IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブリヂストン ヨーロッパ エヌブイ/エスエイの特許一覧

特表2024-532888タイヤ搭載センサの時間を路面衝撃に同期させ且つコンタクトパッチの継続時間及び振幅を測定する方法
<>
  • 特表-タイヤ搭載センサの時間を路面衝撃に同期させ且つコンタクトパッチの継続時間及び振幅を測定する方法 図1
  • 特表-タイヤ搭載センサの時間を路面衝撃に同期させ且つコンタクトパッチの継続時間及び振幅を測定する方法 図2
  • 特表-タイヤ搭載センサの時間を路面衝撃に同期させ且つコンタクトパッチの継続時間及び振幅を測定する方法 図3
  • 特表-タイヤ搭載センサの時間を路面衝撃に同期させ且つコンタクトパッチの継続時間及び振幅を測定する方法 図4
  • 特表-タイヤ搭載センサの時間を路面衝撃に同期させ且つコンタクトパッチの継続時間及び振幅を測定する方法 図5
  • 特表-タイヤ搭載センサの時間を路面衝撃に同期させ且つコンタクトパッチの継続時間及び振幅を測定する方法 図6
  • 特表-タイヤ搭載センサの時間を路面衝撃に同期させ且つコンタクトパッチの継続時間及び振幅を測定する方法 図7
  • 特表-タイヤ搭載センサの時間を路面衝撃に同期させ且つコンタクトパッチの継続時間及び振幅を測定する方法 図8
  • 特表-タイヤ搭載センサの時間を路面衝撃に同期させ且つコンタクトパッチの継続時間及び振幅を測定する方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】タイヤ搭載センサの時間を路面衝撃に同期させ且つコンタクトパッチの継続時間及び振幅を測定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/02 20130101AFI20240903BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20240903BHJP
   G01M 17/02 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G01P15/02 C
B60C19/00 B
G01M17/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513048
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 EP2022073675
(87)【国際公開番号】W WO2023025885
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】21193660.4
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
(71)【出願人】
【識別番号】518333177
【氏名又は名称】ブリヂストン ヨーロッパ エヌブイ/エスエイ
【氏名又は名称原語表記】BRIDGESTONE EUROPE NV/SA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】ジュリオ テスティ
(72)【発明者】
【氏名】アルフレド バブッシ
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131LA02
(57)【要約】
路面上を転がるタイヤの複数回転にわたって、タイヤに搭載された加速度センサによりタイヤの回転毎に路面と接触するコンタクトパッチで測定された加速度データに誘発される衝撃信号を測定する方法が提供される。本方法は、タイヤの複数回転にわたって加速度データを取得するステップと、加速度データを前記センサで処理するステップとを含む。加速度データをセンサで処理するステップは、加速度データを処理して、衝撃信号毎の加速度値を測定し且つ衝撃ピーク加速度値(a_min)を算出するステップと、タイヤの前記複数回転にわたって衝撃ピーク加速度値(a_min)の移動平均を算出するステップと、加速度データの加速度値を前記衝撃ピーク加速度値(a_min)の移動平均に応じて調整される動的閾値と比較することにより、各衝撃信号の開始時間及び終了時間を測定するステップと、各衝撃信号の測定された開始時間及び終了時間から、衝撃信号の継続時間(t_patch)、2つの連続した衝撃信号間の期間(t_rev)、及び継続時間(t_patch)と期間(t_rev)との比のうち1つ又は複数から選択される時間関連パラメータを生成するステップとを含む。本方法はさらに、時間関連パラメータを外部サーバに送信するステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面上を転がるタイヤの複数回転にわたって、前記タイヤに搭載された加速度センサにより前記タイヤの回転毎に前記路面と接触するコンタクトパッチで測定された加速度データに誘発される衝撃信号を測定する方法であって、
前記タイヤの複数回転にわたって前記加速度データを取得するステップと、
該加速度データを前記センサで処理するステップと、
を含み、
前記加速度データを前記センサで処理するステップは、
前記加速度データを処理して、衝撃信号毎の加速度値を測定し且つ衝撃ピーク加速度値(a_min)を算出するステップと、
前記タイヤの前記複数回転にわたって衝撃ピーク加速度値の移動平均(avg_a_min)を算出するステップと、
前記加速度データの加速度値を前記衝撃ピーク加速度値の移動平均(avg_a_min)に応じて調整される動的閾値と比較することにより、各衝撃信号の開始時間及び終了時間を測定するステップと、
各衝撃信号の測定された開始時間及び終了時間から、衝撃信号の継続時間(t_patch)、2つの連続した衝撃信号間の期間(t_rev)、及び前記継続時間(t_patch)と前記期間(t_rev)との比のうち1つ又は複数から選択される時間関連パラメータを生成するステップと、
を含み、
前記方法は、前記時間関連パラメータを外部サーバに送信するステップを、さらに含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記加速度データを処理して、衝撃信号間の加速度値を測定し且つ衝撃間ピーク加速度値(a_max)を算出するステップをさらに含む方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記衝撃間ピーク加速度値(a_max)に応じて前記動的閾値を調整するステップをさらに含む方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の方法において、前記動的閾値は、前記衝撃信号の前記開始時間の測定に使用される第1動的閾値と前記衝撃信号の前記終了時間の測定に使用される第2動的閾値とを含む方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記第1動的閾値の算出が、avg_a_min、a_max、及び係数xの関数を使用し、xは0<x<1を満足する固定値である方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の方法において、前記第2動的閾値の算出が、avg_a_min、a_max、及び係数yの関数を使用し、yは0<x<1且つy≠xを満足する固定値である方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法において、前記加速度データを処理して、衝撃信号間の加速度値を測定し且つ衝撃信号間の平均加速度値をg値として算出するステップをさらに含む方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法において、g値×(t_rev)の値を期待誤差値範囲と比較することにより、生成された時間関連パラメータが有効か否かを確認するステップをさらに含む方法。
