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特表2024-532871銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材およびその製造と用途
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  • 特表-銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材およびその製造と用途 図1
  • 特表-銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材およびその製造と用途 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材およびその製造と用途
(51)【国際特許分類】
   C22C 1/10 20230101AFI20240903BHJP
   C22C 1/00 20230101ALI20240903BHJP
   C22C 1/02 20060101ALI20240903BHJP
   C22C 9/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
C22C1/10 Z
C22C1/00 R
C22C1/02 503B
C22C9/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510624
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 CN2022108137
(87)【国際公開番号】W WO2023077881
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】202111306443.X
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515228678
【氏名又は名称】シーアイエスディーアイ エンジニアリング カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519323539
【氏名又は名称】シーアイエスディーアイ リサーチ アンド ディベロップメント カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CISDI RESEARCH AND DEVELOPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】YAN, Bo No.11-1, Huijin Road, New North Zone Chongqing 401122 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】フェン クー
(72)【発明者】
【氏名】シュー シシン
(72)【発明者】
【氏名】フー ユエンユエン
(72)【発明者】
【氏名】グアン シャオシ
(72)【発明者】
【氏名】リー クン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジミン
(72)【発明者】
【氏名】バイ シュシア
(72)【発明者】
【氏名】ジュー クー
【テーマコード(参考)】
4K020
【Fターム(参考)】
4K020AA21
4K020AC04
4K020AC07
4K020AC09
4K020BB22
4K020BC02
(57)【要約】
本発明は、着色金属合金の製造技術分野に属し、具体的に、高温の保護雰囲気下で、物理的手段または化学的手段を介してナノ粒子を液体Cu/Fe合金に加え、均一に混合、分散させた後、ナノ粒子が均一に混合されて含まれたCu/Fe溶融物をビレットに鋳造する工程と、さらに後処理を行う工程とを備える銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材およびその製造と用途を開示した。本発明の方法によって製造された銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材のビレットは、化学組成が安定し、Fe元素の分布が均一で、偏析していない。本発明は、銅鉄合金中のFe析出相の分布が不均一である問題を解決することができ、銅マトリックス中のFe析出相のサブミクロンオーダ~ナノオーダ級の均一分布を実現することができる。さらに、本発明の技術は従来の急速冷却技術、粉末冶金技術より簡単であり、より規模化製造に適する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温の保護雰囲気下で、物理的手段または化学的手段を介してナノ粒子を液体のCu/Fe合金に加え、均一に混合、分散させた後、ナノ粒子が均一に混合されて含まれたCu/Fe溶融物をビレットに鋳造する工程と、
