IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シェイプ・コープの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】鍛接継ぎ目を有する多管状ビーム
(51)【国際特許分類】
   B23K 13/00 20060101AFI20240903BHJP
   B60R 19/03 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B23K13/00 Z
B60R19/03 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513059
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 US2022075652
(87)【国際公開番号】W WO2023034788
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】17/461,049
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591187162
【氏名又は名称】シェイプ・コープ
【氏名又は名称原語表記】SHAPE CORP.
【住所又は居所原語表記】1900 Hayes St., Grand Haven, Michigan 49417, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】マテッキ、ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】マッケンリー、ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ナバール、スコット
(57)【要約】
自動車構成要素のための補強ビームは、補強ビームの長さに沿って延びる少なくとも1つの管状部分を有するようにロール成形される金属シートを用いて連続的に成形される。補強ビームの管状部分に沿って延びる継ぎ目を閉じるために、金属シートの縁部と金属シートの中間部分との間に固体鍛接部が形成される。固体鍛接部を形成する前に、金属シートの選択された部分は、溶接継ぎ目の対向する側に電気接点によって供給される高周波電流で望ましい溶接温度まで加熱される。所望の溶接温度は、概ね亜鉛介在物がない固体鍛接部を形成する前に、選択された部分において金属シート上の亜鉛めっきコーティングを焼き払うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車構成要素のための補強ビームであって、
共通の中央壁を共有し、且つ前記補強ビームの長さに沿って延びる管状部分の対を有するように成形された金属シートロールと、
前記管状部分の対の一方を囲む継ぎ目を前記共通の中央壁の端部で閉じるために、前記金属シートの縁部と前記金属シートの中間部分との間において、前記ロール成形された金属シートとインラインで形成された固体鍛接部とを含み、
前記固体鍛接部によって形成された前記継ぎ目は、前記補強ビームの前記長さに沿って連続的に延び、
前記固体鍛接部を形成する前に、前記金属シートの前記縁部及び前記金属シートの前記中間部分の外面は、望ましい鍛接温度まで電気抵抗で加熱される、補強ビーム。
【請求項2】
前記固体鍛接部は、幅1mm~2mmの狭い熱影響ゾーンを有する、請求項1に記載の補強ビーム。
【請求項3】
前記金属シートの第2の縁部は、前記補強ビームの前記長さに沿って延びる前記管状部分の対の他方を囲むために、前記補強ビームの前記共通の中央壁の第2の端部において第2の鍛接部で溶接される、請求項1又は2に記載の補強ビーム。
【請求項4】
前記管状部分の対の前壁によって画定される前部衝撃面を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の補強ビーム。
【請求項5】
前記管状部分の対の少なくとも一方の前記前壁は、前記前部衝撃面を補剛するために前記それぞれの管状部分の内部容積内に突出する補剛リブを含む、請求項4に記載の補強ビーム。
【請求項6】
前記固体鍛接部は、電気抵抗溶接接点によって供給される高周波電流の電気抵抗によって生成される熱と、前記金属シートの加熱された表面を一緒に押圧する閉鎖押圧ロールとで形成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の補強ビーム。
【請求項7】
前記金属シートは、高強度鋼を含み、所望の溶接温度は、前記金属シートの前記高強度鋼の溶融温度未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載の補強ビーム。
【請求項8】
前記金属シートは、亜鉛めっきコーティングを含み、前記金属シートの厚さは、1mm~1.5mmであり、
前記亜鉛めっきコーティングは、0.2mm未満の概ね均一な厚さを有するように電気めっきされ、
前記所望の溶接温度は、前記固体鍛接部を形成する前に、前記外面において前記金属シート上の前記亜鉛めっきコーティングを焼き払う、請求項7に記載の補強ビーム。
【請求項9】
自動車構成要素のための補強ビームであって、
前記補強ビームの長さに沿って延びる管状部分を有するようにロール成形された亜鉛めっき金属シートと、
前記補強ビームの前記管状部分に沿って延びる継ぎ目を閉じるために、前記亜鉛めっき金属シートの縁部と前記亜鉛めっき金属シートの中間部分との間に形成された固体鍛接部とを含み、
前記固体鍛接部を形成する前に、前記亜鉛めっき金属シートの前記縁部及び前記亜鉛めっき金属シートの前記中間部分の外面は、望ましい溶接温度まで加熱され、
前記所望の溶接温度は、概ね亜鉛介在物がない前記固体鍛接部を形成する前に、前記外面において前記亜鉛めっき金属シート上の亜鉛めっきコーティングを焼き払う、補強ビーム。
【請求項10】
前記固体鍛接部は、前記補強ビームの前記管状部分の内部を囲むために、前記補強ビームの長さに沿って連続的に延びる、請求項9に記載の補強ビーム。
【請求項11】
前記亜鉛めっき金属シートの前記縁部及び前記中間部分は、前記固体鍛接部においてT継手を形成する、請求項9に記載の補強ビーム。
【請求項12】
前記亜鉛めっき金属シートの第2の縁部は、前記補強ビームの長さに沿って延びる第2の管状部分を囲むために、前記補強ビームの前記管状部分の壁において第2の鍛接部で溶接される、請求項9に記載の補強ビーム。
【請求項13】
前記管状部分は、前記補強ビームの共通の中央壁を共有する、請求項12に記載の補強ビーム。
【請求項14】
前記鍛接部は、前記共通の中央壁の対向する端部に配置される、請求項13に記載の補強ビーム。
【請求項15】
互いに平面的に整列して配置される前記管状部分の前壁によって画定される前部衝撃面を含む、請求項14に記載の補強ビーム。
