(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法
(51)【国際特許分類】
G06F 30/20 20200101AFI20240903BHJP
G21C 19/40 20060101ALI20240903BHJP
G21C 19/42 20060101ALN20240903BHJP
G06F 113/14 20200101ALN20240903BHJP
【FI】
G06F30/20
G21C19/40 300
G21C19/40 100
G21C19/42
G06F113:14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514083
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 CN2022125580
(87)【国際公開番号】W WO2023093362
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】202111394652.4
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524078767
【氏名又は名称】中国核▲ディェン▼工程有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA NUCLEAR POWER ENGINEERING CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】▲チェン▼ 添
(72)【発明者】
【氏名】▲ヂァン▼ 毅▲チァン▼
(72)【発明者】
【氏名】胡 小利
(72)【発明者】
【氏名】▲フェィ▼ ▲ヂィン▼天
(72)【発明者】
【氏名】易 ▲シュァン▼
(72)【発明者】
【氏名】邵 ▲ヅァン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲イァン▼ 海峰
(72)【発明者】
【氏名】于 ▲ミィアォ▼
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA03
(57)【要約】
本発明は簡略化パイプ設備室全体臨界安全分析方法に関するものであり、核臨界安全分析技術分野に属し、管路内媒体に基づいて分析待ちの設備室のすべての管路に対してスクリーニングを行い、分裂しやすい材料液を含む管路をスクリーニングして有効管路とし、有効管路内の材料液の総体積を計算するステップと、簡略化パイプモデルを構築し、すべての管路を最小配置ピッチで緊密に配列するステップと、パイプモデルの材料液の総体積を不変に保持し、パイプモデル管路の数と高さを変更することで、簡略化パイプモデルの反応性が最大のパイプ寸法を得るステップと、最大反応性を有する簡略化パイプモデルを設備室内の反応性が最大の設備のそばに密着させて、相互作用が最大となるように密着配置するステップと、を含む。本発明が提供する方法は、微細化して逐一パイプを構築する過程よりも大幅に簡便化され、計算分析の効率が向上し、またパイプ材料液を簡単に集めて過度に保守的な手段をとったために計算結果が臨界安全受信基準を超えるという問題が回避されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
S1:管路内媒体に基づいて分析待ちの設備室のすべての管路に対してスクリーニング分析を行い、分裂しやすい材料液を含む管路をスクリーニングして有効管路とし、すべての有効管路内の材料液の総体積を計算し、
S2:簡略化パイプモデルを構築し、前記簡略化パイプモデルにおけるすべての管路は最小配置ピッチで緊密に配列され、
S3:パイプモデルの材料液の総体積を不変に保持し、パイプモデル管路の数と高さを変更することで、検索計算で前記簡略化パイプモデルの反応性が最大のパイプ寸法を得、
S4:前記最大反応性を有する簡略化パイプモデルを設備室内の反応性が最大の設備のそばに密着させて、相互作用が最大でとなるように密着配置する
ステップを含む簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【請求項2】
ステップS1において管路のスクリーニング分析は具体的に、
材料液をガスとする管路、または分裂しやすい材料液を含まない管路をスクリーニングして除去することで、有効管路をスクリーニングし、複数の媒体を輸送する管路に対して、その中のガスの状況を考慮しないというものである
ことを特徴とする請求項1に記載の簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【請求項3】
ステップS1において選択された反応性が最大の材料液供給状態のウラン、プルトニウム濃度について分析する
ことを特徴とする請求項2に記載の簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【請求項4】
