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特表2024-532952変形性関節症の治療及び/又は予防に使用するポリアクリルアミドハイドロゲル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】変形性関節症の治療及び/又は予防に使用するポリアクリルアミドハイドロゲル
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/785 20060101AFI20240903BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
A61K31/785
A61P19/02
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024517507
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2022076016
(87)【国際公開番号】W WO2023041790
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】21197730.1
(32)【優先日】2021-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】524104284
【氏名又は名称】コンチュラ インターナショナル エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンコリナ-スタルク,イエヴァ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086FA03
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA28
4C086MA56
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA96
(57)【要約】
本発明は、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断されたヒトに対して、前記変形性関節症の予防及び/又は治療のために少なくとも26週間使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。こうして、前記変形性関節症患者のサブグループを長期的に予防及び/又は治療することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
KLグレード2及び/又はKLグレード3変形性関節症と診断されたヒトに対して、少なくとも26週間、例えば好ましくは少なくとも52週間など、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、ポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項2】
少なくとも104週間使用する、請求項1に記載のポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項3】
前記ヒトが、KLグレード2の変形性関節症と診断されている、請求項1又は2に記載のポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項4】
前記ヒトが、KLグレード3の変形性関節症と診断されている、請求項1又は2に記載のポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項5】
前記ヒトが女性である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項6】
前記ヒトが男性である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項7】
前記ヒトが70歳未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項8】
前記ヒトが70歳を超える、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項9】
前記ヒトが25未満のBMIを示す、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項10】
前記ヒトが正常に分類されるBMIを示す、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項11】
前記ヒトが過体重として分類されるBMIを示す、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項12】
前記ヒトが肥満に分類されるBMIを示す、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項13】
前記ヒトで、WOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも50%低減する、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項14】
前記ヒトで、WOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも12ポイント低減する、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項15】
前記ヒトで、WOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも20ポイント低減する、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項16】
前記ヒトで、平均WOMAC身体機能性サブスケールにおいて低減がみられる、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項17】
前記ヒトで、平均WOMAC硬直性サブスケールにおいて低減がみられる、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項18】
前記ヒトが過体重に分類されるBMIを示し、かつ前記ヒトが70歳未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項19】
前記ヒトが過体重に分類されるBMIを示し、かつ前記ヒトが70歳を超えている、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項20】
前記ヒトが過体重に分類されるBMIを示し、前記ヒトが男性である、請求項1~4、6~8、及び13~17のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項21】
前記ヒトが70歳を超え、前記ヒトが男性である、請求項1~4、6、及び8~17のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項22】
前記ヒトの約40%に、26週目、好ましくは52週目、例えばさらにより好ましくは104週目などに、前記ヒトのWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも50%の低減がみられた、請求項1~21のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項23】
前記ヒトの約50%に、26週目、好ましくは52週目、例えばさらにより好ましくは104週目などに、前記ヒトのWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも12ポイントの低減がみられた、請求項1~22のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項24】
前記ヒトの約43%に、26週目、好ましくは52週目、例えばさらにより好ましくは104週目などに、前記ヒトのWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも20ポイントの低減がみられた、請求項1~23のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項25】
前記ヒトで、26週目、好ましくは52週目、例えばさらにより好ましくは104週目などに、平均WOMAC身体機能性サブスケールにおいて約20ポイントの低減がみられた、請求項1~24のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項26】
前記ヒトで、26週目、好ましくは52週目、例えばさらにより好ましくは104週目などに、平均WOMAC硬直性サブスケールにおいて約18ポイントの低減がみられた、請求項1~25のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項27】
前記ポリアクリルアミドハイドロゲルの弾性率が約10Paを超える、請求項1~26のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項28】
前記ポリアクリルアミドハイドロゲルのpHが約5よりも高い、請求項1~27のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項29】
前記ポリアクリルアミドハイドロゲルの弾性率が約10Paを超え、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルのpHが約5を超える、請求項1~28のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項30】
無菌条件下、注射により投与する、請求項1~29のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項31】
0.1~20mlの前記ポリアクリルアミドハイドロゲルを注射により関節内腔に投与する、請求項1~30のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項32】
前記ポリアクリルアミドハイドロゲルを無菌条件下、注射により関節内腔に少なくとも1回投与する、請求項1~31のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項33】
約6.0mlの前記ポリアクリルアミドハイドロゲルを無菌条件下、注射により関節内腔に少なくとも1回投与する、請求項1~32のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【請求項34】
約3.0mlの前記ポリアクリルアミドハイドロゲルを無菌条件下、注射により関節内腔に少なくとも1回又は2回投与する、請求項1~33のいずれか一項に記載の使用するポリアクリルアミドハイドロゲル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断されたヒトに対して、前記変形性関節症の予防及び/又は治療のために少なくとも26週間使用する、ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【背景技術】
【0002】
変形性関節症(OA)は、その治療法がまだ知られていない、疼痛を伴う衰弱性の関節疾患である。当該関節症では、発熱、疼痛、腫れ、クレピタス(皮膚下でパチパチやカサカサ音を立てる、又は不快な感覚)及び影響を受けた関節の可動域が減少する、といった特徴がある。ヒトの場合、手、膝、股、脊椎、その他の関節に影響が及ぶ。
【0003】
あらゆる種類のヒトOAに共通する症状には、様々なレベルの疼痛が含まれる。疼痛の症状については、例えばNSAIDなどの抗炎症薬で治療できる。他に、その影響を受けた関節に直接ステロイドを注射できる場合がある。具体的な治療法は、該OAの根本的な原因によって異なる。既存の様々な種類の治療法に共通することは、それらすべてに欠点、例えば、治療期間が短いこと、毒性、副作用などがあるという点である。
【0004】
関節内補充とは、関節にゲル状の物質を注入するプロセスを意味する。この物質は関節液への添加物としてとらえられており、これにより軟骨が潤滑化されるので、関節の柔軟性が向上する。ただし、現在使用されている物質は数週間から数か月で分解されるため、その効果は一時的であり、この治療法では継続的な注射が必要となる。この関節内補充に使用される物質としては、ヒアルロン酸、又はHA(Legend(登録商標)、Hylartin(登録商標)、Synacid(登録商標)、Synvisc、Synvisc-One、Euflexxa、Supartzなど)及び例えばAdequan(登録商標)などの多硫酸化グリコサミノグリカン(PSGAGS)が挙げられる。
【0005】
WO02/16453には、例えば皮膚治療用のポリアクリルアミドハイドロゲル(PAAG)の使用が開示されており、その治療は前記ハイドロゲルの潤滑効果と緩衝効果に基づくものであると考えられている。WO2012/123385では、関節炎を患う哺乳動物における関節腫れ及び/又は骨浮腫を治療及び/又は予防するPAAGの使用が開示されている。しかし、WO02/16453及びWO2012/123385のいずれにおいても、哺乳動物におけるKLグレード2及び/又は3の変形性関節症の予防及び/又は治療については開示されていない。「抄録/変形性関節症及び軟骨29(2021)S10‐S432」には、臨床研究結果が部分的に開示されている(参照番号:H-19031685、デンマーク保健当局管轄下、(NCT04179552)に登録)。この抄録には、KLグレード2~4の膝OA患者に、PAAGを6ml、関節内(IA)に注射することが開示されており、4、12、26、及び52週間後の結果を観察している。しかし、当該抄録には、哺乳動物におけるKLグレード2及び/又は3の特定のサブグループに対して、変形性関節症の予防及び/又は治療することについては開示されていない。また、当該抄録には長期治療(104週間)については開示されておらず、WOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも50%低減することについても開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既存の様々な種類の治療法に共通することは、それらすべてに欠点、例えば、治療が短期であること、毒性、副作用などがあるという点である。
【0007】
よって、ヒトのOAを予防及び/又は治療する代替方法又は改善方法、好ましくは長期治療できる方法が求められている。また、哺乳動物のOAに伴う疼痛を予防及び/又は治療する、好ましくは長期治療できる、代替方法又は改善方法も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の課題は、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断されたヒトに対して、少なくとも26週間、好ましくは少なくとも52週間、該変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、ポリアクリルアミドハイドロゲルを提供することに関する。
【0009】
したがって、本発明の課題は、KLグレード2の変形性関節症と診断されたヒトに対して、少なくとも26週間、好ましくは少なくとも52週間、該変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、ポリアクリルアミドハイドロゲルを提供することに関する。
【0010】
したがって、本発明の課題は、KLグレード3の変形性関節症と診断されたヒトに対して、少なくとも26週間、好ましくは少なくとも52週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、ポリアクリルアミドハイドロゲルを提供することに関する。
【0011】
したがって、本発明の課題は、KLグレード2の変形性関節症と診断されたヒトに対して、少なくとも52週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、ポリアクリルアミドハイドロゲルを提供することに関する。
【0012】
したがって、本発明の課題は、KLグレード3の変形性関節症と診断されたヒトに対して、少なくとも52週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、ポリアクリルアミドハイドロゲルを提供することに関する。
【0013】
したがって、本発明の課題は、KLグレード4の変形性関節症と診断されたヒトに対して、少なくとも52週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、ポリアクリルアミドハイドロゲルを提供することに関する。