【請求項9】
前記加速度データを処理して前記タイヤが動いていないときの加速度値を測定することにより、前記タイヤのゼロg値を測定するステップと、
衝撃信号毎に前記加速度データを処理して、前記ピーク加速度値の移動平均(avg_a_min)と前記ゼロg値との間の差として算出される前記加速度値のゼロオフセットを測定するステップと、
をさらに含む方法。
【請求項10】
請求項2~9のいずれか1項に記載の方法において、前記衝撃ピーク加速度値(a_min)と前記衝撃間ピーク加速度値(a_max)との間の差をタイヤの複数回転にわたって平均化して、コンタクトパッチ振幅(a_patch)を測定し、該コンタクトパッチ振幅を前記外部サーバに送信する方法。
【請求項11】
請求項2~9のいずれか1項に記載の方法において、衝撃毎に前記加速度データを処理して、前記衝撃信号の立上がりエッジ及び立下がりエッジの少なくとも一方の傾きを求めるステップをさらに含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記衝撃ピーク加速度値(a_min)、前記衝撃間ピーク加速度値(a_max)、前記傾き、及び前記a_minとa_maxとの間の差のうち1つ又は複数から選択される衝撃毎の振幅関連パラメータを前記外部サーバに送信するステップと、
任意に、前記振幅関連パラメータを前記外部サーバで受信し前記振幅関連パラメータを使用してタイヤ摩耗を求めるステップと
をさらに含む方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の方法において、前記時間関連パラメータを前記外部サーバで受信し前記時間関連パラメータを使用して(i)荷重、(ii)車両重心、及び(iii)前記タイヤの回転速度のうち1つ又は複数を求めるステップをさらに含む方法。
【請求項14】
データプロセッサで実行されると請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を行うファームウェアコードを記憶するコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
路面上を転がるタイヤの複数回転にわたって衝撃信号を測定するタイヤ搭載センサシステムであって、
前記衝撃信号は、前記タイヤに搭載されたタイヤ搭載センサシステムにより前記タイヤの回転毎に前記路面と接触するコンタクトパッチで測定された加速度データに誘発され、
前記タイヤ搭載センサシステムは、プロセッサと、送信機と、加速度センサと、を備え、
該加速度センサは、前記タイヤの複数回転にわたって前記加速度データを取得し、
前記プロセッサは、
前記加速度データを処理して、衝撃信号毎の加速度値を測定し且つ衝撃ピーク加速度値(a_min)を算出し、
前記タイヤの前記複数回転にわたって衝撃ピーク加速度値の移動平均(avg_a_min)を算出し、
前記加速度データの加速度値を前記衝撃ピーク加速度値の移動平均(avg_a_min)に応じて調整される動的閾値と比較することにより、各衝撃信号の開始時間及び終了時間を測定し、且つ
各衝撃信号の測定された開始時間及び終了時間から、衝撃信号の継続時間(t_patch)、2つの連続した衝撃信号間の期間(t_rev)、及び前記継続時間(t_patch)と前記期間(t_rev)との比のうち1つ又は複数から選択される時間関連パラメータを生成し、
前記送信機は、前記時間関連パラメータを外部サーバに送信するタイヤ搭載センサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ内に搭載されたタイヤ搭載センサ(TMS)等の車両のタイヤに搭載可能なセンサ装置に関する。特に、本発明は、タイヤに搭載された加速度センサによりコンタクトパッチで取得されたデータを処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ内に搭載されたセンサを、概してタイヤ搭載センサ(TMS)と称する。TMSを使用して、タイヤ圧力及びタイヤ温度等のタイヤ自体のいくつかのパラメータが監視されると共に、タイヤと道路又は車両等のその周囲環境との相互作用に関する情報が抽出される。TMSは、通常は車輪速度を監視する加速度センサを含む。
【0003】
TMSは、通常はバッテリを使用してローカルに給電されるので、ローカルメモリ及びCPU容量が小さい場合がある。タイヤ回転は非常に頻繁に起こるので、大量のデータをTMSの加速度センサにより取得できることが理解されよう。バッテリを維持するために(理想的には、TMSのバッテリがタイヤの寿命の間は持続するように)、センサで行われるデータ取得及びデータ解析は、バッテリ寿命、メモリ、及びCPU使用量に最適化されなければならない。
【0004】
しかしながら、高精度で短い処理時間での高性能データ解析は、通常は多くの電力を使用し、バッテリを消耗することが理解されよう。
【0005】
TMSが測定し得るパラメータの1つは、加速度計を使用した径方向の加速度である。このデータを使用して、道路に対するTMSの位置を追跡し、車輪角速度を測定し、車輪に作用する荷重、又はTMSを搭載したタイヤの残存トレッド深さを評価することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
低バッテリ使用量を維持しつつ、加速度データにおける関心の特徴を評価する際に高精度を維持するように、TMSが取得したデータを処理する方法を改良する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様によれば、路面上を転がるタイヤの複数回転にわたって、タイヤに搭載された加速度センサによりタイヤの回転毎に路面と接触するコンタクトパッチで測定された加速度データに誘発される衝撃信号を測定する方法が提供され、本方法は、
タイヤの複数回転にわたって加速度データを取得するステップと、加速度データをセンサで処理するステップと
を含み、加速度データをセンサで処理するステップは、
加速度データを処理して、衝撃信号毎の加速度値を測定し且つ衝撃ピーク加速度値(a_min)を算出するステップと、
タイヤの複数回転にわたって衝撃ピーク加速度値の移動平均(avg_a_min)を算出するステップと、
加速度データの加速度値を衝撃ピーク加速度値の移動平均(avg_a_min)に応じて調整される動的閾値と比較することにより、各衝撃信号の開始時間及び終了時間を測定するステップと、
各衝撃信号の測定された開始時間及び終了時間から、衝撃信号の継続時間(t_patch)、2つの連続した衝撃信号間の期間(t_rev)、及び継続時間(t_patch)と期間(t_rev)との比のうち1つ又は複数から選択される時間関連パラメータを生成するステップと
を含み、本方法はさらに、時間関連パラメータを外部サーバに送信するステップを含む。
【0008】
したがって、本方法では、動的閾値を使用して衝撃信号の開始時間及び終了時間を測定すること、したがって衝撃信号の開始時間と終了時間との間の差であるt_patch、1つの衝撃信号の開始/終了と次の衝撃信号の開始/終了との間の差であるt_rev、又はt_revとt_patchとの比を生成することが理解されよう。これらは、センサで実行される単純な数学演算なので、より複雑な数学演算が必要な従来技術の方法に比べて電力消費が少ない。バッテリはセンサを搭載したタイヤの寿命の間は持続することが望ましいので、処理を実行するセンサがバッテリにより給電されれば、これは特に有利である。時間関連パラメータのみが外部サーバに送信されるので、最小限のデータが送信されることからバッテリ消費はさらに低減され、大量の加速度データを送信前にセンサにより記憶する必要がないことからメモリも節約される。つまり、本方法は、リアルタイムの情報が(衝撃信号の時間関連パラメータか加速度データの他の評価特徴かを問わず)タイヤ搭載センサから収集されるという利点を保持しつつ、センサに関連するか又はセンサに埋め込まれたプロセッサで実行されるのに適している。
