(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】荷役手段、特にフォークアーム
(51)【国際特許分類】
B66F 9/12 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
B66F9/12 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514353
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2022074458
(87)【国際公開番号】W WO2023031404
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】102021209678.6
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524080117
【氏名又は名称】フセイン オナル
【氏名又は名称原語表記】Hueseyin Onal
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 55, 33428 Harsewinkel, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フセイン オナル
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333AF01
3F333BA02
3F333DA08
3F333DB08
(57)【要約】
本発明は、荷役手段(5)、特にフォークリフトまたはリフト車用のフォークアーム(7)であって、長手方向で延在する少なくとも1つのフォーク爪部(8)を備え、フォーク爪部(8)は、運搬品を受ける運搬面(11)を有しており、長手方向延在において自由端部である第1の端部(12)にフォーク先端(13)を有しており、かつ複数の部材から形成されている、荷役手段(5)に関する。フォーク爪部(8)は、プラスチックから製作される長手方向支持体(14)を有しており、長手方向支持体(14)は、少なくとも実質的にフォーク爪部(8)全体に沿って長手方向延在で延在し、かつフォーク爪部(8)は、長手方向支持体の強度より高い強度を有する材料からなる少なくとも1つのサポート要素(15~19)を有するようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷役手段(5)、特にフォークリフトまたはリフト車用のフォークアーム(7)であって、長手方向で延在する少なくとも1つのフォーク爪部(8)を備えており、前記フォーク爪部(8)は、運搬品を受ける運搬面(11)を有しており、長手方向延在において自由端部である第1の端部(12)にフォーク先端(13)を有しており、かつ複数の部材から形成されている、荷役手段(5)において、
前記フォーク爪部(8)は、プラスチックから製作される長手方向支持体(14)を有しており、前記長手方向支持体(14)は、少なくとも実質的に前記フォーク爪部(8)全体に沿って長手方向延在で延在し、かつ
前記フォーク爪部(8)は、前記長手方向支持体(14)の強度より高い強度を有する材料からなる少なくとも1つのサポート要素(15~19)を有していることを特徴とする荷役手段。
【請求項2】
前記長手方向支持体(14)は、繊維強化プラスチック、特にガラス繊維強化または炭素繊維強化プラスチックから製作されていることを特徴とする、請求項1記載の荷役手段。
【請求項3】
少なくとも1つの前記サポート要素(17~20)は、芯要素(21)として前記フォーク爪部(8)の長手方向延在で延在し、前記プラスチックによって周囲から少なくとも実質的に包囲されていることを特徴とする、請求項1または2記載の荷役手段。
【請求項4】
前記芯要素(21)および/または前記サポート要素(15~20)は、木材、金属またはセラミックから製作されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項5】
少なくとも2つの前記サポート要素(15~20)は、同じまたはそれぞれ異なる材料から製作されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項6】
前記芯要素(21)および/または前記長手方向支持体(14)は、ガス状もしくは液状の媒体および/または少なくとも1つの電気的な接続ケーブルを案内する少なくとも1つの貫通通路(22)を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項7】
それぞれの前記サポート要素(15~20)は、木材から製作されており、隣り合う少なくとも2つのサポート要素(15~20)は、互いに異なって、好ましくは互いに垂直に方向付けられていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項8】
前記芯要素(21)のそれぞれの前記サポート要素(17~20)は、それぞれ1つの角張った、特に三角形、長方形、多角形、正方形の、または円もしくはオーバルの横断面を有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項9】
前記芯要素(21)は、正確に1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのサポート要素(17~20)を有しており、前記サポート要素(17~20)は、一列に横方向で互いに当接し、一緒に前記長手方向支持体(14)の前記プラスチックによって包囲されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項10】
少なくとも1つの前記サポート要素(15,16)は、外部補強材として前記長手方向支持体(14)に配置されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項11】
前記外部補強材は、前記運搬面(11)をともに形成する、または前記運搬面(11)を形成することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項12】
フォーク爪部(8)は、前記フォーク爪部(8)の、前記フォーク先端(13)とは反対側の端部(27)に、前記フォークアーム(7)のフォーク背部(9)の差し込み受け部(26)内に差し込む差し込みセクションを有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項13】
前記長手方向支持体(14)は、少なくとも1つの凹部(34)を有しており、前記凹部(34)内には、センサ(35)、特に重量センサ、温度センサおよび/または距離センサが配置されていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項14】
前記サポート要素(17~20)、前記芯要素(21)および/または前記長手方向支持体(14)は、ガス状または液状の媒体および/または少なくとも1つの電気的な接続ケーブルを案内する少なくとも1つの貫通通路(22)を有することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項15】
前記貫通通路は、特に動作制御可能な消火装置(40)に連通し、前記消火装置(40)は、特に前記フォーク爪部(8)の、前記フォーク背部(9)とは反対側の端部(12)に配置されていることを特徴とする、請求項16記載の荷役手段。
【請求項16】
前記長手方向支持体(14)の前記プラスチックは、600kg/m
3~3,000kg/m
3あるいは0.6~3.0g/cm
3の密度、特に好ましくは、1,200kg/m
3~2,500kg/m
3あるいは1.2~2.5g/cm
3の密度を有しており、前記サポート要素(15,16)は、前記長手方向支持体(14)の外側に取着する場合、4,500kg/m
3~9,100kg/m
3の密度を有しており、かつ/または木材から製作される前記サポート要素(15,16)は、前記長手方向支持体内に配置する場合、20kg/m
3~4,400kg/m
3の密度を有することを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項17】
それぞれの前記サポート要素(15~20,38)は、それぞれの前記長手方向支持体(14)に溶接され、注型成形時に埋設され、ラミネートされて埋設され、ねじ止めされ、リベット止めされ、かつ/または接着されていることを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項18】