【0014】
したがって、本発明の課題は、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断されたヒトに対して、少なくとも26週間、好ましくは少なくとも104週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、ポリアクリルアミドハイドロゲルを提供することに関する。
【0015】
したがって、本発明の課題は、KLグレード2の変形性関節症と診断されたヒトに対して、少なくとも104週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、ポリアクリルアミドハイドロゲルを提供することに関する。
【0016】
一つの実施形態において、本発明は、KLグレード3の変形性関節症と診断されたヒトに対して、少なくとも104週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0017】
本発明の別の課題は、KLグレード4の変形性関節症と診断されたヒトに対して、少なくとも26週間、好ましくは少なくとも52週間、例えばさらに好ましくは少なくとも104週間などに、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、ポリアクリルアミドハイドロゲルを提供することに関する。
【0018】
本発明のさらに他の課題は、KLグレード4の変形性関節症と診断されたヒトに対して、少なくとも104週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、ポリアクリルアミドハイドロゲルを提供することに関する。
【0019】
特に、表11B、12B、13B、16及び17には、26週、52週及び104週において、KLグレード2及びKLグレード3の被験者のWOMAC疼痛が、KLグレード4のサブグループと比較して、より軽減されていることが示されている。
【0020】
さらに、本発明の課題は、ヒトが女性であり、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも26週間、好ましくは少なくとも52週間、より好ましくは少なくとも104週間、前記変前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、ポリアクリルアミドハイドロゲルを提供することに関する。表18Bには、これらの特定の女性サブグループのWOMAC疼痛データが開示される。
【0021】
さらに、本発明の課題は、ヒトが男性であり、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも26週間、好ましくは少なくとも52週間、より好ましくは少なくとも104週間、変前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、ポリアクリルアミドハイドロゲルを提供することに関する。表18Cには、これらの特定の男性サブグループのWOMAC疼痛データが開示される。
【0022】
特に、本発明の課題は、変形性関節症KLグレード2及び/又はKLグレード3と診断された変形性関節症の患者を予防及び/又は治療する改良方法又は代替的な方法であって、前記変形性関節症KLグレード2及び/又はKLグレード3の患者に対する、例えば長期的又は持続的な疼痛の軽減不足という、上述した従来技術の問題点を解決又は低減する方法を提供することである。特に、表11B、12B、13B、16及び17には、これらの驚くべき結果が示されている。
【0023】
さらに、本発明のさらなる課題は、例えば70歳以下である患者、及び/又は25未満のBMIを示す患者、及び/又は特に男性患者などの特定のサブグループに属する変形性関節症患者の前記変形性関節症を予防及び/又は治療する改善方法又は代替方法を提供することである。
【0024】
さらに、本発明のさらなる課題は、例えば70歳以下であり、及び/又はBMIが25未満であり、及び/又は特に女性患者などの特定のサブグループに属する変形性関節症患者の前記変形性関節症を予防及び/又は治療する改良方法又は代替の方法を提供することである。
【0025】
さらに、本発明のさらなる課題は、例えば70歳未満であり、過体重に分類されるBMIを示す患者などの特定のサブグループに属する変形性関節症患者の前記変形性関節症を予防及び/又は治療する改善方法又は代替方法を提供することである。特に、表35には、それらの驚くべき効果が示される。
【0026】
また、本発明の課題は、例えば70歳を超え、過体重に分類されるBMIを示す患者などの特定のサブグループに属する変形性関節症患者の前記変形性関節症を予防及び/又は治療する改善方法又は代替の方法を提供することである。特に、表36には、それらの驚くべき効果が示される
【0027】
さらに、本発明のさらなる課題は、例えば70歳を超える男性患者などの特定のサブグループに属する変形性関節症患者の前記変形性関節症を予防及び/又は治療する改良方法又は代替の方法を提供することである。特に、表37には、それらの驚くべき効果が示される。
【0028】
さらに、本発明の課題は、例えば過体重に分類されるBMIを示す男性患者などの、特定のサブグループに属する変形性関節症患者の前記変形性関節症を予防及び/又は治療する改善方法又は代替の方法を提供することである。特に、表38には、それらの驚くべき効果が示される。
【0029】
一実施形態において、本発明は、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断されたヒトに対して、少なくとも52週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0030】
一実施形態において、本発明は、ヒトで、WOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも50%の低減がみられる、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0031】
本発明の一実施形態は、前記ヒトの約40%に、26週目、好ましくは52週目、例えばさらに好ましくは104週目などに、前記ヒトのWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも50%の低減がみられる、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。好ましくは、前記ヒトの約41%、例えば42%など、例えば43%など、例えば44%など、例えば45%など、例えば50%など、例えば55%などに、26週目、好ましくは52週目、例えばさらに好ましくは104週目などに、前記ヒトのWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも50%の低減がみられた。
【0032】
他の実施形態において、本発明は、前記ヒトで、WOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも12ポイントの低減がみられる、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0033】
本発明の一実施形態は、前記ヒトの約50%に、26週目に、好ましくは52週目に、例えばさらに好ましくは104週目などに、前記ヒトのWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも12ポイントの低減が見られる、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。好ましくは、前記ヒトの約51%、例えば52%など、例えば53%など、例えば54%など、例えば55%など、例えば56%など、例えば57%など、例えば58%など、例えば59%など、例えば60%などに、26週目、好ましくは52週目、例えばさらに好ましくは104週目などにおいて、前記ヒトのWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも12ポイントの低減がみられた。
【0034】
他の実施形態において、本発明は、前記ヒトで、WOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも20ポイントの低減がみられる、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0035】
本発明の一実施形態は、前記ヒトの約43%に、26週目に、好ましくは52週目に、例えばさらに好ましくは104週目などに、前記ヒトのWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも20ポイントの低減がみられる、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。好ましくは、前記ヒトの約37%で、例えば38%など、例えば39%など、例えば40%など、例えば41%など、例えば42%など、例えば43%など、例えば44%など、例えば45%など、例えば46%など、例えば47%など、例えば48%など、例えば49%など、例えば50%などに、26週目、好ましくは52週目、例えばさらに好ましくは104週目などにおいて、前記ヒトのWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも20ポイントの低減がみられた。
【0036】
他の実施態様において、本発明は、前記ヒトで、平均WOMAC身体機能性サブスケールにおいて低減がみられる、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0037】
他の実施形態において、本発明は、前記ヒトで、平均WOMAC硬直性サブスケールにおいて低減がみられる、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0038】
本発明の一実施形態は、前記ヒトで、26週目、好ましくは52週目、例えばさらに好ましくは104週目などに、平均WOMAC身体機能性サブスケールにおいて約20ポイントの低減がみられる、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0039】
本発明の一実施形態は、前記ヒトで、26週目に、好ましくは52週目に、例えばさらに好ましくは104週目などに、平均WOMAC硬直性サブスケールにおいて約18ポイントの低減がみられる、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0040】
他の実施態様において、本発明は、前記ヒトが70歳以下である、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0041】
他の実施態様において、本発明は、前記ヒトが70歳未満である、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0042】
他の実施態様において、本発明は、前記ヒトが70歳を超える、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0043】
他の実施形態において、本発明は、前記ヒトが25未満のBMIを示す、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0044】
他の実施形態において、本発明は、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルの弾性率が約10Paを超える、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0045】
他の実施態様において、本発明は、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルのpHが約5より高い、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0046】
他の実施態様において、本発明は、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルの弾性率が約10Paを超え、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルの前記pHが約5よりも高い、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0047】
他の実施態様において、本発明は、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルを無菌条件下、注射により投与する、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0048】
他の実施態様において、本発明は、0.1~20mlの前記ポリアクリルアミドハイドロゲルを注射により関節内腔に投与する、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0049】
他の実施態様において、本発明は、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルを無菌条件下、注射により関節内腔に少なくとも1回投与する、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0050】
他の実施態様において、本発明は、約6.0mlの前記ポリアクリルアミドハイドロゲルを無菌条件下、注射により関節内腔に少なくとも1回投与する、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0051】
別の実施態様において、本発明は、約3.0mlの前記ポリアクリルアミドハイドロゲルを無菌条件下、注射により関節内腔に少なくとも1回又は2回投与する、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0052】
本発明の一実施形態は、ヒトが正常に分類されるBMIを示し、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも26週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0053】
本発明の一実施形態は、ヒトが正常に分類されるBMIを示し、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも52週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0054】
本発明の一実施形態は、ヒトが正常に分類されるBMIを示し、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも104週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0055】
本発明の一実施形態は、ヒトが過体重に分類されるBMIを示し、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも26週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0056】
本発明の一実施形態は、ヒトが過体重に分類されるBMIを示し、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも52週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0057】
本発明の一実施形態は、ヒトが過体重に分類されるBMIを示し、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも104週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0058】
本発明の一実施形態は、ヒトが肥満に分類されるBMIを示し、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも26週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0059】
本発明の一実施形態は、ヒトが肥満に分類されるBMIを示し、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも52週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0060】
