(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】光デバイスを汚染から保護する装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/08 20210101AFI20240903BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20240903BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240903BHJP
H04N 23/52 20230101ALI20240903BHJP
【FI】
G03B17/08
G03B17/56 H
H05K5/02 L
H04N23/52
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510651
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 CA2022000041
(87)【国際公開番号】W WO2023272374
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524065527
【氏名又は名称】エクセルセンス テクノロジーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナバビ,ニマ
(72)【発明者】
【氏名】ベル,イアン ロー
(72)【発明者】
【氏名】ナイェリ,ジョウビン
(72)【発明者】
【氏名】ニュリ,コリン アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
2H101
2H105
4E360
5C122
【Fターム(参考)】
2H101CC01
2H101CC53
2H105DD06
2H105EE05
4E360AA04
4E360AB33
4E360AB34
4E360AB64
4E360GA22
4E360GB01
5C122DA30
5C122EA02
5C122FB02
5C122FB11
5C122GE01
5C122GE04
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
5C122GE20
5C122GE21
5C122HA82
5C122HA84
(57)【要約】
光デバイスを汚染から保護する装置が開示される。装置は、光デバイスと汚染環境との間に配置され、回転軸を中心にして回転可能であり、回転軸を中心にして少なくとも一方向に湾曲した外向き面を含むウィンドウを備える。装置は、外向き面の一部を取り囲み、光デバイスとの間で電磁放射を送受信するためのクリアアパーチャを画定するベゼルも備える。ベゼルは、クリアアパーチャの周辺部の周りに延びるシールを含み、ウィンドウとベゼルが互いに接触するように付勢されると、シールに外向き面と適合させるように構成されている。装置は、ウィンドウとベゼルとの間で相対回転させ、ベゼルに対して外向き面を移動させるように動作可能なアクチュエータも備える。装置は、相対回転中にクリアアパーチャに入る外向き面の一部の上に、クリアアパーチャを通って光デバイスとの間で電磁放射を送受信しながら、クリアアパーチャ内の外向き面に対する光学的汚染物質の結合を低減するように動作可能な膜を供給するように構成されているシールをも備える。シールは、膜内に巻き込まれた、または相対回転中にクリアアパーチャから出る外向き面の一部に付着した汚染物質を除去するように構成されている。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光デバイスを汚染から保護する装置であって、
前記光デバイスと汚染環境との間に配置され、回転軸を中心にして回転可能であり、前記回転軸を中心にして少なくとも一方向に湾曲した外向き面を含むウィンドウと、
前記外向き面の一部を取り囲み、前記光デバイスとの間で電磁放射を送受信するためのクリアアパーチャを画定し、前記クリアアパーチャの周辺部の周りに延びるシールを含み、前記ウィンドウと前記ベゼルとが互いに接触するように付勢されると、前記シールに前記外向き面と適合するように構成されているベゼルと、
前記ウィンドウと前記ベゼルとの間で相対回転させ、前記ベゼルに対して前記外向き面を移動させるように構成されているアクチュエータと、
前記相対回転中に前記クリアアパーチャに入る前記外向き面の一部の上に、前記クリアアパーチャを通って前記光デバイスとの間で前記電磁放射を送受信しながら、前記クリアアパーチャ内の前記外向き面に対する光学的汚染物質の結合を低減するように動作可能な膜を供給するように構成されているシールと、
を備え、
前記シールは、前記膜内に巻き込まれた、または前記相対回転中に前記クリアアパーチャから出る前記外向き面の一部に付着した汚染物質を除去するように構成されている装置。
【請求項2】
前記外向き面は前記回転軸を中心にして少なくとも一方向に円形に湾曲している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記膜は、供給された後に液体状態にとどまる液膜を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記シールと液体連通する液体リザーバをさらに備え、前記シールは、前記ウィンドウと前記ベゼルとの間に回転がない場合は、前記液体リザーバに液体を収容する一方、前記ウィンドウと前記ベゼルとの間の相対回転中には前記シールの下に液体の薄膜を供給するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ウィンドウおよび光デバイスは筐体内に格納され、前記液体リザーバは、前記ベゼル内の前記シールから、前記筐体内に配置された前記ウィンドウの前記外向き面の一部に沿って、前記液体リザーバに前記液体を収容して前記液体の前記筐体の他の部分への到達を防ぐために配置されたリヤシールまで延びる、前記筐体の一部の中で画定される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記膜は、
供給された後に少なくとも部分的に硬化する液体材料、
供給された後に少なくとも部分的に蒸発するように動作可能な液体材料と非液体材料、または
前記シールから研磨されることによって供給され、前記相対回転中に前記膜を形成する非液体材料、
のうちの1つを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記シールは、
前記ウィンドウの回転中に前記クリアアパーチャに入る前記外向き面の前記一部の上に前記膜を供給するように動作可能なディスペンサー部と、
前記膜内に巻き込まれた、または前記ウィンドウの回転中に前記クリアアパーチャから出る前記外向き面の前記一部に付着した前記汚染物質を除去するように動作可能なワイパー部と、
を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記シールの前記ディスペンサー部および前記シールの前記ワイパー部は前記ベゼルの反対側に配置され、前記ウィンドウの前記回転が前記シールの前記ワイパー部に向かって前記外向き面を移動させる方向である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記シールの前記ワイパー部は前記クリアアパーチャの周辺部全体の周りに延びるワイパーを備え、前記シールの前記ディスペンサー部は前記ワイパーから外側に間隔を空けて配置された独立したシールを備える、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記光デバイスおよび前記ウィンドウは筐体内に格納され、前記ベゼルは前記筐体の一部を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記ウィンドウに作用し、前記ベゼルと接触するように前記ウィンドウを付勢する力を提供するように構成されている適合構造をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記外向き面は前記回転軸を中心にして前記少なくとも一方向に円形に湾曲しており、前記外向き面は前記少なくとも一方向に直交する方向にさらに円形に湾曲して、球状の外向き面を画定し、前記ベゼルは円形のベゼルを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記アクチュエータは前記回転軸を中心にして単一の方向に前記ウィンドウを回転させるように構成され、前記回転により前記シールが前記クリアアパーチャから