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特表2024-532964筋標的化複合体および筋緊張性ジストロフィーを処置するためのその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-11
(54)【発明の名称】筋標的化複合体および筋緊張性ジストロフィーを処置するためのその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20240904BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20240904BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20240904BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240904BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240904BHJP
   C07H 21/02 20060101ALI20240904BHJP
   C07H 21/04 20060101ALI20240904BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20240904BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
A61K47/68 ZNA
A61P43/00 105
A61P21/04
A61K31/7125
A61K48/00
A61K39/395 L
C07H21/02 CSP
C07H21/04 Z
C12N15/113 Z
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500491
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 US2022073536
(87)【国際公開番号】W WO2023283620
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/316,905
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521048956
【氏名又は名称】ダイン セラピューティクス,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】DYNE THERAPEUTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】1560 Trapelo Road,Waltham,MA 02451,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザノッティ,ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ピカリエロ,タイラー
(72)【発明者】
【氏名】ウィーデン,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】デジャルダン,コディ,エー.
(72)【発明者】
【氏名】サブラマニアン,ロメシュ,アール.
(72)【発明者】
【氏名】カタナニ,モハマド,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】クイン,ブレンダン
(72)【発明者】
【氏名】ナジム,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C057
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C057BB02
4C057BB05
4C057DD03
4C057MM01
4C057MM02
4C057MM04
4C057MM06
4C076AA95
4C076CC09
4C076CC26
4C076CC41
4C076EE59
4C084AA13
4C084NA05
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA941
4C084ZB211
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB41
4C085CC23
4C085DD51
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA94
4C086ZB21
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA54
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA52
(57)【要約】
本出願は、DMPK RNAを標的とするように設計されたオリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、例として、ギャップマー)、およびオリゴヌクレオチドを細胞(例えば、筋細胞)に送達するための標的化複合体、ならびにその使用、特に疾患の処置に関する使用に関する。いくつかの態様において、筋標的化剤は、筋細胞上の内在化細胞表面受容体に特異的に結合する。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPKの発現または活性を阻害する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DMPKの発現または活性を減少させるように構成されたオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結された抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体を含む複合体であって、抗TfR1抗体が、表2~7に列挙される抗TfR1抗体のいずれかの重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)、軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含み、
かつオリゴヌクレオチドが、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、ここで、
Xが、3~7個の連結されたヌクレオシドを含み、X内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つが、2'-修飾ヌクレオシドであり;
Yが、6~15個の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、Y内の各シトシンが、任意にかつ独立して、5-メチル-シトシンであり;かつ
Zが、3~7個の連結されたヌクレオシドを含み、Z内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つが、2'-修飾ヌクレオシドであり;かつ
オリゴヌクレオチドが、配列番号205、214、222、217、211、215、220、225、160~204、206~210、212、213、216、218、219、221、223、224、および226~230のいずれか1つの少なくとも15個の連続するヌクレオシドに対する相補性領域を含む、前記複合体。
【請求項2】
請求項1に記載の複合体であって、
Xが、3~5個の連結されたヌクレオシドを含み、X内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つが、2'-修飾ヌクレオシドであり;
Yが、6~10個の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、Y内の各シトシンが、任意にかつ独立して、5-メチル-シトシンであり;かつ
Zが、3~5個の連結されたヌクレオシドを含み、Z内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つが、2'-修飾ヌクレオシドである、前記複合体。
【請求項3】
抗TfR1抗体が、配列番号76と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および/または配列番号75と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含み、
任意に、抗TfR1抗体が、配列番号76のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号75のアミノ酸配列を含むVLとを含む、請求項1または請求項2に記載の複合体。
【請求項4】
抗TfR1抗体がFabであり、Fabが、配列番号101と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖、および/または配列番号90と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、
任意に、Fabが、配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項5】
抗体とオリゴヌクレオチドとが、切断可能なリンカーを介して共有結合的に連結されており、任意に、切断可能なリンカーが、バリン-シトルリン配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項6】
オリゴヌクレオチドが15~25ヌクレオシド長であり、任意に、オリゴヌクレオチドが15~20ヌクレオシド長である、請求項1~5のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項7】
オリゴヌクレオチドが、配列番号276、348、354、350、345、286、352、357、231~275、277~285、287~344、346、347、349、351、353、355、356、および358~362のいずれか1つの少なくとも15個の連続するヌクレオシドを含み、各チミン塩基(T)が、独立してかつ任意に、ウラシル塩基(U)に置き換えられていてもよく、かつ各Uが、独立してかつ任意に、Tに置き換えられていてもよい、請求項1~6のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項8】
X内の各ヌクレオシドが2'-修飾ヌクレオシドであり、および/またはZ内の各ヌクレオシドが2'-修飾ヌクレオシドであり、任意に、各2'-修飾ヌクレオシドが、独立して、2'-4'二環式ヌクレオシドまたは非二環式2'-修飾ヌクレオシドである、請求項1~7のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項9】
オリゴヌクレオチドが、以下の5'-X-Y-Z-3'配置を含み:
【数1】
ここで、「E」が2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「L」がLNAであり;「D」が2'-デオキシリボヌクレオシドであり;かつ「10」または「8」が、Y内の2'-デオキシリボヌクレオシドの数である、請求項1~8のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項10】
オリゴヌクレオチドが、1以上のホスホロチオアートヌクレオシド間連結を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項11】
オリゴヌクレオチド内の各ヌクレオシド間連結が、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結である、請求項1~10のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項12】
オリゴヌクレオチドが、1以上のホスホジエステルヌクレオシド間連結を含み、任意に、1以上のホスホジエステルヌクレオシド間連結が、Xおよび/またはZにある、請求項1~10のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項13】
オリゴヌクレオチドが、以下から選択される構造を含み:
【数2-1】
【数2-2】
ここで、「xdC」が5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」が2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」が2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「oC」が5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「oU」が5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「xoG」が7-メチル-2'-MOE-グアノシンであり;かつ「*」がホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示す、請求項1~11のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項14】
オリゴヌクレオチドが、その5'-末端でアミン基にコンジュゲートされており、かつ以下から選択される構造を含み:
【数3-1】
【数3-2】
ここで、「xdC」が5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」が2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」が2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「oC」が5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「oU」が5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「xoG」が7-メチル-2'-MOE-グアノシンであり;かつ「*」がホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示し、
かつ任意に、ホスホジエステル連結または他の部分が、5'-NH2-(CH2)6-とオリゴヌクレオチドとの間に存在する、請求項13に記載の複合体。
【請求項15】
オリゴヌクレオチドが、以下から選択される構造を含み:
【数4-1】
【数4-2】
ここで、「xdC」が5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」が2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」が2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「xoC」が5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「x+C」が5-メチルLNAシチジンであり;「+N」がLNAヌクレオシドであり;「oU」が5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「+U」が5-メチルLNAウリジンであり;かつ「*」がホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示す、請求項1~11のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項16】
オリゴヌクレオチドが、その5'-末端でアミン基にコンジュゲートされており、かつ以下から選択される構造を含み:
【数5-1】
【数5-2】
ここで、「xdC」が5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」が2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」が2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「xoC」が5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「x+C」が5-メチルLNAシチジンであり;「+N」がLNAヌクレオシドであり;「oU」が5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「+U」が5-メチルLNAウリジンであり;かつ「*」がホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示し、
かつ任意に、ホスホジエステル連結または他の部分が、5'-NH2-(CH2)6-とオリゴヌクレオチドとの間に存在する、請求項15に記載の複合体。
【請求項17】
筋細胞内のDMPK発現を減少させる方法であって、方法が、筋細胞内のDMPK発現を減少させるために、筋細胞を請求項1~16のいずれか一項に記載の複合体の有効量と接触させることを含む、前記方法。
【請求項18】
筋細胞内のDMPK発現を減少させることが、筋細胞内のDMPK RNAの量を減少させることを含み、任意に、DMPK RNAの量が、筋細胞の核内で減少させられ、任意に、DMPK RNAが変異体DMPK mRNAである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
筋細胞内のDMPK発現を減少させることが、筋細胞内のDMPKタンパク質の量を減少させることを含む、請求項17または請求項18に記載の方法。
【請求項20】
筋緊張性ジストロフィー1型(DM1)を処置する方法であって、方法が、それを必要とする対象に、請求項1~16のいずれか一項に記載の複合体の有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項21】
投与が、対象の筋細胞内のDMPK RNAの少なくとも30%の減少をもたらし、任意に、DMPK RNAがDMPK mRNAである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
投与が、対象の筋細胞の核内のDMPK RNAの減少をもたらす、請求項20または請求項21に記載の方法。
【請求項23】
以下から選択される構造を含む、オリゴヌクレオチド:
【数6-1】
【数6-2】
(ここで、「xdC」が5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」が2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」が2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「oC」が5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「oU」が5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「xoG」が7-メチル-2'-MOE-グアノシンであり;かつ「*」がホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示す)。
【請求項24】
オリゴヌクレオチドが、その5'-末端でアミン基にコンジュゲートされており、かつ以下から選択される構造を含み:
【数7-1】
【数7-2】
【数7-3】
ここで、「xdC」が5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」が2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」が2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「oC」が5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「oU」が5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「xoG」が7-メチル-2'-MOE-グアノシンであり;かつ「*」がホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示し、
かつ任意に、ホスホジエステル連結または他の部分が、5'-NH2-(CH2)6-とオリゴヌクレオチドとの間に存在する、請求項23に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項25】
以下から選択される構造を含む、オリゴヌクレオチド:
【数8-1】
【数8-2】
(ここで、「xdC」が5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」が2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」が2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「xoC」が5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「x+C」が5-メチルLNAシチジンであり;「+N」がLNAヌクレオシドであり;「oU」が5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「+U」が5-メチルLNAウリジンであり;「*」がホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示す)。
【請求項26】
オリゴヌクレオチドが、その5'-末端でアミン基にコンジュゲートされており、かつ以下から選択される構造を含み:
【数9-1】
【数9-2】
【数9-3】
ここで、「xdC」が5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」が2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」が2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「xoC」が5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「x+C」が5-メチルLNAシチジンであり;「+N」がLNAヌクレオシドであり;「oU」が5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「+U」が5-メチルLNAウリジンであり;「*」がホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示し、
かつ任意に、ホスホジエステル連結または他の部分が、5'-NH2-(CH2)6-とオリゴヌクレオチドとの間に存在する、請求項25に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項27】
請求項23~26のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドをナトリウム塩形態で含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年7月9日に出願された「MUSCLE TARGETING COMPLEXES AND USES THEREOF FOR TREATING MYOTONIC DYSTROPHY」と題する米国仮特許出願第63/220000号、および2022年3月4日に出願された「MUSCLE TARGETING COMPLEXES AND USES THEREOF FOR TREATING MYOTONIC DYSTROPHY」と題する米国仮特許出願第63/316905号の米国特許法第119(e)条に基づく優先権を主張し、その各々の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本出願は、DMPK RNAを標的とするように設計されたオリゴヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチドを細胞(例えば、筋細胞)に送達するための標的化複合体、ならびにその使用、特に疾患の処置に関する使用に関する。
【0003】
電子配列表への参照
電子配列表(D082470054WO00-SEQ-COB.xml;サイズ:574,699バイト;および作成日2022年7月7日)の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
筋緊張性ジストロフィー(DM)は、筋緊張症、筋喪失または変性、筋機能低下、インスリン抵抗性、心不整脈、平滑筋機能不全および神経学的異常によって特徴付けられる優性遺伝性の遺伝性疾患である。DMは、成人発症型筋ジストロフィーの最も一般的な形態であり、発生率は世界中で8000人に約1人である。この疾患の2つのタイプ、筋緊張性ジストロフィー1型(DM1)および筋緊張性ジストロフィー2型(DM2)が記載されている。この疾患の一般的な方の形態であるDM1は、19番染色体上のDMPKの3'非コード領域内のCTGトリヌクレオチド反復の反復伸長から生じ、DM2は、3番染色体上のZNF9の第1のイントロンにおけるCCTGテトラヌクレオチド反復の反復伸長から生じる。DM1患者では、約50回超~約3,000回以上の総反復を含み得る、CTGトリヌクレオチド反復の反復伸長が、必須の細胞内タンパク質、例えば、マッスルブラインド様タンパク質に高い親和性で結合するヘアピン構造を形成することが可能な毒性RNA反復の生成をもたらし、タンパク質の隔離と、この疾患に特徴的な機能喪失表現型とをもたらす。この疾患の症状に対処するための支持療法および処置の他には、DM1に対する有効な治療薬は現在利用可能ではない。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
いくつかの側面において、本開示は、DMPK RNAを標的とするように設計されたオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの態様において、本開示は、例えば、筋緊張性ジストロフィーを有するかまたは有すると疑われる対象に、疾患関連反復伸長を有する毒性DMPKのレベルを低下させるのに有用な、DMPK RNAと相補的なオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、標的DMPK RNAのRNAse H媒介分解を導くように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、細胞、例えば、筋細胞(例えば、筋管)、または神経系の細胞(例えば、中枢神経系(CNS)細胞)の核に存在する標的DMPK RNAのRNAse H媒介分解を導くように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、望ましいバイオアベイラビリティおよび/または血清安定性特性を有するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、望ましい結合親和性特性を有するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、望ましい毒性プロファイルを有するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、低補体活性化および/またはサイトカイン誘導特性を有するように設計される。
【0006】
いくつかの態様において、本明細書において提供されるオリゴヌクレオチドは、他の分子、例えば、標的化剤、例えば、筋標的化剤とのコンジュゲーションを促進するように設計される。したがって、いくつかの側面において、本開示は、オリゴヌクレオチドをそれらの細胞に送達することを目的として、特定の細胞型を標的とする複合体を提供する。例を挙げると、いくつかの態様において、本開示は、それらの細胞にオリゴヌクレオチドを送達することを目的として、筋細胞を標的とする複合体を提供する。いくつかの態様において、本明細書において提供される複合体は、例えば、筋緊張性ジストロフィーを有するかまたは有すると疑われる対象に、伸長した疾患関連反復を含むDMPK対立遺伝子の発現または活性を阻害する分子ペイロードを送達するのに特に有用である。したがって、いくつかの態様において、本明細書において提供される複合体は、分子ペイロードを筋細胞に送達することを目的として、筋細胞の表面上の受容体に特異的に結合する筋標的化剤(例えば、筋標的化抗体)を含む。いくつかの態様において、複合体は、受容体媒介内在化を介して細胞に取り込まれ、その後、分子ペイロードが放出されて細胞内で機能を果たしてもよい。例を挙げると、オリゴヌクレオチドを送達するように操作された複合体は、オリゴヌクレオチドが筋細胞内で変異体DMPK発現を阻害することができるように、オリゴヌクレオチドを放出してもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、複合体のオリゴヌクレオチドと筋標的化剤とを接続する共有結合性リンカーのエンドソーム切断によって放出される。本明細書において提供されるオリゴヌクレオチドおよび/または複合体は、複数の組織および細胞型に、例として、筋組織(例えば、筋細胞)内で、および中枢神経系(例えば、CNS細胞、例として、ニューロン)に有用であることができることを理解されたい。
【0007】
本開示のいくつかの側面は、DMPK RNAを標的とするオリゴヌクレオチドを提供する。
【0008】
いくつかの側面によれば、DMPKの発現または活性を減少させるように構成されたオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結された抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体を含む複合体が提供され、抗TfR1抗体は、表2~7に列挙される抗TfR1抗体のいずれかの重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)、軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含み、
かつオリゴヌクレオチドは、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、ここで、
Xは、3~7個の連結されたヌクレオシドを含み、X内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシドであり;
Yは、6~15個の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、Y内の各シトシンは、任意にかつ独立して、5-メチル-シトシンであり;かつ
Zは、3~7個の連結されたヌクレオシドを含み、Z内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシドであり;かつ
オリゴヌクレオチドは、配列番号205、214、222、217、211、215、220、225、160~204、206~210、212、213、216、218、219、221、223、224、および226~230のいずれか1つの少なくとも15個の連続するヌクレオシドに対する相補性領域を含む。
【0009】
いくつかの態様において、Xは、3~5個の連結されたヌクレオシドを含み、X内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシドであり;
Yは、6~10個の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、Y内の各シトシンは、任意にかつ独立して、5-メチル-シトシンであり;かつ
Zは、3~5個の連結されたヌクレオシドを含み、Z内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシドである。
【0010】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、配列番号76と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および/または配列番号75と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含み、
任意に、抗TfR1抗体は、配列番号76のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号75のアミノ酸配列を含むVLとを含む。
【0011】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体はFabであり、Fabは、配列番号101と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖、および/または配列番号90と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、
任意に、Fabは、配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0012】
いくつかの態様において、抗体とオリゴヌクレオチドとは、切断可能なリンカーを介して共有結合的に連結されており、切断可能なリンカーは、バリン-シトルリン配列を任意に含む。
【0013】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは15~25ヌクレオシド長であり、任意に、オリゴヌクレオチドは15~20ヌクレオシド長である。
【0014】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号276、348、354、350、345、286、352、357、231~275、277~285、287~344、346、347、349、351、353、355、356、および358~362のいずれか1つの少なくとも15個の連続するヌクレオシドを含み、各チミン塩基(T)は、独立してかつ任意に、ウラシル塩基(U)に置き換えられていてもよく、かつ各Uは、独立してかつ任意に、Tに置き換えられていてもよい。
【0015】
いくつかの態様において、X内の各ヌクレオシドは2'-修飾ヌクレオシドであり、および/またはZ内の各ヌクレオシドは2'-修飾ヌクレオシドであり、任意に、各2'-修飾ヌクレオシドは、独立して、2'-4'二環式ヌクレオシドまたは非二環式2'-修飾ヌクレオシドである。
【0016】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、以下の5'-X-Y-Z-3'配置を含む:
【数1】
ここで、「E」は2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「L」はLNAであり;「D」は2'-デオキシリボヌクレオシドであり;かつ「10」または「8」は、Y内の2'-デオキシリボヌクレオシドの数である。
【0017】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、1以上のホスホロチオアートヌクレオシド間連結を含む。
【0018】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド内の各ヌクレオシド間連結は、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結である。
【0019】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、1以上のホスホジエステルヌクレオシド間連結を含み、任意に、1以上のホスホジエステルヌクレオシド間連結は、Xおよび/またはZにある。
【0020】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、以下から選択される構造を含む:
【数2-1】
【数2-2】
ここで、「xdC」は5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」は2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」は2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「oC」は5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「oU」は5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「xoG」は7-メチル-2'-MOE-グアノシンであり;かつ「*」はホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示す。
【0021】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、その5'-末端でアミン基にコンジュゲートされており、かつ以下から選択される構造を含む:
【数3-1】
【数3-2】
【数3-3】
ここで、「xdC」は5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」は2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」は2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「oC」は5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「oU」は5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「xoG」は7-メチル-2'-MOE-グアノシンであり;かつ「*」はホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示し、
かつ任意に、ホスホジエステル連結または他の部分は、5'-NH2-(CH2)6-とオリゴヌクレオチドとの間に存在する。
【0022】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、以下から選択される構造を含む:
【数4-1】
【数4-2】
ここで、「xdC」は5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」は2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」は2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「xoC」は5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「x+C」は5-メチルLNAシチジンであり;「+N」はLNAヌクレオシドであり;「oU」は5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「+U」は5-メチルLNAウリジンであり;かつ「*」はホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示す。
【0023】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、その5'-末端でアミン基にコンジュゲートされており、かつ以下から選択される構造を含む:
【数5-1】
【数5-2】
ここで、「xdC」は5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」は2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」は2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「xoC」は5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「x+C」は5-メチルLNAシチジンであり;「+N」はLNAヌクレオシドであり;「oU」は5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「+U」は5-メチルLNAウリジンであり;かつ「*」はホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示し、
かつ任意に、ホスホジエステル連結または他の部分は、5'-NH2-(CH2)6-とオリゴヌクレオチドとの間に存在する。
【0024】
いくつかの側面によれば、筋細胞内のDMPK発現を減少させる方法が本明細書において提供される。いくつかの態様において、方法は、筋細胞内のDMPK発現を減少させるために、筋細胞を本明細書において開示される複合体の有効量と接触させることを含む。
【0025】
いくつかの態様において、筋細胞内のDMPK発現を減少させることは、筋細胞内のDMPK RNAの量を減少させることを含み、任意に、DMPK RNAの量は、筋細胞の核内で減少させられ、任意に、DMPK RNAは変異体DMPK mRNAである。
【0026】
いくつかの態様において、筋細胞内のDMPK発現を減少させることは、筋細胞内のDMPKタンパク質の量を減少させることを含む。
【0027】
いくつかの側面によれば、筋緊張性ジストロフィー1型(DM1)を処置する方法が本明細書において提供される。いくつかの態様において、方法は、それを必要とする対象に、本明細書において開示される複合体の有効量を投与することを含む。
【0028】
いくつかの態様において、投与は、対象の筋細胞内のDMPK RNAの少なくとも30%の減少をもたらし、任意に、DMPK RNAはDMPK mRNAである。
【0029】
いくつかの態様において、投与は、対象の筋細胞の核内のDMPK RNAの減少をもたらし、任意に、DMPK RNAはDMPK mRNAである。
【0030】
いくつかの側面によれば、オリゴヌクレオチドが本明細書において提供される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、以下から選択される構造を含む:
【数6-1】
【数6-2】
【数6-3】
ここで、「xdC」は5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」は2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」は2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「oC」は5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「oU」は5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「xoG」は7-メチル-2'-MOE-グアノシンであり;かつ「*」はホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示す。
【0031】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、その5'-末端でアミン基にコンジュゲートされており、かつ以下から選択される構造を含む:
【数7-1】
【数7-2】
ここで、「xdC」は5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」は2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」は2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「oC」は5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「oU」は5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「xoG」は7-メチル-2'-MOE-グアノシンであり;かつ「*」はホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示し、
かつ任意に、ホスホジエステル連結または他の部分は、5'-NH2-(CH2)6-とオリゴヌクレオチドとの間に存在する。
【0032】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、以下から選択される構造を含む:
【数8-1】
【数8-2】
【数8-3】
ここで、「xdC」は5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」は2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」は2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「xoC」は5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「x+C」は5-メチルLNAシチジンであり;「+N」はLNAヌクレオシドであり;「oU」は5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「+U」は5-メチルLNAウリジンであり;「*」はホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示す。
【0033】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、その5'-末端でアミン基にコンジュゲートされており、かつ以下から選択される構造を含む:
【数9-1】
【数9-2】
ここで、「xdC」は5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」は2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」は2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「xoC」は5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「x+C」は5-メチルLNAシチジンであり;「+N」はLNAヌクレオシドであり;「oU」は5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「+U」は5-メチルLNAウリジンであり;「*」はホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示し、
かつ任意に、ホスホジエステル連結または他の部分は、5'-NH2-(CH2)6-とオリゴヌクレオチドとの間に存在する。
【0034】
いくつかの側面によれば、オリゴヌクレオチドを含む組成物が本明細書において提供される。いくつかの態様において、組成物は、本明細書において開示されるオリゴヌクレオチドをナトリウム塩形態で含む。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1A-1D】図1A図1Hは、DMPK標的化オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた抗TfR1 Fabを有するコンジュゲートが、ヒトTfR1を発現するマウスモデルでは、様々な筋組織にオリゴヌクレオチドを送達し、マウスDmpk発現を減少させたことを示す。DMPK標的化オリゴヌクレオチドが抗TfR1 Fab 3M12-VH4/Vk3にコンジュゲートされた。図1Aは、コンジュゲートが、前脛骨筋内のマウス野生型Dmpkを79%減少させたことを示す。図1Bは、コンジュゲートが、腓腹筋内のマウス野生型Dmpkを76%減少させたことを示す。図1Cは、コンジュゲートが、心臓内のマウス野生型Dmpkを70%減少させたことを示す。図1Dは、コンジュゲートが、横隔膜内のマウス野生型Dmpkを88%減少させたことを示す。図1E図1Hは、前脛骨筋(図1E)、腓腹筋(図1F)、心臓(図1G)および横隔膜(図1H)におけるオリゴヌクレオチド分布を示す。
図1E-1H】図1A図1Hは、DMPK標的化オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた抗TfR1 Fabを有するコンジュゲートが、ヒトTfR1を発現するマウスモデルでは、様々な筋組織にオリゴヌクレオチドを送達し、マウスDmpk発現を減少させたことを示す。DMPK標的化オリゴヌクレオチドが抗TfR1 Fab 3M12-VH4/Vk3にコンジュゲートされた。図1Aは、コンジュゲートが、前脛骨筋内のマウス野生型Dmpkを79%減少させたことを示す。図1Bは、コンジュゲートが、腓腹筋内のマウス野生型Dmpkを76%減少させたことを示す。図1Cは、コンジュゲートが、心臓内のマウス野生型Dmpkを70%減少させたことを示す。図1Dは、コンジュゲートが、横隔膜内のマウス野生型Dmpkを88%減少させたことを示す。図1E図1Hは、前脛骨筋(図1E)、腓腹筋(図1F)、心臓(図1G)および横隔膜(図1H)におけるオリゴヌクレオチド分布を示す。
【0036】
図2A-2B】図2A図2Dは、ビヒクル対照、または抗TfR1 Fab 3M12-VH4/Vκ3にコンジュゲートされたDMPK標的化ASO(ASO58、ASO47、ASO61またはASO66)による処置後のhTfR1/DMSXLマウスの心臓(図2A)、横隔膜(図2B)、腓腹筋(図2C)および前脛骨筋(図2D)の筋組織における毒性ヒトDMPKノックダウンを示す。(一元配置ANOVAによって分析された場合、*、P≦0.05;**、P≦0.01;***、P≦0.001;****、P≦0.0001)。
図2C-2D】図2A図2Dは、ビヒクル対照、または抗TfR1 Fab 3M12-VH4/Vκ3にコンジュゲートされたDMPK標的化ASO(ASO58、ASO47、ASO61またはASO66)による処置後のhTfR1/DMSXLマウスの心臓(図2A)、横隔膜(図2B)、腓腹筋(図2C)および前脛骨筋(図2D)の筋組織における毒性ヒトDMPKノックダウンを示す。(一元配置ANOVAによって分析された場合、*、P≦0.05;**、P≦0.01;***、P≦0.001;****、P≦0.0001)。
【発明を実施するための形態】
【0037】
発明の詳細な記載
本開示のいくつかの側面は、DMPK RNAを標的とするように設計されたオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの態様において、本開示は、例えば、筋緊張性ジストロフィーを有するかまたは有すると疑われる対象に、疾患関連反復伸長を有する毒性DMPKのレベルを低下させるのに有用な、DMPK RNAと相補的なオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、標的DMPK RNAのRNAse H媒介分解を導くように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、細胞、例えば、筋細胞(例えば、筋管)または中枢神経系(CNS)細胞の核に存在する標的DMPK RNAのRNAse H媒介分解を導くように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、望ましいバイオアベイラビリティおよび/または血清安定性特性を有するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、望ましい結合親和性特性を有するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、望ましい毒性プロファイルを有するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、低補体活性化および/またはサイトカイン誘導特性を有するように設計される。
【0038】
いくつかの側面において、本開示は、筋細胞へのオリゴヌクレオチドの効果的な送達のために、本明細書において記載されるDMPK標的化オリゴヌクレオチドに共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体を提供する。いくつかの態様において、DM1を有する対象を処置するための、伸長した疾患関連反復を含むDMPK対立遺伝子を標的とするための複合体が提供される。いくつかの態様において、本明細書において提供される複合体は、伸長した疾患関連反復を含むDMPK対立遺伝子の発現を阻害するオリゴヌクレオチドを含み得る。別の例として、複合体は、マッスルブラインド様タンパク質(例えば、MBNL1、2および/または(例えば、および)3)への疾患関連DMPK mRNAの結合を妨害し、それによって、疾患関連DMPK対立遺伝子の毒性作用を低下させるオリゴヌクレオチドを含み得る。
【0039】
定義された用語の記載を包含する本開示のさらなる側面は、以下に提供される。
【0040】
I.定義
投与すること:本明細書において使用される場合、用語「投与すること」または「投与」は、生理学的におよび/または(例えば、および)薬理学的に有用な様式で対象に複合体を提供すること(例えば、対象の状態を処置すること)を意味する。
【0041】
およそ:本明細書において使用される場合、用語「およそ」または「約」は、目的の1以上の値に適用される場合、規定された参照値と類似の値を指す。ある特定の態様において、用語「およそ」または「約」は、特に指示されない限り、または文脈から明らかでない限り(そのような数字が、可能な値の100%を超える場合を除く)、規定された参照値のいずれかの方向(超または未満)の15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ以下に収まる広範囲な値を指す。
【0042】
