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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】支持装置及び細胞培養システム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/28 20060101AFI20240905BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C12M1/28
C12M1/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576409
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 JP2022035073
(87)【国際公開番号】W WO2023054082
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2021160269
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507114521
【氏名又は名称】テルモ ビーシーティー、インコーポレーテッド
【住所又は居所原語表記】10811 West Collins Avenue, Lakewood, Colorado 80215, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 政嗣
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029AA09
4B029BB01
4B029DG08
4B029GA06
4B029GB05
4B029HA05
(57)【要約】
細胞培養システム(10)は、細胞培養デバイス(12)と支持装置(14)とを備える。細胞培養デバイス(12)は、培養部(28)と、サンプリング部(20)とを備える。支持装置(14)は、筐体(162)とサンプリング支持部(146)とを有する。筐体(162)は、培養部(28)を収容するための収容室(166)を有する。サンプリング支持部(146)は、サンプリング回路部(86)を着脱可能である。サンプリング支持部(146)は、筐体(162)の外面(204)に取り付けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を培養するバイオリアクターを含む培養部と、前記細胞の培養に用いられた培地を前記培養部から採取するサンプリング部と、を備え、
前記サンプリング部は、
サンプリング回路部と、
前記培養部と前記サンプリング回路部とを互いに繋ぐサンプリング流路と、を有する、細胞培養デバイスを支持する支持装置であって、
前記培養部を収容するための収容室を有する筐体と、
前記サンプリング回路部を着脱可能なサンプリング支持部と、を有し、
前記サンプリング支持部は、前記筐体の外面に取り付けられている、支持装置。
【請求項2】
請求項1記載の支持装置であって、
前記筐体は、
前記収容室を有する筐体本体と、
前記筐体本体に取り付けられて前記収容室を開閉する扉部と、を含み、
前記サンプリング支持部は、前記扉部の外面に取り付けられている、支持装置。
【請求項3】
請求項2記載の支持装置であって、
前記バイオリアクターを着脱可能なリアクタ支持部を備え、
前記リアクタ支持部は、前記扉部の内面に固定されている、支持装置。
【請求項4】
請求項3記載の支持装置であって、
前記扉部は、前記サンプリング流路を通すための貫通孔を有している、支持装置。
【請求項5】
請求項1記載の支持装置であって、
前記筐体は、
前記収容室を有する筐体本体と、
前記筐体本体に取り付けられて前記収容室を開閉する扉部と、を有し、
前記サンプリング支持部は、前記筐体本体の外面に取り付けられている、支持装置。
【請求項6】
請求項5記載の支持装置であって、
前記サンプリング支持部は、前記筐体本体の前記外面のうち前記扉部に隣接するとともに水平方向を向いた側面に取り付けられている、支持装置。
【請求項7】
請求項6記載の支持装置であって、
前記側面には、前記サンプリング流路を通すための貫通孔が開口している、支持装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の支持装置と、
前記細胞培養デバイスと、を備える、細胞培養システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持装置及び細胞培養システムに関する。
【背景技術】
【0002】
細胞培養システムは、細胞培養デバイスと、細胞培養デバイスを支持する支持装置とを備える。細胞培養デバイスは、バイオリアクターと、サンプリング部とを有する(例えば、米国特許第9442047号明細書参照)。バイオリアクターは、細胞を培養する。サンプリング部は、細胞の培養に用いられた培地を採取する。
