(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ティーバッグ
(51)【国際特許分類】
B65D 85/808 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B65D85/808
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520174
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 KR2021013179
(87)【国際公開番号】W WO2023054737
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0127603
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523116435
【氏名又は名称】アン,ビョン ヨル
(71)【出願人】
【識別番号】523116446
【氏名又は名称】アン,リ リョン
(71)【出願人】
【識別番号】523116457
【氏名又は名称】アン,ジョン ウ
(71)【出願人】
【識別番号】523112286
【氏名又は名称】アン,ジュン ホン
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】アン,ビョン ヨル
(72)【発明者】
【氏名】アン,リ リョン
(72)【発明者】
【氏名】アン,ジョン ウ
(72)【発明者】
【氏名】アン,ジュン ホン
(57)【要約】
本発明は、ティーバッグを成す水膨張物質が、第1方向の膨張率が第1方向に垂直な第2方向の膨張率よりも大きいかまたは第2方向の収縮率が第2方向に垂直な第1方向の収縮率よりも大きい条件を満たすことにより、所定の時間が経つとティーが水にそれ以上溶解することを防止することにより、お茶の深い風味を長く維持することができる。本発明は、その他に水膨張物質の多様な例を提示する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にティー(tea)を収容したティーバッグであって、
前記ティーバッグ(tea bag)は、水と接触するとき、第1方向の膨張率が第1方向に垂直な第2方向の膨張率よりも大きい水膨張物質からなり、前記水膨張物質は、所定の時間が経過すると、第1方向の部分が第2方向の部分よりも膨張して水の流れを妨げるようにそれぞれの膨張率を有する、ティーバッグ。
【請求項2】
前記水膨張物質は纎維であり、第1方向は厚さ(縦)方向であり、第2方向は長さ(横)方向である、請求項1に記載のティーバッグ。
【請求項3】
内部にティー(tea)を収容したティーバッグであって、
前記ティーバッグ(tea bag)は、水と接触するとき、第2方向の収縮率が第2方向に垂直な第1方向の収縮率よりも大きい水膨張物質からなり、前記水膨張物質は、所定の時間が経過すると、第2方向の部分が第1方向の部分よりも収縮して水の流れを妨げるようにそれぞれの収縮率を有する、ティーバッグ。
【請求項4】
前記水膨張物質は纎維であり、第1方向は厚さ(縦)方向であり、第2方向は長さ(横)方向である、請求項3に記載のティーバッグ。
【請求項5】
内部にティー(tea)を収容したティーバッグであって、
前記ティーバッグ(tea bag)は、単一または複数の格子形区画部とそれぞれの区画部が成す空間に配列された水膨張物質とからなる複合構造を有し、
区画部はそれぞれが横方向に線を成し、全体的に平行に延び、それぞれが縦方向に所定の間隔で形成された横列と、それぞれが縦方向に線を成して全体的に平行に延び、それぞれが横方向に所定の間隔で形成された縦列とからなり、
前記区画部は、水と接触するとき、膨張または収縮しなく形状及び構造が変わらない材質から製作される、ティーバッグ。
【請求項6】
前記水膨張物質は、水と接触するときに膨張する纎維素からなる、請求項5に記載のティーバッグ。
【請求項7】
前記水膨張物質は、水と接触するとき、第1方向の膨張率が第1方向に垂直な第2方向の膨張率よりも大きい材料をステッチングするか、または、水と接触するとき、第2方向の収縮率が第2方向に垂直な第1方向の収縮率より大きい材料をステッチングすることによって形成された、請求項5に記載のティーバッグ。
