(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】バッテリ電源を伴う無線プロセス変数送信機
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515929
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 US2022030009
(87)【国際公開番号】W WO2023048777
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515231553
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェストフィールド、ブライアン リー
(72)【発明者】
【氏名】シュナーレ、セオドア ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン、コリー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ウィーンホールド、ニコラス アーロン
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503BA04
5G503BB04
5G503DA13
5G503DA17
(57)【要約】
産業プロセス(10)で使用するための無線プロセス変数送信機(12)は、産業プロセス(10)のプロセス変数を感知し、プロセス変数センサ出力を供給するように構成されるプロセス変数センサ(16)を含む。バッテリ電源(46)は、それぞれが一次セルバッテリ(52)を有する複数のバッテリ電力バンク(50)と、一次セルバッテリ(52)に電気的に接続され、一次セルバッテリ(52)の電圧が閾値を上回っている状態で一次セルバッテリ(52)に対する電気的接続をもたらす、低電圧カットオフ回路(54)と、低電圧カットオフ(54)を介して一次セルバッテリ(52)に電気的に接続された入力を有し、電力バンク出力を与える理想ダイオード(58)とを含む。電力共有ノード(62)は、複数のバッテリ電力バンク(50)のそれぞれのバッテリ電力バンク出力に接続され、無線プロセス変数送信機(12)の回路に電力を供給する共有電力出力を有する入力を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業プロセスで使用するための無線プロセス変数送信機において、
産業プロセスのプロセス変数を感知し、プロセス変数センサ出力を供給するように構成されるプロセス変数センサと、
前記プロセス変数センサに結合され、前記プロセス変数センサ出力に関連する出力を供給するように構成される測定回路と、
前記測定回路に結合され、前記プロセス変数センサ出力に関連する情報を遠隔地に無線通信するように構成される無線通信回路と、
複数のバッテリ電力バンクを備えるバッテリ電源と、
を備え、
前記バッテリ電力バンクの各々は、
一次セルバッテリと、
前記一次セルバッテリに電気的に接続され、前記一次セルバッテリの電圧が閾値を上回っている状態で前記一次セルバッテリに対する電気的接続をもたらす低電圧カットオフ回路と、
低電圧カットオフを介して前記一次セルバッテリに電気的に接続される入力を有し、電力バンクの出力を与える理想ダイオードと、
前記複数のバッテリ電力バンクのそれぞれの前記バッテリ電力バンクの出力に接続され、前記複数のバッテリ電力バンク内の少なくとも1つの一次セルバッテリからの電流を含む共有電力出力を有する入力を有する電力共有ノードと、
前記共有電力出力に電気的に接続され、複数の前記電力バンク内の少なくとも1つの一次セルバッテリからの電力を使用して前記測定回路及び前記無線通信回路に電力を供給するように構成される電源回路と、
を備える無線プロセス変数送信機。
【請求項2】
複数の前記バッテリ電力バンクのそれぞれは、前記一次セルバッテリに電気的に接続されて前記一次セルバッテリによって送達されるエネルギーの量を制限するように構成されるエネルギーリミッタを含む、請求項1に記載の無線プロセス変数送信機。
【請求項3】
前記電源回路は、最も高い電圧レベルを有する複数の前記電力バンク内の一次セルバッテリによって給電される、請求項1に記載の無線プロセス変数送信機。
