(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】基板キャリアボアホールプラグ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20240903BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/458
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514594
(86)(22)【出願日】2022-09-05
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 NL2022050498
(87)【国際公開番号】W WO2023033650
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521522331
【氏名又は名称】シュンク サイカーブ テクノロジー ビー. ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】ウィッパーリング, モリッツ
(72)【発明者】
【氏名】アンドン, アスラン
(72)【発明者】
【氏名】ボルマー, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】デ コック, ヘンリクス ヨセフス マリア
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA05
4K030EA06
4K030GA02
4K030GA06
4K030HA01
4K030KA46
4K030KA47
5F045AA04
5F045AA06
5F045AA15
5F045AB09
5F045AB14
5F045AB40
5F045AD01
5F045AE01
5F045AF03
5F045AF04
5F045AF09
5F045BB08
5F045DP15
5F045DP27
5F045DQ10
5F045EE14
5F045EE17
5F045EF01
5F045EF08
5F045EM02
(57)【要約】
本発明は、一般に、薄膜を堆積させるためのシステムで用いる基板又はウェハキャリアに関する。本開示の第1の態様によれば、半導体基板上にエピタキシャル層を成長させるためのシステムで用いる基板キャリアであって、前記基板キャリアが、使用中に前記半導体基板を収容するように配置される基板支持体領域として画定される複数の領域を備える、第1の表面側を有するディスクであり、前記基板キャリアが複数のガスチャネルを更に備え、複数のガスチャネルが、前記ディスクの径方向内側に延在するとともに、それぞれが基板支持体のそれぞれと基板支持体の径方向内側のディスクの中心部との間にガス接続をもたらし、前記ガスチャネルのそれぞれが、基板キャリアの外周壁面から配置されてボアホールプラグが設けられるボアホールから成る、基板キャリアにおいて、前記ボアホールプラグが、第1の部分及び別個の第2の部分を備え、前記第1の部分の少なくとも一部分が、前記ボアホールにおける前記第1の部分の少なくとも前記一部分を圧入するための前記ボアホールに嵌合する形状を有し、前記第2の部分にはインターロック手段が設けられ、各ボアホールには、前記第2の部分の前記インターロック手段に対応するとともに前記第2の部分の前記インターロック手段を受けて機械的に保持するようになっている手段が設けられ、前記ボアホールの前記インターロック手段が、前記第1のボアホールプラグ部分を阻止するために、前記ボアホールの長手方向に対してある角度で前記基板キャリアの前記壁面に設けられることを特徴とする基板キャリアが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上にエピタキシャル層を成長させるためのシステムで用いる基板キャリアであって、前記基板キャリアは、使用中に前記半導体基板を収容するように配置される基板支持体として画定される複数の領域を備える、第1の表面側を有するディスクであり、前記基板キャリアが複数のガスチャネルを更に備え、前記複数のガスチャネルは、前記ディスクの径方向内側に延在するとともに、それぞれが前記基板支持体のそれぞれと前記基板支持体の径方向内