【請求項16】
前記亜鉛めっき金属シートは、高強度鋼を含み、前記所望の溶接温度は、前記亜鉛めっき金属シートの前記高強度鋼の溶融温度未満である、請求項9に記載の補強ビーム。
【請求項17】
前記亜鉛めっき金属シートの厚さは、1mm~1.5mmであり、
前記亜鉛めっきコーティングは、5ミル未満の概ね均一な厚さを有するように電気めっきされる、請求項9に記載の補強ビーム。
【請求項18】
亜鉛めっき補強ビームを連続的に成形する方法であって、
亜鉛めっき金属シートのロールを概ね水平な平面内で巻き出すステップと、
前記金属シートの縁部セクションが前記金属シートの中間セクションとほぼ接触する管状形状を形成するために、複数のロールステーションのセットを通して前記金属シートをロール成形するステップと、
前記金属シートの前記縁部セクション及び前記金属シートの前記中間セクションの外面を、電気接点の対によって前記金属シートに供給される高周波電流で望ましい溶接温度まで加熱するステップであって、前記金属シート上の亜鉛めっきコーティングは、前記加熱された外面において少なくとも部分的に焼き払われる、ステップと、
閉鎖押圧ロールで前記外面を一緒に押圧することにより、前記金属シートの前記縁部セクション及び前記中間セクションの前記加熱された外面に固体鍛接部を形成するステップであって、前記固体鍛接部は、前記補強ビームの前記管状形状の継ぎ目を閉じるために連続的に形成される、ステップと
を含む方法。
【請求項19】
前記金属シートは、概ね一定の速度で長手方向に巻き出され、ロール成形され、且つ溶接される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記管状形状は、第1の管状部分を画定し、前記金属シートの第2の縁部は、前記補強ビームの長さに沿って延びる第2の管状部分を囲むために、前記補強ビームの前記第1の管状部分の壁において第2の鍛接部で溶接される、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記補強ビームは、前記第1及び第2の管状部分の前壁によって画定される前部衝撃面を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1又は第2の管状部分の前記前壁は、前記前部衝撃面を補剛するために前記それぞれの管状部分の内部容積内に突出する補剛リブを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記固体鍛接部は、幅1mm~2mmの狭い熱影響ゾーンを有する、請求項18~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記固体鍛接部は、電気抵抗溶接接点によって供給される高周波電流の電気抵抗によって生成される熱と、前記金属シートの加熱された表面を一緒に押圧する閉鎖押圧ロールとで形成される、請求項18~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記金属シートは、高強度鋼を含み、所望の溶接温度は、前記金属シートの前記高強度鋼の溶融温度未満である、請求項18~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記金属シートの厚さは、1mm~1.5mmであり、前記亜鉛めっきコーティングは、0.2mm未満の概ね均一な厚さを有するように電気めっきされ、及び前記所望の溶接温度は、前記固体鍛接部を形成する前に、前記外面において前記金属シート上の前記亜鉛めっきコーティングを焼き払う、請求項18~25のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる、2021年8月30日に提出された米国特許出願公開第17/461,049号明細書の利益及び優先権を米国特許法第120条の下で主張するものである。
【0002】
本開示は、車両の構造及び補強ビーム並びに関連するロール成形製造及びビーム溶接の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
車両は、衝撃エネルギー管理及び吸収のための試験など、政府規制及び保険認証によって義務付けられている様々な試験を受ける。これらの衝撃試験の結果は、バンパアセンブリ及び関連するバンパ補強ビームを含む様々な車両構成要素及び構造設計に依存し得る。車両構成要素の性能及び構造的完全性を経時的に保護するために、車両のスチール構成要素に亜鉛めっきを施すか、又は保護のための亜鉛コーティングを施すことが知られており、これによりスチール構成要素に錆又は酸化鉄が発生することを防ぎ得る。しかしながら、亜鉛めっきシート金属は、特にロール成形作業におけるレーザ溶接に関して、成形及び溶接がより難しくなる場合がある。また、亜鉛めっきコーティングの有無にかかわらず、ロール成形されたビームの設計によっては、材料の形状及び継ぎ目の状態によりレーザ溶接が困難な場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、多管状補強ビーム及びこのビームを連続的に成形する方法を提供する。このビームは、構造構成要素又はバンパビームなどの車両のエネルギー吸収体として使用され得る。最初に、金属シートストックのロールは、ロール成形機に向かって且つその中に概ね一定の速度で巻き出されるなどにより、処理のために概ね水平な平面内で巻き出され得る。金属シートは、マルテンサイト鋼などの高強度鋼であり得る。ロール成形機は、シートを、シートの縁部とシートの中間部分との間に形成された溶接継ぎ目で閉じられる、少なくとも1つの長手方向に延びる管状部分を有するビームに成形するように構成される。溶接継ぎ目は、溶接継ぎ目を閉じる閉鎖押圧ロールに入る直前に、成形されたシートを、溶接継ぎ目の対向する側を摺動する電気接点の対と接触させることなどにより、高周波の電気抵抗溶接プロセスで形成され得る。電気接点によって供給される高周波電流の抵抗により、溶接継ぎ目の対向する2つの部分の外面が適切な溶接温度まで加熱される。それにより、2つの加熱された対向する部分は、閉鎖押圧ローラによって一緒に押圧されて固体鍛接部を形成する。いくつかの例では、金属シートは、亜鉛めっきコーティングを含み得る。それにより、シートの外面が加熱されると、亜鉛めっきコーティングは、少なくとも部分的に焼き払われて酸化亜鉛ガスを形成し、閉鎖押圧ロールによって形成される鍛接部を概ね損なわないようにする。
【0005】
