(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】オレフィン系重合体の製造方法およびこれを用いて製造されたオレフィン系重合体
(51)【国際特許分類】
C08F 4/6592 20060101AFI20240903BHJP
C08F 210/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
C08F4/6592
C08F210/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514573
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 KR2022012879
(87)【国際公開番号】W WO2023038351
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0118898
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520161344
【氏名又は名称】ハンファ ソリューションズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】イ ムンヒ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ウィ ガプ
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム スン ドン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ ジソン
(72)【発明者】
【氏名】ソ ジュンホ
(72)【発明者】
【氏名】リム ソンジェ
(72)【発明者】
【氏名】パク ヒェ ラン
(72)【発明者】
【氏名】キム デガク
【テーマコード(参考)】
4J100
4J128
【Fターム(参考)】
4J100AA02P
4J100AA03Q
4J100AA04Q
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4J100CA03
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4J128AD05
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4J128BB01B
4J128BC12B
4J128BC13B
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4J128BC15B
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4J128BC25A
4J128BC25B
4J128CA25A
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4J128CA28A
4J128EA01
4J128EB02
4J128EB03
4J128EB04
4J128EB05
4J128EB07
4J128EB08
4J128EB09
4J128EB10
4J128EC01
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4J128FA02
4J128FA04
4J128FA09
4J128GA05
4J128GA07
4J128GA08
4J128GB01
(57)【要約】
本発明は、オレフィン系重合体の製造方法およびこれを用いて製造されたオレフィン系重合体に関する。本発明の実施態様によるオレフィン系重合体の製造方法は、重合温度に応じて、これを用いて製造されるオレフィン系重合体の加工性を調節することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表される少なくとも1種の第1遷移金属化合物と、下記の化学式2で表される化合物と下記の化学式3で表される化合物から選択される少なくとも1種の第2遷移金属化合物とを含む混成触媒の存在下で、70~90℃の重合温度でオレフィン系単量体を重合してオレフィン系重合体を得るステップを含み、オレフィン系重合体の(1)密度が0.915~0.935g/cm
3であり、(2)190℃で2.16kgの荷重で測定される溶融指数(MI
2.16)が0.5~1.5g/10分であり、(3)190℃で21.6kgの荷重で測定される溶融指数(MI
21.6)と2.16kgの荷重で測定される溶融指数(MI
2.16)の比(melt flow ratio、MFR)が下記の数学式1を満たす、オレフィン系重合体の製造方法。
[数学式1]
-0.4T+53.7<MFR<-0.4T+55.7
【化1】
【化2】
【化3】
前記数学式中、MFRは、溶融指数の比であり、Tは、重合温度(℃)であり、前記化学式中、M
1とM
2は、互いに異なり、それぞれ独立して、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、
Xは、それぞれ独立して、ハロゲン、C
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
6-20アリール、C
1-20アルキルC
6-20アリール、C
6-20アリールC
1-20アルキル、C
1-20アルキルアミド、またはC