【発明の概要】
【0003】
ところで、細胞培養システムは、クリーンルーム内に配置する必要がある。そのため、支持装置は、極力コンパクトにすることが望ましい。
【0004】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【0005】
本発明の一態様は、細胞を培養するバイオリアクターを含む培養部と、前記細胞の培養に用いられた培地を前記培養部から採取するサンプリング部と、を備え、前記サンプリング部は、サンプリング回路部と、前記培養部と前記サンプリング回路部とを互いに繋ぐサンプリング流路と、を有する、細胞培養デバイスを支持する支持装置であって、前記培養部を収容するための収容室を有する筐体と、前記サンプリング回路部を着脱可能なサンプリング支持部と、を有し、前記サンプリング支持部は、前記筐体の外面に取り付けられている、支持装置である。
【0006】
本発明の他の態様は、上述した支持装置と、前記細胞培養デバイスと、を備える、細胞培養システムである。
【0007】
本発明によれば、サンプリング支持部を筐体の外面に取り付けている。そのため、サンプリング支持部を筐体から離れた場所に配置する場合と比較して、支持装置をコンパクトにすることができる。また、サンプリング支持部を筐体から離れた場所に配置する場合と比較して、サンプリング流路を短くすることができるため、サンプリング部に採取する培地の量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る細胞培養システムの模式的回路図である。
図2図2は、図1の培養処理部の模式的回路図である。
図3図3は、図1の細胞培養システムの斜視図である。
図4図4は、図3の細胞培養システムの扉部を開いた状態を示す斜視図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態に係る細胞培養システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る細胞培養システム10は、生体組織から分離した細胞を培地中で培養(増殖)する。細胞培養システム10に用いられる細胞は、接着細胞である。ただし、細胞培養システム10に用いられる細胞は、浮遊細胞であってもよい。具体的に、細胞培養システム10に用いられる細胞としては、例えば、ES細胞、iPS細胞、間葉系幹細胞等が挙げられる。細胞培養システム10に用いられる細胞は、上述した細胞に限定されない。
【0010】
細胞培養システム10は、細胞培養デバイス12と、支持装置14と、コントローラ16とを備える。細胞培養デバイス12内には、細胞液、培地、洗浄液及び剥離液の少なくともいずれかを含む液体が流動する。
【0011】
細胞液は、細胞を含む溶液である。培地は、細胞を増殖させるための培養液である。培地は、培養する細胞に応じて選択される。培地としては、例えば、MEM(Minimum Essential Medium)、緩衝塩類溶液(Balanced Salt Solution:BSS)、FBS(牛胎児血清)、L-アラニン-L-グルタミン・ジペプチド(GlutaMAX)入りMEMα等が用いられる。洗浄液は、細胞培養デバイス12内を洗浄する。洗浄液としては、例えば、水、緩衝液又は生理食塩水等が用いられる。緩衝液としては、PBS(Phosphate Buffered Salts)及びTBS(Tris-Buffered Saline)等が挙げられる。剥離液は、細胞培養デバイス12の後述するバイオリアクター30から細胞を剥離する。剥離液としては、例えば、トリプシン又はEDTA液等が用いられる。培地、洗浄液及び剥離液は、上述した液体に限定されない。
【0012】
細胞培養デバイス12は、一回の使用で(所定数の細胞が培養される毎に)廃棄される。つまり、細胞培養デバイス12は、使い捨て品である。細胞培養デバイス12は、2つの培養処理部18と、1つのサンプリング部20とを備える。
【0013】
図2において、各培養処理部18は、供給部22、回収容器24、廃液収容部26及び培養部28を有する。
【0014】
供給部22は、細胞液、培地、洗浄液及び剥離液を培養部28に供給する。回収容器24は、培養部28で培養された細胞を回収する。廃液収容部26には、培養部28で発生した廃液を収容する。回収容器24及び廃液収容部26の各々は、例えば、軟質樹脂材料を袋状に成形した医療用バッグである。軟質樹脂材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル及びポリオレフィン等が挙げられる。ただし、回収容器24及び廃液収容部26の各々は、硬質樹脂で構成されたタンク等であってもよい。
【0015】