【請求項4】
複数の前記電力バンクのそれぞれは、直列に接続される少なくとも3つの理想ダイオードを含み、それによって本質的な安全性をもたらす、請求項1に記載の無線プロセス変数送信機。
【請求項5】
前記電力共有ノードが抵抗を備える、請求項1に記載の無線プロセス変数送信機。
【請求項6】
前記プロセス変数センサは、圧力センサ、流量センサ、腐食センサ、ガス濃度センサ、レベルセンサ、温度センサ、pHセンサ、濁度センサ、位置センサ、及び音響センサのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の無線プロセス変数送信機。
【請求項7】
前記電源回路が前記プロセス変数センサに電力を供給する、請求項1に記載の無線プロセス変数送信機。
【請求項8】
それぞれの電力バンクからのバッテリの電圧に関連する電圧を供給するように構成される前記複数のバッテリ電力バンクのうちの1つにそれぞれが結合される複数のバッテリリードバック接続を含む、請求項1に記載の無線プロセス変数送信機。
【請求項9】
前記複数のバッテリリードバック接続がコントローラに結合する、請求項8に記載の無線プロセス変数送信機。
【請求項10】
低バッテリを示すバッテリリードバック接続上の電圧に基づいて供給される出力を含む、請求項8に記載の無線プロセス変数送信機。
【請求項11】
前記出力が遠隔的に供給される、請求項10に記載の無線プロセス変数送信機。
【請求項12】
前記出力が局所的に供給される、請求項10に記載の無線プロセス変数送信機。
【請求項13】
前記複数のバッテリリードバック接続が直列抵抗を含む、請求項8に記載の無線プロセス変数送信機。
【請求項14】
前記直列抵抗が固有の安全境界をもたらす、請求項13に記載の無線プロセス変数送信機。
【請求項15】
前記電力共有ノードが固有の安全境界をもたらす、請求項1に記載の無線プロセス変数送信機。
【請求項16】
前記電源回路がスイッチングレギュレータを備える、請求項1に記載の無線プロセス変数送信機。
【請求項17】
前記複数のバッテリ電力バンク内の前記一次セルバッテリのうちの1つは、前記電力共有ノードからの前記共有電力出力を中断することなく切断され得る、請求項1に記載の無線プロセス変数送信機。
【請求項18】
前記複数のバッテリ電力バンク内の前記理想ダイオードは、電流が一次セルバッテリバッテリに流れるのを阻止する、請求項1に記載の無線プロセス変数送信機。
【請求項19】
前記共有電力出力に接続されるバルクコンデンサを含む、請求項1に記載の無線プロセス変数送信機。
【請求項20】
前記複数のバッテリ電力バンクは、前記一次セルバッテリの自己不動態化を低減する、請求項1に記載の無線プロセス変数送信機。
【請求項21】
前記一次セルバッテリがリチウムチオニルクロリド一次セルバッテリを含む、請求項1に記載の無線プロセス変数送信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業プロセスにおけるプロセス変数を感知するために使用されるタイプのプロセス変数送信機に関する。より具体的には、本発明は、バッテリ給電式無線プロセス変数送信機に関する。
【背景技術】
【0002】
産業環境では、制御システムは、産業プロセス及び化学プロセスなどの在庫を監視及び制御するために使用される。一般に、制御システムは、産業プロセスの重要な場所に分散された幾つかのフィールドデバイスを使用してこれらの機能を果たす。フィールドデバイスは、様々な異なる設備で動作することができる。プロセス設備の例としては、石油、医薬品、化学物質、パルプ及び他の処理設備が挙げられる。これらのフィールドデバイスは、制御室内の制御回路に通信可能に結合される。
【0003】
フィールドデバイスは、様々な目的のためにプロセス制御測定産業によって使用される。通常、そのようなデバイスは、比較的過酷な環境で屋外に設置できるとともに温度、湿度、振動及び機械的衝撃の極端な気候に耐えることができるように、野外強化された筐体を有する。また、フィールドデバイスは、通常、比較的低い電力で動作する。例えば、既知の4~20mAループからそれらの動作電力の全てを受ける幾つかのフィールドデバイスが現在利用可能である。
【0004】