側の前記ディスクの中心部との間にガス接続をもたらし、前記ガスチャネルのそれぞれは、前記基板キャリアの外周壁面から配置されてボアホールプラグが設けられるボアホールから成る、基板キャリアにおいて、前記ボアホールプラグは、第1の部分及び別個の第2の部分を備え、前記第1の部分の少なくとも一部分は、前記ボアホールにおける前記第1の部分の少なくとも前記一部分を圧入するための前記ボアホールに嵌合する形状を有し、前記第2の部分にはインターロック手段が設けられ、各ボアホールには、前記第2の部分の前記インターロック手段に対応するとともに前記第2の部分の前記インターロック手段を受けて機械的に保持するようになっている手段が設けられ、前記ボアホールの前記インターロック手段は、前記第1のボアホールプラグ部分を阻止するために、前記ボアホールの長手方向に対してある角度で前記基板キャリアの前記壁面に設けられることを特徴とする基板キャリア。
【請求項2】
前記基板キャリアの前記壁面は、前記第1の表面側とは反対側の前記基板キャリアの第2の表面側に向かって傾斜している、請求項1に記載の基板キャリア。
【請求項3】
前記第1の部分の少なくとも前記一部分が前記ボアホールに圧入された後に、前記ボアホールの前記ねじ山が前記基板キャリアに設けられる、請求項1又は2に記載の基板キャリア。
【請求項4】
前記ボアホールプラグの前記第2の部分は、前記ボアホール内に設けられた後に、前記ボアホールプラグの前記第1の部分と接触する、請求項1から3のいずれか一項に記載の基板キャリア。
【請求項5】
前記ボアホールプラグの前記第2の部分は、前記一部分を前記ボアホールの前記ねじ山にねじ込む又はそうでなければ回転方向で連結するための工具を受けるためのヘッドセクションを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の基板キャリア。
【請求項6】
前記工具を受けるための前記ヘッドセクションは、前記ヘッドセクションから延びる多角形形状の工具受け入れセクションを備え、前記工具受け入れセクションは、好ましくは、前記ボアのねじ山に設けられた後に、前記基板キャリアの前記壁面を延ばすように配置される、請求項5に記載の基板キャリア。
【請求項7】
前記インターロック手段は、ねじ山締結手段、ねじ締結手段、圧入締結手段、回転締結手段、バヨネットマウント締結手段、キー又はピン締結手段、及び焼嵌め締結手段のうちの1つ以上を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の基板キャリア。
【請求項8】
前記ボアホールの長手方向に対する前記ボアホールの前記インターロック手段の前記角度は、約30度、45度、60度、90度、120度、135度又は150度のうちの1つ以上である、請求項1から7のいずれか一項に記載の基板キャリア。
【請求項9】
前記基板キャリアがグラファイトから構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の基板キャリア。
【請求項10】
前記基板キャリアは、炭化ケイ素コーティングによって被覆されるグラファイトコアを含む、請求項9に記載の基板キャリア。
【請求項11】
前記第1のボアホールプラグ部分がグラファイトから構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の基板キャリア。
【請求項12】
前記第2のボアホールプラグ部分がグラファイトから構成される、請求項1から11のいずれか一項に記載の基板キャリア。
【請求項13】
化学蒸着によって半導体基板上に薄膜層を成長させるためのシステムで用いる基板キャリアを製造する方法であって、
-第1の表面側を有する基板キャリアを用意するステップであって、前記第1の表面側の領域部分には、使用中に前記半導体基板を収容するための基板支持体が設けられる、ステップと、
-前記基板支持体のそれぞれにおける第1のボアホールセクションを、前記基板キャリアの前記第1の表面側に対して少なくとも実質的に垂直に機械加工するステップと、
-前記基板支持体における前記第1のボアホールセクションのそれぞれと前記基板支持体の径方向内側の前記基板キャリアの中心部との間にガス接続をもたらすために、前記基板キャリアを通じて径方向に延在する前記基板キャリアの外周壁面から第2のボアホールセクションを機械加工するステップと、
