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特表2024-532950ハイブリッドレドックス燃料電池システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】ハイブリッドレドックス燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/18 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
H01M8/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517481
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 US2022075598
(87)【国際公開番号】W WO2023059964
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】63/261,408
(32)【優先日】2021-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519297300
【氏名又は名称】イーエスエス テック インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】ESS Tech,Inc.
【住所又は居所原語表記】26440 SW Parkway Avenue,Wilsonville,Oregon 97070 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ソン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス クレイグ
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA03
5H126BB10
5H126RR07
(57)【要約】
ハイブリッドレドックス燃料電池システムは、ハイブリッドレドックス燃料セル及び電気化学セルを含む。ハイブリッドレドックス燃料セルは、水素が通って流動するアノード側と、液体電解質が通って流動するカソード側と、を含み、液体電解質は、より高い酸化状態の金属イオンとより低い酸化状態の金属イオンとを含む。電気化学セルのアノード側は、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソード側に流体的に接続されている。ハイブリッドレドックス燃料セルにおいて、アノード側で還元剤を酸化しながら、カソード側でより高い酸化状態の金属イオンをより低い酸化状態に還元することによって、電力が生成される。電力が生成される間、電気化学セルのアノード側で、より低い酸化状態の金属イオンがより高い酸化状態に酸化される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッドレドックス燃料電池システムであって、
還元剤が通って流動するアノード側と、液体電解質が通って流動するカソード側と、を含むハイブリッドレドックス燃料セルと、
電気化学セルであって、前記電気化学セルのアノード側が、前記ハイブリッドレドックス燃料セルの前記カソード側に流体的に結合されている、電気化学セルと、を備え、
前記液体電解質が、より高い酸化状態の金属イオンと、より低い酸化状態の前記金属イオンと、を含み、
前記ハイブリッドレドックス燃料セルにおいて、前記アノード側で前記還元剤を酸化しながら、前記カソード側で前記より高い酸化状態の前記金属イオンを前記より低い酸化状態に還元することによって、電力が生成され、
前記ハイブリッドレドックス燃料セルで前記電力が生成される間、前記電気化学セルの前記アノード側で、前記より低い酸化状態の前記金属イオンが前記より高い酸化状態に酸化される、ハイブリッドレドックス燃料電池システム。
【請求項2】
前記ハイブリッドレドックス燃料セルが、水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルを含み、前記還元剤が、水素ガスを含み、前記より低い酸化状態の前記金属イオンが、第一鉄イオンを含み、前記より高い酸化状態の前記金属イオンが、第二鉄イオンを含む、請求項1に記載のハイブリッドレドックス燃料電池システム。
【請求項3】
前記ハイブリッドレドックス燃料セルと前記電気化学セルの前記アノード側との間に位置付けられたポンプを更に備え、前記ポンプが、前記液体電解質を前記電気化学セルの前記カソード側に導くことなく、前記液体電解質を前記ハイブリッドレドックス燃料セルの前記カソード側から前記電気化学セルの前記アノード側に導く、請求項1に記載のハイブリッドレドックス燃料電池システム。
【請求項4】
前記ポンプが、前記液体電解質が前記電気化学セルの前記アノード側を出ると、前記液体電解質を前記ハイブリッドレドックス燃料セルの前記アノード側に導くことなく、前記液体電解質を前記ハイブリッドレドックス燃料セルの前記カソード側に導く、請求項3に記載のハイブリッドレドックス燃料電池システム。
【請求項5】
前記より高い酸化状態の前記金属イオンの濃度が、前記電気化学セルの前記アノード側から前記ハイブリッドレドックス燃料セルの前記カソード側に導かれた前記液体電解質中で、前記ハイブリッドレドックス燃料セルの前記カソード側から前記電気化学セルの前記アノード側に導かれた前記液体電解質中の前記より高い酸化状態の前記金属イオンの前記濃度よりも高い、請求項4に記載のハイブリッドレドックス燃料電池システム。
【請求項6】
前記ハイブリッドレドックス燃料セルの前記カソード側での、前記より高い酸化状態の前記金属イオンの前記より低い酸化状態への還元の速度が、前記電気化学セルの前記アノード側での、前記より低い酸化状態の前記金属イオンの前記より高い酸化状態への酸化の速度とバランスされる、請求項4に記載のハイブリッドレドックス燃料電池システム。
【請求項7】
再生ガス源を更に備え、酸素ガスが、前記再生ガス源から前記電気化学セルの前記カソード側に導かれる、請求項6に記載のハイブリッドレドックス燃料電池システム。
【請求項8】
前記電気化学セルに導電的に結合された電気負荷を更に備え、前記電気負荷から前記電気化学セルに電流を供給することが、前記電気化学セルの前記アノード側での前記より低い酸化状態の前記金属イオンの前記より高い酸化状態への酸化を増加させ、前記電気化学セルの前記カソード側での前記酸素ガスの還元を増加させる、請求項7に記載のハイブリッドレドックス燃料電池システム。
【請求項9】
ハイブリッドレドックス燃料電池システムを動作させる方法であって、前記方法が、
前記ハイブリッドレドックス燃料電池システムのハイブリッドレドックス燃料セルのカソードと電気化学セルのアノードとの間で液体電解質を再循環させることであって、前記液体電解質が、より高い酸化状態の金属イオンとより低い酸化状態の前記金属イオンとを含む、再循環させることと、
前記ハイブリッドレドックス燃料セルの前記カソードで、前記より高い酸化状態の前記金属イオンを前記より低い酸化状態に還元することと、
前記電気化学セルの前記アノードで、前記より低い酸化状態の前記金属イオンをより高い酸化状態に酸化させることと、を含み、
前記ハイブリッドレドックス燃料セルの前記カソードで前記より高い酸化状態の前記金属イオンを前記より低い酸化状態に還元する速度が、前記電気化学セルの前記アノードで前記より低い酸化状態の前記金属イオンを前記より高い酸化状態に酸化する速度に等しい、方法。
【請求項10】
前記ハイブリッドレドックス燃料セルのアノードに水素を供給することと、ハイブリッドレドックス燃料の前記カソードで前記より高い酸化状態の前記金属イオンを前記より低い酸化状態に還元しながら、前記ハイブリッドレドックス燃料セルの前記アノードで前記水素を酸化することによって、前記ハイブリッドレドックス燃料セルから電力を生成することと、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電気化学セルのカソードに酸素を供給することと、前記電気化学セルの前記アノードで前記より低い酸化状態の前記金属イオンを前記より高い酸化状態に酸化しながら、前記電気化学セルの前記カソードで前記酸素を還元することと、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ハイブリッドレドックス燃料セルの前記カソードと前記電気化学セルの前記アノードとの間で前記液体電解質を再循環させることが、前記液体電解質を前記ハイブリッドレドックス燃料セルのアノードにも前記電気化学セルのカソードにも流動させることなく、前記液体電解質を前記ハイブリッドレドックス燃料セルの前記カソードから前記電気化学セルの前記アノードに導くことと、前記液体電解質を前記電気化学セルの前記アノードから前記ハイブリッドレドックス燃料セルの前記カソードに導くことと、を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ハイブリッドレドックス燃料セルの前記カソードでの前記より高い酸化状態の前記金属イオンの前記より低い酸化状態への還元の速度が、前記電気化学セルの前記アノードで前記より低い酸化状態の前記金属イオンを前記より高い酸化状態に酸化する前記速度よりも高いときに応答して、外部負荷から前記電気化学セルに供給される電流を増加させることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記液体電解質を前記電気化学セルの前記アノードから前記ハイブリッドレドックス燃料セルの前記カソードに導くことが、前記液体電解質の一部分を、前記液体電解質の前記一部分を前記電気化学セルの前記アノードから前記ハイブリッドレドックス燃料セルの前記カソードに導く前に、前記電気化学セルの前記アノードに戻してリサイクルすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ハイブリッドレドックス燃料セルの前記カソードの前記液体電解質中の前記より高い酸化状態の前記金属イオンの濃度が閾値濃度未満であることに応答して、前記電気化学セルの前記アノードに戻されてリサイクルされる前記液体電解質の前記一部分を増加させることを更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月20日に出願された、「Hybrid Redox Fuel Cell System」と題された米国仮出願第63/261,408号の優先権を主張する。上記の特定された出願の全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本説明は、概して、ハイブリッドレドックス燃料電池システム、及びハイブリッドレドックス燃料電池システムを動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
水素空気燃料セル技術は、それらの高いコスト、より低い電気効率、及び信頼性の課題に起因して、広く採用されるに至っていない。これらの問題は、主に、カソード酸素還元反応(ORR)の遅い運動速度及び高い電気化学ポテンシャルの結果である。特に、ORRは、高価な貴金属触媒及び複雑な3境界電極設計を利用して、ORRを促進する。なお更に、高いORR電気化学ポテンシャル(約1.2V)は、炭素腐食及び膜劣化などのいくつかの主要な燃料セル積層体劣化機構に寄与する。したがって、旧来の燃料電池システムは、高い電気化学ポテンシャルによって引き起こされる材料劣化を軽減するために、複雑かつ高価な製造処理プロセスを経る、黒鉛化電極及びバイポーラプレートなどの高価な原材料を利用する。なお更に、経済的及び実用的な実行可能性に望ましい性能及びシステム効率の向上を達成するために、旧来の燃料電池システムは、積層体性能を向上させるための熱回収、水管理、及び他の複雑なシステム設計のための追加のシステムを含み、これにより、全体的なシステムの複雑さが増加し、全体的なシステムの信頼性が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水素空気燃料セルとは対照的に、ハイブリッドレドックス燃料セルは、酸化剤としての金属イオンレドックスカップルで酸素を置き換え、それによって、式(1)及び式(2)によって表されるように、カソードにおける金属イオン酸化剤の還元が、アノードにおける水素酸化と同時に起こる。式(2)において、Mx+は、より高い酸化状態の金属イオンを表し、M(x-y)+は、より低い酸化状態の金属イオンを表し、より低い酸化状態は、より高い酸化状態よりも酸化数が低い。非限定的な例として、金属イオンレドックスカップルに利用される金属Mは、マンガン(Mn2+/MnO)、バナジウム、銅、及び鉄を含み得る。一例では、金属イオンレドックスカップルは、第二鉄イオン/第一鉄イオンレドックスカップルを含み得、ハイブリッドレドックス燃料セル反応は、式(1)及び式(2’)によって表される:
1/2H-e→ H(アノード反応) E=0.00V (1)
x++ye → M(x-y)+ (一般化されたカソード反応) (2)
Fe3++e → Fe2+ (カソード反応) E=0.771V (2’)
カソードの標準電位(E)がアノードの標準電位よりも大きい場合、アノード反応及びカソード反応の結果として生じるギブス自由エネルギーは、負であり、したがって、式(1)及び式(2)によって与えられる反応は、自発的に生じる。したがって、ハイブリッドレドックス燃料セルは、従来の水素空気燃料セルと比較して、実質的により高い理論電気効率を達成する。水素のエネルギー密度が高く、かつ鉄などの土壌に豊富に存在する金属イオンのコストが低いことに起因して、ハイブリッドレドックス燃料セルの開発へのかなりの商業的関心が存在する。しかしながら、長期的なエネルギー貯蔵を可能にするために、大量の液体電解質の貯蔵及び取り扱いを排除するための金属イオンの再生が望ましい。一般的な再生スキームは、還元された金属酸化剤(例えば、より低酸化状態の金属イオン)の空気酸化を含み、これは、熱力学的に有利であるが、酸素還元反応及び質量移動の制限のために動態的に遅い。したがって、ハイブリッドレドックス燃料セルは、水素空気燃料セルと比較してより高い理論電気効率を達成することができるが、ハイブリッドレドックス燃料セルにおける発電は、達成可能な酸化剤再生速度によって制限される傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上で論じられる問題に少なくとも部分的に対処する1つのアプローチは、ハイブリッドレドックス燃料セル及び電気化学セルを含むハイブリッドレドックス燃料電池システムを含む。ハイブリッドレドックスセルは、水素が通って流動するアノード側と、液体電解質が通って流動するカソード側と、を含み、液体電解質は、より高い酸化状態の金属イオンとより低い酸化状態の金属イオンとを含む。電気化学セルのアノード側は、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソード側に流体的に接続されており、ハイブリッドレドックス燃料セルのアノード側で還元剤を酸化しながら、かつ電気化学セルのアノード側でより低い酸化状態の金属イオンをより高い酸化状態に酸化しながら、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソード側で金属イオンをより高い酸化状態からより低い酸化状態に還元することによって、電力が生成される。
【0006】
電気化学セルのアノードで低酸化状態の金属イオンを酸化することによって、質量移動制限を低減することができ、金属イオン酸化剤(例えば、より高酸化状態の金属イオン)の再生速度を増加させる技術的効果を達成することができる。更に、電気化学セルは、容易に積層され、コンパクトなモジュール式セルアセンブリに配置され得る。したがって、追加の電気化学セルをオンラインにするか、又は電気化学セルをオフラインにして、再生容量とハイブリッドレドックス燃料セル容量とをバランスさせることを、動作ダウンタイムを低減しながら、より容易にすることができる。なお更に、セルアセンブリのコンパクトさは、全体的なハイブリッドレドックス燃料システムの体積を低減することを支援し、それによって、運用コスト及び製造コストを低減することができる。
【0007】
上記の概要は、詳細な説明で更に説明される概念の抜粋を簡略化された形で導入するために提供されていることを理解されたい。これは、特許請求される主題の重要な又は本質的な特徴を特定することを意図せず、その範囲は、詳細な説明に続く特許請求の範囲によって一意に定義される。更に、特許請求される主題は、上記又は本開示のいずれかの部分に記述されるいずれかの不利点を解決する実装形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示的なハイブリッドレドックス燃料セルの概略図を示す。
図2】様々な燃料セルの性能データを比較する例示的なグラフを示す。
図3】様々な燃料セルの性能データを比較する例示的なグラフを示す。
図4図1のハイブリッドレドックス燃料セルについての例示的なセルアセンブリ分解図を示す。
図5A】従来の燃料電池システムの例示的なプロセスフロー概略図を示す。
図5B】酸化剤送達システムを含むハイブリッドレドックス燃料電池システムの例示的なプロセスフロー概略図を示す。
図5C】酸化剤送達システムの例示的なプロセスフロー概略図を示す。
図6図1のハイブリッドレドックス燃料セルについての電気化学セル酸化剤再生反応器の概略図を示す。
図7図6の電気化学セル酸化剤再生反応器についての例示的なセルアセンブリの分解図を示す。
図8図1のハイブリッドレドックス燃料セルと、図6の電気化学セル酸化剤再生反応器と、を含む、例示的なハイブリッドレドックス燃料電池システムの概略図を示す。
図9図8図10、及び図11のハイブリッドレドックス燃料電池システムを動作させるための方法のフローチャートを示す。
図10図1及び図4の複数のハイブリッドレドックス燃料セルと、図6の複数の電気化学セル酸化剤再生反応器と、を含むハイブリッドレドックス燃料電池システムの実施形態の概略図を示す。
図11図1及び図4の複数のハイブリッドレドックス燃料セルと、図6の複数の電気化学セル酸化剤再生反応器と、を含むハイブリッドレドックス燃料電池システムの実施形態の概略図を示す。
図12図1のハイブリッドレドックス燃料セルと、図6の電気化学セル酸化剤再生反応器と、の例示的な構造化されたフローフィールドの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明は、ハイブリッドレドックス燃料電池システムのためのシステム及び方法に関する。例示的な実施形態では、ハイブリッドレドックス燃料電池システムは、図1に概略的に示されるハイブリッドレドックス燃料セルを含む。ハイブリッドレドックス燃料セルは、図12に示されるような、電極の電気活性表面積を増加させるための、かつ電極の電気活性表面エリアとの間の電解質の分布を向上させるための構造化されたフローフィールドを含む。更に、ハイブリッドレドックス燃料セルを、図4に示されるセルアセンブリとして構成することができ、複数のハイブリッドレドックス燃料セルをセルアセンブリ内に直列及び/又は並列に積層して、ハイブリッドレドックス燃料セル積層体又は電力モジュールを形成することができる。従来の燃料セルと比較したハイブリッドレドックス燃料セルの性能が、図2及び図3に示されている。図5Aに示されるような従来の燃料電池システムとは対照的に、ハイブリッドレドックス燃料電池システムは、レドックス酸化剤の再生を提供するために、図5B及び図5Cに示されるような酸化剤送達システムを含む。一実施形態では、酸化剤送達システムは、図6に示されるように、電気化学セル酸化剤再生反応器構成を含み、電気化学セル酸化剤再生反応器の積層体を含むセルアセンブリが、図7に示されている。いくつかの実施形態では、電気化学セル酸化剤再生反応器は、各々、図12に示されるようなハイブリッドレドックス燃料セルの構造化されたフローフィールドと同様の、構造化されたフローフィールドを含み得る。図8は、ハイブリッドレドックス燃料セル及び図6の電気化学セル酸化剤再生反応器を含む、ハイブリッドレドックス燃料電池システムを例示する。ハイブリッドレドックス燃料電池システムの動作は、図9のフローチャートに例示される方法によって実行され得る。一実施例では、ハイブリッドレドックス燃料電池システムの発電容量は、図10に示されるように、複数の酸化剤再生反応器と結合された複数のハイブリッドレドックス燃料セルを含むことによって増加され得る。更に、酸化剤再生反応器及びハイブリッドレドックス燃料セルは、図11に示されるように、同じ電力モジュール内に統合されてもよい。
【0010】
ここで図1に移ると、図1は、例示的なハイブリッドレドックス燃料セル100のプロセス概略図を例示している。一実施形態では、ハイブリッドレドックス燃料電池システム800は、1つ以上のハイブリッドレドックス燃料セル100を含み得る。図1は、水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルの非限定的な実施例を示しているが、本明細書に記載されるハイブリッドレドックス燃料電池のシステム及び方法は、追加的又は代替的に、他のタイプのハイブリッドレドックス燃料セルを含んでもよい。本明細書では、「アノード」は、電気活性材料が電子を失う電極を指し、「カソード」は、電気活性材料が電子を獲得する電極を指す。図1に例示されるように、還元剤(例えば、水素ガス)110が、ハイブリッドレドックス燃料セル100のアノード側に供給され、そこで、還元剤110は、アノードコンパートメント114(本明細書ではアノード側とも記載される)フローフィールドを通ってアノード124に流動する。いくつかの実施例では、還元剤は、液体還元剤を伴わずに気体還元剤のみを含む。水素酸化化学式111及び反応矢印134によって示されるように、アノードコンパートメント114内で、水素ガスは、水素酸化触媒と流体的に接触し、式(1)に従って、電子が水素から触媒作用で取り去られて、プロトン(例えば、水素イオン)及び電子を生成する。一実施例では、水素の酸化時に、電流フロー矢印190によって概略的に示されるように、アノード124に導電的に結合されたアノード集電体(図1には示されていない)を介して、電子がハイブリッドレドックス燃料セル100から伝導されるように、水素酸化触媒は、アノード124の表面上に支持され得る。一実施例では、水素酸化触媒は、炭素基材上に支持された白金系触媒を含み得る。他の実施例では、水素酸化触媒は、少量(例えば、0.02mg/cm~0.2mg/cm超)の、炭素などの導電性担体上に支持されたPt、Pd、Ru、Rdなどの貴金属又はこれらの合金のうちの1つ又は組み合わせを含み得る。
【0011】
