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特表2024-532895ワインボトルエアレータのための拡張チャンバ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】ワインボトルエアレータのための拡張チャンバ
(51)【国際特許分類】
   C12G 1/00 20190101AFI20240903BHJP
【FI】
C12G1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513324
(86)(22)【出願日】2021-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 US2021071295
(87)【国際公開番号】W WO2023027758
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】17/445,942
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518179357
【氏名又は名称】ロバート・エイ・スティーヴンソン
(71)【出願人】
【識別番号】518179368
【氏名又は名称】ウェンディ・エル・スティーヴンソン
(71)【出願人】
【識別番号】524069961
【氏名又は名称】ジェニファー・エル・スティーヴンソン
(71)【出願人】
【識別番号】524069972
【氏名又は名称】ライアン・エイ・スティーヴンソン
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エイ・スティーヴンソン
(72)【発明者】
【氏名】ウェンディ・エル・スティーヴンソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー・エル・スティーヴンソン
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・エイ・スティーヴンソン
(57)【要約】
本発明の中空拡張チャンバは、液体をエアレーションするためのエアレーション工程中に、泡の拡張を一時的に収容するように構成されており、拡張チャンバのチャンバ本体は、扁平楕円の形状を有する。最大内側直径から開始してチャンバ本体に沿って周方向に下方に移動するとき、底部部分の扁平楕円体形状が、第1の円錐台形状に至る接線方向の移行部である第1の一体移行部を有する。周方向に下方に移動し続けるとき、第1の円錐台形状は、円筒形延長部に至る第2の一体移行部を有する。円筒形延長部は、遠位端部において、開けられたボトルネック部と嵌合するように構成されている底部開口を有する。第1の円錐台形状は、水平面に対して15度の最小角度を有する。第2の一体移行部は、少なくとも0.635cm(0.25インチ)の内側表面半径を有する半径方向の第2の一体移行部である。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ本体を備える中空拡張チャンバであって、前記チャンバ本体は、底部部分の上方に頂部部分を有するように画定され、前記頂部部分および前記底部部分の両方が、ワインおよび他のアルコール飲料である液体をエアレーションするためのエアレーション工程中に、泡の拡張を一時的に収容するように構成される中空チャンバ容積を協働して形成し、
前記チャンバ本体が、扁平楕円体形状を有し、前記頂部部分および底部部分が、最大内側直径を画定するように合わさり、前記最大内側直径が、前記扁平楕円体形状が短軸を中心に回転させられるときの長軸に沿って形成されており、
前記最大内側直径から始まって前記チャンバ本体に沿って周方向に下方に移動するとき、前記底部部分の前記扁平楕円体形状が、第1の円錐台形状に至る第1の一体移行部を有し、周方向に下方に移動し続けるとき、前記第1の円錐台形状が、円筒形延長部に至る第2の一体移行部を有し、前記円筒形延長部が、遠位端部において底部開口を有し、前記底部開口が、コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルの開口の内側で係合するように構成されており、
前記頂部部分が、頂部開口を有し、前記頂部部分は、前記底部開口が前記コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルの前記開口と係合されているときに、前記コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルの前記開口の上方に配設されており、前記中空チャンバ容積が、前記頂部開口を通して周囲の空気と流体連通し、
前記中空チャンバ容積は、前記底部開口が前記コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルの前記開口と係合されているときに、前記コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルの内側と流体連通するように構成されており、
水平な表面上に配置されている前記コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルに対して水平面にある前記中空チャンバ容積の前記最大内側直径が、前記頂部部分および前記底部部分の間で協働して形成されており、
前記中空拡張チャンバが前記底部開口の上方に前記頂部開口がある状態で方向付けられているときに、前記チャンバ本体の前記中空チャンバ容積の内側表面の全体が、前記底部開口を通してすべての前記液体を外に排出するように、内部に傾斜をつけられており、
前記第1の一体移行部が、前記チャンバ本体の前記底部部分から前記第1の円錐台形状までの間の接線方向の第1の一体移行部であり、
前記第1の円錐台形状が、前記水平面に対して15度の最小角度を有し、
前記第2の一体移行部が、少なくとも0.635cm(0.25インチ)の内側表面半径を有する半径方向の第2の一体移行部である、
中空拡張チャンバ。
【請求項2】
前記第1の円錐台形状が、前記水平面に対して20度の前記最小角度を有する、請求項1に記載の中空拡張チャンバ。
【請求項3】
前記第1の円錐台形状が、前記水平面に対して25度の前記最小角度を有する、請求項1に記載の中空拡張チャンバ。
【請求項4】
前記半径方向の第2の一体移行部が、少なくとも0.8255cm(0.325インチ)の前記内側表面半径を有する、請求項1に記載の中空拡張チャンバ。
【請求項5】
前記半径方向の第2の一体移行部が、少なくとも1.27cm(0.50インチ)の前記内側表面半径を有する、請求項1に記載の中空拡張チャンバ。
【請求項6】
前記拡張チャンバが、光学的に透明または半透明であり、前記チャンバ本体が、ポリマーまたはガラスからなる、請求項1に記載の中空拡張チャンバ。
【請求項7】
前記拡張チャンバの前記底部開口に取り付けられた封止要素を含み、前記封止要素が、前記コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルの前記開口の内側表面に対して封止するように構成されており、弾性のまたはゴム状の材料を有する、請求項1に記載の中空拡張チャンバ。
【請求項8】
前記最大内側直径が、少なくとも6.35cm(2.50インチ)である、請求項1に記載の中空拡張チャンバ。
【請求項9】