-第1のボアホールプラグ部分を第2のボアホールセクションに圧入するステップと、
-第2のボアホールプラグ部分のためのポケットを前記基板キャリアの前記壁面に機械加工するステップであって、前記ポケットが、ねじ山を備えるとともに、前記ボアホールの長手方向に対して角度をなして配置される、ステップと、
-前記第1のボアホールプラグ部分を阻止するために、前記ポケットの前記ねじ山に対応するねじ部が少なくとも部分的に設けられる第2のボアホールプラグ部分をねじ込むステップと、
を含む方法。
【請求項14】
前記第1のボアホールプラグ部分を圧入する前記ステップの前に、
-前記基板キャリアの前記壁面に面取り部を機械加工するステップ、
を更に含む、請求項13に記載の基板キャリアを製造する方法。
【請求項15】
前記第2のボアホールプラグ部分は、前記ヘッドセクションから延在する多角形形状の工具受け入れセクションを備え、前記方法は、第2のボアホールプラグ部分をねじ込む前記ステップの後に、
-前記第2のボアホールプラグ部分を前記基板キャリアの前記壁面と面一にするために前記基板キャリアの前記壁面から延在する前記工具受け入れセクションを除去することによって前記基板キャリアの前記壁面を機械加工するステップ、
を更に含む、請求項13又は14に記載の基板キャリアを製造する方法。
【請求項16】
第2のボアホールプラグ部分をねじ込む前記ステップの後に、
-前記基板キャリアの少なくとも前記壁面の、より詳細には前記基板キャリアの全てを覆う炭化ケイ素のコーティングを設けるステップ、
を更に含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の基板キャリアを製造する方法。
【請求項17】
前記第1及び第2のボアホールプラグ部分の一方又は両方がグラファイトから構成される、請求項13から17のいずれか一項に記載の基板キャリアを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、半導体部品を製造するための基板上に化学蒸着(CVD)又は原子層成長(ALD)によって薄膜を堆積させるシステムで用いる基板又はウェハキャリアに関する。より具体的には、本発明は、1つ以上のボアホール用のプラグを有する基板キャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体部品を製造するための化学蒸着(CVD)プロセスでは基板キャリアが使用される。CVD又は原子層堆積(ALD)プロセスでは、例えば酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、又は窒化ガリウムなどの材料で構成された薄層の積層体が、例えばシリコン、窒化ガリウム、又はサファイア半導体基板(ウェハ又はウェハ基板としても知られる)上に成長又は堆積され、半導体基板は、基板キャリアの堆積表面に存在する凹状ポケット内に収容される。
【0003】
そのような円形基板キャリアは、単一の凹状ポケットを有することができるが、一般に、それぞれが例えば米国特許出願公開第2017309512号明細書に開示されているようなALDプロセスチャンバ内に単一の半導体基板を収容するための複数の凹状ポケットを有する。引用において、処理されるべき半導体基板用の凹状ポケットは、基板キャリアの第1の堆積面側にわたって均等に分布される。そのような基材キャリアシステムは、一般にパンケーキバッチキャリアシステムと呼ばれる。
【0004】
CVD又はALDプロセスでは、凹状ポケット内に収容された半導体基板を含む基板キャリアの堆積面全体が堆積ガスに曝され、それにより、半導体基板の露出面側だけでなく、ポケット(及び基板)に隣接する基板キャリアの堆積面側の残りの露出領域部分にも半導体層が堆積される。
【0005】
凹状ウェハポケットの底部にガスチャネルを設けるために、既知のウェハキャリアが配置される。これらのチャネル又はガス分配チャネルは、ウェハが配置される凹状ポケットにパージガスを供給する目的を果たすことができる。他の設計では、これらのガスチャネルは、真空チャネルを設けるための異なる又は追加の目的に役立つことができる。したがって、これらの設計のいずれにおいても、ウェハキャリアには、ポケットとシステムの供給又は排出マニホールドとの間にガス又は真空接続をもたらすように配置されるチャネルが設けられるようになっている。
