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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】改良された絶縁継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 59/18 20060101AFI20240905BHJP
   F16L 59/065 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F16L59/18
F16L59/065
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565623
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 SE2022050827
(87)【国際公開番号】W WO2023048619
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】2151154-8
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519000607
【氏名又は名称】マン テクニク アーベー
【氏名又は名称原語表記】MANN TEKNIK AB
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】230128026
【弁護士】
【氏名又は名称】駒木 寛隆
(72)【発明者】
【氏名】ゲーアハルト コップリン
(72)【発明者】
【氏名】マーカス バックストローム
【テーマコード(参考)】
3H036
【Fターム(参考)】
3H036AA02
3H036AA04
3H036AB33
3H036AC06
3H036AD09
3H036AE13
(57)【要約】
第1の細長いパーツ(11)および第2の細長いパーツ(12)を備える継手(1)であって、第1のパーツ(11)および第2のパーツ(12)は、第1のパーツ(11)が第2のパーツ(12)に挿入されることにより互いに連結される。各パーツ(11、12)は、継手(1)を通る液化ガスの移送のために接続ポイント(10)で流動的に接続される内部液化ガス導管(11a、12a)を備える。第1のパーツ(11)または第2のパーツ(12)は、ウォームシール(2)を備え、第2のパーツ(12)は、パージ開口(4)を備える。2つの位置を有するロック装置(6)を提供することにより、安全で信頼性のある継手が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の細長いパーツ(11)および第2の細長いパーツ(12)を備える継手(1)であって、前記第1のパーツ(11)および前記第2のパーツ(12)は、前記第1のパーツ(11)が前記第2のパーツ(12)に挿入されることにより互いに連結され、前記各パーツ(11、12)は、前記継手(1)を通る液化ガス、好ましくは液化水素または液化ヘリウムの移送のために接続ポイント(10)で流動的に接続される内部液化ガス導管(11a、12a)を備え、前記第1のパーツ(11)および前記第2のパーツの一方は、ウォームシール(2)を備え、前記第2のパーツ(12)は、パージ開口(4)を備え、前記継手(1)は、コールドシール(3)を更に備え、前記コールドシール(3)は、前記内部液化ガス導管(11a、12a)から前記コールドシール(3)と前記ウォームシール(2)との間の領域(volume)を密閉するように配置され、
前記ウォームシールは、大気から前記第1のパーツと第2のパーツとの間の空間を遮断するように配置され、
前記継手(1)は、第1のロック位置および第2のロック位置を有するロック装置(6)を更に備え、
前記第1のロック位置において、前記第1のパーツ(11)は、前記第2のパーツ(12)に部分的に挿入され、前記第1のパーツ(11)と前記第2のパーツ(12)との間に空間(10a)を形成し、
前記ウォームシール(2)は、前記パージ開口(4)が前記空間(10a)と前記ウォームシール(2)との間に位置するようにはめ込まれ、前記第1のパーツ(11)と前記第2のパーツ(12)との間の領域のパージを可能し、
前記第2のロック位置において、前記第1のパーツ(11)は、前記第2のパーツ(12)に完全に挿入され、前記接続ポイント(10)において流体接続をなす、継手(1)。
【請求項2】
前記ウォームシール(2)は、前記ウォームシール(2)が前記パージ開口(4)と前記接続ポイント(10)との間にあるようにはめ込まれ、前記ウォームシールは、前記ウォームシールが前記パージ開口と前記接続ポイントとの間に位置するようにはめ込まれる、請求項1に記載の継手(1)。
