(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】廃砂の再生
(51)【国際特許分類】
B22C 5/00 20060101AFI20240903BHJP
B22C 1/00 20060101ALI20240903BHJP
F27B 7/16 20060101ALI20240903BHJP
F27B 7/02 20060101ALI20240903BHJP
F27B 7/08 20060101ALI20240903BHJP
B22C 1/10 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B22C5/00 C
B22C1/00 B
F27B7/16
F27B7/02
F27B7/08
B22C1/10 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514512
(86)(22)【出願日】2022-09-05
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 EP2022074583
(87)【国際公開番号】W WO2023031452
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524082742
【氏名又は名称】リサンド・オサケユフティオ
【氏名又は名称原語表記】Resand Oy
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ニエミネン,ユッカ
(72)【発明者】
【氏名】ウェシン,トニー
【テーマコード(参考)】
4E092
4K061
【Fターム(参考)】
4E092AA05
4E092AA06
4E092BA10
4K061AA08
4K061BA12
4K061DA01
4K061EA07
4K061FA02
(57)【要約】
ベントナイト粘結剤を含む廃砂の再生方法では、廃砂中のベントナイト粘結剤から炭素と吸収された水分とを除去するように廃砂に熱処理が施され、ベントナイト粘結剤から砂を機械的に分離するように、熱処理された廃砂に機械的処理が施され、ベントナイト粘結剤から分離された砂に冷却効果が付与される。さらに、ベントナイト粘結剤を含む廃砂の再生装置と、建築工業製品、鋳物砂、若しくは発電所ボイラー用砂のための砂と、建築工業製品、鋳物砂、若しくは発電所ボイラー用砂における再生砂の使用とが導入される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベントナイト粘結剤を含む廃砂を再生するための方法であって、
前記廃砂における前記ベントナイト粘結剤から炭素と吸収された水分とを除去するように、前記廃砂に熱処理を施すステップと、
前記ベントナイト粘結剤から砂を機械的に分離するように、前記熱処理が施された廃砂に機械的処理を施すステップと、
前記ベントナイト粘結剤から分離された前記砂に冷却効果を付与するステップと、を備え、
前記方法は、請求項5から請求項11のいずれか1項に記載の装置によって実行される、方法。
【請求項2】
前記廃砂に前記熱処理を施すステップでは、炭素を燃焼させるように且つ吸収された水分を前記ベントナイト粘結剤から蒸発させるように前記廃砂を加熱する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱処理が施された廃砂に前記機械的処理を施すステップは、少なくとも、前記廃砂を粉砕することを含む、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ベントナイト粘結剤から分離された前記砂に前記冷却効果を付与するステップでは、非加熱の空気流を前記砂に向ける、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ベントナイト粘結剤を含む廃砂を再生するための装置であって、
第1の端部と第2の端部とを有する回転可能な炉であって、前記炉の中に前記廃砂を供給するための少なくとも1つの入口を、前記第1の端部において有し、熱処理された前記廃砂を前記炉から排出するための少なくとも1つの出口を、前記第2の端部において有する炉と、
前記ベントナイト粘結剤から炭素を燃焼させるとともに吸収された水分を蒸発させるように前記廃砂に熱処理を施すために、前記炉の中に供給された前記廃砂を加熱可能なように前記炉の前記第1の端部に設けられたバーナーと、
前記炉の中に供給された前記廃砂の少なくとも一部を、前記炉の底部に向かって落下するまで前記炉の内周上で前記炉と共に移動させるように捕捉するように設けられた少なくとも1つのリフターであって、前記炉内における前記廃砂の移動を、前記炉の前記第2の端部と、前記炉の前記第2の端部における前記少なくとも1つの出口とに向けて案内するように設けられた少なくとも1つのリフターと、