抗体:本明細書において使用される場合、用語「抗体」は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメインまたは少なくとも1つの抗原決定基、例えば、抗原に特異的に結合するパラトープを包含するポリペプチドを指す。いくつかの態様において、抗体は完全長抗体である。いくつかの態様において、抗体はキメラ抗体である。いくつかの態様において、抗体はヒト化抗体である。ただし、いくつかの態様において、抗体は、Fab断片、Fab'断片、F(ab')2断片、Fv断片またはscFv断片である。いくつかの態様において、抗体は、ラクダ科の動物の抗体に由来するナノボディ、またはサメ抗体に由来するナノボディである。いくつかの態様において、抗体はダイアボディである。いくつかの態様において、抗体は、ヒト生殖細胞系配列を有するフレームワークを含む。別の態様において、抗体は、IgG、IgG1、IgG2、IgG2A、IgG2B、IgG2C、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgMおよびIgE定常ドメインからなる群から選択される重鎖定常ドメインを含む。いくつかの態様において、抗体は、重(H)鎖可変領域(本明細書においてVHと略される)、および/または(例えば、および)軽(L)鎖可変領域(本明細書においてVLと略される)を含む。いくつかの態様において、抗体は、定常ドメイン、例えば、Fc領域を含む。免疫グロブリン定常ドメインとは、重鎖定常ドメインまたは軽鎖定常ドメインを指す。ヒトIgG重鎖定常ドメインアミノ酸配列およびヒトIgG軽鎖定常ドメインアミノ酸配列ならびにそれらの機能的変形例が公知である。重鎖に関して、いくつかの態様において、本明細書において記載される抗体の重鎖は、アルファ(α)、デルタ(Δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)またはミュー(μ)重鎖であることができる。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗体の重鎖は、ヒトアルファ(α)、デルタ(Δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)またはミュー(μ)重鎖を含むことができる。特定の態様において、本明細書において記載される抗体は、ヒトガンマ1 CH1、CH2および/または(例えば、および)CH3ドメインを含む。いくつかの態様において、VHドメインのアミノ酸配列は、ヒトガンマ(γ)重鎖定常領域のアミノ酸配列、例として、当技術分野で公知のいずれかを含む。ヒト定常領域配列の非限定的な例は当技術分野で記載されており、例えば、米国特許第5,693,780号、および上記のKabat E A et al.,(1991)を参照されたい。いくつかの態様において、VHドメインは、本明細書において提供される可変鎖定常領域のいずれかと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体は、修飾されており、例えば、グリコシル化、リン酸化、SUMO化および/または(例えば、および)メチル化を介して修飾されている。いくつかの態様において、抗体は、1以上の糖または炭水化物分子にコンジュゲートされたグリコシル化抗体である。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、N-グリコシル化、O-グリコシル化、C-グリコシル化、グリピエーション(GPIアンカー付着)および/または(例えば、および)ホスホグリコシル化を介して、抗体にコンジュゲートされている。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、単糖、二糖、オリゴ糖またはグリカンである。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、分岐オリゴ糖または分岐グリカンである。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、マンノース単位、グルコース単位、N-アセチルグルコサミン単位、N-アセチルガラクトサミン単位、ガラクトース単位、フコース単位またはホスホ脂質単位を包含する。いくつかの態様において、抗体は、リンカーポリペプチドまたは免疫グロブリン定常ドメインに連結された、本開示の1以上の抗原結合断片を含むポリペプチドを含む構築物である。リンカーポリペプチドは、ペプチド結合によって結び合わされた2つ以上のアミノ酸残基を含み、1以上の抗原結合部分に連結するために使用される。リンカーポリペプチドの例は報告されている(例えば、Holliger,P.,et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448;Poljak,R.J.,et al.(1994)Structure 2:1121-1123を参照)。またさらに、抗体は、抗体または抗体部分と1以上の他のタンパク質またはペプチドとの共有結合的または非共有結合的会合によって形成されるさらに大きな免疫接着分子の一部であり得る。そのような免疫接着分子の例は、四量体scFv分子を作製するためのストレプトアビジンコア領域の使用(Kipriyanov,S.M.,et al.(1995)Human Antibodies and Hybridomas 6:93-101)、ならびに二価のおよびビオチン化されたscFv分子を作製するためのシステイン残基、マーカーペプチドおよびC末端ポリヒスチジンタグの使用(Kipriyanov,S.M.,et al.(1994)Mol.Immunol.31:1047-1058)を包含する。
【0043】
CDR:本明細書において使用される場合、用語「CDR」は、抗体可変配列内の相補性決定領域を指す。典型的な抗体分子は、抗原結合に通常関与する重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む。VH領域およびVL領域は、「フレームワーク領域」(「FR」)として知られるさらに保存された領域が散在する、「相補性決定領域」(「CDR」)としても知られる超可変領域にさらに細分されることができる。各VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で配置された3つのCDRおよび4つのFRから典型的に構成される。フレームワーク領域およびCDRの範囲は、当技術分野で公知の方法論を使用して、例を挙げると、いずれも当技術分野で周知のKabat定義、IMGT定義、Chothia定義、AbM定義、および/または(例えば、および)接触定義によって正確に同定されることができる。例えば、Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242;IMGT(登録商標),the international ImMunoGeneTics information system(登録商標)www.imgt.org,Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Res.,27:209-212(1999);Ruiz,M.et al.,Nucleic Acids Res.,28:219-221(2000);Lefranc,M.-P.,Nucleic Acids Res.,29:207-209(2001);Lefranc,M.-P.,Nucleic Acids Res.,31:307-310(2003);Lefranc,M.-P.et al.,In Silico Biol.,5,0006(2004)[Epub],5:45-60(2005);Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Res.,33:D593-597(2005);Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Res.,37:D1006-1012(2009);Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Res.,43:D413-422(2015);Chothia et al.,(1989)Nature 342:877;Chothia,C.et al.(1987)J.Mol.Biol.196:901-917,Al-lazikani et al(1997)J.Molec.Biol.273:927-948;およびAlmagro,J.Mol.Recognit.17:132-143(2004)を参照されたい。hgmp.mrc.ac.ukおよびbioinf.org.uk/absも参照されたい。本明細書において使用される場合、CDRとは、当技術分野で公知のいずれかの方法によって定義されるCDRを指し得る。同じCDRを有する2つの抗体は、同じ方法、例を挙げると、IMGT定義によって決定される場合、2つの抗体がそのCDRの同じアミノ酸配列を有することを意味する。
【0044】
重鎖および軽鎖の可変領域の各々には3つのCDRがあり、これらは可変領域の各々に対してCDR1、CDR2およびCDR3と指定される。本明細書において使用される用語「CDRセット」は、抗原に結合することが可能な単一の可変領域に生じる3つのCDRの群を指す。これらのCDRの厳密な境界は、様々な系に従って異なって定義されている。Kabat(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987)and(1991))によって記載される系は、抗体のいずれかの可変領域に適用可能な一義的な残基ナンバリング系を提供するだけでなく、3つのCDRを定義する正確な残基境界も提供する。これらのCDRは、Kabat CDRと呼ばれ得る。CDRの下位部(sub-portion)は、L1、L2およびL3、またはH1、H2およびH3と指定され得、ここで、「L」および「H」は、それぞれ軽鎖領域および重鎖領域を指定する。これらの領域は、Kabat CDRと重複する境界を有するChothia CDRと呼ばれ得る。Kabat CDRと重複するCDRを定義する他の境界は、Padlan(FASEB J.9:133-139(1995))およびMacCallum(J Mol Biol 262(5):732-45(1996))によって記載されている。さらに他のCDR境界定義は、上の系のうちの1つに厳重に従わなくてもよいが、それでもなおKabat CDRと重複することがあり、具体的な残基、もしくは残基の群、またはCDR全体でさえも抗原結合に顕著に影響を及ぼすものではないという予測または実験的知見を踏まえ、それらは短縮または伸長されてもよい。本明細書において使用される方法は、これらの系のいずれかに従って定義されたCDRを利用し得る。CDR定義系の例は表1に提供される。
【表1】
【0045】
CDR接合(CDR-grafted)抗体:用語「CDR接合抗体」は、ある種からの重鎖可変領域配列および軽鎖可変領域配列を含むが、VHおよび/または(例えば、および)VLのCDR領域のうちの1以上の配列が別の種のCDR配列に置き換えられている抗体、例として、マウス重鎖可変領域およびマウス軽鎖可変領域を有するがマウスCDRのうちの1以上(例えば、CDR3)がヒトCDR配列に置き換えられている抗体を指す。
【0046】
キメラ抗体:用語「キメラ抗体」は、ある種からの重鎖可変領域配列および軽鎖可変領域配列と別の種からの定常領域配列とを含む抗体、例として、ヒト定常領域に連結されたマウス重鎖可変領域およびマウス軽鎖可変領域を有する抗体を指す。
【0047】
相補的:本明細書において使用される場合、用語「相補的」は、2つのヌクレオシド間または2組のヌクレオシド間の正確な対形成のための能力を指す。特に、相補的とは、2つのヌクレオシド間または2組のヌクレオシド間に結合をもたらす水素結合対形成の程度を特徴付ける用語である。例を挙げると、ある位置のオリゴヌクレオチドの塩基が、対応する位置の標的核酸(例えば、mRNA)の塩基と水素結合することが可能である場合、塩基は、その位置で互いに相補的であると見なされる。塩基対合は、標準的なWatson-Crick塩基対合および非Watson-Crick塩基対合(例えば、Wobble塩基対合およびHoogsteen塩基対合)の両方を包含し得る。例を挙げると、いくつかの態様において、相補的な塩基対合について、アデノシン型塩基(A)は、チミジン型塩基(T)またはウラシル型塩基(U)に相補的であり、シトシン型塩基(C)は、グアノシン型塩基(G)に相補的であり、ユニバーサル塩基、例として、3-ニトロピロールまたは5-ニトロインドールは、いずれかのA、C、UまたはTにハイブリダイズすることができ、いずれかのA、C、UまたはTと相補的であると見なされる。イノシン(I)は、当技術分野でユニバーサル塩基であるとも見なされており、いずれかのA、C、UまたはTに相補的であると見なされる。
【0048】
保存アミノ酸置換:本明細書において使用される場合、「保存アミノ酸置換」は、アミノ酸置換が行われたタンパク質の相対的な電荷またはサイズの特徴を変化させないアミノ酸置換を指す。バリアントは、当業者に公知のポリペプチド配列を変化させる方法に従って調製されることができ、例として、そのような方法をまとめた参考文献、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrook,et al.,eds.,Fourth Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,2012,or Current Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubel,et al.,eds.,John Wiley&Sons,Inc.,New Yorkに見られる。アミノ酸の保存的置換は、以下の群:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;および(g)E、D内のアミノ酸に対して行われる置換を包含する。
【0049】
共有結合的に連結された:本明細書において使用される場合、用語「共有結合的に連結された」は、少なくとも1つの共有結合を介して一緒に連結されている2つ以上の分子の特徴を指す。いくつかの態様において、2つの分子は、分子間のリンカーとして働く単結合、例えば、ジスルフィド結合またはジスルフィド架橋によって一緒に共有結合的に連結されることができる。ただし、いくつかの態様において、2つ以上の分子は、複数の共有結合を通じて2つ以上の分子を一緒に結び合わせるリンカーとして働く分子を介して一緒に共有結合的に連結されることができる。いくつかの態様において、リンカーは、切断可能なリンカーであり得る。ただし、いくつかの態様において、リンカーは、切断不可能なリンカーであり得る。
【0050】
交差反応性:本明細書において使用される場合、かつ標的化剤(例えば、抗体)の文脈では、用語「交差反応性」は、同様のタイプまたはクラスの複数の抗原(例えば、複数のホモログ、パラログまたはオルソログの抗原)に同様の親和性または結合活性で特異的に結合することが可能な剤の特性を指す。例を挙げると、いくつかの態様において、同様のタイプまたはクラスのヒトおよび非ヒト霊長類の抗原(例えば、ヒトトランスフェリン受容体および非ヒト霊長類トランスフェリン受容体)に対して交差反応性である抗体は、ヒト抗原および非ヒト霊長類抗原に同様の親和性または結合活性で結合することが可能である。いくつかの態様において、抗体は、同様のタイプまたはクラスのヒト抗原および齧歯類抗原に対して交差反応性である。いくつかの態様において、抗体は、同様のタイプまたはクラスの齧歯類抗原および非ヒト霊長類抗原に対して交差反応性である。いくつかの態様において、抗体は、同様のタイプまたはクラスのヒト抗原、非ヒト霊長類抗原および齧歯類抗原に対して交差反応性である。
【0051】
疾患関連反復:本明細書において使用される場合、用語「疾患関連反復」は、反復されたヌクレオチド配列の単位数が、遺伝性疾患、例として、DM1と相関する、および/または(例えば、および)これに直接的にもしくは間接的に寄与する、またはこれを引き起こす、ゲノム位置での反復されたヌクレオチド配列を指す。疾患関連反復の各反復単位は、2、3、4、5またはそれ以上のヌクレオチド長であり得る。例を挙げると、いくつかの態様において、疾患関連反復はジヌクレオチド反復である。いくつかの態様において、疾患関連反復はトリヌクレオチド反復である。いくつかの態様において、疾患関連反復はテトラヌクレオチド反復である。いくつかの態様において、疾患関連反復はペンタヌクレオチド反復である。いくつかの態様において、疾患関連反復は、CAG反復、CTG反復、CUG反復、CGG反復、CCTG反復、またはそれらのいずれかのヌクレオチド相補体を含む。いくつかの態様において、疾患関連反復は、遺伝子の非コード部分にある。ただし、いくつかの態様において、疾患関連反復は、遺伝子のコード領域にある。いくつかの態様において、疾患関連反復は、正常な状態から、遺伝性疾患に直接的にもしくは間接的に寄与する、またはこれを引き起こす長さに伸長される。いくつかの態様において、疾患関連反復は、RNA(例えば、RNA転写物)にある。いくつかの態様において、疾患関連反復は、DNA(例えば、染色体、プラスミド)にある。いくつかの態様において、疾患関連反復は、生殖細胞系細胞の染色体内で伸長される。いくつかの態様において、疾患関連反復は、体細胞の染色体内で伸長される。いくつかの態様において、疾患関連反復は、疾患の先天性発症に関連するいくつかの反復単位に伸長される。いくつかの態様において、疾患関連反復は、疾患の小児期発症に関連するいくつかの反復単位に伸長される。いくつかの態様において、疾患関連反復は、疾患の成人発症に関連するいくつかの反復単位に伸長される。DM1では、DMPKの3'非翻訳領域(3'-UTR)内のCTG単位のトリヌクレオチド反復領域が疾患関連である。正常なDMPK対立遺伝子は、約5~約37のCTG反復単位を含むが、DM1を有する患者では、CTG反復領域の長さは、数百または数千個のトリヌクレオチド反復まで顕著に増加する。
【0052】
DMPK:本明細書において使用される場合、用語「DMPK」は、セリン/トレオニンプロテインキナーゼであるミオトニンプロテインキナーゼ(筋緊張性ジストロフィープロテインキナーゼまたは筋強直性ジストロフィープロテインキナーゼとしても知られる)をコードする遺伝子を指す。この酵素の基質は、ミオゲニン、L型カルシウムチャネルのベータサブユニット、およびホスホレマンを包含し得る。いくつかの態様において、DMPKは、ヒト(遺伝子ID:1760)、非ヒト霊長類(例えば、遺伝子ID:456139、遺伝子ID:715328)、または齧歯類遺伝子(例えば、遺伝子ID:13400)であり得る。ヒトでは、DMPKの3'非コード非翻訳領域内のCTG反復伸長は、筋緊張性ジストロフィーI型(DM1)に関連する。加えて、異なるタンパク質アイソフォームをコードする複数のヒト転写物バリアント(例えば、GenBank RefSeqアクセッション番号:NM_001081563.2、NM_004409.4、NM_001081560.2、NM_001081562.2、NM_001288764.1、NM_001288765.1およびNM_001288766.1の下にアノテーションされているように)が特徴付けられている。
【0053】
DMPK対立遺伝子:本明細書において使用される場合、用語「DMPK対立遺伝子」は、DMPK遺伝子の代替形態(例えば、野生型または変異体形態)のいずれか1つを指す。いくつかの態様において、DMPK対立遺伝子は、その正常および典型的な機能を保持する野生型ミオトニンプロテインキナーゼをコードし得る。いくつかの態様において、DMPK対立遺伝子は、1以上の疾患関連反復伸長を含み得る。いくつかの態様において、正常な対象は、5~37個の範囲内で反復単位を含む2つのDMPK対立遺伝子を有する。いくつかの態様において、DM1を有する対象におけるCTG反復単位の数は、約50~約3,000個またはそれ以上の範囲内であり、反復数が多いほど疾患の重症度が高くなる。いくつかの態様において、軽度に罹患したDM1対象は、50~150個の範囲内で反復単位を有する少なくとも1つのDMPK対立遺伝子を有する。いくつかの態様において、古典的なDM1を有する対象は、100~1,000個またはそれ以上の範囲内で反復単位を有する少なくとも1つのDMPK対立遺伝子を有する。いくつかの態様において、先天性発症のDM1を有する対象は、2,000個を超える反復単位を含む少なくとも1つのDMPK対立遺伝子を有し得る。
【0054】
フレームワーク:本明細書において使用される場合、用語「フレームワーク」または「フレームワーク配列」は、CDRを差し引いた可変領域の残りの配列を指す。様々な系によってCDR配列の厳密な定義を決定することができるため、フレームワーク配列の意味は、相応に異なる解釈に従う。6つのCDR(軽鎖のCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3、ならびに重鎖のCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3)はまた、軽鎖および重鎖上のフレームワーク領域を各鎖上の4つの下位領域(FR1、FR2、FR3およびFR4)に分け、ここで、CDR1はFR1とFR2との間に、CDR2はFR2とFR3との間に、CDR3はFR3とFR4との間に位置付けられる。具体的な下位領域をFR1、FR2、FR3またはFR4として特定することなく、フレームワーク領域は、他によって言及される場合、天然に存在する単一の免疫グロブリン鎖の可変領域内の組み合わされたFRを表す。本明細書において使用される場合、FRは4つの下位領域のうちの1つを表し、FRsはフレームワーク領域を構成する4つの下位領域のうちの2つ以上を表す。ヒト重鎖アクセプター配列およびヒト軽鎖アクセプター配列は、当技術分野で公知である。一態様において、当技術分野で公知のアクセプター配列は、本明細書において開示される抗体に使用され得る。
【0055】
ヒト抗体:用語「ヒト抗体」は、本明細書において使用される場合、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を包含することが意図される。本開示のヒト抗体は、例を挙げると、CDR、特にCDR3では、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダム変異誘発もしくは部位特異的変異誘発によって、またはin vivoでの体細胞変異によって導入された変異)を包含し得る。ただし、用語「ヒト抗体」は、本明細書において使用される場合、別の哺乳動物種、例として、マウスの生殖細胞系に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に接合された抗体を包含することは意図されない。
【0056】
ヒト化抗体:用語「ヒト化抗体」は、非ヒト種(例えば、マウス)からの重鎖可変領域配列および軽鎖可変領域配列を含むが、VHおよび/または(例えば、および)VL配列の少なくとも一部がさらに「ヒト様」に、すなわち、ヒト生殖細胞系可変配列にさらに類似するように変化させられている抗体を指す。ヒト化抗体の1つのタイプは、ヒトCDR配列が非ヒトVH配列および非ヒトVL配列に導入されて対応する非ヒトCDR配列を置き換えているCDR接合抗体である。一態様において、ヒト化抗TfR1抗体および抗原結合部分が提供される。そのような抗体は、既存のハイブリドーマ技術、続いてin vitroで遺伝子工学を使用するヒト化、例として、Kasaian et al PCT公開番号WO 2005/123126に開示されたものを使用してマウス抗TfR1モノクローナル抗体を得ることによって生成され得る。
【0057】
内在化細胞表面受容体:本明細書において使用される場合、用語「内在化細胞表面受容体」は、例えば、外部刺激、例えば、受容体へのリガンド結合時に、細胞によって内在化される細胞表面受容体を指す。いくつかの態様において、内在化細胞表面受容体は、エンドサイトーシスによって内在化される。いくつかの態様において、内在化細胞表面受容体は、クラスリン媒介エンドサイトーシスによって内在化される。ただし、いくつかの態様において、内在化細胞表面受容体は、クラスリンに依存しない経路、例として、例を挙げると、食作用、マクロピノサイトーシス、カベオラ-およびラフト-媒介取込み、またはクラスリンに依存しない構成的エンドサイトーシスによって内在化される。いくつかの態様において、内在化細胞表面受容体は、リガンド結合ドメインを任意にさらに含み得る細胞内ドメイン、膜貫通ドメインおよび/または(例えば、および)細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞表面受容体は、リガンド結合後に細胞によって内在化されるようになる。いくつかの態様において、リガンドは、筋標的化剤または筋標的化抗体であり得る。いくつかの態様において、内在化細胞表面受容体はトランスフェリン受容体である。
【0058】
単離された抗体:「単離された抗体」は、本明細書において使用される場合、異なる抗原特異性を有する他の抗体が実質的にない抗体を指すことが意図される(例えば、トランスフェリン受容体に特異的に結合する単離された抗体は、トランスフェリン受容体以外の抗原に特異的に結合する抗体が実質的にない)。ただし、トランスフェリン受容体複合体に特異的に結合する単離された抗体は、他の抗原、例として、他の種からのトランスフェリン受容体分子に対する交差反応性を有し得る。さらに、単離された抗体は、他の細胞の材料および/または(例えば、および)化学物質が実質的になくてもよい。
【0059】
Kabatナンバリング:用語「Kabatナンバリング」、「Kabat定義」および「Kabat標識化」は、本明細書において区別なく使用される。当技術分野で認識されているこれらの用語は、抗体またはその抗原結合部分の重鎖可変領域および軽鎖可変領域内の他のアミノ酸残基よりも可変(すなわち、超可変)であるアミノ酸残基をナンバリングする系を指す(Kabat et al.(1971)Ann.NY Acad.Sci.190:382-391および、Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242)。重鎖可変領域の場合、超可変領域は、CDR1についてはアミノ酸位置31~35、CDR2についてはアミノ酸位置50~65、およびCDR3についてはアミノ酸位置95~102に及ぶ。軽鎖可変領域の場合、超可変領域は、CDR1についてはアミノ酸位置24~34、CDR2についてはアミノ酸位置50~56、およびCDR3についてはアミノ酸位置89~97に及ぶ。
【0060】
分子ペイロード:本明細書において使用される場合、用語「分子ペイロード」は、生物学的結果を調整するよう機能する分子または種を指す。いくつかの態様において、分子ペイロードは、筋標的化剤に連結されているか、または他の方法で会合されている。いくつかの態様において、分子ペイロードは、小分子、タンパク質、ペプチド、核酸またはオリゴヌクレオチドである。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DNA配列の転写を調整するように、タンパク質の発現を調整するように、またはタンパク質の活性を調整するように機能する。いくつかの態様において、分子ペイロードは、標的遺伝子に対する相補性領域を有する鎖を含むオリゴヌクレオチドである。
【0061】
筋標的化剤:本明細書において使用される場合、用語「筋標的化剤」は、筋細胞上に発現される抗原に特異的に結合する分子を指す。筋細胞内または筋細胞上の抗原は、膜タンパク質、例を挙げると、内在性膜タンパク質または表在性膜タンパク質であり得る。典型的には、筋標的化剤は、筋細胞上の抗原に特異的に結合し、これにより、筋細胞への筋標的化剤(およびいずれかの会合された分子ペイロード)の内在化を促進する。いくつかの態様において、筋標的化剤は、筋肉上の内在化細胞表面受容体に特異的に結合し、受容体媒介内在化を通じて筋細胞内に内在化されることが可能である。いくつかの態様において、筋標的化剤は、小分子、タンパク質、ペプチド、核酸(例えば、アプタマー)または抗体である。いくつかの態様において、筋標的化剤は、分子ペイロードに連結されている。
【0062】
筋標的化抗体:本明細書において使用される場合、用語「筋標的化抗体」は、筋細胞内または筋細胞上に見出される抗原に特異的に結合する抗体である筋標的化剤を指す。いくつかの態様において、筋標的化抗体は、筋細胞上の抗原に特異的に結合し、これにより、筋細胞への筋標的化抗体(およびいずれかの会合された分子ペイロード)の内在化を促進する。いくつかの態様において、筋標的化抗体は、筋細胞上に存在する内在化細胞表面受容体に特異的に結合する。いくつかの態様において、筋標的化抗体は、トランスフェリン受容体に特異的に結合する抗体である。
【0063】
筋緊張性ジストロフィー(DM):本明細書において使用される場合、用語「筋緊張性ジストロフィー(DM)」は、筋喪失、筋肉弱体化および筋機能によって特徴付けられる、DMPK遺伝子またはCNBP(ZNF9)遺伝子の変異によって引き起こされる遺伝性疾患を指す。この疾患の2つのタイプ、筋緊張性ジストロフィー1型(DM1)および筋緊張性ジストロフィー2型(DM2)が記載されている。DM1は、DMPKの3'非コード領域内のCTGトリヌクレオチド反復の伸長に関連する。DM2は、ZNF9の第1のイントロン内のCCTGテトラヌクレオチド反復の伸長に関連する。DM1およびDM2ではともに、ヌクレオチド伸長は、重要な細胞内タンパク質、例えば、マッスルブラインド様タンパク質に高い親和性で結合するヘアピン構造を形成することが可能な毒性RNA反復をもたらす。筋緊張性ジストロフィー、この疾患の遺伝的基礎、および関連する症状は、当技術分野で記載されている(例えば、Thornton,C.A.,“Myotonic Dystrophy”Neurol Clin.(2014),32(3):705-719.;およびKonieczny et al.“Myotonic dystrophy:candidate small molecule therapeutics”Drug Discovery Today(2017),22:11を参照。)いくつかの態様において、対象は、先天性筋緊張性ジストロフィーと呼ばれる、DM1の変異を有して生まれる。先天性筋緊張性ジストロフィーの症状は、出生時から存在し、あらゆる筋肉の脱力、呼吸障害、内反足、発達遅延および知的障害を包含する。DM1は、Online Mendelian Inheritance in Man(OMIM)Entry#160900に関連付けられている。DM2は、OMIM Entry#602668に関連付けられている。
【0064】
オリゴヌクレオチド:本明細書において使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド」は、最大200ヌクレオチド長のオリゴマー核酸化合物を指す。オリゴヌクレオチドの例は、限定するものではないが、RNAiオリゴヌクレオチド(例えば、siRNA、shRNA)、マイクロRNA、ギャップマー、ミックスマー(mixmer)、ホスホロジアミダートモルホリノ、ペプチド核酸、アプタマー、ガイド核酸(例えば、Cas9ガイドRNA)などを包含する。オリゴヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖であり得る。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、1以上の修飾ヌクレオシド(例えば、2'-O-メチル糖修飾、プリンまたはピリミジン修飾)を含み得る。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、1以上の修飾ヌクレオシド間連結を含み得る。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、RpまたはSpの立体化学配置にあり得る1以上のホスホロチオアート連結を含み得る。
【0065】
組換え抗体:用語「組換えヒト抗体」は、本明細書において使用される場合、組換え手段によって調製、発現、作製もしくは単離されたあらゆるヒト抗体、例として、宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現された抗体(本開示にさらに詳細に記載される)、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体(Hoogenboom H.R.,(1997)TIB Tech.15:62-70;Azzazy H.,and Highsmith W.E.,(2002)Clin.Biochem.35:425-445;Gavilondo J.V.,and Larrick J.W.(2002)BioTechniques 29:128-145;Hoogenboom H.,and Chames P.(2000)Immunology Today 21:371-378)、ヒト免疫グロブリン遺伝子トランスジェニック動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor,L.D.,et al.(1992)Nucl.Acids Res.20:6287-6295;Kellermann S-A.,and Green L.L.(2002)Current Opinion in Biotechnology 13:593-597;Little M.et al(2000)Immunology Today 21:364-370を参照)、または他のDNA配列へのヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを伴ういずれかの他の手段によって調製、発現、作製もしくは単離された抗体を包含することが意図される。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する。ただし、ある特定の態様において、そのような組換えヒト抗体は、in vitroでの変異誘発(または、ヒトIg配列トランスジェニック動物が使用される場合、in vivoでの体細胞変異誘発)に供され、したがって、組換え抗体のVH領域およびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系のVH配列およびVL配列に由来しかつこれに関するものの、in vivoでのヒト抗体の生殖細胞系レパートリー内には天然に存在し得ない配列である。本開示の一態様は、当技術分野で周知の技術を使用して、例として、限定するものではないが、ヒトIgファージライブラリー、例として、Jermutus et al.,PCT公開番号WO 2005/007699に開示されたものを使用して生成されることができるヒトトランスフェリン受容体に結合することが可能な完全ヒト抗体を提供する。
【0066】
相補性領域:本明細書において使用される場合、用語「相補性領域」は、2つのヌクレオチド配列が生理学的条件下(例えば、細胞内)で相互にアニーリングすることが可能であるように、例えば、標的核酸の同族ヌクレオチド配列(cognate nucleotide sequence)に十分に相補的な、例えば、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列を指す。いくつかの態様において、相補性領域は、標的核酸の同族ヌクレオチド配列に完全に相補的である。ただし、いくつかの態様において、相補性領域は、標的核酸の同族ヌクレオチド配列に部分的に相補的(例えば、少なくとも80%、90%、95%または99%相補性)である。いくつかの態様において、相補性領域は、標的核酸の同族ヌクレオチド配列と比較して1、2、3または4つのミスマッチを含有する。
【0067】
特異的に結合する:本明細書において使用される場合、用語「特異的に結合する」は、結合アッセイまたは他の結合状況では、適切な対照から結合パートナーを区別するために分子を使用することを可能にする程度の親和性または結合活性で分子が結合パートナーに結合する能力を指す。抗体に関して、用語「特異的に結合する」は、本明細書において記載されるように、単数または複数の適切な参照抗原と比較して、他のものから特定の抗原を区別するために抗体を使用することを可能にする程度の親和性または結合活性で、例えば、抗原への結合を通じて特定の細胞、例えば、筋細胞への優先的標的化を可能にする程度まで、抗体が特定の抗原に結合する能力を指す。いくつかの態様において、抗体が標的に結合するために少なくとも約10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、10-12M、10-13Mまたはそれ以下のKDを有する場合、抗体は標的に特異的に結合する。いくつかの態様において、抗体は、トランスフェリン受容体、例えば、トランスフェリン受容体の先端ドメインのエピトープに特異的に結合する。
【0068】
対象:本明細書において使用される場合、用語「対象」は、哺乳動物を指す。いくつかの態様において、対象は、非ヒト霊長類または齧歯類である。いくつかの態様において、対象はヒトである。いくつかの態様において、対象は、疾患を有するかまたは有すると疑われるペイシェント、例えば、ヒト患者である。いくつかの態様において、対象は、例えば、DMPK対立遺伝子における疾患関連反復伸長から生じる疾患を有するかまたは有すると疑われるヒト患者である。
【0069】
トランスフェリン受容体:本明細書において使用される場合、用語「トランスフェリン受容体」(TFRC、CD71、p90またはTFR1としても知られる)は、エンドサイトーシスによる鉄取込みを促進するためにトランスフェリンに結合する内在化細胞表面受容体を指す。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体は、ヒト(NCBI遺伝子ID 7037)、非ヒト霊長類(例えば、NCBI遺伝子ID 711568またはNCBI遺伝子ID 102136007)、または齧歯類(例えば、NCBI遺伝子ID 22042)起源のものであり得る。加えて、受容体の異なるアイソフォームをコードした複数のヒト転写物バリアント(例えば、GenBank RefSeqアクセッション番号:NP_001121620.1、NP_003225.2、NP_001300894.1およびNP_001300895.1の下にアノテーションされているように)が特徴付けられている。
【0070】
2'-修飾ヌクレオシド:本明細書において使用される場合、用語「2'-修飾ヌクレオシド」および「2'-修飾リボヌクレオシド」は、区別なく使用され、2'位で修飾糖部分を有するヌクレオシドを指す。いくつかの態様において、2'-修飾ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシドであり、ここで、糖の2'位および4'位は架橋されている(例えば、メチレン、エチレン、または(S)-拘束エチル架橋を介して)。いくつかの態様において、2'-修飾ヌクレオシドは非二環式2'-修飾ヌクレオシドであり、例えば、ここで、糖部分の2'位は置換されている。2'-修飾ヌクレオシドの非限定的な例は、2'デオキシ、2'-フルオロ(2'-F)、2'-O-メチル(2'-O-Me)、2'-O-メトキシエチル(2'-MOE)、2'-O-アミノプロピル(2'-O-AP)、2'-O-ジメチルアミノエチル(2'-O-DMAOE)、2'-O-ジメチルアミノプロピル(2'-O-DMAP)、2'-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'-O-DMAEOE)、2'-O-N-メチルアセトアミド(2'-O-NMA)、ロックド核酸(LNA、メチレン架橋核酸)、エチレン架橋核酸(ENA)、および(S)-拘束エチル架橋核酸(cEt)を包含する。いくつかの態様において、本明細書において記載される2'-修飾ヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドであり、2'-修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドは、非修飾オリゴヌクレオチドと比べて標的配列に対する増加した親和性を有する。2'-修飾ヌクレオシドの構造の例は、以下に提供される:
【化1】
これらの例はホスファート基を用いて示されているが、いずれかのヌクレオシド間連結が2'-修飾ヌクレオシド間で企図される。
【0071】
標的化剤、例えば、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗体を含む複合体が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、複合体は、オリゴヌクレオチドに共有結合的に連結された筋標的化抗体を含む。複合体は、単一の抗原部位に特異的に結合する抗体、または同じ抗原上もしくは異なる抗原上に存在し得る少なくとも2つの抗原部位に結合する抗体を含み得る。
【0072】
複合体は、少なくとも1つの遺伝子、タンパク質および/または(例えば、および)核酸の活性または機能を調整するために使用され得る。いくつかの態様において、複合体内に存在する分子ペイロードは、遺伝子、タンパク質および/または(例えば、および)核酸の調整を担う。分子ペイロードは、細胞内の遺伝子、タンパク質および/または(例えば、および)核酸の活性または機能を調整することが可能な小分子、タンパク質、核酸、オリゴヌクレオチドまたはいずれかの分子実体であり得る。いくつかの態様において、分子ペイロードは、細胞、例えば、筋細胞またはCNS細胞の疾患関連反復を標的とするオリゴヌクレオチドである。
【0073】
いくつかの態様において、複合体は、分子ペイロード、例えば、DMPK、例として、疾患関連反復、例えば、DMPK対立遺伝子を含む核酸を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結された筋標的化剤、例えば、抗TfR1抗体を含む。
【0074】
A.筋標的化剤
本開示のいくつかの側面は、例えば、分子ペイロードを筋細胞に送達するための筋標的化剤を提供する。いくつかの態様において、そのような筋標的化剤は、例えば、筋細胞上の抗原への特異的な結合を介して筋細胞に結合すること、および会合された分子ペイロードを筋細胞に送達することが可能である。いくつかの態様において、分子ペイロードは、筋標的化剤に結合され(例えば、共有結合的に結合され)、例えば、エンドサイトーシスを介して筋標的化剤が筋細胞上の抗原に結合した際に筋細胞内に内在化される。様々なタイプの筋標的化剤が本開示に従って使用され得、いずれかの筋標的(例えば、筋肉表面タンパク質)が、本明細書において記載されるいずれかのタイプの筋標的化剤によって標的とされることができることを理解されたい。例を挙げると、筋標的化剤は、小分子、核酸(例えば、DNAまたはRNA)、ペプチド(例えば、抗体)、脂質(例えば、マイクロベシクル)または糖部分(例えば、多糖)を含み得るか、またはそれらからなり得る。例示的な筋標的化剤は本明細書さらに詳細に記載されているが、本明細書において提供される例示的な筋標的化剤が限定されることを意味しないことを理解されたい。
【0075】
本開示のいくつかの側面は、筋肉、例として、骨格筋、平滑筋または心筋上の抗原に特異的に結合する筋標的化剤を提供する。いくつかの態様において、本明細書において提供される筋標的化剤のいずれかは、骨格筋細胞、平滑筋細胞および/または(例えば、および)心筋細胞上の抗原に結合する(例えば、特異的に結合する)。
【0076】
筋肉特異的細胞表面認識要素(例えば、細胞膜タンパク質)との相互作用によって、組織局在化、および筋細胞への選択的取込みの両方が達成されることができる。いくつかの態様において、筋肉の取込みトランスポーターの基質である分子は、分子ペイロードを筋組織内に送達するのに有用である。筋肉表面認識要素への結合、続いてエンドサイトーシスは、大きな分子、例として、抗体さえも筋細胞へ侵入することを可能にすることができる。別の例として、トランスフェリンまたは抗TfR1抗体にコンジュゲートされた分子ペイロードは、トランスフェリン受容体への結合を介して筋細胞によって取り入れられることができ、次いで、例えば、クラスリン媒介エンドサイトーシスを介して形質膜陥入され得る。
【0077】
筋標的化剤の使用は、他の組織内で効果に関連する毒性を低下させながら、筋肉内の分子ペイロード(例えば、オリゴヌクレオチド)を濃縮するのに有用であり得る。いくつかの態様において、筋標的化剤は、対象内の別の細胞型と比較して、筋細胞内の結合された分子ペイロードを濃縮する。いくつかの態様において、筋標的化剤は、筋細胞(例えば、骨格筋細胞、平滑筋細胞または心筋細胞)内の結合された分子ペイロードを、非筋細胞(例えば、肝臓細胞、神経細胞、血液細胞または脂肪細胞)内の量よりも少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍または100倍多い量に濃縮する。いくつかの態様において、対象における分子ペイロードの毒性は、筋標的化剤に結合した際に対象に送達されると、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%または95%低下する。
【0078】
いくつかの態様において、筋肉選択性を達成するために、筋肉認識要素(例えば、筋細胞抗原)が必要とされ得る。一例として、筋標的化剤は、筋肉特異的取込みトランスポーターの基質である小分子であり得る。別の例として、筋標的化剤は、トランスポーター媒介エンドサイトーシスを介して筋細胞に侵入する抗体であり得る。別の例として、筋標的化剤は、筋細胞上の細胞表面受容体に結合するリガンドであり得る。トランスポーターに基づく手法が細胞侵入への直接通路を提供するのに対して、受容体に基づく標的化は、所望の作用部位に達するために刺激されたエンドサイトーシスを伴い得ることを理解されたい。
【0079】
i.筋標的化抗体
いくつかの態様において、筋標的化剤は抗体である。一般に、それらの標的抗原に対する抗体の高い特異性は、筋細胞(例えば、骨格筋細胞、平滑筋細胞および/または(例えば、および)心筋細胞)を選択的に標的とする可能性を提供する。この特異性はまた、オフターゲット毒性を限定し得る。筋細胞の表面抗原を標的とすることが可能な抗体の例は報告されており、本開示の範囲内にある。例を挙げると、筋細胞の表面を標的とする抗体は、参照によりその各々の内容全体が本明細書に組み込まれるArahata K.,et al.“Immunostaining of skeletal and cardiac muscle surface membrane with antibody against Duchenne muscular dystrophy peptide”Nature 1988;333:861-3;Song K.S.,et al.“Expression of caveolin-3 in skeletal,cardiac,and smooth muscle cells.Caveolin-3 is a component of the sarcolemma and co-fractionates with dystrophin and dystrophin-associated glycoproteins”J Biol Chem 1996;271:15160-5;およびWeisbart R.H.et al.,“Cell type specific targeted intracellular delivery into muscle of a monoclonal antibody that binds myosin IIb”Mol Immunol.2003 Mar,39(13):78309に記載されている。
【0080】
a.抗トランスフェリン受容体(TfR)抗体
本開示のいくつかの側面は、トランスフェリン受容体、例えば、抗トランスフェリン受容体抗体に結合する薬剤は筋細胞を標的とすることが可能であるという認識に基づく。トランスフェリン受容体は、細胞膜を越えてトランスフェリンを輸送し細胞内鉄レベルの調節および恒常性に加わる内在化細胞表面受容体である。本開示のいくつかの側面は、トランスフェリン受容体に結合することが可能なトランスフェリン受容体結合タンパク質を提供する。したがって、本開示の側面は、トランスフェリン受容体に結合する結合タンパク質(例えば、抗体)を提供する。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体に結合する結合タンパク質は、いずれかの結合された分子ペイロードとともに筋細胞内に内在化される。本明細書において使用される場合、トランスフェリン受容体に結合する抗体は、トランスフェリン受容体抗体、抗トランスフェリン受容体抗体または抗TfR1抗体と区別なく呼ばれ得る。トランスフェリン受容体に結合する、例えば、特異的に結合する抗体は、トランスフェリン受容体に結合した際に、例えば、受容体媒介エンドサイトーシスを通じて細胞内に内在化され得る。
【0081】
抗TfR1抗体が、いくつかの公知の方法論、例えば、ファージディスプレイを使用するライブラリー設計を使用して、産生、合成および/または(例えば、および)誘導体化され得ることを理解されたい。例示的な方法論は当技術分野で特徴付けられており、参照により組み込まれる(Diez,P.et al.“High-throughput phage-display screening in array format”,Enzyme and microbial technology,2015,79,34-41.;Christoph M.H.and Stanley,J.R.“Antibody Phage Display:Technique and Applications”J Invest Dermatol.2014,134:2.;Engleman,Edgar(Ed.)“Human Hybridomas and Monoclonal Antibodies.”1985,Springer.)。他の態様において、抗TfR1抗体は、以前に特徴付けられているかまたは開示されている。トランスフェリン受容体に特異的に結合する抗体は、当技術分野で公知である(例えば、米国特許第4,364,934号、12/4/1979出願、“Monoclonal antibody to a human early thymocyte antigen and methods for preparing same”;米国特許第8,409,573号、6/14/2006出願、“Anti-CD71 monoclonal antibodies and uses thereof for treating malignant tumor cells”;米国特許第9,708,406号、5/20/2014出願、“Anti-transferrin receptor antibodies and methods of use”;米国特許第9,611,323号、12/19/2014出願、“Low affinity blood brain barrier receptor antibodies and uses therefor”;国際公開第2015/098989号、12/24/2014出願、“Novel anti-Transferrin receptor antibody that passes through blood-brain barrier”;Schneider C.et al.“Structural features of the cell surface receptor for transferrin that is recognized by the monoclonal antibody OKT9.”J Biol Chem.1982,257:14,8516-8522.;Lee et al.“Targeting Rat Anti-Mouse Transferrin Receptor Monoclonal Antibodies through Blood-Brain Barrier in Mouse”2000,J Pharmacol.Exp.Ther.,292:1048-1052を参照。)。
【0082】
いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、高い特異性および親和性でトランスフェリン受容体に結合する。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、トランスフェリン受容体のいずれかの細胞外エピトープ、または抗体に対して曝露されるようになるエピトープに特異的に結合する。いくつかの態様において、本明細書において提供される抗TfR1抗体は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラットなどからのトランスフェリン受容体に特異的に結合する。いくつかの態様において、本明細書において提供される抗TfR1抗体は、ヒトトランスフェリン受容体に結合する。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、配列番号105~108に提供されるヒトまたは非ヒト霊長類トランスフェリン受容体のアミノ酸セグメントに結合する。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、トランスフェリン受容体の先端ドメインにはない、配列番号105に記載のヒトトランスフェリン受容体のアミノ酸90~96に対応するアミノ酸セグメントに結合する。
【0083】
いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体(例えば、以下の表2の抗TfRクローン8)は、TfR1のエピトープに結合し、エピトープは、配列番号105のアミノ酸214~241および/またはアミノ酸354~381の残基を含む。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、配列番号105のアミノ酸214~241およびアミノ酸354~381の残基を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、配列番号105に記載のヒトTfR1の残基Y222、T227、K231、H234、T367、S368、S370、T376およびS378のうちの1以上を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、配列番号105に記載のヒトTfR1の残基Y222、T227、K231、H234、T367、S368、S370、T376およびS378を含むエピトープに結合する。
【0084】
いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体(例えば、以下の表2の3M12、およびそのバリアント)は、配列番号105のアミノ酸258~291および/またはアミノ酸358~381の残基を含むTfR1のエピトープに結合する。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体(例えば、以下の表2の3M12、およびそのバリアント)は、配列番号105のアミノ酸258~291およびアミノ酸358~381の残基を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体(例えば、以下の表2の3M12、およびそのバリアント)は、配列番号105に記載のヒトTfR1の残基K261、S273、Y282、T362、S368、S370およびK371のうちの1以上を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体(例えば、以下の表2の3M12、およびそのバリアント)は、配列番号105に記載のヒトTfR1の残基K261、S273、Y282、T362、S368、S370およびK371を含むエピトープに結合する。
【0085】
NCBI配列NP_003225.2(トランスフェリン受容体タンパク質1アイソフォーム1、homo sapiens)に対応するヒトトランスフェリン受容体アミノ酸配列の例は、以下の通りである:
MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLAVDEEENADNNTKANVTKPKRCSGSICYGTIAVIVFFLIGFMIGYLGYCKGVEPKTECERLAGTESPVREEPGEDFPAARRLYWDDLKRKLSEKLDSTDFTGTIKLLNENSYVPREAGSQKDENLALYVENQFREFKLSKVWRDQHFVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGRLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLYTPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVNAELSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSRSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCRMVTSESKNVKLTVSNVLKEIKILNIFGVIKGFVEPDHYVVVGAQRDAWGPGAAKSGVGTALLLKLAQMFSDMVLKDGFQPSRSIIFASWSAGDFGSVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKAVLGTSNFKVSASPLLYTLIEKTMQNVKHPVTGQFLYQDSNWASKVEKLTLDNAAFPFLAYSGIPAVSFCFCEDTDYPYLGTTMDTYKELIERIPELNKVARAAAEVAGQFVIKLTHDVELNLDYERYNSQLLSFVRDLNQYRADIKEMGLSLQWLYSARGDFFRATSRLTTDFGNAEKTDRFVMKKLNDRVMRVEYHFLSPYVSPKESPFRHVFWGSGSHTLPALLENLKLRKQNNGAFNETLFRNQLALATWTIQGAANALSGDVWDIDNEF(配列番号105)。
【0086】
NCBI配列NP_001244232.1(トランスフェリン受容体タンパク質1、Macaca mulatta)に対応する非ヒト霊長類トランスフェリン受容体アミノ酸配列の例は、以下の通りである:
MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLGVDEEENTDNNTKPNGTKPKRCGGNICYGTIAVIIFFLIGFMIGYLGYCKGVEPKTECERLAGTESPAREEPEEDFPAAPRLYWDDLKRKLSEKLDTTDFTSTIKLLNENLYVPREAGSQKDENLALYIENQFREFKLSKVWRDQHFVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGGLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLDSPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVKADLSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSQSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCKMVTSENKSVKLTVSNVLKETKILNIFGVIKGFVEPDHYVVVGAQRDAWGPGAAKSSVGTALLLKLAQMFSDMVLKDGFQPSRSIIFASWSAGDFGSVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKAVLGTSNFKVSASPLLYTLIEKTMQDVKHPVTGRSLYQDSNWASKVEKLTLDNAAFPFLAYSGIPAVSFCFCEDTDYPYLGTTMDTYKELVERIPELNKVARAAAEVAGQFVIKLTHDTELNLDYERYNSQLLLFLRDLNQYRADVKEMGLSLQWLYSARGDFFRATSRLTTDFRNAEKRDKFVMKKLNDRVMRVEYYFLSPYVSPKESPFRHVFWGSGSHTLSALLESLKLRRQNNSAFNETLFRNQLALATWTIQGAANALSGDVWDIDNEF
(配列番号106)
【0087】
NCBI配列XP_005545315.1(トランスフェリン受容体タンパク質1、Macaca fascicularis)に対応する非ヒト霊長類トランスフェリン受容体アミノ酸配列の例は、以下の通りである:
MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLGVDEEENTDNNTKANGTKPKRCGGNICYGTIAVIIFFLIGFMIGYLGYCKGVEPKTECERLAGTESPAREEPEEDFPAAPRLYWDDLKRKLSEKLDTTDFTSTIKLLNENLYVPREAGSQKDENLALYIENQFREFKLSKVWRDQHFVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGGLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLDSPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVKADLSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSQSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCKMVTSENKSVKLTVSNVLKETKILNIFGVIKGFVEPDHYVVVGAQRDAWGPGAAKSSVGTALLLKLAQMFSDMVLKDGFQPSRSIIFASWSAGDFGSVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKAVLGTSNFKVSASPLLYTLIEKTMQDVKHPVTGRSLYQDSNWASKVEKLTLDNAAFPFLAYSGIPAVSFCFCEDTDYPYLGTTMDTYKELVERIPELNKVARAAAEVAGQFVIKLTHDTELNLDYERYNSQLLLFLRDLNQYRADVKEMGLSLQWLYSARGDFFRATSRLTTDFRNAEKRDKFVMKKLNDRVMRVEYYFLSPYVSPKESPFRHVFWGSGSHTLSALLESLKLRRQNNSAFNETLFRNQLALATWTIQGAANALSGDVWDIDNEF(配列番号107)
【0088】
NCBI配列NP_001344227.1(トランスフェリン受容体タンパク質1、mus musculus)に対応するマウストランスフェリン受容体アミノ酸配列の例は、以下の通りである:
MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLAADEEENADNNMKASVRKPKRFNGRLCFAAIALVIFFLIGFMSGYLGYCKRVEQKEECVKLAETEETDKSETMETEDVPTSSRLYWADLKTLLSEKLNSIEFADTIKQLSQNTYTPREAGSQKDESLAYYIENQFHEFKFSKVWRDEHYVKIQVKSSIGQNMVTIVQSNGNLDPVESPEGYVAFSKPTEVSGKLVHANFGTKKDFEELSYSVNGSLVIVRAGEITFAEKVANAQSFNAIGVLIYMDKNKFPVVEADLALFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSQSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGKMEGSCPARWNIDSSCKLELSQNQNVKLIVKNVLKERRILNIFGVIKGYEEPDRYVVVGAQRDALGAGVAAKSSVGTGLLLKLAQVFSDMISKDGFRPSRSIIFASWTAGDFGAVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKVVLGTSNFKVSASPLLYTLMGKIMQDVKHPVDGKSLYRDSNWISKVEKLSFDNAAYPFLAYSGIPAVSFCFCEDADYPYLGTRLDTYEALTQKVPQLNQMVRTAAEVAGQLIIKLTHDVELNLDYEMYNSKLLSFMKDLNQFKTDIRDMGLSLQWLYSARGDYFRATSRLTTDFHNAEKTNRFVMREINDRIMKVEYHFLSPYVSPRESPFRHIFWGSGSHTLSALVENLKLRQKNITAFNETLFRNQLALATWTIQGVANALSGDIWNIDNEF
(配列番号108)
【0089】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、以下のような受容体:
FVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGRLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLYTPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVNAELSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSRSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCRMVTSESKNVKLTVSNVLKE(配列番号109)のアミノ酸セグメントに結合し、トランスフェリン受容体とトランスフェリンおよび/または(例えば、および)ヒトヘモクロマトーシスタンパク質(HFEとしても知られる)との間の結合相互作用を阻害しない。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、配列番号109のエピトープに結合しない。
【0090】
適切な方法論は、例えば、組換えDNAプロトコルの使用を通じて、抗体、抗体断片または抗原結合剤を得るか、および/または(例えば、および)産生するために使用され得る。いくつかの態様において、抗体はまた、ハイブリドーマの生成を通して産生され得る(例えば、Kohler,G and Milstein,C.“Continuous cultures of fused cells secreting antibody of predefined specificity”Nature,1975,256:495-497を参照)。目的の抗原は、いずれかの形態または実体、例えば、組換えまたは天然に存在する形態または実体の免疫原として使用され得る。ハイブリドーマは、特定の抗原を標的とする抗体を産生する少なくとも1つのハイブリドーマを見出すために、標準的な方法、例えば、ELISAスクリーニングを使用してスクリーニングされる。抗体はまた、抗体を発現するタンパク質発現ライブラリー、例えば、ファージディスプレイライブラリーのスクリーニングを通じて産生され得る。ファージディスプレイライブラリー設計はまた、いくつかの態様において使用され得る(例えば、米国特許第5,223,409号、3/1/1991出願、“Directed evolution of novel binding proteins”;国際公開第1992/18619号、4/10/1992出願、“Heterodimeric receptor libraries using phagemids”;国際公開第1991/17271号、5/1/1991出願、“Recombinant library screening methods”;国際公開第1992/20791号、5/15/1992出願、“Methods for producing members of specific binding pairs”;および国際公開第1992/15679号、2/28/1992出願、“Improved epitope displaying phage”を参照)。いくつかの態様において、目的の抗原は、非ヒト動物、例えば、齧歯類またはヤギを免疫するために使用され得る。いくつかの態様において、次いで、抗体は、非ヒト動物から得られ、任意に、いくつかの方法論を使用して、例えば、組換えDNA技術を使用して、修飾され得る。抗体産生および方法論の追加の例が当技術分野で公知である(例えば、Harlow et al.“Antibodies:A Laboratory Manual”,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照。)。
【0091】
いくつかの態様において、抗体は、修飾されており、例えば、グリコシル化、リン酸化、SUMO化および/または(例えば、および)メチル化を介して修飾されている。いくつかの態様において、抗体は、1以上の糖または炭水化物分子にコンジュゲートされたグリコシル化抗体である。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、N-グリコシル化、O-グリコシル化、C-グリコシル化、グリピエーション(GPIアンカー付着)および/または(例えば、および)ホスホグリコシル化を介して、抗体にコンジュゲートされている。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、単糖、二糖、オリゴ糖またはグリカンである。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、分岐オリゴ糖または分岐グリカンである。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、マンノース単位、グルコース単位、N-アセチルグルコサミン単位、N-アセチルガラクトサミン単位、ガラクトース単位、フコース単位またはホスホ脂質単位を包含する。いくつかの態様において、約1~10個、約1~5個、約5~10個、約1~4個、約1~3個、または約2個の糖分子が存在する。いくつかの態様において、グリコシル化抗体は、全体的にまたは部分的にグリコシル化されている。いくつかの態様において、抗体は、化学反応によって、または酵素的な手段によってグリコシル化されている。いくつかの態様において、抗体は、in vitroまたは細胞内でグリコシル化され、任意に、N-またはO-グリコシル化経路では酵素、例えば、グリコシルトランスフェラーゼが欠乏し得る。いくつかの態様において、抗体は、「Modified antibody,antibody-conjugate and process for the preparation thereof」と題する、2014年5月1日に公開された国際特許出願公開WO2014065661に記載されているように、糖または炭水化物分子によって官能化されている。
【0092】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表2~7のうちのいずれか1つから選択される抗TfR1抗体のいずれか1つのVLドメインおよび/または(例えば、および)VHドメインを含み、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAまたはIgY免疫グロブリン分子、いずれかのクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはいずれかのサブクラス(例えば、IgG2aおよびIgG2b)の免疫グロブリン分子の定常領域のアミノ酸配列を含む定常領域を含む。ヒト定常領域の非限定的な例は当技術分野で記載されており、例えば、上記のKabat E A et al.,(1991)を参照されたい。
【0093】
いくつかの態様において、トランスフェリン受容体に結合する薬剤、例えば、抗TfR1抗体は、筋細胞を標的とすることが可能であり、および/または(例えば、および)(例えば、CNS細胞に向かって)血液脳関門を通過する薬剤の輸送を媒介する。トランスフェリン受容体は、細胞膜を越えてトランスフェリンを輸送し細胞内鉄レベルの調節および恒常性に加わる内在化細胞表面受容体である。本開示のいくつかの側面は、トランスフェリン受容体に結合することが可能なトランスフェリン受容体結合タンパク質を提供する。トランスフェリン受容体に結合する、例えば、特異的に結合する抗体は、トランスフェリン受容体に結合した際に、例えば、受容体媒介エンドサイトーシスを通じて細胞内に内在化され得る。
【0094】
いくつかの側面において、トランスフェリン受容体に高い特異性および親和性で結合するヒト化抗体が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、本明細書において記載されるヒト化抗TfR1抗体は、トランスフェリン受容体のいずれかの細胞外エピトープ、または抗体に対して曝露されるようになるエピトープに特異的に結合する。いくつかの態様において、本明細書において提供されるヒト化抗TfR1抗体は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラットなどからのトランスフェリン受容体に特異的に結合する。いくつかの態様において、本明細書において提供されるヒト化抗TfR1抗体は、ヒトトランスフェリン受容体に結合する。いくつかの態様において、本明細書において記載されるヒト化抗TfR1抗体は、配列番号105~108に提供されるヒトまたは非ヒト霊長類トランスフェリン受容体のアミノ酸セグメントに結合する。いくつかの態様において、本明細書において記載されるヒト化抗TfR1抗体は、トランスフェリン受容体の先端ドメインにはない、配列番号105に記載のヒトトランスフェリン受容体のアミノ酸90~96に対応するアミノ酸セグメントに結合する。いくつかの態様において、本明細書において記載されるヒト化抗TfR1抗体は、TfR1に結合するが、TfR2には結合しない。
【0095】
いくつかの態様において、抗TFR1抗体は、少なくとも約10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、10-12M、10-13Mまたはそれ以下の結合親和性(例えば、Kdによって示される場合)でTfR1(例えば、ヒトまたは非ヒト霊長類TfR1)に特異的に結合する。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、サブナノモル範囲のKDでTfR1に結合する。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、トランスフェリン受容体1(TfR1)に選択的に結合するが、トランスフェリン受容体2(TfR2)には結合しない。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、ヒトTfR1およびカニクイザルTfR1に結合するが(例えば、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、10-12M、10-13Mまたはそれ以下のKdで)、マウスTfR1には結合しない。抗TfR1抗体の親和性および結合動態は、限定するものではないが、バイオセンサ技術(例えば、OCTETまたはBIACORE)を包含するいずれかの好適な方法を使用して試験され得る。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体のいずれか1つの結合は、TfR1へのトランスフェリン結合と競合しないか、またはそれを阻害しない。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体のいずれか1つの結合は、TfR1に対するHFE-ベータ2-ミクログロブリン結合と競合しないか、またはそれを阻害しない。
【0096】
抗TfR1抗体の非限定的な例は表2に提供される。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0097】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表2に提供される抗TfR1抗体のいずれか1つのヒト化バリアントである。いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表2に提供される抗TfR1抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3と同じCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含み、ヒト化重鎖可変領域および/または(例えば、および)ヒト化軽鎖可変領域を含む。
【0098】
本明細書において記載される抗TfR1抗体のアミノ酸配列の例は、表3に提供される。
【表3-1】
【表3-2】
【0099】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表3に提供される抗TfR1抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含むVHを含み、表3に提供されるそれぞれのVHと比較して、フレームワーク領域に1以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)のアミノ酸変異を含む。あるいは、または加えて(例えば、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、表3に提供される抗TfR1抗体のいずれか1つのCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含むVLを含み、表3に提供されるそれぞれのVLと比較して、フレームワーク領域に1以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)のアミノ酸変異を含む。いくつかの態様において、抗TfR1抗体のVHはヒト化VHであり、および/または抗TfR1抗体のVLはヒト化VLである。
【0100】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表3に提供される抗TfR1抗体のうちのいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、かつ表3に提供されるそれぞれのVHと比較して、フレームワーク領域内で少なくとも70%(例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を含むVHを含む。あるいは、または加えて(例えば、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、表3に提供される抗TfR1抗体のいずれか1つのCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含み、かつ表3に提供されるそれぞれのVLと比較して、フレームワーク領域内で少なくとも70%(例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、抗TfR1抗体のVHはヒト化VHであり、および/または抗TfR1抗体のVLはヒト化VLである。
【0101】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号69のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号70のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0102】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号71のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号70のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0103】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号72のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号70のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0104】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号73のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号74のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0105】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号73のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号75のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0106】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号76のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号74のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0107】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号76のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号75のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0108】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号77のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号78のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0109】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号79のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号80のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0110】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号77のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号80のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0111】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号154のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号155のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0112】
いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、ヒト抗体からの重鎖定常領域および軽鎖定常領域を包含することができる完全長IgGである。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体のいずれかの重鎖は、重鎖定常領域(CH)またはその部分(例えば、CH1、CH2、CH3またはそれらの組合せ)を含み得る。重鎖定常領域は、いずれかの好適な起源、例えば、ヒト、マウス、ラットまたはウサギのものであることができる。具体的な一例では、重鎖定常領域は、ヒトIgG(ガンマ重鎖)、例えば、IgG1、IgG2またはIgG4に由来する。ヒトIgG1定常領域の例は、以下に与えられる:
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号81)
【0113】
いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体のいずれかの重鎖は、変異体ヒトIgG1定常領域を含む。例を挙げると、ヒトIgG1のCH2ドメイン内のLALA変異の導入(ヒンジ下部残基Leu234 Leu235をAla234およびAla235によって置き換えるように変異させられたmAb b12に由来する変異体)は、Fcγ受容体結合を減少させることが知られている(Bruhns,P.,et al.(2009)およびXu,D.et al.(2000))。変異体ヒトIgG1定常領域は、以下に提供される(変異は太字にされ、下線が付されている):
【数10】
(配列番号82)
【0114】
いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体のいずれかの軽鎖は、当技術分野で公知のいずれかのCLであることができる軽鎖定常領域(CL)をさらに含み得る。いくつかの例では、CLはカッパ軽鎖である。他の例では、CLはラムダ軽鎖である。いくつかの態様において、CLはカッパ軽鎖であり、その配列は以下に提供される:
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号83)
【0115】
他の抗体の重鎖定常領域および軽鎖定常領域、例えば、参照によりいずれも本明細書に組み込まれるIMGT database(www.imgt.org)またはwww.vbase2.org/vbstat.phpに提供されるものが当技術分野で周知である。
【0116】
いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、表3に列挙されるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号81または配列番号82と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一である重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、表3に列挙されるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号81または配列番号82と比較して25以下のアミノ酸変異(例えば、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1以下のアミノ酸変異)を含有する重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、表3に列挙されるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号81に記載の重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、表3に列挙されるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号82に記載の重鎖定常領域を含む重鎖を含む。
【0117】
いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、表3に列挙されるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一である軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、表3に列挙されるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83と比較して25以下のアミノ酸変異(例えば、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1以下のアミノ酸変異)を含有する軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、表3に列挙されるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83に記載の軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。
【0118】
記載される抗TfR1抗体のIgG重鎖アミノ酸配列およびIgG軽鎖アミノ酸配列の例は、以下の表4に提供される。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【0119】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号84、86、87、88、91、92、94および156のいずれか1つに記載の重鎖と比較して、25以下のアミノ酸変異(例えば、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1以下のアミノ酸変異)を含有する重鎖を含む。あるいは、または加えて(例えば、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号85、89、90、93、95および157のいずれか1つに記載の軽鎖と比較して、25以下のアミノ酸変異(例えば、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1以下のアミノ酸変異)を含有する軽鎖を含む。
【0120】
いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、配列番号84、86、87、88、91、92、94および156のいずれか1つと少なくとも75%(例えば、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。あるいは、または加えて(例えば、加えて)、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、配列番号85、89、90、93、95および157のいずれか1つと少なくとも75%(例えば、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、配列番号84、86、87、88、91、92、94および156のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖を含む。あるいは、または加えて(例えば、加えて)、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、配列番号85、89、90、93、95および157のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0121】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0122】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号86のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0123】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0124】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0125】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0126】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0127】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0128】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0129】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0130】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0131】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号156のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号157のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0132】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、インタクトな抗体(完全長抗体)のFab断片、Fab'断片またはF(ab')2断片である。インタクトな抗体(完全長抗体)の抗原結合断片は、常用的な方法を介して(例えば、組換え的に、または酵素、例として、パパインを使用して完全長IgGの重鎖定常領域を消化することによって)調製され得る。例を挙げると、F(ab')2断片は、抗体分子のペプシンまたはパパイン消化によって産生されることができ、および、Fab断片は、F(ab')2断片のジスルフィド架橋を還元することによって生成されることができる。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体のFab断片内の重鎖定常領域は、
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHT(配列番号96)のアミノ酸配列を含む。
【0133】
いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、表3に列挙されるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号96と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一である重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、表3に列挙されるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号96と比較して25以下のアミノ酸変異(例えば、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1以下のアミノ酸変異)を含有する重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、表3に列挙されるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号96に記載の重鎖定常領域を含む重鎖を含む。
【0134】
いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、表3に列挙されるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一である軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、表3に列挙されるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83と比較して25以下のアミノ酸変異(例えば、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1以下のアミノ酸変異)を含有する軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、表3に列挙されるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83に記載の軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。
【0135】
記載される抗TfR1抗体のFab重鎖アミノ酸配列およびFab軽鎖アミノ酸配列の例は、以下の表5に提供される。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【0136】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号97~103、158および159のいずれか1つに記載の重鎖と比較して、25以下のアミノ酸変異(例えば、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1以下のアミノ酸変異)を含有する重鎖を含む。あるいは、または加えて(例えば、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号85、89、90、93、95および157のいずれか1つに記載の軽鎖と比較して、25以下のアミノ酸変異(例えば、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1以下のアミノ酸変異)を含有する軽鎖を含む。
【0137】
いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、配列番号97~103、158および159のいずれか1つと少なくとも75%(例えば、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。あるいは、または加えて(例えば、加えて)、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、配列番号85、89、90、93、95および157のいずれか1つと少なくとも75%(例えば、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、配列番号97~103、158および159のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖を含む。あるいは、または加えて(例えば、加えて)、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、配列番号85、89、90、93、95および157のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0138】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号97のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0139】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0140】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号99のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0141】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0142】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0143】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0144】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0145】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0146】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0147】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0148】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号158のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号157のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0149】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号159のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号157のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0150】
他の公知の抗TfR1抗体
当技術分野で公知のいずれかの他の適切な抗TfR1抗体は、本明細書において開示される複合体内の筋標的化剤として使用され得る。関連する参考文献および結合エピトープを包含する公知の抗TfR1抗体の例は、表6に列挙される。いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、本明細書において提供される抗TfR1抗体、例えば、表6に列挙される抗TfR1抗体のいずれかの相補性決定領域(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3)を含む。
【表6-1】
【表6-2】
【0151】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つからのCDR-H(例えば、CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3)アミノ酸配列のうちの1以上を包含する。いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つについて提供されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を包含する。いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つについて提供されるCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を包含する。
【0152】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、いずれかの抗TfR1抗体、例として、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つの重鎖可変ドメインおよび/または(例えば、および)軽鎖可変ドメインを包含するいずれかの抗体を包含する。いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、いずれかの抗TfR1抗体、例として、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つの重鎖可変対および軽鎖可変対を包含するいずれかの抗体を包含する。
【0153】
本開示の側面は、本明細書において記載されるもののいずれかに相同な重鎖可変(VH)および/または(例えば、および)軽鎖可変(VL)ドメインアミノ酸配列を有する抗TfR1抗体を提供する。いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、いずれかの抗TfR1抗体、例として、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つの重鎖可変配列および/またはいずれかの軽鎖可変配列と少なくとも75%(例えば、80%、85%、90%、95%、98%または99%)同一である重鎖可変配列または軽鎖可変配列を含む。いくつかの態様において、相同な重鎖可変および/または(例えば、および)軽鎖可変アミノ酸配列は、本明細書において提供されるCDR配列のいずれかでは変動しない。例を挙げると、いくつかの態様において、配列変異の程度(例えば、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%)は、本明細書において提供されるCDR配列のいずれかを除外した重鎖可変および/または(例えば、および)軽鎖可変配列内で起こり得る。いくつかの態様において、本明細書において提供される抗TfR1抗体のいずれかは、いずれかの抗TfR1抗体、例として、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つのフレームワーク配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるフレームワーク配列を含む重鎖可変配列および軽鎖可変配列を含む。
【0154】
本開示に従って使用され得るトランスフェリン受容体抗体の例は、参照により本明細書に組み込まれる国際出願公開WO 2016/081643に記載されている。この抗体のアミノ酸配列は、表7に提供される。
【表7-1】
【表7-2】
【0155】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表7に示されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3と同じであるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含む。あるいは、または加えて(例えば、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、表7に示されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3と同じであるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。
【0156】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表7に示されるCDR-L3と比較して、3つ以下のアミノ酸変異(例えば、3つ、2つまたは1つ以下のアミノ酸変異)を含有するCDR-L3を含む。いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表7に示されるCDR-L3と比較して、1つのアミノ酸変異を含有するCDR-L3を含む。いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、QHFAGTPLT(配列番号126)(KabatおよびChothia定義系による)またはQHFAGTPL(配列番号127)(Contact定義系による)のCDR-L3を含む。いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表7に示されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3と同じであるCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1およびCDR-L2を含み、QHFAGTPLT(配列番号126)(KabatおよびChothia定義系による)またはQHFAGTPL(配列番号127)(Contact定義系による)のCDR-L3を含む。
【0157】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表7に示される重鎖CDRと、合わせて少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%または98%)同一である重鎖CDRを含む。あるいは、または加えて(例えば、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、表7に示される軽鎖CDRと、合わせて少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%または98%)同一である軽鎖CDRを含む。
【0158】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号124のアミノ酸配列を含むVHを含む。あるいは、または加えて(例えば、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号125のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0159】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号128のアミノ酸配列を含むVHを含む。あるいは、または加えて(例えば、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号129のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0160】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号128に記載のVHと比較して、25以下のアミノ酸変異(例えば、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1以下のアミノ酸変異)を含有するVHを含む。あるいは、または加えて(例えば、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号129に記載のVLと比較して、15以下のアミノ酸変異(例えば、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、9、8、7、6、5、4、3、2または1以下のアミノ酸変異)を含有するVLを含む。