【0006】
ウェハキャリア内のそのようなガスチャネルは、一般に、ウェハを収容するポケットの底部に対して垂直な平面内の各ポケット内の第1の垂直チャネルセクションを機械加工することを含む幾つかのステップの製造プロセスにおいてキャリア内に機械加工される。更に、スピンドル又はキャリアハブの近くのポケットの径方向内側に、ポケットから又はポケットに向かってチャネルの入口又は出口ポート、及びそこに設けられる第1の垂直チャネルセクションを与えるために、更なる垂直チャネルセクションが設けられ、又は機械加工される。チャネルの最終セクション、すなわち第1及び第2の垂直セクションの両方を接続する水平チャネルセクションは、ウェハキャリアの主面と平行な水平面内で機械加工される。したがって、ウェハキャリアの側壁から第1の垂直チャネルセクションに向かって第2の垂直チャネルセクションまで延在する深い穿孔されたガスチャネル孔が設けられ、それにより、これらの第1及び第2のチャネルセクション間、したがってポケットと底部の入口/出口との間、ウェハキャリアの中心内又は中心付近、したがってポケットの径方向内側にガス又は流体接続がもたらされる。
【0007】
このチャネルを通じて供給されるガスは、ウェハキャリアの側壁の開口に出入りする場合があるため、孔を開けた後にこれらを閉鎖する必要がある。
【0008】
一般に、これらの孔には孔プラグが設けられ、孔プラグは、ガスチャネル内に押し込まれ、プレス嵌め適用によって所定の位置に留まるように寸法付けられる。プラグがCVD又はALDプロセスのプロセスパラメータに悪影響を与えないようにするために、プラグは、少なくともウェハキャリアの側壁又は輪郭を越えて突出しないまでチャネル内に押し込まれる。
【0009】
しかしながら、これらの既知のプラグには、CVD又はALDプロセスパラメータを変更するという欠点があり、最も重要なことには、ウェハキャリアの提案された寿命末期の前にプラグが緩む傾向があり、CVD又はALDシステムに更なる損傷を引き起こす可能性があることが分かっている。
【0010】
したがって、ポケットと、ウェハキャリアの中心内又は中心付近、したがってポケットの径方向内側のガス入口/出口との間にガス接続をもたらすガスチャネルを有する改良されたウェハキャリア設計が必要とされており、より具体的には、前述の問題の少なくとも幾つかが回避される改良されたガスチャネルボアホールプラグを伴う改良されたウェハキャリア設計が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017309512号明細書
【発明の概要】
【0012】
本開示の第1の態様によれば、半導体基板上にエピタキシャル層を成長させるためのシステムで用いる基板キャリアであって、前記基板キャリアが、使用中に前記半導体基板を収容するように配置される基板支持体領域として画定される複数の領域を備える、第1の表面側を有するディスクであり、前記基板キャリアが複数のガスチャネルを更に備え、複数のガスチャネルが、前記ディスクの径方向内側に延在するとともに、それぞれが基板支持体のそれぞれと基板支持体の径方向内側のディスクの中心部との間にガス接続をもたらし、前記ガスチャネルのそれぞれが、基板キャリアの外周壁面から配置されてボアホールプラグが設けられるボアホールから成る、基板キャリアにおいて、前記ボアホールプラグが、第1の部分及び別個の第2の部分を備え、前記第1の部分の少なくとも一部分が、前記ボアホールにおける前記第1の部分の少なくとも前記一部分を圧入するための前記ボアホールに嵌合する形状を有し、前記第2の部分にはインターロック手段が設けられ、各ボアホールには、前記第2の部分の前記インターロック手段に対応するとともに前記第2の部分の前記インターロック手段を受けて機械的に保持するようになっている手段が設けられ、前記ボアホールの前記インターロック手段が、前記第1のボアホールプラグ部分を阻止するために、前記ボアホールの長手方向に対してある角度で前記基板キャリアの前記壁面に設けられることを特徴とする基板キャリアが提供される。
【0013】