前記サポート要素(15,16)は、前記フォークアーム(7)の床側の下面にのみ配置されていることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項19】
サポート要素(15,16)が1つだけ、前記フォークアーム(7)の床側の下面に配置されていることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項20】
少なくとも1つの前記サポート要素は、フォーク屈曲部の領域内にあるいは前記フォーク屈曲部に直接隣接して前記フォークアーム(7)の前記下面に延在していることを特徴とする、請求項20または21記載の荷役手段。
【請求項21】
少なくとも1つのサポート要素(15,16)は、保護要素(25)を形成することを特徴とする、請求項18から20までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項22】
少なくとも1つの前記保護要素(25)は、前記芯要素(21)にねじ止めされ、注型成形され、または接着されていることを特徴とする、請求項21記載の荷役手段。
【請求項23】
前記サポート要素(15~20)および/または前記芯要素(21)の前記材料は、金属フリーであり、50kg/m
3~4,000kg/m
3の密度、10N/mm
2~30,000N/mm
2の引っ張り強さおよび0.2%~900%の破断伸びAおよび-20℃~1,000℃の分解温度または硬化温度を有することを特徴とする、請求項1から22までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項24】
前記長手方向支持体(14)は、少なくとも1,500N/mm
2の引っ張り強さおよび0.2~10%の破断伸びAを有することを特徴とする、請求項1から23までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項25】
前記長手方向支持体(14)は、200kg/m
3~4,000kg/m
3の密度を有しており、成形プレス工具またはテンプレートまたはシートを基に、プレスおよび/またはオートクレーブおよび/またはテンパ炉および/または真空ポンプまたは押し出し機内で、20℃~900℃の温度で、10秒~30,240分の時間、変形され、硬化されていることを特徴とする、請求項1から24までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項26】
前記長手方向支持体(14)は、前記フォーク背部(9)内に組み込まれたセンサ/カメラまたは前記フォーク爪部(8)内に設けられた消火装置(40)を有することを特徴とする、請求項1から25までのいずれか1項記載の荷役手段。
【請求項27】
運搬車両(1)、特にフォークリフトまたはリフト車であって、車両ボデー(2)と、前記車両ボデー(2)に特に変位可能に配置される少なくとも1つの荷役手段、特にフォークアーム(7)と、を備える運搬車両(1)において、
前記荷役手段(5)は、請求項1から26までのいずれか1項または複数項にしたがって形成されていることを特徴とする運搬車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役手段、特にフォークリフトまたはリフト車用のフォークアームであって、長手方向で延在する少なくとも1つのフォーク爪部を備え、フォーク爪部は、運搬品を受ける運搬面を有しており、長手方向延在において自由端部である第1の端部にフォーク先端を有しており、かつ複数の部材から形成されている、荷役手段に関する。さらに本発明は、運搬車両、特にフォークリフトまたはリフト車であって、車両ボデーと、車両ボデーに特に変位可能に配置され、前に説明したように形成されている少なくとも1つの荷役手段、特にフォークアームと、を備える運搬車両に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭で挙げた形態の荷役手段および運搬車両は、従来技術において既に公知である。例えば欧州特許出願公開第0739854号明細書は、フォークリフト用のフォークアームであって、略水平に延びるフォーク爪部を備え、フォーク爪部は、フォークアームの、略垂直に延びるフォーク背部に配置されている、フォークアームを記載している。フォーク背部は、運搬車両のフォーク支持体に取り付け可能である。フォーク爪部は、相並んで位置する個々の複数の板からなっており、これらの板は互いに摺動不能に保持されており、それぞれ側面図で見てフォークアームの完全な輪郭を呈している。さらに提案されるのは、フォーク背部の領域内に、騒音緩和に用いられるプラスチックからなる中間板または中間セグメントが配置されていてもよいことである。
【0003】
公知の荷役手段は、その高い重量に課題があり、荷役手段のこの高い重量は、運搬品の重量に加えて、運搬車両によって担持され移動されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根底にある課題は、特にその際に荷役手段の機械的な特性あるいは耐荷重を下げることなく、特に荷役手段の重量が削減される、改良された荷役手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の根底にある上記課題は、請求項1の特徴を備える荷役手段によって解決される。この荷役手段は、簡単な手段により低コストかつ省エネルギにフォーク爪部の重量が削減されるという利点を有している。これは、本発明により、フォーク爪部が、プラスチックから製作される長手方向支持体を有しており、長手方向支持体が、少なくとも実質的にフォーク爪部全体に沿ってフォーク爪部の長手方向延在で延在していることによって達成することができる。これにより同時に、フォーク爪部の耐食性も高められる。フォーク爪部は、これにより部分的にプラスチックから製作されていることができ、プラスチックが少なくとも実質的にフォーク爪部全体に沿って延在していることにより、フォーク爪部の大部分が今やプラスチックから製作可能である。これにより、さもなければしばしば金属から製作されるフォーク爪部の重量が削減される。特に重量を、金属から製作される従来慣用のフォーク爪部と比較して、約25%~90%、特に35%~50%削減することが達成される。フォーク爪部の頑強性を従来慣用のフォーク爪部のレベルに維持すべく、フォーク爪部は、本発明によりさらに、長手方向支持体あるいはプラスチックの耐摩耗性よりも高い耐摩耗性を有する材料からなる少なくとも1つのサポート要素を有している。本発明の意味での耐摩耗性とは、特に耐摩滅性を意味している。このように、フォーク爪部を、それぞれ異なる材料からなる長手方向支持体と少なくとも1つのサポート要素とからなる複合構成部品として形成したことで、従来慣用のフォーク爪部と比較して、特にフォーク爪部の要求取り付けスペースあるいはサイズおよび体積が同じであれば、削減された重量と、略同じまたはより高い耐荷重とが提供される。さらに、荷役手段の本発明による形成により、この荷役手段が、鋼からなる従来慣用のフォークアームが使用不可であるか、または限定的にのみ使用可能である状況においても、使用可能であるという利点が生じる。火花が飛ぶことが回避されなければならない危険ゾーンにおいて、フォークアームを使用できるようにするには、特殊鋼から製作されているフォークアームが使用される。これはしかし、製造が比較的高コストであるとともに、トライボロジおよび摩擦に応じて、それにもかかわらず火花を形成してしまう傾向を示すことがある。本発明による形成により、火花の飛来を低コストに回避することが達成される。この場合、例えば外部補強材の形態の外側に取着されるサポート要素が特殊鋼から製作されれば十分である。これにより、荷役手段の小さな部分だけが特殊鋼から製作されるので、製造コストは、総じて比較的低いものとなる。内側に位置するサポート要素は、プラスチックによって包み込まれており、これにより火花発生には至り得ない。本発明は、さらにプラスチックにより、特にプラスチックとして繊維強化プラスチックが使用される場合、フォーク爪部が高荷重時に特に弾性的にのみ変形するという利点を有している。これに対して、金属からなるフォーク爪部は、疲労し、その後、永久歪みを起こし、使用不能となってしまう。その結果、本発明により、荷役手段のより高い寿命が達成されている。荷役手段は、特に堅固に運搬車両に組み付けられており、もしくは組み付け可能であり、または着脱自在に運搬車両に、特に交換可能に取り付け可能であるように形成されている。特に好ましくは、荷役手段は2つのフォーク爪部を備えており、フォーク爪部は、上で説明したように形成され、特に互いに平行にかつ互いに離間して配置されており、その結果、フォーク爪部の運搬面は、少なくとも実質的に1つの共通の運搬面平面内に位置している。好ましくは、2つのフォーク爪部は、1つの共通のフォーク背部に配置あるいは保持されている。