培養部28は、複数のバイオリアクター30(図4参照)、培養回路32及びガス交換部34を有する。なお、図2では、便宜上、バイオリアクター30を1つのみ示している。
【0016】
各バイオリアクター30は、複数の中空糸膜36と、円筒状のハウジング38とを有する。複数の中空糸膜36は、ハウジング38内に収容されている。各中空糸膜36の一端部は、ハウジング38の一端部に固着されている。各中空糸膜36の他端部は、ハウジング38の他端部に固着されている。
【0017】
各中空糸膜36は、高分子材料により構成されている。具体的に、各中空糸膜36の構成材料としては、ポリプロピレン、ポリオレフィン樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、再生セルロース等が挙げられる。ただし、各中空糸膜36の構成材料は、上述した材料に限定されない。
【0018】
各バイオリアクター30は、第1領域40と第2領域42とを備える。第1領域40は、複数の中空糸膜36の内孔である。第2領域42は、ハウジング38の内周面と複数の中空糸膜36の外周面との間の空間である。各中空糸膜36は、図示しない複数の細孔を有する。第1領域40と第2領域42とは、各中空糸膜36の複数の細孔を介して互いに連通している。各細孔の直径は、高分子(細胞等)の通過を阻止する一方で低分子(例えば、水、イオン、酸素、乳酸塩等)を通過させることができる大きさである。各細孔の直径は、例えば、0.005μm以上10μm以下である。
【0019】
ハウジング38には、第1入口ポート44、第1出口ポート46、第2入口ポート48及び第2出口ポート50が取り付けられている。第1入口ポート44は、ハウジング38の一端に取り付けられている。第1入口ポート44は、複数の中空糸膜36の一端に位置する入口を介して第1領域40に連通している。第1出口ポート46は、ハウジング38の他端に取り付けられている。第1出口ポート46は、複数の中空糸膜36の他端に位置する出口を介して第1領域40に連通している。
【0020】
第2入口ポート48及び第2出口ポート50は、ハウジング38の外周面に取り付けられている。第2入口ポート48は、ハウジング38の長手方向において、ハウジング38の中央と第1入口ポート44との間に位置する。第2出口ポート50は、ハウジング38の長手方向において、ハウジング38の中央と第1出口ポート46との間に位置する。第2入口ポート48及び第2出口ポート50の各々は、第2領域42に連通している。
【0021】
培養回路32は、線状に延在した流路を有する。具体的に、培養回路32は、液体が流通する複数のチューブを含む。各チューブは、軟質な樹脂材料によって構成されている。
【0022】
培養回路32は、上述した構成に限定されない。培養回路32は、例えば、液体が流通する流路を含むシート部材を有してもよい。シート部材は、軟質な樹脂材料からなる2枚のシートを厚さ方向に互いに重ねて構成される。2枚のシートのうち流路を構成する部分以外の箇所は、互いに接合(融着)されている。2枚のシートのうち流路を構成する流路壁部は、互いに接合(融着)されていない。シート部材のうち流路壁部は、流路に液体が流通していない自然状態で、外方に膨出するのが好ましい。なお、シート部材のうち流路と交差する方向の両側の余分な部分は、切除してもよい。
【0023】
培養回路32は、第1供給流路52、第1循環流路54、第2供給流路56、第2循環流路58、回収流路60及び廃液流路62を備える。第1供給流路52の一端は、供給部22に接続している。供給部22は、細胞液、培地、洗浄液及び剥離液を1種類ずつ所定のタイミングで第1供給流路52に供給する。第1供給流路52の他端は、第1循環流路54に合流している。
【0024】
第1循環流路54のうち第1供給流路52が繋がった部分である第1合流部64は、第1循環流路54の延在方向の中間部分に位置する。詳細な図示は省略するが、第1循環流路54は、複数の一端部を有する。第1循環流路54の複数の一端部は、複数のバイオリアクター30の第1入口ポート44のそれぞれに接続している。第1循環流路54は、複数の他端部を有する。第1循環流路54の複数の他端部は、複数のバイオリアクター30の第1出口ポート46のそれぞれに接続している。第1循環流路54は、複数の中空糸膜36の内孔(第1領域40)に連通する。すなわち、複数のバイオリアクター30は、第1循環流路54に並列に取り付けられる。
【0025】
第2供給流路56の一端は、供給部22に接続している。供給部22は、培地及び洗浄液を1種類ずつ所定のタイミングで第2供給流路56に供給する。第2供給流路56の他端は、第2循環流路58に合流している。
【0026】
