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  • 特表-医薬組成物及びその調製方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】医薬組成物及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/36 20060101AFI20240903BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 31/4025 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 31/365 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240903BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 9/28 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240903BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
A61K31/36
A61P35/00
A61K47/32
A61K9/20
A61K31/7048
A61K31/4025
A61K31/365
A61K47/40
A61K47/10
A61K47/12
A61K9/28
A61K47/20
A61K47/14
A61K47/04
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512200
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 IN2022050842
(87)【国際公開番号】W WO2023047413
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202121042945
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.KOLLIPHOR
(71)【出願人】
【識別番号】511190694
【氏名又は名称】ゴーダーヴァリ バイオリファイナリーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レダサニ ヴィジャエンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ガヴァデ サンディップ
(72)【発明者】
【氏名】アタヴァレ マイティリ
(72)【発明者】
【氏名】カーカル プラシャント
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA44
4C076BB01
4C076CC27
4C076DD29
4C076DD29C
4C076DD41
4C076DD41C
4C076DD43
4C076DD43E
4C076DD47
4C076DD47C
4C076DD57
4C076DD57H
4C076DD67
4C076EE06
4C076EE06E
4C076EE16
4C076EE16E
4C076EE23
4C076EE23E
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE39
4C076EE39E
4C076EE48
4C076EE48E
4C076FF05
4C076FF06
4C076FF09
4C076FF36
4C076FF43
4C076FF61
4C076FF63
4C076GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA13
4C086BA17
4C086BC05
4C086EA08
4C086EA11
4C086GA02
4C086GA07
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA02
4C086NA03
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、式IVの化合物を可溶化剤とともに含む医薬組成物、およびその調製方法に関する。当該医薬組成物は、癌治療において非常に多くの用途がある。本発明は、非常に高い安定性および薬物放出時に所望の生物学的利用能を示す、式IVの化合物についての新規で革新的な医薬組成物を提案する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明は、式IVの化合物またはその薬学的に許容される塩と、可溶化剤とを含む医薬組成物であって、前記医薬組成物中の式IVの化合物または薬学的に許容される塩は非晶質である、医薬組成物を対象とする。
【化1】
式中、R及びRは、それぞれ独立して、-H、アルコキシ、アルキル、置換または非置換の芳香族基、-NH、-NO、-NHCOCH、-CN、-O-、ハロゲン、-OCFから選択されるか、またはRとRが一緒になって複素環を形成し、
