(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】トリプル四重極質量分析計の給電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
H02J1/00 303
H02J1/00 309R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576227
(86)(22)【出願日】2022-12-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-16
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 CN2022144249
(87)【国際公開番号】W WO2024031927
(87)【国際公開日】2024-02-15
(31)【優先権主張番号】202210952233.6
(32)【優先日】2022-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522127379
【氏名又は名称】南京品生医療科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Nanjing Pinsheng Medical Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】East of floor 5, building 3, intelligent manufacturing Industrial Park (Zhicheng Park), No. 6, Zhida Road, Jiangbei new area, Nanjing, Jiangsu, China
(71)【出願人】
【識別番号】523453639
【氏名又は名称】浙江品玉精密科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG QJADE PRECISION TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】ROOM 2401, 24TH FLOOR, BUILDING 1, NO. 99 WANGZHOU ROAD, LIANGZHU SUB‐DISTRICT, YUHANG DISTRICT, HANGZHOU, ZHEJIANG 310000, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】成 ▲暁▼▲亮▼
(72)【発明者】
【氏名】▲魯▼ 涵
(72)【発明者】
【氏名】徐 ▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲偉▼
【テーマコード(参考)】
5G165
【Fターム(参考)】
5G165AA08
5G165BB05
5G165EA01
5G165FA01
5G165GA04
(57)【要約】
本発明は、電源入力モジュールと、シーケンサーと、出力制御モジュールとを含むトリプル四重極質量分析計の給電装置を提供する。電源入力モジュールは電源に接続され、電源入力モジュールの正極出力端子はシーケンサーに接続され、シーケンサーが電源の正極出力電圧を補助電圧とリレー制御信号に変換するようになっている。シーケンサーは電源入力モジュールに接続され、補助電圧とリレー制御信号を出力制御モジュールに送信することで、出力制御モジュールのオンオフを制御し、出力制御モジュールへのシーケンス電源投入を実現する。電源入力モジュールは出力制御モジュールに接続され、電源の入力電圧を出力制御モジュールに送信する。出力制御モジュールはシーケンサーの制御により、処理後の電源電圧をトリプル四重極質量分析計の電装部品に送信し、給電品質を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源入力モジュールと、シーケンサーと、出力制御モジュールとを含み、
前記電源入力モジュールは、電圧入力端子(1)、電圧出力端子(2)およびエネルギー貯蔵回路を含み、前記電圧入力端子(1)には電源が接続され、前記電源の入力電圧を受け取るために使用され、前記エネルギー貯蔵回路は前記電圧入力端子(1)を介して前記電源に接続され、前記エネルギー貯蔵回路は前記電圧出力端子(2)を介して前記シーケンサーと前記出力制御モジュールに接続され、前記電源の入力電圧を前記電圧出力端子(2)から出力し、