【0161】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、ヒト抗体からの重鎖定常領域および軽鎖定常領域を包含することができる完全長IgG1抗体である。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体のいずれかの重鎖は、重鎖定常領域(CH)またはその部分(例えば、CH1、CH2、CH3またはそれらの組合せ)を含み得る。重鎖定常領域は、いずれかの好適な起源、例えば、ヒト、マウス、ラットまたはウサギのものであり得る。具体的な一例では、重鎖定常領域は、ヒトIgG(ガンマ重鎖)、例えば、IgG1、IgG2またはIgG4に由来する。ヒトIgG1定常領域の例は、以下に与えられる:
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号81)
【0162】
いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体のいずれかの軽鎖は、当技術分野で公知のいずれかのCLであることができる軽鎖定常領域(CL)をさらに含み得る。いくつかの例では、CLはカッパ軽鎖である。他の例では、CLはラムダ軽鎖である。いくつかの態様において、CLはカッパ軽鎖であり、その配列は以下に提供される:
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号83)
【0163】
いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、配列番号132のアミノ酸配列を含む重鎖を含むキメラ抗体である。あるいは、または加えて(例えば、加えて)、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、配列番号133のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0164】
いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖を含む完全ヒト抗体である。あるいは、または加えて(例えば、加えて)、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、配列番号135のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0165】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、インタクトな抗体(完全長抗体)の抗原結合断片(Fab)である。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1 Fabは、配列番号136のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。あるいは、または加えて(例えば、加えて)、本明細書において記載される抗TfR1 Fabは、配列番号133のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1 Fabは、配列番号137のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。あるいは、または加えて(例えば、加えて)、本明細書において記載される抗TfR1 Fabは、配列番号135のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0166】
本明細書において記載される抗TfR1抗体は、限定するものではないが、インタクトな(すなわち、完全長)抗体、その抗原結合断片(例として、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv)、一本鎖抗体、二重特異性抗体またはナノボディを包含するいずれかの抗体形態であることができる。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体はscFvである。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、scFv-Fab(例えば、定常領域の一部に融合されたscFv)である。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、定常領域(例えば、配列番号81に記載のヒトIgG1定常領域)に融合されたscFvである。
【0167】
いくつかの態様において、保存的変異は、例を挙げると、結晶構造に基づいて決定される場合、残基が標的抗原(例えば、トランスフェリン受容体)との相互作用に関与する可能性が低い位置で、抗体配列(例えば、CDRまたはフレームワーク配列)に導入されることができる。いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例えば、アミノ酸置換)は、抗体の1以上の機能特性、例として、血清半減期、補体固定、Fc受容体結合および/または(例えば、および)抗原依存的細胞傷害性を変化させるために、本明細書において記載される抗TfR1抗体のFc領域(例えば、Kabatナンバリング系(例えば、KabatのEUインデックス)によるナンバリングで、CH2ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)内、および/または(例えば、および)CH3ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)内、および/または(例えば、および)ヒンジ領域内)に導入される。
【0168】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例えば、アミノ酸置換)は、ヒンジ領域内のシステイン残基の数が、例えば、米国特許第5,677,425号に記載されるように変化させられる(例えば、増加または減少させられる)ように、Fc領域のヒンジ領域(CH1ドメイン)に導入される。CH1ドメインのヒンジ領域内のシステイン残基の数は、例えば、軽鎖と重鎖との集合を促進するために、または抗体の安定性を変化させる(例えば、増加または低下させる)ために、またはリンカーのコンジュゲーションを促進するために、変化させられることができる。
【0169】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例えば、アミノ酸置換)は、エフェクター細胞表面上のFc受容体(例えば、活性化されたFc受容体)に対する抗体の親和性を増加または低下させるために、本明細書において記載される筋標的化抗体のFc領域(例えば、Kabatナンバリング系(例えば、KabatのEUインデックス)によるナンバリングで、CH2ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)内、および/または(例えば、および)CH3ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)内、および/または(例えば、および)ヒンジ領域内)に導入される。Fc受容体に対する抗体の親和性を増加または低下させる、抗体のFc領域内の変異、およびそのような変異をFc受容体またはその断片に導入するための技術は、当業者に公知である。Fc受容体に対する抗体の親和性を変化させるために行われることができる、抗体のFc受容体内の変異の例は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるSmith P et al.,(2012)PNAS 109:6181-6186、米国特許第6,737,056号、ならびに国際公開番号WO 02/060919;WO 98/23289;およびWO 97/34631に記載されている。
【0170】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸変異(すなわち、置換、挿入または欠失)は、in vivoでの抗体の半減期を変化させる(例えば、増加または減少させる)ために、IgG定常ドメインまたはそのFcRn-結合断片(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメイン断片)に導入される。例えば、in vivoでの抗体の半減期を変化させる(例えば、増加または減少させる)変異の例について、国際公開番号WO 02/060919;WO 98/23289;およびWO 97/34631;ならびに米国特許第5,869,046号、米国特許第6,121,022号、米国特許第6,277,375号および米国特許第6,165,745号を参照されたい。
【0171】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸変異(すなわち、置換、挿入または欠失)は、in vivoでの抗TfR1抗体の半減期を減少させるために、IgG定常ドメインまたはそのFcRn-結合断片(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメイン断片)に導入される。いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸変異(すなわち、置換、挿入または欠失)は、in vivoでの抗体の半減期を増加させるために、IgG定常ドメインまたはそのFcRn-結合断片(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメイン断片)に導入される。いくつかの態様において、抗体は、KabatのEUインデックス(上記のKabat E A et al.,(1991))によるナンバリングで第2の定常(CH2)ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)および/または(例えば、および)第3の定常(CH3)ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)内に1以上のアミノ酸変異(例えば、置換)を有することができる。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗体のIgG1の定常領域は、KabatにあるようなEUインデックスに従ってナンバリングされた位置252におけるメチオニン(M)からチロシン(Y)への置換、位置254におけるセリン(S)からトレオニン(T)への置換、および位置256におけるトレオニン(T)からグルタミン酸(E)への置換を含む。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,658,921号を参照されたい。「YTE変異体」と呼ばれるこのタイプの変異体IgGは、同じ抗体の野生型バージョンと比較して4倍増加した半減期を発揮することが示されている(Dall'Acqua W F et al.,(2006)J Biol Chem 281:23514-24を参照)。いくつかの態様において、抗体は、KabatにあるようなEUインデックスに従ってナンバリングされた位置251~257、285~290、308~314、385~389、および428~436でのアミノ酸残基の1つ、2つ、3つまたはそれ以上のアミノ酸置換を含むIgG定常ドメインを含む。
【0172】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸置換は、抗TfR1抗体のエフェクター機能を変化させるために、IgG定常ドメインFc領域に導入される。自身への親和性が変化させられたエフェクターリガンドは、例を挙げると、Fc受容体、または補体のC1成分であることができる。この手法は、米国特許第5,624,821号および米国特許第5,648,260号にさらに詳細に記載されている。いくつかの態様において、定常領域ドメインの欠失または不活化(点変異または他の手段を通じて)は、循環抗体のFc受容体結合を減少させ、それによって、腫瘍局在化を増加させることができる。定常ドメインを欠失させるかまたは不活化し、それによって、腫瘍局在化を増加させる変異の記載については、例えば、米国特許第5,585,097号および米国特許第8,591,886号を参照されたい。いくつかの態様において、1以上のアミノ酸置換は、Fc領域上の潜在的なグリコシル化部位を除去するために、本明細書において記載される抗体のFc領域に導入され得、これにより、Fc受容体結合が減少し得る(例えば、Shields R L et al.,(2001)J Biol Chem 276:6591-604を参照)。
【0173】
いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体の定常領域内の1以上のアミノは、抗体が変化させられたC1q結合および/または(例えば、および)低減もしくは消失された補体依存性細胞傷害性(CDC)を有するように、異なるアミノ酸残基に置き換えられることができる。この手法は、米国特許第6,194,551号(Idusogie et al)にさらに詳細に記載されている。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗体のCH2ドメインのN末端領域内の1以上のアミノ酸残基は変化させられて、それによって、抗体が補体を固定する能力を変化させる。この手法は、国際公開番号WO 94/29351にさらに記載されている。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗体のFc領域は、抗体が抗体依存的細胞傷害性(ADCC)を媒介する能力を増加させるために、および/または(例えば、および)Fcγ受容体に対する抗体の親和性を増加させるために修飾される。この手法は、国際公開番号WO 00/42072にさらに記載されている。
【0174】
いくつかの態様において、本明細書において提供される抗体の重鎖および/または(例えば、および)軽鎖可変ドメイン配列は、本明細書において他の箇所に記載されているように、例を挙げると、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体もしくは複合ヒト抗体、または抗原結合断片を生成するために使用されることができる。当業者によって理解されるように、本明細書において提供される抗体のいずれかに由来するいずれかのバリアント、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体または複合抗体は、本明細書において記載される組成物および方法に有用であり得、バリアント、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体または複合抗体が、これが由来する元の抗体と比べて、トランスフェリン受容体への少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%以上の結合を有するように、トランスフェリン受容体に特異的に結合する能力を維持する。
【0175】
いくつかの態様において、本明細書において提供される抗体は、所望の特性を抗体に付与する変異を含む。例を挙げると、天然のIgG4 mAbに生じることが知られているFabアーム交換に起因する潜在的な合併症を回避するために、本明細書において提供される抗体は、安定化「Adair」変異を含み得(Angal S.,et al.,“A single amino acid substitution abolishes the heterogeneity of chimeric mouse/human(IgG4)antibody,”Mol Immunol 30,105-108;1993)、ここで、セリン228(EUナンバリング;残基241 Kabatナンバリング)は、IgG1様ヒンジ配列をもたらすプロリンに変換されている。したがって、抗体のいずれかは、安定化「Adair」変異を含み得る。
【0176】
いくつかの態様において、抗体は、修飾されており、例えば、グリコシル化、リン酸化、SUMO化および/または(例えば、および)メチル化を介して修飾されている。いくつかの態様において、抗体は、1以上の糖または炭水化物分子にコンジュゲートされたグリコシル化抗体である。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、N-グリコシル化、O-グリコシル化、C-グリコシル化、グリピエーション(GPIアンカー付着)および/または(例えば、および)ホスホグリコシル化を介して、抗体にコンジュゲートされている。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、単糖、二糖、オリゴ糖またはグリカンである。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、分岐オリゴ糖または分岐グリカンである。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、マンノース単位、グルコース単位、N-アセチルグルコサミン単位、N-アセチルガラクトサミン単位、ガラクトース単位、フコース単位またはホスホ脂質単位を包含する。いくつかの態様において、約1~10個、約1~5個、約5~10個、約1~4個、約1~3個、または約2個の糖分子が存在する。いくつかの態様において、グリコシル化抗体は、全体的にまたは部分的にグリコシル化されている。いくつかの態様において、抗体は、化学反応によって、または酵素的な手段によってグリコシル化されている。いくつかの態様において、抗体は、in vitroまたは細胞内でグリコシル化され、任意に、N-またはO-グリコシル化経路では酵素、例えば、グリコシルトランスフェラーゼが欠乏し得る。いくつかの態様において、抗体は、「Modified antibody,antibody-conjugate and process for the preparation thereof」と題する、2014年5月1日に公開された国際特許出願公開WO2014065661に記載されているように、糖または炭水化物分子によって官能化されている。
【0177】
いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体のいずれか1つは、重鎖および/または(例えば、および)軽鎖配列にシグナルペプチド(例えば、N末端シグナルペプチド)を含み得る。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗TfR1抗体は、VH配列およびVL配列のいずれか1つ、IgG重鎖配列およびIgG軽鎖配列のいずれか1つ、または本明細書において記載されるF(ab')重鎖配列およびF(ab')軽鎖配列のいずれか1つを含み、シグナルペプチド(例えば、N末端シグナルペプチド)をさらに含む。いくつかの態様において、シグナルペプチドはMGWSCIILFLVATATGVHSのアミノ酸配列を含む(配列番号104)。
【0178】
いくつかの態様において、本明細書において提供される抗体は、1以上の翻訳後修飾を有し得る。いくつかの態様において、ピログルタマート形成(ピロGlu)とも呼ばれるN末端環化が、産生中にN末端グルタマート(Glu)および/またはグルタミン(Gln)残基で抗体に起こり得る。このように、N末端グルタマートまたはグルタミン残基を含む配列を有すると特定される抗体は、翻訳後修飾から生じるピログルタマート形成を受けた抗体を包摂することを理解されたい。いくつかの態様において、ピログルタマート形成は、重鎖配列内で起こる。いくつかの態様において、ピログルタマート形成は、軽鎖配列内で起こる。
【0179】
b.他の筋標的化抗体
いくつかの態様において、筋標的化抗体は、ヘモジュベリン(hemojuvelin)、カベオリン-3、デュシェンヌ型筋ジストロフィーペプチド、ミオシンIIbまたはCD63に特異的に結合する抗体である。いくつかの態様において、筋標的化抗体は、筋原性前駆体タンパク質に特異的に結合する抗体である。例示的な筋原性前駆体タンパク質は、限定するものではないが、ABCG2、M-カドヘリン/カドヘリン-15、カベオリン-1、CD34、FoxK1、インテグリンアルファ7、インテグリンアルファ7ベータ1、MYF-5、MyoD、ミオゲニン、NCAM-1/CD56、Pax3、Pax7、およびPax9を包含する。いくつかの態様において、筋標的化抗体は、骨格筋タンパク質に特異的に結合する抗体である。例示的な骨格筋タンパク質は、限定するものではないが、アルファ-サルコグリカン、ベータ-サルコグリカン、カルパイン阻害剤、クレアチンキナーゼMM/CKMM、eIF5A、エノラーゼ2/ニューロン特異的エノラーゼ、イプシロン-サルコグリカン、FABP3/H-FABP、GDF-8/ミオスタチン、GDF-11/GDF-8、インテグリンアルファ7、インテグリンアルファ7ベータ1、インテグリンベータ1/CD29、MCAM/CD146、MyoD、ミオゲニン、ミオシン軽鎖キナーゼ阻害剤、NCAM-1/CD56、およびトロポニンIを包含する。いくつかの態様において、筋標的化抗体は、平滑筋タンパク質に特異的に結合する抗体である。例示的な平滑筋タンパク質は、限定するものではないが、アルファ-平滑筋アクチン、VE-カドヘリン、カルデスモン/CALD1、カルポニン1、デスミン、ヒスタミンH2 R、モチリンR/GPR38、トランスジェリン(Transgelin)/TAGLN、およびビメンチンを包含する。ただし、追加の標的に対する抗体が本開示の範囲内にあること、および本明細書において提供される標的の例示的な一覧が限定されることを意味しないことを理解されたい。
【0180】
c.抗体の特色/変化
いくつかの態様において、保存的変異は、例を挙げると、結晶構造に基づいて決定される場合、残基が標的抗原(例えば、トランスフェリン受容体)との相互作用に関与する可能性が低い位置で、抗体配列(例えば、CDRまたはフレームワーク配列)に導入されることができる。いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例えば、アミノ酸置換)は、抗体の1以上の機能特性、例として、血清半減期、補体固定、Fc受容体結合および/または(例えば、および)抗原依存的細胞傷害性を変化させるために、本明細書において記載される筋標的化抗体のFc領域(例えば、Kabatナンバリング系(例えば、KabatのEUインデックス)によるナンバリングで、CH2ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)内、および/または(例えば、および)CH3ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)内、および/または(例えば、および)ヒンジ領域内)に導入される。
【0181】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例えば、アミノ酸置換)は、ヒンジ領域内のシステイン残基の数が、例えば、米国特許第5,677,425号に記載されるように変化させられる(例えば、増加または減少させられる)ように、Fc領域のヒンジ領域(CH1ドメイン)に導入される。CH1ドメインのヒンジ領域内のシステイン残基の数は、例えば、軽鎖と重鎖との集合を促進するために、または抗体の安定性を変化させる(例えば、増加または低下させる)ために、またはリンカーのコンジュゲーションを促進するために、変化させられることができる。
【0182】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例えば、アミノ酸置換)は、エフェクター細胞表面上のFc受容体(例えば、活性化されたFc受容体)に対する抗体の親和性を増加または低下させるために、本明細書において記載される筋標的化抗体のFc領域(例えば、Kabatナンバリング系(例えば、KabatのEUインデックス)によるナンバリングで、CH2ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)内、および/または(例えば、および)CH3ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)内、および/または(例えば、および)ヒンジ領域内)に導入される。Fc受容体に対する抗体の親和性を増加または低下させる、抗体のFc領域内の変異、およびそのような変異をFc受容体またはその断片に導入するための技術は、当業者に公知である。Fc受容体に対する抗体の親和性を変化させるために行われることができる、抗体のFc受容体内の変異の例は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるSmith P et al.,(2012)PNAS 109:6181-6186、米国特許第6,737,056号、ならびに国際公開番号WO 02/060919;WO 98/23289;およびWO 97/34631に記載されている。
【0183】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸変異(すなわち、置換、挿入または欠失)は、in vivoでの抗体の半減期を変化させる(例えば、増加または減少させる)ために、IgG定常ドメインまたはそのFcRn-結合断片(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメイン断片)に導入される。例えば、in vivoでの抗体の半減期を変化させる(例えば、増加または減少させる)変異の例について、国際公開番号WO 02/060919;WO 98/23289;およびWO 97/34631;ならびに米国特許第5,869,046号、米国特許第6,121,022号、米国特許第6,277,375号および米国特許第6,165,745号を参照されたい。
【0184】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸変異(すなわち、置換、挿入または欠失)は、in vivoでの抗トランスフェリン受容体抗体の半減期を減少させるために、IgG定常ドメインまたはそのFcRn-結合断片(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメイン断片)に導入される。いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸変異(すなわち、置換、挿入または欠失)は、in vivoでの抗体の半減期を増加させるために、IgG定常ドメインまたはそのFcRn-結合断片(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメイン断片)に導入される。いくつかの態様において、抗体は、KabatのEUインデックス(上記のKabat E A et al.,(1991))によるナンバリングで第2の定常(CH2)ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)および/または(例えば、および)第3の定常(CH3)ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)内に1以上のアミノ酸変異(例えば、置換)を有することができる。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗体のIgG1の定常領域は、KabatにあるようなEUインデックスに従ってナンバリングされた位置252におけるメチオニン(M)からチロシン(Y)への置換、位置254におけるセリン(S)からトレオニン(T)への置換、および位置256におけるトレオニン(T)からグルタミン酸(E)への置換を含む。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,658,921号を参照されたい。「YTE変異体」と呼ばれるこのタイプの変異体IgGは、同じ抗体の野生型バージョンと比較して4倍増加した半減期を発揮することが示されている(Dall'Acqua W F et al.,(2006)J Biol Chem 281:23514-24を参照)。いくつかの態様において、抗体は、KabatにあるようなEUインデックスに従ってナンバリングされた位置251~257、285~290、308~314、385~389、および428~436でのアミノ酸残基の1つ、2つ、3つまたはそれ以上のアミノ酸置換を含むIgG定常ドメインを含む。
【0185】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸置換は、抗トランスフェリン受容体抗体のエフェクター機能を変化させるために、IgG定常ドメインFc領域に導入される。自身への親和性が変化させられたエフェクターリガンドは、例を挙げると、Fc受容体、または補体のC1成分であることができる。この手法は、米国特許第5,624,821号および米国特許第5,648,260号にさらに詳細に記載されている。いくつかの態様において、定常領域ドメインの欠失または不活化(点変異または他の手段を通じて)は、循環抗体のFc受容体結合を減少させ、それによって、腫瘍局在化を増加させることができる。定常ドメインを欠失させるかまたは不活化し、それによって、腫瘍局在化を増加させる変異の記載については、例えば、米国特許第5,585,097号および米国特許第8,591,886号を参照されたい。いくつかの態様において、1以上のアミノ酸置換は、Fc領域上の潜在的なグリコシル化部位を除去するために、本明細書において記載される抗体のFc領域に導入され得、これにより、Fc受容体結合が減少し得る(例えば、Shields R L et al.,(2001)J Biol Chem 276:6591-604を参照)。
【0186】
いくつかの態様において、本明細書において記載される筋標的化抗体の定常領域内の1以上のアミノは、抗体が変化させられたClq結合および/または(例えば、および)低減もしくは消失された補体依存性細胞傷害性(CDC)を有するように、異なるアミノ酸残基に置き換えられることができる。この手法は、米国特許第6,194,551号(Idusogie et al)にさらに詳細に記載されている。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗体のCH2ドメインのN末端領域内の1以上のアミノ酸残基は変化させられて、それによって、抗体が補体を固定する能力を変化させる。この手法は、国際公開番号WO 94/29351にさらに記載されている。いくつかの態様において、本明細書において記載される抗体のFc領域は、抗体が抗体依存的細胞傷害性(ADCC)を媒介する能力を増加させるために、および/または(例えば、および)Fcγ受容体に対する抗体の親和性を増加させるために修飾される。この手法は、国際公開番号WO 00/42072にさらに記載されている。
【0187】
いくつかの態様において、本明細書において提供される抗体の重鎖および/または(例えば、および)軽鎖可変ドメイン配列は、本明細書において他の箇所に記載されているように、例を挙げると、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体もしくは複合ヒト抗体、または抗原結合断片を生成するために使用されることができる。当業者によって理解されるように、本明細書において提供される抗体のいずれかに由来するいずれかのバリアント、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体または複合抗体は、本明細書において記載される組成物および方法に有用であり得、バリアント、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体または複合抗体が、これが由来する元の抗体と比べて、トランスフェリン受容体への少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%以上の結合を有するように、トランスフェリン受容体に特異的に結合する能力を維持する。
【0188】
いくつかの態様において、本明細書において提供される抗体は、所望の特性を抗体に付与する変異を含む。例を挙げると、天然のIgG4 mAbに生じることが知られているFabアーム交換に起因する潜在的な合併症を回避するために、本明細書において提供される抗体は、安定化「Adair」変異を含み得(Angal S.,et al.,“A single amino acid substitution abolishes the heterogeneity of chimeric mouse/human(IgG4)antibody,”Mol Immunol 30,105-108;1993)、ここで、セリン228(EUナンバリング;残基241 Kabatナンバリング)は、IgG1様ヒンジ配列をもたらすプロリンに変換されている。したがって、抗体のいずれかは、安定化「Adair」変異を含み得る。
【0189】
本明細書において提供されるように、本開示の抗体は、任意に、定常領域またはその一部を含み得る。例を挙げると、VLドメインは、そのC末端で、軽鎖定常ドメイン様CκまたはCλに付着されていてもよい。同様に、VHドメインまたはその一部は、全部または一部の重鎖様IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、ならびにいずれかのアイソタイプのサブクラスに付着されていてもよい。抗体は、好適な定常領域を包含し得る(例を挙げると、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,No.91-3242,National Institutes of Health Publications,Bethesda,Md.(1991)を参照)。したがって、本開示の範囲内の抗体は、いずれかの好適な定常領域と組み合わされて、VHドメインおよびVLドメイン、またはその抗原結合部分を包含し得る。
【0190】
ii.筋標的化ペプチド
本開示のいくつかの側面は、筋標的化剤として筋標的化ペプチドを提供する。特定の細胞型に結合する短いペプチド配列(例えば、5~20アミノ酸長のペプチド配列)が記載されている。例を挙げると、細胞標的化ペプチドは、参照によりその各々の内容全体が本明細書に組み込まれるVines e.,et al.,A.“Cell-penetrating and cell-targeting peptides in drug delivery”Biochim Biophys Acta 2008,1786:126-38;Jarver P.,et al.,“In vivo biodistribution and efficacy of peptide mediated delivery”Trends Pharmacol Sci 2010;31:528-35;Samoylova T.I.,et al.,“Elucidation of muscle-binding peptides by phage display screening”Muscle Nerve 1999;22:460-6;2001年12月11日に発行された「METHODS AND COMPOSITIONS FOR TARGETING COMPOUNDS TO MUSCLE」と題する米国特許第6,329,501号;およびSamoylov A.M.,et al.,“Recognition of cell-specific binding of phage display derived peptides using an acoustic wave sensor.”Biomol Eng 2002;18:269-72に記載されている。特定の細胞表面抗原(例えば、受容体)と相互作用するようにペプチドを設計することによって、所望の組織、例えば、筋肉に対する選択性が獲得されることができる。骨格筋標的化が調査されており、広範囲な分子ペイロードが送達されることが可能である。大きな抗体またはウイルス粒子に関する実際上の不利な点の多くが存在しないこれらの手法は、筋組織に対する高い選択性を有し得る。したがって、いくつかの態様において、筋標的化剤は、4~50アミノ酸長の筋標的化ペプチドである。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50アミノ酸長である。筋標的化ペプチドは、いくつかの方法のいずれか、例として、ファージディスプレイを使用して生成されることができる。
【0191】
いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは、特定の他の細胞と比較して、筋細胞内で過剰発現されるかまたは相対的に高度に発現される内在化細胞表面受容体、例えば、トランスフェリン受容体に結合し得る。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは、トランスフェリン受容体を標的にし得、例えば、トランスフェリン受容体に結合し得る。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体を標的とするペプチドは、天然に存在するリガンド、例えば、トランスフェリンのセグメントを含み得る。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体を標的とするペプチドは、米国特許第6,743,893号、11/30/2000出願、「RECEPTOR-MEDIATED UPTAKE OF PEPTIDES THAT BIND THE HUMAN TRANSFERRIN RECEPTOR」に記載されている通りである。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体を標的とするペプチドは、Kawamoto,M.et al,“A novel transferrin receptor-targeted hybrid peptide disintegrates cancer cell membrane to induce rapid killing of cancer cells.”BMC Cancer.2011 Aug 18;11:359に記載されている通りである。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体を標的とするペプチドは、米国特許第8,399,653号、5/20/2011出願、「TRANSFERRIN/TRANSFERRIN RECEPTOR-MEDIATED SIRNA DELIVERY」に記載されている通りである。
【0192】
上述のように、筋標的化ペプチドの例が報告されている。例を挙げると、筋肉特異的ペプチドは、表面へプタペプチドを提示するファージディスプレイライブラリーを使用して同定された。一例として、アミノ酸配列ASSLNIA(配列番号363)を有するペプチドは、in vitroではC2C12マウス筋管に結合し、in vivoではマウス筋組織に結合した。したがって、いくつかの態様において、筋標的化剤は、アミノ酸配列ASSLNIA(配列番号363)を含む。このペプチドは、マウスに対する静脈内注射後に心筋組織および骨格筋組織への結合について改善された特異性を示し、肝臓、腎臓および脳への結合が減少した。追加の筋肉特異的ペプチドがファージディスプレイを使用して同定されている。例を挙げると、DMDへの処置という状況では、12個のアミノ酸ペプチドが、筋標的化のためのファージディスプレイライブラリーによって同定された。参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれるYoshida D.,et al.,“Targeting of salicylate to skin and muscle following topical injections in rats.”Int J Pharm 2002;231:177-84を参照されたい。ここで、配列SKTFNTHPQSTP(配列番号364)を有する12個のアミノ酸ペプチドが同定され、この筋標的化ペプチドは、ASSLNIA(配列番号363)ペプチドと比べてC2C12細胞への改善された結合を示した。
【0193】
他の細胞型よりも筋肉(例えば、骨格筋)に対して選択的なペプチドを同定するための追加の方法は、in vitroでの選択を含み、これは、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれるGhosh D.,et al.,“Selection of muscle-binding peptides from context-specific peptide-presenting phage libraries for adenoviral vector targeting”J Virol 2005;79:13667-72に記載されている。ランダムな12量体ペプチドファージディスプレイライブラリーを非筋細胞型の混合物とプレインキュベートすることによって、非特異的細胞バインダーが選出された。選択を繰り返した後、12個のアミノ酸ペプチドTARGEHKEEELI(配列番号365)が最も頻繁に出現した。したがって、いくつかの態様において、筋標的化剤は、アミノ酸配列TARGEHKEEELIを含む(配列番号365)。
【0194】
筋標的化剤は、アミノ酸含有分子またはペプチドであり得る。筋標的化ペプチドは、筋細胞に見出されたタンパク質受容体に優先的に結合するタンパク質の配列に対応し得る。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは、ペプチドが筋細胞を優先的に標的とするように、疎水性アミノ酸、例えば、バリンの性質を強く含有する。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは、これまでに特徴付けも開示もされていない。これらのペプチドは、いくつかの方法論のいずれか、例えば、ファージディスプレイドペプチドライブラリー、1ビーズ・1化合物(one-bead one-compound)ペプチドライブラリー、またはポジショナルスキャニング(positional scanning)合成ペプチドコンビナトリアルライブラリーを使用して、想起、産生、合成および/または(例えば、および)誘導体化され得る。例示的な方法論は、当技術分野で特徴付けられており、参照により組み込まれる(Gray,B.P.and Brown,K.C.“Combinatorial Peptide Libraries:Mining for Cell-Binding Peptides”Chem Rev.2014,114:2,1020-1081.;Samoylova,T.I.and Smith,B.F.“Elucidation of muscle-binding peptides by phage display screening.”Muscle Nerve,1999,22:4.460-6.)。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは、以前に開示されている(例えば、Writer M.J.et al.“Targeted gene delivery to human airway epithelial cells with synthetic vectors incorporating novel targeting peptides selected by phage display.”J.Drug Targeting.2004;12:185;Cai,D.“BDNF-mediated enhancement of inflammation and injury in the aging heart.”Physiol Genomics.2006,24:3,191-7.;Zhang,L.“Molecular profiling of heart endothelial cells.”Circulation,2005,112:11,1601-11.;McGuire,M.J.et al.“In vitro selection of a peptide with high selectivity for cardiomyocytes in vivo.”J Mol Biol.2004,342:1,171-82を参照。)。例示的な筋標的化ペプチドは、以下の群のアミノ酸配列を含む:CQAQGQLVC(配列番号366)、CSERSMNFC(配列番号367)、CPKTRRVPC(配列番号368)、WLSEAGPVVTVRALRGTGSW(配列番号369)、ASSLNIA(配列番号363)、CMQHSMRVC(配列番号370)およびDDTRHWG(配列番号371)。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは、約2~25アミノ酸、約2~20アミノ酸、約2~15アミノ酸、約2~10アミノ酸または約2~5アミノ酸を含み得る。筋標的化ペプチドは、天然に存在するアミノ酸、例えば、システイン、アラニン、または天然に存在しないか、もしくは修飾されたアミノ酸を含み得る。天然に存在しないアミノ酸は、β-アミノ酸、ホモ-アミノ酸、プロリン誘導体、3-置換アラニン誘導体、線形コアアミノ酸、N-メチルアミノ酸、および当技術分野で公知のその他のアミノ酸を包含する。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは線状であり得、他の態様において、筋標的化ペプチドは環状、例えば、二環式であり得る(例えば、Silvana,M.G.et al.Mol.Therapy,2018,26:1,132-147を参照。)。
【0195】
iii.筋標的化受容体リガンド
筋標的化剤は、リガンド、例えば、受容体タンパク質に結合するリガンドであり得る。筋標的化リガンドは、筋細胞によって発現される内在化細胞表面受容体に結合するタンパク質、例えば、トランスフェリンであり得る。したがって、いくつかの態様において、筋標的化剤は、トランスフェリン、またはトランスフェリン受容体に結合するその誘導体である。あるいは、筋標的化リガンドは、小分子、例えば、他の細胞型と比べて筋細胞を優先的に標的とする親油性小分子であり得る。筋細胞を標的とし得る例示的な親油性小分子は、コレステロール、コレステリル、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、オレイル、リノレン酸、リノール酸、ミリスチン酸、ステロール、ジヒドロテストステロン、テストステロン誘導体、グリセリン、アルキル鎖、トリチル基およびアルコキシ酸を含む化合物を包含する。
【0196】
iv.筋標的化アプタマー
筋標的化剤は、他の細胞型と比べて筋細胞を優先的に標的とするアプタマー、例えば、RNAアプタマーであり得る。いくつかの態様において、筋標的化アプタマーは、これまでに特徴付けも開示もされていない。これらのアプタマーは、いくつかの方法論のいずれか、例えば、指数関数的濃縮によるリガンドの体系的進化(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)を使用して、想起、産生、合成および/または(例えば、および)誘導体化され得る。例示的な方法論は、当技術分野で特徴付けられており、参照により組み込まれる(Yan,A.C.and Levy,M.“Aptamers and aptamer targeted delivery”RNA biology,2009,6:3,316-20.;Germer,K.et al.“RNA aptamers and their therapeutic and diagnostic applications.”Int.J.Biochem.Mol.Biol.2013;4:27-40.)。いくつかの態様において、筋標的化アプタマーは、以前に開示されている(例えば、Phillippou,S.et al.“Selection and Identification of Skeletal-Muscle-Targeted RNA Aptamers.”Mol Ther Nucleic Acids.2018,10:199-214.;Thiel,W.H.et al.“Smooth Muscle Cell-targeted RNA Aptamer Inhibits Neointimal Formation.”Mol Ther.2016,24:4,779-87を参照。)。例示的な筋標的化アプタマーは、A01B RNAアプタマーおよびRNA Apt 14を包含する。いくつかの態様において、アプタマーは、核酸に基づくアプタマー、オリゴヌクレオチドアプタマー、またはペプチドアプタマーである。いくつかの態様において、アプタマーは、約5~15kDa、約5~10kDa、約10~15kDa、約1~5Da、約1~3kDaまたはそれ以下であり得る。
【0197】
v.他の筋標的化剤
筋細胞(例えば、骨格筋細胞)を標的とするための1つの戦略は、筋肉トランスポータータンパク質、例として、筋線維鞘上に発現されたトランスポータータンパク質の基質を使用することである。いくつかの態様において、筋標的化剤は、筋組織に特異的な流入トランスポーターの基質である。いくつかの態様において、流入トランスポーターは、骨格筋組織に特異的である。骨格筋の筋線維鞘上に発現されるトランスポーターの二大クラスは、(1)骨格筋組織からの流出を促進するアデノシン三リン酸(ATP)結合カセット(ABC)スーパーファミリー、および(2)骨格筋内への基質の流入を促進することができる溶質輸送体(solute carrier)(SLC)スーパーファミリーである。いくつかの態様において、筋標的化剤は、トランスポーターのABCスーパーファミリーまたはSLCスーパーファミリーに結合する基質である。いくつかの態様において、トランスポーターのABCまたはSLCスーパーファミリーに結合する基質は、天然に存在する基質である。いくつかの態様において、トランスポーターのABCまたはSLCスーパーファミリーに結合する基質は、天然に存在しない基質、例を挙げると、トランスポーターのABCまたはSLCスーパーファミリーに結合するその合成誘導体である。
【0198】
いくつかの態様において、筋標的化剤は、トランスポーターのSLCスーパーファミリーを標的とする、本明細書において記載されるいずれかの筋標的化剤(例えば、抗体、核酸、小分子、ペプチド、アプタマー、脂質、糖部分)である。いくつかの態様において、筋標的化剤は、トランスポーターのSLCスーパーファミリーの基質である。SLCトランスポーターは、平衡型であるか、または膜を横切って作り出されたプロトンもしくはナトリウムのイオン勾配を使用して基質の輸送を推進する。高い骨格筋発現を有する例示的なSLCトランスポーターは、限定するものではないが、SATTトランスポーター(ASCT1;SLC1A4)、GLUT4トランスポーター(SLC2A4)、GLUT7トランスポーター(GLUT7;SLC2A7)、ATRC2トランスポーター(CAT-2;SLC7A2)、LAT3トランスポーター(KIAA0245;SLC7A6)、PHT1トランスポーター(PTR4;SLC15A4)、OATP-Jトランスポーター(OATP5A1;SLC21A15)、OCT3トランスポーター(EMT;SLC22A3)、OCTN2トランスポーター(FLJ46769;SLC22A5)、ENTトランスポーター(ENT1;SLC29A1およびENT2;SLC29A2)、PAT2トランスポーター(SLC36A2)およびSAT2トランスポーター(KIAA1382;SLC38A2)を包含する。これらのトランスポーターは、骨格筋への基質の流入を促進し、筋標的化のための好機を提供することができる。
【0199】
いくつかの態様において、筋標的化剤は、平衡型ヌクレオシドトランスポーター2(ENT2)トランスポーターの基質である。他のトランスポーターと比べて、ENT2は、骨格筋内で最も高いmRNA発現の1つを有する。ヒトENT2(hENT2)は、ほとんどの体器官、例として、脳、心臓、胎盤、胸腺、膵臓、前立腺および腎臓に発現されるものの、特に骨格筋に豊富である。ヒトENT2は、その基質の取込みを、それらの濃度勾配に応じて促進する。ENT2は、広範囲なプリンおよびピリミジン核酸塩基を輸送することによってヌクレオシド恒常性を維持する役割を果たす。hENT2トランスポーターは、イノシンを除くあらゆるヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジン、チミジンおよびシチジン)に対して低い親和性を有する。したがって、いくつかの態様において、筋標的化剤はENT2基質である。例示的なENT2基質は、限定するものではないが、イノシン、2',3'-ジデオキシイノシン、およびクロファラビンを包含する。いくつかの態様において、本明細書において提供される筋標的化剤のいずれかは、分子ペイロード(例えば、オリゴヌクレオチドペイロード)と会合される。いくつかの態様において、筋標的化剤は、分子ペイロードに共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、筋標的化剤は、分子ペイロードに非共有結合的に連結されている。
【0200】
いくつかの態様において、筋標的化剤は、ナトリウムイオン依存性の高親和性カルニチントランスポーターである有機カチオン/カルニチントランスポーター(OCTN2)の基質である。いくつかの態様において、筋標的化剤は、カルニチン、ミルドロナート、アセチルカルニチン、またはOCTN2に結合するそのいずれかの誘導体である。いくつかの態様において、カルニチン、ミルドロナート、アセチルカルニチン、またはその誘導体は、分子ペイロード(例えば、オリゴヌクレオチドペイロード)に共有結合的に連結されている。
【0201】
筋標的化剤は、筋細胞を標的とする少なくとも1つの可溶性形態で存在するタンパク質であるタンパク質であり得る。いくつかの態様において、筋標的化タンパク質は、鉄過剰および恒常性に関与するタンパク質であるヘモジュベリン(反発誘導分子Cまたはヘモクロマトーシス2型タンパク質としても知られる)であり得る。いくつかの態様において、ヘモジュベリンは、完全長もしくは断片、または機能的ヘモジュベリンタンパク質に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有する変異体であり得る。いくつかの態様において、ヘモジュベリン変異体は、可溶性断片であり得、N末端シグナル伝達を欠いていてもよく、および/または(例えば、および)C末端アンカードメイン(anchoring domain)を欠いていてもよい。いくつかの態様において、ヘモジュベリンは、GenBank RefSeqアクセッション番号NM_001316767.1、NM_145277.4、NM_202004.3、NM_213652.3またはNM_213653.3の下にアノテーションされていてもよい。ヘモジュベリンが、ヒト、非ヒト霊長類または齧歯類を起源とするものであり得ることを理解されたい。