ステップS1において有効管路の外径寸法を用いて有効管路材料液の総体積を計算し、管壁が腐食された状況を包絡する
ことを特徴とする請求項3に記載の簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【請求項5】
ステップS2において前記簡略化パイプモデルにおけるすべての管路長は同じであり、管路の管径は有効管路における最も太い管径である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【請求項6】
ステップS2において前記簡略化パイプモデルにおけるすべての管路を最小配置ピッチで緊密に配列することは具体的に、
前記簡略化パイプモデルにおけるすべての管路は三角形アレイで緊密に配列され、輪郭が六角形であるパイプ形状を構成し、管路ピッチはスクリーニングされた有効管路における最も太い管路の実際の最小配置ピッチに基づいて計算することである
ことを特徴とする請求項5に記載の簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【請求項7】
前記簡略化パイプモデルにおける管路壁厚は設定された腐食しろを考慮する
ことを特徴とする請求項6に記載の簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【請求項8】
ステップS3は具体的に、
パイプモデルの材料液の総体積を不変に保持し、六角形パイプの輪数を徐々に増加させ、これに応じて最終的にパイプの長さを徐々に小さくし、検索計算で反応性が最大の六角形簡略化パイプモデルを最終的に得るというものである
ことを特徴とする請求項7に記載の簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【請求項9】
ステップS4において前記最大反応性を有する六角形簡略化パイプモデルを設備室内の反応性が最大の設備のそばに密着させることは具体的に、
六角形簡略化パイプモデルを反応性が最の大の垂直配置の設備のそばに垂直方向に配置し、六角柱の片面を前記設備に密着させ、反応性が最大の設備の近くにその他の反応性が大きい設備があれば、六角形簡略化パイプモデルを2つの設備の間に配置し、反応性が最大の設備に密着させ、反応性が最大の設備の近くに設備室の壁がある場合、六角形簡略化パイプモデルを設備と壁の間に配置し、反応性が最大の設備に密着させることである
ことを特徴とする請求項8に記載の簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【請求項10】
有効管路の中に管径が設定上限値を超え、数が設定値より少ない管路がある場合、その実際の寸法と実際の位置に基づいて単独でモデリングすることができ、残りの管径が前記設定上限値を超えていない有効管路はステップS2~S4に従ってモデリングと分析を展開する
ことを特徴とする請求項6~9のいずれか1項に記載の簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、出願日が2021年11月23日、出願番号がCN202111394652.4、名称が「簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法」である中国特許出願の優先権を主張する。
本発明は核臨界安全分析技術分野に属し、具体的には簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法である。
【背景技術】
【0002】
溶液状態の分裂しやすい材料の処理の際、管路という形式を採用して各処理設備の間で分裂しやすい材料の材料液を搬送することが多い。溶液状態の分裂しやすい材料を処理する施設は往々にして工程の流れが複雑で、分裂しやすい材料の濃度が高く、設備室内に配置された管路の数も多く、材料液の総量も膨大であるため、管路を含む設備室全体臨界安全問題は無視できない要となる問題となっており、設備室の全体臨界安全分析は、これらの管路の臨界安全に対する影響を考慮しなければならない。設備室の管路配置には、配置が複雑で、数が多く、パイプの太さが同一ではなく、ほとんどのパイプは細く、管路の多くは設備と壁の間にあり、少量は設備の間にあることに加えて、パイプの中には分裂しやすい材料を輸送するパイプも、分裂しやすい材料を含まない材料を輸送するパイプもあるという特徴がある。管路配置を考慮した設備室全体臨界安全計算分析を行う場合、通常は精細化分析または保守分析方法を用いる。精細化分析方法は、各パイプの開始位置、直径、壁厚、長さ、管壁材料、材料液成分などのパラメータに基づいてパイプの臨界計算モデルを逐一構築するものであり、この方法の利点はパイプの実際の配置を考慮し、欠点は大量のパイプのモデリング作業を行う必要があり、また、モンカプログラムの臨界計算を使用する時、ソース中性子のサンプリングは分裂しやすい材料を含むパイプや設備に合理的に分布する必要があり、モンカサンプリングのランダム性を保証できず、大量の計算時間を消費する必要がある。このほか、精細化分析の結果は包絡性がなく、パイプ配置設計に変更があった場合は改めて計算しなければならない。もう1つの常用方法は、分裂しやすい材料の材料液を簡単に集めて簡単な幾何体、例えば、溶液壁を形成するというものである。この保守的な方法の利点はモデリングが簡便であることであり、欠点はこのような過度に保守的な方法は管路材料液の総量が大きい場合に、計算結果が臨界安全の要求を満たしにくいことである。従って、適度に保守的でモデリングが簡便で、管路配置を考慮した設備室全体臨界安全分析方法を求める必要がある。