【請求項3】
前記継手(1)が完全に接続されているとき、前記パージ開口(4)と前記接続ポイント(10)との間の距離(L1)は、前記ウォームシール(2)と前記接続ポイント(10)との間の距離(L2)より長い、請求項1または2に記載の継手(1)。
【請求項4】
前記第1のロック位置において、前記コールドシール(3)は、パージ経路が前記第1のパーツ(11)と前記第2のパーツ(12)パーツとの間で前記パージ開口(4)に対して開かれるように取り外され、
前記第2のロック位置において、前記コールドシール(3)がはめ込まれ、前記コールドシール(3)と前記ウォームシール(2)との間に閉鎖された領域を創出する、請求項1~3のいずれか一項に記載の継手(1)。
【請求項5】
前記ロック装置は、アクチュエーター(6e)を備え、前記アクチュエーター(6e)の作動なしに前記継手(1)が前記第1のロック位置を通過することを阻止する、請求項1~4のいずれか一項に記載の継手(1)。
【請求項6】
前記第1のパーツ(11)および前記第2のパーツ(12)は、前記第1のパーツ(11)および前記第2のパーツ(12)に配置される少なくとも1つの弁を有する弁配置(2a、2b)を更に含み、前記弁は、前記第1の液体導管(11a)と前記第2の液体導管(12a)とが接続されているとき、前記液化ガスを前記内部液化ガス導管(11a、12a)内に流し、前記第1の液体導管(11a)と前記第2の液体導管(12a)とが離れているとき、流れを阻止する、請求項1~5のいずれか一項に記載の継手(1)。
【請求項7】
緊急解除デバイス(8)を更に備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の継手(1)。
【請求項8】
前記緊急解除デバイス(8)は、緊急解除の際、前記第2のパーツ(12)の少なくとも一部分が分離され、分離後に前記第1のパーツ(11)に代わりに取り付けられるように、前記ロック装置と分離される、請求項7に記載の継手(1)。
【請求項9】
前記第1のパーツ(11)は、基部と弁頭とを備える弁(111)を有する第1の弁配置(2b)を含み、前記第2のパーツ(12)は、基部と弁頭とを備える弁(121)を有する第2の弁配置(3b)を含み、前記弁(111;121)の一方は、ばね仕掛けであり、前記弁(111;121)の他方は、前記弁配置(2b;3b)において定位置に配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載の継手(1)。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の継手(1)の第1の細長いパーツ(11)および第2の細長いパーツ(12)をパージし、接続する方法であって、
前記第1のパーツ(11)を前記第2のパーツ(12)に挿入する工程と、
第1のロック位置で前記第1のパーツ(11)と前記第2のパーツ(12)との間の領域をパージする工程と、
前記第1のパーツ(11)を前記第2のパーツ(12)に更に挿入し、第2のロック位置において前記継手(1)を完全に接続する工程と
を含む方法。
【請求項11】
前記継手(1)を通る液化ガスの移送の前に、前記内部液化ガス導管(11a、12a)をパージする追加的な工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記継手(1)を通る液化ガスの移送の後に、前記内部液化ガス導管(11a、12a)をパージする追加的な工程を含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
第1の細長いパーツ(11)および第2の細長いパーツ(12)を備える継手(1)であって、前記第1のパーツ(11)および前記第2のパーツ(12)は、前記第1のパーツ(11)が前記第2のパーツ(12)に挿入されることにより互いに連結され、前記各パーツ(11、12)は、前記継手(1)を通る液化ガス、好ましくは液化水素または液化ヘリウムの移送のために接続ポイント(10)で流動的に接続される内部液化ガス導管(11a、12a)を備え、前記第1のパーツ(11)および前記第2のパーツの一方は、ウォームシール(2)を備え、前記第2のパーツ(12)は、パージ開口(4)を備え、前記継手(1)は、コールドシール(3)を更に備え、前記コールドシール(3)は、前記内部液化ガス導管(11a、12a)から前記コールドシール(3)と前記ウォームシール(2)との間の領域を遮断するように配置され、