11及びR12は、それぞれ独立して、-Hから選択されるか、またはR11及びR12は、ラクトン、-C(O)OCなどの-C(O)O-アルキルなどの置換または非置換の5員環または6員環であり得、
Rは、
【化2】
-H、-C(O)CHCl、-SOO-CH、-SOOPh、-CHC(O)N(CH、-C(O)NHPh、-C(O)NHPhOH、-C(S)NHPh、-CHPh、-COAr、-SOOAr、-CONHAr、-CHAr、-CSNHArから選択され、
上記式中、R13は-OH、-NH、-NHCOCH、X=F、Cl、Br、アルキル、アセチル、C~Cアシル基から選択され、R14は、アルコキシ、-OMe、-OH、NH、-NHCOCH、X=F、Cl、Br、アルキル、アセチル、C~Cアシル基から選択され、R15は、アルコキシ、-OMe、-OH、-H、Br、NH、X=F、Cl、Br、アルキル、アセチル、C~Cアシル基から選択され、R16は、-H、-CHOH、-OH、アルキル、アルコキシから選択され、R17はアルキルから選択される。
【請求項2】
前記組成物は加速条件下で安定である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式IVの化合物の量が、前記組成物の10重量%~95重量%、好ましくは40重量%~95重量%、より好ましくは50重量%~95重量%の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記可溶化剤の量が、前記組成物の2重量%~20重量%の範囲、より好ましくは前記組成物の4重量%~10重量%の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記可溶化剤が、ポリビニルピロリドン、シクロデキストリン、シクロデキストリンの誘導体、Tween80、Tween20、PVPK-30、クエン酸、コリドンVA64、ポリエチレングリコールまたはこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記可溶化剤が、シクロデキストリンまたはポリビニルピロリドンの何れかである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
フィルムコーティング、粒外成分、粒内成分、結合剤、滑沢剤、安定剤、滑剤、界面活性剤、希釈剤、崩壊剤、pH調整剤、ポリマーまたはこれらの混合物から選択される成分を任意に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物中の前記滑沢剤が、前記組成物の0.4重量%~0.5重量%の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記結合剤は、前記組成物の2重量%~適量の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記粒外成分は、前記組成物の0.2重量%~40重量%、好ましくは0.2重量%~20重量%、より好ましくは0.2重量%~11重量%の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記粒内成分が、前記組成物の0.3重量%~14重量%の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記フィルムコーティングが、コーティングプレミックス、ラウリル硫酸ナトリウムおよび水との混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸およびコロイド状二酸化ケイ素から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記結合剤が、ヒドロキシプロピルベタデックス、ヒドロキシプロピルベータシクロデキストリン、ポリソルベート80、精製水またはこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記粒外成分が、ラクトース一水和物、ケイ化微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記粒内成分が、ラクトース一水和物、ケイ化微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシルベータシクロデキストリン、ポリソルベート80、コロイド状二酸化ケイ素、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
下記式Vの化合物を可溶化剤とともに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【化3】
【請求項18】
下記式VIの化合物を可溶化剤とともに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【化4】
【請求項19】
下記式VIIの化合物を可溶化剤とともに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【化5】
【請求項20】
下記式VIIIの化合物を可溶化剤とともに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【化6】
【請求項21】