ウェハキャリア又は基板キャリアは、基板キャリアを通じて径方向に延びるガスチャネルを得るためにキャリアに機械加工又は穿孔される長い又は深いボアホールを有することが知られている。これらのガスチャネルのそれぞれは、基板支持体、例えば凹状ウェハポケットのそれぞれと、基板支持体の径方向内側の基板キャリアの中心部との間にガス接続をもたらす。
【0014】
したがって、これらのガスチャネルは、ハブ位置で始まり、基板支持体の最も深い最も内側の部分、好ましくは基板支持体の近く又は中心で終わる。ガスチャネルは、パージガス及び/又は真空チャネルを与えるように配置される。幾つかの実施形態では、MOCVD遊星システムにより共通して、これらのチャネルを通じて押し込まれたガスは、上昇して、螺旋形状パターンが設けられたポケットの場合、これらのポケット内にウェハを保持するウェハ又はディスクを回転させる。したがって、全ての態様及び全ての例において、基板支持体は、基板、ウェハ、サブキャリアのための任意のタイプの支持体として解釈されるべきであり、したがって、限定はしないが、基板を収容するためのポケットを有する基板キャリア、又は遊星ディスクタイプの構成においてサブキャリアを浮揚させるための螺旋形状パターンのような手段を有する基板キャリアを含む。当業者であれば分かるように、本開示がこれら及び任意の他のタイプのそのようなディスク形状のキャリアに適用可能である。
【0015】
これらのガスチャネル又は孔は、基板キャリアの外径又は外周壁面から穿孔され、ボアホールプラグで塞がれる。
【0016】
しかしながら、ボアホールに圧入される既知のボアホールプラグは、圧入方法に起因して、及びボアホールプラグとしての両方のボアホールの正確な寸法に起因して、締まり嵌めをもたらすことが分かっている。しかしながら、経時的に、ボアホールプラグは緩む場合があり、プラグが脱落するか、又はCVD、ALD、もしくはMOCVDプロセスのプロセスパラメータに悪影響を及ぼすガス漏れを引き起こす場合、最終的に基板キャリアの故障をもたらす。
【0017】
本開示に係るボアホールプラグは2つの部分から成り、1つの部分は、既知のボアホールプラグと類似性が高く、ボアホールの気密閉鎖を確保するためにこの部分をボアホールに圧入するように配置され、一方、第2の部分は、例えば第1の部分を所定の位置に恒久的にロックするための阻止又は停止要素の形態のインターロック手段として設けられる。第2のボアホールプラグ部分は、別個の部分であり、第1の部分とは対照的に、好ましくは圧入のみのために配置されず、対応するインターロック手段を有する基板キャリアのボアホール内のポケットによって受け入れることができる、例えばバヨネット又はねじ部などのインターロック機構を備える。阻止又は停止要素は、ボアホール、したがって第1のボアホールプラグ部分に対して傾斜角で設けられているため、第1のボアホールプラグ部分がウェハキャリアから脱落しないようにする、又はガス漏れが発生し得るように緩むことさえないようにする。
【0018】
第2のボアホールプラグ部分の使用には、幾つかの利点がある。例えば、既知の圧入ボアホールプラグの再設計に関して、ボアホールプラグの少なくとも一部の圧入は、一方ではボアホールの気密閉鎖を確保するように維持され、他方では、第2のボアホールプラグ部分によって緩んだり脱落したりすることによる故障が防止される。また、第2のボアホールプラグ部分は、少なくとも大部分が、インラインではない方向、又はチャネル内のガス圧及びボア内に圧入された第1のボアホールプラグ部分に起因してボアホールプラグに作用する力ではない方向で、対応するボアホール内に配置される。第2の部分は、第1の部分と角度をなしているので、ボアホールと一直線に配置された単一の部分又は2つの(別個の)部分よりも多くの圧力に耐えることができる。更に、提案されたボアホールプラグは、元のボアホール及び既知のボアホールプラグを機械加工するために既に必要とされているもの以外に、追加の機器又は工具が必要とされない幾つかの追加の機械加工ステップのみを必要とする。更に、ボアホール、したがってガスチャネルは、修正を必要とせず、したがってCVD、ALD又はMOCVDプロセスのプロセスパラメータに影響を与えない。最後に、提案されたボアホールプラグはまた、ボアホールプラグが基板キャリアの壁面と面一であるようにするために、少なくとも第2のボアホールプラグ部分を後処理するように構成される。
【0019】