さらに後処理を行う工程を備える、
ことを特徴とする銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材の製造方法。
【請求項2】
前記物理的手段は、ナノ粒子を金属箔で包むことであり、および/または
前記化学的手段は、ナノ粒子と溶融塩を均一に混合した後、Cu/Fe合金溶液に添加する溶融塩アシスト法、および/または、ナノ粒子を液体のCu/Fe合金に加えた後、機械撹拌分散または高エネルギー超音波撹拌を行う混合分散方法である、
ことを特徴とする請求項1に記載の銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材の製造方法。
【請求項3】
前記金属箔は鉄箔または銅箔である、
ことを特徴とする請求項2に記載の銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材の製造方法。
【請求項4】
前記後処理を行う方法は、1回変態または多回変態の時効処理である、
ことを特徴とする請求項1に記載の銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材の製造方法。
【請求項5】
前記液体のCu/Fe合金におけるFeの質量分率は5~50wt.%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材の製造方法。
【請求項6】
合金溶液に対する前記ナノ粒子の体積比は1~20%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材の製造方法。
【請求項7】
前記ナノ粒子は、ナノ炭化物セラミック粒子、ナノ窒化物セラミック粒子、ナノ酸化物セラミック粒子、及びナノ硼化物セラミック粒子からなる群から選択された少なくとも1種である、
ことを特徴とする請求項1に記載の銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材の製造方法。
【請求項8】
前記ナノ粒子は、SiC、MoC、WC、Al2O3、BN、TiB2からなる群から選択された少なくとも1種である、
ことを特徴とする請求項7に記載の銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材の製造方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された、
ことを特徴とする銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の製造方法を銅鉄合金の製造に適用する、
ことを特徴とする銅鉄合金の製造に用いられる用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色金属合金の製造技術分野に関し、特に、銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材およびその製造と用途に関する。
【背景技術】
【0002】
銅鉄合金(鉄の含有量は5~50%)は、熱伝導性、耐屈曲性に優れ、鉄含有量が30%より大きいと非常に優れた磁気、電磁シールド性を有し、また、低熱膨張係数、耐摩耗性と制菌性などの特性にも優れている。分析によると、当該製品は広く利用される見通しがあり、例えば、銅鉄帯板の場合は、5G携帯電話のヒートシンク、シールドカバー、大サイズOLEDバックプレート材、大サイズLEDディスプレイ放熱板(日本ではすでに使われている)、電気接続機器のコネクタ、ワイヤレス充電回路基板、空調コンデンサーチューブなどに使用されることができ、CuFe合金ロッド、棒、線、線材の場合は、電磁シールド線、高忠実度オーディオ線、ドローン高速モータ用電磁シールド電線、高圧ケーブル線、ロボット通信制御線、ラジオ線、編組電磁シールド網/帯、海水養殖ケージ、溶接ワイヤなどに使用されることができ、CuFe合金粉末の場合は、ブレーキパッド、吸波シールド塗料、3Dプリント、医療用抗菌面(例えば、糖尿病の傷癒合)などに使用されることができる。CuFe合金には、三相非同期モータ、射出成形金型、放電加工、電気ハンダ付け、電気コンタクトなどの面においても潜在的に広く利用される見通しを有する。
【0003】
現時点では、含有量の高い銅鉄合金の製造には次のような難題があった。銅における鉄の固溶度は非常に低く、室温でほぼ完全に混合せず、300℃である場合、溶解度は依然としてゼロであり、1100℃である場合、固溶度はまだ5%未満である。鉄と銅の密度が大きく異なるため、製錬過程において層状化が発生しやすい。鉄の含有量が増加すると、マスター合金の製錬温度は高く、Fe含有量>wt.20%の場合、Cu-Fe相図中の液相線温度は1400℃を超えた。さらに、銅と鉄の融点の差は約500℃と大きくなるため、鋳造時に偏析が発生しやすく、成分の不均一や鉄の濃縮(図1にCu-Fe二元合金相図を示す)を招いてしまう。