【0202】
B.分子ペイロード
本開示のいくつかの側面は、分子ペイロード、例えば、DMPK RNAを標的としてDMPKの発現または活性を調整するように設計されたオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの態様において、DMPKの発現または活性を調整することは、DMPK RNAおよび/または(例えば、および)タンパク質のレベルを低下させることを含む。いくつかの態様において、DMPK RNAは、疾患関連であり、例えば、疾患関連反復伸長を有するか、または疾患関連反復伸長を有する対立遺伝子からコードされる。いくつかの態様において、DMPK RNAは、CUG反復伸長を含むか、またはそれがコードされる対立遺伝子は、CTG反復伸長を含む。いくつかの態様において、本開示は、例えば、筋緊張性ジストロフィーを有するかまたは有すると疑われる対象に、疾患関連反復伸長を有する毒性DMPKのレベルを低下させるのに有用な、DMPK RNAと相補的なオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、標的DMPK RNAのRNAse H媒介分解を導くように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、細胞、例えば、筋細胞(例えば、筋管)またはCNS細胞(例えば、ニューロン)の核に存在する標的DMPK RNAのRNAse H媒介分解を導くように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、望ましいバイオアベイラビリティおよび/または血清安定性特性を有するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、望ましい結合親和性特性を有するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、望ましい毒性プロファイルを有するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、低補体活性化および/またはサイトカイン誘導特性を有するように設計される。
【0203】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、本明細書において記載される筋標的化剤に連結されているか、または他の方法で会合されている。いくつかの態様において、そのようなオリゴヌクレオチドは、例えば、会合された筋標的化剤による筋細胞への送達後の筋細胞内のDMPK配列への特異的結合を介して、筋細胞内で標的とすることが可能である。様々なタイプの筋標的化剤が本開示に従って使用され得ることを理解されたい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、疾患関連反復伸長を含むDMPK対立遺伝子に対する相補性領域を含む。DMPK RNAを標的とする例示的なオリゴヌクレオチドが本明細書においてさらに詳細に記載されているが、本明細書において提供される例示的な分子ペイロードが限定されることを意味しないことを理解されたい。
【0204】
i.オリゴヌクレオチド
いくつかの態様において、本明細書において記載されるDMPK標的化オリゴヌクレオチドは、DMPK mRNAのRNase H媒介分解を引き起こすように設計される。いくつかの態様において、一方の形式からの機能的配列(例えば、アンチセンス鎖配列)を他方の形式に組み込むことによって、ある形式のオリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)が、別の形式(例えば、siRNAオリゴヌクレオチド)に好適に適応され得ることを理解されたい。
【0205】
DMPKを標的とするのに有用なオリゴヌクレオチドの例は、その各々の内容全体が本明細書に組み込まれる、2010年1月1日に公開されたCompound And Method For Treating Myotonic Dystrophyと題する米国特許出願公開第20100016215号;米国特許出願公開第20130237585号、2010年7月19日公開、Modulation Of Dystrophia Myotonica-Protein Kinase(DMPK)Expression;2015年3月5日に公開された「Antisense Conjugates For Decreasing Expression Of Dmpk」と題する米国特許出願公開第20150064181号;2015年8月27日に公開された「Peptide-Linked Morpholino Antisense Oligonucleotides For Treatment Of Myotonic Dystrophy」と題する米国特許出願公開第20150238627号;および2016年10月20日に公開された「Compounds And Methods For Modulation Of Dystrophia Myotonica-Protein Kinase(Dmpk)Expression」と題する米国特許出願公開第20160304877号に提供されている。
【0206】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、例示的なヒトDMPK遺伝子配列(遺伝子ID 1760;NM_001081560.2)である、以下に記載の配列に対する相補性領域を有し得る:
AGGGGGGCTGGACCAAGGGGTGGGGAGAAGGGGAGGAGGCCTCGGCCGGCCGCAGAGAGAAGTGGCCAGAGAGGCCCAGGGGACAGCCAGGGACAGGCAGACATGCAGCCAGGGCTCCAGGGCCTGGACAGGGGCTGCCAGGCCCTGTGACAGGAGGACCCCGAGCCCCCGGCCCGGGGAGGGGCCATGGTGCTGCCTGTCCAACATGTCAGCCGAGGTGCGGCTGAGGCGGCTCCAGCAGCTGGTGTTGGACCCGGGCTTCCTGGGGCTGGAGCCCCTGCTCGACCTTCTCCTGGGCGTCCACCAGGAGCTGGGCGCCTCCGAACTGGCCCAGGACAAGTACGTGGCCGACTTCTTGCAGTGGGCGGAGCCCATCGTGGTGAGGCTTAAGGAGGTCCGACTGCAGAGGGACGACTTCGAGATTCTGAAGGTGATCGGACGCGGGGCGTTCAGCGAGGTAGCGGTAGTGAAGATGAAGCAGACGGGCCAGGTGTATGCCATGAAGATCATGAACAAGTGGGACATGCTGAAGAGGGGCGAGGTGTCGTGCTTCCGTGAGGAGAGGGACGTGTTGGTGAATGGGGACCGGCGGTGGATCACGCAGCTGCACTTCGCCTTCCAGGATGAGAACTACCTGTACCTGGTCATGGAGTATTACGTGGGCGGGGACCTGCTGACACTGCTGAGCAAGTTTGGGGAGCGGATTCCGGCCGAGATGGCGCGCTTCTACCTGGCGGAGATTGTCATGGCCATAGACTCGGTGCACCGGCTTGGCTACGTGCACAGGGACATCAAACCCGACAACATCCTGCTGGACCGCTGTGGCCACATCCGCCTGGCCGACTTCGGCTCTTGCCTCAAGCTGCGGGCAGATGGAACGGTGCGGTCGCTGGTGGCTGTGGGCACCCCAGACTACCTGTCCCCCGAGATCCTGCAGGCTGTGGGCGGTGGGCCTGGGACAGGCAGCTACGGGCCCGAGTGTGACTGGTGGGCGCTGGGTGTATTCGCCTATGAAATGTTCTATGGGCAGACGCCCTTCTACGCGGATTCCACGGCGGAGACCTATGGCAAGATCGTCCACTACAAGGAGCACCTCTCTCTGCCGCTGGTGGACGAAGGGGTCCCTGAGGAGGCTCGAGACTTCATTCAGCGGTTGCTGTGTCCCCCGGAGACACGGCTGGGCCGGGGTGGAGCAGGCGACTTCCGGACACATCCCTTCTTCTTTGGCCTCGACTGGGATGGTCTCCGGGACAGCGTGCCCCCCTTTACACCGGATTTCGAAGGTGCCACCGACACATGCAACTTCGACTTGGTGGAGGACGGGCTCACTGCCATGGAGACACTGTCGGACATTCGGGAAGGTGCGCCGCTAGGGGTCCACCTGCCTTTTGTGGGCTACTCCTACTCCTGCATGGCCCTCAGGGACAGTGAGGTCCCAGGCCCCACACCCATGGAACTGGAGGCCGAGCAGCTGCTTGAGCCACACGTGCAAGCGCCCAGCCTGGAGCCCTCGGTGTCCCCACAGGATGAAACAGCTGAAGTGGCAGTTCCAGCGGCTGTCCCTGCGGCAGAGGCTGAGGCCGAGGTGACGCTGCGGGAGCTCCAGGAAGCCCTGGAGGAGGAGGTGCTCACCCGGCAGAGCCTGAGCCGGGAGATGGAGGCCATCCGCACGGACAACCAGAACTTCGCCAGTCAACTACGCGAGGCAGAGGCTCGGAACCGGGACCTAGAGGCACACGTCCGGCAGTTGCAGGAGCGGATGGAGTTGCTGCAGGCAGAGGGAGCCACAGCTGTCACGGGGGTCCCCAGTCCCCGGGCCACGGATCCACCTTCCCATCTAGATGGCCCCCCGGCCGTGGCTGTGGGCCAGTGCCCGCTGGTGGGGCCAGGCCCCATGCACCGCCGCCACCTGCTGCTCCCTGCCAGGGTCCCTAGGCCTGGCCTATCGGAGGCGCTTTCCCTGCTCCTGTTCGCCGTTGTTCTGTCTCGTGCCGCCGCCCTGGGCTGCATTGGGTTGGTGGCCCACGCCGGCCAACTCACCGCAGTCTGGCGCCGCCCAGGAGCCGCCCGCGCTCCCTGAACCCTAGAACTGTCTTCGACTCCGGGGCCCCGTTGGAAGACTGAGTGCCCGGGGCACGGCACAGAAGCCGCGCCCACCGCCTGCCAGTTCACAACCGCTCCGAGCGTGGGTCTCCGCCCAGCTCCAGTCCTGTGATCCGGGCCCGCCCCCTAGCGGCCGGGGAGGGAGGGGCCGGGTCCGCGGCCGGCGAACGGGGCTCGAAGGGTCCTTGTAGCCGGGAATGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGGGGGGATCACAGACCATTTCTTTCTTTCGGCCAGGCTGAGGCCCTGACGTGGATGGGCAAACTGCAGGCCTGGGAAGGCAGCAAGCCGGGCCGTCCGTGTTCCATCCTCCACGCACCCCCACCTATCGTTGGTTCGCAAAGTGCAAAGCTTTCTTGTGCATGACGCCCTGCTCTGGGGAGCGTCTGGCGCGATCTCTGCCTGCTTACTCGGGAAATTTGCTTTTGCCAAACCCGCTTTTTCGGGGATCCCGCGCCCCCCTCCTCACTTGCGCTGCTCTCGGAGCCCCAGCCGGCTCCGCCCGCTTCGGCGGTTTGGATATTTATTGACCTCGTCCTCCGACTCGCTGACAGGCTACAGGACCCCCAACAACCCCAATCCACGTTTTGGATGCACTGAGACCCCGACATTCCTCGGTATTTATTGTCTGTCCCCACCTAGGACCCCCACCCCCGACCCTCGCGAATAAAAGGCCCTCCATCTGCCCAAAGCTCTGGA(配列番号130)。
【0207】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、例示的なマウスDMPK遺伝子配列(遺伝子ID 13400;NM_001190490.1)である、以下に記載の配列に対する相補性領域を有し得る。
GAACTGGCCAGAGAGACCCAAGGGATAGTCAGGGACGGGCAGACATGCAGCTAGGGTTCTGGGGCCTGGACAGGGGCAGCCAGGCCCTGTGACGGGAAGACCCCGAGCTCCGGCCCGGGGAGGGGCCATGGTGTTGCCTGCCCAACATGTCAGCCGAAGTGCGGCTGAGGCAGCTCCAGCAGCTGGTGCTGGACCCAGGCTTCCTGGGACTGGAGCCCCTGCTCGACCTTCTCCTGGGCGTCCACCAGGAGCTGGGTGCCTCTCACCTAGCCCAGGACAAGTATGTGGCCGACTTCTTGCAGTGGGTGGAGCCCATTGCAGCAAGGCTTAAGGAGGTCCGACTGCAGAGGGATGATTTTGAGATTTTGAAGGTGATCGGGCGTGGGGCGTTCAGCGAGGTAGCGGTGGTGAAGATGAAACAGACGGGCCAAGTGTATGCCATGAAGATTATGAATAAGTGGGACATGCTGAAGAGAGGCGAGGTGTCGTGCTTCCGGGAAGAAAGGGATGTATTAGTGAAAGGGGACCGGCGCTGGATCACACAGCTGCACTTTGCCTTCCAGGATGAGAACTACCTGTACCTGGTCATGGAATACTACGTGGGCGGGGACCTGCTAACGCTGCTGAGCAAGTTTGGGGAGCGGATCCCCGCCGAGATGGCTCGCTTCTACCTGGCCGAGATTGTCATGGCCATAGACTCCGTGCACCGGCTGGGCTACGTGCACAGGGACATCAAACCAGATAACATTCTGCTGGACCGATGTGGGCACATTCGCCTGGCAGACTTCGGCTCCTGCCTCAAACTGCAGCCTGATGGAATGGTGAGGTCGCTGGTGGCTGTGGGCACCCCGGACTACCTGTCTCCTGAGATTCTGCAGGCCGTTGGTGGAGGGCCTGGGGCAGGCAGCTACGGGCCAGAGTGTGACTGGTGGGCACTGGGCGTGTTCGCCTATGAGATGTTCTATGGGCAGACCCCCTTCTACGCGGACTCCACAGCCGAGACATATGCCAAGATTGTGCACTACAGGGAACACTTGTCGCTGCCGCTGGCAGACACAGTTGTCCCCGAGGAAGCTCAGGACCTCATTCGTGGGCTGCTGTGTCCTGCTGAGATAAGGCTAGGTCGAGGTGGGGCAGACTTCGAGGGTGCCACGGACACATGCAATTTCGATGTGGTGGAGGACCGGCTCACTGCCATGGTGAGCGGGGGCGGGGAGACGCTGTCAGACATGCAGGAAGACATGCCCCTTGGGGTGCGCCTGCCCTTCGTGGGCTACTCCTACTGCTGCATGGCCTTCAGAGACAATCAGGTCCCGGACCCCACCCCTATGGAACTAGAGGCCCTGCAGTTGCCTGTGTCAGACTTGCAAGGGCTTGACTTGCAGCCCCCAGTGTCCCCACCGGATCAAGTGGCTGAAGAGGCTGACCTAGTGGCTGTCCCTGCCCCTGTGGCTGAGGCAGAGACCACGGTAACGCTGCAGCAGCTCCAGGAAGCCCTGGAAGAAGAGGTTCTCACCCGGCAGAGCCTGAGCCGCGAGCTGGAGGCCATCCGGACCGCCAACCAGAACTTCTCCAGCCAACTACAGGAGGCCGAGGTCCGAAACCGAGACCTGGAGGCGCATGTTCGGCAGCTACAGGAACGGATGGAGATGCTGCAGGCCCCAGGAGCCGCAGCCATCACGGGGGTCCCCAGTCCCCGGGCCACGGATCCACCTTCCCATCTAGATGGCCCCCCGGCCGTGGCTGTGGGCCAGTGCCCGCTGGTGGGGCCAGGCCCCATGCACCGCCGTCACCTGCTGCTCCCTGCCAGGATCCCTAGGCCTGGCCTATCCGAGGCGCGTTGCCTGCTCCTGTTCGCCGCTGCTCTGGCTGCTGCCGCCACACTGGGCTGCACTGGGTTGGTGGCCTATACCGGCGGTCTCACCCCAGTCTGGTGTTTCCCGGGAGCCACCTTCGCCCCCTGAACCCTAAGACTCCAAGCCATCTTTCATTTAGGCCTCCTAGGAAGGTCGAGCGACCAGGGAGCGACCCAAAGCGTCTCTGTGCCCATCGCGCCCCCCCCCCCCCCCCACCGCTCCGCTCCACACTTCTGTGAGCCTGGGTCCCCACCCAGCTCCGCTCCTGTGATCCAGGCCTGCCACCTGGCGGCCGGGGAGGGAGGAACAGGGCTCGTGCCCAGCACCCCTGGTTCCTGCAGAGCTGGTAGCCACCGCTGCTGCAGCAGCTGGGCATTCGCCGACCTTGCTTTACTCAGCCCCGACGTGGATGGGCAAACTGCTCAGCTCATCCGATTTCACTTTTTCACTCTCCCAGCCATCAGTTACAAGCCATAAGCATGAGCCCCCTATTTCCAGGGACATCCCATTCCCATAGTGATGGATCAGCAAGACCTCTGCCAGCACACACGGAGTCTTTGGCTTCGGACAGCCTCACTCCTGGGGGTTGCTGCAACTCCTTCCCCGTGTACACGTCTGCACTCTAACAACGGAGCCACAGCTGCACTCCCCCCTCCCCCAAAGCAGTGTGGGTATTTATTGATCTTGTTATCTGACTCACTGACAGACTCCGGGACCCACGTTTTAGATGCATTGAGACTCGACATTCCTCGGTATTTATTGTCTGTCCCCACCTACGACCTCCACTCCCGACCCTTGCGAATAAAATACTTCTGGTCTGCCCTAAA(配列番号131)。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、例えば、ヒト、マウスおよび非ヒト種から選択される複数の種のDMPK遺伝子配列に対する相補性領域を有し得る。
【0208】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、DMPKの変異体形態、例を挙げると、その各々の内容全体が本明細書に組み込まれるBotta A.et al.“The CTG repeat expansion size correlates with the splicing defects observed in muscles from myotonic dystrophy type 1 patients.”J Med Genet.2008 Oct;45(10):639-46.;およびMachuca-Tzili L.et al.“Clinical and molecular aspects of the myotonic dystrophies:a review.”Muscle Nerve.2005 Jul;32(1):1-18.に報告されている変異体形態に対する相補性領域を有し得る。
【0209】
いくつかの態様において、本明細書において提供されるオリゴヌクレオチドは、DMPKを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド標的化は、参照により本明細書に組み込まれる、2016年10月20日に公開された「Compounds And Methods For Modulation Of Dystrophia Myotonica-Protein Kinase(DMPK)Expression」と題する米国特許出願公開第20160304877号に記載されているように、DMPKを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、ギャップマー)のいずれか1つである。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号NM_001081560.2(配列番号130)に記載の、またはGenbankアクセッション番号NG_009784.1(配列番号395)に記載のDMPK遺伝子配列の領域を標的とする。
【0210】
いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号130の少なくとも10個の連続的なヌクレオチド(例えば、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも16個、少なくとも18個、少なくとも20個またはそれ以上の連続的なヌクレオチド)である標的領域に相補的な領域を含むヌクレオチド配列を含む。
【0211】
いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、ギャップマーモチーフを含む。「ギャップマー」は、RNase H切断を支援する複数のヌクレオシドを有する内部領域が、1以上のヌクレオチドを有する外部領域間に配置されているキメラアンチセンス化合物を意味し、内部領域を含むヌクレオシドは、ヌクレオシド、または外部領域を含むヌクレオシドとは化学的に別個である。内部領域は「ギャップセグメント」と呼ばれることができ、外部領域は「ウイングセグメント」と呼ばれることができる。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、1以上の修飾ヌクレオシドおよび/または(例えば、および)1以上の修飾ヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、ヌクレオシド間連結はホスホロチオアート連結である。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、完全なホスホロチオアート主鎖を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、cET末端を有するDNAギャップマー(例えば、3-10-3;cET-DNA-cET)である。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、1以上の6'-(S)-CH3二環式ヌクレオシド、1以上のβ-D-2'-デオキシリボヌクレオチド、および/または(例えば、および)1以上の5-メチルシトシンヌクレオシドを含む。
【0212】
a.オリゴヌクレオチドのサイズ/配列
オリゴヌクレオチドは、例えば、形式に応じて、様々な異なる長さのものであってよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、75またはそれ以上のヌクレオチド長である。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、8~50ヌクレオチド長、8~40ヌクレオチド長、8~30ヌクレオチド長、10~15ヌクレオチド長、10~20ヌクレオチド長、15~25ヌクレオチド長、21~23ヌクレオチド長、15~20ヌクレオチド長、20~25ヌクレオチド長などである。
【0213】
いくつかの態様において、本開示の目的のためのオリゴヌクレオチドの核酸配列は、標的核酸に特異的にハイブリダイズ可能である場合、標的核酸に「相補的」である。いくつかの態様において、標的核酸(例えば、mRNAまたはプレmRNA分子)にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドは、標的の活性または発現の調整(例えば、mRNA翻訳の減少、プレmRNAスプライシングの変化、エクソンスキッピング、標的mRNA分解など)をもたらす。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの核酸配列は、非特異的結合の回避が所望される条件下、例えば、生理学的条件下で非標的配列にハイブリダイズしないように、その標的核酸に対して十分な程度の相補性を有する。したがって、いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、標的核酸の連続するヌクレオチドに少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%相補的であり得る。いくつかの態様において、相補的なヌクレオチド配列は、標的核酸に特異的にハイブリダイズ可能であるか、または標的核酸に特異的であるその標的の配列に100%相補的である必要はない。ある特定の態様において、オリゴヌクレオチドは、標的核酸に対して1以上のミスマッチ核酸塩基を含む。ある特定の態様において、標的に関連する活性は、そのようなミスマッチによって低下するが、非標的に関連する活性は、さらに大きく低下する(すなわち、標的核酸に対する選択性が増加し、オフターゲット効果が減少する)。
【0214】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、8~15、8~30、8~40、または10~50、または5~50、15~20、20~25、または5~40ヌクレオチド長の範囲内である標的核酸に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、標的核酸に対するオリゴヌクレオチドの相補性領域は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50ヌクレオチド長である。いくつかの態様において、相補性領域は、標的核酸の少なくとも8つの連続するヌクレオチドと相補的である。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、標的核酸の連続するヌクレオチドの一部と比較して1、2または3つの塩基ミスマッチを含有し得る。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、15塩基に対して最大3ミスマッチ、または10塩基に対して最大2ミスマッチを有し得る。
【0215】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号231~362のいずれか1つを含む配列の少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続するヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号231~362のいずれか1つを含む配列を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号231~362のいずれか1つの少なくとも12個または少なくとも15個の連続するヌクレオチドと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%または97%配列同一性を共有する配列を含む。
【0216】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号160~230のいずれか1つに記載のヌクレオチド配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号160~230のいずれか1つに記載のヌクレオチド配列に相補的である少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のヌクレオチド(例えば、連続するヌクレオチド)を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号160~230のいずれか1つの少なくとも12個または少なくとも15個の連続するヌクレオチドと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%または100%相補的である配列を含む。
【0217】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、本明細書において提供されるオリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9および表10に列挙されるオリゴヌクレオチド)のいずれか1つの標的配列に相補的である(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%)。いくつかの態様において、そのような標的配列は、表8、表9または表10に列挙されるオリゴヌクレオチドに100%相補的である。
【0218】
いくつかの態様において、C5位での核酸塩基ウラシルのメチル化がチミンを形成することを理解されたい。したがって、いくつかの態様において、C5メチル化ウラシル(または5-メチル-ウラシル)を有するヌクレオチドまたはヌクレオシドは、チミンヌクレオチドまたはチミンヌクレオシドとして同等に同定され得る。
【0219】
いくつかの態様において、本明細書において提供されるオリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9および表10に列挙されるオリゴヌクレオチド)のいずれか1つのチミン塩基(T)のうちのいずれか1以上は、独立してかつ任意にウラシル塩基(U)であり得、および/またはUのうちのいずれか1以上は、独立してかつ任意にTであり得る。
【0220】
b.オリゴヌクレオチド修飾:
本明細書において記載されるオリゴヌクレオチドは、修飾されていてもよく、例えば、修飾糖部分、修飾ヌクレオシド間連結、修飾ヌクレオチドもしくは修飾ヌクレオシド、および/または(例えば、および)それらの組合せを含む。加えて、いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、以下の特性のうちの1以上を呈し得る:選択的スプライシングを媒介しない;免疫刺激性ではない;ヌクレアーゼ耐性である;非修飾オリゴヌクレオチドと比較して改善された細胞取込みを有する;細胞もしくは哺乳動物に対して毒性ではない;改善されたエンドソームの内部への出口を細胞内に有する;TLR刺激を最小限に抑える;またはパターン認識受容体を回避する。本明細書において記載されるオリゴヌクレオチドの修飾された化学的性質または形式のいずれかは、互いに組み合わせられることができる。例を挙げると、1、2、3、4、5つまたはそれ以上の異なるタイプの修飾が、同じオリゴヌクレオチド内に包含されることができる。
【0221】
いくつかの態様において、それらが組み込まれているオリゴヌクレオチドを、天然のオリゴデオキシヌクレオチド分子またはオリゴリボヌクレオチド分子よりもヌクレアーゼ消化に対して耐性にする特定のヌクレオチド修飾またはヌクレオシド修飾が使用され得、これらの修飾オリゴヌクレオチドは、非修飾オリゴヌクレオチドよりも長期間インタクトに存続する。修飾オリゴヌクレオチドの具体的な例は、修飾された主鎖、例を挙げると、修飾ヌクレオシド間連結、例として、ホスホロチオアート、ホスホトリエステル、メチルホスホナート、短鎖アルキルもしくはシクロアルキル糖間連結、または短鎖ヘテロ原子のもしくは複素環式の糖間連結を含むものを包含する。したがって、本開示のオリゴヌクレオチドは、例として、修飾、例えば、ヌクレオチド修飾またはヌクレオシド修飾の組込みよる核酸分解に対して安定化されることができる。
【0222】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、最大50ヌクレオチド長、または最大100ヌクレオチド長であり得、オリゴヌクレオチドの2~10、2~15、2~16、2~17、2~18、2~19、2~20、2~25、2~30、2~40、2~45個またはそれ以上のヌクレオチドまたはヌクレオシドは修飾ヌクレオチド/ヌクレオシドである。オリゴヌクレオチドは、8~30ヌクレオチド長であり得、オリゴヌクレオチドの2~10、2~15、2~16、2~17、2~18、2~19、2~20、2~25、2~30個のヌクレオチドまたはヌクレオシドは修飾ヌクレオチド/ヌクレオシドである。オリゴヌクレオチドは、8~15ヌクレオチド長であり得、オリゴヌクレオチドの2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~11、2~12、2~13、2~14個のヌクレオチドまたはヌクレオシドは修飾ヌクレオチド/ヌクレオシドである。任意に、オリゴヌクレオチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のヌクレオチド/ヌクレオシドを除き、どのヌクレオチドまたはヌクレオシドも修飾されていてもよい。オリゴヌクレオチド修飾は、本明細書においてさらに詳細に記載されている。
【0223】
c.修飾ヌクレオシド
いくつかの態様において、本明細書において記載されるオリゴヌクレオチドは、糖の2'位で修飾された少なくとも1つのヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの2'-修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド内のヌクレオシドの全部が2'-修飾ヌクレオシドである。
【0224】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるオリゴヌクレオチドは、1以上の非二環式2'-修飾ヌクレオシド、例えば、2'-デオキシ、2'-フルオロ(2'-F)、2'-O-メチル(2'-O-Me)、2'-O-メトキシエチル(2'-MOE)、2'-O-アミノプロピル(2'-O-AP)、2'-O-ジメチルアミノエチル(2'-O-DMAOE)、2'-O-ジメチルアミノプロピル(2'-O-DMAP)、2'-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'-O-DMAEOE)、または2'-O-N-メチルアセトアミド(2'-O-NMA)の修飾ヌクレオシドを含む。
【0225】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるオリゴヌクレオチドは、リボース環が、その環内に2個の原子を接続する、例えば、メチレン(LNA)架橋、エチレン(ENA)架橋または(S)-拘束エチル(cEt)架橋を介して2'-O原子を4'-C原子に接続する架橋部分を含む1以上の2'-4'二環式ヌクレオシドを含む。LNAの例は、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる、2008年4月17日に公開された「RNA Antagonist Compounds For The Modulation Of PCSK9」と題する国際特許出願公開WO/2008/043753に記載されている。ENAの例は、参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる、2005年5月12日に公開された「APP/ENA Antisense」と題する国際特許公開WO 2005/042777;Morita et al.,Nucleic Acid Res.,Suppl 1:241-242,2001;Surono et al.,Hum.Gene Ther.,15:749-757,2004;Koizumi,Curr.Opin.Mol.Ther.,8:144-149,2006、およびHorie et al.,Nucleic Acids Symp.Ser(Oxf),49:171-172,2005に提供されている。cEtの例は、参照によりその各々全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,101,993号、米国特許第7,399,845号および米国特許第7,569,686号に提供されている。
【0226】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、以下の米国特許または米国特許出願公開、すなわち、あらゆる目的のために参照によりその各々の内容全体が本明細書に組み込まれる、2008年7月15日に発行された「6-Modified Bicyclic Nucleic Acid Analogs」と題する米国特許第7,399,845号;2010年6月22日に発行された「6-Modified Bicyclic Nucleic Acid Analogs」と題する米国特許第7,741,457号;2011年9月20日に発行された「6-Modified Bicyclic Nucleic Acid Analogs」と題する米国特許第8,022,193号;2009年8月4日に発行された「Compounds And Methods For Synthesis Of Bicyclic Nucleic Acid Analogs」と題する米国特許第7,569,686号;2008年2月26日に発行された「Novel Nucleoside And Oligonucleotide Analogues」と題する米国特許第7,335,765号;2008年1月1に発行された「Novel Nucleoside And Oligonucleotide Analogues」と題する米国特許第7,314,923号;2010年10月19日に発行された「Oligonucleotide Analogues And Methods Utilizing The Same」と題する米国特許第7,816,333号、および2015年2月17日に発行された「Oligonucleotide Analogues And Methods Utilizing The Same」と題する、米国特許公開第2011/0009471号であって、現在は米国特許第8,957,201号のうちの1つに開示された修飾ヌクレオシドを含む。
【0227】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオシドも有しないオリゴヌクレオチドと比較して、1℃、2℃、3℃、4℃または5℃の範囲にあるオリゴヌクレオチドのTmの増大をもたらす少なくとも1つの修飾ヌクレオシドを含む。オリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシドを有しないオリゴヌクレオチドと比較して、合計で2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃またはそれ以上の範囲にあるオリゴヌクレオチドのTmの増大をもたらす複数の修飾ヌクレオシドを有し得る。
【0228】
オリゴヌクレオチドは、異なる種類のヌクレオシドの混合物を含み得る。例を挙げると、オリゴヌクレオチドは、2'-デオキシリボヌクレオシドまたはリボヌクレオシドと、2'-フルオロ修飾ヌクレオシドとの混合物を含み得る。オリゴヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオシドまたはリボヌクレオシドと、2'-O-Me修飾ヌクレオシドとの混合物を含み得る。オリゴヌクレオチドは、2'-フルオロ修飾ヌクレオシドと2'-O-メチル修飾ヌクレオシドとの混合物を含み得る。オリゴヌクレオチドは、架橋ヌクレオシドと、2'-フルオロまたは2'-O-メチル修飾ヌクレオシドとの混合物を含み得る。オリゴヌクレオチドは、非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-O-MOE)と2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、ENA、cEt)との混合物を含み得る。オリゴヌクレオチドは、2'-フルオロ修飾ヌクレオシドと、2'-O-Me修飾ヌクレオシドとの混合物を含み得る。オリゴヌクレオチドは、2'-4'二環式ヌクレオシドと、2'-MOE、2'-フルオロまたは2'-O-Me修飾ヌクレオシドとの混合物を含み得る。オリゴヌクレオチドは、非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE、2'-フルオロ、または2'-O-Me)と、2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、ENA、cEt)との混合物を含み得る。
【0229】
オリゴヌクレオチドは、異なる種類の交互のヌクレオシドを含み得る。例を挙げると、オリゴヌクレオチドは、交互の2'-デオキシリボヌクレオシドまたはリボヌクレオシドおよび2'-フルオロ修飾ヌクレオシドを含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互のデオキシリボヌクレオシドまたはリボヌクレオシドおよび2'-O-Me修飾ヌクレオシドを含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互の2'-フルオロ修飾ヌクレオシドおよび2'-O-Me修飾ヌクレオシドを含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互の架橋ヌクレオシドおよび2'-フルオロまたは2'-O-メチル修飾ヌクレオシドを含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互の非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-O-MOE)および2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、ENA、cEt)を含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互の2'-4'二環式ヌクレオシドおよび2'-MOE、2'-フルオロまたは2'-O-Me修飾ヌクレオシドを含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互の非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE、2'-フルオロ、または2'-O-Me)および2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、ENA、cEt)を含み得る。
【0230】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるオリゴヌクレオチドは、5'-ビニルホスホナート修飾、1以上の脱塩基残基、および/または1以上の逆脱塩基残基を含む。
【0231】
d.ヌクレオシド間連結/主鎖
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアートまたは他の修飾ヌクレオシド間連結を含有し得る。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも2つのヌクレオシド間にホスホロチオアートヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、全ヌクレオシド間にホスホロチオアートヌクレオシド間連結を含む。例を挙げると、いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド配列の5'または3'末端の第1、第2および/または(例えば、および)第3のヌクレオシド間連結に、修飾ヌクレオシド間連結を含む。
【0232】
使用され得るリン含有連結は、限定するものではないが、正常な3'-5'連結、これらの2'-5'連結類似体を有するホスホロチオアート、キラルのホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3'アルキレンホスホナートおよびキラルのホスホナートを含むメチルおよび他のアルキルホスホナート、ホスフィナート、3'-アミノホスホロアミダートおよびアミノアルキルホスホロアミダートを含むホスホロアミダート、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステルおよびボラノホスファート、ならびにヌクレオシド単位の隣接する対が3'-5'から5'-3'へまたは2'-5'から5'-2'へ連結されている、逆方向の極性を有するものを包含し、米国特許第3,687,808号、米国特許第4,469,863号、米国特許第4,476,301号、米国特許第5,023,243号、米国特許第5,177,196号、米国特許第5,188,897号、米国特許第5,264,423号、米国特許第5,276,019号、米国特許第5,278,302号、米国特許第5,286,717号、米国特許第5,321,131号、米国特許第5,399,676号、米国特許第5,405,939号、米国特許第5,453,496号、米国特許第5,455,233号、米国特許第5,466,677号、米国特許第5,476,925号、米国特許第5,519,126号、米国特許第5,536,821号、米国特許第5,541,306号、米国特許第5,550,111号、米国特許第5,563,253号、米国特許第5,571,799号、米国特許第5,587,361号および米国特許第5,625,050号を参照されたい。
【0233】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ヘテロ原子主鎖、例として、メチレン(メチルイミノ)もしくはMMI主鎖、アミド主鎖(De Mesmaeker et al.Ace.Chem.Res.1995,28:366-374を参照)、モルホリノ主鎖(SummertonおよびWeller、米国特許第5,034,506号を参照)、またはペプチド核酸(PNA)主鎖(オリゴヌクレオチドのホスホジエステル主鎖がポリアミド主鎖に置き換えられており、ヌクレオチドがポリアミド主鎖のアザ窒素原子に直接的または間接的に結合されている、Nielsen et al.,Science 1991,254,1497を参照)を有し得る。
【0234】
e.立体特異的オリゴヌクレオチド
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド間のリン原子はキラルであり、オリゴヌクレオチドの特性はキラルのリン原子の立体配置に基づき順応させられる。いくつかの態様において、立体制御された様式(例えば、Oka N,Wada T,Stereocontrolled synthesis of oligonucleotide analogs containing chiral internucleotidic phosphorus atoms.Chem Soc Rev.2011 Dec;40(12):5829-43.に記載されているように)でP-キラルオリゴヌクレオチド類似体を合成するために、適切な方法が使用され得る。いくつかの態様において、実質的に全部のSpホスホロチオアート糖間連結または実質的に全部のRpホスホロチオアート糖間連結のいずれかによって一緒に結び合わされたヌクレオシド単位を含むホスホロチオアート含有オリゴヌクレオチドが提供される。いくつかの態様において、実質的にキラル純粋な糖間連結を有するそのようなホスホロチオアートオリゴヌクレオチドは、例を挙げると、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる、1996年12月12日に発行された米国特許第5,587,261号に記載されているように、酵素合成または化学合成によって調製される。いくつかの態様において、キラル制御されたオリゴヌクレオチドは、標的核酸の選択的切断パターンをもたらす。例えば、いくつかの態様において、キラル制御されたオリゴヌクレオチドは、例を挙げると、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる、2017年2月2日に公開された「CHIRAL DESIGN」と題する米国特許出願公開第20170037399号に記載されているように、核酸の相補的な配列内に単一部位切断をもたらす。
【0235】
h.ギャップマー
いくつかの態様において、本明細書において記載されるオリゴヌクレオチドはギャップマーである。ギャップマーオリゴヌクレオチドは、ギャップ領域Yの周りの隣接領域としてXおよびZを有する式5'-X-Y-Z-3'を一般に有する。いくつかの態様において、式5'-X-Y-Z-3'の隣接領域Xは、X領域、隣接配列X、5'ウイング領域X、または5'ウイングセグメントとも呼ばれる。いくつかの態様において、式5'-X-Y-Z-3'の隣接領域Zは、Z領域、隣接配列Z、3'ウイング領域Z、または3'ウイングセグメントとも呼ばれる。いくつかの態様において、式5'-X-Y-Z-3'のギャップ領域Yは、Y領域、Yセグメント、またはギャップセグメントYとも呼ばれる。いくつかの態様において、ギャップ領域Y内の各ヌクレオシドは2'-デオキシリボヌクレオシドであり、5'ウイング領域Xまたは3'ウイング領域Zのいずれも2'-デオキシリボヌクレオシドを含有しない。いくつかの態様において、ギャップマーオリゴヌクレオチドは、表8に提供される標的配列(例えば、配列番号160~230のいずれか1つ)の少なくとも15個の連続するヌクレオシド(例えば、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、または20個の連続するヌクレオシド)に対する相補性領域を含み、および/または表8、9もしくは10のアンチセンス配列、もしくは表9もしくは10に提供されるASO構造(例えば、配列番号231~362のいずれか1つ)のヌクレオチド配列の少なくとも15個の連続するヌクレオシド(例えば、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、または20個の連続するヌクレオシド)を含み、各チミン塩基(T)は、独立してかつ任意に、ウラシル塩基(U)に置き換えられていてもよく、かつ各Uは、独立してかつ任意に、Tに置き換えられていてもよい。
【0236】
いくつかの態様において、Y領域は、ヌクレオチドの連続したストレッチ、例えば、RNAse、例として、RNAse Hを動員することが可能な、6つ以上のDNAヌクレオチドの領域である。いくつかの態様において、ギャップマーは標的核酸に結合し、その時点でRNAseが動員され、次いで、標的核酸を切断することができる。いくつかの態様において、Y領域は、高親和性修飾ヌクレオシド、例えば、1~6つの高親和性修飾ヌクレオシドを含む領域XおよびZによって5'および3'に隣接している。高親和性修飾ヌクレオシドの例は、限定するものではないが、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE、2'O-Me、2'-F)または2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、cEt、ENA)を包含する。いくつかの態様において、隣接配列XおよびZは、1~20ヌクレオチド長、1~8ヌクレオチド長、または1~5ヌクレオチド長であり得る。隣接配列XおよびZは、類似の長さまたは非類似の長さであり得る。いくつかの態様において、ギャップセグメントYは、5~20ヌクレオチド長、5~15ヌクレオチド長、5~12ヌクレオチド長、または6~10ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり得る。
【0237】
いくつかの態様において、ギャップマーオリゴヌクレオチドのギャップ領域は、DNAヌクレオチドに加えて、効率的なRNase H作用にとって許容可能であることが知られている修飾ヌクレオシド、例として、C4'置換ヌクレオチド、非環状ヌクレオチドおよびアラビノ型ヌクレオチドを含有し得る。いくつかの態様において、ギャップ領域は、1以上の非修飾ヌクレオシド間を含む。いくつかの態様において、一方または両方の隣接領域は、各々独立して、1以上のホスホロチオアートヌクレオシド間連結(例えば、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結または他の連結)を少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つまたはそれ以上のヌクレオチド間に含む。いくつかの態様において、ギャップ領域および2つの隣接領域は、各々独立して、修飾ヌクレオシド間連結(例えば、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結または他の連結)を少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つまたはそれ以上のヌクレオチド間に含む。
【0238】
ギャップマーは、適切な方法を使用して生成され得る。ギャップマーの調製を教示する代表的な米国特許、米国特許公開およびPCT公開は、限定するものではないが、参照によりその各々全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,013,830号、米国特許第5,149,797号、米国特許第5,220,007号、米国特許第5,256,775号、米国特許第5,366,878号、米国特許第5,403,711号、米国特許第5,491,133号、米国特許第5,565,350号、米国特許第5,623,065号、米国特許第5,652,355号、米国特許第5,652,356号、米国特許第5,700,922号、米国特許第5,898,031号、米国特許第7,015,315号、米国特許第7,101,993号、米国特許第7,399,845号、米国特許第7,432,250号、米国特許第7,569,686号、米国特許第7,683,036号、米国特許第7,750,131号、米国特許第8,580,756号、米国特許第9,045,754号、米国特許第9,428,534号、米国特許第9,695,418号、米国特許第10,017,764号、米国特許第10,260,069号、米国特許第9,428,534号、米国特許第8,580,756号、米国特許公開第20050074801号、米国特許公開第20090221685号、米国特許公開第20090286969号、米国特許公開第20100197762号および米国特許公開第20110112170号、PCT公開番号WO2004069991、WO2005023825、WO2008049085およびWO2009090182ならびに欧州特許第2,149,605号を包含する。