前記シーケンサーは単電圧入力端子(3)、補助電圧出力端子(4)、リレー信号出力端子(5)、変圧回路およびリレー信号回路を含み、前記単電圧入力端子(3)は前記電圧出力端子(2)の正極に接続され、前記変圧回路は前記単電圧入力端子(3)に接続され、前記変圧回路は前記電圧出力端子(2)の正電圧を補助電圧に変換するために使用され、前記補助電圧は前記電圧出力端子(2)の正電圧より低い、前記変圧回路は前記補助電圧出力端子(4)に接続され、前記補助電圧を前記補助電圧出力端子(4)を介して出力し、前記リレー信号回路は前記補助電圧出力端子(4)に接続され、前記リレー信号回路は前記補助電圧をリレー信号に変換するために使用され、前記リレー信号回路は、前記リレー信号を前記リレー信号出力端子(5)を介して出力するように前記リレー信号出力端子(5)に接続され、
前記出力制御モジュールは、主電圧入力端子(6)、補助電圧入力端子(7)、リレー信号入力端子(8)、総電圧出力端子(9)、およびリレー制御回路を含み、前記主電圧入力端子(6)は前記電圧出力端子(2)に接続され、前記補助電圧入力端子(7)は前記補助電圧出力端子(4)に接続され、前記リレー信号入力端子(8)は前記リレー信号出力端子(5)に接続され、前記リレー制御回路は前記リレー信号入力端子(8)に接続され、前記リレー信号に基づいて前記リレー制御回路のオンオフを制御し、前記リレー制御回路は前記補助電圧入力端子(7)に接続され、前記補助電圧が前記リレー制御回路に給電し、前記リレー制御回路は前記主電圧入力端子(6)、前記総電圧出力端子(9)に接続され、前記電源の入力電圧を出力する、ことを特徴とするトリプル四重極質量分析計の給電装置。
【請求項2】
前記エネルギー貯蔵回路は第1のコモンモードインダクタンスと第1のコンデンサを含み、前記第1のコモンモードインダクタンスと前記第1のコンデンサは並列に接続され、前記第1のコモンモードインダクタンスと前記第1のコンデンサは前記電圧入力端子(1)と前記電圧出力端子(2)との間に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載のトリプル四重極質量分析計の給電装置。
【請求項3】
前記電源入力モジュールはさらに電流制限回路を含み、前記電流制限回路は第一ヒューズおよび第一ダイオードを含み、前記第一ダイオードは前記第一ヒューズと並列に接続され、前記第一ヒューズは前記電圧入力端子(1)と直列に接続され、前記第一ダイオードは前記第1のコモンモードインダクタンスと並列に接続されている、ことを特徴とする請求項2に記載のトリプル四重極質量分析計の給電装置。
【請求項4】
前記変圧回路は集積回路チップと第二コンデンサとを含み、前記集積回路チップは前記第二コンデンサと並列に接続され、前記集積回路チップのピンは前記単電圧入力端子(3)に接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載のトリプル四重極質量分析計の給電装置。
【請求項5】
前記リレー信号回路は、第二ダイオードと、第三コンデンサと、充電抵抗と、少なくとも2つの第一金属酸化物半導体電界効果トランジスタとを含み、少なくとも2つの前記第一金属酸化物半導体電界効果トランジスタは互いに並列に接続され、前記第二ダイオードは前記充電抵抗と並列に接続され、前記第三コンデンサは前記充電抵抗と直列に接続され、前記第一金属酸化物半導体電界効果トランジスタは前記充電抵抗と並列に接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載のトリプル四重極質量分析計の給電装置。
【請求項6】
前記リレー制御回路はリレー、第三ダイオード、および第二金属酸化物半導体電界効果トランジスタを含み、前記リレーは前記第二金属酸化物半導体電界効果トランジスタと直列に接続され、前記第三ダイオードは前記リレーと並列に接続され、前記リレーは前記主電圧入力端子(6)、前記補助電圧入力端子(7)と直列に接続され、前記第二金属酸化物半導体電界効果トランジスタは前記リレー信号入力端子(8)と直列に接続され、前記リレーは前記総電圧出力端子(9)と直列に接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載のトリプル四重極質量分析計の給電装置。
【請求項7】
前記リレー制御回路はさらに第二ヒューズと第四ダイオードを含み、前記第二ヒューズと前記第四ダイオードは並列に接続され、前記第二ヒューズは前記リレーと前記総電圧出力端子(9)の間に直列に接続される、ことを特徴とする請求項6に記載のトリプル四重極質量分析計の給電装置。
【請求項8】