第1の端部と第2の端部とを有する回転可能なドラムであって、前記熱処理された前記廃砂を前記ドラム内に受け入れるための少なくとも1つの入口を、前記第1の端部において有し、前記ベントナイト粘結剤から分離された砂を前記ドラムから排出するための少なくとも1つの出口を、前記第2の端部において有するドラムと、
前記ドラムの前記第1の端部において、前記ベントナイト粘結剤から砂を分離するように、前記熱処理された前記廃砂に機械的処理を施すための少なくとも1つのセクションと、
前記ベントナイト粘結剤から分離された前記砂を冷却するように、前記ドラムの前記第2の端部から前記ドラムの前記第1の端部に向かう方向に非加熱の空気流を生じさせるために、前記ドラムの前記第1の端部に設けられた少なくとも1つの排気装置と、
を備える装置。
【請求項6】
前記炉は、前記第2の端部において、前記ベントナイト粘結剤から前記砂を機械的に分離するように、前記熱処理された前記廃砂に前記機械的処理を施すための少なくとも1つのセクションを備える、
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの排気装置は、前記非加熱の空気流において、前記ベントナイト粘結剤から分離された前記砂から微粉を除去するように設けられている、
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記熱処理された前記廃砂に機械的処理を施すための前記少なくとも1つのセクションは、前記ベントナイト粘結剤から前記砂を分離するように前記廃砂に衝撃を与える粉砕ボールを有する粉砕セクションである、
ことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記ドラムの前記第2の端部は、前記ベントナイト粘結剤から分離された前記砂を、少なくとも1つの合格画分と少なくとも1つの不合格画分とに分類するための少なくとも1つの分類装置を備え、
前記少なくとも1つの合格画分は、前記ドラムの前記少なくとも1つの出口を通って前記ドラムから排出される、
ことを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記ドラムは、前記ベントナイト粘結剤から分離された前記砂から、磁性粒子を分離するための少なくとも1つの磁気分離器を備える、
ことを特徴とする請求項5から請求項9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記ドラムは、前記炉の下に配置され、水平方向において前記炉と実質的に平行に配置されている、
ことを特徴とする請求項5から請求項10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
建築工業製品、鋳物砂、又は発電所ボイラー用砂のための砂であって、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法によって再生された砂を備える、
砂。
【請求項13】
建築工業製品、鋳物砂、又は発電所ボイラー用砂における、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法によって再生された砂の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベントナイト粘結剤を含む廃砂を再生するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の方法において、鋳物工場で使用される砂など、ベントナイト粘結剤(ベントナイトバインダー)を含む廃砂は、いわゆる流動床ボイラーを使用することによって熱的に再生されている。流動床ボイラーでは、ボイラーの炉の底部から上方へ強い空気流が供給される。この空気流により、廃砂が洗浄され、灰、及び、加熱に使用された燃料がボイラーの炉内で浮遊する。
【0003】
廃砂の再生により、未使用の天然砂の必要性が減少し得る利点が得られる。しかしながら、上述の流動床ボイラーに基づく再生プロセスは、プロセスが遅く、運転コストが高く、洗浄される再生砂1トン当たりの廃棄物が多い欠点がある。
【0004】
生態学的意味で考えると、未使用の天然砂の必要性をさらに低減でき、再生プロセスで使用されるエネルギーの消費を低減できるように、再生プロセスを開発することに意義がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、ベントナイト粘結剤を含む廃砂を再生して、洗浄された砂が建築工業製品または鋳物砂として再利用可能になるようにするための新規な方法および装置を提供することである。