【0009】
衝撃時間(t_patch)は、静止(定速)及び非静止(加速)状態の両方について問題なく算出することができる。さらに、動的閾値により、本発明による方法は、異なる条件、例えば異なる道路条件、車両条件、荷重条件、速度条件、タイヤ条件等に容易に適合させることができる。
【0010】
伝送されたデータを使用して、道路に対するタイヤ内のセンサの位置を追跡するか又は車輪各速度を測定することができる。外部サーバは、伝送されたデータのさらなる処理を実行し、タイヤに対する荷重等の追加特性又はタイヤの残存トレッド深さ等の摩耗特性を抽出することができる。加速度センサの装着前のデータを使用して方法を「訓練する」必要はなく、センサが予め装着されているタイヤも(例えばファームウェア更新により提供される)上述の方法を用いて加速度データから有用な情報を抽出することができる。上述の方法は、トラック、バス、SUV等の乗用車又は商用車のタイヤに搭載されたセンサで実施され得る。
【0011】
本方法は、複数の衝撃信号にわたって加速度データを提供し、伝送された時間関連パラメータを使用して、車輪回転毎の車速評価が容易に達成され得る。
【0012】
加速度データを処理して、道路に対するコンタクトパッチの衝撃が各衝撃信号前後で加速度値をどのように変化させるかを評価することができる。いくつかの実施形態において、本方法はさらに、加速度データを処理して、衝撃信号間の加速度値を測定し且つ衝撃間ピーク加速度値(a_max)を算出するステップを含む。通常、a_maxは、上述の加速度データの衝撃信号に近接して位置付けられる。少なくともいくつかの実施形態において、a_maxは、タイヤの回転毎に得られ、avg_a_minとは異なり移動平均を使用して得られない。
【0013】
いくつかの実施形態において、本方法はさらに、衝撃間ピーク加速度値(a_max)に応じて動的閾値を調整するステップを含む。したがって、動的閾値は、2つのパラメータa_max及びavg_a_minに応じて変わり、avg_a_minは移動平均であり、a_maxはタイヤの回転毎に得られる。2つのパラメータを使用して動的閾値を調整することで、動的閾値が条件の変化により生じる加速度データの変化の影響を受けやすくなり、加速度データが変化しても動的閾値を使用して抽出された時間関連パラメータが正確になることが確実になる。
【0014】
いくつかの実施形態において、動的閾値は、衝撃信号の開始時間の測定に使用される第1動的閾値と、衝撃信号の終了時間の測定に使用される第2(好ましくは異なる)動的閾値とを含む。種々の実施形態において、第1及び第2動的閾値はそれぞれがavg_a_min及びa_maxに応じて、但し異なる関数に従って変わることで、第1及び第2動的閾値は異なる値を有するようになる。衝撃信号は完全に対称ではあり得ないので、2つの異なる閾値を使用して衝撃信号の開始時間及び終了時間それぞれを測定することが有利であり、したがって2つの閾値により、衝撃信号の開始時間及び終了時間を求めるためのより正確な方法が得られる。
【0015】
いくつかの実施形態において、第1動的閾値は、移動平均avg_a_min及びa_maxの関数として算出され、関数は、閾値をavg_a_minの方にバイアスする係数xを含む。いくつかの実施形態において、第2動的閾値は、移動平均avg_a_min及びa_maxの関数として算出され、関数は、閾値をa_maxの方にバイアスする係数y(係数xとは異なる)を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、最小動的閾値は、移動平均avg_a_min、a_max、及び係数xの関数として算出され、xは0<x<1を満足する固定値である。第1動的閾値を求めるのに使用される関数の例は、
第1動的閾値=(1-x)×avg_a_min+x×a_max
≒avg_a_min-(a_min-a_max)×x
=avg_a_min-振幅×x
である。式中、avg_a_minは衝撃ピーク加速度値の移動平均であり、a_minは現在の衝撃信号の衝撃ピーク加速度値である。代替的な閾値算出を上記の関数の代わりに使用してもよいことが理解されよう。上記の閾値算出は、非常に単純なので、必要となる計算能力が最小限であり、したがって著しいバッテリの消耗がなく、バッテリ寿命が延びる。
【0017】
いくつかの実施形態において、第2動的閾値は、移動平均avg_a_min、a_max、及び係数yの関数として算出され、yは0<y<1且つy≠xを満足する固定値である。例えば、
第2動的閾値=(1-y)×avg_a_min+y×a_max
≒avg_a_min-(a_min-a_max)×y
=avg_a_min-振幅×y
である。式中、振幅はa_min-a_max、すなわちその衝撃信号の加速度データの総変位として定義される。最小動的閾値と同様に、代替的な算出を用いることができる。
【0018】
上記の閾値算出は、非常に単純なので、必要となる計算能力が最小限であり、したがって著しいバッテリの消耗がなく、バッテリ寿命が延びる。
【0019】
いくつかの実施形態において、本方法はさらに、加速度データを処理して、衝撃信号間の加速度値を測定し且つ衝撃信号間の平均化速度値をg値として算出するステップを含む。このg値は、理想的なタイヤの(すなわち、路面でのタイヤの変形がなかった場合の)センサの遠心加速度に等しくなる。加速度データは、較正されたルックアップテーブルを使用してg値に変換することができる。
【0020】
いくつかの実施形態において、本方法はさらに、g値×(t_rev)の値を期待誤差値範囲と比較することにより、生成された時間関連パラメータが有効か否かを確認するステップを含む。期待誤差範囲は、2つの較正された閾値を含むことができ、t_revがこれら2つの閾値内にある場合は有効とみなされ、そうでなければ無効とみなされる。このように、t_revが有効でない場合、タイヤのその回転について取得されたデータは破棄され得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、本方法はさらに、加速度データを処理してタイヤが動いていないときの加速度値を測定することにより、タイヤのゼロg値を測定するステップと、衝撃信号毎に加速度データを処理して、ピーク加速度値の移動平均(avg_a_min)とゼロg値との間の差として算出される加速度値のゼロオフセットを測定するステップとを含む。したがって、ゼロg値は、加速度センサに常に加わるバックグラウンド加速度、すなわち重力による加速度に等しい。ゼロg値は、加速度データ又は衝撃信号を加速度センサが受け取る前にavg_a_minを求めるための開始値として選択することもできる。ゼロオフセットパラメータは、外部サーバに送信することができ、そこでこれをさらにタイヤの荷重及び/又は摩耗を求めるための処理に使用することができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、衝撃ピーク加速度値(a_min)と衝撃間ピーク加速度値(a_max)との間の差がタイヤの複数回転にわたって平均化されて、コンタクトパッチ振幅(a_patch)が測定され、コンタクトパッチ振幅は外部サーバに送信される。したがってコンタクトパッチ振幅は、衝撃信号間の平均g値からの加速度データの最大変位に等しいものであり得る。a_minとa_maxとの間の差は、タイヤの各回転における衝撃信号毎に得られるので、複数回転にわたる平均化により、タイヤの複数の回転を考慮するのでコンタクトパッチ振幅のより精密且つ正確な値が得られる。さらに、複数回転にわたる平均化により、データ伝送の頻度が減り、したがってセンサのメモリ及び消費電力が減る。伝送されたコンタクトパッチ振幅は、サーバにおいて、例えばタイヤの荷重/摩耗/速度算出にさらに使用され得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、本方法はさらに、衝撃毎に加速度データを処理して、衝撃信号の立上がりエッジ及び立下がりエッジの少なくとも一方の傾きを求めるステップを含む。加速度データの時間に対する微分を衝撃毎に求め、この微分の最大値及び最小値を求めて傾きを評価することができる。衝撃ピーク前後の衝撃信号の傾きを用いて、タイヤの摩耗を推定することができる。例えば、傾きが大きいほど摩耗したタイヤに相当し、傾きが小さいほど新品のタイヤに相当し得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、本方法はさらに、衝撃ピーク加速度値値(a_min)、衝撃間ピーク加速度値(a_max)、傾き、及びa_minとa_maxとの間の差のうち1つ又は複数から選択される衝撃毎の振幅関連パラメータを外部サーバに送信するステップを含む。センサが取得した全ての加速度データの代わりに振幅関連パラメータ(単数又は複数)を伝送することで、伝送されるデータ量が低減されて伝送帯域幅が減るのでセンサのバッテリ消費も少なくなる。大量の加速度データを伝送前にセンサにより記憶する必要がないことからメモリも節約される。