【0006】
好ましくは、長手方向支持体のプラスチックは、600kg/m3~3,000kg/m3あるいは0.6~3.0g/cm3の範囲の密度、特に好ましくは、1,400kg/m3~2,100kg/m3あるいは1.2~2.5g/cm3の密度を有している。さらにプラスチックは、好ましくは、0.2~8.1%の破断伸びAおよび20℃~700℃の硬化温度を有している。長手方向支持体は、好ましくは、1,500N/mm2~30,000N/mm2、好ましくは、2,000N/mm2~5,000N/mm2の引っ張り強さを有している。
【0007】
特に好ましくは、少なくとも1つのサポート要素は、特に金属からなり、長手方向支持体の外側または内側に取着する場合、4,500kg/m3~8,900kg/m3の範囲内の密度、300N/mm2~1,450N/mm2の引っ張り強さ、10%~55%の破断伸びAおよび500℃~5,500℃の溶融温度を有している。さらに好ましくは、サポート要素が金属とは別の材料から製作されている場合、特に長手方向支持体内にまたは長手方向支持体に接して取着する場合、この材料は、150kg/m3~4,000kg/m3の密度、10N/mm2~30,000N/mm2の引っ張り強さおよび0.2%~900%の破断伸びAおよび-20℃~1,000℃の分解温度または硬化温度を有しているようになっている。
【0008】
本発明の好ましい一発展形によれば、長手方向支持体は、繊維強化プラスチック、特にガラス繊維強化または炭素繊維強化プラスチックから製作されている。これにより、長手方向支持体自体の頑強性あるいは耐荷重を、フォーク爪部の重量が明らかな重量増加を被ることなく、さらに有利に高められる。任意選択的には、長手方向支持体は、繊維強化プラスチックを有する複数の層から製作されており、隣り合う層の繊維配向は、長手方向支持体の安定性をさらに高めるべく、好ましくはそれぞれ異なっている。そうして、長手方向支持体は、特にラミネートされ、押し出し成形され、プレスされ、射出成形され、加硫され、積層され、装填され(beschickt)、真空プレスされ、かつ/または真空引きされている。
【0009】
さらに好ましくは、少なくとも1つのサポート要素は、芯要素としてフォーク爪部の長手方向延在で延在し、プラスチックによって周囲から少なくとも実質的に包囲されているようになっている。特に芯要素は、芯要素の、(規定通りの使用時に)特に鉛直の長手方向面の少なくとも1つにおいて、かつ/または少なくとも略水平の上面において、プラスチックによって被覆あるいは包囲されている。サポート要素は、これによりフォーク爪部内にあるいは長手方向支持体内に組み込まれて配置されており、その結果、フォーク爪部の芯を形成している。サポート要素がプラスチックによって周囲から、つまり横断面で見て包囲されていることにより、サポート要素は、長手方向支持体の内部に保護されて配置されている。これにより、サポート要素が運搬品自体とは接触に至らず、これにより、例えばサポート要素および/または運搬品の摩耗が、有利には長手方向支持体のプラスチックジャケットによって防止されていることも達成される。さらに、長手方向支持体のプラスチックによる芯要素の外被により、プラスチックと芯要素との有利な機械的な結合が保証されているという利点が生じる。
【0010】
本発明の好ましい一実施形態によれば、芯要素および/または少なくとも1つのサポート要素は、木材、プラスチック、金属、砂、石、厚紙、フォーム、織物、顆粒、ガラス、ウールまたはセラミックから製作されている。金属からなる構成が、フォーク爪部の外部補強材および/または内部補強材のための特に高いねじ止め強さを保証する一方、木材からなる構成は、芯要素自体が同じく重量を削減するように形成されており、ひいてはフォーク爪部の重量をさらに削減するという利点を提供する。芯要素、特に木材芯は、長手方向支持体のプラスチックのための支持体として用いられ、製造面で低コストかつサステナブルである。なぜなら、芯要素の形状が、少なくとも実質的にフォーク爪部自体の形状によらず構成可能であるからである。そうして、芯要素は、例えば正方形、円形、オーバル形、多角形または三角形の横断面を有していることができ、そのことによって、フォーク爪部の形状に、特にフォーク爪部の運搬面の領域において、何らかの影響が及ぼされてしまうことはない。本発明の代替的な一実施形態によれば、少なくとも1つのサポート要素は、同じくプラスチックから、この場合はしかし長手方向支持体の材料特性とは相違しているプラスチック材料から製作されている。
【0011】
好ましくは、芯要素は少なくとも2つのサポート要素を有しており、サポート要素は互いに平行に延在し、プラスチックによって一緒に包囲されている。これにより、2つのサポート要素はフォーク爪部の芯要素を形成し、プラスチックによってケーシングされているかあるいはまとめられている。サポート要素は、プラスチックによって互いに保持され、頑強性と、フォーク爪部の製造面での利点とに寄与する。サポート要素、特に芯要素のサポート要素の選択および個数により、様々な境界条件、例えば運搬品の想定し得る様々な重量階級へのフォーク爪部の適合が可能であり、その結果、例えばフォーク爪部は、外寸が一定のとき、個数および材料に関する1つまたは複数の芯要素の選択により、有利には様々な積み荷に適合可能である。好ましくは、サポート要素は、プラスチック内で直接的に互いに当接し、その結果、製造の際に、注型成形時に例えばプラスチックによって簡単に包まれ、または外被されることができる。任意選択的には、芯要素は、2つより多くの、例えば3つまたは4つのサポート要素を有している。
【0012】
好ましくは、少なくとも2つのサポート要素は、同じかまたはそれぞれ異なる材料から製作されている。2つのサポート要素の材料の選択により、フォーク爪部の耐荷重および総重量に対して、さらに影響を及ぼすことができる。そうして、材料は、好ましくは、材料組み合わせから芯要素のための有利な機械的な特性が生じるように選択される。
【0013】
本発明の第1の発展形によれば、長手方向支持体、サポート要素および/または芯要素は、好ましくは、中実に、1つの部材から、または複数の部材から形成されている。芯要素が複数のサポート要素を有しているとき、サポート要素は、少なくとも実質的に閉じた横断面を形成すべく、好ましくは、それぞれ中実に形成されており、互いに当接している。これにより荷役手段の特に高い耐荷重が生じる。
【0014】
本発明の第2の発展形によれば、サポート要素、芯要素および/または長手方向支持体は、ガス状もしくは液状の媒体および/または少なくとも1つの接続ケーブルを案内する少なくとも1つの貫通通路を有している。このために、芯要素には、例えば特に長手方向延在で孔または孔通路が設けられている。本発明の別の一実施形態によれば、上記サポート要素の少なくとも1つ、または少なくとも1つのサポート要素は、好ましくは、中空要素として、例えば管として、特に鋼または木材からなり、円形、長方形または多角形の横断面を有する管として形成されている。サポート要素を中空に形成することあるいは貫通通路を設けることは、芯要素の重量をさらに削減し、その結果、フォーク爪部の重量もさらに削減される。任意選択的には、芯要素のサポート要素は、自身の間に少なくとも1つの貫通通路を形成するように配置され、形成されている。この場合、サポート要素自体は、好ましくは中実に形成されている。ガス状もしくは液状の媒体、例えば冷却媒体、消火媒体もしくはこれに類するもの、または電気的な接続ケーブル、例えばフォーク先端、フォーク爪部もしくはフォーク背部の領域内でセンサ装置、重量計測装置もしくはカメラ装置に接続されている接続ケーブルを案内する貫通通路を形成することは、有利な荷役手段の利用可能性を高める。フォークアームの本発明による形成は、フォーク爪部内への貫通通路の低コストの組み込みを可能にする。任意選択的には、貫通通路は、管要素であって、サポート要素を貫いて、またはサポート要素の1つを貫いて延在するが、別体の構成部品として形成されている管要素によって形成される。そうして、例えば木材から製作され、特に芯要素として長手方向支持体を通して延びるサポート要素内に、貫通通路を形成する金属管、特にアルミニウム管が装入されている。管要素は、このために特にサポート要素の孔または対応する貫通開口内に挿入されている。特に好ましくは、貫通通路は、特に動作制御可能な消火装置に連通し、消火装置は、特にフォーク爪部の、フォーク背部またはフォーク屈曲部とは反対側の端部に配置されており、例えば噴射ノズルを有しており、噴射ノズルを用いて、貫通通路を通して圧送される消化剤が噴射可能である。
【0015】
好ましくは、それぞれのサポート要素は、木材から製作されている。木材は、フォーク爪部に、高い安定性、多くのケースで十分な安定性を提供し、製造面で低コストであることがわかっている。