アノード124での還元剤110の酸化と同時に、酸化剤120(例えば、第二鉄イオン電解質)が、ハイブリッドレドックス燃料セル100のカソード側に供給され、ここで、酸化剤120は、カソードコンパートメント116(本明細書では、カソード側116とも称される)のフローフィールドを通ってカソード126に流動する。水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルの場合、第二鉄イオン還元化学式121及び反応矢印136によって示されるように、カソードコンパートメント116内で、第二鉄イオン溶液は、カソード126で炭素触媒(例えば、炭素表面)などの金属還元触媒で流体的に接触し、電子が、第二鉄イオンによって受け入れられ、それによって、第二鉄イオンを還元し、第一鉄イオンを生成する。カソード126の炭素表面は、液体電解質(例えば、溶液中の第二鉄イオン)をカソード表面と流体的に接触させるための表面積を増加させることを支援するために、多孔質炭素フェルト又は多孔質炭素フォームを含み得る。更に、カソード表面に導電的に結合されたカソード集電体(図1には示されていない)によってカソード表面で(例えば、電流フロー矢印190によって示されるように)ハイブリッドレドックス燃料セルに導電的に供給される電子が、第二鉄イオンと同時に炭素表面で流体的に接触して、第一鉄イオンを生成し得るように、炭素表面は、カソード126上に支持されてもよい。
【0012】
酸化剤120は、金属イオン電解質が、より高い酸化状態の金属イオンと、より低い酸化状態の金属イオンと、のうちの1つ以上を含むような金属イオン電解質溶液を含み得る。より高い酸化状態の金属イオンは、酸化剤120の酸化状態を指し、より低い酸化状態の金属イオンは、酸化剤120の還元状態を指す。したがって、より低い酸化状態の金属イオンは、より高い酸化状態の金属イオンよりも低い酸化数を有する。図1の実施例では、金属イオン電解質溶液は、第二鉄塩のイオン溶液などの第二鉄イオンの溶液を含む。金属イオン塩、イオン錯体、及び支持導電種を含む酸化剤電解質組成の選定は、ハイブリッドレドックス燃料セルカソードの電解質抵抗率、電荷移動動態、及び酸化剤還元の全体的な動態速度に影響を与え得る。非限定的な一実施例では、酸化剤電解質溶液は、硫酸第二鉄及び硫酸第一鉄を含み得る。更に、酸化剤電解質溶液は、硫酸溶液を含んでもよく、酸化剤電解質溶液は、遊離第一鉄イオン及び遊離第二鉄イオン並びに/又は錯化合物を含んでもよい。
【0013】
酸化剤電解質は、塩化第二鉄及び塩化第一鉄を含み得る。酸化剤電解質の濃度は、最大で閾値酸化剤電解質濃度まで維持され得る。酸化剤電解質が塩化第二鉄及び塩化第一鉄を含む場合、閾値酸化剤電解質濃度(例えば、塩化第二鉄/塩化第一鉄の総濃度)は、6Mを含む。一実施例では、閾値酸化剤電解質濃度は、酸化剤電解質の溶解度に対応し得、それにより、閾値酸化剤電解質濃度を上回ると、ハイブリッドレドックス燃料セルの動作温度範囲にわたって酸化剤電解質の沈殿が発生し得る。酸化剤電解質が硫酸第二鉄及び硫酸第一鉄を含む場合、閾値酸化剤電解質濃度は、2Mを含む。別の実施例では、酸化剤電解質溶液は、硫酸第二鉄及び硫酸第一鉄と、塩化第二鉄及び塩化第一鉄と、の混合物を含み得る。
【0014】
ハイブリッドレドックス燃料セル100は、セパレータ122を更に含む。セパレータ122は、アノードコンパートメント114とカソードコンパートメント116との間に介在し、かつアノードコンパートメント114及びカソードコンパートメント116の両方と流体連通している電気絶縁イオン伝導バリアを含み得る。セパレータ122は、アノライトとカソライトとがクロスオーバすることを防止しながら、高いイオン伝導率を提供する。特に、セパレータ122は、通り抜ける特定のイオンの伝導を可能にしながら、還元剤110(例えば、水素ガス)と酸化剤120(液体電解質)とのバルク混合を防止する。例えば、セパレータ122は、イオン交換膜及び/又は微孔性膜を含み得る。一実施形態では、水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルの場合、アノードコンパートメント114で生成された水素プロトン(例えば、H)は、選択的イオン透過性膜(例えば、セパレータ122)を介してカソードコンパートメント116に対してクロスオーバし得る。したがって、水素プロトンのイオン移動及びイオン拡散は、水素プロトンをカソードコンパートメント116の溶液へと駆動する。対照的に、イオン透過性膜は、バルク液体及びバルクガスに対して不透過性であり得、したがって、カソードコンパートメント116からアノードコンパートメント114への液体電解質中のイオン種のクロスオーバと、アノードコンパートメント114からカソードコンパートメント116への水素ガスのクロスオーバと、を妨げ得る。図1の実施例では、セパレータ122は、アノード124及びカソード126の両方の間に介在し、かつこれらと直接流体連通している。したがって、アノード表面での水素ガス酸化から生成された水素プロトンは、セパレータ122を通るクロスオーバによってカソードコンパートメントに容易にクロスオーバすることができる。
【0015】
より高いイオン伝導率を有するセパレータ122を選択することは、ハイブリッドレドックス燃料セルのより高い電圧効率を可能にする。更に、電解質クロスオーバを低減するために高いイオン選択性を有するセパレータ122を選択することによって、セパレータ122は、ハイブリッドレドックス燃料セルのより高いクーロン効率を可能にする。なお更に、ハイブリッドレドックス燃料セルの動作条件全体にわたってより高い化学的安定性及び機械的安定性を有するセパレータ122を選択することは、信頼性を高め、運用コストを低減することができる。
【0016】
図1には示されていないが、燃料セル100の外部の負荷は、アノード電流集電体とカソード電流集電体との間に導電的に結合され得る。したがって、アノードにおける還元剤110の酸化から生成された電子は、酸化剤還元反応のためにカソードに供給される前に、負荷を通って流動し、負荷に電力を供給し得る。ハイブリッドレドックス燃料セル100からの流出物は、アノードコンパートメント114を出る還元剤流出物118と、アノードコンパートメント114を出る酸化剤流出物128と、を含む。還元剤流出物118は、未反応の還元剤110と、アノード還元剤酸化反応の様々な生成物と、を含むことができる。酸化剤流出物128は、未反応の酸化剤120と、酸化剤還元反応の生成物と、レドックス電解質溶液中の他の非反応性種と、を含むことができる。水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルの場合、還元剤流出物118は、未反応の水素ガスを含む一方、酸化剤流出物128は、第二鉄イオン、第一鉄イオン、水素プロトン、及び酸化剤電解質アニオンの電解質溶液を含む。酸化剤電解質が塩化第二鉄及び塩化第一鉄を含む場合、酸化剤電解質アニオンは、塩化物アニオンを含む。酸化剤電解質が硫酸第二鉄及び硫酸第一鉄を含む場合、酸化剤電解質アニオンは、硫酸アニオンを含む。酸化剤電解質が塩化第二鉄及び塩化第一鉄と硫酸第二鉄及び硫酸第一鉄との混合物を含む場合、酸化剤電解質アニオンは、塩化物アニオン及び硫酸アニオンを含む。
【0017】
図1に示されるように、ハイブリッドレドックス燃料セルは、向流構成で動作し得、それによりハイブリッドレドックス燃料セル100の第1の端部102でのアノードコンパートメント114への還元剤110の供給が、ハイブリッドレドックス燃料セル100の第1の端部102でのカソードコンパートメント116からの酸化剤流出物128の排出に対応し、かつハイブリッドレドックス燃料セル100の第2の端部104でのアノードコンパートメント114からの還元剤110の排出が、ハイブリッドレドックス燃料セル100の第2の端部104でのカソードコンパートメント116からの酸化剤120の供給に対応する。他の実施例では、ハイブリッドレドックス燃料セル100は、並(例えば、平行)流構成で動作し得、それによりハイブリッドレドックス燃料セル100の第1の端部102でのアノードコンパートメント114への還元剤110の供給が、ハイブリッドレドックス燃料セル100の第1の端部102でのカソードコンパートメント116への酸化剤120の供給に対応し、かつハイブリッドレドックス燃料セル100の第2の端部104でのアノードコンパートメント114からの還元剤流出物118の排出が、ハイブリッドレドックス燃料セル100の第2の端部104でのカソードコンパートメント116からの酸化剤流出物128の排出に対応する。向流構成は、それぞれ、アノード124及びカソード126の電気活性表面エリアとの間の還元剤110及び酸化剤120の分布が向上するため、有利であり得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法及びシステムによるハイブリッドレドックス燃料セルの動作は、旧来の燃料電池システムに特徴的な性能損失メカニズムを低減するために、様々な特徴を含むことができる。一実施例では、ハイブリッドレドックス燃料セルへの、及びハイブリッドレドックス燃料セル内の液体電解質の強制対流は、カソード活性表面積を更に増加させることを支援し、カソード及び炭素の表面エリアがより完全に利用されることを確実にすることに役立ち、それによって、この表面エリアで酸化剤還元速度を増加させることができる。強制対流を利用することはまた、炭素表面で電解質濃度をリフレッシュし、レドックス生成物を便利に一掃し、それによって、濃度勾配及びレドックス反応への質量移動制限を低減することを支援する。一実施例では、強制対流は、液体-固体界面での境界層の形成を低減し、それによって、質量移動制限を更に低減するための、カソードコンパートメント116内の液体電解質の乱流を含むことができる。
【0019】
更に、ハイブリッドレドックス燃料セルは、電極の電気活性表面積を増加させるための、かつ電極の電気活性表面エリアとの間の電解質の分布を向上させるための、所望のフローフィールド構成を課すために、電極と統合及び/若しくは併合されるか、又は電極と連結された、フローフィールドプレート(本明細書ではフロープレートとしても記載される)又は構造を含んでもよい。一実施例として、フローフィールドプレートは、活性電極表面全体にわたって均等な電解質の分布を支援するために、互い違いになったフローフィールド(IDFF)、蛇行したフローフィールド、平行なフローフィールド、及び/又は他のフローフィールドを含み得る。フローフィールドプレートは、チャネル及びチャネル間に介在するリブなどの構造的特徴を含み得、リブの周りの電解質反応物の適度の拡散を維持して、リブの周りでの停滞(例えば、質量移動制限された)領域のリスクを低減することを支援しながら、(オーム性抵抗を低減するための)フロープレート対膜電極アセンブリ(MEA)接触面積の増加をバランスさせるように、チャネルの数、リブ数、チャネル対リブ比などのような、フローフィールド設計パラメータが選択され得る。フローフィールドプレートは、セパレータ122全体にわたる圧力差を低減するように更に設計されてもよく、このことは、不所望なアノライトとカソライトとのクロスオーバを低減することを支援する。水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルの場合、セパレータ122全体にわたる圧力差を低減することは、アノード側反応が気相で起こる一方、カソード側反応が液相で起こることから、アノライトとカソライトのクロスオーバを低減することを実質的に支援することができる。
【0020】
ハイブリッドレドックス燃料セル電極全体にわたる電解質のフロー分布の均一性を高めることは、より高い燃料セル効率を維持し、かつ燃料寿命を延ばすことを支援する。フロー分布の均一性を高めることは、単一のハイブリッドレドックス燃料セル内の各フローチャネル全体にわたって電解質反応物のより均一な質量分布を有することを指し得る。フロー分布の均一性を高めることは、更に、マルチセル積層体における、又はマルチ積層体エネルギー生成システムにおける、各フローチャネル全体にわたって、及び複数のハイブリッドレドックス燃料セル全体にわたって、電解質反応物質のより均一な質量分布を有することを指し得る。なお更に、フロー分布の均一性を高めることは、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソード側の電解質流出物排出の近くに、電解質反応物の適度の質量分布を供給することを指し得る。別の言い方をすれば、電解質のフロー分布の均一性を高めることは、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソードコンパートメント全体にわたる電解質反応物に関連する全体的な質量移動制限を低減することを指す。
【0021】
同時に、カソードの厚さを低減して、オーム性抵抗を低減し、かつ電極製造コストを低減し得る。したがって、より高い炭素表面積(及び低減された厚さ)を有するこれらの電極を提供して、特に従来の燃料セルと比較して、反応フロントとセパレータ122(例えば、境界層形成及び質量移動制限を低減することによって、セパレータ122に隣接するレドックス反応フロントを維持する)との間の距離を短縮し、これにより、ハイブリッドレドックス燃料セルにおけるオーム損失を低減することを支援し得る。動作方法及び制御システムに関連付するハイブリッドレドックス燃料セルの更なる性能向上を、図8を参照して以下に説明する。
【0022】
ここで図2及び図3に移ると、図2及び図3は、先行技術と比較した、本明細書に記載されるハイブリッドレドックス燃料セルの性能を比較するプロット200及び300を例示している。強制対流と構造化されたフローフィールドの特徴とをハイブリッドレドックス燃料セルに組み込むことによって(図12を参照して下記でより詳細に記載される)、先行技術と比較した燃料セル性能及び電気効率のかなりの向上が期待される。図2は、本明細書に記載される性能特徴(例えば、強制対流、構造化されたフローフィールド要素、電極設計、動作方法及び制御スキームなど)を組み込んだ改善されたハイブリッドレドックス燃料セル220のものと比較した、水素空気燃料セル210及び従来のハイブリッドレドックス燃料セル230の燃料セル電圧対電流密度のプロットを例示している。燃料セルにおける低減されたレドックス反応速度を引き起こす、カソード活性表面エリアの不十分な利用と質量移動制限とが原因で、従来のハイブリッドレドックス燃料セル230の電池電圧は、電流密度が増加するにつれて、水素空気燃料セルの電池電圧よりも著しく低下する。対照的に、改善されたハイブリッドレドックス燃料セル220は、より高い電流密度(例えば、500mA/cmを上回る)で水素空気燃料セル210と同等の電池電圧を達成することができる。更に、図3を参照すると、図3は、改善されたハイブリッドレドックス燃料セル320と比較した、水素空気燃料セル310の電気効率対電流密度のプロットを例示している。改善されたハイブリッドレドックス燃料セル320は、水素空気燃料セル310と比較して、実質的に高い電気効率を維持しながら、より高い電流密度でより高い電池電圧を達成することができる。換言すると、改善されたハイブリッドレドックス燃料セルは、500mA/cmを上回る電流密度で、旧来の水素空気燃料セルと同等の電池電圧を達成することができるが、旧来の水素空気燃料セルの約50%の電気効率と比較して、80%を超える電気効率を有する。
【0023】
先に考察されたように、ハイブリッドレドックス燃料セルの炭素カソード上の金属イオン還元速度が、水素空気燃料セルのカソードでの酸素還元反応(ORR)と比較して何桁も高いため、水素空気燃料セルと比較したハイブリッドレドックス燃料セルの電気効率の向上を達成し、それによって、電気効率を向上させ、材料コストを低減することができる。更に、ORR電位と比較してより低いレドックス平衡電位を有する金属イオン酸化剤を選択することは、より低コストの燃料セル構成要素の包含を容易にしながら、燃料セル劣化のリスクを低減することができる。なお更に、熱回収のための追加のシステムが、排除される。強制対流と構造化されたフローフィールドの特徴とをなお更に組み込むことは、質量移動制限を低減し、かつ電極活性表面積のうちのより多くを利用することによって、燃料セル性能の更なる向上を可能にする。このようにして、改善されたハイブリッドレドックス燃料セルは、従来の燃料電池システムと比較して、材料コスト及び製造コストを低減し、燃料セルの劣化のリスクを減少させ、製造の複雑さを簡素化し、システムの信頼性を増加させながら、より高い電気効率でより高い電流密度のエネルギーを生成することができる。
【0024】
ここで図4に移ると、図4は、図1のハイブリッドレドックス燃料セルのための例示的なセルアセンブリ400を、縮尺通りに例示している。y軸、x軸、及びz軸を示す、基準軸401のセットが提供されている。セルアセンブリ400は、セルアセンブリ400内に層として配置された一連の構成要素を含む。層は、y-x平面と同一平面上に位置付けられ、z軸に沿って積層され得る。セルアセンブリ400のアノード側の第1の端部403と、セルアセンブリ400のカソード側の第2の端部405とに、圧力プレート410が配置され得る。圧力プレート410は、セルアセンブリ400の境界を画定する剛性の端部壁を提供し、セルアセンブリ400の層を、圧力プレート410間にて一体で押圧して、セルアセンブリ400の内部407内の電源モジュールの構成要素を封止することを可能にする。一実施例では、圧力プレート410は、アルミニウム圧力プレートを含む。
【0025】
セルアセンブリの内部407は、圧力プレート410を押圧してセルアセンブリ400の構成要素を一体で封止したときの、セルアセンブリ400の第1の端部403及び第2の端部405における圧力プレート410間の構成要素及び体積を指し得る。内部407は、ハイブリッドレドックス燃料セル100のアノードコンパートメント114及びカソードコンパートメント116に対応し、かつこれらを画定するセルアセンブリ400の特徴を含む。セルアセンブリ400を封止することは、タイロッド490を圧力プレート410における対応するタイロッド孔494に挿通し、かつタイロッドナット492を締めることによって実行され、それによって、セルアセンブリ400の第1の端部403と第2の端部405との間の内部407の構成要素及び体積を挟持及び封止し得る。
【0026】
次に、セルアセンブリ400の内部407の構成要素について説明する。圧力プレート410の内面は、例えばz軸に沿って内側に面する圧力プレートの面に接する、セルアセンブリ400の内部407に向かう、圧力プレートの内周の周りに立設及び配置されたピクチャフレーム構造(図4には示されていない)を含み得る。ピクチャフレーム構造は、セルアセンブリ400の内部407内の流体を封止するように互いに接合するように構成され得る。一実施例では、ピクチャフレーム構造は、セルアセンブリ400の内部407内の流体を封止する周囲ガスケットを収容するための溝を含み得る。
【0027】
ここで、燃料セルのアノード側にあるセルアセンブリ400の内部407の要素を、第1の端部403(例えば、アノード側)から第2の端部405(例えば、カソード側)に向かう方向に沿って説明する。第1の端部403に位置付けられた圧力プレート410の内面に隣接して、アノードスペーサ452及びアノードフロープレート450が配置されており、アノードスペーサ452及びアノードフロープレート450は、フローマニホールドとして機能し、セルアセンブリ400に入る還元剤流体をアノードの活性表面全体にわたって導き、かつ分配するためのフローチャネルを画定する。還元剤は、アノードフローポート454及び455を介してセルアセンブリ400のアノード側に出入りし得、アノードフローポート454及び455のうちの一方は、流体をセルアセンブリ400のアノードフロープレート450に送り込むように構成されており、アノードフローポートのうちの他方は、セルアセンブリ400のアノードフロープレート450から流体を排出するように構成されている。
【0028】
上記で説明されるように、アノードスペーサ452及びアノードフロープレート450によって画定されるフローチャネルは、アノードの活性表面エリア全体にわたって還元剤をより完全に分配することを支援するために、互い違いになったフローフィールド、蛇行した、平行な、及び/又は他のタイプのフローチャネルを含み得る。アノード集電体458及びアノードバイポーラプレート456は、アノードスペーサ452及びアノードフロープレート450と面共有接触して位置付けられている。アノードバイポーラプレート456は、アノードバイポーラプレート456の表面に沿った統合電極(例えば、アノード124)を含む。更に、アノードバイポーラプレート456は、アノードスペーサ452の間に位置付けられており、バイポーラプレート456とバイポーラプレート456に統合されたアノードとに構造的支持を提供するアノードフロープレート450によって囲まれている。
【0029】
アノード集電体をアノード及びアノードバイポーラプレート456に直接隣接して位置付けることによって、アノードでの還元剤の酸化から生成された電子は、発電のためにセルアセンブリ400から便利に伝導され得る。
【0030】
セパレータ440は、セルアセンブリ400のアノード側とカソード側との間に介在する。特に、セパレータ440は、アノード(及びアノードバイポーラプレート456)及びカソード(及びカソードバイポーラプレート466)の間及びこれらに隣接して(例えば、面共有接触して)位置付けられ得る。更に、アノードバイポーラプレート456と統合されたアノードは、アノード124に対応し得、カソードバイポーラプレート466と統合されたカソードは、カソード126に対応し得る。セパレータ440は、ハイブリッドレドックス燃料セル100のセパレータ122に対応し得、イオン交換膜、微孔性膜などの選択的イオン透過性膜を含み得る。セルアセンブリ400では、セパレータ440は、構造的支持のための剛性セパレータフレームプレートと結合され、かつ剛性セパレータフレームプレートによって囲まれ得る。
【0031】
次に、燃料セルのカソード側のセルアセンブリ400の内部407の要素を、第2の端部405(例えば、カソード側)から第1の端部403(例えば、アノード側)に向かう方向に沿って説明する。第2の端部405に位置付けられた圧力プレート410の内面に隣接して、カソードスペーサ462及びカソードフロープレート460が配置されており、カソードスペーサ462及びカソードフロープレート460は、フローマニホールドとして機能し、セルアセンブリ400に入る酸化剤流体をカソードの活性表面全体にわたって導き、かつ分配するためのフローチャネルを画定する。酸化剤は、カソードフローポート464及び465を介してセルアセンブリ400のカソード側に出入りし得、カソードフローポート464及び465のうちの一方は、流体をセルアセンブリ400のカソードフロープレート460へと送達するように構成されており、カソードフローポートのうちの他方は、セルアセンブリ400のカソードフロープレート460から流体を排出するように構成されている。
【0032】
上記で説明され、図12に関して更に詳細に説明されるように、カソードスペーサ462及びカソードフロープレート460によって画定されるフローチャネルは、アノードの活性表面エリアにわたって酸化剤電解質をより完全に分配することを支援するために、互い違いになったフローフィールド、蛇行した、平行な、及び/又は他のタイプのフローチャネルを含み得る。カソード集電体468及びカソードバイポーラプレート466は、カソードスペーサ462及びカソードフロープレート460と面共有接触して位置付けられている。カソードバイポーラプレート466は、カソードバイポーラプレート466の表面に沿った統合電極(例えば、カソード126)を含む。更に、カソードバイポーラプレート466は、カソードスペーサ462の間に位置付けられており、カソードバイポーラプレート466とカソードバイポーラプレート466に統合されたカソードとに構造的支持を提供するカソードフロープレート460によって囲まれている。カソード集電体をカソード及びカソードバイポーラプレート466に直接隣接して位置付けることによって、アノードでの還元剤の酸化から生成された電子は、発電のためにセルアセンブリ400から便利に伝導され得る。