前記継手(1)が完全に接続されているとき、前記パージ開口(4)と前記接続ポイント(10)との間の距離(L1)は、前記ウォームシール(2)と前記接続ポイント(10)との間の距離(L2)より長い、継手(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手の第1のパーツと第2のパーツとの間の領域(volume)の安全なパージを可能にする、液化ガスの移送のために改良された継手に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野において、液化石油ガス(LPG)、液化天然ガス(LNG)、および液化窒素(LN2)などの液化ガス用の継手が知られている。また、クイックコネクターは、液化石油ガス(LPG)の航空燃料補給、充填、および排出などの化学的用途および石油化学的用途において、また液化天然ガス(LNG)の注入および補給などの極低温用途において、ドライディスコネクトカップリング(Dry Disconnect Coupling)として知られている。
【0003】
液化ガスは、様々な目的に使用されているが、その目的とは関係なく、効率性および安全性が重要な要素である。多くの例のうちの1つを挙げると、液化ガスは、燃料として使用でき、例えば、燃料補給所からトラックへの移送が必要となる。このような移送は当該技術分野では周知であるが、技術的に極低温用途における安全性の問題に十分に対処していないという欠点がある。ガスを液体状態で保管すると、通常、ガス形態で保管するよりも必要な空間が少なくなる。しかしながら、極低温用途においては、液化ガスは、屋外温度または室内温度よりもずっと前に気化し、温度の変化は、すぐに危険なものとなりうる。1例が液化水素(LH2)であり、大気圧下で液体状態を維持するためには約-253°C未満で保持する必要がある。
【0004】
液化ガスを移送するとき、継手は、重要で脆弱な部品であり、先行技術においては、熱橋、ならびに、例えば、空気およびその他の汚染物質を含むデッドスペースが存在する。極低温用途に対して、課題に部分的に対処するような、例えば、ジョンストンタイプの継手およびその他のタイプの真空絶縁継手など、様々な継手が知られている。
【0005】
液化水素を-253°Cで移送するとき、ヘリウムを除く他の全てのガスは、既に固体となっている。真空絶縁継手の不都合な点は、弁を有しないことであり、真空絶縁継手が大気にさらされていることを意味する。移送ライン内の空気が固体化するのを避けるためには、液化水素を供給する前に、空気を除去する必要がある。これには、高価なパージガスが大量に必要となる。移送後は、安全な接続が可能になる前に、移送ラインから水素を除去する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本解決策の目的は、漏出のない液化ガスの充填および排出のために使用され、信頼性および安全性が最大の関心事となる、安全なクイック継手、および安全なクイック継手のための方法を提供することである。
【0007】
本解決策の他の目的は、操作者に最低限の知識も要求することなく、継手の安全な操作を可能にすることである。
【0008】
本解決策の他の目的は、完全に分離された状態から完全に接続された状態へと、継手が1つの動作で操作されることを阻止することである。
【0009】
本解決策の他の目的は、継手の安全で効果的なパージを可能にすることである。
【0010】
本解決策の更に他の目的は、継手を分離する際の安全性を高めることである。
【0011】
本解決策は、ガスの量を最小限にするために、真空絶縁の統合遮断弁を提供するという考えに基づいており、操作の前後でパージが必要である。従って、本解決策は、第1の細長いパーツおよび第2の細長いパーツを備える継手であって、第1のパーツおよび第2のパーツは、第1のパーツが第2のパーツに挿入されることにより互いに連結され、各パーツは、継手を通る液化ガス、好ましくは液化水素または液化ヘリウムの移送のために接続ポイントで流動的に接続される内部液化ガス導管を備え、第1のパーツおよび第2のパーツの一方は、ウォームシールを備え、第2のパーツは、パージ開口を備え、継手は、コールドシールを更に備え、コールドシールは、内部液化ガス導管からコールドシールとウォームシールとの間の領域を密閉するように配置され、ウォームシールは、大気から第1のパーツと第2のパーツとの間の空間を遮断するように配置され、継手は、第1のロック位置および第2のロック位置を有するロック装置を更に備え、第1のロック位置において、第1のパーツは、第2のパーツに部分的に挿入され、第1のパーツと第2のパーツとの間に空間を形成し、ウォームシールは、パージ開口が空間とウォームシールとの間に位置するようにはめ込まれ、第1のパーツと第2のパーツとの間の領域のパージを可能し、第2のロック位置において、第1のパーツは、第2のパーツに完全に挿入され、接続ポイントにおいて流体接続をなす、継手に関する。