関連特許の検索によると、現在、いくつかの使用済燃料後処理場関連設備の臨界安全分析方法または臨界安全制御方法の発明特許、例えば、「使用済燃料溶解器の臨界安全制御装置」(出願番号:CN20120325882.4)、「核燃料後処理中流動床の臨界安全設計方法」(出願番号:CN201910899705.4)、「環状固体中性子毒物分区配置の溶解器臨界安全制御方法」(出願番号:CN201410271524.4)、「臨界安全分析のための溶解器使用済み燃料せん断セグメントモデル化方法」(出願番号:CN20201099165.0)などがある。しかし、現在のところ、使用済燃料後処理場の設備室が管路を含む全体臨界安全分析の方法はほとんどない。
【発明の内容】
【0003】
本発明の目的は、従来技術に存在する欠陥を解決するために、簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法を提供することである。当該方法は設備室内に配置された大量の管路及び設備の臨界安全問題を全体的に評価することができ、計算分析の効率を高めると同時に、管路材料液を簡単に集めて過度に保存することによる計算結果が臨界安全受信基準を超えるという問題を回避することができる。
以上の目的を達成するために、本発明が用いる技術方案は以下の通りである。
管路設備室全体臨界安全分析を簡略化する方法は、
S1:管路内媒体に基づいて分析待ちの設備室のすべての管路に対してスクリーニング分析を行い、分裂しやすい材料液を含む管路をスクリーニングして有効管路とし、すべての有効管路内の材料液の総体積を計算し、
S2:簡略化パイプモデルを構築し、前記簡略化パイプモデルにおけるすべての管路は最小配置ピッチで緊密に配列され、
S3:パイプモデルの材料液の総体積を不変に保持し、パイプモデル管路の数と高さを変更することで、検索計算で前記簡略化パイプモデルの反応性が最大のパイプ寸法を得、
S4:前記最大反応性を有する簡略化パイプモデルを設備室内の反応性が最大の設備のそばに密着させて、相互作用が最大でとなるように密着配置する
ステップを含む。
さらに、上述した簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法では、ステップS1において管路のスクリーニング分析は具体的に、
材料液をガスとするか、または分裂しやすい材料液を含まない管路をスクリーニングして除去することで、有効管路をスクリーニングし、複数の媒体を輸送する管路に対して、その中のガスの状況を考慮しないというものである。
さらに、上述した簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法では、ステップS1で反応性が最大の材料液状態のウラン、プルトニウム濃度を選択して分析を行う。
さらに、上述した簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法では、ステップS1で有効管路の外径寸法を用いて有効管路材料液の総体積を計算し、管壁が腐食された状況を包絡する。
さらに、上述した簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法では、ステップS2に記載の簡略化パイプモデルにおけるすべての管路長はいずれも同じであり、管路径は有効管路の中で最も太い管径である。
さらに、上述した簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法では、ステップS2に記載の簡略化パイプモデルにおけるすべての管路を最小配置ピッチで緊密に配置する方法は具体的に、
前記簡略化パイプモデルにおけるすべての管路は三角形アレイで緊密に配列され、輪郭が六角形であるパイプ形状を構成し、管路ピッチはスクリーニングされた有効管路における最も太い管路の実際の最小配置ピッチに基づいて計算するというものである。
さらに、上述した簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法では、前記簡略化パイプモデルにおける管路壁厚が設定された腐食しろを考慮する。
さらに、上述した簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法のステップS3は具体的に、
パイプモデルの材料液の総体積を不変に保持し、六角形パイプの輪数を徐々に増加させ、これに応じてパイ最終的に長さを徐々に小さくし、検索計算で反応性が最大の六角形簡略化パイプモデルを最終的に得るというものである。