本開示の一態様によれば、自動車構成要素のための補強ビームは、共通の中央壁を共有し、且つ補強ビームの長さに沿って延びる管状部分の対を有するように成形された金属シートロールを含む。固体鍛接部は、管状部分の対の一方を囲む継ぎ目を共通の中央壁の端部で閉じるために、金属シートの縁部と金属シートの中間部分との間において、ロール成形された金属シートとインラインで形成される。固体鍛接部によって形成された継ぎ目は、補強ビームの長さに沿って連続的に延びる。固体鍛接部を形成する前に、金属シートの縁部及び金属シートの中間部分の外面は、望ましい鍛接温度まで電気抵抗で加熱される。
【0006】
本開示の実装形態は、以下の任意選択的な特徴の1つ又は複数を含み得る。いくつかの実装形態では、固体鍛接部は、幅1mm~2mmの狭い熱影響ゾーンを有する。いくつかの例では、金属シートの第2の縁部は、補強ビームの長さに沿って延びる管状部分の対の他方を囲むために、補強ビームの共通の中央壁の第2の端部において第2の鍛接部で溶接される。補強ビームは、例えば、管状部分の対の前壁によって画定される前部衝撃面を含み得る。管状部分の対の少なくとも一方の前壁は、前部衝撃面を補剛するためにそれぞれの管状部分の内部容積内に突出する補剛リブを含み得る。
【0007】
いくつかの実装形態では、固体鍛接部は、電気抵抗溶接接点によって供給される高周波電流の電気抵抗によって生成される熱と、金属シートの加熱された表面を一緒に押圧する閉鎖押圧ロールとで形成される。いくつかの例では、金属シートは、高強度鋼を含む。それにより、所望の溶接温度は、金属シートの高強度鋼の溶融温度未満である。いくつかの実装形態では、金属シートは、亜鉛めっきコーティングを含む。それにより、所望の溶接温度は、固体鍛接部を形成する前に、外面において金属シート上の亜鉛めっきコーティングを焼き払う。
【0008】
本開示の別の態様によれば、自動車構成要素のための補強ビームは、補強ビームの長さに沿って延びる管状部分を有するようにロール成形された亜鉛めっき金属シートを含む。固体鍛接部は、補強ビームの管状部分に沿って延びる継ぎ目を閉じるために、亜鉛めっき金属シートの縁部と亜鉛めっき金属シートの中間部分との間に形成される。固体鍛接部を形成する前に、亜鉛めっき金属シートの縁部及び亜鉛めっき金属シートの中間部分の外面は、電気接点によって供給される高周波電流で望ましい溶接温度まで加熱される。所望の溶接温度は、概ね亜鉛介在物がない固体鍛接部を形成する前に、外面において亜鉛めっき金属シート上の亜鉛めっきコーティングを焼き払う。
【0009】
本開示のさらに別の態様によれば、亜鉛めっき補強ビームを連続的に成形する方法は、亜鉛めっき金属シートのロールを概ね水平な平面内で巻き出すことによって行われ得る。金属ストックは、金属シートの縁部セクションが金属シートの中間セクションとほぼ接触する管状形状を形成するために、複数のロールステーションのセットを通してロール成形される。金属シートの縁部セクション及び金属シートの中間セクションの外面は、外面の近くでシートと接触する電気接点の対によって供給される高周波電流で望ましい溶接温度まで加熱される。これにより、金属シート上の亜鉛めっきコーティングは、加熱された外面において少なくとも部分的に焼き払われる。その後、閉鎖押圧ロールで外面を一緒に押圧することにより、金属シートの縁部セクション及び中間セクションの加熱された外面に固体鍛接部が形成される。固体鍛接部は、補強ビームの管状形状の継ぎ目を閉じるために連続的に形成される。
【0010】
任意選択的に、第1の管状部分が第1の鍛接部で閉じられた後、亜鉛めっき金属シートは、ロール成形機の第2のセットでロール成形されて、亜鉛めっき金属シートの対向する縁部を管状部分の壁に近接させ得る。それにより、これらの近接した外面は、補強ビームの第2の管状部分に沿って継ぎ目を閉じる第2の鍛接部を形成するために、第2の電気接点の対によって供給される高周波電流で加熱され得る。いくつかの例では、金属シートは、概ね一定の速度で長手方向に巻き出され、ロール成形され、且つ溶接される。
【0011】
本開示の1つ又は複数の実装形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載される。他の態様、利点、目的及び特徴は、図面と併せて以下の本明細書を検討することで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】バンパアセンブリ及びロッカー構成要素を有する車両の概略側面図である。
図2】補強ビームの正面斜視図である。
図3図2に示す補強ビームの後面斜視図である。
図3A図3に示す線IIIA-IIIAでとられた補強ビームの断面図である。
図4図2に示す補強ビームを製造するように構成された装置の概略側面図である。
図5】鍛接部を有する中間成形ステップにおける図2の補強ビームの断面図である。
図5A】溶接接点を概略的に示す、図5の断面Aに示す溶接位置の拡大図である。
図6】第2の鍛接部を有する成形ステップにおける図2の補強ビームの断面図である。
図6A図6の断面Aに示す溶接位置の拡大図であり、溶接接点を概略的に示す。
図7】中間成形ステップにおける補強ビームの追加的な例の断面図である。
図8】2つの鍛接部を有する、後の成形ステップにおける図7の補強ビームの断面図である。
図8A図8の断面Aで示される溶接位置の拡大図であり、溶接接点を概略的に示す。
図8B図8のセクションBに示された溶接位置の拡大図であり、溶接接点を概略的に示す。
図9】追加的な補強ビームの正面斜視図である。
図10図9に示す補強ビームの後面斜視図である。
図10A図10に示す線XA-XAでとられた補強ビームの断面図である。
図11A】追加的な補強ビームの断面図である。
図11B】追加的な補強ビームの断面図である。
図12A】追加的な補強ビームの断面図である。
図12B】追加的な補強ビームの断面図である。
図13A】追加的な補強ビームの断面図である。
図13B】追加的な補強ビームの断面図である。
図14A】追加的な補強ビームの断面図である。
図14B】追加的な補強ビームの断面図である。
図15A】追加的な補強ビームの断面図である。
図15B】追加的な補強ビームの断面図である。
図16A】追加的な補強ビームの断面図である。
図16B】追加的な補強ビームの断面図である。
図17A】追加的な補強ビームの断面図である。
図17B】追加的な補強ビームの断面図である。
図18A】追加的な補強ビームの断面図である。
図18B】追加的な補強ビームの断面図である。
図19A】追加的な補強ビームの断面図である。
図19B】追加的な補強ビームの断面図である。
図20A】追加的な補強ビームの断面図である。
図20B】追加的な補強ビームの断面図である。
図21A】追加的な補強ビームの断面図である。
図21B】追加的な補強ビームの断面図である。
図22A】追加的な補強ビームの断面図である。
図22B】追加的な補強ビームの断面図である。
図23A】追加的な補強ビームの断面図である。
図23B】追加的な補強ビームの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