下記式IXの化合物を可溶化剤とともに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【化7】
【請求項22】
下記式Xの化合物を可溶化剤とともに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【化8】
【請求項23】
下記式XIの化合物を可溶化剤とともに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【化9】
【請求項24】
下記式XIIの化合物を可溶化剤とともに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【化10】
【請求項25】
前記組成物は経口投与に適した投与形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記投与形態が錠剤である、請求項27に記載の投与形態。
【請求項27】
請求項1に記載の医薬組成物をホットメルト押出法によって調製する方法であって、
前記可溶化剤がポリビニルピロリドンである方法。
【請求項28】
式IVで表される何れかの化合物を含む、癌または癌関連疾患の治療において医薬として使用される医薬組成物。
【請求項29】
可溶化剤とともに式IVで表される何れかの化合物を含む医薬組成物の有効量を人に投与することを含む、人における癌または癌関連疾患を治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式IVの化合物を可溶化剤とともに含む医薬組成物及びその調整方法に関する。当該医薬組成物は癌治療において多大な用途がある。
【背景技術】
【0002】
溶解性、即ち溶質が溶媒に溶解して均質な系を与える現象は、所望の薬理学的応答を得るために体循環中の薬物の望ましい濃度を達成するための重要なパラメータの一つである。水溶解性が低いことは、新しい化学物質の製剤開発やジェネリック医薬品の開発で遭遇する主要な問題である。製薬業界で開発されたNCE(新化学物質)の40%超は、実質的に水に不溶である。水性である胃腸液中での難水溶性薬剤の低溶解性と遅い溶解速度は、不十分な生物学的利用能をもたらす。化合物の溶解性が低いことの悪影響には、吸収性や生物学的利用能の低下、静脈内投与にとって溶解性が不十分であること、開発コストと開発時間の増加につながる開発上の課題、患者が負わされる負担などが含まれる(10.5402/2012/195727)。
【0003】
難溶性薬物の溶解性を高めるために、薬物の物理的及び化学的修飾や、粒径縮小、結晶工学、塩形成、固体分散、界面活性剤の使用、錯体化などの他の方法を含むさまざまな技術が使用されている。溶解性を向上させる方法は、薬物の性質、吸収部位、必要な投与形態の特性に応じて選択される。
【0004】
界面活性剤等の可溶化剤は、難溶性薬物の溶解性を高め、それによって対応する医薬品有効成分(API)の生物学的利用能を高めるために医薬製剤に添加される可溶化賦形剤である。しかし、水に難溶性の薬物の溶解性は望ましい閾値をはるかに下回っており、そのため胃腸管での吸収が低下することがわかっている。また、安定性も大幅に低下する。更に、水に難溶性の薬物は、適切な溶解性プロファイルを備えた医薬製剤と比較して薬物効率が低下し、投与時に望ましくない副作用を引き起こす可能性があることがよく知られている。
【0005】
BCS(生物医薬品分類システム)分類では、すべての薬物は4つのクラスに分類されている。クラスI-高溶解性かつ高膜透過性、クラスII-低溶解性かつ高膜透過性、クラスIII-低溶解性かつ高膜透過性、クラスIV-低溶解性かつ低膜浸透性。BCSクラスII医薬品は、吸収値が高く、溶解値が低い。吸収/生物学的利用能は溶解速度によって制限される。
【0006】
本発明の発明者らは、式IVの化合物の溶解性を改善することに焦点を当てた。式IVの化合物は、特に乳癌細胞株及び前立腺癌細胞株において抗癌活性及び抗癌幹細胞活性を示す化合物である。更に、これらの化合物は抗ウイルス特性を有することも判明した。
【0007】
本発明者らは、最終医薬品の安定性も非常に重要であることを認識している。これは、一方では周囲温度、湿度、光などの環境要因に依存し、他方では製品関連の要因、例えば、活性物質や医薬賦形剤の化学的及び物理的特性、投与形態とその組成、製造プロセス、容器密閉システムの性質、及び包装材料の特性、に依存する。
【0008】
良好な安定性を示し、同時に高い生物学的利用能をもたらす良好な溶解プロファイルを有する医薬品を製造することは、不変の課題である。本発明は、医薬品のこの課題に取り組み、顕著な安定性及び薬物放出時に所望の生物学的利用能を示す、式IVの化合物のための新規かつ革新的な医薬組成物を考案した。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、適切な製剤または医薬品における式IVの化合物の溶解性を改善することである。
【0010】
本発明の別の目的は、加速条件における式IVの化合物の安定性を改善することである。
【0011】
本発明の別の目的は、非晶質形態を劣化させることなく、充填形態の式IVの化合物の安定性を改善することである。
【0012】
本発明の更に別の目的は、式IVの化合物の生物学的利用能を改善することである。
