特表 2024-532977 発音デバイス

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公表特許公報(A)

(11)【公表番号】

(43)【公表日】2024-09-12

(54)【発明の名称】発音デバイス

(51)【国際特許分類】

   H04R 7/02 20060101AFI20240905BHJP

   H04R 9/02 20060101ALI20240905BHJP

   H04R 1/00 20060101ALI20240905BHJP

【ＦＩ】

H04R7/02 Z

H04R9/02 Z

H04R1/00 311

【審査請求】有

【予備審査請求】未請求

(21)【出願番号】P 2022574298

(86)(22)【出願日】2022-08-25

(85)【翻訳文提出日】2022-12-01

(86)【国際出願番号】 CN2022114687

(87)【国際公開番号】W WO2024040495

(87)【国際公開日】2024-02-29

(81)【指定国・地域】

(71)【出願人】

【識別番号】517409583

【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック（チャンヂョウ）カンパニー リミテッド

【住所又は居所原語表記】Ｎｏ．３ ｃｈａｎｇｃａｏ ｒｏａｄ， Ｈｉ－ＴＥＣＨ Ｉｎｄｕｓｔｒｉａｌ Ｚｏｎｅ， Ｗｕｊｉｎ Ｄｉｓｔｒｉｃｔ， Ｃｈａｎｇｚｈｏｕ Ｃｉｔｙ， Ｊｉａｎｇｓｕ Ｐｒｏｖｉｎｃｅ， Ｐ．Ｒ． Ｃｈｉｎａ

(74)【代理人】

【識別番号】100199819

【弁理士】

【氏名又は名称】大行 尚哉

(74)【代理人】

【識別番号】100087859

【弁理士】

【氏名又は名称】渡辺 秀治

(72)【発明者】

【氏名】張龍

(72)【発明者】

【氏名】杜希文

(72)【発明者】

【氏名】馬利鵬

【テーマコード（参考）】

5D012

5D016

5D017

【Ｆターム（参考）】

5D012FA09

5D016AA11

5D016HA02

5D017AB03

5D017AB05

(57)【要約】

【課題】本発明には、発音デバイスが提供される。
【解決手段】当該発音デバイスは、フレームと、振動システム及び磁気回路システムと、を含み、振動システムは、振動板アセンブリと、磁気ギャップ内に挿設されるボイスコイルと、を含み、振動板アセンブリは、フレームに固定される振動板ホルダーと、振動板ホルダーに固定され、かつ振動して音を発生させるための振動板と、を含み、振動板は、開口を有する第１平面部と、第１平面部の外側に設けられる環状のサラウンド部と、サラウンド部の外側に設けられ、かつ振動板ホルダーに固定接続される接続部と、を含み、振動板アセンブリは、第１平面部に固定される防水通気フィルムをさらに含み、第１平面部はサラウンド部から離れる第１内縁を含み、振動方向に沿って観察すると、第１内縁はボイスコイルの内側に位置し、かつ防水通気フィルムの外縁はボイスコイルの外側に位置する。従来技術と比べて、本発明に係る発音デバイスは、より優れた防水性能を有する。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

フレームと、前記フレームにそれぞれ支持される、振動システム及び磁気ギャップを有する磁気回路システムと、を含み、前記振動システムは、振動板を有する振動板アセンブリと、前記磁気ギャップ内に挿設されて前記振動板を振動させて音を発生させるように駆動するボイスコイルと、を含み、前記振動板アセンブリは、前記フレームに固定される振動板ホルダーと、前記振動板ホルダーに固定され、かつ振動して音を発生させるための振動板と、を含む発音デバイスであって、
前記振動板は、開口を有する第１平面部と、前記第１平面部の外側に設けられる環状のサラウンド部と、前記サラウンド部の外側に設けられ、かつ前記振動板ホルダーに固定接続される接続部と、を含み、前記振動板アセンブリは、前記第１平面部に固定される防水通気フィルムをさらに含み、前記第１平面部は前記サラウンド部から離れる第１内縁を含み、振動方向に沿って観察すると、前記第１内縁は前記ボイスコイルの内側に位置し、かつ前記防水通気フィルムの外縁は前記ボイスコイルの外側に位置する、
ことを特徴とする発音デバイス。

【請求項2】

前記防水通気フィルムは前記第１平面部の前記磁気回路システムに近い側に固定される、
ことを特徴とする請求項１に記載の発音デバイス。

【請求項3】

前記振動板は、前記第１平面部の前記磁気回路システムに近い側に設けられる第２平面部をさらに含み、前記第２平面部は、前記サラウンド部に接続され、かつ前記第１平面部に平行であり、前記防水通気フィルムの外縁は前記第１平面部と前記第２平面部との間に挟設される、
ことを特徴とする請求項２に記載の発音デバイス。

