し得ることが理解される。
【0412】
別段の規定がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様又は同等な任意の方法及び材料も、本発明の実施又は試験において用いることができるが、本明細書には、限られた数の例示的方法及び材料が記載されている。
【0413】
特定の材料がコンポーネントの構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、反対の定めがない限り、本明細書に記載されている一切のコンポーネントは、製造可能なものとして理解されるため、合わせて又は別々に製造され得る。
【0414】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形(「a」、「an」及び「the」)は、文脈上明確に別段の指示がない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0415】
本明細書に記載されている全ての刊行物は、その刊行物の主題である方法及び/又は材料を開示及び記載するために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書中に論じられている刊行物は、本出願の出願日以前のその開示のためにのみ提供される。本明細書中のいずれも、本発明が従来の発明によりそのような刊行物に先行する権利を有しないという自白として解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は、実際の公開日とは異なる場合があり、公開日は独立に確認される必要があり得る。
【0416】
「含む(comprises及びcomprising)」という用語は、要素、コンポーネント又はステップを非排他的な方式で指すものとして解釈されるべきであり、参照される要素、コンポーネント又はステップが、明確に参照されていない他の要素、コンポーネント又はステップと共に存在したり、利用されたり、組み合わせられたりし得ることを示す。
【0417】
詳細な説明で用いられる主題の表題は、読者の参照を容易にするためにのみ含まれており、本開示又は特許請求の範囲の全体にわたって見出される主題を制限するために使用されるべきではない。主題の表題は、特許請求の範囲又は請求項の制限事項を解釈する際に用いられるべきではない。
【0418】
本明細書中の技術は、特定の例を参照して説明されてきたが、これらの例は、技術の原則及び適用を例示したものに過ぎないことを理解すべきである。いくつかの事例において、用語及び記号は、本発明の実施に不要な特定の詳細を示唆し得る。たとえば、「第1」及び「第2」という用語が用いられてもよいが、別に定めがない限り、これらの用語は、任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために利用され得る。さらに、方法論におけるプロセスステップは、順序で説明又は例示されてもよいが、このような順序付けは必要とされない。当業者であれば、このような順序付けが変更されてもよく、及び/又はその態様が同時に又は同期的にさえ行われてもよいことを認識するであろう。
【0419】
よって、本発明の意図及び範囲から逸脱することなく、例示的な実施例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0420】
4.8選択された参照記号のリスト
1000 患者
1100 同床者
3000 患者インターフェース
3100 シール形成構造
3200 プレナムチャンバ
3300 位置決め及び安定化構造
3400 換気部
3600 接続ポート
3700 前額支持部
3800 患者インターフェース
4000 RPTデバイス
4010 外部ハウジング
4012 上部分
4014 下部分
4015 パネル
4016 シャーシ
4018 ハンドル
4020 空気圧ブロック
4110 空気フィルタ
4112 入口空気フィルタ
4120 マフラー
4122 入口マフラー
4124 出口マフラー
4140 圧力発生器
4142 ブロワ
4144 モータ
4160 スピルバック防止バルブ
4170 空気回路
4180 補充ガス
4200 電気コンポーネント
4202 PCBA
4210 電源
4220 入力デバイス
4230 中央コントローラ
4232 クロック
4240 療法デバイスコントローラ
4250 保護回路
4260 メモリ
4270 トランスデューサ
4272 圧力センサ
4274 流量センサ
4276 モータ速度トランスデューサ
4280 データ通信インターフェース
4282 リモート外部通信ネットワーク
4284 ローカル外部通信ネットワーク
4286 リモート外部デバイス
4288 ローカル外部接続
4290 出力デバイス
4292 ディスプレイドライバ
4294 ディスプレイ
4300 アルゴリズム
4310 前処理モジュール
4312 インターフェース圧力推定アルゴリズム
4314 換気流量推定アルゴリズム
4316 漏れ流量推定アルゴリズム
4318 呼吸流量推定アルゴリズム
4320 療法エンジンモジュール
4321 位相決定アルゴリズム
4322 波形アルゴリズム
4323 換気決定アルゴリズム
4324 吸気流れ制限決定アルゴリズム
4325 無呼吸/低呼吸決定アルゴリズム
4326 いびき決定アルゴリズム
4327 気道開存性決定アルゴリズム
4328 目標換気決定アルゴリズム
4329 療法パラメータ決定アルゴリズム
4330 療法制御モジュール
4340 方法
4500 方法
4520 ステップ
4530 ステップ
4540 ステップ
4550 ステップ
4560 ステップ
5000 加湿器
5002 加湿器入口
5004 加湿器出口
5006 加湿器ベース
5110 加湿器リザーバ
5120 導電部分
5130 リザーバドック
5135 ロックレバー
5150 水位インジケータ
5240 加熱要素
6000 バルブアセンブリ
6010 バルブハウジング
6012 上流ハウジング部分
6014 下流ハウジング部分
6020 圧力作動バルブ部材
6030 入口/RPTポート
6040 出口/患者インターフェースポート
6050 換気部/周囲ポート
6052 換気開口部
6060 ダイヤフラム
6070 外周
6080 保持フランジ
6090 一方向バルブ/カモノハシバルブ
6100 膜部分
6102 膜セクション/膜部分
6110 圧力センサ(患者インターフェース)
6120 凹部
6130 リブ
6140 第1壁
6150 リブ
6160 リップ端部
6170 開口部
6180 流れガイド部分
6190 ランプ
6200 側壁
6210 上縁
6220 チャンバー
7000 HMX
7010 吸湿材
7020 フレーム部材
L バルブベースの長さ
W バルブベースの幅
図1A
図1B
図1C
図2A
図3A
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
【国際調査報告】