【0033】
1つ以上の基準電極480が、ハイブリッドレドックス燃料セルの相対的な電位を設定及び指示するために、かつセルアセンブリ400の動作中に電極性能を監視するために、それぞれ、セルアセンブリ400のアノード側及びカソード側の還元剤及び酸化剤の流路に位置付けられ得る。一実施例では、基準電極480は、Ag/AgCl基準電極を含み得る。
【0034】
セルアセンブリはまた、図8を参照して更に詳細に説明されるように、温度、導電率、pH、電解質種濃度、ガス圧力などを測定するための様々なセンサを含んでもよい。一実施例として、温度センサが、それぞれ、アノード側及びカソード側でのセルアセンブリ温度の指示を提供するために、アノード出口フローポート及びカソード出口フローポートに位置付けられてもよい。更に、アノード集電体及びカソード集電体の各々に、加熱要素(図4には示されていない)が導電的に結合されてもよい。セルアセンブリ温度が低閾値温度を下回って降下することに応答して、アノード及び/又はカソードでセルアセンブリ温度を上昇させるために、加熱要素のうちの1つ以上に電力が供給され得る。更に、測定温度が高閾値温度を上回って上昇したときに、セルアセンブリ400での発電を停止するために、燃料セルのアノード側及びカソード側のうちの一方又は両方にサーマルスイッチ並びに/又はサーマルヒューズ459及び469が位置付けられてもよい。高閾値温度は、液体電解質の沸騰温度、又は上回るとセルアセンブリ400の封止及び/又は他の構成要素の劣化リスクが増加し得る温度に対応し得る。
【0035】
ハイブリッドレドックス燃料セルの温度を上昇させることは、アノードでの還元剤酸化とカソードでの酸化剤還元との電解質導電率及び動態反応速度を増加させることができる。しかしながら、温度を上昇させることはまた、電解質の安定性に悪影響を及ぼし得る。いくつかの実施例では、電解質の安定性は、電解質劣化及び/又は副反応の傾向が増加するため、温度を上昇させることに伴って低下し得る。したがって、別の実施例では、高閾値温度は、上回ると電解質劣化(例えば、電解質安定性の低下)のリスクが増加する温度に対応し得る。水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルの場合、高閾値温度は、カソード側での液体電解質の沸騰温度に対応し得る。更に、低閾値温度は、カソード側での液体電解質の凍結温度に対応してもよい。水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルの場合、劣化反応及び沈殿反応は、それぞれ、液体電解質の沸騰温度を上回って、及び液体電解質の凍結温度を下回って起こり得る。
【0036】
アノードコンパートメント114のガス圧力は、低閾値ガス圧力に維持され得る。更に、電極フラッディングのリスクを低減するために、低閾値ガス圧力は、カソードコンパートメント116の液体電解質圧力に、又はこの液体電解質圧力を僅かに上回って維持され得る。一実施例では、低閾値ガス圧力は、液体電解質圧力を5psi上回る圧力を含む。別の実施例では、低閾値ガス圧力は、液体電解質圧力を3psi上回る圧力を含む。別の実施例では、低閾値ガス圧力は、液体電解質圧力)を1~2kPa上回る圧力を含む)。別の実施例では、低閾値ガス圧力は、1~10Paの過圧を含む。アノードコンパートメントの低閾値ガス圧力は、ハイブリッドレドックス燃料セル全体にわたって適度に均一な電解質及びガスのフロー分布を維持しながら、運用コストを低減するために可能な限り低く維持される。
【0037】
図4の実施形態に示されるように、セルアセンブリ400は、単一のアノード側及び単一のカソード側に対応する構成要素を有する単一のハイブリッドレドックス燃料セルを含む。別の実施形態では、セルアセンブリ400の内部407に位置付けられた上記で説明される構成要素(例えば、アノードスペーサ452、アノードフロープレート450、アノードフローポート454及び455、アノードバイポーラプレート456、アノード、アノード集電体458、セパレータ440、カソードスペーサ462、カソードフロープレート460、カソードフローポート464及び455、カソードバイポーラプレート466、カソード、カソード集電体468)は、セルアセンブリ内で、第1の端部403から第2の端部405まで何回か繰り返され、マルチセル化されたハイブリッドレドックス燃料セル積層体を形成し得る。ハイブリッドレドックス燃料セル積層体の各セルは、並列及び/又は直列に電流を生成するように電気的に接続され得る。
【0038】
一実施形態では、セルアセンブリ400は、図1に示されるように、水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルに対応し得る。換言すると、還元剤110(例えば、水素)がセルアセンブリ400のアノード側に供給され、アノードコンパートメント114の容積は、アノードスペーサ452、アノードフロープレート450、及びアノードバイポーラプレート456によって画定される。アノードコンパートメント114に統合されたアノードバイポーラプレート456及び/又はアノード(例えば、アノード124)の表面は、水素ガスの酸化(例えば、式(1)に従う)を容易にするために、この表面上に水素酸化触媒を支持し得る。アノード集電体は、アノードバイポーラプレート456及びアノードに導電的に結合されており、その結果、電子は、アノード集電体458及びアノード集電体リード496を介してセルアセンブリ400から便利に伝導され得る。一実施例では、アノード集電体458は、金コーティングされた銅集電体を含み得る。アノードフローポート454及び455は、セルアセンブリ400への還元剤110の供給と、セルアセンブリ400からの流出還元剤118の排出と、を容易にし得る。
【0039】
同様に、酸化剤120(例えば、第二鉄イオン酸化剤を含む液体電解質)は、セルアセンブリ400のカソード側に供給され、カソードコンパートメント116の容積は、カソードスペーサ462、カソードフロープレート460、及びカソードバイポーラプレート466によって画定される。カソードコンパートメント116に統合されたカソードバイポーラプレート466及び/又はカソード(例えば、カソード126)は、レドックス反応を容易にするための炭素質表面を含み得る。特に、カソードは、カソードスペーサ462の反対側のカソードバイポーラプレート466の面に沿って配置された、グラファイトフェルト及び/又はグラファイトフォームなどの1つ以上の三次元炭素質表面を含み得る。一実施形態では、カソード126は、炭素コーティングされたプラスチックメッシュ電極を更に含んでもよい。メッシュ構造は、電極活性材料の量を低減しながら、電気活性表面積の増加を可能にすることができ、したがって、ハイブリッドレドックス燃料セル100の性能を向上させながら、高価な導電性材料のコストを減少させることができる。
【0040】
更に、カソード集電体468は、(例えば、式(2)に従う)第二鉄イオンの還元を促進するために、(カソード集電体468及びカソード集電体リード498を介して)電子がセルアセンブリ400のカソードへと送達され得るように、カソードと導電的に結合されており、かつカソードに隣接する。一実施例では、カソード集電体468は、金コーティングされた銅集電体を含み得る。カソードフローポート464及び465は、セルアセンブリ400への酸化剤120の供給と、セルアセンブリ400からの流出酸化剤128の排出と、を容易にし得る。セパレータ440は、セパレータ122に対応し得、カソード側からアノード側への液体電解質のクロスオーバを防止しながら、水素プロトンがアノード側からカソード側にクロスオーバすることを可能にするように構成され得る。
【0041】
ここで図12に移ると、図12は、電極の電気活性表面積を増加させることを支援することができる、かつ電極の電気活性表面エリアとの間の電解質の分布を向上させるための、構造化されたフローフィールドプレート1600及び電極構成の一実施例を例示している。構造化されたフローフィールドプレートは、ハイブリッドレドックス燃料セル100のセルアセンブリ400と、電気化学セル酸化剤再生反応器600のセルアセンブリ700と、のうちの一方又は両方に統合され得る。図12は、三次元xyz座標軸1602に対して示されており、座標軸401(図4を参照のこと)に類似して、x軸は、幅方向に整列し、y軸は、長さ方向に整列し、z軸は、電極積層体アセンブリの高さ方向又は厚さ方向に整列している。z軸は、電極積層体アセンブリの各層のx-y平面に垂直である横軸を指す。
【0042】
フローフィールドプレート1600は、フローチャネル及びフローチャネル間に介在するリブなどの構造的特徴を含み得、リブの周りの電解質反応物の適度の拡散を維持して、リブの周りでの停滞(例えば、質量移動制限された)領域のリスクを低減することを支援しながら、(オーム性抵抗を低減するための)フロープレート対膜電極アセンブリ(MEA)接触面積の増加をバランスさせるように、チャネルの数、リブ数、チャネル対リブ比などのような、フローフィールド設計パラメータが選択され得る。ハイブリッドレドックス燃料セル100のセルアセンブリ400に組み込まれているとき、構造化されたフローフィールドプレート1600は、アノードフロープレート450及びカソードフロープレート460のうちの1つ以上に対応し得る。更に、フローチャネル及びリブは、アノードスペーサ452又はカソードスペーサ462、及びアノードフロープレート450又はカソードフロープレート460を、それぞれ、圧力プレート410の内面に隣接して配置することによって作成され得る。類似的に、電気化学セル酸化剤再生反応器600のセルアセンブリ700に組み込まれているとき、構造化されたフローフィールドプレート1600は、アノードフロープレート750及びカソードフロープレート760のうちの1つ以上に対応し得る。更に、フローチャネル及びリブは、アノードスペーサ752又はカソードスペーサ762、及びアノードフロープレート750又はカソードフロープレート760を、それぞれ、圧力プレート710の内面に隣接して配置することによって作成され得る。
【0043】
膜のカソード側の電解質のフローを導くための互い違いになったリブ1612及び1622を有する、互い違いになったフローフィールド(IDFF)プレート1600の一実施例を図12に示す。特に、電解質は、フローフィールドプレート1600の入口1610から出口1620に導かれ得る。互い違いになったフローフィールドプレート1600の断面図1650に示されるように、互い違いになったリブ1612の互い違いになった入口チャネルから互い違いになったリブ1622の出口チャネルへの電解質フロー(矢印1630によって示される)が、多孔質電極1640を介して生じ、したがって、電解質の強制対流を提供することができる。ここで、多孔質電極1640は、ハイブリッドレドックス燃料セル100のアノード124及び/又はカソード126、並びに電気化学セル酸化剤再生反応器600のアノード624及び/又はカソード626、のうちの1つ以上に対応し得る。非限定的な実施例として、多孔質電極1640は、炭素メッシュ又は炭素フォームなどの多孔質触媒基材を含み得る。別の非限定的な実施例では、正電極は、多孔質炭素フォームを含み得、負電極は、多孔質炭素紙を含み得、更に、正電極及び他方の電極の両方は、フローフィールドプレートを含み得る。他の非限定的な実施例では、フローフィールドプレート1600は、蛇行したフロープレート、螺旋状のフロープレート、ピンフロープレート、又は互い違いになっていないリブを有する平行なフロープレートなどの、非IDFFフロープレートを含み得る。デッドエンドチャネルが原因で、IDFFフローフィールドは、他のフローフィールドと比較して有利であり得る。これは、電解質流体が、フローフィールド全体にわたってより完全に分配され、多孔質電極1640を通って入口チャネルから出口チャネルに拡散する前に、互い違いになったデッドエンドチャネルを充填し得るためである。
【0044】
ここで図5A及び図5Bに移ると、図5A及び図5Bは、本明細書に記載されるような、より高性能のハイブリッドレドックス燃料電池システム550と比較した、旧来の水素空気燃料電池システム500のプロセスフロー概略図を例示している。水素空気燃料電池システム500の場合、燃料送達システム512は、水素及び酸素(例えば、空気)を水素空気燃料セル積層体510に送達し、水素空気燃料セル積層体510は、パワーコンディショニングシステム516に電力を出力する。パワーコンディショニングシステム516は、燃料電池システムから生成された電力を実用上使用可能な形態に変換するように機能し得る。実施例として、パワーコンディショニングシステム516は、用途に応じて、直流を交流に変換したり、電圧を変換したりすることができる。燃料及び空気送達システム512及び518は、それぞれ、水素及び/又は空気の湿度を増加させ、かつ膜脱水のリスクを低減するための加湿器を含み得る。追加的に、供給される燃料の圧力及び純度を制御するために、コンプレッサ、フィルタ、及びセパレータが採用されてもよい。
【0045】
カソードORRの遅い動態が原因で、旧来の水素空気燃料セルは、(ORR反応動態を向上させるための高価な触媒の利用に起因して)コストがかかり、40%に近いより低い電気効率を呈する。熱回収を通じて積層体性能及び全体的なシステム効率を向上させるために、旧来の水素空気燃料電池システム500は、燃料送達システム512、空気送達システム518、水管理システム514、及び熱管理システム520を含む。例えば、熱管理システム520は、水素空気燃料セルから生成された廃熱(例えば、水蒸気)の一部分を、燃料(例えば、水素、空気)を予熱するための凝縮器及び予熱器に導き得る。廃熱流の残りの部分は、電力を生成するためにタービン他のデバイスに導かれ得る。これらの熱回収機構(例えば、熱管理システム)を組み込むことによって、旧来の燃料電池システム500は、80%に迫る全体的なシステム効率を達成することができるが、追加されたシステムの複雑さは、大幅に、製造コスト及び運用コストを増加させ、システムの信頼性を低下させる。
【0046】
対照的に、ハイブリッドレドックス燃料電池システム550は、旧来の燃料電池システム500と比較したときに、より単純である。燃料送達システム552が、ハイブリッドレドックス燃料セル積層体554に水素ガスを供給し、そこで、水素ガスは、アノードで酸化される一方、酸化剤が、カソードで還元される(例えば、より高い酸化状態の金属イオンが、液体電解質中のより低い酸化状態の金属イオンに還元される)。ハイブリッドレドックス燃料セル積層体554から生成された電力は、パワーコンディショニングシステム558に供給され、酸化剤が再生され(例えば、より低い酸化状態の金属イオンが、より高い酸化状態の金属イオンに再び酸化される)、酸化剤送達システム556によってハイブリッドレドックス燃料セル積層体554に供給される。水がハイブリッドレドックス燃料セルプロセスの副生成物ではないため、及びハイブリッドレドックス燃料セルの電気効率が本質的により高い(80%超)ため、水管理システム514、空気送達システム518、及び熱管理システム520は、ハイブリッドレドックス燃料電池システムから排除され、旧来の燃料電池システム500と比較して、システムの複雑さを実質的に低減する。簡略化されたシステム設計は、有利であり、より少ないシステム構成要素、より単純な制御アルゴリズム、より低いシステムコスト、及びシステム信頼性の向上に至る。
【0047】
図5B及び図5Cに示されるように、酸化剤送達システム556は、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソードから排出された液体電解質流出物から液体電解質中の酸化剤を再生する酸化剤再生反応器562を含む。特に、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソード反応は、液体電解質中の金属イオンをより高い酸化状態からより低い酸化状態(例えば、より高い酸化状態よりも酸化数が低い)に還元する。カソードから排出され、かつ酸化剤再生反応器に供給される液体電解質は、より低い酸化状態の金属イオンを含む。酸化剤再生反応器は、液体電解質をハイブリッドレドックス燃料セルのカソードに戻す前に、より低い酸化状態の金属イオンを酸化させ、金属イオンをそのより高い酸化状態に回復させる。水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルの場合、第二鉄イオン(より高い酸化状態の金属イオン)は、燃料セルのカソード反応で第一鉄イオン(より低い酸化状態の金属イオン)に還元される。酸化剤再生反応器では、第一鉄イオンは、燃料セルのカソードに戻される前に、元の第二鉄イオンに酸化される。
【0048】
概略図560に挙例されるように、酸化剤再生反応器562は、様々な酸化剤再生プロセス570及び様々な反応器設計580を含み得る。一実施形態では、酸化剤再生プロセス570は、図6を参照して更に説明されるように、電気化学セル酸化剤再生反応器588を介した空気酸化576を含む。式(3)によって表される第一鉄イオンの空気酸化は、熱力学的に有利であるが、ORRに起因して動態的に遅い。
4Fe2++O+4H→ 2HO+4Fe3+ ΔG°=-42.28kcal/mol (3)
【0049】
ここで図6に移ると、図6は、例示的な電気化学セル酸化剤再生反応器600のプロセス概略図を例示している。電気化学セル酸化剤再生反応器は、ハイブリッドレドックス燃料セル100に流体的に結合され得る。このようにして、電気化学セル酸化剤再生反応器は、ハイブリッドレドックス燃料セル100のカソード側116のための酸化剤(例えば、より高い酸化状態の金属イオン、Mx+)を再生し得る。図8図10、及び図11を参照して更に説明されるように、燃料電池システム800は、1つ以上のハイブリッドレドックス燃料セル100に流体的に結合された1つ以上の電気化学セル酸化剤再生反応器600を含み得る。図6に例示されるように、電気化学セル酸化剤再生反応器600のアノード側614に還元剤610が供給され、そこで、還元剤610は、アノードコンパートメント614(本明細書ではアノード側614とも称される)のフローフィールドを通ってアノード624に流動する。
【0050】
還元剤610は、金属イオン電解質溶液を含み得、それによって、金属イオン電解質は、水素プロトン、より低い酸化状態の金属イオンM(x-1)+と、より高い酸化状態の金属イオンMx+と、のうちの1つ以上を含む。還元剤610の全て又は一部分は、ハイブリッドレドックス燃料セル100のカソード側116から電気化学セル酸化剤再生反応器600のアノード側614に供給され得る。以下に更に説明されるように、より低い酸化状態の金属イオン、より高い酸化状態の金属イオン、水素プロトン、及び支持電解質種を含む液体電解質がまた、外部支持電解質源806からアノード側614に供給されてもよい。アノード側614に供給された水素プロトン(例えば、H)は、選択的イオン透過性膜(例えば、セパレータ622)を介してカソード側616にクロスオーバし得る。したがって、水素プロトンのイオン移動及びイオン拡散は、水素プロトンを駆動して、カソード側616で気相にする。より低い酸化状態の金属イオンは、酸化剤120の還元状態を指し、より高い酸化状態の金属イオンは、酸化剤120の酸化状態を指す。
【0051】
電気化学セル酸化剤再生反応器600が水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルのための第二鉄イオンを再生する図6の実施例では、金属イオン電解質溶液は、第一鉄塩のイオン溶液などの、第一鉄イオン(例えば、より低い酸化状態の金属イオン)の溶液を含む。金属イオン塩、イオン錯体、水素プロトン、及び支持導電種を含む還元剤610の電解質組成物は、電気化学セル酸化剤再生反応器のアノード624での還元剤酸化の電解質抵抗率、電荷移動動態、及び全体的な動態速度に影響を与えることができる。非限定的な一実施例では、還元剤電解質溶液は、硫酸第二鉄及び硫酸第一鉄を含み得る。更に、還元剤電解質溶液は、硫酸溶液を含み得、遊離第一鉄イオン及び遊離第二鉄イオン並びに/又は錯化合物を更に含んでもよい。なお更に、ハイブリッドレドックス燃料セルのアノード側114で生成された水素プロトンは、カソード側116へとセパレータ122をクロスオーバし、電気化学セル酸化剤再生反応器600のアノード側614に流動し得る。水素プロトンがまた、アノード側614で、第二鉄イオンの存在下での水の解離から生成されてもよい。
【0052】
還元剤電解質は、塩化第二鉄及び塩化第一鉄を含み得る。還元剤電解質の濃度は、最大で閾値還元剤電解質濃度まで維持され得る。還元剤電解質が塩化第二鉄及び塩化第一鉄を含む場合、閾値還元剤電解質濃度は、6Mを含む。還元剤電解質が硫酸第二鉄及び硫酸第一鉄を含む場合、閾値還元剤電解質濃度は、2Mを含む。閾値還元剤電解質濃度は、閾値還元剤電解質濃度を上回ると、電気化学セル酸化物再生反応器の動作温度範囲で還元剤電解質の沈殿が生じ得る還元剤電解質の溶解度に対応し得る。
【0053】
第一鉄イオン酸化化学式611及び反応矢印634によって示されるように、アノードコンパートメント614内で、式(2)の逆である式(4)に従って、より低い酸化状態の金属イオンが酸化触媒と流体的に接触して、より高い酸化状態の金属イオン及び電子を生成する。より低い酸化状態の金属イオンが第一鉄イオンを含む場合、式(2’)の逆である式(4’)に従って、第二鉄イオンが第一鉄イオン酸化触媒と流体的に接触して、第二鉄イオン及び電子を生成する。
(x-y)+ → Mx++e
(一般化された電気化学セルアノード反応) (4)
Fe2+ → Fe3++e
(電気化学セルアノード反応) E=-0.77V (4’)
1/4O+H+1e → 1/2H
(電気化学セルカソード反応) E=1.23V (5)
【0054】
カソードの標準電位(E)がアノードの標準電位よりも大きいため、アノード反応及びカソード反応の結果として生じるギブス自由エネルギーは、負であり、したがって、式(4)及び式(5)(又は式(4’)及び式(5))によって与えられる反応は、自発的に起こる。一実施形態では、1つ以上の外部電気負荷606が、電気化学セル酸化剤再生反応器のアノード624及びカソード626を導電的に結合し、それぞれ、アノード及びカソードでのレドックス反応(4)及び(5)を促進することを支援するように作動され得る。したがって、外部電気負荷606から電気化学セル酸化剤再生反応器に供給される電流を増加させることは、アノード反応及びカソード反応の平衡をシフトさせ、それによって、酸素を還元する速度と、より低い酸化状態の金属イオンをより高い酸化状態の金属イオンに酸化する速度と、を増加させ得る。逆に、外部電気負荷606から電気化学セル酸化剤再生反応器に供給される電流を低減することは、酸素を還元する速度と、より低い酸化状態の金属イオンをより高い酸化状態の金属イオンに酸化する速度と、を減少させ得る。還元剤610及び酸化剤620の流量及び濃度はまた、電気化学セル酸化剤再生反応器600での酸化剤再生の速度(例えば、アノード側614でのより低い酸化状態の金属イオンからより高い酸化状態の金属イオンへの酸化)が、ハイブリッドレドックス燃料セル100のカソード側116での酸化剤還元の速度とバランスするように、コントローラによって調節されてもよい。