【0025】
いくつかの実施形態において、本方法はさらに、振幅関連パラメータを外部サーバで受信し振幅関連パラメータを使用してタイヤ摩耗を求めるステップを含む。振幅関連パラメータからタイヤ摩耗を求める方法は、当該技術分野において既知である。例えば、米国特許出願公開第2021/0208029号(Bridgestone Corp.)は、加速度センサが検出した径方向加速度を微分することにより得られた径方向加速度波形に現れるピークの大きさからタイヤの摩耗の度合いを推定する方法を記載している。米国特許出願公開第2021/0208029号の全内容を参照により本明細書に援用する。
【0026】
少なくともいくつかの実施形態において、振幅関連パラメータを使用して、摩耗の指標としてタイヤの残存トレッド深さが求められる又は予測される。上述のように、古いタイヤほど残存トレッド深さが小さく、したがってタイヤが転がる表面での変形に対する耐久性が低いので、傾きを使用してタイヤの摩耗を求めることができる。全内容を参照により本明細書により援用する国際公開第2009/008502号(Bridgestone Corp.)は、タイヤ摩耗の度合いに応じて変わるトレッドの変形速度を評価するために、検出された加速度の波形を微分することを記載している。摩耗評価に加えて、1つ又は複数の振幅関連パラメータを使用してタイヤへの荷重、車両の速度、又はタイヤと道路又は車両等のその周囲環境との相互作用に関する他の情報を求めることができる。
【0027】
少なくともいくつかの実施形態において、本方法は、少なくとも1つの時間関連パラメータ及び少なくとも1つの振幅関連パラメータを外部サーバに送信するステップを含む。例えば、米国特許出願公開第2021/0208029号(Bridgestone Corp.)は、衝撃信号の傾き(径方向加速度値の微分)及び接地時間比を使用してタイヤの摩耗の度合いを推定する方法を記載している。
【0028】
いくつかの実施形態において、本方法はさらに、時間関連パラメータを外部サーバで受信し時間関連パラメータを使用して(i)荷重、(ii)車両重心、及び(iii)タイヤの回転速度のうち1つ又は複数を求めるステップを含む。例えば、タイヤの直径は既知なので、タイヤの回転時間t_revを使用してタイヤの回転速度を求めることができる。t_revとt_patchとの比は、車両にかかる荷重、したがって各タイヤがその荷重から受ける影響に応じて変わるので、この比を使用して車両重心を求めることができる。
【0029】
いくつかの実施形態において、本方法はさらに、本発明の処理ステップの前に、長さN(例えばN=8サンプル、例えばN=16サンプル)の移動平均フィルタを使用してタイヤの複数の回転からの加速度データをフィルタリングするステップを含む。加速度データは振動ノイズも有し、振動ノイズは加速度データのフィルタリングにより最小化することができるので、このフィルタは加速度データを「平滑化」する。このフィルタリングは、センサで記憶され得るデータ量も減らす。データのフィルタリングにより、処理されるデータのノイズが低減されてより正確な算出につながることで、これを使用してタイヤの特性を求めることができる。
【0030】
いくつかの実施形態において、加速度データは、センサでの処理前にセンサのメモリに記憶される。このように、加速度データの加工の頻度を下げて、より頻繁な加工に比べて消費電力を減らすことができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、時間関連パラメータ及び/又は振幅関連パラメータは、伝送前にセンサのメモリに記憶される。この場合も、データ伝送の頻度を下げることにより、伝送からの消費電力が減り、例えばセンサに給電するバッテリの寿命が延びる。例えば、外部サーバへの時間関連パラメータ又は振幅関連パラメータの送信に用いられる送信機を、省電力のために送信後に「スリープモード」にして、記憶されたデータをメモリから送信するために随時起動するだけとすることができる。
【0032】
上記に開示した実施形態のいずれにおいても、本方法はコンピュータ実装方法である。
【0033】
本発明の実施形態による方法は、ファームウェア又はソフトウェアを少なくとも部分的に使用して実施され得ることが理解されよう。さらに別の側面から見た場合、本発明は、適当なデータ処理手段、特に加速度センサに関連するか又は加速度センサに埋め込まれたプロセッサで例えば実行されると本明細書に記載の方法のいずれか又は全てを行うよう実行可能なコンピュータ可読命令を含む、コンピュータプログラム製品にも及ぶことが分かる。さらに別の側面から見た場合、本発明は、データプロセッサで実行されると本明細書に記載の方法のいずれかを行うファームウェアコードを記憶するコンピュータ可読記憶媒体にも及ぶ。データプロセッサは、加速度センサに関連するか又は加速度センサに埋め込まれることが好ましい。記憶媒体は、物理的な(又は非一時的な)媒体とすることができる。
【0034】
本発明の第2態様によれば、路面上を転がるタイヤの複数回転にわたって衝撃信号を測定するタイヤ搭載センサシステムであって、衝撃信号は、タイヤに搭載されたタイヤ搭載センサシステムによりタイヤの回転毎に路面と接触するコンタクトパッチで測定された加速度データに誘発されるタイヤ搭載センサシステムが提供され、このタイヤ搭載センサシステムは、プロセッサと、送信機と、加速度センサとを備え、
加速度センサは、タイヤの複数回転にわたって加速度データを取得し、プロセッサは、
加速度データを処理して、衝撃信号毎の加速度値を測定し且つ衝撃ピーク加速度値(a_min)を算出し、
タイヤの複数回転にわたって衝撃ピーク加速度値の移動平均(avg_a_min)を算出し、
加速度データの加速度値を衝撃ピーク加速度値の移動平均(avg_a_min)に応じて調整される動的閾値と比較することにより、各衝撃信号の開始時間及び終了時間を測定し、且つ
各衝撃信号の測定された開始時間及び終了時間から、衝撃信号の継続時間(t_patch)、2つの連続した衝撃信号間の期間(t_rev)、及び継続時間(t_patch)と期間(t_rev)との比のうち1つ又は複数から選択される時間関連パラメータを生成し、
送信機は、時間関連パラメータを外部サーバに送信する。
【0035】
タイヤ搭載センサシステムの1つ又は複数の実施形態において、プロセッサは、既に上述した方法ステップのいずれかを実行するよう構成される。
【0036】
次に、1つ又は複数の非限定的な例を単なる例として添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】加速度センサが搭載されるタイヤの概略図である。
図2】加速度センサに誘発される衝撃信号を示す、時間の関数としての図1のセンサが取得した加速度データの図を示す。
図3】タイヤ搭載センサ及びサーバのコンポーネントの概略図である。
図4】TMSの加速度センサが取得したデータを処理するためにプロセッサで行われるステップを示すブロック図である。