【0006】
本発明は、独立請求項の特徴によって特徴付けられる。
【0007】
本発明は、さらなる使用のために砂を再生するために、ベントナイト粘結剤を含む廃砂に対する熱処理効果と機械的処理効果とを組み合わせるという考えに基づいている。
【0008】
本発明の利点は、エネルギー消費が減少し、洗浄され再生される砂の収量が増加することである。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態は、従属請求項に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下、添付の図面を参照して、好ましい実施形態によって、本発明がより詳細に説明される。
【0011】
【
図1】ベントナイト粘結剤を含む廃砂の再生のための一実施形態に係る装置の側面図を概略的に示す。
【
図3】
図1の装置の一部の側面図を部分的に破断して概略的に示す。
【
図4】
図1の装置の一部の側面図を部分的に破断して概略的に示す。
【
図5】ベントナイト粘結剤を含む廃砂の再生のための一実施形態に係る方法を概略的に示す。
【0012】
明確化のために、これらの図は、本発明のいくつかの実施形態を簡略化して示している。これらの図において、同様の参照符号は同様の要素を特定している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、ベントナイト粘結剤(ベントナイトバインダー)を含む廃砂の再生のための一実施形態に係る装置1の側面図を概略的に示す。ベントナイト粘結剤を含む廃砂は、砂粒の表面にベントナイト粘結剤の層を有する砂粒からなる。ベントナイト粘結剤を含む廃砂は、例えば、鋳造に使用された鋳物工場、または、流動床ボイラーの床材料として使用された発電所に由来し得る。
【0014】
装置1は、回転可能な(回転式の)炉(回転炉)2を備える。炉2は、廃砂中のベントナイト粘結剤から炭素と吸収された水分とを除去するために、ベントナイト粘結剤を含む廃砂に熱処理効果を付与するように加熱される。
図2は、
図1の炉2の端面図を概略的に示す。炉2は、少なくとも1つの回転モータ3によって、例えば
図2において参照符号RDの矢印で示される回転方向に回転されるように設けられている。
【0015】
回転可能な炉2は、ほぼ円筒形の形状を有する。炉2は、第1の端部2aと、第1の端部2aとは反対側の第2の端部2bとを備え、炉2の第1の端部2aと第2の端部2bとの間を結ぶ方向が、炉2の長手方向を画定している。炉2は、第1の端部2aから第2の端部2bに向かって延びる第1の端部領域2a’を備える。
図1の実施形態において、第1の端部領域2a’は、実質的に、炉2の長手方向の中央部まで延びる。第1の端部領域2a’は、炉2の第1の端部2aも含む。炉2は、第2の端部2bから第1の端部2aに向かって延びる第2の端部領域2b’をさらに備える。
図1の実施形態において、第2の端部領域2b’は、実質的に、炉2の長手方向の中央部まで延びている。第2の端部領域2b’は、炉2の第2の端部2bも含む。炉2は、第1の端部2aまたは第1の端部領域2a’において、参照符号F
WS‐INの矢印で示すように炉2内に廃砂を供給するための少なくとも1つの入口4を有する。炉2は、第2の端部2bまたは第2の端部領域2b’において、参照符号D
TTWS‐OUTの矢印で示されるように、炉2内で熱処理を受けた廃砂、すなわち、ベントナイト粘結剤を含む熱処理廃砂を、さらなる処理のために炉2から排出するための少なくとも1つの出口5を有する。したがって、炉2の内部空間(内部容積)は、炉内の廃砂の流れのために、実質的に炉2の第1の端部2aから第2の端部2bまで少なくとも部分的に開放されている。
【0016】
回転可能な炉2の内周には、回転可能な炉2の第1の端部領域2a’の少なくとも一部において、1つ又は複数のリフター6が設けられている。
図2に概略的に示すように、リフター6は、回転可能な炉2の内周から炉2の中心部に向かって延びている。
図1において、リフター6は、参照符号6で示された破線で非常に概略的に示されている。炉2の長手方向において、少なくとも1つのリフター6は、実質的に炉2の第1の端部2aから炉2の第2の端部2bに向かって延びるように配置されている。少なくとも1つのリフター6は、
図1に概略的に示されるように炉2の第2の端部領域2b’まで延びてもよく、さらには、炉2の第2の端部2bまで延びてもよい。
【0017】
少なくとも1つのリフター6は、炉2内に供給された廃砂の少なくとも一部を捕捉して、