【0012】
好適な実施形態においては、ウォームシールは、ウォームシールがパージ開口と接続ポイントとの間にあるようにはめ込まれ、ウォームシールは、ウォームシールがパージ開口と接続ポイントとの間に位置するようにはめ込まれる。
【0013】
好適な実施形態においては、継手が完全に接続されているとき、パージ開口と接続ポイントとの間の距離は、ウォームシールと接続ポイントとの間の距離より長い。
【0014】
本解決策の1つの利点は、継手配置により安全なパージ位置が提供されることであり、第1の継手パーツと第2の継手パーツとの間の領域が安全にパージされる。別の利点は、第1の継手パーツおよび第2の継手パーツの弁配置間の領域も同時にパージ可能なことである。
【0015】
一実施形態によれば、ウォームシールおよびコールドシールは、アニュアル(annual)シールである。
【0016】
ウォームシールとコールドシールとの間の領域を密閉することにより、真空絶縁がなされることが、本解決策の1つの利点である。
【0017】
一実施形態によれば、第1のロック位置において、コールドシールは、パージ経路が第1のパーツと第2のパーツとの間でパージ開口に対して開かれるように取り外され、第2のロック位置において、コールドシールがはめ込まれ、コールドシールとウォームシールとの間に閉鎖された領域を創出する。
【0018】
一実施形態によれば、ロック装置は、可動ロックを備え、ロックの作動なしに継手が第1のロック位置を通過することを阻止する。
【0019】
第1のロック位置はユーザにとって必須であり、一実施形態においては、継手がこの位置で停止せずには接続できないことは、本解決策の1つの利点である。別の実施形態においては、継手は、第1のロック位置で停止せずには接続または分離できない。
【0020】
一実施形態によれば、第1のパーツおよび第2のパーツは、第1のパーツおよび第2のパーツに配置される少なくとも1つの弁を有する弁配置を更に含み、弁は、第1の液体導管と第2の液体導管とが接続されているとき、液化ガスを内部液化ガス導管内に流し、第1の液体導管と第2の液体導管とが離れているとき、流れを阻止する。
【0021】
継手全体で、両側に弁を1つずつだけ備えうることは、本解決策の1つの利点であるが、これは、ウォームシールおよびコールドシールが追加的な安全バリアを創出するためである。さらに、第1のロック位置を導入し、パージ位置で緩やかにまたは急に停止しないと継手の分離が完了できないようにすることにより、分離が完了する前、弁配置のいずれかの箇所での漏出がパージ開口により検出できる。
【0022】
一実施形態によれば、継手は、緊急解除デバイスを更に備える。
【0023】
一実施形態によれば、継手は、空気圧シリンダー、油圧シリンダー、または電動シリンダーのいずれか1つを動力源とする動力緊急解除継手を含む。一実施形態によれば、継手は、ブレイクスタッド(break stud)およびブレイクピン(break pin)のいずれかを備え、安全な緊急解除を可能にする。別の実施形態によれば、緊急解除デバイスは、継手を分離するために解除されるカラーを備える。
【0024】
一実施形態によれば、緊急解除デバイスは、緊急解除の際、第2のパーツの少なくとも一部分が分離され、分離後に第1のパーツに代わりに取り付けられるように、ロック装置と分離される。
【0025】
一実施形態によれば、第1のパーツは、基部と弁頭とを備える弁を有する第1の弁配置を含み、第2のパーツは、基部と弁頭とを備える弁を有する第2の弁配置を含み、前記弁の一方は、ばね仕掛けであり、前記弁の他方は、弁配置において定位置に配置される。
【0026】
継手の第1の細長いパーツおよび第2の細長いパーツをパージし、接続する1態様によれば、以下の工程が実施される:
-第1のパーツを第2のパーツに挿入する工程、
-第1のロック位置で第1のパーツと第2のパーツとの間の領域をパージする工程、
-第1のパーツを第2のパーツに更に挿入し、第2のロック位置において継手を完全に接続する工程。請求項10に記載の方法であって、継手(1)を通る液化ガスの移送の前に、内部液化ガス導管(11a、12a)をパージする追加的な工程を含む方法。
【0027】
好適な実施形態においては、継手を通る液化ガスの移送の前に、内部液化ガス導管をパージする追加的な工程がある。代替的にまたは追加的に、継手を通る液化ガスの移送の後に、内部液化ガス導管をパージする追加的な工程がある。
【0028】