図5】時間の関数としての図1のTMSが取得した生加速度データの図である。
図6】衝撃信号のt_start及びt_endを求めるために図4で使用されるFSMの図である。
図7A】全荷重で30km/hで進む完全摩耗タイヤの1回転の加速度データの図である。
図7B】全荷重で60km/hで進む完全摩耗タイヤの1回転の加速度データの図である。
図8A】全荷重で60km/hで進む完全摩耗タイヤの1回転の加速度データの図である。
図8B】全荷重で60km/hで進む、残存トレッド深さ100%の新品タイヤの1回転の加速度データの図である。
図9】タイヤの複数回転にわたる無荷重の完全摩耗タイヤの加速度データの図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、加速度計等の加速度センサ4を備えたタイヤ搭載センサ(TMS)2を示し、タイヤ搭載センサ2は、タイヤ6内に又はタイヤ6の内面に搭載されるとタイヤ6の特性を監視するよう設計される。
【0039】
TMS2は、タイヤ6内に搭載されるとタイヤ6と共に回転し、タイヤ6と地面8とが接触して、地面8と接触したタイヤ6の部分でタイヤ6を変形させる。これを、タイヤ6の「コンタクトパッチ」と一般に称する。
【0040】
加速度計4を使用して、タイヤ6の径方向の加速度を測定することができる。センサモジュール2が搭載されたタイヤ6の部分が地面8と接触すると(コンタクトパッチ)、図2に示すように、加速度計4により生成された加速度データに衝撃信号が導入される。
【0041】
図2は、時間の関数としてのTMSが取得した加速度データ10の理想図を示し、TMSを装着したタイヤの1回転の加速度データ10に誘発された衝撃信号12を示す。衝撃信号12は、ピーク加速度値(a_min)を有する。衝撃信号12の前後に(且つ衝撃信号12に近接して)、衝撃信号12とは逆方向の小さなピークである衝撃間ピーク加速度値(a_max)がある。衝撃12に近接したa_maxを除いて、衝撃信号間では加速度データは一定の値(g_value)を有する。衝撃信号12は、衝撃間のg_valueからa_minまでの立上がりエッジと、続いてa_minからg_valueに戻る立下がりエッジとを有する。この例では、衝撃信号は、加速度データにおける下向きのピークとして示されるが、加速度値を表すy軸の方向を反転させることができる。
【0042】
衝撃信号12の振幅は、a_minとa_maxとの間の差、すなわちg_valueからの信号の最大総変位として定義される。タイヤのTMS収容部分が道路と接触している期間に相当する衝撃信号の継続時間(t_patch)は、衝撃信号12の立上がりエッジの第1閾値レベル(t_start)と立下がりエッジの第2閾値レベル(t_end)との間の時間として定義される。これらの閾値を算出する方法を、後続の図面に関してさら詳細に以下で説明する。1つの衝撃信号のみを図2に示すが、通常はタイヤの回転は複数回なので、複数の衝撃信号12があることが理解されよう。ある衝撃信号12と次の衝撃信号12との間の時間が、タイヤの回転時間となる。
【0043】
次に、図3を参照すると、図1のタイヤ搭載センサ2のコンポーネントの概略図が、TMS2と通信する外部サーバ14のコンポーネントと共に示されている。TMS2は、加速度計等の加速度センサ4、プロセッサ16、送受信機18、メモリ20、及びバッテリ22を含む。外部サーバ14は、プロセッサ24、送受信機26、及びメモリ28を含む。
【0044】
加速度センサ4を使用して、TMS2の径方向加速度データを取得することができる。このデータは、続いて送受信機18に渡されて送信されるか、プロセッサ16に渡されて処理されてから送受信機18により送信されるか、又はメモリ20に渡されて記憶され、後でプロセッサ16及び送受信機18により処理又は送信され得る。
【0045】
TMS2の送受信機18は、例えば、加速度センサ4が取得した加速度データを外部サーバ14に送信するよう構成された無線送受信機であり得る。送受信機18は、プロセッサ16が処理した加速度データを外部サーバ14に送信するようにも構成され得る。サーバは、続いてこの生又は加工データを使用して、速度、荷重、トレッド深さ等のタイヤ/車両に関する特性を求めることができる。
【0046】
TMS2は、ネットワークサービスプロバイダを介して外部サーバ14のサーバ送受信機26との「モバイル」又は電気通信ネットワーク接続を確立し得る。ネットワーク接続は、LTE(4G)、GSM(2G及び3G)、CDMA(2G及び3G)、WAN、ISMバンド433MHz、BLE、315MH、433MHz、FSK、5G等の任意の数の通信規格を利用して既知の方法で確立することができる。
【0047】
TMS2は、バッテリ22により給電され、外部サーバ14は、外部電源(図示せず)により給電される。代替として、TMS2は、タイヤの運動からエネルギーを得るエネルギーハーベスト装置により給電されてもよい。
【0048】
プロセッサ16を使用して、加速度センサ4が収集した加速度データの時間及び/又は振幅関連パラメータを求めることができ、パラメータは、衝撃信号の継続時間(t_patch)、2つの連続した衝撃信号間の期間(t_rev)、継続時間(t_patch)と期間(t_rev)との比、衝撃ピーク加速度値(a_min)、衝撃間ピーク加速度値(a_max)、衝撃信号の立上がりエッジ及び/又は立下がりエッジの傾き、及びa_minとa_maxとの間の差(すなわち、コンタクトパッチ振幅(a_patch)を表す)等である。
【0049】
これらの時間及び/又は振幅関連パラメータは、続いてサーバ14に送信されることができ、サーバ14は、タイヤ/車両の特性を求めるためにさらなる処理を実行することができる。
【0050】
次に図4を参照すると、TMS2の加速度センサ4が取得したデータを処理するためにプロセッサ15で行われ得るステップを示すブロック図が示されている。処理ステップをデータの取得直後に実行できることで、メモリ20に記憶されるデータ量が減ると共に、処理を通して評価される衝撃時間及び他の特徴に関する情報を、処理が外部サーバ14でしか実行されない場合よりも迅速に提供することができる。
【0051】
加速度センサ4を含むTMS2がタイヤ6のインナーライナに搭載され、タイヤ6が表面に沿って転がり始めると、センサ2もタイヤ中心周りにスピンし始める。このスピン運動は、ブロック30において加速度センサ4を使用して測定することができるz軸方向の遠心加速度を発生させ、このデータは、続いてブロック32においてアナログ-デジタル変換システムによりデジタルサンプルに変換される。理想的な非変形タイヤは、変形せず、タイヤの回転中にこの遠心加速度を測定するだけである。しかしながら、上述のように、実際のタイヤは、表面と接触しているタイヤの部分(コンタクトパッチ)で変形する。この変形は、センサが取得したデータにおいて、センサ2が搭載されたタイヤ6の部分が表面と接触したときの衝撃信号(図2に示す)として示すことができる。
【0052】
ブロック34において、加速度信号がフィルタリングされる(図5参照)。各回転中にTMS2が取得したデータは、振動ノイズが追加された加速度データを有する。衝撃信号の捜しやすさ及び求めやすさを改善するために、長さNの移動平均フィルタを使用してこのノイズがフィルタリングされ、ここでNはフィルタで使用されるサンプルの数である。例えば、4kHzのサンプリング周波数及びN=8サンプルのフィルタ長が用いられ得る。移動平均フィルタは、振動ノイズの大部分がタイヤの回転毎に除去されるように、例えば8サンプルにわたってデータを「平滑化」する。データをフィルタリングするために、N個のサンプル及び移動フィルタ出力値をメモリ20に記憶させるだけでよいように、長さNのFIFOバッファが使用され得る。したがって、これは、ブロック34の動作が必要とするメモリの総量である。
【0053】