図2において参照符号FAの矢印で概略的に示されるように炉2の底部に向かって落下するまで炉2の内周上を炉2とともに移動するように設けられている。廃砂が炉2の底部に向かって落下するとき、落下する廃砂、すなわち廃砂の粒子は、
図2において多数のドットで概略的に示されているような一種の砂雲を、落下中に炉2内に形成する。リフター6間の廃砂の層は、非常に概略的に、参照符号WSで示されている。
【0018】
図1の実施形態において、リフター6は、炉2の第1の端部2aに面するリフター6の端部が、炉2の第2の端部2bに面するリフター6の反対側の端部よりも高く配置されるような傾斜位置にある。この効果は、炉2の第1の端部2aから炉2の第2の端部2bに向かう炉2内の廃砂の移動を誘導し、促進することである。
図1の実施形態に概略的に示すように、炉2の第1の端部2aが炉2の第2の端部2bよりも高く位置するような傾斜位置に炉2を配置することによっても、同様の効果が達成または強化され得る。
【0019】
さらに、
図1の装置では、炉2の第1の端部2aに少なくとも1つのバーナー7が設けられている。あるいは、場合によっては、バーナー7は、炉2の第1の端部領域2a’において、炉2の内部空間に配置されてもよい。バーナー7は、炉2の内部空間と炉2内に供給された廃砂とを加熱するように設けられている。バーナー7は、例えば、ガスバーナー、凝縮ガスバーナー、又は、炉2の内部空間と炉2内に供給された廃砂とを加熱するのに適用可能な他のバーナー若しくは何らかの加熱手段であってもよい。
【0020】
さらに、
図1の装置において、炉2の第2の端部2bには、少なくとも1つの排気装置8が設けられている。あるいは、場合によっては、排気装置8は、炉2の第2の端部領域2b’において、炉2の内部空間に配置されてもよい。排気装置8は、炉2の内部空間に発生する排煙と、粉塵等の微粉とを炉2の外に排出するように設けられている。排気装置8は、排煙および微粉を炉2から排出するために適用可能な他の手段と置き換えられてもよい。
【0021】
炉2及びこれに関連する機器は次のように動作する。
【0022】
ベントナイト粘結剤を含む廃砂は、
図1に矢印F
WS-INで概略的に示すように、少なくとも1つの入口4を通って炉2内に供給される。廃砂は、好ましくは、バーナー7の炎を通って炉2の底部に向かって落下するように炉2内に供給され、これにより、廃砂の加熱が効果的に開始される。
【0023】
同時に、炉2が回転モータ3によって回転され、これにより、少なくとも1つのリフター6が、炉2に供給される廃砂の少なくとも一部を捕捉して、該廃砂が炉2の底部に向かって落下するまで炉2の内周上を炉2とともに移動するように配置される。これにより、廃砂の粒子が、炉2内に砂雲を形成する。この砂雲の形成により、炉2の内部空間で廃砂がほぼ均一に加熱され得る。バーナー7は、少なくとも約400℃の廃砂の温度、好ましくは、少なくとも約400~700℃の廃砂の温度が達成されるように、廃砂を加熱するように設定され、作動される。炉2内の廃砂の所望の温度が達成され得ることを確認するために、炉2内の廃砂の温度を測定するための温度センサーが、(炉2の内部空間における砂雲の形成と、炉2内の廃砂の拡散速度(伝播速度)との両方に影響を及ぼす)バーナー7の加熱効率および/または炉2の回転速度を制御するために適用されてもよい。
【0024】
廃砂の加熱により、炉2内で廃砂が熱処理され、吸収された水分がベントナイト粘結剤から蒸発し得る。吸収された水分がベントナイト粘結剤から蒸発すると、廃砂に機械的処理が施されることにより、砂粒の表面からベントナイト粘結剤を剥離しやすくなる。これについては、以下でより詳細に考察される。
【0025】
炉2の回転に伴って、廃砂の少なくとも一部が、少なくとも1つのリフター6によって捕捉されて、炉2の底部に向かって落下するまで炉2の内周上で炉2とともに移動され、炉2の底部への砂粒の落下による衝撃により、加熱された廃砂に軽い機械的処理効果が付与される。この軽い機械的処理効果により、炭素を含む粉塵がベントナイト粘結剤から分離される。ベントナイト粘結剤から分離された炭素は、炉2内の温度により燃焼し、プロセス中に発生する粉塵の量を減少させる。
【0026】
炉2内で発生したり、例えば廃砂とともに炉2内に進入したりした粉塵等の微粉は、排気装置8によって炉2外に排出される。炉2内で熱処理効果を受けた廃砂は、以下に説明されるように廃砂に加えられる機械的処理効果のために、参照符号DTTWS‐OUTの矢印で概略的に示されるように、少なくとも1つの出口5を通って炉2の外に排出される。
【0027】
図1の装置1は、廃砂中のベントナイト粘結剤から砂、つまり砂粒を分離するために、回転可能な炉2から受け取った熱処理済みの廃砂に機械的処理効果を与えるための回転可能な(回転式の)ドラム(回転ドラム)9をさらに備える。ドラム9は、少なくとも1つの回転モータ10によって回転されるように構成されている。
