(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】SN-38溶解性及び経口吸収性を向上させた製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4745 20060101AFI20240903BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240903BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240903BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240903BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240903BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240903BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240903BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240903BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
A61K31/4745
A61K47/22
A61K47/34
A61K47/38
A61K47/10
A61K9/08
A61K9/06
A61K9/48
A61P35/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513965
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 US2022039586
(87)【国際公開番号】W WO2023033990
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】513009510
【氏名又は名称】タイレックス, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TAIRX, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】チュ, イウェン
(72)【発明者】
【氏名】チエン, ドゥシェン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA53
4C076BB11
4C076CC27
4C076DD59
4C076DD60
4C076EE23
4C076EE24
4C076EE32
4C076FF34
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB22
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA16
4C086MA27
4C086MA37
4C086MA66
4C086NA11
4C086ZB26
(57)【要約】
SN-38溶解性及び経口吸収性を向上させた製剤。ある実施形態において、製剤又は医薬組成物は、
a)7-エチル-10-ヒドロキシ-カンプトテシン(SN-38)、及びb)薬学的に受容可能な賦形剤の混合物であって、(i)N-メチルピロリドン、及び(ii)ビタミンE TPGS又は共重合体であって、前記共重合体は、50/50ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)又は75/25ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)共重合体(PLGA)であるものを含み、VitE TPGSが存在する場合、前記賦形剤の混合物は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、VP/VAc共重合体60/40、ポロキサマー407、及びラウロイルマクロゴール-32グリセリドからなる群から選択されるポリマーをさらに含むという条件付きである、薬学的に受容可能な賦形剤の混合物を含み、前記医薬組成物は水を含まず、液体又はゲル状であり、前記SN-38は沈殿することなく前記賦形剤の混合物に溶解する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物であって、
a)7-エチル-10-ヒドロキシ-カンプトテシン(SN-38)、及び
b)薬学的に受容可能な賦形剤の混合物であって、
(i)N-メチルピロリドン(NMP)、及び
(ii)ビタミンE TPGS(VitE TPGS)又は共重合体であって、前記共重合体は、50/50ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)又は75/25ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)共重合体(PLGA)であるもの
を含み、
VitE TPGSが存在する場合、前記賦形剤の混合物は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、VP/VAc共重合体60/40、ポロキサマー407、及びラウロイルマクロゴール-32グリセリドからなる群から選択されるポリマーをさらに含むという条件付きである、薬学的に受容可能な賦形剤の混合物
を含み、
前記医薬組成物は水を含まず、液体又はゲル状であり、前記SN-38は沈殿することなく前記賦形剤の混合物に溶解する、医薬組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の医薬組成物であって、前記賦形剤の混合物は、
(i)NMP、
(ii)VitE TPGS、及び
(iii)HPC、HPMC、VP/VAc共重合体60/40、ポロキサマー407、及びラウロイルマクロゴール-32グリセリドからなる群から選択されるポリマー
を含む、医薬組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の医薬組成物であって、前記賦形剤の混合物は、
(i)NMP、VitE TPGS及びHPCの重量比が50:20:1から50:20:2.0、
(ii)NMP、VitE TPGS及びHPMCの重量比が50:20:1から50:20:2.0、
(iii)NMP、VitE TPGS及びVP/VAc共重合体60/40の重量比が50:20:20.0、
(iv)NMP、VitE TPGS及びポロキサマー407の重量比が50:20:20.0、又は
(v)NMP、VitE TPGS及びラウロイルマクロゴール-32グリセリドの重量比が50:20:20.0
から選択される、医薬組成物。
【請求項4】
前記NMP、VitE TPGS及びHPCの重量比は、50:20:2.0から50:20:5.0である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記NMP、VitE TPGS及び前記ポリマーの重量比は、50:20:2.5から50:20:5.0である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
経口剤形である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
医薬組成物であって、
a)7-エチル-10-ヒドロキシ-カンプトテシン(SN-38)、及び
b)薬学的に受容可能な賦形剤の混合物であって、
(i)N-メチルピロリドン(NMP)、及び
