(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】ディスクブレーキ又はドラムブレーキのブレーキ本体部とブレーキロータの間の作動力を検出する装置
(51)【国際特許分類】
G01L 5/28 20060101AFI20240903BHJP
G01L 1/18 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G01L5/28 Z
G01L1/18 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515341
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 AT2022060267
(87)【国際公開番号】W WO2023039621
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524086968
【氏名又は名称】ネット-オートメーション・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】リーガー・ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】トイアーマン・ゲルノート
(72)【発明者】
【氏名】ツーバー・クリスティアン
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA01
2F051AB09
2F051BA07
(57)【要約】
【課題】ディスクブレーキ又はドラムブレーキのブレーキ本体部とブレーキロータの間に作用する作動力をより正確に検出するために、単純な構造上の前提を得る。
【解決手段】圧力に依存して変化する電気的な特性を有するセンサ層6と、評価装置に接続された2つの導電性の層7とから成る、ブレーキ本体部とブレーキロータの間に挿入可能な多層の測定フィルム3によって、ディスクブレーキ又はドラムブレーキのブレーキ本体部とブレーキロータの間の作動力を検出する装置において、特定される作動力をセンサ層6のそれぞれ圧力負荷にさらされる面に割り当てるために、測定フィルム3が、電極層8間のフィルム容量を特定するために評価装置に接続された2つの電極層8を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力に依存して変化する電気的な特性を有するセンサ層(6)と、評価装置(5)に接続された2つの導電性の層(7)とから成る、ブレーキ本体部(1)とブレーキロータ(2)の間に挿入可能な多層の測定フィルム(3)によって、ディスクブレーキ又はドラムブレーキのブレーキ本体部(1)とブレーキロータ(2)の間の作動力を検出する装置において、
特定される作動力をセンサ層(6)のそれぞれ圧力負荷にさらされる面に割り当てるために、測定フィルム(3)が、電極層(8)間のフィルム容量を特定するために評価装置(5)に接続された2つの電極層(8)を備えていることを特徴とする装置。
【請求項2】
センサ層(6)がピエゾ抵抗性の層を形成していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力に依存して変化する電気的な特性を有するセンサ層と、評価装置に接続された2つの導電性の層とから成る、ブレーキ本体部とブレーキロータの間に挿入可能な多層の測定フィルムによって、ディスクブレーキ又はドラムブレーキのブレーキ本体部とブレーキロータの間の作動力を検出する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両制動中に生じるブレーキ力を検出するために、ディスクブレーキにおいては、ブレーキパッドとブレーキパッド支持部の間に、評価装置に接続された、ピエゾ素子を基礎とする力センサを設けることが知られている(特許文献1、特許文献2)。ただし、当該力センサは、ディスクブレーキの構造において考慮される必要があり、ピエゾ素子の使用により車両制動時に作用するブレーキ力の検出には適しているものの、静的な作動力の検出には不適であるという欠点がある。
【0003】
ディスクブレーキ又はドラムブレーキにおいて作用する作動力を特定するために、負荷圧力によって電気抵抗が変化する力センサを用いることが既に知られている(特許文献3)。このような力センサは、ここでも、ブレーキディスク又はブレーキドラムと協働するブレーキ本体部とブレーキ本体部支持部の間に設けられることが可能である。しかし、このような力センサに代えて、圧力に依存して変化する電気抵抗値を有するセンサとしてブレーキ本体部自体を用いることも可能である。しかし、相応のセンサ又はセンサ層を設けることは、ディスクブレーキ又はドラムブレーキの構造において考慮される必要があるため、作動力の検出は、相応に構成されたディスクブレーキ又はドラムブレーキにおいてのみ可能である。
【0004】
最後に、ディスクブレーキ又はドラムブレーキの作動力を特定するために、圧力に依存して変化する電気的な特性を有するセンサ層から成る多層の測定フィルムをブレーキ本体部とブレーキロータの間に挿入することが知られている(特許文献4)。2つの導電性の層を用いて、圧力に依存して変化する電気的な測定信号は、捕捉されるとともに評価装置へ供給され、当該評価装置において、電気的な測定信号の既知の圧力依存性に基づいて、生じた作動力が特定される。ただし、作動力はセンサ層の面(面積)に関連付けられる必要があるため、例えば製造公差又は摩耗に起因する、センサフィルムの部分的のみの圧力負荷の場合には、過少な作動力が特定されるという欠点がある。
【0005】