出る前記外向き面の第1の部分から汚染物質を除去するとともに、前記ディスペンサーは、前記クリアアパーチャに入る前記外向き面の第2の部分の上に前記膜を補給する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ウィンドウは球状の固体を備え、前記光デバイスは前記球状の固体の背後に配置され、前記クリアアパーチャおよび前記球状の固体を通って前記光デバイスとの間で、前記電磁放射が送受信される、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記球状の固体の一部と前記光デバイスの第1の光学素子との間に収容された多量の浸液をさらに備え、前記浸液は前記球状の固体の屈折率にほぼ一致する屈折率を有する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記球状の固体は、前記球状の固体内に配置された凹部を備え、前記光デバイスが少なくとも部分的に前記凹部内に配置される、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記ウィンドウは、前記回転軸を中心にして前記少なくとも一方向に湾曲した内向き面を備え、前記外向き面と前記内向き面との間に湾曲した壁を画定する、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
前記湾曲した壁は前記クリアアパーチャを超えて延び、前記アクチュエータは前記回転軸を中心にして前記ウィンドウを往復回転させるように構成され、第1の方向の回転により、前記外向き面の第1の部分が前記クリアアパーチャから出るときに前記シールが汚染物質を除去し、第2の方向の回転により、、前記クリアアパーチャに再び入る間に前記外向き面の前記第1の部分の上に、前記シールが前記膜を供給する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記シールは前記クリアアパーチャを取り囲み、前記第1の方向の前記回転により、前記クリアアパーチャに入る前記外向き面の第2の部分の上に、前記シールが前記膜を供給し、前記第2の方向の前記回転により、前記膜内に巻き込まれた、または前記外向き面の前記第2の部分が前記クリアアパーチャから出る間に付着した汚染物質を前記シールが除去する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記ウィンドウの前記湾曲した壁は、前記回転軸を中心にして延びる球状のシェルを備え、前記湾曲した壁内の閉鎖領域を画定する、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
前記電磁放射を前記光デバイスに送信するために、前記閉鎖領域内に配置された少なくとも1つの光学素子をさらに備える、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記光デバイスは前記閉鎖領域の外側に配置され、前記光学素子は、
前記光デバイスとの間で送受信される前記電磁放射を調整するように構成されている1つ以上のレンズ、または
反射面を含むミラーであって、前記反射面に衝突する前記電磁放射の向きを前記光デバイスへ、または前記光デバイスからリダイレクトするように前記反射面が配置されたミラー、
のうちの1つを備える、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記光デバイスは前記閉鎖領域の外側に配置され、前記球状のシェルは少なくとも1つの開口部を含み、前記少なくとも1つの光学素子は前記少なくとも1つの開口部を通って前記閉鎖領域の中に延びる支持構造に取り付けられて、前記少なくとも1つの光学素子を前記光デバイスと固定した関係で支持する、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記閉鎖領域内で受ける浸液をさらに備え、前記浸液の屈折率は前記ウィンドウの屈折率と実質的に一致する、請求項20に記載の装置。
【請求項25】
前記光デバイスは前記閉鎖領域に配置される、請求項20に記載の装置。
【請求項26】
前記球状のシェルは少なくとも1つの開口部を含み、前記少なくとも1つの開口部をシールするために配置された閉止部材をさらに備える、請求項20に記載の装置。
【請求項27】
前記ウィンドウの前記外向き面は筒面を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記筒面は円形の筒面を備える、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記光デバイスとの間で送受信される前記電磁放射は、
紫外線波長範囲、
可視波長範囲、
赤外線波長範囲、
長波長赤外線波長範囲、または
x線波長範囲、
のうちの少なくとも1つにある波長を有する電磁放射を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記アクチュエータは、
連続的な相対回転、
断続的な相対回転、または
一方向の相対回転とその後に続く反対方向の相対回転、
のうちの1つを引き起こすように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項31】
前記ウィンドウは球状の外向き面を含むシェルを備え、前記ベゼルは円形のベゼルを備え、
前記アクチュエータは、前記撮像デバイスの光軸に対して鋭角に位置合わせされた回転軸を中心にして前記ウィンドウを回転させ、前記クリアアパーチャを通って前記外向き面を移動させるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項32】
前記シェルは球状の内向き面または非球状の内向き面のうちの1つを備える、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記光デバイスは、前記球状の内向き面または前記非球状の内向き面のうちの1つの背後で前記シェル内に配置される、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記回転軸は前記クリアアパーチャの外側のポイントを通過する、請求項31に記載の装置。
【請求項35】
前記回転軸を中心とした前記ウィンドウの回転方向は、前記汚染物質が前記クリアアパーチャから下方に出るように、前記ベゼルに対して一方向に前記ウィンドウを移動させるように選択される、請求項31に記載の装置。
【請求項36】
前記クリアアパーチャの周辺部に蓄積された少なくとも一部の汚染物質を除去するための2次的運動を生成するように構成されているアクチュエータをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項37】
前記シールが円形に作製され、前記シールは前記ベゼル内に取り付けられて、前記シールが非円形に付勢される、請求項1に記載の装置。
【請求項38】
前記光デバイスは前記電磁放射を放射する、または受信するように構成されている複数の光デバイス備える、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に光デバイスに関し、より具体的には、光デバイス内の光学面の洗浄に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ、距離計、およびその他の光デバイスは、一般的に、少なくとも1つの光学面が周囲の環境に露出されている。露出された光学面は、筐体を取り囲み、筐体内の光デバイスとの間で光を送受信する光学グレードのウィンドウ、レンズ、またはその他の光学素子の外側の表面となり得る。光学素子は、このように、筐体内に格納された慎重に扱うべき光学部品を保護する。ただし、露出された光学面には、時間の経過とともに水、粉塵粒子、その他のごみなどの汚染物質が蓄積し、光学性能が悪化することがある。光学面が過酷な環境にさらされる場合、光学面が急速に汚染されて、定期的な手動洗浄に頼ることができなくなる恐れがある。これは、採掘やその他の産業環境において、または手動洗浄のために光デバイスにアクセスすることが困難または危険な遠隔地に設置する場合に特に問題となる。用途によっては、手動洗浄のためのアクセスが不足しているため、実際に光デバイスの配置を禁止することがある。
【0003】
光学面の自動洗浄を行う装置および方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