前記最大内側直径が、少なくとも6.985cm(2.75インチ)かつ11.43cm(4.5インチ)未満である、請求項1に記載の中空拡張チャンバ。
【請求項10】
前記最大内側直径が、少なくとも7.62cm(3.0インチ)かつ10.795cm(4.25インチ)未満である、請求項1に記載の中空拡張チャンバ。
【請求項11】
前記最大内側直径が、少なくとも8.255cm(3.25インチ)かつ10.16cm(4インチ)未満である、請求項1に記載の中空拡張チャンバ。
【請求項12】
前記最大内側直径が、少なくとも8.89cm(3.50インチ)かつ9.525cm(3.75インチ)未満である、請求項1に記載の中空拡張チャンバ。
【請求項13】
前記最大内側直径が、9.2075cm(3.625インチ)プラスまたはマイナス10%である、請求項1に記載の中空拡張チャンバ。
【請求項14】
前記頂部開口が注ぎ口を含む、請求項1に記載の中空拡張チャンバ。
【請求項15】
前記拡張チャンバの前記頂部開口が、前記注ぎ口のために形状を定められた前記短軸を中心に非対称に形状を定められており、前記底部開口が、前記短軸を中心に対称に形状を定められている、請求項14に記載の中空拡張チャンバ。
【請求項16】
前記拡張チャンバの前記底部開口が、前記コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルの前記開口の内側に嵌合するように構成されている、請求項15に記載の中空拡張チャンバ。
【請求項17】
前記コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルが、ワインボトルである、請求項1に記載の中空拡張チャンバ。
【請求項18】
チャンバ本体を備える中空拡張チャンバであって、前記チャンバ本体は、底部部分の上方に頂部部分を有するように画定され、前記頂部部分および前記底部部分の両方が、ワインおよび他のアルコール飲料である液体をエアレーションするためのエアレーション工程中に、泡の拡張を一時的に収容するように構成される中空チャンバ容積を協働して形成し、
前記チャンバ本体が、扁平楕円体形状を有し、前記頂部部分および底部部分が、最大内側直径を画定するように合わさり、前記最大内側直径が、前記扁平楕円体形状が短軸を中心に回転させられるときの長軸に沿って形成されており、
前記最大内側直径から始まって前記チャンバ本体に沿って周方向に下方に移動するとき、前記底部部分の前記扁平楕円体形状が、第1の円錐台形状に至る第1の一体移行部を有し、周方向に下方に移動し続けるとき、前記第1の円錐台形状が、円筒形延長部に至る第2の一体移行部を有し、前記円筒形延長部が、遠位端部において底部開口を有し、前記底部開口が、コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルの開口の内側で係合するように構成されており、
前記頂部部分が、頂部開口を有し、前記頂部部分は、前記底部開口が前記コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルの前記開口と係合されているときに、前記コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルの前記開口の上方に配設されており、前記中空チャンバ容積が、前記頂部開口を通して周囲の空気と流体連通し、
前記中空チャンバ容積は、前記底部開口が前記コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルの前記開口と係合されているときに、前記コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルの内側と流体連通するように構成されており、
水平な表面上に配置されている前記コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルに対して水平面にある前記中空チャンバ容積の前記最大内側直径が、前記頂部部分および前記底部部分の間で協働して形成されており、
前記中空拡張チャンバが前記底部開口の上方に前記頂部開口がある状態で方向付けられているときに、前記チャンバ本体の前記中空チャンバ容積の内側表面の全体が、前記底部開口を通してすべての前記液体を外に排出するように、内部に傾斜をつけられており、
前記第1の一体移行部が、前記チャンバ本体の前記底部部分から前記第1の円錐台形状までの間の接線方向の第1の一体移行部であり、
前記第1の円錐台形状が、前記水平面に対して20度の最小角度を有する、
中空拡張チャンバ。
【請求項19】
前記第2の一体移行部が、少なくとも0.8255cm(0.325インチ)の内側表面半径を有する半径方向の第2の一体移行部である、請求項18に記載の中空拡張チャンバ。
【請求項20】
チャンバ本体を備える中空拡張チャンバであって、前記チャンバ本体は、底部部分の上方に頂部部分を有するように画定され、前記頂部部分および前記底部部分の両方が、ワインおよび他のアルコール飲料である液体をエアレーションするためのエアレーション工程中に、泡の拡張を一時的に収容するように構成されている中空チャンバ容積を協働して形成し、
前記チャンバ本体が、扁平楕円体形状を有し、前記頂部部分および底部部分が、最大内側直径を画定するように合わさり、前記最大内側直径が、前記扁平楕円体形状が短軸を中心に回転させられるときの長軸に沿って形成されており、
前記最大内側直径から始まって前記チャンバ本体に沿って周方向に下方に移動するとき、前記底部部分の前記扁平楕円体形状が、第1の円錐台形状に至る第1の一体移行部を有し、周方向に下方に移動し続けるとき、前記第1の円錐台形状が、円筒形延長部に至る第2の一体移行部を有し、前記円筒形延長部が、遠位端部において底部開口を有し、前記底部開口が、コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルの開口の内側で係合するように構成されており、
前記頂部部分が、頂部開口を有し、前記頂部部分は、前記底部開口が前記コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルの前記開口と係合されているときに、前記コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルの前記開口の上方に配設されており、前記中空チャンバ容積が、前記頂部開口を通して周囲の空気と流体連通し、
前記中空チャンバ容積は、前記底部開口が前記コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルの前記開口と係合されているときに、前記コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルの内側と流体連通するように構成されており、
水平な表面上に配置されている前記コルク栓を抜かれおよび/または開けられたアルコール容器もしくはボトルに対して水平面にある前記中空チャンバ容積の前記最大内側直径が、前記頂部部分および前記底部部分の間で協働して形成されており、
前記中空拡張チャンバが前記底部開口の上方に前記頂部開口がある状態で方向付けられているときに、前記チャンバ本体の前記中空チャンバ容積の内側表面の全体が、前記底部開口を通してすべての前記液体を外に排出するように、内部に傾斜をつけられており、