第2循環流路58のうち第2供給流路56が繋がった部分である第2合流部66は、第2循環流路58の延在方向の中間部分に位置する。詳細な図示は省略するが、第2循環流路58は、複数の一端部を有する。第2循環流路58の複数の一端部は、複数のバイオリアクター30の第2入口ポート48のそれぞれに接続している。第2循環流路58は、複数の他端部を有する。第2循環流路58の複数の他端部は、複数のバイオリアクター30の第2出口ポート50のそれぞれに接続している。第2循環流路58は、複数の中空糸膜36とハウジング38との間の空間(第2領域42)に連通する。
【0027】
回収流路60は、第1循環流路54から延出している。第1循環流路54のうち回収流路60が繋がった部分である回収分岐部68は、第1循環流路54における第1合流部64と複数のバイオリアクター30の第1出口ポート46との間に位置する。回収流路60の延出端は、回収容器24に接続している。
【0028】
廃液流路62は、第1循環流路54及び第2循環流路58を流通する液体を廃棄するための流路である。廃液流路62は、第1廃液流路70、第2廃液流路72及び第3廃液流路74を有する。第1廃液流路70は、第1循環流路54から延出している。第1循環流路54のうち第1廃液流路70が繋がった部分である第1分岐部76は、第1循環流路54における回収分岐部68と複数のバイオリアクター30の第1出口ポート46との間に位置する。
【0029】
第2廃液流路72は、第2循環流路58から延出している。第2循環流路58のうち第2廃液流路72が繋がった部分である第2分岐部78は、第2循環流路58における第2合流部66と複数のバイオリアクター30の第2出口ポート50との間に位置する。
【0030】
第1廃液流路70の延出端と第2廃液流路72の延出端とは、第3廃液流路74の一端に繋がっている。第3廃液流路74の他端は、廃液収容部26に接続している。
【0031】
ガス交換部34は、第2循環流路58における第2合流部66と複数のバイオリアクター30の第2入口ポート48との間に取り付けられている。ガス交換部34は、第2循環流路58を流通する液体(培地)に所定成分のガスを通過させる。ガス交換部34で用いられるガスは、例えば、自然界の空気に近い成分を有する。換言すれば、当該ガスは、窒素、酸素及び二酸化炭素を含む。具体的に、当該ガスは、例えば、体積比で、75%の窒素と、20%の酸素と、5%の二酸化炭素とを含む。
【0032】
以下の説明では、2つの培養処理部18のうちの一方を第1培養処理部80と呼び、2つの培養処理部18のうちの他方を第2培養処理部82と呼ぶことがある。
【0033】
図1において、サンプリング部20は、サンプリング流路84、サンプリング回路部86、洗浄液収容部88及びサンプル廃液収容部90を有する。サンプリング流路84は、第1導入流路92、第2導入流路94及び第3導入流路96を含む。
【0034】
第1導入流路92の一端は、第1培養処理部80に繋がっている。具体的に、第1導入流路92の一端は、第1培養処理部80のうち、第2循環流路58における第2分岐部78と複数のバイオリアクター30の第2出口ポート50との間に繋がっている(図2参照)。第1導入流路92には、図示しない無菌フィルタが取り付けられている。第1導入流路92の他端は、第3導入流路96の一端に繋がっている。
【0035】
第2導入流路94の一端は、第2培養処理部82に繋がっている。具体的に、第2導入流路94の一端は、第2培養処理部82のうち、第2循環流路58における第2分岐部78と複数のバイオリアクター30の第2出口ポート50との間に繋がっている(図2参照)。第2導入流路94には、図示しない無菌フィルタが取り付けられている。第2導入流路94の他端は、第3導入流路96の一端に繋がっている。
【0036】
サンプリング回路部86は、測定流路98、第1センサ部100及び第2センサ部102を有する。測定流路98の一端は、洗浄液収容部88に接続している。測定流路98の他端は、サンプル廃液収容部90に接続している。測定流路98には、第3導入流路96の他端が繋がっている。
【0037】
第1センサ部100は、測定流路98に取り付けられている。第1センサ部100は、測定流路98における第3導入流路96の他端が合流する第3合流部104とサンプル廃液収容部90との間に位置する。第1センサ部100は、一体成形品である。第1センサ部100は、pHセンサ106とガスセンサ108とを有している。
【0038】
pHセンサ106は、測定流路98を流通する液体のpH(水素イオン指数)を測定する。ガスセンサ108は、測定流路98を流通する液体のガス濃度を測定する。具体的に、ガスセンサ108は、酸素センサと二酸化炭素センサとを含む。酸素センサは、測定流路98を流通する液体の酸素濃度を測定する。二酸化炭素センサは、測定流路98を流通する液体の二酸化炭素濃度を測定する。
【0039】