【0028】
回転可能なドラム9は、略円筒形状を有し、第1の端部9aと、第1の端部9aとは反対側の第2の端部9bとを備える。ドラム9の第1の端部9aと第2の端部9bとの間を結ぶ方向は、ドラム9の長手方向を画定している。ドラム9は、第1の端部9aから第2の端部9bに向かって実質的にドラム9の長手方向の中央部まで延びる第1の端部領域9a’を備える。第1の端部領域9a’は、ドラム9の第1の端部9aを含む。ドラム9は、第2の端部9bから第1の端部9aに向かって実質的にドラム9の長手方向の中央部まで延びる第2の端部領域9b’をさらに備える。第2の端部領域9b’は、ドラム9の第2の端部9bを含む。ドラム9は、第1の端部9aまたは第1の端部領域9a’において、参照符号FTTWS‐INの矢印で示すように、熱処理された廃砂を回転可能な炉2から回転可能なドラム9内に供給するための少なくとも1つの入口11を有する。ドラム9は、第2の端部9bまたは第2の端部領域9b’において、参照符号DCNS‐OUTの矢印で示すように、ベントナイト粘結剤から分離された砂、すなわち再生されたきれいな砂をドラム9の外に排出するための少なくとも1つの出口12を有する。装置1は、例えば再生砂の包装を含むさらなる処理のために、再生されたきれいな砂を搬送するためのコンベヤ(例えば、ベルトコンベヤ13またはスクリューコンベヤなど)をさらに備えてもよい。
【0029】
回転可能なドラム9は、少なくとも第1の端部領域9a’において、廃砂中のベントナイト粘結剤から砂、つまり砂粒を機械的に分離するように、熱処理された廃砂に機械的処理効果を与えるための少なくとも1つのセクション14を備える。
図3は、廃砂に機械的処理効果を与えるためのセクション14において部分的に破断して概略的に示す、回転可能なドラム9の一部の側面図である。
図3の実施形態において、セクション14は、ドラム9が回転モータ10によって回転されるときに廃砂に衝撃を与えてベントナイト粘結剤から砂を分離する複数の粉砕ボール15を有する粉砕セクションである。したがって、セクション14は、ベントナイト粘結剤から砂を分離するために、熱処理された廃砂に機械的処理効果を与えるのに適用可能な機械的処理手段を提供する。砂粒が受ける衝撃、及び、砂粒の相互の摩滅により、ベントナイト粘結剤が砂粒表面から剥離し、これにより、ドラム9内の粉砕セクション14におけるベントナイト粘結剤および他の微粉を含む粉塵雲が形成される。
【0030】
一実施形態に係る装置1によれば、
図1において回転可能な炉2の第2の端部領域2b’に位置する参照符号14で概略的に示されるように、少なくとも1つの同様のセクションが回転可能な炉2の少なくとも第2の端部領域2b’に配置されてもよい。
【0031】
回転可能なドラム9の内周には、ドラム9の第1の端部領域9a’および第2の端部領域9b’のうちの少なくとも一方の少なくとも一部において、ドラム9の内周から中心部に向かって延びる1つ又は複数のリフター16が、回転可能な炉2に関連して上述されたリフター6(
図2参照)と同様の態様で設けられてもよい。
図1において、リフター16は、参照符号16の破線で非常に概略的に示されている。
【0032】
回転可能なドラム9内の少なくとも1つのリフター16は、ドラム9内の砂の少なくとも一部を捕捉して、(
図2において参照符号FAの矢印で概略的に示された砂と同様の態様で)ドラム9の底部に向かって落下するまでドラム9の内周上をドラム9とともに移動させるように設けられている。砂が炉2の底部に向かって落下すると、ベントナイト粘結剤から分離されて落下する砂(すなわち、ベントナイト粘結剤が分離された砂粒)は、例えば、砂から分離されたベントナイト粘結剤と他の粉塵とを含む微粉とともに、回転可能な炉2(
図2参照)に関連して上述されたのと同様の態様で、ドラム9の内部に一種の雲を形成する。
【0033】
図1の実施形態では、ドラム9の長手方向へのドラム9内の砂の移動を促進するために、リフター16も傾斜位置にある。リフター16の傾斜位置では、ドラム9の第1の端部9aに面するリフター16の端部が、ドラム9の第2の端部9bに面するリフター16の反対側の端部よりも高い位置にある。
図1の実施形態にも概略的に示されているように、ドラム9の第1の端部9aがドラム9の第2の端部9bよりも高い位置になるような傾斜位置に、ドラム9を配置することによって、同様の効果が達成または強化され得る。
【0034】
さらに、