フィルタリング済みデータは、続いてブロック36で使用される。ブロック36において、衝撃信号の最小値(a_min)及び衝撃間加速度データの最大値(a_max)が、フィルタリング済みデータから求められる(図5参照)。振幅(a_patch)、すなわちa_min-a_maxも算出される。データは、回転毎のa_max及びa_minに使用する最大値及び最小値を見つけるために処理中に評価され得る。ブロック36の出力は、続いてブロック38に入力される。代替として、タイヤの次の回転での動的閾値の評価のために、回転のa_max値及びa_min値が記憶されてブロック38及び40に入力され得る。
【0054】
ブロック38は、複数のタイヤ回転にわたるa_minの移動平均(avg_a_min)を評価する。設定された固定リセット値から開始して、移動平均avg_a_minは、定時に又はタイヤ回転毎に更新される。移動平均avg_a_minは、
avg_a_min=(old_a_min+a_min)/2
として算出することができ、ここで、old_a_minは前のa_minの移動平均であり、a_minはそのタイヤ1回転のa_minの値である。
【0055】
リセット値の1つの選択肢はゼロg値であり、これは、タイヤが動いていないときのセンサ2からの加速度データから得られた加速度値である。avg_a_minがゼロg値から始まる場合、avg_a_minを速やかに収束させることができる。
【0056】
ゼロg値をさらに使用して、avg_a_minとゼロg値との間の距離として定義される二次的なゼロオフセットパラメータを求めることができる。
ゼロオフセット=avg_a_min-ゼロg
ゼロオフセットパラメータは、荷重及び摩耗の推定に使用することができ、したがって荷重及び摩耗を算出することができるサーバに送信することができる。ゼロオフセットパラメータは、ブロック32でのアナログ-デジタル変換器のサンプリング周波数、ブロック34での信号のフィルタリング、及びタイヤ自体の変形の影響を受ける。
【0057】
ブロック40において、有限状態マシン(FSM)を実装して、路面に対するセンサの位置及び衝撃信号のタイミングが求められる。FSMは、3つの主な状態を有する。
SEARCH-初期状態であり、TMSはコンタクトパッチにない。
CONTACT-PATCH-TMSはコンタクトパッチにある。
END-最終状態であり、TMSはコンタクトパッチから離れている。
これらの状態の判定は、図5及び図6を参照してさらに後述する。
【0058】
ブロック40において、衝撃信号のタイミングがタイマ/クロックを使用して求められる。例えば、400kHzサンプリングタイマを使用して、イベントタイムスタンプ(例えば、衝撃信号のイベントタイムスタンプ)を取得することができる。これらのタイムスタンプは、続いてサンプリングクロックカウントに関して定義される。衝撃信号の時間を測定する代替的な方法も用いられ得る。衝撃信号の開始(t_start)は、CONTACT_APTCH状態の開始時に起こり、衝撃信号の終了(t_end)は、END状態の開始時に起こる。生成されたタイムスタンプは、続いてブロック42で使用されて、生成された衝撃信号「イベント」の信頼性が評価される。FSMがEND状態に達すると、データはブロック42に渡される。
【0059】
ブロック42において、前の衝撃信号の開始時間(t_start_old)がメモリ20に記憶される。ブロック40において、FSMが新たな衝撃信号の開始時間(t_start_new)を生成すると、ブロック42において、これら2つのタイムスタンプ間の差が評価される。
回転時間(t_rev)=t_start_new-t_start_old
【0060】
t_revが算出されたら、プロセッサ16は、データサンプルを取得するためにブロック40でEND状態が生成された後の一定期間待機する。この期間は、t_revの数分の一であり、衝撃信号が終了しており衝撃間で新たなサンプルが得られるような期間である。このサンプルは、衝撃間の加速度データから取得され、続いて較正されたルックアップテーブルを使用してg値に変換される。
g値はt_revの二乗の逆数に比例するので、誤差関数を、
誤差=g値×(t_rev)
として計算することができる。この誤差値を、2つの較正された閾値MAX_ERROR及びMIN_ERRORと比較することができる。MIN_ERROR<誤差<MAX_ERRORの場合、t_revは有効とみなされ、そうでなければ無効とみなされる。有効又は無効出力は、続いてブロック44に転送される。
【0061】
ブロック44において、ブロック42で求められたt_rev値が有効である場合、このブロックは、ブロック32~40のいずれかからの出力の選択と共にブロック46(後述)の出力を収集する。選択されたデータは、続いてメモリ20に送られて記憶されるか、又は外部サーバ14への送信のために送受信機18に送られる。
【0062】
一例として、データは、433MHzデジタル無線変調を使用して送られ得るか、又はI2Cバスを介して接続されたFRAMメモリに記憶され得る。データは、BLE接続を使用して送られてもよい。
【0063】
代替として、ブロック42で求められたt_rev値が無効である場合、その回転のデータは破棄される。
【0064】
データが記憶/伝送されたら、リセット信号(図4に破線で示す)がブロック40に送られて、新たなコンタクトパッチを示す新たな衝撃信号の探索が開始される。
【0065】
ブロック46は、ブロック32~40の出力を受け取り、プロセッサ16は、タイヤ及びタイヤと路面及び/又は車両との相互作用に関する情報を推定するのに有用な特徴を抽出するために加速度データのリアルタイム評価を実行する。
【0066】
ブロック46がブロック40から値t_start及びt_endを受け取ると、衝撃信号の継続時間(t_patch)を
t_start=t_end-t_start
として求めることができる。接触時間比は、
比=t_patch/t_rev
として求めることもできる。衝撃信号12の導関数が算出され、この導関数の最大値及び最小値をその後使用して、タイヤの残存トレッド深さを評価することができる。
【0067】
プロセッサ16のパワーが、ブロック46でデータを評価するのに不十分な場合、ブロック32~38のいずれかからブロック46で受け取られたデータは、一時メモリに記憶させてブロック40の後で評価することができる。このような場合、FSMの開始は、ブロック46が必要な計算を完了するまで延期され得る。
【0068】
図5は、時間の関数としての図1のTMS2が取得した生加速度データ110の図を示す。TMS2を装着したタイヤの1回転の加速度データ110に誘発された衝撃信号12が示されている。図2の加速度データ10とは異なり、図5の生加速度データ110は振動ノイズを有することが理解されよう。
【0069】
したがって、図4で説明したように、ブロック34において、加速度データ110は長さNの移動平均フィルタを使用してフィルタリングされる。これによりデータが平滑化され、得られる平滑化加速度データ110’が加速度データ110に重ねて図示されている。TMS2が取得した全ての加速度データが平滑化されるので、平滑化衝撃信号112’も図示されている。
【0070】
図4のブロック36を参照して既に説明したように、値a_min、avg_a_min、及びa_maxを図5に示す。a_minは平滑化衝撃信号112’の「ピーク」であり、a_maxは衝撃信号間の平滑化加速度データ110’の「ピーク」(衝撃間ピーク)であることが理解されよう。
【0071】
ゼロg値は、ピークa_minの下に図示されている。上述のように、ゼロgは、タイヤが動いていないときにTMS2を使用して求められ、avg_a_minを求めるための開始値として使用される。図5は、衝撃信号112’の前では移動平均avg_a_minがゼロg値に等しい様子を示す。衝撃信号112’の後に、新たなa_min値が得られたので、移動平均avg_a_minは変わり、衝撃後のゼロgとは異なる値を有する。したがって、タイヤの複数回転を経てavg_a_minがa_min値に収束することが理解されよう。
【0072】