6-20アリールアミドであり、
R
1~R
10は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換のC
1-20アルキル、置換または非置換のC
2-20アルケニル、置換または非置換のC
6-20アリール、置換または非置換のC
1-20アルキルC
6-20アリール、置換または非置換のC
6-20アリールC
1-20アルキル、置換または非置換のC
1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC
3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC
1-20アルキルアミド、置換または非置換のC
6-20アリールアミド、置換または非置換のC
1-20アルキリデン、または置換または非置換のC
1-20シリルであり、R
1~R
10は、それぞれ独立して、隣接した基が連結されて置換または非置換の飽和または不飽和C
4-20環を形成してもよい。
【請求項2】
M
1とM
2は、互いに異なり、それぞれジルコニウムまたはハフニウムであり、Xは、それぞれ、ハロゲンまたはC
1-20アルキルであり、R
1~R
10は、それぞれ、水素、置換または非置換のC
1-20アルキル、置換または非置換のC
1-20アルケニル、または置換または非置換のC
6-20アリールである、請求項1に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項3】
M
1がハフニウムであり、M
2がジルコニウムであり、Xが塩素またはメチルである、請求項2に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項4】
第1遷移金属化合物が、下記の化学式1-1および1-2で表される遷移金属化合物のうち少なくとも一つであり、第2遷移金属化合物が、下記の化学式2-1、2-2および3-1で表される遷移金属化合物のうち少なくとも一つである、請求項1に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
前記化学式中、Meは、メチル基である。
【請求項5】
第1遷移金属化合物に対する第2遷移金属化合物のモル比が100:1~1:100の範囲である、請求項1に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項6】
触媒が、下記の化学式4で表される化合物、化学式5で表される化合物および化学式6で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の助触媒化合物をさらに含む、請求項1に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【化9】
【化10】
[化学式6]
[L-H]
+[Z(A)
4]
-または[L]
+[Z(A)
4]
-
前記化学式4中、nは、2以上の整数であり、R
aは、ハロゲン原子、C
1-20炭化水素基またはハロゲンで置換されたC
1-20炭化水素基であり、
前記化学式5中、Dは、アルミニウム(Al)またはボロン(B)であり、R
b、R
cおよびR
dは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、C
1-20炭化水素基、ハロゲンで置換されたC
1-20炭化水素基またはC
1-20アルコキシ基であり、
前記化学式6中、Lは、中性またはカチオン性ルイス塩基であり、[L-H]
+および[L]
+は、ブレンステッド酸であり、Zは、第13族元素であり、Aは、それぞれ独立して、置換または非置換のC
6-20アリール基であるか、置換または非置換のC
1-20アルキル基である。
【請求項7】
触媒が、遷移金属化合物、助触媒化合物または両方を担持する担体をさらに含む、請求項6に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項8】
担体が、シリカ、アルミナおよびマグネシアからなる群から選択される少なくとも一つを含む、請求項7に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項9】
担体に担持される遷移金属化合物の総量が、担体1gに対して0.001~1mmoleであり、担体に担持される助触媒化合物の総量が、担体1gに対して2~15mmoleである、請求項7に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項10】
オレフィン系重合体が、オレフィン系単量体とオレフィン系共単量体の共重合体である、請求項1に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項11】
オレフィン系単量体が、エチレンであり、オレフィン系共単量体が、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセンおよび1-ヘキサデセンからなる群から選択される少なくとも一つ以上である、請求項10に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項12】
オレフィン系重合体のオレフィン系単量体がエチレンであり、オレフィン系共単量体が1-ヘキセンである直鎖状低密度ポリエチレンである、請求項11に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項13】