前記リレー制御回路はさらにフィルタ回路を含み、前記フィルタ回路は、第二コモンモードインダクタンスと、第4のコンデンサと、第五コンデンサと、フィルタ抵抗と三極管をと含み、前記フィルタ抵抗は前記第4のコンデンサと並列に接続され、前記第二コモンモードインダクタンスは前記第二ヒューズと直列に接続され、前記第二コモンモードインダクタンスは前記第4のコンデンサと並列に接続され、前記三極管のコレクタは前記第二コモンモードインダクタンスに接続され、前記三極管のベースと前記コレクタは前記総電圧出力端子(9)に接続され、前記第五コンデンサは前記三極管のベースと前記総電圧出力端子(9)の間に直列に接続されている、ことを特徴とする請求項7に記載のトリプル四重極質量分析計の給電装置。
【請求項9】
前記各出力制御モジュール内の前記リレー制御回路は対称に配置されている、ことを特徴とする請求項8に記載のトリプル四重極質量分析計の給電装置。
【請求項10】
さらに絶縁ケースを含み、前記電源入力モジュール、前記シーケンサーおよび前記出力制御モジュールはすべて前記絶縁ケース内に設置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のトリプル四重極質量分析計の給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回路の技術分野に関連し、特にトリプル四重極質量分析計の給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トリプル四重極質量分析計は生物学、水産学、環境科学技術と医療分野で使用される検出装置である。物質の気化、電子衝撃などの手段により、被検サンプルの質量負荷比を検出し、被検サンプルの成分を決定する。高感度、高速分析速度、低サンプル消費量などの特徴がある。
【0003】
臨床トリプル四重極質量分析計は使用するとき、専用の給電装置で給電する必要がある。しかし、トリプル四重極質量分析計の給電装置は複数組の多重給電需要に直面しているため、給電装置の設計は非常に重要である。給電回路の各組はノイズクロストークの問題に直面し、電源品質に大きく影響する。
【0004】
給電装置の回路間のクロストークを避けるため、通常トリプル四重極質量分析計には複数組の独立した装置を用いて給電を行う。しかし、複数組の独立した電源を採用すると、給電コストが大幅に増加し、また複数組の給電回路に同時に電源が投入されると、電源投入時の瞬間的な電流需要が大きすぎて、後続の電気機器の需要を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、トリプル四重極質量分析計の給電装置が給電需要を満たすことができないという問題を解決するために、トリプル四重極質量分析計の給電装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が提供するトリプル四重極質量分析計の給電装置は、電源入力モジュールと、シーケンサーと、出力制御モジュールとを含む。
【0007】
電源入力モジュールは、電圧入力端子、電圧出力端子およびエネルギー貯蔵回路を含む。電圧入力端子には電源が接続され、電源の入力電圧を受け取るために使用される。エネルギー貯蔵回路は電圧入力端子を介して電源に接続され、エネルギー貯蔵回路は電圧出力端子を介してシーケンサーと出力制御モジュールに接続され、電源の入力電圧を電圧出力端子から出力する。
【0008】
シーケンサーは単電圧入力端子、補助電圧出力端子、リレー信号出力端子、変圧回路およびリレー信号回路を含む。単電圧入力端子は電圧出力端子の正極に接続され、変圧回路は単電圧入力端子に接続され、変圧回路は電圧出力端子の正電圧を補助電圧に変換するために使用され、補助電圧は電圧出力端子の正電圧より低い。変圧回路は補助電圧出力端子に接続され、補助電圧を補助電圧出力端子を介して出力する。リレー信号回路は補助電圧出力端子に接続され、リレー信号回路は補助電圧をリレー信号に変換するために使用される。リレー信号回路は、リレー信号をリレー信号出力端子を介して出力ようにリレー信号出力端子に接続される。
【0009】
出力制御モジュールは、主電圧入力端子、補助電圧入力端子、リレー信号入力端子、総電圧出力端子、およびリレー制御回路を含む。主電圧入力端子は電圧出力端子に接続され、補助電圧入力端子は補助電圧出力端子に接続され、リレー制御入力端子はリレー信号出力端子に接続され、リレー制御回路はリレー信号入力端子に接続され、リレー信号に基づいてリレー制御回路のオンオフを制御する。リレー信号回路は補助電圧入力端子に接続され、補助電圧がリレー信号回路に給電する。リレー制御回路は主電圧入力端子、総電圧出力端子に接続され、電源の入力電圧を出力する。