一例では、前記基板キャリアの壁面は、前記第1の表面側とは反対側の前記基板キャリアの第2の表面側に向かって傾斜している。
【0020】
一例では、前記ボアホールの前記ねじ山は、前記第1の部分の少なくとも前記一部分が前記ボアホールに圧入された後に前記基板キャリアに設けられる。
【0021】
一例では、前記ボアホールプラグの前記第2の部分は、ボアホール内に設けられた後、前記ボアホールプラグの第1の部分と接触する。
【0022】
一例では、ボアホールプラグの前記第2の部分は、前記ねじ部を前記ボアホールの前記ねじ山にねじ込むための工具を受けるためのヘッドセクションを有する。
【0023】
一例では、前記工具を受けるための前記ヘッドセクションは、前記ヘッドセクションから延びる多角形形状の工具受け入れセクションを備え、前記工具受け入れセクションは、好ましくは、ボアのねじ山に設けられた後に、前記基板キャリアの前記壁面を延ばすように配置される。
【0024】
一例では、前記インターロック手段は、ねじ山締結手段、ねじ締結手段、圧入締結手段、回転締結手段、バヨネットマウント締結手段、キー又はピン締結手段、及び焼き嵌め締結手段のうちの1つ以上を備える。
【0025】
一例では、前記ボアホールの長手方向に対する前記ボアホールの前記インターロック手段の前記角度は、約30度、45度、60度、90度、120度、135度又は150度のうちの1つ以上である。
【0026】
一例では、前記基板キャリアはグラファイトから構成される。
【0027】
一例では、前記基板キャリアは、炭化ケイ素コーティングによって覆われたグラファイトコアから構成される。
【0028】
一例では、前記第1及び第2のボアホールプラグ部分の一方又は両方は、グラファイトから構成される。
【0029】
本開示の第2の態様では、半導体基板上に層を堆積させるためのシステムで用いる基板キャリアを製造する方法であって、
-第1の表面側を有する基板キャリアを用意するステップであって、前記第1の表面側の領域部分には、使用中に前記半導体基板を収容するための凹状のウェハポケットが設けられる、ステップと、
-前記ウェハポケットのそれぞれにおける第1のボアホールセクションを、基板キャリアの第1の表面側に対して少なくとも実質的に垂直に機械加工するステップと、
-凹状のウェハポケットにおける第1のボアホールセクションのそれぞれと凹状のウェハポケットの径方向内側の基板キャリアの中心部との間にガス接続をもたらすために、前記基板キャリアを通じて径方向に延在する基板キャリアの外周壁面から第2のボアホールセクションを機械加工するステップと、
-第1のボアホールプラグ部分を第2のボアホールセクションに圧入するステップと、
-第2のボアホールプラグ部分のためのポケットを基板キャリアの壁面に機械加工するステップであって、前記ポケットが、ねじ山を備えるとともに、ボアホールの長手方向に対して角度をなして配置される、ステップと、
-前記第1のボアホールプラグ部分を阻止するために、前記ポケットの前記ねじ山に対応するねじ部が少なくとも部分的に設けられる第2のボアホールプラグ部分をねじ込むステップと、
を含む方法が提供される。
【0030】
一例では、前記方法は、前記第1のボアホールプラグ部分を圧入する前記ステップの前に、
-前記基板キャリアの前記壁面に面取り部を機械加工するステップ、
を更に含む。
【0031】
一例では、前記第2のボアホールプラグ部分は、前記ヘッドセクションから延在する多角形形状の工具受け入れセクションを備え、前記方法は、前記第2のボアホールプラグ部分をねじ込む前記ステップの後に、
-前記第2のボアホールプラグ部分を前記基板キャリアの前記壁面と面一にするために前記基板キャリアの前記壁面から延在する前記工具受け入れセクションを除去することによって前記基板キャリアの前記壁面を機械加工するステップ、
を更に含む。
【0032】
一例では、前記方法は、第2のボアホールプラグ部分をねじ込む前記ステップの後に、
-前記基板キャリアの少なくとも前記壁面の、より詳細には前記基板キャリアの全てを覆う炭化ケイ素のコーティングを設けるステップ、
を更に含む。
【0033】
一例では、前記第1及び第2のボアホールプラグ部分の一方又は両方は、グラファイトから構成される。
【0034】