開示された一態様に従って、光デバイスを汚染から保護する装置が提供される。前記装置は、前記光デバイスと汚染環境との間に配置され、回転軸を中心にして回転可能であり、前記回転軸を中心にして少なくとも一方向に湾曲した外向き面を含むウィンドウを備える。前記装置は、前記外向き面の一部を取り囲み、前記光デバイスとの間で電磁放射を送受信するためのクリアアパーチャを画定するベゼルも備える。前記ベゼルは、前記クリアアパーチャの周辺部の周りに延びるシールを含み、前記ウィンドウとベゼルが互いに接触するように付勢されると、前記シールに前記外向き面と適合させるように構成されている。前記装置は、前記ウィンドウと前記ベゼルとの間で相対回転させ、前記ベゼルに対して前記外向き面を移動させるように構成されているアクチュエータも備える。前記装置は、前記相対回転中に前記クリアアパーチャに入る前記外向き面の一部の上に、前記クリアアパーチャを通って前記光デバイスとの間で前記電磁放射を送受信しながら、前記クリアアパーチャ内の前記外向き面に対する光学的汚染物質の結合を低減するように動作可能な膜を供給するように構成されているシールをも備える。前記シールは、前記膜内に巻き込まれた、または前記相対回転中に前記クリアアパーチャから出る前記外向き面の一部に付着した汚染物質を除去するように構成されている。
【0005】
前記外向き面は前記回転軸を中心にして前記少なくとも一方向に円形に湾曲していてもよい。
【0006】
前記膜は供給された後に液体状態にとどまる液膜を有してもよい。
【0007】
前記装置は、前記シールと液体連通する液体リザーバをさらに備えていてもよく、前記シールは、前記ウィンドウと前記ベゼルとの間に回転がない場合は、前記液体リザーバに液体を収容する一方、前記ウィンドウと前記ベゼルとの間の相対回転中には前記シールの下に液体の薄膜を供給するように構成されていてもよい。
【0008】
前記ウィンドウおよび光デバイスは筐体内に格納されてもよく、前記液体リザーバは、前記ベゼル内の前記シールから、前記筐体内に配置された前記ウィンドウの前記外向き面の一部に沿って、前記液体リザーバに前記液体を収容して前記液体の前記筐体の他の部分への到達を防ぐために配置されたリヤシールまで延びる、前記筐体の一部の中で画定されてもよい。
【0009】
前記膜は、供給された後に少なくとも部分的に硬化する液体材料、供給された後に少なくとも部分的に蒸発するように動作可能な液体材料および非液体材料、または前記シールから研磨されることによって供給され、前記相対回転中に前記膜を形成する非液体材料、のうちの1つを備えてもよい。
【0010】
前記シールは、前記ウィンドウの回転中に前記クリアアパーチャに入る前記外向き面の前記一部の上に前記膜を供給するように動作可能なディスペンサー部と、前記膜内に巻き込まれた、または前記ウィンドウの回転中に前記クリアアパーチャから出る前記外向き面の前記一部に付着した前記汚染物質を除去するように動作可能なワイパー部とを備えてもよい。
【0011】
前記シールの前記ディスペンサー部および前記シールの前記ワイパー部は、前記ベゼルの反対側に配置されてもよく、前記ウィンドウの前記回転が前記シールの前記ワイパー部に向かって前記外向き面を移動させる方向でもよい。
【0012】
前記シールの前記ワイパー部は、前記クリアアパーチャの周辺部全体の周りに延びるワイパーを備えてもよく、前記シールの前記ディスペンサー部は、前記ワイパーから外側に間隔を空けて配置された独立したシールを備えてもよい。
【0013】
前記光デバイスおよび前記ウィンドウは筐体内に格納されてもよく、前記ベゼルは前記筐体の一部を備えてもよい。
【0014】
前記装置は、前記ウィンドウに作用し、前記ベゼルと接触するように前記ウィンドウを付勢する力を提供するように構成されている適合構造をさらに備えてもよい。
【0015】
前記外向き面は前記回転軸を中心にして前記少なくとも一方向に円形に湾曲してもよく、前記外向き面は前記少なくとも一方向に直交する方向にさらに円形に湾曲して、球状の外向き面を画定し、前記ベゼルは円形のベゼルを備えてもよい。
【0016】
前記アクチュエータは前記回転軸を中心にして単一の方向に前記ウィンドウを回転させるように構成されてもよく、前記回転により前記シールが前記クリアアパーチャから出る前記外向き面の第1の部分から汚染物質を除去するとともに、前記ディスペンサーは、前記クリアアパーチャに入る前記外向き面の第2の部分の上に前記膜を補給する。
【0017】
前記ウィンドウは球状の固体を備えてもよく、前記光デバイスは前記球状の固体の背後に配置されてもよく、前記クリアアパーチャおよび前記球状の固体を通って前記光デバイスとの間で前記電磁放射が送受信されてもよい。
【0018】
前記装置は、前記球状の固体の一部と前記光デバイスの第1の光学素子との間に収容された多量の浸液を備えてもよく、前記浸液は前記球状の固体の屈折率に実質的に一致する屈折率を有するように選択される。
【0019】
前記球状の固体は、前記球状の固体内に配置された凹部を備えてもよく、前記光デバイスが少なくとも部分的に前記凹部内に配置されてもよい。
【0020】
前記ウィンドウは前記回転軸を中心にして前記少なくとも一方向に湾曲した内向き面を備えてもよく、前記外向き面と前記内向き面との間に湾曲した壁を画定してもよい。
【0021】
前記湾曲した壁は前記クリアアパーチャを超えて延びてもよく、前記アクチュエータは前記回転軸を中心にして前記ウィンドウを往復回転させるように構成されてもよく、第1の方向の回転により、前記外向き面の第1の部分が前記クリアアパーチャから出るときに前記シールが汚染物質を除去し、第2の方向の回転により、前記クリアアパーチャに再び入る間に、前記外向き面の前記第1の部分の上に、前記シールが前記膜を供給するようにしてもよい。
【0022】
前記シールは前記クリアアパーチャを取り囲んでもよく、前記第1の方向の前記回転により、前記クリアアパーチャに入る前記外向き面の第2の部分の上に、前記シールが前記膜を供給してもよく、前記第2の方向の前記回転により、前記膜内に巻き込まれた、または前記外向き面の前記第2の部分が前記クリアアパーチャから出る間に付着した汚染物質を前記シールが除去してもよい。
【0023】
前記ウィンドウの前記湾曲した壁は、前記湾曲した壁内の閉鎖領域を画定するために前記回転軸を中心にして延びる球状のシェルを備えてもよい。
【0024】
前記装置は、前記電磁放射を前記光デバイスに送信するために、前記閉鎖領域内に配置された少なくとも1つの光学素子をさらに備えてもよい。
【0025】
前記光デバイスは前記閉鎖領域の外側に配置されてもよく、前記光学素子は、前記光デバイスとの間で送受信される前記電磁放射を調整するように構成されている1つ以上のレンズ、または反射面を含むミラーであって、前記反射面に衝突する前記電磁放射の向きを前記光デバイスへ、または前記光デバイスからリダイレクトするように前記反射面が配置されたミラー、のうちの1つを備えてもよい。
【0026】
前記光デバイスは前記閉鎖領域の外側に配置されてもよく、前記球状のシェルは少なくとも1つの開口部を含み、前記少なくとも1つの光学素子は、前記少なくとも1つの開口部を通って前記閉鎖領域の中に延びる支持構造に取り付けられて、前記少なくとも1つの光学素子を前記光デバイスと固定した関係で支持してもよい。
【0027】
前記装置は、前記閉鎖領域内で受ける浸液をさらに備え、前記浸液の屈折率は前記ウィンドウの屈折率と実質的に一致してもよい。
【0028】
前記光デバイスは前記閉鎖領域に配置されてもよい。
【0029】
前記ウィンドウの前記外向き面は筒面を備えてもよい。
【0030】
前記筒面は円形の筒面を備えてもよい。
【0031】
前記光デバイスとの間で送受信される前記電磁放射は、紫外線波長範囲、可視波長範囲、赤外線波長範囲、長波長赤外線波長範囲、またはx線波長範囲のうちの少なくとも1つにある波長を有する電磁放射を有する。
【0032】
前記アクチュエータは、連続的な相対回転、断続的な相対回転、または一方向の相対回転とその後に続く反対方向の相対回転、のうちの1つを引き起こすように構成されていてもよい。
【0033】
前記ウィンドウは球状の外向き面を含むシェルを備えてもよく、前記ベゼルは円形のベゼルを備えてもよく、前記アクチュエータは、前記撮像デバイスの光軸に対して鋭角に位置合わせされた回転軸を中心にして前記ウィンドウを回転させ、前記クリアアパーチャを通って前記外向き面を移動させるように構成されていてもよい。
【0034】
前記シェルは球状の内向き面または非球状の内向き面のうちの1つを備える。
【0035】
前記光デバイスは、前記球状の内向き面または前記非球状の内向き面のうちの前記1つの背後で前記シェル内に配置されてもよい。
【0036】
前記回転軸は前記クリアアパーチャの外側のポイントを通過してもよい。
【0037】