第2センサ部102は、測定流路98に取り付けられている。具体的に、第2センサ部102は、測定流路98のうち第1センサ部100とサンプル廃液収容部90との間に取り付けられている。第2センサ部102は、バイオセンサである。換言すれば、第2センサ部102は、一体成形された酵素センサである。
【0040】
第2センサ部102は、例えば、グルコースセンサ110と乳酸センサ112とを含む。グルコースセンサ110及び乳酸センサ112の各々は、測定流路98を流通する液体に接触する。グルコースセンサ110は、測定流路98を流通する液体のグルコース濃度を測定する。乳酸センサ112は、測定流路98を流通する液体の乳酸濃度を測定する。
【0041】
第2センサ部102は、酵素センサに限定されず、非酵素センサであってもよい。
【0042】
洗浄液収容部88及びサンプル廃液収容部90は、上述した回収容器24及び廃液収容部26と同様の医療用バッグである。ただし、洗浄液収容部88及びサンプル廃液収容部90は、硬質樹脂で構成されたタンク等であってもよい。洗浄液収容部88には、洗浄液が収容されている。洗浄液は、第2センサ部102を洗浄するための液体である。洗浄液としては、例えば、上述した供給部22から培養回路32に供給される洗浄液と同様の液体が用いられる。
【0043】
支持装置14には、細胞培養デバイス12がセットされる。支持装置14は、細胞培養デバイス12を支持する。支持装置14は、複数回使用することができるリユース品である。
【0044】
図1及び図2において、支持装置14は、複数のポンプ114と、複数のクランプ116とを有する。複数のポンプ114の各々は、細胞培養デバイス12の流路壁部をしごくことにより流路内の液体に流動力を付与する。つまり、複数のポンプ114の各々は、図示しない押圧部材を有する。押圧部材は、例えば、回転部材と、複数の押圧ローラとを含む。複数の押圧ローラは、回転部材の外周部に取り付けられている。複数の押圧ローラは、回転部材の周方向に間隔を空けて配置されている。各押圧ローラは、細胞培養デバイス12の流路壁部の外面を擦る。
【0045】
図1において、支持装置14は、2つの処理支持部142と、2つのリアクタ支持部144(図2参照)と、1つのサンプリング支持部146と、第1センサ支持部148と、第2センサ支持部150とを備える。
【0046】
以下の説明では、2つの処理支持部142のうちの一方を第1処理支持部152と呼び、2つの処理支持部142のうちの他方を第2処理支持部154と呼ぶことがある。また、図2において、2つのリアクタ支持部144のうち一方を第1リアクタ支持部156と呼び、2つのリアクタ支持部144の他方を第2リアクタ支持部158と呼ぶことがある。
【0047】
図1及び図2において、第1処理支持部152には、第1培養処理部80の培養回路32が着脱可能である。第2処理支持部154には、第2培養処理部82の培養回路32が着脱可能である。第1リアクタ支持部156には、第1培養処理部80の複数のバイオリアクター30が着脱可能である。第2リアクタ支持部158には、第2培養処理部82の複数のバイオリアクター30が着脱可能である。
【0048】
第1センサ支持部148には、第1センサ部100が着脱可能である。第2センサ支持部150には、第2センサ部102が着脱可能である。
【0049】
コントローラ16は、複数のポンプ114、複数のクランプ116、第1センサ部100及び第2センサ部102等を制御する。
【0050】
図3に示すように、細胞培養システム10は、クリーンルーム内に配置される。支持装置14は、収容ケース160と筐体162とを備える。
【0051】
収容ケース160は、クリーンルームの床面に設置される。収容ケース160は、直方体形状を有する。収容ケース160内には、2つの供給部22、2つの回収容器24、2つの廃液収容部26、洗浄液収容部88及びサンプル廃液収容部90が収容されている。
【0052】
筐体162は、収容ケース160の平坦な上面164に配置されている。筐体162の高さ寸法(矢印Z方向の長さ)は、筐体162の幅寸法(矢印X方向の長さ)よりも大きい。筐体162の高さ寸法は、筐体162の厚さ寸法(矢印Y方向の長さ)よりも大きい。すなわち、筐体162は、上下方向に延びている。
【0053】
図3及び図4において、筐体162は、細胞培養デバイス12の一部を収容する収容室166を有する。収容室166には、各培養処理部18の培養回路32と、各培養処理部18の複数のバイオリアクター30とが収容されている。筐体162は、図示しない調温装置を含む。この調温装置は、収容室166を適宜の温度に保持する。筐体162は、筐体本体168と、扉部170とを含む。
【0054】