【0016】
好ましい一実施形態によれば、サポート要素は、それぞれ1つの正方形の横断面を有している。これにより、一方では低コストの製造が生じ、他方ではフォーク爪部内での簡単な使用が生じる。特にこれによりスケーリング可能性も生じる。なぜなら、同じ正方形の横断面を有する複数のサポート要素が相並んで配置され、このとき、サポート要素の個数および材料が選択可能であることにより、複数の補剛要素も使用することで、フォーク爪部に、フォーク爪部の耐荷重が、僅かな手間で個別に適合可能であるからである。
【0017】
特に好ましくは、芯要素は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのサポート要素を有しており、サポート要素は、少なくとも一列に互いに当接し、または隣接してプラスチックによって包囲されている。これにより、サポート要素の有利な積層体が生じ、サポート要素により、フォーク爪部は、所望の耐荷重を達成する。サポート要素は、好ましくは、同じ横断面を有している。これにより、部材の多様性が減り、製造が簡素化される。代替的には、サポート要素の少なくとも2つは、それぞれ異なる横断面を有している。複数のサポート要素が存在しているとき、これらのサポート要素は、好ましくは、同じ材料から製作されている。任意選択的には、サポート要素の少なくとも2つは、それぞれ異なる材料から製作されている。
【0018】
本発明の好ましい一発展形によれば、少なくとも1つのサポート要素は、外部補強材として長手方向支持体に配置されている。この実施形態によれば、サポート要素は、これにより長手方向支持体内に組み込まれているのではなく、長手方向支持体の外側に配置されている。これによりサポート要素は、内側に位置する補剛手段として作用するだけでなく、外側に位置する保護要素としても作用し、保護要素は、特に長手方向支持体のプラスチックを外側の影響から保護する(例えば食品産業における繊維の隔離)。そうして、サポート要素は、例えば、長手方向支持体あるいはフォーク爪部の、(規定通りの使用時)少なくとも略鉛直または水平の長手方向面に配置されており、長手方向面に沿って少なくともフォーク先端まで延在している。これにより、フォーク爪部の長手方向面は、有利にはサポート要素によって保護され、封止される。この場合、サポート要素は、外部補強材として、好ましくは、金属から製作されている。これにより、フォーク爪部の摩耗および摩滅が減少する。この場合、サポート要素は、特に鋼、好ましくは特殊鋼から製作されている。別の一実施形態によれば、外部補強材は、同じくプラスチックまたは食品用材料であって、しかし、長手方向支持体のプラスチックとは相違している材料から製作されている。
【0019】
特に外部補強材は、フォーク爪部の運搬面をともにまたは全体的に形成する。これにより、長手方向支持体のプラスチックが、特に運搬品によって直接的には負荷されないことが達成される。これによりフォーク爪部の摩耗が減少する。運搬面を形成すべく、特に長手方向面に割り当てられたサポート要素は、例えば一部領域において長手方向支持体の上面および/または下面から張り出し、その結果、運搬品は、プラスチック上に直接的には載置され得ない、またはプラスチックとは接触に至り得ない。代替的または付加的に、外部補強材は、長手方向支持体の上面を越えて、運搬面または運搬面セクションを形成するために延在するように形成されている。好ましくは、それぞれのサポート要素は、外部補強材として横断面で見てU字形またはC字形に形成されており、その結果、2つのサイド脚片と、1つのベースセクションとを有しており、ベースセクションからサイド脚片は、特に垂直に突出している。サイド脚片は、この場合、特に、フォーク爪部あるいは長手方向支持体の面に少なくとも一部領域において重畳するように形成されているのに対し、ベースセクションは、フォーク爪部あるいは長手方向支持体の長手方向面に当接する。代替的には、サポート要素は、外部補強材として横断面で見てI字形またはL字形に形成されていてもよい。上記構成の各々により、長手方向支持体へのサポート要素の特に確実なロックが保証されている。さらにこのことは、サポート要素自体が長手方向支持体の上面にフォーク爪部の運搬面を形成する、またはともに形成するという利点を提供する。1つの極めて大きな利点は、本発明による解決手段のサステナビリティ、ひいては環境親和性である。なぜなら、外側に位置するサポート要素は、横断面の10%の摩耗時、事故防止規則ISO 5057に則って交換されなければならないが、これは、本発明により個別に、ひいては比較的簡単に実施することができるからである。
【0020】
好ましくは、フォーク爪部は、フォーク背部に結合、特にフォーク背部と1ピースに形成されている。任意選択的には、長手方向支持体は、この場合、フォーク背部内まで延在し、その結果、フォーク背部のためにも、上記利点および形成変化態様が生じる。
【0021】
本発明の好ましい一発展形によれば、フォーク爪部は、フォーク爪部の、フォーク先端とは反対側の端部に、フォークアームのフォーク背部の差し込み受け部内に差し込む差し込みセクションを有している。これにより、フォーク爪部とフォーク背部とのモジュール式の組み立てが生じ、モジュール式の組み立ては、一方では、フォーク背部へのフォーク爪部の簡単な装着および分解を可能にし、他方では、摩耗現象時に、フォークアーム全体を交換する必要のない、フォーク爪部の容易な交換可能性を保証する。フォーク背部は、特にフォーク爪部に対して横方向または垂直に延在するように形成されまたは方向付けられており、特にフォークアームを運搬車両に取り付けるために用いられる。このためにフォーク背部は、例えばフォークアームを運搬車両にロックする保持手段を有している。保持手段は、例えば保持ピン、フック、突出部および/または受け部である。特に差し込み受け部は、少なくとも実質的に差し込みセクションにおけるフォーク爪部の横断面に相当する横断面を有しており、その結果、フォーク爪部は、形状結合式に、かつ略遊びなしにまたは遊びなしに差し込み受け部内に導入可能である。任意選択的には、ロック手段が存在し、ロック手段を用いて、フォーク爪部は、フォーク背部に紛失が防止された状態で取り付け可能であり、特に着脱自在に取り付けられており、その結果、フォーク爪部の、フォーク背部からの意図しない分離が常時防止されている。
【0022】
さらに好ましくは、長手方向支持体は少なくとも1つの凹部を有しており、凹部内には、センサ、特に重量センサ、温度センサ、距離センサまたはカメラ装置がフォーク爪部またはフォーク背部内に配置されているようになっている。センサにより、荷役手段の機能性が高まる。長手方向支持体の、プラスチックからの有利な形成により、1つまたは複数のセンサ用の1つまたは複数の凹部を低コストに作り込むことが達成可能であり、特に事後的にも達成可能である。特に好ましくは、凹部は、センサの簡単な配線を可能にすべく、貫通通路に通じる貫通部を有している。
【0023】
本発明の好ましい一発展形によれば、それぞれのサポート要素は、それぞれの長手方向支持体に注型成形され、ねじ止めされ、リベット止めされ、接着され、かつ/またはラミネートされて埋設されている。これにより、サポート要素と長手方向支持体との永続的に確実な結合が保証されている。好ましくは、プラスチックは、装填法(Beschickungsverfahren)によって製造され、または加工され、特に型工具内で温度および圧力によって硬化され、型工具内には、任意選択的に少なくとも1つのサポート要素も位置し、その結果、プラスチックは、有利にはサポート要素に一体成形される。
【0024】
請求項19の特徴を備える本発明に係る運搬車両は、上で説明したような荷役手段の本発明による形成を特徴とする。これにより、既述の利点が生じる。特に運搬車両は、モータライズされて形成されているか、またはハンドガイド式に形成されている構内運搬機器である。そうして、運搬車両は、好ましくは、フォークリフトまたはハンドガイド式のリフト車(ハンドリフト)である。フォークリフトは特にフォーク支持体を備えており、フォーク支持体にはフォークアームが取り付け可能である。代替的には、フォークアームは、堅固に例えばリフト車のボデーに組み付けられている。荷役手段がリフト車での使用のために形成されている場合、荷役手段は、好ましくは、少なくとも1つの走行車輪、特に1つまたは2つの運搬ローラを備えており、走行車輪は、フォーク爪部の前側の端部の領域においてフォーク爪部に回転可能に軸支されている。この軸支部は、好ましくは、フォーク爪部を上げ下げするあるいはフォーク爪部に対する走行車輪の鉛直の位置を変更する手段を有している。
【0025】
さらなる利点ならびに好ましい特徴および特徴組み合わせは、特に先の説明および特許請求の範囲から看取可能である。以下に本発明について図面を基に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】有利な荷役手段を備える運搬車両の簡略側面図である。