【0010】
電源入力モジュールは出力制御モジュールに接続されており、電源の入力電圧が処理されて出力制御モジュールに送信される。出力制御モジュールはシーケンサーの制御により、処理された電源電圧を電気機器に送信し、給電装置の給電品質を確保する。
【0011】
オプションとして、エネルギー貯蔵回路は第1のコモンモードインダクタンスと第1のコンデンサを含み、第1のコモンモードインダクタンスと第1のコンデンサは並列に接続され、第1のコモンモードインダクタンスと第1のコンデンサは電圧入力端子と電圧出力端子との間に配置される。第一コモンモードインダクタンスと第一コンデンサにより、エネルギー貯蔵回路においてパッシブフィルタとエネルギー貯蔵機能を実現する。
【0012】
オプションとして、電源入力モジュールはさらに電流制限回路を含み、電流制限回路は第一ヒューズおよび第一ダイオードを含む。第一ダイオードは第一ヒューズと並列に接続され、第一ヒューズは電圧入力端子と直列に接続され、第一ダイオードは第一コモンモードインダクタンスと並列に接続されている。第一ヒューズと第一ダイオードによりエネルギー貯蔵回路を限流保護する。
【0013】
オプションとして、変圧回路は集積回路チップと第二コンデンサとを含み、集積回路チップは第二コンデンサと並列に接続され、集積回路チップのピンは単電圧入力端子に接続されて、電源の入力電圧を元の電圧の半分に変換する。
【0014】
オプションとして、リレー信号回路は、第二ダイオードと、第三コンデンサと、充電抵抗と、少なくとも2つの第一金属酸化物半導体電界効果トランジスタとを含み、少なくとも2つの第一金属酸化物半導体電界効果トランジスタは互いに並列に接続され、第二ダイオードは充電抵抗と並列に接続され、第三コンデンサは充電抵抗と直列に接続され、第一金属酸化物半導体電界効果トランジスタは充電抵抗と並列に接続されている。通電後、第二ダイオードと充電抵抗の協働により、充電抵抗を介して第三コンデンサを充電する。第三の抵抗が充電された後、第一の金属酸化物半導体電界効果トランジスタのオン閾値に達し、対応する出力制御モジュールのリレー制御回路がオンになる。
【0015】
オプションとして、リレー制御回路はリレー、第三ダイオード、および第二金属酸化物半導体電界効果トランジスタを含み、リレーは第二金属酸化物半導体電界効果トランジスタと直列に接続され、第三ダイオードはリレーと並列に接続され、リレーは主電圧入力端子、補助電圧入力端子と直列に接続され、第二金属酸化物半導体電界効果トランジスタはリレー信号入力端子と直列に接続され、リレーは総電圧出力端子と直列に接続され、リレーを介して出力制御モジュールのオンオフを制御する。
【0016】
オプションとして、リレー制御回路はさらに第二ヒューズと第四ダイオードを含み、第二ヒューズと第四ダイオードは並列に接続され、第二ヒューズはリレーと総電圧出力端子の間に直列に接続され、出力電流を保護する。
【0017】
オプションとして、リレー制御回路はさらにフィルタ回路を含み、フィルタ回路は、第二コモンモードインダクタンスと、第4のコンデンサと、第五コンデンサと、フィルタ抵抗と、三極管とを含み、フィルタ抵抗は第4のコンデンサと並列に接続され、第二コモンモードインダクタンスは第二ヒューズと直列に接続され、第二コモンモードインダクタンスは第4のコンデンサと並列に接続され、三極管のコレクタは第二コモンモードインダクタンスに接続され、三極管のベースとコレクタは総電圧出力端子に接続され、第五コンデンサは三極管のベースと総電圧出力端子の間に直列に接続され、フィルタ回路を構成する。
【0018】
オプションとして、各出力制御モジュール内のリレー制御回路は対称に配置されている。アクティブフィルタ回路を構成し、各回路からのノイズクロストークを回避する。
【0019】
オプションとして、装置はさらに絶縁ケースを含み、電源入力モジュール、シーケンサーおよび出力制御モジュールはすべて絶縁ケース内に設置されている。これにより、漏電が回避され、給電装置の安全性が向上する。
【0020】