図4に示すように、筐体本体168は、底壁部172、第1側壁部174、第2側壁部176、第3側壁部178及び上壁部180を有する。底壁部172、第1側壁部174、第2側壁部176、第3側壁部178及び上壁部180の各々は、平板部である。第1側壁部174は、底壁部172の矢印Xb方向の端部から上方に延出している。第2側壁部176は、底壁部172の矢印Xa方向の端部から上方に延出している。つまり、第1側壁部174と第2側壁部176とは、互いに向かい合っている。第3側壁部178は、底壁部172の矢印Yb方向の端部から上方に延出している。上壁部180は、第1側壁部174の上端部と、第2側壁部176の上端部と、第3側壁部178の上端部とに連結している。
【0055】
筐体本体168は、切欠部182を有する。切欠部182は、筐体本体168の矢印Ya方向の端部に位置している。具体的に、切欠部182は、第1切欠部184、第2切欠部186及び第3切欠部188を含む。第1切欠部184は、底壁部172における矢印Xa方向及び矢印Ya方向の角部に位置する。第2切欠部186は、第2側壁部176の矢印Ya方向の端部に位置する。第2切欠部186は、第2側壁部176の上下方向の全長に亘って延在している。第3切欠部188は、上壁部180の矢印Ya方向の端部に位置する。第2切欠部186の下端は、第1切欠部184に連通している。第2切欠部186の上端は、第3切欠部188に連通している。
【0056】
図3及び図4において、扉部170は、収容室166を開閉可能に筐体本体168に取り付けられている。扉部170は、扉部本体190と保護壁部192とを有する。扉部本体190は、上下方向に矩形状に延びた平板部である。扉部本体190は、第1長辺部194、第2長辺部196、第1短辺部198及び第2短辺部200を含む。
【0057】
第1長辺部194及び第2長辺部196は、上下方向に延在している。第1長辺部194は、第1側壁部174に図示しないヒンジ等を介して回転可能に取り付けられている。第1短辺部198及び第2短辺部200は、水平方向に延在している。第1短辺部198は、扉部本体190の下端部に位置する。第2短辺部200は、扉部本体190の上端部に位置する。
【0058】
扉部本体190は、内面202と外面204とを有する。扉部本体190の内面202は、扉部170を閉じた状態で第3側壁部178を向く。扉部本体190の外面204は、扉部本体190の内面202とは反対方向を向く。扉部本体190は、貫通孔206を有する。貫通孔206は、扉部本体190の内面202から外面204まで延びている。貫通孔206は、扉部本体190の上下方向の中央部に位置する。貫通孔206は、第1長辺部194に隣接している。
【0059】
保護壁部192は、第1突出部208、第2突出部210及び第3突出部212を含む。第1突出部208は、第1短辺部198から扉部本体190の外面204から内面202に向かう方向に突出している。第2突出部210は、第2長辺部196から第1突出部208の突出方向に突出している。
【0060】
第3突出部212は、第2短辺部200から第1突出部208の突出方向に突出している。第2突出部210の下端部は、第1突出部208に繋がっている。第2突出部210の上端部は、第3突出部212に繋がっている。第3突出部212は、第2短辺部200の略全長に亘って延在している。
【0061】
保護壁部192は、扉部170を閉じた状態で、筐体本体168の切欠部182に位置する。すなわち、第1突出部208は、扉部170を閉じた状態で、第1切欠部184に位置する。第2突出部210は、扉部170を閉じた状態で、第2切欠部186に位置する。第3突出部212は、扉部170を閉じた状態で、第3切欠部188に位置する。
【0062】
筐体162には、第1処理支持部152、第2処理支持部154、第1リアクタ支持部156、第2リアクタ支持部158、サンプリング支持部146、第1センサ支持部148及び第2センサ支持部150が取り付けられている。
【0063】
図4において、第1処理支持部152及び第2処理支持部154は、第3側壁部178の内面に固定されている。第2処理支持部154は、第1処理支持部152の上方に位置する。第1処理支持部152には、第1培養処理部80の培養回路32が装着される。第2処理支持部154には、第2培養処理部82の培養回路32が装着される。
【0064】
第1リアクタ支持部156及び第2リアクタ支持部158は、扉部本体190の内面202に固定されている。第1リアクタ支持部156は、扉部本体190の上下方向の中央と第1短辺部198との間に位置する。第2リアクタ支持部158は、扉部本体190の上下方向の中央と第2短辺部200との間に位置する。第2リアクタ支持部158は、第1リアクタ支持部156の上方に位置する。第1リアクタ支持部156は、扉部170を閉じた状態で、第1処理支持部152に向く。第2リアクタ支持部158は、扉部170を閉じた状態で、第2処理支持部154に向く。
【0065】