本発明の別の態様によれば、第1の細長いパーツおよび第2の細長いパーツを備える継手であって、第1のパーツおよび第2のパーツは、第1のパーツが第2のパーツに挿入されることにより互いに連結され、各パーツは、継手を通る液化ガス、好ましくは液化水素または液化ヘリウムの移送のために接続ポイントで流動的に接続される内部液化ガス導管を備え、第1のパーツおよび第2のパーツの一方は、ウォームシールを備え、第2のパーツは、パージ開口を備え、継手は、コールドシールを更に備え、コールドシールは、内部液化ガス導管からコールドシールとウォームシールとの間の領域を遮断するように配置され、継手が完全に接続されているとき、パージ開口と接続ポイントとの間の距離は、ウォームシールと接続ポイントとの間の距離より長い、継手が提供される。
【0029】
本発明について、例として添付の図面を参照して、以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】一実施形態に係る継手を示す図であり、第1のパーツおよび第2のパーツが分離されている。
図2】継手が第1のパーツと第2のパーツとの間の領域のパージが可能な第1のロック位置にある状況における、一実施形態に係る継手を示す図である。
図2a】第1のロック位置におけるコールドシールの部分を示す図である。
図2b】第1のロック位置におけるウォームシールの部分およびそのパージ開口に対する位置を示す図である。
図3】一実施形態に係る継手を示す図であり、継手が第2のロック位置にあり、継手を通る液化ガスの移送が可能である。
図3a】第2のロック位置におけるコールドシールの部分を示す図である。
図3b】第2のロック位置におけるウォームシールの部分およびそのパージ開口に対する位置を示す図である。
図4】継手を示す図であり、緊急解除デバイスが解除されている。
図5】一実施形態を示す図であり、緊急解除デバイスが解除されており、第1の継手パーツと第2の継手パーツとの分離が完了している。
図6a】弁配置の一実施形態の詳細図である。
図6b】弁配置の一実施形態の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付の図面を参照の下、本解決策の様々な実施形態の詳細を開示する。本明細書に記載の全ての例は、概要の一部と見なすべきであり、そのため、一般的な用語を任意の方法で組み合わせることが可能である。様々な実施形態および態様の個々の特徴は、組み合わせまたは交換がデバイスまたは方法の全体的な機能と明らかに矛盾しない限り、組み合わせるまたは交換することができる。
【0032】
図1は、継手1の一実施形態を示し、第1のパーツ11および第2のパーツ12が示されている。図1において、パーツ11とパーツ12とは、連結されていない。第1のパーツ11は雄パーツであり、第2のパーツ12は雌パーツであり、第1のパーツは、第2のパーツに挿入されるように適合されている。典型的な用途においては、第1のパーツ11は、大抵、車、燃料タンク、燃料船、またはその他の液化ガスを受け取るための適切なユニットに設置されている。第2のパーツ12は、燃料補給所、搬送ユニット、軌道車、タンクローリー、または液化ガスを送り出すための類似のユニットに設置されている可能性が最も高い。しかしながら、本明細書に記載されている本解決策の範囲内で、他の配置も可能であることが理解される。
【0033】
図1は、本解決策の一実施形態を更に示し、継手1は、ローラー6b1をカム曲線6a1の入口に揃えることによりはめ込まれる。本解決策は、第1のロック位置および第2のロック位置を実現する特徴的な工程を提供する。しかしながら、他の解決策も同様に可能であることに注意すべきである。
【0034】
図1に示すような一実施形態においては、ユーザは、ロック装置ボタンを引き、ホースユニットである第2のパーツ12を前方に押して、ローラーをカム曲線にはめ込む。続いて、ロック装置がロック穴にロックされるまで、例えば、5度~10度回転させる。ローラーは、パージ位置とも呼ばれる第1のロック位置で第1のパーツ11に接続された第2のパーツ12を維持する。ロックピンは、ロック穴にロックされている。パージ後の処理を進めるため、ロック装置ボタンを引き、ローラーが第2のロック位置で回転を止めるまで、例えば、追加的に20度~50度回転させる。その過程で、弁がゆっくりと開き、ロック装置は第2のロック穴にロックされ、液化ガス導管間の接続が完了する。
【0035】
図1の実施形態で更に示されるように、ロック装置6の第1のセクション6aは、複数のカム曲線6a1を備え、ロック装置6の第2のセクション6bは、複数のローラー6b1を備える。各曲線6a1は、ロック装置6のセクション6aおよび6bが互いに接触しているとき、ローラー6b1と接触する。セクション6aおよび6b、ならびにロック装置6が第1のロック位置に達するまで、セクション6aおよび6bは互いに関連して回転し、各ローラー6b1はそれぞれのカム曲線6a1に差し込まれる。これがパージ位置であり、一実施形態においては、第1のロック位置からの動きは、アクチュエーター6eにより阻止される。アクチュエーター6eは、作動されると、分離へのまたは第2のロック位置への更なる動きを許可する。