【請求項8】
内部にティー(tea)を収容したティーバッグであって、
前記ティーバッグ(tea bag)は、塑性加工によって形状が変形された状態になって水の流れを許し、所定の時間以上の時間の間に水と接触するとき、元の形状に復元することにより水の流れを防ぐ水膨張物質を含む、ティーバッグ。
【請求項9】
内部にティー(tea)を収容したティーバッグであって、
前記ティーバッグ(tea bag)は水膨張物質を含み、
前記水膨張物質は、水による膨張率が小さい物質からコア部が形成され、コア部を取り囲む外周に膨張率が大きい少なくとも一つの外周部が形成された多層構造を有する、ティーバッグ。
【請求項10】
内部にティー(tea)を収容したティーバッグであって、
前記ティーバッグ(tea bag)は、水の流れが自由な布材の全部または一部上に水膨張物質を重ねて付けるかまたはコーティングした複合構造を有し、
前記水膨張物質は、水と接触するとき、第1方向の膨張率が第1方向に垂直な第2方向の膨張率よりも大きい構造、または、水と接触するとき、第2方向の収縮率が第2方向に垂直な第1方向の収縮率よりも大きい構造を有する、ティーバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はティーバッグに関するものであり、より詳しくは使用者が最適の味及び香りを楽しむことができるように一定時間の間にだけお茶の成分が抽出できるティーバッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、通常のティーバッグは、粉末状のレギュラーコーヒー、緑茶、アマドコロ茶、紅茶などの各種の茶葉または抽出物などの茶原料を一定量収容する包装用ティーバッグと、前記ティーバッグを水が入っている容器に入れるか取り出すことができるように前記ティーバッグに連結された紐と、前記ティーバッグ紐を引くことができるように取っ手の機能を果たすように前記ティーバッグ紐に連結されたタグとから構成されている。
【0003】
このようなティーバッグをお湯が入っている容器に入れれば、茶成分がお湯に染み出ることになると、使用者はその茶成分が染み出た溶液を飲む。ここで、お茶の味及び香りはティーバッグの内容物がお湯にどれくらいの時間の間に染み出たかによって左右される。それで、一定時間以上に染み出れば苦みがし、香りがなくなってそのティーバッグに収容されたお茶の最良の味及び香りを楽しむことができないという問題点があった。
【0004】
出願人は、この問題を解決するために、韓国特許出願第10-2020-0126855号で、お茶を簡便に飲用することができるように内部に茶原料を収容した茶袋を含むティーバッグであって、茶袋が水中で一定時間経過すれば、内部に収容された前記茶成分が外部に放出されないように密閉させるように膨張する水膨張物質を備えることを特徴とするティーバッグを提案した。
【0005】
本出願は、出願人の先出願をより具体的に改善したものである。
【0006】
関連した特許文献として、WO2017/137399号は、ディスク形または円形に折り畳まれたティーバッグが水を吸収すると膨張するという内容を開示している。しかし、この特許は、一定時間経過した後には水を吸収しないようにする構造及び機能については開示していない。韓国公開特許第10-2019-0127978号公報は水によって膨潤するセルロース不織布を開示しているが、気孔のサイズの差は纎維製作の際に既に決定されたものであり、初期には水を吸収し、一定時間経過した後には水の浸入を遮断する構造及び機能については開示していない。特開2009-114569号公報は水を吸収すると膨張するメッシュを開示している。しかし、この特許は、水を吸収するとメッシュのサイズが小さくなる内容については開示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、ティーバッグを水膨張物質から製作することで、ティー(tea)が水に浸って露出された後、充分に味を出す所定の時間が経過すると、ティーバッグを通して水が流れることを遮断することにより、ティー固有の風味及び香りをずっと維持しながら保存することができるティーバッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明は、内部にティー(tea)を収容したティーバッグであって、前記ティーバッグ(tea bag)は、水と接触するとき、第1方向の膨張率が第1方向に垂直な第2方向の膨張率よりも大きい水膨張物質からなり、前記水膨張物質は、所定の時間が経過すると、第1方向の部分が第2方向の部分よりも膨張して水の流れを妨げるようにそれぞれの膨張率を有する、ティーバッグを提供する。