前記第1の一体移行部が、前記チャンバ本体の前記底部部分から前記第1の円錐台形状までの間の接線方向の第1の一体移行部であり、
前記第2の一体移行部が、少なくとも0.8255cm(0.325インチ)の内側表面半径を有する半径方向の第2の一体移行部である、
中空拡張チャンバ。
【請求項21】
前記第1の円錐台形状が、前記水平面に対して20度の最小角度を有する、請求項20に記載の中空拡張チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本国際出願は、2021年8月25日に出願された米国実用新案出願第17/445,942号に基づく優先権を主張し、その内容全体は参照によって完全に本明細書に引用される。
【0002】
[0002]本発明は、一般に、ワイングラス、ボトル、または他の容器の中のワインを、拡張チャンバに捕捉されたエアレーション泡の拡張および制御を介して、促進された速度でエアレーションする装置に関する。より詳細には、本発明は、エアレーション泡の領域がより迅速に消散するような拡張チャンバの重大な改善に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]ワイン業界において、赤ワインのデカンティングは長い伝統である。デカンティングにおいて、ワインは、通常は透明なガラスまたは水晶のうちの1つである別の容器へと単に注がれる。デカンティングは、大抵の若い赤ワイン(3年物から10年物までの間)に対して特に重要である。これらのより若いワインは、ボトルを開けた後に直接消費される場合には、きつくまたは渋い可能性がある。そのようなワインは、ボトルの中での熟成中に赤ワインが比較的無酸素の環境で維持されるので、このきつい特徴を有する。この環境は、時間とともに、特定の芳香化合物の蓄積に由来する飲料の閉鎖性につながる。ワインの香りは、ボトルが開けられた後の最初の10分から30分の間に変化する。デカンティングは、呼吸(breathing)工程を促進し、このことが、いくつかの揮発性物質を蒸発させることによって、自然なフルーツおよびオークからのワインの香りを増大させる。またデカンティングは、若いワインのきつさおよび渋みを引き起こすタンニンの味を柔らかくする。より古い赤ワインでは、渋みを低減するのに十分長くタンニン反応が進行している。結果として、味はワインをボトルから直に出して飲むときほどきつくない。赤ワインに比べて、白ワインはタンニンが少なく、提供前にボトルの中で非常に長くは熟成されない。このようにして白ワインは、蒸発が必要なボトルの香りを発展させるための好機を非常に少ししか有さない。代わりに、白ワインの自然なフルーツの香りが、それらの味をよりはっきりと定義する。しかしながら、デカンティングまたは特にエアレーションから利益を得られるいくつもの白ワインがある。
【0004】
[0004]過去には、樽およびボトルの両方から注がれたワインが相当量の固形物(すなわち沈殿物)を含有することがかなり一般的であった。しかしながら今日の棚にある大抵のワインは、ろ過工程を経ており、実質的に清浄である。特に長期貯蔵後の特定の高級ワインは、未だに実質的な沈殿物を有し得る。若いワイン(特に沈殿物を持たないもの)のデカンティングは、そのワインを別のデカンタへと注ぎ、提供する前に20分程置いておくことを必要とし、おそらく、繊細さおよび複雑さの劇的な増大に気が付くだろう。時間に余裕があるなら、そのワインを数時間にわたって味見し続けてもよい。多くのワインは、時間とともに進化および好転を続ける。一部の専門家は、ボルドーからバーガンディ、さらには白ワインまで、すべてのタイプのワインをデカントすることが、ワインに有利に影響し得ると考える。
【0005】
[0005]当然ながら、デカンティングの問題は、酸素がワインの味に奇跡的な効果を発揮するために、実質的に長い時間の期間がかかることである。例えば、特定のタイプのワインとともに食事をとることになることが前日にわかっていれば、ワインは、1日だけ前にコルク栓を抜かれ、デカントされてもよい。一部の専門家は、赤ワインのボトルを適切に飲むために、以下の工程を推奨している。1つ目に、赤ワインを冷蔵庫で少なくとも2時間冷やす。2つ目に、ワインのボトルのコルク栓を抜き、デカントする。数時間の期間をかけて、そのワインが室温に戻るようにする。3つ目に、味見してからワインを飲む。温め戻す工程は、周囲の空気からより多くの酸素を引き込む傾向があり、それによってワインを洗練させる。発明者たちは実際にこの工程を行い、驚くほど上手くいった。マイナス面は非常に時間がかかることである。
【0006】
[0006]しかしながら、この歴史的なデカンティングおよび人がワイン(特に赤ワイン)にやり通す儀式のすべては、単純な物理的現象を無視している。本当に意味のある効果を有するのは、表面張力が破壊され、周囲の空気からの酸素が実際にワイン分子と相互作用する機会を有するときなので、実のところはワインを1つのボトルから異なる容器に注ぐ行為だけである。ワインがデカントされ、再び落ち着いた状態に置かれると、流体の表面にわたって表面張力があり、それによってガス交換が非常に遅く長い工程になる。
【0007】
[0007]したがって、渋い味を除去しタンニンの度合いを低減するために、ワインを急速にエアレーションし、酸素交換を完全なものにする必要がある。Vassalloの米国特許第4,785,724号は、ボトル詰めされたワインをエアレーションするための機器を記載している。Vassalloの図1を参照すると、ワインで満たされたワインボトル1と、ワインのボトルの中に配設されており、空気流を最終的な泡へと破壊するための微細穴を伴う構造において遠位端22で終端するエアレーション管20、21とが見られる。Vassalloの発明の問題は、管20、21を通した空気の流量が極めて低くなってしまい、その結果ワインが泡を形成せず、頂部から吹き出し、基台ユニット2の一面に散乱することである。発明者たちは、そのような技術で実験を行い、これがもはやデカンティングよりも効率的でないと認めた。言い換えれば、ワインがボトルから吹き出さないように、非常にゆっくりと泡をワインの中に入れ、わずかな表面攪拌を作り出すことにより、最大で20分もかかる可能性がある。
【0008】
[0008]Wetternの米国特許第5,154,112号の参照も行う。Wetternの発明には、人が手動で圧縮する、ワインボトルの頂部の上に配設された手動ポンプがある。’112特許の図1および図2を参照すると、ポンプ8の端部と、ワインボトルのネック部に置かれた設置カラー13が見られる。図2を参照すると、手動ポンプの断面および区域13が見られ、液密封止が形成されていないことに留意されたい。このことは、図1に示されているように空気が下へワインボトルの中に注入される場合に、空気が極めて低い流量になってしまうだろうことを意味する。泡のあぶくが形成された場合には、そのことは、液体および泡が、ワインボトルのネック部と、ワインボトルの端部にゆるく載っているだけのカラー13との間から逃れることになることを意味するだろう。これは、以前にVassalloの’724特許において説明したように、発明の主要な欠陥である。言い換えれば、Wetternの発明は、極めて低い流量でしか機能しないだろう。
【0009】