【0239】
いくつかの態様において、ギャップマーは10~40ヌクレオシド長である。例を挙げると、ギャップマーは、10~40、10~35、10~30、10~25、10~20、10~15、15~40、15~35、15~30、15~25、15~20、20~40、20~35、20~30、20~25、25~40、25~35、25~30、30~40、30~35、または35~40ヌクレオシド長であり得る。いくつかの態様において、ギャップマーは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40ヌクレオシド長である。
【0240】
いくつかの態様において、ギャップマーのギャップ領域Yは、5~20ヌクレオシド長である。例を挙げると、ギャップ領域Yは、5~20、5~15、5~10、10~20、10~15、または15~20ヌクレオシド長であり得る。いくつかの態様において、ギャップ領域Yは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20ヌクレオシド長である。いくつかの態様において、ギャップ領域Y内の各ヌクレオシドは2'-デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップ領域Y内のヌクレオシドはいずれも、2'-デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップ領域Y内のヌクレオシドのうちの1以上は修飾ヌクレオシドである(例えば、2'修飾ヌクレオシド、例として、本明細書において記載されるもの)。いくつかの態様において、ギャップ領域Y内の1以上のシトシンは、任意に5-メチル-シトシンである。いくつかの態様において、ギャップ領域Y内の各シトシンは、5-メチル-シトシンである。
【0241】
いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、独立して、1~20ヌクレオシド長である。例を挙げると、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、独立して、1~20、1~15、1~10、1~7、1~5、1~3、1~2、2~5、2~7、3~5、3~7、5~20、5~15、5~10、10~20、10~15、または15~20ヌクレオシド長であり得る。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20ヌクレオシド長である。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は同じ長さである。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は異なる長さである。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)は、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)よりも長い。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)は、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)よりも短い。
【0242】
いくつかの態様において、ギャップマーは、5-10-5、4-12-4、3-14-3、2-16-2、1-18-1、3-10-3、2-10-2、1-10-1、2-8-2、4-6-4、3-6-3、2-6-2、4-7-4、3-7-3、2-7-2、4-8-4、3-8-3、2-8-2、1-8-1、2-9-2、1-9-1、2-10-2、1-10-1、1-12-1、1-16-1、2-15-1、1-15-2、1-14-3、3-14-1、2-14-2、1-13-4、4-13-1、2-13-3、3-13-2、1-12-5、5-12-1、2-12-4、4-12-2、3-12-3、1-11-6、6-11-1、2-11-5、5-11-2、3-11-4、4-11-3、1-17-1、2-16-1、1-16-2、1-15-3、3-15-1、2-15-2、1-14-4、4-14-1、2-14-3、3-14-2、1-13-5、5-13-1、2-13-4、4-13-2、3-13-3、1-12-6、6-12-1、2-12-5、5-12-2、3-12-4、4-12-3、1-11-7、7-11-1、2-11-6、6-11-2、3-11-5、5-11-3、4-11-4、1-18-1、1-17-2、2-17-1、1-16-3、1-16-3、2-16-2、1-15-4、4-15-1、2-15-3、3-15-2、1-14-5、5-14-1、2-14-4、4-14-2、3-14-3、1-13-6、6-13-1、2-13-5、5-13-2、3-13-4、4-13-3、1-12-7、7-12-1、2-12-6、6-12-2、3-12-5、5-12-3、1-11-8、8-11-1、2-11-7、7-11-2、3-11-6、6-11-3、4-11-5、5-11-4、1-18-1、1-17-2、2-17-1、1-16-3、3-16-1、2-16-2、1-15-4、4-15-1、2-15-3、3-15-2、1-14-5、2-14-4、4-14-2、3-14-3、1-13-6、6-13-1、2-13-5、5-13-2、3-13-4、4-13-3、1-12-7、7-12-1、2-12-6、6-12-2、3-12-5、5-12-3、1-11-8、8-11-1、2-11-7、7-11-2、3-11-6、6-11-3、4-11-5、5-11-4、1-19-1、1-18-2、2-18-1、1-17-3、3-17-1、2-17-2、1-16-4、4-16-1、2-16-3、3-16-2、1-15-5、2-15-4、4-15-2、3-15-3、1-14-6、6-14-1、2-14-5、5-14-2、3-14-4、4-14-3、1-13-7、7-13-1、2-13-6、6-13-2、3-13-5、5-13-3、4-13-4、1-12-8、8-12-1、2-12-7、7-12-2、3-12-6、6-12-3、4-12-5、5-12-4、2-11-8、8-11-2、3-11-7、7-11-3、4-11-6、6-11-4、5-11-5、1-20-1、1-19-2、2-19-1、1-18-3、3-18-1、2-18-2、1-17-4、4-17-1、2-17-3、3-17-2、1-16-5、2-16-4、4-16-2、3-16-3、1-15-6、6-15-1、2-15-5、5-15-2、3-15-4、4-15-3、1-14-7、7-14-1、2-14-6、6-14-2、3-14-5、5-14-3、4-14-4、1-13-8、8-13-1、2-13-7、7-13-2、3-13-6、6-13-3、4-13-5、5-13-4、2-12-8、8-12-2、3-12-7、7-12-3、4-12-6、6-12-4、5-12-5、3-11-8、8-11-3、4-11-7、7-11-4、5-11-6、6-11-5、1-21-1、1-20-2、2-20-1、1-20-3、3-19-1、2-19-2、1-18-4、4-18-1、2-18-3、3-18-2、1-17-5、2-17-4、4-17-2、3-17-3、1-16-6、6-16-1、2-16-5、5-16-2、3-16-4、4-16-3、1-15-7、7-15-1、2-15-6、6-15-2、3-15-5、5-15-3、4-15-4、1-14-8、8-14-1、2-14-7、7-14-2、3-14-6、6-14-3、4-14-5、5-14-4、2-13-8、8-13-2、3-13-7、7-13-3、4-13-6、6-13-4、5-13-5、1-12-10、10-12-1、2-12-9、9-12-2、3-12-8、8-12-3、4-12-7、7-12-4、5-12-6、6-12-5、4-11-8、8-11-4、5-11-7、7-11-5、6-11-6、1-22-1、1-21-2、2-21-1、1-21-3、3-20-1、2-20-2、1-19-4、4-19-1、2-19-3、3-19-2、1-18-5、2-18-4、4-18-2、3-18-3、1-17-6、6-17-1、2-17-5、5-17-2、3-17-4、4-17-3、1-16-7、7-16-1、2-16-6、6-16-2、3-16-5、5-16-3、4-16-4、1-15-8、8-15-1、2-15-7、7-15-2、3-15-6、6-15-3、4-15-5、5-15-4、2-14-8、8-14-2、3-14-7、7-14-3、4-14-6、6-14-4、5-14-5、3-13-8、8-13-3、4-13-7、7-13-4、5-13-6、6-13-5、4-12-8、8-12-4、5-12-7、7-12-5、6-12-6、5-11-8、8-11-5、6-11-7または7-11-6の5'-X-Y-Z-3'を含む。数字は、5'-X-Y-Z-3'ギャップマーにおけるX、YおよびZ領域内のヌクレオシドの数を示す。
【0243】
いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)またはギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)内の1以上のヌクレオシドは、修飾ヌクレオチドである(例えば、高親和性修飾ヌクレオシド)。いくつかの態様において、修飾ヌクレオシド(例えば、高親和性修飾ヌクレオシド)は2'-修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、2'-修飾ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシドまたは非二環式2'-修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、高親和性修飾ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、cEtまたはENA)または非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-フルオロ(2'-F)、2'-O-メチル(2'-O-Me)、2'-O-メトキシエチル(2'-MOE)、2'-O-アミノプロピル(2'-O-AP)、2'-O-ジメチルアミノエチル(2'-O-DMAOE)、2'-O-ジメチルアミノプロピル(2'-O-DMAP)、2'-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'-O-DMAEOE)、または2'-O-N-メチルアセトアミド(2'-O-NMA))である。
【0244】
いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)内の1以上のヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)内の各ヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)内の1以上のヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)内の各ヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)内の1以上のヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドであり、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)内の1以上のヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)内の各ヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドであり、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)内の各ヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドである。
【0245】
いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)は、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)と同じ高親和性ヌクレオシドを含む。例を挙げると、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、1以上の非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE、または2'-O-Me)を含み得る。別の例では、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、1以上の2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNAまたはcEt)を含み得る。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)内の各ヌクレオシドは、非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE、または2'-O-Me)である。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)内の各ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNAまたはcEt)である。
【0246】
いくつかの態様において、ギャップマーは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは、独立して、1~7(例えば、1、2、3、4、5、6または7)ヌクレオシド長であり、Yは、6~10(例えば、6、7、8、9または10)ヌクレオシド長であり、XおよびZの各ヌクレオシドは非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE、または2'-O-Me)であり、Yの各ヌクレオシドは2'-デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは、独立して、1~7(例えば、1、2、3、4、5、6または7)ヌクレオシド長であり、Yは、6~10(例えば、6、7、8、9または10)ヌクレオシド長であり、XおよびZの各ヌクレオシドは2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNAまたはcEt)であり、Yの各ヌクレオシドは2'-デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)は、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)とは異なる高親和性ヌクレオシドを含む。例を挙げると、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)は、1以上の非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE、または2'-O-Me)を含み得、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、1以上の2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNAまたはcEt)を含み得る。別の例では、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、1以上の非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE、または2'-O-Me)を含み得、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)は、1以上の2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNAまたはcEt)を含み得る。
【0247】
いくつかの態様において、ギャップマーは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは、独立して、1~7(例えば、1、2、3、4、5、6または7)ヌクレオシド長であり、Yは、6~10(例えば、6、7、8、9または10)ヌクレオシド長であり、Xの各ヌクレオシドは非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOEまたは2'-O-Me)であり、Zの各ヌクレオシドは2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNAまたはcEt)であり、Yの各ヌクレオシドは2'-デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは、独立して、1~7(例えば、1、2、3、4、5、6または7)ヌクレオシド長であり、Yは、6~10(例えば、6、7、8、9または10)ヌクレオシド長であり、Xの各ヌクレオシドは2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNAまたはcEt)であり、Zの各ヌクレオシドは非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE、または2'-O-Me)であり、Yの各ヌクレオシドは2'-デオキシリボヌクレオシドである。
【0248】
いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)は、1以上の非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE、または2'-O-Me)および1以上の2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNAまたはcEt)を含む。いくつかの態様において、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、1以上の非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE、または2'-O-Me)および1以上の2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNAまたはcEt)を含む。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)はともに、1以上の非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE、または2'-O-Me)および1以上の2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNAまたはcEt)を含む。
【0249】
いくつかの態様において、ギャップマーは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは、独立して、2~7(例えば、2、3、4、5、6または7)ヌクレオシド長であり、Yは、6~10(例えば、6、7、8、9または10)ヌクレオシド長であり、X(最も5'の位置は位置1である)の位置1、2、3、4、5、6または7のすべてではないが少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5または6)は非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE、または2'-O-Me)であり、XおよびZの両方のヌクレオシドの残りは2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNAまたはcEt)であり、Yの各ヌクレオシドは2'デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは、独立して、2~7(例えば、2、3、4、5、6または7)ヌクレオシド長であり、Yは、6~10(例えば、6、7、8、9または10)ヌクレオシド長であり、Z(最も5'の位置は位置1である)の位置1、2、3、4、5、6または7のすべてではないが少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5または6)は非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE、または2'-O-Me)であり、XおよびZの両方のヌクレオシドの残りは2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNAまたはcEt)であり、Yの各ヌクレオシドは2'デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは、独立して、2~7(例えば、2、3、4、5、6または7)ヌクレオシド長であり、Yは、6~10(例えば、6、7、8、9または10)ヌクレオシド長であり、Xの位置1、2、3、4、5、6または7のすべてではないが少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5または6)およびZ(最も5'の位置は位置1である)の位置1、2、3、4、5、6または7のすべてではないが位置(例えば、1、2、3、4、5または6)のうちの少なくとも1つが、非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE、または2'-O-Me)であり、XおよびZの両方のヌクレオシドの残りは2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNAまたはcEt)であり、Yの各ヌクレオシドは2'デオキシリボヌクレオシドである。
【0250】
非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE、または2'-O-Me)と2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNAまたはcEt)との混合物をギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)および/またはギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)に有するギャップマー構成の非限定的な例は、BBB-(D)n-BBBAA;KKK-(D)n-KKKAA;LLL-(D)n-LLLAA;BBB-(D)n-BBBEE;KKK-(D)n-KKKEE;LLL-(D)n-LLLEE;BBB-(D)n-BBBAA;KKK-(D)n-KKKAA;LLL-(D)n-LLLAA;BBB-(D)n-BBBEE;KKK-(D)n-KKKEE;LLL-(D)n-LLLEE;BBB-(D)n-BBBAAA;KKK-(D)n-KKKAAA;LLL-(D)n-LLLAAA;BBB-(D)n-BBBEEE;KKK-(D)n-KKKEEE;LLL-(D)n-LLLEEE;BBB-(D)n-BBBAAA;KKK-(D)n-KKKAAA;LLL-(D)n-LLLAAA;BBB-(D)n-BBBEEE;KKK-(D)n-KKKEEE;LLL-(D)n-LLLEEE;BABA-(D)n-ABAB;KAKA-(D)n-AKAK;LALA-(D)n-ALAL;BEBE-(D)n-EBEB;KEKE-(D)n-EKEK;LELE-(D)n-ELEL;BABA-(D)n-ABAB;KAKA-(D)n-AKAK;LALA-(D)n-ALAL;BEBE-(D)n-EBEB;KEKE-(D)n-EKEK;LELE-(D)n-ELEL;ABAB-(D)n-ABAB;AKAK-(D)n-AKAK;ALAL-(D)n-ALAL;EBEB-(D)n-EBEB;EKEK-(D)n-EKEK;ELEL-(D)n-ELEL;ABAB-(D)n-ABAB;AKAK-(D)n-AKAK;ALAL-(D)n-ALAL;EBEB-(D)n-EBEB;EKEK-(D)n-EKEK;ELEL-(D)n-ELEL;AABB-(D)n-BBAA;BBAA-(D)n-AABB;AAKK-(D)n-KKAA;AALL-(D)n-LLAA;EEBB-(D)n-BBEE;EEKK-(D)n-KKEE;EELL-(D)n-LLEE;AABB-(D)n-BBAA;AAKK-(D)n-KKAA;AALL-(D)n-LLAA;EEBB-(D)n-BBEE;EEKK-(D)n-KKEE;EELL-(D)n-LLEE;BBB-(D)n-BBA;KKK-(D)n-KKA;LLL-(D)n-LLA;BBB-(D)n-BBE;KKK-(D)n-KKE;LLL-(D)n-LLE;BBB-(D)n-BBA;KKK-(D)n-KKA;LLL-(D)n-LLA;BBB-(D)n-BBE;KKK-(D)n-KKE;LLL-(D)n-LLE;BBB-(D)n-BBA;KKK-(D)n-KKA;LLL-(D)n-LLA;BBB-(D)n-BBE;KKK-(D)n-KKE;LLL-(D)n-LLE;ABBB-(D)n-BBBA;AKKK-(D)n-KKKA;ALLL-(D)n-LLLA;EBBB-(D)n-BBBE;EKKK-(D)n-KKKE;ELLL-(D)n-LLLE;ABBB-(D)n-BBBA;AKKK-(D)n-KKKA;ALLL-(D)n-LLLA;EBBB-(D)n-BBBE;EKKK-(D)n-KKKE;ELLL-(D)n-LLLE;ABBB-(D)n-BBBAA;AKKK-(D)n-KKKAA;ALLL-(D)n-LLLAA;EBBB-(D)n-BBBEE;EKKK-(D)n-KKKEE;ELLL-(D)n-LLLEE;ABBB-(D)n-BBBAA;AKKK-(D)n-KKKAA;ALLL-(D)n-LLLAA;EBBB-(D)n-BBBEE;EKKK-(D)n-KKKEE;ELLL-(D)n-LLLEE;AABBB-(D)n-BBB;AAKKK-(D)n-KKK;AALLL-(D)n-LLL;EEBBB-(D)n-BBB;EEKKK-(D)n-KKK;EELLL-(D)n-LLL;AABBB-(D)n-BBB;AAKKK-(D)n-KKK;AALLL-(D)n-LLL;EEBBB-(D)n-BBB;EEKKK-(D)n-KKK;EELLL-(D)n-LLL;AABBB-(D)n-BBBA;AAKKK-(D)n-KKKA;AALLL-(D)n-LLLA;EEBBB-(D)n-BBBE;EEKKK-(D)n-KKKE;EELLL-(D)n-LLLE;AABBB-(D)n-BBBA;AAKKK-(D)n-KKKA;AALLL-(D)n-LLLA;EEBBB-(D)n-BBBE;EEKKK-(D)n-KKKE;EELLL-(D)n-LLLE;ABBAABB-(D)n-BB;AKKAAKK-(D)n-KK;ALLAALLL-(D)n-LL;EBBEEBB-(D)n-BB;EKKEEKK-(D)n-KK;ELLEELL-(D)n-LL;ABBAABB-(D)n-BB;AKKAAKK-(D)n-KK;ALLAALL-(D)n-LL;EBBEEBB-(D)n-BB;EKKEEKK-(D)n-KK;ELLEELL-(D)n-LL;ABBABB-(D)n-BBB;AKKAKK-(D)n-KKK;ALLALLL-(D)n-LLL;EBBEBB-(D)n-BBB;EKKEKK-(D)n-KKK;ELLELL-(D)n-LLL;ABBABB-(D)n-BBB;AKKAKK-(D)n-KKK;ALLALL-(D)n-LLL;EBBEBB-(D)n-BBB;EKKEKK-(D)n-KKK;ELLELL-(D)n-LLL;EEEK-(D)n-EEEEEEEE;EEK-(D)n-EEEEEEEEE;EK-(D)n-EEEEEEEEEE;EK-(D)n-EEEKK;K-(D)n-EEEKEKE;K-(D)n-EEEKEKEE;K-(D)n-EEKEK;EK-(D)n-EEEEKEKE;EK-(D)n-EEEKEK;EEK-(D)n-KEEKE;EK-(D)n-EEKEK;EK-(D)n-KEEK;EEK-(D)n-EEEKEK;EK-(D)n-KEEEKEE;EK-(D)n-EEKEKE;EK-(D)n-EEEKEKE;、およびEK-(D)n-EEEEKEKを包含し、式中、「A」は2'-修飾ヌクレオシドを表し、「B」は2'-4'二環式ヌクレオシドを表し、「K」は拘束エチルヌクレオシド(cEt)を表し、「L」はLNAヌクレオシドを表し、「E」は2'-MOE修飾リボヌクレオシドを表し、「D」は2'-デオキシリボヌクレオシドを表し、「n」は、ギャップセグメント(5'-X-Y-Z-3'構成のY)の長さを表し、1~20の整数である。
【0251】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるギャップマーのいずれか1つは、1以上の修飾ヌクレオシド連結(例えば、ホスホロチオアート連結)をX、YおよびZ領域の各々に含む。いくつかの態様において、本明細書において記載されるギャップマーのいずれか1つにおける各ヌクレオシド間連結はホスホロチオアート連結である。いくつかの態様において、X、YおよびZ領域の各々は、ホスホロチオアート連結とホスホジエステル連結との混合物を独立して含む。いくつかの態様において、ギャップ領域Yの各ヌクレオシド間連結はホスホロチオアート連結であり、5'ウイング領域Xは、ホスホロチオアート連結とホスホジエステル連結との混合物を含み、3'ウイング領域Zは、ホスホロチオアート連結とホスホジエステル連結との混合物を含む。
【0252】
DMPK標的化オリゴヌクレオチドの非限定的な例は、表8、表9および表10に提供される。
【表8-1】
【表8-2】
【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【0253】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるDMPK標的化オリゴヌクレオチドは、15~25ヌクレオシド(例えば、15~20、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25ヌクレオシド)長であり、配列番号160~230のいずれか1つの少なくとも15個の連続するヌクレオシド(例えば、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、または20個の連続するヌクレオシド)に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、Xは、3~7個(例えば、3~5、3、4、5、6、または7個)の連結されたヌクレオシドを含み、X内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)であり、Yは、6~15個(例えば、6~10、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個)の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、Y内の各シトシンは、任意にかつ独立して、5-メチル-シトシンであり、かつZは、3~7個(例えば、3~5、3、4、5、6、または7個)の連結されたヌクレオシドを含み、Z内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)である。
【0254】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるDMPK標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号231~362のいずれか1つのヌクレオチド配列の少なくとも15個の連続するヌクレオシド(例えば、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、または20個の連続するヌクレオシド)を含み、各チミン塩基(T)は、独立してかつ任意に、ウラシル塩基(U)に置き換えられていてもよく、かつ各Uは、独立してかつ任意に、Tに置き換えられていてもよい。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、Xは、3~7個(例えば、3~5、3、4、5、6、または7個)の連結されたヌクレオシドを含み、X内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)であり、Yは、6~15個(例えば、6~10、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個)の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、Y内の各シトシンは、任意にかつ独立して、5-メチル-シトシンであり、かつZは、3~7個(例えば、3~5、3、4、5、6、または7個)の連結されたヌクレオシドを含み、Z内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)である。
【0255】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるDMPK標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号231~362のいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、各チミン塩基(T)は、独立してかつ任意に、ウラシル塩基(U)に置き換えられていてもよく、かつ各Uは、独立してかつ任意に、Tに置き換えられていてもよい。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、Xは、3~7個(例えば、3~5、3、4、5、6、または7個)の連結されたヌクレオシドを含み、X内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)であり、Yは、6~15個(例えば、6~10、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個)の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、Y内の各シトシンは、任意にかつ独立して、5-メチル-シトシンであり、かつZは、3~7個(例えば、3~5、3、4、5、6、または7個)の連結されたヌクレオシドを含み、Z内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)である。
【0256】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるDMPK標的化オリゴヌクレオチドは、15~25ヌクレオシド(例えば、15~20、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25ヌクレオシド)長であり、配列番号160~230のいずれか1つの少なくとも15個の連続するヌクレオシド(例えば、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、または20個の連続するヌクレオシド)に対する相補性領域を含み、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、X内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)であり、Y内の各シトシンは、任意にかつ独立して、5-メチル-シトシンであり、かつZ内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)である。いくつかの態様において、X内の各ヌクレオシドは、2'-修飾ヌクレオシドであり、および/または(例えば、および)Z内の各ヌクレオシドは、2'-修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、2'-修飾ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、cEtまたはENA)または非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシドまたは2'-O-Me修飾ヌクレオシド)である。
【0257】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるDMPK標的化オリゴヌクレオチドは、15~25ヌクレオシド(例えば、15~20、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25ヌクレオシド)長であり、配列番号160~230のいずれか1つの少なくとも15個の連続するヌクレオシド(例えば、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、または20個の連続するヌクレオシド)に対する相補性領域を含み、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、X内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)であり、Y内の各シトシンは、任意にかつ独立して、5-メチル-シトシンであり、かつZ内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)である。いくつかの態様において、X内の各ヌクレオシドは、非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド)であり、および/または(例えば、および)Z内の各ヌクレオシドは、非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド)である。いくつかの態様において、X内の各ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、cEtまたはENA)であり、および/または(例えば、および)Z内の各ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、cEtまたはENA)である。
【0258】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるDMPK標的化オリゴヌクレオチドは、15~25ヌクレオシド(例えば、15~20、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25ヌクレオシド)長であり、配列番号160~230のいずれか1つの少なくとも15個の連続するヌクレオシド(例えば、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、または20個の連続するヌクレオシド)に対する相補性領域を含み、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、X内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)であり、Y内の各シトシンは、任意にかつ独立して、5-メチル-シトシンであり、かつZ内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)である。いくつかの態様において、Xは、少なくとも1つの2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、cEtまたはENA)と、少なくとも1つの非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシドまたは2'-O-Me修飾ヌクレオシド)とを含み、および/または(例えば、および)Zは、少なくとも1つの2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、cEtまたはENA)と、少なくとも1つの非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシドまたは2'-O-Me修飾ヌクレオシド)とを含む。
【0259】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるDMPK標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号231~362のいずれか1つのヌクレオチド配列の少なくとも15個の連続するヌクレオシド(例えば、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、または20個の連続するヌクレオシド)を含み(ここで、各チミン塩基(T)は、独立してかつ任意に、ウラシル塩基(U)に置き換えられていてもよく、かつ各Uは、独立してかつ任意に、Tに置き換えられていてもよい)、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、X内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)であり、Y内の各シトシンは、任意にかつ独立して、5-メチル-シトシンであり、かつZ内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)である。いくつかの態様において、X内の各ヌクレオシドは、2'-修飾ヌクレオシドであり、および/または(例えば、および)Z内の各ヌクレオシドは、2'-修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、2'-修飾ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、cEtまたはENA)または非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシドまたは2'-O-Me修飾ヌクレオシド)である。
【0260】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるDMPK標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号231~362のいずれか1つのヌクレオチド配列の少なくとも15個の連続するヌクレオシド(例えば、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、または20個の連続するヌクレオシド)を含み(ここで、各チミン塩基(T)は、独立してかつ任意に、ウラシル塩基(U)に置き換えられていてもよく、かつ各Uは、独立してかつ任意に、Tに置き換えられていてもよい)、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、X内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)であり、Y内の各シトシンは、任意にかつ独立して、5-メチル-シトシンであり、かつZ内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)である。いくつかの態様において、X内の各ヌクレオシドは、非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド)であり、および/または(例えば、および)Z内の各ヌクレオシドは、非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド)である。いくつかの態様において、X内の各ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、cEtまたはENA)であり、および/または(例えば、および)Z内の各ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、cEtまたはENA)である。
【0261】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるDMPK標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号231~362のいずれか1つのヌクレオチド配列の少なくとも15個の連続するヌクレオシド(例えば、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、または20個の連続するヌクレオシド)を含み(ここで、各チミン塩基(T)は、独立してかつ任意に、ウラシル塩基(U)に置き換えられていてもよく、かつ各Uは、独立してかつ任意に、Tに置き換えられていてもよい)、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、X内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)であり、Y内の各シトシンは、任意にかつ独立して、5-メチル-シトシンであり、かつZ内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)である。いくつかの態様において、Xは、少なくとも1つの2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、cEtまたはENA)と、少なくとも1つの非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシドまたは2'-O-Me修飾ヌクレオシド)とを含み、および/または(例えば、および)Zは、少なくとも1つの2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、cEtまたはENA)と、少なくとも1つの非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシドまたは2'-O-Me修飾ヌクレオシド)とを含む。
【0262】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるDMPK標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号231~362のいずれか1つのヌクレオチド配列を含み(ここで、各チミン塩基(T)は、独立してかつ任意に、ウラシル塩基(U)に置き換えられていてもよく、かつ各Uは、独立してかつ任意に、Tに置き換えられていてもよい)、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、X内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)であり、Y内の各シトシンは、任意にかつ独立して、5-メチル-シトシンであり、かつZ内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)である。いくつかの態様において、X内の各ヌクレオシドは、2'-修飾ヌクレオシドであり、および/または(例えば、および)Z内の各ヌクレオシドは、2'-修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、2'-修飾ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、cEtまたはENA)または非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシドまたは2'-O-Me修飾ヌクレオシド)である。
【0263】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるDMPK標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号231~362のいずれか1つのヌクレオチド配列を含み(ここで、各チミン塩基(T)は、独立してかつ任意に、ウラシル塩基(U)に置き換えられていてもよく、かつ各Uは、独立してかつ任意に、Tに置き換えられていてもよい)、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、X内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)であり、Y内の各シトシンは、任意にかつ独立して、5-メチル-シトシンであり、かつZ内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)である。いくつかの態様において、X内の各ヌクレオシドは、非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド)であり、および/または(例えば、および)Z内の各ヌクレオシドは、非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド)である。いくつかの態様において、X内の各ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、cEtまたはENA)であり、および/または(例えば、および)Z内の各ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、cEtまたはENA)である。
【0264】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるDMPK標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号231~362のいずれか1つのヌクレオチド配列を含み(ここで、各チミン塩基(T)は、独立してかつ任意に、ウラシル塩基(U)に置き換えられていてもよく、かつ各Uは、独立してかつ任意に、Tに置き換えられていてもよい)、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、X内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)であり、Y内の各シトシンは、任意にかつ独立して、5-メチル-シトシンであり、かつZ内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEt、またはENA)である。いくつかの態様において、Xは、少なくとも1つの2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、cEtまたはENA)と、少なくとも1つの非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシドまたは2'-O-Me修飾ヌクレオシド)とを含み、および/または(例えば、および)Zは、少なくとも1つの2'-4'二環式ヌクレオシド(例えば、LNA、cEtまたはENA)と、少なくとも1つの非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例えば、2'-MOE修飾ヌクレオシドまたは2'-O-Me修飾ヌクレオシド)とを含む。
【0265】
いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、1以上のホスホロチオアートヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチド内の各ヌクレオシド間連結は、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結である。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、1以上のホスホジエステルヌクレオシド間連結を含み、任意に、ホスホジエステルヌクレオシド間連結は、Xおよび/またはZにある。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、1以上のホスホロチオアートヌクレオシド間連結と、1以上のホスホジエステルヌクレオシド間連結とを含む。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、1個のホスホジエステルヌクレオシド間連結(PO)、2個のPO、3個のPO、4個のPO、5個のPO、6個のPO、7個のPO、8個のPO、9個のPO、10個のPO、11個のPO、12個のPO、13個のPO、14個のPO、15個のPO、16個のPO、17個のPO、18個のPO、19個のPO、20個のPO、21個のPO、22個のPO、23個のPO、24個のPO、25個のPO、26個のPO、27個のPO、28個のPOまたは29個のPOを含み、残りのヌクレオシド間連結はホスホロチオアートヌクレオシド間連結(PS)である。例を挙げると、20ヌクレオチドのDMPK標的化オリゴヌクレオチドは、1個のPOおよび18個のPS、2個のPOおよび17個のPS、3個のPOおよび16個のPS、4個のPOおよび15個のPS、5個のPOおよび14個のPS、6個のPOおよび13個のPS、7個のPOおよび12個のPS、8個のPOおよび11個のPS、9個のPOおよび10個のPS、10個のPOおよび9個のPS、11個のPOおよび8個のPS、12個のPOおよび7個のPS、13個のPOおよび6個のPS、14個のPOおよび5個のPS、15個のPOおよび4個のPS、16個のPOおよび3個のPS、17個のPOおよび2個のPS、または18個のPOおよび1個のPSを含み得る。いくつかの態様において、ギャップ領域Y内の各ヌクレオシド間連結は、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結であり、Xは、1以上のホスホロチオアートヌクレオシド間連結と、1以上のホスホジエステルヌクレオシド間連結とを含み、Zは、1以上のホスホロチオアートヌクレオシド間連結と、1以上のホスホジエステルヌクレオシド間連結とを含む。いくつかの態様において、ギャップ領域Y内の各ヌクレオシド間連結は、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結であり、X内の各ヌクレオシド間連結は、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結であり、Zは、1以上のホスホロチオアートヌクレオシド間連結と、1以上のホスホジエステルヌクレオシド間連結とを含む。いくつかの態様において、ギャップ領域Yの各ヌクレオシド間連結は、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結であり、Xは、1以上のホスホロチオアートヌクレオシド間連結と、1以上のホスホジエステルヌクレオシド間連結とを含み、Z内の各ヌクレオシド間連結は、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結である。例を挙げると、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、混合ホスホジエステル/ホスホロチオアート主鎖を有するウイング領域XおよびZと、完全なホスホロチオアート主鎖を有するギャップ領域Yとを含み得るか、または混合ホスホジエステル/ホスホロチオアート主鎖を有する一方のウイング領域(すなわち、XまたはZ)と、完全なホスホロチオアート主鎖を有する他方のウイング領域と、完全なホスホロチオアート主鎖を有するギャップ領域Yとを含み得る。いくつかの態様において、ギャップ領域Yは、1以上のホスホロチオアートヌクレオシド間連結と、1以上のホスホジエステルヌクレオシド間連結とを含み、ウイング領域XおよびYは、それぞれ独立して、完全なホスホロチオアート主鎖を有するか、または1以上のホスホロチオアートヌクレオシド間連結と、1以上のホスホジエステルヌクレオシド間連結とを含む。例を挙げると、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、混合ホスホジエステル/ホスホロチオアート主鎖を有するウイング領域XおよびZと、混合ホスホジエステル/ホスホロチオアート主鎖を有するギャップ領域Yとを含み得る。