本発明の一実施形態は、ヒトが肥満に分類されるBMIを示し、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも104週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0061】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトが70歳を超える又は好ましくは70歳未満で、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも26週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0062】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトが70歳を超える又は好ましくは70歳未満で、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも52週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0063】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトが70歳を超える又は好ましくは70歳未満で、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも104週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0064】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトが70歳を超え、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも26週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0065】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトが70歳を超え、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも52週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0066】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトが70歳を超え、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも104週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0067】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトが正常に分類されるBMIを示し及び前記ヒトが70歳以下又は好ましくは70歳未満で、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも26週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0068】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトが正常に分類されるBMIを示し及び前記ヒトが70歳以下又は好ましくは70歳未満で、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも52週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0069】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトが正常に分類されるBMIを示し及び70歳以下又は好ましくは70歳未満で、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも104週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0070】
さらなる実施形態において、ヒトが男性で、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも26週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0071】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトが男性で、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも52週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0072】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトが男性で、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも104週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0073】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトが女性で、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも26週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0074】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトが女性で、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも52週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0075】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトが女性で、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも104週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0076】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトが正常に分類されるBMIを示し及び前記ヒトが70歳以下の男性で、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも26週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0077】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトが正常に分類されるBMIを示し及び前記ヒトが70歳以下の男性で、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも52週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0078】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトが正常に分類されるBMIを示し及び前記ヒトが70歳以下の女性で、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも26週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0079】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトが正常に分類されるBMIを示し及び前記ヒトが70歳以下の女性で、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも52週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0080】
他の態様において、本発明は、ヒトが正常なBMIを示し、前記ヒトに対して、少なくとも26週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0081】
他の態様において、本発明は、ヒトが正常なBMIを示し、前記ヒトに対して、少なくとも52週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0082】
他の態様において、本発明は、ヒトが正常なBMIを示し、前記ヒトに対して、少なくとも104週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0083】
さらに他の態様において、本発明は、ヒトが70歳以下又は好ましくは70歳未満で、前記ヒトに対して、少なくとも26週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0084】
他の態様において、本発明は、ヒトが70歳以下又は好ましくは70歳未満で、前記ヒトに対して、少なくとも52週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0085】
他の態様において、本発明は、ヒトが70歳以下又は好ましくは70歳未満で、前記ヒトに対して、少なくとも104週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0086】
他の態様において、本発明は、ヒトが正常なBMIを示し及び前記ヒトが70歳以下又は好ましくは70歳未満で、前記ヒトに対して、少なくとも26週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0087】
他の態様において、本発明は、ヒトが正常なBMIを有し及び前記ヒトが70歳以下又は好ましくは70歳未満で、前記ヒトに対して、少なくとも52週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0088】
他の態様において、本発明は、ヒトが正常なBMIを示し及び前記ヒトが70歳以下又は好ましくは70歳未満で、前記ヒトに対して、少なくとも104週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0089】
さらなる他の態様において、本発明は、ヒトが男性で、前記ヒトに対して、少なくとも26週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0090】
さらなる他の態様において、本発明は、ヒトが男性で、前記ヒトに対して、少なくとも52週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0091】
さらなる他の態様において、本発明は、ヒトが男性で、前記ヒトに対して、少なくとも104週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0092】
さらなる他の態様において、本発明は、ヒトが女性で、前記ヒトに対して、少なくとも26週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0093】
さらなる他の態様において、本発明は、ヒトが女性で、前記ヒトに対して、少なくとも52週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0094】
さらなる他の態様において、本発明は、ヒトが女性で、前記ヒトに対して、少なくとも104週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0095】
他の態様において、本発明は、ヒトが正常なBMIを示し及び前記ヒトが70歳以下又は好ましくは70歳未満の男性で、前記ヒトに対して、少なくとも26週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0096】
他の態様において、本発明は、ヒトが正常なBMIを示し及び前記ひとが70歳以下又は好ましくは70歳未満の男性で、前記ヒトに対して、少なくとも52週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0097】
他の態様において、本発明は、ヒトが正常なBMIを示し及び前記ヒトが70歳以下又は好ましくは70歳未満の男性で、前記ヒトに対して、少なくとも104週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0098】
さらなる他の態様において、本発明は、ヒトが正常なBMIを示し及び前記ヒトが70歳以下又は好ましくは70歳未満の女性で、前記ヒトに対して、少なくとも26週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0099】
さらなる他の態様において、本発明は、ヒトが正常なBMIを示し及び前記ヒトが70歳以下又は好ましくは70歳未満の女性で、前記ヒトに対して、少なくとも52週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0100】
他の態様において、本発明は、ヒトが正常なBMIを示し及び前記ヒトが70歳以下又は好ましくは70歳未満の女性で、前記ヒトに対して、少なくとも104週間の変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0101】
さらなる他の態様において、本発明は、ヒトが70歳未満で過体重に分類されるBMIを示し、前記ヒトに対して、少なくとも26週間、好ましくは例えば52週間など、又は最も好ましくは104週間、変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0102】
さらに、他の態様において、本発明は、ヒトが70歳超で過体重に分類されるBMIを示し、前記ヒトに対して、少なくとも26週間、好ましくは例えば52週間、又は最も好ましくは104週間、変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0103】
さらに、他の態様において、本発明は、ヒトが過体重に分類されるBMIを示し及び前記ヒトが男性で、前記ヒトに対して、少なくとも26週間、好ましくは例えば52週間、又は最も好ましくは104週間、変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0104】
さらに、他の態様において、本発明は、ヒトが70歳を超え及び前記ヒトが男性で、前記ヒトに対して、少なくとも26週間、好ましくは例えば52週間、又は最も好ましくは104週間、変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0105】
他の態様において、本発明は、本発明に係る組成物をヒトに投与することを含む、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも26週間、好ましくは少なくとも52週間、又はより好ましくは少なくとも104週間、前記変形性関節症を治療する方法に関する。
【0106】
さらなる他の態様において、本発明は、変形性関節症の予防及び/又は治療するための医薬を調製するにあたり、本発明の組成物を、KLグレード2及び/又はKLグレード3の前記変形性関節症と診断されたヒトに対して、少なくとも26週間、好ましくは例えば52週間、又は最も好ましくは104週間使用することに関する。
【0107】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0108】
前記ハイドロゲルは、参照により本明細書に援用するWO02/16453に記載されているように調製してよい。以下、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルをPAAGと略記することがある。
【0109】
本発明のポリアクリルアミドハイドロゲル(PAAG)は、参照により本明細書に援用するWO02/16453、さらにWO2012/123385に記載されているように調製する。前記PAAGは、WO02/16453及びWO2012/123385に記載されているあらゆるハイドロゲルの実施態様を含んでよい。PAAGの製造については、実施例のセクションにて詳しく記載する。本発明に係るPAAGの市販版は、Contura社製のArthrosamid(登録商標)である。
【0110】
好ましくは、前記ハイドロゲルは、前記ハイドロゲルの総重量に対して、0.5~25重量%のポリアクリルアミドを含む。前記ハイドロゲルは、通常、さらに少なくとも75重量%のパイロジェンフリー水又は生理食塩水、好ましくはパイロジェンフリー水を含む。