従来、フィールドデバイスは、物理導体によって(制御室などの)プロセス通信システムに結合されてきた。そのような有線接続は、フィールドデバイスに電力を供給するだけでなく、通信のための経路も提供してきた。有線フィールドデバイスの1つの制限は、配線をフィールドデバイスの各物理的位置まで延ばさなければならないため、設置に労力かかり得る場合があるというである。
【0005】
より最近では、制御室及び/又は他の適切なデバイスと通信するために無線通信を使用するフィールドデバイスが出現している。これらの無線フィールドデバイスには、一般に、数年間にわたって無線フィールドデバイスに動作電力を供給することができるバッテリなどの内部電源が設けられる。
【0006】
工業的なプロセス産業における無線技術の使用は、無線送信機に局所的に給電する方法の必要性を生み出した。バッテリは、局所的な電力を供給することができる1つの方法である。しかしながら、バッテリに伴う1つの問題は、それらの容量が限られることである。一般に、バッテリ容量と、より長い送信機寿命及び/又はネットワーク構成に起因するより高い更新速度又は高負荷との間にはトレードオフがある。したがって、より大容量のバッテリを使用できるようにフィールドデバイス電力が供給されることが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
産業プロセスで使用するための無線プロセス変数送信機は、産業プロセスのプロセス変数を感知し、プロセス変数センサ出力を供給するように構成されるプロセス変数センサを含む。プロセス変数センサに結合される測定回路は、プロセス変数センサ出力に関連する出力を供給する。測定回路に結合される無線通信回路は、プロセス変数センサ出力に関連する情報を遠隔地に無線通信するように構成される。バッテリ電源は、それぞれが一次セルバッテリを有する複数のバッテリ電力バンクと、一次セルバッテリに電気的に接続され、一次セルバッテリの電圧が閾値を上回っている状態で一次セルバッテリに対する電気的接続をもたらす、低電圧カットオフ回路と、低電圧カットオフを介して一次セルバッテリに電気的に接続される入力を有し、電力バンク出力を与える理想ダイオードとを含む。電力共有ノードが、複数のバッテリ電力バンクのそれぞれのバッテリ電力バンク出力に接続されるとともに複数のバッテリ電力バンク内の各一次セルバッテリから電流を供給する共有電力出力を有する入力を有する。電源回路は、複数の電力バンク内の各一次セルバッテリ間で共有される電力を使用して測定回路及び無線通信回路に電力を供給するように構成される共有電力出力に電気的に接続される。
【0008】
この概要は、以下の詳細な説明で更に説明される概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を決定する際の補助として使用されることも意図していない。特許請求される主題は、背景技術に記載された欠点のいずれか又は全てを解決する実装形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】無線プロセス変数送信機を含む産業プロセスを示す図である。
【
図2】
図1の無線プロセス変数送信機の簡略ブロック図である。
【
図3】
図2のバッテリ電源における複数の電力バンクの簡略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態は、添付図面を参照して以下により完全に説明される。同じ又は類似の参照符号を使用して識別される要素は、同じ又は類似の要素を指す。図を簡単にするために、幾つかの要素は各図に示されていない場合がある。本開示の様々な実施形態は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。
【0011】
産業プロセス制御産業では、追加の機能をより速い更新速度で提供するために、バッテリで動作する産業フィールドデバイス、具体的にはプロセス変数送信機に対する需要が高まっている。この要求に対処することは、バッテリ寿命の短縮及びオペレータによるより頻繁なバッテリ交換を犠牲にして行なわれる。バッテリ技術は改善し続けているが、この技術は業界のニーズに追いついていない。業界のニーズを満たすフィールドデバイスを提供するために、新しい電力管理ソリューションが必要とされている。