【0013】
本発明の別の目的は、生理学的緩衝液に高度に溶解する式IVの化合物の組成物を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、癌、特に乳癌の治療のための式IVの化合物の医薬組成物を提供することである。
【0015】
本発明の更に別の目的は、式IVの化合物の固体経口単位用量製剤を提供することである。
【0016】
本発明の更に別の目的は、式IVの化合物の薬物放出が高い錠剤剤形を提供することである。
【0017】
本発明の更に別の目的は、式IVの化合物の医薬組成物を調製する環境に優しい方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】特許請求の範囲に記載の医薬組成物は60分間にわたって優れた%薬物放出を示す。これは実験2の表形式のデータと相関している。
図2】特許請求の範囲に記載の医薬組成物は60分間にわたって優れた%薬物放出を示す。これは実験3の表形式のデータと相関している。
図3】特許請求の範囲に記載の医薬組成物は60分間にわたって優れた%薬物放出を示す。これは式IVの化合物を含む異なる比較組成物が用いられた実験4の表形式のデータと相関している。
図4】145℃(本発明による式Vの融点)に吸熱ピークがないことは、特許請求の範囲に記載の医薬組成物において結晶形態が非晶質形態に変換されていることを示唆している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、下記式IVの化合物またはその薬学的に許容される塩と、可溶化剤とを含み、更に、医薬組成物中の式IVの化合物または薬学的に許容される塩は非晶質である、医薬組成物を対象とする。
【化1】
式中、R及びRは、それぞれ独立して、-H、アルコキシ、アルキル、置換または非置換の芳香族基、-NH、-NO、-NHCOCH、-CN、-O-、ハロゲン、-OCFから選択されるか、またはRとRが一緒になって複素環を形成し、
11及びR12は、それぞれ独立して、-Hから選択されるか、またはR11及びR12は、ラクトン、-C(O)OCなどの-C(O)O-アルキルなどの置換または非置換の5員環または6員環であり得、
Rは、
【化2】
-H、-C(O)CHCl、-SOO-CH、-SOOPh、-CHC(O)N(CH、-C(O)NHPh、-C(O)NHPhOH、-C(S)NHPh、-CHPh、-COAr、-SOOAr、-CONHAr、-CHAr、-CSNHArから選択され、
上記式中、R13は-OH、-NH、-NHCOCH、X=F、Cl、Br、アルキル、アセチル、C~Cアシル基から選択され、R14は、アルコキシ、-OMe、-OH、NH、-NHCOCH、X=F、Cl、Br、アルキル、アセチル、C~Cアシル基から選択され、R15は、アルコキシ、-OMe、-OH、-H、Br、NH、X=F、Cl、Br、アルキル、アセチル、C~Cアシル基から選択され、R16は、-H、-CHOH、-OH、アルキル、アルコキシから選択され、R17はアルキルから選択される。
【0020】
特許請求の範囲に記載された医薬組成物は、式IVの化合物の溶解性及び薬物放出が改善されており、同時に、その非晶質形態においていかなる劣化もなく、充填形態プロファイルにおいて18ヶ月まで続く非常に良好な安定性を有する。
【0021】
医薬組成物は投与形態をとり、好ましくは経口投与用の錠剤の形態である。
【0022】
本発明は、式IVの化合物の何れかを含む医薬組成物に関し、式IVの化合物は可溶化剤とともに含まれ、更に、医薬組成物中の式IVの化合物または式IVの何れかの化合物の薬学的に許容される塩は非晶質である。
【化3】
式中、R及びRは、それぞれ独立して、-H、アルコキシ、アルキル、置換または非置換の芳香族基、-NH、-NO、-NHCOCH、-CN、-O-、ハロゲン、-OCFから選択されるか、またはRとRが一緒になって複素環を形成し、
11及びR12は、それぞれ独立して、-Hから選択されるか、またはR11及びR12は、ラクトン、-C(O)OCなどの-C(O)O-アルキルなどの置換または非置換の5員環または6員環であり得、
Rは、
【化4】
-H、-C(O)CHCl、-SOO-CH、-SOOPh、-CHC(O)N(CH、-C(O)NHPh、-C(O)NHPhOH、-C(S)NHPh、-CHPh、-COAr、-SOOAr、-CONHAr、-CHAr、-CSNHArから選択され、
上記式中、R13は-OH、-NH、-NHCOCH、X=F、Cl、Br、アルキル、アセチル、C~Cアシル基から選択され、R14は、アルコキシ、-OMe、-OH、NH、-NHCOCH、X=F、Cl、Br、アルキル、アセチル、C~Cアシル基から選択され、R15は、アルコキシ、-OMe、-OH、-H、Br、NH、X=F、Cl、Br、アルキル、アセチル、C~Cアシル基から選択され、R16は、-H、-CHOH、-OH、アルキル、アルコキシから選択され、R17はアルキルから選択される。
【0023】
本医薬組成物は、充填された形態では非常に安定であり、時間が経っても分解しない。特許請求の範囲に記載された組成物はまた、生理学的緩衝液中で顕著な溶解性を示す。
【0024】