【0009】
前記水膨張物質は纎維であってもよく、第1方向は厚さ(縦)方向であってもよく、第2方向は長さ(横)方向であってもよい。
【0010】
また、本発明は、内部にティー(tea)を収容したティーバッグであって、前記ティーバッグ(tea bag)は、水と接触するとき、第2方向の収縮率が第2方向に垂直な第1方向の収縮率よりも大きい水膨張物質からなり、前記水膨張物質は、所定の時間が経過すると、第2方向の部分が第1方向の部分よりも収縮して水の流れを妨げるようにそれぞれの収縮率を有する、ティーバッグを提供する。
【0011】
前記水膨張物質は纎維であってもよく、第1方向は厚さ(縦)方向であってもよく、第2方向は長さ(横)方向であってもよい。
【0012】
また、本発明は、内部にティー(tea)を収容したティーバッグであって、前記ティーバッグ(tea bag)は、単一または複数の格子形区画部とそれぞれの区画部が成す空間に配列された水膨張物質とからなる複合構造を有し、区画部はそれぞれが横方向に線を成し、全体的に平行に延び、それぞれが縦方向に所定の間隔で形成された横列と、それぞれが縦方向に線を成して全体的に平行に延び、それぞれが横方向に所定の間隔で形成された縦列とからなり、前記区画部は、水と接触するとき、膨張または収縮しなく形状及び構造が変わらない材質から製作される、ティーバッグを提供する。
【0013】
前記水膨張物質は、水と接触するときに膨張する纎維素からなることができる。
【0014】
前記水膨張物質は、水と接触するとき、第1方向の膨張率が第1方向に垂直な第2方向の膨張率よりも大きい材料をステッチングするか、または、水と接触するとき、第2方向の収縮率が第2方向に垂直な第1方向の収縮率より大きい材料をステッチングすることによって形成されることができる。
【0015】
また、本発明は、内部にティー(tea)を収容したティーバッグであって、前記ティーバッグ(tea bag)は、塑性加工によって形状が変形された状態になって水の流れを許し、所定の時間以上の時間の間に水と接触するとき、元の形状に復元することにより水の流れを防ぐ水膨張物質を含む、ティーバッグを提供する。
【0016】
また、本発明は、内部にティー(tea)を収容したティーバッグであって、前記ティーバッグ(tea bag)は水膨張物質を含み、前記水膨張物質は、水による膨張率が小さい物質からコア部が形成され、コア部を取り囲む外周に膨張率が大きい少なくとも一つの外周部が形成された多層構造を有する、ティーバッグを提供する。
【0017】
また、本発明は、内部にティー(tea)を収容したティーバッグであって、前記ティーバッグ(tea bag)は、水の流れが自由な布材の全部または一部上に水膨張物質を重ねて付けるかまたはコーティングした複合構造を有し、前記水膨張物質は、水と接触するとき、第1方向の膨張率が第1方向に垂直な第2方向の膨張率よりも大きい構造、または、水と接触するとき、第2方向の収縮率が第2方向に垂直な第1方向の収縮率よりも大きい構造を有する、ティーバッグを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、使用者が最適の味及び香りを楽しむように、一定時間の間にだけティーが抽出できるようにすることで、消費者の多様な嗜好を満たし、商品性を高めることができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】膨張率の観点で、本発明のティーバッグの特徴を成す水膨張物質の構造及び原理を説明するための図である。
【
図2】