[0009]別のワインボトルエアレータが、Delaplaineの米国特許第5,595,104号に記載されている。Delaplaineの図1は、エアーポンプ筐体12と、封止機器14と、延長管16と、エアレーション穴18を伴う端部とを示す。図示のように、空気逃し穴24がある。’104特許は、VassalloおよびWetternの特許において説明したのと同じ欠陥のすべてを抱える。その欠陥は、遠位先端18から出る空気流が、泡およびあぶくを作り出さないほど、極めて低くなってしまうであろうことであり、これにより、ワインがワインボトルの外側にあふれ、例えば調理台の上に降り注ぐことになるだろう。
【0010】
[0010]Millsらの米国特許第8,561,970号は、別のタイプの低容量エアレーションシステムを記載している。Millsらのエアレーションシステムは、拡張チャンバを有さず、したがって定義上は低容量システムである。これは本発明と好対照にあり、本発明は、10秒未満または従来技術よりもはるかに短いある特定の時間期間で、完全なエアレーションおよびワイン中のタンニンの低減を実現することができる高容量エアレーションシステムである。上述の従来技術はすべて、非常に遅い速度で少なくとも数分のエアレーションを必要とする。この理由は、単純な物理的現象である。非常に高い容量の空気または酸素などのガスをボトルワインのボトルの中に追い込む場合、大量の泡形成とあぶくがすぐに生じる。拡張チャンバがなければ、このあぶくはワインボトルの頂部からこぼれ、散乱することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
[0011]本発明の発明者たちは、そのような拡張チャンバを実際に発明した。しかしながら発明者たちは、最近彼らの以前の設計に欠陥を発見し、それを克服する解決策を認めた。したがって本出願は、2020年5月14日に出願された発明者の以前の米国特許出願第15/929,670号を超える改善であり、その内容全体はこの参照によって完全に本明細書に引用される。読者の便宜性および理解のために、本出願における参照番号は、’670出願の参照番号と一致している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[0012]チャンバ本体(200)を備える中空拡張チャンバ(12’)であって、チャンバ本体は、底部部分(16)の上方に頂部部分(14)を有するように画定され、頂部部分および底部部分の両方が、ワインおよび他のアルコール飲料である液体をエアレーションするためのエアレーション工程中に、泡の拡張(54’)を一時的に収容するように構成されている中空チャンバ容積(202)を協働して形成する、本発明の中空拡張チャンバ(12’)が開示されている。チャンバ本体は、扁平楕円体形状(230)を有する。頂部部分および底部部分は、最大内側直径(124)を画定するように合わさる(meet)。最大内側直径は、扁平楕円体形状が短軸(232)を中心に回転させられるときの長軸(234)に沿って形成されている。最大内側直径から始まってチャンバ本体に沿って周方向に下方に移動するとき、底部部分の扁平楕円体形状は、第1の円錐台形状(238)に至る第1の一体移行部(236)を有する。周方向に下方に移動し続けるとき、第1の円錐台形状は、円筒形延長部(242)に至る第2の一体移行部(240)を有する。円筒形延長部は、遠位端部(244)において底部開口(206)を有し、底部開口は、コルク栓を抜かれおよび/または開けられたワインボトルの開口の内側で係合するように構成されている。頂部部分は、頂部開口(204)を有し、頂部部分は、底部開口がコルク栓を抜かれおよび/または開けられたボトルの開口と係合されているときに、コルク栓を抜かれおよび/または開けられたボトルの開口の上方に配設されている。中空チャンバ容積は、頂部開口を通して周囲の空気と流体連通する。中空チャンバ容積は、底部開口がコルク栓を抜かれおよび/または開けられたボトルの開口と係合されているときに、コルク栓を抜かれおよび/または開けられたボトルの内側と流体連通するように構成されている。水平な表面上に配置されているコルク栓を抜かれおよび/または開けられたワインボトルに対して水平面(208)にある中空チャンバ容積の最大内側直径は、頂部部分および底部部分の間で協働して形成されている。中空拡張チャンバが底部開口の直接上方に頂部開口がある状態で方向付けられているときに、チャンバ本体の中空チャンバ容積の内側表面(246)の全体が、底部開口を通してすべての液体を外に排出するように、内部に傾斜をつけられている。第1の一体移行部は、チャンバ本体の底部部分から第1の円錐台形状までの間の接線方向の(tangential)第1の一体移行部である。第1の円錐台形状は、水平面に対して15度の最小角度(248)を有する。第2の一体移行部は、少なくとも0.635cm(0.25インチ)の内側表面半径(250)を有する半径方向の第2の一体移行部である。
【0013】
[0013]他の例示的な実施形態において、第1の円錐台形状(248)は、水平面に対して20度または25度の最小角度を有する。
[0014]他の例示的な実施形態において、半径方向の第2の一体移行部は、少なくとも0.8255cm(0.325インチ)または1.27cm(0.50インチ)の内側表面半径(250)を有する。
【0014】
[0015]他の例示的な実施形態において、拡張チャンバは、光学的に透明または半透明であってもよく、チャンバ本体は、ポリマーまたはガラスからなってもよい。
[0016]他の例示的な実施形態において、拡張チャンバは、拡張チャンバの底部開口に取り付けられた封止要素(44)を含み、封止要素は、コルク栓を抜かれおよび/または開けられたボトルの開口の内側表面に対して封止するように構成されており、弾性のまたはゴム状の材料を有する。
【0015】
[0017]他の例示的な実施形態において、最大内側直径は、少なくとも6.35cm(2.50インチ)であってもよく、または少なくとも6.985cm(2.75インチ)かつ11.43cm(4.5インチ)未満であってもよく、または少なくとも7.62cm(3.0インチ)かつ10.795cm(4.25インチ)未満であってもよく、または少なくとも8.255cm(3.25インチ)かつ10.16cm(4インチ)未満であってもよく、または少なくとも8.89cm(3.50インチ)かつ9.525cm(3.75インチ)未満であってもよく、または9.2075cm(3.625インチ)プラスまたはマイナス10%である最大内側直径を有してもよい。
【0016】
[0018]他の例示的な実施形態において、頂部開口は注ぎ口(120)を含んでもよい。
[0019]他の例示的な実施形態において、拡張チャンバの頂部開口は、注ぎ口のために形状を定められた短軸を中心に非対称に形状を定められていてもよく、底部開口は、短軸を中心に対称に形状を定められていてもよい。
【0017】
[0020]他の例示的な実施形態において、拡張チャンバの底部開口は、コルク栓を抜かれおよび/または開けられたワインボトルの開口の内側に嵌合するように構成されていてもよい。
【0018】
[0021]本発明の他の特徴および利点は、本発明の原理を例として図示する添付の図面と併せて取られる場合に、以下のより詳細な説明より明らかになる。
[0022]添付図面は、本発明を示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】[0023]米国特許出願第15/929,670号の図40から取られた断面図である。
図2】[0024]米国特許出願第15/929,670号の図40Aから取られた断面図であり、ここでは、ワイン中の泡形成および拡張(保持)チャンバへの泡立ちを示す。