本発明の化合物は、現在市場で入手可能なものと同様に、溶解性が低い。薬物組成物の可溶化能力は薬物物質の主要な特性であり水性媒体中で測定される。ただし、特に親油性かつ難溶性の薬物の場合、胃腸管などの体内の状態を模倣した緩衝液における溶解性を理解することも重要である。本発明の組成物は、驚くべきことに、複数の緩衝液に可溶である。また、特許請求の範囲に記載された組成物は、加速条件において優れた安定性を示す。更に、特許請求の範囲に記載の組成物は、充填された形態で18ヶ月まで優れた安定性を示し、経時的に劣化しない。
【0025】
好ましい一態様においては、式IVの化合物は次の化合物から選択される。
【0026】
【化5】
【0027】
本発明は、薬物放出及び生物学的利用能の増加をもたらすような方法で式IVの化合物の溶解性が高められた薬物組成物を実現する。本発明はまた、加速条件において非常に安定な組成物を提供し、それは同時に式IVの化合物の溶解性及び生物学的利用能の向上をも達成する。
【0028】
したがって、本組成物は改善された溶解プロファイルを有することが判明した。本発明の組成物は、水性媒体中で良好な溶解性を示すだけでなく、驚くべきことに複数の生理学的緩衝液にも可溶であり、同時に、充填された形態で、また加速条件下でも18ヶ月まで安定である。
【0029】
定義
特段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の任意の方法及び材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料を本明細書に記載する。本明細書で使用される場合、以下の各用語は、このセクション内でそれに関連付けられた意味を有する。個々のプロセスパラメーター、置換基、及び範囲について以下に挙げる具体的で好ましい値は、例示のみを目的としたものであり、他の定義された値や、より好ましいとして定義された範囲内にある他の値を除外するものではない。
【0030】
本明細書で使用される非晶質という用語は、ショートレンジオーダーを有するが、結晶質物質のようなロングレンジオーダーを持たない固体に関するものを指す。
【0031】
本明細書で使用されるPVPK-30は、ポリビニルピロリドンK30を指す。
【0032】
本明細書で使用されるTween30/20は、ポリソルベートに関するものを指す。
【0033】
本明細書で使用されるKollidone VA64は、ビニルピロリドン及び酢酸ビニルコポリマーに関するものを指す。
【0034】
本明細書で使用されるKolliphor SLSは、天然の飽和直鎖第一級脂肪族アルコールをベースとするアルキル硫酸塩に関するものを指す。
【0035】
本明細書で使用されるHPBCDは、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HP-β-CD)を指す。
【0036】
本明細書で使用されるCRYSMEBは、低メチル化ベータシクロデキストリン生成物を指す。
【0037】
本明細書で使用されるAvicel SMCC 90は、98パーセントの微結晶セルロース(MCC)及び2パーセントのコロイド状二酸化ケイ素を含む、高機能性の共処理された噴霧乾燥賦形剤を指す。
【0038】
本明細書で使用される架橋カルメロースナトリウムは、内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムを指す。
【0039】
本明細書で使用されるAerosil 200は親水性ヒュームドシリカを指し、本明細書で使用されるMethocel E-15 LVは低分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を指す。
【0040】
本明細書で使用される生理学的pHは、人体のpHに関する。
【0041】
本明細書で使用される生理的緩衝液とは、pHの突然かつ急速な変化を防ぐ体内に存在する緩衝系を指す。
【0042】
本明細書で使用される「充填された形態における安定性」という語句は、高い溶解性及び生物学的利用能を有する、最初に調製された形態におけるそれらの保存期間に関連する、適切な製剤における薬物組成物の安定性を指す。
【0043】
「加速条件」という語句は、相対湿度75%、高温(40℃)の条件を指す。加速安定性試験研究は、ICH(医薬品規制調和国際会議)が指導する正式な安定性試験プログラムの一環として、誇張された保存条件を使用することにより、医薬品の化学分解及び物理的変化の速度を高めるように設計されている。
【0044】
本明細書で使用されるビタミンE TPGSは、TPGSがコハク酸d-α-トコフェリルのポリエチレングリコール1000エステルであることを指す。熱、酸素、光に対して化学的に安定であり、溶解促進剤として使用される。
【0045】
本発明の医薬組成物は、式IVの化合物を組成物の10重量%~95重量%、好ましくは40重量%~95重量%、より好ましくは50重量%~95重量%の範囲で含む。
【0046】
本発明の医薬化合物は、組成物の2重量%~20重量%の範囲、より好ましくは組成物の4重量%~10重量%の範囲の一以上の可溶化剤を含む。
【0047】
可溶化剤は、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、シクロデキストリン、シクロデキストリン誘導体、Tween80、Tween20、PVPK―30、クエン酸、Kollidone VA64、Kolliphor SLS、ポリエチレングリコールまたはそれらの混合物から選択される。