g_valueは、TMS2が取得した回転データの有効性を求めるために使用される平滑化加速度データ110’の平均衝撃間値として示されている。
【0073】
衝撃信号12は、衝撃間のg_valueからa_minの衝撃信号のピークまでの立上がりエッジと、続いてa_minからg_valueに戻る立下がりエッジとを有する。
【0074】
図4のFSM状態変更をトリガするために(ブロック40)、平滑化加速度データ110’は、avg_a_minの移動平均、a_max、及び固定値x、yの関数として定義される2つの動的閾値と比較される。図5に示すように、第1閾値及び第2閾値があり、第2閾値は、第2閾値よりもavg_a_minに近い値を有する。これらの閾値の式の例を以下に記載する。
第1閾値=(1-x)×avg_a_min+x×a_max
≒avg_a_min-(a_min-a_max)×x
=avg_a_min-振幅×x
第2閾値=(1-y)×avg_a_min+y×a_max
≒avg_a_min-(a_min-a_max)×y
=avg_a_min-振幅×y
ここで、振幅はa_min-a_max、すなわち加速度データ110’の総変位として定義され、0<x、y<1、且つx<yである。
【0075】
したがって、動的な第1及び第2閾値は、移動平均avg_a_min及びa_maxに基づいて変わる。これらの値は、タイヤに対する荷重及びタイヤの回転速度等の因子により変わる。
【0076】
衝撃信号112’のt_startは、加速度データ110’が第1閾値を超えたときに定義され、FSMは、第1閾値条件を満たしたときにSEARCHからCONTACT-PATCHに状態を変える。衝撃信号のt_endは、加速度データ110’が第2閾値を超えたときに定義され、FSMは、CONTACT_PATCHからENDに状態を変える。ブロック40におけるFSMの一般的な動作を図6に示す。
【0077】
図5には、第1及び第2閾値を使用して衝撃信号の開始時間及び終了時間が定義される場所を示す矢印がある。第1閾値を使用して、ピークの立上がりエッジにおける衝撃信号112’の開始(t_start)が定義され、第2閾値を使用して、ピークの立下がりエッジにおける衝撃信号112’の終了(t_end)が定義されることが理解されよう。
【0078】
衝撃信号112’前のゼロオフセット値は、avg_a_minとゼロgとが等しいのでゼロである。しかしながら、衝撃信号112’後は、avg_a_minとゼロgとが等しくなくなるので、ゼロオフセット値は、avg_a_minとゼロgとの間の差に等しい大きさを有する。
【0079】
図6は、動的な第1及び第2閾値から衝撃信号112’のt_start及びt_endを求めるためにブロック40で使用されるFSMの図である。FSMの連続的なプロセスでCONTACT_PATCH状態の開始及び終了が求められ、各衝撃信号112’の終了が求められた後に新たな探索が始まることが、図6から明らかである。TSMを搭載したタイヤは、車両の移動中にスピンし続けるので、これにより、複数回転にわたる複数の衝撃信号を解析することができる。
【0080】
図7A及び図7Bは、全荷重で2つの異なる速度で移動する完全摩耗タイヤの1回転の加速度データを示す。図7Aは、30km/hで進む車両のタイヤの加速度データ210Aを示し、図7Bは、60km/hで進む車両のタイヤの加速度データ210Bを示す。図5に示すデータと同様に、加速度データ210A、210Bはフィルタリングされて平滑化データ210A’、210B’が生成される。
【0081】
30km/hで進む車両からの加速度データ210A’は、加速度データ210B’に比べて平坦化されており、より平坦で広い衝撃信号212’を有することで、図7Aのt_patchは図7Bのt_patchよりも長い。図7Bの60km/hでのa_maxは、図7Aの30km/hでのa_maxよりもはるかに高い。
【0082】
図7A及び図7Bの両方において、avg_a_minは同じであり、ゼロg値に略等しく、ゼロオフセットは略ゼロである。しかしながら、図7Aの第1及び第2動的閾値は、2つの速度のa_maxの差により図7Bのものとは異なる。図7Aの第1及び第2閾値は、図7Bに破線で示されており、タイヤの回転の高速化により生じたa_maxの増加により、閾値の変化が明らかである。図7Bのように、タイヤの回転が高速であるほど、タイヤの各部分が高速回転時に道路と接触する期間が短くなるので衝撃信号212B’は短くなる。高速であることは、(タイヤがより速く回転しなければならないので)TMS2が測定した径方向加速度が大きいことも意味し、したがってa_maxの値は速度が高いほど大きい。したがって、衝撃信号212B’は、衝撃信号212A’よりも大きな振幅(a_patch)を有する。
【0083】
図7A及び図7Bの両方において、a_maxの変化に伴い第1及び第2動的閾値が経時的に変わることが明らかである。したがって、a_maxが増加すると、図7A及び図7Bの両方の第1及び第2閾値は同様に上がる。
【0084】
図8A及び図8Bは、全荷重で60km/hで進むタイヤの1回転の加速度データを示す。図8Aは、タイヤが完全に摩耗している車両のタイヤの加速度データ310Aを示し、図8bは、新品タイヤ(すなわち、残存トレッド深さ100%)の加速度データ310Bを示す。図5に示すデータと同様に、加速度データ310A、310Bはフィルタリングされて、平滑化加速度データ310A’、310B’が生成される。
【0085】
加速度データ310A’及び310B’は、同様の形状であり、高振幅の衝撃信号312A’、312B’を有する。図8Aのt_patchは、図8Bのt_patchと非常に似ている。タイヤは同じ速度及び同じ荷重で進んでいるので、a_maxは、図8A及び図8Bの両方で同様である。
【0086】
生加速度データ310Aは、生加速度データ310Bよりもノイズがはるかに多い。これは、完全摩耗タイヤが新品タイヤに比べて振動ノイズを吸収しにくくなるからであり得る。変わりやすい道路条件も生加速度データのノイズの程度に影響を及ぼし得る。
【0087】
衝撃信号312B’の値avg_a_minは、312A’のavg_a_minよりも低く、ゼロg値未満なので、ゼロオフセット値がゼロg値未満であることが、図8A及び図8Bから分かる。しかしながら、図8Aにおけるavg_a_minは、ゼロオフセットが略ゼロであるようにゼロg値に略等しい。
【0088】
衝撃信号312A’、312B’前のa_max及びavg_a_minの値が同様なので、図8A及び図8B両方の第1及び第2動的閾値は非常に似ている。しかしながら、図8Bにおける衝撃後には、図8Bにおける新品タイヤのavg_a_minが低いので、動的閾値が下がる一方で、図8Aの閾値は衝撃後も不変であることが理解されよう。
【0089】
図8Bの衝撃信号312B’は、図8Aの衝撃信号312A’とは異なる形状を有する。したがって、タイヤの摩耗を推定するために、加速度データを時間に関して微分することにより図8A及び図8Bの両方における傾きを評価することができる。信号312A’及び312B’の時間に関する微分は、図4のブロック46において計算することができ、例えばフィルタ長N=8の移動平均を用いて、複数の回転にわたってこの微分の最大及び最小値が得られる。
【0090】
図9は、タイヤの複数回転にわたる無荷重の完全摩耗タイヤの加速度データ410を示す。図5と同様に、生加速度データ410は移動平均フィルタを用いて平滑化されて、平滑化加速度データ410’が生成される。タイヤの速度は、図9に示す回転を通して変わり得る。avg_a_min及びa_maxは、図9では回転を通して変わり、回転を通した高及び低閾値の変化で示される。速度、荷重等のタイヤの現在の状態に適合するための、タイヤの複数回転にわたるa_minの適合が、図9で明らかである。
【0091】