図1の原理に基づき、縦糸及び横糸で編まれた織物が水に露出された場合の膨張過程を示す図である。
【
図3】収縮率の観点で、本発明のティーバッグの特徴を成す水膨張物質の構造及び原理を説明するための図である。
【
図4】
図3の原理に基づき、縦糸及び横糸で編まれた織物が水に露出された場合の収縮過程を示す図である。
【
図5】本発明の水膨張物質を含むティーバッグの実施例を示す図である。
【
図6】本発明の水膨張物質を含むティーバッグの他の実施例を示す図である。
【
図7】本発明の水膨張物質を含むティーバッグのさらに他の実施例を示す図である。
【
図8】
図7の原理を用いた本発明の水膨張物質を含むティーバッグのさらに他の実施例を示す図である。
【
図9】本発明の水膨張物質を含むティーバッグのさらに他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のティーバッグ1の特徴を成す水膨張物質10の構造及び原理について説明する。代表的に纎維として水膨張物質10を例として説明するが、その材質は必ずしも纎維に限定されるものではないことに気を付けなければならないであろう。
【0021】
本発明の目的及び効果、並びにそれを達成するための技術的構成は添付図面に基づいて後で詳細に説明する実施例を参照すれば明らかになるであろう。本発明の説明において、公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0022】
明細書全般で、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。一方、本発明の実施例において、それぞれの構成要素、機能ブロックまたは手段は一つまたはそれ以上の下位構成要素から構成されることができる。
【0023】
図1aは最初長さLo及び最初厚さDoを有する纎維の一部を示す図である。
【0024】
纎維の長手方向の膨張率をαとすると、一定時間(t)経過後の纎維の長さLは、L=LO(1+αΔt)である(α>0)。
【0025】
纎維の長さは、時間の他に温度が重要な変数として作用するが、長さ及び厚さの変化に同等に影響を及ぼす因子であることを考慮して、ここでは除いた。
【0026】
次に、纎維の厚さ方向の膨張率をβとすると、一定時間(t)経過後の纎維の厚さDは、D=DO(1+βΔt)である(β>0)。
【0027】
ここで、仮に長手方向の膨張率αと厚さ方向の膨張率βとが同一であれば、長さ及び厚さの変化量は同一である。しかし、厚さ方向の膨張率βが長手方向の膨張率αよりも大きい場合には、
図1bに示すように、纎維は厚さ方向に多く膨張し、長手方向には小さく膨張するか膨張する長さが非常に小さくなる。
【0028】
図2は、
図1の原理に基づき、α=βの場合及びβ>αの場合のそれぞれにおいて、縦糸及び横糸で編まれた織物が水に露出された場合の膨張過程を示す図である。
【0029】
図示のように、水がない初期状態で織物は
図2aの状態である。
【0030】
α=βの場合、織物が水に露出されると、纎維の長さと厚さとが同じ割合で膨張し(
図2b)、よって纎維間の空洞の広さ(グリッドの断面積)が大きくなり、水の出入が自然に維持される(
図2c)。
【0031】
ところが、β>αの場合、織物が水に露出されると、纎維の厚さが長さよりも膨張し(
図2d)、よって4本の纎維が形成する空洞の広さ(グリッドの断面積)が四方から膨張する厚さによって狭められることにより、水の流れが鈍化するか遮断される(
図2e)。
【0032】
したがって、本発明の水膨張物質10の第1条件は、一定時間経過の後、厚さ方向の膨張率が長手方向の膨張率よりも大きい材料(纎維)でなければならないという点である。
【0033】
次に、以上のような原理を収縮率の観点で説明する。
【0034】
図3aは最初長さLo及び最初厚さDoを有する纎維の一部を示す図である。
【0035】
図3aで、纎維の長手方向の収縮率をα’とすると、一定時間(t)経過後の纎維の長さLは、L=L
O(1+α’Δt)である(α’<0)。
【0036】
次に、纎維の厚さ方向の収縮率をβ’とすると、一定時間(t)経過後の纎維の厚さDは、D=DO(1+β’Δt)である(β’<0)。
【0037】