オレフィン系単量体の重合が気相重合により行われる、請求項1に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のオレフィン系重合体の製造方法により製造され、(1)密度が0.915~0.935g/cm
3であり、(2)190℃で2.16kgの荷重で測定される溶融指数(MI
2.16)が0.5~1.5g/10分である、オレフィン系重合体。
【請求項15】
(1)0.915~0.925g/cm
3の密度、(2)190℃で2.16kgの荷重で測定した時に0.8~1.2g/10分の溶融指数を有する、請求項14に記載のオレフィン系重合体。
【請求項16】
オレフィン系重合体から製造されるフィルムが、厚さ50μmを基準に、ASTM D1709に準じて測定した時に、落下衝撃強度(単位:g)が下記の数学式2を満たす、請求項14に記載のオレフィン系重合体。
[数学式2]
-1.8T
2+275T-9830<落下衝撃強度<-1.8T
2+275T-9730
前記数学式中、Tは、重合温度(℃)である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン系重合体の製造方法およびこれを用いて製造されたオレフィン系重合体に関する。具体的には、本発明は、重合温度に応じて加工性を調節することができるオレフィン系重合体の製造方法およびこれを用いて製造されたオレフィン系重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィンを重合するのに用いられる触媒の一つであるメタロセン触媒は、遷移金属または遷移金属ハロゲン化合物にシクロペンタジエニル(cyclopentadienyl)、インデニル(indenyl)、シクロヘプタジエニル(cycloheptadienyl)などのリガンドが配位結合した化合物であり、サンドイッチ構造を基本的な形態として有する。
【0003】
オレフィンを重合するのに使用される他の触媒であるチーグラー・ナッタ(Ziegler-Natta)触媒が活性点である金属成分が不活性である固体の表面に分散し、活性点の性質が均一ではないのに対し、メタロセン触媒は、一定の構造を有する一つの化合物であることから、すべての活性点が同じ重合特性を有する単一活性点触媒(single-site catalyst)として知られている。このようなメタロセン触媒で重合された高分子は、分子量分布が狭く、共単量体の分布が均一であり、チーグラー・ナッタ触媒に比べて共重合活性度が高い。
【0004】
一方、直鎖状低密度ポリエチレン(linear low-density polyethylene、LLDPE)は、重合触媒を使用して、低圧でエチレンとアルファ-オレフィンを共重合して製造され、分子量分布が狭く、一定の長さの短鎖分岐(short chain branch、SCB)を有し、一般的に、長鎖分岐(long chain branch、LCB)を有しない。直鎖状低密度ポリエチレンで製造されたフィルムは、一般のポリエチレンの特性に加え、破断強度と伸び率が高く、引裂強度、衝撃強度などに優れ、既存の低密度ポリエチレン(low-density polyethylene)や高密度ポリエチレン(high-density polyethylene)の適用が難しいストレッチフィルム、オーバーラップフィルムなどに広く使用されている。
【0005】
しかし、メタロセン触媒により製造される直鎖状低密度ポリエチレンは、狭い分子量分布によって加工性が劣り、これにより製造されるフィルムは、ヒートシール特性が低下する傾向がある。
【0006】
したがって、必要に応じて、加工性を調節することができるオレフィン系重合体の製造方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、重合温度に応じて加工性を調節することができるオレフィン系重合体の製造方法を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、前記製造方法を用いて製造されたオレフィン系重合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施態様によって、下記の化学式1で表される少なくとも1種の第1遷移金属化合物と、下記の化学式2で表される化合物と下記の化学式3で表される化合物から選択される少なくとも1種の第2遷移金属化合物とを含む混成触媒の存在下で、70~90℃の重合温度でオレフィン系単量体を重合してオレフィン系重合体を得るステップを含み、オレフィン系重合体の(1)密度が0.915~0.935g/cm
3であり、(2)190℃で2.16kgの荷重で測定される溶融指数(MI
2.16)が0.5~1.5g/10分であり、(3)190℃で21.6kgの荷重で測定される溶融指数(MI
21.6)と2.16kgの荷重で測定される溶融指数(MI
2.16)の比(melt flow ratio、MFR)が下記の数学式1を満たすオレフィン系重合体の製造方法が提供される。
[数学式1]
-0.4T+53.7<MFR<-0.4T+55.7
【化1】
【化2】
【化3】
前記数学式中、MFRは、溶融指数の比であり、Tは、重合温度(℃)であり、前記化学式中、M
1とM
2は、互いに異なり、それぞれ独立して、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、Xは、それぞれ独立して、ハロゲン、C