【0036】
セクション6aおよび6bが互いに関連して更に回転すると、各ローラー6b1は、セクション6aおよび6bが最終停止終了位置である第2のロック位置に到着するまで、それぞれのカム曲線6a1に続けて差し込まれる。ロック装置6がこの停止位置にあるとき、一実施形態においては、ロック装置6のアクチュエーター6eは、終了位置に入り、継手1の第1のパーツ11と第2のパーツ12とを互いにロックする。アクチュエーター6eは、例えば、ロック装置6の第2のセクション6bにあるピンであり、ロック装置6の第1のセクション6aの穴と協調可能である。他の実施形態においては、動きは、他の方法で規制される。ロック装置6は、別の設計とすることができ、適切な任意の方法で2つの位置まで動かされうる。
【0037】
図2は、継手1、および継手1がどのように二重壁で真空絶縁された設計を有し、外部の空気の凝縮を回避し、継手1における熱橋を減少させるかを示す。継手1の第1のパーツ11は、弁体と、弁座を有する弁ガイドとを備える弁配置2bを含む。継手1の第2のパーツ12も、弁体と、弁座を有する弁ガイドとを備える弁配置3bを含む。
【0038】
第1のパーツ11および第2のパーツ12は、それぞれ、細長い形であり、パーツ11とパーツ12とが連結されているときに継手1を通る液化ガスの移送のための内部液化ガス導管11aおよび12aを備える。細長いことにより、第1のパーツ11および第2のパーツ12の内部を通る液化ガスの温度を制御し続け、ガスの温度上昇を遅らせることが可能になるが、これは、ウォームシール2とコールドシール3との間の領域により実現される(図3参照)。
【0039】
第1のパーツ11を第2のパーツ12に挿入する際、空気、水分、および極低温環境に対する他の汚染物質が継手1の周囲に存在し、第1のパーツ11と第2のパーツ12との間に閉じ込められる。この問題は、先行技術においては、継手の弁間のデッドスペースを最小限にすることにより低減されることが多いが、これでは問題を低減するのみである。本解決策においては、空気および汚染物を除去するため、継手は、完全に接続される前に第1のロック位置で停止し、弁配置2bと弁配置3bとの間の空間10a、および第1のパーツ11および第2のパーツ12の細長いパーツ間の空間を残す。この段階において、コールドシール3ははめ込まれおらず、本実施形態においては、第2のパーツから少し離れて位置している。空間10aは、第1のパーツ11および第2のパーツ12により囲まれ、ウォームシールにより大気から切り離される。従って、図2は、第1のパーツ11と第2のパーツ12とが接続されている第1のロック位置を示し、ウォームシール2ははめ込まれているが、コールドシール3ははめ込まれいない。さらに、この状態により、接続ポイント10の近くで、弁配置2bと弁配置3bとの間に、空間10aが形成される。
【0040】
図2に示すような第1のロック位置においては、従って、弁配置2bと弁配置3bとの間の領域および第1のパーツ11と第2のパーツ12との間の領域の両方をパージすることが可能である。これは、一実施形態においては、内部液化ガス導管11a、12aを介して少量の液化ガスを開放することにより実現し、液化ガスは空間10aに入り、第1のパーツ11の周囲から、かつパージ開口4を介して継手から出ていく。ウォームシール2は、液化ガスが大気中に入ることを阻止し、パージ開口4は、例えば、一実施形態においては、パージ戻り管4aに取り付けられ、液化ガスを分配システムまたは別の適切な保管場所に戻す。
【0041】
図2aは、コールドシール3の部分を示し、コールドシール3がどのようにはめ込まれずに第1のパーツと第2のパーツとの間を密閉するかを示す。その代わりとして、第1のパーツと第2のパーツとの間には距離があり、パージ開口4に向けて領域が開放されている。
【0042】
図2bは、パージ開口4およびウォームシール2の部分、およびそれらが第1のロック位置でどのように互いに関連して配置されているのかを示す。
【0043】
図3は、継手1の一実施形態を示し、継手1の第1のパーツ11と第2のパーツ12とは、第2のロック位置で完全に一緒に連結され、これにより、液化ガスを継手1の第1のパーツ11の導管11aから第2のパーツ12の導管12aに流すことができる。継手1の第1のパーツ11と第2のパーツ12とが離れているとき(例えば、図1参照)、少なくとも1つの弁体は対応する弁座へと促され、それぞれの液化ガス導管11aおよび12aを通る液化ガスの流れを阻止する。