【0012】
背景技術の節で説明したように、無線で動作する幾つかのタイプのプロセス変数送信機がある。そのような送信機の場合、バッテリなどの内部電源を含むことが望ましい。幾つかの設備では、一次セルバッテリ(再充電できないバッテリ)は、二次セルバッテリ(再充電可能な)バッテリよりも有利である。これらの利点には、コストの削減及び蓄電容量の増加が含まれる。プロセス変数送信機に利用可能な電力量が多いほど、それが提供することができる機能は大きくなる。これには、データ計算及び診断の増加、出力信号強度の増加、及び更新速度の増加が含まれる。
【0013】
特に有望な一次セルバッテリの1つは、その高いエネルギー貯蔵容量のためにリチウムチオニルクロリド一次セルバッテリである。一部の一次セルは、より高い容量を得るために並列に接続することが困難である。しかしながら、リチウムチオニルクロリド一次セルは、並列接続の弱いバッテリが他のバッテリによって充電されるため、並列接続されたときに特に問題となる。これは、熱暴走をもたらし得る不安定な動作状態をもたらす。
【0014】
本発明は、並列接続用に構成される一次セルバッテリを含む電力バンク構成を有する産業用無線プロセス変数送信機を含む。1つの特定の構成では、電力バンクは、一次セルバッテリ、低電圧カットオフ回路、エネルギーリミッタ、及び理想ダイオードのうちの少なくとも1つを含む。回路は、並列に接続された複数の一次セルバッテリからのエネルギーを使用する安全かつ効率的な手段を可能にする。
【0015】
図1は、プロセス変数センサ16を使用してプロセス配管14内のプロセス流体のプロセス変数を感知するように構成された無線プロセス変数送信機(フィールドデバイス)12を含む産業プロセス10の簡略図である。しかしながら、本発明は、他のタイプのプロセス変数を感知するプロセス変数送信機に適用可能である。無線プロセス変数送信機12は、通信回路(
図1には示されない)及びアンテナ20と22との間で通信される無線周波数信号を使用して遠隔地18と通信する。動作中、プロセス変数送信機12は、プロセス変数センサ16を使用してパイプ14内のプロセス流体のプロセス変数を感知する。プロセス変数センサ16は、任意のタイプのプロセス変数であってもよく、例としては、圧力、流量、差圧、腐食、ガス濃度、レベル、温度、pH、濁度、位置情報、音響データなどを感知するためのセンサが挙げられる。プロセス変数送信機12は、内部回路(
図1には示されない)を使用して、感知されたプロセス変数に関連する測定データを取得する。次いで、プロセス変数送信機12は、アンテナ20と22との間の無線接続を使用して、感知されたプロセス変数に関連するデータを遠隔地18に通信する。通信は、生データ、診断情報、他の感知されたプロセス変数、環境に関連するデータ、時間情報、アドレスなどの特定のプロセス変数送信機12を識別する情報を含む他の情報を含むこともできる。更に、遠隔地18は、プロセス変数送信機12に情報を通信することもできる。そのような通信は、とりわけ、他のデバイス、コマンド、プログラミング命令によって感知されたプロセス変数を含むことができる。通信は、例えば、直接又はメッシュネットワークなどの中間接続を介して行なうことができる。
【0016】
図2は、プロセス変数センサ16に接続された測定回路40を含む無線プロセス変数送信機12の簡略ブロック図である。測定回路40は、プロセス変数センサ16からのセンサ出力に対して初期処理を実行し、コントローラ42に出力を供給するように構成される。コントローラ42は、例えば、マイクロプロセッサなどのデジタルコントローラを含むことができ、測定回路40は、感知されたプロセス変数に関連するデジタル出力を供給するためのアナログデジタル変換器を含むことができる。コントローラ42は、感知されたプロセス変数に関連するアンテナ20を使用して無線無線周波数出力を供給するように無線通信回路44を制御する。例示的なプロセス変数センサ16は、プロセス構成要素の腐食速度を測定するように構成された腐食センサ、プロセス流体の圧力を測定するように構成された圧力センサ、産業プロセスの温度を測定するように構成された温度センサ、産業プロセスにおける音及び振動を測定する音響センサ、産業プロセスにおけるガスの濃度を測定するガスセンサ、例えばタンク内に収容されたプロセス流体のレベルを測定するように構成されたレベルセンサ、プロセス構成要素又は人員の位置を監視するように構成された位置追跡センサなどを含む。