ここで、仮に長手方向の収縮率α’と厚さ方向の収縮率β’と同一であれば、長さ及び厚さの変化量は同一である。しかし、長手方向の収縮率α’が厚さ方向の収縮率β’よりも大きい場合には、
図3bに示すように、纎維は長手方向に多く収縮し、厚さ方向には小さく収縮するかまたは収縮長さが非常に小さくなる。
【0038】
図4は、
図3の原理に基づき、α’=β’の場合及び|α’|>|β’|の場合のそれぞれにおいて、縦糸及び横糸で編まれた織物が水に露出された場合の収縮過程を示す図である。
【0039】
図示のように、水がないとき、織物は
図4aの状態である。
【0040】
α’=β’の場合、織物が水に露出されると、纎維の長さ及び厚さが同じ割合で収縮し(
図4b)、よって全面積に対する纎維間の空洞の広さ変化がないので、水の出入が自然に維持される(
図4c)。
【0041】
ところが、|α’|>|β’|の場合、織物が水に露出されると、纎維の長さが厚さよりも収縮し(
図4d)、よって4本の纎維が形成する空洞の広さが四方から収縮する長さによって狭められることにより、水の流れが鈍化するか遮断される(
図4e)。
【0042】
したがって、本発明の水膨張物質10の代替可能な他の条件は、一定時間経過後の長手方向の収縮率が厚さ方向の収縮率よりも大きい材料(纎維)でなければならないという点である。
【0043】
以上の内容を総合すると、本発明のティーバッグ1を成す水膨張物質10は、第1方向の膨張率が第1方向に垂直な第2方向の膨張率よりも大きいかまたは第2方向の収縮率が第2方向に垂直な第1方向の収縮率よりも大きい条件を満たさなければならないことが分かる。
【0044】
以上の説明に基づき、本発明の水膨張物質10を含むティーバッグ1の実施例を
図5を参照して説明する。
【0045】
この実施例では、ティーバッグ1の水膨張物質10が横方向及び縦方向に編まれるか織られることで直ちにティーバッグ1を形成するものを示した。縦(厚さ)方向の膨張率が横(長さ)方向の膨張率よりも大きければ、所定の時間経過の後、
図2に示すように、水の流れが鈍化するか遮断されることにより、望まないティー成分が水に溶解するか分散することがなく、よってティーの本来の味を維持することができる。水膨張物質10は水に接触する瞬間急激に膨張してはいけなく、まずティー成分が水に充分に溶ける時間を確保しなければならない。すなわち、横繊維及び縦纎維が形成する格子空間は時間の経過につれて段々狭くなり、臨界面積以下になれば、水分子の流れを遮断、抑制または鈍化させるように製作される。このような点を充分に考慮して、横方向及び縦方向の膨張率と、両膨張率の差値及び所定の時間、すなわち水との接触時間が適切に決定される。
【0046】
横(長さ)方向の収縮率が縦(厚さ)方向の収縮率よりも大きい場合にも前記のような効果を発揮する。これは当業者に明らかな事項であるので、詳細な説明は省略する。
【0047】
次に、本発明の他の実施例として、水膨張物質10を含むティーバッグ1の他の構造を
図6を参照して説明する。
【0048】
図6で、ティーバッグ1は、複数の格子形区画部20とそれぞれの区画部20にシート状に編まれて形成された水膨張物質10とからなる複合構造である。
【0049】
区画部20は、それぞれが横方向に線を成し、全体的に平行に延び、それぞれが縦方向に所定の間隔で形成された横列22と、それぞれが縦方向に線を成し、全体的に平行に延び、それぞれが横方向に所定の間隔で形成された縦列24とからなる。区画部20はティーバッグ1の全般にわたって多数形成され、それぞれの区画部20は、例えば四角グリッド形の空間Aを提供する。本発明の区画部20は膨張率及び収縮率が非常に小さい素材から製作され、よって水との接触にもかかわらず、その形状及び構造はほとんど変わらなく、体積が増えなく、空間Aの大きさは一定である。区画部20は纎維材質または人体に無害な清浄プラスチック材質から製作されることができる。
【0050】
本発明の水膨張物質10は区画部20がなす空間Aにシート状にステッチングできる。もしくは、区画部20ごとに水が通過する袋を形成し、この袋内に水膨張物質10が充填できる。
【0051】