【0266】
いくつかの態様において、式:(L)X1(E)X2(L)X3(D)X4(L)X5(E)X6(L)X7のアンチセンスオリゴヌクレオチドが提供され:
式中、各(L)は2'-4'二環式ヌクレオシドであり、
式中、各(E)は非二環式2'-修飾ヌクレオシドであり、
式中、各(D)は2'-デオキシリボヌクレオシドであり、
式中、X1は、独立して、対応するLの実例の数を表す0~5の整数であり、
式中、X2は、独立して、対応するEの実例の数を表す0~5の整数であり、
式中、X3は、独立して、対応するLの実例の数を表す0~5の整数であり、
式中、X4は、独立して、Dの実例の数を表す5~12の整数であり、
式中、X5は、独立して、対応するLの実例の数を表す0~5の整数であり、
式中、X6は、独立して、対応するEの実例の数を表す0~5の整数であり、
式中、X7は、独立して、対応するLの実例の数を表す0~5の整数であり、
式中、X1、X2およびX3のうちの少なくとも1つは、1~5の範囲内であり、X5、X6およびX7のうちの少なくとも1つは、1~5の範囲内である。
【0267】
いくつかの態様において、X1、X3、X5およびX7は、それぞれ0であり、X2およびX6は、独立して、1、2、3、4または5である。
【0268】
いくつかの態様において、X1、X2、X5およびX6は、それぞれ0であり、X3およびX7は、独立して、1、2、3、4または5である。
【0269】
いくつかの態様において、X3およびX5は、それぞれ0であり、X1、X2、X6およびX7は、独立して、1、2、3、4または5である。
【0270】
いくつかの態様において、X1およびX7は、それぞれ0であり、X2、X3、X5およびX6は、独立して、1、2、3、4または5である。
【0271】
いくつかの態様において、X4は、5、6、7、8、9または10である。
【0272】
いくつかの態様において、2'-4'二環式ヌクレオシドは、LNA、cEtおよびENAヌクレオシドから選択される。いくつかの態様において、非二環式2'-修飾ヌクレオシドは、2'-MOE修飾ヌクレオシドまたは2'-OMe修飾ヌクレオシドである。
【0273】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドのヌクレオシドは、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結、ホスホジエステルヌクレオシド間連結またはそれらの組合せによって一緒に結び合わされる。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、各ヌクレオシドを結び合わせるホスホロチオアートヌクレオシド間連結のみを含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオアートヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結とホスホジエステルヌクレオシド間連結との混合物を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、2'-デオキシリボヌクレオシドの各対を結び合わせるホスホロチオアートヌクレオシド間連結のみ、および残りのヌクレオシドを結び合わせるホスホロチオアートヌクレオシド間連結とホスホジエステルヌクレオシド間連結との混合物を含む。
【0274】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、以下の5'-X-Y-Z-3'配置を含む:
【数11】
【0275】
ここで、「E」は2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「L」はLNAであり;「D」は2'-デオキシリボヌクレオシドであり;かつ「10」または「8」は、Yにおける2'-デオキシリボヌクレオシドの数であり、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結、ホスホジエステルヌクレオシド間連結またはそれらの組合せを含む。
【0276】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるDMPK標的化オリゴヌクレオチドのいずれか1つでは、Xおよび/もしくはZ内の各シチジン(例えば、2'-修飾シチジン)は、任意にかつ独立して、5-メチル-シチジンであり、ならびに/またはXおよび/もしくはZ内の各ウリジン(例えば、2'-修飾ウリジン)は、任意にかつ独立して、5-メチル-ウリジンである。
【0277】
いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、表8、表9および表10に列挙されるASOから選択される。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、表8に列挙される標的配列に相補的である。
【0278】
いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号205、211、214、217、222、215、220および225のいずれか1つに相補的である。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号205、214、215および220のいずれか1つに相補的である。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号211、217、222および225のいずれか1つに相補的である。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号205、214、217および222のいずれか1つに相補的である。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号211、215、220および225のいずれか1つに相補的である。
【0279】
いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号276、282、285、286、288、291、293、296、345、348、350、352、354および357のいずれか1つの核酸塩基配列を含む。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号276、285、286、291、348および352のいずれか1つの核酸塩基配列を含む。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号282、288、293、296、345、350、354および357のいずれか1つの核酸塩基配列を含む。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号276、285、288、293、348、350および354のいずれか1つの核酸塩基配列を含む。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号282、286、291、296、345、352および357のいずれか1つの核酸塩基配列を含む。いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドの各チミン塩基(T)は、独立してかつ任意に、ウラシル塩基(U)に置き換えられていてもよく、かつ各Uは、独立してかつ任意に、Tに置き換えられていてもよい。
【0280】
いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、以下から選択される構造を含む:
【数12】
ここで、「+N」はLNAヌクレオシドであり;「x+C」は5-メチルLNAシチジンであり;「xdC」は5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」は2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」は2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「xoC」は5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「oU」は5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;かつ「*」はホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示す。
【0281】
いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、以下から選択される構造を含む:
【数13】
ここで、「+N」はLNAヌクレオシドであり;「x+C」は5-メチルLNAシチジンであり;「xdC」は5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」は2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」は2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「xoC」は5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「oU」は5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;かつ「*」はホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示す。
【0282】
いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、以下から選択される構造を含む:
【数14】
ここで、「+N」はLNAヌクレオシドであり;「x+C」は5-メチルLNAシチジンであり;「xdC」は5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」は2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」は2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「xoC」は5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「oU」は5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;かつ「*」はホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示す。
【0283】
いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、以下から選択される構造を含む:
【数15】
ここで、「+N」はLNAヌクレオシドであり;「x+C」は5-メチルLNAシチジンであり;「xdC」は5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」は2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」は2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「xoC」は5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「oU」は5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;かつ「*」はホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示す。
【0284】
いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドは、以下から選択される構造を含む:
【数16】
ここで、「+N」はLNAヌクレオシドであり;「x+C」は5-メチルLNAシチジンであり;「xdC」は5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」は2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」は2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「xoC」は5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「oU」は5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;かつ「*」はホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示す。
【0285】
いくつかの態様において、DMPK標的化オリゴヌクレオチドのいずれか1つは、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩またはマグネシウム塩としての塩形態であることができる。
【0286】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるオリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9および表10に列挙されるオリゴヌクレオチド)のいずれか1つの5'または3'ヌクレオシド(例えば、末端ヌクレオシド)は、任意にスペーサーを介してアミン基にコンジュゲートされる。いくつかの態様において、スペーサーは、脂肪族部分を含む。いくつかの態様において、スペーサーは、ポリエチレングリコール部分を含む。いくつかの態様において、ホスホジエステル連結が、スペーサーとオリゴヌクレオチドの5'または3'ヌクレオシドとの間に存在する。いくつかの態様において、本明細書において記載されるオリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9および表10に列挙されるオリゴヌクレオチド)のいずれかの5'または3'ヌクレオシド(例えば、末端ヌクレオシド)は、置換もしくは非置換の脂肪族、置換もしくは非置換のヘテロ脂肪族、置換もしくは非置換のカルボシクリレン、置換もしくは非置換のヘテロシクリレン、置換もしくは非置換のアリーレン、置換もしくは非置換のヘテロアリーレン、-O-、-N(RA)-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-C(=O)NRA-、-NRAC(=O)-、-NRAC(=O)RA-、-C(=O)RA-、-NRAC(=O)O-、-NRAC(=O)N(RA)-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-OC(=O)N(RA)-、-S(O)2NRA-、-NRAS(O)2-、またはそれらの組合せであるスペーサーにコンジュゲートされ、各RAは、独立して、水素または置換もしくは非置換のアルキルである。ある特定の態様において、スペーサーは、置換もしくは非置換のアルキレン、置換もしくは非置換のヘテロシクリレン、置換もしくは非置換のヘテロアリーレン、-O-、-N(RA)-、もしくは-C(=O)N(RA)2、またはそれらの組合せである。
【0287】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるオリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9および表10に列挙されるオリゴヌクレオチド)のいずれか1つの5'または3'ヌクレオシドは、式-NH2-(CH2)n-の化合物にコンジュゲートされ、式中、nは1~12の整数である。いくつかの態様において、nは、6、7、8、9、10、11または12である。いくつかの態様において、ホスホジエステル連結が、式NH2-(CH2)n-の化合物とオリゴヌクレオチドの5'または3'ヌクレオシドとの間に存在する。いくつかの態様において、式NH2-(CH2)6-の化合物は、6-アミノ-1-ヘキサノール(NH2-(CH2)6-OH)とオリゴヌクレオチドの5'ホスファートとの間の反応によってオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされる。
【0288】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、標的化剤、例えば、筋標的化剤、例として、抗TfR1抗体に、例えば、アミン基を介してコンジュゲートされる。
【0289】
C.リンカー
本明細書において記載される複合体は、本明細書において記載される抗TfR1抗体のいずれか1つを分子ペイロードに共有結合的に連結するリンカーを一般に含む。リンカーは、少なくとも1つの共有結合を含む。いくつかの態様において、リンカーは、抗TfR1抗体を分子ペイロードに共有結合的に連結する単結合、例えば、ジスルフィド結合またはジスルフィド架橋であり得る。ただし、いくつかの態様において、リンカーは、複数の共有結合を通じて、本明細書において記載される抗TfR1抗体のいずれか1つを分子ペイロードに共有結合的に連結し得る。いくつかの態様において、リンカーは、切断可能なリンカーであり得る。ただし、いくつかの態様において、リンカーは、切断不可能なリンカーであり得る。リンカーは、典型的には、in vitroおよびin vivoで安定であり、特定の細胞環境内で安定であり得る。さらに、典型的に、リンカーは、抗TfR1抗体または分子ペイロードのいずれかの機能特性に負の影響を及ぼさない。リンカーの合成の例および方法は、当技術分野で公知である(例えば、Kline,T.et al.“Methods to Make Homogenous Antibody Drug Conjugates.”Pharmaceutical Research,2015,32:11,3480-3493.;Jain,N.et al.“Current ADC Linker Chemistry”Pharm Res.2015,32:11,3526-3540.;McCombs,J.R.and Owen,S.C.“Antibody Drug Conjugates:Design and Selection of Linker,Payload and Conjugation Chemistry”AAPS J.2015,17:2,339-351を参照。)。
【0290】
リンカーは、典型的には、抗TfR1抗体および分子ペイロードの両方への付着を可能にする2つの異なる反応性種を含有する。いくつかの態様において、2つの異なる反応性種は、求核試薬および/または求電子試薬であり得る。いくつかの態様において、リンカーは、2つの異なる求核試薬または求電子試薬に特異的な2つの異なる求電子試薬または求核試薬を含有する。いくつかの態様において、リンカーは、抗TfR1抗体のリジン残基またはシステイン残基へのコンジュゲーションを介して、抗TfR1抗体に共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、マレイミド含有リンカーを介して抗TfR1抗体のシステイン残基に共有結合的に連結されており、任意に、マレイミド含有リンカーは、マレイミドカプロイルまたはマレイミドメチルシクロヘキサン-1-カルボキシラート基を含む。いくつかの態様において、リンカーは、3-アリールプロピオニトリル官能基を介して、抗TfR1抗体のシステイン残基、またはチオール官能化分子ペイロードに共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、抗TfR1抗体のリジン残基に共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、独立して、アミド結合、カルバマート結合、ヒドラジド、トリアゾール、チオエーテル、および/またはジスルフィド結合を介して、抗TfR1抗体および/または(例えば、および)分子ペイロードに共有結合的に連結されている。
【0291】
i.切断可能なリンカー
切断可能なリンカーは、プロテアーゼ感受性リンカー、pH感受性リンカーまたはグルタチオン感受性リンカーであり得る。これらのリンカーは、典型的には、細胞内のみで切断可能であり、好ましくは、細胞外環境内で、例えば、筋細胞またはCNS細胞の細胞外で安定である。
【0292】
プロテアーゼ感受性リンカーは、プロテアーゼ酵素活性によって切断可能である。これらのリンカーは、ペプチド配列を典型的に含み、2~10アミノ酸長、約2~5アミノ酸長、約5~10アミノ酸長、約10アミノ酸長、約5アミノ酸長、約3アミノ酸長、または約2アミノ酸長であり得る。いくつかの態様において、ペプチド配列は、天然に存在するアミノ酸、例えば、システイン、アラニン、または天然に存在しないアミノ酸もしくは修飾されたアミノ酸を含み得る。天然に存在しないアミノ酸は、β-アミノ酸、ホモ-アミノ酸、プロリン誘導体、3-置換アラニン誘導体、線形コアアミノ酸、N-メチルアミノ酸、および当技術分野で公知のその他のアミノ酸を包含する。いくつかの態様において、プロテアーゼ感受性リンカーは、バリン-シトルリンまたはアラニン-シトルリンの配列を含む。いくつかの態様において、プロテアーゼ感受性リンカーは、リソソームのプロテアーゼ、例えば、カテプシンB、および/または(例えば、および)エンドソームのプロテアーゼによって切断されることができる。
【0293】
pH感受性リンカーは、高または低pH環境内で容易に分解する共有結合連結である。いくつかの態様において、pH感受性リンカーは、4~6の範囲のpHで切断され得る。いくつかの態様において、pH感受性リンカーは、ヒドラゾンまたは環状アセタールを含む。いくつかの態様において、pH感受性リンカーは、エンドソームまたはリソソーム内で切断される。
【0294】
いくつかの態様において、グルタチオン感受性リンカーは、ジスルフィド部分を含む。いくつかの態様において、グルタチオン感受性リンカーは、細胞内部でのグルタチオン種とのジスルフィド交換反応によって切断される。いくつかの態様において、ジスルフィド部分は、少なくとも1つのアミノ酸、例えば、システイン残基をさらに含む。
【0295】
いくつかの態様において、リンカーは、バリン-シトルリン配列を含む(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,214,345号に記載されているように)。いくつかの態様において、コンジュゲーションの前に、リンカーは、以下の構造を含む:
【化2】
【0296】
いくつかの態様において、コンジュゲーションの後に、リンカーは、以下の構造を含む:
【化3】
【0297】
いくつかの態様において、コンジュゲーションの前に、リンカーは、以下の構造を含む:
【化4】
式中、nは、0~10のいずれかの数である。いくつかの態様において、nは3である。
【0298】
いくつかの態様において、リンカーは、以下の構造を含む:
【化5】
式中、nは、0~10のいずれかの数であり、mは、0~10のいずれかの数である。いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例えば、および)mは4である。
【0299】
いくつかの態様において、リンカーは、以下の構造を含む:
【化6】
式中、nは、0~10のいずれかの数であり、mは、0~10のいずれかの数である。いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例えば、および)mは4である。
【0300】
ii.切断不可能なリンカー
いくつかの態様において、切断不可能なリンカーが使用され得る。一般に、切断不可能なリンカーは、細胞環境または生理環境内で容易に分解されることができない。いくつかの態様において、切断不可能なリンカーは、置換されていてもよいアルキル基を含み、ここで、置換は、ハロゲン、ヒドロキシル基、酸素種、および他の一般的な置換を包含し得る。いくつかの態様において、リンカーは、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルキレン、置換されていてもよいアリーレン、ヘテロアリーレン、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含むペプチド配列、切断型グリカン、酵素的に分解されることができない単数もしくは複数の糖、アジド、アルキン-アジド、LPXT配列を含むペプチド配列、チオエーテル、ビオチン、ビフェニル、ポリエチレングリコールもしくは同等の化合物の反復単位、酸エステル、酸アミド、スルファミド、および/またはアルコキシ-アミンリンカーを含み得る。いくつかの態様において、ソルターゼ媒介ライゲーションが、LPXT配列を含む抗TfR1抗体を、(G)n配列を含む分子ペイロードに共有結合的に連結するために利用されることができる(例えば、Proft T.Sortase-mediated protein ligation:an emerging biotechnology tool for protein modification and immobilization.Biotechnol Lett.2010,32(1):1-10を参照。)。
【0301】
いくつかの態様において、リンカーは、置換されたアルキレン、置換されていてもよいアルケニレン、置換されていてもよいアルキニレン、置換されていてもよいシクロアルキレン、置換されていてもよいシクロアルケニレン、置換されていてもよいアリーレン、N、OおよびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子をさらに含む置換されていてもよいヘテロアリーレン、N、OおよびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子をさらに含む置換されていてもよいヘテロシクリレン、イミノ、置換されていてもよい窒素種、置換されていてもよい酸素種O、置換されていてもよい硫黄種、またはポリ(アルキレンオキシド)、例えば、ポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシドを含み得る。いくつかの態様において、リンカーは、切断不可能なN-ガンマ-マレイミドブチリル-オキシスクシンイミドエステル(GMBS)リンカーであり得る。
【0302】
iii.リンカーのコンジュゲーション
いくつかの態様において、リンカーは、ホスファート、チオエーテル、エーテル、炭素-炭素、カルバマート、またはアミド結合を介して抗TfR1抗体および/または(例えば、および)分子ペイロードに共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、ホスファート基またはホスホロチオアート基、例えば、オリゴヌクレオチド主鎖の末端ホスファートを通じて、オリゴヌクレオチドに共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、抗TfR1抗体上に存在するリジン残基またはシステイン残基を介して、抗TfR1抗体に共有結合的に連結されている。
【0303】
いくつかの態様において、リンカーまたはその一部は、トリアゾールを形成する、アジドとアルキンとの間のシクロ付加反応によって、抗TfR1抗体および/または(例えば、および)分子ペイロードに共有結合的に連結されており、アジドまたはアルキンは、抗TfR1抗体、分子ペイロードまたはリンカー上に配置され得る。いくつかの態様において、アルキンは、環状アルキン、例えば、シクロオクチンであり得る。いくつかの態様において、アルキンは、ビシクロノニン(ビシクロ[6.1.0]ノニンまたはBCNとしても知られる)または置換ビシクロノニンであり得る。いくつかの態様において、シクロオクチンは、2011年11月3日に公開された「Fused Cyclooctyne Compounds And Their Use In Metal-free Click Reactions」と題する国際特許出願公開WO2011136645に記載されている通りである。いくつかの態様において、アジドは、アジドを含む糖または炭水化物分子であり得る。いくつかの態様において、アジドは、6-アジド-6-デオキシガラクトース、または6-アジド-N-アセチルガラクトサミンであり得る。いくつかの態様において、アジドを含む糖または炭水化物分子は、2016年10月27日に公開された「Process For The Modification Of A Glycoprotein Using A Glycosyltransferase That Is Or Is Derived From A β(1,4)-N-Acetylgalactosaminyltransferase」と題する国際特許出願公開WO2016170186に記載されている通りである。いくつかの態様において、トリアゾールを形成する、アジドとアルキンとの間のシクロ付加反応(ここで、アジドおよびアルキンは、抗TfR1抗体、分子ペイロードまたはリンカー上に配置され得る)は、2014年5月1日に公開された「Modified antibody,antibody-conjugate and process for the preparation thereof」と題する国際特許出願公開WO2014065661;または2016年10月27日に公開された「Process For The Modification Of A Glycoprotein Using A Glycosyltransferase That Is Or Is Derived From A β(1,4)-N-Acetylgalactosaminyltransferase」と題する国際特許出願公開WO2016170186に記載されている通りである。
【0304】
いくつかの態様において、リンカーは、スペーサー、例えば、ポリエチレングリコールスペーサーまたはアシル/カルバモイルスルファミドスペーサー、例えば、HydraSpace(商標)スペーサーを含む。いくつかの態様において、スペーサーは、Verkade,J.M.M.et al.,“A Polar Sulfamide Spacer Significantly Enhances the Manufacturability,Stability,and Therapeutic Index of Antibody-Drug Conjugates”,Antibodies,2018,7,12に記載されている通りである。
【0305】
いくつかの態様において、リンカーは、求ジエン体とジエン/ヘテロ-ジエンとの間のディールス・アルダー反応によって、抗TfR1抗体および/または(例えば、および)分子ペイロードに共有結合的に連結されており、求ジエン体またはジエン/ヘテロ-ジエンは、抗TfR1抗体、分子ペイロードまたはリンカー上に配置され得る。いくつかの態様において、リンカーは、他のペリ環状反応、例として、エン反応によって、抗TfR1抗体および/または(例えば、および)分子ペイロードに共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、アミド、チオアミドまたはスルホンアミド結合反応によって、抗TfR1抗体および/または(例えば、および)分子ペイロードに共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、リンカーと抗TfR1抗体および/または(例えば、および)分子ペイロードとの間に存在するオキシム基、ヒドラゾン基またはセミカルバジド基を形成する縮合反応によって、抗TfR1抗体および/または(例えば、および)分子ペイロードに共有結合的に連結されている。
【0306】
いくつかの態様において、リンカーは、求核試薬、例えば、アミン基またはヒドロキシル基と求電子試薬、例えば、カルボン酸、カーボナートまたはアルデヒドとの間のコンジュゲート付加反応によって、抗TfR1抗体および/または(例えば、および)分子ペイロードに共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーと抗TfR1抗体または分子ペイロードとの間の反応に先立ち、求核試薬がリンカー上に存在し得、求電子試薬が抗TfR1抗体または分子ペイロード上に存在し得る。いくつかの態様において、リンカーと抗TfR1抗体または分子ペイロードとの間の反応に先立ち、求電子試薬がリンカー上に存在し得、求核試薬が抗TfR1抗体または分子ペイロード上に存在し得る。いくつかの態様において、求電子試薬は、アジド、ペンタフルオロフェニル、ケイ素中心、カルボニル、カルボン酸、無水物、イソシアナート、チオイソシアナート、スクシンイミジルエステル、スルホスクシンイミジルエステル、マレイミド、アルキルハロゲン化物、アルキル擬ハロゲン化物、エポキシド、エピスルフィド、アジリジン、アリール、活性化リン中心、および/または活性化硫黄中心であり得る。いくつかの態様において、求核試薬は、置換されていてもよいアルケン、置換されていてもよいアルキン、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロシクリル、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリド基および/またはチオール基であり得る。
【0307】
いくつかの態様において、リンカーは、反応性化学部分(例えば、クリックケミストリーのためのアジド部分またはBCN部分)に共有結合的に連結されたバリン-シトルリン配列を含む。いくつかの態様において、反応性化学部分(例えば、クリックケミストリーのためのアジド部分)に共有結合的に連結されたバリン-シトルリン配列を含むリンカーは、以下の構造を含む:
【化7】
式中、nは、0~10のいずれかの数である。いくつかの態様において、nは3である。
【0308】
いくつかの態様において、式(A)の構造を含むリンカーは、分子ペイロード(例えば、オリゴヌクレオチド)に(例えば、任意に追加の化学部分を介して)共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、式(A)の構造を含むリンカーは、例えば、カルバマート結合を形成するアミン-L1-オリゴヌクレオチドによる求核置換を通じて、オリゴヌクレオチドに共有結合的に連結され、以下の構造を含む化合物を生じる:
【化8】
式中、nは、0~10のいずれかの数である。いくつかの態様において、nは3である。
【0309】
いくつかの態様において、式(B)の化合物は、トリアゾールを介して追加の部分にさらに共有結合的に連結されており、トリアゾールは、式(A)または式(B)のアジドと、ビシクロノニン上に提供されるアルキンとの間のクリック反応によって形成される。いくつかの態様において、ビシクロノニンを含む化合物は、以下の構造を含む:
【化9】
式中、mは、0~10のいずれかの数である。いくつかの態様において、mは4である。
【0310】
いくつかの態様において、構造(B)の化合物のアジドは、構造(C)の化合物のアルキンとのクリック反応を介してトリアゾールを形成し、以下の構造を含む化合物を形成する:
【化10】
式中、nは、0~10のいずれかの数であり、mは、0~10のいずれかの数である。いくつかの態様において、nは3であり、mは4である。
【0311】
いくつかの態様において、構造(D)の化合物は、抗TfR1抗体のリジンにさらに共有結合的に連結されており、以下の構造を含む複合体を形成する:
【化11】
式中、nは、0~10のいずれかの数であり、mは、0~10のいずれかの数である。いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例えば、および)mは4である。式(E)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、抗TfR1抗体のアミン、例として、リジンイプシロンアミンとの反応から生じることを理解されたい。
【0312】
いくつかの態様において、式(C)の化合物は、抗TfR1抗体のリジンにさらに共有結合的に連結されており、以下の構造を含む化合物を形成する:
【化12】
式中、mは0~15(例えば、4)である。式(F)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、抗TfR1抗体のアミン、例として、リジンイプシロンアミンとの反応から生じることを理解されたい。
【0313】
いくつかの態様において、構造(B)の化合物のアジドは、構造(F)の化合物のアルキンとのクリック反応を介してトリアゾールを形成し、以下の構造を含む複合体を形成する:
【化13】
式中、nは、0~10のいずれかの数であり、mは、0~10のいずれかの数である。いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例えば、および)mは4である。式(E)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、抗TfR1抗体のアミン、例として、リジンイプシロンアミンとの反応から生じることを理解されたい。
【0314】
いくつかの態様において、構造(A)の化合物のアジドは、構造(F)の化合物のアルキンとのクリック反応を介してトリアゾールを形成し、以下の構造を含む化合物を形成する:
【化14】
式中、nは、0~10のいずれかの数であり、mは、0~10のいずれかの数である。いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例えば、および)mは4である。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、式(G)の構造を含む化合物に共有結合的に連結されており、それによって、式(E)の構造を含む複合体を形成する。式(G)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、抗TfR1抗体のアミン、例として、リジンイプシロンアミンとの反応から生じることを理解されたい。
【0315】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体のいずれか1つでは、抗TfR1抗体は、抗TfR1抗体のリジンを介して、以下の構造を含むリンカーを介して分子ペイロード(例えば、オリゴヌクレオチド)に共有結合的に連結されている:
【化15】
式中、nは、0~10のいずれかの数であり、mは、0~10のいずれかの数である。いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例えば、および)mは4である。
【0316】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体のいずれか1つでは、抗TfR1抗体は、抗TfR1抗体のリジンを介して、以下の構造を含むリンカーを介して分子ペイロード(例えば、オリゴヌクレオチド)に共有結合的に連結されている:
【化16】
式中、nは、0~10のいずれかの数であり、mは、0~10のいずれかの数である。いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例えば、および)mは4である。
【0317】
いくつかの態様において、式(B)、(D)、(E)および(I)では、L1は、置換もしくは非置換の脂肪族、置換もしくは非置換のヘテロ脂肪族、置換もしくは非置換のカルボシクリレン、置換もしくは非置換のヘテロシクリレン、置換もしくは非置換のアリーレン、置換もしくは非置換のヘテロアリーレン、-O-、-N(RA)-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-C(=O)NRA-、-NRAC(=O)-、-NRAC(=O)RA-、-C(=O)RA-、-NRAC(=O)O-、-NRAC(=O)N(RA)-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-OC(=O)N(RA)-、-S(O)2NRA-、-NRAS(O)2-、またはそれらの組合せであるスペーサーであり、ここで、RAは、独立して、水素、または置換もしくは非置換のアルキルである。いくつかの態様において、L1は
【化17】
であり
式中、L2は、
【化18】
または
【化19】
であり、aは、式(B)、(D)、(E)および(I)のカルバマート部分に直接的に連結された部位を表し、bは、オリゴヌクレオチドに(直接的に、または追加の化学部分を介して)共有結合的に連結された部位を表す。
【0318】
いくつかの態様において、L1は
【化20】
であり、
式中、aは、式(B)、(D)、(E)および(I)のカルバマート部分に直接的に連結された部位を表し、bは、オリゴヌクレオチドに(直接的に、または追加の化学部分を介して)共有結合的に連結された部位を表す。
【0319】
いくつかの態様において、L1は
【化21】
である。
【0320】
いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスファートに連結されている。いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスファートに連結されている。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの5'ホスファートへのL1の連結は、L1とオリゴヌクレオチドとの間にホスホジエステル結合を形成する。
【0321】
いくつかの態様において、L1は任意である(例えば、存在する必要はない)。
【0322】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体のいずれか1つは、以下の構造を有し:
【化22】
式中、nは0~15(例えば、3)であり、mは0~15(例えば、4)である。式(J)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、抗TfR1抗体のアミン、例として、リジンイプシロンアミンとの反応から生じることを理解されたい。
【0323】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体のいずれか1つは、以下の構造を有し:
【化23】
式中、nは0~15(例えば、3)であり、mは0~15(例えば、4)である。
【0324】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、化合物、例えば、式(A)または式(G)の化合物に連結するのに先立ち、5'末端もしくは3'末端に、または内部に(例えば、アミン官能化核酸塩基として)アミン基を含むように修飾される。
【0325】
リンカーのコンジュゲーションは、抗TfR1抗体およびオリゴヌクレオチド分子ペイロードに関連して記載されているが、他の筋標的化剤、例として、他の筋標的化抗体、および/または他の分子ペイロードに対するそのようなリンカーのコンジュゲーションの使用が企図されることを理解されたい。
【0326】
D.抗体-分子ペイロード複合体の例
本明細書において記載される分子ペイロード(例えば、オリゴヌクレオチド)のいずれかに共有結合的に連結された、本明細書において記載される抗TfR1抗体のいずれかを含む複合体の非限定的な例が、本明細書においてさらに提供される。いくつかの態様において、抗TfR1抗体(例えば、表2~7に提供される抗TfR1抗体のいずれか1つ)は、リンカーを介して分子ペイロード(例えば、オリゴヌクレオチド、例として、表8、表9および表10に提供されるオリゴヌクレオチド)に共有結合的に連結されている。本明細書において記載されるリンカーのいずれかが使用され得る。いくつかの態様において、分子ペイロードがオリゴヌクレオチドである場合、リンカーは、オリゴヌクレオチドの5'末端、オリゴヌクレオチドの3'末端、またはオリゴヌクレオチドの内部部位に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、チオール反応性連結を介して(例えば、抗TfR1抗体内のシステインを介して)抗TfR1抗体に連結されている。いくつかの態様において、リンカー(例えば、バリン-シトルリン配列を含むリンカー)は、アミン基を介して(例えば、抗体内のリジンを介して)、抗体(例えば、本明細書において記載される抗TfR1抗体)に連結されている。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0327】
リンカーを介して分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含む複合体の構造の例が、以下に提供される:
【化24】
式中、リンカーは、チオール反応性連結を介して(例えば、抗体内のシステインを介して)抗体に連結されている。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0328】
リンカーを介して分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含む複合体の構造の別の例が、以下に提供される:
【化25】
式中、nは、0~10の数であり、mは、0~10の数であり、リンカーは、アミン基(例えば、リジン残基上の)を介して抗体に連結されており、および/または(例えば、および)リンカーは、オリゴヌクレオチドに(例えば、5'末端、3'末端、または内部に)連結されている。いくつかの態様において、リンカーはリジンを介して抗体へ連結されており、リンカーは5'末端でオリゴヌクレオチドに連結されており、nは3であり、mは4である。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0329】
いくつかの態様において、L1は
【化26】
である。式(E)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、抗TfR1抗体のアミン、例として、リジンイプシロンアミンとの反応から生じることを理解されたい。
【0330】
抗体は、様々な化学量論を有する分子ペイロードに連結されることができ、この特性は薬物抗体比(DAR)と呼ばれ得、「薬物」は分子ペイロードであることを理解されたい。いくつかの態様において、1つの分子ペイロードが抗体に連結されている(DAR=1)。いくつかの態様において、2つの分子ペイロードが抗体に連結されている(DAR=2)。いくつかの態様において、3つの分子ペイロードが抗体に連結されている(DAR=3)。いくつかの態様において、4つの分子ペイロードが抗体に連結されている(DAR=4)。いくつかの態様において、各々が異なるDARを有する異なる複合体の混合物が提供される。いくつかの態様において、そのような混合物中の複合体の平均DARは、1~3、1~4、1~5、またはそれ以上の範囲であり得る。DARは、分子ペイロードを抗体上の様々な部位にコンジュゲートすることによって、および/または(例えば、および)多量体を抗体上の1以上の部位にコンジュゲートすることによって、増大され得る。例を挙げると、2のDARは、単一の分子ペイロードを抗体上の2つの異なる部位にコンジュゲートすることによって、または二量体分子ペイロードを抗体の単一部位にコンジュゲートすることによって達成され得る。
【0331】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された、本明細書において記載される抗TfR1抗体(例えば、表2~7に提供される抗体)を含む。いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、リンカー(例えば、バリン-シトルリン配列を含むリンカー)を介して分子ペイロードに共有結合的に連結された、本明細書において記載される抗TfR1抗体(例えば、表2~7に提供される抗体)を含む。いくつかの態様において、リンカー(例えば、バリン-シトルリン配列を含むリンカー)は、チオール反応性連結を介して(例えば、抗体内のシステインを介して)、抗体(例えば、本明細書において記載される抗TfR1抗体)に連結されている。いくつかの態様において、リンカー(例えば、バリン-シトルリン配列を含むリンカー)は、アミン基を介して(例えば、抗体内のリジンを介して)、抗体(例えば、本明細書において記載される抗TfR1抗体)に連結されている。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0332】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、表2に列挙される抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0333】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号69、配列番号71または配列番号72のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号70のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0334】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号73または配列番号76のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号74のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0335】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号73または配列番号76のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号75のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0336】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号77のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号78のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0337】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号77または配列番号79のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号80のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0338】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号154のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号155のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0339】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号84、配列番号86または配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0340】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号88または配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0341】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号88または配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0342】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号92または配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0343】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0344】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号156のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号157のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0345】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号97、配列番号98または配列番号99のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0346】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号100または配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0347】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号100または配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0348】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0349】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号102または配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0350】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号158または配列番号159のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号157のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0351】