第1リアクタ支持部156には、第1培養処理部80の複数のバイオリアクター30が装着される。第1リアクタ支持部156に装着された複数のバイオリアクター30は、扉部170を閉じた状態で、第1処理支持部152に装着された第1培養処理部80の培養回路32に隣接する。第2リアクタ支持部158には、第2培養処理部82の複数のバイオリアクター30が装着される。第2リアクタ支持部158に装着された複数のバイオリアクター30は、扉部170を閉じた状態で、第2処理支持部154に装着された第2培養処理部82の培養回路32に隣接する。
【0066】
第1リアクタ支持部156と第2リアクタ支持部158とに装着された複数のバイオリアクター30は、保護壁部192によって覆われる。具体的に、第2突出部210は、第1リアクタ支持部156と第2リアクタ支持部158とに装着された複数のバイオリアクター30を水平方向から覆う。第3突出部212は、第2リアクタ支持部158に装着された複数のバイオリアクター30を上方から覆う。これにより、例えば、扉部170を開いた時に、ユーザが複数のバイオリアクター30に当たることを抑えることができる。
【0067】
扉部本体190の貫通孔206には、サンプリング流路84(第1導入流路92及び第2導入流路94)が通される。つまり、サンプリング流路84は、貫通孔206を介して筐体162の収容室166から筐体162の外方に引き出される。
【0068】
図3において、サンプリング支持部146、第1センサ支持部148及び第2センサ支持部150は、扉部本体190の外面204に固定されている。サンプリング支持部146は、扉部本体190の上下方向の中央と第1短辺部198との間に位置する。第1センサ支持部148及び第2センサ支持部150は、サンプリング支持部146の上方に位置する。第1センサ支持部148と第2センサ支持部150とは、水平方向に互いに隣接している。
【0069】
サンプリング支持部146には、サンプリング流路84とサンプリング回路部86とが装着される。第1センサ支持部148には、第1センサ部100が装着される。第2センサ支持部150には、第2センサ部102が装着される。
【0070】
コントローラ16は、扉部本体190の外面204の上部に取り付けられている。
【0071】
本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0072】
本実施形態によれば、サンプリング支持部146を筐体162の外面に取り付けている。そのため、サンプリング支持部146を筐体162から離れた場所に配置する場合と比較して、支持装置14をコンパクトにすることができる。また、サンプリング支持部146を筐体162から離れた場所に配置する場合と比較して、サンプリング流路84を短くすることができるため、サンプリング部20に採取する培地の量を少なくすることができる。
【0073】
筐体162は、筐体本体168と、扉部170とを含む。筐体本体168は、収容室166を有する。扉部170は、筐体本体168に取り付けられて収容室166を開閉する。サンプリング支持部146は、扉部170の外面204に取り付けられている。
【0074】
このような構成によれば、サンプリング支持部146へのサンプリング回路部86の装着を容易に行うことができる。また、ユーザは、サンプリング部20に容易にアクセスすることができる。
【0075】
支持装置14は、複数のバイオリアクター30を着脱可能なリアクタ支持部144を備える。リアクタ支持部144は、扉部170の内面202に固定されている。
【0076】
このような構成によれば、サンプリング流路84を短くしつつ複数のバイオリアクター30から導出された培地をサンプリング部20に採取することができる。
【0077】
扉部170は、貫通孔206を有する。貫通孔206には、サンプリング流路84が通される。
【0078】
このような構成によれば、サンプリング流路84を一層短くすることができる。
【0079】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る細胞培養システム300について説明する。本実施形態において、上述した細胞培養システム10と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0080】
図5に示すように、細胞培養システム300において、サンプリング支持部146、第1センサ支持部148及び第2センサ支持部150は、筐体本体168の第2側壁部176の外面(矢印Xa方向を向く面)に固定されている。サンプリング支持部146は、第2側壁部176の外面の上下方向の中央と第2側壁部176の下端との間に位置する。
【0081】
第1センサ支持部148及び第2センサ支持部150は、サンプリング支持部146の上方に位置する。第1センサ支持部148と第2センサ支持部150とは、水平方向に隣接している。第2側壁部176は、貫通孔220を有する。貫通孔220は、第2側壁部176の上下方向の中央部に位置する。貫通孔220は、第2側壁部176を厚さ方向に貫通する。