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
6-20アリール、C
1-20アルキルC
6-20アリール、C
6-20アリールC
1-20アルキル、C
1-20アルキルアミド、またはC
6-20アリールアミドであり、
R
1~R
10は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換のC
1-20アルキル、置換または非置換のC
2-20アルケニル、置換または非置換のC
6-20アリール、置換または非置換のC
1-20アルキルC
6-20アリール、置換または非置換のC
6-20アリールC
1-20アルキル、置換または非置換のC
1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC
3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC
1-20アルキルアミド、置換または非置換のC
6-20アリールアミド、置換または非置換のC
1-20アルキリデン、または置換または非置換のC
1-20シリルであり、R
1~R
10は、それぞれ独立して、隣接した基が連結されて置換または非置換の飽和または不飽和C
4-20環を形成してもよい。
【0010】
本発明の具体例において、M1とM2は、互いに異なり、それぞれジルコニウムまたはハフニウムであり、Xは、それぞれ、ハロゲンまたはC1-20アルキルであり、R1~R10は、それぞれ、水素、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20アルケニル、または置換または非置換のC6-20アリールであってもよい。
【0011】
本発明の好ましい具体例において、M1がハフニウムであり、M2がジルコニウムであり、Xが塩素またはメチルであってもよい。
【0012】
本発明の好ましい具体例において、第1遷移金属化合物が、下記の化学式1-1および1-2で表される遷移金属化合物のうち少なくとも一つであり、第2遷移金属化合物が、下記の化学式2-1、2-2および3-1で表される遷移金属化合物のうち少なくとも一つであってもよい。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【0013】
前記化学式中、Meは、メチル基である。
【0014】
本発明の具体例において、第1遷移金属化合物に対する第2遷移金属化合物のモル比が100:1~1:100の範囲である。
【0015】
本発明の具体例において、前記触媒が、下記の化学式4で表される化合物、化学式5で表される化合物および化学式6で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の助触媒化合物をさらに含むことができる。
【化9】
【化10】
[化学式6]
[L-H]
+[Z(A)
4]
-または[L]
+[Z(A)
4]
-
前記化学式4中、nは、2以上の整数であり、R
aは、ハロゲン原子、C
1-20炭化水素基またはハロゲンで置換されたC
1-20炭化水素基であり、
前記化学式5中、Dは、アルミニウム(Al)またはボロン(B)であり、R
b、R
cおよびR
dは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、C
1-20炭化水素基、ハロゲンで置換されたC
1-20炭化水素基またはC
1-20アルコキシ基であり、
前記化学式6中、Lは、中性またはカチオン性ルイス塩基であり、[L-H]
+および[L]
+は、ブレンステッド酸であり、Zは、第13族元素であり、Aは、それぞれ独立して、置換または非置換のC
6-20アリール基であるか、置換または非置換のC
1-20アルキル基である。
【0016】
本発明の具体例において、前記触媒が、遷移金属化合物、助触媒化合物または両方を担持する担体をさらに含むことができる。
【0017】
本発明の好ましい具体例において、前記担体は、シリカ、アルミナおよびマグネシアからなる群から選択される少なくとも一つを含むことができる。
【0018】
ここで、担体に担持される遷移金属化合物の総量が、担体1gに対して0.001~1mmoleであり、担体に担持される助触媒化合物の総量が、担体1gに対して2~15mmoleである。
【0019】
本発明の具体例において、オレフィン系重合体が、オレフィン系単量体とオレフィン系共単量体の共重合体である。具体的には、オレフィン系単量体が、エチレンであり、オレフィン系共単量体が、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセンおよび1-ヘキサデセンからなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。好ましくは、オレフィン系重合体は、オレフィン系単量体がエチレンであり、オレフィン系共単量体が1-ヘキセンである直鎖状低密度ポリエチレンである。
【0020】
本発明の具体例において、オレフィン系単量体の重合が気相重合により行われることができ、具体的には、オレフィン系単量体の重合が気相流動層反応器内で行われることができる。
【0021】