【0055】
電流フロー矢印690によって概略的に示されるように、より低い酸化状態の金属イオンの酸化時に、電子が、電気化学セル酸化剤再生反応器600からアノード624に導電的に結合されたアノード集電体(図6には示されていない)を介して伝導するように、アノード624の表面上に金属酸化触媒が支持され得る。金属イオンMが鉄を含む場合、金属酸化触媒は、第一鉄酸化触媒を含む。金属酸化触媒は、炭素基材上に支持された白金系触媒を含み得る。他の実施例では、金属酸化触媒は、少量(例えば、0.02mg/cm~0.2mg/cm超)の、炭素などの導電性担体上に支持されたPt、Pd、Ru、Rdなどの貴金属又はこれらの合金のうちの1つ又は組み合わせを含み得る。
【0056】
アノード624での還元剤610の酸化と同時に、電気化学セル酸化剤再生反応器600のカソード側に酸化剤620(例えば、酸素)が供給され、そこで、酸化剤620は、カソードコンパートメント616(本明細書ではカソード側616とも称される)のフローフィールドを通ってカソード626に流動する。いくつかの実施例では、酸化剤620は、液体酸化剤を伴わずに気体酸化剤のみを含む。酸化剤620は、1つ以上の空気及び/又は酸素を含み得る。第一鉄イオン/酸素電気化学セル酸化剤再生反応器600の場合、酸素還元化学式621及び反応矢印636によって示されるように、カソードコンパートメント616内で、酸素及び水素プロトンがカソード626の触媒表面で流体的に接触し、電子が酸素によって受容され、それによって、酸素を還元し、水を生成する。カソード626の触媒表面は、炭素などの導電性担体上に支持された、Pt、Pd、Ru、Rdなどの貴金属、又はそれらの合金のうちの1つ、又は組み合わせを含み得る。更に、カソード表面に導電的に結合されたカソード集電体(図6には示されていない)によってカソード表面で(例えば、電流フロー矢印690によって示されるように)燃料セルに導電的に供給される電子が、触媒表面に伝導され、そこで、電子が酸素及び水素プロトンと反応して水を生成することができるように、炭素表面は、カソード626上に支持されてもよい。
【0057】
より低い酸化状態の金属イオンの酸化反応の反応動態を特徴付けるために、酸化剤再生反応器600のための動態モデルは、式(6)~式(8)によって表され得る。
【数1】
【0058】
式中、r’=反応の速度(mol/s・g)、r=反応の速度(mol/s・L)、R=反応の速度(mol/s・L)、N=モル流量(mol/s)、dX=変換率(%)、dW=触媒の重量(g)、ρ触媒=触媒の密度(g/l)、C=種の濃度、k=反応定数(1/s(L/mol)x+1-1)、u=第一鉄イオン濃度に関する反応の次数、v=酸素分圧に関する反応の次数。
【0059】
電気化学セル酸化剤再生反応器600は、セパレータ622を更に含む。セパレータ622は、アノードコンパートメント614とカソードコンパートメント616との間に介在し、かつアノードコンパートメント614及びカソードコンパートメント616の両方と流体連通している電気絶縁イオン伝導バリアを含み得る。セパレータ622は、アノライトとカソライトとがクロスオーバすることを防止しながら、高いイオン伝導率を提供する。特に、セパレータ622は、通り抜ける特定のイオンの伝導を可能にしながら、還元剤610(例えば、液体電解質)と酸化剤620(酸素ガス)とのバルク混合を防止する。例えば、セパレータ622は、イオン交換膜及び/又は微孔性膜を含み得る。一実施形態では、アノードコンパートメント614の液体電解質中の水素プロトン(例えば、H)は、選択的イオン透過性膜(例えば、セパレータ622)を介してカソードコンパートメント616へのイオン移動及びイオン拡散によってクロスオーバし得る。特に、水素プロトンは、カソードコンパートメント616へのイオン拡散によってセパレータ622を通って駆動され、そこで、水素プロトンは、酸素還元反応(式(5))をサポートし、HOを生成する。水素ガスは、電気化学セル酸化剤再生反応器600では消費も生成もされない。対照的に、イオン透過性膜は、バルク液体及びバルクガスに対して不透過性であり得、したがって、アノードコンパートメント614からカソードコンパートメント616への液体電解質中のイオン種のクロスオーバと、カソードコンパートメント616からアノードコンパートメント614への酸素ガスのクロスオーバと、を妨げ得る。図6の実施例では、セパレータ622は、アノード624及びカソード626の両方の間に介在し、かつこれらと直接流体連通している。したがって、アノードに供給された水素プロトンは、セパレータ622を通したクロスオーバによって、カソードコンパートメントに容易にクロスオーバすることができる。より高いイオン伝導率を有するセパレータ622を選択することは、ハイブリッドレドックス燃料セルのより高い電圧効率を可能にする。更に、電解質クロスオーバを低減するために高いイオン選択性を有するセパレータ622を選択することによって、セパレータ622は、ハイブリッドレドックス燃料セルのより高いクーロン効率を可能にする。なお更に、ハイブリッドレドックス燃料セルの動作条件全体にわたってより高い化学的安定性及び機械的安定性を有するセパレータ622を選択することは、信頼性を高め、運用コストを低減することができる。
【0060】
電気化学セル酸化剤再生反応器600からの流出物は、アノードコンパートメント614を出る還元剤流出物618と、アノードコンパートメント614を出る酸化剤流出物628と、を含む。還元剤流出物618は、式(4)によって与えられるように、未反応還元剤610と、アノード還元剤酸化反応の様々な生成物と、レドックス電解質溶液中の他の非反応性種と、を含むことができる。酸化剤流出物628は、式に示されるように、未反応の酸化剤620、酸化剤還元反応の生成物を含むことができる。第一鉄イオン/酸素電気化学セル酸化剤再生反応器について図6に示される例示的な場合では、還元剤流出物618は、式(4’)に従う、未反応の第一鉄イオン及び第二鉄イオン、並びに水素プロトン及び他の支持電解質種を含む。式(4’)及び式(5)を参照して上記で説明されるように、第一鉄イオンは、アノード624で第二鉄イオンに酸化され、水は、第二鉄イオンの存在下で容易に解離して、水素プロトンを生成する。水素プロトンは、カソード側へとセパレータ622をクロスオーバし、そこで、水素プロトンは、カソード626で酸素ガスと結合して水を生成する。したがって、図6に示される例示的な場合では、酸化剤流出物628は、式(5)に従って、水及び未反応の酸素ガスを含む。還元剤流出物は、図8を参照して更に説明されるように、ハイブリッドレドックス燃料セル100のカソード側116に戻され、かつ/又は電気化学セル酸化剤再生反応器600の入口に戻されてリサイクルされ得る。主に水を含む酸化剤流出物は、再利用のための貯蔵タンクに、又は排水管に導かれ得る。電気化学セル酸化剤再生反応器600の動作中、入口酸化剤620の酸素濃度は、カソード側616での酸素還元の速度を維持しながら、酸化剤流出物628の過剰酸素の量を低減するように調整及びバランスされ得る。
【0061】
電気化学セル酸化剤再生反応器600は、温度、圧力、電解質濃度、pHなどを測定及び伝達するために、それぞれ、アノード側614及びカソード側616に位置付けられた1つ以上のセンサ674及び676を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、センサ674は、還元剤流出物618に位置付けられた1つ以上のセンサを含み得、センサ676は、酸化剤流出物628に位置付けられた1つ以上のセンサを含み得る。
【0062】
図6に示されるように、電気化学セル酸化剤再生反応器600は、電気化学セル酸化剤再生反応器600の第1の端部602でのアノードコンパートメント614への還元剤610の供給が、電気化学セル酸化剤再生反応器600の第1の端部602でのカソードコンパートメント616からの酸化剤流出物628の排出に対応し、かつ電気化学セル酸化剤再生反応器600の第2の端部604でのアノードコンパートメント614からの還元剤610の排出が、電気化学セル酸化剤再生反応器600の第2の端部604でのカソードコンパートメント616への酸化剤620の供給に対応する、向流構成で動作し得る。他の実施例では、電気化学セル酸化剤再生反応器600は、電気化学セル酸化剤再生反応器600の第1の端部602でのアノードコンパートメント614への還元剤610の供給が、電気化学セル酸化剤再生反応器600の第1の端部602でのカソードコンパートメント616への酸化剤620の供給に対応し、かつ電気化学セル酸化剤再生反応器600の第2の端部604でのアノードコンパートメント614からの還元剤流出物618の排出が、電気化学セル酸化剤再生反応器600の第2の端部604でのカソードコンパートメント616からの酸化剤流出物628の排出に対応する、並(例えば、平行)流構成で動作し得る。向流構成は、いくつかの例示的なシステムでは、それぞれ、アノード624及びカソード626の電気活性表面エリアとの間の還元剤610及び酸化剤620の分布が向上するため、有利であり得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法及びシステムによるハイブリッドレドックス燃料セルの動作は、旧来の燃料電池システムに特徴的な性能損失メカニズムを低減するために、様々な特徴を含むことができる。一実施例では、ハイブリッドレドックス燃料セルへの、及びハイブリッドレドックス燃料セル内の液体電解質の強制対流は、カソード活性表面積を更に増加させることを支援し、カソード及び炭素の表面エリアがより完全に利用されることを確実にすることに役立ち、それによって、この表面エリアでの酸化剤還元速度を増加させることができる。強制対流を利用することはまた、炭素表面で電解質濃度をリフレッシュし、レドックス生成物を便利に一掃し、それによって、濃度勾配及びレドックス反応への質量移動制限を低減することを支援する。一実施例では、強制対流は、液体-固体界面での境界層の形成を低減し、それによって、質量移動制限を更に低減するための、カソードコンパートメント616内の液体電解質の乱流を含むことができる。
【0064】
更に、ハイブリッドレドックス燃料セルは、電極の電気活性表面積を増加させるための、かつ電極の電気活性表面エリアとの間の電解質の分布を向上させるための、所望のフローフィールド構成を課すために、電極と統合及び/若しくは併合されるか、又は電極と連結された、フローフィールドプレート又は構造を含んでもよい。一実施例として、フローフィールドプレートは、活性電極表面全体にわたって均等な電解質の分布を支援するために、互い違いになったフローフィールド(IDFF)、蛇行したフローフィールド、平行なフローフィールド、及び他のフローフィールドを含み得る。フローフィールドプレートは、チャネル及びチャネル間に介在するリブなどの構造的特徴を含み得、リブの周りの電解質反応物の適度の拡散を維持して、リブの周りでの停滞(例えば、質量移動制限された)領域のリスクを低減することを支援しながら、(オーム性抵抗を低減するための)フロープレート対膜電極アセンブリ(MEA)接触面積の増加をバランスさせるように、チャネルの数、リブ数、チャネル対リブ比などのような、パラメータが選択され得る。フローフィールドプレートは、セパレータ622全体にわたる圧力差を低減するように更に設計されてもよく、このことは、不所望なアノライトとカソライトとのクロスオーバを低減することを支援する。水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルの場合、セパレータ622全体にわたる圧力差を低減することは、アノード側反応が気相で起こる一方、カソード側反応が液相で起こることから、アノライトとカソライトのクロスオーバを低減することを実質的に支援することができる。
【0065】
ハイブリッドレドックス燃料セル電極全体にわたる電解質のフロー分布の均一性を高めることは、より高い燃料セル効率を維持し、かつ燃料寿命を延ばすことを支援する。フロー分布の均一性を高めることは、単一のハイブリッドレドックス燃料セル内の各フローチャネル全体にわたって電解質反応物のより均一な質量分布を有することを指し得る。フロー分布の均一性を高めることは、更に、マルチセル積層体における、又はマルチ積層体エネルギー生成システムにおける、各フローチャネル全体にわたって、及び複数のハイブリッドレドックス燃料セル全体にわたって、電解質反応物質のより均一な質量分布を有することを指し得る。なお更に、フロー分布の均一性を高めることは、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソード側の電解質流出物排出の近くに、電解質反応物の適度の質量分布を供給することを指し得る。別の言い方をすれば、電解質のフロー分布の均一性を高めることは、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソードコンパートメント全体にわたる電解質反応物に関連する全体的な質量移動制限を低減することを指す。
【0066】
同時に、カソードの厚さを低減して、オーム性抵抗を低減し、かつ電極製造コストを低減し得る。したがって、より高い炭素表面積(及び低減された厚さ)を有するこれらの電極を提供して、特に従来の燃料セルと比較して、反応フロントとセパレータ622(例えば、境界層形成及び質量移動制限を低減することによって、セパレータ622に隣接するレドックス反応フロントを維持する)との間の距離を短縮し、これにより、ハイブリッドレドックス燃料セルにおけるオーム損失を低減することを支援し得る。動作方法及び制御システムに関連するハイブリッドレドックス燃料セルの更なる性能向上を、図8を参照して以下に説明する。
【0067】
ここで図7に移ると、図7は、図6の電気化学セル酸化剤再生反応器のための例示的なセルアセンブリ700を、縮尺通りに例示している。ハイブリッドレドックス燃料セル100及び対応するセルアセンブリ400と類似して、電気化学セル酸化剤再生反応器600のうちの1つ以上が、セルアセンブリ700に構成され得る。y軸、x軸、及びz軸を示す、基準軸701のセットが提供されている。セルアセンブリ700は、セルアセンブリ700内に層として配置された一連の構成要素を含む。層は、y-x平面と同一平面上に位置付けられ、z軸に沿って積層され得る。セルアセンブリ700のアノード側の第1の端部703と、セルアセンブリ700のカソード側の第2の端部705とに、圧力プレート710が配置され得る。圧力プレート710は、セルアセンブリ700の境界を画定する剛性の端部壁を提供し、セルアセンブリ700の層を圧力プレート710間にて一体で押圧して、セルアセンブリ700の内部707内の電源モジュールの構成要素を封止することを可能にする。一実施例では、圧力プレート710は、アルミニウム圧力プレートを含む。
【0068】
セルアセンブリの内部707は、圧力プレート710を押圧してセルアセンブリ700の構成要素を一体で封止したときの、セルアセンブリ700の第1の端部703及び第2の端部705における圧力プレート710間の構成要素及び体積を指し得る。内部707は、電気化学セル酸化剤再生反応器600のアノードコンパートメント614及びカソードコンパートメント616に対応し、かつこれらを画定するセルアセンブリ700の特徴を含む。セルアセンブリ700を封止することは、タイロッド790を圧力プレート710における対応するタイロッド孔794に挿通し、かつタイロッドナット792を締めることによって実行され、それによって、セルアセンブリ700の第1の端部703と第2の端部705との間の内部707の構成要素及び体積を挟持及び封止し得る。
【0069】
次に、セルアセンブリ700の内部707の構成要素について説明する。圧力プレート710の内面は、例えばz軸に沿って内側に面する圧力プレートの面に接する、セルアセンブリ700の内部707に向かう、圧力プレートの内周の周りに立設及び配置されたピクチャフレーム構造(図7には示されていない)を含み得る。ピクチャフレーム構造は、セルアセンブリ700の内部707内の流体を封止するように互いに接合するように構成され得る。一実施例では、ピクチャフレーム構造は、セルアセンブリ700の内部707内の流体を封止する周囲ガスケットを収容するための溝を含み得る。
【0070】
ここで、燃料セルのアノード側にあるセルアセンブリ700の内部707の要素を、第1の端部703(例えば、アノード側)から第2の端部705(例えば、カソード側)に向かう方向に沿って説明する。第1の端部703に位置付けられた圧力プレート710の内面に隣接して、アノードスペーサ752及びアノードフロープレート750が配置されており、アノードスペーサ752及びアノードフロープレート750は、フローマニホールドとして機能し、セルアセンブリ700に入る還元剤流体をアノードの活性表面全体にわたって導き、かつ分配するためのフローチャネルを画定する。還元剤610は、アノードフローポート754及び755を介してセルアセンブリ700のアノード側に出入りし得、アノードフローポート754及び755のうちの一方は、流体をセルアセンブリ700のアノードフロープレート750へと送達するように構成されており、アノードフローポートのうちの他方は、セルアセンブリ700のアノードフロープレート750から流体を排出するように構成されている。
【0071】
上記で説明されたように、アノードスペーサ752及びアノードフロープレート750によって画定されるフローチャネルは、アノードの活性表面エリア全体にわたって還元剤をより完全に分配することを支援するために、互い違いになったフローフィールド、蛇行した、平行な、及び/又は他のタイプのフローチャネルを含み得る。アノード集電体758及びアノードバイポーラプレート756は、アノードスペーサ752及びアノードフロープレート750と面共有接触して位置付けられている。アノードバイポーラプレート756は、アノードバイポーラプレート756の表面に沿った統合電極(例えば、アノード624)を含む。更に、アノードバイポーラプレート756は、アノードスペーサ752の間に位置付けられており、バイポーラプレート756とバイポーラプレート756に統合されたアノードとに構造的支持を提供するアノードフロープレート750によって囲まれている。
【0072】
一実施例では、アノードバイポーラプレート756は、アノードバイポーラプレート756及びアノード624間の導電性を向上させるために、アノード624に直接隣接し、かつアノード624と面共有接触するように位置付けられた固体グラファイトプレートを含み得る。換言すると、炭素コーティングされたプラスチックメッシュ(セルアセンブリ400のカソード126を参照して説明されるような)は、アノードバイポーラプレート756及びアノード624になくてもよい。アノードバイポーラプレート756とアノード624との間の導電率を増加させることは、外部電気負荷606を作動させることに応答して、電気化学セル酸化剤再生反応器600でのレドックス反応(4)及び(5)を促進することを支援し、それによって、酸素を還元する速度と、より低い酸化状態の金属イオンをより高い酸化状態の金属イオンに酸化する速度と、を増加させることができる。アノード集電体をアノード及びアノードバイポーラプレート756に直接隣接して位置付けることによって、アノードでの還元剤の酸化から生成された電子は、セルアセンブリ700から便利に伝導され得る。
【0073】
セパレータ740が、セルアセンブリ700のアノード側とカソード側との間に介在する。特に、セパレータ740は、アノード(及びアノードバイポーラプレート756)及びカソード(及びカソードバイポーラプレート766)の間及びこれらに隣接して(例えば、面共有接触して)位置付けられ得る。更に、アノードバイポーラプレート456と統合されたアノードは、アノード624に対応し得、カソードバイポーラプレート466と統合されたカソードは、カソード626に対応し得る。セパレータ740は、電気化学セル酸化剤再生反応器600のセパレータ622に対応し得、イオン交換膜、微孔性膜などの選択的イオン透過性膜を含み得る。セルアセンブリ700では、セパレータ740は、構造的支持のための剛性セパレータフレームプレートと結合され、かつ剛性セパレータフレームプレートによって囲まれ得る。
【0074】
次に、燃料セルのカソード側でのセルアセンブリ700の内部707の要素を、第2の端部705(例えば、カソード側)から第1の端部703(例えば、アノード側)に向かう方向に沿って説明する。第2の端部705に位置付けられた圧力プレート710の内面に隣接して、カソードスペーサ762及びカソードフロープレート760が配置されており、カソードスペーサ762及びカソードフロープレート760は、フローマニホールドとして機能し、セルアセンブリ700に入る酸化剤流体をカソードの活性表面全体にわたって導き、かつ分配するためのフローチャネルを画定する。酸化剤は、カソードフローポート764及び765を介してセルアセンブリ700のカソード側に出入りし得、カソードフローポート764及び765のうちの一方は、流体をセルアセンブリ700のカソードフロープレート760に送り込むように構成されており、カソードフロープレートのうちの他方は、セルアセンブリ700のカソードフロープレート760から流体を排出するように構成されている。
【0075】
上記で説明され、及び図12に関して更に詳細に説明されるように、カソードスペーサ762及びカソードフロープレート760によって画定されるフローチャネルは、アノードの活性表面エリアにわたって酸化剤電解質をより完全に分配することを支援するために、互い違いになったフローフィールド、蛇行した、平行な、及び/又は他のタイプのフローチャネルを含み得る。カソード集電体768及びカソードバイポーラプレート766は、カソードスペーサ762及びカソードフロープレート760と面共有接触して位置付けられている。カソードバイポーラプレート766は、カソードバイポーラプレート766の表面に沿った統合電極(例えば、カソード626)を含む。更に、カソードバイポーラプレート766は、カソードスペーサ762の間に位置付けられており、カソードバイポーラプレート766とカソードバイポーラプレート766に統合されたカソードとに構造的支持を提供するカソードフロープレート760によって囲まれている。カソード集電体をカソード及びカソードバイポーラプレート766に直接隣接して位置付けることによって、アノードでの還元剤の酸化から生成された電子は、発電のためにセルアセンブリ700から便利に伝導され得る。
【0076】
1つ以上の基準電極780が、電気化学セル酸化剤再生反応器の相対的な電位を設定及び指示するために、かつセルアセンブリ700の動作中に電極性能を監視するために、それぞれ、セルアセンブリ700のアノード側及びカソード側の還元剤及び酸化剤の流路に位置付けられ得る。一実施例では、基準電極780は、Ag/AgCl基準電極を含み得る。