【0111】
前記ハイドロゲルは、アクリルアミドと架橋モノマーとを組み合わせ、ラジカル発生により重合を開始させ;そしてパイロジェンフリー水又は生理食塩水で洗浄することにより得ることができ、前記の量的組み合わせと前記洗浄とによって、前記ハイドロゲルの総重量に対して、例えば約0.5~25重量%のポリアクリルアミドなどが得られる。このようにして得られた前記ハイドロゲルは、生体安定性及び生体適合性を示し、体内で再吸収されない。
【0112】
典型的には、前記ハイドロゲルは、アクリルアミドと例えばN,N‘-メチレンビスアクリルアミドなどの架橋剤とを150:1~1000:1のモル比で組み合わせることによって得られる。例えばN,N’-メチレンビスアクリルアミドなどの架橋剤などはポリマー鎖間に架橋を形成し、前記モル比を変えることにより、様々な架橋密度を有する前記ハイドロゲルを得ることができる。前記ハイドロゲルを得るための条件は、例えば、前記ハイドロゲルを注入しようとする関節、腱、靭帯、組織などの性状に応じて変更することができる。例えば弾性などといった、所望するレオロジー特性の少なくとも一部を前記ハイドロゲルの固形重量含量により制御することができる。本発明のハイドロゲルは、前記ハイドロゲルの総重量に対して、約0.5~25重量%のポリアクリルアミドを含む。本発明の好適な実施形態において、前記ハイドロゲルは、前記ハイドロゲルの総重量に対して、15重量%未満のポリアクリルアミド、好ましくは10重量%未満、より好ましくは7.5重量%未満、さらに好ましくは5重量%未満、最も好ましくは前記ハイドロゲルの総重量に対して、3.5重量%未満のポリアクリルアミドを含む。
【0113】
好ましい実施形態において、本発明のハイドロゲルは、ポリアクリルアミドの固形重量含量が前記ハイドロゲルの総重量に対して、約0.5~20重量%であり、例えば約0.5~15重量%など、例えば約0.5~10重量%など、例えば約0.5~5重量%など、例えば約1.0~5重量%など、例えば約1.5~5重量%など、例えば約2.0~5重量%など、例えば約2.5~5重量%など、例えば約3.0~5重量%など、例えば約3.5~5重量%など、例えば約4.0~5重量%など、例えば約1.0~4.5重量%など、例えば約1.5~4.5重量%など、例えば約1.5~4重量%など、例えば約1.5~3.5重量%など、例えば約2.0~3.5重量%など、例えば約2.0~3.0重量%など、又は例えば約2.2~2.8重量%などである。より好ましい実施形態において、本発明のハイドロゲルは、ポリアクリルアミドの固形重量含量が前記ハイドロゲルの総重量に対して、約2.0~3.0重量%である。さらに好ましい実施形態において、本発明のハイドロゲルは、ポリアクリルアミドの固形重量含量が前記ハイドロゲルの総重量に対して、約2.2~2.8重量%である。本明細書において、用語「固形重量含量」は、用語「乾燥物含量」と相互互換的に使用できる。
【0114】
前記組み合わせには、構成成分試薬のアクリルアミドと例えばN,N’-メチレンビスアクリルアミドなどの架橋剤とを組み合わせることが含まれ、通常は脱気され、通常はオペレーターの接触を最小限に抑える方法で行われる。前記試薬成分は、必要に応じて事前に混合して不活性混合物を形成してもよい。前記不活性混合物とは、構成成分試薬間で化学反応が進行しない混合物のことを言う。前記組み合わせには、アクリルアミド、例えばN,N’-メチレン-ビス-アクリルアミドなどの架橋剤、及びラジカル開始剤成分を組み合わせて重合を開始することが含まれる。好適な実施形態では、アクリルアミド、例えばN,N’-メチレン-ビス-アクリルアミドなどの架橋剤、及びN,N,N’,N’-テトラメチレン-エチレンジアミン(TEMED)の不活性予備混合物と、過硫酸アンモニウム(AMPS)開始剤溶液とを組み合わせて使用する。ただし、前記成分を、それぞれ単一物として、又は別の複数の予備混合物として組み合わせてもよい。
【0115】
アクリルアミドと例えばN,N’-メチレン-ビス-アクリルアミドなどの架橋剤は、約150:1~1000:1、典型的には約150:1~900:1、好ましくは約175:1~800:1、より好ましくは約200:1~600:1、最も好ましくは250:1~600:1、のモル比で好適に組み合わされる。表2及び3に示すように、異なる固形分重量及びレオロジー特性を有する前記ハイドロゲルを、該モル比を調節しつつ調製することができる。所望のレオロジー特性を有する前記ハイドロゲルは、アクリルアミドとN,N’-メチレンビスアクリルアミドとを、約250:1、約260:1、約270:1、約280:1、約290:1、約300:1、約310:1、約320:1、約330:1、約340:1、約350:1、約360:1、約370:1、約380:1、約390:1、約400:1、約410:1、約420:1、約430:1、約440:1、約450:1、約460:1、約470:1、約480:1、約490:1及び約500:1、の比率で組み合わせることによって得られる。
【0116】
特に、前記ハイドロゲルを関節、腱、又は靱帯に注入するような実施形態では、前記ハイドロゲルの弾性が大きく関係する。当業者であれば、意図した用途に適した弾性を有するハイドロゲルを得る方法については認識ずみのはずである。低、中、高弾性のハイドロゲルの調製について説明する以下の実施例も参照のこと。
【0117】
前記PAAGは、形成された後に物理的及び化学的に安定なことが重要となる。実際、前記重合プロセスからの分解生成物(硫酸塩)は4ppm未満であり、前記重合プロセスが終了すると、前記PAGGは組織に注入された後も物理的及び化学的に安定な状態にある。
【0118】
前記ゲルは組織内でも化学的及び物理的に安定しており、前記組織内でまったく分解されないため、浸出性生成物を放出せず、永続的である。前記PAAGハイドロゲルは時間が経っても分解せず(つまり、永続的)、繊維と血管の内方成長を可能とする。したがって、本発明のPAAGハイドロゲルは、非分解性であり、安全に使用でき、かつ非毒性である、すなわち、時間が経っても有毒成分を放出しない。
【0119】
前記ハイドロゲルは、少なくとも75重量%のパイロジェンフリー水又は生理食塩水を含み、好ましくはパイロジェンフリー水を含む。本発明の好適な実施形態では、前記ハイドロゲルは、少なくとも80重量%のパイロジェンフリー水又は生理食塩水を含み、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95重量%のパイロジェンフリー水又は生理食塩水を含む。
【0120】
好適な生理食塩水の浸透圧は間質液のそれと同等である。好適な生理食塩水としては、0.25~1%塩化ナトリウム水溶液、リンガー・ロックアート溶液、アール溶液、ハンクス溶液、イーグル培地、0.25~1%グルコース溶液、塩化カリウム溶液及び塩化カルシウム溶液、を含む群が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、前記生理食塩水は0.8~1%塩化ナトリウム水溶液、例えば0.8、0.9又は1%などの塩化ナトリウム水溶液、最も好ましくは約0.9%塩化ナトリウム水溶液である。
【0121】
当業者にとっては明らかなように、生理食塩水を、前記PAAGの調製及び/又は前記PAAGの洗浄のいずれかにおいて使用する実施形態では、前記PAAGの固形分重量含有量は、前記ポリアクリルアミドの寄与分よりも高くなるが、通常、さらに1%を超えることはない。
【0122】
本発明の特に好適な実施形態では、前記ハイドロゲルは、前記ハイドロゲルの総重量に対して、約2.5重量%のポリアクリルアミドと約97.5%のパイロジェンフリー水を含む。
【0123】
洗浄プロセスでは、前記ハイドロゲルの洗浄にパイロジェンフリー水又は生理食塩水が使用される。前記洗浄プロセスは、微量成分を除くすべてのモノマーアクリルアミド及び例えばN,N’-メチレンビスアクリルアミドなどの架橋剤を除去する役割を部分的に担う。これらのモノマーは前記患者にとって有毒であるだけでなく、前記ハイドロゲルの安定性にも悪影響を及ぼす。前記洗浄プロセスは、好ましくは、前記残存モノマーアクリルアミド及び架橋剤、例えばN,N’-メチレンビスアクリルアミドなどの濃度が50ppm未満、より好ましくは40ppm未満、例えば30ppm未満など、最も好ましくは20ppm未満、典型的には10ppm未満、特に好ましくは5ppm未満、さらにより好ましくは1.5ppm未満、となるようなプロセスである。
【0124】
本発明に係るハイドロゲルは、N,N’-メチレン-ビス-アクリルアミド、N,N’-エチレンービス-アクリルアミド、エチレン-ビス(オキシエチレンニトリル)四酢酸オキシド、エチレン-ビス-(オキシエチレンニトリル)四酢酸及びそれらの混合物からなる群から選択される架橋剤を含有してもよい。一実施形態では、前記架橋剤は、N,N’-メチレン-ビス-アクリルアミド、N,N’-エチレン-ビス-アクリルアミド、及びそれらの混合物からなる群から選択される。さらなる実施形態では、前記架橋剤はN,N’-メチレン-ビス-アクリルアミドである。
【0125】
上述したように、本発明の一態様は、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断されたヒトに対して、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に少なくとも26週間、例えば好ましくは少なくとも52週間など使用する、ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0126】
上記したように、変形性関節症(OA)は、その治療法が知られていない、疼痛を伴う衰弱性の関節疾患である。この疾患には、発熱、疼痛、腫れ、クレピタス(皮膚下でパチパチやカサカサ音を立てる、又は不快な感覚)を伴い、さらに影響を受けた関節の可動域が減少するという特徴がある。ヒトの場合、手、膝、股関節、脊椎、その他の関節に影響が及ぶ。医師は、患者の前記OAのステージを、サブグループ、つまりKLグレード0~4に分類することができる。
【0127】
KLとは「変形性関節症のケルグレン・ローレンス分類」の略称である。KLとは、医師が放射線学的評価によって患者のOAの重症度を診断するのに使用する、よく知られた格付けスケールである。この格付けスケールにより、医師は患者を明確に定義されたサブグループに分けることができる。これにより、患者の前記OA重症度が評価され、患者は以下分類スケールに従ってそれぞれのKLグレードのグループに分類される。
KLグレード0(正常):X線写真上、変形性関節症の兆候は認められない。
KLグレード1(疑わしい/疑問の余地あり):関節腔の狭小化が疑われ、骨増殖性骨棘形成の可能性あり
KLグレード2(最小):明確な骨棘があり、関節腔が狭くなる可能性あり。
KLグレード3(中等度):中等度の多発性骨棘形成、明らかな関節空間の狭窄、及びある程度の硬化症、及び骨端の変形の可能性あり。
KLグレード4(重度):大きな骨棘形成、顕著な関節空間の狭窄、重度の硬化症、及び明らかな身体変形。
【0128】
よって、本発明によれば、例えば、「KLグレード2及び/又は3」とは、ケルグレン・ローレンス分類における変形性関節症グレード2及び/又は3を指し、すなわち、軽度又は中等度のOAを患う患者のサブグループを指す。簡便のために、KLグレード2を単に「KL2」、KLグレード3を単に「KL3」などと表記する場合がある。
【0129】
「KLグレード2-3」又は「KL2-3」とは、KLグレード2及びKLグレード3の各サブグループを1つに合わせた後のグループを意味する。
【0130】
驚くべきことに、本発明者らは、例えば、表11~13、16及び17のデータで明確に示されているように、例えばKLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断されたヒトのサブグループなど、OAに罹患しているヒトの個々のサブグループに対して、ポリアクリルアミドハイドロゲル(PAAG)が前記OAの予防及び/又は治療に特に有用であることを発見した。
【0131】
したがって、好ましい実施形態において、本発明は、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断されたヒトに対して、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に少なくとも52週間使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。前記データは、そのような効果が少なくとも52週間続くことを明確に示している(例、表11~13、16及び17に記載)。
【0132】
したがって、好ましい実施形態において、本発明は、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断されたヒトに対して、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に少なくとも104週間使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0133】
驚くべきことに、本発明者らは、例えば、表11~13、16及び17のデータで明確に示されているように、KLグレード2のOAと診断されたヒトの個々のサブグループに対して、ポリアクリルアミドハイドロゲル(PAAG)がOAの予防及び/又は治療に特に有用であることを発見した。
【0134】
驚くべきことに、本発明者らは、例えば、表11~13、16及び17のデータで明確に示されているように、KLグレード3のOAと診断されたヒトの個々のサブグループに対して、ポリアクリルアミドハイドロゲル(PAAG)がOAの予防及び/又は治療に特に有用であることを発見した。
【0135】
一実施形態において、本発明は、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断されたヒトに対して、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に少なくとも4週間、又は例えば少なくとも12週間など、例えば少なくとも78週間など、例えば約1.5年など、例えば少なくとも104週間若しくは約2年など、例えば最大で少なくとも約260週間若しくは少なくとも約5年など使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0136】
本発明によれば、疼痛は、ウェスタンオンタリオ大学及びマクマスター大学関節炎インデックス(WOMAC)を使用して評価される。これは、疼痛、硬直性、関節機能性を含む、膝と股の変形性関節症に罹患する患者の状態を評価するうえで医療専門家が使用する、独自の標準化された質問票のセットである。したがって、前記WOMACは、ヒトの膝、股、肘、手と足の中手指節関節及び指節間関節、種子骨関節及び/又は顎関節の疼痛を評価するのに使用される。
【0137】
一実施形態において、本発明は、前記ヒトで、WOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも50%の低減がみられる、又は例えばWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも45%などの低減、又はWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも40%の低減、又はWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも35%の低減、又はWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも30%の低減、又はWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも25%の低減、又はWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも20%の低減、又はWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも15%の低減、又はWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも10%の低減、又はWOMAC疼痛サブスケールにおいて10~50%の低減、又はWOMAC疼痛サブスケールにおいて20~50%の低減、又はWOMAC疼痛サブスケールにおいて30~50%の低減、又はWOMAC疼痛サブスケールにおいて30~40%の低減、がみられる、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。尚、WOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも30~40%の低減がみられることは、非常に満足のいく結果であると考えられる。