さらに、上述した簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法では、ステップS4において前記最大反応性を有する六角形簡略化パイプモデルを設備室内の反応性が最大の設備のそばに密着させるステップは具体的に、
六角形簡略化パイプモデルを反応性が最大の垂直配置の設備のそばに垂直方向に配置し、六角柱の片面を前記設備に密着させ、反応性が最大の設備の近くにその他の反応性が大きい設備があれば、六角形簡略化パイプモデルを2つの設備の間に配置し、反応性が最大の設備に密着させ、反応性が最大の設備の近くに設備室の壁がある場合、六角形簡略化パイプモデルを設備と壁の間に配置し、反応性が最大の設備に密着させるというものである。
さらに、上述した簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法では、有効管路の中に管径が設定上限値を超え、数が設定値より少ない管路がある場合、その実際の寸法と実際の位置に基づいて単独でモデリングすることができ、残りの管径が前記設定上限値を超えていない有効管路はステップS2~S4に従ってモデリングと分析を展開する。
本発明に記載の簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法を用いて、以下の顕著な技術効果を有する。
(1)精細化モデリングにおいて大量のパイプモデルを逐一構築する煩雑な作業を回避でき、計算分析過程を簡略化し、計算分析効率を高めている。
(2)管路材料液を簡単に集めることにより、管路配置の臨界安全設計に対する影響を過度に保守的に考慮することを避け、管路配置の臨界安全影響をより合理的に分析評価し、設計の経済性、合理性を高めることができる。
本発明はすべての分裂しやすい材料液管路施設の核臨界安全設計と分析評価に適用する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1は本発明の具体的な実施形態が提供する簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法のフローチャート図である。
図2は簡略化パイプモデルの断面図である。
図3は簡略化パイプが反応性が最大である設備に密着する設備室配置断面図である。
【具体的な実施の形態】
【0005】
以下では具体的な実施例と明細書の図面とを組み合わせて本発明をさらに説明する。
図1では、本発明の具体的な実施形態が提供する簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法のフローチャート図が示されており、当該方法は以下のステップを含む。
ステップS1:管路内媒体に基づいて、分析待ちの設備室のすべての管路に対してスクリーニング分析を行い、分裂しやすい材料液を含む管路をスクリーニングして有効管路とし、有効管路液の総体積を計算する。
1つの好ましい実施形態において管路をスクリーニング分析する具体的な方法は、材料液(即ち、管内媒体)がガスである管路、または分裂しやすい材料液を含まない管路をスクリーニングして除去することで有効管路を得るというものである。複数の媒体を搬送する可能性のある管路に対しては、その中のガスの状況を考慮せず、各溶液状態から最も反応性の高い材料液状態であるウラン、プルトニウム濃度を保守的に選択して分析を行う。
有効管路液の総体積を計算する際、有効管路外径寸法に基づいて保守的に計算し、管壁が腐食された状況を包絡する。
ステップS2:簡略化パイプモデルを構築する。前記簡略化パイプモデルにおけるすべての管路が、設定された配置方式に従って緊密に配列される。
1つの好ましい実施形態において簡略化パイプモデルにおけるすべての管路長はいずれも一致し、パイプにおける管路径は有効管路の中で最も太い管径である。すべての有効管路は保守的に最も緊密な配置方式に従って配置され、即ち、管路と管路の間は三角形アレイに従って分布し、輪郭が六角形であるパイプ形状を構成する。簡略化パイプモデルの断面図は
図2に示すとおりであり、管路ピッチをスクリーニングされた有効管路の中で最も太い管路の実際の最小配置ピッチに基づいて計算する。材料液は有効管路中の反応性が最大のウラン、プルトニウム濃度に基づいて考慮する。パイプの壁厚は一定の腐食しろを保守的に考慮する。
ステップS3:パイプモデルの材料液の総体積を不変に保持し、パイプモデルの数と高さを変更することで、検索計算で前記簡略化パイプモデルの反応性が最大のパイプ寸法を得る。
本実施例においてパイプモデルはステップS2で得られた簡略化パイプモデルを指し、高さはパイプの長さを指す。1つの好ましい実施形態において検索計算は具体的に以下の通りである。パイプモデルの材料液の総体積を不変に保持し、六角形パイプの輪数を徐々に増加させ(即ち、簡略化パイプモデルの管路数を徐々に増加させる)、パイプの長さを徐々に減少させ、検索計算により反応性が最大の六角形簡略化パイプモデルを最終的に得、即ち、簡略化パイプモデルの反応性が最大のパイプ寸法を得る。当該最大反応性の簡略化パイプモデルは、すべての管路が集まる効果を包絡的に考慮し、いずれも管径、材料液成分、管路ピッチを保守的に考慮している。