本発明の一実施態様によって、前記製造方法により製造され、(1)密度が0.915~0.935g/cm3であり、(2)190℃で2.16kgの荷重で測定される溶融指数(MI2.16)が0.5~1.5g/10分であるオレフィン系重合体が提供される。
【0022】
本発明の具体例において、オレフィン系重合体が(1)0.915~0.925g/cm3の密度、(2)190℃で2.16kgの荷重で測定した時に0.8~1.2g/10分の溶融指数を有することができる。
【0023】
本発明の具体例において、オレフィン系重合体は、これにより製造されるフィルムが、厚さ50μmを基準に、ASTM D1709に準じて測定した時に、落下衝撃強度(単位:g)が下記の数学式2を満たすことができる。
[数学式2]
-1.8T2+275T-9830<落下衝撃強度<-1.8T2+275T-9730
前記数学式中、Tは、重合温度(℃)である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の実施態様によるオレフィン系重合体の製造方法は、重合温度に応じてオレフィン系重合体の加工性を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施態様によるオレフィン系重合体の製造方法において重合温度によるMFRの変化を示すグラフである。
【
図2】本発明の実施態様によるオレフィン系重合体の製造方法において重合温度による落下衝撃強度の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0027】
オレフィン系重合体の製造方法
本発明の一実施態様によって、下記の化学式1で表される少なくとも1種の第1遷移金属化合物と、下記の化学式2で表される化合物と下記の化学式3で表される化合物から選択される少なくとも1種の第2遷移金属化合物とを含む混成触媒の存在下で、70~90℃の重合温度でオレフィン系単量体を重合してオレフィン系重合体を得るステップを含み、オレフィン系重合体の(1)密度が0.915~0.935g/cm3であり、(2)190℃で2.16kgの荷重で測定される溶融指数(MI2.16)が0.5~1.5g/10分であり、(3)190℃で21.6kgの荷重で測定される溶融指数(MI21.6)と2.16kgの荷重で測定される溶融指数(MI2.16)の比(melt flow ratio、MFR)が下記の数学式1を満たすオレフィン系重合体の製造方法が提供される。
【0028】
[数学式1]
-0.4T+53.7<MFR<-0.4T+55.7
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
前記数学式中、MFRは、溶融指数の比であり、Tは、重合温度(℃)である。
【0033】
前記化学式1~化学式3中、M1とM2は、互いに異なり、それぞれ独立して、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)である。具体的には、M1とM2は、互いに異なり、それぞれ、ジルコニウムまたはハフニウムであってもよい。好ましくは、M1がハフニウムであり、M2がジルコニウムであってもよい。
【0034】
Xは、それぞれ独立して、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、またはC6-20アリールアミドである。具体的には、Xは、それぞれ、ハロゲンまたはC1-20アルキルであってもよい。好ましくは、Xが、塩素またはメチルであってもよい。
【0035】
R1~R10は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC2-20アルケニル、置換または非置換のC6-20アリール、置換または非置換のC1-20アルキルC6-20アリール、置換または非置換のC6-20アリールC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC1-20アルキルアミド、置換または非置換のC6-20アリールアミド、置換または非置換のC1-20アルキリデン、または置換または非置換のC1-20シリルであり、ここで、R1~R10は、それぞれ独立して、隣接した基が連結されて置換または非置換の飽和または不飽和C4-20環を形成してもよい。具体的には、R1~R10が、それぞれ、水素、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20アルケニル、または置換または非置換のC6-20アリールであってもよい。
【0036】
本発明の具体例において、M1とM2が互いに異なり、それぞれ、ジルコニウムまたはハフニウムであり、Xが、それぞれ、ハロゲンまたはC1-20アルキルであり、R1~R10が、それぞれ、水素、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20アルケニル、または置換または非置換のC6-20アリールであってもよい。
【0037】
本発明の好ましい具体例において、M1がハフニウムであり、M2がジルコニウムであり、Xが塩素またはメチルであってもよい。
【0038】
本発明の好ましい具体例において、第1遷移金属化合物が、下記の化学式1-1および1-2で表される遷移金属化合物のうち少なくとも一つであり、第2遷移金属化合物が、下記の化学式2-1、2-2および3-1で表される遷移金属化合物のうち少なくとも一つであってもよい。
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