【0138】
したがって、本発明の一実施形態は、ヒトでWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも50%の低減がみられ、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断される前記ヒトに対して、少なくとも26週間、好ましくは例えば少なくとも52週間など、例えばさらにより好ましくは少なくとも104週間などに、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。例えば、表11A及び11Bには、少なくとも50%の低減効果を実証するデータが示される。
【0139】
WOMAC疼痛サブスケール:前記WOMACは、疼痛(5つの質問)、硬直性(2つの質問)、及び身体機能性(17の質問)の3つのサブスケールで構成される。前記サブスケールのスコアは様々で、疼痛の範囲は0~20ポイント;硬直性については0~8ポイント、身体機能性については0~68ポイントである。ここで、スコアが高いほど、疼痛、硬直性、身体機能性の悪化を示す。
【0140】
他の実施形態では、本発明は、前記ヒトに対して、WOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも12ポイントの低減がみられ、又は例えば少なくとも5ポイントなど、例えば少なくとも7ポイントの低減など、例えば少なくとも9ポイントなど、例えば少なくとも11ポイントなど、例えば少なくとも13ポイントなど、例えば少なくとも15ポイントなど、例えば少なくとも17ポイントなど、例えば少なくとも19ポイントなど、又は例えば5~20ポイントなど、例えば7~20ポイントなど、例えば9~20ポイントなど、例えば11~20ポイントなど、例えば13~20ポイントなど、例えば15~20ポイントなど、例えば前記ヒトに対して、WOMAC疼痛サブスケールにおいて17~20ポイントなどの低減がみられる、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。例えば、表11A及び11Bに、少なくとも12ポイントの効果が実証されたデータを示す。
【0141】
好ましい実施形態において、本発明は、前記ヒトに対して、WOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも20ポイントの低減がみられる、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。例えば、表13A及び13Bに、少なくとも20ポイントの効果が実証されたデータを示す。
【0142】
好ましくは、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断されたヒトに対して、WOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも12又は20ポイントの低減がみられる。
【0143】
したがって、本発明の一実施形態は、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断されたヒトに対して、少なくとも26週間、好ましくは少なくとも52週間、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用することによって、WOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも12又は20ポイントの低減がみられる、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0144】
したがって、本発明の一実施形態は、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断されたヒトに対して、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に少なくとも104週間使用することによって、WOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも12又は20ポイントの低減がみられる、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0145】
本発明の他の実施形態は、前記ヒトに対して、平均WOMAC身体機能性サブスケールにおいて低減がみられる、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。平均WOMAC身体機能性サブスケールにおいて前記低減がみられることが実証されたデータを、例えば、表16に示す。
【0146】
本発明の他の実施形態は、前記ヒトに対して、平均WOMAC硬直性サブスケールにおいて低減がみられる、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。平均WOMAC硬直性サブスケールにおいて前記低減がみられることが実証されたデータを、例えば表17に示す。
【0147】
他の実施形態では、本発明は、前記ヒトが、好ましくは70歳以下、例えば80歳以下など、例えば65歳以下など、例えば60歳以下など、例えば50歳以下など、例えば45歳以下など、例えば40歳以下など、例えば35歳以下など、例えば50~59歳など、例えば60~69歳など、例えば70~79歳などである、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。好ましい実施形態では、前記ヒトは70歳未満、又は70歳を超える。
【0148】
したがって、本発明の一実施形態は、前記ヒトが70歳未満か、又は70歳を超え、KLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトに対して、少なくとも26週間、例えば好ましくは少なくとも52週間など、又は例えばさらにより好ましくは少なくとも104週間など、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に使用する、前前記ポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0149】
例えば、表32には、70歳未満又は70歳を超える前記ヒトの影響を実証するデータが示される。
【0150】
他の実施形態において、本発明は、前記ヒトが、BMIとして25未満を示す、例えば23未満など、例えば21未満など、例えば19未満など、例えば27未満など、例えば29未満など、例えば31未満など、好ましくは例えば18.5~24.9(正常体重BMI)など、例えば25~29.9など、又は例えば30超などを示す、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。さらなる実施形態では、前記ヒトは、正常体重として分類されるBMIを示す。標準体重として分類されるBMIは、正常であるBMI(BMI:18.5~24.9)と同じ意味で使用される。
【0151】
BMI(Body Mass Index)は、ヒトの質量(体重)と身長から導き出される値である。BMIは体重を身長の二乗で割ったものとして定義され、体重(キログラム)と身長(メートル)からkg/mの単位で表される。
【0152】
前記BMIは、組織量(筋肉、脂肪、骨)と身長に基づいて、人を低体重、標準体重、過体重、又は肥満に大まかに分類するのに使用する便利な経験則である。成人の主なBMIは、低体重(18.5kg/m未満)、標準体重(18.5~24.9)、過体重(25~29.9)、及び肥満(30以上)の分類に分けられる。
【0153】
驚くべきことに、本発明者らは、ヒトが正常として分類されるBMIを示し、好ましくは例えば過体重などとして分類されるBMI、又は例えば肥満などとして分類されるBMIを示し、例えばKLグレード2及び/又はKLグレード3の変形性関節症と診断された前記ヒトのサブグループなどの、OAを患っている前記ヒトの個々のサブグループに対して、ポリアクリルアミドハイドロゲル(PAAG)が、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に特に有用であることを発見した。前記ヒトのBMI効果を実証するデータが、例えば、表19及び20に示されている。
【0154】
他の実施形態では、本発明は、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルの弾性率が約10Paを超える、例えば約20Pa超など、例えば約30Pa超など、例えば約40Pa超など、例えば約50Pa超など、例えば約60Pa超など、例えば約70Pa超など、例えば約80Pa超など、例えば約90Pa超など、例えば約100Pa超などであり、例えば40~70Paなど、例えば40~150Paなど、例えば40~200Paなどである、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0155】
好ましい実施形態では、本発明のハイドロゲルの弾性率は約10~200Pa、例えば約15~180Paなど、例えば約20~150Paなど、例えば30~120Paなど、例えば40~120Paなど、例えば50~120Paなど、又は例えば約1~200Paなど、例えば約2~175Paなど、典型的には約5~150Pa、例えば10~100Paなど、例えば20~100Paなど、例えば30~100Paなど、例えば40~100Paなど、例えば50~100Paなどである。当業者であれば、意図する用途に適した弾性率を有するハイドロゲルを得る方法を知っていると思われる。また、低、中、高弾性のハイドロゲルの調製について説明する以下の実施例も参照されたい。
【0156】
前記弾性率が35Paから少なくとも185Paまでの範囲では、前記架橋ポリアクリルアミドハイドロゲルは理想的な弾性材料として機能するが、下限の10Pa未満の弾性率だと、前記ハイドロゲルはより粘性になり、注射器用に使う材料に期待される特性としては不十分である。
【0157】
前記弾性率(G’)は、材料の全弾性特性の尺度である(前記材料の流量とは対照的)。前記弾性率の値は、粒子サイズ、架橋度、粒子間の分子力など、弾性に寄与する様々な要素の合計である。
【0158】
前記弾性率を測定するには、まず、一枚の板を静止させ、もう一方の板の運動パターンを制御できるようにした、2枚の板の間に、体積を正確に測った試料を置く。測定中、動的板は小振幅の正弦波振動しつつ、この変形が現れるのに必要なせん断力をプロットする。実験はさまざまな周波数下で行うことができる。しかし、正しい測定方法を確立するため、前記周波数は1Hzとする。前記プレートが振動すると、前記ハイドロゲルの微細構造が応力を受け、応力緩和が起こって前記ハイドロゲル全体のエネルギーが最小になる。その変形が遅ければ遅いほど、微細構造の緩和がより進み得るので、その結果、弾性率は低くなる。言い換えれば、もしその変形が早いと、前記ハイドロゲル中の微細構造の大部分は与えられた時間内に応力を緩和することができなくなる(逆周波数でスケーリング)。したがって前記ハイドロゲルは、低周波数よりも高周波数でより弾性的に振る舞うことになる。測定は制御された環境条件下で行った。
【0159】
他の実施形態において、本発明は、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルのpHが、約4より高い、例えば好ましくは約5などより高い、例えば約6などより高い、例えば約7などより高い、例えば約8などより高い、例えば約9などより高い、例えば5~10、又は5.5~9.5、6.0~9.0、6.5~8.5、7.0~8.5、7.5~8.5又はpH7.8~8.2などである、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0160】
他の実施形態において、本発明は、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルの弾性率が約10Pa超であり、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルのpHが約5よりも高い、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0161】
他の実施態様において、本発明は、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルを無菌条件下、注射により投与する、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0162】
前記PAAGの前記注射は局所麻酔下で行うことができるが、局所麻酔は必ずしも必要ではなく、前記注射は好ましくは無菌条件下で行う。注射部位を覆っている毛髪をすべて刈り取り、皮膚を例えばクロルヘキシジンとエタノール十分に洗浄する(例えば3回交換しつつ)。その後、カニューレを関節腔に挿入し、吸引によって関節内に正しく挿入されていることを確認する。一般に、前記関節腔に液体を注入すると、少なくともその分量だけ前記関節腔から排出されるので、所望量の前記PAAGをそのあと注入する。前記関節の異所性感染を防ぐため、前記PAAGに抗生物質を含有させる場合もある。
【0163】
他の実施態様において、本発明は、0.1~20mlの前記ポリアクリルアミドハイドロゲルを、前記関節内腔に注射により投与する、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0164】
前記ポリアクリルアミドハイドロゲルの適切な量は0.1ml~20mlの範囲、例えば0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は19mlなどである。好ましくは、1~2ml以上、例えば1~3mlなど、例えば1~4mlなど、例えば1~5mlなど、例えば1~6mlなど、例えば2~7mlなど、例えば3~6mlなど、例えば4~6mlなど、例えば4~7mlなど、例えば5~7mlなど、例えば5~6mlなど、例えば1~7mlなど、例えば1~8mlなど、例えば1~9mlなど、例えば1~10mlなど、例えば1~11mlなど、例えば1~12mlなど、例えば1~13mlなど、例えば1~14mlなど、例えば1~15mlなど、例えば1~16mlなど、例えば1~17mlなど、例えば1~18mlなど、例えば1~19mlなどの量が投与される。しかし、前記関節が拡張するほど多くのハイドロゲルを注入することは望ましくない。正確な量については、前記関節の大きさ及び前記変形性関節症の重症度に基づいて治療医により決定されるが、典型的には約6.0mlが注入される。よって、最も好ましいのは、約6ml(1回の注射)又は約3ml(1回又は2回の注射)の量である。好ましい実施形態では、前記約3.0ml又は約6.0mlの2回目の注射は、1回目の注射後の約14日以内、例えば1回目の注射後の約21日以内など、例えば1回目の注射後の約1ヶ月以内又は約2ヶ月以内などに行われる。好ましくは、2回目の注射は、1回目の注射後の約14日目~1ヶ月の間、又は1回目の注射後の約14日目~2ヶ月の間、又は1回目の注射後の約14日目~3ヶ月の間に行われる。
【0165】
他の実施態様において、本発明は、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルを、少なくとも1回、例えば2回など、例えば3回など、例えば4回など、例えば5回など、例えば6回など、例えば7回など、例えば8回など、例えば9回など、例えば10回など、無菌条件下、注射により前記関節内腔に投与する、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。前記投与は、例えば1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年又は10年の期間などの、数年の期間の間に行うことができる。
【0166】
他の実施態様において、本発明は、、好ましくは、約6.0ml又は約3.0mlの前記ポリアクリルアミドハイドロゲルを、少なくとも1回、無菌条件下、注射により前記関節内腔に投与する、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。患者が本発明に係る約6mlのポリアクリルアミドハイドロゲルの注射を1回のみ受けることにより、前記患者が治療を受けやすくかつ治療を実行しやすくなるように改善され、繰り返しの注射で起こる潜在的な副作用のリスクを低減する上で有利となり得る。
【0167】
本発明の他の好ましい実施形態において、治療の対象となる前記ヒトの前記関節又は前記複数の関節は、膝、股、肘、手と足の中手指節関節及び指節間関節、種子骨関節及び/又は顎関節である。
【0168】