ここで、添付図面を参照して、特定の実施形態によって本発明をより詳細に説明するが、同一又は類似の部分及び/又は構成要素は同じ参照番号で示される。本発明は、決して開示された実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本開示の第1の態様に係る基板キャリアの要素の上面図を概略的に示す。
【
図3】
図2の丸で囲まれた部分の等角図をより詳細に示す。
【
図4】本開示の第1の態様に係る基板キャリア及びボアホールプラグの部分の等角図を概略的に示す。
【
図5】ボアプラグが基板キャリアに取り付けられる、
図4の部分の等角図を概略的に示す。
【
図6】本開示の第1の態様に係る基板キャリアのコーティングされた部分の等角図を概略的に示す。
【
図7】
図6のコーティングされた部分の断面図を概略的に示す。
【
図8】本開示の第2の態様に係る基板キャリアの製造方法の概要を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、半導体基板上にエピタキシャル層を成長させるためのシステムで使用するための基板キャリア1の上面図を概略的に示す。
図2は、
図1のA-Aで示される断面の断面図を示し、
図2の丸で囲まれた断面は、
図3の等角図によってより詳細に示されている。基板キャリア1は、第1の表面側3及び第2の表面側5を有する、グラファイトから成る基板キャリア又は(遊星)ディスクである。第1の表面側3は、
図1に示すように上面である。第2の表面側5は、第1の表面側3の反対側に位置する。基板キャリア1の円周方向の壁面7は、基板キャリア1の第1の表面側3及び第2の表面側5に平行な平面に対して角度αで、第2の表面側5に向かって傾斜している。
図3-
図7では、例示を目的として、第1の表面側3及び第2の表面側5が
図1及び
図2に対して反転されていることに留意されたい。
図1に示す実施形態では、基板キャリア1は、使用中に半導体基板を収容するように配置された基板支持体として画定される6つの領域9を含む。
【0037】
基板キャリア1は、6つの内部ガスチャネル11を更に備える。ガスチャネル11は、遊星ディスクの径方向内側に延びる。各ガスチャネル11は、基板支持体9のそれぞれと、基板支持体9の径方向内側の遊星ディスクの中心部13との間にガス接続をもたらす。各ガスチャネル11は、第1のボアホールセクション11Aと、第2のボアホールセクション11Bと、第3のボアホールセクション11Cとを備える。各基板支持体9から、第1のセクション11Aは、基板キャリア1の第1の表面側3に対して垂直に、基板キャリア1の内側に、基板キャリア1の高さhの約半分まで延在する。中心部13から、第3のセクション11Cは、基板キャリア1の第2の表面5に対して垂直に、基板キャリア1の内側に、基板キャリア1の高さhの約半分まで延在する。ガスチャネル11の第2のセクション11Bは、基板キャリア1の径方向内側に延在する壁面7から配置された円形ボアホールから成り、それによって各ガスチャネル11の第1のセクション11A及び第3のセクション11Cを流体接続する。
【0038】
基板キャリア1の壁面7におけるガスチャネル11の開口を閉塞して封止するために、基板キャリア1にはボアホールプラグが設けられている。ボアホールプラグは、両方ともグラファイトで構成された第1の部分15及び別個の第2の部分17を備える。第1の部分15は、第1の部分15をボアホールに圧入するためにガスチャネル11のボアホールに嵌合する形状を有する。第1の部分15は、その長手方向においてガスチャネル11内に挿入され、それにより、基板キャリア1の壁面における特定のガスチャネル11の開口が閉鎖され、シールされる。ガスチャネル11内に存在するガスの圧力に起因して、基板キャリアが使用されているとき、ボアホールプラグの圧入された第1の部分15をガスチャネル11から押し出すことができる。これを防止するために、ボアホールプラグには第2の部分17が設けられている。
【0039】
ボアホールプラグの第2の部分17は、円形形状の上部19及び円形形状のインターロックセクション21を備え、インターロックセクション21の直径は上部19の直径よりも小さい。インターロックセクション21には、インターロック機能、好ましくはねじ山が設けられている。上部19には、適切な多角形形状の工具を受け入れるための多角形形状のヘッドセクション23が設けられている。
【0040】