(ii)ビタミンE TPGS(VitE TPGS)、又は50/50ポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)もしくは75/25ポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)(PLGA)から選択される共重合体
を含む、薬学的に受容可能な賦形剤の混合物
を含み、
前記医薬組成物は水を含まず、液体又はゲル状であり、SN-38は沈殿することなく前記賦形剤の混合物中に溶解する、医薬組成物。
【請求項8】
前記賦形剤の混合物は、NMP及びVitE TPGSを含み、
(iii)HPC、HPMC、VP/VAc共重合体60/40、ポロキサマー407、ラウロイルマクロゴール-32グリセリド、及び50/50 PLGAもしくは75/25 PLGAの共重合体からなる群より選択されるポリマー、
をさらに含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記賦形剤の混合物は、NMP、及び50/50 PLGA又は75/25 PLGAから選択される共重合体を含み、さらに、前記医薬組成物がゲル形態である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
50/50 PLGA対NMPは、1:3の重量比であり、75/25 PLGA対NMPは、1:2の重量比である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記ポリマーは、HPC又はVP/VAc共重合体60/40から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記ポリマーは、HPCであり、前記医薬組成物は、経口剤形である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
ゲル状又は増粘液状である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記医薬組成物は、カプセル形態又はシリンジ内液体形態である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記賦形剤の混合物は、溶液を形成する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
SN-38の溶解度は、20℃でポロキサマー407を含む前記賦形剤の混合物を除き、20℃で9 mg/gよりも高いが19 mg/gよりも低い、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記ポリマーは、HPC又はHPMCから選択され、SN-38の溶解度が20℃で13 mg/gよりも高いが15 mg/gよりも低い、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記賦形剤の混合物は、共重合体を含み、SN-38の溶解度が20℃で10 mg/gよりも低くない、請求項1又は7に記載の医薬組成物。
【請求項19】
それを必要とする対象において、がんを治療するための医薬の製造における、請求項1から17のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項20】
前記がんは、肝臓がん、膵臓がん、結腸がん、卵巣がん、乳がん、胃がん及び結腸直腸がんからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項19に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、典型的にはSN-38に関し、より具体的には、SN-38の溶解性及び経口吸収性を向上させた製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
SN-38又は7-エチル-10-ヒドロキシ-カンプトテシンは抗悪性腫瘍薬である。それはCPT-11(イリノテカン)の活性代謝物である。CPT-11は水溶性である。静脈内投与される。CPT-11(塩酸塩)の水溶性は水中で25 mM(~15から16 mg/mL)と言われている。一方、SN-38は非常に難溶性である(S<10 μg/mL)。イリノテカンからSN-38への生体内変換は基本的に生物種に依存する。ヒトでは、SN-38を形成する生体内変換は遅く、限定的であり(~5%)、イリノテカンの約33~66%が24時間の点滴終了時に加水分解されずに残った。(Rowinskyら、CANCER RESEARCH 54、427-436、1月15日、1994年)。
【0003】
SN-38はCPT-11の200~2000倍の細胞毒性を有することが確認されているが、薬学的に許容される溶媒への溶解性が低く、脂質膜への親和性が低いため、抗がん剤として使用されてこなかった。SN-38は、in vitro及びin vivoで、様々ながん細胞株及び、卵巣(Zhangら、J. Controlled Release 166(2013)147-158)、乳房(Sapraら、Clin Cancer Res 2008、14(6):1888-1895)、大腸(同上)、胃(Tanakaら、ONCOLOGY REPORTS 14:683-688、2005)、膵臓(Baselら、Small. 2012、8(6):913-920)のがん異種移植片などのヒトがんモデル動物に対して抗腫瘍効果を示してきた。SN-38は基本的に水(<40 μg/mL)及び他のすべての薬学的に許容される溶媒に不溶性である(Zhangら、Intl J. Pharmacol. 270(2004)93-107)。SN-38はその優れた抗腫瘍能で知られているが、SN-38の極めて低い溶解性が、静脈内又は経口のいずれかによる投与によるその開発を大きく妨げている。
【発明の概要】
【0004】
ある態様において、本発明は、医薬組成物であって、a)7-エチル-10-ヒドロキシ-カンプトテシン(SN-38)、及びb)薬学的に受容可能な賦形剤の混合物であって、(i)N-メチルピロリドン(NMP)、及び(ii)ビタミンE TPGS(VitE TPGS)又は共重合体であって、上記共重合体は、50/50ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)又は75/25ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)共重合体(PLGA)であるものを含み、VitE TPGSが存在する場合、上記賦形剤の混合物は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、VP/VAc共重合体60/40、ポロキサマー407、及びラウロイルマクロゴール-32グリセリドからなる群から選択されるポリマーをさらに含むという条件付きである、薬学的に受容可能な賦形剤の混合物を含み、上記医薬組成物は水を含まず、液体又はゲル状であり、上記SN-38は沈殿することなく上記賦形剤の混合物に溶解する、医薬組成物に関する。
【0005】
ある実施形態において、本発明の上記医薬品組成物中の、上記賦形剤の混合物は、(i)NMP、
(ii)VitE TPGS、及び(iii)HPC、HPMC、VP/VAc共重合体60/40、ポロキサマー407、及びラウロイルマクロゴール-32グリセリドからなる群から選択されるポリマーを含む。
【0006】
他の実施形態において、上記賦形剤の混合物は、(i)NMP、VitE TPGS及びHPCの重量比が50:20:1から50:20:2.0、(ii)NMP、VitE TPGS及びHPMCの重量比が50:20:1から50:20:2.0、(iii)NMP、VitE TPGS及びVP/VAc共重合体60/40の重量比が50:20:20.0、(iv)NMP、VitE TPGS及びポロキサマー407の重量比が50:20:20.0、又は(v)NMP、VitE TPGS及びラウロイルマクロゴール-32グリセリドの重量比が50:20:20.0から選択される。