他の実施形態では、本発明は、約3.0mlの前記ポリアクリルアミドハイドロゲルを無菌条件下、注射により前記関節内腔に少なくとも1回又は2回投与する、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。患者にとって、本発明に係る約3.0mlのポリアクリルアミドハイドロゲルの注射を1回だけ受けることにより、繰り返しの注射で起こる潜在的な副作用のリスクが低減され、訳3.0mlの注射代のみを支払えばよいことにより、コストを下げる上で有利となり得る。
【0169】
好ましい実施形態では、前記約3.0ml又は6.0mlの第2の注射は、1回目の注射後の約14日以内、例えば1回目の注射後の約21日以内など、例えば、1回目の注射後の約1ヶ月又は約2ヶ月以内などに行われる。好ましくは、2回目の注射は、最初の注射後の約14日~1ヶ月の間、又は最初の注射から約14日~2ヶ月後、又は最初の注射から約14日~3ヶ月後に行われる。
【0170】
驚くべきことに、本発明者らは、前記ヒトが女性で、例えば変形性関節症のKLグレード2及び/又はKLグレード3と診断された前記ヒトのサブグループなど、OAを患っている前記ヒトの個々のサブグループに対して、前記ポリアクリルアミドハイドロゲル(PAAG)が前記変形性関節症の予防及び/又は治療に特に有用であることを発見した。前記ヒトの性別の影響を実証するデータを、例えば、表18A、18Bに示す。
【0171】
さらに、他の実施形態では、本発明は、前記ヒトが男性である、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0172】
驚くべきことに、本発明者らは、前記ヒトが男性で、例えば変形性関節症のKLグレード2及び/又はKLグレード3と診断された前記ヒトのサブグループなど、OAを患っている前記ヒトの個々のサブグループに対して、前記ポリアクリルアミドハイドロゲル(PAAG)が、前記変形性関節症の予防及び/又は治療に特に有用であることを発見した。前記ヒトの性別の影響を実証するデータを、例えば、表18A、18Cに示す。
【0173】
さらに、他の実施形態において、本発明は、前記ヒトが女性である、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。
【0174】
他の実施形態では、本発明は、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルが銀イオンを含まない、本発明に係る使用するポリアクリルアミドハイドロゲルに関する。銀は、Agという記号で表される化学元素である。ポリアクリルアミドハイドロゲル中に銀イオンが存在すると、前記ゲルの弾性率が低下し、そのため本発明に係る関節内注射にはあまり適さなくなる。
【0175】
本発明の一態様の内容に記載される実施形態及び特徴は、本発明の他の態様にも適用されることに留意されたい。
【0176】
本出願において引用されるすべての特許文献及び非特許文献は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0177】
次に、本発明を以下の非限定的な実施例においてさらに詳細に説明する。
【実施例
【0178】
例1-ハイドロゲル(PAAG)の調製
・ハイドロゲルの調製:
前記PAAGは、アクリルアミド(AM)とN,N’-メチレン-ビス-アクリルアミド(bisAM)のモノマーの重合によって製造されるポリアクリルアミドゲルである。最終製品の弾性率は製品ごとで異なる場合がある。
【0179】
通常、前記ハイドロゲルには約95%の水分が含まれる。前記モノマーであるアクリルアミド及びN,N’-メチレンビスアクリルアミドの濃度は10ppm未満で、多くは5ppm未満であることが分かっており、前記最終製品の安定性は所望する如くであった。
【0180】
前記最終製品は、pH、重金属の非含有、屈折率、安定性、パイロジェン非含有といった項目については合格済みで、無菌で実質的に不活性であり、またモノマーを実質的に含まない。
【0181】
・調製1.1
合成調製には、以下の操作が好適に含まれる:
1.2つの混合物A1とA2を調製する。A1は、水、アクリルアミド、N,N’-メチレン-ビス-アクリルアミド、N,N,N’,N’-テトラメチレン-エチレンジアミン(TEMED)を含む。A2は、水及び過硫酸アンモニウムを含む。
2.前記2つの混合物を以下の比率で混合する:1990mLのA1と10mLのA2を混合し、45℃に保ち、窒素雰囲気下、20秒間脱気する。
3.前記反応混合物をいくつかの100mLビーカーに注ぐ。
4.重合を0.5~1.5時間行う。
5.得られたゲルを型から取り出す。
6.残留モノマーを抽出し、WFI水中で平衡化しながら、92時間、水を数回、通常は92時間中に8回交換する。
7.精製後のゲルを、垂直振動するグリッドを使って粉砕して均質ゲルを得る。
8.シリンジに前記均質ゲル材料を充填する。
9.前記シリンジのオートクレーブ処理を行う。
前記ハイドロゲルを調製する典型的な方法については、以下のように要約される。
【0182】
・調製1.2
・プロセスの概要
前記ゲルは、アクリルアミド(AM)と架橋剤としてのN,N’-メチレンビスアクリルアミド(bisAM)のモノマー水溶液を、共開始剤としてのN,N,N’,N’-テトラメチレンエチレンジアミン(TEMED)とフリーラジカル開始剤(レドックス系)としての過硫酸アンモニウム(AMPS)と混合することによって調製される。バルク溶液を窒素下脱気すると、重合が開始される。最終的な重合後、前記ゲルを網トレイ付きの洗浄タンクに移し、その上で前記ゲルを捕集する。前記ゲルは水洗中に膨張し、モノマー残留物は抽出される。前記膨潤したゲルを、前記ゲルをシリンジ内に移送する充填ユニットに仕込み、加圧滅菌する。低弾性用製剤と高弾性用製剤の2種類の交互製材を調製した。
【0183】
【表1】
【0184】
上記は前記ハイドロゲルの典型的な調製手順であり、一定の範囲内で調整することができる。
【0185】
準備1.3
・インライン架橋プロセスによるポリアクリルアミド製剤
本発明のハイドロゲルを調製する特に興味深い方法には、インライン架橋プロセスが含まれる。最終的に脱気された2つ別々の流れ、1つ目のアクリルアミド、N,N’-メチレンビスアクリルアミド(架橋剤)及びTEMEDの予備混合物と、もう1つ目のAMPS開始剤溶液を、スタティックミキサーによりポンプアップし、前記化合物を混合及び化学反応を開始させて、下流にある重合を起こす、テフロン又はスチール製のパイプ反応器へ押出す。前記ゲルの表面積が反応器に比べ大きいため、前記ゲル洗浄は簡便に行う。
【0186】
モノマー、架橋剤、開始剤の濃度とそれらの相対モル比を選択し、前記2つの流量と前記重合温度を制御することにより、架橋度や固形分が異なるゲルを製造することができる。
【0187】
・準備1.4
前記試薬を表2、3、及び4に記載の比率で組み合わせ、表に記載のとおりに洗浄して(別段の記載がない限りパイロジェン非含有水で)、低弾性、中弾性、及び高弾性の製剤を得た。前記ポリアクリルアミドの固体重量含量が0.5~25%であるハイドロゲルを調製した。
【0188】
【表2-1】
【0189】
【表2-2】
【0190】
a)材料が液体だったので、洗浄は希釈により行った。
b)無限大
c)洗浄が抽出ではなく希釈であるため、残留モノマーは希釈係数分(508ppmから254ppm)だけ減らした。
d)0.9%NaCl水溶液を使用してキャスティングと洗浄を行った。
e)水でキャスティングし;0.9%NaCl水溶液を使用して洗浄した。
f)予備洗浄の値-洗浄後、通常は値が30~55%減少する。
g)予備洗浄の値-洗浄後、通常は値が20~40%減少する。
h)ノッチ感度が高い。
i)値の変動の原因は測定技術によるもの又はバッチ内のサンプルを採取した場所によるものの場合あり。
【0191】
【表3】
【0192】
【表4】
【0193】
例2‐臨床検査とそこから得られた結果
変形性膝関節症の被験者に対する、関節内ポリアクリルアミドハイドロゲル注射の多施設無作為対照二重盲検臨床検査とその後の非盲検延長研究が行われた。研究プロトコルは承認され、www.clinicaltrials.govに登録された(参照番号NCT04179552)。
【0194】
この検査に登録された被験者は、軽度から重度の膝OAを患っていた。そこで、前記被験者を標準的なケルグレン・ローレンス分類に従って、KLグレード2-4に分類した。KLグレードのグループだけでなく、KLグレードの個々のサブグループも調査した。そこで、KLグレード2、KLグレード3、KLグレード4、KLグレード2-3、及びKLグレード2-4のグループを26、52、及び104週の時点で検査した。
【0195】
前記被験者には、ゼロ時間に、関節内に6mLのPAAG-OAを1回注射するか、6mLのSynvisc-Oneを1回注射した。PAAG-OA(Arthrosamid(登録商標))は実施例1で定義されているもので、Contura製の市販のポリアクリルアミドハイドロゲルである一方、Synvisc-One(hylan G-F20)はSanofi-Aventis製の市販のヒアルロン酸ゲルである。
【0196】
前記参加した被験者をベースラインから第104週目まで追跡し、前記被験者に注射前、WOMACアンケートに回答してもらったほか、以下の週(4、12/13、26、52、及び104週目)にも検査した。
【0197】
研究プロトコルは52週間から徐々に延長され、2年間(104週間)検査を行った。データ収集は最長5年間継続される。
【0198】
WOMAC:西オンタリオ大学とマクマスター大学の変形性関節症インデックス。
【0199】
前記WOMAC疼痛サブスケールとは、WOMACインデックスにおける最初の5質問の結果を集めたものである:歩行中の疼痛、階段使用時の疼痛、ベッドでの疼痛、座っている時又は横になっているときの疼痛、及び立っている時の疼痛。
【0200】
前記サブスケールでは0~20の値を取ることができ、スコアが高いほど疼痛が重いことを示す。前記サブスケールは以下の方法で0~100の範囲に変換(正規化)される。
変換後の疼痛のサブスケール=(疼痛のサブスケール*0.5)*10
【0201】
事後分析:
・WOMACアンケートの質問1(平坦なところでの歩行)
・WOMACエンドポイント及び疾病影響力のPGA(患者全般評価)の変化の割合。
【0202】
研究デザインの定義:
治療企画(ITT)解析セット:前記ITT解析セットは、被験者が研究介入を受けたかどうか、又は被験者が研究プロトコルを遵守したかどうかに関係なく、すべての無作為化された被験者で構成される。前記被験者は無作為に抽出される。
【0203】
完全解析セット(FAS):前記FASは、研究治療を受け、ベースライン及び少なくとも1回のベースライン後の評価でWOMAC疼痛サブスケールが評価された、すべての無作為化された被験者で構成される。被験者は無作為に抽出される。
【0204】
プロトコル別(PP)解析セット:前記PP解析セットは、すべての包含基準を満たし、臨床的又は統計的に有意なプロトコルからの逸脱がない、FAS内のすべての被験者として定義される。
【0205】
安全性解析セット:前記安全性セットは、研究治療を受けた被験者として定義される。被験者は実際に治療されたものとして扱われる。
【0206】
実施例2からの臨床研究結果の概要
臨床結果の概要
-表5~7は、前記研究から選択された人口統計を示す。
-表8~10は、研究対象者(全KLグレード2-4)から得られた半年及び1年時点での疼痛データを示す。すなわち、
表8:少なくとも50%の疼痛の低減。
表9:少なくとも12ポイントの疼痛の低減。
表10:少なくとも20ポイントの疼痛の低減。
-表11~13は、KLサブグループKL2、3、4、2-3、及び2-4の半年、1年、及び2年の時点での疼痛データを示す。すなわち、
表11:少なくとも50%の疼痛の低減。
表12:少なくとも12ポイントの疼痛の低減。
表13:少なくとも20ポイントの疼痛の低減。
-表14及び15は、臨床研究からのデータの追加詳細を示す。
-表16~17は、疼痛のサブスケール「身体機能性」と「硬直性」から得られた疼痛のデータを示す。
-表18は、女性又は男性のKLサブグループから得られた疼痛データを示す。
-表19~20は、BMIごとのKLサブグループ被験者から得られた疼痛データを示す。
-表21~31は、年齢グループ別の被験者から得られた疼痛のデータを示す。
-表32は、70歳未満又は70歳超の年齢別のKLサブグループ被験者から得られた疼痛データを示す。
-表33~34は、PAAG-OA又はSynvisc-One(ヒアロン酸)のいずれかで治療された被験者についてのデータを示す。
-表35は、70歳未満の過体重の被験者から得られた疼痛のデータを示す。
-表36は、70歳を超える過体重の被験者から得られた疼痛のデータを示す。
-表37は、70歳を超える男性被験者から得られた疼痛データを示す。
-表38は、過体重の男性被験者から得られた疼痛データを示す。
【0207】
ITTに関連するデータの抜粋を以下に示す
【0208】
【表5】
【0209】
【表6】
【0210】
【表7】
【0211】
WOMAC疼痛の軽減-KLグレード2-4の被験者の合計-表8~10
この研究は、KLグレード2-4全グループのWOMAC疼痛を示すことを目的とした。
【0212】
以下の表に、前記WOMAC疼痛サブスケールに関するデータを示す。前述したように、前記WOMACは3つのサブスケールで構成される。
-疼痛(5つの質問)
-硬直性(2つの質問)
-身体機能性(17の質問)
【0213】
前記サブスケールにおけるスコアはさまざまで、疼痛の範囲は0~20ポイントであり、硬直性は0~8ポイントで、身体機能性は0~68ポイントであった。ここで、スコアが高いほど、疼痛、硬直性、機能性制限が悪化していることを示す。
【0214】
【表8】
【0215】
結論 表8
表8では、半年後、KLグレード2-4の被験者の約42%が、変換後のWOMAC疼痛サブスケール(0~100)において少なくとも50%の低減を経験していることが示されている。この効果は、1年後も41%に維持され、治療2年後には約48%に増加する。(表11Bを参照)。
【0216】
よって、KLグレード2-4の全被験者の42~48%は、治療後2年間以内に、変換後のWOMAC疼痛サブスケール(0~100)において少なくとも50%の低減を示す。かくして、KLグレード2-4の全被験者において、明らかな疼痛の軽減が観察される。
【0217】
【表9】
【0218】
結論 表9
表9では、半年後、KLグレード2-4の被験者の約55%が、変換後のWOMAC疼痛サブスケール(0~100)において少なくとも12ポイントの低減を経験していることが示されている。この効果は、1年後も54%に維持されるが、治療2年後には約59%に増加する。(表12Bを参照)。
【0219】
よって、KLグレード2-4の全被験者の55~59%は、治療後2年間以内に、変換後のWOMAC疼痛サブスケール(0~100)において少なくとも12ポイントの低減を示す。かくして、KLグレード2-4の全被験者において、明らかな疼痛の軽減が観察される。
【0220】
【表10】
【0221】
結論 表10
表10では、半年後、KLグレード2-4の被験者の約49%が、変換後のWOMAC疼痛サブスケール(0~100)において少なくとも20ポイントの低減を経験していることが示されている。この効果は、1年で42%に減少するが、2年後に再び49ポイントに増加する(表13Bを参照)。
【0222】
よって、KLグレード2-4の全被験者の42~49%は、治療後2年間以内に変換後のWOMAC疼痛サブスケール(0~100)において少なくとも20ポイントの低減を示す。かくして、KLグレード2-4の全被験者において、明らかな疼痛の軽減が観察される。
【0223】
要約 結論 表8~10
表8~10では、KLグレード2-4の全被験者で、52週間後でも明らかな疼痛の低減が観察され、104週間後ではさらに顕著であることが示されている(表11B、12B、及び13B)。
【0224】
WOMAC疼痛の軽減-KLグレード2、3、4、2-3及び2-4
研究の目的
該研究目的は、KLグレード2、3、4、2-3、及び2-4のサブグループにおける、WOMACの疼痛効果を調査することであった。
【0225】
以下の表11~14は、KLサブグループにおけるPAAGの治療後の疼痛の結果を示す。
【0226】
【表11A】
【0227】
【表11B】
【0228】
結論 表11A及び11B
表11Aに示されている要約結果は、概要表11Bに含まれる。表11Bには、KLグループ2-3及び2-4からのデータも含まれる。
【0229】
表11Bで明確に示されるのは、1年後に、KLグレード4の患者のサブグループに対して40~44%のKLグレード2及び/又はKLグレード3の被験者は、変換後のWOMAC疼痛サブスケール(0~100)において少なくとも50%の低減を経験し、前記被験者の約27%は、変換後のWOMAC疼痛サブスケール(0~100)において少なくとも50%の低減を経験する、ことである。
【0230】