水膨張物質10は、拡大図に示すように、水と接触すると膨張する多数の纎維素10Aからなる。纎維素10Aは水と接触すると体積が増加して大きさが大きくなる。纎維素10Aが水と接触すると、繊維素、すなわち水膨張物質10は膨張するが、区画部20の骨格及び形状は変わらないので、隣接した区画部20を越えて膨張することができなく、よって所定の区画部20の内部でそれぞれ膨張して纎維間の間隔が狭くなることにより、水の流れを妨げるようになる。
【0052】
纎維素10Aは、例えば水と接触すると体積が大きくなる寒天のような機能を果たし、膨張方向は任意にしても良い。しかし、
図1~
図5を参照して説明したように、区画部20の空間を膨張率または収縮率の相異なる材料を横方向及び縦方向に編んでステッチングして構成しても同じ効果を期待することができるというのは言うまでもない。
【0053】
図7は本発明の他の実施例として、人工または天然物質のフィルム、またはシートにおいて、パンチングその他の方法によって外力で物質を塑性変形させると、変形部の物理的または化学的変形が維持された状態で水に濡れるか特定の温度以上で元の状態に復元する原理を説明するための図である。これは一種の形状記憶効果と類似している。
【0054】
紙や天然纎維物質は膨潤収縮現象があり、外力によって永久変形した状態が水中で塑性前の状態に復元する性質を有する。シートは糸や纎維素の集合体を含み、織物または紙によって具現できる。塑性変形は、シートから破れて分離されることの他に、織物の構成要素である纎維または纎維素の塑性変形を含む。
【0055】
図7のように、水膨張物質10は、第1層A1、第2層B1及び第3層C1の多層構造を有し、塑性変形率は第1層>第2層>第3層であり、水膨張物質10は外力によって変形された状態である。水膨張物質10が水に露出されて所定の温度以上の温度になると元の位置に復元し、よって水通路が閉まって水の通過を抑制する。加えて、
図7で、第1層A1、第2層B1及び第3層C1は実際に互いに異なる物質であるか、そうではなければ、単一物質であるが、塑性変形過程で物性が変わった場合も含む。
【0056】
織物において一定の長さを有する纎維が外力によって塑性変形された状態にある場合、纎維の末端部分は
図7のように突出することができる。ここで、水に露出されるかまたは特定温度になると、塑性前の状態に復元して水の移動を抑制するようになる。
【0057】
図8は
図7の原理を用いた他の実施例を示す図である。
【0058】
ティーバッグ1が水と接触する前、
図8aのように、水膨張物質10を塑性変形された材料から製作しておけば、ティーバッグが水と接触したままで所定の時間が経つ前には水の流れが自然な状態になる。その後、所定の時間が経過すると、
図8bのように、水膨張物質10が元の状態に復元して水の通路を遮断することにより、水の移動を抑制することができる。
図8で、水膨張物質10は
図7のような多数層または単一層からなることができる。
【0059】
図9は本発明のさらに他の実施例を示す図であり、
図9aは水膨張物質10を、水による膨張率が小さい物質でコア部10bを形成し、コア部10bを取り囲む外郭に膨張率が大きい外周部10cを形成して構成した纎維の断面を示す。
【0060】
図9bは熱膨張係数が外郭に行くほど段々大きくなる水膨張物質10を示す。単一纎維素において、紡績及び織造過程で膨張率の相異なる纎維が纎維の中心から半径方向に多段に具現できる。
【0061】
図9の実施例の場合、紡織(spinning and weaving)過程で物理化学的処理によって自然にまたは人為的に、纎維のコアを成す単一纎維素に比べて、外周部の熱膨張率を中心の熱膨張率よりも大きく製造することができるので、水膨張物質10の製作が容易である。水膨張物質10がティーバッグ1をなすと、ティーを溶かす水の温度に大きく影響されるからである。
【0062】
以上で、本発明のいくつかの実施例を説明したが、本発明の多様な変更が可能である。例えば、ティーバッグ1を水の流れが自由な既存の布材で製作し、布の全部または一部上に本発明の水膨張物質を重ねて付けるかまたはコーティングする複合構造に製作することも可能である。
【0063】
本発明の権利範囲は以下で記述する特許請求範囲と同一または均等な領域にまで及ぶというのは言うまでもない。
【国際調査報告】