図3】[0025]ここでは封止要素を有する、米国特許出願第15/929,670号の図78から取られた拡張チャンバの側面図である。
図4】[0026]同様に米国特許出願第15/929,670号の図79から取られた図3の構造の断面図である。
図5】[0027]本発明の拡張チャンバの新たな実施形態の斜視図である。
図6】[0028]図5の構造の別の斜視図である。
図7】[0029]図5の構造の別の斜視図である。
図8】[0030]図5の構造の別の斜視図である。
図9】[0031]図5の構造の正面図である。
図10】[0032]図5の構造の背面図である。
図11】[0033]図5の構造の左側図である。
図12】[0034]図5の構造の右側図である。
図13】[0035]図5の構造の上面図である。
図14】[0036]図5の構造の底面図である。
図15】[0037]ここでは接合用粗面を示す図11と同様の図である。
図16】[0038]図5の線16-16に沿って取られた側部断面図であり、参照のために図15と同様である。
図17】[0039]ここでは接合用粗面を示す図10と同様の図である。
図18】[0040]図5の線18-18に沿って取られた背面断面図であり、参照のために図17と同様である。
図19】[0041]扁平楕円体の基本構造の1つの実施形態の図である。
図20】[0042]扁平楕円体の基本構造の別の実施形態の図である。
図21A】[0043]図18の線21A-21Aに沿って取られた1つの実施形態の拡大断面図である。
図21B】[0044]図18の線21B-21Bに沿って取られた別の実施形態の拡大断面図である。
図21C】[0045]図18の線21C-21Cに沿って取られた1つの実施形態の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0046]図1は、出願第15/929,670号の図40から取られた断面図であり、ワイン52を包含するワインのボトル18を示す。図1は、保持チャンバ12および注ぎ口90の、ポンプ組立体36、ガス導管30、およびエアレーション要素42への係合を示す。したがって、2020年5月14日に出願された米国特許出願第15/929,670号の内容の内容全体は、この参照によって完全に本明細書に引用される。
【0021】
[0047]図2は、同様に’670出願の図40Aから取られた図であり、ポンプ36がオンになった状態の図1の組立体を示し、エアレーション要素42は気泡の柱54を生成しており、気泡の柱54は、泡領域54’として保持チャンバ12の中に進入する。’670出願を読み理解することから、図2において、エアレータポンプ36が気泡をワインボトルの底部へと導入することが、当業者には理解される。このことは次いで、上方へ拡張する(expand)泡領域を作り出す。したがって、図2に示すようにワインボトルを泡立てるべきであった場合、本発明の拡張チャンバ12は、内部に泡領域54’を捕捉する。このことは、散乱(mess)を防止するだけでなく、作動中のエアレーション工程を示しながら優れた視覚影響を作り出す。
【0022】
[0048]泡領域54’および保持チャンバ12は、保持チャンバ12の最も幅広い直径の位置で、安定性に到達する。発明者たちによる数多くの実験によれば、ポンプ流量とともに拡張チャンバの最大直径を制御することによって、安定状態条件を実現することができ、泡は、(図示のように)保持チャンバ12のおおよそ中腹の最大直径にある。重要なことに、ポンプ筐体36は、保持チャンバ12および注ぎ口90の頂部開口へと緊密に嵌合し、エアーポンプ筐体形状は、都合のよい空気通路140が、エアレーション要素42から生成されている空気が頂部を通って上に逃れることを許容するように設計されている。
【0023】
[0049]泡領域54’が、安定状態条件に到達せず、代わりに空気通路140を通って好ましくなく泡立って出るような、小さすぎる直径の保持チャンバ12または高すぎるポンプ流量を有することは、非常に好ましくないだろう。したがって、泡領域54’が図示のような静的な(すなわち安定状態の)条件に到達するように、発明者たちによって達成された設計バランスが存在する。発明者たちは、様々な実験および3Dモデルプリントによって、保持チャンバ12の最も小さい可能な直径124が1.905cm(0.75インチ)であることを決定した。1.905cm(0.75インチ)の最小直径では、保持チャンバ最大直径12がかなり小さく、つまりポンプ流量は、非常に低い速度へ好ましくなく下げられてしまうだろう。このことは、ワインまたは蒸留酒を適切にエアレーションするために、比較的長い泡立ち時間を必要とする。その一方で、保持チャンバ12の直径124に対する実用的な上限は、12.7cm(5インチ)である。12.7cm(5インチ)では、非常に高いポンプ流量を使用することができる。しかしながら、12.7cm(5インチ)では、保持チャンバ12の質量が、ボトル18に取り付けられているときに潜在的な倒壊または転倒の問題を作り出すのに十分に大きくなる。さらに、そのような大きな直径は審美的な懸念も作り出す。明らかに、保持チャンバ直径124を25.4cm(10インチ)にさえすることができるが、これは、ワインボトル18の頂部に置くには途方もなく大きいだろう。保持チャンバの直径は、幅広く1.905cm(0.75インチ)から始まって、幅広く12.7cm(5インチ)まで、0.635cm(0.25インチ)刻みで変動することができると理解されよう。
【0024】
[0050]発明者たちは、泡形成の物理的現象のみであると考えたものに基づいて数多くの実験を実行して、初期の気づきが誤りであったと発見した。例えば発明者たちは、小さな柱でも泡の高さが著しく大きいならば、泡の重さにより泡は自ら進んで崩れることになるだろうと理論を立てた。実のところ、実際の実験によれば、逆のことが真実だと判明した。1つの実験において、発明者たちは、ワインボトルのネック部とおよそ同じ直径を有し、約6cm(数(several)インチ)の高さである保持チャンバ12を有した。実際の実験によると、泡領域は、約6cm(数インチ)にわたって(最大30.48cm(1フィート)まで)上に行き、さらに頂部から泡立って出た。このことは、発明者たちが保持チャンバの直径を増加させ始めたいくつもの他の試験につながり、それらの試験によって、泡領域が静的な(すなわち安定状態の)状況に到達し上昇をやめるためには、保持チャンバの直径が極めて重要であると決定された。要約すると、発明者の初期の考えおよび概念とは正反対に、試験は、十分に大きな十分な直径の保持チャンバ12の中に泡があるときに、泡が容易に自ら進んで下へ崩壊することを証明した。保持チャンバ12の直径124が小さすぎると、泡はただ上昇し続ける。拡張チャンバ12において直径124を増加させることの別の利点は、以前の出願で説明されたような泡低減要素68の必要性が、もはや必要とされず、排除され得ることである。
【0025】
[0051]図3は、’670出願の図78から取られており、ここでは拡張チャンバ12の底部部分に配設された封止要素44を示す側面図である。図4は、同様に’670出願の図79から取られており、図3の構造の断面図である。拡張チャンバ12は、底部部分16の上方に頂部部分14を有するように画定されたチャンバ本体200を備える。頂部部分および底部部分の両方は、中空チャンバ容積202を協働して形成する。中空チャンバ容積202は、以前に本出願および’670出願の全体を通して教示したような、ワインおよび他のアルコール飲料を含む液体をエアレーションするためのエアレーション工程中に、泡の拡張(換言すれば、広がり)を一時的に収容するように構成されている。