【0017】
また、
図2は、
図3に示す複数の電力バンク50を含むバッテリ電源46を示す。バッテリ電源46は、バッテリ電力出力を電源回路48に供給し、電源回路は、測定回路40、コントローラ42、及び無線通信回路44に電力を供給する。幾つかの構成では、電力はまた、変数センサ16を処理するために供給される。
【0018】
回路44を介した無線通信は、任意の適切な通信技術に従って行なうことができる。多くの規格が使用されており、これらには、WirelessHART(登録商標)(IEC62591)もしくはISA100.11a(IEC62734)、又はWiFi、LoRa、Sigfox、BLEなどの別の無線通信プロトコル、又はカスタムもしくは専用の通信プロトコルを含む任意の他の適切なプロトコルが含まれる。
【0019】
図3は、複数のバッテリ電力バンク50A、50B、及び50Cを含むバッテリ電源46の簡略概略図である。
図3に示す構成は、複数のバッテリを使用することによってフィールドデバイス12の動作寿命を延ばす手段を提供する自己管理配電回路を提供する。実施形態は、3つのバッテリバンク50A、50B及び50Cの使用を示す。しかしながら、任意の数のバンクが使用されてもよい。
【0020】
リチウムチオニルクロリド一次セルバッテリの使用は、その高いエネルギー容量のために望ましい。しかしながら、典型的なバッテリ技術とは異なり、リチウムチオニルクロリド一次セルバッテリは、容量を増加させる手段として直接並列に配置することができない。リチウムチオニルクロリド一次セルバッテリが並列に接続されている場合、グループの弱いバッテリは他のバッテリによって充電される。これは、不安定な動作状態をもたらし、熱暴走状態をもたらす可能性がある。
図3に示す構成は、複数のバッテリからのエネルギーを使用するための安全で効率的な手段を可能にする。
【0021】
この実施形態によれば、バッテリ電源46は、3つの別個のバッテリ電力バンク50A、50B、及び50Cを含む。この構成では、各電力バンクは互いに同一である。各電力バンクは、低電圧カットオフ回路54A、54B及び54Cにそれぞれ接続された一次セルバッテリ52A、52B及び52Cを含む。低電圧カットオフからの出力は、保護要素56A、56B、及び56Cにそれぞれ結合され、保護要素56A、56B、及び56Cは、一連の理想ダイオードに接続する。各バッテリ電力バンク50A、50B、及び50Cは、好ましくは、それぞれ
図3の58A1、2、3、58B1、2、3、及び58C1、2、3に示すような3つの理想ダイオードを含む。3つのダイオードの使用は、ユニットが冗長性のための固有の安全要件を満たすことを可能にする。理想ダイオードは、任意の理想ダイオード技術に従って動作することができる。1つの特定の実施形態では、理想ダイオードは能動回路を備える。
【0022】
電力バンク50A、B、及びCからの出力は、電力共有ノードとして機能し、スイッチングレギュレータとして構成される電源回路48に電力を供給する電力共有抵抗62に結合される。バルクコンデンサ64は、電力共有ノード62における任意の電圧変動をフィルタリング及び平滑化するように動作する。
【0023】
バッテリリードバック出力は、それぞれ保護要素56A、56B、及び56Cからの出力に結合する抵抗60A、60B、及び60Cを介して供給される。抵抗60A、60B、及び60Cを介した接続は、コントローラ42に結合され、各バッテリ52A、52B、及び52Cの電圧をそれぞれ監視するために使用することができる。抵抗60A、B、C及び62は、バッテリ52A、B、Cからの過剰な電力がデバイス電子機器に入るのを防止する固有の安全境界をもたらす。
【0024】
一般に、各バンク50A~Cは互いに同一である。各バンク50A~Cの出力は、デバイス12に電力を供給するために電力共有抵抗62において共通化される。低電圧カットオフ回路54A~54Cは、バッテリ52A~52Cがほぼ枯渇したときに回路からバッテリ52A~52Cを切断するために使用される。これにより、バッテリ52A~52Cが完全に使い果たされることはなく、リサイクル中に安全に輸送することができる。
【0025】