【0048】
好ましくは、可溶化剤はポビドン、具体的にはポリビニルピロリドン、及びシクロデキストリン、具体的にはHPBCD(ヒドロキシプロピルベータシクロデキストリン)である。可溶化剤は、スルホブチルエーテル-シクロデキストリンまたはCRYSMEB-低メチル化ベータシクロデキストリンから選択することもできる。
【0049】
好ましくは、本医薬組成物中の可溶化剤の量は、2重量%~20重量%、好ましくは4重量%~10重量%の範囲である。
【0050】
好ましくは、本発明による医薬組成物は、様々な方法で投与することができる。
【0051】
式IVの化合物を含有する医薬組成物は、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、経口、直腸、エアロゾル、非経口、眼、肺、経皮、膣、経鼻、及び局所投与など(但し、これらに限定されるものではない)の当技術分野で公知の任意の従来の形態及び経路によって医薬組成物として治療有効量で投与することができる。
【0052】
式IVの化合物を含む本医薬組成物は、溶解性錠剤、顆粒、ガム、ロゼンジ、ペレット、及び舌下及び口腔投与による口腔内送達のための他の形態を含む固体剤形によって投与することができる。好ましくは、特許請求の範囲に記載の医薬組成物は、経口投与によって、好ましくは錠剤製剤で投与される。
【0053】
別の実施形態では、本発明は、式IVの化合物と可溶化剤を混合するステップを含む医薬組成物を調製する方法に関する。好ましくは、ホットメルト押出技術、湿式造粒プロセス、乾式造粒プロセスまたは直接圧縮が組成物の調製に使用される。より好ましくは、本組成物を調製するためにホットメルト押出技術が使用される。
【0054】
調製:
プロセスI(ホットメルト押出)
ホットメルト押出技術は、溶媒を使用しないことから流出液の発生を少なくでき、環境に優しいプロセスである。好ましくは、調製プロセスがホットメルト押出である場合、可溶化剤はポリビニルピロリドンである。
【0055】
本プロセスIは以下の工程を含む。
ディスペンシング:ディスペンスエリアの湿度を50%RH以下に維持する。ディスペンシングの前にすべての天びんを較正する。ふるいがけ:式IVの化合物と可溶化剤、好ましくはポリビニルピロリドンとをASTMメッシュ#40に通して共にふるいにかける。混合物を収集し、さらなる処理のために取っておく。ドライブレンド:適当な容量のブレンダーで4~40RPM(毎分回転数)、好ましくは10~20RPMで10分間、共ふるいにかけた後の混合物をブレンドする。押出プロセス:ブレンドされた混合物を適切な押出の二軸スクリューバレル内に重力フィーダーを通して入れる。二軸スクリューバレル内のゾーンのパラメータを設定し、押出プロセスを開始する。そして、トルクが50%を超えないようにフィーダーとスクリューの適切なRPM(毎分回転数)を設定する。押し出された混合物のコンシステンシーと明澄度をチェックする。押し出された混合物を0.8mmスクリーンを備えたコーミル(Co-mill)/マルチミルを通し、続いてASTMメッシュ#40に通す。押し出された混合物の全てがASTM#40メッシュを通過するまでプロセスを繰り返す。ふるいがけ:ASTM#40メッシュを通して、ラクトース一水和物(Granulac(登録商標)200)、ケイ化微結晶セルロース(Avicel SMCC 90)、コロイド状二酸化ケイ素(Aerosil 200)、またはそれらの組み合わせから選択される所望の量の粒外成分とともに、粉末状押出混合物を共ふるいにかける。ブレンディング:上記の混合物を適切な容量のブレンダーによって、16RPMで10分間混合する。滑沢化:ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤をASTMメッシュ#60でふるいにかけ、ステップ6のブレンドされた混合物に加える。上記ブレンドされた混合物を16RPMで5分間混合し、滑沢化する。滑沢化したブレンド物を二重のポリエチレン袋で裏打ちされた容器に移す。
【0056】
粒外成分は、ラクトース-水和物(Granulac(登録商標)200)、ケイ化微結晶セルロース(Avicel SMCC 90)、クロスカルメロースナトリウム(Ac Di Sol SD 711)、コロイド状二酸化ケイ素(Aerosil 200)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel E-15 LV Premium)またはこれらの組み合わせから選択される。組成物中の粒外成分の量は、0.2重量%~40重量%、好ましくは0.2重量%~20重量%、より好ましくは0.2重量%~11重量%の範囲である。
【0057】
粒内成分は、ラクトース一水和物(Granulac(登録商標)200)、ケイ化微結晶セルロース(Avicel SMCC 90)、クロスカルメロースナトリウム(Ac Di Sol SD 711)、ヒドロキシルベータシクロデキストリン(HPBCD)、ポリソルベート80、コロイド状二酸化ケイ素(Aerosil 200)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel E-15 LV Premium)またはこれらの組み合わせから選択される。組成物中の粒内成分の量は、0.3重量%~14重量%の範囲である。