前記回転軸を中心とした前記ウィンドウの回転方向は、前記汚染物質が前記クリアアパーチャから下方に出るように、前記ベゼルに対して一方向に前記ウィンドウを移動させるように選択されてもよい。
【0038】
前記装置は、前記クリアアパーチャの周辺部に蓄積された少なくとも一部の汚染物質を除去するための2次的運動を生成するように構成されているアクチュエータを備えてもよい。
【0039】
前記シールを円形に作製してもよく、前記シールを前記ベゼル内に取り付けて、前記シールが非円形に付勢されるようにしてもよい。
【0040】
前記光デバイスは前記電磁放射を放射、または受信するように構成されている複数の光デバイスを備えてもよい。
【0041】
その他の態様および特徴は、添付した図と併せて、開示される以下の具体的な実施形態の説明を検討することにより、当業者には明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
以下の図面において、開示された実施形態を例示する。
【
図1A】開示された第1の実施形態による光デバイスを汚染から保護する装置の斜視図である。
【
図1B】
図1AのA-A線に沿った光デバイスを汚染から保護する装置の断面図である。
【
図2】開示された代替的な実施形態による光デバイスを汚染から保護する装置の断面図である。
【
図3】光デバイスを汚染から保護する装置の別の実施形態の断面図である。
【
図4】光デバイスを汚染から保護する装置のさらに別の実施形態の断面図である。
【
図5】光デバイスを汚染から保護する装置の代替的な実施形態の断面図である。
【
図6A】光デバイスを汚染から保護する装置のさらなる実施形態の斜視部分切断図である。
【
図6B】
図6Aに示す装置のB-B線に沿った斜視断面図である。
【
図7A】光デバイスを汚染から保護する装置の代替的な実施形態の斜視図である。
【
図8A】光デバイスを汚染から保護する装置のさらなる実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1Aを参照すると、開示された第1の実施形態による光デバイス102を汚染から保護する装置が100で概して示される。装置100は、光デバイス102と汚染環境106との間に配置されたウィンドウ104を備える。ウィンドウ104は、矢印110で示されるように、回転軸108を中心にして回転可能である。ウィンドウ104は、回転軸108を中心にして少なくとも一方向に湾曲した外向き面112を含む。装置100は、外向き面112の一部を取り囲み、ウィンドウ104を通して光デバイス102との間で光などの電磁放射の送受信をするためのクリアアパーチャ116(破線で表示)を画定する、ベゼル114をさらに備える。光デバイス102は、線144により示される光軸を有する。
【0044】
本実施形態では、ウィンドウ104は、光デバイス102に関連付けられている動作波長範囲に亘って、実質的に光学的に透明な材料から作製される。「実質的に光学的に透明な」という用語は、光デバイス102を通過する光の減衰が低い材料を指すと捉える必要がある。この文脈において、「光」という用語が本明細書中で使われる際、可視、赤外線、紫外線、またはx線の波長範囲に波長を有する電磁放射を指すと理解する必要がある。いくつかの実施形態では、波長範囲は、紫外線波長範囲、可視波長範囲、赤外線波長範囲、長波長赤外線波長範囲、またはx線波長範囲のいずれかであり得る。
【0045】
図示の実施形態では、外向き面112は、回転軸108を中心にして方向110に円形に湾曲している。本実施形態では、外向き面112は、軸108に直交する回転軸120を中心にして矢印118で示される方向にも円形に湾曲していることで、球状の外向き面112を画定する。ウィンドウ104が球状の外向き面112を有する図示の実施形態では、ベゼル114は実質的に円形である。
【0046】
装置100は
図1Bにおいて、
図1Aの光軸線144と一致するA-A線に沿った断面図で示される。装置100は概して筐体内に格納されることになるが、
図1Aおよび
図1Bでは、筐体によって覆い隠されてしまう装置100の要素を明らかにするために、筐体は省略されている。ベゼル114は、クリアアパーチャ116の周辺部の周りに延びるシール122を含む。ベゼル114は、ウィンドウ104とベゼル114とが相互に接触するように付勢された際に、シール122に外向き面112と適合させるように構成されている。図示の実施形態では、シール122は独立したディスペンサー部124とワイパー部126とを含む。他の実施形態では、シール122は、以下でより詳細に説明される機能を提供する単一の要素であってもよい。
【0047】
再び
図1Aを参照すると、装置100は、ウィンドウ104とベゼル114との間で相対回転をさせるように動作可能なアクチュエータ128をさらに備える。図示の実施形態では、回転は、本実施形態では光軸144に対して垂直な回転軸108を中心とする。アクチュエータ128は、シャフト130を介してウィンドウ104に結合されたモータを使用して実装してもよい。アクチュエータは、シャフト130を介して回転トルク132をウィンドウに伝達するように動作可能であり、これにより外向き面112がベゼル114に対して動く。トルク132は、時計回り方向、反時計回り方向、または時計回り方向と反時計回り方向の回転の組み合わせとして回転させるよう印加してもよい。回転は、連続的もしくは断続的のいずれか、またはその両方の任意の組み合わせであってもよい。
【0048】
再び
図1Bを参照すると、図示の実施形態では、アクチュエータ128によってシャフト130に伝達される回転トルク132により、外向き面112の一部が下方に移動してクリアアパーチャ116に入る。他の実施形態では、外向き面112の動きは、上方や横方向であってもよく、または以下でより詳細に説明されるように、往復運動であってもよい。相対回転中、シール122は、クリアアパーチャ116(この場合は、クリアアパーチャの上部)に入る外向き面112の一部の上に膜を供給する。膜は、クリアアパーチャを通して光デバイス102との間で光を送受信しながら、クリアアパーチャ116内の外向き面に対する光学的汚染物質の結合を低減するように動作可能である。
【0049】
一実施形態では、膜は液膜であってもよく、シール122のディスペンサー部124は、主にウィンドウ104の外向き面112上に薄く、実質的に均一な膜を供給する機能を実行するように構成してもよい。シール122の適切なディスペンサー部124のさまざまな構成は、2020年6月22日に出願された、「光デバイスの光学面を洗浄する装置」という題で、共通して所有される米国仮特許出願US63/042472において開示され、参照によりその内容全体が本明細書中に組み込まれる。また、US63/042472では、液膜の提供に適切な液体であり、ウィンドウ104の外向き面112を液体で均一に湿らせる特性を有し得るものが開示される。適切な液体は、装置100がさらされる環境条件下で安定した状態を保つことができる。また、液体と外向き面112との間の接着力が、液体と標準的な汚染物質との間の接着力よりも大きいことが望ましいとされてもよい。これらの条件下では、多くの標準的な汚染物質粒子は、外向き面112に付着するというよりむしろ、液膜内に浮遊する傾向がある。用途に応じて望ましいとされ得る他の液体特性としては、安定した粘度、低蒸気圧、および加水分解安定性が挙げられる。
【0050】
一実施形態では、液体は作動油であってもよい。いくつかの実施形態では、作動油は、液膜に疎水性特性を生じさせ、液膜内に水が巻き込まれる可能性を低減させる、シリコーンなどの成分を含んでもよい。これらの液体は、水滴に、ワイパーの下を通過させるのではなく、ワイパー126によって簡単に取り除かれることが可能な液膜の上で浮遊させる傾向がある。さらに、液体は適切な光学的性質も有するべきである。一例として、液体は、光デバイス102に関連付けられている波長範囲に亘る高い光透過率に基づき、選択してもよい。液体は、外向き面112の傷の光学的な影響を低減させる、ウィンドウ104の材料の屈折率に近い屈折率を有するように選択してもよい。
【0051】
液膜は、外向き面112上に供給された後も液体状態のままであってもよく、液膜を通してキャプチャーされた画像に対して、無視できるほどの、または軽微な劣化を引き起こす。他の実施形態では、選択された液体材料は、供給された後に少なくとも部分的に硬化してもよい。あるいは、液体材料は非液体材料を含んでもよく、供給された後に液体材料が少なくとも部分的に蒸発し、非液体材料を外向き面112上に残してもよい。
【0052】