【請求項4】

前記磁気回路システムは、主磁石鋼と、前記発音デバイスの短軸方向に沿って前記主磁石鋼の両側に設けられる２つの副磁石鋼と、を含み、前記副磁石鋼と前記主磁石鋼の間に前記磁気ギャップが形成され、振動方向に沿って観察すると、前記第１平面部は前記主磁石鋼、前記副磁石鋼のいずれとも部分的に重なっている、
ことを特徴とする請求項３に記載の発音デバイス。

【請求項5】

前記磁気回路システムは、前記フレームに固定される上クランプ及び下クランプをさらに含み、前記副磁石鋼は前記上クランプと前記下クランプとの間に挟設される、
ことを特徴とする請求項４に記載の発音デバイス。

【請求項6】

前記磁気回路システムは、磁極芯をさらに含み、前記主磁石鋼は前記磁極芯と前記下クランプとの間に挟設される、
ことを特徴とする請求項５に記載の発音デバイス。

【請求項7】

前記振動板アセンブリは、前記振動板ホルダーの外側に設けられるシールリングをさらに含む、
ことを特徴とする請求項１に記載の発音デバイス。

【請求項8】

前記サラウンド部の円弧状凹み方向は前記ボイスコイルに近い方向である、
ことを特徴とする請求項１に記載の発音デバイス。

【請求項9】

前記防水通気フィルムは、防水層と、金属メッシュ層と、を含み、前記防水層は前記金属メッシュ層の前記磁気回路システムから離れる側に設けられる、
ことを特徴とする請求項１に記載の発音デバイス。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、電気音響変換分野に関し、特に、電子サウンドボックス製品で使用される発音デバイスに関するものである。

【背景技術】

【0002】

発音デバイスはスピーカーまたはラウドスピーカーとも呼ばれ、スピーカーボックスに使われ、オーディオ信号を音声に変換して再生する。

【0003】

従来技術では、発音デバイスは、フレームと、前記フレームに固定される振動システムと、磁気ギャップを有する磁気回路システムと、を含み、前記磁気回路システムは前記振動システムの振動発音を駆動し、前記振動システムは、前記フレームに固定される振動板と、前記振動板に貼り付けられるドームと、前記磁気ギャップに挿設されるボイスコイルと、を含む。

【0004】

しかしながら、従来技術では、発音デバイスでは、防水性能を向上させるために、後室が密閉されるように設置され、温度が上昇すると後室の気圧が大きくなり、ラウドネスが低下し、音響効果がよくない。従来技術では、さらにドームに部分的に穴を開け、防水通気フィルムを貼り付ける提案も公開されているが、部品点数が多く、組立てが複雑で、防水機能を実現する位置が多く、防水失効を引き起こしやすい。

【0005】

従って、上記技術的課題を解決するために、新たな発音デバイスを提供する必要がある。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

本発明は、防水性能が良好でかつ音響性能により優れた発音デバイスを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

上記の目的を達成するために、本発明には、発音デバイスが提供され、前記発音デバイスは、フレームと、前記フレームにそれぞれ支持される、振動システム及び磁気ギャップを有する磁気回路システムと、を含み、前記振動システムは、振動板を有する振動板アセンブリと、前記磁気ギャップ内に挿設されて前記振動板を振動させて音を発生させるように駆動するボイスコイルと、を含み、前記振動板アセンブリは、前記フレームに固定される振動板ホルダーと、前記振動板ホルダーに固定され、かつ振動して音を発生させるための振動板と、を含み、前記振動板は、開口を有する第１平面部と、前記第１平面部の外側に設けられる環状のサラウンド部と、前記サラウンド部の外側に設けられ、かつ前記振動板ホルダーに固定接続される接続部と、を含み、前記振動板アセンブリは、前記第１平面部に固定される防水通気フィルムをさらに含み、前記第１平面部は前記サラウンド部から離れる第１内縁を含み、振動方向に沿って観察すると、前記第１内縁は前記ボイスコイルの内側に位置し、かつ前記防水通気フィルムの外縁は前記ボイスコイルの外側に位置する。

【0008】

好ましくは、前記防水通気フィルムは前記第１平面部の前記磁気回路システムに近い側に固定される。

【0009】

好ましくは、前記振動板は、前記第１平面部の前記磁気回路システムに近い側に設けられる第２平面部をさらに含み、前記第２平面部は、前記サラウンド部に接続され、かつ前記第１平面部に平行であり、前記防水通気フィルムの外縁は前記第１平面部と前記第２平面部との間に挟設される。