同様の参照数字は、図面全体を通して同様の部分を示す。
【0014】
ここで、図面及びそこに描かれた説明に役立つ実施形態を参照すると、図1に示されるものなどの車両100は、バンパ補強ビーム10aを有するバンパアセンブリと、ロッカー補強インサート10bを有するシルアセンブリとを含む様々な構造ビーム構成要素を有する。バンパアセンブリは、補強ビーム10aの端部部分に取り付けられる破砕缶102を含む。破砕缶102は、車両フレーム又は車両フレームの端部セクション若しくは先端部に直接又は間接的に取り付けるように適合される。車両フレームに取り付けられると、破砕缶102は、図1に示される前端部においてなど、車両100にわたって補強ビーム10aを支持し、位置決めする。車両の後端部は、車両への衝撃損傷及び侵入を同様に軽減するためのバンパ補強ビームも含み得る。他の例では、バンパビームは、車両の前端部又は後端部において、異なるタイプのバンパアセンブリ又は支持構造と共に使用され得る。
【0015】
また、例えば図1に示すように、車両100は、Aピラー、Bピラー、クロスメンバ又はそれらに類するものなど、フレームの下部構成要素を支持するシルアセンブリを有し得る。シルアセンブリは、中空内部を囲むシルインナ及びシルアウタを含み得る。補強インサート10bは、シルインナとシルアウタとの間で中空内部を長手方向に延びる。補強インサート10bは、車両の側面衝撃による侵入距離を減少させるためなど、シルアセンブリを補剛且つ補強するために設けられる。バンパ補強ビーム10a、補強インサート10b及び本開示の他の補強ビームは、亜鉛めっき金属シートから成形され得る。車両フレーム及び車体構造は、異なる様式及び種類の車両に対して様々な設計及び構成を有し得る。
【0016】
図2~3Aに示すように、ロール成形機及びインライン溶接機を通過する金属シートを用いて連続的に成形され得る補強ビーム10が提供される。溶接機は、ビームの管状形状を囲む少なくとも1つの溶接継ぎ目に沿って鍛接部を形成するために電気抵抗溶接を使用する。補強ビーム10は、バンパ補強ビーム10a(図1)、ロッカー補強インサート10b(図1)又は別の車両構造構成要素など、構造的に又は車両のエネルギー吸収体として使用され得る。本明細書に記載されるビームは、考えられる他の車両及び非車両関連構成要素の中でも、バンパビーム、ルーフボウ、ヘッダ、ピラー、ロッカーレール、シート部材及び車両フレームのドアビームなど、特定の車両の設計に対応するために、直線状であるか又は長手方向に湾曲しているかを問わず、様々な構造又は補強用途に適合され得る。
【0017】
一般に、補強ビーム10を成形するために、シート金属12のロールは、最初に、図4に概略的に示されるように、ロール成形機14に向かって且つその中に概ね一定の速度で巻き出されるなどにより、処理のために概ね水平な平面内で巻き出される。ロール成形機14は、ロールスタンドに支持された一連のロール工具又は成形ロール16a、16bを用いてシート12を補強ビーム10に繰り返し成形するように構成される。ロール工具又は成形ロール16a、16bは、図3に示すように、少なくとも1つの長手方向に延びる管状部分、例えば2つの管状部分18、20を有するようにシート12を連続的に成形し得る。管状部分18、20は、それぞれ溶接継ぎ目22a、22bで閉じられる。溶接継ぎ目22a、22bは、溶接継ぎ目22a、22bでT継手又は概ねT字形の継手を形成するように、シート12の縁部24a、24bとシート12の中間部分26a、26bとの間に形成される。
【0018】
溶接継ぎ目22a、22bは、高周波電気抵抗溶接プロセスで形成され得る。例えば、図4に示すように、高周波接触溶接は、シートの加熱された縁部及び加熱された中間部分を一緒に押圧して溶接部を形成すると同時に、溶接継ぎ目22a、22bを閉じる閉鎖押圧ロール30a、30bの近くで又はそこに入る直前に、成形されたシート12を溶接継ぎ目の対向する側で電気接点28a、28bの対に接触させることによって行われ得る。したがって、所望の溶接温度は、亜鉛めっき金属シートの高強度鋼の溶融温度未満である。電気接点は、シート12が溶接ステーション内を連続的に移動する際、シート12との接触を維持し、シート12に沿って摺動する。電気接点28a、28bの対によって供給される電流の抵抗は、シート12の縁部及びシート12の中間部分の外面で熱を発生させ、そこでシート12のこれらの部分が接合して一緒になる。電気接点28a、28bによって供給される電流によってシート12の外面が加熱されると、亜鉛めっきコーティングは、シート12の縁部及び中間部分において少なくとも部分的に焼き払われるか又は気化し、酸化亜鉛ガスを形成する。外面が溶接継ぎ目22a、22bで接合して溶接部を形成する前に、亜鉛めっきコーティングを気化させることにより、これらの酸化亜鉛ガスは、一般に、閉鎖押圧ロール30a、30bによって形成される固体鍛接部の品質及び一貫性を妨げない。閉鎖押圧ロール30a、30bによって加えられる圧力は、溶接プロセスで発生する酸化亜鉛ガスに関連する亜鉛介在物又は他の欠陥が概ねない固体鍛接部を形成するように、得られる溶接部内又はその近くでの酸化亜鉛ガスの捕捉を低減又は排除し得る。
【0019】
図2~3Aに示すように、補強ビーム10は、ビーム10の長さに沿って延びる共通の中央壁32を共有する2つの隣接する管状部分18、20を有する。ビーム10の管状部分18、20は、平面的な形状であり、且つ互いに概ね整列された前壁34、36及び後壁38、40もそれぞれ有する。上部管状部分18は、ビーム10の上部壁42を備える。下部管状部分20は、ビーム10の下部壁44を備える。管状部分18、20の前壁34、36は、バンパ補強ビームとして使用されるとき、ビーム10の外向き面又は衝撃面を形成するように、実質的に互いに共通の平面に整列される。同様に、後壁38、40も互いに概ね平面的に整列し、且つ前壁34、36と実質的に平行である。さらに、上部及び下部壁42、44は、互いに及び中央壁32と実質的に平行であり、且つ前部及び後部壁34、36、38、40に概ね垂直である。ビーム10の管状部分18、20の壁間の角部は、金属シート12の材料の種類及び厚さによって一般に規定される曲率、例えば金属シート12の厚さにほぼ等しいか又はその4倍を超える曲率半径を有する。ビームの追加的な実施形態は、図2~3Aに示されたものから様々な形状及び向きを想定することができ、ビームの異なる用途のためなど、代替的な寸法比率を含み得ることを理解されたい。
【0020】