【0077】
セルアセンブリはまた、図8を参照して更に詳細に説明されるように、温度、導電率、pH、電解質種濃度、ガス圧力などを測定するための様々なセンサを含んでもよい。一実施例として、温度センサが、それぞれ、アノード側及びカソード側でのセルアセンブリ温度の指示を提供するために、アノード出口フローポート及びカソード出口フローポートに位置付けられてもよい。更に、アノード集電体及びカソード集電体の各々に、加熱要素(図7には示されていない)が導電的に結合されてもよい。セルアセンブリ温度が低閾値酸化剤再生反応器温度を下回って降下することに応答して、アノード及び/又はカソードでセルアセンブリ温度を上昇させるために、加熱要素のうちの1つ以上に電力が供給され得る。更に、測定温度が高閾値酸化剤再生反応器温度を上回って上昇したときに、セルアセンブリ700での発電を停止するために、燃料セルのアノード側及びカソード側のうちの一方又は両方にサーマルスイッチ並びに/又はサーマルヒューズ759及び769が位置付けられてもよい。高閾値酸化剤再生反応器温度は、上回るとセルアセンブリ700の封止及び/又は他の構成要素の劣化リスクが増加し得る温度に対応し得る。
【0078】
電気化学セル酸化剤再生反応器の温度を上昇させることは、電解質導電率と、アノードでの還元剤酸化及びカソードでの酸化剤還元の動態反応速度と、を増加させることができる。しかしながら、温度を上昇させることはまた、電解質の安定性に悪影響を及ぼし得る。いくつかの実施例では、電解質の安定性は、電解質劣化及び/又は副反応の傾向が増加するため、温度を上昇させることに伴って低下し得る。したがって、別の実施例では、高閾値酸化剤再生反応器温度は、上回ると電解質劣化(例えば、電解質安定性の低下)のリスクが増加する温度に対応し得る。水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料システムのための電気化学セル酸化剤再生反応器の場合、高閾値酸化剤再生反応器温度は、アノード側614での液体電解質の沸騰温度に対応し得る。更に、低閾値酸化剤再生反応器温度は、カソード側616での液体電解質の凍結温度に対応し得る。なお更に、劣化及び沈殿反応は、液体電解質の沸騰温度を上回って、及び液体電解質の凍結温度を下回って起こる。電気化学セル酸化剤再生反応器600は、溶液中の第二鉄イオンの安定性を高めるために、かつ第二鉄イオン沈殿のリスクを低減するために、アノードコンパートメント614のpHが2未満で動作し得る。
【0079】
カソードコンパートメント616のガス圧力は、カソードの触媒の場所への酸素ガスの送達を容易にするために、低閾値ガス圧力に維持され得る。更に、液体クロスオーバ及び電極フラッディングのリスクを低減するために、低閾値ガス圧力は、カソードコンパートメント616の液体電解質圧力に、又はこの液体電解質圧力を僅かに上回って維持され得る。一実施例では、低閾値ガス圧力は、液体電解質圧力を5psi上回る圧力を含む。別の実施例では、低閾値ガス圧力は、液体電解質圧力を3psi上回る圧力を含む。別の実施例では、低閾値ガス圧力は、液体電解質圧力を1~2kPa上回る圧力を含む。アノードコンパートメントの低閾値ガス圧力は、電気化学セル酸化剤再生反応器600全体にわたって適度に均一な電解質及びガスのフロー分布を維持しながら、運用コストを低減するために可能な限り低く維持される。
【0080】
図7の実施形態に示されるように、セルアセンブリ700は、単一のアノード側及び単一のカソード側に対応する構成要素を有する単一の電気化学セル酸化剤再生反応器を含む。別の実施形態では、セルアセンブリ700の内部707に位置付けられた上記で説明される構成要素(例えば、アノードスペーサ752、アノードフロープレート750、アノードフローポート754及び755、アノードバイポーラプレート756、アノード、アノード集電体758、セパレータ740、カソードスペーサ762、カソードフロープレート760、カソードフローポート764及び765、カソードバイポーラプレート766、カソード、カソード集電体768)は、セルアセンブリ内で、第1の端部703から第2の端部705までいくつか繰り返され、マルチセル化された電気化学セル酸化剤再生反応器積層体を形成し得る。燃料セル積層体の各セルは、並列及び/又は直列に電気的に接続され得る。
【0081】
一実施形態では、セルアセンブリ700は、図6に示されるように、電気化学セル酸化剤再生反応器600に対応し得る。換言すると、還元剤610(例えば、第一鉄液体電解質)は、セルアセンブリ700のアノード側に供給され、アノードコンパートメント614の容積は、アノードスペーサ752、アノードフロープレート750、及びアノードバイポーラプレート756によって画定される。アノードコンパートメント614に統合されたアノードバイポーラプレート756及び/又はアノード(例えば、アノード624)の表面は、第一鉄の酸化(例えば、式(4)に従う)を容易にするために、この表面上に第一鉄イオン(例えば、より低い酸化状態の金属イオン)酸化剤触媒を支持し得る。アノード集電体は、アノードバイポーラプレート756及びアノードに導電的に結合されており、その結果、電子は、アノード集電体758を介してセルアセンブリ700から便利に伝導され得る。一実施例では、アノード集電体758は、金コーティングされた銅集電体を含み得る。アノードフローポート754及び755は、セルアセンブリ700への還元剤610の供給と、セルアセンブリ700からの流出還元剤618の排出と、を容易にし得る。
【0082】
同様に、酸化剤620(例えば、第二鉄イオン酸化剤を含む液体電解質)は、セルアセンブリ700のカソード側に供給され、カソードコンパートメント616の容積は、カソードスペーサ762、カソードフロープレート760、及びカソードバイポーラプレート766によって画定される。カソードコンパートメント616に統合されたカソードバイポーラプレート766及び/又はカソード(例えば、カソード626)は、レドックス反応を容易にするための炭素質表面を含み得る。特に、カソードは、カソードスペーサ762の反対側のカソードバイポーラプレート766の面に沿って配置された、グラファイトフェルト及び/又はグラファイトフォームなどの1つ以上の三次元炭素質表面を含み得る。一実施例では、カソードバイポーラプレート766は、カソードバイポーラプレート766及びカソード間の導電性を向上させるために、カソードに直接隣接し、かつカソードと面共有接触するように位置付けられた固体グラファイトプレートを含み得る。換言すると、炭素コーティングされたプラスチックメッシュは、カソードバイポーラプレート766及びカソード626になくてもよい。カソードバイポーラプレート766とカソード626との間の導電率を増加させることは、外部電気負荷606を作動させることに応答して、電気化学セル酸化剤再生反応器600でのレドックス反応(4)及び(5)を促進することを支援し、それによって、酸素を還元する速度と、より低い酸化状態の金属イオンをより高い酸化状態の金属イオンに酸化する速度と、を増加させることができる。
【0083】
カソード集電体768は、(例えば、式(5)に従う)酸化ガスの還元を便利に促進するために、(カソード集電体768及びカソード集電体リード798を介して)電子がセルアセンブリ700のカソードへと送達され得るように、カソードと導電的に結合されており、かつカソードに隣接する。一実施例では、カソード集電体768は、金コーティングされた銅集電体を含み得る。カソードフローポート764及び765は、セルアセンブリ700への酸化剤電解質620の供給と、セルアセンブリ700からの酸化剤流出物628の排出と、を容易にし得る。セパレータ740は、セパレータ622に対応し得、カソード側からアノード側への液体電解質のクロスオーバを防止しながら、水素プロトンがアノード側からカソード側にクロスオーバすることを可能にするように構成され得る。
【0084】
ここで図8に移ると、図8は、ハイブリッドレドックス燃料セル100(図1及び図4を参照して先に説明されたような)及び電気化学セル酸化剤再生反応器600を含む、例示的なハイブリッドレドックス燃料電池システム800についてのプロセスフロー概略図を例示している。図1を参照して説明されるように、ハイブリッドレドックス燃料セルは、水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルを含み得るが、本明細書に記載されるシステム及び方法は、他のタイプのハイブリッドレドックス燃料セルを含み得る。ハイブリッドレドックス燃料電池システム800では、ハイブリッドレドックス燃料セル100は、電力を生成するために直列及び/又は並列に電気的に接続された1つ以上のハイブリッドレドックス燃料セル100を含み得る。図4を参照して上で説明されるように、1つ以上のハイブリッドレドックス燃料セル100は、1つ以上のセルアセンブリ400で一体に電気的に接続されたハイブリッドレドックス燃料セル100の積層体を含み得る。
【0085】
同様に、電気化学セル酸化剤再生反応器600は、各ハイブリッドレドックス燃料セルのカソード側116からの液体電解質を、複数の酸化剤再生反応器のうちの1つ以上に柔軟に導くことができるように、各々が1つ以上のハイブリッドレドックス燃料セルに並列に流体的に接続された、複数の電気化学セル酸化剤再生反応器600を含み得る。このようにして、電気化学セル酸化剤再生反応器600のいずれか1つを、ハイブリッドレドックス燃料セルの動作及び発電に大きな中断を与えることなく、サービスのためにオフラインにすることができる。更に、酸化剤再生能力は、発電需要が変化するにつれて、ハイブリッドレドックス燃料セルの積層体(複数可)での酸化剤還元速度にマッチするように、より柔軟かつ確実に増加及び減少することができる。図7を参照して上記で説明されたように、1つ以上の電気化学セル酸化剤再生反応器600は、1つ以上のセルアセンブリ700で電気的に一体に接続された電気化学セル酸化剤再生反応器600の積層体を含み得る。なお更に、図8及び図10に示されるように、電気化学セル酸化剤再生反応器600の各々は、ハイブリッドレドックス燃料セル100のアノード側114に流体的に接続されることなく(例えば、存在せずに)、1つ以上のハイブリッドレドックス燃料セル100のカソード側116に流体的に接続され得る。より具体的には、図8及び図10に示されるように、電気化学セル酸化剤再生反応器600の各々のアノード側614は、ハイブリッドレドックス燃料セル100のアノード側114に流体的に接続されることなく(例えば、存在せずに)、1つ以上のハイブリッドレドックス燃料セル100のカソード側116に流体的に接続され得る。換言すると、ハイブリッドレドックス燃料セル100のアノード側114は、水素プロトンがセパレータ122を通してアノード側114からカソード側116にクロスオーバすることを除いて、電気化学セル酸化剤再生反応器600から流体的に分離されている。同様に、電気化学セル酸化剤再生反応器600の各々のカソード側616は、水素プロトンがカソード側116からアノード側614に流動し、かつセパレータ622を通してアノード側614からカソード側616にクロスオーバすることを除いて、ハイブリッドレドックス燃料セル100から流体的に分離されている。
【0086】
ハイブリッドレドックス燃料セル100は、ハイブリッドレドックス燃料セル100の動作に関連するデータをコントローラ812に送信する、アノード側114及びカソード側116に位置付けられた1つ以上のセンサ834及び836を含み得る。一実施例では、センサ834は、圧力センサ、及び温度センサを含み得る。同様に、センサ836は、圧力センサ、温度センサ、電解質濃度センサ、pHセンサ、光学プローブ、及び電解質導電率センサのうちの1つ以上を含み得る。一実施形態では、1つ以上のセンサ834及び836は、それぞれ、アノード側114及びカソード側116の状態を示すための、アノード側114及びカソード側116の出口に位置付けられたセンサを含むことができる。
【0087】
パワーコンディショニングユニット804及び外部負荷802は、アノード側114(アノード124のアノード集電体を介して)とカソード側116(カソード126のカソード集電体を介して)との間に電気的に接続され得る。パワーコンディショニングユニット804は、外部負荷802への当該電流の送達前にアノードで生成された電流のフィルタリング、変換、蓄積などを支援し得る。同様に、パワーコンディショニングユニット804は、外部負荷802から戻る電流のフィルタリング、変換、蓄積などを、カソード126でカソード集電体に当該電流を戻す前に支援し得る。一実施例では、パワーコンディショニングユニット804は、ハイブリッドレドックス燃料セル100で生成された直流電流を外部負荷802で利用するための交流電流に変換し得、追加的に、パワーコンディショニングユニット804は、電流をハイブリッドレドックス燃料セル100に戻す前に、外部負荷802から放電された交流電流を直流電流に変換し得る。パワーコンディショニングユニット804及び外部負荷802の両方は、コントローラ812と通信可能に結合され得る。一実施例では、コントローラ812は、外部負荷802から受信された電力需要信号に基づいて、外部負荷802へのパワーコンディショニングユニット804の出力を調整し得る。なお更に、パワーコンディショニングユニット804は、各ハイブリッドレドックス燃料セル100から生成された電流及び/又は電圧を測定し、測定された電流及び/又は電圧をコントローラ812に伝達してもよい。このようにして、コントローラ812は、個々のハイブリッドレドックス燃料セル100の性能を監視することができる。
【0088】
還元剤源805は、還元剤供給フロー制御デバイス842及び還元剤供給ライン840を介して、還元剤(例えば、水素ガス)をハイブリッドレドックス燃料セル100のアノード側114に供給する。一実施例では、還元剤源805は、加圧ガスボンベを含む。還元剤供給フロー制御デバイス842は、アノード側114への還元剤ガスの流量及び圧力を調節するための、制御バルブと、流量計と、圧力調節器とのうちの1つ以上を含み得る。還元剤供給フロー制御デバイス842は、コントローラ812に通信可能に結合され得、還元剤供給流量データ及び圧力データをコントローラ812に送信し、流量、バルブ位置、及び/又は圧力設定点をコントローラ812から受信する。還元剤は、アノード124で酸化され、パワーコンディショニングユニット804に伝導される電子を生成する。
【0089】
未反応の還元剤、並びに還元剤酸化反応からの副生成物は、還元剤排出フロー制御デバイス844を介して、ハイブリッドレドックス燃料セル100の還元剤排出ライン848においてアノード側114から排出される。還元剤排出フロー制御デバイス844は、アノード側114からの還元剤ガスの流量及び圧力を調節するための、制御バルブと、流量計と、圧力調節器とのうちの1つ以上を含み得る。還元剤排出フロー制御デバイス844は、コントローラ812に通信可能に結合され得、還元剤排出流量データ及び圧力データをコントローラ812に送信し、流量、バルブ位置、及び/又は圧力設定点をコントローラ812から受信する。ハイブリッドレドックス燃料セル100が水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルを含む場合、還元剤は、水素ガスを含み、還元剤排出は、未反応水素ガスを含み、還元反応式(1)によって生成された気体水素プロトンを含み得る。水素酸化反応から生成された水素プロトンの一部分は、カソード側116へとセパレータ122をクロスオーバし得る。
【0090】
還元剤リサイクルフロー制御デバイス846は、還元剤供給ライン840と還元剤排出ライン848との間に流体的に結合され得る。このようにして、還元剤排出流の一部分が、アノード側114にリサイクルされ得る。還元剤排出からアノード側114へリサイクルされる還元剤の量又は流量は、コントローラ812が還元剤排出フロー制御デバイス844及び/又は還元剤リサイクルフロー制御デバイス846のバルブ位置及び/又は流量及び/又は圧力を調整することによって調節され得る。還元剤リサイクルフロー制御デバイス846が完全に閉じている(及び還元剤リサイクルフロー制御デバイスが開いている)とき、還元剤排出の全てが還元剤排出フロー制御デバイス844を通って流動し、対照的に、還元剤排出フロー制御デバイス844が完全に閉じている(及び還元剤リサイクルフロー制御デバイスが開いている)とき、還元剤排出の全てが還元剤リサイクルフロー制御デバイス846を通って流動する。還元剤排出フロー制御デバイス844及び還元剤リサイクルフロー制御デバイス846が両方とも(部分的及び/又は完全に)開いているとき、還元剤排出の一部分が、還元剤リサイクルフロー制御デバイス846を通って流動する。一実施例では、還元剤排出ライン848での還元剤濃度が閾値還元剤排出濃度よりも大きいことに応答して、コントローラ812は、フロー制御デバイス846及び844のうちの1つ以上を調整して、還元剤リサイクル流量を増加させ得る。還元剤排出濃度が閾値還元剤排出濃度よりも大きいとき、還元剤リサイクル流量を増加させることは、アノード側114での還元剤のより高い変換(例えば、酸化)を維持し、それによって、運用コストを低減し得る。
【0091】
次に、液体電解質が、ポンプなどの酸化剤送達デバイス(例えば、フロー制御デバイス811)を介してカソード側116に供給され得る。支持電解質源806は、より高い酸化状態の金属イオン及びより低い酸化状態の金属イオンのうちの1つ以上を有する液体電解質を含み得、より高い酸化状態の金属イオンは、式(2)によって与えられる還元反応によって、カソード126でより低い酸化状態の金属イオンに還元される。支持電解質源806は、様々な電解質溶液を含む1つ以上の電解質貯蔵タンクを含み得る。特に、支持電解質源806は、より高い酸化状態の金属イオン及びより低い酸化状態の金属イオンが平衡状態にある電解質貯蔵タンクを含み得、別の実施例では、支持電解質源806は、より高い酸化状態の金属イオンを有する電解質貯蔵タンクと、より低い酸化状態の金属イオンを有する別個の電解質貯蔵タンクと、を含み得る。更に、支持電解質源806は、より高い及びより低い酸化状態の金属イオンに対応する対イオンなどの支持電解質種を更に含んでもよい。更に、支持電解質源806は、水酸化物イオン、水素プロトン、支持塩、及びそれらの対応する対イオンなどの、pH調節種を含んでもよい。ハイブリッドレドックス燃料セル100が水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルである場合、支持電解質源806は、第二鉄イオン及び/又は第一鉄イオン、塩化物イオン、硫酸イオン、水素プロトンのうちの1つ以上を含み、他の支持電解質塩化合物を更に含んでもよい。
【0092】
図8に示されるように、支持電解質源806は、酸化剤供給ポンプ810及び1つ以上のフロー制御デバイス(酸化剤供給ポンプ810と、フロー制御デバイス811(他のフロー制御デバイスは示されていない)などの電気化学セル酸化剤再生反応器600のカソード側116又はアノード側614との間に位置付けられた)を介して、カソード側116及び電気化学セル酸化剤再生反応器600(アノード側614)のうちの1つ以上に電解質を供給し得る。一実施例では、支持電解質源806は、酸化剤供給ポンプ810を介してハイブリッドレドックス燃料電池システムの起動中に、液体電解質(より高い酸化状態の金属イオンを含む)をカソード側116に送達するために使用され得る。更に、酸化剤供給ポンプ810は、コントローラ812がセンサ807から受信された信号に応答して酸化剤供給ポンプ810の速度を調整し得るように、コントローラ812に通信可能に結合されてもよい。例えば、コントローラ812は、支持電解質源806の液体電解質のレベル(例えば、体積)の減少に応答して、酸化剤供給ポンプ810をオフに切り替え、液体電解質の閾値体積がカソード側116に送達されたことを示してもよい。別の実施例では、カソード側116が液体電解質で満たされた後、コントローラ812は、フロー制御デバイス811を閉じ得る。別の実施例では、ハイブリッドレドックス燃料セルの起動後及び連続動作中に、コントローラ812は、閾値酸化剤電解質条件に応答して、フロー制御デバイス811を開き、酸化剤供給ポンプ810の速度を調整して、液体電解質をカソード側116に送達し得る。閾値酸化剤電解質条件は、カソード側116の酸化剤電解質の濃度が閾値電解質濃度を下回って降下する場合を含み得る。
【0093】
ハイブリッドレドックス燃料電池システム800の起動後及び連続動作中に、フロー制御デバイス811は、閉じたままであり得、コントローラ812は、アノード側114を通る還元剤ガスと、カソード側116を通る液体電解質と、の循環を調節し得る。特に、酸化剤排出は、酸化剤排出ライン858で電気化学セル酸化剤再生反応器600に排出され得る。酸化剤排出のフローは、酸化剤排出フロー制御デバイス854及び酸化剤再循環ポンプ857のうちの1つ以上を介して調節され得る。酸化剤排出フロー制御デバイス854は、カソード側116からの酸化剤電解質の流量及び圧力を調節するための、制御バルブと、流量計と、圧力調節器とのうちの1つ以上を含み得る。酸化剤排出フロー制御デバイス854は、コントローラ812に通信可能に結合され得、酸化剤排出流量データ及び圧力データをコントローラ812に送信し、流量、バルブ位置、及び/又は圧力設定点をコントローラ812から受信する。酸化剤再循環ポンプ857は、コントローラ812に通信可能に結合され得、ポンプ速度をコントローラ812に送信し、コントローラ812からポンプ速度設定点を受信する。ハイブリッドレドックス燃料セル100が水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルを含む場合、酸化剤排出は、未反応の第二鉄イオン(例えば、より高い酸化状態の金属イオン)と、式(2’)による第二鉄イオンの還元から生成された第一鉄イオン(例えば、より低い酸化状態の金属イオン)と、セパレータ122を介してアノード側114からクロスオーバする水素プロトンと、支持電解質種と、を含む。
【0094】
概略図560を参照して説明されるように、電気化学セル酸化剤再生反応器600は、より低い酸化状態の金属イオンがより高い酸化状態の金属イオンに戻る酸化(例えば、再生)を実施するための電気化学セル酸化剤再生反応器設計を含み得る。特に、酸化剤再生プロセスは、式(4)で表されるような、より低い酸化状態の金属イオンの空気酸化を含み得る。更に、電気化学セル酸化剤再生反応器600は、より低い酸化状態の金属イオンの酸化と酸素の還元とを容易にすることを支援するために電力を供給することができる。
【0095】