図1の装置では、ドラム9の第1の端部9aに少なくとも1つの排気装置17が設けられている。あるいは、場合によっては、排気装置17は、ドラム9の第1の端部領域9a’における他の部分において、ドラム9の内部空間(容積内)に配置されてもよい。排気装置17は、ドラム9の内部に空気流を生じさせるように設けられている。この空気流の方向は、ドラム9の第2の端部9bからドラム9の第1の端部9aに向かう方向である。この空気流によって、ベントナイト粘結剤から分離された砂、つまり砂粒が冷却される。同時に、排気装置17は、ベントナイト粘結剤から分離された砂を冷却することを目的としたこの空気流とともに、粉塵などの微粉を、ドラム9の内部空間からドラム9の外に排出し得る。
【0035】
したがって、排気装置17は、ドラム9の内部空間を通る非加熱の空気流によって、ベントナイト粘結剤から分離された砂を冷却するための一種の冷却手段を提供する。非加熱の空気流は、少なくとも1つの空気入口18を通ってドラム9に入る。少なくとも1つの空気入口18は、周囲空気からドラム9内に冷却空気が流入することを許容するように、ドラム9の第2の端部9b、又は、ドラム9の第2の端部領域9b'の他の部分に配置されている。砂粒から分離されたベントナイト粘結剤と、他の粉塵とを含むが、ベントナイト粘結剤から分離された砂を含まない微粉が、ドラム9を通って流れる冷却空気流とともにドラム9から除去され得るように、排気装置17の駆動出力が制御される。装置1の周囲で利用可能な特別に冷却された空気がある場合、その冷却空気は、ドラム9の内部空間を通る非加熱の空気流にも使用され得る。
【0036】
さらに、
図1の装置には、ドラム9の第2の端部領域9b’に、少なくとも1つの分類装置20を有する少なくとも1つのセクション19が設けられている。少なくとも1つの分類装置20は、ベントナイト粘結剤から分離された砂を少なくとも1つの合格画分D
CNS‐OUTと少なくとも1つの不合格画分RFとに分類するように構成されている。少なくとも1つの合格画分D
CNS‐OUTは、洗浄された再生砂としてドラム9の少なくとも1つの出口12を通ってドラム9から排出される。少なくとも1つの不合格画分RFは、さらなる処理のためにドラム9から排出される。洗浄された再生砂(合格画分D
CNS‐OUT)の流れ、及び、不合格画分RFの流れは、
図1および
図4のそれぞれの矢印で概略的に示されている。
図1のドラム9のセクション19の側面図が部分的に破断されて概略的に示された
図4を参照すると、複数のシェーカー部(振動部)22を備えたメッシュ21(分類装置20)が示されている。メッシュ21は、シェーカー部22によって揺すられ(振動され)得る。本実施形態において、メッシュ21は、一種の分類装置20を形成する。メッシュ21のメッシュサイズによって規定されるように、砂の少なくとも一部、すなわち、所定の粒径以下の砂粒は、合格画分D
CNS‐OUTを形成するためのメッシュ21の開口部を通して、ドラム9内で処理された砂から分離または濾過される。この合格画分D
CNS‐OUT、すなわち、洗浄された再生砂は、後述のように、さまざまな用途に再利用され得る。
【0037】
さらに、
図1の装置において、メッシュ21には、ベントナイト粘結剤から分離された砂から、磁性粒子(例えば、鉄および鉄鋼の粒子など)を除去するための1つまたは複数の磁気分離器23が設けられている。例えば、
図3の実施形態では、3つの磁気分離器23が設けられている。
図4の構成では、メッシュ21の上に1つの磁気分離器23が設けられ、メッシュ21の両端部におけるメッシュ21の下に2つの磁気分離器23が設けられているが、メッシュ21と磁気分離器23の配置は適宜変更可能である。
【0038】
メッシュ21に入ったが通過しなかった砂は、不合格画分RFとなって、不合格品(廃棄物)処理のためにドラム9の外に排出される。実際には、不合格画分RFも、砂であるか、又は、ベントナイト粘結剤から分離されたがメッシュ21の開口部を通過しない粒径を有する砂粒子で構成されている。不合格品処理には、例えば、不合格画分RFを、様々な粒径のさらなる画分に分類することが含まれてもよい。
【0039】
本明細書に開示される解決策は、さらなる使用のために砂を再生するために、ベントナイト粘結剤を含む廃砂に対して及ぼされる熱処理効果と機械的処理効果との組み合わせを提供する。ベントナイト粘結剤を含む廃砂に熱処理が施された後、砂粒に機械的処理が施されることにより、砂粒の表面からベントナイト粘結剤が剥離しやすくなる。本明細書に開示される方法および装置は連続プロセスを提供する。この連続プロセスにおいて、動作条件は、実質的に一定のままであるが、もちろん、再生される廃砂の品質の変動に応じて調整され得る。調整可能な要素は、例えば、バーナー7の加熱効率、炉2の回転速度、又は、排気装置17の駆動出力の少なくとも1つであってもよいが、プロセス内の一部の装置の動作に関連し、プロセスの動作に明らかに影響を与えるその他の要素も、プロセスの調整可能な要素であると判断されてもよい。例えば、鋳造工場で使用される砂についてさらに詳細に考慮すると、鋳造プロセスで溶融金属に最も近い砂は、非常に高温(1400℃を超える温度)の熱にさらされる。高温になると、ベントナイトは結晶水をすべて失い、水分を再吸収できない焼成ベントナイトになると言われている。多くの砂循環では、結晶水を失った新しい粘土層が焼成砂粒の上に形成され、この砂は卵塊状になると言われている。