図2~3Aにさらに示すように、管状部分18、20の前壁34、36は、補強ビーム10の前面衝撃面を補剛するためにそれぞれの管状部分18、20の内部容積内に突出する補剛リブ46をそれぞれ含む。図示の補剛リブ46は、対応する壁セクションの幅の約10%~40%(又はより好ましくは対応する壁セクションの幅の約20%~30%)の幅径を有し、その幅径にほぼ等しい深さを有する。図示された補剛リブ46の底部は、半円形状である。それにもかかわらず、補剛リブの深さ及びサイズは、ビームの特定の要件を満たすように浅くするか、より深くするか、より広くするか、より狭くするか、平底にするか又は他の方法で修正され得ることが考えられる。
【0021】
ここで、図4を参照すると、ロールから巻き出されたシートストック12は、約1mm~1.5mmの厚さを有し得、且つ約5ミル(0.127mm)未満の概ね均一な厚さを提供するために、電気めっきされた亜鉛めっきコーティングなどの亜鉛めっきコーティングを有し得る。さらなる例では、鋼材のシートは、約0.8mm~3.0mmの厚さを有し得、シートは、約800~2000MPa(すなわち約120~290ksi)の引張強度を有し得ることが考えられる。さらに、本発明のビームは、AHSS(先進高強度鋼)を含む高強度鋼などの様々な材料で作ることができる。シートストックの追加的な例は、亜鉛めっきを施されなくてもよいか、又は溶融亜鉛めっきなどの異なる方法で亜鉛めっきを施され得ることも理解される。
【0022】
図4に示すように、鋼シート12が、ロールスタンド上に支持されたロール工具又は成形ロールの第1のセット16aを通過した後、鋼シート12は、その長さに沿って概ね一貫した断面形状を有する少なくとも1つの管状形状を有するように成形され得る。管状形状を形成する際、成形ロールの第1のセット16aは、ビーム10の第1の管状部分18を閉じる直前に、シート12の縁部24aをシート12の中間部分26aに近接して位置決めし得る。シート12の縁部24aと中間部分26aとの間にわずかな間隙が残っている状態で、中間成形されたシート12は、間隙の対向する側に電気接点28aの対を配置する溶接ステーションに連続的に入る。電気接点は、部分的に成形されたビームに高周波電流を伝達する。具体的には、図5Aに示すように、電気接点28aは、シート12の縁部24aに近いシート12の部分に接触して配置される。別の電気接点28aは、シート12の中間部分26aに近い部分に接触して配置される。電気接点28aが溶接継ぎ目22aに近接することにより、一般に小さい熱影響ゾーンと共に、対応する高い溶接効率を一般に提供する高い電流密度が得られる。図5Aに示すように、電気接点28aは、シートの接触された表面に沿って電流が集中され得るように、シート12の隣り合う隣接する表面に接触して配置され得る。
【0023】
電流は、シート12の縁部24a及びシート12の中間部分26aの外面において、結果として生じる電気抵抗で熱を発生させるように一方の電気接点28aから他方の電気接点28aに移動する。熱は、一般に、V字形など、シート12のこれらの部分が接合して一緒になる箇所に集中する。電気接点28aの対は、シート12の縁部24a及び中間部分26aによって形成される幾何学的なV字形に沿って電流を流す。電流が縁部24a及び中間部分26aに沿って流れるにつれて、それらは、シート材料の溶融温度未満である適切な溶接温度まで加熱される。
【0024】
図5Aにさらに示すように、電気接点28aは、シート12の所望の部分に対して付勢されるばね押し接点プレートを含み得る。ばね押し接点プレートの先端部分は、シートが溶接ステーションを通して移動する際にシート12の外面に沿って摺動するように、シート12に対して直接係合することができる。しかしながら、追加的な実施形態における電気接点は、接点ホイール又はディスクを代替的に含み得ることが考えられる。接点ホイール又はディスクは、接点プレートの先端部分の劣化につながり得る、電気接点とシート表面との間の摩擦を低減するためにシートに対して転がり、亜鉛めっきシート金属の場合、先端部分が亜鉛めっきコーティングから亜鉛を削り取り、電気接点の先端部分又は他の部分に蓄積することを防止する。
【0025】
また、亜鉛めっきシート金属を使用する例では、シート12の外面が電気接点28aによって所望の溶接温度まで加熱されると、亜鉛めっきコーティングは、シート12の縁部24a及び中間部分26aにおいて少なくとも部分的に焼き払われるか又は気化し、酸化亜鉛ガスを形成する。継ぎ目の対向する部分に供給される高周波電流は、シートの接合する表面が接触するとき、特定の材料及びシート厚さに対して所望の溶接温度に達するように、シート12の縁部24a及び中間部分26aの外面を加熱するように選択又は構成され得る。接合する溶接継ぎ目22aで所望の溶接温度を提供することに加えて、高周波電流は、シート12の縁部24a及び中間部分26aが、接合する表面で亜鉛めっきコーティングを焼き払うか又は気化するのに十分な時間にわたって十分な温度に達するように、シートの速度とも連携して選択又は構成され得る。高周波電流は、80KHz~800KHz、若しくは150KHz~800KHz、若しくは150KHz~450KHz又はおよそ350KHzであり得る。
【0026】
電気接点28aを通過した直後に、シート12は、図5及び5Aに示される断面で示されるように、溶接継ぎ目22aを閉じるためにシート12の縁部24a及び中間部分26aを一緒に押圧する閉鎖押圧ロール30aに入る。管状部分18は、溶接継ぎ目22aにおいてT継手又は概ねT字形の継手を形成するように、補強ビーム10の長さに沿ってシート12の縁部24aと中間部分26aとの間に連続的に形成される溶接継ぎ目22aで閉じられる。図5Aに示すように、鍛接部22aは、補強ビーム10の前部衝撃壁の後面において且つ管状部分18、20の中央壁32と前壁34、36との間に配置され得る。したがって、補強ビーム10の前部衝撃面に溶接部が存在しない場合がある。
【0027】
閉鎖押圧ロール30aによって加えられる圧力は、亜鉛めっきシート金属の溶接プロセスで発生する酸化亜鉛ガスに関連する亜鉛介在物又は他の欠陥が概ねない固体鍛接部を形成するように、得られる溶接部内又はその近くでの酸化亜鉛ガスの捕捉を低減又は排除し得る。さらに、近接して配置された電気接点28aを使用する高周波接触溶接によって形成された固体鍛接部は、約1mm~2mmなどの狭い熱影響ゾーンを有し得る。
【0028】
溶接継ぎ目22aに沿って第1の鍛接部を形成した後、シート12は、図6に示すように、ビーム10の第2の管状部分20を閉じる直前に、シート12の他方の(この時点で唯一の切断された)縁部24bをシート12の別の中間部分26bに近接して位置付ける断面形状を有するように、成形ロールの別のセット16bを用いてさらに成形される。シート12の縁部24bと中間部分26bとの間にわずかな間隙が残った状態で、成形されたシート12は、電気接点28bの対を間隙の対向する側に配置して高周波電流を伝達する別の溶接ステーションに入る。具体的には、図6Aに示すように、電気接点28bは、シート12の縁部24bに近い部分に接触して配置される。別の電気接点28bは、シート12の中間部分26bに近い部分に接触して配置される。