ステップS4:検索計算で得られた最大反応性を有する簡略化パイプモデルを設備室内の反応性が最大の設備のそばに密着させることで、設備室内の管路と設備間の相互作用を包絡して考慮する。
最大反応性の簡略化パイプモデルを設備室内の反応性が最大の設備のそばに密着させて、相互作用が最大となるように密着配置し、具体的には以下のいくつかの状況がある。
図3に示すように、六角形パイプは反応性が最大の垂直配置の円柱形設備のそばに垂直方向に配置し、六角柱の片面で当該設備に密着させる。反応性が最大の設備の近くにその他の反応性が大きい設備がある場合、パイプを2つの設備の間に置いて、反応性が最大の設備に密着させるべきである。反応性が最大の設備の近くに設備室の壁がある場合、パイプを設備と壁の間に置き、反応性が最大の設備に密着させる。
ステップS2~ステップS4において、有効管路に管径が大きく(例えば、管径が設定上限値を超えている)、数が少ない(例えば、数が設定値より少ない)管路がある場合、その実際の寸法と実際の位置に基づいて単独でモデリングを行い、残りの管径がより小さい有効管路(例えば、残りの管径が設定上限値を超えていない有効管路)はステップS2~S4に従ってモデリングと分析を展開する。例えば、ステップS1を実行して、分析待ちの設備室のN個の有効管路を得、N個の有効管路の管径を降順に並べて、N個の有効管路から管径の序列が上位のM個の有効管路を選んで、管路の実際の寸法と実際の位置に基づいて、それぞれM個の有効管路に対して単独でモデリングを行い、M個の有効管路の配置結果を得、例えばM=N*0.5%である。残りの有効管路に対し、ステップS2~ステップS4に従って分析を行い、残りの有効管路の配置結果を得る。有効管路に少量の管路の管径がその他の管路の管径よりはるかに大きい場合、最大管径を用いて分析計算を行うと、簡略化パイプモデルの分析結果の保守性が大きいため、少量の管径が大きい管路を選んで単独でモデリングを行うことで、管路配置分析の保守程度を合理的に下げることができる。
本発明の技術案をより明確に説明するために、ここではある設備室を例にして説明する。
分裂しやすい材料液を含む管路の、ある設備室には、800本以上の管路が配置され、これらの管路を整理し、ガス、酸溶液、純水、有機溶媒などの分裂しやすい材料を含まない管路を考慮しないと、併せて450本の有効管路があり、有効管路の材料液の総体積は385.7Lであり、これらの管路の材料液において反応性が最大の材料液のウラン、プルトニウム濃度を選択し、これらの管路の中で直径が最大の寸法は外半径2.415cm、内半径は2.047cmであり、実際の管路配置ピッチは最小13cmである。
上記パラメータに基づいて六角形の簡略化パイプモデルを構築し、簡略化パイプモデル中の管路長はすべて一致し、パイプにおける管路径は有効管路の中で最も太い管径(即ち、外半径2.415cm、内半径2.047cm)であり、管壁は0.2cmの腐食を考慮し、ピッチは最も太い管路の実際の最小配置ピッチ13cmに基づいて考慮し、管路間は三角形アレイ分布を呈している。パイプモデルの材料液の総体積を不変に保持し、六角形パイプの輪数を徐々に増加させ、パイプの長さを徐々に減少させ、1回り(1本)、2回り(7本)、3回り(19本)、4回り(37本)など、材料液の体積をこれらの限られた管路に分配する。検索した臨界計算結果によると、パイプ輪数が8回り(169本)の場合、パイプ自体の有効増値因子k
effは最大であり、3.5倍材料液の濃度である場合、k
effは0.4723±0.0005であり、パイプモデルの横断面図は
図2に示す通りである。
当該設備室内においてある環状溝設備のk
effが最も大きく、当該設備の近くにもう一つの環状溝設備のk
effが比較的大きく、検索計算で得られた最大反応性の簡略化パイプをk
effが最大の設備に密着させ、近くの設備に近接させ、設備室の横断面図(部分)は
図3の通りである。3.5倍材料液濃度の場合、管路配置を考慮した設備室全体臨界安全計算結果k
effは0.7550±0.0005であり、管路を考慮しない場合の設備室臨界計算結果0.7407±0.0005よりやや大きいが、依然として臨界安全要求を満たすことができる。
本発明が提供する簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法は、設備室内に分裂しやすい材料を装填した管路が集中的に配置され反応性が最大の設備に隣接するモデルを保守的に考慮し、実際の配置状況を包絡することができ、また実際の管路配置の管径、ピッチなどを考慮し、過度に保守的に分析して臨界計算結果が限界値を超えるという状況を回避している。計算分析の過程は、微細化して逐一パイプを構築する過程よりも大幅に簡便化され、計算分析の効率が向上し、またパイプ材料液を簡単に集めて過度に保守的な手段をとったために計算結果が臨界安全受信基準を超えるという問題が回避されている。