【0026】
[0052]底部部分は、底部開口206を有し、底部開口は、コルク栓を抜かれおよび/または開けられたワインボトルの開口に係合するように構成されている。頂部部分は、頂部開口204を有し、頂部部分は、底部開口がコルク栓を抜かれおよび/または開けられたボトルの開口と係合されているときに、コルク栓を抜かれおよび/または開けられたボトルの開口の上方に配設されている。この教示により、中空チャンバ容積は、底部開口がコルク栓を抜かれおよび/または開けられたボトルの開口と係合されているときに、コルク栓を抜かれおよび/または開けられたボトルの内側と流体連通するように構成されていることが理解される。また、本明細書において、頂部部分は、電気的に動作させられるポンプ構造36が拡張チャンバ12内に配設されていてもまたは配設されていなくても、封止されておらず、空気が中空チャンバ容積202から外側に逃れることを可能にすることが理解される。
【0027】
[0053]発明者たちは、繰り返した試行錯誤を通して、最大内側直径124が、迅速に泡形成が消えることを可能にするために、極めて重要な役割を果たすと発見した。発明者の期待と正反対に、拡張チャンバの高さが迅速な泡形成の低減に果たした役割は、ほとんどか全くなかった。むしろ発明者たちは、十分大きな表面積が作り出されていた場合に、このことが、迅速に泡が低減すること可能にすると発見した。図3および図4において最もよく見られるように、中空チャンバのこの最大内側直径124は、テーブル上に配置されているコルク栓を抜かれおよび/または開けられたワインボトルに対する水平面208に画定されている。図4において見ることができるように、最大内側直径は、頂部部分および底部部分の間で協働して形成されている。
【0028】
[0054]本明細書に示されている実施形態において、最大内側直径124は、およそ9.2075cm(3.625インチ)である。プラスまたはマイナス5%、10%、もしくは15%など、直径124のいくつかの変動が可能である。9.2075cm(3.625インチ)の直径は、26.2128平方cm(10.32平方インチ)プラスまたはマイナス5%、10%、もしくは15%の表面積に等しい。発明者の経験では、直径124が9.2075cm(3.625インチ)の25%未満である場合、泡形成低減は大いに損なわれ、そうして泡形成があまりに迅速に昇り、頂部開口204からこぼれることがある。
【0029】
[0055]発明者たちは、拡張チャンバが使用中に扱いにくいまたは審美的な観点から不格好になるような大きすぎる直径124を作ることなく、泡低減が迅速に起こるような十分大きな直径124を作る間のバランスを発見した。したがって、発明者たちは、直径124が、以下の値、6.985~11.43cm(2.75~4.5インチ)(すなわち面積15.0876~35.8648平方cm(5.94~14.12平方インチ))、7.62~10.795cm(3.0~4.25インチ)(すなわち面積17.9578~33.909平方cm(7.07~13.35平方インチ))、8.255~10.16cm(3.25~4インチ)(すなわち面積21.082~31.9024平方cm(8.30~12.56平方インチ))、8.89~9.525cm(3.5~3.75インチ)(すなわち面積24.4348~28.0416平方cm(9.62~11.04平方インチ))と等しいまたはその間などの、設定された範囲間にあるべきだと考える。他の実施形態において、直径124は3.81cm(1.5インチ)以上であってもよい。
【0030】
[0056]拡張チャンバのこのよく開発された段階においても、本発明の発明者たちは、図1図4に示されている拡張チャンバが、フルボディのワインに使用される場合には不十分であったことに驚いた。簡潔に言えば、泡領域54’は、比較的許容可能な時間の期間において消散しなかった。したがって、すべての種類のワインおよび液体に同等によく機能する拡張チャンバ設計に対する必要性が、依然としてある。本発明は、これらの必要性を満足させ、他の関連する利点を提供する。
【0031】
[0057]図1図4を参照すると、発明者たちは、非常に重いボディの赤ワインの泡領域54’を図2に示すようにエアレーションしている間に、問題に遭遇した。このことは、湾曲部200と、ワインまたは蒸留酒のボトルのネック部の中に挿入されるように設計されている封止部分44との間の移行部に対して注意が引かれる図4により、最もよく示されている。発明者たちは、数年間図4の形状を試験し、この形状が、効率的で比較的短い時間期間内で、図2の泡領域54’を効率的に保持することを認めた(すなわち、泡領域54’は、数秒から約30秒で崩壊してワインボトル18の中に戻ることになった。)
[0058]発明者たち(全員学位のある技術者であるスティーブンソン家の一員たち)は、スティーブンソンの家の1つで特別な行事を楽しみ、Tamarack Cellars TAMARACKカベルネ・フランのボトルを楽しんでいた。これは、非常に重いボディの濃い赤ワインである。発明者たちが懸念したことだが、この場合、ワイン泡領域54’は保持チャンバ12の底部に付着した(stuck)。発明者たちは、ステンレス鋼のエアレーション管30をボトルおよび保持チャンバの外に引き抜くことを含めて、エアレーション装置を取り外しさえした。だが、ワイン泡領域は付着したままだった。次いで発明者たちは、付着した泡領域を攪拌したところ効果はなかった。そして、発明者たちは、ステンレス鋼の管30を再挿入し泡領域をかき混ぜるために使用した後に、泡領域54’がまだ消散しないことを見つけて愕然とした。このことは、極めて混乱させることであり、追加の試験を要求した。
【0032】
[0059]その後の付着した泡領域の注意深い研究は、ワイン泡が接点で接触し(touch off)、保持チャンバの下部部分の底の湾曲部からワインボトルのネック部に挿入される部分44までの移行部における保持チャンバの下部部分によって2つの端部で支持される、単純に支持された橋梁(換言すれば、ブリッジ)を形成していたことを明らかにした。次いで発明者たちは、以前に付着の問題なく急速で許容可能な領域54’の崩壊を示した多くのワインを再調達し、再試験した。しかしながら、これらの以前に試験されたワインはすべて、比較的より軽いボディの赤ワインおよび白ワイン(さらにはテキーラ)であり、つまりそれらは、ワシントンからのTamarackほど、色が濃く重いボディではなかった。高いプレミアムは、「格別の注ぎ」としても知られている非常に重いボディを持つワインに出されることが、ワイン業界の特徴である。再試験は、図4の形状が非常によく機能し、すべての種類の白ワイン、ジンファンデル、ピノ、メルロー、軽いボディのカベルネ等の泡領域の崩壊を妨げなかったことを確認した。しかしながら、非常に重いボディのワイン、および特により高額なカベルネの赤ワインを試験していたときに、発明者たちは、インシグニア・ナパバレー赤ワイン、オーストラリアからのSpotswood Carnival Love Shiraz、Napa(アルゼンチン)からのSORADA、Cameron Hughes 601および602、オーストラリアからのBlue Boyed Boy Shiraz、およびJosh Reserveカベルネ・ソーヴィニヨンがすべて、ワインボトルの中に付着し、崩壊し損なったことを認めた。これらのすべてのワインは、すべて非常に重いボディであるという共通の特徴を有する。あいにく、いくつものこれらの重いボディのワインは、数分間付着した。このことは、追加の試験のため、より多くの重いボディの赤のワインを購入し、より高い値段のより重いボディの赤ワインを意図的に探し出すよう発明者たちに仕向けた。同様に、実際の重いボディのワインはすべて、付着した泡領域54’をもたらした。