【0029】
電気接点28bの対によって供給される電流の抵抗は、シート12の縁部24b及びシート12の中間部分26bの外面で熱を発生させ、そこでシート12のこれらの部分が接合して一緒にV字形になる。電気接点28bによって供給される電流によってシート12の外面が加熱されると、亜鉛めっきコーティングは、シート12の縁部及び中間部分において少なくとも部分的に焼き払われるか又は気化し、酸化亜鉛ガスを形成する。外面が接合して溶接継ぎ目22bで溶接部を形成する前に、亜鉛めっきコーティングを気化させることにより、これらの酸化亜鉛ガスは、一般に、閉鎖押圧ロール30bによって形成される固体鍛接部の品質及び一貫性を妨げない。閉鎖押圧ロール30bによって加えられる圧力は、亜鉛介在物又はプロセスで発生する酸化亜鉛ガスに関連する他の欠陥が概ねない固体鍛接部を形成するように、得られる溶接部内又はその近くでの酸化亜鉛ガスの捕捉を低減又は排除し得る。
【0030】
第2の電気接点28bの対を通過した直後に、シート12は、図6に示される断面で示されるように、溶接継ぎ目22bを閉じるためにシート12の縁部24b及び中間部分26bを一緒に押圧する第2の閉鎖押圧ロール30bに入る。第2の管状部分20は、溶接継ぎ目22bにおいてT継手を形成するように、補強ビーム10の長さに沿ってシート12の縁部24bと中間部分26bとの間に連続的に形成される溶接継ぎ目22bで閉じられる。第2の溶接継ぎ目22bは、T継手と称されることがあるが、縁部24bを有するシート12の縁部部分23は、中央壁32に向かって延びるにつれて、後壁40の平面範囲から内側に角度を付けられる。それにより、端部部分23は、中央壁32の接合する中間部分26bに対して概ね垂直ではない斜めの向きで中央壁32と接合する。しかしながら、他の例における縁部部分23の角度方向は、縁部24bが第1の管状部分18の中央壁32と後壁38との間の角部分と接合するように低減され得る。亜鉛めっき金属シート12の第2の縁部24bは、第2の管状部分20を囲むように補強ビーム10の管状部分18の壁で溶接される。図6に示すように、鍛接継ぎ目22a、22bは、共通の中央壁32の対向する端部に配置される。
【0031】
再び図4を参照すると、補強ビームを製造するための装置は、インラインスイープステーション48及びカットオフ50を含み得る。このようなスイープステーション48は、例えば、車両のフロントエンド設計に対応するバンパビームに長手方向の形状を与えるためなど、ビームに長手方向の曲率を付与し得る。インラインスイープステーション48では、ビームの長手方向の曲げに耐えることができる鍛接部がビームに沿って形成される。ローラ成形機は、成形ロールを支持する水平軸を有するロールミルを利用し得るか、又は代替的に成形ロールを支持する垂直軸を有するロールミルを利用し得ることを理解されたい。
【0032】
図7~8Bに示すように、補強ビーム110の追加的な例は、共通の中央壁132を共有する2つの隣接する管状部分118、120を提供するように、鋼シート112を用いて成形される。図7に示す例では、金属シートの第1の外側セクション及び第2の外側セクションは、共通の中央壁132の第1の端部及び第2の端部から概ね反対の方向に延びる。金属シートの第1及び第2の外側セクションは、中央壁132に対して同じ回転方向に形成される。第1の外側セクションは、第1の管状部分118を囲むために、中央壁132の第2の端部又はその近くに取り付けられるように形成される。第2の外側セクションは、第2の管状部分120を囲むために、中央壁132の第1の端部又はその近くに取り付けられるように形成される。第1及び第2の外側セクションは、中央壁132の端部に向かって外側セクションの端部を形成するように同時に形成され得る。第1及び第2の外側セクションは、シート112の端部を取り付けるための領域を提供するために、中央壁との一体接続部に凹部領域をそれぞれ含む。
【0033】
図8に示すように、第1の外側セクションは、共通の中央壁132と共に第1の管状部分118を形成する第1の壁138、第2の壁142及び第3の壁134を画定するように成形される。第2の外側セクションは、共通の中央壁132と共に第2の管状部分120を形成する第5の壁140、第6の壁144及び第7の壁136を画定するように成形される。図1に示すようなバンパ補強ビームとしての設置方向において、第1及び第5の壁138、140は、補強ビーム110の後壁を画定し、第2の壁142は、上部壁を画定し、第6の壁144は、下部壁を画定し、第3及び第7の壁134、136は、補強ビーム110の前壁を画定する。第5の壁140上の凹部領域139により、第1及び第5の壁138、140を互いに概ね平面的に整列して配置して、後壁を画定することが可能になる。同様に、第3の壁134上の凹部領域により、ビームの前面衝撃面における第3及び第7の壁134、136の一部を前壁にわたって互いに概ね平面的に整列して配置することが可能になる。図8にさらに示すように、上部及び下部壁142、144は、互いに及び中央壁132と実質的に平行であり、且つ前壁及び後壁134、136、138、140に概ね垂直である。
【0034】
図7~8Bをさらに参照すると、シートがロール成形機によって多管状に成形されるとき、成形ロールは、ビーム110の管状部分118、120を閉じる直前に、シート112の中間部分126a、126bにおける凹部領域135、139に近接してシート112の縁部124a、124bを位置決めする。シート112の縁部124a、124bと中間部分126a、126bとの間にわずかな間隙が残っている状態で、成形されたシート112は、間隙の対向する側に電気接点128a、128bの対を配置する溶接ステーションに連続的に入る。電気接点は、部分的に形成されたビームに高周波電流を伝達する。具体的には、図8A及び8Bに示すように、電気接点128a、128bは、シート112の縁部124a、124bに近いシート12の部分に接触して配置される。他の電気接点128a、128bは、シート112の中間部分126a、126bに接触して配置される。電気接点128a、128bが溶接継ぎ目122a、122bに近接することにより、一般に小さい熱影響ゾーンと共に、対応する高い溶接効率を一般に提供する高い電流密度が得られる。図8A及び8Bに示すように、電気接点128a、128bは、後に隣り合うシート112の表面に沿って電流が集中するように配置され得る。電流は、シート112の縁部124a、124b及びシート112の中間部分126a、126bの外面において結果として生じる電気抵抗で熱を発生させるように、示された対において一方の電気接点から他方の電気接点に移動する。熱は、一般に、シート112のこれらの部分が後に接合する箇所に集中する。
【0035】