上記実施例は本発明の例示的な説明にすぎず、本発明は、本発明の要旨または本質的特徴から逸脱しない限り、他の特定の方式または他の特定の形式で実施することもできる。従って、記載された実施形態は、いかなる点から見ても説明性のものであって限定性のものではないとみなされるべきである。本発明の範囲は添付の請求項によって説明され、いかなる請求項の意図と範囲と等価な変化も本発明の範囲に含まれるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
S1:管路内媒体に基づいて分析待ちの設備室のすべての管路に対してスクリーニング分析を行い、分裂しやすい材料液を含む管路をスクリーニングして有効管路とし、すべての有効管路内の材料液の総体積を計算し、
S2:簡略化パイプモデルを構築し、前記簡略化パイプモデルにおけるすべての管路は最小配置ピッチで緊密に配列され、
S3:パイプモデルの材料液の総体積を不変に保持し、パイプモデル管路の数と高さを変更することで、検索計算で前記簡略化パイプモデルの反応性が最大のパイプ寸法を得、
S4:前記最大反応性を有する簡略化パイプモデルを設備室内の反応性が最大の設備のそばに密着させて、相互作用が最大でとなるように密着配置する
ステップを含む簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【請求項2】
ステップS1において管路のスクリーニング分析は具体的に、
材料液をガスとする管路、または分裂しやすい材料液を含まない管路をスクリーニングして除去することで、有効管路をスクリーニングし、複数の媒体を輸送する管路に対して、その中のガスの状況を考慮しないというものである
ことを特徴とする請求項1に記載の簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【請求項3】
ステップS1において選択された反応性が最大の材料液供給状態のウラン、プルトニウム濃度について分析する
ことを特徴とする請求項2に記載の簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【請求項4】
ステップS1において有効管路の外径寸法を用いて有効管路材料液の総体積を計算し、管壁が腐食された状況を包絡する
ことを特徴とする請求項3に記載の簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【請求項5】
ステップS2において前記簡略化パイプモデルにおけるすべての管路長は同じであり、管路の管径は有効管路における最も太い管径である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【請求項6】
ステップS2において前記簡略化パイプモデルにおけるすべての管路を最小配置ピッチで緊密に配列することは具体的に、
前記簡略化パイプモデルにおけるすべての管路は三角形アレイで緊密に配列され、輪郭が六角形であるパイプ形状を構成し、管路ピッチはスクリーニングされた有効管路における最も太い管路の実際の最小配置ピッチに基づいて計算することである
ことを特徴とする請求項5に記載の簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【請求項7】
前記簡略化パイプモデルにおける管路壁厚は設定された腐食しろを考慮する
ことを特徴とする請求項6に記載の簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【請求項8】
ステップS3は具体的に、
パイプモデルの材料液の総体積を不変に保持し、六角形パイプの輪数を徐々に増加させ、これに応じて最終的にパイプの長さを徐々に小さくし、検索計算で反応性が最大の六角形簡略化パイプモデルを最終的に得るというものである
ことを特徴とする請求項7に記載の簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【請求項9】
ステップS4において前記最大反応性を有する六角形簡略化パイプモデルを設備室内の反応性が最大の設備のそばに密着させることは具体的に、
六角形簡略化パイプモデルを反応性が最の大の垂直配置の設備のそばに垂直方向に配置し、六角柱の片面を前記設備に密着させ、反応性が最大の設備の近くにその他の反応性が大きい設備があれば、六角形簡略化パイプモデルを2つの設備の間に配置し、反応性が最大の設備に密着させ、反応性が最大の設備の近くに設備室の壁がある場合、六角形簡略化パイプモデルを設備と壁の間に配置し、反応性が最大の設備に密着させることである
ことを特徴とする請求項8に記載の簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【請求項10】
有効管路の中に管径が設定上限値を超え、数が設定値より少ない管路がある場合、その実際の寸法と実際の位置に基づいて単独でモデリングすることができ、残りの管径が前記設定上限値を超えていない有効管路はステップS2~S4に従ってモデリングと分析を展開する
ことを特徴とする請求項
6に記載の簡略化管路設備室全体臨界安全分析方法。
【国際調査報告】