【0007】
他の実施形態において、上記NMP、VitE TPGS及びHPCの重量比は、50:20:1.0から50:20:2.5である。他の実施形態において、上記NMP、VitE TPGS及び上記ポリマーの重量比は、50:20:2.5から50:20:5.0である。上記NMP、VitE TPGS及びHPCの重量比は、50:20:2.0から50:20:5.0であってもよい。
【0008】
他の態様において、本発明は、医薬組成物であって、a)7-エチル-10-ヒドロキシ-カンプトテシン(SN-38)、及びb)薬学的に受容可能な賦形剤の混合物であって、(i)N-メチルピロリドン(NMP)、及び(ii)ビタミンE TPGS(VitE TPGS)、又は50/50ポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)もしくは75/25ポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)(PLGA)から選択される共重合体を含む、薬学的に受容可能な賦形剤の混合物を含み、上記医薬組成物は水を含まず、液体又はゲル状であり、SN-38は沈殿することなく上記賦形剤の混合物中に溶解する、医薬組成物に関する。
【0009】
ある実施形態において、上記賦形剤の混合物は、(i)NMP、(ii)VitE TPGS、及び(iii)HPC、HPMC、VP/VAc共重合体60/40、ポロキサマー407、ラウロイルマクロゴール-32グリセリド、及び50/50 PLGAもしくは75/25 PLGAの共重合体からなる群より選択されるポリマーを含む。
【0010】
他の実施形態において、上記賦形剤の混合物は、上記NMP、及び50/50 PLGA又は75/25 PLGAから選択される共重合体を含み、さらに、上記医薬組成物がゲル形態である。
【0011】
他の実施形態において、50/50 PLGA対NMPは、1:3の重量比であり、75/25 PLGA対NMPは、1:2の重量比である。
【0012】
他の実施形態において、上記ポリマーは、HPC又はVP/VAc共重合体60/40から選択される、
【0013】
他の実施形態において、上記医薬組成物は、経口剤形である。他の実施形態において、上記ポリマーは、HPCであり、上記医薬組成物が経口剤形である。他の実施形態において、上記組成物は、カプセル形態又はシリンジ内液体形態である。上記組成物は、カプセル形態、液体経口剤形、又はシリンジ内液体形態として製剤化されてもよい。
【0014】
他の実施形態において、上記医薬組成物は、ゲル状又は増粘液状であってもよい。
【0015】
他の実施形態において、上記賦形剤の混合物は、溶液を形成する。
【0016】
他の実施形態において、SN-38の溶解度は、20℃でポロキサマー407を含む上記賦形剤の混合物を除き、20℃で9 mg/gよりも高いが19 mg/gよりも低い。
【0017】
他の実施形態において、上記ポリマーは、HPC又はHPMCから選択され、SN-38の溶解度が20℃で9 mg/gよりも高いが15 mg/gよりも低い。
【0018】
他の実施形態において、上記賦形剤の混合物は、共重合体を含み、SN-38の溶解度は、20℃で10 mg/gよりも低くない
【0019】
さらに他の態様において、本発明は、それを必要とする対象において、がんを治療するための医薬の製造における、医薬組成物の使用に関する。
【0020】
本発明はまた、がんを治療するためにそれを必要とする対象に、治療的に有効な量の本発明による医薬組成物を投与することを含む、がんを治療する方法、に関する。
【0021】
ある実施形態において、上記がんは、肝臓がん、膵臓がん、結腸がん、卵巣がん、乳がん、胃がん及び結腸直腸がんからなる群から選択される少なくとも1つである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、SN-38標準溶液のHPLCクロマトグラムである。
【
図2】
図2は、水で希釈した後のサンプルの写真である。上:質量比1:3のPLGA(50:50):NMP、下:質量比1:2のPLGA(75:25):NMP。サンプル#1:SN-38を含む賦形剤(PLGA/NMP)の混合物、サンプル#2:賦形剤(PLGA/NMP)の混合物単独(SN-38なし)。
【
図3】
図3A-Bは、血漿濃度対時間の関係を示すグラフである。
【
図4】
図4A-Bは、処方A及び処方Cの外観を示す写真である。
【
図5】
図5A-Bは、血漿濃度対時間プロファイルを示すグラフである。
【
図6】
図6A-Cは、組織濃度対時間プロファイルを示すチャートである。
【
図7】
図7A-Bは、対照群及び実験群における34日目の腫瘍重量及び腫瘍体積を示す点プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
定義
本明細書で使用される用語は、一般に、当該技術分野、本発明の文脈内、及び各用語が使用される特定の文脈における通常の意味を有する。本発明を説明するために使用される特定の用語は、本発明の説明に関して当業者に追加の指針を提供するために、後述又は本明細書の他の箇所で説明される。便宜上、特定の用語は、例えばイタリック体及び/又は引用符を用いて強調表示されてもよい。強調表示の使用は、用語の範囲及び意味に影響を及ぼさず、用語の範囲及び意味は、強調表示されているか否かにかかわらず、同じ文脈において同じである。同じことを複数の方法で言い得ることは理解されるであろう。従って、本明細書で説明する用語のいずれか1つ又は複数には、代替語や同義語が使用されてもよく、ある用語が本明細書で詳述又は説明されているか否かに特別な意味が置かれることはない。特定の用語の同義語が記載されている。1つ又は複数の同義語の記載は、他の同義語の使用を排除するものではない。本明細書で説明するいずれかの用語の例を含む、本明細書のあらゆる場所での例の使用は、例示に過ぎない。
【0024】
特に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾が生じた場合は、定義を含む本明細書が優先される。
【0025】
「溶液」という用語は、十分な量の溶解媒体(溶媒)中に分子状に分散した1つ又は複数の物質(溶質)の均質な混合物として定義される。
【0026】
本明細書において、「製剤」、「組成物」、「医薬混合物」、「医薬組成物」という用語は互換性がある。
【0027】
本明細書において、「製剤」とは、「特定の処方に従って調製された任意の混合物又は物質」、及び/又は「カプセルなどに限定されないが、特定の形態で製剤化された医薬製剤」を指す。
【0028】
「組成物」という用語は、結果として生じる状態又は生産物、及び/又は2つもしくはそれよりも多くの物質から形成される集合体を指す。
【0029】
本明細書において、「準備」とは、準備されている状態、及び/又は「準備されたもの、製造されたもの」を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「を除く」という用語は、「除外」、「除外する」と定義される。
【0031】
ゲル又はゲル液状体は、溶液よりも固い形態のコロイドである。場合によっては、主にその粘度によって、「半固体」や「非水性液体」と呼ばれることもある。
【0032】
「有効量」とは、治療対象に対して治療効果を付与するために必要な活性薬剤の量を指す。有効量は、当業者が認識するように、投与経路、賦形剤の使用量、及び他の治療処置との併用の可能性に応じて変化する。
【0033】