図8A及び8Bにさらに示されるように、電気接点128a、128bは、シート112の所望の部分に向かって且つそれに対して付勢されるばね押し接点プレートを含み得る。ばね押し接点プレートの先端部分は、シートが溶接ステーションを通して移動する際にシート112の外面に沿って摺動するように、シート112に対して直接係合することができる。また、亜鉛めっきシート金属の使用により、シート112の外面が電気接点128a、128bによって所望の溶接温度まで加熱されると、亜鉛めっきコーティングは、シート112の縁部124a及び中間部分126aにおいて少なくとも部分的に焼き払われるか又は気化し、酸化亜鉛ガスを形成する。この酸化亜鉛ガスは、後に接合する表面間の間隙によって放出される。継ぎ目の対向する部分に供給される高周波電流は、シートの接合する表面が接触するとき、特定の材料及びシート厚さに対して所望の溶接温度に達するように、シート112の縁部124a、124b及び中間部分126a、126bの外面を加熱するように選択又は構成され得る。溶接継ぎ目122a、122bで所望の溶接温度を提供することに加えて、高周波電流は、接合する表面が接触することに起因して亜鉛めっきコーティングを焼き払うか又は気化するのに十分な時間にわたり、縁部124a、124b及び中間部分126a、126bにおいて十分な温度に達するようにシートの速度とも連携して選択又は構成され得る。例えば、高周波電流は、80KHz~800KHz、若しくは150KHz~800KHz、若しくは150KHz~450KHz又はおよそ350KHzであり得る。
【0036】
図8に示される断面に示されるように、電気接点128a、128bを通過した直後に、シート112は、溶接継ぎ目122a、122bを閉じるためにシート112の縁部124a、124b及び中間部分126a、126bを同時に一緒に押圧する1つ又は複数の閉鎖押圧ロールに入る。その結果、管状部分118、120は、共通の中央壁132の対向する端部に配置された溶接継ぎ目122a、122bで重ね継手を鍛造するように、補強ビーム110の長さに沿ってシート112の縁部124a、124bと中間部分126a、126bとの間に連続的に形成された溶接継ぎ目122a、122bで同時に閉じられる。1つ又は複数の閉鎖押圧ロールによって加えられる圧力は、亜鉛めっきシート金属の溶接プロセスで発生する酸化亜鉛ガスに関連する亜鉛介在物又は他の欠陥が概ねない固体鍛接部を形成するように、得られる溶接部内又はその近くでの酸化亜鉛ガスの捕捉を低減又は排除し得る。さらに、高周波接触溶接によって形成された固体鍛接部は、およそ1mm~2mmなどの狭い熱影響ゾーンを有し得る。
【0037】
次に、図9~10Aを参照すると、ビーム210の長さに沿って管状部分218、220を長手方向に分割する共通の中央壁232を同様に共有する2つの隣接する管状部分218、220を有する亜鉛めっき多管状補強ビーム210の追加的な例が示されている。ビーム210は、補強ビーム210の第2の溶接継ぎ目222bが実質的にT字形であることを除いて、図3Aに示すビーム10と同様である。具体的には、溶接継ぎ目222bは、T継手又はT字形継手と称することができる。ここで、縁部224bを有するシート212の端部部分223は、後壁240のS字形曲線225によって内側に差し込まれ、中央壁232に向かって延びるように後壁240の平面範囲に対して概ね平行に向けられる。このような向きにおいて、端部部分223は、中央壁232の接合する中間部分226bに概ね垂直な構成で接合する。S字形曲線225及びその結果生じる差し込まれた縁部部分223は、ビーム210の後面にリブ247を提供し、ビーム210の後面に沿って剛性を増加させる。
【0038】
図9~10Aに示すビーム210の溶接継ぎ目222a、222bは、それぞれの溶接継ぎ目222a、222bを閉じるためにシートのそれぞれの縁部224a、224b及び中間部分226a、226bを一緒に押圧する閉鎖押圧ロールに入る前に、成形されたシートを高周波電気抵抗溶接接点に対して通過させることによって高周波溶接プロセスで形成され得る。図9~10Aに示すビームの成形及び溶接プロセスは、図1~6Aに示すビーム10を参照して上述したプロセスと実質的に同じであり得る。
【0039】
図9~10Aにおいて配向されたようなビーム210の管状部分218、220は、互いに概ね整列された前壁234、236及び後壁238、240もそれぞれ有する。上部管状部分218は、ビーム210の上部壁242を備える。下部管状部分220は、ビーム210の下部壁244を備える。管状部分218、220の前壁234、236は、バンパ補強ビームとして使用されるときにビーム210の外向き面又は衝撃面を形成するように、互いに共通の平面において実質的に整列される。同様に、後壁238、240は、互いに概ね平面的に整列し、且つ前壁234、236と実質的に平行である。さらに、上部及び下部壁242、244は、互いに及び中央壁232と実質的に平行であり、且つ前壁及び後壁234、236、238、240に概ね垂直である。ビーム210の管状部分218、220の壁間の角部は、金属シート212の材料タイプ及び厚さによって概ね規定される曲率を有する。
【0040】
図9~10Aにさらに示すように、管状部分218、220の前壁234、236は、補強ビーム210の前部衝撃面を補剛するためにそれぞれの管状部分の内部容積内に突出する補剛リブ246をそれぞれ含む。示される補剛リブ246は、対応する壁セクションの幅の約10%~40%(又はより好ましくは対応する壁セクションの幅の約20%~30%)の幅径を有し、その幅径にほぼ等しい深さを有する。示される補剛リブ246の底部は、半円形状である。それにもかかわらず、補剛リブの深さ及びサイズは、ビームの特定の要件を満たすように浅くするか、より深くするか、より広くするか、より狭くするか、平底にするか又は他の方法で修正され得ることが考えられる。
【0041】
図11A~23Bに示されるように、それぞれのビームの長さに沿って管状部分を長手方向に分割する共通の中央壁を同様に共有する2つの隣接する管状部分を有する補強ビームのさらなる実施形態が示される。これらの追加的な実施形態の管状部分は、バンパ補強ビームとして使用されるときにビームの外向き面又は衝撃面を形成するように、互いに共通の平面において概ね整列される前壁及び後壁もそれぞれ有する。同様に、これらの追加的な実施形態の後壁は、互いに概ね平面的に整列し、且つ前壁と実質的に平行である。これらの追加的な実施形態は、シートの縁部部分が、シートの接合する中間部分に概ね垂直な構成で接合する、T継手又はT字形継手である少なくとも1つの溶接継ぎ目をそれぞれ有する。これらの追加的なビームの溶接継ぎ目は、上述し、図1~6に示すビームを参照して記載した高周波接触溶接プロセスなどの高周波溶接プロセスで形成され得る。
【0042】