前記化学式中、Meは、メチル基である。
【0045】
本発明の具体例において、第1遷移金属化合物に対する第2遷移金属化合物のモル比が100:1~1:100の範囲である。好ましくは、第1遷移金属化合物に対する第2遷移金属化合物のモル比が50:1~1:50の範囲である。より好ましくは、第1遷移金属化合物に対する第2遷移金属化合物のモル比が10:1~1:10の範囲である。
【0046】
本発明の具体例において、前記触媒が、下記の化学式4で表される化合物、化学式5で表される化合物および化学式6で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の助触媒化合物をさらに含むことができる。
【0047】
【0048】
前記化学式4中、nは、2以上の整数であり、Raは、ハロゲン原子、C1-20炭化水素またはハロゲンで置換されたC1-20炭化水素であってもよい。具体的には、Raは、メチル、エチル、n-ブチルまたはイソブチルであってもよい。
【0049】
【0050】
前記化学式5中、Dは、アルミニウム(Al)またはボロン(B)であり、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、C1-20炭化水素基、ハロゲンで置換されたC1-20炭化水素基またはC1-20アルコキシ基である。具体的には、Dがアルミニウム(Al)である時に、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、メチルまたはイソブチルであってもよく、Dがボロン(B)である時に、Rb、RcおよびRdは、それぞれ、ペンタフルオロフェニルであってもよい。
【0051】
[化学式6]
[L-H]+[Z(A)4]-または[L]+[Z(A)4]-
【0052】
前記化学式6中、Lは、中性またはカチオン性ルイス塩基であり、[L-H]+および[L]+は、ブレンステッド酸であり、Zは、第13族元素であり、Aは、それぞれ独立して、置換または非置換のC6-20アリール基であるか、置換または非置換のC1-20アルキル基である。具体的には、[L-H]+は、ジメチルアニリニウムカチオンであってもよく、[Z(A)4]-は、[B(C6F5)4]-であってもよく、[L]+は、[(C6H5)3C]+であってもよい。
【0053】
具体的には、前記化学式4で表される化合物の例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサンなどが挙げられ、メチルアルミノキサンが好ましいが、これらに制限されるものではない。
【0054】
前記化学式5で表される化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-s-ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、トリブチルボロンなどが挙げられ、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムが好ましいが、これらに制限されるものではない。
【0055】
前記化学式6で表される化合物の例としては、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボロン、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボロン、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラペンタフルオロフェニルボロンなどが挙げられる。
【0056】
本発明の具体例において、前記触媒が、遷移金属化合物、助触媒化合物または両方を担持する担体をさらに含むことができる。具体的には、担体が、遷移金属化合物と助触媒化合物をすべて担持することができる。
【0057】
ここで、担体は、表面にヒドロキシ基を含有する物質を含むことができ、好ましくは、乾燥して表面に水分が除去された、反応性が大きいヒドロキシ基とシロキサン基を有する物質が使用されることができる。例えば、担体は、シリカ、アルミナおよびマグネシアからなる群から選択される少なくとも一つを含むことができる。具体的には、高温で乾燥したシリカ、シリカ-アルミナ、およびシリカ-マグネシアなどが担体として使用されることができ、これらは、通常、Na2O、K2CO3、BaSO4、およびMg(NO3)2などの酸化物、炭酸塩、硫酸塩、および硝酸塩成分を含有することができる。また、これらは、炭素、ゼオライト、塩化マグネシウムなどを含んでもよい。ただし、担体が、これらに制限されるものではなく、遷移金属化合物と助触媒化合物を担持することができるものであれば、特に制限されない。
【0058】
担体は、平均粒度が、10~250μmであってもよく、好ましくは、平均粒度が10~150μmであってもよく、より好ましくは、20~100μmであってもよい。
【0059】
担体の微細気孔容積は、0.1~10cc/gであってもよく、好ましくは、0.5~5cc/gであってもよく、より好ましくは、1.0~3.0cc/gであってもよい。
【0060】
担体の比表面積は、1~1、000m2/gであってもよく、好ましくは、100~800m2/gであってもよく、より好ましくは、200~600m2/gであってもよい。
【0061】