「治療する」又は「治療」という用語は、疾患、もしくは症状又はそのような疾患に対する素因を有する対象に、疾患、その症状、又はそれに対する素因を緩和、軽減、治療、又は改善させる目的で、有効量の治療薬剤を投与することを指す。
【0034】
「C24」という用語は、投与24時間後に記録された薬物濃度の測定値を指す。
【0035】
米国保健福祉省食品医薬品局が発表した「成人健康ボランティアにおける治療薬の臨床試験での安全な開始用量を推定する産業界及び審査担当者のためのガイダンス」では、「ヒト等価用量(HED)」は以下の式から計算して求めることができると開示されている
:HED=動物用量 in mg/kg ×(動物体重 in kg/ヒト体重 in kg)0.33。
【0036】
in-vivo実験に使用した動物の体重の範囲は19.4から24.7gである。平均体重は約22.5gであった。
【0037】
同義語:
GELUCIRE(登録商標)50/13:ステアロイルポリオキシル-32グリセリド、ステアロイルポリオキシル/マクロゴール32グリセリド。
GELUCIRE(登録商標)48/16:モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ステアリン酸PEG-32。
GELUCIRE(登録商標)44/14:ラウロイルポリオキシル-32グリセリド、ラウロイルポリオキシル/マクロゴール32グリセリド、ラウロイルマクロゴール-32グリセリド、ラウロイルPEG-32グリセリド。
KOLLIDON(登録商標)VA 64:VP/Vac共重合体60/40は、VP(ビニルピロリドン)60%/VA(酢酸ビニル)40%で、コポビドン、コポリビドン、ビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体、1-ビニル-2-ピロリドンと酢酸ビニルの質量比6:4の共重合体とも呼ばれる。
TPGS、コハク酸ビタミンEポリエチレングリコール、ビタミンE-TPGS、コハク酸D-α-トコフェロールポリエチレングリコール、コハク酸D-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000は同義語である。
LUTROL(登録商標)F 127はポロキサマー407であり、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)である。
【0038】
略語。NMP:N-メチルピロリドン、VitE TPGS:コハク酸D-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000、VP/Vac共重合体60/40:1-ビニル-2-ピロリドン-酢酸ビニル共重合体60/40、
HPC:ヒドロキシプロピルセルロース、HPMC:ヒドロキシプロピルメチルセルロース、PO:経口、PEG:ポリエチレングリコール、QD:1日1回、SEM:平均値の標準誤差。
【0039】
有用性:
本発明は、イリノテカンの活性代謝物であるSN-38の革新的な経口製剤に関する。大腸がん、肝臓がん、及び膵臓がんなどの治療に使用するために、経口抗腫瘍剤又は抗がん剤又は医薬組成物が開示される。この医薬組成物は、市販の注射剤であるイリノテカンと比較して軽減された全身性副作用を有する。本発明による医薬組成物のさらなる利点には、利便性の高い使用及びより良好な患者のコンプライアンス(静脈内投与に対して経口)が含まれる。本発明の組成物又は製剤は、任意のリポソーム製剤及び任意の固体形態を除外する。すなわち、本発明の組成物は、いかなるリポソームも又はいかなる固体形態も含まない。それは、半固形製剤又は液体製剤のいずれであってもよい。本明細書において、本発明の組成物は半固体又は液体形態である。
【0040】
イリノテカンもSN-38もカンプトテシンの誘導体である。これらは新規化合物(NCE)ではない。イリノテカンはSN-38に水溶性部位を付加して合成され、SN-38の水溶性が極めて低いことから、SN-38のプロドラッグとみなされている。SN-38は、複製に必要なDNA構造の操作を制御するトポイソメラーゼ酵素(トポイソメラーゼI)を阻害する。
【0041】
イリノテカンはすでにCAMPTOSAR(登録商標)(ファイザー)として静脈内投与で販売され、強力な抗がん剤として使用されているが、現在、経口又は静脈内投与のいずれもSN-38の医薬品は世界的に承認又は市販されていない。
【0042】
SN-38の経口製剤は、イリノテカンを使用する際の薬物負担を少なくとも20分の1に軽減するはずであるが、がん患者の治療における全体的な治療効果を損なわないはずである。静脈内投与されたイリノテカンと比較して、本出願人は、肝臓、膵臓、及び結腸を含むいくつかの臓器組織にわたって、より大きいとは言えないまでも、同等の吸収を実証している。本発明の組成物は、標的腫瘍組織に十分なSN-38と低い全身血漿レベルを提供する。
【0043】
イリノテカンはすでに大腸がん及び膵臓がんに対して承認されている。本出願人は、SN-38(「TRX-920」)の経口製剤が肝臓がん及び膵臓がんの治療においても有効である可能性を前臨床試験データが示唆していることを示している。薬物動態学的研究は、長い半減期が血漿及び標的組織におけるSN-38の徐放性プロファイルをもたらすことを示している(
図6A)。経口投与は、利便性が向上するため、患者のコンプライアンスが向上するはずである。経口処方A又はCは肝臓組織において持続的なSN-38濃度を示し、これはSN-38経口製剤の半減期がCPT-11の静脈内投与よりもはるかに長いことを意味する(
図6A)経口処方A又はCは、結腸組織においてCPT-11(iv)よりも少なくとも20倍高いSN-38濃度及び薬物曝露AUC0-24を示した。全体として、薬物分布データは、結腸がん治療における経口SN-38製剤の使用が、従来のCPT-11の静脈内投与よりも治療的に有効であることを裏付けると考えられる(
図6C)。本発明によるSN-38の経口製剤によって提供される他の潜在的な利益としては、
(1)イリノテカンに関連した"遺伝性フルクトース不耐症"のがん患者が経口SN-38の恩恵を受けられる。
(2)イリノテカンの静脈内投与と比較して、抗原性、嘔吐、又は骨髄抑制が軽減される。このことは、SN-38がモルモットで抗原性の可能性を示さなかったのに対し、イリノテカンはモルモット及びウサギで抗原性の可能性を示したように、抗原性が低下していることからも明らかであり、及び
(3)動物試験において、SN-38治療による嘔吐作用を軽減する。イリノテカン20 mg/kg(i.v.)投与では、6匹のイヌのうち5匹が投与後1~2分以内に嘔吐を示した。イリノテカン40 mg/kgでは1分で嘔吐が誘発され、2匹のイヌは3分後及び6分後に死亡した。SN-38(11.6 mg/kg、i.v.)をイヌに投与した場合、嘔吐及び悪心は認められなかった(PRODUCT MONOGRAPH、Pr Irinotecan Hydrochloride Injection、Auro Pharma Inc.カナダ、オンタリオ州、提出管理番号:216121、2020年6月、44ページ)。
が挙げられる。
【実施例】
【0044】
(A)製剤設計及び開発
I.賦形剤のスクリーニング
我々は、経口用にソフトもしくはハードシェルカプセル又はプレフィルドシリンジに充填可能な粘性エマルジョン又はゲルなどの経口的に許容される半固形又は液体製剤を同定することを目的として、SN-38の溶解度を高める能力について、様々なタイプの経口賦形剤及び賦形剤の組み合わせをスクリーニングした。SN-38と種々の溶媒及び賦形剤との様々な組み合わせを試験した。これらの予備的なプロトタイプ製剤は、経口投与後のSN-38の経口バイオアベイラビリティ及び消化管局所耐容性を評価するための動物実験に使用される。
【0045】