ボアホールプラグの第2の部分17を基板キャリア1に連結するために、基板キャリア1にはポケット25が設けられる。ポケット25は、基板キャリア1に機械加工され、ポケット25は、傾斜壁部7に対して垂直に基板キャリア1の内側に延びる。ポケット25の深さ及び直径は、ボアホールプラグの第2の部分17のそれぞれの上部19及びそれぞれのインターロックセクション21の長さ及び直径に対応する。
【0041】
ボアホールプラグの第2の部分17のインターロックセクション21に対応するポケット25の部分には、ボアホールプラグの第2の部分17のインターロックセクション21を受け入れ、機械的に保持するために対応し、配置される手段が設けられる。好ましくは、手段は、ボアホールプラグの第2の部分17のインターロックセクション21のねじ山に対応するねじ山を備える。適切な多角形工具を使用して、
図4及び
図5に示すように、ボアホールプラグの第2の部分17をその中心軸に対して時計回りに回転させることによって、ボアホールプラグの第2の部分17をポケット25のねじ山にねじ込む。
【0042】
好ましくは、ボアホールプラグの第1の部分15がガスチャネル11のボアホール内に圧入された後にポケット25が基板キャリア1内に設けられ、それにより、ボアホールプラグの第2の部分17は、ポケット25内に設けられた後に、ボアホールプラグの第1の部分15と対応して接触し、それにより、それぞれのガスチャネル11を出るためにボアホールプラグの第1の部分15を阻止する。ボアプラグの第2の部分17がポケット25内に強固に設けられると、ボアプラグの第2の部分17の傾斜壁部7から突出する部分が除去され、その後、基板キャリア1は炭化ケイ素コーティング27によってコーティングされる。その結果、ガスチャネル11内に強固に固定され、その位置から押し出すことができない不可視のプラグ位置が生じる。
【0043】
図8は、化学蒸着によって半導体基板上にエピタキシャル層を成長させるためのシステムで使用するための基板キャリア1を製造する方法101を示す。方法1の第1のステップ103において、基板キャリア1が用意される。基板キャリア1の第1の表面側3の領域部分9には、使用中に半導体基板を収容するための基板支持体が設けられる。
【0044】
方法101の第2のステップ105において、第1のボアホールセクション11Aは、基板キャリアの第1の表面側に対して少なくとも略垂直な基板支持体のそれぞれに機械加工される。
【0045】
方法101の第3のステップ107において、第2のボアホールセクション11Bは、基板支持体内の第1のボアホールセクション11Aのそれぞれと基板支持体の径方向内側の基板キャリア1の中心部13との間にガス接続をもたらすために、基板キャリア1を通って径方向に延びる基板キャリア1の外周壁面7から機械加工される。
【0046】
更に、方法101の第4のステップ109中に、基板キャリア1の壁面7に面取り部が機械加工される。
【0047】
方法101の第5のステップ111において、第1のボアホールプラグ部分15が第2のボアホールセクション11Bに圧入される。
【0048】
第1のボアホールプラグ15が第2のボアホールセクションに圧入された後、第2のボアホールプラグ部分17用のポケット25は、方法101の第5のステップ113中に基板キャリア1の壁面7に機械加工され、ポケット25にはねじ山が設けられ、ボアホールの長手方向に対してある角度で配置される。
【0049】
方法101の第6のステップ113中、ポケット25のねじ山に対応するねじ部が少なくとも部分的に設けられた第2のボアホールプラグ部分17は、第1のボアホールプラグ部分15を阻止するためにポケット25にねじ込まれる。
【0050】
最終的に、方法101の第7のステップ115中に、第2のボアホールプラグ部分17を基板キャリア1の壁面7と面一にするために、基板キャリア1の壁面7から延びる工具受け入れセクション23を除去することによって基板キャリア1の壁面7を機械加工することによって、基板キャリア1が完成する。
【0051】
方法101の最後のステップ117において、基板キャリア1は、炭化ケイ素のコーティングを備える。
【0052】
上記の説明に基づいて、当業者は、開示された方法及び構成に修正及び追加を提供することができ、その修正及び追加は全て添付の特許請求の範囲に含まれる。
【国際調査報告】