さらに、力作用あるいは圧力作用の箇所を空間分解的に特定し、作用する力又は作用する圧力の大きさを更に検出することが可能なセンサ装置が知られている(特許文献5)。この目的のために、センサ装置は、中間層によって互いに分離された2つの織物層(繊維層)を含んでおり、当該織物層は、互いに電気的に絶縁された平行な導体の互いに対して垂直に延びる2つのシートを形成する。これにより、交差する導体のグリッドが生じ、当該導体は、中央層を通る交差範囲における力の発生時に、これにより電気的に接触されるため、力作用により接触する互いに垂直に延びる両導体が接触箇所を特定する。織物材料に代えてフィルム材料も用いることが可能な中央層は非導電性の材料から成る誘電材料を形成することができ、これにより、平板コンデンサの種類の容量型のセンサ装置が得られる。しかし、中央の層は、圧電センサ装置用の圧電材料又は導電材の材料も備えることができ、その電気抵抗は、力作用時あるいは圧力作用時に変化するため、抵抗性あるいはピエゾ抵抗性のセンサ装置が形成される。しかし、場所について限定された、外側の織物層の導体の交差箇所により、このようなセンサ装置は、ブレーキ面にわたって分配(分散)されるブレーキの作用力を検出するのには不適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006018952号明細書
【特許文献2】国際公開第2014/170726号
【特許文献3】国際公開第2005/015045号
【特許文献4】欧州特許第3722768号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第102016106071号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の基礎となる課題は、ディスクブレーキ又はドラムブレーキのブレーキ本体部とブレーキロータの間に作用する作動力をより正確に検出するために、単純な構造上の前提を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、冒頭で説明した種類の装置を基礎として、本発明により、特定される作動力をセンサ層のそれぞれ圧力負荷にさらされる面に割り当てるために、測定フィルムが、電極層間のフィルム容量を特定するために評価装置に接続された2つの電極層を備えていることによって解決される。
【0009】
ブレーキ本体部はディスクブレーキ又はドラムブレーキのブレーキロータへ全面にわたって作用しない場合には、これはブレーキ本体部とブレーキロータの間にクランプされた測定フィルムの容量に影響を与える、ブレーキ本体部とブレーキロータの間で異なる間隔が有効であり、その結果、センサ層を用いて検出される作動力を押圧面に関連付けることができるように、適当な容量測定によって押圧面を更に特定することが可能であることを意味する。したがって、測定フィルムが、フィルム容量を特定するための、評価装置に接続された2つの電極層を備えることのみが必要であり、当該フィルム容量に基づき、ブレーキ本体部とブレーキロータの間の各押圧面が推定されるため、評価装置は、各押圧面に依存して作動力を表す。
【0010】
センサ層として、特に、特有の電気抵抗がピエゾ抵抗性の層材料の圧力負荷により生じる機械的な応力の下で変化するピエゾ抵抗性の層が適している。センサ層として、有利には、適当にドープされた、例えばケイ素又はゲルマニウムを基礎とする半導体又はIII-V族半導体が適している。
【0011】
図面には、本発明の対象が例示的に図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による装置を概略的に示すブロック図である。
【
図2】本発明による多層の測定フィルムの概略的な層構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施例ではディスクブレーキとして示唆されたブレーキのブレーキ本体部1とブレーキロータ2の間の作動力を検出する本発明による装置は、
図1によれば多層の測定フィルム3を含んでおり、当該測定フィルムは、差込結合部(プラグインカップリング)4によって評価装置5に電気的に接続されている。好ましくは、評価装置は、測定フィルム3の測定信号の評価のためのみならず、測定フィルムに電気エネルギーを印加するためにも用いられる。
【0014】
図2によれば、多層の測定フィルム3は、特にピエゾ抵抗性の材料の場合のように、負荷圧力によって電気的な特性が変化する材料から成るセンサ層6を備えている。センサ層6は2つの導電性の層7の間に配置されており、測定電圧は、導電性の層を介してピエゾ抵抗性のセンサ層6へ印加されることが可能である。センサ層6の特定の電気抵抗が負荷圧力によって変化するため、特定の電気抵抗の所定の圧力依存性に基づきセンサ層6を流れる電流の大きさからセンサ層6の圧力負荷ひいては作用する力の大きさを推定することが可能である。センサ層6の面(面積)は、構造上あらかじめ設定されており、したがって既知である。
【0015】
ただし、負荷圧力はセンサ層6の面にわたって均等に分配されることが適当な測定結果の前提ではあるものの、一般的にはそのように仮定することはできない。それぞれセンサ層6の圧力負荷にさらされる面の大きさを推測することができるように、絶縁層9を介して導電性の層7を覆う2つの電極層8間の容量測定が更に行われる。測定フィルム3を保護するために、追加的なカバー層10を設けることが可能である。
【0016】
フィルム容量は、ブレーキ本体部1とブレーキロータ2の間の圧力にさらされる各面(面積)に依存するため、このような容量測定に基づきセンサ層6の作動力による負荷圧力にさらされる面割合(面積割合)を推定することができ、これにより、それぞれセンサ層6の圧力負荷にさらされる面(面積)への特定された作動力の割り当てが可能となる。
【0017】
導電性の層7のうち1つを容量測定用の電極層としても用いることができるため、追加的な容量測定には必ずしも2つの個別の電極層8を設ける必要はなく、追加的な容量測定によって操作の手間は大きくならない。測定フィルム3が差込結合部4を用いて評価装置5に接続され、ブレーキの負荷後に測定を開始する前に、測定フィルム3のみをブレーキ本体部1とブレーキロータ2の間の隙間へ挿入し、ブレーキロータ2又はブレーキ本体部1に固定すべきである。
【0018】
評価装置を測定フィルム3と共に1つの構造ユニットに統合することも可能であるように、測定フィルム3と評価装置5との間の接続を当然ワイヤレスで行うことも可能である。
【国際調査報告】