【0004】
そのため、鉄含有量の高い銅鉄合金の規模化生産には、Cu-Fe二元合金の製造過程において特定のナノ粒子補助プロセスを採用することにより、調製されたCu-Fe二元合金の固溶性を変更し、その性能を最適化し、適用範囲の拡大を実現することが非常に重要である。
【発明の概要】
【0005】
従来技術における前記欠点に鑑み、本発明の目的は、製造された銅鉄合金におけるFe析出相の不均一な分布の問題を解決するための銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材およびその製造と用途を提供することにある。
【0006】
前記目的およびその他の関連目的を実現するため、本発明は、以下の工程を含む銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材の製造方法を提供する。
【0007】
高温の保護雰囲気下で、液体Cu/Fe合金に物理的手段または化学的手段によってナノ粒子を加え、均一に混合、分散させた後、ナノ粒子が均一に混合されて含まれたCu/Fe溶融物をビレットに鋳造する工程と、さらに後処理を行う工程とを備える。
【0008】
さらに、前記物理的手段は、ナノ粒子を金属箔で包むことである。
【0009】
さらに、前記金属箔は鉄箔または銅箔である。
【0010】
さらに、前記化学的手段は、ナノ粒子と溶融塩を均一に混合した後、Cu/Fe合金溶液に添加する溶融塩アシスト法である。
【0011】
さらに、前記溶融塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属とハロゲン化物、ケイ酸塩、炭酸塩、硝酸塩およびリン酸塩からなる群から選択された少なくとも1種である。
【0012】
本発明において、溶融塩の選択原理は次のとおりである。
a.アルカリ金属またはアルカリ土類金属、ハロゲン化物、珪酸塩、炭酸塩、硝酸塩および燐酸塩から構成される。
b.溶融塩は、対応するナノ粒子と組み合わせる必要があり、ここで、溶融塩は、液体に入るとイオン液体に変換され、対応するナノ粒子の表面電荷分布を変化させることができるため、凝集せずにナノ粒子を安定に分散させることを促進する。
【0013】
さらに、ナノ粒子を液体のCu/Fe合金に加えた後の混合分散方法は、機械撹拌分散または高エネルギー超音波撹拌である。高出力の超音波分散または高回転速度の機械撹拌などの高エネルギー分散方法によっては、ナノ粒子を合金溶液に均一に分散することができる。
【0014】
さらに、前記後処理を行う方法は、1回変態または多回変態の時効処理である。
【0015】
また、前記液体のCu/Fe合金におけるFeの質量分率は5~50wt.%である。
【0016】
また、合金溶液に対する前記ナノ粒子の体積比は1~20%である。
【0017】
本発明において、ナノ粒子の選択原理は次のとおりである。
a.ナノ粒子は、熱的及び化学的安定性を持つものである。また、ナノ粒子は調製過程において分解またはマトリックス元素(Fe、Cu)と反応するものではない。
b.ナノ粒子(NP)は、成長相(Fe)とマトリックス相(Cu)との間の界面に熱力学的安定性を持たなければならない。好ましくは、NP/FeとNP/Cuの界面自由エネルギーは、システム全体の界面エネルギーを大幅に減少させるために互いに接近させる必要がある。
c.ナノ粒子は、成長界面(Fe/Cu界面)に急速に移動する必要がある。モデル計算シミュレーションにより、ナノ粒子は小さなサイズ(50~100nm)を有する必要がある。
【0018】
さらに、前記ナノ粒子は、ナノ炭化物セラミック粒子、ナノ窒化物セラミック粒子、ナノ酸化物セラミック粒子、及び、ナノ硼化物セラミック粒子からなる群から選択された少なくとも1種である。
【0019】
さらに、前記ナノ粒子の寸法は50-100nmである。
【0020】
さらに、前記ナノメータ粒子は、SiC、MoC、WC、Al2O3、BN、TiB2からなる群から選択された少なくとも1種である。
【0021】
本発明の第2態様では、第1態様に記載の方法によって製造された銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材を提供する。
【0022】
本発明の第3態様では、第1態様に記載の方法を銅鉄合金の製造に適用する用途を提供する。
【0023】
前記のように、本発明の銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材およびその製造と用途は、以下の有利な効果を有する。
【0024】