保護要素56A~56Cは、回路への総エネルギーを下流の構成要素のエネルギー定格に制限する。要素56A~Cは、電力共有抵抗62と共に、回路を危険な場所での使用に対して本質的に安全にする。三重冗長理想ダイオード回路58の使用は、設計における特徴である。ダイオード58は、四つの主要な機能を提供する。それらのダイオードは、バッテリ放電電流が負荷に流れることを可能にする。更に、それらのダイオ-ドは、バッテリ52の充電からの逆電流を遮断する。また、それらのダイオードは、固有の安全性を提供し、各バンク50A~Cにおける電圧損失を制限する。バッテリと負荷との間の最大エネルギー伝達は、各バンクにおける電圧損失が小さく保たれるときに生じる。理想ダイオードを使用すると、従来のショットキーダイオードを使用する場合の1ボルト降下と比較して、電圧損失が50mv未満に制限される。これは、バッテリ寿命の60%を超える改善をもたらし得る。
【0026】
通常動作中、3つのバッテリバンク50A、50B、及び50Cの全てが互いに連動して動作して、電流ILを負荷に供給する。最初に、負荷は、最高電圧を有するバッテリバンク50A~Cによってのみ給電される。そのバンク上の電圧が減衰すると、次に近い電圧を有するバンクが負荷を共有し始める。最終的に、3つのバンク50A~Cは全て、負荷に電流を供給する。各バッテリバンクの電圧は、バッテリリードバック接続A~Cを使用してコントローラ42によって定期的に読み取られる。これにより、デバイス12は、各バッテリ52A~Cの健全性を遠隔地18に報告することができる。消耗したバッテリを交換できるように、オペレータに低バッテリ警告を発することができる。例えば、コントローラ42は、バッテリ52A~Cのうちの1つ以上が低電圧であり、交換されるべきであることを示す、遠隔地18に送信される無線通信回路44を使用して警告を発することができる。I/O70によってローカル警告を提供することもできる。
【0027】
この自己管理型配電回路46は、バッテリが使い果たされると一度に1つのバッテリに切り替わるものよりも幾つかの利点を与える。例えば、無負荷で長期間放置されるバッテリは、不動態化層を形成する傾向がある。この層は、直列抵抗素子として作用し、バッテリが負荷電流を供給するのを阻止し、最初に使用されたときに長期間にわたってバッテリ電圧を低下させる。この自己管理技術は、その負荷共有概念の一部として各バッテリへの負荷を連続的にデューティサイクルすることによって不動態化を防止する。この概念は、所望の容量を達成するために任意の数のバッテリバンク50を追加することを可能にすることによって拡張可能である。マルチバンクシステムであっても、必要に応じてデバイスを動作させるために設置されるバッテリを少なくすることができる。この概念はまた、他の1つ又は2つのバッテリが中断することなく負荷に電力を供給し続けるので、バッテリのホットスワップを可能にする。この概念の別の利点は、古いバッテリをいつ交換すべきか、新しいバッテリをいつ交換すべきかを決定する必要があるという複雑さを排除することである。継続的な健全性監視と共に本発明によって提供されるバッテリバンク50間の自己管理型スイッチングは、これらの問題を排除する。
【0028】
一実施形態では、送信機12は、追加の機能を提供することができる追加の入力/出力回路70を含む。例えば、I/O回路70は、各バッテリ52の現在の状態をユーザに知らせるLED、LCD、又は他のそのようなインタフェースデバイスなどのローカルインジケータを提供することができる。この情報を通信する別の手段は、遠隔地18へのデジタル又はアナログ通信接続を介するものである。I/O70を使用して、バッテリ52のうちの1つが交換されたという指示などの情報をコントローラ42に供給することもできる。I/O回路70は、手動ローカル入力とすることができ、及び/又はBluetooth(登録商標)又はWiFiなどを介してローカル通信をもたらすことができる。
【0029】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明してきたが、当業者であれば分かるように、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく形態及び詳細に変更を加えることができる。
【国際調査報告】