他の実施形態では、非液体材料をシール122から研磨されることによって供給し、相対回転中に膜を形成してもよい。一例として、シール122の全体またはシールのディスペンサー部124は、外向き面112に横切って引きずる際に膜を残す材料から作製してもよい。このような材料の一例としてはポリシロキサンベースの材料があり、ポリシロキサンベースの材料はさまざまな形態で作製され、密閉部材として使用され得る架橋ポリマーを含んでもよい。
【0053】
また、シール122は、膜内に巻き込まれた、または相対回転中にクリアアパーチャ116(この場合、クリアアパーチャ116の底部)から出る外向き面112の一部に付着した汚染物質を除去するように構成されている。本実施形態では、シール122のワイパー部126が主にこの機能を果たし、ワイパー部は、外向き面112に密着し、膜と汚染物質とを外向き面から持ち上げるエッジ134を含む。適切なワイパー部126のさまざまな構成は、米国仮特許出願63/042472に開示されている。
図1Aおよび
図1Bに示す実施形態では、ワイパー部126はクリアアパーチャ116の周辺部全体の周りに延びる。ディスペンサー部124は、ワイパー部126から外側に間隔を空けて配置された独立した密閉部材を含む。いくつかの実施形態では、ワイパー部126は、ポリウレタン、ポリエチレン(UHMW)、またはアセタール(Delrin(登録商標))などの適合する材料から作製してもよい。いくつかの実施形態では、シール122の材料をさらに処置して、汚染物質が蓄積してシールに付着する可能性を防ぐために、その特性をさらに向上させてもよい。処置は、ワイパー126もしくはディスペンサー部124のいずれか、またはワイパー部およびディスペンサー部の両方に施してもよい。一般的に、汚染物質をウィンドウのクリアアパーチャから遠ざけることが望ましく、シールでの疎水性処置が、ワイパーまたはディスペンサー材料に付着した汚染物質による蓄積を防ぐことを支援してもよい。処置は、例えば、シール122のワイパー124および/またはディスペンサー部126へのさまざまな処理またはコーティングの塗布を伴い、摩擦を軽減したり、疎油性または疎水性の特性を変化したりしてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、クリアアパーチャ116から取り除かれた汚染物質は、時間の経過とともに外向き面112の周縁に不可避的に蓄積する可能性がある。この汚染物質の蓄積は、特に重力下で外向き面112に再堆積することを防ぐためにワイパー部が配置されている実施形態では、通常、クリアアパーチャ116のより下の領域に存在することがある。一実施形態では、装置100は、定期的に汚染物質の蓄積を除去し、それらをクリアアパーチャ116から遠ざけるために、2次的運動を発生してもよい。2次的運動は、アクチュエータによってもたらされる、装置100の筐体、ベゼル114、ウィンドウ104、またはクリアアパーチャ116の洗浄に関連付けられているその他の部品への衝撃または振動の形をとってもよい。アクチュエータは、振動モータ、圧電アクチュエータ、ソレノイド、または2次的運動を発生させることができるその他の装置であってもよい。一実施形態では、ウィンドウ回転のアクチュエータ128を制御して、ウィンドウ104への小さく振動する2次的動作を発生させてもよい。クリアアパーチャ116の縁の汚染物質の蓄積に対する振動動作が、少なくともいくつかの汚染物質を除去するのに十分であることがある。
【0055】
いくつかの汚染物質粒子は外向き面112に直接付着することがあり、これらの汚染物質粒子は除去がより困難になることがある。また、樹液や樹脂などの粘着性の強い汚染物質の中には、一旦、外向き面112に付着すると、除去することが非常に困難になり得るものがある。見込まれる汚染物質がこれらのより粘着性の強い汚染物質を含む実施形態では、ワイパーは金属材料から作製してもよい。例えば、ワイパー部126は、黄銅合金、ステンレス鋼合金、または潤滑剤を含浸させた多孔質金属合金などの金属材料から作製してもよい。
【0056】
図1Aおよび
図1Bに示す実施形態では、ウィンドウ104は、光学的に透明な材料で球状の固体として作製される。光デバイス102はウィンドウ104の背後に配置され、クリアアパーチャ116およびウィンドウ104を通して、光が光デバイスとの間で送受信される。本実施形態では、光デバイス102は、センサ136と、光を調整してセンサ136上に向けるためにウィンドウ104と光デバイス102との間に配置されるレンズ138とを備える。中実球状のウィンドウ104は、球の半径に比例する焦点距離を有し、レンズ138は、センサ136に光を導くようにウィンドウ104と組み合わせて機能するように構成されていなければならない。したがって、レンズ138は、少なくともいくつかは球状のウィンドウの存在を補正するために含まれる、複数のレンズ素子を含んでもよい。
【0057】
一実施形態では、装置100は、中実球状のウィンドウ104の後部と光デバイスの第1の光学素子(すなわち、レンズ138)との間のチャンバー142内に収容された多量の浸液140を含んでもよい。ウィンドウ104の屈折率に一致する屈折率を有する浸液が選択されると、球状のウィンドウ104の後面の光学的な影響が効果的に取り除かれるので、光学収差の発生の可能性が低減され、レンズ138の設計が簡素化される。浸液の屈折率は完全に一致する必要はなく、浸液が空気(1.0程度の屈折率)よりもウィンドウ材料の屈折率に近い屈折率を有する限り、ウィンドウの後面の光学的な影響は低減される。
【0058】
図1Cを参照すると、装置100の一部が、膜160がウィンドウ104の外向き面112上に供給されている状態で示されている。また、いくつかの汚染物質粒子162が、膜160に巻き込まれ、または埋め込まれて示されている。本実施形態では、装置100は、回転軸108を中心にして、印加されるトルク132の方向で単一の反時計回り方向にウィンドウを回転させるように構成されている。回転132により、シール122のワイパー部126が、クリアアパーチャから出てくる外向き面の第1の部分168から汚染物質162を除去するように、ウィンドウ104の外向き面112が矢印164で示された方向に移動する。同時に、シール122のディスペンサー部124は、クリアアパーチャに入る外向き面の第2の部分の上に膜を補給する。本実施形態は、装置が
図1Aから
図1Cに示すように方向付けられると、取り除かれた、ワイパー126のエッジ134に蓄積する汚染物質162はいずれも、クリアアパーチャ116内に再堆積する可能性が低くなる、という利点がある。一例として、仮に、汚染物質がクリアアパーチャ116の上縁の蓄積するように回転方向を逆にした場合、汚染物質は重力下で外向き面112に再堆積する可能性もあり得る。
【0059】
図1Aから
図1Cに示す実施形態では、シール122のワイパー126およびディスペンサー部124が、クリアアパーチャ116全体の周りに延びる。
図2に200で示された代替的な実施形態では、シールは、変更を加えたベゼル206の反対側にそれぞれ配置されている、ディスペンサー202とワイパー204とを含むように構成される。ベゼル206の上部はディスペンサー202を受けるように変更されているが、ベゼルの下部ではディスペンサーが省略されている。ディスペンサー202およびワイパー204は別々に作製してもよいし、一体成形されたシールであってもよい。ディスペンサー202は、クリアアパーチャ116の上部半円形の外周部の周りに延びてもよいし、ワイパー204は、クリアアパーチャ116の下部半円形の外周部の周りに延びてもよい。あるいは、ディスペンサー202およびワイパー204がクリアアパーチャ116に占める割合は同等でなくても構わない。印加されたトルク132によってもたらされる方向にウィンドウ104が回転すると、概して
図1Cの実施形態に関連して説明されたように、外向き面112は汚染物質を除去するためにワイパー204に向かって移動し、膜160を供給するためにディスペンサー202から離れる。
【0060】
図3を参照すると、光デバイスを保護する装置の代替的な実施形態が
図3に300で大まかに示される。装置300は、球状の固体として作製されたウィンドウ302を備える。ウィンドウ302は、光デバイス312のセンサ310上に画像を形成するための1つ以上のレンズ308を含むレンズチューブ306を受けるため、固体内に形成された凹部304を備える。一実施形態では、ウィンドウ302は、中実の球体に凹部304をくり抜いて作製してもよい。本実施形態では、レンズチューブ306を凹部304内に挿入して固定した後、蓋314を凹部の後端に接着し、ウィンドウ302内に閉鎖領域316を設ける。蓋314は、ウィンドウ302の球形を維持するように形成されてもよいし、続いて研磨されてもよい。