以上の技術的解決策から、本発明は、電源入力モジュールと、シーケンサーと、出力制御モジュールとを含むトリプル四重極質量分析計の給電装置を提供する。電源入力モジュールは、電源の入力電圧を受け取るように電源に接続されている。電源入力モジュールは、エネルギー貯蔵回路と電流制限回路を備えており、入力電圧はエネルギー貯蔵回路と電流制限回路を通じて電流制限され、フィルタリングされるため、電源入力モジュールの回路を保護し、入力電圧中の妨害信号の作用を抑制する。電源入力モジュールの正極出力端子はシーケンサーに接続されており、シーケンサーは変圧回路とリレー信号回路を含み、シーケンサーが電源の正極出力電圧を補助電圧とリレー制御信号に変換することを可能にする。補助電圧は後続のリレー信号回路を駆動し、出力制御モジュールに給電するために使用され、リレー制御信号は出力制御モジュールのオンオフを制御するために使用される。シーケンサーは電源入力モジュールに接続され、補助電圧とリレー制御信号を出力制御モジュールに送信し、リレー制御信号により出力制御モジュールの回路のオンオフを制御することで、出力制御モジュールへのシーケンス電源投入を実現する。電源入力モジュールは出力制御モジュールに接続され、電源の入力電圧を出力制御モジュールに送信する。出力制御モジュールはリレー制御回路を含み、リレー制御回路ではアクティブフィルタ回路により各回路間のノイズクロストークを回避し、ヒューズとダイオードにより出力される電源電圧を保護する。出力制御モジュールはシーケンサーの制御により、処理後の電源電圧をトリプル四重極質量分析計の電装部品に供給し、給電品質を向上させる。また、装置の外側には絶縁ケースが設けられ、装置使用中の感電の問題を回避し、装置の安全性を確保している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の請求項をより明確に説明するために、実施形態で必要とされる図面について以下に簡単に説明するが、当業者にとっては、創造的な労力を払うことなく、これらの図面から他の図面を得ることもできることは明らかである。
【
図1】トリプル四重極質量分析計の給電装置の接続構造を示す図である。
【
図2】本発明の実施例における電源入力モジュールの内部回路図である。
【
図3】本発明の実施例におけるシーケンサーの内部回路図である。
【
図4】本発明の実施例における出力制御モジュールの内部回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施例について詳細に説明する。その例を図面に示す。以下の説明が図面に関連する場合、特に示されない限り、異なる図面中の同じ数字は同じ要素または類似する要素を表す。以下の実施例で説明する実施形態は、本発明と一致するすべての実施形態を示すものではなく、特許請求の範囲に詳述された、本発明のいくつかの態様と一致するシステムおよび方法の例にすぎない。
【0023】
臨床トリプル四重極質量分析計は使用するとき、専用の給電装置で給電する必要がある。しかし、トリプル四重極質量分析計の給電装置は複数組の多重給電需要に直面しているため、給電装置の設計は重要である。また、各組の給電回路間はノイズクロストークの問題に直面し、電源品質に大きく影響する。
【0024】
給電装置の回路間のクロストークを避けるため、通常トリプル四重極質量分析計には複数組の独立した装置を用いて給電を行う。しかし、複数組の独立した電源を採用することは、給電コストを大幅に増加させる。また、複数組の給電が同時に投入された場合、投入された瞬間の電流需要が大きすぎて、後続の電気機器需要を満たすことができない。また、正と負の電源を同時に投入する必要がある電気機器では、正と負の電源供給時間が大きく異なり、電気機器が損傷する可能性がある。
【0025】
上記課題を解決するために、
図1を参照して、本発明は、電源入力モジュールと、シーケンサーと、出力制御モジュールとを含むトリプル四重極質量分析計の給電装置を提供する。
【0026】
電源入力モジュールは、電圧入力端子1、電圧出力端子2およびエネルギー貯蔵回路を含む。電圧入力端子1には電源が接続され、電源の入力電圧を受け取るために使用される。エネルギー貯蔵回路は電圧入力端子1を介して電源に接続され、エネルギー貯蔵回路は電圧出力端子2を介してシーケンサーと出力制御モジュールに接続され、電源の入力電圧を電圧出力端子2から出力する。
図1に示すように、
図1中の2つの電圧出力端子2のうちの上側が正極、下側が負極である。
【0027】
例えば、電圧入力端子1に24Vの電源を接続すると、
図1の上下の2つの電圧入力端子1はそれぞれ±24Vの電圧に接続される。±24Vの電圧はエネルギー貯蔵回路で処理された後、
図1の上下の2つの電圧出力端子2から±24Vの電圧が出力される。
【0028】