この試験の最初の工程は、SN-38化合物を最もよく可溶化するビヒクルを同定するための製剤スクリーニングである。濃度は50 mg/mLを目標とする。第二工程では、賦形剤混合物を20 mg/mLという新たな(より低い)目標値で試験する。
【0046】
II.材料及び方法
II.1 化合物。表1に試験化合物を示す。
【表1】
【0047】
II.2 反応物質及び賦形剤
表2は、試験に使用した最適な賦形剤及び反応物質の参考文献のリストである。
【表2】
【0048】
II.3 製剤スクリーニング
飽和は、所定量の試験媒体に徐々に過剰の活性成分(最大目標は50 mg/mL)を添加することで得られる。サンプルが飽和したように見えたら、遮光して20℃で24時間かけて磁気攪拌する。
その後、上清を分離し、溶媒混合物で希釈してクロマトグラフィーシステムに注入する。各媒体の溶液中の濃度をHPLC(外部標準化)によって測定する。
【0049】
II.4 HPLC。表3にHPLCの測定方法を示す。
【表3】
【0050】
III 結果
III.1 内服液スクリーニング
III.1.1 製剤スクリーニング。5 mg/mLの濃度がまず目標とされ、5 mg/mLが溶解する場合はバルクを加える必要がある。飽和に1 mL当たり50 mgのバルクを必要とするNMPサンプルを除き、試験した媒体はいずれも5 mg/mLに達しなかった。24時間の磁気攪拌の後、すべてのサンプルが飽和していることが確認され、分析される。その結果得られた溶解度(HPLCの結果)を、6つの最適な賦形剤又は賦形剤溶液(10種の試験された賦形剤リストより)について下表に示す。表4は製剤スクリーニングの結果である。
【表4】
【0051】
予想通り、SN-38はほとんどの試験媒体において非常に溶解性が低く、SN-38の溶解度が42 mg/gに達したNMPを除き、溶解度の結果は目標の50 mg/mLには程遠いものであった。プロピレングリコール及びCapmul MCMでは、SN-38はそれぞれ1.15 mg/g及び0.054 mg/gで溶解する。他のすべての試験媒体では、SN-38の溶解度は0.054 mg/gより低い。
【0052】
III.1.2 暫定的な製剤の最適化。動物で試験可能な製剤中のSN-38濃度を高めるために、最適な賦形剤の組み合わせがここで検討された。NMPがSN-38の最適な可溶化剤であるという事実に基づき、そして20 mg/mLが新たな目標であることを考慮し、以下の混合物を選択した。
(i)NMP/VitE TPGS/Capmul MCM/Tween 20(50/20/10/20 - w/w)
(ii)NMP/VitE TPGS/IPM/Solutol HS15(50/20/10/20- w/w)
(iii)NMP/VitE TPGS/Mygliol 812/プロピレングリコール(50/20/10/20 - w/w)
(iv)NMP/VitE TPGS/Labrafac Lipophile WL1349/ラウログリコール(50/20/10/20 - w/w)
表5は、様々な混合物におけるSN-38の溶解度(HPLCの結果)を示す。
【表5】
【0053】
残りのNMPの量(これら4つの新しい媒体ではそれぞれ50%)にもかかわらず、これらの混合物はいずれも20 mg/gのSN-38を可溶化することができなかった。
「NMP/Vit E TPGS/IPM /Solutol HS15(50/20/10/20 - w/w)」の混合物では、SN-38の溶解度は9.04 mg/gに達した。
注1:どのような混合物であれ、分離された飽和上清を、水を加えて即座に2倍に希釈すると、直ちに顕著な沈殿が観察される。
【0054】
III.1.3 中間的な結論。目標とする50 mg/mL可溶性SN-38は、どの試験液体賦形剤又は界面活性剤の高負荷水溶液でも達成されていない。NMPへの溶解度はかなり高いが(42 mg/mL)、この賦形剤は患者に投与されることはまれであり(1つの注射剤が確認されている)、純粋に投与されることはなく、まだ定義されていない混合物で投与されることが考えられる。
【0055】
その後、NMPを50%含み(SN-38の目標溶解度20 mg/mL付近に留まるようにするため)、中程度の長さの脂質鎖賦形剤と界面活性剤を導入した4種類の賦形剤の組み合わせを試験した。いずれの試験混合物も10 mg/mLに達することはできなかった(9 mg/mLは「NMP/Vit E TPGS /IPM/Solutol HS15(50/20/10/20 -w/w)」混合物で得られた)。
注:水で2倍に希釈した後、4つの分離された飽和賦形剤混合物はいずれもSN-38の再沈殿を妨げなかった。
【0056】
III.2 経口バイオアベイラビリティ向上試験
これまでの結果に加え、NMP(SN-38の可溶化)及びVitE TPGS(P-糖タンパク質及び肝前シトクロムP450の阻害)を含むビヒクル中にポリマーを添加する追加実験が行われた。
このポリマーは、水での希釈時にSN-38の沈殿を緩和する可能性がある。
第二工程では、ポリマーを含むNMP/VitE TPGSビヒクル中でのSN-38の溶解度を追加測定する。
【0057】
III.2.1 ポリマー(第3賦形剤)のNMPへの見かけの溶解度。9種類のポリマー及び1種類のGELUCIRE(登録商標)を、「NMP+VitE TPGS+ポリマー」のビヒクル組成物を選択する目的で、NMPに対する溶解性を試験した。
目標とする第3の賦形剤の対NMP比率は10%(w/w)であり、10%で溶解しない場合は5%となる。表6にNMPに対するポリマーの溶解度を示す。
【表6】
【0058】
4つの試験ポリマー(PVP K90、KOLLIDON(登録商標)VA64、LUTROL(登録商標)F127、及びGELUCIRE(登録商標))をNMP中10%で導入すると、液体混合物になる。KOLLIDON(登録商標)VA64及びLUTROL(登録商標)F127の場合、NMP中10%では低粘度であることから、次の試験ではNMP中20%まで粘度を上げることが可能であろう。
他の試験ポリマー(Carbopol 971P、Carbopol 974P、Noveon AA1、Methocel E4M、Methocel E10M、Methocel A15C)は非水溶性か、又は興味深いことにゲル(非流動性ゲル/透明又は濁りのいずれか)になる。
【0059】
III.2.2 混合物へのVitE TPGSの導入及びSN-38溶解度の測定
III.2.2.1 NMP/VitE TPGSの混合物に対する選択した賦形剤の溶解度。次に、上記の3つの選択されたポリマーと1つのGELUCIRE(登録商標)をNMP/VitE TPGS混合物に以下の2つの組成で導入する。NMP/VitE TPGS/ポリマーは50/20/10(w/w/w)又は50/20/20(w/w/w)。表7は、NMP/VitE TPGS混合物におけるポリマーの溶解度を示す。
【表7】
(1)LUTROL(登録商標)F127を含む混合物の場合はゲル化を避けるため25℃
【0060】
III.2.2.2 SN-38のNMP/VitE TPGS/賦形剤混合物への溶解度。次に、SN-38の溶解度を、NMP/VitETPGS混合物だけでなく、他の3つのNMP/VitE TPGS/ポリマー混合物でも測定し、比較を行った。表8は、NMP/VitE TPGS/ポリマー混合物におけるSN-38の溶解度(HPLCの結果)を示している。
【表8】
(2)LUTROL(登録商標)F127を含む混合物(25℃)を除き、20℃
【0061】
SN-38の最大溶解度は、混合物NMP/VitE TPGS 50/20w/wにおいて達成され、初期目標濃度(20 mg/g)に非常に近い値であった。この混合物に試験賦形剤を添加しても、SN-38の溶解度は改善されない。注:上記の試験した新しい混合物が何であれ、分離された飽和上清の少量が水の添加により即座に2倍に希釈されると、顕著な沈殿が再び直ちに観察される。
【0062】
III.2.3 ゲル化したSN-38