本発明の方法によって製造された銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材ビレットの化学組成は、化学組成が安定し、インゴットの上部、中部、下部の成分が均一で、Fe元素の分布が均一で、偏析がなく、Fe粒子の濃縮がない。
本発明は、銅鉄合金中のFe析出相の分布が不均一である問題を効果的に解決するだけでなく、さらに銅マトリックス中のFe析出相のサブミクロンオーダー~ナノオーダーの均一分布を実現することができる。
さらに、従来の急速冷却プロセス、粉末冶金プロセスに比べ、本発明の銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材の製造工程は、操作がより簡単で、コストが低く、大規模な工業化製造により適している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、Cu-Fe二元合金相図である。
図2図2は、本発明の銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材の原理図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施形態は、特定の具体例によって説明され、当業者は、本明細書に開示された内容から本発明の他の利点および効果を容易に理解することができる。本発明はまた、別の特定の実施形態によって実施または適用することができ、本明細書の詳細は、本発明の精神から逸脱することなく、異なる観点および適用に基づいて様々な修正または変更を行うことができる。
【0027】
本発明は、銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材の製造方法を提供し、以下の工程を含む。
高温の保護雰囲気下で、液体Cu/Fe合金に物理的または化学的方法によってナノ粒子を加え、機械撹拌分散または高エネルギー超音波撹拌によって均一に混合し、その後均一に混合したナノ粒子を有するCu/Fe溶融体をビレットに鋳造する工程と、さらに後処理を行う工程とを備える。
【0028】
具体的には、物理的手段は、金属箔でナノメータ粒子を包むことであり、前記金属箔は鉄箔または銅箔である。
【0029】
具体的には、化学的手段は、ナノ粒子と溶融塩を均一に混合した後、Cu/Fe合金溶液に添加する溶融塩アシスト法である。あるいは、溶融塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属およびハロゲン化物、ケイ酸塩、炭酸塩、硝酸塩、およびリン酸塩からなる群から選択された少なくとも1つである。
【0030】
本発明において、溶融塩の選択原理は次のとおりである。
a.アルカリ金属またはアルカリ土類金属とハロゲン化物、珪酸塩、炭酸塩、硝酸塩および燐酸塩から構成される。
b.溶融塩は対応するナノ粒子と組み合わせる必要があり、ここで、溶融塩は液体に入るとイオン液体に変換され、対応するナノ粒子の表面電荷分布を変化させることができるため、凝集せずにナノ粒子を安定に分散させることを促進する。
【0031】
具体的には、前記後処理を行う方法は1回変態または多回変態の時効処理である。
【0032】
具体的には、前記液体Cu/Fe合金におけるFeの質量分率は5~50wt.%であり、合金溶液に対する前記ナノ粒子の体積比は1~20%である。
【0033】
本発明において、ナノ粒子の選択原理は次のとおりである。
a.ナノ粒子は、熱的及び化学的安定性を持つものである。また、ナノ粒子は、調製過程において分解またはマトリックス元素(Fe、Cu)と反応するものではない。
b.ナノ粒子(NP)は、成長相(Fe)とマトリックス相(Cu)との間の界面に熱力学的安定性を持たなければならない。好ましくは、NP/FeとNP/Cuの界面自由エネルギーは、システム全体の界面ネルギーを大幅に減少させるために互いに接近させる必要がある。
c.ナノ粒子は、成長界面(Fe/Cu界面)に急速に移動する必要がある。モデル計算シミュレーションにより、ナノ粒子は小さいサイズと低い密度を有する必要がある。
【0034】
具体的には、前記ナノ粒子は、ナノ炭化物セラミックス粒子、ナノ窒化物粒子、ナノ酸化物セラミックス粒子、ナノ硼化物セラミックス粒子のうち少なくとも一種から選択される。好ましくは、前記ナノメータ粒子は、SiC、MoC、WC、Al2O3、BN、TiB2からなる群から選択された少なくとも一種である。
【0035】
本発明の銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材の製造原理は次のとおりである。
【0036】
図2に示すように、均一に分散され安定したナノ粒子が二元合金(Cu/Fe)に導入され、核生成相の成長は、熱的に安定したナノ粒子で核生成相を急速に包囲することによって制御される。合金溶液にナノ粒子が均一に分散されると、不混和領域で冷却される過程において、ナノ粒子が少数の結晶核(Fe)と液体マトリックス(Cu/Fe)の間の界面に自発的に集まり、少数の結晶核(Fe)の周囲にナノ粒子の壁が素早く形成され、結晶核と液体マトリックス間の拡散輸送が妨げられるため、結晶核の成長が大幅に制限され、冷却期間に新しい結晶核が形成され続けられる。