図3に示す実施形態では、光デバイス312のセンサ310部は、凹部の外側にとどまる。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の光学素子318を、凹部内でセンサ310とレンズチューブ306との間に配置してもよい。
【0061】
図3の実施形態は、レンズチューブ306およびレンズ308をクリアアパーチャ116の近くに配置するので、広い視野からの光のキャプチャーを容易にするという利点がある。クリアアパーチャ116を通した潜在的な視野は、
図3に破線320で示される。
【0062】
装置300の動作において、アクチュエータ(図示省略)が、回転軸322を中心にしてウィンドウ302を往復回転させるように構成されてもよい。第1の方向324での回転により、外向き面112の第1の部分328がクリアアパーチャ116から出る際に、ワイパー126の下部が汚染物質326を除去する。その後の第2の方向330での回転により、クリアアパーチャ116に再び入る間に、ディスペンサー部124が外向き面112の第1の部分328の上に膜を供給する。往復回転中、レンズチューブ306は軸から外れ、レンズ308はセンサ310に光を向ける動作が不可能になる。光デバイス312の動作は、このように洗浄サイクル中に中断される。撮像公差を満たすために、レンズチューブ306が確実に光デバイス312の撮像軸332と十分に位置合わせされた位置に戻るには、回り止め(図示省略)が必要になることがある。
図3の実施形態は、回転軸322を中心としたウィンドウ302の往復回転について説明したが、ウィンドウの回転は単一の回転方向であってもよい。
【0063】
ワイパー126およびディスペンサー部124がクリアアパーチャ116を取り囲む本実施形態では、第1の方向324での回転により、ディスペンサー124が、クリアアパーチャ116に入る外向き面112の第2の部分332の上に膜を供給する。同様に、第2の方向での回転により、ワイパー126が、膜に巻き込まれ、またはクリアアパーチャ116から出る間に外向き面112の第2の部分に付着したあらゆる汚染物質を除去する。
【0064】
図4を参照すると、光デバイスを保護する装置の別の実施形態が400で示される。本実施形態では、ウィンドウ402は、クリアアパーチャ116を超えて延びる湾曲した壁404を有するが、ワイパー126およびディスペンサー124の背後において端が切り取られている。ウィンドウ402は、回転軸322を中心にして湾曲し、回転軸に対して直交する方向にも湾曲する。このように、ウィンドウ402は、切り取られたシェル、またはこの特定の実施形態では半球状のシェルとして構成される。レンズチューブ406およびレンズ408は、外向き面112に対して概して同じ位置に配置される。しかし、本実施形態では、レンズチューブ406は光デバイス312まで延び、レンズチューブ406と固定した関係で光デバイス312を支持する。レンズ318(
図3に図示)および光デバイス312は、レンズチューブ406の後端に向かって前方に動かされてもよい。この構成では、
図3の実施形態と同様の視野410が提供される。
【0065】
洗浄サイクル中の動作は、ウィンドウ402のみが往復回転を受け、レンズチューブ406および光デバイス312は静止したままであることを除いて、概して
図3の実施形態と同様である。このように、本実施形態は、光デバイス312の中断されることのない動作を提供する。
【0066】
図5を参照すると、光デバイスを保護する装置のさらなる実施形態が500で示される。本実施形態では、ウィンドウ502は、回転軸506を中心にして延びる湾曲した壁504を有する。ウィンドウ502は、回転軸506を中心にして湾曲し、回転軸に対して直交する方向にも湾曲する。このように、ウィンドウ502は、湾曲した壁504内に閉鎖領域508を有する球状のシェルとして構成される。湾曲した壁504は、回転軸506に対して同心円状に位置付けられた開口部512を備える。光デバイス514はウィンドウ502に対して横方向に配置され、センサ520の上に光を調整する、および/または向けるために1つ以上のレンズ518(この場合、複数のレンズ)を取り付けるレンズチューブ516を含む。図示の実施形態では、ミラーの形態の光学素子522が、湾曲した壁504で取り囲まれた領域508内に配置されている。本実施形態では、ミラー522は、撮像軸524に対して45°に配置される。ミラー522は、クリアアパーチャ116を通してキャプチャーされて反射面に衝突する光をリダイレクトし、その光を、開口部512を通して導く反射面を備える。開口部512を通過する光は、レンズチューブ516を通過してセンサ520上に伝わる。開口部512は、ミラー522によってリダイレクトされた光が湾曲した壁504の部分に衝突するのを防ぐようにサイズが設定される。
【0067】
図5に示す実施形態に関連付けられている1つの利点は、光がウィンドウ502の湾曲した壁504の単一の厚さのみを通過することである。上述したとおり、
図1Aから
図1Cの中実球状のウィンドウは、本実施形態では低減または回避することができる、いくつかの光学設計上の制約を課すことがある。
図5では単一の光学素子522が示されるが、湾曲した壁504は、レンズ、湾曲ミラー、プリズム、その他の光学素子などの素子を含む1つ以上の光学素子を受けるように構成してもよい。いくつかの実施形態では、光デバイス514のサイズが、領域508内での光デバイスの部分的または全体的な取り付けを容易にすることがある。
【0068】
洗浄サイクル中、ウィンドウ502の回転は、アクチュエータ510が回転軸506を中心とする方向に伝達するトルクによって引き起こされる。回転中、開口部512は回転軸と同心円状に位置合わせされたままとなり、光デバイス514の中断されることのない動作を促進する。シール122のディスペンサー部124およびワイパー126は、
図1Aから
図1C、および
図2に示す実施形態に関連して上述したように、クリアアパーチャ116の外周の周りに延びてもよい。回転軸506を中心とした回転は一方向でもよいが、往復回転が行われてもよい。
【0069】
それぞれのクリアアパーチャを通して光を受けるセンサを有する光デバイスに関して本明細書中に説明されている実施形態のいずれにおいても、別の方法として、光デバイスが、光を発生し、クリアアパーチャを通ってその光を外に向ける光源を含んでもよいことが理解されるべきである。光デバイスは、このように、発光ダイオードやレーザなどの発光体を含んでもよい。さらに、センサは画像を生成するように構成してもよいが(CMOS画像センサなど)、クリアアパーチャを通してキャプチャーされた光の強度や、センサに衝突する光の周波数や位相の変化に応じて信号を生成するように構成されたフォトセンサやその他の検出器であってもよい。いくつかの実施形態では、ウィンドウ104によって覆われる光デバイスが複数あってもよい。光デバイス102は、電磁放射エミッタまたは検出器の任意の組み合わせ、またはそれらの複数を含んでもよい。一例としては、カメラと、カメラの視野を照らす光源とが挙げられる。別の例としては、レーザや発光ダイオードなどの光源と、ウィンドウ104を通って反射されて戻ってきた電磁放射を感知する光検出器とが挙げられる。
【0070】
図6Aを参照すると、光デバイス602を保護する装置600の別の実施形態が斜視切断図で示される。
図6Bでは、装置600は
図6AのB-B線に沿った断面図で示される。本実施形態では、光デバイス602は、CMOS画像センサなどの画像センサ604を含む。装置600は、画像センサ604によって生成された画像信号を処理するために、光デバイス602の背後に並べられた回路基板606上に追加の画像処理回路をさらに備える。装置600は、
図6Bで最良に示すように、光デバイス602および回路基板606に動力を接続し、画像信号をホストシステム(図示省略)に伝送し戻すための電気コネクタ608を備える。
【0071】
装置600は、光デバイス602と汚染環境612との間に配置されたウィンドウ610を備える。本実施形態では、ウィンドウ610は中空球状のシェルとして構成される。ウィンドウ610は、回転軸616を中心にして湾曲した外向き面614を含む。外向き面614は、回転軸に直交する方向にも湾曲して、球状の外向き面を画定する。円形のベゼル618は、外向き面614を取り囲み、光デバイス602へ光を送信するためのクリアアパーチャ620を画定する。本実施形態では、装置600および光デバイス602は、筐体622内に格納され、ベゼル618および筐体は一体型ユニットとして作製される。他の実施形態では、筐体622およびベゼル618は、別々の連結された要素として実装してもよい。筐体622は、後方にリヤカバープレート624によって閉じられた開口部を有し、リヤカバープレート624は電気コネクタ608も支持している。シール626は、ベゼル618内に取り付けられる。