いくつかのポリマーはNMPに溶解するとゲルを形成する。実現可能であれば、ゲル化したSN-38製剤を動物薬物動態試験で試験し、この製剤によるSN-38の放出調節がSN-38の経口吸収及びバイオアベイラビリティを改善できるかどうかを確認することができる。
【0063】
最初の試験方法は、NMP/VitE TPGS混合物(SN-38の溶解度が最も高い混合物)中のSN-38の溶液を使用し、目的とする様々なポリマーを添加してゲルの形成を試み、同時にSN-38が各最終混合物中で溶解性を維持するかどうかを確認する。SN-38を添加する前に、各試験ポリマーについて、まずNMP/VitE TPGS 50/20 w/wでの溶解性ならびにゲル形成能を確認した。表9は、NMP/VitE TPGS混合物におけるゲル化/増粘ポリマーの視覚的溶解性検査である。
【表9】
【0064】
4つの試験ポリマー(Noveon AA1、Carbopol 971P、Carbopol 974P、及びMethylcellulose A15C)は、NMP/VitE TPGS(50/20)混合物に溶解しない。他の3つの試験ポリマーはゲル(又は増粘した液体)になる。試験混合物の見かけの粘度、及び残存する非溶解ポリマー画分の存在に基づき、SN-38でさらに試験を行う場合、HPMC E4M及びHPMC E10Mの選択割合は4%(対NMP%w)とする。
【0065】
HPCについては、上記の両方の試験した割合(2%と5%)でSN-38をさらに試験する。以前に測定されたNMP/VitE TPGS 50/20混合物中のSN-38の飽和溶解度(≒18.5 mg/g)を考慮し、SN-38の15 mg/gの溶液を試験する。この出発溶液は、20℃で24時間撹拌して調製し、その後、ポリマー可溶化に使用する前に濾過する。
【0066】
目的の3つのポリマー(HPMC E4M、HPMC E10M、及びHPC Klucel)を(上記の選択された割合に従って)秤量し、可溶化のためにNMP/VitE TPGS 50/20混合物中のSN-38溶液に撹拌下で添加する。20℃で24時間撹拌した後、3つのサンプルを目視で観察し、そのSN-38含量を(適切な溶媒で希釈した後)HPLCで評価する。
【0067】
NMP / VitE TPGS / HPC(50w:20w:5w対NMP)中のSN-38製剤サンプル。
賦形剤:N-メチル-ピロリドン(NMP)、ビタミンE TPGS(VitE TPGS)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)。
【0068】
SN-38可溶化用媒体組成物
媒体:NMP / VitE TPGS 50w:20w
組成物:70gのビヒクルの調製用:(1)VitE TPGS(室温で固体)を60℃で溶融させる。(2)50gのNMP及び20gのVitE TPGSを適切なボトルに導入する。(3)混合物が均一に見えるまで、ビヒクル組成物を効率的な磁気攪拌によって混合する。
【0069】
NMP/VitE TPGS / HPC中で3.75 mg/gのSN-38製剤サンプルを調製するためのプロトコル
SN-38の可溶化媒体の製造:「NMP / VitE TPGS 50w:20w」ビヒクルをまず単純混合により調製する(上記の通り)。
SN-38溶液の調製必要量の SN-38 を適切な容量のガラス容器に正確に量り取る。次に、3.89 mg/g*(*:5%HPC(5%w対NMP)の最終添加後の最終小希釈を考慮した濃度)となるように、先に調製したビヒクル(NMP / VitE TPGS 50w:20w)の所望量をSN-38医薬品有効成分粉末に添加する。その後、調製液を遮光しながら一晩又は完全な可溶化が確認されるまで撹拌する。注:SN-38溶液は、最終的な「ゲル」のように黄色を帯びている。
【0070】
SN-38溶液の増粘
必要量のHPC(サンプルに存在するNMPの質量に対して5% w/wに相当)を適切なフラスコで正確に秤量する。その後、HPCをNMP/VitE TPGS中で先に調製したSN-38溶液に(凝集体を形成させずに素早く)振りかける(その溶液は強力な磁気攪拌下に維持される)。磁気攪拌は、製剤の粘度が磁気バーによる攪拌の継続を妨げるまで(増粘がほぼ完了するまで)、数分間維持される。その後、ガラスフラスコをオービタルシェーカーに移し、さらに1日(又は少なくとも一晩)撹拌し、HPCの可溶化及び最終サンプルの均質化を完了する。SN-38の増粘が完了したら、製剤は使用可能な状態になり、分注することができる。*注:プロセス全体は室温(約20~25℃)で行う。表10は、SN-38「ゲル」の巨視的観察結果である。表11はSN-38ゲルのHPLC結果である。
【表10】
(1)表示されたポリマーの割合は、NMP/VitE混合物中に存在するNMP含有量に対して計算される。
【0071】
【表11】
(1)表示されたポリマーの割合は、NMP/VitE(5w/2w)混合物中に存在するNMP含有量に対して計算される。
【0072】
ゲル化のためにSN-38/NMP/VitE TPGS溶液にポリマーを添加した場合、SN-38の沈殿は観察されなかった。様々な結果として得られる最終的なSN-38製剤は、均質な「ゲル」(多かれ少なかれ粘性のある黄色の透明溶液)である。注:これらの(SN-38飽和)ゲル1容量に水1容量を加えると、SN-38が著しく沈殿する。
【0073】
III.2.4 PLGAを配合したSN-38
選択したPLGAを暫定的なSN-38製剤に投入する前に、まず両ポリマーの溶解性をNMP中で1:2(w:w)の質量比(すなわち、2gのNMPに対して1gのPLGA)で目視確認した。50/50 PLGAポリマーはこの条件では完全に溶解しないので、1:3の質量比で再度試験する(表12参照)。表12は、NMP中でのPLGAの目視溶解性確認である。
【表12】
注:わずかな加熱(約40℃)はPLGAの溶解を助ける。
【0074】
これらの2つのPLGA/NMP溶液混合物におけるSN-38可溶化は、次いで、20 mg/gのSN-38開始濃度で試験され、その後、必要に応じて試験濃度を減少させる。表13は、PLGA/NMP混合物における暫定的なSN-38可溶化の巨視的観察の結果を示す。
【表13】
【0075】
SN-38は10 mg/gで質量比1:2のPLGA(75:25):NMP混合物に溶解する。より優れたSN-38の溶解性は、質量比1:3のPLGA(50:50):NMP混合物で観察され、これは、おそらく試験サンプル中のNMPの割合が高いためだと考えられる。注:これら2つのSN-38溶液(NMP+PLGA中)を、水を加えて即座に2倍に希釈すると、直ちに白色の沈殿が観察される(
図2参照)。また、プラセボPLGA/NMP混合液(SN-38なし)を水で希釈しても、非常によく似た沈殿が観察される(プラセボ及びSN-38含有製剤の沈殿を視覚的に区別するのは容易ではない)。
【0076】
III.3 結論
様々な試験された賦形剤の組み合わせの中で、SN-38の溶解度はNMP/VitE TPGS 50/20(w/w)の混合物で最大に達した(18.5 mg/g)。
KOLLIDON(登録商標)VA64(2w)の追加、LUTROL(登録商標)、F127(2w)又はGELUCIRE(登録商標)(2w)をNMP/VitE TPGS(5w/2w)に添加することが可能で、混合物は液体のままであるため、SN-38の溶解度を測定することができる(それぞれ15.6 mg/g、10.0 mg/g、及び9.2 mg/g)。
HPMC(E4M もしくはE10M)又はHPC Klucelを添加することにより、SN-38を沈殿させることなく、NMP/VitE TPGS(5w/2w)混合物中の15 mg/gのSN-38溶液により、これらの各ポリマーを直接可溶化して「ゲル」を形成することができる。