【0033】
[0060]最高級の重いボディのワインでの泡領域54’のこの付着は、7年を超える課題のない試験後の発明者たちを非常にいら立たせるものだった。発明者たちは、初めに戻って再び開始しなければならなかった。次いで発明者たちは、重いボディのワインの崩壊を円滑にする方法について協力して取り組み、彼らの3Dモデリング会社にいくつもの新たな新規の形状を用意するように指示した。結局のところ、発明者たちは、図5図18に示されているような理想的な形状を認めた。
【0034】
[0061]図5図14は、当業者が本発明の全体的な形状を認識することができるように、新規の拡張/保持チャンバ12’である同じ構造の様々な図を示す。
[0062]ここで、図4との対比で図11および図12を参照すると、ワイン保持チャンバ12’(すなわち拡張チャンバまたは蒸留酒保持チャンバ)の底部部分が、著しく改変されたことを見ることができる。再び、様々な半径および様々な角度を用いた3Dモデルが3Dプリントおよび試験され、泡領域54’崩壊の時間が計られた。図12に記載され図16でよりよく識別される形状は、20秒~30秒以内に理想的に崩壊し、もしかすると最悪の場合のシナリオでは1分で崩壊するが決して付着しなかった泡領域54’をもたらした。これは、ワインの世界ではかなり許容可能である。しかしながら審美的には、発明者たちは、何年も経った後に図4の保持チャンバ12が、最も重いボディの赤ワインに対して成功だと証明しなかったことにかなり落胆している。審美的な落胆は、図4の保持チャンバが、熟成のためにワインが中に注がれるレストランのデカンティングチャンバによく似ている(ワイン愛好家は、図4の形状に慣れている)のに対して、新たな設計12’が、そのデカンティングチャンバの見た目をそれほど保持していないことである。
【0035】
[0063]最も重いボディの赤ワインを試験している間に、発明者たちはまた、本発明の任意選択的な特徴も発見した。図2に戻って参照すると、ポンプ構造36は、LEDライト142を有する。開発中の元々の試作品において、LEDライトは、エアレーションポンプが稼働しており、泡領域54’が存在している限りは、オンに留まる。このことは、赤いLEDにより特に赤ワインに対して、非常に魅力的な見た目を作る。泡領域が成長し消散するのを観ることは魅惑的である。しかしながら、ポンプ36がオフになるのと同時にLED142がオフになる場合、時々薄暗い部屋では保持チャンバ12’の内側を見ることが難しいので、泡領域54’が付着していると認識することさえ難しい。本発明の一代替実施形態において、図2のLEDライト142は、ポンプ36が停止した直後にオフにならないだろう。代わりに、ライト、ランプ、またはLED142は、観察者が泡領域54’崩壊の美しさを認識することができるように、ある時間の期間(例えば数秒から1分だけ)オンのままであろう。やはりこれは、重いボディの赤ワインに対して特に重要である。もう一度図12および図16を参照すると、角度248および湾曲250が最適化されていても、最も重いボディの赤ワインが最終的に崩壊するまでおよそ20秒程度かかる。やはり、この崩壊の間にLEDライトが存在することは、観るのが非常に面白く、楽しいものである。
【0036】
[0064]すべての広範囲の再設計および広範囲の試験の間に、発明者たちはまた、図3に示されているようなゴムの封止部44を恒久的に接着させることが非常に困難であったと認め、ワインボトルへの多数回の挿入および取り出し後には、ゴムの封止部は外れるだろう。発明者たちは、非常に優雅に紡がれ、次いで硬く形成されたガラスから保持チャンバ12’を作り上げる方法をよく学んだ。しかしながら、ガラスは、非常になめらかで滑りやすい表面である。このことはさらに、ゴムの円筒形の封止部44が飛び出し、ワインボトル自体の中に消えることにつながった。発明者たちはこの悪い経験を何度も有し、次いで様々な糊および接着剤を試行し、実際に機能したものはなかった。このことは、ゴムが係合する表面積を作り出すために、ガラスにグリットブラスト面またはサンドブラスト面または粗面254のある、図15および図17に示されている発明につながった。発明者たちはまた、粗くされた区域が、プラスチックの保持チャンバとよりよく機能したことを認めた。ゴムまたはシリコーンの封止部44に対して、粗面は、表面積を増加させ、ゴム糊をガラスまたはプラスチックに接合することを手助けする。改善された接合の場合、一実施形態における封止部44は、シリコーンベースで作られ、接着剤も同様にシリコーンで作られ、そうして強力なシリコーン対シリコーンの接合が糊と封止部との間に作られるだろう。
【0037】
[0065]これらの封止接着実験は、非常に長々とした時間のかかるものだった。試験は、ワインボトルへの多数回の挿入、意図的に接着区域にワイン(溶媒である)を入れること、および食器洗浄環境に多数回曝すことを含んだ。本発明において、封止の糊または接着剤が(アメリカ食品医薬品局およびアメリカ合衆国農務省の認可にある)食品用であることが重要である。好ましい実施形態において、糊は、シリコーンベースの食品用接着剤であろう。
【0038】
[0066]ここで図16を参照すると、中空拡張チャンバ12’は、底部部分16の上方に頂部部分14を有するように画定されたチャンバ本体200を備える。生産において、頂部部分14および底部部分16は、プラスチック成形などで、別個に製造することができる。次いで2つの部品は、接合技術または溶接技術等によって、互いに組み合わせることができる。代替的には、拡張チャンバ12’は、左半分および右半分で作られることができる。次いでこれらの半体は、同様に接合技術または溶接技術において、互いに組み合わせることができる。代替的には、拡張チャンバ12’は1つの連続した部品として作られることができる。例えば拡張チャンバ12’は、ブロー成形作業においてガラスで作られることができる。これらの実施形態のうちのいずれでも、頂部部分および底部部分の両方は、ワインおよび他のアルコール飲料である液体をエアレーションするためのエアレーション工程中に、泡の拡張54’を一時的に収容するように構成されている中空チャンバ容積202を協働して形成する。
【0039】
[0067]図16において見ることができるように、チャンバ本体は、扁平(oblate)楕円体形状230を有する。扁平楕円体形状は、図19および図20に示されているような、多くの形態をとることができる。扁平楕円体形状は、丸いボールを取り、次いでそれをある程度まで強打すると、視覚化することができる。これは、丸いボールを取り、次いでそれを2つの逆側の端部で引き延ばす偏長(prolate)楕円体、例えばアメリカンフットボールまたはラグビーフットボールと対照的である。図19に戻って参照すると、図19は、簡潔にするために楕円形を示している。楕円形230は、形状が短軸232を中心に回転させられる場合に、扁平楕円体の本体の形態をとることができる。長軸234は長い方の軸であり、拡張チャンバの内側直径124と整合する。