図1Aおよび
図1Bに示す実施形態に関連して上述したように、シール626は、ディスペンサー部628とワイパー部630とを備える。
【0072】
図6Bの断面図で最良に示すように、ウィンドウ610は、回転軸616を中心にしてさらに湾曲した内向き面632を含む。内向き面632は、回転軸に直交してさらに湾曲し、ウィンドウ610の球状のシェルを画定する湾曲した壁634を画定する。球状のシェルは、壁634に、閉止部材638を受ける開口部636を有する。閉止部材638は、接着剤を使用して壁634に閉止部材を接着することで、開口部636内に固定してもよい。本実施形態では、ウィンドウ610の湾曲した壁634は、このように回転軸616を中心にして延び、球状のシェル内の閉鎖領域642を画定する。本実施形態では、レンズチューブ644がその領域内に格納され、少なくとも1つの光学素子を含む。本実施形態では、レンズチューブ644は、クリアアパーチャ620を通して光をキャプチャーし、画像センサ604または光デバイス602の上に光を向けるために複数の光学素子646を含む。
【0073】
本実施形態では、装置600は、ウィンドウ610を取り囲むカップ648(
図6Aに部分的に切り取って図示)を備える。カップ648は、ウィンドウ610の湾曲した壁634の後部と係合するリヤシール650を含む。カップ640は、筐体622において複数のバネ652によって前方に付勢される。複数のバネ652の1つは、
図6Bに断面で示される。バネ652は、ガイドピン654で受けられ、ガイドピンの一端は、リヤカバープレート624に形成されたボア656内で受けられる。ガイドピン654の他端は、カップ648の後方に螺入される。リヤカバープレート624を筐体622に挿入すると、バネはカップ648をベゼル618に向けて付勢し、リヤシール648にウィンドウ610を圧迫させ、その結果、シール626のディスペンサー部628と接触するようにウィンドウ610の外向き面614も付勢する。バネ652、ガイドピン654、およびボア656は、ウィンドウ610に作用し、ベゼル618と接触するようにウィンドウを付勢する力を提供する適合構造として機能する。
【0074】
レンズチューブ644は、開口部636を通って閉鎖領域642の中に延びる、レンズ支持構造物658内に取り付けられる。レンズ支持構造物658は、閉止部材638のボア660内で密封して受けることができ、締結具662を介してカップ648に固定される。レンズ支持構造物658は、レンズチューブ644および複数の光学素子646を光デバイス602と固定した関係で支持する。図示の実施形態では、光デバイス602は、リヤカバープレート624に固定してもよく、これにより装置100の組み立ておよび分解が容易になるという利点がある。レンズ支持構造物658と光デバイス602との間のより正確な位置決めが必要な他の実施形態では、光デバイスはカップ648に固定してもよい。
【0075】
カップ640とウィンドウ610の湾曲した壁634との間の内部領域は、クリアアパーチャ620上に膜として供給される液体を収容するための液体リザーバ664を画定し、光学汚染物質の外向き面614への結合を低減する。液体リザーバ664は、シール626のディスペンサー部628と液体連通し、シール626は、ウィンドウとベゼルとの間に回転がない場合は、液体リザーバに液体を収容する一方、ウィンドウとベゼルとの間の相対回転中にシールの下に液体の薄膜を供給するように構成されている。
【0076】
本実施形態では、液体リザーバ664は、シール626のディスペンサー部628からリヤシール650まで、ウィンドウ610の湾曲した壁634の周囲全体に延びる。シール628および650は、このように液体リザーバ664内に液体を収容し、液体が光デバイス602などの筐体622の他の部分に到達するのを防ぐ。液体リザーバ664の容積は、妥当な洗浄サイクルの回数により、デバイスの動作を容易にするのに十分な液体を収容するように構成してもよい。一実施形態では、液体の含有量は装置600の耐用寿命に十分であればよい。他の実施形態では、筐体が、液体を定期的に補給するためのポート(図示省略)を含んでもよい。
【0077】
装置600は、ウィンドウ610とベゼル618との間に相対回転をさせ、外向き面614にベゼルに対して移動させるように動作可能な、アクチュエータ666をさらに備える。本実施形態では、アクチュエータ666は、一対のギヤ670および672を介してシャフト674に結合されるモータ668を含む。シャフト674は、カップ648の開口部676を通して球状シェルのウィンドウ610の壁634に結合される。モータ668が始動すると、ギヤ670および672を介してトルクがシャフト674に伝達され、これによりウィンドウ610が回転軸616を中心にして方向678で回転する。液体リザーバ664内の液体は、ディスペンサー部628およびワイパー部630を濡らし、回転摩擦を低減する一方で、628はクリアアパーチャ620に入る外向き面614の一部の上に液膜を供給する。
【0078】
ウィンドウ610の壁634にある開口部636内の閉止部材638は、閉鎖領域642をシールし、液体リザーバ664からの液体がレンズチューブ644に到達するのを防ぐ。他の実施形態では、浸液を閉鎖領域642内で受けてもよい。浸液は、ウィンドウ610の屈折率に実質的に一致する屈折率を持つように選択して、それによって閉鎖領域の光学面間の内部反射を減少し、光学収差の可能性を低減してもよい。浸液の屈折率は完全に一致する必要はなく、浸液が空気(1.0程度の屈折率)よりもウィンドウおよび光学素子の光学用材料の屈折率に近い屈折率を有する限り、反射および収差は少なくとも多少は低減される。
【0079】
図6Aおよび
図6Bに示す実施形態では、レンズチューブ644および光デバイス602に関連付けられている光学素子646が閉鎖領域の内側に配置されている状態で、光デバイス602は閉鎖領域642の外側に配置される。他の実施形態では、光デバイス602のサイズが許す場合、光デバイスも閉鎖領域642内に配置されてもよい(図示省略)。
【0080】
図7Aを参照すると、光デバイスを保護する装置のさらなる実施形態が700で示される。装置700は、筒状のシェルとして構成されたウィンドウ702を備える。筒状シェルのウィンドウ700は、領域704を取り囲む。筒形のベゼル706は、ウィンドウ702の外向き筒面708と接触して配置される。装置700は、光デバイス710をさらに備える。装置700は、光を調整して、向きを光デバイス710へ、または光デバイス710から向けるために領域704内に配置されたレンズチューブ712をさらに備える。装置700は、
図7Bに断面図で示される。筒形のベゼル706は、概して上述のように構成された、ディスペンサー部716とワイパー718とを含むシール714を備える。動作において、ウィンドウ702は、回転軸720を中心にして回転され、他の開示された実施形態に関連して上述されたものと同様の洗浄作業を行う。本実施形態のシール714は、球形のウィンドウ104について上述したシール122の円形の形状というよりむしろ、概して長方形の形状を有することになる。
【0081】
一般に、本明細書中に開示されている実施形態については、ウィンドウの外向き面は少なくとも一方向に湾曲しているが、必ずしも円形状に湾曲している必要はない。ウィンドウの外向き面の非円形の曲率は、必ずしも円形ではないシールの形状をもたらすことになる。例えば、シールは楕円形、またはさらに不規則な形状になり得る。不規則または非円形のシールの作製は、所望する非円形のシールの全長に対応するよう選択された円周を有する円形のシールを作製することから始めることによって、簡素化してもよい。円形のシールの材料は、シールが非円形または不規則な形状に変形できるよう十分、適合するものを選択してもよい。一例として、シールは、所望の非円形または不規則な形状を有し、円形のシールを溝内に適合させる、溝付きベゼルに収容されてもよい。多くの実施形態では、シールは、シールの周辺部の周りでワイパー部の縁が持ち上がり、液体リザーバへのごみの侵入を許してしまうことになるのを防ぐのに十分、均一であるべきワイパー部を有する。均一性が十分な非円形または不規則なシールを作製することは、円形のシールを作製するよりも難易度が高い場合がある。
【0082】
図8Aおよび
図8Bを参照すると、光デバイスを汚染から保護する装置の実施形態が、斜視図に800で示される。装置800は、筐体808に備え付けられたベゼル806により取り囲まれた外向き面804を有するウィンドウ802を備える。筐体808は光デバイス810(
図8Bに図示)を取り囲む。ベゼル806は、光デバイス810との間で光を送受信するためのクリアアパーチャ812を画定する。ベゼル806は、装置800を取り付けるための取り付けフランジ814をさらに含む。