【
図2】第1の実施例による荷役手段の斜視図である。
【
図3】第2の実施例による荷役手段の簡略断面図である。
【
図4】第3の実施例による荷役手段の簡略断面図である。
【
図5】第4の実施例による荷役手段の簡略断面図である。
【
図6】第5の実施例による荷役手段の簡略側面図である。
【
図7】第6の実施例による荷役手段の簡略側面図である。
【
図8】第7の実施例による荷役手段の別の側面図である。
【
図9】第8の実施例による荷役手段の簡略断面図である。
【
図10A】リフト車として例示的に形成した荷役手段の簡略図である。
【
図10B】リフト車として例示的に形成した荷役手段の簡略図である。
【
図10C】リフト車として例示的に形成した荷役手段の簡略図である。
【
図10D】リフト車として例示的に形成した荷役手段の簡略図である。
【
図11】別の一実施例による荷役手段の簡略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、簡略図で運搬車両1を示しており、運搬車両1は、本実施例によればフォークリフトとして形成されている。運搬車両1は、このためにボデー2を備えており、ボデー2は走行装置3によって支持され、走行装置3は複数の車輪を有しており、車輪のうちの好ましくは少なくとも2つは駆動輪として駆動装置に結合されており、車輪のうちの少なくとも2つは操舵可能であり、操舵装置に結合されている。さらに運搬車両1は、有利な荷役手段5用の保持装置4を備えている。
【0028】
フォークリフト1の場合に一般的であるように、昇降装置4はマスト6を有しており、マスト6には、図示しないフォーク支持体を、高さに関して摺動自在に支持可能である。マストおよびフォーク支持体は、一般に金属から、通常は鋼から製造されている。しかし、重量削減のために、マストおよびフォーク支持体を、炭素繊維強化されたプラスチックから製造する可能性も存在する。フォーク支持体には、荷役手段5、ここではフォークアーム7の形態の荷役手段5が取り付けられているか、掛着されているか、または着脱自在に取り付け可能である。そうして、荷役手段5は、フォーク支持体を用いて、高さおよび/または幅に関して調節可能であり、これにより、運搬品を上げたり下ろしたりすることが可能である。好ましくは、フォークリフト1は、以下で説明するように、荷役手段5を2つ備えているか、または2つのフォーク爪部8を有する1つの荷役手段5を備えており、2つの荷役手段5または2つのフォーク爪部8は、互いに平行にフォーク支持体に取り付けられている。
【0029】
図2は、斜視図でフォークアーム7の形態の荷役手段5を示している。フォークアーム7は、フォーク爪部8とフォーク背部9とを備えている。フォーク爪部8とフォーク背部9とは、互いに90°または略90°の角度をなして方向付けられているので、規定通りの使用時に、フォーク爪部8は略水平に、そしてフォーク背部9は鉛直に方向付けられ、その結果、フォーク爪部8とフォーク背部9との間には、フォーク屈曲部が形成されている。フォーク背部9は、フォーク背部9の、フォーク爪部とは反対側の背面に突出した、フォーク支持体への取り付け用のフック10を有している。フォーク背部9とフォーク爪部8とは、この場合、堅固に、ここでは1ピースに互いに結合されている。フォーク爪部8は、フォーク爪部8の上面、つまりフォーク背部9側の面に運搬面11を有しており、運搬面11は、運搬品をフォーク爪部8上に受けるために用いられる。運搬面11は、フォーク爪部8の上面に連続的に形成されているか、または中断を含んで形成されている。フォーク爪部8の、フォーク背部9とは反対側の端部12に、フォーク爪部8はさらにフォーク先端13を有している。フォーク先端13により、フォークアーム7は、運搬品の下に進入可能であり、フォーク先端13は、フォーク爪部8をパレットまたはこれに類するものの例えば受け開口内に挿通することを容易にする。このためにフォーク先端13は、例えば、
図2に示すように、少なくとも一部領域において先細りするように形成されている。
【0030】
さらにフォーク爪部8は、プラスチックから製作される長手方向支持体14を有しており、長手方向支持体14は、フォーク背部9からフォーク先端13まで、そしてこれに伴いフォーク爪部8の全長にわたって長手方向延在で延在している。
図2の実施例に示すように、フォーク背部9がフォーク爪部8と1ピースに形成されている場合、プラスチック長手方向支持体14は、好ましくは、フォーク背部9も通して延在している。プラスチックは、特にガラス繊維強化または炭素繊維強化プラスチックである。特に炭素繊維強化プラスチック、いわゆるカーボンは、ここで実証されている。このようなプラスチックは、炭素繊維が一方向または様々な方向でプラスチック内に位置するものを指す。これは、異方性の材料である。繊維は、例えば一方向、二方向、非含浸、三軸、四軸、多軸に、または織物インサートもしくは織物プリプレグによって構成されていてもよい。通常、母材は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなる。上記プラスチックにより、低い重量のフォークアームで、高い耐荷重が保証されている。
【0031】
フォークアーム7の耐荷重をさらに高めるべく、フォークアーム7は、ここでは2つのサポート要素15,16を備えている。サポート要素15,16は、フォークアーム7の外部補強材であり、外部補強材はそれぞれ、フォークアーム7の側面に沿ってフォークアーム7のL字形にしたがって形成されている。外部補強材は、この場合、長手方向支持体14をその長手方向面においてC字形またはU字形に取り囲み、その結果、外部補強材あるいはサポート要素16,15自体は、フォーク爪部8の運搬面11を形成しており、運搬品が長手方向支持体14のプラスチックと直接接触することが防止されている。
【0032】
図2は、これに加えて円A内にサポート要素15の拡大詳細断面図を示している。外部補強材はベースセクションを有しており、ベースセクションからは、2つのサイド脚片が側方で突出し、サイド脚片は、互いに平行にかつ離間して配置されている。一方のサイド脚片は、長手方向支持体14の上面に載置され、他方のサイド脚片は、長手方向支持体14の下面に載置されている。これによりサポート要素15は、運搬面11を形成するとともに、フォークアーム7用の底面保護を少なくとも部分的にともに形成する。加えてサポート要素15,16は、特に少なくとも一部領域において長手方向支持体14から上方にあるいはフォーク背部9の方向に突出する。
【0033】
本発明の代替的な一実施の形態によれば、サポート要素は、
図2の円A内に破線により略示するように、横断面長方形に形成されている。これによりサポート要素15,16は、側方で長手方向支持体14に当接し、長手方向支持体14に特に樹脂の供給、ねじ止め、接着および/またはリベット止めによって結合されている。また、長手方向支持体14は、サポート要素15,16に一体に注型成形、例えば型工具を用いた射出成形法によって注型成形されていてもよく、型工具内には、まず、サポート要素15,16が配置され、続いてプラスチックが充填され、硬化される。任意選択的には、プラスチックは、ラミネート、装填(Beschickung)によって処理される。
【0034】
本発明の別の実施形態では、サポート要素15,16は、フォークアーム7の床側の下面にのみ配置されている。フォークアームの構造および製造を簡単化すべく、本実施形態では、1つのサポート要素しか使用されなくてもよい。好ましくは、複数のサポート要素15,16あるいは1つのサポート要素は、フォーク屈曲部の領域内にのみ、あるいはフォーク屈曲部に対して直接隣接してのみ、フォークアームの下面に延在していてもよい。なぜなら、この領域は、荷を受けるときと荷を降ろすときに、最も高い摩耗に曝されているからである。その原因は、フォークを上げ下げするとき、フォークリフトがまだ動いていることが多く、その結果、フォーク屈曲部に隣接する領域を床に擦ってしまうことがあるという事実にあり、これは、摩滅の形態の高い摩耗に至らしめる。この摩耗に対しては、サポート要素15,16を上記領域に取着することで対抗されている。
【0035】
サポート要素15,16は、長手方向支持体14と比較して高い強度および少ない摩耗を示す材料から製作されている。このためにサポート要素15,16は、特に、プラスチックに比べて高い強度を有する材料、例えば金属、特に鋼もしくは特殊鋼、またはセラミック素材から製作されている。これにより荷役手段5、特にフォーク爪部8は、複数の部材から複合構成部品の形態で形成されており、低い重量と高い耐荷重とを合わせもつ。これにより、運搬車両1の許容可能な運搬重量は、荷役手段5の自重が減少した分、有利には高まり、ひいては運搬車両1の効率が改善される。代替的または付加的に、フォーク爪部は、さらなる図を参照しながら以下で説明するように、少なくとも1つの内側に位置するサポート要素を有しており、内側に位置するサポート要素により、長手方向支持体の耐荷重が有利には高まり、製造コストは低下する。