2年後には、変換後のWOMAC疼痛サブスケール(0~100)において少なくとも50%の低減を経験する被験者の割合がさらに増え、KLグレード4の患者のサブグループに対して44~55%のKLグレード2及び/又はKLグレード3の被験者は、変換後のWOMAC疼痛サブスケール(0~100)において少なくとも50%の低減を経験し、これに対して、前記被験者の約25%が変換後のWOMAC疼痛サブスケール(0~100)において少なくとも50%の低減を経験している。
【0231】
表11Bに示した結果は、KLグレード3の被験者に対して、より高い割合のKLグレード2の被験者が疼痛の軽減を経験していることも示している。これは、半年、1年、2年後の治療において明らかである。
【0232】
したがって、KLグレード2-3の全被験者に対して、明らかな疼痛の軽減が観察される。
【0233】
【表12A】
【0234】
【表12B】
【0235】
結論 表12A及び12B
表12Aに示される要約結果は、概要表12Bに含まれる。表12Bは、半年後、1年後、及び2年後に、KLグレード4の患者のサブグループに対してより高い割合のKLグレード2及び/又はKLグレード3グループ被験者が、変換後のWOMAC疼痛サブスケール(0~100)において少なくとも12ポイントの低減を経験していることを明確に示している。このような改善は、2年後のKLグループ2及び3の被験者でも同様に顕著であった。
【0236】
したがって、KLグループ2及び/又は3の被験者では、KLグループ4の被験者に対して、少なくとも半年、1年、及び2年後、疼痛をより軽減する点で、明確かつ一貫した改善が見られる。
【0237】
【表13A】
【0238】
【表13B】
【0239】
結論 表13A及び13B
表13Aに示されている要約結果は、概要表13Bに含まれる。表13Bで明確に示されることは、半年後、1年後、及び2年後、KLグレード4の被験者のサブグループに対してより高い割合のKLグレード2及び/又はKLグレード3グループ被験者が、変換後のWOMAC疼痛サブスケール(0~100)において少なくとも20ポイントの低減を経験していることである。このような改善は、KLグレード2及び/又はKLグレード3サブグループの両者に対して、1年後及び2年後のKLグループ2の被験者で最も顕著である。
【0240】
したがって、少なくとも半年、1年、及び2年後、KLグループ4の被験者と比較して、KLグループ2及び/又は3の被験者では、疼痛の軽減面で明らかな改善が見られる。
【0241】
表11~13の疼痛データに関する結論
表11~13で示されているように、PAAGによる治療後に、KLグレード2及び/又はKLグレード3と診断された被験者で、KLグレード4と診断された被験者と比較して、疼痛がより軽くなることを経験する被験者数が増加した。この疼痛軽減効果は、3つのWOMAC疼痛パラメーターすべてで観察される。このような驚くべき良好な結果は少なくとも2年間持続され、少なくとも半年後、少なくとも1年後に見事な疼痛軽減効果も示される。
【0242】
WOMAC疼痛の軽減-KLグレード2、3、4-ベースライン、4、12、26、52週目-詳細値とベースラインからの変化。
表14及び15は、臨床研究で得たデータの詳細を示す。
【0243】
【表14】
【0244】
【表15】
【0245】
結論
表14及び15では、OA KLグレード2又は3と診断された被験者をPAAGで治療することにより、KLグレード4と診断された被験者に対して、疼痛の軽減度合いがより上がることが示されている。これは、特に26週目以降に観察され、52週目以降ではさらに顕著である。
【0246】
硬直性と身体機能性:
研究の目的
KLグレードサブグループKLグレード2、3、4、2-3、及び2-4におけるWOMAC疼痛サブスケール「身体機能性」及び「硬直性」を評価する。
【0247】
尚、評価値の平均値がより低くなることが、被験者がより良い身体機能性を経験している、又はより少ない硬直性を経験している、ということに留意すべきである。
【0248】
【表16】
【0249】
【表17】
【0250】
表16と17の結果
身体機能性:表16の結果では、KLグレード2、KLグレード3、及びKLグレード2-3グループの被験者が、1年目及び2年の時点で、KLグレード4の被験者よりも良好な身体機能性(より低い平均値)を経験していることが明確に示されている。さらに、驚くべきことに、KLグレード3の被験者も、KLグレード4と比較して、わずか半年後にわずかな改善を経験している。
【0251】
硬直性:表17の結果からは、KLグレード2、KLグレード3、及びKLグレード2-3グループの被験者が、KLグレード4の患者よりも半年、1年、及び2年の時点で経験する硬直性が軽い(低い値)ことが明確に示されている。
【0252】
性別
研究の目的:
研究の目的は、KLグレード2、3、4、2-3、及び2-4の女性又は男性のサブグループにおけるWOMAC疼痛効果を調査することであった。
【0253】
結果-性別
以下の表18A及び18Bに、様々なKLサブグループにおける特定の年齢の被験者に対してPAAGの治療を行った後の疼痛の測定結果を示す。
【0254】
【表18A】
【0255】
【表18B】
【0256】
【表18C】
【0257】
結論-性別-表18A、18B、及び18C
表18Aでは、PAAG-OAによるOAの治療が、KLグレード2-4の男性及び女性の疼痛の軽減に特に有用であることが示されている。
【0258】
女性:表18Bでは、驚くべきことに、1年後及び2年後に、KLグレード4の被験者のサブグループに対してより高い割合のKLグレード2、3及び2-3の女性被験者で、変換後のWOMAC疼痛サブスケール(0~100)において少なくとも50%の低減を経験したことが示されている。さらに、KLグレード3の被験者のサブグループに対してより高い割合のKLグレード2の女性被験者が、半年後、1年後、及び2年後に、変換後のWOMAC疼痛サブスケール(0~100)において少なくとも50%の低減を経験した。
【0259】
これらの驚くべき効果は、少なくとも12ポイント又は20ポイントの疼痛の低減を経験した被験者が、表中の割合でもって疼痛の軽減を経験したことから確認された。実際、半年後、1年後、及び2年後、KLグレード4の被験者のサブグループに対してより高い割合のKLグレード2、3及び2-3の女性被験者が、少なくとも12又は20ポイントの疼痛の低減を経験した。
【0260】
要約、女性:女性の被験者のサブグループKL2及び/又はKL3及び/又はKL2-3は、女性KL4サブグループ被験者よりも大幅な疼痛軽減を経験した。
【0261】
男性:表18Cでは、驚くべきことに、1年後及び2年後に、KLグレード4の男性被験者のサブグループに対してより高い割合のKLグレード2、3及び/又はKLグレード2-3の男性被験者が、変換後のWOMAC疼痛サブスケール(0~100)において少なくとも50%の低減を経験したことが示されている。さらに、KLグレード3被験者のサブグループに対してより高い割合の男性のKLグレード2被験者が、半年後、1年後、及び2年後に、変換後のWOMAC疼痛サブスケール(0~100)において少なくとも50%の低減を経験した。
【0262】
これらの驚くべき効果は、KL2、KL3、及びKL2-3の男性被験者であって、1年後に少なくとも12ポイント又は20ポイントの疼痛面での軽減を経験した被験者、及びKL2及びKL2-3の男性被験者であって、半年後と2年後に同様の軽減を経験した被験者が、いずれもKL4の男性被験者に対して、表中の割合でもって疼痛の軽減を経験することから確認された。ただし、KL4の男性被験者に対してより高い割合で少なくとも12ポイント又は20ポイントの疼痛面での低減のあった、半年後のKL2については除く。
【0263】
さらに、半年後及び1年後、KLグレード4の被験者のサブグループと比較してより高い割合の男性のKLグレード3被験者が、少なくとも12又は20ポイントの疼痛の低減を経験した。
【0264】
要約、男性:男性被験者であって、KL2及び/又はKL3及び/又はKL2-3グレードのサブグループの被験者は、前記KL4サブグループ被験者よりも大幅な疼痛の軽減を経験した。
【0265】
結果と結論-WOMAC身体機能性及び硬直性における疼痛の女性と男性についてのデータ
女性のWOMAC身体機能性における疼痛パラメーターに関するデータ:驚くべきことに、WOMAC身体機能性から得られる疼痛パラメーターの結果から、女性のサブグループKL2、KL3、KL2-3、及びKL2-4は、半年、1年及び2年後の時点で、女性のKL4サブグループの被験者よりも疼痛面で大幅な軽減を経験したことが確認できた(データは非表示)。
【0266】
女性のWOMAC硬直性における疼痛パラメーターに関するデータ:驚くべきことに、WOMAC硬直性から得られる疼痛パラメーターの結果から、女性サブグループKL2、KL3、KL2-3、及びKL2-4は、2年後の時点で、女性のKL4サブグループの被験者よりも疼痛面で大幅な軽減を経験したことが確認された(データ非表示)。
【0267】
男性のWOMAC身体機能性における疼痛パラメーターに関するデータ:驚くべきことに、WOMAC身体機能性から得られる疼痛パラメーターの結果から、男性サブグループKL2、KL3、KL2-3、及びKL2-4は、1年及び2年後の時点で、男性のKL4サブグループ被験者よりも疼痛面で大幅な軽減を経験したことが確認された(データ非表示)。
【0268】
男性のWOMAC硬直性における疼痛パラメーターに関するデータ:驚くべきことに、WOMACの硬直性から得られる疼痛パラメーターの結果から、男性のサブグループKL2、KL3、KL2-3、及びKL2-4は、半年、1年及び2年後の時点で、男性のKL4サブグループの被験者よりも疼痛面で大幅な軽減を経験したことが確認された(データ非表示)。
【0269】
BMI
研究の目的
研究の目的は、正常、過体重、又は肥満のいずれかに特徴づけられるBMIを示すKLグレード2、3、4、2-3及び2-4の被験者のサブグループにおけるWOMAC疼痛効果を調査することであった。
【0270】
結果-BMI
以下の表19及び20に、KLサブグループにおけるPAAG治療後の疼痛に関する被験者のBMIの結果を示す。
【0271】
【表19】
【0272】
【表20A】
【0273】
結論 表19及び20A
表19及び20Aでは、全KLグレード2-4被験者のグループの治療後52週間で、正常体重の人はBMIが25を超える被験者よりも疼痛が軽いように見えることが示されている。しかしながら、過体重及び肥満の被験者でも疼痛が軽いことが観察される。
【0274】
【表20B】
【0275】
結論 表20B:BMIが正常な被験者
表20Bでは、驚くべきことに、1年目及び2年目の時点で、KL2、KL3、及びKL2-3の正常BMI被験者について、対前記KL4被験者で、WOMAC疼痛の少なくとも50%低減の割合がより改善されており、この効果は約2年間の治療後に、時間の経過とともに大きく、つまり77%、67%、74%となっていく。尚、KL4グループの被験者数がかなり少ないため、先の結果はその傾向をみるためのみに適用されるものと理解されたい。また、KL3の正常体重の被験者の場合、「WOMAC疼痛の少なくとも50%の改善」の割合が半年の時点ですでにKL4の被験者よりも改善されている。
【0276】
さらに、表20Bでは、サブグループKL2、KL3、及びKL2-3の正常体重の被験者について観察した場合、少なくとも12ポイントの疼痛の低減を経験している被験者の割合が高く、この効果が2年間の治療後も維持されていることが示されている。興味深いことに、KLグレード3の被験者では、驚くほど大きな効果が半年、1年、2年の時点で観察・維持されている。正常なBMIを示すKL2被験者の場合、疼痛軽減効果は、KLグレード2被験者の場合、1年半から1年及び2年の時点で着実に増加する。KLグレード4の被験者には影響は見られないが、これに関しては被験者数が非常に少ないことに注意されたい。
【0277】
さらに、表20Bでは、KL2、KL3、及びKL2-3の正常体重被験者において、少なくとも20ポイントの疼痛の低減を経験している被験者が観察され、この効果は2年間の治療後も維持されていることが示されている。この効果は、KLグレード3のレベルと比較して、1年目及び2年目のKLグレード2の被験者でより優れている。KLグレード4の被験者では効果は見られないが、これに関しては被験者の数が非常に少ないことに注意されたい。
【0278】
結果と結論-WOMACの身体機能性と硬直性についての疼痛に関するデータ-正常なBMI:
驚くべきことに、WOMACの身体機能性と硬直性から得られる疼痛パラメーターの結果により、正常なBMI被験者のサブグループKL2、KL3、KL2-3、及びKL2-4は、半年、1年、2年の時点で、KL4の正常なBMI被験者サブグループよりも疼痛面でより大きな軽減を経験したことが確認された(データは非表示)。唯一の例外は、1年目のKLグレード3の硬直性における疼痛軽減の割合についてであり、この程度はKLグレード4のそれよりも小さかった。
【0279】
【表20C】
【0280】
結論 表20C:過体重のBMI被験者
驚くべきことに、表20Cでは、KL4被験者と比較して、KL2、KL3、及びKL2-3の過体重被験者では、「WOMAC疼痛の少なくとも50%の低減」値が改善されており、この効果は時間の経過とともに、すなわち2年間の治療後、さらに増すことが示される。尚、KL4グループの被験者数がかなり少ないため、傾向をみるためにのみ使えるものと理解されたい。
【0281】
さらに、表20Cでは、KL2、KL3、及びKL4被験者の過体重被験者について、少なくとも12ポイントの疼痛の低減を経験する被験者が観察され、この効果は2年間の治療後も維持されていることが示されている。この効果は、2年時点のKLグレード4の被験者ではさらに優れている。反対に、少なくとも20ポイントの疼痛の低減を経験している被験者では驚くべき効果が観察されているが、これは、半年、1年、及び2年の時点で、少なくとも20ポイントの疼痛の低減を経験しているほとんどの被験者がKLグレード2の被験者(KLグレード4の患者との比較)であるためである。KLグレード4の被験者ではその効果は小さいが、2年後に被験者の29%が少なくとも20ポイントの疼痛の低減を経験している。
【0282】
結果と結論-WOMAC身体機能性と硬直性における疼痛に関するデータ-BMI過体重:
驚くべきことに、WOMAC身体機能性から得られる疼痛パラメーターに関する結果により、過体重BMI被験者サブグループKL2、KL3、KL2-3、及びKL2-4が、1年と2年の時点でKL4過体重BMI被験者サブグループよりも疼痛面でより大幅な軽減を経験したことが確認された(データは非表示)。
【0283】
驚くべきことに、WOMAC硬直性から得られる疼痛パラメーターの結果により、過体重BMI被験者サブグループKL2、KL3、KL2-3及びKL2-4が、1年の時点でKL4過体重BMI被験者サブグループよりも疼痛面で大幅な軽減を経験したことが確認された(データ非表示)。さらに、KL2は、半年及び2年の時点でKL4よりも疼痛面で大幅な軽減を経験した。KLグレード2-3及びKLグレード2-4も、半年でKL4よりも疼痛面で大幅な軽減を経験した。
【0284】
【表20D】
【0285】
結論 表20D:肥満BMI被験者
驚くべきことに、表20Dでは、KL2、KL3、及びKL4サブグループの肥満被験者で、1年及び2年後に「WOMAC疼痛の少なくとも50%の低減」が観察され、この効果は2年間の治療後も維持されることが示されている。その効果はKLグレード3の被験者でさらに大きく、1年後、2年後も約55%という高いレベルを維持している。KL4グループの被験者の数は少なすぎて考慮の対象とならない。
【0286】
さらに驚くべきことに、表20Dでは、KL2、KL3、及びKL4被験者の肥満被験者で、少なくとも12ポイントの疼痛の低減を経験している被験者が観察され、この効果は2年間の治療後も維持されていることが示されている。この効果は、2年時点のKLグレード3の被験者でさらに大きい。KL4グループの被験者の数は少なすぎて考慮の対象とならない。同様の驚くべき効果は、その効果がKLグレード3の被験者でさらに良好であり、半年、1年、及び2年の時点での効果が約55%と同じように高く維持されている、少なくとも20ポイントの疼痛の低減を経験した被験者でも観察される。
【0287】
結果と結論-WOMAC身体機能性及び硬直性における疼痛に関するデータ-BMI肥満:
驚くべきことに、WOMACの身体機能性及び硬直性から得られる疼痛パラメーターの結果により、サブグループKL2、KL3、KL2-3、及びKL2-4の肥満BMI被験者が、半年、1年、及び2年時点で、疼痛面で大幅な軽減を経験したことが確認された(データは非表示)。KL4グループの被験者の数は少なすぎて考慮の対象とならなかった(N=1)。
【0288】
年齢
研究の目的
研究の目的は、KLグレード2、3、4、2-3、及び2-4サブグループ被験者の特定年齢のサブグループにおけるWOMAC疼痛の影響を調査することであった。
【0289】