【0040】
熱的方法だけでは、卵塊状になった砂粒の再生には効果的ではない。高温では、鋳造時の加熱と同じ現象が発生する。つまり、活性ベントナイトが砂粒の表面まで焼成する。焼成ベントナイトは脆いものの、熱だけでは砂粒とベントナイトとの結合を破壊するのに十分ではないため、熱再生後も、処理される廃砂に十分な機械的衝撃を与える機械的処理が必要である。
【0041】
本明細書に開示される熱機械的方法は、再生を大幅に強化する。なぜなら、高温に長時間さらされると、砂に結合しているベントナイトの大部分が確実に焼成することで、砂粒とベントナイトとの結合を破壊するための機械的衝撃に耐えられなくなるためである。
【0042】
機械的処理は、吸収された水分がベントナイト粘結剤から蒸発した後、廃砂からベントナイト粘結剤を機械的に除去する効果的な方法を提供する。再生プロセスで使用されるエネルギーの総量は、例えば、流動床ボイラーに基づく再生プロセスよりも少なくなる。なぜなら、本明細書に開示される解決策において、熱処理は、砂粒からベントナイト粘結剤を分離することを目的としたものではなく、機械的処理段階の効率を改善することのみを目的としているためである。機械的処理のおかげで、流動床ボイラーに基づく再生プロセスと比較して、洗浄された再生砂の収量が増加する。
【0043】
図1の実施形態において、回転式のドラム9は、回転式の炉2の下方に、水平方向において回転式の炉2と実質的に平行に配置されている。この実施形態は、炉2とドラム9とのコンパクトな組み合わせを提供する。また、この実施形態は、炉2の大きさとドラム9の大きさとに応じて、複数の車輪を備えたシャーシ上に実装しやすくなり、これにより、必要に応じて、炉2とドラム9との組み合わせを容易に移動させることが可能になる。ただし、炉2とドラム9の互いに対する他の配置も可能である。
【0044】
一実施形態によれば、前記装置は、炉2に供給される廃砂中に出現し得る塊を粉砕、破壊、または除去するための少なくとも1つの粉砕機、破砕機、又は、ふるいを備える。
【0045】
一実施形態によれば、前記装置は、少なくとも1つの排気装置8,17によって炉2またはドラム9のうちの少なくとも1つから除去された空気流から熱を回収するための熱回収ユニットを備える。回収された熱は、例えば、炉2に供給される廃砂の乾燥または予熱に使用されてもよい。
【0046】
一実施形態によれば、再生砂は、そのままで、又は、未使用の天然砂と混合されて、鋳物砂または発電所ボイラー砂として再利用されてもよい。再生砂は、特定の用途に適した粘結剤で再度コーティングされてもよい。
【0047】
一実施形態によれば、再生砂は、例えば、コンクリート製品、モルタル、フロアマス製品、フィラー、フロート、アクリルマスなどの建築工業製品において、又は、濾過砂として使用されてもよい。再生砂は、未使用の天然砂に比べて、砂粒の構造が丸いため、建築工業製品に使用するのにさらに適している。なぜなら、砂粒の丸い形状により、より均一な表面が提供され得るためである。建築工業製品に再生砂が使用されると、未使用の天然砂の必要性がさらに低減する。
【0048】
技術が進歩するにつれて、本発明の概念がさまざまな態様で実現され得ることは当業者には明らかであろう。本発明およびその実施形態は、上述の例に限定されるものでなく、特許請求の範囲内で適宜変更可能である。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベントナイト粘結剤を含む廃砂を再生するための装置であって、
第1の端部と第2の端部とを有する回転可能な炉であって、前記炉の中に前記廃砂を供給するための少なくとも1つの入口を、前記第1の端部において有し、熱処理された前記廃砂を前記炉から排出するための少なくとも1つの出口を、前記第2の端部において有する炉と、
前記ベントナイト粘結剤から炭素を燃焼させるとともに吸収された水分を蒸発させるように前記廃砂に熱処理を施すために、前記炉の中に供給された前記廃砂を加熱可能なように前記炉の前記第1の端部に設けられたバーナーと、