【0036】
好ましくは、サポート要素15,16および長手方向支持体14の材料は、その密度、破断伸びおよび温度耐性の点で相違している。特に材料は、以下の特性あるいは値を有している。
【0037】
好ましくは、ガラス繊維強化または炭素強化されたプラスチック、アラミド等からなる長手方向支持体に関し、密度は、600~3,000kg/m3、好ましくは、1,400~2,100kg/m3である。引っ張り強さは、1,500~30,000N/mm2、好ましくは、2,000~5,000N/mm2である。変形温度あるいは硬化温度は、サイクルタイムが1~10,080分のとき、20~700℃にある一方、破断伸びAは、最大8.1%である。
【0038】
サポート要素に関し、密度は、鋼あるいは金属の場合、4,500~8,900kg/m3である。溶融温度は、500℃~5,500℃である。引っ張り強さは、300~1,450N/mm2である。破断伸びは、-10~50%である。非金属のサポート要素の場合、密度は、20kg/m3~4,400kg/m3である。このサポート要素は、10N/mm2~30,000N/mm2の引っ張り強さおよび0.2%~900%の破断伸びAならびに100℃~950℃の分解温度を有している。
【0039】
以下では、荷役手段5の別の有利な実施例について
図3~8を基に説明する。
【0040】
図3は、荷役手段5の第2の実施例を示しており、フォークアーム7は、フォーク先端13近傍におけるフォーク爪部8の長手方向延在に対して横方向の切断平面を有する斜視断面図で示してある。
【0041】
外側に位置する金属からなるサポート要素15,16の代わりに、本実施例によれば、フォーク爪部8は、複数のサポート要素17,18,19,20から形成されて内側に位置する芯要素21を有するようになっている。芯要素21は、フォーク爪部8の長手方向延在で長手方向支持体14内に延在している。長手方向支持体14は、これにより芯要素21を周囲から包囲している。特に長手方向支持体14は、プレス法、特に冷間プレス法または熱間プレス法によって長手方向支持体14上に被着されている。
【0042】
サポート要素17,18,19,20は、ここでは木材から製作されており、それぞれ1つの長方形の横断面を有しており、外側に位置するサポート要素17,20は、中間に位置する特に正方形のサポート要素18,19よりも細身に形成されている。好ましくは、サポート要素17~20の層は、互いに異なって方向付けられている。そうして、特に内側に位置するサポート要素18,19は、外側に位置するサポート要素17,20の積層とは相違する積層を有している。サポート要素17~20は、この場合、好ましくは木材、特に引っ張り強さの高い木材から製作されている。この場合、互いに異なる層は、好ましくは、互いに垂直に方向付けられており、フォーク爪部8の長手方向延在に対して水平もしくは垂直に、またはこれに対して斜めに延びている。芯要素21のサポート要素17,20は、一列に相並んで横方向で互いに当接し、長手方向支持体14のプラスチックによって外被されている。特にサポート要素17~20は、製造時、長手方向支持体14を注型成形するときに長手方向支持体14のプラスチックによって包まれる。木材の使用により、フォークアーム7は、特に重量を削減するように形成され、それにもかかわらず十分高い耐荷重を備えている。代替的な一実施例によれば、芯要素21あるいはそれぞれのサポート要素17~20は、セラミック、プラスチック、特に熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂、エラストマー、アラミド、ケブラー、プレキシグラス、紙、厚紙、織物、ガラス、コンクリート、セメント、フォーム、砂、特に石英砂または石から製作されている。
【0043】
耐荷重をさらに高めるべく、任意選択的に付加的に、
図2に既に示しかつ説明したサポート要素15,16が、フォーク爪部8あるいは長手方向支持体14の長手方向面に配置されていてもよい。以下に説明する実施例も、互いにかつ前述の実施例と組み合わせ可能である。
【0044】
図3に示す実施例の改変形では、芯要素21は、1つの部材から構成されていてもよい。芯要素21は、この場合、ただ1つのサポート要素からなっている。芯要素21は、本構成では、長手方向支持体14によって完全に囲繞されている。長手方向支持体は、好ましくは、熱硬化性樹脂、特に炭素繊維強化プラスチックからなっている。摩耗を減らすべく、本実施例では、フォークアーム7の床側の下面に、少なくとも一部セクションで、少なくとも1つのサポート要素15,16が配置されている。
【0045】
芯要素に関し、密度は、20~9,000kg/m3である。引っ張り強さは、350~30,000N/mm2、好ましくは3,000N/mm2である。変形温度は、70~1,890℃にある一方、破断伸びAは、最大50%である。
【0046】
好ましくは、フォーク爪部8は少なくとも1つの貫通通路22を有しており、貫通通路22は、例示的に
図8にも示すように、フォーク爪部8の長手方向延在でフォーク背部9からフォーク先端13まで延在している。本実施例によれば、フォーク爪部8は2つの貫通通路22を有している。貫通通路22は、1つずつ、サポート要素18,19内に形成されている。このためにサポート要素18,19には、例えば長手方向孔が設けられている。特に好ましくは、それぞれの長手方向孔は、プラスチック管または金属管によって填充されており、プラスチック管または金属管は、孔を貫いて延在し、それぞれの貫通通路22を形成する。
【0047】
それぞれの貫通通路22は、例えばケーブルガイドとして利用可能であり、または形成されており、これにより、例えばフォーク先端に配置されるセンサ、例えば間隔センサ、カメラセンサ、温度センサまたはこれに類するものを、フォーク爪部8またはフォーク背部9を通して案内されるケーブルを用いて接続することができ、ケーブルは、例えば運搬車両1の制御装置に接続されているか、または接続可能である。貫通通路22の少なくとも1つは、好ましくは媒体通路として形成されており、媒体通路は、つまり、特に液状またはガス状の媒体を案内すべく形成されている。そうして、フォーク先端13は、例えば
図8に示すように、例えば消火装置40を有しており、消火装置40には、貫通通路22の少なくとも1つを通して消火媒体を供給可能である。これにより、運搬車両1の使用範囲が有利に拡張される。
【0048】
図4は、第3の実施例を示している。第3の実施例は、サポート要素17,18,19が3つしか存在せず、中央のサポート要素18内にのみ貫通通路22が形成されている点で、先行の実施例とは相違している。これによりフォーク爪部8は、本実施例では、貫通通路22を1つだけ有しており、貫通通路22は、媒体通路またはケーブルガイド通路として形成されているか、または利用可能である。
【0049】
任意選択的には、サポート要素17~19は、本実施例では、それぞれかつ/または1つの共通の編組チューブ23によって包囲されており、編組チューブ23は、サポート要素17~19同士の、かつ/または長手方向支持体14のプラスチックに対する有利な結合をもたらす。特にサポート要素17~19は、編組チューブ23によって互いに保持され、続いて長手方向支持体14を注型成形するときに長手方向支持体14のプラスチックによって包まれるかまたは外被される。本実施例でも、サポート要素17,18,19は好ましくは木材から製作されており、隣り合うサポート要素は、好ましくは、それぞれ異なる、特に互いに垂直に方向付けられた積層を有している。
【0050】
先行の実施例では、さらに、それぞれの貫通通路22が閉じて形成されているのに対し、本実施例では、貫通通路22は、サポート要素18の下面に向かって縁部側で開いて形成されている。これによりサポート通路22は、一方ではサポート要素18によって、他方では、編組チューブ23および/または長手方向支持体14のプラスチックによって画定される。縁部で開いた形に形成したことで、貫通通路22を例えば低コストのフライス加工工程によって溝の形態で1つのサポート要素18の外面に作り込むことが可能であるという利点が生じる。
【0051】
図5は、フォーク爪部8の第4の実施例を示している。第4の実施例は、芯要素21が、特に木材、鋼、プラスチックまたはセラミックから製作されているサポート要素17,18を2つしか有していない点で、先行の実施例とは相違している。サポート要素15~20を強度の高いプラスチック、例えば熱硬化性樹脂から製作することも、原則、すべての実施例において可能である。