ナノ粒子を含まない純粋な体系(Cu/Fe)の冷却過程において、まず核生成のFeが急速に成長すると、周囲の液体マトリックス(Cu/Fe)における過飽和溶質(Fe)を消耗し、潜熱を放出して周囲の液体マトリックスの温度を向上させることによって十分な過冷却が不足し、新しい結晶コアを形成できない。最初に形成された結晶コア(Fe)は成長を続け、最後に偏析し、組成が不均一になりFeが濃縮される。
【0037】
本発明の方法によって製造された銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材の化学組成は、組成が安定し、インゴットの上部、中部、下部の成分が均一で、Fe元素の分布は均一で、偏析しない。
【0038】
本発明を詳細に説明するために、以下の具体的な実施形態を例示する。また、以下の実施形態は、本発明を具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものとは解釈されず、本発明の上述の内容に基づいて当業者によってなされたいくつかの非本質的な変更および修正は、本発明の範囲内にあることが理解されるべきである。以下の具体的なプロセスパラメータ等の例は、当業者が本明細書の説明から適切な範囲内で選択することができる適切な範囲の一例に過ぎず、以下の例の具体的な数値に限定されるものではない。
【0039】
(実施例1)
本実施例は、銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材を製造し、その製造方法の工程は次のとおりである。
(1)加熱炉によってアルミナ坩堝に純銅(400g)、純鉄(100g)を溶解し、銅鉄合金溶液を獲得した。
(2)窒素の保護雰囲気下で、SiCナノ粒子が鉄箔によって包まれ、銅鉄溶液に対するSiCナノ粒子の体積比が1%であり、ナノ粒子が棒状供給(棒状の鉄箔で包まれたSiCナノ粒子)の手段で合金溶液に供給された。
(3)回転数200rpmで溶液中のナノ粒子を機械的に撹拌する。
(4)ビレットに鋳造し、冷間圧延および時効処理を行うことで、銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材サンプルが得られた。
【0040】
(実施例2)
本実施例は、銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材を製造し、その製造方法の工程は次のとおりである。
(1)加熱炉によってアルミナ坩堝に純銅(250g)、純鉄(250g)を溶解し、銅鉄合金溶液を獲得した。
(2)窒素の保護雰囲気下で、MoCナノ粒子が溶融塩アシスト法によって加えられた。具体的には、銅鉄溶解液体の体積比が20%であるMoCナノ粒子をNaClと均一に混合した後、Cu/Fe合金溶液に直接に加えた方法である。
(3)超音波振幅120μm、周波数20kHzで溶液中に高エネルギー超音波撹拌を行うことによってナノ粒子を分散させた。
(4)ダイカストによってビレットに鋳造し、多回変態の時効処理を行って銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材サンプルを得た。
【0041】
(実施例3)
本実施例は、銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材を製造し、その製造方法の工程は次のとおりである。
(1)加熱炉によってアルミナ坩堝の中に純銅(375g)、純鉄(125g)を溶解し、銅鉄合金溶液を獲得した。
(2)不活性ガス(アルゴンガス)の保護雰囲気下で、TiBナノ粒子が溶融塩アシスト法によって加えられた。具体的には、銅鉄溶解液の体積比が10%を占めるTiBナノ粒子をCaFと均一に混合した後、Cu/Fe合金溶液に直接に加えた方法である。
(3)超音波振幅120μm、周波数20kHzで溶液中に高エネルギー超音波撹拌を行うことによってナノ粒子を分散させた。
(4)ダイカストによってビレットに鋳造し、多回変態の時効処理を行って銅鉄合金ナノ粒子コンポジット材サンプルを得た。
【0042】
上述した実施形態は、本発明の原理およびその効果を例示的に説明するものであり、本発明を限定するものではない。当業者であれば、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、上記の実施形態を修正または変更することができる。したがって、本発明によって開示された精神および技術的思想から逸脱することなく、当技術分野に通常の知識を有する者によってなされたすべての同等の修正または変更は、本発明の請求項に含まれるべきである。
図1
図2
【国際調査報告】