【0058】
滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、コロイド状二酸化ケイ素などから選択される。組成物中の滑沢剤の量は、0.4重量%~0.5重量%の範囲である。
【0059】
ポリマーは、コポビドン、ポリビニルポリピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒプロメロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、コポビドン/ビタミンE/ポリエチレングリコール、コポビドン/ポリソルベート80/コロイド状二酸化ケイ素から選択される。
【0060】
実施形態
本発明は、化合物IVの結晶形態を非晶質形態に変換して、薬物の生物学的利用性を高める本発明の実施形態を想定する。
【0061】
本発明の実施形態においては、式IVの化合物の薬学的に許容される塩は、可溶化剤とともに、特許請求の範囲に記載の医薬組成物の一部を形成する。
【0062】
好ましい実施形態においては、式IVの化合物は式Vの化合物である。
【0063】
本発明の実施形態においては、化合物Vの結晶形態を非晶質形態に変換して、薬物の生物学的利用性を高める。
【0064】
本発明の実施形態においては、本発明の医薬組成物は、式IVの化合物を、組成物の10重量%~95重量%、好ましくは40重量%~95重量%、より好ましくは50重量%~95重量%の範囲で含む。
【0065】
本発明の別の実施形態においては、本発明の医薬組成物は、式IVの化合物を、組成物の40重量%~90重量%、好ましくは30重量%~90重量%、より好ましくは50重量%~90重量%の範囲で含む。
【0066】
本発明の医薬化合物に係る本発明の一実施形態においては、一種以上の可溶化剤を、組成物の2重量%~20重量%の範囲、より好ましくは組成物の4重量%~10重量%の範囲で含む。
【0067】
プロセスII(湿式造粒法)
本発明の医薬組成物は、湿式造粒法によって得ることもできる。本方法では、可溶化剤はシクロデキストリンであることが好ましい。
【0068】
本方法は、以下のステップから成る。
ディスペンシング:式IVの化合物を薬学的に許容される賦形剤とともに秤量する。粒内成分をASTMメッシュ#30に通す。結合剤溶液の調製:上記混合物に必要量の水とポリソルベート80を加え、溶液を撹拌し、上記混合物に連続撹拌下でシクロデキストリンを加える。本方法は、ブレンド物から錠剤を調製することをさらに含む。本方法は、上記のブレンド物を造粒、乾燥、混合、滑沢化および圧縮することを含む。造粒は、水蒸気造粒、湿潤造粒、溶融造粒、手造粒から選択される。造粒は手造粒であることが好ましい。顆粒は60℃の熱風オーブンで60分間乾燥させる。乾燥後、顆粒をメッシュ#30に通し、その後、クロスカルメロースナトリウム(Ac Di Sol SD 711)、ケイ化微結晶セルロース(Avicel SMCC 90)、コロイド状二酸化ケイ素(Aerosil 200)、またはこれらの組み合わせから選択される粒外成分を加え、メッシュ#30に通し、10分間混合する。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤をASTMメッシュ60#でふるいにかけ、ふるいにかけたステアリン酸マグネシウムを上記の混合物に5分間加える。圧縮:一実施形態では、プロセスIおよび/またはプロセスIIから得られた滑沢化ブレンド物をさらに圧縮して錠剤を形成した。圧縮工程は、圧縮機を使用して実行する。コーティング:実施形態では、錠剤はコーティング剤を使用してコーティングする。錠剤のコーティングは、フィルムコーティング、腸溶性コーティングまたは遅延放出コーティングであり得る。フィルムコーティング剤は、コーティングプレミックス(Opadry II Purple 85F90093)、ラウリル硫酸ナトリウム(Kolliphor SLS Fine)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)またはポリビニルアルコール(PVA)ベースまたはこれらの組み合わせから形成される。
【0069】
結合剤は、ヒドロキシプロピルベタデックス、ヒドロキシプロピルベータシクロデキストリン(KleptoseHPB)、ポリソルベート80、精製水またはこれらの組み合わせから選択される。組成物中の結合剤の量は、2重量%~適量(q.s.)の範囲である。錠剤バインダまたは結合剤は、顆粒を形成するため、または直接圧縮された錠剤の凝集性コンパクトを促進するために、湿式造粒中に乾燥状態または液体の形で添加される物質である。
【0070】
錠剤の製剤化-コーティング工程