【0052】
代替的な実施例によれば、フォーク爪部8は、サポート要素17を1つしか有していない芯要素21を有している。さらに別の実施例によれば、長手方向支持体は、中空に形成されている、つまり、芯要素21の代わりに空間が存在しているようになっており、この空間は、例えば貫通通路22として利用可能であるか、または単純に重量減少のために用いられる。特にこの場合、長手方向支持体は、少なくとも1つの外側に位置するサポート要素15,16、特に少なくとも1つの外部補強材を有するようになっている。
【0053】
任意選択的には、貫通通路22は、サポート要素17,18の1つの中ではなく、
図5に破線によって示すように、支持体14内にのみ形成されている。そうして、貫通通路22を、既に長手方向支持体14の製造用の注型用型内で、簡単な構造的な手段によって考慮し、一緒に製造することができる。このことが別の実施例でも可能であり有利であることは、自明である。
【0054】
任意選択的には、貫通通路22は、長手方向支持体14内に管要素24によって形成されており、管要素24は、長手方向支持体14を長手方向延在で貫いて延在し、製作の際に、注型成形時に一緒に埋設または装填される(beschickt)。これにより、長手方向支持体14内への貫通通路22の組み込みは、特に簡単に実現可能である。
【0055】
同じく
図5に例示的に示す別の実施例によれば、長手方向支持体は、運搬面11が例えば少なくとも1つのサポート要素15,16によって形成されるとき、少なくとも1つ、好ましくは複数の凹部34を運搬面11内にまたは運搬面11よりも下に有している。特に凹部は、運搬面11に向かって開いて形成されている。それぞれの凹部34内には、少なくとも1つのセンサ35、特に温度センサまたは力センサもしくは重量センサが配置されていてもよい。好ましくは、フォーク爪部8に沿って特に均等に分配配置される複数の凹部34内に重量センサ35が配置されており、重量センサ35は、運搬面上に担持される運搬品の重量を検出すべく形成され、配置されている。凹部34は、フォーク爪部8の長手方向中心軸線に関して中心に配置されていてもよいし、
図5に示すように偏心して配置されていてもよい。
【0056】
図6は、荷役手段5あるいはフォークアーム7の第5の実施例を示しているが、ここでは、有利な側面図で示している。フォーク爪部8は、特に前出の実施例の1つにしたがって形成されている。フォーク先端13には、有利には保護要素25が割り当てられており、保護要素25は、フォーク先端13を摩耗現象から保護する。特に保護要素25は、フォーク爪部8の、上面とは反対側の下面に配置されており、特に運搬車両1が荷役手段5を動かしている間に、フォーク爪部8が自由端部12で床に当たるケースのために、長手方向支持体14と比較して明らかに高い耐摩滅性をトライボロジに応じて有している。保護要素25は、任意選択的に、外部補強材あるいはサポート要素15,16の一方または両方によって形成される。好ましくは、保護要素25は特殊鋼から製作されている。さらに任意選択的に、保護要素25は、長手方向支持体14の全長または略全長にわたって延在するようになっている。
【0057】
図11に示す実施形態では、保護要素25は、荷役手段5あるいはフォークアーム7の床側の下面にも配置されている。保護要素25は、フォーク先端13からフォーク屈曲部の領域内まで延在し、その結果、フォークアーム7は、全体的に床との接触による摩耗に抗して保護されている。有利には、保護要素25は、フォーク屈曲部に隣接する領域内にのみ配置されていてもよい。保護要素はこの場合、有利には、下面の一部セクションにわたってのみ延在している。荷受けしたり降ろしたりする際に、荷役手段5あるいはフォークアーム7のこの領域がしばしば床と接触し、それゆえこの領域内に高い摩耗が発生するために、保護要素をこの領域内に配置することは有意義である。
【0058】
本発明の特に有利な実施形態では、芯要素21は、1つの部材から、極めて安定な素材、例えば鋼または特殊鋼から製造され、かつプラスチックからなる長手方向支持体14によって包囲されていてもよい。このような構成において、荷役手段5の床側の下面に1つまたは複数の保護要素25が配置されている場合、保護要素25は、荷役手段5にねじ止めされていてもよい。高信頼性の保持は、この場合、芯要素21の安定性によって保証されている。この構成により、摩耗した1つまたは複数の保護要素25をねじ止めの解除により除去し、新しい保護要素25を装着することが、特に簡単に可能である。このような解決手段は、要素の交換時にそれほど手間を要さず、かつ荷役手段5自体は変わらず引き続き利用可能であるので、特にサステナブルである。
【0059】
図6の実施例によれば、さらに、フォーク爪部8とフォーク背部9とが別体の構成部品として形成されているようになっている。
【0060】
この場合、フォーク背部9は、フォーク背部9の下側の端部に差し込み切欠き26を有しており、差し込み切欠き26は内部輪郭を有しており、この内部輪郭は、フォーク爪部8の、フォーク先端13とは反対側の端部27における外部輪郭に少なくとも実質的に相当する。フォーク爪部8は、フォーク爪部8の端部27に設けられた差し込みセクションでもって受け切欠き26内に挿入され、差し込まれ、これにより形状結合式にフォーク背部9に結合されている。任意選択的には、さらに分解可能な取り付け手段28が存在し、取り付け手段28により、ユーザは、フォーク爪部8をフォーク背部9に差し込まれた状態でロックし、またはフォーク背部9から分離させることができる。これにより、例えば摩耗現象または損傷時、フォーク爪部8の簡単な交換が可能である。本実施例でも、前に説明したように、貫通通路22の1つまたは複数がフォーク爪部8内に存在していてもよいことは、自明である。好ましい一実施例によれば、運搬車両1には、例えば1つの荷役手段システムの複数の荷役手段であって、ただし、サポート要素17に関して特に荷役手段の長さまたは性状の点で互いに相違している荷役手段が用意されている。これにより運搬車両1を、簡単に様々な要求、特に様々な運搬品に適合させることができる。荷役手段システムのこれらの荷役手段は、荷役手段の端部27が、上述のように差し込み切欠き26と協働するために、同じに形成されているという点で共通している。
【0061】
フォーク爪部8が、プラスチックの使用に基づき重量を削減するように形成されていることにより、
図6に示すようなフォーク爪部8とフォーク背部9との差し込み結合は、付加手間をそれほど要さず可能となる。好ましくは、端部27におけるフォーク爪部8の外部輪郭と、受け切欠き26の内部輪郭とは、フォーク爪部8が形状結合式に、特に遊びなしにまたは略遊びなしに受け切欠き26内に保持されるように形成されている。これにより、運搬車両1による1つまたは複数のフォーク爪部8の精緻な誘導が保証されている。
【0062】
図6の実施例では、さらに任意選択的に、フォーク先端13にまたはフォーク背部9内に、センサ32、特にカメラセンサが配置されており、センサ32は、貫通通路22の1つに通される少なくとも1つのコネクティングケーブルを用いて、運搬車両1の制御装置に接続されているようになっている。運搬車両1内には、例えばディスプレイまたは画面が配置されており、ディスプレイまたは画面により、運搬車両1のドライバまたはユーザは、センサ32によって捕捉されたカメラ画像を監視し、運搬車両1の制御のために考慮することができる。
【0063】
図7に示す第6の実施例は、フォーク爪部8とフォーク背部9とが互いに1ピースに形成されている点で、先行の実施例とは実質的に相違している。この場合、好ましくは、長手方向支持体14も、フォーク背部9内までまたはフォーク背部9を通して延在している。同じく、任意選択的に存在するサポート要素15,16,17は、フォーク支持体8を通してフォーク背部9内まで延在している。フォーク先端13には、本構成でも、有利には保護要素25が割り当てられており、保護要素25は、フォーク先端13を摩耗現象から保護する。フォーク爪部8あるいはフォークアーム7を運搬車両1に取り付けるために、荷役手段5は、フォーク背部9に支持体要素29を備えており、支持体要素29は、フォーク背部9を実質的に取り囲み、かつ一部領域においてフォーク爪部8を少なくともフォーク爪部8の下面において支えている。支持体要素29は、荷役手段5を運搬車両1のフォーク支持体に装着するための前述の取り付けフック10を有している。
【0064】
支持体要素29は、好ましくは、複数の部材、特に2つの部材から形成されている。そうして、支持体要素29は、本実施例によれば、フォーク背部9の、フォーク爪部8側の前面に配置されている第1の部材29’と、フォーク背部9の、フォーク爪部とは反対側の背面に配置されている第2の部材29’’とを有している。両部材29’,29’’は、好ましくは、複数の取り付けねじ30によって互いにねじ止めされており、取り付けねじ30はフォーク背部9を貫いて延在し、