本発明の好ましい具体例において、担体がシリカであってもよい。ここで、シリカは、乾燥温度が200~900℃であってもよい。乾燥温度は、好ましくは、300~800℃、より好ましくは、400~700℃であってもよい。乾燥温度が200℃未満である場合には、水分が多すぎて、表面の水分と助触媒化合物が反応するようになり、900℃を超える場合には、担体の構造が崩壊し得る。
【0062】
乾燥したシリカ内のヒドロキシ基の濃度は、0.1~5mmole/gであってもよく、好ましくは、0.7~4mmole/gであってもよく、より好ましくは、1.0~2mmole/gであってもよい。ヒドロキシ基の濃度が0.1mmole/g未満である場合、第1助触媒化合物の担持量が低くなり、5mmole/gを超える場合、触媒成分が不活性化する問題が発生し得る。
【0063】
担体に担持される遷移金属化合物の総量は、担体1gに対して0.001~1mmoleであってもよい。遷移金属化合物と担体の比が上記の範囲を満たすと、適切な担持触媒活性を示し、触媒の活性の保持および経済性の面で有利である。
【0064】
担体に担持される助触媒化合物の総量は、担体1gに対して2~15mmoleであってもよい。助触媒化合物と担体の比が上記の範囲を満たすと、触媒の活性の保持および経済性の面で有利である。
【0065】
担体は、1種または2種以上が使用されることができる。例えば、1種の担体に遷移金属化合物と助触媒化合物が両方とも担持されてもよく、2種以上の担体に遷移金属化合物と助触媒化合物がそれぞれ担持されてもよい。また、遷移金属化合物と助触媒化合物のうち一つだけが担体に担持されてもよい。
【0066】
オレフィン重合用触媒に使用可能な遷移金属化合物および/または助触媒化合物を担持する方法として、物理的吸着方法または化学的吸着方法が使用されることができる。
【0067】
例えば、物理的吸着方法は、遷移金属化合物が溶解された溶液を担体に接触した後、乾燥する方法、遷移金属化合物と助触媒化合物が溶解された溶液を担体に接触した後、乾燥する方法、または遷移金属化合物が溶解された溶液を担体に接触した後、乾燥して遷移金属化合物が担持された担体を製造し、これとは別に、助触媒化合物が溶解された溶液を担体に接触した後、乾燥して、助触媒化合物が担持された担体を製造した後、これらを混合する方法などであってもよい。
【0068】
化学的吸着方法は、担体の表面に助触媒化合物を先に担持した後、助触媒化合物に遷移金属化合物を担持する方法、または担体の表面の官能基(例えば、シリカの場合、シリカ表面のヒドロキシ基(-OH))と触媒化合物を共有結合する方法などであってもよい。
【0069】
本発明の具体例において、オレフィン系重合体は、例えば、フリーラジカル(free radical)、カチオン(cationic)、配位(coordination)、縮合(condensation)、添加(addition)などの重合反応により重合されることができるが、これらに制限されるものではない。
【0070】
本発明の一実施形態として、オレフィン系重合体は、気相重合法、溶液重合法またはスラリー重合法などにより製造されることができる。好ましくは、オレフィン系単量体の重合が気相重合により行われることができ、具体的には、オレフィン系単量体の重合が気相流動層反応器内で行われることができる。
【0071】
オレフィン系重合体が、溶液重合法またはスラリー重合法により製造される場合、使用可能な溶媒の例として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカンおよびこれらの異性体のようなC5-12脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロベンゼンのような塩素原子で置換された炭化水素溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0072】
オレフィン系重合体
本発明の実施態様によって、前記製造方法により製造され、(1)密度が0.915~0.935g/cm3であり、(2)190℃で2.16kgの荷重で測定される溶融指数(MI2.16)が0.5~1.5g/10分であるオレフィン系重合体が提供される。
【0073】
本発明の具体例において、オレフィン系重合体は、密度が0.915~0.935g/cm3である。好ましくは、オレフィン系重合体の密度が0.915~0.925g/cm3であってもよい。
【0074】
本発明の具体例において、オレフィン系重合体は、190℃で2.16kgの荷重で測定される溶融指数(MI2.16)が0.5~1.5g/10分である。好ましくは、190℃で2.16kgの荷重で測定されるオレフィン系重合体の溶融指数が0.8~1.2g/10分であってもよい。
【0075】
本発明の具体例において、オレフィン系重合体は、オレフィン系単量体の単独重合体(homopolymer)またはオレフィン系単量体と共単量体の共重合体(copolymer)であってもよい。好ましくは、オレフィン系重合体が、オレフィン系単量体とオレフィン系共単量体の共重合体である。
【0076】
ここで、オレフィン系単量体は、C2-20アルファ-オレフィン(α-olefin)、C1-20ジオレフィン(diolefin)、C3-20シクロオレフィン(cycloolefin)およびC3-20シクロジオレフィン(cyclodiolefin)からなる群から選択される少なくとも一つである。
【0077】