トリプル四重極装置は電源リプルと過渡応答に対して同時に高い要求があるため、スイッチング電源を使用する場合、フィルタ能力と過渡応答に矛盾があり、リニア電源を使用する場合、その体積が大きすぎて、臨床のトリプル四重極装置への応用には適さない。したがって、いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵回路は第1のコモンモードインダクタンスと第1のコンデンサを含み、第1のコモンモードインダクタンスと第1のコンデンサは並列に接続され、第1のコモンモードインダクタンスと第1のコンデンサは電圧入力端子1と電圧出力端子との間に配置される。電子回路では、インダクタンスコイルは交流を制限する。インダクタンスの誘導性リアクタンスの以下の式と組み合わせる。
【0029】
XL=2πfL
式中、XLは誘導性リアクタンス、fは周波数、Lはインダクタンスである。
【0030】
インダクタンスの誘導性リアクタンスの式から、インダクタンスLが大きいほど、周波数fが高いほど誘導性リアクタンスXLが大きくなることがわかる。したがって、インダクタンスコイルは低周波を通過させ、高周波を遮断する役割を持ち、これがインダクタンスのフィルタ原理である。回路におけるインダクタンスの最も一般的な役割はコンデンサCとともにLCフィルタ回路を構成することである。コンデンサは「直流を遮断し交流を通過させる」という特性を持ち、インダクタンスは「直流を通過させ、交流を遮断し、低周波を通過させ、高周波を遮断する」という特性を持つ。
【0031】
例えば、
図2に示すように、妨害信号を伴う直流電圧(+U)はFL1とC1で構成されるフィルタ回路を通過するが、交流妨害信号の大部分はコモンモードインダクタンスFL1によって阻止吸収されて磁気感と熱エネルギーになり、残りの大部分は第一コンデンサC1にバイパスされて接地され、妨害信号の作用を抑制し、電圧出力端2では比較的純粋な直流電流を出力することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、電源入力モジュールは電流制限回路をさらに含み、電流制限回路は第一ヒューズおよび第一ダイオードを含む。第一ダイオードは第一ヒューズと並列に接続され、第一ヒューズは電圧入力端子1と直列に接続され、第一ダイオードは第一コモンモードインダクタンスと並列に接続されている。例えば、
図2に示すように、第一ヒューズF1と第一ダイオードD1で電流制限回路を構成する。第一ヒューズF1と第一ダイオードD1は逆接防止機能を有しており、直流電源の極性が間違って接続されていない場合、直流電圧(+U)がヒューズを通じて負荷の両端に印加され、第一ヒューズF1の直流抵抗が非常に小さいため、直流電圧に対する損失も無視できるほど小さい。直流電源の正極と負極が逆に接続されると、第一ダイオードD1がオンになり、このとき負荷の両端の電圧が第一ダイオードD1の順方向電圧降下付近にクランプされ、第一ヒューズF1に流れる電流が非常に大きくなり、第一ヒューズF1が溶断して負荷を保護する。第一ヒューズF1が自己回復ヒューズである場合、このとき第一ヒューズF1の抵抗が非常に大きくなり、負荷に流れる電流が極めて小さくなり、負荷を保護することもできる。電流はヒューズF1を通過した後、電流制限の役割を果たし、回路を保護する。
【0033】
図2に示すように、
図2中のP1は電圧入力端子1、aは電圧入力端子1の正極、dは電圧入力端子1の負極、b、cはそれぞれ接地端である。e、fはそれぞれ電圧出力端2の正極出力端子と負極出力端子である。このうち、正極の回路ループと負極の回路ループは同じである。例えば、正極の回路を例にとると、P1に24Vの電源が接続されている場合、a端子には+24Vの電圧が入力され、+24Vの電圧は電流制限回路とエネルギー貯蔵回路で処理され、電圧出力端子2のe端子には妨害信号の少ない+24Vの電圧が出力される。同様に、負極の回路は最終的に電圧出力端子2のf端子に妨害信号の少ない-24Vの電圧を出力する。
【0034】
電圧出力端子2の正極はシーケンサーに接続されている。
図1を参照して、シーケンサーは単電圧入力端子3、補助電圧出力端子4、リレー信号出力端子5、変圧回路およびリレー制御回路を含む。このうち、単電圧入力端子3は電圧出力端子2の正極に接続され、変圧回路は単電圧入力端子3に接続される。変圧回路は電圧出力端子の正電圧を補助電圧に変換するために使用される。ここで、補助電圧は電圧出力端子2の正電圧より低い。例えば、電源入力モジュールが24Vの電源に接続されている場合、電源が電源入力モジュールによって処理された後、電圧出力端子2の正極に+24Vの電圧が入力される。電圧出力端子2の正極はシーケンサーの単電圧入力端子3に接続され、単電圧入力端子3は+24Vの電圧をシーケンサーに導入する。+24Vの電圧は変圧回路を経た後、+24Vより低い補助正電圧に変換され、後続の回路を駆動する。