図7には破線でのみ略示してある。好ましくは、背面に割り当てられた部材29’’は、部材29’’の下側の端部に湾曲部を有しており、湾曲部は、フォーク爪部8を下支えすべく、フォーク爪部8に下から係合する。
【0065】
本実施例の改変形では、支持体要素29の一部がフォーク背部9の内部に位置するように、フォーク背部9内にフォーク背部9の注型成形時に埋設されていてもよいし、ラミネートされて埋設されていてもよい。
【0066】
図8は、荷役手段5の第7の実施例を示している。第7の実施例では、貫通通路22が、フォーク爪部8だけでなくフォーク背部9も通して延在している。代替的には、貫通通路22は、フォークフック10の領域内で始端していてもよい。
図8に示す実施例では、フォーク爪部8は、フォーク先端13に、上で既に言及した消火装置40を有しており、消火装置40は貫通通路22に接続されており、貫通通路22を通して消火媒体を供給可能である。貫通通路22はこのために、貫通通路22の、消火装置40とは反対側の端部において、特にフォーク背部9の空いている上面において、供給チューブ31またはこれに類するものに接続可能であり、供給チューブ31またはこれに類するものは、例えば媒体タンクに連通し、媒体タンクは、運搬車両1のボデー2上にまたはボデー2に接して配置されている。
【0067】
特に好ましくは、フォーク爪部8は、説明した実施例の各々において、有利な滑り止めコーティング33を、長手方向支持体14あるいはフォーク爪部8の、運搬面11を形成する上面に有している。滑り止めコーティング33により、フォーク爪部8上に受けた積載品が滑らなくなるか、または非常に滑りにくくなることが達成される。
【0068】
これらの実施例についてフォークリフトを参照しながら説明してきたが、様々に形成されるフォークアーム7あるいは荷役手段5は、当然のことながら、その他の運搬車両、特にリフト車においても使用可能である。
【0069】
図9は、荷役手段5の別の一実施例を斜視断面図で示している。本実施例によっても、フォーク爪部8とフォーク背部とは、好ましくは互いに1ピースに形成されている。
図3の実施例とは異なり、サポート要素17~20はそれぞれ、それ自体プラスチックによって包囲されている。この場合、特に、内側に位置するサポート要素の各々は、プラスチック層内にラミネートされて埋設されている。任意選択的に、
図9に示すように、中央のサポート要素18,19間には、さらに貫通通路22が形成されている。
【0070】
任意選択的には、フォークアームは、さらに、
図9に破線の分割線によって略示するように、2つの部分から形成されている。
図9の実施例では、このためにフォークアームは、全体的に真ん中で二分割されており、その結果、貫通通路22は、両フォークアーム部分に割り当てられた部分を組み合わせて形成される。これにより、フォークアーム7の簡単かつ低コストの製作が可能となる。
【0071】
総じて、本発明に係る荷役手段は、特に軽量かつ低摩耗であることがわかっている。これに加えて、フォークアームが炭素繊維強化プラスチック(いわゆるカーボン)からなる長手方向支持体からなり、長手方向支持体が木材からなる芯要素を有しており、芯要素が長手方向支持体によって完全に囲繞されていると、特に有利であることがわかっている。さらに、長手方向支持体の下面には、特殊鋼からなるサポート要素が配置されている。サポート要素は、この場合、略U字形の横断面を有していてもよく、その結果、長手方向支持体の長手方向面は、少なくとも一部領域において取り囲まれている。特に高い重量削減がもたらされるのは、サポート要素がフォーク屈曲部の領域内にのみあるいはフォーク屈曲部に隣接してのみ存在しているときである。
【0072】
図10AおよびBは、リフト車として形成される運搬車両1の一実施例を示している。この運搬車両1は、実質的に、それぞれのフォーク爪部8の下に運搬車輪36を備えており、運搬車輪36が、
図10Aの斜視図に示すように、特にフォーク爪部8の切欠き37の領域内に高さに関してフォーク爪部8に対して調節可能に配置されている点において、フォークリフトとは相違している。この場合、それぞれのフォーク爪部8は、
図10Aに示す線A-Aに沿ったリフト車の横断面図を示す
図10Bに示すように、C字形またはU字形の横断面を有している。
【0073】
この場合、フォーク爪部8はサポート要素38を有しており、サポート要素38は上弦材を形成し、上弦材は運搬面11を形成し、切欠き37を有している。上弦材からは、1ピースに2つのサイド脚片が下方に突出し、サイド脚片は、互いに離間して上弦材の長手方向面に配置されており、上弦材と特に1ピースに形成されている。サポート要素38は、これにより、その下に位置する長手方向支持体14を上面および長手方向面において外被する。
【0074】
図10Bに示す代替的な一実施例によれば、サイド脚片は上弦材とは別体に形成され、例えばサポート要素15,16により形成されており、サポート要素15,16は、堅固にサポート要素38に結合、例えば溶接、ねじ止め、リベット止めおよび/または接着されている。ここでは、加えて、サポート要素15,16は、鋼、特に特殊鋼から製作されている。切欠き37の領域内に、長手方向支持体は同じく貫通部39を有しており、その結果、運搬ローラまたは運搬車輪36は、貫通部内に位置することができる。長手方向支持体14は、好ましくは2つのサポート要素17,20を有しており、サポート要素17,20は、互いに離間してかつ少なくとも略平行に長手方向支持体14を通して延在している。この場合、長手方向支持体は、
図10Bに示すように、長手方向支持体が貫通部39の側方を通り過ぎて延在する、つまり、貫通部39が長手方向支持体間に形成されるように、互いに距離を置いて位置している。
【0075】
図10Cは、別の一実施例を示しており、この実施例は、サポート要素15,16が、長手方向支持体14の側方ではなく下方に配置されており、その結果、サポート要素が底面保護を形成している点で、先行の実施例とは相違している。その点で、本構成におけるサポート要素15,16は保護要素25に相当し、保護要素25は、特に長手方向支持体の全長にわたって延在している。
【0076】
図10Cは、さらに、図平面の左側に、芯要素21としてのサポート要素17を有する一実施例を示し、右側に、芯要素21を有しない一実施例を示している。好ましくは、フォーク爪部8の両サイドは、
図10Cの横断面で見て、1つまたは複数の、特に最大4つのサポート要素17~20から形成されているそれぞれ1つの芯要素21を有しているか、または芯要素21を有していない。任意選択的には、フォーク爪部8の一方のサイドのみ、1つの芯要素21を有している。
【0077】
図10Dは、別の一実施例を示しており、この実施例は、特に、サポート要素15,16が長手方向支持体14の内面に配置されている点で、
図10Bの実施例とは相違している。長手方向支持体14のプラスチックは、これにより、サポート要素に上面および外側の側面において重畳する。これにより、長手方向支持体自体が運搬面11も形成する。本実施例の改変形では、サポート要素15,16は、長手方向支持体14の外側に位置するように配置されていてもよい。
【0078】
それぞれの実施例によらず、それぞれのサポート要素15~20,38は、それぞれの長手方向支持体14に、好ましくは、溶接され、注型成形時に埋設され、ラミネートされて埋設され、ねじ止めされ、リベット止めされ、かつ/または接着されている。これにより、永続的に堅固な結合を保証することができる。特に長手方向支持体14は、雌型、雄型またはノズルを用いた成形法によって製造されており、この成形法では、プラスチックは、少なくとも1つのサポート要素が内部に配置されている型工具内に供給され、その結果、プラスチックは、サポート要素に付着して硬化し、これによりサポート要素との永続的に堅固な結合を形成する。
【0079】
本発明に係る荷役手段は、マルチコンポーネント構成部品、いわゆるハイブリッド構成部品である。本発明に係る荷役手段の製造は、既述の冷間プレス法または熱間プレス法によって実施されてもよい。さらに、オートクレーブが使用されてもよく、オートクレーブは、特に繊維複合素材の加圧成形に好適である。いずれにせよ、金属の部材は、最初に従来慣用の方法で製造され、成形される。続いて、プラスチックコンポーネントの被着が実施される。これは、射出成形、ラミネート等によって実施することができる。プラスチックは、この場合、圧力下で付加的に様々な形状要素を金属薄板内に提供する作用媒体として利用される。構成部品の硬化は、例えば熱、時間および圧力の供給により、例えば80℃~400℃で、1分~2,880分の時間、実施することができる。
【国際調査報告】