【0044】
一実施形態においては、継手1は、第2のウォームシールを備え、大気から継手1を保護し、遮断する。第2のウォームシールは、第2のロック位置で大気からパージ開口4を更に遮断し、このとき、パージ開口4は、ウォームシール2と第2のウォームシールとの間にある。
【0045】
図3は、第1のパーツ11および第2のパーツ12がコールドシール3およびウォームシール2により外部から液化ガス導管をどのように遮断するかを更に示す。ウォームシール2は、パージ開口4を更に密閉し、たとえコールドシール3が密閉に失敗したとしても、漏出を阻止する。
【0046】
図3aは、コールドシール3の部分を示し、第2のロック位置でコールドシール3がどのようにはめ込まれて、第1パーツと第2のパーツとの間を密閉するかを、図2aと比較して示す。
【0047】
図3bは、パージ開口4およびウォームシール2の部分、およびそれらが第2のロック位置でどのように互いに関連して配置されているのかを、図2bと比較して示す。
【0048】
図4は、継手1の一実施形態を示し、緊急解除デバイス8は、第1のパーツ11と第2のパーツ12とを係合から解除している。図4に示すように、緊急解除デバイス8は、第1パーツと第2のパーツとを通常の操作とは異なる位置で分離させるが、図示するように、第2のパーツ12の一部は、第1のパーツ11になお接続されている。これにより、緊急解除デバイス8が第1のロック位置で停止するという継手1に対する要求を無効にすることが可能になる。緊急解除デバイス8の働きは、液化ガスの流れを停止させる緊急停止をもたらす。緊急停止により、継手1の第2のパーツ12から継手1の第1のパーツ11が分離され、移送系統の損傷が阻止される。
【0049】
緊急解除デバイス8は、継手1の第2のパーツ12に取り付けられるエレメントを備える。継手1が決定された望まない荷重または角度にさらされたとき、緊急解除デバイス8のエレメントが稼働する。
【0050】
一実施形態においては、継手1を分離させる必要があるとき、解除リングに取り付けられたワイヤが引き伸ばされる。続いて、解除リングがクランプ構造8aから外され、その後、クランプ構造8aが、フランジ8bの周囲のグリップを緩めることで、フランジ8bの円すい部分により外側に押し出される。継手1の第2のパーツ12の一部は、第1のパーツ11から外れ、ロック装置6から離れる。継手1の第2のパーツ12の外側にある停止フランジは、継手1の第2のパーツ12の細長いボディに沿って解除リングの動きを止める。弁配置2bおよび3bは、コールドシール3が外れる前に閉じられる。
【0051】
緊急解除デバイス8は、別の設計とすることができ、適切な任意の方法で動作されうる。例えば、動力緊急解除継手、ブレイクスタッド、ブレイクピン、または任意の他の適切な解決策である。
【0052】
図5は、緊急解除デバイス8により完全に解除された継手1の一実施形態を示す。
【0053】
図6aおよび図6bは、弁配置2b、3bの一実施形態を示し、図6aは、第2のロック位置における弁配置2b、3bを示し、図6bは、第1のロック位置における弁配置2b、3bを示す。弁配置2b、3bの各々は、弁111、121と、弁座挿入物112と、122、ばね114、124とを備え、各弁配置2b、3bが閉鎖状態から解放状態に至ることを可能にする。第2のパーツ12の弁座123は、図示された実施形態において、ばね124により留められている。第2のパーツの弁121は、その適切な位置に固定されている。第1のパーツ11の弁座112は、その適切な位置に固定され、第1のパーツ11の弁111は、ばね114により留められている。この単一のポペット弁配置支援により、二重弁間のデッドスペースが不要となるため、効果的なパージが可能となる。
【0054】
移送される製品が空気により汚染されないように、導管から空気を除去するためには、継手1を通る液化ガスの移送前に内部液化ガス導管11a、12aがパージされることが好ましい。それに対応して、内部液化ガス導管11a、12aは、継手を通る液化ガスの移送後にパージされ、例えば、空気と混合して可燃混合気を創出しうる水素の残余物を除去する。
【0055】
継手の好適な実施形態を説明してきた。これらが、独創的なアイデアから逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更されうることは理解されるであろう。例えば、ウォームシールは、第1のパーツ11の一部として記載されたが、第2のパーツ12の一部であってもよい。
図1
図2
図2a
図2b
図3
図3a
図3b
図4
図5
図6a
図6b
【国際調査報告】