電気化学セル酸化剤再生反応器600は、電気化学セル酸化剤再生反応器600での温度、圧力、電解質濃度、pHなどをコントローラ812に指示及び送信するために、それぞれ、アノード側614及びカソード側616に位置付けられた1つ以上のセンサ674及び676を更に含んでもよい。一実施例では、1つ以上のセンサ874は、電気化学セル酸化剤再生反応器600のアノード側614の内部の平均条件を示すために、アノード排出ライン872に位置付けられ得、同様に、1つ以上のセンサ876は、電気化学セル酸化剤再生反応器600のカソード側616の内部の平均条件を示すために、カソード排出ライン871に位置付けられ得る。電気化学セル酸化剤再生反応器600は、電気化学セル酸化剤再生反応器600の温度を調節するための1つ以上のヒータ873を含み得る。ヒータ873の非限定的な実施例は、電気コイルヒータ、外部ジャケットヒータ、油熱交換器、及びインラインパイプヒータのうちの1つ以上を含み得る。一実施例では、ヒータ873は、電気化学セル酸化剤再生反応器600への入口液体電解質を加熱するために、ハイブリッドレドックス燃料セル100の酸化剤排出ライン858に熱的に結合されたインラインパイプヒータと、電気化学セル酸化剤再生反応器600の温度を維持する(又は調節する)ために、電気化学セル酸化剤再生反応器600に熱的に結合された外部ジャケットヒータ又は電気コイルヒータと、を含み得る。
【0096】
電気化学セル酸化剤再生反応器600のアノード側614からの流出物は、アノード排出ライン872、及び酸化剤供給フロー制御デバイス852、及び酸化剤供給ライン850を介して、ハイブリッドレドックス燃料セル100のカソード側116に送達される。酸化剤供給フロー制御デバイス852は、カソード側116への酸化剤電解質の流量及び圧力を調節するための、制御バルブと、流量計と、圧力調節器と、のうちの1つ以上を含み得る。酸化剤供給フロー制御デバイス852は、コントローラ812に通信可能に結合され得、酸化剤供給流量データ及び圧力データをコントローラ812に送信し、流量、バルブ位置、及び/又は圧力設定点をコントローラ812から受信する。式(4)を参照すると、流出物は、水と、未反応のより低い酸化剤金属イオンと、より低い酸化剤金属イオンから再生された(例えば、酸化された)より高い酸化剤金属イオンと、支持電解質種と、を含み得る。ハイブリッドレドックス燃料電池システム800が水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料電池システムを含む場合、電気化学セル酸化剤再生反応器600からの流出物は、第二鉄イオン、第一鉄イオン、及び硫酸イオンを含み得る。
【0097】
再生リサイクルフロー制御デバイス878は、酸化剤排出ライン858とアノード排出ライン872との間に流体的に結合されたリサイクル通路に位置付けられ得る。非限定的な実施例として、再生リサイクルフロー制御デバイス878は、コントローラ812に通信可能に結合された、フロー制御バルブ、圧力レギュレータ、又は質量流量計を含み得る。このようにして、電気化学セル酸化剤再生反応器600のアノード側614からの流出物の一部分が、ハイブリッドレドックス燃料セル100のカソード側116に戻される前に、電気化学セル酸化剤再生反応器600に戻されてリサイクルされ得る。アノード排出ライン872から電気化学セル酸化剤再生反応器600へリサイクルされる流出物の量又は流量は、再生リサイクルフロー制御デバイス878及び/若しくは酸化剤供給フロー制御デバイス852の%開放位置並びに/又は流量及び/又は圧力を調整するコントローラ812によって調節され得る。再生リサイクルフロー制御デバイス878が完全に閉じている(かつ酸化剤供給フロー制御デバイス852が開いている)とき、電気化学セル酸化剤再生反応器600のアノード側614からの流出物の全てが、酸化剤供給フロー制御デバイス852を通って流動して、ハイブリッドレドックス燃料セル100のカソード側116に戻り、対照的に、酸化剤供給フロー制御デバイス852が完全に閉じている(かつ再生リサイクルフロー制御デバイス878が開いている)とき、酸化剤再生反応器600のアノード側614からの流出物の全てがそこにリサイクルされる。酸化剤供給フロー制御デバイス852及び再生リサイクルフロー制御デバイス878が両方とも開いている(部分的及び/又は完全に開いている)とき、電気化学セル酸化剤再生反応器600のアノード側614からの流出物の一部分が、再生リサイクルフロー制御デバイス878を通って流動し、残りの部分は、カソード側116に戻る。
【0098】
水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セル100の場合、第一鉄イオン(より低い酸化状態の金属イオン)、第二鉄イオン(より高い酸化状態の金属イオン)、硫酸塩アニオン、及び酸性プロトンの電解質混合物が、ハイブリッドレドックス燃料セル100から酸化剤再生反応器のアノード側614に供給され得る。酸化剤再生反応器600のアノード側614で、第一鉄イオンが、(例えば、式(4’)によって)第二鉄イオンに酸化され、それによって、ハイブリッドレドックス燃料セル100のための酸化剤を再生する。
【0099】
支持電解質源806は、酸、塩アニオンなどを含む支持電解質種のための1つ以上の補助貯蔵タンクを含み得る。支持電解質源806はまた、ハイブリッドレドックス燃料電池システム800における利用のために、塩、酸などの電解質溶液のバッチ調製のための設備として機能してもよい。図8に示されるように、支持電解質源806は、酸化剤供給ポンプ810と、酸化剤供給ポンプ810とカソード側116との間に位置付けられた(かつ酸化剤供給ポンプ810と電気化学セル酸化剤再生反応器600のアノード側614との間に位置付けられた、図8には示されていない)1つ以上のフロー制御デバイス811を介して、ハイブリッドレドックス燃料セル100のカソード側116と、電気化学セル酸化剤再生反応器600のアノード側614と、のうちの1つ以上に電解質を供給し得る。1つ以上のフロー制御デバイス811の各々は、酸化剤再生反応器600のカソード側116及び/又はアノード側614への酸化剤電解質の流量及び圧力を調節するための、制御バルブと、流量計と、圧力調節器とのうちの1つ以上を含むことができる。更に、酸化剤供給ポンプ810と、1つ以上のフロー制御デバイス811の各々と、は、コントローラ812に通信可能に結合され得、酸化剤供給流量データ及び圧力データをコントローラ812に送信し、コントローラ812から流量、バルブ位置、及び/又は圧力設定点を受信する。このようにして、支持電解質種は、カソード側116、及び/又は酸化剤再生反応器で支持電解質種の濃度を補充するために供給され得る。一実施例では、電気化学セル酸化剤再生反応器600における高閾値再生pHを上回るpHの上昇に応答して、かつ/又はカソード側116における高閾値pHを上回るpHの上昇に応答して、コントローラ812は、支持電解質源806から電気化学セル酸化剤再生反応器600及び/又はカソード側116への酸の流量を増加させ得る。別の実施例では、電気化学セル酸化剤再生反応器600における高閾値再生pHを上回るpHの上昇に応答して、かつ/又はカソード側116における高閾値pHを上回るpHの上昇に応答して、コントローラ812は、アノード側114における水素ガス酸化速度を増加させるために、還元剤源805からアノード側114への還元剤の流量を増加させ得る。
【0100】
他の実施例では、ハイブリッドレドックス燃料セル100のpHは、アノード側114での水素酸化反応によって生成された水素プロトンがセパレータ122を通ってカソード側116に流動し、それによって、カソード側116から流出する水素プロトンを補充し、そこでpHを調節するという点で、自己調節され得る。更に、水素プロトンは、カソード側116から酸化剤再生反応器600に流動し、酸化剤再生反応によって消費された水素プロトンを補充し、そこでpHを調節し得る。このようにして、ハイブリッドレドックス燃料電池システムは、pH制御に関して閉ループ方式で動作し得る。換言すると、支持電解質源806などのハイブリッドレドックス燃料セル100の外部からの酸は、利用され得ない。代わりに、アノード側114で水素ガス酸化によって生成された酸性水素プロトンは、カソード側116及び酸化剤再生反応器600に酸を補充及び供給する。したがって、pH制御に関して閉ループ方式でのハイブリッドレドックス燃料電池システムの動作中に、pHをバランスさせ、かつ調節するために、水素ガス(例えば、アノード側114への還元剤110の流量が、コントローラ812によって調節され得る。特に、アノード側114に送達される水素ガスの流量は、カソード側116及び/又は酸化剤再生反応器600のうちの1つ以上におけるpHの減少に応答して増加され得る。逆に、アノード側114に送達される水素ガスの流量は、カソード側116及び/又は酸化剤再生反応器600のうちの1つ以上におけるpHの増加に応答して減少され得る。
【0101】
再生ガス源882は、再生ガスフロー制御デバイス884を介して、酸素及び/又は空気のうちの1つ以上を電気化学セル酸化剤再生反応器600に供給する。一実施例では、再生ガス源882は、1つ以上の加圧ガスボンベ及び/又は貯蔵タンクを含む。再生ガスフロー制御デバイス884は、電気化学セル酸化剤再生反応器600への還元剤ガスの流量及び圧力を調節するための、制御バルブ、流量計、及び圧力調節器のうちの1つ以上を含み得る。再生ガスフロー制御デバイス884は、コントローラ812に通信可能に結合され得、還元剤供給流量データ及び圧力データをコントローラ812に送信し、流量、バルブ位置、及び/又は圧力設定点をコントローラ812から受信する。空気又は酸素ガスは、酸化剤再生反応器600のカソード側616に、そこでの還元のために供給され、式(4)及び式(5)によって与えられるように、より低い酸化状態の金属イオンの酸化を促進する。空気源と比較して、酸素ガス源を再生ガス源として利用することは、窒素及び二酸化炭素による酸素の希釈を妨げながら、電気化学セル酸化剤再生反応器600に導かれるより高い流量及び濃度の酸素ガスを達成することができるため、有利であり得る。
【0102】
このようにして、ハイブリッドレドックス燃料セル100のカソード側116のみが、酸化剤再生反応器600に流体的に結合されている。別の言い方をすれば、ハイブリッドレドックス燃料セル100のカソード側116は、ハイブリッドレドックス燃料セル100のアノード側114を酸化剤再生反応器600に流体結合することなく、酸化剤再生反応器600に流体結合されている。したがって、液体電解質は、ハイブリッドレドックス燃料セル100のアノード側114に流動することなく、ハイブリッドレドックス燃料セル100のカソード側116と、酸化剤再生反応器600と、の間を流動する。ハイブリッドレドックス燃料セル100のアノード側114には、気体還元剤のみが供給される。特に、液体電解質は、酸化剤再生反応器600のカソード側616に流動することなく、ハイブリッドレドックス燃料セル100のカソード側116と、酸化剤再生反応器600のアノード側614と、の間を流動する。酸化剤再生反応器600のカソード側616には、ガス酸化剤のみが供給される。なお更に、カソード側116の出口(例えば、酸化剤排出ライン858)から酸化剤再生反応器600に導かれた液体電解質中のより低い酸化状態の金属イオンの濃度は、酸化剤再生反応器600の出口からカソード側116に導かれた液体電解質中のより低い酸化状態の金属イオンの濃度よりも高い場合がある。同様に、カソード側116の出口(例えば、酸化剤排出ライン858)から酸化剤再生反応器600に導かれた液体電解質中のより高い酸化状態の金属イオンの濃度は、酸化剤再生反応器600の出口からカソード側116に導かれた液体電解質中のより高い酸化状態の金属イオンの濃度よりも低い場合がある。
【0103】
図8に示されるようなコントローラ812は、マイクロプロセッサユニット、入力/出力(I/O)ポート、実行可能プログラム(例えば、実行可能命令)及び非一次的読み取り専用メモリ(ROM)のための電子記憶媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、キープアライブメモリ(KAM)、及びデータバスを含む、マイクロコンピュータを含み得る。本明細書に記載されるように、コントローラ812は、様々なセンサから信号を受信し、様々なアクチュエータと通信して、コントローラ812のメモリに記憶された受信された信号及び命令に基づいて、ハイブリッドレドックス燃料電池システムの1つ以上の構成要素の動作を調整する。
【0104】
コントローラ812は、ハイブリッドレドックス燃料セル100、電気化学セル酸化剤再生反応器600、パワーコンディショニングユニット804、支持電解質源806、再生ガス源882、及び還元剤源805、並びにフロー制御デバイス及びポンプなどのハイブリッドレドックス燃料電池システム800の他の構成要素に結合されたセンサから様々な信号を受信し得る。更に、コントローラ812は、ハイブリッドレドックス燃料電池システム800の動作中に、ポンプ、フロー制御デバイス、パワーコンディショニングユニット804などの様々なアクチュエータに信号を送信してもよい。更に、センサ情報を受信すると、コントローラ812は、それに応答して、一実施例として、様々なアクチュエータのうちの1つ以上を作動させて、様々な制御機能を実行し得る。したがって、コントローラ812は、センサ及びプローブのうちの1つ又は組み合わせに応答して様々な制御戦略を実施し得る。例えば、外部負荷802での電力需要の増加に応答して、コントローラ812は、同時に、還元剤供給フロー制御デバイス842のバルブ開放位置を増加させることによってアノード124に供給される還元剤の流量を増加させ、酸化剤再循環ポンプ857の速度を増加させることによって、カソード側116と電気化学セル酸化剤再生反応器600との間の電解質酸化剤の再循環流量を増加させ得る。
【0105】
コントローラ812は、カソード側116で、酸化剤還元の速度(例えば、より高い酸化状態の金属イオンのより低い酸化状態の金属イオンへの還元)とバランスした(例えば、等しい)酸化剤再生の速度(例えば、より低い酸化状態の金属イオンのより高い酸化状態の金属イオンへの酸化)を維持するために、電気化学セル酸化剤再生反応器600における動作条件を調節し得る。酸化剤再生反応器での酸化剤再生の速度が、カソード側116での酸化剤還元の速度とバランスすると、ハイブリッドレドックス燃料セル100及び電気化学セル酸化剤再生反応器600でのより高い酸化状態の金属イオンの総量を一定に維持することができる。換言すると、ハイブリッドレドックス燃料セル100及び電気化学セル酸化剤再生反応器600でのより高い酸化状態の金属イオンの総量が一定であるということは、酸化剤再生反応器が定常状態平衡で動作している場合に対応し得る。更に、コントローラ812は、電気化学セル酸化剤再生反応器600における動作条件を調節して、電気化学セル酸化剤再生反応器600の劣化(熱劣化、沈殿及び汚損)のリスクを低減してもよい。
【0106】
酸化剤再生反応器の温度は、低閾値酸化剤再生反応器温度と高閾値酸化剤再生反応器温度との間に維持され得る。酸化剤再生反応器の温度が低閾値酸化剤再生反応器温度を下回って低下すると、酸化剤再生の速度が遅くなりすぎ得る。対照的に、酸化剤再生反応器の温度が高閾値再生温度を上回って上昇すると、劣化ハイブリッドレドックス燃料セル構成要素のリスクが発生する可能性がある(例えば、セパレータ622の汚損及び閉塞)。一実施例では、低酸化剤再生反応器閾値温度は、液体電解質の凍結温度を含み得、高酸化剤再生反応器閾値温度は、液体電解質の沸騰温度を含み得る。液体電解質の凍結温度は、0℃以下であり得、液体電解質の沸騰温度は、100℃以上であり得る。ハイブリッドレドックス燃料セル100及び酸化剤再生反応器600におけるレドックス反応の動態反応速度がより高くなり得るため、液体電解質のより高い温度を維持することが有利であり得るが、より高い温度で連続的に動作するようにシステム構成要素を維持及び設計するために、運用コストが増加し得る。
【0107】
一実施例では、コントローラ812は、電気化学セル酸化剤再生反応器600の温度をそれぞれ上昇又は低下させるために、1つ以上のヒータ873への電力を増加又は減少させ得る。例えば、電気化学セル酸化剤再生反応器600の温度が低閾値酸化剤再生反応器温度を下回って低下することに応答して、コントローラ812は、1つ以上のヒータ873への電力を増加させ得、電気化学セル酸化剤再生反応器600の温度が高閾値酸化剤再生反応器温度を上回って上昇することに応答して、コントローラ812は、1つ以上のヒータ873への電力を減少させ得る。
【0108】
電気化学セル酸化剤再生反応器600の内部の液体電解質のpHは、低閾値再生pHと高閾値再生pHとの間に維持され得る。酸化剤再生反応器のpHが低閾値再生pHを下回って低下すると、酸化剤再生の速度が遅くなりすぎ得る。対照的に、酸化剤再生反応器の温度が高閾値再生pHを上回って上昇すると、セパレータ622を汚染及び閉塞する可能性がある液体電解質中の沈殿物形成に起因して、劣化ハイブリッドレドックス燃料セル構成要素のリスクが発生する可能性がある。水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルの場合、pHが高閾値再生pHを上回って上昇すると、第二水酸化硫酸鉄(例えば、ジャロサイト)の沈殿が起こり得る。
【0109】
高閾値再生pHを上回ると、より高い酸化状態の金属イオンの溶解度が低下し、それによって、沈殿物形成のリスクが増加し得る。低再生閾値pH及び高再生閾値pHは、酸化剤再生反応器のタイプ及び性質に応じて変化し得る。水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルの場合、高再生閾値pHは、2を含み得る(それを上回ると、第二鉄イオンの沈殿のリスクが増加する)。一実施例では、コントローラ812は、それぞれ、電気化学セル酸化剤再生反応器600の内部の電解質pHを低下又は上昇させるために、支持電解質源806から電気化学セル酸化剤再生反応器600への酸性プロトンのフローを増加又は減少させ得る。例えば、電気化学セル酸化剤再生反応器600でのpHが低閾値再生pHを下回って低下することに応答して、コントローラ812は、支持電解質源806から電気化学セル酸化剤再生反応器600への酸性プロトンの流量を減少させ得、電気化学セル酸化剤再生反応器600でのpHが高閾値再生pHを上回って上昇することに応答して、コントローラ812は、支持電解質源806から電気化学セル酸化剤再生反応器600への酸性プロトンの流量を増加させ得る。一実施形態では、ハイブリッドレドックス燃料電池システム800の動作中、ハイブリッドレドックス燃料セル100及び酸化剤再生反応器600の外部の供給源からの酸の供給なしに、セパレータ122をクロスオーバしてアノード側614に流動するハイブリッドレドックス燃料セルのアノード側114で水素酸化によって生成された水素プロトンによって、アノード側614でのpHが、低再生閾値pHと高再生閾値pHとの間に維持され得る。
【0110】
より高い酸化状態の金属イオン濃度[Mx+]と、より低い酸化状態の金属イオン[M(x-y)+]と、は、それぞれ、低閾値のより高い酸化状態の金属イオン濃度[Mx+TH、低と低閾値のより低い酸化状態の金属イオン再生濃度[M(x-y)+TH、低との間と、それぞれ、高閾値のより高い酸化状態の金属イオン濃度[Mx+TH、高と高閾値のより低い酸化状態の金属イオン再生濃度[M(x-y)+TH、高との間と、に維持され得る。一実施例では、コントローラ812は、電気化学セル酸化剤再生反応器600の内部で、それぞれ[Mx+]及び/又は[M(x-y)+]を増加又は減少させるために、支持電解質源806から電気化学セル酸化剤再生反応器600への[Mx+]及び/又は[M(x-y)+]のフローを増加又は減少させ得る。例えば、電気化学セル酸化剤再生反応器600での[Mx+]及び/又は[M(x-y)+]が、それぞれ、[Mx+TH、低及び/又は[M(x-y)+TH、低を下回って減少することに応答して、コントローラ812は、支持電解質源806から電気化学セル酸化剤再生反応器600まで、それぞれ、流量[Mx+]及び/又は[M(x-y)+]を増加させ得、電気化学セル酸化剤再生反応器600での[Mx+]及び/又は[M(x-y)+]が、それぞれ、[Mx+TH、高及び/又は[M(x-y)+TH、高を上回って増加することに応答して、コントローラ812は、それぞれ、支持電解質源806から電気化学セル酸化剤再生反応器600まで、流量[Mx+]及び/又は[M(x-y)+]を減少させ得る。[M(x-1)+TH、低及び[M(x-1)+TH、高は、酸化剤再生反応器のタイプ及び性質に応じて変化し得る。
【0111】
別の実施例では、コントローラ812は、アノード排出ライン872でのより高い酸化状態の金属イオン[Mx+]の濃度が[Mx+TH、低を下回って減少することに応答して、(例えば、再生リサイクルフロー制御デバイスの開放位置を上昇させることによって)酸化剤再生反応器に戻されてリサイクルされる流出物の流量を増加させ得る。[Mx+]<[Mx+TH、低の場合、カソード側116でのより高い酸化状態の金属イオン還元の速度が低下し、ハイブリッドレドックス燃料セル100での発電が減少し得る。酸化剤再生反応器に戻されてリサイクルされる流出物の流量を増加させることによって、酸化剤再生反応器における流体電解質の滞留時間が増加し、それによって、酸化剤再生反応器におけるより低い酸化状態の金属イオンからより高い酸化状態の金属イオンへの変換(例えば、酸化)が増加する。追加的又は代替的に、[Mx+]<[Mx+TH、低に応答して、ハイブリッドレドックス燃料セルカソード側流出物は、異なる酸化剤再生反応器(例えば、未使用の酸化剤再生反応器)に導かれ得、かつ/又は追加の金属イオン酸化剤は、支持電解質源806などの外部供給源から供給され得る。別の実施例では、コントローラ812は、酸化剤排出ライン858での[Mx+]が[Mx+TH、高よりも大きいことに応答して、酸化剤再生反応器に戻されてリサイクルされる流出物の流量を低減し得る。酸化剤再生反応器に戻されてリサイクルされる流出物の流量を減少させることによって、酸化剤再生反応器における流体電解質の滞留時間が減少し、それによって、[Mx+TH、高を下回る、酸化剤再生反応器におけるより低い酸化状態の金属イオンからより高い酸化状態の金属イオンへの変換(例えば、酸化)が減少する。
【0112】
電気化学セル酸化剤再生反応器600での酸素ガス濃度[O]は、低閾値酸素再生濃度[OTH、低の間と、高閾値酸素再生濃度[OTH、高の間と、に維持され得る。一実施例では、コントローラ812は、電気化学セル酸化剤再生反応器600の内部の[O]を増加又は減少させるために、再生ガス源882から電気化学セル酸化剤再生反応器600への[O]のフローを増加又は減少させ得る。例えば、電気化学セル酸化剤再生反応器600での[O]が[OTH、低を下回って減少することに応答して、コントローラ812は、支持電解質源806から電気化学セル酸化剤再生反応器600までの流量[O]を増加させ得、電気化学セル酸化剤再生反応器600での[O]が[OTH、高を上回って増加することに応答して、コントローラ812は、支持電解質源806から電気化学セル酸化剤再生反応器600までの流量[O]を減少させ得る。[OTH、低及び[OTH、高は、酸化剤再生反応器のタイプ及び性質に依存し得る。別の実施例では、酸素ガスは、空気から供給され得、したがって、酸素ガスが空気から供給されるとき、[O]は、空気濃度(例えば、乾燥空気中で約21mol%)に安定して維持され得る。
【0113】