【表21】
【0290】
【表22】
【0291】
【表23】
【0292】
【表24】
【0293】
【表25】
【0294】
【表26】
【0295】
【表27】
【0296】
【表28】
【0297】
【表29】
【0298】
【表30】
【0299】
【表31】
【0300】
結論
表21~31は、KLグレード2~4の全被験者がPAAG‐OAによる治療から恩恵を受ける能力に、年齢が影響することを示している。
KLグレードのサブグループへの年齢の影響をさらに解析するために、以下のデータを表32A~32Bに示す。
【0301】
【表32A】

【0302】
結論-年齢が70歳未満の被験者
驚くべきことに、表32Aでは、KL2及び/又はKL3被験者のうちの70歳未満の被験者で、2年間の治療後にWOMAC疼痛で少なくとも50%の低減が観察されることが示されている。最も顕著な効果は、70歳未満のKL4の被験者に対して、70歳未満のKLグレード2の被験者で見られる。
【0303】
さらに、表32Aでは、70歳未満の被験者の少なくとも60%が少なくとも12ポイントの疼痛の低減を経験していることが示されており、このことは治療半年間ですべてのサブグループに見られる。これらのレベルは2年間の治療後も維持される。少なくとも12ポイントの疼痛軽減効果を経験した被験者の割合は、2年時点で、KLグレード2の被験者ではさらに良好であった。KLグレード3については、半年後と比べ2年後にわずかな改善も観察される、KL4被験者の初期レベルは2年後も維持されている。
【0304】
治療後半年のKL2、3、及び4の被験者について、少なくとも20ポイントの疼痛の低減を経験している70歳未満の被験者が高い割合で示されている。少なくとも20ポイントの疼痛の低減を経験した被験者の前記割合は、KL2被験者では2年後にさらに改善した(64.5%)が、一方、KL3被験者のレベルは約20ポイントに減少した(43%へ)。前記KL4レベルは、半年後に対して2年後でも変化しない。
【0305】
結果と結論-WOMAC身体機能性に関するデータ-70歳未満の年齢:
驚くべきことに、WOMAC身体機能性から得られる疼痛パラメーターに関する結果により、70歳未満のサブグループKL2の被験者は、1年目及び2年の時点で、70歳未満のサブグループKL4の被験者よりも疼痛面で大幅な軽減を経験したことが確認された(データは非表示)。
【0306】
【表32B】
【0307】
結論-70歳を超える年齢の被験者
驚くべきことに、表32Bでは、治療の半年、1年及び2年後に、70歳を超えるKL4被験者に対してより高い割合のKL2、KL3、KL2-3及びKL2-4の70歳を超える被験者で、WOMAC疼痛において少なくとも50%の低減が観察されることが示されている。最も顕著な効果は、70歳を超えるKL4の被験者と比較して、70歳を超えるKLグレード3の被験者で見られる。
【0308】
70歳を超えるKL4被験者に対してより高い割合の、半年、1年、及び2年の治療後のKL2、KL3、KL2-3、及びKL2-4被験者で、少なくとも疼痛が12又は20ポイント低減する点で同様の一貫した結果が得られた。ここでも、最も顕著な効果が、KL4被験者と比較してKL3被験者で見られる。
【0309】
結果と結論-WOMACの身体機能性と硬直性に関するデータ-70歳を超える年齢:
驚くべきことに、WOMAC身体機能性から得られる疼痛パラメーターに関する結果により、70歳を超える年齢のサブグループKL3、KL2-3、及びKL2-4の被験者は、治療の半年、1年、2年の時点で、70歳を超えるKL4被験者よりも疼痛面で大幅な軽減を経験したことが確認された(データ非表示)。KL2サブグループは、1年目及び2年の時点で、70歳を超えるサブグループであるKL4被験者よりも大きな疼痛の軽減を経験した。
【0310】
驚くべきことに、WOMAC硬直性から得られる疼痛パラメーターの結果により、70歳を超えるサブグループKL2、KL3、KL2-3、及びKL2-4の被験者は、治療の半年、1年、2年の時点で、70歳を超えるKL4サブグループである被験者よりも大幅な疼痛の低減を経験したことが確認された(データは非表示)。
【0311】
ヒアロン酸との比較
【表33】
【0312】
【表34】
【0313】
結論
表33と34では、PAAG-OA又はヒアロン酸ゲルであるSynvisc-Oneで治療を受けたKLグレード2又は3の被験者と、治療後26週間と52週間の彼らの疼痛の経験結果とが比較されている。KLグレード2又は3と診断された被験者及び/又は年齢が70歳未満の被験者を見ると、PAAG-OA又はSynvisc-Oneの両方が疼痛を軽減できたことが示されている。しかし、PAAG-OAは52週間後により良好な疼痛軽減効果をもたらした。
【0314】
被験者のサブグループをいくつか組み合わせた結果
以下に、2つの因子をKLグレードと組み合わせた場合において得られたデータを選択して示す。
【0315】
【表35】
【0316】
結論-70歳未満の過体重被験者
表35のデータから、2年の時点で、KLグレード4及び3の被験者に対してより高い割合の、過体重で70歳未満のKLグレード2被験者が、少なくとも50%の疼痛の低減を経験していることは明らかである。注目すべきことに、KLグレード2の被験者では、半年、1年、及び2年の時点で、KLグレード3の被験者よりも驚くほど大幅に疼痛が軽減された。KLグレード2-3の患者は、KLグレード4の患者と比較して、2年後に同様の疼痛効果を示した。
【0317】
【表36】
【0318】
結論-70歳超の過体重の被験者
驚くべきことに、表36のデータから、半年、1年、及び2年の時点で、過体重であり70歳超のKLグレード2、3、及び2-3の被験者で少なくとも50%の疼痛の低減を経験している割合が、KLグレード2の被験者と比べて高いことが示されている。
【0319】
70歳超でBMIが「過体重」に分類された被験者でも同様の結果が得られ、少なくとも12又は20ポイント疼痛が低減された(データはここでは非表示)。
【0320】
結果と結論-WOMAC身体機能性及び硬直性に関するデータ-70歳を超える過体重の被験者
驚くべきことに、WOMACの身体機能性から得られる疼痛パラメーターに関する結果により、過体重で70歳を超えるサブグループKL3、KL2-3、及びKL2-4の被験者は、半年、1年、2年の時点で、過体重で70歳を超えるサブグループである前記KL4の被験者よりも疼痛面で大幅な低減を経験したことが確認された(データは非表示)。過体重で70歳を超えるサブグループのKL2被験者もまた、2年の時点で、過体重で70歳を超えるサブグループのKL4被験者よりも優れていた。
【0321】
驚くべきことに、WOMAC硬直性から得られる疼痛パラメーターの結果により、過体重で70歳を超えるサブグループKL2、KL3、KL2-3、及びKL2-4の被験者は、半年と1年の時点で、過体重で70歳を超えるサブグループのKL4の被験者よりも疼痛面で大幅な低減を経験したことが確認された(データは非表示)。過体重で70歳を超えるサブグループのKL3被験者も又、2年の時点で、過体重で70歳を超えるKL4被験者よりも優れていた。
【0322】
【表37】
【0323】
結論-70歳を超える男性被験者
表37のデータから、半年、1年、および2年の時点で、70歳を超えるKLグレード2、3及び/又は2-3の男性被験者で少なくとも50%の疼痛低減を経験している割合が、70歳超えるKLグレード4の男性被験者の割合と比較して、驚くほどより高いことは明らかである。
【0324】
同様の驚くべき結果が、70歳を超え、少なくとも12又は20ポイントの疼痛の低減を示す男性被験者でも得られ、(データは非表示)、すなわち、半年、1年、及び2年の時点で、70歳を超えるKLグレード4の男性被験者が経験した割合に対して驚くほどより高い割合のKLグレード2及び/又は2-3の70歳を超える男性被験者が、少なくとも12又は20ポイントの疼痛の低減を経験した。KL3被験者の場合も同様のパターンとなり、疼痛が少なくとも12ポイント低減した2年の時点を除いて、疼痛軽減被験者の割合がKLグレード4と同一(すなわち、50%)であった。しかし、KL3グループの被験者の数は2年時点で2被験者のみであったため、この結果には説明を求められる場合があるかもしれない。
【0325】
結論-WOMACの身体機能性と硬直性に関するデータ-70歳を超える男性被験者:
驚くべきことに、WOMAC身体機能性から得られる疼痛パラメーターに関する結果から、サブグループKL2、KL3、KL2-3、及びKL2-4の70歳を超える男性被験者が、半年、1年及び2年の時点で、70歳を超えるサブグループのKL4の男性の被験者よりも疼痛面で大幅な疼痛の軽減を経験したことが確認された(データは非表示)。
【0326】
驚くべきことに、WOMAC硬直性から得られる疼痛パラメーターの結果により、サブグループKL2、KL2-3、及びKL2-4の70歳を超える男性被験者が、半年、1年及び2年の時点で70歳を超えるKL4の男性被験者よりも疼痛面で大幅な軽減を経験したことが確認された(データは非表示)。70歳を超えるサブグループのKL3男性被験者は、半年及び1年の時点でも、70歳を超えるKL4男性被験者のサブグループよりも優れていた。
【0327】
【表38】
【0328】
結論-過体重の男性被験者
表38のデータから、半年、1年、及び2年の時点で、KLグレード4の被験者に対してより高い割合のKLグレード2及びKLグレード2-3の過体重の男性被験者が、少なくとも50%の疼痛の低減を経験していることが示されている。過体重の男性KL3被験者で、2年時点で少なくとも50%の疼痛の低減を経験する割合は、KLグレード4被験者のそれと比較して、より高くなる。
【0329】
同様の結果として、KL4の被験者に対してより高い割合のKLグレード2で過体重の男性被験者が、半年、1年、及び2年の時点で、少なくとも12又は20ポイントの疼痛の低減を示した(ここではデータは非表示)。KLグレード2-3の被験者の場合、同様の効果として、過体重の男性経験者が少なくとも12ポイントの疼痛の低減を経験したが、その期間は半年と1年のみであり、一方より高い割合の前記過体重の男性被験者が、1年、2年の時点で少なくとも20ポイントの疼痛の低減を経験した。
【0330】
結論-WOMAC身体機能性及び硬直性に関するデータ-過体重の男性:
驚くべきことに、WOMAC身体機能性から得られる疼痛パラメーターに関する結果から、過体重でサブグループKL2、KL2-3、及びKL2-4に属する男性被験者が、半年、1年、2年の時点でKL4の過体重男性被験者サブグループよりも疼痛面で大幅な疼痛の軽減を経験したことが確認された(データは非表示)。KL3サブグループは又、1年目及び2年の時点でKL4過体重男性被験者サブグループよりも優れていた。
【0331】
驚くべきことに、WOMAC硬直性から得られる疼痛パラメーターに関する結果(データは非表示)からは、サブグループKL2、KL2-3、及びKL2-4に属する過体重の男性被験者が、半年、1年及び2年の時点でKL4の過体重の男性被験者よりも疼痛面で大幅な疼痛の軽減を経験したことが示されている。KL3の過体重男性被験者のサブグループも又、1年の時点でKL4の過体重男性被験者よりも優れていた。
【0332】
参考文献
Kellgreen JH、Lawrence JS(1957) 変形性関節症の放射線学的評価。Ann Rheum Dis 16:494-501。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアクリルアミドハイドロゲルを、KLグレード2及び/又はKLグレード3変形性関節症と診断されたヒトに対して、少なくとも104週間使用することを特徴とする、ポリアクリルアミドハイドロゲルを含有する変形性関節症の予防及び/又は治療薬
【請求項2】
前記ヒトが、KLグレード2の変形性関節症と診断されている、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬。
【請求項3】
前記ヒトが、KLグレード3の変形性関節症と診断されている、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬。
【請求項4】
前記ヒトが70歳以下である、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬。
【請求項5】
前記ヒトが女性である、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬。
【請求項6】
前記ヒトが男性である、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬。
【請求項7】
前記ヒトが25未満のBMIを示す、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬。
【請求項8】
前記ヒトが正常に分類されるBMIを示す、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬。
【請求項9】
前記ヒトで、WOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも50%低減する、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬。
【請求項10】
前記ヒトで、WOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも12ポイント低減する、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬。
【請求項11】
前記ヒトで、WOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも20ポイント低減する、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬。
【請求項12】
前記ヒトの約40%に、26週目、好ましくは52週目、さらにより好ましくは104週目に、前記ヒトのWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも50%の低減がみられ、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬
【請求項13】
前記ヒトの約50%に、26週目、好ましくは52週目、さらにより好ましくは104週目に、前記ヒトのWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも12ポイントの低減がみられ、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬
【請求項14】
前記ヒトの約43%に、26週目、好ましくは52週目、さらにより好ましくは104週目に、前記ヒトのWOMAC疼痛サブスケールにおいて少なくとも20ポイントの低減がみられ、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬
【請求項15】
前記ポリアクリルアミドハイドロゲルの弾性率が約10Paを超える、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬
【請求項16】
前記ポリアクリルアミドハイドロゲルのpHが約5よりも高い、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬
【請求項17】
前記ポリアクリルアミドハイドロゲルの弾性率が約10Paを超え、前記ポリアクリルアミドハイドロゲルの前記pHが約5を超える、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬
【請求項18】
前記ポリアクリルアミドハイドロゲルを無菌条件下、注射により投与する、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬
【請求項19】
0.1~20mlの前記ポリアクリルアミドハイドロゲルを注射により関節内腔に投与する、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬
【請求項20】
前記ポリアクリルアミドハイドロゲルを無菌条件下、注射により前記関節内腔に少なくとも1回投与する、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬
【請求項21】
約6.0mlの前記ポリアクリルアミドハイドロゲルを無菌条件下、注射により前記関節内腔に少なくとも1回投与する、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬
【請求項22】
約3.0mlの前記ポリアクリルアミドハイドロゲルを無菌条件下、注射により前記関節内腔に少なくとも1回又は2回投与する、請求項1に記載の予防及び/又は治療薬
【国際調査報告】