本明細書において記載される例示的な複合体のいずれかにおいて、いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、以下の構造を含むリンカーを介して分子ペイロードに共有結合的に連結されている:
【化27】
式中、nは3であり、mは4であり、L1は
【化28】
である。
【0352】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、抗TfR1抗体内でリジンを介してDMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)の5'末端に共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、表2に列挙される抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含み、複合体は、以下の構造を有する:
【化29】
式中、nは3であり、mは4であり、L1は
【化30】
である。式(E)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、抗TfR1抗体のアミン、例として、リジンイプシロンアミンとの反応から生じることを理解されたい。
【0353】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、抗TfR1抗体内でリジンを介してDMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)の5'末端に共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、表3に列挙される抗体のいずれか1つのVHおよびVLを含み、複合体は、以下の構造を有する:
【化31】
式中、nは3であり、mは4であり、L1は
【化32】
である。式(E)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、抗TfR1抗体のアミン、例として、リジンイプシロンアミンとの反応から生じることを理解されたい。
【0354】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、抗TfR1抗体内でリジンを介してDMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)の5'末端に共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、表4に列挙される抗体のいずれか1つの重鎖および軽鎖を含み、複合体は、以下の構造を有する:
【化33】
式中、nは3であり、mは4であり、L1は
【化34】
である。式(E)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、抗TfR1抗体のアミン、例として、リジンイプシロンアミンとの反応から生じることを理解されたい。
【0355】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体は、抗TfR1抗体内でリジンを介してDMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、表8、表9または表10に列挙されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)の5'末端に共有結合的に連結された抗TfR1 Fabを含み、抗TfR1 Fabは、表5に列挙される抗体のいずれか1つの重鎖および軽鎖を含み、複合体は、以下の構造を有する:
【化35】
式中、nは3であり、mは4であり、L1は
【化36】
である。式(E)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、抗TfR1抗体のアミン、例として、リジンイプシロンアミンとの反応から生じることを理解されたい。
【0356】
いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスファートに連結されている。いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスファートに連結されている。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの5'ホスファートへのL1の連結は、L1とオリゴヌクレオチドとの間にホスホジエステル結合を形成する。
【0357】
いくつかの態様において、L1は任意である(例えば、存在する必要はない)。
【0358】
いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体のDMPK標的化オリゴヌクレオチドは、以下から選択される構造を含む:
【数17】
ここで、「xdC」は5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」は2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」は2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「oC」は5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「oU」は5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「xoG」は7-メチル-2'-MOE-グアノシンであり;かつ「*」はホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示す。
【0359】
III.製剤
本明細書において提供される複合体は、いずれかの好適な様式で製剤化され得る。一般に、本明細書において提供される複合体は、医薬用途に適した様式で製剤化される。例を挙げると、複合体は、分解を最小限に抑え、送達および/もしくは(例えば、および)取込みを促進するか、または製剤中の複合体に別の有益な特性を提供する製剤を使用して対象に送達されることができる。いくつかの態様において、複合体と薬学的に許容される担体とを含む組成物が本明細書において提供される。そのような組成物は、対象へ投与されると、標的細胞の周囲の環境、または全身のいずれかに、十分な量の複合体が標的細胞(例えば、筋細胞またはCNS細胞)に入るように好適に製剤化されることができる。いくつかの態様において、複合体は、緩衝溶液、例として、リン酸緩衝生理食塩溶液、リポソーム、ミセル構造体、およびカプシド中に製剤化される。
【0360】
いくつかの態様において、組成物が、本明細書において提供される複合体の1以上の構成要素(例えば、筋標的化剤、リンカー、分子ペイロード、またはこれらのいずれか1つの前駆体分子)を別個に包含し得ることを理解されたい。
【0361】
いくつかの態様において、複合体は、水中または水性溶液(例えば、pH調整された水)中に製剤化される。いくつかの態様において、複合体は、塩基性緩衝水性溶液(例えば、PBS)中に製剤化される。いくつかの態様において、本明細書において開示される製剤は、賦形剤を含む。いくつかの態様において、賦形剤は、改善された安定性、改善された吸収、改善された可溶性、および/または(例えば、および)活性成分の治療的な増強を組成物に付与する。いくつかの態様において、賦形剤は、緩衝剤(例えば、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、トリス塩基または水酸化ナトリウム)またはビヒクル(例えば、緩衝溶液、ワセリン、ジメチルスルホキシドまたは鉱油)である。
【0362】
いくつかの態様において、複合体またはその構成要素(例えば、オリゴヌクレオチドまたは抗体)は、その貯蔵寿命を延長するため凍結乾燥され、次いで、使用(例えば、対象への投与)前に溶液にさせられる。したがって、本明細書において記載される複合体またはその構成要素を含む組成物中の賦形剤は、凍結保護剤(例えば、マンニトール、ラクトース、ポリエチレングリコールまたはポリビニルピロリドン)または崩壊温度修飾因子(例えば、デキストラン、フィコールまたはゼラチン)であり得る。
【0363】
いくつかの態様において、医薬組成物は、その意図された投与経路に適合するように製剤化される。投与経路の例は、非経口投与、例えば、静脈内投与、皮内投与、皮下投与を包含する。典型的には、投与経路は、静脈内または皮下である。
【0364】
注射用途に適した医薬組成物は、滅菌水性溶液(水溶性の場合)または分散液、および滅菌注射溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末を包含する。担体は、例を挙げると、水、エタノール、ポリオール(例を挙げると、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、および好適なそれらの混合物を含有する溶媒または分散媒体であることができる。いくつかの態様において、製剤は、組成物中に等張剤、例を挙げると、糖、ポリアルコール、例として、マンニトール、ソルビトール、および塩化ナトリウムを包含する。滅菌注射溶液は、上に列挙された成分の1つまたは組合せとともに、必要量の複合体を選択された溶媒に組み込むこと、必要であれば、続いて濾過滅菌することによって調製されることができる。
【0365】
いくつかの態様において、組成物は、少なくとも約0.1%の複合体もしくはその構成要素、またはそれ以上を含有し得るが、活性成分の割合は、組成物全体の重量または体積の約1%~約80%、またはそれ以上であってよい。要因、例として、可溶性、バイオアベイラビリティ、生物学的半減期、投与経路、生成物貯蔵寿命、および他の薬理学的考慮事項が、そのような医薬製剤を調製する当業者によって企図されるであろう。そのため、様々な投与量および処置レジメンが所望され得る。
【0366】
IV.使用/処置の方法
本明細書において記載される分子ペイロードに共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体は、筋緊張性ジストロフィーを処置するのに有効である。いくつかの態様において、複合体は、筋緊張性ジストロフィー1型(DM1)を処置するのに有効である。いくつかの態様において、DM1は、DMPKの3'非コード領域内のCTG/CUGトリヌクレオチド反復の伸長に関連する。いくつかの態様において、ヌクレオチド伸長は、重要な細胞内タンパク質、例えば、マッスルブラインド様タンパク質に高い親和性で結合するヘアピン構造を形成することが可能な毒性RNA反復をもたらす。
【0367】
いくつかの態様において、対象は、ヒト対象、非ヒト霊長類対象、齧歯類対象、またはいずれかの好適な哺乳動物対象であり得る。いくつかの態様において、対象は、筋緊張性ジストロフィーを有し得る。いくつかの態様において、対象は、任意に疾患関連反復配列を含有し得るDMPK対立遺伝子を有する。いくつかの態様において、対象は、約2~10個の反復単位、約2~50個の反復単位、約2~100個の反復単位、約50~1,000個の反復単位、約50~500個の反復単位、約50~250個の反復単位、約50~100個の反復単位、約500~10,000個の反復単位、約500~5,000個の反復単位、約500~2,500個の反復単位、約500~1,000個の反復単位、または約1,000~10,000個の反復単位を含む、伸長した疾患関連反復を有するDMPK対立遺伝子を有し得る。いくつかの態様において、対象は、DM1の症状、例えば、筋萎縮または筋喪失に罹患している。いくつかの態様において、対象は、DM1の症状に罹患していない。いくつかの態様において、対象は、先天性筋緊張性ジストロフィーを有する。
【0368】
本開示の側面は、本明細書において記載されるように、有効量の複合体を対象へ投与することを伴う方法を包含する。いくつかの態様において、分子ペイロードに共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体を含む医薬組成物の有効量は、処置を必要とする対象へ投与され得る。いくつかの態様において、本明細書において記載される複合体を含む医薬組成物は、例えば、ボーラスとしての、または一定期間にわたる連続注入による静脈内投与を包含し得る好適な経路によって投与され得る。いくつかの態様において、静脈内投与は、筋肉内の、腹腔内の、脳脊髄内の、皮下の、関節内の、滑液嚢内の、または髄腔内の経路によって行われ得る。いくつかの態様において、医薬組成物は、固体形態、水性形態または液体形態であり得る。いくつかの態様において、水性形態または液体形態は、噴霧または凍結乾燥され得る。いくつかの態様において、噴霧形態または凍結乾燥形態は、水性溶液または液体溶液を用いて再構成され得る。
【0369】
静脈内投与のための組成物は、様々な担体、例として、植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノールおよびポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)を含有し得る。静脈内注射では、水溶性抗体は点滴法によって投与されることができ、これによって、抗体と生理学的に許容される賦形剤とを含有する医薬製剤が注入される。生理学的に許容される賦形剤は、例を挙げると、5%デキストロース、0.9%生理食塩水、リンガー溶液または他の好適な賦形剤を包含し得る。筋肉内調製物、例えば、抗体の好適な可溶性塩形態の滅菌製剤は、医薬賦形剤、例として、注射用水、0.9%生理食塩水または5%グルコース溶液に溶解され投与されることができる。
【0370】
いくつかの態様において、分子ペイロードに共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体を含む医薬組成物は、部位特異的または局部的な送達技術を介して投与される。これらの技術の例は、複合体の埋め込み型デポー供給源、局部送達カテーテル、部位特異的担体、直接注射、または直塗り(direct application)を包含する。
【0371】
いくつかの態様において、分子ペイロードに共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体を含む医薬組成物は、治療効果を対象に付与する有効濃度で投与される。有効量は、当業者によって認識されるように、疾患の重症度、処置される対象の固有の特徴、例えば、年齢、体調、健康状態または体重、処置期間、いずれかの併用治療の性質、投与経路、および関連因子に応じて変動する。これらの関連因子は当業者に公知であり、常用的な実験程度で対処され得る。いくつかの態様において、有効濃度は、患者にとって安全であると見なされる最大用量である。いくつかの態様において、有効濃度は、最大の有効性を提供する可能な限りの最低濃度である。
【0372】
経験的考慮事項、例えば、対象における複合体の半減期は、一般に、処置のために使用される医薬組成物の濃度を決定するのに役立つ。投与頻度は、処置の有効性を最大にするために経験的に決定および調節され得る。
【0373】
処置の有効性は、いずれかの好適な方法を使用して査定され得る。いくつかの態様において、処置の有効性は、DM1に関連する症状、例えば、筋萎縮もしくは筋肉脱力の観察の評価によって、対象の自己報告された転帰、例えば、可動性、セルフケア、通常の活動、疼痛/不快感、および不安症/欝病の尺度を通じて、または生活の質の指標、例えば、寿命によって査定され得る。
【0374】
いくつかの態様において、本明細書において記載される分子ペイロードに共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体を含む医薬組成物は、対照、例えば、処置に先立つ遺伝子発現のベースラインレベルと比べて、標的遺伝子の活性または発現を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%阻害するのに十分な有効濃度で対象へ投与される。
追加の態様
1.DMPKの発現または活性を減少させるように構成されたオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結された抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体を含む複合体であって、抗TfR1抗体が、表2~7に列挙される抗TfR1抗体のいずれかの重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)、軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含み、
かつオリゴヌクレオチドが、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、ここで、
Xが、3~7個の連結されたヌクレオシドを含み、X内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つが、2'-修飾ヌクレオシドであり;
Yが、6~15個の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、Y内の各シトシンが、任意にかつ独立して、5-メチル-シトシンであり;かつ
Zが、3~7個の連結されたヌクレオシドを含み、Z内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つが、2'-修飾ヌクレオシドである、複合体。
2.態様1の複合体であって、
Xが、3~5個の連結されたヌクレオシドを含み、X内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つが、2'-修飾ヌクレオシドであり;
Yが、6~10個の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、Y内の各シトシンが、任意にかつ独立して、5-メチル-シトシンであり;かつ
Zが、3~5個の連結されたヌクレオシドを含み、Z内のヌクレオシドのうちの少なくとも1つが、2'-修飾ヌクレオシドである、複合体。
3.抗TfR1抗体が、表3に列挙される抗TfR1抗体のいずれかの重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む、態様1または態様2の複合体。
4.抗TfR1抗体が、配列番号76と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および/または配列番号75と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含み、
任意に、抗TfR1抗体が、配列番号76のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号75のアミノ酸配列を含むVLとを含む、態様1~3のいずれか1つの複合体。
5.抗TfR1抗体がFabであり、任意に、Fabが、表5に列挙される抗TfR1 Fabのいずれかの重鎖および軽鎖を含む、態様1~3のいずれか1つの複合体。
6.Fabが、配列番号101と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖、および/または配列番号90と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、
任意に、Fabが、配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、態様5の複合体。
7.抗体とオリゴヌクレオチドとが、リンカーを介して共有結合的に連結されている、態様1~6のいずれか1つの複合体。
8.リンカーが切断可能なリンカーである、態様7の複合体。
9.リンカーが、バリン-シトルリン配列を含む、態様7または態様8の複合体。
10.オリゴヌクレオチドが、15~25ヌクレオシド長であり、かつ配列番号160~230のいずれか1つの少なくとも15個の連続するヌクレオシドに対する相補性領域を含み、任意に、オリゴヌクレオチドが、15~20ヌクレオシド長である、態様1~9のいずれか1つの複合体。
11.オリゴヌクレオチドが、配列番号231~362のいずれか1つの少なくとも15個の連続するヌクレオシドを含み、各チミン塩基(T)が、独立してかつ任意に、ウラシル塩基(U)に置き換えられていてもよく、かつ各Uが、独立してかつ任意に、Tに置き換えられていてもよい、態様1~10のいずれか1つの複合体。
12.X内の各ヌクレオシドが2'-修飾ヌクレオシドであり、および/またはZ内の各ヌクレオシドが2'-修飾ヌクレオシドであり、任意に、各2'-修飾ヌクレオシドが、独立して、2'-4'二環式ヌクレオシドまたは非二環式2'-修飾ヌクレオシドである、態様1~11のいずれか1つの複合体。
13.X内の各ヌクレオシドが非二環式2'-修飾ヌクレオシドであり、および/またはZ内の各ヌクレオシドが非二環式2'-修飾ヌクレオシドであり、任意に、非二環式2'-修飾ヌクレオシドが2'-MOE修飾ヌクレオシドである、態様1~12のいずれか1つの複合体。
14.オリゴヌクレオチドが、以下の5'-X-Y-Z-3'配置を含み:
【数18】
ここで、「E」が2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「L」がLNAであり;「D」が2'-デオキシリボヌクレオシドであり;かつ「10」または「8」が、Y内の2'-デオキシリボヌクレオシドの数である、態様1~12のいずれか1つの複合体。
15.オリゴヌクレオチドが、1以上のホスホロチオアートヌクレオシド間連結を含む、態様1~14のいずれか1つの複合体。
16.オリゴヌクレオチド内の各ヌクレオシド間連結が、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結である、態様1~15のいずれか1つの複合体。
17.オリゴヌクレオチドが、1以上のホスホジエステルヌクレオシド間連結を含み、任意に、1以上のホスホジエステルヌクレオシド間連結が、XおよびまたはZにある、態様1~15のいずれか1つの複合体。
18.オリゴヌクレオチドが、以下から選択される構造を含み:
【数19-1】
【数19-2】
ここで、「xdC」が5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」が2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」が2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「oC」が5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「oU」が5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「xoG」が7-メチル-2'-MOE-グアノシンであり;かつ「*」がホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示す、態様1~17のいずれか1つの複合体。
19.オリゴヌクレオチドが、その5'-末端でアミン基にコンジュゲートされており、かつ以下から選択される構造を含み:
【数20-1】
【数20-2】
【数20-3】
ここで、「xdC」が5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」が2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」が2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「oC」が5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「oU」が5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「xoG」が7-メチル-2'-MOE-グアノシンであり;かつ「*」がホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示し、
かつ任意に、ホスホジエステル連結または他の部分が、5'-NH2-(CH2)6-とオリゴヌクレオチドとの間に存在する、態様18の複合体。
20.オリゴヌクレオチドが、以下から選択される構造を含み:
【数21-1】
【数21-2】
ここで、「xdC」が5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」が2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」が2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「xoC」が5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「x+C」が5-メチルLNAシチジンであり;「+N」がLNAヌクレオシドであり;「oU」が5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「+U」が5-メチルLNAウリジンであり;かつ「*」がホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示す、態様1~17のいずれか1つの複合体。
21.オリゴヌクレオチドが、その5'-末端でアミン基にコンジュゲートされており、かつ以下から選択される構造を含み:
【数22-1】
【数22-2】
【数22-3】
ここで、「xdC」が5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」が2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」が2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「xoC」が5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「x+C」が5-メチルLNAシチジンであり;「+N」がLNAヌクレオシドであり;「oU」が5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「+U」が5-メチルLNAウリジンであり;かつ「*」がホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示し、
かつ任意に、ホスホジエステル連結または他の部分が、5'-NH2-(CH2)6-とオリゴヌクレオチドとの間に存在する、態様20の複合体。
22.筋細胞内のDMPK発現を減少させる方法であって、方法が、筋細胞内のDMPK発現を減少させるために、筋細胞を態様1~21のいずれか1つの複合体の有効量と接触させることを含む、方法。
23.筋細胞内のDMPK発現を減少させることが、筋細胞内のDMPK RNAの量を減少させることを含み、任意に、DMPK RNAの量が、筋細胞の核内で減少させられる、態様22の方法。
24.筋細胞内のDMPK発現を減少させることが、筋細胞内のDMPKタンパク質の量を減少させることを含む、態様22または態様23の方法。
25.筋緊張性ジストロフィー1型(DM1)を処置する方法であって、方法が、それを必要とする対象に、態様1~21のいずれか1つの複合体の有効量を投与することを含み、対象が、疾患関連CTG反復を含む変異体DMPK対立遺伝子を有する、方法。
26.投与が、対象の筋細胞内のDMPK mRNAの少なくとも30%の減少をもたらす、態様25の方法。
27.投与が、対象の筋細胞の核内のDMPK mRNAの減少をもたらす、態様25または態様26の方法。
28.以下から選択される構造を含む、オリゴヌクレオチド:
【数23-1】
【数23-2】
(ここで、「xdC」が5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」が2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」が2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「oC」が5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「oU」が5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「xoG」が7-メチル-2'-MOE-グアノシンであり;かつ「*」がホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示す)。
29.オリゴヌクレオチドが、その5'-末端でアミン基にコンジュゲートされており、かつ以下から選択される構造を含み:
【数24-1】
【数24-2】
ここで、「xdC」が5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」が2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」が2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「oC」が5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「oU」が5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「xoG」が7-メチル-2'-MOE-グアノシンであり;かつ「*」がホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示し、
かつ任意に、ホスホジエステル連結または他の部分が、5'-NH2-(CH2)6-とオリゴヌクレオチドとの間に存在する、態様28のオリゴヌクレオチド。
30.以下から選択される構造を含む、オリゴヌクレオチド:
【数25-1】
【数25-2】
(ここで、「xdC」が5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」が2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」が2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「xoC」が5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「x+C」が5-メチルLNAシチジンであり;「+N」がLNAヌクレオシドであり;「oU」が5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「+U」が5-メチルLNAウリジンであり;「*」がホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示す)。
31.オリゴヌクレオチドが、その5'-末端でアミン基にコンジュゲートされており、かつ以下から選択される構造を含み:
【数26-1】
【数26-2】
ここで、「xdC」が5-メチル-デオキシシチジンであり;「dN」が2'-デオキシリボヌクレオシドであり;「oN」が2'-MOE修飾リボヌクレオシドであり;「xoC」が5-メチル-2'-MOE-シチジンであり;「x+C」が5-メチルLNAシチジンであり;「+N」がLNAヌクレオシドであり;「oU」が5-メチル-2'-MOE-ウリジンであり;「+U」が5-メチルLNAウリジンであり;「*」がホスホロチオアート(PS)ヌクレオシド間連結を示し、
かつ任意に、ホスホジエステル連結または他の部分が、5'-NH2-(CH2)6-とオリゴヌクレオチドとの間に存在する、態様30のオリゴヌクレオチド。
32.態様28~31のいずれか1つのオリゴヌクレオチドをナトリウム塩形態で含む、組成物。
【0375】

例1.DMPK標的化オリゴヌクレオチド(ASO)のin vitro活性
DMPKを標的とするためのギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)が生成された。各個々のオリゴヌクレオチドは、500pM(低用量)および50nM(高用量)の2つの用量で、細胞内のDMPKを標的とするその能力について評価された。
【0376】
要約すると、DM1 Cl5不死化筋芽細胞が、T-75フラスコ内でコンフルエント付近(約80%コンフルエント)まで培養された。次いで、筋芽細胞は、トリプシンによって剥離され、50,000細胞/ウェルの密度で96ウェルマイクロプレートに播種された。筋管への分化を誘導するために、細胞が一晩回復させられた後、増殖培地が洗い流され、無血清培地と交換された。DMPK標的化オリゴヌクレオチドによる処理に先立ち、分化が7日間進行した。
【0377】
分化誘導後7日目に、1ウェル当たり0.3μLのLipofectamine MessengerMaxを使用して、個々のオリゴヌクレオチドによってDM1 Cl5筋管がトランスフェクトされた。全オリゴヌクレオチドが、生物学的に三連で500pMおよび50nMの両最終濃度で試験された。オリゴヌクレオチドによる処理後、全RNAのために採取される前に、細胞は72時間インキュベートされた。cDNAが全RNA抽出物から合成され、技術的な四連でDMPKの発現レベルを決定するためにqPCRが行われた。全qPCRデータが、従来の2-ΔΔCT法を使用して分析され、ビヒクル対照(オリゴヌクレオチドを含まない、0.3μL/ウェルのLipofectamine MessengerMax)によって処理された細胞を含む、プレートベースの陰性対照に対して正規化された。これらの実験の結果が表11に示される。表11の各アンチセンスオリゴヌクレオチドの「残存する転写物」は、陰性対照のビヒクル処理細胞内の発現と比べて、ASOによって処理された細胞内のDMPKの発現レベルを指す(陰性対照の発現レベルは1.00に正規化された)。
【0378】
試験されたDMPK標的化ギャップマーASOの大部分は、試験された低用量および高用量の両濃度で、分化した筋管内でDMPK発現の減少を実証した。これらのデータは、表9に示されるASOが細胞内のDMPKを標的とすることが可能であることを実証しており、アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、本明細書において提供されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)を含む筋標的化複合体がin vivoで筋組織内のDMPKを標的とすることが可能であることを示唆している。
【表11】
【0379】
例2.ヒトTfR1を発現するマウスにおけるDMPK標的化オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた抗TfR1 Fabを含有するコンジュゲートのin vivo活性
ヒトTfR1を発現するマウスモデルを対象に、DMPK標的化オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた抗TfR1 Fab 3M12-VH4/Vκ3を含有するコンジュゲートが試験された。抗TfR1 Fab 3M12-VH4/Vκ3が、式(I)の構造を有する切断可能なリンカーを介してDMPK標的化オリゴヌクレオチドに共有結合的に連結された。コンジュゲートが、0日目および7日目に10mg/kgオリゴヌクレオチドに相当する用量でマウスに投与された。マウスは14日目に殺処分され、様々な筋組織が回収され、組織内のマウスDmpk mRNAレベルおよびオリゴヌクレオチド濃度について分析された。コンジュゲートは、前脛骨筋ではマウス野生型Dmpkを79%減少させ(図1A)、腓腹筋では76%減少させ(図1B)、心臓では70%減少させ(図1C)、横隔膜では88%減少させた(図1D)。前脛骨筋、腓腹筋、心臓および横隔膜におけるオリゴヌクレオチド分布が図1E図1Hに示されている。
【0380】
これらのデータは、抗TfR1 Fab 3M12-VH4/Vκ3が、in vivoマウスモデルにおいて筋組織へのコンジュゲートの細胞内在化を可能にし、それによって、DMPK標的化オリゴヌクレオチドがDMPKの発現を減少させることを可能にしたことを示す。同様に、抗TfR1抗体(例えば、抗TfR1 Fab 3M12-VH4/Vκ3)は、DMPKの発現を減少させるために、別のDMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、本明細書において提供されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)にコンジュゲートされた抗TfR1抗体を含有するコンジュゲートの細胞内在化を可能にすることができる。
【0381】
例3.DMPK標的化アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)に共有結合的に連結された抗TfR1 Fabを含有するコンジュゲートのin vitro活性
横紋筋肉腫細胞(RD;ATCC,Manassas,VA)、および380個のCUG反復を含有する変異体DMPK mRNAを発現するDM1-32F初代細胞(32F細胞;Cook MyoSite,Pittsburg,PA)内のDMPK mRNA発現を減少させ、DM1-32F細胞におけるBIN1エクソン11スプライシング欠損を補正する点で、表9に列挙されるDMPK標的化アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の活性を決定するために、in vitro実験が行われた。式(E)の構造を含む複合体を形成するために、全ASOが抗TfR1 Fab抗体(3M12-VH4/Vκ3)に共有結合的に連結された。
【0382】
RD細胞が拡大増殖させられ、10,000細胞/ウェルの密度で384ウェルプレートに播種された。細胞は37°Cで一晩回復させられた。翌日、培地が交換され、細胞は、1,000nMのASO当量のFab-ASO複合体によって処理され、72時間インキュベートされた。72時間後、全RNAが抽出され、TaqMan Fast-Advanced Cells-to-Ctキット(ThermoFisher Scientific,Waltham,MA)を使用してcDNAが生成された。特異的TaqMan PCRアッセイ(ThermoFisher Scientific)を使用して総DMPKノックダウンを査定するために、cDNAが使用された。データはPPIB発現に対して正規化され、ビヒクル処理対照細胞と比較した残留DMPK発現を決定するために2-ΔΔCt法が使用された(表12)。
【0383】
DM1 32F初代細胞が解凍され、回復させられ、次いで、増殖培地中、384ウェルプレートに10,000細胞/ウェルの密度で播種された。翌日、増殖培地は低血清分化培地に交換され、細胞は、10、100または1,000nMのASO当量のFab-ASO複合体によって処理された。細胞は複合体とともに10日間インキュベートされ、次いで、全RNAが抽出され、TaqMan Fast-Advanced Cells-to-Ctキットを使用してcDNAが生成された。
【0384】
特異的TaqMan PCRアッセイを使用して総DMPKノックダウンを評価するために、cDNAが使用された。データはPPIB発現に対して正規化され、ビヒクルのみの対照と比較してDMPKノックダウンを決定するために2-ΔΔCt法が使用された。データは、ビヒクル処理対照細胞と比較した残留DMPK発現として提示されている(表12)。さらに、異常にスプライシングされた転写物および正常な転写物を評価するために、多重TaqMan qPCRアッセイ(ThermoFisher Scientific)を使用して、DM1媒介性の異常なスプライシングの修飾が評価された。BIN1からのエクソン11の排除はDM1に関連するため、エクソン11を包含するBIN1転写物が測定された。これらのデータは、ビヒクル処理細胞と比較した、異常にスプライシングされた細胞と正常な細胞との平均比として提示されている(表13)。1の比は、ビヒクル対照によって処理されたDM1患者筋管と比較した場合、異常なスプライシングの変化が観察されなかったことを示す。1よりも大きい比は、さらに多くの転写物が野生型スプライシングパターンを有したことを示す。1未満の比は、さらに多くの転写物がDM1関連スプライシングパターンを有したことを示す。
【0385】
これらのデータは、抗TfR1 Fab 3M12-VH4/Vκ3がFab-ASO複合体の細胞内在化を可能にし、それによって、DMPK標的化ASOが、DMPK mRNAの発現を減少させ、BIN1エクソン11スプライシング欠損の補正を促進することを可能にしたことを示す。同様に、抗TfR1抗体(例えば、抗TfR1 Fab 3M12-VH4/Vκ3)は、DMPKの発現を減少させ、その下流効果を促進する(例えば、DM1関連スプライシング欠損の補正)ために、別のDMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、本明細書において提供されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)にコンジュゲートされた抗TfR1抗体を含有するコンジュゲートの細胞内在化を可能にすることができる。
【表12-1】
【表12-2】
【表13-1】
【表13-2】
【0386】
例4.DMPK標的化アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)に共有結合的に連結された抗TfR1 Fabを含有するコンジュゲートのin vitro活性
横紋筋肉腫細胞(RD;ATCC,Manassas,VA)、および380個のCUG反復を含有する変異体DMPK mRNAを発現するDM1-32F初代細胞(32F細胞;Cook MyoSite,Pittsburg,PA)内のDMPK mRNA発現を減少させ、DM1-32F細胞におけるBIN1エクソン11スプライシング欠損を補正する点で、抗TfR1 Fab(3M12-VH4/Vκ3)に共有結合的に連結された、表10に列挙されるDMPK標的化アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含有するコンジュゲートの活性を決定するために、in vitro実験が行われた。式(E)の構造を含む複合体を形成するために、全ASOが抗TfR1 Fab抗体(3M12-VH4/Vκ3)に共有結合的に連結された。
【0387】
RD細胞が拡大増殖させられ、10,000細胞/ウェルの密度で384ウェルプレートに播種された。細胞は37°Cで一晩回復させられた。翌日、培地が交換され、細胞は、100nMのASO当量のFab-ASO複合体によって処理され、72時間インキュベートされた。72時間後、全RNAが抽出され、TaqMan Fast-Advanced Cells-to-Ctキット(ThermoFisher Scientific,Waltham,MA)を使用してcDNAが生成された。特異的TaqMan PCRアッセイ(ThermoFisher Scientific)を使用して総DMPKノックダウンを査定するために、cDNAが使用された。データはPPIB発現に対して正規化され、ビヒクル処理対照細胞と比べたコンジュゲート処理細胞内のDMPK発現を決定するために、2-ΔΔCt法が使用された(表14)。データはノックダウン率として提示されており、正の値が高くなればDMPK発現のノックダウンが大きくなることを示す。
【0388】
DM1 32F初代細胞が解凍され、回復させられ、次いで、増殖培地中、384ウェルプレートに10,000細胞/ウェルの密度で播種された。翌日、増殖培地は低血清分化培地に交換され、細胞は、10、100または1,000nMのASO当量のFab-ASO複合体によって処理された。細胞は複合体とともに10日間インキュベートされ、次いで、全RNAが抽出され、TaqMan Fast-Advanced Cells-to-Ctキットを使用してcDNAが生成された。
【0389】
特異的TaqMan PCRアッセイを使用して総DMPKノックダウンを評価するために、cDNAが使用された。データはPPIB発現に対して正規化され、ビヒクル処理対照細胞と比べたコンジュゲート処理細胞内のDMPK発現を決定するために、2-ΔΔCt法が使用された(表14)。データはノックダウン率として提示されており、正の値が高くなればDMPK発現のノックダウンが大きくなることを示し、負の値は、対応するビヒクル処理対照細胞と比べて、コンジュゲート処理細胞ではDMPKノックダウンが検出されなかったことを示す。
【0390】
さらに、100nMのASO当量のFab-ASO複合体によって処理されたDM1 32F初代細胞における異常にスプライシングされたBIN1転写物および正常なBIN1転写物を評価するために、多重TaqMan qPCRアッセイ(ThermoFisher Scientific)を使用して、DM1媒介性の異常なスプライシングの修飾が評価された。これらのデータは、ビヒクル処理細胞と比較した、Fab-ASO複合体処理細胞における異常にスプライシングされたBIN1と正常なBIN1との平均比として提示されている(表14)。1の比は、ビヒクル対照によって処理されたDM1患者筋管と比較した場合、異常なスプライシングの変化が観察されなかったことを示す。1よりも大きい比は、ビヒクル対照によって処理された細胞と比べて、Fab-ASO複合体によって処理された細胞では、さらに多くの転写物が野生型スプライシングパターンを有したことを示す。1未満の比は、さらに多くの転写物がDM1関連スプライシングパターンを有したことを示し得る。
【0391】
試験された複合体はいずれも、試験された細胞型のうちの少なくとも1つにおいてDMPKノックダウンを達成し、いずれも、DM1媒介性の異常なスプライシングの補正をある程度促進した。ASO47、ASO55、ASO58、ASO61、ASO66、ASO71、ASO76およびASO81を含む複合体は、最も良好な性能を示した。
【0392】
これらのデータは、抗TfR1 Fab 3M12-VH4/Vκ3がFab-ASO複合体の細胞内在化を可能にし、それによって、DMPK標的化ASOが、DMPK mRNAの発現を減少させ、BIN1エクソン11スプライシング欠損の補正を促進することを可能にしたことを示す。同様に、抗TfR1抗体(例えば、抗TfR1 Fab 3M12-VH4/Vκ3)は、DMPKの発現を減少させ、その下流効果を促進する(例えば、DM1関連スプライシング欠損の補正)ために、別のDMPK標的化オリゴヌクレオチド(例えば、本明細書において提供されるDMPK標的化オリゴヌクレオチド)にコンジュゲートされた抗TfR1抗体を含有するコンジュゲートの細胞内在化を可能にすることができる。
【表14-1】
【表14-2】
【0393】
例5.hTfR1/DMSXLヘミ接合性マウスにおけるDMPK標的化オリゴヌクレオチド(ASO)のノックダウン活性
ヒトTfR1、および伸長したCTG反復を有する変異体ヒトDMPK導入遺伝子の両方を発現するマウス(hTfR1/DMSXLマウス)を対象に、DMPK標的化オリゴヌクレオチド(ASO58、ASO47、ASO61またはASO66)に共有結合的に連結された抗TfR1 Fab 3M12-VH4/Vκ3を含有するコンジュゲートが試験された。抗TfR1 Fabが、式(I)の構造を有する切断可能なリンカーを介して各ASOに共有結合的に連結された。マウスには、ビヒクル対照(PBS)、または7.5mg/kgASO 58コンジュゲート)、8.8mg/kg(ASO47コンジュゲート)、8.1mg/kg(ASO61コンジュゲート)もしくは5.6mg/kg(ASO66コンジュゲート)のASO等価用量の抗TfR1 Fab-ASOコンジュゲートが0および7日目に投与された。マウスは、14日目(コンジュゲートの初回用量の投与の2週間後)に殺処分され、組織が回収された。RNAが抽出され、ヒトDMPKと、内部対照としてのマウスPpib(ペプチジルプロリルイソメラーゼ)とを測定するために、RNA試料の逆転写定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT-qPCR)が行われた。
【0394】
コンジュゲートは、心臓では毒性ヒトDMPKを37~63%減少させ(図2A)、横隔膜では34~59%減少させ(図2B)、腓腹筋では28~46%減少させ(図2C)、前脛骨筋では6~45%減少させた(図2D)。
【0395】
これらのデータは、抗TfR1 Fab 3M12-VH4/Vκ3が、in vivoマウスモデルにおいて筋組織へのコンジュゲートの細胞内在化を可能にし、それによって、一部のDMPK標的化オリゴヌクレオチドが毒性ヒトDMPKの発現を減少させることを可能にしたことを示す。
【0396】
均等物および用語
例証的に本明細書において記載された開示は、好適には、本明細書に具体的には開示されないいずれかの要素、限定の非存在下において実施され得る。それゆえに、例を挙げると、本出願の各事例において、用語「含む」、「から本質的になる」、および「からなる」のいずれかは、他の2つの用語のどちらかによって置き換えられ得る。採用された用語および表現は、限定ではなく記載の用語として使用され、そのような用語および表現の使用には、示されるおよび記載される特徴のいずれかの均等物またはそれらの部分を排除する意図はなく、種々の改変が本開示の範囲内で可能であることが認識される。それゆえに、本開示は好ましい態様によって具体的に開示されたが、本明細書において開示される概念の任意の特徴、改変、および変形が当業者によって頼られ得ることと、そのような改変および変形は本開示の範囲内であると考慮されることとは理解されるべきである。
【0397】
加えて、本開示の特徴または側面がマーカッシュ群または代替物の他の群分けとして記載されるところでは、当業者は、本開示がそれによってマーカッシュ群または他の群のいずれかの個々の構成員または構成員のサブグループとしてもまた記載されることを認識するであろう。
【0398】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドまたは他の核酸の構造を記載する際には、配列表で提示される配列が参照され得ることを理解されたい。そのような態様において、実際のオリゴヌクレオチドまたは他の核酸は、指定された配列と本質的に同じかまたは類似の相補的な特性を保持しながら、指定された配列と比較して、1以上の代替的なヌクレオチドまたはヌクレオシド(例えば、DNAヌクレオシドのRNA対応物、またはRNAヌクレオシドのDNA対応物)および/または(例えば、および)1以上の修飾ヌクレオチド/ヌクレオシドおよび/または(例えば、および)1以上の修飾ヌクレオシド間連結および/または(例えば、および)1以上の他の修飾を有し得る。
【0399】
本発明を説明する文脈における(特に以下の請求項の文脈における)用語「a」および「an」および「the」ならびに同様の指示対象の使用は、本明細書に別段の指示がないかまたは文脈と明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。用語「備える」、「有する」、「包含する」、および「含有する」は、特に断りのない限り、オープンエンドの用語として解釈されるべきである(すなわち、「包含するが、それらに限定されない」を意味する)。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書に別段の指示がない限り、単に、範囲内に収まる各別個の値を個々に参照する簡略な方法として働くことが意図され、各別個の値は、それがあたかも本明細書に個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に別段の指示がないかまたは文脈と明らかに矛盾しない限り、本明細書において記載されるすべての方法は任意の好適な順序で行われ得る。別様の主張がなされない限り、本明細書において提供されるありとあらゆる例または例示的な文言(例えば、「例として」)の使用は、単に本発明をより良く解き明かすことが意図され、本発明の範囲に限定を課さない。本明細書のいかなる文言も、いずれかの請求されない要素を本発明の実施にとって必須であると指し示すものと解釈されるべきではない。
【0400】
本発明の態様が本明細書において記載されている。それらの態様の変形は、先述の記載を読むことによって当業者には明らかになり得る。
【0401】
本発明者は当業者がそのような変形を適当に採用することを予期し、本発明者は本発明が本明細書において具体的に記載されるようにとは別様に実施されることを意図する。したがって、本発明は、然るべき法律によって許可される本明細書に添付される請求項に記載される主題のすべての改変および均等物を包含する。その上、それらのすべての可能な変形における上に記載された要素のいずれかの組合せは、本明細書に別様に指し示されないかまたは別様に文脈によって明瞭に否定されない限り、本発明によって包摂される。当業者は、本明細書において記載される本発明の特定の態様の多くの均等物を認識するか、または慣例的な実験作業を使用するだけで確めることができるであろう。そのような均等物は次の請求項によって包摂されることを意図される。
図1A-1D】
図1E-1H】
図2A-2B】
図2C-2D】
【配列表】
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【国際調査報告】