【0010】

好ましくは、前記磁気回路システムは、主磁石鋼と、前記発音デバイスの短軸方向に沿って前記主磁石鋼の両側に設けられる２つの副磁石鋼と、を含み、前記副磁石鋼と前記主磁石鋼の間に前記磁気ギャップが形成され、振動方向に沿って観察すると、前記第１平面部は前記主磁石鋼、前記副磁石鋼のいずれとも部分的に重なっている。

【0011】

好ましくは、前記磁気回路システムは、前記フレームに固定される上クランプ及び下クランプをさらに含み、前記副磁石鋼は前記上クランプと前記下クランプとの間に挟設される。

【0012】

好ましくは、前記磁気回路システムは、磁極芯をさらに含み、前記主磁石鋼は前記磁極芯と前記下クランプとの間に挟設される。

【0013】

好ましくは、前記振動板アセンブリは、前記振動板ホルダーの外側に設けられるシールリングをさらに含む。

【0014】

好ましくは、前記サラウンド部の円弧状凹み方向は前記ボイスコイルに近い方向である。

【0015】

好ましくは、前記防水通気フィルムは、防水層と、金属メッシュ層と、を含み、前記防水層は前記金属メッシュ層の前記磁気回路システムから離れる側に設けられる。

【発明の効果】

【0016】

従来技術と比べて、本発明に係る発音デバイスでは、発音デバイスは、フレームと、フレームにそれぞれ支持される、振動システム及び磁気ギャップを有する磁気回路システムと、を含み、前記振動システムは、振動板を有する振動板アセンブリと、磁気ギャップ内に挿設されて振動板を振動させて音を発生させるように駆動するボイスコイルと、を含み、前記振動板アセンブリは、前記フレームに固定される振動板ホルダーと、前記振動板ホルダーに固定され、かつ振動して音を発生させるための振動板と、を含み、前記振動板は、開口を有する第１平面部と、前記第１平面部の外側に設けられる環状のサラウンド部と、前記サラウンド部の外側に設けられ、かつ前記振動板ホルダーに固定接続される接続部と、を含み、前記振動板アセンブリは、前記第１平面部に固定される防水通気フィルムをさらに含み、前記第１平面部は前記サラウンド部から離れる第１内縁を含み、振動方向に沿って観察すると、前記第１内縁は前記ボイスコイルの内側に位置し、かつ前記防水通気フィルムの外縁は前記ボイスコイルの外側に位置する。これにより、ドームの設計を無くし、防水通気フィルムは直接にドームとして使用され、振動板と防水通気フィルムのシール幅がより大きくなり、防水性能がより優れており、部品点数が少なくなり、組立てがより簡単になり、防水機能を実現する箇所が少なくなり、防水失効リスクを低減させる。

【図面の簡単な説明】

【0017】

本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかに、以下説明された図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、進歩的な労働をしなくても、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができ、そのうち、

【図1】図１は、本発明に係る発音デバイスを示す斜視構成図である。

【図2】図２は、図１のＡ―Ａ線に沿った断面図である。

【図3】図３は、本発明に係る発音デバイスを示す分解図である。

【図4】図４は、本発明に係る発音デバイスの振動板アセンブリの構成を示す図である。

【図5】図５は、本発明に係る発音デバイスの振動板アセンブリの別の視点からの構成を示す図である。

【図6】図６は、本発明に係る発音デバイスの防水通気フィルムの構成を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0018】

以下、本発明の実施例における図面を参照しながら本発明の実施例における技術案を明確かつ完全に説明する。明らかに、記載された実施例は、全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎない。当業者が本発明における実施例に基づいて進歩的な労働をしない前提に得られた他の全ての他の実施例は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。

【0019】

図１～６に示すように、本発明には、発音デバイス１００が提供され、当該発音デバイス１００は、フレーム１と、フレーム１にそれぞれ支持される、振動システム２及び磁気ギャップ３３を有する磁気回路システム３と、電気的に接続するための回路基板４と、を含む。振動システム２は、振動板２１２を有する振動板アセンブリ２１と、磁気ギャップ３３内に挿入されて振動板２１２を振動させて音を発生させるように駆動するボイスコイル２２と、を含み、振動板アセンブリ２１は、フレーム１に固定される振動板ホルダー２１１と、振動板ホルダー２１１に固定され、かつ振動して音を発生させるための振動板２１２とを含む。振動板２１２は、開口２１２１ｂを有する第１平面部２１２１と、第１平面部２１２１の外側に設けられる環状のサラウンド部２１２２と、サラウンド部２１２２の外側に設けられ、かつ振動板ホルダー２１１に固定接続される接続部２１２３と、を含み、振動板アセンブリ２１は、第１平面部２１２１に固定される防水通気フィルム２１４をさらに含み、第１平面部２１２１はサラウンド部２１２２から離れた第１内縁２１２１ａを含み、振動方向に沿って観察すると、第１内縁２１２１ａはボイスコイル２２の内側に位置し、かつ防水通気フィルム２１４の外縁２１４ａはボイスコイル２２の外側に位置し、これによって、防水シールの幅を増やし、防水性能がより優れている。