前記炉の中に供給された前記廃砂の少なくとも一部を、前記炉の底部に向かって落下するまで前記炉の内周上で前記炉と共に移動させるように捕捉するように設けられた少なくとも1つのリフターであって、前記炉内における前記廃砂の移動を、前記炉の前記第2の端部と、前記炉の前記第2の端部における前記少なくとも1つの出口とに向けて案内するように設けられた少なくとも1つのリフターと、
第1の端部と第2の端部とを有する回転可能なドラムであって、前記熱処理された前記廃砂を前記ドラム内に受け入れるための少なくとも1つの入口を、前記第1の端部において有し、前記ベントナイト粘結剤から分離された砂を前記ドラムから排出するための少なくとも1つの出口を、前記第2の端部において有するドラムと、
前記ドラムの前記第1の端部において、前記ベントナイト粘結剤から砂を分離するように、前記熱処理された前記廃砂に機械的処理を施すための少なくとも1つのセクションと、
前記ベントナイト粘結剤から分離された前記砂を冷却するように、前記ドラムの前記第2の端部から前記ドラムの前記第1の端部に向かう方向に非加熱の空気流を生じさせるために、前記ドラムの前記第1の端部に設けられた少なくとも1つの排気装置と、
を備える装置。
【請求項2】
前記炉は、前記第2の端部において、前記ベントナイト粘結剤から前記砂を機械的に分離するように、前記熱処理された前記廃砂に前記機械的処理を施すための少なくとも1つのセクションを備える、
ことを特徴とする
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの排気装置は、前記非加熱の空気流において、前記ベントナイト粘結剤から分離された前記砂から微粉を除去するように設けられている、
ことを特徴とする
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記熱処理された前記廃砂に機械的処理を施すための前記少なくとも1つのセクションは、前記ベントナイト粘結剤から前記砂を分離するように前記廃砂に衝撃を与える粉砕ボールを有する粉砕セクションである、
ことを特徴とする
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ドラムの前記第2の端部は、前記ベントナイト粘結剤から分離された前記砂を、少なくとも1つの合格画分と少なくとも1つの不合格画分とに分類するための少なくとも1つの分類装置を備え、
前記少なくとも1つの合格画分は、前記ドラムの前記少なくとも1つの出口を通って前記ドラムから排出される、
ことを特徴とする
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ドラムは、前記ベントナイト粘結剤から分離された前記砂から、磁性粒子を分離するための少なくとも1つの磁気分離器を備える、
ことを特徴とする
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ドラムは、前記炉の下に配置され、水平方向において前記炉と実質的に平行に配置されている、
ことを特徴とする
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
ベントナイト粘結剤を含む廃砂を再生するための方法であって、
前記廃砂における前記ベントナイト粘結剤から炭素と吸収された水分とを除去するように、前記廃砂に熱処理を施すステップと、
前記ベントナイト粘結剤から砂を機械的に分離するように、前記熱処理が施された前記廃砂に機械的処理を施すステップと、
前記ベントナイト粘結剤から分離された前記砂に冷却効果を付与するステップと、を備え、
前記方法は、
請求項1に記載の装置によって実行される、方法。
【請求項9】
前記廃砂に前記熱処理を施すステップでは、炭素を燃焼させるように且つ吸収された水分を前記ベントナイト粘結剤から蒸発させるように前記廃砂を加熱する、
ことを特徴とする
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記熱処理が施された廃砂に前記機械的処理を施すステップは、少なくとも、前記廃砂を粉砕することを含む、
ことを特徴とする
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記ベントナイト粘結剤から分離された前記砂に前記冷却効果を付与するステップでは、非加熱の空気流を前記砂に向ける、
ことを特徴とする
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
建築工業製品、鋳物砂、又は発電所ボイラー用砂のための砂であって、
請求項8に記載の方法によって再生された砂を備える、
砂。
【請求項13】
建築工業製品、鋳物砂、又は発電所ボイラー用砂における、
請求項8に記載の方法によって再生された砂の使用。
【国際調査報告】