【0035】
いくつかの実施形態では、
図3を参照して、変圧回路は集積回路チップと第二コンデンサとを含み、集積回路チップは第二コンデンサと並列に接続され、集積回路チップのピンは単電圧入力端子3に接続されている。例えば、集積回路チップにはLM7812を採用することができる。LM7812は3段電圧安定化集積回路ICチップ部品であり、さまざまな電源電圧安定化回路に適用され、良好な出力安定性、使いやすさ、出力過電流、過熱自動保護などの利点がある。
図3に示すように、第二コンデンサはC1、C2であり、+Uは電源入力モジュールによって出力される正電圧であり、+uは変圧回路によって変換された電圧である。例えば、電源入力モジュールが24Vの電源に接続されている場合、+Uは+24Vになる。C1とC2はともに1μFであるため、
図3の回路では、+uの値は+Uの半分、すなわち補助電圧+uの電圧値は+12Vとなる。
【0036】
変圧回路は補助電圧出力端子4に接続され、補助電圧を補助電圧出力端子4を介して出力する。リレー信号回路は補助電圧出力端子4に接続され、リレー信号回路は補助電圧をリレー信号に変換するために使用される。
【0037】
いくつかの実施形態では、
図3を参照して、リレー信号回路は、第二ダイオードと、第三コンデンサと、充電抵抗と、少なくとも2つの第一金属酸化物半導体電界効果トランジスタとを含む。このうち、少なくとも2つの第一金属酸化物半導体電界効果トランジスタは互いに並列に接続され、第二ダイオードは充電抵抗と並列に接続され、第三コンデンサは充電抵抗と直列に接続され、第一金属酸化物半導体電界効果トランジスタは充電抵抗と並列に接続されている。金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor,MOS)は、電界効果トランジスタの中の絶縁ゲート型に属する。そのため、MOS管は絶縁ゲート電界効果トランジスタと呼ばれることがあり、増幅回路やスイッチング回路に一般的に使用されている。
図3に示すように、RELAY-CTLnはリレー信号回路が出力するリレー信号で、各リレー信号回路は一組のリレー信号を出力することができ、リレー信号回路の数は出力制御モジュールの数と等しい。例えば、RELAY-CTL1に対応するリレー信号回路を例にとると、R7は10MΩ、R1とR4はともに1KΩ、C3は1μF、Q1とQ2はともにAO3400Aを採用し、補助電圧は+12Vである。
図3中の第二ダイオードD1は充電抵抗R7と並列に接続され、+12Vの補助電圧が接続された後、C3の両端の初期電圧は0になり、第二ダイオードD1はオフになり、約1s後にC3の両端電圧はQ1のオン閾値に達し、このときQ2のゲートはローレベルになる。Q2オフ後、RELAY-CTL1はハイレベルになる。同様に、RELAY-CTL1はR8でC4を充電し、同じ回路を経て、RELAY-CTL1がオンになった直後にRELAY-CTL2がオンにされ、RELAY-CTLnに順次カスケード接続される。給電装置が他の電気機器に給電した後、C3、C4、C5はD1、D2、D3を介して放電され、初期状態に戻る。リレー制御回路はリレー信号出力端子5に接続され、リレー信号RELAY-CTLnをリレー信号出力端子5を介して出力制御モジュールに出力する。
【0038】
出力制御モジュールは主電圧入力端子6、補助電圧入力端子7、リレー信号入力端子8、総電圧出力端子9とリレー制御回路を含む。
図1を参照して、主電圧入力端子6は電圧出力端子2に接続され、補助電圧入力端子7は補助電圧出力端子4に接続され、リレー信号入力端子8はリレー信号出力端子5に接続されている。リレー制御回路はリレー信号入力端子8に接続され、リレー信号に基づいてリレー制御回路のオンオフを制御する。リレー制御回路は補助電圧入力端子7に接続され、補助電圧がリレー制御回路に給電することができるようになっている。リレー制御回路は主電圧入力端子6、総電圧出力端子9に接続され、電源の入力電圧を出力する。
【0039】
いくつかの実施形態では、
図4を参照して、リレー制御回路はリレー、第三ダイオード、第二金属酸化物半導体電界効果トランジスタを含む。このうち、リレーは第二金属酸化物半導体電界効果トランジスタと直列に接続され、第三ダイオードはリレーと並列に接続され、リレーは主電圧入力端子6、補助電圧入力端子7と直列に接続され、第二金属酸化物半導体電界効果トランジスタはリレー信号入力端子8と直列に接続され、リレーは総電圧出力端子9と直列に接続されている。出力制御モジュールは複数あり、各出力制御モジュール内のリレー制御回路は対称に配置されている。リレーは電気制御装置で、入力量の変化が所定の要件に達したとき、電気出力回路の制御量を所定のステップ変化させる電気機器である。リレーは制御システムと被制御システムを有し、通常自動化された制御回路に応用され、回路内の自動調節、安全保護、スイッチング回路などの役割を果たしている。