第1回転の開始時には、avg_a_minはゼロg値に等しい。しかしながら、第1回転のa_minは、ゼロgよりも高く、したがってavg_a_minは第1回転後に増加する。同様に、avg_a_minは、第2及び第5回転のそれぞれのa_min値により、これらの回転後にも増加する。したがって、複数回転にわたってavg_a_minがa_minに収束し、ゼロオフセット値が増加することが明らかである。
【0092】
図示の加速度データから得られる全ての値を、タイヤトレッド深さ推定、速度推定、又は荷重推定等のさらなる解析のためにサーバに送ることができる。
【0093】
本発明を限られた数の実施形態に関連して詳細に説明したが、本発明がこのような開示された実施形態に限定されないことは、容易に理解されるはずである。例えば、高荷重が低荷重車両に比べて加速度データに及ぼす効果は、低速が高速車両に比べて加速度データに及ぼす効果と同様である。
【0094】
本発明は、これまで説明されていないが本発明の範囲に対応する任意の数の変形、変更、置換、又は同等の配置を組み込むように変更することができる。さらに、本発明の様々な実施形態を説明したが、本発明の態様が記載の実施形態のいくつかのみを含み得ることを理解されたい。したがって、本発明は、以上の説明により限定されるものとみなされるものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-04-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面上を転がるタイヤの複数回転にわたって、前記タイヤに搭載された加速度センサにより前記タイヤの回転毎に前記路面と接触するコンタクトパッチで測定された加速度データに誘発される衝撃信号を測定する方法であって、
前記タイヤの複数回転にわたって前記加速度データを取得するステップと、
該加速度データを前記センサで処理するステップと、
を含み、
前記加速度データを前記センサで処理するステップは、
前記加速度データを処理して、衝撃信号毎の加速度値を測定し且つ衝撃ピーク加速度値(a_min)を算出するステップと、
前記タイヤの前記複数回転にわたって衝撃ピーク加速度値の移動平均(avg_a_min)を算出するステップと、
前記加速度データの加速度値を前記衝撃ピーク加速度値の移動平均(avg_a_min)に応じて調整される動的閾値と比較することにより、各衝撃信号の開始時間及び終了時間を測定するステップと、
各衝撃信号の測定された開始時間及び終了時間から、衝撃信号の継続時間(t_patch)、2つの連続した衝撃信号間の期間(t_rev)、及び前記継続時間(t_patch)と前記期間(t_rev)との比のうち1つ又は複数から選択される時間関連パラメータを生成するステップと、
を含み、
前記方法は、前記時間関連パラメータを外部サーバに送信するステップを、さらに含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記加速度データを処理して、衝撃信号間の加速度値を測定し且つ衝撃間ピーク加速度値(a_max)を算出するステップをさらに含む方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記衝撃間ピーク加速度値(a_max)に応じて前記動的閾値を調整するステップをさらに含む方法。
【請求項4】
請求項に記載の方法において、前記動的閾値は、前記衝撃信号の前記開始時間の測定に使用される第1動的閾値と前記衝撃信号の前記終了時間の測定に使用される第2動的閾値とを含む方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記第1動的閾値の算出が、avg_a_min、a_max、及び係数xの関数を使用し、xは0<x<1を満足する固定値である方法。
【請求項6】
請求項に記載の方法において、前記第2動的閾値の算出が、avg_a_min、a_max、及び係数yの関数を使用し、yは0<x<1且つy≠xを満足する固定値である方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法において、前記加速度データを処理して、衝撃信号間の加速度値を測定し且つ衝撃信号間の平均加速度値をg値として算出するステップをさらに含む方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法において、g値×(t_rev)の値を期待誤差値範囲と比較することにより、生成された時間関連パラメータが有効か否かを確認するステップをさらに含む方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、
前記加速度データを処理して前記タイヤが動いていないときの加速度値を測定することにより、前記タイヤのゼロg値を測定するステップと、
衝撃信号毎に前記加速度データを処理して、前記ピーク加速度値の移動平均(avg_a_min)と前記ゼロg値との間の差として算出される前記加速度値のゼロオフセットを測定するステップと、
をさらに含む方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法において、前記衝撃ピーク加速度値(a_min)と前記衝撃間ピーク加速度値(a_max)との間の差をタイヤの複数回転にわたって平均化して、コンタクトパッチ振幅(a_patch)を測定し、該コンタクトパッチ振幅を前記外部サーバに送信する方法。
【請求項11】
請求項に記載の方法において、衝撃毎に前記加速度データを処理して、前記衝撃信号の立上がりエッジ及び立下がりエッジの少なくとも一方の傾きを求めるステップをさらに含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記衝撃ピーク加速度値(a_min)、前記衝撃間ピーク加速度値(a_max)、前記傾き、及び前記a_minとa_maxとの間の差のうち1つ又は複数から選択される衝撃毎の振幅関連パラメータを前記外部サーバに送信するステップと、
任意に、前記振幅関連パラメータを前記外部サーバで受信し前記振幅関連パラメータを使用してタイヤ摩耗を求めるステップと
をさらに含む方法。
【請求項13】
請求項に記載の方法において、前記時間関連パラメータを前記外部サーバで受信し前記時間関連パラメータを使用して(i)荷重、(ii)車両重心、及び(iii)前記タイヤの回転速度のうち1つ又は複数を求めるステップをさらに含む方法。
【請求項14】
データプロセッサで実行されると請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を行うファームウェアコードを記憶するコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
路面上を転がるタイヤの複数回転にわたって衝撃信号を測定するタイヤ搭載センサシステムであって、
前記衝撃信号は、前記タイヤに搭載されたタイヤ搭載センサシステムにより前記タイヤの回転毎に前記路面と接触するコンタクトパッチで測定された加速度データに誘発され、
前記タイヤ搭載センサシステムは、プロセッサと、送信機と、加速度センサと、を備え、
該加速度センサは、前記タイヤの複数回転にわたって前記加速度データを取得し、
前記プロセッサは、
前記加速度データを処理して、衝撃信号毎の加速度値を測定し且つ衝撃ピーク加速度値(a_min)を算出し、
前記タイヤの前記複数回転にわたって衝撃ピーク加速度値の移動平均(avg_a_min)を算出し、
前記加速度データの加速度値を前記衝撃ピーク加速度値の移動平均(avg_a_min)に応じて調整される動的閾値と比較することにより、各衝撃信号の開始時間及び終了時間を測定し、且つ
各衝撃信号の測定された開始時間及び終了時間から、衝撃信号の継続時間(t_patch)、2つの連続した衝撃信号間の期間(t_rev)、及び前記継続時間(t_patch)と前記期間(t_rev)との比のうち1つ又は複数から選択される時間関連パラメータを生成し、
前記送信機は、前記時間関連パラメータを外部サーバに送信するタイヤ搭載センサシステム。
【国際調査報告】