【0020】

本実施形態では、防水通気フィルム２１４は、防水層２１４１と、金属メッシュ層２１４２と、を含み、防水層２１４１は金属メッシュ層２１４２の磁気回路システム３から離れる側に設けられ、防水層２１４１の材質はテフロン（登録商標）である。他の選択可能な実施形態では、防水層２１４１は金属メッシュ層２１４２の磁気回路システム３に近い側に設けられてもよい。

【0021】

本実施形態では、防水通気フィルム２１４は第１平面部２１２１の磁気回路システム３に近い側に固定され、これによって、防水通気フィルムと第１平面部との接続をより強固にし、脱落しにくくなっているが、他の選択可能な実施形態では、防水通気フィルムは第１平面部の磁気回路システムから離れる側に固定されてもよい。

【0022】

本実施形態では、振動板アセンブリ２１は、発音デバイス１００全体の防水性能を高めるために、振動板ホルダー２１１の外側に設けられるシールリング２１３をさらに含む。他の選択可能な実施形態では、シールリングを設けることなく、電子デバイスの設計ニーズに応じて、デバイス全体の防水機能を発音デバイスと協働する部品に設計してもよい。

【0023】

振動板２１２は、第１平面部２１２１の磁気回路システム３に近い側に設けられる第２平面部２１２４をさらに含み、第２平面部２１２４は、サラウンド部２１２２に接続され、かつ第１平面部２１２１に平行であり、防水通気フィルム２１４の外縁２１４ａは第１平面部２１２１と第２平面部２１２４との間に挟設され、これによって、発音デバイス１００の防水性能をさらに向上させることができる。

【0024】

本実施形態では、サラウンド部２１２２の円弧状凹み方向はボイスコイル２２に近い方向であるが、他の実施形態では、サラウンド部の円弧状凹み方向は逆方向、すなわちボイスコイルから離れる方向へ凹んでもよい。

【0025】

磁気回路システムは、主磁石鋼３１と、発音デバイスの短軸方向に沿って主磁石鋼３１の両側に設けられる２つの副磁石鋼３２と、を含み、副磁石鋼３２と主磁石鋼３１の間に磁気ギャップ３３が形成され、振動方向に沿って観察すると、第１平面部２１２１は主磁石鋼３１、副磁石鋼３２のいずれとも部分的に重なっており、防水面積は磁気ギャップ３３をカバーし、発音デバイス１００の防水性能を高めることができる。

【0026】

磁気回路システムは、フレーム１に固定される上クランプ３４及び下クランプ３５をさらに含み、副磁石鋼３２は上クランプ３４と下クランプ３５との間に挟設され、主磁石鋼３１は下クランプ３５に固定される。磁気回路システムは、磁極芯３６をさらに含み、主磁石鋼３１は磁極芯３６と下クランプ３５との間に挟設される。

【0027】

従来技術と比べて、本発明に係る発音デバイスでは、発音デバイスは、フレームと、フレームにそれぞれ支持される、振動システム及び磁気ギャップを有する磁気回路システムと、を含み、振動システムは、振動板を有する振動板アセンブリと、磁気ギャップ内に挿設されて振動板を振動させて音を発生させるように駆動するボイスコイルと、を含み、振動板アセンブリは、フレームに固定される振動板ホルダーと、振動板ホルダーに固定され、かつ振動して音を発生させるための振動板と、を含み、振動板は、開口を有する第１平面部と、第１平面部の外側に設けられる環状のサラウンド部と、サラウンド部の外側に設けられ、かつ振動板ホルダーに固定接続される接続部と、を含み、振動板アセンブリは、第１平面部に固定される防水通気フィルムをさらに含み、第１平面部はサラウンド部から離れる第１内縁を含み、振動方向に沿って観察すると、第１内縁はボイスコイルの内側に位置し、かつ防水通気フィルムの外縁はボイスコイルの外側に位置する。これにより、ドームの設計を無くし、防水通気フィルムは直接にドームとして使用され、振動板と防水通気フィルムのシール幅がより大きくなり、防水性能がより優れており、部品点数が少なくなり、組立てがより簡単になり、防水機能を実現する箇所が少なくなり、防水失効リスクを低減させる。

【0028】

以上は、本発明の実施形態に過ぎない。当業者にとって、本発明の創造思想から逸脱することなく、改良を行うこともできるが、これらの改良はいずれも本発明の保護範囲に含まれるとここで指摘すべきである。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【国際調査報告】