【0040】
[0068]図20は、短軸232を中心に形状を回転させることから作られる扁平楕円体形状の別の例を示す。見ることができるように、図20は、図10に比べて少し箱形である。だが、この教示は、本明細書において図示され教示される厳密な実施形態に限定されないので、図19および図20は、扁平楕円体形状が多くの形態をとることができると示す単なる2つの例である。
【0041】
[0069]図16に戻って参照すると、頂部部分は、頂部開口204を有する。頂部部分は、底部開口がコルク栓を抜かれおよび/または開けられたボトルの開口と係合されているときに、コルク栓を抜かれおよび/または開けられたボトルの開口の上方に配設されている。中空チャンバ容積は頂部開口を通して周囲の空気と流体連通することが、当業者には理解される。また、中空チャンバ容積は、底部開口がコルク栓を抜かれおよび/または開けられたボトルの開口と係合されているときに、コルク栓を抜かれおよび/または開けられたボトルの内側と流体連通するように構成されていることも、当業者には理解される。
【0042】
[0070]再び図16を参照すると、最大内側直径124から開始してチャンバ本体に沿って周方向に下方に移動するとき、底部部分の扁平楕円体形状は、第1の円錐台形状238に至る第1の一体移行部236を有する。次いで、周方向に下方に移動し続けるとき、第1の円錐台形状238は、円筒形延長部242に至る第2の一体移行部240を有する。円筒形延長部は、遠位端部244において底部開口206を有する。底部開口は、コルク栓を抜かれおよび/または開けられたワインボトルの開口と内側で係合するように構成されている。
【0043】
[0071]中空チャンバ容積の最大内側直径124は、水平な表面上に配置されている場合のコルク栓を抜かれおよび/または開けられたワインボトルに対する水平面208にあり、頂部部分および底部部分の間で協働して形成されている。このことは、中空拡張チャンバが、底部開口の(直接)上方に頂部開口がある状態で方向付けられているときに、チャンバ本体の中空チャンバ容積の内側表面246の全体が、底部開口を通してすべての液体を外に排出するように、内部に傾斜をつけられていることを意味する。
【0044】
[0072]発明者たちは、底部部分16の形状を変更することによって、すべての液体および泡領域54’を開口206の外に排出するように保持チャンバ12’を設計した。すなわち、第1の一体移行部は、チャンバ本体の底部部分から第1の円錐台形状までの間の接線方向の(tangential)第1の一体移行部である。重要なことに、第1の円錐台形状は、水平面208に対して15度の最小角度248を有する。他の実施形態において、角度はより高く、20度、25度、または30度であることができる。図16に示されているように、角度248は25度である。
【0045】
[0073]さらに、第2の一体移行部は、少なくとも0.635cm(0.25インチ)の内側表面半径250を有する半径方向の第2の一体移行部である。他の実施形態において、半径250は、少なくとも0.8255cm(0.325インチ)、1.27cm(0.50インチ)、1.5875cm(0.625インチ)、1.905cm(0.75インチ)、または2.54cm(1.00インチ)である。図16に示されているように、内側表面半径250は、1.27cm(0.5インチ)である。
【0046】
[0074]発明者たちは、円錐台形状238および半径250が、最も重いボディのワインでさえ、良好な泡領域分散(すなわち泡領域の崩壊および低減)を円滑にすることを認めた。しかしながら、これらの特徴のうちの単なる1つを、以前の設計を超える改善のために利用することができ、つまり、円錐台形状または半径のうちのいずれかを、別個に利用することができると当業者には理解される。だが、両特徴が1つの実施形態に組み合わされる場合に、その実施形態は、以前の設計を超える許容可能な改善をもたらした。
【0047】
[0075]図21A図21Cは、これらの新規の特徴をより明らかに示すことをよりよく手助けする拡大図である。図21Aは、半径250が小さすぎ、角度248が十分大きくない図3図4におけるものなどの最適化されていない設計を示す。この設計は、特に最も重いボディの赤ワインでは、泡領域が好ましくなく付着する(すなわち排出しない)ことになる。次いで、図21Bは、図21Aを超える改善であり、ここで図21Bは、より大きな半径250を有する。だが、図21Cが最良の設計であり、ここでは半径250がより大きく、角度248が図21Aと比較してより大きい。
【0048】
[0076]図21Aのもの、および本明細書で以前に教示されたようなものなどの先行設計において、その後の付着した泡領域の注意深い研究は、ワイン泡が接点で接触し、保持チャンバの下部部分の底の湾曲部からワインボトルに挿入される部分44までの移行部における保持チャンバの下部部分によって2つの端部で支持される、単純に支持されたブリッジを形成していたことを明らかにした。ここで、図21Bに示されており、図21Cに最もよく示されている設計では、円錐台形状、および第2の一体移行部のより大きな半径は、重いボディのワインの円形の泡の接点が互いに接触し、拡張チャンバの内側に触れるときに形成される梁(beam)の端部支持を取り除く。したがって、図21Bに示されている実施形態は、図21Aと比較して泡の分散/崩壊によりよく機能する。同様に図21Cは、図21Bと比較して泡の分散/崩壊によりよく機能する。それゆえに、図21Cは、最も重いボディの赤ワインについても優れた結果を示している。
【0049】
[0077]図21A図21Cはまた、円筒形延長部242と水平面208との間に角度252があることを示す。角度252は、封止部44を伴う円筒形延長部が、ワインボトルの内側にしっかりと留まるように、90度に近いがわずかに小さい。しかしながら、角度252は、確かに90度であることができると理解される。
【0050】
[0078]数個の実施形態が例示の目的のために詳細に説明されたけれども、本発明の思想および範囲を各々逸脱することなく、様々な変更がなされてもよい。したがって本発明は、添付の特許請求の範囲によるものを除いて、限定されるべきではない。
【0051】
[0079]参照番号
[0080]12’ 中空拡張チャンバ
[0081]14 頂部部分
[0082]16 底部部分
[0083]124 最大内側直径
[0084]200 チャンバ本体
[0085]202 中空チャンバ容積
[0086]204 頂部開口
[0087]206 底部開口
[0088]208 水平面
[0089]230 扁平楕円体形状
[0090]232 短軸
[0091]234 長軸
[0092]236 第1の一体移行部
[0093]238 第1の円錐台形状
[0094]240 第2の一体移行部
[0095]242 円筒形延長部
[0096]244 遠位端部
[0097]246 拡張チャンバ内側表面
[0098]248 角度
[0099]250 半径
[0100]252 角度
[0101]254 粗面
図1
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図21B
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【国際調査報告】