【0083】
ベゼル806、ウィンドウ802、および光デバイス810が
図8Bに上面断面図で示される。
図8Bを参照すると、本実施形態で光デバイス810は、画像センサ816と、画像センサ上に画像を形成するためのレンズ820を含むレンズチューブ818とを備える。光デバイス810は、画像センサ816の前面に対して垂直に延びる光軸822を有する。本実施形態では、光デバイス810は撮像機能を提供するが、他の実施形態では、光デバイスが撮像以外の光学機能を行うように構成されてもよい。
【0084】
ベゼル806は、クリアアパーチャの周辺部の周りに延びるシール824を含む。本実施形態では、ウィンドウ802は端が切り取られた球状のシェルとして構成される。ウィンドウ802は、シール824と接触するように付勢され、クリアアパーチャ812を画定する外向き面804との円形の接触線をもたらす。ウィンドウ802は、本実施形態では、光軸822に対して鋭角の角度αがつけられた回転軸826を中心にして回転するよう取り付けられる。これは、相対回転が各光デバイスの光軸または撮像軸に対して垂直な回転軸を中心とする、上記で開示された実施形態とは対照的である。ウィンドウ802は環状ギヤ830を含み、環状ギヤ830は、ギヤの歯面834がシェルに対して内側に向けられるように、シェルの周辺部832内に取り付けられる。回転軸826を中心としたウィンドウ802の回転により、クリアアパーチャ812内に配置される、端が切り取られたシェルの部分が変わる。本実施形態では、ウィンドウ802は半球状のシェルとして構成されるが、他の実施形態では、半球よりも小さい、または半球よりも大きい球状のシェルをもたらすように端が切り取られてもよい。
【0085】
装置800は、筐体内の要素を見せるために、
図8Cでは筐体808が部分的に切り取られた状態で斜視図に示される。
図8Cを参照すると、装置800は、カップ836とブッシング838(bushing)とを備えており、どちらも筐体808の内部に配置されている。カップ836は、少なくとも部分的に光デバイス810を取り囲む。ウィンドウ802は、ブッシング838の前向き溝で受けられ、回転軸826を中心としたウィンドウの回転を容易にする。ブッシング838は、シール(図示省略)を受ける溝840も含む。カップ836は筐体808内に取り付けられ、シール824と係合するようにウィンドウ802を付勢する力を提供するブッシング838と係合する。シール824は、カップ836によって提供される付勢力の下でわずかに偏向するのに十分、適合するように構成され、その結果、シールとウィンドウの外向き面804との間の接触が確保される。溝840内のシールは、ブッシング838の外周と筐体との間をシールする。
【0086】
装置800は、アクチュエータモータ842をさらに備える。
図8Dを参照すると、アクチュエータモータ842は、環状ギヤ830の歯面834と係合するスプロケット844に結合されている。モータ842が作動すると、スプロケット844が回転してウィンドウ802がブッシング838内で回転し、ウィンドウ802とベゼル806との間で相対回転をさせ、外向き面804をベゼルに対して移動させる。再び
図8Bを参照すると、ウィンドウ802はこのようにブッシング838およびベゼル806に対して移動し、外向き面804をシール824によって画定されたクリアアパーチャ812を通って移動させる。
図8Bの矢印828で示される回転軸826を中心とした回転方向については、ウィンドウ802の移動は概して下方向(すなわち、
図8Bのページの平面に入りこむ、または
図8Aに示す矢印の方向)になる。
【0087】
シール824は、ウィンドウ802の移動中、ウィンドウ802の外向き面804がシール824の下に出現してクリアアパーチャ812に入るときに、ウィンドウ802の外向き面804の上に膜848を供給するように構成されている。膜848は、クリアアパーチャ812を通して光デバイス810との間で光を送受信しながら、外向き面804に対する光学的汚染物質の結合を低減する。また、シール824は、膜848内に巻き込まれた、または回転中にクリアアパーチャ812から出る外向き面804の一部に付着した汚染物質を除去するように構成されている。
【0088】
一実施形態では、ブッシング838および筐体808は、共に、液体を保持するために筐体内で前方に位置する液体リザーバ846を画定する。液体リザーバ846は、ウィンドウ802の周辺部832の周りに延びており、ブッシング838の溝840内のシールがリザーバ内に液体を留め、液体が光デバイス810などの装置800の他の部品に到達することを防ぐ。リザーバはシール824と液体連通しており、液体はウィンドウの回転中にシール824の下で供給され、ウィンドウの外向き面804上に膜848を形成する。他の実施形態では、液体は、液体成分および非液体成分を含んでもよく、上記でより詳細に説明されているように、シールは、シールからの研磨により非液体材料を供給して膜848を形成してもよい。
【0089】
さらに
図8Bを参照すると、光軸822とウィンドウ802の回転軸826との間の角度αは、クリアアパーチャ812の外側のポイントを通過するように選択されている。これには、出現した802の半球状面の部分に前に汚染物質にさらされていた外向き面804を完全に置き換えさせるという、回転中の効果がある。回転軸826が812内のポイントを通過すると仮定すると、外向き面804のごく一部が洗浄されない、または回転中に膜848が補給されないということになってしまう。
【0090】
一実施形態では、シール824は、シールと接触するようにウィンドウ802を付勢する力を提供するのに十分に適合した、約50Dのショア硬さを有するポリウレタン材料を使用して実装してもよい。
図8Aから
図8Dに示す装置800の実施形態では、
図6Aおよび
図6Bの実施形態のために示されたバネおよび/または調整が省略され、ベゼル806と接触するようにウィンドウ802を付勢する適合構造が、シール824の適合によって提供される。
【0091】
しかも、本実施形態では、シール824は、液体の供給と拭き取りの両方の機能を行い、追加のディスペンサー部(例えば、
図6Bに628で図示)を含まない。しかしながら、いくつかの実施形態では、外向き面804上に供給される液体の量を減らすために追加の液体供給要素を実装してもよい。ウィンドウ802の外向き面804が樹液や樹脂などの粘着性の強い汚染物質にさらされる可能性が低い用途では、各洗浄サイクル中に供給される液体が低減するため、液体リザーバ846内の液体の補給が必要になるまでの作動時間が延長される。いくつかの実施形態では、液体リザーバ846は、装置800の全動作寿命を持ちこたえるのに十分な洗浄サイクルを提供するため、十分な液体を収容してもよい。
【0092】
上記で開示したように、
図8Bの矢印828で示された回転軸826を中心とした回転方向については、ウィンドウ802の移動は概して下方向になる。この回転方向には、膜848内に巻き込まれた汚染物質850をクリアアパーチャ812内で下方に移動させ、シール824の下側端部852に蓄積させるという利点がある。その後、重力により、取り除かれた汚染物質852が外向き面804の上に再び広がることを妨ぐ。
【0093】
半球状シェルのウィンドウ802は、従来の光学作製技術で製造できるという利点があるので、ウィンドウの製造コストを削減する可能性がある。一実施形態では、半球状のシェルの直径は約40mmであってもよく、筐体808の全径は約60mmであってもよい。
図8Aから
図8Dに示す実施形態では、ウィンドウ802は、球形の外向き面854と球形の内向き面856とを有する。他の実施形態では、内向き面856は非球面の表面形状を有し、レンズ820と協働して光デバイス810との間で光を方向付けてもよい。
【0094】
上記で開示された実施形態は、筐体の全体のサイズを大幅に大きくすることなく、ウィンドウ保護と洗浄機能とを統合した光学システムに実装してもよい。小型の光学システムは、利用可能なスペースが限られている用途や、システムが比較的目立たないように、または注意をひかないように意図されている用途で重要性を持つ。ウィンドウが球形であることで、シールのワイパーおよびディスペンサーが旋盤上で作製可能となり、これにより、非球状または平らなウィンドウが使用される他の洗浄システムで必要となり得るシール部品の複雑なCNC加工を回避する。
【0095】
具体的な実施形態が説明され、例示されているが、このような実施形態は一例にすぎず、添付の特許請求の範囲に従って解釈されるように、開示された実施形態を制限するものではないと考えるべきである。
【国際調査報告】