【0082】
本実施形態によれば、サンプリング支持部146は、筐体本体168の外面に取り付けられている。そのため、サンプリング支持部146を筐体162から離れた場所に配置する場合と比較して、支持装置14をコンパクトにすることができる。また、サンプリング支持部146を筐体162から離れた場所に配置する場合と比較して、サンプリング流路84を短くすることができるため、サンプリング部20に採取する培地の量を少なくすることができる。
【0083】
サンプリング支持部146は、筐体本体168の外面のうち扉部170に隣接するとともに水平方向を向いた側面(第2側壁部176の外面)に取り付けられている。
【0084】
このような構成によれば、サンプリング支持部146へのサンプリング回路部86の装着を容易に行うことができる。また、ユーザは、サンプリング回路部86に容易にアクセスすることができる。
【0085】
第2側壁部176の外面には、サンプリング流路84(第1導入流路92及び第2導入流路94)を通すための貫通孔220が開口している。
【0086】
このような構成によれば、サンプリング流路84を一層短くすることができる。
【0087】
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
【0088】
サンプリング支持部146、第1センサ支持部148及び第2センサ支持部150は、筐体本体168の第1側壁部174の外面、筐体本体168の上壁部180の外面又は第3側壁部178の外面に取り付けられてもよい。第1センサ支持部148及び第2センサ支持部150は、筐体162の外面のうち、サンプリング支持部146が取り付けられた面とは異なる面に取り付けられてもよい。サンプリング支持部146、第1センサ支持部148及び第2センサ支持部150は、一体成形品であってもよい。
【0089】
サンプリング部20は、第1廃液流路70、第2廃液流路72又は第3廃液流路74に繋がっていてもよい。各培養処理部18は、1つのみのバイオリアクター30を有してもよい。細胞培養デバイス12は、1つのみの培養処理部18を有してもよい。細胞培養デバイス12は、3つ以上の培養処理部18を有してもよい。
【0090】
本実施形態は、以下の内容を開示している。
【0091】
上記実施形態は、細胞を培養するバイオリアクター(30)を含む培養部(28)と、前記細胞の培養に用いられた培地を前記培養部から採取するサンプリング部(20)と、を備え、前記サンプリング部は、サンプリング回路部(86)と、前記培養部と前記サンプリング回路部とを互いに繋ぐサンプリング流路(84)と、を有する、細胞培養デバイス(12)を支持する支持装置(14)であって、前記培養部を収容するための収容室(166)を有する筐体(162)と、前記サンプリング回路部を着脱可能なサンプリング支持部(146)と、を有し、前記サンプリング支持部は、前記筐体の外面(204)に取り付けられている、支持装置を開示している。
【0092】
上記の支持装置において、前記筐体は、前記収容室を有する筐体本体(168)と、前記筐体本体に取り付けられて前記収容室を開閉する扉部(170)と、を含み、前記サンプリング支持部は、前記扉部の外面(204)に取り付けられてもよい。
【0093】
上記の支持装置において、前記バイオリアクターを着脱可能なリアクタ支持部(144)を備え、前記リアクタ支持部は、前記扉部の内面(202)に固定されてもよい。
【0094】
上記の支持装置において、前記扉部は、前記サンプリング流路を通すための貫通孔(206)を有してもよい。
【0095】
上記の支持装置において、前記筐体は、前記収容室を有する筐体本体と、前記筐体本体に取り付けられて前記収容室を開閉する扉部と、を有し、前記サンプリング支持部は、前記筐体本体の外面に取り付けられてもよい。
【0096】
上記の支持装置において、前記サンプリング支持部は、前記筐体本体の前記外面のうち前記扉部に隣接するとともに水平方向を向いた側面に取り付けられてもよい。
【0097】
上記の支持装置において、前記側面には、前記サンプリング流路を通すための貫通孔(220)が開口してもよい。
【0098】
上記実施形態は、上述した支持装置と、前記細胞培養デバイスと、を備える、細胞培養システム(10、300)を開示している。
【符号の説明】
【0099】
10、300…細胞培養システム 12…細胞培養デバイス
14…支持装置 20…サンプリング部
28…培養部 30…バイオリアクター
84…サンプリング流路 86…サンプリング回路部
144…リアクタ支持部 146…サンプリング支持部
162…筐体 166…収容室
168…筐体本体 170…扉部
206、220…貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】