本明細書で開示する補強ビームの成形プロセスの別の実装形態では、溶接継ぎ目は、溶接継ぎ目を閉じる閉鎖押圧ロールに入る直前に成形されたシートを誘導コイルに通すことによって高周波誘導溶接プロセスで形成され得る。誘導コイルは、溶接継ぎ目の2つの対向する部分の外面を高周波電流で適切な溶接温度まで加熱する。それにより、2つの加熱された対向する部分は、閉鎖押圧ロールによって押し付けられ、固体鍛接部を形成する。部分的に成形されたビームに高周波電流を適用することによる表皮効果及び近接効果により、シートの縁部及びシートの中間部分の外面で熱が発生し、そこでシートのこれらの部分が接合して一緒になる。シートの外面が誘導コイルによって加熱されると、亜鉛めっきコーティングは、シートの縁部及び中間部分において少なくとも部分的に焼き払われ、酸化亜鉛ガスを形成する。これらの酸化亜鉛ガスは、一般に、閉鎖押圧ロールによって形成される固体鍛接部の品質及び一貫性を妨げない。閉鎖押圧ロールによって加えられる圧力は、プロセスで発生した亜鉛介在物又は酸化亜鉛ガスに関連する他の欠陥が概ねない固体鍛接部を形成するように、得られる溶接部内又はその近くでの酸化亜鉛ガスの捕捉を低減又は排除し得る。
【0043】
さらなる実装形態では、亜鉛めっき補強ビームを連続的に成形する方法は、(a)亜鉛めっき金属シートのロールを概ね水平な平面内で巻き出すステップと、(b)金属シートの縁部セクションが金属シートの中間セクションとほぼ接触する管状形状を形成するために、複数のロールステーションのセットを通して金属シートをロール成形するステップと、(c)金属シートの縁部セクション及び金属シートの中間セクションの外面を、電気接点の対によって金属シートに供給される高周波電流で望ましい溶接温度まで加熱するステップであって、金属シート上の亜鉛めっきコーティングは、加熱された外面において少なくとも部分的に焼き払われる、ステップと、(d)閉鎖押圧ロールで外面を一緒に押圧することにより、金属シートの縁部セクション及び中間セクションの加熱された外面に固体鍛接部を形成するステップであって、固体鍛接部は、補強ビームの管状形状の継ぎ目を閉じるために連続的に形成される、ステップとを含む。また、金属シートの第2の縁部は、補強ビームの長さに沿って延びる第2の管状部分を囲むように、補強ビームの管状部分の壁において第2の鍛接部で溶接され得る。例えば、第2の鍛接部は、第1の管状部分が第1の鍛接部で閉じられた後、第2の電気接点の対で第2の鍛接部を形成するために、亜鉛めっき金属シートの第2の縁部を管状部分の壁に近づけるようにロール成形することによって形成され得る。第1及び第2の管状部分は、補強ビームの共通の中央壁を共有し得る。それにより、鍛接部は、共通の中央壁の対向する端部に配置される。さらに、金属シートは、概ね一定の速度で長手方向に巻き出され、ロール成形され、且つ溶接され得る。
【0044】
本開示の目的上、「結合される」という用語(結合する、結合している、結合される等のその全ての形態において)は、一般に、2つの構成要素を互いに直接的又は間接的に接合することを意味する。このような接合は、本質的に静止しているか又は可動であり得;2つの構成要素と、互いに又は2つの構成要素と単一の単体として一体的に形成された任意の付加的な中間部材とによって達成され得;特に断らない限り、本質的に永久的であり得るか又は本質的に取り外し可能又は解放可能であり得る。
【0045】
冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、先の記載において要素の1つ又は複数が存在することを意味することが意図される。「含む」、「包含する」及び「有する」という用語は、包括的であることを意図され、列挙された要素以外の追加的な要素が存在し得ることを意味する。さらに、本開示の「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、言及された特徴を同じく組み込んだ追加的な実装形態の存在を除外すると解釈されることを意図しないことを理解されたい。添付の図面に示され、本明細書に記載された特定の装置及びプロセスは、添付の特許請求の範囲に定義された発明概念の単なる例示的な実施形態であることも理解されたい。したがって、本明細書に開示された実施形態に関連する特定の寸法及び他の物理的特徴は、特許請求の範囲に明示的に別段の記載がない限り、限定的なものとみなされない。
【0046】
本明細書に記載された数値、パーセンテージ、比率又は他の値は、その値及び本開示の実装形態に包含される、当業者によって理解されるであろう「約」、「およそ」又は「実質的に」記載された値である他の値も含むように意図される。したがって、記載された値は、所望の機能を実行するか又は所望の結果を達成するために、記載された値に少なくとも十分に近い値を包含するように十分に広く解釈されるべきである。記載された値は、好適な製造プロセス又は生産プロセスで予想される変動を少なくとも含み、記載された値の5%以内、1%以内、0.1%以内又は0.01%以内の値を含み得る。また、本明細書で使用される「およそ」、「約」及び「実質的に」という用語は、依然として所望の機能を果たすか又は依然として所望の結果を達成する、記載された量に近い量を表す。例えば、「およそ」、「約」及び「実質的に」という用語は、記載された量の5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内及び0.01%未満以内の量を指し得る。
【0047】
さらに、先の記載におけるあらゆる方向又は基準枠は、単に相対的な方向又は移動であることを理解されたい。例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「後」、「前」、「垂直」、「水平」、「車内」、「車外」という用語及びそれらの派生語は、図1に示される方向に関するものとする。しかしながら、反対に明示的に指定された場合を除き、様々な代替的な向きが提供され得ることが理解される。
【0048】
具体的に記載された実施形態に対する変更形態及び修正形態は、特許法の原則に従って解釈される添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される本発明の原理から逸脱することなく実施され得る。本開示は、説明に役立つ方法で記載されている。使用されている用語は、限定ではなく、記載の語句の性質内にあることが意図されることが理解されるであろう。本開示の多くの修正形態及び変形形態が上記の教示に照らして可能である。本開示は、具体的に記載された方法とは別の方法で実施され得る。
図1
図2
図3
図3A
図4
図5
図5A
図6
図6A
図7
図8
図8A
図8B
図9
図10
図10A
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
図23A
図23B
【国際調査報告】