総量の20%の精製水をステンレス製容器に入れる。秤量したラウリル硫酸ナトリウム(Kolliphor SLS Fine)をゆっくりと継続的に撹拌して溶解する。上記のラウリル硫酸ナトリウム溶液に秤量したOpadry II Purple 85F90093を継続的に攪拌しながらゆっくり加え、泡の形成を避けるために45分間攪拌する。上記の溶液/コーティング分散液をASTMメッシュ#40でろ過し、ゆっくりと継続的に攪拌してプロセス全体を通して分散を維持する。式IVの化合物の錠剤をコーティング機に入れて、4.00±0.2%w/wの重量増加を達成する。1~2RPM(毎分回転数)でパンを回転させて錠剤を予熱して、ベッド温度を35℃~45℃にする。ベッド温度が所望の温度に達した後、上記の適切なパラメータを維持して錠剤をコーティングする。適切な所望の重量増加が達成された後、錠剤を50℃以下(NMT)のベッド温度で、1~2RPMでパンを15分間回転させて乾燥させる。錠剤を冷却し、二重ポリエチレンで裏打ちされた容器に移し、乾燥剤としてシリカゲルを使用してHDPE容器/IPCに保管する。
【0071】
本発明はまた、人の癌および癌関連障害を治療する方法を想定し、該方法は、式IVの化合物を可溶化剤とともに含む医薬組成物の有効量を人に投与することを含む。
【実施例
【0072】
本発明者らは、実験によって、薬物放出を著しく高めた、式IVの化合物の最も実現可能性が高い医薬組成物を得ようと努力した。
【0073】
実験1
式IVの化合物の溶解に対する生理学的pHが異なる媒体の影響を調べるために行った。
【0074】
【表1】
【0075】
データは、特許請求の範囲に記載の医薬組成物を含まない式IVの化合物は、生理学的pHが異なる媒体において溶解性を有しないことを示している。
【0076】
特許請求の範囲に記載の医薬品の溶解プロファイルの検討を、異なる生理学的緩衝液で実施し、実験2および実験3において、本発明組成物を含まない医薬組成物およびAPIの溶解プロファイルと比較した。
【0077】
実験2
本実験における溶解条件は、酢酸緩衝液(pH4.5)+1%SLS、USPII、1000RPM、900MLとした。
【0078】
【表2】
【0079】
上の比較から、特許請求の範囲に記載の組成物は、APIと比較して薬物放出が著しく増加していることが分かる。
【0080】
実験3
本実験における溶解条件は、酢酸緩衝液(pH6.8)+1%SLS、USPII、1000RPM、900MLとした。
【0081】
【表3】
【0082】
上の比較から、特許請求の範囲に記載の組成物は、APIと比較して薬物放出が著しく増加していることが分かる。
【0083】
実験4
実験4では、式IVの化合物の異なる医薬組成物についての薬物放出を、1%SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)を含む酢酸緩衝液で検討した。以下の結果が得られた。
【0084】
【表4】
【0085】
上記の結果は、特許請求の範囲に記載の組成物の有効性が増強されたことを示している。本発明による医薬組成物は、5分、10分、15分、30分、45分および60分において最初から薬物放出が驚異的に改善していることを示す。
【0086】
化合物(API)が可溶化剤を含まない場合、薬物放出は最小限となる。組成物がビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体とともに活性化合物を含み、湿式造粒によって製造された場合、薬物放出は或る程度改善されるが、最終投与量に有意な効果をもたらすには十分ではない。組成物がSLSを含む場合、薬物放出は改善されるが、組成物が湿式造粒によって製造されたときに得られるものと類似していることに再度留意すべきである。
【0087】
本発明に従って、組成物(試料F)が活性化合物を含むとともに所望の重量%でVA64を含み、ホットメルト押出法によって製造した場合、本発明者らは、驚くべきことに、%薬物放出率の大幅な改善を達成できると結論付けることができる。
【0088】
実験5: 特許請求の範囲に記載の医薬組成物中の化合物Vについて加速中長期安定性を調べた。
【0089】
【表5】
【0090】
結果は、特許請求の範囲に記載の医薬組成物が加速条件下で非常に高い安定性を有することを示している。また、特許請求の範囲に記載の医薬組成物は、時間が経過しても分解せず、かつ、その非晶質特性を保持する非晶質形態の化合物を含む。上記のデータに鑑みて本発明の組成物の安定性は、包装形態で最大18ヶ月まで延長可能であることは、当業者であれば十分理解できる。
【0091】
実験6:安定性の検討:
1ヵ月、2ヵ月、および3ヵ月のpH4.5の酢酸緩衝液+2%SLS(USPII、100RPM、900ML)での医薬組成物の安定性を異なる時間(すなわち、0時間、5時間、10時間、15時間、30時間、45時間および60時間)で検討した。その結果を次の表に示す。
【0092】
【表6】
【0093】
安定性に関する溶解データは、特許請求の範囲に記載された組成物が加速条件で安定であり、薬物放出に著しい変化がないことを示唆している。
【0094】
適応症
医薬組成物は、乳房、口腔、前立腺、脳、血液、骨髄、肝臓、膵臓、皮膚、腎臓、結腸、卵巣、肺、睾丸、陰茎、甲状腺、副甲状腺、下垂体、胸腺、網膜、ブドウ膜、結膜、脾臓、頭、首、気管、胆嚢、直腸、唾液腺、副腎、喉、食道、リンパ節、汗腺、皮脂腺、筋肉、心臓、または胃の癌の治療に使用でき、好ましくは、乳癌や癌関連疾患に使用できる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】