ここで図10に移ると、図10は、並列に接続されたM個の電気化学セル酸化剤再生反応器600の積層体のセルアセンブリ700と流体的に接続されたN個のハイブリッドレドックス燃料セル100の積層体のセルアセンブリ400を含む、ハイブリッドレドックス燃料電池システム1000の概略図を例示している。複数のハイブリッドレドックス燃料セル及び複数の酸化剤再生反応器を示すこととは別に、ハイブリッドレドックス燃料電池システム1000は、ハイブリッドレドックス燃料電池システム800に直接対応することが理解される。特に、コントローラ812、パワーコンディショニングユニット804、外部負荷802、支持電解質源806、支持電解質源806、再生ガス源882、電気負荷606、並びにいくつかのフロー制御デバイス、センサ、及びポンプは、明確にするために図10に示されていないが、これらの構成要素は、ハイブリッドレドックス燃料電池システム1000に含まれると理解される。
【0114】
ハイブリッドレドックス燃料電池システム1000において、還元剤(例えば、水素ガス)は、N個のハイブリッドレドックス燃料セル100の各々のアノード側114に並列に流体的に接続されている還元剤源805から供給される。アノード側114からの流出物は、還元剤リサイクルフロー制御デバイス846を介して、アノード側114の供給側にリサイクルされ得る。更に、セルアセンブリ400における各ハイブリッドレドックス燃料セル100は、M個の電気化学セル酸化剤再生反応器600のセルアセンブリ700と並列に流体的に接続されている。再生ガス源882は、酸化剤再生反応器の各々に、空気及び/又は酸素のうちの1つ以上を供給する。ポンプ857及び/又は酸化剤排出フロー制御デバイス854は、コントローラ812によって制御されて、セルアセンブリ400のカソード側116と、電気化学セル酸化剤再生反応器600のアノード側614と、の間で液体電解質を再循環させ、それによって、酸化剤電解質を再生し得る。フロー制御デバイス852及び878は、液体電解質をセルアセンブリ400に戻す前に、電気化学セル酸化剤再生反応器600に戻る液体電解質のリサイクル流量を調整するように制御され得る。
【0115】
図10の実施例では、電気化学セル酸化剤再生反応器600の単一のセルアセンブリ700は、ハイブリッドレドックス燃料セル100の単一のセルアセンブリ400に流体的に接続されている。ただし、他の実施例では、ハイブリッドレドックス燃料電池システム1000は、(例えば、酸化剤再生反応器の)複数のセルアセンブリ700に流体的に接続された複数のセルアセンブリ400(例えば、ハイブリッドレドックス燃料セル100の)を含んでもよい。各セルアセンブリ400は、パワーコンディショニングユニット804を介して外部負荷802に導電的に結合され得る。パワーコンディショニングユニット804は、セルアセンブリ400の各々から生成された電力を外部負荷802に収集、貯蔵、フィルタリング、変換、分配などし得、また、負荷からセルアセンブリ400のうちの1つ以上に放電された電力を収集、貯蔵、フィルタリング、変換、分配などし得る。
【0116】
各セルアセンブリ400は、上流バルブ1040及び1052並びに下流バルブ1044及び1054を介して、他のセルアセンブリ400に、及び還元剤源805、支持電解質源806、及び支持電解質源806に並列に流体的に接続され得る。更に、各セルアセンブリ400は、破線境界1050で示されるように、上流バルブ1040及び1052並びに下流バルブ1044及び1054を介して、ハイブリッドレドックス燃料電池システム1000から流体的に隔離されて、プロセスダウンタイムを回避しながら、個々のセルアセンブリ400の維持を可能にし得る。同様に、各セルアセンブリ700は、上流バルブ1064及び1084、並びに下流バルブ1062及び1078を介して、他のセルアセンブリ700に並列に、及び再生ガス源882に、及び1つ以上の外部電気負荷606に流体的に接続され得る。更に、各セルアセンブリ700は、破線境界1060で示されるように、上流バルブ1064及び1084、並びに下流バルブ1062及び1078を介して流体的に隔離されて、プロセスダウンタイムを回避しながら、個々のセルアセンブリ700の維持を可能にし得る。上流バルブ1040、1052、1064、及び1084、並びに下流バルブ1044、1054、1062、及び1078は、コントローラ812から信号を送信及び受信するフロー制御デバイスを含み得る。
【0117】
更に、ハイブリッドレドックス燃料電池システム800及び/又は1000の動作中、コントローラ812は、1つ以上の電気化学セル酸化剤再生反応器600及び1つ以上のハイブリッドレドックス燃料セル100の動作を同時に協調させ得る。特に、電力需要と、セルアセンブリ400による結果として生じる酸化剤再生需要と、に応じて、セルアセンブリ700のうちのいずれか1つ以上が利用され得る。換言すると、コントローラ812は、追加の電気化学セル酸化剤再生反応器600をオンライン及び/又はオフラインにするために、酸化剤再生速度(例えば、より低い酸化状態の金属イオンの酸化の速度)をセルアセンブリ400での酸化剤還元の速度(例えば、より高い酸化状態の金属イオンの還元の速度)とバランスさせることを支援するために、個々のセルアセンブリ700に対応する上流バルブ1064及び1084並びに下流バルブ1062及び1078の様々なセットを開放及び/又は閉鎖し得る。
【0118】
追加的に、コントローラ812は、電気化学セル酸化剤再生反応器600の数のハイブリッドレドックスフローセル100の数に対する比Z=M/Nを一定に維持して、ハイブリッドレドックス燃料電池システム1000において酸化剤還元速度を酸化剤再生速度とバランスさせ得る。Zの値は、電気化学セル酸化剤再生反応器600の各々の酸化剤再生容量と、ハイブリッドレドックス燃料セル100の各々の発電容量と、に応じて、予め決定され得る。したがって、追加のハイブリッドレドックス燃料セル100が流体的に接続され、かつ電力を生成するためにハイブリッドレドックス燃料電池システム1000でオンラインにされることに応答して、コントローラ812は、追加の電気化学セル酸化剤再生反応器600をオンラインにして、比Zを維持し、酸化剤再生の速度(例えば、より低い酸化状態からより高い酸化状態への金属イオンの酸化)を、カソード側116での酸化剤還元の速度(例えば、より高い酸化状態の金属イオンのより低い酸化状態の金属イオンへの還元)とバランスさせ(例えば、等しくさせ)、それによって、セルアセンブリ400及びセルアセンブリ700全体にわたるより高い酸化状態の金属イオンの総量Mx+ 合計を一定に維持し得る。Mx+ 合計は、式(9)に示されるように、それぞれのより高い酸化状態の金属イオン濃度と、各オンラインハイブリッドレドックス燃料セル100及び各オンライン電気化学セル酸化剤再生反応器600に対応する体積と、によって決定され得る。式(9)において、Vi、セルは、i番目のハイブリッドレドックス燃料セルカソード側116の容積を表し、([Mx+V)i、セルは、i番目のハイブリッドレドックス燃料セルカソード側116におけるMx+の総量を表し、Vj、再生は、j番目の電気化学セル酸化剤再生反応器600の自由液体体積を表し、([Mx+]*V)j、再生は、j番目の電気化学セル酸化剤再生反応器600の自由液体体積におけるMx+の総量を表す。自由液体体積は、酸化剤再生反応器における自由液体電解質によって占有される体積空間を指し、これは、酸化剤再生反応器における触媒床(非液体成分)、フロー分布デバイス、及び他の非液体成分の体積を除外する。
x+ 合計=Σ([Mx+V)i、セル+Σ([Mx+V)j,再生 (9)
【0119】
したがって、水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料電池システムの場合、コントローラ812は、ハイブリッドレドックス燃料セル100のカソード側116での第二鉄イオン還元速度の増加、及び/又は電気化学酸化剤再生反応器600のカソード側616からの流出物中の第二鉄イオン濃度の減少に応答して、電気化学セル酸化剤再生反応器600での第一鉄イオン酸化の全体的な速度を増加させるために、追加の電気化学セル酸化剤再生反応器600をオンラインにし得る。同様に、コントローラ812は、ハイブリッドレドックス燃料セル100のカソード側116での第二鉄イオン還元の減少及び/又は電気化学セル酸化剤再生反応器600のカソード側616からの流出物中の第二鉄イオン濃度の増加に応答して、電気化学セル酸化剤再生反応器600での第二鉄イオン酸化の全体的な速度を減少させるために、追加の電気化学セル酸化剤再生反応器600をオフラインにし得る。酸化剤再生反応器における酸化剤再生速度を、ハイブリッドレドックス燃料セルにおける酸化剤還元の速度とバランスさせながら、酸化剤再生反応器及びハイブリッドレドックス燃料セルにおけるより高い酸化状態の金属イオンの総量を一定に維持することができ、したがって、ハイブリッドレドックス燃料電池システムの発電速度を維持することができる。
【0120】
別の実施例では、図8を参照して上記で説明される制御戦略に類似して、1つ以上の電気化学セル酸化剤再生反応器600の流出物の[Mx+]の変化に応答して、コントローラ812は、流出物リサイクル流量を調整し得る。例えば、1つ以上の電気化学セル酸化剤再生反応器600の流出物の[Mx+]の減少は、そこでの酸化剤再生速度(例えば、M(x-y)+の酸化の速度)の減少を示す。したがって、第1の電気化学セル酸化剤再生反応器600の流出物の[Mx+]の減少に応答して、コントローラ812は、第1の酸化剤再生反応器に戻されてリサイクルされる流出物の流量を増加させ(その中での滞留時間を増加させる)、かつ/又は支持電解質源806から第1の酸化剤再生反応器への電解質の流量を増加させ、かつ/又は第1の酸化剤再生反応器をオフラインにしながら、第1の酸化剤再生反応器から離れるカソード側116からの流出物を第2の酸化剤再生反応器に導き得る。追加の戦略として、第1の電気化学セル酸化剤再生反応器600の流出物の[Mx+]の減少に応答して、コントローラ812は、第1の電気化学セル酸化剤再生反応器600での温度を上昇させ、第1の酸化剤再生反応器でのpHを調整し、かつ/又は第1の酸化剤再生反応器での酸素ガスの濃度を増加させ得る。同時に、コントローラ812は、本明細書で考察される高再生閾値及び低再生閾値に準じて、pH、温度、[Mx+]、[O]を調節し得る。
【0121】
第1の酸化剤再生反応器の流出物の[Mx+]の減少に応答してコントローラ812によって行われる上記の制御アクションのうちの1つ以上が、第1の酸化剤再生反応器の流出物の[Mx+]の増加をもたらすに至らない場合、第1の酸化剤再生反応器は、劣化している場合がある。電気化学セル酸化剤再生反応器600の劣化は、電解質中の副反応、不純物の蓄積などによって引き起こされる沈殿に起因して起こり得る。劣化した触媒床の指標に応答して、コントローラ812は、第1の酸化剤再生反応器をオフラインにしながら、第1の酸化剤再生反応器から離れるカソード側116からの流出物を第2の酸化剤再生反応器に導き得る。
【0122】
図11は、ハイブリッドレドックス燃料セル100の積層体を有するセルアセンブリ400と、1つ以上の電気化学セル酸化剤再生反応器600と、を含むハイブリッドレドックス燃料電池システム800の別の実施形態を例示している。電気化学セル酸化剤再生反応器600がセルアセンブリ400の外部にある、図10に示される実施形態とは異なり、ハイブリッドレドックス燃料電池システム1100は、セルアセンブリ400内に配設された電気化学セル酸化剤再生反応器600を含むセルアセンブリ400を含む。複数のハイブリッドレドックス燃料セル及び複数の酸化剤再生反応器を示すこととは別に、ハイブリッドレドックス燃料電池システム1100は、ハイブリッドレドックス燃料電池システム800に直接対応することが理解される。特に、コントローラ812、パワーコンディショニングユニット804、外部負荷802、支持電解質源806、再生ガス源882、電気負荷606、並びにいくつかのフロー制御デバイス、センサ、及びポンプは、明確にするために図11に示されていないが、これらの構成要素は、ハイブリッドレドックス燃料電池システム1100に含まれると理解される。
【0123】
ハイブリッドレドックス燃料電池システム1100は、直列及び/又は並列に積層された複数のハイブリッドレドックス燃料セル100を含み得る。図11に示されるように、電気化学セル酸化剤再生反応器600は、ハイブリッドレドックス燃料セル100と同じセルアセンブリ1102(例えば、電力モジュール)に統合され得るが、絶縁体1140及び1141によって電気的に分離されている。ハイブリッドレドックス燃料電池システム800及び1000に類似して、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソード側116は、電気化学セル酸化剤再生反応器600のアノード側614のうちの1つ以上に流体的に結合されており、液体電解質をそれらの間で再循環させることができるようになっている。更に、還元剤110は、水素プロトンがアノード側114からカソード側116へとセパレータ122をクロスオーバすることを除いて、電気化学セル酸化剤再生反応器600に導かれることなく、ハイブリッドレドックス燃料セル100のアノード側114を通って流動する。同様に、再生ガス源882からの酸化剤620は、ハイブリッドレドックス燃料セル100に導かれることなく、電気化学セル酸化剤再生反応器600のカソード側616を通って流動する。別の言い方をすれば、アノード側114は、電気化学セル酸化剤再生反応器600から流体的に隔離されており、カソード側116は、水素プロトンがアノード側114からカソード側116へとセパレータ122をクロスオーバすることを除いて、ハイブリッドレドックス燃料セル100から流体的に隔離されている。
【0124】
ハイブリッドレドックス燃料セル100から電気化学セル酸化剤再生反応器600に導かれる液体電解質の量は、カソード側116でのより高い酸化状態の金属イオンの還元を、アノード側616でのより低い酸化状態の金属イオンの酸化とバランスさせるように、コントローラ812によって調節され得る。更に、ハイブリッドレドックス燃料セル100、電気化学セル酸化剤再生反応器600、及びセルアセンブリ400及び700におけるそれらの構成の設計は、それぞれ、個々のハイブリッドレドックス燃料セル100及び電気化学セル酸化剤再生反応器600内及びそれらの間の、並びにセルアセンブリ400及び700内及びそれらの間の液体圧力及びガス圧力の調節を容易にし得る。一実施形態では、コントローラ812は、ハイブリッドレドックス燃料電池システム800からの電流(又は電圧)需要に基づいて、個々のハイブリッドレドックス燃料セル100及び電気化学セル酸化剤再生反応器600への、並びにセルアセンブリ400及び700間の液体電解質及び気体反応物の供給を調節し得る。
【0125】
更に、本明細書に記載されるように、1つ以上の外部負荷606は、カソード側116でのより高い酸化状態の金属イオンの還元を、アノード側616でのより低い酸化状態の金属イオンの酸化とバランスさせるために、かつハイブリッドレドックス燃料セル100及び電気化学セル酸化剤再生反応器600におけるより高い酸化状態の金属イオンの総量を一定に維持するために、コレクタ1160、1161、1162、及び1163を介して電気化学セル酸化剤再生反応器600に電流を印加するように、コントローラ812によって調節される。このようにして、(反応(4)及び反応(5)による)Fe3+イオンの生成及びそれに伴う酸素の還元をそれぞれ増加又は減少させるために、電気化学セル酸化剤再生反応器600への電流を増加又は減少させ得る。追加の集電体1170及び1171が、ハイブリッドレドックス燃料セル100で生成された電流を受け取るために、ハイブリッドレドックス燃料セル100を顧客負荷1180に結合し得る。圧力プレート410が、電気化学セル酸化剤再生反応器600に外部から結合され得る。圧力プレートは、絶縁体1195及び1196を介して、電気化学セル酸化剤再生反応器600から分離され得る。
【0126】
このようにして、ハイブリッドレドックス燃料電池システムは、還元剤が通って流動するアノード側と、液体電解質が通って流動するカソード側とを含むハイブリッドレドックス燃料セルと、電気化学セルであって、電気化学セルのアノード側がハイブリッドレドックス燃料セルのカソード側に流体的に結合されている、電気化学セルと、を備える。更に、液体電解質は、より高い酸化状態の金属イオンと、より低い酸化状態の金属イオンと、を含む。なお更に、ハイブリッドレドックス燃料セルにおいて、アノード側で還元剤を酸化しながら、カソード側でより高い酸化状態の金属イオンをより低い酸化状態に還元することによって、電力が生成され、電力がハイブリッドレドックス燃料セルで生成される間、電気化学セルのアノード側で、より低い酸化状態の金属イオンがより高い酸化状態に酸化される。第1の実施例では、ハイブリッドレドックス燃料電池システムは、水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルを含み、還元剤が、水素ガスを含み、より低い酸化状態の金属イオンが、第一鉄イオンを含み、より高い酸化状態の金属イオンが、第二鉄イオンを含む、ことを更に含む。任意選択で第1の実施例を含む、第2の実施例では、ハイブリッドレドックス燃料電池システムは、ハイブリッドレドックス燃料セルと電気化学セルのアノード側との間に位置付けられたポンプを更に備え、ポンプが、液体電解質を電気化学セルのカソード側に導くことなく、液体電解質をハイブリッドレドックス燃料セルのカソード側から電気化学セルのアノード側に導く、ことを更に含む。任意選択で第1及び第2の実施例のうちの1つ以上を含む、第3の実施例では、ハイブリッドレドックス燃料電池システムは、ポンプが、液体電解質が電気化学セルのアノード側を出ると、液体電解質をハイブリッドレドックス燃料セルのアノード側に導くことなく、液体電解質をハイブリッドレドックス燃料セルのカソード側に導く、ことを更に含む。任意選択で第1~第3の実施例のうちの1つ以上を含む、第4の実施例では、ハイブリッドレドックス燃料電池システムは、より高い酸化状態の金属イオンの濃度が、電気化学セルのアノード側からハイブリッドレドックス燃料セルのカソード側に導かれた液体電解質中で、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソード側から電気化学セルのアノード側に導かれた液体電解質中のより高い酸化状態の金属イオンの濃度よりも高い、ことを更に含む。任意選択で第1~第4の実施例のうちの1つ以上を含む、第5の実施例では、ハイブリッドレドックス燃料電池システムは、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソード側での、より高い酸化状態の金属イオンのより低い酸化状態への還元の速度が、電気化学セルのアノード側での、より低い酸化状態の金属イオンのより高い酸化状態への酸化の速度とバランスされる、ことを更に含む。任意選択で第1~第5の実施例のうちの1つ以上を含む、第6の実施例では、ハイブリッドレドックス燃料電池システムは、電気化学セルのカソード側が、Pt、Pd、Ru、Rd、及びそれらの合金のうちの1つ以上を含むカソードを含み、電気化学セルのアノード側が、炭素アノードを含む、ことを更に含む。任意選択で第1~第6の実施例のうちの1つ以上を含む、第7の実施例では、ハイブリッドレドックス燃料電池システムは、再生ガス源を更に備え、酸素ガスが、再生ガス源から電気化学セルのカソード側に導かれる。任意選択で第1~第7の実施例のうちの1つ以上を含む、第8の実施例では、ハイブリッドレドックス燃料電池システムは、電気化学セルに導電的に結合された電気負荷を更に備え、電気負荷から電気化学セルに電流を供給することが、電気化学セルのアノード側でのより低い酸化状態の金属イオンのより高い酸化状態への酸化を増加させ、電気化学セルのカソード側での酸素ガスの還元を増加させる。
【0127】
このようにして、ハイブリッドレドックス燃料電池システムは、ハイブリッドレドックス燃料セルと、電気化学セルであって、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソードが電気化学セルのアノードに流体的に結合されている、電気化学セルと、コントローラと、を備える。更に、コントローラは、非一時的メモリに記憶された命令を含み、命令は、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソードと電気化学セルのアノードとの間で液体電解質を再循環させることであって、液体電解質が、より高い酸化状態の金属イオン及びより低い酸化状態の金属イオンを含む、再循環させることと、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソードでより高い酸化状態の金属イオンをより低い酸化状態に還元することと、電気化学セルのアノードでより低い酸化状態の金属イオンをより高い酸化状態に酸化することと、を行うように実行可能である。なお更に、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソードでより高い酸化状態の金属イオンをより低い酸化状態に還元する速度が、電気化学セルのアノードでより低い酸化状態の金属イオンをより高い酸化状態に酸化する速度に等しい。第1の実施例では、ハイブリッドレドックス燃料電池システムは、電気化学セルに導電的に結合された電気負荷を更に備え、命令が、電気負荷から電気化学セルに電流を供給して、電気化学セルのアノードでより低い酸化状態の金属イオンをより高い酸化状態に酸化する速度を増加させるように、更に実行可能である。任意選択で第1の実施例を含む、第2の実施例では、ハイブリッドレドックス燃料電池システムは、命令が、電気化学セルのアノードでより低い酸化状態の金属イオンをより高い酸化状態に酸化する速度が、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソードでより高い酸化状態の金属イオンをより低い酸化状態に還元する速度よりも大きいことに応答して、電気負荷から電気化学セルに供給される電流を低減するように更に実行可能である、ことを更に含む。任意選択で第1及び第2の実施例のうちの1つ以上を含む、第3の実施例では、ハイブリッドレドックス燃料電池システムは、還元剤源を更に備え、命令が、還元剤源からハイブリッドレドックス燃料セルのアノードに水素を供給し、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソードでより高い酸化状態の金属イオンをより低い酸化状態に還元しながら、ハイブリッドレドックス燃料セルのアノードで水素を酸化して、ハイブリッドレドックス燃料セルから電力を生成するように、更に実行可能である。任意選択で第1~第3の実施例のうちの1つ以上を含む、第4の実施例では、ハイブリッドレドックス燃料電池システムは、電気化学セルのカソードに流体的に結合された酸素ガス源を更に備え、命令が、電気化学セルのカソードに酸素を供給し、電気化学セルのアノードでより低い酸化状態の金属イオンをより高い酸化状態に酸化しながら、電気化学セルのカソードで酸素を還元するように、更に実行可能である。任意選択で第1~第4の実施例のうちの1つ以上を含む、第5の実施例では、ハイブリッドレドックス燃料電池システムは、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソードと電気化学セルのアノードとの間で液体電解質を再循環させることが、液体電解質を電気化学セルのカソードとハイブリッドレドックス燃料セルのアノードとに再循環させることなく、液体電解質をハイブリッドレドックス燃料セルのカソードと電気化学セルのアノードとの間で再循環させることを含む、ことを更に含む。