図4に示すように、第二金属酸化物半導体電界効果トランジスタQ1とQ4はリレーを制御し、リレーを介して電源の入力電圧出力のスイッチング制御を行う。
図4において、P1は総電圧出力端子9である。RELAY-CTL1がハイレベルになると、対応するリレーがオンになり、電源の入力電圧(+U)がP1側から出力され、P1側にトリプル四重極質量分析計が接続され、給電装置によるトリプル四重極質量分析計への給電が完了する。
【0040】
いくつかの実施形態では、
図4を参照して、リレー制御回路はさらに第二ヒューズと第四ダイオードを含み、第二ヒューズと第四ダイオードは並列に接続され、第二ヒューズはリレーと総電圧出力端子9の間に直列に接続される。
図4に示すように、第二ヒューズF1、F2と第四ダイオードD2、D3は保護回路を構成し、出力される電流を保護する。
【0041】
いくつかの実施形態では、リレー制御回路はフィルタ回路をさらに含む。ここで、フィルタ回路は、第二コモンモードインダクタンスと、第4のコンデンサと、第五コンデンサと、フィルタ抵抗と三極管をと含み、フィルタ抵抗は第4のコンデンサと並列に接続され、第二コモンモードインダクタンスは第二ヒューズと直列に接続され、第二コモンモードインダクタンスは第4のコンデンサと並列に接続され、三極管のコレクタは第二コモンモードインダクタンスに接続され、三極管のベースとコレクタは総電圧出力端子9に接続され、第五コンデンサは三極管のベースと総電圧出力端子9の間に直列に接続されている。
図4に示すように、第二コモンモードインダクタンス、第4コンデンサはパッシブフィルタ回路を構成し、R3、R4、C3、C2、Q2、Q3はアクティブフィルタ回路を構成し、各回路間のノイズクロストークを回避する。
【0042】
給電装置の安全性を確保するために、いくつかの実施形態では、装置はさらに絶縁ケースを含み、電源入力モジュール、シーケンサー、出力制御モジュールはすべて絶縁ケース内に設置されている。絶縁ケースの絶縁特性を利用して、給電装置の使用中の感電現象を避けることができる。このうち、絶縁ケースは、ABS、HIPS、PP、PE、PVC、PUなどのプラスチック材料で作ることができる。
【0043】
上記の技術的解決策から、本発明は、電源入力モジュールと、シーケンサーと、出力制御モジュールとを含むトリプル四重極質量分析計の給電装置を提供する。電源入力モジュールは電源に接続され、電源入力モジュールの正極出力端子はシーケンサーに接続され、シーケンサーが電源の正極出力電圧を補助電圧とリレー制御信号に変換するようになっている。シーケンサーは電源入力モジュールに接続され、補助電圧とリレー制御信号を出力制御モジュールに送信し、出力制御モジュールのオンオフを制御し、出力制御モジュールへのシーケンス電源投入を実現する。電源入力モジュールは出力制御モジュールに接続され、電源の入力電圧を出力制御モジュールに送信する。出力制御モジュールはシーケンサーの制御により、処理後の電源電圧をトリプル四重極質量分析計の電装部品に送信し、給電品質を向上させる。
【0044】
本発明が提供するトリプル四重極質量分析計の給電装置は、複数組の多重給電需要を満たし、各組の給電回路間のノイズクロストークを回避し、給電品質を保証することができる。シーケンス電源投入により、単一電源の多重電源同時投入による電源投入時間の差の問題を回避でき、給電品質が高く、安全性が高いなどの利点がある。
【0045】
本発明で提供される実施例間の類似する部分は相互に参照すればよく、上で提供される具体的な実施形態は本発明の一般的な構想の下のいくつかの例にすぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。当業者にとっては、創造的な労力を支払うことなく、本発明の解決策に基づいて拡張された他のいかなる実施形態も本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0046】
1 電圧入力端子
2 電圧出力端子
3 単一電圧入力端子
4 補助電圧出力端子
5 リレー信号出力端子
6 主電圧入力端子
7 補助電圧入力端子
8 リレー信号入力端子
9 総電圧出力端子
【国際調査報告】