SN-38は質量比1:2のPLGA(75:25):NMP混合物に10 mg/g、質量比1:3のPLGA(50:50):NMP混合物に15 mg/mLで溶解する。
すべてのサンプルにおいて水を加えると、著しい沈殿が生じる。
【0077】
(B)動物経口薬物動態及び組織分布試験
選択した製剤の経口投与後のSN-38の薬物動態(PK)及び組織分布を調べるため、げっ歯類(ラット)及び非げっ歯類(ビーグル犬)試験を実施した。
【0078】
1.ビーグル犬に対するCPT-11/SN-38の単回静脈内投与又は単回経口投与後のCPT-11/SN-38の薬物動態。
(1)試験デザイン:表14に示すレジメンに従い、6匹のオス及び3匹のメスの治療歴のあるビーグル犬をCPT-11及びSN-38で治療した。
【表14】
*イヌへの投与は、製剤中の化合物の不溶性のため行わなかった。
【0079】
(2)結果。PKデータ:
【表15】
a:処方A:NMP:VitE TPGS:KOLLIDON(登録商標)VA64
b:処方B:NMP:VitE TPGS:HPMC E4M
c:処方C:NMP:VitE TPGS:HPC
【0080】
2.Sprague-Dawleyラットに対するCTP-11の単回静脈内投与又はSN-38経口製剤の単回経口投与後のCTP-11/SN-38の薬物動態及び組織分布。
動物薬物動態試験でさらに評価するために選択した2つの候補製剤:製剤A(TRX-920A):最大濃度~15 mg/gで可溶、及び製剤C(TRX-920B):最大濃度~15 mg/gで可溶。
外観は異なっている。処方A(TRX-920AH)は黄色の粘性溶液であり、処方C(TRX-920BH)は黄色のゲル化溶液であった(
図4A-B)。
【0081】
【0082】
【表17】
処方A:SN-38 in NMP:VitE TPGS:KOLLIDON(登録商標)VA64(50:20:20、w/w)。
処方C:SN-38 in NMP:VitE TPGS:HPC(50:20:5、w/w)。
【0083】
図5A-Bは、CPT-11の静脈内投与及びSN-38の経口処方の血漿中濃度対時間プロファイルを示す。
経口処方A又はCによる低い血漿中SN-38濃度により、イリノテカン(CPT-11)の静脈内注射よりも全身性の副作用がはるかに少ないと予想される。
【0084】
選択された組織における薬物分布:
表18及び
図6A-Cは、肝臓、膵臓及び結腸における薬物分布を示している。
【表18】
*ヒト曝露量に標準化(すなわち、ヒトのSN-38への変換率5%に対し、ラットは83.7%)。
【0085】
処方Aの場合、結腸におけるSN-38のAUC0-24は6320であり、CPT-11(216)のそれよりも29.3倍大きい。同様に、処方Cの場合、結腸におけるSN-38のAUC0-24は15578であり、CPT-11(216)よりも約72倍大きい。
【0086】
この結果より、CPT-11の静脈内投与と比較して、経口SN-38製剤は結腸におけるSN-38の組織濃度を30倍超に高め、結腸直腸がんの治療に十分な薬物曝露量を確保できることが示された。
【0087】
経口SN-38製剤は、これらの組織において持続的に放出されるSN-38レベルを提供し、がん患者における経口投与の良好なPKプロファイルを示唆する。
【0088】
経口SN-38製剤は、CPT-11の静脈内投与と比較して、CPT-11の曝露がなく、SN-38の血漿中濃度が10~30倍低いため、全身性の副作用が非常に少なく、優れた安全性が確保されている。
【0089】
経口SN-38製剤は、肝臓及び膵臓において、CPT-11の静脈内投与と同程度のSN-38(AUC)を示し、したがって、肝臓及び膵臓の腫瘍の治療に有用である可能性がある。
【0090】
これらの動物PK試験では、選択された経口SN-38製剤は、肝臓及び結腸などの標的腫瘍組織に十分なSN-38を供給し、長い半減期(T1/2)を有し、そして、血漿中及び標的組織において徐放性プロファイルをもたらすことが示された。結論として、動物PK試験の結果から評価した後、SN-38の溶解度~15 mg/gを含有する以下の2つの候補製剤を、異種移植モデルにおける動物薬理学的(有効性)試験のために選択した。
1)処方A:SN-38 in NMP:VitE TPGS:KOLLIDON(登録商標)VA64(50:20:20、w/w)
2)処方C:SN-38 in NMP:VitE TPGS:HPC(50:20:5、w/w)
【0091】
(C)動物薬理学的(有効性)試験
これまでの溶解性試験及び薬物動態学的評価に基づいて、選択されたSN-38の経口製剤は、所望の抗腫瘍活性を示すために、所定の投与レジメンをヒト類似腫瘍(例えば、HCT-116結腸がん細胞)同所性異種移植マウスモデルでさらに評価するために選択された。予定された経口投与による反復投与後、個々の経口SN-38製剤の薬理効果を、陽性対照としてイリノテカンの静脈内投与(i.v.)又は腹腔内投与(i.p.)と比較して、腫瘍増殖抑制率(TGI%)により測定した。
【0092】
試験#1-同所性HCT-116異種移植モデルを用いたTRX-920製剤の単剤経口投与における有効性評価のための高度な解析
処方A及び処方Cを同所性ヒト結腸がん異種移植マウスモデルで評価し、その薬理効果を示した。これらの試験において、製剤A及びCの両方が薬理学的に活性であることが示され、処方Cは処方Aよりも有効であった。全体として、SN-38の経口製剤は、同所性HCT-116ヒト結腸がん細胞マウス異種移植モデルにおいて示されたように、結腸がんの治療に有効であることが示された。実験デザイン及び結果を以下の表にまとめた。
【0093】
(1)試験デザイン:
【表19】
処方A-H及び処方A-Lは高及び低用量レベルの処方A、処方C-H及び処方C-Lは高及び低用量レベルの処方Cである。
薬物治療の頻度と回数:BIW(biw又はb.i.w.):1週間のうち1日目と4日目(週2回)、Q4D:4日に1回。
【0094】
【0095】
結果:同様の抗腫瘍活性(34日目の腫瘍重量及び腫瘍体積で16~17%及び31~34%のTGI)が、低用量2.4 mg/kgの処方A及び、高用量及び低用量の12 mg/kg及び2.4 mg/kgの処方Cの投与で観察された。全体として、製剤A及びCはともに薬理学的に活性であり、処方Cは処方Aよりも有効であった。
【0096】
試験#2-メスBALB/cヌードマウスの同所性HCT-116異種移植モデルを用いたTRX-920単剤経口投与の有効性評価に関するフォローアップ試験の高度解析。
同じ異種移植マウスモデルにおいて、投与頻度を増加させた経口SN-38製剤(処方C)をさらに評価するために、フォローアップ試験が実施された。実験デザイン及び結果は以下の表に要約されている。簡潔に述べると、SN-38の2.5、7.5及び15.0 mg/kgの用量の処方Cを、QD×4日、4日休薬、BIW×3回で動物に経口投与した。腫瘍増殖抑制率(TGI%)は、32日目の腫瘍重量及び腫瘍体積から測定し、治療なしの対照と比較した。
【0097】
(1)試験デザイン:
【表21】
処方C-H、処方C-M及び処方C-Lは高、中及び低用量レベルの処方Cである。
BIW:1週間ごとに1日目と4日目、QD:1日1回(毎日)。
【0098】
【0099】
TGI%値は、処方C-H群、-M群、-L群でそれぞれ7~18%、55%、50~59%であった。処方C-M及び-L群は同等かつ有意な抗腫瘍効果を示したが、処方C-H群ではTGI%が低く、おそらく経口投与後のSN-38固有の消化器毒性反応によって損なわれたものと思われる。本研究により、経口SN-38製剤(例:この試験における処方C)の十分に確立された抗腫瘍異種移植マウスモデルに対する有意な薬理学的効果が再び示された。
【0100】
試験#3-同所性HCT-116異種移植マウスモデルを用いたTRX-920経口投与のin vivo有効性の検討