【0128】
ここで図9に移ると、図9は、ハイブリッドレドックス燃料電池システム800(又はハイブリッドレドックス燃料電池システム1000)を動作させる例示的な方法900のフローチャートを例示している。方法900を実行するための命令は、図1図4図8、及び図10を参照して上記に説明されるセンサなどの、ハイブリッドレドックス燃料電池システム800(又はハイブリッドレドックス燃料電池システム1000)のセンサから受信された信号と併せて、コントローラ812の非一時的メモリに記憶された命令に基づいて、コントローラ812によって実行され得る。コントローラ812は、ハイブリッドレドックス燃料電池システム800及び/又は1000のアクチュエータを用いて、以下で説明される方法に従って、ハイブリッドレドックス燃料セル100、パワーコンディショナ、及び/又は電気化学セル酸化剤再生反応器600の動作を調整し得る。
【0129】
方法900は、910で開始し、コントローラ812が、N個のハイブリッドレドックス燃料セルをM個の電気化学セル酸化剤再生反応器と流体的に接続する。本明細書に記載されるように、N個のハイブリッドレドックス燃料セルは、s個のセルアセンブリ400(sは、自然数である)にグループ化され得、M個の電気化学セル酸化剤再生反応器は、t個のセルアセンブリ700(tは、自然数である)にグループ化され得る。各s番目のセルアセンブリ400におけるハイブリッドレドックス燃料セル100の数nは、異なり、及び/又は同じであり得、各t番目のセルアセンブリ700における電気化学セル酸化剤再生反応器600の数mは、異なり、及び/又は同じであり得る。N、M、s、t、n、及びmの全ては、ハイブリッドレドックス燃料電池システム800についての予測される発電需要及び/又は第二鉄イオン再生の所望の反応速度に従って予め決定され得る。
【0130】
方法900は、914に進み、コントローラ812が、電解質種濃度、ガス圧力及び流量、温度、pH、ハイブリッドレドックス燃料セル100での発電などの、ハイブリッドレドックス燃料電池システムの動作条件を判定する。動作条件を決定することはまた、コントローラ812が、アノード側114での還元剤酸化反応速度及びカソード側116での酸化剤還元速度、並びにパワーコンディショニングユニット804及び外部負荷802に送達される関連着けられた電流などの、測定されたパラメータから計算される量を判定することを含んでもよい。
【0131】
一実施例では、還元剤酸化速度は、式(10)及び式(11)によって示されるように、各ハイブリッドレドックス燃料セル100からの還元剤の定常状態の入口流量及び出口流量の差から計算され得る一方、酸化剤還元速度は、各ハイブリッドレドックス燃料セル100からの酸化剤の入口流量及び出口流量の差から計算され得る。
還元剤酸化の速度(アノード側)[mol/時間]=
([R]入口-[R]出口R、合計 (10)
酸化剤還元の速度(カソード側)[mol/時間]=
([Mx+入口-[Mx+出口)*Q液、合計 (11)
【0132】
[R]は、還元剤のモル濃度を表し、Q還元、合計は、アノード側114を通る体積流量を表し、[Mx+]は、より高い酸化状態の金属のモル濃度を表し、Q液、合計は、カソード側116を通る総体積流量を表す。水素-第二鉄/第一鉄イオンハイブリッドレドックス燃料セルの場合、[R]は、水素ガス濃度[H]に対応し、QR、合計は、アノード側114への総ガス流量であり、[M]は、[Fe3+]に対応し、Q液、合計は、カソード側116への総液体電解質流量である。更に、ハイブリッドレドックス燃料セル100から送達される関連する電流は、式(12)によって与えられ、式(2)に従って、酸化剤還元速度と、還元されたMの各モルについて消費される電子の化学量論的比率(例えば、y)と、を使用して決定され得る。
電流=(酸化剤還元速度)
(ymol e)/(1mol M)(1F/mol e)(96485C/F) (12)
【0133】
次に、920において、コントローラ812は、反応物ガス(例えば、酸素、空気)を酸化剤再生反応器920に導く。一実施例では、反応物ガスの流量は、カソード側116での酸化剤還元速度を計算することによって、コントローラ812によって決定され得る。特に、コントローラ812は、カソード側で酸化剤還元速度をバランスさせる酸化剤再生速度に対応する、再生ガス源882から電気化学セル酸化剤再生反応器600への酸素の流量を設定し得る。
【0134】
方法900は、930に進み、コントローラ812は、流出物をカソード側116から酸化剤再生反応器に導く。カソード側116からの流出物は、未反応のより高い酸化状態の金属イオン、より低い酸化状態の金属イオン、並びに塩対イオン及び水素プロトンなどの支持電解質種を含む、式(2)によって与えられるカソード側酸化剤還元反応の反応物及び生成物を含み得る。ハイブリッドレドックス燃料セルが水素-第二鉄/第一鉄イオン燃料セルである場合、カソード側流出物は、第二鉄イオン、第一鉄イオン、硫酸イオン、及び水素プロトンを含み得る。1つ以上のセンサ836が、カソード側116での電解質種濃度、pH、温度、及び導電率に関連するデータを測定し、コントローラ812に送信するために、カソード側116(その出口を含む)に位置付けられ得る。
【0135】
次に、940において、入口再生ガスは、カソード626で触媒と流体的に接触し、より低い酸化状態の金属イオンは、アノード624で金属酸化触媒と流体的に接触する。カソード626の触媒は、炭素などの導電性担体上に支持された、Pt、Pd、Ru、Rdなどの貴金属、又はそれらの合金のうちの1つ、又は組み合わせを含み得る。アノード624の金属酸化触媒は、炭素基材上に支持された白金系触媒を含み得る。他の実施例では、金属酸化触媒は、少量(例えば、0.02mg/cm~0.2mg/cm超)の、炭素などの導電性担体上に支持されたPt、Pd、Ru、Rdなどの貴金属又はこれらの合金のうちの1つ又は組み合わせを含み得る。ハイブリッドレドックス燃料セルが水素-第二鉄/第一鉄イオン燃料セルである場合、酸素ガスが、還元され、水素プロトンと反応して、カソード側616で水を形成する一方、第一鉄イオンは、アノード624の触媒表面で第二鉄イオンに酸化され、それによって、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソード側反応(式(2))のための第二鉄イオンを再生する。それぞれ、カソード側616及びアノード側614での酸素還元と、第一鉄イオンから第二鉄イオンへの酸化と、を容易にするために、酸化剤再生反応器に電力が供給され得る。
【0136】
方法900は、946に進み、コントローラ812は、電気化学セル酸化剤再生反応器600での酸化剤再生速度を、ハイブリッドレドックス燃料セルカソード側116での酸化剤還元速度とバランスさせる。酸化剤再生速度は、ハイブリッドレドックス燃料電池システム800の1つ以上の電気化学セル酸化剤再生反応器600で生じる、より低い酸化状態の金属イオンから高酸化状態の金属イオンへの酸化(例えば、式(4)によって与えられるアノード側624反応)の速度を指す。酸化剤還元速度は、1つ以上のハイブリッドレドックス燃料セル100で生じる、より高い酸化状態の金属イオンからより低い酸化状態の金属イオンへの還元(例えば、カソード側116反応(2))の速度を指す。酸化剤再生速度が酸化剤還元速度とバランスしている(例えば、等しい)とき、より高い酸化状態の金属イオンの総量と、ハイブリッドレドックス燃料電池システムによって生成される結果として得られる電力と、は、両方とも、ハイブリッドレドックス燃料電池システム800の定常状態動作で一定に維持され得る。
【0137】
一実施例では、ハイブリッドレドックス燃料システムは、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソード側116と、電気化学セル酸化剤再生反応器のアノード側614と、における所望の濃度の[M]及び[M(x-1)+]を維持するように動作して、酸化剤再生速度を酸化剤還元速度とバランスさせながら、ハイブリッドレドックス燃料電池システムから所望の発電を達成し得る。したがって、酸化剤再生速度を酸化剤還元速度とバランスさせることは、ハイブリッドレドックス燃料システム800の動作を調整して、ハイブリッドレドックス燃料セル100及び電気化学セル酸化剤再生反応器600のうちの1つ以上における所望の金属イオン濃度を維持することを含み得る。例えば、カソード側116及びアノード側614のうちの1つ以上での[M]が閾値濃度[MTH未満であることに応答して、コントローラ812は、再生リサイクルフロー制御デバイス878を通じて1つ以上の酸化剤再生反応器からの流出物の流量を増加させて、より多くの流出物を電気化学セル酸化剤再生反応器600の入口に戻してリサイクルし得、別の実施例では、コントローラ812は、フロー制御デバイス811を通じて、支持電解質源806から、ハイブリッドレドックス燃料セル100のカソード側116又は電気化学セル酸化剤再生反応器のアノード側614のうちの1つ以上への[M]の供給を応答的に増加させ得る。
【0138】
946において示されるように、酸化剤再生速度を酸化剤還元速度とバランスさせるための様々な戦略を、コントローラ812によって採用することができる。950において、コントローラ812は、電気化学セル酸化剤再生反応器600での酸化剤再生速度と、ハイブリッドレドックス燃料セル100における酸化剤還元速度と、がバランスしていないかどうかを判定し得る。各電気化学セル酸化剤再生反応器600の酸化剤再生速度は、式(13)に従って、酸化剤再生反応器アノード側614出口及び入口の、より高い酸化状態の金属イオンの濃度、及びそこへの総液体電解質流量Q再生、合計の間の差から計算され得る。各ハイブリッドレドックス燃料セル100の酸化剤還元速度は、上記で説明される式(8)に従って計算され得る。
酸化剤再生の速度(酸化剤再生反応器)[mol/時間]=
([Mx+出口-[Mx+入口)*Q再生、合計 (13)
【0139】
一実施例では、950において酸化剤再生速度が酸化剤還元速度未満であることに応答して、コントローラ812は956において、再生リサイクルフロー制御デバイス878を通じて1つ以上の酸化剤再生反応器からの流出物の流量を増加させて、より多くの流出物を電気化学セル酸化剤再生反応器600の入口に戻してリサイクルし得る。別の実施例では、酸化剤再生速度が酸化剤還元速度未満であることに応答して、コントローラ812は958において、再生ガス源882から酸化剤再生反応器へのガス反応物フローを増加させ得る。ガス反応物フローを増加させることは、酸化剤再生反応器での酸素の濃度を増加させ、それによって、酸化剤再生の速度(式(13))を増加させることができる。逆に、酸化剤再生速度が酸化剤還元速度よりも大きいことに応答して、コントローラ812は、再生リサイクルフロー制御デバイス878を通じて1つ以上の酸化剤再生反応器からの流出物の流量を減少させて、より少ない流出物を電気化学セル酸化剤再生反応器600の入口に戻してリサイクルし得、更に、コントローラ812は、再生ガス源882から酸化剤再生反応器へのガス反応物フローを減少させ得る。
【0140】
次に、方法900は、960に進み、コントローラ812は、電気化学セル酸化剤再生反応器600へのリサイクル流量Qリサイクルが閾値リサイクル流量Qリサイクル、THよりも大きいかどうかを判定し得る。Qリサイクル、THは、それを上回ると酸化剤再生反応器を横切る圧力降下が増加するリサイクル流量に対応し、それによって、酸化剤再生反応器の効率の低下が示され得る。Qリサイクル>Qリサイクル、THの場合、方法900は、970に進み、コントローラ812は、カソード側への酸化剤電解質供給を増加させ、かつ酸化剤還元速度と酸化剤再生速度とをバランスさせるための追加の戦略を採用し得る。例えば、972において、コントローラ812は、カソード側流出物を未使用の電気化学セル酸化剤再生反応器600に導き得る。図10に示されるように、複数の電気化学セル酸化剤再生反応器600が、それぞれ、上流バルブ1064及び1084、並びに下流バルブ1062及び1078を介して、ハイブリッドレドックス燃料セル100に流体的に接続され、及びハイブリッドレドックス燃料セル100から流体的に隔離され得る。追加の酸化剤再生反応器をハイブリッドレドックス燃料セルに流体的に接続することによって、追加の酸化剤再生容量をシステムに追加し、それによって、酸化剤再生速度を増加させることができる。同時に、コントローラ812は、974において、酸化剤再生反応器セルアセンブリ700をハイブリッドレドックス燃料電池システムから流体的に隔離することによって、劣化した酸化剤再生反応器セルアセンブリ700を切り替えてもよい。したがって、隔離された電気化学セル酸化剤再生反応器は、ダウンタイムを増加させることなく、かつハイブリッドレドックス燃料電池システム1000の動作を維持しながら、サービスを受け得るか、又はサービスに戻される前に、未使用のセルアセンブリ700と交換され得る。
【0141】
別の実施例では、978において、コントローラ812は、カソード側116で[Mx+]を増加させるために、支持電解質源806などの外部供給源から、追加の酸化剤電解質を供給し得る。追加の酸化剤電解質が、酸化剤供給ポンプ810を介して、支持電解質源806からカソード側116及びアノード側614の一方又は両方に供給され得る。酸化剤再生速度が酸化剤還元速度よりも低い場合、カソード側116に戻るより高い酸化状態の金属イオンの量が減少する。したがって、支持電解質源806から追加の酸化剤電解質を供給することは、[Mx+]の減少を補償することを支援することができる。
【0142】
別の実施例では、976において、コントローラ812は、アノード側614での[M(x-y)+]から[Mx+]への酸化を増加させ、かつカソード側616での酸化剤還元(例えば、酸素の還元)を増加させるために、1つ以上の外部電気負荷606から1つ以上の電気化学セル酸化剤再生反応器600に供給される電力を増加させ得る。したがって、コントローラ812は、ハイブリッドレドックス燃料セル100での酸化剤還元の速度を、電気化学セル酸化剤再生反応器600での酸化剤再生の速度とバランスさせるために、電気化学セル酸化剤再生反応器600のうちの1つ以上でのより低い酸化状態の金属イオンの酸化の速度が、ハイブリッドレドックス燃料セル100のうちの1つ以上でのより高い酸化状態の金属イオンの還元の速度未満であることに応答して、1つ以上の外部電気負荷606から、1つ以上の電気化学セル酸化剤再生反応器600に印加される電流を増加させ得る。同様に、コントローラ812は、ハイブリッドレドックス燃料セル100での酸化剤還元の速度を、電気化学セル酸化剤再生反応器600での酸化剤再生の速度とバランスさせるために、電気化学セル酸化剤再生反応器600のうちの1つ以上でのより低い酸化状態の金属イオンの酸化の速度が、ハイブリッドレドックス燃料セル100のうちの1つ以上でのより高い酸化状態の金属イオンの還元の速度よりも大きいことに応答して、1つ以上の外部電気負荷606から、1つ以上の電気化学セル酸化剤再生反応器600に印加される電流を減少させ得る。
【0143】
更に、電気負荷606から供給される任意の残留電流、及び/又は電気化学セル酸化剤再生反応器600で生成される任意の電圧が、ハイブリッドレドックス燃料電池システム800内に保存され得る。例えば、負荷が、システムパワーバス(例えば、メインDCバス)に戻され得、次いで、蓄えられた負荷が、システム構成要素に電力を供給するために使用され得、それによって、全体的なシステム効率が増加する。図9には示されていないが、コントローラ812は、ハイブリッドレドックス燃料電池システムにおいて酸化剤還元の速度を酸化剤再生の速度とバランスさせるための追加の戦略を採用することができる。一実施例では、酸化剤再生反応器温度を上昇させて、酸化剤再生反応器における酸化剤再生反応速度を増加させ得る。
【0144】
方法900に戻って、950において、酸化剤再生速度と酸化剤還元速度とがバランスしていない場合、又は960においてQリサイクルがQリサイクル、TH未満である場合、又は970の後、方法900は、終了する。
【0145】
このようにして、ハイブリッドレドックス燃料電池システムを動作させる方法は、ハイブリッドレドックス燃料電池システムのハイブリッドレドックス燃料セルのカソードと、電気化学セルのアノードと、の間で、液体電解質を再循環させることであって、液体電解質が、より高い酸化状態の金属イオンと、より低い酸化状態の金属イオンと、を含む、再循環させることと、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソードでより高い酸化状態の金属イオンをより低い酸化状態に還元することと、電気化学セルのアノードでより低い酸化状態の金属イオンをより高い酸化状態に酸化することと、を含む。更に、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソードでより高い酸化状態の金属イオンをより低い酸化状態に還元する速度が、電気化学セルのアノードでより低い酸化状態の金属イオンをより高い酸化状態に酸化する速度に等しい。第1の実施例では、方法は、ハイブリッドレドックス燃料セルのアノードに水素を供給することと、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソードでより高い酸化状態の金属イオンをより低い酸化状態に還元しながら、ハイブリッドレドックス燃料セルのアノードで水素を酸化することによって、ハイブリッドレドックス燃料セルから電力を生成することと、を更に含む。任意選択で第1の実施例を含む、第2の実施例では、方法は、電気化学セルのカソードに酸素を供給することと、電気化学セルのアノードでより低い酸化状態の金属イオンをより高い酸化状態に酸化しながら、電気化学セルのカソードで酸素を還元することと、を更に含む。任意選択で第1及び第2の実施例のうちの1つ以上を含む、第3の実施例では、方法は、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソードと電気化学セルのアノードとの間で液体電解質を再循環させることが、液体電解質をハイブリッドレドックス燃料セルのアノードにも電気化学セルのカソードにも流動させることなく、液体電解質をハイブリッドレドックス燃料セルのカソードから電気化学セルのアノードに導くことと、液体電解質を電気化学セルのアノードからハイブリッドレドックス燃料セルのカソードに導くことと、を更に含む。任意選択で第1~第3の実施例のうちの1つ以上を含む、第4の実施例では、方法は、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソードでのより高い酸化状態の金属イオンのより低い酸化状態への還元の速度が、電気化学セルのアノードでより低い酸化状態の金属イオンをより高い酸化状態に酸化する速度よりも高いときに応答して、外部負荷から電気化学セルに供給される電流を増加させることを更に含む。任意選択で第1~第4の実施例のうちの1つ以上を含む、第5の実施例では、方法は、外部負荷から電気化学セルに供給される電流を減少させることによって、電気化学セルのアノードでより低い酸化状態の金属イオンをより高い酸化状態に酸化する速度を減少させることを更に含む。任意選択で第1~第5の実施例のうちの1つ以上を含む、第6の実施例では、方法は、液体電解質を電気化学セルのアノードからハイブリッドレドックス燃料セルのカソードに導くことが、液体電解質の一部分を、液体電解質の一部分を電気化学セルのアノードからハイブリッドレドックス燃料セルのカソードに導く前に、電気化学セルのアノードに戻してリサイクルすることを更に含む。任意選択で第1~第6の実施例のうちの1つ以上を含む、第7の実施例では、方法は、ハイブリッドレドックス燃料セルのカソードの液体電解質中のより高い酸化状態の金属イオンの濃度が閾値濃度未満であることに応答して、電気化学セルのアノードに戻されてリサイクルされる液体電解質の一部分を増加させることを更に含む。
【0146】
図4及び図7は、様々な構成要素の相対的な位置付けを伴う例示的な構成を示す。互いに直接接触しているか、又は直接結合されていることが示されている場合、次いでかかる要素は、少なくとも一実施例では、それぞれ直接接触している又は直接結合されていると呼ばれ得る。同様に、互いに連続するか又は隣接して示される要素は、少なくとも一実施例では、それぞれ連続するか又は互いに隣接し得る。一実施例として、互いに面共有接触で置かれる構成要素は、面共有接触と呼ばれ得る。別の実施例として、少なくとも一例では、互いに離れて位置付けられた要素は、それらの間は空間のみであり、他の構成要素はそのように呼ばれ得ない。更に別の実施例として、互いに上/下に、互いに反対側に、又は互いの左/右に示される要素は、互いに対してそのように呼ばれ得る。更に、図に示されるように、最上部の要素又は要素の点は、少なくとも一実施例では、構成要素の「上部」と呼ばれ得、最下部の要素又は要素の点は、構成要素の「下部」と呼ばれ得る。本明細書において使用される場合、上部/下部、上側/下側、上/下は、図面の垂直軸に対してであり得、互いに対する図面の要素の位置付けを説明するために使用される。したがって、一実施例では、他の要素の上に示される要素は、他の要素の上に垂直に位置付けられる。更に別の実施例として、図面内に描写される要素の形状は、それらの形状(例えば、円形、直線、平面、曲線、丸みを帯びた、面取りされた、角度の付いた、など)を有すると呼ばれ得る。更に、互いに交差して示される要素は、少なくとも一実施例では、交差する要素又は互いに交差する要素と呼ばれ得る。なお更に、一実施例では、別の要素内に示される、又は別の要素の外側に示される要素は、そのように呼ばれ得る。図4及び図7は、およそ縮尺通りに描かれているが、他の寸法又は相対寸法が使用されてもよい。
【0147】
以下の特許請求の範囲は、新規かつ自明ではないとみなされる、ある特定の組み合わせ及びサブ組み合わせを特に指摘している。これらの特許請求の範囲は、「1つの」要素又は「第1の」要素若しくはその等価物を指し得る。かかる特許請求の範囲は、1つ以上のかかる要素の組み込みを含むと理解されるべきであり、2つ以上のかかる要素を要求したり排除したりするものではない。開示された特徴、機能、要素、及び/又は特性の他の組み合わせ及びサブ組み合わせは、本特許請求の範囲の修正を通じて、又は本出願若しくは関連出願における新しい特許請求の範囲の提示を通じて請求され得る。かかる特許請求の範囲は、元の特許請求の範囲に対して範囲がより広いか、より狭いか、等しいか、又は異なるかにかかわらず、また、本開示の主題内に含まれるとみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】