例えば、オレフィン系単量体は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセンまたは1-ヘキサデセンなどであってもよく、オレフィン系重合体は、上記に例示されたオレフィン系単量体を1種だけ含む単独重合体であるか、2種以上含む共重合体であってもよい。
【0078】
例示的な実施形態において、オレフィン系重合体は、エチレンとC3-20アルファ-オレフィンが共重合された共重合体であってもよい。好ましくは、オレフィン系重合体のオレフィン系単量体がエチレンであり、オレフィン系共単量体が1-ヘキセンである直鎖状低密度ポリエチレンであってもよい。
【0079】
この場合、エチレンの含有量は、55~99.9重量%であることが好ましく、90~99.9重量%であることがさらに好ましい。アルファ-オレフィン系共単量体の含有量は、0.1~45重量%が好ましく、0.1~10重量%であることがさらに好ましい。
【0080】
本発明の具体例において、オレフィン系重合体は、これにより製造されるフィルムが厚さ50μm基準に、ASTM D1709に準じて測定した時に、落下衝撃強度(単位:g)が下記の数学式2を満たすことができる。
【0081】
[数学式2]
-1.8T2+275T-9830<落下衝撃強度<-1.8T2+275T-9730
【0082】
前記数学式中、Tは、重合温度(℃)である。
【0083】
本発明の実施態様によるオレフィン系重合体は、重合温度に応じて、その加工性および分子量分布を調節することができ、これにより製造されるフィルムも重合温度に応じてその落下衝撃強度を調節することができると理解される。
【0084】
本発明の具体例において、オレフィン系重合体フィルムは、ストレッチフィルム、オーバーラップフィルム、ラミネーション、サイレージラップ、農業用フィルムなどとして効果的に使用されることができる。
【0085】
本発明の具体例において、本発明の実施態様によるオレフィン系重合体からフィルムを成形する方法は、特に制限されず、本発明が属する技術分野において公知の成形方法を使用することができる。例えば、上述のオレフィン系重合体を吹き込みフィルム成形、押出成形、キャスティング成形などの通常の方法により加工してオレフィン系重合体フィルムを製造することができる。このうち、吹き込みフィルム成形が最も好ましい。
【0086】
実施例
製造例
化学式1-2の遷移金属化合物(dimethylbis(n-propylcyclopentadienyl)hafnium dichloride)と化学式3-1の遷移金属化合物((pentamethylcyclopentadienyl)(n-propylcyclopentadienyl)zirconium dichloride)は、MCNから購入し、追加の精製過程なしに使用した。
【0087】
製造例1
化学式1-2の遷移金属化合物4.07gと化学式3-1の遷移金属化合物1.68gにメチルアルミノキサンの10%トルエン溶液892gを投入し、常温で1時間攪拌した。反応が終了した溶液を200gのシリカ(XPO-2402)に投入し、さらに、1.5リットルのトルエンを入れ、70℃で2時間攪拌した。単持が終了した触媒を500mlのトルエンを用いて3回洗浄し、60℃の真空で一晩中乾燥し、粉末状の担持触媒280gを得た。
【0088】
実施例1~3
連続式気相流動層反応器を用いて、製造例1でそれぞれ得られた担持触媒の存在下で、エチレン/1-ヘキセン共重合体を製造した。反応器のエチレン分圧を約15kg/cm2に維持し、重合温度を下記の表1に示したように維持した。
【0089】
上記の実施例の重合条件を下記の表1に示した。
【0090】
【0091】
比較例1~3
比較のために、ハンファソリューションズの直鎖状低密度ポリエチレンM1810HNを実施例1~3のような重合条件でそれぞれ製造した。
【0092】
試験例
上記の実施例のオレフィン系重合体の物性を下記のような方法および基準にしたがって測定した。その結果を下記の表2および
図1と2に示した。
【0093】
(1)密度(density)
ASTM D1505に準じて測定した。
【0094】
(2)溶融指数(melt index)および溶融指数比(melt flow ratio、MFR)
ASTM D1238に準じて、190℃で21.6kgの荷重と2.16kgの荷重でそれぞれ溶融指数を測定し、その比(MI21.6/MI2.16)を求めた。
【0095】
(3)落下衝撃強度
実施例と比較例のそれぞれの樹脂を40mm吹き込みフィルム押出機(40mmΦスクリュー、75mmΦダイ、2mmダイギャップ)により、厚さ50μmのフィルムに製造した。ここで、押出条件は、C1/C2/C3/A/D1/D2=160/165/170/175/180/180℃、スクリュー速度60rpm、ブローアップ比(blow-up ratio、BUR)2に固定した。
【0096】
製造されたフィルムの落下衝撃強度は、厚さ50μmのフィルムを固定した後、直径38.10±0.13mmの重りを0.66±0.01mの高さから落下するASTM D1709(B)方法に準じて測定した。
【0097】
【産業上の利用可能性】
【0098】
上記の表2および
図1と
図2から確認されるように、本発明の実施態様によるオレフィン系重合体の製造方法は、重合温度に応じて、これを用いて製造されるオレフィン系重合体の加工性を調節することができる。また、本発明の実施態様によるオレフィン系重合体の製造方法は、重合温度に応じて、最終的に得られるフィルムの落下衝撃強度も調節することができる。
【国際調査報告】