本試験は、同じ異種移植マウスモデルにおいて、経口SN-38製剤(すなわち、処方C又は本試験においてTRX-920と表記)の最小有効用量を決定するために実施された。簡潔に述べると、処方CをSN-38として0.09~7.5mg/kgの用量範囲でBIW×3週間経口投与した。腫瘍増殖抑制効果(TGI%)は、34日目の腫瘍重量及び腫瘍体積から測定し、治療なしの対照と比較した。実験デザイン及び結果を表23~24にまとめる。
【0101】
(1)試験デザイン(処方C、TRX-920と表記。):
【表23】
【0102】
(2)結果:
【表24】
処方C、TRX-920と表記。
【0103】
図7A-Bは、各投与群における34日目の腫瘍重量及び腫瘍体積を示すドットプロットである。BIW×3週間による0.09~7.5 mg/kgの範囲の処方Cの経口投与は、これらの異種移植動物において一般的に良好な忍容性を示した。試験結果は、0.27 mg/kgから7.5 mg/kgの用量範囲において腫瘍サイズの縮小に用量比例的な反応を示し、7.5 mg/kgの用量の処方CはTGIで有意な抗腫瘍効果を示した:腫瘍体積で60.1%、腫瘍重量で52.0%であった(p値≦0.025)。それにもかかわらず、最低用量(0.09 mg/kg)でも、この疾患モデルにおいて予想外ではあるが良好な抗腫瘍効果(43~45%)を示した。この用量反応試験でも、同所性HCT-116異種移植マウスモデルにおいて、経口SN-38製剤(すなわち、本試験における処方C)の有意な抗腫瘍効果が示された。
【0104】
結論として、これら3つの動物薬理学的試験はすべて、経口SN-38製剤、特に処方Cが十分に確立された同所性HCT-116ヒト結腸がん細胞マウス異種移植モデルにおいて有意な抗腫瘍効果を有することを示しており、したがって、結腸直腸がん患者の治療におけるSN-38の新規経口製剤となる可能性がある。
【0105】
本明細書において引用され、議論されているすべての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、各参考文献が個別に参照により組み込まれるのと同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物であって、
a)7-エチル-10-ヒドロキシ-カンプトテシン(SN-38)、及び
b)薬学的に受容可能な賦形剤の混合物であって、
(i)N-メチルピロリドン(NMP)、及び
(ii)ビタミンE TPGS(VitE TPGS)又は共重合体であって、前記共重合体は、50/50ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)又は75/25ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)共重合体(PLGA)であるもの
を含み、
VitE TPGSが存在する場合、前記賦形剤の混合物は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、VP/VAc共重合体60/40、ポロキサマー407、及びラウロイルマクロゴール-32グリセリドからなる群から選択されるポリマーをさらに含むという条件付きである、薬学的に受容可能な賦形剤の混合物
を含み、
前記医薬組成物は水を含まず、液体又はゲル状であり、前記SN-38は沈殿することなく前記賦形剤の混合物に溶解する、医薬組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の医薬組成物であって、前記賦形剤の混合物は、
(i)NMP、
(ii)VitE TPGS、及び
(iii)HPC、HPMC、VP/VAc共重合体60/40、ポロキサマー407、及びラウロイルマクロゴール-32グリセリドからなる群から選択されるポリマー
を含む、医薬組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の医薬組成物であって、前記賦形剤の混合物は、
(i)NMP、VitE TPGS及びHPCの重量比が50:20:1から50:20:2.0、
(ii)NMP、VitE TPGS及びHPMCの重量比が50:20:1から50:20:2.0、
(iii)NMP、VitE TPGS及びVP/VAc共重合体60/40の重量比が50:20:20.0、
(iv)NMP、VitE TPGS及びポロキサマー407の重量比が50:20:20.0、又は
(v)NMP、VitE TPGS及びラウロイルマクロゴール-32グリセリドの重量比が50:20:20.0
から選択される、医薬組成物。
【請求項4】
前記NMP、VitE TPGS及びHPCの重量比は、50:20:2.0から50:20:5.0である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記NMP、VitE TPGS及び前記ポリマーの重量比は、50:20:2.5から50:20:5.0である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
経口剤形である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
医薬組成物であって、
a)7-エチル-10-ヒドロキシ-カンプトテシン(SN-38)、及び
b)薬学的に受容可能な賦形剤の混合物であって、
(i)N-メチルピロリドン(NMP)、及び
(ii)ビタミンE TPGS(VitE TPGS)、又は50/50ポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)もしくは75/25ポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)(PLGA)から選択される共重合体
を含む、薬学的に受容可能な賦形剤の混合物
を含み、
前記医薬組成物は水を含まず、液体又はゲル状であり、SN-38は沈殿することなく前記賦形剤の混合物中に溶解する、医薬組成物。
【請求項8】
前記賦形剤の混合物は、NMP及びVitE TPGSを含み、
(iii)HPC、HPMC、VP/VAc共重合体60/40、ポロキサマー407、ラウロイルマクロゴール-32グリセリド、及び50/50 PLGAもしくは75/25 PLGAの共重合体からなる群より選択されるポリマー、
をさらに含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記賦形剤の混合物は、NMP、及び50/50 PLGA又は75/25 PLGAから選択される共重合体を含み、さらに、前記医薬組成物がゲル形態である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
50/50 PLGA対NMPは、1:3の重量比であり、75/25 PLGA対NMPは、1:2の重量比である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記ポリマーは、HPC又はVP/VAc共重合体60/40から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記ポリマーは、HPCであり、前記医薬組成物は、経口剤形である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
ゲル状又は増粘液状である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記医薬組成物は、カプセル形態又はシリンジ内液体形態である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記賦形剤の混合物は、溶液を形成する、請求項1に記載の医薬組成物。
【国際調査報告】